(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-12
(54)【発明の名称】溶媒を精製するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
C07C 45/82 20060101AFI20230705BHJP
B01D 61/14 20060101ALI20230705BHJP
B01D 69/00 20060101ALI20230705BHJP
B01D 71/26 20060101ALI20230705BHJP
B01D 71/32 20060101ALI20230705BHJP
B01D 71/36 20060101ALI20230705BHJP
B01D 71/56 20060101ALI20230705BHJP
B01D 3/14 20060101ALI20230705BHJP
C07C 49/403 20060101ALI20230705BHJP
【FI】
C07C45/82
B01D61/14
B01D69/00
B01D71/26
B01D71/32
B01D71/36
B01D71/56
B01D3/14 A
C07C49/403 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022576552
(86)(22)【出願日】2021-06-09
(85)【翻訳文提出日】2023-02-09
(86)【国際出願番号】 US2021036552
(87)【国際公開番号】W WO2021252587
(87)【国際公開日】2021-12-16
(32)【優先日】2020-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514251329
【氏名又は名称】フジフイルム エレクトロニック マテリアルズ ユー.エス.エー., インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ユアン
(72)【発明者】
【氏名】ロメロ、エドゥアルド、ラミレス
(72)【発明者】
【氏名】ヒンジー、ブライアン
【テーマコード(参考)】
4D006
4D076
4H006
【Fターム(参考)】
4D006GA06
4D006GA07
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4D006KA53
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4H006AA02
4H006AB80
4H006AD11
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4H006BD82
(57)【要約】
本開示は、溶媒を精製する方法及びシステムに関する。精製溶媒は、例えば、多段階半導体製造プロセスにおいて、プリウェット液、溶液現像剤、及び洗浄剤として使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶媒を精製する方法であって、
前記有機溶媒を第1の蒸留塔で蒸留して中間有機溶媒を得ることであって、前記第1の蒸留塔が、前記第1の蒸留塔の高さの約80%~約100%である位置に配置された入口を有する、中間有機溶媒を得ることと、
前記中間有機溶媒を第2の蒸留塔に移送することであって、前記第2の蒸留塔が、前記第2の蒸留塔の高さの約0%~約30%の位置に配置された入口を有する、第2の蒸留塔に移送することと、
前記中間有機溶媒を前記第2の蒸留塔で蒸留して、蒸留済み有機溶媒を得ることと、
を含む方法。
【請求項2】
前記有機溶媒を前記第1の蒸留塔で蒸留することにより、前記有機溶媒の沸点より低い沸点を有する不純物を除去する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記中間有機溶媒を前記第2の蒸留塔で蒸留することにより、前記有機溶媒の沸点より高い沸点を有する不純物を除去する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記有機溶媒を前記第1の蒸留塔で蒸留する前に、前記有機溶媒を前記有機溶媒の沸点より少なくとも約20℃低い温度まで予熱することをさらに含み、前記予熱が、前記第1の蒸留塔の上流にあり、前記第1の蒸留塔と流体連通している予熱器によって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記有機溶媒を、前記第1の蒸留塔の上流の第1のフィルタユニットに通すことをさらに含み、前記第1のフィルタユニットが、第1のハウジングと前記第1のハウジング内の少なくとも1つの第1のフィルタとを備え、前記少なくとも1つの第1のフィルタが濾過媒体を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの第1のフィルタ内の前記濾過媒体は、ポリオレフィン、ポリアミド、フッ素樹脂、又はそれらの共重合体を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの第1のフィルタ内の前記濾過媒体は、ポリプロピレン又はポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第1のフィルタ内の前記濾過媒体は、約50nm~約250nmの平均孔径を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第1のフィルタは、粒子除去フィルタである、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記蒸留済み有機溶媒を、前記第2の蒸留塔の下流の第2のフィルタユニットに通すことをさらに含み、前記第2のフィルタユニットが、第2のハウジングと前記第2のハウジング内の少なくとも1つの第2のフィルタとを備え、前記少なくとも1つの第2のフィルタが濾過媒体を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの第2のフィルタ内の前記濾過媒体は、ポリオレフィン、ポリアミド、フッ素樹脂、又はそれらの共重合体を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの第2のフィルタ内の前記濾過媒体は、ナイロン又はポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの第2のフィルタ内の前記濾過媒体は、約2nm~約10nmの平均孔径を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの第2のフィルタは、粒子除去フィルタである、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記第2のフィルタユニットを出た前記有機溶媒を再循環させることをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記再循環させることが、前記第2のフィルタユニットを出た前記有機溶媒を蒸留済み溶媒タンクに移動させた後、前記有機溶媒を前記第2のフィルタユニットに通すことを含み、前記蒸留済み溶媒タンクが、前記第2の蒸留塔と前記第2のフィルタユニットとの間にあり、前記第2の蒸留塔及び前記第2のフィルタユニットと流体連通している、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記蒸留済み有機溶媒を、前記第2の蒸留塔の下流にあり、前記第2の蒸留塔と流体連通している製品容器に移動させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記有機溶媒が、シクロヘキサノン、乳酸エチル、酢酸n-ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、4-メチル-2-ペンタノール、又はプロピレンカーボネートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
第1の入口及び第1の出口を有する第1の蒸留塔であって、前記第1の入口は前記第1の蒸留塔の高さの約80%~約100%の位置に配置されている、第1の蒸留塔と、
前記第1の蒸留塔の下流にあり、第2の入口及び第2の出口を有する第2の蒸留塔であって、前記第2の入口は前記第1の出口と流体連通しており、前記第2の入口は、前記第2の蒸留塔の高さの約0%~約30%の位置に配置されている、第2の蒸留塔と、
を備えるシステム。
【請求項20】
予熱器をさらに備え、前記予熱器は、前記第1の蒸留塔の上流にあり、前記第1の蒸留塔と流体連通している、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記予熱器の上流にあり、前記予熱器と流体連通している第1のフィルタユニットをさらに備え、前記第1のフィルタユニットが、第1のハウジングと前記第1のハウジング内の少なくとも1つの第1のフィルタとを備え、前記少なくとも1つの第1のフィルタが濾過媒体を備える、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記少なくとも1つの第1のフィルタ内の前記濾過媒体は、ポリオレフィン、ポリアミド、フッ素樹脂、又はそれらの共重合体を含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記少なくとも1つの第1のフィルタ内の前記濾過媒体は、ポリプロピレン又はポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記少なくとも1つの第1のフィルタ内の前記濾過媒体は、約50nm~約250nmの平均孔径を有する、請求項21に記載のシステム。
【請求項25】
前記少なくとも1つの第1のフィルタは、粒子除去フィルタである、請求項21に記載のシステム。
【請求項26】
前記第2の蒸留塔の下流にある第2のフィルタユニットをさらに備え、前記第2のフィルタユニットが、第2のハウジングと前記第2のハウジング内の少なくとも1つの第2のフィルタとを備え、前記少なくとも1つの第2のフィルタが濾過媒体を備える、請求項19に記載のシステム。
