(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-12
(54)【発明の名称】改良されたポリエーテルエステル
(51)【国際特許分類】
C08L 67/00 20060101AFI20230705BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20230705BHJP
C08L 21/00 20060101ALI20230705BHJP
C08K 5/5313 20060101ALI20230705BHJP
C08K 5/5317 20060101ALI20230705BHJP
C08K 5/3477 20060101ALI20230705BHJP
C08K 3/38 20060101ALI20230705BHJP
C08G 63/672 20060101ALI20230705BHJP
H01B 7/295 20060101ALI20230705BHJP
【FI】
C08L67/00
C08L101/00
C08L21/00
C08K5/5313
C08K5/5317
C08K5/3477
C08K3/38
C08G63/672
H01B7/295
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564116
(86)(22)【出願日】2021-06-15
(85)【翻訳文提出日】2022-11-22
(86)【国際出願番号】 US2021037381
(87)【国際公開番号】W WO2021257535
(87)【国際公開日】2021-12-23
(32)【優先日】2020-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519393129
【氏名又は名称】デュポン ポリマーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エレーニ カライアンニ
【テーマコード(参考)】
4J002
4J029
5G315
【Fターム(参考)】
4J002AA011
4J002AC001
4J002AC081
4J002BB001
4J002CF041
4J002CF051
4J002CF101
4J002CL001
4J002DH028
4J002DH029
4J002DH036
4J002DH037
4J002DK009
4J002EU189
4J002EW039
4J002EY019
4J002FD010
4J002FD020
4J002FD050
4J002FD060
4J002FD070
4J002FD090
4J002FD136
4J002FD137
4J002FD138
4J002FD139
4J002FD200
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4J002GQ01
4J029AA03
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4J029AE01
4J029AE04
4J029BA02
4J029BA03
4J029BA04
4J029BA05
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4J029HB01
4J029JE182
4J029KC01
5G315CA03
5G315CB01
5G315CC08
5G315CD01
5G315CD02
5G315CD03
5G315CD08
5G315CD09
5G315CD17
(57)【要約】
本発明は、耐燃性であり、且つ熱又は炎に曝されたときの低減された煙の発生を示すコポリエーテルエステル組成物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)コポリエーテルエステル、ポリアミドエラストマー、熱可塑性ポリオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性加硫物から選択される少なくとも1つのポリマーと、
(2)ジエチルホスフィン酸アルミニウムと、
(3)ジエチルホスフィン酸亜鉛と、
(4)2~20重量%の、亜リン酸のアルミニウム塩、亜リン酸の亜鉛塩及びこれらの混合物から選択される亜リン酸塩と
を含む難燃性ポリマー組成物であって、前記重量パーセントは、前記組成物の総重量に基づく、難燃性ポリマー組成物。
【請求項2】
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステルと、
(2)ジエチルホスフィン酸アルミニウム(「DEPAl」)と、
(3)ジエチルホスフィン酸亜鉛(「DEPZn」)と、
(4)2~20重量%の、亜リン酸のアルミニウム塩、亜リン酸の亜鉛塩及びこれらの混合物から選択される亜リン酸塩と
を含む難燃性コポリエーテルエステル組成物であって、前記重量パーセントは、前記組成物の総重量に基づく、難燃性コポリエーテルエステル組成物。
【請求項3】
前記コポリエーテルエステルは、C
2~C
6ジオールを芳香族二酸部位及びポリ(アルキレンオキシド)ジオールと反応させることによって作製される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記コポリエーテルエステルは、ポリ(エチレンオキシド)ジオール、ポリ(プロピレンオキシド)ジオール、ポリ(テトラメチレンオキシド)ジオール(「PTMEG」)及びこれらの2つ以上の混合物から選択されるポリ(アルキレンオキシド)ジオールを使用して作製される、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記コポリエーテルエステルは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール及びこれらの2つ以上の混合物から選択されるC
2~C
6ジオールを使用して作製される、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記コポリエーテルエステルは、テレフタレート、イソテレフタレート及びこれらの混合物から選択される芳香族二酸を使用して作製され、テレフタレートが特に好ましい、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記コポリエーテルエステルは、ブチレンジオール、テレフタレート及びPTMEGから作製される、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
DEPAl及びDEPZnの合計は、前記組成物の総重量に基づいて5~40重量%である、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物の総重量に基づいて5~20重量%のDEPAlと、5~20重量%のDEPZnとを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物の総重量に基づいて8~15重量%のDEPAlと、8~15重量%のDEPZnとを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物の総重量に基づいて8~15重量%のDEPAlと、2~6重量%のDEPZnとを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物の総重量に基づいて15~25重量%のDEPAlと、15~25重量%のDEPZnとを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
亜リン酸アルミニウム[CAS56287-23-1]を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
亜リン酸亜鉛[CAS14332-59-3]を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
