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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-13
(54)【発明の名称】可変体積回復を有する射出成形
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/76 20060101AFI20230706BHJP
   B29C 45/50 20060101ALI20230706BHJP
【FI】
B29C45/76
B29C45/50
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577083
(86)(22)【出願日】2020-12-21
(85)【翻訳文提出日】2023-02-01
(86)【国際出願番号】 US2020066415
(87)【国際公開番号】W WO2021257116
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】63/039,344
(32)【優先日】2020-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514159601
【氏名又は名称】アイエムフラックス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブランドン マイケル バーチマイヤー
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン エム.バーンズ
(72)【発明者】
【氏名】ジーン マイケル アルトネン
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム フランシス ローレス ザ サード
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AP062
4F206AR19
4F206JA07
4F206JD03
4F206JL02
4F206JM01
4F206JM04
4F206JN03
4F206JN12
4F206JP13
4F206JP17
(57)【要約】
金型空洞を形成する金型を有する射出成形機を制御するためのシステム及びアプローチは、第1の位置に配設されたねじを含むバレル内に、溶融ポリマーを供給することと、第1のインスタンスで、ねじを第1の位置から第2の位置に前進させて、溶融ポリマーを金型空洞内に射出して成形部品を形成することと、第1の成形部品又は成形部品の第1のセットを金型空洞から取り出すことと、を含む。更に、ねじは、第2のインスタンスで、第2の位置から第3の位置に前進されて、溶融ポリマーを金型空洞内に射出して追加の成形部品を形成する。第2の成形部品又は成形部品の第2のセットが、金型空洞から取り出される。第2の前進インスタンスの後、ねじが第1の位置に戻される回復プロファイルが、開始される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型空洞を形成する金型を有する射出成形機を制御するための方法であって、前記射出成形機が、
第1の位置に配設されたねじを含むバレル内に、溶融ポリマーを供給することと、
第1のインスタンスで、前記ねじを前記第1の位置から第2の位置に前進させて、前記溶融ポリマーを前記金型空洞内に射出して成形部品を形成することと、
前記金型空洞から第1の成形部品又は成形部品の第1のセットを取り出すことと、
第2のインスタンスで、前記ねじを前記第2の位置から第3の位置に前進させて、前記溶融ポリマーを前記金型空洞内に射出して第2の成形部品又は成形部品の第2のセットを形成することと、
前記金型空洞から第2の成形部品又は成形部品の第2のセットを取り出すことと、
前記第2の前進インスタンス後、前記ねじが前記第1の位置に戻される回復プロファイルを開始することと、を行う、方法。
【請求項2】
前記ねじを前記第1の位置から前記第2の位置に前進させるステップの後に、保持パターンを開始するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
センサを介して、前記バレル内に配設された溶融ポリマーの感知された体積、又は前記バレル内に配設された溶融ポリマーの感知された体積の好適なプロキシを判定するステップを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記センサが、ねじ位置センサ又は溶融移動センサのうちの少なくとも1つを備える、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記バレル内に配設された溶融ポリマーの前記感知された体積を、前記金型空洞に関連付けられた充填体積と比較するステップを更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記バレル内に配設された溶融ポリマーの前記体積が、前記金型空洞に関連付けられた前記充填体積よりも大きい場合にのみ、前記ねじが、前記第2の位置から前記第3の位置に前進される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
