(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-12
(54)【発明の名称】フレームアレスタ
(51)【国際特許分類】
F17C 13/12 20060101AFI20230705BHJP
【FI】
F17C13/12 301Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022578643
(86)(22)【出願日】2021-01-22
(85)【翻訳文提出日】2023-01-10
(86)【国際出願番号】 CN2021073197
(87)【国際公開番号】W WO2021253828
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】202010562084.3
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010561387.3
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】522490321
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司青島安全工程研究院
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】鮑磊
(72)【発明者】
【氏名】于安峯
(72)【発明者】
【氏名】王鵬
(72)【発明者】
【氏名】黨文義
(72)【発明者】
【氏名】白永忠
(72)【発明者】
【氏名】▲クァン▼辰
(72)【発明者】
【氏名】凌暁東
(72)【発明者】
【氏名】陳國▲シン▼
(72)【発明者】
【氏名】李厚達
(72)【発明者】
【氏名】顧矇
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB04
3E172AB20
3E172BA10
3E172BD05
3E172DA90
3E172KA03
(57)【要約】
入口及び出口を有するフレームアレスタハウジングと、ハウジング内に配置された難燃性コアとを備えるフレームアレスタが提供される。難燃性コアと入口との間のフレームアレスタハウジング内には、難燃性コアの中央ゾーンに火炎が直接衝突することを防止するためのフレームアレスティング機構が配置されている。フレームアレスティング機構は、フレームアレスタハウジング内に配置された難燃性筒及び難燃性板アセンブリを含んでよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口及び出口を有するフレームアレスタハウジングと、前記フレームアレスタハウジング内に配置された難燃性コアと、を備え、
前記フレームアレスタハウジングは、前記難燃性コアと前記入口との間に配置されている、前記難燃性コアの中央ゾーンに直接的に火炎が衝突することを防止するためのフレームアレスティング機構をその内に備えている、フレームアレスタ。
【請求項2】
前記フレームアレスティング機構は、一端が前記入口と連通し、他端が閉鎖されている難燃性筒を備え、媒体流の通路が、前記難燃性筒の周壁に設けられている請求項1に記載のフレームアレスタ。
【請求項3】
前記通路は、前記難燃性筒の軸方向に延在する複数のグリッドによって形成されており、前記グリッドは互いに異なる幅を有することが好ましい、請求項2に記載のフレームアレスタ。
【請求項4】
前記通路は、前記難燃性筒の前記周壁に配置された複数の貫通孔によって形成されている、請求項2に記載のフレームアレスタ。
【請求項5】
前記難燃性筒は、穿孔部または網目部を備え、前記穿孔部の穿孔または前記網目部の網目が前記通路を形成している、請求項2に記載のフレームアレスタ。
【請求項6】
前記難燃性筒は、軸方向または径方向に互いに隣接して配置された穿孔部及び網目部を備え、前記穿孔部の穿孔または前記網目部の網目が前記通路を形成している、請求項2に記載のフレームアレスタ。
【請求項7】
前記通路の総面積は、前記フレームアレスタに接続されている媒体配送パイプラインの断面積の2倍より大きい、請求項2~6のいずれか1項に記載のフレームアレスタ。
【請求項8】
前記難燃性筒は、前記難燃性コアに向かう方向に徐々に体積が増加するように構成されている、請求項2~7のいずれか一項に記載のフレームアレスタ。
【請求項9】
前記フレームアレスティング機構が、前記難燃性コアに対して対称に配置された2つの難燃性筒を含む、請求項2~8のいずれか一項に記載のフレームアレスタ。
【請求項10】
前記フレームアレスタハウジングは円筒状に形成され、両側の接続部を介して前記入口及び前記出口にそれぞれ接続され、
前記フレームアレスタハウジングは各接続部に隣接する領域に移行部を有し、前記難燃性筒は前記移行部に配置されている、請求項1~9のいずれか1項に記載のフレームアレスタ。
【請求項11】
前記フレームアレスティング機構は、前記難燃性筒と前記難燃性コアとの間に配置された難燃性板アセンブリをさらに備える、請求項10に記載のフレームアレスタ。
【請求項12】
前記難燃性板アセンブリは、互いに軸方向に離間された少なくとも第1の難燃性板及び第2の難燃性板を備え、前記第1及び第2の難燃性板が前記フレームアレスタハウジングの内壁に周方向に互い違いに取り付けられており、前記フレームアレスタハウジングの中央断面内で互いに重なり合っている、請求項11に記載のフレームアレスタ。
【請求項13】
前記第1及び第2の難燃性板は、それぞれ、上弧セグメント及び直線セグメントからなる部分的に円形の板として形成され、
前記第1及び第2の難燃性板の前記上弧セグメントは共に、前記フレームアレスタハウジングの内壁に取り付けられ、一方、前記第1及び第2の難燃性板の前記直線セグメントは互いに平行であり、前記フレームアレスタハウジングの長手方向中心線を越えて延在する、請求項12に記載のフレームアレスタ。
【請求項14】
前記フレームアレスタハウジングの断面と前記第1及び第2の難燃性板の各々との間になす角度は、0度以上45度以下であり、好ましくは0度以上25度以下である、請求項13に記載のフレームアレスタ。
【請求項15】
貫通孔が、前記第1及び第2の難燃性板の各々の、前記フレームアレスタハウジングの内壁に近い領域に形成され、前記貫通孔と前記フレームアレスタハウジングの長手方向中心線との間に成す角度が、好ましくは90度未満である、請求項13に記載のフレームアレスタ。
【請求項16】
前記フレームアレスタは、1.5d≧h1≧d、1.5d≧h2≧d、D≧2d、h1>0.5D、及びh2>0.5D(式中、Dはフレームアレスタハウジングの本体の直径であり、dは接続部の直径であり、h1及びh2はそれぞれフレームアレスタハウジングの断面に投影される第1及び第2の難燃性板の長さである)の関係式を満たす、請求項12~15のいずれか1項に記載のフレームアレスタ。
【請求項17】
前記難燃性板アセンブリは、前記フレームアレスタハウジングの軸方向中心線上に配置された中央難燃性板と、前記軸方向中心線に対して正三角形に配置された3つの周囲難燃性板とを含み、前記中央難燃性板及び前記周囲難燃性板は、それぞれ円弧形の板として構成される、請求項11に記載のフレームアレスタ。
【請求項18】
前記中央難燃性板及び前記周囲難燃性板が全て、媒体流れ方向に沿って屈曲され、前記中央難燃性板が、前記周囲難燃性板よりも前記媒体流れ方向の前方に配置されるか、あるいは、
前記中央難燃性板及び前記周囲難燃性板が全て、前記媒体流れ方向に逆らって屈曲され、前記中央難燃性板が、前記周囲難燃性板よりも前記媒体流れ方向の後方に配置される、請求項17に記載のフレームアレスタ。
【請求項19】
前記中央難燃性板及び周囲難燃性板の前記難燃性コア上の投影像の外接円の面積は、前記フレームアレスタハウジングの前記接続部の断面積よりも大きく、前記中央難燃性板の前記難燃性コア上の投影像は、前記周囲難燃性板の前記難燃性コア上の投影像と少なくとも部分的に重なり合っている、請求項17または18に記載のフレームアレスタ。
