(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-12
(54)【発明の名称】IRAK分解剤の結晶形態
(51)【国際特許分類】
C07D 487/04 20060101AFI20230705BHJP
A61K 31/5386 20060101ALI20230705BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230705BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20230705BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20230705BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20230705BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20230705BHJP
A61P 7/06 20060101ALI20230705BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230705BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20230705BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230705BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230705BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20230705BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20230705BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230705BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20230705BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20230705BHJP
A61P 27/12 20060101ALI20230705BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20230705BHJP
A61P 27/06 20060101ALI20230705BHJP
A61P 27/14 20060101ALI20230705BHJP
A61P 27/16 20060101ALI20230705BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20230705BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230705BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20230705BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20230705BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20230705BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230705BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20230705BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20230705BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20230705BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20230705BHJP
A61P 13/00 20060101ALI20230705BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20230705BHJP
A61P 13/10 20060101ALI20230705BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20230705BHJP
A61P 15/02 20060101ALI20230705BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20230705BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20230705BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20230705BHJP
A61P 19/06 20060101ALI20230705BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20230705BHJP
A61P 11/04 20060101ALI20230705BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20230705BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20230705BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20230705BHJP
【FI】
C07D487/04 142
C07D487/04 CSP
A61K31/5386
A61P43/00 111
A61P1/04
A61P37/08
A61P27/02
A61P1/16
A61P7/06
A61P29/00 101
A61P37/06
A61P29/00
A61P25/00
A61P17/00
A61P19/02
A61P19/08
A61P35/00
A61P13/12
A61P21/00
A61P27/12
A61P37/02
A61P27/06
A61P27/14
A61P27/16
A61P11/06
A61P11/00
A61P11/02
A61P9/10
A61P9/00
A61P3/10
A61P3/06
A61P3/04
A61P1/18
A61P1/00
A61P13/00
A61P13/08
A61P13/10
A61P21/04
A61P15/02
A61P9/12
A61P17/14
A61P17/06
A61P19/06
A61P3/02
A61P11/04
A61P15/00
A61P25/04
A61P1/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574451
(86)(22)【出願日】2021-06-03
(85)【翻訳文提出日】2023-01-31
(86)【国際出願番号】 US2021035747
(87)【国際公開番号】W WO2021247899
(87)【国際公開日】2021-12-09
(32)【優先日】2020-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520099771
【氏名又は名称】カイメラ セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジェン, シャオジャン
(72)【発明者】
【氏名】コーソン, ドン
【テーマコード(参考)】
4C050
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB05
4C050CC08
4C050EE03
4C050FF03
4C050GG04
4C050HH04
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB06
4C086GA13
4C086GA14
4C086GA15
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA07
4C086ZA08
4C086ZA32
4C086ZA33
4C086ZA34
4C086ZA36
4C086ZA42
4C086ZA55
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA67
4C086ZA68
4C086ZA70
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA92
4C086ZA94
4C086ZA96
4C086ZB05
4C086ZB07
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZB13
4C086ZB15
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZC02
4C086ZC22
4C086ZC33
4C086ZC35
4C086ZC41
4C086ZC52
(57)【要約】
本開示は、一般に、ユビキチン化および/または分解による、1つまたはそれより多くのインターロイキン-1受容体関連キナーゼ(「IRAK」)の調節のために有用な化合物の種々の形態、塩および組成物、ならびに種々の疾患の処置におけるそれらの使用に関する。本開示は、IRAKキナーゼの標的化されたユビキチン化を調節する化合物の識別、およびそれを必要とする患者におけるIRAKにより媒介される疾患、障害または状態を処置するためにそれを使用する方法に、少なくとも部分的に基づく。本明細書では、化合物1、ならびにその塩および固体形態が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物1の結晶固体形態
【化26】
であって、形態Aおよび形態Bから選択される、結晶固体形態。
【請求項2】
前記化合物が、非晶質化合物1を実質的に含まない結晶固体である、請求項1に記載の結晶固体形態。
【請求項3】
前記化合物が、不純物を実質的に含まない、請求項1に記載の結晶固体形態。
【請求項4】
前記結晶固体形態が、化合物1の形態Aである、請求項1~3のいずれか一項に記載の結晶固体形態。
【請求項5】
そのX線粉末回折パターンにおいて、約6.0、約16.5、約17.2、約23.0、および約23.9度2シータにおけるピークから選択される1個またはそれより多くのピークを有する、請求項4に記載の結晶固体形態。
【請求項6】
そのX線粉末回折パターンにおいて、約6.0、約16.5、約17.2、約23.0、および約23.9度2シータにおけるピークから選択される2個またはそれよりも多いピークを有する、請求項4に記載の結晶固体形態。
【請求項7】
そのX線粉末回折パターンにおいて、約6.0、約16.5、約17.2、約23.0、および約23.9度2シータにおけるピークから選択される3個またはそれよりも多いピークを有する、請求項4に記載の結晶固体形態。
【請求項8】
そのX線粉末回折パターンにおいて、約6.0、約16.5、約17.2、約23.0、および約23.9度2シータにおけるピークから選択される4個またはそれよりも多いピークを有する、請求項4に記載の結晶固体形態。
【請求項9】
そのX線粉末回折パターンにおいて、約6.0、約16.5、約17.2、約23.0、および約23.9度2シータにおけるピークから選択される5個のピークを有する、請求項4に記載の結晶固体形態。
【請求項10】
図1Aに実質的に示されるX線粉末回折パターンを有する、請求項4に記載の結晶固体形態。
【請求項11】
前記結晶固体形態が、形態Bである、請求項1~3のいずれか一項に記載の結晶固体形態。
【請求項12】
そのX線粉末回折パターンにおいて、約3.2、約16.2、約16.5、約17.1、および約18.2度2シータにおけるピークから選択される1個またはそれより多くのピークを有する、請求項11に記載の結晶固体形態。
【請求項13】
そのX線粉末回折パターンにおいて、約3.2、約16.2、約16.5、約17.1、および約18.2度2シータにおけるピークから選択される2個またはそれよりも多いピークを有する、請求項11に記載の結晶固体形態。
【請求項14】
そのX線粉末回折パターンにおいて、約3.2、約16.2、約16.5、約17.1、および約18.2度2シータにおけるピークから選択される3個またはそれよりも多いピークを有する、請求項11に記載の結晶固体形態。
【請求項15】
そのX線粉末回折パターンにおいて、約3.2、約16.2、約16.5、約17.1、および約18.2度2シータにおけるピークから選択される4個またはそれよりも多いピークを有する、請求項11に記載の結晶固体形態。
【請求項16】
そのX線粉末回折パターンにおいて、約3.2、約16.2、約16.5、約17.1、および約18.2度2シータにおけるピークから選択される5個のピークを有する、請求項11に記載の結晶固体形態。
【請求項17】
図2Aに実質的に示されるX線粉末回折パターンを有する、請求項11に記載の結晶固体形態。
【請求項18】
化合物1の塩形態
【化27】
であって、化合物2
【化28】
化合物3
【化29】
および
化合物4
【化30】
から選択される、塩形態。
【請求項19】
化合物1の前記塩形態が、化合物2
【化31】
である、請求項18に記載の塩形態。
【請求項20】
前記塩形態が結晶性である、請求項19に記載の塩形態。
【請求項21】
前記塩形態が非晶質化合物2を実質的に含まない結晶固体である、請求項19に記載の塩形態。
【請求項22】
前記塩形態が不純物を実質的に含まない、請求項19~21のいずれか一項に記載の塩形態。
【請求項23】
前記塩形態が化合物2の形態Aである、請求項19~22のいずれか一項に記載の塩形態。
【請求項24】
そのX線粉末回折パターンにおいて、約14.1、約17.0、約17.3、約19.0、約21.0、約21.2および約23.3度2シータにおけるピークから選択される1個またはそれより多くのピークを有する、請求項23に記載の塩形態。
【請求項25】
そのX線粉末回折パターンにおいて、約14.1、約17.0、約17.3、約19.0、約21.0、約21.2および約23.3度2シータにおけるピークから選択される2個またはそれよりも多いピークを有する、請求項23に記載の塩形態。
【請求項26】
そのX線粉末回折パターンにおいて、約14.1、約17.0、約17.3、約19.0、約21.0、約21.2および約23.3度2シータにおけるピークから選択される3個またはそれよりも多いピークを有する、請求項23に記載の塩形態。
【請求項27】
そのX線粉末回折パターンにおいて、約14.1、約17.0、約17.3、約19.0、約21.0、約21.2および約23.3度2シータにおけるピークから選択される4個またはそれよりも多いピークを有する、請求項23に記載の塩形態。
【請求項28】
そのX線粉末回折パターンにおいて、約14.1、約17.0、約17.3、約19.0、約21.0、約21.2および約23.3度2シータにおけるピークから選択される5個またはそれよりも多いピークを有する、請求項23に記載の塩形態。
【請求項29】
そのX線粉末回折パターンにおいて、約14.1、約17.0、約17.3、約19.0、約21.0、約21.2および約23.3度2シータにおける6個またはそれよりも多いピークを有する、請求項23に記載の塩形態。
【請求項30】
そのX線粉末回折パターンにおいて、約14.1、約17.0、約17.3、約19.0、約21.0、約21.2および約23.3度2シータにおける7個のピークを有する、請求項23に記載の塩形態。
【請求項31】
図3Aに実質的に示されるXRPDを有する、請求項23に記載の塩形態。
【請求項32】
化合物1の前記塩形態が、化合物3
【化32】
である、請求項18に記載の塩形態。
【請求項33】
前記塩形態が結晶性である、請求項32に記載の塩形態。
【請求項34】
前記塩形態が非晶質化合物3を実質的に含まない結晶固体である、請求項32に記載の塩形態。
【請求項35】
前記塩形態が不純物を実質的に含まない、請求項32~34のいずれか一項に記載の塩形態。
【請求項36】
前記塩形態が化合物3の形態Aである、請求項32~35のいずれか一項に記載の塩形態。
【請求項37】
そのX線粉末回折パターンにおいて、約6.4、約11.9、約16.2、約17.2、および約20.9度2シータにおけるピークから選択される1個またはそれより多くのピークを有する、請求項36に記載の塩形態。
【請求項38】
そのX線粉末回折パターンにおいて、約6.4、約11.9、約16.2、約17.2、および約20.9度2シータにおけるピークから選択される2個またはそれよりも多いピークを有する、請求項36に記載の塩形態。
【請求項39】
そのX線粉末回折パターンにおいて、約6.4、約11.9、約16.2、約17.2、および約20.9度2シータにおけるピークから選択される3個またはそれよりも多いピークを有する、請求項36に記載の塩形態。
【請求項40】
そのX線粉末回折パターンにおいて、約6.4、約11.9、約16.2、約17.2、および約20.9度2シータにおけるピークから選択される4個またはそれよりも多いピークを有する、請求項36に記載の塩形態。
【請求項41】
そのX線粉末回折パターンにおいて、約6.4、約11.9、約16.2、約17.2、および約20.9度2シータにおけるピークから選択される5個のピークを有する、請求項36に記載の塩形態。
【請求項42】
図4Aに実質的に示されるXRPDを有する、請求項36に記載の塩形態。
【請求項43】
化合物1の前記塩形態が、化合物4
【化33】
である、請求項18に記載の塩形態。
【請求項44】
前記塩形態が結晶性である、請求項43に記載の塩形態。
【請求項45】
前記塩形態が非晶質化合物4を実質的に含まない結晶固体である、請求項43に記載の塩形態。
【請求項46】
前記塩形態が不純物を実質的に含まない、請求項43~45のいずれか一項に記載の塩形態。
【請求項47】
前記塩形態が化合物4の形態Aである、請求項43~46のいずれか一項に記載の塩形態。
【請求項48】
そのX線粉末回折パターンにおいて、約3.3、約6.4、および約16.7度2シータにおけるピークから選択される1個またはそれより多くのピークを有する、請求項47に記載の塩形態。
【請求項49】
そのX線粉末回折パターンにおいて、約3.3、約6.4、および約16.7度2シータにおけるピークから選択される2個またはそれよりも多いピークを有する、請求項47に記載の塩形態。
【請求項50】
そのX線粉末回折パターンにおいて、約3.3、約6.4、および約16.7度2シータにおけるピークから選択される3個のピークを有する、請求項47に記載の塩形態。
【請求項51】
図5Aに実質的に示されるXRPDを有する、請求項47に記載の塩形態。
【請求項52】
請求項1~51のいずれか一項に記載の結晶固体形態または塩形態、および薬学的に受容可能な担体または賦形剤を含む組成物。
【請求項53】
追加の治療剤をさらに含む、請求項52に記載の医薬組成物。
【請求項54】
患者または生物学的サンプルにおけるIRAK1、IRAK2および/またはIRAK4タンパク質キナーゼを分解する方法であって、請求項1~51のいずれか一項に記載の結晶固体形態もしくは塩形態、またはその医薬組成物を、前記患者に投与するか、または前記生物学的サンプルと接触させるステップを含む、方法。
【請求項55】
患者のIRAK1媒介性、IRAK2媒介性および/またはIRAK4媒介性の障害、疾患、または状態を処置する方法であって、請求項1~51のいずれか一項に記載の結晶固体形態もしくは塩形態、またはその医薬組成物を、前記患者に投与するステップを含む、方法。
【請求項56】
追加の治療剤を投与するステップをさらに含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記IRAK1媒介性、IRAK2媒介性および/またはIRAK4媒介性の障害、疾患または状態が、炎症性障害である、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記炎症性障害が、眼アレルギー、結膜炎、乾性角結膜炎、春季結膜炎;アレルギー性鼻炎、溶血性貧血、再生不良性貧血、赤血球貧血、特発性血小板減少症あるいは自己免疫反応が関与するかまたは自己免疫成分もしくは病因を有する別の炎症性疾患、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、多発性軟骨炎、強皮症、ヴェーゲナー肉芽腫症(granulamatosis)、皮膚筋炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、スティーブン-ジョンソン症候群、特発性スプルー、潰瘍性大腸炎、クローン病または別の自己免疫性炎症性腸疾患、過敏性腸管症候群、セリアック病、歯周炎、肺硝子膜症、腎臓疾患、糸球体疾患、アルコール性肝臓疾患、内分泌性眼障害(opthalmopathy)、グレーヴズ病、サルコイドーシス、肺胞炎、歯槽骨炎、慢性過敏性肺臓炎、多発性硬化症、原発性胆汁性肝硬変、ブドウ膜炎(前部および後部)、シェーグレン症候群、春季角結膜炎、間質性肺線維症、乾癬性関節炎、全身性若年性特発性関節炎、腎炎、憩室炎、間質性膀胱炎、糸球体腎炎(ネフローゼ症候群を伴うかまたは伴わないもの、必要に応じて特発性ネフローゼ症候群または微小変化型腎症を含む)、慢性肉芽腫症、子宮内膜症、レプトスピラ症(leptospiriosis)腎臓疾患、緑内障、網膜疾患、老化、頭痛、疼痛、複合性局所疼痛症候群、心臓肥大、筋肉消耗、異化障害、肥満症、胎児成長遅滞、高コレステロール血症、心臓病、慢性心不全、中皮腫、無発汗性外胚葉性(ecodermal)形成異常、ベーチェット病、色素失調症、パジェット病、膵臓炎、遺伝性周期性発熱症候群、喘息(アレルギー性、非アレルギー性、軽度、中等度、重症、気管支炎性、または運動により惹起されるもの)、急性肺傷害、急性呼吸促迫症候群、好酸球増加症、過敏症、アナフィラキシー、副鼻腔炎、シリカ誘導性疾患、COPD(損傷、気道炎症、気管支過敏性、リモデリングまたは疾患の進行の減少)、肺疾患、嚢胞性線維症、酸誘発性肺傷害、肺高血圧症、多発ニューロパシー、白内障、全身性硬化症に関連する筋炎、封入体筋炎、重症筋無力症、甲状腺炎、アディソン病、扁平苔癬、1型糖尿病、2型糖尿病、虫垂炎、アトピー性皮膚炎、アレルギー、眼瞼炎、細気管支炎、気管支炎、滑液包炎、子宮頚管炎、胆管炎、胆嚢炎、慢性移植片拒絶、大腸炎、結膜炎、膀胱炎、涙腺炎、皮膚炎、皮膚筋炎、脳炎、心内膜炎、子宮内膜炎、腸炎、小腸結腸炎、外上顆炎、精巣上体炎、筋膜炎、結合組織炎、胃炎、胃腸炎、ヘーノホ-シェーンライン紫斑病、肝炎、汗腺膿瘍、免疫グロブリンA腎症、間質性肺疾患、喉頭炎、乳腺炎、髄膜炎、脊髄炎 心筋炎、筋炎、腎炎、卵巣炎、精巣炎、骨炎、耳炎、膵臓炎、耳下腺炎、心膜炎、腹膜炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈炎、肺炎、多発性筋炎、直腸炎、前立腺炎、腎盂腎炎、鼻炎、卵管炎、静脈洞炎、口内炎、滑膜炎、腱炎、扁桃炎、膣炎、血管炎、外陰炎、円形脱毛症、多形性紅斑、疱疹状皮膚炎、強皮症、白斑、過敏性血管炎、蕁麻疹、水疱性類天疱瘡、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、腫瘍随伴性天疱瘡、後天性表皮水疱症、急性および慢性の痛風、慢性痛風性関節炎、乾癬、乾癬性関節炎、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、クリオピリン関連周期性症候群(CAPS)、ならびに変形性関節症からなる群より選択される、請求項57に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の引用
本願は、米国仮出願第63/034,088号(2020年6月3日出願)の利益を主張し、その内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
発明の分野
本開示は、一般に、ユビキチン化および/または分解による、1つまたはそれより多くのインターロイキン-1受容体関連キナーゼ(「IRAK」)の調節のために有用な化合物の種々の形態、塩および組成物、ならびに種々の疾患の処置におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
ユビキチン-プロテアソーム経路(UPP)は、主要なレギュレータータンパク質を調節し、そしてミスフォールディングまたは異常なタンパク質を分解する、重要な経路である。UPPは、多数の細胞プロセスの中心的なものであり、そして欠損するかまたは釣り合いが崩れる場合、種々の疾患の発病をもたらす。ユビキチンの、特定のタンパク質基質への共有結合は、E3ユビキチンリガーゼの作用を介して達成される。
【0004】
インビボで様々なタンパク質のユビキチン化を容易にする、600を超えるE3ユビキチンリガーゼが存在し、これらは4つのファミリー、すなわち、HECT-ドメインE3、U-ボックスE3、単量体RING E3およびマルチサブユニットE3に分けることができる。一般に、Li et al.(PLOS One,2008,3,1487)表題「Genome-wide and functional annotation of human E3 ubiquitin ligases identifies MULAN,a mitochondrial E3 that regulates the organelle’s dynamics and signaling.」;Berndsen et al.(Nat.Struct.Mol.Biol.,2014,21,301-307)表題「New insights into ubiquitin E3 ligase mechanism」;26169771.3.BUSINESS 2 of 1812 397731-010US (170174) Deshaies et al.(Ann.Rev.Biochem.,2009,78,399-434)表題「RING domain E3 ubiquitin ligases.」;Spratt et al.(Biochem.2014,458,421-437)表題「RBR E3 ubiquitin ligases:new structures,new insights,new questions.」;およびWang et al.(Nat.Rev.Cancer.,2014,14,233-347)表題「Roles of F-box proteins in cancer.」を参照のこと。
【0005】
UPPは、種々の基本的な細胞プロセス(細胞周期の調節、細胞表面受容体およびイオンチャネルの調節、ならびに抗原提示が挙げられる)において重要な、短寿命の調節タンパク質の分解において、主要な役割を果たす。その経路は、数形態の悪性腫瘍、数種の遺伝子疾患(嚢胞性線維症、アンジェルマン症候群、およびリドル(Liddle)症候群が挙げられる)の発病、免疫監視/ウイルス発病、ならびに筋肉消耗の病理に関与している。多くの疾患が、異常なUPPに関連しており、そして細胞の周期および分裂、ストレスおよび細胞外モジュレーターへの細胞応答、神経回路網の形態形成、細胞表面受容体、イオンチャネル、二次経路、DNA修復および細胞小器官の生物発生の調節に悪影響を与えている。
【0006】
このプロセスの異常は、近年、先天性と後天性との両方の、数種の疾患の発病に関与していた。これらの疾患は、2つの主要な群に含まれる。すなわち、(a)特定のタンパク質の安定化をもたらす機能の損失から生じる疾患、および(b)機能(すなわち、タンパク質標的の異常なまたは加速された分解)の獲得からもたらされる疾患。
【0007】
UPPは、選択的タンパク質分解を誘導するために使用され、標的タンパク質および合成低分子プローブを人工的にユビキチン化して、プロテアソーム依存性分解を誘導するための、融合タンパク質の使用が含まれる。標的タンパク質結合リガンドおよびE3ユビキチンリガーゼリガンドからなる二官能性化合物は、これらのE3ユビキチンリガーゼへの動員およびその後のユビキチン化を介して、選択されたタンパク質の、プロテアソームにより媒介される分解を誘導した。これらの薬物様分子は、タンパク質発現の一時的な制御の可能性を与える。このような化合物は、細胞への添加または動物もしくはヒトへの投与の際に、目的のタンパク質の不活性化を誘導し得、そして生化学試薬として有用であり得、そして病原性または発がん性タンパク質を除去することによる疾患の処置のための新たな模範をもたらし得る(Crews C,Chemistry & Biology,2010,17(6):551-555;Schnnekloth JS Jr.,Chembiochem,2005,6(l):40-46)。
当該分野において、医学的必要性があまり満たされていない疾患、特に自己炎症性および自己免疫性疾患の有効な処置に対する必要性が継続している。しかし、非特異的効果、および特定のクラスのタンパク質(例えば、転写因子)をまとめて標的化して調節することができないことが、効果的な抗がん剤の開発の障害として残っている。したがって、E3リガーゼにより媒介されるタンパク質分解に影響を与えてインターロイキン-1受容体関連キナーゼ(「IRAK」)などのがん関連タンパク質を標的とする低分子治療剤は、治療剤としての有望性を保持する。したがって、治療剤として有用なIRAK分解剤である化合物を見出す必要性が残っている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Li et al.(PLOS One,2008,3,1487)表題「Genome-wide and functional annotation of human E3 ubiquitin ligases identifies MULAN,a mitochondrial E3 that regulates the organelle’s dynamics and signaling.」
【非特許文献2】Berndsen et al.(Nat.Struct.Mol.Biol.,2014,21,301-307)表題「New insights into ubiquitin E3 ligase mechanism」;26169771.3.BUSINESS 2 of 1812 397731-010US (170174)
【非特許文献3】Deshaies et al.(Ann.Rev.Biochem.,2009,78,399-434)表題「RING domain E3 ubiquitin ligases.」
【非特許文献4】Spratt et al.(Biochem.2014,458,421-437)表題「RBR E3 ubiquitin ligases:new structures,new insights,new questions.」
【非特許文献5】Wang et al.(Nat.Rev.Cancer.,2014,14,233-347)表題「Roles of F-box proteins in cancer.」
【非特許文献6】Crews C,Chemistry & Biology,2010,17(6):551-555;Schnnekloth JS Jr.,Chembiochem,2005,6(l):40-46)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の要旨
ここで、本開示に記載される5-((1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-N-(3-(ジフルオロメチル)-1-((1r,4R)-4-((4-((3-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-4-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)メチル)シクロヘキシル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドの新規な形態およびその組成物は、IRAKキナーゼの標的化されたユビキチン化の有用なモジュレーターであり、そのための望ましい特徴を示すことを見出した。一般に、塩形態または遊離塩基形態、およびその薬学的に受容可能な組成物は、本明細書に詳説される種々の疾患または障害を処置するか、またはその重症度を低減するために有用である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】
図1Aは、化合物1の形態AのXRPDパターンを示す。
【0011】
【
図1B】
図1Bは、化合物1の形態AのFT-IRスペクトルを示す。
【0012】
【
図1C】
図1Cは、化合物1の形態Aの
1H-NMRスペクトルを示す。
【0013】
【
図2A】
図2Aは、化合物1の形態BのXRPDパターンを示す。
【0014】
【
図2B】
図2Bは、化合物1の形態BのFT-IRスペクトルを示す。
【0015】
【
図2C】
図2Cは、化合物1の形態Bの
1H-NMRスペクトルを示す。
【0016】
【
図3A】
図3Aは、化合物2の形態AのXRPDパターンを示す。
【0017】
【
図3B】
図3Bは、化合物2の形態AのFT-IRスペクトルを示す。
【0018】
【
図3C】
図3Cは、化合物2の形態Aの
1H-NMRスペクトルを示す。
【0019】
【
図4A】
図4Aは、化合物3の形態AのXRPDパターンを示す。
【0020】
【
図4B】
図4Bは、化合物3の形態AのFT-IRスペクトルを示す。
【0021】
【
図4C】
図4Cは、化合物3の形態Aの
1H-NMRスペクトルを示す。
【0022】
【
図5A】
図5Aは、化合物4の形態AのXRPDパターンを示す。
【0023】
【
図5B】
図5Bは、化合物4の形態AのFT-IRスペクトルを示す。
【0024】
【
図5C】
図5Cは、化合物4の形態Aの
1H-NMRスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の詳細な説明
本発明の特定の態様の一般的な説明
本開示は、IRAKキナーゼの標的化されたユビキチン化を調節する化合物の識別、およびそれを必要とする患者におけるIRAKにより媒介される疾患、障害または状態を処置するためにそれを使用する方法に、少なくとも部分的に基づく。本明細書では、化合物1、ならびにその塩および固体形態が開示される。
【化1】
【0026】
化合物1、すなわち5-((1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-N-(3-(ジフルオロメチル)-1-((1r,4R)-4-((4-((3-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-4-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)メチル)シクロヘキシル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドは、IRAKの標的化されたユビキチン化のモジュレーターとして活性である。
【0027】
改善された水溶性、安定性および製剤化し易さなどの特徴を付与する化合物1の固体形態を(例えば、その遊離塩基またはその塩として)提供することが望ましいはずである。したがって、本開示は、化合物1の遊離塩基形態および塩形態の両方を提供する。
化合物1の遊離塩基形態
【0028】
化合物1は、種々の物理的形態で存在できると想定される。例えば、化合物1は、溶液、懸濁液、または固体形態であり得る。ある特定の実施形態において、化合物1は、固体形態である。化合物1が固体形態である場合、前記化合物は、非晶質、結晶性、またはそれらの混合物であり得る。例示的な固体形態を、以下により詳細に記載する。
【0029】
いくつかの実施形態において、本開示は、不純物を実質的に含まない化合物1の形態を提供する。本明細書で使用される場合、「不純物を実質的に含まない」という用語は、化合物が著しい量の異物を含有しないことを意味する。このような異物は、異なる形態の化合物1、残留溶媒、または化合物1の調製および/もしくは単離から生じ得る任意の他の不純物を含んでいることがある。ある特定の実施形態において、少なくとも約95重量%の化合物1の一形態が存在する。本開示のさらに他の実施形態において、少なくとも約99重量%の化合物1の一形態が存在する。
【0030】
一実施形態によれば、化合物1の一形態は、少なくとも約97、少なくとも約97.5、少なくとも約98.0、少なくとも約98.5、少なくとも約99、少なくとも約99.5、少なくとも約99.8重量パーセントの量で存在する(パーセンテージは、組成物の総重量に対する)。別の実施形態によれば、化合物1の一形態は、HPLCクロマトグラムの総面積に対して、約3.0面積パーセントHPLC以下の全有機不純物、ある特定の実施形態において、約1.5面積パーセントHPLC以下の全有機不純物を含有する。他の実施形態において、化合物1の一形態は、HPLCクロマトグラムの総面積に対して、約1.0%面積パーセントHPLC以下の任意の単一不純物、約0.6面積パーセントHPLC以下の任意の単一不純物、ある特定の実施形態において、約0.5面積パーセントHPLC以下の任意の単一不純物を含有する。
【0031】
化合物1の一形態について図示される構造はまた、化合物1のすべての互変異性体の形態を含むことを意味する。加えて、ここに図示される構造はまた、1つまたはそれより多くの同位体が富化された原子の存在のみが異なる化合物を包含することを意味する。例えば、ジュウテリウムもしくはトリチウムによる水素の置換え、または13Cもしくは14Cを富化された炭素による炭素の置換え以外には本発明の構造を有する化合物は、本開示の範囲内である。
【0032】
化合物1は、種々の固体形態で存在できることが見出された。例示的なこのような形態には、本明細書に記載されるものなどの多形が含まれる。
【0033】
本明細書で使用される場合、「多形」という用語は、化合物、またはその塩もしくは溶媒和物が結晶化することができる、様々な結晶構造を指す。
【0034】
ある特定の実施形態において、化合物1は、結晶固体である。他の実施形態において、化合物1は、非晶質化合物1を実質的に含まない結晶固体である。本明細書で使用される場合、「非晶質化合物1を実質的に含まない」という用語は、化合物が、著しい量の非晶質化合物1を含有しないことを意味する。ある特定の実施形態において、少なくとも約95重量%の結晶性化合物1が存在する。本開示のさらに他の実施形態において、少なくとも約99重量%の結晶性化合物1が存在する。
【0035】
遊離塩基化合物1は、少なくとも2つの別個の多形形態で存在できることが見出された。ある特定の実施形態において、本開示は、本明細書で形態Aと呼ばれる化合物1の多形形態を提供する。ある特定の実施形態において、本開示は、本明細書で形態Bと呼ばれる化合物1の多形形態を提供する。
【0036】
いくつかの実施形態において、化合物1は、非晶質である。いくつかの実施形態において、化合物1は、非晶質であり、結晶性化合物1を実質的に含まない。
化合物1の形態A
【0037】
いくつかの実施形態において、化合物1の形態Aは、以下の表1に列挙されるピークから選択される少なくとも1個、2個、3個、4個または5個のスペクトルピークを有する形態である。
【表1】
【0038】
いくつかの実施形態において、化合物1の形態Aは、そのX線粉末回折パターンにおいて、約6.0、約16.5、約17.2、約23.0、および約23.9度2シータにおけるピークから選択される1個またはそれよりも多いピークを有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物1の形態Aは、そのX線粉末回折パターンにおいて、約6.0、約16.5、約17.2、約23.0、および約23.9度2シータにおけるピークから選択される2個またはそれよりも多いピークを有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物1の形態Aは、そのX線粉末回折パターンにおいて、約6.0、約16.5、約17.2、約23.0、および約23.9度2シータにおけるピークから選択される3個またはそれよりも多いピークを有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物1の形態Aは、そのX線粉末回折パターンにおいて、約6.0、約16.5、約17.2、約23.0、および約23.9度2シータにおけるピークから選択される4個またはそれよりも多いピークを有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物1の形態Aは、そのX線粉末回折パターンにおいて、約6.0、約16.5、約17.2、約23.0、および約23.9度2シータにおけるピークから選択される5個のピークを有することを特徴とする。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、度2シータの値に言及して使用される場合、記述された値±0.2度2シータを指す。
【0039】
いくつかの実施形態において、化合物1の形態Aは、そのX線粉末回折パターンにおいて、表1に列挙されるスペクトルピークのそれぞれの相対的強度が10%超、20%超、30%超または40%超であることを特徴とする。ある特定の実施形態において、X線粉末回折パターンは、
図1Aに提供されるXRPDに実質的に類似している。
【0040】
化合物1の形態Aを調製するための方法は、以下に記載される。
化合物1の形態B
【0041】
いくつかの実施形態において、化合物1の形態Bは、以下の表2に列挙されるピークから選択される少なくとも1個、2個、3個、4個または5個のスペクトルピークを有する形態である。
【表2】
【0042】
いくつかの実施形態において、化合物1の形態Bは、そのX線粉末回折パターンにおいて、約3.2、約16.2、約16.5、約17.1、および約18.2度2シータにおけるピークから選択される1個またはそれよりも多いピークを有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物1の形態Bは、そのX線粉末回折パターンにおいて、約3.2、約16.2、約16.5、約17.1、および約18.2度2シータにおけるピークから選択される2個またはそれよりも多いピークを有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物1の形態Bは、そのX線粉末回折パターンにおいて、約3.2、約16.2、約16.5、約17.1、および約18.2度2シータにおけるピークから選択される3個またはそれよりも多いピークを有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物1の形態Bは、そのX線粉末回折パターンにおいて、約3.2、約16.2、約16.5、約17.1、および約18.2度2シータにおけるピークから選択される4個またはそれよりも多いピークを有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物1の形態Bは、そのX線粉末回折パターンにおいて、約3.2、約16.2、約16.5、約17.1、および約18.2度2シータにおけるピークから選択される5個のピークを有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物1の形態Bは、そのX線粉末回折パターンにおいて、表2に列挙されるスペクトルピークのそれぞれの相対的強度が10%超、20%超、30%超または40%超であることを特徴とする。
【0043】
ある特定の実施形態において、X線粉末回折パターンは、
図2Aに提供されるXRPDに実質的に類似している。
【0044】
化合物1の形態Bを調製するための方法は、以下に記載される。
【0045】
いくつかの実施形態において、本開示は、結晶性である化合物1
【化2】
を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、非晶質化合物1を実質的に含まない化合物1を提供する。
【0046】
いくつかの実施形態において、本開示は、不純物を実質的に含まない化合物1を提供する。
【0047】
いくつかの実施形態において、本開示は、そのXRPDにおいて、約6.0、約16.5、約17.2、約23.0、および約23.9度2シータにおけるピークから選択される1個またはそれより多くのピークを有する化合物1を提供する。このようないくつかの実施形態において、本開示は、そのXRPDにおいて、約6.0、約16.5、約17.2、約23.0、および約23.9度2シータにおけるピークから選択される少なくとも2個のピークを有する化合物1を提供する。このようないくつかの実施形態において、本開示は、形態Aである化合物1を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、
図1Aに図示されるXRPDに実質的に類似しているXRPDを有する化合物1を提供する。
【0048】
いくつかの実施形態において、本開示は、そのXRPDにおいて、約3.2、約16.2、約16.5、約17.1、および約18.2度2シータにおけるピークから選択される1個またはそれより多くのピークを有する化合物1を提供する。このようないくつかの実施形態において、本開示は、そのXRPDにおいて、約3.2、約16.2、約16.5、約17.1、および約18.2度2シータにおけるピークから選択される少なくとも2個のピークを有する化合物1を提供する。このようないくつかの実施形態において、本開示は、形態Bである化合物1を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、
図2Aに図示されるXRPDに実質的に類似しているXRPDを有する化合物1を提供する。
【0049】
いくつかの実施形態において、本開示は、化合物1および薬学的に受容可能な担体または賦形剤を含む組成物を提供する。
【0050】
いくつかの実施形態において、本開示は、患者における1つまたはそれより多くのIRAKキナーゼを調節する方法であって、前記患者に、化合物1またはその組成物を投与するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、方法は、1つまたはそれより多くのIRAKキナーゼをユビキチン化および/または分解し、これによって、IRAKキナーゼが関与するシグナル伝達経路の調節と関連する疾患、障害または状態を処置する。
【0051】
いくつかの実施形態において、本開示は、患者におけるIRAKキナーゼが関与するシグナル伝達経路の調節と関連する疾患、障害または状態を処置する方法であって、前記患者に、化合物1またはその組成物を投与するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、患者における疾患、障害または状態を処置する方法であって、前記患者に、化合物1またはその組成物を投与するステップを含み、前記疾患、障害または状態が、IRAK-1、IRAK-2および/またはIRAK4によって媒介されるものである、方法を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、患者におけるがんを処置する方法であって、前記患者に、化合物1またはその組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0052】
上述の方法のいくつかの実施形態において、化合物1は、形態Aまたは形態Bである。いくつかの実施形態において、化合物1は、形態Aである。いくつかの実施形態において、化合物1は、形態Bである。
化合物1の塩形態
【0053】
いくつかの実施形態において、酸および化合物1は、イオン結合して、下記の化合物2~4のうちの1つを形成する。化合物2~4は、種々の物理的形態として存在することができると想定される。例えば、化合物2~4は、溶液、懸濁液、または固体形態であり得る。ある特定の実施形態において、化合物2~4は、固体形態である。化合物2~4が固体形態である場合、前記化合物は、非晶質、結晶性、またはそれらの混合物であり得る。化合物2~4の例示的なこのような固体形態を、以下より詳細に記載する。
