(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-13
(54)【発明の名称】パターン生成方法および装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20230706BHJP
【FI】
G03F7/20 501
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022576072
(86)(22)【出願日】2021-06-14
(85)【翻訳文提出日】2023-02-09
(86)【国際出願番号】 EP2021065930
(87)【国際公開番号】W WO2021254948
(87)【国際公開日】2021-12-23
(32)【優先日】2020-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513253940
【氏名又は名称】マイクロニック アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】マルティン グリムトフト
(72)【発明者】
【氏名】ヤーン ステルナル
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト エクルンド
(72)【発明者】
【氏名】フレドリク イレン
(72)【発明者】
【氏名】ポントゥス ステンストレーム
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197CC05
2H197DA04
2H197HA10
(57)【要約】
SLM用の周期成分を有するパターンのラスタライズ方法を提示し、周期性を有する、オリジナルパターンの取得(S10)を含む。第1パターン主周期が決定される(S21)。イメージ領域およびイメージ化された素子の第1ピッチが取得される(S31)。オリジナルパターンを第1ラスタスケーリング係数でスケーリングする(S41)。スケーリングされたパターンは、イメージ領域によって覆われる第1方向に周期性を示すパターンアイテムの第1整数繰り返し回数を含むようにクロッピングされ(S51)、意図したパターンジェネレータに適合するラスタライズされたパターンを与える。ラスタライズされたパターンは、第1スケーリング係数を表すデータと関連付けられている。描画方法は、ラスタライズされたパターンを取得することを含む。ラスタライズされたパターンの外側に位置するパターンジェネレータのSLMの素子は、無効に設定される。ラスタライズされたパターンは、ターゲット表面に光学的スケーリングで描画される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間光変調器(2)に基づくパターンジェネレータのための周期的成分を有するパターンのラスタライズ方法であって、前記空間光変調器(2)は、ターゲット表面(10)上のイメージ領域(14)内にイメージ化された素子(22)のアレイ(20)を生成するために配置された個別に制御可能な素子(4)のアレイ(3)を有し、個々のイメージ化された素子(22)の照射は、それぞれの前記素子(4)によって制御され、前記ラスタライズ方法は、
周期性を呈するパターンアイテム(32)を有するオリジナルパターン(30)を取得するステップ(S10)と、
前記オリジナルパターン(30)の第1方向(101)における第1パターン主周期(PM1)を決定する(S21)ステップと、
前記イメージ領域(14)および使用される意図したパターンジェネレータの前記第1方向(101)におけるイメージ化された素子(22)の第1ピッチ(D1)に関する情報を取得する(S31)ステップと、
前記第1方向(101)における前記オリジナルパターン(30)を第1ラスタスケーリング係数でスケーリングし(S41)、スケーリングされたパターン(31)を与えるステップであって、
前記第1ラスタスケーリング係数は、前記第1方向(101)における前記パターンジェネレータの前記第1ピッチ(D1)の第1整数倍を前記第1パターン主周期(PM1)で除算した値に等しい、ステップと、
前記スケーリングされたパターン(31)を、前記第1方向(101)における周期性を呈する前記パターンアイテム(32)の第1整数繰り返し回数を含み、かつ、前記意図したパターンジェネレータの前記第1方向(101)における前記イメージ領域(14)によって覆われるオーバーラップテーパリングマージンがあれば、それを含むようにクロッピングし(S51)、前記意図したパターンジェネレータに適合したラスタライズされたパターン(33)を与えるステップであって、
前記ラスタライズされたパターン(33)は、前記第1スケーリング係数を表すデータと関連付けられる、ステップと、
を含む、ラスタライズ方法。
【請求項2】
イメージ化された素子(22)の前記アレイ(20)の第1主軸が、前記第1方向(101)に対して第1角度(α1)で回転され、それによって前記第1ピッチ(D1)が、前記第1主軸に沿って連続する2つの前記イメージ化された素子(22)間の距離(d1)および前記第1角度(α1)に依存することを特徴とする、請求項1に記載のラスタライズ方法。
【請求項3】
前記オリジナルパターン(30)の第2方向(102)における第2パターン主周期(PM2)を決定するステップ(S22)であって、前記第2方向(102)は前記第1方向(101)に対して直交している、ステップと、
前記イメージ領域(14)および使用される前記意図したパターンジェネレータの前記第2方向(102)におけるイメージ化された素子(22)の第2ピッチ(D2)に関する情報を取得(S32)するステップと、をさらに含み、
それによって、前記オリジナルパターンをスケーリングする前記ステップは、前記オリジナルパターン(30)を第2ラスタスケーリング係数で前記第2方向(102)にもスケーリングする(S42)ことをさらに含み、前記スケーリングされたパターン(31)を与え、
前記第2ラスタスケーリング係数は、前記第2方向(102)における前記パターンジェネレータの前記第2ピッチ(D2)を前記第2パターン主周期(PM2)で除算した値に第2整数を掛けた値に等しく、
それによって、前記クロッピングするステップは、前記第2方向(102)における周期性を呈する前記パターンアイテム(32)の第2整数繰り返し回数を含み、かつ、前記意図したパターンジェネレータの前記第2方向(102)における前記イメージ領域(14)によって覆われるオーバーラップテーパリングマージンがあれば、それをも含むように前記スケーリングされたパターン(31)をクロッピングすること(S42)をさらに含み、前記ラスタライズされたパターン(33)を与え、
それによって、前記ラスタライズされたパターン(33)は、前記第2ラスタスケーリング係数を表すデータにさらに関連付けられる、
ことを特徴とする、請求項1または2に記載のラスタライズ方法。
【請求項4】
前記イメージ化された素子(22)の前記アレイ(20)の第2主軸は、前記第2方向(102)に対して第2角度(α2)で回転され、それによって前記第2ピッチ(D2)は、前記第2主軸に沿って連続する2つの前記イメージ化された素子(22)間の距離(d2)および前記第2角度(α2)に依存していることを特徴とする、請求項3に記載のラスタライズ方法。
【請求項5】
前記意図したパターンジェネレータの前記第1方向(101)において等距離の変位を有する第1部分的重複露光回数に関するデータを取得するステップをさらに備え、それによって、前記スケーリングステップ(S41)における前記第1ラスタスケーリング係数および前記クロッピングステップ(S51)における前記第1整数繰り返し回数が、前記第1整数繰り返し回数と、前記第1整数および前記第1部分的重複露光回数の比とを掛けた値が整数になるように選択することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか記載のラスタライズ方法。
【請求項6】
前記意図するパターンジェネレータの前記第2方向(102)において等距離の変位を有する第2部分的重複露光回数に関するデータを取得するステップをさらに備え、それによって、前記スケーリングステップ(S42)における前記第2ラスタスケーリング係数および前記クロッピングステップ(S52)における前記第2整数繰り返し回数が、前記第2整数繰り返し回数と、前記第2整数および前記第2部分的重複露光回数の比とを掛けた値が整数になるように選択することを特徴とする、請求項3または4に記載のラスタライズ方法、あるいは、請求項3または4に従属する場合には請求項5に記載のラスタライズ方法。
【請求項7】
前記第1ラスタスケーリング係数は、前記第1整数および前記第1整数繰り返し回数の選択における制約がある場合は、それを考慮して、可能な限り1に近くなるように選択されること、および、
