(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-12
(54)【発明の名称】マイクロニードルアプリケータ
(51)【国際特許分類】
A61M 37/00 20060101AFI20230705BHJP
【FI】
A61M37/00 512
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022574510
(86)(22)【出願日】2021-06-01
(85)【翻訳文提出日】2023-01-26
(86)【国際出願番号】 FR2021050990
(87)【国際公開番号】W WO2021245348
(87)【国際公開日】2021-12-09
(32)【優先日】2020-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502343252
【氏名又は名称】アプター フランス エスアーエス
【氏名又は名称原語表記】APTAR FRANCE SAS
【住所又は居所原語表記】Lieu-dit Le Prieure,27110 Le Neubourg,France
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダビオット, ステファン
(72)【発明者】
【氏名】モロー, フランシス
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA71
4C267BB02
4C267BB03
4C267BB04
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB19
4C267BB39
4C267BB40
4C267BB42
4C267CC01
4C267CC05
4C267GG02
4C267GG03
4C267HH08
(57)【要約】
流体製品を皮膚に塗布して、皮膚に浸透させるためのマイクロニードルアプリケータであって、流体製品出口(O)と複数のマイクロニードル(N)が設けられた塗布面(P0)と、前記マイクロニードル(N)を振動させるためのモータ(M1)と、前記流体製品出口(O)に接続された流体製品容器(R1)と、前記流体製品容器(R1)から前記流体製品出口(O)に流体製品を送るための手動作動部材(R10)と、を備え、相互に取り外し可能に軸方向に接続された第1のモジュール(M)と第2のモジュール(C1)とを含み、前記第1のモジュール(M)は、前記モーター(M1)を収容し、前記第2のモジュール(C1)は、前記流体製品容器(R1)を収容し、前記塗布面(P0)および前記手動作動部材(R10)を形成しており、前記第1と第2のモジュールが互いに接続されているとき、前記手動作動部材(R10)は、手動でアクセス可能かつ操作可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体製品を皮膚に塗布して、皮膚に浸透させるためのマイクロニードルアプリケータであって、
少なくとも一つの流体製品出口(O)と複数のマイクロニードル(N)が設けられた塗布面(P0)と、
前記マイクロニードル(N)を振動させるためのモータ(M1)と、
前記流体製品出口(O)に接続された流体製品容器(R1;R2;R3;R4;R5;R6;R7)と、
ユーザーの指によって操作される部材であり、前記流体製品容器(R1;R2;R3;R4;R5;R6;R7)から前記流体製品出口(O)に流体製品を送るために当該容器の容積に直接作用する手動作動部材(R10;R20;R30;R40;R50;R60;R70)と、を備え、
さらに、当該マイクロニードルアプリケータの縦軸Xの軸方向に相互に取り外し可能に接続された第1のモジュール(M)と第2のモジュール(C1;C2;C3;C4;C5;C6;C7)とを含み、
前記第1のモジュール(M)は、前記モーター(M1)および当該モーター(M1)を作動させるための部品を収容し、
前記第2のモジュール(C1;C2;C3;C4;C5;C6;C7)は、前記流体製品容器(R1;R2;R3;R4;R5;R6;R7)を収容し、前記塗布面(P0)および前記手動作動部材(R10;R20;R30;R40;R50;R60;R70)を形成しており、
