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特表2023-529978有機化合物におけるまたは関連する改善
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-12
(54)【発明の名称】有機化合物におけるまたは関連する改善
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9711 20170101AFI20230705BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230705BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230705BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20230705BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20230705BHJP
【FI】
A61K8/9711
A61K8/34
A61Q19/00
A61Q19/02
A61Q19/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577248
(86)(22)【出願日】2021-06-15
(85)【翻訳文提出日】2023-02-14
(86)【国際出願番号】 EP2021066062
(87)【国際公開番号】W WO2021255003
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】2009109.6
(32)【優先日】2020-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】フモー,アン
(72)【発明者】
【氏名】メーニエ,マリー
(72)【発明者】
【氏名】レーノー,ローマン
(72)【発明者】
【氏名】スカンドレラ,アマンディネ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AC032
4C083AC072
4C083AC092
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC342
4C083AC352
4C083AC422
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC482
4C083AD152
4C083CC01
4C083CC02
4C083CC05
4C083DD31
4C083EE16
4C083EE50
4C083FF01
(57)【要約】
Himanthalia elongataの抽出物、ならびに担体および前記抽出物を含む化粧品組成物が提供される。抽出物および組成物は、ホワイトニングおよびアンチエイジング活性を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Himanthalia elongataの抽出物。
【請求項2】
水性の抽出物である、請求項1に記載の抽出物。
【請求項3】
フロロタンニンの混合物を含む、請求項1または2に記載の抽出物。
【請求項4】
フロロタンニンとポリフェノールの混合物を含み、ポリフェノールの濃度が1~30g/Lである、請求項1~3のいずれか一項に記載の抽出物。
【請求項5】
担体と、第1の化粧品活性成分として、請求項1~3のいずれか一項に記載のHimanthalia elongataの抽出物とを含む、化粧品組成物。
【請求項6】
Himanthalia elongataの抽出物が、化粧品組成物の2~5重量%の量で存在する、請求項4に記載の化粧品組成物。
【請求項7】
化粧品組成物がスキンケア組成物である、請求項4または5に記載の化粧品組成物。
【請求項8】
皮膚のホワイトニングのための請求項6に記載の化粧品組成物。
【請求項9】
アンチエイジング処置のための請求項6に記載の化粧品組成物。
【請求項10】
請求項1~3のいずれか一項に記載のHimanthalia elongataの抽出物を含む化粧品組成物を、皮膚に適用する工程を含む、皮膚処置の方法。
【請求項11】
皮膚のホワイトニングのための請求項9に記載の方法。
【請求項12】
アンチエイジング処置のための請求項9に記載の方法。
【請求項13】
スキンケアにおける、請求項1~3のいずれか一項に記載のHimanthalia elongata抽出物の使用。
【請求項14】
Himanthalia elongataを抽出する工程を含む、化粧品活性成分を調製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Himanthalia elongata抽出物および皮膚処置のためのその使用に向けられている。さらに、Himanthalia elongata抽出物を含む化粧品組成物に向けられている。
【背景技術】
【0002】
Himanthalia elongataは食べることができる褐藻であり、「シースパゲッティ」としても知られている。2ステップの形態:栄養型(vegetative form)および生殖型(reproductive form)を有する2年草の藻である。生殖型は毛髪に似た長い糸を有する。
【0003】
H. elongataは、バルト海、北海およびスカンジナビア南部からポルトガルにかけての北東大西洋で見られる。例えば、この藻は、フランスのBrittanyの北部、例えばRoscoff付近またはLandrellec付近、好ましくはIle GrandeとPleubianの間のエリアで、5月から8月の間に(しかし、優先的には7月または8月に)収穫することができる。
【0004】
Himanthalia elongataは、ダーマコスメティックにとって興味深いであろう多くのオリジナル分子を含有する。例えば、この褐海藻は2つのポリオールを含有する。第1のもの、D-マンニトールは褐藻類に一般的なものであるが、第2のもの、D-アルトリトールまたはD-タリトールは自然界で初めてHimanthalia elongataにおいて発見され、希少糖と考えられている。このポリオールは、細胞内の浸透圧調節に、エネルギー貯蔵に、および生体高分子の保護に関与している。 Himanthalia elongataはまた、ペプチドおよびアミノ酸に富み、および多糖類(アルギン酸類、ラミナリン類、フカン類)およびポリフェノール類を含有する。
【発明の概要】
【0005】
驚くべきことに、Himanthalia elongata抽出物、およびとくにその特定の画分が、印象的なスキンケア特性を有することができることが見出された。
【0006】
第1の側面において、本発明は、Himanthalia elongata抽出物を提供する。該抽出物は、皮膚処置のための組成物および方法に有用である。とりわけ、これらは、化粧品、非治療組成物および方法である。
【0007】
Himanthalia elongata抽出物は、水性抽出物であり、酸性条件下での凍結藻類の処置によって得られる。とりわけ、抽出物は、水性酸での処置によって得られる。
【0008】
本発明のHimanthalia elongata抽出物は、濃縮抽出物であり、ポリフェノール類、およびとりわけフロロタンニンを含有する。フロロタンニンは、大型藻類に特有のフロログルシノール(1,3,5-トリヒドロキシベンゼン)の複雑なポリマーのグループである。これらのフェノール性化合物は、褐藻類の細胞壁の不可欠な構造上の構成要素であるだけでなく、紫外線照射からの保護およびグレイジング(grazing)に対する防御などの、多くの二次的な生態学的役割を担っている。抽出物は、脂肪酸、クエン酸、D-マンニトール、D-アルトリトール、ならびに様々な重合度(DP)をもつオリゴマーおよびフロログルシノールポリマーの形態の異なるフロロタンニンを含む。
【0009】
Himanthalia elongataに存在するフロロタンニンのいくつかの例を図1に示す。
Himanthalia elongata抽出物の第1のin tuboスクリーニングにおいて、抗チロシナーゼ、抗ヒアルロニダーゼ、抗コラゲナーゼおよび抗エラスターゼ活性が観察され(例3~6)、これらはスキンケア分野で注目される。
【0010】
抗チロシナーゼ活性は、化粧品に求められるホワイトニングと関連している。Himanthalia elongata抽出物は、メラニンの生成を制御するための酵素であるチロシナーゼと相互作用することができる。
