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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-12
(54)【発明の名称】改良されたコポリエーテルエステル
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20230705BHJP
   C09K 21/14 20060101ALI20230705BHJP
   C08K 5/524 20060101ALI20230705BHJP
   C08K 5/5313 20060101ALI20230705BHJP
   H01B 7/295 20060101ALI20230705BHJP
【FI】
C08L101/00
C09K21/14
C08K5/524
C08K5/5313
H01B7/295
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564114
(86)(22)【出願日】2021-06-15
(85)【翻訳文提出日】2022-10-21
(86)【国際出願番号】 US2021037379
(87)【国際公開番号】W WO2021257534
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】63/039,171
(32)【優先日】2020-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/039,098
(32)【優先日】2020-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/039,133
(32)【優先日】2020-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519393129
【氏名又は名称】デュポン ポリマーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エレーニ カライアンニ
【テーマコード(参考)】
4H028
4J002
5G315
【Fターム(参考)】
4H028AA30
4H028AA34
4H028AA35
4H028AA42
4H028AA44
4H028BA04
4J002AC001
4J002AC021
4J002AC081
4J002BB151
4J002BB181
4J002CF001
4J002CF041
4J002CF061
4J002CF071
4J002CL001
4J002DH037
4J002EU187
4J002EW047
4J002EW066
4J002EW136
4J002FD136
4J002FD137
4J002GQ00
4J002GQ01
5G315CA03
5G315CB02
5G315CB06
5G315CD01
5G315CD13
(57)【要約】
本発明は、燃焼に対する耐性を有し、且つ熱又は炎にさらされたときに煙の発生が低減されたコポリエーテルエステル組成物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)コポリエーテルエステル、ポリアミドエラストマー、熱可塑性ポリオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性加硫物から選択される少なくとも1種のポリマーと、
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウムと、
(C)少なくとも1種の亜リン酸アルミニウム塩と、
(D)有機酸又は無機酸とのメラミン塩及びこれらの2種以上の混合物から選択される少なくとも1種のメラミン誘導体と、
を含有する難燃性ポリマー組成物であって、
前記重量パーセント割合が前記組成物の総重量基準である、難燃性ポリマー組成物。
【請求項2】
(A)少なくとも1種のコポリエーテルエステルと、
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウムと、
(C)少なくとも1種の亜リン酸アルミニウム塩と、
(D)少なくとも1種のメラミンの縮合生成物、メラミンとポリリン酸との反応生成物、メラミンとポリリン酸との縮合生成物の反応生成物、メラミンシアヌレート、及びこれらの2種以上の混合物と、
を含有する難燃性コポリエーテルエステル組成物であって、
前記重量パーセント割合が前記組成物の総重量基準である、難燃性コポリエーテルエステル組成物。
【請求項3】
(B’)0.2~16重量%の、エチルブチルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、エチルヘキシルホスフィン酸、ブチルヘキシルホスフィン酸、ジヘキシルホスフィン酸のアルミニウム塩、又はこれらの2種以上の混合物を更に含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
成分(B’)が、エチルブチルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、エチルヘキシルホスフィン酸、及びこれらの2種以上の混合物のアルミニウム塩から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記コポリエーテルエステルが、C2~C6ジオールを芳香族二酸部位及びポリ(アルキレンオキシド)ジオールと反応させることによって製造される、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記コポリエーテルエステルが、ポリ(エチレンオキシド)ジオール、ポリ(プロピレンオキシド)ジオール、ポリ(テトラメチレンオキシド)ジオール(「PTMEG」)、及びこれらの2種以上の混合物から選択されるポリ(アルキレンオキシド)ジオールを使用して製造される、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記コポリエーテルエステルが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、及びこれらの2種以上の混合物から選択されるC2~C6ジオールを使用して製造される、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記コポリエーテルエステルが、テレフタレート、イソテレフタレート、及びこれらの混合物から選択される芳香族二酸を使用して製造され、テレフタレートが特に好ましい、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記コポリエーテルエステルが、ブチレンジオールと、テレフタレートと、PTMEGとから製造される、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記コポリエーテルエステルが、ブチレンジオールと、テレフタレートと、イソフタレートと、PTMEGとから製造される、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記ジエチルホスフィン酸アルミニウムが、前記コポリエーテルエステル組成物の総重量を基準として、2~25重量%、より好ましくは10~20重量%、特に好ましくは10~15重量%で存在する、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1種の亜リン酸アルミニウム塩が、5~95重量%のAl2(HPO33*nH2Oと95~5%重量%のAI(OH)3、より好ましくは10~90重量%のAI2(HPO3)*nH2Oと90~10重量%のAl(OH)3、最も好ましくは35~65重量%のAl2(HPO33*nH2Oと65~35重量%のAI(OH)3の組成を有する亜リン酸アルミニウムと水酸化アルミニウムとの混合物から選択され、それぞれの場合においてn=0~4である、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記少なくとも1種の亜リン酸アルミニウム塩が、CAS番号[15099 32-8]、[119103-85-4]、[220689-59-8]、[56287-23-1]、[156024-71-4]、[71449-76-8]、[15099-32-8]を有するもの、及びこれらの2種以上の混合物から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記少なくとも1種の亜リン酸アルミニウム塩がCAS番号[56287-23-1]である、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記亜リン酸塩の総濃度が、前記コポリエーテルエステル組成物の総重量を基準として3~15重量%、より好ましくは5~8重量%である、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
