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特表2023-530080X線検査システム、X線画像化アクセサリ、検体支持体、キット、及びX線検査システムを使用する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-13
(54)【発明の名称】X線検査システム、X線画像化アクセサリ、検体支持体、キット、及びX線検査システムを使用する方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/046 20180101AFI20230706BHJP
【FI】
G01N23/046
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022575964
(86)(22)【出願日】2021-06-08
(85)【翻訳文提出日】2023-02-09
(86)【国際出願番号】 US2021036343
(87)【国際公開番号】W WO2021252451
(87)【国際公開日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】2008738.3
(32)【優先日】2020-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391019120
【氏名又は名称】ノードソン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー ビル
(72)【発明者】
【氏名】サットン デヴィッド
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001CA01
2G001DA09
2G001HA14
2G001JA08
2G001PA06
2G001PA11
2G001QA02
(57)【要約】
X線源(10)、X線検出器(12)、柔軟性材料から成る検体支持体(20)及び検体支持体(20)をX線源(10)とX線検出器(12)との間に位置決めするよう構成された検体支持体位置決め組立体を含むX線検査システム(100)。検体支持体(20)は、検査のための検体を検体支持体に対して固定された位置に取り外し可能にクランプするよう構成されるとともに使用中、検体の少なくとも一つの表面が柔軟性材料と接触状態になるように構成されている。検体支持体位置決め組立体は、検体支持体を回転軸線回りに回転するよう構成された回転駆動装置(28)を含む。これにより検体を回転軸線回りに回転させることができ、その結果、一連の二次元画像をX線検出器によって捕捉することができるようになっており、かかる一連の二次元画像を用いると、検体の三次元再構成像を作ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線検査システムであって、
X線源と、
X線検出器と、
柔軟性材料を含む検体支持体と、
前記検体支持体を前記X線源と前記X線検出器との間に位置決めするよう構成された検体支持体位置決め組立体とを含み、
前記検体支持体は、検査のための検体を前記検体支持体に対して固定された位置に取り外し可能にクランプするよう構成されるとともに使用中、前記検体の少なくとも一つの表面が前記柔軟性材料と接触状態になるように構成されている、X線検査システム。
【請求項2】
前記柔軟性材料は、弾性材料である、請求項1記載のX線検査システム。
【請求項3】
前記柔軟性材料は、圧縮性フォームである、請求項1又は2記載のX線検査システム。
【請求項4】
前記検体支持体は、使用中、前記検体を完全に包囲するよう構成されている、請求項1~3のうちいずれか一に記載のX線検査システム。
【請求項5】
前記検体支持体は、前記柔軟性材料よりも剛性の高い材料から成る外側シェルを有する、請求項1~4のうちいずれか一に記載のX線検査システム。
【請求項6】
前記外側シェルは、炭素繊維又はアラミド繊維から成る、請求項1~5のうちいずれか一に記載のX線検査システム。
【請求項7】
前記検体支持体は、第1の部分及び第2の部分を有し、前記第1の部分は、前記検体支持体が検体を受け入れることができる開き位置と、前記検体支持体が前記検体を前記検体支持体の前記第1の部分と前記第2の部分との間にクランプする閉じ位置との間で前記第2の部分に対して動くことができる、請求項1~6のうちいずれか一に記載のX線検査システム。
【請求項8】
前記検体支持体位置決め組立体は、ベース及び前記ベースに取り付けられたフレームを含み、前記検体支持体は、前記フレームに連結される、請求項1~7のうちいずれか一に記載のX線検査システム。
【請求項9】
前記フレームは、前記ベースに対して固定されたピボット回りに動くことができる、請求項8記載のX線検査システム。
【請求項10】
前記X線源と前記X線検査器との間に設けられたX線フィルタをさらに含む、請求項1~9のうちいずれか一に記載のX線検査システム。
【請求項11】
前記検体支持体位置決め組立体は、前記検体支持体を回転軸線回りに回転させるよう構成された回転駆動装置を含む、請求項1~10のうちいずれか一に記載のX線検査システム。
【請求項12】
前記検体支持体を垂直方向に前記X線源に向かって又はこれから遠ざかって動かす垂直位置決め機構体をさらに含む、請求項1~11のうちいずれか一に記載のX線検査システム。
【請求項13】
前記検体支持体を第1の水平方向に動かす第1の水平位置決め機構体及び前記検体支持体を第2の水平方向に動かす第2の位置決め機構体をさらに含む、請求項1~12のうちいずれか一に記載のX線検査システム。
【請求項14】
X線検査システム用のX線画像化アクセサリであって、
柔軟性材料を含む検体支持体と、
前記検体支持体を回転軸線回りに回転させるよう構成された回転駆動装置を含む検体支持体位置決め組立体とを含み、
前記検体支持体は、検査のための検体を前記検体支持体に対して固定された位置に取り外し可能にクランプするよう構成されるとともに使用中、前記検体の少なくとも一つの表面が前記柔軟性材料と接触状態になるように構成されている、X線画像化アクセサリ。
【請求項15】
前記柔軟性材料は、弾性材料、例えば圧縮性フォームである、請求項14記載のX線画像化アクセサリ。
【請求項16】
前記検体支持体は、使用中、前記検体を完全に包囲するよう構成されている、請求項14又は15記載のX線画像化アクセサリ。
【請求項17】
前記検体支持体は、前記柔軟性材料よりも剛性の高い材料、例えば炭素繊維、アラミド繊維、PEEK又は低密度金属、例えばアルミニウムから成る外側シェルを有する、請求項14~16のうちいずれか一に記載のX線画像化アクセサリ。
【請求項18】
前記検体支持体位置決め組立体は、ベース及び前記ベースに取り付けられたフレームを含み、前記検体支持体は、前記フレームに連結される、請求項14~17のうちいずれか一に記載のX線画像化アクセサリ。
【請求項19】
前記フレームは、前記ベースに対して固定されたピボット回りに動くことができる、請求項18記載のX線画像化アクセサリ。
【請求項20】
X線検査システム用の検体支持体であって、前記検体支持体は、
柔軟性材料と、
回転駆動装置に連結可能な機械的インターフェースと、を含み、
前記検体支持体は、検査のための検体を前記検体支持体に対して固定された位置に取り外し可能にクランプするよう構成されるとともに使用中、前記検体の少なくとも一つの表面が前記柔軟性材料と接触状態になるように構成されている、検体支持体。
【請求項21】
前記機械的インターフェースは、前記回転駆動装置に連結可能な突出部又はアクスルを含む、請求項20記載の検体支持体。
【請求項22】
各々が請求項20又は21記載の検体支持体である複数の検体支持体を含むX線検査システム用のキットであって、
前記複数の検体支持体の各々は、異なる直径を有する、キット。
【請求項23】
回転駆動装置を含む検体支持体位置決め組立体をさらに含み、前記複数の検体支持体の各々は、前記回転駆動装置に取り外し可能に結合可能である、請求項22記載のキット。
【請求項24】
X線源、X線検出器及び柔軟性材料を含む検体支持体を含むX線検査システムを使用する方法であって、前記方法は、
検査されるべき検体を前記検体支持体内にクランプして前記検体が前記検体支持体に対して固定された位置にあるとともに前記検体の少なくとも1つの表面が前記柔軟性材料と接触状態にあるようにするステップと、
前記検体支持体を前記X線源と前記X線検出器との間に位置決めするステップと、
前記検体のX線画像を記録するステップと、
前記検体支持体を前記X線源に対して回転させるステップと、
前記検体の第2のX線画像を記録するステップと、を含む、方法。
【請求項25】
前記検体支持体は、第1の部分及び第2の部分を有し、前記第1の部分は、前記第2の部分に対して動くことができ、検査されるべき前記検体をクランプする前記ステップは、
前記検体支持体の前記第1の部分を前記検体支持体の前記第2の部分に対して動かし、そして開き位置に動かすステップと、
検体を前記検体支持体内に配置するステップと、
前記検体支持体の前記第1の部分を前記検体支持体の前記第2の部分に対して動かし、そして前記検体が前記検体支持体によってクランプされる閉じ位置に動かすステップと、を含む、請求項24記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線検査システム、X線検査システム用のX線画像化(イメージング)アクセサリ、X線検査システム用の検体支持体、X線検査システム用のキット及びX線検査システムを使用する方法に関する。
【0002】
〔関連出願の参照〕
本願は、2020年6月9日に出願された英国特許出願第2008738.3号の優先権主張出願であり、この英国特許出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
X線検査システムは、検体を検査するために使用できる。検体をX線源、例えばX線管とX線検出器との間に配置することによって、検体の一断面の二次元画像を捕捉することができる。この画像は、検体の内側構造体に関する詳細な情報を提供する。X線検査が特に有用な一業界は、パッケージ化半導体デバイスを含む電子部品の製造分野である。被着させた導電性要素にボイド、亀裂及び位置合わせ不良があるかどうかについて電子部品を検査できるということが有用である。
【0004】
