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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-13
(54)【発明の名称】ウイルス様粒子を作製する方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/86 20060101AFI20230706BHJP
   C12N 15/70 20060101ALI20230706BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20230706BHJP
   C12N 15/33 20060101ALI20230706BHJP
   C07K 1/16 20060101ALI20230706BHJP
【FI】
C12N15/86 Z ZNA
C12N15/70 Z
C12P21/02 C
C12N15/33
C07K1/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022576074
(86)(22)【出願日】2021-06-09
(85)【翻訳文提出日】2023-01-10
(86)【国際出願番号】 US2021036688
(87)【国際公開番号】W WO2021252687
(87)【国際公開日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】63/036,535
(32)【優先日】2020-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522478466
【氏名又は名称】アイコサバックス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】リアン, ハンス アール.
(72)【発明者】
【氏名】リチャードソン, チャールズ
【テーマコード(参考)】
4B064
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG32
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA01
4H045CA11
4H045DA50
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA01
4H045GA21
(57)【要約】
封入体からの組換え成分B(compB)タンパク質を可溶化溶液で可溶化し、それによって産物compBタンパク質を含む産物試料を生成することによって、ナノ構造を作製する方法が開示される。広範な実験の後、本発明者らは、2成分のタンパク質ベースの自己組織化ウイルス様粒子(pbVLP)のための成分B(compB)タンパク質が、組換え発現系の可溶性画分から得ることができるのと同じ、又はそれ以上の収率、純度、及び/又は生物学的活性において、封入体から発現及び精製することができることを驚くべきことに気付いた。更に、本明細書に開示される精製手順は、驚くべきことに、封入体からのcompBタンパク質の可溶化後の変性又はリフォールディングステップを必要としない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ構造を作製する方法であって、組換え成分B(compB)タンパク質を封入体から可溶化溶液で可溶化することを含み、それによって産物compBタンパク質を含む産物試料を生成する、方法。
【請求項2】
前記可溶化溶液は、任意選択で0.15M~2M、任意選択で0.5Mの尿素濃度の尿素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記可溶化溶液は、7~8のpH、任意選択で7.4のpHを有する緩衝溶液である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記可溶化溶液は、両性イオン界面活性剤を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記可溶化溶液は、3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート(CHAPS)を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、前記可溶化ステップの前に、任意選択で150mM未満、任意選択で50~150mMの尿素濃度の尿素を含む洗浄液で前記封入体を洗浄することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、前記compBタンパク質を、陰イオン交換樹脂、任意選択で弱陰イオン交換樹脂、任意選択でジエチルアミノエチル(DEAE)コンジュゲート樹脂と接触させることと、溶出溶液を使用して、前記樹脂から前記compBタンパク質を溶出させることと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、前記溶出ステップの前に、カラム洗浄液で前記陰イオン交換樹脂を洗浄することを含み、前記カラム洗浄液は、
両性イオン界面活性剤、任意選択で3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート(CHAPS)若しくはその等価物、及び/又は
非イオン性界面活性剤、任意選択でTritonX-100又はその等価物を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記溶出溶液は、400mM~600mMのNaCl濃度の塩化ナトリウム(NaCl)を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、混合モード樹脂、任意選択でセラミックヒドロキシアパタイト(CHT)樹脂で前記compBタンパク質を精製することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記封入体は、前記compBタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む細菌細胞において生成されており、前記ポリヌクレオチドが、プロモーターに作動可能に連結されている、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記細菌細胞は、約33℃未満、任意選択で約15℃~約33℃、又は約17℃~約30℃、好ましくは約30℃で培養される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記細菌細胞は、E.coli細胞である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記細菌細胞は、B株E.coli細胞である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記細菌細胞は、K12株E.coli細胞である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記プロモーターは、PhoAプロモーターである、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記プロモーターは、T7プロモーター以外のプロモーターである、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記方法は、前記細菌細胞を溶解液中で溶解することであって、前記溶解液が、封入体の溶解度を促進する薬剤を実質的に含まない、溶解することと、前記封入体を回収することと、を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記溶解液は、洗剤を実質的に含まない、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記産物compBタンパク質は、少なくとも50%の溶解度、任意選択で70~95%の溶解度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
溶解度は、ゲル濾過クロマトグラフィーによって、任意選択でSuperose 6カラムを使用して測定される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記産物compBタンパク質は、総タンパク質の重量比(w/w)として計算される少なくとも80%の純度、任意選択で少なくとも95%w/wの純度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
純度は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、任意選択で変性SDS-PAGEによって、測定される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記産物compBタンパク質は、少なくとも70%w/wの組織化能、任意選択で90~98%w/wの組織化能がある、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
組織化能があるcompBタンパク質のパーセンテージは、前記compBタンパク質が過剰に成分A(compA)タンパク質を含む溶液と混合されるときに、タンパク質ベースのウイルス様粒子(vpVLP)に組織化する、産物溶液中のcompBタンパク質のパーセンテージ、重量比(w/w)として定義される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記産物溶液は、1ミリグラムの総タンパク質当たり50エンドトキシン単位(EU/mg)未満、任意選択で5~15単位のEU/mgを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記方法は、前記compBタンパク質を変性させることを含まず、かつ/又は前記compBタンパク質をリフォールディングすることを含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記compBタンパク質の収率は、採取時の約170~190g/L湿潤細胞重量(WCW)及び/又は前記封入体中の約1g/L WCW compBタンパク質である、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記compBタンパク質は、I53-50Bタンパク質である、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記I53-50Bタンパク質は、I53-50B.1(配列番号32)、I53-50B.1NegT2(配列番号33)、又はI53-50B.4PosT1(配列番号34)と少なくとも95%の同一性を共有する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記I53-50Bは、配列番号40(I53-50B属)で表されるタンパク質のいずれか1つである、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記I53-50Bタンパク質は、I53-50B.1(配列番号32)、I53-50B.1NegT2(配列番号33)、又はI53-50B.4PosT1(配列番号34)と少なくとも99%の同一性を共有する、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記I53-50Bタンパク質は、I53-50B.1(配列番号32)、I53-50B.1NegT2(配列番号33)、又はI53-50B.4PosT1(配列番号34)と100%の同一性を共有する、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記compBタンパク質は、I53_dn5Aタンパク質である、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記I53_dn5Aタンパク質は、配列番号169と少なくとも95%の同一性を共有する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記I53_dn5Aタンパク質は、配列番号169と少なくとも99%の同一性を共有する、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記I53_dn5Aタンパク質は、配列番号169と少なくとも100%の同一性を共有する、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
請求項1~37のいずれか一項に記載の方法によって産生されるcompBタンパク質を含む組成物。
【請求項39】
compBタンパク質を含む組成物であって、前記compBタンパク質は、
a.少なくとも50%可溶性、任意選択で70~95%可溶性であり、
b.少なくとも80%純粋であり、純度が、総タンパク質の重量比(w/w)、任意選択で少なくとも95%w/w純粋として計算され、及び/又は
c.少なくとも70%w/wの組織化能、任意選択で90~100%w/wの組織化能がある、組成物。
【請求項40】
前記組成物が、20mM Tris(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)緩衝液、任意選択で20mM、及び/又は250mM NaCl、任意選択で250mMのうちの1つ以上を含む、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
前記組成物は、7~8のpH、任意選択で7.4のpHで緩衝される、請求項39に記載の組成物。
【請求項42】
前記組成物は、貯蔵及び/又は凍結融解に対して安定である、請求項39に記載の組成物。
【請求項43】
ナノ構造を作製する方法であって、前記ナノ構造は、成分A(compA)タンパク質及び成分B(compB)タンパク質を含み、前記compBタンパク質は、可溶化溶液で封入体から可溶化され、それによって、単離されたcompBタンパク質を生成し、compA及び前記単離されたcompBは、ナノ構造を形成する、方法。
【請求項44】
請求項43に記載の方法によって作製されるナノ構造。
【請求項45】
compBは、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、27、28、32~34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58のうちのいずれか1つと少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%の同一性を有するポリペプチド配列によってコードされる、請求項44に記載のナノ構造。
【請求項46】
前記compA及び前記compBは各々、
(i)それぞれ、配列番号1及び配列番号2、
(ii)それぞれ、配列番号3及び配列番号4、
(iii)それぞれ、配列番号3及び配列番号24、
(iv)それぞれ、配列番号23及び配列番号4、
(v)それぞれ、配列番号35及び配列番号36、
(vi)それぞれ、配列番号5及び配列番号6、
(vii)それぞれ、配列番号5及び配列番号27、
(viii)それぞれ、配列番号5及び配列番号28、
(ix)それぞれ、配列番号25及び配列番号6、
(x)それぞれ、配列番号25及び配列番号27、
(xi)それぞれ、配列番号25及び配列番号28、
(xii)それぞれ、配列番号26及び配列番号6、
(xiii)それぞれ、配列番号26及び配列番号27、
(xiv)それぞれ、配列番号26及び配列番号28、
(xv)それぞれ、配列番号37及び配列番号38、
(xvi)それぞれ、配列番号7及び配列番号8、
(xvii)それぞれ、配列番号7及び配列番号32、
(xviii)それぞれ、配列番号7及び配列番号33、
(xix)それぞれ、配列番号7及び配列番号34、
(xx)それぞれ、配列番号29及び配列番号8、
(xxi)それぞれ、配列番号29及び配列番号32、
(xxii)それぞれ、配列番号29及び配列番号33、
(xxiii)それぞれ、配列番号29及び配列番号34、
(xxiv)それぞれ、配列番号30及び配列番号8、
(xxv)それぞれ、配列番号30及び配列番号32、
(xxvi)それぞれ、配列番号30及び配列番号33、
(xxvii)それぞれ、配列番号30及び配列番号34、
(xxviii)それぞれ、配列番号31及び配列番号8、
(xxix)それぞれ、配列番号31及び配列番号32、
(xxx)それぞれ、配列番号31及び配列番号33、
(xxxi)それぞれ、配列番号31及び配列番号34、
(xxxii)それぞれ、配列番号39及び配列番号40、
(xxxiii)それぞれ、配列番号9及び配列番号10、
(xxxiv)それぞれ、配列番号11及び配列番号12、
(xxxv)それぞれ、配列番号13及び配列番号14、
(xxxvi)それぞれ、配列番号15及び配列番号16、
(xxxvii)それぞれ、配列番号19及び配列番号20、
(xxxviii)それぞれ、配列番号21及び配列番号22、
(xxxix)それぞれ、配列番号23及び配列番号24、
(xl)それぞれ、配列番号41及び配列番号42、
(xli)それぞれ、配列番号43及び配列番号44、
(xlii)それぞれ、配列番号45及び配列番号46、
(xliii)それぞれ、配列番号47及び配列番号48、
(xliv)それぞれ、配列番号49及び配列番号50、
(xlv)それぞれ、配列番号51及び配列番号44、
(xlvi)それぞれ、配列番号53及び配列番号52、
(xlvii)それぞれ、配列番号55及び配列番号54、
(xlviii)それぞれ、配列番号57及び配列番号56、並びに
(xlix)それぞれ、配列番号59及び配列番号58のいずれか1つと少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%の同一性を有するポリペプチド配列を含む、請求項44に記載のナノ構造。
【請求項47】
請求項44に記載のナノ構造、及び薬学的に許容される希釈剤を含む、薬学的組成物。
【請求項48】
請求項44~47のいずれか一項に記載のナノ構造からなるワクチン。
【請求項49】
疾患又は障害の治療又は予防を必要とする対象において疾患又は障害を治療又は予防する方法であって、有効量の請求項44に記載のナノ構造を、請求項47に記載の薬学的組成物又は請求項48に記載のワクチンを使用して、前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項50】
前記疾患又は障害は、ウイルス感染症である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
免疫応答を必要とする対象において免疫応答を生成する方法であって、有効量の、請求項44に記載のナノ構造、請求項47に記載の薬学的組成物、又は請求項48に記載のワクチンを、前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項52】
請求項44に記載のナノ構造、請求項47に記載の薬学的組成物、又は請求項48に記載のワクチンを含む、キット。
