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特表2023-530058改良メルトブロー物品およびその形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-13
(54)【発明の名称】改良メルトブロー物品およびその形成方法
(51)【国際特許分類】
   D04H 3/16 20060101AFI20230706BHJP
   B01D 39/16 20060101ALI20230706BHJP
   A41D 13/11 20060101ALI20230706BHJP
【FI】
D04H3/16
B01D39/16 A
A41D13/11 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022567792
(86)(22)【出願日】2021-06-24
(85)【翻訳文提出日】2022-12-28
(86)【国際出願番号】 US2021038892
(87)【国際公開番号】W WO2021262977
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】63/044,637
(32)【優先日】2020-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/116,512
(32)【優先日】2020-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514073570
【氏名又は名称】ジャビル インク
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ロジャース,ルーク
(72)【発明者】
【氏名】フライ,トーマス
【テーマコード(参考)】
3B211
4D019
4L047
【Fターム(参考)】
3B211CE02
4D019AA01
4D019BA12
4D019BA13
4D019BB03
4D019BC01
4D019BD01
4D019CB06
4D019DA03
4L047AA14
4L047AA17
4L047AA21
4L047AB03
4L047AB07
4L047AB08
4L047BA08
4L047CB08
4L047CC12
(57)【要約】
ブレンドポリマーは、非晶質熱可塑性ポリマーおよび熱可塑性半結晶性ポリマーを含み、それらのポリマーの各々は、他方に実質的に混和性であり、0.05超から約20の非晶質ポリマー/半結晶性ポリマーの質量比でブレンドされたときに、均一な直径を有する長い繊維長を有し、実質的に欠陥のないメルトブロー不織布を形成する。その不織布は、フィルタとして使用される場合、1時間以上に亘り高温(約70℃)に曝露された後でさえも、2mmHg(266Pa)未満の圧力損失で95%超の効率を有することがある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布材料を製造する方法であって、
a)非晶質熱可塑性ポリマーおよび熱可塑性半結晶性ポリマーを含むブレンドポリマーを供給する工程であって、前記ポリマーの各々が、他方に実質的に混和性であり、0.05超から約20の非晶質ポリマー/半結晶性ポリマーの質量比でブレンドされている、工程、
b)前記ブレンドポリマーを、該ブレンドポリマーを溶融して液化供給物を形成する溶融ポンプ温度に加熱する工程、
c)前記液化供給物を、前記溶融ポンプ温度より高いオリフィス温度でオリフィスに通して押し出し、該液化供給物を、空気設定温度を有する環状ガス流で吹いて、噴霧を形成する工程、
d)前記噴霧を空隙内で冷却する工程、および
e)基体上に前記噴霧を堆積させて、前記不織布材料を形成する工程、
を有してなる方法。
【請求項2】
前記不織布材料が布である、前記不織布材料を製造する方法。
【請求項3】
前記不織布材料のシートが、該不織布材料の繊維を変形させずに、熱成形可能である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記不織布材料のシートが、98%超の濾過効率を有する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記不織布材料のシートが、2mmHg以下の圧力損失を有する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記不織布材料を電場に通過させる工程をさらに含む、請求項1から5いずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記ブレンドポリマーが、ポリ(メチルメタクリレート)およびポリ乳酸から作られ、該ポリ(メチルメタクリレート)が、該ブレンドポリマー中に、該ブレンドポリマーの約5質量%から85質量%で存在し、残りがポリ乳酸である、請求項1から6いずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記ポリ(メチルメタクリレート)が、前記ブレンドポリマーの約50質量%未満の量で存在する、請求項1から7いずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記ポリ乳酸が、L-ラクチド、D-ラクチド、またはその組合せの重合により作られている、請求項7または8記載の方法。
【請求項10】
前記L-ラクチドが前記ポリ乳酸の少なくとも50質量%から100質量%の量で存在する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記ポリマーブレンドのメルトフローレートが、約5から100グラム(210℃/分、2.6kg)である、請求項1から10いずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記不織布材料が、約1マイクロメートルから約15マイクロメートルの直径を有する繊維を有する布である、請求項1から11いずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記布が、約0.1m/gから120m/gの比表面積を有する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記半結晶性ポリマーが、約10から100グラム(210℃/分、2.6kg)のメルトフローレートを有する、請求項1から13いずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記半結晶性ポリマーのメルトフローレートが、約50から80グラムである、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記非晶質ポリマーが、約1から100グラム(230℃/分、3.8kg)のメルトフローレートを有する、請求項1から15いずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記空気設定温度が、前記オリフィス温度より少なくとも1.3倍高い、請求項1から16いずれか1項記載の方法。
【請求項18】
前記空気設定温度が、前記オリフィス温度より約1.8倍から約3倍高い、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記溶融ポンプ温度が約175℃から約250℃である、請求項17または18記載の方法。
【請求項20】
溶融ブレンドが、10から80グラム(210℃/分、2.6kg)のメルトフローレートを有する、請求項17から19いずれか1項記載の方法。
【請求項21】
前記非晶質熱可塑性ポリマーが約60℃から約120℃のガラス転移温度を有し、前記半結晶性熱可塑性ポリマーが、少なくとも140℃のDSCで決定された溶融温度を有する、請求項1から20いずれか1項記載の方法。
【請求項22】
前記非晶質熱可塑性ポリマーが約100℃から約120℃のガラス転移温度を有し、前記半結晶性熱可塑性ポリマーが、少なくとも140℃から約200℃のDSCで決定された溶融温度を有する、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記半結晶性ポリマーと前記非晶質ポリマーが、ポリエステルとポリアクリレートまたはポリメタクリレート、もしくは半結晶性ポリオレフィンと非晶質ポリオレフィンである、請求項1から22いずれか1項記載の方法。
【請求項24】
前記半結晶性ポリマーがポリ乳酸であり、前記非晶質ポリマーがポリ(メチルメタクリレート)である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記半結晶性ポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはその共重合体であり、前記非晶質ポリマーが環状オレフィン共重合体である、請求項23記載の方法。
【請求項26】
非晶質熱可塑性ポリマーおよび熱可塑性半結晶性ポリマーから構成されたブレンドポリマーの繊維から作られた不織布であって、前記ポリマーの各々は、他方に実質的に混和性であり、0.05超から約20の非晶質ポリマー/半結晶性ポリマーの質量比でブレンドされており、前記繊維は、該繊維の数の少なくとも90%が、500マイクロメートルより長い長さ、および該繊維の長さに沿った各繊維の平均直径が、該繊維の直径の平均の20%以内にある直径を有する、不織布。
【請求項27】
前記繊維の直径が、約0.5マイクロメートルから15マイクロメートルに及び、約2から58マイクロメートルの平均直径を有する、請求項26記載の不織布。
【請求項28】
前記繊維の直径が、約1マイクロメートルから0.05マイクロメートルに及ぶ、請求項26記載の不織布。
【請求項29】
前記半結晶性ポリマーと前記非晶質ポリマーが、ポリエステルとポリアクリレートまたはポリメタクリレート、もしくは半結晶性ポリオレフィンと非晶質ポリオレフィンである、請求項26から28いずれか1項記載の不織布。
【請求項30】
前記半結晶性ポリマーがポリ乳酸であり、前記非晶質ポリマーがポリ(メチルメタクリレート)である、請求項29記載の不織布。
【請求項31】
前記半結晶性ポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはその共重合体であり、前記非晶質ポリマーが環状オレフィン共重合体である、請求項29記載の不織布。
【請求項32】
前記不織布が、50から300グラム/mの布質量を有する、請求項26から31いずれか1項記載の不織布。
【請求項33】
前記不織布が、約100から200グラム/mの布質量を有する、請求項32記載の不織布。
【請求項34】
前記不織布が、多くとも約5mmHgの圧力損失を有するフィルタである、請求項26から33いずれか1項記載の不織布。
【請求項35】
前記フィルタが、少なくとも95%の濾過効率を有する、請求項34記載の不織布。
【請求項36】
前記濾過効率が少なくとも98%である、請求項35記載の不織布。