【請求項27】
前記少なくとも1つの第2のフィルタ内の前記濾過媒体は、ポリオレフィン、ポリアミド、フッ素樹脂、又はそれらの共重合体を含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記少なくとも1つの第2のフィルタ内の前記濾過媒体は、ナイロン又はポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記少なくとも1つの第2のフィルタ内の前記濾過媒体は、約2nm~約10nmの平均孔径を有する、請求項26に記載のシステム。
【請求項30】
前記少なくとも1つの第2のフィルタは、粒子除去フィルタである、請求項26に記載のシステム。
【請求項31】
前記第2の蒸留塔と前記第2のフィルタユニットとの間にあり、前記第2の蒸留塔及び前記第2のフィルタユニットと流体連通する蒸留済み溶媒タンクをさらに備える、請求項19に記載のシステム。
【請求項32】
再循環ループをさらに備え、前記再循環ループが、前記第2のフィルタユニット及び前記蒸留済み溶媒タンクを備える、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記第2の蒸留塔の下流にあり、前記第2の蒸留塔と流体連通する製品容器をさらに備える、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年6月12日に出願された米国仮出願第63/038,463号の優先権を主張し、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、溶媒(例えば、有機溶媒)を精製するためのシステム及び方法に関する。特に、本開示は、高純度、低いウェハ上粒子数(on wafer particle count)、及び低いウェハ上金属数(on wafer metal count)を有する有機溶媒を得るために使用することができるシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体産業は、部品サイズの継続的な縮小から生じる、電子部品の集積密度の急速な向上を達成した。最終的に、より小さい部品のより多くを、所与の面積に集積することが可能になる。これらの改善は主に、新しい高精度かつ高解像度の加工技術の開発によるものである。
【0004】
高解像度集積回路(IC)の製造では、様々な処理液がベアウェハやフィルムコーティングされたウェハに接触する。例えば、微細な金属配線の製造は、一般に、基材をコーティングし、続いてプリウェット液をコーティングしてから、基材を複合液でコーティングしてレジスト膜を形成する手順を含む。これらの処理液は、独自の成分や様々な添加剤を含有しており、ICウェハの汚染源となることが知られている。
【0005】
ウェハのプリウェット液や現像液など、これらの薬液(chemical liquids)に微量の汚染物質が混入したとしても、得られる回路パターンに欠陥が生じ得ると考えられている。例えば、ごく微量の金属不純物が存在すると、半導体デバイスの性能や安定性を妨げ得ることが知られている。金属汚染物質の種類によっては、酸化物特性が劣化したり、不正確なパターンが形成されたり、半導体回路の電気的性能が損なわれたりし、ひいては製造歩留まりに悪影響を及ぼす虞がある。
【0006】
金属不純物、微粒子、有機不純物、水分などの不純物による汚染は、薬液の製造の様々な段階において、不用意に薬液に導入される可能性がある。例えば、原料に含まれる不純物、薬液の製造時に発生する副生成物や未反応の反応物、製造装置の表面や、輸送、貯蔵、反応に用いる容器設備、反応容器等から溶出、抽出される異物などが挙げられる。したがって、高精度でかつ超微細な半導体電子回路の製造に使用されるこれらの薬液から、不溶性及び可溶性の汚染物質を低減・除去することは、欠陥のないICを製造するための基本的な条件である。
【0007】
この観点から、超微細でかつ超精密な半導体電子回路の製造に不可欠な高純度の薬液を生成するためには、薬液の製造プロセス及びシステムの規格や品質を大幅に改善し、厳密に管理することが不可欠である。
【発明の概要】
【0008】
したがって、高精度な集積回路を形成するためには、超高純度の薬液が必要であり、これらの薬液の品質向上と管理が非常に重要となる。品質向上と管理の対象となる特定の重要なパラメータには、薬液及びウェハ上金属数の低減、薬液及びウェハ上粒子数の低減、ウェハ上の欠陥の低減、及び有機汚染物質の低減が含まれる。
【0009】
上記に鑑み、本開示は、半導体製造用の溶媒を製造するための精製システム及びそれを用いた溶媒(例えば、有機溶媒)の精製方法であって、前記溶媒中の粒子、金属不純物、有機不純物、残留水分の量を所定の範囲内に管理し、未知の物質及び不要な物質を発生又は導入することなく、超高純度の溶媒を製造する精製システム及び方法を提供する。そのため、残留欠陥やパーティクル欠陥の発生が抑制され、半導体ウェハの歩留まりが向上する。さらに、本発明者は、意外にも、低沸点有機不純物を除去するために第1の蒸留塔の高さの約80%~約100%の位置に配置された入口を有する第1の蒸留塔と、高沸点有機不純物を除去するために第2の蒸留塔の高さの約0%~約30%の位置に配置された入口を有する第2の蒸留塔と、を使用して有機溶媒を精製することにより、エネルギー効率を大幅に高めることができ、精製された有機溶媒を使用してウェハを処理するときに、ウェハ上金属数及びウェハ上粒子数を低減できることを見出した。さらに、本発明者は、意外にも、有機溶媒を蒸留する前に、有機溶媒の沸点よりも最大で約20℃低い温度で有機溶媒を予熱することによっても、本明細書に記載の精製方法の効率を大幅に改善し、溶媒を蒸留するのに必要なエネルギーを低減し、精製コストを低減できることを見出した。
【0010】
一態様では、本開示は、(1)有機溶媒を第1の蒸留塔で蒸留して中間有機溶媒を得ること、(2)中間有機溶媒を第2の蒸留塔に移すこと、及び(3)中間有機溶媒を第2の蒸留塔で蒸留して蒸留済み有機溶媒を得ることを含む、有機溶媒の精製方法(例えば、連続法)を特徴とする。第1の蒸留塔は、(例えば、低沸点有機不純物を除去するために)第1の蒸留塔の高さの約80%~約100%の位置に配置された入口を有する。第2の蒸留塔は、(例えば、高沸点有機不純物を除去するために)第2の蒸留塔の高さの約0%~約30%の位置に配置された入口を有する。
【0011】
別の態様では、本開示は、(1)第1の入口及び第1の出口を有する第1の蒸留塔と、(2)第1の蒸留塔の下流にあり、第2の入口及び第2の出口を有する第2の蒸留塔とを含むシステムを特徴とする。第1の入口は、(例えば、低沸点有機不純物を除去するために)第1の蒸留塔の高さの約80%~約100%の位置に配置される。第2の入口は、第1の出口と流体連通しており、第2の入口は(例えば、高沸点有機不純物を除去するために)第2の蒸留塔の高さの約0%~約30%の位置に配置されている。
【0012】
実施形態は、以下の特徴の1つ以上を含むことができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、第1の蒸留塔において有機溶媒を蒸留することにより、有機溶媒の沸点よりも低い沸点を有する不純物が除去される。いくつかの実施形態では、第2の蒸留塔において中間有機溶媒を蒸留することにより、有機溶媒の沸点よりも高い沸点を有する不純物が除去される。
【0014】
いくつかの実施形態では、本方法は、第1の蒸留塔において有機溶媒を蒸留する前に、有機溶媒を有機溶媒の沸点より少なくとも約20℃低い温度に予熱することをさらに含み、この予熱は、第1の蒸留塔の上流で、第1の蒸留塔と流体連通している予熱器によって行われる。
【0015】
いくつかの実施形態では、本方法は、第1の蒸留塔の上流の第1のフィルタユニットに有機溶媒を通すことをさらに含み、第1のフィルタユニットは、第1のハウジングと、第1のハウジング内の少なくとも1つの第1のフィルタとを含み、少なくとも1つの第1のフィルタは濾過媒体を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1のフィルタ内の濾過媒体は、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン)、ポリアミド(例えば、ナイロン)、フルオロポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン)、又はそれらの共重合体を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1のフィルタ内の濾過媒体は、約50nm~約250nmの平均孔径を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1のフィルタは粒子除去フィルタである。
【0016】
いくつかの実施形態では、本方法は、蒸留済み有機溶媒を、第2の蒸留塔の下流の第2のフィルタユニットに通すことをさらに含み、第2のフィルタユニットは第2のハウジングと、第2のハウジング内の少なくとも1つの第2のフィルタとを含み、少なくとも1つの第2のフィルタは濾過媒体を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第2のフィルタ内の濾過媒体は、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン)、ポリアミド(例えば、ナイロン)、フルオロポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン)、又はそれらの共重合体を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第2のフィルタ内の濾過媒体は、約2nm~約10nmの平均孔径を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第2のフィルタは粒子除去フィルタである。
【0017】