【請求項53】
請求項49~51のいずれか一項に記載の方法のための、又は薬剤としての、請求項44に記載のナノ構造、請求項46に記載の薬学的組成物、又は請求項48に記載のワクチンの、使用。
【請求項54】
請求項49~51のいずれか一項に記載の方法で使用されるための、又は薬剤としての使用のための、請求項44に記載のナノ構造、請求項46に記載の薬学的組成物、又は請求項48に記載のワクチン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年6月9日に出願された米国特許仮出願第63/036,535号に対する優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表に関する記載
本出願に関連する配列表は、ハードコピーの代わりにテキスト形式で提供され、参照により本明細書に組み込まれる。配列表を含むテキストファイルの名称は、ICVX_008_01WO_ST25.txtである。このテキストファイルは、94KBであり、2021年6月9日に作成され、EFS-Webを介して電子的に提出されている。
[技術分野]
【0003】
本開示は、概して、自己組織化タンパク質ナノ構造、特に、ナノ構造ベースのワクチンを含むナノ構造を作製する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
タンパク質ベースのウイルス様粒子(pbVLP)は、タンパク質又は他の巨大分子を対称的に提示するための有用なプラットフォームを提供する。これらは、ウイルスカプシドタンパク質(例えば、非エンベロープウイルスから)又は脂質包埋タンパク質(例えば、エンベロープウイルスから抽出されるか、又は脂質と混合された組換え膜タンパク質を使用して作製される)から作製される従来のVLPと区別することができる。後者は、一般に、定義された対称性を有しない。前者は、一般に、タンパク質をウイルスカプシドに付着させる際の課題により、タンパク質を表示する能力が制限されている。
【0005】
一般的にVLP及び特にpbVLPに対する1つの用途は、ワクチンとしてである。研究は、pbVLP上に表示される抗原が、従来のサブユニットワクチン及び非対称VLPよりも強力な抗体応答を誘発することを実験的に実証した。
【0006】
Bale et al.,Science 353:389-394(2016)は、成分A(compA)及び成分B(compB)と呼ばれるタンパク質成分から作製されるpbVLPのセットを含む、様々な2成分の二十面体pbVLPを開示している。
タンパク質ベースのウイルス様粒子を発現、精製、及び組織化する方法の必要性が当該技術分野に残っている。本開示は、この必要性を満たす。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Bale et al.,Science 353:389-394(2016)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
広範な実験の後、本発明者らは、2成分のタンパク質ベースの自己組織化ウイルス様粒子(pbVLP)のための成分B(compB)タンパク質が、組換え発現系の可溶性画分から得ることができるのと同じ、又はそれ以上の収率、純度、及び/又は生物学的活性において、封入体から発現及び精製することができることを驚くべきことに気付いた。更に、本明細書に開示される精製手順は、驚くべきことに、封入体からのcompBタンパク質の可溶化後の変性又はリフォールディングステップを必要としない。
【0009】
本明細書において、ナノ構造を作製する方法であって、組換え成分B(compB)タンパク質を封入体から可溶化溶液で可溶化することを含み、それによって産物compBタンパク質を含む産物試料を生成する、方法が提供される。
【0010】
いくつかの実施形態では、可溶化溶液は、尿素を含む。尿素は、0.5Mなど、0.15M~2Mの尿素濃度であり得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、可溶化溶液は、7~8のpH、任意選択で7.4のpHを有する緩衝溶液である。
【0012】
いくつかの実施形態では、可溶化溶液は、両性イオン界面活性剤を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、両性イオン界面活性剤は、CHAPSO(3-(3-コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホネート)、LDAO、DDMAB、及び任意のZwittergent(登録商標)界面活性剤から選択される。
【0014】
いくつかの実施形態では、可溶化溶液は、3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート(CHAPS)を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、方法は、可溶化ステップの前に、任意選択で150mM未満、任意選択で50~150mMの尿素濃度の尿素を含む洗浄液で封入体を洗浄することを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、方法は、compBタンパク質を、陰イオン交換樹脂、任意選択で弱陰イオン交換樹脂、任意選択でジエチルアミノエチル(DEAE)コンジュゲート樹脂と接触させることと、溶出溶液を使用して樹脂からcompBタンパク質を溶出させることと、を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、方法は、溶出ステップの前に、カラム洗浄液で陰イオン交換樹脂を洗浄することを含み、カラム洗浄液は、
両性イオン界面活性剤、任意選択で3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート(CHAPS)又はその等価物、及び/又は
非イオン性界面活性剤、任意選択でTriton(登録商標)X-100又はその等価物を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、溶出溶液は、400mM~600mMのNaCl濃度の塩化ナトリウム(NaCl)を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、方法は、混合モード樹脂、任意選択でセラミックヒドロキシアパタイト(CHT)樹脂でcompBタンパク質を精製することを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、封入体は、compBタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む細菌細胞において生成され、ポリヌクレオチドは、プロモーターに作動可能に連結されている。
【0021】
いくつかの実施形態では、細菌細胞は、約33℃未満、任意選択で約15℃~約33℃、又は約17℃~約30℃、好ましくは約30℃で培養される。
【0022】
いくつかの実施形態では、細菌細胞は、E.coli細胞である。
【0023】
いくつかの実施形態では、細菌細胞は、B株E.coli細胞である。
【0024】
いくつかの実施形態では、細菌細胞は、K12株E.coli細胞である。
【0025】
いくつかの実施形態では、プロモーターは、PhoAプロモーターである。
【0026】
いくつかの実施形態では、プロモーターは、T7プロモーター以外のプロモーターである。
【0027】
いくつかの実施形態では、方法は、細菌細胞を溶解液中で溶解することであって、溶解液は、封入体の溶解度を促進する薬剤を実質的に含まない、溶解することと、封入体を回収することと、を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、溶解液は、洗剤を実質的に含まない。
【0029】
いくつかの実施形態では、産物compBタンパク質は、少なくとも50%の溶解度、任意選択で70~95%の溶解度を有する。
【0030】
いくつかの実施形態では、溶解度は、ゲル濾過クロマトグラフィーによって、任意選択でSuperose 6カラムを使用して測定される。
【0031】
いくつかの実施形態では、産物compBタンパク質は、総タンパク質の重量比(w/w)として計算される少なくとも80%の純度、任意選択で少なくとも95%w/wの純度を有する。
【0032】
いくつかの実施形態では、純度は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、任意選択で変性SDS-PAGEによって、測定される。
【0033】
いくつかの実施形態では、産物compBタンパク質は、少なくとも70%w/wの組織化能、任意選択で90~98%w/wの組織化能がある。
【0034】
いくつかの実施形態では、組織化能があるcompBタンパク質のパーセンテージは、compBタンパク質が過剰に成分A(compA)タンパク質を含む溶液と混合されるときに、タンパク質ベースのウイルス様粒子(vpVLP)に組織化される、産物溶液中のcompBタンパク質のパーセンテージ、重量比(w/w)として定義される。
【0035】
いくつかの実施形態では、産物溶液は、1ミリグラムの総タンパク質当たり50エンドトキシン単位(EU/mg)未満、任意選択で5~15単位のEU/mgを含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、方法は、compBタンパク質を変性させることを含まず、かつ/又はcompBタンパク質をリフォールディングすることを含まない。いくつかの実施形態では、方法は、compBタンパク質を変性させることを含まない。いくつかの実施形態では、方法は、compBタンパク質をリフォールディングすることを含まない。いくつかの実施形態では、方法は、単量体タンパク質から多量体を組織化することなく、多量体組織化体を生成することを伴う。いくつかの実施形態では、方法は、単量体タンパク質から五量体を組織化することなく、五量体組織化体を生成することを伴う。
【0037】
いくつかの実施形態では、compBタンパク質の収率は、採取時に約170~190g/L湿潤細胞重量(WCW)及び/又は封入体中の約1g/L WCW compBタンパク質である。
【0038】
いくつかの実施形態では、compBタンパク質は、I53-50Bタンパク質である。
【0039】
いくつかの実施形態では、I53-50Bタンパク質は、I53-50B.1(配列番号32)、I53-50B.1NegT2(配列番号33)、又はI53-50B.4PosT1(配列番号34)と少なくとも95%の同一性を共有する。
【0040】
いくつかの実施形態では、I53-50Bは、配列番号40(I53-50B属)で表されるタンパク質のいずれか1つである。
【0041】
いくつかの実施形態では、I53-50Bタンパク質は、I53-50B.1(配列番号32)、I53-50B.1NegT2(配列番号33)、又はI53-50B.4PosT1(配列番号34)と少なくとも99%の同一性を共有する。
【0042】
いくつかの実施形態では、I53-50Bタンパク質は、I53-50B.1(配列番号32)、I53-50B.1NegT2(配列番号33)、又はI53-50B.4PosT1(配列番号34)と100%同一性を共有する。
【0043】
いくつかの実施形態では、compBタンパク質は、I53_dn5Aタンパク質である。
【0044】
いくつかの実施形態では、I53_dn5Aタンパク質は、配列番号169と少なくとも95%の同一性を共有する。
【0045】
いくつかの実施形態では、I53_dn5Aタンパク質は、配列番号169と少なくとも99%の同一性を共有する。
【0046】
いくつかの実施形態では、I53_dn5Aタンパク質は、配列番号169と少なくとも100%の同一性を共有する。
【0047】
本明細書に記載の方法のいずれかによって産生されるcompBタンパク質を含む組成物が、本明細書に更に提供される。
【0048】
本明細書では更に、compBタンパク質を含む組成物を提供し、compBタンパク質は、
a.少なくとも50%可溶性、任意選択で70~95%可溶性であり、
b.少なくとも80%純粋であり、純度は、総タンパク質の重量比(w/w)、任意選択で少なくとも95%w/w純粋として計算され、及び/又は
c.少なくとも70%w/wの組織化能、任意選択で90~100%w/wの組織化能がある。
【0049】
いくつかの実施形態では、組成物は、20mM Tris(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)緩衝液、任意選択で20mM、及び/又は250mM NaCl、任意選択で250mMのうちの1つ以上を含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、組成物は、7~8のpH、任意選択で7.4のpHで緩衝される。
【0051】
いくつかの実施形態では、組成物は、貯蔵及び/又は凍結融解に対して安定である。
【0052】
いくつかの実施形態では、組成物は、貯蔵及び/又は凍結融解に対して安定である。
【0053】
いくつかの実施形態では、本開示は、ナノ構造を作製する方法を提供し、ナノ構造は、成分A(compA)タンパク質及び成分B(compB)タンパク質を含み、Compbタンパク質は、可溶化溶液を用いて封入体から可溶化され、それによって単離されたcompBタンパク質を生成し、compA及び単離されたcompBは、ナノ構造を形成する。
【0054】
いくつかの実施形態では、ナノ構造は、本明細書に記載される方法によって作製される。
【0055】
いくつかの実施形態では、ナノ構造のcompBは、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、27、28、32~34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、及び58のうちのいずれか1つにと少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%の同一性を有するポリペプチド配列によってコードされる。
【0056】
いくつかの実施形態では、compA及びcompBは各々、
(i)それぞれ、配列番号1及び配列番号2、
(ii)それぞれ、配列番号3及び配列番号4、
(iii)それぞれ、配列番号3及び配列番号24、
(iv)それぞれ、配列番号23及び配列番号4、
(v)それぞれ、配列番号35及び配列番号36、
(vi)それぞれ、配列番号5及び配列番号6、
(vii)それぞれ、配列番号5及び配列番号27、
(viii)それぞれ、配列番号5及び配列番号28、
(ix)それぞれ、配列番号25及び配列番号6、
(x)それぞれ、配列番号25及び配列番号27、
(xi)それぞれ、配列番号25及び配列番号28、
(xii)それぞれ、配列番号26及び配列番号6、
(xiii)それぞれ、配列番号26及び配列番号27、
(xiv)それぞれ、配列番号26及び配列番号28、
(xv)それぞれ、配列番号37及び配列番号38、
(xvi)それぞれ、配列番号7及び配列番号8、
(xvii)それぞれ、配列番号7及び配列番号32、
(xviii)それぞれ、配列番号7及び配列番号33、
(xix)それぞれ、配列番号7及び配列番号34、
(xx)それぞれ、配列番号29及び配列番号8、
(xxi)それぞれ、配列番号29及び配列番号32、
(xxii)それぞれ、配列番号29及び配列番号33、
(xxiii)それぞれ、配列番号29及び配列番号34、
(xxiv)それぞれ、配列番号30及び配列番号8、
(xxv)それぞれ、配列番号30及び配列番号32、
(xxvi)それぞれ、配列番号30及び配列番号33、
(xxvii)それぞれ、配列番号30及び配列番号34、
(xxviii)それぞれ、配列番号31及び配列番号8、
(xxix)それぞれ、配列番号31及び配列番号32、
(xxx)それぞれ、配列番号31及び配列番号33、
(xxxi)それぞれ、配列番号31及び配列番号34、
(xxxii)それぞれ、配列番号39及び配列番号40、
(xxxiii)それぞれ、配列番号9及び配列番号10、
(xxxiv)それぞれ、配列番号11及び配列番号12、
(xxxv)それぞれ、配列番号13及び配列番号14、
(xxxvi)それぞれ、配列番号15及び配列番号16、
(xxxvii)それぞれ、配列番号19及び配列番号20、
(xxxviii)それぞれ、配列番号21及び配列番号22、
(xxxix)それぞれ、配列番号23及び配列番号24、
(xl)それぞれ、配列番号41及び配列番号42、
(xli)それぞれ、配列番号43及び配列番号44、
(xlii)それぞれ、配列番号45及び配列番号46、
(xliii)それぞれ、配列番号47及び配列番号48、
(xliv)それぞれ、配列番号49及び配列番号50、
(xlv)それぞれ、配列番号51及び配列番号44、
(xlvi)それぞれ、配列番号53及び配列番号52、
(xlvii)それぞれ、配列番号55及び配列番号54、
(xlviii)それぞれ、配列番号57及び配列番号56、並びに
(xlix)それぞれ、配列番号59及び配列番号58のいずれか1つと少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%の同一性を有する。
【0057】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の任意のナノ構造と、薬学的に許容される希釈剤と、を含む薬学的組成物を提供する。
【0058】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の任意のナノ構造からなるワクチンを提供する。
【0059】
いくつかの実施形態では、本開示は、疾患又は障害の治療又は予防を必要とする対象において疾患又は障害を治療又は予防する方法であって、有効量の、本明細書に記載のナノ構造、本明細書に記載の薬学的組成物、又は本明細書に記載のワクチンを対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0060】
いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、ウイルス感染症である。
【0061】
いくつかの実施形態では、本開示は、免疫応答を必要とする対象において免疫応答を生成する方法であって、有効量本明細書に記載のナノ構造、本明細書に記載の薬学的組成物、又は本明細書に記載のワクチンを投与することを含む、方法を提供する。
【0062】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載のナノ構造、本明細書に記載の薬学的組成物、又は本明細書に記載のワクチンを含むキットを提供する。
【0063】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の任意の方法のための、又は薬剤としての、本明細書に記載のナノ構造、本明細書に記載の薬学的組成物、又は本明細書に記載のワクチンの使用を記載する。
