(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-12
(54)【発明の名称】嵌入式更新型のエスカレーター 本出願は2020年6月22日にて中国特許庁に提出され、出願番号が202010573002.5であり、発明名称が「嵌入式更新型のエスカレーター」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容が援用されることで本出願に結合される。
(51)【国際特許分類】
B66B 23/00 20060101AFI20230705BHJP
【FI】
B66B23/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577197
(86)(22)【出願日】2020-07-13
(85)【翻訳文提出日】2022-12-14
(86)【国際出願番号】 CN2020101572
(87)【国際公開番号】W WO2021258435
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】202010573002.5
(32)【優先日】2020-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521449706
【氏名又は名称】ハンソン リフト(スーチョウ)カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チュー、シュエミン
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321AA09
3F321CD03
3F321CD07
(57)【要約】
原エスカレーターの原トラス(10)と結合して実装される嵌入式更新型のエスカレーターであって、トラスユニット、及びトラスユニットと結合して実装された踏段、踏段ガイドレール、踏段チェーン、巻上機、スカートガード、内外蓋板、手摺システム、電気制御システムを含み、トラスユニットは若干のセグメントを含み、セグメントの横幅が原トラスの内部横幅よりも小さく、若干のセグメントはそれぞれに原トラスに嵌入され、原トラスは若干の横棒(11)を有し、セグメントは原トラスに嵌入される場合に横棒を避ける。嵌入式更新型のエスカレーターは、原トラスを残した条件でエスカレーターの完全な更新を実現し、更新コストを効果的に低減
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原エスカレーターの原トラスと結合して実装される嵌入式更新型のエスカレーターであって、トラスユニット、及びトラスユニットと結合して実装された踏段、踏段ガイドレール、踏段チェーン、巻上機、スカートガード、内外蓋板、手摺システム、電気制御システムを含み、前記トラスユニットは若干のセグメントを含み、前記セグメントの横幅が前記原トラスの内部横幅よりも小さく、若干の前記セグメントはそれぞれに前記原トラスに嵌入され、前記原トラスは若干の横棒を有し、前記セグメントは前記原トラスに嵌入される時に前記横棒を避ける、ことを特徴とする嵌入式更新型のエスカレーター。
【請求項2】
前記原トラスは下部、中部、及び上部を有し、下部及び上部は平行であり、水平に保持され、中部は下部と上部との間に傾斜して位置し、中部と、下部及び上部との境界にはそれぞれ、屈曲転向セグメントを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の嵌入式更新型のエスカレーター。
【請求項3】
若干の前記セグメントは具体的に、下機械室、下部転向セグメント、若干の中間セグメント、上部転向セグメント、及び上機械室を含み、前記下機械室は前記下部に嵌入され、前記下部転向セグメントは前記下部と前記中部との境界における屈曲転向セグメントに嵌入され、若干の前記中間セグメントはそれぞれに前記中部に嵌入され、前記上部転向セグメントは前記中部と前記上部との境界における屈曲転向セグメントに嵌入され、前記上機械室は前記上部に嵌入される、ことを特徴とする請求項2に記載の嵌入式更新型のエスカレーター。
【請求項4】
前記セグメントは2つの上弦材及び2つの下弦材を含み、前記上弦材及び前記下弦材はいずれも山形鋼構造であり、2つの前記上弦材はそれぞれに前記セグメントの上部両側に固定され、2つの前記下弦材はそれぞれに前記セグメントの下部両側に固定され、前記上弦材の横方向辺が、前記セグメントから離れた方向に延在し、前記下弦材の横方向辺が、前記セグメントの内部方向に延在する、ことを特徴とする請求項1に記載の嵌入式更新型のエスカレーター。
【請求項5】