X線検査システムの中には、コンピュータ断層撮影法を実施するために使用できるものがある。コンピュータ断層撮影法では、検体の幾つかの断面の一連の二次元画像を捕捉し、そして画像相互間で検体をX線源及びX線検出器に対して回転させるが、その逆の関係が成り立つ。次に、二次元画像を組み合わせることによって検体の三次元再構成像をコンピュータ計算するのが良い。検体の三次元再構成結果により、検体の内部構造の三次元分析が可能であり、例えば、仮想マイクロセクショニング(micro-sectioning)及び内部寸法測定が可能である。また、かかる三次元再構成は、検体の時間のかかるマイクロセクション分析の必要性を減少させることができ、追加的に又は代替的にマイクロセクション調製及び調査をどこに集中すべきかを識別するのを助ける。
【0005】
検体をX線源及びX線検出器に対して回転させるX線検査システムでは、X線検査システムは、検体を回転軸線回りに回転させる回転駆動装置を有する回転ステージを含むのが良い。三次元可視化ができるだけ正確であるようにするためには、検体が回転軸線回りにのみ動くことが望ましい。例えば、検体を互いに異なる位置に回転させたときにこの検体が重力の作用下において回転軸線に対して動かないようにすることが望ましい。
【0006】
現時点において、例えばホットグルーガン又はクランプを用いて検体の一端を回転駆動装置に固定することによって検体の望ましくない動きを減少させる。しかしながら、検体をこのように固定することは、大きな労働力を要するとともに時間のかかる場合がある。例えば、正確な三次元可視化を可能にするためには、回転軸線が検体の中心を通ることが望ましい。検体をX線検査システム内に正確に位置決めすることは、困難な場合がある。
【0007】
さらに、第1の検体を検査のための第2の検体で置き換えることは、特に第1の検体がホットグルーガンを用いて固定されていた場合、時間がかかりしかも大きな労働力を要する場合がある。また、ホットグルーガンのグルーによって又はクランプによって検体を損傷するという恐れがある。さらに、現行の方法では、検体は、一度に1つ検査されなければならない。多数の検体が検査されるべき場合、技術者は、各検体を検査した後に検体を取り替える用意をしておかなければならない。
【0008】
検体の一端を回転駆動装置に固定した場合のもう1つの欠点は、大きくかつ重さのある検体を回転させたときに、例えば、検体の曲げのために固定された端に対する自由端の幾分かの運動を生じる場合があるということである。この曲げにより、検体の長さに沿ってコンピュータによって得られる三次元可視化の精度が低下する。
【0009】
検体、例えば電子部品を検査する際、X線検出器によって捕捉された二次元画像の倍率を最大にすることが望ましい場合があり、これは、特に、電子部品を検査する際である。検体をX線源のできるだけ近くに位置決めすることによって倍率を最大にすることができる。しかしながら、検査のための各検体は、寸法形状が異なっている場合がある。検体は、不規則な形状をしている場合がある。検体を回転させている間に検体とX線検査システムのX線源又は他の何らかの部品との衝突を回避するために、ユーザは、X線検査システムが各検体について正確にセットアップされるようにしなければならない。これにより、X線検査システムを用いた場合の複雑さが高まる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
簡単かつ使用するのが迅速であり、また、検体が大きく又は重さがある場合であっても高品質でありかつ正確な三次元再構成像を作ることができるようにし、さらに、高い倍率を許容しながら検体とX線検査システムとの衝突の恐れを軽減し、しかも、多数の検体を同時に又は一操作で検査できるX線検査システムを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、参照すべき添付の特許請求の範囲中の独立形式の請求項に記載されたX線検査システム、X線検査システム用の検体支持体組立体、X線検査システム用の検体支持体組立体、キット、及びX線検査システムを使用する方法を提供する。本発明の好ましい又は有利な特徴は、従属形式の請求項に記載されている。
【0012】
第1の観点では、X線源と、X線検出器と、柔軟性材料を含む検体支持体と、検体支持体位置決め組立体とを含むX線検査システムが提供される。検体支持体位置決め組立体は、検体支持体をX線源とX線検出器との間に位置決めするよう構成されている。検体支持体は、検査のための検体を検体支持体に対して固定された位置に取り外し可能にクランプするよう構成されるとともに使用中、検体の少なくとも一つの表面が柔軟性材料と接触関係をなすよう構成されている。
【0013】
使用にあたり、検体支持体によってクランプされると共に柔軟性材料と接触する検体の二次元画像をX線検査システムのX線検出器によって捕捉するのが良い。好ましくは、一連の二次元画像をX線検出器によって捕捉するのが良く、検体に関し、各二次元画像が軸線回りの異なる回転角度に位置する。これは、検体支持体を軸線回りに回転させることによって達成できる。このように、検体支持体によってクランプされた検体もまた軸線回りに回転させる。軸線は、有利には、X線源とX線検出器との間に延びる直線に対して垂直な方向に延びる。一連の二次元画像は、検体の三次元再構成像を作るために使用されるのが良い。クランプされた検体は、有利には、検体を回転させているときに検体支持体内の固定された位置に保持されるのが良い。かくして、検体支持体に対する検体の動きを阻止することができる。これは、有利には、検体の正確な三次元再構成像の生成を許容することができる。取り外し可能にクランプされている検体は、有利には、検体を検体支持体から容易に取り外してこれを交換することができるようにする。
【0014】
柔軟性材料は、破断しないで変形する材料であるのが良い。柔軟性材料は、有利には、検査されるべき1つ又は複数の検体よりも著しく柔軟性が高く、したがって、かかる柔軟性材料は、これが接触する検体の少なくとも1つの表面の形状と同じ形状を取ることができる。かくして、検体支持体は、有利には、検体のある範囲の寸法及び形状に対応することができ、各場合において、柔軟性材料は、少なくとも検体の一表面に接触することができる。検体は、柔軟性材料と検体との接触の結果として検体支持体内に固定されるのが良い。好ましい実施形態では、検体は、使用中、柔軟性材料によって包囲されるのが良く、その結果、検体の側部の全てが柔軟性材料と接触し、そしてこの柔軟性材料によって支持されるようになる。変形例として、検体は、一方の側部が剛性の材料と接触状態にあるとともに反対側の側部が柔軟性材料と接触状態にあっても良く、その結果、検体は、柔軟性材料と剛性材料との間にクランプされるようになる。
【0015】
検体支持体は、複数の検体を検査のために同時にクランプするよう構成されているのが良い。検体支持体は、複数の検体の各々をクランプすることができ、その結果、検体は、回転軸線に沿って間隔を置いて位置するようになる。これにより、有利には、新たな検体を画像化作業相互間で取り付ける必要なく、X線検査システムを用いて多数の検体を検査することができる。これにより、X線検査システムの動作が単純化され、しかも多数の検体の検出の自動化が可能である。
【0016】
柔軟性材料は、弾性材料であるのが良い。弾性材料は、有利には、検体を検体支持体から取り出した後においてはその元の形状に戻る。柔軟性材料は、圧縮性のフォームであるのが良い。圧縮性フォームは、弾性であるのが良い。圧縮性フォームは、密度が低いのが良く、有利には、X線減衰係数が小さい。X線減衰係数が小さい圧縮性フォームは、小さな原子数もしくは低密度又はこれら両方を有する材料から成るのが良い。
【0017】
検体支持体は、使用中、検体を完全に包囲するよう構成されているのが良い。X線源によって生じて検体を通過するX線は、例え僅かな量であるに過ぎない場合であっても、検体支持体によって減衰されるのが良い。使用中に検体を完全に包囲する検体支持体を提供することによって、検体支持体は、X線源に対する検体支持体の配向状態とは無関係に、X線を同様な程度まで減衰させることができる。これは、検体とは関係のない画像化アーチファクトを生じさせないで、検体の高品質かつ正確な三次元可視化像を作る上で有利であると言える。
【0018】
X線検出器によって捕捉された画像の倍率は、X線源と検体との間の距離に依存する場合がある。特に、倍率は、検体をX線源に近づけると、増大することができる。検体が検体支持体によって完全に包囲されると、検体支持体は、検体支持体がX線検査システムの特徴と衝突しないことが知られている位置にある状態でX線源に近接して位置決めされるのが良い。したがって、検体支持体によって完全に包囲できる任意の形状又は寸法の検体を高倍率位置に確実に位置決めすることができ、この場合、X線検査システムを較正する必要はなく、しかも検体がX線検査システムのX線源又は任意他のコンポーネントと衝突する恐れがない。これは、有利には、X線検査システムのユーザ作業を単純化することができ、特に、X線検査システム中への検体の装填を単純化することができる。高倍率X線画像を捕捉することができると言うことは、パッケージ化半導体デバイスを含む電子部品を検査する際に特に有利であると言える。
【0019】
検体支持体は、柔軟性材料よりも高い剛性を有する材料から成る外側シェルを有するのが良い。外側シェルは、有利には、検体支持体に寸法安定性をもたらすことができ、また、検体支持体の外面の曲げ又は変形を減少させることができる。外側シェルはまた、柔軟性材料を保持することができ、それにより検体支持体内に保持された1つ又は複数の検体にクランプ力を提供することができる。検体支持体は、2つの端部が検体支持体位置決め組立体に連結されるのが良い。外側シェルを提供することにより、検体支持体が2つの端部相互間の領域で曲がるのを阻止し又は軽減することができる。外側シェルは、柔軟性材料を完全に包囲することができる。使用にあたり、柔軟性材料によってクランプされた検体は、外側シェル内に完全に受け入れられるのが良い。
【0020】
外側シェルは、炭素繊維又はアラミド繊維のうちの少なくとも一方から成るのが良い。代替的に又は追加的に、外側シェルは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から成っていても良い。変形例として、外側シェルは、低密度金属、例えばアルミニウムから成っていても良い。炭素繊維、アラミド繊維、PEEK又は低密度金属から成る外側シェルは、有利には、高い剛性を有する一方で、低密度及び低X線減衰度を有するのが良い。かかる材料は、有利には、外側シェルを通過したX線ビームによる劣化に対して耐性があると言える。
【0021】