【0064】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の方法において使用するための、又は薬剤として使用するための、本明細書に記載のナノ構造、本明細書に記載の薬学的組成物、又は本明細書に記載のワクチンを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1A】本開示によるタンパク質ベースのウイルス様粒子(pbVLP)の例示的な実施形態を示す。E.coliにおいて生成されたナノ粒子五量体は、抗原と三量体との融合物と組み合わされ、pbVLPに組織化される。
【0066】
図1B】pbVLP及びpbVLP成分(Gタンパク質は図示せず)の更なる例示的な実施形態を示す。
【0067】
図2-1】E.coli株スクリーニングのための可溶性及び不溶性画分のSDS-PAGEを示す。株ICXB01-ICBX025、ICXB-027、及びICXB-028を、SDS-PAGE上に実行した。CBM179、CBM163、及びCBM181は、形質転換されていない対照E.coli株を表す。
図2-2】同上。
図2-3】同上。
図2-4】同上。
図2-5】同上。
図2-6】同上。
図2-7】同上。
図2-8】同上。
【0068】
図3】実施例1で生成した封入体から収集した上清の代表的なDEAE Sepharose精製実行のクロマトグラムを示す。
【0069】
図4】代表的なCHT培地精製実行のクロマトグラムを示す。
【0070】
図5】尿素濃度が増加したI53-50B抽出物の非還元性SDS-PAGEを示す。I53-50Bは、50mMの尿素で抽出を開始し、8Mの尿素で終わる。
【0071】
図6】封入体洗浄ステップの非還元性SDS PAGEを示す。被験試料を、指示された洗浄緩衝液のうちの1つで、全てPBS背景で洗浄した。対照には洗浄ステップは含まれなかったが、直接抽出に進んだ。IPA=イソプロパノール
【0072】
図7】ゲルクロマトグラフィーによる二十面体ナノ構造の組織化(11.4分、保持時間)を示す。過剰なcompAは、17.3分で実行される。組織化されていないcompB(存在する場合)は、22分で実行される。
【0073】
図8】組織化されたナノ構造の非還元SDS PAGEを示す。50A-OG=compAストック(抗原に融合していない)、20181112=compBストック(抗原に融合していない)、試験組織化体=SEC精製画分、20181030=compB、1030試験組織化体=compB、1008プール=compB。
【0074】
図9】タンパク質を発現すること、宿主細胞を採取する、細胞を溶解する、封入体を単離及び洗浄する、並びにタンパク質を精製するための本明細書に開示される方法の実施形態のフローチャートを示す。
【0075】
図10】compA及びcompBタンパク質の近隣結合系統樹を示す。
【0076】
図11】compBを製造するための一実施形態のフロー図を示す。MCB=マスターセルバンク(ロット番号20-0158、品番712801
【0077】
図12】E.coli発現株IVXB30におけるI53-dn5A発現のSDS-PAGE解析を示す。I53-dn5Aリーディングフレームを含有するpCYT13でE.coli株CBM179を形質転換した後、phoAプロモーターの制御下でI53-dn5Aの産生を評価した。CBM179:I53-dn5Aリーディングフレームを欠く対照E.coli株、IVXB30:I53-dn5Aリーディングフレームを含有するE.coli産生株、Sol:E.coli産生培養物の採取後に生成された可溶性画分、Insol:E.coli産生培養物の採取後に生成された不溶性画分。
【発明を実施するための形態】
【0078】
本発明は、タンパク質ベースのウイルス様粒子(pbVLP)を組織化するのに使用されることを意図される、成分B(compB)タンパク質の組換え産生のためのプロセスに関する。
【0079】
compBタンパク質の発現及び精製のための既知の方法とは異なり、本開示の方法は、組換えタンパク質発現系の不溶性画分(封入体)から高収率及び純度でのcompBタンパク質の産生を達成する。従来の方法は、薬剤を可溶化する濃度を必要とし、これにより、封入体内のタンパク質の部分的な変性及びリフォールディングをもたらした。本明細書に示すように、compBタンパク質は、細菌細胞において発現され、封入体から精製されることができる。方法は、精製が可溶化後のcompBタンパク質の変性又はリフォールディングステップを必要としないことを実証する。
【0080】
定義
いずれかの図面及び付録を含む全ての刊行物、特許、及び特許出願は、各個々の刊行物、特許若しくは特許出願、図面、又は付録が、あらゆる目的のために参照によりその全体が組み込まれることが具体的及び個別に示された場合と同じ程度に、あらゆる目的のために参照によりその全体が組み込まれる。
【0081】
「ウイルス様粒子」又は「VLP」という用語は、ウイルスに似ているが、ウイルスタンパク質又は糖タンパク質の抗原タンパク質又はその抗原断片を表示する非感染性である分子組織化体を指す。「タンパク質ベースのVLP」とは、タンパク質又は糖タンパク質から形成され、他の成分(例えば脂質)を実質的に含まないVLPを指す。タンパク質ベースのVLPは、翻訳後修飾及び化学修飾を含み得るが、生体又は生体不活性化ウイルス調製物からのウイルスタンパク質の抽出によって形成されるミセルVLP及びVLPから区別される。「設計されたVLP」という用語は、計算タンパク質設計によって生成された1つ以上のポリペプチドを含むVLPを指す。例示的な設計されたVLPは、図1Bに図示されるナノ構造を含むVLPである。「対称VLP」という用語は、図1Bに示すような対称コアを有するタンパク質ベースのVLPを指す。これらには、設計されたVLPが含まれるが、これらに限定されない。例えば、タンパク質フェリチンは、天然に存在するフェリチン配列を使用して、対称的なタンパク質ベースのVLPを生成するために使用されている。フェリチンベースのVLPは、ウイルスタンパク質をフェリチン分子に融合する以外に、フェリチンから対称的なVLPを形成するためのタンパク質工学は必要でないという点で、設計されたVLPとは区別される。タンパク質設計方法を使用して、鋳型構造(例えば、タンパク質データバンクに堆積された構造)又は新規(すなわち、所望の構造を有するが、天然に存在するタンパク質との相同性がほとんど又はまったくない新しいタンパク質の計算設計によって)に基づいて、同様の1つ及び2つの成分ナノ構造を生成することができる。次いで、そのような1つ及び2つの成分ナノ構造を、設計されたVLPのコアとして使用することができる。
【0082】
「二十面体粒子」という用語は、二十面体対称性を有するコアを有する設計されたpbVLPを指す(例えば、表1におけるI53及びI52とラベル付けされた粒子)。I53は、五量体及び三量体から構築される二十面体粒子を指す。I52は、五量体及び二量体から構築された二十面体粒子を指す。T33は、2セットの三量体から構築された四面体粒子を指す。T32は、三量体及び二量体から構築された四面体粒子を指す。
【0083】
「ポリペプチド」という用語は、ペプチド結合、及び任意選択で1つ以上の翻訳後修飾(例えば、グリコシル化)及び/又は他の修飾(蛍光タグなどのマーカー又はアジュバントとして使用されるポリペプチド部分のコンジュゲーションを含むが、これらに限定されない)によって結合される一連のアミノ酸残基を指す。
【0084】
「変異体」という用語は、参照ポリペプチドに対して1つ以上の挿入、欠失、又はアミノ酸置換を有するが、参照タンパク質の1つ以上の特性を保持するポリペプチドを指す。
【0085】
「機能的変異体」という用語は、参照ポリペプチドと同じ又は類似の機能的効果を示す変異体を指す。例えば、多量体化ドメインの機能的変異体は、参照多量体化ドメインと同じ程度又は同様の程度に多量体化を促進することができ、かつ/又は参照多量体化ドメインと同じ同族多量体化ドメインと多量体化することができる。
【0086】
「断片」という用語は、参照ポリペプチドと比較して1つ以上のN末端又はC末端切断を有するポリペプチドを指す。
【0087】
「機能的断片」という用語は、断片の機能的変異体を指す。
【0088】
「アミノ酸置換」という用語は、配列中の単一のアミノ酸を別のアミノ酸残基で置き換えることを指す。アミノ酸置換の標準的な形態の略語が使用される。例えば、V94Rは、参照配列におけるバリン(V)のアルギニン(R)での置換を指す。略語Arg94は、参照配列に対して94番目の残基がアルギニン(Arg)である任意の配列を指す。
【0089】
「螺旋」又は「螺旋状」という用語は、発生することが知られている、又は発生することが予測されるポリペプチド内のα螺旋状二次構造を指す。例えば、配列は、計算モデリングが、配列が螺旋状コンフォメーションを採用する可能性が高いことを示唆する場合、螺旋状として記載され得る。
【0090】
「成分」という用語は、適切な条件下でウイルス様粒子に組織化することができるタンパク質又はタンパク質複合体(例えば、多量体化ドメインを含む抗原又はポリペプチド)を指す。「成分A」又は「compA」及び「成分B」又は「compB」は、本明細書に記載のpbVLPを形成するために組織化することができる2つのタンパク質を指す。compA及びcompBは、pbVLPの組織化に使用するために、本明細書に記載の二量体、三量体、又は五量体構造を独立して形成することができる。いくつかの実施形態では、compAは、抗原に連結されて、融合タンパク質を形成する。
【0091】
「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、動物又はヒトにおけるインビボでの使用に生物学的又は薬理学的に適合する賦形剤を意味し、動物、より具体的にはヒトにおける使用のために、連邦政府又は州政府の規制機関によって承認されたか、又は米国薬局方又は他の一般的に認識されている薬局方に列挙されている賦形剤を意味し得る。
【0092】
「製造」という用語は、少なくとも25mL、50mL、1L、1,000L、50,000L、又はそれ以上のスケールを含む、任意のスケールでの組換えポリペプチド又はウイルス様粒子の産生を指す。
【0093】
「培養」及び「培養培地」という用語は、標準的な細胞培養及び組換えタンパク質発現技術を指す。
【0094】
「宿主細胞」という用語は、組換えポリペプチドの発現に使用することができる任意の細胞を指す。
【0095】
「混合」という用語は、2つの溶液を接触させて溶液を混合させることを指す。
【0096】
「精製する」という用語は、組成物中に存在する他の物質から分子を分離することを指す。ポリペプチドは、親和性によって(例えば、抗体又はタグに対して、例えば、Hisタグ捕捉樹脂を使用して)、電荷によって(例えば、イオン交換クロマトグラフィー)、サイズによって(例えば、分取超遠心分離、サイズ排除クロマトグラフィー)、又はそれ以外の方法で精製され得る。
【0097】
本明細書で互換的に使用される「ポリヌクレオチド」及び「核酸」という用語は、リボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドのいずれかの、約100個を超えるヌクレオチドのポリマー形態を指す。したがって、この用語には、単鎖、二本鎖、又は多鎖DNA若しくはRNA、ゲノムDNA、cDNA、DNA-RNAハイブリッド、又はプリン及びピリミジン塩基、又は他の天然、化学的若しくは生化学的に修飾された、非天然、若しくは誘導体化されたヌクレオチド塩基を含むポリマーが含まれるが、これらに限定されない。「オリゴヌクレオチド」は、一般に、約5~約100ヌクレオチドの一本鎖又は二本鎖DNAのポリヌクレオチドを指す。しかしながら、本開示の目的では、オリゴヌクレオチドの長さに上限はない。オリゴヌクレオチドは、「オリゴマー」又は「オリゴ」としても知られ、遺伝子から単離され得るか、又は当該技術分野で既知の方法によって化学的に合成され得る。「ポリヌクレオチド」及び「核酸」という用語は、記載される実施形態に適用可能であるように、一本鎖(センス又はアンチセンスなど)及び二本鎖ポリヌクレオチドを含むものと理解すべきである。
【0098】
「同一性」、「同一の」、及び「配列同一性」という用語は、同じであり、同じ相対位置にある2つのポリヌクレオチド又はポリペプチド配列間の塩基又はアミノ酸のパーセンテージを指す。したがって、1つのポリヌクレオチド又はポリペプチド配列は、別のポリヌクレオチド又はポリペプチド配列と比較して、ある特定のパーセンテージの配列同一性を有する。配列比較のために、典型的には、1つの配列が、試験配列が比較される参照配列として機能する。「参照配列」という用語は、試験配列が比較される分子を指す。
【0099】
パーセント配列同一性の比較及び決定のための配列アラインメントの方法は、当該技術分野において周知である。比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば、Needleman and Wunsch,(1970)J.Mol.Biol.48:443の相同性アラインメントアルゴリズム、Pearson and Lipman,(1988)Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444の類似性探索方法、これらのアルゴリズム(Wisconsin Genetics Software PackageにおけるGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,WI)のコンピュータ化された実装、手動アラインメント及び目視検査(例えば、Brent et al.,(2003)Current Protocols in Molecular Biologyを参照されたい)、それぞれ、Altschul et al.,(1977)Nuc.Acids Res.25:3389-3402、及びAltschul et al.,(1990)J.Mol.Biol.215:403-410に記載されている、BLAST及びBLAST2.0アルゴリズムを含む当該技術分野で既知のアルゴリズムを使用することによって、実施され得る。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationを通じて一般に入手可能である。
【0100】
「約」又は「およそ」という用語は、当業者によって決定される特定の値に対する許容誤差範囲内であることを意味し、それは、その値がどのように測定又は決定されるか、例えば、測定システムの限界に一部依存する。例えば、「約」は、1以内の、又は1を超える標準偏差内を意味し得る。あるいは、「約」は、20%まで、10%まで、又は5%までの範囲のプラス又はマイナスを意味し得る。
【0101】
本明細書で参照される全ての重量パーセンテージ(すなわち、「重量%(% by weight)」及び「重量%(wt.%)」及びw/w)は、別段の指示がない限り、薬学的組成物の総重量に対して測定される。
【0102】
本明細書で使用される場合、「実質的に」又は「実質的な」は、作用、特徴、特性、状態、構造、項目、又は結果の完全又はほぼ完全な程度又は度合を指す。例えば、「実質的に」囲まれているオブジェクトは、オブジェクトが完全に囲まれているか、又はほぼ完全に囲まれているかのいずれかであることを意味する。絶対完全性からの正確に許容される逸脱の程度は、場合によっては、特定の文脈に依存し得る。しかしながら、一般的に言えば、絶対的な完成度と完全な完成度が得られた場合と同様の全体的な結果が得られるように、完成度の近さが求められる。「実質的に」の使用は、否定的な意味で使用される場合、完全又はほぼ完全な作用、特徴、特性、状態、構造、項目、又は結果の欠如を指す場合にも同様に適用される。例えば、他の活性剤を「実質的に含まない」組成物は、他の活性剤を完全に欠くか、又は他の活性剤をほぼ完全に欠くため、効果は、他の活性剤を完全に欠く場合と同じである。言い換えれば、成分若しくは要素、又は別の活性剤を「実質的に含まない」組成物は、その測定可能な効果がない限り、そのような項目を依然として含有し得る。
【0103】
本明細書で使用される場合、「変性する」という用語は、ポリペプチドが全て又は実質的に全ての三次構造を失う、又はミスフォールドタンパク質の場合、凝集形態から可溶性非折り畳み形態に変換させる、折り畳まれたポリペプチド分子の構造の変化を指す。「変性した」という用語はまた、タンパク質の天然の三次元構造が破壊される条件下で封入体を可溶化した後に、組換え産生プロセスの産物として得られる、発現されたタンパク質の生物学的に不活性な形態を指す。
【0104】
「リフォールディング」(又は「再成長」)という用語は、変性したタンパク質に、その天然のコンフォメーション及び生物学的活性を取り戻させるプロセスを指す。
【0105】
本明細書で使用される場合、「回収すること」という用語は、調製物中で物質を他の物質から分離することによって、例えば、遠心分離及び/又は1つ以上の洗浄ステップによって物質(例えば、封入体及び/又は目的のタンパク質)を得ることを指す。
【0106】
本明細書で使用される場合、「封入体」という用語は、形質転換された宿主細胞の細胞質に存在する組換えタンパク質を含有する不溶性凝集体を指す。これらは、顕微鏡下で明るい斑点として現れ、細胞の細胞質から封入体を分離することによって回収することができる。従来技術では、封入体は、典型的には、高濃度のカオトロピック剤(例えば、>8M尿素及び/又は>3Mグアニジニウム)、強イオン洗剤(例えば、N-ラウロイルサルコシン)、及び/又はアルカリ性pHを使用して可溶化される。本開示によれば、低濃度のこれらの薬剤を使用して、穏やかに可溶化し得る。
【0107】
本明細書で使用される場合、「ナノ構造」という用語は、第1の成分分子(例えば、compA)及び第2の成分分子(例えば、compB)を、組織化された構造内に配向させる、対称的に繰り返される非天然の非共有タンパク質-タンパク質界面を含む。ナノ構造は、目的の分子を封入することができ、かつ/又は第1及び/若しくは第2のタンパク質は、目的の分子(診断、治療、撮像及び他の用途のための検出可能な分子など)に結合するように修飾することができるため、ナノ構造には、限定されないが、送達ビヒクルが含まれる。本開示のナノ構造は、ワクチン設計、治療薬の標的送達、及びバイオエネルギーを含む、いくつかの用途に大変適している。
【0108】
本明細書で使用される場合、「可溶化」という用語は、生体試料の細胞を破壊することによって、生体試料内に含まれるタンパク質を水性溶媒などの溶媒に移すことを指す。本明細書で使用される場合、「可溶化」又は「可溶化する」は、「溶解する」又は「抽出する」と互換的に使用され得る。「可溶化」という用語はまた、例えば、封入体を溶解することによって、封入体からのタンパク質の放出を指す。
【0109】
以下の説明は、本発明を理解するのに有用であり得る情報を含む。本明細書で提供される情報のいずれも、先行技術であるか、又は現在特許請求されている発明に関連しているか、又は具体的又は暗黙的に参照される任意の出版物が先行技術であることは認められない。
【0110】
実施形態
本開示は、封入体からのタンパク質ベースのVLPのための成分B(compB)タンパク質の発現を実証する。驚くべきことに、本開示の方法に従って産生されるcompBタンパク質は、宿主細胞の可溶性画分に発現され、かつそれから精製されるcompBタンパク質と少なくとも同等に可溶性かつ組織化能があるか、又はそれ以上である。
【0111】