射出成形機であって、
射出ユニットであって、充填体積を有する金型空洞を形成する金型と、バレルであって、前記バレル内で移動可能であるねじを含む、バレルと、を有し、前記射出ユニットが、溶融プラスチック材料を受け入れて、前記ねじを介して前記金型空洞内に射出して、成形部品を形成するように適合されている、射出ユニットと、
前記射出ユニットと結合されたセンサであって、前記センサが、前記バレル内の前記溶融ポリマーの少なくとも1つの特性を測定するように適合されている、センサと、
前記射出ユニット及び前記センサと結合されたコントローラであって、前記コントローラが、射出サイクルに従って、前記射出成形機の動作を制御するように適合されている、コントローラと、を備え、
前記コントローラが、
前記バレルの前記測定された特性を前記空洞の前記充填体積と比較するように、かつ、
前記バレルの前記測定された特性が閾値を超えると、前記ねじを前記第1の位置から第2の位置に前進させて、前記溶融ポリマーを前記金型空洞内に射出して、第1の成形部品又は成形部品の第1のセットを形成するように適合されている、射出成形機。
【請求項8】
前記ねじの回復サイクルを開始する前に、前記コントローラが、前記センサによって感知された前記バレルの第2の特性を前記空洞の前記充填体積と比較するように更に適合されており、前記溶融ポリマーの前記第2の特性が前記閾値を超える場合、前記コントローラが、前記ねじを前記第2の位置から第3の位置に前進させて、前記溶融ポリマーを前記金型空洞内に射出して、第2の成形部品又は成形部品の第2のセットを形成するように適合されている、請求項7に記載の射出成形機。
【請求項9】
前記コントローラが、前記センサによって感知された前記バレルの第3の特性を前記空洞の前記充填体積と比較するように更に適合されており、前記溶融ポリマーの前記第3の特性が前記閾値を超える場合、前記コントローラが、前記ねじを前記第3の位置から第4の位置に前進させて、前記溶融ポリマーを前記金型空洞内に射出して、追加の成形部品を形成するように適合されている、請求項8に記載の射出成形機。
【請求項10】
前記溶融ポリマーの前記第2の特性が前記閾値未満である場合、前記コントローラが、前記ねじの前記回復サイクルを開始して、前記ねじを前記第1の位置に移動させるように適合されている、請求項8又は9に記載の射出成形機。
【請求項11】
前記センサが、前記バレル内に配設された溶融ポリマーの感知された体積を測定するように適合されている、請求項7~10のいずれか一項に記載の射出成形機。
【請求項12】
前記センサが、ねじ位置センサ又は溶融移動センサのうちの少なくとも1つを備える、請求項11に記載の射出成形機。
【請求項13】
前記閾値が、バッファ体積を含む、請求項7~12のいずれか一項に記載の射出成形機。
【請求項14】
プロセッサによって実施可能な命令を記憶する、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、前記プロセッサによって実施可能な命令が、実施されたとき、1つ以上のプロセッサに、
第1の位置に配設されたねじを含むバレル内に、溶融ポリマーを供給することと、
第1のインスタンスで、前記ねじを前記第1の位置から第2の位置に前進させて、前記溶融ポリマーを前記金型空洞内に射出して成形部品を形成する信号をアクチュエータに送信することによって、射出サイクルを開始することと、
前記金型空洞から第1の成形部品又は成形部品の第1のセットを取り出すことと、
第2のインスタンスで、前記ねじを前記第2の位置から第3の位置に前進させて、前記溶融ポリマーを前記金型空洞内に射出して成形部品を形成することと、
前記金型空洞から第2の成形部品又は成形部品の第2のセットを取り出すことと、
前記ねじが前記第1の位置に戻される回復プロファイルを開始することと、を行わせる、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
前記ねじを前記第1の位置から前記第2の位置に前進させた後、1つ以上のプロセッサに保持パターンを開始させるように更に適合されている、請求項14に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