化合物2(化合物1の塩酸塩)
【0054】
一実施形態によれば、本開示は、化合物2によって表される化合物1の塩酸塩を提供する。
【化3】
【0055】
塩酸および化合物1は、イオン結合して、化合物2を形成することが、当業者によって理解されよう。化合物2は、種々の物理的形態として存在することができると考えられる。例えば、化合物2は、溶液、懸濁液、または固体形態であり得る。ある特定の実施形態において、化合物2は、固体形態である。化合物2が固体形態である場合、前記化合物は、非晶質、結晶性、またはそれらの混合物であり得る。例示的な固体形態を、以下より詳細に記載する。
【0056】
いくつかの実施形態において、本開示は、不純物を実質的に含まない化合物2の一形態を提供する。このような不純物または異物は、異なる形態の化合物2、残留溶媒、または化合物2の調製および/もしくは単離から生じ得る任意の他の不純物を含んでいることがある。ある特定の実施形態において、少なくとも約95重量%の化合物2の一形態が存在する。本開示のさらに他の実施形態において、少なくとも約99重量%の化合物2の一形態が存在する。
【0057】
一実施形態によれば、化合物2の一形態は、少なくとも約97、少なくとも約97.5、少なくとも約98.0、少なくとも約98.5、少なくとも約99、少なくとも約99.5、少なくとも約99.8重量パーセントの量で存在する(パーセンテージは、組成物の総重量に対する)。別の実施形態によれば、化合物2の一形態は、HPLCクロマトグラムの総面積に対して、約3.0面積パーセントHPLC以下の全有機不純物、ある特定の実施形態において、約1.5面積パーセントHPLC以下の全有機不純物を含有する。他の実施形態において、化合物2の一形態は、HPLCクロマトグラムの総面積に対して、約1.0%面積パーセントHPLC以下の任意の単一不純物、約0.6面積パーセントHPLC以下の任意の単一不純物、ある特定の実施形態において、約0.5面積パーセントHPLC以下の任意の単一不純物を含有する。
【0058】
化合物2の一形態について図示される構造はまた、化合物2のすべての互変異性体の形態を含むことを意味する。加えて、ここに図示される構造はまた、1つまたはそれより多くの同位体が富化された原子の存在のみが異なる化合物を包含することを意味する。例えば、ジュウテリウムもしくはトリチウムによる水素の置換え、または13Cもしくは14Cを富化された炭素による炭素の置換え以外には本発明の構造を有する化合物は、本開示の範囲内である。
【0059】
化合物2は、種々の固体形態で存在できることが見出された。例示的なこのような形態には、本明細書に記載されるものなどの多形が含まれる。
【0060】
ある特定の実施形態において、化合物2は、結晶固体である。他の実施形態において、化合物2は、非晶質化合物2を実質的に含まない結晶固体である。本明細書で使用される場合、「非晶質化合物2を実質的に含まない」という用語は、化合物が、著しい量の非晶質化合物2を含有しないことを意味する。ある特定の実施形態において、少なくとも約95重量%の結晶性化合物2が存在する。本開示のさらに他の実施形態において、少なくとも約99重量%の結晶性化合物2が存在する。
【0061】
化合物2は、少なくとも1つの別個の多形形態で存在できることが見出された。ある特定の実施形態において、本開示は、本明細書で形態Aと呼ばれる化合物2の多形形態を提供する。
【0062】
いくつかの実施形態において、化合物2は、非晶質である。いくつかの実施形態において、化合物2は、非晶質であり、結晶性化合物2を実質的に含まない。
化合物2の形態A
【0063】
いくつかの実施形態において、化合物2の形態Aは、以下の表3に列挙されるピークから選択される少なくとも1個、2個、3個、4個または5個のスペクトルピークを有する。
【表3】
【0064】
いくつかの実施形態において、化合物2の形態Aは、そのX線粉末回折パターンにおいて、約14.1、約17.0、約17.3、約19.0、約21.0、約21.2および約23.3度2シータにおけるピークから選択される1個またはそれよりも多いピークを有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物2の形態Aは、そのX線粉末回折パターンにおいて、約14.1、約17.0、約17.3、約19.0、約21.0、約21.2および約23.3度2シータにおけるピークから選択される2個またはそれよりも多いピークを有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物2の形態Aは、そのX線粉末回折パターンにおいて、約14.1、約17.0、約17.3、約19.0、約21.0、約21.2および約23.3度2シータにおけるピークから選択される3個またはそれよりも多いピークを有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物2の形態Aは、そのX線粉末回折パターンにおいて、約14.1、約17.0、約17.3、約19.0、約21.0、約21.2および約23.3度2シータにおけるピークから選択される4個またはそれよりも多いピークを有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物2の形態Aは、そのX線粉末回折パターンにおいて、約14.1、約17.0、約17.3、約19.0、約21.0、約21.2および約23.3度2シータにおけるピークから選択される5個またはそれよりも多いピークを有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物2の形態Aは、そのX線粉末回折パターンにおいて、約14.1、約17.0、約17.3、約19.0、約21.0、約21.2および約23.3度2シータにおけるピークから選択される6個またはそれよりも多いピークを有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物2の形態Aは、そのX線粉末回折パターンにおいて、約14.1、約17.0、約17.3、約19.0、約21.0、約21.2および約23.3度2シータにおけるピークから選択される7個のピークを有することを特徴とする。
【0065】
いくつかの実施形態において、化合物2の形態Aは、そのX線粉末回折パターンにおいて、表3に列挙されるスペクトルピークのそれぞれの相対的強度が10%超、20%超、30%超または40%超であることを特徴とする。ある特定の実施形態において、X線粉末回折パターンは、
図3Aに提供されるXRPDに実質的に類似している。
【0066】
化合物2の形態Aを調製するための方法は、以下に記載される。
【0067】
いくつかの実施形態において、本開示は、結晶性である化合物2
【化4】
を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、非晶質化合物2を実質的に含まない化合物2を提供する。
【0068】
いくつかの実施形態において、本開示は、不純物を実質的に含まない化合物2を提供する。
【0069】
いくつかの実施形態において、本開示は、そのXRPDにおいて、約14.1、約17.0、約17.3、約19.0、約21.0、約21.2および約23.3度2シータにおけるピークから選択される1個またはそれより多くのピークを有する化合物2を提供する。このようないくつかの実施形態において、本開示は、そのXRPDにおいて、約14.1、約17.0、約17.3、約19.0、約21.0、約21.2および約23.3度2シータにおけるピークから選択される少なくとも2個のピークを有する化合物2を提供する。このようないくつかの実施形態において、本開示は、形態Aである化合物2を提供する。
【0070】
いくつかの実施形態において、本開示は、
図3Aに図示されるXRPDに実質的に類似しているXRPDを有する化合物2を提供する。
【0071】
いくつかの実施形態において、本開示は、化合物2および薬学的に受容可能な担体または賦形剤を含む組成物を提供する。
【0072】
いくつかの実施形態において、本開示は、患者における1つまたはそれより多くのIRAKキナーゼを調節する方法であって、前記患者に、化合物2またはその組成物を投与するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、方法は、1つまたはそれより多くのIRAKキナーゼをユビキチン化および/または分解し、これによって、IRAKキナーゼが関与するシグナル伝達経路の調節と関連する疾患、障害または状態を処置する。
【0073】
いくつかの実施形態において、本開示は、患者におけるIRAKキナーゼが関与するシグナル伝達経路の調節と関連する疾患、障害または状態を処置する方法であって、前記患者に、化合物2またはその組成物を投与するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、患者における疾患、障害または状態を処置する方法であって、前記患者に、化合物2またはその組成物を投与するステップを含み、前記疾患、障害または状態が、IRAK-1、IRAK-2および/またはIRAK4によって媒介されるものである、方法を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、患者におけるがんを処置する方法であって、前記患者に、化合物2またはその組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
化合物3(化合物1のフマル酸塩)
【0074】
一実施形態によれば、本開示は、化合物3によって表される化合物1のフマル酸塩を提供する。
【化5】
【0075】
フマル酸および化合物1は、イオン結合して、化合物3を形成することが、当業者によって理解されよう。化合物3は、種々の物理的形態として存在することができると考えられる。例えば、化合物3は、溶液、懸濁液、または固体形態であり得る。ある特定の実施形態において、化合物3は、固体形態である。化合物3が固体形態である場合、前記化合物は、非晶質、結晶性、またはそれらの混合物であり得る。例示的な固体形態を、以下より詳細に記載する。
【0076】
いくつかの実施形態において、本開示は、不純物を実質的に含まない化合物3の形態を提供する。このような不純物または異物は、異なる形態の化合物3、残留溶媒、または化合物3の調製および/もしくは単離から生じ得る任意の他の不純物を含んでいることがある。ある特定の実施形態において、少なくとも約95重量%の化合物3の一形態が存在する。本開示のさらに他の実施形態において、少なくとも約99重量%の化合物3の一形態が存在する。
【0077】
一実施形態によれば、化合物3の一形態は、少なくとも約97、少なくとも約97.5、少なくとも約98.0、少なくとも約98.5、少なくとも約99、少なくとも約99.5、少なくとも約99.8重量パーセントの量で存在する(パーセンテージは、組成物の総重量に対する)。別の実施形態によれば、化合物3の一形態は、HPLCクロマトグラムの総面積に対して、約3.0面積パーセントHPLC以下の全有機不純物、ある特定の実施形態において、約1.5面積パーセントHPLC以下の全有機不純物を含有する。他の実施形態において、化合物3の一形態は、HPLCクロマトグラムの総面積に対して、約1.0%面積パーセントHPLC以下の任意の単一不純物、約0.6面積パーセントHPLC以下の任意の単一不純物、ある特定の実施形態において、約0.5面積パーセントHPLC以下の任意の単一不純物を含有する。
【0078】
化合物3の一形態について図示される構造はまた、化合物3のすべての互変異性体の形態を含むことを意味する。加えて、ここに図示される構造はまた、1つまたはそれより多くの同位体が富化された原子の存在のみが異なる化合物を包含することを意味する。例えば、ジュウテリウムもしくはトリチウムによる水素の置換え、または13Cもしくは14Cを富化された炭素による炭素の置換え以外には本発明の構造を有する化合物は、本開示の範囲内である。
【0079】
化合物3は、種々の固体形態で存在できることが見出された。例示的なこのような形態には、本明細書に記載されるものなどの多形が含まれる。
【0080】
ある特定の実施形態において、化合物3は、結晶固体である。他の実施形態において、化合物3は、非晶質化合物3を実質的に含まない結晶固体である。本明細書で使用される場合、「非晶質化合物3を実質的に含まない」という用語は、化合物が、著しい量の非晶質化合物3を含有しないことを意味する。ある特定の実施形態において、少なくとも約95重量%の結晶性化合物3が存在する。本開示のさらに他の実施形態において、少なくとも約99重量%の結晶性化合物3が存在する。
【0081】
化合物3は、少なくとも1つの別個の多形形態で存在できることが見出された。ある特定の実施形態において、本開示は、本明細書で形態Aと呼ばれる化合物3の多形形態を提供する。
【0082】
いくつかの実施形態において、化合物3は、非晶質である。いくつかの実施形態において、化合物3は、非晶質であり、結晶性化合物3を実質的に含まない。
化合物3の形態A
【0083】
いくつかの実施形態において、化合物3の形態Aは、以下の表4に列挙されるピークから選択される少なくとも1個、2個、3個、4個または5個のスペクトルピークを有する。
【表4】
【0084】
いくつかの実施形態において、化合物3の形態Aは、そのX線粉末回折パターンにおいて、約6.4、約11.9、約16.2、約17.2、および約20.9度2シータにおけるピークから選択される1個またはそれよりも多いピークを有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物3の形態Aは、そのX線粉末回折パターンにおいて、約6.4、約11.9、約16.2、約17.2、および約20.9度2シータにおけるピークから選択される2個またはそれよりも多いピークを有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物3の形態Aは、そのX線粉末回折パターンにおいて、約6.4、約11.9、約16.2、約17.2、および約20.9度2シータにおけるピークから選択される3個またはそれよりも多いピークを有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物3の形態Aは、そのX線粉末回折パターンにおいて、約6.4、約11.9、約16.2、約17.2、および約20.9度2シータにおけるピークから選択される4個またはそれよりも多いピークを有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物3の形態Aは、そのX線粉末回折パターンにおいて、約6.4、約11.9、約16.2、約17.2、および約20.9度2シータにおけるピークから選択される5個のピークを有することを特徴とする。
【0085】
いくつかの実施形態において、化合物3の形態Aは、そのX線粉末回折パターンにおいて、表4に列挙されるスペクトルピークのそれぞれの相対的強度が10%超、20%超、30%超または40%超であることを特徴とする。ある特定の実施形態において、X線粉末回折パターンは、
図4Aに提供されるXRPDに実質的に類似している。
【0086】
化合物3の形態Aを調製するための方法は、以下に記載される。
【0087】
いくつかの実施形態において、本開示は、結晶性である化合物3
【化6】
を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、非晶質化合物3を実質的に含まない化合物3を提供する。
【0088】
いくつかの実施形態において、本開示は、不純物を実質的に含まない化合物3を提供する。
【0089】
いくつかの実施形態において、本開示は、そのXRPDにおいて、約6.4、約11.9、約16.2、約17.2、および約20.9度2シータにおけるピークから選択される1個またはそれより多くのピークを有する化合物3を提供する。このようないくつかの実施形態において、本開示は、そのXRPDにおいて、約6.4、約11.9、約16.2、約17.2、および約20.9度2シータにおけるピークから選択される少なくとも2個のピークを有する化合物3を提供する。このようないくつかの実施形態において、本開示は、形態Aである化合物3を提供する。
【0090】
いくつかの実施形態において、本開示は、
図4Aに図示されるXRPDに実質的に類似しているXRPDを有する化合物3を提供する。
【0091】
いくつかの実施形態において、本開示は、化合物3および薬学的に受容可能な担体または賦形剤を含む組成物を提供する。
【0092】
いくつかの実施形態において、本開示は、患者における1つまたはそれより多くのIRAKキナーゼを調節する方法であって、前記患者に、化合物3またはその組成物を投与するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、方法は、1つまたはそれより多くのIRAKキナーゼをユビキチン化および/または分解し、これによって、IRAKキナーゼが関与するシグナル伝達経路の調節と関連する疾患、障害または状態を処置する。
【0093】
いくつかの実施形態において、本開示は、患者におけるIRAKキナーゼが関与するシグナル伝達経路の調節と関連する疾患、障害または状態を処置する方法であって、前記患者に、化合物3またはその組成物を投与するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、患者における疾患、障害または状態を処置する方法であって、前記患者に、化合物3またはその組成物を投与するステップを含み、前記疾患、障害または状態が、IRAK-1、IRAK-2および/またはIRAK4によって媒介されるものである、方法を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、患者におけるがんを処置する方法であって、前記患者に、化合物3またはその組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
化合物4(化合物1のマレイン酸塩)
【0094】
一実施形態によれば、本開示は、化合物4によって表される化合物1のマレイン酸塩を提供する。
【化7】
【0095】
マレイン酸および化合物1は、イオン結合して、化合物4を形成することが、当業者によって理解されよう。化合物4は、種々の物理的形態として存在することができると考えられる。例えば、化合物4は、溶液、懸濁液、または固体形態であり得る。ある特定の実施形態において、化合物4は、固体形態である。化合物4が固体形態である場合、前記化合物は、非晶質、結晶性、またはそれらの混合物であり得る。例示的な固体形態を、以下より詳細に記載する。
【0096】
いくつかの実施形態において、本開示は、不純物を実質的に含まない化合物4の形態を提供する。このような不純物または異物は、異なる形態の化合物4、残留溶媒、または化合物4の調製および/もしくは単離から生じ得る任意の他の不純物を含んでいることがある。ある特定の実施形態において、少なくとも約95重量%の化合物4の一形態が存在する。本開示のさらに他の実施形態において、少なくとも約99重量%の化合物4の一形態が存在する。
【0097】
一実施形態によれば、化合物4の一形態は、少なくとも約97、少なくとも約97.5、少なくとも約98.0、少なくとも約98.5、少なくとも約99、少なくとも約99.5、少なくとも約99.8重量パーセントの量で存在する(パーセンテージは、組成物の総重量に対する)。別の実施形態によれば、化合物4の一形態は、HPLCクロマトグラムの総面積に対して、約3.0面積パーセントHPLC以下の全有機不純物、ある特定の実施形態において、約1.5面積パーセントHPLC以下の全有機不純物を含有する。他の実施形態において、化合物4の一形態は、HPLCクロマトグラムの総面積に対して、約1.0%面積パーセントHPLC以下の任意の単一不純物、約0.6面積パーセントHPLC以下の任意の単一不純物、ある特定の実施形態において、約0.5面積パーセントHPLC以下の任意の単一不純物を含有する。
【0098】
化合物4の一形態について図示される構造はまた、化合物4のすべての互変異性体の形態を含むことを意味する。加えて、ここに図示される構造はまた、1つまたはそれより多くの同位体が富化された原子の存在のみが異なる化合物を包含することを意味する。例えば、ジュウテリウムもしくはトリチウムによる水素の置換え、または13Cもしくは14Cを富化された炭素による炭素の置換え以外には本発明の構造を有する化合物は、本開示の範囲内である。
【0099】
化合物4は、種々の固体形態で存在できることが見出された。例示的なこのような形態には、本明細書に記載されるものなどの多形が含まれる。
【0100】
ある特定の実施形態において、化合物4は、結晶固体である。他の実施形態において、化合物4は、非晶質化合物4を実質的に含まない結晶固体である。本明細書で使用される場合、「非晶質化合物4を実質的に含まない」という用語は、化合物が、著しい量の非晶質化合物4を含有しないことを意味する。ある特定の実施形態において、少なくとも約95重量%の結晶性化合物4が存在する。本開示のさらに他の実施形態において、少なくとも約99重量%の結晶性化合物4が存在する。
【0101】
化合物4は、少なくとも1つの別個の多形形態で存在できることが見出された。ある特定の実施形態において、本開示は、本明細書で形態Aと呼ばれる化合物4の多形形態を提供する。
【0102】
いくつかの実施形態において、化合物4は、非晶質である。いくつかの実施形態において、化合物4は、非晶質であり、結晶性化合物4を実質的に含まない。
化合物4の形態A
【0103】
いくつかの実施形態において、化合物4の形態Aは、以下の表5に列挙されるピークから選択される少なくとも1個、2個、3個、4個または5個のスペクトルピークを有する。
【表5】
【0104】
いくつかの実施形態において、化合物4の形態Aは、そのX線粉末回折パターンにおいて、約3.3、約6.4、および約16.7度2シータにおけるピークから選択される1個またはそれよりも多いピークを有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物4の形態Aは、そのX線粉末回折パターンにおいて、約3.3、約6.4、および約16.7度2シータにおけるピークから選択される2個またはそれよりも多いピークを有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物4の形態Aは、そのX線粉末回折パターンにおいて、約3.3、約6.4、および約16.7度2シータにおけるピークから選択される3個のピークを有することを特徴とする。
【0105】
いくつかの実施形態において、化合物4の形態Aは、そのX線粉末回折パターンにおける、表5に列挙されるスペクトルピークのそれぞれの相対的強度が10%超、20%超、30%超または40%超であることを特徴とする。ある特定の実施形態において、X線粉末回折パターンは、
図4Aに提供されるXRPDに実質的に類似している。
【0106】
化合物4の形態Aを調製するための方法は、以下に記載される。
【0107】
いくつかの実施形態において、本開示は、結晶性である化合物4
【化8】
を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、非晶質化合物4を実質的に含まない化合物4を提供する。
【0108】
いくつかの実施形態において、本開示は、不純物を実質的に含まない化合物4を提供する。
【0109】
いくつかの実施形態において、本開示は、そのXRPDにおいて、約3.3、約6.4、および約16.7度2シータにおけるピークから選択される1個またはそれより多くのピークを有する化合物4を提供する。このようないくつかの実施形態において、本開示は、そのXRPDにおいて、約3.3、約6.4、および約16.7度2シータにおけるピークから選択される少なくとも2個のピークを有する化合物4を提供する。このようないくつかの実施形態において、本開示は、形態Aである化合物4を提供する。
【0110】
いくつかの実施形態において、本開示は、
図5Aに図示されるXRPDに実質的に類似しているXRPDを有する化合物4を提供する。
【0111】
いくつかの実施形態において、本開示は、化合物4および薬学的に受容可能な担体または賦形剤を含む組成物を提供する。
【0112】
いくつかの実施形態において、本開示は、患者における1つまたはそれより多くのIRAKキナーゼを調節する方法であって、前記患者に、化合物4またはその組成物を投与するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、方法は、1つまたはそれより多くのIRAKキナーゼをユビキチン化および/または分解し、これによって、IRAKキナーゼが関与するシグナル伝達経路の調節と関連する疾患、障害または状態を処置する。
【0113】
いくつかの実施形態において、本開示は、患者におけるIRAKキナーゼが関与するシグナル伝達経路の調節と関連する疾患、障害または状態を処置する方法であって、前記患者に、化合物4またはその組成物を投与するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、患者における疾患、障害または状態を処置する方法であって、前記患者に、化合物4またはその組成物を投与するステップを含み、前記疾患、障害または状態が、IRAK-1、IRAK-2および/またはIRAK4によって媒介されるものである、方法を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、患者におけるがんを処置する方法であって、前記患者に、化合物4またはその組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
塩化合物を提供する一般方法
【0114】
式に包含される一般式Aの塩化合物、とりわけ、塩化合物2~4、および/またはその特定の形態は、以下の一般スキームに従って化合物1から調製される。
【化9】
【0115】
例えば、化合物2~4のそれぞれおよびその形態は、化合物1から、化合物1を適切な酸と合わせて、その酸の塩を形成することによって調製される。したがって、本開示の別の態様は、化合物2~4およびその形態を調製するための方法を提供する。
【0116】
一般に上述される通り、いくつかの実施形態において、本開示は、一般式Aの塩化合物
【化10】
を調製するための方法であって、化合物1
【化11】
を、式Aの塩を形成するのに適した条件下で、適切な酸および必要に応じて適切な溶媒と合わせるステップを含む方法を提供する。
【0117】
いくつかの実施形態において、適切な酸は、塩酸である。いくつかの実施形態において、本開示は、化合物1の塩酸塩を作製する方法を提供する。ある特定の実施形態において、化合物1の塩酸塩は、化合物2である。ある特定の実施形態において、化合物1の塩酸塩は、化合物2の形態Aである。
【0118】
いくつかの実施形態において、適切な酸は、フマル酸である。いくつかの実施形態において、本開示は、化合物1のフマル酸塩を作製する方法を提供する。ある特定の実施形態において、化合物1のフマル酸塩は、化合物3である。ある特定の実施形態において、化合物1のフマル酸塩は、化合物3の形態Aである。
【0119】
いくつかの実施形態において、適切な酸は、マレイン酸である。いくつかの実施形態において、本開示は、化合物1のマレイン酸塩を作製する方法を提供する。ある特定の実施形態において、化合物1のマレイン酸塩は、化合物4である。ある特定の実施形態において、化合物1のマレイン酸塩は、化合物4の形態Aである。
【0120】
適切な溶媒は、化合物1および/または酸が、可溶性であるか、または少なくとも部分的に可溶性である任意の溶媒系(例えば、1種の溶媒または溶媒混合物)であり得る。
【0121】
本開示の方法において有用な適切な溶媒の例として、プロトン性溶媒、非プロトン性溶媒、極性非プロトン性溶媒、またはそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、適切な溶媒には、エーテル、エステル、アルコール、ケトン、またはそれらの混合物が含まれる。いくつかの実施形態において、溶媒は、1種または複数種の有機アルコールである。いくつかの実施形態において、溶媒は、塩素化されている。いくつかの実施形態において、溶媒は、芳香族溶媒である。
【0122】
ある特定の実施形態において、適切な溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、またはアセトンであり、前記溶媒は、無水であるか、または水もしくはヘプタンと組み合わされる。いくつかの実施形態において、適切な溶媒には、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、グリム、ジグリム、メチルt-ブチルエーテル、t-ブタノール、n-ブタノール、およびアセトニトリルが含まれる。いくつかの実施形態において、適切な溶媒は、エタノールである。いくつかの実施形態において、適切な溶媒は、無水エタノールである。いくつかの実施形態において、適切な溶媒は、MTBEである。
【0123】
いくつかの実施形態において、適切な溶媒は、酢酸エチルである。いくつかの実施形態において、適切な溶媒は、メタノールである。いくつかの実施形態において、適切な溶媒は、塩化メチレンである。いくつかの実施形態において、適切な溶媒は、アセトニトリルである。いくつかの実施形態において、適切な溶媒は、イソプロパノールである。ある特定の実施形態において、適切な溶媒は、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、アセトン、またはテトラヒドロフランである。ある特定の実施形態において、適切な溶媒は、ジエチルエーテルである。ある特定の実施形態において、適切な溶媒は、水である。ある特定の実施形態において、適切な溶媒は、メチルエチルケトンである。ある特定の実施形態において、適切な溶媒は、トルエンである。
【0124】
いくつかの実施形態において、本開示は、一般式Aの塩化合物を調製するための方法であって、溶媒を除去するおよび溶媒を添加する1つまたはそれより多くのステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、添加される溶媒は、除去される溶媒と同じである。いくつかの実施形態において、添加される溶媒は、除去される溶媒とは異なる。溶媒を除去する手段は、合成および化学分野で公知であり、本明細書および実施例に記載されるもののいずれかを含むが、それに限定されない。
【0125】
いくつかの実施形態において、一般式Aの塩化合物を調製するための方法は、調製物を加熱または冷却する1つまたはそれより多くのステップを含む。
【0126】
いくつかの実施形態において、一般式Aの塩化合物を調製するための方法は、調製物をかき混ぜるまたは撹拌する1つまたはそれより多くのステップを含む。
【0127】
いくつかの実施形態において、一般式Aの塩化合物を調製するための方法は、溶媒をゆっくり蒸発させるステップを含む。いくつかの実施形態において、一般式Aの塩化合物を調製するための方法は、溶媒を、室温で周囲雰囲気に曝露することによってゆっくり蒸発させるステップを含む。いくつかの実施形態において、一般式Aの塩化合物を調製するための方法は、不活性ガス、例えば窒素ガスの流れの下で溶媒を蒸発させるステップを含む。
【0128】
いくつかの実施形態において、一般式Aの塩化合物を調製するための方法は、適切な酸を、化合物1の溶液またはスラリーに添加するステップを含む。
【0129】
いくつかの実施形態において、一般式Aの塩化合物を調製するための方法は、加熱するステップを含む。
【0130】
ある特定の実施形態において、式Aの塩化合物は、混合物から沈殿する。別の実施形態において、式Aの塩化合物は、混合物から結晶化する。他の実施形態において、式Aの塩化合物は、溶液に種結晶を入れた後(すなわち、式Aの塩化合物の結晶を溶液に添加した後)に溶液から結晶化する。
【0131】
式Aの塩化合物は、反応混合物から沈殿することができ、または蒸発、蒸留、濾過(例えば、ナノ濾過、限外濾過)、逆浸透、吸収および反応などの方法により、ヘプタンなどの逆溶媒の添加により、冷却により、もしくはこれらの方法の様々な組み合わせにより、部分的もしくはすべての溶媒を除去することによって産生することができる。
【0132】
一般に上述される通り、式Aの塩化合物は、必要に応じて単離される。式Aの塩化合物は、当業者に公知の任意の適切な物理的手段によって単離され得ることを理解されよう。ある特定の実施形態において、沈殿した式Aの固体塩化合物は、濾過によって上清から分離される。他の実施形態において、沈殿した式Aの固体塩化合物は、上清のデカンテーションにより上清から分離される。
【0133】
ある特定の実施形態において、式Aの塩化合物は、濾過によって上清から分離される。
【0134】
ある特定の実施形態において、単離された式Aの塩化合物は、風乾させられる。他の実施形態において、単離された式Aの塩化合物は、減圧下で、必要に応じて高温で乾燥させられる。
【0135】
5.使用、処方および投与
薬学的に受容可能な組成物
別の実施形態によれば、本発明は、本発明の化合物、またはその薬学的に受容可能な誘導体および薬学的に受容可能なキャリア、アジュバント、またはビヒクルを含有する、組成物を提供する。本発明の組成物中の化合物の量は、生物学的サンプル中または患者において、IRAKプロテインキナーゼまたはその変異体を測定可能に分解および/または阻害するために有効である量である。特定の実施形態において、本発明の組成物中の化合物の量は、生物学的サンプル中または患者において、IRAKプロテインキナーゼまたはその変異体を測定可能に分解および/または阻害するために有効である量である。特定の実施形態において、本発明の組成物は、このような組成物を必要とする患者への投与のために処方される。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、患者への経口投与のために処方される。
【0136】
「患者」という用語は、本明細書において使用する場合、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。
【0137】
「薬学的に受容可能なキャリア、アジュバント、またはビヒクル」という用語は、それと共に製剤化される化合物の薬理学的活性を破壊しない、非毒性のキャリア、アジュバント、またはビヒクルを指す。この発明の組成物において使用することができる薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントまたはビヒクルとして、イオン交換剤、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、ホスフェートなどの緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または硫酸プロタミンなどの電解質、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ろう、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられる。
【0138】
「薬学的に受容可能な誘導体」は、レシピエントへの投与に際して、この発明の化合物またはその阻害もしくは分解活性代謝物もしくは残留物を直接的または間接的に提供することができる、任意のこの発明の化合物の非毒性の塩、エステル、エステルの塩または他の誘導体を意味する。
【0139】
本明細書において使用する場合、「その阻害活性代謝物または残留物」という用語は、その代謝物または残留物も、IRAKプロテインキナーゼまたはその変異体の阻害剤であることを意味する。
【0140】
本明細書において使用する場合、「その分解活性代謝物または残留物」という用語は、その代謝物または残留物も、IRAKプロテインキナーゼまたはその変異体の分解剤であることを意味する。
【0141】
本発明の組成物は、経口的に、非経口的に、吸入噴霧によって、局所的に、直腸内に、鼻腔内に、口腔内に、膣内にまたは埋め込み型レザバによって投与することができる。「非経口」という用語は、本明細書において使用する場合、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液包内、胸骨内、髄腔内、肝内、病巣内および頭蓋内の注射または注入技法を含む。好ましくは、組成物は、経口、腹腔内または静脈内投与される。この発明の組成物の注射用滅菌形態は、水性または油性の懸濁物であってもよい。これらの懸濁物は、好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して、当技術分野で公知の技法に従って製剤化されてもよい。注射用滅菌調製物はまた、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液のように、非毒性の非経口で許容される希釈剤または溶媒中の、注射用滅菌溶液または懸濁物であってもよい。用いることのできる許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンガー溶液および等張塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌の固定油は、従来より、溶媒または懸濁媒体として用いられている。
【0142】
この目的のために、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無刺激性固定油を用いることができる。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、特に、それらのポリオキシエチル化型において、オリーブ油またはヒマシ油などの天然の薬学的に受容可能な油であるため、注射可能物質の調製に有用である。これらの油の溶液または懸濁物はまた、エマルションまたは懸濁物を含む、薬学的に受容可能な剤形の製剤化において一般的に使用される、カルボキシメチルセルロースまたは同様の分散剤などの長鎖アルコール希釈剤または分散剤を含有し得る。薬学的に受容可能な固体、液体、または他の剤形の製造において一般的に使用される、他の一般的に使用される界面活性剤、例えば、Tween(登録商標)、Span(登録商標)、および他の乳化剤またはバイオアベイラビリティ強化剤も、製剤化の目的で使用することができる。
【0143】
この発明の薬学的に受容可能な組成物は、これらに限定されないが、カプセル剤、錠剤、水性懸濁剤または液剤を含む、任意の経口で許容される剤形で経口的に投与することができる。経口使用のための錠剤の場合、一般的に使用されるキャリアとして、ラクトースおよびトウモロコシデンプンが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤も、典型的には添加される。カプセル形態での経口投与に対して、有用な希釈剤として、ラクトースおよび乾燥トウモロコシデンプンが挙げられる。水性懸濁剤が経口使用に必要とされる場合、有効成分は、乳化剤および懸濁化剤と組み合わされる。所望の場合、ある特定の甘味剤、矯味矯臭剤または着色剤も添加され得る。
【0144】
あるいは、この発明の薬学的に受容可能な組成物は、直腸投与のための坐剤の形態で投与することができる。これらは、室温では固体であるが直腸温度では液体であり、したがって、薬物を放出させるように直腸内で溶ける、好適な非刺激性賦形剤と薬剤とを混合することによって調製することができる。このような材料として、カカオバター、蜜ろうおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0145】
この発明の薬学的に受容可能な組成物はまた、特に、処置の標的が、眼、皮膚、または下部腸管の疾患を含む、局所適用によって容易に到達可能な領域または器官を含む場合、局所的に投与することができる。好適な局所製剤は、これらの領域または器官のそれぞれに対して、容易に調製される。
【0146】
下部腸管に対する局所適用は、直腸の坐剤製剤(上記を参照されたい)または好適な浣腸製剤でなされてもよい。局所的な経皮パッチも使用することができる。
【0147】
局所適用に対して、提供される薬学的に受容可能な組成物は、1つまたは複数のキャリア中に懸濁または溶解された活性成分を含有する好適な軟膏剤に製剤化され得る。この発明の化合物の局所投与のためのキャリアとして、これらに限定されないが、鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ろうおよび水が挙げられる。あるいは、提供される薬学的に受容可能な組成物は、1つまたは複数の薬学的に受容可能なキャリア中に懸濁または溶解された活性成分を含有する、好適なローションまたはクリームに製剤化され得る。好適なキャリアとして、これらに限定されないが、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルろう、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられる。
【0148】
眼科用に、提供される薬学的に受容可能な組成物は、等張のpH調節した滅菌食塩水中の微粉化懸濁剤として、または好ましくは、塩化ベンジルアルコニウム(benzylalkonium chloride)などの保存剤を含むかもしくは含まない、等張のpH調節した滅菌食塩水中の液剤として、製剤化され得る。あるいは、眼科用に、薬学的に受容可能な組成物は、ワセリンなどの軟膏剤に製剤化され得る。
【0149】
この発明の薬学的に受容可能な組成物はまた、鼻腔エアロゾルまたは吸入によって投与することができる。このような組成物は、医薬製剤の技術分野で周知である技法に従って調製され、ベンジルアルコールもしくは他の好適な保存剤、バイオアベイラビリティを強化するための吸収促進剤、フッ化炭素、および/または他の従来の可溶化剤もしくは分散剤を用いて、食塩水中の液剤として調製され得る。
【0150】
最も好ましくは、この発明の薬学的に受容可能な組成物は、経口投与のために製剤化される。このような製剤は、食物と共にまたは食物を伴わずに投与されてもよい。一部の実施形態では、この発明の薬学的に受容可能な組成物は、食物を伴わずに投与される。他の実施形態では、この発明の薬学的に受容可能な組成物は、食物と共に投与される。
【0151】
単一剤形に組成物を生成するためにキャリア材料と組み合わされてもよい本発明の化合物の量は、処置される宿主、特定の投与方式に応じて変わることになる。好ましくは、提供される組成物は、1日に体重1kg当たり0.01~100mgの間の投薬量の化合物が、これらの組成物を受容する患者に投与することができるように製剤化されるべきである。
【0152】
任意の特定患者に対する具体的な投薬量および処置レジメンは、用いられる具体的化合物の活性、年齢、体重、全身の健康、性別、食事、投与時間、排出速度、薬物の組み合わせ、ならびに処置する医師の判断および処置される特定の疾患の重症度を含む、様々な因子に応じて変わることも理解されるべきである。組成物中の本発明の化合物の量は、組成物中の特定の化合物に応じても変わることになる。
【0153】
化合物および薬学的に受容可能な組成物の使用
本明細書中に記載される化合物および組成物は一般に、1つまたはそれより多くの酵素のキナーゼ活性の分解および/または阻害のために有用である。
【0154】
本明細書中に記載され、そして本明細書中に記載される方法が有用である化合物および組成物により分解および/または阻害されるキナーゼの例としては、キナーゼの、インターロイキン-1受容体関連キナーゼ(IRAK)ファミリファミリーのものが挙げられ、これらのメンバーとしては、IRAK-1、IRAK-2、およびIRAK-4、またはその変異体が挙げられる。Li et al.,「IRAK-4:A novel member of the IRAK family with the properties of an IRAK-kinase」,PNAS 2002,99(8),5567-5572、Flannery et al.,「The interleukin-1 receptor-associated kinases:Critical regulators of innate immune signaling」Biochem Pharm 2010,80(12),1981-1991、その全体が参考として援用される。
【0155】
本発明において、IRAK-1、IRAK-2、および/もしくはIRAK-4、またはその変異体の分解剤および/または阻害剤として利用される化合物の活性は、インビトロで、インビボで、または細胞株内でアッセイされ得る。インビトロアッセイとしては、リン酸化活性および/またはその後の機能的結果のいずれかの阻害、あるいは活性化IRAK-1、IRAK-2、および/もしくはIRAK-4、またはその変異体のATPase活性を決定するアッセイが挙げられる。代替のインビトロアッセイは、阻害剤がIRAK-1、IRAK-2および/またはIRAK-4に結合する能力を定量する。阻害剤の結合は、結合前に阻害剤を放射線標識し、阻害剤/IRAK-1、阻害剤/IRAK-2、または阻害剤/IRAK-4複合体を単離し、そして結合した放射標識の量を決定することにより測定され得る。あるいは、阻害剤の結合は、新規阻害剤が、既知の放射リガンドに結合したIRAK-1、IRAK-2、および/またはIRAK-4と一緒にインキュベートされる、比較実験を行うことにより決定され得る。IRAK-4阻害剤をアッセイするのに有用な、代表的なインビトロおよびインビボでのアッセイとしては、例えば、Kim et al.,「A critical role for IRAK4 kinase activity in Toll-like receptor-mediated innate immunity」,J.Exp.Med.2007 204(5),1025-1036;Lebakken et al.,「A Fluorescence Lifetime Based Binding Assay to Characterize Kinase Inhibitors」,J.Biomol.Screen.2007,12(6),828-841;Maschera et al.,「Overexpression of an enzymatically inactive interleukin-1-receptor-associated kinase activates nuclear factor-κB」,Biochem.J.1999,339,227-231;Song et al.,「The kinase activities of interleukin-e receptor associated kinase(IRAK)-1 and 4 are redundant in the control of inflammatory cytokine expression in human cells」,Mol.Immunol.2009,46,1458-1466に記載および開示されるものが挙げられ、これらの各々の全体が、本明細書中に参考として援用される。IRAK-1、IRAK-2、および/もしくはIRAK-4、またはその変異体の分解剤および/または阻害剤として本発明において利用される化合物をアッセイするための詳細な条件は、下記の実施例に記載されている。
【0156】
IRAKファミリーのうちの最も特徴付けられたメンバーは、セリン/トレオニンキナーゼIRAK-4である。IRAK-4は、Toll様受容体(TLR)およびToll/IL-1受容体(TIR)からシグナル伝達される自然免疫応答に関与する。
【0157】
自然免疫は、TLRによる病原体関連分子パターンの認識によって、病原体を検出し、このとき次いで、適応免疫応答に結びつける。TLRは、微生物と内因性分子との両方の、保存された構造を認識する。細菌および真菌の成分を認識するTLRは、細胞表面に局在しており、一方で、ウイルスまたは微生物の核酸を認識するTLRは、細胞内膜、例えば、エンドソームおよびファゴソームに局在している。細胞表面TLRは、低分子および抗体により処置され得、一方で、細胞内TLRは、オリゴヌクレオチドでの処置を必要とする。
【0158】
