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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-12
(54)【発明の名称】改善されたコポリエーテルエステル
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/00 20060101AFI20230705BHJP
   C08L 21/00 20060101ALI20230705BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20230705BHJP
   C08G 63/672 20060101ALI20230705BHJP
   C08K 5/5313 20060101ALI20230705BHJP
   C08K 5/5317 20060101ALI20230705BHJP
   C08K 3/38 20060101ALI20230705BHJP
   C08K 5/3477 20060101ALI20230705BHJP
   H01B 7/295 20060101ALI20230705BHJP
【FI】
C08L67/00
C08L21/00
C08L101/00
C08G63/672
C08K5/5313
C08K5/5317
C08K3/38
C08K5/3477
H01B7/295
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564111
(86)(22)【出願日】2021-06-15
(85)【翻訳文提出日】2022-10-21
(86)【国際出願番号】 US2021037373
(87)【国際公開番号】W WO2021257531
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】63/039,098
(32)【優先日】2020-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/039,133
(32)【優先日】2020-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/039,171
(32)【優先日】2020-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519393129
【氏名又は名称】デュポン ポリマーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エレーニ カライアンニ
【テーマコード(参考)】
4J002
4J029
5G315
【Fターム(参考)】
4J002AA011
4J002AC001
4J002AC081
4J002BB001
4J002CF041
4J002CF051
4J002CF101
4J002CL001
4J002DH027
4J002DH028
4J002DH036
4J002DK008
4J002EU188
4J002EW038
4J002EY018
4J002FD010
4J002FD020
4J002FD050
4J002FD060
4J002FD070
4J002FD090
4J002FD136
4J002FD137
4J002FD138
4J002FD200
4J002GQ00
4J002GQ01
4J029AA03
4J029AB07
4J029AC02
4J029AC03
4J029AE01
4J029AE04
4J029BA02
4J029BA03
4J029BA04
4J029BA05
4J029CB05A
4J029CB06A
4J029HA01
4J029HB01
4J029JE182
4J029KC01
5G315CA03
5G315CB02
5G315CB06
5G315CD02
5G315CD08
5G315CD09
5G315CD13
(57)【要約】
本発明は、耐燃性であり、且つ熱または火炎に曝されたときに煙生成の低減を示すコポリエーテルエステル組成物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)コポリエーテルエステル、ポリアミドエラストマー、熱可塑性ポリオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性加硫物から選択される少なくとも1種のポリマーと;
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウムと;
(C)(c1)亜リン酸の亜鉛塩、任意選択的に(c2)亜リン酸のアルミニウム塩と
を含む難燃性ポリマー組成物であって、
(C)が亜リン酸のアルミニウム塩を含む場合、(C)の総濃度が、
[重量%(C)]>25/[重量%(B)]
によって規定され、
(C)が亜リン酸のアルミニウム塩を含まない場合、(C)の総濃度が、
[重量%(C)]>40/[重量% (B)]
によって規定され、
前記重量百分率が、前記組成物の総重量を基準とする
難燃性ポリマー組成物。
【請求項2】
(A)少なくとも1種のコポリエーテルエステルと;
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウム(DEPAl)と;
(C)(c1)亜リン酸の亜鉛塩、および任意選択的に(c2)亜リン酸のアルミニウム塩と
を含む難燃性コポリエーテルエステル組成物であって、
(C)が亜リン酸のアルミニウム塩を含む場合、(C)の総濃度が、
[重量%(C)]>25/[重量%(B)]
によって規定され、
(C)が亜リン酸のアルミニウム塩を含まない場合、(C)の総濃度が、
[重量%(C)]>40/[重量%(B)]
によって規定され、
前記重量百分率が、前記組成物の総重量を基準とする
難燃性コポリエーテルエステル組成物。
【請求項3】
(B’)0.2~1重量%の、エチルブチルホスフィン酸のアルミニウム塩、ジブチルホスフィン酸のアルミニウム塩、エチルヘキシルホスフィン酸のアルミニウム塩、ブチルヘキシルホスフィン酸のアルミニウム塩、ジヘキシルホスフィン酸のアルミニウム塩、またはこれらのいずれかの混合物をさらに含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
成分(B’)は、好ましくは、エチルブチルホスフィン酸のアルミニウム塩、ジブチルホスフィン酸のアルミニウム塩、エチルヘキシルホスフィン酸のアルミニウム塩、およびこれらのいずれかの混合物から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記コポリエーテルエステルは、C2~C6ジオールを、芳香族二酸部分およびポリ(アルキレンオキシド)ジオールと反応させることによって製造される、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記コポリエーテルエステルは、ポリ(エチレンオキシド)ジオール、ポリ(プロピレンオキシド)ジオール、ポリ(テトラメチレンオキシド)ジオール(「PTMEG」)、およびこれらの2つ以上の混合物から選択されるポリ(アルキレンオキシド)ジオールを使用して製造される、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記コポリエーテルエステルは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、およびこれらの2つ以上の混合物から選択されるC2~C6ジオールを使用して製造される、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記コポリエーテルエステルは、テレフタレート、イソテレフタレート、およびこれらの混合物から選択され、テレフタレートが特に好ましい、芳香族二酸を使用して製造される、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記コポリエーテルエステルは、ブチレンジオール、テレフタレートおよびPTMEGから製造される、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記コポリエーテルエステルは、ブチレンジオール、テレフタレート、イソフタレートおよびPTMEGから製造される、請求項1~9いずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記ジエチルホスフィン酸アルミニウムは、前記コポリエーテルエステル組成物の総重量を基準として、2~25重量%、より好ましくは10~20重量%、特に好ましくは10~15重量%で存在する、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記亜リン酸の亜鉛塩は、CAS番号[14332-59-3]を有する亜リン酸亜鉛である、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
亜リン酸のアルミニウム塩を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物であって、前記亜リン酸のアルミニウム塩が亜リン酸アルミニウムと水酸化アルミニウムとの混合物から選択され、前記混合物は、5~95重量%のAl2(HPO33*nH2Oおよび95~5重量%のAl(OH)3、より好ましくは10~90重量%のAl2(HPO3)*nH2Oおよび90~10重量%のAl(OH)3、最も好ましくは35~65重量%のAl2(HPO33*nH2Oおよび65~35重量%のAl(OH)3の組成を有し、それぞれの場合にn=0~4である組成物。
【請求項14】
亜リン酸のアルミニウム塩を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物であって、前記亜リン酸のアルミニウム塩が、CAS番号[15099-32-8]、[119103-85-4]、[220689-59-8]、[56287-23-1]、[156024-71-4]、[71449-76-8]、[15099-32-8]を有する化合物、およびこれらの2つ以上の混合物から選択される組成物。
【請求項15】
亜リン酸のアルミニウム塩を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物であって、前記亜リン酸のアルミニウム塩がCAS番号[56287-23-1]の化合物である組成物。
【請求項16】
亜リン酸の塩の総濃度は、前記コポリエーテルエステル組成物の総重量を基準として、3~15重量%である、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
亜リン酸の塩の総濃度は、前記コポリエーテルエステル組成物の総重量を基準として、3~15重量%、より好ましくは5~8重量%である、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
亜リン酸アルミニウムは、前記コポリエーテルエステル組成物の総重量を基準として、3~10重量%で存在する、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
亜リン酸亜鉛は、前記コポリエーテルエステル組成物の総重量を基準として、3~10重量%で存在する、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
亜リン酸亜鉛は、前記コポリエーテルエステル組成物の総重量を基準として、5~8重量%で存在する、請求項1~19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
成分(C)の濃度が成分(B)の濃度以下である、請求項1~20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
前記亜リン酸のアルミニウム塩は、CAS番号[56287-23-1]の化合物である、請求項1~21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
前記亜リン酸の亜鉛塩は、CAS番号[14332-59-3]の化合物である、請求項1~22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
亜リン酸アルミニウムと亜リン酸亜鉛との混合物が使用される、請求項1~23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
(A)少なくとも1種のコポリエーテルエステルと;
(B)ジエチルホスフィン酸アルミニウムと;
(C)3重量%以上の亜リン酸のアルミニウム塩と
を含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の組成物であって、
前記重量百分率が、前記コポリエーテルエステル組成物の総重量を基準とする
組成物。
【請求項26】
(A)少なくとも1種のコポリエーテルエステルと;
(B)10~20重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウムと;
(C)5~8重量%の全亜リン酸塩と
を含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の組成物であって、前記亜リン酸塩が、亜リン酸の亜鉛塩、および亜リン酸の亜鉛塩と亜リン酸のアルミニウム塩との組合せから選択され;
前記重量百分率が、前記コポリエーテルエステル組成物の総重量を基準とする
組成物。
【請求項27】
(D)前記コポリエーテルエステル組成物の総重量を基準として、0~15重量%、より好ましくは2~15重量%、より特に好ましくは5~12重量%の、窒素含有相乗剤並びに/またはリン含有難燃剤および/または窒素含有難燃剤をさらに含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
成分(D)は、メラミンと、有機または無機酸との塩、およびこれらの2つ以上の混合物から選択される、少なくとも1種のメラミン誘導体から選択される、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
成分(D)は、メラミンと、ホウ酸、シアヌル酸、リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、およびこれらの2つ以上の混合物との塩から選択される、請求項27または28に記載の組成物。
【請求項30】
成分(D)は、メラミンピロホスフェートである、請求項27、28または29に記載の組成物。
【請求項31】
成分(D)は、アセトン中で、Malvern Mastersizer 2000粒径アナライザ機器を使ってレーザー回折技術を用いて測定される際に、20ミクロン未満、好ましくは15ミクロン未満の平均粒径を有する、請求項27~30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
寸法125mm長さ×13mm幅のおよび約1.7±0.1mmの平均厚さを有する長方形バーの形状の試験片を使用して、試験方法ISO 4589-1/-2に従って測定される際に、19以上、より好ましくは21以上、より特に好ましくは23以上のLOIを有する、請求項1~31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