その天然の基質と接触すると、酵素チロシナーゼは、L-DOPAの酸化を触媒して反応性中間体ドーパキノンにし、これはさらに反応して、最終的にはメラニンオリゴマーに至る。この酵素のインヒビターの存在は、ドーパキノン形成の速度を低減することを可能にする。
【0011】
Himanthalia elongata抽出物の抗ヒアルロニダーゼ活性、抗コラゲナーゼ活性および抗エラスターゼ活性は、例えば、小じわおよびしわの低減、皮膚の弾力、ハリおよび潤いの増加のようなアンチエイジング特性、ならびに化粧品およびスキンケアにも求められる他の特性に関連している。
【0012】
ヒアルロン酸は、皮膚の真皮で自然に産生される化合物であり、ヒアルロニダーゼと呼ばれる酵素によって絶え間なく分解される。よって、加齢とともに、細胞によって合成されるヒアルロン酸とヒアルロニダーゼによって分解されるヒアルロン酸間の比率が減少する。これは、真皮の保湿力の低下およびたるみの進行を引き起こし、これはしわの出現をもたらす。ヒアルロニダーゼの阻害(抗ヒアルロニダーゼ活性)は、真皮内の分解されたヒアルロン酸の量を低減させ、よってしわの出現を制限するだろう。
【0013】
コラゲナーゼ酵素には、エラスチン、フィブロネクチン、およびコラーゲンなどの分子を分解する能力がある。真皮に存在するこれらのタンパク質は、細胞外マトリックス(ECM)において必須の役割を担っており、それらの分解は皮膚の早期老化をもたらす。したがって、コラゲナーゼ活性を阻害する剤(抗コラゲナーゼ活性を示す)は、真皮のマトリックスの分解を防ぐことにより、健康的な皮膚を維持するために有益な効果を有し得る。コラゲナーゼには、アミノ末端がブロックされた合成ペプチドの「X-gly」結合を切断する能力がある。
【0014】
エラスチンは、細胞外マトリックス(ECM)の構成物質である真皮のタンパク質であり、主に皮膚のハリおよび弾性に寄与している。時間の経過とともに、ECMタンパク質の代謝は遅くなる。並行して、エラスチンを破壊するエラスターゼを包含する酵素の活性が増加する。かかる弾性の喪失を防ぐための1つの方法は、これらの酵素を抑制することができる抗コラゲナーゼ活性をもつ活性成分を使用することである。
したがって、Himanthalia elongata抽出物の観察された抗チロシナーゼ、抗ヒアルロニダーゼ、抗コラゲナーゼおよび抗エラスターゼ活性は、抽出物のホワイトニングおよびアンチエイジング特性を示唆している。Himanthalia elongataの抽出物を含む化粧品組成物は、小じわおよびしわを低減し、皮膚の弾性、ハリおよび潤いを増加させることができると結論付けられた。また、Himanthalia elongataの抽出物を含む化粧品組成物は、皮膚を白くするおよび/または明るくすることができると結論付けられた。
【0015】
Himanthalia elongata抽出物とフェニルエチルレゾルシノール(市販されているホワイトニング化合物)との比較は、同等またはそれ以上のホワイトニング効果があることを示した。加えて、Himanthalia elongata抽出物は、アンチエイジング特性を示す。その上、Himanthalia elongata抽出物は、再生可能な供給源から得ることができる天然産物である。
【0016】
Himanthalia elongata抽出物のホワイトニング活性をより詳細に検討した。
まず、正常なヒトメラニン細胞において、Himanthalia elongata抽出物によるメラニン合成阻害が観察され、in vitroレベルでのホワイトニング活性が確認された。
【0017】
Himanthalia elongata抽出物が、強力な抗チロシナーゼ活性を有していることがin tubo試験で明らかになった。したがって、それは色素性老化斑などの色素過剰障害(hyper pigmented disorder)に極めて効果的であり得る。実に、チロシナーゼは、皮膚着色の原因となるメラニンの生合成に関与する重要な酵素である。この酵素の過剰な活性は、皮膚科に関する障害、その中でも老人性黒子および日光性黒子という名前の2つのタイプに分けられ得る老化斑をもたらす。
【0018】
そこで次のステップにおいて、老人性黒子(例7)および日光性黒子(例8)に関する老化斑のex vivo試験を実施した。Himanthalia elongata抽出物が、メラニン含有量の低減する、酸化タンパク質の低減する、日光性黒子に関連する炎症を制御する、皮膚バリアの改善することができることが見出された。
【0019】
老人性黒子は、細胞の老化、およびとくに真皮-表皮接合部にわたって密に基づいている真皮線維芽細胞に関する。これらは、SDF-1(間質細胞由来因子1)の放出により、皮膚の色素沈着の制御に積極的な役割を担っている。これらの細胞は、SDF-1(間質細胞由来因子1)の放出により、皮膚色素沈着の制御に積極的な役割を担っている。残念ながら、加齢に伴い、SDF-1発現の劇的な低減が観察され、これは高色素沈着(hyperpigmentation)および老化斑形成をもたらす。
【0020】
細胞の老化をもたらし、非常に驚くべきことに、これに続き、色素沈着制御の喪失に関連するSDF-1発現の低減をもたらす紫外線曝露によって、日光性黒子は媒介される。さらにまた、紫外線曝露は、角質層厚の増加に相関するプロテアソーム活性の低減による酸化されたタンパク質の増加をもたらす。結果として、老化斑形成に関与することが周知であるリポフスチンの大幅な増加が観察される。並行して、メラニン生成の過剰な刺激に関連した紫外線誘導炎症の増加が観察される。これらの全ての破綻したメカニズムが、高色素沈着および色素性老化斑形成をもたらす。
【0021】
SDF-1は、真皮の線維芽細胞の老化に関連することが文献に記載されている。実に、老化状態では、これらの線維芽細胞はSDF-1を発現する能力を失っている(Yoon et al, 2018)。別の面では、紫外線は皮膚からの線維芽細胞およびケラチノサイトの細胞老化を誘導することが知られている(Debacq-Chainiaux et al, 2012 ; Amaro-Ortiz et al, 2014)。よって、日光性黒子の形成に関与する紫外線は、皮膚の老化を誘導し得ると推測された。かかる場合に、文献には記載されていないが、紫外線の真皮乳頭におけるSDF-1発現への影響が予想される。
【0022】
驚くべきことに、SDF-1は、日光性黒子をもたらす紫外線曝露に関する高色素沈着に関与していることが示された。さらに、この効果は、Himathalia elongata抽出物での処置によって影響を受け得ることが示された。
【0023】
Himanthalia elongata抽出物は、老人性黒子および日光性黒子に影響を与えることが見出された(例7および8を参照)。Himanthalia elongataの抽出物を含む化粧品組成物は、SDF1発現を増加させることができ、それによって色素沈着の制御を活性化することができると結論付けることができる。また、Himanthalia elongataの抽出物を含む化粧品組成物は、メラニン含有量の低減によって観察されるとおり、メラニン生合成を低減することができると結論付けることができる。
【0024】
その後、白人、アジア人およびアフリカ人を包含する異なる民族からの皮膚外植片においてex vivo試験を実施した(例9)。Himanthalia elongata抽出物が、色素沈着していない細胞の増加および極めて色素沈着した細胞の減少を引き起こすホワイトニング活性を有することが示された。Himanthalia elongata抽出物は、様々な民族の皮膚に対してホワイトニング効果を有する。その効果は、フェニルエチルレゾルシノールのものと同等か、またはそれ以上である。
【0025】
最後に、Himanthalia elongata抽出物のホワイトニング活性を臨床研究で試験した。第1の試みでは、白人のボランティアの手のしみの低減を調査した(例10)。第2の試みでは、アジア人ボランティアの顔のしみの低減を研究した(例11)。第3の試みでは、アフリカ人ボランティアの顔のしみの低減を調査した(例12)。概して、Himanthalia elongata抽出物は、皮膚において、とりわけ手および顔において、しみを低減することができることが実証された。
【0026】
Himanthalia elongata抽出物の皮膚上の適用により以下の効果の1以上を達成できることが実証された:チロシナーゼの阻害、ヒアルロニダーゼの阻害、エラスターゼの阻害、コラゲナーゼの阻害、SDF1発現の増加、メラニン生合成の低減、メラニン含有量の低減、紫外線曝露後の酸化されたタンパク質の低減、紫外線曝露後のリポフスチン体蓄積の低減、紫外線曝露後の炎症の低減、紫外線曝露後の角質層厚の低減。
【0027】