【請求項20】
2つの難燃性板アセンブリが、前記フレームアレスタハウジング内に前記難燃性コアに対して対称に配置されている、請求項11~19のいずれか一項に記載のフレームアレスタ。
【請求項21】
略円筒形の本体と、前記本体の各端部に接続された接続部と、各接続部に接続されたポートとを有し、前記本体の各端部が移行部を介して接続部に接続されたフレームアレスタハウジング、
フレームアレスタハウジング内に配置された難燃性コア、
前記本体の前記移行部に配置されている難燃性筒であり、前記接続部を介して前記ポートと連通する第1の端部と、前記難燃性コアに面する閉鎖された第2の端部とを有し、前記難燃性筒の周壁に媒体流のための通路が形成されている難燃性筒、および、
前記難燃性筒と前記難燃性コアとの間に配置されており、互いに軸方向に離間された少なくとも第1の難燃性板と第2の難燃性板とを備え、前記第1及び第2の難燃性板が、前記フレームアレスタハウジングの内壁に周方向に互い違いに取り付けられており、前記フレームアレスタハウジングの中央断面内で互いに重なり合っている難燃性板アセンブリ、を備えるフレームアレスタ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は2020年6月18日に出願された「爆発耐性ユニットを有するフレームアレスタ」と題された中国特許出願第202010561387.3号、及び2020年6月18日に出願された「難燃性板を有するフレームアレスタ」と題された中国特許出願第202010562084.3号の優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、パイプラインの耐炎性及び爆発抑制の技術分野に関し、特に、フレームアレスタに関する。
【背景技術】
【0003】
フレームアレスタは、可燃性ガス及び可燃性液体蒸気の火炎伝播を停止するために使用される安全装置である。フレームアレスタは一般的に、伝播する火炎が通過するのを防止するために、可燃性ガスを配送するためのパイプラインに設置される。
【0004】
既存のフレームアレスタは典型的に、略円筒形のフレームアレスタハウジングと、フレームアレスタハウジング内に配置された難燃性コアとを含む。難燃性コアは、通過する火炎を多数の小さな火炎ビームに分離することができるように、多数の小さな通路を含む。このようにして、伝熱効果及び壁効果に基づいて、フレームアレスタは火炎の温度を発火点未満に低下させることができ、つまり、燃焼反応が進行し続けることができないようにできる。したがって、火炎がフレームアレスタを通過して伝播することが防止される。
【0005】
しかし、爆燃や爆発は、火災時にしばしば起こる。その結果、パイプライン内を伝播する火炎はしばしば、爆燃または爆発火炎を含む。既存のフレームアレスタは、このような爆燃または爆発火炎を抑制するのに十分に効果的ではない。難燃性コアの厚さを大きくしたり、難燃性コアの細孔サイズを小さくしたりしても、爆発や爆燃を十分かつ効果的に防止することはできない。
【発明の概要】
【0006】
上記の技術的課題に鑑みて、本発明は、爆燃や爆発火炎を効果的に抑制することができる、改良されたフレームアレスタを提供することを目的とする。
【0007】
本発明によれば、入口及び出口を有するフレームアレスタハウジングと、前記フレームアレスタハウジング内に配置された難燃性コアと、を備えるフレームアレスタが提供される。前記フレームアレスタハウジングは、前記難燃性コアと前記入口との間に配置されている、前記難燃性コアの中央ゾーンに直接的に火炎が衝突することを防止するためのフレームアレスティング機構をその内に備えている。
【0008】
好ましい実施形態において、前記フレームアレスティング機構は、一端が前記入口と連通し、他端が閉鎖されている難燃性筒を備え、媒体流の通路が、前記難燃性筒の周壁に設けられている。
【0009】
特定の実施形態において、前記通路は、前記難燃性筒の軸方向に延在する複数のグリッドによって形成されており、前記グリッドは互いに異なる幅を有することが好ましい。
【0010】
特定の実施形態において、前記通路は、前記難燃性筒の前記周壁に配置された複数の貫通孔によって形成されている。
【0011】
特定の実施形態において、前記難燃性筒は、穿孔部または網目部を備え、前記穿孔部の穿孔または前記網目部の網目が前記通路を形成している。
【0012】
特定の実施形態において、前記難燃性筒は、軸方向または径方向に互いに隣接して配置された穿孔部及び網目部を備え、前記穿孔部の穿孔または前記網目部の網目が前記通路を形成している。
【0013】
好ましい実施形態において、前記通路の総面積は、前記フレームアレスタに接続されている媒体配送パイプラインの断面積の2倍より大きい。
【0014】
好ましい実施形態において、前記難燃性筒は、前記難燃性コアに向かう方向に徐々に体積が増加するように構成されている。
【0015】
好ましい実施形態において、前記フレームアレスティング機構が、前記難燃性コアに対して対称に配置された2つの難燃性筒を含む。
【0016】
好ましい実施形態において、前記フレームアレスタハウジングは円筒状に形成され、両側の接続部を介して前記入口及び前記出口にそれぞれ接続される。前記フレームアレスタハウジングは各接続部に隣接する領域に移行部を有し、前記難燃性筒は前記移行部に配置されている。
【0017】
好ましい実施形態において、前記フレームアレスティング機構は、前記難燃性筒と前記難燃性コアとの間に配置された難燃性板アセンブリをさらに備える。
【0018】
好ましい実施形態において、前記難燃性板アセンブリは、互いに軸方向に離間された少なくとも第1の難燃性板及び第2の難燃性板を備え、前記第1及び第2の難燃性板が前記フレームアレスタハウジングの内壁に周方向に互い違いに取り付けられており、前記フレームアレスタハウジングの中央断面内で互いに重なり合っている。
【0019】
特定の実施形態において、前記第1及び第2の難燃性板は、それぞれ、上弧セグメント及び直線セグメントからなる部分的に円形の板として形成される。前記第1及び第2の難燃性板の前記上弧セグメントは共に、前記フレームアレスタハウジングの内壁に取り付けられ、一方、前記第1及び第2の難燃性板の前記直線セグメントは互いに平行であり、前記フレームアレスタハウジングの長手方向中心線を越えて延在する。
【0020】
特定の実施形態において、前記フレームアレスタハウジングの断面と前記第1及び第2の難燃性板の各々との間になす角度は、0度以上45度以下であり、好ましくは0度以上25度以下である。
【0021】
特定の実施形態において、貫通孔が、前記第1及び第2の難燃性板の各々の、前記フレームアレスタハウジングの内壁に近い領域に形成され、前記貫通孔と前記フレームアレスタハウジングの長手方向中心線との間に成す角度が、好ましくは90度未満である。
【0022】
特定の実施形態において、前記フレームアレスタは、1.5d≧h1≧d、1.5d≧h2≧d、D≧2d、h1>0.5D、及びh2>0.5Dの関係式を満たし、式中、Dはフレームアレスタハウジングの本体の直径であり、dは接続部の直径であり、h1及びh2はそれぞれフレームアレスタハウジングの断面に投影される第1及び第2の難燃性板の長さである。
【0023】
好ましい実施形態において、前記難燃性板アセンブリは、前記フレームアレスタハウジングの軸方向中心線上に配置された中央難燃性板と、前記軸方向中心線に対して正三角形に配置された3つの周囲難燃性板とを含み、前記中央難燃性板及び前記周囲難燃性板は、それぞれ円弧形の板として構成される。
【0024】
特定の実施形態において、前記中央難燃性板及び前記周囲難燃性板が全て、媒体流れ方向に沿って屈曲され、前記中央難燃性板が、前記周囲難燃性板よりも前記媒体流れ方向の前方に配置される。あるいは、前記中央難燃性板及び前記周囲難燃性板が全て、前記媒体流れ方向に逆らって屈曲され、前記中央難燃性板が、前記周囲難燃性板よりも前記媒体流れ方向の後方に配置される。
【0025】