検体支持体は、長手方向軸線を有するのが良く、外側シェルは、長手方向軸線に沿って延びる断面を備えた形状を定めることができる。好ましくは、外側シェルの断面は、実質的に円形であり、その結果、検体支持体を通過したX線は、検体支持体の回転角度とは無関係に、検体支持体の同種材料の実質的に同じ深さを通過するようになっている。円形断面を有する検体支持体は、円筒形の形を有することができる。検体支持体は、15ミリメートル~130ミリメートルの直径を有するのが良い。
【0022】
外側シェルが実質的に円形ではない場合、断面は、好ましくは、三次元再構成像を作るために用いられる各二次元画像を検体支持体の対称線を通って撮影することができるのに足るほど高い回転対称の位数を有するのが良い。断面は、少なくとも16、少なくとも32、少なくとも64、少なくとも128、少なくとも256、少なくとも512又は少なくとも720の回転対称の位数を有するのが良い。
【0023】
外側シェルは、内部空間を画定することができる。内部空間は、柔軟性材料で満たされるのが良い。この関係で、「満たされ」という表現は、外側シェル内の柔軟性材料が1つ又は複数の検体に対応するために外側シェル内で圧縮されなければならないということを意味しており、1つ又は複数の検体は、予想される検体体積範囲内の体積を有する。有利には、検体支持体を軸線回りに回転させているとき、柔軟性材料は、検体と外側シェルとの間で圧縮されたときに検体を外側シェルに対して固定された位置に保持するのに十分なクランプ力を検体に加える。
【0024】
検体支持体は、第1の部分及び第2の部分を有するのが良い。第1の部分は、開き位置と閉じ位置との間で第2の部分に対して動くことができるのが良い。開き位置では、検体支持体は、検体を受け入れることができるのが良い。閉じ位置では、検体支持体は、検体支持体内に受け入れられた検体を検体支持体の第1の部分と第2の部分との間でクランプするのが良い。
【0025】
第1の部分は、柔軟性材料の第1の部分から成るのが良い。第2の部分は、柔軟性材料の第2の部分から成るのが良い。第2の部分の柔軟性材料は、有利には、第1の部分の柔軟性材料と同一であり、又は少なくとも、実質的に同一のX線減衰係数を有する。検体が閉じられた検体支持体内に受け入れられると、柔軟性材料の第1及び第2の部分は各々、検体の少なくとも1つの表面に接触し、そしてこの少なくとも1つの表面の形状と同じ形を取り、その結果、検体は、柔軟性材料によって支持された状態で検体支持体に対して定位置に固定されるようになっている。
【0026】
検体支持体の第1の部分は、検体支持体の第2の部分から分離可能であるのが良い。変形例として、検体支持体の第1の部分は、ヒンジによって検体支持体の第2の部分に連結されても良い。検体支持体の第1の部分は、ヒンジにより検体支持体の第2の部分に対して動くことができるのが良い。ヒンジは、検体支持体の第1及び第2の部分に固定された可撓性樹脂又は軟質粘着テープから成るのが良い。変形例として、ヒンジは、マイラー(Mylar )の1本又は複数のストリップから成っていても良く、マイラーの各ストリップ又は複数のストリップは、例えば粘着テープを用いて検体支持体の第1及び第2の部分に固定される。変形例として、検体支持体の第1の部分は、検体支持体の第2の部分に対して摺動することができても良い。
【0027】
検体支持体は、第1の部分及び第2の部分を閉じ位置に保持する手段を有するのが良い。これは、有利には、検体支持体が任意の配向状態で閉じ位置のままであるようにすることができる。
【0028】
第1の部分及び第2の部分を閉じ位置に保持する手段は、検体支持体の第1及び第2の部分に取り外し可能に固定されるよう構成された粘着テープを含むのが良い。変形例として、検体支持体の第2の部分は、閉じ位置において検体支持体の第2の部分に係合しても良い。変形例として、検体支持体の第1及び第2の部分を閉じ位置に保持するための手段は、検体支持体が閉じ位置にあるときに検体支持体の第1の部分と第2の部分の両方に係合するよう構成されたクリップであっても良い。検体支持体は、検体支持体の第1の部分と第2の部分の両方に係合するよう構成された2つ以上のクリップであっても良い。クリップは、検体支持体に解除可能に係合し又はクリップしても良い。クリップは、検体支持体を閉じ位置から開き位置に動かすことができるよう検体支持体から取り外し可能であるのが良い。クリップは、検体支持体に沿って摺動可能であるのが良い。クリップは、クリップが検体支持体の第1の部分と第2の部分の両方に係合する第1の位置からクリップが検体支持体の第1の部分又は第2の部分にのみ係合する第2の位置に摺動可能であるのが良い。クリップは、検体支持体が閉じ位置にあるときに第1の位置にあるのが良い。ユーザは、クリップを第2の位置に摺動させるのが良く、それにより、検体支持体を閉じ位置から開き位置に動かすことができる。
【0029】
第1の部分及び第2の部分を閉じ位置に保持するための手段は、1つ以上のクリップを含み、かかる手段は、検体支持体の第1の部分が検体支持体の第2の部分に連結されていない場合に特に適していると言える。
【0030】
検体支持体は、検体支持体位置決め組立体に取り外し可能に連結可能であるのが良い。これにより、有利には、検体支持体に代えて、異なる断面寸法、好ましくは異なる断面直径を有する別の検体支持体を用いることができる。ユーザは、検査のための検体のサイズに適合したサイズの検体支持体を選択することができる。検体支持体が小さければ小さいほど、検体をX線源にそれだけいっそう近く位置決めすることができ、したがってそれだけいっそう高い倍率を達成することができる。しかしながら、検体支持体は、好ましくは、検査のための検体を完全に包囲するのに足るほど大きく選択されるのが良い。
【0031】
検体支持体は、固定機構体を用いて検体支持体位置決め機構体に取り外し可能に結合されるのが良い。例えば、Cクランプを用いると、検体支持体を検体支持体位置決め組立体に取り外し可能に結合することができる。Cクランプは、有利には、使用するのが簡単であり、また、検体支持体を検体支持体位置決め組立体に確実に固定する。
【0032】
検体支持体位置決め組立体は、ベースを含むのが良い。ベースは、X線検査システム中に納まることができる。具体的に説明すると、ベースは、X線検査システムのステージ上に載ることができる。ベースは、トレーの形態を取るのが良い。検体支持体位置決め組立体は、ベースに取り付けられたフレームを含むのが良く、検体支持体は、このフレームに連結される。X線源は、検体支持体から見てベースの反対側に位置決めされるのが良く、その結果、X線源によって生じたX線は、ベースを通り、その後X線検出器に到達するようになっている。かくして、X線検出器によって捕捉される画像の倍率は、検体支持体とベースとの間の隙間が小さければ小さいほど増大すると言える。検体支持体とベースとの間の隙間は、1ミリメートル以下、好ましくは0.5ミリメートル以下であるのが良い。
【0033】
ベースは、窓を有するのが良く、その結果、検体支持体がX線源とX線検出器との間に位置決めされたときにX線が窓を通過するようになっている。窓は、低減衰率材料で作られるのが良い。かかる材料は、小さい原子数もしくは低密度、又はこれら両方を有するのが良い。窓は、炭素繊維で作られるのが良い。変形例として、窓は、ベースに設けられた開口部であっても良い。
【0034】
X線検査システムは、X線源とX線検出器との間に設けられていて寄生的低エネルギーX線を吸収するよう構成された1つ以上のX線フィルタを含むのが良い。1つ以上のX線フィルタは、銅又は亜鉛から成るのが良い。銅から成るX線フィルタは、厚さが約100ミクロンであるのが良い。亜鉛から成るX線フィルタは、厚さが約150ミクロンであるのが良い。
【0035】
第1のX線フィルタがX線源と検体との間に位置決めされるのが良い。第1のX線フィルタは、X線源によって放出されるX線のビーム硬化を提供することができる。第1のX線フィルタは、ベースによって支持されるのが良く、この第1のX線フィルタは、ベースの窓上に延びるのが良い。第1のX線フィルタは、ベースの窓に被着された被膜の形態を取るのが良い。X線検査システムは、検体とX線検出器との間に位置決めされた第1のX線フィルタを含むのが良い。第2のX線フィルタは、寄生的低エネルギー散乱X線を吸収してかかるX線が検出器に到達するのを阻止するよう構成されているのが良い。
【0036】
代替的に又は追加的に、検体支持体は、X線フィルタを有するのが良い。検体支持体のX線フィルタは、検体支持体の外側シェルに施された被膜の形態をしているのが良い。検体支持体を通過したX線は、検体支持体のX線フィルタを2回通過するのが良い。かくして、検体支持体を通過したX線は、ビーム硬化を生じることができ、寄生的低エネルギー散乱X線の吸収が可能である。
【0037】
フレームは、ベースに対して固定されたピボット回りに動くことができるのが良い。これにより、有利には、ベースに対するフレームの位置を調整することができる。幾つかの実施形態では、これにより、有利には、検体支持体をベースに近づけ又はこれからさらに遠ざけることができ、その結果、X線検出器によって捕捉される検体の像の倍率を調節することができるようになっている。フレームは、別の仕方で、例えば、軌道に沿って直線的にベースに向かって並進されたりこれらから遠ざかるよう並進されたりするような仕方でベースに対して位置決めされても良い。
【0038】
動くことができるフレームが様々なサイズの検体支持体を検体支持体位置決め組立体に取り外し可能に連結することができるようにする上で特に有利な場合がある。フレームの一部分は、互いに異なる直径を有する検体支持体を検体位置決め支持体に結合することができるようにするよう調節可能であるのが良い。かくして、検体支持体とベースとの間の隙間が1ミリメートル以下、好ましくは0.5ミリメートル以下であり、この隙間を検体支持体のサイズとは無関係に維持するのが有利であると言える。
【0039】
検体支持体位置決め組立体は、フレームをベースに対して所定の位置に保持するためのプロップを含むのが良い。
【0040】
異なるサイズの検体支持体が検体支持体位置決め組立体に結合される場合に異なるサイズのプロップを使用するのが良い。
【0041】
変形例として、検体支持体位置決め組立体は、フレームをベースに対して複数の所定の位置のうちの1つの位置に保持するためのプロップを含んでも良い。フレームは、所定の位置のうちの各々の位置においてベースから異なる距離のところに保持されるのが良い。これにより、有利には、ユーザは、プロップを取り替えることなく、検体支持体位置決め組立体に結合された支持体の特定のサイズに適したフレームの所定の位置を選択することができる。プロップは、複数のスロット又は穴を有するのが良い。
【0042】
