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特表2023-529962植物の健康を促進する組成物及び方法
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  • 特表-植物の健康を促進する組成物及び方法 図1A
  • 特表-植物の健康を促進する組成物及び方法 図1B
  • 特表-植物の健康を促進する組成物及び方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-12
(54)【発明の名称】植物の健康を促進する組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A01N 63/22 20200101AFI20230705BHJP
   A01N 63/38 20200101ALI20230705BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20230705BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20230705BHJP
   A01P 21/00 20060101ALI20230705BHJP
【FI】
A01N63/22
A01N63/38
A01P7/04
A01P3/00
A01P21/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022576809
(86)(22)【出願日】2021-06-15
(85)【翻訳文提出日】2023-01-30
(86)【国際出願番号】 US2021037316
(87)【国際公開番号】W WO2021257499
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】63/039,184
(32)【優先日】2020-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522482290
【氏名又は名称】ローカス ソリューションズ アイピーシーオー,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ツォルナー,ポール
(72)【発明者】
【氏名】ファーマー,ショーン
(72)【発明者】
【氏名】アリベック,ケン
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AA01
4H011AB03
4H011AC01
(57)【要約】
植物の感染を制御する組成物及び方法が提供される。特に、本発明は、微生物及び/又は、バイオサーファクタント等の、それらの成長副産物を用いて、植物の維管束系に影響する細菌又は菌類感染の処理に関する。
【選択図】 図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
維管束害虫又は病原体に感染した植物において、植物の健康を促進する方法であって、1つ以上の微生物及び/又はその成長副産物を含む植物健康促進組成物を、植物及び/又はその周囲環境に適用することを含み、
前記微生物は、Trichoderma harzianumBacillus amyloliquefaciensBacillus subtilisBacillus licheniformisPseudomonas chlororaphisStarmerella bombicolaSaccharomyces boulardiiDebaryomyces hanseniiMeyerozyma guilliermondiiPichia occidentalisPichia kudriavzeviiWickerhamomyces anomalus及びDebaryomyces hanseniiから選択される、方法。
【請求項2】
栄養素及び/又はプレバイオティクスを、微生物成長のために適用することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記微生物は、Trichoderma harzianum及びBacillus amyloliquefaciensNRRL B-67928である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記微生物は、Bacillus amyloliquefaciensNRRL B-67928及びBacillus subtilisNRRL B-68031である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記微生物は、Wickerhamomyces anomalusNRRL Y-68030である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記植物健康促進組成物を、前記植物の根及び/又は前記植物の成長する土壌と直接接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記植物健康促進組成物を、適用前に、水と混合する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記植物健康促進組成物を、灌漑システムを用いて、前記植物及び/又はその周囲環境に適用する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記植物健康促進組成物を、窒素、リン及びカリウムから選択される1つ以上の栄養素源と共に、前記植物及び/又はその周囲環境に適用する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記植物健康促進組成物を、ケルプ抽出物、フルビン酸、キチン、フミン酸塩及び/又はフミン酸から選択されるプレバイオティクスと同時に、前記植物及び/又はその周囲環境に適用する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記植物健康促進組成物は、ベンオミル、ドデシルジメチルアンモニウムクロリド、二酸化水素/ペルオキシ酢酸、イマジリル、プロピコナゾール、テブコナゾール、又はトリフルミゾールと同時に、又は適用の前後7~10日以内に、前記植物及び/又はその周囲環境に適用されない、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記植物健康促進組成物は、ハンドヘルド式芝生及び庭の噴霧器を用いて、前記植物及び/又はその周囲環境に噴霧される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
バイオサーファクタント組成物を、前記植物及び/又はその周囲環境にさらに適用することを含み、前記バイオサーファクタント組成物は、1つ以上の糖脂質及び/又はリポペプチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記バイオサーファクタント組成物を、シリンジを用いて、前記植物の維管束系に注入する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記バイオサーファクタント組成物を、前記植物が成長する土壌に適用する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記植物は、オリーブ、桃、アボカド、いちご、ゴム、タバコ、ぶどう、エルム、コーヒー、カカオ、バナナ、アルファルファ、パーム及びナッツ類から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記維管束害虫又は病原体は、Xylella fastidiosaCandidatus Liberibacter spp.、Xanthomonas spp.、Ralstonia solanacearumErwinia tracheiphilaCurtobacterium flaccumfaciensPantoea stewartiiVerticillium spp.、Fusarium spp.、Clavibacter michiganensisCeratocystis spp.、Pseudomonas syringaeCa. Phytoplasma spp.、Ophiostoma ulmiBretziella fagacearum及びAcromonium diospyriから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記植物の健康は、前記害虫又は病原体を直接制御することによって促進される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記害虫又は病原体は、バイオフィルム形成微生物であり、前記害虫又は病原体は、前記バイオフィルムの破壊によって制御される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記植物の健康は、前記植物の免疫応答の改善によって促進される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記植物の免疫応答における改善は、前記植物のパターン認識受容体(PRR)の能力を増進して、侵入物関連分子パターン(IAMP)及び/又は病原性エフェクター分子を認識することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記IAMPは、病原体関連分子パターン(PAMP)である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記PAMP及び/又は病原性エフェクター分子の認識の際、前記PRRは、前記植物細胞内のシグナルを伝達することによって、反応し、前記シグナルは、前記植物の防御機構を誘導し、前記PRRの反応を増進する、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記PRRによってシグナルが生成及び/又は伝達される速度を増加させて前記防御機構を誘導する、シグナル受容レートを増加する、及び/又は防御分子が前記植物によって生成及び/又は展開される量を増加することによって、防御機構の誘導を増進する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記防御機構は、抗菌化合物の放出、活性酸素種(ROS)の生成、過敏応答又は変化遺伝子及び/又はホルモン発現である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記植物の免疫応答における改善は、前記植物をプライミングする、又は前記植物を、IAMP及び/又は病原性エフェクター分子に予備曝露して、前記植物における防御機構を誘発し、病原体に感染する前に、前記植物を防御及び/又は耐性のある状態に誘導することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記植物の免疫応答の改善は、不可逆的であり、及び/又は過剰に誘導されているために、前記植物に害を及ぼしている防御機構の誘導を、前記植物のPRRにより低減することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記防御機構は、過敏応答である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記防御機構は、炭水化物合成の上方制御である、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記防御機構は、細胞壁合成、組立及び改質に関与するタンパク質をコードする遺伝子発現の変化である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
植物の健康を改善する方法であって、バイオサーファクタント組成物を、前記植物の維管束系と接触させることを含む、方法。
【請求項32】
前記バイオサーファクタントは、前記植物の維管束系に直接注入される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記バイオサーファクタントを土壌に適用して、前記バイオサーファクタントが、前記植物の根に吸収され、前記植物の維管束系に輸送されるようにする、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記バイオサーファクタントは、ソホロ脂質である、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記植物の健康は、前記植物の維管束系に感染した病原性バイオフィルムの破壊によって改善される、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記植物の健康は、前記植物の維管束系を通る増進された水及び栄養素の循環によって改善される、請求項31に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願を相互参照
本出願は、2020年6月15日出願の米国仮出願第63/039,184号の優先権を主張するものであり、内容を参照することにより組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
植物の維管束系は、水、ミネラル及び他の栄養素を植物全体に伝導する繊維状材料によって支持された組織の束を含む。具体的には、導管組織は、根を通して吸収されて葉に輸送される水及び溶解したミネラルを輸送し、一方、師部組織は、光合成によって生成される栄養素を葉から植物の他の全ての部分に輸送する。
【0003】
維管束組織は、植物の成長及び生存に不可欠である。しかしながら、ある種の害虫及び病原体は、維管束組織に感染して、維管束組織に影響を及ぼす症状を引き起こす可能性があり、これは多くの場合、植物や作物において致命的な疾患及び状態を引き起こす可能性がある。植物維管束感染症は、様々な細菌、菌類、ウイルス、及び場合によっては、線虫によって引き起こされる。
【0004】
維管束系の細菌侵入は、例えば、閉塞を引き起こし、維管束組織を通る水及び栄養素の移動を阻止する。結果として生じる症状には、植物の地上構造物の垂れ下がり、しおれ、又は枯死さえも含まれる。細菌性病原体は、創傷、昆虫咬傷、及び/又は気孔及びレンチセル等の自然開口部を通って植物に侵入することができる。
【0005】
目的の細菌性病原体の1つは、Xylella fastidiosaである。この細菌は、成長が遅く、グラム陰性で、桿状の好気性細菌であり、樹液摂食媒介昆虫を介して植物に伝播される。媒介生物は、主に、シャープシューターヨコバイ類及びアワフキムシは、導管液を摂食し、その際に、病原性細菌を導管組織中に堆積させる。
【0006】
経時的に、Xylellaは、導管組織及び管状組織(水及び溶質を輸送するために特化された導管細胞)内にバイオフィルム又はバイオフィルム様の層を形成し、水輸送を遮断し、水ストレス及び栄養欠乏を引き起こす。Xylella感染症の症状には、例えば、葉の壊死及び焼け、ベリー及び果実の乾燥、落葉、及び全体的な植物の健康低下が含まれる。
【0007】
X. fastidiosaには、少なくとも5種類の亜種がある。すなわち、fastidiosamultiplexpaucasandyitashke、6番目の亜種となる可能性のあるmorusである。X. fastidiosaの植物宿主範囲は、300種を超え、例えば、オリーブ、ブドウ、カンキツ類、桃、コーヒー、アーモンド、ブルーベリー、エルム、オレアンダー、シカモア、ソルガム、タバコ、ルーセン、プラム、オーク、プルーン、クワ、メープル、及び多くの草本植物種を含む100種を超える植物種において病原性を有する。全ての感染植物が症状を示すわけではないが、無症候性の植物であっても病気を蔓延させる可能性がある。
【0008】
Xylella fastidiosaは、主に北米及び中米で見られるが、2013年に、Xylella subsp. paucaが、イタリア南部のアプリアで検出され、整備されたオリーブの木に感染し始めた。衛星及び気象画像は、オリーブ急速衰退症候群(OQDS: olive quick decline syndrome)を引き起こす感染により、2017年までに、この地域のおよそ650万本のオリーブの木が深刻な損傷を受けたと推定している。現在、何千エーカーものオリーブの木が、この病気の蔓延を阻止するために伐採されており、目に見える処理は行われていない。
【0009】
適切な透水係数を妨げる導管におけるバイオフィルム形成に加えて、葉の焼け及び壊死は、OQDSを引き起こす感染に対する過剰な免疫応答であると考えられているものによって引き起こされる。RNAシークエンシング分析によれば、カルシウム膜貫通輸送体及び活性酸素種(ROS: reactive oxygen species)の生成に関与する様々な酵素を含む、主要な免疫経路の活性化を示した。過敏反応及び植物枯死に関与する遺伝子の上方制御は、この増加した免疫応答の結果であると予測される。
【0010】
カンキツ類の生産において、カンキツグリーニング病及びカンキツかいよう病を引き起こすような病原体によるカンキツ類植物の広範な感染は、カンキツ類の栽培者にとって非常に厳しいものとなった。細菌感染による作物全体の喪失に合わせて、世界中のカンキツ製品の生産が減少し、価格が上昇している。
【0011】
カンキツグリーニング病(HLB又はイエロードラゴン病としても知られる)は、グラム陰性Candidatus Liberibacter spp.細菌、すなわちCandidatus Liberibacter asiaticusCandidatus Liberibacter africanus及びCandidatus Liberibacter americanusによって引き起こされる現在治癒不能な感染症である。全てのCa. Liberibacter spp.は、Rhizobiacea系列に属し、少なくとも2種のカンキツキジラミ、Diaphorina citri Kuwayama(アジアカンキツキジラミ)及びTrioza erytreae(del Guercio)(アフリカカンキツキジラミ)によって伝播される。
【0012】
HLBは、米国及び世界の他の地域において、何百万エーカーものカンキツ作物を破壊した。感染した樹木から生産される果実は、緑色で、形が悪く、苦く、販売に適していない。葉に浸透し、細菌が媒介生物から葉に移ると、細菌はまず即時に根に移動し、そこで複製され、根系を損傷する。次いで、病原体は、植物全体に移動し、主に細胞内に存在し、篩管要素におけるデンプンの蓄積、目詰まりした篩管孔、肥大した師部実質細胞、師部組織の構造変化、豊富なカルス成膜を伴う師部目詰まり、師部細胞壁の歪み及び肥厚、最終的に師部崩壊及び壊死等の明確ではあるが相互に関連する症状を引き起こす。これらの変化は、例えば、光合成、呼吸及びエネルギー利用可能性に影響を及ぼすさらなる症状を次々と引き起こす。
【0013】
一般に、HLB感染の重篤な症状のほとんどは、導管中断を引き起こすXylella fastidiosaと比較して、師部中断の結果である。このように、HLBに感染した樹木の枯死は、Xylella fastidiosaに感染した樹木よりも早くは起こらない。
【0014】
細菌性病原体と同様に、菌類害虫もまた、維管束関連植物病害を引き起こす。菌類感染は、多くの場合、胞子によって伝播され、これは風、水、埃、昆虫及び鳥によって運ばれ、伝播される。枯死の植物材料中に存在する栄養性菌類細胞も、感受性宿主と接触すると、伝染する。しかしながら、菌類胞子は、環境ストレッサーに対して回復力があるため、休眠状態で長期間にわたって土壌等の培地中で存続する。
【0015】
Fusariumは、無性胞子によって増殖する土壌病原体である。植物の根系に寄生し、その維管束系を通して植物に吸い上げられる。菌類は、導管内でさらにコロニーを形成し、栄養素と水の内部流を遮断する。バナナの木やヤシは、Fusarium oxysporum f. sp. cubenseによって引き起こされる「フザリウム萎凋病」に特に感受性がある。この株は、全ての公知の殺菌剤に対して免疫性である。
【0016】
植物が害虫や病原体に感染すると、それらの細胞は、侵入物に対する様々な防御機構を実施する。植物は、それ自体免疫細胞を有さないが、細胞の大部分又は全てが免疫能力を示す、自然免疫系として特色のあるものを進化させた。
【0017】
2つのタイプの免疫経路が、感染又は攻撃に応答して植物において誘発される。第1の経路は、侵入物に関連する異なる分子を認識する植物細胞表面上のタンパク質であるパターン認識受容体(PRR: pattern recognition receptors)を含む。これらの侵入分子は、病原体関連分子パターン(PAMP: pathogen-associated molecular patterns)として知られており、病原体の表面に付着し、及び/又は感染時に病原体によって放出される(非特許文献2)。
【0018】
病原体構造は、PRR細胞外ドメインによって検出された後、細胞質においてシグナル伝達される。PAMP認識は、例えば、活性酸素種(ROS)の生成による酸化的バースト、カルシウム流入、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)カスケードの活性化、一酸化窒素(NO:nitric oxide)バースト、エチレン生成、細胞壁におけるカロース沈着、及び免疫応答に関与する防御関連遺伝子の発現を含む、1つ又は複数の防御シグナルをもたらす(非特許文献1)。
【0019】
いくつかの病原体は、植物の初期防御機構を妨害する「エフェクター」分子を用いてPAMP誘発性免疫を克服する方法を進化させてきた。例えば、Xylella fastidiosaは、植物による認識を遅らせることを可能にする長鎖O抗原を含有するため、先天性免疫を迂回し、植物宿主において確立されることを可能にする。しかしながら、それに応じて、多くの植物はまた、第2の免疫経路-エフェクター誘発免疫(ETI)を進化させた。PAMPのPRRと同様に、植物は、エフェクター分子を認識し、PAMP誘発応答をブーストする二次免疫カスケードを開始することができる。いくつかの例では、植物は、感染の蔓延を制限するために局所的な植物細胞死が起こる、過敏性応答を受ける(非特許文献2)。
【0020】
植物の免疫応答が、重篤な病原性感染の前に改善される場合もある。ワクチンの作用の仕方といくらか類似して、植物の免疫系は、プライミング剤、又はストレッサー又は侵入物に関連する分子への予備曝露によって「プライミング」又は「プレコンディショニング」される。プライミングは、例えば、植物と病原体、有益な微生物(例えば、根圏細菌(rhizobacteria)、菌根菌(mycorrhizal fungi))との間の相互作用の結果として、又は自然もしくは合成の農薬によって起こる。次いで、植物は、誘導された防御状態及び/又は強化された耐性にあり、将来の攻撃に抵抗及び/又はそれを防御するために、プライミングされる。そのような応答に続いて、植物は、分子レベルでの曝露を「記憶」するように、細胞及び生物学的に再プログラミングされて、同じストレス条件に応答して、プライミングされていない植物と比較して、より強い強度、速度、及び/又は感度で応答する(非特許文献4)。
【0021】
現在、栽培者が細菌又は菌類によって引き起こされる植物維管束感染を制御するための有効な方法はほとんどない。抗生物質は、有用であるが、抗生物質耐性細菌株の上昇、及び耐性菌株の発達の危険性が、抗生物質を、有効性の低い、望ましくない選択肢とさせる。生物媒介性疾患については、病原体自体ではなく、殺虫処理を用いて媒介生物を制御することができる。殺菌性及び殺菌類性の化学物質も使用することができるが、これらの化学物質の多くは土壌及び地下水中に残留する可能性があり、消費者及び環境に害を及ぼす可能性がある。典型的には、栽培者が他の選択肢を残さず、感染した植物を隔離するか、又は深刻な状況において、感染が蔓延した場合に、作物全体を焼くか、その他、破壊することになる。これは、特に、Xylella及びFusarium等の土壌媒介性である維管束害虫に当てはまる。
【0022】
低コストで作物生産を増進し、保護する、改善された、無毒で環境に優しい方法が引き続き必要とされている。特に、植物維管束感染の潜在的に深刻な結果、及びそれらを処理及び/又は予防するための有効な方法の欠如を考慮すると、そのような感染のリスクがある植物及び作物の健康を促進するための新規な組成物及び/又は方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0023】
【非特許文献1】Dalio, R. J. D., et al. (2017). "PAMPs, PRRs, effectors and R-genes associated with citrus-pathogen interactions. Annals of Botany 119(5): 749-74. ("Dalio et al. 2017").