亜リン酸アルミニウム[CAS56287-23-1]と、亜リン酸亜鉛[CAS14332-59-3]とを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
総亜リン酸塩濃度は、前記組成物の総重量に基づいて20重量%以下である、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記総亜リン酸塩濃度は、前記組成物の総重量に基づいて5~10重量%である、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステル、
(2)5~20重量%のDEPAl、
(3)5~20重量%のDEPZn、
(4)2~10重量%の、亜リン酸アルミニウム[CAS56287-23-1]、亜リン酸亜鉛[CAS14332-59-3]及びこれらの混合物から選択される亜リン酸塩
を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
試験方法ISO4589-1/-2に従い、寸法125mm長さ×13mm幅の、且つ約1.7±0.1mmの平均厚さを有する長方形棒の形状の試験棒を使用して測定される場合、20以上のLOIを有する、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
試験方法ISO4589-1/-2に従い、寸法125mm長さ×13mm幅の、且つ約1.7±0.1mmの平均厚さを有する長方形棒の形状の試験棒を使用して測定される場合、23以上のLOIを有する、請求項1~19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物のLOIの、前記金属亜リン酸塩なしの前記組成物のLOIに対する比は、試験方法ISO4589-1/-2に従い、寸法125mm長さ×13mm幅の、且つ約1.7±0.1mmの平均厚さを有する長方形棒の形状の試験棒を使用して測定される場合、0.75以上、より好ましくは0.9以上、より特に好ましくは1.0以上である、請求項1~20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
ISO5659試験標準に従い、且つ75mm×75mmの面積及び2mmの厚さを有するプラークを使用して測定される、40以下のD
s,max/g単位における保持された質量(D
s,max/mass retained in g)を有する、請求項1~21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
ISO5659試験標準に従い、且つ75mm×75mmの面積及び2mmの厚さを有するプラークを使用して測定される、30以下のD
s,max/g単位における保持された質量(D
s,max/mass retained in g)を有する、請求項1~22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
ISO5659試験標準に従い、且つ75mm×75mmの面積及び2mmの厚さを有するプラークを使用して測定される、前記組成物のD
s,max,retの、金属亜リン酸塩なしの前記組成物のD
s,max,retに対する比は、0.81以下、より好ましくは0.76以下、より特に0.6又は0.5以下である、請求項1~23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
(2’)0.2~16重量%の、エチルブチルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、エチルヘキシルホスフィン酸、ブチルヘキシルホスフィン酸、ジヘキシルホスフィン酸又はこれらの2つ以上の混合物のアルミニウム塩を更に含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
試験方法ISO4589-1/-2に従い、寸法125mm長さ×13mm幅の、且つ約1.7±0.1mmの平均厚さを有する長方形棒の形状の試験棒を使用して測定される場合、19以上、より好ましくは21以上、より特に好ましくは23以上のLOIを有し、及びISO5659試験標準に従い、且つ75mm×75mmの面積及び2mmの厚さを有するプラークを使用して測定される、45以下、より好ましくは40以下、より特に35以下のD
s,max,retを有する、請求項1~25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
前記DEPAlは、≦10ミクロンのD95(Malvern Mastersizer 2000粒子サイズ分析装置を用いたレーザー回折技術を使用して測定される、アセトン中での体積%)を有する、請求項1~26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
前記DEPZnは、≦10ミクロンのD95(Malvern Mastersizer 2000粒子サイズ分析装置を用いたレーザー回折技術を使用して測定される、アセトン中での体積%)を有する、請求項1~27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
前記DEPAl及び前記DEPZnは、≦10ミクロンのD95(Malvern Mastersizer 2000粒子サイズ分析装置を用いたレーザー回折技術を使用して測定される、アセトン中での体積%)を有する、請求項1~28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
前記亜リン酸塩は、≦10ミクロンのD95(Malvern Mastersizer 2000粒子サイズ分析装置を用いたレーザー回折技術を使用して測定される、アセトン中での体積%)を有する、請求項1~29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
≦10ミクロンのD95(Malvern Mastersizer 2000粒子サイズ分析装置を用いたレーザー回折技術を使用して測定される、アセトン中での体積%)を有する亜リン酸アルミニウムを含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
≦10ミクロンのD95(Malvern Mastersizer 2000粒子サイズ分析装置を用いたレーザー回折技術を使用して測定される、アセトン中での体積%)を有する亜リン酸アルミニウム[56287-23-1]を含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
≦10ミクロンのD95(Malvern Mastersizer 2000粒子サイズ分析装置を用いたレーザー回折技術を使用して測定される、アセトン中での体積%)の粒子サイズを有する亜リン酸亜鉛を含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
0.1~100ミクロン、特に好ましくは0.1~30ミクロンの粒子サイズを有する亜リン酸亜鉛を含む、請求項1~33のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
少なくとも1つの窒素含有相乗剤並びに/又はリン含有難燃剤及び/若しくは窒素含有難燃剤を更に含む、請求項1~34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
有機又は無機酸及びこれらの混合物を有するメラミン塩から選択される少なくとも1つのメラミン誘導体を更に含む、請求項1~35のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項37】
ホウ酸、シアヌル酸、リン酸及び/又はピロ/ポリリン酸並びにこれらの混合物を有するメラミンの塩から選択される少なくとも1つの成分を更に含む、請求項1~36のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項38】