Himanthalia elongata抽出物を皮膚に適用することにより、以下の効果の1以上を観察できることが実証された:皮膚のホワイトニング、色素沈着制御の活性化、色素沈着または高色素沈着の低減、皮膚の発赤の低減、目に見える斑の低減、老化斑の低減、皮膚の老化の低減。
【0028】
さらなる側面において、本発明は、担体および第1の化粧品活性成分としてのHimanthalia elongata抽出物を含む化粧品組成物を提供する。Himanthalia elongata抽出物は、化粧品組成物の2~5重量%、好ましくは2.5~3.5重量%、より好ましくは3重量%の量で存在すべきである。化粧品組成物は、さらなる化粧品活性成分を含むことができる。化粧品組成物中の担体は、皮膚科学的に許容される担体であるべきである。
【0029】
本発明のさらなる側面において、スキンケア組成物である化粧品組成物が提供される。典型的なスキンケア組成物は、例えば、クリーム、美容液、エッセンス、マスクまたはローションである。
本発明のさらなる側面において、Himanthalia elongataの抽出物を含む化粧品組成物を皮膚に適用するステップを含む、皮膚処置の方法が提供される。とりわけ、適用される化粧品組成物は、スキンケア組成物である。
【0030】
本発明のさらなる側面において、皮膚ホワイトニングのための皮膚処置の方法が提供される。さらにまた、提供される皮膚処置の方法は、アンチエイジング処置のためのものである。
本発明のさらなる側面において、スキンケアにおけるHimanthalia elongata抽出物の使用が提供される。
さらなる側面において、本発明は、Himanthalia elongataを抽出するステップを含む、化粧品活性成分を調製する方法に関する。
【0031】
Himanthalia elongataの抽出のために、凍結藻を粉砕し、水に懸濁し、加熱して高温で酸処理する。酸加水分解後、反応混合物を冷却し、pHを2.2に設定する。この溶液を遠心分離し、濾過し、第1抽出物を与える。次いで、この抽出物を樹脂に吸着させ、水で洗浄し、エタノールで脱着させることにより精製する。次いで、エタノールを蒸発させ、水を添加する。pHを3に調整してから、0.2μmでろ過する。濾過の最後にグリセリンを添加する。得られた抽出物は、1~30g/Lのポリフェノール(無水没食子酸換算で定量)、好ましくは3~25g/Lのポリフェノール、より好ましくは5~20g/Lのポリフェノール、さらに好ましくは9~18g/Lのポリフェノールを含有する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1はHimanthalia elongataに存在するフロロタンニンのいくつかの例を示す図である。
図2図2は抽出プロセスのフローチャートを示す図である。。
図3-a】図3aは精製Himanthalia elongata抽出物の抗チロシナーゼ試験の結果を示す図である。
図3-b】図3bは未精製Himanthalia elongata抽出物、精製抽出物HEXフェニルエチルレゾルシノールの抗チロシナーゼ試験の結果を示す図である。
図4図4は未精製Himanthalia elongata抽出物、精製抽出物HEXフェニルエチルレゾルシノールの抗ヒアルロニダーゼ試験の結果を示す図である。
図5図5は未精製Himanthalia elongata抽出物、精製抽出物HEXフェニルエチルレゾルシノールの抗エラスターゼ試験の結果を示す図である。
図6図6は未精製Himanthalia elongata抽出物、精製抽出物HEXフェニルエチルレゾルシノールの抗コラゲナーゼ試験の結果を示す図である。
【0033】
図7-a】図7aはSDF1免疫染色の結果を示す図である。
図7-b】図7bはSDF1のポジティブ細胞のスコア化結果を示す図である。
図8-a】図8aはFontana's Masson染色の画像解析結果を示す図である。
図8-b】図8bは画像解析を使用した色素沈着指数の算出を示す図である。
図8-c】図8cは画像解析を使用した色素沈着指数の算出結果を示す図である。
図9-a】図9aはSDF1免疫染色の結果を示す図である。
図9-b】図9bはSDF1のポジティブ細胞のスコア化結果を示す図である。
図10-a】図10aはFontana's Masson染色の画像解析結果を示す図である。
図10-b】図10bは画像解析を使用した色素沈着指数の算出を示す図である。
図10-c】図10cは画像解析を使用した色素沈着指数の算出を示す図である。
【0034】
図11-a】図11aは蛍光画像を示す図である。
図11-b】図11bは酸化されたタンパク質の定量化結果を示す図である。
図12-a】図12aはSudan Black B組織切片の顕微鏡写真を示す図である。
図12-b】図12bはリポフスチン蓄積の定量化結果を示す図である。
図13図13は炎症促進性サイトカイン(IL-8)の定量化結果を示す図である。
図14-a】図14aはフィラグリン免疫染色の観察結果を示す図である。
図14-b】図14bは角質層厚の算出結果を示す図である。
【0035】
図15-a】図15aは白人皮膚外植片におけるホワイトニングの結果を示す図である。
図15-b】図15bは白人皮膚外植片におけるホワイトニングの結果を示す図である。
図16-a】図16aはアジア人皮膚外植片におけるホワイトニングの結果を示す図である。
図16-b】図16bはアジア人皮膚外植片におけるホワイトニングの結果を示す図である。
図17-a】図17aはアフリカ人皮膚外植片におけるホワイトニングの結果を示す図である。
図17-b】図17bはアフリカ人皮膚外植片におけるホワイトニングの結果を示す図である。
【0036】
図18図18は臨床試験におけるメラニン含有量の結果を示す図である。
図19図19は皮膚の発赤の低減効果を示す図である。
図20図20は顔の目に見える斑の低減効果を示す図である。
図21図21は顔の茶色の斑の低減効果を示す図である。
図22図22は顔のしみエリアのb*パラメータの低減効果を示す図である。
図23図23はメラニン含有量の低減効果を示す図である。
【0037】
本発明を以下の非限定的な例によってさらに説明する:
全般:in vitroからin vivoまでのすべての生データは、データがガウス則に従うかどうかを判断するためにShapiro-Wilk検定によって分析した。従う場合、データはパラメトリックのペアまたは非ペアのStudentのt検定で分析した。そうでない場合は、ノンパラメトリックWilcoxon検定またはノンパラメトリックMann-Whitney検定を使用してデータを分析した。p<0.1#、p<0.05*、p<0.01**およびp<0.001***の場合、結果は有意であると考えられる。
【0038】
例1:Himanthalia elongata抽出物(HEX)の調製
図2は、a)とb)の2つのステップで行われる抽出プロセスのフローチャートを示す。
a)未精製抽出物
水中のHimanthalia elongata(Brittany北部で収穫)の乾燥物4%の懸濁液を調製した。まず、海藻を細かく切り、攪拌下で10分間浸漬し、次いで、ウルトラトラックス(12000rpm)で3分間粗挽きした。次いで、溶液を攪拌し、加熱した。温度が65℃に達したとき、クエン酸を添加した(添加したクエン酸の量は、懸濁液の乾燥物の7.5%に相当する)。次いで、1N硫酸を添加し、pH=2.2に設定した。酸加水分解は70℃で2時間続いた。2時間後、溶液を冷却し、170μmの篩で濾過した。未精製の抽出物を遠心分離してから(12000g、18℃、15分)、マクロポーラス吸着樹脂(例として、Diaion HP20)と接触させることができた。
【0039】
b)精製抽出物(HEX)
未精製抽出物(約4000g)をバッチ内で、樹脂(約1600g、湿式)と攪拌下で1時間接触させる。吸着段階後、樹脂を水で5分間3回洗浄し(3×4.6L)、塩類および極性化合物(例として、糖類およびタンパク質)を除去する。次いで、樹脂に吸着した化学物質を90%エタノールで脱着する(最大密度0.835、1×4.6Lおよび3×3.8L30分間)。最後に水3Lで新たに5分間洗浄する。
エタノール画分および最終水溶出液をプールし、真空ロータリーエバポレーターでエタノール含有量が1%未満になり、および濃縮溶液の質量が最初の抽出物の質量の1/85になるまで蒸発させる。水酸化ナトリウムでpHを3.0に調整し、産物を0.2μmに濾過する。グリセロール(w/w)に2倍に希釈することによって、最終産物(精製抽出物)を得る。それは、9~18g/Lの間のポリフェノールを含有する(無水没食子酸換算として定量。)
【0040】
例2:Himanthalia elongata抽出物中に存在するフロロタンニンの分析
a)フロロタンニンの濃縮
