(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-12
(54)【発明の名称】グランザイムB指向性撮像及び療法
(51)【国際特許分類】
C07K 5/04 20060101AFI20230705BHJP
C07K 7/06 20060101ALI20230705BHJP
A61K 38/08 20190101ALI20230705BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230705BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230705BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230705BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20230705BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230705BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230705BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20230705BHJP
A61K 31/56 20060101ALI20230705BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230705BHJP
A61K 51/04 20060101ALI20230705BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20230705BHJP
G01N 33/536 20060101ALI20230705BHJP
A61K 47/54 20170101ALI20230705BHJP
A61K 47/52 20170101ALN20230705BHJP
【FI】
C07K5/04 ZNA
C07K7/06
A61K38/08
A61K45/00
A61P29/00
A61P35/00
A61P37/02
A61P43/00 121
A61P17/00
A61P9/00
A61K31/56
A61K39/395
A61K51/04 200
G01N33/53 Y
G01N33/536 B
A61K47/54
A61K47/52
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022575212
(86)(22)【出願日】2021-06-09
(85)【翻訳文提出日】2023-02-01
(86)【国際出願番号】 US2021036661
(87)【国際公開番号】W WO2021252664
(87)【国際公開日】2021-12-16
(32)【優先日】2020-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520302501
【氏名又は名称】サイトサイト バイオファーマ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】クレイ,ジュリア マリー
(72)【発明者】
【氏名】シオン,ホイ
(72)【発明者】
【氏名】ルーリー,ケビン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】バレンズエラ,フランシスコ エー.
(72)【発明者】
【氏名】ホイ,アダム ティー.
(72)【発明者】
【氏名】カスタナレス,マーク エー.
(72)【発明者】
【氏名】クロナウジュ,ジェームズ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC41
4C076EE59
4C076FF70
4C084AA02
4C084AA07
4C084AA19
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA17
4C084BA23
4C084BA32
4C084CA59
4C084ZA361
4C084ZA362
4C084ZA891
4C084ZA892
4C084ZB071
4C084ZB072
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC751
4C084ZC752
4C085AA13
4C085AA14
4C085EE03
4C085HH03
4C085KA07
4C085KA29
4C085KB15
4C085KB20
4C085KB82
4C085LL07
4C085LL18
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA08
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZA36
4C086ZA89
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZB26
4C086ZC75
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA13
4H045BA51
4H045BA70
4H045BA72
4H045EA28
4H045EA40
4H045EA51
4H045FA20
(57)【要約】
グランザイムBに結合することができる、式(I)及び式(II)の化合物。また、例えば、グランザイムBの撮像及び/又は免疫調節異常の治療に使用するための、かかる化合物を含む薬学的組成物も、本明細書に提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、前記化合物が、式(I)のものであり、
【化1】
式中、
Aが、キレート部位であり、
Xが、-CH
2C(NH)-、-CH
2C(O)-、-CH
2C(S)-、-NHC(NH)-、-NHC(O)-、-NHC(S)-、-OC(NH)-、-OC(O)-、及び-OC(S)-からなる群から選択され、任意選択的に、Xが、-CH
2C(O)-又は-NHC(S)-であり、
Lが、包括的に1~6個のアミノ酸残基を有するペプチドリンカーであり、
R
1が、H又はC
1-6アルキルであり、任意選択的に、R
1が、H又はメチルであり、
R
2が、C
1-6アルキル又はC
3-6シクロアルキルである、化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
前記化合物が、式(Ia)のものである、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【化2】
【請求項3】
Lが、包括的に1~3個のアミノ酸残基を有する、請求項1又は請求項2に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
Lが、3個のアミノ酸残基を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
前記化合物が、式(Ia-A)のものである、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【化3】
【請求項6】
前記化合物が、式(Ia-B)のものである、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【化4】
【請求項7】
前記キレート部分Aが、1,4,7-トリアザシクロノナン-N,N’,N’’三酢酸(NOTA)又は1,4,7-トリアザシクロノナン-4,7-ジイル二酢酸(NODA)である、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
前記化合物が、以下である、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【化5-1】
【化5-2】
【化5-3】
【化5-4】
【請求項9】
前記化合物が、以下である、請求項8に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【化6】
【請求項10】
前記化合物が、式(II)のものであり、
【化7】
式中、
Mが、金属、又は放射性同位体に連結された金属であり、
Aが、前記金属をキレートするキレート部位であり、
Xが、-CH
2C(NH)-、-CH
2C(O)-、-CH
2C(S)-、-NHC(NH)-、-NHC(O)-、-NHC(S)-、-OC(NH)-、-OC(O)-、及び-OC(S)-からなる群から選択され、任意選択的に、Xが、-CH
2C(NH)-又は-NHC(S)-であり、
Lが、包括的に1~6個のアミノ酸残基を有するペプチドリンカーであり、
R
1が、H又はC
1-6アルキルであり、任意選択的に、R
1が、H又はメチルであり、
R
2が、C
1-6アルキル又はC
3-6シクロアルキルである、化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
前記化合物が、式(IIa)のものである、請求項10に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【化8】
【請求項12】
Lが、包括的に1~3個のアミノ酸残基を有する、請求項10又は請求項11に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
Lが、3個のアミノ酸残基を有する、請求項10~12のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
前記化合物が、式(IIa-A)のものである、請求項10に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【化9】
【請求項15】
前記化合物が、式(IIa-B)のものである、請求項10に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【化10】
【請求項16】
前記キレート部分Aが、1,4,7-トリアザシクロノナン-N,N’,N’’三酢酸(NOTA)又は1,4,7-トリアザシクロノナン-4,7-ジイル二酢酸(NODA)である、請求項10~15のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
前記金属が、ガリウム(Ga)の放射性同位体である、請求項10~16のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項18】
前記Gaの放射性同位体が、
68Gaである、請求項17に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項19】
前記金属が、前記放射性同位体に連結されているアルミニウム(Al)である、請求項10~16のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項20】
前記放射性同位体が、
18Fである、請求項19に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項21】
前記化合物が、以下である、請求項10に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【化11-1】
【化11-2】
【化11-3】
【化11-4】
【請求項22】
前記化合物が、以下である、請求項21に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【化12】
【請求項23】
請求項10~22のいずれか一項に記載の化合物、その立体異性体、又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物。
【請求項24】
(i)請求項10~22のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩と、
(ii)1つ以上の追加の治療剤と、を含む、キット。
【請求項25】
前記1つ以上の追加の治療剤が、抗炎症剤、ステロイド、免疫療法剤、化学療法剤、及び治療抗体からなる群から選択される、請求項24に記載のキット。
【請求項26】
治療剤としての、請求項10~22のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩と、1つ以上の追加の治療剤と、を含む、併用療法。
【請求項27】
前記1つ以上の追加の治療剤が、抗炎症剤、ステロイド、免疫療法剤、化学療法剤、及び治療抗体からなる群から選択される、請求項26に記載の併用療法。
【請求項28】
免疫調節異常の治療を必要とする対象におけるその治療方法であって、前記方法が、前記対象に、前記免疫調節異常の治療に有効な量で、請求項26又は請求項27に記載の併用療法を投与することを含む、方法。
【請求項29】
前記免疫調節異常が、自己免疫障害、炎症性障害、皮膚障害、がん、及び心血管障害からなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記免疫調節異常が、がんである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
細胞又は組織、試料、細胞又は組織試料中のグランザイムBの撮像方法であって、
前記細胞又は組織、前記試料、前記細胞又は組織試料を、請求項10~22のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩と接触させることと、
好適な撮像技術で前記細胞又は組織、前記試料、前記細胞又は組織試料を撮像し、それによって前記細胞又は組織、前記試料、前記細胞又は組織試料中のグランザイムBを撮像することと、を含み、
前記化合物が、任意選択的に
18F又は
68Gaである放射性同位体を含有する、方法。
【請求項32】
免疫調節異常の治療を必要とする対象におけるその治療方法であって、前記方法が、前記対象に、前記免疫調節異常の治療に有効な量で、請求項10~22のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
【請求項33】
前記免疫調節異常が、自己免疫障害、炎症性障害、皮膚障害、がん、及び心血管障害からなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記免疫調節異常が、がんである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記対象に、1つ以上の追加の治療剤を投与することを更に含む、請求項32~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記1つ以上の追加の治療剤が、抗炎症剤、ステロイド、免疫療法剤、化学療法剤、及び治療抗体からなる群から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
対象における疾患の治療における免疫応答のモニタリング方法であって、前記方法が、前記対象に、有効量の請求項10~22のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することと、好適な撮像技術で前記対象を撮像することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年6月9日に出願された米国仮出願第63/036,918号の出願日の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、撮像技術に有用な化合物に関し、より具体的には、陽電子放射断層撮影を含む医療用撮像法を使用してグランザイムBを撮像するのに有用な化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
グランザイムBは、ナチュラルキラー細胞及び細胞傷害性T細胞の顆粒に最も一般的に見られるセリンプロテアーゼである。グランザイムBは、T細胞とその標的との間に形成される免疫シナプスにおいて、孔形成タンパク質パーフォリンとともに放出される。次いで、放出されたグランザイムBの一部は、主にパーフォリン孔を通じてがん細胞に侵入し、そこでグランザイムBは、カスパーゼカスケードの活性化につながる複数の基質を活性化する。腫瘍細胞傷害性T細胞の下流エフェクターとして、グランザイムBは、免疫療法に応答する腫瘍の初期バイオマーカーとして使用されている。
【0004】
有効なグランザイムB撮像剤として機能する新規化合物、及びがんなどの免疫調節異常を治療するための療法の開発が必要である。
【発明の概要】
【0005】
本出願は、グランザイムBを標的化することが可能な特定の化合物、及び撮像剤又は療法としてのそれらの使用を提供する。
【0006】
一態様では、本開示は、式(I)の化合物、及びその薬学的に許容される塩を特徴とする。
【化1】
【0007】
式(I)において、
Aは、キレート部位であり、
Xは、-CH2C(NH)-、-CH2C(O)-、-CH2C(S)-、-NHC(NH)-、-NHC(O)-、-NHC(S)-、-OC(NH)-、-OC(O)-、及び-OC(S)-であり、任意選択的に、Xは、-CH2C(O)-又は-NHC(S)-であり、
Lは、包括的に1~6個のアミノ酸残基を有するペプチドリンカーであり、
R1は、H又はC1-6アルキル(例えば、メチル)であり、
R2は、C1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルである。
【0008】
いくつかの例では、R1は、Hであり得る。他の例では、R1は、メチルであり得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、化合物、又はその薬学的に許容される塩は、式(Ia)のものである。
【化2】
【0010】
いくつかの実施形態では、Lは、包括的に1~3(1、2、又は3)個のアミノ酸残基を有する。一例では、Lは、3個のアミノ酸残基を含む。
【0011】
いくつかの例では、化合物、又はその薬学的に許容される塩は、式(Ia-A)のものである。
【化3】
【0012】
あるいは、化合物、又はその薬学的に許容される塩は、式(Ia-B)のものである。
【化4】
【0013】
本明細書で開示される式(I)化合物のいずれかにおいて、キレート部分Aは、1,4,7-トリアザシクロノナン-N,N’,N’’三酢酸(NOTA)であり得る。あるいは、キレート部分Aは、1,4,7-トリアザシクロノナン-4,7-ジイル二酢酸(NODA)であり得る。
【0014】
具体的な例では、化合物又はその薬学的に許容される塩は、以下の表1に列挙される化合物1~22のいずれかである。
【0015】
別の態様では、本開示は、式(II)の化合物、又はその薬学的に許容される塩を特徴とする。
【化5】
【0016】
式(II)において、
Mは、金属、又は放射性同位体に連結された金属であり、
Aは、金属をキレートするキレート部位であり、
Xは、-CH2C(NH)-、-CH2C(O)-、-CH2C(S)-、-NHC(NH)-、-NHC(O)-、-NHC(S)-、-OC(NH)-、-OC(O)-、及び-OC(S)-から選択され、任意選択的に、Xは、-CH2C(NH)-又は-NHC(S)-であり、
Lは、包括的に1~6個のアミノ酸残基を有するペプチドリンカーであり、
R1は、H又はC1-6アルキル(例えば、メチル)であり、
R2は、C1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルである。
【0017】