ワクチン接種は、細菌、ウイルス、及び寄生虫を含む様々な感染因子による感染の重症度を予防又は低減するために使用される治療モダリティである。新しいワクチンの開発は、商業的及び公衆衛生上重要な影響を及ぼす。特に、ライム病、百日咳、ヘルペスウイルス、オルトミクソウイルス、パラミクソウイルス、肺炎ウイルス、フィロウイルス、フラビウイルス、レオウイルス、レトロウイルス、コロナウイルス、及びマラリアは、ワクチンが既に存在するか、開発されているか、又は望ましい感染性薬剤である。
【0112】
サブユニットワクチンは、単離された抗原、通常は細菌、昆虫、又は哺乳動物細胞宿主において組換え発現されるタンパク質から作製されるワクチンである。典型的には、サブユニットワクチンの抗原成分は、感染時に天然免疫応答を誘発することが観察される感染性因子のタンパク質の中から選択されるが、場合によっては、感染性因子の他の成分を使用することができる。サブユニットワクチンで使用するための典型的な抗原としては、ウイルスの表面発現エンベロープ糖タンパク質などの標的感染性因子の表面上で発現されるタンパク質が挙げられる。好ましくは、抗原は、抗体を中和するための標的である。より好ましくは、抗原は、抗原に対する免疫応答が感染剤の複数の株に対する免疫をカバーするように、広範囲に中和する抗体の標的である。ある場合には、抗原のエピトープに寄与することによって、又は抗原上の特定のエピトープに対する免疫応答を立体障害によって誘導することによって、サブユニットワクチンにN結合又はO結合されたグリカンもまた、ワクチン接種において重要であり得る。ワクチン接種に応答して生じる免疫応答は、タンパク質自体、グリカン、又はタンパク質及び連結グリカンの両方に直接的であり得る。サブユニットワクチンは、ワクチンによる患者の感染に関する懸念を排除する生体病原体を含有しないこと、標準的な遺伝子工学技術を使用して設計され得ること、他のワクチンの形態よりも均質であること、及び十分に特徴付けられた発現システムを使用して標準化された組換えタンパク質発現産生システムで製造され得ることを含む、様々な利点を有する。ある場合には、抗原は、中和抗体又は広く中和する抗体などの所望の抗体の生成に有利になるように遺伝子操作され得る。特に、X線結晶学、電子顕微鏡学、又は核磁気共鳴実験によって得られた目的の抗原に関する構造情報を使用して、サブユニットワクチンの合理的な設計を導くことができる。
【0113】
サブユニットワクチンの既知の制限は、誘発される免疫応答が、全ウイルス、生ワクチン、又は生減衰ワクチンなどの他のタイプのワクチンに対する免疫応答よりも弱い場合があることである。設計された及び/又はタンパク質ベースのVLPワクチンは、対称的に順序付けられたアレイにおける抗原の多価表示を通じて、ワクチン誘発性免疫応答の効力及び幅を増大させながら、サブユニットワクチンの利点を利用する可能性を有する。本開示において、タンパク質ベースのVLPは、タンパク質ベース又は糖タンパク質ベースのワクチン(例えば、米国特許第9,441,019号を参照されたい)、重合リポソーム(例えば、米国特許第7,285,289号を参照されたい)、界面活性剤ミセル(例えば、米国特許公開第2004/0038406A1号を参照されたい)、及び合成生分解性粒子(例えば、米国特許第8,323,696号を参照されたい)を指すために、ナノ粒子ワクチンという用語が当該技術分野で使用されているため、ナノ粒子ワクチンと区別される。
【0114】
実施形態の非限定的な例は、図1Aに示されており、これは、宿主細胞(例えば、E.coli細胞)において組換えて発現される成分B(compB)タンパク質組織化体とともに、宿主細胞(例えば、293F細胞)において任意選択で組換えて発現される、pbVLPの成分A(compA)タンパク質に遺伝的に融合されたタンパク質抗原を示し、これらの2つの成分は、二十面体コアの周りにタンパク質抗原の20コピーを表示するpbVLPに自己組織化する。
【0115】
いくつかの実施形態では、compAは、二量体である。いくつかの実施形態では、compAは、三量体である。いくつかの実施形態では、compAは、五量体である。
【0116】
いくつかの実施形態では、compBは、二量体である。いくつかの実施形態では、compBは、三量体である。いくつかの実施形態では、compAは、五量体である。
【0117】
いくつかの実施形態では、compAは、配列番号13、17、又は41から選択される二量体である。いくつかの実施形態では、compAは、配列番号5、7、9、19、21、25、26、29、30、31、37、39、43、45、47、49、又は51から選択される三量体である。いくつかの実施形態では、compAは、配列番号3、11、15、23、又は35から選択される五量体である。
【0118】
いくつかの実施形態では、compBは、配列番号12、16、20、又は22から選択される二量体である。いくつかの実施形態では、compBは、配列番号4、18、24、34、36、42、44、46、48、又は50から選択される三量体である。いくつかの実施形態では、compBは、配列番号2、6、8、10、14、27、28、32、33、38、又は40から選択される五量体である。
【0119】
いくつかの実施形態では、compAは、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、26、29~31、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、及び59のうちのいずれか1つと少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも少なくとも99%、又は100%同一性を有するポリペプチド配列を含む。
【0120】
いくつかの実施形態では、compBは、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、27、28、32~34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、及び58のうちのいずれか1つと少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%の同一性を有するポリペプチド配列を含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、compA及びCompBは、「I53」アーキテクチャを形成する。I53アーキテクチャは、Bale et al.Science 353:389-394(2016)に記載されているように、5回及び3回二十面体対称軸に沿って整列された、12個の五量体ビルディングブロックと20個の三量体ビルディングブロックとの組み合わせである。いくつかの実施形態では、compAは、I53五量体である。いくつかの実施形態では、compAは、I53三量体である。いくつかの実施形態では、compBは、I53五量体である。いくつかの実施形態では、compBは、I53三量体である。
【0122】
いくつかの実施形態では、compA及びcompBは、「I52」アーキテクチャを形成する。I52アーキテクチャは、12個の五量体及び30個の二量体から、それらの対応する二十面体対称軸に沿って形成される。いくつかの実施形態では、compAは、I52五量体である。いくつかの実施形態では、compAは、I52二量体である。いくつかの実施形態では、compBは、I52五量体である。いくつかの実施形態では、compBは、I52二量体である。
【0123】
いくつかの実施形態では、compA及びcompBは、「I32」アーキテクチャを形成する。I32アーキテクチャは、20個の三量体と30個の二量体との組み合わせであり、各々、それらの対応する二十面体対称軸に沿って整列する。いくつかの実施形態では、compAは、I32三量体である。いくつかの実施形態では、compAは、I32二量体である。いくつかの実施形態では、compBは、I32三量体である。いくつかの実施形態では、compBは、I32二量体である。
【0124】
いくつかの実施形態では、compAとcompBとの混合物は、二十面体ナノ構造を形成する。いくつかの実施形態では、compAとcompBとの混合物は、四面体ナノ構造を形成する。いくつかの実施形態では、compAとcompBとの混合物は、八面体ナノ構造を形成する。
【0125】
いくつかの実施形態では、小分子薬物(すなわち、700未満のMWを有する)、生物学的薬物(すなわち、特に組換えポリペプチドを含む、細菌、酵母、細胞、又は器官から単離された薬物)、又は生合成薬物(例えば、アプタマー、アンチセンス核酸、siRNA、組換え核酸、ヌクレオシド類似体、組換えポリペプチド、ポリペプチド薬物、抗原など)が、compAに融合される。
【0126】
いくつかの実施形態では、抗原は、compAに融合される
【0127】
いくつかの実施形態では、compA及びcompBは、ナノ構造を形成する。
【0128】
いくつかの実施形態では、ナノ構造は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、26、29~31、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59のうちの1つから選択されるcompAと、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、27、28、32~34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58のうちの1つから選択されるcompBとを組み合わせることによって形成される。
【0129】
いくつかの実施形態では、ナノ構造は、
(i)それぞれ、配列番号1及び配列番号2、
(ii)それぞれ、配列番号3及び配列番号4、
(iii)それぞれ、配列番号3及び配列番号24、
(iv)それぞれ、配列番号23及び配列番号4、
(v)それぞれ、配列番号35及び配列番号36、
(vi)それぞれ、配列番号5及び配列番号6、
(vii)それぞれ、配列番号5及び配列番号27、
(viii)それぞれ、配列番号5及び配列番号28、
(ix)それぞれ、配列番号25及び配列番号6、
(x)それぞれ、配列番号25及び配列番号27、
(xi)それぞれ、配列番号25及び配列番号28、
(xii)それぞれ、配列番号26及び配列番号6、
(xiii)それぞれ、配列番号26及び配列番号27、
(xiv)それぞれ、配列番号26及び配列番号28、
(xv)それぞれ、配列番号37及び配列番号38、
(xvi)それぞれ、配列番号7及び配列番号8、
(xvii)それぞれ、配列番号7及び配列番号32、
(xviii)それぞれ、配列番号7及び配列番号33、
(xix)それぞれ、配列番号7及び配列番号34、
(xx)それぞれ、配列番号29及び配列番号8、
(xxi)それぞれ、配列番号29及び配列番号32、
(xxii)それぞれ、配列番号29及び配列番号33、
(xxiii)それぞれ、配列番号29及び配列番号34、
(xxiv)それぞれ、配列番号30及び配列番号8、
(xxv)それぞれ、配列番号30及び配列番号32、
(xxvi)それぞれ、配列番号30及び配列番号33、
(xxvii)それぞれ、配列番号30及び配列番号34、
(xxviii)それぞれ、配列番号31及び配列番号8、
(xxix)それぞれ、配列番号31及び配列番号32、
(xxx)それぞれ、配列番号31及び配列番号33、
(xxxi)それぞれ、配列番号31及び配列番号34、
(xxxii)それぞれ、配列番号39及び配列番号40、
(xxxiii)それぞれ、配列番号9及び配列番号10、
(xxxiv)それぞれ、配列番号11及び配列番号12、
(xxxv)それぞれ、配列番号13及び配列番号14、
(xxxvi)それぞれ、配列番号15及び配列番号16、
(xxxvii)それぞれ、配列番号19及び配列番号20、
(xxxviii)それぞれ、配列番号21及び配列番号22、
(xxxix)それぞれ、配列番号23及び配列番号24、
(xl)それぞれ、配列番号41及び配列番号42、
(xli)それぞれ、配列番号43及び配列番号44、
(xlii)それぞれ、配列番号45及び配列番号46、
(xliii)それぞれ、配列番号47及び配列番号48、
(xliv)それぞれ、配列番号49及び配列番号50、
(xlv)それぞれ、配列番号51及び配列番号44、
(xlvi)それぞれ、配列番号53及び配列番号52、
(xlvii)それぞれ、配列番号55及び配列番号54、
(xlviii)それぞれ、配列番号57及び配列番号56、並びに
(xlix)それぞれ、配列番号59及び配列番号58のいずれか1つと少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%の同一性を有する、compA及びcompBポリペプチド配列から形成される。
【0130】
いくつかの実施形態では、compAは、螺旋伸長を含む。いくつかの実施形態では、螺旋伸長は、compAのN末端に位置する。いくつかの実施形態では、螺旋伸長は、EKAAKAEEAARK(配列番号62)である。
【0131】
いくつかの実施形態では、compBは、螺旋伸長を含む。いくつかの実施形態では、螺旋伸長は、compBのN末端に位置する。いくつかの実施形態では、螺旋伸長は、EKAAKAEEAARK(配列番号62)である。
【0132】
いくつかの実施形態では、ナノ構造は、pbVLPである。いくつかの実施形態では、pbVLPは、ワクチンである。
【0133】
本開示の他のcompA/compB組織化体を図1Bに示す。いくつかの実施形態では、pbVLPは、最大8個の三量体、8個の三量体及び12個の二量体、6個の四量体及び12個の二量体、6個の四量体及び8個の三量体、20個の三量体及び30個の二量体、4個の三量体及び6個の二量体、4個の第1の三量体及び4個の第2の三量体、又は8個の三量体、12個の五量体及び20個の三量体、又は12個の五量体及び30個の二量体、又は4個の三量体の表示に適合される。ある場合には、対称軸のうちの1つは抗原表示に使用されないため、いくつかの実施形態では、pbVLPは、最大8個の三量体、12個の二量体、6個の四量体、20個の三量体、30個の二量体、4個の三量体、6個の二量体、8個の三量体、又は12個の五量体の表示に適合される。ある場合には、単量体抗原が表示され、したがって、pbVLPは、最大12、24、60、又は70個の単量体抗原の表示に適合される。ある場合には、pbVLPは、別様には、pbVLPのコアの同一のポリペプチドが、異なる抗原を表示するか、又は抗原を表示しないように、混合された複数のポリペプチドを含む。したがって、ポリペプチドの比率に応じて、pbVLPは、場合によっては、1~130個の抗原を(例えば、I52粒子上に)表示するように適合され、表示される抗原の各々は、選択される任意の比率に比例して、混合集団の同じメンバーであっても、異なるメンバーであってもよい。抗原は、組換え発現系において共発現され、精製前に自己組織化され得る。非限定的な例示的pbVLPは、Bale et al.Science 353:389-94(2016)、Heinze et al.J.Phys.Chem B.120:5945-5952(2016)、King et al.Nature 510:103-108(2014)、及びKing et al.Science 336:1171-71(2012)に提供される。
【0134】
本開示のcompA及びcompBタンパク質は、様々なアミノ酸配列のいずれかを有し得る。米国特許公開第2015/0356240A1号は、タンパク質組織化体を設計するための様々な方法を記載している。米国特許公開第2016/0122392A1号及び国際特許公開第2014/124301A1号に記載されているように、配列番号1~51の単離されたポリペプチドは、二十面体粒子などのpbVLPを形成するために対で自己組織化する能力のために設計された。設計には、組織化してpbVLPを形成することができるポリペプチド対の各メンバーの好適な界面残基の設計が含まれる。このように形成されるpbVLPには、第1の組織化体及び第2の組織化体を、二十面体対称性を有するものなどのpbVLPに配向させる、対称的に繰り返される非天然の非共有結合ポリペプチド-ポリペプチド界面が含まれる。したがって、いくつかの実施形態では、compA及びcompB(すなわち、pbVLPのコアの2つのポリペプチド)は、配列番号1~51からなる群から選択される。各場合において、全長タンパク質に存在するが、典型的には融合を作製するために除去されるN末端メチオニン残基は、配列に含まれない。様々な実施形態では、1つ以上の追加の残基がN末端から欠失され、及び/又は追加の残基がN末端に添加される(例えば、螺旋伸長を形成する)。図10に示すように、以下に開示する配列は、関連するタンパク質配列のいくつかのファミリーに分類される。
表1
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
表2
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【0135】
表1及び2は、本開示の実施形態のcompA及びcompBのアミノ酸配列を提供する。各場合において、配列の対はともに、二十面体対称性を有するI53多量体を形成する。表1の右側の列は、得られた組織化されたウイルス様粒子(すなわち、「識別された界面残基」)の界面に存在すると識別された各例示的なポリペプチドにおける残基番号を識別する。見ることができるように、配列番号1~34の例示的なポリペプチドの界面残基の数は、4~13の範囲である。いくつかの実施形態では、compA及びcompBは、4、5、6、7、8、9、10、11、12、又は13個の界面残基を有する。様々な実施形態では、compA及びcompBは、配列番号1~34からなる群から選択されるポリペプチドのアミノ酸配列に対して、その長さにわたって少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であり、かつ少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、又は13個の識別された界面位置と同一であるアミノ酸配列を含む。配列番号35~51は、本開示の実施形態に由来するcompA及びcompBの他のアミノ酸配列を表す。他の実施形態では、compA及び/又はcompBは、配列番号1~51からなる群から選択されるポリペプチドのアミノ酸配列に対して、その長さにわたって少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であり、かつ少なくとも20%、25%、33%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0136】
表2に示すように、compBタンパク質は、類似の分子量(MW)、等電点(pI)、及びパーセント疎水性残基を有し、類似の方法を使用してそれらを発現及び精製することができることを示唆する。
【0137】