前記第1と第2のモジュールが互いに接続されているとき、前記手動作動部材(R10;R20;R30;R40;R50;R60;R70)は、手動でアクセス可能かつ操作可能である
ことを特徴とするマイクロニードルアプリケータ。
【請求項2】
前記流体製品容器(R1;R2;R3;R4;R5;R6;R7)は、可変容積のものであり、
前記手動作動部材(R10;R20;R30;R40;R50;R60;R70)の動きが、前記流体製品容器(R1;R2;R3;R4;R5;R6;R7)の容積の減少をもたらし、当該容器の内容物の一部が前記流体製品出口(O)に送られる
ことを特徴とする請求項1に記載のマイクロニードルアプリケータ。
【請求項3】
前記手動作動部材(R10;R20;R30;R40;R50;R60;R70)は、手動の側方プッシャーである
ことを特徴とする請求項1または2に記載のマイクロニードルアプリケータ。
【請求項4】
前記手動の側方プッシャーは、
前記縦軸Xに対して横方向に動く一つまたは複数のプッシャー(R10;R20;R40)、前記縦軸Xに平行に動くスライダー(R30;R60)、または、前記縦軸Xを中心に回転する回転リング(R50)である
ことを特徴とする請求項3に記載のマイクロニードルアプリケータ。
【請求項5】
前記第2のモジュール(C1;C2;C3;C4;C5;C6;C7)は、
前記モーター(M1)によって生成された振動を伝達するために前記第1のモジュール(M)と連結する結合手段(C12;C42)が設けられた接続端部と、前記結合手段(C12;C42)によって受け取られた振動を前記マイクロニードル(N)に伝達するための伝達手段(C11;C31;R2;R4;R5;R6)を備える
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のマイクロニードルアプリケータ。
【請求項6】
前記伝達手段は、流体製品容器(R2;R4;R5;R6)によって形成される
ことを特徴とする請求項5に記載のマイクロニードルアプリケータ。
【請求項7】
前記流体製品容器(R4;R5)は、前記結合手段(C42;C12)との係合が解除された静止位置と係合された動作位置との間を行き来して前記結合手段(C42;C12)との係合が解除されることができ、前記作動部材(R40;R50)は、前記流体製品容器(R4;R5)を前記係合された動作位置に移動させる
ことを特徴とする請求項6に記載のマイクロニードルアプリケータ。
【請求項8】
前記伝達手段は、伝達ロッド(C11)を含み、
前記流体製品容器(R1)は、前記伝達ロッド(C11)の横に在する
ことを特徴とする請求項5~7のいずれか1項に記載のマイクロニードルアプリケータ。
【請求項9】
前記伝達手段は、伝達プレート(C31)を含み、
前記流体製品容器(R3)は、前記伝達プレート(C31)上に存する可撓性パウチを含み、
作動部材(R30)は、前記伝達プレート(C31)上に存する前記可撓性パウチを圧搾する
ことを特徴とする請求項5~7のいずれか1項に記載のマイクロニードルアプリケータ。
【請求項10】
前記容器(R1)、前記作動部材(R10)および前記流体製品出口(R11)は、単一部品として、有利にはエラストマーにより作られている
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載のマイクロニードルアプリケータ。
【請求項11】
一般的なペン型の構成を有し、親指と中指の間で保持しつつ、人差し指で前記手動作動部材(R10;R20;R30;R40;R50;R60;R70)が操作可能であり、
前記第1のモジュール(M)が、有利には前記第2のモジュール(C1;C2;C3;C4;C5;C6;C7)も、実質的に三角形の断面形状を有する
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載のマイクロニードルアプリケータ。
【請求項12】
前記第2のモジュール(C1;C2;C3;C4;C5;C6;C7)は、軸方向の動きと回転の動きを組み合わせた接続によって、前記第1のモジュール(M)に取り外し可能に接続される
ことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載のマイクロニードルアプリケータ。
【請求項13】