前記セグメントは2つの側縁板を含み、2つの前記側縁板はそれぞれに前記セグメントの両側に位置し、前記側縁板は折れ曲がって上横辺及び下横辺を形成し、前記上横辺は、前記セグメントから離れた方向に延在し、前記下横辺は、前記セグメントの内部方向に延在する、ことを特徴とする請求項1に記載の嵌入式更新型のエスカレーター。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の嵌入式更新型のエスカレーターを採用するエスカレーターの更新方法であって、
(A)原エスカレーターにおける原トラス以外の他の部材を取り外し、前記横棒を含む前記原トラスの完全な構造を残すステップと、
(B)前記トラスユニットの若干の前記セグメントをそれぞれに前記原トラスに嵌入し、嵌入過程において前記横棒を避け、前記トラスユニットを前記原トラスに接続固定するステップと、
(C)前記トラスユニットと結合して踏段、踏段ガイドレール、踏段チェーン、巻上機、スカートガード、内外蓋板、手摺システム、電気制御システムを実装するステップと、を含む、ことを特徴とするエスカレーターの更新方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエスカレーターという技術的分野に関し、より正確には、嵌入式更新型のエスカレーターに関する。
【背景技術】
【0002】
エスカレーターは、循環的に運転する踏段を有し、上または下へ回動して乗客を輸送する固定電力駆動装置である。エスカレーターは乗客を連続的に搬送することができ、かつ輸送能力が高いので、デパート、駅等の人の通行量が多い公共の場所で広く使用されている。
【0003】
エスカレーターは、トラス、踏段、踏段ガイドレール、踏段チェーン、巻上機、スカートガード、内外蓋板、手摺システム、電気制御システムからなる。ここで、トラスはエスカレーターの基礎支え部材及び支持部材であり、エスカレーターの他の部材はいずれもトラスによってサポートされており、トラスはエスカレーターの部材のうち、体積及び重量が最大な部材である。
図1に示すように、エスカレーターの原トラス10は建築物1に実装され、必要に応じて、原トラス10は一部が建築物1の内部に埋設される。従来のエスカレーターは通常、建築物と同時に設計されるとともに、建築物に合わせて実装される。エスカレーターは、損傷が発生した場合、一部の部品を差し替えるようにメンテナンスすることができる。しかし、エスカレーターのシステム全体を更新して交換する必要がある場合、部品を一つずつ交換するように実現することが難しく、古いトラスを含めて既存のエスカレーターのすべてを取り外し、さらに新しいエスカレーターを実装しなければならず、手間がかかる。取り外しの過程では、古いトラスを取り外す必要があるため、建築物への損傷が避けられず、更新コストがさらに大きくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、当分野では、コストと人力を節約するように、原トラスを取り外すことなく、更新、アップグレードできるエスカレーターが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これに鑑み、本発明は、各セグメントがそれぞれに原トラスに嵌入されるセグメント式のトラスユニットを採用し、エスカレーターの他の部材がトラスユニットと結合して実装され、原トラスを取り外すことなくエスカレーターの更新を実現する嵌入式更新型のエスカレーターを提供することを主な目的とする。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、原エスカレーターの原トラスと結合して実装される嵌入式更新型のエスカレーターであって、トラスユニット、及びトラスユニットと結合して実装された踏段、踏段ガイドレール、踏段チェーン、巻上機、スカートガード、内外蓋板、手摺システム、電気制御システムを含み、前記トラスユニットは若干のセグメントを含み、前記セグメントの横幅が前記原トラスの内部横幅よりも小さく、若干の前記セグメントはそれぞれに前記原トラスに嵌入され、前記原トラスは若干の横棒を有し、前記セグメントは前記原トラスに嵌入される時に前記横棒を避ける嵌入式更新型のエスカレーターを提供する。
【0007】
好ましくは、前記原トラスは下部、中部、及び上部を有し、下部及び上部は平行であって水平に保持され、中部は下部と上部との間に傾斜して位置し、中部と、下部及び上部との境界にはそれぞれ、屈曲転向セグメントを有する。
【0008】
好ましくは、若干の前記セグメントは具体的に、下機械室、下部転向セグメント、若干個の中間セグメント、上部転向セグメント、及び上機械室を含み、前記下機械室は前記下部に嵌入され、前記下部転向セグメントは前記下部と前記中部との境界における屈曲転向セグメントに嵌入され、若干個の前記中間セグメントはそれぞれに前記中部に嵌入され、前記上部転向セグメントは前記中部と前記上部との境界における屈曲転向セグメントに嵌入され、前記上機械室は前記上部に嵌入される。
【0009】
