(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-13
(54)【発明の名称】コンクリート粉粒体の処理方法及びプラント
(51)【国際特許分類】
C04B 18/167 20230101AFI20230706BHJP
B01D 53/14 20060101ALI20230706BHJP
B01D 53/62 20060101ALI20230706BHJP
B01D 53/82 20060101ALI20230706BHJP
【FI】
C04B18/167
B01D53/14 100
B01D53/62 ZAB
B01D53/82
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022568649
(86)(22)【出願日】2021-05-12
(85)【翻訳文提出日】2023-01-06
(86)【国際出願番号】 EP2021062696
(87)【国際公開番号】W WO2021228979
(87)【国際公開日】2021-11-18
(32)【優先日】2020-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506110634
【氏名又は名称】イーティーエイチ・チューリッヒ
(71)【出願人】
【識別番号】522438529
【氏名又は名称】ノイシュタルク ア-ゲ-
【氏名又は名称原語表記】NEUSTARK AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グートクネヒト,ヴァレンティン
(72)【発明者】
【氏名】マッツォッティ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ティーフェンターラー,ヨハネス
【テーマコード(参考)】
4D002
4D020
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002AC05
4D002AC10
4D002BA03
4D002CA07
4D002DA05
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4D020CC07
4D020CC21
4D020DA01
4D020DA02
4D020DA03
4D020DB01
4D020DB02
4D020DB03
4D020DB20
(57)【要約】
本発明は、コンクリート粉粒体(2)を処理するための方法およびプラント(1)からなり、その後にコンクリート粉粒体をリサイクルすることを特徴とする。本方法においては、プラント(1)の、少なくとも部分的に気密な容器(4)にコンクリート粉粒体(2)が充填される。その後、容器(4)内のコンクリート粉粒体(2)に吸収されたCO
2量の、少なくとも1つのセンサ(8、9、19)を介して特定された測定値に応じて、CO
2を含むガスの連続的又は非連続的な供給が行われる。コンクリート粉粒体(2)の所定の飽和CO
2が確認された後、CO
2が吸収されたコンクリート粉粒体(2)が取り出される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート粉粒体を後にリサイクルするために処理する方法であって、
a.少なくとも部分的に気密な容器(4)にコンクリート粉粒体(2)を充填するステップ、
b.前記容器(4)において前記コンクリート粉粒体(2)に吸収されたCO
2量を少なくとも1つのセンサ(8、9)を介して特定し、それに応じた体積流量のCO
2を含むガスを前記容器(4)に供給するステップ、
c.前記コンクリート粉粒体(2)が所定の飽和CO
2に達しているか否かを確認し、達していない場合には、前記ステップbを継続するステップ、
d.CO
2が吸収された前記コンクリート粉粒体(2)を取り出すステップ、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記容器(4)に供給される前記ガスは、CO
2、特に再生可能なCO
2を95%から100%含むことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つのセンサ(8、9、10)による圧力及び/又はCO
2濃度の測定を介して、前記の吸収された前記CO
2量を特定することを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記の吸収されたCO
2量は、更に、前記容器(4)において測定された温度及び/又は測定された重量及び/又は測定された相対湿度を考慮することを特徴とする、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記容器(4)へのガスの充填量および/または前記容器(4)における所定のCO
2濃度が、所望のレベル、特に95%以上のCO
2濃度に達した場合、供給される前記ガスの体積流量が低減又は一時的に停止されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
低減又は一時的に停止される、CO
2を含む前記ガスの体積流量は、前記容器内に配置された前記コンクリート粉粒体に既に吸収されたCO
2量を補うことを特徴とする、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記吸収されたCO
2量の変化が、所定の期間において限界値を下回る場合、前記コンクリート粉粒体(2)が前記所定の飽和CO