前記塗布面(P0)は、前記マイクロニードル(N)が配置されているプレート(P)を含み、
前記流体製品出口(O)が、前記プレート(P)を貫通している
ことを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載のマイクロニードルアプリケータ。
【請求項14】
前記マイクロニードル(N)の貫入深さを調節するための手段をさらに備え、前記手段は、前記第1のモジュール(M)内の前記モーター(M1)の軸方向位置に有利に作用する
ことを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載のマイクロニードルアプリケータ。
【請求項15】
前記第1のモジュール(M)と前記第2のモジュール(C1;C2;C3;C4;C5;C6;C7)とが接続されていない場合、前記モーター(M1)を自動的に作動しない状態にする、前記モーター(M1)の制御手段(M3)をさらに備える
ことを特徴とする請求項1~14のいずれか1項に記載のマイクロニードルアプリケータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体製品を皮膚に塗布し、塗布した流体製品を表皮の上層に浸透させるためのマイクロニードルアプリケータに関する。本発明の適用分野は化粧品の分野であり、入れ墨の分野ではない。その目的は、皮膚の美容処置の有効性を強化することであり、皮膚を着色することではない。
【背景技術】
【0002】
従来、このタイプの化粧品アプリケータは、少なくとも1つの流体製品出口と複数のマイクロニードルとが設けられた塗布面を備えている。マイクロニードルを個別にまたは塗布面と一緒に振動させるのに、モーター、多くの場合は電動のモーターが使用されている。流体製品出口には、流体製品容器が接続される。流体製品容器は、アプリケータと一体であっても一体でなくても良い。一体化されると、その充填または交換の問題が生じる。アプリケータは、容器を取り外し可能にしたり、容器にアクセスするための窓を備えたりすることができる。
【0003】
一方、流体製品容器から流体製品出口まで流体製品を搬送するための作動部材も設けられている。この作動部材は、多くの場合、モーターをも制御する構成要素になり、従って、モーターは、マイクロニードルを振動させることと、流体製品を容器から塗布面に送るという二つの機能を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、簡単で直観的な使用で流体製品の吐出を行え、設計および使用の両方でちょうど良い、非常にシンプルなアプリケータを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明に係るアプリケータは、互いに軸方向に取り外し可能に接続された2つの別個のモジュールを備える。
【0007】
すなわち、モーターとこれを機能させるための部品を収容する第1のモジュールと、流体製品容器を収容し、塗布面および作動部材を形成する第2のモジュールであり、2つのモジュールが互いに接続されているとき、手動作動部材がアクセス可能であり、手動で操作可能になっている。
【0008】
したがって、流体製品の吐出は、作動部材を指で操作するユーザーによって手動で管理される。第2のモジュールは、電気または電子部品を含まないため、技術的に非常にシンプルであることが理解される。第2のモジュールは、安価で交換可能なカートリッジであり、ユーザーは、その第2のモジュールを簡単に第1のモジュールから分離および第1のモジュールに接続することができる。第1のモジュールは、モーター、その電源および制御を統合しており、複雑で高価なモジュールを構成している。アプリケータを2つの別個のモジュール、すなわち一方が非常にシンプルで安価なものと他方が複雑で高価なものに分離することは、ユーザーが化粧品ディスペンサーを手動操作することで可能になる。
【0009】
有利には、流体製品容器が可変容積を有し、作動部材の動きが流体製品容器の容積の減少をもたらし、当該容器の内容物の一部が流体製品出口に送られる。したがって、作動部材は、ポンプまたはモーターのような中間部材を介さずにその容器に直接作用する。
【0010】
作動部材は側方プッシャーであっても良く、以下から選択されても良い。すなわち、縦軸Xに対して横方向に動く一つまたは複数のプッシャー、縦軸Xに平行に動くスライドプッシャー、または、縦軸Xを中心に回転するロータリープッシャーである。
【0011】
有利には、第2のモジュールは、モーターによって生成された振動を伝達するために第1のモジュールと連結する結合手段が設けられた接続端部と、前記結合手段によって受け取られた振動をマイクロニードルに伝達するための伝達手段を備える。
【0012】
特定の実施形態では、伝達手段が流体製品容器によって形成されても良い。場合によっては、流体製品容器が、結合手段との係合が解除された静止位置と係合された動作位置との間を行き来して結合手段との係合が解除されることができ、作動部材が流体製品容器をその係合された動作位置に移動させるとしても良い。このようにして流体製品容器が別の機能、すなわちモーターによって生成された力を伝達する機能を果たす。
【0013】
別の実施形態によれば、伝達手段が伝達ロッドを備えることができ、その容器が伝達ロッドの横に在するとしても良い。変形例として、伝達手段が伝達プレートを備え、流体製品容器が伝達プレート上に存する可撓性パウチを含み、作動部材が伝達プレート上で可撓性パウチを圧搾するとしても良い。したがって、伝達手段は、化粧品の吐出に関与することができる。
【0014】
別の特徴によれば、流体製品容器、作動部材および流体製品出口が単一部品として、例えばエラストマー材料を用いて作製することができる。
【0015】
アプリケータは、一般的なペン型の構成を有し、親指と中指の間で保持しつつ、人差し指で作動部材が操作可能であり、第1のモジュールが、有利には第2のモジュールも、実質的に三角形の断面形状を有するとしても良い。
【0016】
実用的な実施形態によれば、第2のモジュールは、軸方向の動きと回転の動きを組み合わせた接続によって、第1のモジュールに取り外し可能に接続されるとしても良い。
【0017】
別の態様によれば、塗布面は、マイクロニードルが配置されているプレートを含み、流体製品出口がプレートを貫通している構成とすることもできる。流体製品出口が塗布面の周囲に形成されるとしても良い。
【0018】
有利には、アプリケータは、第1のモジュール内のモーターの軸方向位置に有利に作用して、マイクロニードルの貫入深さを調節するための手段をさらに備えることができる。実際に、化粧品、所望の処置または皮膚の品質および性質に応じてマイクロニードルを多かれ少なかれ浸透させることが有用である場合がある。
【0019】
また、アプリケータは、2つのモジュールが接続されていないときに、モーターを自動的に作動しない状態にする、モーターを制御するための手段を備えることができる。これは、安全に使用するためのものである。
【0020】
本発明の範囲は、能動的(電気的)な構成要素を組み込んでいないカートリッジのような安価で交換可能なモジュールを構成することにある。このモジュールの単純さは、好ましくはその流体製品容器の容積に直接作用する手動作動部材の使用から生じる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
以下、非限定的な例として、本発明に係る複数の実施形態を示す添付の図面を参照して、本発明を十分に説明する。
【
図1】(a)は、本発明に係るアプリケータの縦断面分解図である。(b)は、(a)における細部の拡大図である。
【
図3】
図1と
図2に示すアプリケータにおける第2のモジュールの一部斜視図である。
【
図4】
図1と
図2に示すアプリケータにおける第1のモジュールの一部斜視図である。
【
図5】他の実施形態における第2のモジュールの概略断面図である。
【
図6】(a)は、さらに他の実施形態における第2のモジュールの概略断面図であり、(b)は、さらに他の実施形態における第2のモジュールの概略断面図である。
【
図7】さらに他の実施形態における第2のモジュールの概略断面図である。
【
図8】さらに他の実施形態における第2のモジュールの概略断面図である。
【