亜リン酸アルミニウムが、前記コポリエーテルエステル組成物の総重量を基準として3~10重量%で存在する、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
亜リン酸亜鉛が、前記コポリエーテルエステル組成物の総重量を基準として3~10重量%で存在する、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
亜リン酸亜鉛が、前記コポリエーテルエステル組成物の総重量を基準として5~8重量%で存在する、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記亜リン酸アルミニウム塩がCAS番号[56287-23-1]である、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
CAS番号[14332-59-3]である亜リン酸亜鉛塩を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
亜リン酸アルミニウムと亜リン酸亜鉛との混合物が使用される、請求項1~20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
(D)が、有機酸又は無機酸とのメラミン塩及びこれらの2種以上の混合物から選択される少なくとも1種のメラミン誘導体から選択される、請求項1~21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
(D)が、ホウ酸、シアヌル酸、リン酸及び/又はピロ/ポリリン酸、並びにこれらの2種以上の混合物とメラミンとの塩から選択される、請求項1~22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
(D)がメラミンピロホスフェートである、請求項1~23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
(D)が、前記コポリエーテルエステル組成物の総重量を基準として1~15重量%、より好ましくは2~15重量%、特に好ましくは5~12重量%で存在する、請求項1~24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
(A)少なくとも1種のコポリエーテルエステルと、
(B)ジエチルホスフィン酸アルミニウムと、
(C)3重量%以上の亜リン酸アルミニウム塩と、
を含有し、前記重量パーセント割合が前記コポリエーテルエステルの総重量基準である、請求項1~25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
(A)少なくとも1つのコポリエーテルエステルと、
(B)10~20重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウムと、
(C)5~8重量%の総濃度の亜リン酸塩であって、亜リン酸アルミニウム塩、及び亜リン酸亜鉛塩と亜リン酸アルミニウム塩との組み合わせから選択される亜リン酸塩と、
を含有し、
前記重量パーセント割合が前記コポリエーテルエステルの総重量基準である、請求項1~26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
成分(B)が、アセトン中でMalvern Mastersizer 2000粒度分析装置を用いたレーザー回折技術を使用して測定される≦10ミクロンのD95(体積%)を有する、請求項1~27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
成分(C)が、アセトン中でMalvern Mastersizer 2000粒度分析装置を用いたレーザー回折技術を使用して測定される≦10ミクロンのD95(体積%)を有する、請求項1~28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
成分(D)が、アセトン中でMalvern Mastersizer 2000粒度分析装置を用いたレーザー回折技術を使用して測定される20ミクロン未満、好ましくは15ミクロン未満の平均粒径を有する、請求項1~29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
長さ125mm×幅13mm、平均厚さ約1.7±0.1mmの寸法の長方形の棒形状の試験棒を使用して、試験法ISO4589-1/-2に従って測定した場合に、19以上、より好ましくは21以上、特に好ましくは23以上又は25以上のLOIを有する、請求項1~30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
長さ125mm×幅13mm、平均厚さ約1.7±0.1mmの寸法の長方形の棒形状の試験棒を使用して、試験法ISO4589-1/-2に従って測定した場合に、約0.75以上、より好ましくは0.8以上、特に好ましくは0.86以上の、DEPAIのみを含む組成物のLOIに対する、DEPAIと亜リン酸金属塩(単独または複数)と成分(D)とを組み込んだ組成物のLOIの比率を有する、請求項1~31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
ISO5659試験規格に従って75mm×75mmの面積及び2mmの厚さを有するプラークを使用して測定される、45以下、より好ましくは40以下、特には35以下のDs,max,retを有する、請求項1~32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
ISO5659試験規格に従って75mm×75mmの面積及び2mmの厚さを有するプラークを使用して測定される、0.9以下、より好ましくは0.8以下、特には0.7以下の、DEPAIのみを含む組成物のDs,max,retに対する、DEPAIと亜リン酸金属塩と成分(D)とが配合された組成物のDs,max,retの比率を有する、請求項1~33のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
長さ125mm×幅13mm、平均厚さ約1.7±0.1mmの寸法の長方形の棒形状の試験棒を使用して、試験法ISO4589-1/-2に従って測定した場合に、19以上、より好ましくは21以上、特に好ましくは23以上のLOIを有し、且つISO5659試験規格に従って75mm×75mmの面積及び2mmの厚さを有するプラークを使用して測定される、45以下、より好ましくは40以下、特には35以下のDs,max,retを有する、請求項1~34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
前記DEPAIが、≦10ミクロンの粒子サイズD95(体積%、Malvern Mastersizer 2000粒度分析装置を用いたレーザー回折技術を使用して測定、アセトン中)を有する、請求項1~35のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項37】
前記亜リン酸亜鉛塩が、≦10ミクロンの粒子サイズD95(体積%、Malvern Mastersizer 2000粒度分析装置を用いたレーザー回折技術を使用して測定、アセトン中)を有する、請求項1~36のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項38】
前記亜リン酸アルミニウム塩が、≦10ミクロンの粒子サイズD95(体積%、Malvern Mastersizer 2000粒度分析装置を用いたレーザー回折技術を使用して測定、アセトン中)を有する、請求項1~37のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項39】
請求項1~38のいずれか一項に記載の組成物から実質的に又は完全に製造された造形品。
【請求項40】
光又は電気伝導性コアと、請求項1~38のいずれか一項に記載の組成物から製造された少なくとも1つのシースとを含むケーブル。
【請求項41】
導電性ケーブルである、請求項40に記載のケーブル。
【請求項42】
光伝導性ケーブルである、請求項40に記載のケーブル。
【請求項43】
成分(A)~(D)と任意選択的な他の成分とを溶融混合する工程を含む、請求項1~38のいずれか一項に記載の組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第365条の下、それぞれ2020年6月15日に出願された米国仮特許出願第63/039,098号;同第63/039,133号;及び同第63/039,171号に基づく優先権を主張するものであり、これらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、コポリエーテルエステル、特に難燃性コポリエーテルエステルの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