好ましくは、前記セグメントは2つの上弦材及び2つの下弦材を含み、前記上弦材及び前記下弦材はいずれも山形鋼構造であり、2つの前記上弦材はそれぞれに前記セグメントの上部両側に固定され、2つの前記下弦材はそれぞれに前記セグメントの下部両側に固定され、前記上弦材の横方向辺が、前記セグメントから離れた方向に延在し、前記下弦材の横方向辺が、前記セグメントの内部方向に延在する。
【0010】
好ましくは、前記セグメントは2つの側縁板を含み、2つの前記側縁板はそれぞれに前記セグメントの両側に位置し、前記側縁板は折れ曲がって上横辺及び下横辺を形成し、前記上横辺は、前記セグメントから離れた方向に延在し、前記下横辺は、前記セグメントの内部方向に延在する。
【0011】
本発明は、前記嵌入式更新型のエスカレーターを採用するエスカレーターの更新方法であって、
(A)原エスカレーターにおける原トラス以外の他の部材を取り外し、前記横棒を含む前記原トラスの完全な構造を残すステップと、
(B)前記トラスユニットの若干の前記セグメントをそれぞれに前記原トラスに嵌入し、嵌入過程において前記横棒を避け、前記トラスユニットを前記原トラスに接続固定するステップと、
(C)前記トラスユニットと結合して踏段、踏段ガイドレール、踏段チェーン、巻上機、スカートガード、内外蓋板、手摺システム、電気制御システムを実装するステップと、を含むエスカレーターの更新方法をさらに提供する。
【0012】
従来技術と比較すれば、本発明に開示された嵌入式更新型のエスカレーターの利点は、原トラスを残した条件でエスカレーターの更新を実現することができ、更新コストを効果的に低減し、人力を節約することにあり、前記嵌入式更新型のエスカレーターは、前記原トラスを残した条件でエスカレーターの完全な更新を実現することができ、前記原トラスの横棒が完全に残され、前記原トラスの構造が構造的に破壊されず、製品の強度及びエスカレーターの更新作業過程の安全が保証され、新しいエスカレーターは完全な機能を有し、安全基準を満たす。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の実施例または従来技術における技術案をより明らかに説明するために、以下は実施例または従来技術の記載にとって必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下の記載における図面は本発明のいくつかの実施例のみであり、当業者にとって、進歩性に値する労働をしない前提で、これらの図面に応じて他の図面を取得し得る。
【
図1】従来技術におけるエスカレーターのトラスが建築物に接続される模式図である。
【
図2A】従来技術におけるエスカレータートラスの山形鋼型の弦材のレイアウトの模式図である。
【
図2B】従来技術におけるエスカレータートラスの矩形管型の弦材のレイアウトの模式図である。
【
図3】他の部材を取り外した後の原エスカレーターの原トラスの構造模式図である。
【
図4】本発明の嵌入式更新型のエスカレーターのトラスユニットの構造模式図である。
【
図5】本発明の嵌入式更新型のエスカレーターのトラスユニットが原トラスに嵌入された時の構造模式図である。
【
図6】本発明の嵌入式更新型のエスカレーターのトラスユニットの弦材構造の模式図である。
【
図7】本発明の嵌入式更新型のエスカレーターのトラスユニットの弦材構造の変形体の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例における図を参照して本発明の実施例における技術案を明瞭で完全に記載し、明らかに、記載された実施例は、全ての実施例ではなく、本発明の一部分の実施例である。本発明における実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行わない前提で得られたすべての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0015】
図3に示すように、他の部材を取り外した後の原エスカレーターの原トラス10は下部101、中部102、及び上部103を有し、下部101及び上部103は平行であって水平に保持され、それに、下部102及び上部103はそれぞれに異なるフロアに接続され、中部102は下部101と上部103との間に傾斜して位置する。中部102と、下部101及び上部103との境界はそれぞれ、屈曲転向セグメントを有する。原トラス10の中部102には、平行に分布している若干の横棒11を有する。
【0016】
図4を参照すれば、本発明の嵌入式更新型のエスカレーターは、トラスユニット、及びトラスユニットと結合して実装された踏段、踏段ガイドレール、踏段チェーン、巻上機、スカートガード、内外蓋板、手摺システム、電気制御システムを含む。トラスユニットは若干のセグメントを含み、具体的に、下機械室21、下部転向セグメント22、若干の中間セグメント23、上部転向セグメント24、及び上機械室25を含む。下機械室21、下部転向セグメント22、若干の中間セグメント23、上部転向セグメント24、上機械室25の幅がいずれも原トラス10の内部幅よりも小さく、これにより、原トラス10に嵌入されることができる。下機械室21、下部転向セグメント22、若干の中間セグメント23、上部転向セグメント24、上機械室25はそれぞれに原トラス10の対応位置に嵌入され、かつそれぞれ対応位置の横棒11を回避し、その後、さらに嵌入式更新型のエスカレーターの他の部材を実装する。前記嵌入式更新型のエスカレーターは、原トラス10の強度を完全に保持することができる。