【非特許文献2】Keener, A.B. "Holding Their Ground." The Scientist Magazine. Feb. 1, 2016. https://www.the-scientist.com/features/holding-their-ground-34128. ("Keener 2016").
【非特許文献3】Kehr, J. (2006). "Phloem sap proteins: their identities and potential roles in the interaction between plants and phloem-feeding insects." J. Exper. Botany 57(4):767-74. ("Kehr 2006").
【非特許文献4】Tugizimana, F., et al. (2018). "Metabolomics in Plant Priming Research: The Way Forward?" Int. J. Mol. Sci. 19, 1759, doi:10.3390/ijms19061759. ("Tugizimana et al. 2018").
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、微生物及び/又はそれらの成長副産物を含む組成物、維管束感染により感染した、又は感染のリスクがある植物の健康を促進するためにそれらを使用する方法を提供する。利点を挙げると、好ましい実施形態において、本組成物及び方法は、環境に優しく、非毒性でありながら、有効であることである。
【0025】
好ましい実施形態において、本発明は、1つ以上の非病原性微生物及び/又はその成長副産物を含む植物健康促進組成物を提供する。また、植物健康促進組成物の微生物及び/又は成長副産物を生成する方法、及び、植物健康を促進するためにそれらを使用する方法も提供される。
【0026】
特定の実施形態において、1つ以上の微生物は、例えば、窒素固定剤(例えば、Azotobacter vinelandii)、カリウム動員剤(例えば、Frateuria aurantia)、菌根菌、Trichoderma harzianumMyxococcus xanthusPseudomonas chlororaphisBacillus amyloliquefaciens(例えば、株NRRL B-67928「B. amy」)、Bacillus licheniformisBacillus subtilis(例えば、株NRRL B-68031「B4」)、Wickerhamomyces anomalus(例えば、株NRRL Y-68030)、Starmerella bombicolaSaccharomyces boulardiiDebaryomyces henseniiPichia occidentalisPichia kudriavzevii及び/又はMeyerozyma guilliermondiiから選択される。
【0027】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、Trichoderma spp.及びBacillus spp.細菌を含むが、他の組み合わせも想定される。
【0028】
特定の例示的な実施形態において、組成物は、Trichoderma harzianum及びBacillus amyloliquefaciensを含む。一実施形態において、B. amyloliquefaciensは、株NRRL B-67928、又は「B. amy」である。
【0029】
一実施形態において、組成物は、1~99体積%のTrichoderma及び99~1体積%のBacillusを含むことができる。好ましい実施形態において、TrichodermaBacillusの細胞数比は、約1:4である。
【0030】
微生物の種及び種類の比、ならびに組成物中の添加剤の選択は、例えば、処理される植物、植物が成長している土壌の種類、処理時の植物の健康、植物に感染する特定の病原体、ならびに他の要因に従って決定することができる。このように、組成物は、任意の所定の作物に対してカスタマイズすることができる。
【0031】
本組成物の微生物は、小規模から大規模の範囲の培養プロセスにより得ることができる。これらの培養プロセスには、浸漬培養/発酵、固相発酵(SSF:solid state fermentation)、改変、ハイブリッド、及び/又はそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0032】
特定の実施形態において、植物健康促進組成物は、培養からの基質残渣、及び/又は精製もしくは未精製の成長副産物、例えば、バイオサーファクタント、キラー毒素、酵素、ポリケチド、及び/又は他の代謝産物を含むことができる。微生物は、生存していても不活性であってもよいが、好ましい実施形態において、微生物は生存している。
【0033】
組成物は、好ましくは、土壌、種子、植物全体及び/又は植物の一部分(限定されるものではないが、根、塊茎、茎、花、葉及び/又は維管束系が含まれる)への適用のために処方される。特定の実施形態において、組成物は、土壌改良剤として処方される。特定の他の実施形態において、組成物は、注入可能な組成物として処方される。
【0034】
一実施形態において、組成物は、有益な微生物の成長を増進し、健康を促進する成長副産物を生成するために、タンパク質及び/又は他の栄養素、例えば、炭素、窒素、ビタミン、微量栄養素及びアミノ酸の供給源をさらに含むことができる。
【0035】
組成物は、植物の健康を効率的に促進するために、単独で、又は他の化合物と組み合わせて使用することができる。例えば、いくつかの実施形態において、組成物は、組成物の1つ以上の微生物及び/又は微生物成長副産物と適合性のある商用及び/又は自家製除草剤、肥料、殺虫剤、忌避剤及び/又は土壌改良剤等の追加の成分を含むことができる。
【0036】
一実施形態において、組成物は、バイオサーファクタント組成物をさらに含むことができ、及び/又はバイオサーファクタント組成物と共に使用することができる。
【0037】
好ましい実施形態において、害虫や病原体に感染した植物の健康を促進する方法が提供される。特定の実施形態において、本方法は、本発明の健康促進組成物を植物及び/又はその周囲環境と接触させることを含むことができる。
【0038】
いくつかの実施形態において、本方法は、害虫、病原体、又は害虫もしくは病原体を保有する媒介生物を直接制御することによって、及び/又は害虫もしくは病原体による感染によって引き起こされる症状を処理することによって、植物の健康を促進する。特定の実施形態において、例えば、Xylella fastidiosaCandidatus Liberibacter spp.、Xanthomonas spp.、Ralstonia solanacearumErwinia tracheiphilaCurtobacterium flaccumfaciensPantoea stewartiiVerticillium spp.、Fusarium spp.、Ceratocystis spp.、Ophiostoma ulmiBretziella fagacePhytoplasma palmae及びAcromonium diospyri等の害虫や病原体は、植物維管束組織に影響を及ぼす疾患及び/又は症状を引き起こす。
【0039】
特定の実施形態において、害虫や病原体は、Xylella fastidiosa等のバイオフィルム形成細菌であり、維管束組織(例えば、維管束及び/又は師部組織)においてバイオフィルムを形成し、それが、植物全体にわたる水及び/又は栄養素の供給を妨害する。
【0040】
いくつかの実施形態において、本方法は、害虫や病原体に対する植物の免疫応答を促進することによって植物の健康を促進し、それによって、害虫や病原体による感染に生存及び/又は抵抗する植物の能力を増進する。
【0041】
いくつかの実施形態において、本方法は、病気の根自体に対する圧力を減少させ、その機能性を増加させるために、植物の根系を拡張することによって、植物の健康を促進する。
【0042】
いくつかの実施形態において、本方法は、罹患植物及び/又は疾患のリスクがある植物において、導管及び師部を通る水及び栄養輸送を改善することによって植物の健康を促進する。
【0043】
いくつかの実施形態において、本方法は、根系への栄養素の利用可能性を改善することによって植物の健康を促進する。
【0044】
いくつかの実施形態において、植物に感染する害虫や病原体は、動物における自己免疫応答に類似する応答を植物において誘導し、この場合、植物は、例えば、師部を塞ぐ多糖類の過剰生成及び/又は師部細胞壁の構造の変化等の免疫応答を開始して、病原性細胞のさらなる拡散を防止する。植物の根及び維管束系に対する栄養及び水ストレスを低減することによって、本方法は、いくつかの実施形態において、害虫や病原体の存在によって誘導される「自己免疫」ストレスを低減し、それによって、それが引き起こす症状を緩和することができる。
【0045】
特定の実施形態において、組成物を植物の一部分と接触させる。特定の実施形態において、組成物を植物の1つ以上の根と接触させる。組成物は、例えば、根に噴霧又は注入することによって、根に直接的に、及び/又は、例えば、植物根が成長している土壌(すなわち、根圏(rhizosphere))に組成物を投与することによって、間接的に適用することができる。組成物は、植物の種子に、植え付け前、植え付け時、又は植物の任意の他の部分及び/又はその周囲環境に適用することができる。
【0046】
特定の実施形態において、本方法は、バイオサーファクタント組成物による健康促進組成物を適用することをさらに含むことができる。
【0047】
本発明に従って使用することができるバイオサーファクタントとしては、例えば、糖脂質、セロビオース脂質、リポペプチド、フラボ脂質、リン脂質、及び高分子量ポリマー、例えば、リポタンパク質、リポ多糖-タンパク質複合体、及び/又は多糖-タンパク質-脂肪酸複合体が挙げられる。
【0048】
一実施形態において、バイオサーファクタントは、例えば、ラムノ脂質(RLP)、ソホロ脂質(SLP)、トレハロース脂質又はマンノシルエリトリトール脂質(MEL)等の糖脂質を含む。一実施形態において、バイオサーファクタントは、例えば、サーファクチン、イチュリン、フェンジシン、アトロファクチン、ビスコシン及び/又はリケニシン等のリポペプチドを含む。
【0049】
利点を挙げると、バイオサーファクタントは、例えば、土壌からの栄養素の水溶性及び/又は吸収を増進すること、及び/又は栄養素及び水の輸送を助けるために、根の周り及び維管束系内の水の表面張力を低減することを含む健康促進利益を提供することができることである。さらに、バイオサーファクタント分子の両親媒性のために、植物の維管束系を通って移動することができ、そこで、例えば、導管及び師部を詰まらせるバイオフィルムの形成を助ける多糖マトリックスを溶解することによって、免疫健康を促進することができる。
【0050】
一実施形態において、本方法は、健康促進組成物の適用後に、又はそれと同時に、バイオサーファクタント処理組成物を、植物及び/又はその周囲環境に適用することを含む。
【0051】
いくつかの実施形態において、バイオサーファクタント組成物は、植物が成長している土壌に適用され、ここで、植物の根に吸収され、植物の維管束系を通って輸送される。
【0052】
いくつかの実施形態において、バイオサーファクタント組成物は、維管束系症状のある植物の一部、例えば、地上植物部分に直接適用される。そのような直接適用は、例えば、シリンジを使用して、バイオサーファクタント処理剤を、例えば、植物の幹、枝、及び/又は茎に注入することを含む。直接施用には、例えば、組成物を、植物の幹、枝、茎、葉、花及び/又は果実に噴霧することも含まれる。
【0053】
いくつかの実施形態において、植物の健康を改善する方法が提供され、バイオサーファクタント組成物は、微生物ベースの健康促進組成物を土壌に適用することなく、植物(例えば、注入により)及び/又はその環境に適用される。いくつかの実施形態において、健康促進組成物は、植物及び/又はその環境にバイオサーファクタント組成物を適用することなく土壌に適用される。
【0054】
利点を挙げると、本方法は、害虫や病原体、特に、植物の維管束系に影響を及ぼすものによる感染により免疫健康が損なわれた植物において、健康、成長及び/又は収量を増進するために使用することができることである。さらに、本方法は、そのような感染によって引き起こされる植物の損傷及び/又は枯死による植物及び/又は作物の損失の量を低減するために使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1A】本発明の実施形態による、T. harzianum及びB. amyを含む組成物で処理されたフロリダ州の(A)ホワイトグレープフルーツの根質量(g)の増加を示す。
図1B】本発明の実施形態による、T. harzianum及びB. amyを含む組成物で処理されたフロリダ州の(B)オレンジ木の乾燥根質量(g/サンプル)の増加を示す。
図2】本発明の実施形態による、T. harzianum及びB. amyを含む組成物で処理されたタバコ植物の葉緑素格付けの増加を示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本発明は、微生物及び/又はそれらの成長副産物を含む組成物、同様に、維管束感染に感染した植物の健康を促進するためのその使用方法を提供する。利点を挙げると、好ましい実施形態において、組成物及び方法は、環境に優しく、非毒性でありながら、有効であることである。
【0057】
好ましい実施形態において、本発明は、1つ以上の非病原性微生物及び/又はその成長副産物を含む植物健康促進組成物を提供する。
【0058】
好ましい実施形態において、植物の維管束系に影響を及ぼす害虫や病原体に感染した植物の健康を促進する方法も提供される。特定の実施形態において、本方法は、本発明の健康促進組成物を植物及び/又はその周囲環境と接触させることを含む。特定の実施形態において、本方法は、バイオサーファクタント組成物を植物及び/又はその周囲環境と接触させることを含む。いくつかの実施形態において、微生物ベースの健康促進組成物及びバイオサーファクタント組成物の両方が、植物及び/又はその周囲環境に適用される。
【0059】
選択した定義
本明細書中で使用される場合、「農業」は、食品、繊維、バイオ燃料、医薬品、化粧品、サプリメント、装飾目的及び他の用途のための植物、藻類及び/又は菌類の栽培及び繁殖を意味する。本発明によれば、農業にはまた、園芸、造園、ガーデニング、植物保護、果樹栽培及び樹木栽培も含まれる。さらに、農業には、土壌のケア、モニタリング及び維持が含まれる。
【0060】
本明細書中で使用される場合、「バイオフィルム」は、例えば、菌体外多糖マトリックスを用いて、細胞が互いに接着する、微生物の複雑な凝集体である。いくつかの実施形態において、バイオフィルムは表面に接着する。バイオフィルム中の細胞は、液体培地中で浮遊又は泳動することができる単一細胞である同じ生物のプランクトン細胞とは生理学的に異なる。
【0061】
本明細書中で使用される場合、「環境ストレッサー」は、特定の環境において生物に悪影響を及ぼす非生物的又は非生存的条件を指す。環境ストレッサーは、その正常な変動範囲を超えて環境に影響を及ぼし、生物の個体群パフォーマンス又は個体生理に重大な影響を与えてしまう。環境ストレッサーの例としては、干ばつ、極端な温度、洪水、強風、自然災害、土壌pH変化、高放射線、土壌の締固め、汚染等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
本明細書中で使用される場合、「単離された」又は「精製された」化合物は、例えば、自然に結合した細胞材料等の他の化合物を実質的に含まない。精製された、又は単離されたポリヌクレオチド(リボ核酸(RNA)又はデオキシリボ核酸(DNA))には、例えば、自然に生じる状態で隣接する遺伝子や配列はない。精製された、又は単離されたポリペプチドには、例えば、自然に生じる状態で隣接するアミノ酸や配列はない。微生物菌株において、「単離された」とは、その菌株が、自然に存在する環境から除去されることを意味する。このように、単離された菌株は、例えば、生物学的に純粋な培養物として、又は担体に結合する胞子(又は菌株のその他の形態)として存在する。
【0063】
本明細書で使用される場合、「生物学的に純粋な培養物」は、自然に結合した材料から単離された培養物である。好ましい実施形態において、培養物は、全ての他の生細胞から単離されている。さらに好ましい実施形態において、生物学的に純粋な培養物は、自然に存在する同じ微生物の培養物と比較して有利な特徴を有する。有利な特徴とは、例えば、1つ以上の成長副産物の生成が増進されることである。
【0064】
特定の実施形態において、精製化合物は、目的の化合物の少なくとも60重量%である。好ましくは、調製物は、目的の化合物の少なくとも75重量%、より好ましくは、少なくとも90重量%、最も好ましくは、少なくとも99重量%である。例えば、精製化合物は、所望の化合物の少なくとも90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、98重量%、99重量%、又は100重量%(w/w)であるものである。純度は、任意の適切な標準的な方法、例えば、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析によって測定される。
【0065】
「代謝産物」とは、代謝によって生成される任意の物質(例えば、成長副産物)又は特定の代謝プロセスに関与するのに必要な物質を指す。代謝産物の例としては、バイオサーファクタント、バイオポリマー、酵素、酸、ポリケチド、溶媒、アルコール、タンパク質、ビタミン、ミネラル、微量元素、及びアミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