いくつかの実施形態では、本方法は、第2のフィルタユニットから出る有機溶媒を再循環させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、再循環は、第2のフィルタユニットを出た有機溶媒を蒸留済み溶媒タンクに移動させ、続いて有機溶媒を第2のフィルタユニットに通すことを含み、蒸留済み溶媒タンクは、第2の蒸留塔と第2のフィルタユニットとの間にあり、第2の蒸留塔及び第2のフィルタユニットと流体連通している。
【0018】
いくつかの実施形態では、本方法は、第2の蒸留塔の下流にあり、第2の蒸留塔と流体連通している製品容器に、蒸留済み有機溶媒を移動させることをさらに含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、有機溶媒は、シクロヘキサノン、乳酸エチル、酢酸n-ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、4-メチル-2-ペンタノール、又はプロピレンカーボネートを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、システムは、予熱器をさらに含み、予熱器は、第1の蒸留塔の上流にあり、第1の蒸留塔と流体連通している。
【0021】
いくつかの実施形態では、システムは、予熱器の上流にあり、予熱器と流体連通する第1のフィルタユニットをさらに含み、第1のフィルタユニットは、第1のハウジングと、第1のハウジング内の少なくとも1つの第1のフィルタとを含み、少なくとも1つの第1のフィルタは濾過媒体を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、システムは、第2の蒸留塔の下流に第2のフィルタユニットをさらに含み、第2のフィルタユニットは、第2のハウジングと、第2のハウジング内の少なくとも1つの第2のフィルタとを含み、少なくとも1つの第2のフィルタは濾過媒体を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、システムは、第2の蒸留塔と第2のフィルタユニットとの間にあり、第2の蒸留塔と流体連通している蒸留済み溶媒タンクをさらに含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、システムは、再循環ループをさらに含み、再循環ループは、第2のフィルタユニット及び蒸留済み溶媒タンクを含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、システムは、第2の蒸留塔の下流にあり、第2の蒸留塔と流体連通している製品容器をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による有機溶媒の精製方法において採用される精製システムの一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書で定義されるように、別段の記載がない限り、表記されるすべてのパーセンテージは、組成物の総重量に対する重量パーセントであると理解されるべきである。別段の記載がない限り、環境温度は、約16℃~約27℃と定義される。本明細書で言及される「溶媒(solvent)」という用語は、別段の記載がない限り、単一の溶媒又は2つ以上(例えば、3つ又は4つ)の溶媒の組み合わせを意味する。本開示において、組成物の総重量に基づいて、「ppm」は「百万分率」を意味し、「ppb」は「10億分率」を意味し、「ppt」は「1兆分率」を意味する。
【0028】
一般に、本開示は、溶媒(例えば、有機溶媒)を精製するためのシステム及び方法を特徴とする。本明細書における溶媒は、ウェハ処理液(例えば、プリウェット液、現像液、リンス液、洗浄液、又は剥離液)や、半導体製造プロセスで用いられる半導体材料用の溶媒として使用することが可能である。
【0029】
本開示の精製方法を適用される前に、溶媒は、望ましくない量の汚染物質及び不純物(有機不純物、金属不純物、粒子、及び水分など)を含有し得る。溶媒が本開示の精製方法によって処理された後、かなりの量の汚染物質及び不純物が溶媒から除去され得る。前処理された溶媒(pre-processed solvent)は、本開示において「未精製溶媒(unpurified solvent)」とも呼ばれる。前処理された溶媒は、自社で合成され得るし、供給業者からの購入を介して商業的に入手可能である。処理後の溶媒(post-processed solvent)は、本開示において「精製溶媒(purified solvent)」とも呼ばれる。「精製溶媒」は、予め定めた範囲内に限定された不純物を含み得る。
【0030】
一般に、本明細書に記載の溶媒は、アルコール、エーテル、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エステル、ケトン、又はカーボネートなどの、少なくとも1つ(例えば、2つ、3つ、又は4つ)の有機溶媒を含むことができる。好適な有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、n-プロパノール、2-メチル-1-プロパノール、n-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、n-ヘキサノール、シクロヘキサノール、2-メチル-2-ブタノール、3-メチル-2-ブタノール、2-メチル-1-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、2-メチル-1-ペンタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-メチル-3-ペンタノール、3-メチル-1-ペンタノール、3-メチル-2-ペンタノール、3-メチル-3-ペンタノール、4-メチル-1-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノール、2,2-ジメチル-3-ペンタノール、2,3-ジメチル-3-ペンタノール、2,4-ジメチル-3-ペンタノール、4,4-ジメチル-2-ペンタノール、3-エチル-3-ヘプタノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、2-メチル-2-ヘキサノール、2-メチル-3-ヘキサノール、5-メチル-1-ヘキサノール、5-メチル-2-ヘキサノール、2-エチル-1-ヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、トリメチルシクロヘキサノール、4-メチル-3-ヘプタノール、6-メチル-2-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノール、3-オクタノール、2-プロピル-1-ペンタノール、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール、2-ノナノール、3,7-ジメチル-3-オクタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、ブチルエチルエーテル、ブチルプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、tert-ブチルエチルエーテル、tert-ブチルプロピルエーテル、ジ-tert-ブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジイソアミルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテル、ブロモメチルメチルエーテル、α,α-ジクロロメチルメチルエーテル、クロロメチルエチルエーテル、2-クロロエチルメチルエーテル、2-ブロモエチルメチルエーテル、2,2-ジクロロエチルメチルエーテル、2-クロロエチルエチルエーテル、2-ブロモエチルエチルエーテル、(±)-1,2-ジクロロエチルエチルエーテル、2,2,2-トリフルオロエチルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アリルエチルエーテル、アリルプロピルエーテル、アリルブチルエーテル、ジアリルエーテル、2-メトキシプロペン、エチル-1-プロペニルエーテル、cis-1-ブロモ-2-エトキシエチレン、2-クロロエチルビニルエーテル、アリル-1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、メチルシクロヘキサン、デカリン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、クメン、sec-ブチルベンゼン、シメン、ジペンテン、ピルビン酸メチル、モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸n-ブチル、γ-ブチロラクトン、ジイソアミルエーテル、酢酸イソアミル、クロロホルム、ジクロロメタン、1,4-ジオキサン、ヘキシルアルコール、2-ヘプタノン、酢酸イソアミル、炭酸プロピレン、及びテトラヒドロフランが挙げられる。
【0031】
いくつかの実施形態では、溶媒はプリウェット液である。プリウェット液としては、例えば、シクロペンタノン(CyPe)、シクロヘキサノン(CyH)、モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGEE)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGPE)、乳酸エチル(EL)のうちの少なくとも1種が挙げられる。いくつかの実施形態では、溶媒は、酢酸n-ブチルなどの現像液、又は4-メチル-2-ペンタノール(MIBC)などのリンス液(rinsing liquid)であり得る。いくつかの実施形態では、溶媒は、イソプロピルアルコールなどのウェハ製造プロセスで使用されるリンス溶媒(rinse solvent)であり得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、前処理された又は未精製の有機溶媒は、最大で約99.95%(例えば、最大で約99.5%、最大で約99%、最大で約98%、最大で約97%、最大で約96%、又は最大で約95%)の純度を有することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法から得られる後処理又は精製された有機溶媒は、少なくとも約99.99%(例えば、少なくとも約99.995%、少なくとも約99.999%、少なくとも約99.9995%、少なくとも約99.9999%、又は100%)の純度を有することができる。本明細書で言及されるように、「純度」は、液体の総重量における溶媒の重量パーセントを意味する。液体中の有機溶媒の含有量は、ガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS)装置(例えば、加熱脱着(TD:thermal desorption)GC-MS装置)を用いて測定することができる。