前記第2ラスタスケーリング係数は、前記第2整数および前記第2整数繰り返し回数の選択における制約がある場合は、それを考慮して、可能な限り1に近くなるように選択されること、
の少なくとも1つを備えることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載のラスタライズ方法。
【請求項8】
空間光変調器(2)に基づくパターン発生器のための周期的成分を有するパターンの描画方法であって、前記空間光変調器(2)は、ターゲット表面(10)上のイメージ領域(14)内にイメージ化された素子(22)のアレイ(20)を生成するために配置された個別に制御可能な素子(4)のアレイ(3)を備え、個々のイメージ化された素子(22)の照射はそれぞれの前記素子(4)によって制御され、前記描画方法は、
前記ラスタライズされたパターン(33)の第1方向(101)におけるスケーリングを規定する、第1ラスタスケーリング係数を表す関連データを有するラスタライズされたパターンを取得する(S61)ステップと、
前記第1方向(101)において前記ラスタライズされたパターンの外側に位置する、前記パターンジェネレータにおける前記空間光変調器(2)の素子(4)を無効に設定する(S62)ステップと、
ターゲット表面(10)上のイメージ領域(14)に前記ラスタライズされたパターンを描画する(S80)ステップと、を含み、
前記描画(S80)は、前記第1方向(101)において第1光学的スケーリング係数でスケーリング(S81)することを含み、
前記第1光学的スケーリング係数は、1ではない、
描画方法。
【請求項9】
前記第1光学的スケーリング係数は、前記第1ラスタスケーリング係数の逆数に等しいことを特徴とする、請求項8に記載の描画方法。
【請求項10】
前記ラスタライズされたパターンは、前記ラスタライズされたパターン(33)の第2方向(102)におけるスケーリングを規定する、第2ラスタスケーリング係数を表すデータとさらに関連付けられ、前記第2方向(102)は前記第1方向(101)に対して直交し、
前記空間光変調器(2)の素子(4)を無効に設定する前記ステップは、前記第2方向(102)において前記ラスタライズされたパターンの外側に位置する、前記パターンジェネレータの前記空間光変調器(2)の素子(4)を無効に設定する(S72)ことをさらに備え、
これにより、前記描画(S80)が、前記第2方向(102)において第2光学的スケーリング係数でスケーリング(S82)することをさらに含む、
ことを特徴とする、請求項8または9に記載の描画方法。
【請求項11】
前記第1光学的スケーリング係数と前記第2光学的スケーリング係数の両方が1ではなく、前記イメージ領域に到達する、
ことを特徴とする、請求項10に記載の描画方法。
【請求項12】
前記第2光学的スケーリング係数は、前記第2ラスタスケーリング係数の逆数に等しいことを特徴とする、請求項10または11に記載の描画方法。
【請求項13】
空間光変調器(2)に基づくパターンジェネレータのためのラスタライズモジュール(60)であって、前記空間光変調器(2)は、ターゲット表面(10)上のイメージ領域(14)内にイメージ化された素子(22)のアレイ(20)を生成するために配置された個別に制御可能な素子(4)のアレイ(3)を備え、個々のイメージ化された素子(22)の照射はそれぞれの前記素子(4)により制御され、前記ラスタライズモジュール(60)は、
プロセッサ(62)と、
メモリ(64)と、を有し、
前記メモリ(64)は、前記プロセッサ(62)によって実行可能な命令を含み、それによって、前記ラスタライズモジュール(60)は、
周期性を呈するパターンアイテム(32)を有するオリジナルパターン(30)を取得し、
前記オリジナルパターン(30)の第1方向(101)において第1パターン主周期(PM1)を決定し、
前記イメージ領域(14)および使用される意図したパターンジェネレータの前記第1方向(101)におけるイメージ化された素子(22)の第1ピッチ(D1)に関する情報を取得し、
第1ラスタスケーリング係数により前記第1方向(101)において前記オリジナルパターン(30)をスケーリングして、スケーリングされたパターン(31)を与え、
前記第1ラスタスケーリング係数は、前記第1方向(101)における前記パターンジェネレータの前記第1ピッチ(D1)の第1整数倍を前記第1パターン主周期(PM1)で除算した値に等しく、
前記スケーリングされたパターン(31)を、前記第1方向(101)に周期性を呈する前記パターンアイテム(32)の第1整数繰り返し回数を含み、かつ、前記意図したパターンジェネレータの前記第1方向(101)における前記イメージ領域(14)によって覆われているオーバーラップテーパリングマージンがあれば、それを含むようにクロップし、前記意図したパターンジェネレータに適合したラスタライズされたパターン(33)を与え、
前記ラスタライズされたパターン(33)は、前記第1ラスタスケーリング係数を表すデータと関連付けられている、
ように構成されることを特徴とする、ラスタライズモジュール(60)。
【請求項14】
前記メモリ(64)は、前記プロセッサ(62)によって実行可能な命令をさらに含み、それによって、前記ラスタライズモジュール(60)は、さらに、
前記オリジナルパターン(30)の第2方向(102)における第2パターン主周期(PM2)を決定し、前記第2方向(102)は前記第1方向(101)に対して直交し、
前記イメージ領域(14)および使用される前記意図したパターンジェネレータの前記第2方向(102)における前記イメージ化された素子(22)の第2ピッチ(D2)に関する情報を取得し、
前記第2方向(102)において前記オリジナルパターン(30)を第2ラスタスケーリング係数でスケーリングして、前記スケーリングされたパターン(31)を与え、
前記第2ラスタスケーリング係数は、前記第2方向(102)における前記パターンジェネレータの前記第2ピッチ(D2)の第2整数倍を前記第2パターン主周期(PM2)で除算した値に等しく、
前記スケーリングされたパターン(31)を、前記第2方向(102)における周期性を呈する前記パターンアイテム(32)の第2整数繰り返し回数を含み、かつ、前記意図したパターンジェネレータの前記第2方向(102)における前記イメージ領域(14)によって覆われるオーバーラップテーパマージンがあれば、それを含むようにクロッピングし、前記意図するパターンジェネレータに適合した前記ラスタライズされたパターン(33)を与え、
前記ラスタライズされたパターン(33)は、前記第2ラスタスケーリング係数を表すデータにさらに関連付けられる、
ように構成されることを特徴とする、請求項13に記載のラスタライズモジュール。
【請求項15】
パターンジェネレータ(80)であって、
制御モジュール(82)と、
空間光変調器(2)の手段によってイメージ領域にパターンを描画するために配置されたイメージングモジュール(84)であって、前記空間光変調器(2)は、ターゲット表面(10)上のイメージ領域(14)内にイメージ化された素子(22)のアレイ(20)を生成するために配置された個別に制御できる素子(4)のアレイ(3)を備え、個々のイメージ化された素子(22)の照射は、それぞれの前記素子(4)により制御されている、イメージングモジュールと、を有し、
前記制御モジュール(82)は、前記ラスタライズされたパターン(33)の第1方向(101)におけるスケーリングを規定する、第1ラスタスケーリング係数を表す関連データを有するラスタライズされたパターン(33)を取得するように構成され、
前記制御モジュール(82)は、前記第1方向(101)において前記ラスタライズされたパターン(33)の外側に位置する前記イメージングモジュール(84)内の前記空間光変調器(2)の素子(4)を無効に設定するようにさらに構成され、
前記イメージングモジュール(84)は、前記制御モジュール(82)によって制御され、前記イメージ領域(14)に描画される前に前記第1方向(101)において第1光学的スケーリング係数で前記ラスタライズされたパターン(33)をスケーリングするための光学的手段(88)を備え、
前記第1光学的スケーリング係数は、1ではない、
パターンジェネレータ。
【請求項16】
前記制御モジュール(82)は、前記ラスタライズされたパターン(33)の第2方向(102)におけるスケーリングを規定する、第2ラスタスケーリング係数を表す関連データをさらに有する前記ラスタライズされたパターン(33)を得るためにさらに構成されており、前記第2方向(102)は前記第1方向(101)に対して直交し、
前記制御モジュール(82)は、前記第2方向(102)において前記ラスタライズされたパターンの外側に位置する前記イメージングモジュール(84)内の前記空間光変調器(2)の素子(4)も無効に設定するようにさらに構成され、