本明細書中で使用される場合、「調節する」とは、変化(例えば、増加又は減少)を生じさせることを意味する。
【0067】
本明細書中で使用される場合、「害虫」は、人間又は人間の関与すること(例えば、農業、園芸)に対して破壊的、有害及び/又は悪影響を及ぼす、人間以外の任意の生物である。全てではないが、いくつかの例では、害虫は、病気を引き起こす可能性のある病原生物である。害虫は、感染、寄生及び/又は病気を引き起こしたり、媒介生物となったり、あるいは、単に生きている組織を食べたり、その他の身体的な害を引き起こしたりする恐れがある。害虫は、ウイルス、菌類、細菌、原生動物、節足動物、哺乳類、鳥類、寄生虫及び/又は線虫を含むが、これらに限定されない、単細胞又は多細胞生物である。特定の実施形態において、目的の植物の資源と競合する雑草やその他侵入植物も害虫と考えられる。
【0068】
本明細書中で使用される場合、害虫に関して使用される「制御」という用語は、害虫を殺す、無能にする、固定する、もしくは害虫の個体数を減少させる、又は害虫が繁殖したり、及び/又は害(例えば、症状)を引き起こすことが実質的にできないようにすることを意味する。
【0069】
本明細書中で使用される場合、状況又は発生の「予防」は、状況又は発生の開始、広がり、又は進行を遅延する、阻害する、抑制する、未然に防ぐ、及び/又は最小限にすることを意味する。予防には、後になっても状況又は症状が発現する可能性があることを意味する、無期限の、絶対的又は完全な予防を含むが、必ずしも必要とはされない。いくつかの実施形態において、予防には、病気、状態又は疾病の発症の重大度を減少させること、及び/又は状態や疾病のより重大な状態や疾病への進行を阻害することが含まれる。
【0070】
本明細書中で使用される場合、「促進する」は、改善、増進又は増加することを意味する。例えば、植物の健康促進は、植物の成長及び繁殖能力(増加した種子発芽、実生の出芽、及び/又は活力を含む)の改善、移植の衝撃に耐える能力の改善、害虫及び/又は病気を回避し、及び/又は生き残る能力の改善、雑草と競合する能力の改善、及び干ばつ及び/又は過剰給水等の環境ストレッサーに耐える能力の改善を意味する。
【0071】
促進された植物成長及び/又は植物バイオマスは、地上及び/又は地下で植物のサイズ及び/又は質量を増加させること(例えば、増加した林冠/葉体積、蕾サイズ、樹高、幹カリパス、枝長さ、シュート長さ、茎長さ、タンパク質含有量、根のサイズ/密度及び/又は全体の成長指数)、及び/又は所望のサイズ及び/又は質量に達する植物の能力を改善することを意味する
【0072】
収量の促進は、例えば、植物当たりの果実、葉、根、花、蕾、茎、種、繊維、エキス及び/又は塊茎の数、量及び/又はサイズを増加させることによって、及び/又はその品質を改善することによって、作物中の植物によって生成される最終産物を改善することを意味する。
【0073】
本明細書で提供される範囲は、その範囲内の全ての値について短縮されたものであると理解される。例えば、1~20の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、同じく、例えば、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、及び1.9等の前述の整数の間にある全ての10進値からなる群からの任意の数、数の組み合わせ、又は部分範囲を含むものと理解される。部分範囲に関して、範囲のいずれかの終点から延びる「入れ子部分範囲」が特に考えられる。例えば、1~50の例示的な範囲の入れ子部分範囲は、一方向に1~10、1~20、1~30、及び1~40、又は他方向に50~40、50~30、50~20、及び50~10を含むことができる。
【0074】
本明細書中で使用される場合、「減少する」とは負の変化をいい、そして「増加する」とは正の変化をいい、それぞれ少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%である。
【0075】
本明細書で使用される場合、「参照」とは、標準又は対照条件を指す。
【0076】
本明細書で使用される場合、「土壌改良剤」又は「土壌改質剤」は、土壌の物性を高めるために土壌に添加される任意の化合物、材料、又は化合物もしくは材料の組み合わせである。土壌改良剤は、有機及び無機物質を含むことができ、さらに、例えば、肥料、殺虫剤及び/又は除草剤を含むことができる。栄養豊富で排水性の高い土壌は、植物の成長と健康に不可欠であり、従って、土壌の栄養と水分含有量を変えることによって植物の成長と健康を増進するために土壌改良剤を用いることができる。土壌改良剤はまた、土壌構造(例えば、圧密の防止)、栄養濃度及び貯蔵能力の改善、乾燥土壌中の水分保持の改善、水分含有土壌中の排水の改善を含むが、これらに限定されない、土壌の多くの異なる品質を改善するためにも使用される。
【0077】
本明細書中で使用される場合、「界面活性剤」とは、2つの液体間、液体と気体間及び液体と固体間の表面張力(又は界面張力)を低下させる化合物を指す。界面活性剤は、例えば、洗剤、湿潤剤、乳化剤、発泡剤、及び分散剤として作用する。「バイオサーファクタント」は、生存生物により生成された、及び/又は自然由来の材料から生成された界面活性剤である。
【0078】
本明細書中で使用される場合、「処理」は、状態又は疾病の程度、兆候又は症状の根絶、減少、回復又は予防することを意味し、状態又は疾病の完全な治癒を含むが、必ずしもではない。処理は、疾病の治癒、改善又は部分緩和である。いくつかの実施形態において、処理には、感染、蔓延又は疾病を生じる害虫の制御が含まれる。
【0079】
「有する」又は「含有する」と同義である「含む」という移行句は、包括的又は限定的であり、追加の非記載の構成要素や方法工程を排除するものではない。対照的に、「からなる」という移行句は、請求項に指定されていない任意の構成要素、工程、又は成分を排除する。「から実質的になる」という移行句は、請求項の範囲を特定の材料や工程、及び請求項に記載された発明の「基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさないもの」に限定する。「含む」という用語の使用は、記載された構成要素から「からなる」又は「実質的になる」他の実施形態を意図するものである。
【0080】
本明細書で使用される「又は」という用語は、特に明記されない限り、又は文脈から明らかでない限り、包括的と理解される。本明細書で使用される「一つの」、「及び」、「その」という用語は、特に明記されない限り、又は文脈から明らかでない限り、単数又は複数であると理解される。
【0081】
本明細書で使用される「約」という用語は、特に明記されない限り、又は文脈から明らかでない限り、当技術分野における通常の許容範囲内、例えば、平均の2標準偏差内と理解される。「約」は、記載された値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、又は0.01%以内と理解することができる。
【0082】
本明細書中の可変の定義における化学基の列挙の引用は、1つの基又は列挙された基の組み合わせとしてのその可変の定義を含む。本明細書中の可変又は態様の実施形態の列挙は、その実施形態を単一の実施形態として、もしくは他の実施形態又はその一部と組み合わせて含む。
【0083】
本明細書に引用されている全ての参考文献は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0084】
植物健康促進組成物
好ましい実施形態において、1つ以上の非病原性微生物及び/又はその成長副産物を含む微生物ベースの健康促進組成物が提供される。組成物中の微生物及びその他追加の生物の種及び比は、例えば、処理される植物、植物が成長している土壌の種類、処理時の植物の健康、植物に影響する害虫や病原体、他の要因に従ってカスタマイズすることができる。
【0085】
特定の実施形態において、植物健康促進組成物は、「微生物ベースの組成物」であり、微生物又は他の細胞培養物の成長の結果として生成された成分を含む組成物である。このように、微生物ベースの組成物は、微生物自体及び/又は微生物成長副産物を含む。微生物は、栄養状態、胞子形態、分生子形態、繁殖体の任意の他の形態、又はこれらの混合物である。微生物は、プランクトンであっても、バイオフィルム形態であっても、又は両方の混合物であってもよい。成長副産物は、例えば、代謝産物、細胞膜成分、発現タンパク質、バイオサーファクタント、毒素、酵素、ポリケチド及び/又は他の細胞成分であってよい。微生物は、無傷であっても溶解されていてもよい。いくつかの実施形態において、微生物は、微生物ベースの組成物中に、それらが成長した成長培地と共に存在する。微生物は、例えば、組成物グラム当たり、少なくとも1×10、1×104、1×105、1×106、1×107、1×108、1×109、1×1010、1×1011、1×1012 、又は1×1013以上のCFUの濃度で存在してもよい。
【0086】
本発明の微生物は、小規模から大規模の培養プロセスを通して得ることができる。これらの培養プロセスには、浸漬培養/発酵、固相発酵(SSF)及び/又はその組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0087】
組成物は、例えば、少なくとも、1重量%、5重量%、10重量%、25重量%、50重量%、75重量%又は100重量%の成長副産物であってよい。組成物中のバイオマスの量は、例えば、0重量%~100重量%、10重量%~75重量%、又は25重量%~50重量%の間の全てのパーセンテージを含むいずれかであってよい。一実施形態において、本組成物の微生物は、総組成物の約5~20重量%、約8~15重量%又は約10~12重量%含まれる。
【0088】
いくつかの実施形態において、1つ以上の微生物は、それぞれ、1×10~1×1012、1×104~1×1011、1×105~1×1010又は1×10~1×10のCFU/mlの濃度で存在する。
【0089】
発酵生成物は、抽出又は精製を行って、又は行うことなく、直接使用される。所望であれば、抽出及び精製は、文献に記載されている標準的な抽出及び/又は精製方法又は技術を用いて容易に行うことができる。
【0090】
植物健康促進組成物中の微生物は、活性又は不活性形態、又は栄養細胞、胞子及び/又は任意の他の形態の繁殖体である。また、組成物は、これらの微生物形態のいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。
【0091】
本発明に従って有用な微生物は、例えば、細菌、酵母及び/又は菌類の非植物病原性株である。これらの微生物は、自然の微生物であってもよく、又は遺伝的に改変された微生物であってもよい。例えば、微生物は、特定の特徴を示すために特定の遺伝子で形質転換される。また、微生物は、所望の菌株の変異体であってもよい。本明細書中で使用される場合、「変異体」は、基準微生物の菌株、遺伝的変異体又はサブタイプを意味し、ここで、変異体は基準微生物と比較して、1つ以上の遺伝的変異(例えば、点変異、ミスセンス変異、ナンセンス変異、欠失、重複、フレームシフト変異又は反復拡大)を有する。変異体を作製するための手順は、微生物学的技術分野において周知されている。例えば、UV突然変異誘発及びニトロソグアニジンは、この目的のために広く使用されている。
【0092】
いくつかの実施形態において、組成物は、細菌、酵母及び/又は、菌根菌等の菌類をはじめとする1つ以上の他の微生物をさらに含む。
【0093】
本明細書で使用される場合、「菌根菌」は、植物の根と非寄生性菌根関係を形成する任意の種の菌類を含む。菌類は、外生菌根菌及び/又は内生菌根菌であり、そのサブタイプ(例えば、アーバスキュラー、エリコイド、及び蘭の菌根)もこれに含まれる。
【0094】
本発明による菌根菌の限定されない例としては、GlomeromycotaBasidiomycotaAscomycotaZygomycotaHelotiales及びHymenochaetales、同様に、Acaulospora spp.(例えば、A. alpinaA. brasiliensisA. foveata)、Amanita spp.(例えば、A. muscariaA. phalloides)、Amphinema spp.(例えば、A. byssoidesA. diademaA. rugosum)、Astraeus spp.(例えば、A. hygrometricum)、Byssocorticium spp.(例えば、B. atrovirens)、Byssoporia terrestris(例えば、B. terrestris sartoryiB. terrestris lilacinoroseaB. terrestris aurantiacaB. terrestris subluteaB. terrestris parksii)、Cairneyella spp.(例えば、C. variabilis)、Cantherellus spp.(例えば、C. cibariusC. minorC. cinnabarinusC. friesii)、Cenococcum spp.(例えば、C. geophilum)、Ceratobasidium spp.(例えば、C. cornigerum)、Cortinarius spp.(例えば、C. austrovenetusC. caperatusC. violaceus)、Endogone spp.(例えば、E. pisiformis)、Entrophospora spp.(例えば、E. colombiana)、Funneliformis spp.(例えば、F. mosseae)、Gamarada spp.(例えば、G. debralockiae)、Gigaspora spp.(例えば、G. giganteanG. margarita)、Glomus spp.(例えば、G. aggregatumG. brasilianumG. clarumG. deserticolaG. etunicatumG. fasciculatumG. intraradicesG. lamellosumG. macrocarpumG. monosporumG. mosseaeG. versiforme)、Gomphidius spp.(例えば、G. glutinosus)、Hebeloma spp.(例えば、H. cylindrosporum)、Hydnum spp.(例えば、H. repandum)、Hymenoscyphus spp.(例えば、H. ericae)、Inocybe spp.(例えば、I. bongardiiI. sindonia)、Lactarius spp.(例えば、L. hygrophoroides)、Lindtneria spp.(例えば、L. brevispora)、Melanogaster spp.(例えば、M. ambiguous)、Meliniomyces spp.(例えば、M. variabilis)、Morchella spp.、Mortierella spp.(例えば、M. polycephala)、Oidiodendron spp.(例えば、O. maius)、Paraglomus spp.(例えば、P. brasilianum)、Paxillus spp.(例えば、P. involutus)、Penicillium spp.(例えば、P. pinophilumP. thomili)、Peziza spp.(例えば、P. whitei)、Pezoloma spp.(例えば、P. ericae)、Phlebopus spp.(例えば、P. marginatus)、Piloderma spp.(例えば、P. croceum)、 Pisolithus spp.(例えば、P. tinctorius)、Pseudotomentella spp.(例えば、P. tristis)、Rhizoctonia spp.、Rhizodermea spp.(例えば、R. veluwensis)、Rhizophagus spp.(例えば、R. irregularis)、Rhizopogon spp.(例えば、R. luteorubescensR. pseudoroseolus)、Rhizoscyphus spp.(例えば、R. ericae)、Russula spp.(例えば、R. livescens)、Sclerocystis spp.(例えば、S. sinuosum)、Scleroderma spp.(例えば、S. cepaS. verrucosum)、Scutellospora spp.(例えば、S. pellucidaS. heterogama)、Sebacina spp.(例えば、S. sparassoidea)、Setchelliogaster spp.(例えば、S. tenuipes)、Suillus spp.(例えば、S. luteus)、Thanatephorus spp.(例えば、T. cucumeris)、Thelephora spp.(例えば、T. terrestris)、Tomentella spp.(例えば、T. badiaT. cinereoumbrinaT. erinalisT. galzinii)、Tomentellopsis spp.(例えば、T. echinospora)、Trechispora spp.(例えば、T. hymenocystisT. stellulataT. thelephora)、Trichophaea spp.(例えば、T. abundansT. woolhopeia)、Tulasnella spp.(例えば、T. calospora)及びTylospora spp.(例えば、T. fibrillose)に属する種が挙げられる。
【0095】