【0033】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される溶媒の沸点は、半導体チップの製造歩留まりを向上させる点から、最大で約200℃(例えば、最大で約175℃、又は最大で約150℃)であるか、又は少なくとも約50℃(例えば、少なくとも約75℃、又は少なくとも約100℃)である。例えば、溶媒がシクロヘキサノンである場合、その沸点は約155.6℃である。本開示において、沸点とは、1気圧で測定される沸点を意味する。
【0034】
一般に、前処理された有機溶媒に含まれる不純物は、金属不純物、粒子、及びその他の不純物(有機不純物や水分など)を含むことができる。
【0035】
本明細書で説明されるように、金属不純物は、固体の形態(例えば、金属単体、粒子状金属含有化合物など)であり得る。いくつかの実施形態では、金属不純物は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、典型金属(main group metals)、遷移金属、及びランタノイド金属からなる群から選択される金属を含むことができる。一般的な金属不純物の例としては、銅(Cu)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、鉛(Pb)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)などの重金属や、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)などのアルカリ金属やアルカリ土類金属が挙げられる。金属の種類に応じて、金属不純物は、酸化物の完全性を劣化させ、MOSゲートスタックを劣化させ、デバイスの寿命を短くする可能性がある。いくつかの実施形態では、前処理された溶媒中の各金属成分の含有量は、約0.1ppt~約2000ppt(例えば、約200ppt~約1000ppt、又は約500ppt~約1000ppt)の範囲である。
【0036】
本明細書に記載の方法によって精製された有機溶媒において、全微量金属含有量は、質量が0(例えば、少なくとも約1ppt、少なくとも約5ppt、又は少なくとも約10ppt)から、最大で約200ppt(例えば、最大で約180ppt、最大で約160ppt、最大で約150ppt、最大で約140ppt、最大で約120ppt、最大で約100ppt、最大で約50ppt、又は最大で約20ppt)までの予め定めた範囲内にあることが好ましく、各微量金属(例えば、Fe、Ni、Cr、Zn、Cu、K、Na、またはCa)の含有量は、質量が、0(例えば、少なくとも約1ppt、少なくとも約2ppt、又は少なくとも約3ppt)から、最大で約20ppt(最大で約15ppt、最大で約10ppt、最大で約8ppt、最大で約6ppt、最大で約5ppt、最大で約4ppt、最大で約3ppt、又は最大で約2ppt)までの予め定めた範囲内にあることが好ましい。
【0037】
本開示では、0.03μm以上のサイズを有する物質を「粒子」又は「微粒子」と呼ぶことにする。粒子の例としては、塵埃、汚れ、有機固形物、及び無機固形物が挙げられる。粒子はまた、金属原子がコロイド化した不純物を含むことができる。コロイド化しやすい金属原子の種類は、特に限定されず、Na、K、Ca、Fe、Cu、Mg、Mn、Li、Al、Cr、Ni、Zn及びPbからなる群から選択される少なくとも1つの金属原子を含むことができる。本明細書に記載の方法によって精製された有機溶媒において、0.03μm以上(例えば、0.05μm以上)のサイズを有する粒子の総数は、溶媒1ml当たり最大で約50個(最大で約40個、最大で約20個、最大で約10個、最大で約5個、最大で約1個、又は0個)の予め定めた範囲内であることが好ましい。なお、液体媒体中の「粒子」の数は、光散乱式の液中パーティクルカウンタによって計測することができ、液中粒子数(LPC:liquid particle count)と呼ばれる。
【0038】
本明細書において、有機不純物とは、有機溶媒とは異なり、有機溶媒と有機不純物とを含む液体の総質量に対して5000質量ppm以下の含有量で含まれる有機物を意味する。有機不純物は、クリーンルーム内であっても環境空気中に存在する揮発性の有機化合物であり得る。有機不純物のいくつかは、輸送及び保管設備に由来するものもあれば、最初から原料中に存在しているものもある。有機不純物の他の例としては、有機溶媒を合成する際に生じる副生成物及び/又は未反応の反応物(unreacted reactant)が挙げられる。有機不純物としては、例えば、脂肪族炭化水素(例えば、炭素数8以上のC8~C24アルカン又はアルケン)、芳香族炭化水素、エーテル、エステル、及びアルデヒドが挙げられる。
【0039】
なお、精製有機溶媒中の有機不純物の総含有量は、特に限定されない。半導体デバイスの製造歩留まりを向上させる点から、有機不純物の総含有量は、精製有機溶媒の最大で約500ppm(例えば、最大で約400ppm、最大で約300ppm、最大で約200ppm、最大で約100ppm、最大で約50ppm、最大で約20ppm、最大で約10ppm)であり、及び/又は少なくとも約1ppm(少なくとも約10ppm、又は少なくとも約100ppm)であり得る。いくつかの実施形態では、精製有機溶媒は、微量(例えば、最大で約1ppm)の任意の測定可能な有機不純物を有する。本明細書に記載の溶媒中の有機不純物の含有量は、ガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS)装置(例えば、加熱脱着(TD)GC-MS装置)を使用することによって測定することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、水分又は水分含有量の総量は、精製有機溶媒の最大で約500ppm(例えば、最大で約300ppm、最大で約200ppm、最大で約100ppm、最大で約50ppm)であり、及び/又は少なくとも約10ppm(例えば、少なくとも約50ppm、少なくとも約100ppm、又は少なくとも約150ppm)であり得る。いくつかの実施形態では、精製有機溶媒は、水分を含まない。本明細書に記載される溶媒中の水分又は水分含有量は、容量式又は電量式のカールフィッシャー滴定装置を使用して測定することができる。
【0041】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による精製システムの構成を示す概略図である。
図1に示すように、精製システム100は、原料供給容器1、第1のフィルタユニット2、原料タンク3、ポンプ4、予熱器5、第1の蒸留塔6、凝縮器6a、リボイラー6b、ポンプ7、第2の蒸留塔8、凝縮器8a、リボイラー8b、蒸留済み溶媒タンク9、ポンプ10、熱交換器11、第2のフィルタユニット12a、第3のフィルタユニット12b、及び製品容器13を含み、これらはすべて互いに流体連通している(例えば、1つ以上の配管(pipes)又は導管(conduits)を介して)。精製システム100では、蒸留済み溶媒タンク9、ポンプ10、熱交換器11、第2のフィルタユニット12a、及び第3のフィルタユニット12bは任意であってもよく、任意選択の再循環導管(recirculation conduit)150を介して互いに流体連通して再循環ループを形成することができる。一般に、精製システム100は、
図1に示されていない他の構成要素(ポンプ、温度制御ユニット、供給ポート、流出ポート、又はバルブなど)を含むことができる。
【0042】
一般に、原料供給容器1は、出発原料(例えば、前処理された又は未精製の有機溶媒)を保持又は移送するように構成されている。出発原料を精製システム100によって処理することにより、望ましくない汚染物質(例えば、微粒子、有機不純物、金属不純物、及び水分)の数が予め定めた範囲内に制限された精製有機溶媒を製造又は生産することが可能である。原料供給容器1の種類は、精製システム100の他の構成要素に出発原料を連続的又は断続的に供給するものであれば、特に限定されない。いくつかの実施形態では、原料供給容器1は、固定タンク又は移動タンクなどのタンクであり得る。いくつかの実施形態では、原料供給容器1は、原料収容タンク、レベルゲージなどのセンサ(図示せず)、ポンプ(図示せず)、及び/又は出発原料の流れを制御するためのバルブ(図示せず)を含むことができる。
【0043】
精製システム100は、少なくとも1つ(例えば、2つ又は3つ)の蒸留前フィルタユニットと、少なくとも1つ(例えば、2つ又は3つ)の蒸留後フィルタユニットとを含むことができる。一般に、蒸留前フィルタユニットは、蒸留前に出発原料(例えば、未精製の有機溶媒)の初期濾過を行って大きな粒子を除去し、蒸留後フィルタユニットは、蒸留後に濾過を行って残留不純物(例えば、金属又は有機不純物)及び微粒子を除去して、超高純度の有機溶媒を得る。いくつかの実施形態では、蒸留前フィルタユニット及び蒸留後フィルタユニットの各々は、フィルタハウジングと、フィルタハウジング内の1つ以上のフィルタ(例えば、1~20個のフィルタ)とを含むことができる。例えば、
図1に示される精製システム100は、1つの蒸留前フィルタユニット(すなわち、第1のフィルタユニット2)と、2つの蒸留後フィルタユニット(すなわち、第2のフィルタユニット12a及び第3のフィルタユニット12b)とを含む。