いくつかの特許、特許出願及び刊行物が、本発明が属する技術の現状をより十分に説明するために本説明で引用される。これらの特許、特許出願及び刊行物のそれぞれの全体開示が、本明細書に参照により援用される。
【0004】
コポリエーテルエステルは、ポリエステルブロックを含むハードセグメントと長鎖ポリエーテルジオールを含むソフトセグメントとを有するエラストマーポリエステルの一群である。それらは、反発性及び弾性が要求される用途で広く使用されている。
【0005】
典型的なコポリエーテルエステルは、1つ以上の二酸部位を短鎖ジオール及び長鎖ポリエーテルジオールと反応させることによって製造される。
【0006】
コポリエーテルエステルは、優れた弾性、低温における機械的特性の維持、及び優れた疲労性能を示す。
【0007】
ハロゲンを含まない耐火性(「NHFR」)コポリエーテルエステルが継続的に必要とされている。ジアルキルホスフィン酸塩は、よく知られている非ハロゲン化難燃性分子である。米国特許第7,420,007号明細書[Clariant Produkte(独国)GmbH]には、下記式(I)のジアルキルホスフィン酸塩:
【0008】
【化1】
【0009】
(式中、R1、R2は、同じであるか又は異なり、直鎖又は分岐のC1~C6-アルキルであり;
Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、K、及び/又はプロトン化窒素塩基であり;mは1~4である)の、ポリエーテルエステルなどの多くの様々なポリマーにおける難燃剤としての使用が記載されている。米国特許出願公開第2013/0190432号明細書には、ナイロン-6,6、ナイロン-6T/6,6、ナイロン-4,6、及びPBTにおける難燃剤安定剤の組み合わせとして、ジエチルホスフィン酸アルミニウムを亜リン酸のアルミニウム塩と一緒に使用することが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ポリマー樹脂中で難燃剤を使用すると可燃性を大幅に低減できる一方で、残念なことに熱や炎にさらされたときに煙が多く発生する可能性がある。煙は火災の被害と死亡率に大きく寄与する可能性があるため、これは懸念事項である。
【0011】
可燃性の低減のみならず、熱及び/又は炎にさらされた際の煙の発生も低減する、樹脂と難燃剤との組み合わせが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の態様では、本発明は、
(A)コポリエーテルエステル、ポリアミドエラストマー、熱可塑性ポリオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性加硫物から選択される少なくとも1種のポリマーと、
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウムと、
(C)少なくとも1種の亜リン酸アルミニウム塩と、
(D)有機酸又は無機酸とのメラミン塩及びこれらの2種以上の混合物から選択される少なくとも1種のメラミン誘導体と、
を含有する難燃性ポリマー組成物であって、
重量パーセント割合が組成物の総重量基準である、難燃性ポリマー組成物を提供する。
【0013】
第2の態様では、本発明は、
(A)少なくとも1種のコポリエーテルエステルと、
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウムと、
(C)少なくとも1種の亜リン酸アルミニウム塩と、
(D)有機酸又は無機酸とのメラミン塩及びこれらの2種以上の混合物から選択される少なくとも1種のメラミン誘導体と、
を含有する難燃性コポリエーテルエステル組成物であって、
重量パーセント割合が組成物の総重量基準である、難燃性コポリエーテルエステル組成物を提供する。
【0014】
第3の態様では、本発明は、
(A)少なくとも1種のコポリエーテルエステルと、
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウムと、
(C)少なくとも1種の亜リン酸アルミニウム塩と、
(D)有機酸又は無機酸とのメラミン塩及びこれらの2種以上の混合物から選択される少なくとも1種のメラミン誘導体と、
を含有する難燃性コポリエーテルエステル組成物から製造された造形品であって、
重量パーセント割合が組成物の総重量基準である、造形品を提供する。
【0015】
第4の態様では、本発明は、光又は電気伝導性のコアと少なくとも1つのシースとを含むケーブルであって、シースが、
(A)少なくとも1種のコポリエーテルエステルと、
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウムと、
(C)少なくとも1種の亜リン酸アルミニウム塩と、
(D)有機酸又は無機酸とのメラミン塩及びこれらの2種以上の混合物から選択される少なくとも1種のメラミン誘導体と、
を含有する難燃性コポリエーテルエステル組成物から製造されたものであり、
重量パーセント割合が組成物の総重量基準である、ケーブルを提供する。
【0016】
第5の態様では、本発明は、
上で列挙した成分と、任意選択的なその他の成分とを押出機内で溶融混合する工程を含む、本発明の組成物の製造方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
定義及び略称
PBT:ポリ(ブチレンテレフタレート)
PTMEG:ポリテトラメチレンエーテルグリコール
コポリエーテルエステル又はTPC:少なくとも1種のジオールと、少なくとも1種の二酸と、少なくとも1種のポリ(アルキレンオキシド)ジオールとの反応から得られる熱可塑性エラストマー
DEPAI:ジエチルホスフィン酸アルミニウム塩
MDP:メラミンピロホスフェート、別名メラミンジホスフェート
本明細書で使用されるホスファイトは、「亜リン酸の塩」又は「ホスホン酸の塩」と同義である。
【0018】
本発明の組成物に適したコポリエーテルエステルは、C2~C6ジオールを芳香族二酸部位及びポリ(アルキレンオキシド)ジオールと反応させることによって製造されるポリマーである。
【0019】
ポリ(アルキレンオキシド)ジオールは、好ましくは、ポリ(エチレンオキシド)ジオール、ポリ(プロピレンオキシド)ジオール、ポリ(テトラメチレンオキシド)ジオール(「PTMEG」)、及びこれらの2種以上の混合物から選択される。ポリ(プロピレンオキシド)ジオール、ポリ(テトラメチレンオキシド)ジオールは、直鎖であっても分岐であってもよい。これらが末端ヒドロキシルを含む炭素で分岐している場合、それらは好ましくはエチレングリコール又はポリ(エチレンオキシド)ジオールでエンドキャップされている。特に好ましいものは、ポリ(プロピレンオキシド)ジオール及びポリ(テトラメチレンオキシド)ジオール(「PTMEG」)、並びにこれらの混合物であり、PTMEGが特に好ましい。
【0020】
2~C6ジオールは、好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、及びこれらの2種以上の混合物から選択され、ブチレングリコールがより好ましい。
【0021】
芳香族二酸は、好ましくは、テレフタレート、イソフタレート、及びこれらの混合物から選択され、テレフタレートが特に好ましい。
【0022】
特に好ましいコポリエーテルエステルは、
1.ブチレンジオールと、テレフタレートと、PTMEGとから製造されるコポリエーテルエステル;
2.ブチレンジオールと、テレフタレートとイソフタレートとの混合物と、PTMEGとから製造されるコポリエーテルエステル;
3.ブチレンジオールと、テレフタレートと、ポリ(プロピレンオキシド)ジオールとから製造されるコポリエーテルエステル;
4.プロピレンジオールと、テレフタレートと、PTMEGとから製造されるコポリエーテルエステル;並びに
5.プロピレンジオールと、テレフタレートと、ポリ(プロピレンオキシド)ジオールとから製造されるコポリエーテルエステル;
から選択される。
【0023】
特に好ましいものは、ブチレンジオールと、テレフタレートと、PTMEGとから製造されるコポリエーテルエステルである。
【0024】
特に好ましいものは、ブチレンジオールと、テレフタレートと、イソフタレートと、PTMEGとから製造されるコポリエーテルエステルである。
【0025】
コポリエーテルエステルの柔らかさは、ポリ(アルキレンオキシド)ジオールの鎖長(すなわち分子量)と、ポリマーの製造に使用されるポリ(アルキレンオキシド)ジオールの相対量の影響を受ける。
