(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-12
(54)【発明の名称】画像診断用の改変微生物
(51)【国際特許分類】
A61K 49/00 20060101AFI20230705BHJP
A61K 49/06 20060101ALI20230705BHJP
A61K 49/22 20060101ALI20230705BHJP
A61K 49/16 20060101ALI20230705BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230705BHJP
A61K 35/745 20150101ALI20230705BHJP
A61K 35/747 20150101ALI20230705BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20230705BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20230705BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20230705BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20230705BHJP
A61K 45/06 20060101ALI20230705BHJP
C12Q 1/6897 20180101ALI20230705BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20230705BHJP
C12Q 1/66 20060101ALI20230705BHJP
C12N 15/70 20060101ALN20230705BHJP
C12N 15/85 20060101ALN20230705BHJP
C12N 15/37 20060101ALN20230705BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20230705BHJP
C12N 15/53 20060101ALN20230705BHJP
C12N 15/56 20060101ALN20230705BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20230705BHJP
C12N 15/54 20060101ALN20230705BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20230705BHJP
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C12N 15/90 20060101ALN20230705BHJP
C12N 15/65 20060101ALN20230705BHJP
G01T 1/161 20060101ALN20230705BHJP
【FI】
A61K49/00 ZNA
A61K49/06
A61K49/22
A61K49/16
A61P35/00
A61K35/745
A61K35/747
A61P1/04
A61P1/16
A61P1/18
A61P1/00
A61K45/06
C12Q1/6897 Z
C12Q1/02
C12Q1/66
C12N15/70 Z
C12N15/85 Z
C12N15/37
C12N15/12
C12N15/53
C12N15/56
C12N15/13
C12N15/54
C12N15/62 Z
C12N15/31
C12N15/90 Z
C12N15/65 Z
G01T1/161 A
G01T1/161 B
G01T1/161 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574503
(86)(22)【出願日】2021-06-01
(85)【翻訳文提出日】2023-01-25
(86)【国際出願番号】 US2021035120
(87)【国際公開番号】W WO2021247480
(87)【国際公開日】2021-12-09
(32)【優先日】2020-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522469682
【氏名又は名称】マイクロビアル マシーンズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワーグナー ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】マーメルスタイン フレッド
(72)【発明者】
【氏名】ノビナ カール
(72)【発明者】
【氏名】ディステル ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ナイアー スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】ポリスキー バリー
【テーマコード(参考)】
4B063
4C084
4C085
4C087
4C188
【Fターム(参考)】
4B063QA05
4B063QA19
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4B063QQ06
4B063QQ08
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4C188FF04
4C188FF07
(57)【要約】
本発明は、とりわけ、(i)罹患した胃腸組織及び/または、胆管、膵管、もしくは総胆管などの内側を覆う上皮組織の上皮細胞の管腔側に露出する細胞膜受容体に特異的に相互作用する表面タンパク質、ならびに(ii)検出マーカー、を発現する改変細菌に関する。本技術の改変細菌は、罹患した胃腸組織及び/または胆管、膵管、もしくは総胆管などの内側を覆う上皮組織を検出するのに有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胃腸管上皮及び胆管上皮から選択される罹患上皮組織を検出する方法であって、
(i)それを必要とする対象の胃腸管に、遺伝子改変微生物を投与すること、を含み、
前記微生物が、表面タンパク質をコードする外因性遺伝子を含み、前記表面タンパク質が、1つ以上の細胞膜受容体と特異的に相互作用し、
前記1つ以上の細胞膜受容体が、正常な胃腸組織及び/または胆管、膵管、もしくは総胆管などの内側を覆う上皮組織の上皮細胞の管腔側に露出せず、
前記1つ以上の細胞膜受容体が、疾患に罹患した前記対象において、胃腸組織及び/または胆管、膵管、もしくは総胆管などの内側を覆う上皮組織の罹患上皮細胞の管腔側に露出し、
前記表面タンパク質が、前記罹患上皮細胞における前記微生物の結合及び侵入を促進し、
前記微生物が、プロモーターに作動可能に連結されている少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子を含み、
(ii)上皮細胞における前記検出マーカーの発現を検出し、それにより、罹患上皮細胞を検出すること、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記遺伝子改変微生物が、非病原性である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記遺伝子改変微生物が、細胞壁合成に必要な代謝産物の合成に関与する遺伝子の欠失、不活化、または発現もしくは活性の低減を任意に含む、少なくとも1つの栄養要求性変異を有する、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記プロモーターが、哺乳動物プロモーターであり、任意に、前記哺乳動物プロモーターが、GI管上皮細胞特異的発現を指令する、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記哺乳動物プロモーターが、GI管上皮細胞特異的発現を指令する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記プロモーターが、微生物プロモーターである、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの検出マーカーをコードする前記1つ以上の遺伝子が、さらに、内部リボソーム侵入部位(IRES)を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記遺伝子改変微生物が、経口または直腸経路を介して投与される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
さらに、下剤を含む結腸洗浄剤の投与を含み、任意に、前記結腸洗浄剤が、前記微生物の前記投与の前及び/または後に投与される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの検出マーカーが、蛍光タンパク質、生物発光タンパク質、磁気共鳴画像法(MRI)用の造影剤、陽電子放出断層撮影法(PET)レポーター、酵素レポーター、コンピューター断層撮影法(CT)で使用される造影剤、単一光子放射断層撮影(SPECT)レポーター、光音響レポーター、X線レポーター、超音波レポーター(例えば、細菌ガス小胞)、及びイオンチャネルレポーター(例えば、cAMP活性化カチオンチャネル)、ならびに、それらの任意の2つ以上の組み合わせから選択される、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記蛍光タンパク質が、GFP、RFP、YFP、Sirius、Sandercyanin、shBFP-N158S/L173I、Azurite、EBFP2、mKalama1、mTagBFP2、TagBFP、shBFP、ECFP、Cerulean、mCerulean3、SCFP3A、CyPet、mTurquoise、mTurquoise2、TagCFP、mTFP1、単量体Midoriishi-Cyan、Aquamarine、TurboGFP、TagGFP2、mUKG、Superfolder GFP、Emerald、EGFP、単量体Azami Green、mWasabi、Clover、mNeonGreen、NowGFP、mClover3、TagYFP、EYFP、Topaz、Venus、SYFP2、Citrine、Ypet、lanRFP-ΔS83、mPapaya1、mCyRFP1、単量体Kusabira-Orange、mOrange、mOrange2、mKOκ、mKO2、TagRFP、TagRFP-T、RRvT、mRuby、mRuby2、mTangerine、mApple、mStrawberry、FusionRed、mCherry、mNectarine、mRuby3、mScarlet、mScarlet-I、mKate2、HcRed-Tandem、mPlum、mRaspberry、mNeptune、NirFP、TagRFP657、TagRFP675、mCardinal、mStable、mMaroon1、mGarnet2、iFP1.4、iRFP713(iRFP)、iRFP670、iRFP682、iRFP702、iRFP720、iFP2.0、mIFP、TDsmURFP、miRFP703、miRFP709、iSplit、及びmiRFP670から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記蛍光タンパク質が、iRFP670、miRFP670、iRFP682、iRFP702、miRFP703、miRFP709、iRFP713(iRFP)、iRFP720、及びiSplitから選択される近赤外蛍光タンパク質である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記蛍光タンパク質が、iRFP670である、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記生物発光タンパク質が、Ca
+2制御発光タンパク質(例えば、エクオリン、シンプレクチン、Mitrocoma発光タンパク質、Clytia発光タンパク質、及びObelia発光タンパク質)、北米ホタルルシフェラーゼ、日本ホタルルシフェラーゼ、イタリアホタルルシフェラーゼ、東ヨーロッパホタルルシフェラーゼ、ペンシルベニアホタルルシフェラーゼ、コメツキムシルシフェラーゼ、レイルロードワームルシフェラーゼ、Renillaルシフェラーゼ、Gaussiaルシフェラーゼ、ウミホタルルシフェラーゼ、Metridinaルシフェラーゼ、Metridaルシフェラーゼ、OLuc、及び赤色ホタルルシフェラーゼ、バクテリアルシフェラーゼ、ならびにそれらの活性バリアントから選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
さらに、前記少なくとも1つの生物発光タンパク質の基質の投与を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
MRIに使用される前記造影剤が、フェリチン、トランスフェリン受容体-1(TfR1)、チロシナーゼ(TYR)、ベータ-ガラクトシダーゼ、マンガン結合タンパク質MntR、クレアチンキナーゼ(CK)、Magnetospirillum magnetotacticum magA、二価金属トランスポーターDMT1、プロタミン-1(hPRM1)、尿素トランスポーター(UT-B)、及びフェリチン受容体Timd2(T細胞免疫グロブリン及びムチンドメイン含有タンパク質2)、ヨウ化ナトリウムシンポーター、E.coliジヒドロ葉酸レダクターゼ、ノルエピネフリントランスポーター、ならびに、その活性バリアントから選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
さらに、核磁気共鳴画像法に使用される前記少なくとも1つの造影剤の基質の投与を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記PETレポーターが、チミジンキナーゼ、デオキシシチジンキナーゼ、ドーパミン2受容体、エストロゲン受容体α表面タンパク質結合ドメイン、ソマトスタチン受容体サブタイプ2、がん胎児性抗原、ヨウ化ナトリウムシンポーター、E.coliジヒドロ葉酸レダクターゼ、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA)に特異的な単鎖抗体、またはそのバリアントから選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
さらに、PETプローブの投与を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記酵素レポーターが、ベータガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アセチルコリンエステラーゼ、及びカタラーゼである、請求項10に記載の方法。
【請求項21】
さらに、前記少なくとも1つの酵素レポーターの基質の投与を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記単一光子放射断層撮影(SPECT)レポーターが、ナトリウムイオンシンポーター、ノルエピネフリントランスポーター、ヨウ化ナトリウムシンポーター、ドーパミン受容体、及びドーパミントランスポーターから選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項23】
さらに、1つ以上のSPECTプローブの投与を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
少なくとも1つの検出マーカーをコードする前記1つ以上の遺伝子が、少なくとも1つのイントロンを含む、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも1つのイントロンが、スプライセオソームイントロンである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記異常細胞の前記検出が、内視鏡検査、結腸内視鏡検査、MRI、CTスキャン、PETスキャン、SPECT、またはそれらの組み合わせを使用して実施される、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記表面タンパク質が、インベイシン、インチミン、またはそれらのフラグメントを含む、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記インベイシンが、Yersinia enterocoliticaインベイシン、Yersinia pseudotuberculosisインベイシン、Salmonella enterica PagN、Candida albicans Als3から選択され、ならびに/または、前記インチミンが、Escherichia albertiiインチミン、Escherichia coliインチミン、及びCitrobacter rodentiumインチミンから選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記表面タンパク質が、がん細胞及び前がん細胞の前記表面に特異的に結合するペプチドまたはタンパク質を含み、任意に、前記タンパク質が、レプチン、抗体、またはその抗原結合フラグメントから選択される、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記表面タンパク質が、前記細菌細胞表面に発現する、がん細胞及び前がん細胞の前記表面に特異的に結合するペプチド(またはナノボディ)である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記微生物が、前記エンドサイトーシス液胞を溶解させる溶解素をコードする第2の外因性遺伝子を含む、請求項1~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記溶解素が、リステリオリシンOまたはその派生物である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記微生物が、Lactobacillus、Bifidobacterium、Saccharomyces、Enterococcus、Streptococcus、Pediococcus、Leuconostoc、Bacillus、及びEscherichia coliから選択される、請求項1~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記微生物が、Escherichia coli Nissle 1917またはその派生体に基づく、請求項1~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記Escherichia coli Nissle 1917または前記その派生体が、プラスミドpMUT1及び/もしくはプラスミドpMUT2、ならびに/またはその派生物を有する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記Escherichia coli Nissle 1917または前記その派生体が、前記プラスミドpMUT1及び/または前記プラスミドpMUT2をキュアリングされる、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記表面タンパク質をコードする前記遺伝子が、ゲノム部位に組み込まれている、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記溶解素をコードする前記第2の遺伝子が、ゲノム部位に組み込まれている、請求項1~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記表面タンパク質をコードする前記遺伝子、及び前記溶解素をコードする前記第2の遺伝子が、単一のゲノム部位に組み込まれ、任意に、前記単一のゲノム部位が、バクテリオファージ及び/または天然に存在するプラスミドの組み込み部位である、請求項37または請求項38に記載の方法。
【請求項40】
少なくとも1つの検出マーカーをコードする前記1つ以上の遺伝子が、ゲノム部位に組み込まれている、請求項1~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記表面タンパク質をコードする前記遺伝子、前記溶解素をコードする前記第2の遺伝子、及び少なくとも1つの検出マーカーをコードする前記遺伝子(複数可)が、単一のゲノム部位に組み込まれ、任意に、前記単一のゲノム部位が、バクテリオファージ及び/または天然に存在するプラスミドの組み込み部位である、請求項40記載の方法。
【請求項42】
前記表面タンパク質をコードする前記遺伝子、及び/または前記溶解素をコードする前記第2の遺伝子が、任意に、前記プラスミドpMUT1、前記プラスミドpMUT2、及び/またはその派生物から選択されるプラスミドに挿入される、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
少なくとも1つの検出マーカーをコードする前記1つ以上の遺伝子が、前記プラスミドに挿入される、請求項1~36または42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
少なくとも1つの検出マーカーをコードする前記1つ以上の遺伝子が、任意に、前記プラスミドpMUT1、前記プラスミドpMUT2、及び/またはその派生物から選択される第2のプラスミドに挿入される、請求項1~36または42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記微生物が、Escherichia coli Nissle 1917もしくはその派生体、及び/または前記プラスミドもしくは前記第2のプラスミドである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記プラスミド及び/または前記第2のプラスミドが、選択機序を含む、請求項44または請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記選択機序が、抗生物質耐性マーカー、毒素-抗毒素系、必須遺伝子に変異の相補性を引き起こすマーカー、シス作用性遺伝要素、及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせから選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記抗生物質耐性マーカーが、カナマイシン耐性遺伝子及びテトラサイクリン耐性遺伝子から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記毒素-抗毒素系が、プラスミドR1のhok/sok系、プラスミドRK2のparDE系、FプラスミドのccdAB、FプラスミドのflmAB、プラスミドR1のkis/kid系、Xanthomonas campestrisのXCV2162-ptaRNA1、腸管出血性E.coliまたはKlebsiellaのataT-ataR、Erwinia carotovoraのtoxIN系、Caulobacter crescentusのparE-parD系、Enterococcus faecalisプラスミドAD1由来のfst-RNAII、Bacillus subtilisプラスミドpSM19035のε-ζ系、及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせから選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記必須遺伝子が、
必須栄養素もしくは細胞壁の構成成分の生合成に関与する酵素、及び/または
ハウスキーピング機能
をコードする、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
前記必須遺伝子が、dapA、dapD、murA、alr、dadX、murI、dapE、thyA、及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせから選択され、任意に、前記必須遺伝子が、alr及びdadXの組み合わせであり、任意に、前記プラスミド及び/または前記第2のプラスミドが、前記プラスミド及び/または前記第2のプラスミド上に存在する機能的なalr遺伝子によるalr及びdadX変異の相補性により選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記ハウスキーピング機能が、infA、RNAポリメラーゼのサブユニットをコードする遺伝子、DNAポリメラーゼ、rRNA、tRNA、細胞分裂タンパク質、シャペロンタンパク質、及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせから選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記シス作用性遺伝要素が、ColE1 cer遺伝子座またはpSC101由来のpar遺伝子座である、請求項47記載の方法。
【請求項54】
前記微生物が、dapA、dapD、dapE、murA、alr、dadX、murI、thyA、aroC、ompC、及びompFから選択される少なくとも1つの栄養要求性変異を有し、任意に、前記株が、dapA、alr、及びdadX栄養要求性変異の組み合わせを有する、請求項1~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記プラスミドまたは前記第2のプラスミドが、DNA結合タンパク質に対する少なくとも1つの結合部位(例えば、SV40エンハンサー、転写因子結合部位、定義された細菌オペレーター)を含む、請求項44~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記DNA結合タンパク質が、1つ以上の核局在化シグナル(NLS)を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記NLSが、SV40 T抗原NLS配列(KKKRKV)である、請求項55または請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記DNA結合タンパク質が、NFκBである、請求項55~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記微生物が、1つ以上の核局在化シグナル(NLS)を含む前記DNA結合タンパク質をコードする遺伝子を含む、請求項55~58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記疾患が、前がん病変、がん、潰瘍性大腸炎、クローン病、バレット食道、過敏性腸症候群、及び過敏性腸疾患から選択される、請求項1~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記前がん病変が、無茎性ポリープ、鋸歯状ポリープ(例えば、過形成性ポリープ、無茎性鋸歯状腺腫/ポリープ、及び従来の鋸歯状腺腫)、無茎性鋸歯状ポリープ、扁平ポリープ、亜有茎性ポリープ、有茎性ポリープ、及びそれらの組み合わせから選択されるポリープを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記ポリープが、小型ポリープである、請求項60または請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記前がん病変が、BilIN-1、BilIN-2、BilIN-3、及び胆管癌から選択される胆道上皮内腫瘍(BilIN)を含む、請求項60記載の方法。
【請求項64】
前記前がん病変が、PanIN-1、PanIN-2、PanIN-3、及び膵管腺癌(PDAC)から選択される膵上皮内腫瘍(PanIN)を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項65】
前記前がん病変が、約0.05mm~約30mmのサイズを有する、請求項60~61または63~64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記前がん病変が、約0.1mm未満、約0.25mm未満、約0.5mm未満、約1mm未満、約2mm未満、約5mm未満、約8mm未満、約10mm未満、約15mm未満、約20mm未満、約25mm未満、または約30mm未満のサイズを有する、請求項63に記載の方法。
