(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-12
(54)【発明の名称】ドライアイ疾患バイオマーカーおよび処置するための該バイオマーカーの使用
(51)【国際特許分類】
G01N 33/50 20060101AFI20230705BHJP
G01N 33/68 20060101ALI20230705BHJP
【FI】
G01N33/50 X
G01N33/68
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574460
(86)(22)【出願日】2021-06-04
(85)【翻訳文提出日】2023-01-31
(86)【国際出願番号】 US2021035948
(87)【国際公開番号】W WO2021248031
(87)【国際公開日】2021-12-09
(32)【優先日】2020-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】507387033
【氏名又は名称】アルデイラ セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ブラディー, トッド
(72)【発明者】
【氏名】マチャサ, スティーブン ギツ
(72)【発明者】
【氏名】ブロックマン, アダム
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CB11
2G045DA29
2G045DA36
2G045FA13
2G045FA40
2G045FB01
2G045FB03
2G045FB05
2G045FB06
2G045FB12
(57)【要約】
本発明は、ドライアイ疾患のバイオマーカーの使用、ならびにドライアイ疾患の処置および処置のための対象を選択するためのバイオマーカーの使用に関する。いくつかの態様において、本開示は、ドライアイ疾患の処置の有効性の評価およびドライアイ疾患の処置において使用するための、ドライアイ疾患(DED)(本明細書ではドライアイ症候群(DES;2つの用語は互換的に使用される)とも呼ばれる)のバイオマーカーの使用に関する。いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、ドライアイ疾患を処置するための患者の選択にも有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象のドライアイ疾患の処置におけるアルデヒド捕捉剤の有効性を評価する方法であって、
ドライアイ疾患を有する対象にアルデヒド捕捉剤を投与するステップと、
前記対象の眼に存在する酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルを測定するステップと、
前記測定された酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルを、適切な対照における酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルと比較するステップと
含み、ここで、酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルの低下が、ドライアイ疾患の処置におけるアルデヒド捕捉剤の有効性を示す、方法。
【請求項2】
ドライアイ疾患における前記酸化ストレスのアルデヒドマーカーが、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、グリオキサール、メチルグリオキサール、ヘキサデカナール、オクタデカナール、ヘキサデセナール、コハク酸セミアルデヒド、マロンジアルデヒド、4-ヒドロキシノネナール(4-HNEもしくはHNE)、4-ヒドロキシ-2E-ヘキセナール、4-ヒドロキシ-2E,6Z-ドデカジエナール、レチナールデヒド、ロイコトリエンB4アルデヒドまたはオクタデセナールである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ドライアイ疾患における前記酸化ストレスのアルデヒドマーカーが、マロンジアルデヒドまたは4-ヒドロキシノネナールである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ドライアイ疾患における前記酸化ストレスのアルデヒドマーカーが、マロンジアルデヒドである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルを測定するステップが、前記対象から得られた涙液の試料に対して行われる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記適切な対照が、前記アルデヒド捕捉剤の投与前の前記対象の眼における前記酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルまたはドライアイ疾患と診断された対象における前記酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
測定された前記酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルが、前記眼に存在する前記酸化ストレスのアルデヒドマーカーの付加物の形態である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記付加物が、前記眼内でタンパク質と共に形成された安定な付加物を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記付加物が、マロンジアルデヒドと共に形成された付加物を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記付加物が、4-ヒドロキシノネナールと共に形成された付加物を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記付加物が、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって検出される、請求項7~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
対照レベルと比較して前記酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルの少なくとも約15%またはそれを超える低下が、ドライアイ疾患の処置における前記アルデヒド捕捉剤の有効性を示す、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
対照レベルと比較して前記酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルの少なくとも約20%またはそれを超える低下が、ドライアイ疾患の処置における前記アルデヒド捕捉剤の有効性を示す、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
対照レベルと比較して前記酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルの少なくとも約25%またはそれを超える低下が、ドライアイ疾患の処置における前記アルデヒド捕捉剤の有効性を示す、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記対照レベルが、実施例2に従って測定した約14,000pmol/L~約14,900pmol/Lの平均マロンジアルデヒド付加物濃度である、請求項7~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ヒト涙液中の実施例2に従って測定した約12,000pmol/Lまたはそれより低いマロンジアルデヒド付加物濃度の測定レベルが、ドライアイ疾患の処置における前記アルデヒド捕捉剤の有効性を示す、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記アルデヒド捕捉剤が、レプロキサラップである、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記レプロキサラップが、0.1%~0.5w/v%の濃度で前記眼に局所投与される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記レプロキサラップが、0.25w/v%の濃度で前記眼に局所投与される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記レプロキサラップが、0.1w/v%の濃度で前記眼に局所投与される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記レプロキサラップが、0.5w/v%の濃度で前記眼に局所投与される、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記レプロキサラップが、薬剤的に許容され得る賦形剤との混合物として投与され、ここで、前記賦形剤は、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンおよびヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンから選択されるシクロデキストリンである、請求項17~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記薬剤的に許容され得る賦形剤が、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記シクロデキストリンが、5%~20w/v%で存在する、請求項22~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記シクロデキストリンが、7%~11w/v%で存在する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記レプロキサラップが、0.25w/v%の濃度であり、前記シクロデキストリンが、7w/v%で存在する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記レプロキサラップが、0.25w/v%の濃度であり、前記シクロデキストリンが、11w/v%で存在する、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルを、28日間の処置後に測定する、請求項17~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記処置が、前記アルデヒド捕捉剤を1日6回まで局所投与することを含む、請求項17~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記処置が、前記アルデヒド捕捉剤を1日4回(QID)局所投与することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記処置が、開始期および/または増悪期と、それに続く維持期とを含む、請求項17~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記開始期および/または増悪期の前記処置が、前記アルデヒド捕捉剤を1日4回(QID)前記眼に局所投与することを含み、前記維持期の処置が、前記アルデヒド捕捉剤を1日4回(QID)または1日2回(BID)前記眼に局所投与することを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルを測定するステップが、前記開始期および/または増悪期の間または後である、請求項21~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルを測定するステップが、前記維持期においてである、請求項21~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
対象のドライアイ疾患を処置する方法であって、
(i)ドライアイ疾患を有する対象の眼における酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルを処置前に測定するステップと、
(ii)前記対象をアルデヒド捕捉剤で処置するステップであって、前記アルデヒド捕捉剤はレプロキサラップであり、前記レプロキサラップは前記眼に局所投与されるステップと、
(iii)処置後の前記対象の眼における前記酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルを測定するステップ
とを含み、
ここで、前記対象は、前記酸化ストレスのアルデヒドマーカーの測定レベルの約20%より大きな低下については、より低いレプロキサラップの投薬頻度で処置され、
前記対象は、前記酸化ストレスのアルデヒドマーカーの測定レベルの約20%またはそれ未満の低下については、同じもしくはより高いレプロキサラップの投薬頻度で処置される、方法。
【請求項36】
ドライアイ疾患における前記酸化ストレスのアルデヒドマーカーが、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、グリオキサール、メチルグリオキサール、ヘキサデカナール、オクタデカナール、ヘキサデセナール、コハク酸セミアルデヒド、マロンジアルデヒド、4-ヒドロキシノネナール(4-HNEもしくはHNE)、4-ヒドロキシ-2E-ヘキセナール、4-ヒドロキシ-2E,6Z-ドデカジエナール、レチナールデヒド、ロイコトリエンB4アルデヒドまたはオクタデセナールである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
ドライアイ疾患における前記酸化ストレスのアルデヒドマーカーが、マロンジアルデヒドまたは4-ヒドロキシノネナールである、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
ドライアイ疾患における前記酸化ストレスのアルデヒドマーカーが、マロンジアルデヒドである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルを測定するステップが、前記対象から得られた涙液の試料に対して行われる、請求項35~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
測定された前記酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルが、前記眼に存在する前記酸化ストレスのアルデヒドマーカーの付加物の形態である、請求項35~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記付加物が、前記眼内でタンパク質と共に形成された安定な付加物を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記付加物が、マロンジアルデヒドと共に形成された付加物を含む、請求項40または41に記載の方法。
【請求項43】
前記付加物が、4-ヒドロキシノネナールと共に形成された付加物を含む、請求項40または41に記載の方法。
【請求項44】
前記付加物が、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって検出される、請求項40~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記レプロキサラップが、0.1%~0.5w/v%%の濃度で局所投与される、請求項35~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記レプロキサラップが、0.25w/v%の濃度で前記眼に局所投与される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記レプロキサラップが、0.1w/v%の濃度で前記眼に局所投与される、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記レプロキサラップが、0.5w/v%の濃度で前記眼に局所投与される、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記レプロキサラップが、薬剤的に許容され得る賦形剤との混合物として投与され、ここで、前記賦形剤は、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンおよびヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンから選択されるシクロデキストリンである、請求項35~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記薬剤的に許容され得る賦形剤が、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記シクロデキストリンが、5%~20w/v%で存在する、請求項49~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記シクロデキストリンが、7%~11w/v%で存在する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記レプロキサラップが、0.25w/v%の濃度であり、前記シクロデキストリンが、7w/v%で存在する、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記レプロキサラップが、0.25w/v%の濃度であり、前記シクロデキストリンが、11w/v%で存在する、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記レプロキサラップが、1日6回まで投与される、請求項35から54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記レプロキサラップが、1日4回(QID)投与される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記対象が、前記酸化ストレスのアルデヒドマーカーの測定レベルの約25%またはそれより大きな低下については、より低い投薬頻度のレプロキサラップで処置される、請求項35~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記処置が、開始期および/または増悪期ならびに維持期を含む、請求項35~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記処置後の測定が、前記開始期および/または増悪期の間または後に行われる、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
レプロキサラップが、前記開始期および/または増悪期において1日4回(QID)投与される、請求項58~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記対象が、前記開始期および/または増悪期における前記酸化ストレスのアルデヒドマーカーの測定レベルの約20%より大きな低下については、前記維持期においてより低い投薬頻度のレプロキサラップで処置される、請求項58~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記対象が、前記開始期および/または増悪期における酸化ストレスのアルデヒドマーカーの測定レベルの約25%もしくはそれより大きな低下については、前記維持期においてより低い投薬頻度のレプロキサラップで処置される、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記より低い投薬頻度が、1日2回(BID)である、請求項61~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
ドライアイ疾患の処置のために対象を選択する方法であって、ドライアイ疾患を有すると疑われる対象の眼における酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルを測定するステップを含み、ドライアイ疾患を有しない対象における酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルと比較して、前記酸化ストレスのアルデヒドマーカーの少なくとも約2倍またはそれを超えるレベルの測定レベルは、処置を示されるものである、方法。
【請求項65】
ドライアイ疾患における前記酸化ストレスのアルデヒドマーカーが、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、グリオキサール、メチルグリオキサール、ヘキサデカナール、オクタデカナール、ヘキサデセナール、コハク酸セミアルデヒド、マロンジアルデヒド、4-ヒドロキシノネナール(4-HNEもしくはHNE)、4-ヒドロキシ-2E-ヘキセナール、4-ヒドロキシ-2E,6Z-ドデカジエナール、レチナールデヒド、ロイコトリエンB4アルデヒドまたはオクタデセナールである、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記酸化ストレスのアルデヒドマーカーが、マロンジアルデヒドまたは4-ヒドロキシノネナールである、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
測定された前記酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルが、前記眼に存在する前記酸化ストレスのアルデヒドマーカーの付加物の形態である、請求項64~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記付加物が、前記眼内でタンパク質と共に形成された安定な付加物を含む、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記付加物が、マロンジアルデヒドと共に形成された付加物を含む、請求項67~68に記載の方法。
【請求項70】
前記付加物が、4-ヒドロキシノネナールと共に形成された付加物を含む、請求項67~68に記載の方法。
【請求項71】
前記測定するステップが、前記対象の涙液中に存在する付加物の測定である、請求項67~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記付加物が、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって検出される、請求項67~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記処置が、アルデヒド捕捉剤によるものである、請求項64~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記アルデヒド捕捉剤が、レプロキサラップである、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記レプロキサラップが、0.1%~0.5w/v%の濃度で前記眼に局所投与される、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記レプロキサラップが、0.25w/v%の濃度で前記眼に局所投与される、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記レプロキサラップが、0.1w/v%の濃度で前記眼に局所投与される、請求項75に記載の方法。
【請求項78】
前記レプロキサラップが、0.5w/v%の濃度で前記眼に局所投与される、請求項75に記載の方法。
【請求項79】
前記レプロキサラップが、薬剤的に許容され得る賦形剤との混合物として投与され、ここで、前記賦形剤は、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンおよびヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンから選択されるシクロデキストリン、または薬剤的に許容され得るその塩である、請求項74~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記薬剤的に許容され得る賦形剤が、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンである、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記シクロデキストリンが、5%~20w/v%で存在する、請求項79~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記シクロデキストリンが、7%~11w/v%で存在する、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記レプロキサラップが、0.25w/v%の濃度であり、前記シクロデキストリンが、7w/v%で存在する、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記レプロキサラップが、0.25w/v%の濃度であり、前記シクロデキストリンが、11w/v%で存在する、請求項82に記載の方法。
【請求項85】
前記酸化ストレスのアルデヒドマーカーが、マロンジアルデヒド付加物の形態であり、ドライアイ疾患を有しない対象におけるマロンジアルデヒド付加物のレベルと比較して少なくとも約3.4倍またはそれを超える測定レベルのマロンジアルデヒド付加物は、処置を示される、請求項64~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルが処置を示されるものである場合、前記対象の前記ドライアイ疾患を処置するステップをさらに含む、請求項64~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルが、ドライアイ疾患を有しない対象における前記酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルよりも少なくとも約3倍高い場合、前記酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルは、処置を示されるものである、請求項64~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記付加物が、LC-MS、紫外線分析(UV)、HPLC、質量分析(MS)、モノクローナル抗体検出アッセイ、ガスクロマトグラフィー(GC)、GC/MS、GC/水素炎イオン化検出器(FID)、電流測定検出を伴うキャピラリー電気泳動(CE-AD)、液体クロマトグラフィー/蛍光検出、またはそれらの組み合わせによって検出される、請求項7~10、40~43または67~70のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年6月4日に出願された米国仮特許出願第63/034,935号の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ドライアイ疾患のバイオマーカーおよび障害を処置するための該バイオマーカーの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