特定の好ましい実施形態において、本発明は、Glomeromycota門及びGlomusGigasporaAcaulosporaSclerocystis及びEntrophospora属由来の菌類を含む内菌根菌を利用する。内生菌根菌の例としては、Glomus aggregatumGlomus brasilianumGlomus clarumGlomus deserticolaGlomus etunicatumGlomus fasciculatumGlomus intraradicesRhizophagus irregularis)、Glomus lamellosumGlomus macrocarpumGigaspora margaritaGlomus monosporumGlomus mosseaeFunneliformis mosseae)、Glomus versiformeScutellospora heterogama、及びSclerocystis spp.が挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
特定の実施形態において、微生物は、酵母又は菌類である。本発明に従って使用するのに適した酵母及び菌類種としては、Aureobasidium(例えば、A. pullulans)、BlakesleaCandida(例えば、C. apicolaC. bombicolaC. nodaensis)、CryptococcusDebaryomyces(例えば、D. hansenii)、EntomophthoraHanseniaspora(例えば、H. uvarum)、HansenulaIssatchenkiaKluyveromyces(例えば、K. phaffii)、Mortierella、Mycorrhiza、Penicillium、PhycomycesPichia(例えば、P. anomalaP. guilliermondiiP. occidentalisP. kudriavzevii)、Pleurotus spp.(例えば、P. ostreatus)、Pseudozyma(例えば、P. aphidis)、Saccharomyces(例えば、S. boulardii sequelaS. cerevisiaeS. torula)、Starmerella(例えば、S. bombicola)、TorulopsisTrichoderma(例えば、T. reeseiT. harzianumT. hamatumT. viride)、Ustilago(例えば、U. maydis)、Wickerhamomyces(例えば、W. anomalus)、Williopsis(例えば、W. mrakii)、Zygosaccharomyces(例えば、Z. bailii)等が挙げられる。
【0097】
特定の実施形態において、微生物は、グラム陽性及びグラム陰性細菌を含む細菌である。細菌は、例えば、Agrobacterium(例えば、A. radiobacter)、AzotobacterA. vinelandiiA. chroococcum)、Azospirillum(例えば、A. brasiliensis)、Bacillus(例えば、B. amyloliquefaciensB. circulansB. firmusB. laterosporusB. licheniformisB. megateriumB. mucilaginosusB. subtilis)、Frateuria(例えば、F. aurantia)、Microbacterium(例えば、M. laevaniformans)、粘液細菌(例えば、Myxococcus xanthusStignatella aurantiacaSorangium cellulosumMinicystis rosea)、Pantoea(例えば、P. agglomerans)、Pseudomonas(例えば、P. aeruginosaP. chlororaphis subsp. Aureofaciens(Kluyver)、P. putida)、Rhizobium spp.、Rhodospirillum(例えば、R. rubrum)、Sphingomonas(例えば、S. paucimobilis)及び/又はThiobacillus thiooxidansAcidothiobacillus thiooxidans)である。
【0098】
特定の実施形態において、微生物は、土壌中の窒素、カリウム、リン及び/又は他の微量栄養素を固定及び/又は可溶化することができる。
【0099】
一実施形態において、微生物は、例えば、AzospirillumAzotobacterChlorobiaceaeCyanotheceFrankiaKlebsiellarhizobiaTrichodesmium及びいくつかの古細菌の種から選択される窒素固定微生物又はジアゾトロフである。特定の実施形態において、窒素固定細菌は、Azotobacter vinelandiiである。
【0100】
他の実施形態において、微生物は、例えば、Bacillus mucilaginosus又はFrateuria aurantia又はGlomus mosseaeから選択される、カリウム可動微生物、又はKMBである。特定の実施形態において、カリウム可動微生物は、Frateuria aurantiaである。
【0101】
特定の実施形態において、微生物は、リン動員微生物、例えば、Wickerhamomyces anomalusである。この微生物は、有益な有機酸及びバイオサーファクタントを生成して、栄養素及び水動員、土壌中の溶解及び吸収を補助する。いくつかの実施形態において、W. anomalusは、土壌中のカリウムを溶解する。さらに、W. anomalusは、無機リンの使用可能な形態にリンを動員する酵素フィターゼを生成する。さらに、W. anomalusは、特定の実施形態において、多くの植物維管束細菌病原体により形成されるようなバイオフィルムを破壊する酢酸エチルを生成する。一実施形態において、W. anomalus株NRRL Y-68030を利用する。
【0102】
一実施形態において、組成物は、1つ以上のBacillus spp.細菌である。例えば、一実施形態において、組成物は、B. subtilis(例えば、株NRRL Y-68031「B4」)を含む。
【0103】
一実施形態において、組成物は、Trichoderma spp.菌類及びBacillus spp.細菌を含む。特定の実施形態において、組成物は、Trichoderma harzianum及びBacillus amyloliquefaciensを含む。特定の実施形態において、Bacillusは、B. amyである。
【0104】
一実施形態において、組成物は、1~99重量%のTrichoderma及び99~1重量%のBacillusを含む。いくつかの実施形態において、TrichodermaBacillusの細胞数比は、約1:9~約9:1、約1:8~約8:1、約1:7~約7:1、約1:6~約6:1、約1:5~約5:1、又は約1:4~約4:1である。
【0105】
一実施形態において、組成物は、約1×106~1×1012、1×107~1×1011、1×108~1×1010、又は1×109CFU/mlのTrichodermaを含む。具体的な一実施形態において、組成物は、約1×106~1×1012、×107~1×1011、1×108~1×1010、又は1×109CFU/mlのBacillusを含む。
【0106】
他の好ましい微生物としては、例えば、Pseudomonas chlororaphisStarmerella bombicolaSaccharomyces boulardiiDebaryomyces hanseniiPichia occidentalisPichia kudriavzevii及び/又はMeyerozyma guilliermondiiを挙げることができる。
【0107】
組成物中の微生物及び他の成分の種及び比は、例えば、処理される植物、植物が成長している土壌タイプ、処理時の植物の健康、植物に影響を及ぼす害虫や病原体の種、その他要因に従ってカスタマイズすることができる。
【0108】
利点を挙げると、いくつかの実施形態において、微生物の組み合わせは、植物の健康、成長及び/又は収量を促進するために互いに相乗的に作用することである。例示的な実施形態において、Trichoderma harzianum及びB. amyは、植物の健康を促進するために、1つの組成物として互いに相乗的に作用する。Trichoderma harzianumは、栄養摂取の増加を助ける根に付着し、伸長する有益な菌類である。B. amyは、土壌中のNPK等の栄養素を可溶化し、移動させるのを助ける有機酸を生成し、最終的に植物の根がそれらを吸収することができる根域に入る有益な根圏細菌である。これらの微生物は、両方ともバイオサーファクタントを生成し、水の使用効率、根を通る水及び栄養素の浸透及び取り込みを改善する。
【0109】
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、殺虫剤自体ではない。むしろ、いくつかの実施形態において、本組成物の微生物は、土壌中の潜在的に病原性の細菌及び菌類株と競合する能力を有する。複合的な効果は、植物全体を強化するのに役立ち、これにより、ストレッサーをより効果的に取り扱うことができる。他の実施形態において、病原体は、植物中に残存するが、有害な症状は、本発明の組成物により処理後に軽減及び/又は排除される。
【0110】
本発明の微生物及び微生物ベースの組成物は、植物の健康、成長、及び/又は収量を促進するのに有用な数多くの有益な特性を有する。例えば、組成物は、精製形態又は粗形態のいずれかで、バイオサーファクタント、タンパク質及び/又は酵素のような微生物の成長から生じる産物を含む。
【0111】
病原体及び害虫から植物を保護することに加えて、これらの種による根のコロニー形成は、好ましい実施形態において、根の成長及び発達、作物の生産性、非生物的ストレスに対する抵抗性、及び栄養素のバイオアベイラビリティを高めることができる。
【0112】
一実施形態において、組成物は、好ましくは、土壌、種子、植物全体、又は植物の一部(根、塊茎、細茎、茎、芽、花及び葉を含むが、これらに限定されない)への適用のために処方される。特定の実施形態において、組成物は、例えば、液体、粉塵、顆粒、微小顆粒、ペレット、湿潤性粉末、流動性粉末、エマルジョン、マイクロカプセル、油、又はエアロゾルとして処方される。
【0113】
組成物の効果を改善又は安定化するために、適切なアジュバントとブレンドし、そのまま、又は、適宜、希釈後に使用することができる。好ましい実施形態において、組成物は、液体、濃縮液体、又は水及び他の成分と混合して液体生成物を形成することができる乾燥粉末又は顆粒として処方される。
【0114】
一実施形態において、組成物は、乾燥生成物の貯蔵及び輸送中の浸透圧を促進するために、浸透物質として、又はそれに加えて、グルコース(例えば、糖蜜の形態で)、グリセロール及び/又はグリセリンを含むことができる。
【0115】
組成物は、単独で、又は他の化合物及び/又は方法と組み合わせて、植物の健康、成長及び/又は収量を効率的に増進するために、及び/又は第1及び第2の微生物の成長を補うために使用することができる。例えば、一実施形態において、組成物は、マグネシウム、リン、窒素、カリウム、セレン、カルシウム、硫黄、鉄、銅、亜鉛等の植物及び/又は微生物の成長を増進するための栄養素、及び/又はケルプ抽出物、フルビン酸、キチン、フミン酸塩及び/又はフミン酸等の1つ以上のプレバイオティクスを含む、及び/又は、これらと同時に適用することができる。正確な材料及びその量は、本開示の利点を有する栽培者又は農業科学者によって決定することができる。
【0116】
組成物は、また、他の農業化合物及び/又は作物管理システムと組み合わせて使用することもできる。一実施形態において、組成物は、任意で、例えば、自然及び/又は化学殺虫剤、忌避剤、除草剤、肥料、水処理剤、非イオン性界面活性剤及び/又は土壌改良剤を含むことができ、又はそれらと共に適用することができる。しかしながら、好ましくは、組成物は、ベノミル、ドデシルジメチルアンモニウムクロリド、二酸化水素/ペルオキシ酢酸、イマジリル、プロピコナゾール、テブコナゾール、又はトリフルミゾールを含まず、及び/又はこれらと共に使用されない。
【0117】
組成物が相溶性化学添加剤と混合される場合、化学物質は、好ましくは、本発明の組成物を添加する前に水で希釈される。
【0118】
さらなる成分、例えば、緩衝剤、担体、同じ又は異なる施設で製造された他の微生物ベースの組成物、粘度調整剤、防腐剤、微生物成長のための栄養素、追跡剤、殺生物剤、他の微生物、界面活性剤、乳化剤、潤滑剤、溶解度制御剤、pH調整剤、防腐剤、安定剤及び耐紫外線剤を組成物に添加することができる。
【0119】
微生物ベースの組成物のpHは、目的の微生物に適したものとする。好ましい実施形態において、組成物のpHは、約3.5~7.5、約4.0~6.5又は約5.0である。
【0120】
任意で、組成物は、使用前に貯蔵することができる。貯蔵時間は短いのが好ましい。従って、貯蔵時間は、60日未満、45日未満、30日未満、20日未満、15日未満、10日未満、7日未満、5日未満、3日未満、2日未満、1日未満、又は12時間未満である。好ましい実施形態において、生細胞が生成物中に存在する場合、生成物は、例えば、20℃、15℃、10℃、又は5℃未満等の低温で貯蔵される。
【0121】
ただし、微生物ベースの組成物は、さらなる安定化、保存、及び貯蔵なしに使用してもよい。これらの微生物ベースの組成物を直接使用する利点を挙げると、微生物の高い生存率を保持し、外来エージェント及び望ましくない微生物からの汚染の可能性を低減し、微生物成長副産物の活性を維持することである。
【0122】
他の実施形態において、組成物(微生物、成長培地、又は微生物及び培地)は、例えば、意図される用途、意図される適用方法、発酵容器のサイズ、及び微生物成長施設から使用場所への任意の輸送モードを考慮して、適切なサイズの容器中に配置される。従って、微生物ベースの組成物が配置される容器は、例えば、1パイント~1,000ガロン以上であってよい。特定の実施形態において、容器は、1ガロン、2ガロン、5ガロン、25ガロン、又はそれ以上である。
【0123】
微生物寄託
いくつかの実施形態において、本発明に従って使用される微生物は、特定の寄託株である。
【0124】
一実施形態において、B. amyloliquefaciens株NRRL B-67928(「B. amy」)を用いる。B. amy微生物の培養物は、農研機構機関北部地域研究所(NRRL)1400 Independence Ave., S.W., Washington, DC, 20250, USAに寄託された。寄託物は、寄託機関によって受託番号NRRL B-67928を割り当てられ、2020年2月26日に寄託された。
【0125】
一実施形態において、B. subtilis株NRRL B-68031(「B4」)を用いる。B4微生物の培養物は、農研機構機関北部地域研究所(NRRL)1400 Independence Ave., S.W., Washington, DC, 20250, USAに寄託された。寄託物は、寄託機関によって受託番号NRRL B-67928を割り当てられ、2021年5月6日に寄託された。
【0126】
一実施形態において、Wickerhamomyces anomalus(例えば、株NRRL Y-68030)を用いる。W. anomalus株Y-68030の培養物は、農研機構機関北部地域研究所(NRRL)1400 Independence Ave., S.W., Washington, DC, 20250, USAに寄託された。寄託物は、寄託機関によって受託番号NRRL B-67928を割り当てられ、2021年5月6日に寄託された。
【0127】
培養寄託物は、37CFR 1.14及び35U.S.C122に基づいて特許商標局長が権利を有すると決定したものに対して、本特許出願の係属中に培養物へのアクセスが利用可能であることを保証する条件下で寄託されている。寄託物は、対象出願の対応出願又はその子孫出願がされている国において、外国特許法により要求されているように利用可能である。しかしながら、寄託物の利用可能性は、政府の措置によって付与された特許権の無効化において本発明を実施するためのライセンスを構成しないことを理解されたい。
【0128】
さらに、本培養物寄託物は、微生物の寄託に関するブダペスト条約の規定に従い、保管され、公衆に利用可能にされる、すなわち、寄託物のサンプルの提供のための最新の要求の後、少なくとも5年間、及び、いずれの場合も、寄託の日の後少なくとも30年間、又は培養物を開示することができる特許の実施可能期間、生存可能で汚染されないようにするために必要な全ての注意をもって保管される。寄託者は、寄託の条件のために、要求されたときにサンプルを提供することができない場合、寄託物を交換する義務を承認するものとする。本培養寄託物の公衆への利用可能性に関する全ての制限は、それを開示する特許の付与に際して取消不能に除去される。
【0129】
本発明による微生物の成長
本発明は、微生物の培養、及び微生物代謝産物及び/又は微生物成長の他の副産物の生成の方法を利用する。本発明はさらに、微生物の培養及び所望のスケールでの微生物代謝産物の生成に適した培養プロセスを利用する。これらの培養プロセスには、浸漬培養/発酵、固相発酵(SSF)、改変、ハイブリッド、及び/又はそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0130】
本明細書中で使用される場合、「発酵」は、制御された条件下での細胞の培養又は成長を指す。成長は、好気性又は嫌気性である。好ましい実施形態において、微生物は、SSF及び/又はその改変版を使用して成長する。
