(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-13
(54)【発明の名称】プロセス及び装置
(51)【国際特許分類】
C10J 3/46 20060101AFI20230706BHJP
C10J 3/00 20060101ALI20230706BHJP
C10G 2/00 20060101ALI20230706BHJP
【FI】
C10J3/46 G
C10J3/00 D
C10G2/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022568385
(86)(22)【出願日】2021-05-10
(85)【翻訳文提出日】2022-12-20
(86)【国際出願番号】 EP2021062347
(87)【国際公開番号】W WO2021228774
(87)【国際公開日】2021-11-18
(32)【優先日】2020-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522353369
【氏名又は名称】ヴェロシーズ テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グリーガー、イヴァン フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ハリス、ロジャー アレン
(72)【発明者】
【氏名】キング、ニール アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】デーシュムク、スーミトラ アール.
(72)【発明者】
【氏名】チュウ、ジューヤン
【テーマコード(参考)】
4H129
【Fターム(参考)】
4H129AA01
4H129BA12
4H129BB07
4H129BC45
4H129KA15
4H129NA21
4H129NA43
(57)【要約】
本発明は、1つ以上の有用な生成物を製造するためのプロセスに関し、廃棄物及び/又はバイオマスを含む炭素質供給原料をガス化ゾーンでガス化して、原料合成ガスを生成する工程;任意選択で、部分酸化ゾーンで前記原料合成ガスを部分酸化して、部分酸化された原料合成ガスを生成する工程;任意に部分酸化された、原料合成ガスの少なくとも一部を浄化ゾーンに供給して、汚染物質を除去し、清浄な合成ガスを提供する工程;任意選択で、水素対一酸化炭素比シフトゾーンで清浄な合成ガスの水素対一酸化炭素比をシフトして、シフトされた清浄な合成ガスを生成する工程;任意にシフトされた、清浄な合成ガスを第1の更なる反応トレインに供給して、少なくとも1つの第1の有用な生成物及びテールガスを生成する工程;任意選択で、前記第1の有用な生成物を第2の更なる反応トレインでアップグレードして、第2の有用な生成物及び軽質ガス留分を生成する工程;並びに外部要因に応じて、前記プロセス全体の炭素強度を制御し、GHG排出量の削減を可能にするために、当該プロセス内で、要求に応じて選択的に、炭素質供給原料、清浄な合成ガス、テールガス、及び軽質ガス留分のうちの少なくとも1つの一部を、発熱又は発電に方向転換する工程、を含むプロセスに関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の有用な生成物を製造するためのプロセスであって、
a. 廃棄物及び/又はバイオマスを含む炭素質供給原料をガス化ゾーンでガス化して、原料合成ガスを生成する工程;
b. 前記原料合成ガスの少なくとも一部を浄化ゾーンに供給して、汚染物質を除去し、清浄な合成ガスを提供する工程;
c. 天然ガス及び/又は電力をプロセスに導入する工程;
d. 前記清浄な合成ガスを第1の更なる反応トレインに供給して、少なくとも1つの第1の有用な生成物及びテールガスを生成する工程;並びに
e. 前記プロセスの炭素強度を制御するために、当該プロセス内で、要求に応じて選択的に、炭素質供給原料、清浄な合成ガス、テールガス、及び(存在する場合)軽質ガス留分のうちの少なくとも1つの一部を、発熱又は発電に方向転換する工程、
を含む、プロセス。
【請求項2】
請求項1に記載のプロセスであって、当該プロセス内の手段が、要求に応じて選択的に、
i.前記炭素質供給原料の一部を、プラントで使用するため又は発電のための蒸気を生成するためのエネルギーを発生させるための燃焼器に;且つ/あるいは
ii.前記清浄な合成ガスの一部を、燃料ガスとして、プラントで使用するために、及び/又はプラントで使用するための蒸気を発生させるために、及び/又は発電のための蒸気を発生させるために;且つ/あるいは
iii.前記テールガスの少なくとも一部を、
- 内部リサイクルとして第1の更なる反応トレインに;及び/又は
- 存在する場合、部分酸化ゾーンに;及び/又は
- 存在する場合、水素から一酸化炭素へのシフトゾーンに;及び/又は
- ガス化ゾーンに燃料を供給するための燃料ガス流に;及び/又は
- テールガスよりも高い水素対一酸化炭素比を有する改質テールガスを発生させ、当該改質テールガスを供給物として第1の更なる反応トレインに供給するため、水蒸気メタン改質ゾーンに;及び/又は
- プラントで使用するための燃料ガスヘッダに;及び/又は
- プラントで使用するため又は発電のための蒸気を生成するために;且つ/あるいは
iv.前記軽質ガス留分の少なくとも一部(存在する場合)を、
- 存在する場合、部分酸化ゾーンに;及び/又は
- ガス化ゾーンに燃料を供給するための燃料ガス流に;及び/又は
- 第3の有用な生成物流に;
- プラントで使用するための燃料ガスヘッダに;及び/又は
- プラントで使用するため又は発電のための蒸気を発生させるために、
のうちの1つ以上に、方向転換して提供される、プロセス。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプロセスであって、手段が、要求に応じて選択的に、
前記炭素質供給原料の一部を、プラントで使用するため又は発電のための蒸気を生成するためのエネルギーを発生させるための燃焼器に、且つ
前記清浄な合成ガスの一部を、燃料ガスとして、プラントで使用するために、又はプラントで使用するための蒸気を発生させるために、又は発電のための蒸気を発生させるために、
の両方に、方向転換して提供される、プロセス。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセスであって、手段が、要求に応じて選択的に、
前記テールガスの少なくとも一部を、
第1の更なる反応トレインに;及び/又は
存在する場合、部分酸化ゾーンに;及び/又は
存在する場合、水素から一酸化炭素へのシフトゾーンに;及び/又は
ガス化ゾーンに燃料を供給するための燃料ガス流に;及び/又は
追加の合成ガスを生成するため、及び/又はプラントで使用するため若しくは発電のための蒸気を発生させるため、水蒸気メタン改質ゾーンに、
のうちの1つ以上に、方向転換して提供される、プロセス。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセスであって、手段が、要求に応じて選択的に、
前記軽質ガス留分の少なくとも一部(存在する場合)を、
存在する場合、部分酸化ゾーンに;及び/又は
ガス化ゾーンに燃料を供給するための燃料ガス流に;及び/又は
プラントで使用するため又は発電のための蒸気を発生させるため、及び/又は有用な生成物としての回収のために、
のうちの1つ以上に、方向転換して提供される、プロセス。
【請求項6】
前記炭素質供給原料が、変動する組成特性を有し、木質バイオマス、都市固形廃棄物、並びに/又は商業廃棄物及び産業廃棄物のうちの少なくとも1つ、又はこれらの組合せを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
バイオマス又は廃棄物ボイラを使用して高圧蒸気及び電力を生成することをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
アンモニア不純物、硫黄不純物及び二酸化炭素不純物の除去が、低蒸気物理吸収過程である、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
上流及び/又は下流の処理過程で使用するために、前記低蒸気物理吸収過程から得られた蒸気の少なくとも一部を使用することをさらに含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記上流の処理過程が、前記炭素質供給原料を、バイオマス及び/又は廃棄物ボイラに供給する前に乾燥させる供給原料前処理工程である、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記炭素質供給原料を乾燥させることにより、約20重量%未満の水分含有量を有する炭素質供給原料が得られる、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記炭素質供給原料を乾燥させることにより、約15重量%未満の水分含有量を有する炭素質供給原料が得られる、請求項10に記載のプロセス。
【請求項13】
前記炭素質供給原料を乾燥させることにより、約10重量%未満の水分含有量を有する炭素質供給原料が得られる、請求項10に記載のプロセス。
【請求項14】
前記第1の有用な生成物が、清浄な合成ガスをフィッシャー・トロプシュ合成ユニットに供することによって生成される、請求項1~13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記フィッシャー・トロプシュ合成ユニットが、清浄な合成ガスを液体炭化水素に変換する、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記液体炭化水素が第2の有用な生成物にアップグレードされる、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記液体炭化水素の少なくとも一部が、水素化プロセシング、生成物分留、水素化分解及び/又は異性化のうちの少なくとも1つによってアップグレードされ、前記第2の有用な生成物を生成する、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
少なくとも1つの有用な生成物が、合成パラフィンケロシン及び/又はディーゼル及び/又はナフサを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項19】
有用な生成物を生成するための従来のプロセスと比較して、温室効果ガス排出量の少なくとも60%の削減を示す炭素強度スコアを有する、請求項1~18のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項20】
工程aが、部分酸化ゾーンで前記原料合成ガスを部分酸化して、部分酸化された原料合成ガスを生成する工程をさらに含む、請求項1~19のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項21】
工程cが、水素対一酸化炭素比シフトゾーンで、清浄な合成ガスの水素対一酸化炭素比をシフトして、シフトされた清浄な合成ガスを生成する工程を含む、請求項1~20のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項22】
工程dが、前記第1の有用な生成物を第2の更なる反応トレインでアップグレードして、第2の有用な生成物及び軽質ガス留分を生成する工程を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか一項に記載のプロセスを動作させるように構成されたプラントであって、
a. 廃棄物及び/又はバイオマスを含む炭素質供給原料をガス化ゾーンでガス化する手段であって、原料合成ガスを生成する、手段;
