(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-12
(54)【発明の名称】コンフォメーション化された拘束型α-RGIAアナログ
(51)【国際特許分類】
C07K 7/08 20060101AFI20230705BHJP
A61K 38/12 20060101ALI20230705BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20230705BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230705BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230705BHJP
A61P 23/00 20060101ALI20230705BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230705BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20230705BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20230705BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20230705BHJP
【FI】
C07K7/08 ZNA
A61K38/12
A61P25/04
A61P29/00
A61K45/00
A61P23/00
A61K9/08
A61K9/10
A61K9/06
A61K9/70 401
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574088
(86)(22)【出願日】2021-06-03
(85)【翻訳文提出日】2022-12-23
(86)【国際出願番号】 US2021035799
(87)【国際公開番号】W WO2021247936
(87)【国際公開日】2021-12-09
(32)【優先日】2020-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513256479
【氏名又は名称】ユニバーシティー オブ ユタ リサーチ ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】University of Utah Research Foundation
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】マッキントッシュ、ジョセフ マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ツェン、ナン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、ハン-チエー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA06
4C076AA09
4C076AA11
4C076AA16
4C076AA22
4C076AA72
4C076BB11
4C076BB13
4C076BB31
4C076CC01
4C076CC04
4C076FF70
4C084AA01
4C084AA02
4C084AA19
4C084BA01
4C084BA18
4C084BA26
4C084MA17
4C084MA22
4C084MA23
4C084MA28
4C084MA32
4C084MA63
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA02
4C084ZA08
4C084ZB11
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA16
4H045BA17
4H045BA32
4H045CA40
4H045DA83
4H045EA20
4H045FA10
(57)【要約】
【要約】
【解決手段】 α-RgIA4ペプチドアナログ、それを有する組成物、ならびにそれらの治療および使用のための方法が開示および記載される。例えば、α-RgIA4ペプチドアナログは、α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体に結合するように構成された認識フィンガー領域、およびシステイン間硫黄結合を保護する側鎖結合構成を含み得る。
【選択図】
図1a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
α-RgIA4ペプチドアナログであって、
α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体に結合するように構成された認識フィンガー領域と、および
システイン間硫黄結合を保護する側鎖結合構成と、を含み、
前記アナログは、α-RgIA4ペプチドの結合親和性の少なくとも2.5%である前記α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体の結合親和性を有する、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項2】
保護されたシステイン間硫黄結合によって維持される構造を有するα-RgIA4ペプチドアナログであって、前記構造が、α-RgIA4ペプチドの結合親和性の少なくとも2.5%である前記α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体に対する結合親和性を提供する、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体の前記結合親和性は、
前記α-RgIA4ペプチドの前記結合親和性の少なくとも5%であるか、または
前記α-RgIA4ペプチドの前記結合親和性の少なくとも7.5%であるか、または
前記α-RgIA4ペプチドの前記結合親和性の少なくとも15%であるか、または
前記α-RgIA4ペプチドの前記結合親和性の少なくとも25%であるか、または
前記α-RgIA4ペプチドの前記結合親和性の少なくとも25%であるか、または
前記α-RgIA4ペプチドの前記結合親和性の少なくとも40%であるか、または
前記α-RgIA4ペプチドの前記結合親和性の少なくとも50%であるか、または
前記α-RgIA4ペプチドの前記結合親和性の少なくとも80%であるか、または
前記α-RgIA4ペプチドの前記結合親和性と実質的に等しい、または
前記α-RgIA4ペプチドの前記結合親和性より大きい、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項4】
請求項1または2に記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記保護されたシステイン間硫黄結合が、α-RgIA4ペプチドの効能と比較して、効能の増加を提供する、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項5】
請求項1または2に記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、
前記アナログが、
前記α-RgIA4ペプチドのα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体IC
50値と実質的に等しいか、または
前記α-RgIA4ペプチドの前記α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体IC
50値の2倍を超えない、または
前記α-RgIA4ペプチドの前記α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体IC
50値の3倍を超えない、または
前記α-RgIA4ペプチドの前記α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体IC
50値の5倍を超えない、または
前記α-RgIA4ペプチドの前記α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体IC
50値の15倍を超えない、または
前記α-RgIA4ペプチドの前記α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体IC
50値の25倍を超えない、α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体IC
50値を提供する、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項6】
請求項1または2に記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、α-RgIA4ペプチド、または保護されたシステイン間硫黄結合を有さないα-RgIA4ペプチドアナログと比較して、前記保護されたシステイン間硫黄結合が、ジスルフィドブリッジスクランブル、ジスルフィドブリッジ分解、またはそれらの組み合わせの1つまたはそれ以上を低減させる、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項7】
請求項1記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記側鎖結合構成が、メチレンチオアセタール、ラクタムブリッジでC末端アミノ酸側鎖に環化されているN末端アミノ酸側鎖、またはそれらの組み合わせの1つまたはそれ以上を含む、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項8】
請求項7に記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記側鎖結合構成が、C
IIとC
IVの間のシステイン間結合を含むメチレンチオアセタールである、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項9】
請求項7に記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記側鎖結合構成が、ラクタムブリッジを有するC末端アミノ酸側鎖に環化されているN末端アミノ酸側鎖である、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項10】
請求項9に記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記N末端アミノ酸がグルタミン酸およびアスパラギン酸からなる群から選択される、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項11】
請求項9に記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記C末端アミノ酸がリジンおよびL-2,3-ジアミノプロピオン酸からなる群から選択される、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項12】
請求項9に記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記N末端アミノ酸がグルタミン酸であり、C末端アミノ酸がリジンである、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項13】
請求項1または2に記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記保護されたシステイン間硫黄結合が、ヒト血清中におけるα-RgIA4ペプチドの安定性よりも大きい前記α-RgIA4ペプチドアナログのヒト血清中における前記安定性を提供し、前記ヒト血清中の前記安定性は、前記α-RgIA4ペプチドアナログまたは前記α-RgIA4ペプチドを90%ヒト血清AB型に入れ、37℃で1、2、4、8、24、48、または72時間のうち少なくとも1つの時間インキュベートした後の残存量によって測定される、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項14】
請求項13に記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記α-RgIA4ペプチドアナログのヒト血清中における前記安定性が、前記α-RgIA4ペプチドのヒト血清中における安定性よりも10%、20%、40%、60%、80%、100%、200%、300%、400%、500%、または1000%の少なくとも1つまたはそれ以上大きい、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項15】
請求項1または2に記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記保護されたシステイン間硫黄結合が、還元型グルタチオン中でのα-RgIA4ペプチドの前記安定性よりも大きい還元型グルタチオン中の前記α-RgIA4ペプチドアナログの前記安定性を提供し、前記還元型グルタチオンにおける前記安定性は、前記α-RgIA4ペプチドアナログまたは前記α-RgIA4ペプチドを10等量の還元型グルタチオンとともにpH7.4のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で、37℃で1、2、4、8、24、48または72時間のうちの少なくとも1つインキュベートした後の残存量で測定される、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項16】
請求項15に記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記α-RgIA4ペプチドアナログの前記還元型グルタチオンにおける前記安定性が、前記還元型グルタチオンにおける前記α-RgIA4ペプチドの前記安定性より10%、20%、40%、60%、80%、100%、200%、300%、400%、500%、または1000%の少なくとも1つまたはそれ以上でより大きい、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項17】
請求項1または2に記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記保護されたシステイン間硫黄結合が、α-RgIA4ペプチドの前記α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体選択性と実質的に等しい、α9αニコチン性アセチルコリン受容体選択性を提供する、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項18】
請求項1または2に記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記保護されたシステイン間硫黄結合が、異なるニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)サブタイプの選択性と比較して、前記α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体に対する選択性の5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、または200倍のうちの少なくとも1つより大きいα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体に対する選択性を提供する、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項19】
請求項18に記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記異なるnAChRサブタイプが、α1β1δε、α2β2、α2β4、α3β2、α3β4 α4β2、α4β4、α6/α3β2β3、およびα6/α3β4からなる群から選択される、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項20】
請求項1または2に記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記保護されたシステイン間硫黄結合が、α-RgIA4ペプチドアナログの安全性プロファイルと実質的に等しいかまたはそれよりも大きい安全性プロファイルを提供し、前記安全性プロファイルは、
100μMの濃度で存在する前記アナログは、自動化ホールセルパッチクランプアッセイから測定されたヒトエーテル-ア-ゴー-ゴー-関連遺伝子(hERG)K
+チャネルの25%未満を阻害し、
100μMの濃度で存在する前記アナログは、モノアミン酸化酵素(MAO)アッセイによって測定される約20%未満の阻害活性を有し、または
10μMの濃度で存在する前記アナログは、CYPアッセイで測定した場合、20%以下の阻害活性を有する
の1つまたはそれ以上によって測定される、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項21】
請求項1または2に記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記保護されたシステイン間連結が、C
IとC
III、C
IIとC
IV、またはそれらの組み合わせの間のシステイン間連結の1つまたはそれ以上である、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項22】
請求項2に記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記構造体が球状である、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項23】
α-RgIA4ペプチドアナログであって、
D P Rを含む と、および
C
I、C
II、C
III、およびC
IVを含むシスチン残基と、を含み、
前記C
IおよびC
IIIは、第1のシステイン間硫黄結合によって連結されており
C
IIおよびC
IVは、第2のシステイン間硫黄結合によって連結され、および
少なくとも第2のシステイン間硫黄結合は、側鎖結合構成によって保護される、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項24】
請求項23記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、
第2のシステイン間硫黄結合がメチレンチオアセタールを含み、
N末端アミノ酸側鎖が、ラクタムブリッジでC末端アミノ酸側鎖に環化される、または
それらの組み合わせである、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項25】
請求項23に記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、第2のシステイン間硫黄結合がメチレンチオアセタールを含む、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項26】
請求項25に記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記アナログが、アミノ酸配列Xaa
1 C C Xaa
2 D P R C Xaa
3 Xaa
4 Xaa
5 C Xaa
6(配列ID番号: 13)を含み、前記Xaa
1-6はC以外の任意のアミノ酸である、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項27】
請求項26記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記アナログが、アミノ酸配列Xaa
1 C C Xaa
2 D P R C Xaa
3 Xaa
4 Xaa
5 C Xaa
6(配列ID番号:14)を含み、
Xaa
1が、C以外の任意のタンパク質原性アミノ酸または非タンパク質原性アミノ酸であり、
Xaa
2が、C以外の任意のタンパク質原性アミノ酸または非タンパク質原性アミノ酸であり、
Xaa
3が、(Cit)または任意のタンパク質原性または非タンパク質原性の正アミノ酸からなる群から選択されるメンバーであり、
Xaa
4が、任意のタンパク質原性または非タンパク質原性の芳香族アミノ酸であり、
Xaa
5が、任意のタンパク質原性または非タンパク質原性の正アミノ酸であり、
Xaa
6が、任意のタンパク質生成性または非タンパク質原性の芳香族アミノ酸である、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項28】
請求項25に記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記アナログが、前記アミノ酸配列Xaa
1 C C Xaa
2 D P R C Xaa
3 Xaa
4 Xaa
5 C Xaa
6 Xaa
7(配列ID番号:20)を含み、前記Xaa
1-7はC以外の任意のアミノ酸である、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項29】
請求項28記載に記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、アミノ酸配列Xaa
1 C C Xaa
2 D P R C Xaa
3 Xaa
4 Xaa
5 C Xaa
6 Xaa
7(配列ID番号:21)を含み、
Xaa
1が、C以外のタンパク質原性アミノ酸または非タンパク質原性アミノ酸であり、
Xaa
2が、C以外のタンパク質原性アミノ酸または非タンパク質原性アミノ酸であり、
Xaa
3が、(Cit)または任意のタンパク質原性または非タンパク質原性の正アミノ酸からなる群から選択されるメンバーであり、
Xaa
4が、任意のタンパク質原性または非タンパク質原性の芳香族アミノ酸であり、
Xaa
5が、任意のタンパク質原性または非タンパク質原性の正アミノ酸であり、
Xaa
6が、任意のタンパク質原性または非タンパク質原性の芳香族アミノ酸であり、
Xaa
7が、C以外のタンパク原性または非タンパク源原性のアミノ酸である、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項30】
請求項26記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記アナログが、アミノ酸配列G C C T D P R C Xaa
3 Xaa
4 Q C Xaa
6(配列ID番号:15)を含み、Xaa
1がG、Xaa
2がT、Xaa
5がQ、Xaa
3,4,または6がC以外の任意のアミノ酸である、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項31】
請求項26記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記アナログが、アミノ酸配列G C C T D P R C Xaa
3 Xaa
4 Q C Xaa
6(配列ID番号:16)を含み、
Xaa
3が、(Cit)およびRからなる群から選択されるメンバーであり、
Xaa
4が、(iY)およびYからなる群から選択されるメンバーであり、および
Xaa
6が、(bhY)、Y、およびbAからなる群から選択されるメンバーである、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項32】
請求項26に記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記アナログが、アミノ酸配列G C C T D P R C(Cit)(iY)Q C Y(配列ID番号:18)を含み、
Xaa
3が、(Cit)であり、
Xaa
4が、(iY)であり、および
Xaa
6が、Yである、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項33】
請求項28記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記アナログが、アミノ酸配列G C C T D P R C Xaa
3 Xaa
4 Q C Xaa
6 Xaa
7(配列ID番号:22)を含み、Xaa
1がG、Xaa
2がT、Xaa
5がQ、およびXaa
3、4、6、または7がC以外の任意のアミノ酸である、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項34】
請求項28記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記アナログが、アミノ酸配列G C C T D P R C Xaa
3 Xaa
4 Q C Xaa
6 Xaa
7(配列ID番号:23)を含み、
Xaa
3が、(Cit)およびRからなる群から選択されるメンバーであり、
Xaa
4が、(iY)およびYからなる群から選択されるメンバーであり、
Xaa
6が、(bhY)、Y、およびbAからなる群から選択されるメンバーであり、および
Xaa
7が、Rである、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項35】
請求項28に記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記アナログが、アミノ酸配列G C C T D P R C R(iY)Q C(bhYR(配列ID番号:24)を含み、
Xaa
3が、Rであり、
Xaa
4が、(iY)であり、
Xaa
6が(bhY)である、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項36】
請求項28に記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記アナログが、アミノ酸配列G C C T D P R C R(iY)Q C(bA)R(配列ID番号:25)を含み、
Xaa
3が、Rであり、
Xaa
4が、(iY)であり、
Xaa
6が、(bA)である、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項37】
請求項23に記載のα-RgIA4ペプチドアナログであって、前記ラクタムブリッジでC末端アミノ酸側鎖に環化されているN末端アミノ酸側鎖をさらに含む、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項38】
請求項37に記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記N末端アミノ酸がグルタミン酸およびアスパラギン酸からなる群から選択される、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項39】
請求項37に記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記C末端アミノ酸がリジンおよびL-2,3-ジアミノプロピオン酸からなる群から選択される、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項40】
請求項37に記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記N末端アミノ酸がグルタミン酸であり、C末端アミノ酸がリジンである、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項41】
請求項37に記載のα-RgIA4ペプチドアナログが、前記アナログが、アミノ酸配列Xaa
8 Xaa
9 C C Xaa
10 D P R C Xaa
11 Xaa
12 Xaa
13 C Xaa
14 Xaa
15(配列ID番号:3)を含み、前記Xaa
8-15はC以外の任意のアミノ酸である、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項42】
請求項41記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記アナログが、アミノ酸配列Xaa
8 Xaa
9 C C Xaa
10 D P R C Xaa
11 Xaa
12 Xaa
13 C Xaa
14 Xaa
15(配列ID番号:4)を含み、
Xaa
8が、EおよびDからなる群から選択されるメンバーであり、
Xaa
15が、Kおよび(Dap)からなる群から選択されるメンバーであり、および
Xaa
9-14が、C以外のアミノ酸である、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項43】
請求項41記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記アナログが、アミノ酸配列Xaa
8 Xaa
9 C C T D P R C Xaa
11 Xaa
12 Q C Y Xaa
15(配列ID番号:5)を含み、
Xaa
8が、EおよびDからなる群から選択されるメンバーであり、
Xaa
10が、Tであり、
Xaa
13が、Qであり、
Xaa
14が、Yであり、
Xaa
15が、Kおよび(Dap)からなる群から選択されるメンバーであり、
Xaa
9,11,または12が、C以外のアミノ酸である、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項44】
請求項41記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記アナログが、アミノ酸配列Xaa
8 Xaa
9 C C T D P R C Xaa
11 Xaa
12 Q C Y Xaa
15(配列ID番号:6)を含み、
Xaa
8が、EおよびDからなる群から選択されるメンバーであり、
Xaa
9が、Gまたは(
bA)であり、
Xaa