【0131】
一実施形態において、本発明は、バイオマス(例えば、細胞材料)、細胞外代謝産物(例えば、小分子及び排泄タンパク質)、残留栄養素及び/又は細胞内成分(例えば、酵素及び他のタンパク質)を生成するための材料及び方法を提供する。
【0132】
本発明に従って使用される微生物成長容器は、工業的使用のための任意の発酵槽又は培養反応器である。一実施形態において、容器は、機能制御/センサを有してもよく、又はpH、酸素、圧力、温度、湿度、微生物密度及び/又は代謝産物濃度等の培養プロセスにおける重要な因子を測定するために機能制御/センサに接続されてもよい。
【0133】
さらなる実施形態において、容器は、容器内の微生物の成長(例えば、細胞数及び成長期の測定)を監視することもできる。あるいは、毎日のサンプルを容器から採取し、希釈プレーティング技術等の当技術分野で公知の技術による計数を行ってもよい。希釈プレーティングは、サンプル中の生物の数を推定するために使用される単純な技術である。また、この技術は、異なる環境や処理を比較することができる指標も提供することができる。
【0134】
一実施形態において、本方法は、窒素源を用いて培養を補うことを含む。窒素源は、例えば、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、アンモニア、尿素、及び/又は塩化アンモニウムとすることができる。これらの窒素源は、単独、又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0135】
本方法は、成長培養物を酸素化することができる。一実施形態は、緩慢な空気の運動を利用して、低酸素含有空気を除去し、酸素化空気を導入するものである。浸漬発酵の場合、酸素化空気は、液体の機械的撹拌のためのインペラー、及び液体中への酸素の溶解のために液体に気泡を供給するための空気スパージャーを含む機構を介して毎日補充される周囲空気であってもよい。
【0136】
本方法は、培養物に炭素源を補充することをさらに含むことができる。炭素源は、典型的には、グルコース、スクロース、ラクトース、フルクトース、トレハロース、マンノース、マンニトール、及び/又はマルトース等の炭水化物、酢酸、フマル酸、クエン酸、プロピオン酸、リンゴ酸、マロン酸、及び/又はピルビン酸等の有機酸、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、イソブタノール、及び/又はグリセロール等のアルコール、ダイズ油、キャノーラ油、米ぬか油、オリーブ油、トウモロコシ油、ゴマ油、及び/又はアマニ油等の油脂である。これらの炭素源は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0137】
一実施形態において、微生物の成長因子及び微量栄養素が培地に含まれる。これは、それらが必要とするビタミンの全てを生成することができない微生物を成長させる場合に特に好ましい。鉄、亜鉛、銅、マンガン、モリブデン及び/又はコバルトのような微量元素を含む無機栄養素もまた、培地に含まれていてもよい。さらに、ビタミン、必須アミノ酸、及び微量元素の源は、例えば、トウモロコシ粉等の穀粉又はミールの形態で、又は酵母エキス、ジャガイモエキス、牛エキス、ダイズエキス、バナナ皮エキス等のエキスの形態で、又は精製された形態で含まれる。各種アミノ酸、例えば、タンパク質の生合成に有用な各種アミノ酸もまた含まれる。
【0138】
一実施形態において、無機塩もまた含まれる。使用可能な無機塩は、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、硫酸水素マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸鉄、塩化鉄、硫酸マンガン、塩化マンガン、硫酸亜鉛、塩化鉛、硫酸銅、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、及び/又は炭酸ナトリウムである。これらの無機塩は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0139】
いくつかの実施形態において、培養方法は、培養プロセスの前及び/又は間に、培地中に追加の酸及び/又は抗菌剤を添加することをさらに含んでもよい。抗菌剤又は抗生物質は、培養物を汚染から保護するために使用される。
【0140】
さらに、浸漬培養中の泡の形成及び/又は蓄積を防止するために、消泡剤を添加してもよい。
【0141】
混合物のpHは、目的の微生物に適したものとする。緩衝液と、炭酸塩及びリン酸塩等のpH調節剤とを使用して、pHを好ましい値付近に安定化させることができる。金属イオンが高濃度で存在する場合、培地中にキレート化剤を使用することが必要となる。
【0142】
微生物は、プランクトン形態で、又はバイオフィルムとして成長させることができる。バイオフィルムの場合、容器は、その中に微生物をバイオフィルム状態で成長させることができる基質を有することができる。また、このシステムは、例えば、バイオフィルム成長特性を促進及び/又は改善する刺激(せん断力応力等)を印加する能力を有してもよい。
【0143】
一実施形態において、微生物の培養方法は、約5℃~約100℃、好ましくは15~60℃、より好ましくは25~50℃で実施される。さらなる実施形態において、培養は、一定温度で連続的に実施されてもよい。他の実施形態において、培養は、変化する温度にさらされてもよい。
【0144】
一実施形態において、本方法及び培養プロセスで使用される装置は無菌である。反応器/容器のような培養装置は、滅菌ユニット、例えば、オートクレーブから分離されていてもよいが、接続されてもよい。また、培養装置は、接種を開始する前にイン・サイチュで滅菌する滅菌ユニットを有してもよい。空気は、当技術分野で公知の方法によって滅菌することができる。例えば、周囲空気を、容器内に導入する前に、少なくとも1つのフィルタを通過させる。他の実施形態において、培地は、低温殺菌されてもよく、又は、任意で、低水分活性及び低pHの使用を活用して、望ましくない細菌成長を制御する場合は、熱を全く加えなくてもよい。
【0145】
一実施形態において、本発明はさらに、成長及び代謝産物生成に適切な条件下で本発明の微生物株を培養することによって、例えば、バイオサーファクタント、酵素、タンパク質、エタノール、乳酸、ベータ-グルカン、ペプチド、代謝中間体、多価不飽和脂肪酸、及び脂質等の微生物代謝産物を生成する方法、及び、任意で、代謝産物を精製する方法を提供する。本方法によって生成される代謝産物含有量は、例えば、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%である。
【0146】
目的の微生物によって生成される微生物成長副産物は、微生物中に保持されるか、又は成長培地中に分泌される。培地は、微生物成長副産物の活性を安定化する化合物を含有してもよい。
【0147】
発酵培地のバイオマス含有量は、例えば、5g/l~180g/l以上、又は10g/l~150g/lである。
【0148】
細胞濃度は、例えば、少なくとも1×106~1×1012、1×107~1×1011、1×108~1×1010、又は1×109CFU/mlである。
【0149】
微生物の培養及び微生物副産物の生成の方法及び装置は、バッチ、準連続処理、又は連続処理で実施することができる。
【0150】
一実施形態において、微生物培養組成物の全てが、培養の完了時に(例えば、所望の細胞密度、又は特定の代謝産物の密度を達成した際に)除去される。このバッチ手順において、完全に新しいバッチが、第1のバッチの採取時に開始される。
【0151】
他の実施形態において、発酵生成物の一部のみが、任意の時点で除去される。この実施形態において、生細胞、胞子、分生子、菌糸及び/又は菌糸体を有するバイオマスは、新しい培養バッチのための接種物として容器内に残る。除去される組成物は、無細胞培地であるか、又は細胞、胞子、他の生殖繁殖体、及び/又はそれらの組み合わせを含む。このようにして、準連続装置が作られる。
【0152】
利点を挙げると、本方法は、複雑な設備や高いエネルギー消費を必要としないことである。目的の微生物は、現場で小規模又は大規模に培養され、その培地と混合されたままでも利用できる。
【0153】
利点を挙げると、微生物ベースの生成物は、遠隔地で製造することができることである。微生物成長施設は、例えば、太陽光、風力及び/又は水力を利用することによって、送電線網を使わずに、作動する。
【0154】
微生物ベースの生成物の調製
いくつかの実施形態において、植物健康促進生成物は、所望の結果を得るために、実際適用される生成物である「微生物ベースの生成物」である。微生物ベースの生成物は、単に、微生物培養プロセスから採取した微生物ベースの組成物、又は、上澄み液等の個々の成分である。あるいは、微生物ベースの組成物は、添加される成分をさらに含んでいてもよい。これらの追加の成分としては、例えば、安定剤、緩衝剤、水等の適切な担体、塩溶液又はその他適切な担体、さらに微生物成長をサポートする添加栄養素、非栄養素成長促進剤、及び/又は、微生物の追跡を促す薬剤、及び/又は適用される環境中の組成物が挙げられる。
【0155】
微生物ベースの生成物はまた、微生物ベースの組成物の混合物を含んでいてもよい。微生物ベースの生成物はまた、これらに限られるものではないが、濾過、遠心分離、溶解、乾燥、精製等により処理された微生物ベースの組成物の1つ以上の成分を含んでいてもよい。
【0156】
本発明の1つの微生物ベースの生成物は、単に、微生物及び/又は微生物によって生成した微生物代謝産物及び/又は任意の残留栄養素を含有する発酵培地である。発酵生成物は、抽出又は精製することなく直接使用することができる。所望であれば、抽出及び精製は、文献に記載されている標準的な抽出及び/又は精製方法又は技術を用いて容易に行うことができる。
【0157】
微生物ベースの生成物中の微生物は、活性又は不活性形態、又は栄養細胞、生殖胞子、分生子、菌糸、菌糸体、又は任意の他の形態の微生物繁殖体である。また、微生物ベースの生成物は、微生物のこれらの形態のいずれかの組み合わせを含有してもよい。
【0158】
一実施形態において、異なる微生物株を別々に成長させ、次いで一緒に混合して、微生物ベースの生成物を生成する。微生物は、任意で、混合前に成長させ乾燥させる培地とブレンドすることができる。
【0159】
一実施形態において、異なる株は一緒に混合されず、植物及び/又はその環境で別々の微生物ベースの生成物として適用される。
【0160】
微生物ベースの生成物は、さらなる安定化、保存、及び貯蔵なしに使用される。利点を挙げると、これらの微生物ベースの生成物の直接使用が、微生物の高い生存率を保持し、外来エージェント及び望ましくない微生物からの汚染の可能性を低減し、微生物成長副産物の活性を維持することである。
【0161】
成長容器から微生物ベースの組成物を採取する際、採取された生成物が容器に入れられたり、使用のために輸送されるときに、追加の成分を添加することができる。添加剤は、例えば、緩衝剤、担体、同じ又は異なる施設で製造された他の微生物ベースの組成物、粘度調整剤、保存剤、微生物成長のための栄養素、界面活性剤、乳化剤、滑沢剤、溶解度制御剤、追跡剤、溶媒、殺生物剤、抗生物質、pH調整剤、キレート剤、安定剤、紫外線防止剤、他の微生物及びそのような調製物に慣用的に使用される他の適切な添加剤である。
【0162】
一実施形態において、有機酸及びアミノ酸又はそれらの塩を含む緩衝剤を添加することができる。適切な緩衝剤には、クエン酸塩、グルコン酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、酢酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、アスパラギン酸塩、マロン酸塩、グルコヘプトン酸塩、ピルビン酸塩、ガラクタル酸塩、グルカル酸塩、タルトロン酸塩、グルタミン酸塩、グリシン、リジン、グルタミン、メチオニン、システイン、アルギニン及びそれらの混合物が含まれる。リン酸及び亜リン酸又はそれらの塩を用いてもよい。合成緩衝液は、使用に適しているが、例えば、上記に列挙した有機及びアミノ酸又はそれらの塩のような自然緩衝液を使用することが好ましい。
【0163】
さらなる実施形態において、pH調整剤は、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸カリウム又は重炭酸カリウム、塩酸、硝酸、硫酸又は混合物を含む。
【0164】
微生物ベースの組成物のpHは、目的の微生物に適したものとする。好ましい実施形態において、組成物のpHは、約3.5~7.0、約4.0~6.5、又は約5.0である。
【0165】
一実施形態において、例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、重リン酸ナトリウムの水性調製物のような追加の成分を処方に含めることができる。
【0166】
特定の実施形態において、植物の部分に生成物を長く接着させるために、接着物質を組成物に添加することができる。例えば、キサンタンガム、グアーガム、レバン、キシリナン、ゲランガム、カードラン、プルラン、デキストラン等の荷電高分子又は多糖ベースの物質等のポリマーを使用することができる。
【0167】
好ましい実施形態において、市販グレードのキサンタンガムを接着剤として使用する。ガムの濃度は、市販製品中のガムの含有量に基づいて選択するものとする。キサンタンガムが高純度である場合、0.001%(w/v-キサンタンガム/溶液)で十分である。
【0168】
一実施形態において、グルコース、グリセロール及び/又はグリセリンを微生物ベースの生成物に添加して、例えば、貯蔵及び輸送中の浸透圧調整物質として作用させることができる。一実施形態において、糖蜜を含むことができる。
【0169】
一実施形態において、プレバイオティクスを、微生物ベースの生成物に加える、及び/又は微生物ベースの生成物と同時に適用して、微生物成長を増進させることができる。好適なプレバイオティクスとしては、例えば、ケルプ抽出物、フルボ酸、キチン、フミン酸塩及び/又はフミン酸が挙げられる。特定の実施形態において、適用されるプレバイオティクスの量は、約0.1L/エーカー~約0.5L/エーカー、又は約0.2L/エーカー~約0.4L/エーカーである。
【0170】
任意で、生成物は、使用前に貯蔵することができる。貯蔵時間は短いのが好ましい。従って、貯蔵時間は、60日未満、45日未満、30日未満、20日未満、15日未満、10日未満、7日未満、5日未満、3日未満、2日未満、1日未満、又は12時間未満であってもよい。好ましい実施形態において、生細胞が生成物中に存在する場合、生成物は、例えば、20℃、15℃、10℃、又は5℃未満等の低温で貯蔵される。
【0171】
微生物ベースの生成物の現地生産
本発明の特定の実施形態において、微生物成長施設は、所望の規模で、新鮮な高密度の微生物及び/又は目的の微生物成長副産物を生成する。微生物成長施設は、適用場所又はその近くに配置してもよい。施設では、バッチ培養、準連続培養、又は連続培養で高密度の微生物ベースの組成物を生成する。
【0172】
本発明の微生物成長施設は、微生物ベースの生成物が使用される場所(例えば、カンキツ園)に配置することができる。例えば、微生物成長施設は、使用場所から300、250、200、150、100、75、50、25、15、10、5、3、又は1マイル未満であってもよい。
【0173】
微生物ベースの生成物は、従来の微生物生成の微生物安定化、保存、貯蔵、及び輸送プロセスに頼ることなく、局所的に生成することができるので、はるかに高い密度の微生物を生成することができる。それによって、現場適用で使用するために、必要とされる微生物ベースの生成物の量は少なくて済み、又は、所望の効力を得るのに必要な場合は、高密度の微生物の適用が可能となる。これは、小規模バイオリアクター(例えば、小さい発酵容器、少ない供給量の出発材料、栄養素及びpH調整剤)を可能にし、それによって、システムを効率的にし、細胞を安定化させたり、培養培地からの分離の必要性を排除することができる。微生物ベースの生成物の局所生成によってまた、生成物に成長培地を容易に含めることができる。培地は、発酵の間に生成され、局所使用に最適な薬剤を含有することができる。
【0174】
局所的に生成された高密度で頑強な微生物の培養物は、サプライチェーンにしばらくの間残っていたものよりも、この分野でより有効である。本発明の微生物ベースの生成物は、発酵成長培地中に存在する代謝産物及び栄養素から細胞が分離されている従来の生成物と比較して特に有利である。輸送時間の短縮は、地域の要求に応じた時間及び量での、微生物及び/又はそれらの代謝産物の新鮮なバッチの製造及び配送を可能にする。
【0175】
本発明の微生物成長施設は、微生物自体、微生物代謝産物、及び/又は微生物が成長する培地の他の成分を含む、新鮮な微生物ベースの組成物を生成する。所望であれば、組成物は、高密度の栄養細胞又は繁殖体、栄養細胞と繁殖体との混合物を含むことができる。
【0176】
組成物は、特定の場所で使用するために調整することができる点が有利である。一実施形態において、微生物成長施設は、微生物ベースの生成物が使用される場所(例えば、カンキツ園)又はその近くに配置する。
【0177】
これらの微生物成長施設は、例えば、生存可能な高細胞数の生成物、細胞が最初に成長する関連培地及び代謝産物のタイムリーな配送及び適用を妨げる、上流の処理遅延、サプライチェーンのボトルネック、不適切な貯蔵、及び他の不測の事態のために生成物品質が損なわれるという、大規模栽培者に依拠している現在の問題に対する解決策を提供するという点で有利である。
【0178】
微生物成長施設は、微生物ベースの生成物を調整する能力によって、製造の汎用性を提供し、目的地の地理との相乗効果を改善する。好ましい実施形態において、本発明のシステムは、自然に存在する局所微生物及びそれらの代謝副産物の力を利用して、農業生産を改善する点で有利である。