1つ以上のプロセッサに、センサを介して、前記バレル内に配設された溶融ポリマーの感知された体積を判定させるように更に適合されている、請求項14又は15に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項17】
1つ以上のプロセッサに、前記バレル内に残っている溶融ポリマーの前記感知された体積を、前記金型空洞に関連付けられた充填体積と比較させるように更に適合されている、請求項16に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項18】
前記バレル内に残っている溶融ポリマーの前記体積が、前記金型空洞に関連付けられた前記充填体積よりも大きい場合、前記1つ以上のプロセッサに、前記ねじを前記第2の位置から前記第3の位置に更に前進させる、請求項17に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項19】
S.金型空洞を形成する金型を有する射出成形機を制御するための方法であって、前記射出成形機が、射出サイクルに従って制御され、前記方法が、
ねじを含むバレル内に、溶融ポリマーを供給することと、
前記ねじを前進させることによって、溶融ポリマーの複数の中間ショットを前記金型空洞内に射出することと、
前記複数の中間ショットの各々について、前記溶融ポリマーが前記金型空洞内で冷却する冷却ステップを実行し、前記金型空洞から成形部品又は成形部品のセットを取り出すことであって、前記複数の中間ショットについては、前記冷却ステップと前記取り出しステップとの間にエネルギーが消費されない、取り出すことと、
前記ねじを前進させることによって、溶融ポリマーの最終ショットを前記金型空洞内に射出することと、
最終冷却ステップと、成形部品又は成形部品のセットが前記金型空洞から取り出される最終取り出しステップと、を実行することであって、前記最終冷却ステップと前記最終取り出しステップとの間でエネルギーが消費される、実行することと、を含む、方法。
【請求項20】
前記射出サイクルの最高エネルギー消費値が、前記金型空洞に射出される溶融ポリマーの前記最終ショットで発生する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
金型空洞を形成する金型を有する射出成形機を制御するための方法であって、前記射出成形機は、射出サイクルに従って制御され、前記方法が、
ねじを含むバレル内に、溶融ポリマーを供給することと、
前記ねじを前進させることによって、溶融ポリマーの複数の連続ショットを前記金型空洞内に射出することと、を含み、
前記射出サイクルの最高エネルギー消費値が、前記金型空洞内に射出された溶融ポリマーの前記複数の連続ショットの最終ショットで発生する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年6月15日に出願された米国仮出願第63/039,344号の利益を主張し、その全体が、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、射出成形、より具体的には、可変体積回復機構を使用して、射出成形機を制御するためのアプローチに関する。
【背景技術】
【0003】
射出成形は、熱可塑性材料で構成された部品の大量生産に一般的に使用される技術である。反復射出成形プロセス中に、熱可塑性樹脂は、典型的に、小さなペレット又はビーズの形態で、熱と圧力の下でペレットを溶融する射出成形機に導入される。射出サイクルでは、溶融材料は、特定の所望の空洞形状を有する金型空洞に強制的に射出される。射出されたプラスチックは、金型空洞内に圧力下で保持され、その後冷却されて、金型の空洞形状に非常に似た形状を有する固化部品として除去される。単一の金型は、溶融樹脂の流れを空洞に向けるゲートによって流路に接続することができる任意の数の個別の空洞を有し得る。典型的な射出成形手順は、概して、(1)射出成形機内のプラスチックを加熱して、プラスチックが圧力下で流れることを可能にすること、(2)溶融したプラスチックを、閉じられた2つの金型半分の間に画定された1つ又は複数の金型空洞内に射出すること、(3)圧力下で、プラスチックを1つ又は複数の空洞内で冷却及び硬化させること、及び(4)金型半分を開いて、金型から部品を取り出すこと、の4つの基本動作を含む。
【0004】
従来のシステムでは、溶融したプラスチックが1つ又は複数の金型空洞内に射出された後、溶融したプラスチックを1つ又は複数の金型空洞内に射出するデバイス(例えば、ねじ又はオーガ)は、後続のサイクルを開始する前に、元の位置に戻る回復フェーズに入る。非限定的な例として、この回復プロセスは、金型から部品を取り出すと、始まり得る。この回復プロセスは、時間がかかることがあり、したがって、全体的なサイクルの非効率性につながり得る。更に、これらのシステムでは、ねじを初期位置に付勢するために、かなりのエネルギーが必要である。したがって、ねじは、回復フェーズ中、かなりの剪断力及び他の力を経験し、これが、ねじの寿命に悪影響を及ぼすことがある。