【請求項67】
前記がんが、ポリープ、腺腫、またはfrank型がんを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項68】
前記がんが、リンチ症候群、家族性腺腫性ポリポーシス、遺伝性非ポリポーシス結腸癌(HNPCC)、または散発性がんを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項69】
前記方法が、対象の疾患または障害の診断、予測、または評価のために使用される、請求項1~68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
遺伝子改変微生物であって、表面タンパク質をコードする遺伝子を含み、前記表面タンパク質が、1つ以上の細胞膜の受容体と特異的に相互作用し、
前記1つ以上の細胞膜受容体が、正常な胃腸組織及び/または胆管、膵管、もしくは総胆管などの内側を覆う上皮組織の上皮細胞の管腔側に露出せず、
前記1つ以上の細胞膜受容体が、罹患した胃腸組織及び/または胆管、膵管、もしくは総胆管などの内側を覆う上皮組織の上皮細胞の管腔側に露出し、
前記表面タンパク質が、罹患した胃腸組織及び/または胆管、膵管、もしくは総胆管などの内側を覆う上皮組織の上皮細胞の結合及び侵入を促進し、
前記微生物が、プロモーターに作動可能に連結されている少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子を含む、
前記遺伝子改変微生物。
【請求項71】
前記遺伝子改変微生物が、非病原性である、請求項70に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項72】
遺伝子改変微生物が、細胞壁合成に必要な代謝産物の合成に関与する遺伝子の欠失、不活化、または発現もしくは活性の低減を任意に含む、少なくとも1つの栄養要求性変異を有する、請求項70または請求項71に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項73】
前記プロモーターが、哺乳動物プロモーターである、請求項70~72のいずれか1項に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項74】
前記哺乳動物プロモーターが、GI管上皮細胞特異的発現を指令する、請求項73に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項75】
前記プロモーターが、微生物プロモーターである、請求項70~72のいずれか1項に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項76】
前記検出マーカーをコードする前記遺伝子が、さらに、内部リボソーム侵入部位(IRES)をコードする、請求項75に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項77】
前記微生物プロモーターが、誘導可能及び/または抑制可能である、請求項70~76のいずれか1項に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項78】
前記少なくとも1つの検出マーカーが、蛍光タンパク質、生物発光タンパク質、磁気共鳴画像法(MRI)用の造影剤、陽電子放出断層撮影法(PET)レポーター、酵素レポーター、コンピューター断層撮影法(CT)で使用される造影剤、単一光子放射断層撮影(SPECT)レポーター、光音響レポーター、X線レポーター、超音波レポーター、及びイオンチャネルレポーター(例えば、cAMP活性化カチオンチャネル)から選択される、請求項70~77のいずれか1項に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項79】
前記蛍光タンパク質が、GFP、RFP、YFP、Sirius、Sandercyanin、shBFP-N158S/L173I、Azurite、EBFP2、mKalama1、mTagBFP2、TagBFP、shBFP、ECFP、Cerulean、mCerulean3、SCFP3A、CyPet、mTurquoise、mTurquoise2、TagCFP、mTFP1、単量体Midoriishi-Cyan、Aquamarine、TurboGFP、TagGFP2、mUKG、Superfolder GFP、Emerald、EGFP、単量体Azami Green、mWasabi、Clover、mNeonGreen、NowGFP、mClover3、TagYFP、EYFP、Topaz、Venus、SYFP2、Citrine、Ypet、lanRFP-ΔS83、mPapaya1、mCyRFP1、単量体Kusabira-Orange、mOrange、mOrange2、mKOκ、mKO2、TagRFP、TagRFP-T、RRvT、mRuby、mRuby2、mTangerine、mApple、mStrawberry、FusionRed、mCherry、mNectarine、mRuby3、mScarlet、mScarlet-I、mKate2、HcRed-Tandem、mPlum、mRaspberry、mNeptune、NirFP、TagRFP657、TagRFP675、mCardinal、mStable、mMaroon1、mGarnet2、iFP1.4、iRFP713(iRFP)、iRFP670、iRFP682、iRFP702、iRFP720、iFP2.0、mIFP、TDsmURFP、miRFP703、miRFP709、及びmiRFP670から選択される、請求項78に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項80】
前記蛍光タンパク質が、iRFP670、miRFP670、iRFP682、iRFP702、miRFP703、miRFP709、iRFP713(iRFP)、iRFP720、及びiSplitから選択される近赤外蛍光タンパク質である、請求項78に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項81】
前記蛍光タンパク質が、iRFP670である、請求項80に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項82】
前記生物発光タンパク質が、Ca
+2制御発光タンパク質(例えば、エクオリン、シンプレクチン、Mitrocoma発光タンパク質、Clytia発光タンパク質、及びObelia発光タンパク質)、北米ホタルルシフェラーゼ、日本ホタルルシフェラーゼ、イタリアホタルルシフェラーゼ、東ヨーロッパホタルルシフェラーゼ、ペンシルベニアホタルルシフェラーゼ、コメツキムシルシフェラーゼ、レイルロードワームルシフェラーゼ、Renillaルシフェラーゼ、Gaussiaルシフェラーゼ、ウミホタルルシフェラーゼ、Metridinaルシフェラーゼ、Metridaルシフェラーゼ、OLuc、及び赤色ホタルルシフェラーゼ、バクテリアルシフェラーゼ、ならびにそれらの活性バリアントから選択される、請求項78に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項83】
MRIに使用される前記造影剤が、フェリチン、トランスフェリン受容体-1(TfR1)、チロシナーゼ(TYR)、ベータ-ガラクトシダーゼ、マンガン結合タンパク質MntR、クレアチンキナーゼ(CK)、Magnetospirillum magnetotacticum magA、二価金属トランスポーターDMT1、プロタミン-1(hPRM1)、尿素トランスポーター(UT-B)、及びフェリチン受容体Timd2(T細胞免疫グロブリン及びムチンドメイン含有タンパク質2)、ヨウ化ナトリウムシンポーター、E.coliジヒドロ葉酸レダクターゼ、ノルエピネフリントランスポーター、ならびに、その活性バリアントから選択される、請求項78に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項84】
前記PETレポーターが、チミジンキナーゼ、デオキシシチジンキナーゼ、ドーパミン2受容体、エストロゲン受容体α表面タンパク質結合ドメイン、ソマトスタチン受容体サブタイプ2、がん胎児性抗原、ヨウ化ナトリウムシンポーター、E.coliジヒドロ葉酸レダクターゼ、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA)に特異的な単鎖抗体、またはそのバリアントから選択される、請求項78に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項85】
前記酵素レポーターが、ベータガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アセチルコリンエステラーゼ、及びカタラーゼである、請求項78に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項86】
前記単一光子放射断層撮影(SPECT)レポーターが、ナトリウムイオンシンポーター、ノルエピネフリントランスポーター、ヨウ化ナトリウムシンポーター、ドーパミン受容体、及びドーパミントランスポーターから選択される、請求項78に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項87】
少なくとも1つの検出マーカーをコードする前記1つ以上の遺伝子が、少なくとも1つのイントロンを含む、請求項70~86のいずれか1項に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項88】
前記表面タンパク質が、インベイシンまたはそのフラグメントである、請求項70~87のいずれか1項に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項89】
前記インベイシンが、Yersinia enterocoliticaインベイシン、Yersinia pseudotuberculosisインベイシン、Salmonella enterica PagN、Candida albicans Als3から選択され、ならびに/または、前記インチミンが、Escherichia albertiiインチミン、Escherichia coliインチミン、及びCitrobacter rodentiumインチミンから選択される、請求項88に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項90】
前記表面タンパク質が、がん細胞及び前がん細胞の前記表面に特異的に結合するペプチドまたはタンパク質を含み、任意に、前記タンパク質が、レプチン、抗体、またはその抗原結合フラグメントから選択される、請求項70~87のいずれか1項に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項91】
前記微生物が、前記エンドサイトーシス液胞を溶解させる溶解素をコードする第2の外因性遺伝子を含む、請求項70~90のいずれか1項に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項92】
前記溶解素が、リステリオリシンOまたはその派生物である、請求項91に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項93】
前記微生物が、Lactobacillus、Bifidobacterium、Saccharomyces、Enterococcus、Streptococcus、Pediococcus、Leuconostoc、Bacillus、及びEscherichia coliから選択される、請求項70~92のいずれか1項に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項94】
前記微生物が、プロバイオティックEscherichia coli株またはその派生体である、請求項70~93のいずれか1項に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項95】
前記微生物が、Escherichia coli Nissle 1917またはその派生体である、請求項70~94のいずれか1項に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項96】
前記Escherichia coli Nissle 1917または前記その派生体が、プラスミドpMUT1及び/もしくはプラスミドpMUT2、ならびに/またはその派生物を有する、請求項95に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項97】
前記Escherichia coli Nissle 1917または前記その派生体が、前記プラスミドpMUT1及び/または前記プラスミドpMUT2をキュアリングされる、請求項95に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項98】
前記表面タンパク質をコードする前記遺伝子が、ゲノム部位に組み込まれている、請求項70~97のいずれか1項に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項99】
前記溶解素をコードする前記第2の遺伝子が、ゲノム部位に組み込まれている、請求項70~98のいずれか1項に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項100】
前記表面タンパク質をコードする前記遺伝子、及び前記溶解素をコードする前記第2の遺伝子が、単一のゲノム部位に組み込まれ、任意に、前記単一のゲノム部位が、バクテリオファージ及び/または天然に存在するプラスミドの組み込み部位である、請求項99に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項101】
少なくとも1つの検出マーカーをコードする前記1つ以上の遺伝子が、第3のゲノム部位に組み込まれている、請求項70~100のいずれか1項に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項102】
前記表面タンパク質をコードする前記遺伝子、前記溶解素をコードする前記第2の遺伝子、及び少なくとも1つの検出マーカーをコードする前記遺伝子(複数可)が、単一のゲノム部位に組み込まれている、請求項101に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項103】
前記表面タンパク質をコードする前記遺伝子、及び/または前記溶解素をコードする前記第2の遺伝子が、プラスミドに挿入される、請求項70~97のいずれか1項に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項104】
少なくとも1つの検出マーカーをコードする前記1つ以上の遺伝子が、前記プラスミドに挿入されており、前記プラスミドが、任意に、単一コピープラスミドまたはマルチコピープラスミドである、請求項70~97または103のいずれか1項に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項105】
少なくとも1つの検出マーカーをコードする前記1つ以上の遺伝子が、前記表面タンパク質をコードする前記遺伝子及び/または前記溶解素をコードする前記遺伝子を含むプラスミドとは異なるプラスミドに挿入されている、請求項104に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項106】
前記微生物が、Escherichia coli Nissle 1917またはその派生体であり、前記表面タンパク質、前記溶解素、及び前記検出マーカーをコードする前記遺伝子のうちの1つ以上が、プラスミドpMUT1もしくはプラスミドpMUT2及び/またはその派生物上に組み込まれる、請求項70~105のいずれか1項に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項107】
前記表面タンパク質、前記溶解素、及び前記検出マーカーをコードする前記遺伝子のうちの1つ以上を担持する前記プラスミド(複数可)が、さらに、選択機序を含む、請求項70~106のいずれか1項に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項108】
前記選択機序が、抗生物質耐性マーカー、毒素-抗毒素系、必須遺伝子に変異の相補性を引き起こすマーカー、シス作用性遺伝要素、及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせから選択される、請求項107に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項109】
前記抗生物質耐性マーカーが、カナマイシン耐性遺伝子及びテトラサイクリン耐性遺伝子から選択される、請求項107または請求項108に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項110】
前記毒素-抗毒素系が、プラスミドR1のhok/sok系、プラスミドRK2のparDE系、FプラスミドのccdAB、FプラスミドのflmAB、プラスミドR1のkis/kid系、Xanthomonas campestrisのXCV2162-ptaRNA1、腸管出血性E.coliまたはKlebsiellaのataT-ataR、Erwinia carotovoraのtoxIN系、Caulobacter crescentusのparE-parD系、Enterococcus faecalisプラスミドAD1由来のfst-RNAII、Bacillus subtilisプラスミドpSM19035のε-ζ系、及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせから選択される、請求項70~109のいずれか1項に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項111】
前記必須遺伝子が、
必須栄養素もしくは細胞壁の構成成分の生合成に関与する酵素、及び/または
ハウスキーピング機能
をコードする、請求項70~110のいずれか1項に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項112】
前記必須遺伝子が、dapA、dapD、murA、alr、dadX、murI、dapE、thyA、及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせから選択され、任意に、前記必須遺伝子が、alr及びdadXの組み合わせであり、任意に、前記プラスミド及び/または前記第2のプラスミドが、前記プラスミド及び/または前記第2のプラスミド上に存在する機能的なalr遺伝子によるalr及びdadX変異の相補性により選択される、請求項111に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項113】
前記ハウスキーピング機能が、infA、RNAポリメラーゼのサブユニットをコードする遺伝子、DNAポリメラーゼ、rRNA、tRNA、細胞分裂タンパク質、シャペロンタンパク質、及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせから選択される、請求項111に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項114】
前記シス作用性遺伝要素が、ColE1 cer遺伝子座またはpSC101由来のpar遺伝子座である、請求項70~113のいずれか1項に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項115】
前記微生物が、dapA、dapD、dapE、murA、alr、dadX、murI、thyA、aroC、ompC、及びompFから選択される少なくとも1つの栄養要求性変異を有し、任意に、前記株が、dapA arl及びdadX栄養要求性変異の組み合わせを有する、請求項70~114のいずれか1項に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項116】
前記プラスミドまたは前記第2のプラスミドが、DNA結合タンパク質に対する少なくとも1つの結合部位を含む、請求項100~115のいずれか1項に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項117】
前記DNA結合タンパク質が、1つ以上の核局在化シグナル(NLS)を含む、請求項116に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項118】
前記NLSが、SV40 T抗原NLS配列(KKKRKV)である、請求項116または請求項117に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項119】
前記DNA結合タンパク質が、NFκBである、請求項116~118のいずれか1項に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項120】
前記微生物が、1つ以上の核局在化シグナル(NLS)を含む前記DNA結合タンパク質をコードする遺伝子を含む、請求項116~119のいずれか1項に記載の遺伝子改変微生物。
【請求項121】
対象における疾患の診断及び/または処置の方法であって、前記方法が、
(i)請求項70~120のいずれか1項に記載の遺伝子改変微生物を前記対象の前記胃腸管に投与すること、及び
(ii)前記検出マーカーの前記発現を検出し、それにより、罹患上皮細胞を検出すること、
を含み、
任意に、前記方法が、さらに、前記対象に処置を実施することを含む、
前記方法。
【請求項122】
処置のための、疾患に罹患しているかまたは罹患していると疑われる対象を選択する方法であって、
(i)請求項70~120のいずれか1項に記載の遺伝子改変微生物を前記対象の前記胃腸管に投与すること、
(ii)周囲の正常な上皮細胞と比較した前記検出マーカーの発現の上昇を検出すること、及び
(iii)周囲の正常な上皮細胞と比較して前記検出マーカーの発現が観察される場合、処置のための前記対象を選択すること、
を含む、前記方法。
【請求項123】
前記疾患が、前がん病変、がん、潰瘍性大腸炎、クローン病、バレット食道、過敏性腸症候群、及び過敏性腸疾患から選択される、請求項121または請求項122に記載の方法。
【請求項124】
前記前がん病変が、
無茎性ポリープ、鋸歯状ポリープ(例えば、過形成性ポリープ、無茎性鋸歯状腺腫/ポリープ、及び従来の鋸歯状腺腫)、無茎性鋸歯状ポリープ、扁平ポリープ、亜有茎性ポリープ、有茎性ポリープ、及びそれらの組み合わせから選択されるポリープ、
BilIN-1、BilIN-2、BilIN-3、及び胆管癌から選択される胆道上皮内腫瘍(BilIN)、ならびに/または
PanIN-1、PanIN-2、PanIN-3、及び膵管腺癌(PDAC)から選択される膵上皮内腫瘍(PanIN)、
を含む、請求項123に記載の方法。
【請求項125】
前記ポリープが、小型ポリープである、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
前記前がん病変が、約0.05mm~約30mmのサイズを有する、請求項123または124に記載の方法。
【請求項127】
前記前がん病変が、約0.1mm未満、約0.25mm未満、約0.5mm未満、約1mm未満、約2mm未満、約5mm未満、約8mm未満、約10mm未満、約15mm未満、約20mm未満、約25mm未満、または約30mm未満のサイズを有する、請求項126に記載の方法。
【請求項128】
前記がんが、ポリープ、腺腫、またはfrank型がんを含む、請求項123に記載の方法。
【請求項129】
前記がんが、リンチ症候群、家族性腺腫性ポリポーシス、遺伝性非ポリポーシス結腸癌(HNPCC)、または散発性がんを含む、請求項123に記載の方法。
【請求項130】
前記がんが、肛門の扁平上皮癌、肛門の低悪性度扁平上皮内病変(LSIL)、肛門の高悪性度扁平上皮内病変(HSIL)、結腸直腸癌、結腸直腸腺癌、家族性腺腫性ポリポーシス、遺伝性非ポリポーシス結腸直腸癌、結腸直腸ポリポーシス(例えば、ポイツ・ジェガース症候群、若年性ポリポーシス症候群、MUTYH関連ポリポーシス、家族性腺腫性ポリポーシス/ガードナー症候群、及びクロンカイト・カナダ症候群)、カルチノイド、腹膜偽粘液腫、十二指腸腺癌、小腸の前悪性腺腫、遠位胆管癌、胆道上皮内腫瘍(BilIN)、BilIN-1、BilIN-2、BilIN-3、または胆管癌、膵管腺癌(PDAC)、膵上皮内腫瘍(PanIN)、PanIN-1、PanIN-2、PanIN-3、胃癌、印環細胞癌(SRCC)、胃リンパ腫(MALTリンパ腫)、形成性腺炎(ブリントン病)、ならびに食道の扁平上皮癌及び腺癌から選択される、請求項123に記載の方法。
【請求項131】
患者のがんを処置するための方法であって、
(i)請求項70~100のいずれか1項に記載の遺伝子改変微生物を前記対象の前記胃腸管に投与すること、
(ii)前記検出マーカーの前記発現を検出し、それにより、罹患上皮細胞を検出すること、及び
(iii)前記検出マーカーの前記発現が観察される場合、処置を実施すること、
を含む、前記方法。
【請求項132】
前記処置が、手術、または、化学療法剤、細胞傷害剤、免疫チェックポイント阻害剤、免疫抑制剤、サルファ剤、コルチコステロイド、抗生物質、及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群より選択される治療薬の投与である、請求項121~131のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ、改変細菌及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
胃腸管(GI管)は、食物を取り込み、それを消化して、エネルギー及び栄養素を抽出及び吸収し、残りの老廃物を糞便として排出する。消化器疾患(GI疾患)は、口、食道、胃及び小腸、大腸及び直腸を含む消化管を形成する器官が関与する疾患である。GI疾患は、バレット食道、炎症性腸疾患(IBD)、過敏性腸症候群(IBS)、クローン病、潰瘍性大腸炎、及び前がん症候群、ならびにがんを含む。
【0003】
GI疾患の診断は、症状及び病歴から始まる。内視鏡検査、結腸内視鏡検査、及びコンピューター断層撮影(CT)スキャンなどの手法は、GI管の管腔の調査を容易にすることにより診断を支援する。例えば、CTスキャンで局所的、不規則で非対称な胃腸壁の肥厚は、悪性腫瘍を示唆する。分節性またはびまん性の胃腸壁の肥厚は、虚血性、炎症性、または感染性疾患を示し得る。異常細胞及び罹患組織を視覚化して除去する能力は、外科医の技術及び病変(例えば、ポリープまたは腫瘍)の可視性に応じて変動する。特定の異常成長病変は、平坦または小型であり、それ故、熟練した外科医でさえ効率的に視覚化及び除去できない。従って、検出感度を向上させるための新しい方策が必要とされる。
【発明の概要】
【0004】
従って、様々な態様では、本発明は、胃腸管の罹患組織を検出するのに有用な組成物及び方法を提供する。本発明の一態様は、罹患上皮組織を検出するための方法に関する。いくつかの実施形態では、罹患上皮組織が、胃腸管上皮及び胆管上皮から選択される。様々な実施形態では、方法は、罹患細胞において特異的に検出マーカーの発現を指令する遺伝子改変微生物を、それを必要とする対象の胃腸管に投与することを含む。本方法は、さらに、検出マーカーの発現を検出して、それにより、罹患上皮細胞を検出することを含む。様々な実施形態では、遺伝子改変微生物は、罹患胃腸上皮細胞(すなわち、非罹患胃腸上皮細胞と比較して)または罹患胆管上皮細胞(すなわち、非罹患胆管上皮細胞と比較して)上に特異的に存在する1つ以上の細胞膜受容体と特異的に相互作用する発現された表面タンパク質を介して、罹患上皮細胞と特異的に相互作用する。例えば、細胞膜受容体は、正常な胃腸組織及び/または胆管、膵管、もしくは総胆管などの内側を覆う上皮組織の上皮細胞の管腔側に露出しない可能性があるが、疾患に罹患した対象において、胃腸組織及び/または胆管、膵管、もしくは総胆管などの内側を覆う上皮組織の罹患上皮細胞の管腔側に露出する。それにより、表面タンパク質は、罹患上皮細胞における微生物の結合及び侵入を促進する。様々な実施形態では、微生物は、プロモーターに作動可能に連結されている少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子を含む。それにより、様々な実施形態では、微生物は、核酸(例えば、DNAもしくはmRNA分子)またはタンパク質を、罹患上皮細胞に送達する。様々な実施形態では、罹患上皮細胞は、少なくとも1つの検出マーカーを発現し、それにより、それらの検出が可能になる。