【0179】
個々の容器の培養時間は、例えば、1~7日以上であってよい。培養物は、多くの異なる方法のいずれかで採取することができる。
【0180】
例えば、発酵の24時間以内の局所生産及び配送は、純粋で、高細胞密度の組成物及び実質的に低い輸送コストとなる。より効果的で強力な微生物接種材料の開発における急速な進歩の見通しを考えると、消費者は、微生物ベースの生成物を即時に配送するこの能力により大いなる恩恵を得ることとなる。
【0181】
植物の健康を促進する方法
好ましい実施形態において、害虫や病原体に感染しているか、感染するリスクがある植物の健康を促進する方法が提供される。
【0182】
特定の実施形態において、本方法は、本発明の健康促進組成物を、植物及び/又はその周囲環境と接触させることを含む。特定の他の実施形態において、本方法は、バイオサーファクタント等の微生物成長副産物を、植物及び/又はその周囲環境と接触させることを含む。さらなる実施形態において、本方法は、微生物ベースの健康促進組成物及びバイオサーファクタントの両方を適用することを含む。
【0183】
特定の実施形態において、害虫や病原体は、植物維管束組織に影響を及ぼす疾患及び/又は症状を引き起こし、例えば、Xylella fastidiosa(例えば、X. fastidiosa subspp. fastidiosamultiplexpauca, sandyitashke及び morus)、Candidatus Liberibacter spp.(例えば、C. L. africanusC. L. americanusC. L., asiaticusC. L. crescensC. L. europaeusC. L. psyllaurousC. L. solanacearumC. L. brunswickensis)、Xanthomonas spp.(例えば、X. oryzaeX. campestris)、Ralstonia solanacearumErwinia spp.(E. amylovoraE. tracheiphila)、Curtobacterium flaccumfaciensPantoea stewartiiVerticillium spp.(例えば、V. dahliaeV. albo-atrumV. longisporumV. nubilumV. theobromae及びV. tricorpus)、Fusarium spp.(例えば、F. avenaceumF. bubigeumF. culmorumF. graminearumF. langsethiaeF. oxysporumF. proliferatumF. sporotrichioidesF. poaeF. reseumF. solaniF. tricinctumF. verticillioidesF. virguliformeF. xylariodides)、Clavibacter michiganensisCeratocystis spp.、Pseudomonas syringaeCa. Phytoplasma spp.(例えば、Ca. P. palmaeCa. P. palmicolaCa. P. costaricanumCa. P. fragariae)、Ophiostoma ulmiBretziella fagacearum及びAcromonium diospyriが挙げられる。
【0184】
本方法は、維管束系感染により感染しやすい任意の植物種において使用することができる。例示的な実施形態において、植物は、オリーブ(O. europaea)を含むOlea属の部類である。
【0185】
特定の実施形態において、害虫又は病原体は、Xylella fastidiosa等のバイオフィルム形成細菌であり、これは維管束系組織(例えば、木部及び/又は師部組織)においてバイオフィルムを形成し、それによって、植物全体への水及び/又は栄養素の供給を妨害する。
【0186】
いくつかの実施形態において、本方法は、害虫や病原体、又は害虫や病原体を保有する媒介生物を直接制御することによって、及び/又は害虫や病原体による感染によって引き起こされる症状を処理することによって、植物の健康を促進する。
【0187】
いくつかの実施形態において、本方法は、害虫や病原体に対する植物の免疫応答を促進することによって植物の健康を促進し、それによって、害虫や病原体による感染に生き延びる、及び/又は抵抗する植物の能力を増進する。
【0188】
一実施形態において、植物の免疫応答の改善は、侵入物関連分子パターン(IAMP(invader-associated molecular pattern))及び/又は病原性エフェクター分子を認識し、その後、防御機構を誘導する植物細胞内のシグナルを伝達することによって、認識に反応する植物のパターン認識受容体(PRR)の能力を増進することを含む。特定の実施形態において、IAMPは、病原体関連分子パターン(PAMP)である。
【0189】
いくつかの実施形態において、免疫サプリメントは、プライミング剤として機能し、プライミングは、植物をIAMP及び/又は病原性エフェクター分子に予備曝露して、植物における防御機構を誘発し、植物が病原体に感染する前に、植物を防御及び/又は耐性のある状態に誘導することを含む。
【0190】
いくつかの実施形態において、植物の免疫応答の改善は、IAMP及び/又は病原性エフェクター分子の認識時に、植物のPRRの反応を増進することを含む。例えば、本方法は、例えば、PRRによってシグナルが生成及び/又は伝達される速度を増加させる、及び/又は防御機構(例えば、防御分子)が植物によって展開される量を増加させることによって、植物における防御機構の誘導を増進することができる。例えば、Xylella fastidiosaは、植物認識を遅らせることを可能にする長鎖O抗原を含有し、これは、先天性免疫を迂回し、植物宿主において確立されることを可能にする。
【0191】
特定の実施形態において、植物の免疫応答の改善は、IAMP及び/又は病原性エフェクター分子の認識時に、植物のPRRの有害反応を低減することを含む。例えば、本方法は、例えば、植物において不可逆的であり、及び/又は過剰に誘導されているため、植物に害を及ぼしている防御機構の誘導を低減することができる。例えば、HLBは、動物における自己免疫応答に類似する応答を誘導すると考えられており、この場合、植物は、例えば、師部を塞ぐことができる、及び/又は師部細胞壁の構造を変化させて病原性細胞のさらなる拡散を防ぐことができる多糖類を過剰生成する。植物の根及び維管束系に対する栄養及び水ストレスを低減することによって、本方法は、いくつかの実施形態において、害虫又は病原体の存在によって誘導される「自己免疫」応答を低減し、それによって、引き起こされる症状を改善することができる。
【0192】
本方法に従って調節される植物防御機構としては、これらに限定されるものではないが、病原性侵入物を制御するための植物中の抗菌化合物の放出、活性酸素種(ROS)の生成、感染部位における過敏反応(HR(a hypersensitive response))又はプログラム細胞死の誘導、特定の防御及び/又は保護機構を上方又は下方制御するための遺伝子発現及び/又はホルモン発現の変化、炭水化物合成の上方制御、師部タンパク質を含む、細胞壁合成、組立及び改質に関与するタンパク質をコードする遺伝子発現の変化、植物の一部分におけるカロース成膜上方制御及び/又はその他が挙げられる。
【0193】
いくつかの実施形態において、本方法は、植物の根系を拡張して、疾患によって損なわれた根への圧力を低下させ、根の機能性を増加させることによって、植物の健康を促進する。図1A~1B。
【0194】
いくつかの実施形態において、本方法は、木部及び師部を通る水及び栄養輸送を改善することによって、罹患植物であっても、植物の健康を促進する。例えば、組成物は、組成物の微生物によって生成されるか、又は追加の成分として適用されるバイオサーファクタントを含む。それらの両親媒性の性質により、バイオサーファクタントは、根系の周り、同様に、維管束系内の水の表面張力を低下させて、木部及び師部を通る栄養及び水の輸送を助ける。
【0195】
いくつかの実施形態において、本方法は、根系への栄養素の利用可能性を改善することによって植物の健康を促進する。例えば、組成物は、組成物の微生物によって生成されるか、又は追加の成分として適用される有機酸を含むことができる。有機酸は、栄養化合物を使用可能な形態に可溶化することによって、拡張された根系に対する栄養素の利用可能性を改善する。いくつかの実施形態において、本発明による組成物で処理された植物は、高い葉緑素及び組織窒素レベルを有し、これは栄養素の使用効率を示すものである。図2
【0196】
微生物ベースの健康促進組成物の適用
本明細書で使用される場合、組成物又は生成物を「適用する」、又は環境を「処理する」とは、組成物又は生成物が、その対象又は部位に対して効果を有することができるように、組成物又は生成物を、対象又は部位と接触させることを指す。この効果は、例えば、微生物成長及び/又は代謝産物、酵素、バイオサーファクタントその他の成長副産物の作用によるものである。
【0197】
適用は、組成物を、植物、植物の一部分、及び/又は植物の周囲環境(例えば、土壌)と直接接触させることを含む。組成物は、種子処理として、又は土壌表面に、又は植物や植物の一部分の表面に(例えば、根、塊茎、茎、花、葉、果実、又は花の表面に)適用することができる。液体又は乾燥粉末、粉塵、顆粒、微小顆粒、ペレット、湿潤性粉末、流動性粉末、エマルジョン、マイクロカプセルとして噴霧することができる。組成物の効果を改善又は安定化するために、適切なアジュバントとブレンドし、そのまま、又は必要に応じて希釈後に使用することができる。
【0198】
好ましい実施形態において、組成物は、乾燥粉末として処方され、これを水その他成分と混合して、液体生成物を形成することができる。一実施形態において、組成物は、乾燥生成物の貯蔵及び輸送中に、確実に適切な浸透圧にするために、浸透物質に加えてグルコースを含むことができる。一実施形態において、浸透圧物質は、グリセリンである。
【0199】
特定の実施形態において、組成物を、植物の一部分と接触させる。特定の実施形態において、組成物は、植物の1つ以上の根と接触させる。組成物は、例えば、根に噴霧又は注入することによって、根に直接適用する、及び/又は、例えば、植物根が成長している土壌(すなわち、根圏)に組成物を投与することによって、間接的に適用することができる。組成物は、植え付け前又は植え付け時に、植物の種子に、又は植物の任意の他の部分及び/又はその周囲環境に適用することができる。
【0200】
一実施形態において、組成物は、例えば、XanthomonadaceaeCandidatus Liberibacter等の病原体、又は本明細書に記載されたその他病原体と診断された植物に適用される。あるいは、そのような病原体は、処理される植物の近傍で検出される場合もある。近傍は、例えば、植物の10、20、50、100、1000もしくは5000フィート、又は2マイル以内である。
【0201】
一実施形態において、本方法は、水、肥料、又は他の液体組成物を、作物、果樹園、又は畑に供給するために使用される灌漑システムに接続されたタンクに本組成物を投与することを含む。このように、植物及び/又は植物を囲む土壌は、例えば、土壌注入、土壌浸漬、又はセンターピボット灌漑システムを使用することによって、又はまき溝に噴霧器により、又はスプリンクラーや滴下灌漑器により、組成物で処理することができる。利点を挙げると、本方法は、1度に数百エーカーのプランテーション、作物、果樹園又は畑を処理するのに適していることである。
【0202】
一実施形態において、本方法は、家庭菜園や温室等の小規模な設定で使用され、本方法は、ハンドヘルド式芝生及び庭の噴霧器のタンクに組成物を注入し、植物及び/又はその周囲環境に混合物を噴霧することを含む。
【0203】
植物及び/又はその環境は、植物を栽培するプロセス中、任意の時点で処理することができる。例えば、組成物は、種子が植えられる前、それと同時に、又はその後に適用することができる。また、その後、植物が開花、果実を実らせる、及び落葉の間及び/又は後を含む、植物の発育及び成長の間の任意の時点で適用される。
【0204】
特定の実施形態において、本明細書で提供される組成物は、機械的な組み込みなしで、土壌表面に適用される。土壌適用の有益な効果は、降雨、スプリンクラー、洪水、又は点滴潅漑によって活性化され、その後、例えば、作物の根に送達されて、根の微生物叢に影響を及ぼすか、又は微生物生成物が適用される作物又は植物の維管束系への微生物生成物の取り込みを促進することができる。例示的な実施形態において、本明細書で提供される組成物は、センターピボット灌漑システムを介して、又はまき溝の上に噴霧器により、効率的に適用することができる。
【0205】
特定の実施形態において、本方法は、栄養素を適用して、1つ以上の微生物の成長及び/又は健康促進成長副産物の生成を増進することを含む。このような栄養素としては、例えば、炭素、窒素、カリウム、リン、マグネシウム、タンパク質、微量栄養素、ビタミン及び/又はアミノ酸の供給源を挙げることができる。
【0206】
バイオサーファクタント処理
特定の実施形態において、本方法は、バイオサーファクタント組成物を、植物及び/又はその周囲環境に適用することを含む。バイオサーファクタントは、健康促進組成物のサプリメントとして適用することができ、及び/又は、スタンドアローン処理として適用することができる。
【0207】
本発明によるバイオサーファクタントは、例えば、糖脂質、セロビオース脂質、リポペプチド、フラボ脂質、リン脂質、ならびにリポタンパク質、リポ多糖-タンパク質複合体、及び/又は多糖-タンパク質-脂肪酸複合体等の高分子量ポリマーを含む。
【0208】
一実施形態において、バイオサーファクタントは、例えば、ラムノ脂質(RLP)、ソホロ脂質(SLP)、トレハロース脂質又はマンノシルエリトリトール脂質(MEL)等の糖脂質を含む。一実施形態において、バイオサーファクタントは、例えば、サーファクチン、イツリン、フェンジシン、アトロファクチン、ビスコシン及び/又はリケニシン等のリポペプチドを含む。
【0209】
バイオサーファクタントは、微生物によって生成される表面活性物質の構造的に多様な群である。バイオサーファクタントは、極性(親水性)部分と非極性(疎水性)基の2つの部分からなる両親媒性である。脂肪酸の炭化水素鎖は、バイオサーファクタント分子の共通の親油性部分として作用し、一方、親水性部分は、中性脂質のエステル又はアルコール基によって、脂肪酸又はアミノ酸(又はペプチド)のカルボキシレート基によって、フラボ脂質の場合は、有機酸によって、又は糖脂質の場合は、炭水化物によって形成される。
【0210】
それらの両親媒性構造のために、バイオサーファクタントは、疎水性の水不溶性物質の表面積を増加させ、そのような物質の水バイオアベイラビリティを増加させる。加えて、バイオサーファクタントは、界面に蓄積するため、界面張力を低減し、溶液中で凝集ミセル構造の形成をもたらす。孔を形成し、生体膜を不安定化するバイオサーファクタントの能力が、例えば、抗菌剤(antibacterial agent)及び抗真菌剤(antifungal agent)としての使用を可能にする。
【0211】
さらに、バイオサーファクタントは、様々な表面への望ましくない微生物の密着を阻害し、バイオフィルムの形成を防止し、強力な乳化及び解乳化特性を有する。さらに、バイオサーファクタントはまた、濡れ性を改善し、土壌中の肥料、栄養素、及び水の可溶化及び/又は分配のためにも使用することができる。
【0212】
利点を挙げると、バイオサーファクタントは、生分解性で、再生可能な基質にある選択された生物を用いて、本発明に従って効率的に生産することができることである。大半のバイオサーファクタント生成生物は、成長培地中の炭化水素源(例えば、油、糖、グリセロール等)の存在に応答してバイオサーファクタントを生成する。鉄の濃度等、他の培地成分もまた、バイオサーファクタント製造に大きく影響する。
【0213】
特定の実施形態において、バイオサーファクタント組成物は、2種類以上のバイオサーファクタントを含む。バイオサーファクタントは、精製及び/又は粗製形態である。
【0214】
いくつかの実施形態において、バイオサーファクタント組成物中のバイオサーファクタントの濃度は、約0.001~約5.0重量%、又は約0.005~約1.0重量%、又は約0.01~約0.1重量%、又は約0.05重量%である。
【0215】
特定の実施形態において、バイオサーファクタント組成物は、約5~50ppm、10~40ppm、より好ましくは、約20~30ppmの濃度のソホロ脂質を含む。ソホロ脂質は、ラクトン又は酸性形態のソホロ脂質、又は2つの形態の組み合わせである。いくつかの実施形態において、ソホロ脂質は、そのナノスケールのミセルサイズ(例えば、20nm未満)であるため、特に有利である。これは、細胞膜及び細胞接合部等の空間への浸透を増進し、それによって、これらの空間を通る栄養素や水の輸送、及び/又はバイオフィルムマトリックスの破壊が増進される。
【0216】
バイオサーファクタントは、例えば、水溶性及び/又は土壌からの栄養素の吸収を増進することをはじめとする利点を与えることができ有利である。さらに、バイオサーファクタント分子の両親媒性によって、植物の維管束系を通って移動することができ、そこで、例えば、木部及び師部を詰まらせるバイオフィルムの形成を助長する多糖マトリックスを溶解し、及び/又はそれらを形成する病原体を直接制御することによって、免疫健康を促進することができる。さらに、維管束系内の表面張力を低減する能力によって、バイオサーファクタントは、植物全体にわたって、水及び栄養素の全体的な循環を改善することができる。
【0217】