11が、Rまたは(Cit)であり、
Xaa
12が、Yまたは(iY)であり、および
Xaa
15が、Kおよび(Dap)からなる群から選択されるメンバーである、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項45】
請求項41記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記アナログが、アミノ酸配列E G C C T D P R C(Cit)Y Q C Y K(配列ID番号:9)を含み、
Xaa
8が、Eであり、
Xaa
9が、Gであり、
Xaa
11が、(Cit)であり、
Xaa
12が、Yであり、および
Xaa
15が、Kである、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項46】
請求項41記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記アナログが、アミノ酸配列E(
bA)C C T D P R C(Cit)Y Q C Y K(配列ID番号:10)を含み、
Xaa
8が、Eであり、
Xaa
9が、(
bA)であり、
Xaa
11が、(Cit)であり、
Xaa
12が、Yであり、および
Xaa
15が、Kである、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項47】
請求項41記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記アナログが、アミノ酸配列E G C C T D P R C(Cit)(iY)Q C Y K(配列ID番号:11)を含み、
Xaa
8が、Eであり、
Xaa
9が、Gであり、
Xaa
11が、(Cit)であり、
Xaa
12が、(iY)であり、および
Xaa
15が、Kである、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項48】
請求項41記載のα-RgIA4ペプチドアナログにおいて、前記アナログが、アミノ酸配列E G C C T D P R C R(iY)Q C Y K(配列ID番号:12)を含み、
Xaa
8が、Eであり、
Xaa
9が、Gであり、
Xaa
11が、Rであり、
Xaa
12が、(iY)であり、および
Xaa
15が、Kである、α-RgIA4ペプチドアナログ。
【請求項49】
組成物であって、
請求項1、2、または23のいずれかに記載の治療上有効な量のアナログと、薬学的に許容される担体との組合せである、組成物。
【請求項50】
請求項49記載の組成物において、前記組成物が、局所投与、経皮投与、静脈内投与、または皮下投与に適している、組成物。
【請求項51】
請求項50記載の組成物において、前記組成物が、さらに追加の活性剤を含む、組成物。
【請求項52】
請求項51記載の組成物において、前記追加の活性剤が、抗炎症剤、麻酔剤、二次鎮痛ペプチド、非ペプチド鎮痛剤、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるメンバーである、組成物。
【請求項53】
請求項49記載の組成物において、前記追加の活性剤が、約0.0001wt%~約10wt%の濃度で存在する、組成物。
【請求項54】
請求項49記載の組成物において、前記組成物が、溶液、懸濁液、乳剤、ゲル、ヒドロゲル、熱応答性ゲル、クリーム、軟膏、ペースト、接着剤、液溜め、パッチ、またはこれらの組み合わせのうちの1つとして処方される、組成物。
【請求項55】
請求項50記載の組成物において、前記組成物が皮下注射に適する、組成物。
【請求項56】
請求項55記載の組成物において、前記薬学的に許容される担体が、水、強壮剤、緩衝剤、防腐剤、またはそれらの組み合わせのうちの1つまたはそれ以上を含む、組成物。
【請求項57】
α-RgIA4アナログにおけるα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体に対するα-RgIA4効能を維持する方法であって、前記アナログの認識フィンガー領域をα-RgIA4構成で維持するシステイン間硫黄結合を側鎖結合の構成で保護する工程を含む、α-RgIA4アナログ。
【請求項58】
請求項57記載の方法において、前記アナログが、
α-RgIA4ペプチドの結合親和性の少なくとも5%、または
前記α-RgIA4ペプチドの前記結合親和性の少なくとも7.5%、または
前記α-RgIA4ペプチドの前記結合親和性の少なくとも15%、または
前記α-RgIA4ペプチドの前記結合親和性の少なくとも25%、または
前記α-RgIA4ペプチドの前記結合親和性の少なくとも40%、または
前記α-RgIA4ペプチドの前記結合親和性の少なくとも50%、または
前記α-RgIA4ペプチドの前記結合親和性の少なくとも80%、または
前記α-RgIA4ペプチドの前記結合親和性と実質的に等しい、または
前記α-RgIA4ペプチドの前記結合親和性よりも大きい
親和性でα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体に結合する、方法。
【請求項59】
請求項57記載の方法において、
前記アナログが、
前記α-RgIA4ペプチドのα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体IC
50値と実質的に等しいか、または
前記α-RgIA4ペプチドのα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体IC
50値の2倍を超えない、または
前記α-RgIA4ペプチドのα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体IC
50値の3倍を超えない、または
前記α-RgIA4ペプチドのα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体IC
50値の5倍を超えない、または
前記α-RgIA4ペプチドのα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体IC
50値の15倍を超えない、または
前記α-RgIA4ペプチドのα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体IC
50値の25倍を超えない、α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体IC
50値を阻害する、方法。
【請求項60】
請求項57に記載の方法において、前記システイン間硫黄結合を保護する工程が、異なるnAChRサブタイプの選択性と比較して、α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体に対して5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、または200倍のうちの少なくとも1つまたはそれ以上であるα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)選択性を提供する、方法。
【請求項61】
請求項57に記載の方法において、前記システイン間硫黄結合を保護する工程が、前記α-RgIA4ペプチドのヒト血清中における安定性よりも10%、20%、40%、60%、80%、100%、200%、300%、400%、500%、または1000%の少なくとも1つまたはそれ以上大きい前記α-RgIA4ペプチドアナログのヒト血清中における前記安定性を提供する、方法。
【請求項62】
請求項57に記載の方法において、前記システイン間硫黄結合を保護する工程が、C
IとC
III、C
IIとC
IV、またはそれらの組み合わせの間のシステイン間結合の1つまたはそれ以上を保護する工程を含む、方法。
【請求項63】
請求項62に記載の方法において、前記システイン間硫黄結合を保護する工程が、C
IIとC
IVの間にメチレンチオアセタールを挿入する工程を含む、方法。
【請求項64】
請求項57に記載の方法において、前記システイン間硫黄結合を保護する工程が、N末端アミノ酸とC末端アミノ酸との間にラクタムブリッジを作る工程を含む、方法。
【請求項65】
対象において、α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体結合に応答する状態を治療するための方法であって、請求項48に記載の前記組成物の治療上有効な量を前記対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項66】
前記状態が痛みである、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
請求項66に記載の方法において、前記痛みが、化学物質誘発性神経障害(CIPN)、糖尿病性神経障害、関節炎性神経障害、骨関節炎性神経障害、またはそれらの組み合わせの1つまたはそれ以上を含む神経障害性疼痛である、方法。
【請求項68】
前記痛みがHIVの痛みである、請求項66に記載の方法。
【請求項69】
前記痛みがハンセン病に関連する痛みである、請求項66に記載の方法。
【請求項70】
前記痛みが、術後痛、または外傷後痛のうちの1つまたはそれ以上である、請求項66に記載の方法。
【請求項71】
前記状態が脊髄性多発性硬化症である、請求項65に記載の方法。
【請求項72】
前記状態が帯状疱疹後神経痛である、請求項65に記載の方法。
【請求項73】
前記状態が三叉神経痛である、請求項65に記載の方法。
【請求項74】
前記状態が複合性局所疼痛症候群である、請求項65に記載の方法。
【請求項75】
前記状態が癌である、請求項65に記載の方法。
【請求項76】
前記癌が、上皮癌、肺癌、乳癌、またはそれらの組み合わせのうちの1つまたはそれ以上を含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記状態が多発性硬化症である、請求項65に記載の方法。
【請求項78】
前記状態が炎症である、請求項65に記載の方法。
【請求項79】
請求項78に記載の方法において、前記炎症が、免疫細胞によって媒介される、リウマチに関連する、またはそれらの組み合わせである、方法。
【請求項80】
請求項65に記載の方法において、前記治療が、投与後の選択された時間内に少なくとも10%の症状の軽減を提供する、方法。
【請求項81】
請求項65に記載の方法において、前記治療上有効な量の組成物を1日1~5回、前記対象に投与する工程をさらに含む、方法。
【請求項82】
請求項65に記載の方法において、前記治療上有効な量の組成物を、約1日~約3ヶ月の期間、少なくとも1日1回の投与レジメンに従って前記対象に投与する工程をさらに含む、方法。
【請求項83】
請求項65に記載の方法において、前記治療上有効な量の組成物を、皮下投与形態、経皮投与形態、局所投与形態、静脈内投与形態、またはそれらの組み合わせとして投与する工程をさらに含む、方法。
【請求項84】
α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体結合に応答する対象の状態の治療に使用するための組成物であって、請求項49に記載の前記組成物の治療上有効な量を前記対象に投与する工程を含む、組成物。
【請求項85】
α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体結合に応答する対象の状態を治療するための医薬の製造における組成物の使用であって、請求項49に記載の前記組成物の治療上有効な量を前記対象に投与する工程を含む、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年6月3日に出願された米国仮特許出願シリアル番号63/034,395の利益を主張し、その全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、助成金Defense for Health Affairs(賞番号W81XWH-17-1-0413)およびNational Institutes of Health GM048677、GM136430、GM103801、GM125001による政府の支援を受けて行われた。この発明は、政府が一定の権利を有する。
【0003】
本開示は、ペプチドおよびそのアナログ、ならびにそれらの治療的用途に関する。したがって、本開示は、一般に、生物学、細胞生理学、化学、薬学、医学、および他の健康科学の分野に関する。
【背景技術】
【0004】
神経障害性疼痛は、身体的にも心理的にも衰弱させるもので、癌、糖尿病、脳卒中、AIDS、神経損傷など、多種多様な疾患の合併症として非常に多くみられる。このような痛みの治療には、これまでオピオイドが第一選択薬として用いられてきた。しかし、神経障害性疼痛の治療にオピオイド系薬剤を使用することは、重篤な副作用だけでなく、長期使用における薬物耐性や中毒の傾向が強いため、困難である。そのため、神経障害性疼痛の治療には、オピオイド以外の治療薬が求められる。
【0005】
コーンカタツムリ毒のペプチドは、ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)を含む疼痛関連受容体の標的など、さまざまな治療用途に有用な分子として役立ってきた。しかし、残念なことに、コーンカタツムリの自然型あるいは野生型のペプチド、例えばα-RgIAは、好ましくない物理化学的特性を有しているため、治療上の可能性が制限され、哺乳類において治療効果を発揮するためには改変が必要である。さらに、自然型ペプチドをアナログに変化させるプロセス、例えばα-RgIA4アナログのようなアナログへの変更プロセスには多くの不確定要素があり、そのようなアナログはしばしば穏やかな効力しか達成できない。従って、哺乳動物における様々な症状の治療に高い効力を有する、コーンカタツムリ毒からのペプチドアナログが引き続き求められる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態においてα-RgIA4ペプチドアナログは、α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体に結合するように構成された認識フィンガー領域と、システイン間硫黄結合を保護する側鎖結合構成とを含み得る。このアナログは、α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体に対する結合親和性を有し得、ニコチン性アセチルコリン受容体に対する結合親和性は、少なくともα-RgIA4ペプチドの結合親和性の少なくとも2.5%である。
【0007】
別の実施形態において、あるα-RgIA4ペプチドアナログは、保護されたシステイン間硫黄結合によって維持される構造(例えば、球状構造)を有することができる。球状構造は、α-RgIA4ペプチドの結合親和性の少なくとも2.5%である、α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体の結合親和性を提供し得る。
【0008】
さらに別の実施形態ではα-RgIA4ペプチドアナログは、DPRを含む認識フィンガー領域と、およびCI、CII、CIII、およびCIVを含むシスチン残基とを含み得る。システイン残基CIおよびCIIIは、第1のシステイン間硫黄結合により連結することができ、システイン残基CIIおよびCIVは、第2のシステイン間硫黄結合により連結することができる。第2のシステイン間硫黄結合は、側鎖結合構成によって保護され得る。
【0009】
別の実施態様では、α-RgIA4アナログにおいて、α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体に対するα-RgIA4効能を維持する方法であってα-RgIA4アナログの認識指領域をα-RgIA4構成に維持する側鎖結合構成でシステイン間硫黄結合を保護することを含み得る(例えば、球状α-RgIA4構成)。
【0010】
より多くの実施形態において、組成物は、治療上有効な量のアナログと薬学的に許容される担体との組み合わせを含むことができる。別の実施形態では、対象において、α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体結合に応答する状態を治療するための方法は、治療有効量の組成物を対象に投与する工程を含み得る。
【0011】
このように、以下に続くその詳細な説明がより良く理解されるように、また、技術に対する本寄与がより良く理解されるように、本開示のより重要な特徴について、むしろ大まかに概説してきた。本開示の他の特徴は、添付の図面および特許請求の範囲と共にとらえた以下の詳細な説明から明らかになるか、または本開示の実施により知ることができる。
【0012】
本発明の他の態様および実施形態は、以下の詳細な説明から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本開示の特徴および利点は、本開示の特徴を例として共に示す添付図面と共に取られる、以下の詳細な説明から明らかになるだろう。
【
図1a】
図1a-Aは、実施例に従って、A1(活性)とA2(不活性)の間の急速なコンフォメーション平衡を示し、
図1a-Bは、実施例に従って、B1(活性)からB2(不活性)へのコンフォメーション変化を嫌う拘束型のコンフォメーションを示す。
【
図1b】
図1bは、一実施例によるラクタムブリッジを含む活性コンフォメーションを示す。
【
図1c】
図1cは、実施例によるメチレンチオアセタールを含む活性コンフォメーションを示す図である。
【
図2】
図2は、実施例によると、大環状α-RgIAアナログの合成経路を示す。a)FmCo-SPPS.b)BCo
2O,DIEA,DCM.c)通常のチロシン(PG
1=allyl,PG
2=alCo)に対する方法1。Pd(PPh
3)
4,DMBA,DCM;3-ヨードチロシン(PG
1=Dmab,PG
2=ivDde)の方法2:d)PyBOP,DIEA,HOBt,DMF.e)TFA:H
2O:TIPS:EDT=95:2:2:1(v/v)次にRP-HPLC.f)0.02M Na
2HPO
4(pH8.0),air.g)I
2,ACoH,H
2O。
【
図3a】
図3aは、A)ヒトα9α10nAChRに対する合成されたアナログの濃度応答を示す。データは、別々の卵母細胞(n=3~6)の測定を表し、エラーバーはSDを表す。B)アナログ6は、コールドプレート試験において化学療法誘発神経障害性疼痛を防止する。投与量=80μg/kg(s.c.)。値は、各実験決定についての平均±SEM(n=8~9)として表される。**p<0.01.Sal=生理食塩水;Ox=オキサリプラチン;SD=実施例に準じた標準偏差。
【
図3b】
図3bは、実施例によるヒトα9α10対α7受容体に対するアナログ6の用量反応曲線を示す。
【
図3c】
図3cは、実施例によるα-RgIA4のLC-クロマトグラムおよびMS-スペクトルを示す。
【
図3d】
図3dは、実施例によるアナログ1のLC-クロマトグラムとMS-スペクトルを示す。
【
図3e】
図3eは、実施例によるアナログ2のLC-クロマトグラムおよびMS-スペクトルを示す。
【
図3f】
図3fは、実施例によるアナログ3のLC-クロマトグラムおよびMS-スペクトルを示す。
【
図3g】
図3gは、実施例によるアナログ4のLC-クロマトグラムおよびMS-スペクトルを示す。
【
図3h】
図3hは、実施例によるアナログ5のLC-クロマトグラムおよびMS-スペクトルを示す。
【
図3i】
図3iは、実施例によるアナログ6のLC-クロマトグラムおよびMS-スペクトルを示す。
【
図3j】
図3jは、実施例によるアナログ6[1,4]のLC-クロマトグラムとMS-スペクトルを示す。
【
図3k】
図3kは、実施例によるRgIA4[1,4]のLC-クロマトグラムとMS-スペクトルを示す。
【
図4a】
図4aは、ヒト血清中におけるα-RgIA4およびアナログ6の安定性を示す。A)ヒト血清安定性の比較。値は、3つの別個の複製の平均±SDである。B)ヒト血清中の異なる時点におけるジスルフィドスクランブルの代表的なRP-HPLCトレース、37℃(Conc.0.1mg/mL).実施例による
**p<0.01。
【
図4a】
図4bは、RP-HPLCコインジェクションによる異性体の決定を示す。図b-Aは、合成されたRgIA4およびその[1,4]異性体を示し、
図4b-Bは、合成されたアナログ6およびその[1,4]異性体を示し、
図4b-Cは、実施例にしたがって試験した化合物の配列表示を示す。
【
図5a】
図5aは、α-RgIA4、アナログ3および6のNMR研究を示す。A二次Hα化学シフトのオーバーレイ。残基番号0はGluを、14はLysを表す。B)B)α-RgIA4(黒)と3(赤)C)α-RgIA4(黒)と6(青)の代表的なNMR溶液構造を実施例に従って重ね合わせたものである。
【
図5b-5d】
図5b~5dは、α-RgIA4について、TCoSY(青)とNOESY(赤)のアミド領域、HSQCの脂肪族領域、芳香族領域を重ね合わせたものである。割り当てはSPARKYで行った。(CIR=シトルリン、TIY=3-ヨードチロシン)の例に従っている。
【
図5e-5g】
図5e~
図5gは、アナログ3について、TCoSY(青)およびNOESY(赤)のアミド領域、HSQC脂肪族領域および芳香族領域のオーバーレイを示す図である。(CIR=シトルリン)の実施例によるものである。
【
図5h-5j】
図5h~
図5jは、アナログ6について、TCoSY(青)およびNOESY(赤)のアミド領域、HSQC脂肪族領域および芳香族領域のオーバーレイを示す図である。(CIR=シトルリン、TIY=3-ヨード-チロシン)の実施例によるものである。
【
図5k-A】
図5k-Aは、RgIA4バックボーンの重ね合わせについて示し、
図5k-Bは、実施例による、構造拘束、原子RMSD(2-12)、およびラマチャンドランプロットを伴う側鎖の重ね合わせについて示す。
【
図5l-A】
図5l-Aは、アナログ3について、バックボーンの重ね合わせ、
図5k-Bは、コンフォメーション拘束を伴う側鎖の重ね合わせ、
図5k~Cは、一実施例に従って、原子RMSD(2-12)によるリンカーの重ね合わせ(緑)とラマチャンドランプロットを示す。
【
図5m】
図5mは、アナログ6について、バックボーンの重ね合わせ、
図5m-Bは、コンフォメーション拘束を伴う側鎖の重ね合わせ、
図5m-Cは、原子RMSD(2-12)によるリンカーの重ね合わせ(緑)、および一実施例によるラマチャンドランプロットを示す。
【
図6a】
図6aは、アナログ6のNMR構造アンサンブルを、RossetaDCokを用いて、ヒト(A、B)α9(+)/α9(-)および(C、D)α10(+)/α9(-)nAChR界面のホモロジーモデルにドッキングして得られた結合モデルの選択例を示す。α9-ECDは緑、α10-ECDは水色、アナログ6はオレンジで示す。結合残基は棒グラフで示し、酸素、窒素、硫黄原子をそれぞれ赤、青、黄色で示す。破線はアナログ6と受容体の間に形成される水素結合を示す。hα9-ECDの構造はRgIA結合X線結晶構造(PDB 6HY7)から、hα10-ECDは同構造に基づく既報のホモロジーモデルから、実施例に従って作成したものである。
【
図6b】
図6bは、一実施例によるドッキングクラスタリングファイルを示す。
【
図6c】
図6cは、一実施例によるドッキングクラスタリングファイルを示す。
【
図7a】
図7aは、(A)α-Ctx RgIA,ImI,Vc1.1,PeIA,MII,PnIAのアミノ酸配列アラインメントを示す。ジスルフィド結合はCys
I-Cys
III(loop I)とCys
II-Cys
IV(loop II)である。#C末端アミド;^=C末端カルボン酸。(B)α9nAChRサブユニット結晶構造(PDB 6HY7)に結合したRgIAの結合面。結合残基(Ser4,Asp5,Arg7,Arg9)は黒字で表示し、酸素、窒素、硫黄原子をそれぞれ赤、青、黄色で棒状に表示した。(C)ネイティブ・ジスルフィドと開発されたジスルフィド模倣物質の化学構造。ペン=L-ペニシラミン。(D)本研究で得られたメチレンチオアセタールRgIAアナログの化学合成。すべての直鎖ペプチドは、自動合成装置でFmCo-SPPSにより合成した。完全に折りたたまれたペプチドは、2回の操作で得られた。反応条件a)TCEP-HCl,K
2Co
3,H
2O、次にEt3N、CH
2I
2、THF.b)I
2、ACoH、H
2O実施例に準ずる。
【
図7b】
図7bは、RgIA-5524の折り畳みのRP-HPLC分析を示し、
図7b-Aは、線形ペプチドから部分折り畳みおよび完全折り畳みアナログへの変換を示し、
図7b-Bは、実施例による対応ペプチドのHPLCトレースを示している。
【
図7c】
図7cは、実施例によるRgIA-5617のLC-クロマトグラムとMS-スペクトルを示す。
【
図7d】
図7dは、実施例によるRgIA-5533のLC-クロマトグラムとMS-スペクトルを示す。
【
図7e】
図7eは、実施例によるRgIA-5618のLC-クロマトグラムとMS-スペクトルを示す。
【
図7f】
図7fは、実施例によるRgIA-5524のLC-クロマトグラムとMS-スペクトルを示す。
【
図7g】
図7gは、実施例によるRgIA-5573のLC-クロマトグラムとMS-スペクトルを示す。
【
図8a】
図8aは、(A)合成されたメチレンチオアセタールRgIAアナログのhα9α10nAChR上のアミノ酸配列および効力を示す。
aすべてのネイティブなジスルフィドまたはメチレンチオアセタールは、Cys
I-Cys
III,Cys
II-Cys
IV構成で接続される。メチレンチオアセタールの置換は太字で表示し、ループ-Iは赤、ループ-IIは緑で表示した。^はC末端カルボン酸、Cit=L-シトルリン、iY=L-3-ヨード-チロシン、bA=β-アラニン、bhY=L-β-ホモチロシンを表す。
b濃度-反応曲線から算出。括弧内の数値は95%信頼区間。(B)ヒトα9α10nAChRの阻害のための、Xenopus laevis卵母細胞で発現されたヒトnAChR電流のACh誘導電流を遮断する合成されたペプチドによる濃度反応解析。(C)Xenopus laevis oocytesで発現させたヒトnAChR電流に対するRgIA-5524およびRgIA-5533のnAChR サブタイプ阻害のIC
50.(D)RgIA-5524およびRgIA-5533によるhα9α10対hαnAChRの阻害に関する濃度応答解析。データポイントは、実施例に従って、3~4の独立した実験からの平均±SEMを表す。
【
図8b】
図8bは、X.laevis oocytesで発現したヒトnAChRサブタイプ電流のACh誘導電流の遮断に対する効果(100nMペプチド)を示し、データポイントは、実施例に従って3~4の独立実験からの平均±SEMを表す。
【
図9】
図9は、慢性化学療法誘発性神経障害性疼痛におけるRgIA-5524のインビボ鎮痛効果を示す図である。RgIA-5524は、オキサリプラチンの反復投与により誘発される疼痛を緩和する。マウスに化学療法剤オキサリプラチン(3.5mg/kg、i.p.)を1日1回、週5日、3週間にわたって注射した。オキサリプラチンを注射した日に、マウスは生理食塩水またはRgIA-5524(40μg/kg)のいずれかを投与された。週に一度、最後のRgIA-5524注射の24時間後に、マウスを、実験セクションに記載したように、コールドプレートを用いて冷感アロディニアについて評価した。アロディニアは21日目までに統計的有意差に達し、RgIA-5524によって効果的に逆転された。データの統計的評価は、一元配置分散分析(ANOVA)に続いて、Dunnettの多重比較検定によって行った。データは、平均値±SEMn=8マウス/グループとして表した。Ox/Sal対Sal/Sal処理マウスとの有意差について
xxxP<0.001;Ox/Sal対Ox/RgIA-5524処理マウスとの有意差については
***P<0.001である。Ox、オキサリプラチン;Sal、0.9%食塩水;s、実施例による秒数。
【
図10】
図10は、α9nAChRサブユニットが、RgIA-5524の鎮痛効果に使用されることを示す。(A、B)1日目に、オキサリプラチン5mg/kgi.p.の単回投与が、RgIA5524(40ug/kg、s.c.)または0.9%食塩水のいずれかとともに与えられた。マウスは5日目に冷感アロディニアについて評価された。RgIA-5524は、(A)野生型マウスにおけるアロディニアの発症を防止したが、(B)α9-サブユニット欠損マウスにおいては防止しなかった(n=12マウス/群)。(C,D)1日目に、マウスに高用量のオキサリプラチン(10mg/kgi.p.)とRgIA-5524(40ug/kgs.c.)または生理食塩水のいずれかを投与した。オキサリプラチン誘発の冷感アロディニアは、(C)野生型マウスでは1日目に投与したRgIA-5524の単回投与により予防されたが、(D)α9サブユニット欠損マウスでは予防されなかった(n=8マウス/群)。データの統計的評価は、一元配置分散分析(ANOVA)に続いて、Dunnettの多重比較検定によって行った。すべての結果は、平均値±SEMとして表される
*P<0.05、
**P<0.01、および
***P<0.001は、Sal/Sal処理マウスとの有意差である。
0P<0.05、
00P<0.01、およびOx/Sal処理マウスからの大きな有意差については
000P<0.001.Ox,oxaliplatin、Sal,0.9%saline;s,seconds.,α9
-/-,α9ノックアウトマウスは実施例によるものである。
【
図11a】
図11aは、(A)10μMでの他の疼痛関連イオンチャネルおよび受容体に対するRgIA-5524の結合活性を示す。
a各実験は、二重のウェルで実施された。結合は、各ターゲットに特異的な放射能標識リガンドの結合の%阻害として計算され、酵素阻害効果は、対照酵素活性の%阻害として計算された。スクリーニングアッセイで50%以上の阻害が認められた場合、二次的な濃度反応解析を行った。
bニコチン性神経細胞タイプ。
cストリキニーネ感受性.
dストリキニーネ不感受性、AR、アデノシン受容体、AT、アンジオテンシン、BK