【請求項37】
前記空気設定温度が前記オリフィス温度より高い、請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、メルトブロー物品の形成に関する。本発明は、特に、ポリ乳酸/ポリ(メチルメタクリレート)ポリマーブレンドなどの、混和性である結晶性/半結晶性ポリマーおよび非晶質ポリマーのメルトブローポリマーブレンドから構成された不織布に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマーのメルトブローは、ポリマーの溶融を含み、このポリマーは、次に、オリフィスに通され、環状の熱風で吹かれて、マイクロまたはナノ直径繊維を形成する。液化した繊維は、空隙を移動し、巻取スプールに衝突して、不織繊維布を形成する。従来の布は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、およびポリ(メチルメタクリレート)などの多くのポリマーから製造されている。典型的にメルトブロー法によって製造された布は、典型的に、実質的に不均一な長さと直径の繊維、ほつれた繊維および溜まったポリマーの小塊を有する不織布を形成し、例えば、フィルタとして使用された場合、布に亘り、わずかに不均一な挙動および望ましくはない圧力損失が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、上述したようなメルトブロー不織布を形成する上での1つ以上の問題を克服したメルトブロー法を提供すること、および具体的に、所望の圧力損失および濾過均一性を有する不織布を提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
混和性である結晶性/半結晶性ポリマー(そのようなポリマーは実質的に結晶性であろうという理解の下で、ここでは「半結晶性ポリマー」と称される)および非晶質ポリマーの特定のブレンドが、長さが長く、直径が均一な繊維を形成できることが分かった。決して限定するものではなく、半結晶性ポリマーの溶融温度より十分に低いTg(ガラス転移温度)を有する非晶質ポリマーを十分な量で混合すると、ブレンドされたポリマーが、メルトブローされたときに一貫したレオロジーを実現し、互いに結合した所望の繊維を与えて、上述した欠陥なく、不織布を形成できると考えられる。
【0005】
本発明の第1の態様は、不織布材料を製造する方法であって、a)非晶質熱可塑性ポリマーおよび熱可塑性半結晶性ポリマーを含むブレンドポリマーを供給する工程であって、ポリマーの各々が、他方に実質的に混和性であり、0.05超から約20の非晶質ポリマー/半結晶性ポリマーの質量比でブレンドされている、工程、b)ブレンドポリマーを、このブレンドポリマーを溶融して液化供給物を形成する溶融ポンプ温度に加熱する工程、c)液化供給物を、溶融ポンプ温度より高いオリフィス温度でオリフィスに通して押し出し、その液化供給物を、オリフィス温度より高い空気設定温度を有する環状ガス流で吹いて、噴霧を形成する工程、d)その噴霧を空隙内で冷却する工程、およびe)基体上にその噴霧を堆積させて、不織布材料を形成する工程を有してなる方法である。
【0006】
不織布は、非晶質熱可塑性ポリマーおよび熱可塑性半結晶性ポリマーを含むブレンドポリマーの繊維から作られ、ポリマーの各々は、他方に実質的に混和性であり、0.05超から約20の非晶質ポリマー/半結晶性ポリマーの質量比でブレンドされており、繊維は、約0.5マイクロメートルから15マイクロメートルの直径および約2から8マイクロメートルの平均直径を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
開示された非限定的な実施の形態は、同様の番号が同様の要素を示している、ここに付随の、その一部を形成する図面に関して議論される。
図1】例示のメルトブロー押出装置の概略図
図2】市販のメルトブローポリプロピレン製フィルタマスクの走査型電子顕微鏡写真
図3】本発明のPMMA/PLA布(ポリ(メチルメタクリレート)/ポリ乳酸)の走査型電子顕微鏡画像
図4】本発明のPMMA/PLA布の走査型電子顕微鏡画像
図5】本発明のPMMA/PLA布の走査型電子顕微鏡画像
図6】本発明のPMMA/PLA布の走査型電子顕微鏡画像
図7】本発明のPMMA/PLA布の走査型電子顕微鏡画像
図8】本発明のPMMA/PLA布の走査型電子顕微鏡画像
図9】本発明のPMMA/PLA布の走査型電子顕微鏡画像
図10】本発明の半結晶性ポリプロピレンおよび非晶質ポリプロピレン布の光学顕微鏡写真
【発明を実施するための形態】
【0008】
フィルタやマスクとして有用な不織布材料は、様々な材料から製造することができ、その材料としては、ポリマー、ポリマーブレンド、形状記憶材料、形状記憶ポリマー、および形状記憶ポリマーブレンドの内の1つ以上が挙げられるであろう。
【0009】
本発明の方法は、メルトブロー方法である。メルトブロー法を説明するために、図1は、例示のメルトブロー押出システム800を示す。押出機801は、ホッパー802からポリマー供給物を受け取り、その供給物を液化し、ノズル開口803を通して液化供給材料を吹く/噴霧する。ノズル開口803を通して液化供給材料を吹く/噴霧するのを支援するために、高速風(図示せず)が使用されることがある。吹かれた材料804は、空気中を移動し、回転円柱面805上に堆積される。その円柱面は、矢印805aで示された方向に回転しているのが示されている。吹かれた材料804が位置806で回転円柱面805上に堆積されたときに、その材料は冷めて、固体になる。固体シート/フイルム807は、矢印808aで示された方向に回転している第2の回転円柱808により引っ張られる。新たに加えられたシート/フイルム材料が、809でメルトブロー高分子のスプール810上に加えられる。
【0010】
図2は、メルトブローポリプロピレンから製造された市販のフィルタマスクの顕微鏡写真を示す。この図から、この布には、ほつれた繊維、融合繊維、溜まったポリマーの小塊などの欠陥があるのが容易に明白である。
【0011】
不織布材料を形成する方法は、非晶質熱可塑性ポリマーおよび熱可塑性半結晶性ポリマーを含むブレンドポリマーを供給する工程を含み、ポリマーの各々は、他方に実質的に混和性であり、0.05超から約20の非晶質ポリマー/半結晶性ポリマーの質量比でブレンドされている。実質的に混和性であるとは、DSCにより決定され、ここに引用される、2021年6月8日に出願された同時係属の米国仮特許出願第63/208243号明細書にさらに記載されているような、ガラス転移温度が明らかには異ならないことを意味する。
【0012】
非晶質ポリマーおよび半結晶性ポリマーは、そのブレンドが所望の不織布材料を実現するような質量比で混合される。混合され、ブレンドされる非晶質ポリマー/半結晶性ポリマーの質量比は、1超から約20であることがある。その比が約2または3から約15または10であることが望ましい。決して限定するものではなく、半結晶性ポリマーおよび非晶質ポリマーの溶融温度の間の差および比での混和性ポリマーの組合せにより、繊維自体のほつれおよびポリマーの小塊などの他の欠陥なく、直径がより均一なメルトブロー長繊維を形成することができる。
【0013】
半結晶性ポリマーは、そのようなポリマーを形成するまたは配合するときに通常経験する速度(例えば、約25℃の周囲温度から溶融温度まで加熱し、冷却する速度)で加熱し、冷却された場合、少なくとも約5%の結晶化度から実質的に完全な結晶性を示すどの熱可塑性有機ポリマーであってもよい。すなわち、そのポリマーは、当該技術分野で公知の方法(例えば、溶媒誘起結晶化など)などの強制結晶化方法を用いずに、結晶化度を示す。一般に、結晶化度の量は、少なくとも5%、10%、15%または20%から約95%、75%、50%または30%である。結晶化度は、当該技術分野で公知の方法などのいずれの適切な方法により決定されてもよい。説明のために、結晶化度パーセントは、例えば、Rigaku SmartLab X線回折計を使用することなどの、広角X線回折(WAXD)を含むX線回折によって、または、ASTM D3418-15を利用した、TA Instruments DSC250示差走査熱量計を使用することなどの、示差走査熱量測定(DSC)(示差走査熱量測定(DSC)によって結晶化度を決定する場合、特に明記のない限り、20℃/分の加熱または冷却速度が使用される)によって、決定することができる。例示の結晶性ポリマーとしては、鎖状構造に応じて、特定のポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびその共重合体)などが挙げられるであろう。
【0014】
非晶質ポリマーは、先の段落に記載されたような速度で加熱および冷却されたときの、先の段落に記載されたように測定された結晶化度を実質的に示さない(検出可能であったとしても微量)どの熱可塑性有機ポリマーであってもよい。例示の非晶質ポリマーとしては、鎖状構造に応じて、特定のポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィンなどが挙げられるであろう。
【0015】
一般に、半結晶性ポリマーの溶融温度(Tm)は、非晶質ポリマーの転移温度(Tg)よりも高い。非晶質ポリマーのTgは、Tmよりも約20℃から150または250℃低いことがある。非晶質ポリマーのTgは、約60℃、80℃または100℃から約140℃または120℃であることが望ましく、半結晶性ポリマーは、少なくとも約160℃から約300℃、250℃、225℃、200℃または180℃のTmを有する。Tmは、溶融ピークの中点を使用するASTM D3418により記載されているように、DSCプロットの溶融ピークから決定される。非晶質ポリマーのTgは、ガラス転移温度の中点を使用するASTM D3418によって、DSCプロットから決定される。
【0016】
非晶質ポリマーと半結晶性ポリマーの溶融ブレンドは、当該技術分野で公知のものなどのいずれの適切な方法および装置によって行われてもよい。例としては、高強度ミキサおよびスクリュー押出機(例えば、単軸および二軸スクリュー押出機)が挙げられる。剪断の量は、ポリマーブレンドを形成するためにブレンドおよび配合を促進させるのに有用ないずれの量であってもよい。押出機は、1つの温度に保持されても、2つのポリマーの配合を促進するために、押出機の長さに沿って勾配を有してもよい。その温度は、ポリマーブレンドを形成するのに十分な、例えば、特定の縮合ポリマーが劣化し始める温度をわずかに下回るいずれの温度であってもよい。典型的に、その温度は、半結晶性ポリマーの溶融温度の100℃、50℃または25℃以内の温度であることがある。典型的な温度は、約150℃、175℃または200℃から約300℃または250℃であることがある。剪断は、配合押出機内でのポリマーの配合を実施する際に典型的に使用されるいずれの剪断であってよい。時間は、同様に、ポリマーが互いに均一に溶解している(先に記載されたように混和性である)ブレンドポリマーを実現するのに十分などの時間であってもよい。典型的な時間は、1から2分から1時間かそこらであろう。ブレンドポリマーは、任意の形状のペレットなど、半結晶性ブレンドポリマーを形成するためのどの有用な形状に押し出され、造形されてもよい。
