(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-12
(54)【発明の名称】ギアボックス及びその駆動装置
(51)【国際特許分類】
F16H 1/28 20060101AFI20230705BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20230705BHJP
【FI】
F16H1/28
H02K7/116
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022578658
(86)(22)【出願日】2021-04-28
(85)【翻訳文提出日】2023-02-02
(86)【国際出願番号】 CN2021090709
(87)【国際公開番号】W WO2021253998
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】202010565132.4
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518263944
【氏名又は名称】ジョンソン エレクトリック インターナショナル アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】タ ジンニン
(72)【発明者】
【氏名】ジ バオフェン
(72)【発明者】
【氏名】リ キウメイ
(72)【発明者】
【氏名】ザオ ヨンジュン
【テーマコード(参考)】
3J027
5H607
【Fターム(参考)】
3J027FA11
3J027FA17
3J027FA36
3J027FB01
3J027GC13
3J027GC23
3J027GE01
3J027GE05
3J027GE29
5H607AA04
5H607BB01
5H607EE33
(57)【要約】
本開示は、パワーリフトゲートのためのギアボックスであって、前記ギアボックスは、ハウジング内に配置され、前記ハウジングに対して相対的に回転可能である回転フレーム(22/22’)と、前記回転フレーム(22/22’)によって支持される太陽ローラ(23)及び複数の遊星ギア(24)と、前記ハウジング内に設けられる内側リング歯(218)とを含み、前記遊星ギア(24)は、中心領域内で前記太陽ローラ(23)の周囲を取り囲む、ギアボックスに関する。前記太陽ローラ(23)は、前記遊星ギアの第1のギア(240)と噛み合わされるヘリカル歯を有する第1のロッド(230)と、前記第1のロッド(230)から同軸状に延びる第2のロッド(232)とを含む。前記遊星ギアは、前記ハウジングの前記内側リング歯(218)と噛み合わされる第2のギア(242)を含み、前記回転フレームを回転駆動して、同期回転して外部負荷を駆動する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーリフトゲートのためのギアボックスであって、前記ギアボックスは、ハウジングと、前記ハウジング内に配置され、前記ハウジングに対して相対的に回転可能である回転フレーム(22/22’)と、前記回転フレーム(22/22’)によって支持される太陽ローラ(23)及び複数の遊星ギア(24)と、前記ハウジング内に設けられる内側リング歯(218)とを含み、前記遊星ギア(24)は、中心領域内で前記太陽ローラ(23)の周囲を取り囲む、ギアボックスであって、
前記太陽ローラ(23)は、ヘリカル歯を有する第1のロッド(230)と、前記第1のロッド(230)から同軸状に延びる第2のロッド(232)とを含み、
各遊星ギアは、第1のギア(240)と、前記第1のギア(240)から同軸状に延びて同期回転する第2のギア(242)とを含み、前記第1のギア(240)は、前記太陽ローラ(23)の前記第1のロッド(230)の前記ヘリカル歯と噛み合い、前記第2のギア(242)は、前記ハウジングの前記内側リング歯(218)と噛み合い、
各遊星ギア(24)は、ピンを介して前記回転フレーム(22/22’)内に設置されて、前記回転フレームを回転駆動し、前記回転フレームの前記遊星ギア(24)から遠い側に、回転出力(220)が設けられて、外部負荷に接続する、
ことを特徴とするパワーリフトゲートのためのギアボックス。
【請求項2】