図9】さらに他の実施形態における第2のモジュールの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係るアプリケータは、純粋に化粧用であり、皮膚科用でさえもある。しかし、入れ墨は除かれる。アプリケータは、2つの処置手段、すなわちクリーム、バーム、ローション、血清などであり得る化粧品の吐出と、真皮に触れることなく、マイクロニードルによって行う表皮の穿刺とを組み合わせたものである。化粧品の性質および求められる結果に応じて、化粧品はマイクロニードルの穿刺の前、同時、または後に塗布される。
【0023】
本発明に係るアプリケータは、アプリケータのユーザーが単独で使用するという点で、どちらかというと家庭用である。しかし、それは専門的に使用することもできる。
【0024】
まず
図1(a)、
図1(b)、
図2、
図3および
図4を参照して、本発明に係る第1の実施形態を詳細に説明する。本発明に係るアプリケータは、2つの別個のモジュール、すなわち第1のモジュールMおよび第2のモジュールC1を含む。2つのモジュールは、ユーザー自身で簡単かつ迅速に、例えばユーザーが両手を使用して、2つのモジュール間にトルクおよび/または押したり引いたりする力を加えることによって、接続したり切り離したりすることができる。
【0025】
2つのモジュールが組み立てられると、アプリケータは縦軸Xを持つ一般的なペン型の構成になる。さらに、アプリケータは、ペンと同じように保持することができ、すなわち親指と中指の間で把持され、人差し指がアプリケータ上に載置される。
【0026】
第1のモジュールMは、実質的に円筒形状またはわずかに円錐台形状である外側シェルM7を備える。その断面は実質的に三角形の形状であり得る。外側シェルM7の上端は開放されており、その下端は、嵌合された底壁M70によって閉じられている。外側シェルM7は、以下に示す2つの制御用のボタンM12とM21を受け入れるための2つの側面窓M71とM72を備えることができる。
【0027】
第1のモジュールMは、モーターM1、好ましくは電気モーターを含む。モーターM1は、そのシャフトM10を回転させる小型の回転モーターとすることができる。電磁モーター、リニアモーターまたは圧電モーターを設ける構成とすることもできる。
【0028】
モーターM1は、バッテリーM2によって電力供給され、電子機器M3によって制御される。電子機器M3は、シャフトM10の回転速度、モーターの起動シーケンスと動作時間などを管理する。底壁M70の近くに位置する側面窓M72を通じてアクセス可能な外側起動ボタンM21により、ユーザーはアプリケータをオンに切り替えることができる。
【0029】
シャフトM10の自由端には、傾斜したカム面M40を形成する揺動キャップM4が被せられている。シャフトM10の回転により、その傾斜したカム面がその軸を中心に回転して、回転揺動運動が現れる。
【0030】
有利には、モーターM1、バッテリーM2、電子機器M3および揺動キャップM4は、縦軸Xに沿って、可動キャリッジM11に取り付けられている。可動キャリッジM11は、側面窓M71を通じて外側からアクセス可能な選択スライダーM12を含み、以下に説明するように、ユーザーがマイクロニードルの貫入深さを設定または調整することを可能にする。ただし、可動キャリッジはオプションになる。
【0031】
また、第1のモジュールMは、軸方向に往復移動するピストンM5も備える。ピストンM5には、揺動キャップM4の傾斜カム面M40と係合する傾斜下面M50が形成されている。ピストンM5は、その回転が阻止される構成になっており、そのため傾斜下面M50も回転方向に動かないが、傾斜カム面M40は、モーターM1によって回転駆動される。その結果、傾斜カム面M40と傾斜下面M50との間に生じる振動接触により、ピストンM5が軸方向に駆動される。ピストンM5は、傾斜下面M50とは軸方向反対側に位置する伝達ヘッドM51を有しており、モーターM1が作動すると軸方向に往復移動する。
【0032】
また、第1のモジュールMは、接続プロファイルM61が設けられた接続ブッシングM60を形成する接続エンドピースM6を備える。接続エンドピースM6は、例えばスナップ留めなどによって、外側シェルM7にしっかりと取り付けられている。ピストンM5の伝達ヘッドM51は、接続ブッシングM60内に、接続エンドピースM6の下端を通過して延在している。
【0033】