ドライアイ疾患は、眼不快感、視力障害および涙膜の不安定などを引き起こす複合的な疾患であり、眼の表面に損傷を与える可能性がある。該疾患は、涙膜の浸透圧の増加および眼の表面の炎症を特徴とする。ドライアイ疾患の有病率の推定値は、疾患を定義するために使用される基準に応じて大きく異なるが、米国(U.S.)では、米国内の2000万人もの成人がドライアイ疾患を有するものと推定されている。2030年までに、罹患する患者の数は40%増加すると予測されている(Schaumberg,Advances in Experimental Medicine and Biology,2002,506:989-98;Schaumberg,American Journal of Ophthalmology,2003,136:318-26;Schaumberg,Archives of Ophthalmology,2009,127:763-8)。米国および他の先進国の人口の高齢化、ならびにコンピュータの使用の増加に伴い、ドライアイ疾患のさらなる蔓延が予想される。したがって、効果的な処置法を見つけることがより重要になってきている(Brewitt,Survey of Ophthalmology,2001,45 Suppl 2:S199-202)。
【0004】
アルデヒドは、タンパク質、炭水化物、脂質および核酸に結合する反応性有機分子である(Esterbauer,Free Radical Biology and Medicine,1991,11(1):81-128)。遊離アルデヒド(特定の代謝プロセスにおいて、捕捉されていない、またはその他の方法で保護されていないアルデヒド)は毒性であり得、細胞の構成要素へのアルデヒドの結合は、炎症(Yadav,Oxidative Medicine and Cellular Longevity,2013,Volume 2013,Article ID 690545)、分子機能障害(O’Brien,Critical Reviews in Toxicology,2005,35(7):609-62)および網膜におけるリポフスシン成分などの難消化性代謝産物の蓄積(Boyer,J Biol Chem.,2012,287:22276-86)をもたらし得る。
【0005】
生体系では、アルデヒドは、アルコールの酸化、ポリアミンおよびグルコースの代謝、ならびに酸化ストレスを含む多様なプロセスによって形成される。いくつかの疾患状態では、アルデヒド濃度が増加し得る。アルデヒド濃度の増加は、翼状片、ベーチェット病、シェーグレン症候群、前部ぶどう膜炎およびドライアイ疾患を含む多様な炎症性眼疾患において報告されている(Sandikci,Acta Dermato-Venereologica,2003,83(5):342-6;Cejkova,Histology and Histopathology,2007,22(9):997-1003;Balci,Molecular Vision,2011,17:443-7;Turk,Ocular Immunology and Inflammation,2014,22(2):127-32;Choi,Current Eye Research,2016,41(9):1143-9)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Schaumberg,Advances in Experimental Medicine and Biology,2002,506:989-98
【非特許文献2】Schaumberg,American Journal of Ophthalmology,2003,136:318-26
【非特許文献3】Schaumberg,Archives of Ophthalmology,2009,127:763-8
【非特許文献4】Brewitt,Survey of Ophthalmology,2001,45 Suppl 2:S199-202
【非特許文献5】Esterbauer,Free Radical Biology and Medicine,1991,11(1):81-128
【非特許文献6】Yadav,Oxidative Medicine and Cellular Longevity,2013,Volume 2013,Article ID 690545
【非特許文献7】O’Brien,Critical Reviews in Toxicology,2005,35(7):609-62
【非特許文献8】Boyer,J Biol Chem.,2012,287:22276-86
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
概要
いくつかの態様において、本開示は、ドライアイ疾患の処置の有効性の評価およびドライアイ疾患の処置において使用するための、ドライアイ疾患(DED)(本明細書ではドライアイ症候群(DES;2つの用語は互換的に使用される)とも呼ばれる)のバイオマーカーの使用に関する。いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、ドライアイ疾患を処置するための患者の選択にも有用である。
【0008】
一態様において、本開示は、患者のドライアイ疾患の処置におけるアルデヒド捕捉剤の有効性を評価する方法を提供する。いくつかの実施形態において、方法は、ドライアイ疾患を有する患者にアルデヒド捕捉剤を投与するステップと、患者の眼に存在する酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルを測定するステップと、測定された酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルを、適切な対照における酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルと比較するステップと含み、ここで、酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルの低下は、ドライアイ疾患の処置におけるアルデヒド捕捉剤の有効性を示す。
【0009】
別の態様において、本開示は、対象の眼炎症の処置におけるアルデヒド捕捉剤の有効性を評価する方法であって、眼炎症を有する対象にアルデヒド捕捉剤を投与することと、対象の眼に存在する酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルを測定することと、測定された酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルを、適切な対照における酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルと比較するステップとを含み、ここで、酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルの低下が、眼炎症の処置におけるアルデヒド捕捉剤の有効性を示す、方法を提供する。
【0010】
別の態様において、本開示は、対象の眼炎症を処置する方法であって、
(i)ド眼炎症を有する対象の眼における酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルを処置前に測定するステップと、
(ii)対象をアルデヒド捕捉剤で処置するステップであって、アルデヒド捕捉剤はレプロキサラップであり、前記レプロキサラップは眼に局所投与されるステップと、
(iii)処置後の対象の眼における酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルを測定するステップと
を含み、
ここで、対象は、酸化ストレスのアルデヒドマーカーの測定レベルの約20%より大きな低下については、より低いレプロキサラップの投薬頻度で処置され、
対象は、酸化ストレスのアルデヒドマーカーの測定レベルの約20%またはそれ未満の低下については、同じもしくはより高いレプロキサラップの投薬頻度で処置される、方法を提供する。
【0011】
いくつかの実施形態において、眼炎症は、ドライアイ疾患、アレルギー性結膜炎、翼状片、ベーチェット病、シェーグレン症候群またはブドウ膜炎(例えば、前部ブドウ膜炎を含む)に関連する。いくつかの実施形態において、眼炎症は、角膜疾患(例えば、ドライアイ症候群、白内障、円錐角膜、水疱性および他の角膜症、ならびにフックス角膜内皮ジストロフィー)、他の眼の障害または症状(例えば、アレルギー性結膜炎、眼瘢痕性類天疱瘡、PRK治癒および他の角膜治癒に関連する症状、ならびに涙液脂質の分解もしくは涙腺機能不全に関連する状態)、ならびに炎症の結果としての高アルデヒドレベルに関連する他の眼の症状(例えば、ブドウ膜炎、強膜炎、眼型スティーブンス・ジョンソン症候群、眼型酒さ(マイボーム腺機能不全を伴うもしくは伴わない))に関連する。いくつかの実施形態において、眼炎症は、加齢黄斑変性(「AMD」)またはシュタルガルト病などの黄斑変性症に関連する。
【0012】
別の態様において、本開示は、ドライアイ疾患を有する患者を処置するために酸化ストレスのアルデヒドマーカーを使用する方法を提供する。いくつかの実施形態において、患者のドライアイ疾患を処置する方法は、ドライアイ疾患を有する患者の眼における酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルを処置前に測定するステップと、患者をアルデヒド捕捉剤で処置するステップであって、ここで、アルデヒド捕捉剤はレプロキサラップ(reproxalap)であり、レプロキサラップは眼に局所投与されることと、処置後の患者の眼における酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルを測定するステップとを含み、ここで、患者は、酸化ストレスのアルデヒドマーカーの測定レベルの約20%より大きな低下については、より低いレプロキサラップの投薬頻度で処置され、患者は、酸化ストレスのアルデヒドマーカーの測定レベルの約20%またはそれ未満の低下については、同じもしくはより高いレプロキサラップの投薬頻度で処置される。
【0013】
別の態様において、本開示は、眼炎症の処置のために対象を選択する方法であって、眼炎症を有すると疑われる対象の眼における酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルを測定するステップを含み、眼炎症を有しない対象における酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルと比較して、酸化ストレスのアルデヒドマーカーの少なくとも約2倍またはそれを超えるレベルの測定レベルは、処置を示されるものである、方法を提供する。
【0014】
別の態様において、本開示は、処置のためにドライアイ疾患を有する患者を同定または選択する方法を提供する。いくつかの実施形態において、ドライアイ疾患の処置のために患者を選択する方法は、ドライアイ疾患を有すると疑われる患者の眼(例えば、涙液中)における酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルを測定するステップを含み、ドライアイ疾患を有しない患者における酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルと比較して、酸化ストレスのアルデヒドマーカーの少なくとも約2倍高いレベルの測定レベルは、処置を示されるものである。
【0015】
いくつかの実施形態において、本方法はさらに、酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルが処置を示されるものである場合、ドライアイ疾患を処置するステップであって、ここで、該処置は、有効量のレプロキサラップを患者に投与することを含むステップを含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、本方法はさらに、患者の眼の少なくとも1つにおいて、ドライアイ疾患を有しない患者における酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルと比較して、酸化ストレスのアルデヒドマーカーの少なくとも約2.5倍高い測定レベルを患者が示す場合、有効量のレプロキサラップを患者に投与することによってドライアイ疾患を処置するステップを含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルが、ドライアイ疾患を有しない患者における酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルよりも約2倍~6倍高い場合、酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルは処置を示されるものである。いくつかの実施形態において、酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルが、ドライアイ疾患を有しない患者における酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルよりも約2倍~5倍、約2.5倍~4.5倍、約3倍~4倍または約3.5倍~4倍高い場合、酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルは処置を示されるものである。
【0018】
いくつかの実施形態において、酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルが、ドライアイ疾患を有しない患者における酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルよりも約2倍、約2.5倍、約3倍、約3.5倍、約4倍、約4.5倍、約5倍、約5.5倍または約6倍高い場合、酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルは処置を示されるものである。
【0019】
いくつかの実施形態において、ドライアイ疾患の処置のために患者を選択または同定する方法は、アルデヒド捕捉剤による処置のためである。いくつかの実施形態において、アルデヒド捕捉剤は、レプロキサラップである。
【0020】
いくつかの実施形態において、本明細書の方法における酸化ストレスのアルデヒドマーカーは、マロンジアルデヒドまたは4-ヒドロキシノネナールである。いくつかの実施形態において、測定される酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルは、眼に存在する酸化ストレスのアルデヒドマーカーの付加物の形態である。いくつかの実施形態において、付加物は、眼内でタンパク質と共に形成された安定な付加物を含む。いくつかの実施形態において、付加物は、マロンジアルデヒドと共に形成された付加物を含む。いくつかの実施形態において、付加物は、4-ヒドロキシノネナールと共に形成された付加物を含む。いくつかの実施形態において、患者から得られた涙液の試料を使用して、付加物のレベルを測定する。
【0021】
いくつかの実施形態において、本方法がアルデヒド捕捉剤に言及する場合、アルデヒド捕捉剤は、レプロキサラップである。いくつかの実施形態において、レプロキサラップは、眼への局所投与用の組成物、特に眼科用水溶液中にある。いくつかの実施形態において、レプロキサラップは、0.1~0.5w/v%の濃度である。いくつかの実施形態において、レプロキサラップは、0.15~0.45w/v%、0.2~0.4w/v%の濃度である。いくつかの実施形態において、レプロキサラップは、0.1w/v%、0.15w/v%、0.2w/v%、0.25w/v%、0.3w/v%、0.35w/v%、0.4w/v%、0.45w/v%、0.5w/v%の濃度である。いくつかの実施形態において、レプロキサラップは、0.25w/v%の濃度である。いくつかの実施形態において、レプロキサラップは、0.1w/v%の濃度である。いくつかの実施形態において、レプロキサラップは、0.5w/v%の濃度である。
【0022】
いくつかの実施形態において、レプロキサラップは、薬剤的に許容され得る賦形剤との混合物であり、賦形剤は、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンおよびヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンから選択されるシクロデキストリン、または薬剤的に許容され得るその塩である。好ましくは、薬剤的に許容され得る賦形剤は、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンである。いくつかの実施形態において、シクロデキストリンは、5~20w/v%、例えば6~15w/v%で存在する。いくつかの実施形態において、シクロデキストリンは、約7w/v%、8w/v%、9w/v%、10w/v%または11w/v%で存在する。いくつかの実施形態において、シクロデキストリンは、7w/v%で存在する。いくつかの実施形態において、シクロデキストリンは、11w/v%で存在する。
【0023】
いくつかの実施形態において、本方法において言及されるレプロキサラップは、0.25w/v%のレプロキサラップおよび7w/v%のシクロデキストリン、特にスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンである。いくつかの実施形態において、本方法において言及されるレプロキサラップは、0.25w/v%のレプロキサラップおよび11w/v%のシクロデキストリン、特にスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンである。
【0024】
別の態様において、本開示は、対象における眼炎症を処置する際に使用するためのキットであって、本明細書に記載されるレプロキサラップを含む眼科用製剤を含む容器と、本明細書に記載される対象の涙液中の眼炎症の1つまたはそれを超えるアルデヒドマーカーのレベルを試験するためのアッセイキットと、必要に応じて、該アッセイを使用して対象の涙液中の眼炎症の1つまたはそれを超えるアルデヒドマーカーのレベルを試験するための説明書とを含むキットを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、来院1で採取したD/C対象からの涙液および正常ヒト涙液(NHT)中の平均付加物濃度を示す。20倍に希釈した正常なヒト涙液の平均計算MDA付加物濃度は2,266pmol/mLであった。D/C DES対象からの涙液は、7,798pmol/mLの平均MDA付加物濃度を有し、これはNHTと比較して3.4倍増加していた。
【0026】
【
図2】
図2は、来院1(ベースライン、処置前)および来院3(レプロキサラップ点眼液による28日間の処置後)での、試験を完了した37名のDES対象からの涙液中の平均MDA付加物濃度を示す。来院1で採取した涙液は、14,943pmol/mLの平均MDA付加物濃度を有し、これは、来院3ですべての対象から採取した涙液中の11,566pmol/mLの平均MDA付加物濃度より有意に高い。
【0027】
【
図3】
図3は、来院1(ベースライン、処置前)および来院3(0.1w/v%のレプロキサラップ点眼液による28日間の処置後)での、試験を完了した37名のDES対象からの涙液中の平均MDA付加物濃度を示す。レプロキサラップ点眼液(0.1%)で処置された研究対象からの涙液は、処置後のMDA付加物レベルにおける23%の低下に相当する来院3での11,028pmol/mLと比較して、来院1で14,287pmol/mLの平均MDA付加物濃度を有していた。
【0028】
【
図4】
図4は、来院1(ベースライン、処置前)および来院3(0.5w/v%のレプロキサラップ点眼液による28日間の処置後)での、試験を完了した37名のDES対象からの涙液中の平均MDA付加物濃度を示す。DES研究対象は、来院1と比較して、来院3でMDA付加物濃度の26%の低下を示した。
【0029】
【
図5】
図5は、DED患者の涙液(run-in期間2/3データ、実施例3参照)におけるHNEタンパク質付加物レベルの低下を示す。データは、ビヒクルまたはリプロキシラップのいずれかを投与された患者におけるHNEタンパク質付加物レベル(pg/mL)の投与前/投与後1日目および2日目の結果(投与前から投与後への変更)を示す。1日目の用量は、1日目の最初の用量である。2日目の用量は、チャンバー後用量である。涙液採取は、投薬前後に約10分かかった。
【0030】
【
図6】
図6は、DED患者の涙液(run-in期間2/3データ、実施例3参照)におけるHNEタンパク質付加物レベルの低下の平均を示す。群毎のP値は、0(変化なし)との差を表す。平均は、涙液RASPを投薬前後に評価した2つの用量の平均を表す。HNE=タンパク質付加物の4-ヒドロキシノネナールELISA。第3相臨床試験run-inコホートからの涙液RASPレベルは、ドライアイ患者の自然歴研究の結果に基づいて選択されたRASPである4-ヒドロキシノネナールタンパク質付加物(HNE)の酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって評価されるように、新規なRASP阻害剤リプロキシラップの単回投与後に低下した。分析に十分な涙液量を有する対象では、薬物投与前後に涙液RASPレベルを評価した2つの用量にわたって、HNEレベルは、ビヒクル処置患者(n=7)における32pg/mLの増加に対して、レプロキサラップ処置患者(n=9)において平均1018ピコグラム/ミリリットル(pg/mL)低下した。
【0031】
【
図7】
図7は、12週間の慢性処置の期間にわたる0.25%のレプロキサラップ対ビヒクルの第3相臨床試験の1部からのVAS眼乾燥スコアの結果を示す。注目すべきことに、レプロキサラップは、処置開始後1週間という早い時期にビヒクルを上回る統計的に有意な症状改善(複数の症状について)を示した。処置導入期-維持期投薬の差(評価した薬物対ビヒクルのベースラインからの変化の差として定義される)(LS平均差±95%CI)。3以上のOD4S乾燥ベースラインスコア(N=170)を有する事前に指定された患者集団において評価された眼乾燥スコアの主要評価項目。局所眼用レプロキサラップは、1,100人を超える患者において研究されており、安全上の懸念は観察されていない。軽度の点滴注入部位刺激は、臨床試験において最も一般的に報告される有害事象である。導入期-維持期投薬は、1~4週間にわたるQID投薬(1日4回)、続いて5~8週間にわたるBID投薬(1日2回)として定義される。出典:Reproxalap RENEW-Part 1 clinical trial resultsおよびTRANQUILITY Run-In Cohort initial results。VAS=視覚的アナログスケール;OD4S=眼不快感および4症状;CAC=結膜アレルゲン誘発;MMRM=混合効果モデル反復測定。
【0032】
【
図8】
図8は、プールされたレプロキサラップ群の涙液中のMDA濃度を示す。ベースライン時および処置完了後に、ドライアイ疾患患者の涙液中のMDAを、毛細管を通して抽出した涙液中のELISA(Cell Biolabs社、カリフォルニア州サンディエゴ在)によって測定した。患者ごとに両眼をプールした。標準曲線を作成し、患者あたり3mLの涙液を使用して1:60希釈を最適として確立した。中央値前後のパーセンテージMDA減少部分群を、0に対する2-way t検定および1-way t検定を使用して比較した(ベースラインからの変化なし)。(A)処置前の参加者内の涙液MDA付加物レベルを、処置後の涙液MDA付加物レベルと比較した。(B)処置後のMDA付加物減少の中央値未満を有する参加者における28日目の総リサミングリーン染色スコアを、処置後のMDA付加物減少の中央値超を有する参加者のスコアと比較した。MDA=マロンジアルデヒド。
【0033】
【
図9】
図9は、2日目のTRANQUILITY第3相試験run-inコホートの眼乾燥スコア(VAS)結果を示す。結果をドライアイチャンバーで得て、チャンバー内で90分間にわたってVAS乾燥スコアを測定した。ベースライン(時間0)からの変化に対する反復測定(MMRM)の混合効果モデル。局所眼用レプロキサラップは、これまでに1,100人を超える患者において研究されており、安全上の懸念は観察されていない。軽度の点滴注入部位刺激は、臨床試験において最も一般的に報告される有害事象である。VAS=視覚的アナログスケール;MMRM=混合モデル反復測定。
【0034】
【
図10】
図10は、TRANQUILITY第3相試験run-inコホートの眼不快感スコアの結果を示す。結果は、眼不快感症状におけるビヒクルを超える統計的に有意な薬物効果が、進入時に観察され、曝露期間を通して持続したことを示す。眼乾燥スコアの結果と同様に、第1および第2の投与後に治療活性が実証され、ほぼ即時(数分以内)かつ統計学的に有意な症状緩和を表した。
【0035】
【
図11】
図11は、TRANQUILITY第3相試験run-inコホートの眼の発赤(平均眼の発赤スコア0~4)の結果を示す。結果は、眼不快感症状におけるビヒクルを超える統計的に有意な薬物効果が、進入時に観察され、曝露期間を通して持続したことを示す。眼乾燥スコアの結果と同様に、第1および第2の投与後に治療活性が実証され、ほぼ即時(数分以内)かつ統計学的に有意な症状緩和を表した。眼の発赤は、ドライアイ疾患のFDA承認可能な客観的徴候エンドポイントである。現在、FDA承認のドライアイ製品はシルマー試験を利用している。
【0036】
【
図12】
図12は、生体試料中のHNEタンパク質付加物のレベルを測定するためのHABA/アビジン/ビオチンアッセイの初期結果(上)、および生体試料中のHNE-タンパク質付加物のレベルを測定するためのストレプトアビジンプレート/リゾチーム抗体アッセイの初期結果(下)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
詳細な説明
1.特定の実施形態の一般的な説明