一般的なタンパク質の場合と同様に、ポリペプチドは、ウイルス様粒子へのその後の組織化を妨げることなく、設計された配列のいくつかの変動を許容すると、特に、そのような変動が保存的アミノ酸置換を含む場合に、予想される。本明細書で使用されるとき、「保存的アミノ酸置換」とは、疎水性アミノ酸(Ala、Cys、Gly、Pro、Met、Val、Ile、Leu)は、他の疎水性アミノ酸でのみ置換することができ、かさばる側鎖を有する疎水性アミノ酸(Phe、Tyr、Trp)は、かさばる側鎖を有する他の疎水性アミノ酸でのみ置換することができ、正に荷電した側鎖を有するアミノ酸(Arg、His、Lys)は、正に荷電した側鎖を有する他のアミノ酸でのみ置換することができ、負に荷電した側鎖を有するアミノ酸(Asp、Glu)は、負に荷電した側鎖を有する他のアミノ酸でのみ置換することができ、及び極性非荷電側鎖を有するアミノ酸(Ser、Thr、Asn、Gln)は、極性非荷電側鎖を有する他のアミノ酸でのみ置換することができることを意味する。
【0138】
本発明のpbVLPの様々な実施形態では、compA及びcompB、又はその逆は、以下の対から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、又はその修飾バージョンを含み(すなわち、本発明のポリペプチドについて開示されるような許容される修飾、その長さにわたって少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、少なくとも100%であり、及び/又は配列番号で示されるアミノ酸配列と少なくとも1つの識別された界面位置と同一であるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド)、すなわち、
配列番号1及び配列番号2(I53-34A及びI53-34B)、
配列番号3及び配列番号4(I53-40A及びI53-40B)、
配列番号3及び配列番号24(I53-40A及びI53-40B.1)、
配列番号23及び配列番号4(I53-40A.1及びI53-40B)、
配列番号35及び配列番号36(I53-40A属及びI53-40B属)、
配列番号5及び配列番号6(I53-47A及びI53-47B)、
配列番号5及び配列番号27(I53-47A及びI53-47B.1)、
配列番号5及び配列番号28(I53-47A及びI53-47B.1NegT2)、
配列番号25及び配列番号6(I53-47A.1及びI53-47B)、
配列番号25及び配列番号27(I53-47A.1及びI53-47B.1)、
配列番号25及び配列番号28(I53-47A.1及びI53-47B.1NegT2)、
配列番号26及び配列番号6(I53-47A.1NegT2及びI53-47B)、
配列番号26及び配列番号27(I53-47A.1NegT2及びI53-47B.1)、
配列番号26及び配列番号28(I53-47A.1NegT2及びI53-47B.1NegT2)、
配列番号37及び配列番号38(I53-47A属及びI53-47B属)、
配列番号7及び配列番号8(I53-50A及びI53-50B)、
配列番号7及び配列番号32(I53-50A及びI53-50B.1)、
配列番号7及び配列番号33(I53-50A及びI53-50B.1NegT2)、
配列番号7及び配列番号34(I53-50A及びI53-50B.4PosT1)、
配列番号29及び配列番号8(I53-50A.1及びI53-50B)、
配列番号29及び配列番号32(I53-50A.1及びI53-50B.1)、
配列番号29及び配列番号33(I53-50A.1及びI53-50B.1NegT2)、
配列番号29及び配列番号34(I53-50A.1及びI53-50B.4PosT1)、
配列番号30及び配列番号8(I53-50A.1NegT2及びI53-50B)、
配列番号30及び配列番号32(I53-50A.1NegT2及びI53-50B.1)、
配列番号30及び配列番号33(I53-50A.1NegT2及びI53-50B.1NegT2)、
配列番号30及び配列番号34(I53-50A.1NegT2及びI53-50B.4PosT1)、
配列番号31及び配列番号8(I53-50A.1PosT1及びI53-50B)、
配列番号31及び配列番号32(I53-50A.1PosT1及びI53-50B.1)、
配列番号31及び配列番号33(I53-50A.1PosT1及びI53-50B.1NegT2)、
配列番号31及び配列番号34(I53-50A.1PosT1及びI53-50B.4PosT1)、
配列番号39及び配列番号40(I53-50A属及びI53-50B属)、
配列番号9及び配列番号10(I53-51A及びI53-51B)、
配列番号11及び配列番号12(I52-03A及びI52-03B)、
配列番号13及び配列番号14(I52-32A及びI52-32B)、
配列番号15及び配列番号16(I52-33A及びI52-33B)、
配列番号17及び配列番号18(I32-06A及びI32-06B)、
配列番号19及び配列番号20(I32-19A及びI32-19B)、
配列番号21及び配列番号22(I32-28A及びI32-28B)、
配列番号23及び配列番号24(I53-40A.1及びI53-40B.1)、
配列番号41及び配列番号42(T32-28A及びT32-28B)、
配列番号43及び配列番号44(T33-09A及びT33-09B)、
配列番号45及び配列番号46(T33-15A及びT33-15B)、
配列番号47及び配列番号48(T33-21A及びT33-21B)、
配列番号49及び配列番号50(T33-28A及びT32-28B)、並びに
配列番号51及び配列番号44(T33-31A及びT33-09B(T33-31Bとも称される))であって、「A」で終わるものがcompAであり、「B」で終わるものがcompBである(例えば、I53-34AはcompAであり、I53-34BはcompBである)。
【0139】
本開示のタンパク質ベースのVLPにおいて有用な設計されたタンパク質複合体の非限定的な例としては、米国特許第9,630,994号、国際特許公開第2018/187325A1号、米国特許公開第2018/0137234A1号、米国特許公開第2019/0155988A2号に開示されるものが挙げられ、これらの各々はその全体が本明細書に組み込まれる。
【0140】
本開示のpbVLPの様々な実施形態では、compA及びcompBは、以下の対又はその修飾バージョンから選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含み(すなわち、本発明のポリペプチドについて開示される許容される修飾、配列番号で示されるアミノ酸配列に対して、その長さにわたって少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、少なくとも100%であり、及び/又は少なくとも1つの識別された界面位置と同一であるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド)、すなわち、
配列番号52及び配列番号53(T33_dn2A及びT33_dn2B)、
配列番号54及び配列番号55(T33_dn5A及びT33_dn5B)、
配列番号56及び配列番号57(T33_dn10A及びT33_dn10B)、又は
配列番号58及び配列番号59(I53_dn5A及びI53_dn5B)であって、
「dn5B」で終わるものはcompAであり、「dn5A」で終わるものはcompBである(例えば、I53_dn5BはcompAであり、dn5AはcompBである)。
T33_dn2A(配列番号52)
NLAEKMYKAGNAMYRKGQYTIAIIAYTLALLKDPNNAEAWYNLGNAAYKKGEYDEAIEAYQKALELDPNNAEAWYNLGNAYYKQGDYDEAIEYYKKALRLDPRNVDAIENLIEAEEKQG
T33_dn2B(配列番号53)
EEAELAYLLGELAYKLGEYRIAIRAYRIALKRDPNNAEAWYNLGNAYYKQGDYREAIRYYLRALKLDPENAEAWYNLGNALYKQGKYDLAIIAYQAALEEDPNNAEAKQNLGNAKQKQG
T33_dn5A(配列番号54)
NSAEAMYKMGNAAYKQGDYILAIIAYLLALEKDPNNAEAWYNLGNAAYKQGDYDEAIEYYQKALELDPNNAEAWYNLGNAYYKQGDYDEAIEYYEKALELDPNNAEALKNLLEAIAEQD
T33_dn5B(配列番号55)
TDPLAVILYIAILKAEKSIARAKAAEALGKIGDERAVEPLIKALKDEDALVRAAAADALGQIGDERAVEPLIKALKDEEGLVRASAAIALGQIGDERAVQPLIKALTDERDLVRVAAAVALGRIGDEKAVRPLIIVLKDEEGEVREAAAIALGSIGGERVRAAMEKLAERGTGFARKVAVNYLETHK
T33_dn10A(配列番号56)
EEAELAYLLGELAYKLGEYRIAIRAYRIALKRDPNNAEAWYNLGNAYYKQGDYDEAIEYYQKALELDPNNAEAWYNLGNAYYKQGDYDEAIEYYEKALELDPENLEALQNLLNAMDKQG
T33_dn10B(配列番号57)
IEEVVAEMIDILAESSKKSIEELARAADNKTTEKAVAEAIEEIARLATAAIQLIEALAKNLASEEFMARAISAIAELAKKAIEAIYRLADNHTTDTFMARAIAAIANLAVTAILAIAALASNHTTEEFMARAISAIAELAKKAIEAIYRLADNHTTDKFMAAAIEAIALLATLAILAIALLASNHTTEKFMARAIMAIAILAAKAIEAIYRLADNHTSPTYIEKAIEAIEKIARKAIKAIEMLAKNITTEEYKEKAKKIIDIIRKLAKMAIKKLEDNRT
I53_dn5A(配列番号58)
KYDGSKLRIGILHARWNAEIILALVLGALKRLQEFGVKRENIIIETVPGSFELPYGSKLFVEKQKRLGKPLDAIIPIGVLIKGSTMHFEYICDSTTHQLMKLNFELGIPVIFGVLTCLTDEQAEARAGLIEGKMHNHGEDWGAAAVEMATKFN
I53_dn5B(配列番号59)
EEAELAYLLGELAYKLGEYRIAIRAYRIALKRDPNNAEAWYNLGNAYYKQGRYREAIEYYQKALELDPNNAEAWYNLGNAYYERGEYEEAIEYYRKALRLDPNNADAMQNLLNAKMREE
【0141】
発現及び精製方法
E.coliにおける異種タンパク質の過剰発現は、封入体としても知られる密集した不溶性粒子の凝集及び堆積に頻繁につながる。封入体における発現は、得られる組換えタンパク質の純度を増加させ得るが、タンパク質の所望の三次構造を保存するためには、通常、細胞の可溶性画分からタンパク質を精製することが好ましいことが広く知られている。タンパク質が包摂体内で発現する場合、タンパク質の変性及びリフォールディングが重要であると考えられる。このため、通常、溶解は、完全なアンフォールディングに到達するために、尿素又は塩酸グアニジニウムなどの高濃度のカオトロピック剤中で行われる。2-メルカプトエタノール(β-ME)、ジチオスレイトール(DTT)、又は1-モノチオグリセロール(MTG)などの還元剤を添加して、非天然のジスルフィド結合及び分子内ジスルフィド結合を還元し、システインを還元状態に保つ。
【0142】
対照的に、本開示の方法は、低濃度のカオトロピック剤を使用して、それらを変性させることなく封入体からcompBタンパク質を放出する。したがって、本明細書において、ナノ構造を作製する方法であって、組換え成分B(compB)タンパク質を封入体から可溶化溶液で可溶化することを含み、それによって産物compBタンパク質を含む産物試料を生成する、方法が提供される。いくつかの実施形態では、方法は、compBタンパク質を変性させることを含まず、かつ/又はcompBタンパク質をリフォールディングすることを含まない。
【0143】
封入体は、様々な組換え発現系を使用して生成され得る。E.coli又は他の細菌発現系を使用し得る。いくつかの実施形態では、E.coliは、株K-12である。いくつかの実施形態では、E.coliは、B株である。いくつかの実施形態では、E.coliは、W3110 ompT株である。
【0144】
本発明者らは、T7及びphoAベースの発現系の両方が、compBタンパク質の好適な収率を生成することができると判断した。しかしながら、phoAベースの発現系は、ある場合には、より高い収率でcompBタンパク質を生成した。好適な発現技術は、本明細書に引用される参照文献に提供され、これらは参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、本発明者らは、約30℃での発現が封入体においてcompBタンパク質を生成したことを見出したように、発現は低温で実行される。いくつかの実施形態では、細菌細胞は、約33℃未満、任意選択で約15℃~約33℃、又は約17℃~約30℃、好ましくは約30℃で培養される。いくつかの実施形態では、細菌細胞は、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、又は約33℃で培養される。
【0145】
宿主(例えば細菌細胞)は、compBタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含み、ポリヌクレオチドは、プロモーターに作動的に連結されている。プロモーターは、組換えタンパク質発現に好適なphoAプロモーター又は任意の他のプロモーターであり得る。いくつかの実施形態では、プロモーターは、phoAプロモーターである。いくつかの実施形態では、プロモーターは、T7プロモーターである。いくつかの実施形態では、プロモーターは、T7プロモーター以外のプロモーターである。
【0146】
封入体は、宿主細胞の化学的及び/又は物理的溶解を含むがこれらに限定されない、当該技術分野で既知の任意の技術を使用して採取され得る。いくつかの実施形態では、方法は、細菌細胞を溶解液中で溶解することであって、溶解液が、封入体の溶解度を促進する薬剤を実質的に含まない、溶解することと、封入体を回収することと、を含む。いくつかの実施形態では、溶解液は、洗剤を実質的に含まない。封入体は、遠心分離及び/又は濾過によって宿主細胞の細胞質から精製され得る。
【0147】
封入体を採取した後、可溶化溶液を使用して、compBタンパク質を可溶化する。溶解は、溶液を攪拌するか、又は他の方法で混合することによって、例えば、溶液をボルテックスするか、又は溶液を超音波処理することによって促進され得る。尿素、又は塩酸グアニジニウムを含む溶液を含む、様々な可溶化溶液が使用され得る。いくつかの実施形態では、可溶化溶液は、任意選択で0.05M~3Mの尿素濃度の尿素を含む。尿素濃度は、0.05M、0.1M、0.2M、0.3M、0.4M、0.5M、0.6M、0.7M、0.8M、0.9M、1.0M、1.1M、1.2M、1.3M、1.4M、1.5M、1.6M、1.7M、1.8M、1.9M、2.0M、2.1M、2.2M、2.3M、2.4M、2.5M、2.6M、2.7M、2.8M、2.9M、又は3.0Mであり得る。ある場合には、可溶化溶液は、緩衝液及び/又は中性洗剤を含み得、これは任意選択で同じ又は異なる賦形剤であり得る。好適な緩衝液としては、Tris緩衝液、ヒスチジン緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート(CHAPS)緩衝液、又はこれらの組み合わせ、例えばリン酸-クエン酸緩衝液が挙げられる。CHAPSは、界面活性剤としても機能するという利点を有する。
【0148】
可溶化溶液は、中性pHなどの所定のpHの緩衝溶液であり得る。可溶化溶液の最適pHは、最適値、例えば、5~6、6~7、7~8、又は8~9のpHを決定するために、様々なpHで手順を試験することによって決定され得る。多くのcompBタンパク質に好適なpHは、pH7.4である。可溶化ステップの前に、封入体を任意選択で洗浄し得る。いくつかの実施形態では、可溶化ステップの前に、封入体を洗浄する。様々な洗浄液を使用し得る。ある場合には、洗浄液は、可溶化溶液よりも低い濃度、例えば、150mM未満、任意選択で50~150mMの尿素濃度のカオトロピック剤を含む。いくつかの実施形態では、カオトロピック剤は、尿素、塩酸グアニジニウム、及びn-プロパノールから選択される。いくつかの実施形態では、カオトロピック剤は、尿素である。いくつかの実施形態では、尿素濃度は、150mM未満、140mM未満、130mM未満、120mM未満、110mM未満、100mM未満、90mM未満、80mM未満、70mM未満、60mM未満、又は50mM未満である。いくつかの実施形態では、カオトロピック剤は、塩酸グアニジニウムである。いくつかの実施形態では、塩酸グアニジニウム濃度は、3M未満である。いくつかの実施形態では、塩酸グアニジニウムは、3M未満、2.5M未満、2M未満、1.5M未満、1M未満、0.5M未満、又は0.1M未満である。いくつかの実施形態では、カオトロピック剤は、n-プロパノールである。いくつかの実施形態では、n-プロパノールの濃度は、5%以下である。いくつかの実施形態では、n-プロパノールの濃度は、5%未満である。いくつかの実施形態では、n-プロパノールの濃度は、5%以下である。いくつかの実施形態では、n-プロパノールの濃度は、5%未満である。可溶化されると、compBタンパク質は、様々な生化学技術を使用して更に精製され得る。有利には、宿主細胞タンパク質(HCP)、エンドトキシン、及び/又は他の不純物を除去する精製手順が用いられる。compBタンパク質の精製に特に好適なのは、いわゆる直交精製戦略である。非限定的な例として、イオン交換クロマトグラフィーは、混合モードのクロマトグラフィーステップと組み合わせ得る。
【0149】
いくつかの実施形態では、方法は、compBタンパク質を、陰イオン交換樹脂、任意選択で弱陰イオン交換樹脂、任意選択でジエチルアミノエチル(DEAE)コンジュゲート樹脂と接触させることと、溶出溶液を使用して樹脂からcompBタンパク質を溶出させることと、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、compBタンパク質を陰イオン交換樹脂と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、陰イオン交換樹脂は、弱陰イオン交換樹脂である。いくつかの実施形態では、陰イオン交換樹脂は、ジエチルアミノエチル(DEAE)コンジュゲート樹脂である。いくつかの実施形態では、陰イオン交換樹脂は、四級アミン(Q)強陰イオン交換樹脂である。いくつかの実施形態では、方法は、陰イオン交換クロマトグラフィーを使用してcompBタンパク質を精製することを含む(例えば、Sartobind(登録商標)を参照されたい)。
【0150】
いくつかの実施形態では、方法は、溶出ステップの前に、カラム洗浄液で陰イオン交換樹脂を洗浄することを含む。様々なカラム洗浄液を使用し得る。両性イオン界面活性剤及び/又は非イオン界面活性剤を含むカラム洗浄液を本明細書に開示する。非イオン性界面活性剤は、TritonX-100又はその等価物であり得る。両性イオン界面活性剤は、3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート(CHAPS)又はその等価物であり得る。いくつかの実施形態では、両性イオン界面活性剤は、CHAPSO(3-(3-コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホネート)、LDAO、DDMAB、及び任意のZwittergent(登録商標)界面活性剤から選択される。