前記回転フレーム(22)は、端縁から前記遊星ギア(24)に向けて垂直に延びる複数の支持部(224)と、2つの隣接する支持部(224)の間に形成される間隙とを更に含み、各遊星ギア(24)の半径方向の部分は、前記間隙から突出して前記ハウジングの前記内側リング歯(218)と噛み合うことを特徴とする、請求項1に記載のパワーリフトゲートのためのギアボックス。
【請求項3】
各支持部(224)は、第1の凸状アーム(226)と、前記第1の凸状アーム(226)から軸方向に沿って延びる第2の凸状アーム(227)とを含むことを特徴とする、請求項2に記載のパワーリフトゲートのためのギアボックス。
【請求項4】
各遊星ギア(24)の前記第2のギア(242)は、隣接する第1の凸状アーム(226)の間に受け入れられて空間を形成し、各遊星ギア(24)の前記第1のギア(240)は、隣接する第2の凸状アーム(227)の間に受け入れられて空間を形成することを特徴とする、請求項3に記載のパワーリフトゲートのためのギアボックス。
【請求項5】
前記回転フレーム(22/22’)に、複数の挿入穴が形成され、各遊星ギア(24)の前記ピン(244)の少なくとも1つの端部が、対応する挿入穴内に固定されることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のパワーリフトゲートのためのギアボックス。
【請求項6】
前記回転フレームは、第1の回転フレーム(22a)及び第2の回転フレーム(22b)を更に含み、前記第1の回転フレーム(22a)は、前記第2の回転フレーム(22b)と共に、空間を形成して、前記遊星ギア(24)及び前記太陽ローラ(23)を受け入れるようにし、前記回転フレーム(22/22’)に、複数の挿入穴が形成されて、前記ピン(244)を固定することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のパワーリフトゲートのためのギアボックス。
【請求項7】
第1の挿入穴(228a)が、前記第1の回転フレーム(22a)の外縁を貫通して、半開スロット穴を形成して、前記ピン(244)を受け入れることを特徴とする、請求項6に記載のパワーリフトゲートのためのギアボックス。
【請求項8】
前記第2の回転フレーム(22b)は、上部カバー(291)と、前記上部カバー(291)に合致する下部カバー(292)とを含むことを特徴とする、請求項6に記載のパワーリフトゲートのためのギアボックス。
【請求項9】
前記下部カバー(292)の端縁に、溝が形成され、前記上部カバー(291)に、ストッパ(290)が形成されて、前記溝に合致し、前記ストッパは、前記溝の半径方向外縁に挿入されて、前記第2の回転フレーム(22b)の挿入穴を形成して、前記ピン(244)を固定することを特徴とする、請求項8に記載のパワーリフトゲートのためのギアボックス。
【請求項10】
前記遊星ギア(24)と回転支持体との間に、制限プレート(25)が挟み込まれ、中心に穴(250)が形成されて、前記太陽ローラ(23)の前記第2のロッド(232)を受け入れ、前記制限プレート(25)の外縁に、ノッチ(252)が形成されて、前記ピン(244)を受け入れることを特徴とする、請求項1に記載のパワーリフトゲートのためのギアボックス。
【請求項11】
前記回転フレームの前記遊星ギア(24)に面する中心が凹んで、軸受座(222)を形成し、前記軸受座(222)に軸受(30)が配置されて、前記太陽ローラ(23)の前記第2のロッド(232)の端部を配置することを特徴とする、請求項1に記載のパワーリフトゲートのためのギアボックス。
【請求項12】
エンドカバー(212)が、前記遊星ギア(24)を支持し、前記エンドカバー(212)の貫通穴(28)に、接続スリーブ(32)が移動可能に配置されて、モータの出力シャフトを前記太陽ローラ(23)の前記第1のロッド(230)と接続することを特徴とする、請求項1に記載のパワーリフトゲートのためのギアボックス。
【請求項13】
前記遊星ギア(24)と前記エンドカバー(212)との間に、ガスケット(34)が設けられることを特徴とする、請求項1に記載のパワーリフトゲートのためのギアボックス。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか一項に記載のギアボックスを含み、モータの出力シャフトが、前記ギアボックスの太陽ローラ(23)にトルクを伝達する、