図1に示す第1の蒸留塔6及び第2の蒸留塔8は、一般に、有機及び金属不純物及び粒子の大部分を除去するために使用される。
【0044】
いくつかの実施形態では、精製システム100の各フィルタユニットは、フィルタハウジングと、フィルタハウジング内の1つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又は7つ)のフィルタとを含むことができる。各フィルタは、適切な材料から作製され、適切な平均孔径を有する濾過媒体を含むことができる。フィルタは、フィルタハウジング内に、並列又は直列に配置することができる。使用中、2つのフィルタがフィルタハウジング内に並列に配置されている場合、精製される溶媒はこれらの2つのフィルタを並行に(すなわち、実質的に同時に)通過する。一方、2つのフィルタが直列に配置されている場合、精製される溶媒は、使用中にこれら2つのフィルタを順次通過する。いくつかの実施形態では、いくつかのフィルタユニットは、フィルタハウジング内に並列に複数のフィルタを含むことができ、それにより全体の流量を増加させ、容量を向上させることができる。
【0045】
例えば、
図1に示す精製システム100は、3つのフィルタユニット(すなわち、ユニット2、6、及び8)を含み、それらの各々は、フィルタハウジングと、フィルタハウジング内の1つ以上のフィルタとを含む。他の実施形態では、精製システム100は、
図1に示す3つのフィルタユニットに加えて、他の精製モジュールを含むこともできる。
【0046】
図1を参照すると、フィルタユニット2、6、及び8は、機能又は特性が異なり、異なる精製処理を提供することができる。いくつかの実施形態では、各フィルタユニットは、粒子除去フィルタ、イオン交換フィルタ、及びイオン吸着フィルタからなる群から独立して選択することができる。いくつかの実施形態では、フィルタユニット2、6、及び8の各々の中に収容されるフィルタは、同一又は類似の精製機能、物理化学的特性、細孔サイズ、及び/又は構造材料を有することができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、精製システム100は、原料供給容器1と第1の蒸留塔6との間に、原料供給容器1と第1の蒸留塔6とを流体連通している少なくとも1つ(例えば、2つ又は3つ)の第1のフィルタユニット2を含むことができる。第1のフィルタユニット2は、フィルタハウジングと、フィルタハウジング内の少なくとも1つ(例えば、2つ、3つ、4つ、又は5つ)のフィルタとを含むことができる。いくつかの実施形態では、第1のフィルタユニット2が2つ以上のフィルタを含む場合、これらのフィルタは、流量及び容量を向上させるために並列に配置することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、第1のフィルタユニット2内のフィルタは、有機溶媒から比較的大きな粒子を除去するための粒子除去フィルタとすることができる。いくつかの実施形態では、第1のフィルタユニット2のフィルタは、最大で約0.25μm、すなわち、最大で約250nm(例えば、最大で約240nm、最大で約220nm、最大で約200nm、最大で約180nm、最大で約160nm、最大で約150nm)であり、及び/又は少なくとも約0.05μm、すなわち少なくとも約50nm(例えば、少なくとも約60nm、少なくとも約70nm、少なくとも約80nm、少なくとも約90nm、少なくとも約100nm、少なくとも約110nm、少なくとも約120nm、少なくとも約130nm、少なくとも約140nm、又は少なくとも約150nm)の平均孔径を有する濾過媒体を含むことができる。上記範囲内であれば、第1フィルタユニット2におけるフィルタの目詰まりを抑制しつつ、有機溶媒に含まれる不純物や凝集物等の異物を確実に除去することができる。
【0049】
第1のフィルタユニット2内のフィルタにおける濾過媒体の好適な材料の例としては、フッ素樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシアルカンポリマー(PFA)、又は変性ポリテトラフルオロエチレン(MPTFE))、ナイロン等のポリアミド(例えば、ナイロン6又はナイロン66)、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン(高密度及び超高分子量樹脂を含む)、又はそれらの共重合体が挙げられる。例えば、粒子除去フィルタ内の濾過媒体は、ポリプロピレン(例えば、高密度ポリプロピレン)、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、又は超高分子量ポリエチレン(UPE))、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン、又はペルフルオロアルコキシアルカンポリマーからなる群から選択される少なくとも1つのポリマーから作製することができる。上記の材料からなるフィルタは、残留欠陥やパーティクル欠陥の原因となりやすい異物(例えば、極性の高いもの)を効果的に除去することができ、有機溶媒中の金属成分の含有量を効率的に低減させることができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、第1のフィルタユニット2は、直列に配置された2つ、3つ、又は4つのフィルタであって、約50nm~200nmの平均孔径を有し、ポリプロピレン又はポリテトラフルオロエチレンから作製された濾過媒体を含むフィルタを含むことができる。
【0051】
理論にとらわれるものではないが、約50nmの平均孔径を有し、ポリテトラフルオロエチレンから作製された濾過媒体を含む1つ以上のフィルタを使用すると、本明細書に記載される精製溶媒のウェハ上金属数(on-wafer metal count)及びウェハ上粒子数(on-wafer particle count)を大幅に低減することができると考えられる。理論にとらわれるものではないが、フッ素樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン)から作製される濾過媒体を含むフィルタは、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン)から作製される濾過媒体を含むフィルタよりも少ないウェハ上粒子を生じ得ると考えられる。
【0052】
いくつかの実施形態では、精製システム100は、任意選択で、第1のフィルタユニット2と第1の蒸留塔6との間にあり、第1のフィルタユニット2及び第1の蒸留塔6と流体連通している原料タンク3を含むことができる。原料タンク3の種類は、第1フィルタユニット2で濾過された溶媒を保持できるものであれば、特に限定されない。理論にとらわれるものではないが、原料タンク3は、精製プロセスの残りの工程のために十分な原料(例えば、溶媒)を供給し、精製を連続プロセスとして維持することができると考えられる。
【0053】
いくつかの実施形態では、精製システム100は、原材料タンク3と第1の蒸留塔6との間にあり、原材料タンク3及び第1の蒸留塔6と流体連通しているポンプ4及び予熱器5を含むことができる。使用中、ポンプ4は、原料タンク3内の溶媒を予熱器5に供給して予め定めた温度に加熱し、次いで第1の蒸留塔6に供給することができる。本明細書で使用されるように、ポンプ4は、計量ポンプ又はダイヤフラムポンプなどの、動作温度で液体を移送又は供給するための任意の適切なポンプであり得る。
【0054】
一般に、予熱器5は、任意の適切な加熱装置とすることができる。予熱器の例としては、熱交換器、電気ヒータ、蒸気ヒータ、又は鉱油系ヒータが挙げられる。一般に、予熱器5は、有機溶媒を所望の温度に加熱することができる。いくつかの実施形態では、予熱器5は、有機溶媒を、有機溶媒の沸点よりも、少なくとも約20℃(例えば、少なくとも約19℃、少なくとも約18℃、少なくとも約17℃、少なくとも約16℃、又は少なくとも約15℃)低い温度から、最大で約10℃(例えば、最大で約11℃、最大で約12℃、最大で約13℃、最大で約14℃、又は最大で約15℃)低い温度までに加熱することができる。例えば、精製対象の有機溶媒がシクロヘキサノン(沸点155.6℃)である場合、予熱器5は、有機溶媒を少なくとも約135℃(例えば、少なくとも約136℃、少なくとも約137℃、少なくとも約138℃、少なくとも約139℃、又は少なくとも約140℃)から、最大で約145℃(例えば、最大で約144℃、最大で約143℃、最大で約142℃、最大で約141℃、又は最大で約140℃)までの温度に加熱することができる。理論にとらわれるものではないが、有機溶媒を上記温度に予熱することにより、第1の蒸留塔6からの低沸点有機不純物の除去を容易にし、精製プロセスを連続的に実施することを可能にし、精製プロセスの効率及び生産性を向上させることができると考えられる。さらに、理論にとらわれるものではないが、有機溶媒が高すぎる温度(例えば、その沸点より10℃以内で低い温度)に予熱される場合、温度オーバシュート及び装置の損傷(例えば、熱交換器内の加熱要素の損傷)、製品収率の低下(例えば、第1の蒸留塔6の上部からの蒸留によって、一定量の有機溶媒が、低沸点有機不純物と共に除去され得る)、及び不安定な連続精製プロセスをもたらし得ると考えられる。一方、理論にとらわれるものではないが、有機溶媒が低すぎる温度(例えば、その沸点より20℃以上低い温度)に予熱される場合、第1の蒸留塔6に入る有機溶媒は、温度が低すぎる可能性があり、継続する蒸留プロセスを中断する可能性があり、これは精製プロセスの全体的な効率を低下させることになると考えられる。
【0055】
いくつかの実施形態では、精製システム100は、少なくとも2つ(例えば、3つ又は4つ)の蒸留塔を含む。例えば、
図1に示すように、精製システム100は、予熱器5の下流にあり、予熱器5と流体連通している第1の蒸留塔6及び第2の蒸留塔8を含む。一般に、第1の蒸留塔6及び第2の蒸留塔8は、有機溶媒を蒸留によって精製し、有機及び金属不純物及び粒子の大部分を除去するために使用され得る。いくつかの実施形態では、第1の蒸留塔6を使用して、有機溶媒の沸点よりも低い沸点を有する不純物を除去することができる。いくつかの実施形態では、第2の蒸留塔8を使用して、有機溶媒の沸点よりも高い沸点を有する不純物、ならびに一般に蒸留除去することができない金属不純物及び粒子を除去することができる。理論にとらわれるものではないが、第1の蒸留塔6と第2の蒸留塔8の順序を入れ替えると、微量金属の量の増加、ウェハ上金属数の増加、及びウェハ上粒子数の増加を含む性能の低下をもたらすと考えられる。