2、ブラジキニン受容体、CB、カンナビノイド受容体、CCK、コレシストキニン受容体;CRF、コルチコトロピン放出因子、D、ドーパミン、ET、エンドセリン受容体、GABA、γ-アミノ酪酸、GAL、ガラニン受容体、mGluR、代謝性グルタミン酸受容体、GlyR、グリシン受容体(ストリキニン感受性)、H、ヒスタミン受容体、CysLT、システイニルロイコトリアン、M、ムスカリン性アセチルコリン受容体、NK、ニューロキニン受容体、DOP、δ-オピオイド受容体、KOP、κ-オピオイド受容体、MOP、μ-オピオイド受容体、NOP、ノシセプチン・オルファニンFQ受容体、GR、グルココルチコイド受容体、ER、エストロゲン受容体、AR、アンドロゲン受容体、PAFR、血小板活性化因子受容体、TRH1、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、VPAC、血管作動性腸管ペプチド受容体、V、バソプレシン受容体、LTCC、L型Ca
2+チャネル、NTCC、N型Ca
2+チャネル、BZD、ベンゾジアゼピン、PCP、フェンシクリジンの各チャネルの機能活性を示す。(B)GABA
B受容体およびhERGK
+チャンネルに対するRgIA-5524の機能的活性。
eIC
50およびEC
50研究のために、2つの別々の実験が重複したウェルで実施された。細胞アゴニストおよびアンタゴニスト効果は、それぞれ既知の基準アゴニストまたはアンタゴニストに対する対照応答および%阻害の%として計算した。
fRgIA-5524の100μMで測定した。(C)RgIA-5524の酵素アッセイと取り込みアッセイ。
g各実験は二重のウェルで行った。アンタゴニスト効果は、測定された成分に対する阻害率として計算された。TXA2合成酵素、トロンボキサンA2合成酵素、構成的NOS、構成的NOシンターゼ、MAO、モノアミンオキシダーゼ、GABA
B受容体に対するRgIA-5524の(D)アゴニスト効果および(E)アンタゴニスト効果の濃度反応解析。(F)尾部電流阻害により測定したhERG K
+チャネルに対するRgIA-5524の濃度反応解析。(G)100nMおよび10μMでのRgIA-5524によるCYP酵素アイソフォームの阻害。各濃度について実験を重複して行い、データは実施例に従って平均値±SEMで表した。
【
図11b-11d】
図11b~11dは、RgIA-5533について、TCoSY(青)とNOESY(赤)のアミド領域、HSQCの脂肪族領域、芳香族領域の重ね合わせである。割り当てはSPARKYで行った。(SCS=L-S-メチレン-Cys、CIR=シトルリン、TIY=3-ヨード-チロシン)を例に挙げて説明する。
【
図11e-11g】
図11e~11gは、RgIA-5617について、TCoSY(青)とNOESY(赤)のアミド領域、HSQCの脂肪族領域、芳香族領域の重ね合わせである。割り当てはSPARKYで行った。(SCS=L-S-メチレン-Cys、CIR=シトルリン、TIY=3-ヨード-チロシン)を例にとって説明した。
【
図11h-11j】
図11h~
図11jは、RgIA-5524について、TCoSY(青)およびNOESY(赤)のアミド領域、HSQC脂肪族領域および芳香族領域のオーバーレイを示す図である。(SCS=L-S-メチレン-Cys、CIR=シトルリン、TIY=3-ヨード-チロシン、BHY=L-ベータホモチロシン)を実施例に従って示す。
【
図11k】
図11kは、RgIA-5533のA)バックボーン重ね合わせ、B)側鎖重ね合わせと、構造拘束、原子RMSD(2-12)、ラマチャンドランプロットを例に従って示す。
【
図11l】
図11lは、RgIA-5617のA)バックボーン重ね合わせ、B)側鎖重ね合わせと、実施例によるコンフォメーション拘束、原子RMSD(2-12)、ラマチャンドランプロットを示す。
【
図11m】
図11mは、RgIA-5524について、A)バックボーン重ね合わせ、B)側鎖重ね合わせ、コンフォメーション拘束、原子RMSD(2-12)、ラマチャンドランプロットを実施例に従って示す。
【
図12】
図12は、(A)RgIA(黒)、RgIA4(灰)、RgIA-5617(ピンク)、RgIA-5533(緑)およびRgIA-5524(青)の二次化学シフトを重ねたものである。X軸は、対応する標準化学シフトに基づいて計算された残基4、9、10、13、14で変異体の残基を置換したペプチド配列を示す。代表的なNMR構造と、2つの分子内ブリッジにおけるCα間の距離測定値(Å)を示す。(B)hα9nAChRサブユニットと結合したRgIAの結晶構造(PDB 6HY7)および(C)RgIA(PDB 2JUQ)、(D)RgIA4、(E)RgIA-5533、(F)RgIA-5617、および(G)RgIA-5524の代表的NMR解像構造。構造は、原子の酸素、窒素、硫黄、ヨウ素をそれぞれ赤、青、黄、紫で着色した棒グラフで示した。Cα距離は例によってPyMOLプログラムによって測定した。
【
図13】
図13は、RgIA-5524がRgIA4と比較して大幅に向上した安定性を示すことを示す。(A)完全なジスルフィドスクランブル防止は、37℃における90%ヒト血清中のペプチドインキュベーション後のある時点におけるHPLCトレースによって示され、観察された。(B)ヒト血清中におけるRgIA-5524とRgIA-5533の対RgIA4安定性アッセイ。ペプチドを90%ヒト血清AB型(0.1mg/mL)中、37℃)RgIA-5524とRgIA4の還元的安定性アッセイ。ペプチドサンプルは、pH7.4PBS中の還元GSH(10等量)の存在下で0.1mg/mLに溶解し、37℃でインキュベートした。データの統計評価は、スチューデントt(unpaired)テストにより実施した。すべての結果は、一実施例に従って、平均±SD(n=3)、
**P<0.01、
***P<0.001で表す。ここで、図示された例示的な実施形態を参照し、本明細書では、特定の言語を用いて、同じものを説明する。それにもかかわらず、本開示の範囲の限定は、それによって意図されないことが理解されるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0014】
これらの例示的な実施形態は、当業者が本開示を実施できるように十分詳細に説明されているが、他の実施形態が実現されてもよく、本開示の精神および範囲から逸脱することなく本開示に対する種々の変更がなされてもよいことは理解されるべきである。したがって、本開示の実施形態に関する以下のより詳細な説明は、請求されたように本開示の範囲を限定することを意図したものではなく、本開示の特徴および特性を説明し、本開示の最良の動作モードを示し、当業者が本開示を実施することを十分に可能にするために、例示のみを目的として示され限定されるものではない。したがって、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ定義されるものである。
【0015】
定義
本開示の説明および請求において、以下の用語が使用される。
【0016】
単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の参照元を含む。したがって、例えば、「ペプチド」への言及は、そのような構造の1つまたは複数への言及を含み、「アナログ」への言及は、そのようなアナログの1つまたは複数への言及を指す。
【0017】
本明細書で使用する場合、「実質的に」という用語は、作用、特性、性質、状態、構造、項目、または結果の完全なまたはほぼ完全な範囲または程度を意味する。例えば、「実質的に」囲まれているオブジェクトは、そのオブジェクトが完全に囲まれているか、またはほぼ完全に囲まれていることを意味することになる。絶対的な完全性からの正確な逸脱がどの程度許容されるかは、場合によっては特定の文脈に依存することがある。しかし、一般的には、絶対的な完全性が得られる場合と同じ全体的な結果が得られるように、ほぼ完全であることを意味する。実質的に」の使用は、ある作用、特性、性質、状態、構造、項目、または結果を完全にまたはほぼ完全に欠いていることを意味する否定的な意味合いで使用する場合にも同様に適用されます。例えば、粒子を「実質的に含まない」組成物は、粒子を完全に欠くか、または粒子を完全に欠くのと同じ効果が得られるほど粒子をほぼ完全に欠くかのいずれかである。言い換えれば、成分または要素を「実質的に含まない」組成物は、測定可能な影響がない限り、実際にそのような項目を含んでいても良い。
【0018】
本明細書で使用する場合、「約」という用語は、所定の用語、指標または値に関連する柔軟性および不正確性を提供するために使用される。特に断らない限り、特定の数値または数値範囲に従った「約」という用語の使用は、「約」という用語なしにそのような数値用語または範囲のサポートを提供するとも理解されるべきである。例えば、便宜上および簡潔さのために、「約50オングストローム~約80オングストローム」の数値範囲も、「50オングストローム~80オングストローム」の範囲に対する支持を提供するものと理解されたい。さらに、この書面の説明では、「約」という用語がそれとともに使用される場合であっても、実際の数値に対するサポートが提供されることが理解されよう。例えば、「約」30の記載は、30の少し上と少し下の値に対するサポートを提供するだけでなく、同様に30の実際の数値に対するサポートも提供すると解釈されるべきである。特定の変数に対する柔軟性の程度は、当業者であれば容易に判断することができる。しかし、特に明言しない限り、「約」という用語は、一般に、2%未満、最も頻繁には1%未満、場合によっては0.01%未満の柔軟性を意味する。
【0019】
本明細書で使用する場合、「治療する」、「処置する」、または「治療する」等の用語は、無症状または症状がある対象への治療剤または治療行為の投与を意味する。すなわち、「治療する(treat)」、「治療(treatment)」、または「治療の(treating)」は、状態(すなわち、症状が発現している)を軽減または除去する行為を指すこともあれば、予防的治療(すなわち、症状が発現していない対象に対して、その発生を防止するために投与すること)を指すこともある。このような予防的治療は、症状の予防、予防的作用、予防的措置等とも称することができる。
【0020】
本明細書で使用する場合、「治療剤」、「活性剤」などの用語は互換的に使用でき、適切なまたは有効な量で対象に投与された場合に対象に有益またはプラスの効果を与えることができる薬剤を指す。1つの態様において、治療剤または活性剤は、α-RgIA4ペプチドアナログであり得る。「追加活性剤」、「補足活性剤」、「二次活性剤」等の用語は互換的に使用することができ、α-RgIA4ペプチドアナログ以外の化合物、分子、または物質を指す。
【0021】
本明細書で使用される場合、「製剤」および「組成物」という用語は互換的に使用され、2つ以上の化合物、要素、または分子の混合物を意味する。いくつかの態様において、用語「製剤」および「組成物」は、担体または他の賦形剤と1つ以上の活性剤の混合物を指すために使用され得る。さらに、用語「剤形」は、対象への投与のために形式(例えば、特定の形態、形状、ビヒクルなど)で提供される1つまたは複数の製剤(複数可)または組成物(複数可)を含むことができる。例えば、「経口剤形」は、対象の口への投与に適することができる。「局所投与形態」は、擦るなどして対象の皮膚に投与するのに好適であり得る。
【0022】
本明細書において、「治療部位」とは、治療が望まれる被検体上または被検体内の部位を指す。例えば、痛みを治療する場合、治療部位は、痛みの領域であり得る。さらに、本明細書で使用される場合、「適用部位」は、治療が行われる対象上または対象内の場所を指す。さらに、輸液投与製剤の適用部位は、輸液装置が対象の循環系に入る部位であり得る。さらに、局所投与製剤のための適用部位は、局所投与製剤が適用される皮膚または粘膜の領域であっても良い。いくつかの実施形態では、適用部位は、治療部位と実質的に同じであってよい(例えば、組成物または製剤は、治療部位に直接投与される)。他の実施形態では、適用部位は、治療部位とは異なる(例えば、遠位)場合がある。このような場合、投与が治療部位から遠位であっても、組成物または製剤は依然として治療部位において治療効果を発揮する。
【0023】
本明細書で使用される場合、「局所用組成物」または「局所投与」などは、皮膚または粘膜表面への直接投与に適した組成物を指し、そこから有効量の薬剤が放出される。いくつかの実施形態では、局所用組成物は、局所的または局部的な治療効果(例えば、適用部位またはその近傍)を提供することができる。例えば、創傷、病変、火傷、カンジダ等(例えば、治療部位)に適用される場合の局所用組成物は、主に適用部位またはその周辺で治療効果を発揮し得るが、それを実質的に超えないようにすることができる。他の実施形態では、局所用組成物は、局所的な効果を提供することができる。例えば、指、腕、足首、関節などの身体のある部位の皮膚表面に投与された局所用組成物は、その部位内で治療効果を発揮し得るが、実質的にそれを超えることはない。例えば、足首の領域に投与された局所用組成物は、例えば、浮腫、関節の炎症、痛みなどを軽減することによって、足首およびその周辺に治療効果を発揮することができる。他の実施形態では、局所用組成物は、全身的な効果を提供することができる。いくつかの態様では、局所用組成物は、薬物または活性剤自体が治療部位に到達する作用機序を介して、治療効果を提供することができる。他の局面では、局所用組成物は、酵素カスケードまたは他のシグナル伝達(例えば、細胞シグナル伝達、または細胞間/細胞内シグナル伝達)イベントのような生化学カスケードイベントなど、最終的に治療部位で所望の治療効果を発揮する中間作用機序を介して治療効果を提供することが可能である。いくつかの例では、そのような中間機構は、適用部位から遠位である治療部位の治療を可能にし得る。さらに他の例では、遠方の治療部位の治療が行われる場合、活性剤は、塗布部位から治療部位まで真皮および他の組織を通って移動し、直接効果を発揮し得る。
【0024】
本明細書で使用する「経皮」とは、治療薬を皮膚表面に投与する際に、切れ目なく皮膚表面を通して投与される経路を指す。経皮投与された場合、薬物または活性剤は、適用部位から治療部位に移行し、治療効果を発揮する。経皮組成物および剤形は、例えば、バッキングフィルム、接着剤、リザーバーなど、皮膚表面への組成物の保持を補助する構造および/またはデバイスを含むことができる。さらに、経皮組成物は、浸透または透過エンハンサーなどの、活性薬剤の適用部位から治療部位への(例えば、皮膚を通って対象の循環系への)移動を助けるか、さもなければ促進する薬剤を含むことができる。このような浸透性または透過性増強剤は、いくつかの実施形態において局所製剤と共に使用することも可能である。
【0025】
「皮膚」または「皮膚表面」という用語は、1つまたはそれ以上の表皮層を含む対象の外皮だけでなく、呼吸器(鼻腔および肺を含む)、口腔(口および頬)、膣および直腸腔の粘膜などの粘膜表面も含まれる。したがって、用語「経皮」は、「経粘膜」をも包含する場合がある。
【0026】
本明細書で使用されるように、第1の治療薬と第2の治療薬とを「共投与する」ことは、適切な時間枠内での同時投与を含み得る。一実施例では、好適な時間窓は、以下:1時間、45分、30分、15分、5分、2分、1分、またはそれらの組合せのうちの1つまたは複数未満であり得る。併用投与は、同じ組成物からであっても、異なる組成物からであっても良い。
【0027】
本明細書で使用される場合、「対象」は、本明細書に開示される方法または装置から利益を得る可能性のある哺乳動物を指す。対象の例には、ヒトが含まれ、また、馬、豚、牛、犬、猫、ウサギ、および水生哺乳類などの他の動物が含まれても良い。一つの具体的な態様において、対象はヒトである。
【0028】
本明細書で使用される場合、「初期投与レジメン」もしくは「開始用量」または「維持投与レジメン」などの「投与レジメン」または「レジメン」は、本開示の組成物の用量を対象にどのように、いつ、どの程度、およびどのくらいの期間投与することができるかを意味する。例えば、対象に対する初期または開始用量レジメンは、少なくとも12時間間隔で2回に分けて投与される約15mcg/1mL~約1500mcg/1mLの1日総用量(例えば、朝食と一緒に1回、夕食と一緒に1回)を提供し、食事を30日間毎日繰り返しても良い。
【0029】
本明細書で使用される場合、「1日用量」は、24時間の間に対象に投与される活性剤(例えば、α-RgIA4ペプチドアナログ)の量を指す。α-RgIA4ペプチドアナログ)を24時間の期間にわたって対象に投与する。1日用量は、24時間の間に2回以上投与することができる。一実施形態では、1日用量は、24時間期間中に2回の投与を提供する。このことを念頭に置いて、「初期投与量」または「初期日用量」は、投与レジメンの初期レジメンまたは期間中に投与される用量を指す。
【0030】
本明細書で使用する場合、薬物の「有効量」または「治療有効量」とは、その薬物が有効であることが知られている状態を治療する際に、治療効果を得るための、無毒であるが十分な量の薬物を指す。様々な生物学的要因が、物質が意図された役割を果たす能力に影響を与えることが理解される。したがって、「有効量」または「治療上有効な量」は、場合によっては、そのような生物学的要因に依存することがある。さらに、治療効果の達成度は、医師または他の資格を有する医療関係者が、当該技術分野で知られる評価を用いて測定することができるが、個人差や治療に対する反応によって、治療効果の達成度はやや主観的な判断になる可能性があることが認識されている。有効量の決定は、薬学および医学の技術分野における通常の技能の範囲内に十分にある。例えば、Meiner and Tonascia,"Clinical Trials:Design,Conduct,and Analysis,"Monographs in Epidemiology and Biostatistics,Vol.8(1986)、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0031】
本明細書において、「急性」状態とは、急速に進行し、緊急または準緊急の治療を必要とする明確な症状を有する状態を指す。対照的に、「慢性」状態は、典型的には、発症が遅く、長引くか、さもなければ時間とともに進行する状態を指す。急性状態のいくつかの例は、限定されないが、喘息発作、気管支炎、心臓発作、肺炎などを含むことができる。慢性状態のいくつかの例は、限定されないが、関節炎、糖尿病、高血圧、高コレステロールなどを含むことができる。
【0032】
本明細書で使用する場合、「選択性」とは、グループ内(例えば、細胞群)またはグループ間(例えば、非生細胞群と生細胞群)の差を提供する作用の改変を意味する。例えば、作用は受容体結合であり得、グループは第1の受容体および第2の受容体であり得る。例えば、第2の受容体と比較した第1の受容体の「選択的受容体結合」は、第1の受容体と第2の受容体の間の選択性比の差を提供することができる。一実施例では、選択性比は、1:1比とは異なる。一実施例では、選択性比は、以下、1:1、2:1、3:1:4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、45:1、50:1、100:1、およびこれらの組合せのうちの少なくとも1つよりも大きい比であることが可能である。
【0033】
本明細書で使用される「D-置換アナログ」は、D-アミノ酸で置換された1つまたはそれ以上のL-アミノ酸を有する本明細書に開示されるRgIAおよびRgIA4アナログを含む。D-アミノ酸は、アナログ配列に見出されるものと同じアミノ酸タイプであり得、または異なるアミノ酸であり得る。したがって、D-アナログもまた変異体である。
【0034】
本明細書で使用される「変異体」は、1つまたはそれ以上のアミノ酸が非アミノ酸成分で置換された、またはアミノ酸が官能基に結合された、または官能基がアミノ酸に他の方法で結合された、本明細書に開示されるRgIAアナログを含む。修飾アミノ酸は、例えば、グリコシル化アミノ酸、PEG化アミノ酸(ポリエチレングリコール(PEG)ポリマーの共有および非共有結合またはアマルガム)、ファルネシル化アミノ酸、アセチル化アミノ酸、アシル化アミノ酸、ビオチン化アミノ酸、リン酸化アミノ酸、脂肪酸などの脂質部位と結合したアミノ酸、または有機誘導体化剤と結合したアミノ酸などでも良い。修飾アミノ酸の存在は、例えば、(a)ポリペプチドの血清半減期および/または機能的インビボ半減期の増加、(b)ポリペプチドの抗原性の低減、(c)ポリペプチドの貯蔵安定性の増加、(d)ペプチドの溶解性の増加、(e)循環時間の延長、および/または(f)バイオアベイラビリティの増加、例えば曲線下の面積(AUCsc)の増加などに有利となることがある。アミノ酸(複数可)は、例えば、組換え生産中に共翻訳的または翻訳後的に(例えば、哺乳類細胞での発現中にN-X-S/TモチーフでN-結合型グリコシル化)、または合成手段によって修飾され得る。修飾されたアミノ酸は、配列内または配列の末端に存在し得る。変異体は、本明細書の他の場所に記載されるような誘導体を含むことができる。
【0035】
本明細書で使用する場合、「I-3-Y」は3-ヨードチロシンであり、「3-R-チロシン」および「R-3-Y」は3-クロロチロシン、3-フルオロチロシン、3-ヨードチロシンおよびチロシンからなる群より選ばれるペプチド残基を示す。
【0036】
本明細書で使用される場合、「Cit」はシトルリンである。
【0037】
本明細書で使用される場合、「iY」はL-3-ヨード-チロシンである。
【0038】
本明細書で使用される場合、「Dap」はL-2,3-ジアミノプロピオン酸である。
【0039】
本明細書で使用される場合、「bA」および「bA」は、β-アラニンである。
【0040】
本明細書で使用される場合、「bhY」はβ-ホモチロシンである。
【0041】
本明細書で使用される場合、「Xaa」は任意のアミノ酸である。さらに、本書で使用されるように、Xaaは、任意のアミノ酸の発現支持を提供する。例えば、Xaaは、任意のアミノ酸またはその誘導体に対する発現支持を提供する。例えば、Xaaは、以下:アラニン(AlaまたはA)、アルギニン(ArgまたはR)、アスパラギン(AsnまたはN)、アスパラギン酸(AspまたはD)、システイン(CysまたはC)、グルタミン酸(GlyまたはE)、グルタミン(GlnまたはQ)、グリシン(GlyまたはG)、ヒスチジン(HisまたはH)、イソロイシン(IleまたはI)、ロイシン(LeuまたはL)、リシン(LysまたはK)、メチオニン(MetまたはM)、フェニルアラニン(PheまたはF)、プロリン(ProまたはP)、セリン(SerまたはS)、スレオニン(ThrまたはT)、トリプトファン(TyrまたはW)、チロシン(TyrまたはY)、バリン(ValまたはV)、セレノシステイン(SecまたはU)、ピロリシン(PylまたはO)などまたはその組み合わせの支持を提供する。
【0042】
本明細書で使用される場合、本明細書に開示される「RgIAアナログの変異体」または「RgIA-4アナログの変異体」は、本明細書に開示されるRgIAペプチドまたは本明細書に開示されるRgIA-4ペプチドと比較して、1または複数のアミノ酸付加、欠失、または置換を有するペプチドを含む。
【0043】
本明細書に開示される実施形態は、本明細書に記載されるRgIAアナログ、ならびに本明細書に記載されるRgIAアナログの変異体、D-置換アナログ、修飾体、および誘導体を含む。いくつかの実施形態では、変異体、D-置換アナログ、改変体、および誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15の配列付加、欠失、置換、交換、共役、会合、または並べ替えを有する。本明細書に開示される各アナログペプチドは、本明細書に開示されるアナログペプチド配列の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15の位置を含む任意の位置に付加、欠失、置換、交換、共役、会合、または並べ換えを含むこともできる。
【0044】
いくつかの実施形態では、Xaa位は、アナログペプチドの任意の位置に含まれ得、ここで、Xaaは、付加、欠失、置換、交換、共役、会合、または並べ替えを表す。特定の実施形態では、各アナログペプチドは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15のXaa位を1つまたは複数の位置で有する。
【0045】
アナログは、1つ以上の変化(付加、欠失、置換、交換、共役、会合、または並べ替え)を有し、変異体、D-置換アナログ、改変体、および/または誘導体の1つまたはそれ以上として修飾され得る。すなわち、アナログ、変異体、D-置換アナログ、修飾体および/または誘導体の1つの分類を含むことは、他の分類を含むことを排除するものではなく、本明細書では、すべてを総称して「アナログペプチド」と称する。
【0046】
アミノ酸置換は、保存的置換または非保存的置換であり得る。本明細書に開示されるRgIAアナログの変異体は、1つまたはそれ以上の保存的アミノ酸置換を有するものを含み得る。本明細書で使用されるように、「保存的置換」は、以下の保存的置換群:グループ1:アラニン(AlaまたはA)、グリシン(GlyまたはG)、セリン(SerまたはS)、スレオニン(ThrまたはT);グループ2:アスパラギン酸(AspまたはD)、グルタミン酸(GluまたはE);グループ3:アスパラギン(AsnまたはN)、グルタミン(GlnまたはQ);グループ4:アルギニン(ArgまたはR)、リジン(LysまたはK)、ヒスチジン(HisまたはH);グループ5:イソロイシン(IleまたはI)、ロイシン(LeuまたはL)、メチオニン(MetまたはM)、バリン(ValまたはV);およびグループ6:フェニルアラニン(PheまたはF)、チロシン(TyrまたはY)、トリプトファン(TrpまたはW)の1つに見出される置換を含む。
【0047】
さらに、アミノ酸は、類似の機能、化学構造、または組成(例えば、酸性、塩基性、脂肪族、芳香族、硫黄含有)によって保存的置換基群にグループ化することが可能である。例えば、脂肪族グループには、置換の目的で、Gly、Ala、Val、Leu、およびIleが含まれ得る。互いの保存的置換とみなされるアミノ酸を含む他のグループには、以下、含硫:MetおよびCys;酸性:Asp、Glu、Asn、Gln;小さな脂肪族、非極性またはわずかに極性のある残基:Ala、Ser、Thr、Pro、Gly;極性で負に帯電した残基とそのアミド:Asp、Asn、Glu、Gln;極性のある正電荷の残基:His、Arg、Lys;大きな脂肪族、非極性残基:Met、Leu、Ile、Val、Cys、および大型の芳香族残基:Phe、Tyr、Trpが含まれる。その他の情報は、Creighton(1984)Proteins,W.H.Freeman and Companyに記載される。
【0048】
本明細書で使用する「正アミノ酸」は、タンパク質生成陽性アミノ酸であるHis、Arg、Lys、および非タンパク質原性の正アミノ酸を含む。
【0049】
本明細書で使用する「芳香族アミノ酸」は、タンパク質原性の芳香族アミノ酸であるPhe、Tyr、およびTrp、ならびに非タンパク質原性の芳香族アミノ酸を含む。
【0050】
本明細書に開示または参照されるRgIAアナログまたはRgIA-4アナログの変異体は、本明細書に開示または参照されるペプチド配列に対して少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、少なくとも85%の配列同一性、少なくとも90%の配列同一性、少なくとも95%の配列同一性、少なくとも96%の配列同一性、少なくとも97%の配列同一性、少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有する配列も含まれる。より詳細には、本明細書に開示されるRgIAアナログまたはRgIA-4アナログの変異体は、以下のものを共有するペプチドを含む:配列ID番号:1~13のいずれかと70%の配列同一性;配列ID番号:1~13のいずれかと80%の配列同一性;配列ID番号:1~13のいずれかと81%の配列同一性;配列ID番号:1~13のいずれかと82%の配列同一性;配列ID番号:1~13のいずれかと83%の配列同一性;配列ID番号のいずれかと84%の配列同一性;配列ID番号のいずれかと80%の配列同一性;配列ID番号のいずれかと84%の配列同一性;1~13のいずれかと85%配列同一性;配列ID番号:1~13のいずれかと86%配列同一性;配列ID番号:1~13のいずれかと87%配列同一性;配列ID番号:1~13のいずれかと88%配列同一性;配列ID番号のいずれかと89%配列同一性;配列ID番号:1~13のいずれかと90%の配列同一性;配列ID番号:1~13のいずれかと91%の配列同一性;配列ID番号:1~13のいずれかと92%の配列同一性;配列ID番号:1~13のいずれかと93%の配列同一性;配列ID番号のいずれかと94%の配列同一性;配列ID番号:配列ID番号:1~13のいずれかと95%の配列同一性;配列ID番号:1~13のいずれかと96%の配列同一性;配列ID番号:1-13のいずれかと97%の配列同一性;配列ID番号:1~13のいずれかと98%の配列同一性;または配列ID番号:1~13のいずれかと99%の配列同一性を示す。
【0051】
合成鎮痛ペプチドのC-末端は、カルボン酸またはアミド基であっても良い。本開示はまた、(i)チロシン、3-ヨードチロシン、蛍光タグ、脂質、炭水化物、またはβ-ホモアミノ酸、D/L-スルホノ-γ-AAペプチド、L-γ-AAペプチドなどのC末端になされる付加、および/または(ii)チロシン、3-ヨードチロシン、ピログルタミン酸、蛍光タグ、脂質、炭水化物、またはβ-ホモアミノ酸などのN-末端になされる付加によってさらに修飾されたRgIAアナログにも関連する。
【0052】
本明細書で使用する場合、用語「遺伝子」は、ペプチドをコードする核酸配列を指す。この定義には、様々な配列の多型、変異、および/または配列の変異体が含まれるが、そのような変化がコードされたペプチドの機能に影響を与えないことが条件である。「遺伝子」という用語は、コード化配列のみならず、プロモーター、エンハンサー、終止領域などの制御領域も含むことができる。「遺伝子」はさらに、すべてのイントロンおよびmRNA転写物からスプライシングされる他のDNA配列、ならびに代替スプライス部位から生じる変異体を含むことができる。ペプチドをコードする核酸配列は、ペプチドの発現を指示するDNAまたはRNAであり得る。これらの核酸配列は、RNAに転写されるDNA鎖の配列であってもよいし、タンパク質に翻訳されるRNAの配列であっても良い。核酸配列には、全長核酸配列の他、全長タンパク質に由来する非全長配列も含まれる。配列はまた、ネイティブ配列の縮退コドン、または特定の細胞型におけるコドン優先性を提供するために導入され得る配列を含み得る。本明細書に開示されるペプチドをコードするための遺伝子配列は、公開されたデータベースおよび出版物で入手可能である。