2に達していることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
前記所定の飽和CO
2に達した後、余剰ガスが前記容器(4)から、別のコンクリート粉粒体(2)が充填されている収集容器(12)に案内され、前記別のコンクリート粉粒体(2)は、前記余剰ガスを少なくとも部分的に吸収し、特に完全に吸収することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
前記収集容器(12)において、請求項1に記載の方法ステップbからdが繰り返されることを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項10】
コンクリート粉粒体(2)を処理し、後にリサイクルするためのプラント(1)であって、
前記プラント(1)は、
a.少なくとも部分的に気密な容器(4)と、
b.前記容器(4)に供給される前記ガスの体積流量を制御するための入口弁(7)と、
c.前記容器(4)において前記コンクリート粉粒体(2)に吸収されたCO
2量を特定するための少なくとも1つのセンサ(8、9、10)と、
d.前記少なくとも1つのセンサ(8、9、10)及び前記入口弁(7)と作用接続されており、且つ前記入口弁(7)を介して供給される前記体積流を制御する制御ユニット(11)と、を含み、
前記容器(4)は、
i.前記コンクリート粉粒体(2)を収容する及び/又は取り出すための少なくとも1つの開口部(19、20)と、
ii.流入管路(6)を介して貯蔵タンク(3)と流体的に作用接続可能で、CO
2を含むガスを該容器(4)に供給するための流入部(5)と、を備えることを特徴とするプラント(1)。
【請求項11】
前記制御ユニット(11)は、以下の一連のステップ:
a.前記容器(4)において前記コンクリート粉粒体(2)に吸収されたCO
2量を少なくとも1つのセンサ(8、9)を介して特定し、それに応じた体積流量のCO
2を含むガスを前記容器(4)に供給するステップ、
b.前記コンクリート粉粒体(2)が、所定の飽和CO
2に達しているか否かを確認するステップ、
を自動的に実施するように構成されていることを特徴とする、請求項10記載のプラント(1)。
【請求項12】
少なくとも1つのセンサ(8、9)は、前記容器(4)に配置されており、圧力を測定する圧力センサ(9)及び/又はCO
2濃度を測定する濃度センサ(8)であることを特徴とする、請求項10又は11記載のプラント(1)。
【請求項13】
複数の濃度センサ(8)が、前記容器(4)内の、重力方向において上下に相前後して配置されていることを特徴とする、請求項12記載のプラント(1)。
【請求項14】
前記流入部(5)は、前記容器(4)の収容空間及び/又は前記容器(4)の少なくとも1つの側壁及び/又は前記容器(4)の底部にマトリクス状に配置されている複数のガス流入ノズル(15)を含むことを特徴とする、請求項10から13のいずれか一項記載のプラント(1)。
【請求項15】
前記プラント(1)は、別のコンクリート粉粒体(2)を収容するための収集容器(12)を含み、前記収集容器(12)は、前記容器(4)の流出管路(14)を介して、前記容器(4)と流体的に作用接続可能であることを特徴とする、請求項10から14のいずれか一項記載のプラント(1)。
【請求項16】
1000kgあたり少なくとも5kgの飽和CO
2を示す、請求項1から9のいずれか一項の方法に従い製造されたコンクリート粉粒体(2)。
【請求項17】
請求項16記載のコンクリート粉粒体(2)を含有するコンクリート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート粉粒体を後にリサイクルするための処理方法並びにプラントに関する。本発明は、特に、コンクリート粉粒体にCO2を吸収させるための方法並びにプラントに関する。更に本発明は、本発明の方法によって製造可能なコンクリート粉粒体並びにコンクリートに関する。
【0002】
コンクリートを製造するためには、砂利及び砂の他に、とりわけセメントが重要な意味を持つ。しかしながら、セメントの製造は、多大な温室効果ガスを排出するだけでなく、コンクリートの製造における実質的なコスト要因となっている。今日では、資源である砂利及び砂を浪費しないようにするため、コンクリートのリサイクルが既に重要な意義を有している。もっとも、従来のリサイクル方式では、セメントを再び得ることはできず、また温室効果ガスの排出を抑制することも、回避することもできていない。従来のリサイクルは、通常の場合、取り壊される家屋又は他のコンクリート躯体の解体撤去によって行われる。解体コンクリートは続いて、コンクリート粉粒体に細粉され、例えば砂利の代替物として、新たなコンクリートの製造時に利用することができる。新たなセメントを加えることで、リサイクルコンクリートが生成される。しかしながら、この従来のリサイクルコンクリートは、通常の場合、一次コンクリートと比較すると、機械的な特性が低下している。一次コンクリートは、リサイクルされていないコンクリートであると解される。従って、通常の場合、従来のリサイクルされたコンクリートでは、一次コンクリートの品質と同等の品質を得るために、セメントの含有量を10%程増加させている。更に、解体コンクリートから得られるコンクリート粉粒体は、ばらばらの固まっていない状態で、例えば道路建設資材として使用されることがある。しかしながら、その用途は大幅に制限されている。何故ならば、製造に起因して、コンクリートには有害金属が含有されており、この有害金属は、従来技術から公知のコンクリート粉粒体の特にばらばらの(固まっていない)状態においては、雨水によって溶解する恐れがあり、従って地下水を汚染する恐れがある。上記の理由から、今日のコンクリートリサイクルでは、せいぜい価値の低い砂利の代替物として得られるに過ぎず、またこの再生利用によって、コンクリートの温室効果ガスの排出を削減したり、コンクリート粒粉体をばらばらのまま懸念無く使用することもできない。