【0005】
様々な実施形態では、本明細書に開示の方法は、前がん病変、がん、または潰瘍性大腸炎、クローン病、バレット食道、過敏性腸症候群、及び/または過敏性腸疾患により引き起こされる病変から選択される罹患胃腸(GI)組織を検出する。本明細書に開示の任意の実施形態において、異常細胞の検出は、検出可能マーカーを検出するために、内視鏡検査、結腸内視鏡検査、MRI、CTスキャン、PETスキャン、またはそれらの組み合わせを使用して実施され、それにより、罹患上皮細胞が検出される。様々な実施形態では、遺伝子改変微生物は、経口または直腸経路を介して投与される。様々な実施形態では、任意に、結腸洗浄剤が、微生物の投与前及び/または投与後に投与されてもよい。
【0006】
本発明の一態様は、遺伝子改変微生物に関する。微生物は、胃腸組織及び/または胆管、膵管、または総胆管などの内側を覆う上皮組織の罹患上皮細胞の管腔側に露出する1つ以上の細胞膜受容体を介して罹患上皮細胞と特異的に相互作用する表面タンパク質をコードする遺伝子を含む。1つ以上の細胞膜受容体は、正常な胃腸組織及び/または胆管、膵管、もしくは総胆管などの内側を覆う上皮組織の上皮細胞の管腔側では発現されず、それにより、消化管組織及び/または胆管、膵管、または総胆管などの内側を覆う上皮組織の罹患または異常細胞に対する特異性が微生物に付与される。表面タンパク質は、罹患した胃腸組織及び/または胆管、膵管、もしくは総胆管などの内側を覆う上皮組織の上皮細胞の侵入を特異的に促進する。
【0007】
様々な実施形態では、微生物は、非病原性である。様々な実施形態では、微生物は、少なくとも1つの栄養要求性変異を有し、これは、任意に、細胞壁合成に必要な代謝産物の合成に関与する遺伝子の欠失、不活化、または発現もしくは活性の低減を含む。様々な実施形態では、少なくとも1つの栄養要求性変異は、侵入時に罹患哺乳動物細胞内の微生物の溶解を促進する。いくつかの実施形態では、栄養要求性変異は、細胞壁合成を支持する代謝産物の合成に関与する遺伝子の欠失または不活化である。いくつかの実施形態では、細胞壁合成を支援する代謝産物の合成に関与する遺伝子は、dapAであり、及び/または、細胞壁合成を支援する代謝産物は、ジアミノピメリン酸である。様々な実施形態では、微生物は、さらに、ファゴソームの溶解を誘導する溶解素をコードする遺伝子を含む。
【0008】
様々な実施形態では、微生物は、プロモーターに作動可能に連結されている少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、プロモーターは、任意に、上皮発現またはGI管上皮細胞特異的発現に対して活性または特異的である哺乳動物プロモーターである。これらの実施形態では、微生物は、DNA分子(例えば、プラスミド)を、罹患上皮細胞に送達する。これらの実施形態では、DNA分子は、任意に、DNA結合タンパク質に対する少なくとも1つの結合部位を含む。いくつかの実施形態では、DNA結合タンパク質は、1つ以上の核局在化シグナル(NLS)を含み、従って、罹患上皮細胞におけるDNA分子(例えば、プラスミド)の核移行が可能になる。これらの実施形態では、罹患上皮細胞は、微生物により送達されたDNA分子(例えば、プラスミド)から少なくとも1つの検出マーカーを発現し、それにより、それらの検出が可能になる。
【0009】
代替実施形態では、プロモーターは、微生物プロモーターであり、微生物は、mRNAを哺乳動物細胞に送達する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子は、任意に、さらに、内部リボソーム侵入部位を含む。これらの実施形態では、微生物は、翻訳のために、mRNA分子を罹患上皮細胞に送達する。これらの実施形態では、罹患上皮細胞は、微生物により送達されたmRNA分子由来の少なくとも1つの検出マーカーを発現し、それにより、それらの検出を可能にする。
【0010】
代替実施形態では、プロモーターは、微生物プロモーターであり、発現されたmRNAは、細菌細胞内で翻訳される。これらの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子は、任意に、さらに、哺乳動物の細胞質にのみ見出される代謝産物と接触すると蛍光性になるタンパク質を含む。これらの実施形態では、微生物は、タンパク質分子を産生し、罹患上皮細胞に送達する。これらの実施形態では、罹患上皮細胞は、タンパク質を産生しないが、その代わりに、微生物により産生されたタンパク質が哺乳動物の細胞質にのみ見られる代謝産物に遭遇すると蛍光性になる。
【0011】
様々な実施形態では、検出マーカーは、蛍光タンパク質、生物発光タンパク質、磁気共鳴画像法(MRI)用の造影剤、陽電子放出断層撮影法(PET)レポーター、酵素レポーター、コンピューター断層撮影法(CT)で使用される造影剤、単一光子放射断層撮影(SPECT)レポーター、光音響レポーター、X線レポーター、超音波レポーター、及びイオンチャネルレポーター(例えば、cAMP活性化カチオンチャネル)、ならびに、それらの任意の2つ以上の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子は、少なくとも1つのイントロンを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、蛍光タンパク質は、iRFP670、miRFP670、iRFP682、iRFP702、miRFP703、miRFP709、iRFP713(iRFP)、iRFP720、及びiSplitから選択される近赤外蛍光タンパク質である。いくつかの実施形態では、蛍光タンパク質は、iRFP670(配列番号5)である。
【0013】
追加的または代替的に、いくつかの実施形態では、検出マーカーは、Ca+2調節発光タンパク質、ルシフェラーゼ、及びその活性バリアントから選択される生物発光タンパク質である。これらの実施形態では、生物発光タンパク質の基質は、微生物の投与前及び/または投与後に投与されてもよい。
【0014】
追加的または代替的に、いくつかの実施形態では、検出マーカーは、フェリチン、トランスフェリン受容体-1(TfR1)、チロシナーゼ(TYR)、ベータガラクトシダーゼ、マンガン結合タンパク質MntR、ヨウ化ナトリウムシンポーター、E.coliジヒドロ葉酸レダクターゼ、ノルエピネフリントランスポーター、及びそれらの活性バリアントから選択される、MRIで使用される造影剤(例えば、磁気応答原子の蓄積を引き起こすタンパク質またはペプチド)である。これらの実施形態では、MRIで使用される造影剤の基質(例えば、磁気応答原子の供給源)は、微生物の投与前及び/または投与後に投与されてもよい。
【0015】
追加的または代替的に、いくつかの実施形態では、検出マーカーは、チミジンキナーゼ、デオキシシチジンキナーゼ、ドーパミン2受容体、エストロゲン受容体α表面タンパク質結合ドメイン、ソマトスタチン受容体サブタイプ2、がん胎児性抗原、ヨウ化ナトリウムシンポーター、E.coliジヒドロ葉酸レダクターゼ、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1に特異的な単鎖抗体、4,7,10-四酢酸(DOTA)、またはそのバリアントから選択されるPETレポーター(例えば、陽電子放出放射性同位体の蓄積を引き起こすタンパク質またはペプチド)である。これらの実施形態では、PETプローブ(例えば、陽電子放出放射性同位体)は、微生物の投与前及び/または投与後に投与されてもよい。
【0016】
追加的または代替的に、いくつかの実施形態では、検出マーカーは、ベータガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アセチルコリンエステラーゼ、及びカタラーゼから選択される酵素レポーターである。これらの実施形態では、酵素レポーターの基質は、微生物の投与前及び/または投与後に投与されてもよい。
【0017】
追加的または代替的に、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーは、ナトリウムイオンシンポーター、ノルエピネフリントランスポーター、ヨウ化ナトリウムシンポーター、ドーパミン受容体、及びドーパミントランスポーターから選択される単一光子放射断層撮影(SPECT)レポーター(例えば、ガンマ線放出放射性同位元素の蓄積を引き起こすタンパク質またはペプチド)である。これらの実施形態では、SPECTプローブ(例えば、ガンマ線放出放射性同位元素)は、微生物の投与前及び/または投与後に投与されてもよい。
【0018】
様々な実施形態では、微生物は、Lactobacillus、Bifidobacterium、Saccharomyces、Enterococcus、Streptococcus、Pediococcus、Leuconostoc、Bacillus、及びEscherichia coliから選択される。いくつかの実施形態では、微生物は、Escherichia coli(E.coli)、例えば、E.coli Nissle 1917またはその派生体である。
【0019】
様々な実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子は、Escherichia coli Nissle 1917由来の天然の内因性プラスミド(すなわち、pMUT1、pMUT2、及び/またはその派生物)に挿入され得る。いくつかの実施形態では、プラスミドは、選択機序を含む。いくつかの実施形態では、選択機序は、プラスミド維持のために抗生物質を必要としないことがある。従って、いくつかの実施形態では、選択機序は、抗生物質耐性マーカー、毒素-抗毒素系、必須遺伝子に変異の相補性を引き起こすマーカー、シス作用性遺伝要素、及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせから選択される。
【0020】
本発明の一態様は、対象の疾患を診断する方法であって、(i)本明細書に開示の遺伝子改変微生物を対象の胃腸管に投与すること、及び(ii)検出マーカーの発現を検出し、それにより、罹患上皮細胞を検出すること、を含む方法に関する。
【0021】
本発明の一態様は、対象の疾患を診断及び/または処置する方法に関し、方法は、(i)本明細書に開示の実施形態のいずれかの遺伝子改変微生物を、対象の胃腸管に投与すること、及び(ii)検出マーカーの発現を検出し、それにより、罹患上皮細胞を検出すること、を含み、任意に、方法は、さらに、対象に処置を実施することを含む。
【0022】
本発明の一態様は、処置用の、疾患に罹患しているか、または罹患していると疑われる対象を選択する方法に関し、方法は、(i)本明細書に開示の実施形態のいずれかの遺伝子改変微生物を、対象の胃腸管に投与すること、(ii)周囲の正常な上皮細胞と比較した検出マーカーの発現の上昇を検出すること、及び(iii)周囲の正常な上皮細胞と比較して検出マーカーの発現が観察される場合の処置用の対象を選択すること、を含む。
【0023】
本発明の一態様は、患者のがんを処置する方法に関し、方法は、(i)本明細書に開示の実施形態のいずれかの遺伝子改変微生物を、対象の胃腸管に投与すること、(ii)検出マーカーの発現を検出し、それにより、罹患上皮細胞を検出すること、及び(iii)検出マーカーの発現が観察される場合、処置を実施すること、を含む。様々な態様及び実施形態では、処置は、手術、または、化学療法剤、細胞傷害剤、免疫チェックポイント阻害剤、免疫抑制剤、サルファ剤、コルチコステロイド、抗生物質、及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群より選択される治療剤の投与である。
【0024】
本発明の他の態様は、上記態様の方法に使用される本明細書に開示の実施形態のいずれかの遺伝子改変微生物を提供する。
【0025】
本明細書に開示の任意の態様または実施形態は、本明細書に開示の任意の他の態様または実施形態と組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】GI管上皮の罹患細胞の概略図を示す。基底膜側及び管腔側が示される。中央の細胞は、罹患細胞であり、これは、管腔側に表示される異常局在化受容体を示す。他の罹患細胞は、転座及び他のゲノム再編成により形成されるものを含む、通常は細胞内に見られない新しい膜受容体を有し得る。
【
図2】E.coli Nissle 1917(EcN)株の模式図を示す。この株は、遺伝子改変細菌を産生するのに有用な例示的な株である。染色体及び天然に存在するプラスミドpMUT1(GenBankアクセッション番号MW240712)及び/またはプラスミドpMUT2(GenBankアクセッション番号CP023342)は、異なるサイズの円で表される。
【
図3】1つ以上の栄養要求性変異(Xで示される)を有する、遺伝子改変E.coli Nissle 1917(EcN)株の基本株の実施形態の概略図を示す。例示的な栄養要求性変異は、dapAΔ、alrΔ、及びdadXΔを含む。そのような変異は、細菌細胞が体内または環境で増殖するのを防ぎ、それにより、遺伝子改変細菌の封じ込めを助ける。
【
図4】dapAΔ、alrΔ、dadXΔ栄養要求性変異を有する遺伝子改変E.coli Nissle 1917(EcN)株の成長要件及び成長特性を示す。アラニンラセマーゼをコードする遺伝子であるalr及びdadXの二重欠失は、D-アラニン栄養要求性をもたらす。dapAの欠失は、ジアミノピメリン酸の栄養要求性をもたらす。Aのグラフは、D-アラニン及びジアミノピメリン酸の両方が成長培地に添加された場合にのみ株が成長することを示す。Bのグラフは、D-アラニン及びジアミノピメリン酸が培地に添加された場合、株が野生型株と同様に成長することを示す。
【
図5】ゲノムに組み込まれた表面タンパク質及びリステリオリシンO(配列番号2)をコードする遺伝子を有する、遺伝子改変細菌E.coli Nissle 1917(EcN)株の実施形態の概略図を示す。例示的な表面タンパク質は、インベイシン(配列番号1)及び細菌足場上で発現されるナノボディ/受容体結合ペプチドである。リステリオリシンは、エンドソームからの脱出を可能にするように発現される。
【
図6】プラスミドpMUT1をキュアリングされている、遺伝子改変E.coli Nissle 1917(EcN)派生体の実施形態の概略図を示す。この株は、栄養要求性変異(Xで示される)、及びゲノムに組み込まれたインベイシン/ナノボディ及びリステリオリシンO(配列番号2)をコードする遺伝子の相互作用も有する。
【
図7】E.coli Nissle 1917(EcN)由来の潜在性プラスミドをキュアリングした結果を示す。Aは、pMut1、次に、pMut2の順次キュアリングを示すアガロースゲルを示す。野生型E.coli Nissle 1917(EcN)を、キュアリングプラスミドで形質転換し、5mg/mlのアンピシリンの存在下で継代した。野生型E.coli Nissle 1917(EcN)(レーンA)、pMUT1をキュアリングされたE.coli Nissle 1917(EcN)(レーンB)、ならびにpMUT1及びpMUT2をキュアリングされたE.coli Nissle 1917(EcN)(レーンC)由来のプラスミドの調製物。Bは、最終株でのpMUT1及びpMUT2のキュアリングを確認する定量的PCRの結果を示す。rpoA(染色体マーカー)、pMUT1、及びpMUT2に特異的なプライマーを用いてqPCRを行った。表示は、増幅が設定閾値を通過したサイクル数の逆数(Cq
-1)を示す。データラベルは、
図7Aの通りである。
【
図8】本開示の遺伝子改変細菌の非限定的な実施形態の概略図を示す。この株は、1つ以上の栄養要求性変異(Xで示される)を有するE.coli Nissle 1917(EcN)派生体であり、さらに、ゲノムに組み込まれる表面タンパク質及びリステリオリシンO(本明細書ではHlyとも呼ばれる;配列番号2)をコードする遺伝子を有する。この株は、プラスミドpMUT1を含有しないが、pMUT1ベースの派生物であるプラスミドpSRXを含み、選択機序として栄養要求性変異の相補性を使用して選択される(例えば、プラスミドによるalr遺伝子によるalr及びdadXの相補性)。プラスミドpSRXは、本明細書においてGFPにより例示される検出マーカーも有する。
【
図9A】
図9A~
図9Dは、理論に束縛されるものではないが、罹患胃腸(GI)組織を検出するための方法の略図を示す。
図9Aは、罹患上皮細胞(中央の細胞で表される)への遺伝子改変細菌の特異的結合を示す。これは、GI管の管腔側に表示される異常局在化受容体を示す。そのような結合は、遺伝子改変細菌の罹患上皮細胞(中央細胞で表される)への内在化につながる。
【
図9B】
図9A~
図9Dは、理論に束縛されるものではないが、罹患胃腸(GI)組織を検出するための方法の略図を示す。
図9Bは、弱毒化変異による細菌の溶解、及びLLOの作用によるファゴソームの溶解を示す。
【
図9C】
図9A~
図9Dは、理論に束縛されるものではないが、罹患胃腸(GI)組織を検出するための方法の略図を示す。
図9Cは、遺伝子改変細菌の溶解時の検出マーカーを含むプラスミドの核局在化を示す。
【
図9D】
図9A~
図9Dは、理論に束縛されるものではないが、罹患胃腸(GI)組織を検出するための方法の略図を示す。
図9Dは、GI管の罹患上皮細胞(中央細胞により表される)による検出マーカーの発現を示す。
【
図10】in vitroでSW480結腸直腸癌細胞に侵入した後に、細菌細胞により発現された検出マーカー(GFP)の発現を示す。インベイシン遺伝子を含まない(上のパネル)またはそれを含む(下のパネル)mNeonGreen(緑色蛍光タンパク質)を含有する菌株を、SW480(結腸直腸癌由来細胞株)と1時間共インキュベートし、続いて、細胞外細菌を洗い流した。SW480細胞を蛍光顕微鏡(左パネル)で可視化し、プレートから取り出し、次に、フローサイトメトリー(右パネル)で分析して、菌株がうまく侵入したSW480細胞の部分を特定した。
【
図11】がん性哺乳動物細胞への侵入後にmNeonGreen(緑色蛍光タンパク質)を構成的に発現する細菌細胞を示す。Aは、位相差顕微鏡法(「トランス」)、蛍光顕微鏡法(GFP)、及びインベイシン遺伝子なし(左パネル)またはあり(右パネル)で、細菌で処置された哺乳動物細胞の2つの画像のマージで生成された画像を示す。Bは、フローサイトメトリーを使用して決定された感染多重度(MOI)の関数として侵入の程度を示すグラフを示す。
【
図12A】
図12A~
図12Cは、インチミン-インベイシン融合タンパク質(配列番号4)で誘導された侵入を示す。Aは、インチミン-インベイシン融合タンパク質の模式図を示す。Hatlem et al.,Catching a SPY:Using the SpyCatcher-SpyTag and Related Systems for Labeling and Localizing Bacterial Proteins.IJMS20:2129(2019)を適応。
【
図12B】
図12A~
図12Cは、インチミン-インベイシン融合タンパク質(配列番号4)で誘導された侵入を示す。Bは、mNeonGreen及びインチミン足場(配列番号3)を発現する細菌と比較した、がん性哺乳動物細胞への侵入後の、mNeonGreen(緑色蛍光タンパク質)及びインチミン-インベイシン足場を構成的に発現する細菌細胞を示す。位相差顕微鏡(「トランス」)、蛍光顕微鏡(GFP)で作製された画像、及びインチミン足場のみ(配列番号3、左パネル)またはインチミン-インベイシン融合タンパク質(配列番号4、右パネル)を発現する細菌で処置された哺乳動物細胞の2つの画像のマージ。
【
図12C】
図12A~
図12Cは、インチミン-インベイシン融合タンパク質(配列番号4)で誘導された侵入を示す。Cは、インチミン足場のみ、インチミン-インベイシン融合タンパク質、及びインベイシンを発現する細菌が侵入する程度を示す棒グラフを示す。
【
図13A】
図13A及び
図13Bは、インベイシンを発現する場合に、罹患及び非罹患組織を識別する細菌の能力を示す。
図13Aは、マウスにおける腫瘍細胞の検出のために行われた実験の模式図を示す。インベイシン及びmNeonGreen(GFP)を発現する細菌を、インベイシンを欠き、mScarlet(RFP)を発現する細菌と混合し、結腸の遠位端に誘導された腫瘍を含有するマウスの結腸に付加した。3時間後、マウスを死亡させ、結腸を切除し、洗浄し、蛍光顕微鏡法に供した。
【
図13B】
図13A及び
図13Bは、インベイシンを発現する場合に、罹患及び非罹患組織を識別する細菌の能力を示す。
図13Bは、細菌混合物で処置されたマウス由来の結腸組織の落射蛍光顕微鏡画像を示し、これは、GFPを発現する細菌(従って、インベイシン)が、罹患組織のみに選択的に侵入できたことを示す。RFPを発現する(従って、インベイシンを欠く)細菌は、どの組織にも侵入できず、洗い流された。
【
図14A】
図14A~
図14Eは、本明細書に開示の改変微生物によるDNAペイロードの効率的な送達のための要件を示す。
図14Aは、理論に束縛されるものではないが、遺伝子ペイロードの送達の提案された機序の概略図、及び高コピーの細菌プラスミドを含有した哺乳動物プロモーター(CMVプロモーター)由来のiRFP670(配列番号5)の発現を示す概略図、を示す。
【
図14B】
図14A~
図14Eは、本明細書に開示の改変微生物によるDNAペイロードの効率的な送達のための要件を示す。
図14Bは、位相差顕微鏡(「トランス」)、蛍光顕微鏡(iRFP670)画像、及び2つの画像のマージを示し、これは、哺乳動物細胞によるiRFP670の発現を実証する。
【
図14C】
図14A~
図14Eは、本明細書に開示の改変微生物によるDNAペイロードの効率的な送達のための要件を示す。
図14Cは、リステリオリシンO(Hly;配列番号2)のみ、インベイシン(配列番号1)のみ、またはインベイシン(配列番号1)及びリステリオリシンO(配列番号2)を発現する改変微生物で処置された哺乳動物細胞によるiRFP670(配列番号5)の発現の定量化を示す。
【
図14D】
図14A~
図14Eは、本明細書に開示の改変微生物によるDNAペイロードの効率的な送達のための要件を示す。
図14Dは、改変微生物の溶解が、遺伝子ペイロードの効率的な送達に必要とされることを実証する棒グラフである。ペリプラズムシーケンシングシグナルを欠くHly(配列番号6)を産生し、細胞質内に留まる株を用いて、Hlyを分泌する株によるDNA送達効率を、ジアミノピメリン酸(DAP)の存在下または非存在下で比較した。インベイシン、Hly、及び/またはdapA栄養要求性を欠く株を陰性対照として使用した。
【
図14E】
図14A~
図14Eは、本明細書に開示の改変微生物によるDNAペイロードの効率的な送達のための要件を示す。
図14Eは、遺伝子ペイロードdapA栄養要求性株の送達中に培地にDAPを添加すると、遺伝子ペイロードの送達効率を低減させることを実証する。
【
図15A】
図15A~
図15Cは、改変微生物の非限定的な代替実施形態によるDNAペイロードの送達を示す。
図15Aは、リステリオリシンO(Hly;配列番号2)を分泌する改変微生物がDNAペイロードを送達し得ることを示す。細胞質でHlyを産生する株(配列番号6)及びHlyを分泌する株によるDNAペイロードの送達効率を比較する棒グラフが示される。
【
図15B】
図15A~
図15Cは、改変微生物の非限定的な代替実施形態によるDNAペイロードの送達を示す。
図15Bは、リステリオリシンO(Hly)を保持または分泌する改変微生物の全細胞、溶解物、または培養上清が、リステリオリシンO条件下で溶血性であることを示す。
【
図15C】
図15A~
図15Cは、改変微生物の非限定的な代替実施形態によるDNAペイロードの送達を示す。
図15Cは、インベイシン遺伝子の染色体組み込みを有する改変微生物がDNAペイロードを送達し得ることを示す。エピソームインベイシン遺伝子を有するものに対して、インベイシン遺伝子の染色体組み込みを有する株によるDNAペイロードの送達効率を比較する棒グラフが示される。
【
図16A】
図16A~
図16Eは、本明細書に開示の改変微生物の非限定的な代替実施形態によるRNAペイロードの送達を実証する。
図16Aは、RNAペイロードの送達に使用される改変微生物の非限定的な実施形態のゲノム構成を示す。
【
図16B】
図16A~
図16Eは、本明細書に開示の改変微生物の非限定的な代替実施形態によるRNAペイロードの送達を実証する。
図16Bは、qRT-PCRにより決定されるように、
図16Aに示される改変微生物の非限定的な実施形態によるGFP mRNAの発現を示す。
【
図16C】
図16A~
図16Eは、本明細書に開示の改変微生物の非限定的な代替実施形態によるRNAペイロードの送達を実証する。
図16Cは、
図16Aに示されるものと同様の改変微生物の非限定的な実施形態と接触した際の哺乳動物細胞によるiRFP670(配列番号5)の発現を示す。
【
図16D】
図16A~
図16Eは、本明細書に開示の改変微生物の非限定的な代替実施形態によるRNAペイロードの送達を実証する。
図16Dは、mRNAの安定性を改善するための5’ステムループを含むmRNAの非限定的な修飾を示す。
【
図16E】
図16A~
図16Eは、本明細書に開示の改変微生物の非限定的な代替実施形態によるRNAペイロードの送達を実証する。
図16Eは、
図16Dの改変微生物の非限定的な実施形態と接触した際の哺乳動物細胞によるiRFP670(配列番号5)の発現を示す。
【
図17A】二重プラスミド系を有するRNAペイロードの送達に有用な改変微生物の非限定的な実施形態を示す。
【
図17B】単一プラスミド系を有するRNAペイロードの送達に有用な改変微生物の非限定的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
胃腸管内での異常成長している細胞の現在の診断は、通常の大腸内視鏡検査に基づいており、これは、がんまたは前がん病変の検出に常に成功するとは限らない。異常細胞及び罹患組織を可視化して除去する能力は、外科医の技術及びポリープまたは腫瘍の見つけやすさに応じて変動する。特定の異常成長している細胞は、平らであるか、または数が少なく、それ故、熟練した外科医であっても視覚化、除去されない。本開示は、例えば、発光、PET、及びMRIベースの画像診断法における検出のために細胞を可視化する目的で、例えば、結腸内視鏡検査の前に投与される異常細胞を認識して侵入するように遺伝子改変されている細菌細胞を提供する。
【0028】
従って、様々な態様では、本発明は、罹患胃腸(GI)組織を検出するのに有用な組成物及び方法を提供する。本発明の一態様は、罹患上皮細胞を検出するための方法に関し、方法は、(i)それを必要とする対象の胃腸管に、遺伝子改変微生物を投与すること、及び、(ii)胃腸組織及び/または胆管、膵管、もしくは総胆管などの内側を覆う上皮組織(もしくは本明細書に記載の他の標的組織)の細胞において検出マーカーの発現を検出し、それにより、罹患上皮組織を検出すること、を含み、罹患上皮組織は、胃腸管上皮及び胆管上皮から選択される。いくつかの実施形態では、遺伝子改変微生物は、非病原性、栄養要求性であり、1つ以上の細胞膜受容体と特異的に相互作用する表面タンパク質をコードする外因性遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、細胞膜受容体は、正常な胃腸組織及び/または胆管、膵管、もしくは総胆管などの内側を覆う上皮組織の上皮細胞の管腔側に露出しないが、疾患に罹患した対象において、胃腸組織及び/または胆管、膵管、もしくは総胆管などの内側を覆う上皮組織の罹患上皮細胞の管腔側に露出する。表面タンパク質は、罹患上皮細胞における微生物の結合及び侵入を促進する。微生物は、哺乳動物または細菌のRNA発現を駆動するプロモーターに作動可能に連結されている少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子も含む。いくつかの実施形態では、プロモーターは、哺乳動物のプロモーターであってよい。いくつかの実施形態では、哺乳動物プロモーターは、上皮特異的発現またはGI管上皮細胞特異的発現を指令する。いくつかの実施形態では、プロモーターは、細菌プロモーター(または細菌内で機能するバクテリオファージプロモーター)であり、得られるmRNAは、細菌細胞または哺乳動物細胞により翻訳可能である。いくつかの実施形態では、遺伝子改変微生物は、経口または直腸経路を介して投与されてもよい。本態様では、結腸洗浄剤が、微生物の投与前及び/または投与後に任意に投与されてもよい。本明細書に開示の任意の実施形態において、異常細胞の検出は、内視鏡検査、結腸内視鏡検査、MRI、CTスキャン、PETスキャン、またはそれらの組み合わせを使用して実施されてもよい。