いくつかの例では、R1は、Hであり得る。他の例では、R1は、メチルであり得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、化合物、又はその薬学的に許容される塩は、式(IIa)のものである。
【化6】
【0019】
いくつかの実施形態では、Lは、包括的に1~3個のアミノ酸残基(1、2、又は3個)を有する。一例では、Lは、3個のアミノ酸残基を有する。
【0020】
いくつかの例では、化合物、又はその薬学的に許容される塩は、式(IIa-A)のものである。
【化7】
【0021】
他の例では、化合物、又はその薬学的に許容される塩は、式(IIa-B)のものである。
【化8】
【0022】
本明細書で開示される式(II)化合物のいずれかにおいて、キレート部分は、1,4,7-トリアザシクロノナン-N,N’,N’’三酢酸(NOTA)であり得る。他の例では、キレート部分は、1,4,7-トリアザシクロノナン-4,7-ジイル二酢酸(NODA)であり得る。
【0023】
代替的又は追加的に、本明細書に開示される式(II)化合物のいずれか中の金属Mは、Gaの放射性同位体であり得る。一例では、Gaの放射性同位体は、68Gaである。他の実施形態では、本明細書に開示される式(II)化合物中の金属Mは、放射性同位体に連結されているAlであり得る。一例では、放射性同位体は、18Fである。
【0024】
本明細書で提供される式(II)化合物の具体例としては、以下の表2に列挙される化合物のいずれかが挙げられる。
【0025】
別の態様では、本開示は、本明細書に開示される式(I)又は式(II)の化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とのいずれかを含む、組成物を提供する。
【0026】
更に、本開示は、(i)本明細書に開示される式(I)若しくは式(II)の化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩と、(ii)1つ以上の追加の治療剤と、を含む、キットを提供する。また、本開示の範囲内には、本明細書に開示される式(I)若しくは式(II)の化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩と、1つ以上の追加の治療剤と、を含む、併用療法がある。
【0027】
別の態様では、本開示は、免疫調節異常を治療する方法を特徴とし、本方法は、その治療を必要とする対象に、本明細書に開示される式(II)の化合物と、任意選択的に1つ以上の追加の治療剤とを投与することを含む。
【0028】
例示的な免疫調節異常としては、自己免疫障害、炎症性障害、皮膚障害、がん、及び心血管障害が挙げられるが、これらに限定されない。一例では、免疫調節異常は、がんである。
【0029】
本明細書に開示される例示的な治療剤としては、抗炎症剤、ステロイド、免疫療法剤、化学療法剤、及び治療抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
また別の態様では、本開示は、細胞又は組織、試料、細胞又は組織試料中のグランザイムBの撮像方法を特徴とする。本方法は、細胞又は組織、試料、細胞又は組織試料を、本明細書に開示される式(II)の化合物、又はその薬学的に許容される塩と接触させることと、細胞又は組織、試料、細胞又は組織試料を好適な撮像技術で撮像し、それによって細胞又は組織、試料、細胞又は組織試料中のグランザイムBを撮像することと、を含み得る。いくつかの例では、式(II)の化合物は、放射性同位体18F又は68Gaを含有する。
【0031】
また、本開示の範囲内には、(a)グランザイムBの撮像若しくは免疫調節異常の治療に使用するための、式(I)若しくは式(II)の化合物、及び任意選択的に本明細書に開示される1つ以上の治療剤を含む薬学的組成物、又は(b)グランザイムBの撮像若しくは本明細書に開示される標的疾患の治療に使用するための薬剤を製造するために、単独で若しくは1つ以上の治療剤の組み合わせた式(I)若しくは式(II)の化合物のいずれかがある。
【0032】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、以下の説明に記述されている。本発明の他の特徴又は利点は、以下の図面及びいくつかの実施形態の詳細な説明から、並びに添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本開示のある特定の態様を更に実証するために含まれ、本開示は、本明細書に提示される特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせて図面を参照することによって、よりよく理解することができる。
【0034】
【
図1】ORA Neptis放射線合成装置による放射線合成を介した化合物
18F-7-Alピーク2のセミ分取HPLC精製クロマトグラムを示す。
【
図2】化合物
18F-7-Alピーク2の分析HPLCクロマトグラムを示す。
【
図3】ORA Neptis放射線合成装置による放射線合成を介して組み合わせた化合物
18F-7-Alピーク1及びピーク2のセミ分取HPLC精製クロマトグラムを示す。
【
図4】化合物
18F-7-Alピーク1及びピーク2を組み合わせた分析的HPLCクロマトグラムを示す。
【
図5A-5B】化合物
18F-20-Alピーク1及びピーク2を組み合わせたセミ分取HPLC精製クロマトグラムを示す。
図5A:HPLC Rad。
図5B:HPLC UV。
【
図6A-6B】化合物
18F-20-Alピーク1及びピーク2を組み合わせた分析的HPLCクロマトグラムを示す。
図6A:HPLC Rad。
図6B:HPLC UV。
【発明を実施するための形態】
【0035】
がん免疫療法は、近年のがん療法における著しい進歩を表す。プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)及び細胞傷害性tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)などの免疫チェックポイントを対象とする抗体は、いくつかの患者に対して陽性転帰を有することが承認されている。免疫腫瘍学の分野の研究は継続しており、CAR-T細胞、ワクチン、小分子、及び抗体を含む戦略が開発されている。これらの療法が約束されているにもかかわらず、それらは万能薬ではない。これらの免疫療法は、著しい有害事象と関連付けられ得、これは高価であり、奏効率は典型的には20~50%であり、これは、患者の大部分が療法に応答しないことを意味する。更に、応答は、応答性腫瘍を解剖学的撮像(例えば、CT、MRI)上で成長させることができ、代謝活性免疫細胞の流入によるFDG-PET撮像で増加したアビディティを示すことができる免疫細胞浸潤と頻繁に関連付けられるため、従来の方法を使用して個々の患者の療法に対する応答を決定することは困難であり得る。現在の撮像技術の制約を考えると、がん免疫療法の臨床研究は、通常、無増悪生存とは対照的に、全生存を研究エンドポイントとして使用する。
【0036】
細胞傷害性T細胞活性の下流マーカーであるグランザイムBは、がん免疫療法の有効性を評価するための新規のバイオマーカーとして機能することができる。腫瘍内のグランザイムB発現は、CTLの有無だけでなく、CTL活性の尺度も統合した活性T細胞によって放出されるエフェクタータンパク質としても評価することができ、したがって、CTLの存在の評価を達成することを困難にするT細胞枯渇の問題を説明する。
【0037】
本出願は、グランザイムBに対する高い結合親和性を示すある特定の特定の化合物、例えば、式(I)化合物及び式(II)化合物を提供する。かかる化合物は、グランザイムB撮像剤として機能し得、免疫療法剤に応答する患者を識別するために使用され得る。かかる化合物はまた、治療目的、例えば、免疫治療剤などの1つ以上の治療剤と組み合わせて使用され得る。
【0038】
定義
本明細書で使用される用語が、特定の実施形態を記載する目的のためであり、制限することが意図されないことが理解されたい。更に、本明細書に記載されるものと同様又は同等の任意の方法、デバイス、及び材料が、本発明の実施又は試験において使用され得るが、好ましい方法、デバイス、及び材料がここに記載される。上記に加えて、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるとき、反対に指定されない限り、以下の用語は、示される意味を有する。
「アミノ」は、-NH2ラジカルを指す。
「シアノ」は、-CNラジカルを指す。
「ヒドロキシル」は、-OHラジカルを指す。
「イミノ」は、=NH置換基を指す。
「ニトロ」は、-NO2ラジカルを指す。
「オキソ」は、=O置換基を指す。
「チオキソ」は、=S置換基を指す。
「トリフルオロメチル」は、-CF3ラジカルを指す。
「アルキル」は、1~6個の炭素原子を有する、直鎖状、飽和、非環状、一価の炭化水素ラジカル又は分岐状、飽和、非環状、一価の炭化水素ラジカルを指し、単結合、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(イソ-プロピル)、n-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)、3-メチルペンチル、2-メチルペンチルなどによって分子の残りの部分に結合している。アルキル部分は、非置換であり得る。あるいは、アルキル部分は、任意選択的に置換され得る。任意選択的に置換されたアルキルラジカルは、原子価により、独立して、ハロ、シアノ、ニトロ、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、オキソ、トリメチルシラニル、-OR3、-OC(O)-R3、-N(R3)2、-C(O)R4、-C(O)OR3、-C(O)N(R3)2、-N(R3)C(O)OR5、-N(R3)C(O)R5、-N(R3)S(O)tR5(式中、tは、1又は2である)、-S(O)tOR5(式中、tは、1又は2である)、-S(O)pR5(式中、pは、0、1、又は2である)及び-S(O)tN(R3)2(式中、tは、1又は2である)からなる群から選択される1、2、3、4、又は5個の置換基によって任意選択的に置換されるアルキルラジカルであり、各R3は、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、又はヘテロアリールであり、各R4は、独立して、水素、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、又はヘテロアリールであり、各R5は、独立して、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールである。
「シクロアルキル」は、3~15個の炭素原子を有し、好ましくは3~10個の炭素原子を有する、安定した非芳香族単環式又は多環式炭化水素ラジカルを指し、飽和又は不飽和であり、単結合によって分子の残りの部分に結合している。多環式炭化水素ラジカルは、二環式、三環式、又は四環式環系である。不飽和シクロアルキルは、1個、2個、又は3個の炭素-炭素二重結合及び/又は1個の炭素-炭素三重結合を含有する。単環式シクロアルキルラジカルとしては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。多環式シクロアルキルラジカルとしては、例えば、アダマンチル、ノルボルニル、デカリニルなどが挙げられる。シクロアルキル部分は、非置換であり得る。あるいは、シクロアルキル部分は、任意選択的に置換され得る。任意選択的に置換されたシクロアルキルは、独立して、アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、シアノ、ニトロ、オキソ、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-R4-OR3、-R4-OC(O)-R3、-R4-N(R3)2、-R4-C(O)R3、R4-C(O)OR3、-R4-C(O)N(R3)2、-R4-N(R3)C(O)OR5、-R4-N(R3)C(O)R5、-R4-N(R3)S(O)tR5(式中、tは、1又は2である)、-R4-S(O)tOR5(式中、tは、1又は2である)、-R4-S(O)pR5(式中、pは、0、1、又は2である)、及び-R4-S(O)tN(R3)2(式中、tは、1又は2)からなる群から選択される1、2、3、4、又は5個の置換基によって任意選択的に置換されるシクロアルキルラジカルであり、各R3は、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、又はヘテロアリールであり、各R4は、独立して、直接結合、又は直鎖状若しくは分枝状アルキレン若しくはアルケニレン鎖であり、各R5は、独立して、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、又はヘテロアリールである。
【0039】
いくつかの実施形態では、化合物の調製は、例えば、所望の反応の触媒作用又は酸付加塩などの塩形態の形成に影響を及ぼす酸又は塩基の添加を伴うことができる。
【0040】
例示的な酸は、無機酸又は有機酸であり得、強酸及び弱酸が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの例示的な酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、p-トルエンスルホン酸、4-ニトロ安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、及び硝酸が挙げられる。いくつかの弱酸としては、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、安息香酸、酒石酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、及びデカン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
例示的な塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、及び炭酸水素ナトリウムが挙げられる。いくつかの強塩基の例としては、水酸化物、アルコキシド、金属アミド、金属ヒドリド、金属ジアルキルアミド、及びアリールアミンが挙げられるが、これらに限定されず、アルコキシドは、メチル、エチル、及びt-ブチルオキシドのリチウム、ナトリウム、及びカリウム塩を含み、金属アミドは、ナトリウムアミド、カリウムアミド、及びリチウムアミドを含み、金属ヒドリドは、水素化ナトリウム、水素化カリウム、及び水素化リチウムを含み、金属ジアルキルアミドは、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、トリメチルシリル、及びシクロヘキシル置換アミドのリチウム、ナトリウム、及びカリウム塩を含む。
【0042】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」という語句は、既存の酸又は塩基部分をその塩形態に変換することによって親化合物が修飾される、開示される化合物の誘導体を指す。薬学的に許容される塩の例としては、アミンなどの塩基性残基のミネラル塩又は有機酸塩、カルボン酸などの酸性残基のアルカリ塩又は有機塩などが挙げられるが、これらに限定されない。本出願の薬学的に許容される塩には、例えば、非毒性の無機酸又は有機酸から形成される親化合物の従来の非毒性塩が含まれる。本出願の薬学的に許容される塩は、従来の化学方法によって塩基性又は酸性部分を含有する親化合物から合成することができる。一般に、かかる塩は、これらの化合物の遊離酸又は塩基形態を、水中若しくは有機溶媒中、又は2つの混合物中の化学量論的量の適切な塩基又は酸と反応させることによって調製することができ、一般に、エーテル、酢酸エチル、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又はブタノール)、又はアセトニトリル(MeCN)などの非水媒体が好ましい。好適な塩のリストは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985,p.1418 and Journal of Pharmaceutical Science,66,2(1977)に見出される。塩形態を調製するための従来の方法は、例えば、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,Wiley-VCH,2002に記載される。
【0043】
いくつかの実施形態では、本発明に提供される化合物、又はその塩は、実質的に単離される。「実質的に単離された」とは、化合物が形成又は検出された環境から少なくとも部分的又は実質的に分離されていることを意味する。部分的な分離は、例えば、本明細書に提供される化合物中に濃縮された組成物を含むことができる。実質的な分離は、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%、若しくは少なくとも約99重量%の本明細書に提供される化合物、又はそれらの塩を含有する組成物を含むことができる。化合物及びそれらの塩を単離する方法は、当該技術分野において日常的である。
【0044】
本明細書で使用される場合、「周囲温度」及び「室温」又は「rt」という表現は、当該技術分野で理解され、一般に、例えば、反応温度、すなわち、反応が実施される室温、例えば、約20℃~約30℃の温度を指す。
【0045】
I.グランザイムB標的化化合物
本明細書に開示されるグランザイムB標的化合物、例えば、式(I)又は式(II)の化合物が本明細書に提供される。本明細書に開示される化合物は、化合物それ自体、その薬学的に許容される塩、及びその立体異性体を包含する。
【0046】
本明細書に記載の化合物は、1つ以上の不斉中心を含むことができ、したがって、様々な異性体形態、例えば、エナンチオマー及び/又はジアステレオマーで存在することができる。例えば、本明細書に記載される化合物は、個々のエナンチオマー、ジアステレオマー又は幾何異性体の形態であり得るか、又はラセミ混合物及び1つ以上の立体異性体に濃縮された混合物を含む立体異性体の混合物の形態であり得る。異性体は、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)及びキラル塩の形成及び結晶化を含む、当業者に既知の方法によって混合物から単離され得るか、又は好ましい異性体は、不斉合成によって調製され得る。例えば、Jacques et al.,Enantiomers,Racemates and Resolutions(Wiley Interscience,New York,1981)、Wilen et al.,Tetrahedron 33:2725(1977)、Eliel,Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw-Hill,NY,1962)、及びWilen,Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p.268(E.L.Eliel,Ed.,Univ.of Notre Dame Press,Notre Dame,IN 1972)を参照されたい。本開示は、実質的に他の異性体を含まない個々の異性体として、あるいは、様々な異性体の混合物として、本明細書に記載される化合物を更に包含する。
【0047】
A.式(I)の化合物
いくつかの実施形態では、本開示は、高い結合親和性でグランザイムBに結合することができる、以下に示す式(I)の化合物を提供する。
【化9】
【0048】