【0056】
いくつかの実施形態では、第1の蒸留塔6は、予熱器5から有機溶媒を受け取るための入口と、有機溶媒を第2の蒸留塔8に供給するための第1の出口とを含むことができる。一般に、入口は、低沸点有機不純物と精製対象の有機溶媒との間の分離が起こる第1の蒸留塔6内の、充填材料よりわずかに上の位置に配置される。いくつかの実施形態では、入口は、第1の蒸留塔の高さの少なくとも約80%(例えば、少なくとも約82%、少なくとも約84%、少なくとも約86%、少なくとも約88%、又は少なくとも約90%)から、最大で約100%(例えば、最大で約98%、最大で約96%、最大で約94%、最大で約92%、又は最大で約90%)までの位置に配置され得る。理論にとらわれるものではないが、入口を上記の位置に配置することにより、第1の蒸留塔6からの低沸点有機不純物の除去を容易にし、そのような不純物を除去するのに必要なエネルギーを最小化し、精製プロセスの効率を高めることができると考えられる。一般に、第1の出口は、第1の蒸留塔6のリボイラー6bの下部に配置することができる。
【0057】
図1に示すように、第1の蒸留塔6は、上部に凝縮器6aを含み、下部にリボイラ6bを含む。凝縮器6aは、第1の蒸留塔6の第2の出口から出る低沸点有機不純物を冷却又は凝縮して液体とし、次いでこれを廃棄物容器に移送することができる。凝縮器6aの例としては、水冷式凝縮器(チューブアンドコイル式凝縮器、二重管式凝縮器、又はチューブアンドシェル式凝縮器など)及び空冷式凝縮器が挙げられる。リボイラー6bは、蒸留塔6において精製対象の有機溶媒に熱を供給して、蒸留塔6の上部から有機溶媒の沸点よりも低い沸点を有する不純物を除去することができ、部分的に精製された有機溶媒を適切な温度(例えば、有機溶媒の沸点の±2℃)に加熱してから、第2の蒸留塔8に移し、精製プロセスの効率及び生産性を向上させることができる。リボイラー6bの例としては、電気ヒータ、蒸気ヒータ、又は鉱油系ヒータが挙げられる。
【0058】
運転中、入口を通って第1の蒸留塔6に入ると、低沸点有機不純物は、低沸点有機不純物を送出するための第2の出口を通って蒸留塔6の上部から蒸留除去され、凝縮器6aによって冷却されて液体とされて、廃棄物容器(
図1には示されていない)に移送され得る。有機溶媒は比較的高温に予熱されているので、充填材料を使用することなく、低沸点有機不純物を精製対象の有機溶媒から分離して蒸留することができ、それによって、蒸留に必要なエネルギー及びそれに伴うコストを低減することが可能である。精製対象の有機溶媒は、中間有機溶媒として第1の蒸留塔6の下部に集められ、リボイラー6bの下部の上述した第1の出口を通って第1の蒸留塔6から出ることができる。第1の蒸留塔6を出た中間有機溶媒は、リボイラー6bによって所望の温度に加熱された後、ポンプ7を介して第2の蒸留塔8に供給され得る。ポンプ7は、金属含有成分をほとんど含まない任意の高純度ポンプであればよく、例えば、ポンプの内面の一部又は全部にPTFEを含むダイヤフラムポンプとすることができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、第2の蒸留塔8は、第1の蒸留塔6から有機溶媒を受け取るための入口と、蒸留済み有機溶媒を製品容器13に供給するための第1の出口とを含むことができる。一般に、入口は、第2の蒸留塔8内の充填材料のわずかに下の位置に配置される。いくつかの実施形態では、入口は、第2の蒸留塔の高さの少なくとも約0%(例えば、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、又は少なくとも約25%)から、最大で約30%(例えば、最大で約25%、最大で約20%、最大で約15%、最大で約10%、又は最大で約10%)までの位置に配置することができる。理論にとらわれるものではないが、上記の位置に入口を配置することにより、有機溶媒を、高沸点有機不純物(例えば、精製対象の有機溶媒の沸点よりも高い沸点を有するもの)、金属不純物、及び粒子から蒸留により分離し、これらの不純物を第2の蒸留塔8から除去し易くすることができると考えられる。一般に、第1の出口は、第2の蒸留塔8の凝縮器8aの上部であって第2の蒸留塔8内の充填材料の上方に配置することができる。
【0060】
図1に示すように、第2の蒸留塔8は、上部に凝縮器8aを含み、下部にリボイラー8bを含む。凝縮器8aは、精製対象の有機溶媒を冷却又は凝縮して液体とし、次いでこれを蒸留済み溶媒タンク9に移送することができる。凝縮器8aの例としては、水冷式凝縮器(チューブアンドコイル式凝縮器、二重管式凝縮器、又はチューブアンドシェル式凝縮器など)及び空冷式凝縮器が挙げられる。リボイラー8bは、精製対象の有機溶媒に熱を供給して、第2の蒸留塔8の上部から蒸留して、第2の蒸留塔8の下部から有機溶媒の沸点よりも高い沸点を有する不純物を除去することができる。いくつかの実施形態では、リボイラー8bは、有機溶媒の温度を有機溶媒の沸点の±2℃に維持する。リボイラー8bの例としては、電気ヒータ、蒸気ヒータ、又は鉱油系ヒータが挙げられる。
【0061】
運転中、入口を通って第2の蒸留塔8に入ると、有機溶媒は、蒸留によって高沸点有機不純物、金属不純物、及び粒子から分離され、凝縮器8aの上部にある上述の第1の出口を通って、第2の蒸留塔8の上部から蒸留済み有機溶媒として回収され得る。高沸点有機不純物、金属不純物、及び粒子は、これらの不純物を廃棄物容器(
図1には示されていない)に供給するために、第2の蒸留塔8の下部から第2の出口を通して回収することができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、精製システム100は、任意選択で、第2の蒸留塔8と任意選択の第2のフィルタユニット12aとの間にあり、第2の蒸留塔8及びユニット12aと流体連通している少なくとも1つ(例えば、2つ又は3つ)の蒸留済み溶媒タンク9を含むことができる。一般に、蒸留済み溶媒タンク9は、蒸留済み有機溶媒を貯蔵するために使用することができる、当技術分野で知られている任意の適切なタンクとすることができる。いくつかの実施形態では、蒸留済み溶媒タンク9は、タンク内に貯蔵される溶媒の水分及び酸化を最小限に抑えるために、窒素で充填され得る。いくつかの実施形態では、精製プロセス中に、第2の蒸留塔8を出る蒸留済み有機溶媒の純度レベルが所定の要件を満たす場合(例えば、少なくとも約99.99%の純度、最大で約100ppmの水分含有量、及び/又は最大で約200 pptの総量の金属不純物を有する)、有機溶媒は、タンク9、フィルタユニット12a、又はフィルタユニット12bを通過することなく、製品容器13に移送され得る。一方、第2の蒸留塔8を出た蒸留済み有機溶媒が所定の要件を満たさない場合、有機溶媒は、まず蒸留済み溶媒タンク9に移送され、次にフィルタユニット12a及び/又は12bを通過して、追加の不純物を除去することができる。同様に、フィルタユニット12a及び/又は12bを出た有機溶媒の純度レベルが所定の要件を満たす場合、有機溶媒は製品容器13に移送され得る。一方、フィルタユニット12a及び/又は12bを出た精製有機溶媒の純度レベルが所定の要件を満たさない場合、有機溶媒は、任意の再循環導管150を通って蒸留済み溶媒タンク9に戻され、フィルタユニット12a及び/又は12bによって再び精製され得る。
【0063】
一般に、蒸留済み溶媒タンク9は、薬液を貯蔵するための任意の適切な容器であり得る。いくつかの実施形態では、蒸留済み溶媒タンク9は適切な容積を有することができる。例えば、蒸留済み溶媒タンク9は、少なくとも約1000リットル(例えば、少なくとも約2000リットル、少なくとも約3000リットル、又は少なくとも約5000リットル)であり、及び/又は最大で約30,000リットル(例えば、最大で約25,000リットル、最大で約20,000リットル、最大で約15,000リットル、又は最大で約10,000リットル)である容積を有することができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、蒸留済み有機溶媒がさらなる精製を必要とする場合、蒸留済み有機溶媒は、ポンプ10及び熱交換器11を通して蒸留済み溶媒タンク9から第2のフィルタユニット12aに供給され得る。ポンプ10は、タンク及びフィルタを通して再循環を行うことができる任意のポンプ、例えば電磁ポンプ又は遠心ポンプとすることができる。一般に、熱交換器11は、後続の濾過プロセスの間、有機溶媒の温度を制御するために使用することができる。理論にとらわれるものではないが、濾過温度が高すぎる場合、濾過プロセスで副反応が発生し、それによって、溶媒中の不純物の量を増加させると考えられる。さらに、理論にとらわれるものではないが、濾過温度が低すぎる場合、溶媒は増加した粘度を有する可能性があり、これにより流量が減少し得る。いくつかの実施形態では、熱交換器11は、性能不足を回避するか、又は副反応を回避するために、濾過温度を約10℃~約20℃に制御することができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、精製システム100は、任意選択で、蒸留済み溶媒タンク9と第3のフィルタユニット12bとの間にあり、蒸留済み溶媒タンク9及びユニット12bと流体連通している少なくとも1つ(例えば、2つ又は3つ)の第2のフィルタユニット12aを含むことができる。いくつかの実施形態では、第2のフィルタユニット12aは、フィルタハウジングと、フィルタハウジング内の少なくとも1つ(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又は7つ)のフィルタとを含むことができる。第2のフィルタユニット12a内のフィルタは、有機溶媒から相対的に小さな粒子を除去するための粒子除去フィルタとすることができる。いくつかの実施形態では、第2のフィルタユニット12a内のフィルタは、最大約10nm(例えば、最大約9nm、最大約8nm、最大約7nm、最大約6nm、最大約5nm、又は最大約4nm)であり、及び/又は少なくとも約2nm(例えば、少なくとも約3nm、少なくとも約4nm、少なくとも約5nm、少なくとも約6nm、少なくとも約7nm、又は少なくとも約8nm)である平均孔径を有する濾過媒体を含むことができる。いくつかの実施形態では、第2のフィルタユニット12a内のフィルタにおける濾過媒体の平均孔径は、第1のフィルタユニット2内のフィルタにおける濾過媒体の平均孔径よりも小さくすることができる。そのような実施形態では、第2のフィルタユニット12aを使用して、第1のフィルタユニット2によって除去される粒子よりも小さい粒子を除去することができる。