【0151】
陰イオン交換樹脂からの溶出は、塩勾配を使用して達成され得る。段階的又は連続的な勾配のいずれかを使用し得る。いくつかの実施形態では、溶出溶液は、50mM~800mM、例えば、100mM、200mM、250mM、300mM、400mM、500mM、600mM、700mM、又は800mMのNaCl濃度の塩化ナトリウム(NaCl)を含む。
【0152】
いくつかの実施形態では、方法は、混合モード樹脂でcompBタンパク質を精製することを含む。好適な混合モード培地は、セラミックヒドロキシアパタイト(CHT)樹脂を含む。ヒドロキシアパタイトは、タンパク質及びDNAのクロマトグラフィー分離に古くから使用されているリン酸カルシウムの形態である。(Schroder et al.,Analytical Biochemistry 313(2003)176-178.)タンパク質のヒドロキシアパタイトへの吸着は、陰イオン性及びカチオン性の両方の交換を伴う。タンパク質は、最も一般的に、低濃度(10~25mM)のリン酸緩衝液中で吸着されるが、いくつかの酸性タンパク質は、水、食塩水、又は非リン酸緩衝液中に装填された場合にのみ吸着される。タンパク質は、通常、増加したリン酸勾配によって溶出されるが、Ca2++、Mg2++、又はClイオンの勾配も、特に塩基性タンパク質の選択的溶出に有用である。リン酸塩を使用する場合、酸性タンパク質は塩基性タンパク質よりも容易に溶出されるが、任意のタンパク質を溶出するのに必要なリン酸塩濃度は、pHを上げることによって低下させることができる。ヒドロキシアパタイトに結合したタンパク質の混合物は、pHを増加させる一連のリン酸塩洗浄ステップによって分画され得る。
【0153】
いくつかの実施形態では、産物compBタンパク質は、少なくとも50%の溶解度、任意選択で70~95%の溶解度を有する。いくつかの実施形態では、産物compBタンパク質は、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の溶解度を有する。いくつかの実施形態では、産物compBタンパク質は、少なくとも70~95%の溶解度を有する。いくつかの実施形態では、溶解度は、ゲル濾過クロマトグラフィーによって、任意選択でSuperose 6カラムを使用して測定される。
【0154】
いくつかの実施形態では、産物compBタンパク質は、総タンパク質の重量比(w/w)として計算される少なくとも80%の純度、任意選択で少なくとも95%w/wの純度を有する。いくつかの実施形態では、産物compBタンパク質は、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%w/wの純度を有する。いくつかの実施形態では、純度は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、任意選択で変性SDS-PAGEによって、測定される。
【0155】
いくつかの実施形態では、産物compBタンパク質は、少なくとも70%w/wの組織化能、任意選択で90~98%w/wの組織化能がある。いくつかの実施形態では、産物compBタンパク質は、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%w/wの組織化能がある。いくつかの実施形態では、産物compBタンパク質は、少なくとも70%w/wの組織化能、任意選択で90~100%w/wの組織化能がある。いくつかの実施形態では、組織化能があるcompBタンパク質のパーセンテージは、compBタンパク質が過剰に成分A(compA)タンパク質を含む溶液と混合されるときに、タンパク質ベースのウイルス様粒子(vpVLP)に組織化する、産物溶液中のcompBタンパク質のパーセンテージ、重量比(w/w)として定義される。いくつかの実施形態では、組織化能があるcompBタンパク質のパーセンテージは、compBタンパク質が過剰に成分A(compA)タンパク質を10%含む溶液と混合されるときに、タンパク質ベースのウイルス様粒子(vpVLP)に組織化する、産物溶液中のcompBタンパク質のパーセンテージ、重量比(w/w)として定義される。
【0156】
いくつかの実施形態では、産物溶液は、1ミリグラムの総タンパク質当たり50エンドトキシン単位(EU/mg)未満、任意選択で5~15単位のEU/mgを含む。いくつかの実施形態では、産物溶液は、50未満、45未満、40未満、35未満、30未満、25未満、20未満、15未満、10未満、又は5単位のEU/mgを含む。いくつかの実施形態では、産物溶液は、4、5、6、10、7、8、10、11、12、13、14、15、又は16単位のEU/mgを含む。
【0157】
本明細書では、本開示の方法のいずれかによって産生されるcompBタンパク質を含む組成物を更に提供する。組成物は、例えば、少なくとも50%可溶性、任意選択で70~95%可溶性であり得、少なくとも80%純粋であり得、純度は、総タンパク質の重量比(w/w)として計算され、任意選択で、少なくとも95%w/w純粋であり得、及び/又は少なくとも70%w/wの組織化能、任意選択で、90~100%w/wの組織化能があり得る。
【0158】
compBタンパク質は、濃縮されたcompB溶液の最終溶液への希釈、及び/又は例えば連続モードでの透析濾過/限外濾過(DF/UF)を含む、当該技術分野で既知の様々な緩衝液交換技法のいずれかを使用して、最終溶液に配置され得る。いくつかの実施形態では、組成物は、20mM Tris(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)緩衝液、任意選択で20mM、及び/又は250mM NaCl、任意選択で250mMのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、7~8のpH、任意選択で7.4のpHで緩衝される。いくつかの実施形態では、組成物は、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、又は8.0のpHに緩衝される。いくつかの実施形態では、組成物は、7.4のpHに緩衝される。いくつかの実施形態では、組成物は、貯蔵及び/又は凍結融解に対して安定である。いくつかの実施形態では、組成物は、貯蔵に対して安定である。いくつかの実施形態では、組成物は、凍結融解に対して安定である。
【0159】
例示的方法
ナノ構造を作製する方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、ナノ構造は、成分B(compB)タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、ナノ構造は、成分A(compA)タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、ナノ構造は、compA及びcompBタンパク質を含む。
【0160】
いくつかの実施形態では、方法は、E.coliにおいてcompBタンパク質を発現することを含む。いくつかの実施形態では、E.coliは、B株である。いくつかの実施形態では、E.coliは、K12株である。いくつかの実施形態では、方法は、封入体から成分タンパク質(すなわち、compA又はcompB)を単離することを含む。
【0161】
いくつかの実施形態では、方法は、
(i)E.coliからcompBタンパク質を含む封入体を単離することと、
(ii)compBタンパク質を可溶化するためのカオトロピック剤を含む可溶化溶液と封入体を接触させることであって、カオトロピック剤が、多量体(例えば、五量体)に組織化することができる単量体としてcompBタンパク質を可溶化するのに十分な濃度で提供される、接触させることと、
(iii)compBタンパク質を陰イオン交換樹脂と接触させ、溶出溶液を使用して樹脂からcompBタンパク質を溶出させることと、
(iv)compBタンパク質を精製することと、を含む。
【0162】
いくつかの実施形態では、方法は、
(i)E.coliからcompBタンパク質を含む封入体を単離することと、
(ii)封入体を、第1の濃度のカオトロピック剤を含む洗浄液と接触させることであって、第1の濃度が、compBの可溶化なしで封入体を精製するのに十分である、接触させることと、
(iii)封入体を、第2の濃度のカオトロピック剤を含む可溶化溶液と接触させて、compBタンパク質を可溶化することであって、濃度は、多量体(例えば、五量体)に組織化することができる単量体としてcompBタンパク質を可溶化するのに十分である、接触させることと、
(iv)compBタンパク質を陰イオン交換樹脂と接触させ、溶出溶液を使用して樹脂からcompBタンパク質を溶出させることと、
(v)compBタンパク質を精製することと、を含む。
【0163】
いくつかの実施形態では、方法は、
(i)E.coliからcompBタンパク質を含む封入体を単離することと、
(ii)compBタンパク質を可溶化するためのカオトロピック剤を含む可溶化溶液と封入体を接触させることであって、カオトロピック剤が、多量体(例えば、五量体)に組織化することができる単量体としてcompBタンパク質を可溶化するのに十分な濃度で提供される、接触させることと、
(iii)compBタンパク質を陰イオン交換樹脂と接触させ、溶出溶液を使用して樹脂からcompBタンパク質を溶出させることと、
(iv)compBタンパク質を混合モード樹脂で精製することと、を含む。
【0164】
いくつかの実施形態では、方法は、
(i)E.coliからcompBタンパク質を含む封入体を単離することと、
(ii)封入体を、第1の濃度のカオトロピック剤を含む洗浄液と接触させることであって、第1の濃度が、compBの可溶化なしで封入体を精製するのに十分である、接触させることと、
(iii)封入体を、第2の濃度のカオトロピック剤を含む可溶化溶液と接触させて、compBタンパク質を可溶化することであって、濃度は、多量体(例えば、五量体)に組織化することができる単量体としてcompBタンパク質を可溶化するのに十分である、接触させることと、
(iv)compBタンパク質を陰イオン交換樹脂と接触させ、溶出溶液を使用して樹脂からcompBタンパク質を溶出させることと、
(v)compBタンパク質を混合モード樹脂で精製することと、を含む。
【0165】
いくつかの実施形態では、方法は、
(i)E.coliからcompBタンパク質を含む封入体を単離することと、
(ii)compBタンパク質を可溶化するための尿素を含む可溶化溶液と封入体を接触させることであって、尿素が、多量体(例えば、五量体)に組織化することができる単量体としてcompBタンパク質を可溶化するのに十分な濃度で提供される、接触させることと、
(iii)compBタンパク質を陰イオン交換樹脂と接触させ、溶出溶液を使用して樹脂からcompBタンパク質を溶出させることと、
(iv)compBタンパク質を精製することと、を含む。
【0166】
いくつかの実施形態では、方法は、
(i)E.coliからcompBタンパク質を含む封入体を単離することと、
(ii)封入体を、第1の濃度の尿素を含む洗浄液と接触させることであって、第1の濃度が、compBの可溶化なしで封入体を精製するのに十分である、接触させることと、
(iii)封入体を、第2の濃度の尿素を含む可溶化溶液と接触させて、compBタンパク質を可溶化することであって、濃度は、多量体(例えば、五量体)に組織化することができる単量体としてcompBタンパク質を可溶化するのに十分である、接触させることと、
(iv)compBタンパク質を陰イオン交換樹脂と接触させ、溶出溶液を使用して樹脂からcompBタンパク質を溶出させることと、
(v)compBタンパク質を精製することと、を含む。
【0167】
いくつかの実施形態では、方法は、
(i)E.coliからcompBタンパク質を含む封入体を単離することと、
(ii)compBタンパク質を可溶化するための尿素を含む可溶化溶液と封入体を接触させることであって、尿素が、多量体(例えば、五量体)に組織化することができる単量体としてcompBタンパク質を可溶化するのに十分な濃度で提供される、接触させることと、
(iii)compBタンパク質を陰イオン交換樹脂と接触させ、溶出溶液を使用して樹脂からcompBタンパク質を溶出させることと、
(iv)compBタンパク質を混合モード樹脂で精製することと、を含む。
【0168】
いくつかの実施形態では、方法は、
(i)E.coliからcompBタンパク質を含む封入体を単離することと、
(ii)封入体を、第1の濃度の尿素を含む洗浄液と接触させることであって、第1の濃度が、compBの可溶化なしで封入体を精製するのに十分である、接触させることと、
(iii)封入体を、第2の濃度の尿素を含む可溶化溶液と接触させて、compBタンパク質を可溶化することであって、濃度は、多量体(例えば、五量体)に組織化することができる単量体としてcompBタンパク質を可溶化するのに十分である、接触させることと、
(iv)compBタンパク質を陰イオン交換樹脂と接触させ、溶出溶液を使用して樹脂からcompBタンパク質を溶出させることと、
(v)compBタンパク質を混合モード樹脂で精製することと、を含む。
【0169】
いくつかの実施形態では、方法は、
(i)E.coliからcompBタンパク質を含む封入体を単離することと、
(ii)封入体を、150mM未満の濃度の尿素を含む洗浄液と、持続時間、接触させることであって、濃度が、多量体(例えば、五量体)に組織化することができる単量体として、compBタンパク質を可溶化するのに十分である、接触させることと、
(iii)封入体を、0.15M~2Mの濃度の尿素を含む可溶化溶液と、compBタンパク質を可溶化するための持続時間、接触させることであって、濃度が、多量体(例えば、五量体)に組織化することができる単量体としてcompBタンパク質を可溶化するのに十分である、接触させることと、
(iv)compBタンパク質をジエチルアミノエチル(DEAE)コンジュゲート樹脂と接触させ、
溶出溶液を使用して樹脂からcompBタンパク質を溶出することと、
(v)compBタンパク質をセラミックヒドロキシアパタイト(CHT)樹脂で精製することと、を含む。
【0170】
いくつかの実施形態では、方法は、
(i)配列番号58に記載の配列を有するcompBタンパク質を含む封入体を、E.coliから単離することと、
(ii)封入体を、150mM未満の濃度の尿素を含む洗浄液と、持続時間、接触させることと、
(iii)封入体を、0.15M~2Mの濃度の尿素を含む可溶化溶液と、compBタンパク質を可溶化するための持続時間、接触させることであって、濃度が、多量体(例えば、五量体)に組織化することができる単量体としてcompBタンパク質を可溶化するのに十分である、接触させることと、
(iv)compBタンパク質をジエチルアミノエチル(DEAE)コンジュゲート樹脂と接触させ、
溶出溶液を使用して樹脂からcompBタンパク質を溶出することと、
(v)compBタンパク質をセラミックヒドロキシアパタイト(CHT)樹脂で精製することと、を含む。
【0171】
pbVLPの組織化
いくつかの実施形態では、単一の成分は、pbVLPに自己組織化する。いくつかの実施形態では、pbVLPを形成する際に使用するための第1及び第2の成分の1つ以上の精製試料を、水性条件(例えば、I53~50A/B二十面体pbVLP)においてほぼ等モル比で混合する。第1及び第2の成分(多量体化ドメインを介して、及び任意選択でエクトドメインを介して)は、標的pbVLPの組織化を駆動するために互いに相互作用する。標的pbVLPの組織化の成功は、サイズ排除クロマトグラフィー、天然(非変性)ゲル電気泳動、動的光散乱、多角度光散乱、分析的超遠心分離、負染色電子顕微鏡法、冷凍電子顕微鏡法、又はX線結晶学を含むがこれらに限定されない、タンパク質又はタンパク質組織化体の物理的サイズを評価するために使用される一般的な生化学的又は生物物理的方法によってインビトロ組織化反応を分析することによって確認することができる。必要に応じて、組織化されたpbVLPは、サイズ排除クロマトグラフィー、調製超遠心分離、接線流濾過、又は調製ゲル電気泳動を含むがこれらに限定されない、タンパク質をその物理サイズによって単離するために一般的に使用される調製技術を使用して、インビトロ組織化反応に存在する他の種又は分子から精製することができる。pbVLP中の抗原タンパク質の存在は、限定されないが、SDS-PAGE、質量分析、タンパク質配列決定、ELISA、表面プラズモン共鳴、バイオレイヤー干渉法、又はアミノ酸分析を含む水溶液中のタンパク質分子の同一性を決定するために一般的に使用される技法によって評価することができる。粒子の外側におけるタンパク質のアクセス可能性、並びにそのコンフォメーション又は抗原性は、モノクローナル抗体、コンフォメーション特異的モノクローナル抗体、表面プラズモン共鳴、バイオレイヤー干渉法、又は抗原に特異的な抗血清による結合を含むがこれらに限定されない、抗原の存在及びコンフォメーションを検出するために一般的に使用される技術によって評価することができる。
【0172】
様々な実施形態では、本開示のpbVLPは、遺伝子融合として異なる抗原タンパク質を有する2つ以上の異なるcompAを含み、これらのpbVLPは、同じpbVLP上で複数の異なるタンパク質を共発現する。これらの多抗原pbVLPは、多量体化ドメインを各々含む2つ以上の抗原の混合物を用いてインビトロ組織化を行うことによって産生される。混合物中の各抗原の画分は、得られるpbVLPにおける各抗原タンパク質の平均価を決定する。所与の試料中の各抗原の存在及び平均価は、全価pbVLP中の抗原性タンパク質の存在を評価するための上述の技術を使用した定量分析によって評価することができる。
【0173】
様々な実施形態では、pbVLPは、直径が約20ナノメートル(nm)~約40nmであり、タンパク質シェルの内部管腔は、直径が約15nm~約32nmであり、タンパク質シェルの孔径は、最長寸法が約1nm~約14nmである。
【0174】
いくつかの実施形態では、pbVLPは、二十面体対称性を有する。そのような実施形態では、pbVLPは、第1の成分の60コピー及び第2の成分の60コピーを含み得る。1つのそのような実施形態では、各第1の組織化体における同一のcompAの数は、各第2の組織化体における同一のcompAの数とは異なる。例えば、いくつかの実施形態では、pbVLPは、12個の第1の組織化体及び20個の第2の組織化体を含み、そのような実施形態では、各第1の組織化体は、例えば、同一の第1の成分の5つのコピーを含み得、各第2の組織化体は、例えば、同一の第2の成分の3つのコピーを含み得る。他の実施形態では、pbVLPは、12個の第1の組織化体及び30個の第2の組織化体を含み、そのような実施形態では、各第1の組織化体は、例えば、同一の第1の成分の5つのコピーを含み得、各第2の組織化体は、例えば、同一の第2の成分の2つのコピーを含み得る。更なる実施形態では、pbVLPは、20個の第1の組織化体及び30個の第2の組織化体を含み、この実施形態では、各第1の組織化体は、例えば、同一の第1の成分の3つのコピーを含み得、各第2の組織化体は、例えば、同一の第2の成分の2つのコピーを含み得る。これらの実施形態の全ては、規則的な二十面体対称性を有するタンパク質ベースのpbVLPを形成することができる。