【0017】
実例は、約15%から約85%のPMMAと残りのPLAから構成されることがある。その組成物が、最大で約50%のPMMAから構成されることが望ましい。PLAは、L-ラクチド、D-ラクチド、またはその組合せを使用して形成されたものなど、PLAのどの形態であってもよい。L-ラクチドの量が、PLAの製造に使用される単量体の少なくとも50質量%、60質量%、70質量%、80質量%または90質量%から98質量%または100質量%(100質量%は、微量のD-ラクチドを含むことがある)であることが望ましい。結晶性または半結晶性ポリマーを容易に形成する当該技術分野で公知のものなどの他のポリエステルも使用してよい。
【0018】
PLAまたは半結晶性ポリマーは、所望のメルトフローレート(MFR)を有するPMMAまたは非晶質ポリマーとのブレンドを実現するためにどのMwを有してもよい。典型的に、半結晶性ポリマーは、約10kDaから500kDaの重量平均分子量(Mw)を有することがある。半結晶性ポリマーのメルトフローレート(MFR)は、不織布を形成するのに有用ないずれのメルトフローレートであってもよい。説明のために、ポリマーブレンドのMFRは、25、50、60または70から90、100、125または150グラム(210℃/10分、2.16kg)であることがある。PMMAと組み合わされたときの適切なPLAの例が、NatureWorks LLCから商標名INGEO Biopolymer 625Fおよび3260HP、並びにTotal Corbion PLAからLUMINY L105で市販されている。
【0019】
PMMAは、当該技術分野に公知のものなど、どの適切なPMMAであってもよく、PMMAが、高速剪断および急冷を可能にするレオロジー挙動を示しつつ、それでも、所望の結晶化度およびPLA/PMMAブレンドの帯電能力を実現できる限り、10kDaから3MDaなど、幅広い様々なMwを有してもよい。PMMAは、衝撃強度または熱安定性などの1つ以上の特性を改善するために、当該技術分野で一般に使用されているもの(例えば、メチルアクリレート、ブチルアクリレートなど)などのコモノマーをわずかに(例えば、約5%未満、2%未満、または1%未満)含んで製造されることがある。
【0020】
非晶質ポリマーのメルトフローレートは、不織布または材料を形成するのに有用などのMFRであってもよい。説明のために、非晶質ポリマーのMFRは、半結晶性ポリマーと組み合わされたときに、ここに記載されたような所望の繊維の直径および長さを実現するものである。一般に、非晶質ポリマーのMFRは、1、2、5または10から100、50、40または30グラム(230℃/10分、3.8kg)であることがある。実例として、有用であろうPMMAとしては、PLASKOLITEから商標名CA41で市販されているもの、およびArkemaから商標名PLEXIGLAS VM、VSおよびVSUVTで市販されているものが挙げられる。
【0021】
意外なことに、ポリマーブレンドは、ここに記載されたようにメルトブローされたときに不織物(置き換え可能に、材料または布)を形成するように無作為に結合した均一性の高い長繊維を形成することが分かった。決して限定するものではなく、半結晶性ポリマーは、高速で剪断され、メルトブローで経る溶融結晶化温度を通過して急冷された場合でさえ、非晶質ポリマー(PMMA)とブレンドされた場合、結晶化すると仮定される。体積による結晶化度は、ここに記載された方法の最中に結晶化する半結晶性ポリマーの量からである。典型的に、結晶化する半結晶性ポリマーの量は、約1%、2%、5%または10%から、約50%、40%または30%である。それゆえ、70%の半結晶性ポリマー/30%の非晶質ポリマーのブレンドの結晶化度は、そのブレンドについて約35%の結晶化度となるであろう。
【0022】
高分子組成物の繊維状物品を形成する方法(例えば、メルトブロー法)において、ポリマーブレンドが、平均直径が約2または3から8、7または6マイクロメートルで、1から15マイクロメートルの直径を有する繊維を製造できるオリフィス温度での粘度を有することが望ましい。典型的に、ポリマーブレンドのMFRは、20または30から1500、1000、500、200、90または80グラム(210℃/10分、2.16kg)である。直径は、公知の画像解析技術を使用して、または手作業で、不織布の1つ以上の顕微鏡写真における多数の繊維(約100)の直径を測定することによって、決定することができる。
【0023】
さらなる実例として、非晶質ポリマーは、独国所在のTOPAS Advanced Polymers GmbHから商標名TOPAS COC(例えば、TOPAS 5013 COC)で市販されている環状オレフィン共重合体などの非晶質オレフィンポリマーであることがある。半結晶性ポリマーは、The Dow Chemical Company、Exxon、Totalなどから市販されているもの等の市販のポリエチレン、ポリプロピレンまたはその共重合体などのいずれの混和性である結晶性オレフィンポリマーであってもよい。例えば、半結晶性ポリオレフィンは、Total 3860ポリプロピレンであることがある。
【0024】
ポリマーブレンドは、このポリマーブレンドを溶融し、メルトブロー装置のダイオリフィスを通る所望のレオロジー挙動を有する液化供給物を実現するのに十分な溶融ポンプ温度に加熱される。オリフィスとダイは、メルトブローシステムに慣例的に使用されるもののいずれであってもよい。例えば、オリフィスは、約50または100マイクロメートルから400または300マイクロメートルの直径を有することがある。液化供給物は、オリフィスを通じて供給され、そこで、オリフィスから出た後、衝突し、任意の適切なガス(例えば、空気)を使用して、環状ガス流によって空隙中に吹き込まれる。オリフィスと、噴霧が堆積し、不織布を形成する基体との間の空隙中の噴霧(繊維状噴霧)に二次空気流を向けてもよい。
【0025】
ダイオリフィスを通る剪断速度は、本発明の所望の不織布を実現するのに十分であるべきである。典型的に、剪断速度は、少なくとも750 1/sから5000、4000または3500 1/sである。同様に、半結晶性ポリマーの溶融結晶化温度(典型的に、実例として、PLAについて約140℃から180℃)を通過する冷却速度は、所望の微細構造が形成されて、不織布の均一な繊維を形成できるように十分急速である。典型的に、冷却速度は、10、50、100、1000℃/分から5000℃/秒、4000℃/秒または3500℃/秒であり、これは、典型的に、ポリマーブレンドのほぼ溶融温度から約100℃までである。
【0026】
実例として、本発明の方法によりメルトブロー不織布を形成する場合、溶融ポンプ温度は、液化供給物を形成するために、半結晶性ポリマーの溶融温度より高く、典型的に、約175から250℃である。ポリマーブレンドは、押出機内で形成され、メルトブローダイにポンプで送られることがある。ダイ温度は、一般に、溶融ポンプ温度よりわずかに高い(すなわち、10%または20%高い)。例えば、溶融ポンプ温度が200℃であれば、ひいては、ダイ温度は、約220から250℃であるであろう。
【0027】
不織布の所望の微細構造を実現するための所望の冷却速度を確実にするために、ダイの排出から収集ロールに衝突するまでの空気設定温度は、典型的に、溶融ポンプ温度またはダイ温度より少なくとも約1.3、1.5、1.8またさらには1.9倍高い温度に設定され、これは、空気が、ダイから排出される繊維に衝突するまで、吹き出しオリフィスから吹き出される際に、いくぶん冷めることを理解の上である。環状ガス流および二次空気流の空気設定温度は、同じであっても、異なってもよい。
【0028】
意外なことに、ここに記載されたように製造された不織布は、圧力損失がたった2mmHg(水銀柱ミリメートル)(266Pa)で、98~99%の効率を有することがある。濾過効率および圧力損失は、0.1μmまたは0.2μmの塩(NaCl)直径と32L/分の気流速度で、TSI8130A装置を使用して測定することができる。説明のために、その布は、30%w/wのPMMAおよび70%w/wのPLAからなることがある。不織布材料は、例えば、フィルタまたはフィルタマスクを形成するために、帯電されることがある。この高分子組成物の表面電荷は、少なくとも50、100、200、500またさらには1000電子ボルトであることがある。表面電荷は、米国特許第5401446号明細書の第8欄、第6行から第21行に記載されているような市販の装置によって測定することができる。この布は、米国特許第2740184号、同第4215682号、同第4375718号、同第4588537号、同第4592815号、同第4904174号、同第5122048号、同第5401446号、および米国特許出願公開第2006/0079145号の各明細書に記載されたような、フィルタなどの布を帯電させるどの公知の方法によって表面が帯電されてもよい。帯電電圧は、電荷をフィルタに与えるのに有用などの電圧であってもよい。実例として、帯電電圧は、約2kVから50kVであることがある。
【0029】
不織布は、熱成形可能であることがある。実例として、PMMA/PLA布を所望の形状に成形するために、上述したPMMA/PLA布を固定具上に配置し、高温に加熱することができる。一般に、不織布を熱成形する場合、不織布は、不織布の繊維を変形させるのを避ける、転移温度とほぼ等しい、等しい、またはそれより高い温度に加熱されることがある。(加熱すべき)転移温度は、ポリマーブレンド中に存在するポリマーの転移温度であることがある。(加熱すべき)転移温度は、最低の転移温度(ポリマーブレンド中の他のポリマーと比べて)を有するポリマーの転移温度であることがある。
【0030】
本発明の不織布は、ブレンドポリマーの繊維からなることがあり、その繊維は、繊維の数の少なくとも90%が500マイクロメートルより長い長さおよびその繊維の長さに沿った各繊維の平均直径がその繊維の直径の平均の20%以内にある直径を有する。不織布は、500マイクロメートル、1ミリメートルまたは2ミリメートルより長い繊維の数が少なくとも約90%、95%、99%以上であることが望ましい。この不織布は、意外なことに、低布質量を有することがあり、より高い布質量が使用された場合でさえ、フィルタとして使用された場合、圧力損失が低いであろう。布質量は、例えば、25、50または100から300または200グラム/mであることがある。このフィルタは、典型的に、例えば、布質量が50超から300グラム/mである、または多層が使用される(層は、例えば、別個の布シートである)場合でさえ、最大で約5mmHg(666Pa)、4mmHg(533Pa)、2mmHg(266Pa)または1mmHg(133Pa)の圧力損失を有する。フィルタを製造するために、1つ以上の層が使用されることがある。フィルタは、典型的に、少なくとも95%または98%の効率を有することがある。フィルタは、ここに記載されたような微細構造のために、加熱された場合でさえ、表面電荷電位を保持することがある。例えば、表面電位は、典型的に、1時間に亘り70℃に曝露された後に、多くとも約10%しか低下せず、そのような加熱後に、効率は実質的に失われない、または効率は5%未満、3%未満、2%未満、または1%未満しか失われない。