特定の実施形態において、前記中央難燃性板及び周囲難燃性板の前記難燃性コア上の投影像の外接円の面積は、前記フレームアレスタハウジングの前記接続部の断面積よりも大きく、前記中央難燃性板の前記難燃性コア上の投影像は、前記周囲難燃性板の前記難燃性コア上の投影像と少なくとも部分的に重なり合っている。
【0026】
特定の実施形態において、2つの難燃性板アセンブリが、前記フレームアレスタハウジング内に前記難燃性コアに対して対称に配置されている。
【0027】
本発明によれば、略円筒形の本体と、前記本体の各端部に接続された接続部と、各接続部に接続されたポートとを有し、前記本体の各端部が移行部を介して接続部に接続されたフレームアレスタハウジング、フレームアレスタハウジング内に配置された難燃性コア、前記本体の前記移行部に配置されている難燃性筒であり、前記接続部を介して前記ポートと連通する第1の端部と、前記難燃性コアに面する閉鎖された第2の端部とを有し、前記難燃性筒の周壁に媒体流のための通路が形成されている難燃性筒、および、前記難燃性筒と前記難燃性コアとの間に配置されており、互いに軸方向に離間された少なくとも第1の難燃性板と第2の難燃性板とを備え、前記第1及び第2の難燃性板が、前記フレームアレスタハウジングの内壁に周方向に互い違いに取り付けられており、前記フレームアレスタハウジングの中央断面内で互いに重なり合っている難燃性板アセンブリ、を備えるフレームアレスタがさらに提案される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図面において:
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る、難燃性板アセンブリを用いたフレームアレスタの全体構成を示している。
【
図2】
図1に示すような平坦面のフレームアレスタを有する難燃性板の概略平面図であり、難燃性板上の貫通孔の分布を示している。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係るフレームアレスタの第1の変形例の全体構成を示す。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係るフレームアレスタの第2の変形例の全体構成を示す。
【
図6】
図5に示すようなフレームアレスタにおける4枚の難燃性板の配置と位置関係を模式的に示す。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係るフレームアレスタの第3の変形例の全体構成を示す。
【
図8】本発明の第2の実施形態に係る、難燃性筒を用いたフレームアレスタの全体構成を示す。
【
図9】本発明の第2の実施形態に係る、フレームアレスタの第1の変形例の全体構成を示す。
【
図10】本発明の第2の実施形態に係るフレームアレスタの第2の変形例の全体構成を示す。
【
図11】本発明の第2の実施形態に係るフレームアレスタの第3の変形例の全体構成を示す。
【
図12】本発明の第2の実施形態に係るフレームアレスタの第4の変形例の全体構成を示す。
【
図13】本発明の第2の実施形態に係るフレームアレスタの第5の変形例の全体構成を示す。
【
図14】本発明の第2の実施形態に係るフレームアレスタの第6の変形例の全体構成を示す。
【
図15】本発明の第3の実施形態に係るフレームアレスタの全体構成を示す。
【0029】
図面において、同じ参照番号は、同じ構成要素を示すために使用される。図面は、実際の縮尺で描かれていない。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明をさらに説明する。本発明の文脈において、方向用語「上」、「下」、「右」、「左」、「内」、「外」などは、対応する図面における「上」、「下」、「右」、及び「左」の方向、ならびに関連する構成要素の「内」、「外」の方向を指す。また、関連する構成要素の長さに沿った方向を「長手方向」または「軸方向」とし、「長手方向」または「軸方向」に垂直な方向を「径方向」とする。さらに、用語「爆燃」及び「爆発」は特に明記しない限り、一般に交換可能な方法で使用することができる。
【0031】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るフレームアレスタ100を示す。
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係るフレームアレスタ100は、フレームアレスタハウジング101と、フレームアレスタハウジング101内に配置された難燃性コア200とを備える。フレームアレスタハウジング101は略円筒状であり、本体102と、本体102の両側にそれぞれ配置された2つの接続部103とを備える。2つの接続部103はそれぞれ、入口110及び出口120を有し、両方とも媒体配送パイプライン400に接続される。(
図1は入口110が媒体配送パイプライン400に接続されていることのみを示している。)一般的に言えば、本体102及び接続部103は略円筒形であり、それぞれ直径D及び直径dを有し、D>dである。実際には、Dは通常dの2~4倍、特に約2倍である。また、本体102は通常、移行部105を介して各接続部103に接続されており、難燃性コア200は、フレームアレスタハウジング101の軸心位置に概ね位置している。
【0032】
難燃性コア200は様々な構造を採ることができ、例えば、波形板、金網、焼結金属フィラー、金属発泡体、金属ショット、充填材などの形態の採ることができる。ガス媒体の種類に応じて、難燃性コア200のユニットフィーチャサイズに関する要件が異なることに留意されたい。同時に、難燃性コア200自体は、難燃性コア200が爆燃または爆発によって衝撃を受けたときに損傷を受けることを防止するために、特定の支持能力を有する構造を含むべきである。難燃性コア200の設計は当業者に周知であり、ここでは繰り返さない。
【0033】
本出願の発明者らは驚くべきことに、多数の試験を通して、パイプラインにおいて爆燃または爆発が起こると、パイプラインの中心に位置する難燃性コアの領域に爆燃または爆発火炎が最大の程度まで衝突し、爆発に面するゾーンが、すべての半径方向に徐々に膨張することを見出した。この発明の発見に基づいて、本出願の発明者らは従来のフレームアレスタを改良し、爆燃または爆発火炎がフレームアレスタの中央ゾーンに衝突するのを防止するためのフレームアレスティング機構をその中に追加した。
【0034】
本発明の第1の実施形態によれば、フレームアレスタハウジング101の本体102内に、入口110と難燃性コア200との間に難燃性板アセンブリ300が設けられる。難燃性板アセンブリ300は、媒体配送パイプライン400からの爆燃または爆発火炎が難燃性コア200の中央ゾーンに直接衝突することを防止するように構成される。具体的には、
図1に示される実施形態では難燃性板アセンブリ300が第1の難燃性板301及び第2の難燃性板306を含む。第1及び第2の難燃性板301、306は、フレームアレスタハウジング101の長手方向軸に沿って縦列に配置され、ある距離だけ互いから離間される。一方、第1及び第2の難燃性板301、306は、フレームアレスタハウジング101の本体102の周方向に互いに正反対に配置され、それらの半径方向外側が本体102の内面に接続され、それらの半径方向内側がフレームアレスタハウジング101の中央領域において少なくとも部分的に互いに重なり合っている。
【0035】
この構造では
図1の矢印で示すように、フレームアレスタハウジング101内に火炎が通過するための蛇行流路が形成されている。したがって、入口110からフレームアレスタ100に入ると、媒体配送パイプライン400からの爆燃または爆発火炎は
図1の矢印で示すように、難燃性板アセンブリ300の第1及び第2の難燃性板301、306の遮断及び誘導作用の下で、その伝播方向を変化させ、それによって伝播速度を低下させる。そして火炎は、難燃性コア200を通過し、消火される。最後に、媒体は出口120から流出する。