メラミンピロホスフェートを含む、請求項1~37のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項39】
請求項1~38のいずれか一項に記載の難燃性コポリエーテルエステル組成物から作製される成形物品。
【請求項40】
光又は電気伝導性コアと、請求項1~38のいずれか一項に記載の難燃性コポリエーテルエステル組成物から作製されるシースとを含むケーブル。
【請求項41】
請求項1~38のいずれか一項に記載の組成物を作製するための方法であって、
列挙された前記成分を押出機において溶融混合する工程
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第365条の下、それぞれ2020年6月15日に出願された米国仮特許出願第63/039,098号明細書、同第63/039,133号明細書及び同第63/039,171号明細書に対する優先権を主張するものであり、これらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、コポリエーテルエステル、特に難燃性コポリエーテルエステルの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
いくつかの特許、特許出願及び刊行物は、本発明が関係する技術分野の状況をより詳細に説明するために本説明で引用される。これらの特許、特許出願及び刊行物のそれぞれの開示全体は、参照により本明細書に援用される。
【0004】
コポリエーテルエステルは、ポリエステルブロックを含むハードセグメントと、長鎖ポリエーテルジオールを含むソフトセグメントとを有するエラストマーポリエステルの群である。それらは、反発性及び弾性が要求される用途で広く使用されている。
【0005】
典型的なコポリエーテルエステルは、1つ以上の二酸部位を短鎖ジオール及び長鎖ポリエーテルジオールと反応させることによって製造される。
【0006】
コポリエーテルエステルは、優れた弾性、低温における機械的特性の維持及び良好な疲労性能を示す。
【0007】
非ハロゲン含有難燃剤(「NHFR」)コポリエーテルエステルが継続的に必要とされている。ジアルキルホスフィン酸塩は、周知の非ハロゲン化難燃性分子である。米国特許第7,420,007号明細書[Clariant Produkte(Deutschland)GmbH]は、式(I):
【0008】
【0009】
(式中、R1、R2は、同一であるか又は異なり、直鎖又は分岐のC1~C6-アルキルであり、
Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、Kであり、且つ/又はプロトン化窒素塩基であり、及び
mは、1~4である)
のジアルキルホスフィン酸塩の、ポリエーテルエステルなどの多数の異なるポリマーでの難燃剤としての使用を記載している。
【0010】
米国特許出願公開第2013/0190432号明細書は、ナイロン-6,6、ナイロン-6T/6,6、ナイロン-4,6、コポリエーテルエステル及びPBTにおける難燃剤の組み合わせとして、ジエチルホスフィン酸アルミニウムを亜リン酸のアルミニウム塩と一緒に使用することを記載している。
【0011】
ポリマー樹脂での難燃剤の使用は、可燃性を著しく低減し得るが、残念ながら、熱又は炎に曝されたときに高い煙の発生をもたらし得る。これは、煙が火災において損傷及び死亡率に著しく寄与し得るため、懸念事項である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
低減された可燃性のみならず、熱及び/又は炎に曝されたときの低減された煙の発生も示す、樹脂と難燃剤との組み合わせが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の態様では、本発明は、
(1)コポリエーテルエステル、ポリアミドエラストマー、熱可塑性ポリオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性加硫物から選択される少なくとも1つのポリマーと、
(2)ジエチルホスフィン酸アルミニウムと、
(3)ジエチルホスフィン酸亜鉛と、
(4)2~20重量%の、亜リン酸のアルミニウム塩、亜リン酸の亜鉛塩及びこれらの混合物から選択される亜リン酸塩と
を含む難燃性ポリマー組成物を提供し、ここで、重量%は、組成物の総重量に基づく。
【0014】
第2の態様では、本発明は、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステルと、
(2)ジエチルホスフィン酸アルミニウムと、
(3)ジエチルホスフィン酸亜鉛と、
(4)2~20重量%の、亜リン酸のアルミニウム塩、亜リン酸の亜鉛塩及びこれらの混合物から選択される亜リン酸塩と
を含む難燃性コポリエーテルエステル組成物を提供し、ここで、重量%は、組成物の総重量に基づく。
【0015】
第3の態様では、本発明は、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステルと、
(2)ジエチルホスフィン酸アルミニウムと、
(3)ジエチルホスフィン酸亜鉛と、
(4)2~20重量%の、亜リン酸のアルミニウム塩、亜リン酸の亜鉛塩及びこれらの混合物から選択される亜リン酸塩と
を含む難燃性コポリエーテルエステル組成物から作製される成形物品を提供し、ここで、重量%は、組成物の総重量に基づく。
【0016】
第4の態様では、本発明は、光又は電気伝導性コアと、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステルと、
(2)ジエチルホスフィン酸アルミニウムと、
(3)ジエチルホスフィン酸亜鉛と、
(4)2~20重量%の、亜リン酸のアルミニウム塩、亜リン酸の亜鉛塩及びこれらの混合物から選択される亜リン酸塩と
を含む難燃性コポリエーテルエステル組成物から作製されるシースとを含むケーブルを提供し、ここで、重量%は、組成物の総重量に基づく。
【0017】
第5の態様では、本発明は、本発明の組成物を作製するための方法であって、列挙された成分を押出機において溶融混合する工程を含む方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
定義及び略称
PBT ポリ(ブチレンテレフタレート)
PTMEG ポリテトラメチレンエーテルグリコール
コポリエーテルエステル又はTPC 少なくとも1つのジオールと、少なくとも1つの二酸と、少なくとも1つのポリ(アルキレンオキシド)ジオールとの反応から生じる熱可塑性エラストマー
DEPAl ジエチルホスフィン酸アルミニウム
DEPZn ジエチルホスフィン酸亜鉛
亜リン酸塩 本明細書で使用される場合、アルミニウム及び/又は亜鉛の「亜リン酸の塩」又は「ホスホン酸の塩」と同義である。
【0019】
本発明者らは、驚くべきことに、コポリエーテルエステルを、DEPAl、DEPZn及び亜リン酸のアルミニウム塩、亜リン酸の亜鉛塩及びこれらの混合物から選択される2~16重量%の亜リン酸塩と配合すると、良好な難燃性並びに熱及び/又は炎に曝されたときの低減された煙の発生を有する組成物が得られることを見出した。
【0020】
本発明者らは、驚くべきことに、亜リン酸のアルミニウム塩、亜リン酸の亜鉛塩及びこれらの混合物から選択される亜リン酸塩を、DEPAl及びDEPZnを含有する難燃性コポリエーテルエステル組成物に添加すると、熱及び/又は炎に曝されたときの組成物による煙の発生が低減することも見出した。
【0021】
DEPAl及びDEPZnは、ポリマー配合物に難燃性を付与することでよく知られている。本発明者らは、ここで、亜リン酸塩の添加が煙の発生を低減させることを見出した。亜リン酸塩の添加は、DEPAl及びDEPZnによって付与される難燃性をわずかに低下させるようであるため、亜リン酸塩は、煙の発生を低減させると同時に、難燃性を過度に損なわない量で添加する必要がある。本発明者らは、組成物の総重量に基づいて2~16重量%の量の亜リン酸塩を添加すると、許容できる難燃性及び煙の発生の低減が得られることを見出した。