b. 前記原料合成ガスの少なくとも一部を浄化ゾーンに供給する手段であって、汚染物質を除去し、清浄な合成ガスを提供する、手段;
c. 前記プロセスに、天然ガス及び/又は電力を導入する手段;
d. 前記清浄な合成ガスを第1の更なる反応トレインに供給する手段であって、少なくとも1つの第1の有用な生成物及びテールガスを生成する、手段;並びに
e. 前記プロセスの炭素強度を制御するために、当該プロセス内で、要求に応じて選択的に、炭素質供給原料、清浄な合成ガス、テールガス、及び(存在する場合)軽質ガス留分のうちの少なくとも1つの一部を、発熱又は発電に方向転換する手段、
を備える、プラント。
【請求項24】
手段aが、部分酸化ゾーンで前記原料合成ガスを部分酸化する手段をさらに備え、部分酸化された原料合成ガスを生成する、請求項23に記載のプラント。
【請求項25】
手段cが、水素対一酸化炭素比シフトゾーンで清浄な合成ガスの水素対一酸化炭素比をシフトする手段を備え、シフトされた清浄な合成ガスを生成する、請求項23又は24に記載のプラント。
【請求項26】
手段dが、前記第1の有用な生成物を第2の更なる反応トレインでアップグレードする手段を備え、第2の有用な生成物及び軽質ガス留分を生成する、請求項23~25のいずれか一項に記載のプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物及び/又はバイオマスから有用な生成物(例えば合成燃料)を生産するための化学工学プロセスに関し、このタイプの従来のプロセスと比較して、プロセスの炭素強度の制御を高めることを可能にする。
【背景技術】
【0002】
廃棄物及び/又はバイオマスから合成燃料などの有用な生成物を製造することは、当技術分野において広く知られている。本発明者らは、このような製造方法を、WTL(Waste-to-Liquids)プロセスやBTL(Biomass-to-Liquids)プロセスと呼ぶことがある。
【0003】
典型的なWTLプロセス及びBTLプロセスは、廃棄物又はバイオマス供給原料の水蒸気改質によるガス化を含み、原料合成ガスを生成する。このガスは、次いで、化学反応トレイン(chemical reaction train)に入る前に様々な手法で処理及び精製されて、有用な生成物を生成し得る。
【0004】
有用な生成物が合成燃料(例えば、ドロップイン合成燃料)である場合、化学反応トレインは、典型的にはフィッシャー・トロプシュ(FT)反応器を含む。FTプロセスは、一酸化炭素と水素から燃料を生成するために広く使用されており、以下の式で表すことができる。
(2n+1)H2+nCO→CnH2n+2+nH2O
【0005】
炭素強度(カーボンインテンシティ、CIとしても知られる)は、ある産業プロセスによって使用され、又はある産業プロセスから放出された炭素の量を、そのプロセスの具体的な結果と比較して示す指標であり、多くの場合、そのプロセスによって生成された(又はプロセスの生成物から生成可能な)エネルギー1メガジュールあたりに排出されるCO2等量(グラム)として表される。
【0006】
「炭素強度」又は「CI」という用語は、全体的なライフサイクル評価(例えば森林からテールパイプまで)に基づくモデルに従って解釈することもできる。例えば、GREET、すなわち、アルゴンヌ国立研究所(ANL)で開発された一般に利用可能なスプレッドシートモデル、又はカリフォルニア州低炭素燃料基準(LCFS)の下でGHG排出量を計算するために使用されるアルゴンヌ国立研究所のGREETライフサイクルモデルのカリフォルニア州固有のバージョンは、CA-GREETバージョン3.0(Tier 1)モデルである。NNFCC Ltd、Biocentre、York Science Park、Innovation Way、York、YO10 5NY UKによって公開されているBiomethane&Biogas Carbon Calculatorなど、他の適切なモデルが利用可能である。炭素強度は、プロセスの全体的なエネルギー効率を示す指標を提供する。炭素強度は、例えば、生成された燃料の1MJあたりのCO2等量(グラム)に換算して理解することもできる。
【0007】
より環境的に有益なプロセス、特にクリーンな電力の利用可能性などの他の要因に柔軟に対応できるプロセスを提供するために、廃棄物及び/又はバイオマスから有用な生成物(例えば合成燃料)を生産するための化学工学プロセスにおいて、炭素強度のより適切な制御を可能にすることが望ましいであろう。米国における現在の環境基準の目標は、RIN(再生可能識別番号)の資格を得るためにWTLプロセス又はBTLプロセスで生産された先進バイオ燃料について、温室効果ガス排出量(燃料のgCO2-eq/MJとして測定)の60%以上の削減が、精製所由来の燃料のベースラインと比較して達成されることである。同様に、英国政府によって発行された再生可能輸送燃料義務ガイダンス(第17条(2))は、少なくとも60%のGHG排出量削減を義務付けている。運転上、任意の所与の合成燃料生産経路の温室効果ガス排出量を、少なくとも65%削減することが望ましいと思われる。
【0008】
燃料生産において炭素強度を制御する、又は少なくとも低減するという問題は、当該技術分野においてある程度対処されてきた。
【0009】
例えば、国際公開第2015042315号は、燃料の炭素排出強度を低減する方法であって、第1の炭化水素流体生成プロセスから二酸化炭素流体を捕捉する工程と、捕捉された二酸化炭素を、ゾーンからの第2の炭化水素流体の生成を促進すると言われている1つ以上の坑井から地下ゾーンに注入する工程とを含み、第1又は第2の炭化水素流体のうちの少なくとも1つは、捕捉され注入されたCO2流体に少なくとも部分的に基づく低炭素強度燃料を含む炭化水素燃料に加工可能であると言われている方法を開示している。
【0010】
国際公開第2013009419号は、様々なバイオ油を石油ベースの重質残留燃料油及び留出物とブレンドすることから得られる低硫黄バンカー燃料組成物を開示しており、最終的な硫黄含有量及び炭素強度がバイオ油と他の重質残留燃料油及び留出物との比によって制御される組成物を開示している。
【0011】
今日まで、他の点で満足のいくWTLプロセス又はBTLプロセスにおいて、炭素強度をどのように制御し得るかについてはほとんど考慮されていないようであり、炭素強度に影響を与える可能性のある他の要因に対応できるようなプラント構成の制御が望まれていることについては、全く考慮されていない。
【0012】
WTLプロセス及びBTLプロセスは、当技術分野で非常によく知られている。
【0013】
例えば、欧州特許出願公開第2350233号は、固体バイオマスから液体炭化水素質生成物を生成する方法であって、固体バイオマスをガス化して原料合成ガスを生成する工程と、原料合成ガスを調整して精製合成ガスを得る工程と、精製ガスをフィッシャー・トロプシュ合成に供する工程とを含む方法に関する。
【0014】
国際公開第2018026388号は、1つ以上の炭素含有供給原料、例えばプラスチック、農業残渣、及び森林修復木材を炭化水素に変換することを記載している。
【0015】
いくつかの先行技術のWTLプロセス及びBTLプロセスでは、環境上の懸念に対処しようとしてきた。
【0016】
例えば、国際公開第2017011025(A1)号及び国際公開第2017039741(A1)号は、都市固形廃棄物(MSW:municipal solid wastes)に由来する高生物起源炭素濃度フィッシャー・トロプシュ(F-T)液体、及び再生可能な有機供給原料源に由来する高生物起源含有燃料を生成するためのシステムを開示している。
【0017】
他の先行技術文献では、生成プロセスにおいて二酸化炭素を回収する手法が検討されている。例えば、国際公開第2016178915号は、イオン輸送膜によって供給される酸素の使用による炭化水素及び酸素化炭化水素の形成を伴うプロセスを開示している。この文献は、部分的には、水蒸気改質及びその後の合成生成物の製造を含むプロセスであって、プロセスの下流の二酸化炭素及び/又は水素が再生利用されて合成生成物が生成されるプロセスに関する。
【0018】
米国特許出願公開第20110000366号は、重油、石油コークス若しくは廃棄物の部分酸化において、又は石炭のガス化において、原料ガスから純粋な合成ガスを生成する際に得られる、プロセスガスのCO2含有流を処理するためのプロセス、又は天然ガス若しくは付随する天然ガスを処理する際に、CO2を物理吸着的に又は化学吸着的に除去し、CO2を含む溶媒をCO2の脱着のために低圧に膨張させるプロセスを記載している。可能な限り純粋なCO2を生成するために、汚染されたCO2を少なくとも60バール[a]又はその臨界温度未満で少なくとも70バール[a]に凝縮し、液体CO2に含まれる不純物を、向流で導かれるガス状CO2でストリッピングすることによって除去する。
【0019】
その他の先行技術開示としては、米国特許出願公開第2019118157号、国際公開第2008010994(A2)号、米国特許第4110359号、米国出願公開第2009012188号、国際公開第2008017741(A1)号、及び米国出願公開第2015299589号が挙げられる。
【0020】
これらの文書のいずれも、他の点で機能的なWTLプロセス又はBTLプロセスにおいて、炭素強度を制御するための満足のいく手段を提供していないように思われる。
【0021】
本発明の目的は、廃棄物及び/又はバイオマスから合成燃料などの有用な生成物を製造するための改善されたプロセスを提供することであり、従来のそのようなプロセスと比較して、プロセスの炭素強度の制御が可能なプロセスを提供することである。
【発明の概要】
【0022】
本発明の第1の態様では、1つ以上の有用な生成物を製造するためのプロセスが提供され、当該プロセスは、
a. 廃棄物及び/又はバイオマスを含む炭素質供給原料をガス化ゾーンでガス化して、原料合成ガスを生成する工程;
b. 任意選択で、部分酸化ゾーンで前記原料合成ガスを部分酸化して、部分酸化された原料合成ガスを生成する工程;
c. 任意に部分酸化された、原料合成ガスの少なくとも一部を浄化ゾーンに供給して、汚染物質を除去し、清浄な合成ガスを提供する工程;
d. 任意選択で、水素対一酸化炭素比シフトゾーンで清浄な合成ガスの水素対一酸化炭素比をシフトして、シフトされた清浄な合成ガスを生成する工程;
e. 任意にシフトされた、清浄な合成ガスを第1の更なる反応トレインに供給して、少なくとも1つの第1の有用な生成物及びテールガスを生成する工程;
f. 任意選択で、前記第1の有用な生成物を第2の更なる反応トレインでアップグレードして、第2の有用な生成物及び軽質ガス留分を生成する工程;並びに
g. 当該プロセス内で、要求に応じて選択的に、炭素質供給原料、清浄な合成ガス、テールガス、及び軽質ガス留分のうちの少なくとも1つの一部を、発熱又は発電に方向転換する工程(diverting)、を含む。
【0023】
プロセス内の手段は、要求に応じて選択的に、
i.前記炭素質供給原料の一部を、プラントで使用するため又は発電のための蒸気を生成するためのエネルギーを発生させるための燃焼器に;且つ/あるいは
ii.前記清浄な合成ガスの一部を、燃料ガスとして、プラントで使用するため(例えば、ガス化ゾーンに燃料を供給するため)に、及び/又はプラントで使用するための蒸気を発生させるために、及び/又は発電のための蒸気を発生させるために;且つ/あるいは
iii.前記テールガスの少なくとも一部を、
- (内部リサイクルとして)第1の更なる反応トレインに;及び/又は
- 存在する場合、部分酸化ゾーンに;及び/又は
- 存在する場合、水素から一酸化炭素へのシフトゾーンに;及び/又は
- ガス化ゾーンに燃料を供給するための燃料ガス流に;及び/又は
- テールガスよりも高い水素対一酸化炭素比を有する改質テールガスを発生させ、(プロセスガスとしてだけでなく、燃料としての可能性もある)当該改質テールガスを供給物として第1の更なる反応トレインに供給するため、水蒸気メタン改質ゾーンに;及び/又は