寸法125mm長さ×13mm幅のおよび約1.7±0.1mmの平均厚さを有する長方形バーの形状の試験片を使用して、試験方法ISO 4589-1/-2に従って測定される際に、前記金属亜リン酸塩なしの組成物のLOIに対する前記DEPAlおよび金属亜リン酸塩を含む組成物のLOIの比は、約0.75以上、より好ましくは0.9以上、より特に好ましくは1.0以上である、請求項1~32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
ISO 5659試験標準に従い、かつ、75mm×75mmの面積および2mmの厚さを有するプラークを使用して測定されるDs,max,retは、45以下、より好ましくは40以下、より特に35以下である、請求項1~33のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
ISO 5659試験標準に従って並びに75mm×75mmの面積および2mmの厚さを有するプラークを使用して測定される際に、金属亜リン酸塩なしの組成物のDs,max,retに対する前記DEPAlおよび金属亜リン酸塩を含む組成物のDs,max,retの比は、0.9以下、より好ましくは0.8以下、より特に0.7以下である、請求項1~34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
寸法125mm長さ×13mm幅のおよび約1.7±0.1mmの平均厚さを有する長方形棒の形状の試験片を使用して、試験方法ISO 4589-1/-2に従って測定される際に、19以上、より好ましくは21以上、より特に好ましくは23以上のLOIを有し、かつ、ISO 5659試験標準に従って並びに75mm×75mmの面積および2mmの厚さを有するプラークを使用して測定されるDs,max,retは、45以下、より好ましくは40以下、より特に35以下である、請求項1~35のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項37】
前記DEPAlは、10ミクロン以下の粒径D95(体積%、アセトン中で、Malvern Mastersizer 2000粒径アナライザ機器を使ってレーザー回折技術を用いて測定される)を有する、請求項1~36のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項38】
前記亜リン酸の亜鉛塩は、10ミクロン以下の粒径D95(体積%、アセトン中で、Malvern Mastersizer 2000粒径アナライザ機器を使ってレーザー回折技術を用いて測定される)を有する、請求項1~37のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項39】
前記亜リン酸のアルミニウム塩は、10ミクロン以下の粒径D95(体積%、アセトン中で、Malvern Mastersizer 2000粒径アナライザ機器を使ってレーザー回折技術を用いて測定される)を有する、請求項1~38のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項40】
請求項1~39のいずれか一項に記載の組成物から実質的にまたは完全に製造される造形品。
【請求項41】
導光性または導電性コアと、請求項1~39のいずれか一項に記載の組成物から製造される少なくとも1つのシースとを含むケーブル。
【請求項42】
導電性ケーブルである、請求項41に記載のケーブル。
【請求項43】
導光性ケーブルである、請求項41に記載のケーブル。
【請求項44】
原料(A)~(D)および任意選択の他の原料を溶融混合する工程を含む、請求項1~39のいずれか一項に記載の組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許仮出願第63/039,098号;第63/039,133号;および第63/039,171号に対する米国特許法第365条の下での優先権を主張するものであり、それらのそれぞれは、2020年6月15日に出願され、それらのそれぞれは、その全体を参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、コポリエーテルエステル、特に難燃性コポリエーテルエステルの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
幾つかの特許、特許出願および刊行物が、本発明が関係する技術の現状をより十分に説明するために本説明で引用される。これらの特許、特許出願および刊行物のそれぞれの全体開示は、本明細書に参照により援用される。
【0004】
コポリエーテルエステルは、ポリエステルブロックを含むハードセグメントと、長鎖ポリエーテルジオールを含むソフトセグメントとを有するエラストマーポリエステルの一群である。それらは、反発性および弾性が要求される用途で広く使用されている。
【0005】
典型的なコポリエーテルエステルは、1つ以上の二酸部分を短鎖ジオールおよび長鎖ポリエーテルジオールと反応させることによって製造される。
【0006】
コポリエーテルエステルは、優れた弾性、低温における機械的特性の維持および良好な疲労性能を示す。
【0007】
非ハロゲン含有難燃剤(「NHFR」)コポリエーテルエステルが継続的に必要とされている。ジアルキルホスフィン酸塩は、周知の、非ハロゲン化難燃性分子である。米国特許第7,420,007号明細書[Clariant Produkte(独国)GmbH]は、式(I):
【0008】
【化1】
【0009】
(式中、R1、R2は、同一であるかまたは異なり、線状若しくは分岐のC1~C6アルキルであり;
Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、Kであり、および/またはプロトン化窒素塩基であり;
mは、1~4である)
のジアルキルホスフィン酸塩の、ポリエーテルエステルなどの、多数の異なるポリマーでの難燃剤としての使用を記載している。
【0010】
米国特許出願公開 第2013/0190432号明細書は、ナイロン-6,6、ナイロン-6T/6,6、ナイロン-4,6、およびPBTでの難燃剤安定剤組合せとしての亜リン酸のアルミニウム塩と一緒のジエチルホスフィン酸アルミニウムの使用を記載している。
【0011】
ポリマー樹脂での難燃剤の使用は、燃焼性を著しく低減し得るが、残念ながら、熱または火炎への暴露時に高い煙生成をもたらし得る。これは、煙が火災において損傷および死亡率に著しく寄与し得るので、懸念事項である。
【0012】
燃焼性の低減のみならず、熱または火炎への暴露時に煙生成の低減を示す樹脂および難燃剤組合せが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の態様において、本発明は、
(A)コポリエーテルエステル、ポリアミドエラストマー、熱可塑性ポリオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性加硫物から選択される少なくとも1種のポリマーと;
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウムと;
(C)(c1)亜リン酸の亜鉛塩;および任意選択的に(c2)亜リン酸のアルミニウム塩と
を含む難燃性ポリマー組成物であって、
(C)が亜リン酸のアルミニウム塩を含む場合、(C)の総濃度が、
[重量%(C)]>25/[重量%(B)]
によって規定され、
(C)が亜リン酸のアルミニウム塩を含まない場合、(C)の総濃度が、
[重量%(C)]>40/[重量%(B)]
によって規定され、
重量百分率が、難燃性ポリマー組成物の総重量を基準とする