Himanthalia elongataの水性抽出物(例1で得られた精製抽出物)を蒸留水で希釈し、分離漏斗内でn-ヘプタン+アセトニトリル+メチル-tert-ブチルエーテルと混合した。混合およびデカンテーション後、結果として生じる3つの非混和性液相(上相1UP1、中相MP1、下相LP1)を分離した。
下相LP1を蒸留水で希釈し、アセトニトリル+メチル-tert-ブチルエーテルと混合した。結果として生じる2つの液相(上相UP2および下相LP2)を分離した。上相UP2を最終的にMP1と混合した。溶媒を真空下で蒸発させ、フロロタンニンに富む画分が結果として生じた、E-Phlorと記す。
【0041】
b)画分
フロロタンニンに富む抽出物E-Phlorを、Rousselet-Robatel-KromatonのFCPE300(登録商標)器械で、以下の条件下、遠心分離分配クロマトグラフィー(CPC)により分画した:
- 注入質量 1.5gのE-Phlor
- 二相溶媒系:メチル-tert-ブチルエーテル/アセトニトリル/水(4/1/5、v/v)
- 固定相:二相系溶媒の下相(昇温モード)
- 移動相:二相系溶媒の上相
- カラム回転速度:1200rpm
- 流速:20mL/分
移動相を固定相に通して60分間送液した。この溶離ステップの間、移動相に親和性を有する有機化合物がカラムの出口に集められた。次いで、固定相を押し出した。この押し出しステップの間に、カラムに捕捉されたまま残存する全ての化合物を回収した。
【0042】
c)画分の分析
11個の連続したCPC画分F01~F11を得た。すべての画分を、クライオプローブを備えたBruker Avance AVIII-600分光計(Karlsruhe, Germany)で13C NMRにより分析した。すべてのCPC画分は、表1に要約されるように、有意な量のフロロタンニンを含有しており、ここで*は、示された重合度を有するフロロタンニンのより低い量での存在、および**は、より高い量での存在を意味する。CPC画分に含有されるフロロタンニンの様々な化学構造を暫定的に識別するために、LC/MS分析もまた実施した。
【0043】
【表1】

より高い重合度のフロロタンニンもCPC画分に存在したが、MSでは十分に検出されなかった。
【0044】
例3:Himanthalia elongata抽出物の抗チロシナーゼ活性のin tubo評価
例1で得られたHimanthalia elongataの未精製および精製抽出物を、化粧品用途に対して興味深いホワイトニング活性を確認するために、酵素チロシナーゼを阻害する能力について試験した。
【0045】
チロシナーゼは、その天然の基質でL-DOPAを溶解するであろう。酵素のインヒビターの存在は、加水分解速度を低減する。この活性の発覚は、基質の加水分解後に培地中に放出されるドーパキノンの吸光度測定(OD)に対応する。酵素が阻害されない場合、放出されるドーパキノンの濃度は増加し、褐色の発色が観察される。
【0046】
得られた結果はIC50(mg/ml)の観点から表される。半数阻害濃度(IC50)は、特定の生物学的または生物化学的機能を阻害する物質の有効性の指標である。IC50が低いほど、低濃度の抽出物で生物活性が強い。
【0047】
このアッセイは96ウェルマイクロプレートに適応している。40μLの試料を60μLのリン酸緩衝剤pH6.8と混合する。次いで、40μlのチロシナーゼを添加する。反応混合物を振とうし、37℃で15分間プレインキュベーションする。次いで、40μlのL-DOPA溶液を添加する。マイクロプレートを37℃でインキュベートし、15分間5分毎に475nmの波長で読み取る。ポジティブ標準としてコウジ酸を使用する。
精製した抽出物を異なる濃度で試験した。結果を図3aに表示する。得られた結果は、チロシナーゼの阻害の%で表す。
【0048】
Himanthalia elongata抽出物(例1aで得られたもの)、精製抽出物HEX(より高いポリフェノールの含有量をもつ例1bで得られたもの)対フェニルエチルレゾルシノールで得られた結果を図3bに示す。精製抽出物は、フェニルエチルレゾルシノール(ベンチマーク)よりも2.6倍、および未精製抽出物よりも160倍活性がある。Himanthalia elongata抽出物がチロシナーゼを阻害することができることが示された。
【0049】
例4:Himanthalia elongata抽出物の抗ヒアルロニダーゼ活性のin tubo評価
比濁法による抗ヒアルロニダーゼ活性の評価は、ヒアルロン酸ポリマーを界面活性剤であるCTAB(臭化セチルトリメチルアンモニウム)と接触させて入れることによって得られる沈殿物の形成に基づく。
【0050】
酵素反応の間、ヒアルロン酸(20~12,500ユニットから形成されている)はヒアルロニダーゼによって分解され、サイズが低減したポリマーを与える。よって、得られた2糖および8kDAより小さいサイズのポリマーはCTABの存在下では沈殿しないが、未分解のヒアルロン酸のポリマーおよび8kDAより大きいサイズのポリマーはCTABと接触して沈殿する。
【0051】
アッセイは96ウェルマイクロプレートで実施した。20μlの試料を、まず10μlのMac Ilvaine's buffer pH4.6と混合する。次いで20μlのヒアルロニダーゼおよび20μlのヒアルロン酸を添加する。混合物を振とうし、37℃で40分間インキュベートする。最後に180μlのCTABをすべてのウェルに添加し、加水分解されていないヒアルロン酸ポリマーを沈殿させる。この混合物を室温で20分間インキュベートし、分光光度計で600nmでの吸光度を測定する。DSCG(クロモグリク酸二ナトリウム)をポジティブコントロールとして使用する。
【0052】
Himanthalia elongata抽出物の未精製および精製フロロタンニン(それぞれ例1aおよび1bで得られたもの)対フェニルエチルレゾルシノールで得られた結果を図4に示す。Himanthalia elongataの精製抽出物が最良の抗ヒアルロニダーゼ活性を有するとともに、Himanthalia elongataのグローバル抽出物が有意な抗ヒアルロニダーゼ活性を有することが示された。Himanthalia elongata抽出物がヒアルロニダーゼを阻害することができることが示された。
【0053】
例5:Himanthalia elongata抽出物の抗エラスターゼ活性のin tubo評価
その天然の基質と接触すると、エラスターゼはN-スクシニル-(Ala)3-p-ニトロアニリドを溶解する。この酵素のインヒビターの存在は、加水分解の速度を低減することを可能にする。
この活性の発現は、基質の加水分解後に培地中に放出されるp-ニトロアニリンの吸光度測定(OD)に対応する。酵素が阻害されない場合、放出されるp-ニトロアニリンの濃度は増加し、黄色に見える。
【0054】
用いた抗エラスターゼアッセイは、分光光度法に基づいており、96ウェルのマイクロプレートで実施する。酵素として豚膵臓エラスターゼを、および基質としてN-スクシニル-(Ala)3-p-ニトロアニリドを使用し、p-ニトロアニリドの放出をモニターする。反応混合物は、25μLの試料、25μLの0.2MTris-HCl緩衝剤(pH8)、25μLの酵素エラスターゼを含有する。混合物を37℃で15分間プレインキュベーションする。次いで、基質として100μLのN-スクシニル-(Ala)3-p-ニトロアニリドを添加する。37℃で30分間インキュベートした後、405nmで吸光度をモニターする。ポジティブコントロールとしてエラスタチナールを使用する。
【0055】
異なるHimanthalia elongata抽出物の未精製および精製フロロタンニン(それぞれ例1aおよび1bで得られたもの)対フェニルエチルレゾルシノールで得られた結果を図5に示す。Himanthalia elongataの精製抽出物が最良の抗エラスターゼ活性を有し、およびHimanthalia elongataの未精製抽出物が有意な抗エラスターゼ活性を有することが示された。Himanthalia elongata抽出物はエラスターゼを阻害することができることが示された。
【0056】
例6:Himanthalia elongata抽出物の抗コラゲナーゼ活性のin tubo評価
抗アンチエイジング活性の推定は、細菌Clostridium histolyticum(ChC)のコラゲナーゼと蛍光ペプチド基質(MMP-2)との酵素反応を遅らせる抽出物の能力を、320nm(励起)および405nm(発光)で分光蛍光測定法によって決定することによって行われる。ポジティブ標準として、PADS(ホスホラミドン二ナトリウムスルファートphosphoramidon disodium sulfate)を使用する。
【0057】