反応性アルデヒド種(RASP)は、タンパク質、炭水化物、脂質および核酸に結合する反応性有機分子である。特定の代謝プロセスにおいて、捕捉されていない、またはその他の方法で保護されていないRASPは毒性であり、細胞の構成要素へのアルデヒドの結合は、NFNBおよび他の炎症促進性メディエーターの活性化、分子機能障害、ならびに網膜におけるリポフスチン成分などの難消化性代謝産物の蓄積を介して炎症をもたらす。
【0038】
眼の炎症、眼の乾燥、眼の刺激、眼の発赤、眼のかゆみ、および眼不快感の他の症状の処置のために、レプロキサラップ局所点眼液が開発されている。眼不快感症状には、乾燥、かゆみ、流涙、灼熱感、刺痛、ざらざらした感覚、異物感、視界の混濁、環境への感受性、光への感受性(羞明)および糸を引く眼分泌が含まれる。いくつかの実施形態において、眼の症状の処置は、眼のバイタル染色、涙液層破壊時間、涙液浸透圧および涙液量から選択されるアッセイによって測定される。いくつかの実施形態において、眼の症状の処置は、レプロキサラップの初回投与後24時間にわたって評価され、CAE(登録商標)(制御された有害環境)で90分間にわたって評価される視覚的アナログスケールの眼乾燥スコア、およびレプロキサラップの初回投与後24時間にわたって評価されるOra Calibra(登録商標)眼不快感スケール、およびレプロキサラップの初回投与後24時間にわたって評価されるCAE(登録商標)眼不快感&4症状質問票で90分間にわたって評価される視覚的アナログスケールの眼乾燥スコア、ならびにレプロキサラップの初回投与後かつCAE(登録商標)の前後で24時間にわたって評価されるCAE(登録商標);Ora Calibra(登録商標)結膜アレルゲン誘発眼掻痒スケール、プロプレクサラップ最終投与前後のシルマー試験のベースラインからの変化;投与前後の涙液RASPレベルの変化;レプロキサラップの初回投与後24時間にわたる結膜発赤から選択されるアッセイによって測定される。薬物製品は、様々な強度で、ドライアイ疾患における第2a相臨床試験および二重盲検対照第2b相臨床試験を完了している。
【0039】
ドライアイ疾患における第2a相臨床試験の目的は、3種の異なる製剤のうちの1つをQID(1日4回)で28日間投薬して、ドライアイ疾患(DED)に罹患した対象におけるレプロキサラップ点眼液の安全性、忍容性、および薬物動力学的活性を評価することである。使用した製剤は、0.1w/v%レプロキサラップ点眼液、0.5w/v%レプロキサラップ点眼液、および0.5w/v%眼科用脂質溶液である。これら3種のレプロキサラップ製剤のいずれを用いた28日間の処置の間も、重篤有害事象(SAEs)は観察されず、また、視力(VA)、眼内圧(IOP)、細隙灯生体顕微鏡検査所見、または非散瞳眼底検査所見における臨床的に重要な変化も観察されなかった。点眼の快適性については、0.1w/v%レプロキサラップ点眼液の場合よりも、0.5w/v%レプロキサラップ点眼液および眼科用脂質溶液の場合の方が、耐容性が低かった。対象内の改善において、探索的薬物動力学エンドポイントとして評価したDEDの徴候および症状の幅広いアレイにわたって、統計的に有意な有効性が観察された。
【0040】
第2b相臨床試験において、レプロキサラップ点眼液(0.25%および0.1%)の有効性は、ドライアイ疾患に罹患した患者において評価した(詳細は実施例1参照)。レプロキサラップ点眼液を12週間投与したところ、涙量(シルマー試験)、涙液の質(涙液層破壊時間(TBUT)および涙液浸透圧)、および眼表面の着色を含む多数の臨床評価において統計的に有意な改善が見られた。この臨床評価群は、処置の有効性を評価するのに使用されるが、定量化されかつドライアイ疾患の処置の有効性を評価するための基礎として使用され得るドライアイ疾患のバイオマーカーが望ましい。バイオマーカーはまた、処置レジメンを導き、ドライアイ疾患の処置のために患者を選択/同定するために使用することができる。したがって、本開示は、バイオマーカーとして使用するための酸化ストレスのアルデヒドマーカーを提供する。本開示はさらに、酸化ストレスのアルデヒドマーカーを定量化する際に使用するためのアッセイ、およびレプロキサラップなどのアルデヒド捕捉剤による処置に対する患者の応答を評価する際に使用するためのアッセイを提供する。
【0041】
これらのアルデヒドマーカーには、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、グリオキサール、メチルグリオキサール、ヘキサデカナール、オクタデカナール、ヘキサデセナール、コハク酸セミアルデヒド、マロンジアルデヒド、4-ヒドロキシノネナール(4-HNEまたはHNE)、4-ヒドロキシ-2E-ヘキセナール、4-ヒドロキシ-2E,6Z-ドデカジエナール、レチナールデヒド、ロイコトリエンB4アルデヒドおよびオクタデセナールなどのアルデヒド、特に付加物を形成し、その1つまたは複数が患者の涙液中に存在するアルデヒドが含まれる。いくつかの実施形態において、ドライアイ疾患に対する酸化ストレスの有用なアルデヒドマーカーは、マロンジアルデヒドまたは4-ヒドロキシノネナールもしくはそれらの付加物、特に患者の涙液中に存在するマロンジアルデヒドまたは4-ヒドロキシノネナールの付加物である。酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルの測定は、ドライアイ疾患を処置するための薬物の有効性を決定するために使用することができ、または特にアルデヒド捕捉剤として作用する薬物の処置レジメンを導くために使用することができる。これらのバイオマーカーはまた、本明細書にさらに記載されるように、ドライアイ疾患の処置のための患者を同定または選択するために使用することができる。
【0042】
2.定義
本明細書で用いられる一般的な用語は、別段の明示的な指定がない限り、以下の意味を有するものと定義される。
【0043】
用語「含む(comprising)」および「含む(including)」は、本明細書において、別段の指示がない限り、オープンエンドかつ非限定的な意味で用いられる。さらに、種々の実施形態の説明に用語「含む(comprising)」または「含む(including)」が用いられる場合、いくつかの特定の例において、実施形態は、代わりに、用語「から本質的になる(consisting essentially of)」または「からなる(consisting of)」を用いて記載し得ることを当業者は理解するであろうことを理解すべきである。
【0044】
本発明を説明する文脈(特に、以下の特許請求の範囲の文脈)において、用語「a」および「an」、および「the」、ならびに類似の語句は、本明細書に別段の記載がない限り、または文脈によって明確に否定されない限り、単数形と複数形の両方を含むものと理解すべきである。化合物、塩などに複数形が用いられている場合、1つの化合物、塩などもまた意味するものと解釈される。
【0045】
用語「薬剤的に許容され得る」は、本明細書において、適切な医学的判断の範囲内で、合理的なベネフィット/リスク比に見合う毒性、刺激性アレルギー反応、およびその他の問題となる併発障害を超えることなく、対象(例えば、哺乳動物またはヒト)の組織と接触させるのに適した化合物、生物学的薬剤、材料、組成物、および/または剤形を指すものと定義される。
【0046】
用語「処置する(treating)」または「処置(treatment)」は、本明細書で用いられる場合、対象における少なくとも1つの症状を軽減、低減、または緩和する処置、または疾患、状態、および/または障害の進行を遅らせる処置を含む。例えば、処置は、障害の1つまたはいくつかの徴候もしくは症状の減少であり得、または障害の完全な根絶であり得る。本発明の意味の範囲内で、用語「処置(treat)」は、発症を阻止すること、発症を遅らせること(例えば、疾患の臨床症状が現れる前の期間)、および/または疾患の発症または悪化のリスクを低減させることも意味する。
【0047】
用語「対象」は、本明細書で用いられる場合、哺乳動物(例えば、ヒト、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、マウス、ウサギ、ラット、およびトランスジェニック非ヒト動物)などの動物を含む。いくつかの実施形態において、前記対象は、ヒトであり、患者とも言及される。いくつかの実施形態において、対象は、ドライアイ疾患を有する対象または患者を意味する。
【0048】
用語「約(about)」または「およそ(approximately)」は、与えられた値または範囲の10%以内という意味を有するものとする。いくつかの実施形態において、用語「約(about)」は、与えられた値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%の範囲内を意味する。
【0049】
用語「w/v」は、本明細書で用いられる場合、「グラム/mL」(重量/体積)を意味し、これは濃度の単位である。例えば、7w/v%は、70mg/mLと等しい。
【0050】
「アルデヒド捕捉剤」または「アルデヒドコンジュゲート化剤」は、アルデヒド、例えばマロンジアルデヒドおよび4-ヒドロキシノネナールと反応して、アルデヒド捕捉剤とアルデヒドとの間の付加物またはコンジュゲートを形成する薬剤を指す。
【0051】
レプロキサラップは、ADX-102とも称され、下記式で表される。
【化1】
いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、レプロキサラップは、アルデヒド封鎖剤または「トラップ」として働き、すばやくアルデヒドに結合して環化産物を形成する。
3.ドライアイ疾患のバイオマーカーおよびその使用
【0052】
一態様において、本開示は、ドライアイ疾患の処置、特にアルデヒド捕捉剤による処置の有効性を決定するためのバイオマーカーの使用を提供する。上記のように、アルデヒド捕捉剤は、アルデヒドと反応してアルデヒドとアルデヒド捕捉剤との間に付加物またはコンジュゲートを形成する化合物を含む。いくつかの実施形態において、アルデヒド捕捉剤は、アルデヒドと反応することができるアミノ基を有する化合物である。いくつかの実施形態において、アルデヒド捕捉剤は、以下の一般構造を有する:
【化2】
式中、R
1およびR
2は、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、または縮合二環式シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリール環を形成し、各R
aは、独立して、1、2もしくは3個の重水素またはハロゲン原子で必要に応じて置換されたC
1-4脂肪族であり、または各R
aは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、窒素、酸素および硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を含む3~8員シクロアルキルまたはヘテロシクリル環を形成する。いくつかの実施形態において、各R
aは、直鎖アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピルまたはブチル、好ましくはメチルである。
【0053】
様々なアルデヒド捕捉剤が、米国特許第7,973,025号、米国特許第9,604,997号、米国特許第9,814,701号、米国特許第10,111,862号、米国特許第9,687,481号、米国特許第10,414,732号、米国特許第10,550,085号、米国特許出願公開第2018/0250306号、米国特許出願公開第2018/0050989号、米国特許出願公開第2020/0246345号、米国特許出願公開第2020/0121591号明細書、および国際特許公開第2018039197号に開示されており、これらのすべては、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、本明細書の方法のための例示的なアルデヒド捕捉剤は、レプロキサラップである。
【0054】
いくつかの実施形態において、本開示は、患者のドライアイ疾患の処置におけるアルデヒド捕捉剤の有効性を評価する方法を提供する。いくつかの実施形態において、患者のドライアイ疾患の処置におけるアルデヒド捕捉剤の有効性を評価する方法は、
(i)ドライアイ疾患を有する患者にアルデヒド捕捉剤を投与するステップと、
(ii)患者の眼に存在する酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルを測定するステップと、
(iii)酸化ストレスのアルデヒドマーカーの測定されたレベルを、適切な対照における酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルと比較するステップと
を含み、
ここで、酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルの低下が、ドライアイ疾患の処置におけるアルデヒド捕捉剤の有効性を示す。いくつかの実施形態において、ステップ(i)の初期投与は、アルデヒド捕捉剤の単回投与である。いくつかの実施形態において、ステップ(i)の初期投与は、アルデヒド捕捉剤の2、3、4、5、6、10またはそれを超える用量である。または、所定の期間、例えば、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日もしくはそれを超える、または1週間、2週間、3週間、1ヶ月、2ヶ月もしくはそれを超える期間である。いくつかの実施形態において、本方法はさらに、(iv)患者の眼の少なくとも1つにおいて、ドライアイ疾患または任意の他の眼炎症を有しない健康なヒト対象などの適切な対照と比較して、酸化ストレスのアルデヒドマーカーの少なくとも約2倍もしくはそれを超える測定レベルを患者が示す場合、有効量のレプロキサラップを患者に投与することによってドライアイ疾患を処置するステップを含む。いくつかの実施形態において、ドライアイ疾患の処置は、酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルの十分な低下が観察された場合に行われる。酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルのこのような十分な低下は、以下に列挙されるパラメータの1つから選択される。例えば、いくつかの実施形態において、対照レベルと比較した酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルの少なくとも15%またはそれを超える低下が、ドライアイ疾患の処置におけるアルデヒド捕捉剤の有効性を示す。
【0055】
アルデヒドマーカーのレベルが十分に低下しない場合、アルデヒド捕捉剤の用量および/または投薬頻度を増加させることができる。あるいは、処置を中止し、患者を場合によりアルデヒド捕捉剤またはドライアイ疾患の標準治療で必要に応じて処置する。いくつかの実施形態において、酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルの10%未満の低下が得られた場合、処置を中止する。いくつかの実施形態において、酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルの低下が平均未満であるか、または平均より1標準偏差を超えて悪い(すなわち、より小さい低下)場合、所与の患者または患者群において処置を中止する。
【0056】
いくつかの実施形態において、ドライアイ疾患の処置は、ドライアイ疾患を有する患者へのアルデヒド捕捉剤の初期投与と比較して、アルデヒド捕捉剤の増加した用量および/または投薬頻度で行われる。いくつかの実施形態において、ドライアイ疾患の処置は、初期投与と比較して、アルデヒド捕捉剤を1日にさらに1回、2回、3回、または4回投与することを含む。
【0057】
いくつかの実施形態において、上記のように、ドライアイ疾患における酸化ストレスのアルデヒドマーカーは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、グリオキサール、メチルグリオキサール、ヘキサデカナール、オクタデカナール、ヘキサデセナール、コハク酸セミアルデヒド、マロンジアルデヒド、4-ヒドロキシノネナール(4-HNEもしくはHNE)、4-ヒドロキシ-2E-ヘキセナール、4-ヒドロキシ-2E,6Z-ドデカジエナール、レチナールデヒド、ロイコトリエンB4アルデヒドまたはオクタデセナールである。酸化ストレスの特に有用なアルデヒドマーカーは、タンパク質および他の生体分子などと安定な付加物を形成するものである。より好ましくは、酸化ストレスのアルデヒドマーカーは、その付加物が患者の涙液中で検出され得るものである。
【0058】
いくつかの実施形態において、ドライアイ疾患における酸化ストレスのアルデヒドマーカーは、マロンジアルデヒドまたは4-ヒドロキシノネナールである。いくつかの実施形態において、ドライアイ疾患における酸化ストレスのアルデヒドマーカーは、マロンジアルデヒドである。
【0059】
いくつかの実施形態において、酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルの測定は、例えばアルデヒド捕捉剤による処置の前および後に、患者から得られた涙液の試料に対して行われる。
【0060】
いくつかの実施形態において、患者の眼の酸化ストレスのアルデヒドマーカーの測定レベルを比較するための適切な対照は、ドライアイ疾患と診断された患者におけるアルデヒド捕捉剤の投与前の酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルまたは酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルである。
【0061】
いくつかの実施形態において、測定される酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルは、眼、特に患者の涙液または患者から得られた涙液試料中に存在する酸化ストレスのアルデヒドマーカーの付加物の形態である。いくつかの実施形態において、付加物は、核酸およびタンパク質などの眼内の生体分子と共に形成された安定な付加物、特にタンパク質と共に形成された付加物を含む。いくつかの実施形態において、測定または検出された付加物は、マロンジアルデヒドと共に形成された付加物を含む。いくつかの実施形態において、測定または検出された付加物は、4-ヒドロキシノネナールと共に形成された付加物を含む。これらの付加物は、以下でさらに論じるように、当該技術分野で利用可能な様々な方法によって検出および測定することができる。
【0062】
処置の有効性を評価する方法のいくつかの実施形態において、対照レベルと比較した酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルの少なくとも15%またはそれを超える低下が、ドライアイ疾患の処置におけるアルデヒド捕捉剤の有効性を示す。いくつかの実施形態において、対照レベルと比較して酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルの少なくとも約20%またはそれを超える低下が、ドライアイ疾患の処置におけるアルデヒド捕捉剤の有効性を示す。いくつかの実施形態において、対照レベルと比較して酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルの少なくとも約25%またはそれを超える低下が、ドライアイ疾患の処置におけるアルデヒド捕捉剤の有効性を示す。
【0063】
いくつかの実施形態において、対照レベルと比較した酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルの約10~40%の低下が、ドライアイ疾患の処置におけるアルデヒド捕捉剤の有効性を示す。いくつかの実施形態において、対照レベルと比較した酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルの約15~30%の低下が、ドライアイ疾患の処置におけるアルデヒド捕捉剤の有効性を示す。いくつかの実施形態において、対照レベルと比較した酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルの約20~30%の低下が、ドライアイ疾患の処置におけるアルデヒド捕捉剤の有効性を示す。いくつかの実施形態において、対照レベルと比較した酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルの約14~28%、または14~26%、14~25%、14~24%、14~23%、14~22%、14~21%、14~20%、15~30%、15~28%、15~26%、15~25%、15~24%、15~23%、15~22%、15~21%、15~20%、16~30%、16~28%、16~26%、16~25%、16~24%、16~23%、16~22%、16~21%、16~20%、17~30%、17~28%、17~26%、17~25%、17~24%、17~23%、17~22%、17~21%、17~20%、18~35%、18~33%、18~31%、18~30%、18~28%、18~26%、18~22%、19~35%、19~33%、19~31%、19~30%、19~28%、19~26%、19~22%、20~35%、20~33%、20~31%、20~30%、20~28%、20~26%、20~24%、21~35%、21~33%、21~31%、21~30%、21~28%、21~26%、21~24%、22~35%、22~33%、22~31%、22~30%、22~28%、22~26%、22~24%、23~35%、23~33%、23~31%、23~30%、23~28%、23~26%、24~35%、24~33%、24~31%、24~30%、24~28%、24~26%、25~40%、25~35%、25~33%、25~31%、25~30%、25~28%、または10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%,、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、もしくは40%の低下が、ドライアイ疾患の処置におけるアルデヒド捕捉剤の有効性を示す。
【0064】
いくつかの実施形態において、対照レベルは、ドライアイ疾患を有する対象の涙液中の実施例2に従って測定した約14,000pmol/L~約14,900pmol/Lの平均マロンジアルデヒド付加物濃度である。
【0065】
いくつかの実施形態において、実施例2に記載されているものなどの適切なアッセイによる約12,000pmol/Lまたはそれより低いマロンジアルデヒド付加物濃度の測定レベルが、ドライアイ疾患の処置におけるアルデヒド捕捉剤の有効性を示す。いくつかの実施形態において、約11,500pmol/Lまたはそれより低いマロンジアルデヒド付加物濃度の測定レベルが、ドライアイ疾患の処置におけるアルデヒド捕捉剤の有効性を示す。いくつかの実施形態において、約11,000pmol/Lまたはそれより低いマロンジアルデヒド付加物濃度の測定レベルが、ドライアイ疾患の処置におけるアルデヒド捕捉剤の有効性を示す。いくつかの実施形態において、約10,500pmol/Lまたはそれより低いマロンジアルデヒド付加物濃度の測定レベルが、ドライアイ疾患の処置におけるアルデヒド捕捉剤の有効性を示す。いくつかの実施形態において、約10,000pmol/Lまたはそれより低いマロンジアルデヒド付加物濃度の測定レベルが、ドライアイ疾患の処置におけるアルデヒド捕捉剤の有効性を示す。いくつかの実施形態において、約9,500pmol/Lまたはそれより低いマロンジアルデヒド付加物濃度の測定レベルが、ドライアイ疾患の処置におけるアルデヒド捕捉剤の有効性を示す。いくつかの実施形態において、ヒト涙液中の実施例2に従って測定した約12,000pmol/Lまたはそれより低いマロンジアルデヒド付加物濃度の測定レベルが、ドライアイ疾患の処置におけるアルデヒド捕捉剤の有効性を示す。
【0066】
いくつかの実施形態において、少なくとも約500ピコグラム/ミリリットル(pg/mL)の患者の眼のHNEレベルの減少が、ドライアイ疾患の処置におけるアルデヒド捕捉剤の有効性を示す。いくつかの実施形態において、少なくとも約600、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150、1200、1250、1300、1350、1400、1450または1500pg/mLのHNEレベルの減少が、ドライアイ疾患の処置におけるアルデヒド捕捉剤の有効性を示す。いくつかの実施形態において、約500~1500pg/mLのHNEレベルの減少が、ドライアイ疾患の処置におけるアルデヒド捕捉剤の有効性を示す。いくつかの実施形態において、約600~1450、650~1400、700~1350、750~1300、800~1250、850~1200、900~1150、950~1100、または1000~1050pg/mLのHNEレベルの減少が、ドライアイ疾患の処置におけるアルデヒド捕捉剤の有効性を示す。いくつかの実施形態において、約1018pg/mLのHNEレベルの減少が、ドライアイ疾患の処置におけるアルデヒド捕捉剤の有効性を示す。HNEレベルは、実施例2に記載されているものの改変版などの適切なアッセイによって測定され得る。いくつかの実施形態において、HNEレベルは、患者の涙液中で測定される。いくつかの実施形態において、HNEレベルは、HNEとタンパク質との付加物の濃度を定量化することによって測定される。
【0067】
いくつかの実施形態において、約12,000pmol/L以下のマロンジアルデヒド付加物濃度の測定レベル(もしくは上に列挙した別の測定レベル)および約600~1450、650~1400、700~1350、750~1300、800~1250、850~1200、900~1150、950~1100または1000~1050pg/mLのHNEレベルの減少が、ドライアイ疾患の処置におけるアルデヒド捕捉剤の有効性を示す。
【0068】
いくつかの実施形態において、この方法を使用して、アルデヒド捕捉化合物レプロキサラップの有効性を評価する。いくつかの実施形態において、レプロキサラップは、局所的に、例えば眼科用液剤中で投与される。いくつかの実施形態において、レプロキサラップは、以下に記載される任意の形態および濃度ならびに投薬レジメンで投与される。
【0069】
本発明の一態様は、レプロキサラップなどのアルデヒド捕捉剤の投与時に、MDAおよび/またはHNEなどの酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルの特異的な(定量化された)減少が、患者のドライアイ疾患の1つまたはそれを超える症状の統計学的に有意な改善と相関するという驚くべき発見に関する。酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルの定量化された減少をバイオマーカーとして使用することにより、本明細書に記載されるように、ドライアイ疾患のより効果的な処置を提供し、レプロキサラップおよび他のドライアイ疾患処置の有効性を監視し、ドライアイ疾患の処置のために患者を選択することがこうして可能である。