【0066】
第2のフィルタユニット12a内のフィルタにおける濾過媒体の好適な材料の例としては、フッ素樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシアルカンポリマー(PFA)、又は変性ポリテトラフルオロエチレン(MPTFE))、ナイロンなどのポリアミド(例えば、ナイロン6又はナイロン66)、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン(高密度及び超高分子量樹脂を含む)、又はそれらの共重合体が挙げられる。例えば、粒子除去フィルタ内の濾過媒体は、ポリプロピレン(例えば、高密度ポリプロピレン)、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、又は超高分子量ポリエチレン(UPE))、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン、又はパーフルオロアルコキシアルカンポリマーからなる群から選択される少なくとも1つのポリマーから作製することができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、第2のフィルタユニット12aは、直列に配置され、約5nmの平均孔径を有し、ナイロンから作製された濾過媒体を含む3個~7個のフィルタを含むことができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、精製システム100は、任意選択で、第2のフィルタユニット12aと製品容器13との間(すなわち、ユニット12bの下流)にあり、第2のフィルタユニット12a及び製品容器13と流体連通している少なくとも1つ(例えば、2つ又は3つ)の第3のフィルタユニット12bを含むことができる。いくつかの実施形態では、第3のフィルタユニット12bは、フィルタハウジングと、フィルタハウジング内の少なくとも1つ(例えば、2、3、4、又は5つ)のフィルタとを含むことができる。第3のフィルタユニット12b内のフィルタは、有機溶媒から相対的に小さな粒子を除去するための粒子除去フィルタとすることができる。いくつかの実施形態では、第3のフィルタユニット12b内のフィルタは、最大で約10nm(例えば、最大で約9nm、最大で約8nm、最大で約7nm、最大で約6nm、最大で約5nm、又は最大で約4nm)であり、及び/又は少なくとも約2nm(例えば、少なくとも約3nm、少なくとも約4nm、少なくとも約5nm、少なくとも約6nm、少なくとも約7nm、又は少なくとも約8nm)である平均孔径を有する濾過媒体を含むことができる。いくつかの実施形態では、第3のフィルタユニット12b内のフィルタにおける平均孔径又は濾過媒体は、第2のフィルタユニット12a内のフィルタにおける平均孔径又は濾過媒体とは異なり得る。そのような実施形態では、第3のフィルタユニット12bを使用して、第2のフィルタユニット12aによって除去される粒子とは異なるサイズ又は性質を有する粒子を除去することができる。例えば、第2のフィルタユニット12aがナイロン製の濾過媒体を有するフィルタを含む場合、第3のフィルタユニット12bは、PTFE製の濾過媒体を有するフィルタを含むことができる。理論にとらわれるものではないが、ナイロンフィルタは、金属粒子を除去することができる非篩い分けメカニズム(non-sieving mechanism)を含み、一方、PTFEフィルタは、細孔サイズに基づいて粒子を除去することができる篩い分けメカニズム(sieving mechanism)を含むと考えられる。
【0069】
第3のフィルタユニット12b内のフィルタにおける濾過媒体の好適な材料の例としては、フッ素樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシアルカンポリマー(PFA)、又は変性ポリテトラフルオロエチレン(MPTFE))、ナイロンなどのポリアミド(例えば、ナイロン6又はナイロン66)、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン(高密度及び超高分子量樹脂を含む)、又はそれらのコポリマーが挙げられる。例えば、粒子除去フィルタ内の濾過媒体は、ポリプロピレン(例えば、高密度ポリプロピレン)、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、又は超高分子量ポリエチレン(UPE))、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン、又はパーフルオロアルコキシアルカンポリマーからなる群から選択される少なくとも1つのポリマーから作製することができる。上記材料からなるフィルタは、残留欠陥やパーティクル欠陥を生じやすい異物(例えば、極性の高いもの)を効果的に除去することができ、有機溶媒中の金属成分の含有量を効率的に低減することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、第3のフィルタユニット12bは、直列に配置され、約5nmの平均孔径を有し、ポリテトラフルオロエチレンから作製される2個~5個のフィルタを含むことができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、精製システム100は、任意選択で、再循環導管150を含むことができ、部分的に精製された有機溶媒(partially-purified organic solvent)を再循環させて蒸留済み溶媒タンク9に戻し、フィルタユニット12a及び/又は12bによって再び精製できるようにするための再循環ループ(蒸留済み溶媒タンク9、ポンプ10、熱交換器11、及びフィルタユニット12a及び12bを含み得る)を形成することができる。いくつかの実施形態では、部分的に精製された有機溶媒は、有機溶媒が製品容器13に移送される前に、少なくとも2回(例えば、少なくとも3回、少なくとも4回、又は少なくとも5回)再循環ループを通して再循環され得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、製品容器13は、移動式貯蔵タンク(例えば、タンカー上のタンク)又は固定式貯蔵タンクであり得る。いくつかの実施形態では、製品容器13は、フッ素樹脂で裏打ちされた設備(例えば、その内面がPTFEなどのフッ素樹脂を含み得る)とすることができる。いくつかの実施形態では、製品容器13は、少なくとも約200リットル(例えば、少なくとも約300リットル、又は少なくとも約500リットル)であり、及び/又は最大で約1,500リットル(例えば、最大で約1200リットル、最大で約1000リットル、最大で約900リットル、最大で約800リットル、最大で約700リットル、又は最大で約600リットル)である容積を有することができる。
【0073】
本開示はまた、溶媒(例えば、シクロヘキサノンなどの有機溶媒)を精製する方法を特徴とする。いくつかの実施形態において、精製方法は、(1)第1の蒸留塔(例えば、第1の蒸留塔6)において有機溶媒を蒸留して中間有機溶媒を得ることであって、第1の蒸留塔は、第1の蒸留塔の高さの約80%から約100%の位置に配置された入口を有し、(2)第2の蒸留塔(例えば、第2の蒸留塔8)に中間有機溶媒を移送することであって、第2の蒸留塔は、第2の蒸留塔の高さの約0%から約30%の位置に配置された入口を有し、かつ、(3)第2の蒸留塔において中間有機溶媒を蒸留して、蒸留済み有機溶媒を得ること、を含むことができる。
【0074】
例えば、
図1を参照すると、未精製又は前処理された溶媒(すなわち、出発原料)は、精製システム100によって、溶媒を、原料供給容器1から原料タンク3に、第1のフィルタユニット2(ここで溶媒は前濾過される)を通過させることによって精製され得る。次に、溶媒は、ポンプ4によって予熱器5に移送することができ、この予熱器5において、溶媒は、溶媒の沸点から少なくとも20℃の温度に予熱される。予熱後、溶媒は、第1の蒸留塔6に移送されて低沸点有機不純物を除去され、次いで第2の蒸留塔8に移送されて高沸点有機不純物、金属不純物、及び粒子を除去され得る。第2の蒸留塔8を出た蒸留済み溶媒をさらに精製する必要がある場合、蒸留済み溶媒は、蒸留済み溶媒タンク9に供給され、次にポンプ10及び熱交換器11を通してフィルタユニット12a及び/又は12bに供給され得る。フィルタユニット12a及び/又は12bによって濾過された溶媒をさらに精製する必要がある場合、その溶媒を、再循環導管150を通して蒸留済み溶媒タンク9に再循環させ、次いでフィルタユニット12a及び/又は12bによって再度濾過することができる。
【0075】