TLRは、複数の標的細胞内の炎症性遺伝子の発現を上方調節することによって、自然免疫応答を媒介する。例えば、Sen et al.,「Transcriptional signaling by double-stranded RNA:role of TLR3」,Cytokine & Growth Factor Rev.2005,16,1-14を参照のこと。その全体が本明細書中に参考として援用される。TLRにより媒介される炎症応答は、自然免疫、および感染に対する宿主の防御のために重要であるが、制御されない炎症は、宿主に対して有害であり、敗血症ならびに慢性炎症性疾患、例えば、慢性関節炎、アテローム性動脈硬化症、多発性硬化症、がん、自己免疫障害(例えば、関節リウマチ、ループス、喘息、乾癬、および炎症性腸疾患)をもたらす。
【0159】
リガンドが結合すると、大部分のTLRは、アダプター分子MyD88を、TIRドメインを介して動員し、MyD88依存性経路を媒介する。次いで、MyD88は、IRAK-4を動員し、これは、核因子-κB(NF-κB)、マイトジェン活性化プロテイン(MAP)キナーゼおよびインターフェロン調節因子カスケードとエンゲージし、そして炎症誘発性サイトカインの誘導をもたらす。NF-κBの活性化は、炎症性サイトカインおよびケモカイン、例えば、TNF-α、IL-1α、IL-6およびIL-8の誘導を生じる。IRAK-4のキナーゼ活性は、TLRにより媒介される免疫応答および炎症応答において重要な役割を果たすことが示されている。IRAK4は、インターロイキン-1受容体(IL-1R)、インターロイキン-18受容体(IL-18R)、IL-33受容体(IL-33R)、およびToll様受容体(TLR)により編成される自然免疫応答の主要なメディエーターである。IRAK-1および/またはIRAK-4活性の不活性化は、IL-1およびTLRリガンドの刺激に応答するサイトカインおよびケモカインの産生の減少をもたらすことが示されている。例えば、Picard et al.,「Clinical features and outcome of patients with IRAK-4 and MyD88 deficiency」,Medicine (Baltimore),2010,89(6),043-25;Li,「IRAK4 in TLR/IL-1R signaling:Possible clinical applications」,Eur.J.Immunology 2008,38:614-618;Cohen et al.,「Targeting protein kinases for the development of anti-inflammatory drugs」,Curr.Opin.Cell Bio.2009,21:317-324;Flannery et al.,「The interleukin-1 receptor-associated kinases:Critical regulators of innate immune signalling」,Biochem.Pharm.2010,80(12),1981-1991;Gottipati et al.,「IRAK1:A critical signaling mediator of innate immunity」,Cellular Signaling 2008,20,269-276;Kim et al.,「A critical role for IRAK4 kinase activity in Toll-like receptor-mediated innate immunity」,J.Exp.Med.2007 204(5),1025-1036;Koziczak-Holbro et al.,「IRAK-4 Kinase Activity Is Required for Interleukin-1(IL-1)Receptor- and Toll-like Receptor 7-mediated Signaling and Gene Expression」,J.Biol.Chem.2007,282(18),13552-13560;Kubo-Murai et al.,「IRAK-4-dependent Degradation of IRAK-1 is a Negative Feedback Signal for TLR-mediated NF-κB Activation」,J.Biochem.2008,143,295-302;Maschera et al.,「Overexpression of an enzymatically inactive interleukin-1-receptor-associated kinase activates nuclear factor-κB」,Biochem.J.1999,339,227-231;Lin et al.,「Helical assembly in the MyD88-IRAK4-IRAK2 complex in TLR /IL-1R signalling」,Nature 2010,465(17),885-891;Suzuki et al.,「IRAK-4 as the central TIR signaling mediator in innate immunity」,TRENDS in Immunol.2002,23(10),503-506;Suzuki et al.,「Severe impairment of interleukin-1 and Toll-like receptor signalling in mice lacking IRAK-4」,Nature 2002,416,750-754;Swantek et al.,「IL-1 Receptor-Associated Kinase Modulates Host Responsiveness to Endotoxin」,J.Immunol.2000,164,4301-4306;Hennessy,E.,et al.,「Targeting Toll-like receptors:emerging therapeutics?」Nature Reviews,vol.9,pp:293-307(2010);Dinarello,C.「Interleukin-18 and the Pathogenesis of Inflammatory Diseases」,Seminars in Nephrology,vol.27,no.1,pp:98-114(2007)を参照のこと。これらの各々の全体が、本明細書中に参考として援用される。実際に、触媒的に不活性な変異体IRAK-4タンパク質を発現するノックダウンマウスは、敗血症性ショックに対して完全に抵抗性であり、そして損なわれたIL-1活性を示す。さらに、これらのマウスは、関節炎モデルにおいて関節および骨の炎症/破壊に対して抵抗性であり、IRAK-4が慢性炎症を処置するための標的であり得ることを示唆している。さらに、IRAK-4は、数種の化膿性細菌に対する小児の免疫のために不可欠であるようであるが、IRAK-4活性を欠く14より高齢の患者が侵入性感染を示さなかった研究により実証されるように、成人における大部分の感染に対する保護免疫において、冗長な役割を果たすことが示されている。Cohen et al.,「Targeting protein kinases for the development of anti-inflammatory drugs」,Curr.Opin.Cell Bio.2009,21:317-324;Ku et al.,「Selective predisposition to bacterial infections in IRAK-4-deficient children:IRAK-4-dependent TLRs are otherwise redundant in protective immunity」,J.Exp.Med.2007,204(10),2407-2422;Picard et al.,「Inherited human IRAK-4 deficiency:an update」,Immunol.Res.2007,38,347-352;Song et al.,「The kinase activities of interleukin-e receptor associated kinase(IRAK)-1 and 4 are redundant in the control of inflammatory cytokine expression in human cells」,Mol.Immunol.2009,46,1458-1466;Rokosz,L.et al.,「Kinase inhibitors as drugs for chronic inflammatory and immunological diseases:progress and challenges」,Expert Opinions on Therapeutic Targets,12(7),pp:883-903(2008);Gearing,A.「Targeting toll-like receptors for drug development:a summary of commercial approaches」,Immunology and Cell Biology,85,pp:490-494(2007);Dinarello,C.「IL-1:Discoveries,controversies and future directions」,European Journal of Immunology,40,pp:595-653(2010)、これらの各々の全体が、本明細書中に参考として援用される。TLR活性化はIRAK-4キナーゼ活性を誘発するので、IRAK-4阻害は、無数の疾患における炎症の基礎にある原因を処置するための魅力的な標的を提示する。
【0160】
代表的なIRAK-4阻害剤としては、例えば、Buckley et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.2008,18,3211-3214;Buckley et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.2008,18,3291-3295;Buckley et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.2008,18,3656-3660;Powers et al.,「Discovery and initial SAR of inhibitors of interleukin-1 receptor-associated kinase-4」,Bioorg.Med.Chem.Lett.2006,16,2842-2845;Wng et al.,「IRAK-4 Inhibitors for Inflammation」,Curr.Topics in Med.Chem.2009,9,724-737に記載および開示されるものが挙げられ、これらの各々の全体が、本明細書中に参考として援用される。
【0161】
本明細書において使用する場合、「処置(treatment)」、「処置する(treat)」、および「処置すること(treating)」という用語は、本明細書に記載されるような、疾患もしくは障害、またはその1つもしくは複数の症状の、逆転、軽減、発症の遅延、または進行の阻害を指す。一部の実施形態では、処置は、1つまたは複数の症状が発症した後に施され得る。他の実施形態では、処置は、症状の非存在下で施され得る。例えば、処置は、症状の発症前に、感受性の個体に施され得る(例えば、症状の病歴を考慮しておよび/または遺伝因子もしくは他の感受性因子を考慮して)。処置はまた、症状が消散した後に、例えば、その症状の再発を予防するかまたは遅延させるために、続けられてもよい。
【0162】
提供される化合物は、IRAK-1、IRAK-2、および/またはIRAK-4のうちの1つまたはそれより多くのものの分解剤および/または阻害剤であるので、IRAK-1、IRAK-2、および/またはIRAK-4のうちの1つまたはそれより多くのものの活性に関連する1つまたはそれより多くの障害を処置するために有用である。従って、特定の実施形態において、本発明は、IRAK-1により媒介される、IRAK-2により媒介される、および/またはIRAK-4により媒介される障害を処置するための方法を提供し、この方法は、その必要がある患者に、本発明の化合物、またはその薬学的に受容可能な組成物を投与する工程を包含する。
【0163】
本明細書中で使用される場合、用語「IRAK-1により媒介される」、「IRAK-2により媒介される」、および/または「IRAK-4により媒介される」障害、疾患、および/または状態とは、本明細書中で使用される場合、IRAK-1、IRAK-2、および/もしくはIRAK-4、またはその変異体のうちの1つまたはそれより多くが役割を果たすことが既知である、任意の疾患または他の有害な状態を意味する。従って、本発明の別の実施形態は、IRAK-1、IRAK-2、および/もしくはIRAK-4、またはその変異体のうちの1つまたはそれより多くが役割を果たすことが既知である、1つまたはそれより多くの疾患を処置するか、またはその重篤度を低下させることに関する。
【0164】
いくつかの実施形態において、本発明は、1つまたはそれより多くの障害、疾患、および/または状態を処置するための方法を提供し、ここでこの障害、疾患、または状態は、がん、神経変性障害、ウイルス性疾患、自己免疫疾患、炎症性障害、遺伝性障害、ホルモン関連疾患、代謝障害、器官移植に関連する状態、免疫不全障害、破壊性骨障害、増殖性障害、感染性疾患、細胞死に関連する状態、トロンビン誘発血小板凝集、肝臓疾患、T細胞活性化が関与する病的免疫状態、心血管障害、またはCNS障害である。
【0165】
本発明の方法により処置可能な疾患および状態としては、患者における、がん(例えば、Ngo,V.et al.,「Oncogenically active MYD88 mutations in human lymphoma」,Nature,vol.000,pp:1-7(2010);Lust,J.et al.,「Induction of a Chronic Disease State in patients With Smoldering of Indolent Multiple Myeloma by Targeting Interleukin 1β-Induced Interleukin 6 Production and the Myeloma Proliferative Component」,Mayo Clinic Proceedings,84(2),pp:114-122(2009)を参照のこと)、糖尿病、心臓血管疾患、ウイルス性疾患、自己免疫疾患、例えばループス(例えば、Dinarello,C.「Interleukin-18 and the Pathogenesis of Inflammatory Diseases」,Seminars in Nephrology,vol.27,no.1,pp:98-114(2007);Cohen et al.,「Targeting protein kinases for the development of anti-inflammatory drugs」,Curr.Opin.Cell Bio.2009,21:317-324を参照のこと)および関節リウマチ(例えば、Geyer,M.et al.,「Actual status of antiinterleukin-1 therapies in rheumatic diseases」,Current Opinion in Rheumatology,22,pp:246-251(2010)を参照のこと)、自己炎症性症候群(例えば、Hoffman,H.et al.,「Efficacy and Safety of Rilonacept(Interleukin-1 Trap)in Patients with Cryopyrin-Associated Periodic Syndromes」,Arthritis & Rheumatism,vol.58,no.8,pp:2443-2452(2008)を参照のこと)、アテローム性動脈硬化症、乾癬、アレルギー性障害、炎症性腸疾患(例えば、Cario,E.「Therapeutic Impact of Toll-like Receptors on Inflammatory Bowel Diseases:A Multiple-edged Sword」,Inflamm.Bowel Dis.,14,pp:411-421(2008)を参照のこと)、炎症(例えば、Dinarello,C.「Interleukin 1 and interleukin 18 as mediators of inflammation and the aging process」,The American Journal of Clinical Nutrition,83,pp:447S-455S(2006)を参照のこと)、急性および慢性の痛風ならびに痛風性関節炎(例えば、Terkeltaub,R.「Update on gout:new therapeutic strategies and options」,Nature,vol.6,pp:30-38(2010);Weaver,A.「Epidemiology of gout」,Cleveland Clinic Journal of Medicine,vol.75,suppl.5,pp:S9-S12(2008);Dalbeth,N.et al.,「Hyperuricaemia and gout:state of the art and future perspectives」,Annals of Rheumatic Diseases,69,pp:1738-1743(2010);Martinon,F.et al.,「Gout-associated uric acid crystals activate the NALP3 inflammasome」,Nature,vol.440,pp:237-241(2006);So,A.et al.,「A pilot study of IL-1 inhibition by anakinra in acute gout」,Arthritis Research & Therapy,vol.9,no.2,pp:1-6(2007);Terkeltaub,R.et al.,「The interleukin 1 inhibitor rilonacept in treatment of chronic gouty arthritis:results of a placebo-controlled,monosequence crossover,non-randomised,single-blind pilot study」,Annals of Rheumatic Diseases,68,pp:1613-1617(2009);Torres,R.et al.,「Hyperalgesia,synovitis and multiple biomarkers of inflammation are suppressed by interleukin 1 inhibition in a novel animal model of gouty arthritis」,Annals of Rheumatic Diseases,68,pp:1602-1608(2009)を参照のこと)、神経学的障害、メタボリック症候群(例えば、Troseid,M.「The role of interleukin-18 in the metabolic syndrome」,Cardiovascular Diabetology,9:11,pp:1-8(2010)を参照のこと)、免疫不全障害、例えばAIDSおよびHIV(例えば、Iannello,A.et al.,「Role of Interleukin-18 in the Development and Pathogenesis of AIDS」,AIDS Reviews,11,pp:115-125(2009)を参照のこと)、破壊性骨障害(例えば、Hennessy,E.,et al.,「Targeting Toll-like receptors:emerging therapeutics?」Nature Reviews,vol.9,pp:293-307(2010)を参照のこと)、変形性関節症、増殖性障害、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(例えば、Treon,et al.,「Whole genome sequencing reveals a widely expressed mutation(MYD88 L265P)with oncogenic activity in Waldenstroem’s Macroglobulinemia」53rd ASH Annual Meeting;Xu,et al.,「A somatic variant in MYD88(L256P)revealed by whole genome sequencing differentiates lymphoplasmacytic lymphoma from marginal zone lymphomas」53rd ASH Annual Meeting;Yang et al.,「Disruption of MYD88 pathway signaling leads to loss of constitutive IRAK1,NK-kB and JAK/STAT signaling and induces apoptosis of cells expressing the MYD88 L265P mutation in Waldenstroem’s Macroglobulinemia」53rd ASH Annual Meeting;Iriyama et al.,「Clinical significance of genetic mutations of CD79B,CARD11,MYD88,and EZH2 genes in diffuse large B-cell lymphoma patients」53rd ASH Annual Meetingを参照のこと;感染性疾患、細胞死に関連する状態、T細胞活性化が関与する病的免疫状態、ならびにCNS障害が挙げられるが、これらに限定されない。1つの実施形態において、ヒト患者は、本発明の化合物、および薬学的に受容可能なキャリア、アジュバント、またはビヒクルで処置され、ここでこの化合物は、IRAK-1単独、IRAK-2単独、IRAK-4単独、および/またはIRAK1とIRAK4キナーゼとを測定に可能に分解し、そして/または活性を阻害する量で存在する。
【0166】
本発明の化合物は、脳、腎臓、肝臓、副腎、膀胱、乳房、胃、胃腫瘍、卵巣、結腸、直腸、前立腺、膵臓、肺、膣、子宮頚部、精巣、尿生殖路、食道、喉頭、皮膚、骨または甲状腺の良性または悪性の腫瘍、癌腫または固形腫瘍、肉腫、神経膠芽細胞腫、神経芽細胞腫、多発性骨髄腫、胃腸がん、特に結腸癌もしくは結腸直腸腺腫、頭頚部腫瘍、表皮過剰増殖、乾癬、前立腺肥大症、新生物、上皮性特性の新生物(neoplasia of epithelial character)、腺腫、腺癌、角化棘細胞腫、類表皮癌、大細胞癌、非小細胞肺癌、リンパ腫、ホジキンもしくは非ホジキン、乳癌、濾胞状癌、未分化癌、乳頭状癌、セミノーマ、黒色腫、IL-1駆動性障害(IL-1 driven disorder)、MyD88駆動性障害(MyD88 driven disorder)、くすぶり型の無痛性多発性骨髄腫、または血液学的悪性疾患(白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、ABC DLBCL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性リンパ球性リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、急性リンパ球性白血病、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、脾臓辺縁層リンパ腫、多発性骨髄腫、形質細胞腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、AML、MDSが挙げられる)から選択される増殖性疾患の処置において有用である。
【0167】
いくつかの実施形態において、本発明の方法により処置され得る増殖性疾患は、MyD88駆動性障害である。いくつかの実施形態において、本発明の方法により処置され得るMyD88駆動性障害は、ABC DLBCL、原発性CNSリンパ腫、原発性節外性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、ホジキンリンパ腫、原発性皮膚T細胞リンパ腫および慢性リンパ球性白血病から選択される。
【0168】
いくつかの実施形態において、本発明の方法により処置され得る増殖性疾患は、IL-1駆動性障害である。いくつかの実施形態において、このIL-1駆動性障害は、くすぶり型の多発性骨髄腫である。
【0169】
本発明による化合物は、例えば組織損傷、気道炎症、気管支過活動、再造形または疾患進行の低減をもたらす、炎症性または閉塞性の気道疾患の処置において有用である。本発明が適用可能である炎症性または閉塞性の気道疾患としては、あらゆる種類または起源の喘息が挙げられ、これには、内因性(非アレルギー性)喘息と外因性(アレルギー性)喘息との両方、軽度喘息、中等度喘息、重度の喘息、気管支炎性喘息、運動により惹起される喘息、職業性喘息および細菌感染後に誘発される喘息が挙げられる。喘息の処置は、被験体(例えば、4歳または5歳未満の、喘鳴の症状を示す、「喘鳴のある乳児」(主要な医学的問題の確立された患者カテゴリーであり、現在は初期または早期段階の喘息としばしば同定される)と診断されたかまたは診断可能である)の抱擁処置(embracing treatment)としてもまた、理解される。
【0170】
本発明による化合物は、異種免疫疾患の処置において有用である。このような異種免疫疾患の例としては、移植片対宿主病、移植、輸血、アナフィラキシー、アレルギー(例えば、植物の花粉、ラテックス、薬物、食物、昆虫の毒、動物の毛、動物のふけ、イエダニ、またはゴキブリのカリックス(cockroach calyx)に対するアレルギー)、I型過敏症、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、およびアトピー性皮膚炎が挙げられるが、これらに限定されない。
【0171】
喘息の処置における予防効力は、例えば急性の喘息もしくは気管支収縮の発作の症状の発作の減少した頻度もしくは重篤度、肺機能の改善、または改善した気道過活動により証拠付けられる。これはさらに、他の対症療法(例えば、症状の発作が起こる場合にこれを制限するかもしくは止めるため、またはそれを意図される治療であり、例えば、抗炎症または気管支拡張)の減少した必要性によって、証拠付けられ得る。喘息における予防の利点は、「朝の落ち込み」を起こしやすい被験体において、特に明らかであり得る。「朝の落ち込み」は、認識された喘息の症状であり、かなりの割合の喘息に共通しており、そして例えば午前4時~6時の間の時間、すなわち、以前に施された喘息対症療法のいずれからも通常はかなり隔たった時刻の、喘息の発作により特徴付けられる。
【0172】
本発明の化合物は、本発明が適用可能である他の炎症性または閉塞性の気道疾患および状態のために使用され得、そして急性肺傷害(ALI)、成人/急性呼吸促迫症候群(ARDS)、慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease)、慢性閉塞性気道疾患または慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive lung disease)(COPD、COADまたはCOLD)(それに関連する慢性気管支炎または呼吸困難を含む)、気腫、ならびに他の薬物治療(特に、他の吸入薬物治療)の結果の気道の過活動の増悪が挙げられ得る。本発明はまた、急性、アラキジン酸、角結膜炎性、クループ性(croupus)、慢性または結核性の気管支炎を含むがこれらに限定されない、あらゆる型または発生の気管支炎)の処置に適用可能である。本発明が適用可能であるさらなる炎症性または閉塞性の気道疾患としては、あらゆる型または発生の塵肺症(慢性であれ急性であれ、気道の閉塞を頻繁に伴い、粉塵の繰り返しの吸入により引き起こされる、炎症性の一般的に職業的な肺の疾患)(例えば、アルミニウム肺症、炭粉症、石綿沈着症、石粉症、チローシス(ptilosis)、鉄症、珪肺症、タバコ中毒症(tabacosis)および綿肺症を含む)が挙げられる。
【0173】
特に好酸球活性化に関する、抗炎症活性に関して、本発明の化合物は、好酸球関連障害(例えば、好酸球増加症、特に、気道の好酸球関連障害(例えば、肺組織の病的好酸球浸潤が関与する)(気道および/または肺に影響を与える過好酸球増加症が挙げられる)、ならびに例えば、レフラー症候群(Loffler’s syndrome)、好酸球性肺炎、寄生生物性(特に、後生動物の)インフェステーション(熱帯性好酸球増加症を含む)、気管支肺アスペルギルス症、結節性多発性動脈炎(チャーグ-ストラウス症候群を含む)、好酸球性肉芽腫、好酸性喘息、好酸性COPD、および薬物反応により引き起こされる気道に罹患する好酸球関連障害の結果として起こるかまたはこれらに付随する、気道の好酸球関連障害)の処置においてもまた有用である。
【0174】
本発明の化合物はまた、皮膚の炎症状態またはアレルギー状態、例えば、乾癬、汎発性膿疱性乾癬(GPP)、尋常性乾癬、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、多形性紅斑、疱疹状皮膚炎、強皮症、白斑、過敏性血管炎、蕁麻疹、水疱性類天疱瘡、エリテマトーデス、全身性エリテマトーデス、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、腫瘍随伴性天疱瘡、後天性表皮水疱症、尋常性ざ瘡、汗腺膿瘍、スウィート症候群、壊疽性膿皮症、および皮膚の他の炎症状態またはアレルギー状態の処置において有用である。
【0175】
本発明の化合物はまた、他の疾患または状態、例えば、炎症成分を有する疾患または状態の処置、例えば、眼のアレルギー、結膜炎、乾性角結膜炎、および春季結膜炎などの目の疾患および状態、アレルギー性鼻炎を含む鼻に影響を与える疾患、ならびに自己免疫性血液学的障害(例えば、溶血性貧血、再生不良性貧血、赤血球貧血および特発性血小板減少症)を含む、自己免疫反応が関与するかまたは自己免疫成分もしくは病因を有する炎症性疾患、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、多発性軟骨炎、強皮症、ウェゲナー肉芽腫症、皮膚筋炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、スティーブン-ジョンソン症候群、特発性スプルー、自己免疫性炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性結腸炎およびクローン病)、過敏性腸症候群、セリアック病、歯周炎、肺硝子膜症、腎疾患、糸球体疾患、アルコール性肝臓疾患、多発性硬化症、内分泌性眼障害、グレーヴズ病、サルコイドーシス、肺胞炎、歯槽骨炎、慢性過敏性肺臓炎、多発性硬化症、原発性胆汁性肝硬変、ブドウ膜炎(前部および後部)、シェーグレン症候群、乾性角結膜炎および春季角結膜炎、間質性肺線維症、乾癬性関節炎、全身性若年性特発性関節炎、クリオピリン関連周期性症候群、腎炎、血管炎、憩室炎、間質性膀胱炎、糸球体腎炎(例えば、特発性ネフローゼ症候群または微小変化型腎症(minal change nephropathy)を含むネフローゼ症候群を伴うものおよび伴わないもの)、慢性肉芽腫症、子宮内膜症、レプトスピラ症 腎疾患、緑内障、網膜疾患、加齢、頭痛、疼痛、複合性局所疼痛症候群、心臓肥大、筋肉消耗、異化障害、肥満症、胎児成長遅滞、高コレステロール血症(hyperchlolesterolemia)、心臓病、慢性心不全、中皮腫、無発汗性外胚葉性形成異常、ベーチェット病、色素失調症、パジェット病、膵臓炎、遺伝性周期熱症候群、喘息(アレルギー性および非アレルギー性、軽度、中等度、重度、気管支炎性、および運動により惹起)、急性肺傷害、急性呼吸促迫症候群、好酸球増加症、過敏症、アナフィラキシー、副鼻腔炎、眼のアレルギー、シリカにより誘発される疾患、COPD(損傷の低減、気道炎症、気管支過活動、再造形または疾患進行)、肺疾患、嚢胞性線維症、酸により誘発される肺傷害、肺高血圧症、多発性神経障害、白内障、全身性硬化症に関連する筋肉の炎症、封入体筋炎、重症筋無力症、甲状腺炎、アディソン病、扁平苔癬、1型糖尿病、または2型糖尿病、虫垂炎、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー、眼瞼炎、細気管支炎、気管支炎、滑液包炎、子宮頚管炎、胆管炎、胆嚢炎、慢性移植片拒絶、大腸炎、結膜炎、クローン病、膀胱炎、涙腺炎、皮膚炎、皮膚筋炎、脳炎、心内膜炎、子宮内膜炎、腸炎、小腸結腸炎(enterocolitis)、外上顆炎、精巣上体炎、筋膜炎、結合組織炎、胃炎、胃腸炎、ヘノッホ-シェーンライン紫斑病、肝炎、汗腺膿瘍、免疫グロブリンA腎症、間質性肺疾患、喉頭炎、乳腺炎、髄膜炎、脊髄炎 心筋炎、筋炎、腎炎、卵巣炎、精巣炎、骨炎、耳炎、膵臓炎、耳下腺炎、心膜炎、腹膜炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈炎、肺臓炎、肺炎、多発性筋炎、直腸炎、前立腺炎、腎盂腎炎、鼻炎、卵管炎、静脈洞炎、口内炎、滑膜炎、腱炎、扁桃炎、潰瘍性結腸炎、ブドウ膜炎、膣炎、血管炎、あるいは外陰炎の処置のために使用することができる。
【0176】
いくつかの実施形態において、本発明の方法に従って処置され得る炎症性疾患は、皮膚の疾患である。いくつかの実施形態において、皮膚の炎症性疾患は、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎(atompic dermatitis)、円形脱毛症、多形性紅斑、疱疹状皮膚炎、強皮症、白斑、過敏性血管炎、蕁麻疹、水疱性類天疱瘡、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、腫瘍随伴性天疱瘡、後天性表皮水疱症、汗腺膿瘍、および皮膚の他の炎症状態またはアレルギー状態から選択される。
【0177】
一部の実施形態では、この発明の方法によって処置することができる炎症性疾患は、急性痛風および慢性痛風、慢性痛風性関節炎、乾癬、乾癬性関節炎、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、全身性若年性特発性関節炎(SJIA)、クリオピリン関連周期性症候群(CAPS)、成人発症スチル病、マクロファージ活性化症候群(MAS)、原発性および続発性の血球貪食性リンパ組織球症(HLH)、家族性地中海熱、NLRP12自己炎症性症候群、ならびに変形性関節症から選択される。
【0178】
一部の実施形態では、この発明の方法によって処置することができる炎症性疾患は、TH17媒介性疾患である。一部の実施形態では、TH17媒介性疾患は、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、尋常性乾癬、汗腺膿瘍、および炎症性腸疾患(クローン病または潰瘍性結腸炎を含む)から選択される。
【0179】
一部の実施形態では、この発明の方法によって処置することができる炎症性疾患は、シェーグレン症候群、アレルギー性障害、変形性関節症、眼のアレルギー、結膜炎、乾性角結膜炎および春季結膜炎などの目の状態、ならびにアレルギー性鼻炎または鼻ポリープを伴う慢性鼻副鼻腔炎(CRSwNP)などの鼻に影響を与える疾患から選択される。
【0180】
いくつかの実施形態において、本発明は、医学的必要性があまり満たされていない、TLR/IL-1R誘発性自己炎症性および自己免疫性疾患、例えば化膿性汗腺炎、アトピー性皮膚炎および関節リウマチを処置する方法を提供する。したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、それを必要とする患者における化膿性汗腺炎を処置する方法であって、本発明の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を投与するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、それを必要とする患者におけるアトピー性皮膚炎を処置する方法であって、本発明の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を投与するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、それを必要とする患者における関節リウマチを処置する方法であって、本発明の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を投与するステップを含む方法を提供する。
【0181】
本発明の方法に従って処置され得る心臓血管疾患としては、再狭窄、心臓肥大、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、虚血性発作、うっ血性心不全、狭心症、血管形成術後の再閉塞、血管形成術後の再狭窄、大動脈冠状動脈バイパス後の再閉塞、大動脈冠状動脈バイパス後の再狭窄、脳卒中、一過性虚血、末梢動脈閉塞性障害、肺動脈塞栓症、および深部静脈血栓症が挙げられるが、これらに限定されない。
【0182】
いくつかの実施形態において、本発明の方法に従って処置され得る神経変性疾患としては、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、脳虚血、ならびに外傷、グルタミン酸神経毒性、低酸素症により引き起こされる神経変性疾患、てんかん、糖尿病の処置、代謝症候群、肥満症、器官移植および移植片対宿主病が挙げられるが、これらに限定されない。
【0183】
IRAK4機能の損失は、アルツハイマー病のインビボマウスモデルにおいて、Aβレベルの低下をもたらし、そして加齢マウスにおいて、減少したミクログリオーシス(microgliosis)およびアストログリオーシス(astrogliosis)に関連付けられた。成体マウス脳から単離されたミクログリアの分析は、ミクログリアの表現型の変化に関連する遺伝子発現の変更されたパターンを明らかにし、これらの表現型は、ミクログリアの表現型を支配するIRF転写因子の発現に関連付けられている。さらに、IRAK4機能の損失はまた、アミロイドクリアランス機構(インスリン分解酵素の発現の上昇を含む)を促進した。最後に、IRAK機能の遮断は、嗅覚挙動を回復させた(Cameron et al.「Loss of Interleukin Receptor-Associated Kinase 4 Signaling Suppresses Amyloid Pathology and Alters Microglial Phenotype in a Mouse Model of Alzheimer’s Disease」Journal of Neuroscience(2012)32(43),15112-15123。
【0184】
いくつかの実施形態において、本発明は、アルツハイマー病を処置し、予防し、またはその重篤度を低下させる方法を提供し、この方法は、その必要がある患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは組成物を投与する工程を包含する。
【0185】
いくつかの実施形態において、本発明は、移植に関連して一般的に生じる疾患状態を処置する方法を提供する。いくつかの実施形態において、この移植に関連して一般的に生じる疾患または状態は、器官移植、器官移植片拒絶、および移植片対宿主病から選択される。
【0186】
いくつかの実施形態において、本発明は、代謝異常を処置する方法を提供する。いくつかの実施形態において、この代謝異常は、1型糖尿病、2型糖尿病、代謝症候群、および肥満症から選択される。
【0187】
いくつかの実施形態において、本発明は、ウイルス性疾患を処置する方法を提供する。いくつかの実施形態において、このウイルス感染はHIV感染である。
【0188】
さらに、本発明は、本明細書の定義による化合物、あるいはその薬学的に受容可能な塩、または水和物もしくは溶媒和物の、増殖性疾患、炎症性疾患、閉塞性呼吸疾患(obstructive respiratory disease)、心臓血管疾患、代謝異常、神経学的疾患、神経変性疾患、ウイルス性疾患、または移植に関連して一般的に生じる障害の処置のための医薬の調製のための使用を提供する。
【0189】
併用療法
処置される特定の状態、または疾患に依存して、その状態を処置するために通常投与される追加の治療剤を、この発明の化合物および組成物と組み合わせて投与することができる。本明細書において使用する場合、特定の疾患、または状態を処置するために通常投与される追加の治療剤は、「処置される疾患、または状態のために適切である」として公知である。
【0190】
ある特定の実施形態では、提供される組み合わせ、またはその組成物は、別の治療剤と組み合わせて投与される。
【0191】
いくつかの実施形態において、本発明は、開示される疾患または状態を処置する方法を提供し、この方法は、その必要場ある患者に、有効量の本明細書中に開示される化合物またはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程、および有効量の1種または複数種の追加の治療剤、例えば、本明細書中に記載されるものを、同時にまたは逐次的に共投与する工程を包含する。いくつかの実施形態において、この方法は、1つの追加の治療剤を共投与する工程を包含する。いくつかの実施形態において、この方法は、2つの追加の治療剤を共投与する工程を包含する。いくつかの実施形態において、開示される化合物と追加の治療剤(複数可)との組み合わせ物は、相乗的に作用する。
【0192】
この発明の組み合わせが組み合わされてもよい薬剤の例として、限定されないが:アルツハイマー病の処置剤、例えば、Aricept(登録商標)およびExcelon(登録商標);HIVの処置剤、例えば、リトナビル;パーキンソン病の処置剤、例えば、L-DOPA/カルビドパ、エンタカポン、ロピニロール(ropinrole)、プラミペキソール、ブロモクリプチン、ペルゴリド、トリヘキシフェニジル(trihexephendyl)、およびアマンタジン;ベータインターフェロン(例えば、Avonex(登録商標)およびRebif(登録商標))、Copaxone(登録商標)、およびミトキサントロンなどの、多発性硬化症(MS)を処置するための薬剤;喘息の処置剤、例えば、アルブテロールおよびSingulair(登録商標);統合失調症を処置するための薬剤、例えば、ジプレキサ、リスパダール、セロクエル、およびハロペリドール;抗炎症剤、例えば、コルチコステロイド、TNF遮断薬、IL-1 RA、アザチオプリン、シクロホスファミド、およびスルファサラジン;免疫調節剤および免疫抑制剤、例えば、シクロスポリン、タクロリムス、ラパマイシン、ミコフェノール酸モフェチル、インターフェロン、コルチコステロイド、シクロホスファミド(cyclophophamide)、アザチオプリン、およびスルファサラジン;神経栄養因子、例えば、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、MAO阻害剤、インターフェロン、抗痙攣薬、イオンチャネル遮断薬、リルゾール、および抗パーキンソン病剤(anti-Parkinsonian agent);心臓血管疾患を処置するための薬剤、例えば、ベータ遮断薬、ACE阻害剤、利尿薬、ニトレート、カルシウムチャネル遮断薬、およびスタチン;肝臓疾患を処置するための薬剤、例えば、コルチコステロイド、コレスチラミン、インターフェロン、および抗ウイルス剤;血液障害を処置するための薬剤、例えば、コルチコステロイド、抗白血病剤、および増殖因子;薬物動態を延長または改善する薬剤、例えば、シトクロムP450阻害剤(すなわち、代謝分解の阻害剤)およびCYP3A4阻害剤(例えば、ケトコナゾール(ketokenozole)およびリトナビル)、ならびに免疫不全障害を処置するための薬剤、例えば、ガンマグロブリンが挙げられる。
【0193】
ある特定の実施形態では、本発明の併用療法、またはその薬学的に受容可能な組成物は、モノクローナル抗体またはsiRNA治療薬と組み合わせて投与される。
【0194】
これらの追加の薬剤は、提供される併用療法とは別に、複数投薬レジメンの一部として投与されてもよい。あるいは、これらの薬剤は、この発明の化合物と一緒に単一組成物として混合された、単一剤形の一部であってもよい。複数投薬レジメンの一部として投与される場合、2つの活性な薬剤は、同時に、逐次的にまたは互いからある期間以内に、通常、互いから5時間以内に与えられてもよい。
【0195】
本明細書において使用する場合、「組み合わせ」、「組み合わせた」という用語、および関連する用語は、この発明による治療剤の同時または逐次的な投与を指す。例えば、本発明の組み合わせは、別の治療剤と、別々の単位剤形中で同時または逐次的に、または単一の単位剤形中で一緒に投与されてもよい。
【0196】
この発明の組成物中に存在する追加の治療剤の量は、その治療剤を唯一の活性な薬剤として含む組成物中で通常投与される量以下である。好ましくは、本開示の組成物中の追加の治療剤の量は、その薬剤を唯一の治療上活性な薬剤として含む組成物中に通常存在する量の約50%から100%の範囲である。
【0197】
1つまたはそれより多くの他の治療剤は、本発明の化合物または組成物とは別に、複数投薬レジメンの一部として投与され得る。あるいは、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、単一の組成物中で、この発明の化合物と一緒に混合された単一の剤形の一部であり得る。複数投薬レジメンとして投与される場合、1つまたはそれより多くの他の治療剤と本発明の化合物または組成物とは、同時に、逐次的にまたは互いからある期間以内に、例えば、互いから1時間以内、2時間以内、3時間以内、4時間以内、5時間以内、6時間以内、7時間以内、8時間以内、9時間以内、10時間以内、11時間以内、12時間以内、13時間以内、14時間以内、15時間以内、16時間以内、17時間以内、18時間以内、18時間以内、20時間以内、21時間以内、22時間以内、23時間以内、または24時間以内に投与され得る。いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤および本発明の化合物または組成物は、複数投薬レジメンとして、24時間より長時間以内離して投与される。
【0198】
一実施形態では、本発明は、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩および1種または複数種の追加の治療剤を含む組成物を提供する。治療剤は、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩と一緒に投与することができるか、または提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩の投与前もしくは投与後に投与することができる。好適な治療剤は、以下にさらに詳細に記載される。ある特定の実施形態では、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩は、治療剤の5分前、10分前、15分前、30分前、1時間前、2時間前、3時間前、4時間前、5時間前、6時間前、7時間前、8時間前、9時間前、10時間前、11時間前、12時間前、13時間前、14時間前、15時間前、16時間前、17時間前、または18時間前までに投与することができる。他の実施形態では、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩は、治療剤の最大5分後、10分後、15分後、30分後、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、5時間後、6時間後、7時間後、8時間後、9時間後、10時間後、11時間後、12時間後、13時間後、14時間後、15時間後、16時間後、17時間後、または18時間後に投与することができる。