- プラントで使用するための燃料ガスヘッダに、及び/又はプラントで使用するため又は発電のための蒸気を生成するために;且つ/あるいは
iv.前記軽質ガス留分の少なくとも一部を、
- 存在する場合、前記部分酸化ゾーンに;及び/又は
- ガス化ゾーンに燃料を供給するための燃料ガス流に;及び/又は
- 第3の有用な生成物流に;及び/又は
- プラントで使用するための燃料ガスヘッダに、及び/又はプラントで使用するため又は発電のための蒸気を発生させるために、
のうちの1つ以上に、方向転換する(divert)手段を、提供してもよい。
【0024】
好ましくは、要求に応じて選択的に、炭素質供給原料、清浄な合成ガス、テールガス、及び軽質ガス留分の少なくとも2つ、任意に少なくとも3つ、又は任意に少なくとも4つの一部を、上記のような主たるプロセス流から方向転換する手段が提供される。
【0025】
したがって、本発明のプロセスは、他の要因(多くの場合、外部要因)に対応してプロセスの炭素強度を制御するように構成可能である。例えば、クリーンなグリーン電力(例えば、風の強い日に風力タービンによって生成され得る電力など)がすぐに利用可能でその恩恵を受けている設備であれば、製品を製造するために必要な電力はすでにグリーンであるため、プラントでの製品製造を最大化することが望ましいかもしれない。しかし、提案された例示的シナリオにおいて、風が弱くなり、タービンが設備にとって不十分な電力しか生成せず、グリッドから「ダーティーな(dirty)」電力の導入が必要になった場合は、プロセス内で、材料の一部を、製品製造からエネルギー生産に方向転換(diverting)することにより、その「ダーティーな」電力の導入を最小限に抑えることが望ましい場合がある。換言すると、プラントは、(例えば)外部要因に対応して炭素強度を制御する(理想的には最小限に抑える)ことができるように構成することができる。
【0026】
工程aで生成される原料合成ガスは、例えば、H2、CO、CO2、少なくともCH4及びタールを含む少なくとも1つの他の炭素質材料、並びに微粒子、アンモニア又はHCl、及び硫黄ガスを含む汚染物質を含んでもよく、任意選択的にN2などの不活性ガスを含んでもよい。この工程で生成された原料合成ガス中に存在する炭素質物質、例えば、CH4及びN2などの不活性ガスは、その後の各工程を通して運ばれることが予想され、明示的に言及されない場合があることを理解されたい。
【0027】
工程cの浄化ゾーンは、任意選択的に、原料合成ガスから微粒子及びアンモニア又はHClを洗い流すための水流が少なくとも部分的に供給される一次浄化ゾーンを含んでもよく、ここで、前記水流は、アンモニアが前記原料合成ガス中の汚染物質である場合には中性又は酸性水流であるように選択され、HClが前記原料合成ガス中の汚染物質である場合には塩基性水流を含むように選択され、H2、CO、CO2及び硫黄ガスを含む汚染物質を含む水洗された原料合成ガスを提供する。
【0028】
浄化ゾーンcは、任意選択的に、水洗された原料合成ガスの少なくとも一部を二次浄化ゾーンに供給すること;二次浄化ゾーン内の水洗された原料合成ガスを、水洗された原料合成ガスから硫黄材料を吸収するのに少なくとも部分的に有効な硫黄材料用の物理溶媒と接触させ、二次浄化ゾーンから、H2、CO、CO2、及び任意選択的に残留汚染物質を含む少なくとも部分的に脱硫、脱タール、水洗された原料合成ガスを回収すること、をさらに含んでもよい。
【0029】
浄化ゾーンcは、任意選択的に、少なくとも部分的に脱硫、脱タール、水洗された原料合成ガスを三次浄化ゾーンに供給すること;三次浄化ゾーン内の少なくとも部分的に脱硫、脱タール、水洗された原料合成ガスを、少なくとも部分的に脱硫、脱タール、水洗された原料合成ガスからCO2を吸収するのに少なくとも部分的に有効なCO2用の物理溶媒と接触させ、三次浄化ゾーンから、CO2用の物理溶媒及び吸収されたCO2を含む第1の流れと、H2、CO及び任意選択的に残留汚染物質を含む清浄な合成ガスを含む第2の流れとを回収すること;溶媒再生段階で吸収されたCO2の少なくとも一部を第1の流れから除去して、再生溶媒と、隔離又は他の使用のために十分に純粋な形態のCO2とを別々に回収すること、をさらに含んでもよい。
【0030】
工程eにおける第1の更なる反応トレインへの清浄な合成ガスの供給は、任意選択で、清浄な合成ガスを1つ以上のガード床及び/又は代替の浄化ゾーンに少なくとも部分的に通過させて残留汚染物質を除去した後に行ってもよい。
【0031】
プロセス段階gは、任意選択的に、プロセス段階iからivのうちの1つ以上を含んでもよい。
【0032】
プロセス段階iは、更なる処理のために合成ガスを生成するためにガス化される供給原料の使用に関する。あるいは、供給原料は燃焼されてもよく、そのエネルギーを使用して蒸気を発生させ、その蒸気をプラントに供給したり、又は発電のために供給したりすることができる(グリッドからの[dirty]電力の導入を最小限に抑えるため)。
【0033】
プロセス段階iiでは、ガス化から生成された合成ガスは、販売可能な生成物を生成するためのFT合成に(浄化後に)使用し、あるいは、他のユニット操作(例えばガス化)で(硫黄除去後に)燃料ガスとして使用し、あるいは設備の炭素強度スコアを改善するために天然ガス及び/又は電力の導入を最小限に抑えるための蒸気の生成に使用することができる。
【0034】
プロセス段階iiiでは、FT合成ユニットからのテールガスは、第1の更なる反応トレイン(例えばFTユニット)に内部的にリサイクルすることができ、又は、存在する場合は部分散化ゾーン(例えば、第1の更なる反応トレインがFTトレインであり、そのFTから発生したメタンを合成ガスに変換する場合)若しくは水素対一酸化炭素比シフトゾーン(例えば、存在する場合は水性ガスシフト反応器)のいずれかに外部的にリサイクルすることができ、これにより、ガス化工程から回収された炭素の利用率を最大化することができる(テールガスのH2:COは、ガス化ゾーン、叉は存在する場合は部分酸化ゾーンからの新鮮な合成ガスよりも高くなる可能性があるため、潜在的に反応器のサイズが小さくなる)。また、このテールガスは、他のユニット操作(例えばガス化)で燃料ガスとして使用し、あるいは設備の炭素強度スコアを改善するために天然ガス及び/又は電力の導入を最小限に抑えるための蒸気の生成に使用することができる。あるいは、テールガス流のH2:CO比は、SMR(水蒸気メタン改質)ユニットを用いて増加させることもできる。テールガスは、プロセスガスと燃料ガスの両方の役割を果たすことができ、この追加ユニットのエネルギー要件のバランスをとることができる。
【0035】
プロセス段階ivでは、アップグレードからの軽質ガス(例えばLPG)も生成物として回収することができ、あるいは上述のテールガスに関する理由から、存在する場合は部分酸化ゾーンにリサイクルし、又は天然ガスの導入を最小限に抑えるために燃料ガスとして使用し、及び/又はプラント若しくは発電で使用する蒸気の生成に使用することもできる。
【0036】
炭素質供給原料は、例えば、木質バイオマス、都市固形廃棄物、並びに/又は商業廃棄物及び産業廃棄物のうちの少なくとも1つを含んでもよい。炭素質供給原料は、使用される供給原料の供給源及び化学的性質に依存する変動する組成特性を有する。
【0037】
炭素質供給原料は、比較的大きな片の形態であってもよい。炭素質供給原料は、特大のアイテム、リサイクル物、PVCなどの高度にハロゲン化されたプラスチック、金属及び不活性なアイテムを除去するために処理されてもよい。これらのアイテムは、合成ガスに変換することができないか、及び/又は重大な汚染負荷の可能性がある(例えば、高度にハロゲン化されたプラスチックの場合)。したがって、ガス化の前に前記アイテムを除去することが好ましい。これらのアイテムはリサイクルされてもよい。
【0038】
本発明によるプロセスは、少なくとも好ましい実施形態において、環境を汚染する埋立て又は廃棄物が全くないことを確実にする可能性がある。さらに、本発明のプロセスは、多種多様な供給原料を取り扱う能力を有するので、本発明によるプロセスを使用する場合、燃料要件によって生じる土地利用の変化はない。
【0039】
リサイクル不可能な廃棄物は、従来、埋立て又は焼却に送られ、木質バイオマスは、従来、林床に放置され、及び/又は山火事の原因となる可能性がある。本発明によるプロセスは、焼却又は埋立てよりも廃棄物を処理するためのより低い排出経路を有利に提供する。炭素廃棄物は、燃焼される代わりに、航空機又は車両で使用するための持続可能な燃料などの有用な生成物に変換されてもよい。
【0040】
供給原料は、ガス化に適したサイズに縮小されてもよい。例えば、炭素質供給原料は、ガス化の前に粉砕、細断又は切削されてもよい。
【0041】
供給原料は、炭素質供給原料をバイオマス又は廃棄物ボイラに供給する前に、任意選択的に供給原料乾燥機によって乾燥させてもよい。バイオマス又は廃棄物ボイラは、高圧蒸気又は電力を生成することができる。非限定的な例として、乾燥機は、回転管乾燥機又はベルト乾燥機であってもよい。
【0042】
従来のプロセスでは、典型的には、バイオマス又は廃棄物供給原料を乾燥させるために、乾燥機を使用している。従来、乾燥機は、天然ガス及び/又は他の形態の電力の大量に消費しており、これは、炭素強度の観点から望ましくない。したがって、プロセスの炭素強度を低減するために、使用される天然ガス及び/又は電力の量を低減することが望ましい。
【0043】
炭素質供給原料を乾燥させるための他の適切な乾燥オプションには、補助的な太陽光発電、天然ガス、電気乾燥機及び/又はマイクロ波乾燥機の使用が含まれる場合がある。場合によっては、バイオマス及び/又は廃棄物供給原料を燃焼させて、乾燥機内で必要な熱を直接的又は間接的に発生させてもよい。
【0044】
したがって、本発明のプロセスは、任意選択的に、ガス化の前に、供給原料を約10%w/w未満の水分含有量まで乾燥させる工程を含んでもよい。この工程は、ガス化の前に供給原料を乾燥させるために、プラントで利用可能な低圧蒸気を供給するバイオマス乾燥機又は廃棄物乾燥機を用いて行うことができる。
【0045】
廃棄物又はバイオマスに由来するすべての炭素質供給原料を、ガス化の前に乾燥させる必要があるわけではない。乾燥廃棄物が炭素質供給原料源として使用される場合、供給原料は、ガス化ゾーンに入る前に乾燥する必要がない場合がある。供給原料の水分含有量がすでに10%w/w未満である場合、そのような供給原料を乾燥させる必要はない場合がある。乾燥廃棄物は、上述のように、適切な選択及び粉砕後にガス化装置に直接供給することができる。
【0046】
しかしながら、運転中のWTLプラント又はBTLプラントでは、入ってくる供給原料は、水分に関するものを含めて、組成が変動する可能性がある。供給原料が10%w/wを超える水分を含む場合、供給原料を10%w/w未満の水分含有量まで乾燥させることが望ましい。供給原料と共にガス化装置に過剰な水分が供給されると、ガス化装置は、供給される酸素の形態でより多くの電力を必要とする。このような乾燥は、上述したように、多くの方法で行うことができる。
【0047】
本発明のプロセスでは、ガス化段階は、低圧又は高圧で行うことができる。「低圧」とは、約5バール未満を意味する。「高圧」とは、約5バール超、例えば約10バール超を意味する。高圧ガス化が使用される場合、炭素強度にとって有益な結果は、一次浄化ゾーンに入る際に合成ガスの圧縮が必要とされないことである。すべての動作圧力を有するガス化ゾーンは、本発明のプロセスでの使用に適している。
【0048】
本発明のプロセスは、第1の更なる反応トレインに最終的に供給される合成ガスの水素対一酸化炭素比を調整する目的で、水素対一酸化炭素比シフトゾーン、例えばガスシフト反応又は調整段階を、任意選択的に含んでもよい。水素対一酸化炭素比シフトゾーンは、ガスシフト反応又は調整段階を含んでもよい。