Himanthalia elongata抽出物(それぞれ例1aおよび1bで得られたもの)対フェニルエチルレゾルシノールについて得られた結果を図6に示す。Himanthalia elongataの精製抽出物ならびにHimanthalia elongataの未精製抽出物は、有意な抗コラゲナーゼ活性を有することが示された。Himanthalia elongata抽出物は、コラゲナーゼを阻害することができることが示された。
【0058】
例7:老化斑点-老人性黒子に対するex vivo試験
i)皮膚外植片処置
真皮線維芽細胞の老化を、H2O2200μMでの化学的全身性処置(chemical systemic treatment)2時間によって、ヒトの新鮮な皮膚外植片(35歳女性ドナー由来)に誘導した。Himanthalia elongata抽出物での局所適用の影響を評価するために、外植片を以下のとおり処置した:
老化誘導後、皮膚培地を新鮮な培地で更新し、およびa)皮膚外植片を3%(v/v) Himanthalia elongata抽出物(精製抽出物)で局所処置した、またはb)未処置の老化状態については皮膚外植片を処置しなかった。未処置の基礎コントロール(basal control)のための他の皮膚外植片は処置せず、それらの培地を毎日更新するだけであった。
これらの条件を毎日5日間繰り返した。サンプリング後、皮膚外植片をホルマリンで固定してから脱水し、パラフィンに包埋した。
【0059】
ii)高色素沈着(SDF1)
方法:SDF1免疫染色
パラフィンに包埋した摘出物を4μm厚に切ってから脱脂した。EDTA(エチレンジアミン四酢酸)pH8緩衝剤中で抗原賦活化を実施した後、皮膚試料の非特異的部位をウシ血清アルブミンで飽和させた。次いで、試料を抗SDF1抗体とともに4℃で終夜インキュベートし、その後すすぎ、Alexa Fluor 488と結合した二次抗体とともに室温、暗所で45分間、もう1度インキュベートした。試料をすすぎ、カバースリップおよびDAPI(4’,6-ジアミノ-2-フェニルインドール)を含有するマウント媒体でアセンブルした。SDF1発現のポジティブ細胞をスコア化した。
【0060】
結果:SDF1発現による高色素沈着の制御
未処置皮膚(図7a、左)との比較により、老化誘導はSDF1を発現する線維芽細胞の数を有意に低減することが確認され(図7a、中央)、これは色素沈着の喪失を意味する。HEX3%で5日間の老化外植片処置後、SDF1発現の有意な増加が観察され(図7a、右)、これは潜在的な色素沈着制御の活性化をもたらす。また、各条件の真皮表皮接合部付近でSDF1を発現する線維芽細胞の数をスコア化し(図7b)、前記結果を確認した。
Himanthalia elongata抽出物は、SDF1発現を増加させ、それによって、とりわけ老人性黒子に関する色素沈着の制御を活性化することが示された。
【0061】
iii)高色素沈着(Fontana’s Masson染色)
方法:Fontana's Masson染色および画像解析を使用したメラニン定量
ホルマリン固定およびパラフィン包埋した摘出物を4μm厚に切ってから脱脂し、次いで、Fontana Masson銀法によりメラニンに対して染色した。画像はAxio Observer Inverted fluorescence microscope (Zeiss)で明視野モードで収集した。
【0062】
メラニンを、2つのオープンソースの光学イメージングソフトウェアプログラムを使用して定量化した。Fontana-Masson組織切片の顕微鏡写真(jpegフォーマット)をGIMP-GNU Image Manipulation Programで開いた。染色した切片のメラニン粒に対応する茶-黒カラーシグナルを選択し、新しい画像にコピーして貼り付け、jpegファイルとして保存した;このjpegファイルは、白い背景に黒/茶(メラニン粒)のみからなる。この画像を、続いてImageJプログラムを使用して開いた。画像の総画素数を可視スペクトルにわたる255の色カテゴリーに分離した画像のヒストグラムを作成した。茶-黒色(メラニン)に対応するピークは、メラニンピークの各チャンネルから適切なカウントをカットすることおよび合計することによって決定した。代替的に、色素ピークに対応する数をExcelの表計算ソフトに貼り付けて合計することもできる。色素指数は、Image Jで決定した代表的な20×フィールドの黒色画素の絶対数をとり、10-3を乗じることで得られた。
【0063】
結果:Fontana's Masson染色および画像解析を使用した高色素沈着の制御
同じ皮膚外植片において、Fontana's Masson染色を実施して、適用前後のメラニン含有量を可視化した(図8a)。
H2O2は、SDF1発現の阻害を通じて、未処置条件と比較して、メラニン含有量の重要な増加を誘導したことが明らかとなった。この結果は、本モデルが老人性黒子で見られる高色素沈着を模倣していることを示している。
HEX3%で5日間の局所適用は、私たちが未処置条件で観察したものと同じレベルでメラニン含有量を低減し、おそらくこれは老化線維芽細胞によるSDF1発現の再活性化のおかげである。
画像解析を使用した色素沈着指数の算出(図8b)は、H2O2存在下で+145%の結果が観察されるとおり、老化誘導に伴う有意な高色素沈着があることが実証された。HEX3%で5日間の局所適用は、メラニン含有量の低減によって観察されるとおり、メラニン生合成の有意な低減につながる(図8c)。
【0064】
例8:老化斑-日光性黒子に対するex vivo試験
i)皮膚外植片の処置
ヒトの新鮮な皮膚(35歳、女性ドナー由来)に、UV-A(9J/cm2)およびUV-B(0.33J/cm2、UV-A/UV-B比=27)を5日間、合計5回単回照射のために毎日照射した。各単回照射後、3個の外植片を3%(v/v)のHimanthalia elongata抽出物(精製抽出物)で局所処置し、他の外植片は未処置紫外線照射条件のために処置しなかった。コントロール群の外植片は照射も処置も受けなかった。サンプリング後、外植片を2つに切り、1つはOCTで保存しカルボニルスコアイメージングを実施するために使用し、もう1つはホルマリンで固定してから脱水し、Fontana Masson染色および補完免疫化学のためにパラフィンに包埋した。IL-8産生を測定するために、最終日の照射後8時間に上清を採取した。
【0065】
ii)高色素沈着(SDF1)
方法については、例7ii)を参照
結果:SDF1発現を介した高色素沈着の制御
毎日の紫外線曝露は、皮膚の細胞の老化の誘導を介して、皮膚の早期老化をもたらすことが文献に記載されている。SDF1免疫染色を実施することによって、紫外線誘導老化のSDF1発現への影響が実証された。また、Himathalia elongata抽出物が、この現象をどのように変化させることができるかも実証された。
【0066】
未処置皮膚と比較すると(図9a、左)、紫外線照射によりSDF1を発現する線維芽細胞の数が有意に低減することが確認され(図9a、中央)、これは色素沈着の制御の喪失を意味する。紫外線照射した外植片をHEX3%で5日間処置後、SDF1発現の有意な増加が観察され(図9a、右)、これは潜在的な色素沈着制御の活性化をもたらす。
また、各条件で真皮表皮接合部付近にSDF1を発現している線維芽細胞の数をスコア化し(図9b)、前記結果を確認した。Himanthalia elongata抽出物はSDF1発現を増加させ、それによって、とりわけ日光性黒子に関する色素沈着制御を活性化することが示された。
【0067】
iii)高色素沈着(Fontana’s Masson染色)
方法については例7iii)を参照
結果:Fontana's Masson染色および画像解析を使用した色素沈着の制御
Fontana's Masson染色を使用して、未処置状態と比較して観察したとおり、紫外線照射が、皮膚外植片のメラニン含有量の増加を誘導することが示された(図10a上、中段参照)。HEX3%の5日間の局所適用は、紫外線誘導高色素沈着を低減させた(図10a下段)。
画像解析を使用した色素沈着指数の計算(図10b、10c)は、紫外線曝露により誘導された有意な高色素沈着が、HEX3%の局所適用5日後により有意に低減されることを実証した。Himanthalia elongata抽出物が、紫外線暴露によって誘導された色素沈着を低減できることが示された。
【0068】
iv)酸化されたタンパク質の還元
方法:カルボニルスコア測定による酸化されたタンパク質の定量化
クライオスタット(Leica)を使用して4μm厚の外植片切片を得て、95%エタノールおよび5%酢酸を含有する溶液で固定した。カルボニル部分と反応する特定の蛍光プローブ(Ex = 480 nm / Em = 530 nm)および核標識のためのDAPI(4’,6-ジアミノ-2-フェニルインドール)を使用してカルボニル化タンパク質を標識した。