組成物を提供する。
【0014】
第2の態様において、本発明は、
(A)少なくとも1種のコポリエーテルエステルと;
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウムと;
(C)(c1)亜リン酸の亜鉛塩;および任意選択的に(c2)亜リン酸のアルミニウム塩と
を含む難燃性コポリエーテルエステル組成物であって、
(C)が亜リン酸のアルミニウム塩を含む場合、(C)の総濃度が、
[重量%(C)]>25/[重量%(B)]
によって規定され、
(C)が亜リン酸のアルミニウム塩を含まない場合、(C)の総濃度が、
[重量%(C)]>40/[重量%(B)]
によって規定され、
重量百分率が、難燃性コポリエーテルエステル組成物の総重量を基準とする
組成物を提供する。
【0015】
第3の態様において、本発明は、
(A)少なくとも1種のコポリエーテルエステルと;
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウムと;
(C)(c1)亜リン酸の亜鉛塩;および任意選択的に(c2)亜リン酸のアルミニウム塩と
を含む難燃性コポリエーテルエステル組成物から製造される造形品であって、
(C)が亜リン酸のアルミニウム塩を含む場合、(C)の総濃度が、
[重量%(C)]>25/[重量%(B)]
によって規定され、
(C)が亜リン酸のアルミニウム塩を含まない場合、(C)の総濃度が、
[重量%(C)]>40/[重量%(B)]
によって規定され、
重量百分率が、難燃性コポリエーテルエステル組成物の総重量を基準とする
造形品を提供する。
【0016】
第4の態様において、本発明は、導光性または導電性コアと、難燃性コポリエーテルエステル組成物から製造された少なくとも1つのシースとを含むケーブルであって、前記組成物が、
(A)少なくとも1種のコポリエーテルエステルと;
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウムと;
(C)(c1)亜リン酸の亜鉛塩;および任意選択的に(c2)亜リン酸のアルミニウム塩と
を含み、
ここで、(C)が亜リン酸のアルミニウム塩を含む場合、(C)の総濃度は、
[重量%(C)]>25/[重量%(B)]
によって規定され、
(C)が亜リン酸のアルミニウム塩を含まない場合、(C)の総濃度は、
[重量%(C)]>40/[重量%(B)]
によって規定され、
重量百分率が、難燃性コポリエーテルエステル組成物の総重量を基準とする
ケーブルを提供する。
【0017】
第5の態様において、本発明は、本発明の組成物の製造方法であって、
上でリストアップされた原料、および任意選択的にその他を、押出機において溶融混合する工程
を含む方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
定義および略称
PBT ポリ(ブチレンテレフタレート)
PTMEG ポリテトラメチレンエーテルグリコール
コポリエーテルエステルまたはTPC 少なくとも1種のジオールと、少なくとも1種の二酸と、少なくとも1種のポリ(アルキレンオキシド)ジオールとの反応から生じる熱可塑性エラストマー
DEPAl ジエチルホスフィン酸アルミニウム塩
亜リン酸塩 本明細書で用いるところでは「亜リン酸の塩」または「ホスホン酸の塩」と同義である。
【0019】
本発明の組成物に好適なコポリエーテルエステルは、C2~C6ジオールを芳香族二酸部分およびポリ(アルキレンオキシド)ジオールと反応させることによって製造されるポリマーである。
【0020】
ポリ(アルキレンオキシド)ジオールは、好ましくは、ポリ(エチレンオキシド)ジオール、ポリ(プロピレンオキシド)ジオール、ポリ(テトラメチレンオキシド)ジオール(「PTMEG」)、およびこれらの混合物から選択される。ポリ(プロピレンオキシド)ジオール、ポリ(テトラメチレンオキシド)ジオールは、直鎖であっても分岐であってもよい。それらが、末端ヒドロキシルを含有する炭素で分岐している場合、それらは、好ましくは、エチレングリコールまたはポリ(エチレンオキシド)ジオールでエンドキャップされる。ポリ(プロピレンオキシド)ジオールおよびポリ(テトラメチレンオキシド)ジオール(「PTMEG」)、並びにこれらの混合物が特に好ましく、PTMEGがより特に好ましい。C2~C6ジオールは、好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、およびこれらの混合物から選択され、ブチレングリコールがより好ましい。
【0021】
芳香族二酸は、好ましくは、テレフタレート、イソフタレート、およびこれらの混合物から選択され、テレフタレートが特に好ましい。
【0022】
特に好ましいコポリエーテルエステルは、
1.ブチレンジオール、テレフタレートおよびPTMEGから製造されるコポリエーテルエステル;
2.ブチレンジオール、テレフタレートとイソフタレートとの混合物およびPTMEGから製造されるコポリエーテルエステル;
3.ブチレンジオール、テレフタレートおよびポリ(プロピレンオキシド)ジオールから製造されるコポリエーテルエステル;
4.プロピレンジオール、テレフタレートおよびPTMEGから製造されるコポリエーテルエステル;並びに
5.プロピレンジオール、テレフタレートおよびポリ(プロピレンオキシド)ジオールから製造されるコポリエーテルエステル
から選択される。
【0023】
ブチレンジオール、テレフタレートおよびPTMEGから製造されるコポリエーテルエステルが特に好ましい。
【0024】
ブチレンジオール、テレフタレート、イソフタレートおよびPTMEGから製造されるコポリエーテルエステルが特に好ましい。
【0025】
コポリエーテルエステルの柔らかさは、ポリ(アルキレンオキシド)ジオールの鎖長(すなわち、分子量)のおよびポリマーを製造するために使用されるポリ(アルキレンオキシド)ジオールの相対量の影響を受ける。
【0026】
好ましい実施形態において、ポリ(アルキレンオキシド)ジオールは、2000g/molまたは約2000g/molの分子量を有する。
【0027】
別の好ましい実施形態において、ポリ(アルキレンオキシド)ジオールは、コポリエーテルエステルの総重量を基準としてコポリエーテルエステルの40重量%~80重量%、より好ましくは50~75重量%、特に好ましくは72.5重量%を構成する。
【0028】
特に好ましい実施形態において、コポリエーテルエステルは、2000g/molまたは約2000g/molの分子量を有するポリ(アルキレンオキシド)ジオールを、コポリエーテルエステルの総重量を基準としてコポリエーテルエステルの40重量%~80重量%、より好ましくは50~75重量%、特に好ましくは72.5重量%を占める。
【0029】
特に好ましいポリエーテルエステルは、約2000g/molの平均分子量を好ましくは有する72.5重量パーセントまたは約72.5重量パーセント(重量百分率は、コポリエーテルエステルエラストマーの総重量を基準としている)のポリテトラメチレンオキシドをポリエーテルブロックセグメントとして含み、コポリエーテルエステルの短鎖エステル単位は、ポリブチレンテレフタレートセグメントである。
【0030】
少なくとも1種のコポリエーテルエステルに加えて、本発明の組成物は、ジエチルホスフィン酸アルミニウム(「DEPAl」)を含む。
【0031】
総ホスフィン酸塩濃度は、コポリエーテルエステル組成物の総重量を基準として、2~25重量%、より好ましくは10~20重量%である。
【0032】
好ましい実施形態において、DEPAlは、10ミクロン以下のD95(体積%、アセトン中で、Malvern Mastersizer 2000粒径アナライザ機器を使ってレーザー回折技術を用いて測定される)を有する。