式(I)において、Aは、キレート部分である。キレート部位は、金属イオンに対する多座のリガンドとして機能することができる分子又はイオンである。例えば、利用可能なローン対を有する複数の原子を有する分子(窒素及び酸素を含むが、これらに限定されない)は、キレート化部分として機能し得る。キレート部分は、直鎖状(例えば、EDTA)であり得、環状(大環状分子、例えば、DOTA、ポルフィリンを含む)であり得、当該技術分野において一般的に既知である大環状(macrocyas)を含み得る。キレート部分は、金属と配位するために利用可能なローン対を有する2、3、4、5、又は6個の官能基(例えば、アミン、アミド、ヒドロキシル、カルボン酸など)を有し得る。本明細書に開示されるグランザイムB標的化合物に使用するための例示的なキレート部分としては、1,4,7-トリアザイサイクロナン三酢酸(NOTA)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA)、1,4,7-トリアザイサイクロナン-1-グルタル酸-4,7-二酢酸(NODAGA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、シクロヘキシル-1,2-ジアミン四酢酸(CDTA)、エチレネグリコール-0,0’-ビス(2-アミノエチル)-N,N,N’,N’四酢酸(EGTA)、N,N-ビス(ヒドロキシベンジル)-エチレンジアミン-N,N’-二酢酸(HBED)、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸(TTHA)、ヒドロキシジアミン三酢酸(HEDTA)、1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-N,N’,N’’,N’’’-四酢酸(TETA)、1,4,7,10-テトラアザ-1,4,7,10-テトラ-(2-カルバモイルメチル)-シクロドデカン(TCMC)、1,4,7-トリアザシクロノナン-4,7-ジイル二酢酸(NODA)及びデスフェリオキサミンB(DFO)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、キレート剤は、1,4,7-トリアザシクロノナン三酢酸(NOTA)、1,4,7,10-テトラザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA)、1,4,7-トリアザシクロノナン-4,7-ジイル二酢酸(NODA)及び1,4,7-トリアザシクロノナン-1-グルタル酸-4,7-二酢酸(NODAGA)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、キレート剤は、1,4,7-トリアザシクロノナン三酢酸(NOTA)である。他の実施形態では、キレート剤は、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA)である。いくつかの実施形態では、キレート剤は、1,4,7-トリアザシクロノナン-4,7-ジイル二酢酸(NODA)である。
【0049】
Xは、-CH2C(NH)-、-CH2C(O)-、-CH2C(S)-、-NHC(NH)-、-NHC(O)-、-NHC(S)-、-OC(NH)-、-OC(O)-、又は-OC(S)-であり得る。一例では、Xは、-CH2C(O)-である。別の例では、Xは、-NHC(S)-である。
【0050】
Lは、包括的に1~6個のアミノ酸残基を有するペプチドリンカーであり得る。いくつかの例では、Lは、包括的に1~3個のアミノ酸残基を含む。他の例では、Lは、包括的に4~6個のアミノ酸残基を含む。一例では、Lは、1個のアミノ酸残基を含む。別の例では、Lは、2個のアミノ酸を含む。更に別の例では、Lは、3個のアミノ酸残基を含む。あるいは、Lは、4個のアミノ酸残基を含む。更に別の例では、Lは、5個のアミノ酸残基を含む。あるいは、Lは、6個のアミノ酸残基を含む。
【0051】
ペプチドリンカーL内の適合性アミノ酸残基としては、天然及び非天然アミノ酸残基(β-アミノ酸残基及びD-アミノ酸を含む)が挙げられ得るが、プロチエン生成アミノ酸残基に限定されない。アミノ酸残基は、標準的なペプチド結合を介して、又は計算可能な側鎖(例えば、グルタミン酸(例えば、D-Glu)、アスパラギン酸)とアミド結合を形成することによって、鎖を形成し得る。例示的なペプチドリンカーとしては、Glu-Gly-Gly、D-Glu-β-Ala-β-Ala、Gly-Gly、Gly、Glu-Gly、Glu、D-Glu、Arg-Gly、Lys-Glyが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
いくつかの実施形態では、R1は、Hである。他の実施形態では、R1は、C1-6アルキルである。例えば、R1は、メチルであり得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、R2は、C1-6アルキルであり得る。あるいは、R2は、C3-6シクロアルキル(例えば、分枝状又は非分枝状、置換又は非置換)又はC3-6シクロアルキル(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル)であり得る。
【0054】
式(I)の化合物中のヘミアセタール単位は、開鎖アルデヒド形態であり得る。結果として、式(I)の化合物は、以下の構造を有することができる。
【化10】
【0055】
式(I-1)~(I-6)のいずれかにおいて、A、X、L、R1、及びR2の各々は、本明細書に記載のとおりである。
【0056】
いくつかの実施形態では、R
1は、Hであり、R
2は、式(Ia)の化合物のようなC
4アルキルである。
【化11】
【0057】
いくつかの特定の例では、Xは、式(Ia-A)の化合物のように、-CH
2C(O)-である。
【化12】
【0058】
他の例では、Xは、式(Ia-B)の化合物のように、-NHC(S)-である。
【化13】
【0059】
式(I)の例示的な化合物としては、表1に列挙される化合物が挙げられる。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0060】
いくつかの例では、式(I)の化合物は、化合物1、2、3、4、5、6、7、9、10、11、12、13、17、又は18である。1つの具体例では、式(I)の化合物は、化合物7である。
【0061】
B.式(II)の化合物
いくつかの実施形態では、本開示は、高い結合親和性及び特異性でグランザイムBに結合することができる、以下に示す式(II)の化合物を提供する。
【化14】
【0062】
式(II)において、Mは、金属又は放射性同位体に結合した金属である。本開示に使用するのに好適な金属としては、グランザイムBの撮像に有用なもの、例えば、好適な放射線撮像剤である金属、及び好適な放射線撮像剤である非金属放射性同位体に結合することができる金属が挙げられる。例示的な金属放射性同位体は、68Gaである。例示的な非金属放射性同位体は、18Fであり、これは、本明細書に開示されるグランザイムB結合化合物に充填するためにAlとコンジュゲートされ得る。
【0063】
A、X、L、R1、及びR2の各々は、本明細書で定義されるとおりである。例えば、上記の式(I)の化合物と表されるセクションを参照されたい。
【0064】
放射性同位体を有する例示的な化合物としては、表2のものが挙げられる。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【0065】
いくつかの例では、式(II)の化合物は、化合物1-Al、2-Al、3-Al、4-Al、5-Al、6-Al、7-Al、9-Al、10-Al、11-Al、12-Al、13-Al、17-Al、又は18-Alである。一例では、式(II)の化合物は、化合物7-Alであり、18Fを充填され得る。
【0066】
また、本開示の範囲内には、本明細書に開示される式(I)及び式(II)の化合物の変異体があり、式(I)又は式(II)の化合物中のラクトン環は、他の部分、例えば、アリール環、ヘテロアリール環などで置換され得る。特定の実施形態では、変異体は、以下の構造を有し得る。
【化15】
【0067】
上記変異体化合物は、放射性同位体(例えば、
18F)とコンジュゲートし得る金属を充填し得る。一例を以下に示す。
【化16】
【0068】
放射性同位体を含有する上記化合物は、本明細書に提供される1つ以上の方法における撮像剤として有用である。更に、本明細書に提供される放射性同位体含有化合物は、治療有効量で対象に投与される場合、1つ以上の治療用途においても有用であり得る。例えば、18Fを含有する上記化合物は、低濃度(例えば、5mCi)で対象に投与される場合、撮像剤として(例えば、非毒性及び/又は非治療用放射性同位体として)有用であり得る。いくつかの実施形態では、この同位体は、毒性であり得る。上記に指摘されるように、本出願はまた、本明細書に記載される化合物の薬学的に許容される塩を含む。「薬学的に許容される」という語句は、本明細書では、合理的な利益/リスク比に見合った、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症なしでヒト及び動物の組織に接触して使用するのに好適な、健全な医学的判断の範囲内であるこれらの化合物、材料、組成物、及び/又は投薬形態を指すために使用される。
【0069】
本出願はまた、本明細書に記載される化合物7及び7-Alの立体異性体などの化合物の立体異性体を含む。以下を参照されたい。立体異性体は、波線によって示されるように、ヘミアセタール単位の2つのキラル中心(閉環)又は1つのキラル中心(開鎖)から生じる。
【化17】
【0070】
C.グランザイムB標的化合物の化学合成
理解されるように、立体異性体及びその塩を含む本明細書に提供される化合物は、既知の有機合成技法を使用して調製され得、多数の可能な合成経路のいずれかに従って合成され得る。
【0071】
本明細書に開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩は、以下に記載される例示的なプロトコルに従うことによって調製され得る。かかる合成に使用するための適切な保護基は、当該分野で既知である。例えば、McOmie,Protective Groups in Organic Chemistry,(1973):98を参照されたい。簡単に述べると、本明細書に開示されるグランザイムB標的化化合物の合成は、以下のプロセス:A)所望の三環(例えば、式(I)中の)を樹脂に結合(例えば、ペプチドカップリング)し、三環を脱保護することと、B)Lペプチドリンカー(アミノ酸残基を所望の長さまで繰り返しカップリングすることによって形成され得る)のいずれかを樹脂結合三環に結合させて、三環式ペプチドリンカー部位を形成することと、C)三環ペプチドリンカー部位をキレート化部位に結合させて、式(I)の化合物を形成し、これを切断して樹脂を形成し、続いて任意選択的にD)金属を式(I)の化合物とキレート化して、式(II)の化合物を形成することと、を含む。
【0072】
例えば、工程Aにおいて、式(I)及び(II)の化合物(例えば、Fmoc-Haic(2S,5S)-OH)に見られる三環を樹脂(例えば、H-Asp(OtBu)-H)に結合させ、脱保護することができる。次いで、工程Bにおいて、三環の遊離アミンを、Fmoc保護アミノ酸(例えば、イソロイシン)と結合させることができ、次いで、Fmocを除去することができる。得られた遊離アミンを、従来のペプチド合成方法を使用して所望の数のアミノ酸に結合させて、三環式ペプチドリンカー部分に到達させることができる。Fmoc保護及び脱保護は、アミノ酸残基添加の各ラウンドにおいて実施され得る。工程Cにおいて、末端カップリング基を有するキレート部分(例えば、カルボン酸、カルバモチオO-酸、イソチオシアネート、又はチオシアネート)は、三環式ペプチドリンカー部分内のアミノ酸鎖の最終的な遊離アミンに結合されて、式(I)の化合物を生成することができ、これは樹脂から遊離され、必要に応じて精製され得る。次いで、こうして調製された式(I)の化合物は、本明細書に開示される金属(例えば、Ga、Al)でキレート化されて、式(II)の化合物を生成することができる。例示的な式(I)及び式(II)の化合物を合成するための例示的な実施例を、以下の実施例で提供する。工程Cの代替実施形態において、化合物は、キレート部分に結合する前に、樹脂から切断され得る。
【0073】
多くの適切な撮像剤(例えば、比率同位体)が当該技術分野で既知である(例えば、米国特許第5,021,236号、同第4,938,948号、及び同第4,472,509号を参照されたいが、これらの各々の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。本明細書に提供される、放射性標識化合物、又はその薬学的に許容される塩は、当該技術分野で周知の方法に従って調製され得る。放射性同位体を有機化合物に組み込むための合成方法は、当該技術分野で周知であり、当業者は、本明細書に提供される化合物に適用可能な他の方法を容易に認識するであろう。
【0074】
本明細書に記載されるプロセスは、本明細書に提供される化合物を合成するための排他的手段ではなく、広範囲の合成有機反応のレパートリーが、本明細書に提供される化合物の合成に潜在的に使用されるために利用可能であることが、当業者によって理解されるであろう。当業者は、適切な合成経路を選択及び実施する方法を知っている。出発物質、中間体、及び生成物の好適な合成方法は、Advances in Heterocyclic Chemistry,Vols.1-107(Elsevier,1963-2012);Journal of Heterocyclic Chemistry Vols.1-49(Journal of Heterocyclic Chemistry,1964-2012)、Carreira,et al.(Ed.)Science of Synthesis,Vols.1-48(2001-2010)and Knowledge Updates KU2010/1-4;2011/1-4;2012/1-2(Thieme,2001-2012)、Katritzky,et al.(Ed.)Comprehensive Organic Functional Group Transformations,(Pergamon Press,1996)、Katritzky et al.(Ed.);Comprehensive Organic Functional Group Transformations II(Elsevier,2nd Edition,2004)、Katritzky et al.(Ed.),Comprehensive Heterocyclic Chemistry(Pergamon Press,1984)、Katritzky et al.,Comprehensive Heterocyclic Chemistry II,(Pergamon Press,1996)、Smith et al.,March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure,6th Ed.(Wiley,2007)、Trost et al.(Ed.),Comprehensive Organic Synthesis(Pergamon Press,1991)などの文献元を含む、文献を参照することにより識別することができる。
【0075】
本明細書に記載される化合物を調製するための反応は、有機合成の当業者によって容易に選択され得る好適な溶媒中で実施され得る。好適な溶媒は、反応が実施される温度(例えば、溶媒の凍結温度から溶媒の沸騰温度までの範囲の温度)で、出発物質(反応物質)、中間体、又は生成物と実質的に非反応性であり得る。所与の反応は、1つの溶媒又は1つ以上の溶媒の混合物中で実施され得る。特定の反応工程に応じて、特定の反応工程に好適な溶媒を当業者によって選択され得る。
【0076】
本明細書に記載される化合物の調製は、様々な化学基の保護及び脱保護を伴うことができる。保護及び脱保護の必要性、並びに適切な保護基の選択は、当業者によって容易に決定され得る。保護基の化学的性質は、例えば、T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd Ed.,Wiley & Sons,Inc.,New York(1999)に見出すことができる。
【0077】
反応は、当該技術分野で既知の任意の好適な方法に従って監視することができる。例えば、生成物の形成は、核磁気共鳴分光法(例えば、1H又は13C)、赤外線分光法、分光光度法(例えば、UV可視)、質量分析法などの分光学的手段、又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、液体クロマトグラフィー-質量分析(LCMS)、若しくは薄層クロマトグラフィー(TLC)などのクロマトグラフィー方法によって監視することができる。化合物は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)及び正常相シリカクロマトグラフィーを含む、様々な方法によって、当業者により精製され得る。
【0078】
II.薬学的組成物
式(I)及び式(II)の化合物のうちのいずれか、又はその薬学的に許容される塩を、薬学的に許容される担体と混合して、グランザイムB撮像で、及び/又は本明細書に開示される治療目的で使用するための薬学的組成物を形成し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の薬学的に許容される担体(賦形剤)と組み合わせて、活性成分として、本発明に提供される金属を有する化合物(式(II)化合物)、又はその薬学的に許容される塩を含む、薬学的組成物が本明細書に提供される。「許容可能な」とは、担体が組成物の活性成分と適合性でなければならず(好ましくは、活性成分を安定させることができる)、治療される対象に有害ではないことを意味する。好適な担体としては、微結晶セルロース、マンニトール、グルコース、脱脂乳粉末、ポリビニルピロリドン、及びデンプン、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0079】
好適な賦形剤のいくつかの例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、及びメチルセルロースが挙げられるが、これらに限定されない。医薬製剤としては、タルク、ステアリン酸マグネシウム、及び鉱油などの潤滑剤、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、メチル及びプロピルヒドロキシ安息香酸塩などの保存剤、甘味剤、香味剤、又はそれらの組み合わせが更に挙げられ得るが、これらに限定されない。許容できる薬学的組成物の詳細について記載されている、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985,p.1418を参照されたい。
【0080】
医学分野の当業者に既知の従来の方法は、治療される疾患の種類又は疾患の部位に応じて、薬学的組成物を対象に投与するために使用することができる。この組成物はまた、他の従来の経路、例えば、経口的に、非経口的に、吸入スプレーにより、局所的に、直腸的に、経鼻的に、口腔的に、膣的に、又は移植されたリザーバを介して投与され得る。本明細書で使用される場合、「非経口」という用語には、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑膜内、胸骨内、くも膜下腔内、病変内、及び頭蓋内注射又は注入技術が含まれる。非経口投与は、単回ボーラス用量の形態であり得るか、又は例えば、連続灌流ポンプによるものであり得る。加えて、それは、1、3、若しくは6ヶ月間のデポ注射可能な、又は生分解可能な材料及び方法を使用するなど、注射可能なデポ投与経路の投与を介して対象に投与され得る。