【0029】
消化管の管腔を取り囲む消化管壁は、管腔から外側に向かって、粘膜、粘膜下組織、筋層、及び漿膜(組織が腹腔内の場合)/外膜(組織が後腹膜の場合)と呼ばれる4つの同心円状の層で構成される。粘膜の特徴は、臓器に依存する。例えば、胃の粘膜上皮は、単純な円柱状であり、分泌物を処理するために胃のピット及び腺に組織化される。分泌細胞(例えば、杯細胞及びパネート細胞)、免疫細胞(例えば、樹状細胞及び腸関連リンパ組織(GALT)のM細胞)と混在した腺上皮からなる小腸粘膜は、絨毛に配置され、刷子縁を形成し、吸収のための領域を増加させる。
【0030】
消化管の上皮細胞は、極性連続層を形成する。上皮細胞は、密着及び接着結合により連結されており、頂端面にバリアを作成し、これは、頂端及び基底組織区画間の溶質、イオン、及びタンパク質の選択的拡散を制御する。細胞の先端面は、GI管の管腔に面しており、基底膜面は、内部に面した基底膜に隣接している。基底膜は、ラミニン、コラーゲンIV、プロテオグリカン、及びニドゲンを含む細胞外マトリックス(ECM)である。上皮細胞は、インテグリン及び膜貫通プロテオグリカンジストログリカンを介してECMと相互作用し、これらは、ECM構成成分及び細胞内タンパク質に結合する内在性膜タンパク質である。上皮細胞で広く発現しているβ1インテグリンは、その極性を確立する上で中心的な役割を果たす。例えば、ECM構成成分へのインテグリンの結合は、インテグリンによるシグナル伝達を活性化し、これは、細胞骨格の組織化に影響を与え、これは、細胞極性に寄与する。
【0031】
極性及びバリア機能の破壊は、疾患を引き起こす。例えば、腫瘍サプレッサーAPCの不活化後に、組織の極性は、がん進行中の非常に早い段階で失われる。例えば、以下を参照:Fatehullah et al.,Philos Trans R Soc Lond B Biol Sci.368(1629):20130014(2013)。従って、反対側の基底面ドメインでのインテグリンの異常局在化は、上皮構造の喪失及びがんの発生と相関していた。Krishnan et al.,Mol Biol Cell 24(6):818-31(2013)。同様に、腸内病原性Escherichia coli及びY.pseudotuberculosisなどの病原体は、細胞の極性を破壊し、側底膜タンパク質の頂端への移動を可能にする。Muza-Moons et al.,Infect Immun.71(12):7069-7078(2003);McCormick et al.,Infect Immun.65(4):1414-21(1997)。さらに、クローン病、未処置のセリアック病、過敏性腸症候群、過敏性腸疾患などの疾患は、バリア機能の破壊を特徴としている。Marchiando et al.,Annu Rev Pathol 5:119-144(2010)。従って、異常局在化及び/または異常に発現した細胞表面分子の検出は、診断上大きな価値がある。
【0032】
胆管は、胆汁を運ぶ長い管様構造である。小さな胆管は、肝小葉の門脈三管に現れる。これは、小さな肝動脈枝、門脈の枝も含有する。小さな胆管が融合して、より大きな胆管を形成する。肝臓三管のより大きな胆管は、肝内胆管に合流し、これは、肝臓の下面で融合して総胆管になる左右の肝管になる。総胆管の中間辺りで、胆嚢管(胆嚢との間で胆汁を運ぶ管)は、胆嚢に分岐する。総胆管は、腸に通じている。肝内管、胆嚢管、及び総胆管は、背の高い円柱上皮で内側を覆われている。
【0033】
胆嚢は、肝臓から排出された胆汁を貯蔵する。円柱状粘膜は固有層の上に折り重なって配置され、拡張が可能になる。粘膜固有層の下には筋層があり、胆嚢の周囲には結合組織層及び漿膜がある。胆嚢粘膜は、胆汁中のナトリウムを外に輸送し、その後受動的に塩化物及び水が追従する。従って、肝臓から分泌され、胆嚢に蓄えられる胆汁は、より濃縮される。胆嚢の筋層は、小腸の腸内分泌細胞から分泌されるホルモンであるコレシストキニンの影響下で収縮する。
【0034】
膵管、またはWirsung管(主膵管としても知られる)は、膵臓を総胆管に接続する管である。膵管は、ファーター膨大部の直前で総胆管に合流する。その後、両方の管が、十二指腸乳頭で十二指腸の第2の部分の内側を貫通する。同様に、多くのまれな解剖学的変種がある。膵管は、管腔の微絨毛及び糖衣ならびに小さな頂端細胞質ムチン液滴を含む円柱細胞で内側を覆われる。大きな膵管では、多くの上皮細胞は、また、繊毛があり、これは、外分泌性の分泌物の下流への移動を助ける働きをする。
【0035】
従って、様々な態様では、本発明は、罹患胃腸(GI)組織を検出するのに有用な組成物及び方法を提供する。本発明の一態様は、罹患上皮組織を検出するための方法に関し、方法は、(i)GI管の罹患上皮細胞において特異的に検出可能マーカーの発現を指令するように改変された遺伝子改変微生物を、それを必要とする対象の胃腸管に投与すること、ならびに、(ii)GI管(または他の標的組織)の細胞における検出マーカーの発現を検出し、それにより、罹患上皮細胞を検出すること、を含み、罹患上皮組織は、胃腸管上皮及び胆管上皮から選択される。様々な実施形態では、方法は、罹患細胞において特異的に検出マーカーの発現を指令する遺伝子改変微生物を、それを必要とする対象の胃腸管に投与することを含む。本方法は、さらに、検出マーカーの発現を検出して、それにより、罹患上皮細胞を検出することを含む。いくつかの実施形態では、遺伝子改変微生物は、非病原性、栄養要求性であり、1つ以上の細胞膜受容体と特異的に相互作用する表面タンパク質をコードする外因性遺伝子を含む。細胞膜受容体は、正常な胃腸組織及び/または胆管、膵管、もしくは総胆管などの内側を覆う上皮組織の上皮細胞の管腔側に露出しないが、疾患に罹患した対象において、胃腸組織及び/または胆管、膵管、もしくは総胆管などの内側を覆う上皮組織の罹患上皮細胞の管腔側に露出する。従って、1つ以上の細胞膜受容体の発現及び/または局在は、胃腸組織、及び/または、胆管、膵管、もしくは総胆管などの裏側を覆う上皮組織の罹患または異常細胞に対する特異性を、微生物に付与する。従って、表面タンパク質は、罹患上皮細胞における微生物の結合及び侵入を促進する。微生物は、プロモーター(例えば、哺乳動物または細菌のプロモーター)に作動可能に連結されている少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子)も含む。それにより、様々な実施形態では、微生物は、罹患上皮細胞における検出マーカーの発現のために核酸(例えば、DNAまたはmRNA分子)を送達する。様々な実施形態では、罹患上皮細胞は、少なくとも1つの検出マーカーを発現し、それにより、それらの検出が可能になる。いくつかの実施形態では、プロモーターは、哺乳動物のプロモーターであってよい。いくつかの実施形態では、哺乳動物プロモーターは、GI管上皮細胞特異的発現を指令する。いくつかの実施形態では、プロモーターは、細菌プロモーターであり、得られたmRNAは、細菌または哺乳動物細胞で翻訳可能である。
【0036】
遺伝子改変微生物を使用して、及び/または、本明細書に開示の方法を使用して、診断され得る疾患は、前がん病変、GI管癌、潰瘍性大腸炎、クローン病、バレット食道、過敏性腸症候群、及び過敏性腸疾患を含む。GI管癌及び前がん症候群は、肛門の扁平上皮がん、結腸直腸癌(結腸直腸腺がん、家族性腺腫性ポリポーシス、遺伝性非ポリポーシス結腸直腸がんを含むCRC)、結腸直腸ポリポーシス(ポイツ・ジェガース症候群、若年性ポリポーシス症候群、MUTYH関連ポリポーシス、家族性腺腫性ポリポーシス/ガードナー症候群、及びクロンカイト-カナダ症候群)、カルチノイド、腹膜偽粘液腫、十二指腸腺癌、遠位胆管癌、膵管腺癌、胃癌、印環細胞癌(SRCC)、胃リンパ腫(MALTリンパ腫)、線炎プラスチック(ブリントン病)、ならびに食道の扁平上皮癌及び腺癌を含む。これらの適応症の1つ以上に罹患した対象由来の罹患上皮細胞は、本発明の遺伝子改変微生物を使用して診断されてもよい。遺伝子改変微生物は、胃腸組織及び/または胆管、膵管、もしくは総胆管などの上皮組織の罹患上皮細胞の管腔側に露出する1つ以上の細胞膜受容体と特異的に相互作用することにより、罹患上皮細胞に特異的に結合する。1つ以上の細胞膜受容体が、胃腸組織及び/または胆管、膵管、もしくは総胆管などの内側を覆う上皮組織の正常な上皮細胞の正常な上皮細胞の管腔側に露出しないので、遺伝子改変微生物が、正常(非罹患)上皮細胞に結合しない。いくつかの実施形態では、遺伝子改変微生物は、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の核酸を、罹患上皮細胞(標的細胞)に送達する。これらの実施形態では、罹患上皮細胞(標的細胞)は、少なくとも1つの検出マーカーを発現し、それらの検出を可能にする。例えば、その内部またはその表面に少なくとも1つの検出マーカーを蓄積する細胞として、罹患上皮細胞(標的細胞)を確認することができるが、検出マーカーは、周囲の健常細胞(正常上皮細胞)内またはその表面上に存在しない。罹患上皮細胞の検出は、好適な手法、例えば、結腸内視鏡検査、内視鏡検査、磁気共鳴画像法、CTスキャン、PETスキャン、SPECTスキャンなどを使用して実施されてもよい。
【0037】
結腸直腸癌(CRC)は、一般的な、多くの場合致死的な腫瘍である。結腸直腸腺腫は、最も頻度の高い前がん病変である。他の潜在的な前がん状態は、慢性炎症性腸疾患ならびに遺伝性症候群、例えば、家族性腺腫性ポリポーシス、ポイツ・ジェガース症候群、及び若年性ポリポーシスを含む。これらの状態は、消化管の様々な部位に関与し得る。そのような全ての場合では、早期段階での疾患の認識は、好適ながん予防方策を考案するために不可欠である。
【0038】
結腸直腸腺腫は、多くの場合、関連のない症状またはCRCスクリーニングのために実施される結腸内視鏡検査中に偶然見出される無症候性病変である。結腸内視鏡スクリーニングを受ける男性の約25%及び女性の15%は、1つ以上の腺腫を有する。結腸内視鏡検査で示されるように、60歳を超える人の最大40%は、結腸直腸腺腫性ポリープを有するが、全ての結腸ポリープが腺腫ではなく、腺腫の90%超はがんに進行しない。
【0039】
遺伝性非ポリポーシス結腸癌(HNPCC)としても知られるリンチ症候群は、CRCの全症例の2~4%を占める。HNPCC個体は、CRCを発症する生涯リスクが約75%あり、いくつかのタイプのがんに罹患しやすい。結腸癌及びポリープは、散発性腫瘍形成を有する一般集団においてよりも若い年齢でリンチ症候群患者に生じ、腫瘍は、より近位の位置に発生する。これらのがんは、多くの場合、分化が不十分で粘液性である。Muir-Torre症候群は、特定の皮膚腫瘍に対する追加の素因を示すリンチ症候群の変種である。
【0040】
家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)は、10,000人に1人の有病率を有し、CRCの素因となる2番目に多い遺伝性症候群である。予防的結腸切除術を行わないFAPに罹患した個体のCRC発症の生涯リスクは、100%に近づく。FAPの特徴は、青年期早期に始まる数百から数千の結腸腺腫の発生を含む。FAP患者のCRC診断(未処置の場合)の平均年齢は、40歳であり、7%が20歳までに、95%が50歳までに腫瘍を発症する。弱毒化FAPは、軽症型の疾患で、CRCの平均生涯リスクは70%である。この群では、約30の腺腫性ポリープが結腸に発生し、結腸腫瘍は、近位結腸に位置する傾向があり、がんは、より高い年齢で発生する。ガードナー症候群及びターコット症候群は、FAPのまれな変種である。ポリープに加えて、ガードナー症候群は、類表皮嚢胞、骨腫、歯の異常、及び/またはデスモイド腫瘍などの結腸外症状を引き起こす。ターコット症候群は、結腸直腸腺腫性ポリープを引き起こし、髄芽腫などの中枢神経系の悪性腫瘍を発症する素因となる。
【0041】
遺伝性疾患のMUTYH関連ポリポーシス、ポイツ・ジェガース症候群、及び若年性ポリポーシス症候群は、結腸ポリープを引き起こし、がんの素因となる他のまれな症候群である。MUTYH関連ポリポーシス(MAP)患者は、結腸直腸の腺腫性ポリポーシスを発症し、CRCのリスクが80%である。ポイツ・ジェガース症候群及び若年性ポリポーシス症候群は、結腸直腸及び他の悪性腫瘍のリスクの増加を示し、CRCの生涯リスクは、約40%である。
【0042】
胆管癌とも呼ばれる胆道癌は、膵癌、胆嚢癌、及び胆管癌を含む胆道系の器官に生じる悪性腫瘍を指す。約7,500件の新規症例の胆道癌が、毎年診断されている。これらのがんは、約5,000件の胆嚢がんと、2,000~3,000件の胆管癌を含む。胆管及び膵臓の前腫瘍性及び腫瘍性病変は、分子的、組織学的、及び病態生理学的特徴に関する類似性を共有する。上皮内腫瘍は、胆道では、胆管上皮内腫瘍(BilIN)として報告され、膵臓では、膵上皮内腫瘍(PanIN)として報告される。ともに、浸潤癌、それぞれ、胆管癌(CCA)、及び膵管腺癌(PDAC)に進展し得る。
【0043】
BilINは、通常、肝外胆管(EHBD)及び大肝内胆管(IHBD)の内側を覆う上皮に見られ、胆嚢にも見られることがある。BilINは、多段階の胆管癌発生のプロセスに関与する、微小乳頭状、偽乳頭状、または平坦な成長パターンを伴う微視的病変である。細胞及び構造上の異型性の程度に基づいて、BilINは、3つのカテゴリー:胆管癌の非腫瘍性上皮と比較して軽度の変化を示すBilIN-1(軽度異形成)、BilIN-1と比較して、核異型の増加及び細胞極性の限局性異常を伴うBilIN-2(中等度異形成)、BilIN-3(高悪性度異形成または上皮内癌)に分類されており、これらは、通常、胆管癌領域の近傍で同定される。
【0044】
米国では、毎年約30,000件の新規症例の膵臓癌が診断される。初期の症状は漠然としており、それを検出するためのスクリーニング検査がないので、早期診断は困難である。膵上皮内腫瘍(PanIN)は、顕微鏡で平坦な、または微小乳頭状の非侵襲性病変として定義される。これらの病変は、サイズが5mm未満であることが多く、膵管腺癌(PDAC)の最も一般的な悪性前駆体と考えられる。PDACの症例の割合の低さは、膵臓の管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)及び粘液性嚢胞腫瘍(MCN)にも起因する。PanINは、また、細胞及び構造の異型性の程度に応じて、軽度~中等度の細胞学的異型及び基底に位置する核を伴う低グレード(以前は、PanIN-1及びPanIN-2として分類)、ならびに、重度の細胞学的異型、極性の喪失、及び有糸分裂を伴う高グレード(以前は、PanIN-3に分類)に分類されている。
【0045】
炎症性腸疾患(IBD)は、腸の非特異的な慢性炎症性疾患の群であり、これは、クローン病(CD)、潰瘍性大腸炎(UC)、及び不確定大腸炎を含む。IBDの病因は、依然として不明であり、それは腸の炎症が長期にわたって再発することを特徴とする。米国におけるUCの発病率は、100,000人当たり9~12人であり、有病率は、100,000人当たり205~240人であると推定される(Tally et al.,Am J Gastroenterol.106 Suppl 1:S2-S25(2011))。UCの病因は、不明である。しかし、腸内微生物を含む腸内の内容物に対する異常な免疫応答は、遺伝的に素因のある個体の疾患を引き起こすと考えられる(Geremia et al.,Autoimmun Rev.13:3-10(2014))。大腸炎関連結腸直腸癌(CACC)は、炎症性腸疾患(IBD)、特に、潰瘍性大腸炎(UC)の最も深刻な合併症の1つであり、それは、IBD患者の全死因死亡率の約15%を占める。散発性CRCよりも、CACCでは予後が悪く、死亡率が高いので、CACCの早期発見が重要である。
【0046】
クローン病は、胃腸(GI)管の炎症を特徴とする。炎症は、口から肛門までのGI管の至る所に現れる可能性がある。この疾患を有する人は、多くの場合、症状の浮き沈みを経験する。彼らは、寛解の期間を経験することさえある。診断の遅延の長さは、少なくとも一部のクローン病[CD]患者にとって問題を表し得る。しかし、クローン病は、軽度の症状から始まり、徐々に悪化する進行性疾患である。瘻孔、膿瘍、または狭窄などの腸の損傷を防ぐには、早期診断が重要である。
【0047】
過敏性腸症候群(IBS)は、明らかな構造的及び生化学的異常がない状態で、一連の慢性胃腸(GI)症状及び排便習慣の変化として現れる障害である。IBSは、世界的な有病率が10~15%であり、50歳未満の個体では、より多い。排便習慣の変化は、最も一般に報告される臨床的特徴であり、これは、主に、便秘(IBS-C)、下痢(IBS-D)、または両方の状態の混合(IBS-M)に関連する症候群である。加えて、IBS患者は、多くの場合、腹痛を経験し、これは、情緒的ストレスまたは食事により引き起こされ得、通常は、便の通過により緩和される。IBSの診断は、臨床経験及び多国籍専門家委員会のコンセンサスに基づくローマ基準の最新版に従って確認される。
【0048】
バレット食道は、腸の内側と類似する組織が、食道の内側を覆う組織に置き換わる状態である。バレット食道の人は、食道腺癌を発症し得る。バレット食道の正確な原因は、不明であるが、胃食道逆流症(GERD)は、バレット食道を発症するリスクを増加させる。
【0049】
診断、特に、早期診断は、前がん病変、GI管癌、潰瘍性大腸炎、クローン病、バレット食道、過敏性腸症候群、及び/または過敏性腸疾患に罹患した個体の死亡率及び罹患率を抑制するために重要である。
【0050】
様々な態様では、本発明は、胃腸管内の異常局在化及び/または異常に発現した細胞表面分子の検出に有用な遺伝子改変微生物を提供し、それにより、病状を診断、予測、または評価する。本明細書に開示の遺伝子改変微生物は、表面タンパク質をコードする遺伝子を含み、表面タンパク質は、1つ以上の細胞膜受容体と特異的に相互作用し、1つ以上の細胞膜受容体は、正常な胃腸組織及び/または胆管、膵管、もしくは総胆管などの内側を覆う上皮組織の上皮細胞の管腔側に露出せず、1つ以上の細胞膜受容体は、罹患した胃腸組織及び/または胆管、膵管、もしくは総胆管などの内側を覆う上皮組織の上皮細胞の管腔側に露出する。本態様では、いくつかの実施形態では、表面タンパク質は、本明細書に開示の遺伝子改変微生物により、罹患した胃腸組織及び/または胆管、膵管、もしくは総胆管などの裏を覆う上皮組織の上皮細胞の結合及び侵入を促進する。微生物は、プロモーターに作動可能に連結されている少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子も含む。いくつかの実施形態では、微生物は、非病原性であり、及び/または少なくとも1つの栄養要求性変異を有し得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの栄養要求性変異は、細胞壁合成に必要な代謝産物(例えば、遺伝的にコードされていないアミノ酸)の合成に関与する遺伝子の欠失、不活化、または発現もしくは活性の低下を含む。例示的な実施形態では、遺伝子は、D-アラニンまたはジアミノピメリン酸の合成に必要である。そのような栄養要求性変異は、改変微生物を選択するための手段を提供し、哺乳動物細胞内部に入ると、微生物の溶解も促進する。
【0051】
いくつかの実施形態では、本開示の遺伝子改変微生物は、罹患上皮細胞(標的細胞)に核酸を送達する。少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子は、少なくとも1つの検出マーカーの発現を制御する検出マーカー遺伝子に作動可能に連結されている1つ以上の配列要素を含んでもよい。配列エレメントは、検出マーカーの転写、転写物の安定性、翻訳、タンパク質の安定性、細胞局在化、及び/または分泌を制御及び調節し得る。いくつかの実施形態では、配列エレメントは、遺伝子改変微生物による検出マーカーの発現を防止し得る。代替実施形態では、配列エレメントは、遺伝子改変微生物による検出マーカーの発現(転写及び/または翻訳)を可能にし得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、本開示の遺伝子改変微生物は、DNA分子(例えば、本明細書ではペイロードプラスミドとも呼ばれるプラスミドDNA)を罹患上皮細胞(標的細胞)に送達する。いくつかの実施形態では、ペイロードプラスミドは、1細胞当たり複数のコピー(約1~約300コピー、約20~約50コピー、約2~約10コピー、または約5~約10コピーの範囲に及ぶ)で存在するか、または単一コピープラスミドである。コピー数は、プラスミドの特定の遺伝的特徴に依存する。いくつかの実施形態では、ペイロードプラスミドは、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子は、哺乳動物プロモーターに作動可能に連結されている。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子は、細菌転写を阻害するための微生物リプレッサー結合部位(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子は、イントロン(複数可)を含み、イントロンの除去は、検出マーカーの機能的発現に必要である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子は、微生物転写ターミネーター(複数可)を含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、細菌は、T7RNAP遺伝子にコードされるT7 RNAポリメラーゼ(T7RNAP)を発現し、T7プロモーターの制御下にある本明細書に開示の検出マーカーをコードする遺伝子を有する。いくつかの実施形態では、T7RNAPは、細菌染色体に組み込まれている。いくつかの実施形態では、T7RNAPは、プラスミド上に存在する。いくつかの実施形態では、T7RNAPは、誘導性プロモーター(例えば、araBADまたはlacUV5プロモーター)により制御される。これらの実施形態では、細菌は、検出マーカーをコードするmRNA及び/または検出マーカーを発現する。いくつかの実施形態では、これらの細菌は、検出マーカーをコードするmRNAを、罹患上皮細胞に送達する。これらの実施形態では、罹患上皮細胞に送達される検出マーカーをコードするmRNAは、内部リボソーム侵入部位(IRES)を含む。いくつかの実施形態では、これらの細菌は、検出マーカータンパク質を罹患上皮細胞に送達する。これらの実施形態では、罹患上皮細胞に送達される検出マーカーは、細胞代謝産物と接触すると蛍光性になる。
【0054】
理論に束縛されるものではないが、検出マーカーをコードする遺伝子に存在する特定の任意の配列エレメント(例えば、哺乳動物プロモーター、微生物リプレッサー結合部位(例えば、オペレーター)、内部リボソーム侵入部位、及びイントロン)が、遺伝子改変微生物の検出マーカーの発現を防ぎながら、哺乳動物細胞の検出マーカーの生成を可能にすると考えられている。従って、いくつかの実施形態では、遺伝子改変微生物は、遺伝子改変微生物におけるバックグラウンド発現なしで、罹患上皮細胞(標的細胞)の存在の真の読み取りを提供する。従って、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子は、哺乳動物プロモーターに作動可能に連結され得る。いくつかの実施形態では、哺乳動物プロモーターは、GI管上皮細胞特異的発現を指令する。GI管上皮細胞特異的発現を指令する好適な哺乳動物プロモーターの実例は、MUC2遺伝子プロモーター、T3b遺伝子プロモーター、腸脂肪酸結合タンパク質遺伝子プロモーター、リゾチーム遺伝子プロモーター、及びビリン遺伝子プロモーターである。いくつかの実施形態では、哺乳動物プロモーターは、誘導性GI管上皮細胞特異的発現を指令する。好適な誘導性哺乳動物プロモーターの実例は、β-ナフトフラボンなどの親油性生体異物に応答して転写的に上方調節されるシトクロムP450プロモーターエレメントであってよい。いくつかの実施形態では、誘導性哺乳動物プロモーターは、テトラサイクリン、クミン酸、またはエストロゲンにより調節され得る。いくつかの実施形態では、誘導性哺乳動物プロモーターは、Tet-OnまたはTet-Offプロモーターであってよい。従って、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子は、誘導可能及び/または抑制可能であり、任意に、インデューサーまたはリプレッサーを患者に送達することにより制御され得る。
【0055】
任意に、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子に存在する微生物リプレッサー結合部位は、細菌において、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子の発現を抑制するが、哺乳動物細胞におけるそのような抑制効果は発揮しない。いくつかの実施形態では、リプレッサー配列は、1つ以上のlacオペレーター、1つ以上のaraオペレーター、1つ以上のtrpオペレーター、1つ以上のSOSオペレーター、1つ以上の組み込み宿主因子(IHF)結合部位、1つ以上のヒストン様タンパク質HU結合部位、及びそれらの2つ以上の組み合わせから選択されてもよい。
【0056】
微生物転写終結部位(複数可)は、遺伝子改変微生物において少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子の転写の早期終結を引き起こすが、哺乳動物細胞における少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子の転写の早期終結を引き起こすことはない。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子は、rho非依存性微生物転写終結部位を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子は、5’非翻訳領域を含み、5’非翻訳領域は、rho非依存性微生物転写終結部位を含む。いくつかの実施形態では、rho非依存性微生物転写終結部位は、短いヘアピンとそれに続く、一連の4~8つのT(例えば、TTTTTT及びTTTTT)を含む。例示的なrho非依存性微生物転写終結部位は、T7ターミネーター、rrnBターミネーター、及びT0ターミネーターである。
【0057】
代替実施形態では、本開示の遺伝子改変微生物は、少なくとも1つの検出マーカーをコードするmRNA分子を、罹患上皮細胞(標的細胞)に送達し得る。従って、これらの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子は、微生物プロモーター(例えば、proDプロモーター)に作動可能に連結され得る。いくつかの実施形態では、微生物は、少なくとも1つの検出マーカーをコードするmRNAを、罹患上皮細胞の細胞質に送達する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子は、内部リボソーム侵入部位(複数可)(IRES)を含む。これらの実施形態では、内部リボソーム侵入部位は、微生物により送達されるmRNA分子の翻訳を促進する。いくつかの実施形態では、送達されるmRNA配列は、mRNA分子に安定性を与えるエレメントを含む。mRNA分子に安定性を付与するエレメントの非限定例としては、5’ヘアピン構造及び3’ポリAテールが挙げられる。
【0058】
従って、これらの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子は、微生物プロモーターに作動可能に連結され得る。好適な微生物プロモーターの具体例としては、微生物(例えば、E.coli)で機能する任意の染色体遺伝子、プラスミド遺伝子、またはバクテリオファージ遺伝子の天然プロモーターが挙げられる。いくつかの実施形態では、微生物プロモーターは、プロモーターコンセンサス配列に由来する合成プロモーターであってよい。いくつかの実施形態では、微生物プロモーターは、誘導性プロモーターであってよい。好適な誘導性微生物プロモーターの実例は、araBAD及びlacプロモーターである。従って、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子は、誘導可能及び/または抑制可能であり、任意に、インデューサーまたはリプレッサーを患者に送達することにより制御され得る。