【0036】
以上から分かるように、本発明によれば、フレームアレスタハウジング101内の難燃性コア200と入口110との間に難燃性板アセンブリ300を配置することによって、爆燃又は爆発火炎を迂回させて、難燃性コア200の中央ゾーンへの爆燃又は爆発火炎の衝撃を低減させ、また、爆燃又は爆発火炎の伝播速度を低減させることができ、それにより、爆燃又は爆発の耐性という目的を効果的に達成することができる。同時に、構造はコンパクトかつ軽量であり、製造が容易であり、低コストである。
【0037】
同時に、本発明の第1の実施形態に係るフレームアレスタ100によれば、難燃性板アセンブリ300の第1及び第2の難燃性板301、306は、フレームアレスタハウジング101の本体102内に配置され、互いに離間して配置されているので、媒体が依然としてフレームアレスタハウジング101を通過して円滑に流れることができる。したがって、本発明の第1の実施形態に係るフレームアレスタ100は、従来構造のフレームアレスタに比べて、爆発や爆燃を効果的に防止するだけでなく、媒体の流動性においても高い効率を有する。
【0038】
加えて、本発明の第1の実施形態のフレームアレスタ100によれば、難燃性コア200の中央ゾーンへの爆燃または爆発火炎の衝撃が低減され、その結果、爆燃または爆発火炎は、難燃性コア200の周囲ゾーンにより大きく衝突する。このように、一方では、周囲ゾーンが大面積であり、熱吸収能力が強いため、難燃効果を効果的に向上させることができる。他方、難燃性コア200の耐衝撃性は、周囲領域がより良好に支持されるため、向上することができる。したがって、本発明の第1の実施形態に係るフレームアレスタ100における難燃性コア200の耐用年数及び耐燃性能も大幅に向上する。
【0039】
以下、本発明の第1の実施形態に係るフレームアレスタ100に用いられる難燃性板の具体的な構成について、第1の難燃性板301を例に挙げて説明する。
図2は、第1の難燃性板301の概略平面図である。
図2に示すように、第1の難燃性板301は、フレームアレスタハウジング101の本体102の内径に相当する直径を有するが、一部が切り欠かれた平板状の円形板として構成されている。すなわち、第1の難燃性板301の断面は、上弧セグメント304及び直線セグメント303からなる。したがって、第1の難燃性板301の面積は本体102の断面積の半分よりも大きいが、本体102の断面積の全体よりも小さい。
【0040】
加えて、難燃性板は、爆発圧力からの衝撃に耐えることができるべきである。通常、難燃性板は、フレームアレスタの設計圧力の20倍の衝撃下で、構造的損傷なしに5%未満の変形を有するべきである。したがって、難燃性板の厚さは、異なる難燃性媒体及び圧力に基づいて選択されるべきである。この実施形態では、第1の難燃性板301の厚さは5mm以上であるべきである。また、必要に応じて、第1の難燃性板301に補強リブ(図示せず)を適宜設けてもよい。補強リブは通常、ステンレス鋼又は炭素鋼からなり、難燃性板の表面に凸条又はリブの形状を形成するように、溶接、リベット締め又は一体成形によって難燃性板上に配置される。補強リブの許容圧力も、フレームアレスタの設計圧力の20倍以上であるべきである。
【0041】
爆発及び爆発を効果的に防止しつつ媒体の流動性をさらに容易にするために、
図2に示すように、第1の難燃性板301の直線セグメント303から離れた領域(すなわち、フレームアレスタハウジング101の本体102の内壁に隣接する領域、すなわち、
図2の上半分の領域)には、フレームアレスタの流通効率を向上させるために、複数の別々の貫通孔302が形成されている。好ましい実施形態では
図3に示すように、各貫通孔302の中心線と第1の難燃性板301の厚さ方向とがなす角度αが、90°以下である。すなわち、貫通孔302は、第1の難燃性板301の平坦面に傾斜孔として形成され、火炎を難燃性コアの中央領域から遠ざけるように導くことができる。
【0042】
詳細には論じられないが、第2の難燃性板306は第1の難燃性板301と同じ構造を有するが、設置方位が逆であることが理解され得る。
【0043】
図1を参照すると、有効な爆発抵抗を保証することを前提として、流量降下を最小限に抑えられるという要件を満たすために、第1の難燃性板アセンブリ300の寸法は、以下の要件を満たさなければならない:
1.5d≧h1≧d;
1.5d≧h2≧d;
D≧2d;
h1>0.5D;及び
h2>0.5D;
ここで、dは接続部103の直径であり、Dは本体102の直径であり、h1及びh2はそれぞれフレームアレスタハウジング101の断面方向における第1、第2の難燃性板301、306の投影される長さである。この実施形態では、第1及び第2の難燃性板301、306は両方とも平板であるので、h1は第1の難燃性板301の長さ、すなわち、第1の難燃性板301の直線セグメント303から第1の難燃性板301の周囲上の任意の点までの最も遠い距離である。h2も同様に定義される。
【0044】
第1の難燃性板301と第2の難燃性板306との間の距離は、本体102の実際のサイズに応じて選択することができる。一般に、第1の難燃性板301と第2の難燃性板306との間の距離は、0.5h1または0.5h2以下であるべきである。同時に、難燃性コア200に最も近い難燃性板(すなわち、第2の難燃性板306)と難燃性コア200との間の距離も、0.5h1または0.5h2以下であるべきである。
【0045】
以下、
図1~
図3を参照して、本実施形態に係るフレームアレスタ100の作動手順について説明する。通常の作動状態では、媒体配送パイプライン400からのガスが入口110からフレームアレスタ100に入り、
図1の矢印に沿って接続部103及び難燃性板アセンブリ300を流した後、難燃性コア200を通過し、最終的に出口120を介して出口側の媒体配送パイプライン(図示せず)に入る。
【0046】
フレームアレスティング状態では、媒体配送パイプライン400からの爆発火炎が入口110及び接続部103を介して、フレームアレスタ100のフレームアレスタハウジング101に入る。フレームアレスタハウジング101において、爆発火炎の中央部分は周方向に互い違いに配置された難燃性板アセンブリ300の第1及び第2の難燃性板301、306の作用下で
図1の矢印に沿って流れることになり、したがって、難燃性コア200の中央ゾーンに直接的に衝突しない。同時に、爆発火炎の周囲部分は、第1及び第2の難燃性板301、306上に形成され、フレームアレスタハウジング101の内壁に隣接する貫通孔302を直接通過して、難燃性コア200へ到達することとなり、したがって、直接的衝突は、難燃性コア200の中央ゾーンに起きない。加えて、爆発火炎の中央部分が蛇行経路に沿って進行するので、その伝播速度は、第1及び第2の難燃性板301、306の平坦面の遮断作用のために著しく低減される。同時に、貫通孔302を通過する爆発火炎の周囲部分もまた、低減された速度を有する。これに基づいて、爆発火炎の破壊力は、消火されるまで、難燃性コア200によってさらに低減される。
【0047】
一般的に言えば、可燃性ガスの種類及び蒸気爆発のレベルによって、フレームアレスタを次のように分類することができる:
a)IIA1ガス(典型的にはメタン)のためのフレームアレスタ;
b)IIAガス(典型的にはプロパン)のためのフレームアレスタ;
c)IIB1ガス(典型的にはエチレン)のためのフレームアレスタ;
d)IIB2ガス(典型的にはエチレン)のためのフレームアレスタ;
e)IIB3ガス(典型的にはエチレン)のためのフレームアレスタ;
f)IIBガス(典型的には水素)のためのフレームアレスタ;及び
g)IICクラスガス(典型的には水素)のためのフレームアレスタ。
【0048】
以下、本発明の技術的解決策を、防爆レベルに応じた具体的な実施例によって詳細に説明する。
【0049】
現在、エチレン雰囲気の試験圧力は通常1.1バールであり、爆発衝撃の瞬間圧力は70バールより大きく、平均圧力は約13~16バールである。異なる試験パイプラインは、異なる圧力を有する。DN100パイプラインの場合、爆発衝撃の瞬間圧力は72バールより大きく、平均圧力は13.4バールである。