前記イメージングモジュール(84)は、前記制御モジュール(82)によって制御され、前記イメージ領域(14)に描画される前に前記第2方向(102)において第2光学的スケーリング係数で前記ラスタライズされたパターン(33)をさらにスケーリングするための光学的手段(88)を含む、
ことを特徴とする、請求項15に記載のパターンジェネレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に空間光変調器パターンジェネレータによるパターンのラスタライズおよび描画に関し、特に、周期成分を有するパターンのラスタライズおよび描画のための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パターンジェネレータは、現在、さまざまな用途で使用されている。リソグラフィーシステムやフォトマスクリソグラフィーシステムで使用されるパターンジェネレータは、非常に正確なプリント特性を示すことが要求されている。高品質のパターンプリントを得るための1つのアプローチは、空間光変調器(SLM)、例えば、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、液晶ディスプレイ(LCD)、グレーティングライトバルブ(GLV)、平面ライトバルブ(PLV)、マイクロシャッターアレイ(MSA)、アナログ空間光変調器(ASLM)および/またはシリコン上の液晶(LCS)を使用することである。SLMは、ターゲット表面上のイメージ領域内にイメージ化された素子のアレイを生成するために配置された、個別に制御可能な素子のアレイを有する。個々のイメージ化された素子の照射は、それぞれのそのような素子によって制御される。
【0003】
SLMは固有の周期性を持っており、プリントされるパターンも周期性を持つアプリケーションでは、異なる種類の干渉効果が発生する可能性がある。このような影響は、最終製品に残ることがあり、例えば、人間の視覚で認識できる異なるタイプの画面となる。また、非常に小さな変化であっても、それが規則的であれば容易に観察することができるため、ムラ現象と呼ばれることがある。パターンジェネレータに使用されるSLMは、多くの場合、物理的なサイズとフィールドの開口部が固定されており、場合によってはエッジがテーパ状になっていることもある。このため、パターン形状の微妙な変化や傾向に対応することが難しい。そのため、周期的なパターンに対して発生する干渉現象を緩和することが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の全般的な目的は、繰り返しパターンをプリントする際に干渉効果を回避するために適応可能な、SLMに基づく方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的は、独立請求項による方法および装置によって達成される。好ましい実施形態は従属請求項に規定される。
【0006】
一般的に言えば、第1の態様において、周期的な成分を持つパターンのラスタライズ方法が提示される。この方法は、SLMをベースとするパターンジェネレータを対象としている。SLMは、ターゲット表面上のイメージ領域内にイメージ化された素子のアレイを生成するために配置された、個別に制御可能な素子のアレイを有する。個々のイメージ化された素子の照射は、それぞれのそのような素子によって制御される。ラスタライズ方法は、周期性を呈するパターンアイテムを有するオリジナルパターンを取得することを含む。オリジナルパターンの第1方向における第1パターン主周期が決定される。使用するパターンジェネレータのイメージ領域と第1方向のイメージ化された素子の第1ピッチに関する情報を取得する。オリジナルパターンは、第1ラスタスケーリング係数によって第1方向にスケーリングされ、スケーリングされたパターンを与える。第1ラスタスケーリング係数は、第1方向におけるパターンジェネレータの第1ピッチの第1整数倍を第1パターン主周期で除算した値に等しい。スケーリングされたパターンは、第1方向に周期性を呈するパターンアイテムの第1整数繰り返し回数を含むようにクロッピングされ、意図したパターンジェネレータの第1方向のイメージ領域によって覆われるオーバーラップテーパリングマージンがあればそれを含み、意図したパターンジェネレータに適合したラスタライズされたパターンを与える。ラスタライズされたパターンは、第1スケーリング係数を表すデータと関連付けられる。
【0007】
第2の態様において、SLMをベースとするパターンジェネレータのための周期的な成分を有するパターンの描画方法が提示される。SLMは、ターゲット表面上のイメージ領域内にイメージ化された素子のアレイを生成するように配置された、個別に制御可能な素子のアレイを有する。個々のイメージ化された素子の照射が、それぞれの素子によって制御される。描画方法は、ラスタライズされたパターンの第1方向におけるスケーリングを規定する、第1ラスタスケーリング係数を表す関連データを有するラスタライズされたパターンを取得することを含む。第1方向にラスタライズされたパターンの外側に位置するパターンジェネレータ内のSLMの素子は、無効に設定される。ラスタライズされたパターンは、ターゲット表面上のイメージ領域に描画される。描画は、第1方向における第1光学的スケーリング係数でスケーリングすることを含む。第1光学的スケーリング係数は、1ではない(non-unity)。
【0008】
第3の態様では、SLMに基づくパターンジェネレータのためのラスタライズモジュールを提示する。SLMは、ターゲット表面上のイメージ領域内にイメージ化された素子のアレイを生成するために配置された、個別に制御可能な素子のアレイを有する。個々のイメージ化された素子の照射は、それぞれの素子によって制御される。ラスタライズモジュールは、プロセッサと、メモリと、を有する。メモリは、プロセッサによって実行可能な命令を含み、それによって、ラスタライズモジュールは、周期性を呈するパターンアイテムを有する、オリジナルパターンを取得するように構成されている、ことを特徴とする。ラスタライズモジュールは、さらに、オリジナルパターンの第1方向における第1パターン主周期を決定するように構成される。ラスタライズモジュールは、イメージ領域と、使用される意図したパターンジェネレータの第1方向におけるイメージ化された素子の第1ピッチD1に関する情報を取得するようにさらに構成される。ラスタライズモジュールは、第1ラスタスケーリング係数によって第1方向にオリジナルパターンをスケーリングし、スケーリングされたパターンを与えるようにさらに構成される。第1ラスタスケーリング係数は、第1方向におけるパターンジェネレータの第1ピッチの第1整数倍を第1パターン主周期で除算した値に等しい。ラスタライズモジュールは、第1方向に周期性を呈するパターンアイテムの第1整数繰り返し回数を含み、意図したパターンジェネレータの第1方向のイメージ領域によって覆われるオーバーラップテーパリングマージンがあれば、それを含むようにスケーリングされたパターンをクロッピングするようにさらに構成され、意図したパターンジェネレータに適合したラスタライズされたパターンを与える。ラスタライズされたパターンは、第1ラスタスケーリング係数を表すデータに関連付けられる。
【0009】
第4の態様において、パターンジェネレータは、制御モジュールと、イメージングモジュールと、を有する。イメージングモジュールは、SLMの手段によってイメージ領域にパターンを描画するように配置される。SLMは、ターゲット表面上のイメージ領域内にイメージ化された素子のアレイを生成するために配置された、個別に制御可能な素子のアレイを有する。個々のイメージ化された素子の照射は、それぞれの素子によって制御される。制御モジュールは、ラスタライズされたパターンの第1方向におけるスケーリングを規定する、第1ラスタスケーリング係数を表す関連データを有するラスタライズされたパターンを取得するように構成される。制御モジュールは、さらに、第1方向においてラスタライズされたパターンの外側に配置されたパターンジェネレータにおけるSLMを無効に設定するように構成される。イメージングモジュールは、制御モジュールによって制御される、イメージ領域に描画される前に第1方向に第1光学的スケーリング係数でラスタライズされたパターンをスケーリングするための光学的手段を備える。第1光学的スケーリング係数は、1ではない。
【0010】
提案された技術による1つの利点は、SLMの性能を任意の周期的パターンに適合させることができることである。他の利点は、詳細な説明を読めば理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明は、そのさらなる目的および利点とともに、添付の図面とともに引用される以下の説明を参照することによって最もよく理解され得る。
【
図1】