【0059】
内部リボソーム侵入部位(IRES)は、キャップに依存しない方法で、翻訳の開始を可能にするRNAエレメントである。いくつかの実施形態では、内部リボソーム侵入部位(IRES)は、脳心筋炎ウイルス(EMCV)由来のIRES、C型肝炎ウイルス(HCV)由来のIRES、及びコオロギ麻痺ウイルス(CrPV)由来のIRESから選択され得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子に存在する内部リボソーム侵入部位(複数可)は、遺伝子改変微生物で産生されたmRNAを使用して、哺乳動物細胞で少なくとも1つの検出マーカーの産生を可能にする。
【0060】
少なくとも1つの検出マーカーをコードするmRNAが遺伝子改変微生物または哺乳動物細胞において転写され得るかどうかに関係なく、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子に任意に存在するイントロン(複数可)は、細菌における少なくとも1つの検出マーカーの発現を抑制するが、哺乳動物細胞において少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子の発現を可能にする。いくつかの実施形態では、イントロンは、スプライセオソームイントロンであってもよい。いくつかの実施形態では、イントロンは、少なくとも1つの検出マーカーをコードするスプライシングされていないmRNA内にフレームシフトまたは早期終止コドンを生じさせる。従って、いくつかの実施形態では、遺伝子改変微生物は、遺伝子改変微生物における少なくとも1つの検出マーカータンパク質のバックグラウンド発現なしで、罹患上皮細胞(標的細胞)の存在の真の読み取りを提供する。
【0061】
本明細書に開示の実施形態のいずれかにおいて、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子は、任意に、さらに、コザック配列、2Aペプチド配列、哺乳動物転写終結配列、ポリアデニル化配列(pA)、タンパク質分泌用のリーダー配列、及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせから選択される配列エレメントを含む。
【0062】
コザック配列は、ほとんどの真核生物のmRNA転写産物でタンパク質翻訳開始部位として機能する核酸モチーフである。少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子に存在するコザック配列は、正確な翻訳開始を改善する。いくつかの実施形態では、コザック配列は、以下のヌクレオチド配列:5’-(GCC)GCCRCCAUGG-3’を有する。
【0063】
2Aペプチドは、存在する場合、2Aペプチドの末端に見られるグリシン及びプロリン残基間のペプチド結合の合成を防止することにより機能し、2Aペプチドは、同じmRNAから複数のタンパク質の等モルレベルの産生を可能にする。2Aペプチドは、C末端側の上流のタンパク質に結合するが、下流のタンパク質は、プロリンで始まる。いくつかの実施形態では、2Aペプチドは、E2A((GSG)QCTNYALLKLAGDVESNPGP)、F2A((GSG)VKQTLNFDLLKLAGDVESNPGP)、P2A((GSG)ATNFSLLKQAGDVEENPGP)、及びT2A((GSG)EGRGSLLTCGDVEENPGP)から選択される。いくつかの実施形態では、GSG配列(括弧内に含まれる)は、任意に存在し得る。
【0064】
ポリアデニル化配列(pA)は、ポリAテールのmRNAへの付加を引き起こし、これは、mRNAの核移行、翻訳、及び安定性にとって重要である。哺乳動物の転写終結配列は、転写を終結させ、ポリAテールの付加を促進する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子は、哺乳動物の転写終結配列及びポリアデニル化配列の両方である配列エレメントを含む。いくつかの実施形態では、哺乳動物転写終結配列及びポリアデニル化配列の両方であり得る配列要素は、SV40ターミネーター、hGHターミネーター、BGHターミネーター、及びrbGlobターミネーターから選択される。
【0065】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子は、さらに、タンパク質分泌のためのリーダー配列を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子は、さらに、哺乳動物細胞表面上に検出マーカーを提示するために必要な上流配列を含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子は、哺乳動物発現のために最適化されたコドン使用頻度を含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、遺伝子改変微生物は、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の核酸を、罹患上皮細胞(標的細胞)に送達する。これらの実施形態では、罹患上皮細胞(標的細胞)は、少なくとも1つの検出マーカーを発現し、それらの検出を可能にする。例えば、それらの内部または表面上に少なくとも1つの検出マーカーを蓄積する細胞として、罹患上皮細胞(標的細胞)を確認することができ、検出マーカーは周囲の健常細胞内またはその表面上に存在しない。
【0068】
いくつかの実施形態では、検出マーカーが、蛍光タンパク質、生物発光タンパク質、磁気共鳴画像法(MRI)用の造影剤、陽電子放出断層撮影法(PET)レポーター、酵素レポーター、コンピューター断層撮影法(CT)で使用される造影剤、単一光子放射断層撮影(SPECT)レポーター、光音響レポーター、X線レポーター、超音波レポーター(例えば、細菌ガス小胞)、及びイオンチャネルレポーター(例えば、cAMP活性化カチオンチャネル)、ならびに、それらの任意の2つ以上の組み合わせから選択される。
【0069】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーは、蛍光タンパク質である。従って、いくつかの実施形態では、遺伝子改変微生物は、少なくとも1つの蛍光タンパク質をコードする1つ以上の核酸を、罹患上皮細胞(標的細胞)に送達する。これらの実施形態では、罹患上皮細胞(標的細胞)は、少なくとも1つの蛍光タンパク質を発現し、それらの検出を可能にする。いくつかの実施形態では、罹患上皮細胞の検出は、内視鏡法または結腸鏡法を使用して実施される。罹患上皮細胞(標的細胞)の検出に有用な例示的な内視鏡法は、白色光内視鏡法またはレーザー誘起蛍光内視鏡検査(LIFE)である。
【0070】
これらの実施形態では、蛍光タンパク質は、罹患上皮細胞により発現される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーは、GFP、RFP、YFP、Sirius、Sandercyanin、shBFP-N158S/L173I、Azurite、EBFP2、mKalama1、mTagBFP2、TagBFP、shBFP、ECFP、Cerulean、mCerulean3、SCFP3A、CyPet、mTurquoise、mTurquoise2、TagCFP、mTFP1、単量体Midoriishi-Cyan、Aquamarine、TurboGFP、TagGFP2、mUKG、Superfolder GFP、Emerald、EGFP、単量体Azami Green、mWasabi、Clover、mNeonGreen、NowGFP、mClover3、TagYFP、EYFP、Topaz、Venus、SYFP2、Citrine、Ypet、lanRFP-ΔS83、mPapaya1、mCyRFP1、単量体Kusabira-Orange、mOrange、mOrange2、mKOκ、mKO2、TagRFP、TagRFP-T、RRvT、mRuby、mRuby2、mTangerine、mApple、mStrawberry、FusionRed、mCherry、mNectarine、mRuby3、mScarlet、mScarlet-I、mKate2、HcRed-Tandem、mPlum、mRaspberry、mNeptune、NirFP、TagRFP657、TagRFP675、mCardinal、mStable、mMaroon1、mGarnet2、iFP1.4、iRFP713(iRFP)、iRFP670、iRFP682、iRFP702、iRFP720、iFP2.0、mIFP、TDsmURFP、miRFP703、miRFP709、及びmiRFP670から選択される蛍光タンパク質である。
【0071】
いくつかの実施形態では、蛍光タンパク質は、iRFP670、miRFP670、iRFP682、iRFP702、miRFP703、miRFP709、iRFP713(iRFP)、iRFP720、及びiSplitから選択される近赤外蛍光タンパク質である。いくつかの実施形態では、蛍光タンパク質は、iRFP670(配列番号5)である。iRFP670は、蛍光を発するためにビリベルジンを必要とする。本開示の微生物がビリベルジンを作らないので、IRFP670の蛍光は、iRFP670が哺乳動物細胞に局在していたという証拠を提供する。
【0072】
追加的または代替的に、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーは、生物発光タンパク質である。従って、いくつかの実施形態では、遺伝子改変微生物は、少なくとも1つの生物発光タンパク質をコードする1つ以上の核酸を、罹患上皮細胞(標的細胞)に送達する。これらの実施形態では、罹患上皮細胞(標的細胞)は、少なくとも1つの生物発光タンパク質を発現し、それらの検出を可能にする。
【0073】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーは、Ca+2制御発光タンパク質(例えば、エクオリン、シンプレクチン、Mitrocoma発光タンパク質、Clytia発光タンパク質、及びObelia発光タンパク質)、北米ホタルルシフェラーゼ、日本ホタルルシフェラーゼ、イタリアホタルルシフェラーゼ、東ヨーロッパホタルルシフェラーゼ、ペンシルベニアホタルルシフェラーゼ、コメツキムシルシフェラーゼ、レイルロードワームルシフェラーゼ、Renillaルシフェラーゼ、Gaussiaルシフェラーゼ、Cypridinaルシフェラーゼ、Metridinaルシフェラーゼ、Metridaルシフェラーゼ、OLucタンパク質、及び赤色ホタルルシフェラーゼ、バクテリアルシフェラーゼ、ならびにそれらの活性バリアントから選択される生物発光タンパク質である。
【0074】
いくつかの実施形態では、罹患上皮細胞の検出は、内視鏡法または結腸鏡法を使用して実施される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの生物発光タンパク質の基質は、内視鏡法または結腸鏡法の間またはその前に投与される。例示的な基質としては、ルシフェリン、またはその薬学的に許容されるアナログ、派生物、もしくは塩が挙げられる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの生物発光タンパク質の基質の投与は、マーカー検出前に、マーカー検出の少なくとも約1時間前、少なくとも約6時間前、少なくとも約12時間前、少なくとも約24時間前、少なくとも約2日前、少なくとも約3日前までに開始されてもよい。
【0075】
追加的または代替的に、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーは、磁気共鳴画像法(MRI)で使用される造影剤(例えば、磁気応答原子の蓄積を引き起こすタンパク質またはペプチド)である。磁気共鳴画像法(MRI)は、原子核を外部磁場に整列させ、ラジオ波を使用して無秩序にする。MRIセンサーは、放出されたエネルギーと、核が磁場と再整列する際の核の緩和速度を検出する。従って、実例となるMRIは、in vivoの水プロトンまたは他の要素の緩和速度をアッセイする。MRI造影剤は、MRIにおける体内構造(例えば、罹患上皮細胞)の可視性を改善する。理論に束縛されるものではないが、MRI造影剤は、核の緩和時間を変化させ、MRIシグナル強度の変化をもたらすと考えられている。例えば、常磁性金属イオンは、近くの水陽子スピンの緩和速度を積極的に変化させる。
【0076】
従って、いくつかの実施形態では、遺伝子改変微生物は、MRIで使用される少なくとも1つの造影剤をコードする1つ以上の核酸を、罹患上皮細胞(標的細胞)に送達する。これらの実施形態では、罹患上皮細胞(標的細胞)は、MRIで使用される少なくとも1つの造影剤を発現し、それらの検出を可能にする。いくつかの実施形態では、MRIで使用される少なくとも1つの造影剤は、磁気応答原子、例えば、遷移金属イオン(例えば、Cu2+、Fe2+/Fe3+、Co2+、及びMn2+)またはランタニド金属イオン(例えば、Eu3+、Gd3+、Ho3+、及びDy3+)の蓄積を引き起こす。例示的な実施形態では、磁気共鳴画像法で使用される造影剤は、金属イオン(例えば、Fe3+)の隔離もしくはキレート化を引き起こすか、またはイオンの蓄積の変化をもたらす生化学反応(例えば、ケージド合成Gd3+化合物の開裂)を触媒し、それにより、標的細胞の検出を可能にする。例えば、標的細胞は、MRIで使用される少なくとも1つの造影剤を蓄積する細胞として確認され、周囲の健常細胞は、MRIで使用される少なくとも1つの造影剤を発現しない。
【0077】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーは、フェリチン、トランスフェリン受容体-1(TfR1)、チロシナーゼ(TYR)、ベータ-ガラクトシダーゼ、マンガン結合タンパク質MntR、クレアチンキナーゼ(CK)、Magnetospirillum magnetotacticum magA、二価金属トランスポーターDMT1、プロタミン-1(hPRM1)、尿素トランスポーター(UT-B)、及びフェリチン受容体Timd2(T細胞免疫グロブリン及びムチンドメイン含有タンパク質2)、ヨウ化ナトリウムシンポーター、E.coliジヒドロ葉酸レダクターゼ、ノルエピネフリントランスポーター、ならびに、その活性バリアントから選択される、MRIで使用される造影剤である。
【0078】
いくつかの実施形態では、罹患上皮細胞の検出は、磁気共鳴画像法(MRI)の手法を使用して実施される。いくつかの実施形態では、磁気共鳴画像法(MRI)の手法は、非侵襲的である。いくつかの実施形態では、磁気共鳴画像法で使用される少なくとも1つの造影剤の基質は、MRI法中またはその前に投与される。いくつかの実施形態では、核磁気共鳴画像法に使用される少なくとも1つの造影剤の基質は、磁気応答原子の供給源であり、これは、罹患上皮細胞内またはその表面上に、磁気共鳴イメージングに使用される少なくとも1つの造影剤により蓄積される。例えば、MRIで使用される造影剤がベータガラクトシダーゼである場合、ガラクトシドを含むケージド合成Gd3+化合物が投与されてもよい。いくつかの実施形態では、磁気共鳴画像法で使用される少なくとも1つの造影剤の基質の投与は、マーカー検出前に、マーカー検出の少なくとも約1時間前、少なくとも約6時間前、少なくとも約12時間前、少なくとも約24時間前、少なくとも約2日前、少なくとも約3日前までに開始されてもよい。
【0079】
追加的または代替的に、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーは、陽電子放出断層撮影法(PET)レポーターである。PETレポーターは、罹患上皮細胞内またはその表面上に陽電子放出放射性同位体の蓄積を引き起こすタンパク質またはペプチドである。従って、いくつかの実施形態では、遺伝子改変微生物は、少なくとも1つのPETレポーターをコードする1つ以上の核酸を罹患上皮細胞(標的細胞)に送達する。これらの実施形態では、罹患上皮細胞(標的細胞)は、少なくとも1つのPETレポーターを発現し、それらの検出を可能にする。
【0080】
陽電子放出断層撮影(PET)イメージングは、放射性物質を使用して、体内の代謝プロセスを視覚化及び測定する。例えば、陽電子放出放射性同位体標識イメージングプローブ(PETプローブ)が、それを必要とする対象に投与されてもよい。PETプローブは、陽電子放出放射性同位体である。本明細書に開示のPETレポーターは、罹患上皮細胞内またはその表面上にPETプローブの蓄積を引き起こす。PETプローブの不安定な原子核は、隣接する電子と結合して、互いに180度反対方向にガンマ線を生じる。これらのガンマ線は、スキャナーのドーナツ形の本体内に配置された検出器のリングにより検出される。これらのガンマ線のエネルギーと位置は、対象の体内のPETプローブの正確な位置と、任意の所与の時点で各部位に蓄積されたイメージングプローブの量を再構築するために、使用される。
【0081】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーは、チミジンキナーゼ、デオキシシチジンキナーゼ、ドーパミン2受容体、エストロゲン受容体α表面タンパク質結合ドメイン、ソマトスタチン受容体サブタイプ2、がん胎児性抗原、ヨウ化ナトリウムシンポーター、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ酢酸(DOTA)に特異的な単鎖抗体、E.coliジヒドロ葉酸レダクターゼ、またはそのバリアントから選択されるPETレポーターである。
【0082】
いくつかの実施形態では、PETレポーターは、罹患上皮細胞(標的細胞)内またはその表面上に1つ以上のPETプローブの蓄積を引き起こす。例示的な実施形態では、1つ以上のPETレポーターは、受容体、抗体、酵素、または細胞輸送機序への結合を介して、1つ以上のPETプローブの蓄積を引き起こす。いくつかの実施形態では、罹患上皮細胞の検出は、PETイメージング法を使用して実施される。いくつかの実施形態では、1つ以上のPETプローブが、PET撮像法の間またはその前に投与される。例示的なPETプローブとしては、[18F]FHBG、[18F]FEAU、[124I]FIAU、[18Fまたは11C]BCNA、[11C]β-ガラクトシルトリアゾール、[18F]L-FMAU、[18F]FESP、[11C]ラクロプリド、[11C]N-メチルスピペロン、[18F]FES、68Ga-DOTATOC、[18F]フルオロプロピル-トリメトプリム、Na124I、及び225Ac-DOTAキレートが挙げられる。いくつかの実施形態では、PETプローブの投与は、マーカー検出前に、マーカー検出の少なくとも約1時間前、少なくとも約6時間前、少なくとも約12時間前、少なくとも約24時間前、少なくとも約2日前、少なくとも約3日前までに開始されてもよい。
【0083】
追加的または代替的に、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーは、酵素レポーターである。従って、いくつかの実施形態では、遺伝子改変微生物は、少なくとも1つの酵素レポーターをコードする1つ以上の核酸を、罹患上皮細胞(標的細胞)に送達する。これらの実施形態では、罹患上皮細胞(標的細胞)は、少なくとも1つの酵素レポーターを発現し、それらの検出を可能にする。
【0084】
いくつかの実施形態では、酵素レポーターは、例えば、色、蛍光、または発光の変化を基準にして検出され得る反応を触媒する。そのような反応は、発色性、蛍光性、または発光性基質を使用してもよく、これらは、罹患細胞の検出時に局所的または全身的に提供され得る。いくつかの実施形態では、酵素基質は、発色性、発光性、及び/または蛍光性である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーは、酵素レポーター、例えば、ベータガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アセチルコリンエステラーゼ、及びカタラーゼである。
【0085】
いくつかの実施形態では、罹患上皮細胞の検出は、内視鏡法または結腸鏡法を使用して実施される。いくつかの例示的な実施形態では、酵素レポーターは、β-ガラクトシダーゼであり、基質は、レゾルフィンβ-D-ガラクトピラノシド、5-ドデカノイルアミノフルオレセイン ジ-β-D-ガラクトピラノシド、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルβ-D-ガラクトピラノシド(X-Gal)、及びGALACTO-LIGHT PLUSから選択される。従って、いくつかの実施形態では、酵素基質は、内視鏡法または結腸鏡法前に投与される。いくつかの例示的な実施形態では、酵素レポーターは、ホースラディッシュペルオキシダーゼであり、基質は、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)、3,3’-ジアミノベンジジン(DAB)、2,2’-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸)(ABTS)、及び5-アミノ-2,3-ジヒドロフタラジン-1,4-ジオン(ルミノール)から選択される。いくつかの例示的な実施形態では、酵素レポーターは、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼであり、基質は、BODIPY FL-1-デオキシクロラムフェニコールである。いくつかの実施形態では、酵素レポーターの基質の投与は、マーカー検出前に、マーカー検出の少なくとも約1時間前、少なくとも約6時間前、少なくとも約12時間前、少なくとも約24時間前、少なくとも約2日前、少なくとも約3日前までに開始されてもよい。
【0086】
追加的または代替的に、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーは、単一光子放射断層撮影(SPECT)レポーターである。SPECTレポーターは、罹患上皮細胞内またはその表面上にガンマ線放出放射性同位体の蓄積を引き起こすタンパク質またはペプチドである。単一光子放射断層撮影(SPECT)イメージングは、ガンマ線を生成する放射性物質を使用して身体構造を可視化する。例えば、ガンマ線放出放射性同位体標識イメージングプローブ(SPECTプローブ)が、それを必要とする対象に投与されてもよい。本明細書に開示のSPECTレポーターは、罹患上皮細胞内またはその表面上にSPECTプローブの蓄積を引き起こす。SPECTプローブから放出されたガンマ線がガンマ検出器で検出され、複数の角度からの複数の2D画像(投影とも呼ばれる)を取得する。次に、断層撮影再構成アルゴリズムを複数の投影に適用するために、コンピューターを使用して、3Dデータセットを得る。次に、選択された体の軸に沿って薄いスライスを示すために、このデータセットが操作され得る。いくつかの実施形態では、SPECTレポーターは、罹患上皮細胞(標的細胞)内またはその表面上に1つ以上のSPECTプローブの蓄積を引き起こす。
【0087】
従って、いくつかの実施形態では、遺伝子改変微生物は、少なくとも1つの単一光子放射断層撮影(SPECT)レポーターをコードする1つ以上の核酸を、罹患上皮細胞(標的細胞)に送達する。これらの実施形態では、罹患上皮細胞(標的細胞)は、少なくとも1つの単一光子放射断層撮影(SPECT)レポーターを発現し、それらの検出を可能にする。いくつかの実施形態では、単一光子放射断層撮影(SPECT)レポーターは、罹患上皮細胞(標的細胞)内またはその表面上に、1つ以上のガンマ線放出放射性標識リガンド(SPECTプローブ)の蓄積を引き起こす。例示的な実施形態では、1つ以上のSPECTレポーターは、受容体、抗体、酵素、または細胞輸送機序への結合を介して、1つ以上のSPECTプローブの蓄積を引き起こす。いくつかの実施形態では、単一光子放射断層撮影(SPECT)レポーターは、ナトリウムイオンシンポーター、ノルエピネフリントランスポーター、ヨウ化ナトリウムシンポーター、ドーパミン受容体、及びドーパミントランスポーターから選択される。
【0088】
いくつかの実施形態では、罹患上皮細胞の検出は、SPECT撮像法を使用して実施される。いくつかの実施形態では、1つ以上のSPECTプローブは、SPECT撮像法の間またはその前に投与される。例示的なSPECTプローブとしては、過テクネチウム酸ナトリウム([99mTc]NaTcO4)、Na123I、Na125I、Na131I、[123I]-NKJ64、[125I]-NKJ64、[131I]-(R)-N-メチル-3-(2-ヨードフェノキシ)-3-フェニルプロパンアミン、[123I]-NKJ64、[125I]-(R)-N-メチル-3-(2-ヨードフェノキシ)-3-フェニルプロパンアミン、[131I]-(R)-N-メチル-3-(2-ヨードフェノキシ)-3-フェニルプロパンアミン、[123I]β-CIT(2β-カルボメトキシ-3β-(4-ヨードフェニル)トロパン)、[125I]β-CIT(2β-カルボメトキシ-3β-(4-ヨードフェニル)トロパン)、[131I]β-CIT[123I]-2β-カルボメトキシ-3β-(4-ヨードフェニル)トロパン、[125I]-2β-カルボメトキシ-3β-(4-ヨードフェニル)トロパン、[131I]-2β-カルボメトキシ-3β-(4-ヨードフェニル)トロパン、[123I]-2’-ヨードスピペロン、[125I]-2’-ヨードスピペロン、[131I]-2’-ヨードスピペロン、[123I]エピデプリド、[125I]エピデプリド、[131I]エピデプリド、[123I]-5-ヨード-7-N-[(1-エチル-2-ピロリジニル)メチル]カルボキサミド-2,3-ジヒドロベンゾフラン、[125I]-5-ヨード-7-N-[(1-エチル-2-ピロリジニル)メチル]カルボキサミド-2,3-ジヒドロベンゾフラン、[131I]-5-ヨード-7-N-[(1-エチル-2-ピロリジニル)メチル]カルボキサミド-2,3-ジヒドロベンゾフランが挙げられる。いくつかの実施形態では、SPECTプローブの投与は、マーカー検出前に、マーカー検出の少なくとも約1時間前、少なくとも約6時間前、少なくとも約12時間前、少なくとも約24時間前、少なくとも約2日前、少なくとも約3日前までに開始されてもよい。
【0089】
追加的または代替的に、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーは、光音響レポーターである。従って、いくつかの実施形態では、遺伝子改変微生物は、少なくとも1つの光音響レポーターをコードする1つ以上の核酸を、罹患上皮細胞(標的細胞)に送達する。いくつかの実施形態では、罹患上皮細胞の検出は、内視鏡法または結腸鏡法を使用して実施される。例示的な光音響レポーターは、本明細書に開示の任意の蛍光タンパク質である。
【0090】
いくつかの実施形態では、本開示の遺伝子改変微生物は、罹患上皮細胞(標的細胞)にタンパク質を送達する。これらの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子は、微生物プロモーターに作動可能に連結されている。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子は、微生物転写ターミネーター(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子は、シャイン・ダルガーノ配列(複数可)(細菌リボソーム結合部位)を含む。いくつかの実施形態では、微生物プロモーターは、誘導可能及び/または抑制可能である。いくつかの実施形態では、微生物プロモーターは、構成的である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子は、プラスミドに挿入されている。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子は、染色体上に安定して組み込まれている。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子は、哺乳動物の細胞質にのみ見出される代謝産物と接触すると蛍光性になるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、哺乳動物の細胞質にのみ見られる代謝産物と接触すると蛍光性になるタンパク質は、赤外蛍光タンパク質(iRFP)であり、これは、ビリベルジンを補因子として利用して機能を得る。いくつかの実施形態では、哺乳動物の細胞質にのみ見出される代謝産物と接触すると蛍光性になるタンパク質は、ニホンウナギ(Anguilla japonica)のUnaGタンパク質であり、これは、ビリルビンに結合した時にのみ蛍光を発する。これらの実施形態では、罹患上皮細胞は、タンパク質を産生しないが、その代わりに、遺伝子改変微生物により産生されたタンパク質が哺乳動物の細胞質にのみ見られる代謝産物に遭遇すると蛍光性になる。