【0050】
本発明の第1の実施形態において提案される構造によれば、雰囲気中のエチレンの伝播のためのフレームアレスタF1が提供される。具体的には、フレームアレスタF1がDN100パイプラインに適しており、500mmの全長を有する。難燃性コア200はエチレン耐性を有するものであり、波形板からなる難燃性ディスクと、支持部材とを備え、難燃性コアの総厚は50mmである。フレームアレスタの接続部103の直径は100mmであり、本体102の直径は220mmであり、フレームアレスタハウジング101の壁厚は6mmである。難燃性板301、306の長さh1、h2は共に120mmであり、2つの難燃性板の間の距離は50mmであり、難燃性コア200と近い方の第2の難燃性板306との間の距離は50mmである。多数の試験によれば、フレームアレスタF1は通常より高い圧力でエチレン雰囲気の爆発衝撃に耐えることができ、火炎を首尾よく消火することができる。エチレン雰囲気の試験圧力は1.5barと高く、爆発衝撃の瞬間圧力は121barを超え、平均圧力は20.2barである。したがって、フレームアレスタF1が耐えることができる爆発衝撃の瞬間圧力は上記の72%増加し、平均圧力は51%増加し、それによって、火炎を首尾よく消火することができる。
【0051】
また、本発明の第1の実施形態で提案する構造によれば、雰囲気中の水素の伝播のためのフレームアレスタF2が提供される。フレームアレスタF2とフレームアレスタF1との唯一の違いは、フレームアレスタF2の難燃性コア200が水素耐性のためのものに置き換えられていることである。現在、水素雰囲気の試験圧力は通常1.1バールであり、爆発衝撃の瞬間圧力は最高65.4バールであり、平均圧力は最高8.2バールである。多数の試験によれば、フレームアレスタF2は通常よりも高い圧力で水素雰囲気の爆発衝撃に耐えることができ、火炎を首尾よく消火することができる。水素雰囲気の試験圧力は1.5barと高く、爆発衝撃の瞬間圧力は95.6barを超え、平均圧力は12.4barである。これにより、フレームアレスタF2の耐圧性が51%増大する。
【0052】
さらに、本発明の第1の実施形態において提案される構造によれば、雰囲気中のプロパンの伝播のためのフレームアレスタF3が提供される。フレームアレスタF3とフレームアレスタF1との唯一の違いは、フレームアレスタF3の難燃性コア200がプロパン耐性のためのものに置き換えられていることである。現在、プロパン雰囲気の試験圧力は通常1.1バールであり、爆発衝撃の瞬間圧力は87.6バールを超え、平均圧力は最高13.1バールである。多数の試験によれば、フレームアレスタF3は通常よりも高い圧力でプロパン雰囲気の爆発衝撃に耐えることができ、火炎を首尾よく消火することができる。プロパン雰囲気の試験圧力は1.6barと高く、爆発衝撃の瞬間圧力は126.4barを超え、平均圧力は21.3barである。したがって、フレームアレスタF3の耐圧性は、従来のフレームアレスタと比較して62%増大する。
【0053】
エチレン及び水素に加えて、可燃性ガスは通常、メタン、プロピレン、混合ガスなどを含む。従来のフレームアレスタでは、耐えることができる爆発衝撃の平均圧力が11~13バールの範囲である。しかしながら、この実施形態のフレームアレスタでは耐えることができる爆発衝撃の平均圧力が一般に16~20バールの範囲であり、これは従来のフレームアレスタと比較して約40~60%の改善を示す。
【0054】
さらに、従来技術では、難燃性コアに対するフレームアレスタに入る火炎の衝撃力は一般に、爆発衝撃の平均圧力の約25%である。しかしながら、この実施形態によれば、難燃性コアに対する火炎の衝撃力は爆発衝撃の平均圧力の約17%~20%であり、これは、従来技術と比較して約20~35%の低下を示す。
【0055】
本発明の第1の実施形態によって提供されるフレームアレスタ100に係る上述の具体例の爆発抵抗手順及び試験データから分かるように、外部媒体配送パイプラインからフレームアレスタに入る爆燃または爆発火炎は、難燃性板アセンブリの存在に起因して、難燃性コアに直接的衝撃を起こすことができない。したがって、本発明のフレームアレスタ100に用いられる難燃性コア200の構造強度は、既存の難燃性コアよりも柔軟に設計することができ、また、難燃性コア200は全体的な多孔度を大きくすることができ、それによって、流動性を改善し、その洗浄を容易にすることができる。
【0056】
なお、本発明の第1の実施形態で提案した基本的な考え方に基づいて、上述したフレームアレスタ100の具体的な構成をさらに変形することができる。例えば、難燃性板アセンブリは、互いに離間した3つ以上の難燃性板を含むことができる。
【0057】
また、難燃性板は平板以外にも、構造安定性に影響を与えない範囲で、例えば、曲板、曲波状板、傾斜板等であってもよい。好ましい実施形態では、難燃性板は傾斜板である。このとき、難燃性板の延在方向と避燃ハウジング筐体の断面方向とのなす角度α’は、0°≦α’≦45°、好ましくは0°≦α’≦25°を満たすことが望ましい。
【0058】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る第1の変形例のフレームアレスタ100Aを示す。簡潔かつ明確にするために
図4において、
図1~
図3と同一の構造または構成要素には同一の符号を付し、ここでその説明を繰返さない。また、フレームアレスタ100に関連する技術的効果は全てフレームアレスタ100Aに適用可能であり、ここではその説明を繰り返さない。
【0059】
図4に示すように、フレームアレスタ100Aは、フレームアレスタハウジング101の入口110と難燃性コア200との間に設けられた難燃性板アセンブリ300に加えて、別の難燃性板アセンブリ300がフレームアレスタハウジング101の出口120と難燃性コア200との間に配置されている点で、フレームアレスタ100と異なる。2つの難燃性板アセンブリ300は同一の構造を有し、難燃性コア200に対して対称に配置されている。
【0060】
2つの難燃性板アセンブリ300がフレームアレスタハウジング101内で難燃性コア200の両側に対称的に配置されることにより、以下の技術的効果を達成することができる。一方ではフレームアレスタ100のどの方向から爆燃または爆発火炎が(すなわち、入口110または出口120から)生じるかにかかわらず、爆燃または爆発火炎が難燃性コア200の中央ゾーンに衝突することを効果的に防止することができる。他方、フレームアレスタ100の入口100から来る爆燃または爆発火炎を例にとると、残りの火炎は、難燃性コア200を通過した後、したがって
図1に関連して説明したように減少した破壊力を有しているが、フレームアレスタハウジング101の出口120と難燃性コア200との間に配置された難燃性板アセンブリ300によってさらに弱められ、したがって消火される可能性が高い。
【0061】
図5は、本発明の第1の実施形態に係る第2の変形例のフレームアレスタ100Bを示す。簡潔かつ明確にするために
図5において、
図1~
図3と同一の構造または構成要素には同一の符号を付し、ここでその説明を繰り返さない。また、フレームアレスタ100に関連する技術的効果は全てフレームアレスタ100Bに適用可能であり、ここではその説明を繰り返さない。
【0062】
図5及び
図6に示されるように、フレームアレスタ100Bは、難燃性板アセンブリ310がいくつかの円弧形の板からなる点で、フレームアレスタ100とは異なる。具体的には、フレームアレスタ100Bにおいて、難燃性板アセンブリ310は、難燃性コア200に固定して接続されたブラケット315(概略的に示される)に取り付けられた4つの難燃性板310A~310Dを含む。難燃性板の1つ、すなわち難燃性板310Aは、フレームアレスタハウジング101の軸方向の中心線上であって、入口110寄りに配置されている。したがって、難燃性板310Aは、中央難燃性板とも称される。他の3つの難燃性板310B~310Dは、軸方向中心線に対して正三角形に配置され、難燃性コア寄りに配置される。したがって、難燃性板310B~310Dは、周囲難燃性板とも称される。このように、4枚の難燃性板310A310Dは、フレームアレスタ100Bにおいて三角錐状の構造を形成している。