図1は、SLMに基づくパターンジェネレータを模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、ターゲット表面の一部を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、他のターゲット表面の一部を示す図である。
【
図4】
図4は、一般的なパターン生成方法の一実施形態の方法を示すフロー図である。
【
図5】
図5は、ターゲット表面におけるスケーリングパターンの一部を説明する図である。
【
図6】
図6は、ターゲット表面におけるスケーリングされクロッピングされたパターンの一部を示す図である。
【
図7】
図7は、SLMに基づくパターン生成装置におけるテーパリングマージンを模式的に示す図である。
【
図8】
図8は、SLMに基づくパターンジェネレータのための周期的な成分を有するパターンのラスタライズ方法の実施形態のステップのフロー図である。
【
図9】
図9は、ラスタライズされたパターンと重ね合わされたSLMアレイを示す図である。
【
図10】
図10は、SLMとターゲット領域との間のパターンの光学的スケーリングの一実施形態を模式的に示す図である。
【
図11】
図11は、SLMに基づくパターンジェネレータのための周期的な成分を有するパターンの描画方法の一実施形態のステップのフロー図である。
【
図12】
図12は、非直交主対称軸を有するSLMアレイの一実施形態を模式的に示す図である。
【
図13】
図13は、非整合SLMの一実施形態を模式的に示す図である。
【
図14】
図14は、多重露光原理の一実施形態を模式的に示す図である。
【
図15】
図15は、ラスタライズモジュールの一実施形態を模式的に示す図である。
【
図16】
図16は、パターン生成システムの一実施形態を模式的に示す図である。
【
図17】
図17は、パターンジェネレータの一実施形態を模式的に示す図である。
【
図18】
図18は、2方向に光学的スケーリングを行う光学的手段の一実施形態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面全体を通して、類似の、または、対応する要素には同じ参照番号が使用される。
【0013】
本提案の技術の理解を深めるために、まず、SLMをベースとしたパターンジェネレータにおける幾何学的考察の概要から始めることが有用であろう。
【0014】
図1は、SLM2に基づくパターンジェネレータ1を模式的に示している。SLM2は、ここでは、個別に制御可能な素子4(本実施形態では、放射線反射素子)のアレイ3として示されている。アレイ3に入射した光5は、ターゲット表面10に向けて一組の露光ビーム6として反射される。ターゲット表面10は、典型的には、ターゲット支持体12によって支持される。SLM2の個々の素子4は、反射を可能にするように、または、反射を抑制するように制御可能である。SLM2の素子4は、無効に設定することもでき、それによって、アレイ3の活性部分を減少させることができる。
【0015】
SLM2の活性部分を出た光は、ターゲット表面10に向けられ、その上にイメージ化された素子22のアレイ20が形成される。イメージ化された素子22は、全体として、イメージ化された領域14を形成する。その結果、個々のイメージ化された素子22の照射は、SLM2のそれぞれの素子4によって制御される。典型的には、SLMアレイ20に対するイメージ化された領域14のノミナルな光学的スケーリングが存在する。このノミナルなスケーリングは、異なる距離などの異なる設計パラメータと、通常の光学系とによって決定される均一なスケーリングである。このようなノミナルなスケーリングを実現するためのアレンジは、当業者にはよく知られているため、これ以上説明しない。
【0016】
SLM2は、背景で述べたように、多くの異なる方法で構成することができる。SLM2の動作の詳細は、素子4の個々の制御が提供され、SLM2がターゲット表面10上のイメージ化領域14におけるイメージ化素子22のアレイ20を生じさせる限り、本発明にとってそれほど重要ではない。
【0017】
SLM2の素子4の個々の設定に従ったイメージ化領域14の露光後、イメージ化領域14を移動させることができる。これは、典型的には、ターゲット支持体12に対してSLM2を機械的に移動させることによって、あるいは、ターゲット支持体12、SLM2、または、その両方を移動させることによって、実行されてよい。イメージ化領域14の移動は、また、少なくとも部分的に光学的手段によって実行されてもよい。
【0018】
図2は、ターゲット表面10の一部を模式的に示す図である。SLMの現在位置のイメージ化領域14は、イメージ化された素子22のアレイ20として描かれている。イメージ化された素子22は、第1方向101に第1ピッチD1を有し、第2方向102に第2ピッチD2を有するように設けられる。本図では、説明のために、イメージ化された素子の数は少ない。現状では、SLMの素子の一部は、放射線をイメージ化領域14に向けることが可能であり、黒色として表示されている。SLMにおける素子の選択は、プリントを意図したパターン30を表すプリントデータに従って行われる。意図したパターン30は、参考までに点線で示されているだけであり、イメージ化領域14には物理的に存在しない。しかしながら、パターン30内のアイテムに対応するイメージ化された素子22は発光し、パターン30内のアイテム間の領域に対応するイメージ化された素子22は発光しないことは容易に理解できる。現在のイメージ化された領域14の外側に位置する意図したパターン30の領域は、ハッチングで示されており、前の、または、後続のプリントステップによって処理されることになる。
【0019】
特定の用途において、照射はパターン30に対して負の対応関係になり得ること、すなわち、意図したパターン外のイメージ化された素子22のみが照射されることに留意されたい。しかしながら、これは、「負の」パターン30に相当するであろう。
【0020】
図2に戻り、イメージ化領域14が照射されたとき、次の露光が行われる前にイメージ化領域14の移動が行われてよい。図中、次の位置の一例が破線14”で示されている。その後、パターン30の別の部分をターゲット表面10に露光することができる。このようにすれば、ターゲット表面10の全面をカバーすることができる。
【0021】
ここで、イメージ化された領域14の変位も、また、小さな重なりを伴って実行されてもよいことに留意されたい。そして、イメージ化領域14に対応することを意図した各パターンは、異なるイメージ化領域間のエッジ効果を回避するために、テーパリングマージンを含んでもよい。これについては、さらに後述する。別の選択肢は、イメージ化領域14がイメージ化領域14の幅のほんの一部しか移動せず、ターゲット表面10における各点が複数回露光され得ることにつながる、複数の露光を使用することである。このような実施形態については、以下でさらに詳しく説明する。また、同じイメージ化領域14の複数の露光を、すなわち、露光の間の移動なしに行うことも可能である。
【0022】
図3は、他のターゲット表面10の一部を示す図である。ターゲット表面10に露光されるパターン30も示されているが、あくまで参考として示す。本パターン30は、周期性を呈するアイテム32を有する、周期的なパターンである。パターン30は、第1方向101に第1パターン主周期PM1を有し、第2方向102に第2パターン主周期PM2を有している。ここで、パターン30のアイテム32は、それらが覆うイメージ化された素子22に関して幾分異なるように配置されていることが分かる。その理由は、第1パターン主周期PM1がイメージ化素子22の第1ピッチD1の倍数でなく、第2パターン主周期PM2がイメージ化素子22の第2ピッチD2の倍数ではないからである。したがって、アイテム32の左下コーナーは、イメージ化素子22の左下コーナーに対して異なる位置を有する。したがって、アイテム32は、各反復の間に、典型的には水平方向および垂直方向の両方で小さな距離だけ変位する。このような小さな反復変位は、背景で述べたように、ムラの問題を引き起こす異なる干渉効果を生じさせる可能性がある。
【0023】
そのような影響を緩和するために、本アイデアを提示する。基本的な考え方は、二段階方式を採用することである。第一段階では、プリントするパターンのプリントデータを、SLMの周期に一致する周期に修正する。これは、次のプリントのベースとなるデータを計算し直すことである。第二段階では、再計算されたプリントデータに従って実際のプリントを行う。しかしながら、要求された絶対サイズおよび相対サイズを実現するために、この描画は、それぞれの方向に光学的スケーリング係数を用いたスケーリングによって行われる。
【0024】