【0091】
本明細書に開示の遺伝子改変微生物は、表面タンパク質をコードする1つ以上の遺伝子を含み、表面タンパク質は、1つ以上の細胞膜受容体と特異的に相互作用し、1つ以上の細胞膜受容体は、正常な胃腸組織及び/または胆管、膵管、もしくは総胆管などの内側を覆う上皮組織の上皮細胞の管腔側に露出せず、1つ以上の細胞膜受容体は、罹患した胃腸組織及び/または胆管、膵管、もしくは総胆管などの内側を覆う上皮組織の上皮細胞の管腔側に露出する。この態様では、いくつかの実施形態では、表面タンパク質は、遺伝子改変微生物による、罹患した胃腸組織及び/または胆管、膵管、もしくは総胆管などの内側を覆う上皮組織の上皮細胞の特異的な結合及び侵入を促進する。
【0092】
いくつかの実施形態では、表面タンパク質は、インベイシンまたはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、表面タンパク質は、インチミンまたはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、表面タンパク質は、アドヘシンまたはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、表面タンパク質は、フラジェリンまたはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、表面タンパク質は、Yersinia enterocoliticaインベイシン、Yersinia pseudotuberculosisインベイシン、Salmonella enterica PagN、Candida albicans Als3から選択されるインベイシン、ならびに/または、Escherichia albertiiインチミン(例えば、NCBIアクセッション番号WP_113650696.1)、Escherichia coliインチミン(例えば、NCBIアクセッション番号WP_000627885)、及びCitrobacter rodentiumインチミン(例えば、NCBIアクセッション番号WP_012907110.1)から選択されるインチミンである。インチミンは、例えば、Adu-Bobie et al.,Detection of Intimins α,β,γ,and δ,Four Intimin Derivatives Expressed by Attaching and Effacing Microbial Pathogens,J.Clinical Microbiol 36(3):662-668(1998)(この全内容は、全体が参照により本明細書に組み込まれる)においてより詳しく考察される。
【0093】
いくつかの実施形態では、表面タンパク質は、インベイシン及びYadA(Yersinia enterocoliticaプラスミド接着因子)である。Rickettsia侵入因子RickA(アクチン重合タンパク質)、Legionella RaIF(グアニン交換因子)、1つ以上のNeisseria侵入因子(例えば、NadA(Neisseria接着/侵入因子)、OpA及びOpC(不透明関連接着))、Listeria InlA及び/またはInlB、Shigella侵入プラスミド抗原の1つ以上(例えば、IpaA、IpaB、IpaC、IpgD、IpaB-IpaC複合体、VirA、及びIcsA)、Salmonella侵入因子の1つ以上(例えば、SipA、SipC、SpiC、SigD、SopB、SopE、SopE2、及びSptP)、Staphylococcus FnBPA及び/またはFnBPB、1つ以上のStreptococcus侵入因子(ACP、Fba、F2、Sfb1、Sfb2、SOF、及びPFBP)、インチミン及び/またはPorphyromonas gingivalis FimB(インテグリン結合タンパク質繊維)。いくつかの実施形態では、表面タンパク質は、上述の表面タンパク質の融合タンパク質を含む。例示的な実施形態では、表面タンパク質は、インベイシン及びインチミンの融合タンパク質を含む。実施形態では、いくつかの実施形態では、表面タンパク質は、インベイシン、YYadA、RickA、RaIF、NadA、OpA、OpC、InlA、InlB、IpaA、IpaB、IpaC、IpgD、IpaB-IpaC、VirA、IcsA、SipA、SipC、SpiC、SigD、SopB、SopE、SopE2、SptP、FnBPA、FnBPB、ACP、Fba、F2、Sfb1、Sfb2、SOF、PFBP、及びFimBのうちの1つ以上の活性フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、フラグメントは、本明細書に開示の改変微生物の表面上、例えば、接着足場上で、発現される。
【0094】
いくつかの実施形態では、表面タンパク質は、III型分泌系またはその構成要素である。いくつかの実施形態では、表面タンパク質は、がん及び前がん細胞の表面に特異的に結合するペプチドまたはタンパク質を含み、任意に、タンパク質は、レプチン、抗体、またはそのフラグメント(例えば、sdAb、Nanobody(登録商標)としても既知、及びscFvフラグメント)から選択される。いくつかの実施形態では、表面タンパク質は、レプチン、抗体、またはそのフラグメントのうちの1つ以上を含む。抗体のフラグメントの実例は、単一ドメイン抗体(sdAb、Nanobody(登録商標)としても既知)またはscFvフラグメントである。いくつかの実施形態では、表面タンパク質は、がん組織もしくは前がん病変(ポリープもしくは腺腫)、裂傷及びびらん(バレット食道)、または炎症性疾患における異常局在化タンパク質に特異的に結合するペプチドまたはタンパク質を含む。
【0095】
表面タンパク質の同一性により、本明細書に開示の遺伝子改変微生物は、天然の表面タンパク質の親和性を模倣し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の遺伝子改変微生物は、口腔上皮細胞、舌の口内上皮細胞、咽頭上皮細胞、粘膜上皮細胞、胃の内皮細胞、腸上皮細胞、結腸上皮などのうちの1つ以上に特異的に結合し得る。
【0096】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の遺伝子改変微生物は、エンドサイトーシス液胞を溶解させ、それにより、ファゴソームの細孔形成、破壊、または分解に寄与する溶解素をコードする第2の外因性遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、溶解素は、コレステロール依存性細胞溶解素である。いくつかの実施形態では、溶解素は、リステリオリシンO、イバノリシン(ivanolysin)O、ストレプトリジン、パーフリンゴリジン、ボツリノリジン、ロイコシジン、及びそれらの変異派生物からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、溶解素は、リステリオリシンO(配列番号2)、またはその変異派生物(限定されないが、例えば、配列番号6)である。
【0097】
本技術の遺伝子改変微生物は、任意の非病原性微生物、例えば、ヒトGI管の正常フローラである非病原性微生物、またはヨーグルト、チーズ、パンなどの食品を介してヒトの摂取に対し安全であると一般に認識される微生物に由来し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の実施形態のいずれか1つの遺伝子改変微生物は、Lactobacillus、Bifidobacterium、Saccharomyces、Enterococcus、Streptococcus、Lactococcus、Pediococcus、Leuconostoc、Bacillus、及びEscherichia coliから選択される微生物に由来し得る。本明細書に開示の実施形態のいずれか1つの遺伝子改変微生物に適する例示的な種としては、以下が挙げられる:Bacillus coagulans、Bifidobacterium adolescentis、Bifidobacterium animalis、Bifidobacterium bifidum、Bifidobacterium breve、Bifidobacterium essencis、Bifidobacterium faecium、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium lactis、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium longum subsp.infantis、Bifidobacterium pseudolungum、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus boulardii、Lactobacillus breve、Lactobacillus brevis、Lactobacillus bulgaricus、Lactobacillus casei、Lactobacillus delbrueckii ssp.Bulgaricus、Lactobacillus fermentum、Lactobacillus gasseri、Lactobacillus helveticus、Lactobacillus paracasei、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus reuteri、Lactobacillus rhamnosus、Lactobacillus rhamnosus GG、Lactobacillus salivarius、Lactococcus lactis、Streptococcus thermophilus、Pediococcus acidilactici、Enterococcus faecium、Leuconostoc、Carnobacterium、Proprionibacterium、Saccharomyces boulardii、及びEscherichia coli。
【0098】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の実施形態のいずれか1つの遺伝子改変微生物は、プロバイオティックEscherichia coli株、例えば、Escherichia coli Nissle 1917、Escherichia coli Symbioflor2(DSM 17252)、Escherichia coli株A0 34/86、Escherichia coli O83(Colinfant)に由来し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の実施形態のいずれか1つの遺伝子改変微生物は、Escherichia coli Nissle 1917に由来する。
【0099】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の実施形態のいずれか1つの遺伝子改変微生物は、Escherichia coli Nissle 1917またはその派生体である。Escherichia coli Nissle 1917には、2つの天然に存在する、安定した潜在性プラスミドpMUT1及びpMUT2を含有する。いくつかの実施形態では、Escherichia coli Nissle 1917またはその派生体は、プラスミドpMUT1及び/もしくはプラスミドpMUT2、ならびに/またはその1つ以上の派生物を有する。いくつかの実施形態では、Escherichia coli Nissle 1917またはその派生体は、プラスミドpMUT1(GenBankアクセッション番号MW240712)及び/またはプラスミドpMUT2(GenBankアクセッション番号CP023342)をキュアリングされる。いくつかの実施形態では、Escherichia coli Nissle 1917派生体は、選択機序として野生型alr遺伝子を有するプラスミドpMUT1の派生物を有する。いくつかの実施形態では、Escherichia coli Nissle 1917派生体は、野生型alr遺伝子を選択機序として有するプラスミドpMUT1の派生物、ならびにインベイシン及び/またはリステリオリシンをコードする遺伝子、またはその変異派生物を有する。いくつかの実施形態では、alr及びdadX遺伝子にmull変異を有するEscherichia coli Nissle 1917派生物は、選択機序としてそれ自体のプロモーターの支配下にある野生型alr遺伝子を有するプラスミドpMUT1の派生物、及び、任意に、インベイシン(配列番号1)及び/もしくはリステリオリシンO(配列番号2)、またはその変異派生物(限定されないが、例えば、配列番号6)を有する。いくつかの実施形態では、Escherichia coli Nissle 1917派生体は、選択機序としてそれ自体のプロモーターの制御下にある野生型alr遺伝子を有するプラスミドpMUT2の派生物を有する。いくつかの実施形態では、Escherichia coli Nissle 1917派生体は、選択機序としてそれ自体のプロモーターの制御下にある野生型alr遺伝子、ならびにインベイシン(配列番号1)及び/もしくはリステリオリシンO(配列番号2)をコードする遺伝子を有するプラスミドpMUT2の派生物、またはその変異派生物を有する。いくつかの実施形態では、alr及びdadX遺伝子にmull変異を有するEscherichia coli Nissle 1917派生体は、選択機序としてそれ自身のプロモーターの制御下にある野生型alr遺伝子、ならびに、任意に、インベイシン及び/もしくはリステリオリシンOをコードする遺伝子を有するプラスミドpMUT2の派生物、またはその変異派生物を有する。
【0100】
Escherichia coli Nissle 1917の完全なゲノム配列は既知である。Reister et al.,J Biotechnol.187:106-7(2014)。いくつかの実施形態では、Escherichia coli Nissle 1917またはその派生物では、表面タンパク質をコードする遺伝子は、Escherichia coli Nissle 1917の第1のゲノム部位に組み込まれている。追加的または代替的に、いくつかの実施形態では、溶解素をコードする第2の遺伝子は、Escherichia coli Nissle 1917の同じ部位または第2のゲノム部位に組み込まれている。いくつかの実施形態では、表面タンパク質をコードする遺伝子及び溶解素をコードする第2の遺伝子は、単一のゲノム部位に組み込まれ、任意に、単一のゲノム部位は、バクテリオファージの組み込み部位である。あるいは、1つまたは両方の遺伝子がプラスミドに挿入され、これは、任意に、天然に存在するプラスミドである。従って、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子は、Escherichia coli Nissle 1917由来の天然の内因性プラスミド(すなわち、pMUT1、pMUT2、及び/またはその派生物)に挿入され得る。いくつかの実施形態では、プラスミドは、選択機序(例えば、記載のalrなどの栄養要求性マーカー)を含む。代替実施形態では、表面タンパク質をコードする遺伝子がプラスミドに挿入される。いくつかの実施形態では、溶解素をコードする遺伝子が、プラスミドに挿入される。
【0101】
追加的または代替的に、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子は、ゲノム部位に組み込まれており、これは、表面タンパク質をコードする遺伝子及び/または溶解素をコードする遺伝子の組み込みに使用されるゲノム部位と同じまたは異なる可能性がある。いくつかの実施形態では、表面タンパク質をコードする遺伝子、溶解素をコードする第2の遺伝子、及び少なくとも1つの検出マーカーをコードする遺伝子(複数可)は、単一のゲノム部位に組み込まれ、任意に、単一のゲノム部位は、バクテリオファージの組み込み部位である。あるいは、検出マーカーをコードする遺伝子は、マルチコピープラスミドの単一コピーであり得る、及び/または天然に存在するプラスミドであり得るプラスミドに挿入される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子がプラスミドに挿入される。追加的または代替的に、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子が、第2のプラスミドに挿入される。いくつかの実施形態では、微生物は、Escherichia coli Nissle 1917またはその派生体であり、プラスミドまたは第2のプラスミドは、プラスミドpMUT1、プラスミドpMUT2、及び/またはその派生物から選択される。
【0102】
いくつかの実施形態では、プラスミド及び/または第2のプラスミドは、選択機序を含む。いくつかの実施形態では、選択機序は、プラスミド維持のために抗生物質を必要としないことがある。従って、いくつかの実施形態では、選択機序は、抗生物質耐性マーカー、毒素-抗毒素系、必須遺伝子に変異の相補性を引き起こすマーカー、シス作用性遺伝要素、及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせから選択される。
【0103】
いくつかの実施形態では、選択機序は、治療のためにヒトまたは動物において使用されないかまたはめったに使用されない抗生物質に対する耐性マーカーである。いくつかの実施形態では、プラスミド及び/または第2のプラスミドの選択に使用される選択機序は、カナマイシン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、及びそれらの組み合わせから選択される抗生物質耐性マーカーである。追加的または代替的に、いくつかの実施形態では、プラスミド及び/または第2のプラスミドの選択に使用される選択機序は、プラスミドR1のhok/sok系、プラスミドRK2のparDE系、FプラスミドのccdAB、FプラスミドのflmAB、プラスミドR1のkis/kid系、Xanthomonas campestrisのXCV2162-ptaRNA1、腸管出血性E.coliまたはKlebsiellaのataT-ataR、Erwinia carotovoraのtoxIN系、Caulobacter crescentusのparE-parD系、Enterococcus faecalisプラスミドAD1由来のfst-RNAII、Bacillus subtilisプラスミドpSM19035のε-ζ系、及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせから選択される毒素-抗毒素系である。追加的または代替的に、いくつかの実施形態では、プラスミド及び/または第2のプラスミドの選択に使用される選択機序は、細胞壁合成に要求される必須栄養素もしくは基質(例えば、アミノ酸)の生合成に関与する酵素、及び/またはハウスキーピング機能をコードする必須遺伝子である。細胞壁合成に必要な例示的アミノ酸としては、D-アラニン及びジアミノピメリン酸が挙げられる。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、dapA、dapD、murA、alr、dadX、murI、dapE、thyA、及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、alr及びdadX(これらは双方ともに、アラニンラセマーゼをコードする)の組み合わせである。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、alr及びdadXの組み合わせであり、プラスミドは、選択マーカーとして機能的alr遺伝子(alr+、例えば、野生型alr遺伝子)を使用して選択される。いくつかの実施形態では、プラスミド及び/または第2のプラスミドは、プラスミド及び/または第2のプラスミド上に存在する機能的alr遺伝子によるalr及びdadX変異の相補性により選択される。いくつかの実施形態では、ハウスキーピング機能は、infA、RNAポリメラーゼのサブユニットをコードする遺伝子、DNAポリメラーゼ、rRNA、tRNA、細胞分裂タンパク質、シャペロンタンパク質、及びそれらのいずれか2つ以上の組み合わせから選択される。追加的または代替的に、いくつかの実施形態では、プラスミド及び/または第2のプラスミドの選択に使用される選択機序は、シス作用性遺伝要素、例えば、ColE1 cer遺伝子座またはpSC101由来のparである。
【0104】
いくつかの実施形態では、遺伝子改変微生物が、mRNA分子、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子を罹患上皮細胞(標的細胞)に送達する場合、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子は、遺伝子改変微生物のゲノムに組み込まれている。いくつかの実施形態では、遺伝子改変微生物がmRNA分子、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子を罹患上皮細胞(標的細胞)に送達する場合、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子は、プラスミド上に存在する。
【0105】
代替実施形態では、遺伝子改変微生物が、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子を含むDNA分子(例えば、プラスミド)を罹患上皮細胞(標的細胞)に送達する場合、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子がプラスミド上に存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子を含むプラスミドは、さらに、DNA結合タンパク質に対する少なくとも1つの結合部位を含む。いくつかの実施形態では、DNA結合タンパク質に対する少なくとも1つの結合部位は、DNA結合タンパク質に対する複数の隣接結合部位のアレイを形成する。いくつかの実施形態では、DNA結合タンパク質は、1つ以上の核局在化シグナル(NLS)を含む。これらの実施形態では、DNA結合タンパク質は、DNA分子(例えば、プラスミド)に結合し、1つ以上の核局在化シグナル(NLS)を介してDNA分子(例えば、プラスミド)の核移行を促進する。いくつかの実施形態では、NLSは、SV40 T抗原NLS配列(KKKRKV)である。いくつかの実施形態では、DNA結合タンパク質は、NFκBである。いくつかの実施形態では、微生物は、1つ以上の核局在化シグナル(NLS)を含むDNA結合タンパク質をコードする遺伝子を含む。理論に束縛されるものではないが、1つ以上の核局在化シグナルを含むDNA結合タンパク質が、少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子を含むプラスミド上のDNA結合タンパク質に対する少なくとも1つの結合部位を結合し、1つ以上の核局在化シグナルの作用を介してプラスミドの核移行を促進すると考えられている。従って、これらの実施形態では、罹患上皮細胞は、微生物により送達されたDNA分子(例えば、プラスミド)から少なくとも1つの検出マーカーを発現し、それにより、それらの検出が可能になる。
【0106】
いくつかの実施形態では、DNA結合タンパク質をコードする遺伝子は、プラスミド、第2のプラスミド、または第3のプラスミドにゲノム的に組み込まれるか、またはその上に存在する。
【0107】
いくつかの実施形態では、微生物は、dapA、dapD、dapE、murA、alr、dadX、murI、thyA、aroC、ompC、及びompFから選択される少なくとも1つの栄養要求性変異を有する。いくつかの実施形態では、微生物は、dapA、alr、及びdadXの栄養要求性変異の組み合わせを有する。いくつかの実施形態では、プラスミドは、プラスミド上に存在する機能的alr遺伝子によるalr及びdadX変異の相補性により選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの栄養要求性変異は、侵入時に罹患哺乳動物細胞内の微生物の溶解を促進する。いくつかの実施形態では、dapA栄養要求性変異は、侵入時に罹患哺乳動物細胞内の微生物の溶解を促進する。
【0108】
いくつかの実施形態では、約103~約1011の生存可能な遺伝子改変微生物が、対象の種、ならびに診断または処置される疾患または状態に応じて、対象に投与される。いくつかの実施形態では、約105~約109の本開示の生存可能な遺伝子改変微生物が対象に投与される。
【0109】
本開示の遺伝子改変微生物は、発現されたマーカーの検出前に1回~約50回投与されてもよい。遺伝子改変微生物は、マーカー検出前に、約1回~約21回、または1回~約14回、または約1回~約7回投与されてもよい。遺伝子改変微生物は、マーカー検出の約1時間前~約2ヶ月前に開始して、投与されてもよい。遺伝子改変微生物の投与は、マーカー検出前に、少なくとも約1時間、少なくとも約6時間、少なくとも約12時間、少なくとも約24時間、少なくとも約2日、少なくとも約3日、少なくとも約5日、少なくとも約7日、少なくとも約10日、少なくとも約15日、少なくとも約20日、少なくとも約30日、少なくとも約40日、少なくとも約50日、または少なくとも約60日までに開始されてもよい。
【0110】
本開示の遺伝子改変微生物は、投与時に標的細胞に侵入可能で、ペイロードを送達可能である限り、任意の経路で投与されてもよい。本開示の遺伝子改変微生物が送達するペイロードは、一般に、検出マーカーをコードする核酸分子である。いくつかの実施形態では、本技術の遺伝子改変微生物は、経口及び/または直腸経路により投与される。
【0111】
本開示の遺伝子改変微生物は、一般に、薬学的に許容される担体及び/または希釈剤と共に投与される。用いられる特定の薬学的に許容される担体及び/または希釈剤は、本発明にとって重要ではない。希釈剤の例としては、リン酸緩衝生理食塩水、胃の胃酸を緩衝するための緩衝液、例えば、スクロースを含有するクエン酸緩衝液(pH7.0)、重炭酸緩衝液(pH7.0)単独(Levine et al.,J.Clin.Invest.79:888-902(1987);及びBlack et al.,J.Infect.Dis.155:1260-1265(1987))、またはアスコルビン酸、ラクトース、及び、任意に、アスパルテームを含有する重炭酸緩衝液(pH7.0)(Levine et al.,Lancet 2(8609):467-70(1988))が挙げられる。担体の例としては、例えば、スキムミルクに見られるようなタンパク質、例えば、スクロースなどの糖、またはポリビニルピロリドンが挙げられる。通常は、これらの担体は、約0.1~30%(w/v)の濃度で使用されるが、好ましくは、1~10%(w/v)の範囲で使用される。
【0112】
送達に使用され得る薬学的に許容される担体または希釈剤は、特定の投与経路に依存し得る。本開示の遺伝子改変微生物が、依然として、標的細胞に侵入し、それらが標的細胞に運ぶペイロードを送達することが可能である限り、任意のそのような担体または希釈剤を本発明の遺伝子改変微生物の投与に使用することができる。適切な希釈剤及び担体を決定するために、侵入性に関するin vitroまたはin vivo試験を実施することができる。本発明の組成物は、経口及び/または直腸投与用に製剤化することができる。遺伝子改変微生物が侵入可能であり、標的細胞との接触時または対象への投与時にペイロードを送達可能である限り、凍結乾燥形態も含まれる。手法及び製剤は、一般に、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Meade Publishing Co.,Easton,Paに見出され得る。
【0113】