図5に示すように、4枚の難燃性板310A~310Dの円弧形はいずれも媒体の流れ方向(すなわち、図中の矢印の方向)に沿って湾曲している。
【0063】
また、
図5に示すように、難燃性板アセンブリ310が難燃性コア200の両側に配置されており、2つのアセンブリ310が難燃性コア200に対して対称に配置されている。しかしながら、フレームアレスタハウジング101の入口110と難燃性コア200との間に配置された1つの難燃性板アセンブリ310のみも実現可能であることが理解される。
【0064】
本発明によれば、難燃性コア200上の3つの周囲難燃性板310B~310Dの投影像の外接円Sの面積は、フレームアレスタ100Bの接続部103の断面積よりも大きくすべきである。加えて、難燃性コア200上の中央難燃性板310Aの投影像は、難燃性コア200上の周囲難燃性板310B~310Dの投影像の各々と少なくとも部分的に重なり合うべきである。また、難燃性コア200上の中央難燃性板310Aの投影面積は、接続部103の断面積の半分よりも大きくすべきである。
【0065】
この構成によって、4つの円弧形難燃性板の板表面は難燃性コア200の中央ゾーンを効果的に遮蔽することができ、したがって、爆発火炎がその上に直接衝突することを防止する。同時に、爆発火炎の一部を除いて、難燃性コア200に流れる火炎は、難燃性板301の円弧形表面に沿って流れる。
【0066】
以下、本発明の第1の実施形態に係る第2の変形例のフレームアレスタ100Bの作動手順について説明する。通常の作動状態では、媒体配送パイプラインからのガスが入口110からフレームアレスタ100Bに入り、
図5の矢印に沿って接続部及び左側の難燃性板アセンブリ310を通って難燃性コア200に到達し、難燃性コア200、右側の難燃性板アセンブリ310、及び出口120を通過した後、出口で媒体配送パイプラインに流れる。
【0067】
フレームアレスティング状態では、媒体配送パイプラインからの爆発火炎が入口110からフレームアレスタ100Bに入る。フレームアレスタハウジング101内では、爆発火炎の中心部が難燃性板アセンブリ310の中央難燃性板310Aに接触し、その伝播方向を中央難燃性板310Aの円弧形表面に沿って減速して、難燃性板アセンブリ310の3枚の周囲難燃性板310B~310Dに遭遇する。その後、爆発火炎の中央部分は3つの周囲難燃性板310B~310Dの円弧形板表面に沿って流れ、最終的に、分散状態で難燃性コア200に達する。このようにして、難燃性コア200の中央ゾーンに対する爆発火炎の直接的衝突が大幅に低減される。また、爆発火炎の周囲部は、3つの周囲難燃性板310B~310Dの周囲部の案内を受けて、難燃性コア200の周囲部に流れる。次いで、爆発火炎は、難燃性コア200を通過した後、右側の難燃性板アセンブリ310及び出口120を介して流出する。
【0068】
本発明の第1の実施形態の第2の変形例によって提案される構造によれば、雰囲気中のエチレンの伝播のためのフレームアレスタF4が提供される。具体的には、フレームアレスタF4がDN200パイプラインに適しており、700mmの全長を有する。難燃性コア200の両側には、難燃性板アセンブリ310が設けられている。各難燃性板アセンブリ310の中央難燃性板310Aは、投影直径が120mmであり、板面弧度が60°であり、板表面の頂点から難燃性コア200までの距離が150mmである。3つの周囲難燃性板310B-310Dはそれぞれ、投影直径が90mmであり、板面弧度が90°であり、板面の頂点から難燃性コア200までの距離が120mmである。4枚の難燃性板の等映像の外接円の直径は220mmである。ブラケット315は15mmの断面直径を有する高強度スクリューであり、一端が難燃性板に溶接され、他端がスレッドを介して難燃性コア接続される。難燃性コア200は、波形板の難燃性ディスクと、100mmの全厚を有する支持体とを含む。より具体的には、フレームアレスタハウジングの接続部の直径は200mmであり、本体の直径は430mmである。
【0069】
従来技術では、エチレン雰囲気の試験圧力は通常1.1バールであり、爆発衝撃の瞬間圧力は最高98.3バールであり、平均圧力は最高16.2バールである。対照的に、フレームアレスタF4は、1.65バールの試験圧力、最高142.7バールの爆発衝撃の瞬間圧力、及び最高24.9バールの平均圧力を有するエチレン雰囲気の爆発火炎の抵抗性についての試験に成功裏に合格することができる。これは、フレームアレスタF4の圧力容量が従来技術よりも53%高いことを示している。
【0070】
図7は、本発明の第1の実施形態に係る第3の変形例のフレームアレスタ100Cを示す。簡潔かつ明確にするために
図7において、
図5と同一の構造又は構成要素には、それぞれ同一の参照番号を付し、その説明をここで繰り返さない。また、フレームアレスタ100Bに関連する技術的効果は全てフレームアレスタ100Cに適用可能であり、ここではその説明を繰り返さない。
【0071】
図7に示すように、フレームアレスタ100Cは、難燃性板アセンブリ320の円弧形の難燃性板が反対方向に湾曲している点で、フレームアレスタ100Bと異なる。すなわち、4枚の難燃性板の円弧形形状は媒体の流れ方向(すなわち、図中の矢印の方向)とは逆向きに湾曲している。したがって、中央難燃性板320Aは軸方向で難燃性コア200寄り配置され、一方、3つの周囲難燃性板320B及び320C(
図7には示されていない他のもの)は難燃性コア200から軸方向により離れて配置される。
図7に示すフレームアレスタ100Cのこの変形例では、媒体が出口120から流入し、入口110から流出することに留意されたい。
【0072】
そのような難燃性板アセンブリ320を用いて、フレームアレスタ100Cは、フレームアレスタ100Bと実質的に同じ技術的効果を達成することができることが容易に理解される。
【0073】
本発明の第1の実施形態の第3の変形例において提案される構造によれば、雰囲気中のプロパンを伝播させるためのフレームアレスタF5が提供される。具体的には難燃性コア200をプロパン耐性のためのものに置き換えられていることを除いて、フレームアレスタF5はフレームアレスタF4と同じである。
【0074】
従来技術では、プロパン雰囲気の試験圧力は通常1.1バールであり、爆発衝撃の瞬間圧力は最高92.1バールであり、平均圧力は最高15.3バールである。対照的に、フレームアレスタF5は、1.6バールの試験圧力、最高131.5バールの爆発衝撃の瞬間圧力、及び最高23.3バールの平均圧力を有するプロパン雰囲気の爆発火炎の抵抗性についての試験に成功裏に合格することができる。これは、フレームアレスタF5の圧力容量が従来技術よりも52%高いことを示している。
【0075】
図8は、本発明の第2の実施形態によるフレームアレスタ500を示す。簡潔かつ明確にするために、本実施形態では、第1の実施形態と同一の構造又は構成要素をそれぞれ同一の参照番号で示しており、その説明をここで繰り返さない。
【0076】
本発明に係る第2の実施形態では、難燃性コアの中央ゾーンに対する爆燃または爆発火炎の衝撃を回避することができるデバイスとして、難燃性筒510がフレームアレスタ500に使用される。具体的には、フレームアレスタハウジング101の本体102と接続部103との間に、難燃性筒510が配置される移行部105が設けられる。難燃性筒510は、一端が開放され、一端が閉塞された中空円筒であり、前者が接続部103に接続され、後者が難燃性コアに面する。好ましくは、難燃性筒510の直径がそれらの間の接続を容易にするために、接続部103の直径と等しくなるように選択される。複数の長手方向グリッド通路520が、難燃性筒510の周壁に形成される。