【0022】
本発明の組成物に適したコポリエーテルエステルは、C2~C6ジオールを芳香族二酸部位及びポリ(アルキレンオキシド)ジオールと反応させることによって作製されるポリマーである。
【0023】
ポリ(アルキレンオキシド)ジオールは、好ましくは、ポリ(エチレンオキシド)ジオール、ポリ(プロピレンオキシド)ジオール、ポリ(テトラメチレンオキシド)ジオール(「PTMEG」)及びこれらの混合物から選択される。ポリ(プロピレンオキシド)ジオール及びポリ(テトラメチレンオキシド)ジオールは、直鎖又は分岐であり得る。それらが、末端ヒドロキシルを含有する炭素で分岐している場合、それらは、好ましくは、エチレングリコール又はポリ(エチレンオキシド)ジオールでエンドキャップされる。ポリ(プロピレンオキシド)ジオール及びポリ(テトラメチレンオキシド)ジオール(「PTMEG」)並びにこれらの混合物が特に好ましく、PTMEGがより特に好ましい。
【0024】
C2~C6ジオールは、好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール及びこれらの混合物から選択され、ブチレングリコールがより特に好ましい。
【0025】
芳香族二酸は、好ましくは、テレフタレート、イソテレフタレート及びこれらの混合物から選択され、テレフタレートが特に好ましい。
【0026】
特に好ましいコポリエーテルエステルは、
1.ブチレンジオール、テレフタレート及びPTMEGから作製されるコポリエーテルエステル、
2.ブチレンジオール、テレフタレート及びポリ(プロピレンオキシド)ジオールから作製されるコポリエーテルエステル、
3.プロピレンジオール、テレフタレート及びPTMEGから作製されるコポリエーテルエステル、及び
4.プロピレンジオール、テレフタレート及びポリ(プロピレンオキシド)ジオールから作製されるコポリエーテルエステル
から選択される。
【0027】
ブチレンジオール、テレフタレート及びPTMEGから作製されるコポリエーテルエステルが特に好ましい。
【0028】
コポリエーテルエステルの柔らかさは、ポリ(アルキレンオキシド)ジオールの鎖長(即ち分子量)及びポリマーを作製するために使用されるポリ(アルキレンオキシド)ジオールの相対量の影響を受ける。
【0029】
好ましい実施形態では、ポリ(アルキレンオキシド)ジオールは、2000g/モル又は約2000g/モルの分子量を有する。
【0030】
別の好ましい実施形態では、ポリ(アルキレンオキシド)ジオールは、コポリエーテルエステルの総重量に基づいて、コポリエーテルエステルの40重量%~80重量%、より好ましくは50~75重量%、特に好ましくは72.5重量%を構成する。
【0031】
特に好ましい実施形態では、コポリエーテルエステルは、コポリエーテルエステルの総重量に基づいて、コポリエーテルエステルの40重量%~80重量%、より好ましくは50~75重量%、特に好ましくは72.5重量%の、2000g/モル又は約2000g/モルの分子量を有するポリ(アルキレンオキシド)ジオールを含む。
【0032】
特に好ましいポリエーテルエステルは、72.5重量パーセント又は約72.5重量パーセント(重量パーセントは、コポリエーテルエステルエラストマーの総重量に基づく)の、約2000g/モルの平均分子量を好ましくは有するポリテトラメチレンオキシドをポリエーテルブロックセグメントとして含み、コポリエーテルエステルの短鎖エステル単位は、ポリブチレンテレフタレートセグメントである。
【0033】
少なくとも1つのコポリエーテルエステルに加えて、本発明の組成物は、ジエチルホスフィン酸アルミニウム(「DEPAl」)と、ジエチルホスフィン酸亜鉛(「DEPZn」)とを含む。
【0034】
総ホスフィン酸塩濃度は、コポリエーテルエステル組成物の総重量に基づいて好ましくは5~50重量%、より好ましくは10~40重量%、特に好ましくは10~25重量%である。
【0035】
ホスフィン酸塩の好ましい組み合わせは、
5~20重量%のDEPAl及び5~20重量%のDEPZn、
8~15重量%のDEPAl及び8~15重量%のDEPZn、
10重量%のDEPAl及び10重量%のDEPZn、
8~15重量%のDEPAl及び2~6重量%のDEPZn、
15重量%のDEPAl及び5重量%のDEPZn、
15~25重量%のDEPAl及び15~25重量%のDEPZn、
20重量%のDEPAl及び20重量%のDEPZn
であり、ここで、重量%は、組成物の総重量に基づく。
【0036】
40重量%を超える総ホスフィン酸塩の充填は、劣った機械的特性を有する組成物をもたらす。一部の用途について、そのような高い充填量での機械的特性が適切な場合もあるが、一般に、総ホスフィン酸塩濃度は、40重量%を超えないことが好ましい。
【0037】
好ましい実施形態では、DEPAlは、≦10ミクロンのD95(Malvern Mastersizer 2000粒子サイズ分析装置を用いたレーザー回折技術を使用して測定される、アセトン中での体積%)を有する。
【0038】
また、好ましい実施形態では、DEPZnは、≦10ミクロンのD95(Malvern Mastersizer 2000粒子サイズ分析装置を用いたレーザー回折技術を使用して測定される、アセトン中での体積%)を有する。
【0039】
別の好ましい実施形態では、DEPAl及びDEPZnは、≦10ミクロンのD95(Malvern Mastersizer 2000粒子サイズ分析装置を用いたレーザー回折技術を使用して測定される、アセトン中での体積%)を有する。
【0040】
本発明の組成物は、亜リン酸のアルミニウム塩、亜リン酸の亜鉛塩又はその両方を2~16重量%で更に含み、ここで、重量%は、組成物の総重量に基づく。亜リン酸は、ホスホン酸、HP(=O)(OH)2とも呼ばれる。
【0041】
亜リン酸は、以下に示すように互変異性型を有する。
【0042】
【0043】
亜リン酸のアルミニウム塩は、亜リン酸アルミニウムとも呼ばれる。
【0044】
好ましい亜リン酸アルミニウムは、CAS番号[15099 32-8]、[119103-85-4]、[220689-59-8]、[CAS56287-23-1]、[156024-71-4]、[71449-76-8]及び[15099-32-8]を有するものである。特に好ましいものは、Al2(HPO3)3*0.1~30Al2O3*0~50H2Oのタイプ、より好ましくはAl2(HPO3)3*0.2~20Al2O3*0~50H2Oのタイプ、最も好ましくはAl2(HPO3)3*1~3Al2O3*0~50H2Oのタイプの亜リン酸アルミニウムである。
【0045】
特に好ましいものは、5~95重量%のAl2(HPO3)3*nH2O及び95~5重量%のAl(OH)3、より好ましくは10~90重量%のAl2(HPO3)*nH2O及び90~10重量%のAl(OH)3、最も好ましくは35~65重量%のAl2(HPO3)3*nH2O及び65~35重量%のAl(OH)3の組成を有する、亜リン酸アルミニウムと水酸化アルミニウムとの混合物であり、それぞれの場合にn=0~4である。
【0046】
特に好ましいのは、CAS番号[CAS56287-23-1]を有する亜リン酸アルミニウムである。
【0047】
好ましい実施形態では、亜リン酸塩は、≦10ミクロンのD95(Malvern Mastersizer 2000粒子サイズ分析装置を用いたレーザー回折技術を使用して測定される、アセトン中での体積%)を有する。
【0048】
好ましい実施形態では、亜リン酸アルミニウムは、≦10ミクロンのD95(Malvern Mastersizer 2000粒子サイズ分析装置を用いたレーザー回折技術を使用して測定される、アセトン中での体積%)を有する。
【0049】
≦10ミクロンのD95(Malvern Mastersizer 2000粒子サイズ分析装置を用いたレーザー回折技術を使用して測定される、アセトン中での体積%)を有する亜リン酸アルミニウム[56287-23-1]が特に好ましい。