図4は、この関係を示すフロー図である。部分方法M1は、SLMに基づくパターンジェネレータ用の周期的な成分を有するパターンのラスタライズ方法である。部分方法M2は、SLMに基づくパターンジェネレータ用の周期的な成分を有するパターンの描画方法である。これらの方法は、互いに関連させて実行することができ、さらに同じ処理装置を利用することもできる。しかしながら、これらの方法は、部分方法M1のラスタライズされたパターンと関連する情報を部分方法M2で使用するために転送することによってのみ接続され、互いに別々に実行することも可能である。
【0025】
次に、第1段階の方法の効果を一連の図に関連付けて説明する。これらの図は、パターンのプリントデータに対して行われる操作に対応する、ターゲット表面におけるイメージ化領域でのパターンの想像上の状態である。しかしながら、この第1段階の方法では、実際の描画は行われず、すべての操作は、パターンのプリントデータの表示に対してのみ行われる。
【0026】
図3では、繰り返しアイテムとイメージ化された素子の配列にズレがあることが確認された。
図5において、同じパターンがスケーリングパターン31にスケーリングされている。第1方向101において、パターンは、第1ラスタスケーリング係数F1によってスケーリングされる。この特定の例では、F1は1(unity)をわずかに下回り、スケーリングされたパターン31はオリジナルパターンより狭くなる。このスケーリングは、第1パターン主周期PM1を、第1方向101においてSLMの第1ピッチD1の第1整数n1倍に適合するように、第1スケーリングパターン主周期PM1’に変更する。
【0027】
元の第1パターン主周期PM1、SLMの第1ピッチD1、および、適切な第1整数n1が分かっている場合、第1ラスタスケーリング係数F1は、次のように計算することができる。
F1=PM1’/PM1=n1*D1/PM1
【0028】
第2方向102において、パターンは、第2ラスタスケーリング係数F2によってスケーリングされる。この特定の例では、F2は1をわずかに上回っており、スケーリングされたパターン31を元のパターンより縦長にする。このスケーリングは、第2パターン主周期PM2を、第2方向102におけるSLMの第2ピッチD2の第2整数n2倍に適合するように、第2スケーリングパターン主周期PM2’に変更する。
【0029】
元の第2パターン主周期PM2、SLMの第2ピッチD2、および、適切な第2整数n2が既知である場合、第2ラスタスケーリング係数F2は、以下のように計算することができる。
F2=PM2’/PM2=n2*D2/PM2
【0030】
これで、スケーリングされたパターン31は、SLMのラスタに完全に一致する。繰り返されるアイテム32の各部分は、イメージ化された素子22に対して同じ関係に見える。例えば、図示されたアイテム32の左下コーナーは、今や、イメージ化された領域14内のどこか他の場所でイメージ化された素子22のコーナーと一致する。
【0031】
イメージ化領域14は、第1方向101に合計k1個のイメージ化された素子22を含む。また、イメージ化領域14は、第2方向102において、合計k2個のイメージ化された素子22を含む。しかしながら、第1方向101におけるイメージ化された素子22の数k1が第1整数n1の倍数でないほとんどの場合、スケーリングされたパターン31のアイテムは、一部がイメージ化領域14の外に出る可能性がある。同様に、第2方向102におけるイメージ化された素子22の数k2が第2整数n2の倍数でないほとんどの場合、スケーリングされたパターン31のアイテムも、一部がイメージ化領域14の外側に出る可能性がある。
【0032】
このような部分的に覆われているアイテムを回避するために、パターンのクロッピングが行われる。これを模式的に示したのが
図6である。第1方向101におけるイメージ化された素子22の数k1は、第1差分Δk1だけクロッピングされ、第1方向101にk1’のイメージ化された素子22が残される。この第1方向101におけるイメージ化された素子22の数k1’は、第1スケーリングパターン主周期PM1’の倍数となるように選択される。換言すれば、
K1’=L1*PM1’,
であり、L1は整数である。
【0033】
同様に、第2方向102のイメージ化された素子22の数k2は、第2差分Δk2だけクロッピングされ、第2方向102のイメージ化された素子22は、k2’個残される。この第2方向102のイメージ化された素子22の数k2’は、第2スケーリングパターン主周期PM2’の倍数となるように選択される。換言すれば、
K2’=L2*PM2’,
であり、L2は整数である。
【0034】
このようにして、ラスタライズされたパターン33が作成される。ラスタライズされたパターンは、意図したパターンジェネレータに適合している。ラスタライズされたパターンは、元のサイズおよび形状の復元を可能にするために、第1および第2スケーリング係数を表すデータとも関連付けられている。
【0035】
また、パターンジェネレータが上述のようなオーバーラップテーパリングマージンを有するアプローチをとる場合、そのマージンはラスタライズされたパターンに含まれる必要がある。
図7は、SLMに基づくパターンジェネレータにおけるテーパリングマージンを模式的に示す図である。現在のイメージ化領域14は、規則的なラスタライズされたパターンを有する、黒い領域として図示される中央領域15を有する。テーパリング領域13において、中央領域15の周りの1つまたは2つの方向において、また、ラスタライズされたパターンを含むが、典型的には、減少した強度で構成される。一実施形態では、強度は、中央領域15の境界における最大強度から、外側の境界における強度ゼロに減少する。テーパリング領域の幅は、図示の例では、第1方向101にT1、第2方向102にT2である。次のイメージ化された領域14’は、点線で図示されている。次のイメージ化領域14’は、本イメージ化領域14に対して第1方向に距離17だけ移動する。本イメージ化領域と次のイメージ化領域14、14’のそれぞれのテーパリング領域13、13’が重なっていることがわかり、これは、これらの領域の別の露光が次のイメージ化領域14’によって実行されることを意味する。この二重露光を一緒に行うことで、中央領域のイメージ化された素子によって生成されたであろうものに類似したパターンがイメージ化された素子に生成される。テーパリングマージンの使用は、イメージ化された領域14、14’のエッジ効果を低減すると考えられている。
【0036】
本考案によるクロッピングは、使用される場合、テーパリング領域に適合させなければならない。したがって、ラスタライズ方法の一実施形態は、ラスタライズされたパターンのエッジのオーバーラップ強度テーパリングを実行するさらなるステップを含む。
【0037】
このような場合、クロッピングは以下のように行う必要がある。
K1’=L1*PM1’+T1, および
K2’=L2*PM2’+T2
ここで、T1、T2は、それぞれ第1、第2方向101、102におけるオーバーラップテーパリングマージンの幅(ピッチ距離)である。
【0038】
上記の提示された例では、周期的なパターンの処理は、両方の方向で実行されている。しかしながら、ある種の用途、例えば、パターンの周期性が一方向にしか存在しない場合、対応する処理は、当然ながら、一方向にしか行わないようにすることができる。
【0039】
図8は、SLMに基づいているパターンジェネレータのための周期的成分を有するパターンのラスタライズ方法の一実施形態のステップのフロー図である。SLMは、ターゲット表面上のイメージ領域内にイメージ化された素子の配列を生成するために配置された、個別に制御可能な素子の配列を有し、個々のイメージ化された素子の照射は、それぞれの素子によって制御される。ステップS10において、オリジナルパターンが取得される。オリジナルパターンは、周期性を有するパターンアイテムを有する。ステップS21において、オリジナルパターンの第1方向における第1パターン主周期PM1が決定される。ステップS31において、使用しようとするパターンジェネレータのイメージ領域と第1方向におけるイメージ化された素子の第1ピッチD1に関する情報が取得される。ステップS40において、オリジナルパターンのスケーリングが実行される。一部のステップS41において、オリジナルパターンは、第1ラスタスケーリング係数によって第1方向にスケーリングされ、スケーリングされたパターンを与える。第1ラスタスケーリング係数は、第1方向におけるパターンジェネレータの第1ピッチの第1整数倍を第1パターン主周期で除算した値に等しい。ステップS50において、クロッピングが行われる。一部のステップS51において、スケーリングされたパターンは、第1方向における周期性を呈するパターンアイテムの第1整数繰り返し回数を含み、意図したパターンジェネレータの第1方向におけるイメージ領域によって覆われるオーバーラップテーパリングマージンがあれば、それを含むようにクロッピングされる。これにより、意図したパターンジェネレータに対して一方向に適合されたラスタライズされたパターンが得られる。ラスタライズされたパターンは、第1スケーリング係数を表すデータと関連付けられる。