【0070】
本方法のいくつかの実施形態において、レプロキサラップは、0.1%~0.5w/v%の濃度で局所投与される。いくつかの実施形態において、レプロキサラップは、0.25w/v%の濃度で眼に局所投与される。いくつかの実施形態において、レプロキサラップは、0.1w/v%の濃度で眼に局所投与される。いくつかの実施形態において、レプロキサラップは、0.5w/v%の濃度で眼に局所投与される。
【0071】
本明細書にさらに記載されるように、レプロキサラップは、薬剤的に許容され得る賦形剤との混合物として投与され、該賦形剤はシクロデキストリンである。いくつかの実施形態において、シクロデキストリンは、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンおよびヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、好ましくはスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンから選択される。本方法のいくつかの実施形態において、シクロデキストリンは、5%~20w/v%で存在する。いくつかの実施形態において、シクロデキストリンは、7%~11w/v%で存在する。いくつかの実施形態において、シクロデキストリンは、7w/v%で存在する。いくつかの実施形態において、シクロデキストリンは、11w/v%で存在する。
【0072】
いくつかの実施形態において、レプロキサラップは0.25w/v%の濃度であり、シクロデキストリンは7w/v%、好ましくはスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンで存在する。いくつかの実施形態において、レプロキサラップおよびシクロデキストリンは、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン3モルあたり約1モルのレプロキサラップ対スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンの比で製剤中に存在する。
【0073】
いくつかの実施形態において、レプロキサラップは0.25w/v%の濃度であり、シクロデキストリンは11w/v%、好ましくはスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンで存在する。いくつかの実施形態において、レプロキサラップおよびシクロデキストリンは、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン5モルあたり約1モルのレプロキサラップ対スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンの比で製剤中に存在する。
【0074】
いくつかの実施形態において、酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルは、アルデヒド捕捉剤による1つもしくはそれを超える6、10、14、18、24、または28日間の処理の後に測定される。いくつかの実施形態において、酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルを、28日間の処置後に測定する。
【0075】
いくつかの実施形態において、ドライアイ疾患の処置におけるアルデヒド捕捉剤の有効性を決定する際に、様々な投薬レジメンを使用することができる。いくつかの実施形態において、処置は、アルデヒド捕捉剤を1日6回まで局所投与することを含む。いくつかの実施形態において、処置は、アルデヒド捕捉剤を1日4回(QID)局所投与することを含む。
【0076】
アルデヒド捕捉剤による処置の有効性を評価するいくつかの実施形態において、該処置は、本明細書にさらに記載されるように、開始期および/または増悪期、続いて維持期を含む。いくつかの実施形態において、開始期および/または増悪期の処置は、アルデヒド捕捉剤を1日4回(QID)眼に局所投与することを含み、維持期の処置は、アルデヒド捕捉剤を1日4回(QID)または1日2回(BID)眼に局所投与することを含む。
【0077】
アルデヒド捕捉剤がレプロキサラップであるいくつかの実施形態において、本明細書に記載される任意の処置および投薬レジメンを使用することができる。
【0078】
本方法のいくつかの実施形態において、酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルの測定は、開始期および/または増悪期の間および/または後である。本方法のいくつかの実施形態において、酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルを測定することは、維持期において、例えば維持期の間である。
【0079】
別の態様において、本開示は、アルデヒド捕捉剤の投与量および/または投薬頻度などの処置レジメンを導くためにバイオマーカーを使用して患者のドライアイ疾患を処置する方法を提供する。いくつかの実施形態において、患者のドライアイ疾患を処置する方法は、
(i)ドライアイ疾患を有する患者の眼における酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルを処置前に測定するステップと、
(ii)患者をアルデヒド捕捉剤で処置することであって、ここで、アルデヒド捕捉剤はレプロキサラップであり、レプロキサラップは眼に局所投与されるステップと、
(iii)処置後の患者の眼における酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルを測定するステップ
とを含み、
ここで、患者は、酸化ストレスのアルデヒドマーカーの測定レベルの約20%より大きな低下については、より低いレプロキサラップの投薬頻度で処置され、患者は、酸化ストレスのアルデヒドマーカーの測定レベルの約20%またはそれ未満の低下については、同じもしくはより高いレプロキサラップの投薬頻度で処置される。
【0080】
いくつかの実施形態において、上記のように、眼炎症における酸化ストレスのアルデヒドマーカーは多様であり、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド、グリオキサール、メチルグリオキサール、ペンタナール、ヘキサナール、ヒドロキシヘキサナール、ヒドロキシヘキセナール、ヘキサデカナール、オクタデカナール、ヘキサデセナール、コハク酸セミアルデヒド、マロンジアルデヒド、4-ヒドロキシノネナール(4-HNEもしくはHNE)、4-ヒドロキシ-2E-ヘキセナール、4-ヒドロキシ-2E,6Z-ドデカジエナール、レチナールデヒド、ロイコトリエンB4アルデヒド、マロンジアルデヒド-アセトアルデヒド付加物(MAA)またはオクタデセナール、および他のアルデヒドを含み得る。酸化ストレスの特に有用なアルデヒドマーカーは、タンパク質および他の生体分子などと安定な付加物を形成するものである。より好ましくは、酸化ストレスのアルデヒドマーカーは、その付加物が患者の涙液中で検出され得るものである。
【0081】
いくつかの実施形態において、上記のように、ドライアイ疾患における酸化ストレスのアルデヒドマーカーは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、グリオキサール、メチルグリオキサール、ヘキサデカナール、オクタデカナール、ヘキサデセナール、コハク酸セミアルデヒド、マロンジアルデヒド、4-ヒドロキシノネナール(4-HNEもしくはHNE)、4-ヒドロキシ-2E-ヘキセナール、4-ヒドロキシ-2E,6Z-ドデカジエナール、レチナールデヒド、ロイコトリエンB4アルデヒドまたはオクタデセナールである。酸化ストレスの特に有用なアルデヒドマーカーは、タンパク質および他の生体分子などと安定な付加物を形成するものである。より好ましくは、酸化ストレスのアルデヒドマーカーは、その付加物が患者の涙液中で検出され得るものである。
【0082】
いくつかの実施形態において、ドライアイ疾患における酸化ストレスのアルデヒドマーカーは、マロンジアルデヒドまたは4-ヒドロキシノネナールである。いくつかの実施形態において、ドライアイ疾患における酸化ストレスのアルデヒドマーカーは、マロンジアルデヒドである。
【0083】
いくつかの実施形態において、酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルの測定は、例えばアルデヒド捕捉剤による処置の前および後に、患者から得られた涙液の試料に対して行われる。
【0084】
いくつかの実施形態において、測定される酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルは、眼、特に患者の涙液または患者から得られた涙液試料中に存在する酸化ストレスのアルデヒドマーカーの付加物の形態である。いくつかの実施形態において、付加物は、核酸およびタンパク質などの眼内の生体分子と共に形成された安定な付加物を含む。いくつかの実施形態において、測定または検出された付加物は、マロンジアルデヒドと共に形成された付加物を含む。いくつかの実施形態において、測定または検出された付加物は、4-ヒドロキシノネナールと共に形成された付加物を含む。これらの付加物は、以下でさらに論じるように、当該技術分野で利用可能な様々な方法によって検出および測定することができる。
【0085】
処置の方法のいくつかの実施形態において、レプロキサラップは、0.1%~0.5w/v%の濃度で局所投与される。いくつかの実施形態において、レプロキサラップは、0.25w/v%の濃度で眼に局所投与される。いくつかの実施形態において、レプロキサラップは、0.1w/v%の濃度で眼に局所投与される。いくつかの実施形態において、レプロキサラップは、0.5w/v%の濃度で眼に局所投与される。
【0086】
本明細書にさらに記載されるように、レプロキサラップは、薬剤的に許容され得る賦形剤との混合物として投与され、該賦形剤はシクロデキストリンである。いくつかの実施形態において、シクロデキストリンは、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンおよびヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、好ましくはスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンから選択される。本方法のいくつかの実施形態において、シクロデキストリンは、5%~20w/v%で存在する。いくつかの実施形態において、シクロデキストリンは、7%~11w/v%で存在する。いくつかの実施形態において、シクロデキストリンは、7w/v%で存在する。いくつかの実施形態において、シクロデキストリンは、11w/v%で存在する。
【0087】
いくつかの実施形態において、レプロキサラップは0.25w/v%の濃度であり、シクロデキストリンは7w/v%、好ましくはスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンで存在する。いくつかの実施形態において、レプロキサラップおよびシクロデキストリンは、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン3モルあたり約1モルのレプロキサラップ対スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンの比で製剤中に存在する。
【0088】
いくつかの実施形態において、レプロキサラップは0.25w/v%の濃度であり、シクロデキストリンは11w/v%、好ましくはスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンで存在する。いくつかの実施形態において、レプロキサラップおよびシクロデキストリンは、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン5モルあたり約1モルのレプロキサラップ対スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンの比で製剤中に存在する。
【0089】
処置方法のいくつかの実施形態において、本明細書および以下に記載される投与量および投薬または処置レジメンのいずれかを、レプロキサラップを投与するために使用することができる。いくつかの実施形態において、レプロキサラップは、1日6回まで投与される。いくつかの実施形態において、レプロキサラップは、1日4回投与される(QID)。
【0090】
処置方法のいくつかの実施形態において、患者は、酸化ストレスのアルデヒドマーカーの測定レベルの約25%またはそれより大きな低下については、より低い投薬頻度のレプロキサラップで処置される。
【0091】
本方法のいくつかの実施形態において、ドライアイ疾患の処置は、開始期および/または増悪期ならびに維持期を含む。いくつかの実施形態において、処置後の酸化ストレスのアルデヒドマーカーの測定は、開始期の間に行われる。いくつかの実施形態において、測定は増悪期の間に行われる。いくつかの実施形態において、測定は、開始期と増悪期の両方の間に行われる。これらの実施形態のいくつかにおいて、レプロキサラップは、開始期および/または増悪期に1日4回投与される。
【0092】
いくつかの実施形態において、患者は、開始期および/または増悪期における酸化ストレスのアルデヒドマーカーの測定レベルの約20%より大きな低下については、維持期においてより低い投薬頻度のレプロキサラップで処置される。
【0093】
いくつかの実施形態において、患者は、開始期および/または増悪期における酸化ストレスのアルデヒドマーカーの測定レベルの約25%もしくはそれより大きな低下については、維持期においてより低い投薬頻度のレプロキサラップで処置される。
【0094】
いくつかの実施形態において、より低い投薬頻度は、1日2回(BID)である。
【0095】
別の態様において、本開示は、ドライアイ疾患の処置、特にアルデヒド捕捉剤による処置のための患者を選択または同定する方法を提供する。いくつかの実施形態において、ドライアイ疾患の処置のために患者を選択する方法は、ドライアイ疾患を有すると疑われる患者の眼における酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルを測定するステップを含み、ドライアイ疾患を有しない患者における酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルと比較して、酸化ストレスのアルデヒドマーカーの少なくとも約2倍またはそれを超えるレベルの測定レベルは処置を示されるものである。
【0096】
いくつかの実施形態において、ドライアイ疾患における酸化ストレスのアルデヒドマーカーは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、グリオキサール、メチルグリオキサール、ヘキサデカナール、オクタデカナール、ヘキサデセナール、コハク酸セミアルデヒド、マロンジアルデヒド、4-ヒドロキシノネナール(4-HNEもしくはHNE)、4-ヒドロキシ-2E-ヘキセナール、4-ヒドロキシ-2E,6Z-ドデカジエナール、レチナールデヒド、ロイコトリエンB4アルデヒドまたはオクタデセナールである。
【0097】
いくつかの実施形態において、ドライアイ疾患における酸化ストレスのアルデヒドマーカーは、マロンジアルデヒドまたは4-ヒドロキシノネナールである。いくつかの実施形態において、ドライアイ疾患における酸化ストレスのアルデヒドマーカーは、マロンジアルデヒドである。
【0098】
いくつかの実施形態において、酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルの測定は、例えばアルデヒド捕捉剤による処置の前および後に、患者から得られた涙液の試料に対して行われる。
【0099】
いくつかの実施形態において、測定される酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルは、眼、特に患者の涙液または患者から得られた涙液試料中に存在する酸化ストレスのアルデヒドマーカーの付加物の形態である。いくつかの実施形態において、付加物は、核酸およびタンパク質などの眼内の生体分子と共に形成された安定な付加物を含む。いくつかの実施形態において、測定または検出された付加物は、マロンジアルデヒドと共に形成された付加物を含む。いくつかの実施形態において、測定または検出された付加物は、4-ヒドロキシノネナールと共に形成された付加物を含む。これらの付加物は、以下でさらに論じるように、当該技術分野で利用可能な様々な方法によって検出および測定することができる。
【0100】
いくつかの実施形態において、本方法は、アルデヒド捕捉剤による処置のためにドライアイ疾患を有する患者を同定または選択するために使用される。いくつかの実施形態において、アルデヒド捕捉剤は、レプロキサラップである。いくつかの実施形態において、眼科用製剤、投与量および投薬レジメン、ならびに本明細書に記載される様々な処置レジメンのいずれかが、患者の処置のために考慮される。
【0101】
いくつかの実施形態において、患者はレプロキサラップによる処置について選択または同定され、レプロキサラップは、0.1%~0.5w/v%の濃度で局所投与される。いくつかの実施形態において、患者はレプロキサラップによる処置について選択または同定され、レプロキサラップは、0.25w/v%の濃度で眼に局所投与される。いくつかの実施形態において、患者はレプロキサラップによる処置について選択または同定され、レプロキサラップは、0.1w/v%の濃度で眼に局所投与される。いくつかの実施形態において、患者はレプロキサラップによる処置について選択または同定され、レプロキサラップは、0.5w/v%の濃度で眼に局所投与される。
【0102】
いくつかの実施形態において、レプロキサラップは、薬剤的に許容され得る賦形剤との混合物として投与され、該賦形剤はシクロデキストリンである。いくつかの実施形態において、シクロデキストリンは、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンおよびヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、好ましくはスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンから選択される。本方法のいくつかの実施形態において、シクロデキストリンは、5%~20w/v%で存在する。いくつかの実施形態において、シクロデキストリンは、7%~11w/v%で存在する。
【0103】
いくつかの実施形態において、レプロキサラップは0.25w/v%の濃度であり、シクロデキストリンは7w/v%、好ましくはスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンで存在する。いくつかの実施形態において、レプロキサラップおよびシクロデキストリンは、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン3モルあたり約1モルのレプロキサラップ対スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンの比で製剤中に存在する。
【0104】
いくつかの実施形態において、レプロキサラップは0.25w/v%の濃度であり、シクロデキストリンは11w/v%、好ましくはスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンで存在する。いくつかの実施形態において、レプロキサラップおよびシクロデキストリンは、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン5モルあたり約1モルのレプロキサラップ対スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンの比で製剤中に存在する。
【0105】
処置のために患者を選択または同定するためのいくつかの実施形態において、酸化ストレスのアルデヒドマーカーはマロンジアルデヒド付加物の形態であり、ドライアイ疾患を有しない患者におけるマロンジアルデヒド付加物のレベルと比較して少なくとも約3.4倍またはそれを超える測定レベルのマロンジアルデヒド付加物は、患者の処置を示されるものである。
【0106】
本明細書のいくつかの実施形態において、酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルおよび/または酸化ストレスのアルデヒドマーカーによって形成される付加物のレベルは、任意の数の技術によって測定することができる。これらには、例として、質量分析(MS)、クロマトグラフィー(例えば、HPLC)、LC/MS、抗体試薬(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ-ELISA)が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、酸化ストレスのアルデヒドマーカーは、LC-MS、紫外線分析(UV)、HPLC、質量分析(MS)、モノクローナル抗体検出アッセイ、ガスクロマトグラフィー(GC)、GC/MS、GC/水素炎イオン化検出器(FID)、電流測定検出を伴うキャピラリー電気泳動(CE-AD)、液体クロマトグラフィー/蛍光検出、またはそれらの組み合わせによって検出される。これらおよび他の技術は、例えば、Houglumら、J Clin Invest.,1990;86(6):1991-1998;Ishiら、Chem.Res.Toxicol.2006,19(1):122-129;およびSoaresら、J Liquid Chrom.&Related Technol.,2004;27(15):2357-2369に記載されている。いくつかの実施形態において、アッセイは、下記の実施例2、実施例4または実施例5に実質的に記載される通りである。いくつかの実施形態において、酸化ストレスのアルデヒドマーカー(例えば、MDAおよび/またはHNE)のレベルおよび/または酸化ストレスのアルデヒドマーカーによって形成される付加物のレベルは、ドライアイ疾患などの眼炎症の処置レジメンのエンドポイントとして使用される。
4.点眼液
【0107】
上記の方法におけるレプロキサラップおよびその使用に関する様々な実施形態において、レプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩は、特に重篤なまたは忍容できない有害作用を引き起こすことなく、ドライアイ疾患を処置するのに適した濃度の点眼液として製剤化される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される点眼液のいずれかを方法に使用することができる。いくつかの実施形態において、点眼液は、約0.1%~0.5w/v%のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩、および薬剤的に許容され得る賦形剤を含む。いくつかの実施形態において、賦形剤は、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン(SBECD)またはヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンなどのシクロデキストリンを含む。
【0108】
いくつかの実施形態において、点眼液は、レプロキサラップとシクロデキストリン賦形剤を、モル:モル基準で1:2.1未満の比で含む。いくつかの実施形態において、レプロキサラップとシクロデキストリンの比は、モル:モル基準で、約1:2.1~約1:25の比である。いくつかの実施形態において、この比は、モル:モル基準で、約1:2.2~1:20、1:2.5~1:20、1:2.5~1:10、1:2.75~1:10、1:3~1:8、1:3.5~1:7、1:4~1:6、または1:4~1:5である。いくつかの実施形態において、この比は、モル:モル基準で、約1:2.1、1:2.2、1:2.3、1:2.4、1:2.5、1:2.6、1:2.7、1:2.8、1:2.9、1:3、1:3.1、1:3.2、1:3.3、1:3.4、1:3.5、1:3.6、1:3.7、1:3.8、1:3.9、1:4.0、1:4.1、1:4.2、1:4.3、1:4.4、1:4.5、1:4.6、1:4.7、1:4.8、1:4.9、1:5.0、1:5.1、1:5.2、1:5.3、1:5.4、1:5.5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:12、1:15、1:20、または1:25である。
【0109】
いくつかの実施形態において、シクロデキストリン賦形剤は、本明細書に記載されているもののうちの1つであり、例えばスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン(SBECD)である。SBECDの平均置換度は、約6.5である。
【0110】
いくつかの実施形態において、レプロキサラップと賦形剤の比は、モル:モル基準で、約1:2.1またはそれ未満である。
【0111】
いくつかの実施形態において、賦形剤は、シクロデキストリンであり、レプロキサラップと賦形剤の比は、モル:モル基準で、約1:2.1~約1:25である。
【0112】
いくつかの実施形態において、賦形剤は、シクロデキストリンであり、レプロキサラップと賦形剤の比は、モル:モル基準で、約1:2~約1:5である。
【0113】