【0033】
本発明の組成物は、さらに、亜リン酸の亜鉛塩(Zn亜リン酸塩)、および任意選択的に亜リン酸のアルミニウム塩(Al亜リン酸塩)、すなわち、亜リン酸亜鉛と亜リン酸アルミニウムとの混合物を含む。亜リン酸は、ホスホン酸、HP(=O)(OH)2とも言われる。
【0034】
亜リン酸は、下に示されるように互変異性体形態を有する。
【0035】
【化2】
【0036】
亜リン酸の塩は、亜リン酸塩(ホスファイト)とも言われる。
【0037】
亜リン酸亜鉛およびアルミニウムは、亜リン酸とそれぞれの金属の化合物との反応生成物を含む。
【0038】
亜リン酸の亜鉛塩は、亜リン酸亜鉛とも言われる。下に描かれる、CAS番号[14332-59-3]を有する亜リン酸亜鉛が特に好ましい。
【0039】
【化3】
【0040】
好ましい実施形態において、亜リン酸亜鉛は、10ミクロン以下のD95(体積%、アセトン中で、Malvern Mastersizer 2000粒径アナライザ機器を使ってレーザー回折技術を用いて測定される)を有する。或いは、亜リン酸亜鉛は、好ましくは、0.1~100μm、特に好ましくは0.1~30μmの粒径を有する。
【0041】
10ミクロン以下のD95(体積%、アセトン中で、Malvern Mastersizer 2000粒径アナライザ機器を使ってレーザー回折技術を用いて測定される)を有する亜リン酸亜鉛[14332-59-3]が特に好ましい。
【0042】
存在するとき、好ましい亜リン酸アルミニウムは、CAS番号[15099-32-8]、[119103-85-4]、[220689-59-8]、[56287-23-1]、[156024-71-4]、[71449-76-8]および[15099-32-8]を有するものである。タイプAl2(HPO33*0.1-30Al23*0-50H2Oの、より好ましくはタイプAl2(HPO33*0.2-20Al23*0-50H2Oの、最も好ましくはタイプAl2(HPO33*1-3Al23*0-50H2Oの亜リン酸アルミニウムが特に好ましい。
【0043】
5~95重量%のAl2(HRO33*nH2Oおよび95~5重量%のAl(OH)3、より好ましくは10~90重量%のAl2(HPO33*nH2Oおよび90~10重量%のAl(OH)3、最も好ましくは35~65重量%のAl2(HRO33*nH2Oおよび65~35重量%のAl(OH)3の組成を有する並びに各場合にn=0~4である亜リン酸アルミニウムと水酸化アルミニウムとの混合物であって、重量百分率が亜リン酸アルミニウムと水酸化アルミニウムとの混合物の総重量を基準とする混合物が特に好ましい。
【0044】
CAS番号[56287-23-1]を有する亜リン酸アルミニウムがまた特に好ましい。
【0045】
好ましい実施形態において、亜リン酸アルミニウムは、10以下のD95(体積%、アセトン中で、Malvern Mastersizer 2000粒径アナライザ機器を使ってレーザー回折技術を用いて測定される)を有する
【0046】
10以下のD95(体積%、アセトン中で、Malvern Mastersizer 2000粒径アナライザ機器を使ってレーザー回折技術を用いて測定される)を有する亜リン酸アルミニウム[56287-23-1]が特に好ましい。
【0047】
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、本発明の組成物は、CAS番号[14332-59-3]を有する亜リン酸亜鉛とCAS番号[56287-23-1]を有する亜リン酸アルミニウムとを含む。
【0048】
特に好ましい実施形態において、組成物は、10ミクロン以下のD95(体積%、アセトン中で、Malvern Mastersizer 2000粒径アナライザ機器を使ってレーザー回折技術を用いて測定される)を有する亜リン酸亜鉛[14332-59-3]と、CAS番号[56287-23-1]を有するおよび10ミクロン以下のD95(体積%、アセトン中で、Malvern Mastersizer 2000粒径アナライザ機器を使ってレーザー回折技術を用いて測定される)を有する亜リン酸アルミニウムとを含む。
【0049】
総亜リン酸塩濃度(組成物の総重量を基準とする、重量%単位での)は、これらの条件を満たす。
【0050】
亜リン酸塩が亜リン酸のアルミニウム塩を含む場合、亜リン酸塩(C)の総濃度は、
[重量%(C)]>25/[重量%(B)]
によって規定され、
亜リン酸塩が亜リン酸のアルミニウム塩を含まない場合、亜リン酸塩(C)の総濃度は、
[重量%(C)]>40/[重量%(B)]
によって規定され、
ここで、重量百分率は、組成物の総重量を基準とする。
【0051】
好ましい実施形態において、(C)≦(B)である。
【0052】
本発明の組成物において、総亜リン酸塩濃度は、好ましくは、0.5重量%超である。好ましくは、総亜リン酸塩濃度は、コポリエーテルエステル組成物の総重量を基準として、3~15重量%、より好ましくは5~8重量%である。
【0053】
亜リン酸亜鉛は、好ましくは、3~10重量%、より好ましくは5~8重量%の濃度で使用される。好ましくは、CAS番号[14332-59-3]を有する亜リン酸亜鉛は、3~10重量%、より好ましくは5~8重量%で使用される。
【0054】
亜リン酸亜鉛が亜リン酸アルミニウムの不在下で使用される場合、それは、好ましくは、3重量%以上で存在する。
【0055】
いくつかの特に好ましい組成物は、以下にリストアップされる原料を含む、以下にリストアップされる原料から本質的になる、またはなる。
【0056】
TPC:80重量%
DEPAl:10重量%
Al亜リン酸塩、好ましくは[CAS 56287-23-1]:5重量%
亜リン酸亜鉛、好ましくは[CAS 14332-59-3]:5重量%。
【0057】
TPC:80重量%
DEPAl:15重量%
亜リン酸亜鉛、好ましくは[CAS 14332-59-3]:5重量%。
【0058】
TPC:77重量%
DEPAl:15重量%
亜リン酸亜鉛、好ましくは[CAS 14332-59-3]:8重量%。
【0059】
TPC:75重量%
DEPAl:15重量%
Al亜リン酸塩、好ましくは[CAS 56287-23-1]:5重量%
亜リン酸亜鉛、好ましくは[CAS 14332-59-3]:5重量%。
【0060】
TPC:76重量%
DEPAl:20重量%
亜リン酸亜鉛、好ましくは[CAS 14332-59-3]:4重量%。
【0061】
TPC:72重量%
DEPAl:20重量%
亜リン酸亜鉛、好ましくは[CAS 14332-59-3]:8重量%。
【0062】
TPC:68重量%
DEPAl:20重量%
Al亜リン酸塩、好ましくは[CAS 56287-23-1]:4重量%
亜リン酸亜鉛、好ましくは[CAS 14332-59-3]:8重量%。
【0063】
本発明の別の好ましい組成物は、
(A)ブチレンジオール、テレフタレートおよびPTMEGから製造された少なくとも1種のコポリエーテルエステル;
(B)DEPAl;
(C)少なくとも3重量%、より好ましくは少なくとも5重量%、最も好ましくは5~10重量%のAl亜リン酸塩、および少なくとも3重量%、より好ましくは少なくとも5重量%、最も好ましくは5~10重量%のZn亜リン酸塩(Al亜リン酸塩[56287-23-1]および亜リン酸亜鉛[14332-59-3]が好ましい)
を含むコポリエーテルエステル組成物である。
【0064】
TPC:ブチレンジオール、テレフタレートおよびPTMEGから製造された 80重量%
DEPAl:10重量%
Al亜リン酸塩、好ましくは[CAS 56287-23-1]:5重量%
亜リン酸亜鉛、好ましくは[CAS 14332-59-3]:5重量%。
【0065】