【0049】
水素対一酸化炭素比シフトゾーン(ガスシフト反応又は調整段階)は、水性ガスシフト反応ゾーンであってもよい。あるいは、水素が、プロセスの炭素強度に許容できないほど負に寄与しない状況で容易に利用可能である場合(例えば、「グリーン」又は「ブルー」水素が容易に利用可能な場合)、水素対一酸化炭素比シフトゾーンは、水素ガスシフト調整ゾーンであってもよく、ここで、場合によっては、水素流(好ましくは、「グリーン」又は「ブルー」水素流)が、少なくとも部分的に脱硫、水洗、部分酸化された原料合成ガス又は水洗、部分酸化された原料合成ガスと組み合わされる。
【0050】
上記において、「グリーン水素」とは、風力又は太陽光などの再生可能エネルギーを用いて水の電気分解から得られる水素を意味する。
【0051】
上記において、「ブルー水素」とは、(化石資源又は再生可能エネルギー由来の)天然ガスから生成された水素を意味し、通常は水蒸気改質を介して生成され、関連する炭素回収貯留を伴う。
【0052】
ガス化及び部分酸化は、任意選択で、単一の容器内で同時に行うことができる。
【0053】
また、ガス化及び部分酸化のための単一の容器を含む本発明のプロセスでは、ガスシフト反応又は調整段階は、任意選択的に、浄化ゾーン又はその一部の後ではなく前に行われてもよい(例えば、水性ガスシフト反応段階の場合、硫黄耐性水性ガスシフト触媒が水性ガスシフト反応ゾーンで使用される場合)。
【発明を実施するための形態】
【0054】
<合成ガス>
文脈上別段の指示がない限り、「原料合成ガス(raw synthesis gas)」、「清浄な合成ガス(clean synthesis gas)」という用語、及び「合成ガス」という用語を含む任意の他の語句は、主に水素及び一酸化炭素を含むガスを意味すると解釈されるべきである。二酸化炭素、窒素、アルゴン、水、メタン、タール、酸性ガス、高分子量炭化水素、油、タール、揮発性金属、木炭、リン、ハロゲン化物及び灰などの他の成分も存在してもよい。存在する汚染物質及び不純物の濃度は、プロセスの段階及び炭素質供給原料源に依存する。
【0055】
合成ガスを説明するためのそのような用語の使用は、限定として解釈されるべきではない。当業者は、用語のそれぞれが、主に水素及び一酸化炭素を含むガスを意味すると解釈されることを理解するであろう。
【0056】
<第1の有用な生成物及び第1の更なる反応連鎖>
第1の更なる反応トレインは、例えば、フィッシャー・トロプシュ反応トレインであってもよく、その場合、本発明のプロセスは、清浄な合成ガスをフィッシャー・トロプシュ反応条件に供して、有用な生成物として1つ以上の液体炭化水素を生成することを含んでもよい。
【0057】
第1の有用な生成物は、任意選択的にシフトされた清浄な合成ガスを液体炭化水素に供することによって、任意選択的に生成されてもよい。
【0058】
液体炭化水素は、任意選択的に、第2の有用な生成物を作製するために、第2の更なる反応トレインでアップグレードされてもよい。液体炭化水素の少なくとも一部は、水素化プロセシング、水素化処理、生成物分留、水素化分解及び/又は水素化異性化のうちの少なくとも1つによってアップグレードされてもよい。
【0059】
FT液体アップグレードユニットは、例えば、高品質のナフサ及び合成パラフィンケロシン(SPK:Synthetic Paraffinic Kerosene)を生成してもよい。他のアップグレードされた生成物は、ガソリン、ディーゼル及びワックスを含んでもよい。
【0060】
少なくとも1つの有用な生成物は、合成パラフィンケロシン及び/又はディーゼル及び/又はナフサを含んでもよい。合成パラフィンケロシン及び/又はディーゼル及び/又はナフサは、任意選択で、輸送燃料成分としてさらに使用されてもよい。
【0061】
FT液体アップグレードユニットは、例えば、リサイクル水素化分解装置として構成されてもよい。
【0062】
第2の更なる有用な生成物は、任意選択的に、持続可能な液体輸送燃料又はガソリン混合原料であってもよい。輸送燃料又はガソリン混合原料は、任意選択的に、航空及び/又は車両に使用されてもよい。持続可能な液体輸送燃料は、任意選択的に高品質のSPKを含んでもよい。ガソリン混合原料は、任意選択的にナフサを含んでもよい。
【0063】
あるいは、第1の更なる反応トレインは、任意選択的に、メタノール合成トレイン、アンモニア合成トレイン、アルコール合成トレイン、又は水性ガスシフト反応トレインであってもよく、得られた第1の有用な生成物は、それぞれメタノール、アンモニア、アルコール又は水素であってもよい。
【0064】
<炭素質供給原料>
炭素質供給原料は、例えば、木質バイオマス、都市固形廃棄物、並びに/又は商業廃棄物及び産業廃棄物のうちの少なくとも1つを含んでもよい。炭素質供給原料は、使用される供給原料の供給源及び化学的性質に依存する変動する組成特性を有する。
【0065】
炭素質供給原料は、比較的大きな片の形態であってもよい。炭素質供給原料は、特大のアイテム、リサイクル物、PVCなどの高度にハロゲン化されたプラスチック、金属及び不活性なアイテムを除去するために処理されてもよい。これらのアイテムは、合成ガスに変換することができないか、又はPVCの場合、ガス化ゾーンに供給される供給原料に望ましくない高不純物負荷を生じさせる。したがって、ガス化の前に前記アイテムを除去することが好ましい。これらのアイテムはリサイクルされてもよい。
【0066】
炭素質供給原料は、ガス化に適したサイズに縮小されてもよい。例えば、炭素質供給原料は、ガス化の前に粉砕、細断又はチップ化されてもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、炭素質材料供給原料は、バイオマス、例えば木質バイオマス供給原料である。適切な木質供給原料の例としては、樹木長の丸太、パルプ材の削片、全木、大枝、枝、頂部及び/又は廃木材を挙げることができる。
【0068】
シュレッダを使用して、炭素質材料をガス化ゾーンに適したサイズに縮小させてもよい。
【0069】
別の実施形態では、炭素質供給原料は、廃棄物(例えば、都市固形廃棄物、並びに/又は商業廃棄物及び産業廃棄物)である。
【0070】
炭素質供給原料は、水分を含んでもよい。その場合、好ましくは、炭素質供給原料は、ガス化の前に少なくともある程度まで乾燥される。
【0071】
炭素質供給原料を、任意選択的に乾燥機に搬送して、水分含有量を適切なレベルに低減させてもよい。水分含有量は、約20重量%未満、約15重量%未満又は約10重量%未満に低減されてもよい。好ましくは、ガス化ゾーンに供給される炭素質供給原料は、最大で10重量%の水分含有量を有する。
【0072】
廃棄物(上述のような)が炭素質供給原料源として使用される場合、供給原料は、ガス化ゾーンに入る前に乾燥する必要がない場合がある。この場合の廃棄物は、望ましくない成分を除去し、供給原料を供給原料の取扱いに適したサイズに粉砕するための適切な前処理の後にガス化装置に直接供給することができる。
【0073】
炭素質供給原料は、任意選択的に、ガス化ゾーンに連続的に供給されてもよい。
【0074】
<ガス化ゾーン>
本発明のプロセスは、ガス化ゾーンで炭素質供給原料をガス化することによって原料合成ガスを得る。ガス化は、蒸気及び酸素の存在下で起こる場合がある。ガス化ゾーンは、単一のトレイン、二重のトレイン、又は複数のトレインを含んでもよい。好ましくは、ガス化ゾーンは、プラントの可用性に対する中断の影響を最小限に抑えるために、2つ以上のトレインを含む。
【0075】
市販のガス化装置の主な3つのタイプは、固定/移動床、同伴流又は流動床タイプである。ガス化ゾーンは、間接的に加熱されるガス化容器に供給原料及び蒸気が供給される間接ガス化ゾーンであってもよい。あるいは、ガス化ゾーンは、供給原料、蒸気及び酸素含有ガスがガス化容器に供給され、直接燃焼されてガス化に必要な熱を供給する直接ガス化ゾーンであってもよい。また、当技術分野で知られており、本発明のプロセスでの使用に適しているのは、ハイブリッドガス化装置、及び部分酸化ユニットを組み込んだガス化装置である。その場合、本発明のプロセスでは、ガス化ゾーン及び部分酸化ゾーンは、単一の容器の別個のゾーンであってもよいことが理解されよう。
【0076】
一実施形態では、ガス化ゾーンは、主に、炭素質材料の変換を最大にするために、乾燥灰除去モードで動作する間接加熱式の深い流動床と、二次ガス化装置とを含む。別の実施形態では、ガス化ゾーンは、一次間接加熱式の流動床のみを含んでもよい。
【0077】
流動床の動作温度は、炭素質供給原料の組成特性に応じて変化してもよい。流動床の動作温度は、約400~1000℃、好ましくは約500~900℃、又はより好ましくは約600~800℃であってもよい。
【0078】
流動床のそのような温度範囲は、任意の成分灰が軟化して床材料とクリンカを形成することを回避することが分かっている。
【0079】
流動床反応器には、任意選択で、シリカ(砂)又はアルミナなどの一定量の不活性床媒体を予め充填してもよい。不活性床媒体は、過熱蒸気及び酸素で流動化されてもよい。過熱蒸気及び酸素は、別個のパイプノズルを通して導入されてもよい。
【0080】
ガス化中、流動床は、乾燥(又は脱水)、揮発分除去(又は熱分解)及びガス化を受けることがある。燃焼反応、水性ガスシフト反応及びメタン化反応も起こる場合がある。
【0081】
ガス化ゾーン内の圧力は、下流の処理過程での圧縮の必要性を最小限にすることが望ましい。したがって、ガス化ゾーンは、高くないとしても少なくとも約3.5バール、例えば約4バール以上の圧力を有することが好ましい。10バール以上などのさらにはるかに高い圧力で動作するガス化ゾーンは、当技術分野で知られている。1.5バール以下などのさらにはるかに低い圧力で動作するガス化ゾーンも、当技術分野で知られている。すべての動作圧力を有するガス化ゾーンは、本発明のプロセスでの使用に適している。
【0082】
ガス化ゾーンを出る原料合成ガスは、典型的には、少なくとも約600℃、少なくとも約700℃、又は少なくとも約800℃の出口温度を有してもよい。好ましくは、ガス化ゾーンを出る原料合成ガスは、約700℃~約750℃の出口温度を有する。
【0083】
ガス化ゾーンを出る主な生成物は、典型的には、水素及び一酸化炭素(CO)(合成ガスの必須成分)、二酸化炭素(CO2)、メタン、並びに少量の窒素及びアルゴンで構成される蒸気及び原料合成ガスである。追加のタール、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン及びキシレン、高級炭化水素、ワックス、油、灰、すす、床媒体成分、及び他の不純物が存在してもよい。
【0084】
下流の処理過程(合成など)における供給原料として使用するのに必要な高品質のガスを得るためには、不純物を除去する必要がある。好適な合成の非限定的な例としては、フィッシャー・トロプシュ(FT)合成、アンモニア合成、メタノール合成、又は水素生成物としての合成が挙げられる。
【0085】
サイクロンを使用して、原料合成ガスから望ましくない固体材料を除去してもよい。
【0086】
トランプ排出システムを使用して、ガス化プロセスの動作中に床材料からより重い汚染物質を除去してもよい。
【0087】
硫黄、スラグ並びにガス化の他の副生成物及び不純物は、捕捉、収集及び再利用できる可能性がある。しかしながら、二酸化炭素が合理的に純粋でない限り、すなわち、少なくとも約90%純粋、少なくとも約95%純粋、又は少なくとも約99%純粋でない限り、二酸化炭素を捕捉、収集又は再利用することは困難である。本発明のプロセスは、他の点で実用的なWTLプロセス又はBTLプロセスにおいて、高純度の二酸化炭素の生成を可能にする。
【0088】
炭素質供給原料の供給源及びガス化技術に応じて、原料合成ガスは、典型的には、他の不純物及び汚染物質に加えて、約3~40%の二酸化炭素を含む場合がある。
【0089】