ピストンM5は、接続エンドピースM6内で軸方向に案内されつつ回転が阻止される構成としても良い。このピストンM5は、接続エンドピースM6内で軸方向に往復スライド移動するものといえる。但し、ピストンM5の軸方向の動きは、下向きについては揺動キャップM4によって制限され、上向きについては接続エンドピースM6によって制限されている。
【0034】
つまり、ピストンM5は、揺動キャップM4とエンドピースM6との間に純粋な軸方向の自由度を持って挟み込まれており、揺動キャップM4によって押し付けられている。固定されたままの接続エンドピースM6に対するピストンM5の軸方向のストロークは、揺動キャップM4を軸方向に動かす選択スライダーM12の作用によって増減され得る。
【0035】
この第1のモジュールMは、長期間使い続けることを意図した高価な部材および構成要素を含むことが理解される。
【0036】
第1の実施形態に係る第2のモジュールC1は、実質的に円筒形状またはわずかに円錐台形状である外側ケースC17を備える。その断面は、第1のモジュールMの外側シェルM7の断面と相補的な、実質的に三角形の形状であっても良い。外側ケースC17は、その上端に中央窓C18が形成され、その下端が開放されている。中央窓C18は、軸方向ガイドシリンダ181を形成することができる。外側ケースC17は、以下に説明するように容器Rの作動部材R10を受け入れるための側面窓C19を有する。
【0037】
第2のモジュールC1は、複数のマイクロニードルNが配置されている外側塗布面P0を形成するプレートPを備える。マイクロニードルNの数は、5~100までの範囲内でさまざまな値に変更し得る。それらの幅は、0.05mm~0.5mmまでの範囲内でさまざまな値に変更し得る。それらの長さは、0.1mm~0.7mmまでの範囲内でさまざまな値に変更し得る。これらの値は、情報提供のみを目的としている。
【0038】
流体製品出口Oは、プレートPを貫通しており、プレートPの中央に位置していても良いし、中央からオフセットした場所に位置していても良い。あるいは、複数の流体製品出口を、例えば円周に沿って並ぶように配置しても良い。流体製品出口は、プレートPの周囲に配置されても良い。必要に応じて、流体製品出口から中空のマイクロニードルを通じて流体が吐出されるとしても良い。実際には、塗布面P0の設計は、塗布面P0がマイクロニードルNを有し、流体製品の吐出を可能にする限り、本発明にとって重要ではない。
【0039】
プレートPは、支持リングB上または支持リングB内に取り付けられており、支持リングBは、中央において軸方向に延在している伝達ロッドC11に取り付けられている。伝達ロッドC11は、第1のモジュールMの伝達ヘッドM51と圧接するように意図された接触スタブC12を備える。
【0040】
また、第2のモジュールC1は、例えばスナップ留めなどによって、外側ケースC17の下開口部にしっかりと取り付けられた接続スリーブDを備える。接続スリーブDは、接続ブッシングM60の接続プロファイルM61を受け入れるように適合された接続ハウジングD10を備える。また、接続スリーブDは、伝達ロッドC11が通過する中央通路D12を形成する環状フランジD11を備える。接触スタブC12は、スリーブD内に配置され、接触スタブC12と環状フランジD11との間に戻しバネSが支持されている。この戻しバネSの力によりプレートPが中央窓C18の内側に向かう方向に付勢される。
【0041】
また、第2のモジュールC1は、供給ダクトR11によって流体製品出口Oに接続されている化粧用流体製品容器R1を備える。その容器R1は、外側ケースC17の側面窓C19を通じて外側からアクセス可能な作動壁R10を含む。作動壁R10は、弾性変形または永久変形が可能である。
【0042】
ユーザーの指、通常では人差し指によって作動壁R10に加えられる圧力は、容器R1の有効容積を減らし、容器R1の内容物を加圧する効果を生じさせる。その結果、容器R1の内容物の一部が流体製品出口Oのところで開いている供給ダクトR11を通じて送られる。これにより、ある用量の流体が塗布面P0上に吐出される。
【0043】
容器R1は、エラストマーなどの適切なプラスチック材料から単一部品として作られても良い。容器R1の作動壁R10は、その壁の厚みを薄くして、より大きな弾性を持たせることができる。容器R1は、