TPC:ブチレンジオール、テレフタレートおよびPTMEGから製造された 80重量%
DEPAl:15重量%
亜リン酸亜鉛、好ましくは[CAS 14332-59-3]:5重量%。
【0066】
TPC:ブチレンジオール、テレフタレートおよびPTMEGから製造された 77重量%
DEPAl:15重量%
亜リン酸亜鉛、好ましくは[CAS 14332-59-3]:8重量%。
【0067】
TPC:75重量%
DEPAl:15重量%
Al亜リン酸塩、好ましくは[CAS 56287-23-1]:5重量%
亜リン酸亜鉛、好ましくは[CAS 14332-59-3]:5重量%。
【0068】
TPC:ブチレンジオール、テレフタレートおよびPTMEGから製造された 76重量%
DEPAl:20重量%
亜リン酸亜鉛、好ましくは[CAS 14332-59-3]:4重量%。
【0069】
TPC:ブチレンジオール、テレフタレートおよびPTMEGから製造された 72重量%
DEPAl:20重量%
亜リン酸亜鉛、好ましくは[CAS 14332-59-3]:8重量%。
【0070】
TPC:ブチレンジオール、テレフタレートおよびPTMEGから製造された 68重量%
DEPAl:20重量%
Al亜リン酸塩、好ましくは[CAS 56287-23-1]:4重量%
亜リン酸亜鉛、好ましくは[CAS 14332-59-3]:8重量%。
【0071】
本明細書に記載されるコポリエーテルエステル組成物は、さらに、(B’)0.2~16重量%のエチルブチルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、エチルヘキシルホスフィン酸、ブチルヘキシルホスフィン酸および/若しくはジヘキシルホスフィン酸、またはこれらのいずれかの混合物のアルミニウム塩を含み得る。
【0072】
成分(B’)は、存在するとき、好ましくは、エチルブチルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、エチルヘキシルホスフィン酸、およびこれらの混合物のアルミニウム塩から選択される。
【0073】
本明細書に記載されるコポリエーテルエステル組成物は、さらに、(D)窒素含有相乗剤並びに/またはリン含有難燃剤および/若しくは窒素難燃剤の1つ以上を含み得る。成分(D)の量は、コポリエーテルエステル組成物の総重量を基準として、0~15重量%、より好ましくは2~15重量%、より特に好ましくは5~12重量%である。
【0074】
好ましくは、成分(D)は、有機若しくは無機酸およびこれらの混合物とのメラミン塩から選択される、少なくとも1種のメラミン誘導体から選択される。
【0075】
成分(D)は、存在するとき、好ましくは、メラミンと、ホウ酸、シアヌル酸、リン酸および/またはピロ/ポリリン酸、並びにこれらの混合物との塩から選択される。コポリエーテルエステル組成物の総重量を基準として、特に2~15重量%での、より好ましくは5~12重量%、特に好ましくは8重量%での、メラミンピロホスフェートが特に好ましい。
【0076】
成分(D)は、好ましくは、アセトン中で、Malvern Mastersizer 2000粒径アナライザ機器を使ってレーザー回折技術を用いて測定されるように、20ミクロン未満、より好ましくは15ミクロン以下の平均粒径を有する。コポリエーテルエステル組成物の総重量を基準として、特に2~15重量%、より好ましくは4~12重量%での、アセトン中で、Malvern Mastersizer 2000粒径アナライザ機器を使ってレーザー回折技術を用いて測定されるように、15ミクロンの平均粒径を有するメラミンピロホスフェートが特に好ましい。
【0077】
本明細書に記載されるコポリエーテルエステル組成物は、さらに、(E)0~10重量%のホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、ベーマイトおよび/またはハイドロタルサイトから選択される無機相乗剤を含み得る。
【0078】
本明細書に記載されるコポリエーテルエステル組成物は、さらに、(F)0~3重量%の有機ホスホナイトおよび/または有機ホスホナイトと有機ホスファイトとの混合物を含み得る。
【0079】
本明細書に記載されるコポリエーテルエステル組成物は、さらに、(G)0~3重量%の典型的にはC14~C40の鎖長を有する長鎖脂肪族カルボン酸(脂肪酸)のエステルおよび/または塩を含み得る。ステアリン酸並びにそのエステルおよび/または塩、並びにモンタン酸のエステルおよび/または塩、特にカルシウム塩が特に好ましい。
【0080】
特に好ましい実施形態において、コポリエーテルエステル組成物は、以下の成分:
20~97.8重量%の(B);
0.2~16重量%の(B’);
1~80重量%の(c1);
1~80重量%の(c2)
を含む難燃性混合物であって;
成分の合計が、難燃性混合物の総重量を基準として100重量%に等しい混合物を含む。
【0081】
特に好ましい実施形態において、コポリエーテルエステル組成物は、以下の成分:
20~97.6重量%の(B);
0.2~16重量%の(B’);
1~50重量%の(c1);
1~50重量%の(c2);
0~30重量%の(D);
0~10重量%の(E);
0.1~2重量%の(F);
0.1~2重量%の(G)
を含む難燃性混合物であって;
成分の合計が、難燃性混合物の総重量を基準として100重量%に等しい混合物を含む。
【0082】
特に好ましい実施形態において、コポリエーテルエステル組成物は、以下の成分:
20~97.6重量%の(B);
0.2~16重量%の(B’);
1~30重量%の(c1);
0~80重量%の(c2);
1~10重量%の(D);
0~10重量%の(E);
0.1~2重量%の(F);
0.1~2重量%の(G)
を含む難燃性混合物であって;
成分の合計が、難燃性混合物の総重量を基準として100重量%に等しい混合物を含む。
【0083】
特に好ましい実施形態において、コポリエーテルエステル組成物は、以下の成分:
20~96.6重量%の(B);
0.2~16重量%の(B’);
1~50重量%の(c1);
1~50重量%の(c2);
1~10重量%の(D);
0~10重量%の(E);
0.1~2重量%の(F);
0.1~2重量%の(G)
を含む難燃性混合物であって;
成分の合計が、難燃性混合物の総重量を基準として100重量%に等しい混合物を含む。
【0084】
特に好ましい実施形態において、コポリエーテルエステル組成物は、以下の成分:
20~96.6重量%の(B);
0.2~16重量%の(B’);
1~50重量%の(c1);
1~50重量%の(c2);
0~10重量%の(D);
1~10重量%の(E);
0.1~2重量%の(F);
0.1~2重量%の(G)
を含む難燃性混合物であって;
成分の合計が、難燃性混合物の総重量を基準として100重量%に等しい混合物を含む。
【0085】
本明細書に記載されるコポリエーテルエステル組成物は、以下の成分:ヒドラジンおよびヒドラジドなどの金属不活性化剤、熱安定剤、酸化防止剤、改質剤、着色剤、潤滑剤、充填剤および補強剤、耐衝撃性改良剤、流動性促進添加剤、帯電防止剤、結晶化促進剤、導電性添加剤、粘度調整剤、核剤、可塑剤、離型剤、掻き傷および擦傷改良剤、ドリップ抑制剤、接着性改良剤、およびポリマー配合技術において公知の他の加工助剤の1種以上並びにこれらの組合せを含むが、これらに限定されない添加剤をさらに含み得る。好ましくは、添加剤は、安定剤、加工剤、金属不活性化剤、酸化防止剤、UV安定剤、熱安定剤、染料および/または顔料からなる群から選択される。使用される場合、これらの添加剤の総量は、コポリエーテルエステル調合物の総重量を基準として、好ましくは約0.05~約10重量パーセントである。
【0086】