【0050】
亜リン酸の亜鉛塩は、本明細書では亜リン酸亜鉛と呼ばれる。以下に示すように、CAS番号[CAS14332-59-3]を有する亜リン酸亜鉛が特に好ましい。
【0051】
【0052】
好ましい実施形態では、亜リン酸亜鉛は、≦10ミクロンのD95(Malvern Mastersizer 2000粒子サイズ分析装置を用いたレーザー回折技術を使用して測定される、アセトン中での体積%)の粒子サイズを有する。代わりに、亜リン酸亜鉛は、好ましくは、0.1~100ミクロン、特に好ましくは0.1~30ミクロンの粒子サイズを有する。
【0053】
≦10ミクロンのD95(Malvern Mastersizer 2000粒子サイズ分析装置を用いたレーザー回折技術を使用して測定される、アセトン中での体積%)を有する亜リン酸亜鉛[14332-59-3]が特に好ましい。
【0054】
本発明の好ましい組成物では、亜リン酸アルミニウム[CAS56287-23-1]及び亜リン酸亜鉛[CAS14332-59-3]が使用される。
【0055】
総亜リン酸塩濃度は、コポリエーテルエステル組成物の総重量に基づいて2~20重量%、より好ましくは10重量%以下である。10重量%の総亜リン酸塩を超える高い亜リン酸塩充填量で良好な煙の低減が得られるが、組成物の難燃特性が損なわれる可能性があり、特定の用途に適さなくなる。好ましい実施形態では、総亜リン酸塩濃度は、組成物の総重量に基づいて5~10重量%である。
【0056】
本発明の組成物は、少なくとも1つの窒素含有相乗剤並びに/又はリン含有難燃剤及び/若しくは窒素含有難燃剤を更に含み得る。より好ましくは、組成物は、有機又は無機酸及びこれらの混合物を有するメラミン塩から選択される少なくとも1つのメラミン誘導体を更に含む。より特に好ましくは、本発明の組成物は、ホウ酸、シアヌル酸、リン酸及び/又はピロ/ポリリン酸並びにこれらの混合物を有するメラミンの塩から選択される少なくとも1つの成分を更に含む。メラミンピロホスフェートが特に好ましい。
【0057】
本発明のいくつかの好ましい組成物を以下に列挙する。重量パーセント(重量%)は、組成物の総重量に基づく。
【0058】
本発明の好ましい組成物は、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステル、
(2)DEPAl、
(3)DEPZn、
(4)2~16重量%の亜リン酸アルミニウム、特に[CAS56287-23-1]
を含むコポリエーテルエステル組成物である。
【0059】
本発明の別の好ましい組成物は、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステル、
(2)DEPAl、
(3)DEPZn、
(4)2~10重量%の亜リン酸アルミニウム、特に[CAS56287-23-1]
を含むコポリエーテルエステル組成物である。
【0060】
本発明の別の好ましい組成物は、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステル、
(2)DEPAl、
(3)DEPZn、
(4)少なくとも5重量%の亜リン酸アルミニウム、特に[CAS56287-23-1]
を含むコポリエーテルエステル組成物である。
【0061】
本発明の別の好ましい組成物は、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステル、
(2)DEPAl、
(3)DEPZn、
(4)2~16重量%の亜リン酸亜鉛、特に[CAS14332-59-3]
を含むコポリエーテルエステル組成物である。
【0062】
本発明の別の好ましい組成物は、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステル、
(2)DEPAl、
(3)DEPZn、
(4)2~10重量%の亜リン酸亜鉛、特に[CAS14332-59-3]
を含むコポリエーテルエステル組成物である。
【0063】
本発明の別の好ましい組成物は、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステル、
(2)DEPAl、
(3)DEPZn、
(4)2~8重量%の亜リン酸アルミニウム、特に[CAS56287-23-1]及び2~8重量%の亜リン酸亜鉛、特に[CAS14332-59-3]
を含むコポリエーテルエステル組成物である。
【0064】
本発明の別の好ましい組成物は、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステル、
(2)8~12重量%、特に10重量%のDEPAl、
(3)8~12重量%、特に10重量%のDEPZn、
(4)2~8重量%の亜リン酸アルミニウム、特に[CAS56287-23-1]及び2~8重量%の亜リン酸亜鉛、特に[CAS14332-59-3]
を含むコポリエーテルエステル組成物である。
【0065】
本発明の別の好ましい組成物は、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステル、
(2)12~16重量%、特に15重量%のDEPAl、
(3)2~6重量%、特に5重量%のDEPZn、
(4)2~8重量%、特に5重量%の亜リン酸アルミニウム、特に[CAS56287-23-1]
を含むコポリエーテルエステル組成物である。
【0066】
本発明の別の好ましい組成物は、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステル、
(2)12~16重量%、特に15重量%のDEPAl、
(3)2~6重量%、特に5重量%のDEPZn、
(4)2~8重量%、特に5重量%の亜リン酸亜鉛、特に[CAS14332-59-3]
を含むコポリエーテルエステル組成物である。
【0067】
本発明の別の好ましい組成物は、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステル、
(2)12~16重量%、特に15重量%のDEPAl、
(3)2~6重量%、特に5重量%のDEPZn、
(4)2~8重量%、特に4重量%の亜リン酸アルミニウム、特に[CAS56287-23-1]及び2~8重量%、特に4重量%の亜リン酸亜鉛、特に[CAS14332-59-3]
を含むコポリエーテルエステル組成物である。
【0068】
本発明の別の好ましい組成物は、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステル、
(2)18~22重量%、特に20重量%のDEPAl、
(3)18~22重量%、特に20重量%のDEPZn、
(4)6~10重量%、特に8重量%の亜リン酸アルミニウム、特に[CAS56287-23-1]及び6~10重量%、特に8重量%の亜リン酸亜鉛、特に[CAS14332-59-3]
を含むコポリエーテルエステル組成物である。
【0069】
本発明の別の好ましい組成物は、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステル、
(2)18~22重量%、特に20重量%のDEPAl、
(3)18~22重量%、特に20重量%のDEPZn、
(4)6~10重量%、特に8重量%の亜リン酸アルミニウム、特に[CAS56287-23-1]
を含むコポリエーテルエステル組成物である。
【0070】
本発明の別の好ましい組成物は、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステル、
(2)18~22重量%、特に20重量%のDEPAl、
(3)18~22重量%、特に20重量%のDEPZn、
(4)6~10重量%、特に8重量%の亜リン酸亜鉛、特に[CAS14332-59-3]
を含むコポリエーテルエステル組成物である。
【0071】