【0003】
本発明の課題は、コンクリート粉粒体を後にリサイクルするための改善された処理方法並びにプラントを提供することである。とりわけ、ここでは特に、公知のリサイクル方式の抱える前述の問題を少なくとも部分的に解消することにある。
【0004】
コンクリート粉粒体は、後にリサイクルするため、二酸化炭素(以下ではCO2と略記する)により処理することができる。リサイクルされた基準コンクリート(セメント、砂利、砂及びCO2が吸収されていないコンクリート粉粒体を含む)と、実質的に同一の組成を有する、CO2が吸収されたコンクリートとを比較すると、CO2が吸収されたコンクリート(セメント、砂利、砂及びCO2が吸収されたコンクリート粉粒体を含む)は、スランプが実質的に変わらなければ、より高い圧縮強度を示すことができる。この圧縮強度は、フレッシュコンクリートの硬度についての特性量である。同様に、CO2が吸収されたコンクリートのセメントの割合を相応に低下させても、組成の変わらない基準コンクリートとの比較において、同一の圧縮強度を達成することができる。
【0005】
これらの相関関係は、以下の表からも理解することができる。これらの表は、基準コンクリート及び種々の試験コンクリートの組成(表1)及び測定結果(表2)である。ここで、基準コンクリートは、CO2が吸収されていない従来のコンクリート粉粒体を含む。これに対して、試験コンクリートは、CO2が吸収されている。圧縮強度は、規格SN EN 206: 2013+A1:2016に従い、また、SIAデータシート「2030 Recyclingbeton」に即して特定した。スランプは、規格SN EN 12350-5:2019に準拠して特定した。
【0006】
【0007】
【0008】
従って、セメントの割合が相応に低下されたCO2が吸収されたコンクリート(例えば、試験コンクリート3)では、温室効果ガス排出が大幅に低減されている。例えば、セメントを10%低減させた場合、コンクリート製造時の排出を約8.5%削減することができる。他方では、既に存在するCO2排出ガスを、本方法の過程においてコンクリート粉粒体に結合することができ、それによって低減させることができる。例えば、コンクリート粉粒体1000kgあたり平均して10kgのCO2を結合した場合、排出を平均して更に4%削減できる。従ってこの技術により、理想的な条件下では、リサイクルコンクリートの製造のCO2排出を約12.5%削減することができる。
【0009】
更に、CO2が吸収されたコンクリートは、より高い炭酸化耐性示すことが分かった。ここで、炭酸化耐性は、コンクリート内に注型された鉄筋の腐食及びコンクリート建築において発生する損傷にとっての重要な要因である。同様に、コンクリート粉粒体にCO2を吸収することによって、上述の有害金属をより良好に結合させることができ、その有害金属が周囲環境に意図せず漏れ出ることを低減することができる。これによって、ばらばらのコンクリート粉粒体の用途の可能性が広がる。
【0010】
コンクリート粉粒体を処理し、後にリサイクルするための、特にCO2を吸収するための、特許請求の範囲に記載の方法は、以下の方法ステップを含む:少なくとも部分的に気密な容器にコンクリート粉粒体を充填するステップ。容器内のコンクリート粉粒体に吸収されたCO2吸収量を少なくとも1つのセンサを介して特定し、それに応じた体積流量のCO2を含むガスを供給するステップ。ここで、ガスの供給は、連続的に行われても良いし、非連続的に行われても良い。コンクリート粉粒体が所定の飽和CO2に達しているか否かを確認し、達していない場合には、ガスの供給に関する前述の方法ステップを継続するステップ。コンクリート粉粒体が所定の飽和CO2に未だ達していない場合、その所定の飽和CO2に達するまで、ガスを用途に応じて連続的に又は非連続的に供給することができる。更に、本方法は、CO2が吸収されたコンクリート粉粒体を容器から取り出すステップを含む。コンクリート粉粒体を取り出した後、このコンクリート粉粒体を、CO2が吸収されたコンクリート粉粒体を含む、リサイクルされた(吸収された)コンクリートを製造するための更なる方法ステップにおいて使用することができる。このために、CO2が吸収されたコンクリート粉粒体を、セメント、水、砂及び砂利によってコンクリートに加工することができる。
【0011】
コンクリート粉粒体のCO2吸収とは、CO2がコンクリート粉粒体内に拡散し、化学反応に起こすことと解される。この吸収プロセスのために、追加の水、特に液状の形態の追加の水を容器に加える必要はない。コンクリート粉粒体は、CO2が拡散することができる細孔を含む。細孔には水(細孔水とも呼ばれる)が存在しても良く、この水とCO2が化学反応を起こす。細孔水はコンクリート粉粒体のセメント相と相平衡な状態にあり、カルシウムイオンを含む。CO2が(化学的に)吸収されると、炭酸イオン及び重炭酸イオンが生じる。つまり、生じた細孔溶液は、炭酸カルシウム(CaCO3)、若しくはその多形鉱物のカルサイト、アラゴナイト、ヴァテライトに関して過飽和となり、細孔が充填される。
【0012】