ガス化ゾーンを出る原料合成ガスは、典型的には、ガス化される供給原料の供給源に応じて、典型的には数百ppmの様々な硫黄濃度を含み得る。
【0090】
原料合成ガス中の硫黄の濃度は、下流で使用されるプロセス条件に影響を与える。
【0091】
<部分酸化ゾーン>
ガス化ゾーンからの原料合成ガスの少なくとも一部を回収し、回収した原料合成ガスの少なくとも一部を、任意選択的に部分酸化ゾーン(POxゾーン)に供給してもよい。部分酸化ゾーン内の原料合成ガスは、部分酸化反応を受ける。
【0092】
当技術分野で知られている従来の部分酸化ゾーンは、典型的には触媒又は非触媒(熱)である。
【0093】
部分酸化ゾーンでは、任意選択で、下流の合成ユニットからのテールガス、及び/又はプロセスで生成された合成ガス、及び/又はアップグレードからの軽質ガス、及び/又は天然ガスを、予熱した酸素で部分的に燃焼させることができる。部分酸化ゾーンは、任意選択で、高温酸素の流れを生成するバーナを含んでもよい。
【0094】
部分酸化ゾーンは、原料合成ガスの温度を上昇させて、存在する任意のタール、ナフタレン、高級炭化水素及びメタンの少なくとも一部を炭素酸化物、水素及び水に変換するのに十分に有効である。
【0095】
部分酸化ゾーンは、例えば、少なくとも約1100℃、少なくとも約1200℃又は少なくとも約1300℃の温度で動作してもよい。好ましくは、部分酸化ゾーンの動作温度は、少なくとも約1300℃、最も好ましくは約1200℃~約1350℃の範囲である。
【0096】
部分酸化ゾーンでは、残留メタン、ナフタレン、高級炭化水素及びタール成分を、酸化炭素、水素及び水に変換することができる。部分酸化ゾーンを出る合成ガスは、平衡化された合成ガスであると解釈することができる。
【0097】
本発明者らは、タール成分、残留メタン及び高炭化水素を除去/破壊することで、プラント/設備の炭素利用率が増加することを見出した。これらの不純物及び汚染物質を合成ガスに変換し、リサイクル流を共処理することによって、生成物の収率の増加させることができる。これらの望ましくない成分を変換することで、下流の処理過程が有利に簡素化され、これにより、従来の方法と比較して、下流で追加の精製工程が必要とされない。これは、本発明によるプロセスの低炭素強度に寄与する。
【0098】
平衡化された合成ガスは、POxゾーンを出るときに高圧蒸気を発生させる。高圧蒸気は、高いエネルギー効率を有し、エネルギーを回収することを可能にする上流及び/又は下流の処理過程で使用するために回収及びリサイクルされてもよい。
【0099】
POxゾーンからの熱の回収は、典型的には放射と対流によるものとすることができる。炭素強度スコアが許す場合、単純なクエンチアプローチを使用することもできる。
【0100】
この放射及び対流による熱回収モードの利点は、高圧(HP)蒸気(HRSGユニットで発生)を設備で使用するために利用できることである。水クエンチも、許容可能な(及び低コストの)熱回収オプションであるが、プラント(水性ガスシフト反応ユニット及びガス化ユニットなど)内のユーザのために、追加の天然ガス及び/又は電力を使用してHP蒸気を発生させる必要があるため、設備の炭素強度に悪影響を及ぼす。
【0101】
固体は、任意選択で、POxゾーンからスラグとして除去してもよい。
【0102】
POxゾーンからの原料合成ガスに対して、ガス浄化、圧縮及び/又は硫黄除去のうちの少なくとも1つを行うことができる。
【0103】
本発明者らは、驚くべきことに、ガス化ゾーンからの原料合成ガス流中には、POxゾーンが温度を調節し、すすの形成を最小限に抑え、メタンを改質し、下流の水性ガスシフト反応を促進することを可能にするのに十分な水が存在することを見出した。したがって、従来の方法とは異なり、原料合成ガスに追加の蒸気を直接加える必要はない。これにより、プロセス全体に供給される蒸気の量が減少し、炭素強度が低下する。
【0104】
合成ガスは、任意選択で、アンモニア不純物、硫黄不純物及び二酸化炭素不純物を順次除去することによって浄化されてもよい。後者の不純物は、任意選択で、酸性ガスとしてもよい。
【0105】
本発明による全体的なプロセスは、任意選択で、追加の段階を含んでもよい。したがって、アンモニア不純物、硫黄不純物及び二酸化炭素不純物を順次除去することによって浄化される合成ガスは、例えば、原料合成ガス及び/又は平衡化された合成ガスであってもよい。
【0106】
部分酸化ゾーンを出る平衡化された合成ガスは、高温となり、任意選択で蒸気を発生させることによって冷却してもよい。プロセス効率を改善し、炭素強度を低減するために、過熱蒸気又は飽和高圧蒸気を発生させることが好ましい。本発明の目的は、BTL法又はWTL法の炭素強度を低減し又は制御することであり、多くの寄与因子があるが、中でも、部分酸化後の過熱蒸気及び/又は飽和高圧蒸気の発生が本発明の態様の1つである
【0107】
冷却された平衡化された合成ガスは、例えば、ベンチュリスクラバを通過して、任意の水並びに灰及びすすなどの微粒子を除去してもよい。例えば、苛性洗浄を追加的に使用して、アンモニア、ハロゲン化物、亜酸化窒素及び残留微粒子などの他の不純物を除去することができる。
【0108】
部分酸化ゾーンは、任意選択的に、(中間の圧縮要件を回避するために)ガス化ゾーンの圧力よりわずかに又は幾分低い圧力で動作してもよい。部分酸化ゾーンは、例えば、約3.5バールで動作するガス化プロセスのために約2~3バールの圧力で動作してもよい。
【0109】
本発明の特定の好ましい実施形態に従ってプロセス内に部分酸化ゾーンを含めることで、柔軟性を提供し、ガス化ゾーンに、変動する組成特性を有する広範囲の供給原料を取り扱う能力を与える。本発明者らは、予想外にも、部分酸化ゾーンの使用により、炭化水素質材料(メタン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、高級炭化水素及び他のタールなど)を、十分な程度まで除去することができ、三次浄化ゾーンの下流において、隔離又は他の使用のために十分に純粋な形態で二酸化炭素を直接的に回収することが可能になり、それにより、従来のWTL法及びBTL法と比較して、プロセスの炭素強度を低減させることができることを見出した。
【0110】
<水素対一酸化炭素比シフトゾーン(ガスシフト反応又は水素調整)>
清浄な合成ガスの少なくとも一部は、任意選択的に水性ガスシフト(WGS)ユニットを通過してシフトされた合成ガスを得ることができ、任意選択的に残りの平衡化された合成ガスとブレンドして水素対一酸化炭素比を所望の範囲に調整することができる。
【0111】
「水性ガスシフト反応」又は「WGS」という用語は、一酸化炭素及び水を水素及び二酸化炭素に変換することを含む熱化学的プロセスとして解釈されるべきである。WGS反応後に得られる合成ガスは、シフトされた(すなわち調整された)合成ガスであると解釈することができる。
【0112】
硫黄化合物の存在は、WGS反応のためのWGS触媒の選択を考慮する際に重要である。硫黄は、WGSプロセスの前に供給原料から除去することができ、又は硫黄耐性WGS触媒を使用することができる(サワーシフト触媒)。好ましくは、硫黄は、WGSプロセスの前に供給原料から除去される。
【0113】
一実施形態では、WGSユニットに入る合成ガスは、本質的に低硫黄ガス(<0.1ppmv)であり、スイートシフトを可能にする。WGSユニットに入る合成ガスは、例えば、平衡化された合成ガスであってもよい。
【0114】
本発明によるプロセスは、任意選択的に、原料合成ガスからアンモニア不純物、硫黄不純物及び二酸化炭素不純物を順次除去することと、実質的に純粋な形態の二酸化炭素を回収することをさらに含んでもよい。
【0115】
硫黄化合物は、スイートシフト触媒を毒する。スイートシフト触媒をプロセス中に配置する場合、水性ガスシフト反応に入る合成ガス中に存在する硫黄がほとんど存在しないようにすることが重要である(触媒提供者が発行した操作ガイドラインに基づく)。そのようなプロセス構成では、硫黄除去は、水性ガスシフト反応の上流で行われるべきである。
【0116】
脱硫された合成ガスの少なくとも一部は、任意選択的に水性ガスシフト反応を受けてもよい。水性ガスシフト反応は、シフトされた合成ガスを生成する場合があり、これは、部分酸化ゾーン又はガス化ゾーンからのシフトされていないガスと再結合すると、2.00±10(好ましくは5、2、1、0.5、0.1、0.05)%の水素対一酸化炭素比を有するシフトされた合成ガスを生成する。(シフトされた部分自体は、かなり高い水素対一酸化炭素比を有する場合があり、例えば20:1にもなる場合があるが、その後、適切な割合でシフトされていないガスと再結合して、上述の所望の水素対一酸化炭素比を有する再結合された合成ガスが達成される)。
【0117】
原料合成ガスからアンモニア不純物、硫黄不純物及び二酸化炭素不純物を順次除去し、二酸化炭素を実質的に純粋な形態で回収するプロセスは、任意選択で、WGS反応の前に行うことができる。得られた合成ガスは、脱硫された合成ガスであると解釈することができる。
【0118】
アンモニア不純物、硫黄不純物及び二酸化炭素不純物の除去は、例えば、低蒸気物理吸収過程(low-steam physical absorption process)であってもよい。
【0119】
本発明の好ましい実施形態によれば、硫黄は上流の処理過程で除去されている。水性ガスシフトユニットに供給される平衡化されたガスは、本質的に低硫黄含有ガスである。
【0120】
水性ガスシフト反応は、任意選択でスイートシフト触媒を使用することができる。スイートシフト触媒は、例えば、金属硫化物触媒であってもよい。
【0121】
水性ガスシフトの代替として又はそれに加えて、少なくとも部分的に脱硫、水洗、部分酸化された原料合成ガス又は水洗、部分酸化された原料合成ガスは、好ましくは少なくとも部分的に「グリーン」又は「ブルー」水素から供給された水素流との単純な組合せによって調整されてもよい。
【0122】
<ガス浄化>
浄化プロセスは、例えば、低蒸気物理吸収過程(Rectisol(商標)プロセス若しくはSelexol(商標)プロセスなど)、又は任意の同様な溶媒ベースの物理吸収過程であってもよい。あるいは、浄化プロセスは、例えば、アミン洗浄などの化学プロセスであってもよい。
【0123】
一実施形態では、物理吸収ユニットは、合成ガス流とメタノールとを接触させる、共通のメタノール再生システムを有する2つの別個の吸収塔を備えた二段プロセスを動作させるように構成されてもよい。第1の吸収塔は、硫黄を選択的に除去してもよく、硫黄除去塔でのCO2吸収を最小限に抑えるためにCO2飽和溶媒を使用してもよい。第2の吸収塔は、CO2を回収してもよい。
【0124】
この技術は、他に、例えば、Fossil Fuel Emissions Control Technologies、Bruce Miller(2015年)に記載されている。
【0125】
二酸化炭素は、好ましくは、実質的に純粋な形態で回収されてもよい。二酸化炭素の回収は、例えば、WGS反応に続いてもよい。
【0126】
WGS反応は、一酸化炭素及び(高圧過熱)蒸気から、水素及び二酸化炭素を生成する。
【0127】
本発明によるプロセスにおけるWGS反応の使用は、WGSユニットに入る合成ガスの水素対一酸化炭素比を所望の比に調整(又はシフト)することを可能にする。
【0128】
アンモニア不純物、硫黄不純物及び二酸化炭素不純物の除去は、例えば、低蒸気物理吸収過程(low-steam physical absorption process)であってもよい。
【0129】
物理吸収過程は、典型的には、低温及び高圧で行われる。本発明者らは、我々の同時係属出願である米国特許出願第63/007920号に開示されているように、物理吸収過程、特に低蒸気物理吸収過程の使用が、プロセスの低炭素強度に寄与することを見出した。
【0130】