ことを特徴とするパワーリフトゲートのための駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示は、ギアボックスの技術に関し、特に、パワーリフトゲートで使用されるギアボックスを含む駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 一般に、最も一般的な電源として、電気モータが、ありとあらゆる方面で広く使用されている。モータの高速回転は、通常、ギアボックスを介して妥当な範囲に減速されて、負荷を回転駆動する。ギアボックスを含むこのようなモータは、自動車の電気テールゲートのためのアクチュエータとして使用され、アクチュエータは、モータと、モータの出力シャフトと接続されるギアボックスとを含む。ギアボックスは、好ましくは、比較的大きい支持能力を有する遊星ギアボックスである。遊星ギアボックスの大部分は、少なくとも2段又は3段の遊星ギア構造を有し、モータの回転は、全てのレベルにおいて遊星ギア機構を通じて段階的に減速された後に、大きく低減されて、モータの出力トルクを増加させる。
【0003】
[0003] しかしながら、多段の遊星ギアボックス自体は、構造がより複雑であり、組立において高精度を必要とし、ノイズ、振動、及び耳障りな音を生じやすく、これは、コストがかかるだけでなく、劣悪な体験でもあり、ユーザによって期待されないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004] これを鑑みて、本開示は、比較的重負荷を効果的に支持し、逆回転を防止することができる、新しいタイプのギアボックス及びこれを用いる駆動装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005] 本開示は、ギアボックスと、ギアボックスを含むアクチュエータとを開示する。前記ギアボックスは、ハウジングと、前記ハウジング内に設けられ、前記ハウジングに対して相対的に回転可能である回転フレームと、前記回転フレームによって支持される太陽ローラ及び複数の遊星ギアと、前記ハウジング内に形成される内側リング歯とを含む。前記太陽ローラは、ヘリカル歯を有する第1のロッドと、前記回転フレームによって支持される第2のロッドとを有する。各遊星ギアは、第1のギアと、前記第1のギアと同軸状に同期回転する第2のギアとを含み、前記第1のギアは、前記第1のロッドの前記ヘリカル歯と噛み合わされ、前記第2のギアは、前記ハウジングの前記内側リング歯と噛み合わされる。ピンが、前記遊星ギアに配置され、前記回転フレームと接続されて前記回転フレームを回転駆動し、前記回転フレームの前記遊星ギアから遠い側に、出力ユニットが配置されて、外部負荷を駆動する。
【0006】
[0006] 更に、本開示は、モータと上記のギアボックスとを含み、前記モータの回転シャフトが前記ギアボックスの太陽ローラに駆動接続される、駆動装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
[0007] 本開示の駆動装置のギアボックスは、モータなどの外部駆動機構の動力を、太陽ローラを介して遊星ギアに伝達し、遊星ギアは、内側リング歯を含むハウジングと噛み合って、回転フレームを逆回転駆動することによって、出力ユニットを回転駆動する。ギアボックスの全体構造はよりコンパクトであり、その同軸性能は良好であり、回転はより安定しており、ノイズは低い。また、出力ユニットは、強い逆負荷を受けた場合でも、回転フレームを逆方向に回転駆動することはなく、ギアボックスのセルフロック機能を達成する。
【0008】
[0008] 実施形態の多くの態様は、以下の図面を参照して、より良く理解することができる。図面中の構成部品は、必ずしも縮尺通りではなく、代わりに、実施形態の原理を明確に示すことに重点を置く。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の例示的な実施形態による駆動装置の断面図である。
【
図2】本開示の第1の実施形態によるモータの等角図である。
【
図5】
図2のギアボックスを別の側面から見た等角図である。
【
図6】本開示による駆動装置の別の実施形態の等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0017] 図面と併せて、本開示の実施形態を詳細に説明する。各図は、限定的なものではなく、例示的なものであることに留意されたい。各図は、縮尺通りではなく、説明された実施形態の全ての態様を示すわけではなく、本開示の範囲を限定するものではない。