しかしながら、コンクリート粉粒体は組成に応じて、特定量のCO2しか受容することができない。この最大飽和CO2は、組成に応じて、1000kgのコンクリート粉粒体あたり30kgから45kgのCO2であると考えられる。本方法では、容器内におけるコンクリート粉粒体のその都度の最大の(少なくともほぼ最大の)飽和CO2まで実施することができる。例えば、ガスの初期体積あたりのCO2濃度の変化及び/又は圧力の変化がもはや確認できない場合には、コンクリート粉粒体の最大飽和CO2に達している。しかしながら、最大飽和CO2を下回る所定の飽和CO2に先に達した際にも、本方法を中止することができる。コンクリート粉粒体の所定の飽和CO2は、最大飽和CO2の5%から100%の間であっても良い。しかしながら、高い飽和は、CO2を十分に長い時間、ガス供給した時にしか達し得ず、相応に多量のCO2を必要とする。もっとも、良好な材料特性は、1000kgあたり5kgのCO2から1000kgあたり15kgのCO2の間で所定の飽和CO2において達成することができる。このことは、最大飽和CO2の約10%から50%の所定の飽和CO2に相当する。
【0013】
コンクリート粉粒体に吸収されるCO2量は、通常の場合、最大飽和CO2に達するまで、時間と共に指数関数的に減少する。例えば、所定の期間において、CO2吸収量の変化が所定の限界値よりも小さい場合、所定の飽和CO2に達したとみなすことができる。代替的又は補完的に、所定の飽和CO2を確認するために、例えば、少なくとも1つのセンサを介して特定されたCO2吸収量を、時間と共にプロットして外挿することができる。この外挿を介して、容器内のコンクリート粉粒体の最大飽和CO2に相当するCO2吸収量の(理論上の)限界値を決定することができる。この限界値(若しくは所定の飽和CO2)が所定のパーセンテージに達すると、ガス供給を終了することができる。
【0014】
容器へのガスの供給、若しくは容器に供給される体積流量の調整は、入口弁の調節を介して行うことができる。入口弁は、容器の流入管路に配置されても良い。吸収されたCO2量に応じた入口弁の調整、若しくは体積流量の調整は、少なくとも1つのセンサ並びに入口弁に作用接続されている制御ユニットによって行われる。有利には、(容器への初期充填後に)供給されるガスの体積流量は、既に吸収されたCO2を補う。このようにして、容器内には、可能な限り一定のCO2濃度が存在する。このことは、CO2濃度が比較的高く、且つ容器内のCO2分布が一様である場合、一方では本方法がより高速に実施され、他方ではコンクリート粉粒体によるCO2の一様な吸収を達成できるという利点を有する。ここで、制御ユニットは、ガスの既知の組成、若しくはガスのCO2含有量から、また入口弁を介して供給された既知の体積流量から、CO2の吸収が行われなかった場合には存在するであろう、容器内に理論上存在するCO2量を特定することができる。同様に、容器内の理論上の圧力を特定することができる。入口弁は、このために、入口弁を介して案内される体積流量を特定するための流量センサを含むことができるか、又は流量センサを入口弁の上流又は下流に接続することができる。代替的又は補完的に、流量センサを使用するために、入口弁の調整に応じて案内された体積流量を、データセットとして制御ユニットに格納することができる。
【0015】
ガスの供給は、少なくとも一時的に中断することができる(ガスの非連続的な供給)。このことは、以下の一連のステップを繰り返し実施することによって行うことができる:容器と流体的に作用接続された入口弁を開放するステップ、CO2を含むガスを容器に供給するステップ、及び入口弁を閉鎖するステップ。入口弁が閉鎖されると、吸収されたCO2量を特に簡単に特定することができる。入口弁が開放された状態において供給されるガスの体積流量は、有利には、合間に(入口弁が閉鎖されている間に)吸収されたCO2量を補う。この非連続的なガス供給は、コンクリート粉粒体が所定の飽和CO2に達するまで継続することができる。ガスの非連続的な供給は、特に、(ガス供給中に)周囲環境又は周囲空気に対して部分的に開放されている容器に適している。その種の容器は、特に上方に向かって開放されているものであって良い。
【0016】
非連続的なガス供給の代わりに、ガス供給の期間にわたって吸収されたCO2量に応じて、体積流量を連続的に供給させることができる(ガスの連続的な供給)。有利には、供給されるガスの体積流量は、既に吸収されたCO2量を補う。CO2の吸収が時間と共に指数関数的に低減する場合、供給される体積流量を、その体積流量が相応に指数関数的に減少するように調整することができる。
【0017】
ガスの容器内への(初期)充填は、ガスによる容器の所望の充填レベルに達するまで実施することができる。代替的又は補完的に、容器の(初期)充填は、所定のCO2濃度、特に容器内が95%以上のCO2濃度となるまで実施することができる。初期充填後に、体積流量を低減しても良いし(更なる連続的な供給)、合間に中断しても良い(非連続的な供給)。この場合、更に供給される体積流量を、既述のように、容器内において吸収されたCO2量を補うように制御することができる。
【0018】
コンクリート粉粒体に吸収されたCO2量を特定するために、少なくとも1つのセンサを、容器に配置するか、若しくは容器と流体的に作用接続することができる。少なくとも1つのセンサは、例えば、容器内のCO2濃度を測定するためのCO2濃度センサであっても良い。供給されたCO2量(また場合によっては、排出されたCO2の測定量)から、容器内の理論上のCO2量(吸収が行われていない場合の量)を特定することができる。従って、容器における濃度センサを介して、理論上のCO2量と、実際の(測定された)CO2量との差から、吸収量を特定することができる。上述したように、例えば、特定の期間にわたり、理論上のCO2量と、容器内の実際のCO2量との差が所定の限界値よりも小さい場合、所定の飽和CO2に達したとすることができる。代替的には、それまでの総プロセス期間にわたり上述の差が限界値に達したときに、所定の飽和CO2に達したとすることができるか、若しくはガス供給を停止することができる。更に代替的には、外挿によって特定された、CO2吸収量が理論上の限界値に達した場合、所定の飽和CO2に達したとすることができる。CO2濃度の測定を介して、行われたCO2吸収量を特定することは、容器が気密に閉鎖できない場合に特に適している。