【0053】
本明細書で使用されるように、特定のアミノ酸の言及はまた、特定のアミノ酸、およびその任意のアナログ、バリアント、D-置換アナログ、修飾体および/または誘導体に対する支持を含む。一実施例において、チロシンの暗唱は、3-クロロ-チロシン、3-フルオロ-チロシン、3-ヨード-チロシン、チロシン、オルト-チロシン、3-ニトロ-チロシン、3-アミノ-チロシン、O-メチル-チロシン、2,6-ジメチル-チロシン、ベータホモ-チロシン、BCo-Tyr(3,5-I2)-OSu、[CpRu(FmCo-チロシン)]CF3Co2、O-(2-ニトロベンジル)-L-チロシン塩酸塩、3-ニトロ-L-チロシンエチルエステル塩酸塩、N-(2,2,2-トリフルオロメチル)-L-チロシンエチルエステル、DL-オチロシン等またはその組み合わせに関する支持も明示的に含む。一実施例において、システインの復唱は、システイン、L-システイン酸一水和物、L-システインスルフィン酸一水和物、セレノ-L-シスチン、等、またはこれらの組み合わせの支持も明示的に含む。一実施例において、リジンの記載は、FmCo-Lys(Me,BCo)-OH、FmCo-Lys(Me)3-OH Chloride、FmCo-Lys(NvCo)-OH、FmCo-Lys(palmitoyl)-OH、FmCo-L-光リジン、DL-5-ヒドロキシリシン塩酸塩、H-L-光-リジンHCl、またはそれらの組み合わせに対する支持も明示的に含む。
【0054】
本開示において、「含む(Copmrise)」、「含む(Comprising)」、「含む(Containing)」および「有する(having)」などは、米国特許法においてそれらに付与される意味を有することができ、「含む(includes)」、「含む(including)」などを意味し、一般にオープンエンド用語であると解釈される。「からなる(consisting of)」または「からなる(consists of)」という用語は、閉じた用語であり、かかる用語と関連して具体的に列挙された構成要素、構造、工程等のみを含むとともに、米国特許法に従ったものである。「実質的にからなる(Consisting essentially of)」または「実質的にからなる(Consists essentially of)」は、米国特許法によって一般的に付与される意味を有する。特に、このような用語は一般に閉じた用語であり、それに関連して使用される項目の基本的かつ新規な特性または機能に重大な影響を与えない追加の項目、材料、構成要素、工程、または要素を含めることを許可するという例外がある。例えば、組成物中に存在するが、組成物の性質または特性に影響を与えない微量元素は、そのような用語に続く項目のリストに明示的に記載されていなくても、「実質的にからなる(Consisting essentially of)」という用語の下で存在すれば許容されるだろう。記述において「を含む(Comprising)」または「を含む(including)」のようなオープンエンド用語を使用する場合、「からなる(consisting of)」と同じように「実質的にからなる(Consisting essentially of)」言語にも、明示的に記載されているかのように直接的な支持が与えられるべきであることが理解され、その逆もまた然りである。
【0055】
本明細書および特許請求の範囲における「第1」、「第2」、「第3」、「第4」などの用語は、類似の要素間を区別するために使用され、必ずしも特定の連続的または時系列的順序を説明するために使用されるものではない。そのように使用される任意の用語は、本明細書に記載される実施形態が、例えば、本明細書に図示またはその他の方法で記載されるもの以外の順序で動作可能であるような適切な状況下で交換可能であることが理解されるものとする。同様に、方法が一連の工程を含むものとして本明細書に記載される場合、本明細書に提示されるそのような工程の順序は、そのような工程が実行され得る唯一の順序であるとは限らず、記載された工程のうちのあるものはおそらく省略され得る、および/または本明細書に記載されていない他のある工程はおそらくその方法に追加され得る。
【0056】
本明細書で使用される場合、「増加」、「減少」、「より良い」、「より悪い」、「より高い」、「より低い」、「強化」、「改善」、「最大化」、「最小化」などの比較用語は、他の装置と測定可能に異なる装置、コンポーネント、組成、生物学的反応、生物学的状態、または活動の性質を意味し、周辺または隣接領域にある、類似する、単一の装置または組成物にある、または複数の比較可能な装置または組成物にある、グループまたはクラスにある、複数のグループまたはクラスにある、または元の(例えば未処理)またはベースラインと比較される、他の装置、コンポーネント、組成物、生物学的反応、生物学的状態、または活動から測定可能に異なる、装置、コンポーネント、組成物、生物学的反応、生物学的状態、または活動の特性を指す。例えば、神経痛の軽減において「改善された」性能を有するα-RgIA4アナログは、他のものと比較して、安定性、結合効力、効力、または他の性能関連特性の少なくとも1つの側面に関して改善を提示するだろうα-RgIA4アナログ。
【0057】
本明細書で使用されるように、複数のアイテム、構造要素、構成要素、および/または材料は、便宜上、共通のリストで示されることがある。しかしながら、これらのリストは、リストの各メンバーが個別にユニークなメンバーとして識別されるかのように解釈されるべきである。したがって、そのようなリストの個々のメンバーは、反対の指示なしに、共通のグループにおけるそれらの提示にのみ基づいて、同じリストの他のメンバーの事実上の同等物と解釈されるべきではない。
【0058】
本明細書で使用される場合、用語「少なくとも1つの」は、「1つ以上の」と同義であることが意図される。例えば、「A、BおよびCのうちの少なくとも1つ」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、またはそれぞれの組合せを明示的に含む。
【0059】
濃度、量、レベルおよび他の数値データは、本明細書において範囲形式で表現または提示されることがある。このような範囲形式は、単に便宜上および簡潔さのために使用され、したがって、範囲の限界として明示的に唱えられた数値のみならず、各数値および小範囲が明示的に唱えられたかのようにその範囲内に包含される全ての個々の数値または小範囲または小数単位も含むように柔軟に解釈されるべきであることが理解されよう。例として、「約1~約5」の数値範囲は、約1~約5の明示的な値だけでなく、示された範囲内の個々の値およびサブレンジも含むと解釈されるべきである。したがって、この数値範囲に含まれるのは、1、2、3、4、および5と同様に、2、3、および4などの個々の値および1~3、2~4、および3~5などの下位範囲である。また、最小値、最大値として1つの数値のみを記載した範囲についても同様とする。さらに、このような解釈は、範囲の広さや記述される特性に関係なく適用されるべきである。
【0060】
方法またはプロセスの請求項に記載された工程は、任意の順序で実行することができ、請求項に示された順序に限定されるものではない。手段プラス機能または工程プラス機能の限定は、特定の請求項の限定について、以下の条件:a)「のための手段」または「のための工程」が明示的に記載されている、およびb)対応する機能が明示的に記載されていることのすべてがその限定に存在する場合にのみ採用される。手段プラス機能をサポートする構造、材料または行為は、本明細書において明示的に記載される。したがって、本発明の範囲は、本明細書に記載された説明および実施例によってではなく、添付の請求項およびその法的同等物によってのみ決定されるべきである。
【0061】
本明細書で使用される「結合」という用語は、化学的、機械的、電気的または非電気的な方法で直接または間接的に接続されることと定義される。本明細書において互いに「隣接」していると説明される物体は、フレーズが使用される文脈に適切なように、互いに物理的に接触しているか、互いに近接しているか、または互いに同じ一般領域若しくは区域に存在することができる。
【0062】
本明細書における「一実施形態において」または「一態様において」という語句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態または態様を指すわけではない。本明細書を通じての「一実施例」への言及は、例に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書中の様々な場所での「実施例において」という表現の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているわけではない。
【0063】
具体的な実施形態例
開示の実施形態の最初の概要を以下に提供し、その後、特定の実施形態をさらに詳細に説明する。この初期の概要は、読者が技術的概念をより迅速に理解するのを助けることを意図しているが、その重要なまたは必須の特徴を特定することを意図しておらず、また請求された主題の範囲を制限することを意図していない。
【0064】
コノトキシン(CTxs)は、海産捕食性巻き貝の毒に由来し、その高い効力と神経障害性疼痛に関与するイオンチャネルに対する選択性から、非オピオイド鎮痛剤の有望な候補である。ω-コノトキシンMVIIA(別名:ジコノトイド(Prialt(登録商標))は電圧依存性カルシウムチャネル亜型(Cav2.2)を選択的に標的とし、2004年に米国FDAにより承認されて、難治性の慢性疼痛の治療に臨床で使用される。
【0065】
ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChRs)は、末梢神経系と中枢神経系に分布する膜貫通型のリガンド依存性陽イオンチャネルで、シナプス伝達を高速に行い、神経障害性疼痛、パーキンソン病、統合失調症、アルコール、薬物中毒などの神経系疾患に広く関与している。nAChRは、α、β、γ、δ、εなどの異なるサブユニットが、ホモあるいはヘテロ5量体の受容体内で様々な組み合わせで結合しており、薬理学的および生物物理学的に異なる機能を持つ複雑なnAChRサブタイプを形成している。nAChRは、これまでにも鎮痛薬の創薬ターゲットとして用いられてきたが、治療域の狭さや無差別なサブタイプ標的に起因する副作用が、創薬活動の妨げとなっていた。
【0066】
最近の研究では、化学療法誘発性神経障害性疼痛に対する非オピオイドベースのメカニズムとして、α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)サブタイプの阻害が同定される。α9α 10nAChR拮抗薬のうち、親配列α-RgIAから改変された第二世代アナログα-RgIA4は、「種による親和性のギャップ」を乗り越え、他のサブタイプや他の疼痛関連受容体を阻害することなく(例えば、選択性>1000倍)ネズミ(IC500.9nM)とヒトα9α10 nAChR(IC501.5nM)の両方に高活性を発揮することが分かっている。したがって、α-RgIA4は、非オピオイド鎮痛薬開発のリード化合物としての可能性を持つ。
【0067】
しかしながら、他のジスルフィドに富むペプチド医薬品分子と同様に、α-RgIA4はプロテアーゼ耐性が低く、血漿中半減期が短いため、候補としては不向きである。これは、チオール/ジスルフィド交換反応によって誘発されるジスルフィドスクランブルによって引き起こされ、
図1b-Aに示すように、活性コンフォメーションと不活性コンフォメーションの間の熱力学的安定性の限界の差によって、コンフォメーション変化と効力の大幅な喪失を引き起こす。構造的には、CTxsは高度に保存されたシステインフレームワークに依存し、受容体認識、効力、および選択性に重要な剛構造を維持している。残念ながら、他のジスルフィドに富んだペプチドと同様に、RgIA4は還元的な生理的環境においてジスルフィドスクランブルの影響を受けやすく、三次元構造の変化、凝集、治療効果の低下、免疫原性の副作用の増大を招くことがある。
【0068】
ジスルフィド擬態化合物は、この問題に対処し、さらなる臨床開発のために生物学的利用能のある化合物を作り出すことを試みている。しかし、ジスルフィド擬態化合物は、構造的な障害を引き起こす可能性があり、その結果、効能が損なわれる。例えば、ネイティブなジスルフィドの代わりに非還元性のジカルバブリッジを有するα-RgIAアナログは、ジスルフィドスクランブリングを受けないが、ネイティブペプチドと比較して著しく(すなわち、2桁の大きさで)効力が減少している。「ヘッド・トゥ・テール」骨格の環化は、柔軟な末端プロテアーゼ認識領域を隠すことによってCTxsを安定化するための別の方法として試みられてきた。例えば、cRgIA-6は、他の骨格環化アナログとともに、血清安定性の増加を示したが、この安定性の増加は、ヒトα9α10 nAChRに対する効力の減少をもたらした。
【0069】
ジカルバ、飽和ジカルバ、アルキン、チオエーテル、エーテル、ジセレニド(Sec)、およびトリアゾールブリッジ置換を含む戦略は、
図7a~Cに示すように、CTxs改変において試みられている。しかしながら、そのような戦略は、模倣部分の非適合性、生物活性の低下、および毒性のために、広い適用性を欠く。ヘッド-テール骨格環化は、分解の防止を通じてペプチドの安定性を高めるための別の戦略であるが、RgIAを適用した場合、α9α10n AChR結合親和性の効力低下をもたらす。
【0070】
一実施形態では、α-RgIAに導入されたラクタム結合は、活性球状コンフォメーションの劣化を防ぎ、ジスルフィドスクランブルを抑制することができる。大環状ペプチドのNMR構造はα-RgIA4の構造とよく重なり、環状化によって骨格や側鎖残基の全体的なコンフォメーションが乱されないことが実証された。最後に、分子ドッキングモデルによって、大環状アナログとα9α 10ニコチン性アセチルコリン受容体の間の選択的な結合を合理化することができる。インビボ試験は、進行中で議論されるアナログ6が、化学療法によって誘発された神経障害性疼痛モデルにおいて疼痛を防止できることを示す。構造的に、導入されたラクタム結合は、生物活性コンフォメーションを硬直化させ、ジスルフィドスクランブルを抑制し、ヒト血清安定性の増加を提供するための追加のコンフォメーション拘束を提供することができる。このような構造的制約のあるアンタゴニストは、抗侵害受容治療への介入を可能にする有望な候補である。
【0071】
別の実施形態では、RgIAアナログは、非オピオイド鎮痛剤としてヒトα9α10 nAChRを標的とするために、ジスルフィド代用体であるメチレンチオアセタールで安定化することが可能である。RgIA骨格のジスルフィドループI[CysI-CysIII]をメチレンチオアセタールに置き換えることは、大幅な効力損失をもたらすが、ループII[CysII-CysIV]をメチレンチオアセタールで橋渡しすることは、アナログの生物活性を維持するために必要な対応と考えられる。分子であるRgIA-5524は、ヒトα9α10 nAChRsに対して0.9nMのIC50と高い選択的阻害を示す。さらに、RgIA-5524はRgIA4よりもヒト血清中での分解抵抗性が大幅に向上していた。マウスを用いたインビボ試験では、RgIA-5524は化学療法誘発の神経障害性疼痛を緩和することが示された。α9ノックアウトマウスでは、RgIA-5524は神経因性疼痛を緩和することができず、α9含有nAChRがRgIA-5524の治療効果に利用されていることが明らかとなった。このように、メチレンチオアセタールは、コノトキシンやその他のジスルフィドを多く含むペプチド創薬におけるジスルフィド代替物として応用することが可能である。
【0072】
α-CTxsの治療的作用機序に関して進行中の論争があり、多くの研究がGABAB受容体の刺激が用いられると主張する一方で、他の研究はα9 nAChRのブロックアデが用いられると指摘している。本明細書に開示される研究は、野生型およびノックアウト(KO)マウスが、選択的α9α 10nAChRアンタゴニストが鎮痛性であることのみならず、α9-nAChRサブユニットの存在が鎮痛活性に用いられることを実証していることを示す。
【0073】
一実施形態においてα-RgIA4ペプチドアナログは、ニコチン性アセチルコリン受容体に結合するように構成された認識フィンガー領域と、システイン間硫黄結合を保護する側鎖結合構成とを含むことができる。α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体と、システイン間硫黄結合を保護する側鎖結合構成とを含むことができる。このアナログは、少なくともα-RgIA4ペプチドの結合親和性の少なくとも2.5%であるα9αニコチン性アセチルコリン受容体に対する結合親和性を有し得る。
【0074】
別の実施形態ではα-RgIA4ペプチドアナログは、保護されたシステイン間硫黄結合によって維持される構造(例えば、球状)を有することができる。この構造(例えば、球状)は、α-RgIA4ペプチドの結合親和性の少なくとも2.5%であるα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体の結合親和性を提供し得る。
【0075】
さらに別の実施形態ではα-RgIA4ペプチドアナログは、D P R、およびCI、CII、CIII、およびCIVを含むシスチン残基を含むことができる。システイン残基CIおよびCIIIは、第1のシステイン間硫黄結合により連結することができ、システイン残基CIIおよびCIVは、第2のシステイン間硫黄結合により連結することができる。第2のシステイン間硫黄結合は、側鎖結合構成によって保護され得る。
【0076】
別の実施態様では、α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体に対するα-RgIA4効能を維持する方法であって、α-RgIA4アナログの認識指領域をα-RgIA4構成に維持する側鎖結合構成でシステイン間硫黄結合を保護することを含むことができる。α-RgIA4配置(例えば、球状α-RgIA4構成)。
【0077】
より多くの実施形態において、組成物は、治療上有効な量のアナログと薬学的に許容される担体との組み合わせを含むことができる。別の実施形態では、対象において、α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体結合に応答する状態を治療するための方法は、治療有効量の組成物を対象に投与する工程を含み得る。
【0078】
α-RgIA4のアナログ
側鎖の環化は、適用され得るペプチド安定化方法の1つである。例えば、
図1b-Bに示すように、結合活性を保持しながらα-RgIAアナログの活性コンフォメーションを硬直させるために、側鎖環化によって末端に第3の環化ブリッジを挿入することができる。高い効力、受容体選択性、および強化された血清安定性を有するコンフォメーション的に拘束されたα-RgIAアナログは、ヒトα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体を標的にすることができる。本明細書に開示されるアナログ6は、α-RgIAに導入されたラクタム結合が、活性球状コンフォメーションの分解を防ぎ、ジスルフィドスクランブルを抑制できることを実証する。
【0079】
別の安定化方法として、ジスルフィドに最小限の機能的炭素単位(CH2)を挿入することで、還元できないメチレンチオアセタールは効率的なジスルフィド代替物となり得る。ジスルフィドをメチレンチオアセタールに置き換えることで、RgIAアナログの球状活性コンフォメーションを安定化させることができる。一実施例において、RgIA-5524は、他の疼痛関連イオンチャネルおよび受容体と比較して、高い選択性を有するヒトα9α10nAChR上で高い効力(例えば、IC50=0.9nM)を示した。
【0080】
一実施形態においてα-RgIA4ペプチドアナログは、ニコチン性アセチルコリン受容体に結合するように構成された認識フィンガー領域と、システイン間硫黄結合を保護する側鎖結合構成とを含むことができる。このアナログは、少なくともα-RgIA4ペプチドの結合親和性の少なくとも2.5%であるα9αニコチン性アセチルコリン受容体に対する結合親和性を有し得る。別の実施形態ではα-RgIA4ペプチドアナログは、保護されたシステイン間硫黄結合によって維持される構造(例えば、球状)を有し得る。この構造(例えば、球状)は、α-RgIA4ペプチドの結合親和性の少なくとも2.5%であるα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体の結合親和性を提供し得る。
【0081】
認識フィンガー領域は、
図6aでモデル化されているように、α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体、および
図7a-Bでモデル化されるようなα9サブユニットに結合するよう構成し得る。
結合が起こるようにするために、認識フィンガー領域の構造は維持される必要がある。認識フィンガー領域の構造を維持する(したがって、認識フィンガー領域の結合親和性を維持する)1つの方法には、配列順に、C
I、C
II、C
III、およびC
IVと番号付けされ得る、αRgIA4ペプチドアナログにおいて見出される4つのシステイン残基の間のシステイン間結合を保護することを含み得る。これらは配列順に、C
I、C
II、C
III、およびC
IVと番号付けされ得る。
【0082】
システイン間硫黄結合には、各システイン上の硫黄間の直接側鎖結合(例えば、CII上の硫黄は、CIV上の硫黄に結合できる)または各システイン上の硫黄間の間接結合(例えば、CII上の硫黄は、炭素などの中間体を介してCIV上の硫黄に結合できる)などを含めることができる。
【0083】
一実施形態において、システイン間硫黄結合は、側鎖結合構成によって保護され得る。一態様において、側鎖結合構成は、メチレンチオアセタール、ラクタムブリッジを有するC末端アミノ酸側鎖に環化されているN末端アミノ酸側鎖、またはそれらの組み合わせのうちの1つまたはそれ以上を含むことが可能である。
【0084】
側鎖結合構成がメチレンチオアセタールである場合、側鎖結合構成は、α-RgIA4ペプチドアナログにおけるCIIとCIVの間のシステイン間結合を構成することができる。側鎖結合構成(例えば、メチレンチオアセタール)をこの位置に配置すると、α-RgIA4ペプチドと比較してα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体に関してアナログの効力を低下させることなく、アナログを球状の活性コンフォメーションで安定化させることができる。一方、側鎖結合構成(例えば、メチレンチオアセタール)をCIとCIIIの間のシステイン間結合として位置づけることは、α-RgIA4ペプチドと比較してα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体に対する増強効果をもたらさない。
【0085】
多くのアナログ(例えば、アナログ1~6)は、α-RgIA4ペプチドの球状コンフォメーションを維持したままであった。しかしながら、あまり強力でないRgIA-5617と、より強力なアナログ(RgIA4、RgIA-5533、および5524)の間の1つの違いは、システイン対のCα距離であった。RgIA-5617の2つのシステイン対のCα距離は共に、RgIA4、RgIA-5533、およびRgIA-5524を含む他の活性分子(例えば、平均5.4~6.1Å)に比べて短くなった(例えば、システインループIおよびループIIにおいてそれぞれ平均4.8および4.7Åであった)。一実施例において、ループ-I(例えば、cysI-cysIII)におけるメチレンチオアセタール置換から生じる効力損失は、α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体への結合親和性を低下させ得るニコチン結合親和性を低下させ得る構造的縮小を引き起こし得る。別の実施例において、α-CTxのループ-Iジスルフィドは、α9(+)表面のCループジスルフィドに直接接触することによって、α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体に対してスタッキング相互作用を与えることができる。したがって、このループのメチレンチオアセタール置換は、この結合部位を阻害することによって、より強力なアナログと比較して効力の低下を引き起こす可能性がある。
【0086】
側鎖結合構成が、ラクタムブリッジでC末端アミノ酸側鎖に環化されるN末端アミノ酸側鎖である場合、N末端アミノ酸は、グルタミン酸およびアスパラギン酸からなる群から選択することができ、C末端アミノ酸は、リジン、ホモリジン、オルニチン、L-2,4-ジアミノ酪酸、およびL-2,3-ジアミノプロピオン酸からなる群から選択することができる。別の実施例において、C末端アミノ酸は、リジンおよびL-2,3-ジアミノプロピオン酸からなる群から選択され得る。一実施例において、N-末端アミノ酸はグルタミン酸であり、C-末端アミノ酸はリジンであり得る。
【0087】
このような側鎖の結合配置により、α-RgIA4ペプチドと比較した場合、それぞれのtheα-RgIA4アナログは、ニコチン性アセチルコリン受容体に対する結合親和性を高めることができる。例えば、アナログは、10ニコチン性アセチルコリン受容体に対する結合親和性を有することができる。
2.5%、5%、7.5%、15%、25%、40%、50%、80%の少なくとも1つまたはそれ以上であるα9αニコチン性アセチルコリン受容体に対する結合親和性を有し得、α-RgIA4ペプチドのニコチン性アセチルアルコールに対する結合親和性α9αニコチン性アセチルコリン受容体に対するα-RgIA4ペプチドの結合親和性と実質的に等しくても良い。さらに、アナログは、α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体に対するα-RgIA4ペプチドの結合親和性よりも大きいα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体に対する結合親和性を有しても良い。
【0088】
この側鎖の結合配置は、α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体に対する高い結合親和性を有するα-RgIA4アナログを供給するだけでなく、α-RgIA4ペプチドの効力と比較して、効力の増加を提供し得る。一実施例において、アナログは、以下のものを提供することができる。α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体IC50値と実質的に等しい。α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体ICの値と実質的に等しい値を提供することができる。50α-RgIA4ペプチドの10ニコチン性アセチルコリン受容体IC値と実質的に等しい値を提供することができる。別の例では、アナログは、以下の値:2.0x、3.0x、5.0x、15.0x、25.0x少なくとも1つまたはそれ以上より大きくないα-RgIA4ペプチドのα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体IC50値のα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体IC50値を提供し得る。IC50値は、値が低いほど低濃度で50%阻害の閾値を達成できることを示すため、値が低いほど高活性を有する。
【0089】
一態様において、保護されたシステイン間結合は、CIとCIII、CIIとCIV、またはそれらの組み合わせの間のシステイン間結合(例えば、側鎖結合)の1つまたはそれ以上であることができる。保護されたシステイン間結合(側鎖結合構成によって保護され得る)は、α-RgIA4ペプチド、または保護されたシステイン間硫黄結合を有しないα-RgIA4ペプチドアナログと比較して、ジスルフィド橋のスクランブル、ジスルフィド橋の分解、またはそれらの組み合わせを低減することができる。ジスルフィドブリッジスクランブリングは、ペプチド中のジスルフィドブリッジが分解され、その後異なる配置で再形成される場合に起こり得る。例えば、第一の構成ではα-RgIA4ペプチドアナログは、CIとCIIIの間に第1のジスルフィド橋、CIIとCIVの間に第2のジスルフィド橋を有することができる。スクランブル後、CIとCIVの間に第1のジスルフィド橋、CIIとCIIIの間に第2のジスルフィド橋が存在しうる。ディスルフィド橋スクランブルによりペプチドが構造変化し、目的のペプチド機能(例えば、α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体の阻害)が妨げられうる可能性がある。ジスルフィド橋の分解は、ジスルフィド橋が再形成されずに分解される場合に起こり得る。この分解はまた、所望のペプチド機能を阻害し得るペプチドの構造変化をもたらすことがある。
【0090】
側鎖結合構成はまた、システイン間硫黄結合を保護し、ヒト血清中のα-RgIA4ペプチドの安定性より大きいα-RgIA4ペプチドアナログのヒト血清中における安定性を提供する。1つの態様において、ヒト血清中の安定性は、0.1mg/mLのインキュベーション後に残存するペプチドまたはペプチドアナログの量によって測定され、α-RgIA4ペプチドアナログまたはα-RgIA4ペプチドを90%ヒト血清AB型に入れ、37℃で1、2、4、8、または24時間のうちの少なくとも1つでインキュベートした後に残存するペプチドまたはペプチドアナログの量によって測定される。
【0091】