いくつかの実施形態において、本発明は、レプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩、および薬剤的に許容され得る賦形剤を含む点眼液であって、レプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩の濃度が、約0.5w/v%またはそれ未満かつ約0.1w/v%またはそれを超える点眼液を提供する。いくつかの実施形態において、点眼液は、約0.15~約0.45w/v%のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩、および薬剤的に許容され得る賦形剤を含む。いくつかの実施形態において、点眼液は、約0.2~約0.4w/v%のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩、および薬剤的に許容され得る賦形剤を含む。いくつかの実施形態において、点眼液は、約0.21~約0.35w/v%のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩、および薬剤的に許容され得る賦形剤を含む。いくつかの実施形態において、点眼液は、約0.22~約0.3w/v%のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩、および薬剤的に許容され得る賦形剤を含む。いくつかの実施形態において、点眼液は、約0.22~約0.29w/v%のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩、および薬剤的に許容され得る賦形剤を含む。いくつかの実施形態において、前記点眼液は、約0.25w/v%のレプロキサラップ、およびシクロデキストリンから選択される薬剤的に許容され得る賦形剤を含む。いくつかの実施形態において、前記点眼液は、約0.5w/v%のレプロキサラップ、およびシクロデキストリンから選択される薬剤的に許容され得る賦形剤を含む。
【0114】
いくつかの実施形態において、本発明は、0.5w/v%未満のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩、および薬剤的に許容され得る賦形剤を含む点眼液を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、0.1w/v%以上のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩、および薬剤的に許容され得る賦形剤を含む点眼液を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、レプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩、および薬剤的に許容され得る賦形剤を含む点眼液であって、レプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩の濃度が、0.5w/v%未満かつ0.1w/v%またはそれを超える点眼液を提供する。
【0115】
いくつかの実施形態において、本発明の点眼液中のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩の濃度は、0.45w/v%未満かつ少なくとも0.1w/v%である。いくつかの実施形態において、本発明の点眼液中のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩の濃度は、0.4w/v%未満かつ少なくとも0.1w/v%である。いくつかの実施形態において、本発明の点眼液中のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩の濃度は、0.35w/v%未満かつ少なくとも0.1w/v%である。いくつかの実施形態において、本発明の点眼液中のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩の濃度は、0.3w/v%未満かつ少なくとも0.1w/v%である。いくつかの実施形態において、本発明の点眼液中のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩の濃度は、0.25w/v%未満かつ少なくとも0.1w/v%超である。いくつかの実施形態において、本発明の点眼液中のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩は、0.2w/v%未満かつ少なくとも0.1w/v%の濃度である。いくつかの実施形態において、本発明の点眼液中のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩は、0.15w/v%未満かつ少なくとも0.1w/v%の濃度である。
【0116】
いくつかの実施形態において、本発明の点眼液中のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩の濃度は、0.5w/v%またはそれ未満かつ少なくとも0.15w/v%である。いくつかの実施形態において、本発明の点眼液中のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩の濃度は、0.5w/v%またはそれ未満かつ少なくとも0.2w/v%である。いくつかの実施形態において、本発明の点眼液中のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩の濃度は、0.5w/v%またはそれ未満かつ少なくとも0.25w/v%である。いくつかの実施形態において、本発明の点眼液中のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩の濃度は、0.5w/v%またはそれ未満かつ少なくとも0.3w/v%である。いくつかの実施形態において、本発明の点眼液中のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩の濃度は、0.5w/v%またはそれ未満かつ少なくとも0.35w/v%である。いくつかの実施形態において、本発明の点眼液中のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩は、0.5w/v%またはそれ未満かつ少なくとも0.4w/v%の濃度である。いくつかの実施形態において、本発明の点眼液中のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩は、0.5w/v%またはそれ未満かつ少なくとも0.45w/v%の濃度である。
【0117】
いくつかの実施形態において、本発明の点眼液中のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩は、約0.1%~0.5%、0.15%~0.45w/v%、0.15%~0.4w/v%、0.15%~0.35w/v%、0.15%~0.3w/v%、0.15%~0.25w/v%または0.15%~0.2w/v%の濃度である。いくつかの実施形態において、本発明の点眼液中のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩は、0.2%~0.45w/v%、0.2%~0.4w/v%、0.2%~0.35w/v%、0.2%~0.3w/v%または0.2%~0.25w/v%の濃度である。いくつかの実施形態において、本発明の点眼液中のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩は、0.25%~0.45w/v%、0.25%~0.4w/v%、0.25%~0.35w/v%または0.25%~0.3w/v%の濃度である。いくつかの実施形態において、本発明の点眼液中のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩は、0.3%~0.45w/v%または0.3%~0.4w/v%の濃度である。
【0118】
いくつかの実施形態において、本発明の点眼液中のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩は、約0.1w/v%、0.15w/v%、約0.2w/v%、約0.25%、約0.3w/v%、約0.35w/v%、約0.4w/v%、約0.45w/v%または約0.5w/v%の濃度である。
【0119】
いくつかの実施形態において、本明細書においてさらに説明されているように、前述の濃度のレプロキサラップを選択し、開始段階、増悪段階、および/または維持段階を含む処置レジメンに適用してもよい。
【0120】
いくつかの実施形態において、本発明の点眼液中の薬剤的に許容され得る賦形剤は、シクロデキストリンである。いくつかの実施形態において、シクロデキストリンは、α-シクロデキストリン、β-またはγ-シクロデキストリンである。いくつかの実施形態において、シクロデキストリンは、シクロデキストリンの薬剤的に許容され得る誘導体であり、シクロデキストリンの薬剤的に許容され得る誘導体としては、それらに限定されないが、α-、β-、およびγ-シクロデキストリンのヒドロキシアルキル誘導体(特に、β-シクロデキストリンおよびγ-シクロデキストリンのヒドロキシエチルおよびヒドロキシプロピル誘導体)、ランダムにメチル化されたβ-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-γ-シクロデキストリン、および、いわゆる分岐β-およびγ-シクロデキストリン誘導体(例えば、グルコシル-β-シクロデキストリンおよびグルコシル-γ-シクロデキストリン)があげられる。天然のシクロデキストリンは、単独で用いてもよく、2つまたはそれを超えるシクロデキストリンの混合物(非限定的な例として、γ-シクロデキストリンと、より水溶性が高いヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリンの混合物、γ-シクロデキストリンとスルホブチルエーテル-γ-シクロデキストリンの混合物、β-シクロデキストリンとヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンの混合物、またはβ-シクロデキストリンとスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンの混合物)として用いてもよい。
【0121】
いくつかの実施形態において、本発明の点眼液中のシクロデキストリンの濃度は、0~20w/v%である。いくつかの実施形態において、本発明の点眼液中のシクロデキストリンの濃度は、1~18w/v%、1~16w/v%、1~14w/v%、2~12w/v%、4~10w/v%、5~9w/v%、または6~8w/v%である。いくつかの実施形態において、本発明の点眼液中のシクロデキストリンの濃度は、7%~11w/v%である。いくつかの実施形態において、本発明の点眼液中のシクロデキストリンの濃度は、約1w/v%、2w/v%、3w/v%、4w/v%、5w/v%、6w/v%、7w/v%、8w/v%、9w/v%、10w/v%、11w/v%、12w/v%、13w/v%、14w/v%、15w/v%、16w/v%、17w/v%、18w/v%、19w/v%、または20w/v%である。
【0122】
いくつかの実施形態において、本発明の点眼液中の薬剤的に許容され得る賦形剤は、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンであり、特に、濃度が上に規定された濃度または濃度範囲のいずれか、たとえば約7w/v%である。いくつかの実施形態において、本発明の点眼液中の薬剤的に許容され得る賦形剤は、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンであり、特に、濃度が上に規定された濃度または上に規定された濃度範囲のいずれか、たとえば約7w/v%である。
【0123】
いくつかの実施形態において、点眼液は、約0.2%~0.4w/v%のレプロキサラップ、および約7%~25w/v%のシクロデキストリン賦形剤(例えば、SBECD)を含む。いくつかの実施形態において、点眼液は、約0.2%、0.25%、0.3%、0.35%、または0.4w/v%のレプロキサラップ、および7%~25w/v%のシクロデキストリン賦形剤(例えば、SBECD)を含む。
【0124】
いくつかの実施形態において、点眼液は、約0.25w/v%のレプロキサラップ、および約4.7%~約25w/v%のシクロデキストリン賦形剤(例えば、SBECD)を含む。
【0125】
いくつかの実施形態において、点眼液は、約0.25w/v%のレプロキサラップ、および約7%~25w/v%のシクロデキストリン賦形剤(例えば、SBECD)を含む。
【0126】
いくつかの実施形態において、点眼液は、約0.25w/v%のレプロキサラップ、および約4.75%~約11w/v%のシクロデキストリン賦形剤(例えば、SBECD)を含む。
【0127】
いくつかの実施形態において、点眼液は、約0.5w/v%のレプロキサラップ、および約9.5%~約11w/v%のシクロデキストリン賦形剤(例えば、SBECD)を含む。いくつかの実施形態において、SBECDに対するレプロキサラップの比は、SBECD2モルあたりレプロキサラップ約1モルである。
【0128】
いくつかの実施形態において、点眼液は、約0.25w/v%のレプロキサラップ、および約7w/v%のシクロデキストリン賦形剤(例えば、SBECD)を含む。いくつかの実施形態において、SBECDに対するレプロキサラップの比は、SBECD3モルあたりレプロキサラップ約1モルである。
【0129】
いくつかの実施形態において、点眼液は、約0.25w/v%のレプロキサラップ、および約11w/v%のシクロデキストリン賦形剤(例えば、SBECD)を含む。いくつかの実施形態において、SBECDに対するレプロキサラップの比は、SBECD5モルあたりレプロキサラップ約1モルである。
【0130】
いくつかの実施形態において、本発明の点眼液は、薬剤的に許容され得る緩衝剤を含む。いくつかの実施形態において、薬剤的に許容され得る緩衝剤は、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス緩衝液、ヒスチジン緩衝液、または酢酸緩衝液である。
【0131】
いくつかの実施形態において、薬剤的に許容され得る緩衝剤は、第二リン酸ナトリウムである。いくつかの実施形態において、薬剤的に許容され得る緩衝剤は、第一リン酸ナトリウムである。いくつかの実施形態において、薬剤的に許容され得る緩衝剤は、第二リン酸ナトリウムと第一リン酸ナトリウムの混合物である。いくつかの実施形態において、本発明の点眼液は、約0.083w/v%の第二リン酸ナトリウムと、約0.017w/v%の第一リン酸ナトリウムを含む。
【0132】
いくつかの実施形態において、本発明の点眼液は、ほぼ中性のpHである。いくつかの実施形態において、本発明の点眼液のpHは、6.5~8である。いくつかの実施形態において、本発明の点眼液のpHは、6.9~7.7である。いくつかの実施形態において、本発明の点眼液のpHは、7.1~7.5である。いくつかの実施形態において、本発明の点眼液のpHは、約7.3である。いくつかの実施形態において、本発明の点眼液のpHは、7.3±0.01である。
【0133】
pHを調整するために、薬剤的に許容され得る酸および/または塩基を点眼液に用いてもよい。いくつかの実施形態において、本発明の点眼液は、薬剤的に許容され得る酸を含む。いくつかの実施形態において、本発明の点眼液は、薬剤的に許容され得る塩基を含む。いくつかの実施形態において、本発明の点眼液は、薬剤的に許容され得る酸および塩基を含む。いくつかの実施形態において、薬剤的に許容され得る酸は、塩酸である。いくつかの実施形態において、薬剤的に許容され得る塩基は、水酸化ナトリウムである。
【0134】
いくつかの実施形態において、本発明の点眼液は、等張化剤を含む。いくつかの実施形態において、等張化剤は、デキストロース、塩化カリウム、プロピレングリコール、および塩化ナトリウムからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、本発明の点眼液は、約0.5w/v%未満の濃度で、等張化剤を含む。いくつかの実施形態において、本発明の点眼液は、約0.45%、0.4%、0.35%、0.3%、0.25%、0.2%、0.15%、または0.1w/v%の濃度で、等張化剤を含む。いくつかの実施形態において、等張化剤は、塩化ナトリウムである。
【0135】
いくつかの実施形態において、点眼液は、規定された濃度で、レプロキサラップ、シクロデキストリン、リン酸、および塩化ナトリウムを含む。いくつかの実施形態において。いくつかの実施形態において、点眼液は、本明細書において規定された濃度(例えば、0.1w/v%、0.25w/v%、0.5w/v%など)のレプロキサラップ、5~9w/v%のシクロデキストリン(例えば、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンまたはヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン);0.07%~0.09w/v%の第二リン酸ナトリウム、0.015%~0.19w/v%の第一リン酸ナトリウム、および0.2~0.3w/v%の塩化ナトリウムを含む。いくつかの実施形態において、点眼液は、本明細書において規定されている濃度(例えば、0.1w/v%、0.25w/v%、0.5w/v%など)のレプロキサラップ、約7w/v%のシクロデキストリン(例えば、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンまたはヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン);0.07%~0.09w/v%の第二リン酸ナトリウム、0.015%~0.019w/v%の第一リン酸ナトリウム、および0.2~0.3w/v%の塩化ナトリウムを含む。いくつかの実施形態において、点眼液は、水酸化ナトリウムまたはHClで、適切なpHに調整される。
【0136】
いくつかの実施形態において、点眼液は、以下の成分を含む(0.5%レプロキサラップ点眼液A):
【表A】
【0137】
いくつかの実施形態において、点眼液は、以下の成分を含む(0.5%レプロキサラップ点眼液B):
【表B】
【0138】
いくつかの実施形態において、点眼液は、以下の成分を含む(0.25%レプロキサラップ点眼液A):
【表C】
【0139】
いくつかの実施形態において、点眼液は、以下の成分を含む(0.25%レプロキサラップ点眼液B):
【表D】
【0140】
いくつかの実施形態において、点眼液は、以下の(0.1%レプロキサラップ点眼液A)を含む。
【表E】
【0141】
本明細書で示されたガイダンスを考慮すれば、本開示の範囲内で、種々の点眼液の調製が可能であることを理解すべきである。
5.投与および投与量
【0142】
1つの態様において、本発明は、処置を必要とする対象の眼に、治療有効量の本発明の点眼液を局所投与することを含む、対象においてドライアイ疾患を処置するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、本方法において用いられる点眼液中のレプロキサラップの濃度は、上述した通りである。
【0143】
いくつかの実施形態において、本発明の点眼液は、ドライアイ疾患を効果的に(例えば、重篤な、または許容できない有害作用を引き起こすことなく)処置するために適切な様々な頻度で投与することができる。
【0144】
いくつかの実施形態において、本発明の点眼液は、1日1~6回局所投与することができる。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、本発明の点眼液を1日6回局所投与することを含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、本発明の点眼液を1日5回局所投与することを含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、本発明の点眼液を1日4回(QID)局所投与することを含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、本発明の点眼液を1日3回(TID)局所投与することを含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、本発明の点眼液を1日2回(BID)局所投与することを含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、本発明の点眼液を1日1回(QD)局所投与することを含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、本発明の点眼液を必要に応じて(PRN)局所投与することを含む。
【0145】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、ドライアイ疾患に罹患している対象の眼に、治療有効量の本発明の点眼液を、1日6回、1日5回、1日4回(QID)、1日3回(TID)、1日2回(BID)、1日1回(QD)局所投与し、続いて必要に応じて(PRN)投与することを含む。
【0146】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、種々の強度で(例えば、本明細書に記載されているように、異なるレプロキサラップ濃度、および異なる投与頻度で)、本発明の点眼液を局所投与することを含む。
【0147】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、約0.25w/v%のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩を含む点眼液を、1日4回、1日3回、または1日2回局所投与することを含む。
【0148】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、約0.30w/v%のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩を含む点眼液を、1日4回、1日3回、または1日2回局所投与することを含む。
【0149】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、約0.35w/v%のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩を含む点眼液を、1日4回、1日3回、または1日2回局所投与することを含む。
【0150】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、約0.4w/v%のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩を含む点眼液を、1日4回、1日3回、または1日2回局所投与することを含む。
【0151】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、約0.45w/v%のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩を含む点眼液を、1日4回、1日3回、または1日2回局所投与することを含む。
【0152】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、約0.5w/v%のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩を含む点眼液を、1日4回、1日3回、または1日2回局所投与することを含む。
【0153】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、0.3%~0.4w/v%のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩を含む点眼液を、1日4回、1日3回、または1日2回局所投与することを含む。
【0154】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、0.2%~0.3w/v%のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩を含む点眼液を、1日4回、1日3回、または1日2回局所投与することを含む。
【0155】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、0.2%~0.4w/v%のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩を含む点眼液を、1日4回、1日3回、または1日2回局所投与することを含む。
【0156】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、2つまたはそれを超える段階を含み、本発明の点眼液は、異なる段階において、異なる強度で局所投与される。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、開始段階および維持段階を含み、点眼液は、開始段階において、維持段階よりも高い強度で局所投与される。いくつかの実施形態において、本発明の方法の処置サイクルは、増悪段階(この段階の間に徴候および/または症状が悪化する)を含む、多数の段階を含む。
【0157】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、2つまたはそれを超える段階を含み、本発明の点眼液は、異なる段階において、異なる強度で局所投与される。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、開始段階を含み、点眼液は、開始段階において高い強度で局所投与され、維持段階において低い強度で局所投与され、疾患の徴候および/または症状が増悪している間は高い強度で局所投与される。
【0158】
いくつかの実施形態において、開始段階において投与される点眼液は、維持段階において投与される点眼液よりも高濃度のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩を含む。いくつかの実施形態において、開始段階または増悪段階において投与される点眼液、および維持段階において投与される点眼液は、約0.5w/v%、0.45w/v%、0.4w/v%、0.35w/v%、0.3w/v%、0.25w/v%、0.2w/v%、0.15w/v%、および0.1w/v%からなる群から選択される濃度で、レプロキサラップまたは薬剤的に許容され得る塩を含む。
【0159】
いくつかの実施形態において、開始段階または増悪段階において、レプロキサラップが約0.5w/v%の点眼液が投与され、維持段階において、レプロキサラップが0.5w/v%未満の点眼液が投与される。いくつかの実施形態において、維持段階において、レプロキサラップが約0.4w/v%、0.35w/v%、0.3w/v%、0.25w/v%、0.2w/v%、0.15w/v%、または0.1w/v%の点眼液が投与される。
【0160】
いくつかの実施形態において、開始段階または増悪段階において、レプロキサラップが約0.5w/v%~約0.4w/v%の点眼液が投与され、維持段階において、レプロキサラップが0.4w/v%未満の点眼液が投与される。いくつかの実施形態において、維持段階において、レプロキサラップが約0.35w/v%、0.3w/v%、0.25w/v%、0.2w/v%、0.15w/v%、または0.1w/v%の点眼液が投与される。