【0019】
CO2濃度センサの代わりに、又はCO2濃度センサの他に、コンクリート粉粒体に吸収されたCO2量を、圧力を測定することによって同様に特定することができる。CO2を含むガスの所定の体積の圧力は、CO2がコンクリート粉粒体と接触して、CO2が吸収されると低下する。即ち、吸収されずに容器内に存在するはずの理論上の圧力と、実際に容器内で測定された圧力との差を、CO2吸収量として使用することができる。理論上の圧力は、既知の容器容積から、並びに供給された(オプションとして排出された)体積流量から、少なくとも近似的に特定することができる。圧力の測定を介して行われるCO2吸収量の特定は、特に容器にガスが非連続的に供給され、該容器が気密に閉鎖可能なものの場合に特に適している。上述したように、例えば、特定の期間にわたり、圧力の変化が所定の限界値よりも小さい場合、又は行われたCO2吸収量が特定の理論上の限界値に達した場合、所定の飽和CO2に達したとすることができる。
【0020】
更に、吸収されたCO2量の特定は、測定された温度も付加的に考慮することができる。化学反応の際に熱が放出されるので、この温度変化も同様に圧力に影響を及ぼすと考えられる。補完的な温度測定によって、理論上の圧力に及ぼす温度変化の影響を考慮することができる。CO2濃度の測定を介して吸収されたCO2量を特定する際にも同様に、補完的な温度測定を考慮することができる。
【0021】
代替的又は補完的に、吸収されたCO2量の特定は、測定された重量を付加的に考慮することもできる。このために、少なくとも1つのセンサは、容器及び制御ユニットに作用接続された衡器ないしロードセルであっても良い。例えば、ガス供給前に測定されたコンクリート粉粒体の重量を介して、容器内のガス供給に利用できる容積を少なくとも近似的に特定することができる。この特定を、例えば、理論上の圧力の特定に組み込むことができる。更に、ガス供給前のコンクリート粉粒体の重量と、ガス供給後にCO2が吸収されたコンクリート粉粒体の重量との差を特定することができる。これによって、実際に吸収されたCO2の量が推論される。これらの情報は、例えば、排出権証明書とも称されるCO2証明書に関して、これを取引するために企業によって利用することができる。
【0022】
CO2の吸収時に気体状の水が放出されるので、実施に応じて、容器内の相対湿度を補完的に測定することができる。供給されたガスが1%未満の相対湿度を示すことができる間は、最大飽和CO2に達した際の容器には50%から95%の相対湿度が存在すると考えられる。従って、吸収されたCO2量の特定は、測定された相対湿度も付加的に考慮することができる。
【0023】
上述したように、圧力及び/又はCO2濃度の測定による、吸収されたCO2量の特定は、重量及び/又は温度及び/又は相対湿度の測定によってより正確に行うことができる。例えば、測定された値及び/又は既知の値は、例えば理想気体の状態方程式及び質量保存の法則のような物理的な関係を介して相互に関連付けることができる。これによって、吸収されたCO2のより正確で包括的な監視が実現される。
【0024】
組成に応じて、容器内に供給されるガスは、CO2の他に、気体状の水及び/又は窒素及び/又は酸素を含んでも良い。容器に供給すべきガスは、容器に供給される前に、液体及び/又は気体として貯蔵タンクに貯蔵されていても良い。有利には、ガスはCO2を95%から100%含む。用途に応じて、ガスは再生可能なCO2を含んでも良い。再生可能なCO2とは、生物由来のCO2又は大気から得られるCO2と解される。生物由来のCO2は、通常の場合、既に純粋な形で得ることができ、もはや処理する必要がないという利点を有する。生物由来のCO2は、例えば、バイオメタン製造の副産物として、又はバイオマス(炭素、水素及び酸素を含むからなる生物資源)の燃焼から得ることができる。代替的に、ガスは同様に、CO2を10%から25%含む排ガスであっても良い。例えば、セメント工場からの排ガスをセメントの製造に使用することができる。
【0025】
一次コンクリートには、通常の場合、砂、砂利及びセメントを含む。例えば解体コンクリートとして取得されるコンクリート粉粒体は、以前の用途の種類に応じて更にモルタルを含む場合もある。コンクリート粉粒体は、通常の場合、4重量%から10重量%の酸化カルシウムを含む。コンクリート粉粒体は、特に硬化セメントを含む。硬化セメントとは、セメントが水と反応し、水がセメントに吸収されたものと解される。この反応は水和と称され、反応生成物は硬化セメントと称される。水和の際に、セメントはその質量の25%まで水と化学的に結合し、またその質量の15%まで物理的に結合することができる。処理のために、解体コンクリートを細粉することができる。処理時の良好な結果は、粒子が0.05mmから50mmの直径を有する場合に得られる。処理のために、通常の場合、コンクリート粉粒体の成分が相互に分離することはない。
【0026】