【0081】
注射用組成物は、植物油、ジメチルアクタミド、ジメチルホルムアミド、乳酸エチル、炭酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、エタノール、及びポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)などの様々な担体を含有され得る。静脈内注射の場合、水溶性抗体は、ドリップ法によって投与され得、それにより、抗体及び生理学的に許容される賦形剤を含有する医薬製剤が注入される。生理学的に許容される賦形剤としては、例えば、5%デキストロース、0.9%生理食塩水、リンガー溶液、又は他の好適な賦形剤が挙げられ得る。筋肉内調製物、例えば、抗体の好適な可溶性塩形態の無菌製剤を溶解し、注射用水、0.9%生理食塩水、又は5%グルコース溶液などの薬学的賦形剤に投与することができる。
【0082】
経口投与のために、組成物は、例えば、結合剤(例えば、事前にゼラチン化されたトウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)、充填剤(例えば、乳糖、微結晶セルロース又はリン酸水素カルシウム)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク又はシリカ)、崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプン又はグリコール酸ナトリウム)、又は湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの許容される賦形剤を使用する従来の手段で調製される、錠剤又はカプセル剤の形態をとることができる。錠剤は、当該技術分野で周知の方法によってコーティングすることができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、本発明で提供する上記化合物、又はその薬学的に許容される塩は、非経口投与に好適である。いくつかの実施形態では、上記化合物、又はその薬学的に許容される塩は、静脈内投与に好適である。
【0084】
局所投与のための薬学的組成物及び製剤としては、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、ドロップ、坐剤、スプレー、液体及び粉末が挙げられ得る。従来の薬学的担体、水性、粉末若しくは油性塩基、増粘剤などが必要であり得るか、又は望ましい。
【0085】
本明細書で提供される薬学的組成物の作製において、活性成分は、典型的には、賦形剤と混合され、賦形剤によって希釈され、又は、例えば、カプセル、小袋、紙、又は他の容器の形態で、かかる担体内に封入される。賦形剤が希釈剤として機能する場合、それは、活性成分のビヒクル、担体、又は媒体として機能する固体、半固体、又は液体材料であり得る。
【0086】
したがって、薬学的組成物は、錠剤、丸剤、粉末、ロゼンジ、小袋、カシェ、エリキシル剤、懸濁液、エマルジョン、溶液、シロップ剤、エアロゾル剤(固体として又は液体媒体中で)、軟膏剤、軟質及び硬質ゼラチンカプセル剤、坐剤、無菌注射可能溶液、並びに無菌包装粉末の形態であり得る。
【0087】
III.使用方法
本出願は、上記化合物、又はその薬学的に許容される塩のうちの1つを使用して、グランザイムBの撮像方法を更に提供する。いくつかの実施形態では、本方法は、インビトロ方法である。いくつかの実施形態では、本方法は、インビボ方法である。
【0088】
いくつかの実施形態では、撮像方法は、細胞、組織、細胞試料、組織試料、又は対象において実施される。
【0089】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、哺乳動物及び無脊椎動物を含む任意の動物を指す。例えば、マウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、霊長類、魚類、及びヒト。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、マウスである。いくつかの実施形態では、対象は、魚類(例えば、シマウマ魚)である。
【0090】
本出願は、細胞又は組織中のグランザイムBの撮像方法を更に提供し、
i)細胞又は組織を、有効量の上記化合物のうちの1つ、又はその薬学的に許容される塩と接触させることと、
ii)好適な撮像技術で細胞又は組織を撮像し、それによって細胞又は組織内のグランザイムBを撮像することと、を含む。
【0091】
本出願は、試料、細胞試料、又は組織試料中のグランザイムBの撮像方法を更に提供し、
i)試料、細胞試料又は組織試料を、有効量の上記化合物のうちの1つ、又はその薬学的に許容される塩と接触させることと、
ii)好適な撮像技術で試料、細胞試料又は組織試料を撮像し、それによって試料、細胞試料又は組織試料内のグランザイムBを撮像することと、を含む。
【0092】
撮像の文脈で本明細書で使用される場合、「試料」という用語は、対象から得られる細胞又は組織試料以外の生体試料を指す。例えば、試料としては、唾液、血液、アンドリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
本出願は、対象におけるグランザイムBの撮像方法を更に提供し、
i)有効量の上記化合物のうちの1つ、又はその薬学的に許容される塩を対象に投与することと、
ii)好適な撮像技術で対象を撮像し、それによって対象におけるグランザイムBを撮像することと、を含む。
【0094】
本出願は、細胞又は組織試料中の免疫応答の撮像方法を更に提供し、
i)細胞又は組織試料を、有効量の上記化合物のうちの1つ、又はその薬学的に許容される塩と接触させることと、
ii)好適な撮像技術で細胞又は組織試料を撮像し、それによって細胞又は組織試料内の免疫応答を撮像することと、を含む。
【0095】
本出願は、対象における免疫応答の撮像方法を更に提供し、
i)有効量の上記化合物のうちの1つ、又はその薬学的に許容される塩を対象に投与することと、
ii)好適な撮像技術で対象を撮像し、それによって対象における免疫応答を撮像することと、を含む。
【0096】
本出願は、対象における疾患の治療のモニタリング方法を更に提供し、
i)有効量の上記化合物のうちの1つ、又はその薬学的に許容される塩を対象に投与することと、
ii)好適な撮像技術で対象を撮像することと、を含む。
【0097】
本出願は、対象における疾患の治療における免疫応答のモニタリング方法を更に提供し、
i)有効量の上記化合物のうちの1つ、又はその薬学的に許容される塩を対象に投与することと、
ii)好適な撮像技術で対象を撮像することと、を含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、撮像の前に、化合物又はその薬学的に許容される塩が、疾患に関連する細胞又は組織部位(例えば、対象における細胞又は組織部位)に蓄積するのを可能にするのに十分な時間を待つことを更に含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、撮像の前に、化合物又はその薬学的に許容される塩が、疾患に関連する細胞又は組織部位(例えば、対象における細胞又は組織部位)でグランザイムBに結合するのを可能にするのに十分な時間を待つことを更に含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、十分な時間は、約30秒~約24時間、例えば、約30秒~約24時間、約30秒~約12時間、約30秒~約6時間、約30秒~約2時間、約30秒~約1時間、約30秒~約30分、約30秒~約10分、約10分~約24時間、約10分~約12時間、約10分~約6時間、約10分~約2時間、約10分~約1時間、約10分~約30分、約30分~約24時間、約30分~約12時間、約30分~約6時間、約30分~約2時間、約30分~約1時間、約1時間~約24時間、約1時間~約12時間、約1時間~約6時間、約1時間~約2時間、約2時間~約24時間、約2時間~約12時間、約2時間~約6時間、約6時間~約24時間、約6時間~約12時間、又は約12時間~約24時間である。
【0101】
いくつかの実施形態では、好適な撮像技術は、非侵襲的撮像技術である。いくつかの実施形態では、好適な撮像技術は、最小侵襲性撮像技術である。本明細書で使用される場合、「最小侵襲性撮像技術」という用語は、上記化合物のうちの1つ、若しくはその薬学的に許容される塩の内部プローブ若しくは注射、又はシリンジを介した放射性トレーサーの使用を用いる撮像技術を含む。
【0102】
例示的な撮像技術としては、蛍光透視撮像、X線撮像、磁気共鳴撮像(MRI)、超音波撮像、光音響撮像、サーモグラフィ撮像、断層撮像、心エコー撮像、陽電子放射断層撮影(PET)撮像、コンピュータ断層撮影(CT)撮像によるPET、PET-MRI、単一光子放出断層撮影(SPECT)、及び超音波撮像が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、好適な撮像技術は、PET撮像、PET-CT、PET-MRI、及びSPECTからなる群から選択される。
【0103】
いくつかの実施形態では、好適な撮像技術は、PET撮像、コンピュータ断層撮像によるPET、及び磁気共鳴撮像(MRI)によるPETからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、好適な撮像技術は、選択されたPET撮像である。
【0104】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の疾患は、自己免疫障害、炎症性障害、皮膚障害、がん、及び心血管障害からなる群から選択される。本明細書で使用される場合、「疾患」という用語は、「免疫調節異常」という用語と互換的に使用される。
【0105】
いくつかの実施形態では、疾患は、がんである。いくつかの実施形態では、がんは、固形腫瘍を含む。いくつかの実施形態では、がんは、血液がん(例えば、白血病、リンパ腫など)である。いくつかの実施形態では、がんは、脳、乳がん、子宮頸がん、結腸直腸がん、肺がん、リンパ腫、黒色腫、膀胱がん、腎細胞がん、多発性骨髄腫、膵臓がん、及び前立腺がんからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、がんは、有毛細胞白血病、カポジ肉腫、濾胞性リンパ腫、慢性骨髄性白血病、皮膚T細胞リンパ腫、末梢T細胞リンパ腫、T細胞前リンパ球性白血病、古典的ホジキンリンパ腫、B細胞非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、原発性骨髄線維症、本態性血小板血症後骨髄線維症、真性多血症後骨髄線維症、黒色腫、腎細胞がん、前立腺がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、神経膠芽腫、肝細胞がん、泌尿器上皮がん、食道がん、胃食道がん、胃がん、多発性骨髄腫、結腸がん、直腸がん、頭頸部扁平上皮がん、上皮性卵巣がん(EOC)、原発性腹膜がん、卵管がん、HER2+乳がん、ER+/PR+/HER2-乳がん、三種陰性乳がん、胃がん、膵臓がん、膀胱がん、メルケル細胞がん、上咽頭がん、副腎皮質がん、髄膜腫、神経芽腫、網膜芽細胞腫、骨肉腫、横紋筋肉腫、ユーイング肉腫、脂肪肉腫、線維肉腫、平滑筋肉腫、末梢性神経外胚葉性腫瘍、子宮扁平上皮がん、膣の扁平上皮がん、及び外陰部の扁平上皮がんからなる群からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、がんは、結腸がんである。
【0106】
いくつかの実施形態では、疾患は、移植片対宿主疾患、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、I型糖尿病、ブドウ膜炎、後ブドウ膜炎、アレルギー性脳脊髄炎、糸球体腎炎、リウマチ熱、感染後糸球体腎炎、乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、湿疹性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、地衣類平面炎、天疱瘡、水疱性天疱瘡、表皮水疱症、蕁麻疹、血管浮腫、血管炎、紅斑、皮膚好酸球増多症、エリテマトーデス、ニキビア、脱毛症、角膜結膜炎、春季カタル、ベーチェット病に伴うブドウ膜炎、角膜炎、ヘルペス性角膜炎、円錐角膜、角膜上皮萎縮症、角膜白斑、眼球天疱瘡、ムーレン潰瘍、強膜炎、バセドウ病眼症、Vogt-小柳-原田症候群、サルコイドーシス、花粉アレルギー、可逆性閉塞性気道疾患、気管支喘息、アレルギー性喘息、内因性喘息、外因性喘息、粉じん喘息、慢性又は逆流性喘息、後期喘息及び気道高応答性喘息、気管支炎、胃潰瘍、虚血性疾患及び血栓症による血管損傷、虚血性腸疾患、炎症性腸疾患、壊死性腸炎、熱傷に伴う腸管病変、結腸疾患、直腸炎、好酸球性胃腸炎、咀嚼細胞症、クローン病、潰瘍性大腸炎、片頭痛、鼻炎、間質性網膜炎、好発症症候群、肝炎症候群、二次性腎炎、多発性腎炎、筋炎、ギラン・バレ症候群、メニエール病、多発性神経炎、単神経炎、根治疾患、甲状腺機能亢進症、ベースドー病、純粋な赤血球形成不全症、再生不良性貧血、低形成不良性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、無顆粒球症、悪性貧血、巨芽球性貧血、アネロス形成症、骨粗しょう症、サルコイドーシス、線維肺、特発性間質性肺炎、皮膚筋炎、尋常性白皮症、尋常性硬化症、尋常性硬化症、光アレルギー性感受性、皮膚T細胞リンパ腫、動脈硬化症、アテローム性硬化症、大動脈炎症候群、多発性動脈炎、結節性心筋症、硬化症、ウェーゲン性肉芽腫、シェーグレン症候群、脂肪性貧血症、貧血性貧血症、卵巣性腫瘍、アルボローネ症、実質性貧血症、腎炎、皮膚炎男性型脱毛症、脱毛を予防することによる老人性脱毛症、毛髪の発芽及び/又は増毛を促進することによる老人性脱毛症、筋ジストロフィー、膿皮症、セザリー症候群、アジソン病、臓器の虚血再灌流傷害、移植疾患、虚血性疾患、内毒素ショック、偽膜性大腸炎、薬物又は放射線による大腸炎、虚血性急性腎不全、慢性腎不全、肺酸素又は薬物による毒素症、肺がん、肺気腫、白内障、シデロシス、網膜色素変性症、老人性黄斑変性症、硝子体瘢痕症、角膜アルカリ熱、多形性紅斑、線状IgA球状皮膚炎及びセメント皮膚炎、歯肉炎、歯周炎、敗血症、膵炎、老化、がんの発生、がん腫及び低バロパシーの転移、ヒスタミン又はロイコトリエン-C4放出関連疾患、ベーチェット病、自己免疫性肝炎、原発性胆道肝硬変、硬化性胆管炎、部分的肝臓切除、急性肝壊死、毒素による壊死、ウイルス性肝炎、ショック、無酸素症、B-ウイルス性肝炎、非A/非B型肝炎、肝硬変、アルコール性肝硬変、肝不全、急性肝不全、遅発性肝不全、急性オンサイクル肝不全、サイトメガロウイルス感染症、HCMV感染症、AIDS、老人性認知症、外傷、慢性細菌感染症、リンパ系の悪性腫瘍、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性リンパ性リンパ腫、並びに慢性リンパ性リンパ腫からなる群から選択される。
【0107】
いくつかの実施形態では、疾患は、全身性ループスエリテマトーデス、慢性リウマチ、I型糖尿病、炎症性腸疾患、胆道肝硬変、ブドウ膜炎、多発性硬化症、クローン病、潰瘍性大腸炎、水疱性天疱瘡、サルコイドーシス、乾癬、自己免疫性筋炎、ウェゲナー肉芽腫症、魚鱗癬、グレーブス眼症、喘息、シュレローダー病及びシェーグレン症候群からなる群から選択される。
【0108】
いくつかの実施形態では、疾患は、骨髄拒絶反応、臓器移植拒絶反応、及び移植片対宿主疾患からなる群から選択される。
【0109】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」という語句は、研究者、獣医、医師、又は他の臨床医によって、組織、系、動物、個体、又はヒトで求められる生物学的又は薬学的応答を誘発する、上述の活性化合物、又はその薬学的に許容される塩、又は薬学的薬剤の量を指す。
【0110】
いくつかの実施形態では、対象又は個体に投与される上記化合物又はその薬学的に許容される塩のうちの1つの用量は、約1μg~約2g、例えば、約1μg~約2g、約1μg~約1000mg、約1μg~約500mg、約1μg~約100mg、約1μg~約50mg、約1μg~約1mg、約1μg~約500μg、約1μg~約100μg、約1μg~約10μg、約10μg~約2g、例えば、約10μg~約2g、約10μg~約1000mg、約10μg~約500mg、約10μg~約100mg、約10μg~約50mg、約10μg~約1mg、約10μg~約500μg、約10μg~約100μg、約100μg~約2g、例えば、約100μg~約2g、約100μg~約1000mg、約100μg~約500mg、約100μg~約100mg、約100μg~約50mg、約100μg~約1mg、約100μg~約500μg、約500μg~約2g、例えば、約500μg~約2g、約500μg~約1000mg、約500μg~約500mg、約500μg~約100mg、約500μg~約50mg、約500μg~約1mg、約1mg~約2g、約1mg~約1000mg、約1mg~約500mg、約1mg~約100mg、約1mg~50mg、又は約50mg~約500mgである。
【0111】
本明細書で使用される場合、「治療すること」又は「治療」という用語は、(1)疾患を阻害すること、例えば、疾患、状態又は障害の病理学的又は症状を経験又は示している個体における疾患、状態又は障害を阻害すること(すなわち、病理学及び/又は症状の更なる発達を阻止すること)、並びに(2)疾患を改善すること、例えば、疾患のうち1つ以上の症状を減少又は低減又は軽減させるなど、疾患、状態又は障害の病理学的又は症状を経験又は示している個体における個体における疾患、状態又は障害を改善すること(すなわち、病理学及び/又は症状を逆転させること)のうちの1つ以上を指す。
【0112】
併用療法
疾患の治療方法に使用される場合、本明細書に提供される上記の式(II)の化合物、又はその薬学的に許容される塩は、治療剤として、1つ以上の追加の治療剤と組み合わせて投与され得る。追加の治療剤の例としては、抗炎症剤、ステロイド、免疫療法剤、化学療法剤、及び治療抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0113】
いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、細胞又は組織試料又は対象における免疫応答を誘導する。
【0114】
本出願は、対象における疾患の治療方法を更に提供し、
a)有効量の上記化合物のうちの1つ、又はその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、対象は、工程a)の前に治療されるべき疾患を有すると識別及び/又は診断されている。いくつかの実施形態では、対象は、工程a)の後に治療される疾患を有すると識別及び/又は診断される。例えば、治療される疾患は、本明細書に記載の自己免疫障害、炎症性障害、皮膚障害、がん、及び心血管障害からなる群から選択される。
【0116】
いくつかの実施形態では、対象は、工程a)の前に1つ以上の免疫療法剤で治療されている。いくつかの実施形態では、疾患は、工程a)の前に投与される1つ以上の免疫療法剤に耐性であると判定されている。
【0117】
いくつかの実施形態では、本方法は、