【0161】
いくつかの実施形態において、開始段階または増悪段階において、レプロキサラップが約0.5w/v%~約0.3w/v%の点眼液が投与され、維持段階において、レプロキサラップが0.3w/v%未満の点眼液が投与される。いくつかの実施形態において、維持段階において、レプロキサラップが約0.25w/v%、0.2w/v%、0.15w/v%、または0.1w/v%の点眼液が投与される。
【0162】
いくつかの実施形態において、開始段階または増悪段階において、レプロキサラップが約0.4w/v%~約0.3w/v%の点眼液が投与され、維持段階において、レプロキサラップが0.3w/v%未満の点眼液が投与される。いくつかの実施形態において、維持段階において、レプロキサラップが約0.25w/v%、0.2w/v%、0.15w/v%、または0.1w/v%の点眼液が投与される。
【0163】
いくつかの実施形態において、開始段階または増悪段階において、レプロキサラップが約0.3w/v%~約0.2w/v%(例えば、0.3w/v%、0.25w/v%、または0.2w/v%)の点眼液が投与され、維持段階において、レプロキサラップが0.25w/v%またはそれ未満の点眼液が投与される。いくつかの実施形態において、維持段階において、レプロキサラップが約0.25w/v%、0.2w/v%、0.15w/v%、または0.1w/v%の点眼液が投与される。
【0164】
いくつかの実施形態において、本発明の点眼液は、1日あたり、開始段階および増悪段階において、維持段階よりも高い頻度で局所投与される。いくつかの実施形態において、本発明の点眼液は、開始段階において、1日5回局所投与され、続いて、維持段階において、1日4回、3回、2回、または1回局所投与される。いくつかの実施形態において、本発明の点眼液は、開始段階または増悪段階において、1日4回局所投与され、続いて、維持段階において、1日3回、2回、または1回局所投与される。いくつかの実施形態において、本発明の点眼液は、開始段階または増悪段階において、1日3回局所投与され、続いて、維持段階において、1日2回または1回局所投与される。いくつかの実施形態において、本発明の点眼液は、開始段階または増悪段階において、1日2回局所投与され、続いて、維持段階において、1日1回局所投与される。
【0165】
いくつかの実施形態において、開始段階または増悪段階において投与される点眼液は、維持段階において投与される点眼液よりも、高いレプロキサラップ濃度および高い頻度で投与される。
【0166】
いくつかの実施形態において、本発明は、対象においてドライアイ疾患を処置するための方法であって、約0.4w/v%のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩、および薬剤的に許容され得る賦形剤を含む点眼液を前記対象に局所投与することを含み、前記点眼液が、開始段階または増悪段階において、より高い強度で投与され、続いて、維持段階において、より低い強度で投与される方法を提供する(開始段階、増悪段階、および維持段階は、それぞれ本明細書において説明されている通りである)。
【0167】
いくつかの実施形態において、多フェーズ処置サイクルは、約0.5%、0.4%、または0.35w/v%(例えば、0.5%~0.35w/v%)のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩を含む点眼液を用いる最大12週間の開始段階または増悪段階、最大12週間であり、および、それに続く維持段階を含み得る。いくつかの実施形態において、約0.5%、0.4%、または0.35w/v%(例えば、0.5%~0.35w/v%)のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩を含む点眼液は、開始段階または増悪段階において、1日4回投与され、続いて、維持段階において、1日3回、2回、または1回投与される。いくつかの実施形態において、約0.5%、0.4%、または0.35w/v%(例えば、0.5%~0.35w/v%)のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩を含む点眼液は、開始段階または増悪段階において、1日3回投与され、続いて、維持段階において、1日2回または1回投与される。
【0168】
いくつかの実施形態において、約0.4%、0.35%、または0.3w/v%(例えば、0.4%~0.3w/v%)のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩を含む点眼液は、開始段階または増悪段階において、1日4回投与され、続いて、維持段階において、1日3回、2回、または1回投与される。いくつかの実施形態において、約0.4%、0.35%、または0.3w/v%(例えば、0.4%~0.3w/v%)のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩を含む点眼液は、開始段階または増悪段階において、1日3回投与され、続いて、維持段階において、1日2回または1回投与される。
【0169】
いくつかの実施形態において、約0.3%、0.25%、または0.2w/v%(例えば、0.3%~0.2w/v%)のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩を含む点眼液は、開始段階または増悪段階において、1日4回投与され、続いて、維持段階において、1日3回、2回、または1回投与される。いくつかの実施形態において、約0.3%、0.25%、または0.2w/v%(例えば、0.3%~0.2w/v%)のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩を含む点眼液は、開始段階または増悪段階において、1日3回投与され、続いて、維持段階において、1日2回または1回投与される。
【0170】
いくつかの実施形態において、本発明は、対象においてドライアイ疾患を処置するための方法であって、0.35%~0.45w/v%のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩、および薬剤的に許容され得る賦形剤を含む点眼液を前記対象に局所投与することを含み、前記点眼液が、開始段階または増悪段階において、より高い強度で投与され、続いて、維持段階において、より低い強度で投与される方法を提供する(開始段階、増悪段階、および維持段階は、それぞれ本明細書において説明されている通りである)。いくつかの実施形態において、0.35%~0.45w/v%のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩を含む点眼液の多フェーズ処置サイクルは、最大12週間である。いくつかの実施形態において、0.35%~0.45w/v%のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩を含む点眼液は、開始段階または増悪段階において、1日4回投与され、続いて、維持段階において、1日3回、2回、または1回投与される。いくつかの実施形態において、0.35%~0.45w/v%のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩を含む点眼液は、開始段階または増悪段階において、1日3回投与され、続いて、維持段階において、1日2回または1回投与される。
【0171】
いくつかの実施形態において、点眼液は、QID(1日4回)で、約10~14週間、好ましくは約12週間投与される。いくつかの実施形態において、点眼液は、QID(1日4回)で、約2~6週間、好ましくは約4週間投与され、続いて、BID(1日2回)で、約6~10週間、好ましくは約8週間投与される。いくつかの実施形態において、前述の処置レジメンのための点眼液は、レプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩が0.25w/v%、およびSBECDが約7w/v%である。
【0172】
いくつかの実施形態において、点眼液は、QID(1日4回)で、約2~6週間、好ましくは約4週間投与され、続いて、BID(1日2回)で、約6~10週間、好ましくは約8週間投与される。いくつかの実施形態において、前述の処置レジメンのための点眼液は、レプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩が0.25w/v%、およびSBECDが約11w/v%である。
【0173】
いくつかの実施形態において、本発明はドライアイ疾患に罹患しているある特定の対象を処置するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、ドライアイ疾患に罹患している対象は、18歳以上である。いくつかの実施形態において、ドライアイ疾患に罹患している対象は、本発明の処置を受ける前に、少なくとも6か月のドライアイの病歴を有する。いくつかの実施形態において、ドライアイ疾患に罹患している対象は、本発明の処置を受ける前6か月以内に、ドライアイ症状のための点眼剤の使用歴があるか、または使用希望歴がある。
【0174】
いくつかの実施形態において、本発明は、ドライアイ疾患(特に中程度~重度のドライアイ疾患)に罹患している対象を処置するための方法であって、本発明の処置を受ける前に、少なくとも片方の眼について、下記の基準のうち1つまたはそれを超える基準を満たす対象を同定すること(例えば、処置を受ける約1および/または2週間前に行われるスクリーニング)を含む方法を提供する:
シルマー試験スコアが、10mmまたはそれ未満かつ1mmまたはそれを超える
涙液層破壊時間(TFBUT(Copr.))が、5秒またはそれ未満;
少なくとも1つの領域(例えば、下側、上側、または中央部)において、角膜のフルオレセイン染色スコアが、2またはそれを超える;
角膜合計のフルオレセイン染色スコアが、下側、上側、および中央領域の合計で、4またはそれを超える;および
リサミングリーン結膜合計スコアが、側頭側および鼻側領域の合計で、2またはそれを超える。
【0175】
いくつかの実施形態において、ドライアイ疾患に罹患している対象は、妊娠中、授乳中、または妊娠計画中の女性ではない。いくつかの実施形態において、ドライアイ疾患に罹患している対象は、過去にレプロキサラップ点眼液を使用したことがない。
【0176】
いくつかの実施形態において、本発明はドライアイ疾患に罹患している対象を処置するための方法であって、本発明の処置を受ける前に、少なくとも片方の眼について、下記の状態のうち1つまたはそれを超える状態を有する対象を除外するためのスクリーニングを含む:
臨床的に重要な何らかの細隙灯所見(活動性眼瞼炎、マイボーム腺機能不全(MGD)、眼瞼縁の炎症、または治療的処置を必要とし得る活動性の眼のアレルギーが含まれ得る)を有する;
進行中の眼感染症(細菌性、ウイルス性、または真菌性)、または活動性の眼炎症を有する;
以前、この12か月以内に、レーザー角膜切削形成術(LASIK(レーシック))の手術を受けた;
試験期間の間に何らかの眼科および/または眼瞼手術が予定されている、または、6か月以内に何らかの眼科手術を受けた;および
本発明の点眼液またはその成分に対して、アレルギーおよび/または感受性があることが分かっている。
【0177】
本明細書に記載されているように、本発明の点眼液は、ドライアイ疾患に罹患している対象において、早発性の効果を達成し得る。本明細書で用いられる場合、「早発性効果」とは、ドライアイ疾患の症状の改善において、早期から有効であること(例えば、開始または増悪段階において、処置の開始から1~2週間以内)を意味する。いくつかの実施形態において、「早発性効果」は、開始または増悪段階において、同じ投与量および投与頻度についてである。よって、いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の点眼液を対象に局所投与することを含む、ドライアイ疾患に罹患している前記対象を処置するための方法であって、点眼液が、早発性プロファイルを達成し得る用量強度で投与される方法を提供する。いくつかの実施形態において、早発性プロファイルは、症状(例えば、乾燥、掻痒感、流涙、灼熱感、刺痛、異物感、霧視、環境に対する感受性、糸状の目やにを含む眼部不快感)に対する早発性の効果を含む。いくつかの実施形態において、早発性プロファイルは、徴候(例えば、眼生体染色、涙液層破壊時間、涙液浸透圧、涙量)に対する早発性の効果を含む。
【0178】
いくつかの実施形態において、早発性の効果を達成し得る用量強度は、レプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩を含む点眼液を、本明細書に記載されている濃度で局所投与することを含む。いくつかの実施形態において、早発性の効果を達成し得る用量強度は、レプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩を含む点眼液を、本明細書に記載されている頻度で局所投与することを含む。いくつかの実施形態において、早発性の効果を達成し得る用量強度は、レプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩を含む点眼液を、本明細書に記載されている濃度および頻度で局所投与することを含む。
【0179】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、約2週間での効果の発現を達成し得る。異なる用量強度(例えば、異なる濃度および投与頻度)において、本発明の方法は、約2週間未満での効果発現を達成し得る。例えば、いくつかの実施形態において、本発明の方法は、約14、13、12、11、10、9、または8日での効果発現を達成し得る。ある特定の用量強度において、本発明の方法は、約1週間またはそれ未満での効果発現を達成し得る。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、約7、6、5、4、3、2、または1日での効果発現を達成し得る。いくつかの実施形態において、早期発症は、酸化ストレスのアルデヒドマーカーの低下、例えば対照レベルと比較して酸化ストレスのアルデヒドマーカーのレベルの約15%~30%の低下を伴う。いくつかの実施形態において、この低下は約20%である。
【0180】
いくつかの実施形態において、本発明は、約0.5w/v%のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩、および薬剤的に許容され得る賦形剤を含む点眼液を対象に局所投与することを含む、前記対象においてドライアイ疾患を処置するための方法であって、前記点眼液が、1日3回、2回、または1回投与される方法を提供する。いくつかの実施形態において、約0.5w/v%のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩を含む点眼液は、1日3回投与される。いくつかの実施形態において、約0.5w/v%のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩を含む点眼液は、1日2回投与される。いくつかの実施形態において、約0.5w/v%のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩を含む点眼液は、1日1回投与される。
【0181】
いくつかの実施形態において、本発明は、約0.5w/v%のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩、および薬剤的に許容され得る賦形剤を含む点眼液を対象に局所投与することを含む、前記対象においてドライアイ疾患を処置するための方法であって、前記点眼液が、開始段階または増悪段階において、より高い強度で投与され、続いて、維持段階において、より低い強度で投与される方法を提供する(開始段階、増悪段階、および維持段階は、それぞれ本明細書において説明されている通りである)。いくつかの実施形態において、約0.5w/v%のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩を含む点眼液は、開始段階または増悪段階において、1日4回投与され、続いて、維持段階において、1日3回、2回、または1回投与される。いくつかの実施形態において、約0.5w/v%のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩を含む点眼液は、開始段階または増悪段階において、1日3回投与され、続いて、維持段階において、1日2回または1回投与される。いくつかの実施形態において、約0.5w/v%のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩を含む点眼液は、開始段階において、1日2回投与され、続いて、維持段階において、1日1回投与される。いくつかの実施形態において、開始段階または増悪段階において、約0.5w/v%のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩を含む点眼液が局所投与され、続いて、維持段階において、約0.5w/v%未満のレプロキサラップまたは薬剤的に許容され得るその塩を含む点眼液が局所投与され、各点眼液の投与頻度は、上述した頻度から選択される。
【0182】
別の態様において、本開示は、眼炎症、または眼炎症を引き起こす疾患、または対象の眼において上昇したRASPレベルを生じる上記の他の症状を処置するのに使用するためのキットまたは患者用パックを提供する。そのようなキットは、本明細書に記載されるレプロキサラップを含む眼科用製剤を含む容器と、本明細書に記載される対象の涙液中の眼炎症の1つまたはそれを超えるアルデヒドマーカーのレベルを試験するためのアッセイキットと、必要に応じて、該アッセイを使用して対象の涙液中の眼炎症の1つまたはそれを超えるアルデヒドマーカーのレベルを試験するための説明書とを含む。
【0183】
製剤は、典型的には無菌条件下で、フラスコ、ボトル、ガラスまたはプラスチック単位用量容器、例えば点眼器がその蓋、スティックパック、チューブ、アンプルなどに組み込まれたボトルなどの任意の適切な装置または容器に包装され得る。より一般的には、本発明の医薬製剤は、単一のパッケージで別個の処置期間中に使用するための、いくつかの投薬単位または計量単位用量の投与のための他の手段を含む「患者用パック」で患者に処方される。添付文書に含めることで、医師の指示に対する患者コンプライアンスを改善することが示されている。患者用パックは、本明細書に開示されるような適切な量の眼科用液体製剤を含有する少なくとも1つの容器を包含する。
【0184】
あるいは、それらはボトルとしてより大きな容器で供給することができ、本発明はまた、本明細書に開示される任意の液体製剤を含むボトル、キャップおよび/または点眼器もしくは滴下キャップシステム、および必要に応じて説明書を含むパーツの医薬キットに関する。
【0185】
ボトルは、ポリマー、金属およびガラスなどを含む貯蔵および使用要件に好都合な任意の材料で作製され得る。ボトル材料は、本明細書に開示される液体製剤の成分と干渉しないことが重要である。一実施形態において、それはプラスチック製である。
【実施例】
【0186】
以下の実施例は、本発明を例証することを意図するものであり、本発明をそれらに限定するものとして解釈するべきではない。レプロキサラップは、過去に、例えば、WO2006/127945(その内容全体は、参照により本明細書に援用される)において報告されているように合成することができる。
略語
CAE:管理された有害環境(controlled adverse environment)
GMP:医薬品の製造および品質管理に関する基準(Good Manufacturing Practice)
ICH:医薬品規制ハーモナイゼーション国際会議(International Council for Harmonization of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use)
OD:右眼
OS:左眼
OU:両眼
PRN:必要に応じて
QD:1日1回
QID:1日4回
QS:十分量
実施例1.ドライアイ疾患に罹患している対象における、ビヒクルと比較した、レプロキサラップ点眼液(0.25%および0.1%)の安全性および有効性を評価するための多施設共同無作為二重盲検平行群比較ビヒクル対照第2b相臨床試験
【0187】
目的:
・ドライアイ疾患の徴候および症状エンドポイントに関する、ベースラインから2週、4週、8週、および12週までの変化スコアに基づいて、レプロキサラップ点眼液(0.25%および0.1%)の有効性を評価すること。
・第3相試験におけるエンドポイントの選択および試料サイズを確証するために、ドライアイ疾患の徴候および症状の処置における、ビヒクルに対する、レプロキサラップ点眼液(0.25%および0.1%)の有効性エンドポイントについての効果サイズを評価すること。
・ドライアイ疾患の徴候および症状の処置における、ビヒクルに対する、レプロキサラップ点眼液(0.25%および0.1%)の安全性および忍容性を評価すること。
【0188】
治験薬
1)レプロキサラップ点眼液(0.25%)
2)レプロキサラップ点眼液(0.1%)
3)ビヒクル点眼液
【0189】
第2b相試験において、レプロキサラップは、本明細書に記載されているように、点眼液として製剤化した。
【0190】
期間:対象の参加期間は、およそ14週間(98日間)と見積もられた。
【0191】
剤形/投薬レジメン/滴下/適用/用途:スクリーニング:来院1と2の間、すべての対象は、連続14日間(±2)、導入(ビヒクル)点眼液を、両眼に、QID(1日4回)で、自分で投与した。
【0192】
処置:12週間(84±3日)の処置期間の間、濃度0.1%、0.25%のレプロキサラップ点眼液、またはビヒクル点眼液を、両眼局所投薬によって、QID(1日4回)で投与した。対象は、3つの処置群の1つに無作為化(1:1:1)され、来院2において、ポストCAE(登録商標)アセスメントの後、試験薬を投与された。
【0193】
来院スケジュールの概要:およそ14週間のコースで6回の来院
・来院1=-14±2日、CAE(登録商標)スクリーニング
・来院2=1日、CAE(登録商標)確認/ベースライン
・来院3=15±2日、2週間フォローアップ
・来院4=29±2日、4週間フォローアップ
・来院5=57±3日、8週間フォローアップ
・来院6=85±3日、12週間CAE(登録商標)フォローアップおよび試験離脱
【0194】
状態/疾患:ドライアイ疾患(DED)
【0195】
選択基準:処置のための対象は、以下の基準に基づくものであった:
1 年齢が少なくとも18歳に達しており、性は両方、人種は問わない;
2 書面によるインフォームドコンセントに同意し、医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律(HIPAA)の様式に署名する;
3 来院1の前、少なくとも6か月間のドライアイ歴の申告があった;
4 来院1から6か月以内に、ドライアイ症状のための点眼剤の使用歴があるか、または使用希望歴があった;
5 来院1および来院2のプレCAE(登録商標)において、少なくとも1つの症状について、Ora Calibra(登録商標)眼部不快感および4症状質問事項による2またはそれ超のスコアの申告があった;
6 来院1および来院2において、シルマー試験スコアが10mmまたはそれ未満かつ1mmまたはそれ超であった;
7 来院1および来院2のプレCAE(登録商標)において、涙液層破壊時間(TFBUT(Copr.))が5秒またはそれ未満であった;
8 来院1および来院2のプレCAE(登録商標)において、少なくとも1つの領域(例えば、下側、上側、または中央部)において、角膜のフルオレセイン染色スコアが2またはそれ超であった;
9 来院1および来院2のプレCAE(登録商標)において、下側、上側、および中央領域の合計に基づいて、角膜合計のフルオレセイン染色スコアが4またはそれ超である;
10 来院1および来院2のプレCAE(登録商標)において、側頭側および鼻側領域の合計に基づいて、リサミングリーン結膜合計スコアが2またはそれ超であった;
11 来院1および2において、CAE(登録商標)に対して、下記に示すような反応を示した:
A.CAE(登録商標)曝露後、少なくとも片方の眼の下側領域中に、フルオレセイン染色において、少なくとも1ポイントまたはそれ超の上昇がある;
B.CAE(登録商標)曝露の間に、少なくとも片方の眼について、連続した2つまたはそれを超える時点において、眼部不快感スコアが3またはそれ超であると申告がある(対象が、いずれかの眼について、時点=0において、3と評価される眼部不快感を有していた場合、その対象は、その眼についての2回の連続した測定において4と評価される眼部不快感を申告するに違いない)。注:対象は、時点=0において、眼部不快感スコアが4ではあり得ない)
12 少なくとも片方の眼(同じ眼)が、上記基準6、7、8、9、10、および11をすべて満たしていた。
【0196】
除外基準:対象は、以下の基準に基づいて除外された:
1 来院1において、臨床的に重要な何らかの細隙灯所見(活動性眼瞼炎、マイボーム腺機能不全(MGD)、眼瞼縁の炎症、または治療的処置を必要とする活動性の眼のアレルギーが含まれ得る)を有していた、および/または、治験担当医師の意見として、試験パラメーターに抵触した恐れがあった;
2 来院1において、進行中の眼感染症(細菌性、ウイルス性、または真菌性)、または活動性の眼炎症と診断された;
3 来院1の7日以内にコンタクトレンズを装用した、または試験期間にコンタクトレンズの使用が予期される;
4 来院1の2時間以内に、何らかの点眼剤を使用した;
5 この12か月以内に、レーザー角膜切削形成術(LASIK(レーシック))の手術を受けた;
6 来院1の90日以内に、0.05%シクロスポリン点眼液または5.0%リフィテグラスト点眼液を使用した;
7 試験期間の間に何らかの眼科および/または眼瞼手術が予定されている、または来院1の6か月以内に何らかの眼科手術を受けた;
8 一時的な涙点プラグ(来院1の30日以内の間持続したものではない)を使用している、または試験期間に使用が予期される;
9 現在何らかの局所眼科処方薬(緑内障のための医薬が含まれる)、または市販の(OTC)点眼液、人工涙液、ゲル、もしくはスクラブの投与を受けており、かつ、臨床試験の期間、これらの医薬を中断することができない(試験で許容され得る医薬を除く);
10 来院1において、両眼について、矯正視力が、ETDRS(Early Treatment of Diabetic Retinopathy Study)スケールで評価して、最小視角の対数(logMAR)で+0.7以上であった;
11 妊娠中、授乳中、または妊娠計画中の女性である;