複数のスロット又は穴の各々は、フレームの係合要素を取り外し可能に受け入れてフレームを所定の位置のうちの1つの位置に保持するように構成されているのが良い。係合要素は、複数のスロット又は穴のうちの各々内に取り外し可能に受け入れ可能であるよう構成されるばね押しボルトを含むのが良い。変形例として、プロップは、各々が所定の位置のうちの1つの位置でフレームのスロット又は穴内に取り外し可能に受け入れ可能であるよう構成された複数の係合要素を有しても良い。
【0043】
プロップの第1の端部は、ベースに固定されるのが良い。プロップは、第1の端部から上方に延びるのが良い。複数のスロットは、プロップの長さに沿って分布して配置されるのが良い。検体支持体位置決め組立体は、好ましくは、第1のプロップに対応したスロット又は係合要素を含む第2のプロップを有するのが良い。第1のプロップと第2のプロップは、フレームの互いに反対側に位置決めされるのが良い。第1及び第2のプロップは、それぞれの第1の端部のところでベースに固定されるのが良い。第1のプロップと第2のプロップは、フレームを互いに反対側から支持するのが良い。これにより、有利には、単一のプロップを含む構成と比較して、向上した機械的安定性が得られる。
【0044】
検体支持体位置決め組立体は、ねじの形態をしていてベースに対するフレームのピッチを調節する手段をさらに含むのが良い。ねじを回すことによって微調整を行うことができる。
【0045】
検体支持体位置決め組立体は、ベースに対するフレームの位置を測定するよう構成されたエンコーダ(符号器)を含むのが良い。これにより、検体支持体とベースとの間の距離を求めることができ、したがって、有利には、X線検出器により捕捉されるべき画像の較正又は行われるべき倍率計算が可能である。
【0046】
X線検査システムは、画像プロセッサを含むコントローラを含むのが良い。画像プロセッサは、X線検出器からデータを受け取るようX線検出器に連結されるのが良い。画像プロセッサは、コンピュータ断層撮影計算を実施してX線検出器により捕捉される一連の二次元画像に基づいて検体の三次元再構成像を生じさせるよう構成されているのが良い。
【0047】
検体支持体位置決め組立体は、検体支持体を回転軸線回りに回転させるよう構成された回転駆動装置をさらに含む。回転駆動装置は、検体支持体位置決め組立体をフレームに固定されるのが良い。
【0048】
回転駆動装置は、モータを含むのが良い。モータは、画像プロセッサに連結されるのが良く、そしてこのモータは、位置情報を画像プロセッサに出力することができる。画像相互間におけるX線源及びX線検出器に対する検体の位置の変化、特に回転位置の変化をコンピュータ断層撮影計算において用いることができる。検体の三次元再構成像を生じさせる際に正確な位置情報が必要とされる。検体についての位置情報が正確であれば正確であるほど、画像解像度がそれだけいっそう良好になる。
【0049】
モータは、回転軸線からオフセットしているのが良い。回転駆動装置は、モータと検体支持体との間のリンク装置を有するのが良い。オフセット状態のモータは、有利には、使用中、X線源から見て回転軸線の反対側に位置決めされるのが良い。例えば、使用中、X線源が回転軸線の下に位置している場合、モータを回転軸線の上方に位置決めするのが良い。これにより、有利には、検体とX線源との間の最小距離を増大させないで、しかもX線検査システムの最大倍率を制限しないで、回転軸線に垂直な方向における検体支持体よりも大きなモータ又はリンク装置を提供することができる。モータを回転軸線からオフセットさせることにより、倍率を制限することなくより強力なモータを使用することができる。代替的に又は追加的に、リンク装置に大形の歯車装置を用いることができる。これにより、有利には、検体支持体の回転の正確な制御が可能である。
【0050】
リンク装置は、モータに連結された駆動歯車を含むのが良い。駆動歯車は、検体支持体を直接又は間接的に結合した歯車に結合されるのが良い。駆動歯車は、1つ以上のバックラッシュ防止歯車により検体支持体に結合されるのが良い。1つ以上のバックラッシュ防止歯車は、有利には、検体支持体の安定した回転を保証し、したがってX線検出器のところで捕捉される良好な画像品質を保証するようバックラッシュを減少させ又はなくすことができる。これは、検体支持体内に受け入れられた検体の質量中心が回転中心からオフセットしている場合に特に有利であると言える。バックラッシュ防止歯車が設けられていない場合、検体の質量により、バックラッシュがある特定の配向状態で回転方向に不利に作用する場合がある。変形例として、駆動歯車は、歯付きベルトにより検体支持体に結合されても良い。
【0051】
検体支持体は、検査のための検体をクランプするのが良く、その結果、検体は、回転軸線上に位置するようになっている。したがって、X線源に対する検体の互いに異なる配向状態の一連の画像が捕捉された場合、各画像は、軸線に沿ってオーバーラップすることができる。これにより、有利には、検体の三次元再構成像を一連の二次元画像から作る上でのコンピュータ計算に関する複雑さを減少させることができる。
【0052】
X線検査システムは、検体支持体位置決め組立体及びかくして検体支持体を垂直方向にX線源に向かって又はこれから遠ざかるように動かすための垂直位置決め機構体を含むのが良い。上述したように、X線検査器により捕捉される像の倍率は、X線源と検体との間の距離で決まる。かくして、検体支持体がX線源に近づき又は遠ざかることにより、有利には、倍率の制御が可能である。垂直位置決め機構体は、検体支持体位置決め組立体を移動させることによって検体支持体を移動させることができる。検体支持体位置決め組立体がベースを有する場合、垂直位置決め機構体は、ベースを動かすよう構成されるのが良い。
【0053】
X線検査システムは、検体支持体位置決め組立体、及びかくして検体支持体を第1の水平方向に動かす第1の水平位置決め機構体及び検体支持体を第2の水平方向に動かす第2の位置決め機構体を含むのが良い。第1及び第2の水平方向は、垂直方向と垂直であるのが良く、そしてこれら水平方向は、水平の平面を定めることができる。第1及び第2の水平位置決め機構体は、検体支持体位置決め組立体を動かすことによって検体支持体を動かすことができる。検体支持体位置決め組立体がベースを有する場合、第1及び第2の水平位置決め機構体は、ベースを動かすよう構成されるのが良い。
【0054】
X線検査システムは、検体支持体位置決め組立体に隣接して位置決めされるとともに検体支持体位置決め組立体の位置又はその位置の変化を検出するよう構成された非接触式位置測定装置を備えた検体支持体位置検出組立体を含むのが良い。非接触式位置測定装置は、垂直方向における検体支持体位置決め組立体の位置を測定することができる。非接触位置測定装置は、例えばレーザ干渉計、光学直線エンコーダ、磁気エンコーダ、又は容量型センサを含むことができる。
【0055】
X線検査システムは、第1及び第2の水平方向の各々の方向における検体支持体位置決め組立体の位置を測定する別の非接触式位置測定装置を含むのが良い。任意の非接触位置装置は、検体に関する位置情報を画像プロセッサに出力することができる。
【0056】
画像相互間におけるX線源及びX線検出器に対する垂直方向ならびに第1及び第2の水平方向における検体の位置の変化をコンピュータ断層撮影計算に用いることができる。
【0057】
検体支持体は、電子部品を取り外し可能にクランプするのに適しているのが良い。検体は、長さが12ミリメートル~250ミリメートルであるのが良い。検体の幅は、15ミリメートル~130ミリメートルであるのが良い。
【0058】
本発明の第2の観点では、X線検査システム用のX線画像化アクセサリが提供される。X線画像化アクセサリは、検体支持体及び検体支持体を回転軸線回りに回転させるよう構成された回転駆動装置を含む検体支持体位置決め組立体とを含む。検体支持体は、柔軟性材料を含み、この検体支持体は、検査のための検体を検体支持体に対して固定された位置に取り外し可能にクランプするよう構成されるとともに使用中、検体の少なくとも一つの表面が柔軟性材料と接触状態になるように構成されている。
【0059】
検体支持体は、検体支持体位置決め組立体に結合されるのが良い。具体的に説明すると、検体支持体は、回転駆動装置に結合されるのが良い。検体支持体は、回転駆動装置に取り外し可能に結合されるのが良い。
【0060】
X線画像化アクセサリは、X線源及びX線検出器を含むX線検査システム中に納まるよう構成されているのが良く、その結果、検体支持体は、X線源とX線検出器との間に位置決めされるようになる。使用にあたり、回転駆動装置は、有利には、検体支持体を回転軸線回りに回転させることができ、その結果、検体の一連の二次元画像がX線検出器によって捕捉されるようになり、検体に関し、各二次元画像が軸線回りの異なる回転角度に位置する。回転軸線は、有利には、X線源とX線検出器との間に延びる直線に垂直の方向に延びる。一連の二次元画像を用いると、コンピュータ断層撮影用途において検体の三次元再構成像を作ることができる。
【0061】
回転駆動装置は、モータを含むのが良い。モータは、回転軸線からオフセットしているのが良い。回転駆動装置は、モータと検体支持体との間のリンク装置を有するのが良い。リンク装置は、モータに連結された駆動歯車を含むのが良い。駆動歯車は、検体支持体に結合された歯車に結合されるのが良い。駆動歯車は、1つ以上のバックラッシュ防止歯車により結合されるのが良い。
【0062】
柔軟性材料は、破断なく容易に曲がる物質であるのが良く、したがって、柔軟性材料が接触する検体の少なくとも1つの表面の形状と同じ形状を取ることができる。好ましい実施形態では、検体は、使用中、柔軟性材料によって包囲されるのが良く、その結果、検体の側部の全てが柔軟性材料と接触し、そしてこの柔軟性材料によって支持されるようになる。変形例として、検体は、一方の側部が剛性の材料と接触状態にあるとともに反対側の側部が柔軟性材料と接触状態にあっても良く、その結果、検体は、柔軟性材料と剛性材料との間にクランプされるようになる。
【0063】
柔軟性材料は、弾性材料であるのが良い。柔軟性材料は、圧縮性のフォームであるのが良い。圧縮性フォームは、弾性であるのが良い。圧縮性フォームは、密度が低いのが良く、しかも、有利には、X線減衰係数が小さい。X線減衰係数が小さい圧縮性フォームは、小さな原子数もしくは低密度又はこれら両方を有する材料から成るのが良い。
【0064】
検体支持体は、使用中、検体を完全に包囲するよう構成されているのが良い。
【0065】