いくつかの実施例において、ヒト血清中におけるα-RgIA4ペプチドの安定性の10%、20%、40%、60%、80%、100%、200%、300%、400%、500%、または1000%のうちの少なくとも1つまたはそれ以上より大きくても良い。別の実施例において、α-RgIA4ペプチドアナログのヒト血清中における安定性は、α-RgIA4ペプチドのヒト血清中における安定性より少なくとも50倍大きくし得る。別の実施例において、α-RgIA4ペプチドアナログのヒト血清中における安定性は、α-RgIA4ペプチドの安定性の少なくとも10倍大きくし得る。別の実施例において、α-RgIA4ペプチドアナログのヒト血清中における安定性は、α-RgIA4ペプチドのヒト血清中における安定性の少なくとも2倍であることが可能である。
【0092】
α-RgIA4ペプチドの安定性と比較してα-RgIA4ペプチドアナログの安定性は、還元型グルタチオン(GSH)において測定することができる。一実施例において、保護されたシステイン間硫黄結合は、還元型グルタチオン中のα-RgIA4ペプチドの安定性よりも大きい還元型グルタチオン中のα-RgIA4ペプチドアナログの安定性を提供し得る。いくつかの実施例において、還元型グルタチオン中の安定性は、α-RgIA4ペプチドアナログまたはα-RgIA4ペプチドを0.1mg/mLインキュベートした後に残存する量、またはα-RgIA4ペプチドを10等量の還元型グルタチオンとともにpH7.4のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で37℃で1、2、4、8または24時間のうち少なくとも1時間インキュベートした後に残存する量によって測定される。
【0093】
いくつかの実施例において、α-RgIA4ペプチドアナログのGSHでの安定性は、GSHにおけるα-RgIA4ペプチドの安定性と比較して、10%、20%、40%、60%、80%、100%、200%、300%、400%、500%、1000%の少なくとも1つまたはそれ以上よりも大きくすることができる。別の実施例において、GSH中でのα-RgIA4ペプチドアナログのGSHにおける安定性は、GSHにおけるα-RgIA4ペプチドの安定性の少なくとも50倍大きくすることができる。別の実施例において、α-RgIA4ペプチドアナログのGSHにおける安定性は、α-RgIA4ペプチドのGSHにおける安定性の少なくとも10倍大きくすることができる。
【0094】
α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体に対するα-RgIA4ペプチドアナログの選択性は、ニコチン性アセチルコリン受容体のα-RgIA4ペプチドの選択性と比較することができる。一実施例において、保護されたシステイン間硫黄結合は、α9αと実質的に等しい10ニコチン性アセチルコリン受容体選択性と実質的に等しいα9αニコチン性アセチルコリン受容体の選択性を提供することができる。別の実施例において、保護されたシステイン間硫黄結合は、異なるニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)サブタイプの選択性と比較して、α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体に対する少なくとも100倍以上の選択性を提供することができる。異なるnAChRサブタイプは、α1β1δε、α2β2、α2β4、α3β2、α3β4α4β2、α4β4、α6/α3β2β3、α6/α3β4、またはこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0095】
α-RgIA4ペプチドアナログの安全性プロファイルもまた、安全性プロファイルを有することができる。一態様において、保護されたシステイン間硫黄結合は、α-RgIA4ペプチドの安全性プロファイルと実質的に等しいか、またはそれよりも大きい安全性プロファイルを提供することができる。安全性プロファイルは、以下の1つ以上によって測定することができる:100μMの濃度で存在するアナログは自動化ホールセルパッチクランプアッセイから測定したヒトエーテル-ア-ゴー-ゴー-関連遺伝子(hERG)K+チャネルの25%未満を阻害するか、または100μMの濃度で存在するアナログは、モノアミン酸化酵素(MAO)アッセイによって測定される約20%未満の阻害活性を有するか、または10μMの濃度で存在するアナログは、CYPアッセイで測定して20%未満の阻害活性を有する。
【0096】
本明細書に開示される側鎖結合構成(例えば、メチレンアセタールの包含、またはラクタムブリッジを介した側鎖の連結)は、α-RgIA4ペプチドアナログの様々な側面を強化することができる。例えば、α-RgIA4ペプチドアナログの血清半減期は、α-RgIA4ペプチドの血清半減期と比較した場合より長い。別の実施例において、α-RgIA4ペプチドアナログの循環時間は、α-RgIA4ペプチドの循環時間と比較した場合よりも長い。α-RgIA4ペプチドの循環時間と比較して、α-RgIA4ペプチドアナログの循環時間は増強され得る。別の実施例において、α-RgIA4ペプチドアナログの経口および/または頬への吸収はα-RgIA4ペプチドの経口および/または頬への吸収と比較した場合より増強される。別の実施例において、α-RgIA4ペプチドアナログのAUCによって測定されるバイオアベイラビリティは、α-RgIA4ペプチドのAUCによって測定されるバイオアベイラビリティと比較した場合より増強され得る。別の実施例において、α-RgIA4ペプチドアナログの免疫原性は、α-RgIA4ペプチドの免疫原性と比較した場合より向上し得る。
【0097】
別の例では、α-RgIA4ペプチドアナログの貯蔵安定性は、α-RgIA4ペプチドの保存安定性と比較した場合と比べて向上し得る。一実施例において、貯蔵安定性は、周囲湿度および温度において選択された貯蔵時間だけ貯蔵した場合に測定することができる。いくつかの実施態様において、1日、1週間、2週間、4週間、3ヶ月、6ヶ月、1年、またはそれらの組み合わせの1つまたはそれ以上を超える保存時間を測定して、α-RgIA4ペプチドアナログとα-RgIA4ペプチドとの間の安定性の向上を比較するために測定することができる。
【0098】
さらに別の実施形態ではα-RgIA4ペプチドアナログは、D P R;およびCI、CII、CIII、およびCIVを含むシスチン残基を含むことができる。システイン残基CIおよびCIIIは、第1のシステイン間硫黄結合により連結することができ、システイン残基CIIおよびCIVは、第2のシステイン間硫黄結合により連結することができる。第2のシステイン間硫黄結合は、側鎖結合構成によって保護され得る。一態様において、第2のシステイン間硫黄結合は、メチレンチオアセタール、N末端アミノ酸側鎖がラクタムブリッジでC末端アミノ酸側鎖に環化されるか、またはその組み合わせを含み得る。
【0099】
一態様において、第2のシステイン間硫黄結合がメチレンチオアセタールを含む場合、アナログは、アミノ酸配列Xaa1 C C Xaa2 D P R C Xaa3 Xaa4 Xaa5 C Xaa6を含み、Xaa1-6はC以外の任意のアミノ酸である。
【0100】
一実施例において、アナログがアミノ酸配列Xaa1 C C Xaa2 D P R C Xaa3 Xaa4 Xaa5 C Xaa6を含み、次に、Xaa1は、C以外の任意のタンパク質原性または非タンパク質原性アミノ酸であり得、Xaa2は、C以外の任意のタンパク質原性または非タンパク質原性アミノ酸であり得、Xaa3は、(Cit)または任意のタンパク質原性もしくは非タンパク質原性の正アミノ酸からなる群から選択されるメンバーであり得、Xaa4は任意のタンパク質原性もしくは非タンパク質原性の芳香族アミノ酸であり得、Xaa5は任意のタンパク質原性もしくは非タンパク質原性の正アミノ酸であり得、およびXaa6は任意のタンパク質原性もしくは非タンパク質原性の芳香族アミノ酸であり得る。
【0101】
別の態様において、第2のシステイン間硫黄結合がメチレンチオアセタールを含む場合、アナログは、アミノ酸配列Xaa1 C C Xaa2 D P R C Xaa3 Xaa4 Xaa5 C Xaa6 Xaa7を含み、Xaa1-7はC以外の任意のアミノ酸であり得る。
【0102】
別の実施例において、アナログがアミノ酸配列Xaa1 C C Xaa2 D P R C Xaa3 Xaa4 Xaa5 C Xaa6 Xaa7を含み、次に、Xaa1はC以外の任意のタンパク質原性または非タンパク質原性アミノ酸であり得、Xaa2はC以外の任意のタンパク質原性または非タンパク質原性アミノ酸であり得、Xaa3は(Cit)または任意のタンパク質原性もしくは非タンパク質原性の正アミノ酸からなる群から選択されるメンバーであり得、Xaa4は任意のタンパク質原性もしくは非タンパク質原性の芳香族アミノ酸であり得、Xaa5は任意のタンパク質原性もしくは非タンパク質原性の正アミノ酸であり得、Xaa6は任意のタンパク質原性もしくは非タンパク質原性の芳香族アミノ酸であり得、およびXaa7はC以外の任意のタンパク質原性または非タンパク質原性アミノ酸であり得る。
【0103】
別の態様において、第2のシステイン間硫黄結合がメチレンチオアセタールを含む場合、アナログは、アミノ酸配列G C C T D P R C Xaa3 Xaa4 Q C Xaa6を含み、ここでXaa1はG、Xaa2はT、Xaa5はQ、Xaa3、4、または6はC以外の任意のアミノ酸である。
【0104】
別の態様において、第2のシステイン間硫黄結合がメチレンチオアセタールを含む場合、アナログは、アミノ酸配列G C C T D P R C Xaa3 Xaa4 Q C Xaa6を含み得るが、ここで、Xaa3は、(Cit)およびRからなる群より選択されるメンバーであり、Xaa4は、(iY)およびYからなる群より選択されるメンバーであり、Xaa6は、(bhY)、Y、およびbAからなる群より選択されるメンバーである。
【0105】
別の態様において、第2のシステイン間硫黄結合がメチレンチオアセタールを含む場合、アナログは、アミノ酸配列G C C T D P R C(Cit)(iY)Q C Y(配列ID番号:10)を含み得、ここで、Xaa3は(Cit)であり、Xaa4は(iY)であり、Xaa6はYである。
【0106】
別の態様において、第2のシステイン間硫黄結合がメチレンチオアセタールを含む場合、アナログは、アミノ酸配列G C C T D P R C Xaa3 Xaa4 Q C Xaa6 Xaa7を含み得、ここでXaa1はG、Xaa2はT、Xaa5はQ、Xaa3、4、6、または7はC以外の任意のアミノ酸である。
【0107】
別の態様において、第2のシステイン間硫黄結合がメチレンチオアセタールを含む場合、アナログは、アミノ酸配列G C C T D P R C Xaa3 Xaa4 Q C Xaa6 Xaa7を含み得る、ここでXaa3は(Cit)およびRからなる群から選択されるメンバーであり、Xaa4は(iY)およびYからなる群から選択されるメンバーであり、Xaa6は(bhY)、Y、およびbAからなる群から選択されるメンバーであり、Xaa7は、Rである。
【0108】
別の態様において、第2のシステイン間硫黄結合がメチレンチオアセタールを含む場合、アナログは、アミノ酸配列G C C T D P R C R(iY)Q C(bhY)R(配列ID番号:12)を含み得、ここで、Xaa3はRであり、Xaa4は(iY)であり、Xaa6は(bhY)である。
【0109】
別の態様において、第2のシステイン間硫黄結合がメチレンチオアセタールを含む場合、アナログは、アミノ酸配列G C C T D P R C R(iY)QC(bA)R(配列ID番号:13)を含み得、ここで、Xaa3はRであり、Xaa4は(iY)であり、Xaa6は(bA)である。
【0110】
別の態様では、N末端アミノ酸側鎖は、ラクタムブリッジを有するC末端アミノ酸側鎖に環化することができる。N末端アミノ酸側鎖が、ラクタムブリッジを有するC末端アミノ酸側鎖に環化され得る場合、N-末端アミノ酸は、グルタミン酸およびアスパラギン酸からなる群から選択され得る。別の態様において、C末端アミノ酸は、リジンおよびL-2,3-ジアミノプロピオン酸からなる群から選択することができる。別の実施例において、C末端アミノ酸は、リジン、ホモリジン、オルニチン、L-2,4-ジアミノ酪酸、およびL-2,3-ジアミノプロピオン酸からなる群より選択することができる。別の態様では、N末端アミノ酸はグルタミン酸であり得、C末端アミノ酸はリジンである。
【0111】
別の態様では、N末端アミノ酸側鎖がラクタムブリッジでC末端アミノ酸側鎖に環化されている場合、アナログは、アミノ酸配列Xaa8 Xaa9 C C Xaa10 D P R C Xaa11 Xaa12 Xaa13 CXaa14 Xaa15を含み得、ここでXaa8-15はC以外の任意のアミノ酸である。
【0112】
別の態様では、N末端アミノ酸側鎖がラクタムブリッジでC末端アミノ酸側鎖に環化される場合、アナログは、アミノ酸配列Xaa8 Xaa9 C C Xaa10 D P R C Xaa11 Xaa12 Xaa13 C Xaa14 Xaa15を含み得、ここで、Xaa8はEおよびDからなる群より選ばれたメンバー、Xaa15はKおよび(Dap)からなる群より選ばれたメンバー、Xaa9-14はC以外の任意のアミノ酸である。
【0113】
別の態様において、N末端アミノ酸側鎖がラクタムブリッジでC末端アミノ酸側鎖に環化される場合、アナログは、アミノ酸配列Xaa8 Xaa9 C C T D P R C Xaa11 Xaa12 Q C Y Xaa15を含み得、ここでXaa8はEおよびDからなる群から選択されるメンバー、Xaa10はT、Xaa13はQ、Xaa14はY、Xaa15はKおよび(Dap)からなる群から選択されるメンバー、Xaa9、11、または12はC以外の任意のアミノ酸である。
【0114】
別の態様において、N末端アミノ酸側鎖がラクタムブリッジでC末端アミノ酸側鎖に環化される場合、アナログは、アミノ酸配列Xaa8 Xaa9 C C T D P R C Xaa11 Xaa12 Q C Y Xaa15を含み得、ここでXaa8はEおよびDからなる群から選択されるメンバーであり、Xaa9はGまたは(bA)であり、Xaa11はRまたは(Cit)であり、Xaa12はYまたは(iY)であり、Xaa15はKおよび(Dap)からなる群から選択されるメンバーである。
【0115】
別の態様において、N末端アミノ酸側鎖がラクタムブリッジでC末端アミノ酸側鎖に環化される場合、アナログは、アミノ酸配列E G C T D P R C(Cit)Y Q C Y K(配列ID番号:5)を含み得、ここで、Xaa8はE、Xaa9はG、Xaa11は(Cit)、Xaa12はY、およびXaa15はKである。
【0116】
別の態様では、N末端アミノ酸側鎖がラクタムブリッジでC末端アミノ酸側鎖に環化される場合、アナログは、アミノ酸配列E(bA)C T D P R C(Cit)Y Q C Y K(配列ID番号:6)を含み得、ここで、Xaa8はE、Xaa9は(bA)、Xaa11は(Cit)、Xaa12はY、およびXaa15はKである。
【0117】
別の態様では、N末端アミノ酸側鎖がラクタムブリッジでC末端アミノ酸側鎖に環化される場合、アナログは、アミノ酸配列E G C T D P R C(Cit)(iY)Q C Y K(配列ID番号:7、以下同様)を含み得、ここでXaa8はE、Xaa9はG、Xaa11は(Cit)、Xaa12は(iY)、Xaa15はKである。
【0118】
別の態様では、N末端アミノ酸側鎖がラクタムブリッジでC末端アミノ酸側鎖に環化される場合、アナログは、アミノ酸配列E G C T D P R C R(iY)Q C Y K(配列ID番号:8)から成り得、ここで、Xaa8はE、Xaa9はG、Xaa11はR、Xaa12は(iY)、およびXaa15はKである。
【0119】
別の実施態様では、α-RgIA4アナログにおけるα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体に対するα-RgIA4効能を維持する方法であってα-RgIA4アナログの認識フィンガー領域をα-RgIA4構成(例えば、球状α-RgIA4構成)に維持する側鎖結合構成でシステイン間硫黄結合を保護することを含むことができる。
【0120】
1つの態様において、アナログは、以下:2.5%、5%、7.5%、15%、25%、40%、50%、80%のうちの少なくとも1つまたはそれ以上の親和性、またはα-RgIA4ペプチドの結合親和性に実質的に等しい親和性、またはα-RgIA4ペプチドの結合親和性より大きい親和性でα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体に結合することができる。
【0121】
別の態様では、アナログは、
α-RgIA4ペプチドのα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体のIC50値と実質的に等しい、または2.0倍、3.0倍、5.0倍、15.0倍、25.0倍のうちの少なくとも1つまたはそれ以上より大きくないα-RgIA4ペプチドのα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体IC50値である、α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体を阻害することができる。
【0122】
別の態様では、システイン間硫黄結合を保護することで、異なるnAChRサブタイプの選択性と比較して、α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体に対して、2倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、75倍、100倍、150倍、または200倍のうちの少なくとも1つまたはそれ以上であるα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)提供し得る。別の態様では、システイン間硫黄結合を保護することにより、α-RgIA4ペプチドのヒト血清中安定性より少なくとも100倍大きいα-RgIA4ペプチドアナログのヒト血清中における安定性を提供することができる。
【0123】
別の態様では、システイン間結合を保護する工程は、CIとCIII、CIIとCIV、またはそれらの組み合わせの間のシステイン間結合の1つまたは複数を保護する工程を含む。一実施例において、システイン間硫黄結合を保護することは、CIIとCIVの間にメチレンチオアセタールを挿入する工程を含み得る。別の実施例において、システイン間硫黄結合を保護する工程は、N末端アミノ酸とC末端アミノ酸の間にラクタムブリッジを作成する工程を含む。
【0124】
α-RgIA4アナログの調製方法
一実施形態において、活性環状α-RgIA4アナログは、
図2に示されるように調製され得る。新たに導入されたラクタム橋は、樹脂上で合成され、続いて、位置選択的なジスルフィド結合配置が球状異性体を維持するために適用され得る2操作液相酸化プロセスによって合成することができる。詳細には、側鎖保護P1は、塩化2-クロロトリチル(2-CTC)樹脂上での自動9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(FmCo)固相ペプチド合成(SPPS)により、N末端のFmCo除去、tert-ブチルオキシカルボニル(BCo)での再保護を行うことにより合成することが可能である。末端側鎖アミンと酸を直交脱保護し(例えば、保護基1(PG
1)と保護基2(PG
2))、さらに環化してラクタム架橋分子複合体P2を形成させることができる。ラクタム環化ペプチドは、切断、精製によって生成することができ、空気酸化を経て二環式生成物P3を生成することができる。最後に、完全に折り畳まれたP4は、in situのヨウ素酸化的脱保護-ジスルフィド形成により生成することができる。
【0125】
別の実施形態では、活性メチレンチオアセタールα-RgIA4アナログは、
図7a~Dに示されるように調製され得る。RgIAアナログの化学合成は、塩化2-クロロトリチル(2-CTC)樹脂上の9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(FmCo)固相ペプチド合成(SPPS)に続いて、2操作および位置選択的分子内結合形成反応を用いることにより達成され得る。正しい足場形成は、Cys
I-Cys
III、Cys
II-Cys
IVまたはそれに対応するメチレンチオアセタール置換で、同じ接続性を持つものである。結合は、1)開裂によるトリチル(Trt)除去後のフリーCys上でのメチレンチオアセタール形成、2)in situ 酸化的アセトアミドメチル(Acm)脱保護-カップリングプロセスによるジスルフィド結合形成、3)繰り返しメチレンチオアセタール形成によるビスメチレンチオアセタール置換アナログの順に明示的に形成された。
【0126】
詳細には、2-CTC樹脂から組み立てられたペプチド鎖を切断した後、Trt保護を除去し、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP.HCl)、炭酸カリウムおよびトリメチルアミン(Et3N)の存在下でジヨードメタンで処理し、標的メチレンチオアセタル結合を形成することが可能である。この変換は、1バッチで300mgスケールと大規模に行うことができ、ターゲットペプチドの大量調製を可能にすることができる。Acm脱保護後、25%水性酢酸(ACoH)中の過剰なヨウ素処理により、2番目のジスルフィドブリッジを形成し、完全に折り畳まれたペプチドを得ることができる。
【0127】
組成と剤形
このことを念頭に置いて、より多くの実施形態において、組成物は、本明細書に開示される治療上有効な量のアナログと薬学的に許容される担体の組み合わせを含み得る。
【0128】
一態様では、アナログは、約0.0001wt%~約10wt%の濃度で存在することができる。一実施例において、アナログは、約0.0001wt%~約1wt%の濃度で組成物中に存在することができる。別の実施例において、アナログは、組成物中に約0.001wt%~約1wt%の濃度で存在することができる。もう1つの実施例において、アナログは、約0.01wt%~約0.1wt%の濃度で組成物中に存在することができる。いくつかの実施例において、アナログは、約0.005wt%~約0.05wt%の濃度で組成物中に存在することができる。
【0129】
一態様において、薬学的に許容される担体は、水、強壮剤、緩衝剤、防腐剤などの1つ以上、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0130】
いくつかの実施例において、担体は、強壮剤を含むことができる。強壮剤の非限定的な例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、マンニトール、ソルビトール、デキストロース、グリセリン、プロピレングリコール、エタノール、トレハロース、リン酸緩衝食塩水(PBS)、ダルベッコPBS、アルセバー液、トリス緩衝生理食塩水(TBS)、水、平衡塩溶液(BSS)、例えばハンクBSS、アールBSS、グレイBSS、パックBSS、シムBSS、チロデBSS、BSSプラス等、またはそれらの組合せを挙げることができる。強壮剤は、組成物の適切な強壮性を提供するために使用することができる。一態様において、組成物の強壮度は、約250~約350ミリオスモル/リットル(mOsm/L)とすることができる。別の態様では、組成物の強壮度は、約277~約310mOsm/Lとすることができる。
【0131】
いくつかの実施例において、担体は、pH調整剤または緩衝剤を含むことができる。pH調整剤または緩衝剤の非限定的な例としては、塩酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、酒石酸緩衝液、リン酸緩衝液、トリエタノールアミン(TRIS)緩衝液等の多数の酸、塩基およびそれらの組み合わせ、またはその組み合わせが挙げられ得る。典型的には、治療用組成物のpHは、約5~約9、または約6~約8であり得る。別の例では、治療用組成物のpHは、約5~約6であり得る。
【0132】
いくつかの実施例において、担体は防腐剤を含み得る。防腐剤の非限定的な実施例としては、アスコルビン酸、アセチルシステイン、重亜硫酸塩、メタ重亜硫酸塩、モノチオグリセロール、フェノール、メタクレゾール、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ブチルヒドロキシトルエン、塩化ミリスチルγ-ピコリミウム、2-フェノキシエタノール、硝酸フェニル水銀、クロロブタノール、チメロサール、トコフェロール等、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0133】
一態様では、組成物は、追加の活性剤をさらに含むことができる。一態様において、追加の活性剤は、抗炎症剤、麻酔剤、二次鎮痛ペプチド、非ペプチド性鎮痛剤など、またはそれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーである。
【0134】
一実施例において、追加の活性剤は、抗炎症剤であり得る。抗炎症剤の非限定的な実施例としては、イブプロフェン、ナプロキセン、アスピリン、ジクロフェナク、セレコキシブ、スリンダック、オキサプロジン、ピロキシカム、インドメタシン、メロキシカム、フェノプロフェン、ジフニサル、エトドラク、ケトロラク、メクロフェナメート、ナブメトン、サルサレート、ケトプロフェン、トルメチン、フルルビプロフェン、メフェナム酸、ファモチジン、ブロムフェナック、ネパフェナック、プレドニゾン、コーチゾン、ハイドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、デフラザコルト、プレドニゾロン、フルドロコルチゾン、アムシノニド、ベタメタゾンジプロプリオネート、クロベタゾール、クロコルトロン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、デュラステリド、フルメタゾンピバレート、フルニソライド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオロメソロン、プロピオン酸フルチカゾン、フルランドルノライド、ヒドロフルメチアジド等、その水和物、その酸、その塩基、またはその塩、またはその組み合わせが挙げられる。
【0135】
一実施例において、追加の活性剤は麻酔薬であり得る。麻酔薬の非限定的な実施例としては、アルチカイン、ブピバカイン、シンチカイン、エチドカイン、レボブピバカイン、リドカイン、メピバカイン、プリロカイン、ロピバカイン、トリメカインなど、またはそれらの組み合わせがあり得る。
【0136】
一実施例において、追加の活性剤は、第二の鎮痛ペプチドであり得る。一実施例において、追加の活性剤は、非ペプチド性鎮痛剤とすることができる。非ペプチド鎮痛剤の非限定的な例としては、アセトアミノフェン、コデイン、ジヒドロコデイン、トラマドール、メペリジン、ヒドロコドン、オキシコドン、モルヒネ、フェンタニル、ヒドロモルフォン、ブプレノルフィン、メタドン、ジモルフィン、ペチジン等、それらの水和物、それらの酸、それらの塩基、またはそれらの組合せが挙げられ得る。
【0137】
一態様において、追加の活性剤は、約0.0001wt%~約10wt%の濃度で存在することができる。一例では、追加の活性剤は、約0.0001wt%~約1wt%の濃度で組成物中に存在することができる。別の実施例において、追加の活性剤は、組成物中に約0.001wt%~約1wt%の濃度で存在することができる。もう1つの実施例において、追加の活性剤は、約0.01wt%~約0.1wt%の濃度で組成物中に存在することができる。いくつかの実施例において、追加の活性剤は、約0.005wt%~約0.05wt%の濃度で組成物中に存在することができる。
【0138】
別の態様では、組成物は、溶液、懸濁液、乳剤、ゲル、ヒドロゲル、熱応答性ゲル、クリーム、軟膏、ペースト、接着剤、液溜め、パッチ、またはこれらの組み合わせのうちの1つとして製剤化することができる。ある態様において、組成物は、局所投与、経皮投与、静脈内投与、皮下投与など、またはそれらの組み合わせに適し得る。ある態様において、組成物は、皮下注射に適し得る。
【0139】
治療方法
さらに別の実施形態では、対象において、α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体結合に応答する状態を治療する方法は、治療有効量の組成物を対象に投与する工程を含み得る。1つの態様において、状態は、痛みであり得る。別の態様では、状態は、脊髄性多発性硬化症であり得る。別の態様では、状態は、帯状疱疹後神経痛であり得る。別の態様では、状態は、三叉神経痛であり得る。別の態様では、状態は、複合性局所疼痛症候群であり得る。別の態様では、状態は、多発性硬化症であり得る。
【0140】
症状が痛みである場合、痛みは、化学物質誘発性神経障害(CIPN)、糖尿病性神経障害、関節炎性神経障害、骨関節炎性神経障害などの1つまたはそれ以上を含む神経障害性疼痛、またはこれらの組み合わせであり得る。別の態様では、痛みは、HIV痛であり得る。別の態様では、痛みは、ハンセン病に関連する痛みであり得る。別の態様では、痛みは、術後疼痛、外傷後疼痛などの1つまたはそれ以上、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0141】
別の態様では、状態は、癌であり得る。癌は、上皮癌、肺癌、乳癌、またはそれらの組み合わせのうちの1つまたはそれ以上を含み得る。
【0142】
別の態様では、状態は、炎症であり得る。一態様において、炎症は、免疫細胞によって媒介され、リウマチに関連し、またはそのような組み合わせであり得る。治療することができる例示的な炎症状態には、炎症、慢性炎症、リウマチ性疾患(関節炎、ループス、強直性脊椎炎、線維筋痛症、腱炎、滑液包炎、強皮症、痛風を含む)、敗血症、線維筋痛症、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎およびクローン病を含む)、サルコイドーシス、内膜症、子宮筋腫、炎症性皮膚疾患(乾癬および創傷治癒障害を含む)、肺の炎症性疾患(喘息および慢性閉塞性肺疾患を含む)、神経系の炎症に伴う疾患(多発性硬化症、パーキンソン病、およびアルツハイマー病を含む)、歯周病、心血管疾患であり得る。
【0143】