【0026】
好ましい実施形態では、ポリ(アルキレンオキシド)ジオールは、約2000g/molの分子量を有する。
【0027】
別の好ましい実施形態では、ポリ(アルキレンオキシド)ジオールは、コポリエーテルエステルの総重量を基準として、コポリエーテルエステルの40重量%~80重量%、より好ましくは50~75重量%、特に好ましくは72.5重量%を構成する。
【0028】
特に好ましい実施形態では、コポリエーテルエステルは、コポリエーテルエステルの総重量を基準として、コポリエーテルエステルの40重量%~80重量%、より好ましくは50~75重量%、特に好ましくは72.5重量%の、約2000g/molの分子量のポリ(アルキレンオキシド)ジオールを含む。
【0029】
特に好ましいコポリエーテルエステルは、好ましくはポリエーテルブロックセグメントとして約2000g/molの平均分子量を有するポリ(テトラメチレンオキシド)を約72.5重量パーセントを含み、重量パーセント割合はコポリエーテルエステルエラストマーの総重量基準であり、コポリエーテルエステルの短鎖エステル単位はポリブチレンテレフタレートセグメントである。
【0030】
少なくとも1種のコポリエーテルエステルに加えて、本発明の組成物は、ジエチルホスフィン酸アルミニウム(「DEPAI」)を含む。
【0031】
総ホスフィン酸塩濃度は、コポリエーテルエステル組成物の総重量を基準として2~25重量%、より好ましくは10~20重量%、特には15重量%である。
【0032】
好ましい実施形態では、DEPAIは、≦10ミクロンのD95(体積%、Malvern Mastersizer 2000粒度分析装置を用いたレーザー回折技術を使用して測定、アセトン中)を有する。
【0033】
本発明の組成物は、少なくとも1種の亜リン酸のアルミニウム塩(「亜リン酸Al」)を含む。亜リン酸は、ホスホン酸、HP(=O)(OH)2とも呼ばれる。
【0034】
亜リン酸は、以下に示すように互変異性型を有する:
【0035】
【化2】
【0036】
亜リン酸の塩はホスファイトとも呼ばれる。
【0037】
好ましい亜リン酸アルミニウムは、CAS番号[15099 32-8]、[119103-85-4]、[220689-59-8]、[56287-23-1]、[156024-71-4]、[71449-76-8]、及び[15099-32-8]のものである。特に好ましいものは、Al2(HPO33*0.1~30Al23*0~50H2Oのタイプ、より好ましくはAl2(HPO33*0.2~20Al23*0~50H2Oのタイプ、最も好ましくはAl2(HPO33*1~3Al23*0~50H2Oのタイプの亜リン酸アルミニウムである。
【0038】
特に好ましいものは、5~95重量%のAl2(HPO33*nH2Oと95~5重量%のAl(OH)3、より好ましくは10~90重量%のAl2(HPO33*nH2Oと90~10重量%のAl(OH)3、最も好ましくは35~65重量%のAl2(HPO33*nH2Oと65~35重量%のAl(OH)3の組成を有する亜リン酸アルミニウムと水酸化アルミニウムとの混合物であり、それぞれの場合においてn=0~4である。
【0039】
特に好ましいものは、CAS番号[56287-23-1]の亜リン酸アルミニウムである。
【0040】
好ましい実施形態では、亜リン酸アルミニウムは、≦10ミクロンのD95(体積%、Malvern Mastersizer 2000粒度分析装置を用いたレーザー回折技術を使用して測定、アセトン中)を有する。
【0041】
≦10ミクロンのD95(体積%、Malvern Mastersizer 2000粒度分析装置を用いたレーザー回折技術を使用して測定、アセトン中)を有する亜リン酸アルミニウム[56287-23-1]が特に好ましい。
【0042】
本発明の組成物は、亜リン酸の亜鉛塩(亜リン酸Zn)を更に含んでいてもよい。亜リン酸は、ホスホン酸、HP(=O)(OH)2とも呼ばれる。
【0043】
亜リン酸は、以下に示すように互変異性型を有する:
【0044】
【化3】
【0045】
亜リン酸の塩はホスファイトとも呼ばれる。
【0046】
亜リン酸亜鉛及び亜リン酸アルミニウムは、亜リン酸とそれぞれの金属の化合物との反応生成物を含む。
【0047】
亜リン酸の亜鉛塩は、本明細書では亜リン酸亜鉛とも呼ばれる。以下に示すCAS番号[14332-59-3]の亜リン酸亜鉛が特に好ましい。
【0048】
【化4】
【0049】
好ましい実施形態では、亜リン酸亜鉛は、≦10ミクロンのD95(体積%、Malvern Mastersizer 2000粒度分析装置を用いたレーザー回折技術を使用して測定、アセトン中)の粒子サイズを有する。あるいは、亜リン酸亜鉛は、好ましくは0.1~100μm、特に好ましくは0.1~30μmの粒径を有する。
【0050】
≦10ミクロンのD95(体積%、Malvern Mastersizer 2000粒度分析装置を用いたレーザー回折技術を使用して測定、アセトン中)を有する亜リン酸亜鉛[14332-59-3]が特に好ましい。
【0051】
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、CAS番号[14332-59-3]の亜リン酸亜鉛と、CAS番号[56287-23-1]の亜リン酸アルミニウムとを含む。
【0052】
特に好ましい実施形態では、組成物は、CAS番号[56287-23-1]を有し、且つ≦10ミクロンのD95(体積%、Malvern Mastersizer 2000粒度分析装置を用いたレーザー回折技術を使用して測定、アセトン中)を有する亜リン酸アルミニウムを含む。
【0053】
本発明の組成物における亜リン酸塩の総濃度は、好ましくは0.5重量%よりも高い。好ましくは、亜リン酸塩の総濃度は、コポリエーテルエステル組成物の総重量を基準として3~15重量%、より好ましくは5~8重量%である。
【0054】
亜リン酸アルミニウムは、好ましくは3~10重量%、より好ましくは5~8重量%の濃度で使用される。好ましくは、CAS番号[CAS56287-23-1]の亜リン酸アルミニウムは、3~10重量%、より好ましくは5~8重量%で使用される。
【0055】
本発明のコポリエーテルエステル組成物は、有機酸又は無機酸及びこれらの混合物とのメラミン塩から選択される、成分(D)である少なくとも1種のメラミン誘導体を更に含む。特に好ましいものは、メラミンとホウ酸、シアヌル酸、リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、及びこれらの2種以上の混合物との塩である。
【0056】
成分(D)は、コポリエーテルエステル組成物の総重量を基準として好ましくは1~15重量%、より好ましくは2~15重量%、特に好ましくは5~12重量%で存在する。成分(D)として特に好ましいものは、コポリエーテルエステル組成物の総重量を基準として特に2~15重量%、より好ましくは5~12重量%、特に好ましくは8重量%のメラミンピロホスフェートである。
【0057】
成分(D)は、好ましくは、アセトン中、Malvern Mastersizer 2000粒度分析装置を用いるレーザー回折技術を使用して測定される、20ミクロン未満、より好ましくは15ミクロン以下の平均粒径を有する。特に好ましいものは、コポリエーテルエステル組成物の総重量を基準として特に2~15重量%、より好ましくは4~12重量%の、アセトン中でMalvern Mastersizer 2000粒度分析装置を用いるレーザー回折技術を使用して測定される15ミクロンの平均粒径を有するメラミンピロホスフェートである。
【0058】
複数の特に好ましい組成物は、以下に列挙する成分を含むか、又は以下に列挙する成分からなる:
【0059】
(A)少なくとも1種のコポリエーテルエステル;
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウム;
(C)少なくとも1種の亜リン酸アルミニウム塩;並びに
(D)ホウ酸、シアヌル酸、リン酸及び/又はピロ/ポリリン酸、並びにこれらの2種以上の混合物とメラミンとの塩から選択される少なくとも1種のメラミン誘導体;
重量パーセント割合は組成物の総重量基準である。
【0060】
(A)少なくとも1種のコポリエーテルエステル;
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウム;
(C)少なくとも1種の亜リン酸アルミニウム塩;並びに
(D)ホウ酸、シアヌル酸、リン酸及び/又はピロ/ポリリン酸、並びにこれらの2種以上の混合物とメラミンとの塩から選択される少なくとも1種のメラミン誘導体であって、アセトン中、Malvern Mastersizer 2000粒度分析装置を用いるレーザー回折技術を使用して測定される、20ミクロン未満、より好ましくは15ミクロン以下の平均粒径を有するメラミン誘導体;