【0199】
別の実施形態では、本発明は、炎症性の疾患、障害または状態を、それを必要とする患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩および1種または複数種の追加の治療剤を投与することによって処置する方法を提供する。このような追加の治療剤は、小分子または組換え生物学的薬剤であってもよく、例えば、アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)(例えば、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、エトドラク(Lodine(登録商標))およびセレコキシブ)、コルヒチン(Colcrys(登録商標))、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、およびヒドロコルチゾンなど)、プロベネシド、アロプリノール、フェブキソスタット(febuxostat)(Uloric(登録商標))、スルファサラジン(Azulfidine(登録商標))、抗マラリア薬(例えば、ヒドロキシクロロキン(Plaquenil(登録商標))およびクロロキン(Aralen(登録商標)))、メトトレキサート(Rheumatrex(登録商標))、金塩(例えば、金チオグルコース(Solganal(登録商標))、チオリンゴ酸金(Myochrysine(登録商標))およびオーラノフィン(Ridaura(登録商標)))、D-ペニシラミン(Depen(登録商標)またはCuprimine(登録商標))、アザチオプリン(Imuran(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標))、クロラムブシル(Leukeran(登録商標))、シクロスポリン(Sandimmune(登録商標))、レフルノミド(Arava(登録商標))および「抗-TNF」剤(例えば、エタネルセプト(Enbrel(登録商標))、インフリキシマブ(Remicade(登録商標))、ゴリムマブ(Simponi(登録商標))、セルトリズマブペゴール(Cimzia(登録商標))およびアダリムマブ(Humira(登録商標)))、「抗IL-1」剤(例えば、アナキンラ(Kineret(登録商標))およびリロナセプト(Arcalyst(登録商標)))、カナキヌマブ(canakinumab)(Ilaris(登録商標))、抗Jak阻害剤(例えば、トファシチニブ)、抗体(例えば、リツキシマブ(Rituxan(登録商標)))、「抗T細胞」剤(例えば、アバタセプト(Orencia(登録商標)))、「抗IL-6」剤(例えば、トシリズマブ(Actemra(登録商標)))、ジクロフェナク、コルチゾン、ヒアルロン酸(Synvisc(登録商標)またはHyalgan(登録商標))、モノクローナル抗体(例えば、タネズマブ)、抗凝固薬(例えば、ヘパリン(Calcinparine(登録商標)またはLiquaemin(登録商標))およびワルファリン(Coumadin(登録商標)))、下痢止め薬(例えば、ジフェノキシレート(Lomotil(登録商標))およびロペラミド(Imodium(登録商標)))、胆汁酸結合剤(例えば、コレスチラミン)、アロセトロン(Lotronex(登録商標))、ルビプロストン(Amitiza(登録商標))、緩下薬(例えば、マグネシアミルク、ポリエチレングリコール(MiraLax(登録商標))、Dulcolax(登録商標)、Correctol(登録商標)およびSenokot(登録商標))、抗コリン作用薬もしくは鎮痙薬(例えば、ジシクロミン(Bentyl(登録商標)))、Singulair(登録商標)、ベータ-2アゴニスト(例えば、アルブテロール(Ventolin(登録商標)HFA、Proventil(登録商標)HFA)、レバルブテロール(Xopenex(登録商標))、メタプロテレノール(Alupent(登録商標))、酢酸ピルブテロール(Maxair(登録商標))、硫酸テルブタリン(Brethaire(登録商標))、キシナホ酸サルメテロール(Serevent(登録商標))およびフォルモテロール(Foradil(登録商標)))、抗コリン作用剤(例えば、臭化イプラトロピウム(Atrovent(登録商標))およびチオトロピウム(Spiriva(登録商標)))、吸入用コルチコステロイド(例えば、ジプロピオン酸ベクロメタゾン(Beclovent(登録商標)、Qvar(登録商標)、およびVanceril(登録商標))、トリアムシノロンアセトニド(Azmacort(登録商標))、モメタゾン(Asthmanex(登録商標))、ブデソニド(Pulmocort(登録商標))、ならびにフルニソリド(Aerobid(登録商標)))、Afviar(登録商標)、Symbicort(登録商標)、Dulera(登録商標)、クロモリンナトリウム(Intal(登録商標))、メチルキサンチン(例えば、テオフィリン(Theo-Dur(登録商標)、Theolair(登録商標)、Slo-bid(登録商標)、Uniphyl(登録商標)、Theo-24(登録商標))およびアミノフィリン)、IgE抗体(例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標)))、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(例えば、ジドブジン(Retrovir(登録商標))、アバカビル(Ziagen(登録商標))、アバカビル/ラミブジン(Epzicom(登録商標))、アバカビル/ラミブジン/ジドブジン(Trizivir(登録商標))、ジダノシン(Videx(登録商標))、エムトリシタビン(Emtriva(登録商標))、ラミブジン(Epivir(登録商標))、ラミブジン/ジドブジン(Combivir(登録商標))、スタブジン(Zerit(登録商標))、およびザルシタビン(Hivid(登録商標)))、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(例えば、デラビルジン(Rescriptor(登録商標))、エファビレンツ(Sustiva(登録商標))、ネビラピン(nevairapine)(Viramune(登録商標))およびエトラビリン(Intelence(登録商標)))、ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(例えば、テノホビル(Viread(登録商標)))、プロテアーゼ阻害剤(例えば、アンプレナビル(Agenerase(登録商標))、アタザナビル(Reyataz(登録商標))、ダルナビル(Prezista(登録商標))、ホスアンプレナビル(Lexiva(登録商標))、インジナビル(Crixivan(登録商標))、ロピナビルおよびリトナビル(Kaletra(登録商標))、ネルフィナビル(Viracept(登録商標))、リトナビル(Norvir(登録商標))、サキナビル(Fortovase(登録商標)またはInvirase(登録商標))、ならびにチプラナビル(Aptivus(登録商標)))、侵入阻害剤(entry inhibitor)(例えば、エンフビルチド(Fuzeon(登録商標))およびマラビロク(Selzentry(登録商標)))、インテグラーゼ阻害剤(例えば、ラルテグラビル(Isentress(登録商標))、ドキソルビシン(Hydrodaunorubicin(登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、ボルテゾミブ(bortezomib)(Velcade(登録商標))、およびデキサメタゾン(Decadron(登録商標))の、レナリドミド(lenalidomide)(Revlimid(登録商標))と組み合わせたもの)、またはこれらの任意の組み合わせ(複数可)が挙げられる。
【0200】
別の実施形態において、本発明は、痛風を処置する方法を提供し、この方法は、その必要がある患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩、ならびに非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)(例えば、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、エトドラク(Lodine(登録商標))およびセレコキシブ)、コルヒチン(Colcrys(登録商標))、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、およびヒドロコルチゾンなど)、プロベネシド、アロプリノールおよびフェブキソスタット(Uloric(登録商標))から選択される1種または複数種の追加の治療剤を投与する工程を包含する。
【0201】
別の実施形態では、本発明は、関節リウマチを処置する方法であって、それを必要とする患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩ならびに非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)(例えば、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、エトドラク(Lodine(登録商標))およびセレコキシブ)、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、およびヒドロコルチゾンなど)、スルファサラジン(Azulfidine(登録商標))、抗マラリア薬(例えば、ヒドロキシクロロキン(Plaquenil(登録商標))およびクロロキン(Aralen(登録商標)))、メトトレキサート(Rheumatrex(登録商標))、金塩(例えば、金チオグルコース(Solganal(登録商標))、チオリンゴ酸金(Myochrysine(登録商標))およびオーラノフィン(Ridaura(登録商標)))、D-ペニシラミン(Depen(登録商標)またはCuprimine(登録商標))、アザチオプリン(Imuran(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標))、クロラムブシル(Leukeran(登録商標))、シクロスポリン(Sandimmune(登録商標))、レフルノミド(Arava(登録商標))および「抗TNF」剤(例えば、エタネルセプト(Enbrel(登録商標))、インフリキシマブ(Remicade(登録商標))、ゴリムマブ(Simponi(登録商標))、セルトリズマブペゴール(Cimzia(登録商標))およびアダリムマブ(Humira(登録商標)))、「抗IL-1」剤(例えば、アナキンラ(Kineret(登録商標))およびリロナセプト(Arcalyst(登録商標)))、抗体(例えば、リツキシマブ(Rituxan(登録商標)))、「抗T細胞」剤(例えば、アバタセプト(Orencia(登録商標)))および「抗IL-6」剤(例えば、トシリズマブ(Actemra(登録商標)))から選択される1種または複数種の追加の治療剤を投与するステップを含む、方法を提供する。
【0202】
一部の実施形態では、本発明は、変形性関節症を処置する方法であって、それを必要とする患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩ならびにアセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)(例えば、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、エトドラク(Lodine(登録商標))およびセレコキシブ)、ジクロフェナク、コルチゾン、ヒアルロン酸(Synvisc(登録商標)またはHyalgan(登録商標))およびモノクローナル抗体(例えば、タネズマブ)から選択される1種または複数種の追加の治療剤を投与するステップを含む、方法を提供する。
【0203】
一部の実施形態では、本発明は、ループスを処置する方法であって、それを必要とする患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩ならびにアセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)(例えば、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、エトドラク(Lodine(登録商標))およびセレコキシブ)、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、およびヒドロコルチゾンなど)、抗マラリア薬(例えば、ヒドロキシクロロキン(Plaquenil(登録商標))およびクロロキン(Aralen(登録商標)))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標))、メトトレキサート(Rheumatrex(登録商標))、アザチオプリン(Imuran(登録商標))および抗凝固薬(例えば、ヘパリン(Calcinparine(登録商標)またはLiquaemin(登録商標))およびワルファリン(Coumadin(登録商標)))から選択される1種または複数種の追加の治療剤を投与するステップを含む、方法を提供する。
【0204】
一部の実施形態では、本発明は、炎症性腸疾患を処置する方法であって、それを必要とする患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩ならびにメサラミン(Asacol(登録商標))スルファサラジン(Azulfidine(登録商標))、下痢止め薬(例えば、ジフェノキシレート(Lomotil(登録商標))およびロペラミド(Imodium(登録商標)))、胆汁酸結合剤(例えば、コレスチラミン、アロセトロン(Lotronex(登録商標))、ルビプロストン(Amitiza(登録商標)))、緩下薬(例えば、マグネシアミルク、ポリエチレングリコール(MiraLax(登録商標))、Dulcolax(登録商標)、Correctol(登録商標)およびSenokot(登録商標))および抗コリン作用薬または鎮痙薬(例えば、ジシクロミン(Bentyl(登録商標))、抗TNF治療薬、ステロイド、および抗生物質(例えば、Flagylまたはシプロフロキサシン)から選択される1種または複数種の追加の治療剤を投与するステップを含む、方法を提供する。
【0205】
一部の実施形態では、本発明は、喘息を処置する方法であって、それを必要とする患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩ならびに抗IL-33抗体(例えば、REGN3500(SAR440340)またはCNTO 7160)、Singulair(登録商標)、ベータ-2アゴニスト(例えば、アルブテロール(Ventolin(登録商標)HFA、Proventil(登録商標)HFA)、レバルブテロール(Xopenex(登録商標))、メタプロテレノール(Alupent(登録商標))、酢酸ピルブテロール(Maxair(登録商標))、硫酸テルブタリン(Brethaire(登録商標))、キシナホ酸サルメテロール(Serevent(登録商標))およびフォルモテロール(Foradil(登録商標)))、抗コリン作用剤(例えば、臭化イプラトロピウム(Atrovent(登録商標))およびチオトロピウム(Spiriva(登録商標)))、吸入用コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン、プレドニゾロン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン(Beclovent(登録商標)、Qvar(登録商標)、およびVanceril(登録商標))、トリアムシノロンアセトニド(Azmacort(登録商標))、モメタゾン(Asthmanex(登録商標))、ブデソニド(Pulmocort(登録商標))、フルニソリド(Aerobid(登録商標))、Afviar(登録商標)、Symbicort(登録商標)、およびDulera(登録商標))、クロモリンナトリウム(Intal(登録商標))、メチルキサンチン(例えば、テオフィリン(Theo-Dur(登録商標)、Theolair(登録商標)、Slo-bid(登録商標)、Uniphyl(登録商標)、Theo-24(登録商標))およびアミノフィリン)、およびIgE抗体(例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標)))から選択される1種または複数種の追加の治療剤を投与するステップを含む、方法を提供する。
【0206】
一部の実施形態では、本発明は、COPDを処置する方法であって、それを必要とする患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩ならびにベータ-2アゴニスト(例えば、アルブテロール(Ventolin(登録商標)HFA、Proventil(登録商標)HFA)、レバルブテロール(Xopenex(登録商標))、メタプロテレノール(Alupent(登録商標))、酢酸ピルブテロール(Maxair(登録商標))、硫酸テルブタリン(Brethaire(登録商標))、キシナホ酸サルメテロール(Serevent(登録商標))およびフォルモテロール(Foradil(登録商標)))、抗コリン作用剤(例えば、臭化イプラトロピウム(Atrovent(登録商標))およびチオトロピウム(Spiriva(登録商標)))、メチルキサンチン(例えば、テオフィリン(Theo-Dur(登録商標)、Theolair(登録商標)、Slo-bid(登録商標)、Uniphyl(登録商標)、Theo-24(登録商標))およびアミノフィリン)、吸入用コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン、プレドニゾロン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン(Beclovent(登録商標)、Qvar(登録商標)、およびVanceril(登録商標))、トリアムシノロンアセトニド(Azmacort(登録商標))、モメタゾン(Asthmanex(登録商標))、ブデソニド(Pulmocort(登録商標))、フルニソリド(Aerobid(登録商標))、Afviar(登録商標)、Symbicort(登録商標)、およびDulera(登録商標))から選択される1種または複数種の追加の治療剤を投与するステップを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、好酸性COPDを処置する方法を提供し、この方法は、その必要がある患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩、ならびに抗IL-33抗体(例えば、REGN3500(SAR440340)またはCNTO 7160)から選択される1種または複数種の追加の治療剤を投与する工程を包含する。いくつかの実施形態において、本発明は、好酸性喘息を処置する方法を提供し、この方法は、その必要がある患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩、ならびに抗IL-33抗体(例えば、REGN3500(SAR440340)またはCNTO 7160)から選択される1種または複数種の追加の治療剤を投与する工程を包含する。
【0207】
いくつかの実施形態において、本発明は、HIVを処置する方法を提供し、この方法は、その必要がある患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩、ならびにヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(例えば、ジドブジン(Retrovir(登録商標))、アバカビル(Ziagen(登録商標))、アバカビル/ラミブジン(Epzicom(登録商標))、アバカビル/ラミブジン/ジドブジン(Trizivir(登録商標))、ジダノシン(Videx(登録商標))、エムトリシタビン(Emtriva(登録商標))、ラミブジン(Epivir(登録商標))、ラミブジン/ジドブジン(Combivir(登録商標))、スタブジン(Zerit(登録商標))、およびザルシタビン(Hivid(登録商標)))、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(例えば、デラビルジン(Rescriptor(登録商標))、エファビレンツ(Sustiva(登録商標))、ネビラピン(Viramune(登録商標))およびエトラビリン(Intelence(登録商標)))、ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(例えば、テノホビル(Viread(登録商標)))、プロテアーゼ阻害剤(例えば、アンプレナビル(Agenerase(登録商標))、アタザナビル(Reyataz(登録商標))、ダルナビル(Prezista(登録商標))、ホスアンプレナビル(Lexiva(登録商標))、インジナビル(Crixivan(登録商標))、ロピナビルおよびリトナビル(Kaletra(登録商標))、ネルフィナビル(Viracept(登録商標))、リトナビル(Norvir(登録商標))、サキナビル(Fortovase(登録商標)またはInvirase(登録商標))、およびチプラナビル(Aptivus(登録商標)))侵入阻害剤(例えば、エンフビルチド(Fuzeon(登録商標))およびマラビロク(Selzentry(登録商標)))、インテグラーゼ阻害剤(例えば、ラルテグラビル(Isentress(登録商標)))、ならびにこれらの組み合わせから選択される1種または複数種の追加の治療剤を投与する工程を包含する。
【0208】
別の実施形態では、本発明は、血液学的悪性疾患を処置する方法であって、それを必要とする患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩ならびにリツキシマブ(Rituxan(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標))、ドキソルビシン(Hydrodaunorubicin(登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、プレドニゾン、ヘッジホッグシグナル伝達阻害剤、BTK阻害剤、JAK/汎JAK阻害剤、TYK2阻害剤、PI3K阻害剤、SYK阻害剤、およびこれらの組み合わせから選択される1種または複数種の追加の治療剤を投与するステップを含む、方法を提供する。
【0209】
別の実施形態では、本発明は、固形腫瘍を処置する方法であって、それを必要とする患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩ならびにリツキシマブ(Rituxan(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標))、ドキソルビシン(Hydrodaunorubicin(登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、プレドニゾン、ヘッジホッグシグナル伝達阻害剤、BTK阻害剤、JAK/汎JAK阻害剤、TYK2阻害剤、PI3K阻害剤、SYK阻害剤、およびこれらの組み合わせから選択される1種または複数種の追加の治療剤を投与するステップを含む、方法を提供する。
【0210】
別の実施形態では、本発明は、血液学的悪性疾患を処置する方法であって、それを必要とする患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩およびヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路阻害剤を投与するステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、血液学的悪性疾患は、DLBCL(Ramirezら「Defining causative factors contributing in the activation of hedgehog signaling in diffuse large B-cell lymphoma」Leuk.Res.(2012年)、7月17日にオンラインで公開され、参照によりその全体として本明細書に組み込まれる)である。
【0211】
別の実施形態では、本発明は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を処置する方法であって、それを必要とする患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩ならびにリツキシマブ(Rituxan(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標))、ドキソルビシン(Hydrodaunorubicin(登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、プレドニゾン、ヘッジホッグシグナル伝達阻害剤、およびこれらの組み合わせから選択される1種または複数種の追加の治療剤を投与するステップを含む、方法を提供する。
【0212】
いくつかの実施形態において、本発明は、DLBCLを処置する方法を提供し、この方法は、その必要がある患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩、ならびにCHOP(シクロホスファミド、Hydrodaunorubicin(登録商標)、Oncovin(登録商標)、およびプレドニゾンもしくはプレドニゾロン)、またはR-CHOP(リツキシマブ、シクロホスファミド、Hydrodaunorubicin(登録商標)、Oncovin(登録商標)、およびプレドニゾンもしくはプレドニゾロン)化学療法レジメンを投与する工程を包含する。
【0213】
いくつかの実施形態において、本発明は、DLBCLを処置する方法を提供し、この方法は、その必要がある患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩、およびリツキシマブ/ベンダムスチン(bendamustine)化学療法レジメンを投与する工程を包含する。
【0214】
いくつかの実施形態において、本発明は、DLBCLを処置する方法を提供し、この方法は、その必要がある患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩、およびBTK阻害剤(例えば、イブルチニブ)を投与する工程を包含する。
【0215】
いくつかの実施形態において、本発明は、DLBCLを処置する方法を提供し、この方法は、その必要がある患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩、および抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ)を投与する工程を包含する。
【0216】
いくつかの実施形態において、本発明は、DLBCLを処置する方法を提供し、この方法は、その必要がある患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩、および抗-CD79B ADC(例えば、ポラツズマブ(polatuzumab))を投与する工程を包含する。
【0217】
いくつかの実施形態において、本発明は、DLBCLを処置する方法を提供し、この方法は、その必要がある患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩、およびBCL2阻害剤(例えば、ベネトクラクス)を投与する工程を包含する。
【0218】
いくつかの実施形態において、本発明は、DLBCLを処置する方法を提供し、この方法は、その必要がある患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩、およびレナリドミドまたはポマリドミドを投与する工程を包含する。
【0219】
いくつかの実施形態において、本発明は、DLBCLを処置する方法を提供し、この方法は、その必要がある患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩、およびPI3K阻害剤(例えば、ウムブラリシブ(umbralisib))を投与する工程を包含する。
【0220】
いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書中に記載するT細胞疾患または欠乏を処置する方法を提供し、この方法は、その必要がある患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩、およびPI3K阻害剤(例えば、ウムブラリシブ)を投与する工程を包含する。
【0221】
いくつかの実施形態において、本発明は、DLBCLを処置する方法を提供し、この方法は、その必要がある患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩、およびプロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)を投与する工程を包含する。
【0222】
いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書中に記載するT細胞疾患または欠乏を処置する方法を提供し、この方法は、その必要がある患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩、およびプロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)を投与する工程を包含する。
【0223】
別の実施形態では、本発明は、多発性骨髄腫を処置する方法であって、それを必要とする患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩ならびにボルテゾミブ(Velcade(登録商標))、およびデキサメタゾン(Decadron(登録商標))、ヘッジホッグシグナル伝達阻害剤、BTK阻害剤、JAK/汎JAK阻害剤、TYK2阻害剤、PI3K阻害剤、SYK阻害剤の、レナリドミド(Revlimid(登録商標))と組み合わせたものから選択される1種または複数種の追加の治療剤を投与するステップを含む、方法を提供する。
【0224】
別の実施形態において、本発明は、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症を処置する方法を提供し、この方法は、その必要がある患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩、ならびにクロラムブシル(Leukeran(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標))、フルダラビン(Fludara(登録商標))、クラドリビン(Leustatin(登録商標))、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、ヘッジホッグシグナル伝達阻害剤、BTK阻害剤、JAK/汎-JAK阻害剤、TYK2阻害剤、PI3K阻害剤、およびSYK阻害剤から選択される1種または複数種の追加の治療剤を投与する工程を包含する。
【0225】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、ヘッジホッグ経路のアンタゴニストである。本発明において使用され得る、承認されたヘッジホッグ経路阻害剤としては、ソニデジブ(sonidegib)(Odomzo(登録商標)、Sun Pharmaceuticals);およびビスモデギブ(vismodegib)(Erivedge(登録商標)、Genentech)が挙げられ、これらの両方は、基底細胞癌の処置のためのものである。
【0226】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤である。いくつかの実施形態において、PARP阻害剤は、オラパリブ(Lynparza(登録商標)、AstraZeneca);ルカパリブ(rucaparib)(Rubraca(登録商標)、Clovis Oncology);ニラパリブ(niraparib)(Zejula(登録商標)、Tesaro);タラゾパリブ(talazoparib)(MDV3800/BMN 673/LT00673、Medivation/Pfizer/Biomarin);ベリパリブ(veliparib)(ABT-888、AbbVie);およびBGB-290(BeiGene,Inc.)から選択される。
【0227】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤である。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、ボリノスタット(Zolinza(登録商標)、Merck);ロミデプシン(Istodax(登録商標)、Celgene);パノビノスタット(Farydak(登録商標)、Novartis);ベリノスタット(belinostat)(Beleodaq(登録商標)、Spectrum Pharmaceuticals);エンチノスタット(SNDX-275、Syndax Pharmaceuticals)(NCT00866333);およびチダミド(chidamide)(Epidaza(登録商標)、HBI-8000、Chipscreen Biosciences、China)から選択される。
【0228】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、CDK4/CDK6阻害剤などのCDK阻害剤である。いくつかの実施形態において、CDK 4/6阻害剤は、パルボシクリブ(Ibrance(登録商標)、Pfizer);リボシクリブ(ribociclib)(Kisqali(登録商標)、Novartis);アベマシクリブ(Ly2835219、Eli Lilly);およびトリラシクリブ(trilaciclib)(G1T28、G1 Therapeutics)から選択される。
【0229】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、葉酸阻害剤である。本発明において有用な承認されている葉酸阻害剤には、ペメトレキセド(Alimta(登録商標)、Eli Lilly)が含まれる。
【0230】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、CCケモカイン受容体4(CCR4)阻害剤である。本発明において有用となり得る、現在検討中のCCR4阻害剤には、モガムリズマブ(Poteligeo(登録商標)、協和発酵キリン、日本)が含まれる。
【0231】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH)阻害剤である。本発明において使用することができる、現在検討中のIDH阻害剤には、AG120(Celgene;NCT02677922);AG221(Celgene、NCT02677922;NCT02577406);BAY1436032(Bayer、NCT02746081);IDH305(Novartis、NCT02987010)が含まれる。
【0232】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、アルギナーゼ阻害剤である。本発明において使用することができる現在検討中のアルギナーゼ阻害剤には、急性骨髄性白血病および骨髄異形成症候群(NCT02732184)および固形腫瘍(NCT02561234)に関して第1相臨床試験において現在検討中のAEB1102(ペグ化組換えアルギナーゼ、Aeglea Biotherapeutics);ならびにCB-1158(Calithera Biosciences)が含まれる。
【0233】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、グルタミナーゼ阻害剤である。本発明において使用することができる現在検討中のグルタミナーゼ阻害剤には、CB-839(Calithera Biosciences)が含まれる。
【0234】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、腫瘍抗原に結合する抗体、すなわち、腫瘍細胞の細胞表面に発現するタンパク質である。本発明において使用することができる、腫瘍抗原に結合する、承認を受けている抗体には、リツキシマブ(Rituxan(登録商標)、Genentech/BiogenIdec);オファツムマブ(抗CD20、Arzerra(登録商標)、GlaxoSmithKline);オビヌツズマブ(抗CD20、Gazyva(登録商標)、Genentech)、イブリツモマブ(抗CD20およびイットリウム-90、Zevalin(登録商標)、Spectrum Pharmaceuticals);ダラツムマブ(抗CD38、Darzalex(登録商標)、Janssen Biotech)、ジヌツキシマブ(抗糖脂質GD2、Unituxin(登録商標)、United Therapeutics);トラスツズマブ(抗HER2、Herceptin(登録商標)、Genentech);アド-トラスツズマブエムタンシン(抗HER2、エムタンシンに融合、Kadcyla(登録商標)、Genentech);およびペルツズマブ(抗HER2、Perjeta(登録商標)、Genentech);およびブレンツキシマブベドチン(抗CD30-薬物コンジュゲート、Adcetris(登録商標)、Seattle Genetics)が含まれる。
【0235】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤はトポイソメラーゼ阻害剤である。本発明において有用な承認を受けているトポイソメラーゼ阻害剤には、イリノテカン(Onivyde(登録商標)、Merrimack Pharmaceuticals);トポテカン(Hycamtin(登録商標)、GlaxoSmithKline)が含まれる。本発明において使用することができる、現在検討中のトポイソメラーゼ阻害剤には、ピクサントロン(Pixuvri(登録商標)、CTI Biopharma)が含まれる。
【0236】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、BCL-2などの抗アポトーシスタンパク質の阻害剤である。本発明において使用することができる、承認されている抗アポトーシス剤には、ベネトクラックス(Venclexta(登録商標)、AbbVie/Genentech);およびブリナツモマブ(Blincyto(登録商標)、Amgen)が含まれる。臨床試験を受けており、本発明において使用することができる、アポトーシスタンパク質を標的とする他の治療剤には、ナビトクラックス(ABT-263、Abbott)、BCL-2阻害剤(NCT02079740)が含まれる。
【0237】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、アンドロゲン受容体阻害剤である。本発明において有用な承認されているアンドロゲン受容体阻害剤には、エンザルタミド(Xtandi(登録商標)、Astellas/Medivation)が含まれる。承認を受けているアンドロゲン合成の阻害剤には、アビラテロン(Zytiga(登録商標)、Centocor/Ortho);承認を受けている性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)受容体のアンタゴニスト(デガラリクス、Firmagon(登録商標)、Ferring Pharmaceuticals)が含まれる。
【0238】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、エストロゲンの合成または活性を妨害する、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)である。本発明において有用な承認されているSERMには、ラロキシフェン(Evista(登録商標)、Eli Lilly)が含まれる。
【0239】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は骨吸収の阻害剤である。骨吸収を阻害する承認を受けている治療剤は、デノスマブ(Xgeva(登録商標)、Amgen)(RANKLに結合し、破骨細胞、その前駆体および破骨細胞様巨細胞の表面に見出され、骨転移を伴う固形腫瘍における骨病理を媒介する、RANKLの受容体RANKへの結合を阻害する抗体である)である。骨吸収を阻害する、他の承認を受けている治療剤には、ゾレドロン酸(Zometa(登録商標)、Novartis)などの、ビスホスホネートが含まれる。
【0240】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、2つの主要なp53抑制タンパク質であるMDMXとMDM2との間の相互作用の阻害剤である。本発明に使用することができる、現在検討中のp53抑制タンパク質の阻害剤には、MDMXおよびMDM2に等価に結合して、これらとp53との相互作用を撹乱するステープルペプチドである、ALRN-6924(Aileron)が含まれる。ALRN-6924は、AML、進行性骨髄異形成症候群(MDS)および末梢T細胞リンパ腫(PTCL)(NCT02909972;NCT02264613)の処置に関して、臨床試験において現在評価中である。
【0241】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、トランスフォーミング成長因子-ベータ(TGF-ベータまたはTGFβ)の阻害剤である。本発明において使用することができる、現在検討中のTGF-ベータタンパク質の阻害剤には、乳房、肺、肝細胞、結腸直腸、膵臓、前立腺および腎がん(NCT02947165)を含めた、様々ながんの処置に関して外来診療所において現在試験されている抗TGF-ベータ抗体であるNIS793(Novartis)が含まれる。いくつかの実施形態において、TGF-ベータタンパク質の阻害剤は、黒色腫(NCT00923169);腎細胞癌(NCT00356460);および非小細胞肺がん(NCT02581787)について現在検討中の、フレソリムマブ(GC1008;Sanofi-Genzyme)である。さらに、いくつかの実施形態において、追加の治療剤は、Connolly et al.(2012)Int’l J.Biological Sciences 8:964-978に記載されているものなどの、TGF-ベータ捕捉剤である。固形腫瘍の処置に関して、現在、臨床試験中の治療用化合物の1つは、二特異性抗PD-L1/TGFβ捕捉化合物(NCT02699515)である、M7824(Merck KgaA-以前のMSB0011459X);および(NCT02517398)である。M7824は、TGFβ「捕捉剤」として機能する、ヒトTGF-ベータ受容体IIの細胞外ドメインに融合したPD-L1に対する、完全ヒトIgG1抗体からなる。
【0242】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、グレムバツムマブベドチン-モノメチルオーリスタチンE(MMAE)(Celldex)(細胞毒性MMAEに連結している抗グリコタンパク質NMB(gpNMB)抗体(CR011))から選択される。gpNMBは、がん細胞が転移する能力に関連する複数の腫瘍タイプにより過剰発現されるタンパク質である。
【0243】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、抗増殖性化合物である。このような抗増殖性化合物には、以下に限定されないが、アロマターゼ阻害剤;抗エストロゲン薬;トポイソメラーゼI阻害剤;トポイソメラーゼII阻害剤;微小管活性化合物;アルキル化化合物;ヒストンデアセチラーゼ阻害剤;細胞分化過程を誘発する化合物;シクロオキシゲナーゼ阻害剤;MMP阻害剤;mTOR阻害剤;抗新生物抗代謝拮抗物質;白金化合物;タンパク質または脂質キナーゼ活性を標的とする/低下させる化合物、およびさらには抗血管新生化合物;タンパク質または脂質ホスファターゼを標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物;ゴナドレリンアゴニスト;抗アンドロゲン薬;メチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤;マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤;ビスホスホネート;生物学的応答調節剤;抗増殖抗体;ヘパラナーゼ阻害剤;Ras発がんアイソフォームの阻害剤;テロメラーゼ阻害剤;プロテアソーム阻害剤;血液悪性疾患の処置に使用される化合物;Flt-3を標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物;Hsp90阻害剤(17-AAG(17-アリルアミノゲルダナマイシン、NSC330507)、17-DMAG(17-ジメチルアミノエチルアミノ-17-デメトキシ-ゲルダナマイシン、NSC707545)、IPI-504、CNF1010、CNF2024、CNF1010(Conforma Therapeuticsから)など);テモゾロミド(Temodal(登録商標));キネシンスピンドルタンパク質阻害剤(GlaxoSmithKlineからのSB715992もしくはSB743921、またはCombinatoRxからのペンタミジン/クロルプロマジンなど);MEK阻害剤(Array BioPharmaからのARRY142886、AstraZenecaからのAZd6244、PfizerからのPD181461およびロイコボリンなど)が含まれる。
【0244】
いくつかの実施形態において、本発明は、アルツハイマー病を処置する方法を提供し、この方法は、その必要がある患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩、ならびにドネペジル(Aricept(登録商標))、リバスチグミン(Excelon(登録商標))、ガランタミン(Razadyne(登録商標))、タクリン(Cognex(登録商標))、およびメマンチン(Namenda(登録商標))から選択される1種または複数種の追加の治療剤を投与する工程を包含する。
【0245】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、細胞分裂に必須である微小管の破壊を引き起こす、タキサン化合物である。いくつかの実施形態において、タキサン化合物は、パクリタキセル(Taxol(登録商標)、Bristol-Myers Squibb)、ドセタキセル(Taxotere(登録商標)、Sanofi-Aventis;Docefrez(登録商標)、Sun Pharmaceutical)、アルブミン結合パクリタキセル(Abraxane(登録商標);Abraxis/Celgene)、カバジタキセル(Jevtana(登録商標)、Sanofi-Aventis)、およびSID530(SK Chemicals,Co.)(NCT00931008)から選択される。
【0246】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、ヌクレオシド阻害剤、または正常なDNA合成、タンパク質合成、細胞複製を妨害するか、もしくは急速に増殖する細胞を他の方法で阻害する、治療剤である。
【0247】