物理吸収過程は、本発明者らの同時係属出願である米国特許出願第63/007920号に開示されているように、アミンベースのガス除去溶媒システムが採用された場合に使用されるであろう物理吸収過程を採用することにより、本質的に蒸気を「得る」ものである。したがって、本発明による物理吸収過程は、「低蒸気物理吸収過程」と解釈されるべきである。
【0131】
本発明によるプロセスは、任意選択的に、上流及び/又は下流の処理過程(upstream and/or downstream processes)で使用するために、低蒸気物理吸収過程から得られた蒸気の少なくとも一部を使用することをさらに含んでもよい。
【0132】
上流の処理過程(upstream process)は、炭素質供給原料をバイオマス及び/又は廃棄物ボイラに供給する前に乾燥することであってもよく、及び/又は空気分離ユニット用酸素加熱器及び/又はFT供給原料の予熱用酸素加熱器で使用することであってもよい。炭素質供給原料の乾燥により、約20重量%未満、約15重量%未満、又は約10重量%未満の水分含有量を有する炭素質供給原料を得ることができる。
【0133】
更なるLP蒸気が利用できる場合、それを低低圧(LLP:low-low pressure)ヘッダまで下げ、FTガード床(複数可)の加熱、及び/又はアップグレードセクション、及び/又は廃水ストリッピングセクション(例えば、廃水リボイラ)、及び/又は燃料システム(例えば、天然ガス加熱器)、及び/又は脱気器、及び/又は中間若しくは化学貯蔵タンクの加熱及び追跡に使用してもよい。
【0134】
あるいは、本発明の浄化プロセスは、CO2を除去するための化学吸収プロセス(例えば、アミンベースのガス除去溶媒システム)を含んでもよく、このプロセスは、物理吸着プロセスよりも、電力導入が少なく、資本コストが低いという利点がある
【0135】
硫黄除去工程は、例えば、レドックスプロセス(例えばMerichem(商標)レドックスプロセス)であってもよく、シアン化水素及びCOSを加水分解するための加水分解工程も含んでもよい。アミンベースのガス除去溶媒システムは、化学吸収プロセスである。
【0136】
上述のように、低蒸気物理吸収過程は、例えば、Rectisol(商標)プロセス又はSelexol(商標)プロセスであってもよい。非限定的な場合、低蒸気物理吸収過程は、Rectisol(商標)プロセスである。
【0137】
Rectisol(商標)プロセスでは、冷却したメタノールを低温(約-40℃)で使用し、吸収を介して合成ガス流から酸性ガス、金属カルボニル及び微量不純物を除去する。
【0138】
ガス状不純物は、硫化水素、硫化カルボニル、シアン化水素、CO2などの酸性ガスを含んでもよく、これらはすべて、メタン、水素及び一酸化炭素よりも高い優先度で優先的に吸収される。除去され得るその他の微量不純物としては、シアン化水素、NH3及びギ酸が挙げられる。このように、Rectisol(商標)プロセスは、有利に、望ましい生成物の損失を最小限に抑え、あるいは下流の処理過程に有害であろうガス状不純物成分を除去する。
【0139】
除去されるアンモニア不純物、硫黄不純物及び二酸化炭素不純物は、硫化水素、硫化カルボニル、シアン化水素、NH3及び/又はCO2のうちの少なくとも1つを含んでもよい。これらの不純物が存在すると、下流の処理過程に有害となり得るため、これらの不純物を除去することが望ましい。
【0140】
低蒸気物理吸収過程の使用により、極めて低い総硫黄含有量を有する合成ガスが得られる場合がある。硫黄成分の除去により、下流の処理過程における追加の合成ガス精製が必要なくなる。合成ガス中の微量の汚染物質の量が少ないと、吸収剤での稼働時間が長くなり、合成ガスの純度をより確実に保証できる可能性がある。
【0141】
吸収された化合物は、フラッシング(脱着)及び追加の熱再生によって、メタノール溶媒から除去することができる。これにより、溶媒を新たな吸収のために準備できる。
【0142】
一実施形態では、プラントは、合成ガス流とメタノールとを接触させる、共通のメタノール再生システムを含む2つの別個の吸収塔Rectisol(商標)を備えてもよい。第1の吸収塔は、硫黄を選択的に除去してもよく、硫黄除去塔でのCO2吸収を最小限に抑えるためにCO2飽和溶媒を使用する。第2の吸収塔は、CO2を回収してもよい。
【0143】
この配置により、合成ガスから硫黄を選択的に除去し、続いてCO2を除去することができる。得られたCO2流の少なくとも一部は、プロセスで再利用及び/又は隔離してもよい。
【0144】
部分酸化ゾーンを利用しない本発明の変形例では、硫黄除去床の前に凝縮することによって、又は物理吸収溶媒を使用してタールを吸収し、それらを溶媒再生段階から回収することによって、タールを除去することも望ましい。
【0145】
得られた合成ガスは、脱硫された合成ガスであると解釈することができる。
【0146】
硫黄が豊富なオフストリームガスは、任意選択的に、焼却炉で過剰の空気で燃焼させて、すべての硫黄含有化合物をSO2に変換してもよい。焼却炉は、任意選択的に、約1500℃の温度で動作してもよい。SO2は、例えば、硫酸塩にスクラビングされてもよい。
【0147】
得られたガスは、蒸気を上昇させるために使用することができ、そのため冷却され得る。冷却した合成ガスを水酸化ナトリウム溶液で洗浄して、SO2を亜硫酸ナトリウム及び硫酸ナトリウムとして除去してもよい。
【0148】
本発明者らの同時係属出願である米国特許出願第62/990702号に開示されているように、合成ガスの水素対一酸化炭素比は、WGSユニットに入る前に、部分酸化ゾーンで任意選択的に平衡化されてもよい。この場合、合成ガス中の水素対一酸化炭素比の変動はすでに実質的に低減されている。得られたシフトされた合成ガスは、任意選択的に、平衡化された合成ガスの残りの部分とブレンドすることができ(任意選択的に調整された高純度の合成ガスを形成する)、したがって、意図した合成に特有の所望の水素対一酸化炭素比が得られ、変動はさらに低減する。
【0149】
平衡化された合成ガス及び/又は原料合成ガスの少なくとも一部は、前記合成ガスを水素対一酸化炭素比シフトゾーンでWGS反応又は代替の水素調整に供することなく、任意選択的にバイパスされ、その後、前記シフト及びバイパスされたガスを最適な割合に組み合わせて、任意選択的に調整された高純度の合成ガス中の所望の水素対一酸化炭素供給比を得てもよい。バイパスされるガスの割合は、下流の合成反応の所望の比及びシフト反応の厳格さに応じて変化する。反応器に送られるバイパスされたガスの割合を制御することは、特定の水素対一酸化炭素供給比を得るのに役立つ。
【0150】
非限定的な例として、シフトされた合成ガスをフィッシャー・トロプシュ反応器に供給したい場合、平衡化された合成ガスの水素対一酸化炭素比を増加させることが一般に望ましい。
【0151】
<HRU>
水素は、任意選択で、本発明によるプロセスのいくつかの段階から、回収されてもよい。本発明者らは、酸性ガス除去プロセスの下流から、特にシフトされたガス流から、水素を回収することが最も効果的であることを見出した。本発明者らは、他の場所での水素回収と比較した場合、プロセス全体からのCOの損失が少ないことを見出した。したがって、アンモニア不純物、硫黄不純物及び二酸化炭素不純物を除去した後に水素を回収することにより、生成物の収率が増加するため、設備の全体的な経済性が改善される。
【0152】
水素は、任意選択的に、水性ガスシフト反応の下流でシフトされた合成ガスから回収されてもよい。
【0153】
シフトされた合成ガスの少なくとも一部は、任意選択的に水素回収ユニット(HRU)に送られてもよい。HRUは、圧力スイング吸着(PSA)法を利用して、異なる用途のための高純度水素を生成することができる。高純度水素は、任意選択で、上流及び/又は下流の処理過程で使用されてもよい。HRUからのオフガスは、任意選択で、焼却炉で必要な燃焼温度に達するための燃料ガスとして、及び上記の工程ivで概説した他の用途に使用されてもよく、本発明のプロセスの炭素強度をさらに低下させることができる。
【0154】
HRUからの高純度水素は、圧力下で少なくとも約97%、少なくとも約98%及び少なくとも約99%純粋であってもよい。除去される不純物は、任意に、CO、CO2、CH4、N2及びArを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0155】
回収された水素を利用する上流及び/又は下流の処理過程は、任意選択で、アンモニア不純物又は硫黄不純物又は二酸化炭素不純物のうちの少なくとも1つの除去、合成反応器の触媒再生、及び生成物のアップグレードを含んでもよい。
【0156】
バイパスされた合成ガスと組み合わされたWGSユニットからのシフトされた合成ガスは、任意選択的に、合成ユニットの前に入口濾過システム、例えば入口ガード床(inlet guard bed)を通過してもよい。入口ガード床は、任意選択的に、硫黄ガード床であってもよい。入口ガード床は、例えば、合成ガスから硫化水素、リン、COS、ヒ素、塩化物及び水銀などの残留微量汚染物質を除去するためにリードラグ(lead-lag)構成で動作してもよい。リード床は、存在する汚染物質を任意に除去する可能性があり、ラグは、リード床が突破したときの保護手段として機能する可能性がある。
【0157】
ガード床を出る合成ガスは、任意選択的に調整された高純度の合成ガスとして解釈することができる。
【0158】
<生成物>
合成ガスは、有用な生成物、例えば長鎖炭化水素に変換されてもよい。合成ガスは、シフトされた合成ガス、脱硫された合成ガス、任意選択的に調整された高純度の合成ガス及び/又は新鮮な合成ガスであってもよいが、これらに限定されない。
【0159】
有用な生成物は、例えば、液体炭化水素を含んでもよい。液体炭化水素は、例えば、持続可能な液体輸送燃料であってもよい。
【0160】
有用な生成物は、任意選択的に、合成ガスの少なくとも一部をフィッシャー・トロプシュ合成ユニットに供することによって生成されてもよい。
【0161】
合成ガスの少なくとも一部は、合成ユニットに供給されてもよい。好適な合成の非限定的な例としては、フィッシャー・トロプシュ、アンモニア合成、メタノール合成、アルコール合成又は水素生成物としての合成が挙げられる。
【0162】
合成反応では、プロセス要件を満たし、変換及び生成物収率を最大化する最適な性能を得るために、供給ガス中の特定の水素対一酸化炭素比(「所望の比」)が必要である。非限定的な例として、フィッシャー・トロプシュ合成供給原料は、約2の水素対一酸化炭素比を有してもよい。この所望の比は、典型的には、使用比よりも低い。非限定的な例として、フィッシャー・トロプシュ合成使用比は、2.04~2.14の範囲、典型的には約2.1であってもよい。
【0163】
フィッシャー・トロプシュ合成に関する実施形態によれば、任意選択的に調整された高純度の合成ガスを、任意選択でFT反応器に供給してもよい。
【0164】
合成ユニットは、任意選択でFT反応器を含むFTユニットであってもよい。
【0165】
FT反応器は、任意選択でマイクロチャネルを含んでもよい。
【0166】
フィルタは、任意選択で微粒子を除去するために使用されてもよい。
【0167】
FT反応器は、任意選択で、任意に調整された高純度の合成ガスの一酸化炭素及び水素の少なくとも一部を主に直鎖炭化水素に変換してもよい。
【0168】
フィッシャー・トロプシュ合成ユニットは、任意選択で、任意に調整された高純度の合成ガスを液体炭化水素に変換してもよい。
【0169】
合成ガスの液体炭化水素への変換は、任意選択的で、触媒の存在下で行ってもよい。鎖長分布は、使用する触媒の特性及び動作条件に依存する。
【0170】
フィッシャー・トロプシュ反応は発熱性であり、反応の温度をほぼ一定に保つために除去しなければならない熱を放出する。触媒床が局所的に高温になると、FT生成物の混合や収率に悪影響を及ぼし、触媒の寿命を低下させる可能性があることが分かっている。したがって、温度を一定に保つことが望ましい。