検体支持体は、柔軟性材料よりも高い剛性を有する材料から成る外側シェルを有するのが良い。外側シェルは、有利には、検体支持体に寸法安定性をもたらすことができ、また、検体支持体の外面の曲げ又は変形を減少させることができる。外側シェルはまた、柔軟性材料を保持することができ、それにより検体支持体内に保持された1つ又は複数の検体にクランプ力を提供することができる。外側シェルは、柔軟性材料を完全に包囲することができる。使用にあたり、柔軟性材料によってクランプされた検体は、外側シェル内に完全に受け入れられるのが良い。外側シェルは、炭素繊維又はアラミド繊維のうちの少なくとも一方から成るのが良い。代替的に又は追加的に、外側シェルは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から成っていても良い。変形例として、外側シェルは、低密度金属、例えばアルミニウムから成っていても良い。炭素繊維、アラミド繊維、PEEK又は低密度金属から成る外側シェルは、有利には、高い剛性を有する一方で、低密度及び低X線減衰度を有するのが良い。かかる材料は、有利には、外側シェルを通過したX線ビームによる劣化に対して耐性があると言える。
【0066】
検体支持体は、長手方向軸線を有するのが良く、外側シェルは、長手方向軸線に沿って延びる断面を備えた形状を定めることができる。好ましくは、外側シェルの断面は、実質的に円形であり、その結果、検体支持体を通過したX線は、検体支持体の回転角度とは無関係に、検体支持体の同種材料の実質的に同じ深さを通過するようになっている。円形断面を有する検体支持体は、円筒形の形を有することができる。検体支持体は、15ミリメートル~130ミリメートルの直径を有するのが良い。
【0067】
外側シェルが実質的に円形ではない場合、断面は、好ましくは、三次元再構成像を作るために用いられる各二次元画像を検体支持体の対称線のところで撮影することができるのに足るほど高い回転対称の位数を有するのが良い。断面は、少なくとも16、少なくとも32、少なくとも64、少なくとも128、少なくとも256、少なくとも512又は少なくとも720の回転対称の位数を有するのが良い。
【0068】
外側シェルは、内部空間を画定することができる。内部空間は、柔軟性材料で満たされるのが良い。
【0069】
検体支持体は、第1の部分及び第2の部分を有するのが良い。第1の部分は、開き位置と閉じ位置との間で第2の部分に対して動くことができるのが良い。開き位置では、検体支持体は、検体を受け入れることができるのが良い。閉じ位置では、検体支持体は、検体支持体内に受け入れられた検体を検体支持体の第1の部分と第2の部分との間でクランプするのが良い。
【0070】
第1の部分は、柔軟性材料の第1の部分から成るのが良い。第2の部分は、柔軟性材料の第2の部分から成るのが良い。第2の部分の柔軟性材料は、有利には、第1の部分の柔軟性材料と同一であり、又は少なくとも、実質的に同一のX線減衰係数を有する。検体が閉じられた検体支持体内に受け入れられると、柔軟性材料の第1及び第2の部分は各々、検体の少なくとも1つの表面に接触し、そしてこの少なくとも1つの表面の形状と同じ形を取り、その結果、検体は、柔軟性材料によって支持された状態で検体支持体に対して定位置に固定されるようになっている。
【0071】
検体支持体の第1の部分は、ヒンジによって検体支持体の第2の部分に連結されるのが良い。検体支持体の第1の部分は、ヒンジにより検体支持体の第2の部分に対して動くことができるのが良い。ヒンジは、検体支持体の第1及び第2の部分に固定された可撓性樹脂又は軟質粘着テープから成るのが良い。変形例として、ヒンジは、マイラーの1本又は複数のストリップから成っていても良く、マイラーの各ストリップ又は複数のストリップは、例えば粘着テープを用いて検体支持体の第1及び第2の部分に固定される。変形例として、検体支持体の第1の部分は、検体支持体の第2の部分に対して摺動することができても良い。
【0072】
検体支持体は、第1の部分及び第2の部分を閉じ位置に保持する手段を有するのが良い。
【0073】
第1の部分及び第2の部分を閉じ位置に保持する手段は、検体支持体の第1及び第2の部分に取り外し可能に固定されるよう構成された粘着テープを含むのが良い。変形例として、検体支持体の第2の部分は、閉じ位置において検体支持体の第2の部分に係合しても良い。
【0074】
検体支持体は、検体支持体位置決め組立体に取り外し可能に連結可能であるのが良い。これにより、有利には、検体支持体に代えて、異なる断面寸法、好ましくは異なる断面直径を有する別の検体支持体を用いることができる。ユーザは、検査のための検体のサイズに適合したサイズの検体支持体を選択することができる。検体支持体が小さければ小さいほど、検体をX線源にそれだけいっそう近く位置決めすることができ、したがってそれだけいっそう高い倍率を達成することができる。しかしながら、検体支持体は、好ましくは、検査のための検体を完全に包囲するのに足るほど大きく選択されるのが良い。
【0075】
検体支持体は、固定機構体を用いて検体支持体位置決め機構体に取り外し可能に結合されるのが良い。例えば、Cクランプを用いると、検体支持体を検体支持体位置決め組立体に取り外し可能に結合することができる。Cクランプは、有利には、使用するのが簡単であり、また、検体支持体を検体支持体位置決め組立体に確実に固定する。変形例として、固定要素は、簡易脱着(クイックリリース)機構体から成っていても良い。簡易脱着機構体は、ばね押し要素、例えばばね押しボルトを含むのが良い。ばね押し要素は、検体支持体の一部であるのが良く、かかるばね押し要素は、検体支持体位置決め組立体に解除可能に係合して検体支持体を検体支持体位置決め組立体の固定するよう構成されているのが良い。変形例として、ばね押し要素は、検体支持体位置決め組立体の一部であっても良く、かかるばね押し要素は、検体支持体に解除可能に係合して検体支持体を検体支持体位置決め組立体に固定するよう構成されているのが良い。
【0076】
簡易脱着機構体は、噛み合いクラッチを含むのが良い。検体支持体は、噛み合いクラッチの第1の部品を含むのが良い。検体支持体位置決め組立体は、噛み合いクラッチの第2の部品を含むのが良い。このように、検体支持体は、噛み合いクラッチの2つの部品を介して検体支持体位置決め組立体に係合することができる。噛み合いクラッチを用いることにより、有利には、検体支持体と検体支持体位置決め組立体との滑りが減少する。ばね押し要素は、噛み合いクラッチの第1及び第2の部品のうちの一方を含むのが良く、その結果、噛み合いクラッチの2つの部品は、互いに押されるようになっている。噛み合いクラッチの第1及び第2の部品は各々、互いに係合するよう構成された対応の歯を有するのが良い。歯はテーパが付けられているのが良い。
【0077】
検体支持体位置決め組立体は、ベースを含むのが良い。ベースは、X線検査システム中に納まることができる。具体的に説明すると、ベースは、X線検査システムのステージ上に載ることができる。ベースは、トレーの形態を取るのが良い。検体支持体位置決め組立体は、ベースに取り付けられたフレームを含むのが良く、検体支持体は、このフレームに連結される。検体支持体とベースとの間の隙間は、1ミリメートル以下、好ましくは0.5ミリメートル以下であるのが良い。フレームは、回転駆動装置を有するのが良い。フレームは、ベースに対して固定されたピボット回りに動くことができるのが良い。これにより、有利には、ベースに対するフレームの位置を調整することができる。検体支持体位置決め組立体は、ベースに対するフレームの位置を測定するよう構成された検出器を含むのが良い。
【0078】
ベースは、窓を有するのが良く、その結果、検体支持体がX線源とX線検出器との間に位置決めされたときにX線が窓を通過するようになっている。窓は、低減衰率材料で作られるのが良い。かかる材料は、小さい原子数もしくは低密度、又はこれら両方を有するのが良い。窓は、炭素繊維で作られるのが良い。変形例として、窓は、ベースに設けられた開口部であっても良い。
【0079】
検体支持体位置決め組立体は、寄生的低エネルギーX線を吸収するよう構成された1つ以上のX線フィルタを含むのが良い。1つ以上のX線フィルタは、銅又は亜鉛から成るのが良い。銅から成るX線フィルタは、厚さが約100ミクロンであるのが良い。亜鉛から成るX線フィルタは、厚さが約150ミクロンであるのが良い。
【0080】
第1のX線フィルタがX線源と検体との間に位置決めされるのが良い。第1のX線フィルタは、X線源によって放出されるX線のビーム硬化を提供することができる。第1のX線フィルタは、ベースによって支持されるのが良く、この第1のX線フィルタは、ベースの窓上に延びるのが良い。第1のX線フィルタは、ベースの窓に被着された被膜の形態を取るのが良い。X線検査システムは、検体とX線検出器との間に位置決めされた第1のX線フィルタを含むのが良い。第2のX線フィルタは、寄生的低エネルギー散乱X線を吸収してかかるX線が検出器に到達するのを阻止するよう構成されているのが良い。
【0081】
代替的に又は追加的に、検体支持体は、X線フィルタを有するのが良い。検体支持体のX線フィルタは、検体支持体の外側シェルに被着された被膜の形態をしているのが良い。検体支持体を通過したX線は、検体支持体のX線フィルタを2回通過するのが良い。かくして、検体支持体を通過したX線は、ビーム硬化を生じることができ、寄生的低エネルギー散乱X線の吸収が可能である。
【0082】
検体支持体は、X線フィルタを有するのが良い。X線フィルタは、検体支持体の外側シェルに被着された被膜の形態をしているのが良い。X線フィルタは、寄生的低エネルギー散乱X線を吸収してこれらX線が検体を通過するのを阻止するよう構成されているのが良い。X線フィルタ層は、銅から成るのが良い。検体支持体は、X線フィルタを有するのが良い。X線フィルタは、検体支持体の外側シェルに被着された被膜の形態をしているのが良い。
【0083】
代替的に又は追加的に、X線検査システムがベースを有する場合、ベースは、X線フィルタを有するのが良い。ベースが窓を有する場合、X線フィルタを有するのが、窓であっても良い。
【0084】
本発明の第3の観点では、柔軟性材料と、回転駆動装置に連結可能な機械的インターフェースとを含むX線検査システム用検体支持体が提供される。検体支持体は、検査のための検体を検体支持体に対して固定された位置に取り外し可能にクランプするよう構成されるとともに使用中、検体の少なくとも一つの表面が柔軟性材料と接触状態になるように構成されている。
【0085】
機械的インターフェースを設けることにより、検体支持体を検体支持体組立体の回転駆動装置に連結することができ、検体支持体組立体は、X線検査システムの一部であるのが良い。機械的インターフェースにより、有利には、検体支持体を回転駆動装置に取り外し可能に連結することができ、その結果、検体支持体を回転駆動装置に容易に連結し又はこれから取り外すことができるようになっている。機械的インターフェースは、突出部又はアクスルを含むのが良い。突出部又はアクスルは、回転駆動装置、例えば、モータのアクスルに連結可能であるのが良い。連結は、クランプ機構体、例えばCクランプにより行われるのが良い。