図8に示される実施形態では、グリッド通路520が長手方向スリットとして構成される。
【0077】
図8に示される実施形態では、2つの難燃性筒510及び530が難燃性コア200に対称に、フレームアレスタ500内に配置されている。しかしながら、1つの難燃性筒510のみを含む構成も本発明の範囲に含まれることが理解され得る。
【0078】
このように、通常の作動状態では、媒体配送パイプライン400からのガスは、
図8に示すように、矢印の方向に沿って、入口110及び接続部103を通ってフレームアレスタ500に入り、まず、難燃性筒510に入る。難燃性コア200に向いている難燃性筒の端部は閉鎖端部であるので、ガスは、矢印の方向に沿って、難燃性筒510のグリッド通路520を通って、フレームアレスタハウジング101の内側キャビティに流出する。そして、ガスは、難燃性コア200、難燃性筒530および出口120を通過して、他方の媒体配送パイプ(図示せず)に流入する。
【0079】
フレームアレスティング状態では、爆燃または爆発火炎が媒体配送パイプライン400から入口110及び接続部103を通ってフレームアレスタ500に入る。難燃性コア200に向いている難燃性筒510の端部は閉鎖端部であるので、爆発または爆燃火炎からの圧力衝撃に耐えることができる。このようにして、ガス流及び火炎は、複数のグリッド通路520を通過して、フレームアレスタハウジング101の内部空洞に至る。難燃性筒510の上記作用により、爆発や爆燃の剪断波構造が損傷し、火炎の伝播速度が急激に低下する。一方、火炎がフレームアレスタハウジング101の内部空洞に入ると、火炎の瞬間的な体積膨張により、火炎の伝播速度がさらに低下する。加えて、難燃性コア200に向いている難燃性筒510の端部は閉鎖端部であるので、ガス流及び炎は、フレームアレスタハウジング101の内部空洞の周囲領域まで半径方向に、グリッド通路520を通過しなければならない。したがって、難燃性コア200の中央ゾーンへの火炎の衝撃が著しく低減される。媒体が難燃性コア200を通過し、さらに難燃性筒530通過した後、火炎は完全に消火され得る。
【0080】
特に、本発明の発明者らは驚くべきことに、実験を通して、本発明の第2の実施形態に係るフレームアレスタ500が爆発火炎に特に適していることを見出した。試験は、フレームアレスタ500の難燃性筒510を通過した後、爆発火炎の速度が1800m/sの元の速度から400~500m/sに急速に低下することを証明した。すなわち、爆発火炎を爆燃火炎に変更した。同時に、圧力が元の12-16バールから2-3バールに減衰し、したがって難燃性コアに対する衝撃が大幅に低減されることも観察された。また、本発明の第2の実施形態に係るフレームアレスタ500では難燃性筒510の側壁に複数のグリッド通路520が形成されているので、媒体が依然として、フレームアレスタ500を通過して円滑に流れることができることが容易に理解される。したがって、本発明の第2の実施形態に係るフレームアレスタ500は、従来構造のフレームアレスタに比べて、爆発や爆燃を効果的に防止することができるだけでなく、媒体の流動性においても高い効率を有する。
【0081】
本発明の第2の実施形態において提案される構造によれば、雰囲気中のエチレンの伝播のためのフレームアレスタG1が提供される。フレームアレスタG1はその中に配置された2つの難燃性筒を含み、各々は、5mmのグリッド幅及び100mmの長さを有する。フレームアレスタハウジング101は、3mmの壁厚を有する。さらに、難燃性コアは、爆燃抵抗性専用の波形板の難燃性ディスクである。フレームアレスタG1を使用すると、難燃性筒が爆発の剪断波構造を破壊して、爆発火炎を爆燃火炎に変換することができる。その後、爆燃火炎は、難燃性コアを通過した後、さらに弱められるか、またはさらには消火される。
【0082】
本発明の第2の実施形態によれば、爆発抵抗性のための難燃性筒及び爆燃抵抗性の難燃性コアを提供することで、目的とする難燃性を実現することができる。爆発の特性に向けて、爆発防止ユニットとしての難燃性筒は、爆発を爆燃に素早く変換することができる。さらに、爆燃防止ユニットとしての難燃性コアは、従来の爆発防止フレームアレスタの対応物よりも全体として良好な流動性を有し、小さい圧力降下を示す。同時に、難燃性コアの厚さをより薄くすることができ、その全体の多孔度をより大きくすることができ、それにより、洗浄がより容易になる。
【0083】
図9は、本発明の第2の実施形態の第1の変形例に係るフレームアレスタ500Aを示す。フレームアレスタ500Aは、難燃性筒のみがフレームアレスタ500と異なる。したがって、簡潔かつ明確にするために、
図9は難燃性筒の構造のみを明確に示しており、フレームアレスタ500Aの他の構成要素は明確に示されていない。フレームアレスタ500に関連する技術的効果は全て、フレームアレスタ500Aに適用可能であることが容易に理解され、その説明をここでは繰り返さない。
【0084】
図9に示すように、本発明の第2の実施形態の第1の変形例に係るフレームアレスタ500Aの難燃性筒510Aは、幅の異なる複数のグリッド通路520Aを有する。本発明の発明者らは、グリッド通路520Aの幅が爆発剪断波構造Sの半分を超えてはならず、好ましくは爆発剪断波構造Sの4分の1を超えてはならないことを、実験を通して見出した。グリッド通路520Aの幅が上記の要件を満たすとき、難燃性筒510Aは爆発剪断波構造を効果的に破壊することができ、したがって爆発火炎を著しく減衰させることができる。
【0085】
本発明のこの実施形態のこの変形例によれば、複数のグリッド通路520Aは、同じまたは異なる幅を有し得る。同時に、爆発剪断波構造に対する損傷を強化するために、グリッド通路310は直線以外の形状、例えば、ジグザグ、円弧形などを有することができる。さらに、難燃性筒の構造強度を改善するために、グリッド通路は、
図8及び
図9に示されるような連続形態に加えて、複数のセクションからなる不連続形態を有してもよい。例えば、図示されていない好ましい変形例では、互いに離間したいくつかのグリッド通路が難燃性筒の周壁上の異なる軸方向位置に設けられている。
【0086】
図10は、本発明の第2の実施形態の第2の変形例に係るフレームアレスタ500Bを示す。フレームアレスタ500Bは、難燃性筒のみがフレームアレスタ500と異なる。したがって、簡潔かつ明確にするために、
図10は、難燃性筒の構造のみを明確に示しており、フレームアレスタ500Bの他の構成要素は明確に示されていない。フレームアレスタ500に関連する技術的効果は全て、フレームアレスタ500Bに適用可能であることが容易に理解され、その説明をここでは繰り返さない。
【0087】
図10に示すように、本実施形態のこの変形例では、フレームアレスタ500Bの難燃性筒510Bに形成された複数のグリッド通路の代わりに、難燃性筒510Bの壁に複数の貫通孔520Bが形成されている。すなわち、難燃性筒510Bは、穿孔部材として構成されている。したがって、爆燃または爆発火炎は、貫通孔520Bを通ってフレームアレスタの内部空洞に流入することができる。
【0088】
本発明者らは実験により、フレームアレスタ500Bの難燃性筒510Bにおける貫通孔520Bの総面積が、フレームアレスタに接続された媒体配送パイプラインの断面積の2倍より大きいとき、非常に有効な爆発抵抗性効果が得られることを見出した。
【0089】
図11は、本発明の第2の実施形態の第3の変形例に係るフレームアレスタ500Cを示す。フレームアレスタ500Cは、防難燃性筒のみがフレームアレスタ500と異なる。したがって、簡潔かつ明確にするために、
図11は難燃性筒の構造のみを明確に示し、フレームアレスタ500Cの他の構成要素は明確に示されていない。フレームアレスタ500に関連する技術的効果は全て、フレームアレスタ500Cに適用可能であることが容易に理解され、その説明をここでは繰り返さない。
【0090】