蛍光画像は落射蛍光顕微鏡(EVOS M5000 Imaging System; Thermo Fisher Scientific)で収集し、ImageJソフトウェア(Schneider, 2012)で解析した。異なる条件の画像比較は、倍率(10×または60×対物レンズ)の同一の取得条件を使用して達成した。
【0069】
結果:紫外線照射後の酸化されたタンパク質の低減
赤色蛍光の検出強度により観察されたとおり、紫外線照射が、酸化されたタンパク質の増加を誘導することが明らかになった。この効果は、酸化されたタンパク質の検出および除去を担うプロテアソーム活性の減少と相関している。
HEX3%の局所適用の5日後、酸化されたタンパク質の有意な低減が観察された。
したがって、HEXは、日光性黒子において劇的に影響を受けているプロテアソーム活性を再活性化できることが実証された(図11a)。
シグナルの定量化は、観察結果を確認し、紫外線照射後に酸化されたタンパク質+24%の有意な増加が、HEX3%の局所適用により-40%有意に低減されることを示した(図11b)。
Himanthalia elongata抽出物が、UV照射後の酸化されたタンパク質の存在を低減することができることが示された。
【0070】
v)紫外線照射後のリポフスチン体蓄積の低減
方法:Sudan Black B染色
クライオスタットを使用して8μm厚の凍結切片を得て、10%ホルマリンで10分間固定した。固定後、無水プロピレングリコール12分間、無水プロピレングリコール中に調製した0.7%スーダンブラックB溶液で60℃、15分間の連続浴で着色を処理し、これに続き、プロピレングリコール85°、および蒸留水3回浴ですすいだ。凍結切片にカバースリップを水性マウント媒体で付けて、Axio Observer Inverted fluorescence microscope(Zeiss)で明視野モードで画像を収集した。
【0071】
リポフスチン蓄積の定量化:
リポフスチンは、2つのオープンソース光学イメージングソフトウェアプログラムを使用して定量化した。Sudan Black B組織切片の顕微鏡写真(Tifフォーマット)をImage Jソフトウェアで開き、カラーチャンネルを分割した。Sudan Black B 染色をより代表する緑色のチャンネルを選択し、GIMP- GNU Image Manipulation Programで開く前に保存した。染色された切片上のリポフスチンに対応する暗い色の信号を選択し、新しい画像にコピーして貼り付け、jpegファイルとして保存した;このjpegファイルは、白い背景上の暗いリポフスチンのみからなる。この画像は、その後ImageJプログラムを使用して開き、背景を黒に、測定すべきシグナルに相当するリポフスチン染色を白にするために反転させた。染色強度は表皮領域で測定され、リポフスチンの量に対応する値を与えた。
【0072】
結果:紫外線照射後のリポフスチン体蓄積の低減
酸化されたタンパク質の蓄積が、表皮におけるリポフスチン体の形成につながり得るかどうかを評価した。紫外線照射後のリポフスチン蓄積を可視化するために、脂質を検出するのに特異的なSudan Black B染色を使用した(Evangelou et al.2017)。
Sudan Black B染色は、UV照射後、+69%のリポフスチン体蓄積の有意な増加を明らかにした。これは、未処置状態と比較して、UV曝露後の青色染色の増加により明確に見ることができる(図12a上段および中段、図12b))。
HEX3%の局所適用は、5日後に紫外線誘導リポフスチン体蓄積を-39%有意に低減し、これはまた写真における青色染色の低減によっても観察された(図12a下段、12b)。
この結果は、HEXが、脂質酸化に対する保護的な効果を有し、皮膚老化のマーカーである、表皮におけるリポフスチン体蓄積を減少させることを示している。Himanthalia elongata抽出物が、紫外線曝露後のリポフスチン体の蓄積を低減することができることが示された。
【0073】
vi)炎症促進性サイトカイン(IL-8)
方法:炎症促進性サイトカイン(IL-8)の定量化
皮膚外植片の上清を、非照射外植片由来のものについては1:5、および照射外植片由来のものについては1:20に希釈した。ヒトIL-8 Quantikine ELISAキット(Biotechne)を使用して、ELISA法により、外植片から放出されたIL-8を定量した。ELISAは、供給者の説明書に従って行った。この比色アッセイから得られる光学密度は、Tecanマイクロプレートリーダー(Spark)で読み取った。
【0074】
結果:紫外線照射後の炎症の低減
炎症反応の増加は、特に炎症促進性のサイトカインIL-8の定量化を介して観察され、紫外線照射での+121%の大幅な増加が明らかになった。
HEX3%の局所適用は、紫外線誘導IL-8の過剰産生を有意かつ劇的に低減し、HEXが日光性黒子に関する炎症を制御できることを実証した(図13)。
Himanthalia elongata抽出物が、紫外線曝露後の炎症を低減することができることが示された。
【0075】
vii)紫外線照射後の角質層厚の低減
方法:フィラグリン免疫染色
パラフィンに包埋した外植片を4μm厚に切ってから脱脂した。EDTA pH8緩衝剤で抗原賦活化を実施した後、ウシ血清アルブミンで皮膚試料の非特異部位を飽和させた。次いで、試料を抗フィラグリン抗体と室温で2時間インキュベートし、これに続きすすいで、Alexa Fluor 488と結合した二次抗体と室温で1時間、暗所でもう1度インキュベートした。試料をすすいだ後、カバースリップおよびDAPI(4’,6-ジアミノ-2-フェニルインドール)を含有するマウント媒体でアセンブルした。角質層厚は、角質層を可視化できる特異的なフィラグリン染色に続いて、ImageJソフトウェアで測定した。
【0076】
結果:紫外線照射は、角質細胞間の結合力の喪失を転換する角質層厚の増加によって、皮膚バリアーに影響を与えたことが示された。フィラグリン免疫染色を観察したことによって、HEX3%の局所適用が、フィラグリン発現(緑色の蛍光、図14a)に続いて、角質層厚を有意に減少させたことが示された。
実に、UV照射後、11μmから15μmに+26%厚くなることが示された。HEX3%の局所適用は、角質層厚を、11μmの厚さを示す非照射状態近くに-27%回復したことが観察された(図14b)。Himanthalia elongata抽出物は、紫外線照射後の角質層厚を低減することが示された。
【0077】
例9:ホワイトニング効果のex vivo試験
i)皮膚外植片処置
アジア人3人、アフリカ人3人および白人3人の対象由来の皮膚フラグメントを1cm2に切り、抗生物質を使用して3回洗浄した。皮下脂肪および真皮下部は、実体顕微鏡下で外科用メスを使用して機械的に除去した。
皮膚生検は、上皮を上にして、培養インサート(フィルター孔径12μm;Costar, VWR International, Fontenay-sous-Bois, France)上の空気/液体界面に設置した。これらのインサートを12ウェルプレートにセットし、5%CO2で、加湿インキュベーター内で37℃で14日間培養した。
培地は、培地の表面がフィルターと水平になるようにウェルに添加した。器官培養は、抗生物質、L-グルタミン、ウシ下垂体抽出物、成長因子およびウシ胎児血清(DAP, Neuf-Brisach, France)を含有するDulbeccoの最小必須培地(Invitrogen Corporation, Paisley, UK)で保った。
未処置皮膚と比較し、Himanthalia elongata抽出物3%(未精製抽出物)、フェニルエチルレゾルシノール0.5%およびポジティブコントロールとしてのハイドロキノン2%(SIGMA H9003)を14日間毎日皮膚フラグメントの表皮に局所適用した。
【0078】
4条件(3回実現)を比較した:
- 未処置皮膚
- Himanthalia elongata抽出物3%(v/v)で処置した皮膚
- フェニルエチルレゾルシノール0.5%(w/v)で処置した皮膚
- ハイドロキノン2%(w/v)で処置した皮膚。
【0079】
ii)方法:Fontana’s Masson染色による組織学的解析および専門家によるホワイトニングスコア化
脱色素沈着産物を試験するために、未処置皮膚と比較し、処置した皮膚から、メラニン細胞中に、および表皮の基底細胞層の連続した角化細胞中に存在するメラニン色素を評価する。
試料は14日目にホルマリン固定し、パラフィン包埋した。次いで、切片(4μm)をFontana Masson銀法でメラニンに対して染色した(例4iiiを参照)。