本発明の組成物は、優れた燃焼性能を示す。燃焼性は、当業者に公知の方法によって評価することができる。1つの方法は、寸法125mm長さ×13mm幅のおよび約1.7±0.1mmの平均厚さを有する長方形棒の形状の試験片を使用する、試験方法ISO 4589-1/-2に従った限界酸素指数(「LOI」)である。
【0087】
好ましくは、本発明の組成物は、寸法125mm長さ×13mm幅のおよび約1.7±0.1mmの平均厚さを有する長方形棒の形状の試験片を使用して、試験方法ISO 4589-1/-2に従って測定されるときに、19以上、より好ましくは21以上、より特に好ましくは23以上のLOIを示す。
【0088】
好ましくは、本発明の組成物は、寸法125mm長さ×13mm幅のおよび約1.7±0.1mmの平均厚さを有する長方形棒の形状の試験片を使用して、試験方法ISO 4589-1/-2に従って測定されるときに、約0.75以上、より好ましくは0.9以上、より特に好ましくは1.0以上のDEPAlおよび金属亜リン酸塩を組み入れている組成物のLOI対金属亜リン酸塩なしの組成物のLOIの比を示す。
【0089】
良好な燃焼性能を示す組成物は、熱および/または火炎への暴露時に過度の煙を生成することが多い。本発明の組成物は、良好な燃焼性能と煙生成の低減との有利な組合せを達成する。
【0090】
煙密度試験は、NBS煙チャンバー内でISO 5659試験標準に従って行うことができる。試験検体は、75mm×75mmの面積および2mmの厚さを有するプラークとして調製される。検体は、チャンバー内に水平に取り付けられ、約10分の期間ラジエーターコーンおよび熱流束メーターによっておよび種火の存在下に25kW/m2のそれらの上面上での一定の熱放射照度に曝される。ゆっくり時間をかけて放出される煙がチャンバーに集められ、煙を通過する光線の減衰が、6.5V白熱灯、光電子増倍管、および高精度光検出器を含む測光系で測定される。結果は、経時の光透過率の観点から測定され、比光学密度、Dsに関して報告される。Dsは、光透過率に反比例し、成形検体の厚さに等しい比経路長について与えられる。煙生成は、最大比光学密度、Ds,maxおよび、試験の最初の4分中の総煙生成、VOF4として測定される。VOF4は、Ds1分+Ds2分+Ds3分+(Ds4分/2)として計算され、ここで、Ds1分、Ds2分、Ds3分、およびDs4分は、それぞれ、第1、第2、第3および第4分で記録された比光学密度の値である。試験中に起こるプラーク試験検体からのいかなる液だれも記録される。液だれした材料の重量が、75mm×75mm×2mm試験プラークの重量から差し引かれる。この差は、実験時間中の「保持質量」としてグラム単位で報告される。正規化Ds,maxは、Ds,maxを実験時間中に保持された質量で割ることによって計算することができ、Ds,max,retとして報告される。
【0091】
s,max,retおよびVOF4の低い値が望ましく、火災の場合に視界をより少なく損なうであろう材料、したがって密閉空間からの人々の迅速な脱出を可能にする材料を示す。いかなる煙もないと、光透過率は100%であり、Dsは0である。
【0092】
パラメータVOF4およびDs,max,retは、煙性能を評価するために用いることができる。
【0093】
本発明の組成物は、好ましくは、1000以下、より好ましくは800以下、より特に750以下の、ISO 5659試験標準に従って並びに75mm×75mmの面積および2mmの厚さを有するプラークを使用して測定されるVOF4を示す。
【0094】
本発明の組成物は、好ましくは、45以下、より好ましくは40以下、より特に35以下の、ISO 5659試験標準に従って並びに75mm×75mmの面積および2mmの厚さを有するプラークを使用して測定されるDs,max,retを示す。
【0095】
本発明の組成物は、好ましくは、0.9以下、より好ましくは0.8以下、より特に0.7以下の、ISO 5659試験標準に従って並びに75mm×75mmの面積および2mmの厚さを有するプラークを使用して測定されるDEPAlおよび金属亜リン酸塩を含む組成物のDs,max,ret対金属亜リン酸塩なしの組成物のDs,max,retの比を示す。
【0096】
より特に好ましい実施形態において、本発明の組成物は、寸法125mm長さ×13mm幅のおよび約1.7±0.1mmの平均厚さを有する長方形棒の形状の試験片を使用して、試験方法ISO 4589-1/-2に従って測定されるときに、21以上、より好ましくは23以上、より特に好ましくは25以上のLOI、並びに45以下、より好ましくは40以下、より特に35以下の、ISO 5659試験標準に従って並びに75mm×75mmの面積および2mmの厚さを有するプラークを使用して測定されるDs,max,retを有する。
【0097】
より特に好ましい実施形態において、本発明の組成物は、寸法125mm長さ×13mm幅のおよび約1.7±0.1mmの平均厚さを有する長方形棒の形状の試験片を使用して、試験方法ISO 4589-1/-2に従って測定されるときに、約0.75以上、より好ましくは0.9以上、より特に好ましくは1.0以上のDEPAlおよび金属亜リン酸塩を組み入れている組成物のLOI対金属亜リン酸塩なしの組成物のLOIの比、並びに0.9以下、より好ましくは0.8以下、より特に0.7以下の、ISO 5659試験標準に従って並びに75mm×75mmの面積および2mmの厚さを有するプラークを使用して測定されるDEPAlおよび金属亜リン酸塩を含む組成物のDs,max,ret対金属亜リン酸塩なしの組成物のDs,max,retの比を有する。
【0098】
本発明の組成物は、原料を均質なブレンドが得られるまで溶融混合することによって製造される。溶融混合は、例えば、二軸スクリュー押出機で実施することができる。
【0099】
本発明の組成物は、難燃性および煙生成の低減が重要であるいかなる使用にも好適である。特に、本発明の組成物は、成形品(射出成形、ブロー成形)、押出品、フィルム、フィラメントおよび/または繊維を製造するのに好適である。本発明の組成物は、電気コネクタ用のハウジング、配電器において電流と接触する部品、回路基板、キャスティングコンパウンド、電流プラグ、サーキットブレーカー、ランプハウジング、LEDランプハウジング、キャパシタハウジング、ボビン、扇風機、保護コンタクト、プラグ、イン/オン回路基板、プラグ用のハウジング、ケーブル、フレキシブルプリント回路基板、充電ケーブル、およびモーターカバーに特に好適である。いくつかの特に好ましい用途には、ワイヤおよびケーブル・シース(光ケーブルを含む)、自動車用途、列車および航空用途が含まれる。
【0100】
特に好ましい用途は、導光性要素若しくは導電性要素または両方が、本発明の組成物から製造されたシースによって取り囲まれている、ワイヤおよびケーブルである。本発明は、したがって、金属ワイヤ(例えば銅、銀等)などの、コアとしての導電性要素と、本発明の組成物から製造されたシースとを含むワイヤおよびケーブルにまで及ぶ。本発明は、また、コアとしての導光性要素と、本発明の組成物から製造されたシースとを含む、光ケーブルにまで及ぶ。
【0101】
本発明によるケーブルまたはワイヤの好ましい製造方法は、同軸押出である。この方法では、導電性要素がダイを通して供給され、同時に組成物のシースがその周りに押し出される。ワイヤまたはケーブルは、補強構造物または繊維などの、他の要素をコアに含み得る。それは、さらに、本発明の組成物のシースの内側または本発明の組成物のシースの外側の両方に追加のシース材料を含み得る。本発明の組成物のシースは、絶縁体、ジャケットまたは両方として役立ち得る。
【0102】