一態様では、組成物は、約25μl~約1mlのα-RgIA4アナログを有する剤形であり得る。別の態様では、組成物は、約1ml~約5mlのα-RgIA4アナログを有する剤形であり得る。一態様において、組成物は、約5ml~約10mlのα-RgIA4アナログを有する剤形であり得る。
【0144】
別の実施形態では、治療は、投与後の選択された時間内に症状の軽減を提供することができる。治療上有効な量の局所用組成物を投与することで、症状に関連する症状を軽減することができる。別の態様では、治療は、投与後の選択された時間の量内で少なくとも10%の症状の軽減を提供することができる。一実施例において、治療法は、投与後の選択された量の時間内に少なくとも20%の症状の低減を提供することができる。さらに1つ以上の実施例において、治療は、投与後の選択された時間内に少なくとも30%の症状の低減を提供することができる。さらに別の実施例において、治療法は、投与後の選択された時間内に少なくとも50%の症状の低減を提供することができる。
【0145】
症状の軽減を達成する投与後の選択された時間は、様々であり得る。一実施例において、選択された時間の量は、投与後15秒未満とすることができる。別の実施例において、選択された時間の量は、投与後30秒未満とすることができる。別の実施例において、選択された時間の量は、投与後60秒未満とすることができる。別の実施例において、選択された時間の量は、投与後5分未満とすることができる。別の実施例において、選択された時間の量は、投与後15分未満とすることができる。別の実施例において、選択された時間の量は、投与後30分未満とすることができる。
【0146】
さらに別の態様において、治療上有効な量の組成物は、1日当たり1~10回、対象に投与することができる。一実施例において、組成物は、1日あたり1~10回、対象に投与することができる。別の実施例において、組成物は、1日当たり1~5回、対象に投与することができる。さらに別の実施例において、組成物は、1日当たり3~5回、対象に投与することができる。
【0147】
1つのより詳細な態様において、治療上有効な量の組成物は、投与レジメンに従って対象に投与することができる。一実施例において、組成物は、約1日~約12ヶ月の期間、1日当たり少なくとも1回投与することができる。別の実施例において、組成物は、約1日~約6ヶ月の期間、1日当たり少なくとも1回投与することができる。さらに別の実施例において、組成物は、約1日~約3ヶ月の期間、1日当たり少なくとも1回投与することができる。さらに別の実施例において、組成物は、約1日~約1ヶ月の期間、1日当たり少なくとも1回投与することができる。
【0148】
別の態様において、治療上有効な量の組成物を投与することは、皮下投与形態、経皮投与形態、局所投与形態、静脈内投与形態など、またはそれらの組み合わせとすることができる。
【0149】
別の態様において、α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体結合に反応する対象における状態の治療に使用するための組成物は、治療的有効量の組成物を含むことができる。別の態様では、α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体結合に反応する対象における状態の処置のための医薬の製造における組成物の使用は、治療上有効な量の組成物を含み得る。
【表1】
注1:[]は、1位のアミノ酸の側鎖(例えば、DまたはE)と最終位のアミノ酸の側鎖(例えば、DapまたはK)の間にラクタム橋が架かって環化されたペプチドを意味する。
注2:C
I、C
II、C
III、C
IVは、N末端に対するペプチド中のシステインの順序を意味する。例えば、C
IはC
IIよりもN末端に近く、C
IIはC
IIIよりもN末端に近く、C
IIIはC
IVよりもN末端に近い。
注3:X1~X15は、本明細書に記載されるXaaを意味する。
13は、C
IとC
IIIのシステイン間硫黄結合のメチレンチオアセタールを指す。
24は、C
IIとC
IVのシステイン間硫黄結合のメチレンチオアセタールを指す。
【0150】
事例紹介
一実施例において、α-RgIA4ペプチドアナログは、α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体に結合するように構成された認識フィンガー領域と、およびシステイン間硫黄結合を保護する側鎖結合構成とを含み得、ここで、前記アナログは、α-RgIA4ペプチドの結合親和性の少なくとも2.5%である前記α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体に対する結合親和性を有する。
【0151】
別の実施例において、α-RgIA4ペプチドアナログは、保護されたシステイン間硫黄結合によって維持される構造を有し得、前記構造は、α-RgIA4ペプチドの結合親和性の少なくとも2.5%であるα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体に対する結合親和性を提供する。
【0152】
別の例では、α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体に対する結合親和性は、以下のようになり得る:α-RgIA4ペプチドの結合親和性の少なくとも5%か、または-RgIA4ペプチドの結合親和性の少なくとも7.5%か、またはα-RgIA4ペプチドの結合親和性の少なくとも15%か、またはα-RgIA4ペプチドの結合親和性の少なくとも25%か、またはα-RgIA4ペプチドの結合親和性の少なくとも40%か、またはα-RgIA4ペプチドの結合親和性の少なくとも50%か、またはα-RgIA4ペプチドの結合親和性の少なくとも80%か、またはα-RgIA4ペプチドの結合親和性と実質的に同等であるか、または-RgIA4ペプチドの結合親和性よりも大きい。
【0153】
別の実施例において、保護されたシステイン間硫黄結合は、α-RgIA4ペプチドの効力と比較して、効力の増加を提供することができる。
【0154】
別の実施例において、アナログは、以下のα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体IC50値を提供する:α-RgIA4ペプチドのα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体IC50値と実質的に等しい、またはα-RgIA4ペプチドのα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体IC50値の2.0倍を超えない、またはα-RgIA4ペプチドのα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体IC50値の3.0倍を超えない、α-RgIA4ペプチドのα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体IC50値の5.0倍を超えない、またはα-RgIA4ペプチドのα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体IC50値の15.0倍を超えない、またはα-RgIA4ペプチドのα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体IC50値の25倍を超えない。
【0155】
別の実施例において、保護されたシステイン間硫黄結合は、α-RgIA4ペプチドまたはα-保護されたシステイン間硫黄結合を有しないα-RgIA4ペプチドアナログと比較して、ジスルフィドブリッジスクランブル、ジスルフィドブリッジ分解、またはそれらの組み合わせの1つまたはそれ以上を減少させることができる。
【0156】
別の実施例において、側鎖結合構成は、メチレンチオアセタール、ラクタムブリッジでC末端アミノ酸側鎖に環化されているN末端アミノ酸側鎖、またはそれらの組み合わせの1つまたはそれ以上を含み得る。
【0157】
別の実施例において、側鎖の結合構成は、CIIとCIVの間のシステイン間結合を含むメチレンチオアセタールであり得る。
【0158】
別の実施例において、側鎖結合構成は、ラクタムブリッジを有するC末端アミノ酸側鎖に環化されるN末端アミノ酸側鎖であり得る。
【0159】
別の実施例において、N-末端アミノ酸は、グルタミン酸およびアスパラギン酸からなる群から選択することができる。
【0160】
別の実施例において、C末端アミノ酸は、リジンおよびL-2,3-ジアミノプロピオン酸からなる群から選択することができる。
【0161】
別の例では、N末端アミノ酸はグルタミン酸であり得、C末端アミノ酸はリジンであり得る。
【0162】
別の実施例において、保護されたシステイン間硫黄結合は、ヒト血清中におけるα-RgIA4ペプチドの安定性よりも大きい、ヒト血清中のα-RgIA4ペプチドアナログの安定性を提供し得、ここで、ヒト血清中の安定性は、α-RgIA4ペプチドアナログの0.1mg/mLのインキュベーション後に残存する量によって測定されるか、またはα-RgIA4ペプチドを90%ヒト血清AB型に入れ、37℃で1、2、4、8、24、48、または72時間のうち少なくとも1つの時間インキュベートした後の残存量によって測定される。
【0163】
別の実施例において、α-RgIA4ペプチドアナログのヒト血清中の安定性は、α-RgIA4ペプチドのヒト血清中における安定性より、10%、20%、40%、60%、80%、100%、200%、300%、400%、500%、または1000%のうちの少なくとも1つまたはそれ以上大きいとすることができる。
【0164】
別の実施例において、保護されたシステイン間硫黄結合は、還元型グルタチオンにおけるα-RgIA4ペプチドの安定性より大きい、還元型グルタチオンにおけるα-RgIA4ペプチドアナログの安定性を提供し得、前記還元型グルタチオンにおけるα-RgIA4ペプチドの安定性は、α-RgIA4ペプチドアナログの0.1mg/mLのインキュベーション後の残存量によって測定されるか、またはα-RgIA4ペプチドを10等量の還元型グルタチオンとともにpH7.4のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で、37℃で1、2、4、8、24、48または72時間のうちの少なくとも1つでインキュベーションした後の残存量によって測定される。
【0165】
別の実施例において、α-RgIA4ペプチドアナログの還元型グルタチオンにおける安定性は、還元型グルタチオンにおけるα-RgIA4ペプチドの安定性よりも10%、20%、40%、60%、80%、100%、200%、300%、400%、500%、または1000%のうち少なくとも1つ以上大きいとすることができる。
【0166】
別の実施例において、保護されたシステイン間硫黄結合は、α-RgIA4ペプチドのα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体選択性と実質的に同等のα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体選択性を提供することができる。
【0167】
別の実施例において、保護されたシステイン間硫黄結合は、異なるニコチン性アセチルコリン受容体(nACC)サブタイプの選択性と比較して、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、または200倍のうちの少なくとも1つ以上大きいα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体の選択性である、α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体を提供し得る。
【0168】
別の実施例において、異なるnAChRサブタイプは、以下からなる群から選択することができる:α1β1δε、α2β2、α2β4、α3β2、α3β4α4β2、α4β4、α6/α3β2β3およびα6/α3β4。
【0169】
別の実施例において、保護されたシステイン間硫黄結合は、α-RgIA4ペプチドの安全性プロファイルと実質的に等しいか、またはそれよりも大きい安全性プロファイルを提供し得、ここで、安全性プロファイルは、100μMの濃度で存在するアナログは自動化ホールセルパッチクランプアッセイから測定されるヒトエーテル-ア-ゴー-ゴー-関連遺伝子(hERG)K+チャネルの25%未満を阻害し、100μMの濃度で存在するアナログは、モノアミン酸化酵素(MAO)アッセイによって測定される約20%未満の阻害活性を有するか、または10μMの濃度で存在するアナログは、CYPアッセイで測定される20%未満の阻害活性を有する。
【0170】
別の実施例において、保護されたシステイン間結合は、CIとCIII、CIIとCIV、またはそれらの組み合わせの間のシステイン間結合の1つまたはそれ以上であることが可能である。
【0171】
別の実施例において、構造は球状であることができる。
【0172】
別の実施例において、α-RgIA4ペプチドアナログは、DPRを含む認識フィンガー領域と、およびCI、CII、CIII、およびCIVを含むシスチン残基と、を含み、ここで、CIとCIIIは第1のシステイン間硫黄結合で結合し、CIIとCIVは第2のシステイン間硫黄結合で結合し、および少なくとも第2のシステイン間硫黄結合は側鎖結合構成によって保護される。
【0173】
別の実施例において、第2のシステイン間硫黄結合は、メチレンチオアセタールを含み得、N末端アミノ酸側鎖は、ラクタムブリッジでC末端アミノ酸側鎖に環化することができ、またはそれらの組合せであることができる。
【0174】
別の実施例において、第2のシステイン間硫黄結合は、メチレンチオアセタールを含み得る。
【0175】
別の実施例において、アナログは、アミノ酸配列Xaa1 C C Xaa2 D P R C Xaa3 Xaa4 Xaa5 C Xaa6(配列ID番号:13)を含み得、ここで、Xaa1-6はC以外の任意のアミノ酸である。
【0176】
別の実施例において、アナログは、アミノ酸配列Xaa1 C C Xaa2 D P R C Xaa3 Xaa4 Xaa5 CXaa6(配列ID番号:14)を含み得るが、ここで、Xaa1はC以外の任意のタンパク質原性または非タンパク質原性アミノ酸であり、Xaa2はC以外の任意のタンパク質原性または非タンパク質原性アミノ酸であり、Xaa3は(Cit)または任意のタンパク質原性もしくは非タンパク質原性の正アミノ酸以下からなる群から選択されるメンバーであり、Xaa4は任意のタンパク質原性もしくは非タンパク質原性の芳香族アミノ酸であり、Xaa5は任意のタンパク質原性もしくは非タンパク質原性の正アミノ酸であり、およびXaa6は任意のタンパク質原性もしくは非タンパク質原性の芳香族アミノ酸、である。
【0177】
別の実施例において、アナログは、アミノ酸配列Xaa1 C C Xaa2 D R C Xaa3 Xaa4 Xaa5 C Xaa6 Xaa7(配列ID番号:20)を含み得、ここでXaa1-7はC以外の任意のアミノ酸である。
【0178】
別の実施例において、アナログは、アミノ酸配列Xaa1 C C Xaa2 D P R C Xaa3 Xaa4 Xaa5 C Xaa6 Xaa7(配列ID番号:21)を含み得る、ここで、Xaa1はC以外の任意のタンパク質原性または非タンパク質原性アミノ酸、Xaa2はC以外の任意のタンパク質原性または非タンパク質原性アミノ酸であり、Xaa3は(Cit)または任意のタンパク質原性もしくは非タンパク質原性の正アミノ酸からなる群から選択されるメンバーであり、Xaa4は任意のタンパク質原性もしくは非タンパク質原性の芳香族アミノ酸であり、Xaa5は任意のタンパク質原性もしくは非タンパク質原性の正アミノ酸であり、Xaa6は任意のタンパク質原性もしくは非タンパク質原性の芳香族アミノ酸であり、Xaa7はC以外の任意のタンパク質原性もしくは非タンパク質原性アミノ酸である。
【0179】
別の実施例において、アナログは、アミノ酸配列G C C T D P R C Xaa3 Xaa4 Q C Xaa6(配列ID番号:15)を含み得、ここでXaa1はG、Xaa2はT、Xaa5はQ、およびXaa3、4、または6はC以外の任意のアミノ酸である。
【0180】
別の実施例において、アナログは、アミノ酸配列G C C T D P R C Xaa3 Xaa4 Q C Xaa6(配列ID番号:16)を含み得、ここで、Xaa3は、(Cit)およびRからなる群より選択されるメンバーであり、Xaa4は、(iY)およびYからなる群より選択されるメンバーであり、Xaa6は、(bhY)、Y、およびbAからなる群より選択されるメンバーである。
【0181】
別の実施例において、アナログは、アミノ酸配列G C C T D P R C(Cit)(iY)QCY(配列ID番号:18)を含み得、ここで、Xaa3は(Cit)であり、Xaa4は(iY)であり、Xaa6はYである。
【0182】
別の実施例において、アナログは、アミノ酸配列G C C T D P R C Xaa3 Xaa4 Q C Xaa6 Xaa7(配列ID番号:22)を含み得、ここでXaa1はG、Xaa2はT、Xaa5はQ、およびXaa3、4、6、または7はC以外の任意のアミノ酸である。
【0183】
別の実施例において、アナログは、アミノ酸配列G C C T D P R C Xaa3 Xaa4 Q C Xaa6 Xaa7(配列ID番号:23)を含み得、ここで、Xaa3は(Cit)およびRからなる群から選択されるメンバーであり、Xaa4は(iY)およびYからなる群から選択されるメンバーであり、Xaa6は(bhY)、Y、およびbAからなる群から選択されるメンバーであり、Xaa7は、Rである。
【0184】
別の実施例において、アナログは、アミノ酸配列G C C T D P R C R(iY)QC(bhY)R(配列ID番号:24)を含み得、ここで、Xaa3はRであり、Xaa4は(iY)であり、Xaa6は(bhY)である。
【0185】
別の実施例において、アナログは、アミノ酸配列G C C T D P R C R(iY)QC(bA)R(配列ID番号:25)を含み得、ここで、Xaa3はRであり、Xaa4は(iY)であり、Xaa6は(bA)である。
【0186】
別の実施例において、N末端アミノ酸側鎖は、ラクタムブリッジでC末端アミノ酸側鎖に環化することができる。
【0187】
別の実施例において、N-末端アミノ酸は、グルタミン酸およびアスパラギン酸からなる群から選択することができる。
【0188】
別の実施例において、C末端アミノ酸は、リジンおよびL-2,3-ジアミノプロピオン酸からなる群から選択することができる。
【0189】
別の実施例において、N末端アミノ酸はグルタミン酸であり得、C末端アミノ酸はリジンであり得る。
【0190】
別の実施例において、アナログは、アミノ酸配列Xaa8 Xaa9 C C Xaa10 D P R C Xaa11 Xaa12 Xaa13 C Xaa14 Xaa15(配列ID番号:3)からなり得、ここでXaa8-15はC以外の任意のアミノ酸でもある。
【0191】
別の実施例において、アナログは、アミノ酸配列Xaa8 Xaa9 C C Xaa10 D P R C Xaa11 Xaa12 Xaa13 C Xaa14 Xaa15(配列ID番号:4)を含み得、ここで、Xaa8はEおよびDからなる群から選択されるメンバーであり、Xaa15はKおよび(Dap)からなる群から選択されるメンバーであり、Xaa9-14はC以外の任意のアミノ酸である。
【0192】
別の実施例において、アナログは、アミノ酸配列Xaa8 Xaa9 C C T D P R C Xaa11 Xaa12 Q C Y Xaa15(配列ID番号:5)を含み得、ここで、Xaa8はEおよびDからなる群から選択されるメンバーであり、Xaa10はT、Xaa13はQ、Xaa14はY、Xaa15はKおよび(Dap)からなる群から選択されるメンバー、Xaa9、11、または12はC以外の任意のアミノ酸である。
【0193】
別の実施例において、アナログは、アミノ酸配列Xaa8 Xaa9 C C T D P R C Xaa11 Xaa12 Q C Y Xaa15(配列ID番号:6)を含み得、ここでXaa8はEおよびDからなる群から選択されるメンバーであり、Xaa9はGまたは(bA)であり、Xaa11はRまたは(Cit)であり、Xaa12はYまたは(iY)であり、Xaa15はKおよび(Dap)からなる群から選択されるメンバーである。
【0194】
別の実施例において、アナログは、アミノ酸配列E G C T D P R C(Cit)Y Q C Y K(配列ID番号:9)を含み得、ここで。Xaa8はE、Xaa9はG、Xaa11は(Cit)、Xaa12はY、およびXaa15はKである。
【0195】
別の実施例において、アナログは、アミノ酸配列E(bA)C C T D P R C(Cit)Y Q C Y K(配列ID番号:10)を含み得、ここで、Xaa8はE、Xaa9は(bA)、Xaa11は(Cit)、Xaa12はY、およびXaa15はKである。
【0196】
別の実施例において、アナログは、アミノ酸配列E G C T D P R C(Cit)(iY)Q C Y K(配列ID番号:11)を含み得、ここで、Xaa8はE、Xaa9はG、Xaa11は(Cit)、Xaa12は(iY)、Xaa15はKである。
【0197】
別の実施例において、アナログは、アミノ酸配列E G C C T D P R C R(iY)Q C Y K(配列ID番号:12)を含み得、ここで、Xaa8は、E、Xaa9はG、Xaa11はR、Xaa12は(iY)、Xaa15はKである。
【0198】
別の実施例において、組成物は、治療上有効な量の前述のようなアナログと薬学的に許容される担体との組合せを含み得る。
【0199】
別の実施例において、組成物は、局所投与、経皮投与、静脈内投与、または皮下投与に適していることができる。
【0200】
別の実施例において、組成物は、追加の活性剤をさらに含み得る。
【0201】
別の実施例において、追加の活性剤は、抗炎症剤、麻酔剤、二次鎮痛ペプチド、非ペプチド鎮痛剤、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるメンバーであり得る。
【0202】
別の実施例において、追加の活性剤は、約0.0001wt%~約10wt%の濃度で存在することができる。
【0203】
別の実施例において、組成物は、溶液、懸濁液、乳剤、ゲル、ヒドロゲル、熱応答性ゲル、クリーム、軟膏、ペースト、接着剤、液溜め、パッチ、またはそれらの組み合わせのうちの1つとして配合することができる。
【0204】
別の実施例において、組成物は、皮下注射に適することができる。
【0205】
別の実施例において、薬学的に許容される担体は、水、強壮剤、緩衝剤、防腐剤、またはそれらの組み合わせのうちの1つまたはそれ以上を含むことができる。
【0206】
別の実施例において、α-RgIA4アナログにおけるα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体に対するα-RgIA4効力を維持する方法は、認識フィンガー領域を維持する側鎖結合構成でシステイン間硫黄結合を保護する工程を含み得る。
【0207】
別の実施例において、アナログは、以下のα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体に結合することができる:α-RgIA4ペプチドの結合親和性の少なくとも5%、またはα-RgIA4ペプチドの結合親和性の少なくとも7.5%、またはα-RgIA4ペプチドの結合親和性の少なくとも15%、またはRgIA4ペプチドの結合親和性の少なくとも25%、またはRgIA4ペプチドの結合親和性の少なくとも40%、またはRgIA4ペプチドの結合親和性の少なくとも50%、またはRgIA4ペプチドの結合親和性の少なくとも80%、またはRgIA4ペプチドの結合親和性と実質的に等々であるか、またはRgIA4ペプチドの結合親和性より大きい。
【0208】
別の実施例において、アナログは、以下のIC50値を有するα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体を阻害し得る:α-RgIA4ペプチドのα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体のIC50値と実質的に等しい、またはα-RgIA4ペプチドのα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体のIC50値2.0倍を超えない、またはα-RgIA4ペプチドのα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体のIC50値の3.0倍を超えない、またはα-RgIA4ペプチドのα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体のIC50値の15.0倍を超えない、またはα-RgIA4ペプチドのα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体のIC50値の25.0倍を超えない、
【0209】
別の実施例において、システイン間硫黄結合を保護することで、異なるnAChRサブタイプの選択性と比較して、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、または200倍のうちの少なくとも1つ以上より大きいα9αニコチン性アセチルコリン受容体に対する選択性である、α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)の選択性を提供し得る。
【0210】
別の実施例において、システイン間硫黄結合を保護することにより、α-RgIA4ペプチドのヒト血清中の安定性よりも10%、20%、40%、60%、80%、100%、200%、300%、400%、500%、または1000%の少なくとも1つまたはそれ以上より大きいα-RgIA4ペプチドアナログのヒト血清中における安定性を提供し得る。
【0211】
別の実施例において、システイン間結合を保護することにより、CIとCIII、CIIとCIV、またはそれらの組み合わせの間のシステイン間結合の1つまたはそれ以上を保護することを含み得る。
【0212】
別の実施例において、システイン間硫黄結合を保護することにより、CIIとCIVの間にメチレンチオアセタールを挿入することを含み得る。
【0213】
別の実施例において、システイン間硫黄結合を保護することにより、N-末端アミノ酸とC-末端アミノ酸との間にラクタム橋を作ることを含み得る。
【0214】
別の実施例において、対象において、α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体結合に応答する状態を治療するための方法は、治療上有効な量の前述のような組成物を対象に投与することを含み得る。
【0215】
別の実施例において、状態は痛みであり得る。
【0216】
別の実施例において、痛みは、化学物質誘発性神経障害(CIPN)、糖尿病性神経障害、関節炎性神経障害、骨関節炎性神経障害、またはそれらの組み合わせの1つまたはそれ以上を含む神経障害性疼痛であり得る。
【0217】
別の実施例において、痛みはHIVの痛みである可能性がある。
【0218】
別の実施例において、痛みはハンセン病に関連する痛みであり得る。
【0219】
別の実施例において、痛みは、術後の痛み、または外傷後の痛みのうちの1つ以上とすることができる。
【0220】
別の実施例において、状態は、脊髄性多発性硬化症であり得る。
【0221】
別の実施例において、症状は帯状疱疹後神経痛であり得る。
【0222】
別の実施例において、症状は三叉神経痛とすることができます。
【0223】
別の実施例において、複雑性局所疼痛症候群とすることができる。
【0224】
別の実施例において、状態は癌であり得る。
【0225】
別の実施例において、癌は、上皮癌、肺癌、乳癌、またはそれらの組み合わせのうちの1つまたはそれ以上を含み得る。
【0226】
別の実施例において、状態は多発性硬化症であり得る。
【0227】
別の実施例において、状態は炎症であり得る。
【0228】
別の実施例において、炎症は、免疫細胞によって媒介され、リウマチに関連し、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0229】
別の実施例において、治療は、投与後の選択された時間内に少なくとも10%の症状の低減を提供し得る。
【0230】
別の実施例において、治療上有効な量の組成物は、1日当たり1~5回、対象に投与し得る。
【0231】
別の実施例において、治療上有効な量の組成物は、約1日~約3ヶ月の期間、少なくとも1日1回の投与レジメンに従って対象に投与され得る。
【0232】
別の実施例において、治療上有効な量の組成物は、皮下投与形態、経皮投与形態、局所投与形態、静脈内投与形態、またはそれらの組み合わせとして投与し得る。
【0233】
別の実施例において、α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体結合に反応する対象における状態の治療に使用するための組成物は、治療上有効な量の標記組成物を対象に投与し得る。
【0234】
別の実施例において、α9α10ニコチン性アセチルコリン受容体結合に反応する対象における状態の治療のための医薬の製造における組成物の使用は、治療上有効な量の標記組成物を対象に投与し得る。
【0235】
実験例
以下の実施例は、本開示の特定の実施形態のより明確な理解を促進するために提供されるものであり、決してそれを制限するものではない。
【実施例1】
【0236】
実施例1-A:コンフォメーションに制約のあるα-RgIAアナログの設計と合成
方法