図1(a)において伝達ロッドC11の右横に配置されている。あるいは、容器R1は、伝達ロッドC11を部分的にまたは完全に取り囲むとすることもできる。ユーザーが親指と人差し指または中指との間で押し込むことができるように、2つの対向する作動壁を設けることもできる。
【0044】
第2のモジュールC1は、そのシンプルな設計と受動性(電気的または電子的な構成要素を有しない)のおかげで、交換可能なカートリッジまたは交換可能な再充填品と見なすことができる低コストの本体を構成する。アプリケータは、例えば、第1のモジュールMおよび複数の第2のモジュールC1を含むキットとして販売され得る。そのようなキットのために保護が求められても良い。
【0045】
機能の観点から、第2のモジュールC1は、塗布面P0に流体製品を吐出することを可能にする、容器R1における可撓性壁の形態の作動部材R10を備えると言うことができる。この作動部材は、何の仲介もなしに容器R1に直接作用する。2つのモジュールが相互に接続されている場合にアクセスが可能である。ユーザーは、1本または複数本の指で作動部材を手動操作できる。
【0046】
第2のモジュールC1を第1のモジュールMに接続するには、接続スリーブDに接続ブッシングM60を軸方向に係合させるだけで十分である。そうすることで、ピストンM5の伝達ヘッドM51が伝達ロッドC11の接触スタブC12と接触するようになる。その結果、戻しバネSが圧縮される。
【0047】
接続プロファイルM61が環状フランジD11に当接している状態で、ユーザーは、2つのモジュールのうちの一方に回転の動きを加えることで、接続プロファイルM61をスリーブDの接続ハウジングD10にロックすることができる。わずかな触覚および/または可聴の「クリック」の発生が、2つのモジュールの接続が完了したことを示すとしても良い。
【0048】
次にユーザーは、選択スライダーM12の作用によりマイクロニードルの貫入深さを選択することができる。そして、作動壁R10を押して、ある用量の化粧用流体製品を塗布面P0に吐出することができる。
【0049】
起動ボタンM21が押されると、モーターM1が起動し、揺動キャップM4が回転し、ピストンM5が軸方向に往復移動して接触スタブC12を戻しバネSに押し付ける。伝達ロッドC11は、その往復移動による振動を、マイクロニードルNを備えるプレートPに伝達し、そのマイクロニードルNは、化粧用流体製品がすでに塗布されているユーザーの皮膚の表層を突き刺す。これにより、流体製品が皮膚の表層に浸透し、その作用が強化される。
【0050】
有利には、第2のモジュールC1が第1のモジュールMに接続されていない場合に、モーターM1をシャットオフする機能を有する電子機器M3を設けることができる。
【0051】
ここで、
図5から
図10を参照して、アプリケータにおける第2のモジュール、特に流体製品容器、その作動部材、および接触スタブとプレートとの間の振動の伝達に関して、複数の実施形態を説明する。
【0052】
これらの実施形態は、容器を様々な方法で操作でき、伝達機能が実行できることを示すことを目的としている。また、その振動が容器から流体製品を吐出するために利用されるとすることもできる。
図5から
図10に記載の第2のモジュールのそれぞれは、第1の実施形態における第1のモジュールMに接続されるように構成されている。
【0053】
図5は、第1の実施形態に係るプレートPおよびスリーブDと類似または同一の構成のプレートPおよびスリーブDを有する第2のモジュールC2を示す。ここでは容器R2が硬質のものであり、第1の実施の形態とは異なるが、仕切りR22によって区画された2つの収容室R23を含んでおり、仕切りR22が2つの収容室間の連通を可能にする構成になっている。
【0054】
このモジュールC2は、2つのピストンR21のそれぞれに接続された2つのプッシャーR20を備える。プッシャーR20が押されると、ある用量の流体製品がプレートPを通じて外に送られる。その投与量は容器の容量の約半分に相当する。もちろん、プッシャーR20が一つだけまたは3つ以上、設けられる構成とすることもできる。また、容器R2が接触スタブC12に伝わった振動をプレートPに伝達する構成であり、この容器R2が第1の実施形態に係る伝達ロッドC11の機能を果たすものになることに留意されたい。あるいは、区画化された容器が、ピストンR21によって圧搾される可撓性パウチによって形成されるとしても良い。
【0055】