一実施形態において、本方法は、健康促進組成物の適用後に、又はそれと同時に、バイオサーファクタント処理組成物を、植物及び/又はその周囲環境に適用することを含む。
【0218】
バイオサーファクタント組成物は、連続的に、単一の処理として、又はそれぞれの処理の間に一定時間空いた複数の連続的な処理として、適用することができる。
【0219】
いくつかの実施形態において、バイオサーファクタント組成物は、植物が成長している土壌に適用され、そこで、植物の根によって吸収され、植物の維管束系を通って輸送される。
【0220】
一実施形態において、バイオサーファクタント処理剤は、健康促進組成物の微生物と接触しないようにして適用される。例えば、一実施形態において、バイオサーファクタント組成物は、植物の根以外の部分に直接適用される。バイオサーファクタント組成物は、植物の内部、例えば、植物の維管束系(木部及び師部)に直接適用することができる。本実施形態による直接適用は、例えば、シリンジを使用して、バイオサーファクタント処理剤を、例えば、植物の幹、枝、茎及び/又は葉に注入することを含む。樹木や大きな植物の幹及び/又は茎の場合は、シリンジを挿入するために、幹又は茎に小さな穴を開けることが必要である。直接適用にはまた、例えば、組成物を植物の幹、枝、茎、葉、花及び/又は果実に噴霧することも含まれる。
【0221】
利点を挙げると、本方法の本実施形態によって、バイオサーファクタント処理剤は、微生物が存在する土壌に適用されないので、健康促進組成物中に存在する微生物の生存が可能となる点である。さらに、処理剤を、植物の循環系に直接注入することにより、必要とされる組成物の量を最小限に抑えながら、組成物を植物全体に急速に散逸させることができる。
【0222】
いくつかの実施形態において、健康促進組成物を土壌に適用せず、バイオサーファクタント組成物を、植物及び/又はその環境に適用する。いくつかの実施形態において、バイオサーファクタント組成物を適用せず、健康促進組成物を、土壌に適用する。
【0223】
その他考慮事項
利点を挙げると、本方法は、害虫や病原体、特に、植物の維管束系に影響を及ぼすものによる感染により免疫健康が損なわれた植物において、健康、成長及び/又は収量を促進するために使用することができることである。さらに、本方法は、そのような感染によって引き起こされる植物の損傷及び/又は枯死による植物及び/又は作物の損失の量を低減するために使用することができる。
【0224】
特定の実施形態において、害虫や病原体に感染したにもかかわらず、植物の成長及び収量を促進するために本発明を使用することができる。
【0225】
特定の実施形態において、本発明による方法及び組成物は、維管束害虫や病原体によって引き起こされる植物への損傷を、未処理環境で成長する植物と比較して、約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%以上減少させる。
【0226】
特定の実施形態において、本発明による方法及び組成物は、未処理の作物と比較して、約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%以上の作物収量の増加をもたらす。
【0227】
一実施形態において、本発明による方法は、未処理環境で成長する植物と比較して、約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%以上の、植物又は植物の周囲環境における維管束害虫や病原体の量の減少をもたらす。
【0228】
一実施形態において、本発明による方法は、未処理環境で成長する植物と比較して、約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%以上、植物の地上質量、根質量、細茎直径、高さ、林冠密度、果実のサイズ、果実の質量、果実の数、葉緑素格付け、窒素含有量、葉のサイズ及び/又は植物のブリックス測定における増加をもたらす。
【0229】
本発明はまた、「ニッチクリア」剤としても用いることができる。一実施形態において、健康促進組成物及び/又はバイオサーファクタント組成物を用いて、植物が成長している土壌に存在する微生物の既存のバランスを崩すことができる。
【0230】
特定の実施形態において、植物が成長している土壌微生物叢は、例えば、Xylella spp.細菌又はFusarium spp.菌類等の有害な微生物を含む。土壌微生物叢個体群をクリアアウト又は減少することにより、本方法は、特定の実施形態において、コロニー化又は再コロニー化しようとする有害種を防ぐ、及び/又は撃退する1つ以上の有益な微生物により根圏の再コロニー化を提供する。
【0231】
このように、ある実施形態において、本方法は、本発明の組成物を用いて土壌微生物叢をクリアした後、有的な微生物成長を促進する増進剤を適用し、及び/又は根圏を1つ以上の有益な微生物で直接接種することを含む。
【0232】
一実施形態において、有的な微生物は、例えば、健康促進組成物の微生物である。
【0233】
本発明を用いてまた、任意の種類の土壌、例えば、粘土、砂質土、シルト質土、ピーティ土、チョーク質土、ローム質土、及び/又はそれらの組み合わせにおける様々な品質を改善することもできる。さらに、本方法及び組成物を用いて、乾燥、水分含有、多孔質、枯渇、圧縮土壌及び/又はそれらの組み合わせの品質を改善することができる。
【0234】
一実施形態において、本方法を用いて、水分含有土壌中の水の排水及び/又は分散を改善することができる。一実施形態において、本方法を用いて、乾燥土壌中の保水性を改善することができる。一実施形態において、本方法を用いて、多孔質及び/又は枯渇した土壌中の栄養素の保持を改善することができる。
【0235】
一実施形態において、本方法は、病原性微生物自体を制御する。一実施形態において、本方法は、植物の免疫健康を増進することによって、感染を撃退する能力を増進する働きをする。
【0236】
さらに他の実施形態において、本方法は、病原性微生物の媒介生物又は担体として作用する可能性のある害虫、例えば、植物に着いて、病原体と接触するハエ、アブラムシ、アリ、甲虫、ホワイトハエ等を制御する。このように、本方法は、これらの担体害虫を制御、すなわち、殺すことによって、植物病原性微生物の蔓延を防ぐことができる。
【0237】
本方法は、単独で、あるいは、植物の免疫、健康、成長及び/又は収量の効率的な増進のために他の化合物と組み合わせて、同様に、植物病原性害虫の効率的な処理及び予防のために他の化合物と組み合わせて使用することができる。例えば、市販及び/又は自然肥料、抗生物質、殺虫剤、除草剤及び/又は土壌改質剤を、本発明の組成物と共に適用することができる。一実施形態において、本方法は、本組成物と共に、例えば、非置換又は置換飽和又は不飽和脂肪酸及び/又はその塩又は誘導体を含む脂肪酸組成物を適用することを含む。
【0238】
好ましくは、組成物は、以下の化合物:ベンオミル、ドデシルジメチルアンモニウムクロリド、二酸化水素/ペルオキシ酢酸、イマジリル、プロピコナゾール、テブコナゾール、又はトリフルミゾールを含まないか、及び/又は、同時に適用されないか、又は適用の前後7~10日以内に適用されない。
【0239】
特定の実施形態において、本組成物及び本方法を使用して、他の化合物の有効性を増進するために、例えば、植物又は害虫への農薬化合物の浸透を増進することによって、又は植物の根への栄養素のバイオアベイラビリティを増進することができる。微生物ベースの生成物はまた、他の処理、例えば、抗生物質処理を補うために使用することもできる。有利な点を挙げると、本発明は、細菌感染を処理及び/又は予防するのに有効とするために、作物又は植物に投与しなければならない抗生物質の量を減少させるのに役立つ。
【0240】
対象植物
本明細書中で使用される場合、「植物」という用語は、木質、鑑賞又は装飾、作物又は穀類、果実植物又は野菜植物、花又は樹木、巨大藻類又は微細藻類、植物プランクトン及び光合成藻類(例えば、緑藻類Chlamydomonas reinhardtii)の任意の種を含むが、これらに限定されない。「植物」には、また、単細胞植物(例えば、微細藻類)及びコロニー(例えば、ボルボックス)又は植物の発育の任意の段階に存在する構造に大きく分化される複数の植物細胞が含まれる。そのような構造には、果実、種、芽、茎、葉、根、花弁等が含まれるが、これらに限定されない。植物は、例えば、庭で自立したもの、又は、例えば、果樹園、作物又は牧草地の一部等、多くの植物のうちの1つとすることができる。
【0241】
本明細書で使用される場合、「作物植物」は、人間、動物又は海洋動物の利益や栄養のために成長した、又は人間により使用される(例えば、繊維、化粧品や医薬品製造)、又は人間が楽しみのために眺める(例えば、景観、庭の花や低木)任意の種の植物や藻類、あるいは、産業、商業、教育で使用される植物や藻類又はその一部を指す。作物植物は、従来の繁殖及び最適化手法によって、バイオテクノロジー及び組換え法によって、又は、遺伝子組換え植物及び植物品種を含むこれらの方法の組み合わせによって得ることができる植物である。
【0242】
例示的な実施形態において、植物は、オリーブ、ブドウ、カンキツ類、桃、コーヒー、アーモンド、いちご、バナナ、ブルーベリー、エルム、オレアンダー、シカモア、ソルガム、タバコ、ルーセン、プラム、オーク、プルーン、クワ及びメープルから選択される。
【0243】
本発明の生成物及び方法の適用から利益を得ることができる作物植物の種類には、条播作物(例えば、トウモロコシ、ダイズ、モロコシ、ピーナッツ、ジャガイモ等)、畑作作物(例えば、アルファルファ、コムギ、穀物等)、樹木作物(例えば、クルミ、アーモンド、ペカン、ヘーゼルナッツ、ピスタチオ等)、カンキツ作物(例えば、オレンジ、レモン、グレープフルーツ等)、果実作物(例えば、リンゴ、ナシ、イチゴ、ブルーベリー、ブラックベリー等)、芝作物(例えば、ソッド)、装飾作物(例えば、花、つる等)、野菜(例えば、トマト、ニンジン等)、つる作物(例えば、ブドウ等)、林業(マツ、トウヒ、ユーカリ、ポプラ等)、管理された牧草(放牧動物をサポートするために使用される植物のあらゆる混合物)が含まれるが、これらに限定されない。
【0244】
本発明が有用である植物のさらなる例としては、穀類及び草類(例えば、コムギ、オオムギ、ライムギ、オーツ、コメ、トウモロコシ、モロコシ、コーン)、ビーツ(例えば、テンサイ、飼料ビーツ)、果実(例えば、ブドウ、イチゴ、ラズベリー、ブラックベリー、ポマシフルーツ、核果、ソフトフルーツ、リンゴ、ナシ、プラム、ピーチ、アーモンド、チェリー又はベリー)、マメ科作物(例えば、マメ、レンティル、エンドウマメ又はダイズ)、油作物(例えば、アブラナ、マスタード、ポピー、オリーブ、ヒマワリ、ココナッツ、ヒマシ、ココア又は粉砕ナッツ)、ウリ科(例えば、カボチャ、キュウリ、カボチャ又はメロン)、繊維植物(例えば、綿、亜麻、麻又はジュート)、カンキツ果実(例えば、オレンジ、レモン、グレープフルーツ又はタンジェリン)、野菜(例えば、ホウレンソウ、レタス、アスパラガス、キャベツ、ニンジン、タマネギ、トマト、ジャガイモ又はピーマン)、クスノキ科(例えば、アボカド、シナモン又はカンファー)、及びタバコ、ナッツ、ハーブ、スパイス、薬用植物、コーヒー、ナス、サトウキビ、紅茶、コショウ、ブドウのつる、ホップ、オオバコ科、ゴム植物、切花及び装飾品が挙げられるが、これらに限定されない。
【0245】
特定の実施形態において、作物植物は、カンキツ類植物である。本発明によるカンキツ類植物としては、オレンジの木、レモンの木、ライムの木及びグレープフルーツの木が挙げられるが、これらに限定されない。他の例としては、Citrus maxima(ポメロ)、Citrus medica(シトロン)、Citrus micrantha(パペダ)、Citrus reticulata(マンダリンオレンジ)、Citrus paradisi(グレープフルーツ)、Citrus japonica(キンカン)、Citrus australasica(オーストラリアフィンガーライム)、Citrus australis(オーストラリアラウンドライム)、Citrus glauca(オーストラリアデザートライム)、Citrus garrawayae(マウントホワイトライム)、Citrus gracilis(カカドゥーライム又はハンプティドーライム)、Citrus inodora(ラッセルリバーライム)、Citrus warburgiana(ニューギニアワイルドライム)、Citrus wintersii(ブラウンリバーフィンガーライム)、Citrus halimii(リマウカダングサ、リマウケデューティーカ)、Citrus indica(インディアンワイルドオレンジ)、Citrus macroptera、Citrus latipes、Citrus x aurantiifolia(キーライム)、Citrus x aurantium(ビターオレンジ)、Citrus x latifolia(ペルシアンライム)、Citrus x limon(レモン)、Citrus x limonia(ラングプル)、Citrus x sinensis(スィートオレンジ)、Citrus x tangerina(タンジェリン)、インペリアルレモン、タンジェロ、タンゴール、キノー、キヨミ、ミネオラタンジェロ、オロブランコ、アグリ、ブッシュカン、シトロン、ベルガモットオレンジ、ブラッドオレン、カラモンジン、クレメンタイン、マイヤーレモン及びゆずが挙げられる。
【0246】
いくつかの実施形態において、作物植物は、オレンジジャスミン、ライムベリー、及び三葉オレンジ(Citrus trifolata)等の、カンキツ植物の系列である。
【0247】
対象植物のさらなる例としては、上科緑色植物亜界に属する全ての植物、特に、単子葉及び双子葉植物、マメ科牧草、飼料マメ科牧草、装飾植物、食料作物、樹木、灌木が挙げられ、具体的には、Acer spp.(例えば、A. rubrum)、Actinidia spp.Abelmoschus spp.、Agave sisalanaAgropyron spp.、Agrostis stoloniferaAllium spp.、Amaranthus spp.Ammophila arenariaAnanas comosusAnnona spp.、Apium graveolensArachis spp.、Artocarpus spp.、Asparagus officinalisAvena spp.(例えば、A. sativaA. fatuaA. byzantinaA. fatua var. sativaA. hybrida)、Averrhoa carambolaBambusa sp.、Benincasa hispidaBertholletia excelseaBeta vulgarisBrassica spp.(例えば、B. napusB. rapa ssp.[キャノーラ、ナタネ、アブラナ])、Cadaba farinosaCamellia sinensisCanna indicaCannabis sativaCapsicum spp.、Carex elataCarica papayaCarissa macrocarpaCarya spp.(例えば、C. illinoinensis)Carthamus tinctoriusCastanea spp.、Ceiba pentandraCichorium endiviaCinnamomum spp.、Citrofortunella microcarpaCitrullus lanatusCitrus spp.、Cocos spp.、Coffea spp.、Colocasia esculentaCola spp.、Corchorus sp.、Coriandrum sativumCorylus spp.、Crataegus spp.Crocus sativusCucurbita spp.、Cucumis spp.、Cynara spp.、Cyperaceae spp.、Daucus carotaDesmodium spp.Dimocarpus longanDioscorea spp.、Diospyros spp.、Echinochloa spp.、Elaeis(例えば、E. guineensisE. oleifera)Eleusine coracanaEragrostis tefErianthus sp.、Eriobotrya japonicaEucalyptus sp.、Eugenia unifloraFagopyrum spp.、Fagus spp.、Festuca arundinaceaFicus spp.(例えば、F. caricaF. elastic)、Fortunella spp.、Fragaria spp.、Ginkgo bilobaGlycine spp.(例えば、G. maxSoja hispida又はSoja max)、Gossypium hirsutumHelianthus spp.(例えば、H. annuus)、Hemerocallis fulvaHibiscus spp.、Hordeum spp.(例えば、H. vulgare)、Ipomoea batatasJuglans spp.、Lactuca sativaLathyrus spp.、Lens culinarisLiquidambar styracifluaLinum usitatissimumLitchi chinensisLotus spp.、Luffa acutangulaLupinus spp.、Luzula sylvaticaLycopersicon spp.(例えば、L. esculentumL. lycopersicumL. pyriforme)、Macrotyloma spp.、Malus spp.、Malpighia emarginataMammea americanaMangifera indicaManihot spp.、Manilkara zapotaMedicago sativaMelilotus spp.