【0011】
[0018]
図1~
図3を参照すると、本開示は、自動車の電気テールゲートなどのパワーリフトゲートに適用される。一般に、パワーリフトゲートは、モータ10と、モータ10によって駆動されるギアボックス20とを有する。ギアボックスは、モータの回転トルクを、油圧ロッドなどの構成部品に伝達して、ドアパネルを支持する。ドアパネルの重力の状態では、ギアボックスは、重負荷状態でも反対方向に回転又はスリップすることはなく、セルフロック機能を有する。
【0012】
[0019] モータ10は、ブラシレスモータ、ブラシ付きモータ、又は回転トルクを供給することができる任意の動力機構とすることができ、外方に延びる出力シャフト12を有する。出力シャフト12は、ギアボックス20に挿入されて、ギアボックスを駆動して作動させる。ギアボックス20は、装置全体の減速機構、好ましくは遊星ギアボックスとして働く。
図4~
図5を一緒に参照すると、ギアボックス20は、ハウジング21と、ハウジング21内に受け入れられる回転フレーム22と、回転フレーム22によって支持される太陽ローラ23及び複数の遊星ギア24とを含む。遊星ギア24は、太陽ローラ23を取り囲み、太陽ローラと互いに噛み合う。ハウジング21は、外面と、外面に対向する円形内面とを有し、ハウジング21の内面に、内側リング歯218が形成される。各遊星ギア24は、太陽ローラ23と内側リング歯218との間に挟み込まれて、遊星ギア24が、太陽ローラ23及びハウジング21と同期して噛み合うようになっている。この実施形態では、少なくとも3つの遊星ギア24が存在する。遊星ギア24の量は、実際の要件に応じて可変である。
【0013】
[0020] 本開示では、太陽ローラ23は、ギアボックス20の中心に位置し、モータ10の出力シャフト12に駆動接続される。特に、太陽ローラ23は、一体化されたユニットとしてロッド形状であり、第1のロッド230と、第1のロッド230から同軸状に延びる第2のロッド232とを含む。太陽ローラ23の一端は、接続スリーブ32を介して出力シャフト12に浮動接続(floatingly connected)されて同期回転し、太陽ローラ23の他端は、回転フレーム22の軸受30内に抑制される。ここで、浮動接続という用語は、太陽ローラ23が、負荷又はそれ自身の動きの影響の下で軸方向に沿って移動することを意味する。特定の状態では、第1のロッド230の端部及び出力シャフト12は直接触れることができ、他の状態では、第1のロッド230の端部と出力シャフト12との間に小さい間隙が存在して、太陽ローラ23がその位置を自己調整することができ、どちらの場合も、太陽ローラ23の動作に影響を及ぼさない。第1のロッド230の外面の少なくとも一部に、ヘリカル歯234が形成されて、遊星ギア24と噛み合う。一般に、出力シャフト12は、接続スリーブ32を介して太陽ローラ23にトルクを伝達し、太陽ローラ23は、遊星ギア24を回転駆動する。
【0014】
[0021] 回転フレーム22は、ギアボックス20全体の動力出力要素として働き、ギアボックス20のモータ10から遠い側端に位置して外部負荷との接続のために使用される回転出力220を含む。回転出力220は、軸方向内方に配置され、外部負荷に接続されてトルクを外方に出力するスプライン構造を含む。回転フレーム22及び太陽ローラ23は、同軸線を有する。回転フレーム22の太陽ローラに面する中心は、軸受座222を有するように凹状に形成される。軸受30は、軸受座222内に制限される。軸受30は、玉軸受、セラミック軸受、又はオイル含浸軸受などとすることができる。太陽ローラ23の第2のロッド232の端部は、
図3に示すように、軸受30に挿入される。回転出力220は、太陽ローラ23、遊星ギア24及びハウジング21の接合作用の下で、出力シャフト12の回転速度よりもずっと低い速度で、外部負荷にトルクを出力する。
【0015】
[0022] 第1のロッド230の端部は、
図3に示すように、接続スリーブ32によって出力シャフト12の端部に接続される。接続スリーブ32は、焼結又は射出成形によって形成される円筒構造とすることができ、出力シャフト12の端部及び第1のロッド230の端部は、それぞれ、接続スリーブ32に挿入される。この実施形態では、第1のロッド230の端部は非円形構造を有し、その断面は「D」字形である。これに対応して、出力シャフト12の端部の断面及び接続スリーブ32の中心穴の断面は、両方ともD字形である。モータ10が始動された時に、その出力シャフト12は、スリーブ32によって太陽ローラ23を同期回転駆動する。接続スリーブ32の中心穴の断面は、D字形に限定されず、三角形、ギア形状などとすることもできる。前記モータ10が始動された時に、その出力シャフト12は、スリーブ32によって太陽ローラ23を同期回転駆動する。