12 妊娠可能である場合、来院1および来院6(または、早期中止の来院)において、尿妊娠検査を受けることを望まない。妊娠不可能とは、永久不妊化された(例えば、子宮摘出術または卵管結紮術を受けた)女性、または閉経した(連続12か月間月経がない)女性と定義される。
13 許容できる避妊手段を用いていない、妊娠可能な男性または女性である。許容できる避妊手段としては、ホルモンによる避妊(経口避妊薬、インプラント型避妊薬、注射避妊薬、または経皮避妊薬);機械的避妊(ペッサリーまたはコンドームなどのバリアーと殺精子剤の併用);子宮内避妊具(IUD);またはパートナーの外科的避妊があげられる。性的に未成熟な男性または女性については、禁欲は適切な避妊手段とみなされていてもよいが、試験期間中に対象が性的に成熟した場合、試験の残りの期間について、上記した適切な避妊手段の使用に同意していなければならない。
14 本発明の点眼液またはその成分に対して、アレルギーおよび/または感受性があることが分かっていた;
15 治験担当医師が、対象を重大なリスクに曝し得る、臨床試験結果を混乱させ得る、または対象の臨床試験参加に対する重大な支障となり得る状態がある、またはそのような状況にあると感じた;
16 現在治験薬の試験または治験デバイスの試験に登録されている、または来院1の30日以内に治験薬または治験デバイスを使用した;
17 以前にレプロキサラップ点眼液を使用した;
18 現在、眼の乾燥を引き起こすことが知られている何らかの医薬を使用しており、その医薬が、来院1の前少なくとも30日間、安定的な投薬レジメンに基づいて使用されていない;
19 指示(すべての試験評価および来院に参加することが含まれる)に従うことができない、または従おうとしない;
【0197】
臨床試験において、以下の有効性測定値およびエンドポイントを使用した:
・リサミングリーン染色(Ora Calibra(登録商標)スケール);領域:下側、上側、中央部、側頭側、鼻側、角膜合計、結膜合計、および全眼スコア)
・フルオレセイン染色(Ora Calibra(登録商標)スケール);領域:中央部、上側、下側、側頭側、鼻側、角膜合計、結膜合計、および全眼スコア)
・涙液層破壊時間
・無麻酔シルマー試験
・眼の不快感に関するOra Calibra(登録商標)スケール
・Ora Calibra(登録商標)眼部不快感および4症状質問事項
・眼表面疾患インデックス(OSDI)(登録商標)
・SANDE質問事項
・涙液浸透圧
【0198】
安全性測定値:
・視力
・細隙灯評価
・有害事象の疑い
・眼内圧(IOP)
・散瞳眼底検査
【0199】
全体的な統計学的方法および分析の種類
【0200】
試料サイズ:DEDハイブリッドCAE研究デザインおよびその他の開発プログラムを用いた先行する第2相および第3相臨床試験結果、ならびにレプロキサラップを用いた第2a相で観察された処置後4週間のベースラインからの変化についての効果サイズに基づいて、一群あたり100という研究試料サイズを選択した。この試料サイズは、レプロキサラップ対ビヒクルに関するDED徴候および症状エンドポイントについての効果サイズを評価するのに十分であると考えられ、レプロキサラップを用いた第3相試験についてのエンドポイントの選択および必要な試料サイズが確証された。共通標準偏差を0.56と仮定した下側リサミングリーン染色(Ora Calibra(登録商標)スケール)についての効果サイズ0.26の検出、および共通標準偏差を0.97と仮定した眼の不快感に関するOra Calibra(登録商標)スケールを用いて評価した眼部不快感についての効果サイズ0.44の検出において、一群あたり100という試料サイズによって、α=0.05で90%の検出力が得られた。
【0201】
有効性分析
・DED徴候および症状エンドポイント(どちらもプレCAEおよびCAEエンドポイント)についての、レプロキサラップによるベースラインから2、4、8、および12週までの変化スコアを評価した。各エンドポイントは、両側アルファ水準0.05で分析され、この調査研究において全体の第一種の過誤は制御しなかった。
・DED徴候および症状エンドポイント(どちらもプレCAEおよびCAEエンドポイント)についての、レプロキサラップ対ビヒクルのベースラインから2、4、8、および12週までの変化スコアの効果サイズを評価し、主要評価項目パラメーターについてのエンドポイントの選択およびレプロキサラップを用いた第3相試験のための試料サイズが確証された。
・DED徴候および症状エンドポイント(どちらもプレCAEおよびCAEエンドポイント)についての、レプロキサラップ対ビヒクルのベースラインから2、4、8、および12週までの変化スコアの効果サイズに関するサブグループ分析[サブグループは、統計分析計画(SAP)において前向きに選抜された]。
【0202】
【0203】
【0204】
【0205】
第2b相臨床試験からの重要な知見
1.多数の徴候および症状にわたって立証された第2b相からの早発性の効果
・0.25%群において、第1研究エンドポイント(2週または4週)で観察された過半数(>50~100%)の効果(対ビヒクル) 〇 4つの症状エンドポイントのうちの3つについて、ポジティブな早期発現:ODS、OD4SQ、OSDI
・SANDEについてネガティブ
〇 4つの徴候エンドポイントのうちの3つについて、ポジティブな早期発現:総リサミングリーンスコア、総フルオレセインスコア、涙液浸透圧
・TFBUT(登録商標)についてネガティブ(4週において定義に合致した)
・12週においてのみシルマー試験が実施された
2.0.1%~0.25%の用量強度で用量作用が実証された
3.より後の時点において、0.1%レプロキサラップがより高い用量効果に合致した
・徴候、特に眼球の着色についての最も明瞭な効果
・0.25%群において、コンプライアンスが最低であった(非遵守が、0.1%群では3%、ビヒクル群では1%であったのに対し、0.25%群では8%)
4.試験期間が長くなるにつれて、ビヒクルの効果が上昇した
・徴候、特に眼球の着色について最も明瞭な効果が観察された
・DEDにおいて、2~3か月付近にプラトーを有する通常のパターン
・第2b相において、QID(1日4回)のビヒクルによって、本効果の上昇が予期された
実施例2:臨床試験における患者の涙液層中のアルデヒドバイオマーカーの測定
【0206】
この研究は、本明細書でドライアイ症候群(DES)とも呼ばれるドライアイ疾患を有する対象におけるADX-102点眼液の安全性、忍容性および薬力学的活性を評価するための第2a相無作為化二重盲検臨床試験に登録されたドライアイ疾患を有する対象から採取した涙液中のマロンジアルデヒド(MDA)付加物のレベルを評価することであった。
【0207】
来院1の間、処置前、および来院3の間、それに続く4週間の処置後に、涙液を採取した。処置群は、ADX-102点眼液(0.5%)、ADX-102点眼液(0.1%)、およびADX-102眼科用脂質溶液(0.5%)からなった。
【0208】
正常なヒト涙液(NHT)を1:20に希釈し、標準曲線の線形範囲の読み取り値を得た以前の研究からの結果に基づいて、D/C対象の涙液試料およびNHTにおける1:20および1:80の希釈を試験して、DESおよび正常な対象からの涙液中のMDA付加物濃度の基準点を提供した。以前の研究では、高濃度スパイク対照試料(20,000pmol/mL)の1:80希釈は、標準曲線内のOD値をもたらした(データは示さず)。DES対象からの涙液は、同様の濃度のMDA付加物を含有すると予想され、したがって、1:80希釈は、標準曲線の線形範囲の読み取り値をもたらすと予想された。
【0209】
パイロットアッセイは、試料の1:20および1:80希釈を二連で使用して行った。パイロット研究からのデータは、1:20および1:80に希釈されたD/C対象涙液からのOD値が標準曲線の線形範囲内であることを示した。
【0210】
パイロットアッセイは、試料の1:20および1:80希釈を二連で使用して行った。パイロットアッセイデータに基づいて、DES対象研究試料を1:60に希釈して、OD値が標準曲線の線形部分に入る可能性を最大にし、ひいては最も正確な結果を提供する。
【0211】
以下の表のスケジュールに従って、第2a相臨床試験中にDESを有する対象からヒト涙液を採取した。各対象の両眼からの涙(最大10μL)を採取し、来院1でプールした。来院3において、ADX-102点眼液による28日間の処置の後、依然として登録されている各対象の両眼からヒト涙液を採取した。各対象の両眼の来院3の涙液試料は、採取時にプールされておらず、これは涙液採取手順マニュアルに従っていなかった。代わりに、MDA付加物の分析時に、各対象からの右眼および左眼の試料をプールした。51名の登録対象のうち、12名の対象が来院3の涙液採取前に脱落し、D/C対象とみなされた。来院1でD/C対象から採取した涙液を、MDA付加物アッセイ法の開発に使用した。
【表3】
【0212】
試験群あたり合計17名の対象について、51名の対象を登録した。対象を1:1:1に無作為化して、ADX-102点眼液(0.1%)、ADX-102点眼液(0.5%)またはADX-102眼科用脂質溶液(0.5%)を投与した。ビヒクル対照は臨床試験に含めなかった。
【0213】
39名の対象が試験を完了した:ADX-102点眼液(0.1%)群の16名の対象;ADX-102点眼液(0.5%)群の12名の対象;ADX-102眼科用脂質溶液(0.5%)群における11名の対象。12名の対象(D/C対象)が研究を完了しなかった。
【0214】
対象は、研究を通して1日4回(朝、昼、午後、就寝前)、ADX-102点眼液を自己投与した。対象は、研究来院前に試験薬を使用しなかった。
【0215】
MDA付加物ELISA 3名の個体(男性2名および女性1名)からプールした正常ヒト涙液をBioreclamation IVT社(カタログ番号hmtears)から購入した。MDA付加物ELISAキットは市販されており、Cell Biolabs,Inc社、カリフォルニア州サンディエゴ(OxiSelect MDA Adduct Competitive ELISA、カタログ番号STA-832)から購入した。
【0216】
このアッセイは競合ELISAである。MDAコンジュゲートをELISAプレートに吸着させる。次いで、未知量のMDA付加物またはMDA-BSA標準を含有する試料をプレートに添加し、インキュベートする。次いで、MDA抗体をプレートに添加し、続いてHRP標識二次抗体を添加する。プレートを洗浄し、HRP検出剤を添加する。プレートをマイクロプレートリーダーで450nmで読み取る。アッセイOD読み取り値は、吸着されたMDAが試験試料中のMDA付加物とMDA抗体への結合について競合するため、試料中のMDA付加物が増加するにつれて減少する。
【0217】
0、0.025、0.05、0.10、0.20、0.39、0.78、1.56、3.13および6.25μg/mLのMDA-BSAを使用してアッセイの標準曲線を作成した。アッセイにおける標準および未知の試料体積はそれぞれ50μLであった。
【0218】
パイロットアッセイ 標準曲線に加えて、未希釈NHT試料およびMDA-BSAを添加したNHT試料を測定した。12,000pmol/mL濃度の内部標準MDA-BSAを添加したNHTを使用して、希釈完全性を決定した。アッセイ前に、D/C試料およびNHT添加試料を、0.1%BSAを含有するPBS緩衝液で20倍および80倍に希釈した。未希釈NHT試料を20倍希釈してベースライン基準とした。
【0219】
DES研究試料 パイロットアッセイの結果に基づいて、1:60希釈を決定して、OD値が標準曲線の線形部分に入る可能性を最大にし、ひいては最も正確な結果を提供する。対象からのすべての涙液試料(0.5%ADX-102点眼液)および(0.1%ADX-102点眼液)を分析したが、一部の涙液試料からの結果は、来院3試料での眼染色色素による汚染のためにデータ分析から除外した。一部の対象からの来院3の涙液試料(0.5%ADX-102点眼液)は、容量が不十分であるため、データ分析から除外した。
【0220】
結果-D/C対象およびNHTのパイロットアッセイ アッセイの検出範囲は6~1500nMであり、アッセイの線形範囲はおよそ10~110nMであった。20倍に希釈した正常なヒト涙液の平均計算MDA付加物濃度は2,266pmol/mL(2,266nM)であった。スパイクされたMDA-BSA付加物(12,000pmol/mL)の約100%がNHTにおいて回収された。D/C DES対象からの涙液は、7,798pmol/mLの平均MDA付加物濃度を有し、これはNHTと比較して3.4倍の増加であった。この差は統計学的に有意であった(
図1)。
【0221】
試験を完了した対象からの涙液のアッセイ
図2は、来院1(ベースライン、処置前)および来院3(ADX-102点眼液による28日間の処置後)における、試験を完了した37名のDES対象からの涙液中の計算された平均MDA付加物濃度を示す。角膜フルオレセイン染色を涙液採取の前に行い、MDA付加物ELISAシグナルを妨害したため、2名の対象をこの分析から除外した。来院1で採取した涙液は、14,943pmol/mLの平均MDA付加物濃度を有し、これは、来院3ですべての対象から採取した涙液中の11,566pmol/mLの平均MDA付加物濃度より有意に高い。
【0222】
図3は、0.1w/v%のADX-102点眼液で処置した対象の涙液中のMDA付加物濃度を示す。ADX-102点眼液(0.1%)で処置された対象は、処置後のMDA付加物レベルにおける23%の低下に相当する来院3での11,028pmol/mLと比較して、来院1で14,287pmol/mLの平均MDA付加物濃度を有していた。
【0223】
図4は、ADX-102点眼液(0.5%)で処置した対象の涙液中のMDA付加物濃度を示す。ADX-102点眼液(0.5%)で処置した対象は、来院1と比較して、来院3でMDA付加物濃度の26%の低下を示した。
【0224】
個々に、すべての処置群は、来院1と比較して、来院3でより低いMDA付加物濃度を有したが、差は統計学的に有意ではなかった。
【0225】
考察 MDA付加物が、来院1および来院3ですべてのDES対象から採取した涙液試料中に検出された。
図1に示すように、ADX-102点眼液による4週間の処置後の来院3でのMDA付加物濃度は、来院1での処置前の値と比較して有意に低かった。各処置群内で、涙液中のMDA付加物レベルは、来院1と比較して来院3で減少したが、統計学的有意性には達しなかった。この知見は、少ない試料数と組み合わせて、処置前のDES対象におけるMDA付加物濃度の高い変動性に関連し得る。さらに、試験薬の最後の投与と涙液の採取との間の時間は対象間で変動した(およそ8~12時間であると推定される)ため、最後の処置に対する試料採取のタイミングは、来院3での処置後の結果に変動をもたらす可能性がある。
【0226】
データは、MDA付加物レベルが、DESを有する対象において有意に高く、正常な対象と比較して、DES患者の涙液中の上昇したMDAレベルを記載する文献と一致することを示す。さらに、データは、ADX-102点眼液による処置が、DESを有する対象からの涙液中のMDA付加物を減少させることを示唆している。
実施例3:ドライアイ疾患を有する対象におけるビヒクルと比較した0.25%レプロキサラップ点眼液の有効性および安全性を評価するための第2/3相多施設無作為化二重盲検平行デザインビヒクル-対照臨床試験
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【0227】
一般的な統計方法および分析の種類:
【0228】
1日目の最初の投与後24時間にわたる変化およびCAEにおける90分間にわたる変化を、ベースライン(投与前1日目)からの変化の反復測定(MMRM)についての混合効果モデルによって評価し、ベースラインのスコアを共変量とし、時間および被験物質の群を因子とする。両眼を含む評価については、眼を因子として加える。
【0229】
シルマー試験を、ベースライン(スクリーニング)からの変化のMMRMを介して評価し、ベースラインスコアを共変量として、投与前/投与後、眼および被験物質群を因子として評価する。
【0230】
涙液RASPレベルを、ベースライン(投与前)スコアを共変量とし、用量および被験物質群を因子として、1日目および2日目の投与前から投与後への変化のMMRMによって評価する。
【0231】
安全性エンドポイントは、記述統計を使用して要約される。
【0232】
統計分析は、統計分析計画(SAP)に詳述されており、統計分析計画は、本明細書における任意の統計用語を支配する。
【0233】
略語:
AE 有害事象
CAE 制御された有害環境(登録商標)
CFR 連邦規則集
DED ドライアイ疾患
DES ドライアイ症候群
DHHS 保健福祉省
ETDRS 糖尿病性網膜症の早期処置研究
FDA 米国食品医薬品局
GCP 医薬品の臨床試験の実施の基準
HIPAA 医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律
ICF インフォームドコンセント様式
ICH 医薬品規制調和国際会議
IEC 独立倫理委員会
IRB 機関/独立の審査委員会
LogMAR 最小分解能角の対数
Ora 眼科研究会
OTC 店頭販売薬
RASP 反応性アルデヒド種
SAE 重篤な有害事象
μL マイクロリットル
VA 視力
VAS 視覚的アナログスケール
【0234】
この第2/3相試験の臨床目的は、ドライアイ疾患を有する対象における制御された有害環境(登録商標)(CAE)への曝露前および曝露中の結膜発赤、涙液RASPレベル、シルマー試験、および投薬後の症状によって評価される、レプロキサラップの有効性を評価することである。
【0235】
全体的な研究デザイン
【0236】
この研究は、ドライアイ疾患を有する対象におけるビヒクルと比較した0.25%レプロキサラップ点眼液の有効性および安全性を評価するようにデザインされた、第2/3相多施設無作為化二重盲検平デザインビヒクル-対照試験である。約20名の対象が初期コホートに登録され、約300名の対象が主コホートに登録される。両眼にドライアイ疾患の既往歴があり、他のすべての適格基準を満たす少なくとも18歳の男性および女性対象を、1:1の比(各処置群で約150名の対象)でレプロキサラップまたはビヒクルを投与するために無作為化する。
【0237】
この研究では、「ドライアイチャンバー」として知られるドライアイ疾患のチャレンジモデルを使用する。制御されたチャンバーを利用するチャレンジモデル試験は、極めて重要なエンドポイントについてFDAが承認したデザインである。例えば、FDAが公開した「Dry Eye:Developing Drugs for Treatment」draft guidance;December 2020参照。
【0238】
ドライアイチャンバーは、眼の表面にストレスを与えるために、相対湿度、温度、空気流、および視覚的タスクを制御する。チャンバーは、ドライアイ疾患に罹患している生活の中で「悪い日」のシナリオをシミュレートしている。チャンバーを利用する試験デザインは、急性眼表面チャレンジ中に作用を迅速に開始する薬物の有用性を確認することができる。
【0239】
【0240】
研究パラメータ
【0241】
一次エンドポイント:CAE(登録商標)で90分間にわたってデジタル写真を介して評価した結膜発赤
【0242】
安全性エンドポイント:
● 視力
● 細隙灯評価
● 有害事象クエリ
● 眼圧(IOP)
● 拡張眼底検査
【0243】
二次エンドポイント:
● 1日目の最初の投与後24時間およびCAE(登録商標)で90分間にわたって評価した視覚的アナログスケールの眼乾燥スコア(Key Secondary Symptom Endpoint)
● Ora Calibra(登録商標)眼不快感スケールを1日目の最初の投与後24時間およびCAE(登録商標)で90分間にわたって評価した。
● 1日目の最初の投与後およびCAE(登録商標)の前後に24時間にわたって評価した眼不快感および4症状質問票
● Ora Calibra(登録商標)結膜アレルゲン誘発眼掻痒スケールを1日目の最初の投与後およびCAE(登録商標)の前後に24時間にわたって評価した
● 1日目の最終投与前後のシルマー試験のベースラインからの変化
● 1日目の用量1および2ならびに2日目の用量3の前後の涙液RASPレベルの変化1日目の最初の投与後24時間にわたる結膜発赤
【0244】
臨床エンドポイントとしての涙液RASPレベルの使用に関して、これは(今日まで)前例がないことに留意することが重要である。FDAは、臨床エンドポイントとしてのRASPの使用に以前に同意していない。これに関して、本発明者らは、ドライアイ疾患の処置の客観的徴候としてのRASP(反応性アルデヒド種)の使用について米国食品医薬品局(FDA)との合意に達した。RASPは、ドライアイ疾患を有する患者の涙液中で上昇し、ドライアイ疾患の症状および徴候と相関するサイトカイン前炎症性メディエーターである。第2a相ドライアイ疾患臨床試験では、レプロキサラップは、28日間の処置後に涙液RASPレベルの低下を示した。インビトロ研究において、RASPは、等モル濃度でのレプロキサラップに曝されたき、60~90分以内に排除された。レプロキサラップは、眼に局所投与された場合、涙液RASPレベルが500倍を超えると考えられており、多数の第2相および第3相臨床試験にわたって、ドライアイ疾患、アレルギー性結膜炎および他の形態の眼炎症において一貫した統計学的に有意で臨床的に関連する活性を実証している。試験エンドポイントとしてのRASPの使用は、10年以上の間にドライアイ疾患を処置するための最初の新規な客観的徴候を表す。
【0245】
TRANQUILITY run-in cohortからの涙液RASPレベルは、Aldeyraによって行われたドライアイ患者の自然歴研究の結果に基づいて選択されたRASPである4-ヒドロキシノネナールタンパク質付加物(HNE)の酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって評価されるように、新規なRASP阻害剤リプロキシラップの単回投与後に低下した。分析に十分な涙液量を有する対象では、薬物投与前後に涙液RASPレベルを評価した2つの用量にわたって、HNEレベルは、ビヒクル処置患者(n=7)における32pg/mLの増加に対して、レプロキサラップ処置患者(n=9)において平均1018ピコグラム/ミリリットル(pg/mL)低下した。したがって、涙液RASPレベルが、作用機構の確認のための二次エンドポイントとして選択されている。HNEは、重要な炎症促進性RASP1として科学文献において十分に特徴付けられており、HNEの眼レベルは、ドライアイ疾患の徴候および症状と相関する。
【0246】
詳細な試験手順
【0247】
審査手続
研究目的に関連して研究来院時に実施する手順
【0248】
来院1(-14-16/+2日目、スクリーニング)
● インフォームドコンセントおよびHIPAA
● 人口統計(例えば、性別、生年月日、人種、民族)
● 医療/投薬および眼の病歴
● 尿妊娠試験(必要に応じて)
● 症状質問票:
a.眼不快感および4症状質問票
b.Ora Calibra(登録商標)眼不快感スケール
c.眼乾燥視覚的アナログスケール
d.Ora Calibra(登録商標)結膜アレルゲン誘発眼掻痒スケール
● 視力(ETDRS)
● 結膜発赤評価を伴う細隙灯生体顕微鏡検査
● Ora Calibra(登録商標)角膜および結膜染色スケールを使用したフルオレセイン染色
● 選択/除外基準の検討
● 訓練を受けた現場スタッフによる外来ヒヒクルの点滴注入(CAE(登録商標)進入前10分以内)
● CAE(登録商標)曝露(90分、45分でのビヒクル投与):
a.眼乾燥視覚的アナログスケール5分毎
b.Ora Calibra(登録商標)5分毎の眼不快感スケール
c.デジタル写真による0、5、10、15、20、30、45(45分投与前)、50、55、60、65、75、90分(+/-2分)での結膜発赤写真撮影
● 結膜発赤評価を伴う細隙灯生体顕微鏡検査
● シルマー試験
● 眼圧
● 拡張検査
● 来院2のスケジュール
【0249】
来院2(1日目、ベースラインおよび外来投薬)
● 医療/投薬更新
● 有害事象クエリ
● 視力(ETDRS)
● 細隙灯生体顕微鏡法
● 症状質問票
a.眼不快感および4症状質問票
b.Ora Calibra(登録商標)眼不快感スケール
c.眼乾燥視覚的アナログスケール
d.Ora Calibra(登録商標)結膜アレルゲン誘発眼掻痒スケール
● 結膜発赤写真
● 選択/除外基準の検討
● 無作為化/登録
● 1回目の投与前に涙液採取(投与前30+/-5分)
● 1回目の外来投与
● 1回目の投与後に涙液採取(投与の5+/-2分以内に開始)
投与間で3時間待機する
● 2回目の投与前に投与前涙液採取(投与前30+/-5分)
● 2回目の外来投与
● 2回目の投与後に涙液採取(投与の5+/-2分以内に開始)
投与間で30分間待機する
● 3回目の外来投与
● 結膜発赤写真(3回目の投与後10分+/-2分)
● 症状質問は、3回目の投与後10分+/-2分以内に開始した。
● 眼不快感および4症状質問票
● 眼不快感
● 眼乾燥視覚的アナログスケール
● Ora Calibra(登録商標)結膜アレルゲン誘発眼掻痒スケール
投与間で30分間待機する
● 4回目の投与前にシルマー試験(投与前10+/-2分)
● 4回目の外来投与
● 4回目の投与後のシルマー試験(投与の5+/-2分以内に開始)
● 来院3のスケジュール
● 来院3(2日目、CAE(登録商標))
● 医療/投薬更新
● 有害事象クエリ
● 尿妊娠試験(必要に応じて)
● 視力(ETDRS)
● 細隙灯生体顕微鏡法
● 結膜発赤写真
● 症状質問票:
a.眼不快感および4症状質問票
b.Ora Calibra(登録商標)眼不快感スケール
c.眼乾燥視覚的アナログスケール
d.Ora Calibra(登録商標)結膜アレルゲン誘発眼掻痒スケール
● 1回目の投与前に涙液採取(投与前30+/-5分)
● CAE進入前10分以内の1回目の外来投与
● CAE曝露(90分):
● 眼乾燥視覚的アナログスケール5分毎
● デジタル写真による0、5、10、15、20、30、45(45分投与前)、50、55、60、65、75、90分(+/-2分)での結膜発赤
● Ora Calibra(登録商標)5分毎の眼不快感スケール
● 2回目の外来投与(CAE曝露後45+/-2分、現場スタッフによる投与)
● CAE終了後涙液採取(5+/-2分以内に開始)
● 3回目の外来投与(涙液採取直後)
● 3回目の投与後に涙液採取(投与の5+/-2分以内に開始)
● 3回目の投与から10分+/-2分以内に症状質問を開始した:
a.眼不快感および4症状質問票
b.眼不快感
c.眼乾燥視覚的アナログスケール
d.Ora Calibra(登録商標)結膜アレルゲン誘発眼掻痒スケール
● 細隙灯生体顕微鏡法
● 眼圧
● 拡張検査
● 研究終了
【0250】
統計的仮説
【0251】