経口投与の場合、医薬組成物は、薬学的に許容される賦形剤、例えば、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、またはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、増量剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロース、またはリン酸水素カルシウム)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ)、崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム)、または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)を用いる従来の手段により調製された、例えば、錠剤またはカプセル剤の形態をとることがある。錠剤は、当該技術分野で周知の方法でコーティングされてもよい。経口投与用の液体調製物は、例えば、液剤、シロップ剤、または懸濁剤の形態をとってもよく、または、使用前に水または他の好適なビヒクルで構成するための乾燥製品として提供されてもよい。そのような液体調製物は、薬学的に許容される添加剤、例えば、懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体、または硬化食用脂肪);乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア);非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコール、または分留植物油);及び防腐剤(例えば、メチルまたはプロピル-p-ヒドロキシベンゾアートまたはソルビン酸)、を用いる従来の手段で調製されてもよい。調製物は、必要に応じて、緩衝塩、着香剤、着色剤、及び甘味剤も含有してもよい。
【0114】
本明細書で提供される医薬組成物は、坐剤、ペッサリー、ペースト剤、散剤、クリーム剤、軟膏剤、液剤、エマルション剤、懸濁剤、ゲル剤、フォーム剤、スプレー、または浣腸剤の形態で直腸投与されてもよい。これらの剤形は、上掲のRemington:The Science and Practice of Pharmacyに記載される従来のプロセスを使用して製造することができる。
【0115】
直腸坐剤は、直腸に挿入するための固体であり、これは、常温では固体であるが、体温で融解または軟化して、本開示の遺伝子改変微生物を直腸内に放出する。直腸坐剤で利用される薬学的に許容される担体は、本明細書で提供される医薬組成物と共に製剤化される場合、基剤またはビヒクル、例えば、体温に近い融点を生じる硬化剤、ならびに重亜硫酸塩及びメタ重亜硫酸ナトリウムなどの酸化防止剤、を含む。好適なビヒクルとしては、カカオバター(テオブロマ油)、グリセリン-ゼラチン、カーボワックス(ポリオキシエチレングリコール)、鯨蝋、パラフィン、白ワックス及び黄色ワックス、ならびに脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリド、ヒドロゲル、例えば、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルメタクリラート、ポリアクリル酸、グリセリンゼラチンの適切な混合物が挙げられるが、これらに限定されない。様々なビヒクルの組み合わせが使用されてもよい。直腸坐剤は、圧縮法または成形により調製されてもよい。直腸坐剤の典型的な重量は、約2~約3gである。
【0116】
いくつかの実施形態では、本開示の遺伝子改変微生物は、単一の組成物として投与されるか、または同じもしくは異なる時間に、同じもしくは異なる投与経路(例えば、経口及び直腸)を介して個別に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の遺伝子改変微生物は、直腸注入に適する混合物または溶液で提供され、チオ硫酸ナトリウム、次没食子酸ビスマス、ビタミンE、及びクロモリンナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、本発明の治療用組成物は、坐剤形態で、ブチレート、及びグルタチオンモノエステル、グルタチオンジエチルエステルまたは他のグルタチオンエステル派生物を含む。座薬は、任意に、チオ硫酸ナトリウム及び/またはビタミンEを含み得る。医薬組成物は、また、例えば、ココアバターまたは他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を含有する、直腸用組成物、例えば、坐剤または停留浣腸に製剤化されてもよい。
【0117】
いくつかの実施形態では、本開示の遺伝子改変微生物は、浣腸製剤として製剤化される。浣腸製剤は、還元剤(または同様の作用様式を有する任意の他の薬剤)を含む。いくつかの実施形態では、本発明の浣腸製剤は、遺伝子改変微生物を含む。浣腸製剤は、任意に、ポリソルベート-80(もしくは任意の他の好適な乳化剤)、及び/または任意の短鎖脂肪酸(例えば、炭素が5、4、3、または2つの脂肪酸)を、結腸上皮エネルギー源として、例えば、酪酸ナトリウム(炭素4つ)、プロピオン酸ナトリウム(炭素3つ)、酢酸ナトリウム(炭素2つ)など、及び/または任意のマスト細胞安定剤、例えば、クロモリンナトリウム(GASTROCROM)もしくはネドクロミルナトリウム(ALOCRIL)を含み得る。
【0118】
いくつかの実施形態では、組成物は、本開示の約105~約109の生存可能な遺伝子改変微生物を含む。組成物は、クロモリンナトリウムを含む場合、約10mg~約200mg、または約20mg~約100mg、または約30mg~約70mgの量で存在し得る。組成物は、ポリソルベート-80を含む場合、約1%(v/v)~約10%(v/v)の濃度で提供することができる。組成物が酪酸ナトリウムを含む場合、約500~約1500mgの量で存在し得る。いくつかの実施形態では、浣腸としての投与に適する組成物は、本開示の遺伝子改変微生物、クロモリンナトリウム、及びポリソルベート-80を含むように製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、さらに、α-リポ酸及び/またはL-グルタミン及び/またはN-アセチルシステイン及び/または酪酸ナトリウム(1.1gm)を含む。
【0119】
組成物は、必要に応じて、活性成分を含有する1つ以上の単位剤形を含有し得るパックまたはディスペンサーデバイス及び/またはキットで提供されてもよい。例えば、ブリスターパックなどのパックは、金属またはプラスチック箔を含んでもよい。パックまたはディスペンサーデバイスは、投与説明書が添付されていてもよい。
【0120】
様々な態様では、本発明は、罹患上皮組織を検出するための方法を提供し、方法は、(i)それを必要とする対象の胃腸管に、本明細書に開示の遺伝子改変微生物を投与すること、及び(ii)検出マーカーの発現を検出し、それにより、罹患上皮細胞を検出すること、を含み、罹患上皮組織が胃腸管上皮及び胆管上皮から選択される。上記で考察されるように、微生物は、表面タンパク質をコードする外因性遺伝子を含み、表面タンパク質は、1つ以上の細胞膜受容体と特異的に相互作用し、これは、正常な胃腸組織及び/または胆管、膵管、もしくは総胆管などの内側を覆う上皮組織の上皮細胞の管腔側に露出しないが、疾患に罹患した対象において、胃腸組織及び/または胆管、膵管、もしくは総胆管などの内側を覆う上皮組織の罹患上皮細胞の管腔側に露出する。いくつかの実施形態では、表面タンパク質は、罹患上皮細胞における微生物の結合及び侵入を促進する。微生物は、プロモーターに作動可能に連結されている少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子も含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、プロモーターは、哺乳動物プロモーターである。いくつかの実施形態では、上皮発現またはGI管上皮細胞特異的発現に対して活性または特異的である哺乳動物プロモーター。いくつかの実施形態では、哺乳動物プロモーターは、GI管上皮細胞特異的発現を指令する。これらの実施形態では、微生物は、DNA分子(例えば、プラスミド)を、罹患上皮細胞に送達する。いくつかの実施形態では、遺伝子改変微生物は、経口または直腸経路を介して投与される。いくつかの実施形態では、方法は、さらに、下剤を含む結腸洗浄剤の投与を含む。いくつかの実施形態では、下剤を含む結腸洗浄剤は、微生物の投与前に投与される。
【0122】
罹患胃腸(GI)組織は、前がん病変(複数可)、GI管癌、潰瘍性大腸炎、クローン病、バレット食道、過敏性腸症候群、及び過敏性腸疾患であってよい。例示的な前がん病変(複数可)及びGI管癌としては、肛門の扁平上皮癌、肛門の低悪性度扁平上皮内病変(LSIL)、肛門の高悪性度扁平上皮内病変(HSIL)、結腸直腸癌、結腸直腸腺癌、家族性腺腫性ポリポーシス、遺伝性非ポリポーシス結腸直腸癌、結腸直腸ポリポーシス(例えば、ポイツ・ジェガース症候群、若年性ポリポーシス症候群、MUTYH関連ポリポーシス、家族性腺腫性ポリポーシス/ガードナー症候群、及びクロンカイト・カナダ症候群)、カルチノイド、腹膜偽粘液腫、十二指腸腺癌、小腸の前悪性腺腫、遠位胆管癌、胆道上皮内腫瘍(BilIN)、BilIN-1、BilIN-2、BilIN-3、または胆管癌、膵管腺癌(PDAC)、膵上皮内腫瘍(PanIN)、PanIN-1、PanIN-2、PanIN-3、胃癌、印環細胞癌(SRCC)、胃リンパ腫(MALTリンパ腫)、形成性腺炎(ブリントン病)、ならびに食道の扁平上皮癌及び腺癌が挙げられる。
【0123】
いくつかの実施形態では、対象が、疾患、例えば、前がん病変、がん、潰瘍性大腸炎、クローン病、バレット食道、過敏性腸症候群、及び過敏性腸疾患、に罹患しているため、胃腸(GI)組織は、潜在的に罹患している可能性がある。いくつかの実施形態では、前がん病変は、ポリープ、例えば、無茎性ポリープ、鋸歯状ポリープ(例えば、過形成性ポリープ、無茎性鋸歯状腺腫/ポリープ、及び従来の鋸歯状腺腫)、無茎性鋸歯状ポリープ、扁平ポリープ、亜有茎性ポリープ、有茎性ポリープ、及びそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ポリープは、小型ポリープである。いくつかの実施形態では、前がん病変は、BilIN-1、BilIN-2、BilIN-3、及び胆管癌から選択される胆道上皮内腫瘍(BilIN)を含む。いくつかの実施形態では、前がん病変は、PanIN-1、PanIN-2、PanIN-3、及び膵管腺癌(PDAC)から選択される膵上皮内腫瘍(PanIN)を含む。いくつかの実施形態では、前がん病変は、約0.05mm~約30mmのサイズを有する。いくつかの実施形態では、前がん病変は、約0.1mm未満、約0.25mm未満、約0.5mm未満、約1mm未満、約2mm未満、約5mm未満、約8mm未満、約10mm未満、約15mm未満、約20mm未満、約25mm未満、約30mm未満のサイズを有する。
【0124】
いくつかの実施形態では、がんは、ポリープ、腺腫、またはfrank型がんを含む。いくつかの実施形態では、がんは、リンチ症候群、家族性腺腫性ポリポーシス、遺伝性非ポリポーシス結腸癌(HNPCC)、または散発性がんを含む。いくつかの実施形態では、がんは、胆管上皮内腫瘍(BilIN)、BilIN-1、BilIN-2、BilIN-3、または胆管癌)、膵上皮内腫瘍(PanIN)、PanIN-1、PanIN-2、PanIN-3、または腺管腺癌(PDAC)を含む。
【0125】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの検出マーカーは、蛍光タンパク質、生物発光タンパク質、磁気共鳴画像法(MRI)用の造影剤、陽電子放出断層撮影法(PET)レポーター、酵素レポーター、コンピューター断層撮影法(CT)で使用される造影剤、単一光子放射断層撮影(SPECT)レポーター、光音響レポーター、X線レポーター、超音波レポーター、及びイオンチャネルレポーター(例えば、cAMP活性化カチオンチャネル)、ならびに、それらの任意の2つ以上の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の実施形態のいずれかの蛍光タンパク質、生物発光タンパク質、磁気共鳴画像法(MRI)用の造影剤、陽電子放出断層撮影法(PET)レポーター、酵素レポーター、コンピューター断層撮影法(CT)で使用される造影剤、単一光子放射断層撮影(SPECT)レポーター、光音響レポーター、X線レポーター、超音波レポーター、及びイオンチャネルレポーター(例えば、cAMP活性化カチオンチャネル)が使用されてもよい。
【0126】
いくつかの実施形態では、方法は、さらに、少なくとも1つの生物発光タンパク質の1つ以上の基質、磁気共鳴画像法に使用される少なくとも1つの造影剤の1つ以上の基質、1つ以上のPETプローブ、酵素レポーターの1つ以上の基質、1つ以上のSPECTプローブ、またはそれらの任意の2つ以上の組み合わせの投与を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの生物発光タンパク質の1つ以上の基質、磁気共鳴画像法で使用される少なくとも1つの造影剤の1つ以上の基質、1つ以上のPETプローブ、酵素レポーターの1つ以上の基質、1つ以上のSPECTプローブ、またはそれらの任意の2つ以上の組み合わせの投与は、マーカー検出前に、マーカー検出の少なくとも約1時間前、少なくとも約6時間前、少なくとも約12時間前、少なくとも約24時間前、少なくとも約2日前、少なくとも約3日前までに開始されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの生物発光タンパク質の1つ以上の基質、磁気共鳴画像法で使用される少なくとも1つの造影剤の1つ以上の基質、1つ以上のPETプローブ、酵素レポーターの1つ以上の基質、1つ以上のSPECTプローブ、またはそれらの任意の2つ以上の組み合わせが、微生物の投与後に投与されてもよい。
【0127】
様々な態様では、本発明は、対象における疾患または障害の診断及び/または予測のための方法を提供し、方法は、(i)それを必要とする対象の胃腸管に、本明細書に開示の遺伝子改変微生物を投与すること、及び(ii)検出マーカーの発現を検出し、それにより、罹患上皮細胞を検出すること、を含む。上記で考察されるように、微生物は、表面タンパク質をコードする外因性遺伝子を含み、表面タンパク質は、1つ以上の細胞膜受容体と特異的に相互作用し、これは、正常な胃腸組織及び/または胆管、膵管、もしくは総胆管などの内側を覆う上皮組織の上皮細胞の管腔側に露出しないが、疾患に罹患した対象において、胃腸組織及び/または胆管、膵管、もしくは総胆管などの内側を覆う上皮組織の罹患上皮細胞の管腔側に露出する。いくつかの実施形態では、表面タンパク質は、罹患上皮細胞における微生物の結合及び侵入を促進する。微生物は、プロモーターに作動可能に連結されている少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子も含む。いくつかの実施形態では、プロモーターは、哺乳動物プロモーターである。いくつかの実施形態では、上皮発現またはGI管上皮細胞特異的発現に対して活性または特異的である哺乳動物プロモーター。いくつかの実施形態では、哺乳動物プロモーターは、GI管上皮細胞特異的発現を指令する。これらの実施形態では、微生物は、DNA分子(例えば、プラスミド)を、罹患上皮細胞に送達する。いくつかの実施形態では、遺伝子改変微生物は、経口または直腸経路を介して投与される。いくつかの実施形態では、方法は、さらに、下剤を含む結腸洗浄剤の投与を含む。いくつかの実施形態では、下剤を含む結腸洗浄剤は、微生物の投与前に投与される。いくつかの実施形態では、遺伝子改変微生物は、非病原性である。いくつかの実施形態では、遺伝子改変微生物は、栄養要求性である。いくつかの実施形態では、遺伝子改変微生物は、非病原性及び栄養要求性である。
【0128】
様々な態様では、本発明は、対象の疾患または障害の診断及び/または予測の方法に仕用される、遺伝子改変微生物を提供し、方法は、(i)本明細書に開示の、それを必要とする対象の消化管に投与すること、及び(ii)検出マーカーの発現を検出し、それにより、罹患上皮細胞を検出すること、を含む。上記で考察されるように、微生物は、表面タンパク質をコードする外因性遺伝子を含み、表面タンパク質は、1つ以上の細胞膜受容体と特異的に相互作用し、これは、正常な胃腸組織及び/または胆管、膵管、もしくは総胆管などの内側を覆う上皮組織の上皮細胞の管腔側に露出しないが、疾患に罹患した対象において、胃腸組織及び/または胆管、膵管、もしくは総胆管などの内側を覆う上皮組織の罹患上皮細胞の管腔側に露出する。いくつかの実施形態では、表面タンパク質は、罹患上皮細胞における微生物の結合及び侵入を促進する。微生物は、プロモーターに作動可能に連結されている少なくとも1つの検出マーカーをコードする1つ以上の遺伝子も含む。いくつかの実施形態では、プロモーターは、哺乳動物プロモーターである。いくつかの実施形態では、哺乳動物プロモーターは、GI管上皮細胞特異的発現を指令する。いくつかの実施形態では、遺伝子改変微生物は、経口または直腸経路を介して投与される。いくつかの実施形態では、方法は、さらに、下剤を含む結腸洗浄剤の投与を含む。いくつかの実施形態では、下剤を含む結腸洗浄剤は、微生物の投与前に投与される。いくつかの実施形態では、遺伝子改変微生物は、非病原性である。いくつかの実施形態では、遺伝子改変微生物は、栄養要求性である。いくつかの実施形態では、遺伝子改変微生物は、非病原性及び栄養要求性である。
【0129】
様々な態様では、処置用の、疾患に罹患しているか、または罹患していると疑われる対象を選択する方法が本明細書で開示され、方法は、(i)本明細書に開示の実施形態のいずれか1つの遺伝子改変微生物を、対象の胃腸管に投与すること、(ii)周囲の正常な上皮細胞と比較した検出マーカーの発現の上昇を検出すること、及び(iii)周囲の正常な上皮細胞と比較して検出マーカーの発現が観察される場合に処置の対象を選択すること、を含む。いくつかの実施形態では、疾患は、前がん病変、がん、潰瘍性大腸炎、クローン病、バレット食道、過敏性腸症候群、及び過敏性腸疾患から選択される。いくつかの実施形態では、処置は、手術または治療薬の投与である。いくつかの実施形態では、手術は、罹患組織を除去する。いくつかの実施形態では、治療剤は、化学療法剤、細胞毒性剤、免疫チェックポイント阻害剤、免疫抑制剤、サルファ剤、コルチコステロイド、抗生物質、及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせから選択される。
【0130】
いくつかの実施形態では、前がん病変は、無茎性ポリープ、鋸歯状ポリープ(例えば、過形成性ポリープ、無茎性鋸歯状腺腫/ポリープ、及び従来の鋸歯状腺腫)、無茎性鋸歯状ポリープ、扁平ポリープ、亜有茎性ポリープ、有茎性ポリープ、及びそれらの組み合わせから選択されるポリープを含む。いくつかの実施形態では、ポリープは、小型ポリープである。いくつかの実施形態では、ポリープは、小型ポリープである。いくつかの実施形態では、前がん病変は、BilIN-1、BilIN-2、BilIN-3、及び胆管癌から選択される胆道上皮内腫瘍(BilIN)を含む。いくつかの実施形態では、前がん病変は、PanIN-1、PanIN-2、PanIN-3、及び膵管腺癌(PDAC)から選択される膵上皮内腫瘍(PanIN)を含む。いくつかの実施形態では、前がん病変は、約0.05mm~約30mmのサイズを有する。いくつかの実施形態では、前がん病変は、約0.1mm未満、約0.25mm未満、約0.5mm未満、約1mm未満、約2mm未満、約5mm未満、約8mm未満、約10mm未満、約15mm未満、約20mm未満、約25mm未満、または約30mm未満のサイズを有する。
【0131】
追加的または代替的に、いくつかの実施形態では、がんは、ポリープ、腺腫、またはfrank型がんを含む。いくつかの実施形態では、がんは、リンチ症候群、家族性腺腫性ポリポーシス、遺伝性非ポリポーシス結腸癌(HNPCC)、または散発性がんを含む。
【0132】
様々な態様では、患者のがんを処置する方法も本明細書で開示される。これらの方法は、(i)請求項57~100のいずれか1項に記載の遺伝子改変微生物を、対象の胃腸管に投与すること、(ii)検出マーカーの発現を検出し、それにより、罹患上皮細胞を検出すること、及び(iii)検出マーカーの発現が観察される場合、処置を投与すること、を含む。いくつかの実施形態では、処置は、手術または治療薬の投与である。いくつかの実施形態では、治療薬は、化学療法剤、細胞毒性剤、免疫チェックポイント阻害剤、免疫抑制剤、サルファ剤、コルチコステロイド、抗生物質、及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群より選択される。
【実施例】
【0133】
実施例1.遺伝子改変菌株及び準備
この研究の目的の1つは、消化管上皮の罹患細胞を検出し得る菌株を構築することであった。
図1に示されるように、罹患上皮細胞は、新規の哺乳動物膜受容体の異常局在化及び/または発現を示す。新規受容体は、細胞内に通常見出されない受容体、または転座及び他のゲノム再編成により形成される受容体であってよい。Escherichia coli Nissle 1917に由来する菌株が本明細書に開示される。
図2に示すように、株は、単一の細菌染色体及び第2の染色体外プラスミド(pMUT1及びpMUT2)を含有する。
図7のレーンAを参照。
【0134】
菌株の封じ込めを可能にするように、栄養要求性を導入した(
図3参照)。栄養要求性株は、体内または環境で繁殖することができない。さらに、栄養要求性は、抗生物質を使用しないプラスミドの選択が可能になる。
【0135】
細菌の封じ込めのために、細菌の細胞壁の必須構成成分であるジアミノピメリン酸を生成するために不可欠なdapA遺伝子がノックアウトされた。ΔdapA株は、成長のために培地中にジアミノピメリン酸を必要とする。プラスミドの選択では、alr及びdadX遺伝子がノックアウトされた。alr及びdadXは、過剰なアラニンラセマーゼであり、成長のために、細菌細胞壁の構成成分でもあるアミノ酸D-アラニンの供給に菌株を依存させる。
【0136】
十分に確立されたラムダレッド組み換えシステムで、全ての栄養要求性を生じさせ、抗生物質マーカーを排除するように行った。Datsenko and Wanner,Proc Natl Acad Sci USA.97(12):6640-5(2000)。その結果、最終株は、E.coli Nissle 1917株に感受性がある全ての抗生物質に感受性があり、成長のためにジアミノピメリン酸及びD-アラニンの添加が必要であると予想される。
【0137】
得られた株(E.coli Nissle 1917 ΔdapA Δalr ΔdadX)を、D-アラニン及びジアミノピメリン酸が補充されたLB培地で成長させた。(1)LB、(2)D-アラニンのみが補充されたLB、(3)ジアミノピメリン酸のみが補充されたLB、ならびに(4)D-アラニン及びジアミノピメリン酸が補充されたLBで、培養物を希釈し、37℃でインキュベートし、成長を監視した。
図4Aに示されるように、株は、D-アラニン及びジアミノピメリン酸の両方が培地に添加された場合にのみ成長した。さらに、
図4Bに示されるように、D-アラニン及びジアミノピメリン酸が培地に添加された場合、株は、野生型株と同様の成長特性を示した。
【0138】
インベイシン(配列番号1)及びリステリオリシンO(配列番号2)を含有するシャーシを作製した。インベイシン及びリステリオリシンO遺伝子を、プラスミド上に維持した。あるいは、安定して組み込まれたインベイシン(配列番号1)及びリステリオリシンO(配列番号2)遺伝子を有する菌株を構築することができる(
図5)。
【0139】
次に、プラスミドpMUT1及びpMUT2を、標準手順を使用してキュアリングした(
図6)。
図7Aは、E.coli Nissle 1917(EcN)派生体由来のプラスミドpMUT1及びpMUT2をキュアリングするために実施された実験の結果を示すアガロースゲルを示す。野生型E.coli Nissle 1917(EcN)を、キュアリングプラスミドで形質転換し、5mg/mlのアンピシリンの存在下で継代した。野生型E.coli Nissle 1917(EcN)(レーンA)、pMUT1をキュアリングされたE.coli Nissle 1917(EcN)(レーンB)、ならびに、pMUT1及びpMUT2をキュアリングされたE.coli Nissle 1917(EcN)(レーンC)のプラスミド調製物。プラスミドpMUT1及びpMUT2の予想される位置が示される。
図7Bは、プラスミドがキュアリングされていることを確認するための定量的PCR実験の結果を示す。データラベルは、
図7Aと同じである。
【0140】
非抗生物質選択を有するpMUT1ベースのプラスミドベクターが構築された。まとめると、E.coli alr遺伝子は、E.coli Nissle 1917のdapA、alr、dadX三重欠失派生体の選択として使用された。alrを使用して選択された得られたプラスミドに、GFP遺伝子をクローニングした。このプラスミドは、pSRXと命名された。
図8は、本開示の遺伝子改変細菌の実施形態の概略図を示す。この株は、1つ以上の栄養要求性変異(Xで示される)を有するE.coli Nissle 1917(EcN)派生体であり、さらに、ゲノムに組み込まれる表面タンパク質及びリステリオリシンOをコードする遺伝子を有する。この株は、プラスミドpMUT1を含有しないが、pMUT1ベースの派生物であるプラスミドpSRXを含有し、これは、選択機序として栄養要求性変異の相補性を使用して選択される。プラスミドpSRXは、本明細書においてGFPにより例示される検出マーカーも有する。
【0141】
実施例2.結腸直腸癌細胞のin vitro検出
本開示の細菌は、罹患細胞を特異的に検出し得る。理論に束縛されるものではないが、罹患細胞の検出は、4つの異なる段階を経て進むと仮定される。
図9Aに示されるように、本開示の遺伝子改変微生物は、異常局在化受容体を介して罹患上皮細胞に結合し、内在化を受ける。内在化時に、
図9Bに示されるように、細菌は、細胞壁合成の欠陥を引き起こすdapA弱毒化変異により溶解を受ける。その後、リステリオリシンO(LLO)は、放出され、ファゴソームを溶解するか、または、E.coli株から自然に排出される。
図9Cに示すように、検出マーカーを担持するプラスミドは、任意に、核局在化シグナルを含むタンパク質の結合により誘導される、核局在化を受ける。
図9Dに示されるように、検出マーカーを担持するプラスミドが、GI管の罹患上皮細胞における検出マーカーの発現を引き起こす。
【0142】
このスキームを試験するために、侵入機序を含有する株が構築された。侵入機序は、哺乳動物細胞表面のタンパク質に結合し、細菌のエンドサイトーシスを促進する細菌表面タンパク質からなる。試験された最初の細菌表面タンパク質は、タンパク質インベイシンをコードするYersinia pseudotuberculosis由来のinv遺伝子であった。インベイシンは、哺乳動物細胞の表面上のインテグリンに結合し、エンドサイトーシスを促進する。この株は、proD構成的プロモーターの制御下にあるinvを発現するpMUT1由来のプラスミドを有するE.coli Nissle 1917である。プラスミドは、細菌を容易に可視化し、哺乳動物細胞と識別できるようにする細菌プロモーターの制御下にある検出可能マーカー(GFP)をコードする遺伝子も含んでいた。この株由来の細菌を、SW480(結腸直腸癌由来細胞株)と共に1時間インキュベートし、続いて、細胞外細菌を洗い流した。SW480細胞を、蛍光顕微鏡で可視化し、プレートから取り出し、次に、フローサイトメトリーで分析して、菌株がうまく侵入したSW480細胞の部分を確認した。
図10に示されるように、SW480結腸直腸癌細胞は、インベイシン遺伝子を発現する細菌細胞によってのみ侵入された。これらの結果は、本技術での遺伝子改変微生物が、in vitroでがん細胞に侵入し、リソソームを回避し、がん細胞で検出可能マーカーを発現し得ることを示す。
【0143】
漸増数の上記の株由来の細菌を、SW480細胞と共に1時間共インキュベートし、続いて、細胞外細菌を洗い流した。SW480細胞を、蛍光顕微鏡で視覚化し、位相差顕微鏡(
図11Aの「トランス」)及び蛍光顕微鏡(
図11AのGFP)を使用して、撮影した。どの細胞が侵入されるかを確認するために、位相差顕微鏡及び蛍光顕微鏡の画像をマージした。
図11Aに示されるように、インベイシン発現微生物と接触させた細胞は、細胞の侵入と一致する染色を示した。対照的に、インベイシン
-細胞で処置された細胞は、そのような染色を示さなかった。哺乳動物細胞への侵入を定量するために、処置された細胞を、フローサイトメトリーで分析して、菌株がうまく侵入したSW480細胞の部分を確認した。侵入の程度は、感染多重度(MOI)の関数としてプロットされた。
図11Bに示されるように、侵入は、MOIの増加とともに増加し、飽和可能であった。
【0144】