図11に示すように、本実施形態のこの変形例では、フレームアレスタ500Cの難燃性筒510Cの周壁には数個の網目520Cが形成されている。すなわち、難燃性筒510Cは、網目部材として構成されている。したがって、爆発または爆燃火炎は、網目520Cを通ってフレームアレスタの内部空洞に入ることができる。
【0091】
同様に、本発明の発明者らは、実験を通して、フレームアレスタ500Cの難燃性筒510C内の網目520Cの総面積が、フレームアレスタに接続された媒体配送パイプラインの断面積の2倍より大きいと、非常に有効な爆発抵抗性効果を達成できることを見出した。
【0092】
図12は、本発明の第2の実施形態の第4の変形例に係るフレームアレスタ500Dを示す。フレームアレスタ500Dは、防難燃性筒のみがフレームアレスタ500と異なる。したがって、簡潔かつ明確にするために、
図12は難燃性筒の構造のみを明確に示し、フレームアレスタ500Dの他の構成要素は明確に示されていない。フレームアレスタ500に関連する技術的効果は全て、フレームアレスタ500Dに適用可能であることが容易に理解され、その説明をここでは繰り返さない。
【0093】
図12に示すように、本実施形態の変形例では、フレームアレスタ500Dの難燃性筒510Dの周壁が、軸方向に隣接して配置された網目部分521Dと穿孔部分522Dとを有するように構成されている。網目部分521Dはいくつかの網目を含み、穿孔部分522Dは、いくつかの貫通孔を含む。したがって、爆発または爆燃火炎は、網目及び貫通孔を通ってフレームアレスタの内部空洞に入ることができる。
【0094】
同様に、本発明の発明者らは、フレームアレスタ500Dの難燃性筒510Dの網目と貫通孔との合計面積が、フレームアレスタに接続された媒体配送パイプラインの断面積の2倍より大きいと、非常に有効な爆発抵抗性効果が得られることを実験により見出した。
【0095】
図12では網目部分521Dが媒体流れ方向に関して穿孔部分522Dの上流に配置されていることが示されているが、網目部分521Dは穿孔部分522Dの下流に配置されてもよいことが理解される。
【0096】
図13は、本発明の第2の実施形態の第5の変形例に係るフレームアレスタ500Eを示す。フレームアレスタ500Eは、難燃性筒のみがフレームアレスタ500と異なる。したがって、簡潔かつ明確にするために、
図13は難燃性筒の構造のみを明確に示し、フレームアレスタ500Eの他の構成要素は明確に示されていない。フレームアレスタ500に関連する技術的効果は全て、フレームアレスタ500Eに適用可能であることが容易に理解され、その説明をここでは繰り返さない。
【0097】
図13に示すように、本実施形態のこの変形例では、フレームアレスタ500Eの難燃性筒510Eの周壁が径方向に順に配列された網目部分521Eと穿孔部分522Eとを有するように構成されている。網目部分521Eはいくつかの網目を含み、穿孔部分522Eは、いくつかの貫通孔を含む。したがって、爆発または爆燃火炎は、網目及び貫通孔を通ってフレームアレスタの内部空洞に入ることができる。
【0098】
同様に、本発明の発明者らは、フレームアレスタ500Eの難燃性筒510Eの網目と貫通孔の合計面積が、フレームアレスタに接続された媒体配送パイプラインの断面積の2倍より大きいと、非常に有効な爆発抵抗性効果が得られることを実験により見出した。
【0099】
図13で網目部分521Eは、穿孔部分522Eの径方向内側に配置されている(すなわち、穿孔部分522Eが網目部分521Eを包み込んでいる)ことが示されているが、網目部分521Eが穿孔部分522Eの径方向外側に配置されていてもよい(すなわち、網目部分522Eが穿孔部分521Eを包み込んでいる)ことが理解される。
【0100】
図14は、本発明の第2の実施形態の第6の変形例に係るフレームアレスタ500Fを示す。フレームアレスタ500Fは、難燃性筒のみがフレームアレスタ500と異なる。したがって、簡潔かつ明確にするために、
図14は難燃性筒の構造のみを明確に示し、フレームアレスタ500Fの他の構成要素は明確に示されていない。フレームアレスタ500に関連する技術的効果は全て、フレームアレスタ500Fに適用可能であることが容易に理解され、その説明をここでは繰り返さない。
【0101】
図14に示すように、本実施形態のこの変形例では、フレームアレスタ500Fの難燃性筒510Fが円柱ではなく円錐として構成されている。具体的には、難燃性筒510Fの体積が軸方向において、難燃性コア(図示せず)に向かう方向に徐々に増大する。
【0102】
このフレームアレスタ500Fではフレームアレスタハウジングが媒体流れ方向に沿って徐々に増大するので、ガス流及び火炎は複数のグリッド通路520Fを通過して、フレームアレスタの内部空洞に体積が拡大するように入る。難燃性筒510Fの上記作用により、爆発剪断波構造が損傷し、火炎の体積が瞬間的に膨張することにより、火炎伝播速度がさらに低下する。
【0103】
本発明の第2の実施形態のこの変形例によれば、フレームアレスタの体積が媒体流れ方向に沿って徐々に増大する限り、円錐とは異なるフレームアレスタの様々な構造を考えることができることが容易に理解される。
【0104】
本発明の第2の実施形態によって提案される革新的な概念に基づいて、すなわち、火炎は徐々に弱くなるように段階的に処理することができるという概念に基づいて、本出願は、新規な構造のフレームアレスタをさらに提案する。
【0105】
図15は、本発明の第3の実施形態に係るフレームアレスタ800を示す。
図15から分かるように、本発明の第3の実施形態に係るフレームアレスタ800のフレームアレスタハウジング内には、本発明の第2の実施形態に係る難燃性筒510と、本発明の第1の実施形態に係る難燃性板アセンブリ300とが設けられている。
【0106】
本発明の第3の実施形態に係るフレームアレスタ800では、難燃性筒510が機能して、媒体配送パイプラインからの爆発火炎の速度及び圧力を低減し、爆発火炎を難燃性コア200の中央ゾーンから引き離し、そして、難燃性筒510の半径方向に沿ってフレームアレスタハウジング101の周囲領域に進入させる。このようにして、爆発火炎が爆燃火炎に効果的に変換されることができる。その後、爆燃火炎は難燃性板アセンブリ300を通過し、これによって、火炎の速度がさらに低下し、火炎が、難燃性コア200の中央ゾーンよりも周囲ゾーンにより強く衝突する。そして火炎は、難燃性コア200を通過し、さらに弱化する。試験により、本発明の第3の実施形態に係るフレームアレスタ800は、爆発火炎を良好に消火できることが分かる。
【0107】
したがって、本発明の第3の実施形態によれば、まず、爆発火炎が難燃性筒によってフレームアレスタハウジングの周囲領域に導入され、爆燃火炎に変換される。そして、難燃性板アセンブリによって爆燃火炎がさらに弱められ、最終的には難燃性コアによって消火される。この実施形態は第1の実施形態と第2の実施形態との組み合わせであり、爆発火炎のパワーを段階的に弱め、それによって特に満足のいく耐炎効果を達成することを創造的に提案する。同時に、本発明の第3の実施形態に係るフレームアレスタは、媒体流動性の効率にも優れていることが容易に分かる。
【0108】
なお、詳細には説明しないが、当業者であれば、図示しない本発明の第3の実施形態のいくつかの変形例において、本発明の第1の実施形態に係る難燃性板アセンブリの変形例と、本発明の第2の実施形態に係る難燃性筒の変形例との任意の組み合わせを使用することができ、これもまた、フレームアレスタ800と同様の技術的効果を達成することができることを理解することができる。
【0109】
以上、例示的な実施形態を参照して本発明を上述してきたが、様々な修正例を成すことができ、構成要素は本発明範囲から逸脱することなくその等価物におきかえられてよい。特に、構造的な矛盾がない限り、異なる実施形態で言及された技術的特徴は、任意の方法で互いに組み合わせることができる。本発明は、本明細書に開示される特定の実施形態に限定されず、特許請求の範囲内に入るすべての技術的解決策を含む。
【国際調査報告】