【0175】
様々な更なる実施形態では、第1及び第2の多量体化ドメインのオリゴマー状態は以下のとおりである。
I53-34A:三量体+I53-34B:五量体、
I53-40A:五量体+I53-40B:三量体、
I53-47A:三量体+I53-47B:五量体、
I53-50A:三量体+I53-50B:五量体、
I53-51A:三量体+I53-51B:五量体、
I32-06A:二量体+I32-06B:三量体、
I32-19A:三量体+I32-19B:二量体、
I32-28A:三量体+I32-28B:二量体、
I52-03A:五量体+I52-03B:二量体、
I52-32A:二量体+I52-32B:五量体、及び
I52-33A:五量体+I52-33B:二量体
【0176】
核酸
別の態様において、本開示は、本開示の抗原、第1の成分、及び/又は第2の成分をコードする単離された核酸を提供する。単離された核酸配列は、RNA又はDNAを含み得る。本明細書で使用される場合、「単離された核酸」は、ゲノム中又はcDNA配列中のそれらの通常の周囲核酸配列から除去されたものである。かかる単離された核酸配列は、ポリA配列、修飾Kozak配列、及びエピトープタグをコードする配列、輸出シグナル、及び分泌シグナル、核局在化シグナル、及び形質膜局在化シグナルを含むがこれらに限定されない、コードされたタンパク質の発現及び/又は精製を促進するのに有用な追加の配列を含み得る。どの核酸配列が本開示のタンパク質をコードするかは、本明細書の教示に基づいて、当業者には明らかであろう。
【0177】
更なる態様において、本開示は、任意の実施形態の単離された核酸又は好適な制御配列に作用可能に連結された本開示の実施形態の組み合わせを含む組換え発現ベクターを提供する。「組換え発現ベクター」は、核酸コード領域又は遺伝子を、遺伝子産物の発現をもたらすことができる任意の制御配列に作動的に連結するベクターを含む。本開示の核酸配列に作動可能に連結される「制御配列」は、核酸分子の発現をもたらすことができる核酸配列である。制御配列は、核酸配列の発現を指示するように機能する限り、核酸配列と連続している必要はない。したがって、例えば、介在する非翻訳でありながら転写された配列は、プロモーター配列と核酸配列との間に存在することができ、プロモーター配列は、依然としてコード配列に「作動可能に連結されている」とみなすことができる。他のそのような制御配列には、ポリアデニル化シグナル、終結シグナル、及びリボソーム結合部位が含まれるが、これらに限定されない。そのような発現ベクターは、限定されないが、プラスミド及びウイルスベースの発現ベクターを含む、当該技術分野で既知の任意のタイプのものであり得る。哺乳動物系における開示される核酸配列の発現を駆動するために使用される制御配列は、構成的(CMV、SV40、RSV、アクチン、EFを含むがこれらに限定されない様々なプロモーターのいずれかによって駆動される)又は誘導性(テトラサイクリン、エクジソン、ステロイド応答性を含むがこれらに限定されないいくつかの誘導性プロモーターのいずれかによって駆動される)であり得る。原核細胞のトランスフェクションに使用するための発現ベクターの構築も当該技術分野で周知であり、したがって、標準的な技術を介して達成することができる。(例えば、Sambrook,Fritsch,and Maniatis,in:Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989、Gene Transfer and Expression Protocols,pp.109-128,ed.E.J.Murray,The Humana Press Inc.,Clifton,N.J.)、及びAmbion 1998 Catalog(Ambion,Austin,TX)を参照されたい。発現ベクターは、エピソームとして、又は宿主染色体DNAへの組み込みのいずれかによって、宿主生物において複製可能でなければならない。好ましい実施形態では、発現ベクターは、プラスミドを含む。しかしながら、本開示は、ウイルスベクターなどの等価機能を果たす他の発現ベクターを含むことが意図される。
【0178】
別の態様において、本開示は、本明細書に開示される組換え発現ベクターでトランスフェクト又は形質導入された宿主細胞を提供し、宿主細胞は、原核又は真核のいずれかであり得る。細胞は、一時的又は安定的にトランスフェクト又は形質導入され得る。そのような発現ベクターの原核細胞及び真核細胞へのトランスフェクション又は形質導入は、限定されないが、標準的な細菌形質転換、リン酸カルシウム共沈殿、エレクトロポレーション、又はリポソーム媒介性、DEAEデキストラン媒介性、ポリカチオン媒介性、又はウイルス媒介性トランスフェクションを含む当該分野技術で既知のいずれかの技術によって達成することができる。(例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Sambrook,et al.,1989,Cold Spring Harbor Laboratory Press、Culture of Animal Cells:A Manual of Basic Technique,2nd Ed.(R.I.Freshney.1987.Liss,Inc.New York,NYを参照されたい)。
【0179】
別の態様において、本開示は、本開示に従って抗原、成分、又はpbVLPを産生する方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、(a)ポリペプチドの発現に有利な条件下で、本開示のこの態様による宿主を培養するステップと、(b)任意選択で、発現したポリペプチドを回収するステップと、を含む。
【0180】
いくつかの実施形態では、本開示は、ワクチンを製造する方法であって、宿主細胞が抗原を培地中に分泌するように、本開示の抗原をコードする配列を含むポリヌクレオチドを含む宿主細胞を培地中で培養することと、任意選択で、抗原を培地から精製することと、抗原を第2の成分と混合することであって、第2の成分が抗原と多量体化して、pbVLPを形成することと、任意選択で、pbVLPを精製することと、を含む、方法を提供する。
【0181】
いくつかの実施形態では、本開示は、ワクチンを製造する方法であって、宿主細胞が第1の成分及び第2の成分を培地に分泌するように、本開示のいずれか1つのpbVLPの両方の成分をコードする配列を含む1つ以上のポリヌクレオチドを含む宿主細胞を培養することと、任意選択で、pbVLPを培地から精製することと、を含む方法を提供する。
【0182】
例示的な宿主細胞としては、E.coli細胞、293及び293F細胞、HEK293細胞、Sf9細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、並びに組換えタンパク質の産生に使用される任意の他の細胞株が挙げられる。
【0183】
製剤
いくつかの実施形態では、組成物中の緩衝液は、Tris緩衝液、ヒスチジン緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、又は酢酸緩衝液である。組成物はまた、リオ保護剤、例えば、スクロース、ソルビトール、又はトレハロースを含み得る。特定の実施形態では、組成物は、保存剤、例えば、塩化ベンザルコニウム、ベンゼトニウム、クロロヘキシジン、フェノール、m-クレゾール、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロロブタノール、o-クレゾール、p-クレゾール、クロロクレゾール、硝酸フェニル水銀、チメロサール、安息香酸、及びこれらの様々な混合物を含む。他の実施形態では、組成物は、グリシンのような増量剤を含む。更に他の実施形態では、組成物は、界面活性剤、例えば、ポリソルベート-20、ポリソルベート-40、ポリソルベート-60、ポリソルベート-65、ポリソルベート-80、ポリソルベート-85、ポロキサマー-188、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリラウレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタントリオレエスト、又はそれらの組み合わせを含む。組成物はまた、等張化調整剤、例えば、製剤をヒト血液と実質的に等張性又は等浸透性にする化合物を含み得る。例示的な等張化調整剤としては、スクロース、ソルビトール、グリシン、メチオニン、マンニトール、デキストロース、イノシトール、塩化ナトリウム、アルギニン、及びアルギニン塩酸塩が挙げられる。他の実施形態では、組成物は、凍結乾燥又は液体形態で、安定剤、例えば、pbVLPの化学的及び/又は物理的不安定性を実質的に防止又は低減する分子を更に含む。例示的な安定剤としては、スクロース、ソルビトール、グリシン、イノシトール、塩化ナトリウム、メチオニン、アルギニン、及びアルギニン塩酸塩が挙げられる。
【0184】
使用の方法
いくつかの実施形態では、本開示は、疾患又は障害の治療又は予防を必要とする対象において疾患又は障害を治療又は予防するための方法であって、本明細書に記載の方法に従って調製されたナノ構造(例えば、pbVLP)を投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、免疫応答を必要とする対象において免疫応答を誘導、促進、又は増加させるための方法であって、記載の方法に従って調製されたナノ構造(例えば、pbVLP)を投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、ナノ構造は、1つ以上の抗原を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の抗原は、ナノ構造の表面上に表示される。いくつかの実施形態では、ナノ構造は、外側に結合される及び/又はケージ内に封入される1つ以上の免疫刺激分子を含む。本明細書で使用される場合、免疫刺激分子は、単独で又は別の薬剤(例えば、抗原)と組み合わせて投与される対象における免疫応答を刺激する(既存の免疫応答を増強することを含む)化合物である。例示的な免疫刺激分子には、TLRリガンドが含まれるが、これらに限定されない。
【0185】
いくつかの実施形態では、本開示は、免疫原性組成物又はワクチンとして、本明細書に記載の方法に従って調製されたナノ構造(例えば、pbVLP)を投与することを含む、免疫応答を必要とする対象において免疫応答を誘導する、促進する、又は増加させるための方法を提供する。宿主への導入時に、免疫原性組成物又はワクチンは、免疫応答を誘発する。「免疫応答」は、先天性又は適応型免疫の活性化又は効率を誘導する、増加させる、又は持続させる応答を指す。いくつかの実施形態では、免疫応答は、抗体及び/又はサイトカインの産生を含む。いくつかの実施形態では、免疫応答は、細胞傷害性T細胞、抗原提示細胞、ヘルパーT細胞、樹状細胞、B細胞、及び/又は他の細胞応答の活性化を含む。
【0186】
いくつかの実施形態では、本開示は、免疫原性組成物又はワクチンとして、本明細書に記載の方法に従って調製されるナノ構造(例えば、pbVLP)を投与することを含む、抗体応答を必要とする対象において抗体応答を誘導する、促進する、又は増加させるための方法を提供し、ナノ構造は1つ以上の抗原を表示し、抗体応答は1つ以上の抗原上に存在するエピトープを対象とする。対象における抗体応答を分析するための方法は、当業者に既知である。例えば、いくつかの実施形態では、免疫応答の増加をELISAによって測定して、抗原特異的抗体力価を決定する。
【0187】
いくつかの実施形態では、本開示は、免疫原性組成物又はワクチンとして、本明細書に記載の方法に従って調製されたナノ構造(例えば、pbVLP)を免疫化対象において投与することを含む、改善されたB記憶細胞応答を含む免疫応答を必要とする対象において、免疫応答を誘導する、促進する、又は増加させるための方法を提供する。改善されたB記憶細胞応答は、インビトロ分化の刺激によって測定されるように、抗原遭遇時に抗体分泌形質細胞への分化が可能な末梢血B細胞の増加した頻度を意味することが意図される。いくつかの実施形態では、本開示は、抗体分泌B細胞の数を増加させるための方法を提供する。いくつかの実施形態では、抗体分泌B細胞は、骨髄形質細胞又は出芽B細胞である。いくつかの実施形態では、B細胞を分泌する抗体を測定するための方法は、限定されないが、免疫後の様々な時点で収集された形質細胞又は出芽中心B細胞の抗原特異的ELISPOTアッセイ及びフローサイトメトリーを含む。
【0188】
いくつかの実施形態では、ナノ構造(例えば、pbVLP)は、予防免疫原性組成物又はワクチンの一部として投与され、免疫原性組成物又はワクチンは、その後の感染性薬剤への曝露に対する対象において耐性を付与する。いくつかの実施形態では、ナノ構造(例えば、pbVLP)は、治療用免疫原性組成物又はワクチンの一部として投与され、免疫原性組成物又はワクチンは、既存の抗原に対する対象の免疫応答を開始又は増強する。いくつかの実施形態では、既存の抗原は、感染性薬剤又は新生物に感染した対象におけるウイルス抗原である。いくつかの実施形態では、既存の抗原は、腫瘍又は悪性腫瘍を有する対象におけるがん抗原である。予防的又は治療的免疫応答の所望の転帰は、当該技術分野で周知の原理に従って、治療される疾患又は状態に依存する。例えば、いくつかの実施形態では、感染性因子に対する免疫応答は、感染性因子のコロニー形成及び複製を完全に防止し得る。いくつかの実施形態では、感染性因子に対するワクチンは、それが症状の数、重症度、又は期間を減少させる場合、それが症状を有する集団における個体の数を減少させる場合、又は感染性因子の伝播を減少させる場合、有効であるとみなされる。いくつかの実施形態では、がん、アレルゲン、又は感染性因子に対する免疫応答は、疾患を完全に治療する、症状を緩和する、又は疾患に対する全体的な治療的介入に寄与するために有効である。
【0189】
いくつかの実施形態では、本開示は、免疫原性組成物又はワクチンとして、本明細書に記載の方法に従って調製されたナノ構造(例えば、pbVLP)を投与することを含む、急性又は慢性感染症の治療又は予防を必要とする対象において急性又は慢性の感染症を治療又は予防するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、ナノ構造(例えば、pbVLP)は1つ以上の感染性抗原を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の感染症抗原は、微生物抗原である。微生物抗原は、微生物種、例えば、細菌、ウイルス、真菌、寄生虫、又はマイコバクテリウムに由来する抗原である。いくつかの実施形態では、本開示は、免疫原性組成物又はワクチンとして、本明細書に記載の方法に従って調製されるナノ構造(例えば、pbVLP)を投与することを含む、ウイルス感染を必要とする対象においてウイルス感染を治療又は予防するための方法を提供し、ナノ構造は、ウイルスに由来する1つ以上の感染性抗原を含む。いくつかの実施形態では、ウイルス感染症は、免疫不全(例えば、HIV、乳頭腫(例えば、HPV)、ヘルペス(例えば、HSV)、脳炎、インフルエンザ(例えば、ヒトインフルエンザウイルスA)、COVID-19(例えば、SARS-CoV-2)、及び一般的な風邪(例えば、ヒトライノウイルス、呼吸器合胞体ウイルス)である。いくつかの実施形態では、本開示は、ウイルス感染を必要とする対象においてウイルス感染を低減するための方法であって、本明細書に記載の方法に従って調製されたナノ構造(例えば、pbVLP)を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0190】
いくつかの実施形態では、本開示は、異常なアポトーシス、分化プロセス(例えば、細胞増殖性障害、例えば、過剰増殖性障害)、又は細胞分化障害(例えば、がん)に関連する障害を治療又は予防するための方法を提供する。細胞増殖性及び/又は分化性障害の例としては、がん(例えば、がん腫、がん腫、転移性障害、又は造血腫瘍性障害)が挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法に従って調製されるナノ構造(例えば、pbVLP)を含む免疫原性組成物又はワクチンは、がんを有する対象に投与される。「がん」という用語は、肺、乳房、甲状腺、リンパ組織、胃腸臓器、及び泌尿生殖管に影響を及ぼすものを含む、様々な臓器系の悪性腫瘍、並びに一般に、ほとんどの結腸がん、腎細胞がん、前立腺がん、及び/又は精巣腫瘍、肺の非小細胞がん、小腸がん、及び食道がんなどの悪性腫瘍を含むと考えられる腺がんを指す。いくつかの実施形態では、免疫原性組成物又はワクチンは、任意の種類のがんを発症している、発症している疑いがある、又は発症するリスクが高い可能性がある対象を治療するために使用される。
【0191】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の方法に従って調製されたナノ構造(例えば、pbVLP)を含む、免疫原性組成物又はワクチンを投与することを含む、がんを有する対象において抗腫瘍免疫応答を誘導するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、ナノ構造は1つ以上の抗原を含み、抗原はがん抗原である。がん抗原は、好ましくは、がん細胞上に発現され(すなわち、がん細胞において、非がん細胞上よりも高いレベルで発現される)、いくつかの場合において、がん細胞によって単独で発現される抗原である。がん抗原は、がん細胞内又はがん細胞の表面上で発現され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のがん抗原を含むナノ構造(例えば、pbVLP)を含む免疫原性組成物又はワクチンを投与することは、抗腫瘍免疫応答を誘導し、それによって対象におけるがんを予防又は治療する。
【実施例
【0192】
実施例1:CompB-01の産生のためのE.coli株の開発
この実施例は、E.coliの不溶性画分からのcompB-01の発現を実証する。B及びK-12E.coli宿主背景の両方において、一組の組み合わせ株を評価した。2つの異なるプロモーター、T7及びphoAを使用して、異なる発現動態を評価した。最適化されたDNAコード配列を使用して、合計10個のプラスミドを適切な宿主に形質転換して、27種の独自の株を作製した(表3)。発現評価を、24ウェルディッシュを使用して、3mLの総体積で行った。可溶性及び不溶性の画分をSDS-PAGEによりアッセイした。9つの株は、主に細胞の不溶性画分において、いくつかの検出可能な産物を得た。4つの株が、参照基準よりも高い分子量で移動する産物を得た。8つの株をシェイクフラスコ中で再評価し、発現をヌル宿主と比較した。エドマン分解は、正しく処理されたN末端が、細胞質内の封入体としてcompB-01を発現するICXB01、ICXB10、及びIXCB11に存在することを確認した。これらの3つを、4×5L発酵におけるプラットフォーム、飼料バッチ発酵プロセスにおける評価のために選択した。非最適化プロセスにおけるICXB10及びICXB11のバイオマス収率は、170~190g/L湿潤細胞重量(WCW)及び約1g/L不溶性compB-01であった。ICXB10由来の材料を精製し、QCを試験し、ナノ粒子組織化体について評価した。