精製プロセスの終了時に精製溶媒から検出される粒子の数及び不純物の量が所定の範囲内に制御されると、超高純度溶媒(例えば、少なくとも約99.99%の純度、最大で約100ppmの水分含有量、及び/又は最大で約200 pptの総量の金属不純物を有する)が生成される。その後、超高純度溶媒は、貯蔵のために製品容器13に移送されるか、又は半導体製品を製造するための製造プロセスに移送され得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法及びシステムによって精製された溶媒は、ウェハ全体(例えば、12インチウェハ)上に、最大で約500個(例えば、最大で約450個、最大で約400個、最大で約350個、最大で約300個、最大で約250個、最大で約200個、最大で約150個、最大で約100個、最大で約50個、又は最大で約25個)であるか、又は0個(例えば、少なくとも約1個、少なくとも約2個、又は少なくとも約5個)であるウェハ上粒子数を有するフィルム又はコーティングを形成することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法及びシステムによって精製された溶媒は、ウェハ全体(例えば、12インチのウェハ)上で、最大で約100(例えば、最大で約90個、最大で約80個、最大で約70個、最大で約60個、最大で約50個、最大で約40個、最大で約30個、最大で約20個、又は最大で約10個、最大で約5個)であるか、又は0個(例えば、少なくとも約1個、又は少なくとも約2個)であるウェハ上金属数(例えば、総ウェハ上金属数、又はFeやNiなどの特定の金属のウェハ上金属数)を有するフィルム又はコーティングを形成することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法及びシステムによって精製された溶媒は、ウェハ全体(例えば、12インチウェハ)上に、1平方センチメートル当たり最大で約0.8個(例えば、最大で約0.7、最大で約0.6、最大で約0.5、最大で約0.4、最大で約0.3、最大で約0.2、最大で約0.1、最大で約0.07、最大で約0.05、最大で約0.03、最大で約0.02、最大で約0.01、最大で約0.007、最大で約0.005、最大で約0.004、最大で約0.003)であるか、又は0個(例えば、少なくとも約0.001個、少なくとも約0.01個、又は少なくとも約0.1個)の欠陥密度(すなわち、ウェハ上金属及び粒子の総数に基づく)を有するフィルム又はコーティングを形成することができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、連続プロセス又はバッチプロセスのいずれかであり得る。本明細書に記載の方法が連続プロセスである場合、溶媒は、比較的高い流量で精製され得る。例えば、溶媒は、精製システム10を通して、少なくとも約0.2L/分(例えば、少なくとも約0.3L/分、少なくとも約0.4L/分、又は少なくとも約0.5L/分)であり、及び/又は最大で約1L/分(例えば、最大で約0.9L/分、最大で約0.8L/分、最大で約0.7L/分、又は最大で約0.6L/分)の流量で精製され得る。一般に、溶媒を精製するための流量は、精製対象の溶媒の性質及び粘度、温度、フィルタの数(例えば、並列に配置されたもの)、精製プロセスで使用される他の装置の種類及び数を含む、複数の要因に応じて変動し得る。
【0078】
本開示は、以下の実施例を参照してより詳細に説明されるが、これらの実施例は例示を目的とするものであり、本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0079】
OWPC及びOWMC測定の一般的な説明
溶媒サンプルを採取し、それをウェハコーティング装置に挿入した。ベアウェハをサンプルでコーティングした後、ウェハをレーザ検査システムに移して、検査した。このレーザ検査システムは、レーザ光を用いて、19nmの検出限界で、ウェハ上の各粒子を検出し、カウントし、各粒子の位置及びサイズを記録した。より具体的には、19nm以上の粒子をカウント対象とした。このデータを使用して、ウェハマップを作成し、総ウェハ上粒子数(OWPC:On-Wafer Particle Counts)を算出した。
【0080】
次に、ウェハを移送して、エネルギー分散型X線(EDX:energy dispersive x-ray)によって検査した。レーザ検査システムから報告された各粒子は、元素情報を得るためにエネルギー分散型X線(EDX)によって検査された。基準信号から算出された閾値を超える任意の金属信号を生成することが確認された任意の粒子を、金属含有粒子としてカウントした。金属シグネチャ(metal signature)を有する粒子の総数を集計して、ウェハ上金属粒子数(OWMP:On-Wafer Metal Particle)として報告した。
【0081】
実施例1
本実施例で精製した溶媒は、シクロヘキサノンである。
図1を参照すると、シクロヘキサノンは、以下の5つの精製システム(すなわち、システム1~5)を用いて精製され、各システムは、少なくともプレフィルタユニット2と、2つの蒸留濾過システム6及び8とを含んでいた。システム1~5の違いは以下の通りである。
【0082】
システム1では、第1の蒸留塔6、ポンプ7、及び第2の蒸留塔8は、第2の蒸留塔8、ポンプ7、及び第1の蒸留塔6の順序で配置された。また、システム1は、第1のフィルタユニット2内に200nmのポリプロピレンフィルタ(すなわち、ポリプロピレンから作製され、平均孔径が200nmである濾過媒体を有するフィルタ)を1つ含むが、蒸留済み溶媒タンク9、ポンプ10、熱交換器11、第2のフィルタユニット12a、第3のフィルタユニット12b、及び再循環導管150を含んでいなかった。
【0083】
システム2では、第1の蒸留塔6、ポンプ7、及び第2の蒸留塔8は、第1の蒸留塔6、ポンプ7、及び第2の蒸留塔8の順序で配置された。また、システム2は、第1のフィルタユニット2に200nmのポリプロピレンフィルタを1つ含むが、蒸留済み溶媒タンク9、ポンプ10、熱交換器11、第2のフィルタユニット12a、第3のフィルタユニット12b、及び再循環導管150を含んでいなかった。
【0084】
システム3では、第1の蒸留塔6、ポンプ7、及び第2の蒸留塔8は、第1の蒸留塔6、ポンプ7、及び第2の蒸留塔8の順序で配置された。また、システム3は、第1のフィルタユニット2内に50nmのPTFEフィルタ(すなわち、PTFEから作製され、平均孔径が50nmである濾過媒体を有するフィルタ)を1つ含むが、蒸留済み溶媒タンク9、ポンプ10、熱交換器11、第2のフィルタユニット12a、第3のフィルタユニット12b、及び再循環導管150を含んでいなかった。
【0085】
システム4では、第1の蒸留塔6、ポンプ7、及び第2の蒸留塔8は、第1の蒸留塔6、ポンプ7、及び第2の蒸留塔8の順序で配置された。また、システム4は、第1のフィルタユニット2内に50nmのPTFEフィルタ1つ含み、蒸留済み溶媒タンク9、ポンプ10、熱交換器11、第2のフィルタユニット12a内に直列に配置された7つの5nmのナイロンフィルタ(すなわち、ナイロンから作製され、平均孔径が5nmである濾過媒体を有するフィルタ)、及び再循環導管150を含むが、第3のフィルタユニット12bを含んでいなかった。精製中、シクロヘキサノンは、再循環ループを通して2回再循環させた(すなわち、フィルタユニット12aによって3回濾過された)。
【0086】
システム5では、第1の蒸留塔6、ポンプ7、及び第2の蒸留塔8は、第1の蒸留塔6、ポンプ7、及び第2の蒸留塔8の順序で配置された。また、システム5は、第1のフィルタユニット2内に50nmのPTFEフィルタを1つ含み、蒸留済み溶媒タンク9、ポンプ10、熱交換器11、第2のフィルタユニット12a内に直列に配置された7つの5nmのナイロンフィルタ、第3のフィルタユニット12b内に直列に配置された2つの5nmのPTFEフィルタ(すなわち、PTFEから作製され、平均孔径が5nmである濾過媒体を有するフィルタ)、及び再循環導管150を含む。精製中、シクロヘキサノンは、再循環ループを通して2回再循環させた(すなわち、フィルタユニット12a及び12bによって3回濾過された)。
【0087】
上述のシステム1~5によって精製されたシクロヘキサノンの特性(ウェハ上粒子数、総ウェハ上金属数、ウェハ上鉄数、及びウェハ上アルミニウム数を含む)を評価し、以下の表1にまとめた。
【0088】
【0089】
表1に示すように、システム1によって精製されたシクロヘキサノンは、飽和した高いウェハ上粒子数、総ウェハ上金属数、ウェハ上鉄数、及びウェハ上アルミニウム数を示した。驚くべきことに、システム2~5によって精製されたシクロヘキサノンは、システム1によって精製されたシクロヘキサノンよりも有意に低いウェハ上粒子数、総ウェハ上金属数、ウェハ上鉄数、及びウェハ上アルミニウム数を示した。
【0090】
より具体的には、システム1は、2つの蒸留塔の順序がシステム2とは異なる。換言すれば、システム1によって精製されたシクロヘキサノンは、まず蒸留塔の下部に入口を有する蒸留塔によって蒸留され、次いで蒸留塔の上部に入口を有する蒸留塔によって蒸留された。一方、システム2によって精製されたシクロヘキサノンは、まず蒸留塔の上部に入口を有する蒸留塔によって蒸留され、次いで蒸留塔の下部に入口を有する蒸留塔によって蒸留された。その結果、驚くべきことに、システム2は、システム1と比較して、ウェハ上粒子数、総ウェハ上金属数、ウェハ上鉄数、及びウェハ上アルミニウム数を大幅に低減できることが分かった。
【0091】
また、システム3は、システム2の200nmのプロピレンプレフィルタを50nmのPTFEプレフィルタに置き換えた点で、システム2とは異なっている。その結果、驚くべきことに、システム3は、システム2と比較して、ウェハ上粒子数、総ウェハ上金属数、ウェハ上鉄数、及びウェハ上アルミニウム数を大幅に低減できることが分かった。
【0092】
さらに、システム4は、第2の蒸留塔の後に5nmのナイロンフィルタを含む点で、システム3とは異なっている。その結果、驚くべきことに、システム4は、システム3と比較して、ウェハ上粒子数、総ウェハ上金属数、ウェハ上鉄数、及びウェハ上アルミニウム数を大幅に低減できることが分かった。
【0093】
最後に、システム5は、5nmのナイロンフィルタの後に5nmのPTFEフィルタを含む点で、システム4とは異なっている。その結果、驚くべきことに、システム5は、システム4と比較して、ウェハ上粒子数、総ウェハ上金属数、ウェハ上鉄数、及びウェハ上アルミニウム数をさらに低減できることが分かった。
【0094】
本発明は、その特定の実施形態を参照して詳細に説明されたが、修正及び変形は、説明され、特許請求されるものの精神及び範囲内であることが理解されるであろう。
【国際調査報告】