所定の飽和CO2に達した後、容器内に存在する余剰ガスを排出することができる。この排出されたガスを再利用のために処理して、プラントの貯蔵タンクに戻すことができる。代替的に、余剰ガスをコンクリート粉粒体によって充填可能な収集容器にも同様に導入することができ、その収集容器において本方法が新たに実施される。例えば、本方法を容器及び収集容器において交互に実施することができる。代替的に、別のコンクリート粉粒体が充填された収集容器を、受動的なフィルタとして、即ち飽和CO2を能動的には制御しないフィルタとして利用することができる。この収集容器内に配置されているコンクリート粉粒体は、余剰ガスを少なくとも部分的に、また特には完全に吸収することができる。
【0027】
CO2を含むガスを供給する前に、容器内にはコンクリート粉粒体以外に空気が存在する場合がある。入口弁がガス供給のために開放されると、容器内には、CO2及び空気を含む混合ガスが生じる。容器内のCO2濃度を高めるために、特に容器内への初期充填時には、CO2を含むガスの供給の他に、容器から混合ガスを連続的又は非連続的に排出することができる。この過程において、有利には、容器内のCO2の割合が増加する。容器から排出された混合ガスは、余剰ガスについての説明と同様に処理することができるか、又は収集容器に供給することができる。容器内が所定のCO2濃度に達した後、混合ガスの排出を停止することができ、またオプションとして、ガスの供給を少なくとも一時的に同様に停止することができる。
【0028】
容器からのガスの排出は、出口弁を介して制御することができる。出口弁は、入口弁と同様に、出口弁を介して案内される体積流量を特定するための流量センサを含むことができるか、又は流量センサを出口弁の上流又は下流に接続することができる。上流又は下流に接続された流量センサは、同様に制御ユニットに作用接続されている。代替的又は補完的に、流量センサを使用するために、出口弁の調整に応じて案内された体積流量を、データセットとして制御ユニットに格納することができる。補完的に、出口弁の上流又は下流には、同様にCO2濃度センサを接続することができる。
【0029】
ガスの供給及び/又は排出は、制御ユニットに作用接続されている少なくとも1つのポンプによって制御することができる。容器へのガスの供給及び/又は容器からの混合ガスの排出及び/又は容器からの余剰ガスの排出は、例えば、(周囲圧力との関係における)負圧によって行うことができる。負圧は80000パスカルから96000パスカルであって良い。しかしながら、本方法を周囲圧力又はそれより高い圧力においても同様に実施することができる。
【0030】
更に本発明は、コンクリート粉粒体を後にリサイクルするために処理するための、特にCO2を吸収させるためのプラントに関する。プラントは、貯蔵タンク並びに少なくとも部分的に気密な容器を含む。容器に供給されるガスは、液体の形態及び/又は気体の形態で貯蔵タンクに事前に貯蔵されても良いし、一時的に貯蔵されても良い。ここで容器は、コンクリート粉粒体を収容する及び/又は取り出すための少なくとも1つの開口部を有することができる。容器は、容器にガスを供給するための流入部を含み、この流入部は、流入管路を介して貯蔵タンクと流体的に作用接続可能である。ここで入口弁は、容器に供給されるガスの体積流量を制御するために用いられる。入口弁は、比例弁であっても良い。プラントは同様に、(上述したような)少なくとも1つのセンサ及び制御ユニットを含み、制御ユニットは、少なくとも1つのセンサ及び入口弁に作用接続されている。センサは、容器内においてコンクリート粉粒体に吸収されたCO2吸収量を制御ユニットによって特定するために用いられる。制御ユニットは、入口弁を通るガスの体積流量を制御するように設計されている。更に、制御ユニットは同様に、ポンプに作用接続することができる。ポンプは、容器の流入管路又は流出管路に配置することができる。ポンプは、真空ポンプであっても良い。このポンプは、上述したように、負圧を生じさせるために用いることができる。
【0031】
体積流量の制御は、有利には自動的に行われる。上述の方法に応じて、制御ユニットは、以下のステップを繰り返し実施するように設計されている:少なくとも1つのセンサを介して特定された、容器内においてコンクリート粉粒体に吸収されたCO2吸収量に応じた体積流量のCO2を含むガスを供給するステップ、及びコンクリート粉粒体が所定の飽和CO2に達しているか否かを確認するステップ。コンクリート粉粒体が所定の飽和CO2にまだ達していない場合、所定の飽和CO2に到達するまで、ガス供給の先行のステップを継続することができる。
【0032】
効率的なガス供給のために、容器は有利には少なくとも部分的に気密である。容器の構成に応じて、容器は、容器底部と、周方向に延びる少なくとも1つの側壁と、を含むことができる。これらは、コンクリート粉粒体を収容するための容器の収容空間を包囲する。少なくとも1つの側壁は、例えば、管状であっても良い。管状の側壁は、円形又は角形の横断面を有することができる。有利には、底部及び少なくとも1つの側壁は気密に構成されている。用途に応じて、コンクリート粉粒体を、単一の開口部を介して充填することができ、また取り出すことができる。しかしながら有利には、プラントは、コンクリート粉粒体を充填するための第1の開口部と、コンクリート粉粒体を取り出すための第2の開口部と、を含む。例えば、第1の(上部)開口部と、重力方向に関して、この第1の開口部とは反対側に位置する第2の(下部)開口部と、を設けることができる。この場合、第2の(下部)開口部を開放した際に、コンクリート粉粒体を容器から自動的に落下させることができる。この実施形態においては、特に第2の(下部)開口部のみを気密に閉鎖可能に構成することができ、その一方で、第1の(上部)開口部を開放したままにすることができる。しかしながら、両方の開口部が気密に閉鎖可能である構成も考えられる。このために、プラントは、少なくとも1つの蓋を含むことができる。