b)上記化合物のうちの1つ、又はその薬学的に許容される塩の有効量の投与の後に、1つ以上の追加の治療剤を投与することを更に含む。いくつかの実施形態では、工程a)~b)は、複数回繰り返される。
【0118】
いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、治療有効量で対象に投与される。
【0119】
いくつかの実施形態では、治療剤は、抗体である。併用療法における使用のための例示的な抗体としては、トラスツズマブ(例えば、抗-HER2)、ラニビズマブ(例えば、抗-VEGF-A)、ベバシズマブ(例えば、抗-VEGF)、パニツムマブ(例えば、抗-EGFR)、セツキシマブ(例えば、抗-EGFR)、リツキサン(抗CD20)、c-METに対する抗体、及びグランザイムBの抗体阻害剤(例えば、クローンGB11、クローンGrB-7、及びNCL-L-グラン-B)、イピリムマブ(抗CTLA-4)、ニボルマブ(抗PD-1)、ペンブロリズマブ(抗PD-1)、アテゾリズマブ(抗PD-1)、エロツズマブ(抗-SLAM7)、及びダラツムマブ(抗-CD38)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0120】
いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、ステロイドである。例示的なステロイドとしては、コルチコステロイド、例えば、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、及びプレドニゾンが挙げられる。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、コルチコステロイドである。
【0121】
いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、抗炎症性化合物である。例示的な抗炎症性化合物としては、アスピリン、コリンサリチル酸塩、セレコキシブ、ジクロフェナクカリウム、ジクロフェナクナトリウム、ミソプロストールを有するジクロフェナクナトリウム、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、メクロフェナメートナトリウム、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、オキサプロジン、ピロキシカン、ロフェコキシブ、サルサレート、サリチル酸ナトリウム、スリンダク、トルメチンナトリウム、及びバルデコキシブが挙げられる。
【0122】
いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、化学療法剤である。例示的な化学療法剤としては、細胞増殖抑制剤、シスプラチン、ドキソルビシン、タキソール、エトポシド、イリノテカン、トポテカン、パクリタキセル、ドセタキセル、エポチロン、タモキシフェン、5-フルオロウラシル、メトトレキセート、テモゾロミド、シクロホスファミド、SCH66336、R115777、L778,123、BMS214662、ゲフィチニブ、塩酸エルロチニブ、EGFRに対する抗体、メシル酸イマチニブ、イントロン、ara-C、ゲムシタビン、ウラシルマスタード、クロルメチン、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホラミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、フロクスウリジン、シタラビン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、リン酸フルダラビン、オキサリプラチン、フォリン酸、ペントスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシンC、L-アスパラギナーゼ、テニポシド、17α-エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール、テストステロン、プレドニゾン、フルオキシメステロン、ドロモスタノロンプロピオン酸、テストラクトン、酢酸メゲストロール、メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ロイプロリド、フルタミド、トレミフェン、ゴセレリン、カルボプラチン、ヒドロキシ尿素、アムサクリン、プロカルバジンレブ、ミトタン、ミトキサントロン、レバミゾール、ビノレルビン、アナストロゾール、レトロゾール、カペシタビン、レロキサフィン、ヘキサメチルメラミン、ベバシズマブ、ベクサー、ベルケイド、ゼバリン、トリセノックス、キセロダ、ビノレルビン、ポルフィマー、エルビツクス、リポソーム、チオテパ、アルトレタミン、メルファラン、トラスツズマブ、フルベストラント、エキセメスタン、イホスファミド、リツキシマブ、C225、アレムツズマブ、クロファラビン、クラドリビン、アフィジコリン、スニチニブ、ダサチニブ、テザシタビン、Sml1、トリアピン、ジドックス、トリミドックス、アミドックス、3-AP、MDL-101.731、ベンダムスチン、オファツムマブ、及びGS-1101(CAL-101としても知られている)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0123】
いくつかの実施形態では、化学療法剤は、アルキル化剤(例えば、ブスルファン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド(シトキサン)、ダカルバジン、イホスファミド、メクロレタミン(マスタージン)、及びメルファラン)、ニトロソ尿素(例えば、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、及びストレプトゾシン)、トリアジン(例えば、ダカルバジン)抗代謝物質(例えば、5-フルオロウラシル(5-FU)、シタラビン(Ara-C)、フルダラビン、ゲムシタビン、及びメトトレキセート)、プリン類似体(例えば、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、及びペントステオキシコシクチン(2-デオキシコシクチン))、分裂阻害剤(例えば、ドセタキセル、エトポシド(VP16)、テノシド、パクリットシド、タキソール、ビンブラスチン、ビンクリスチン、及びビノレルビン)、抗腫瘍抗生物質(例えば、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、マイトマイシン、プリカマイシン、及びイダルビシン)、白金化学療法剤(例えば、シスプラチン及びカルボプラチン)、アントラセンジオン(例えば、ミトキサントロン)、毒素(例えば、リシンA鎖(Burbage,Leukemia research,21.7(1997):681-690)、ジフテリア毒素A(Massuda et al.,Proceedings of the National Academy of Sciences,94.26(1997):14701-14706;Lidor,American journal of obstetrics and gynecology,177.3(1997):579-585)、百日咳毒素Aサブユニット、大腸菌エンテロトキシン毒素Aサブユニット、コレラ毒素Aサブユニット及びシュードモナス毒素c末端)、並びに遺伝子療法ベクター(例えば、シグナル伝達プロテイン(例えば、Src、Abl、及びRas)、Jun、Fos、及びMyc)からなる群から選択される。
【0124】
いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、免疫療法剤である。免疫療法剤は一般に、免疫エフェクター細胞及び分子を引き起こし、細胞(例えば、がん細胞)を標的とし、破壊する。免疫エフェクターは、例えば、細胞(例えば、腫瘍細胞)の表面上のマーカーに特異的な抗体であり得る。抗体単独で療法のエフェクターとして機能し得るか、他の細胞を動員して細胞を殺傷し得る。様々なエフェクター細胞としては、細胞傷害性T細胞及びNK細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0125】
例示的な免疫療法剤としては、アザチオプリン、クロラムブシル、シクロホスファミド、シクロスポリン、ダクリズマブ、インフリキシマブ、メトトレキセート、タクロリムス、免疫刺激剤(例えば、IL-2、IL-4、IL-12、GM-CSF、腫瘍壊死因子;インターフェロンアルファ、ベータ、及びガンマ;F42K及び他のサイトカイン類似体;MIP-1、MIP-1β、MCP-1、RANTES、IL-8などのケモカイン;又はFLT3リガンドなどの成長因子)、抗原性ペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質、又は自己若しくは同種異系腫瘍細胞組成物(例えば、Ravindranath & Morton,International reviews of immunology,7.4(1991):303-329を参照)、ホルモン療法、副腎皮質ステロイド、プロゲスチン(例えば、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、及びメゲストロールアセテート)エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロール及びエチニルエストラジオール)、抗エストロゲン(例えば、プロピオン酸テストステロン及びフルオキシメステロン)、抗アンドロゲン(例えば、フルタミド)、及びゴナドトロピン刺激ホルモン類似体(例えば、ロイプロリド)が挙げられるが、これらに限定されない。追加の免疫療法剤は、当該技術分野で既知であり、例えば、Rosenberg et al,New England Journal of Medicine,319.25(1988):1676-1680、及びRosenberg et al,Annals of surgery,210.4(1989):474)に見出すことができる。
【0126】
本明細書に提供される治療剤は、広い用量範囲にわたって有効であり得、一般に、有効量で投与される。しかしながら、実際に投与される治療剤の量は、通常、撮像される状態、選択される投与経路、実際に投与される化合物、個々の対象の年齢、体重、及び応答、対象の症状の重症度などを含む関連する状況に応じて、医師によって決定されることが理解されるであろう。
【0127】
IV.グランザイムB撮像及び療法用キット
本開示には、グランザイムB撮像及び療法のためのキット(例えば、医薬品パック)も包含される。提供されるキットは、容器(例えば、バイアル、アンプル、ボトル、シリンジ、及び/又はディスペンサーパッケージ、又は他の好適な容器)を含んでもよく、本明細書に開示される薬学的組成物が配置されてもよい。いくつかの実施形態では、提供されるキットは、任意選択的に、薬学的組成物の希釈又は懸濁のための薬学的賦形剤を含む第2の容器を更に含み得る。いくつかの実施形態では、第1の容器及び第2の容器に提供される薬学的組成物を組み合わせて、1つの単位剤形を形成する。いくつかの実施形態では、このキットは、上記の併用療法の項目に記載されるように、本明細書に開示される1つ以上の追加の治療剤、例えば、抗炎症剤、ステロイド剤、免疫療法剤、化学療法剤、及び治療抗体を含む追加の容器を含み得る。
【0128】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載のキットは、キットに含まれる化合物又は組成物を使用するための説明書を更に含む。本明細書に記載されるキットは、米国食品医薬品局(FDA)などの規制庁によって必要とされる情報を含み得る。ある特定の実施形態では、キットに含まれる情報は、処方情報である。ある特定の実施形態では、キット及び説明書は、グランザイムBを撮像し、かつ/又はそれに関連する標的障害(例えば、本明細書に開示されるもの)のリスクを、それを必要とする対象において治療及び/又は低減するためのものである。本明細書に記載のキットは、別個の組成物として本明細書に記載の1つ以上の追加の薬剤を含み得る。
【0129】
代替的な実施形態
以下は、本開示の代替実施形態の説明である。以下の実施例は非限定的であり、本開示の有用性を例示するための例示的な実施形態を説明することを意味する。
【0130】
実施形態1:化合物、その立体異性体、又はその薬学的に許容される塩であって、化合物が、以下であり、
【化18】
式中、フッ素(F)が、任意選択的に放射性同位体であり、ヘミアセタール単位が、任意選択的に開鎖アルデヒド形態である、化合物、その立体異性体、又はその薬学的に許容される塩。
実施形態2:化合物Iが、以下の構造を有する、実施形態1に記載の化合物、その立体異性体、又はその薬学的に許容される塩。
【化19】
実施形態3:放射性同位体
18Fを含有する化合物が、以下の構造を有し、
【化20】
式中、ヘミアセタール単位が、任意選択的に開鎖アルデヒド形態である、実施形態1に記載の化合物、その立体異性体、又はその薬学的に許容される塩。
実施形態4:放射性同位体
18Fを含有する化合物が、以下の構造を有する、実施形態1に記載の化合物、その立体異性体、又はその薬学的に許容される塩。
【化21-1】
【化21-2】
実施形態5:化合物、その立体異性体、又はその薬学的に許容される塩であって、化合物が、以下であり、
【化22】
式中、ヘミアセタール単位が、任意選択的に開鎖アルデヒド形態である、化合物、その立体異性体、又はその薬学的に許容される塩。
実施形態6:化合物IIが、以下の構造を有する、実施形態5に記載の化合物、その立体異性体、又はその薬学的に許容される塩。
【化23】
実施形態7:実施形態5に記載の化合物、その立体異性体、又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物。
実施形態8:治療剤としての、実施形態5に記載の化合物、その立体異性体、又はその薬学的に許容される塩と、1つ以上の追加の治療剤と、を含む、併用療法。
実施形態9:1つ以上の追加の治療剤が、抗炎症剤、ステロイド、免疫療法剤、化学療法剤、及び治療抗体からなる群から選択される、実施形態8に記載の併用療法。
実施形態10:細胞又は組織、試料、細胞又は組織試料中のグランザイムBを撮像する方法であって、本方法が、細胞又は組織、試料、細胞又は組織試料を、実施形態1~6のいずれか1つに記載の化合物、その立体異性体、又はその薬学的に許容される塩と接触させることと、細胞又は組織、試料、細胞又は組織試料を好適な撮像技術で撮像し、それによって細胞又は組織、試料、細胞又は組織試料中のグランザイムBを撮像することとを含み、化合物が、放射性同位体
18Fを含有する、方法。
実施形態11:免疫調節異常の治療を必要とする対象におけるその治療方法であって、本方法が、該対象に、該免疫調節異常の治療に有効な量で、実施形態4に記載の化合物、その立体異性体、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
実施形態12:免疫調節異常が、自己免疫障害、炎症性障害、皮膚障害、がん、及び心血管障害からなる群から選択される、実施形態11に記載の方法。
実施形態13:免疫調節異常が、がんである、実施形態12に記載の方法。
実施形態14:免疫調節異常の治療を必要とする対象におけるその治療方法であって、本方法が、該対象に、免疫調節異常の治療に有効な量で、請求項7に記載の併用療法を投与することを含む、方法。
実施形態15:免疫調節異常が、自己免疫障害、炎症性障害、皮膚障害、がん、及び心血管障害からなる群から選択される、実施形態14に記載の方法。
実施形態16:免疫調節異常が、がんである、実施形態15に記載の方法。
実施形態17:対象における疾患の治療における免疫応答のモニタリング方法であって、本方法が、対象に、有効量の実施形態1の化合物、その立体異性体、又はその薬学的に許容される塩を投与することと、好適な撮像技術で対象を撮像することと、を含む、方法。
【0131】
更に詳述することなく、当業者は、上記の説明に基づいて、本発明を最大限に利用することができると考えられる。したがって、以下の特定の実施形態は、単に例示的なものとして解釈されるべきであり、いかなる方法においても本開示の残りの部分を限定するものではない。本明細書で引用される全ての刊行物は、本明細書で参照される目的又は主題に関して、参照により組み込まれる。
【0132】
実施例1:化合物7-Alの合成及び特性評価
【化24】
工程A:化合物7の合成。
【化25】
三環式アミノ酸カップリング及びFmoc脱保護:
DMF(43mL)中のFmoc-(2S,5S)-5-アミノ-1,2,4,5,6,7-ヘキサヒドロアゼピノ[3,2,1-Hi]インドール-4-オン-2-カルボン酸(2.5当量、1.23g、2.63mmol)の溶液を、焼成反応容器中のH-Asp(OtBu)-H NovaSyn TG樹脂(1.05mmol、樹脂結合、5g、0.21mmol/g)に添加した。次いで、DMF中のN,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(2.5当量、2.62mmol、1.8M)及びDMF中のエチルシアノグリオキサレート-2-オキシム(2.5当量、2.63mmol、0.9M)を添加し、混合物を周囲温度で一晩オービタルシェーカーに放置した。24時間後、混合物をシェーカーから除去し、溶媒を排出した。樹脂をDMF(3×50ml)で洗浄し、続いてジクロロメタン(3×50ml)で洗浄した。ニンヒドリン試験は陰性であった。樹脂を、DMF(30mL)中の20%ピペリジンで処理し、混合物をシェーカーテーブル上で30分間撹拌した。次いで、溶媒を排出し、樹脂をDMF(3×30mL)で洗浄した。樹脂を、DMF(30mL)中の20%ピペリジンで再び処理し、混合物をシェーカーテーブル上で30分間撹拌した。次いで溶媒を排出し、樹脂をDMF(3×50ml)、続いてジクロロメタン(3×50ml)で洗浄した。
【0133】
L-イソロイシンカップリング及びFmoc脱保護:
DMF(43mL)中の(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-L-イソロイシン(2.5当量、0.93g、2.63mmol)の溶液を、フリット化された反応容器中の前工程からの樹脂に添加した。次いで、DMF中のN,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(2.5当量、2.62mmol、1.8M)及びDMF中のエチルシアノグリオキサレート-2-オキシム(2.5当量、2.63mmol、0.9M)を添加し、混合物を周囲温度で一晩オービタルシェーカーに放置した。混合物をシェーカーから除去し、溶媒を排出した。樹脂をDMF(3×50ml)で洗浄し、続いてジクロロメタン(3×50ml)で洗浄した。ニンヒドリン試験は陰性であった。樹脂を、DMF(30mL)中の20%ピペリジンで処理し、混合物をシェーカーテーブル上で30分間撹拌した。次いで、溶媒を排出し、樹脂をDMF(3×30mL)で洗浄した。樹脂を、DMF(30mL)中の20%ピペリジンで再び処理し、混合物をシェーカーテーブル上で30分間撹拌した。次いで溶媒を排出し、樹脂をDMF(3×50ml)、続いてジクロロメタン(3×50ml)で洗浄した。
【0134】
Gly-Glyカップリング及びFmoc脱保護:
DMF(43mL)中の(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)グリシルグリシン(2.5当量、0.93g、2.63mmol)の溶液を、フリット化された反応容器中の前工程からの樹脂に添加した。次いで、DMF中のN,N’ジイソプロピルカルボジイミド(2.5当量、2.62mmol、1.8M)及びDMF中のエチルシアノグリオキサレート-2-オキシム(2.5当量、2.63mmol、0.9M)を添加し、混合物を周囲温度で一晩オービタルシェーカーに放置した。混合物をシェーカーから除去し、溶媒を排出した。樹脂をDMF(3×50ml)で洗浄し、続いてジクロロメタン(3×50ml)で洗浄した。ニンヒドリン試験は陰性であった。樹脂を、DMF(30mL)中の20%ピペリジンで処理し、混合物をシェーカーテーブル上で30分間撹拌した。次いで、溶媒を排出し、樹脂をDMF(3×30mL)で洗浄した。樹脂を、DMF(30mL)中の20%ピペリジンで再び処理し、混合物をシェーカーテーブル上で30分間撹拌した。次いで溶媒を排出し、樹脂をDMF(3×50ml)、続いてジクロロメタン(3×50ml)で洗浄した。
【0135】
L-Gluカップリング及びFmoc脱保護:
DMF(43mL)中に溶解した(2S)-5-tert-ブトキシ-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-5-オキソ-ペンタン酸(2.5当量、2.63mmol)の溶液を、フリット化された反応容器中の前工程からの樹脂に添加した。次いで、DMF中のN,N’ジイソプロピルカルボジイミド(2.5当量、2.62mmol、1.8M)及びDMF中のエチルシアノグリオキサレート-2-オキシム(2.5当量、2.63mmol、0.9M)を添加し、混合物を周囲温度で一晩オービタルシェーカーに放置した。混合物をシェーカーから除去し、溶媒を排出した。樹脂をDMF(3×50ml)で洗浄し、続いてジクロロメタン(3×50ml)で洗浄した。ニンヒドリン試験は陰性であった。樹脂を、DMF(30mL)中の20%ピペリジンで処理し、混合物をシェーカーテーブル上で30分間撹拌した。次いで、溶媒を排出し、樹脂をDMF(3×30mL)で洗浄した。樹脂を、DMF(30mL)中の20%ピペリジンで再び処理し、混合物をシェーカーテーブル上で30分間撹拌した。次いで溶媒を排出し、樹脂をDMF(3×50ml)、続いてジクロロメタン(3×50ml)で洗浄した。
【0136】
NODAキレートカップリング:
DMF(30mL)中の2-[4-[[4,7-ビス(2-tert-ブトキシ-2-オキソ-エチル)-1,4,7-トリアゾナン-1-イル]メチル]フェニル]酢酸(2当量、1.06g、2.10mmol)の溶液を、フリット化された反応容器中の前工程からの樹脂(約1.05mmol)に添加した。次いで、DMF中のN,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(2当量、2.10mmol、1.8M)及びDMF中のエチルシアノグリオキサレート-2-オキシム(2当量、2.10mmol、0.9M)を添加し、混合物を周囲温度で46時間オービタルシェーカーに放置した。混合物をシェーカーから除去し、溶媒を排出した。樹脂をDMF(3×20ml)で洗浄し、続いてジクロロメタン(3×20ml)で洗浄した。ニンヒドリン試験は陰性であった。材料を、週末にわたって周囲温度で真空オーブン内に保管した。
【0137】
樹脂からの最終的な切断:
前の工程の樹脂(約1.05mmol)を、トリフルオロ酢酸(10mL)及びジクロロメタン(30mL)の混合物で処理し、懸濁液をシェーカーテーブル上で一晩撹拌した。懸濁液をシェーカーテーブルから除去し、溶媒を排出した。樹脂をジクロロメタン(3×25mL)で洗浄し、次いで、窒素でブロー乾燥させた。次いで、樹脂を、一晩周囲温度で真空オーブンに放置した。樹脂を丸底フラスコに移し、トリフルオロ酢酸(0.6mL、8mmol)、水(24mL)、及びアセトニトリル(36mL)の混合物で処理した。懸濁液を穏やかに撹拌し、60℃で1時間加熱した。加熱した懸濁液を、真空濾過によって濾過し、樹脂を、水(24mL)及びアセトニトリル(36mL)の混合物で1回洗浄した。次いで、濾液を-78℃で凍結し、凍結乾燥させて、粗製ペプチドとして651.8mgの黄色の固体を得た。
【0138】
粗製ペプチドの精製:
H2O(1.0mL)及びアセトニトリル(0.4mL)中の0.1%ギ酸中の粗製ペプチド50mgの溶液を、綿プラグを通して濾過し、H2O(0.2mL)中の0.1%ギ酸ですすいだ。次いで、HPLC精製に供した(Phenomenex Gemni C18 RP-HPLC調製カラム、移動相としてH2O/アセトニトリル中の10~40%、0.1%ギ酸)。画分を収集し、凍結乾燥して、白色のふわふわの固体として化合物7(12mg)を得た。ES/MS m/z 1077.5(M+H)+
【0139】
工程B:化合物7-Alの合成
0.1MのNaOAc(5.5mL、0.11mmol)中の20mMのAlCl3及びH2O(1.1mL、2.0当量、0.11mmol)中の100mMのNaF中の化合物7(粗製ペプチド、50mg、約0.046mmol)の溶液を、最初に超音波処理した後、混合物を105℃に30分間加熱した。次いで、溶液を濾過し、直接HPLC精製に供した(Phenomenex Gemni C18 RP-HPLC調製カラム、移動相としてH2O/アセトニトリル中の0.1%ギ酸)。画分を収集し、凍結乾燥して、オフホワイトでふわふわの固体として化合物7-Al(1:1)(13mg)を得た。ES/MS m/z 1121.5(M+H)+
【0140】
Neptis Performでの化合物
18F-7-Alの放射線合成
【化26】
典型的な
18F-7-Alは、18~22%(pk2の場合のみ)及び約59%(pk1及びpk2を合わせた場合)の範囲であり、65±5分でNeptis Performで合成することができる。生成物放射化学的純度は、95%を超え、比活性は、497~2196GBq/umol(12~53mCi/μg)の範囲である。前駆体7[0.2mL、酢酸-酢酸ソジム緩衝液中2mg/mL(1.0mol/L、pH=3.5)]、塩化アルミニウム溶液(133μL、注射用水中2.4mM)及びアセトニトリル(677μL)で反応容器を予め充填した。[
18F]フッ化物(0.5~2.0Ci)活性を、Waters Sep-Pak Accell Plus QMAカーボネートプラスライトカートリッジに保持し(1カートリッジ当たり46mgの吸着剤、40μm粒径、Waters部品番号186004540、5mLの生理食塩水(USP)、続いて5mLの注射用水で予め処理)、次いで、生理食塩水(0.8mL、USP)で反応容器に溶出した。得られた混合物を15分間105℃に保ち、次いで60℃に冷却した。4.6mLの水(HPLCグレード)を反応容器に添加し、次いで、希釈した反応混合物を精製のために、セミ分取HPLCカラム(Agilent XDB-C18、9.4×250mm、部品番号990967-202)に充填した。精製条件を以下に列挙する。
1)ピーク2のみを調製する場合:
カラム-Agilent ZORBAX Eclipse XDB-C18(部品番号990967-202)、5μm、9.4mm×250mm
イソクラティック法--精製移動相:11%アセトニトリル、89%酢酸アンモニウム/水溶液(20mM)、流量=4mL/分、254nmでのUV。典型的なピーク収集範囲は約28~30分である。(
図1)。
2)ピーク1及びピーク2を合わせて調製する場合:
カラム-Agilent ZORBAX Eclipse XDB-C18(部品番号990967-202)、5μm、9.4mm×250mm
勾配法--精製移動相:20mM酢酸アンモニウム/水溶液中の8%アセトニトリルから20mM酢酸アンモニウム/水溶液中の20%アセトニトリルまで24分間、流量=4mL/分、254nmでのUV。典型的なピーク収集範囲は約20~22分である。(
図3)。
【0141】
次いで、収集した画分を、水溶液(約30mL)中の0.5%(w/v)アスコルビン酸ナトリウムで希釈し、Waters Sep-Pak C18 Plusライトカートリッジ(1カートリッジ当たり130mgの吸着剤、55~105μm、部品番号:023501、5.0mLのエタノール、続いて5mLの水で予め処理)に通し、カートリッジ上に保持された生成物を、水溶液(約15mL)中の0.5%(w/v)アスコルビン酸ナトリウムで洗浄し、次いで、0.9%塩化ナトリウム注射(USP)及びアスコルビン酸ナトリウム(USP、0.5%w/v)を含む最終生成物バイアル中に、1.5mLのEtOH(USP)で溶出した。次いで、C18カートリッジを、追加の3.5mLの0.9%塩化ナトリウム注射(USP)及びアスコルビン酸ナトリウム(USP、0.5%w/v)ですすぎ、10%v/vEtOH、及び0.5%w/vアスコルビン酸ナトリウムを含有する90%v/v0.9%生理食塩水として15.0mLの配合生成物を得る。
【0142】
滅菌生成物を調製するために、得られた生成物(10%v/vエタノール及び0.5%w/vアスコルビン酸ナトリウムを含有する90%v/v0.9%生理食塩水中の
18F-7-Al)を、0.22μmフィルター(例えば、Millipore部品番号SLGV033RSのMillex(登録商標)GV滅菌フィルター)を通してバルク製品バイアルに滅菌濾過する。HPLC分析のために、バルク製品バイアルから試料を取り出す。(
図2及び4)
【0143】
分析的HPLC条件:(
図2)
分析カラム:Waters Xbridge BEH C-18 3.5μm、4.6x100mm、流量=1.2mL/分、254nmでのUV。保持時間14~16分。
移動相組成:A:水中の20mM酢酸アンモニウム、B:アセトニトリル(HPLCグレード)
勾配:
【表3】
【0144】
分析的HPLC条件:(
図4)
分析カラム:Agilent ZORBAX Eclipse XDB-C18 4.6x150mm、部品番号993967-902、流量=1.5mL/分、254nmでのUV
勾配法--移動相:A:水中の20mM酢酸アンモニウム、B:アセトニトリル(HPLCグレード)
【表4】
【0145】
実施例2:グランザイムB結合活性の特性評価
上記化合物を、以下に提供されるヒトグランザイムB生化学アッセイを使用して試験した。
【表5】
【表6】
【0146】
化合物調製:
1.DMSOを各化合物バイアルに添加して、10mM化合物ストック溶液を作製し、-20℃で保存する。
2.10mMの化合物原液を解凍し、1mMのDMSOストック液を、45μlのDMSOを5μlの10mMの化合物ストック溶液に添加することによって調製する。
3.mMのDMSOストック溶液を、10μlの1mMのDMSOストックを21.6μlのDMSOに添加することによって連続的に希釈し(3.16倍)、十分に混合した。次いで、10μlの得られた溶液を21.6μlのDMSOに添加し、十分に混合する。このプロセスを継続して、384ウェルポリプロピレンプレート中のアッセイ標準阻害剤のための11の希釈点と試験化合物のための8の希釈点を作成する。
4.2μlの各希釈液をアッセイ準備プレートに分配する。
5.次いで、各ウェルを、アッセイ準備プレート中の2μlの化合物に48μlのアッセイ緩衝液を添加することによって25倍希釈し、化合物の作動ストックを作製する。
【0147】
酵素調製:
1.供給されたグランザイムB(ヒトリンパ球)酵素を1mg/ml(約31.25μM)に再構成し、1μlのアリコートを-80℃に保つ。
2.1μlのアリコートを、0.1%BSAを含有する49μlのアッセイ緩衝液を添加し、穏やかに混合することによって、625nMに希釈する。
3.10nMの酵素作動ストックを、0.1%BSAを含有するアッセイ緩衝液を添加することによって調製する。
【0148】
基質の調製:
1.供給された基質(Ac-IETD-AFC)を、DMSOを添加することによって再構成し、10mMのストックを作製し、アリコートし、-80℃で保管する。
2.4mMの基質ミッドストックを、DMSOを添加することによって調製する。
3.基質作動ストックすなわち800μMを、アッセイ緩衝液を添加することによって調製する。
【0149】
アッセイプロトコル:
1.10μlの連続希釈された化合物作動ストック(開始用量40μM)を、プレートマップに従って、アッセイ準備プレートからアッセイプレートに添加する。
2.陽性対照(40μMの標準阻害剤)及び陰性対照(4%DMSO緩衝液)をそれぞれのウェルに添加する。
3.20μlの酵素作動ストックをアッセイプレートに添加し、穏やかに混合する。
4.プレートを22℃で30分間インキュベートし、130gで1分間回転させる。
5.インキュベーション後、10μlの基質作動ストックをそれぞれのウェルに添加し、混合する(アッセイプレートを、基質添加後、暗所に維持する)。
6.プレートを22℃で60分間インキュベートし、130gで1分間回転させる。
7.蛍光読み取り(RFU)(励起:400nm/放出:505nm)を、En Vision Multimodeプレートリーダーで60分後に測定する。
【表7】
【0150】
データ分析:
1.RFUの読み取り値を、Microsoft Excelで陽性対照及び陰性対照をそれぞれ100%及び0%の効果として正規化することによって阻害パーセントを計算するように分析する。
2.分析したデータをGraphPad prism5.0ソフトウェアに入力し、各化合物のIC50値を取得することによって、グラフを生成する。
【0151】
以下の表6に、例示的な化合物の構造及び活性を示す。これらの化合物は、以下の表に含まれるそれらのIC
50値によって示されるように、グランザイムBを阻害することにおいて高い有効性を示した。
【表8】
【0152】
実施例3:例示的なグランザイムB標的化合物の合成
上記の合成方法を、以下の化合物の合成において以下の一般的なペプチド合成手順で使用し、各々の正確な質量を記録した。
一般的なペプチド合成手順:H-Asp(OtBu)-H樹脂を使用して、標準的なFmoc固相ペプチド合成手順に従ってペプチドを合成した。最終ペプチドを脱保護し、2工程の手順に従って樹脂から切断した。1)室温で2時間のトリフルオロ酢酸(TFA)又は室温で一晩のTFA/ジクロロメタン(DCM)のいずれかで処理し、次いで濃縮し、2)アセトニトリル/水(60:40)中の0.1%TFAで1時間60℃の処理。粗製ペプチドを濃縮又は凍結乾燥し、次いで、分取HPLC精製(水/アセトニトリル移動相中の0.1%ギ酸又は0.1%TFA)に供した。生成物含有画分を収集し、凍結乾燥して、白色のふわふわの固体としてペプチドを得た。
【化27】
ES/MS m/z 1091.5(M+H)
+.
【化28】
ES/MS m/z 1105.5(M+H)
+.
【化29】
ES/MS m/z 1234.7(M+H)
+.
【化30】
ES/MS m/z 948.4(M+H)
+.
【化31】
ES/MS m/z 891.5(M+H)
+.
【化32】
ES/MS m/z 1019.5(M+H)
+.
【化33】
ES/MS m/z 1020.5(M+H)
+.
【化34】
ES/MS m/z 963.5(M+H)
+.
【化35】
ES/MS m/z 963.5(M+H)
+.
【化36】
ES/MS m/z 977.5(M+H)
+
【化37】
ES/MS m/z 963.5(M+H)
+
【化38】
ES/MS m/z 1019.6(M+H)
+
【化39】
ES/MS m/z 1047.6(M+H)
+
【0153】
以下の一般的手順を使用して、以下の化合物を形成した。ペプチド前駆体及び撹拌棒を含有する反応バイアルに、0.1MのNaOAc(pH約4.5)中の20mMのAlCl
3及びH
2O中の100mMのNaFの当量の等価物(ペプチドに対して1.5~3.0当量)を添加した。次いで、アセトニトリル(全反応体積の0~34%)を添加した。混合物を、100℃に15~30分間加熱した。アセトニトリルを減圧下で除去し、水溶液をC18 ISCOカラム又はC18 HPLC予備カラム(溶出液として水及びアセトニトリル中で0.1%ギ酸を使用する)のいずれかによって精製した。適切な画分を収集し、凍結乾燥して、白色のふわふわの固体としてペプチドAlF複合体を得た。
【化40】
【0154】
一般的な手順に従って、1(60mg)を、白色のふわふわの固体として1-Al(1:1)(22mg)に変換した。ES/MS m/z 1135.4(M+H)
+
【化41】
【0155】
一般的な手順に従って、2(16mg)を、白色のふわふわの固体として2-Al(1:1)(8.6mg)に変換した。ES/MS m/z 1149.5(M+H)
+
【化42】
【0156】
一般的な手順に従って、18(15mg)を、白色のふわふわの固体として18-Al(1:1)(7.2mg)に変換した。ES/MS m/z 1278.5(M+H)
+
【化43】
【0157】
一般的な手順に従って、4(30mg)を、白色のふわふわの固体として4-Al(1:1)(22mg)に変換した。ES/MS m/z 935.4(M+H)
+
【化44】
【0158】
一般的な手順に従って、11(30mg)を、白色のふわふわの固体として11-Al(1:1)(15mg)に変換した。ES/MS m/z 1007.4(M+H)
+
【化45】
【0159】
一般的な手順に従って、9(30mg)を、白色のふわふわの固体として9-Al(1:1)(24mg)に変換した。ES/MS m/z 1007.4(M+H)
+
【化46】
【0160】
一般的な手順に従って、10(30mg)を、白色のふわふわの固体として10-Al(1:1)(24mg)に変換した。ES/MS m/z 1007.5(M+H)
+
【化47】
【0161】
一般的な手順に従って、17(30mg)を、白色のふわふわの固体として17-Al(1:1)(23mg)に変換した。ES/MS m/z 1021.5(M+H)
+
【化48】
【0162】
一般的な手順に従って、5(34mg)を、オフホワイトのふわふわの固体として5-Al(1:1)(25mg)に変換した。ES/MS m/z 1063.5(M+H)
+
【化49】
【0163】
一般的な手順に従って、6(30mg)を、白色のふわふわの固体として6-Al(1:1)(25mg)に変換した。ES/MS m/z 1064.5(M+H)
+
【化50】
【0164】
一般的な手順に従って、12(30mg)を、オフホワイトのふわふわの固体として12-Al(1:1)(16mg)に変換した。ES/MS m/z 1063.6(M+H)
+
【化51】
【0165】
一般的な手順に従って、13(31mg)を、オフホワイトのふわふわの固体として13-Al(1:1)(23mg)に変換した。ES/MS m/z 1091.5(M+H)
+
【化52】
【0166】
一般的な手順に従って、3(19mg)を、オフホワイトのふわふわの固体として13-Al(1:1)(9mg)に変換した。ES/MS m/z 992.5(M+H)+
【0167】
実施例4:放射線合成手順
標的化合物の一般的な放射線合成