メラニン色素を含有する細胞の定量的な計数は、表皮の約300の基底細胞について、光学顕微鏡下で×40の倍率で行った。
【0080】
2種類の細胞を数えた。
- スコア1:色素沈着していない細胞または細胞質内に孤立した希少なメラニン色素を提示する細胞
- スコア3:細胞質全体に重要なメラニン色素を提示する細胞
表皮メラニン含有量は、各スコア化における表皮細胞の割合として算出した。
【0081】
結果:
a)白人皮膚外植片におけるホワイトニング(図15a,b)
未精製Himanthalia elongata抽出物3%の14日間にわたる局所適用は、白人の皮膚外植片において、極めて色素沈着した細胞の割合を有意に低減し(-21.6%)、色素沈着していない細胞の割合を有意に増加させ(+36.7%)、これはHimanthalia elongata抽出物3%の白人皮膚におけるホワイトニング効果を実証した。
それに対し、フェニルエチルレゾルシノールは、色素沈着していない細胞の割合を有意に増加させただけで(+38.8%)、極めて色素沈着した細胞には影響を与えなかった(-4.2%)。Himanthalia elongata抽出物3%は、白人皮膚外植片においてフェニルエチルレゾルシノールよりも効果的であると結論付けることができる。
白人皮膚の色素沈着していない細胞、極めて色素沈着した細胞いずれにも有意な影響を示さなかったハイドロキノン2%よりも、Himanthalia elongata抽出物3%はまた有意に良好である。
【0082】
b)アジア人皮膚外植片におけるホワイトニング(図16a,b)
未精製Himanthalia elongata抽出物3%の14日間にわたる局所適用は、アジア人皮膚外植片において、極めて色素沈着した細胞の割合を有意に低減し(-18.9%)、色素沈着していない細胞を有意に増加させ(+75.9%)、Himanthalia elongata抽出物3%のアジア人皮膚におけるホワイトニング効果を実証した。
フェニルエチルレゾルシノールの局所適用は、色素沈着していない細胞の割合を有意に増加させ(+110.7%)、色素沈着した細胞の割合を有意に減少させた(-29.2%)。したがって、Himanthalia elongata抽出物3%は、アジア人皮膚外植片においてフェニルエチルレゾルシノールと同程度に効果的である。
Himanthalia elongata抽出物3%はまた、アジア人の皮膚において、色素沈着していない細胞の有意な増加(+54.1%)および極めて色素沈着した細胞の有意な減少(-25.8%)を引き起こしたハイドロキノン2%とホワイトニング活性において同程度に効果的である。
【0083】
c)アフリカ人皮膚外植片のホワイトニング(図17a、b)
未精製Himanthalia elongata抽出物3%の14日間にわたる局所適用は、アフリカ人の皮膚外植片において、極めて色素沈着した細胞の割合を有意に低減し(-23.6%)色素沈着していない細胞を有意に増加させ(+88.4%)、これはHimanthalia elongata抽出物3%のアフリカ人皮膚におけるホワイトニング効果を実証した。
フェニルエチルレゾルシノールでの処置もまた、色素沈着していない細胞の割合を有意に増加させ(+91.7%)、色素沈着した細胞の割合を有意に減少させ(-22.7%)、これはHimanthalia elongata抽出物3%が、アフリカ人皮膚外植片においてフェニルエチルレゾルシノールと同程度に効果的であることを示した。
しかしながら、Himanthalia elongata抽出物3%は、アフリカ人皮膚に局所適用後、色素沈着していない細胞において、および極めて色素沈着した細胞において有意な結果を示さなかったハイドロキノン2%よりもホワイトニング活性においてより効果的である。
Himanthalia elongata抽出物が、異なるタイプの皮膚においてホワイトニング効果を有することが示された。
【0084】
例10:臨床試験-白人ボランティアの手のしみの低減
i)使用したINCI配合
【表2】
【0085】
ii)パネル記載
本研究は、二重盲検、無作為化およびプラセボ対照研究であった。査定は、HEX3%(活性産物)のクリーム、フェニルエチルレゾルシノール0.3%のクリーム、およびプラセボのクリームで得られた結果間の対象内比較に基づくものであった。21±1℃の温度、50±10%の湿度で、制御された雰囲気で測定した。この研究は、手に色素性老化斑点を有する39人のボランティア(50歳から75歳の健康な白人女性、平均年齢:61.7±5.6歳)に実施した。
【0086】
iii)処置
研究は、各ほぼ20人のボランティアの2グループにおいて行った(50歳から70歳の合計39人のボランティア)。1日2回、クリームを手に適用した。処置前ならびに28および56日後に評価を行った。グループ1は、一方の手にプラセボ、もう一方の手にHEX3%を適用し、グループ2は、一方の手のHEX3%を、もう一方の手のフェニルエチルレゾルシノール0.3%に対して試験した。
【0087】
iv)方法:Mexameter(登録商標)分析
測定は、吸収の原理に基づいている。MEXAMETER MX 18プローブは、3つの定義された波長の放射線を放射する。受光器は、皮膚で反射した光の反射を測定する。送信機と受信機の位置が、拡散光のみが測定されることを確実にする。定義された放射光の量を用いて、皮膚によって吸収された光の量を計算することができる。メラニンは2つの波長で測定する。波長は、メラニン色素の異なる吸収ピークに従って選択する。紅斑(皮膚の発赤)の測定には、表皮の吸収容量を測定するために、2つの異なる波長を使用する。そのうちの1つは、ヘモグロビンの吸収スペクトルに対応する。もう1つの波長は、皮膚の色に影響を与える他の色素を有するために選択した。
【0088】
v)結果:
a)メラニン含有量の低減(図18)
HEX3%は、28日後および56日後の皮膚のメラニン含有量を、D0と比べてそれぞれ-13.8%および-21.3%で有意に低減することができた。
プラセボクリームは、研究の間、わずかなホワイトニング効果を引き起こしたが、HEX3%は、プラセボよりも有意にメラニン含有量を低減し、HEXの適用28日後には2.2倍のより効果的なホワイトニング活性を示した。
フェニルエチルレゾルシノール0.3%では、HEX3%と同じメラニン低減の有効性が得られ、両産物間に有意差は観察されなかった。
Himanthalia elongata抽出物は、皮膚のメラニン含有量を低減し、それによって皮膚における、とりわけ白人のボランティアの手における、しみを低減することができることが示された。
【0089】
b)皮膚の発赤の低減(図19
HEX3%は、28日後および56日後の皮膚の発赤を、D0に比べてそれぞれ-8.9%および-14.8%で有意に低減することができた。
プラセボは、研究の間、発赤のわずかな低減を引き起こしたが、HEX3%はプラセボよりも、発赤の低減において、有意により効果的であり、プラセボと比較して、HEXの適用で56日後に1.6倍より効果的な発赤の低減を示した。
フェニルエチルレゾルシノールはプラセボで得られたものと同じ有効性を示した。この結果は、HEXがフェニルエチルレゾルシノールよりも、手の色素性老化斑の皮膚の発赤の低減において、より効果的であることを実証した。
Himanthalia elongata抽出物は、色素性老化斑における、とりわけ白人ボランティアの手における、皮膚の発赤を低減することができることが示された。
【0090】
vi)DermaScop(登録商標)を使用した例示写真
Dermascop(登録商標)により、産物適用前後の手における特定の色素性老化斑の例示写真を撮影した。これらの写真は、効果の質的評価のためにのみ使用した。フェニルエチルレゾルシノール0.3%に類似した、老化斑の低減におけるHEX3%の明らかなポジティブな効果が可視化された。プラセボはそれに対するポジティブな影響を示さなかった。
【0091】
例11:臨床試験-アジア人ボランティアの顔におけるしみの軽減
i)使用したINCI配合
例10i)に記載した配合を使用した。
ii)パネルの記載
本研究は、二重盲検、無作為化およびプラセボ対照研究であった。査定は、HEX3%(活性産物)のクリーム、フェニルエチルレゾルシノール0.3%のクリーム、およびプラセボのクリームで得られた結果間の対象内比較に基づくものであった。21±1℃の温度および50±10%の湿度で、制御された雰囲気で測定した。この研究は、彼らの顔に色素性老化斑を有する72人のボランティア(45歳から65歳の健康なアジア人女性)に実施した。
【0092】
iii)処置