重量パーセント割合は組成物の総重量基準である。
【0061】
(A)少なくとも1種のコポリエーテルエステル;
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウム;
(C)少なくとも1種の亜リン酸アルミニウム塩;並びに
(D)メラミンピロホスフェート;
重量パーセント割合は組成物の総重量基準である。
【0062】
(A)少なくとも1種のコポリエーテルエステル;
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウム;
(C)少なくとも1種の亜リン酸アルミニウム塩;並びに
(D)アセトン中、Malvern Mastersizer 2000粒度分析装置を用いるレーザー回折技術を使用して測定される、20ミクロン未満、より好ましくは15ミクロン以下の平均粒径を有するメラミンピロホスフェート;
重量パーセント割合は組成物の総重量基準である。
【0063】
(A)少なくとも1種のコポリエーテルエステル;
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウム;
(C)少なくとも1種の亜リン酸アルミニウム塩;並びに
(D)ホウ酸、シアヌル酸、リン酸及び/又はピロ/ポリリン酸、並びにこれらの2種以上の混合物とメラミンとの塩から選択される、1~15重量%、より好ましくは2~15重量%、特に好ましくは5~12重量%の、少なくとも1種のメラミン誘導体;
重量パーセント割合は組成物の総重量基準である。
【0064】
(A)少なくとも1種のコポリエーテルエステル;
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウム;
(C)少なくとも1種の亜リン酸アルミニウム塩;並びに
(D)ホウ酸、シアヌル酸、リン酸及び/又はピロ/ポリリン酸、並びにこれらの2種以上の混合物とメラミンとの塩から選択される少なくとも1種のメラミン誘導体であって、アセトン中、Malvern Mastersizer 2000粒度分析装置を用いるレーザー回折技術を使用して測定される、20ミクロン未満、より好ましくは15ミクロン以下の平均粒径を有する、1~15重量%、より好ましくは2~15重量%、特に好ましくは5~12重量%の、少なくとも1種のメラミン誘導体;
重量パーセント割合は組成物の総重量基準である。
【0065】
(A)少なくとも1種のコポリエーテルエステル;
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウム;
(C)少なくとも1種の亜リン酸アルミニウム塩;並びに
(D)1~15重量%、より好ましくは2~15重量%、特に好ましくは5~12重量%の、メラミンピロホスフェート;
重量パーセント割合は組成物の総重量基準である。
【0066】
(A)少なくとも1種のコポリエーテルエステル;
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウム;
(C)少なくとも1種の亜リン酸アルミニウム塩;並びに
(D)アセトン中、Malvern Mastersizer 2000粒度分析装置を用いるレーザー回折技術を使用して測定される、20ミクロン未満、より好ましくは15ミクロン以下の平均粒径を有する、1~15重量%、より好ましくは2~15重量%、特に好ましくは5~12重量%の、メラミンピロホスフェート;
重量パーセント割合は組成物の総重量基準である。
【0067】
(A)少なくとも1種のコポリエーテルエステル;
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウム;
(C)CAS番号[15099 32-8]、[119103-85-4]、[220689-59-8]、[56287-23-1]、[156024-71-4]、[71449-76-8]、[15099-32-8]、及びこれらの2種以上の混合物から選択される亜リン酸アルミニウム;並びに
(D)ホウ酸、シアヌル酸、リン酸及び/又はピロ/ポリリン酸、並びにこれらの2種以上の混合物とメラミンとの塩から選択される少なくとも1種のメラミン誘導体;
重量パーセント割合は組成物の総重量基準である。
【0068】
(A)少なくとも1種のコポリエーテルエステル;
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウム;
(C)CAS番号[15099 32-8]、[119103-85-4]、[220689-59-8]、[56287-23-1]、[156024-71-4]、[71449-76-8]、[15099-32-8]、及びこれらの2種以上の混合物から選択される亜リン酸アルミニウム;並びに
(D)ホウ酸、シアヌル酸、リン酸及び/又はピロ/ポリリン酸、並びにこれらの2種以上の混合物とメラミンとの塩から選択される少なくとも1種のメラミン誘導体であって、アセトン中、Malvern Mastersizer 2000粒度分析装置を用いるレーザー回折技術を使用して測定される、20ミクロン未満、より好ましくは15ミクロン以下の平均粒径を有するメラミン誘導体;
重量パーセント割合は組成物の総重量基準である。
【0069】
(A)少なくとも1種のコポリエーテルエステル;
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウム;
(C)CAS番号[15099 32-8]、[119103-85-4]、[220689-59-8]、[56287-23-1]、[156024-71-4]、[71449-76-8]、[15099-32-8]、及びこれらの2種以上の混合物から選択される亜リン酸アルミニウム;並びに
(D)メラミンピロホスフェート;
重量パーセント割合は組成物の総重量基準である。
【0070】
(A)少なくとも1種のコポリエーテルエステル;
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウム;
(C)CAS番号[15099 32-8]、[119103-85-4]、[220689-59-8]、[56287-23-1]、[156024-71-4]、[71449-76-8]、[15099-32-8]、及びこれらの2種以上の混合物から選択される亜リン酸アルミニウム;並びに
(D)アセトン中、Malvern Mastersizer 2000粒度分析装置を用いるレーザー回折技術を使用して測定される、20ミクロン未満、より好ましくは15ミクロン以下の平均粒径を有するメラミンピロホスフェート;
重量パーセント割合は組成物の総重量基準である。
【0071】
(A)少なくとも1種のコポリエーテルエステル;
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウム;
(C)CAS番号[15099 32-8]、[119103-85-4]、[220689-59-8]、[56287-23-1]、[156024-71-4]、[71449-76-8]、[15099-32-8]、及びこれらの2種以上の混合物から選択される亜リン酸アルミニウム;並びに
(D)1~15重量%、より好ましくは2~15重量%、特に好ましくは5~12重量%の、ホウ酸、シアヌル酸、リン酸及び/又はピロ/ポリリン酸、並びにこれらの2種以上の混合物とメラミンとの塩から選択されるもの;
重量パーセント割合は組成物の総重量基準である。
【0072】
(A)少なくとも1種のコポリエーテルエステル;
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウム;
(C)CAS番号[15099 32-8]、[119103-85-4]、[220689-59-8]、[56287-23-1]、[156024-71-4]、[71449-76-8]、[15099-32-8]、及びこれらの2種以上の混合物から選択される亜リン酸アルミニウム;並びに
(D)1~15重量%、より好ましくは2~15重量%、特に好ましくは5~12重量%の、ホウ酸、シアヌル酸、リン酸及び/又はピロ/ポリリン酸、並びにこれらの2種以上の混合物とメラミンとの塩から選択され、アセトン中、Malvern Mastersizer 2000粒度分析装置を用いるレーザー回折技術を使用して測定される、20ミクロン未満、より好ましくは15ミクロン以下の平均粒径を有するもの;
重量パーセント割合は組成物の総重量基準である。
【0073】
(A)少なくとも1種のコポリエーテルエステル;
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウム;
(C)CAS番号[15099 32-8]、[119103-85-4]、[220689-59-8]、[56287-23-1]、[156024-71-4]、[71449-76-8]、[15099-32-8]、及びこれらの2種以上の混合物から選択される亜リン酸アルミニウム;並びに