【0086】
使用の際、回転駆動装置に連結された検体支持体は、回転軸線回りに回転可能であるのが良い。検体支持体は、検査のための検体をクランプするのが良く、その結果、検体は、検体支持体への回転軸線上に位置するようになっている。
【0087】
検体支持体は、第1の機械的インターフェースから見て検体支持体の反対側に設けられた第2の機械的インターフェースを有するのが良い。第2の機械的インターフェースは、検体支持体位置決め組立体の第2のアクスル又は突出部に連結可能であるのが良い。
【0088】
検体支持体の柔軟性材料は、破断なく容易に曲がる材料であるのが良く、かかる柔軟性材料は、これが接触する検体の少なくとも1つの表目の形状と同じ形を取ることができる。好ましい実施形態では、検体は、使用中、柔軟性材料によって包囲されるのが良く、その結果、検体の全ての側部が柔軟性材料と接触し、そしてこれによって支持されるようになっている。
【0089】
柔軟性材料は、弾性材料であるのが良い。柔軟性材料は、圧縮性のフォームであるのが良い。圧縮性フォームは、弾性であるのが良い。圧縮性フォームは、密度が低いのが良く、しかも、有利には、X線減衰係数が小さい。X線減衰係数が小さい圧縮性フォームは、小さな原子数もしくは低密度又はこれら両方を有する材料から成るのが良い。
【0090】
検体支持体は、使用中、検体を完全に包囲するよう構成されているのが良い。
【0091】
検体支持体は、柔軟性材料よりも高い剛性を有する材料から成る外側シェルを有するのが良い。外側シェルは、有利には、検体支持体に寸法安定性をもたらすことができ、また、検体支持体の外面の曲げ又は変形を減少させることができる。外側シェルはまた、柔軟性材料を保持することができ、それにより検体支持体内に保持された1つ又は複数の検体にクランプ力を提供することができる。外側シェルは、柔軟性材料を完全に包囲することができる。使用にあたり、柔軟性材料によってクランプされた検体は、外側シェル内に完全に受け入れられるのが良い。
【0092】
外側シェルは、炭素繊維又はアラミド繊維のうちの少なくとも一方から成るのが良い。代替的に又は追加的に、外側シェルは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から成っていても良い。変形例として、外側シェルは、低密度金属、例えばアルミニウムから成っていても良い。炭素繊維、アラミド繊維、PEEK又は低密度金属から成る外側シェルは、有利には、高い剛性を有する一方で、低密度及び低X線減衰度を有するのが良い。かかる材料は、有利には、外側シェルを通過したX線ビームによる劣化に対して耐性があると言える。検体支持体は、長手方向軸線を有するのが良く、外側シェルは、長手方向軸線に沿って延びる断面を備えた形状を定めることができる。好ましくは、外側シェルの断面は、実質的に円形であり、その結果、検体支持体を通過したX線は、検体支持体の回転角度とは無関係に、検体支持体の同種材料の実質的に同じ深さを通過するようになっている。円形断面を有する検体支持体は、円筒形の形を有することができる。検体支持体は、15ミリメートル~130ミリメートルの直径を有するのが良い。
【0093】
外側シェルが実質的に円形ではない場合、断面は、好ましくは、三次元再構成像を作るために用いられる各二次元画像を検体支持体の対称線のところで撮影することができるのに足るほど高い回転対称の位数を有するのが良い。断面は、少なくとも16、少なくとも32、少なくとも64、少なくとも128、少なくとも256、少なくとも512又は少なくとも720の回転対称の位数を有するのが良い。
【0094】
検体支持体は、寄生的低エネルギー散乱X線を吸収するよう構成されたX線フィルタを有するのが良い。X線フィルタは、検体支持体の外側シェルに被着された被膜の形態をしているのが良い。X線フィルタは、寄生的低エネルギー散乱X線を吸収してこれらX線が検体を通過するのを阻止するよう構成されているのが良い。X線フィルタ層は、銅から成るのが良い。
【0095】
検体支持体は、第1の部分及び第2の部分を有するのが良い。第1の部分は、開き位置と閉じ位置との間で第2の部分に対して動くことができるのが良い。開き位置では、検体支持体は、検体を受け入れることができるのが良い。閉じ位置では、検体支持体は、検体支持体内に受け入れられた検体を検体支持体の第1の部分と第2の部分との間でクランプするのが良い。
【0096】
第1の部分は、柔軟性材料の第1の部分から成るのが良い。第2の部分は、柔軟性材料の第2の部分から成るのが良い。第2の部分の柔軟性材料は、有利には、第1の部分の柔軟性材料と同一であり、又は少なくとも、実質的に同一のX線減衰係数を有する。検体が閉じられた検体支持体内に受け入れられると、柔軟性材料の第1及び第2の部分は各々、検体の少なくとも1つの表面に接触し、そしてこの少なくとも1つの表面の形状と同じ形を取り、その結果、検体は、柔軟性材料によって支持された状態で検体支持体に対して定位置に固定されるようになっている。
【0097】
検体支持体の第1の部分は、ヒンジによって検体支持体の第2の部分に連結されるのが良い。検体支持体の第1の部分は、ヒンジにより検体支持体の第2の部分に対して動くことができるのが良い。ヒンジは、検体支持体の第1及び第2の部分に固定された可撓性樹脂又は軟質粘着テープから成るのが良い。変形例として、ヒンジは、マイラーの1本又は複数のストリップから成っていても良く、マイラーの各ストリップ又は複数のストリップは、例えば粘着テープを用いて検体支持体の第1及び第2の部分に固定される。変形例として、検体支持体の第1の部分は、検体支持体の第2の部分に対して摺動することができても良い。
【0098】
検体支持体は、第1の部分及び第2の部分を閉じ位置に保持する手段を有するのが良い。これにより、有利には、検体支持体が任意の配向状態において閉じ位置のままであるようにすることができる。
【0099】
第1の部分及び第2の部分を閉じ位置に保持する手段は、検体支持体の第1又は第2の部分に取り外し可能に固定されるよう構成された粘着テープを含むのが良い。変形例として、検体支持体の第1の部分は、閉じ位置において検体支持体の第2の部分に係合しても良い。
【0100】
外側シェルは、内部空間を画定することができる。内部空間は、柔軟性材料で満たされるのが良い。
【0101】
検体支持体は、電子部品を取り外し可能にクランプするのに適しているのが良い。検体は、長さが12ミリメートル~250ミリメートルであるのが良い。検体の幅は、15ミリメートル~130ミリメートルであるのが良い。
【0102】
検体支持体は、検査のための複数の検体を同時にクランプするよう構成されているのが良い。検体支持体は、複数の検体の各々をクランプすることができ、その結果、検体は、回転軸線に沿って互いに間隔を置いて配置されるようになっている。
【0103】
本発明の第4の観点によれば、本発明の第3の観点において規定された複数の検体支持体を含むX線検査システム用のキットであって、複数の検体の各々が異なる直径を有することを特徴とするキットが提供される。
【0104】
複数の検体支持体の各々は、検体支持体の長手方向軸線に沿って延びる断面を有する形状を備えるのが良い。検体支持体の各々は、形状が円筒形であるのが良い。検体支持体の各々は、直径が15ミリメートル~130ミリメートルであるのが良い。検体支持体の例示の直径としては、15ミリメートル、20ミリメートル、50ミリメートル又は127ミリメートルが挙げられる。例えば、キットは、3つの検体支持体を含むのが良い。第1の検体支持体の直径は、20ミリメートルであるのが良く、第2の検体支持体の直径は、50ミリメートルであるのが良く、第3の検体支持体の直径は、127ミリメートルであるのが良い。
【0105】
キットは、回転駆動装置を含む検体支持体位置決め組立体をさらに含むのが良い。複数の検体支持体の各々は、回転駆動装置に取り外し可能に結合可能であるのが良い。検体支持体位置決め組立体は、X線源及びX線検出器を含むX線検査システム中に納まるよう構成されているのが良く、その結果、検体支持体位置決め組立体に結合されている検体支持体をX線源とX線検出器との間に位置決めすることができるようになる。使用にあたり、回転駆動装置は、有利には、検体支持体を回転軸線回りに回転させることができ、その結果、検体の一連の二次元画像がX線検出器によって捕捉されるようになる。一連の二次元画像を用いると、コンピュータ断層撮影用途において検体の三次元再構成像を作ることができる。
【0106】
各検体支持体は、検体支持体位置決め組立体に取り外し可能に結合可能であるので、ユーザは、複数の検体支持体のうちのどれを結合するかを選択することができる。ユーザは、かくして、検査のための検体のサイズに適合したサイズの検体支持体を選択することができる。
【0107】
本発明の第5の観点では、X線源、X線検出器及び柔軟性材料を含む検体支持体を含むX線検査システムを使用する方法であって、本方法は、
検査されるべき検体を検体支持体内にクランプして検体が検体支持体に対して固定された位置にあるとともに検体の少なくとも1つの表面が柔軟性材料と接触状態にあるようにするステップと、
a) 検体支持体をX線源とX線検出器との間に位置決めするステップと、
b)検体のX線画像を記録するステップと、
c)検体支持体をX線源に対して回転させるステップと、
d)検体の第2のX線画像を記録するステップと、を含むことを特徴とする方法が提供される。
【0108】
本方法は、ステップc)及びステップd)を複数回にわたって繰り返すステップをさらに含むのが良い。本方法は、検体の少なくとも32個のX線画像が検体の少なくとも32個の互いに異なる回転位置に対応して記録されるまで、ステップc)及びステップd)を繰り返すステップをさらに含むのが良い。本方法は、記録したX線画像を用いてコンピュータ断層撮影計算を実施して検体の三次元再構成像を生じさせるステップをさらに含むのが良い。
【0109】
検体支持体は、第1の部分及び第2の部分を有するのが良く、第1の部分は、第2の部分に対して動くことができる。この場合、検査されるべき検体をクランプするステップは、
検体支持体の第1の部分を検体支持体の第2の部分に対して動かし、そして開き位置に動かすステップと、
検体を検体支持体内に配置するステップと、
検体支持体の第1の部分を検体支持体の第2の部分に対して動かし、そして検体が検体支持体によってクランプされる閉じ位置に動かすステップと、を含むのが良い。