【0031】
超高効率の布も、全てが1マイクロメートルから約0.05マイクロメートルの直径、および上述した長さを有する繊維から作られることが発見された。この実施の形態および先の段落に記載された実施の形態の両方について、繊維の長さに沿った直径は、意外なことに、良好な均一性を示す(ポリマーのほつれや溜まった小塊などの欠陥が実質的になく、これは、そのような欠陥が微量あるかもしれず、実例として、布の100倍の走査型電子顕微鏡写真を無作為に10枚選んで、1つか2つは欠陥があるかもしれないことを理解の上である)。図4は、そのような欠陥を示さない布を例示しており、一方で、図2は、そのような欠陥を豊富にたやすく示している。典型的に、各繊維は、多くとも約20%、10%、またさらには5%の平均からの標準偏差を有する平均直径を有し、この標準偏差は、250倍の顕微鏡写真内の繊維長に沿った一端から他端までの5から10の等距離点で約50の繊維を測定することによって、決定でき、公知の画像解析技術を利用しても、手動で測定されてもよい。
【0032】
意外なことに、ブレンドポリマーから作られた不織布は、圧力損失がたった2mmHg(水銀柱ミリメートル)(266Pa)で、98~99%の効率を有することがあり、ここに記載されたメルトブロー法により製造できる、ここに記載された繊維構造を有する。濾過効率および圧力損失は、TSI8130A装置を使用して測定した。0.1μmまたは0.2μmの塩(NaCl)直径による測定に、32L/分の気流速度を使用した。
【0033】
本発明のメルトブロー布が熱成形できることが有利である。実例として、PMMAおよびPLAから製造された布は、形状記憶特性を示すPMMA/PLAブレンドを製造するために、15から85%w/wのPMMA/PLAブレンド中のPMMAの量を有することがある。同様に、PMMA/PLAブレンド中のPLAの量は、形状記憶を示すPMMA/PLAブレンドを製造するために、15から85%w/wであることがある。形状記憶を示すPMMA/PLAブレンドを製造するために、15~85%w/wのPMMAを有し、15~85%w/wのPLAを有するPMMA/PLAブレンドを使用することができる。PMMA/PLAブレンドなどの不織布の形状記憶効果および成形性は、衝撃改質剤などのエラストマー添加剤を添加することによって、向上することがある。衝撃改質剤などのエラストマー添加剤は、混合物の総質量の0から25%w/wの濃度で添加することができる。固定具の周りにポリマーブレンドを形成して、それを永久的な形状にするために、加熱工程に、80から85℃の温度範囲が使用されることがある。あるいは、ポリマーブレンドは、加熱され、使用者の顔に合うように形成されることがある。
【0034】
外科手術用マスクを製造するために使用される多くの材料は、熱成形温度近くに加熱されたときに、高分子繊維の変形を経る。したがって、今日の多くの熱成形マスクは、製品の熱成形性を提供するために熱成形可能な材料の層を有する。これにより、本質的に、ここに記載されたような単層構造とは対照的に、多層構造がもたらされる。
【0035】
本発明の不織布は、今日の外科手術用マスクと比べて、使用者の顔とより良く密着するマスクを製造することができる。より良いフィット感は、異なるサイズと形状のマスクを提供することによって、消費者(マスクの着用者)に提供できるであろう。例えば、高分子繊維を変化または変形させずに熱成形できるフェイスマスクは、小型、中型、大型などのサイズに成形でき、使用者の顔により良くフィットするように、円形、楕円形、正方形、長方形などの異なる形状で提供できるであろう。個人の顔の成形型を製造し、その成形型の上に成形用サーモフォームマスクをフィットさせ、成形型上のマスク材料を加熱して、そのマスクに永久的な形状を与えることによって、特注の外科手術用マスクも製造できるであろう。
【0036】
本発明の不織布が、繊維を変形させずに熱成形マスクなどの熱成形布形状を形成するのに特に有用であることが見出された。典型的に、約50から約100℃の温度を使用して、PMMAおよびPLAから作られたフィルタなどの成形布を熱成形することができる。加熱され(軟化し)たマスクを使用者の顔に押し付けることができ、このマスクは、冷めるにつれて、使用者の顔の輪郭の形になる。熱成形マスクは、使用者の顔にきつく密着したフェイスマスクになる。少なくとも一部には、繊維は、熱成形の際に変形しないので、その形状を変更し、再びフィットさせたり、別の使途などのために成形したりすることができる(逆熱成形性)。開示された実施の形態に、形状記憶を示し、濾過を行える他のポリマーまたはポリマーブレンドも使用してよい。
【0037】
図3から9は、フィルタに有用なメルトブローPMMA/PLA布の走査型電子顕微鏡(SEM)の顕微鏡写真を示す。図3から9に示されるように、PMMA/PLAブレンド中の繊維は、個々の形状を維持し、変形していない。このことは、例えば、マスク用途に使用されるある種のポリプロピレン布とは対照的である。これらの布において、変形している繊維を視覚的に観察することができる(SEMを使用)。これらのポリプロピレン製マスクの布における変形は、互いに溶融して、より大きい繊維を形成する平行繊維として生じるであろう。この変形は、繊維の骨格に沿って分岐した(すなわち、繊維長さに沿ったほつれ)個々の繊維としても生じるであろう。変形や欠陥は、溜まったポリマーの小塊としても生じるであろう。上述した欠陥は、図2の市販のポリプロピレン製メルトブローフィルタに説明され、示されている。
【実施例
【0038】
不織布フィルタは、直径200マイクロメートルのオリフィスを有するダイに通してメルトブローすることによって製造される。その組成は、表1に別記されていない限り、70質量%のPLA(INGEO Biopolymer 625F)および30質量%のPMMA(PLASKOLITE CA41)である。溶融押出機の温度(溶融ポンプ温度)は約230から250℃であり、ダイ温度は200℃に設定され、吹き出し空気設定温度は380℃であり、空気圧は40ポンド毎平方インチ(約276kPa)である。収集機の距離は、表1に記載されているようなものである。塩サイズが、表1に示され、ここに記載されたように、0.1および0.2マイクロメートルであったことを除いて、フィルタは、特許文献1(第28段落)に記載されたのと類似の様式で、塩粒子に試験した。電荷増大添加剤が添加されたか、またはこれも表1に示されたように、布がポリプロピレンで製造されたことを除いて、同じ様式で、比較例は製造されている。
【0039】
表1から、本発明のフィルタは、帯電した場合、そのようなフィルタに典型的に使用されるポリプロピレンと比べて、所定の圧力損失で、より高い効率を有する(実施例6および7対比較例5および6を参照のこと)ことが容易に明白である。同様に、本発明のフィルタは、質量がより重い布について圧力損失がずっと低く、より強固な通気性フィルタが得られることが極めて明白である。意外なことに、本発明のフィルタおよび高分子組成物は、典型的なポリプロピレン製フィルタのような電荷増大添加剤を必要としない(比較例1~3参照のこと)。これは、所望の微細構造に悪影響を与える添加剤によるものであろう。
【0040】
実施例8は、メルトブローされたポリマーブレンドが、環状オレフィン共重合体であるTOPAS 5013である30質量%の非晶質ポリマーおよび70質量%の半結晶性ポリプロピレンのTotal 3860Xからなることを除いて、実施例1に記載されたのと同じやり方で製造されている。このポリマーは、直径27mmのバレル(40/1の長さ対直径)を有するLeistritz二軸押出機内において250℃で共に溶融ブレンドされた。また、メルトブローポンプ温度は、約200℃と270℃の間であり、ダイ温度は240℃と300℃の間であり、空気設定温度は、約350℃と400℃の間である。オリフィスから収集スプールまでの距離(空隙)は、5インチ(約12.5cm)である。形成された布が図10に示されており、これは、ファイバが、ここに記載されたような欠陥がなく、均一で、実質的に透明であることを示す。
【0041】
【表1】
【符号の説明】
【0042】
800 メルトブロー押出システム
801 押出機
802 ホッパー
803 ノズル開口
804 吹かれた材料
805 回転円柱面
806 位置
807 固体シート/フイルム
808 第2の回転円柱
810 スプール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-05-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、メルトブロー物品の形成に関する。本発明は、特に、ポリ乳酸/ポリ(メチルメタクリレート)ポリマーブレンドなどの、混和性である結晶性/半結晶性ポリマーおよび非晶質ポリマーのメルトブローポリマーブレンドから構成された不織布に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマーのメルトブローは、ポリマーの溶融を含み、このポリマーは、次に、オリフィスに通され、環状の熱風で吹かれて、マイクロまたはナノ直径繊維を形成する。液化した繊維は、空隙を移動し、巻取スプールに衝突して、不織繊維布を形成する。従来の布は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、およびポリ(メチルメタクリレート)などの多くのポリマーから製造されている。典型的にメルトブロー法によって製造された布は、典型的に、実質的に不均一な長さと直径の繊維、ほつれた繊維および溜まったポリマーの小塊を有する不織布を形成し、例えば、フィルタとして使用された場合、布に亘り、わずかに不均一な挙動および望ましくはない圧力損失が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、上述したようなメルトブロー不織布を形成する上での1つ以上の問題を克服したメルトブロー法を提供すること、および具体的に、所望の圧力損失および濾過均一性を有する不織布を提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
混和性である結晶性/半結晶性ポリマー(そのようなポリマーは実質的に結晶性であろうという理解の下で、ここでは「半結晶性ポリマー」と称される)および非晶質ポリマーの特定のブレンドが、長さが長く、直径が均一な繊維を形成できることが分かった。決して限定するものではなく、半結晶性ポリマーの溶融温度より十分に低いTg(ガラス転移温度)を有する非晶質ポリマーを十分な量で混合すると、ブレンドされたポリマーが、メルトブローされたときに一貫したレオロジーを実現し、互いに結合した所望の繊維を与えて、上述した欠陥なく、不織布を形成できると考えられる。