【0171】
温度は、例えば、循環冷却水と共に使用されるFT反応器に関連する蒸気ドラムの圧力を変化させることによって制御することができる。
【0172】
FT合成のための動作温度は、任意選択的に、約125~350℃、好ましくは約150~300℃、より好ましくは約170~250℃、例えば約180~240℃であってもよい。好ましくは、動作温度は、低温FT技術では約180~240℃である。
【0173】
触媒は、例えば、担体を有する金属又は配合金属触媒であってもよい。一実施形態では、金属はコバルトである。担体は、例えば、シリカ、ジルコニア及び/又はチタニアから作製されてもよい。
【0174】
FT合成で得られる生成物は、例えば、重質FT液体(HFTL)、軽質FT液体(LFTL)、FTプロセス水、ナフサ、並びに不活性物質及び非縮合軽質炭化水素(典型的にはC1~C4)を含むテールガスを含んでもよい。C1~C4範囲の軽質炭化水素を含むテールガスの一部は、POxゾーンにリサイクルされてもよく、燃料ガスシステムに送られてもよく、又は上記の工程iiiで概説した他の用途に使用されてもよい。
【0175】
合成ガス中で利用可能なCOの利用率を最大にするために、テールガス流の一部を、FT反応器に供給される前に、新鮮な合成ガスと組み合わせてもよい。そのような場合、FT反応器内で生成されるCO2及びCH4などの不活性ガスの蓄積を防止するために、パージ流を使用してもよい。上記の燃料としてのテールガス流の使用は、ガスがプロセスループを出るときのパージ流として認められるであろう。
【0176】
液体炭化水素は、有用な生成物を作製するためにアップグレードされてもよい。液体炭化水素の少なくとも一部は、例えば、水素化プロセシング、水素化処理、生成物分留、水素化分解及び/又は水素化異性化のうちの少なくとも1つによってアップグレードされてもよい。
【0177】
FT液体アップグレードユニットは、例えば、高品質のナフサ及び合成パラフィンケロシン(SPK)を生成してもよい。他のアップグレードされた生成物は、例えば、ガソリン、ディーゼル及びワックスを含んでもよい。このユニットは、例えば、リサイクル水素化分解装置として構成されてもよい。
【0178】
有用な生成物は、例えば、持続可能な液体輸送燃料又はガソリン混合原料であってもよい。輸送燃料又はガソリン混合原料は、航空及び/又は車両に使用することができる。持続可能な液体輸送燃料は、例えば、高品質のディーゼル及び/又はSPKを含んでもよい。ガソリン混合原料は、例えば、ナフサを含んでもよい。
【0179】
本発明によるプロセスによって形成された生成物は、例えば、従来のプロセスによって形成された燃料のより清浄なバージョンを構成することができる。
【0180】
本発明に従って生産された燃料は、例えば、航空機エンジン排気からの粒子状物質(すす)を最大90%低減し、硫黄酸化物をほぼ100%低減して、空気の質を改善し得る。
【0181】
本発明の好ましい実施形態によるプロセスは、従来の燃料生産プロセスと比較して、より少ない温室効果ガス排出量で輸送(航空及び道路)燃料を生産することができる。そのような従来のプロセスと比較して、本発明のプロセスは、温室効果ガス排出量を少なくとも約50%、少なくとも約60%、又は少なくとも約65%削減することができる。本発明のプロセスは、従来の燃料生産プロセスと比較して、温室効果ガス排出量の少なくとも約50%、少なくとも約60%、又は少なくとも約65%の削減を示す炭素強度スコアを示すことができる。
【0182】
上述のように、米国では現在、RIN(再生可能識別番号)の資格を得るためにWTLプロセス又はBTLプロセスで生産された先進バイオ燃料について、温室効果ガス排出量(燃料のgCO2-eq/MJとして測定)の60%以上の削減が、精製所由来の燃料のベースラインと比較して達成される必要がある。英国では、再生可能輸送燃料義務ガイダンス(第17条(2))が同様に、少なくとも60%の比較GHG排出量削減を義務付けられている。
【0183】
供給原料に応じて、本発明によるプロセスを使用して製造された燃料は、温室効果ガスの大幅な削減を可能にする。本発明によるプロセスは、従来の精製操作から得られた燃料と比較して、温室効果ガス排出量が少なくとも約70%少ない航空燃料及び道路燃料の製造を可能にすることができる。
【0184】
FT反応器からのパージガス流(FTテールガス)及びFT液体アップグレードシステムからの少量のオフガス流は、任意選択で、全体的な炭素回収率を改善するために、上流の処理過程(例えば、ガス化又は部分酸化ゾーン)にリサイクルされてもよく、及び/又は上記の工程iii及びivで説明した他の用途にリサイクルされてもよい。
【0185】
本発明の好ましい実施形態によるプロセスは、天然ガス又は他の外部燃料源の消費を低減するために適切な場合、本発明によるプロセスの任意の段階中に生成された任意のオフガスを、発電のために利用することを目的とする。
【0186】
本明細書では、本発明によるプロセスを動作させるように構成されたプラントも提供される。本発明によるプロセスを動作させるように構成されたプラントは、従来のプラントと比較して、少なくとも約50%、少なくとも約60%、又は少なくとも約65%の温室効果ガス排出量の削減を示し得る。本発明によるプロセスを動作させるように構成されたプラントは、従来のプラントと比較して、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%の温室効果ガス排出量の削減を示す炭素強度スコアを有し得る。
【0187】
誤解を避けるために、組成特性が変動する炭素質供給原料から有用な生成物を製造するプロセスに関連するすべての機能は、適切な場合、低炭素強度プロセス及びそのプロセスを動作させるように構成されたプラントにも関連し、その逆もまた同様である。
【図面の簡単な説明】
【0188】
【
図1】本発明の好ましい実施形態に従って、バイオマス及び/又は廃棄物供給原料からFT合成を行うためのプロセスの概略図である。
【0189】
図1を参照すると、炭素質供給原料は、ライン1で可変コンベヤ2に供給され、ライン3で供給原料乾燥機4に供給され、ライン5でガス化ゾーン6に供給される。ガス化ゾーン6からの原料合成ガスは、ライン7を通って部分酸化ゾーン8に送られる。部分酸化された原料合成ガスは、ライン9で水性ガスシフト及びガス浄化ゾーン10に送られ、ライン11で切替可能バルブ12に送られ、ライン13でFTトレイン14に送られ、その後ライン15でアップグレードゾーン16に送られ、ライン17で第2の有用な生成物流を生成し、ライン18で軽質ガス留分を生成する。
【0190】
要求に応じて、ライン1の供給流の一部を燃焼器蒸気発生装置19に方向転換(diverting)するための手段が、例えば可変コンベヤ2の形態で提供され、そこからの蒸気をライン20で用いて、電力発生装置21でプラント(又は他の場所)のための電力を発生させることができる。あるいは、蒸気(図示せず)をプラントで使用することもできる。
【0191】
要求に応じて、ライン11の清浄な合成ガスの一部を、ライン22で蒸気発生装置19に、又は燃料としてライン23でガス化ゾーン6に、方向転換(diverting)するための手段が、例えば切替可能バルブ12の形態で提供される。
【0192】
要求に応じて、ライン25のテールガスの一部を、内部リサイクルとしてFT反応器トレイン(図示せず)に、電力発生装置21でさらに使用することができるようにライン26で蒸気発生発送装置19に、ライン27及びライン28で部分酸化ゾーン8に、ライン29で燃料ガスとしてガス化ゾーン6に、ライン27及びライン30で水性ガスシフト及びガス浄化ゾーン10に、又はライン33からライン11でリサイクルするための改質テールガスを生成するためにライン32で水蒸気メタン改質ゾーン31に、又は燃料ガスヘッダ(図示せず)に、方向転換(diverting)するための手段が、例えば切替可能バルブ24の形態で提供される。
【0193】
要求に応じて、軽質ガス留分18の一部を、三次生成物の回収に、存在する場合は部分酸化ゾーン8に、燃料ガスとして使用するためにガス化ゾーン6に、燃料ガスヘッダ(図示せず)に、又はプラントで使用するための蒸気を生成し及び/若しくは電力発生装置21でプラントのための電力を発生することができるように蒸気発生装置19に、方向転換(diverting)するための手段が、例えば切替可能バルブ(図示せず)の形態で提供される。
【0194】
以下の非限定的な例を参照して、本発明をより具体的に説明する。
【実施例】
【0195】
都市固形廃棄物又は木質バイオマス供給原料を選択した。
【0196】
<プロセス(処理過程)>
選択された供給原料は、以下のように処理される。
【0197】
供給原料を必要なサイズに粉砕し、所望の水分含有量(この場合は10%w/w)まで乾燥することによって最初に処理して、乾燥MSW又は乾燥バイオマス供給原料を得る。
【0198】
乾燥MSW又は乾燥バイオマス供給原料は、800℃未満の温度、2.2bargの圧力で動作される流動床ガス化ユニットに連続的に供給され、過熱蒸気が供給されてガス化が行われ、1日あたりの供給原料のショートトン(STPD)あたり約5~10lbmol/hrの原料合成ガスを生成する。
【0199】
原料合成ガスはガス化装置を出て、約1,250℃の温度に維持された酸素燃焼部分酸化反応器に供給され、目標温度を達成するように酸素速度を調整しながら、上記のガス化工程から生成された原料合成ガスのすべてが供給される。部分酸化反応は、残留メタン及び他の炭化水素を合成ガスに変換する。
【0200】
得られた高温の平衡化された合成ガスは、(過熱され飽和した高圧蒸気を発生させることによって)200℃未満の温度に冷却され、次いで、一次ガス浄化ユニットを通って送られ、そこでベンチュリスクラバを通過して水及び微粒子(すす及び灰など)を除去し、その後、アンモニア、ハロゲン化物(例えばHCl)、亜酸化窒素及び任意の残留微粒子を除去するために苛性洗浄される。
【0201】
次いで、合成ガスは圧縮され、二次ガス浄化及び圧縮システムに送られる。このシステムでは、合成ガスを「スイートニング」させるメタノール溶媒を使用して、Rectisol(商標)プロセスによって酸性ガス(H2S及びCO2)の除去が行われる。
【0202】
約1~2lbmol/hr/STPDの酸性ガスが、CO2捕捉のためにバッテリーリミットに送られる。酸性ガス流は、少量のH2(<0.5mol%)、CO(<0.5mol%)、H2O(<5%)及びN2(約10%)を含む。
【0203】
合成ガスの一部は抽出され、ガス化装置の燃料としてリサイクルされる。
【0204】
合成ガス流の一部を、水性ガスシフト(WGS)ユニットを通過させて全供給流中の水素対一酸化炭素(H2:CO)比を調整し、再結合させる。
【0205】
二次ガス浄化プロセス全体を通して、水銀、ヒ素及びリンなどの材料を除去するために、様々なガード床が配置される。
【0206】
スイートニングされ、シフトされた合成ガスは、最終的なフィッシャー・トロプシュ(FT)入口ガード床を通過した後、FT合成ユニットに送られる。
【0207】
精製された合成ガスは、FTマイクロチャネル反応器に送られ、そこで、シリカ/チタニア担体に担持されたコバルト触媒の存在下で、合成液体炭化水素に変換される。
【0208】
パージされた/過剰なテールガスは、POx及び燃料ガスシステムに送られる。
【0209】
FT反応水は廃水処理ユニットに送られ、そこでアルコールを含有する留出物と有機酸を含有するボトム留分とに分留される。次いで、ボトム流は、設備で再利用するために生物学的にアップグレードされる。
【0210】
合成FT液は水素化分解され、水素化異性化され、次いで水素化処理される。その後、輸送燃料がアップグレードユニットから得られる。
【0211】
異なるプロセスユニットから回収された廃水は、廃棄又は再利用の前に、廃水処理ユニットに送られる。