【0017】
具体的には、
図5に示すように、下機械室21は下部101に嵌入され、下部転向セグメント22は下部101と中部102との境界に嵌入され、若干の中間セグメント23はそれぞれに中部102に嵌入され、上部転向セグメント24は中部102と上部103との境界に嵌入され、上機械室25は上部103に嵌入される。
【0018】
図2Aに示すように、原トラス10は2つの上弦材121及び2つの下弦材122を含み、上弦材121及び下弦材122はいずれも山形鋼構造であり、2つの上弦材121はそれぞれに原トラス10の上部両側に溶接され、2つの下弦材122はそれぞれに原トラス10の下部両側に溶接され、それに、上弦材121及び下弦材122の横方向辺がいずれも原トラス10の内部方向へ延在する。
【0019】
図2Bに示すように、原トラス10は2つの上弦材121A及び2つの下弦材122Aを含み、上弦材121A及び下弦材122Aはいずれも矩形管構造であり、2つの上弦材121Aはそれぞれに原トラス10の上部両側に溶接され、2つの下弦材122Aはそれぞれに原トラス10の下部両側に溶接される。
【0020】
トラスユニットの各セグメントを原トラス10に嵌入することを可能にするために、トラスユニットの弦材は
図6に示すように設置される。
図6に示すように、中間セグメント23での弦材の設置方式を例として説明し、下機械室21、下部転向セグメント22、上部転向セグメント24、上機械室25の弦材の設置方式が、中間セグメント23の弦材の設置方式と同じである。中間セグメント23は2つの上弦材231及び2つの下弦材232を含み、上弦材231及び下弦材232はいずれも山形鋼構造であり、2つの上弦材231はそれぞれに中間セグメント23の上部両側に溶接され、2つの下弦材232はそれぞれに中間セグメント23の下部両側に溶接される。上弦材231の横方向辺が、中間セグメント23から離れた方向へ延在し、下弦材232の横方向辺が、中間セグメント23の内部方向へ延在する。中間セグメント23では、弦材の設置方式が、その横幅Lの減少に寄与することにより、便宜的に原トラス10に嵌入されることができる。それに応じて、下機械室21、下部転向セグメント22、上部転向セグメント24、上機械室25は、弦材の設置方式が中間セグメント23と同じであるから、便宜的に原トラス10に嵌入されることもできる。注意すべきことは、上弦材231及び下弦材232について多種の材料で製造されることができる。
【0021】
図7に示すように、弦材ユニットは、側板折り曲げ構造で弦材の機能を実現することができる。具体的には、中間セグメント23Aを例として、中間セグメント23Aは、2つの側縁板233を含み、2つの側縁板233はそれぞれに中間セグメント23Aの両側に位置する。前記側縁板233は折れ曲がって形成された上横辺2331及び下横辺2332を有し、上横辺2331は、中間セグメント23Aから離れた方向へ延在し、下横辺2332は、中間セグメント23Aの内部方向へ延在する。側板折り曲げ構造を採用することにより、弦材ユニットの各セグメントの横幅をさらに減少でき、それに、各セグメントの部材の数量を減少し、構造を簡単化することができる。
【0022】
本発明は、前記嵌入式更新型のエスカレーターを採用し、原エスカレーターの原トラスを残した状態で、エスカレーターを更新するエスカレーターの更新方法であって、
(A)原エスカレーターにおける原トラス以外の他の部材を取り外し、横棒を含む前記原トラスの完全な構造を残すステップと、
(B)前記トラスユニットの若干の前記セグメントをそれぞれに前記原トラスに嵌入し、嵌入過程において前記横棒を避け、前記トラスユニットを前記原トラスに接続固定するステップと、
(C)前記トラスユニットと結合して踏段、踏段ガイドレール、踏段チェーン、巻上機、スカートガード、内外蓋板、手摺システム、電気制御システムを実装するステップと、を含むエスカレーターの更新方法をさらに提供する。
【0023】
開示された実施例に対する上記説明により、当業者が本発明を実現、または使用することを可能にする。これらの実施例に対する多種の修正は、当業者にとって自明なことになり、本明細書で定義された一般的な原理は、本発明の精神または範囲を逸脱しない場合に、他の実施例で実現されることができる。従って、本発明は、本明細書に示すこれらの実施例に制限されることがなく、本明細書に開示された原理及び新規な特徴点に一致する最も広い範囲を満たすべきである。
【国際調査報告】