【0040】
上記の手順は、オリジナルのパターンが(少なくとも)一方向に繰り返されることを考慮したものである。パターンが一方向にしか繰り返されない場合は、これらの手順で異なるムラの影響を緩和することができるであろう。
【0041】
上記の例では、2次元のSLMを想定している。しかしながら、このアイデアは、1次元のSLMにも適用可能である。上記のステップにより、SLMアレイの方向へのムラの影響は軽減されるが、直交する方向へのムラの影響は他の手段で対処しなければならず、これはこのアイデアの範囲外である。
【0042】
なお、オリジナルパターンが第2方向にも周期性を有し、SLMが2次元SLMである場合には、追加のステップを実行してもよい。ステップS22において、オリジナルパターンの第2方向における第2パターン主周期PM2が決定される。第2方向は、第1方向に対して直交する方向または少なくとも交差する方向である。ステップS32において、使用する意図したパターンジェネレータのイメージ領域と第2方向におけるイメージング素子の第2ピッチD2に関する情報が取得される。オリジナルパターンをスケーリングするステップS40において、さらなるステップS42は、オリジナルパターンを第2ラスタスケーリング係数によって第2方向にもスケーリングし、スケーリングされたパターンを与えることをさらに含む。第2ラスタスケーリング係数は、第2方向におけるパターンジェネレータの第2ピッチの第2整数倍を第2パターン主周期で除算した値に等しい。クロッピングするステップS50は、さらに、スケーリングされたパターンも、第2方向の周期性を呈するパターンアイテムの第2整数繰り返し回数を含むようにクロッピングされ、意図するパターン生成の第2方向のイメージ領域によって覆われるオーバーラップテーパリングマージンがあれば、それを含み、ラスタライズされたパターンを与えるステップS52を有する。それによって、ラスタライズされたパターンは、第2ラスタスケーリング係数を表すデータにさらに関連付けられる。
【0043】
この方法によって、プリントデータとして動作するラスタライズされたパターン、あるいは、ラスタライズされたパターンの定義が得られる。このラスタライズされたパターンには、ラスタスケーリング係数が関連付けられている。
【0044】
実際の描画を行う際には、ラスタライズされたパターンとそれに関連するラスタスケーリング係数を取得する。描画を行うのがラスタライズを行ったのと同じエンティティであれば、すべてのデータはすでに利用可能であり、ラスタライズされたパターンは通常、メモリからの単純な取り出しで取得することが可能である。描画を別のエンティティが行う場合、ラスタライズされたパターンを表すデータとそれに関連するラスタスケーリング係数を描画を行うエンティティに転送することによって、パターンを取得する必要がある。
【0045】
図9は、得られたラスタライズされたパターン35を、使用するSLMの素子4のアレイ3上に重ねた状態を模式的に示す図である。上述したように、クロッピングによって、ラスタライズされたパターン35は、SLMの全ての素子4を利用しないことがある。換言すれば、SLMの一部の素子は、プリント時に使用されないことになる。そこで、まず、パターンジェネレータのSLMの素子のうち、どの部分がラスタライズされたパターンから外れるかをチェックする。そして、4’で示されるこれらの素子は、無効に設定され、図示のようにハッチングされた状態で図示される。すなわち、ラスタライズ段階のクロッピングに類似した光学的クロッピングが実行される。
【0046】
図示のケースでは、無効化された素子はSLMの一方のエッジに示されている。しかしながら、残りのパターンの両側で、一方向または両方向に素子を無効化することもできる。
【0047】
ラスタライズされたパターンは、ラスタライズ方法への入力として提供されるオリジナルのパターンと比較して、多少歪んでいる可能性がある。ほとんどの実施形態では、そのような歪みを復元することを目的とする。この目的のために、パターンジェネレータは、イメージ領域にパターンを描画するために配置されたイメージングモジュールを有する。このイメージングモジュールは、パターンがイメージ領域に描画されるときに、パターンの光学的スケーリングを実行するように構成された光学的手段を有する。このスケーリングは、異なる方向で異なるように制御することができる。
【0048】
このような光学的スケーリングを利用することにより、ラスタライズされたパターンに関連するスケーリング係数は、パターンの描画中に光学的スケーリングを制御するために使用することができる。パターン内のアイテムのオリジナルの形状を復元する場合、使用される光学的スケーリング係数は、それぞれのラスタスケーリング係数の逆数に等しくなるように選択される。
【0049】
光学的スケーリングは、SLMとターゲット領域との間で実行され、さらに上述したパターンジェネレータにおけるSLMとターゲット表面との間のノミナルな光学的スケーリングの調整、または、それに対するオーバーレイとして提供される。このように、SLMは、SLMの素子のアレイへの分割に適合したラスタライズされたパターンに作用する。同時に、ターゲット領域に到達した放射は、光学的スケーリングの手段により、オリジナルの形状を再現するように復元される。
【0050】
図10は、この光学的スケーリングを模式的に示す。SLMを通過した放射は、
図10の上部に表示されている。このパターンには、ラスタライズされたパターンの形状がそのまま残っている。
図10の下部は、ターゲット領域上に描画されたパターン、すなわち、イメージングモジュールの光学的スケーリングを通過した後のパターンを示している。イメージ化された素子22’は、光学的スケーリングに従って再スケーリングされ、ノミナルなものとは異なるスケーリングされたイメージ化領域14’を覆っている。しかしながら、アイテム32の形状は、元々意図した形状に復元される。
【0051】
上記提示された実施例では、描画されたパターンに影響を与える動作は、両方向で実行されている。しかしながら、ラスタライズの部分方法で説明したのと同様に、例えば、パターンの周期性が一方向にしか存在しないような特定の用途では、対応する動作は、もちろん、一方向にしか行うことができない。
【0052】
ある用途では,描画工程の際に正確な形状を維持するという明確な要求はない。ある種のそのような用途では、描画されたパターンの一定の残りの形状変化を得たいという要望がある場合さえある。このような用途では、適用される光学的スケーリングは、それぞれのラスタスケーリング係数の逆数とは異なる場合がある。
【0053】
図11は、SLMに基づくパターンジェネレータのための周期的な成分を有するパターンの描画方法の実施形態のステップのフロー図である。SLMは、ターゲット表面上のイメージ領域内にイメージ化された素子のアレイを生成するために配置された、個別に制御可能な素子のアレイを有し、個々のイメージ化された素子の照射は、それぞれの素子によって制御される。ステップS60において、ラスタライズされたパターンが取得される。部分的ステップS61において、ラスタライズされたパターンに関連する第1ラスタスケーリング係数を表すデータが取得される。この第1ラスタスケーリング係数は、ラスタライズされたパターンの第1方向におけるスケーリングを規定する。ステップS70において、SLMの素子は、無効に設定される。部分的ステップS71において、第1方向においてラスタライズされたパターンの外側に位置するパターンジェネレータにおけるSLMの素子は、無効に設定される。ステップS80において、ラスタライズされたパターンがターゲット表面上のイメージ領域に描画される。部分的ステップS81において、描画は、第1方向における第1光学的スケーリング係数でスケーリングすることを含む。第1光学的スケーリング係数は、1ではない(non-unity)。
【0054】
特定の実施形態において、第1光学的スケーリング係数は、第1ラスタスケーリング係数の逆数に等しい。
【0055】
オリジナルパターンが第2方向にも周期性を有する場合、追加のステップが実行されてもよい。ラスタライズされたパターンを取得するステップS60は、ラスタライズされたパターンが第2ラスタスケーリング係数を表すデータとさらに関連付けられる部分ステップS62を含んでよい。第2ラスタスケーリング係数は、ラスタライズされたパターンの第2方向におけるスケーリングを規定する。第2方向は、第1方向に対して直交しているか、または少なくとも交差している。SLMの素子を無効に設定するステップS70は、第2方向においてラスタライズされたパターンの外側に位置するパターンジェネレータにおけるSLMの素子を無効に設定するステップS72をさらに含む。描画ステップS80は、第2方向の第2光学的スケーリング係数によるスケーリングを行うステップS82をさらに含む。
【0056】