【0016】
[0023] 複数の遊星ギア24は、太陽ローラ23と回転フレーム22との間に挟み込まれ、太陽ローラ23を中心として所定間隔で配置される。各遊星ギア24は、第1のギア240と、第1のギア240から同軸状に延びる第2のギア242とを含む。実施形態では、第2のギア242の直径は、第1のギア240の直径よりも小さい。第1のギア240は、太陽ローラ23の第1のロッド230のヘリカル歯234と噛み合う。第2のギア242は、回転フレーム22に面して、ハウジング21の内側リング歯218と噛み合う。好ましくは、第1のギア240及び第2のギア242は一体化され、太陽ローラ23は、第1のギア240及び第2のギア242を同期回転駆動する。
【0017】
[0024] ハウジング21は、ギアハウジング210と、ギアハウジング210と協働してエンドカバー212とを含む。ギアハウジング210は、開口215を有する円筒構造であり、エンドプレート214と、エンドプレート214の端縁からエンドカバー212に向けて延びるサイドプレート216とを含む。開口215は、エンドプレート214の中心に形成され、回転フレーム22の回転出力220は、開口215を外方に貫通する。サイドプレート216は、遊星ギア24の周囲に配置され、サイドプレート216の内壁面は、小さい上部及び大きい底部を有する段差形状である。サイドプレート216の一部は、遊星ギア24の第1のギア240を取り囲み、サイドプレート216の他の部分の内壁面に、内側リング歯218が形成され、内側リング歯218は、遊星ギア24の第2のギア242と噛み合う。太陽ローラ23の第2のロッド232は、第2のギア242の間に配置される。
【0018】
[0025] この実施形態では、回転フレーム22は、第1の回転フレーム22a及び第2の回転フレーム22bを含む。第1の回転フレーム22aは、第2の回転フレーム22bと共に、空間を形成して、遊星ギア24及び太陽ローラ23を受け入れるようにする。第1の回転フレーム22aの第2の回転フレーム22bに面する側の中心領域に、軸受座222が凹んで形成され、回転出力220は、第2の回転フレーム22bから遠ざかる方向に面する側の中心から開口215に向けて延びる。
【0019】
[0026] 第1の回転フレーム22aは、端縁から第2の回転フレーム22bに向けて垂直に延びる複数の支持部224を更に含む。遊星ギア24の半径方向の部分は、2つの隣接する支持部224の間の間隙から突出する。この実施形態では、各支持部224は、第1の凸状アーム226と、第1の凸状アーム226から延びる第2の凸状アーム227とを含む。第2の凸状アーム227は、第1の凸状アーム226よりも小さい。隣接する第1の凸状アーム226の間に、比較的狭い第1の空間が形成されて、第2のギア242を収容する。隣接する第2の凸状アーム227の間に、より広い第2の空間が形成されて、第1のギア240を収容する。第1の回転フレーム22a、第1の凸状アーム226及び第2の凸状アーム227の断面は階段状であり、軸方向において第1のギア240及び第2のギア242を制限する。
【0020】
[0027] この実施形態では、各遊星ギア24の中心領域に、軸方向に沿ってピン244が設けられる。ピン244の2つの端部は、それぞれ、第1のギア240及び第2のギア242から延び出て、それぞれ、2つの回転フレーム22a及び22bに挿入される。第1の回転フレーム22aに、複数の第1の挿入穴228aが形成されて、ピン244の一端に接続する。第1の挿入穴228aの各々は、2つの隣接する支持部224の間の中間位置に位置する。これに対応して、第2の回転フレーム22bに、複数の第2の挿入穴228bが形成されて、ピン244の他端に挿入されるために使用される。第2の挿入穴228bの各々は、第1の挿入穴228aと位置合わせされる。
【0021】