【0212】
<結果>
上記の様々なアプローチのいくつかの代表的な例を、以下に要約する。
【0213】
[例1]
表1では、2つのシナリオについて、設備の性能の比較を示している(都市固形廃棄物を供給原料として使用)。ケースAは、(炭素強度スコアを低下させ、運転コストを削減するために)天然ガス導入の最小化に対応する状況を示している。これを達成するために、供給原料のガス化から生成される合成ガスの一部は、ガス化ユニットの燃焼ヒーターで燃料として使用される。一方で、ケースBは、天然ガスを導入し、発生した合成ガスをすべて燃料生産に使用する状況を示している。以下の表から明らかなように、合成ガスを燃料として使用する代わりに天然ガスを導入することで、生成物の生産量が約14%増加して得られる。ただし、炭素強度スコアはマイナスの影響を受ける。
【0214】
【0215】
[例2]
表2では、天然ガスの導入を削減して設備の炭素強度スコアを改善するためにPOxユニットにリサイクルされるFTテールガスの影響を比較している(都市固形廃棄物を供給原料として使用)。生成物の生産量には、1%程度のわずかな減少が見られる一方で、天然ガスの導入は、約30%減少している。
【0216】
【0217】
[例3]
以下の表3では、天然ガスと電力の導入を削減して設備の炭素強度スコアを改善するためにWGSユニットにリサイクルされるFTテールガスの影響を比較している(バイオマスを供給原料として使用)。リサイクルされるFTテールガスがない場合、テールガスはすべて煙道ガスボイラでの追加のSH/HP蒸気及び過熱MPSの生成に使用されると想定される。過熱蒸気はすべて発電に使用される。リサイクルされるテールガスがない場合、FTへの合成ガスが減少し、それによりFTのC5
+生成物の生産量が減少するが、電力と天然ガスの導入も減少し、設備の炭素強度スコアを低下させる効果がある。設備の設計は、炭素強度スコアと輸送燃料製品の販売による収益創出との間のトレードオフに基づいて行われるであろう。
【0218】
【0219】
【手続補正書】
【提出日】2022-02-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の有用な生成物を製造するためのプロセスであって、
a. 廃棄物及び/又はバイオマスを含む炭素質供給原料をガス化ゾーンでガス化して、原料合成ガスを生成する工程;
b. 前記原料合成ガスの少なくとも一部を浄化ゾーンに供給して、汚染物質を除去し、清浄な合成ガスを提供する工程;
c. 天然ガス及び/又は電力をプロセスに導入する工程;
d. 前記清浄な合成ガスを第1の更なる反応トレインに供給して、少なくとも1つの第1の有用な生成物及びテールガスを生成する工程;並びに
e.
工程cに対応して、前記プロセスの炭素強度を制御するために、当該プロセス内で、要求に応じて選択的に、炭素質供給原料、清浄な合成ガス、テールガス、及び(存在する場合)軽質ガス留分のうちの少なくとも1つの一部を、発熱又は発電に方向転換する工程、
を含む、プロセス。
【請求項2】
請求項1に記載のプロセスであって、当該プロセス内の手段が、要求に応じて選択的に、
i.前記炭素質供給原料の一部を、プラントで使用するため又は発電のための蒸気を生成するためのエネルギーを発生させるための燃焼器に
;あるいは
ii.前記清浄な合成ガスの一部を、燃料ガスとして、プラントで使用するために、及び/又はプラントで使用するための蒸気を発生させるために、及び/又は発電のための蒸気を発生させるために
;あるいは
iii.前記テールガスの少なくとも一部を、
- 内部リサイクルとして第1の更なる反応トレインに
;又は
- 存在する場合、部分酸化ゾーンに
;又は
- 存在する場合、水素から一酸化炭素へのシフトゾーンに
;又は
- ガス化ゾーンに燃料を供給するための燃料ガス流に
;又は
- テールガスよりも高い水素対一酸化炭素比を有する改質テールガスを発生させ、当該改質テールガスを供給物として第1の更なる反応トレインに供給するため、水蒸気メタン改質ゾーンに
;又は
- プラントで使用するための燃料ガスヘッダに
;又は
- プラントで使用するため又は発電のための蒸気を生成するために
;あるいは
iv.前記軽質ガス留分の少なくとも一部(存在する場合)を、
- 存在する場合、部分酸化ゾーンに
;又は
- ガス化ゾーンに燃料を供給するための燃料ガス流に
;又は
- 第3の有用な生成物流に;
又は
- プラントで使用するための燃料ガスヘッダに
;又は
- プラントで使用するため又は発電のための蒸気を発生させるために、
のうちの1つ以上に、方向転換して提供される、プロセス。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプロセスであって、手段が、要求に応じて選択的に、
前記炭素質供給原料の一部を、プラントで使用するため又は発電のための蒸気を生成するためのエネルギーを発生させるための燃焼器に、且つ
前記清浄な合成ガスの一部を、燃料ガスとして、プラントで使用するために、又はプラントで使用するための蒸気を発生させるために、又は発電のための蒸気を発生させるために、
の両方に、方向転換して提供される、プロセス。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセスであって、手段が、要求に応じて選択的に、
前記テールガスの少なくとも一部を、
第1の更なる反応トレインに;及び/又は
存在する場合、部分酸化ゾーンに;及び/又は
存在する場合、水素から一酸化炭素へのシフトゾーンに;及び/又は
ガス化ゾーンに燃料を供給するための燃料ガス流に;及び/又は
追加の合成ガスを生成するため、及び/又はプラントで使用するため若しくは発電のための蒸気を発生させるため、水蒸気メタン改質ゾーンに、
のうちの1つ以上に、方向転換して提供される、プロセス。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセスであって、手段が、要求に応じて選択的に、
前記軽質ガス留分の少なくとも一
部を、
存在する場合、部分酸化ゾーンに;及び/又は
ガス化ゾーンに燃料を供給するための燃料ガス流に;及び/又は
プラントで使用するため又は発電のための蒸気を発生させるため、及び/又は有用な生成物としての回収のために、
のうちの1つ以上に、方向転換して提供される、プロセス。
【請求項6】
前記炭素質供給原料が、変動する組成特性を有し、木質バイオマス、都市固形廃棄物、並びに/又は商業廃棄物及び産業廃棄物のうちの少なくとも1つ、又はこれらの組合せを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
バイオマス又は廃棄物ボイラを使用して高圧蒸気及び電力を生成することをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
アンモニア不純物、硫黄不純物及び二酸化炭素不純物の除去が、低蒸気物理吸収過程である、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
上流及び/又は下流の処理過程で使用するために、前記低蒸気物理吸収過程から得られた蒸気の少なくとも一部を使用することをさらに含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記上流の処理過程が、前記炭素質供給原料を、バイオマス及び/又は廃棄物ボイラに供給する前に乾燥させる供給原料前処理工程である、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記炭素質供給原料を乾燥させることにより、約20重量%未満の水分含有量を有する炭素質供給原料が得られる、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記炭素質供給原料を乾燥させることにより、約15重量%未満の水分含有量を有する炭素質供給原料が得られる、請求項10に記載のプロセス。
【請求項13】
前記炭素質供給原料を乾燥させることにより、約10重量%未満の水分含有量を有する炭素質供給原料が得られる、請求項10に記載のプロセス。
【請求項14】
前記第1の有用な生成物が、清浄な合成ガスをフィッシャー・トロプシュ合成ユニットに供することによって生成される、請求項1~13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記フィッシャー・トロプシュ合成ユニットが、清浄な合成ガスを液体炭化水素に変換する、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記液体炭化水素が第2の有用な生成物にアップグレードされる、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記液体炭化水素の少なくとも一部が、水素化プロセシング、生成物分留、水素化分解及び/又は異性化のうちの少なくとも1つによってアップグレードされ、前記第2の有用な生成物を生成する、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
少なくとも1つの有用な生成物が、合成パラフィンケロシン及び/又はディーゼル及び/又はナフサを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項19】
工程aが、部分酸化ゾーンで前記原料合成ガスを部分酸化して、部分酸化された原料合成ガスを生成する工程をさらに含む、請求項1~
18のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項20】
工程cが、水素対一酸化炭素比シフトゾーンで、清浄な合成ガスの水素対一酸化炭素比をシフトして、シフトされた清浄な合成ガスを生成する工程を含む、請求項1~
19のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項21】
工程dが、前記第1の有用な生成物を第2の更なる反応トレインでアップグレードして、第2の有用な生成物及び軽質ガス留分を生成する工程を含む、請求項1~
20のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項22】
請求項1~
21のいずれか一項に記載のプロセスを動作させるように構成されたプラントであって、
a. 廃棄物及び/又はバイオマスを含む炭素質供給原料をガス化ゾーンでガス化する手段であって、原料合成ガスを生成する、手段;
b. 前記原料合成ガスの少なくとも一部を浄化ゾーンに供給する手段であって、汚染物質を除去し、清浄な合成ガスを提供する、手段;
c. 前記プロセスに、天然ガス及び/又は電力を導入する手段;
d. 前記清浄な合成ガスを第1の更なる反応トレインに供給する手段であって、少なくとも1つの第1の有用な生成物及びテールガスを生成する、手段;並びに
e.
上記cに対応して、前記プロセスの炭素強度を制御するために、当該プロセス内で、要求に応じて選択的に、炭素質供給原料、清浄な合成ガス、テールガス、及び(存在する場合)軽質ガス留分のうちの少なくとも1つの一部を、発熱又は発電に方向転換する手段、
を備える、プラント。
【請求項23】
手段aが、部分酸化ゾーンで前記原料合成ガスを部分酸化する手段をさらに備え、部分酸化された原料合成ガスを生成する、請求項
22に記載のプラント。
【請求項24】
手段cが、水素対一酸化炭素比シフトゾーンで清浄な合成ガスの水素対一酸化炭素比をシフトする手段を備え、シフトされた清浄な合成ガスを生成する、請求項
22又は
23に記載のプラント。
【請求項25】
手段dが、前記第1の有用な生成物を第2の更なる反応トレインでアップグレードする手段を備え、第2の有用な生成物及び軽質ガス留分を生成する、請求項
22~
24のいずれか一項に記載のプラント。
【国際調査報告】