(D)1~15重量%、より好ましくは2~15重量%、特に好ましくは5~12重量%の、メラミンピロホスフェート;
重量パーセント割合は組成物の総重量基準である。
【0074】
(A)少なくとも1種のコポリエーテルエステル;
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウム;
(C)CAS番号[15099 32-8]、[119103-85-4]、[220689-59-8]、[56287-23-1]、[156024-71-4]、[71449-76-8]、[15099-32-8]、及びこれらの2種以上の混合物から選択される亜リン酸アルミニウム;並びに
(D)アセトン中、Malvern Mastersizer 2000粒度分析装置を用いるレーザー回折技術を使用して測定される、20ミクロン未満、より好ましくは15ミクロン以下の平均粒径を有する、1~15重量%、より好ましくは2~15重量%、特に好ましくは5~12重量%の、メラミンピロホスフェート;
重量パーセント割合は組成物の総重量基準である。
【0075】
(A)少なくとも1種のコポリエーテルエステル;
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウム;
(C)CAS番号[56287-23-1]の亜リン酸アルミニウム;並びに
(D)ホウ酸、シアヌル酸、リン酸及び/又はピロ/ポリリン酸、並びにこれらの2種以上の混合物とメラミンとの塩から選択される少なくとも1種のメラミン誘導体;
重量パーセント割合は組成物の総重量基準である。
【0076】
(A)少なくとも1種のコポリエーテルエステル;
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウム;
(C)CAS番号[56287-23-1]の亜リン酸アルミニウム;並びに
(D)ホウ酸、シアヌル酸、リン酸及び/又はピロ/ポリリン酸、並びにこれらの2種以上の混合物とメラミンとの塩から選択される少なくとも1種のメラミン誘導体であって、アセトン中、Malvern Mastersizer 2000粒度分析装置を用いるレーザー回折技術を使用して測定される、20ミクロン未満、より好ましくは15ミクロン以下の平均粒径を有するメラミン誘導体;
重量パーセント割合は組成物の総重量基準である。
【0077】
(A)少なくとも1種のコポリエーテルエステル;
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウム;
(C)CAS番号[56287-23-1]の亜リン酸アルミニウム;並びに
(D)メラミンピロホスフェート;
重量パーセント割合は組成物の総重量基準である。
【0078】
(A)少なくとも1種のコポリエーテルエステル;
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウム;
(C)CAS番号[56287-23-1]の亜リン酸アルミニウム;並びに
(D)アセトン中、Malvern Mastersizer 2000粒度分析装置を用いるレーザー回折技術を使用して測定される、20ミクロン未満、より好ましくは15ミクロン以下の平均粒径を有するメラミンピロホスフェート;
重量パーセント割合は組成物の総重量基準である。
【0079】
(A)少なくとも1種のコポリエーテルエステル;
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウム;
(C)CAS番号[56287-23-1]の亜リン酸アルミニウム;並びに
(D)ホウ酸、シアヌル酸、リン酸及び/又はピロ/ポリリン酸、並びにこれらの2種以上の混合物とメラミンとの塩から選択される、1~15重量%、より好ましくは2~15重量%、特に好ましくは5~12重量%の、少なくとも1種のメラミン誘導体;
重量パーセント割合は組成物の総重量基準である。
【0080】
(A)少なくとも1種のコポリエーテルエステル;
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウム;
(C)CAS番号[56287-23-1]の亜リン酸アルミニウム;並びに
(D)ホウ酸、シアヌル酸、リン酸及び/又はピロ/ポリリン酸、並びにこれらの2種以上の混合物とメラミンとの塩から選択される、1~15重量%、より好ましくは2~15重量%、特に好ましくは5~12重量%の少なくとも1種のメラミン誘導体であって、アセトン中、Malvern Mastersizer 2000粒度分析装置を用いるレーザー回折技術を使用して測定される、20ミクロン未満、より好ましくは15ミクロン以下の平均粒径を有するメラミン誘導体;
重量パーセント割合は組成物の総重量基準である。
【0081】
(A)少なくとも1種のコポリエーテルエステル;
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウム;
(C)CAS番号[56287-23-1]の亜リン酸アルミニウム;並びに
(D)1~15重量%、より好ましくは2~15重量%、特に好ましくは5~12重量%の、メラミンピロホスフェート;
重量パーセント割合は組成物の総重量基準である。
【0082】
(A)少なくとも1種のコポリエーテルエステル;
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウム;
(C)CAS番号[56287-23-1]の亜リン酸アルミニウム;並びに
(D)アセトン中、Malvern Mastersizer 2000粒度分析装置を用いるレーザー回折技術を使用して測定される、20ミクロン未満、より好ましくは15ミクロン以下の平均粒径を有する、1~15重量%、より好ましくは2~15重量%、特に好ましくは5~12重量%の、メラミンピロホスフェート;
重量パーセント割合は組成物の総重量基準である。
【0083】
(A)ブチレンジオールとテレフタレートとPTMEGとから製造された少なくとも1種のコポリエーテルエステル;
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウム;
(C)少なくとも1種の亜リン酸アルミニウム塩;並びに
(D)有機酸又は無機酸とのメラミン塩及びこれらの2種以上の混合物から選択される少なくとも1種のメラミン誘導体;
重量パーセント割合は組成物の総重量基準である。
【0084】
(A)ブチレンジオールとテレフタレートとPTMEGとから製造された少なくとも1種のコポリエーテルエステル;
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウム;
(C)亜リン酸のアルミニウム塩[CAS 56287-23-1];並びに
(D)有機酸又は無機酸とのメラミン塩及びこれらの2種以上の混合物から選択される少なくとも1種のメラミン誘導体;
重量パーセント割合は組成物の総重量基準である。
【0085】
(A)ブチレンジオールとテレフタレートとPTMEGとから製造された少なくとも1種のコポリエーテルエステル;
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウム;
(C)少なくとも1種の亜リン酸アルミニウム塩;
(D)ホウ酸、シアヌル酸、リン酸及び/又はピロ/ポリリン酸、並びにこれらの2種以上の混合物とメラミンとの塩から選択されるもの;
重量パーセント割合は組成物の総重量基準である。
【0086】
(A)ブチレンジオールとテレフタレートとPTMEGとから製造された少なくとも1種のコポリエーテルエステル;
(B)2~25重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウム;
(C)少なくとも1種の亜リン酸アルミニウム塩;
(D)メラミンピロホスフェート;
重量パーセント割合は組成物の総重量基準である。
【0087】
本明細書に記載のコポリエーテルエステル組成物は、(B’)0.2~16重量%の、エチルブチルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、エチルヘキシルホスフィン酸、ブチルヘキシルホスフィン酸、及び/又はジヘキシルホスフィン酸のアルミニウム塩、又はこれらの2種以上の混合物を更に含み得る。
【0088】
成分(B’)は、存在する場合、好ましくは、エチルブチルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、エチルヘキシルホスフィン酸、及びこれらの2種以上の混合物のアルミニウム塩から選択される。
【0089】
本明細書に記載のコポリエーテルエステル組成物は、(E)0~10重量%の、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、ベーマイト、及びハイドロタルサイトから選択される1種以上の無機相乗剤を更に含み得る。