ペプチドの合成ペプチドは、シンセサイザー(SyroI)の自動FmCoSPPS化学を使用して合成した。最初のアミノ酸を2-CTC樹脂(置換度=0.77mmol/g)上に手動でカップリングし、樹脂をMeOHでキャップして最終置換度を0.4mmol/gとした。簡単に言うと、250mgの2-CTC樹脂(置換度=0.77mmol/g)を膨潤させ、DCMで30分間洗浄した。樹脂を排出し、続いて特定のFmCo保護アミノ酸(DCM=4mL中のFmCo-AA-OH=0.1mmol,DIEA=0.2mmol)の溶液中に添加し、室温で1.5時間インキュベートした。次に樹脂をDMFおよびDCMで複数回洗浄して、16%v/vMeOHおよび8%v/vDIEAを含むDCM5mLと5分間一緒にインキュベートした。この動作を5回繰り返した後,DCMとDMFで十分に洗浄した。その後、樹脂をシンセサイザーにセットして自動合成を行った。カップリング反応は、DMF(0.1mmolアミノ酸結合樹脂あたり5mL)中に、HATU(5.0eq.)、DIEA(10.0eq.)およびFmCo-AA-OH(5.0eq.)を用いて、70oC(CysおよびAllylとAlCo保護アミノ酸については50oC)に15分間加熱して実施した。脱保護反応は、DMF(4mL)中の20%(v/v)ピペリジンを用いて、室温で5分間、2ラウンド行った。
【0237】
切断。TFA/H2O/TIPS/EDT=95:2:2:1からなるカクテルバッファーで室温で2.5時間処理することにより、樹脂からペプチドを切断した(0.1mmol配列結合樹脂あたり3.0mL)。次に、得られたペプチド-TFA溶液を濾過し、冷エチルエーテル中に沈殿させ、遠心分離し、エチルエーテルで少なくとも2回洗浄してから真空中で乾燥させた。その後、粗生成物をRP-HPLCで精製した。
【0238】
LC/MS分析。ペプチドの特性評価は、アジレント6120四重極LC/MSシステム上で、XbridgeC185μm(50x2.1mm)カラムを0.4mL/minで、H2O/ACNグラジエントを0.1%FAで行って、LC/MSにより実施した。HPLCランから集めたフラクションもLC/MSで分析した。
【0239】
HPLCによる精製方法と純度確認。全てのサンプルは、特に指定がない限り、以下の条件で分析した。粗ペプチドのセミ分取逆相HPLCは、ジュピター5μ C 18300Å(250x10mm)カラムで、アジレント1260HPLCシステムで45分かけてACNの5%から35%まで0.1%TFAを含むH2O/ACNグラジエントを用いて3.0mL/分で行った。目的物を含む精製画分を回収し、LabConCo社の凍結乾燥機を用いて凍結乾燥した。すべての純度評価、異性体共注入、および安定性アッセイ分析は、PhenomenexGeminiC183μm(110Å150x3mm)カラムを用いたHPLCによって行われた。
【0240】
樹脂上での直交脱保護とラクタム化。方法1:樹脂上でPd(PPh3)4(0.1eq.)とDMBA(4.0eq.)inDCMを用いてアリルエステル(OAll)とアリルカルバミン酸(NHAlCo)を2時間かけて除去し、この反応を2ラウンド繰り返した。方法2:Pdを介した脱保護は3-ヨード-Tyr含有配列に適合しない(Pdの挿入と還元により、脱ヨード生成物が主要な可能性があった)。そこで、O(Dmab)とNH(ivDde)を直交保護ペアとして使用した。この樹脂をDMF中の5%ヒドラジン中で4時間インキュベートし、この操作を1回繰り返した。ラクタム環化反応は、DMF中のPyBOP/HOBt/DIEA(2:2:2.4eq.)の環化条件下で樹脂上で行い、>完了に使用したローター上で6時間の攪拌を行った。反応転化率はマイクロクリーバージュでモニターし、LC/MSで確認した。
【0241】
空気酸化によるジスルフィド結合の形成。2つの遊離システインを持つペプチドを、5%DMSOを含む0.01MNa2HPO4buffer(pH=8.0)中、室温で48時間以上通気して酸化させ、反応の進行をLC/MSでモニターした。反応終了後、反応混合物を上記の方法でRP-HPLCにより精製した。
【0242】
I2-によるジスルフィド結合の形成。ACoH:H2O(80%:20%v/v,1.00mM)中の撹拌したBis-Acm保護ペプチド溶液に、ACoHに溶解したI2(10.0eq.)を滴下して添加した。反応物を室温で10分間撹拌し、LC/MSでモニターした。過剰のI2は、混合物が無色になるまでアスコルビン酸溶液(1.0M)の添加によりクエンチした。その後、H2O(反応混合物と等量)で希釈し、RP-HPLCで精製した。
【0243】
結果と考察
完全活性型環状α-RgIA4アナログを設計するという目標のもと、α-RgIAのNMR構造(PDB2JUQ)および最近の受容体共結晶構造(PDB6HY7)を調べた。α-RgIAのN末端とC末端は約11.6Åの距離を持ち、ファーマコフォアから離れた位置にある。既存のバックボーン形状に適合させるためには、この距離を埋めるために両末端に追加のアミノ酸を使用し、理想的なリンカーがバックボーンを最小限の力で刺激して効力を維持できるようにする必要がある。そこで、スキーム1に示すような合成経路を設計し、一連の側鎖環化ペプチドを合成した。新たに導入したラクタム橋は、樹脂上で合成した後、位置選択的にジスルフィド結合を配置する2操作の液相酸化プロセスを経て、球状異性体を得ることができた。詳細には、
図2に示すように、側鎖保護P1は、N-末端Fmocを除去し、Bocで再保護した塩化2-クロロトリチル(2-CTC)樹脂上の自動Fmoc固相ペプチド合成(SPPS)により合成された。その後、末端側鎖アミンと酸を直交脱保護し(PG
1とPG
2)、さらに環化させてラクタム架橋分子複合体P2を形成させた。このラクタム環化ペプチドは、切断、精製を経て生成し、空気酸化を経て二環式生成物P3を得た。最後に、in situヨウ素酸化的脱保護-ジスルフィド形成により、完全に折り畳まれたP4が生成された。
【0244】
実施例1-B:合成したペプチドのインビトロおよびインビボでの生物学的評価
方法
化合物の特性評価本研究で合成・検討したすべてのアナログは、HPLCにより純度95%以上で決定した。分子量はESI-MS.[M+H]
+M/Z(Da):RgIA4,Calc 1691.6,Found 1691.4;Analogue 1:Calc 1749.1,Found 1749.6;Analogue 2,Calc 1791.0,Found 1791.5;Analogue 3,Calc 1804.1,Found 1804.6;Analogue 4,Calc 1819.1,Found 1819.6;Analogue 5,Calc 1931.0,Found 1931.5;Analogue 6,Calc 1929.0,Found 1929.8;RgIA4[1,4],Calc 1691.6,Found 1691.4;Analogue 6[1,4],Calc 1929.0,Found 1929.6によって測定された。精製した各ペプチドのLC-クロマトグラムおよびMS-スペクトラムを表1B-1にまとめて
図3C~3Kに示す。
【表2】
【0245】
卵母細胞受容体の発現。X.laevis卵母細胞に、選択したnAChRサブユニットをコードするcRNAをマイクロインジェクションした。すべてのヒト異種nAChRについて、卵母細胞は各サブユニットの15~25ng等量を注入され、相同ヒトα7について、卵母細胞はα7をコードする50ngのcRNAを注入された。卵子は、使用前にND96中で17℃で1~3日間インキュベートした。
【0246】
電気生理学的記録。注入された卵子は30μLの記録チャンバーに入れられ、-70mVの膜電位に電圧クランプされた。ND96(96.0mMNaCl,2.0mMKCl,1.8mMCaCl2,1.0mMMgCl2,5mMHEPES,pH7.5)と0.1mg/mLBSAを、2mL/minで記録室を通して重力灌流させた。受容体の反応を測定するために、AChの1秒パルスを1分間隔で印加した。AChは、α7では200μM、筋サブタイプでは10μMを除いて、すべてのサブタイプで100μMの濃度で適用された。ベースラインのACh反応を確立した後、ND96コントロール溶液を、様々な濃度の試験ペプチドを含むND96溶液に切り替えた。ペプチドを含む溶液の灌流中、AChパルスは1分間に1回続けられ、AChによる反応がブロックされているかどうかを評価した。AChの反応は、ペプチド濃度の存在下で、反応が定常状態になるまで測定された。ベースライン反応と比較したこれらの反応の3つの平均が、反応パーセントを決定するために使用された。材料が限られているため、10μM濃度試験では、ND96の流れを止めた状態で、3μlの100μMペプチドを30μlの記録チャンバーに導入した。5分間のインキュベーションの後、ND96のフローとAChパルスを再開し、ペプチドによるブロックを測定した。すべての濃度反応解析は、GraphPadPrismソフトウェアを用いて行った。得られたIC50を含む値は、非線形回帰(カーブフィット)シグモイド用量反応(可変スロープ)を用いて計算された。
【0247】
オキサリプラチン誘発性冷感アロディニア。オキサリプラチンは0.9%滅菌生理食塩水に0.875μg/μlで溶解した。アナログ6は0.9%滅菌生理食塩水に0.02μg/μlで溶解した。CBA/CaJマウスに、毎日(週末を除く)、オキサリプラチン(3.5mg/kg)または0.9%生理食塩水(ビヒクル)をi.p.投与した。マウスはまた、コントロールとしてアナログ6(80μg/kg)または0.9%生理食塩水を毎日s.c.投与された。この研究では、すべての化合物が実験者にとって盲検化されていた。この研究は、水曜日に最初のベースライン寒冷感受性試験で始まり、最初の1週間は水曜日、木曜日、金曜日に注射を行った。さらに2週間、月曜日から金曜日まで注射を続け、前日の注射の24時間後に水曜日にテストを行った。最終週は、月曜日と火曜日に注射を行い、その24時間後に最終検査日を迎えた。
【0248】
コールドプレートテスト。IITC Life Science社から購入したホット/コールドプレート機を用いて試験を実施した。試験マウスを室温(23oC)に保ったまま、調査行動が落ち着くまで試験室に慣れさせた。その後、1分間に10oCの速度で直線的に温度を下げた。マウスが両前足を持ち上げて激しく揺さぶるか、足底を繰り返し舐めた時点で試験を停止した。一度に片方の前足を持ち上げたり、前足を交互に往復させたりしても採点されず、試験は続行された。最終的な時間と温度を記録し、得られたデータはGraphpad Prismを用いてプロットした。データは、Dunnettの多重比較検定を用いた一元配置分散分析で解析した。P値は、オキサリプラチン/食塩水対照との有意差について、*P<0.05,**P<0.01,および***P<0.001であった。
【0249】
結果と考察
これまで、いくつかのα-CTx系薬剤の臨床試験が失敗したことから、ヒトとネズミのnAChRの感受性の違いを克服することが、CTx系鎮痛剤の開発における大きなハードルであり交絡因子であることが示された。この問題に対処するため、合成された類似化合物は、ヒトα9α10nAChR発現X.laevis卵母細胞の2電極電圧クランプ電気生理学によってテストされた。
図3a-Aおよび
図3a-Bに示すように、各濃度-応答曲線から生成したIC
50値を表1B-2に示す([]は環化、^はC末を示す)。
【表3】
【0250】
最適なリンカー配置を特定するために、アナログ1~4を合成した。最も強力なアナログ3は末端の[Glu-Lys]側鎖で環状化されており、α-RgIA4と比較して10倍の活性が低下している。アナログ1[Asp-Dap]とアナログ2[Asp-Lys]では、短いリンカーを生成すると生物活性が著しく低下するが、これはバックボーンの歪みや摂動が原因であると思われる。分子のN-末端残基のGly1を
βAla1に置き換えて1CH
2ユニット長くしたアナログ4も、リンカーを短くしたアナログほど劇的ではないものの、効力の低下をもたらした。[Glu-Lys]と同定された良好なリンカーを用いて、ヒトα9α10nAChRの効能を高めることができる残基である3-ヨード-チロシン変異を持つアナログ5が合成された。アナログ5の効力は5.9nMに達し、さらにCit9をArg9に変異して戻した場合(α-RgIA5に準拠)、3.4nMに減少した(アナログ6)。その選択性を測定するために他のヒトnAChRサブタイプでアナログ6を試験すると、
図3bに示すように、疼痛関連nAChRサブタイプでもあるα7(IC
50=504.0nM、150倍減少)を除くすべてのサブタイプに対して>10μMの効能が示された。この結果は、表1B-3に示すように、現在の環化戦略によって、保持された効力と良好な受容体選択性の両方を有するアナログ6が生成されることを示す。
【表4】
【0251】
アナログ6のインビボ疼痛緩和効果を、オキサリプラチン誘発末梢神経障害性疼痛げっ歯類モデルで評価した。
図3a-Bに示すように、マウスにオキサリプラチンを投与すると、冷感アロディニアが生じ、冷感プレート試験での潜時が徐々に減少したが、アナログ6の毎日の同時投与は、冷感アロディニアを有意に防止した。
【0252】
実施例1-C:RgIA4およびアナログ6のヒト血清安定性
方法
インビトロにおけるヒト血清の安定性試験。ペプチド(RgIA4およびアナログ6)をH2Oに溶解し(1.0mg/mL)、この溶液100μLを、初回解凍、滅菌ろ過、13000rpmで15分間予備遠心して脂質を除去したヒト男性AB血漿からのヒト血清900μLに添加した。最終的なペプチド濃度は0.1mg/mLであった。次に、溶液を37℃ウォーターバスでインキュベートし、あらかじめ決められた時点で個別に100μLを取り、300μLACNで処理し、30分間氷上で冷却した。この懸濁液を室温で13,000rpm、5分間遠心分離した。その後、上清10μLを取り、10μLのBufferA(0.1%TFAinH2O)に溶解し、HPLCサンプルとした。このサンプルをHPLC(注入量=15μL;カラム:Phenomenex,150mmx4.6mm,100Å,5μm)で分析し、8分間かけて5-50%Bの線形グラジエント(A=H2O+0.1%FAおよびB=ACN+0.1%FA;流速0.4mL/min)を行った。ペプチドのピーク面積を220nmで積分し、時間に対する残存率をグラフ化した。血清安定性実験は、各ペプチドについて独立に3回繰り返した。データ解析はGraphPad Prismソフトウェアで行った。
【0253】
結果と考察
チオールによるジスルフィドのスクランブルとヒト血漿中のタンパク質分解は、ジスルフィドに富むペプチド医薬品の2大脅威である。新しく導入されたコンフォメーション制約が代謝安定性にどのように影響するかを決定するために、α-RgIA4と比較して最も強力なアナログ6についてインビトロヒト血清安定性アッセイを実施した。
図4a-Aに示すように、アナログ6は、α-RgIA4よりも劇的に増加した安定性を示した。さらに、
図4a-Bに示すように、HPLC分析により、顕著なジスルフィドスクランブルの抑制が観察された。前方のピークは、
図4b-A、
図4b-B、および
図4b-Cに示すように、異性体共注入で同定されたスクランブル生成物[1,4]である。α-RgIA4の半分以上がそのリボン異性体α-RgIA4[1,4]にスクランブルしたのに対し、
図4a-Aに示すように、アナログ6の10%未満がスクランブルされた。まとめると、このデータは、アナログ6における側鎖環化が、タンパク質分解およびジスルフィドスクランブルの両方を大きく阻害したことを示す。
【0254】
実施例1-D:NMR解析と構造決定
方法
NMR SpectrosCopy.ペプチドサンプルは、2.0mMの10%D
2Oを含む(20mMNa
2HPO
4,50mMNaCl,50μMNaN
3および0.1mM EDTA)pH3.5 buffer中で調製した(アイソトープ効果について未補正)。スペクトルはInova500および600MHzスペクトロメーターで298Kで記録した。スペクトロメーターはVnmrJ4.0で設定した。TCoSY(80ms),gCoSY,NOESY(200ms),g11-NOESY,13C-HSQCを含む2次元実験が生成された。重水管に試料をセットし、勾配をつけた励起スカルプティングにより水分子の抑制を行った。スペクトルはソフトウェアNMRPipeで処理し、化学シフトはSPARKYで割り当てた。表1D-1にα-RgIA4、表1D-2にアナログ3、表1D-3にアナログ6を示す。TCoSY(青)およびNOESY(赤)のアミド領域とHSQCの脂肪族領域および芳香族領域の重ね合わせ。割り当てはSPARKYを用いて行った。例えば、
図5bから
図5jを参照。
【表5】
【表6】
【表7】
【0255】
構造計算。本研究における立体構造は、CYANA3.0を用い、NOESY(200ms)およびg11-NOESYスペクトルのクロスピークの強度からプロトン間距離拘束を導出することにより計算されたものである。特殊なアミノ酸ライブラリー(3-iodoTyr,Linked Glu,Lys)は、天然アミノ酸をベースに側鎖を修飾したものである。非ステレオ特異的に割り当てられたプロトンには擬似原子補正が適用された。Hα、Cα、Cβ、HN化学シフトに基づき、φ、ψ、χ1バックボーン二面角の制約をTALOSから作成した。構造はPyMOLを使用して示され、Rossetaで精製された。20個の最低エネルギー構造のアンサンブルは、
図5kから5mに示すように、水素が省略された棒として示されたバックボーン原子(N、O、CαおよびHα)に重ね合わせ、計算統計を提示する。
【0256】
結果と考察
構造全体に対する側鎖環化の効果をよりよく理解するために、α-RgIA4とアナログ3および6とのNMR研究が行われた。
図5a-Aに示すように、特にPro6からGln11までのらせん領域で密接に相関した2次Hα化学シフトは、これら3分子の間に高い構造的類似性があることを示唆した。α-RgIA4と3ではC-末端領域にわずかな差異が見られたが、α-RgIA4と6ではより類似性が高いことが示された。次に、CYANA3.0を用いて、α-RgIA4、3、6の完全な3次元溶液NMR構造を計算した。200の計算構造から、バックボーンRMSDの低い20の低エネルギー構造が生成された。環化拘束末端や側鎖リンカーの摂動に違いはあるものの、アナログ3とアナログ6は共にα-RgIA4と高い構造的類似性を有しており(
図5a-Bと5a-C)、特にAsp5-Pro6-Arg7の「認識指」領域が受容体結合に使用されていることが判明した。全体として、[Glu-Lys]側鎖の付加的な環化はペプチドのコアに構造的な障害をもたらすことはない。
【0257】
実施
例1-E:ドッキングモデル
方法
ドッキングスタディ。NMRデータから得られた20の低エネルギーアンサンブルには、アナログ6のコンフォマーに2つの一般的なクラスが存在しました。これらのクラスは両方ともRosettaで解析されたが、1つのクラス(20のアンサンブル構造のうち17を含む)は、RgIAとα9サブユニット(PDB 6HY7)の結晶構造で解決された既知の相互作用をうまく再現するドッキング座標を生成する。その中から最もエネルギーの低いコンフォーマーを選び、Rosettaを用いてα9/α10 nAChRサブユニット界面におけるアナログ6の仮想的な結合モデルを作成した。α9の構造はPDBエントリー6HY7と4D01から、α10のホモロジーモデル座標は以前の報告から取得した。α-RgIAはα9(+)/α9(-)およびα10(+)/α9(-)界面に優先的に結合することがインビトロの変異実験から示唆されており、α9(+)/α9(-)とα10(+)/α9(-)がRosettaでモデル化するために選択された。受容体サブユニット界面に対するアナログ6の最初のドッキングは、Rosetta DCoking ProtCoolを使用して行われ、アセチルコリン結合部位におけるアナログ6の開始位置のランダムな並進および回転摂動を3Åおよび8°だけ許容した。得られた1000個の座標ファイルに対するRosettaドッキングメトリクスI_scとrmsを2次元散布図にプロットしたところ、アセチルコリン結合部位(PDBファイル6HY7のRgIAに整列)にアナログ6を配置すると、最も好ましいI_scスコアを得られることが判明した。I_scとrmsの間には有意な相関があり、最初のドッキング操作で収束したことが示された。界面相互作用のさらなる精密化は、[-dCoking_lCoal_refineフラグ]を使用して行われた。局所精密化の結果は、I_rmsとI_scを用いてクラスタリングされ、高得点の結果が外れ値でないことを確認し、
図6bと6cに示すように、Rosetta Relaxを用いて最終最小化演算が行われた。
【0258】
結果と考察
最後に、Rosettaのタンパク質-タンパク質ドッキング計算に基づいて、アナログ6の受容体へのドッキングモデルを作成し、SARの取り組みに役立てた。我々は、α-RgIA/α9(+)結晶構造(PDB 6HY7)によって明らかになった結合相互作用が、アナログ6がα9/α10nAChRと結合する場合にも存在するとRosettaによって予測されることを見いだした。具体的には、アナログ6残基Asp5およびArg7は、分子内塩橋を形成し、Arg7上の残りのアミンは、α9(+)およびα10(+)表面の両方で受容体残基Pro200の骨格カルボニルに水素結合し、
図6a-Aおよび6a-Cに示すように、この相互関係は、報告された結晶構造とほぼ同一であった。さらに、アナログ6のPro6は、ループB上のTrp151とCH
2-π相互作用を形成する。しかし、このモデルは、リガンド結合時に受容体骨格の位置が変化することを考慮していないため、この明らかな違いは、水素結合のカットオフ距離を超えたところにある潜在的な相互作用パートナーの存在を誇張している可能性がある。その結果、α9(+)/α9(-)界面の場合、Arg9とThr152の骨格酸素の間にさらなる相互作用があることが示された。受容体残基Arg59は、α10(+)/α9(-)とα9(+)/α9(-)ではアナログ6残基Cys3、α10(+)/α9(-)ではCys8のバックボーン酸素と水素結合を形成していることがわかった。最後に、残基Thr4は、
図6a-Bおよび
図6a-Dに示すように、Asp171と水素結合を形成することが予測される。これらの仮説的モデルは、報告されたα-RgIAとヒトα9(+)表面の共複合体と一致し、これらの予測の基礎を支持するものである。しかしながら、α-RgIAとα9α10nAChRの(-)面に関する直接的で経験的な構造データがないことから、α-RgIAと関連アナログの完全な受容体ECDとの複合体の構造決定は今後の研究の目標である。
【0259】
実施例1-F:材料および方法
材料市販の化学物質はすべて購入し、さらに精製することなくそのまま使用した。標準的なFmoc保護アミノ酸は、Protein Technologies Inc.から入手した。Fmoc-L-Cys(SAcm)-OH、Fmoc-L-Cit-OH、Fmoc-L-3-Iodo-Tyr-OH、Fmoc-β-Ala-OH、Fmoc-L-Glu(OAll)-OH、Fmoc-L-Lys(NAloc)-OH、Fmoc-L-Asp(OAllyl)=OH,Fmoc-L-Glu(ODmab)-OH,Fmoc-L-Dap(NAlCo)-OH,Fmoc-Lys(ivDde)-OHを含む特別なFmCo保護アミノ酸は、およびHATU,HOBt,PyBOPを含む化学物はChemimpex Incから購入した。2-CTCレジンはChemPep社から購入した。EDT、DIEA、DCM、TIPS、DMBA、Pd(PPh3)4、ヨウ素、ピペリジン、ACh、塩化カリウム、ヒト血清およびBSAはSigma Aldrich社から購入した。DMF、TFA、酢酸、ACN、エチルエーテルはFisher Scientificから購入した。オキサリプラチンはMedChem Expressから購入した。動物動物に対するすべての実験手順は、実験動物の世話と使用に関するNIHガイドラインに従い、ユタ大学によるInstitutional Animal Care and Use Committees(IACUC)承認のプロトコルの下で実施された。2電極電圧クランプ実験に用いたXenopus leavisカエル卵子は、Xenopus Oneから入手した。オキサリプラチン実験用のマウスはCBA/CaJ近交系で、Jackson Laboratoryから入手した。使用する動物の数を減らし、処置中の苦痛を最小限にするためにあらゆる努力が払われた。
【実施例2】
【0260】
実施例2-A:RgIAメチレンチオアセタールアナログの化学合成と特性評価
方法
コノトキシンアナログの合成。固相ペプチドの合成。線状ペプチドは、2-CTC樹脂を使用して、以前に記載したようにシンセサイザー(SyzoI)の自動FmCo-SPPS化学を使用して合成された。
【0261】
切断と精製ペプチドをカクテルバッファー(TFA:H2O:TIPS:EDT=95:2:2:1,3.0mL/0.1mmol)で2.5時間処理して樹脂から切断した。得られたペプチド-TFA溶液はプラスチックフィルターでろ過して冷エーテル(40mL)中に沈殿させて-20oCで30分間冷却してから遠心分離によりペレット化された。粗ペプチドを冷エーテル(30mL)で洗浄して残留TFAを除去し、真空中で乾燥させた。次に、粗生成物を、ジュピター5μC18300Å(250x10mm)カラムで3.0mL/minで、アジレント1260HPLCシステムで40分かけて5%から45%ACNまで0.1%TFAを含むH2O/ACNグラジェントで行ったRP-HPLCによって精製した。目的物を含む精製画分を回収し、Freeze Dryer(LabConCo)で凍結乾燥した。
【0262】
LC/MS分析。ペプチドの特性評価は、アジレント1260四重極LC/MSシステムを用い、Phenomenex Gemini C183.0μm(110Å150x3mm)カラム、流速0.4mL/分で0.1%ギ酸含有H2O/ACNグラジエントにより行った。HPLC精製分画、最終生成物の純度確認、安定性試験もLC/MSで分析した。
【0263】
メチレンチオアセタールの生成。この反応は、Cramerによって報告されたプロトコルを用いて行った。精製した直鎖ペプチドをH2Oに溶解し、予め混合したTCEP.HCl(2.0eq.)およびK2Co3(4.0eq.)inH2O(19.0mM)で処理した。この混合物を室温で2時間穏やかに撹拌した。次に、Et3N(10.0eq.380mMinTHF)をこの混合物に加え、続いてCH2I2(6.0eq.THFで溶解した230mM)を加えた。この混合物を室温で反応させ、約6時間で線状ペプチドが完全に変換された(注:反応時間が長いと、RP-HPLCでアミノ酸のラセミ化に起因すると思われるブロードピークが生じることがある;大規模調製では5%DMSOを添加することができる)。I2仲介されたジスルフィド形成。ACoH(aq.25%,1.0mM)中の撹拌されたビスAcm保護ペプチド溶液に、ACoH中のI2(10.0eq.)(5.0mg/mL)を添加した。反応物を室温で10分間撹拌し、LC-MSでモニターした。過剰のI2は、無色になるまで1.0Mのアスコルビン酸溶液を加えてクエンチし、混合物をRP-HPLCで精製してペプチドを得た。NMR分析と生物学的アッセイを行う前に、RP-HPLCにより純度95%以上のペプチドを同定した。
【0264】
ペプチドの特性評価分子量は、ESI-MS[M+H]+および[M+2H]2+,RgIA-5617:Calc 1705.6 853.3,Found 1705.4 853.2;RgIA-5533:Calc Calc 1705.6 853.3,Found 1705.4 853.4;RgIA-5618,Calc 1719.7 860.4,Found 1719.6 860.4;RgIA-5524,Calc 1874.9 937.9,Found 1874.4,937.5;RgIA-5573,Calc 1768.8 884.9,Found 1768.5 884.9によって測定された。
【0265】
結果と考察
RgIAアナログの化学合成は、
図7a-A、7a-B、7a-C、7a-Dに示すように、塩化2-クロロトリチル(2-CTC)樹脂上での9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(FmCo)固相ペプチド合成(SPPS)に続いて、2操作、位置選択的分子内結合形成反応を用いて達成された。正しい足場折りたたみは、Cys
I-Cys
III,Cys
II-Cys
IVまたはそれに対応するメチレンチオアセタール置換で同じ接続性である。結合は、1)開裂によるトリチル(Trt)除去後の遊離Cys上でのメチレンチオアセタール形成、2)in situ酸化的アセトアミドメチル(Acm)脱保護-結合プロセスによるジスルフィド結合形成、3)繰り返しのメチレンチオアセタール形成によりビスメチレンチオアセタール置換アナログを生成、の順序で明確にを形成していた。詳細には、2-CTC樹脂から組み立てられたペプチド鎖を切断した後、Trt保護剤を除去し、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP
.HCl)、炭酸カリウムおよびトリメチルアミン(Et
3N)の存在下でジヨードメタンで処理し目的のメチレンチオアセタル結合を形成させる。この操作変換は、1バッチで300mgという大きなスケールで行うことができ、さらなる研究のために標的ペプチドを大量に調製することが可能である。Acm脱保護後、25%水性酢酸(ACoH)中の過剰なヨウ素処理により2つ目のジスルフィド橋が形成され、完全に折り畳まれたペプチドが得られた。RgIAおよびRgIA4は、本明細書に記載したように合成した。すべてのペプチドを、RP-HPLCによって示される≧95%純度として精製し、最終生成物を、
図7B-aおよび7B-b、表2A-1、ならびに
図7cから7gに示されるように、NMR研究および生体アッセイの前にESI-MSによって分析した。
【表8】
【0266】
実施例2-B:RgIAメチレンチオアセタールアナログのインビトロ生物学的評価
方法
2電極電圧クランプ(TEVC)記録。以下のような方法に従った。簡単に言えば、Xenopus laevis oCoytesを使用して、クローン化したラットまたはヒトnAChR亜型をヘテロログで発現させた。記録は、注入後1-3日目に行った。0.1mg/mLBSAを含むND-96バッファーを2-4mL/分の流速で重力灌流した30μLの卵母細胞チャンバー内で、卵母細胞を膜電位-70mVでボルテージクランプさせた。ベースラインを確立するために、毎分1秒のACh(α7については200μM、筋サブタイプについては10μMを除く、すべてのサブタイプについて100μM)パルスを印加した。その後、様々な濃度の試験ペプチドを含むND96溶液を切り替え、定常状態に達するまでACh反応を測定した。すべての記録は室温で作成し、3-6回の独立した実験として繰り返した。データ解析はGraphPadPrismソフトウェアで行い,得られたIC50を含む値を非線形回帰シグモイド用量反応を用いて算出した.