いくつかの実施形態において、ヌクレオシド阻害剤は、トラベクテジン(グアニジンアルキル化剤、Yondelis(登録商標)、Janssen Oncology)、メクロレタミン(アルキル化剤、Valchlor(登録商標)、Aktelion Pharmaceuticals);ビンクリスチン(Oncovin(登録商標)、Eli Lilly;Vincasar(登録商標)、Teva Pharmaceuticals;Marqibo(登録商標)、Talon Therapeutics);テモゾロミド(アルキル化剤である5-(3-メチルトリアゼン-1-イル)-イミダゾール-4-カルボキサミド(MTIC)に対するプロドラッグ、Temodar(登録商標)、Merck);シタラビン注射剤(ara-C、代謝拮抗性シチジンアナログ、Pfizer);ロムスチン(アルキル化剤、CeeNU(登録商標)、Bristol-Myers Squibb;Gleostine(登録商標)、NextSource Biotechnology);アザシチジン(シチジンのピリミジンヌクレオシドアナログ、Vidaza(登録商標)、Celgene);オマセタキシンメペスクシネート(セファロタキシンエステル)(タンパク質合成阻害剤、Synribo(登録商標);Teva Pharmaceuticals);アスパラギナーゼErwinia chrysanthemi(アスパラギンを枯渇する酵素、Elspar(登録商標)、Lundbeck;Erwinaze(登録商標)、EUSA Pharma);エリブリンメシレート(微小管阻害剤、チューブリンをベースとする抗有糸分裂剤、Halaven(登録商標)、エーザイ);カバジタキセル(微小管阻害剤、チューブリンをベースとする抗有糸分裂剤、Jevtana(登録商標)、Sanofi-Aventis);カパセトリン(チミジル酸シンターゼ阻害剤、Xeloda(登録商標)、Genentech);ベンダムスチン(二官能性メクロレタミン誘導体、鎖間DNA架橋を形成すると考えられる、Treanda(登録商標)、Cephalon/Teva);イキサベピロン(エポチロンBの半合成アナログ、微小管阻害剤、チューブリンをベースとする抗有糸分裂剤、Ixempra(登録商標)、Bristol-Myers Squibb);ネララビン(デオキシグアノシンアナログのプロドラッグ、ヌクレオシド代謝阻害剤、Arranon(登録商標)、Novartis);クロファラビン(リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤のプロドラッグ、デオキシシチジンの競合阻害剤、Clolar(登録商標)、Sanofi-Aventis);ならびにトリフリジンおよびチピラシル(チミジンをベースとするヌクレオシドアナログおよびチミジンホスホリラーゼ阻害剤、Lonsurf(登録商標)、Taiho Oncology)から選択される。
【0248】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、キナーゼ阻害剤またはVEGF-Rアンタゴニストである。本発明において有用な、承認を受けたVEGF阻害剤およびキナーゼ阻害剤には、ベバシズマブ(Avastin(登録商標)、Genentech/Roche)(抗VEGFモノクローナル抗体);ラムシルマブ(Cyramza(登録商標)、Eli Lilly)(抗VEGFR-2抗体)およびziv-アフリベルセプト(VEGF捕捉剤としても公知)(Zaltrap(登録商標);Regeneron/Sanofi)が含まれる。VEGFR阻害剤(レゴラフェニブ(Stivarga(登録商標)、Bayer);バンデタニブ(Caprelsa(登録商標)、AstraZeneca);アキシチニブ(Inlyta(登録商標)、Pfizer);およびレンバチニブ(Lenvima(登録商標)、Eisai)など);Raf阻害剤(ソラフェニブ(Nexavar(登録商標)、Bayer AGおよびOnyx);ダブラフェニブ(Tafinlar(登録商標)、Novartis);およびベムラフェニブ(Zelboraf(登録商標)、Genentech/Roche)など);MEK阻害剤(コビメタニブ(cobimetanib)(Cotellic(登録商標)、Exelexis/Genentech/Roche);トラメチニブ(Mekinist(登録商標)、Novartis)など);Bcr-Ablチロシンキナーゼ阻害剤(イマチニブ(Gleevec(登録商標)、Novartis);ニロチニブ(Tasigna(登録商標)、Novartis);ダサチニブ(Sprycel(登録商標)、BristolMyersSquibb);ボスチニブ(Bosulif(登録商標)、Pfizer);およびポナチニブ(Inclusig(登録商標)、Ariad Pharmaceuticals)など);Her2およびEGFR阻害剤(ゲフィチニブ(Iressa(登録商標)、AstraZeneca);エルロチニブ(Tarceeva(登録商標)、Genentech/Roche/Astellas);ラパチニブ(Tykerb(登録商標)、Novartis);アファチニブ(Gilotrif(登録商標)、Boehringer Ingelheim);オシメルチニブ(活性化EGFRを標的とする、Tagrisso(登録商標)、AstraZeneca));およびブリガチニブ(Alunbrig(登録商標)、Ariad Pharmaceuticals)など);c-MetおよびVEGFR2阻害剤(カボザンチニブ(cabozanitib)(Cometriq(登録商標)、Exelexis)など);およびマルチキナーゼ阻害剤(スニチニブ(Sutent(登録商標)、Pfizer);パゾパニブ(Votrient(登録商標)、Novartis)など);ALK阻害剤(クリゾチニブ(Xalkori(登録商標)、Pfizer);セリチニブ(Zykadia(登録商標)、Novartis);およびアレクチニブ(Alecenza(登録商標)、Genentech/Roche)など);ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤(イブルチニブ(Imbruvica(登録商標)、Pharmacyclics/Janssen)など);およびFlt3受容体阻害剤(ミドスタウリン(Rydapt(登録商標)、Novartis)など)。
【0249】
開発中にある、および本発明において使用することができる他のキナーゼ阻害剤およびVEGF-Rアンタゴニストには、チボザニブ(Aveo Pharmaecuticals);バタラニブ(Bayer/Novartis);ルシタニブ(Clovis Oncology);ドビチニブ(TKI258、Novartis);チアウアニブ(Chiauanib)(Chipscreen Biosciences);CEP-11981(Cephalon);リニファニブ(Abbott Laboratories);ネラチニブ(HKI-272、Puma Biotechnology);ラドチニブ(Supect(登録商標)、IY5511、Il-Yang Pharmaceuticals、S.韓国);ルキソリチニブ(Jakafi(登録商標)、Incyte Corporation);PTC299(PTC Therapeutics);CP-547,632(Pfizer);フォレチニブ(Exelexis、GlaxoSmithKline);クイザルチニブ(第一三共)およびモテサニブ(Amgen/Takeda)が含まれる。
【0250】
別の実施形態において、本発明は、器官移植片拒絶または移植片対宿主病を処置する方法を提供し、この方法は、その必要がある患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩、ならびにステロイド、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ヘッジホッグシグナル伝達阻害剤、BTK阻害剤、JAK/汎-JAK阻害剤、TYK2阻害剤、PI3K阻害剤、およびSYK阻害剤から選択される1種または複数種の追加の治療剤を投与する工程を包含する。
【0251】
別の実施形態では、本発明は、疾患を処置するかまたはその重症度を低下させる方法であって、それを必要とする患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩およびBTK阻害剤を投与するステップを含み、疾患が、炎症性腸疾患、関節炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、血管炎、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、関節リウマチ、乾癬性関節炎、変形性関節症、スチル病、若年性関節炎、糖尿病、重症筋無力症、橋本甲状腺炎、オード甲状腺炎(Ord’s thyroiditis)、グレーヴズ病、自己免疫性甲状腺炎、シェーグレン症候群、多発性硬化症、全身性硬化症、ライム神経ボレリア症、ギラン-バレー症候群、急性播種性脳脊髄膜炎、アディソン病、オプソクローヌス-ミオクローヌス症候群、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、再生不良性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性胃炎、悪性貧血、セリアック病、グッドパスチャー症候群、特発性血小板減少性紫斑病、視神経炎、強皮症、原発性胆汁性肝硬変、ライター症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、温式自己免疫性溶血性貧血、ウェゲナー肉芽腫症、乾癬、全身性脱毛症、ベーチェット病、慢性疲労、自律神経障害、膜性糸球体腎症、子宮内膜症、間質性膀胱炎、尋常性天疱瘡、水疱性類天疱瘡、神経性筋強直、強皮症、外陰部痛、過剰増殖性疾患、移植された器官または組織の拒絶、後天性免疫不全症候群(AIDS、HIVとしても公知)、1型糖尿病、移植片対宿主病、移植、輸血、アナフィラキシー、アレルギー(例えば、植物の花粉、ラテックス、薬物、食物、昆虫の毒、動物の毛、動物のふけ、イエダニ、またはゴキブリのカリックス(cockroach calyx)に対するアレルギー)、I型過敏症、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、およびアトピー性皮膚炎、喘息、虫垂炎、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー、眼瞼炎、細気管支炎、気管支炎、滑液包炎、子宮頚管炎、胆管炎、胆嚢炎、慢性移植片拒絶、大腸炎、結膜炎、クローン病、膀胱炎、涙腺炎、皮膚炎、皮膚筋炎、脳炎、心内膜炎、子宮内膜炎、腸炎、小腸結腸炎、外上顆炎、精巣上体炎、筋膜炎、結合組織炎、胃炎、胃腸炎、ヘノッホ-シェーンライン紫斑病、肝炎、汗腺膿瘍、免疫グロブリンA腎症、間質性肺疾患、喉頭炎、乳腺炎、髄膜炎、脊髄炎 心筋炎、筋炎、腎炎、卵巣炎、精巣炎、骨炎、耳炎、膵臓炎、耳下腺炎、心膜炎、腹膜炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈炎、肺臓炎、肺炎、多発性筋炎、直腸炎、前立腺炎、腎盂腎炎、鼻炎、卵管炎、静脈洞炎、口内炎、滑膜炎、腱炎、扁桃炎、潰瘍性結腸炎、ブドウ膜炎、膣炎、血管炎、または外陰炎、B細胞増殖性障害(例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病、急性リンパ球性白血病、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫/ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、脾臓辺縁層リンパ腫、多発性骨髄腫(形質細胞骨髄腫としても公知)、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、形質細胞腫、節外性辺縁層B細胞リンパ腫、結節性辺縁層B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、またはリンパ腫様肉芽腫症、乳がん、前立腺がん、または肥満細胞のがん(例えば、肥満細胞腫、肥満細胞性白血病、肥満細胞肉腫、全身性肥満細胞症)、骨がん、結腸直腸がん、膵臓がん、骨および関節の疾患(限定されないが、関節リウマチ、血清反応陰性脊椎関節炎(強直性脊椎炎、乾癬性関節炎およびライター病を含む)、ベーチェット病、シェーグレン症候群、全身性硬化症、骨粗しょう症、骨がん、骨転移を含む)、血栓塞栓障害(例えば、心筋梗塞、狭心症、血管形成術後の再閉塞、血管形成術後の再狭窄、大動脈冠状動脈バイパス後の再閉塞、大動脈冠状動脈バイパス後の再狭窄、脳卒中、一過性虚血、末梢動脈閉塞性障害、肺動脈塞栓症、深部静脈血栓症)、炎症性骨盤疾患、尿道炎、皮膚の日焼け、静脈洞炎、肺臓炎、脳炎、髄膜炎、心筋炎、腎炎、骨髄炎、筋炎、肝炎、胃炎、腸炎、皮膚炎、歯肉炎、虫垂炎、膵臓炎、胆嚢炎(cholocystitus)、無ガンマグロブリン血症、乾癬、アレルギー、クローン病、過敏性腸管症候群、潰瘍性結腸炎、シェーグレン病、組織移植片拒絶、移植された器官に対する超急性拒絶、喘息、アレルギー性鼻炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、多腺性自己免疫疾患(autoimmune polyglandular disease)(多腺性自己免疫症候群としても公知)、自己免疫性脱毛症、悪性貧血、糸球体腎炎、皮膚筋炎、多発性硬化症、強皮症、血管炎、自己免疫性溶血状態および自己免疫性血小板減少状態、グッドパスチャー症候群、アテローム性動脈硬化症、アディソン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、糖尿病、敗血症性ショック、全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ、乾癬性関節炎、若年性関節炎、変形性関節症、慢性特発性血小板減少性紫斑病、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、重症筋無力症、橋本甲状腺炎、アトピー性皮膚炎、変形性関節疾患、白斑、自己免疫性下垂体機能低下症、ギラン-バレー症候群、ベーチェット病、強皮症(scleraderma)、菌状息肉腫、急性炎症性応答(例えば、急性呼吸促迫症候群および虚血/再灌流傷害)、ならびにグレーヴズ病から選択される、方法を提供する。
【0252】
別の実施形態では、本発明は、疾患を処置するかまたはその重症度を低下させる方法であって、それを必要とする患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩およびPI3K阻害剤を投与するステップを含み、疾患が、がん、神経変性障害、血管新生障害、ウイルス性疾患、自己免疫疾患、炎症性障害、ホルモン関連疾患、器官移植に関連する状態、免疫不全障害、破壊性骨障害、増殖性障害、感染性疾患、細胞死に関連する状態、トロンビン誘発性血小板凝集、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、肝臓疾患、T細胞活性化が関与する病的免疫状態、心血管障害、およびCNS障害から選択される、方法を提供する。
【0253】
別の実施形態では、本発明は、疾患を処置するかまたはその重症度を低下させる方法であって、それを必要とする患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩およびPI3K阻害剤を投与するステップを含み、疾患が、脳、腎臓(例えば、腎細胞癌(RCC))、肝臓、副腎、膀胱、乳房、胃、胃腫瘍、卵巣、結腸、直腸、前立腺、膵臓、肺、膣、子宮内膜、子宮頚部、精巣、尿生殖路、食道、喉頭、皮膚、骨または甲状腺の良性または悪性の腫瘍、癌腫または固形腫瘍、肉腫、神経膠芽細胞腫、神経芽細胞腫、多発性骨髄腫または胃腸がん、特に、結腸癌もしくは結腸直腸腺腫または頭頚部腫瘍、表皮過剰増殖、乾癬、前立腺過形成、新生物、上皮性特性の新生物、腺腫、腺癌、角化棘細胞腫、類表皮癌、大細胞癌、非小細胞性肺癌、リンパ腫(例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL)およびホジキンリンパ腫(ホジキンまたはホジキン病とも呼ばれる)を含む)、乳癌、濾胞状癌、未分化癌、乳頭状癌、セミノーマ、黒色腫、または白血病、カウデン症候群、レールミット-ダクロス病(Lhermitte-Dudos disease)およびバナヤン-ゾナナ症候群を含む疾患、またはPI3K/PKB経路が異常に活性化される疾患、内因性(非アレルギー性)喘息と外因性(アレルギー性)喘息の両方を含む、あらゆる型または発生の喘息、軽度喘息、中等度喘息、重度の喘息、気管支炎性喘息、運動により惹起される喘息、職業性喘息および細菌感染後に誘発される喘息、急性肺傷害(ALI)、成人/急性呼吸促迫症候群(ARDS)、慢性閉塞性肺疾患、慢性閉塞性気道疾患または慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive lung disease)(COPD、COADまたはCOLD)(それに関連する慢性気管支炎または呼吸困難を含む)、気腫、ならびに他の薬物治療(特に、他の吸入薬物治療)の結果の気道の過活動の増悪、あらゆる型または発生の気管支炎(これらに限定されないが、急性、アラキジン酸、角結膜炎性、クループ性(croupus)、慢性または結核性の気管支炎を含む)、あらゆる型または発生の塵肺症(慢性であれ急性であれ、気道の閉塞を頻繁に伴い、粉塵の繰り返しの吸入により引き起こされる、炎症性の一般的に職業的な肺の疾患)(例えば、アルミニウム肺症、炭粉症、石綿沈着症、石粉症、チローシス(ptilosis)、鉄症、珪肺症、タバコ中毒症(tabacosis)および綿肺症を含む)、レフラー症候群(Loffler’s syndrome)、好酸球性、肺炎、寄生生物性(特に、後生動物の)インフェステーション(熱帯性好酸球増加症を含む)、気管支肺アスペルギルス症、結節性多発性動脈炎(チャーグ-ストラウス症候群を含む)、好酸球性肉芽腫および薬物反応により引き起こされる気道に罹患する好酸球関連障害、乾癬、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、多形性紅斑、疱疹状皮膚炎、強皮症、白斑、過敏性血管炎、蕁麻疹、水疱性類天疱瘡、エリテマトーデス、天疱瘡(pemphisus)、後天性表皮水疱症、結膜炎、乾性角結膜炎、および春季結膜炎、アレルギー性鼻炎を含む鼻に影響を与える疾患、および自己免疫反応が関与するかまたは自己免疫成分もしくは病因を有する炎症性疾患(自己免疫性血液学的障害(例えば、溶血性貧血、再生不良性貧血、赤血球貧血および特発性血小板減少症)を含む)、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、多発性軟骨炎、強皮症(sclerodoma)、ウェゲナー肉芽腫症、皮膚筋炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、スティーブン-ジョンソン症候群、特発性スプルー、自己免疫性炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性結腸炎およびクローン病)、内分泌性眼障害、グレーヴズ病、サルコイドーシス、肺胞炎、歯槽骨炎、慢性過敏性肺臓炎、多発性硬化症、原発性胆汁性肝硬変、ブドウ膜炎(前部および後部)、乾性角結膜炎および春季角結膜炎、間質性肺線維症、乾癬性関節炎および糸球体腎炎(ネフローゼ症候群(例えば、特発性ネフローゼ症候群または微小変化型腎症を含む)を伴うかまたは伴わないもの)、再狭窄、心臓肥大、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、虚血性発作およびうっ血性心不全、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、および脳虚血、ならびに外傷、グルタミン酸神経毒性および低酸素症により引き起こされる神経変性疾患から選択される、方法を提供する。
【0254】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、ホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)阻害剤である。いくつかの実施形態において、PI3K阻害剤は、イデラリシブ(Zydelig(登録商標)、Gilead)、アルペシリブ(BYL719、Novartis);タセリシブ(GDC-0032、Genentech/Roche);ピクチリシブ(GDC-0941、Genentech/Roche);コパンリシブ(BAY806946、Bayer);デュベリシブ(以前のIPI-145、Infinity Pharmaceuticals);PQR309(Piqur Therapeutics、スイス);およびTGR1202(以前のRP5230、TG Therapeutics)から選択される。
【0255】
いくつかの実施形態において、本発明は、AMLを処置する方法を提供し、この方法は、その必要がある患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩、ならびにFLT3阻害剤;標的化された薬剤(例えば、IDH阻害剤、抗CD33 ADC(例えば、マイロターグ)、BCL2阻害剤、およびヘッジホッグ阻害剤);ならびに化学療法剤(例えば、AraC、ダウノルビシン(daunarubicin)、エトポシド、メトトレキサート、フルダラビン、ミトザントロン(mitozantrone)、アザシチジン、およびコルチコステロイド)から選択される1種または複数種の追加の治療剤を投与する工程を包含する。
【0256】
いくつかの実施形態において、本発明は、MDSを処置する方法を提供し、この方法は、その必要がある患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩、ならびにアザシチジン、デシタビン(decitabine)およびレブラミドから選択される1種または複数種の追加の治療剤を投与する工程を包含する。
【0257】
いくつかの実施形態において、本発明は、炎症性皮膚状態(例えば、汗腺膿瘍)を処置する方法を提供し、この方法は、その必要がある患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩、ならびに抗TNF薬から選択される1種または複数種の追加の治療剤を投与する工程を包含する。
【0258】
いくつかの実施形態において、本発明は、炎症性皮膚状態(例えば、アトピー性皮膚炎)を処置する方法を提供し、この方法は、その必要がある患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩、ならびにIL-4/IL-13-標的化された薬剤(例えば、デュピルマブ)から選択される1種または複数種の追加の治療剤を投与する工程を包含する。
いくつかの実施形態において、本発明は、炎症性皮膚状態(例えば、乾癬)を処置する方法を提供し、この方法は、その必要がある患者に、提供される化合物またはその薬学的に受容可能な塩、ならびに抗IL-17抗体および抗IL-23抗体から選択される1種または複数種の追加の治療剤を投与する工程を包含する。
【0259】
化合物および組成物は、本発明の方法に従って、がん、自己免疫障害、増殖性障害、炎症性障害、神経変性もしくは神経学的障害、統合失調症、骨関連障害、肝臓疾患、または心臓疾患を処置するためまたはその重症度を低下させるために有効な、任意の量および任意の投与経路を使用して、投与することができる。必要とされる正確な量は、被験体ごとに、その被験体の種、年齢および全身状態、感染の重症度、特定の薬剤、その投与方式などに依存して変化する。本発明の化合物は、好ましくは、投与を容易にしかつ投薬量を均一にするために、単位剤形に製剤化される。「単位剤形」という表現は、本明細書において使用する場合、処置される患者に適した薬剤の、物理的に別個の単位を指す。しかし、本発明の化合物および組成物の1日当たりの総使用量は、正しい医学的判断の範囲内で主治医によって決定されることになることが理解される。任意の特定の患者または生物に特異的な有効用量レベルは、処置される障害および障害の重症度;用いられる具体的化合物の活性;用いられる具体的組成物;患者の年齢、体重、全身の健康、性別および食事;用いられる具体的化合物の投与時間、投与経路、および排出速度;処置期間;用いられる具体的化合物と組み合わせてまたは同時に使用される薬物、ならびに医療分野で周知の同様の因子を含む様々な因子に依存する。
【0260】
この発明の薬学的に受容可能な組成物は、ヒトおよび他の動物に、処置される感染の重症度に応じて、経口的に、直腸内に、非経口的に、大槽内に、膣内に、腹腔内に、局所的に(散剤、軟膏剤、または滴剤によるものとして)、口腔内に、経口スプレー剤または経鼻スプレー剤などとして投与することができる。ある特定の実施形態では、本発明の化合物は、所望の治療効果を得るために、1日に1回または複数回、1日に被験体の体重1kg当たり約0.01mgから約50mg、好ましくは約1mgから約25mgの投薬レベルで経口的にまたは非経口的に投与することができる。
【0261】
経口投与用の液体剤形として、これらに限定されないが、薬学的に受容可能なエマルション、マイクロエマルション、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が挙げられる。活性化合物に加え、液体剤形は、例えば、水または他の溶媒などの当技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにこれらの混合物を含有してもよい。不活性希釈剤の他に、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤などのアジュバントと、甘味剤、矯味矯臭剤、および芳香剤も含むことができる。
【0262】
注射用調製物、例えば、注射用の水性または油性の滅菌懸濁剤は、好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用する公知の技術により製剤化されてもよい。注射用滅菌調製物は、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の注射用滅菌溶液、懸濁物、またはエマルション、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液としてであってもよい。用いることができる、許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンガー溶液,U.S.P.、および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌固定油は、溶媒または懸濁媒体として従来より用いられている。この目的のために、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無刺激性固定油を用いることができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は、注射可能物質の調製に使用される。
【0263】
注射用製剤は、使用前に、例えば、細菌保持フィルターを通した濾過によって、または滅菌水もしくは他の注射用滅菌媒体に溶解もしくは分散させることができる滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって、滅菌することができる。
【0264】
本発明の化合物の効果を延長するために、皮下または筋肉内注射からの化合物の吸収を遅くすることがしばしば望ましい。これは、水溶性に乏しい結晶性または非晶質材料の液体懸濁物を使用することによって達成され得る。次いで、化合物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、一方、溶解速度は、結晶サイズおよび結晶形態に依存し得る。あるいは、非経口投与される化合物形態の遅延吸収は、油ビヒクルへの化合物の溶解または懸濁によって達成される。注射用デポー形態は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー内で化合物のマイクロカプセルマトリクスを形成することによって作製される。化合物のポリマーに対する比および用いられる特定のポリマーの性質に応じて、化合物放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例として、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射用製剤は、体組織に適合するリポソームまたはマイクロエマルション内に化合物を捕捉することによっても調製される。
【0265】
直腸投与または膣投与のための組成物は、好ましくはこの発明の化合物を、周囲温度で固体であるが体温で液体であり、したがって直腸または膣腔内で融解し活性化合物を放出するココアバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤ろうなどの、好適な非刺激性賦形剤またはキャリアと混合することによって調製することができる坐剤である。
【0266】
経口投与用の固体剤形として、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、および顆粒剤が挙げられる。このような固体剤形では、活性化合物を、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウムなどの少なくとも1種の不活性な薬学的に受容可能な賦形剤もしくはキャリア、ならびに/またはa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸などの充填剤もしくは増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、およびアカシアなどの結合剤、c)グリセロールなどの保湿剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプンもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定のシリケート、および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶解遅延剤、f)第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイトクレイなどの吸収剤、ならびにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ならびにこれらの混合物などの滑沢剤と混合する。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、剤形は、緩衝剤を含んでもよい。
【0267】
同様のタイプの固体組成物は、ラクトースや乳糖などの賦形剤および高分子量ポリエチレングリコールなどを使用する軟質および硬質充填ゼラチンカプセルの充填剤として用いてもよい。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤の固体剤形は、腸溶コーティングおよび薬学的製剤化の技術分野で周知の他のコーティングなどの、コーティングおよびシェルを用いて調製することができる。これらは、不透明化剤を必要に応じて含有してもよく、また、必要に応じて遅延様式で、腸管のある特定の部分のみまたは優先的にその部分に有効成分(複数可)を放出する組成物にすることもできる。使用することができる埋め込み組成物の例には、ポリマー物質およびろうが含まれる。同様のタイプの固体組成物は、ラクトースまたは乳糖などの賦形剤および高分子量ポリエチレングリコールなどを使用する、軟質および硬質充填ゼラチンカプセルの充填剤として用いてもよい。
【0268】
活性化合物は、上述の1種または複数種の賦形剤を有するマイクロカプセル化形態であり得る。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤の固体剤形は、腸溶コーティング、放出制御コーティングおよび薬学的製剤化の技術分野で周知の他のコーティングなどの、コーティングおよびシェルを用いて調製することができる。このような固体剤形では、活性化合物を、スクロース、ラクトースまたはデンプンなどの少なくとも1種の不活性希釈剤と混合してもよい。このような剤形は、通常の実施の場合と同様に、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば錠剤化滑沢剤ならびにステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロースなどの他の錠剤化助剤を含んでもよい。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、剤形は、緩衝剤を含んでもよい。これらは、不透明化剤を必要に応じて含有してもよく、また、必要に応じて遅延様式で、腸管のある特定の部分のみまたは優先的にその部分に有効成分(複数可)を放出する組成物であり得る。使用することができる埋め込み組成物の例には、ポリマー物質およびろうが含まれる。
【0269】
この発明の化合物の局所投与用剤形または経皮投与用剤形として、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、散剤、液剤、スプレー剤、吸入剤またはパッチ剤が含まれる。活性成分は、滅菌条件下で、薬学的に受容可能なキャリアおよび任意の必要とされ得る保存剤または緩衝液と、必要に応じて混合される。眼科用製剤、点耳薬、および点眼薬も、この発明の範囲内にあると企図される。さらに、本発明は、身体に対して化合物の制御された送達をもたらすというさらなる利点を有する、経皮パッチの使用を企図する。このような剤形は、適当な媒体に化合物を溶解するまたは分散させることによって作製され得る。吸収増強剤もまた、皮膚を横断する化合物のフラックスを増大させるために使用することができる。この速度は、速度制御膜を設けることによって、または化合物をポリマーマトリクスもしくはゲルに分散させることによって、制御することができる。
【0270】
一実施形態によれば、本発明は、生物学的サンプルにおけるプロテインキナーゼ活性を阻害するかまたはプロテインキナーゼを分解する方法であって、前記生物学的サンプルを、この発明の化合物、または前記化合物を含む組成物と接触させるステップを含む、方法に関する。
【0271】
別の実施形態によれば、本発明は、生物学的サンプルにおけるIRAK-1、IRAK-2、および/もしくはIRAK-4、またはその変異体の活性を阻害または分解する方法であって、前記生物学的サンプルを、この発明の化合物、または前記化合物を含む組成物と接触させるステップを含む、方法に関する。
【0272】
「生物学的サンプル」という用語は、本明細書において使用する場合、限定されないが、細胞培養物またはその抽出物;哺乳動物から得られた生検材料またはその抽出物;および血液、唾液、尿、糞便、精液、涙、もしくは他の体液またはその抽出物を含む。
【0273】
プロテインキナーゼ、あるいはIRAK-1、IRAK-2、および/もしくはIRAK-4、またはその変異体から選択されるプロテインキナーゼ活性の、生物学的サンプルにおける阻害および/または分解は、当業者に公知である様々な目的のために有用である。このような目的の例として、これらに限定されないが、輸血、器官移植、生物学的標本の保存、および生物学的アッセイが挙げられる。
【0274】
本発明の別の実施形態は、患者において、プロテインキナーゼを分解し、そして/またはプロテインキナーゼ活性を阻害する方法であって、前記患者に、本発明の化合物、または前記化合物を含む組成物を投与する工程を含む、方法に関する。
【0275】
別の実施形態によれば、本発明は、患者におけるIRAK-1、IRAK-2、および/もしくはIRAK-4のうちの1つもしくはそれより多く、またはその変異体の活性を分解および/または阻害する方法に関し、この方法は、この患者に、本発明の化合物、またはこの化合物を含有する組成物を投与する工程を包含する。他の実施形態によれば、本発明は、IRAK-1、IRAK-2、および/もしくはIRAK-4のうちの1つもしくはそれより多く、またはその変異体によって媒介される障害を処置することを必要とする患者において、この障害を処置するための方法を提供し、この方法は、この患者に、本発明の化合物、またはこの化合物を含有する組成物を投与する工程を包含する。このような障害は、本明細書中に詳細に記載されている。
【0276】
処置される特定の状態、または疾患に応じて、その状態を処置するために通常投与される追加の治療剤も、この発明の組成物中に存在してもよい。本明細書において使用する場合、特定の疾患、または状態を処置するために通常投与される追加の治療剤は、「処置される疾患、または状態のために適切である」として公知である。
【0277】
本発明の化合物はまた、他の抗増殖化合物と組み合わせて、有利に使用され得る。このような抗増殖化合物として、これらに限定されないが、アロマターゼ阻害剤;抗エストロゲン;トポイソメラーゼI阻害剤;トポイソメラーゼII阻害剤;微小管活性化合物;アルキル化化合物;ヒストンデアセチラーゼ阻害剤;細胞分化プロセスを誘発する化合物;シクロオキシゲナーゼ阻害剤;MMP阻害剤;mTOR阻害剤;抗腫瘍性代謝拮抗物質;プラチン化合物;プロテインキナーゼ活性または脂質キナーゼ活性を標的化/低下させる化合物およびさらなる抗血管形成化合物;プロテインホスファターゼまたは脂質ホスファターゼの活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物;ゴナドレリンアゴニスト;抗アンドロゲン;メチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤;マトリクスメタロプロテイナーゼ阻害剤;ビスホスホネート;生体応答修飾物質;抗増殖性抗体;ヘパラナーゼ阻害剤;Ras発癌性アイソフォームの阻害剤;テロメラーゼ阻害剤;プロテアソーム阻害剤;血液学的悪性疾患の処置において使用される化合物;Flt-3の活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物;Hsp90阻害剤(例えば、17-AAG(17-アリルアミノゲルダナマイシン、NSC330507)、17-DMAG(17-ジメチルアミノエチルアミノ-17-デメトキシ-ゲルダナマイシン、NSC707545)、IPI-504、CNF1010、CNF2024、CNF1010(Conforma Therapeutics製));テモゾロミド(Temodal(登録商標));キネシン紡錘体タンパク質阻害剤(例えば、SB715992またはSB743921(GlaxoSmithKline製)、またはペンタミジン/クロルプロマジン(CombinatoRx製));MEK阻害剤(例えば、ARRY142886(Array BioPharma製)、AZD6244(AstraZeneca製)、PD181461(Pfizer製)およびロイコボリン)が挙げられる。
【0278】
「アロマターゼ阻害剤」という用語は、本明細書において使用する場合、エストロゲン産生、例えば、基質であるアンドロステンジオンおよびテストステロンの、それぞれ、エストロンおよびエストラジオールへの転換を阻害する化合物に関する。この用語は、これらに限定されないが、ステロイド、とりわけ、アタメスタン、エキセメスタンおよびフォルメスタン、ならびに特に、非ステロイド、とりわけ、アミノグルテチミド、ログレチミド、ピリドグルテチミド、トリロスタン、テストラクトン、ケトコナゾール、ボロゾール、ファドロゾール、アナストロゾールおよびレトロゾールを含む。エキセメスタンは、商品名Aromasin(商標)のもとで市販されている。フォルメスタンは、商品名Lentaron(商標)のもとで市販されている。ファドロゾールは、商品名Afema(商標)のもとで市販されている。アナストロゾールは、商品名Arimidex(商標)のもとで市販されている。レトロゾールは、商品名Femara(商標)またはFemar(商標)のもとで市販されている。アミノグルテチミドは、商品名Orimeten(商標)のもとで市販されている。アロマターゼ阻害剤である化学療法剤を含む本発明の組み合わせは、ホルモン受容体陽性腫瘍、例えば、乳房腫瘍の処置のために特に有用である。
【0279】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤はmTOR阻害剤であり、これは、細胞増殖、血管新生およびグルコース取り込みを阻害する。いくつかの実施形態において、mTOR阻害剤は、エベロリムス(Afinitor(登録商標)、Novartis);テムシロリムス(temsirolimus)(Torisel(登録商標)、Pfizer);およびシロリムス(Rapamune(登録商標)、Pfizer)である。
【0280】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤はアロマターゼ阻害剤である。いくつかの実施形態において、アロマターゼ阻害剤は、エキセメスタン(Aromasin(登録商標)、Pfizer);アナスタゾール(anastazole)(Arimidex(登録商標)、AstraZeneca)およびレトロゾール(Femara(登録商標)、Novartis)から選択される。
【0281】
「抗エストロゲン」という用語は、本明細書において使用する場合、エストロゲンの効果をエストロゲン受容体レベルで拮抗する化合物に関する。この用語は、これらに限定されないが、タモキシフェン、フルベストラント、ラロキシフェンおよびラロキシフェン塩酸塩を含む。タモキシフェンは、商品名Nolvadex(商標)のもとで市販されている。ラロキシフェン塩酸塩は、商品名Evista(商標)のもとで市販されている。フルベストラントは、商品名Faslodex(商標)のもとで投与することができる。抗エストロゲンである化学療法剤を含む本発明の組み合わせは、エストロゲン受容体陽性腫瘍、例えば、乳房腫瘍の処置のために特に有用である。
【0282】
「抗アンドロゲン」という用語は、本明細書において使用する場合、アンドロゲンの生物学的効果を阻害することが可能な任意の物質に関し、これらに限定されないが、ビカルタミド(Casodex(商標))を含む。「ゴナドレリンアゴニスト」という用語は、本明細書において使用する場合、これらに限定されないが、アバレリクス、ゴセレリンおよび酢酸ゴセレリンを含む。ゴセレリンは、商品名Zoladex(商標)のもとで投与することができる。
【0283】
「トポイソメラーゼI阻害剤」という用語は、本明細書において使用する場合、これらに限定されないが、トポテカン、ギマテカン、イリノテカン、カンプトテシン(camptothecian)およびそのアナログ、9-ニトロカンプトテシンならびに高分子カンプトテシンコンジュゲートPNU-166148を含む。イリノテカンは、例えば、Camptosar(商標)の商標のもとで、例えば、市販されている形態で、投与することができる。トポテカンは、商品名Hycamptin(商標)のもとで市販されている。
【0284】
「トポイソメラーゼII阻害剤」という用語は、本明細書において使用する場合、これらに限定されないが、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン(Caelyx(商標)などのリポソーム製剤を含む)、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシンおよびネモルビシン、アントラキノンであるミトキサントロンおよびロソキサントロン、ならびにポドフィロトキシンであるエトポシドおよびテニポシドを含む。エトポシドは、商品名Etopophos(商標)のもとで市販されている。テニポシドは、商品名VM 26-Bristolのもとで市販されている。ドキソルビシンは、商品名Acriblastin(商標)またはAdriamycin(商標)のもとで市販されている。エピルビシンは、商品名Farmorubicin(商標)のもとで市販されている。イダルビシンは、商品名Zavedos(商標)のもとで市販されている。ミトキサントロンは、商品名Novantronのもとで市販されている。
【0285】
「微小管活性剤」という用語は、微小管安定化化合物、微小管不安定化化合物およびミクロチューブリン(microtublin)重合阻害剤に関し、これらに限定されないが、タキサン類、例えば、パクリタキセルおよびドセタキセル;ビンカアルカロイド類、例えば、ビンブラスチンまたは硫酸ビンブラスチン、ビンクリスチンまたは硫酸ビンクリスチン、およびビノレルビン;ディスコデルモリド;コルヒチン(cochicine)およびエポチロンならびにこれらの誘導体を含む。パクリタキセルは、商品名Taxol(商標)のもとで市販されている。ドセタキセルは、商品名Taxotere(商標)のもとで市販されている。硫酸ビンブラスチンは、商品名Vinblastin R.P(商標)のもとで市販されている。硫酸ビンクリスチンは、商品名Farmistin(商標)のもとで市販されている。
【0286】
「アルキル化剤」という用語は、本明細書において使用する場合、これらに限定されないが、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファランまたはニトロソ尿素(BCNUまたはGliadel)を含む。シクロホスファミドは、商品名Cyclostin(商標)のもとで市販されている。イホスファミドは、商品名Holoxan(商標)のもとで市販されている。
【0287】
「ヒストンデアセチラーゼ阻害剤」または「HDAC阻害剤」という用語は、ヒストンデアセチラーゼを阻害し、抗増殖活性を有する化合物に関する。これには、これらに限定されないが、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)が挙げられる。
【0288】
「抗腫瘍性代謝拮抗物質」という用語は、これらに限定されないが、5-フルオロウラシルすなわち5-FU、カペシタビン、ゲムシタビン、DNA脱メチル化合物(例えば、5-アザシチジンおよびデシタビン)、メトトレキサートおよびエダトレキサート、ならびに葉酸アンタゴニスト(例えば、ペメトレキセド)を含む。カペシタビンは、商品名Xeloda(商標)のもとで市販されている。ゲムシタビンは、商品名Gemzar(商標)のもとで市販されている。
【0289】
「プラチン化合物」という用語は、本明細書において使用する場合、これらに限定されないが、カルボプラチン、シスプラチン、シスプラチナムおよびオキサリプラチンを含む。カルボプラチンは、例えば、Carboplat(商標)の商標のもとで、例えば、市販されている形態で投与することができる。オキサリプラチンは、例えば、Eloxatin(商標)の商標のもとで、例えば、市販されている形態で投与することができる。
【0290】
「Bcl-2阻害剤」という用語は、本明細書において使用する場合、これらに限定されないが、B細胞リンパ腫2タンパク質(Bcl-2)に対する阻害活性を有する化合物(これらに限定されないが、ABT-199、ABT-731、ABT-737、アポゴシポール(apogossypol)、Ascentaの汎Bcl-2阻害剤、クルクミン(およびそのアナログ)、二重Bcl-2/Bcl-xL阻害剤(Infinity Pharmaceuticals/Novartis Pharmaceuticals)、Genasense(G3139)、HA14-1(およびそのアナログ;WO2008/118802、US 2010/0197686を参照のこと)、ナビトクラックス(navitoclax)(およびそのアナログ、US7,390,799を参照のこと)、NH-1(Shenayng Pharmaceutical University)、オバトクラックス(およびそのアナログ、WO2004/106328、US 2005/0014802を参照のこと)、S-001(Gloria Pharmaceuticals)、TW系列の化合物(Univ.of Michigan)、およびベネトクラックスを含む)を含む。一部の実施形態では、Bcl-2阻害剤は、小分子治療薬である。一部の実施形態では、Bcl-2阻害剤は、ペプチド模倣物である。
【0291】