【0090】
本明細書に記載のコポリエーテルエステル組成物は、(F)0~3重量%の、有機亜ホスホン酸塩及び/又は有機亜ホスホン酸塩と有機亜リン酸塩との混合物を更に含み得る。
【0091】
本明細書に記載のコポリエーテルエステル組成物は、(G)0~3重量%の、典型的にはC14~C40の鎖長を有する長鎖脂肪族カルボン酸(脂肪酸)のエステル及び/又は塩を更に含み得る。特に好ましいものは、ステアリン酸及びそのエステル及び/又は塩、並びにモンタン酸のエステル及び/又は塩、特にカルシウム塩である。
【0092】
本明細書で使用される「難燃性混合物」という用語は、コポリエーテルエステルのみを除く、コポリエーテル組成物の全ての成分を指す。
【0093】
特に好ましい実施形態では、コポリエーテルエステル組成物は、以下の成分:
20~97.8重量%の(B);
0.2~16重量%の(B’);
1~80重量%の(C);
1~80重量%の(D);
を含む難燃性混合物を含み、ここでの成分の合計は、難燃性混合物の総重量を基準として100重量%である。
【0094】
特に好ましい実施形態では、コポリエーテルエステル組成物は、以下の成分:
20~97.6重量%の(B);
0.2~16重量%の(B’);
1~50重量%の(C);
1~30重量%の(D);
0~10重量%の(E);
0.1~2重量%の(F);
0.1~2重量%の(G);
を含む難燃性混合物を含み、ここでの成分の合計は、難燃性混合物の総重量を基準として100重量%である。
【0095】
特に好ましい実施形態では、コポリエーテルエステル組成物は、以下の成分:
20~97.6重量%の(B);
0.2~16重量%の(B’);
1~30重量%の(C);
1~10重量%の(D);
0~10重量%の(E);
0.1~2重量%の(F);
0.1~2重量%の(G);
を含む難燃性混合物を含み、ここでの成分の合計は、難燃性混合物の総重量を基準として100重量%である。
【0096】
特に好ましい実施形態では、コポリエーテルエステル組成物は、以下の成分:
20~96.6重量%の(B);
0.2~16重量%の(B’);
1~50重量%の(C);
1~10重量%の(D);
0~10重量%の(E);
0.1~2重量%の(F);
0.1~2重量%の(G);
を含む難燃性混合物を含み、ここでの成分の合計は、難燃性混合物の総重量を基準として100重量%である。
【0097】
特に好ましい実施形態では、コポリエーテルエステル組成物は、以下の成分:
20~96.6重量%の(B);
0.2~16重量%の(B’);
1~50重量%の(C);
1~10重量%の(D);
1~10重量%の(E);
0.1~2重量%の(F);
0.1~2重量%の(G);
を含む難燃性混合物を含み、ここでの成分の合計は、難燃性混合物の総重量を基準として100重量%である。
【0098】
本明細書に記載のコポリエーテルエステル組成物は、以下の成分のうちの1つ以上、並びにこれらのうちの2つ以上の組み合わせを含むがこれらに限定されない1種以上の任意選択的な添加剤を更に含み得る:ヒドラジン及びヒドラジドなどの金属不活性化剤、熱安定剤、酸化防止剤、改質剤、着色剤、潤滑剤、充填剤及び補強剤、耐衝撃性改良剤、流動性促進添加剤、帯電防止剤、結晶化促進剤、導電性添加剤、粘度調整剤、核剤、可塑剤、離型剤、掻き傷及び擦傷改良剤、ドリップ抑制剤、接着性改良剤、及びポリマー配合技術において周知の他の加工助剤。好ましくは、添加剤は、安定剤、処理剤、金属不活性化剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、熱安定剤、染料及び/又は顔料からなる群から選択される。使用される場合、これらの添加剤の合計量は、コポリエーテルエステル配合物の総重量を基準として、好ましくは約0.05~約10重量パーセントである。
【0099】
本発明の組成物は、優れた燃焼性能を示す。可燃性は、当業者に公知の方法によって評価することができる。1つの方法は、試験法ISO4589-1/-2による限界酸素指数(「LOI」)であり、長さ125mm×幅13mm、平均厚さ約1.7±0.1mmの寸法の長方形の棒形状の試験棒を使用する。
【0100】
好ましくは、本発明の組成物は、長さ125mm×幅13mm、平均厚さ約1.7±0.1mmの寸法の長方形の棒形状の試験棒を使用して、試験法ISO4589-1/-2に従って測定した場合に、19以上、より好ましくは21以上、特に好ましくは23以上又は25以上のLOIを示す。
【0101】
好ましくは、本発明の組成物は、長さ125mm×幅13mm、平均厚さ約1.7±0.1mmの寸法の長方形の棒形状の試験棒を使用して、試験法ISO4589-1/-2に従って測定した場合に、約0.75以上、より好ましくは0.8以上、特に好ましくは0.86以上の、成分(D)を含まない組成物のLOIに対する、DEPAIと亜リン酸金属塩と成分(D)とが配合された組成物のLOIの比率を示す。
【0102】
優れた燃焼性能を示す組成物は、熱及び/又は炎にさらされると過剰な煙を発生することが多い。本発明の組成物は、優れた燃焼性能と煙発生の低減との優れた組み合わせを実現する。
【0103】
煙密度試験は、NBSスモークチャンバー内でISO5659試験規格に従って行うことができる。試験片は、75mm×75mmの面積及び2mmの厚さを有するプラークとして作製される。試験片は、チャンバー内に水平に取り付けられ、約10分間、パイロット炎の存在下、ラジエーターコーン及び熱流束計を介して、上面で25kW/m2の一定の熱放射に暴露される。時間の経過とともに発生した煙はチャンバー内で回収され、煙を通過する光線の減衰は、6.5Vの白熱電球と、光電子増倍管と、高精度光検出器とを備えた測光システムで測定される。結果は経時的な光透過率に関して測定され、比光学濃度Dsに関して報告される。Dsは光透過率に反比例し、成形された試験片の厚さに等しい特定の光路長に対して与えられる。煙の発生は、最大比光学密度Ds,max、及び試験の最初の4分間の総煙発生量VOF4として測定される。VOF4は、Ds1min+Ds2min+Ds3min+(Ds4min/2)として計算され、式中、Ds1min、Ds2min、Ds3min、及びDs4minは、それぞれ1分目時点、2分目時点、3分目時点、及び4分目時点に記録された比光学濃度の値である。試験中に生じたプラーク試験片からの液だれが記録される。75mm×75mm×2mmの試験プラークの重量から、液だれした材料の重量が差し引かれる。この差が、実験時間中に「保持された質量」としてグラム単位で報告される。正規化されたDs,maxは、実験時間中に保持された質量でDs,maxを割ることによって計算でき、Ds,max,retとして報告される。
【0104】
s,max,ret及びVOF4の値が低いことが望ましく、これは火災の際に視界を妨げにくい材料であることの指標であり、その結果密閉された空間から人々を迅速に逃がすことができる。煙がない状態では光透過率は100%であり、Dsは0である。
【0105】
煙の性能を評価するために、パラメータVOF4及びDs,max,retを使用することができる。
【0106】
本発明の組成物は、好ましくは、ISO5659試験規格に従って75mm×75mmの面積及び2mmの厚さを有するプラークを使用して測定される、800以下、より好ましくは600以下、特には500以下のVOF4を示す。
【0107】
本発明の組成物は、好ましくは、ISO5659試験規格に従って75mm×75mmの面積及び2mmの厚さを有するプラークを使用して測定される、45以下、より好ましくは35以下、特には30以下のDs,max,retを示す。
【0108】
本発明の組成物は、好ましくは、ISO5659試験規格に従って75mm×75mmの面積及び2mmの厚さを有するプラークを使用して測定される、0.8以下、より好ましくは0.6以下、特には0.5以下の、成分(D)を含まない組成物のDs,max,ret,0に対する、DEPAIと亜リン酸金属塩と成分(D)とを含む組成物のDs,max,ret,exの比率を示す。
【0109】
より特に好ましい実施形態では、本発明の組成物は、長さ125mm×幅13mm、平均厚さ約1.7±0.1mmの寸法の長方形の棒形状の試験棒を使用して、試験法ISO4589-1/-2に従って測定した場合に、21以上、より好ましくは23以上、特に好ましくは25以上のLOIを有し、またISO5659試験規格に従って75mm×75mmの面積及び2mmの厚さを有するプラークを使用して測定される、45以下、より好ましくは35以下、特には30以下のDs,max,retを有する。
【0110】