本発明の好ましい組成物は、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステル、
(2)DEPAl、
(3)DEPZn、
(4)2~16重量%の亜リン酸アルミニウム[CAS56287-23-1]
を含むコポリエーテルエステル組成物である。
【0072】
本発明の別の好ましい組成物は、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステル、
(2)DEPAl、
(3)DEPZn、
(4)2~10重量%の亜リン酸アルミニウム[CAS56287-23-1]
を含むコポリエーテルエステル組成物である。
【0073】
本発明の別の好ましい組成物は、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステル、
(2)DEPAl、
(3)DEPZn、
(4)少なくとも5重量%の亜リン酸アルミニウム[CAS56287-23-1]
を含むコポリエーテルエステル組成物である。
【0074】
本発明の別の好ましい組成物は、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステル、
(2)DEPAl、
(3)DEPZn、
(4)2~16重量%の亜リン酸亜鉛[CAS14332-59-3]
を含むコポリエーテルエステル組成物である。
【0075】
本発明の別の好ましい組成物は、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステル、
(2)DEPAl、
(3)DEPZn、
(4)2~10重量%の亜リン酸亜鉛[CAS14332-59-3]
を含むコポリエーテルエステル組成物である。
【0076】
本発明の別の好ましい組成物は、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステル、
(2)DEPAl、
(3)DEPZn、
(4)2~8重量%の亜リン酸アルミニウム[CAS56287-23-1]及び2~8重量%の亜リン酸亜鉛[CAS14332-59-3]
を含むコポリエーテルエステル組成物である。
【0077】
本発明の別の好ましい組成物は、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステル、
(2)8~12重量%、特に10重量%のDEPAl、
(3)8~12重量%、特に10重量%のDEPZn、
(4)2~8重量%の亜リン酸アルミニウム[CAS56287-23-1]及び2~8重量%の亜リン酸亜鉛[CAS14332-59-3]
を含むコポリエーテルエステル組成物である。
【0078】
本発明の別の好ましい組成物は、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステル、
(2)12~16重量%、特に15重量%のDEPAl、
(3)2~6重量%、特に5重量%のDEPZn、
(4)2~8重量%、特に5重量%の亜リン酸アルミニウム[CAS56287-23-1]
を含むコポリエーテルエステル組成物である。
【0079】
本発明の別の好ましい組成物は、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステル、
(2)12~16重量%、特に15重量%のDEPAl、
(3)2~6重量%、特に5重量%のDEPZn、
(4)2~8重量%、特に5重量%の亜リン酸亜鉛[CAS14332-59-3]
を含むコポリエーテルエステル組成物である。
【0080】
本発明の別の好ましい組成物は、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステル、
(2)12~16重量%、特に15重量%のDEPAl、
(3)2~6重量%、特に5重量%のDEPZn、
(4)2~8重量%、特に4重量%の亜リン酸アルミニウム[CAS56287-23-1]及び2~8重量%、特に4重量%の亜リン酸亜鉛[CAS14332-59-3]
を含むコポリエーテルエステル組成物である。
【0081】
本発明の別の好ましい組成物は、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステル、
(2)18~22重量%、特に20重量%のDEPAl、
(3)18~22重量%、特に20重量%のDEPZn、
(4)6~10重量%、特に8重量%の亜リン酸アルミニウム[CAS56287-23-1]及び6~10重量%、特に8重量%の亜リン酸亜鉛[CAS14332-59-3]
を含むコポリエーテルエステル組成物である。
【0082】
本発明の別の好ましい組成物は、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステル、
(2)18~22重量%、特に20重量%のDEPAl、
(3)18~22重量%、特に20重量%のDEPZn、
(4)6~10重量%、特に8重量%の亜リン酸アルミニウム[CAS56287-23-1]
を含むコポリエーテルエステル組成物である。
【0083】
本発明の別の好ましい組成物は、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステル、
(2)18~22重量%、特に20重量%のDEPAl、
(3)18~22重量%、特に20重量%のDEPZn、
(4)6~10重量%、特に8重量%の亜リン酸亜鉛[CAS14332-59-3]
を含むコポリエーテルエステル組成物である。
【0084】
本発明の別の好ましい組成物は、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステル、
(2)10重量%のDEPAl、
(3)10重量%のDEPZn、
(4)2~8重量%の亜リン酸アルミニウム[CAS56287-23-1]及び2~8重量%の亜リン酸亜鉛[CAS14332-59-3]
を含むコポリエーテルエステル組成物である。
201714332593)。
【0085】
本発明の別の好ましい組成物は、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステル、
(2)15重量%のDEPAl、
(3)5重量%のDEPZn、
(4)5重量%の亜リン酸アルミニウム[CAS56287-23-1]
を含むコポリエーテルエステル組成物である。
【0086】
本発明の別の好ましい組成物は、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステル、
(2)15重量%のDEPAl、
(3)5重量%のDEPZn、
(4)5重量%の亜リン酸亜鉛[CAS14332-59-3]
を含むコポリエーテルエステル組成物である。
【0087】
本発明の別の好ましい組成物は、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステル、
(2)15重量%のDEPAl、
(3)5重量%のDEPZn、
(4)4重量%の亜リン酸アルミニウム[CAS56287-23-1]及び4重量%の亜リン酸亜鉛[CAS14332-59-3]
を含むコポリエーテルエステル組成物である。
【0088】
本発明の別の好ましい組成物は、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステル、
(2)20重量%のDEPAl、
(3)20重量%のDEPZn、
(4)8重量%の亜リン酸アルミニウム[CAS56287-23-1]及び8重量%の亜リン酸亜鉛[CAS14332-59-3]
を含むコポリエーテルエステル組成物である。
【0089】
本発明の別の好ましい組成物は、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステル、
(2)20重量%のDEPAl、
(3)20重量%のDEPZn、
(4)8重量%の亜リン酸アルミニウム[CAS56287-23-1]
を含むコポリエーテルエステル組成物である。
【0090】