典型的な18F-GZB化合物RCYは、0.5~2.0Ciの出発活性を使用して、合成時間75±10分で5.6~63%の範囲である。酢酸/酢酸ナトリウム水性緩衝液(例えば、200~400μL、1mol/L、pH3.0~5.0)、AlCl3・6H2O(例えば、34~82μg、100~240nmol)及びアセトニトリル(例えば、反応混合物全体積の25~50%)中の前駆体(例えば、0.2~0.6mg)を、反応バイアルに添加する。[18F]フッ化物活性を、処理した[5mLの0.9%生理食塩水、続いて5mLのWFI(注射用水)]アニオン交換樹脂(例えば、Sep-Pak Accell Plus QMAカーボネートプラスライトカートリッジ、1カートリッジ当たり46mgの吸着剤、40μm粒径、Waters部品番号186004540)で保持する。保持した[18F]フッ化物を、0.9%生理食塩水(例えば、0.5~0.8mL)によってカートリッジから反応バイアルに溶出させる。得られた混合物を一定時間(例えば15分)加熱(例えば、105℃)し、次いで水で希釈する前に冷却(例えば、60℃)する(例えば、1.0~5.0mL、HPLCグレード)。得られた粗製物を、精製のためにセミ分取逆相HPLCカラム(例えば、Agilent ZORBAX Eclipse XDB-C18、5μm、9.4mm×250mm、部品番号990967-202)に充填する(例えば、アセトニトリル水溶液(8~20%)を含む移動相、pH1~8)。精製した18F-GZB化合物を含有するHPLC画分を、0.5%w/vアスコルビン酸ナトリウム水溶液(例えば、30~50mL)で希釈し、次いで、処理した[5mLのエタノール(USPグレード)、続いて5mLの水(HPLCグレード)]逆相カートリッジ(例えば、Sep-Pak(登録商標)ライトC18カートリッジ、1カートリッジ当たり130mg吸着剤、55~105μm粒径、Waters部品番号WAT0523501)を通す。保持した18F-GZBを、0.5%w/vアスコルビン酸ナトリウム水溶液(例えば、5~15mL)で洗浄し、0.9%生理食塩水(例えば、6.0~10.0mL)中に0.5%w/vアスコルビン酸ナトリウムを含有する製剤バイアル中のエタノール(例えば、1.0~1.5mL)を使用してカートリッジから溶出させる。次いで、C18カートリッジを、0.9%生理食塩水(例えば、3.0~3.5mL)中の追加の0.5%w/vアスコルビン酸ナトリウムですすぎ、すすぎ液を、製剤バイアル内に収集する。一定量の希釈剤(10%v/vエタノール及び0.5%w/vアスコルビン酸ナトリウムを含有する90%v/v0.9%生理食塩水)を添加して、生成物の強度を調整することができる。
【0168】
滅菌生成物を調製するために、得られた生成物(10%v/vエタノール、及び0.5%w/vアスコルビン酸ナトリウムを含有する90%v/v0.9%生理食塩水中の18F-GZB)を、0.22μmフィルター(例えば、Millex(登録商標)GV滅菌フィルター、Millipore部品番号SLGV033RS、Millex GV25mm滅菌フィルター、Millipore部品番号SLGVV255F、及びMillex LG25mm滅菌フィルター、Millipore部品番号SLLG025SS)を通してバルク製品バイアルに濾過する。
【0169】
実施例5:競合結合アッセイ
目的:[18F]-20-Alを使用してヒトグランザイムBとの競合結合アッセイを行い、潜在的なグランザイムBリガンドのIC50値を決定する
材料:
11.グランザイムB(ヒトリンパ球)酵素:Enzo Lifesciences、カタログ番号ALX-200-602-C010
12.Millipore MultiScreenHTSFBプレート Millipore、カタログ番号MSFBN6B
13.Millipore MultiScreenHTS真空マニホールド Millipore、カタログ番号MSVMHTS00
14.Millipore MultiScreen(登録商標)パンチチップ Millipore、カタログ番号MADP19650
15.MultiScreen(登録商標)マルチパンチシステム Millipore、カタログ番号MAMP09608
16.96ウェル0.5mLのアッセイプレート Thermo Fisher、カタログ番号12-565-502
17.反応緩衝液(10mMのHEPES、150mMのNaCl、1mMのEDTA、0.01%BSA、pH7.4
【0170】
方法:
初期プレート調製(全結合及び非特異的結合を含む):
1.上述のように、78μLの反応緩衝液を96ウェルプレート中の各ウェルに添加する
2.総結合(競合の不在下での放射性リガンドの結合として定義される)を調べるために使用されるウェルに場合、2μLのDMSOを添加して、全てのウェルについて1%の最終DMSO濃度を得る。
3.非特異的結合(10μMの20-Alの存在下での放射性リガンドの結合として定義される)を調べるために使用されるウェルの場合、1mMの20-Alの2μLを添加して、10μMの最終濃度を得る。
【0171】
酵素の調製:
1.グランザイムB(GZB、ヒトリンパ球)を、上述のように反応緩衝液を使用して0.5μg/mLに希釈する
2.100μLの0.5μg/mLの希釈されたヒトGzBを各ウェルに添加し、ウェル当たり50ngを得、最終濃度は0.25μg/mLである。
【0172】
化合物の調製:
1.DMSO又は水をそれぞれの化合物バイアルに添加して、1mMの化合物ストック溶液を作製する
2.1mMの化合物ストック溶液を、40μLのDMSOに18.5μLの化合物ストックを添加し、ピペットで上下に混合し、18.5μLの混合物を40μLのDMSOに移すことによって、1/2対数(3.16倍)で連続希釈する。このプロセスを繰り返して、試験化合物の10の希釈点を作成する。
3.リガンド結合競合を調べるために使用されるウェルの場合、各希釈液2μLを上述のように調製した96ウェルプレートに分配し、1/100の更なる希釈液を得る。
【0173】
放射性リガンドの調製:
1.200nMの[18F]-20-Al(10倍放射性リガンドストック)を反応緩衝液中で調製し、20μLの溶液(入力)当たり約200万CPMを目指す。
2.20μLの放射性リガンドストックを各ウェルに分配し、ウェル当たり20nMの最終濃度を得る。
【0174】
インキュベーション条件、インキュベーション後の試料処理及びデータ分析:
1.全ての96ウェルは、200μLの最終体積を有し、アッセイプレートは、37℃で90分間インキュベートされる。
2.アッセイプレートからの全ての試料を、PBS緩衝液(pH7.4)に前浸し、真空マニホールドを使用して濾過したMultiScreen
HTSFBプレートに移す。追加の150μLのPBS緩衝液をアッセイプレートの各ウェルに添加し、残りの試料の移動を確実にするために組み合わせる。
3.MultiScreen
HTSFBプレートを150μLのPBS緩衝液で3回洗浄した。
4.全てのフィルターは分離され、MultiScreenパンチチップ及びMilliporeマルチパンチ装置を使用して個々のチューブに移す
5.試料セットを、[
18F]特異的プロファイルを介して、Wizard2480自動ガンマカウンター[Perkin Elmer]を使用して分析する。値を、1分当たりの減衰補正カウント(CPM)として報告する。
6.得られたCPM値は、以下の式によって正規化され、阻害%に変換される:
【数1】
*全結合画分は、かかるアッセイ条件下では、典型的には、添加された放射性リガンドの10%未満である。
【0175】
得られた阻害値%を、GraphPad Prism8.4.3というソフトウェアを使用して、1部位-Fit logIC50の式を使用してプロットし、各リガンドのIC50値を決定した。
Y=A+(B-A)/(1+10(x-LogIC50))
Y=阻害%
X=冷競合リガンドの対数濃度(M)
A=最小Y(0%)
B=最大Y(100%)
LogIC50=最小Y及び最大Yの中間での冷競合リガンド(M)の対数濃度
【0176】
結果:
以下の表7は、20-Alを用いた競合結合アッセイで測定されたIC
50値を列挙する。
【表9】
【0177】
実施例6:20-Alの合成
以下の合成手順を、化合物20、及び20-Alの調製に使用する。
【0178】
tert-ブチル2-[4-(2-tert-ブトキシ-2-オキソ-エチル)-1,4,7-トリアゾナン-1-イル]酢酸(20-a):
1,4,7-トリアゾナン(21.61g、167.3mmol、1.0当量)をクロロホルム(360ml)に溶解し、溶液をエタノール/氷浴中で-10℃に冷却した。次いで、クロロホルム(360mL)中に溶解させたtert-ブチル2-ブロモ酢酸(54.33ml、368.0mmol、2.2当量)を4時間にわたって滴下した。次いで、混合物をゆっくりと周囲温度に温めた。一晩周囲温度で撹拌した後、混合物を濾紙に注ぎ、濾液を真空下で減少させ、褐色油を得た。油を、溶媒として30分間にわたってメタノール/塩化メチレン中の3%~12%の7Nアンモニアを使用してシリカゲル上で精製し、生成物を褐色油として得た(16.53g、46.24mmol、28%)。HRMS:C18H35N3O4(M+H)+の場合の計算値357.2628、実測値357.2619。
【0179】
メチル2-[4-[[4,7-ビス(2-tert-ブトキシ-2-オキソ-エチル)-1,4,7-トリアゾナン-1-イル]メチル]フェニル]アセテート(20-b):
tert-ブチル2-[4-(2-tert-ブトキシ-2-オキソ-エチル)-1,4,7-トリアゾナン-1-イル]アセテート(16.53g、46.24mmol、1.0当量)及びメチル2-[4-(ブロモメチル)フェニル]アセテート(12.36g、50.86mmol、1.1当量)をアセトニトリル(300mL)中に合わせ、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(24.2ml、138.7mmol、3.0当量)を添加し、混合物を50℃で一晩加熱した。LCMSは、反応が完了したことを示し、混合物を周囲温度に冷却し、一晩撹拌した。次いで、溶媒を真空下で除去し、褐色油を得た。油をジクロロメタン(150ml)及び水(75ml)に分配した。水溶液を除去し、有機物を水(75mL)で洗浄し、ブライン(75mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、黄褐色泡を得た。泡を、SFCクロマトグラフィー(方法:Chiralcel OD-H-5X15cm、20%メタノール(0.5%N,N-ジメチルエチルアミン)/二酸化炭素、5ml/分、225nm)によって精製した生成物を含有する画分をプールし、真空下で濃縮して、琥珀色油(15.04g、28.94mmol、63%)を得た。HRMS:C28H45N3O6(M+H)+の場合の計算値519.3308、実測値519.3324。
【0180】
2-[4-[[4,7-ビス(2-tert-ブトキシ-2-オキソ-エチル)-1,4,7-トリアゾナン-1-イル]メチル]フェニル]酢酸(20-c):
メチル2-[4-[[4,7-ビス(2-tert-ブトキシ-2-オキソ-エチル)-1,4,7-トリアゾナン-1-イル]メチル]フェニル]アセテート(15.04g、28.94mmol、1.0当量)をテトラヒドロフラン(120ml)に溶解し、水酸化リチウム水溶液(28.94ml、57.88mmol、2.0当量、2M)を添加し、混合物を周囲温度で22.5時間撹拌した。次いで、溶媒を真空下で除去し、泡を得た。泡を水(40mL)に溶解し、2MのHClを使用してpHを約7に慎重に調整した。水溶液をジクロロメタン(100ml)で6回抽出し、有機化合物を合わせて残留物に還元した。残留物を3:1のクロロホルム/イソプロパノール(350mL)に取り込み、濁った溶液を濾紙に注いだ。濾液を真空下で還元し、周囲温度で一晩真空オーブンに放置し、黄色の固体(10.77g、21.30mmol、74%)を得た。HRMS:C27H43N3O6(M+H)+の場合の計算値505.3152、実測値505.3167。
【0181】
(9H-フルオレン-9-イル)メチル((3S,6S)-6-((((1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル)カルバモイル)-4-オキソ-1,2,3,4,6,7-ヘキサヒドロアゼピノ[3,2,1-hi]インドール-3-イル)カルバメート(20-d):
(3S,6S)-3-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-4-オキソ-1,2,3,4,6,7-ヘキサヒドロアゼピノ[3,2,1-hi]インドール-6-カルボン酸(8.0g、17.08mmol、1.0当量)、1H-トリアゾール-4-イルメタンアミン:塩酸塩(2.53g、18.78mmol、1.1当量)、及びHATU(7.79g、20.49mmol、1.2当量)をN,N-ジメチルホルムアミド(80mL)中で合わせ、次いでN,N-ジイソプロピルエチルアミン(10.4ml、59.77mmol、3.5当量)を添加した。混合物を周囲温度で一晩撹拌し、次いで、酢酸エチル(200ml)及びブライン(150ml)に分配した。水溶液を除去し、有機物をブライン(150mL)で2回洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮し、褐色油を得た。油を、3%~5%のメタノール/塩化メチレンの勾配を5.5分間使用してシリカゲル上で精製し、続いて5%のメタノール/塩化メチレンで3分間保持して、黄褐色固体(7.61g、13.90mmol、81%)として生成物を得た。HRMS:C31H28N6O4(M+H)+の場合の計算値548.2172、実測値548.2157。
【0182】
(3S,6S)-N-(((1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル)-3-アミノ-4-オキソ-1,2,3,4,6,7-ヘキサヒドロアゼピノ[3,2,1-hi]インドール-6-カルボキサミド(20-e):
(9H-フルオレン-9-イル)メチル((3S,6S)-6-(((1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル)カルバモイル)-4-オキソ-1,2,3,4,6,7-ヘキサヒドロアゼピノ[3,2,1-hi]インドール-3-イル)カルバメート(7.61g、13.9mmol、1.0当量)をテトラヒドロフラン(120mL)に溶解し、テトラヒドロフラン(35.0ml、70.0mmol、5.05当量)中のジメチルアミン(2mol/L)を添加し、混合物を周囲温度で一晩撹拌した。翌朝、溶媒を真空下で除去し、残留物をアセトニトリル中で超音波処理した。得られた懸濁液を周囲温度で2時間撹拌し、次いで、固体を真空濾過によって収集した。ケーキをアセトニトリルで洗浄し、2時間乾燥させ、次いで周囲温度で64時間にわたって真空オーブンに放置し、オフホワイト固体の生成物を得た(3.69g、11.3mmol、82%)。HRMS:C16H18N6O2(M+H)+の場合の計算値326.1491、実測値326.1482。
【0183】
tert-ブチル((2S,3S)-1-(((3S,6S)-6-((((1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル)カルバモイル)-4-オキソ-1,2,3,4,6,7-ヘキサヒドロアゼピノ[3,2,1-hi]インドール-3-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)カルバメート(20-f):
次いで、(3S,6S)-N-((1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル)-3-アミノ-4-オキソ-1,2,3,4,6,7-ヘキサヒドロアゼピノ[3,2,1-hi]インドール-6-カルボキサミド(3.69g、11.3mmol、1.0当量)、(2S,3S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ペンタン酸(3.14g、13.6mmol、1.2当量)及びHATU(5.16g、13.6mmol、1.2当量)を、N,N-ジメチルホルムアミド(50mL)中に合わせて、次いでN,N-ジイソプロピルエチルアミン(5.92ml、33.9mmol、3.0当量)を添加した。周囲温度で一晩撹拌を続けた。次いで、混合物を酢酸エチル(200ml)及びブライン(100ml)に分配し、水溶液を除去した。次いで、有機化合物をブライン(100mL)で2回洗浄し、真空下で還元し、黄褐色ゲルを得た。ゲルをクロロホルム中に溶解させ、精製のためにシリカゲル(40g)上で剥離した。5%メタノール/ジクロロメタンを溶媒として使用して、材料を330gのシリカゲルカラム上で精製し、6.0gの黄色の泡を得た。NMRは、材料が依然として残留DMFを含有していることを示した。材料をキシレン(100ml)に溶解し、溶媒を真空下で除去した。残留物をキシレン(100mL)中で更に2回共沸し、オフホワイト固体(5.55g、10.3mmol、91%)を得た。HRMS:C27H37N7O5(M+H)+の場合の計算値539.2856、実測値539.2851。
【0184】
(3S,6S)-N-(((1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル)-3-((2S,3S)-2-アミノ-3-メチルペンタンアミド)-4-オキソ-1,2,3,4,6,7-ヘキサヒドロアゼピノ[3,2,1-hi]インドール-6-カルボキサミド(20-g):
tert-ブチル((2S,3S)-1-(((3S,6S)-6-(((1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル)カルバモイル)-4-オキソ-1,2,3,4,6,7-ヘキサヒドロアゼピノ[3,2,1-hi]インドール-3-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)カルバメート(5.55g、10.3mmol、1.0当量)を塩化メチレン(50mL)に溶解し、次いで、トリフルオロ酢酸(15.6ml、206mmol、20.1当量)を添加した。周囲温度で2.5時間後のLCMSは、反応が完了したことを示した。溶媒を真空下で除去した。残留物を3:1のクロロホルム/イソプロパノール(180ml)及び飽和炭酸水素ナトリウム(100ml)の間で分配した。有機物を除去し、水溶液を3:1クロロホルム/イソプロパノール(100ml)で2回抽出した。次いで、有機化合物を混合し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空下で黄褐色固体(3.06g,6.96mmol,68%)に濃縮した。HRMS:C22H29N7O3(M+H)+の場合の計算値439.2332、実測値439.2328。
【0185】
tert-ブチル(2-((2-(((2S,3S)-1-(((3S,6S)-6-((((1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル)カルバモイル)-4-オキソ-1,2,3,4,6,7-ヘキサヒドロアゼピノ[3,2,1-hi]インドール-3-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)アミノ)-2-オキソエチル)アミノ)-2-オキソエチル)カルバメート(20-h):
(3S,6S)-N-((1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル)-3-((2S,3S)-2-アミノ-3-メチルペンタンアミド)-4-オキソ-1,2,3,4,6,7-ヘキサヒドロアゼピノ[3,2,1-hi]インドール-6-カルボキサミド(3.06g、6.96mmol、1.0当量)、2-[2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)アセチル]アミノ]酢酸(1.78g、7.66mmol、1.1当量)、及びHATU(2.91g、7.65mmol、1.1当量)を、N,N-ジメチルホルムアミド(50mL)中に合わせて、次いでN,N-ジイソプロピルエチルアミン(3.64ml、20.9mmol、3.0当量)を添加した。混合物を周囲温度で一晩撹拌し、次いで、酢酸エチル(200ml)及びブライン(100ml)に分配した。水溶液を除去し、次いで、有機物をブライン(100ml)で2回洗浄した。水性洗浄液を組み合わせて、3:1クロロホルム/イソプロパノール(100mL)で3回逆抽出した。全ての有機層を混合し、真空下で還元し、オフホワイトゲルを得た。ゲルをキシレン(100mL)に取り込み、溶媒を真空下で除去した。このプロセスを更に2回繰り返して、持続的なDMFを除去した。得られた残留物をクロロホルムに溶解し、精製のためにシリカゲル(40g)上で剥離した。材料を、溶媒として5%~10%のメタノール/ジクロロメタンを使用して330gのシリカゲルカラム上で35分かけて精製した。生成物を含有する画分をプールし、真空下で濃縮し、次いで周囲温度で一晩真空オーブンに放置し、オフホワイトの固体(3.50g、5.35mmol、77%)を得た。HRMS:C31H43N9O7(M+H)+の場合の計算値653.3285、実測値653.3270。