本発明は、さらに、本明細書に記載される組成物、使用および方法についてのより詳細を提供する以下の実施例において特定の実施形態によって例示される。本発明を実施するために現時点で考えられる好ましい形態を示す、これらの実施例は、本発明を例示することを意図し、本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例
【0103】
原材料
以下の原材料を、本明細書に記載される難燃性ポリマー組成物および比較例の組成物を調製するために使用した。
コポリエーテルエステル(TPC):ポリエーテルブロックセグメントとして約72.5重量パーセントの約2000g/molの平均分子量を有するポリテトラメチレンオキシドを含むコポリエーテルエステルエラストマーであって、重量百分率がコポリエーテルエステルエラストマーの総重量を基準としており、コポリエーテルエステルの短鎖エステル単位がポリブチレンテレフタレートセグメントである、コポリエーテルエステルエラストマー。コポリエーテルエステルエラストマーは、6重量パーセント以下の熱安定剤、酸化防止剤および金属不活性化剤を含有した。
DEPAl:ジエチルホスフィン酸アルミニウム。
Al亜リン酸塩:亜リン酸、アルミニウム塩[CAS 56287-23-1]
Zn亜リン酸塩:亜リン酸、亜鉛塩[CAS 14332-59-3]。
メラミンピロホスフェート:アセトン中で、Malvern Mastersizer 2000粒径アナライザ機器を使ってレーザー回折技術を用いて測定されるように、15ミクロンの平均粒径を有するメラミンピロホスフェート。
【0104】
試験方法
難燃性
燃焼性試験は、限界酸素指数(「LOI」)試験方法ISO 4589-1/-2に従って行った。試験検体は、バレル温度を約170℃~約190℃に設定された標準押出機において狭い平らなストリップを溶融押出し、このようにして得られた平らなストリップから寸法125mm長さ×13mm幅のおよび約1.7±0.1mmの平均厚さを有する長方形棒の形状の試験検体をカットすることによって表に示される組成物から調製した。試験検体を、試験前に室温および50%相対湿度で少なくとも72時間順化させた。この試験によれば、ガラスカラム中へ上向きにゆっくり供給される酸素と窒素との混合物(ここで、酸素と窒素との相対濃度は変えることができる)の雰囲気中で室温でのガラス煙突の中心に垂直に検体を固定する。試験サンプルの上端は、種火で火を付けられ、下方へ燃える。検体の燃焼挙動を観察して燃焼が続く期間を比較する。LOIは、180秒未満の点火後ターゲット燃焼時間で示されるサンプルの燃焼を持続させるために必要とされる、体積百分率として表される、酸素の最小濃度である。LOIの高い値が望ましく、容易には点火しにくいおよび燃焼性のより少ない材料を示す。
【0105】
煙密度
煙密度試験は、Fire Testing Technologiesによって供給される、NBS煙チャンバー内で、ISO 5659試験標準に従って行った。試験検体は、バレル温度を約170℃~約190℃に設定された標準押出機において狭い平らなストリップを溶融押出し、ストリップを圧縮成形して75mm×75mmの面積および2mmの厚さを有するプラークを形成することによって表の組成物から調製した。検体を、チャンバー内に水平に取り付け、約40分の期間ラジエーターコーンおよび熱流束メーターによっておよび種火の存在下に25kW/m2のそれらの上面上での一定の熱放射照度に曝した。ゆっくり時間をかけて放出された煙がチャンバーに集められ、煙を通過する光線の減衰を、6.5V白熱灯、光電子増倍管、および高精度光検出器を含む測光系で測定した。結果を、経時の光透過率の観点から測定し、比光学密度、Dsに関して報告した。Dsは、光透過率に反比例し、成形検体の厚さに等しい比経路長について与えられる。材料組成物間の比較は、最大比光学密度、Ds,maxおよび試験の最初の4分中の総煙生成、VOF4の測定によって行う。VOF4は、
s1分+Ds2分+Ds3分+(Ds4分/2)として計算され、ここで、Ds1分、Ds2分、Ds3分、およびDs4分は、それぞれ、第1、第2、第3および第4分で記録された比光学密度の値である。試験中に起こるプラーク試験検体からのいかなる液だれも記録する。液だれした材料の重量を、75mm×75mm×2mm試験プラークの重量から差し引く。この差を、実験時間中の「保持質量」としてグラム単位で報告する。正規化Ds,maxは、Ds,maxを、実験時間中に保持された質量で割ることによって計算することができ、Ds,max,retとして報告される。
【0106】
s,maxおよびVOF4値は、NBS煙チャンバーのソフトウェアによって自動的に計算された。Ds,max,retおよびVOF4の低い値が望ましく、火災の場合に視界をより少なく損なうであろう材料、したがって密閉空間からの人々の迅速な脱出を可能にする材料を示す。いかなる煙もないと、光透過率は100%であり、Dsは0である。
【0107】
実験データ
「CE」で指定される組成物は比較であり、「E」で指定される組成物は発明である。
【0108】
表1
表1は、増加するレベルのDEPAl単独をベースとする比較組成物(CE1~CE4)を示す。DEPAlのレベルを上げると、LOIの増加によって示されるように、改善された燃焼性能をもたらすが、到達する最大煙密度およびDs,max,retによって示されるように、放出される煙密度も増加する。最初の4分における総煙生成も、著しく増加し、たったの10重量%レベルのDEPAlで1000超の値に到達する。
【0109】
組成物CE5~CE8は、DEPAlなしでAl亜リン酸塩および/またはZn亜リン酸塩を含有する。全てが、VOF4およびDs,max,retによって示されるように良好な煙性能を示すが、燃焼性能は、これらの組成物についての低いLOI値によって示されるように、不十分である。
【0110】
Al亜リン酸塩と組み合わせてDEPAlおよび4~8重量%のZn亜リン酸塩またはZn亜リン酸塩を含有する発明組成物E2~E7は、意外にも、DEPAl単独を含有するCE2~CE4と比較して煙密度およびVOF4の著しい低減を示す。例えば、同じレベルのDEPAlを有する比較組成物:
【0111】
10重量%DEPAl(CE2、E5)で、燃焼性能は、Al亜リン酸塩およびZn亜リン酸塩が添加される場合に改善され、煙生成は低減する。
【0112】
15重量%DEPAl(CE3、CE9、E3、E12、E15およびE6)で、良好な燃焼性能は、Zn亜リン酸塩またはZn亜リン酸塩およびAl亜リン酸塩が添加される場合に維持され、煙生成は著しく低減する。
【0113】
20重量%DEPAl(CE4、E4、E13およびE7)で、燃焼性能は、Zn亜リン酸塩またはZn亜リン酸塩およびAl亜リン酸塩が添加される場合にわずかに変化するにすぎず、煙生成は著しく低減する。
【0114】
発明組成物の全てが良好な難燃性能を有する。いくつかの場合に、対応する対照よりも良好な燃焼性能が観察される。
【0115】
表1において、LOIex/LOI0は、実験材料(すなわち、DEPAlプラス亜リン酸塩を含有する)のLOI対対照材料(すなわち、いかなる亜リン酸塩もなしにDEPAlを含有する)のLOIの比を意味する。
【0116】
表1において、Ds,max,ret,ex/Ds,max,ret,oは、実験材料(すなわち、DEPAlプラス亜リン酸塩を含有する)のDs,max,ret対対照材料(すなわち、いかなる亜リン酸塩もなしにDEPAlを含有する)のDs,max,retの比を意味する。
【0117】
本発明の特定の好ましい実施形態を上で説明し、具体的に例示してきたが、本発明がそのような実施形態に限定されることは意図されない。以下の特許請求の範囲に示されるような、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、様々な修正が行われ得る。
【0118】
【表1】
【国際調査報告】