【発明の概要】
【0005】
本発明の範囲内の実施形態は、一貫性のある部品を繰り返し可能に生産するための、射出成形機の制御を対象とする。金型空洞を形成する金型を有し、射出サイクルに従って制御される射出成形機を制御するためのシステム及びアプローチは、第1の位置に配設されたねじを含むバレル内に、溶融ポリマーを供給することと、第1のインスタンスで、ねじを第1の位置から第2の位置に前進させ、溶融ポリマーを金型空洞内に射出して成形部品を形成することと、第1の成形部品又は成形部品の第1のセットを金型空洞から取り出すことと、を含む。更に、ねじは、第2のインスタンスで、第2の位置から第3の位置に前進されて、溶融ポリマーを金型空洞内に射出して追加の成形部品を形成する。第2の成形部品又は成形部品の第2のセットが、金型空洞から取り出される。第2の前進インスタンスの後、ねじが第1の位置に戻される回復プロファイルが、開始される。
【0006】
いくつかの例では、ねじが、第1の位置から第2の位置に前進された後、保持パターンが、開始される。いくつかの例では、方法は、センサを介して、バレル内に配設された溶融ポリマーの感知された体積、又はバレル内に配設された溶融ポリマーの感知された体積の好適なプロキシを判定することを含み得る。いくつかの例では、センサは、ねじ位置センサ及び/又は溶融移動(melt travel)センサの形態であり得る。
【0007】
バレル内に配設された溶融ポリマーの感知された体積は、金型空洞に関連付けられた充填体積と比較される。これらの例では、ねじは、バレル内に配設された溶融ポリマーの体積が、金型空洞に関連付けられた充填体積よりも大きい場合にのみ、第2の位置から第3の位置に前進される。
【0008】
別の態様によれば、射出成形機は、金型空洞を形成する金型及びバレルを有する射出ユニットと、射出ユニットに結合されたセンサと、射出ユニット及びセンサに結合されたコントローラと、を含む。金型空洞は、充填体積を有する。バレルは、バレル内で移動可能であるねじを含む。射出ユニットは、溶融プラスチック材料を受け入れて、ねじを介して金型空洞に射出し、成形部品を形成するように適合されている。センサは、バレル内の溶融ポリマーの少なくとも1つの特性を測定するように適合されている。コントローラは、射出サイクルに従って、射出成形機の動作を制御するように適合されている。更に、コントローラは、バレルの測定された特性を空洞の充填体積と比較するように適合されている。バレルの測定された特性が閾値を超えると、コントローラは、ねじを第1の位置から第2の位置に前進させて、溶融ポリマーを金型空洞内に射出して、第1の成形部品又は成形部品の第1のセットを形成するように構成されている。
【0009】
更に別の態様によれば、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、実施されたとき、1つ以上のプロセッサに、第1の位置に配設されたねじを含むバレル内に、溶融ポリマーを供給させる、プロセッサによって実施可能な命令を記憶するように適合されている。更に、1つ以上のプロセッサは、第1のインスタンスで、ねじを第1の位置から第2の位置に前進させて、溶融ポリマーを金型空洞内に射出して、成形部品を形成し、金型空洞から第1の成形部品又は成形部品の第1のセットを取り出し、第2のインスタンスで、ねじを第2の位置から第3の位置に前進させて、溶融ポリマーを金型空洞内に射出して、成形部品を形成し、金型空洞から第2の成形部品又は成形部品の第2のセットを取り出し、ねじが第1の位置に戻される回復プロファイルを開始する信号を、ねじ制御などのアクチュエータに送信することによって、射出サイクルを開始する。
【0010】
別の態様によれば、金型空洞を形成する金型を有する射出成形機を制御するためのアプローチが提供され、射出成形機は、射出サイクルに従って制御される。このアプローチは、ねじを含むバレル内に、溶融ポリマーを供給することと、ねじを前進させることによって、溶融ポリマーの複数の中間ショットを金型空洞内に射出することと、を含む。複数の中間ショットの各々について、溶融ポリマーが金型空洞内で冷却する冷却ステップが実行され、成形部品又は成形部品のセットが、金型空洞から取り出される。複数の中間ショットについては、冷却ステップと取り出しステップとの間にエネルギーは消費されない。溶融ポリマーの最終ショットが、ねじを前進させることによって、金型空洞内に射出され、最終冷却ステップ及び最終取り出しステップが、実行される。エネルギーは、最終冷却ステップと最終取り出しステップとの間で消費される。