【0186】
(3S,6S)-N-((1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル)-3-((2S,3S)-2-(2-(2-アミノアセトアミド)アセトアミド)-3-メチルペンタンアミド)-4-オキソ-1,2,3,4,6,7-ヘキサヒドロアゼピノ[3,2,1-hi]インドール-6-カルボキサミドトリフルオロ酢酸塩(20-i):
tert-ブチル(2-((2-(((2S,3S)-1-(((3S,6S)-6-(((1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル)カルバモイル)-4-オキソ-1,2,3,4,6,7-ヘキサヒドロアゼピノ[3,2,1-hi]インドール-3-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)アミノ)-2-オキソエチル)-2-オキソエチル)カルバメート(3.50g、5.35mmol、1.0当量)を塩化メチレン(75mL)に懸濁し、次いでトリフルオロ酢酸(8.10ml 107mmol、20.0当量)を添加した。2.5時間のLCMSは、反応が完了したことを示した。溶媒を真空下で除去し、得られた油をトルエン中で超音波処理した。次いで、トルエンを真空下で除去した。トルエンとの共沸を更に2回繰り返し、次いで、材料を周囲温度で64時間にわたって真空オーブンに放置し、オフホワイト固体として生成物の定量的収率を得た(3.57g、5.35mmol、100%)。HRMS:C26H35N9O5(M+H)+の場合の計算値553.2761、実測値553.2775。
【0187】
ジ-tert-ブチル2,2’-(7-(4-(2-((2-((2S,3S)-1-(((3S,6S)-6-(((1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル)カルバモイル)-4-オキソ-1,2,3,4,6,7-ヘキサヒドロアゼピノ[3,2,1-hi]インドール-3-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)アミノ)-2-オキソエチル)アミノ)-2-オキソエチル)-2-オキソエチル)ベンジル)-1,4,7-トリアゾナン-1,4-ジイル)ジアセテート(20-j):
(3S,6S)-N-((1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル)-3-((2S,3S)-2-(2-アミノアセトアミド)アセトアミド)-3-メチルペンタンアミド)-4-オキソ-1,2,3,4,6,7-ヘキサヒドロアゼピノ[3,2,1-hi]インドール-6-カルボキサミドトリフルオロ酢酸塩(3.47g、5.20mmol、1.0当量)、及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(3.63ml、20.8mmol、4.0当量)を、N,N-ジメチルホルアミド(50mL)に合わせて、次いで2-[4-[4,7-ビス(2-tert-ブトキシ-2-オキソ-エチル)-1,4,7-トリアゾナン-1-イル]メチル]フェニル]酢酸(3.15g、6.23mmol、1.2当量)、続いてHATU(2.37g、6.23mmol、1.2当量)を添加した。混合物を周囲温度で一晩撹拌し、次いで、トルエン(150ml)で希釈した。溶媒を真空下で除去した。トルエンとの共沸を更に2回繰り返して、ジメチルホルムアミドを除去した。得られた油をジクロロメタン(200ml)に溶解し、シリカゲル上で剥離した。材料を、メタノール/ジクロロメタン中の10%(25分間保持)~20%(5分間にわたって)の7Nアンモニアを使用して、330gのシリカゲルカラム上で精製した。適切な画分をプールし、真空下で濃縮し、周囲温度で真空オーブンに64時間放置し、黄色の泡(4.27g、4.10mmol、79%)として生成物を得た。HRMS:C53H76N12O10(M+H)+の場合の計算値1040.5807、実測値1040.5825。
【0188】
(2,2’-(7-(4-(2-((2-((2S,3S)-1-(((3S,6S)-6-(((1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル)カルバモイル)-4-オキソ-1,2,3,4,6,7-ヘキサヒドロアゼピノ[3,2,1-hi]インドール-3-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)アミノ)-2-オキソエチル)アミノ)-2-オキソエチル)アミノ)-2-オキソエチル)ベンジル)-1,4,7-トリアゾナン-1,4-ジイル)二酢酸(20):
次いで、ジ-tert-ブチル2,2’-(7-(4-(2-((2-(((2S,3S)-1-((3S,6S)-6-(((1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル)カルバモイル)-4-オキソ-1,2,3,4,6,7-ヘキサヒドロアゼピノ[3,2,1-hi]インドール-3-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)アミノ)-2-オキソエチル)-2-オキソエチル)アミノ)-2-オキソエチル)ベンジル)-1,4,7-トリアゾナン-1,4-ジイル)ジアセテート(4.05g、3.89mmol、1.0当量)を1,4-ジオキサン(300ml)中に懸濁し、1,4-ジオキサン(24.3ml、97.2mmol、25.0当量)中の塩酸(4mol/L)を添加した。周囲温度で3時間後のLCMSは、モノtert-ブチル生成物の約10%を示した。次いで、混合物を50℃に加熱し、5時間で、LCMSは、所望の生成物の約56%、モノtert-ブチル生成物の約31%、及び残りの出発物質の約13%を示した。混合物を周囲温度に冷却し、副生成物の形成を防止するために一晩撹拌した。翌朝、混合物を再び50℃に加熱し、1日を通して定期的に監視した。8時間後のLCMSは、所望の生成物の約90%及びモノtert-ブチル生成物の約10%を示した。50℃での加熱を一晩続けた。翌朝、LCMSは、モノtert-ブチル生成物の約5.5%が残存していることを示した。1,4-ジオキサン(9.72ml、38.9mmol、10.0当量)中のより多くの塩酸(4mol/L)を添加し、3時間後のLCMSは、モノtert-ブチル生成物の約5.1%が残存したことを示した。次いで、温度を60℃に上げ、3時間加熱を続けた。次いで、混合物を油浴から除去し、氷浴中で冷却した。冷却時、ジエチルエーテルを添加し(450mL)、混合物を20分間撹拌した。次いで、固体を、焼結ガラス漏斗を通して真空濾過によって除去した。ケーキをジエチルエーテル(150mL)で5回洗浄し、次いで、50℃の真空オーブンに64時間放置した。材料を、10.1%のアセトニトリル/水(w/0.1%のギ酸)~26.2%のアセトニトリル/水(w/0.1%のギ酸)の勾配を使用して、8.6分間にわたって逆相フラッシュクロマトグラフィー(C18、275g、RediSep Gold)によって精製し、続いて26.2%のアセトニトリル/水(w/0.1%のギ酸)で4.8分間保持した。適切な画分をプールし、-78℃で凍結し、凍結乾燥して、オフホワイトのふわふわの固体として生成物を得た(2.29g、2.47mmol、63%)。HRMS:C
45H
60N
12O
10(M+H)
+の場合の計算値928.4555、実測値928.4580。
【化53】
20-Alを以下のように調製した。
【0189】
反応溶液の調製:
以下に示す試薬を用いて、バイアル又はボトル内で溶液を調製した。
H2O中1.0MのAcOH:
30mLのH2O中1.8gのAcOH(30mmol)
得られた溶液:S-092-1
H2O中1.0MのNaOAc:
30mLのH2O中2.46gのNaOAc
得られた溶液:S-092-2
H2O中0.20MのAlCl3:
30mLのH2O中1.45gのAlCl3-6H2O
得られた溶液:S-092-5
H2O中0.1MのNaOAc:
20mL1.0MのNaOAc溶液S-092-2
180mL H2O
得られた溶液:S-092-6
H2O中0.1MのAcOH:
20mL1.0MのAcOH溶液S-092-1
180mL H2O
得られた溶液:S-092-7
0.1MのNaOAc緩衝液中20mMのAlCl3:
40 mL 0.1M AcOH(S-092-7)
160 mL 0.1M NaOAc(S-092-6)
得られた溶液pH5.2 0.1MのNaOAc緩衝液+22mLの0.2MのAlCl3(S-092-5)
pH=4.47
得られた溶液:S-092-8
H2O中0.1MのNaF:
150mLx0.1M=15mmol
FW 42g/mol
150mLのH2O中0.63gのNaF
得られた溶液:S-092-9
【0190】
フッ化アルミニウム錯体化:
2,2’-(7-(4-(2-((2-(((2S,3S)-1-(((3S,6S)-6-(((1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル)カルバモイル)-4-オキソ-1,2,3,4,6,7-ヘキサヒドロアゼピノ[3,2,1-hi]インドール-3-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)アミノ)-2-オキソエチル)アミノ)-2-オキソエチル)アミノ)-2-オキソエチル)ベンジル)-1,4,7-トリアゾナン-1,4-ジイル)ジアセテート(化合物20)を9つのクリーンバイアルに予め量り入れた。反応は、以下の表8に示されるスケールで実施した。
【表10】
【0191】
フッ化アルミニウム錯化工程の代表手順:
化合物20(150mg、0.1615mmol)を充填した40mLの前洗浄バイアルに、0.1MのNaOAc(11.50mL、0.23mmol)中の20mM AlCl3及びH2O(1.5当量、0.24mmol)中の100mM NaFを添加した。次いで、懸濁液を超音波処理して溶液を得た。混合物を105℃に30分間加熱した。次いで、試料を、H2O及びCH3CN中の0.1%のHCOOHを使用して、C-18逆相クロマトグラフィー(C18、150g金)によって直接精製した。全てのクリーン画分を組み合わせ、凍結し、クリーンボトル内で凍結乾燥した。
【0192】
最終バッチ(化合物20-Al、バッチS-099)の組み合わせ及び分析:
全ての試料(S-096、S-097、及びS-098)を組み合わせて、単一の最終バッチを形成した。凍結乾燥後、1.23gの白色ふわふわの固体として化合物20-Al(バッチS-099)を得た。全体の収率は87.7%と算出した。19F NMR(376.45MHz、DMSO-d6)δ ppm:169.68.HRMS(m/z):観測値(M+H)+:973.4287、実験的モノアイソトピック質量:972.4215、理論的モノアイソトピック質量:972.4198(C45H59AlFN12O10の場合の計算値)。
【0193】
化合物
18F-20-Alの放射線合成
【化54】
前駆体(化合物20又はそのギ酸塩)、塩化アルミニウム(AlCl
3)、酸[酢酸(AcOH)又は塩酸(HCl)]、酢酸ナトリウム(NaOAc)、エタノール(EtOH)及び[
18F]フッ化物活性を反応バイアルに添加し、15分間105℃で保管した。次いで、粗反応物を、水[注射用水(WFI)又はイオンクロマトグラフィー用水(WIC)]で希釈した後、精製のためにセミ分取HPLCカラムに充填した。精製された化合物
18F-20-Alを含有するHPLC画分を、Sep-Pak(登録商標)ライトC18カートリッジを使用して、約3mMのリン酸塩及び/又は0.5%(w/v)のアスコルビン酸ナトリウム(NaAsc)を含有する0.9%の生理食塩水中の10%(v/v)EtOHの配合物に直接収集又は再構成した。化合物
18F-20-Alを合成する典型的な放射性化学収率(RCY)は、合成時間55~80分で22~56%(0.3~2.5Ci開始活性を使用して)で変化した。
【0194】
ORA Neptis放射線合成装置を用いた、化合物
18F-20-Alの放射線合成
反応バイアルに、WFI溶液中の71.5%(v/v)EtOHの1.4mL中に溶解した化合物20(0.35mg、376nmol)、及びAlCl
3水溶液[16mMのHCl溶液の0.5mL中に溶解したAlCl
3・6H
2Oの43μg(178nmol)]を添加した。Sep-Pak Accell Plus QMAカーボネートプラスライトカートリッジに保持した[
18F]フッ化物活性[(46mg、40μm、Waters部品番号186004540、5mLの0.32MのNaOAc溶液、続いて5mLのWFIで予め処理)]を、0.5mLの0.32M NaOAc溶液を用いて、前駆体及びAlCl
3を含有する反応バイアルに溶出した。得られた混合物を105℃で15分間加熱し、続いて60℃に冷却し、次いで希釈し、4.8mLのWFIでクエンチした。得られた粗反応混合物を、精製のためにセミ分取HPLCカラムに充填した(
図5A及び5B)。精製された化合物
18F-20-Alを含有するHPLC画分(20mL)を、6mLのリン酸緩衝生理食塩水及び117mgのNaAscを含有するバイアルに収集し、約3mmolのリン酸塩及び0.6mmolのNaAsc(総体積26mL)を含有する0.9%生理食塩水中の10%(v/v)のEtOHの溶液を得た。HPLC分析のために、生成物バイアルから試料を取り出した(
図6A及び6B)。化合物
18F-20-Al放射線合成の典型的なRCYは、合成時間が60±5分で40~56%(n=11、0.5~2.7Ci開始活性を使用)で変化した。
セミ分取HPLC条件:(
図5A及び5B)
【表11】
分析的HPLC条件:(
図6A及び6B)
【表12】
【0195】
GE TRACERlab FXF-Nによる、化合物18F-20-Alの放射線合成
[18F]フッ化物活性を、2mLの0.9%生理食塩水、続いて5mLのWIC、又は5mLの0.32M NaOAc溶液、続いて5mLのWFIのいずれかで予め処理した、Sep-Pak Accell Plus QMAカーボネートプラスライトカートリッジ[(46mg、40μm、Waters部品番号186004540)に保持した。保持した[18F]フッ化物を、0.8mLの0.32M NaOAc溶液又は0.9%生理食塩水(キレックスで予め処理)のいずれかを使用して、カートリッジから反応バイアルに溶出した。次いで、前駆体溶液A{100μLの1M AcOH/NaOAc水性緩衝液(pH4.1)及びAlCl3溶液[60μLの0.1M AcOH/NaOAc pH4緩衝液及び1mLのEtOH中の28.9μg(120nmol)のAlCl3・6H2O]中の0.25mg(196nmol)の化合物20-Al(TFA塩)}又は溶液B{150μLのWFI、90μLのWFI中のAlCl3・6H2OのAlCl3溶液43.4μg(180nmol)、80μLの1N HCl、110μLの1M NaOAc、及び1mLのEtOH中の0.38mg(298nmol)の化合物20-Al(TFA塩)}のいずれかを反応バイアルに添加し、得られた混合物を105℃で15分間加熱し、続いて60℃に冷却した後、3.5mLのWFI又はWICで希釈した。得られた粗反応混合物を、精製のためにセミ分取HPLCカラムに充填した。精製化合物18F-20-Alを含有するHPLC画分を、40mLの0.5%(w/v)NaAsc水溶液を含有するバイアルに収集し、Sep-Pak(登録商標)C18 Plus Lightカートリッジ(130mg、55~105μm、Waters部品番号WAT023501、5mLのEtOH、次いで5mLのWFIで予め処理した)に充填した。保持した化合物18F-20-Alを5mLの0.5%(w/v)NaAsc水溶液で洗浄し、1mLのEtOHを使用して、0.9%生理食塩水中の7mLの0.5%(w/v)NaAscを含有するバイアル中に溶出した。C18カートリッジを、0.9%生理食塩水中の0.5%(w/v)NaAscの追加の2mLですすぎ、0.9%生理食塩水中の10%(v/v)EtOH、0.45%(w/v)NaAscの10mLの最終溶液を得た。化合物18F-20-Al放射線合成の典型的なRCYは、合成時間が60±5分で22~44%(n=19、0.3~1.4Ci開始活性を使用)で変化した。
【0196】
化合物18F-20-Alのマニュアル放射線合成
8mLの反応バイアルに、1MのAcOH/NaOAc水性緩衝液(pH4.1)50μL中の化合物20(TFA塩)125μg(100nmol)、30μLのWFI中のAlCl3・6H2O14.5μg(60nmol)、及びEtOH又はアセトニトリル580μLを添加した。[18F]フッ化物活性を、2mLの0.9%生理食塩水、続いて5mLのWICで予め処理したSep-Pak Accell Plus QMAカーボネートプラスライトカートリッジ[(46mg、40μm、Waters部品番号186004540)]に保持した。保持した[18F]フッ化物を4mLのWICを使用してすすぎ、次いで0.5mLの0.18%生理食塩水(0.4mLのWICを0.1mLの0.9%生理食塩水と混合することによって調製)を使用してカートリッジから反応バイアルに溶出した。得られた混合物を105℃で15分間加熱し、次いで4.8mLのWICを添加する前に、部分的に冷却した(約2分)。得られた未精製物を、精製のために、ORA Neptis放射線合成装置上のセミ分取HPLCカラムに充填した。精製化合物18F-20-Alを含有するHPLC画分を、約30mLのWFIで希釈し、Sep-Pak(登録商標)C18プラスライトカートリッジ(130mg、55~105μm、Waters部品番号WAT023501、5mLのEtOH、次いで5mLのWFIで予め処理した)に充填した。保持した化合物18F-20-Alを10mLの0.5%(w/v)NaAsc水溶液で洗浄し、1.8mLのEtOHを使用して、0.9%生理食塩水中の10mLの0.5%(w/v)NaAscを含有するバイアル中に溶出した。C18カートリッジを、0.9%生理食塩水中の0.5%(w/v)NaAscの追加の3.5mLですすぎ、0.9%生理食塩水中の10%(v/v)EtOH、0.45%(w/v)NaAscの15mLの最終溶液を得た。化合物18F-20-Al放射線合成の典型的なRCYは、合成時間が75±5分で37~44%(n=3、0.3~0.6Ci開始活性を使用)で変化した。
【0197】
他の実施形態
本明細書に開示される全ての特徴は、任意の組み合わせで組み合わせされ得る。本明細書に開示される各特徴は、同じ、等価な、又は同様の目的を果たす代替の特徴によって置き換えられ得る。したがって、別途明示的に記載されない限り、開示される各特徴は、同等又は類似の特徴の一般的な一連の例にすぎない。
【0198】
更に、上記の説明から、当業者は、本開示の本質的な特徴を容易に確認することができ、その趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な用途及び条件に適応するように、本開示の様々な変更及び修正を行うことができる。したがって、他の実施形態も特許請求の範囲内である。
【国際調査報告】