本発明の別の好ましい組成物は、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステル、
(2)20重量%のDEPAl、
(3)20重量%のDEPZn、
(4)8重量%の亜リン酸亜鉛[CAS14332-59-3]
を含むコポリエーテルエステル組成物である。
【0091】
本発明の別の好ましい組成物は、
(1)少なくとも1つのコポリエーテルエステル、
(2)5~20重量%のDEPAl、
(3)5~20重量%のDEPZn、
(4)2~10重量%の、亜リン酸アルミニウム[CAS56287-23-1]、亜リン酸亜鉛[CAS14332-59-3]及びこれらの混合物から選択される亜リン酸塩
を含むコポリエーテルエステル組成物である。
【0092】
いくつかの特に好ましい組成物は、抗酸化剤、熱安定剤、UV安定剤、鉱物充填剤、ガラス繊維、着色剤、潤滑剤、可塑剤、耐衝撃剤などの1つ以上の任意の添加剤に加えて、上で列挙された成分を含むか、又はこれらに加えて、上で列挙された成分からなる。存在する場合、各任意の添加剤は、0.01~5重量%の量で存在し、組成物中の全ての任意の添加剤の総量は、組成物の総重量に基づいて0.01~10重量%である。
【0093】
本発明の組成物は、良好な可燃性性能を示す。可燃性は、当業者に公知の方法によって評定することができる。1つの方法は、寸法125mm長さ×13mm幅の、且つ約1.7±0.1mmの平均厚さを有する長方形棒の形状の試験棒を使用する試験方法ISO4589-1/-2に従う限界酸素指数(「LOI」)である。好ましくは、本発明の組成物は、試験方法ISO4589-1/-2に従い、寸法125mm長さ×13mm幅の、且つ約1.7±0.1mmの平均厚さを有する長方形棒の形状の試験棒を使用して測定される場合、20以上、より好ましくは21以上、より特に好ましくは23以上のLOIを示す。
【0094】
可燃性性能を評価するために使用できる別のパラメータは、DEPAL+DEPZn+亜リン酸塩を含む組成物のLOI(LOIex)の、亜リン酸塩なしの同じ組成物のLOI(LOI0)との比である。好ましくは、本発明の組成物は、試験方法ISO4589-1/-2に従い、寸法125mm長さ×13mm幅の、且つ約1.7±0.1mmの平均厚さを有する長方形棒の形状の試験棒を使用して測定される場合、約0.75以上、より好ましくは0.9以上、より特に好ましくは1.0以上の、DEPAl+DEPZn及び金属亜リン酸塩を組み込んでいる組成物のLOIの、金属亜リン酸塩なしの組成物のLOIに対する比を示す。
【0095】
本発明の組成物は、良好な可燃性性能と、煙の発生の低減との良好な組み合わせを達成する。
【0096】
煙密度試験は、NBS煙チャンバー内でISO5659試験標準に従って行うことができる。試験片は、75mm×75mmの面積及び2mmの厚さを有するプラークとして調製される。試験片は、チャンバー内に水平に取り付けられ、約40分間、パイロット炎の存在下、ラジエーターコーン及び熱流束計を介して、上面で25kW/m2の一定の熱放射に曝される。時間の経過とともに発生した煙は、チャンバー内で回収され、煙を通過する光線の減衰は、6.5Vの白熱電球と、光電子増倍管と、高精度光検出器とを備えた測光システムで測定される。結果は、経時的な光透過率に関して測定され、比光学濃度Dsに関して報告される。Dsは、光透過率に反比例し、成形された試験片の厚さに等しい特定の光路長に対して与えられる。煙の発生は、最大比光学密度Ds,max及び試験の最初の4分間の総煙発生量VOF4として測定される。VOF4は、Ds1min+Ds2min+Ds3min+(Ds4min/2)として計算され、式中、Ds1min、Ds2min、Ds3min及びDs4minは、それぞれ1分目時点、2分目時点、3分目時点及び4分目時点に記録された比光学濃度の値である。試験中に生じたプラーク試験片からのいかなる液だれも記録される。75mm×75mm×2mmの試験プラークの重量から、液だれした材料の重量が差し引かれる。この差は、実験時間中に「保持された質量」としてグラム単位で報告される。正規化されたDs,maxは、実験時間中に保持された質量でDs,maxを割ることによって計算でき、Ds,max,retとして報告される。
【0097】
Ds,max/g単位における保持された質量(Ds,max/mass retained in g)及びVOF4の低い値が望ましく、火災時に視界をあまり低下させない材料を示し、従って狭い場所からの人々の迅速な脱出を可能にする。いかなる煙もなければ、光透過率は、100%であり、Dsは、0である。
【0098】
パラメータ、VOF4及び[Ds,max/g単位における保持された質量]を使用して、煙の性能を評価することができる。
【0099】
本発明の組成物は、好ましくは、ISO5659試験標準に従い、且つ75mm×75mmの面積及び2mmの厚さを有するプラークを使用して測定される、1000以下、より好ましくは800以下、より特に750以下のVOF4を示す。
【0100】
本発明の組成物は、好ましくは、ISO5659試験標準に従い、且つ75mm×75mmの面積及び2mmの厚さを有するプラークを使用して測定される、40以下、より好ましくは35以下、より特に30以下のDs,max/g単位における保持された質量を示す。
【0101】
煙の性能を評価するために使用できる別のパラメータは、DEPAl+DEPZn及び金属亜リン酸塩を含む組成物のDs,max,ret(Ds,max,ret
ex)の、金属亜リン酸塩なしの組成物のDs,max,ret(Ds,max,ret
0)に対する比である。本発明の組成物は、好ましくは、ISO5659試験標準に従い、且つ75mm×75mmの面積及び2mmの厚さを有するプラークを使用して測定される、0.81以下、より好ましくは0.76以下、より特に0.6又は0.5以下の、DEPAl+DEPZn及び金属亜リン酸塩を含む組成物のDs,max,retの、金属亜リン酸塩なしの組成物のDs,max,retに対する比を示す。
【0102】
より特に好ましい実施形態では、本発明の組成物は、試験方法ISO4589-1/-2に従い、寸法125mm長さ×13mm幅の、且つ約1.7±0.1mmの平均厚さを有する長方形棒の形状の試験棒を使用して測定される場合、20以上、より好ましくは21以上、より特に好ましくは23以上のLOIを有し、及びISO5659試験標準に従い、且つ75mm×75mmの面積及び2mmの厚さを有するプラークを使用して測定される、40以下、より好ましくは35以下、より特に30以下のDs,max/g単位における保持された質量を有する。
【0103】
本発明は、本明細書に記載される組成物、使用及びプロセスについての更なる詳細を提供する以下の実施例において、特定の実施形態によって更に例示される。本発明を実施するために現時点で考えられる好ましい形態を示すこれらの実施例は、本発明を例示することを意図し、本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0104】
材料
以下の材料を使用して、本明細書に記載される難燃性ポリマー組成物及び比較例の組成物を調製した。
【0105】
コポリエーテルエステル(TPC):ポリエーテルブロックセグメントとして、約2000g/モルの平均分子量を有するポリテトラメチレンオキシド約72.5重量パーセントを含むコポリエーテルエステルエラストマーであって、重量パーセントがコポリエーテルエステルエラストマーの総重量に基づき、コポリエーテルエステルの短鎖エステル単位がポリブチレンテレフタレートセグメントである、コポリエーテルエステルエラストマー。コポリエーテルエステルエラストマーは、エラストマー及び添加剤の総重量に基づいて、熱安定剤、酸化防止剤及び金属不活性化剤を最大6重量パーセント含んだ。
【0106】
DEPAl:7.506ミクロンのD90max(Malvern Mastersizer 2000粒子サイズ分析装置を用いたレーザー回折技術を使用して測定される、アセトン中での体積%)を有するジエチルホスフィン酸アルミニウム。