[0028] 遊星ギア24と回転支持体22aとの間に、制限プレート25が設けられ、制限プレート25は、好ましくは薄板状である。制限プレート25は、形状が略三角形である。中心に円形穴250が形成されて、太陽ローラ23の第2のロッド232にスリーブ嵌合する。制限プレート25の外縁は、各ピン244に対応するノッチ252を形成する。ノッチ252は、第1の回転フレーム22aの第1の挿入穴228aの位置及び形状に対応する。実施形態では、制限プレート25は、第1の回転フレーム22a上に積み重ねられ、好ましくは、それらは、対応する固定穴を有するように形成され、ネジ及びピンなどの固定部品によって接続することができる。制限プレート25の端縁には、凹部が設けられて、各支持部224の進路を譲る。更に、制限プレート25は、第1の回転フレーム22aの軸受30にしっかりと当接し、軸受30が太陽ローラ23によって取り外されるのを防ぎ、シャフト244がずれるのを効果的に防ぐことができる。好ましくは、支持体25と回転支持体22aとの間に、波形の弾性シート26が配置される。この実施形態では、波形の弾性シート26は、制限プレート25と第1の回転フレーム22aとの間に挟み込まれる。もちろん、本開示では、制限プレート25及び波形の弾性シート26は、代替的に、ギアボックスの動作に影響を及ぼすことなく、遊星ギア24の1つの側に設置することができる。
【0022】
[0029] この実施形態では、第1の挿入穴228aは、完全な及び規則的な穴ではない。第1の挿入穴228aは、第1の回転フレーム22aの外縁を貫通し、半開スロット穴である。ピン244の端部は、第1の挿入穴228aに挿入される。
図4を参照すると、第2の回転フレーム22bは、上部カバー291と、上部カバー291に合致する下部カバー292とを含む。上部カバー291及び下部カバー292の両方には、中心領域に開口が設けられる。上部カバー291の端縁領域には、下部カバープレート292の方向に突出して延びる複数のストッパ290が設けられ、下部カバープレート292の対応する端縁領域には、溝が設けられ、溝は半開スロット穴であり、ピン244の端部を受け入れる。上部カバー291の各ストッパ290は、下部カバープレート292の対応する溝に挿入されて、第2の挿入穴228bを形成する。好ましくは、溝はU字形であり、ストッパ290の半径方向内面は円筒面である。ストッパ290及び溝は一緒に、ピン244に合致する第2の挿入穴228bを形成する。ピン244の端部は、第2の挿入穴228bに嵌合して、遊星ギア24の安定した回転を確実にする。組み立てられる間、まず、ピン244が下部カバー292の溝に挿入され、次に、上部カバー291が組み立てられて、ストッパ290が溝を閉じてピン244を制限するようにする。
【0023】
[0030] 好ましくは、第2の回転フレーム22bとエンドカバー212との間に、ガスケット34が設けられる。ガスケット34は耐摩耗性材料からなる。この実施形態では、接続スリーブ32の外径は、貫通穴28の穴径よりも小さく、スリーブ32は、貫通穴28に自由に受け入れられる。太陽ローラ23の第1のロッド230の端部は、第2の回転フレーム22b及びエンドカバー212を通じて浮動する。第1のロッド230の端部は、第1の回転フレーム22aの軸受30に拘束される。太陽ローラ23の位置は、それ自身で調整されて、ギアボックス20全体の同軸性を確保することができる。
【0024】
[0031]
図6~
図8に、本開示のギアボックス20’の別の実施形態を示す。第1の実施形態との違いは、ギアハウジング210’及び回転フレーム22’にある。
【0025】
[0032] この実施形態では、ギアハウジング210’は、第1のハウジング217及び第2のハウジング219を含む。もちろん、ギアハウジング210’は、一体構造とすることもできる。第1のハウジング217は、両端に2つの開口が設けられた円筒構造である。第2のハウジング219は、開口端を有する円筒構造であり、より大きい空間を形成してより強いタレット(turret)強度を達成する。第1のハウジング217は、エンドカバー212と第2のハウジング219との間に位置する。第1のハウジング217の内壁面に、内側リング歯218が形成されて、遊星ギア24の第2のギア242と噛み合う。第2のハウジング219の側端の中心は、貫通穴215を有するように形成されて、回転フレーム22’の回転出力220を貫通する。回転フレーム22’は単一であり、第2のハウジング219に受け入れられる。同様に、回転フレーム22’のエンドカバー212から遠ざかる方向に面する側は、回転出力220を形成し、エンドカバー212に面する側は、軸受座222を形成し、軸受30を備えて太陽ローラ23を支持する。