「プロテインキナーゼもしくは脂質キナーゼの活性を標的化する/低下させる化合物;またはプロテインホスファターゼもしくは脂質ホスファターゼの活性を標的化する/低下させる化合物;またはさらなる抗血管形成化合物」という用語は、本明細書において使用する場合、これらに限定されないが、プロテインチロシンキナーゼならびに/またはセリンおよび/もしくはトレオニンキナーゼ阻害剤、あるいは脂質キナーゼ阻害剤、例えば、a)血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)の活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物(例えば、PDGFRの活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物、特に、PDGF受容体を阻害する化合物、例えば、N-フェニル-2-ピリミジン-アミン誘導体、例えば、イマチニブ、SU101、SU6668およびGFB-111);b)線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)の活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物;c)インスリン様増殖因子受容体I(IGF-IR)の活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物(例えば、IGF-IRの活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物、特に、IGF-I受容体のキナーゼ活性を阻害する化合物、またはIGF-I受容体もしくはその増殖因子の細胞外ドメインを標的化する抗体);d)Trk受容体型チロシンキナーゼファミリーの活性を標的化する、低下させるもしくは阻害する化合物、またはエフリンB4阻害剤;e)AxI受容体型チロシンキナーゼファミリーの活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物;f)Ret受容体型チロシンキナーゼの活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物;g)Kit/SCFR受容体型チロシンキナーゼの活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物、例えば、イマチニブ;h)PDGFRファミリーの一部である、C-kit受容体型チロシンキナーゼの活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物(例えば、c-Kit受容体型チロシンキナーゼファミリーの活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物、特に、c-Kit受容体を阻害する化合物、例えば、イマチニブ);i)c-Ablファミリーのメンバー、それらの遺伝子融合産物(例えば、BCR-Ablキナーゼ)および変異体の活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物(例えば、c-Ablファミリーメンバーおよびそれらの遺伝子融合産物の活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物、例えば、N-フェニル-2-ピリミジン-アミン誘導体、例えば、イマチニブまたはニロチニブ(AMN107);PD180970;AG957;NSC 680410;PD173955(ParkeDavis製);またはダサチニブ(BMS-354825));j)セリン/トレオニンキナーゼのプロテインキナーゼC(PKC)およびRafファミリーのメンバー、MEK、SRC、JAK/汎JAK、FAK、PDK1、PKB/Akt、Ras/MAPK、PI3K、SYK、TYK2、BTKおよびTECファミリーのメンバー、ならびに/またはサイクリン依存性キナーゼファミリー(CDK)のメンバーの活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物(スタウロスポリン誘導体、例えば、ミドスタウリンを含む)であり;さらなる化合物の例として、UCN-01、サフィンゴール、BAY 43-9006、ブリオスタチン1、ペリホシン;イルモホシン(llmofosine);RO 318220およびRO 320432;GO 6976;lsis 3521;LY333531/LY379196;イソキノリン(isochinoline)化合物;FTI;PD184352またはQAN697(P13K阻害剤)またはAT7519(CDK阻害剤)が挙げられる;k)プロテイン-チロシンキナーゼ阻害剤の活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物であり、例えば、プロテイン-チロシンキナーゼ阻害剤の活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物は、メシル酸イマチニブ(Gleevec(商標))またはチルホスチン(例えば、チルホスチンA23/RG-50810;AG 99;チルホスチンAG 213;チルホスチンAG 1748;チルホスチンAG 490;チルホスチンB44;チルホスチンB44(+)鏡像異性体;チルホスチンAG 555;AG 494;チルホスチンAG 556、AG957)およびアダホスチン(4-{[(2,5-ジヒドロキシフェニル)メチル]アミノ}-安息香酸アダマンチルエステル;NSC 680410、アダホスチン)を含む;l)受容体型チロシンキナーゼの上皮増殖因子ファミリー(ホモ二量体またはヘテロ二量体としての、EGFR1 ErbB2、ErbB3、ErbB4)およびそれらの変異体の活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物であり、例えば、上皮増殖因子受容体ファミリーの活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物は、特に、EGF受容体型チロシンキナーゼファミリー、例えば、EGF受容体、ErbB2、ErbB3およびErbB4のメンバーを阻害するか、またはEGFもしくはEGF関連リガンドに結合する化合物、タンパク質または抗体(例えば、CP 358774、ZD 1839、ZM 105180;トラスツズマブ(Herceptin(商標))、セツキシマブ(Erbitux(商標))、Iressa、Tarceva、OSI-774、Cl-1033、EKB-569、GW-2016、E1.1、E2.4、E2.5、E6.2、E6.4、E2.11、E6.3もしくはE7.6.3、および7H-ピロロ-[2,3-d]ピリミジン誘導体)であり;m)c-Met受容体の活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物、例えば、c-Metの活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物、特に、c-Met受容体のキナーゼ活性を阻害する化合物、またはc-Metの細胞外ドメインを標的化するもしくはHGFに結合する抗体、n)1種または複数種のJAKファミリーメンバー(JAK1/JAK2/JAK3/TYK2および/または汎JAK)のキナーゼ活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物(これらに限定されないが、PRT-062070、SB-1578、バリシチニブ、パクリチニブ、モメロチニブ、VX-509、AZD-1480、TG-101348、トファシチニブ、およびルキソリチニブを含む);o)PI3キナーゼ(PI3K)のキナーゼ活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物(これらに限定されないが、ATU-027、SF-1126、DS-7423、PBI-05204、GSK-2126458、ZSTK-474、ブパルリシブ、ピクトレリシブ、PF-4691502、BYL-719、ダクトリシブ、XL-147、XL-765、およびイデラリシブを含む);ならびにq)ヘッジホッグタンパク質(Hh)またはスムーズンド受容体(SMO)経路のシグナル伝達効果を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物(これらに限定されないが、シクロパミン、ビスモデギブ、イトラコナゾール、エリスモデギブ、およびIPI-926(サリデギブ)を含む)を含む。
【0292】
プロテインホスファターゼまたは脂質ホスファターゼの活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物は、例えば、ホスファターゼ1の阻害剤、ホスファターゼ2Aの阻害剤、またはCDC25の阻害剤(例えば、オカダ酸またはその誘導体)である。
【0293】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、血小板由来成長因子(PDGF)、または上皮成長因子(EGF)もしくはその受容体(EGFR)のアンタゴニストなどの成長因子アンタゴニストである。本発明において使用することができる承認を受けたPDGFアンタゴニストには、オララツマブ(Lartruvo(登録商標);Eli Lilly)が含まれる。本発明において使用することができる承認を受けたEGFRアンタゴニストには、セツキシマブ(Erbitux(登録商標)、Eli Lilly);ネシツムマブ(Portrazza(登録商標)、Eli Lilly)、パニツムマブ(Vectibix(登録商標)、Amgen);およびオシメルチニブ(活性化EGFRを標的とする、Tagrisso(登録商標)、AstraZeneca)が含まれる。
【0294】
「PI3K阻害剤」という用語は、本明細書において使用する場合、これらに限定されないが、ホスファチジルイノシトール-3-キナーゼファミリーの1種または複数種の酵素(これらに限定されないが、PI3Kα、PI3Kγ、PI3Kδ、PI3Kβ、PI3K-C2α、PI3K-C2β、PI3K-C2γ、Vps34、p110-α、p110-β、p110-γ、p110-δ、p85-α、p85-β、p55-γ、p150、p101、およびp87を含む)に対する阻害活性を有する化合物を含む。この発明において有用なPI3K阻害剤の例として、これらに限定されないが、ATU-027、SF-1126、DS-7423、PBI-05204、GSK-2126458、ZSTK-474、ブパルリシブ、ピクトレリシブ、PF-4691502、BYL-719、ダクトリシブ、XL-147、XL-765、およびイデラリシブが挙げられる。
【0295】
「BTK阻害剤」という用語は、本明細書において使用する場合、これらに限定されないが、ブルトンチロシンキナーゼ(BTK)に対する阻害活性を有する化合物(これらに限定されないが、AVL-292およびイブルチニブを含む)を含む。
【0296】
「SYK阻害剤」という用語は、本明細書において使用する場合、これらに限定されないが、脾臓チロシンキナーゼ(SYK)に対する阻害活性を有する化合物(これらに限定されないが、PRT-062070、R-343、R-333、エキセライア(Excellair)、PRT-062607、およびフォスタマチニブを含む)を含む。
【0297】
BTK阻害化合物、およびこの発明の化合物と組み合わせてこのような化合物により処置可能な状態のさらなる例は、その各々の全体が参照により本明細書に組み込まれるWO 2008/039218、US 2008/0108636およびWO 2011/090760、US 2010/0249092に見出され得る。
【0298】
SYK阻害化合物、およびこの発明の化合物と組み合わせてこのような化合物により処置可能な状態のさらなる例は、その各々の全体が参照により本明細書に組み込まれるWO 2003/063794、US 2004/0029902、WO 2005/007623、US 2005/0075306、およびWO 2006/078846、US 2006/0211657に見出され得る。
【0299】
PI3K阻害化合物、およびこの発明の化合物と組み合わせてこのような化合物により処置可能な状態のさらなる例は、その各々の全体が参照により本明細書に組み込まれるWO 2004/019973、US 2004/0106569、WO 2004/089925、US 2004/0242631、US 8,138,347、WO 2002/088112、US 2004/0116421、WO 2007/084786、US 2010/0249126、WO 2007/129161、US 2008/0076768、WO 2006/122806、US 2008/0194579、WO 2005/113554、US 2008/0275067、およびWO 2007/044729、US 2010/0087440に見出され得る。
【0300】
JAK阻害化合物、およびこの発明の化合物と組み合わせてこのような化合物により処置可能な状態のさらなる例は、その各々の全体が参照により本明細書に組み込まれるWO 2009/114512、US 2009/0233903、WO 2008/109943、US 2010/0197671、WO 2007/053452、US 2007/0191405、WO 2001/0142246、US 2001/0053782、およびWO 2007/070514、US 2007/0135461に見出され得る。
【0301】
さらなる抗血管形成化合物として、その活性について別の機序、例えば、プロテインキナーゼ阻害または脂質キナーゼ阻害に関連しない機序を有する化合物、例えば、サリドマイド(Thalomid(商標))およびTNP-470が挙げられる。
【0302】
本発明の化合物との組み合わせにおいて使用するために有用なプロテアソーム阻害剤の例として、これらに限定されないが、ボルテゾミブ、ジスルフィラム、エピガロカテキン-3-ガレート(EGCG)、サリノスポラミドA、カルフィルゾミブ、ONX-0912、CEP-18770、およびMLN9708が挙げられる。
【0303】
プロテインホスファターゼまたは脂質ホスファターゼの活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物は、例えば、ホスファターゼ1の阻害剤、ホスファターゼ2Aの阻害剤、またはCDC25の阻害剤(例えば、オカダ酸またはその誘導体)である。
【0304】
細胞分化プロセスを誘発する化合物として、これらに限定されないが、レチノイン酸、α-トコフェロール、γ-トコフェロールもしくはδ-トコフェロール、またはα-トコトリエノール、γ-トコトリエノールもしくはδ-トコトリエノールが挙げられる。
【0305】
シクロオキシゲナーゼ阻害剤という用語は、本明細書において使用する場合、これらに限定されないが、Cox-2阻害剤、5-アルキル置換2-アリールアミノフェニル酢酸および誘導体、例えば、セレコキシブ(Celebrex(商標))、ロフェコキシブ(Vioxx(商標)、エトリコキシブ、バルデコキシブ、または5-アルキル-2-アリールアミノフェニル酢酸、例えば、5-メチル-2-(2’-クロロ-6’-フルオロアニリノ)フェニル酢酸、ルミラコキシブを含む。
【0306】
「ビスホスホネート」という用語は、本明細書において使用する場合、これらに限定されないが、エチドロン(etridonic)酸、クロドロン酸、チルドロン酸、パミドロン酸、アレンドロン酸、イバンドロン酸、リセドロン酸およびゾレドロン酸を含む。エチドロン酸は、商品名Didronel(商標)のもとで市販されている。クロドロン酸は、商品名Bonefos(商標)のもとで市販されている。チルドロン酸は、商品名Skelid(商標)のもとで市販されている。パミドロン酸は、商品名Aredia(商標)のもとで市販されている。アレンドロン酸は、商品名Fosamax(商標)のもとで市販されている。イバンドロン酸は、商品名Bondranat(商標)のもとで市販されている。リセドロン酸は、商品名Actonel(商標)のもとで市販されている。ゾレドロン酸は、商品名Zometa(商標)のもとで市販されている。「mTOR阻害剤」という用語は、哺乳動物ラパマイシン標的(mTOR)を阻害し、抗増殖活性を有する化合物、例えば、シロリムス(Rapamune(登録商標))、エベロリムス(Certican(商標))、CCI-779およびABT578に関する。
【0307】
「ヘパラナーゼ阻害剤」という用語は、本明細書において使用する場合、硫酸ヘパリン分解を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物を指す。この用語は、これらに限定されないが、PI-88を含む。「生体応答修飾物質」という用語は、本明細書において使用する場合、リンホカインまたはインターフェロンを指す。
【0308】
「Ras発癌性アイソフォームの阻害剤」(例えば、H-Ras、K-Ras、またはN-Ras)という用語は、本明細書において使用する場合、Rasの発癌性活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物;例えば、L-744832、DK8G557またはR115777(Zarnestra(商標))などの「ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤」を指す。「テロメラーゼ阻害剤」という用語は、本明細書において使用する場合、テロメラーゼの活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物を指す。テロメラーゼの活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物は、特に、テロメラーゼ受容体を阻害する化合物、例えば、テロメスタチンである。
【0309】
「メチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤」という用語は、本明細書において使用する場合、メチオニンアミノペプチダーゼの活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物を指す。メチオニンアミノペプチダーゼの活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物として、これらに限定されないが、ベンガミドまたはその誘導体が挙げられる。
【0310】
「プロテアソーム阻害剤」という用語は、本明細書において使用する場合、プロテアソームの活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物を指す。プロテアソームの活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物として、これらに限定されないが、ボルテゾミブ(Velcade(商標));カルフィルゾミブ(Kyprolis(登録商標)、Amgen);およびイキサゾミブ(Ninlaro(登録商標)、武田)、およびMLN 341が挙げられる。
【0311】
「マトリクスメタロプロテイナーゼ阻害剤」または(「MMP」阻害剤)という用語は、本明細書において使用する場合、これらに限定されないが、コラーゲンペプチド模倣物および非ペプチド模倣物阻害剤、テトラサイクリン誘導体(例えば、ヒドロキサメートペプチド模倣物阻害剤であるバチマスタットおよびその経口で生体利用可能なアナログであるマリマスタット(BB-2516)、プリノマスタット(AG3340)、メタスタット(NSC 683551)BMS-279251、BAY 12-9566、TAA211、MMI270BまたはAAJ996)を含む。
【0312】
「血液学的悪性疾患の処置において使用される化合物」という用語は、本明細書において使用する場合、これらに限定されないが、FMS様チロシンキナーゼ受容体(Flt-3R)の活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物であるFMS様チロシンキナーゼ阻害剤;インターフェロン、1-β-D-アラビノフラノシルシトシン(arabinofuransylcytosine)(ara-c)およびブスルファン(bisulfan);ならびに未分化リンパ腫キナーゼを標的化する、低下させるまたは阻害する化合物であるALK阻害剤を含む。
【0313】
FMS様チロシンキナーゼ受容体(Flt-3R)の活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物は、特に、Flt-3R受容体型キナーゼファミリーのメンバーを阻害する化合物、タンパク質または抗体、例えば、PKC412、ミドスタウリン、スタウロスポリン誘導体、SU11248およびMLN518である。
【0314】
「HSP90阻害剤」という用語は、本明細書において使用する場合、これらに限定されないが、HSP90の内因性ATPase活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物;ユビキチンプロテオソーム経路を介してHSP90クライアントタンパク質を分解する、標的化する、低下させるまたは阻害する化合物を含む。HSP90の内因性ATPase活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物は、特に、HSP90のATPase活性を阻害する化合物、タンパク質または抗体、例えば、17-アリルアミノ,17-脱メトキシゲルダナマイシン(17AAG)、ゲルダナマイシン誘導体;他のゲルダナマイシン関連化合物;ラディシコールおよびHDAC阻害剤である。
【0315】
「抗増殖性抗体」という用語は、本明細書において使用する場合、これらに限定されないが、トラスツズマブ(Herceptin(商標))、トラスツズマブ-DM1、アービタックス(erbitux)、ベバシズマブ(Avastin(商標))、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、PRO64553(抗CD40)および2C4抗体を含む。抗体とは、インタクトなモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つのインタクトな抗体から形成された多重特異性抗体、および所望の生体活性を示す限り、抗体断片を意味する。
【0316】
急性骨髄性白血病(AML)の処置のために、本発明の化合物は、標準的な白血病治療と組み合わせて、特に、AMLの処置のために使用される治療と組み合わせて、使用され得る。特に、本発明の化合物は、例えば、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤および/またはAMLの処置のために有用な他の薬物、例えば、ダウノルビシン、アドリアマイシン、Ara-C、VP-16、テニポシド、ミトキサントロン、イダルビシン、カルボプラチナムおよびPKC412と組み合わせて投与することができる。
【0317】
他の抗白血病化合物として、例えば、Ara-C、デオキシシチジンの2’-アルファ-ヒドロキシリボース(アラビノシド)誘導体であるピリミジンアナログが挙げられる。ヒポキサンチンのプリンアナログ、6-メルカプトプリン(6-MP)およびリン酸フルダラビンもまた挙げられる。ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤の活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物、例えば、酪酸ナトリウムおよびスベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)は、ヒストンデアセチラーゼとして公知である酵素の活性を阻害する。具体的なHDAC阻害剤として、MS275、SAHA、FK228(以前はFR901228)、トリコスタチンA、ならびに、これらに限定されないが、N-ヒドロキシ-3-[4-[[[2-(2-メチル-1H-インドール-3-イル)-エチル]-アミノ]メチル]フェニル]-2E-2-プロペンアミド、またはその薬学的に受容可能な塩、およびN-ヒドロキシ-3-[4-[(2-ヒドロキシエチル){2-(1H-インドール-3-イル)エチル]-アミノ]メチル]フェニル]-2E-2-プロペンアミド、またはその薬学的に受容可能な塩、特に、乳酸塩を含む、US6,552,065に開示される化合物が挙げられる。ソマトスタチン受容体アンタゴニストとは、本明細書において使用する場合、ソマトスタチン受容体を標的化する、処理するまたは阻害する化合物、例えば、オクトレオチド、およびSOM230を指す。腫瘍細胞損傷アプローチとは、電離放射線などのアプローチを指す。上記および本明細書の以下に言及される「電離放射線」という用語は、電磁線(例えば、X線およびガンマ線)または粒子(例えば、アルファ粒子およびベータ粒子)のいずれかとして発生する電離放射線を意味する。電離放射線は、これらに限定されないが、放射線治療において提供され、当技術分野において公知である。Hellman、Principles of Radiation Therapy、Cancer,in Principles and Practice of Oncology、Devitaら編、第4版、1巻、248~275頁(1993年)を参照のこと。
【0318】
EDG結合剤およびリボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤もまた含まれる。「EDG結合剤」という用語は、本明細書において使用する場合、リンパ球再循環をモジュレートする免疫抑制薬のクラス、例えば、FTY720を指す。「リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤」という用語は、これらに限定されないが、フルダラビンおよび/またはシトシンアラビノシド(ara-C)、6-チオグアニン、5-フルオロウラシル、クラドリビン、6-メルカプトプリン(特に、ALLに対してara-Cと組み合わせて)および/またはペントスタチンを含むピリミジンヌクレオシドアナログまたはプリンヌクレオシドアナログを指す。リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤は、特に、ヒドロキシ尿素または2-ヒドロキシ-1H-イソインドール-1,3-ジオン誘導体である。
【0319】
特に、1-(4-クロロアニリノ)-4-(4-ピリジルメチル)フタラジンまたはその薬学的に受容可能な塩、1-(4-クロロアニリノ)-4-(4-ピリジルメチル)フタラジンスクシネート;Angiostatin(商標);Endostatin(商標);アントラニル酸アミド;ZD4190;ZD6474;SU5416;SU6668;ベバシズマブ;または抗VEGF抗体もしくは抗VEGF受容体抗体(例えば、rhuMAbおよびRHUFab)、VEGFアプタマー(例えば、Macugon);FLT-4阻害剤、FLT-3阻害剤、VEGFR-2 IgGI抗体、Angiozyme(RPI 4610)およびベバシズマブ(Avastin(商標))などのVEGFの化合物、タンパク質またはモノクローナル抗体もまた、含まれる。
【0320】
光ダイナミック療法とは、本明細書において使用する場合、がんを処置または予防するために、光感作化合物として公知のある特定の化学物質を使用する治療を指す。光ダイナミック療法の例として、Visudyne(商標)およびポルフィマーナトリウムなどの化合物を用いる処置が挙げられる。
【0321】
血管新生抑制ステロイドとは、本明細書において使用する場合、血管新生を遮断または阻害する化合物、例えば、アネコルタブ、トリアムシノロン、ヒドロコルチゾン、11-α-エピヒドロコルチゾール、コルテキソロン、17α-ヒドロキシプロゲステロン、コルチコステロン、デスオキシコルチコステロン、テストステロン、エストロンおよびデキサメタゾンを指す。
【0322】
コルチコステロイドを含有する移植物とは、フルオシノロンおよびデキサメタゾンなどの化合物を指す。
【0323】
他の化学療法化合物として、これらに限定されないが、植物アルカロイド、ホルモン化合物およびアンタゴニスト;生体応答修飾物質、好ましくは、リンホカインまたはインターフェロン;アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド誘導体;shRNAまたはsiRNA;あるいは多種多様な化合物または他の作用機序もしくは未知の作用機序を有する化合物が挙げられる。
【0324】
本発明の化合物はまた、特に、本明細書で先に言及されたものなどの閉塞性または炎症性の気道疾患の処置において、他の薬物物質、例えば、抗炎症薬物物質、気管支拡張薬物物質または抗ヒスタミン薬物物質と組み合わせて使用するための共治療化合物(co-therapeutic compound)として、例えば、このような薬物の治療活性の増強剤としてまたはこのような薬物の必要とされる投薬量もしくは潜在的な副作用を低減する手段として、有用である。本発明の化合物は、一定の薬学的組成物中で他の薬物物質と混合されてもよく、または他の薬物物質とは別に、その前に、同時に、もしくは後に投与することができる。したがって、本発明は、本明細書で先に記載されたような本発明の化合物と、抗炎症薬物物質、気管支拡張薬物物質、抗ヒスタミン薬物物質または鎮咳性薬物物質との組み合わせを含み、本発明の前記化合物および前記薬物物質は、同じまたは異なる薬学的組成物中にある。
【0325】
好適な抗炎症薬として、ステロイド、特に、糖質コルチコステロイド(例えば、ブデソニド、ジプロピオン酸ベクロメタゾン(beclamethasone dipropionate)、プロピオン酸フルチカゾン、シクレソニドまたはフロ酸モメタゾン);非ステロイド性糖質コルチコイド受容体アゴニスト;LTB4アンタゴニスト(例えば、LY293111、CGS025019C、CP-195543、SC-53228、BIIL 284、ONO 4057、SB 209247);LTD4アンタゴニスト(例えば、モンテルカストおよびザフィルルカスト);PDE4阻害剤(例えば、シロミラスト(Ariflo(登録商標)GlaxoSmithKline)、ロフルミラスト(Byk Gulden)、V-11294A(Napp)、BAY19-8004(Bayer)、SCH-351591(Schering-Plough)、アロフィリン(Almirall Prodesfarma)、PD189659/PD168787(Parke-Davis)、AWD-12-281(Asta Medica)、CDC-801(Celgene)、SeICID(TM) CC-10004(Celgene)、VM554/UM565(Vernalis)、T-440(Tanabe)、KW-4490(協和発酵工業));A2aアゴニスト;A2bアンタゴニスト;ならびにベータ-2アドレノセプターアゴニスト(例えば、アルブテロール(サルブタモール)、メタプロテレノール、テルブタリン、サルメテロール フェノテロール、プロカテロール、ならびに、特に、フォルモテロールおよびその薬学的に受容可能な塩)が挙げられる。好適な気管支拡張薬物として、抗コリン作用性化合物または抗ムスカリン化合物、特に、臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウム、チオトロピウム塩およびCHF 4226(Chiesi)、ならびにグリコピロレートが挙げられる。
【0326】
好適な抗ヒスタミン薬物物質として、セチリジン塩酸塩、アセトアミノフェン、フマル酸クレマスチン、プロメタジン、ロラタジン、デスロラチジン(desloratidine)、ジフェンヒドラミンおよびフェキソフェナジン塩酸塩、アクリバスチン(activastine)、アステミゾール、アゼラスチン、エバスチン、エピナスチン、ミゾラスチンおよびテルフェナジン(tefenadine)が挙げられる。
【0327】
本発明の化合物と抗炎症薬物との他の有用な組み合わせは、ケモカイン受容体、例えば、CCR-1、CCR-2、CCR-3、CCR-4、CCR-5、CCR-6、CCR-7、CCR-8、CCR-9およびCCR10、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5のアンタゴニスト、特に、CCR-5アンタゴニスト、例えば、Schering-PloughのアンタゴニストSC-351125、SCH-55700およびSCH-D、ならびにTakedaのアンタゴニスト、例えば、N-[[4-[[[6,7-ジヒドロ-2-(4-メチルフェニル)-5H-ベンゾ-シクロヘプテン-8-イル]カルボニル]アミノ]フェニル]-メチル]テトラヒドロ-N,N-ジメチル-2H-ピラン-4-アミニウムクロリド(TAK-770)との組み合わせである。
【0328】
コード番号、一般名または商品名により特定される活性化合物の構造は、標準的な概説書「The Merck Index」の現行の版またはデータベース(例えば、Patents International(例えば、IMS World Publications))から得られ得る。
【0329】
本発明の化合物はまた、公知の治療プロセス、例えば、ホルモンまたは放射線の投与と組み合わせて使用され得る。ある特定の実施形態では、提供される化合物は、放射線増感剤として、特に、放射線治療に対して乏しい感受性を示す腫瘍の処置のために使用される。
【0330】
本発明の化合物は、単独で投与するか、または1種もしくは複数種の他の治療化合物と組み合わせて投与することができ、可能な併用療法は、一定の組み合わせの形態、または本発明の化合物と1種もしくは複数種の他の治療化合物との投与が交互であるか、または互いに独立している形態、または一定の組み合わせと1種もしくは複数種の他の治療化合物との組み合わせた投与の形態をとり得る。本発明の化合物は、それ以外に、またはそれに加えて、特に、腫瘍治療のために、化学療法、放射線療法、免疫療法、光線療法、外科手術介入、またはこれらの組み合わせと組み合わせて、投与することができる。上で記載されたように、他の処置ストラテジーの文脈で、補助的な治療と同様に、長期間の治療が可能である。他の可能な処置は、腫瘍退縮後の患者の状態を維持するための治療、またはさらに、例えばリスクがある患者における化学予防治療である。
【0331】
これらの追加の薬剤は、本発明の化合物含有組成物とは別に、複数投薬レジメンの一部として投与することができる。あるいは、これらの薬剤は、単一の組成物中で、この発明の化合物と一緒に混合された単一の剤形の一部であり得る。複数投薬レジメンの一部として投与される場合、2種の活性な薬剤は、同時に、逐次的にまたは互いからある期間以内に、通常、互いから5時間以内に与えられてもよい。
【0332】
本明細書において使用する場合、「組み合わせ」、「組み合わせた」という用語、および関連する用語は、本発明に従う治療剤の同時または逐次的な投与を指す。例えば、本発明の化合物は、別の治療剤と、別の単位剤形中で同時にもしくは逐次的にまたは単一の単位剤形中で一緒に投与することができる。したがって、本発明は、本発明の化合物、追加の治療剤、および薬学的に受容可能なキャリア、アジュバント、またはビヒクルを含む単一の単位剤形を提供する。
【0333】
単一の剤形を生成するためにキャリア材料と組み合わせられ得る、本発明の化合物と追加の治療剤との両方の(上記のような追加の治療剤を含む組成物中での)量は、処置される宿主および特定の投与方式に応じて変わる。好ましくは、この発明の組成物は、1日に体重1kg当たり0.01~100mgの間の投薬量の本発明の化合物が投与され得るように製剤化されるべきである。
【0334】
追加の治療剤を含むこれらの組成物において、その追加の治療剤およびこの発明の化合物は、相乗的に作用し得る。したがって、このような組成物中の追加の治療剤の量は、その治療剤のみを利用する単剤療法において必要とされる量より少ない。このような組成物において、1日に体重1kg当たり0.01~1,000μgの間の投薬量の追加の治療剤を投与することができる。
【0335】
この発明の組成物中に存在する1つまたはそれより多くの他の治療剤の量は、唯一の活性な薬剤としてその治療剤を含む組成物で通常投与される量以下になり得る。好ましくは、本開示の組成物中の1つまたはそれより多くの他の治療剤の量は、唯一の治療上活性な薬剤としてその薬剤を含む組成物中に通常存在する量の約50%から100%の範囲である。いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、その薬剤が通常投与される量の、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%の投薬量で投与される。本明細書中で使用される場合、語句「通常投与される」とは、FDAが承認した治療剤がFDAラベルインサートにより投与を承認されている量を意味する。
【0336】
この発明の化合物、またはその薬学的組成物はまた、プロテーゼ、人工弁、移植血管、ステントおよびカテーテルなどの埋込み可能な医療デバイスをコーティングするための組成物中に組み込まれてもよい。例えば、血管ステントは、再狭窄(傷害後の血管壁の再狭小化)を克服するために使用されている。しかし、ステントまたは他の埋込み可能なデバイスを使用する患者には、血餅形成または血小板活性化のリスクがある。これらの不要な効果は、デバイスをキナーゼ阻害剤を含む薬学的に受容可能な組成物でプレコーティングすることによって、防ぐまたは軽減することができる。この発明の化合物でコーティングされた埋込み可能なデバイスが、本発明の別の実施形態である。
【0337】
例示的な腫瘍免疫剤(immuno-oncology agent)
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、腫瘍免疫剤である。本明細書中で使用される場合、用語「腫瘍免疫剤」とは、被験体における免疫反応を増強し、刺激し、そして/または上方調節するために有効な薬剤をいう。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤の、本発明の化合物との投与は、がんの処置において相乗効果を有する。
【0338】
腫瘍免疫剤は、例えば、低分子薬物、抗体、または生物学的もしくは低分子であり得る。生物学的腫瘍免疫剤の例としては、がんワクチン、抗体、およびサイトカインが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態において、モノクローナル抗体は、ヒト化抗体またはヒト抗体である。
【0339】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、T細胞の(i)刺激(共刺激を含む)受容体のアゴニスト、または(ii)阻害(共阻害を含む)シグナルのアンタゴニストであり、これらの両方が、抗原特異的T細胞応答の増幅をもたらす。
【0340】
刺激分子および阻害分子の特定のものは、免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)のメンバーである。共刺激受容体または共阻害受容体に結合する膜結合リガンドの1つの重要なファミリーは、B7ファミリーであり、これは、B7-1、B7-2、B7-H1(PD-L1)、B7-DC(PD-L2)、B7-H2(ICOS-L)、B7-H3、B7-H4、B7-H5(VISTA)、およびB7-H6を含む。共刺激受容体または共阻害受容体に結合する膜結合リガンドの別のファミリーは、コグネイトTNF受容体ファミリーメンバーに結合する分子のTNFファミリーであり、これは、CD40およびCD40L、OX-40、OX-40L、CD70、CD27L、CD30、CD30L、4-1BBL、CD137(4-1BB)、TRAIL/Apo2-L、TRAILR1/DR4、TRAILR2/DR5、TRAILR3、TRAILR4、OPG、RANK、RANKL、TWEAKR/Fn14、TWEAK、BAFFR、EDAR、XEDAR、TACI、APRIL、BCMA、LTβR、LIGHT、DcR3、HVEM、VEGI/TL1A、TRAMP/DR3、EDAR、EDA1、XEDAR、EDA2、TNFR1、リンホトキシンα/TNFβ、TNFR2、TNFα、LTβR、リンホトキシンα1β2、FAS、FASL、RELT、DR6、TROY、NGFRを含む。
【0341】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、T細胞活性化を阻害するサイトカイン(例えば、IL-6、IL-10、TGF-β、VEGF、および他の免疫抑制性サイトカイン)、または免疫反応を刺激するための、T細胞活性化を刺激するサイトカインである。
【0342】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物と腫瘍免疫剤との組み合わせ物は、T細胞応答を刺激し得る。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、(i)T細胞活性化を阻害するタンパク質のアンタゴニスト(例えば、免疫チェックポイント阻害剤)(例えば、CTLA-4、PD-1、PD-L1、PD-L2、LAG-3、TIM-3、ガレクチン9、CEACAM-1、BTLA、CD69、ガレクチン-1、TIGIT、CD113、GPR56、VISTA、2B4、CD48、GARP、PD1H、LAIR1、TIM-1、およびTIM-4);または(ii)T細胞活性化を刺激するタンパク質のアゴニスト(例えば、B7-1、B7-2、CD28、4-1BB(CD137)、4-1BBL、ICOS、ICOS-L、OX40、OX40L、GITR、GITRL、CD70、CD27、CD40、DR3およびCD28H)である。
【0343】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、NK細胞の阻害受容体のアンタゴニスト、またはNK細胞の活性化受容体のアゴニストである。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、リリルマブなどの、KIRのアンタゴニストである。
【0344】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、マクロファージまたは単球を阻害または枯渇する薬剤であり、CSF-1Rアンタゴニスト(例えば、RG7155(WO 2011/070024、US 2011/0165156、WO 2011/0107553、US 2012/0329997、WO 2011/131407、US 2013/0005949、WO 2013/087699、US 2014/0336363、WO 2013/119716、WO 2013/132044、US 2014/0079706)またはFPA-008(WO 2011/140249、US 2011/0274683;WO 2013/169264;WO 2014/036357、US 2014/0079699)が挙げられるCSF-1Rアンタゴニスト抗体)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0345】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、正の共刺激受容体を連結するアゴニスト性剤、阻害性の受容体、アンタゴニスト、および抗腫瘍T細胞の頻度を全身的に増大させる1つまたはそれより多くの薬剤を介してシグナル伝達を減衰させる遮断剤、腫瘍微小環境内の異なる免疫抑制経路に打ち勝つ(例えば、阻害受容体の関与を遮断する(例えば、PD-L1/PD-1相互作用)、Tregsを枯渇もしくは阻害する(例えば、抗CD25モノクローナル抗体(例えば、ダクリズマブ(daclizumab))を使用して、またはエキソビボ抗CD25ビーズ枯渇により)、IDOなどの代謝酵素を阻害する、あるいはT細胞のエネルギーまたは枯渇を逆転/防止する)薬剤、ならびに先天性免疫活性化および/または炎症を腫瘍部位で誘発する薬剤から選択される。
【0346】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、CTLA-4アンタゴニストである。いくつかの実施形態において、CTLA-4アンタゴニストは、アンタゴニスト性CTLA-4抗体である。いくつかの実施形態において、アンタゴニスト性CTLA-4抗体は、YERVOY(イピリムマブ)またはトレメリムマブ(tremelimumab)である。
【0347】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、PD-1アンタゴニストである。いくつかの実施形態において、PD-1アンタゴニストは、注入により投与される。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、プログラム細胞死-1(PD-1)受容体に特異的に結合し、そしてPD-1活性を阻害する、抗体またはその抗原結合部分である。いくつかの実施形態において、PD-1アンタゴニストは、アンタゴニスト性PD-1抗体である。いくつかの実施形態において、アンタゴニスト性PD-1抗体は、OPDIVO(ニボルマブ)、KEYTRUDA(ペムブロリズマブ)、またはMEDI-0680(AMP-514;WO2012/145493)である。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、ピディリズマブ(pidilizumab)(CT-011)であり得る。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、IgG1のFc部分に融合したPD-L2(B7-DC)の細胞外ドメインからなる、AMP-224と呼ばれる組換えタンパク質である。
【0348】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、PD-L1アンタゴニストである。いくつかの実施形態において、PD-L1アンタゴニストは、アンタゴニスト性PD-L1抗体である。いくつかの実施形態において、PD-L1抗体は、MPDL3280A(RG7446;WO2010/077634、US 2010/0203056)、デュルバルマブ(durvalumab)(MEDI4736)、BMS-936559(WO2007/005874、US 2009/0055944)、およびMSB0010718C(WO2013/079174、US 2014/0341917)である。
【0349】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、LAG-3アンタゴニストである。いくつかの実施形態において、LAG-3アンタゴニストは、アンタゴニスト性LAG-3抗体である。いくつかの実施形態において、LAG3抗体は、BMS-986016(WO 2010/019570、US 2010/0150892、WO 2014/008218、US 2014/0093511)、またはIMP-731もしくはIMP-321(WO 2008/132601、US 2010/0233183、WO 2009/044273、US 2011/0008331)である。
【0350】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、CD137(4-1BB)アゴニストである。いくつかの実施形態において、CD137(4-1BB)アゴニストは、アゴニスト性CD137抗体である。いくつかの実施形態において、CD137抗体は、ウレルマブ(urelumab)またはPF-05082566(WO12/32433)である。
【0351】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、GITRアゴニストである。いくつかの実施形態において、GITRアゴニストは、アゴニスト性GITR抗体である。いくつかの実施形態において、GITR抗体は、BMS-986153、BMS-986156、TRX-518(WO 2006/105021、US 2007/0098719、WO 2009/009116、US 2009/0136494)、またはMK-4166(WO 2011/028683、US 2012/0189639)である。
【0352】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、インドールアミン(2,3)-ジオキシゲナーゼ(IDO)アンタゴニストである。いくつかの実施形態において、IDOアンタゴニストは、エパカドスタット(INCB024360、Incyte);インドキシモド(NLG-8189、NewLink Genetics Corporation);カプマチニブ(INC280、Novartis);GDC-0919(Genentech/Roche);PF-06840003(Pfizer);BMS:F001287(Bristol-Myers Squibb);Phy906/KD108(Phytoceutica);キヌレニンを分解する酵素(Kynase、Kyn Therapeutics);およびNLG-919(WO 2009/073620、US 2011/0053941、WO 2009/132238、US 2011/0136796、WO 2011/056652、US 2012/0277217、WO 2012/142237、US 2014/0066625)から選択される。