【0033】
有利には、少なくとも1つのセンサが、容器に配置されている。これは、センサが側壁における突出部、管の一部等に配置されており、且つ容器の収容空間に流体的に作用接続されている実施形態を含む。コンクリート粉粒体に吸収されたCO2吸収量を特定できるようにするために、(上述したような)異なるタイプのセンサを使用することができる。同様に、それらのタイプのセンサの内の1つ又は複数の任意の組み合わせも考えられる。CO2は空気よりも重く、従って、基本的には容器の底部に集まりやすいので、例えば、容器内に複数の濃度センサを重力方向において上下に相前後させて配置することができる。
【0034】
容器に均一且つ高速にCO2を供給するために、流入部は、複数のガス流入ノズルを含むことができる。それらのガス流入ノズルは、容器底部及び/又は少なくとも1つの側壁に配置することができ、特にマトリクス状に配置することができる。また、容器の収容空間内に複数の導入ノズルをマトリクス状に分布させることも考えられる。それら複数の導入ノズルは、環状管路を介して相互に接続することができる。容器の構成に応じて、ガス流入ノズルは容器の収容空間周りに、例えば環状に分散させて配置することができる。容器は、更に、容器からガスを流出させるための流出部を含むことができる。流出部と作用接続されている流出管路には、補完的に、出口弁及び/又は流量センサ及び/又は別のCO2濃度センサを配置することができる。
【0035】
プラントの構成に応じて、該プラントは複数の容器を含むこともできる。例えば、複数の容器へのコンクリート粉粒体のガス供給を並行して行うことができる。代替的に、複数の容器を相前後して直列に接続することもできる。第1の容器からの余剰ガスは、例えば、第2の容器/収集容器に案内され、その第2の容器/収集容器において、本方法を上述したように繰り返すことができる。しかしながら代替的に、第1の容器からの余剰ガスが、単に受動的に、収集容器内に配置されているコンクリート粉粒体によって少なくとも部分的に吸収され、特に完全に吸収されることも考えられる。従って、第2の容器/収集容器は、第1の容器の流出管路と流体的に作用接続可能であっても良い。代替的又は補完的に、第2の容器/収集容器は、(第2の)入口弁を備えた別個の流入管路を介して貯蔵タンクと流体的に作用接続可能であっても良い。
【0036】
プラントの上述の実施形態は、本発明による方法を実施するために用いられても良い。また、本方法の前述の実施形態は、本方法を実施するためのプラントの相応に構成された実施形態も開示しており、これは逆の場合にも当てはまる。
【0037】
添付の図面に図示した実施例及びそれら実施例に関連する以下の説明に基づき、本発明の態様を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】コンクリート粉粒体を処理するための本発明によるプラントの第1のバリエーションを示す。
【
図2】コンクリート粉粒体を処理するための本発明によるプラントの第2のバリエーションを示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、コンクリート粉粒体2を処理するための本発明によるプラント1の第1のバリエーションの概略図を示す。プラント1は、CO
2を含むガスを貯蔵するための貯蔵タンク3と、少なくとも1つの、少なくとも部分的に気密な容器4、12と、を含む。図示した実施例においては、第1の容器4と、第2の(収集)容器12と、が設けられている。2つの容器4、12は、気密に閉鎖可能であっても良く、また(開放された状態では)それぞれ、コンクリート粉粒体2を収容する及び/又は取り出すための少なくとも1つの開口部(図示せず)を有する。第1の容器4は、容器4内にガスを供給するための流入部5を含み、この流入部5は、流入管路6を介して貯蔵タンク3と流体的に作用接続可能である。第2の容器12は、流出部13に作用接続されている、第1の容器の流出管路14に作用接続されている。貯蔵タンク3と第1の容器4との間の流入管路6には、容器4内に供給されるガスの体積流を制御するために用いられる入口弁7が配置されている。入口弁7は、比例弁であっても良い。流入部5は、複数のガス流入ノズルを含んでも良い。高速な充填のために、容器4の収容空間及び/又は底部及び/又は少なくとも1つの側壁(図示せず)には、ガス流入ノズルが、マトリクス状に配置されていても良い。第1の容器4と第2の容器12との間の管路には、ポンプ17及び出口弁18が配置されていても良い。ポンプ17は、(入口弁7が開放された状態、且つ出口弁18が開放された状態において)貯蔵タンク3から第1の容器4内にガスを吸い込むように設計されていても良い。このため、ポンプ17は真空ポンプであって良い。加えて、第1の容器4の流出管路(若しくは2つの容器4、12間の管路)にはCO
2濃度センサ8が配置されていても良い。このCO
2濃度センサ8は、容器4からどれ程のCO
2が放出されているかを監視するために用いられる。
【0040】
第1の容器4には、別のセンサ8、9、10が配置されている。これらのセンサの測定値に基づいて、上述したように、コンクリート粉粒体2に吸収されたCO2吸収量を特定することができる。制御ユニット11は、吸収されたCO2量に応じて、ガスの供給を制御するために用いられる。このために、センサ8、9、10、入口弁7、出口弁18及びポンプ17は、制御ユニット11に作用接続されている。入口弁7及び/又は出口弁18は、流量センサを含んでも良い。制御ユニット11は、特に、コンクリート粉粒体2のCO2が所定の飽和CO2に達するまで、ガス供給及び/又はガス排出を自動的に制御するように設計されても良い。