特定の実施形態では、第1光学的スケーリング係数、および、第2光学的スケーリング係数の両方が1ではない。
【0057】
特定の実施形態では、第2光学的スケーリング係数は、第2ラスタスケーリング係数の逆数に等しい。
【0058】
上記の例では、繰り返しパターンとSLMの素子のアレイの両方が、直交する主対称軸を示す。ターゲット表面におけるイメージ化された素子のアレイも、また、周期的パターンの意図した方向と平行であると仮定される。しかしながら、他の実施形態では、他の関係および幾何学的形状を利用することも可能である。
【0059】
簡単な例としては,直方体形状のSLMアレイ,すなわち隣接する2つの素子間の距離が直交する2つの方向で異なる場合である。この場合、2つの方向は別々に処理され、異なるピッチの値を入力することができるため、非常に簡単に使用することができる。
【0060】
一実施形態では、SLMの素子アレイは、非直交軸で配置することができる。一例は、六角形の対称性を有するSLMを使用することである。この場合、素子アレイの主対称軸は、互いに対して60°に方向付けられる。このとき、イメージ化される素子も六角形の対称性を示す。イメージ化された素子のアレイの軸の1つは、例えば、周期的パターンのアレイの第1方向と一致してよい。この方向におけるピッチは、この方向における2つの連続するイメージ化された素子間の距離となる。しかしながら、直交方向のピッチは、代替的に、イメージ化された素子の第1方向における2つのライン間の第2方向の距離、すなわち、イメージ化された素子列間の距離となるであろう。本実施例では、第2方向のピッチは、隣り合う2つのイメージ化された素子間の距離と、角度60°とに依存することになる。これを模式的に示したのが
図12である。隣り合うイメージ化された素子間の距離は、主対称方向においてそれぞれd1、d2である。第1方向のピッチD1はd1に等しい一方、第2方向のピッチD2は、第2主対称軸と第2方向との間の角度に依存して修正された距離d2に依存するようになる。
【0061】
使用可能な他の相対的な形状の例としては、周期的なパターンの対称軸と整合していないイメージ化された素子のアレイを生成するSLMアレイを使用することである。そのような状況は、
図13に図示されている。1つの現在のイメージ化された領域14は、次のイメージ化された領域14’(点線)と共に図示されている。イメージ化された素子の対称軸は、それぞれ、第1方向および第2方向に対して時計回りに角度α1およびα2だけ回転している。ほとんどの場合、角度α1は角度α2に等しい。
【0062】
換言すれば、一実施形態では、イメージ化された素子のアレイの第1主軸は、第1方向に対して第1角度で回転し、それによって、第1ピッチは、第1主軸に沿った2つの連続するイメージ化された素子間の距離と、第1角度とに依存する。
【0063】
さらなる実施形態では、イメージ化された素子のアレイの第2主軸は、第2方向に対して第2角度で回転され、それによって、第2ピッチは、第2主軸に沿った2つの連続するイメージ化された素子間の距離と、第2角度とに依存する。
【0064】
いくつかのパターンジェネレータでは、複数の露光が利用されることがある。ターゲット表面の複数の露光を配置する1つの方法は、ターゲット表面におけるSLMのイメージ領域を、2つの露光の間でイメージ領域の全幅よりも小さく移動させることである。典型的な配置は、2つの露光間の移動を、イメージ領域の幅の整数分の1に対応させることである。例として、各露光間でイメージ領域をイメージ領域幅の1/4移動させる場合、ターゲット表面における各スポットは4回露光されることになる。これを模式的に示したのが
図14である。イメージ化された素子の配列、すなわち、イメージ化された領域14は、この例では16個のイメージ化された素子22の幅である。各露光の間に、次のイメージ化された領域14’を図示する点線で示されるように、イメージ化された領域14は4つのイメージ化された素子に対応する距離だけ移動される。12列のイメージ化された素子は、既に露光されたターゲット表面のスポットを露光し、4列のイメージ化された素子は、ターゲット表面の新しい部分を露光することになる。
【0065】
当業者であれば理解できるように、多重露光方式は、イメージ領域の任意の整数の分数(integer fraction)によって実行することができる。しかしながら、イメージ化領域の幅は、この整数の分数が整数個のイメージ化された素子をカバーするような数を含んでいれば、全体の描画工程を制御することが容易である。すなわち、移動方向のイメージ化された素子の数が、多重露光の回数の整数倍であることが好ましい。
【0066】
ここで提示した主な考え方に従って設計されたシステムでは、イメージ化された領域内のイメージ化された素子の数は、ラスタスケーリング係数、および、その後のイメージ化された領域の移動方向におけるSLM領域のクロッピングに依存し得る。その結果、移動方向において使用されるイメージ化された素子の数は、パターンごとに異なる場合がある。しかしながら、スケーリング係数は原理的に自由に選択できるため、少なくともある一定の範囲内であれば、好ましい多重露光条件を満たすようにスケーリング係数を選択することができる。
【0067】
例えば6回重ね合わせ露光を行う場合、SLMによって生成される全体のイメージ化領域は、移動方向において6で割り切れる数のイメージ化された素子を含まなければならない。さらに、SLMの全幅が50個のイメージ化された素子を含むと仮定する。このとき、周期パターンがイメージ化された素子のピッチの6.7倍に相当する周期性を持っているとすると、多重露光の制限を無視した場合、周期パターンをイメージ化された素子のピッチの7倍にスケールアップし、イメージ化領域の幅をパターンの7回の繰り返し、すなわち49個のイメージ化された素子をクロップすることが、スケーリングの自然な選択肢となる。しかしながら、49個は6で割り切れないため、多重露光は困難である。その代わりに、周期パターンをイメージ化された素子のピッチの6倍にスケールダウンすれば、8回の繰り返しで48個のイメージ化された素子をクロッピングすることができ、この場合も多重露光に対応することができる。
【0068】
換言すれば、一実施形態において、ラスタライズ方法は、意図したパターンジェネレータの第1方向に等距離の変位を有する第1部分的重複露光回数に関するデータを取得するステップをさらに含む。スケーリングステップにおける第1ラスタスケーリング係数およびクロッピングステップにおける第1整数繰り返し回数が、第1整数繰り返し回数と、第1整数および第1部分的重複露光回数の比とを掛けた値が整数になるように選択する。好ましくは、第1ラスタスケーリング係数は、第1整数および第1整数繰り返し回数の選択における制約がある場合には、それを考慮して、できるだけ1に近くなるように選択される。
【0069】
多重露光をさらに精巧にした場合、多重露光を第1方向と第2方向の両方で行うことができる。その場合、上記と同じ考え方を第2方向にも適用することができる。
【0070】
換言すれば、さらなる実施形態において、ラスタライズ方法は、意図したパターンジェネレータの第2方向に等距離の変位を有する第2部分的重複露光回数に関するデータを取得するステップをさらに含む。そして、スケーリングステップにおける第2ラスタスケーリング係数およびクロッピングステップにおける第2整数繰り返し回数が、第2整数繰り返し回数と、第2整数および第2部分的重複露光回数の間の比とを掛けた値が整数となるように選択する。好ましくは、第2ラスタスケーリング係数は、第2整数および第2整数繰り返し回数の選択における制約がある場合には、それを考慮して、できるだけ1に近くなるように選択される。
【0071】
本アイデアは、あらゆる描画方法に適用可能であるが、当初の対象技術領域は、リソグラフィシステムまたはフォトマスクリソグラフィシステムへの適用であった。したがって、好ましい実施形態では、パターンジェネレータは、リソグラフィシステムまたはフォトマスクリソグラフィシステムである。
【0072】
図15において、SLMに基づくパターンジェネレータのためのラスタライズモジュール60の一実施形態が示されている。上記で説明したように、SLMは、ターゲット表面上のイメージ領域内にイメージ化された素子のアレイを生成するために配置された個別に制御可能な素子のアレイを有し、個々のイメージ化された素子の照射がそれぞれの素子によって制御される。ラスタライズモジュールは、プロセッサ62と、メモリ64と、を有する。メモリ64は、プロセッサ62によって実行可能な命令を含む。それによって、ラスタライズモジュールは、周期性を呈するパターンアイテムを有するオリジナルパターンを取得し、オリジナルパターンの第1方向における第1パターン主周期を決定し、イメージ領域および使用する予定のパターンジェネレータの第1方向におけるイメージ化された素子の第1ピッチに関する情報を取得するよう構成される。命令は、さらに、プロセッサ62が、第1方向にオリジナルパターンを第1ラスタスケーリング係数でスケーリングし、スケーリングされたパターンを与えることを可能にする。第1ラスタスケーリング係数は、第1方向におけるパターンジェネレータの第1ピッチの第1整数倍を第1パターン主周期で除算した値に等しい。命令は、さらに、プロセッサ62が、スケーリングされたパターンを、第1方向の周期性を呈するパターンアイテムの第1整数繰り返し回数を含み、意図したパターンジェネレータの第1方向のイメージ領域によって覆われるオーバーラップテーパリングマージンがあれば、それを含むようにクロップし、意図したパターンジェネレータに適合したラスタライズされたパターンを与えるようにすることを可能にする。ラスタライズされたパターンは、第1ラスタスケーリング係数を表すデータと関連付けられる。