【0110】
一観点と関連して説明した特徴を本発明の他の観点に利用することができるということは明らかなはずである。
【0111】
次に、添付の図面を参照して本明細書の実施形態について以下に詳細に説明するが、これらは例示であるに過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0112】
図1】本発明に従って検体位置決め組立体及び検体支持体を含むX線検査システムの略図である。
図2】検体支持位置決め組立体を含むX線検査システムの一部分の斜視図である。
図3】本発明に従って検体支持体位置決め組立体に結合された検体支持体の斜視図である。
図4a】X線検査システムとは別個に図1の検体支持体を示す斜視図であり、検体支持体を閉じ位置で示す図である。
図4b】X線検査システムとは別個に図1の検体支持体を示す斜視図であり、検体支持体を検体が検体支持体内に配置された状態の開き位置で示す図である。
図5】検体が検体支持体内に受け入れられた図4の検体支持体の断面図である。
図6】検体支持体を3つの検体が検体支持体内に配置された開き位置で示す斜視図である。
図7図3に示されている回転駆動装置の切除図である。
図8】検体支持体位置決め組立体の回転駆動装置と図3の検体支持体との結合部の拡大斜視図である。
図9図3で示された検体支持体位置決め組立体に結合された異なる検体支持体の斜視図である。
図10】検体支持体位置決め組立体及び複数の検体支持体を含むキットを示す図であり、各検体支持体が検体支持体位置決め組立体に結合可能であり、各検体が異なる直径を有する状態を示す図である。
図11】本発明に従ってX線検査装置を用いる方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0113】
図1は、X線検査システム100の略図である。かかるX線検査システム100の作用が欧州特許第1766381(B1)号に詳細に記載されている。
【0114】
X線検査システム100は、X線管10の形態をしたX線源及びX線検出器12を含む。X線管10とX線検出器12との間には適当な滑り又は案内面によってかつ電気モータの制御下でX方向、Y方向及びZ方向に動くことができるステージ14が設けられている。ステージ14は、オープンなフレーム構造体(図1には示されていない)によって形成され、このステージは、検体支持体位置決め組立体18のベース19を支持するようになっている。
【0115】
検体支持体20が検体支持体位置決め組立体18のフレーム22に結合されている。検査されるべき検体は、検体支持体20内に受け入れられるのが良い。検体支持体20内に受け入れられた検体は、ステージ14を動かすことによって、X線管10及びX線検出器に対してX‐Y平面内でかつZ軸方向に動くことができる。検体支持体位置決め組立体18は、検体支持体の機械的インターフェースに結合された回転駆動装置28をさらに含む。回転駆動装置28は、検体支持体20をZ軸に垂直な回転軸線回りに回転させるよう使用できる。
【0116】
X線検査システム100は、画像プロセッサを含むコントローラをさらに含む。コントローラは、図面には示されていない。画像プロセッサは、データを受け入れるようX線検出器12に連結されている。画像プロセッサは、検体支持体が異なる回転位置にある状態でX線検出器によって捕捉された一連の二次元画像に基づいて、検体の三次元再構成像を生じさせるためにコンピュータ断層撮影計算法を実施するよう構成されている。コントローラはまた、X方向、Y方向及びZ方向におけるステージ14の運動を制御するとともに回転駆動装置28の回転を制御するために用いられる。
【0117】
この実施例では、検体支持体位置決め組立体18は、既存のX線検査システム100にレトロフィットできるサブアセンブリである。検体組立体位置決め組立体18及び検体支持体20は、X線検査システムに収納したりこれから取り出したりすることができるキットの一部をなしている。キットは、複数の種々の検体支持体を含むのが良い。使用にあたり、検体支持体位置決め組立体18は、X線検査システムのステージ14に固定されている。変形例として、検体支持体位置決め組立体18は、X線検査システムの一体コンポーネントとして提供されても良い。
【0118】
図2は、X線検査システム100内に納められた検体支持体位置決め組立体18の斜視図である。図2では、X線検査システム100の全てが見えるわけではない。図2は、ステージ14及びステージ14に装着されたベース19をいっそう明確に示している。
【0119】
図3は、X線検査システムの残部とは別個に結合状態の検体支持体20を含む検体支持体位置決め組立体18を示している。説明したように、検体支持体位置決め組立体18は、ベース19及びフレーム22を含む。検体支持体20は、フレーム22に結合され、フレーム22は、ベース19に対して固定されたピボット32回りに動くことができる。これにより、フレーム22の位置をベース19に対して調整することができる。フレームは、プロップ30を用いて定位置に保持され、プロップ30は、検体支持体20をベース19と検体支持体20との間の隙間が1ミリメートル未満であるような位置に保持するよう構成されている。この位置では、X線検査システムの倍率は、最大にされるのが良く、と言うのは、検体支持体は、検体支持体20とベース19との衝突を回避しながらX線源(ベース19の真下に位置決めされている)にできるだけ近接して位置決めされるからである。
【0120】
図3に示されたプロップ30は、フレームをベースに対して単一の所定の位置に保持するのに適している。検体支持体位置決め組立体18は、フレームを変形例として、ベースに対して複数の所定の位置のうちの1つの位置に保持するのに適したプロップを含んでも良い。かかる一構成例では、プロップの第1の端は、ベース19に固定される。プロップは上方に延びており、複数のプロップ又は穴がプロップの長さに沿って分布された状態でプロップに形成されている。フレームは、複数のスロット又は穴に取り外し可能に係合するよう構成されたばね押しボルトを有する。ばね押しボルトを特定のスロット又は穴と係合させることによって、ユーザは、ベースに対してフレームについて複数の所定のうちの1つの位置を選択することができる。検体支持体位置決め組立体18は、各々が対応のスロット又は穴を有する2つのプロップを含むのが良い。2つのプロップは、フレームの互いに反対側の側部でベース19に固定されている。フレームは、2つのプロップに係合するよう構成された2本のばね押しボルトを有する。
【0121】
検体支持体位置決め組立体18は、フレーム22及びベース19に連結されたねじ36をさらに含む。ねじ36を回すことにより、微調整を必要ならばフレームのピッチに対して行うことができる。これにより、ベースと検体支持体20との間の隙間を調節することができる。
【0122】
ベース19は、X線検査システムのX線管10と検体支持体20との間に位置決めされたベースの状態に配置された窓34を有する。この窓は、炭素繊維で作られ、したがって、低いX線減衰係数を有する。窓34は、銅から成っていて厚さ100ミクロンの被膜をさらに有し、この被膜は、寄生的低エネルギー散乱X線を吸収してこれらX線が検体を通過するのを阻止するよう構成されたX線フィルタとしての役目を果たす。幾つかの実施形態では、検体支持体20は、追加的に又は代替的に、銅から成る被膜を有しても良い。
【0123】
回転駆動装置28は、フレーム22に連結されており、したがって、フレームがピボット32回りに動くとフレームと一緒に動く。
【0124】
図4は、X線検査システムの残部から離して検体支持体20を示している。検体支持体20は、第1の部分20a及び第2の部分20bを有し、第1の部分は、可撓性樹脂で作られたヒンジ回りに第2の部分に対して動くことができる。ヒンジは、図面には示されていない。変形例として、第1の部分20aは、ヒンジなしで第2の部分20bとは別体である。別々の第1の部分と第2の部分は、使用の際、第1及び第2の部分の外部周りに延びる保持クリップによって互いに対して定位置に保持されるのが良い。検体支持体は、炭素繊維で作られた円筒形外側シェル42を有し、この円筒形外側シェル42もまた、2つの部分42a,42bに分割されている。
【0125】
図4aは、検体支持体を閉じ位置で示し、図4bは、検体支持体を検体46が検体支持体20内に受け入れられた開き位置で示している。検体支持体20は、弾性を備えた圧縮性のフォームの形態をした柔軟性材料44から成る。図4bに示されているように、柔軟性材料44の第1の部分は、検体支持体の第1の部分と関連し、柔軟性材料44の第2の部分44bは、検体支持体の第2の部分と関連している。
【0126】
柔軟性材料44は、柔軟性材料44は、外側シェル42によって画定された内部空間を埋めた状態で外側シェル42によって保持されている。閉じ位置では、検体支持体20内に受け入れられた検体46の表面は、柔軟性材料の第1及び第2の部分と接触し、それにより、柔軟性材料は、圧縮され、その目的は、この柔軟性材料が検体の形状と同じ形状を取るようにすることにある。柔軟性材料は、次に、検体を外側シェルに対して固定された位置に保持するのに十分なクランプ力を検体に加える。検体は、検体支持体20内に固定される。
【0127】
図5は、検体支持体20を閉じ位置で示す概略断面図であり、検体46が柔軟性材料の第1及び第2の部分44a,44b相互間に受け入れられている。検体46は、柔軟性材料44によって包囲され、この検体は、検体支持体20が閉じ位置にあるときに外側シェル42内に完全に収容される。検体46は、検体キャリヤ20が回転駆動装置28によって回されたときに検体46が検体キャリヤ20の回転軸線上に位置するようにする位置にクランプされる。
【0128】
図4及び図5に示されているように、検体支持体は、2つの機械的インターフェース48,49をさらに有する。これら機械的インターフェースは、突出部の形態を取っている。第1の機械的インターフェース48により、検体支持体を回転駆動装置28に結合することができる。第2の機械的インターフェース49により、検体支持体20を検体支持体位置決め組立体のフレーム22の別のアクスル又は突出部に結合することができる。回転駆動装置28への第1の機械的インターフェース48の結合の仕方については以下に詳細に説明する。
【0129】
2つ以上の検体46が検体支持体20内に受け入れられて柔軟性材料によってクランプされるのが良い。図6は、3つの検体46が開き位置で検体支持体20内に受け入れられた実施形態を示している。検体46は、回転軸線に沿って互いに間隔を置いて位置している。多数の検体を検体支持体20内に設けることによって、検査作業を各検体について実施することができ、この場合、技術者が検体を取り替えて検体相互間で検査システムを再開する必要はない。換言すると、多数の検体の検査を自動化することができる。