【0026】
[0033] 更に、回転フレーム22’は、各ピン244のための円形穴228を含み、回転フレーム22’の支持部を省略する。回転フレーム22’は、回転出力と、回転出力から一体に延びるディスクとを含む。ピン244の一端は、第1のギア240に埋め込まれ、他端は、回転フレーム22’のディスクの挿入穴228に設置される。好ましくは、挿入穴228は、回転フレーム22’を貫通する。シャフト244の他端は、挿入穴228に埋め込まれて、回転フレーム22’及びピン244の枢着長さ(pivoting length)を増加させて、接続の剛性及び安定性を確保する。遊星ギア24とエンドカバー212との間に、耐摩耗性ガスケット34が配設される。ガスケット34及びエンドキャップ212の貫通穴28に、接続スリーブ32が移動可能に配置される。太陽ローラ23は、スリーブ32を介してモータ10の出力シャフト12に駆動接続される。太陽ローラ23は、浮動状態であり、小さい範囲内に調整されて、ギアボックス20’全体の同軸性を確保することができる。
【0027】
[0034] 本開示の駆動装置のモータ10の高速回転は、ギアボックス20/20’の太陽ローラ23を介して遊星ギア24に伝達される。遊星ギア24は、太陽ローラと内側リング歯を含むギアハウジングとの共通の制約の下で同期回転して、回転フレームを駆動して回転させて出力する。太陽ローラ23は、大きい負荷を支えることができ、また、動力の逆伝達を防止することもできる点で、従来の太陽ローラとは異なる。モータ10は、ギアボックス20、20’を通じて負荷を駆動することができるが、負荷によってギアボックス20’を逆に駆動してセルフロックを達成することは困難である。ギアハウジング210の内側リング歯218及び第2のギア242の作用に起因して、遊星ギア24は、それに接続される回転フレーム22/22’を回転駆動しながら、太陽ローラ23の回りを回転し、太陽ローラ23に対する回転出力220は、中心として回転してトルクを外方に出力する。モータの回転速度は、遊星ギア24によって減速され、回転出力220’の回転速度は、太陽ローラ23に対して大きく低減されて、出力トルクが増加されるようにする。
【0028】
[0035] 遊星ギア24の第1のギア240及び第2のギア242は、それぞれ、伝達のために、太陽ローラ23及びハウジングの内側リング歯218と噛み合い、ギアボックス20/20’が、良好な同軸性を有する1段の遊星ギアとして一体に構成されるようにする。軸方向のサイズ及び半径方向のサイズを含むギアボックス20/20’の全体サイズを効率的に低減することができる。しかしながら、回転フレーム22/22’などは、大きいサイズを有することができ、遊星ギア24との接続の強度は十分であり、両者は、特にNVHにおいて、遊星ギア24の円滑な回転を確実にし、ノイズ発生を低減し、全体の性能を向上させるのに十分な力を有する。
【0029】
[0036] 特定の実施形態を参照して本開示を説明してきたが、本開示の説明は、例示的なものであり、本開示を限定するものと解釈されるべきではない。当業者であれば、添付の特許請求の範囲によって規定される本開示の真の精神及び範囲から逸脱することなく、本開示の様々な修正を、例示的な実施形態に行うことができる。
【符号の説明】
【0030】
10 モータ
12 出力シャフト
20,20’ ギアボックス
21 ハウジング
22,22’ 回転フレーム
22a 第1の回転フレーム/回転支持体
22b 第2の回転フレーム
23 太陽ローラ
24 遊星ギア
25 制限プレート/支持体
26 波形の弾性シート
28 貫通穴
30 軸受
32 接続スリーブ
34 ガスケット
210,210’ ギアハウジング
212 エンドカバー/エンドキャップ
214 エンドプレート
215 開口/貫通穴
216 サイドプレート
217 第1のハウジング
218 内側リング歯
219 第2のハウジング
220,220’ 回転出力
222 軸受座
224 支持部
226 第1の凸状アーム
227 第2の凸状アーム
228 円形穴/挿入穴
228a 第1の挿入穴
228b 第2の挿入穴
230 第1のロッド
232 第2のロッド
234 ヘリカル歯
240 第1のギア
242 第2のギア
244 ピン/シャフト
250 穴
252 ノッチ
290 ストッパ
291 上部カバー
292 下部カバー/下部カバープレート
【国際調査報告】