【0073】
好適な実施形態では、メモリ64は、プロセッサ62によって実行可能な命令をさらに含み、それによって、ラスタライズモジュールは、オリジナルパターンの第2方向における第2パターン主周期を決定するようにさらに構成され、第2方向は、第1方向に対して直交している。命令は、さらに、プロセッサ62が、使用される意図したパターンジェネレータの第2方向におけるイメージ領域およびイメージ化された素子の第2ピッチに関する情報を取得し、第2方向にオリジナルパターンを第2ラスタスケーリング係数でスケーリングし、スケーリングされたパターンを与えるようにすることを可能にする。第2ラスタスケーリング係数は、第2方向におけるパターンジェネレータの第2ピッチの第2整数倍を第2パターン主周期で除算した値に等しい。命令は、さらに、プロセッサ62が、第2方向における周期性を呈するパターンアイテムの第2整数繰り返し回数を含み、意図したパターンジェネレータの第2方向におけるイメージ領域によって覆われるオーバーラップテーパリングマージンがある場合にはそれを含むようにスケーリングされたパターンをクロップし、意図したパターンジェネレータに適合したラスタライズされたパターンを与えるようにすることを可能にする。ラスタライズされたパターンは、さらに、第2ラスタスケーリング係数を表すデータと関連付けられる。
【0074】
図16は、ラスタライズモジュール60およびパターンジェネレータ80を含むパターンジェネレータシステム70の一実施形態を示している。本実施形態において、ラスタライズモジュール60は、スケーリング係数を表す関連データを有するラスタライズされたパターンを表すデータを提供する。本実施形態では、ラスタライズモジュール60は、別個のユニットとして図示されている。その後、ラスタライズされたパターンは、通信接続62によって、または無線代替手段によって、パターンジェネレータ80に転送することができる。あるいは、ラスタライズされたパターンを表すデータは、アクセスのためにパターンジェネレータ80に物理的にもたらされるデータ記憶装置においてラスタライズモジュール60によって提供され得る。
【0075】
しかしながら、ラスタライズモジュール60は、他の実施形態では、点線で示すように、パターンジェネレータ80の一部として提供されてもよく、この場合、処理能力は、好ましくはパターンジェネレータ80とラスタライズモジュール60とで共有される。そして、ラスタライズモジュール60からパターンジェネレータ80へのラスタライズされたパターンの転送は、内部手段によって行われる。
【0076】
図17は、パターンジェネレータ80の一実施形態を模式的に示す図である。パターンジェネレータ80は、制御モジュール82と、イメージングモジュール84と、を有する。イメージングモジュール84は、イメージ領域にパターンを描画するために配置される。イメージングモジュールは、SLM2を含む。SLM2は、ターゲット表面10上のイメージ領域内にイメージ化された素子のアレイを生成するために配置された、個別に制御可能な素子4のアレイ3を有する。個々のイメージ化された素子の照射は、制御モジュール84からの命令に基づいて、それぞれの素子4によって制御される。
【0077】
制御モジュール82は、ラスタライズされたパターンの第1方向におけるスケーリングを規定する、第1ラスタスケーリング係数を表す関連データを有するラスタライズされたパターンを取得するように構成される。上述したように、このラスタライズされたパターンは、内部または外部のソースから、異なる方法で提供され得る。
【0078】
制御モジュール82は、さらに、第1方向においてラスタライズされたパターンの外側に位置するパターンジェネレータの配置においてSLM2の素子4を無効に設定するように構成される。
【0079】
イメージングモジュール84は、制御モジュール82によって制御され、イメージ領域に描画される前に、ラスタライズされたパターンを第1方向に第1光学的スケーリング係数でスケーリングするための光学的手段88を含む。第1光学的スケーリング係数は1ではない。
【0080】
一実施形態では、第1光学的スケーリング係数は、第1ラスタスケーリング係数の逆数に等しい。
【0081】
一実施形態では、制御モジュール84は、ラスタライズされたパターンの第2方向におけるスケーリングを規定する、第2ラスタスケーリング係数を表す関連データをさらに有するラスタライズされたパターンを取得するようにさらに構成される。第2方向は、第1方向に対して直交している。
【0082】
制御モジュール82は、さらに、第2方向においてラスタライズされたパターンの外側に位置するパターンジェネレータ配置80におけるSLM2の素子4も無効に設定するように構成されている。
【0083】
イメージングモジュールは、イメージ領域に描画される前に、ラスタライズされたパターンを第2方向に第2光学的スケーリング係数でさらにスケーリングするために、制御モジュール82によって制御される光学的手段88を含む。
【0084】
一実施形態では、第1光学的スケーリング係数および第2光学的スケーリング係数の両方が1ではない。
【0085】
一実施形態では、第2光学的スケーリング係数は、第2ラスタスケーリング係数の逆数に等しい。
【0086】
図18は、ラスタライズされたパターンを表す露光ビームをスケーリングするための光学的手段88の一実施形態を示している。ラスタライズされたパターンは、イメージ領域に描画される前に第1方向に第1光学的スケーリング係数でスケーリングされ、オプションとして第2方向に第2光学的スケーリング係数でスケーリングされる。
【0087】
図の上部には、第2方向の模式図が示されている。レンズ素子91~96が6個設けられており、そのうちレンズ素子91、93、95が第1方向の光学的スケーリングを行う。レンズ素子91、93、95は、図示の図に垂直な軸に沿った曲率中心を有する円柱レンズである。レンズ素子91および93は、異なる光学的スケーリングを提供するために、光軸に沿って移動可能である。レンズ素子95は固定されている。
【0088】
図の上部には、第2方向の模式図が示されている。レンズ素子91~96が6個設けられており、そのうちレンズ素子91、93、95が第1方向の光学的スケーリングを行う。レンズ素子91、93、95は、図示した図に垂直な軸に沿った曲率中心を有する円柱レンズである。レンズ素子91および93は、異なる光学的スケーリングを提供するために、光軸に沿って移動可能である。レンズ素子95は固定されている。
【0089】
上記の光学的手段88の実施形態は、異なる方向に異なり調節可能な光学的スケーリングを得る方法の一例に過ぎない。当業者であれば、異なる数および種類のレンズを有する同様の配置を用いることができるとともに、スケーリングを異なる方向に異なるように適合させることができる他の光学的配置を用いることができることを認識する。
【0090】
SLM2は、異なる実施形態において、デジタルマイクロミラーデバイス、液晶ディスプレイ、グレーティング光バルブ、平面光バルブ、マイクロシャッターアレイ、アナログ空間光変調器、および/または、シリコン上の液晶を含むことができる。
【0091】
一実施形態において、パターンジェネレータは、リソグラフィシステムまたはフォトマスクリソグラフィシステムである。
【0092】
一実施形態において、パターンジェネレータ80は複数のSLM2を有する。それによって、制御モジュール84は、得られたラスタライズされたパターンに従って各SLM2を個別に制御するように構成されている。
【0093】
上述した実施形態は、本発明の少数の例示的な例として理解されるものである。本発明の範囲から逸脱することなく、実施形態に様々な修正、組み合わせ、変更を加えることができることは、当業者には理解されよう。特に、異なる実施形態における異なる部品ソリューションは、技術的に可能であれば、他の構成で組み合わせることができる。しかしながら、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定される。
【国際調査報告】