、Mentha spp.、Miscanthus sinensisMomordica spp.、Morus spp.(例えば、M. nigraM. albaM. rubra)、Musa spp.、Nerium oleanderNicotiana spp.、Olea spp.、Opuntia spp.、Ornithopus spp.、Oryza spp.(例えば、O. sativaO. latifolia)、Panicum miliaceumPanicum virgatumPassiflora edulisPastinaca sativaPennisetum sp.、Persea spp.(例えば、P. americanai)Petroselinum crispumPhalaris arundinaceaPhaseolus spp.、Phleum pratensePhoenix spp.、Phragmites australisPhysalis spp.、Pinus spp.、Pistacia veraPisum spp.、Platanus occidentalisPoa spp.、Polygala myrtifoliaPoncirus trifoliatePopulus spp.、Prosopis spp.、Prunus spp.(例えば、P. angustifoliaP. aviumP. cerasiferaP. domesticaP. dulcisP. persicaP. salicina)、Psidium spp.、Punica granatumPyrus communisQuercus spp.(例えば、Q. palustrisQ. rubra)、Raphanus sativusRheum rhabarbarumRibes spp.、Ricinus communisRubus spp.、Saccharum spp.、Salix sp.Sambucus spp.、Secale cerealeSesamum spp.、Sinapis sp.、Solanum spp.(例えば、S. tuberosumS. integrifolium又はS. lycopersicum)、Sorghum spp.(例えば、S. bicolorS. halepense)、Spartium junceumSpinacia spp.、Syzygium spp.、Tagetes spp.、Tamarindus indicaTheobroma cacaoTrifolium spp.、Tripsacum dactyloidesTriticosecale rimpauiTriticum spp.(例えば、T. aestivumT. durumT. turgidumT. hybernumT. machaT. sativumT. monococcum又はT. vulgare)、Tropaeolum minusTropaeolum majusUlmus americanaVaccinium spp.(例えば、V. corymbosumV. virgatum)、Vicia spp.、Vigna spp.、Vinca minorViola odorataVitis spp.(例えば、V. labruscaV. vinifera)、Westringia fruticoseZizania palustrisZiziphus spp.他から選択される。
【0248】
対象植物はまた、トウモロコシ(Zea mays)、Brassica sp.(例えば、B. napusB. rapa、B. juncea)、特に、種子油の供給源として有用なBrassica種、アルファルファ(Medicago sativa)、イネ(Oryza sativa)、ライムギ(Sorghum vulgare)、モロコシ(Sorghum bicolorSorghum vulgare)、キビ(例えば、トウジンビエ(Pennisetum glaucum)、モチキビ(Panicum miliaceum)、アワ(Setaria italica)、シコクビエ(Eleusine coracana)、ヒマワリ(Helianthus annuus)、サフラワー(Carthamus tinctorius)、コムギ(Triticum aestivum)、ダイズ(Glycine max)、タバコ(Nicotiana tabacum)、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、落花生(Arachis hypogaea)、綿(Gossypium barbadenseGossypium hirsutum)、サツマイモ(Ipomoea batatus)、キャッサバ(Manihot esculenta)、コーヒー(Coffea spp.)、ココナッツ(Cocos nucifera)、パイナップル(Ananas comosus)、シトラスの木(Citrus spp.)、ココア(Theobroma cacao)、茶(Camellia sinensis)、バナナ(Musa spp.)、アボカド(Persea americana)、イチジク(Ficus casica)、グアバ(Psidium guajava)、マンゴー(Mangifera indica)、オリーブ(Olea europaea)、パパイア(Carica paya)、カシュー(Anacardium occidentale)、マカダミア(Macadamia integrifolia)、アーモンド(Prunus amygdalus)、テンサイ(Beta vulgaris)、サトウキビ(Saccharum spp.)、ゴム(Ficus elastic)、エンバク、大麦、野菜、装飾品、及び針葉樹を含むことができるが、これらに限定されない。
【0249】
対象野菜植物としては、トマト(Lycopersicon esculentum)、レタス(例えば、Lactuca sativa)、緑豆(Phaseolus vulgaris)、リマ豆(Phaseolus limensis)、エンドウ(Lathyrus spp.)、キュウリ(C. sativus)やカンタロープ(C. cantalupensis)等のCucumis属の一員、及び、マスクメロン(C. melo)が挙げられる。装飾品としては、アザレア(Rhododendron spp.)、ヒドランジア(Macrophylla hydrangea)、ハイビスカス(Hibiscus rosasanensis)、バラ(Rosa spp.)、チューリップ(Tulipa spp.)、水仙(Narcissus spp.)、ペチュニア(Petunia hybrida)、カーネーション(Dianthus caryophyllus)、ポインセッチア(Euphorbia pulcherrima)、及び菊が挙げられる。実施形態を実施する際に使用することができる針葉樹としては、例えば、ロブロリーマツ(Pinus taeda)、スラッシュマツ(Pinus elliotii)、ポンデロサマツ(Pinus ponderosa)、ロッジポールマツ(Pinus contorta)、及びモンテリーマツ(Pinus radiata)等のマツ、ベイマツ(Pseudotsuga menziesii)、ウエスタンヘムロック(Tsuga canadensis)、シトカスプルース(Picea glauca)、レッドウッド(Sequoia sempervirens)、銀モミ(Abies amabilis)及びバルサムモミ(Abies balsamea)等のモミ、ウエスタンレッドスギ(Thuja plicata)及びアラスカイエロー-スギ(Chamaecyparis nootkatensis)等のスギが挙げられる。本実施形態の植物としては、トウモロコシ及びダイズ植物等の作物(例えば、トウモロコシ、アルファルファ、ヒマワリ、アブラナ、ダイズ、綿、ベニバナ、ピーナッツ、モロコシ、コムギ、キビ、タバコ等)が挙げられる。
【0250】
対象ターフグラスとしては、スズメノカタビラ(Poa annua)、ネズミムギ(Lolium multiflorum)、コイチゴツナギ(Poa compressa)、チューイングフェスク(Festuca rubra)、イトコヌカグサ(Agrostis tenuis)、クレステッドホイートグラス(Agrostis palustris)、フェアウェイホイートグラス(Agropyron cristatum)、ハードフェスク(Festuca longifolia)、ケンタッキーブルーグラス(Poa pratensis)、オーチャードグラス(Dactylis glomerate)、ドクムギ(Lolium perenne)、レッドフェスク(Festuca rubra)、レッドトップ(Agrostis alba)、ラフブルースグラス(Poa trivialis)、ヒツジフェスク(Festuca ovine)、スムーズブロムグラス(Bromus inermis)、トールフェスク(Festuca arundinacea)、オオアワガエリ(Phleum pretense)、ベルベットベントグラス(Agrostis bentgrass)、ウェーピングアルカリグラス(Puccinellia distans)、ヒメカモジグサ(Agropyron smithii)、バミューダグラス(Cynodon spp.)、セントアウグスチングラス(Stenotaphrum secundatum)、ノシバ(Zoysia spp.)、バヒアグラス(Paspalum notatum)、カーペットグラス(Axonopus affinis)、チャボウシノシッペイ(Eremochloa ophiuroides)、キクユグラス(Pennisetum clandesinum)、サワスズメノヒエ(Paspalum vaginatum)、ブルーグラムマ(Bouteloua gracilis)、バッファローグラス(Buchloe dactyloids)、サイドオーツグラムマ(Bouteloua curtipendula)が挙げられるが、これらに限られるものではない。
【0251】
目的のさらなる植物には、目的の種子を提供する穀物植物、油料種子植物、及びマメ科植物が含まれる。目的の種子には、トウモロコシ、コムギ、オオムギ、イネ、モロコシ、ライムギ、キビ等の穀物種子が含まれる。油料種子植物としては、綿、ダイズ、ベニバナ、ヒマワリ、アブラナ、トウモロコシ、アルファルファ、パーム、ココナッツ、亜麻、ヒマシ、オリーブ等が含まれる。マメ科植物には、豆及びエンドウ豆が含まれる。豆には、グアガム、ローカストビーンガム、フェヌグリーク、ダイズ、ガーデンビーン、カウピー、ムンビーン、リマビーン、そら豆、レンティル、ヒヨコマメ等が含まれる。
【0252】
目的のさらなる植物には、カンナビス(例えば、サティバ、インディカ、及びルデラリス)及び工業用麻が含まれる。
【0253】
全ての植物及び植物の部分は、本発明に従って処理することができる。この文脈において、植物は、全ての植物及び植物集団、例えば、望ましい、かつ望ましくない野生植物又は作物(自然に存在する作物植物を含む)を意味すると理解される。作物植物は、従来の繁殖及び最適化手法によって、バイオテクノロジー及び組換え方法によって、又は、遺伝子組換え植物及び植物品種を含むこれらの方法の組み合わせによって得ることができる植物である。
【0254】
植物の部分は、シュート、葉、花、根等の植物の全ての大気中及び地下の部分及び器官を意味するものと理解され、例としては、葉、針葉、細茎、茎、花、果実体、果実及び種子、根、塊茎及び根茎を挙げることができる。また、植物の部分は、作物材料、栄養繁殖材料及び生殖繁殖材料、例えば、挿し木、塊茎、根茎、接ぎ穂及び種子を含む。
【0255】
いくつかの実施形態において、植物は、病原性疾患又は害虫に感染したものである。特定の実施形態において、植物は、カンキツグリーニング病、カンキツかいよう病、及び/又はそのような疾患を保有する害虫に感染している。
【0256】
実施例
本発明及びその多くの利点は、例示として与えられる以下の実施例から、より良く理解されるであろう。以下の実施例は、本発明の方法、用途、実施形態及び変形のいくつかを例示するものである。それらは、本発明を限定するものではない。本発明に関して、多くの変更及び修正を行うことができる。
【0257】
実施例1-Bacillus微生物の固相発酵
Bacillus spp.胞子の生成には、コムギふすまベースの培地を使用する。培地を、約1~2インチの厚さの層でステンレス鋼パン上に広げ、滅菌する。
【0258】
滅菌後、パンに種培養物を接種する。任意で、例えば、塩及び/又は糖蜜、澱粉、グルコース及びスクロース等の炭素源を含む、微生物の成長を増進するための、添加された栄養素を含めることができる。成長速度を増加させ、培養培地全体にわたる細菌の運動性及び分布を増加させるために、ジャガイモエキス又はバナナ皮エキスを培養物に添加することができる。
【0259】
次に、選択したBacillus菌株の胞子を基質の表面に噴霧又はピペットで移し、トレイを32~40℃の間で培養する。温度を安定させるためにオーブンを通して周囲の空気をポンプで送る。48~72時間の培養で、1×1010胞子/グラム以上の菌株が生成される。
【0260】
実施例2-菌類胞子の固体状態発酵
Trichoderma spp.を成長させるために、250gのニシュタマライズトウモロコシ粉を脱イオン水と混合し、ステンレス鋼パン中で滅菌し、蓋及びパンバンドで密封する。トウモロコシ粉培地に、噴霧又はピペッテトによって、Trichoderma種培養物を無菌接種する。次に、パンが、30℃で10日間培養される。10日後、約109繁殖体/g以上のTrichodermaを採取することができる。1つのバッチから採取されたTrichoderma繁殖体(分生子及び/又は菌糸)は、例えば、1,000~2,000エーカーの土地を処理することができる。
【0261】
実施例3-微生物ベースの生成物の作製
実施例1及び2に記載された方法を用いた生成から生じる微生物、基質、及び任意の残留栄養素をブレンドし、及び/又は、微粉化及び乾燥して、顆粒又は粉末物質を形成することができる。異なる菌株を別々に生成し、次いで乾燥の前又は後のいずれかで一緒に混合する。
【0262】
封止可能なパウチは、109細胞/gのT. harzianumと1010細胞/gのB. amyloliquefaciensとの混合物を含む生成物を貯蔵及び運搬するために使用することができる。微量栄養素、又は同様に生成された他の微生物を、生成物に添加することができる。
【0263】
使用のために作製するために、乾燥生成物を水に溶解する。少なくとも5×109~5×1010細胞/mlに達する。次いで、生成物を、1×106~1×107細胞/mlの濃度になるように、混合槽中で水で希釈する。
【0264】
1つの袋を用いて、約20エーカーの作物、又は10エーカーのカンキツ園を処理することができる。
【0265】
実施例4-出発材料
実施例1~3に従って作製された微生物組成物は、組成物中の微生物の初期成長を促進するために、追加の「出発」材料と混合し、及び/又はそれと同時に適用することができる。例えば、プレバイオティクス及び/又はナノサイズ肥料(例えば、Aqua-Yield、NanoGro(登録商標))が挙げられる。
【0266】
出発組成物の1つの例示的な処方は、
可溶性カリ(K2O)(1.0%~2.5%、又は約2.0%)、
マグネシウム(Mg)(0.25%~0.75%、又は約0.5%)、
硫黄(S)(2.5%~3.0%、又は約2.7%)、
ホウ素(B)(0.01%~0.05%、又は約0.02%)、
鉄(Fe)(0.25%~0.75%、又は約0.5%)、
マンガン(Mn)(0.25%~0.75%、又は約0.5%)、
亜鉛(Zn)(0.25%~0.75%、又は約0.5%)、
フミン酸(8%~12%、又は約10%)、
ケルプ抽出物(5%~10%、又は約6%)、
水(70%~85%、又は約77%~80%)を含む。
【0267】
微生物接種剤、及び/又は任意の成長促進「出発」材料は、灌漑システムタンク中で水と混合され、土壌に適用される。
【0268】
実施例4-微生物菌株
本発明は、有益な微生物菌株を利用する。Trichoderma harzianum菌株は、T-315(ATCC 20671)、T-35(ATCC 20691)、1295-7(ATCC 20846)、1295-22[T-22](ATCC 20847)、1295-74(ATCC 20848)、1295-106(ATCC 20873)、T12(ATCC 56678)、WT-6(ATCC 52443)、Rifa T-77(CMI CC 333646)、T-95(60850)、T12m(ATCC 20737)、SK-55(No.13327、BP 4326 NIBH(日本))、RR17Bc(ATCC PTA 9708)、TSHTH20-1(ATCC PTA 10317)、AB 63-3(ATCC 18647)、OMZ 779(ATCC 201359)、WC 47695 (ATCC 201575)、m5(ATCC 201645)、(ATCC 204065)、UPM-29(ATCC 204075)、T-39(EPA 119200)及び/又はF11Bab (ATCC PTA 9709)が挙げられるが、これらに限られない。
【0269】
Bacillus amyloliquefaciens菌株は、NRRL B-67928、FZB24(EPA 72098-5、BGSC 10A6)、TA208、NJN-6、N2-4、N3-8、同様に、ATCC受託番号23842、23844、23843、23845、23350(DSM 7菌株)、27505、31592、49763、53495、700385、BAA-390、PTA-7544、PTA-7545、PTA-7546、PTA-7549、PTA-7791、PTA-5819、PTA-7542、PTA-7790、及び/又はPTA-7541を有するものが挙げられるが、これらに限定されない。
図1A
図1B
図2
【国際調査報告】