図6(a)と
図6(b)は、別の第2のモジュールC3を示す。そのモジュールにおける容器R3は、スライダーR30によって圧搾することができる可撓性パウチを備えている。可撓性パウチは、第1の実施形態に係る伝達ロッドC11と同じ機能を果たす伝達プレートC31上に存する。スライダーR30の動きは、完全に直線的な動きであっても良いし、逆に、流体製品の投与量を規定するためのノッチによるぎくしゃくした動きであっても良い。
【0056】
図7は、別の第2のモジュールC4を示す。そのモジュールにおける容器R4は、プレートPに接続されている状態でわずかに揺動できるように取り付けられたスライドシリンダR41を備える。シリンダR41は、接触スタブC42の傾斜面C43と選択的に係合することができる傾斜底部R42を備える。プッシャーR40によってシリンダR41を押し込んで揺動させて、底部R42を傾斜面C43と接触させることで、継続的な伝達を確立することが可能になる。
【0057】
シリンダR41は、プッシャーピストンR43を含む。プッシャーピストンR43は、第1のモジュールMが発生する振動によってシリンダR41内をプレートPに向かって移動する。このように、容器R4は、プッシャーを押すことによって係脱可能な接触スタブC42からの振動を伝達する機能を果たしている。
【0058】
図8は、別の第2のモジュールC5を示す。そのモジュールにおける容器R5は、振動伝達機能も果たすスライドシリンダR51を備える。スライドシリンダR51は、回転作動リングR50と係合するネジ付きロッドR53によって当該シリンダ内で移動可能なプッシャーピストンR52を含む。リングR50の動きは、直線状でもノッチ状でも良い。
【0059】
あるいは、回転作動リングは、ラックを介して容器のプッシャーピストンに作用するとしても良い。また、回転リングR50を使用して、伝達ロッドC11の横または周りに延在し得る可撓性パウチをねじることを想像することも可能である。
【0060】
図9は、別の第2のモジュールC6を示す。そのモジュールにおける容器R6は、振動伝達機能も果たすスライドシリンダR61を備える。スライドシリンダR61は、プッシャーピストンR62を含む。プッシャーピストンR62は、レールR63を介してプッシャーピストンR62に接続されているスライダーR60の動作によって当該シリンダ内で移動可能である。
【0061】
第1の実施形態と同様に
図5から
図10までの各例を介して、容器R1、R2、R3、R4、R5、R6は、その基本的な機能に加えて、異なる機能を実行できることが理解される。容器は、振動をマイクロニードルに伝達することができ、クラッチとして、トランスミッションバリエーターとして、またはマイクロニードルの貫通バリエーターとして使用することができる。
【0062】
すべての実施形態において、第2のモジュールC1、C2、C3、C4、C5、C6は、その第2のモジュールが第1のモジュールに接続されている場合でも、アクセス可能で手動操作可能な作動部材R10、R20、R30、R40、R50、R60を備える。作動部材は、異なる形態(プッシャー、スライダー、回転リング)であっても良く、縦軸Xに対して垂直に、軸方向に、または回転して動くことに留意されたい。投与量を規定するための複数の作動部材(R20)が設けられるとしても良い。作動部材の動きにもノッチを付けることができる。作動部材は、容器の一体部分であっても良く、または容器に関連する部材であっても良い。
【0063】
流体製品出口Oは、中心に、オフセットした位置に、単一円状に、または同心円状に配置されても良いことにも留意されたい。
図9では、流体製品出口Oが、マイクロニードルNを支持するプレートPの周囲の全体に亘って延在していることが分かる。このプレートは、スライドシリンダR61に取り付けられている。
【0064】
したがって、本発明は、2つの分離可能なモジュール、すなわち「モーター」モジュールと、カートリッジまたは再充填品とみなすことができる「容器/マイクロニードル」モジュールとの形態で設計された、振動するマイクロニードルを備えた化粧品アプリケータを提供する。その設計は、シンプルであり、そのアプリケータを安価にし、使い捨てを可能にさせる。また、アプリケータのペン型デザインは、アプリケータの直観的な使用を可能にする。
【国際調査報告】