【0353】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、OX40アゴニストである。いくつかの実施形態において、OX40アゴニストは、アゴニスト性OX40抗体である。いくつかの実施形態において、OX40抗体は、MEDI-6383またはMEDI-6469である。
【0354】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、OX40Lアンタゴニストである。いくつかの実施形態において、OX40Lアンタゴニストは、アンタゴニスト性OX40抗体である。いくつかの実施形態において、OX40Lアンタゴニストは、RG-7888(WO2006/029879、US 7,501,496)である。
【0355】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、CD40アゴニストである。いくつかの実施形態において、CD40アゴニストは、アゴニスト性CD40抗体である。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、CD40アンタゴニストである。いくつかの実施形態において、CD40アンタゴニストは、アンタゴニスト性CD40抗体である。いくつかの実施形態において、CD40抗体は、ルカツムマブ(lucatumumab)またはダセツズマブ(dacetuzumab)である。
【0356】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、CD27アゴニストである。いくつかの実施形態において、CD27アゴニストは、アゴニスト性CD27抗体である。いくつかの実施形態において、CD27抗体は、バーリルマブ(varlilumab)である。
【0357】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、MGA271(B7H3)(WO2011/109400、US 2013/0149236)である。
【0358】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、アバゴボマブ(abagovomab)、アデカツムマブ(adecatumumab)、アフツズマブ(afutuzumab)、アレムツズマブ、アナツモマブマフェナトクス(anatumomab mafenatox)、アポリズマブ(apolizumab)、アテゾリマブ(atezolimab)、アベルマブ(avelumab)、ブリナツモマブ(blinatumomab)、BMS-936559、カツマキソマブ(catumaxomab)、デュルバルマブ、エパカドスタット(epacadostat)、エプラツズマブ(epratuzumab)、インドキシモド(indoximod)、イノツズマブオゾガマイシン、インテルムマブ(intelumumab)、イピリムマブ、イサツキシマブ(isatuximab)、ランブロリズマブ(lambrolizumab)、MED14736、MPDL3280A、ニボルマブ、オビヌツズマブ(obinutuzumab)、オカラツズマブ(ocaratuzumab)、オファツムマブ、オラタツマブ(olatatumab)、ペムブロリズマブ、ピディリズマブ、リツキシマブ、チシリムマブ(ticilimumab)、サマリズマブ(samalizumab)、またはトレメリムマブである。
【0359】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、免疫刺激薬である。例えば、PD-1およびPD-L1阻害性軸を遮断する抗体は、活性化された腫瘍反応性T細胞を開放することができ、免疫療法に感受性があるとは従来、考えられていなかった一部の腫瘍タイプを含めた、増加している数の腫瘍組織学における永続的な抗腫瘍応答を誘発することが臨床試験において示された。例えば、Okazaki,T.et al.(2013)Nat.Immunol.14,1212-1218;Zou et al.(2016)Sci.Transl.Med.8を参照されたい。抗PD-1抗体であるニボルマブ(Opdivo(登録商標)、Bristol-Myers Squibb、ONO-4538、MDX1106およびBMS-936558としても公知)は、以前の抗血管新生治療法の間またはその後に、疾患進行を経験したRCCを有する患者における、全生存率を改善させる可能性を示した。
【0360】
いくつかの実施形態において、免疫調節治療剤は、腫瘍細胞のアポトーシスを特異的に誘発する。本発明において使用することができる承認を受けている免疫調節治療剤には、ポマリドミド(Pomalyst(登録商標)、Celgene);レナリドマイド(Revlimid(登録商標)、Celgene);インゲノールメブテート(Picato(登録商標)、LEO Pharma)が含まれる。
【0361】
いくつかの実施形態において、免疫調節治療剤はがんワクチンである。いくつかの実施形態において、がんワクチンは、シプリューセル-T(Provenge(登録商標)、Dendreon/Valeant Pharmaceuticals)(無症候性または最小限の症候性転移性の去勢抵抗性(ホルモン不応性)前立腺がんの処置に承認を受けている);およびタリモジンラヘルパレプベク(Imlygic(登録商標)、BioVex/Amgen、以前はT-VECとして公知であった)(黒色腫における、切除不能な皮膚、皮下および節病巣の処置に承認を受けた、遺伝子修飾した腫瘍溶解性ウイルス治療法)から選択される。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、肝細胞癌(NCT02562755)および黒色腫(NCT00429312)に対する、GM-CSFを発現するよう操作されているチミジンキナーゼ-(TK-)欠損ワクシニアウイルスである、ペキサスチモジンデバシレプベク(PexaVec/JX-594、SillaJen/以前のJennerex Biotherapeutics)などの腫瘍溶解性ウイルス治療法;ペラレオレップ(Reolysin(登録商標)、Oncolytics Biotech)(結腸直腸がん(NCT01622543);前立腺がん(NCT01619813)、頭頚部扁平上皮細胞がん(NCT01166542)、膵臓腺癌(NCT00998322)および非小細胞肺がん(NSCLC)(NCT00861627)を含めた多数のがんにおける、RASにより活性化されていない細胞では複製しない呼吸器腸管孤立ウイルス(レオウイルス)の変異体);卵巣がん(NCT02028117)、結腸直腸がん、膀胱がん、頭頚部扁平上皮癌および唾液腺がん(NCT02636036)などの転移性または進行性上皮腫瘍における、エナデノツシレブ(NG-348、PsiOxus、以前はColoAd1として公知であった)(T細胞受容体CD3タンパク質に特異的な完全長CD80および抗体断片を発現するよう操作されているアデノウイルス);黒色腫(NCT03003676)、および腹膜疾患、結腸直腸がんまたは卵巣がん(NCT02963831)における、ONCOS-102(Targovax/以前のOncos)(GM-CSFを発現するよう操作されているアデノウイルス);GL-ONC1(GLV-1h68/GLV-1h153、Genelux GmbH)(癌性腹膜炎(NCT01443260);卵管がん、卵巣がん(NCT02759588)において、それぞれ、ベータ-ガラクトシダーゼ(ベータ-gal)/ベータ-グルコロニダーゼまたはベータ-gal/ヒトナトリウムヨウ素共輸送体(hNIS)を発現するよう操作されているワクシニアウイルスが検討された);あるいは膀胱がん(NCT02365818)における、CG0070(Cold Genesys)(GM-CSFを発現するよう操作されているアデノウイルス)から選択される。
【0362】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、JX-929(SillaJen/以前のJennerex Biotherapeutics)(プロドラッグである5-フルオロシトシンを細胞毒性薬5-フルオロウラシルに変換することが可能な、シトシンデアミナーゼを発現するよう操作されている、TKおよびワクシニア成長因子欠損ワクシニアウイルス);TG01およびTG02(Targovax/以前のOncos)(難治性RAS変異を標的とするペプチドをベースとする免疫療法剤);およびTILT-123(TILT Biotherapeutics)(Ad5/3-E2F-デルタ24-hTNFα-IRES-hIL20と表される操作されたアデノウイルス);およびVSV-GP(ViraTherapeutics)(リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)のグリコタンパク質(GP)を発現するよう操作されており、抗原特異的CD8+T細胞応答を向上するよう設計されている抗原を発現するようさらに操作され得る、水泡性口内炎ウイルス(VSV))から選択される。
【0363】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、キメラ抗原受容体すなわちCARを発現するよう操作されているT細胞である。このようなキメラ抗原受容体を発現するよう操作されているT細胞は、CAR-T細胞と呼ばれる。
【0364】
結合ドメインからなるCARが構築され、このドメインは、細胞表面抗原に特異的なモノクローナル抗体から誘導される、天然リガンドである一本鎖可変断片(scFv)であって、Tリンパ球において活性化シグナルを生じることが可能な、TCRに由来するCD3-ゼータシグナル伝達ドメインなどの、T細胞受容体(TCR)の機能端部であるエンドドメインに融合している、一本鎖可変断片(scFv)から誘導され得る。抗原に結合すると、このようなCARは、エフェクター細胞における内因性シグナル伝達経路にリンクし、TCR複合体により開始されるものと類似の活性シグナルを生じる。
【0365】
例えば、いくつかの実施形態において、CAR-T細胞は、米国特許第8,906,682号(その各々の全体が参照により本明細書に組み込まれている)に記載されているものの1つであり、この特許は、抗原結合ドメイン(CD19に結合するドメインなど)を有する細胞外ドメインであって、T細胞抗原受容体複合体ゼータ鎖(CD3ゼータなど)の細胞内シグナル伝達ドメインに融合している、細胞外ドメインを含むよう操作されているCAR-T細胞を開示している。CARは、T細胞において発現する場合、抗原結合特異性に基づいて、抗原認識の方向を変えることができる。CD19の場合、抗原は、悪性B細胞上で発現する。200を超える臨床試験が、現在、幅広い範囲の適応症において、CAR-Tを使用して、進行中である[https://clinicaltrials.gov/ct2/results?term=chimeric+antigen+receptors&pg=1]。
【0366】
いくつかの実施形態において、免疫刺激剤は、レチノイン酸受容体関連オーファン受容体γ(RORγt)のアクチベーターである。RORγtは、CD4+(Th17)およびCD8+(Tc17)T細胞のタイプ17エフェクターサブセットの分化および維持、ならびにNK細胞などの、IL-17を発現する自然免疫細胞部分集合の分化において、重要な役割を有する転写因子である。いくつかの実施形態において、のアクチベーターは、固形腫瘍(NCT02929862)の処置に関する臨床試験において現在評価されているLYC-55716(Lycera)である。
【0367】
いくつかの実施形態において、免疫刺激剤は、toll様受容体(TLR)のアゴニストまたはアクチベーターである。TLRの好適なアクチベーターは、SD-101(Dynavax)などのTLR9のアゴニストまたはアクチベーターを含む。SD-101は、濾胞性B細胞および他のリンパ腫(NCT02254772)に関して現在、検討されている免疫刺激性CpGである。本発明において使用することができるTLR8のアゴニストまたはアクチベーターには、頭頚部の扁平上皮細胞がん(NCT02124850)および卵巣がん(NCT02431559)に関して、現在、検討中のモトリモド(VTX-2337、VentiRx Pharmaceuticals)が含まれる。
【0368】
本発明において使用され得る他の腫瘍免疫剤としては、ウレルマブ(BMS-663513、Bristol-Myers Squibb)、抗CD137モノクローナル抗体;バーリルマブ(CDX-1127、Celldex Therapeutics)、抗CD27モノクローナル抗体;BMS-986178(Bristol-Myers Squibb)、抗OX40モノクローナル抗体;リリルマブ(IPH2102/BMS-986015、Innate Pharma、Bristol-Myers Squibb)、抗KIRモノクローナル抗体;モナリズマブ(monalizumab)(IPH2201、Innate Pharma、AstraZeneca)抗NKG2Aモノクローナル抗体;アンデカリキシマブ(andecaliximab)(GS-5745、Gilead Sciences)、抗MMP9抗体;MK-4166(Merck & Co.)、抗GITRモノクローナル抗体が挙げられる。
【0369】
いくつかの実施形態において、免疫刺激剤は、エロツズマブ、ミファムルチド、toll様受容体のアゴニストまたはアクチベーター、およびRORγtのアクチベーターから選択される。
【0370】
いくつかの実施形態において、免疫刺激治療剤は、組換えヒトインターロイキン15(rhIL-15)である。rhIL-15は、診療所において、黒色腫および腎細胞癌(NCT01021059およびNCT01369888)、ならびに白血病(NCT02689453)に対する治療剤として、試験されている。いくつかの実施形態において、免疫刺激剤は、組換えヒトインターロイキン12(rhIL-12)である。いくつかの実施形態において、IL-15ベースの免疫治療剤は、ヘテロ二量体IL-15(hetIL-15、Novartis/Admune)であり、これは、可溶性IL-15結合タンパク質IL-15受容体α鎖に複合体化した、内因性IL-15の合成形態からなる融合複合体(IL15:sIL-15RA)であり、これは、黒色腫、腎細胞癌、非小細胞肺がんおよび頭頚部扁平上皮癌(NCT02452268)に関して、第1相臨床試験で試験されている。いくつかの実施形態において、組換えヒトインターロイキン12(rhIL-12)は、NM-IL-12(Neumedicines、Inc.)、NCT02544724、またはNCT02542124である。
【0371】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、Jerry L.Adams ET.AL.,「Big opportunities for small molecules in immuno-oncology,」Cancer Therapy 2015,Vol.14,pages 603-622に記載されるものから選択され、その内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、Jerry L.Adams ET.ALの表1に記載される例から選択される。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、Jerry L.Adams ET.ALの表2に列挙されるものから選択される腫瘍免疫的(immuno-oncoloby)標的を標的化する、低分子である。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、Jerry L.Adams ET.ALの表2に列挙されるものから選択される低分子薬剤である。
【0372】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、Peter L.Toogood,「Small molecule immuno-oncology therapeutic agents,」Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 2018,Vol.28,pages 319-329に記載される低分子腫瘍免疫剤から選択され、その内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、Peter L.Toogoodに記載される経路を標的化する薬剤である。
【0373】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、Sandra L.Ross et al.,「Bispecific T cell engager(BiTE(R))antibody constructs can mediate bystander tumor cell killing」,PLoS ONE 12(8):e0183390に記載されるものから選択され、その内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、二重特異的T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))抗体構築物である。いくつかの実施形態において、二重特異的T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))抗体構築物は、CD19/CD3二重特異的抗体構築物である。いくつかの実施形態において、二重特異的T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))抗体構築物は、EGFR/CD3二重特異的抗体構築物である。いくつかの実施形態において、二重特異的T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))抗体構築物は、T細胞を活性化させる。いくつかの実施形態において、二重特異的T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))抗体構築物は、T細胞を活性化させ、これは、細胞間接着分子1(ICAM-1)および巻き添え(bystander)細胞のFASの上方調節を誘導するサイトカインを放出する。いくつかの実施形態において、二重特異的T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))抗体構築物は、T細胞を活性化させ、これは、巻き添え細胞溶解の誘導をもたらす。いくつかの実施形態において、巻き添え細胞は、固形腫瘍内にある。いくつかの実施形態において、溶解する巻き添え細胞は、BiTE(登録商標)により活性化されたT細胞の近隣にある。いくつかの実施形態において、巻き添え細胞は、腫瘍関連抗原(TAA)ネガティブがん細胞を含む。いくつかの実施形態において、巻き添え細胞は、EGFRネガティブがん細胞を含む。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、PD-L1/PD1軸および/またはCTLA4を遮断する抗体である。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、エキソビボで増殖した腫瘍浸潤T細胞である。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、T細胞を腫瘍関連表面抗原(TAAs)と直接接続させる、二重特異的抗体構築物またはキメラ抗体受容体(CAR)である。
【0374】
例示的な免疫チェックポイント阻害剤
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、本明細書中に記載されるような免疫チェックポイント阻害剤である。
【0375】
用語「チェックポイント阻害剤」は、本明細書で使用する場合、がん細胞が患者の免疫系を回避するのを阻止するのに有用な作用剤に関する。抗腫瘍免疫破壊の主な機序の1つは「T細胞の疲弊」として公知であり、これは、阻害性受容体の上方調節をもたらす抗原への長期曝露に起因する。これらの阻害性受容体は、無差別な免疫反応を予防するために、免疫チェックポイントとして働く。
【0376】
PD-1、および細胞毒性T-リンパ球抗原4(CTLA-4、BおよびTリンパ球アテニュエータ(BTLA;CD272)、T細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン-3(Tim-3)、リンパ球活性化遺伝子-3(Lag-3;CD223)などの共阻害性受容体は、チェックポイント調節因子と称されることが多い。それらは、細胞周期進行および他の細胞内シグナル伝達過程が進行するべきかを細胞外情報が指令することを可能にする、分子「ゲートキーパー」として働く。
【0377】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤はPD-1への抗体である。PD-1は、プログラム細胞死1受容体(PD-1)に結合して、この受容体が阻害性リガンドPDL-1に結合するのを阻止し、こうして、腫瘍が宿主の抗腫瘍免疫応答を抑制する能力を無効にする。
【0378】
1つの態様において、チェックポイント阻害剤は、生物学的治療剤または低分子である。別の態様において、チェックポイント阻害剤は、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、融合タンパク質またはそれらの組み合わせである。さらなる態様において、チェックポイント阻害剤は、CTLA-4、PDL1、PDL2、PD1、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、KIR、2B4、CD160、CGEN-15049、CHK1、CHK2、A2aR、B-7ファミリーのリガンドまたはそれらの組み合わせから選択されるチェックポイントタンパク質を阻害する。追加的な態様において、チェックポイント阻害剤は、CTLA-4、PDL1、PDL2、PD1、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、KIR、2B4、CD160、CGEN-15049、CHK1、CHK2、A2aR、B-7ファミリーのリガンドまたはそれらの組み合わせから選択されるチェックポイントタンパク質のリガンドと相互作用する。ある態様において、チェックポイント阻害剤は、免疫刺激剤、T細胞成長因子、インターロイキン、抗体、ワクチンまたはそれらの組み合わせである。さらなる態様において、インターロイキンはIL-7またはIL-15である。特定の態様において、インターロイキンは、グリコシル化IL-7である。追加的な局面において、ワクチンは樹状細胞(DC)ワクチンである。
【0379】
チェックポイント阻害剤には、免疫系の阻害経路を統計的に有意な方法で、遮断または阻害する任意の薬剤が含まれる。このような阻害剤は、低分子阻害剤を含むことができる、あるいは免疫チェックポイント受容体に結合して遮断または阻害する抗体またはその抗原結合断片、あるいは免疫チェックポイント受容体リガンドに結合して遮断または阻害する抗体を含むことができる。遮断または阻害のために標的とされ得る例示的な免疫チェックポイント分子には、以下に限定されないが、CTLA-4、PDL1、PDL2、PD1、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、GAL9、LAG3、TIM3、VISTA、KIR、2B4(CD2ファミリーの分子に属し、NK、γδおよびメモリCD8+(αβ)T細胞のすべてに発現する)、CD160(BY55とも称される)、CGEN-15049、CHK1およびCHK2キナーゼ、A2aRおよび様々なB-7ファミリーのリガンドが含まれる。B7ファミリーのリガンドには、以下に限定されないが、B7-1、B7-2、B7-DC、B7-H1、B7-H2、B7-H3、B7-H4、B7-H5、B7-H6およびB7-H7が含まれる。チェックポイント阻害剤には、CTLA-4、PDL1、PDL2、PD1、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、KIR、2B4、CD160およびCGEN-15049のうちの1つまたは複数に結合して、その活性を遮断または阻害する、抗体もしくはその抗原結合断片、他の結合タンパク質、生物治療剤または低分子が含まれる。例示的な免疫チェックポイント阻害剤には、トレメリムマブ(CTLA-4ブロッキング抗体)(抗OX40)、PD-L1モノクローナル抗体(抗B7-H1;MEDI4736)、MK-3475(PD-1ブロッカー)、ニボルマブ(抗PD1抗体)、CT-011(抗PD1抗体)、BY55モノクローナル抗体、AMP224(抗PDL1抗体)、BMS-936559(抗PDL1抗体)、MPLDL3280A(抗PDL1抗体)、MSB0010718C(抗PDL1抗体)およびイピリムマブ(抗CTLA-4チェックポイント阻害剤)が含まれる。チェックポイントタンパク質リガンドには、以下に限定されないが、PD-L1、PD-L2、B7-H3、B7-H4、CD28、CD86およびTIM-3が含まれる。
【0380】
特定の実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1アンタゴニスト、PD-L1アンタゴニストおよびCTLA-4アンタゴニストから選択される。いくつかの実施形態において、チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(Opdivo(登録商標))、イピリムマブ(Yervoy(登録商標))およびペムブロリズマブ(Keytruda(登録商標))からなる群より選択される。いくつかの実施形態において、チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(抗PD-1抗体、Opdivo(登録商標)、Bristol-Myers Squibb);ペムブロリズマブ(抗PD-1抗体、Keytruda(登録商標)、Merck);イピリムマブ(抗CTLA-4抗体、Yervoy(登録商標)、Bristol-Myers Squibb);デュルバルマブ(抗PD-L1抗体、Imfinzi(登録商標)、AstraZeneca);およびアテゾリズマブ(抗PD-L1抗体、Tecentriq(登録商標)、Genentech)から選択される。
【0381】
いくつかの実施形態において、チェックポイント阻害剤は、ランブロリズマブ(MK-3475)、ニボルマブ(BMS-936558)、ピディリズマブ(CT-011)、AMP-224、MDX-1105、MEDI4736、MPDL3280A、BMS-936559、イピリムマブ、リリルマブ(lirlumab)、IPH2101、ペムブロリズマブ(Keytruda(登録商標))またはトレメリムマブからなる群より選択される。
【0382】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、REGN2810(Regeneron)(基底細胞癌(NCT03132636);NSCLC(NCT03088540);皮膚扁平上皮癌(NCT02760498);リンパ腫(NCT02651662);および黒色腫(NCT03002376)を有する患者において試験された抗PD-1抗体);びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫および多発性骨髄腫に関する臨床試験中の、ピジリズマブ(CureTech)(CT-011としても公知であり、PD-1に結合する抗体);非小細胞肺がん、メルケル細胞癌、中皮腫、固形腫瘍、腎がん、卵巣がん、膀胱がん、頭頚部がん、および胃がんに関する臨床試験中の、アベルマブ(Bavencio(登録商標)、Pfizer/Merck KGaA)(MSB0010718Cとしても公知であり、完全ヒトIgG1抗PD-L1抗体);または非小細胞肺がん、黒色腫、トリプルネガティブ乳がんおよび進行性、転移性固形腫瘍に関する臨床試験中の、PDR001(Novartis)(PD-1に結合する阻害性抗体)である。トレメリムマブ(CP-675,206;Astrazeneca)は、中皮腫、結腸直腸がん、腎臓がん、乳がん、肺がんおよび非小細胞肺がん、膵臓導管腺癌、膵臓がん、生殖細胞がん、頭頚部の扁平上皮細胞がん、肝細胞癌、前立腺がん、子宮内膜がん、肝臓における転移性がん、肝臓がん、大細胞型B細胞性リンパ腫、卵巣がん、子宮頚がん、転移性未分化甲状腺がん、尿路上皮がん、卵管がん、多発性骨髄腫、膀胱がん、軟組織肉腫および黒色腫を含めた、いくつかの適応症に関する臨床試験において検討された、CTLA-4に対する完全ヒトモノクローナル抗体である。AGEN-1884(Agenus)は、進行性固形腫瘍(NCT02694822)について、第1相臨床試験において現在検討中の、抗CTLA4抗体である。
【0383】
いくつかの実施形態において、チェックポイント阻害剤は、T細胞免疫グロブリンムチン含有タンパク質-3(TIM-3)の阻害剤である。本発明において使用することができるTIM-3阻害剤には、TSR-022、LY3321367およびMBG453が含まれる。TSR-022(Tesaro)は、固形腫瘍(NCT02817633)において現在、検討中の抗TIM-3抗体である。LY3321367(Eli Lilly)は、固形腫瘍(NCT03099109)において現在、検討中の抗TIM-3抗体である。MBG453(Novartis)は、進行性悪性腫瘍(NCT02608268)において現在、検討中の抗TIM-3抗体である。
【0384】
いくつかの実施形態において、チェックポイント阻害剤は、ある種のT細胞およびNK細胞上の免疫受容体である、IgおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体、すなわちTIGITの阻害剤である。本発明において使用することができるTIGIT阻害剤には、BMS-986207(Bristol-Myers Squibb)、抗TIGITモノクローナル抗体(NCT02913313);OMP-313M32(Oncomed);および抗TIGITモノクローナル抗体(NCT03119428)が含まれる。
【0385】
いくつかの実施形態において、チェックポイント阻害剤は、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3)の阻害剤である。本発明において使用することができるLAG-3阻害剤には、BMS-986016およびREGN3767およびIMP321が含まれる。抗LAG-3抗体である、BMS-986016(Bristol-Myers Squibb)は、神経膠芽腫および膠肉腫(NCT02658981)において、現在、検討されている。REGN3767(Regeneron)もまた、抗LAG-3抗体であり、悪性腫瘍(NCT03005782)において現在、検討中である。IMP321(Immutep S.A.)は、LAG-3-Ig融合タンパク質であり、黒色腫(NCT02676869);腺癌(NCT02614833);および転移性乳がん(NCT00349934)において検討されている。
【0386】
本発明において使用することができるチェックポイント阻害剤は、OX40アゴニストを含む。臨床試験において現在検討中のOX40アゴニストには、転移性腎臓がん(NCT03092856)ならびに進行性がんおよび新生物(NCT02554812;NCT05082566)における、PF-04518600/PF-8600(Pfizer)(アゴニスト性抗OX40抗体);がんの第1相臨床試験(NCT02528357)におけるGSK3174998(Merck)(アゴニスト性抗OX40抗体);進行性固形腫瘍(NCT02318394およびNCT02705482)におけるMEDI0562(Medimmune/AstraZeneca)(アゴニスト性抗OX40抗体);結腸直腸がん(NCT02559024)、乳がん(NCT01862900)、頭頚部がん(NCT02274155)および転移性前立腺がん(NCT01303705)を有する患者における、MEDI6469(アゴニスト性抗OX40抗体)(Medimmune/AstraZeneca);ならびに進行性がん(NCT02737475)におけるBMS-986178(Bristol-Myers Squibb)(アゴニスト性抗OX40抗体)が含まれる。
【0387】
本発明において使用することができるチェックポイント阻害剤は、CD137(4-1BBとも呼ばれる)アゴニストを含む。臨床試験において現在検討中のCD137アゴニストには、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(NCT02951156)、ならびに進行性がんおよび新生物(NCT02554812およびNCT05082566)における、ウトミルマブ(PF-05082566、Pfizer)(アゴニスト性抗CD137抗体);黒色腫および皮膚がん(NCT02652455)ならびに神経膠芽腫および膠肉腫(NCT02658981)におけるウレルマブ(BMS-663513、Bristol-Myers Squibb)(アゴニスト性抗CD137抗体)が含まれる。
【0388】
本発明において使用することができるチェックポイント阻害剤は、CD27アゴニストを含む。臨床試験において現在検討中のCD27アゴニストには、扁平上皮細胞頭頚部がん、卵巣癌、結腸直腸がん、腎細胞がんおよび神経膠芽腫(NCT02335918)、リンパ腫(NCT01460134)、ならびに神経膠腫および星状細胞腫(NCT02924038)におけるバルリルマブ(CDX-1127、Celldex Therapeutics)(アゴニスト性抗CD27抗体)が含まれる。
【0389】
本発明において使用することができるチェックポイント阻害剤は、グルココルチコイド誘発性腫瘍壊死因子受容体(GITR)アゴニストを含む。臨床試験において現在検討中のGITRアゴニストには、悪性黒色腫および他の悪性固形腫瘍(NCT01239134およびNCT02628574)におけるTRX518(Leap Therapeutics)(アゴニスト性抗GITR抗体);固形腫瘍およびリンパ腫(NCT02740270)におけるGWN323(Novartis)(アゴニスト性抗GITR抗体);進行性がん(NCT02697591およびNCT03126110)におけるINCAGN01876(Incyte/Agenus)(アゴニスト性抗GITR抗体);固形腫瘍(NCT02132754)におけるMK-4166(Merck)(アゴニスト性抗GITR抗体)、ならびに進行性固形腫瘍(NCT02583165)におけるMEDI1873(Medimmune/AstraZeneca)(ヒトIgG1 Fcドメインを有するアゴニスト性六量体GITRリガンド分子)が含まれる。
【0390】
本発明において使用することができるチェックポイント阻害剤は、誘発性T細胞共刺激剤(ICOS、CD278としても公知)アゴニストを含む。臨床試験において現在検討中のICOSアゴニストには、リンパ腫(NCT02520791)におけるMEDI-570(Medimmune)(アゴニスト性抗ICOS抗体);第1相試験(NCT02723955)における、GSK3359609(Merck)(アゴニスト性抗ICOS抗体);第1相試験(NCT02904226)における、JTX-2011(Jounce Therapeutics)(アゴニスト性抗ICOS抗体)が含まれる。
【0391】
本発明において使用することができるチェックポイント阻害剤は、キラーIgG様受容体(KIR)阻害剤を含む。臨床試験において現在検討中のKIR阻害剤には、白血病(NCT01687387、NCT02399917、NCT02481297、NCT02599649)、多発性骨髄腫(NCT02252263)およびリンパ腫(NCT01592370)における、リリルマブ(IPH2102/BMS-986015、Innate Pharma/Bristol-Myers Squibb)(抗KIR抗体);骨髄腫(NCT01222286およびNCT01217203)における、IPH2101(1-7F9、Innate Pharma);ならびにリンパ腫(NCT02593045)における、IPH4102(Innate Pharma)(長い細胞質尾部の3つのドメイン(KIR3DL2)に結合する抗KIR抗体)が含まれる。
【0392】
本発明において使用することができるチェックポイント阻害剤は、CD47とシグナル調節タンパク質アルファ(SIRPa)との間の相互作用のCD47阻害剤を含む。臨床試験において現在検討中のCD47/SIRPa阻害剤には、第1相試験(NCT03013218)における、ALX-148(Alexo Therapeutics)(CD47に結合してCD47/SIRPa媒介性シグナル伝達を阻止する(SIRPa)のアンタゴニスト性変異体);第1相の臨床試験(NCT02890368およびNCT02663518)における、TTI-621(SIRPa-Fc、Trillium Therapeutics)(SIRPaのN末端CD47結合ドメインとヒトIgG1のFcドメインとを連結させることにより生成する可溶性組換え融合タンパク質は、ヒトCD47に結合して、ヒトCD47がその「私を食べないで(do not eat」)シグナルをマクロファージに送るのを阻止することにより作用する);白血病(NCT02641002)における、CC-90002(Celgene)(抗CD47抗体);ならびに結腸直腸の新生物および固形腫瘍(NCT02953782)、急性骨髄性白血病(NCT02678338)およびリンパ腫(NCT02953509)における、Hu5F9-G4(Forty Seven,Inc.)が含まれる。
【0393】
本発明において使用することができるチェックポイント阻害剤は、CD73阻害剤を含む。臨床試験において現在検討中のCD73阻害剤には、固形腫瘍(NCT02503774)における、MEDI9447(Medimmune)(抗CD73抗体);および固形腫瘍(NCT02754141)における、BMS-986179(Bristol-Myers Squibb)(抗CD73抗体)が含まれる。
【0394】
本発明において使用することができるチェックポイント阻害剤は、インターフェロン遺伝子タンパク質の刺激因子(STING、膜貫通タンパク質173またはTMEM173としても公知)のアゴニストを含む。臨床試験において現在検討中のSTINGのアゴニストには、リンパ腫(NCT03010176)における、MK-1454(Merck)(アゴニスト性合成環式ジヌクレオチド);ならびに第1相試験(NCT02675439およびNCT03172936)における、ADU-S100(MIW815、Aduro Biotech/Novartis)(アゴニスト性合成環式ジヌクレオチド)が含まれる。
【0395】
本発明において使用することができるチェックポイント阻害剤は、CSF1R阻害剤を含む。臨床試験において現在検討中のCSF1R阻害剤には、結腸直腸がん、膵臓がん、転移性および進行性がん(NCT02777710)ならびに黒色腫、非小細胞肺がん、扁平上皮細胞頭頚部がん、消化管間質腫瘍(GIST)および卵巣がん(NCT02452424)における、ペキシダルチニブ(PLX3397、Plexxikon)(CSF1R低分子阻害剤);ならびに膵臓がん(NCT03153410)、黒色腫(NCT03101254)および固形腫瘍(NCT02718911)における、IMC-CS4(LY3022855、Lilly)(抗CSF-1R抗体);ならびに進行性固形腫瘍(NCT02829723)における、BLZ945(4-[2((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)-ベンゾチアゾール-6-イルオキシル]-ピリジン-2-カルボン酸メチルアミド、Novartis)(CSF1Rの経口利用可能な阻害剤)が含まれる。
【0396】
本発明において使用することができるチェックポイント阻害剤は、NKG2A受容体阻害剤を含む。臨床試験において現在検討中のNKG2A受容体阻害剤には、頭頚部の新生物(NCT02643550)および慢性リンパ球性白血病(NCT02557516)における、モナリズマブ(IPH2201、Innate Pharma)(抗NKG2A抗体)が含まれる。
【0397】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、イピリムマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ(atezolizumab)、またはピディリズマブから選択される。
【実施例】
【0398】
以下の実施例に示されるように、ある特定の例示的実施形態では、化合物は、下記の一般手順に従って調製される。一般的方法は、本開示のある特定の化合物の合成を示すが、以下の一般的方法、および当業者に公知である他の方法が、すべての化合物ならびに本明細書に記載されるようなこれらの化合物の各々のサブクラスおよび種に適用され得ることが、理解される。
一般手順
分析方法
X線粉末回折(XRPD)
【0399】
XRPD分析を、PIXcel検出器(128チャンネル)を備えたPANalytical X’pert proで、サンプルを3~35°2θの間で走査して行った。材料を静かに砕いて任意の凝集物をほぐし、サンプルを支えるためのKaptonまたはMylarポリマーフィルムを用いてマルチウェルプレート上にロードした。次いで、マルチウェルプレートを回折計に入れ、Cu K放射線(α1λ=1.54060Å、α2=1.54443Å、β=1.39225Å、α1:α2比=0.5)を使用し、透過モード(ステップサイズ0.0130°2θ、ステップ時間18.87秒)で40kV/40mAのジェネレータ設定を使用して行って分析した。データを、HighScore Plus 4.7デスクトップアプリケーション(PANalytical、2017)を使用して可視化し、画像化した。
偏光顕微鏡(PLM)
【0400】
結晶化度(複屈折)の存在を、交差偏光レンズおよびMoticカメラを備えたOlympus BX53顕微鏡を使用して決定した。画像を、Motic Images Plus 3.0を使用して取り込んだ。すべての画像を、別段記述されない限り20倍対物レンズを使用して記録した。
熱重量分析/示差走査熱量測定(TGA/DSC)
【0401】
およそ5~10mgの材料を、予め風袋引きした蓋のないアルミニウムパンに添加し、TA Instruments Discovery SDT 650 Auto-Simultaneous DSCにロードし、室温で保持した。次いで、サンプルを30℃から400℃まで10℃/分の速度で加熱し、その間に、サンプルの重量変化を熱流応答(DSC)と共に記録した。窒素をサンプルパージガスとして流速200cm3/分で使用した。
赤外分光法(IR)
【0402】
赤外分光法を、Bruker ALPHA P分光計で行った。十分な材料を、分光計のプレートの中心に置き、スペクトルを、以下のパラメータを使用して得た。
【表6】
核磁気共鳴(NMR)
【0403】
NMR実験を、DCH凍結プローブを備えたBruker AVIIIHD分光計で、500.12MHzで操作して実施した。実験を、重水素化ジメチルスルホキシド中で実施し、各サンプルを約10mM濃度まで調製した。
高速液体クロマトグラフィー-紫外検出(HPLC-UV)方法
【表7】
キラル分析
【表8】
(実施例A1)
化合物1の調製
[1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-2,6-ジオキソ-3-ピペリジル]トリフルオロメタンスルホネート(中間体IQ)
【化12】
工程1 - 5-オキソテトラヒドロフラン-2-カルボン酸
[0001] 2-アミノペンタン二酸(210g、1.43mol、CAS番号617-65-2)のH
2O(800mL)およびHCl(12M、210mL)中の溶液に、NaNO
2(147g、2.13mol)のH
2O(400mL)中の溶液を-5℃で添加した。混合物を15℃で12時間撹拌した。完了したら、混合物を濃縮し、次いでEA(500mL)に溶解させ、濾過し、EA(3×100mL)で洗浄した。濾液および洗浄した溶液を、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧中で濃縮して、表題化合物(200g、粗製)を黄色油状物として得た。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) δ 6.43 (s, 1H), 5.02- 4.95 (m, 1H), 2.67 - 2.38 (m, 4H)
工程2 - N-[(4-メトキシフェニル)メチル]-5-オキソ-テトラヒドロフラン-2-カルボキサミド
[0002] 5-オキソテトラヒドロフラン-2-カルボン酸(120g、922mmol)に、SOCl
2(246g、2.07mol)を0℃でゆっくり添加した。混合物を85℃で3時間撹拌し、次いで混合物を15℃で6時間撹拌した。混合物を真空中で濃縮した。残渣を、乾燥DCM(1L)にN
2下で0℃で溶解させた。その後、Et
3N(187g、1.84mol)および4-メトキシベンジルアミン(101g、738mmol)のDCM(400mL)中の溶液を添加し、次いで混合物を15℃で3時間撹拌した。完了したら、水(600mL)を添加し、混合物をDCM(3×300mL)で抽出した。合わせた有機相を、0.5MのHCl(500mL)、ブライン(500mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。濾液を真空中で濃縮し、残渣を、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(PE:EA=1:1)によって精製して、表題化合物(138g、収率60%)を黄色固体として得た。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) δ 7.22 - 7.20 (d, J= 8.0, 1H), 6.89 - 6.87 (d, J = 8.0, 1H), 4.90 - 4.86 (m, 1H), 4.47 -4.4.36 (m, 2H) 3.81 (s, 3H), 2.67 - 2.64 (m, 1H), 2.59 - 2.54 (m, 2H), 2.40 -2.38 (m, 1H);LC-MS(ESI
+)m/z 272.0(M+Na)
+。
工程3 - 3-ヒドロキシ-1-[(4-メトキシフェニル)メチル]ピペリジン-2,6-ジオン
[0003] N-[(4-メトキシフェニル)メチル]-5-オキソ-テトラヒドロフラン-2-カルボキサミド(138g、553mmol)の無水THF(1500mL)中の溶液を、-78℃に冷却した。次いで、無水THF(1000mL)の溶液中のt-BuOK(62.7g、559mmol)を、窒素雰囲気下で-78℃で滴下によりゆっくり添加した。得られた反応混合物を、-40℃で1時間撹拌した。完了したら、反応混合物を飽和NH
4Cl溶液(100mL)でクエンチした。混合物を酢酸エチル(3×1500mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(300mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(PE:EA=1:1)によって精製して、表題化合物(128g、収率92%)を白色固体として得た。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) δ 7.39 - 7.32 (m, 2H), 6.89 - 6.81(m, 2H), 4.91 (s, 2H), 4.17 - 4.11 (m, 1H), 3.80 (s, 3H), 3.54 (s, 1H), 2.98 -2.87 (m, 1H), 2.73 - 2.60 (m, 1H), 2.26 - 2.20 (m, 1H), 1.80 (dq, J = 4.8, 13.1 Hz, 1H).