【0005】
本発明の第1の態様は、不織布材料を製造する方法であって、a)非晶質熱可塑性ポリマーおよび熱可塑性半結晶性ポリマーを含むブレンドポリマーを供給する工程であって、ポリマーの各々が、他方に実質的に混和性であり、0.05超から約20の非晶質ポリマー/半結晶性ポリマーの質量比でブレンドされている、工程、b)ブレンドポリマーを、このブレンドポリマーを溶融して液化供給物を形成する溶融ポンプ温度に加熱する工程、c)液化供給物を、溶融ポンプ温度より高いオリフィス温度でオリフィスに通して押し出し、その液化供給物を、オリフィス温度より高い空気設定温度を有する環状ガス流で吹いて、噴霧を形成する工程、d)その噴霧を空隙内で冷却する工程、およびe)基体上にその噴霧を堆積させて、不織布材料を形成する工程を有してなる方法である。
【0006】
不織布は、非晶質熱可塑性ポリマーおよび熱可塑性半結晶性ポリマーを含むブレンドポリマーの繊維から作られ、ポリマーの各々は、他方に実質的に混和性であり、0.05超から約20の非晶質ポリマー/半結晶性ポリマーの質量比でブレンドされており、繊維は、約0.5マイクロメートルから15マイクロメートルの直径および約2から8マイクロメートルの平均直径を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
開示された非限定的な実施の形態は、同様の番号が同様の要素を示している、ここに付随の、その一部を形成する図面に関して議論される。
図1】例示のメルトブロー押出装置の概略図
図2】市販のメルトブローポリプロピレン製フィルタマスクの走査型電子顕微鏡写真
図3】本発明のPMMA/PLA布(ポリ(メチルメタクリレート)/ポリ乳酸)の走査型電子顕微鏡画像
図4】本発明のPMMA/PLA布の走査型電子顕微鏡画像
図5】本発明のPMMA/PLA布の走査型電子顕微鏡画像
図6】本発明のPMMA/PLA布の走査型電子顕微鏡画像
図7】本発明のPMMA/PLA布の走査型電子顕微鏡画像
図8】本発明のPMMA/PLA布の走査型電子顕微鏡画像
図9】本発明のPMMA/PLA布の走査型電子顕微鏡画像
図10】本発明の半結晶性ポリプロピレンおよび非晶質ポリプロピレン布の光学顕微鏡写真
【発明を実施するための形態】
【0008】
フィルタやマスクとして有用な不織布材料は、様々な材料から製造することができ、その材料としては、ポリマー、ポリマーブレンド、形状記憶材料、形状記憶ポリマー、および形状記憶ポリマーブレンドの内の1つ以上が挙げられるであろう。
【0009】
本発明の方法は、メルトブロー方法である。メルトブロー法を説明するために、図1は、例示のメルトブロー押出システム800を示す。押出機801は、ホッパー802からポリマー供給物を受け取り、その供給物を液化し、ノズル開口803を通して液化供給材料を吹く/噴霧する。ノズル開口803を通して液化供給材料を吹く/噴霧するのを支援するために、高速風(図示せず)が使用されることがある。吹かれた材料804は、空気中を移動し、回転円柱面805上に堆積される。その円柱面は、矢印805aで示された方向に回転しているのが示されている。吹かれた材料804が位置806で回転円柱面805上に堆積されたときに、その材料は冷めて、固体になる。固体シート/フイルム807は、矢印808aで示された方向に回転している第2の回転円柱808により引っ張られる。新たに加えられたシート/フイルム材料が、809でメルトブロー高分子のスプール810上に加えられる。
【0010】
図2は、メルトブローポリプロピレンから製造された市販のフィルタマスクの顕微鏡写真を示す。この図から、この布には、ほつれた繊維、融合繊維、溜まったポリマーの小塊などの欠陥があるのが容易に明白である。
【0011】
不織布材料を形成する方法は、非晶質熱可塑性ポリマーおよび熱可塑性半結晶性ポリマーを含むブレンドポリマーを供給する工程を含み、ポリマーの各々は、他方に実質的に混和性であり、0.05超から約20の非晶質ポリマー/半結晶性ポリマーの質量比でブレンドされている。実質的に混和性であるとは、DSCにより決定され、ここに引用される、2021年6月8日に出願された同時係属の米国仮特許出願第63/208243号明細書にさらに記載されているような、ガラス転移温度が明らかには異ならないことを意味する。
【0012】
非晶質ポリマーおよび半結晶性ポリマーは、そのブレンドが所望の不織布材料を実現するような質量比で混合される。混合され、ブレンドされる非晶質ポリマー/半結晶性ポリマーの質量比は、1超から約20であることがある。その比が約2または3から約15または10であることが望ましい。決して限定するものではなく、半結晶性ポリマーおよび非晶質ポリマーの溶融温度の間の差および比での混和性ポリマーの組合せにより、繊維自体のほつれおよびポリマーの小塊などの他の欠陥なく、直径がより均一なメルトブロー長繊維を形成することができる。
【0013】
半結晶性ポリマーは、そのようなポリマーを形成するまたは配合するときに通常経験する速度(例えば、約25℃の周囲温度から溶融温度まで加熱し、冷却する速度)で加熱し、冷却された場合、少なくとも約5%の結晶化度から実質的に完全な結晶性を示すどの熱可塑性有機ポリマーであってもよい。すなわち、そのポリマーは、当該技術分野で公知の方法(例えば、溶媒誘起結晶化など)などの強制結晶化方法を用いずに、結晶化度を示す。一般に、結晶化度の量は、少なくとも5%、10%、15%または20%から約95%、75%、50%または30%である。結晶化度は、当該技術分野で公知の方法などのいずれの適切な方法により決定されてもよい。説明のために、結晶化度パーセントは、例えば、Rigaku SmartLab X線回折計を使用することなどの、広角X線回折(WAXD)を含むX線回折によって、または、ASTM D3418-15を利用した、TA Instruments DSC250示差走査熱量計を使用することなどの、示差走査熱量測定(DSC)(示差走査熱量測定(DSC)によって結晶化度を決定する場合、特に明記のない限り、20℃/分の加熱または冷却速度が使用される)によって、決定することができる。例示の結晶性ポリマーとしては、鎖状構造に応じて、特定のポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびその共重合体)などが挙げられるであろう。
【0014】
非晶質ポリマーは、先の段落に記載されたような速度で加熱および冷却されたときの、先の段落に記載されたように測定された結晶化度を実質的に示さない(検出可能であったとしても微量)どの熱可塑性有機ポリマーであってもよい。例示の非晶質ポリマーとしては、鎖状構造に応じて、特定のポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィンなどが挙げられるであろう。
【0015】
一般に、半結晶性ポリマーの溶融温度(Tm)は、非晶質ポリマーの転移温度(Tg)よりも高い。非晶質ポリマーのTgは、Tmよりも約20℃から150または250℃低いことがある。非晶質ポリマーのTgは、約60℃、80℃または100℃から約140℃または120℃であることが望ましく、半結晶性ポリマーは、少なくとも約160℃から約300℃、250℃、225℃、200℃または180℃のTmを有する。Tmは、溶融ピークの中点を使用するASTM D3418により記載されているように、DSCプロットの溶融ピークから決定される。非晶質ポリマーのTgは、ガラス転移温度の中点を使用するASTM D3418によって、DSCプロットから決定される。
【0016】
非晶質ポリマーと半結晶性ポリマーの溶融ブレンドは、当該技術分野で公知のものなどのいずれの適切な方法および装置によって行われてもよい。例としては、高強度ミキサおよびスクリュー押出機(例えば、単軸および二軸スクリュー押出機)が挙げられる。剪断の量は、ポリマーブレンドを形成するためにブレンドおよび配合を促進させるのに有用ないずれの量であってもよい。押出機は、1つの温度に保持されても、2つのポリマーの配合を促進するために、押出機の長さに沿って勾配を有してもよい。その温度は、ポリマーブレンドを形成するのに十分な、例えば、特定の縮合ポリマーが劣化し始める温度をわずかに下回るいずれの温度であってもよい。典型的に、その温度は、半結晶性ポリマーの溶融温度の100℃、50℃または25℃以内の温度であることがある。典型的な温度は、約150℃、175℃または200℃から約300℃または250℃であることがある。剪断は、配合押出機内でのポリマーの配合を実施する際に典型的に使用されるいずれの剪断であってよい。時間は、同様に、ポリマーが互いに均一に溶解している(先に記載されたように混和性である)ブレンドポリマーを実現するのに十分などの時間であってもよい。典型的な時間は、1から2分から1時間かそこらであろう。ブレンドポリマーは、任意の形状のペレットなど、半結晶性ブレンドポリマーを形成するためのどの有用な形状に押し出され、造形されてもよい。
【0017】
実例は、約15%から約85%のPMMAと残りのPLAから構成されることがある。その組成物が、最大で約50%のPMMAから構成されることが望ましい。PLAは、L-ラクチド、D-ラクチド、またはその組合せを使用して形成されたものなど、PLAのどの形態であってもよい。L-ラクチドの量が、PLAの製造に使用される単量体の少なくとも50質量%、60質量%、70質量%、80質量%または90質量%から98質量%または100質量%(100質量%は、微量のD-ラクチドを含むことがある)であることが望ましい。結晶性または半結晶性ポリマーを容易に形成する当該技術分野で公知のものなどの他のポリエステルも使用してよい。
【0018】
PLAまたは半結晶性ポリマーは、所望のメルトフローレート(MFR)を有するPMMAまたは非晶質ポリマーとのブレンドを実現するためにどのMwを有してもよい。典型的に、半結晶性ポリマーは、約10kDaから500kDaの重量平均分子量(Mw)を有することがある。半結晶性ポリマーのメルトフローレート(MFR)は、不織布を形成するのに有用ないずれのメルトフローレートであってもよい。説明のために、ポリマーブレンドのMFRは、25、50、60または70から90、100、125または150グラム(210℃/10分、2.16kg)であることがある。PMMAと組み合わされたときの適切なPLAの例が、NatureWorks LLCから商標名INGEO Biopolymer 625Fおよび3260HP、並びにTotal Corbion PLAからLUMINY L105で市販されている。
【0019】