【0041】
コンクリート粉粒体2を有する容器4へのガスの初期充填のために、先ず入口弁7及び出口弁18を開放することができる。続いて、ポンプ17によって、貯蔵タンク3から容器4にガスを吸い込むことができる。容器4の流出管路14における濃度センサ8は、CO2濃度を監視することができる。容器4内が所望の最大CO2濃度に達したとき、出口弁18を閉鎖することができる。入口弁7を同様に少なくとも一時的に閉鎖することができる。容器4におけるセンサ8、9、10は、容器4における圧力、CO2濃度及び温度を測定することができる。測定値は、制御ユニットおいて、CO2の吸収量を特定するために用いられる。吸収量に応じて、CO2を含むガスが容器に追加供給されることによって、CO2によるコンクリート粉粒体2の最適且つ可能な限り均一な飽和CO2(若しくは吸収)が行われる。所定の飽和CO2に達したとき、第1の容器4から余剰ガスを排出することができる。有利には、図示したケースのように、余剰ガスが、同様にコンクリート粒状体2が充填されている収集容器12へと送られる。収集容器12において、余剰ガスは、その収集容器12内のコンクリート粉粒体2によって有利には完全に吸収される。このことは特に、収集容器12の流出管路に配置されている別のCO2濃度センサ8によって検知することができる。代替的又は補完的に、ガス供給前のコンクリート粉粒体2と、ガス供給後のCO2が吸収されたコンクリート粉粒体2との重量差も同様に特定することができる。重量若しくは重量差を測定するために、容器4に衡器21を配置することができる。
【0042】
図2は、コンクリート粉粒体2を処理するための本発明によるプラントの第2のバリエーションの概略図を示す。プラント1はまた、CO
2を含むガスを貯蔵するための貯蔵タンク3と、少なくとも1つの、少なくとも部分的に気密な容器4と、を含む。図示した例では、容器4が上方に向けて開かれた構成となっており、コンクリート粉粒体2を充填するための上部開口部19を含む。上部開口部19側とは反対側の方向である第1の方向(重力方向)に、コンクリート粉粒体を抜き取るための下部開口部20が配置されている。下部開口部20は、気密に閉鎖された状態で示されている。上部開口部19と下部開口部20との間には、容器の環状の側壁が配置されている。この側壁は、有利には同様に気密である。環状の側壁は、横断面が円形に構成されていても良いし、角形に構成されていても良い。コンクリート粉粒体2が充填された後に、入口弁7が開放され、容器4には、下方から上方に向かって、CO
2を含むガスが充填される。このために、図示したケースでは、流入管路6にポンプ17が配置されている。しかしながら、他の配置構成も同様に考えられる。ガスを高速に供給するために、容器4は、有利には、環状に配置されたガス流入ノズル15を含む。それらのガス流入ノズル15は、容器4におけるコンクリート粉粒体2のための収容空間に配置されても良く、また流入管路によって相互に接続されていても良いし、容器の収容空間を包囲しても良い。図示したケースでは、環状に配置されたガス流入ノズル15の2つのグループが、第1の方向において上下に配置されている。容器4には、少なくとも1つのCO
2濃度センサ8を配置することができる。しかしながら、有利には、複数のCO
2濃度センサ8が第1の方向において分散されて配置され、それぞれが制御ユニット11に作用接続されている。代替的又は補完的に、温度、圧力又は相対湿度を測定するためのセンサのような他のセンサもまた用いることができる。CO
2濃度センサ8は、有利には、容器4内のCO
2濃度を連続的に測定する。制御ユニット11は、コンクリート粉粒体2によって吸収されたCO
2量に応じてガス供給を制御する。吸収されたCO
2量は、上述の方法と関連させて説明したように、(1つ又は複数の)センサ8による測定を介して、制御ユニット11によって特定される。ここで、吸収されたCO
2量は、容器4に供給されたCO
2と、測定された容器4内に存在するCO
2との差とすることができる。既に吸収されたCO
2量に応じて、CO
2を含むガスを容器4に追加供給することができる。これによって、容器4におけるコンクリート粉粒体2の効率的且つ均一な飽和が可能になる。重力方向において一番上に位置するCO
2濃度センサ8は、容器4内のガスが所定の充填レベル16を超過しないことを保証するために使用することができる。つまり、上部開口部19からガスが漏れ出ることを阻止することができる。更に、容器4における(第1の開口部19側の)表面に、炭化されていないコンクリート粉粒体又は部分的にしか炭化されていないコンクリート粒状体2の十分に厚い層が常に存在するように、プロセスを制御することができる。この層は、意図せずに上昇するCO
2を吸収するためのフィルタ層として用いることができる。CO
2が吸収されたコンクリート粉粒体2が下部開口20を介して容器4から取り出されると、この層は下方に降下し、例えば上方から別のコンクリート粉粒体2を補充して上記方法を繰り返し実施すると、所定の飽和CO
2が相応に行われる。
【符号の説明】
【0043】
1 プラント
2 コンクリート粉粒体
3 貯蔵タンク
4 容器
5 流入部
6 流入管路
7 入口弁
8 濃度センサ
9 圧力センサ
10 温度センサ
11 制御ユニット
12 収集容器
13 流出部
14 流出管路
15 ガス流入ノズル
16 充填レベル
17 ポンプ
18 出口弁
19 上部開口部
20 下部開口部
21 衡器
【国際調査報告】