より特に好ましい実施形態では、本発明の組成物は、長さ125mm×幅13mm、平均厚さ約1.7±0.1mmの寸法の長方形の棒形状の試験棒を使用して、試験法ISO4589-1/-2に従って測定した場合に、約0.75以上、より好ましくは0.9以上、特に好ましくは1.0以上の、DEPAIのみを含む組成物のLOIに対する、DEPAIと亜リン酸金属塩と成分(D)とが配合された組成物のLOIの比率を示し、またISO5659試験規格に従って75mm×75mmの面積及び2mmの厚さを有するプラークを使用して測定される、0.7以下、より好ましくは0.6以下、特には0.5以下の、DEPAIのみの組成物のDs,max,ret,0に対する、DEPAIと亜リン酸金属塩と成分(D)とを含む組成物のDs,max,ret,exの比率を示す。
【0111】
本発明の組成物は、均一なブレンドが得られるまで成分を溶融ブレンドすることによって製造される。溶融ブレンドは、例えば二軸押出機で行うことができる。
【0112】
本発明の組成物は、難燃性及び煙発生の低減が重要な任意の用途に適している。特に、本発明の組成物は、成形品(射出成形、ブロー成形)、押出成形品、フィルム、フィラメント、及び/又は繊維の製造に適している。本発明の組成物は、電気コネクタのハウジング、配電盤内の電流と接触する部品、回路基板、鋳造コンパウンド、電流プラグ、回路遮断器、ランプハウジング、LEDランプハウジング、キャパシタハウジング、ボビン、ファン、保護コンタクト、プラグ、イン/オン回路基板、プラグ用ハウジング、ケーブル、フレキシブルプリント回路基板、充電ケーブル、及びモーターカバーに特に適している。いくつかの特に好ましい用途としては、ワイヤー及びケーブルのシース(光ケーブルを含む)、自動車用途、列車、及び航空用途が挙げられる。
【0113】
特に好ましい用途は、導光要素又は導電要素又はその両方が本発明の組成物から製造されたシースによって取り囲まれているワイヤー及びケーブルである。したがって、本発明は、金属ワイヤー(例えば銅、銀など)などのコアとしての導電要素と、本発明の組成物から製造されたシースとを含むワイヤー及びケーブルにまで及ぶ。本発明は、コアとしての光伝導要素と、本発明の組成物から製造されたシースとを含む光ケーブルにも及ぶ。
【0114】
本発明によるケーブル又はワイヤーを製造するための好ましい方法は、同軸押出である。この方法では、組成物のシースがその周りに押し出される間に導電要素がダイを通って供給される。ワイヤー又はケーブルは、強化構造や繊維など、コア内に他の要素を含んでいてもよい。これは、本発明の組成物のシースの内側又は本発明の組成物のシースの外側の両方に追加のシース材料を更に含んでいてもよい。本発明の組成物のシースは、断熱材、ジャケット、又はそれらの両方として機能することができる。
【0115】
本発明は、本明細書に記載の組成物、使用、及び方法についてのより詳細な事項を提供する以下の実施例の特定の実施形態によって更に例示される。本発明を実施するために現時点で考えられる好ましい形態を示すが、これらの実施例は本発明を例示することを意図し、本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例
【0116】
材料
以下の材料を使用して、本明細書に記載の難燃性ポリマー組成物及び比較例の組成物を調製した。
【0117】
コポリエーテルエステル(TPC):ポリエーテルブロックセグメントとして約2000g/molの平均分子量を有する共重合したテトラメチレンオキシド約72.5重量パーセントを含むコポリエーテルエステルエラストマーであって、重量パーセント割合がコポリエーテルエステルエラストマーの総重量を基準としており、コポリエーテルエステルの短鎖エステル単位がポリブチレンテレフタレートセグメントである、コポリエーテルエステルエラストマー。コポリエーテルエステルエラストマーは、熱安定剤、酸化防止剤、及び金属不活性化剤を最大6重量パーセント含んでいた。
【0118】
DEPAI:ジエチルホスフィン酸アルミニウム。
【0119】
亜リン酸Al:亜リン酸、アルミニウム塩[CAS56287-23-1]
【0120】
メラミンピロホスフェート(MDP):アセトン中でMalvern Mastersizer 2000粒度分析装置を用いてレーザー回折技術を使用して測定される15ミクロンの平均粒径を有するメラミンピロホスフェート。
【0121】
試験方法
難燃性
可燃性試験は、限界酸素指数(「LOI」)試験法ISO4589-1/-2に従って行った。試験片は、約170℃から約190℃に設定されたバレル温度を有する標準的な押出機で幅の狭い平坦なストリップを溶融押出し、そのようにして得た平坦なストリップから、長さ125mm×幅13mm、平均厚さ約1.7±0.1mmの寸法の長方形の棒形状に試験片を切断することによって、表の組成物から作製した。試験片は、試験前に室温且つ50%の相対湿度で少なくとも72時間状態調整した。この試験によれば、試験片は、酸素と窒素の相対濃度を変化させることができるガラス柱に上向きにゆっくりと供給される酸素と窒素との混合物の雰囲気中で、室温でガラス煙突の中央に垂直に固定される。試験片の上端にパイロット炎を着火させ、下向きに燃焼させる。試験片の燃焼挙動を観察し、燃焼が継続する時間を比較する。LOIは、180秒未満の着火後の目標燃焼時間によって示される、サンプルの燃焼を維持するために必要な体積パーセントで表される酸素の最小濃度である。LOIの高い値が望ましく、着火しにくく引火しにくい物質であることの指標である。
【0122】
煙密度
煙密度試験は、Fire Testing Technologiesによって供給されたNBSスモークチャンバー内でISO5659試験規格に従って行った。試験片は、約170℃から約190℃に設定されたバレル温度を有する標準的な押出機で幅の狭い平坦なストリップを溶融押出し、ストリップを圧縮成形して75mm×75mmの面積且つ2mmの厚さのプラークを形成することによって、表の組成物から作製した。試験片をチャンバー内に水平に取り付け、パイロット炎の存在下で約40分間、ラジエーターコーン及び熱流束計を介して、上面で25kW/m2の一定の熱放射に暴露した。時間の経過とともに発生した煙はチャンバー内で回収し、煙を通過する光線の減衰を、6.5Vの白熱電球と、光電子増倍管と、高精度光検出器とを備えた測光システムで測定した。結果は経時的な光透過率に関して測定し、比光学濃度Dsに関して報告した。Dsは光透過率に反比例し、成形された試験片の厚さに等しい特定の光路長に対して与えられる。材料組成間の比較は、最大比光学密度Ds,max、及び試験の最初の4分間の総煙発生量VOF4の測定により行われる。VOF4は、Ds1min+Ds2min+Ds3min+(Ds4min/2)として計算され、式中、Ds1min、Ds2min、Ds3min、及びDs4minは、それぞれ1分目時点、2分目時点、3分目時点、及び4分目時点に記録された比光学濃度の値である。試験中に生じたプラーク試験片からの液だれを記録する。75mm×75mm×2mmの試験プラークの重量から、液だれした材料の重量が差し引かれる。この差が、実験時間中に「保持された質量」としてグラム単位で報告される。正規化されたDs,maxは、実験時間中に保持された質量でDs,maxを割ることによって計算でき、Ds,max,retとして報告される。
【0123】
s,max及びVOF4の値は、NBSスモークチャンバーのソフトウェアによって自動で計算した。ソフトウェアは、該当するISO規格に準拠している。Ds,max,ret及びVOF4の値が低いことが望ましく、これは火災の際に視界に悪影響を及ぼしにくい材料であることの指標であり、その結果密閉された空間から人々を迅速に逃がすことができる。煙がない状態では光透過率は100%であり、Dsは0である。
【0124】
実験データ
「CE」で示される組成物は比較であり、「E」で示される組成物は本発明である。
【0125】
表1
表1は、比較のコポリエーテルエステル組成物CE3(DEPAIのみ)及びCE4(DEPAI+亜リン酸Al)、並びに本発明による組成物(DEPAI+亜リン酸Al+メラミンピロホスフェート)を示す。
【0126】
本発明の組成物は、25のLOIによって明らかなように、優れた難燃性を有する。
【0127】
表1において、LOIex/LOI0は、対照の材料(すなわちDEPAIのみを含む)のLOIに対する本実験の材料(すなわちDEPAI+亜リン酸塩+MDPを含む)のLOIの比率を意味する。
【0128】
表1において、Ds,max,ret,ex/Ds,max,ret,0は、対照の材料(すなわちDEPAIのみを含む)のDs,max,retに対する本実験の材料(すなわちDEPAI+亜リン酸塩+MDPを含む)のDs,max,retの比率を意味する。
【0129】
本発明の特定の好ましい実施形態を上で説明し、具体的に例示してきたが、本発明をこのような実施形態に限定することは意図されない。以下の特許請求の範囲に示されるように、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、様々な改変形態がなされ得る。
【0130】
【表1】
【国際調査報告】