PMMAは、当該技術分野に公知のものなど、どの適切なPMMAであってもよく、PMMAが、高速剪断および急冷を可能にするレオロジー挙動を示しつつ、それでも、所望の結晶化度およびPLA/PMMAブレンドの帯電能力を実現できる限り、10kDaから3MDaなど、幅広い様々なMwを有してもよい。PMMAは、衝撃強度または熱安定性などの1つ以上の特性を改善するために、当該技術分野で一般に使用されているもの(例えば、メチルアクリレート、ブチルアクリレートなど)などのコモノマーをわずかに(例えば、約5%未満、2%未満、または1%未満)含んで製造されることがある。
【0020】
非晶質ポリマーのメルトフローレートは、不織布または材料を形成するのに有用などのMFRであってもよい。説明のために、非晶質ポリマーのMFRは、半結晶性ポリマーと組み合わされたときに、ここに記載されたような所望の繊維の直径および長さを実現するものである。一般に、非晶質ポリマーのMFRは、1、2、5または10から100、50、40または30グラム(230℃/10分、3.8kg)であることがある。実例として、有用であろうPMMAとしては、PLASKOLITEから商標名CA41で市販されているもの、およびArkemaから商標名PLEXIGLAS VM、VSおよびVSUVTで市販されているものが挙げられる。
【0021】
意外なことに、ポリマーブレンドは、ここに記載されたようにメルトブローされたときに不織物(置き換え可能に、材料または布)を形成するように無作為に結合した均一性の高い長繊維を形成することが分かった。決して限定するものではなく、半結晶性ポリマーは、高速で剪断され、メルトブローで経る溶融結晶化温度を通過して急冷された場合でさえ、非晶質ポリマー(PMMA)とブレンドされた場合、結晶化すると仮定される。体積による結晶化度は、ここに記載された方法の最中に結晶化する半結晶性ポリマーの量からである。典型的に、結晶化する半結晶性ポリマーの量は、約1%、2%、5%または10%から、約50%、40%または30%である。それゆえ、70%の半結晶性ポリマー/30%の非晶質ポリマーのブレンドの結晶化度は、そのブレンドについて約35%の結晶化度となるであろう。
【0022】
高分子組成物の繊維状物品を形成する方法(例えば、メルトブロー法)において、ポリマーブレンドが、平均直径が約2または3から8、7または6マイクロメートルで、1から15マイクロメートルの直径を有する繊維を製造できるオリフィス温度での粘度を有することが望ましい。典型的に、ポリマーブレンドのMFRは、20または30から1500、1000、500、200、90または80グラム(210℃/10分、2.16kg)である。直径は、公知の画像解析技術を使用して、または手作業で、不織布の1つ以上の顕微鏡写真における多数の繊維(約100)の直径を測定することによって、決定することができる。
【0023】
さらなる実例として、非晶質ポリマーは、独国所在のTOPAS Advanced Polymers GmbHから商標名TOPAS COC(例えば、TOPAS 5013 COC)で市販されている環状オレフィン共重合体などの非晶質オレフィンポリマーであることがある。半結晶性ポリマーは、The Dow Chemical Company、Exxon、Totalなどから市販されているもの等の市販のポリエチレン、ポリプロピレンまたはその共重合体などのいずれの混和性である結晶性オレフィンポリマーであってもよい。例えば、半結晶性ポリオレフィンは、Total 3860ポリプロピレンであることがある。
【0024】
ポリマーブレンドは、このポリマーブレンドを溶融し、メルトブロー装置のダイオリフィスを通る所望のレオロジー挙動を有する液化供給物を実現するのに十分な溶融ポンプ温度に加熱される。オリフィスとダイは、メルトブローシステムに慣例的に使用されるもののいずれであってもよい。例えば、オリフィスは、約50または100マイクロメートルから400または300マイクロメートルの直径を有することがある。液化供給物は、オリフィスを通じて供給され、そこで、オリフィスから出た後、衝突し、任意の適切なガス(例えば、空気)を使用して、環状ガス流によって空隙中に吹き込まれる。オリフィスと、噴霧が堆積し、不織布を形成する基体との間の空隙中の噴霧(繊維状噴霧)に二次空気流を向けてもよい。
【0025】
ダイオリフィスを通る剪断速度は、本発明の所望の不織布を実現するのに十分であるべきである。典型的に、剪断速度は、少なくとも750 1/sから5000、4000または3500 1/sである。同様に、半結晶性ポリマーの溶融結晶化温度(典型的に、実例として、PLAについて約140℃から180℃)を通過する冷却速度は、所望の微細構造が形成されて、不織布の均一な繊維を形成できるように十分急速である。典型的に、冷却速度は、10、50、100、1000℃/分から5000℃/秒、4000℃/秒または3500℃/秒であり、これは、典型的に、ポリマーブレンドのほぼ溶融温度から約100℃までである。
【0026】
実例として、本発明の方法によりメルトブロー不織布を形成する場合、溶融ポンプ温度は、液化供給物を形成するために、半結晶性ポリマーの溶融温度より高く、典型的に、約175から250℃である。ポリマーブレンドは、押出機内で形成され、メルトブローダイにポンプで送られることがある。ダイ温度は、一般に、溶融ポンプ温度よりわずかに高い(すなわち、10%または20%高い)。例えば、溶融ポンプ温度が200℃であれば、ひいては、ダイ温度は、約220から250℃であるであろう。
【0027】
不織布の所望の微細構造を実現するための所望の冷却速度を確実にするために、ダイの排出から収集ロールに衝突するまでの空気設定温度は、典型的に、溶融ポンプ温度またはダイ温度より少なくとも約1.3、1.5、1.8またさらには1.9倍高い温度に設定され、これは、空気が、ダイから排出される繊維に衝突するまで、吹き出しオリフィスから吹き出される際に、いくぶん冷めることを理解の上である。環状ガス流および二次空気流の空気設定温度は、同じであっても、異なってもよい。
【0028】
意外なことに、ここに記載されたように製造された不織布は、圧力損失がたった2mmHg(水銀柱ミリメートル)(266Pa)で、98~99%の効率を有することがある。濾過効率および圧力損失は、0.1μmまたは0.2μmの塩(NaCl)直径と32L/分の気流速度で、TSI8130A装置を使用して測定することができる。説明のために、その布は、30%w/wのPMMAおよび70%w/wのPLAからなることがある。不織布材料は、例えば、フィルタまたはフィルタマスクを形成するために、帯電されることがある。この高分子組成物の表面電荷は、少なくとも50、100、200、500またさらには1000電子ボルトであることがある。表面電荷は、米国特許第5401446号明細書の第8欄、第6行から第21行に記載されているような市販の装置によって測定することができる。この布は、米国特許第2740184号、同第4215682号、同第4375718号、同第4588537号、同第4592815号、同第4904174号、同第5122048号、同第5401446号、および米国特許出願公開第2006/0079145号の各明細書に記載されたような、フィルタなどの布を帯電させるどの公知の方法によって表面が帯電されてもよい。帯電電圧は、電荷をフィルタに与えるのに有用などの電圧であってもよい。実例として、帯電電圧は、約2kVから50kVであることがある。
【0029】
不織布は、熱成形可能であることがある。実例として、PMMA/PLA布を所望の形状に成形するために、上述したPMMA/PLA布を固定具上に配置し、高温に加熱することができる。一般に、不織布を熱成形する場合、不織布は、不織布の繊維を変形させるのを避ける、転移温度とほぼ等しい、等しい、またはそれより高い温度に加熱されることがある。(加熱すべき)転移温度は、ポリマーブレンド中に存在するポリマーの転移温度であることがある。(加熱すべき)転移温度は、最低の転移温度(ポリマーブレンド中の他のポリマーと比べて)を有するポリマーの転移温度であることがある。
【0030】
本発明の不織布は、ブレンドポリマーの繊維からなることがあり、その繊維は、繊維の数の少なくとも90%が500マイクロメートルより長い長さおよびその繊維の長さに沿った各繊維の平均直径がその繊維の直径の平均の20%以内にある直径を有する。不織布は、500マイクロメートル、1ミリメートルまたは2ミリメートルより長い繊維の数が少なくとも約90%、95%、99%以上であることが望ましい。この不織布は、意外なことに、低布質量を有することがあり、より高い布質量が使用された場合でさえ、フィルタとして使用された場合、圧力損失が低いであろう。布質量は、例えば、25、50または100から300または200グラム/mであることがある。このフィルタは、典型的に、例えば、布質量が50超から300グラム/mである、または多層が使用される(層は、例えば、別個の布シートである)場合でさえ、最大で約5mmHg(666Pa)、4mmHg(533Pa)、2mmHg(266Pa)または1mmHg(133Pa)の圧力損失を有する。フィルタを製造するために、1つ以上の層が使用されることがある。フィルタは、典型的に、少なくとも95%または98%の効率を有することがある。フィルタは、ここに記載されたような微細構造のために、加熱された場合でさえ、表面電荷電位を保持することがある。例えば、表面電位は、典型的に、1時間に亘り70℃に曝露された後に、多くとも約10%しか低下せず、そのような加熱後に、効率は実質的に失われない、または効率は5%未満、3%未満、2%未満、または1%未満しか失われない。
【0031】
超高効率の布も、全てが1マイクロメートルから約0.05マイクロメートルの直径、および上述した長さを有する繊維から作られることが発見された。この実施の形態および先の段落に記載された実施の形態の両方について、繊維の長さに沿った直径は、意外なことに、良好な均一性を示す(ポリマーのほつれや溜まった小塊などの欠陥が実質的になく、これは、そのような欠陥が微量あるかもしれず、実例として、布の100倍の走査型電子顕微鏡写真を無作為に10枚選んで、1つか2つは欠陥があるかもしれないことを理解の上である)。図4は、そのような欠陥を示さない布を例示しており、一方で、図2は、そのような欠陥を豊富にたやすく示している。典型的に、各繊維は、多くとも約20%、10%、またさらには5%の平均からの標準偏差を有する平均直径を有し、この平均直径は、250倍の顕微鏡写真内の繊維長に沿った一端から他端までの5から10の等距離点で約50の繊維を測定することによって、決定でき、公知の画像解析技術を利用しても、手動で測定されてもよい。
【0032】
意外なことに、ブレンドポリマーから作られた不織布は、圧力損失がたった2mmHg(水銀柱ミリメートル)(266Pa)で、98~99%の効率を有することがあり、ここに記載されたメルトブロー法により製造できる、ここに記載された繊維構造を有する。濾過効率および圧力損失は、TSI8130A装置を使用して測定した。0.1μmまたは0.2μmの塩(NaCl)直径による測定に、32L/分の気流速度を使用した。
【0033】