工程4 - [1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-2,6-ジオキソ-3-ピペリジル]トリフルオロメタンスルホネート
3-ヒドロキシ-1-[(4-メトキシフェニル)メチル]ピペリジン-2,6-ジオン(43.0g、173mmol)およびピリジン(27.3g、345mmol)のDCM(500mL)中の溶液に、トリフルオロメチルスルホニルトリフルオロメタンスルホネート(73.0g、258mmol)を滴下により0℃で添加した。混合物を、N
2下で-10℃で1.5時間撹拌した。完了したら、混合物を真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(PE:EA=20:1/8:1)によって精製して、表題化合物(45.0g、収率68%)を薄黄色ガム状物質として得た。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) δ 7.36 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 6.85 -6.82 (m, 2H), 5.32 - 5.28 (m, 1H), 4.91 (s, 2H), 3.79 (s, 3H), 3.02 - 2.97 (m,1H), 2.79 - 2.74 (m, 1H), 2.41 - 2.35 (m, 2H).
3-(4-ブロモ-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(中間体HP)
【化13】
工程1 - 2-ブロモ-N-メチル-6-ニトロ-アニリン
[0004] 1-ブロモ-2-フルオロ-3-ニトロ-ベンゼン(40.0g、181mmol、CAS#58534-94-4)のTHF(40mL)中の溶液に、MeNH
2(2M、400mL)を添加した。この反応混合物を60℃で12時間撹拌した。完了したら、この反応混合物をsat.NaHCO
3(30mL)に注ぎ、そしてEA(3×200mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(2×200mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、そして減圧中で濃縮して、表題化合物(40.0g、95%の収率)を赤色油状物として得た。LC-MS (ESI
+) m/z 230.9 (M+H)
+。
工程2 - 3-ブロモ-N2-メチル-ベンゼン-1,2-ジアミン
[0005] 2-ブロモ-N-メチル-6-ニトロ-アニリン(23.0g、99.5mmol)のEA(300mL)およびH
2O(10mL)中の混合物に、AcOH(100mL)を添加した。この混合物を50℃まで温めた。次いで、Fe(22.2g、398mmol)をこの反応混合物に添加し、そしてこの混合物を80℃まで約4時間加熱した。完了したら、この反応混合物を濾過し、そして減圧中で濃縮した。その残渣を水(100mL)で希釈し、そしてEA(3×200mL)で抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、そして減圧中で濃縮して、表題化合物(20.0g、99%の収率)を赤色油状物として得た。
1H NMR (400MHz, DMSO-d
6)δ 6.73 - 6.70 (m, 1H), 6.68 - 6.60 (m, 2H), 5.02 (s, 2H), 3.67 (s, 1H), 2.58(s, 3H).
工程3 - 4-ブロモ-3-メチル-1H-ベンゾイミダゾール-2-オン
[0006] 3-ブロモ-N2-メチル-ベンゼン-1,2-ジアミン(20.0g、99.4mmol)のACN(300mL)中の混合物に、CDI(32.2g、198mmol)を添加した。この反応混合物をN
2雰囲気下で85℃で12時間撹拌した。完了したら、この反応混合物を減圧中で濃縮した。この反応混合物を水(200mL)で希釈し、このときに固体沈殿物が形成され、これを濾別した。この固体を水(1L)で洗浄し、そして減圧中で乾燥させて、表題化合物(20.0g、88%の収率)を白色固体として得た。
1H NMR (400MHz, DMSO-d
6) δ 11.17 (s, 1H), 7.14 (dd, J = 1.2, 8.0 Hz, 1H),7.00 - 6.95 (m, 1H), 6.93 - 6.87 (m, 1H), 3.55 (s, 3H).
工程4 - 3-(4-ブロモ-3-メチル-2-オキソ-ベンゾイミダゾール-1-イル)-1-[(4-メトキシフェニル)メチル]ピペリジン-2,6-ジオン
[0007] 4-ブロモ-3-メチル-1H-ベンゾイミダゾール-2-オン(12.0g、52.8mmol)のTHF(300mL)中の溶液に、t-BuOK(7.12g、63.4mmol)を添加した。この反応混合物を0℃で0.5時間撹拌した。その後、[1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-2,6-ジオキソ-3-ピペリジル]トリフルオロメタンスルホネート(20.1g、52.8mmol、中間体IQ)のTHF(100mL)中の溶液を滴下により添加した。得られた反応混合物をN
2下で20℃で0.5時間撹拌した。完了したら、この反応混合物を飽和NH
4Cl(100mL)でクエンチし、そして酢酸エチル(200mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(2×100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、その濾液を減圧中で濃縮した。その粗生成物を逆相HPLC(0.1%のFAの条件)により精製して、表題化合物(13.3g、55%の収率)を黄色固体として得た。
1H NMR(400MHz, CDCl
3) δ 7.38 (d, J = 8.8 Hz, 2H),7.22 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.84 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 6.80 (t, J= 8.0 Hz, 1H), 6.48 - 6.40 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 5.22 (dd, J =5.2, 12.8 Hz, 1H), 5.04 - 4.93 (m, 2H), 3.81 (s, 3H), 3.80 (s, 3H), 3.12 - 2.98(m, 1H), 2.93 - 2.77 (m, 1H), 2.62 (dq, J = 4.4, 13.2 Hz, 1H), 2.20 -2.17 (m, 1H).
工程5 - 3-(4-ブロモ-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)ピペリジン-2,6-ジオン
[0008] 3-(4-ブロモ-3-メチル-2-オキソ-ベンゾイミダゾール-1-イル)-1-[(4-メトキシフェニル)メチル]ピペリジン-2,6-ジオン(13.3g、29.0mmol)の、Tol.(80mL)とメタンスルホン酸(40mL)との混合溶媒中の混合物を脱気してN
2でパージすることを3回行い、次いでこの混合物をN
2雰囲気下で120℃で2時間撹拌した。完了したら、この反応混合物を減圧中で濃縮して、トルエンを除去した。その残渣に200mLの氷水を添加すると、白色固体沈殿物が形成された。この混合物を濾過し、そしてその濾過されたケーキを集め、そして減圧中で乾燥させて、表題化合物(7.30g、74%の収率)を白色固体として得た。
1H NMR(400MHz, DMSO-d
6) δ 11.13 (s, 1H), 7.25(d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.17 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.05 - 6.93 (m,1H), 5.41 (dd, J = 5.2, 12.8 Hz, 1H), 3.64 (s, 3H), 2.96 - 2.83 (m, 1H),2.78 - 2.59 (m, 2H), 2.08 - 2.00 (m, 1H).
tert-ブチル4-プロパ-2-インオキシピペリジン-1-カルボキシレート(中間体TM)
【化14】
[0009] tert-ブチル4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボキシレート(2.00g、9.94mmol、CAS番号109384-19-2)の無水THF(10mL)中の溶液を0℃に冷却し、その後NaH(477mg、11.9mmol、60%油分散物)を添加した。反応混合物を0℃で0.5時間撹拌した。次いで、3-ブロモプロパ-1-イン(1.18g、9.94mmol、856uL)を添加した。得られた反応混合物を25℃で12時間撹拌した。完了したら、反応混合物を水(1mL)でクエンチし、次いで酢酸エチル(100mL)で希釈した。有機層をブライン(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を真空中で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(2.38g、収率100%)を黄色油状物として得た。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) δ 4.22 (d, J= 2.4 Hz, 2H), 3.84 - 3.75 (m, 2H), 3.73 - 3.70 (m, 1H), 3.15 - 3.09 (m, 2H),2.43 (t, J = 2.4 Hz, 1H), 1.93 - 1.82 (m, 2H), 1.61 - 1.50 (m, 2H), 1.47(s, 9H).
3-[3-メチル-2-オキソ-4-[3-(4-ピペリジルオキシ)プロパ-1-イニル]ベンゾイミダゾール-1-イル]ピペリジン-2,6-ジオン(中間体APT)
工程1 - tert-ブチル4-[3-[1-(2,6-ジオキソ-3-ピペリジル)-3-メチル-2-オキソ-ベンゾイミダゾール-4-イル]プロパ-2-インオキシ]ピペリジン-1-カルボキシレート
【化15】
[0010] 3-(4-ブロモ-3-メチル-2-オキソ-ベンゾイミダゾール-1-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(300mg、887μmol、中間体HP)、tert-ブチル4-プロパ-2-インオキシピペリジン-1-カルボキシレート(318mg、1.33mmol、中間体TM)、Pd(PPh
3)
2Cl
2(124mg、177μmol)、CuI(33.8mg、177μmol)、4Åのモレキュラーシーブ(400mg)およびCs
2CO
3(1.16g、3.55mmol)のDMF(5mL)中の懸濁液を、真空下で脱気してN
2でパージすることを数回行い、次いでN
2下で80℃に2時間加熱した。完了したら、反応混合物を真空中で濃縮して、DMFを除去した。残渣を、EA(50mL)および水(20mL)で希釈した。その後、有機層を分離し、ブライン(5mL×2)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濾液を真空中で濃縮して、残渣を得た。残渣を逆相によって精製して、表題化合物(222mg、収率48%)を黄色固体として得た。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) δ 8.09 (s, 1H), 7.10(d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.92 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 6.69 (d, J= 8.0 Hz, 1H), 5.13 (dd, J = 5.2, 12.8 Hz, 1H), 4.39 (s, 2H), 3.76 -3.66 (m, 6H), 3.09 - 3.03(m, 2H), 2.94 - 2.84 (m, 1H), 2.82 - 2.71 (m, 1H),2.71 - 2.59 (m, 1H), 2.22 - 2.11 (m, 1H), 1.83 - 1.78 (m, 2H), 1.57 - 1.49 (m,2H), 1.39 (s, 9H),LC-MS(ESI
+)m/z 441.2(M+H-56)
+。
工程2-3-[3-メチル-2-オキソ-4-[3-(4-ピペリジルオキシ)プロパ-1-イニル]ベンゾイミダゾール-1-イル]ピペリジン-2,6-ジオン
【化16】
[0011] tert-ブチル4-[3-[1-(2,6-ジオキソ-3-ピペリジル)-3-メチル-2-オキソ-ベンゾイミダゾール-4-イル]プロパ-2-インオキシ]ピペリジン-1-カルボキシレート(1.50g、3.02mmol)のDCM(30mL)中の混合物に、TFA(23.1g、202mmol、15mL)を添加した。反応混合物を20℃で1時間撹拌した。完了したら、反応混合物を真空中で濃縮して、表題化合物(1.50g、収率97%、TFA塩)を黄色油状物として得た。
LC-MS(ESI
+)m/z 397.2(M+H)
+。
5-[(1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸(中間体AEH)
【化17】
工程1 - エチル5-[(1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート
[0012] エチル5-クロロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(200mg、886μmol、CAS番号1224944-77-7)および(1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン(144mg、1.06mmol、HCl塩、CAS番号661470-56-0)のACN(5.00mL)中の溶液に、DIPEA(343mg、2.66mmol)を添加した。混合物を60℃で3時間撹拌した。完了したら、反応混合物を、真空中で濃縮し、次いで水(5mL)で希釈し、EA(2×10mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(2×30mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、減圧中で濃縮して、表題化合物(180mg、収率70%)を白色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.38 - 8.18 (m, 2H), 6.12 (s,1H), 5.46 (s, 1H), 4.77 (s, 1H), 4.34 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 4.06 - 3.87 (m, 2H),3.75 - 3.38 (m, 2H), 2.09 - 1.90 (m, 2H), 1.38 (t, J = 7.2 Hz, 3H).
工程2 - 5-[(1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸
[0013] エチル5-[(1R、4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(150mg、520μmol)のMeOH(10.0mL)およびH
2O(2.00mL)中の溶液に、LiOH・H
2O(43.6mg、1.04mmol)を添加した。混合物を60℃で16時間撹拌した。完了したら、反応混合物を水(1mL)でクエンチし、減圧中で濃縮して、MeOHを除去した。次いで、混合物を、pH=5までHCl(1N)で酸性にした。水相をEA(3×5mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(2×10mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧中で濃縮して、表題化合物(135mg、収率99%)を白色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 11.31 - 9.30 (m,1H), 8.32 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.28 (s, 1H), 6.44 - 6.12 (m, 1H), 5.29 -4.58 (m, 2H), 4.00 - 3.85 (m, 2H), 3.77 - 3.49 (m, 2H), 2.20 - 1.97 (m, 2H).
メチル4-[4-アミノ-3-(ジフルオロメチル)ピラゾール-1-イル]シクロヘキサンカルボキシレート(中間体QS)
【化18】
工程1 - メチル4-メチルスルホニルオキシシクロヘキサンカルボキシレート
[0014] メチル4-ヒドロキシシクロヘキサンカルボキシレート(1.00g、6.32mmol、CAS#3618-03-9)のDCM(10mL)中の混合物に、TEA(831mg、8.22mmol)およびMsCl(1.09g、9.48mmol)を0℃で添加し、この反応混合物を0℃で2時間撹拌した。完了したら、この混合物を氷水(50mL)に注ぎ、そしてDCM(2×30mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(2×50mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、そして減圧中で濃縮して、表題化合物(1.20g、80%の収率)を無色油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)δ 4.91 (t, J = 2.8, 5.2 Hz, 1H), 3.69 (s, 3H), 3.02 (s, 3H), 2.41 - 2.39(m, 1H), 2.09 - 1.99 (m, 2H), 1.97 - 1.86 (m, 2H), 1.80 (t, J = 4.4, 9.2Hz, 2H), 1.75 - 1.66 (m, 2H).
工程2 - メチル4-[3-(ジフルオロメチル)-4-ニトロ-ピラゾール-1-イル]シクロヘキサンカルボキシレート
[0015] 3-(ジフルオロメチル)-4-ニトロ-1H-ピラゾール(555mg、3.40mmol、中間体HS)およびメチル4-メチルスルホニルオキシシクロヘキサンカルボキシレート(1.20g、5.08mmol)のDMF(30mL)中の混合物に、K
2CO
3(2.11g、15.2mmol)を添加した。この反応混合物を80℃で12時間撹拌した。完了したら、この混合物を水(50mL)に注いだ。その水相を酢酸エチル(2×30mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(2×40mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、そして減圧中で濃縮した。その残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(480mg、25%の収率)を褐色油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)δ 8.23 (s, 1H), 7.25 - 6.96 (m, 1H), 4.26 - 4.14 (m, 1H), 3.76 - 3.65 (m, 3H),2.40 (t, J = 3.6, 12.4 Hz, 1H), 2.36 - 2.17 (m, 4H), 1.83 (d, J =3.6, 12.8 Hz, 2H), 1.69 - 1.59 (m, 2H).
工程3 - メチル4-[4-アミノ-3-(ジフルオロメチル)ピラゾール-1-イル]シクロヘキサンカルボキシレート
[0016] メチル4-[3-(ジフルオロメチル)-4-ニトロ-ピラゾール-1-イル]シクロヘキサンカルボキシレート(430mg、1.42mmol)のTHF(20mL)中の混合物に、Pd/C(100mg、10wt%)をN
2下で添加した。この懸濁物を減圧下で脱気してH
2ガスでパージすることを3回行った。この混合物をH
2(15psi)下で25℃で12時間撹拌した。完了したら、この混合物を濾過し、そしてその濾液を減圧中で濃縮して、表題化合物(350mg、90%の収率)の褐色固体を得た。LC-MS (ESI
+) m/z 274.1 (M+H)
+。
[4-[4-アミノ-3-(ジフルオロメチル)ピラゾール-1-イル]シクロヘキシル]メタノール(中間体TD)
【化19】
[0017] メチル4-[4-アミノ-3-(ジフルオロメチル)ピラゾール-1-イル]シクロヘキサンカルボキシレート(1.20g、4.39mmol、中間体QS)のTHF(80mL)およびMeOH(10mL)中の混合物に、LiBH
4(191mg、8.78mmol)を0℃で添加し、次いで混合物を60℃で1時間撹拌した。完了したら、反応混合物を水(120mL)に注ぎ、水相を酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(2×40mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧中で濃縮して、表題化合物(860mg、収率79%)を褐色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3-d) δ 7.02 (s,1H), 6.82 - 6.53 (m, 1H), 3.94 (tt, J = 4.0, 12.0 Hz, 1H), 3.50 (d, J =6.4 Hz, 2H), 2.21 - 2.12 (m, 3H), 2.01 - 1.92 (m, 3H), 1.69 (d, J = 3.6,12.4 Hz, 2H), 1.56 (tt, J = 3.0, 6.4, 12.0 Hz, 2H), 1.20 - 1.08 (m, 2H).絶対的な立体化学を無作為に割り当て、化合物はトランス異性体である。
N-[3-(ジフルオロメチル)-1-(4-ホルミルシクロヘキシル)ピラゾール-4-イル]-5-[(1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(中間体AJB)
【化20】
工程1 - N-[3-(ジフルオロメチル)-1-[4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル]ピラゾール-4-イル]-5-[(1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
[0018] 5-[(1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸(3.71g、14.2mmol、中間体AEH)のMeCN(75mL)中の溶液に、1-メチルイミダゾール(4.10g、49.9mmol、3.98mL)、[クロロ(ジメチルアミノ)メチレン]-ジメチル-アンモニウム;ヘキサフルオロホスフェート(4.80g、17.1mmol)を添加した。この混合物を20℃で30分間撹拌した。次いで、[4-[4-アミノ-3-(ジフルオロメチル)ピラゾール-1-イル]シクロヘキシル]メタノール(3.5g、14.2mmol、中間体TD)をこの混合物に添加し、この反応混合物を20℃で2時間撹拌した。完了したら、この反応混合物を濾過し、そしてそのフィルターケーキを減圧中で濃縮して、表題化合物(3.80g、55%の収率)を白色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6)δ 9.49 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 8.77 (dd, J = 2.4, 8.0 Hz, 1H), 8.39(d, J = 4.0 Hz, 1H), 8.25 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 7.27 - 6.95 (m,1H), 6.88 - 6.40 (m, 1H), 5.32 - 5.01 (m, 1H), 4.76 (d, J = 14.8 Hz,1H), 4.47 (t, J = 5.2 Hz, 1H), 4.23 - 4.10 (m, 1H), 3.84 - 3.72 (m, 2H),3.65 - 3.42 (m, 2H), 3.25 (t, J = 5.6 Hz, 2H), 2.07 - 1.90 (m, 4H), 1.89- 1.81 (m, 2H), 1.78 - 1.66 (m, 2H), 1.50 - 1.36 (m, 1H), 1.17 - 1.00 (m, 2H);LC-MS (ESI
+) m/z 488.3 (M+H)
+.
工程2 - N-[3-(ジフルオロメチル)-1-(4-ホルミルシクロヘキシル)ピラゾール-4-イル]-5-[(1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
[0019] N-[3-(ジフルオロメチル)-1-[4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル]ピラゾール-4-イル]-5-[(1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(3.80g、7.79mmol)のDCM(78mL)中の溶液に、DMP(3.64g、8.57mmol)を添加し、この反応混合物を20℃で3時間撹拌した。完了したら、この反応混合物をNa
2S
2O
3(50mL)でクエンチし、そしてDCM(2×60mL)で抽出した。合わせた有機相をNaHCO
3およびブライン(2×20mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、そして減圧中で濃縮して、表題化合物(3.30g、87%の収率)を黄色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6)δ 9.60 (s, 1H), 9.49 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 8.76 (dd, J = 4.0, 8.0Hz, 1H), 8.40 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 8.25 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 7.27- 6.94 (m, 1H), 6.88 - 6.40 (m, 1H), 5.30 - 5.02 (m, 1H), 4.76 (d, J =14.0 Hz, 1H), 4.29 - 4.14 (m, 1H), 3.85 - 3.72 (m, 2H), 3.64 - 3.41 (m, 2H),2.43 - 2.31 (m, 1H), 2.14 - 1.90 (m, 6H), 1.88 - 1.73 (m, 2H), 1.48 - 1.24 (m,2H).
5-((1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-N-(3-(ジフルオロメチル)-1-((1r,4R)-4-((4-((3-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-4-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)メチル)シクロヘキシル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(化合物1)
【化21】
3-[3-メチル-2-オキソ-4-[3-(4-ピペリジルオキシ)プロパ-1-イニル]ベンゾイミダゾール-1-イル]ピペリジン-2,6-ジオンTFA(52.3mg、106μmol、中間体APT)およびN-[3-(ジフルオロメチル)-1-(4-ホルミルシクロヘキシル)ピラゾール-4-イル]-5-[(1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(51.4mg、106μmol、中間体AJB)のDMF(2mL)およびTHF(10mL)の混合溶媒中の溶液に、KOAc(20.8mg、212μmol)を添加した。30分後、NaBH(OAc)
3(44.9mg、212μmol)を先の混合物に添加し、反応混合物を25℃で12時間撹拌した。完了したら、混合物を真空中で濃縮した。残渣を逆相(0.1%FA)によって精製して、表題化合物を白色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 11.12 (s, 1H), 9.50 (d, J = 6.4 Hz, 1H), 8.78 (d, J= 7.6 Hz, 1H), 8.39 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 8.25 (d, J = 5.6 Hz,1H), 7.26 - 6.96 (m, 4H), 6.88 - 6.43 (m, 1H), 5.40 (dd, J = 5.2, 12.8Hz, 1H), 5.31 - 5.04 (m, 1H), 4.79 - 4.77 (m, 1H), 4.52 (s, 2H), 4.27 - 4.14(m, 1H), 3.84 - 3.71 (m, 3H), 3.65 (s, 3H), 3.62 - 3.58 (m, 1H), 3.46 - 3.43(m, 1H), 3.13 - 2.97 (m, 2H), 2.97 - 2.79 (m, 2H), 2.78 - 2.68 (m, 2H), 2.68 -2.53 (m, 3H), 2.09 - 1.86 (m, 9H), 1.84 - 1.60 (m, 5H), 1.16 - 1.10 (m, 2H);LC-MS(ESI
+)m/z 866.5(M+H)
+。
(実施例A2)
化合物1についてのOCI-LY10(MSD)およびhPBMC(フローアッセイ)におけるIRAK4分解
OCI-LY10アッセイにおけるIRAK4分解
[0020] OCI-LY10におけるIRAK4の分解を、Meso Scale Discovery(MSD)技術を使用して定量的に測定した。OCI-LY10細胞を96ウェルプレート(Corning 3799)に、1ウェルあたり300,000個の細胞の密度で、100μLの新鮮な培地中で播種した。次いで、化合物を1:3の希釈系列中で、これらのアッセイプレートに、1~10μMの最終最高濃度で、合計8用量で添加した。次いで、これらのアッセイプレートを4~24時間、37℃で5%のCO2下でインキュベートした。次いで、これらのアッセイプレートを5分間遠心分離し、そして細胞ペレットをプロテイナーゼ阻害剤を含む100μL/ウェルのRIPA溶解緩衝液(Boston BioProducts BP-115D)で処理した。MSDアッセイプレート(Meso Scale Discoveryカタログ番号L15XA-3)を準備するために、これらのプレートをPBS中2μg/mLの捕捉抗体(マウス抗IRAK4抗体[2H9]、ab119942)で、40μL/ウェルでコーティングした。次いで、これらのプレートを4℃で一晩インキュベートし、150μL/ウェルのTBST緩衝液(Cell Signaling Technology、カタログ番号9997S)で3回洗浄し、そして150μL/ウェルのブロッキング緩衝液(Meso Scale Discoveryカタログ番号R93BA-4)でブロックした。次いで、細胞溶解物をMSDアッセイプレートに添加し、そしてこれらのプレートを室温で1時間インキュベートした。次いで、これらのプレートを150μL/ウェルのTBST緩衝液、および25μL/ウェルの一次検出抗体(ウサギ抗IRAK4抗体[Y279]、Abcam.から、カタログ番号ab32511、1μg/mL)で3回洗浄した。次いで、これらのアッセイプレートを室温で1時間インキュベートし、150μL/ウェルのTBST緩衝液および25μL/ウェルの二次検出抗体で3回洗浄し、SULFO-TAG抗ウサギ抗体を添加した(Meso Scale Discoveryからの抗ウサギ抗体、カタログ番号R32AB-1、1μg/mL)。次いで、これらのアッセイプレートを室温で1時間インキュベートし、150μL/ウェルのTBST緩衝液で3回洗浄し、そして150μL/ウェルのMSD読取り緩衝液(Meso Scale Discoveryカタログ番号R92TC-2)を添加した。次いで、これらのプレートをMSDリーダー(Meso Scale Discovery、Model Quick Plex SQ 120)により分析した。次いで、このデータを、GraphPad製のソフトウェアPrism 7.0により分析し、そしてその用量依存的IRAK4分解に対して、3パラメータのロジスティック方程式を使用して当てはめを行い、DC
50を計算した。4時間後、化合物1は、Meso Scale Discoveryアッセイにおいて<0.01μMのDC
50を実証した。
hPBMC分解フローアッセイ
[0021] 凍結した末梢血単核細胞(PBMC)を、10%FBSを含むRPMI中で解凍し、回収した。解凍と同日に、PBMCを96ウェルプレートに、1ウェル当たり90uLでプレートした。化合物プレートを調製し、最終DMSO濃度0.1%で10点の5倍希釈を実施した。試験化合物(1ウェル当たり10μL)を添加し、密封し、37℃、5%CO
2で20時間インキュベートした(4時間の処理で化合物を調製し、翌日添加した)。処理インキュベーション期間の後に(1日目)、1.6%PFAをPBMCプレートに添加し、プレートシェーカーに30秒間載せ、室温で10分間インキュベートした。細胞をスピンダウンさせ、PBS/0.5%BSAで2回洗浄し、吸引してペレットにし、フローについてさらに処理するまで、-80℃の冷凍庫に入れた。フローの実施日に、PBMCプレートを解凍し、サンプルをPCRプレートに移した。透過前染色カクテル(CD3 Ax488/CD8 BUV805/CD14 BUV395/CD16/56 BV711/CD19 BV785)をサンプルに添加し、室温で30分間インキュベートした。サンプルを2回洗浄し、4℃で10分間、メタノールで透過処理した。サンプルを2回洗浄し、透過後染色カクテル(CD4 PE/IRAK4 Ax647 BD#560315)を添加し、室温で30分間インキュベートした。サンプルをPBS/BSAで2回洗浄し、BD LSRFortessaで流した。単核細胞をSSCH/FSCHおよび単一のセルによりゲートする。次いで、単球をCD14ポジティブゲートでゲートし、リンパ球をCD14ネガティブゲートでゲートする。絶対的DC50および最大分解値を決定するために、MFI値を、DMSO最大および20時間で10μMの最少コントロールに対して標準化した。20時間の用量曲線を、4パラメータのロジスティック回帰曲線の当てはめを使用して、制約なしで計算した(フック効果が観察された場合、最高用量を除外し、最低を0に制約した)。20時間後、化合物1は、フローアッセイにおいて<0.01μMのDC
50を実証した。
(実施例1)
化合物1の遊離塩基形態AおよびBの調製
【化22】
【0404】
化合物1を、本明細書の他所に記載される通り調製する。
化合物1の形態A
【0405】
化合物1の形態Aを、以下の通り調製した。
【0406】
約1gの化合物1を秤量して20mLのバイアルに入れ、100mLのDuranフラスコに移し、続いて40mLのエタノール:水(80:20)を入れてスラリーを形成した。次いで、バイアルにキャップをし、パラフィルムで密封し、周囲温度(およそ22℃)~40℃の間の温度サイクルに、4時間のサイクルで72時間供した。次いで、材料を、直径70.0mmの濾紙を備えたブフナー漏斗を使用して真空下で濾過した。固体を、予め秤量した結晶化皿に移し、次いで真空下で40℃において約12時間乾燥させた。およそ20mLの母液を、清潔なバイアルに保持した。
【0407】
得られた材料の特徴付けにより、化合物1の遊離塩基の結晶形態Aが実証された。得られた材料は、HPLCによって決定して94.2%の純度を有していた。
【0408】
上記の表1を、以下に再掲し、化合物1の形態Aについて観察されたX線回折ピークを記載する。
【表1A】
【0409】
図1Aは、化合物1の形態AのXRPDパターンを示す。
【0410】
図1Bは、化合物1の形態AのFT-IRスペクトルを示す。
【0411】
図1Cは、化合物1の形態Aの
1H-NMRスペクトルを示す。
化合物1の形態B
【0412】
化合物1の形態Bを、以下の通り調製した。
【0413】
およそ500mgの受け取った化合物1を秤量して20mLのバイアルに入れ、20mLのエタノール:水(93:7)を添加し、続いて4滴のジクロロメタンを添加し、それによってスラリーを形成した。次いで、バイアルにキャップをし、パラフィルムで密封し、周囲温度(およそ22℃)~40℃の間の温度サイクルに、4時間のサイクルで72時間供した。次に、材料を、直径42.5mmの濾紙を備えたブフナー漏斗を使用して真空下で濾過した。固体を、予め秤量したバイアルに移し、次いで真空下で40℃においておよそ12時間乾燥させた。およそ15mLの母液を、清潔なバイアルに保持した。
【0414】
得られた材料の特徴付けにより、化合物1の遊離塩基の結晶形態Bが実証された。得られた材料は、HPLCによって決定して94.8%の純度を有していた。
【0415】
上記の表2を、以下に再掲し、化合物1の形態Bについて観察されたX線回折ピークを記載する。
【表2A】
【0416】
図2Aは、化合物1の形態BのXRPDパターンを示す。
【0417】
図2Bは、化合物1の形態BのFT-IRスペクトルを示す。
【0418】
図2Cは、化合物1の形態Bの
1H-NMRスペクトルを示す。
(実施例2)
化合物2の形態Aの調製
【化23】
化合物2の形態A
【0419】
化合物2の形態Aを、以下の通り調製した。
【0420】
およそ1gの化合物1を秤量して20mLのバイアルに入れ、100mLのDuranフラスコに移し、続いて30mLのアセトニトリルを入れてスラリーを形成した。THF中HClの1M原液の形態の1.05当量のHClをスラリーに添加した。その酸を添加した際、サンプルはスラリーのままであった。次いで、フラスコにキャップをし、パラフィルムで密封し、周囲温度(およそ22℃)~40℃の間の温度サイクルに、4時間のサイクルで72時間供した。次いで、材料を、直径70.0mmの濾紙を備えたブフナー漏斗を使用して真空下で濾過した。固体を、予め秤量した結晶化皿に移し、次に真空下で40℃においておよそ12時間乾燥させた。およそ20mLの母液を、清潔なバイアルに保持した。
【0421】
得られた材料の特徴付けにより、化合物2の無水結晶形態Aが実証された。得られた材料は、HPLCによって決定して92.2%の純度を有していた。
【0422】
上記の表3を、以下に再掲し、化合物2の形態Aについて観察されたX線回折ピークを記載する。
【表3A】
【0423】
図3Aは、化合物2の形態AのXRPDパターンを示す。
【0424】
図3Bは、化合物2の形態AのFT-IRスペクトルを示す。
【0425】
図3Cは、化合物2の形態Aの
1H-NMRスペクトルを示す。
(実施例3)
化合物3の形態Aの調製
【化24】
化合物3の形態A
【0426】
化合物3の形態Aを、以下の通り調製した。
【0427】
およそ1gの化合物1を秤量して20mLのバイアルに入れ、100mLのDuranフラスコに移し、続いて30mLのアセトンを入れてスラリーを形成した。THF中フマル酸の1M原液の形態の1.05当量のフマル酸をスラリーに添加した。その酸を添加した際、サンプルはスラリーのままであった。次いで、バイアルにキャップをし、パラフィルムで密封し、周囲温度(およそ22℃)~40℃の間の温度サイクルに、4時間のサイクルで72時間供した。次いで、材料を、直径70.0mmの濾紙を備えたブフナー漏斗を使用して真空下で濾過した。固体を、予め秤量した結晶化皿に移し、次に真空下で40℃においておよそ12時間乾燥させた。およそ20mLの母液を、清潔なバイアルに保持した。
【0428】
得られた材料の特徴付けにより、化合物3の無水結晶形態Aが実証された。得られた材料は、HPLCによって決定して92.4%の純度を有していた。
【0429】
上記の表4を、以下に再掲し、化合物3の形態Aについて観察されたX線回折ピークを記載する。
【表4A】
【0430】
図4Aは、化合物3の形態AのXRPDパターンを示す。
【0431】
図4Bは、化合物3の形態AのFT-IRスペクトルを示す。
【0432】
図4Cは、化合物3の形態Aの
1H-NMRスペクトルを示す。いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、フマル酸塩-CH=ピークの積分は、化合物3の形態Aにおけるフマル酸塩と化合物1の遊離塩基の比が1:1であったことを示唆している。
(実施例4)
化合物4の形態Aの調製
【化25】
化合物4の形態A
【0433】
化合物4の形態Aを、以下の通り調製した。
【0434】
およそ1gの化合物1を秤量して20mLのバイアルに入れ、100mLのDuranフラスコに移し、続いて30mLのアセトンを入れてスラリーを形成した。THF中マレイン酸の1M原液の形態の1.05当量のマレイン酸をスラリーに添加した。その酸を添加した際、サンプルはスラリーのままであった。次に、フラスコにキャップをし、パラフィルムで密封し、周囲温度(およそ22℃)~40℃の間の温度サイクルに、4時間のサイクルで72時間供した。次いで、材料を、直径70.0mmの濾紙を備えたブフナー漏斗を使用して真空下で濾過した。固体を、予め秤量した結晶化皿に移し、次いで真空下で40℃においておよそ12時間乾燥させた。およそ20mLの母液を、清潔なバイアルに保持した。得られた材料の特徴付けにより、化合物4の無水結晶形態Aが実証された。
【0435】
上記の表5を、以下に再掲し、化合物4の形態Aについて観察されたX線回折ピークを記載する。得られた材料は、HPLCによって決定して92.2%の純度を有していた。
【表5A】
【0436】
図5Aは、化合物4の形態AのXRPDパターンを示す。
【0437】
図5Bは、化合物4の形態AのFT-IRスペクトルを示す。
【0438】
図5Cは、化合物4の形態Aの
1H-NMRスペクトルを示す。いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、マレイン酸塩-CH=ピークの積分は、化合物4の形態Aにおけるマレイン酸塩と化合物1の遊離塩基の比が1:1であったことを示唆している。
【国際調査報告】