【0267】
結果と考察
すべての合成されたアナログの生物活性は、two-electrode-voltage-clamp(TEVC)electrophysiology on heterologously expressed in Xenopus laevis oCoytes ヒトα9α10nAChRsによってテストされた。RgIAシリーズにおけるジスルフィド代替物としてのメチレンチオアセタールの適合性を決定するために、異なるメチレンチオアセタール置換を有する
図8a-Aに描かれるような一連のアナログを合成し、試験した。
図8a-Bに示すように、濃度反応分析によって決定されたIC
50値。比較として、ネイティブRgIAは、ヒト受容体に対する親和性が低いため、ヒトα9α10nAChRによって媒介されるACh誘発電流を510nMのIC
50値で阻害する。
【0268】
RgIAの改変体であるRgIA4の配列にメチレンチオアセタールを導入した場合、異なる効果が生じた。具体的には、ループII[CysII-CysIV]のジスルフィドをメチレンチオアセタールに交換したRgIA-5533は、低いナノモル力価(IC50=6.1nM)であった。一方、のアナログRgIA-5617は、メチレンチオアセタール機能をループI[CysI-CysIII]に移動させると、力価が驚異的に低下した(IC50=880nM)。RgIA-5618で両方のジスルフィドを置換した場合、活性はさらに消失した(IC50>10μM)。これらのデータは、RgIAのループIIジスルフィド[CysII-CysIV]はメチレンチオアセタールで修飾可能であるが、他の位置の置換[CysI-CysIII]はヒトα9α10nAChRの活性を消失させることを示している。この結果は、RgIAのジカルバ修飾アナログの先駆的研究()と一致する。この研究では、[CysII-CysIV]-ジカルバRgIAのトランス/シス異性体ともにα9α10nAChRに対する活性が大幅に低下していたが、[CysI-CysIII]-ジカルバアナログは完全に不活性化された。同様に、[CysI-CysIII]のジスルフィドが構造と活性に及ぼす影響も、ジスルフィド欠損のアナログを分析することによって、別のα-4/3-CTxsImIで実証された。RgIA-5533をRgIA5に基づく変異体および非正規アミノ酸であるβ-ホモチロシン(bhTyr)で修飾し、IC50値が0.9nMである強力なアナログRgIA-5524を得ることができた。bhTyrの1残基をβ-アラニン(bAla)に変異させると、アナログRgIA-5573が得られたが、このアナログはあまり強力ではなく(IC50=2.9nM)、残基13位のフェノールmoietyの影響があることが示された。
【0269】
RgIA-5533およびRgIA-5524のサブタイプ選択性を検討した。2electrode-voltage-clamp(TEVC)電気生理では,両アナログは10μMで広範囲のnAChRサブタイプを阻害しなかった(IC
50>10μM)。10μM)、図に示すように、α1β1δε、α2β2、α2β4、α3β2、α3β4α4β2、α4β4、α6/α3β2β3およびα6/α3β4が含まれることが分かった。8a-Cおよび
図8bに示すように、α6/α3β2β3およびα6/α3β4であった。濃度反応解析は、
図8a-Dに示されるように、RgIA-5533およびRgIA-5524の両方が、α7nAChR上でナノモルのIC
50sを示し、それでもhα9α10nAChRに対して200倍以上の選択性を有していたことを示した。放射性リガンドとして[
125I]α-バンガロトキシン(α-Btx)を用いる競合結合アッセイを介してRgIA-5524を試験すると、RgIA-5524は10μMレベルで41%の阻害を生じ、
図8a-Cおよび8a-Dに示すように、hα7nAChRサブタイプに対するその低い効力と一貫することが実証された。
【0270】
実施例2-C:RgIA-5524のインビボ鎮痛効果
方法
インビボでの抗侵害活性評価。神経障害性疼痛モデル。動物に対するすべての実験手順は、実験動物の世話と使用に関するNIHガイドラインに従って行われ、ユタ大学のInstitutional Animal Care and Use Committees(IACUC)が承認したプロトコルの下で実施された。苦痛を最小化するためにあらゆる努力が払われた。雄のCBA/CaJマウス(2~3ヶ月齢、)にオキサリプラチンを注射した。慢性投与群では、21日間にわたり週5日、3.5mg/kgのオキサリプラチンをi.p.投与した。急性期投与群には、5.0mg/kgまたは10.0mg/kgのオキサリプラチンを単回で投与した。ビヒクル対照として0.9%生理食塩水を使用した。
【0271】
コールドプレートテストホット/コールドプレート(IITCライフサイエンス社製)を用いてコールドプレート試験を実施した。マウスは、調査行動が収まるまで試験室に馴化させた。その後、プレート温度を室温からリニアランプ(10oC/分)を用いて下げた。最初の痛み関連行動(後肢の持ち上げと舐め)の時間と温度を記録した。評価者は、薬物およびマウスの遺伝子型について盲検化された。データの統計的評価は、一元配置分散分析(ANOVA)に続いて、Dunnettの多重比較検定によって行った。すべての結果は、平均値±SEMで表した(n=8-12)。P値は、有意差について、*P<0.05,**P<0.01,および***P<0.001とした。
【0272】
結果と考察
化学療法による神経障害性疼痛は、プラチン系薬剤の主要な用量制限性副作用である。現在、オキサリプラチン誘発性神経障害性疼痛の病態生理は十分に解明されておらず、この用量制限性副作用の予防薬として承認されている薬剤はない。
図9に示すように、RgIA-5524のインビボ鎮痛活性を、マウスのオキサリプラチン誘発性末梢神経障害性疼痛モデルを用いて評価した。冷感アロディニアは、オキサリプラチンの無効な副作用である。この副作用の大きさおよび時間経過は、用量依存的である。RgIA-5524の毎日の反復注射は、化学療法によって引き起こされる神経障害性疼痛の発生を防止した。オキサリプラチン(i.p.3.5mg/kg、毎週5日)は、治療21日目までに、コールドプレート上の足引き抜き潜時の有意な減少によって示されるように、かなりの冷感アロディニアを生じさせた。一方、RgIA-5524を40μg/kg投与したオキサリプラチン投与マウスは、アロディニアを発症しなかった。
【0273】
次に、野生型およびα9KOマウスを対象に、オキサリプラチン単回注射投与試験を実施した。その結果、
図10Aおよび
図10Cに示すように、Sal/SalvsOx/SalおよびOx/RgIA-5524vsOx/SalのWT群間の有意差で示されるように、RgIA-5524はオキサリプラチン投与(s.c.5.0mg/kgおよび10.0mg/kg)5日後の急性冷アロディニアの回復に有効であることが示された。しかしながら、この効果は、α9KOマウス群では起こらず、
図10Bおよび10Dに示すように、Ox/RgIA-5524対Ox/Salのα9KO群間の有意差は観察されなかった。このKO実験により、RgIA-5524によるα9α10nAChRの遮断が、化学療法誘発性神経障害性疼痛の予防または減弱を可能にすることが実証された。
【0274】
実施例2-D:RgIA-5524のインビトロ薬理、毒性および代謝アセスメント
方法
インビトロ薬理学アッセイ。一般に、RgIA-5524は、最初にアッセイにおいて10μMの既定濃度で四重反復で試験された。二次アッセイは、RgIA-5524が放射性リガンド結合の50%以上をブロックしたときの濃度反応曲線を決定するために実施された。
【0275】
競合結合と酵素アッセイ。細胞膜ホモジネートは、RgIA-5524の非存在下または存在下で放射性リガンドとインキュベートされた。非特異的結合は、標的の特異的アゴニストまたはアンタゴニストの存在下で決定された。インキュベーションの後、サンプルをバッファに浸したグラスファイバーフィルターを通して真空下で急速にろ過し、48サンプルまたは96サンプルのセルハーベスターを使用して氷冷したバッファで数回すすいだ。その後、シンチレーションカウンターでシンチレーションカクテルを用いて放射能を計数した。
【0276】
hERG K+チャネル阻害アッセイ。ヒトhERGトランスフェクトCHO-K1細胞の自動ホールセルパッチクランプ(Qpatch16)を使用して、外向きカリウム電流を記録した。22℃で全細胞構成が達成された後、細胞を-80mVに保持した。漏洩電流を測定するために、-40mVへの50msパルスを供給した。次に、細胞を+20mVに2秒間脱分極し、その後-40mVに1秒間パルスを送り、hERGK+の尾部電流を明らかにした。このパラダイムは、電流振幅をモニターするために、5秒ごとに供給される。細胞外液が最初に適用され、続いてRgIA-5524液が同じ細胞上に順次適用される。E-4031はリファレンスリガンドとしてテストされた。
【0277】
RgIA-5524のGABAB1bレセプターにおける機能研究。細胞はDMEMバッファに懸濁させた後、マイクロプレートに分配した。20mMHepes(pH7.4)で補ったHBSSバッファー中でプロベニシドと混合したFluo4NWを各ウェルに加え、37℃で60分、22℃で15分、細胞と平衡化させた。その後、アッセイプレートをマイクロプレートリーダーにセットし、1濃度(刺激対照)または様々な濃度(EC50またはIC50決定)の参照アゴニストまたはアンタゴニスト(3-APMPA)を加え、自由細胞質Ca2+イオン濃度に比例して変動する蛍光強度の変化を測定する。
【0278】
CYP酵素阻害アッセイ。RgIA-5524をPBS7.4中のNADPH生成系と37℃ドライインキュベータで5分間プレインキュベーションする。CYP酵素アイソフォーム、基質、BSAの混合物を添加し、反応を開始する。インキュベーション期間の前後で、各ウェルの蛍光を読み取る。阻害率は、コントロールのパーセントを差し引くことによって算出される。
【0279】
結果と考察
さらに、最も強力なアナログであるRgIA-5524は、幅広いインビトロ薬理試験により、有望な非オピオイド鎮痛剤候補であることを証明した。最初に、我々はRgIA-5524を様々な疼痛関連受容体とイオンチャンネルでテストした。
図11a-Aにまとめたように、RgIA-5524は10μMレベルで、オピオイド受容体、NMDAR、BZD、CoT受容体、および様々な電位依存性イオンチャネル(Na
+,K
+&Ca
2+)を含むこれらの潜在的標的に対して低いか全く活性を示さなかった(<50%抑制)。RgIA-5524をN型Ca
2+チャネルに作用させたところ、10μMで58.4%の阻害と低い効力しか示さなかったが、さらなる濃度応答分析により、鎮痛作用を説明するには低すぎるマイクロモル親和性が示された。また、細胞誘電分析法を用いて、
図11a-B、
図11a-Dおよび
図11a-Eに示すように、RgIA-5524は、RgIA鎮痛作用のメカニズムとされているGABA
B1b受容体のいかなる濃度依存性のアゴニストまたはアンタゴニスト効果も示さないことが証明された。上記のインビボα9KOマウスの研究と合わせて考えると、この結果は、α9含有nAChRの拮抗が、観察されたRgIA-5524鎮痛作用の主要なメカニズムであることをしっかりと実証している。
【0280】
薬物誘発性心毒性は、過去数十年間、薬物離脱につながる主要な理由の1つとなっており、これは、ヒトエーテル-ア-ゴー-ゴー-関連遺伝子(hERG)K
+チャネルの遮断に密接に関連している。
図11a-Bおよび
図11a-Fに示すように、RgIA-5524が100μMの高濃度で<25%の阻害を引き起こした自動ホールセルパッチクランプアッセイから、心血管系の責任に関する証拠は示されなかった。一方、RgIA-5524は、
図11A-Cに示されるように、いくつかの神経変性障害において使用され得るアセチルコリンエステラーゼおよびMAOを含む一連の酵素および取り込みアッセイにおいて不活性である。最後に、薬物-薬物相互作用に影響を及ぼすRgIA-5524の可能性を評価した;
図11a~Gに示すように、10μMでCYP酵素アイソフォームの広いパネルに対して阻害が観察されなかった。
【0281】
実施例2-E:NMRスペクトロスコピーと構造解析
方法
構造解析。NMR SpectrosCopy.ペプチドサンプル(20mM Na
2HPO
4、50mM NaCl、50μM NaN
3、および0.1mM EDTA、同位体効果について未補正)を、Inova600MHzスペクトロメーターで298Kで記録した、10%D
2O含有緩衝液pH3.5中に溶解した濃度2.0mMで調製した。二次構造の決定は、TCoSY(80ms)、NOESY(200ms)、g11-NOESY、gCoSY、HSQCを用いて行われた。水分の抑制には励起スカルプティングスキームを使用した。スペクトルはNMRPipeとSPARKYで解析した。分子表現はPyMOLプログラムで作成した。TCoSY(青)とNOESY(赤)のアミド領域とHSQCの脂肪族領域および芳香族領域を重ね合わせたもの。割り当てはSPARKYを用いて行った。例えば、
図11b~
図11j、および表2E-1、2E-2、および2E-3(Scs=L-S-メチレン-システイン;Cit=L-シトルリン、Tiy=L-3-ヨード-チロシンとする)参照。
【表9】
【表10】
【表11】
【0282】
構造計算。二次元スペクトルからCYANA3.0を用いて三次元構造を計算し、TALOSプログラムで予測されたバックボーンの二面角の制約を加えた。非正規アミノ酸(L-シトルリン、L-3-ヨードチロシン、L-S-メチレン-システイン、L-β-ホモチロシン)は、前述のようにCYANA3.0を用いて対応する天然アミノ酸をベースに構築された。合計200の計算された構造のうち、最もエネルギーの低い20のアンサンブルが、Cα距離測定のさらなる解析のために選ばれた。20個の最低エネルギー構造のアンサンブルは、
図11jから
図11mに示すように、水素が省略され、計算統計が示された棒として示されたバックボーン原子(N、O、CαおよびHα)に重ねられる。
【0283】
結果と考察
構造的特徴を比較対照するために,修飾されたアナログのNMR研究を行った。RgIA-5533、RgIA-5617およびRgIA-5524を含む類似化合物は、TCoSY、NOESY、CoSYおよびHSQCを含むホモ核2D
1H-NMR分光法で解析された。N末端Gly
1の一級アミンを除くすべての残基の同定が達成された。Asp
5HαからPro
6Hδに強いNOEが観測されたことから、研究したすべての分子でPro
4はトランスコンフォメーションであることが確認された。二次構造要素の変化を評価するために、Hα二次シフト分析が使用された。一般に、RgIA-5533、5524、および5617はすべて球状コンフォーメーションを維持していることがHα二次シフトによって確認された。Asp
5-Pro
6-Arg
7とArg/Cit
9-Tyr/iTyr
10-Gln/Arg
11セグメントを含む残基で微妙な変化が観察された。RgIA-5533、RgIA-5524、RgIA-5617は、二次化学シフトから、RgIAとRgIA4が結合したジスルフィドのアナログと明らかな違いは認められなかった。
図12Aに示すように、主に末端の柔軟性に起因して、個々のペプチドのC-末端にわずかな偏差が存在した。
【0284】
これらのアナログの3次元NMR溶液構造は,g11-NOESYおよびNOESY(200ms)スペクトルから生成した原子距離および二面角拘束を用いてCYANA3.0を用いて計算した。Hα、Cα、Cβおよびアミド水素(HN)の化学シフトに基づいて、φ、ψおよびχ1を含むバックボーン二面角拘束をTALOSプログラムによって予測した。20個の最低エネルギー状態のアンサンブルを低いRMSDで得ることができた。RgIA(NMR溶液構造PDB2JUQおよび共結晶抽出物PDB6HY7)およびRgIA4の既報の構造とともに、「平均に最も近い」エネルギー状態を各ペプチドを表すために選択し、
図12B、12C、12D、12E、12Fおよび12Gとして示し、システイン対の平均Cα距離はPyMOLプログラムによって測定されたものである。すべてのメチレンチオアセタール修飾ペプチドは、RgIAおよびRgIA4のものに酷似した球状コンフォメーションを維持した。RgIA-5617と強力なアナログ(RgIA4、RgIA-5533、および5524)の間の最も顕著な違いは、システイン対のCα距離であった。RgIA-5617の2つのシステインペアのCα距離は、他の分子(平均5.4-6.1Å)に比べて明らかに短くなっている(システインループIとループIIで、受容的に平均4.8Åと4.7Å)。アナログRgIA-5617とRgIA-5618の効力低下の理由の一つは、ループIのジスルフィド[Cys
I-Cys
III]にCH
2基を挿入したことにより、これらのループI修飾アナログでは二面体とねじれ角の変化に対応するためにコンフォメーション「shrink」を強制され、結合親和性が低下したと考えられる。また、MD刺激により、RgIAアナログのループIジスルフィドは、α9(+)表面のCループジスルフィドと直接接触することにより、受容体に対してスタッキング相互作用を与える可能性も提案されている。したがって、このループのメチレンチオアセタール置換は、この結合部位と干渉することによって効力を失う可能性があり、二次構造の変化は小さいものの、別の要因である可能性がある。
【0285】
実施例2-F:インビトロ安定性アッセイ
方法
安定性アッセイ。試験ペプチドを1.0mg/mLの濃度でPBS7.4に溶解し、stCok solutionとし、ヒト血清(ABtype,Sigma-Aldrich)または還元グルタチオン(10等量)を含むPBS7.4でさらに希釈して最終試験ペプチド濃度を0.1mg/mLに設定した。その後、希釈した溶液を37℃でインキュベートし、混合物の一部を所定の時点で取り出してRP-HPLC分析に用いた。血清タンパクは、等容量のACNを加えた変性、氷上で10分間冷却し、その後13,000gで10分間遠心分離することにより除去した。上清を回収し、RP-HPLCで分析した。各時点での安定性は、RP-HPLC上の処理ペプチドピーク(220nm)の面積を、0時間処理ペプチドの面積に対するパーセンテージとして算出した。各実験は3重で行った。データは、studentt(unpaired)テストによって分析した。P値は、各時点での有意差について、**P<0.01,***P<0.001とした。
【0286】
結果と考察
一般に、ジスルフィド結合したペプチドやタンパク質は剛直な構造を持ち、その結果、プロテアーゼに対する安定性が相対的に向上する。しかし、ヒト血清中の遊離還元性チオールは、システインに富むペプチドのジスルフィド結合をスクランブルにより阻害し、酵素分解や力価の低下につながる可能性がある。メチレンチオアセタールがRgIA4の代謝安定性にどのように影響するかを調べるために、RgIA-5544とRgIA-5533のインビトロヒト血清安定性アッセイを実施した。ペプチド(0.1mg/mLin90%ヒト血清AB型)をヒト血清中で37℃で24時間連続インキュベートし、インキュベート後の時点0、1、2、4、8、24時間で残存ペプチド量をRP-HPLCにより測定した。
図13Aに示すように、RgIA4はその異性体RgIA4[1,4]に急速にスクランブルし、球状RgIA4の25%未満で終了し、これは以前の観察結果と一致する。RgIA-5533はRgIA4よりも安定であり、24時間培養しても70%以上のペプチドが損なわれていなかった。RgIA-5524は、
図13Bに示されるように、おそらくトリプシンによって切断され得るその高いアルギニンリッチ配列のために、RgIA-5533と比較してわずかに低い安定性であった。また、メチレンチオアセタールを導入すると、完全なジスルフィドスクランブル阻害が達成された。また、RgIA-5524のRgIA4に対する安定性を、生理的pHにおける還元型グルタチオン(GSH)存在下で評価した。ヒト血清の分解結果と同様に、RgIA-5524の単一のメチレンチオアセタール置換は、
図13Cに示すように、ジスルフィドスクランブルを大きく抑制することが可能であった。全体として、RgIA-5524は著しく強化された安定性を示し、さらなる開発のためのより魅力的で有望な候補となる。
【0287】
実施例2-G:材料および方法
化学物質すべての化学物質は購入し、さらに精製することなく直接使用した。Fmocで保護されたアミノ酸および試薬はChemimpex,Thermal Fischer,Sigma Aldrichから購入した。卵子。2電極電圧クランプ実験に使用したXenopus leavisカエル卵子はXenopus Oneから購入した。マウス。インビボ実験に用いたCBA/CaJ近交系マウス(2~3週、雄)は、Jackson Laboratoryから入手した。
【0288】
この技術について提示されたフローチャートは、特定の実行順序を暗示する場合があるが、実行順序は図示されたものと異なる場合がある。例えば、示された順序に対して、さらに2つのブロックの順序が並べ換えられても良い。さらに、連続して示されている2つ以上のブロックは、並行して、または部分的に並列化されて実行されても良い。いくつかの構成では、フローチャートに示される1つまたはそれ以上のブロックが省略されるか、スキップされても良い。ユーティリティ、アカウンティング、パフォーマンス、測定、トラブルシューティング、または同様の理由で、任意の数のカウンタ、状態変数、警告セマフォ、またはメッセージを論理フローに追加することができる。
【0289】
本明細書を通じて「実施例」に言及することは、実施例に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書中の様々な場所での「実施例において」というフレーズの出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指しているわけではない。
【0290】
図面に例示された実施例を参照し、本明細書では特定の言語を用いて同じものを説明した。それにもかかわらず、技術の範囲の限定はそれによって意図されないことが理解されるであろう。本明細書に例示された特徴の変更およびさらなる修正、ならびに本明細書に例示された実施例のさらなる適用は、本明細書の範囲内で考慮されるものとする。
【0291】
さらに、記載された特徴、構造、または特性は、1つまたはそれ以上の実施例において任意の適切な方法で組み合わされても良い。先の説明では、説明された技術の実施例の完全な理解を提供するために、様々な構成の例など、多数の具体的な詳細が提供された。しかしながら、本技術は、具体的な詳細の1つ以上なしに、または他の方法、構成要素、装置などを用いて実施され得ることが認識されるだろう。他の実施例では、技術の側面を不明瞭にすることを避けるために、周知の構造または動作は詳細に示されず、説明されない。
【0292】
主題は、構造的特徴および/または動作に特有の言語で説明されてきたが、添付の特許請求の範囲に定義される主題は、必ずしも上述した特定の特徴および動作に限定されないことが理解されよう。むしろ、上述した特定の特徴および行為は、特許請求の範囲を実施する例示的な形態として開示されている。記載された技術の精神および範囲から逸脱することなく、多数の修正および代替的な配置が考案され得る。
【0293】
前述の詳細な説明は、特定の例示的な実施形態を参照して本開示を説明するものである。しかしながら、添付の特許請求の範囲に規定される本開示の範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を行うことができることが理解されよう。詳細な説明および添付の図面は、制限的というよりは単に例示的とみなされ、そのような修正または変更があったとしても、全て本明細書に記載および規定された本開示の範囲内に入ることが意図されている。
【配列表】
【国際調査報告】