本発明のメルトブロー布が熱成形できることが有利である。実例として、PMMAおよびPLAから製造された布は、形状記憶特性を示すPMMA/PLAブレンドを製造するために、15から85%w/wのPMMA/PLAブレンド中のPMMAの量を有することがある。同様に、PMMA/PLAブレンド中のPLAの量は、形状記憶を示すPMMA/PLAブレンドを製造するために、15から85%w/wであることがある。形状記憶を示すPMMA/PLAブレンドを製造するために、15~85%w/wのPMMAを有し、15~85%w/wのPLAを有するPMMA/PLAブレンドを使用することができる。PMMA/PLAブレンドなどの不織布の形状記憶効果および成形性は、衝撃改質剤などのエラストマー添加剤を添加することによって、向上することがある。衝撃改質剤などのエラストマー添加剤は、混合物の総質量の0から25%w/wの濃度で添加することができる。固定具の周りにポリマーブレンドを形成して、それを永久的な形状にするために、加熱工程に、80から85℃の温度範囲が使用されることがある。あるいは、ポリマーブレンドは、加熱され、使用者の顔に合うように形成されることがある。
【0034】
外科手術用マスクを製造するために使用される多くの材料は、熱成形温度近くに加熱されたときに、高分子繊維の変形を経る。したがって、今日の多くの熱成形マスクは、製品の熱成形性を提供するために熱成形可能な材料の層を有する。これにより、本質的に、ここに記載されたような単層構造とは対照的に、多層構造がもたらされる。
【0035】
本発明の不織布は、今日の外科手術用マスクと比べて、使用者の顔とより良く密着するマスクを製造することができる。より良いフィット感は、異なるサイズと形状のマスクを提供することによって、消費者(マスクの着用者)に提供できるであろう。例えば、高分子繊維を変化または変形させずに熱成形できるフェイスマスクは、小型、中型、大型などのサイズに成形でき、使用者の顔により良くフィットするように、円形、楕円形、正方形、長方形などの異なる形状で提供できるであろう。個人の顔の成形型を製造し、その成形型の上に成形用サーモフォームマスクをフィットさせ、成形型上のマスク材料を加熱して、そのマスクに永久的な形状を与えることによって、特注の外科手術用マスクも製造できるであろう。
【0036】
本発明の不織布が、繊維を変形させずに熱成形マスクなどの熱成形布形状を形成するのに特に有用であることが見出された。典型的に、約50から約100℃の温度を使用して、PMMAおよびPLAから作られたフィルタなどの成形布を熱成形することができる。加熱され(軟化し)たマスクを使用者の顔に押し付けることができ、このマスクは、冷めるにつれて、使用者の顔の輪郭の形になる。熱成形マスクは、使用者の顔にきつく密着したフェイスマスクになる。少なくとも一部には、繊維は、熱成形の際に変形しないので、その形状を変更し、再びフィットさせたり、別の使途などのために成形したりすることができる(逆熱成形性)。開示された実施の形態に、形状記憶を示し、濾過を行える他のポリマーまたはポリマーブレンドも使用してよい。
【0037】
図3から9は、フィルタに有用なメルトブローPMMA/PLA布の走査型電子顕微鏡(SEM)の顕微鏡写真を示す。図3から9に示されるように、PMMA/PLAブレンド中の繊維は、個々の形状を維持し、変形していない。このことは、例えば、マスク用途に使用されるある種のポリプロピレン布とは対照的である。これらの布において、変形している繊維を視覚的に観察することができる(SEMを使用)。これらのポリプロピレン製マスクの布における変形は、互いに溶融して、より大きい繊維を形成する平行繊維として生じるであろう。この変形は、繊維の骨格に沿って分岐した(すなわち、繊維長さに沿ったほつれ)個々の繊維としても生じるであろう。変形や欠陥は、溜まったポリマーの小塊としても生じるであろう。上述した欠陥は、図2の市販のポリプロピレン製メルトブローフィルタに説明され、示されている。
【実施例
【0038】
不織布フィルタは、直径200マイクロメートルのオリフィスを有するダイに通してメルトブローすることによって製造される。その組成は、表1に別記されていない限り、70質量%のPLA(INGEO Biopolymer 625F)および30質量%のPMMA(PLASKOLITE CA41)である。溶融押出機の温度(溶融ポンプ温度)は約230から250℃であり、ダイ温度は200℃に設定され、吹き出し空気設定温度は380℃であり、空気圧は40ポンド毎平方インチ(約276kPa)である。収集機の距離は、表1に記載されているようなものである。塩サイズが、表1に示され、ここに記載されたように、0.1および0.2マイクロメートルであったことを除いて、フィルタは、特許文献1(第28段落)に記載されたのと類似の様式で、塩粒子に試験した。電荷増大添加剤が添加されたか、またはこれも表1に示されたように、布がポリプロピレンで製造されたことを除いて、同じ様式で、比較例は製造されている。
【0039】
表1から、本発明のフィルタは、帯電した場合、そのようなフィルタに典型的に使用されるポリプロピレンと比べて、所定の圧力損失で、より高い効率を有する(実施例6および7対比較例5および6を参照のこと)ことが容易に明白である。同様に、本発明のフィルタは、質量がより重い布について圧力損失がずっと低く、より強固な通気性フィルタが得られることが極めて明白である。意外なことに、本発明のフィルタおよび高分子組成物は、典型的なポリプロピレン製フィルタのような電荷増大添加剤を必要としない(比較例1~3参照のこと)。これは、所望の微細構造に悪影響を与える添加剤によるものであろう。
【0040】
実施例8は、メルトブローされたポリマーブレンドが、環状オレフィン共重合体であるTOPAS 5013である30質量%の非晶質ポリマーおよび70質量%の半結晶性ポリプロピレンのTotal 3860Xからなることを除いて、実施例1に記載されたのと同じやり方で製造されている。このポリマーは、直径27mmのバレル(40/1の長さ対直径)を有するLeistritz二軸押出機内において250℃で共に溶融ブレンドされた。また、メルトブローポンプ温度は、約200℃と270℃の間であり、ダイ温度は240℃と300℃の間であり、空気設定温度は、約350℃と400℃の間である。オリフィスから収集スプールまでの距離(空隙)は、5インチ(約12.5cm)である。形成された布が図10に示されており、これは、ファイバが、ここに記載されたような欠陥がなく、均一で、実質的に透明であることを示す。
【0041】
【表1】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0042】
実施形態1
不織布材料を製造する方法であって、
a)非晶質熱可塑性ポリマーおよび熱可塑性半結晶性ポリマーを含むブレンドポリマーを供給する工程であって、前記ポリマーの各々が、他方に実質的に混和性であり、0.05超から約20の非晶質ポリマー/半結晶性ポリマーの質量比でブレンドされている、工程、
b)前記ブレンドポリマーを、該ブレンドポリマーを溶融して液化供給物を形成する溶融ポンプ温度に加熱する工程、
c)前記液化供給物を、前記溶融ポンプ温度より高いオリフィス温度でオリフィスに通して押し出し、該液化供給物を、空気設定温度を有する環状ガス流で吹いて、噴霧を形成する工程、
d)前記噴霧を空隙内で冷却する工程、および
e)基体上に前記噴霧を堆積させて、前記不織布材料を形成する工程、
を有してなる方法。
【0043】
実施形態2
前記不織布材料が布である、前記不織布材料を製造する方法。
【0044】
実施形態3
前記不織布材料のシートが、該不織布材料の繊維を変形させずに、熱成形可能である、実施形態2に記載の方法。
【0045】
実施形態4
前記不織布材料のシートが、98%超の濾過効率を有する、実施形態3に記載の方法。
【0046】
実施形態5
前記不織布材料のシートが、2mmHg以下の圧力損失を有する、実施形態4に記載の方法。
【0047】
実施形態6
前記不織布材料を電場に通過させる工程をさらに含む、実施形態1から5いずれか1つに記載の方法。
【0048】
実施形態7
前記ブレンドポリマーが、ポリ(メチルメタクリレート)およびポリ乳酸から作られ、該ポリ(メチルメタクリレート)が、該ブレンドポリマー中に、該ブレンドポリマーの約5質量%から85質量%で存在し、残りがポリ乳酸である、実施形態1から6いずれか1つに記載の方法。
【0049】
実施形態8
前記ポリ(メチルメタクリレート)が、前記ブレンドポリマーの約50質量%未満の量で存在する、実施形態1から7いずれか1つに記載の方法。
【0050】
実施形態9
前記ポリ乳酸が、L-ラクチド、D-ラクチド、またはその組合せの重合により作られている、実施形態7または8に記載の方法。
【0051】
実施形態10
前記L-ラクチドが前記ポリ乳酸の少なくとも50質量%から100質量%の量で存在する、実施形態9に記載の方法。
【0052】
実施形態11
前記ポリマーブレンドのメルトフローレートが、約5から100グラム(210℃/分、2.6kg)である、実施形態1から10いずれか1つに記載の方法。
【0053】
実施形態12
前記不織布材料が、約1マイクロメートルから約15マイクロメートルの直径を有する繊維を有する布である、実施形態1から11いずれか1つに記載の方法。
【0054】
実施形態13
前記布が、約0.1m /gから120m /gの比表面積を有する、実施形態12に記載の方法。
【0055】
実施形態14
前記半結晶性ポリマーが、約10から100グラム(210℃/分、2.6kg)のメルトフローレートを有する、実施形態1から13いずれか1つに記載の方法。
【0056】
実施形態15
前記半結晶性ポリマーのメルトフローレートが、約50から80グラムである、実施形態14に記載の方法。
【0057】
実施形態16
前記非晶質ポリマーが、約1から100グラム(230℃/分、3.8kg)のメルトフローレートを有する、実施形態1から15いずれか1つに記載の方法。
【0058】
実施形態17
前記空気設定温度が、前記オリフィス温度より少なくとも1.3倍高い、実施形態1から16いずれか1つに記載の方法。
【0059】
実施形態18
前記空気設定温度が、前記オリフィス温度より約1.8倍から約3倍高い、実施形態17に記載の方法。
【0060】
実施形態19
前記溶融ポンプ温度が約175℃から約250℃である、実施形態17または18に記載の方法。
【0061】
実施形態20
溶融ブレンドが、10から80グラム(210℃/分、2.6kg)のメルトフローレートを有する、実施形態17から19いずれか1つに記載の方法。
【0062】
実施形態21
前記非晶質熱可塑性ポリマーが約60℃から約120℃のガラス転移温度を有し、前記半結晶性熱可塑性ポリマーが、少なくとも140℃のDSCで決定された溶融温度を有する、実施形態1から20いずれか1つに記載の方法。
【0063】
実施形態22
前記非晶質熱可塑性ポリマーが約100℃から約120℃のガラス転移温度を有し、前記半結晶性熱可塑性ポリマーが、少なくとも140℃から約200℃のDSCで決定された溶融温度を有する、実施形態21に記載の方法。