以下の仮説を、レプロキサラップをビヒクルと比較して試験する。投薬レジメンの有効性を主張するためには、帰無仮説を棄却しなければならない。
【0252】
H01:結膜発赤のベースラインからの全体的な平均変化において、レプロキサラップとビヒクルとの間に差はない。
【0253】
H11:結膜発赤レベルのベースラインからの全体的な平均改善は、ビヒクルよりもレプロキサラップの方が大きい。
【0254】
試料サイズ
【0255】
初期コホートからの結膜発赤の結果に基づいて、約0.1単位の群間の差および0.3単位の差の標準偏差を仮定して、アーム間の統計学的に有意な差を検出するための90%の検出力には、アームあたり150名の対象が必要とされる。
【0256】
統計解析
【0257】
一般的な考察:
【0258】
対象の数(n)、平均、標準偏差、中央値、最小値および最大値を使用して、定量的変数を記述的に要約する。定性的変数は、カウントおよびパーセンテージを使用して要約される。
【0259】
すべての要約を処置群ごとに提示する。人口統計、ベースライン病歴、併用療法および対象の配置について要約を提供する。
【0260】
要約の目的のために、病歴、併用療法および有害事象は、必要に応じてMedDRAおよびWHOドラッグディクショナリにコード化される。
【0261】
ベースライン測定値は、1日目に無作為化研究処置を開始する前の最後の欠測していない測定値として定義される。ベースラインからの変化は、フォローアップ来院値からベースライン値を引いて計算される。活性物質とビヒクルとの間の処置比較は、投薬レジメンによって一致させ、活性物質からビヒクルを引いて計算される。
【0262】
すべての分析は、0.05の有意水準で両側となる。必要に応じて95%信頼区間を提供する。
【0263】
統計分析計画(SAP)は、統計的手順を詳述し、本明細書のいかなる本文においても支配的である。
【0264】
分析単位:
【0265】
両眼について安全性エンドポイントを分析する。RASP評価は、両眼にわたってプールされた涙液試料に対して行われる。発赤、シルマー試験および眼不快感スコアを収集し、各眼について分析し、両眼のVAS乾燥および眼不快感&4症状質問票のスコアをまとめて収集する。評価スケールは付録に詳述されている。
【0266】
欠測データ:
【0267】
感度の尺度として、有効性分析は、ランダムな欠測(MAR)およびランダムではない欠落(MNAR)の仮定の下での多重帰属を用いて行われ得る。感受性を評価するために、プロトコル毎の集団分析を行うこともできる。さらなる詳細は、SAPに記載される。
【0268】
多重度の考慮:
【0269】
多重度補正は必要とされない。
【0270】
一次有効性分析:
【0271】
CAEにおけるすべての時点にわたる結膜発赤のベースラインからの変化の主要な有効性分析をMMRMによって分析し、ベースラインスコアを共変量として、眼、時間および試験物群を因子として分析する。
【0272】
二次的有効性分析:
【0273】
1日目の最初の投与後24時間にわたる変化およびCAEにおける90分間にわたる変化を、ベースライン(投与前1日目)からの変化の反復測定(MMRM)についての混合効果モデルによって評価し、ベースラインのスコアを共変量とし、時間および被験物質の群を因子とする。両眼を含む評価については、眼を因子として加える。シルマー試験を、ベースライン(スクリーニング)からの変化のMMRMを介して評価し、ベースラインスコアを共変量として、投与前/投与後、眼および被験物質群を因子として評価する。涙液RASPレベルを、ベースライン(投与前)スコアを共変量とし、用量および被験物質群を因子として、1日目および2日目の投与前から投与後への変化のMMRMによって評価する。
【0274】
結果
【0275】
run-inコホートのデータを得て分析した。
図5は、DED患者の涙液におけるHNEタンパク質付加物レベルの低下を示す。データは、ビヒクルまたはリプロキシラップのいずれかを投与された患者におけるHNEタンパク質付加物レベル(pg/mL)の投与前/投与後1日目および2日目の結果(投与前から投与後への変更)を示す。1日目の用量は、1日目の最初の用量である。2日目の用量は、チャンバー後用量である。涙液採取は、投薬前後に約10分かかった。
【0276】
図6は、DED患者の涙液におけるHNEタンパク質付加物レベルの平均を示す。群毎のP値は、0(変化なし)との差を表す。平均は、涙液RASPを投薬前後に評価した2つの用量の平均を表す。HNE=タンパク質付加物の4-ヒドロキシノネナールELISA。第3相臨床試験run-inコホートからの涙液RASPレベルは、ドライアイ患者の自然歴研究の結果に基づいて選択されたRASPである4-ヒドロキシノネナールタンパク質付加物(HNE)の酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって評価されるように、新規なRASP阻害剤リプロキシラップの単回投与後に低下した。分析に十分な涙液量を有する対象では、薬物投与前後に涙液RASPレベルを評価した2つの用量にわたって、HNEレベルは、ビヒクル処置患者(n=7)における32pg/mLの増加に対して、レプロキサラップ処置患者(n=9)において平均1018ピコグラム/ミリリットル(pg/mL)低下した。
【0277】
DEDの症状に関して、以下の表3に示すように、ドライアイチャンバーにおける徴候および症状の両方について統計学的有意性が達成された:
【表3-1】
*1日目のシルマー試験の結果は単回投与後の改善に基づいており、他の1日目の評価はすべて24時間のQID投薬にわたって行った。局所眼用レプロキサラップは、これまでに1,100人を超える患者において研究されており、安全上の懸念は観察されていない。軽度の点滴注入部位刺激は、臨床試験において最も一般的に報告される有害事象である。
出典:TRANQUILITY Run-In Cohort initial results。VAS=視覚的アナログスケール;OD4S=眼不快感および4症状質問票;QID=1日4回。
【0278】
注目すべき結果:
● レプロキサラップは、FDA承認可能な客観的徴候である眼発赤(p=0.03)においてビヒクルよりも統計学的に有意な改善を示した。
● レプロキサラップは、2つの評価された臨床症状:VAS眼乾燥(p=0.001)および眼不快感スコア(p<0.0001)についてビヒクルを上回る統計学的に有意な改善を実証した。
● ドライアイチャンバーでのレプロキサラップ投与の数分以内の眼の症状および客観的徴候の急性改善。
● 症状およびシルマー試験にわたるビヒクルに対する一貫した方向性の改善、ならびに8つの評価された転帰測定のうちの4つにおいて達成されたビヒクルに対する統計的有意性を伴う、レプロキサラップの迅速かつ広範な有効性を支持する24時間の環境結果。
● TRANQUILITY run-inコホートの2日目の結果(
図9)に示されるように、ビヒクルに対する薬物効果は、進入時に観察され、曝露の持続期間を通して持続した。
● 第1および第2の投与後に治療活性が実証され、ほぼ即時(数分以内)かつビヒクルに対して統計学的に有意な症状緩和を表した。
● チャンバーで評価されたすべての症状にわたって観察されたビヒクルに対する一貫した統計学的に有意な改善。
●
図10に示すように、眼不快感症状におけるビヒクルを超える統計的に有意な薬物効果が、進入時に観察され、曝露期間を通して持続したことを示す。ここでも、第1および第2の投与後に治療活性が実証され、ほぼ即時(数分以内)かつ統計学的に有意な症状緩和を表した。
【0279】
さらに、本発明者らは、以前の第2a相研究において、MDA付加物の涙液レベルが処置後に統計的に低かったことを観察した(
図8A)。MDAの中央値を上回る低下を有する参加者は、MDAの中央値を下回る減少を有する参加者よりも統計的に低いリサミングリーン染色スコアを示した(
図8B)。MDA付加物レベルの中央値を上回る低下を有する参加者は、0に対して統計的に異なる涙液浸透圧スコアを示したが、MDA付加物の中央値を下回る低下を有する参加者は0と統計的に異ならなかった。MDA付加物と浸透圧濃度との関係を支持して、浸透圧濃度の低下は、MDA付加物レベルの低下と相関していた(ピアソンr=0.31、P=0.07)。プールされたレプロキサラップ群からの結果は、MDA、すなわち、DEDを有する患者の涙液において上昇することが以前に記載されたRASPのレベルが、ベースライン時よりも28日間の処置後に統計学的に低かったことを示した。炎症促進性メディエーターとしてのRASPの臨床的関連性と一致して、MDAレベルの低下は、涙液浸透圧およびリサミングリーン染色の改善と相関した。RASPは、前眼部炎症性疾患を広く悪化させ得る、NF-kB、インフラマソームおよびスカベンジャー受容体Aの活性化を含む、自然免疫応答の上流のプレサイトカイン増強因子である。したがって、RASP阻害は、DEDのいくつかの徴候および症状にわたって観察されたレプロキサラップの多面的な活性を説明し得る。本発明者らの知る限りでは、MDA所見は、任意のDED薬物の薬物作用機序の最初の直接的な臨床測定を表す。
実施例4:生物学的試料中のRASPレベルについてのさらなるアッセイ
【0280】
本発明者らは、患者の涙液などの生体試料中のRASPのレベルを決定するための以下に記載されるアッセイを開発した。
概要
【0281】
注目すべき結果:
● アルデヒド(4-HNE、ペンタナール、ヘキサナールおよびデカナール)は、セミカルバジドを使用した捕捉に適している。
● ADX-102のアルデヒドコンジュゲートは、処置された臨床涙液、ADX-102 APIおよび薬物製品中に存在する。これらのコンジュゲートは、ヒト涙液中の内因性アルデヒドよりも高いレベルであると思われる。
● セミカルバジドの使用は、ADX-102コンジュゲートからアルデヒドを「捕捉」する。
● ADX-102-4HNEコンジュゲートのLC-MS分析は、5nM(1.8ng/mL)のLOQを有する。
● 未知のアルデヒドコンジュゲート(C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9およびC10)が、処置された臨床涙液、ADX-102 APIおよび薬物製品において検出される。
導入部
【0282】
この報告は、ヒト涙液中の遊離アルデヒドレベルを決定するための分析アプローチとして、アルデヒド捕捉剤を評価するために行われた調査実験を記載する。これらの研究では、レプロキサラップを含むいくつかのアルデヒドおよび捕捉剤を利用した。
結果
【0283】
PBSおよびACN/H2Oにおける探索的捕捉研究
【0284】
アルデヒド4-ヒドロキシノネナール(4-HNE)、マロンジアルデヒド、アセトアルデヒド、ヘキサナール、ペンタナールおよびデカナールとの捕捉剤として、セミカルバジド(SCZ)、グルタチオン(GSH)、システイン、およびN-アセチルシステインを使用した。10μMのアルデヒドを、PBSまたは50/50ACN/H2Oのいずれかにおいて1mMの捕捉試薬と混合した。MSによって判断されるように、セミカルバジドおよびグルタチオンのみがアルデヒド(デカナール、ペンタナール、ヘキサナールおよび4-HNE)を捕捉するようであった。SCZは、GSHよりも有効であった。
【0285】
涙液中の探索的捕捉研究
【0286】
アルデヒド4-ヒドロキシノネナール(4-HNE)、マロンジアルデヒド、アセトアルデヒド、ヘキサナール、ペンタナール、デカナールおよびアクロレインと共に、捕捉剤としてセミカルバジド(SCZ)およびグルタチオン(GSH)を使用した。50μLの涙液に捕捉剤(最終濃度1mM)をスパイクし、1時間インキュベートし、ACNを添加した(ACNの最終パーセンテージは25%であった)。3つのアルデヒドをMS(ヘキサナール、ペンタナールおよびデカナール)によって検出した。
【0287】
涙液反復における探索的捕捉研究
【0288】
セミカルバジド(SCZ)を、アルデヒド4-ヒドロキシノネナール(4-HNE)、マロンジアルデヒド、アセトアルデヒド、ヘキサナール、ペンタナール、デカナールおよびアクロレインと共に捕捉剤として使用した。50μLの涙液に捕捉剤(最終濃度1mM)をスパイクし、1時間インキュベートし、ACNを添加した(ACNの最終パーセンテージは25%であった)。より長い勾配(ヘキサナール、ペンタナールおよびデカナール)を用いて3つのアルデヒドを検出した。推定内因性ブタナール関連アルデヒドも、m/z=144.0773で研究において検出された。
【0289】
涙液中のアルデヒド安定性研究
【0290】
アルデヒドであるヘキサナール、ペンタナールおよびデカナールを涙液に添加し、d6-レプロキサラップ(レプロキサラップの両方のメチル基で完全に重水素化されている)で捕捉して、捕捉安定性を試験した。ビヒクル対照試料との比較は、ヘキサナール、デカナールおよびペンタナールが、これらのアルデヒドがスパイクされた試料よりも高いレベルでビヒクル対照試料において観察されたことを示した。
【0291】
プラスチックおよびガラス中のアルデヒドの存在
【0292】
(アルデヒドの供給源としての)ガラス対プラスチックの比較を、d6-レプロキサラップ溶液を使用して行った。アルデヒドレベルの明らかな差は検出されなかった。
【0293】
溶媒中のアルデヒドの存在
【0294】
0.5mMセミカルバジド(SCZ)を添加し、1時間反応させることによって、水、ACNおよびPBSからアルデヒドを「洗浄」した。0.7mMアセトアルデヒドを添加して、残っているSCZをクエンチし、15分間反応させた。
【0295】
d6-レプロキサラップ(10mM)の新しい溶液を、「清浄な」1:1 ACN:水を使用して調製した。蓋、箔またはプラスチック蓋を使用せずに、ガラスHPLCバイアルでd6-レプロキサラップのアルデヒド(ペンタナール、ヘキサナールおよびデカナール)コンジュゲートを監視した。結果はそれぞれほぼ同一であり、ペンタナール、ヘキサナールおよびデカナールは同様のレベルで検出可能であった。
【0296】
d6-レプロキサラップのアルデヒド(ペンタナール、ヘキサナールおよびデカナール)コンジュゲートを、「清浄な」PBSおよび水において監視した。d6-レプロキサラップを添加しない「清浄な」PBSおよび水も監視した。d6-レプロキサラップは、MSによって50uM濃度のd6-レプロキサラップまで検出可能なヘキサナールおよびデカナールピークを示した。レプロキサラップは、ペンタナールおよびデカナールについては1000uMで検出可能なピークを示し、デカナールについては100uMまで検出可能なピークを示した。
【0297】
APIおよび薬物製品中のアルデヒドの存在
【0298】
「清浄な」水を使用したd6-レプロキサラップおよびレプロキサラップの連続希釈も行った。「清浄な」水/ビヒクルを使用した薬物製品の連続希釈は、2倍および20倍希釈で検出可能な量のペンタナールおよびデカナールならびに200倍希釈でのみデカナールを示した。「清浄な」水を使用した薬物製品の連続希釈は、10倍希釈で検出可能な量のペンタナールおよびデカナールならびに100倍希釈でのみデカナールを示した。
【0299】
ビヒクル、涙液中のアルデヒドの存在
【0300】
アルデヒドのセミカルバジド共有結合コンジュゲート(ペンタナール、ヘキサナール、4-HNEおよびデカナール)の検出をビヒクルの試料中で行い、それぞれの検出可能なレベルを示した。セミカルバジドと市販の涙液とのインキュベーションも、4つすべてのコンジュゲートの検出可能なレベルをもたらした。
【0301】
SCZおよびd6-レプロキサラップを使用したアルデヒド捕捉
【0302】
4-HNEとのコンジュゲートの形成を、ADX-102、d6-レプロキサラップおよびSCZを使用して試験した。ADX-102-4-HNEコンジュゲートにSCZを添加すると、ADX-102-4-HNEコンジュゲートがSCZ-4-HNEコンジュゲートに変換される。d6-レプロキサラップをADX-102-4-HNEコンジュゲートに添加すると、ADX-102-4-HNEコンジュゲートがd6-レプロキサラップ-4-HNEコンジュゲートに変換される。
【0303】
ADX-102およびd6-レプロキサラップをビヒクルに添加しても、追加のアルデヒドコンジュゲートは得られなかった。SCZを情動性の涙液に添加すると、SCZアルデヒドコンジュゲートが生成した。
【0304】
PBS中のSCZアルデヒドコンジュゲートの存在
【0305】
SCZをPBSに添加しても、最初はアルデヒドコンジュゲートは得られなかった。5日後、SCZヘキサナールおよびSCZペンタナールが検出された。5日間の試料の抽出に50%ACNを使用すると、同様の結果が得られた。
【0306】
涙液中のSCZアルデヒドコンジュゲートの存在
【0307】
未処置の臨床涙液にSCZを添加しても、最初はアルデヒドコンジュゲートは得られなかった。5日後、SCZヘキサナールおよびSCZペンタナールが検出された。処置した臨床涙液にSCZを添加しても、最初はアルデヒドコンジュゲートは得られなかった。5日後、SCZヘキサナールおよびSCZペンタナールが検出された。
【0308】
PBS中のADX-102アルデヒドコンジュゲートの存在
【0309】
PBS中のADX-102アルデヒドコンジュゲートの存在を調べると、アルデヒドコンジュゲートは得られなかった。試料の抽出に50%ACNを使用すると、同様の結果が得られた。
【0310】
涙液中のADX-102アルデヒドコンジュゲートの存在
【0311】
未処置の臨床涙液中のADX-102アルデヒドコンジュゲートの存在を調べると、アルデヒドコンジュゲートは得られなかった。試料の抽出に50%ACNを使用すると、同様の結果が得られた。処置した臨床涙液中のADX-102アルデヒドコンジュゲートの存在を調べると、ADX-102-ヘキサナールおよびADX-102-ペンタナールのアルデヒドコンジュゲートが得られた。試料の抽出に50%ACNを使用すると、同様の結果が得られた。これらの試料をオートサンプラー内に5日間放置すると、ADX-102アルデヒドコンジュゲートのレベルが上昇した。
【0312】
SCZを用いた薬物製品のアルデヒド捕捉
【0313】
ADX-102-ヘキサナールおよびADX-102-ペンタナールのレベルは、SCZの添加直後、SCZの添加の2時間後、または一晩インキュベートしても変化しないようであった。試料抽出において50%ACNを使用しても同様の結果が得られた。
【0314】
SCZおよびADX-102 4HNEのLOQの決定
【0315】
ADX-102-4HNEコンジュゲートの連続希釈を行って、定量限界を0.1μMと決定した。SCZ-4HNEコンジュゲートの連続希釈を行って、定量限界を0.1μM~1μMと決定した。1:1水:ACN中のADX-102-4HNEコンジュゲートの連続希釈により、5nMまたは1.8ng/mLのLOQが得られた。
【0316】
未知のアルデヒドコンジュゲートの検出
【0317】
未知の構造のいくつかのアルデヒドコンジュゲートが、処置された臨床涙液中に検出された。これらのアルデヒドコンジュゲートの表を以下に示す。
【表7】
実施例5:RASPを検出するための抗体方法
概要:
【0318】
レプロキサラップの非存在下での涙液タンパク質アルデヒドレベルを、HABA/アビジン/ビオチン法およびストレプトアビジンプレート/リゾチーム抗体法の両方で試験した。HABA/アビジン/ビオチンアッセイでは、涙液タンパク質をRx薬物またはプラセボで処理し、アミン-PEG2-ビオチンとコンジュゲートさせ、HABA/アビジンプレミックスと混合する。予想外にも、涙液のみの対照からのシグナルはPBS対照と同程度に低かった。しかしながら、予想通り、プラセボ群および薬物群は両方ともPBS対照より高かった。ストレプトアビジンプレート/リゾチーム抗体アッセイでは、涙液タンパク質をレプロキサラップまたはプラセボで処理し、アミン-PEG2-ビオチンとコンジュゲートさせ、ストレプトアビジンコーティングプレートに結合させ、リゾチーム抗体-HRPで検出した。涙液のみの対照は予想通りPBS対照よりも高かったが、プラセボおよび薬物群は両方とも涙液のみの対照よりも低く、このアッセイに対するプラセボ/製剤成分の干渉を示した。これらの技術的問題のために、薬物効果についての結論を引き出すことはできない。製剤成分がアルデヒド検出に干渉する可能性を理解するために、さらなる調査が必要である。しかしながら、以下の手順は、試料中のRASPコンジュゲートを検出するための抗体ベースのアッセイの有用な出発点を表す。
HABA/アビジン/ビオチンアッセイプロトコル:
【0319】
試薬リスト:
● 薬物製品
● プラセボ
● PBS(アッセイで沈殿を引き起こすカリウムを含有する緩衝液(修飾ダルベッコPBSなど)を避ける)
● 0.1M酢酸、5M NaCNBH3
● H2O中の5mMアミン-PEG2-ビオチンストック
● ビオチン化HRP(p.c.)。適切な体積の超純水(5mL)をバイアル(5mg)に添加することによって、ビオチン化HRPを1mg/mLで調製する。ピペットチップと混合し、可溶化させる。完全な可溶化には室温で約5分を要する。使用準備ができるまで、溶液を-20℃で使い捨て量(すなわち、120uL)で保存する。
【0320】
試料リスト:
● 3×涙液+薬物(100uMビオチン)
● 3×涙液+プラセボ(100uMビオチン)
● 3×涙液+PBS(100uMビオチン)
● 1×PBS対照(100uMビオチンを用いた同じプロセス)
【0321】
1日目:
1.40uLの薬物(薬物製品)またはビヒクル(プラセボ)を10uLの涙液(約100uMリゾチームおよび他のタンパク質を含有する)と30℃で2時間プレインキュベートする。薬物およびプラセボの両方においてHNEなしでインキュベートする
2.未反応薬物を洗い流す:1LのPBS+0.1%Triton(7KDフィルタ)中で1時間透析する。注記:プラセボと薬物とで別々のリザーバを使用!
3.未反応の薬物および界面活性剤を洗い流す:1LのSigma PBS(7KDフィルタ)中で一晩透析する。
【0322】
2日目:
4.保持液(約100uL)を新しいラベル付きチューブに移す。
5.保持液を0.1M酢酸(10uL)にし、60分間インキュベートする(薬物コンジュゲートを環化する)。
6.試料を2uLのシアノ水素化ホウ素ナトリウム溶液(0.1M酢酸中5M)でスパイクし(イミンをクエンチしてアミンにする)、120分間インキュベートする。
7.2uLの5mMアミン-PEG 2-ビオチン(最終100uMビオチン)で試料をスパイクする。
8.30℃で2時間インキュベートする。
9.未反応ビオチンを洗い流す:1LのPBS+0.1%Triton(7KDフィルタ)中で1時間透析する。
10.未反応のビオチンおよび界面活性剤を洗い流す:1LのSigma PBS(7KDフィルタ)中、4℃で一晩透析する。
【0323】
3日目
11.このビオチン化試料(保持液)をステップ15に移す。
12.HABA/アビジンプレミックスを室温に平衡化する。
13.100μLの超純水をHABA/アビジンプレミックスの一方のマイクロチューブに添加する。ピペットチップと混合する。
14.140μLのPBSをマイクロプレートウェルにピペットで入れる。
15.ステップ12からのHABA/アビジンプレミックス溶液20μLをウェル内のPBSに添加する。マイクロプレートをオービタルシェーカーまたは同等物の上に置き、混合する。
16.ウェル中の溶液の500nmでの吸光度を測定し、その値をA500 HABA/アビジンとして記録する(高)。
17.約100μLのすべてのビオチン化試料または40uLのビオチン化HRP(陽性対照)を、HABA/アビジン反応混合物を含むウェルに添加する。上記のように混合する。
18.500nmでウェル中の溶液の吸光度を測定し、値が少なくとも15秒間一定のままになったら、その値をA500 HABA/アビジン/ビオチン試料として記録する(低)。
19.アルデヒドの相対レベルは、A500 HABA/アビジン値からA500 HABA/アビジン/ビオチン値を減算することによって決定される。
結果:
図12(上部)参照。
ストレプトアビジンプレート/リゾチーム抗体アッセイプロトコル
【0324】
試薬リスト:
● 薬物製品
● プラセボ
● PBS
● 0.1M酢酸に新たに溶解した5M NaCNBH3
● H2O中の5mMアミン-PEG2-ビオチンストック
【0325】
試料リスト:
● 3×涙液+薬物(HNEなし)
● 3×涙液+プラセボ(HNEなし)
● 3×涙液+PBS(同じプロセス)
● 1×PBS対照(同じプロセス)
【0326】
1日目:
1.40uLの薬物(薬物製品)またはビヒクル(プラセボ)を10uLの涙液(約100uMリゾチームおよび他のタンパク質を含有する)と30℃で1.5時間プレインキュベートする。薬物およびプラセボの両方においてHNEなしでインキュベートする
2.未反応薬物を洗い流す:0.2%Tween(登録商標)80を含むPBS中1×を3時間透析する。
3.未反応の薬物および界面活性剤を洗い流す:PBS中1×を一晩透析する。
【0327】
2日目:
4.保持液(約100uL)を0.1M酢酸にし、30分間インキュベートする(薬物コンジュゲートを環化する)(+10uL)。
5.2uLのシアノ水素化ホウ素ナトリウム溶液(新たに溶解、0.1M酢酸中5M)で試料をスパイクする。
6.試料を1uLの5mMアミン-PEG2-ビオチン(最終50uMビオチン)でスパイクする。
7.30℃で2時間インキュベートする。
8.未反応ビオチンを洗い流す:0.2%Tween(登録商標)80を含むPBS中1×を2~3時間透析する。
9.未反応のビオチンおよび界面活性剤を洗い流す:PBSで1×一晩透析する。
【0328】
3日目:
10.試料をストレプトアビジン被覆プレートに移す。室温で1~2時間インキュベートする。
11.各ウェルをPBS(200uL)で3回洗浄する。
12.100ulの抗リゾチーム抗体-HRP(ab197705)(1%BSA/PBS中1:1000)を添加する。
13.室温で2時間インキュベートする。
14.0.1%Tritonを含むPBSで各ウェルを3回洗浄する。
15.100μLの1-Step Turbo TMB-ELISAを各ウェルに添加する。
16.室温で5~30分間インキュベートする。(10分)
17.100μLの停止溶液(1M H2SO4)を各ウェルに添加する。
18.透明な底板に移す。
19.450nmでの吸光度を測定する。
【0329】
本発明の多数の実施形態を説明してきたが、示された基本的な実施例を変更し、本発明の化合物および方法を利用する他の実施形態を提供し得ることは明白である。よって、本発明の範囲は、例示目的で示された特定の実施形態によってではなく、添付された特許請求の範囲によって規定されるべきであることが理解されるであろう。
【0330】
本明細書において引用されたすべての刊行物、特許、特許出願、およびその他の文献は、個々の刊行物、特許、特許出願、およびその他の文献が、それぞれ個別に参照によりすべての目的のために援用されるべきものと示されている場合と同程度に、参照により、その全体がすべての目的のために本明細書に援用される。
【国際調査報告】