【0130】
図7は、ハウジングが切除された状態の回転駆動装置28の拡大図である。回転駆動装置28は、駆動歯車50に結合された電気モータ47を有する。駆動歯車50は、第1のバックラッシュ防止歯車51に連結され、第1のバックラッシュ防止歯車51は、第2のバックラッシュ防止歯車52に結合されている。第2のバックラッシュ防止歯車52は、検体支持体に結合された別の歯車54を駆動する。かくして、駆動歯車50の回転により、駆動歯車52の回転が生じ、したがって検体支持体20の回転が生じる。バックラッシュ防止歯車51,52は、検体支持体20の安定した回転を保証するようバックラッシュを軽減し又はなくす。
【0131】
図7に示された回転駆動装置27の構造により、電気モータ47を検体支持体20の回転軸線からオフセットさせることができる。このオフセットにより、回転駆動装置28は、フレーム22の高さ位置(図6に示されている)の上方に延び、したがって、検体支持体20とベース19との間の最小限の隙間を増大させないで、大形の電気モータ47又は大形の歯車装置を用いることができる。オフセットが行われない場合、回転駆動装置28はまた、フレームの高さ位置よりも下に延びることになり、したがって、X線源とベース19との間の最小距離を増大させることになる。これにより、X線検査システムを用いて達成できる最大倍率が減少することになる。
【0132】
図8は、検体支持体20と回転駆動装置28との間の結合部を示している。検体支持体20の第1の機械的インターフェース48は、Cクランプ58を用いて回転駆動装置28の突出部56に連結されている。Cクランプ58は、検体支持体を突出部56に固定する。使用の際、突出部56は、図7と関連して上述したように、電気モータ47によって駆動された結果として回転する。検体支持体20は、突出部の回転により検体支持体20を円筒形検体支持体20の中心を通る回転軸線回りに回転させるような仕方で突出部に固定されている。これにより、検体支持体20は、これが回転しているときに「ウォブリング(心振れ)」を起こすことを生じることがなく、その結果、外側シェル42とベース19との間の距離は、一定のままであるようになる。類似のCクランプ構造は、第2の機械的インターフェース49を回転可能なフレーム上の第2の突出部にクランプするために用いられる。これは、図面には示されていない。
【0133】
Cクランプ構造により、有利には、ユーザは、検体支持体を取り外してこれに代えて異なる検体支持体を用いることができる。検体支持体に解除可能に固定するためのばね押しボルトを含む簡易脱着機構をCクランプに代えて用いることができる。同様に、これにより、ユーザは、検体支持体を取り外してこれに代えて異なる検体支持体を用いることができる。これは、図面に示されていない。
【0134】
図9は、検体支持体20が異なる検体支持体52で置き換えられた実施形態を示している。検体支持体52は、検体支持体20よりも大きな直径を有する。検体支持体20の直径は、50ミリメートルであり、検体支持体52の直径は、127ミリメートルである。これらの寸法は、例示である。これよりも広範な直径の検体支持体を用いることができる。具体的に説明すると、ユーザは、適当なサイズの検体支持体を検査のための検体のサイズに合わせて選択することができる。一般に、検体が検体内に完全に収容されるとともにこれによって包囲されるようにしながら検体支持体の可能な限り最も小さい直径を用いることが有益である。これは、検体支持体が小さければ小さいほど、検体をX線源にそれだけいっそう近づけることができ、したがって、達成できる倍率がそれだけいっそう高くなるからである。
【0135】
図10は、異なるサイズの3つの検体支持体60,62,64及び上述した検体支持体位置決め組立体18を含むキットを示している。検体支持体の各々は、上述したように検体支持体位置決め組立体に取り外し可能に結合可能である。
【0136】
図11は、図1に示されたX線検査システムを用いる方法を概略的に説明する流れ図である。
【0137】
ステップ100では、検体を検体支持体20内にクランプし、検体支持体20は、検体支持体位置決め組立体18に結合され、検体支持体位置決め組立体18は、X線検査システムのステージ14によって支持されている。
【0138】
検体46をクランプするステップは、検体支持体の第1の部分20aをヒンジ回りに第2の部分20bに対して動かして検体支持体が図示の開き位置になるようにするステップを含む。次に、検体46を柔軟性材料44aの第1の部分上で検体支持体内に配置する。これは、図3Bに示されている。当然のことながら、任意個数の検体を検体支持体20の長さに沿って間隔を置いた状態で検体支持体内に配置することができる。図5は、3つの検体が柔軟性材料の第1の部分44a上に配置された実施例を示している。
【0139】
検体を検体支持体内にいったん配置すると、検体支持体の第1の部分20aを閉じ位置において第2の部分20bに対して動かす。これは、図3a及び図4に示されている。閉じ位置では、検体支持体20内に受け入れられた検体46の表面を柔軟性材料の第1及び第2の部分に接触させ、それにより、柔軟性材料を圧縮し、その目的は、この柔軟性材料が検体の形状と同じ形を取るようにすることにある。柔軟性材料は次に、検体を外側シェル42に対して固定された位置に保持するのに十分なクランプ力を検体に加える。検体を検体支持体20内の定位置に固定する。検体を検体支持体内に固定する。
【0140】
ステップ102では、検体支持体をX線源とX線検出器との間に位置決めする。このステップは、コントローラを用いてステージ14を適当なモータの制御下でX軸、Y軸及びZ軸方向に動かして検体支持体位置決め組立体18を全体としてX線源とX線検出器との間に位置決めするようにするステップを含むのが良く、ただし、検体支持体位置決め組立体18がこの位置にすでに位置決めされていないことを条件とする。検体支持体位置決め組立体18の検体支持体もまた、このステップで調節できる。例えば、ベース19に対するフレーム22の位置を調整することができる。プロップ30を用いると、フレーム22をベース19に対して所定の位置に保持することができる。例えば、ねじ39を回すことによって他の微調整を行うことができる。
【0141】
ステップ104では、検体の画像(第1の画像)を記録する。検体の画像をX線検出器12によって記録し、そしてコントローラによって受け取る。画像は、検体46の一断面の二次元画像である。検体の画像の倍率は、検体とX線源10との間の距離で決まる。かくして、大きな倍率の画像が望ましい場合、この距離は、最小限に抑えられるべきである。これは、ステージ14をZ方向にX線源10にできるだけ近づけるとともに検体支持体20と検体支持体位置決め組立体18のベース19との間の隙間を減少させてできるだけ小さくし、好ましくは、隙間が1ミリメートル未満であり、それどころかより好ましくは0.5ミリメートル未満であるようにすることによってステップ100で達成できる。
【0142】
ステップ106では、検体支持体20をX線源10に対して回転させる。この回転は、回転駆動装置28を用いて達成される。回転駆動装置の電気モータ47は、コントローラによって制御される。
【0143】
ステップ108では、検体の第2の画像を記録する。この場合もまた、この画像は、X線検出器12によって記録され、コントローラによって受け取られる。
【0144】
ステップ106,108を繰り返し実施し、ついには、検体が360°回せるようにする。換言すると、ステップ106,108を繰り返し実施し、ついには、検体支持体を第1の画像が記録された位置まで戻す。かくして、コントローラは、X線検査プロセス全体にわたってX線検出器によって捕捉された一連の二次元画像を受け取る。
【0145】
ステップ110では、記録されたX線画像を用いてコンピュータ断層撮影計算を実施して検体の三次元再構成像を生じさせる。コントローラの画像プロセッサは、コンピュータ断層撮影計算を実施するために用いられる。
【0146】
画像の数が多ければ多いほど、したがって、検体支持体内の検体の画像化位置が多ければ多いほど、三次元再構成像がそれだけいっそう良好になる。代表的には、検体の少なくとも16個の画像が必要であり、したがって、ステップ106,108を少なくとも14回繰り返す。例えば、本方法は、ステップ106,108を14回、30回、62回、126回、254回、510回又は718回繰り返すステップを含むのが良い。好ましくは、各画像相互間の回転力は等しい。
【0147】
検体46が検体支持体内にクランプされている結果として、検体36は、検体支持体が画像化位置の各々に回されているときに検体支持体内の固定された位置に保持される。換言すると、検体支持体に対する検体の動きが阻止される。その結果、検体の正確な三次元再構成像が作られる。
【0148】
多数の検体を検体支持体内にクランプすると、検体のうちの1つを一度に画像化することしか可能でない場合がある。この場合、第1の検体の三次元再構成像を作った後、本方法は、第2の検体について繰り返し実施し、この方法は、クランプされた第2の検体を、ステージ14を動かすことによってX線源とX線検出器との間に位置決めするステップを含む。このプロセスを自動化することができ、それにより、多数の検体を自動的に検査することができ、この場合、検体を画像化作業相互間で交換する必要はない。
【0149】
検体は、柔軟性材料によって調節可能にクランプされ、検体を画像化作業が完了した後、検体支持体から容易に取り出すことができる。本方法は、次に、検体支持体内に互いに異なる検体を用いて繰り返し実施することができる。
【0150】
上述したように、検体支持体20は、検体支持体位置決め組立体18に取り外し可能に結合され、これにより、互いに異なる検体支持体を検体支持体位置決め組立体18に結合することができる。特に、これにより、異なる直径の検体支持体を検体支持体位置決め組立体18に結合することができる。したがって、ステップ100は、検査中の検体について適当なサイズの検体支持体を選択するステップを含むのが良い。検体支持体が小さければ小さいほど、検体をX線源にそれだけいっそう近づけた状態で位置決めすることができ、したがって、達成できる倍率がそれだけいっそう高くなる。しかしながら、検査のための検体を完全に包囲するほどに足るほど大きい検体支持体を選択すべきである。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】