【0193】
compB-01の全配列は、配列番号60である。
MNQHSHKDHETVRIAVVRARWHAEIVDACVSAFEAAMRDIGGDRFAVDVFDVPGAYEIPLHARTLAETGRYGAVLGTAFVVNGGIYRHEFVASAVINGMMNVQLNTGVPVLSAVLTPHNYDKSKAHTLLFLALFAVKGMEAARACVEILAAREKIAA
【0194】
試験された構築物の完全なリストは、表3に提供される。
表3
【表3-1】
【表3-2】
【0195】
特に明記しない限り、全てのインキュベーションを30℃で行った。全てのブロス培養物を、30℃、250rpm、1インチの軌道で振盪しながらインキュベートした。2±0.5時間インキュベーションした後、T7培養物を、3μLの1M IPTGを各ウェルに添加することによって誘導した。培養物は時間に基づいて誘導したが、誘導時の予想OD600は0.6~0.9であった。IPTGを添加した後、培養物を更に4±0.5時間インキュベートした。採取時に、各ウェルの最終的なOD600を記録した。発現培地が、完全に抑制されたアルカリホスファターゼ(C.R.A.P)であったことを除いて、PhoA株をT7株と同様に調製した。PhoA株を24±1時間インキュベートした。
【0196】
その後の飼料バッチ発酵スクリーニングを、表4に提供される発酵構成を使用して、1%(v/v)で発酵槽に播種し、バッチ培地中のグリセロールが枯渇するまで8~12時間操作せずに培養物を増殖させることによって行い、次いで溶解酸素(DO)が急激に増加した(「スパイク」)。DOスパイクの観察後、飼料の添加を開始した。飼料計画は、指数関数的に増加するように設計された。
表4.発酵構成
【表4】
【0197】
ピークの供給速度の時間前後に、リン酸塩は、phoAプロモーターを自動的に誘導するphoAプロセスにおいて制限されるようになる。したがって、phoAプロセス誘導時間は、バッチ培地中に補充された全リン酸塩によって制御された。供給速度は、あらかじめプログラムされたスケジュールに従って30%低下し、発酵の残りの期間にわたって一定の速度を維持するように予定された。
【0198】
各サンプリング時間に、2つの1.0mLの全ブロス試料を収集し、10分間遠心分離した。上清を別のチューブセットに移し、必要に応じて代謝産物濃度を決定した。ペレットを秤量して、湿潤細胞重量(WCW)を得、SDS-PAGE分析のために凍結保管した。全てのWCWデータは、少なくとも2つの1.0mLの試料の平均として報告される。採取物からの材料も、エドマン分解及びcompA-01による粒子組織化によってN末端配列について評価した。
【0199】
compA-01の全配列は、配列番号61である。
MEELFKKHKIVAVLRANSVEEAIEKAVAVFAGGVHLIEITFTVPDADTVIKALSVLKEKGAIIGAGTVTSVEQARKAVESGAEFIVSPHLDEEISQFAKEKGVFYMPGVMTPTELVKAMKLGHTILKLFPGEVVGPQFVKAMKGPFPNVKFVPTGGVNLDNVAEWFKAGVLAVGVGSALVKGTPDEVREKAKAFVEKIRGATELE
【0200】
発酵槽は、IPTG添加(T7)後12時間、又は接種(phoA)後48時間採取されるように設定した。各発酵槽をバケツ遠心分離によって採取した。
【0201】
結果
全てのプラスミドを、指定された宿主に正常に形質転換した。産物バンドは、SDS-PAGEにより、主に不溶性画分中で観察されたが、ICXB10の可溶性画分中にも存在した。SDS-PAGE上の参照基準物質のおおよそのサイズで、単一のバンドとして移行した推定産物を産生した株を、更なる処理のために選択した。不溶性画分からのICXB01、ICXB10、ICXB11、及びICXB15の主要なバンドを、ポンソーSで染色したPVDF電気転写物から切断した。各々のN末端をエドマン分解によって解析し、ICXB01、1CXB10、及びICXB11について正しいことが分かった。PhoAリーダーペプチドは、ICXB15にまだ存在していたため、将来の作業に使用されなかった。一次スクリーニングからの全てのSDS-PAGEゲルを図2に提示する。いずれの株においても、成長不良又は遺伝的不安定性の目に見える兆候はなかった。成長及び発現結果を表5に要約する。
表5
【表5】
発現に与えられた数値は、SDS-PAGE上の産物バンドの輝度及びゲル荷重に基づく任意の値である。
【0202】
成長曲線、発現、及びN末端配列データ(表6)に基づいて、株ICXB01、ICXB10、及びICXB11を発酵スクリーニングのために選択した。
表6.N末端配列データ概要:二次スクリーニング培養物
【表6】
【0203】
4つの5L発酵槽を使用して、3つの株(ICXB01、ICXB10、及びICXB11)の発現を評価した。実験的設計については、表7を参照されたい。オンラインプロファイルによると、pH、温度、又はガス流において有意な逸脱が発生しなかったことが示されている。各発酵槽のDOスパイクで供給送達を成功裏に開始し、実行全体を通して合理的に安定したDOプロファイルを維持した。DOにおける周期的なスパイクは、消泡添加に対応する。発酵槽A及びBの両方で代謝にダウンシフトがあり、これは誘導期間が少し長かったことを示す。採取基準及び誘導動態は、プロセス開発中に最適化されるパラメータである。発酵槽結果の概要を表8に示す。
表7.発酵スクリーニング設計
【表7】
表8.発酵データ要約
【表8】
【0204】
結論として、3つのE.coli株、ICXB01、ICXB10、及びICXB11は、小規模培養物において細胞質内でかなり高いレベルの不溶性compB-01を産生した。ICXB10及びICXB11は、初期の最適化されていない5Lの飼料バッチ発酵において、かなりの量の材料を産生した。ICXB10及びICXB11株における細胞質中のcompB-01の発現は、培地中の無機リン酸塩レベルが枯渇すると発現を誘導するphoAプロモーターによって制御される。ICXB10及びICXB11は、組織化能のある産物に加工することができる正しいN末端を有するcompB-01の封入体を産生した。
【0205】
参考文献
以下の参考文献は、参照によりその全体が組み込まれる。
【0206】
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【0220】
実施例2:封入体抽出
本実施例は、実施例1に開示される方法によって産生された封入体からのcompB-01の回収を実証する。具体的には、E.coli産生培養物の採取後、細胞ペーストを均質化溶液(8.4mMリン酸ナトリウム、1.5mMリン酸カリウム、2.7mM塩化カリウム、137mM塩化ナトリウム、pH7.4)に再懸濁させる。均質化後、封入体を表9に示すように4つの溶液で洗浄する。
表9.封入体洗浄液
【表9】
【0221】
100gの洗浄した封入体(WIB)を、25mL/g WIBのTriton洗浄緩衝液(1X PBS中0.1%TritonX-100、pH7.4)中のポリトロンで再懸濁し、室温で2時間攪拌した。試料を4℃で30分間11,000gで遠心分離し、上清を廃棄した。次いで、ペレット化WIBを、50mL/g WIBの抽出緩衝液(20mMリン酸ナトリウム、150mM塩化ナトリウム、0.5M尿素、0.75%CHAPS、pH7.4)中のポリトロンで再懸濁した。抽出物を周囲温度で2時間混合しながらインキュベートした。試料を11,000gで4℃で30分間遠心分離し、上清を0.22μmフィルターを使用して濾過した。
【0222】
DEAE Sepharose
濾過した上清をDEAE Sepharose FFカラムに充填した。以下のプロセスパラメータに従って、ステップ勾配を使用して陰イオン交換クロマトグラフィーを行った。代表的なクロマトグラムを図3に示す。
【表10-1】
【表10-2】
【0223】
2カラム体積(CV)のピーク上昇から25%での溶出(F1)を、精製の次のステップのために収集した。
【0224】
CHTクロマトグラフィー
収集した試料をCHTセラミックヒドロキシアパタイトI型培地カラムに充填した。以下のプロセスパラメータに従って、混合モードクロマトグラフィーを行った。代表的なクロマトグラムを図4に示す。
【表11-1】
【表11-2】
【0225】
溶出液回収を、ピークの下降側のピーク最大値の30%まで上昇した溶出ピークから開始した。
【0226】
限外濾過/透析濾過
限外濾過/透析濾過(UFDF)製剤をCHT溶出液(2958.4mg)上で実行した。Millipore Pellicon 2 Mini Cassette,Biomax 10kDa(カタログ番号:P2B010A01、0.1m2)を使用した。CHT溶出液を約4mg/mL(試料体積約700mL)に濃縮し、500mL/分の供給ポンプ流量を使用して8DV(5600mL)にわたって製剤緩衝液(20mM Tris、250mM NaCl、pH7.4)に対して透析濾過した。UFDF産物を0.22μm濾過し、濃度を2.55mg/mLに調整し、総体積を1051mL、最終タンパク質収率=2680mgとした。アリコートを-80℃で保管した。
【0227】
エンドトキシン試験は、次の表に示すように、産物が所望の基準を満たしていることを実証した。
【表12】
【0228】
結論として、約1.35gの最終Comp-B産物は、1Lの細胞液から得ることができる。最終製剤を、製剤結果に基づいて、20mM Tris、250mM NaCl、pH7.4に変更した。CHTカラム溶出収集カットオフは、溶出ピークの下降側でピーク最大値の30%であることが決定された。ステップ収率は77%であった。エンドトキシンレベルは4倍低下した。最終的なUFDFは、エンドトキシンレベルを低下させる。全体的なプロセス収率を次の表に要約する。
収率概要
【表13】
【0229】
実施例3:封入体抽出
本実施例は、実施例2に記載される封入体抽出方法の更なる精製を実証する。代替洗剤を含む、不溶性ペレット洗浄のためのいくつかの選択肢を検討した。I53-50B細胞ペレットを10mL/g湿潤細胞重量でPBS中に再懸濁し、IKA Ultra-TurraxT25ホモジナイザーを4000rpmで使用して1分間均質化した。再懸濁細胞を、Microfluidics M110Pマイクロフルイダイザーを使用して、2~8℃、18000psiで3回の別々の経路で溶解した。溶解物を清浄な容器に収集し、50mLのFalconチューブに分け、4℃で30分間、24000gで遠心分離することによって明らかにした。可溶性画分を新しい容器に除去した。最初の実験は、溶解物のアリコート及び尿素モル濃度を増加させた等量のPBSを2時間使用して、50mMから開始し、8Mまで増加させて、どの尿素の濃度でcompBタンパク質が可溶化したかを決定した。その結果を図5に示す。compBタンパク質は50mM尿素で抽出を開始したため、低濃度のカオトロープを洗浄ステップとして追求しなかった。
【0230】
その後の実験は、SDS-PAGEによる純度及びエンドトキシンクリアランスを主な読み出しとして、代替の洗剤であるTritonX-100、高塩、及び30%イソプロパノールを調べた。その結果を図6に示す。対照試料は、洗浄ステップを有さなかったが、PBS 2M尿素0.75%(w/v)Chaps pH7.4を使用して直接抽出に進んだ。被験試料を、以下の洗浄緩衝液のうちの1つで、全てPBS背景で洗浄した。
a.30%イソプロパノール、
b.0.1%TritonX-100、
c.0.5%TritonX-100、
d.1M NaCl、及び
e.1M NaCl 30%イソプロパノール。
【0231】
イソプロパノールは溶解度に悪影響を及ぼすようであり、抽出画分中のcompBは少なかった。1M NaClは、宿主細胞タンパク質を除去するように見えるが、エンドトキシンクリアランスには影響しない。0.1%TritonX-100は、最良のクリアランスファクターを示した。続いて、2つの洗浄ステップを実施し、洗浄1はPBS0.1%TritonX100であり、洗浄2は20mM NaPO4 1M NaClである。結果を以下の表に要約する。
【表14】
【0232】
その後、発酵を30℃で4つの5リットル発酵槽にスケールアップした。発酵槽B(696.1g)及び発酵槽C(553.9g)から1.25kgの細胞ペーストを再懸濁し、溶解し、洗浄して、初期重量の29%に相当する366.5gの洗浄されたIBを回収した。封入体を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、pH7.4中の25mL/gの0.1%TritonX-100中に再懸濁し、室温で2時間攪拌した。11,000gでの遠心分離によって封入体を回収した。次いで、洗浄した封入体を、20mM リン酸ナトリウム、150mM、0.5M 尿素、0.75%のCHAPS、pH7.4で抽出した。上清を11,000gでの遠心分離によって澄ませ、更に精製した。
【0233】
DEAE Sepharose FFクロマトグラフィー
TritonX-100とCHAPSとの組み合わせを試験した。10cmのベッド高DEAEカラムを20mM NaPO4 150mM NaCl pH7.4で平衡化し、異なるカラム洗浄緩衝液で洗浄した。
a.20mM NaPO 150mM NaCl 0.1%TritonX-100 pH7.4、
b.20mM NaPO 150mM NaCl 0.75% Chaps pH7.4、又は
c.順番に両方。
【0234】
溶出を20mM NaPO 500mM NaClの5CVで達成し、次いでカラムを20mM NaPO 1M NaCl pH7.4の5CV各々で剥離し、0.5M NaOHで消毒した。
【0235】
非還元性SDS-PAGEによって決定される溶出の純度は、3つの選択肢の間で同等であったが、2つの洗剤の組み合わせでは、エンドトキシン除去が明らかに最も効率的であった。
【表15】
【0236】
組織化能
インビトロで混合したときに、精製されたI53-50Bが、I53-50Aとともに、設計された二十面体アーキテクチャに組織化される能力を、精製された成分を1:1のモル比で穏やかに混合することによって分析した。次いで、混合物を、移動相として20mM NaPO4、150mM NaCl pH7.4を使用して、Superose 6 Increase10/300GLゲル濾過カラム(GE Life Sciences)で分析した。代表的なクロマトグラムを図7に示す。組織化混合物のSDS-PAGE分析を図8に示す。単分散ナノ粒子は、約11.3分、I53~50A単独では17.2分の保持時間を有する。
【0237】
結論として、精製されたI53-50Bは、組織化能があり、かつ凝集されない。図9に示す精製プロセスフローは、純粋な組織化能を有するI53-50Bを産生した。
【0238】
実施例4:成分Bの製造及び精製のスケールアップ
compB-01(I53-50B配列)の製造のために、バイオリアクター製造及び採取、不溶性画分からの可溶性五量体の抽出、並びに最終製剤のための2段階のクロマトグラフィー法、続いてUF/DFを使用した下流処理を含む単位操作のためのスケーラブルなプロセスを開発した。compB-01原薬中間体製造プロセスの概要フロー図を図11に提供する。
【0239】
小規模での初期の概念実証のために、compB-01製造プロセスを2×2.5Lバイオリアクタースケールで実行し、2.6gの最終的な原薬中間体(compB DemoロットA;0618-60)を得た。compB-01のスケールアップされた現在の良好な製造プロトコル(cGMP)製造を、200Lのバイオリアクタースケールで実行し、得られたバイオリアクター採取細胞ペーストの約10%を後続の下流処理に使用し、19.0gの最終的な原薬中間体(compB-01 GMPロットB;20-4076)を得た。
【0240】
compB-01 DemoロットA及びcompB-01 GMPロットBの製造スケールの比較を表10に提供する。compB-01製造プロセスの成功したスケールアップは、バイオリアクター採取後に回収された細胞ペーストのレベルと、GMPプロセスのための10倍高いレベルの封入体を使用した下流処理を通じて最終的な原薬中間体の7倍の増加の両方によって強調される。compB-01製造プロセスの成功したスケールアップは、両方のロットの材料が同等の産物品質属性を有することが示された表11に提供される分析的特徴付けデータによっても実証される。
表10.CompB-01原薬中間体のスケーラブルな製造
【表10-3】
【表10-4】
プロセススケールは、下流の単位操作に対応するように意図的に調整。
表11.CompB-01原薬中間体の分析的特性評価。
【表11-3】
CE-SDS=キャピラリー電気泳動ドデシル硫酸ナトリウム、CFU=コロニー形成単位、DNA=デオキシリボ核酸、EU=エンドトキシン単位、SE-HPLC=サイズ排除高性能液体クロマトグラフィー
【0241】
代替CompB産生:
現在のGMP製造のために、bompB-01(I53-50B配列)をE.coliで製造し、下流処理のための可溶性五量体として抽出する。
【0242】
I53-50B bompB-01の現在のGMP製造のために、産生株IXCB10 DCB(ロット191100308)を、E.coli株CBM179の形質転換のために、I53-50B配列をpCTY13ベクター骨格にクローニングすることによって生成した。培地中のリン酸枯渇後にcompB-01発現を駆動し、比較的穏やかな条件下で不溶性画分から抽出することができる可溶性compB-01五量体をもたらすphoAプロモーターを使用したpCYT13ベクター。
【0243】
試料製造プラットフォームを使用した代替分子の評価のために、I53-dn5A DNA配列も、E.coli株CBM179の形質転換のためにpCTY13ベクター骨格にクローニングし、発現株IVXB30をもたらした。I53-dn5AcompB産生の評価のために、I53-dn5A発現の評価のための標準的な手順を使用して、1000mLシェイクフラスコ産生培養物を増殖させた。産生後、可溶性及び不溶性の画分を細胞ペレットから単離し、SDS-PAGEによって評価した。
【0244】
図12に示すように、E.coli産生培養物からの不溶性画分において、有意なレベルのI53-dn5Aが観察された。これらの結果は、I53-50B compB-01で観察される発現パターンと一致し、別個の可溶性五量体のための共通の製造プラットフォームの使用を支持する。
【0245】
本発明は、提案されるその特定の実施形態に関連して説明されてきたが、それは更なる修正が可能であり、本出願は、概して、本発明の原理に従う本発明の任意の変形、使用、又は適応を網羅し、本発明が関連する技術分野内の既知又は慣習的な慣行の範囲内にあり、前述の本質的特徴に適用され得、添付の特許請求の範囲において以下に記載される、本開示からの逸脱を含むことが意図されることが理解される。
図1A
図1B
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図2-4】
図2-5】
図2-6】
図2-7】
図2-8】
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【配列表】
2023530095000001.app
【国際調査報告】