【0064】
実施形態23
前記半結晶性ポリマーと前記非晶質ポリマーが、ポリエステルとポリアクリレートまたはポリメタクリレート、もしくは半結晶性ポリオレフィンと非晶質ポリオレフィンである、実施形態1から22いずれか1つに記載の方法。
【0065】
実施形態24
前記半結晶性ポリマーがポリ乳酸であり、前記非晶質ポリマーがポリ(メチルメタクリレート)である、実施形態23に記載の方法。
【0066】
実施形態25
前記半結晶性ポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはその共重合体であり、前記非晶質ポリマーが環状オレフィン共重合体である、実施形態23に記載の方法。
【0067】
実施形態26
非晶質熱可塑性ポリマーおよび熱可塑性半結晶性ポリマーから構成されたブレンドポリマーの繊維から作られた不織布であって、前記ポリマーの各々は、他方に実質的に混和性であり、0.05超から約20の非晶質ポリマー/半結晶性ポリマーの質量比でブレンドされており、前記繊維は、該繊維の数の少なくとも90%が、500マイクロメートルより長い長さ、および該繊維の長さに沿った各繊維の平均直径が、該繊維の直径の平均の20%以内にある直径を有する、不織布。
【0068】
実施形態27
前記繊維の直径が、約0.5マイクロメートルから15マイクロメートルに及び、約2から58マイクロメートルの平均直径を有する、実施形態26に記載の不織布。
【0069】
実施形態28
前記繊維の直径が、約1マイクロメートルから0.05マイクロメートルに及ぶ、実施形態26に記載の不織布。
【0070】
実施形態29
前記半結晶性ポリマーと前記非晶質ポリマーが、ポリエステルとポリアクリレートまたはポリメタクリレート、もしくは半結晶性ポリオレフィンと非晶質ポリオレフィンである、実施形態26から28いずれか1つに記載の不織布。
【0071】
実施形態30
前記半結晶性ポリマーがポリ乳酸であり、前記非晶質ポリマーがポリ(メチルメタクリレート)である、実施形態29に記載の不織布。
【0072】
実施形態31
前記半結晶性ポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはその共重合体であり、前記非晶質ポリマーが環状オレフィン共重合体である、実施形態29に記載の不織布。
【0073】
実施形態32
前記不織布が、50から300グラム/m の布質量を有する、実施形態26から31いずれか1つに記載の不織布。
【0074】
実施形態33
前記不織布が、約100から200グラム/m の布質量を有する、実施形態32に記載の不織布。
【0075】
実施形態34
前記不織布が、多くとも約5mmHgの圧力損失を有するフィルタである、実施形態26から33いずれか1つに記載の不織布。
【0076】
実施形態35
前記フィルタが、少なくとも95%の濾過効率を有する、実施形態34に記載の不織布。
【0077】
実施形態36
前記濾過効率が少なくとも98%である、実施形態35に記載の不織布。
【0078】
実施形態37
前記空気設定温度が前記オリフィス温度より高い、実施形態1に記載の方法。
【符号の説明】
【0079】
800 メルトブロー押出システム
801 押出機
802 ホッパー
803 ノズル開口
804 吹かれた材料
805 回転円柱面
806 位置
807 固体シート/フイルム
808 第2の回転円柱
810 スプール
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布材料を製造する方法であって、
a)非晶質熱可塑性ポリマーおよび熱可塑性半結晶性ポリマーを含むブレンドポリマーを供給する工程であって、前記ポリマーの各々が、他方に実質的に混和性であり、0.05超から約20の非晶質ポリマー/半結晶性ポリマーの質量比でブレンドされており、前記非晶質熱可塑性ポリマーが、前記熱可塑性半結晶性ポリマーの溶融温度より20℃から250℃低いガラス転移温度を有する、工程、
b)前記ブレンドポリマーを、該ブレンドポリマーを溶融して液化供給物を形成する溶融ポンプ温度に加熱する工程、
c)前記液化供給物を、前記溶融ポンプ温度より高いオリフィス温度でオリフィスに通して押し出し、該液化供給物を、空気設定温度を有する環状ガス流で吹いて、噴霧を形成する工程、
d)前記噴霧を空隙内で冷却する工程、および
e)基体上に前記噴霧を堆積させて、前記不織布材料を形成する工程、
を有してなる方法。
【請求項2】
前記非晶質熱可塑性ポリマーが、前記熱可塑性半結晶性ポリマーの溶融温度より20℃から150℃低いガラス転移温度を有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記不織布材料のシートが、該不織布材料の繊維を変形させずに、熱成形可能である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記不織布材料のシートが、98%超の濾過効率を有する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記不織布材料のシートが、2mmHg以下の圧力損失を有する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記不織布材料を電場に通過させる工程をさらに含む、請求項1から5いずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記ブレンドポリマーが、ポリ(メチルメタクリレート)およびポリ乳酸から作られ、該ポリ(メチルメタクリレート)が、該ブレンドポリマー中に、該ブレンドポリマーの約5質量%から85質量%で存在し、残りがポリ乳酸である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記ポリ(メチルメタクリレート)が、前記ブレンドポリマーの約50質量%未満の量で存在する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記ポリ乳酸が、L-ラクチド、D-ラクチド、またはその組合せの重合により作られている、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記L-ラクチドが前記ポリ乳酸の少なくとも50質量%から100質量%の量で存在する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記ポリマーブレンドのメルトフローレートが、約5から100グラム(210℃/分、2.6kg)である、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記不織布材料が、約1マイクロメートルから約15マイクロメートルの直径を有する繊維を有する布である、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記布が、約0.1m/gから120m/gの比表面積を有する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記半結晶性ポリマーが、約10から100グラム(210℃/分、2.6kg)のメルトフローレートを有する、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記非晶質ポリマーが、約1から100グラム(230℃/分、3.8kg)のメルトフローレートを有する、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記空気設定温度が、前記オリフィス温度より約1.8倍から約3倍高い、請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記溶融ポンプ温度が約175℃から約250℃である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
溶融ブレンドが、10から80グラム(210℃/分、2.6kg)のメルトフローレートを有する、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記非晶質熱可塑性ポリマーが約60℃から約120℃のガラス転移温度を有し、前記半結晶性熱可塑性ポリマーが、少なくとも140℃のDSCで決定された溶融温度を有する、請求項1記載の方法。
【請求項20】
前記半結晶性ポリマーと前記非晶質ポリマーが、ポリエステルとポリアクリレートまたはポリメタクリレート、もしくは半結晶性ポリオレフィンと非晶質ポリオレフィンである、請求項1記載の方法。
【請求項21】
前記半結晶性ポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはその共重合体であり、前記非晶質ポリマーが環状オレフィン共重合体である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
非晶質熱可塑性ポリマーおよび熱可塑性半結晶性ポリマーから構成されたブレンドポリマーの繊維から作られた不織布であって、前記ポリマーの各々は、他方に実質的に混和性であり、0.05超から約20の非晶質ポリマー/半結晶性ポリマーの質量比でブレンドされており、前記繊維は、該繊維の数の少なくとも90%が、500マイクロメートルより長い長さを有し、各繊維は、多くとも20%の平均からの標準偏差を有する平均直径を有し、該平均直径は、250倍の顕微鏡写真内の繊維長に沿った一端から他端までの5から10の等距離点で約50の繊維を測定することによって決定できる、不織布。
【請求項23】
前記繊維の直径が、約0.5マイクロメートルから15マイクロメートルに及び、約2から58マイクロメートルの平均直径を有する、請求項22記載の不織布。
【請求項24】
前記繊維の直径が、約1マイクロメートルから0.05マイクロメートルに及ぶ、請求項22記載の不織布。
【請求項25】
前記半結晶性ポリマーと前記非晶質ポリマーが、ポリエステルとポリアクリレートまたはポリメタクリレート、もしくは半結晶性ポリオレフィンと非晶質ポリオレフィンである、請求項22記載の不織布。
【請求項26】
前記半結晶性ポリマーがポリ乳酸であり、前記非晶質ポリマーがポリ(メチルメタクリレート)である、請求項25記載の不織布。
【請求項27】
前記半結晶性ポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはその共重合体であり、前記非晶質ポリマーが環状オレフィン共重合体である、請求項25記載の不織布。
【請求項28】
前記不織布が、50から300グラム/mの布質量を有する、請求項22記載の不織布。
【請求項29】
前記不織布が、多くとも約5mmHgの圧力損失を有するフィルタである、請求項22から28いずれか1項記載の不織布。
【請求項30】
前記フィルタが、少なくとも95%の濾過効率を有する、請求項29記載の不織布。
【請求項31】
前記空気設定温度が前記オリフィス温度より高い、請求項1記載の方法。
【国際調査報告】