研究は、各36人のボランティアの2グループにおいて行った(計72人のボランティア)。1日2回、クリームを顔に適用した。処置前ならびに28および56日後に評価を行った。グループ1は、顔の一方にプラセボ、顔のもう一方にHEX3%を適用した。グループ2は、顔の一方のHEX3%を、顔のもう一方のフェニルエチルレゾルシノール0.3%に対して試験した。
【0093】
iv)方法:VISIA CR2.0による老化性斑解析
CANFIELD(登録商標)からのデバイスVISIA(登録商標)を使用した。それは、異なるタイプの照明で写真を撮ること、極めて迅速な画像の取り込みを可能にする。再配置の制御は、各取得時に、画像のオーバーレイ可視化を使用して、データ処理画面上で直接行うことができる。
【0094】
マルチスペクトル画像および分析下で撮影された一連の写真は(白色光、紫外または偏光-平行または交差)、顔色の健康と外観に影響を与える視覚情報を捉えることを可能にする:
標準光の下、とりわけ、そばかす、にきび跡、高色素沈着および血管病変を包含する茶色または赤色の皮膚病変の可視化によって、目に見える斑を評価することができる。交差偏光とCanfield's RBX(登録商標)Technologyの組み合わせにより、とりわけ、表面下のメラニンの状態の分析により、茶色い斑を評価することができる。Canfield's RBX(登録商標)Technologyは、クモ状静脈、高色素沈着、炎症および他の状態などの色の集中をもたらす状態の無比の視覚化のために、赤色および茶色の皮膚構成要素のユニークなカラーサインを分離する。結果は病変数で与えられ、これはサイズまたは強度に関係なく、デバイスによって検出された病変の総数である。
【0095】
v)結果:
a)顔の目に見える斑の低減(図20)
VISIAの写真を使用して、目に見える斑の数を分析した。
HEX3%は、適用の28日後および56日後に、D0と比べてそれぞれ-5.6%および-3.8%で目に見える斑の数を有意に低減した。
プラセボクリームは、目に見えるしみの数をわずかに低減したが、HEX3%を含有するクリームより明らかに効果的に劣る。さらにまた、HEX3%は、プラセボと比較して、56日間のHEXクリーム適用後、2.9倍高い有効性で、目に見える斑の有意な低減を引き起こした。
フェニルエチルレゾルシノール0.3%を含有するクリームは、HEX3%で得られたものと極めて近い有効性を有したが、両製品間に有意な差はなく、HEXが顔エリアの目に見える斑の低減において、フェニルエチルレゾルシノールと同程度に効果的であることが示された。
Himanthalia elongata抽出物が、顔、とりわけ、アジア人ボランティアの顔の目に見える斑を低減することができることが示された。
【0096】
b)顔の茶色の斑の低減(図21
顔の色素性老化斑に関する茶色の斑をVISIA分析により評価した。
HEX3%を含有するクリームは、28日間および56日間適用後に、D0に比べてそれぞれ-3.4%および-2.7%で茶色の斑を有意に低減した。加えて、HEX3%はプラセボと比較して、HEXクリームの28日後に4.9倍の茶色の斑を有意に低減し、プラセボより有意に効果的である。
フェニルエチルレゾルシノール0.3%と比較すると、それは顔の茶色の斑の低減において、HEXよりわずかに良好な活性を示したが、両製品間に有意差はなく、HEX3%が顔の茶色の斑の低減においてフェニルエチルレゾルシノールと同程度に効果的であることが示された。Himanthalia elongata抽出物が、顔、とりわけ、アジア人ボランティアの顔の茶色い斑を低減することができることが示された。
【0097】
vi)方法:分光測色計測定
皮膚比色測定は、直径8mmのヘッドを備えたMINOLTA CM700-d Spectrophotometer(登録商標)で測定した。Spectrophotometer(登録商標)は、ヒトによって知覚された色を3つのパラメータ:
L*:明度(暗いから明るいまで)に対して、
a*: 緑~赤へのスペクトルに対して、
b*: 青~黄のスペクトルに対して、
a*およびb*はクロミナンスパラメータであり、L*はルミナンスパラメータである、
で構成されるデジタルコードに変換する。
【0098】
同じ色に見える2つの皮膚のゾーン間のわずかな違いを表現することが可能である。較正段階の後、パルスキセノン光源、ならびに透過光を測定するために、およびわずかな誤差を修正するために設計されたデュアルビームシステムを使用して、皮膚上で直接測定する。
b*パラメータ(皮膚のメラニン黄色)は、色素斑点の研究において研究されている。b*パラメータは、皮膚の明度(L*)およびメラニンパラメータ(b*)を考慮して、以下の式:
【数1】

に従って、対象の皮膚の色素沈着の程度を定義するIndividual Typological Angle (ITA°)の計算を介して利用される。
【0099】
vii)結果:顔のしみエリアのb*パラメータの低減(図22
分光測色計を使用し、特にb*パラメータに着目して、着色性老化斑エリアからの色について相補的な分析を行った。
HEX3%を含有するクリームは、フェオメラニン含有量(黄色の天然色素)に関連する黄色い色素であるb*パラメータを有意に低減した。HEX3%はまた、プラセボより有意に良好であり、28日および56日適用後の両方の間で有意差を示した。
フェニルエチルレゾルシノールに関して、28日および56日適用後のb*パラメータの有意な減少により、HEX3%と同様のホワイトニング効果が観察され、これは皮膚の黄色の低減を意味する。つまり、HEX3%は、アジア人ボランティアからの顔の色素性老化斑のb*パラメータの低減において、フェニルエチルレゾルシノール0.3%と同様に効果的である。Himanthalia elongata抽出物が、顔、とりわけアジア人ボランティアの顔における色素性老化斑のb*パラメータを低減することができることが示された。
【0100】
例12:臨床試験-アフリカ人ボランティアの顔における高色素沈着斑の軽減
i)使用したINCI配合
例10i)に記載された配合を使用した。
ii)パネルの記載
本研究は、二重盲検、無作為化およびプラセボ対照研究であった。査定は、HEX3%(活性産物)のクリーム、フェニルエチルレゾルシノール0.3%のクリーム、およびプラセボのクリームで得られた結果間の対象内比較に基づくものであった。20℃の温度および40%の湿度で、制御された雰囲気で測定した。この研究は、顔に高色素沈着斑を有する70人のボランティア(19歳から57歳)に実施した。
【0101】
iii)処置
研究は、3グループに対して行われた。1日2回、クリームを顔全体に適用した。処置前ならびに28および56日後に評価を行った。各25人のボランティアを有するグループ1および2は、プラセボおよびHEX3%をそれぞれ適用し、20人のボランティアを有するグループ3はフェニルエチルレゾルシノール0.3%を適用した。
【0102】
iv)方法:Mexameter(登録商標)分析
例10iv)参照
v)結果:メラニン含有量の低減(図23
HEX3%は、56日後に、D0に比べて-3.4%でメラニン含有量を有意に低減することができた。この効果はまた、56日適用後にプラセボよりも-4.9%の有意差があった(図23左)。
フェニルエチルレゾルシノールは、ベンチマークとして使用され、28日後にのみ-2.1%で有意な効果を有する、色素沈着エリアのメラニン含有量のわずかな低減を引き起こし、これは56日後には維持されていない。この効果は、28日間適用後にのみプラセボよりも-4.3%の有意差があった(図23右)。この結果は、フェニルエチルレゾルシノールは、アフリカ人皮膚からの高色素沈着の低減において、Himanthalia elongata抽出物よりも効率が劣るようにみえることを明らかにした。
両産物の有効性を比較し、関連する差はないことが観察され、これは、Himanthalia elongata抽出物が、D0とプラセボとの比較に関するアフリカ人皮膚の高色素沈着斑の低減において、ベンチマークと同程度に効果的であることを実証した。Himanthalia elongata抽出物が、皮膚において、とりわけ、アフリカ人のボランティアにおいて、高色素沈着斑を低減することができることが示された。
図1
図2
図3-a】
図3-b】
図4
図5
図6
図7-a】
図7-b】
図8-a】
図8-b】
図8-c】
図9-a】
図9-b】
図10-a】
図10-b】
図10-c】
図11-a】
図11-b】
図12-a】
図12-b】
図13
図14-a】
図14-b】
図15-a】
図15-b】
図16-a】
図16-b】
図17-a】
図17-b】
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【国際調査報告】