【0107】
DEPZn:ジエチルホスフィン酸亜鉛。
【0108】
亜リン酸アルミニウム:亜リン酸、アルミニウム塩[CAS56287-23-1]。
【0109】
亜リン酸亜鉛:亜リン酸、亜鉛塩[CAS14332-59-3]。
【0110】
試験方法
機械的特性
機械的引張り応力-歪み性能は、室温でISO527試験方法に従って測定された。試験片は、約170℃~約190℃に設定されたバレル温度を有する標準的な押出機で幅の狭い平らなストリップを溶融押出し、このようにして得られた平らなストリップから、試験片を、約1.7±0.1mmの平均厚さを有するISO5275A引張り試験棒の形状に切断することにより、表の組成物から調製した。試験片を試験前に室温で少なくとも24時間調整した。引張り応力及び伸びは、200mm/分の速度で測定された。弾性率は、低い歪み領域において1mm/分の速度で同じ試験片から測定された。
【0111】
難燃性
可燃性試験は、限界酸素指数(「LOI」)試験方法ISO4589-1/-2に従って行った。試験片は、約170℃~約190℃に設定されたバレル温度を有する標準的な押出機で幅の狭い平らなストリップを溶融押出し、このようにして得られた平らなストリップから、試験片を、寸法125mm長さ×13mm幅の、且つ約1.7±0.1mmの平均厚さを有する長方形棒の形状に切断することにより、表の組成物から調製した。試験片を試験前に室温及び50%相対湿度で少なくとも72時間調整した。この試験によれば、ガラスカラム中に上向きにゆっくり供給される酸素と窒素との混合物(ここで、酸素と窒素との相対濃度は、変えることができる)の雰囲気中、室温においてガラス煙突の中心に垂直に試験片を固定する。試験試料の上端は、種火で火を付けられ、下方に燃える。試験片の燃焼挙動を観察し、燃焼が継続する時間を比較する。LOIは、180秒未満の着火後の目標燃焼時間によって示される、試料の燃焼を維持するために必要な体積パーセントで表される酸素の最小濃度である。LOIの高い値が望ましく、着火しにくく、引火しにくい物質であることの指標である。可燃性は、使用直前に23℃、相対湿度50パーセントで少なくとも88時間予備調整した後、全ての組成物について測定された。
【0112】
煙密度
煙密度試験は、Fire Testing Technologiesによって供給されるNBS煙チャンバー内でISO5659試験標準に従って行った。試験片は、約170℃~約190℃に設定されたバレル温度を有する標準的な押出機で幅の狭い平らなストリップを溶融押出し、ストリップを圧縮成形して、75mm×75mmの面積及び2mmの厚さを有するプラークを形成することにより、表の組成物から調製した。試験片をチャンバー内に水平に取り付け、約40分間、パイロット炎の存在下、ラジエーターコーン及び熱流束計を介して、上面で25kW/m2の一定の熱放射に曝す。時間の経過とともに発生した煙をチャンバー内で回収し、煙を通過する光線の減衰は、6.5Vの白熱電球と、光電子増倍管と、高精度光検出器とを備えた測光システムで測定される。結果は、経時的な光透過率に関して測定され、比光学濃度Dsに関して報告される。Dsは、光透過率に反比例し、成形された試験片の厚さに等しい特定の光路長に対して与えられる。材料組成間の比較は、最大比光学密度Ds,max及び試験の最初の4分間の総煙発生量VOF4の測定により行われる。VOF4は、Ds1min+Ds2min+Ds3min+(Ds4min/2)として計算され、式中、Ds1min、Ds2min、Ds3min及びDs4minは、それぞれ1分目時点、2分目時点、3分目時点及び4分目時点に記録された比光学濃度の値である。Ds,max及びVOF4の値は、NBS煙チャンバーのソフトウェアによって自動的に計算される。Ds,max及びVOF4の低い値が望ましく、火災時に視界をあまり低下させない材料を示し、従って狭い場所からの人々の迅速な脱出を可能にする。いかなる煙もなければ、光透過率は、100%であり、Dsは、0である。
【0113】
試験中に起こるプラーク試験片からのいかなる液だれも記録される。液だれした材料の重量を75mm×75mm×2mm試験プラークの重量から差し引く。この差は、実験時間中の「保持された質量」としてグラム単位で報告される。正規化されたDs,maxは、実験時間中に保持された質量でDs,maxを割ることによって計算でき、Ds,max,retとして報告される。
【0114】
実験データ
「CE」で示される組成物は、比較であり、「E」で示される組成物は、本発明のものである。
【0115】
表1
表1は、組成物の総重量に基づいて10重量%のDEPAl及び10重量%のDEPZnを有する比較組成物及び本発明の組成物における可燃性性能(LOI)及び煙の発生(Ds,max、VOF4及びDs,max/保持された質量、グラム単位)を示す。比較組成物CE15は、DEPAl及びDEPZnを含み、亜リン酸塩を含まない。可燃性性能は、良好(LOI=26)であるが、煙の発生は、高い(Ds,max/保持された質量、グラム単位=48)。亜リン酸アルミニウムを2.5及び5重量%添加すると、妥当な可燃性性能(それぞれ23及び28のLOI)を有し、煙の発生が大幅に低減した(それぞれ22及び38のDs,max/保持された質量、グラム単位)組成物(E20及びE13)が得られる。組成物E15及びE17も、一応の基準を満たす可燃性性能(それぞれ24及び23のLOI)を保持し、大幅に低減した煙の発生を示す(それぞれ26及び17のDs,max/保持された質量、グラム単位)。組成物E21及びE22で総亜リン酸塩が更に増加すると、可燃性性能が低下するが(両方の組成物で20のLOI)、煙の発生は、大幅に低減する(それぞれ17及び26のDs,max/保持された質量、グラム単位)。
【0116】
表2
表2は、組成物の総重量に基づいて15重量%のDEPAl及び5重量%のDEPZnを有する比較組成物及び本発明の組成物における可燃性性能(LOI)及び煙の発生(Ds,max、VOF4及びDs,max/保持された質量、グラム単位)を示す。比較組成物CE16は、DEPAl及びDEPZnを含み、亜リン酸塩を含まない。可燃性性能は、良好(LOI=28)であるが、煙の発生は、高い(Ds,max/保持された質量、グラム単位=59)。亜リン酸アルミニウムを5重量%添加すると、妥当な可燃性性能(25のLOI)を有し、煙の発生が大幅に低減した(26のDs,max/保持された質量、グラム単位)組成物(E23)が得られる。組成物E24及びE25は、向上したことを示す(E25)か、又は良好な可燃性性能を維持し(それぞれ30及び25のLOI)、大幅に低減した煙の発生を示す(それぞれ27及び22のDs,max/保持された質量、グラム単位)。
【0117】
表3
表3は、組成物の総重量に基づいて20重量%のDEPAl及び20重量%のDEPZnを有する比較組成物及び本発明の組成物における可燃性性能(LOI)及び煙の発生(Ds,max、VOF4及びDs,max/保持された質量、グラム単位)を示す。比較組成物CE17は、DEPAl及びDEPZnを含み、亜リン酸塩を含まない。可燃性性能は、良好(LOI=32)であるが、煙の発生は、高い(Ds,max/保持された質量、グラム単位=43)。亜リン酸アルミニウムを8重量%添加すると、妥当な可燃性性能(27のLOI)を有し、煙の発生が大幅に低減した(32のDs,max/保持された質量、グラム単位)組成物(E14)が得られる。組成物E16は、8重量%の亜リン酸亜鉛を含み、良好な可燃性性能(27のLOI)及び大幅に低減した煙の発生(18のDs,max/保持された質量、グラム単位)を保持した。
【0118】
本発明の特定の好ましい実施形態を上で説明し、具体的に例示してきたが、本発明は、そのような実施形態に限定されることを意図されない。以下の特許請求の範囲に示されるような本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、様々な修正形態がなされ得る。
【0119】
【0120】
【0121】
【国際調査報告】