細菌がエンドサイトーシス液胞を回避することを可能する、インベイシン(inv)及びリステリオリシンO(hly)をコードする遺伝子を含む侵入機序は、ラムダファージ組み込み部位で細菌染色体に組み込まれるであろう。組み込み後の抗生物質選択の排除を可能にするように、組み込みを行うことになる。
図5は、遺伝子改変細菌E.coli Nissle 1917(EcN)株のこの実施形態の概略図を示す。この株は、任意に、1つ以上の栄養要求性変異、例えば、dapAΔ、alrΔ、及びdadXΔ(Xで示される)を有する。
【0145】
実施例3.がん特異的リガンドの表示のためのインチミン足場の使用
インチミンは、腸管出血性Escherichia coli(EHEC)及びグラム陰性菌などの「付着及び消失」(A/E)病原体由来のタンパク質である。インチミンは、上皮細胞への密着を促進することにより、A/E病原体の病原性に関与している。がん特異的リガンドを表示するために、インチミンを使用されてもよいかどうかを評価するために、インチミンの3つのC末端ドメイン(D1、D2、及びD3)を、インベイシンのC末端ドメインで置き換えることにより、インチミン-インベイシンの融合タンパク質を作成した(
図12A)。Weikum et al.,The extracellular juncture domains in the intimin passenger adopt a constitutively extended conformation inducing restraints to its sphere of action,Scientific Reports 10:21249(2020)を参照のこと。インチミン足場のみ(配列番号3)、及びインチミン-インベイシン融合タンパク質(配列番号4)を発現するE.coli Nissle 1917派生株を作製した。これらの株またはインベイシンを発現するE.coli coli Nissle 1917派生株を、ヒト結腸直腸癌細胞と共に1時間共インキュベートし、続いて、細胞外細菌を洗い流した。がん細胞を、蛍光顕微鏡で可視化し、位相差顕微鏡及び蛍光顕微鏡を使用して、撮影した。どの細胞が侵入されるかを確認するために、位相差顕微鏡及び蛍光顕微鏡の画像をマージした。
図12Bに示されるように、インベイシン-インチミン融合タンパク質を発現するが、インチミン足場を発現していない細菌と接触させた細胞は、細胞の侵入と一致する染色を示した。哺乳動物細胞への侵入を定量するために、処置された細胞を、菌株がうまく侵入したSW480細胞の割合について定量した。
図12Cに示されるように、インチミン-インベイシン融合タンパク質を発現する細菌が、がん細胞に侵入した。
【0146】
これらの結果は、本明細書に開示のインチミン足場が、リガンドにより認識される細胞の特異的認識のために、リガンドを表示するために使用され得ることを示す。例えば、がん細胞の検出のために、がん特異的リガンドが使用されてもよい。
【0147】
実施例4.改変微生物によるがん細胞のin vivo検出。
インベイシンを発現し、細菌プロモーター(例えば、proDプロモーター)の制御下にあるGFP遺伝子(mNeonGreen)を担持するプラスミドを有するE.coli Nissle 1917派生株を構築した。インベイシン遺伝子を欠き、RFP遺伝子(mScarlet)を発現する同様の株も生成した。がん細胞は、
図13Aに示されるプロセスを使用して、in vivoで検出された。要約すると、Apc
Fl/Fl;Vil-Cre-ERT2マウスに、30μMの4-OHタモキシフェンを投与して、発がんを誘発した。腫瘍を結腸内視鏡検査で視覚化した。インベイシンを発現し、GFP発現ベクターを有する細菌と、インベイシンを発現しないがRFP発現ベクターを有する細菌との混合物を、浣腸を使用してマウスに投与した。3時間後、マウスを屠殺し、結腸を切除し、洗浄し、落射蛍光顕微鏡及び明視野顕微鏡を使用して観察した(
図13A)。
【0148】
予想通り、細菌混合物で処置されたマウスからの腫瘍は、結腸の近位(すなわち、非罹患)部分のGFP及びRFPの両方で、バックグラウンドレベルの蛍光を示した(
図13B)。他方では、
図13Bに示されるように、細菌混合物で処置されたマウス由来の結腸の遠位端の腫瘍は、インベイシン及びGFPを発現する細菌のみの罹患組織への明らかな侵入を示した。GFP蛍光画像及び明視野画像のマージは、腫瘍に対応する領域でGFP蛍光が検出されたことを示した。
【0149】
これらの結果は、本明細書に開示の遺伝子改変微生物が、in vivoで罹患組織対非罹患組織を識別し得ることを示す。従って、本開示の遺伝子改変微生物は、胃腸管のがん病変を検出する方法において有用である。
【0150】
実施例5.DNAペイロードの効率的な送達の要件。
DNAペイロードの送達を研究するための基本株は、細菌プロモーターで制御されたインベイシンを含むプラスミドと、細菌プロモーターで制御されたリステリオリシンO(Hly;配列番号2)及び哺乳動物プロモーター(CMVプロモーター)で制御されたiRFP670遺伝子(配列番号5)を有する別のマルチコピーのプラスミドを有するE.coli Nissle 1917 dapAΔ alrΔ dadXΔ株であった。理論に束縛されるものではないが、DNAペイロードの送達の提案された機序が
図14Aに示される。DNAペイロードの送達をアッセイするために、基本株をヒトがん細胞と共に3時間共インキュベートし、その後、細胞外細菌を洗い流した。がん細胞を、蛍光顕微鏡で可視化し、位相差顕微鏡及び蛍光顕微鏡を使用して、撮影した。哺乳動物のプロモーター(CMVプロモーター)により制御されるiRFP670遺伝子(配列番号5)を発現する細胞を視覚化するために、位相差及び蛍光顕微鏡の画像をマージした。
図14Bに示されるように、RFP蛍光が、多くの細胞で見られた。さらに、iRFP670遺伝子が、哺乳動物のプロモーター(CMVプロモーター)で制御されたので、iRFP670は、細菌が生成しない蛍光を発するビリベルジンを必要とする。それ故、これらのデータは、本明細書に開示の微生物が、DNAをがん細胞の核に移行させているに違いないという証拠を提供する。
【0151】
インベイシン及びリステリオリシンOの必要性を評価するために、以下の株を構築した:(1)細菌プロモーターの制御下にあるリステリオリシンO(Hly;配列番号2)及び哺乳動物プロモーター(CMVプロモーター)の制御下にあるiRFP670遺伝子(配列番号5)を含むプラスミド、ならびに細菌プロモーターから発現されるインチミン足場(配列番号3)を有する別のプラスミド、を有するE.coli Nissle 1917 dapAΔ alrΔ dadXΔ株(インベイシン-株)、(2)細菌プロモーターの制御下にあるインベイシン(配列番号1)を含むプラスミド及び哺乳動物のプロモーターの制御下にあるiRFP670遺伝子(配列番号5)を有する別のプラスミド、を有するE.coli Nissle 1917 dapAΔ alrΔ dadXΔ株(リステリオリシンO-株)、ならびに(3)細菌プロモーターの制御下にあるリステリオリシンO(Hly)、及び哺乳動物プロモーターの制御下にあるiRFP670遺伝子(配列番号5)を含むプラスミド、ならびに細菌のプロモーターから発現されたインベイシン遺伝子を有する別のプラスミド、を有するE.coli Nissle 1917 dapAΔ alrΔ dadXΔ株(試験株)。
【0152】
DNAペイロードの送達をアッセイするために、ヒトがん細胞を、試験株、リステリオリシンO
-株、またはインベイシン
-株と共に1時間共インキュベートし、続いて、細胞外細菌を洗い流した。DNAペイロードの送達を定量するために、細胞をフローサイトメトリーで分析して、哺乳動物プロモーター下でiRFP670遺伝子(配列番号5)をうまく発現したがん細胞の部分を確認した。
図14Cに示されるように、リステリオリシンO
-及びインベイシン
-株がDNAペイロードの送達不全であったことを示す。インベイシン及びリステリオリシンOの両方を含有した基本株は、DNAペイロードを送達可能であった(
図14C)。これらの結果は、表面タンパク質(限定されないが、例えば、インベイシンまたはインベイシン-インチミン融合タンパク質)及び溶解素(限定されないが、例えば、細胞質に分泌または保持されるリステリオリシンO)の両方が、DNAペイロードの効率的な送達に必要であることを示す。
【0153】
次に、リステリオリシンOを分泌可能な次の株を構築した:修飾分泌性リステリオリシンO(Hly)遺伝子、細菌プロモーター支配下にあるリステリオリシンO遺伝子の分泌の機序を形成するのに必要とされる2つの追加の遺伝子(HlyB及びHlyD)、ならびに哺乳動物プロモーター下のiRFP670遺伝子(配列番号5)、ならびに、細菌プロモーター下のインベイシン遺伝子を有する追加のプラスミドを含むプラスミドを有するE.coli Nissle 1917 dapAΔ alrΔ dadXΔ株(リステリオリシンO-分泌株)。同様に、細菌プロモーター下のリステリオリシンO(Hly)を含むプラスミド及びインチミン足場を含有する追加のプラスミドを有するE.coli Nissle 1917 dapA+ alrΔ dadXΔ株(dapA+インベイシン-株)と、細菌プロモーター支配下にあるインベイシン遺伝子を含むプラスミド及び哺乳動物のプロモーター支配下にあるiRFP670遺伝子を有する追加のプラスミドを有する別のE.coli Nissle 1917 dapA+ alrΔ dadXΔ株(dapA+リステリオリシンO-株)を構築した。
【0154】
DNAペイロードの送達をアッセイするために、ヒトがん細胞を、dapA
+リステリオリシンO
-株、dapA
+インベイシン
-株、インベイシン
-株、リステリオリシンO-分泌株、または基本株と共に1時間共インキュベートし、その後、細胞外細菌を洗い流した。後者の3つのインキュベーションを、10μg/mlのジアミノピメリン酸(DAP)の存在下及び非存在下で2回ずつ実施した。DNAペイロードの送達を定量するために、細胞をフローサイトメトリーで分析した。予想通り、dapA
+リステリオリシンO
-株、dapA
+インベイシン
-株は、iRFP670シグナルを示さなかった。これは、DNAペイロードを送達できないことを示した(
図14D)。インベイシン
-株は、iRFP670シグナルを生じなかった。これは、DNAペイロードを送達できないことを示した(
図14D)。リステリオリシンO-分泌株及び基本株の両方が、iRFP670
+細胞を生成した。これは、DNAペイロードの送達能力を示す(
図14D)。興味深いことに、
図14Dに示されるように、Dapを培地へ添加すると、DNAペイロードの送達の程度が減少する(
図14Eも参照)。
【0155】
理論に束縛されるものではないが、これらの結果は、本明細書に開示の改変微生物株によるDNAペイロードの効率的な送達には、侵入時の細菌溶解が必要であり得ることを示す。
【0156】
リステリオリシンOの分泌が確認された。要約すると、リステリオリシンO-分泌株及び基本株を対数期の中期まで成長させた。全細胞のリステリオリシンO活性のアッセイのために、各株のアリコートを回収した。各株の別のアリコートをスピンダウンし、培養上清を回収した。細胞ペレットをPBSで洗浄し、超音波処理して、細胞膜を破壊し、細菌溶解物を調製した。全細胞試料、上清、及び細菌溶解物試料を、pH7.3、6.8、6.3、または5.8でRBCと共にインキュベートした。未処置のRBC、PBSで処置されたRBCを、陰性対照として使用し、トリトンで処置されたRBCを、溶血の陽性対照として使用した。処置されたRBC試料を、遠心分離し、405nmでの上清の吸光度を測定して、溶血を評価した。予想通り、未処置のRBC、PBSで処置されたRBCは、バックグラウンドレベルの溶血を示し、トリトンで処置されたRBCは、pH非依存性溶血を示した(
図15B)。
図15Bに示されるように、リステリオリシンO-分泌株及び基本株の両方の溶解物は、リステリオリシンOについて予想されるものと一致するpH依存性溶血を示した。さらに、リステリオリシンO-分泌株の培養上清は、低pHでpH依存性溶血を生じたが、基本株の培養上清は、生じなかった(
図15B)。これらの結果は、リステリオリシンO-分泌株がリステリオリシンOを分泌することを示す。
【0157】
リステリオリシンOの分泌がDNAペイロードの送達に及ぼす影響を試験するために、ヒトがん細胞を、インベイシン
-株、リステリオリシンO
-株、リステリオリシンO-分泌株、または基本株と共に1時間共インキュベートし、続いて、細胞外細菌を洗い流した。DNAペイロードの送達を、フローサイトメトリーで分析した。
図15Aに示されるように、リステリオリシンO-分泌株及び基本株は両方とも、DNAペイロードの送達能が高かった。
【0158】
効率的なDNA送達のために、インベイシン遺伝子が細菌染色体に組み込まれ得るかどうかを試験するために、インベイシン組み込み株を構築した:細菌プロモーターの制御下にあるリステリオリシンO(Hly)遺伝子、及び哺乳動物プロモーターの制御下にあるiRFP670遺伝子を含むプラスミドを有するE.coli Nissle 1917 dapAΔ alrΔ dadXΔ株。この株は、細菌染色体上のラムダattB部位に組み込まれた構成的原核生物プロモーターの制御下にあるインベイシン遺伝子を含んでいた。そのような株の代表的な構成は、
図17Bに示される。インベイシン組み込みリステリオリシンO
-も構築した。
【0159】
インベイシン遺伝子の組み込みがDNAペイロードの送達に及ぼす影響を試験するために、ヒトがん細胞を、リステリオリシンO
-株、インベイシン
-株、インベイシン組み込み株、インベイシン組み込みトリステリオリシンO
-株、または基本株と共に共インキュベートした。細胞外細菌を洗い流し、DNAペイロードの送達をフローサイトメトリーで分析した。
図15Cに示されるように、インベイシン組み込み株及び基本株は両方とも、DNAペイロードの送達能が高かった。予想通り、インベイシン(配列番号1)またはリステリオリシンO(配列番号2)のいずれかが株に存在しない場合、DNAペイロードの送達は、観察されなかった(
図15C)。これらのデータは、細菌染色体へのインベイシン遺伝子の組み込みが、本明細書に開示の株を構築するための実行可能なアプローチであることを示した。
【0160】
実施例6.mRNAペイロードの送達
次に、RNA送達のための株を構築した。それに向けて、RNA送達のための基本株を構築した(
図16A)。この株は、araBADプロモーターにより制御されるT7 RNAポリメラーゼをコードする遺伝子と、細菌染色体に組み込まれた構成的細菌プロモーターにより制御されるインベイシンを有していた。そのような株を構築するために、araCを含有するカセット、araBADプロモーター支配下にあるT7 RNAポリメラーゼ遺伝子、及び構成的E.coliプロモーター支配下にあるインベイシン遺伝子を、ラムダベースの組み込みベクターに組み込んだ。カセットの組み込みを有する組み込み体を選択した(
図16A)。さらに、株をリステリオリシンO遺伝子(
図16Aのリシン)、その天然のプロモーターで制御されるalr遺伝子によるalrΔ dadXΔの相補性により選択された高コピープラスミド上のT7プロモーターで制御されるGFP-EMCV IRES-iRFP670カセットを有するプラスミドで形質転換した(
図16A)。GFP-EMCV IRES-iRFP670カセットを欠くか、T7 RNAポリメラーゼをコードする遺伝子を欠く対照株も構築した。
【0161】
GFPは、細菌により生成され、侵入の可視マーカーと、T7プロモーターからのRNA産生の誘導成功の確認の両方として機能する。哺乳動物細胞で翻訳されるiRFP670の発現は、mRNA送達のマーカーとして機能する。対照株及び基本株をアラビノースの非存在下または存在下で成長させ、相対GFP発現を分光測光法で測定した。
図16Bに示されるように、基本株は、アラビノースで誘導された場合、mRNAカセットの産生を示した。対照的に、アラビノースなしで成長させた基本株、またはGFP-EMCV IRES-iRFP670カセットを欠くか、またはT7 RNAポリメラーゼをコードする遺伝子を欠く対照株は、GFPの検出可能な発現を示さなかった(
図16B)。
【0162】
これらの結果は、T7 RNAPがE.coli Nissle 1917でRNA産生を誘導することができることを示す。
【0163】
RNAペイロードの送達をアッセイするために、ヒトがん細胞を、T7 RNAポリメラーゼをコードする遺伝子を欠く対照株または基本株と1時間共インキュベートし、その後、細胞外細菌を洗い流した。RNAペイロードの送達を定量するために、細胞をフローサイトメトリーで分析した。予想通り、T7 RNAポリメラーゼをコードする遺伝子を欠く対照株は、バックグラウンドレベルのiRFP670発現を示した(
図16C)。しかし、基本株もバックグラウンドレベルのiRFP670発現を示し、基本株がRNAペイロードを送達することができなかったことを示した(
図16C)。
【0164】
理論に束縛されるものではないが、RNAペイロードを送達できないのは、mRNAの不安定性のためであり得ると仮定された。従って、mRNAを安定化するために、
図16Dに示されるように、安定なヘアピンをmRNAの5’末端に導入した。RNAペイロードの送達をアッセイするために、ヒトがん細胞を、GFP-EMCV IRES-iRFP670カセット及びリステリオリシンO(Hly)を欠く対照株、リステリオリシンO(Hly)を欠く対照株、GFP-EMCV IRES-iRFP670カセットの5’ヘアピンを有さない基本株、またはGFP-EMCV IRES-iRFP670カセットの5’ヘアピンを有する基本株と共に共インキュベーションした。1時間培養した後、細胞外細菌を洗い流し、がん細胞をフローサイトメトリーで分析した。予想通り、対照株は、バックグラウンドレベルのiRFP670発現を示した(
図16E)。GFP-EMCV IRES-iRFP670カセット中の5’ヘアピンを欠く基本株も、バックグラウンドレベルのiRFP670発現を示した(
図16C)。対照的に、GFP-EMCV IRES-iRFP670カセットに5’ヘアピンを有する基本株は、iRFP670を発現する細胞を示した。
【0165】
これらの結果は、本明細書に開示の菌株が、RNAをがん細胞に送達可能であることを示す。
【0166】
参照による組み込み
本明細書で参照される全ての特許及び刊行物は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0167】
本明細書で考察される刊行物は、本出願の出願日より前の開示のためにのみ提供される。本明細書のいかなる内容も、本発明が、先行発明により、そのような公開に先行する権利を有しないことを認めるものと解釈されるべきではない。
【0168】
本明細書で使用されるように、全ての見出しは、単に構成のためのものであり、いかなる方法でも、本開示を制限することを意図するものではない。あらゆる個々のセクションの内容は、すべてのセクションに等しく適用可能であり得る。
【0169】
等価物
本発明が、その特定の実施形態に関連して開示されているが、それが、さらなる修正が可能であり、本出願が、以下の発明、一般に、以下の本発明の原理、の任意の修正、使用、または改作を網羅することが意図され、本発明が属する技術分野の既知または慣例の範囲内に入るような、ならびに添付の特許請求の範囲において、上述の及び次の通りの本質的な特徴に適合され得るような、本開示からの逸脱を含むことが理解されるであろう。
【0170】
表面タンパク質の配列(インベイシン及びアナログ)
配列番号1
インベイシンのアミノ酸配列
MVFQPISEFLLIRNAGMSMYFNKIISFNIISRIVICIFLICGMFMAGASEKYDANAPQQVQPYSVSSSAFENLHPNNEMESSINPFSASDTERNAAIIDRANKEQETEAVNKMISTGARLAASGRASDVAHSMVGDAVNQEIKQWLNRFGTAQVNLNFDKNFSLKESSLDWLAPWYDSASFLFFSQLGIRNKDSRNTLNLGVGIRTLENGWLYGLNTFYDNDLTGHNHRIGLGAEAWTDYLQLAANGYFRLNGWHSSRDFSDYKERPATGGDLRANAYLPALPQLGGKLMYEQYTGERVALFGKDNLQRNPYAVTAGINYTPVPLLTVGVDQRMGKSSKHETQWNLQMNYRLGESFQSQLSPSAVAGTRLLAESRYNLVDRNNNIVLEYQKQQVVKLTLSPATISGLPGQVYQVNAQVQGASAVREIVWSDAELIAAGGTLTPLSTTQFNLVLPPYKRTAQVSRVTDDLTANFYSLSALAVDHQGNRSNSFTLSVTVQQPQLTLTAAVIGDGAPANGKTAITVEFTVADFEGKPLAGQEVVITTNNGALPNKITEKTDANGVARIALTNTTDGVTVVTAEVEGQRQSVDTHFVKGTIAADKSTLAAVPTSIIADGLMASTITLELKDTYGDPQAGANVAFDTTLGNMGVITDHNDGTYSAPLTSTTLGVATVTVKVDGAAFSVPSVTVNFTADPIPDAGRSSFTVSTPDILADGTMSSTLSFVPVDKNGHFISGMQGLSFTQNGVPVSISPITEQPDSYTATVVGNTAGDVTITPQVDTLILSTLQKKISLFPVPTLTGILVNGQNFATDKGFPKTIFKNATFQLQMDNDVANNTQYEWSSSFTPNVSVNDQGQVTITYQTYSEVAVTAKSKKFPSYSVSYRFYPNRWIYDGGTSLVSSLEASRQCQGSDMSAVLESSRATNGTRAPDGTLWGEWGSLTAYSSDWQSGEYWVKKTSTDFETMNMDTGALVQGPAYLAFPLCALAI
【0171】
配列番号3
インチミン足場のアミノ酸配列
MITHGCYTRTRHKHKLKKTLIMLSAGLGLFFYVNQNSFANGENYFKLGSDSKLLTHDSYQNRLFYTLKTGETVADLSKSQDINLSTIWSLNKHLYSSESEMMKAAPGQQIILPLKKLPFEYSALPLLGSAPLVAAGGVAGHTNKLTKMSPDVTKSNMTDDKALNYAAQQAASLGSQLQSRSLNGDYAKDTALGIAGNQASSQLQAWLQHYGTAEVNLQSGNNFDGSSLDFLLPFYDSEKMLAFGQVGARYIDSRFTANLGAGQRFFLPANMLGYNVFIDQDFSGDNTRLGIGGEYWRDYFKSSVNGYFRMSGWHESYNKKDYDERPANGFDIRFNGYLPSYPALGAKLIYEQYYGDNVALFNSDKLQSNPGAATVGVNYTPIPLVTMGIDYRHGTGNENDLLYSMQFRYQFDKSWSQQIEPQYVNELRTLSGSRYDLVQRNNNIILEYKKQDILSLNIPHDINGTEHSTQKIQLIVKSKYGLDRIVWDDSALRSQGGQIQHSGSQSAQDYQAILPAYVQGGSNIYKVTARAYDRNGNSSNNVQLTITVLSNGQVVDQVGVTDFTADKTSAKADNADTITYTATVKKNGVAQANVPVSFNIVSGTATLGANSAKTDANGKATVTLKSSTPGQVVVSAKTAEMTSALNASAVIFFDGATR
【0172】
配列番号4
インチミン-インベイシン融合タンパク質のアミノ酸配列
MITHGCYTRTRHKHKLKKTLIMLSAGLGLFFYVNQNSFANGENYFKLGSDSKLLTHDSYQNRLFYTLKTGETVADLSKSQDINLSTIWSLNKHLYSSESEMMKAAPGQQIILPLKKLPFEYSALPLLGSAPLVAAGGVAGHTNKLTKMSPDVTKSNMTDDKALNYAAQQAASLGSQLQSRSLNGDYAKDTALGIAGNQASSQLQAWLQHYGTAEVNLQSGNNFDGSSLDFLLPFYDSEKMLAFGQVGARYIDSRFTANLGAGQRFFLPANMLGYNVFIDQDFSGDNTRLGIGGEYWRDYFKSSVNGYFRMSGWHESYNKKDYDERPANGFDIRFNGYLPSYPALGAKLIYEQYYGDNVALFNSDKLQSNPGAATVGVNYTPIPLVTMGIDYRHGTGNENDLLYSMQFRYQFDKSWSQQIEPQYVNELRTLSGSRYDLVQRNNNIILEYKKQDILSLNIPHDINGTEHSTQKIQLIVKSKYGLDRIVWDDSALRSQGGQIQHSGSQSAQDYQAILPAYVQGGSNIYKVTARAYDRNGNSSNNVQLTITVLSNGQVVDQVGVTDFTADKTSAKADNADTITYTATVKKNGVAQANVPVSFNIVSGTATLGANSAKTDANGKATVTLKSSTPGQVVVSAKTAEMTSALNASAVIFFDGATRVPTLTGILVNGQNFATDKGFPKTIFKNATFQLQMDNDVANNTQYEWSSSFTPNVSVNDQGQVTITYQTYSEVAVTAKSKKFPSYSVSYRFYPNRWIYDGGTSLVSSLEASRQCQGSDMSAVLESSRATNGTRAPDGTLWGEWGSLTAYSSDWQSGEYWVKKTSTDFETMNMDTGALVQGPAYLAFPLCALAI
【0173】
溶解素の配列(例えば、リステリオリシンO及び派生物)
配列番号2
リステリオリシンOのアミノ酸配列
MKKIMLVFITLILISLPIAQQTEAKDASAFHKEDLISSMAPPTSPPASPKTPIEKKHADEIDKYIQGLDYNKNNVLVYHGDAVTNVPPRKGYKDGNEYIVVEKKKKSINQNNADIQVVNAISSLTYPGALVKANSELVENQPDVLPVKRDSLTLSIDLPGMTNQDNKIVVKNATKSNVNNAVNTLVERWNEKYAQAYPNVSAKIDYDDEMAYSESQLIAKFGTAFKAVNNSLNVNFGAISEGKMQEEVISFKQIYYNVNVNEPTRPSRFFGKAVTKEQLQALGVNAENPPAYISSVAYGRQVYLKLSTNSHSTKVKAAFDAAVSGKSVSGDVELTNIIKNSSFKAVIYGGSAKDEVQIIDGNLGDLRDILKKGATFNRETPGVPIAYTTNFLKDNELAVIKNNSEYIETTSKAYTDGKINIDHSGGYVAQFNISWDEINYDPEGNEIVQHKNWSENNKSKLAHFTSSIYLPGNARNINVYAKECTGLAWEWWRTVIDDRNLPLVKNRNISIWGTTLYPKYSNSVDNPIE
【0174】
配列番号6
ペリプラズム分泌シグナルを欠くリステリオリシンOのアミノ酸配列
MDASAFHKEDLISSMAPPTSPPASPKTPIEKKHADEIDKYIQGLDYNKNNVLVYHGDAVTNVPPRKGYKDGNEYIVVEKKKKSINQNNADIQVVNAISSLTYPGALVKANSELVENQPDVLPVKRDSLTLSIDLPGMTNQDNKIVVKNATKSNVNNAVNTLVERWNEKYAQAYPNVSAKIDYDDEMAYSESQLIAKFGTAFKAVNNSLNVNFGAISEGKMQEEVISFKQIYYNVNVNEPTRPSRFFGKAVTKEQLQALGVNAENPPAYISSVAYGRQVYLKLSTNSHSTKVKAAFDAAVSGKSVSGDVELTNIIKNSSFKAVIYGGSAKDEVQIIDGNLGDLRDILKKGATFNRETPGVPIAYTTNFLKDNELAVIKNNSEYIETTSKAYTDGKINIDHSGGYVAQFNISWDEINYDPEGNEIVQHKNWSENNKSKLAHFTSSIYLPGNARNINVYAKECTGLAWEWWRTVIDDRNLPLVKNRNISIWGTTLYPKYSNSVDNPIE
【0175】
検出マーカーの配列
配列番号5
iRFP670タンパク質
MARKVDLTSCDREPIHIPGSIQPCGCLLACDAQAVRITRITENAGAFFGRETPRVGELLADYFGETEAHALRNALAQSSDPKRPALIFGWRDGLTGRTFDISLHRHDGTSIIEFEPAAAEQADNPLRLTRQIIARTKELKSLEEMAARVPRYLQAMLGYHRVMLYRFADDGSGMVIGEAKRSDLESFLGQHFPASLVPQQARLLYLKNAIRVVSDSRGISSRIVPEHDASGAALDLSFAHLRSISPCHLEFLRNMGVSASMSLSIIIDGTLWGLIICHHYEPRAVPMAQRVAAEMFADFLSLHFTAAHHQR
【配列表】
【国際調査報告】