【0011】
別の態様によれば、金型空洞を形成する金型を有する射出成形機を制御するためのアプローチが提供され、射出成形機は、射出サイクルに従って制御される。このアプローチは、ねじを含むバレル内に、溶融ポリマーを供給することと、ねじを前進させることによって、溶融ポリマーの複数の連続ショットを金型空洞内に射出することと、を含む。射出サイクルの最高エネルギー消費値は、金型空洞内に射出される溶融ポリマーの複数の連続ショットの最終ショットで発生する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本明細書は、本発明とみなされる主題を特に指摘し、明確に主張する特許請求の範囲で結論付けるが、本発明は、添付の図面と併せて以下の説明からより完全に理解されると考えられる。図面のうちのいくつかは、他の要素をより明確に示す目的で選択された要素を省略することによって簡略化されたものであり得る。いくつかの図面におけるこのような要素の省略は、対応する記述において明示的に描出され得る場合を除いて、例示的な実施形態のうちのいずれにおいても必ずしも特定の要素の存否を示すものではない。図面は、必ずしも一定の縮尺ではない。例えば、図中のいくつかの要素の寸法及び/又は相対的な位置付けは、本発明の様々な実施形態の理解の向上を助けるために、他の要素に対して誇張されている場合がある。
【0013】
図1】本開示の様々な実施形態による、コントローラが結合された例示的な第1の射出成形機の概略図を例解する。
図2】本開示の様々な実施形態による、射出成形機で使用するための例示的な射出サイクルを例解する。
図3】本開示の様々な実施形態による、射出成形機のための可変体積回復プロセスの例示的なフロー図を例解する。
図4】従来のアプローチによる、連続射出サイクルにわたる例示的なエネルギー消費グラフを例解する。
図5】本開示の様々な実施形態による、連続射出サイクルにわたる例示的なエネルギー消費グラフを例解する。
図6】従来のアプローチによる、連続射出サイクルにわたる例示的な総エネルギー消費グラフを例解する。
図7】本開示の様々な実施形態による、連続射出サイクルにわたる例示的な総エネルギー消費グラフを例解する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
一般的に言えば、本開示の態様は、一貫した溶融材料粘度で射出されたプラスチックの一貫した体積を確実にするために、動作パラメータが調整される、射出成形機を制御するためのシステム及びアプローチを含む。これらのシステム及びアプローチでは、第1のショットで、溶融プラスチックが金型空洞内に射出される射出サイクルの開始時に、射出成形機が元の位置に戻る回復プロファイルを開始する代わりに、機械は、「保持」位置に維持される。第1の成形部品又は成形部品の第1のセットが金型から取り出された後、機械は、次いで、第2のショットを射出し、それにより、追加の溶融ポリマーが金型空洞内に射出されて、後続の成形部品又は成形部品の後続のセットを形成する。射出成形機は、次いで、回復プロファイルを開始する前に、追加の成形部品が形成され得るかどうかを判定し、形成され得る場合、第3のショット、及び任意の連続ショットを射出し始め、それにより、追加の溶融材料が再び金型空洞内に射出されて、後続の1つ又は複数の成形部品を形成する。機械が、回復を開始する前に、追加の成形部品を形成できないと判定した場合、機械は、回復プロファイルを開始し、それによって元の位置に前進する。
【0015】
いくつかの例では、射出成形機は、まず、連続成形サイクルで使用される、残っている溶融ポリマーの体積を計算(すなわち、測定及び/又は感知)して、回復プロファイルを開始する前に、連続サイクルが実行され得るかどうかを判定する。そのような計算は、任意の数の好適なセンサ又は感知機構を介して、実行され得る。
【0016】
図面に目を向けると、射出成形プロセスが本明細書で説明される。本明細書に説明されるアプローチは、電気プレス、サーボ油圧プレス、油圧プレス、及び他の既知の機械に好適である可能性がある。図1に例解されるように、射出成形機100は、射出ユニット102及びクランプシステム104を含む。射出ユニット102は、ペレット108の形態又は任意の他の好適な形態の材料を受け入れるように適合されたホッパー106を含む。これらの例の多くでは、ペレット108は、ポリマー又はポリマーベースの材料であり得る。他の例も可能である。
【0017】
ホッパー106は、ペレット108を射出ユニット102の加熱されたバレル110に供給する。加熱されたバレル110内に供給されると、ペレット108は、第1の元の位置112aから、第1の、第2の、第3の、及び/又は任意の後続のショットを射出するためのいくつかの後続の位置まで移動可能である往復ねじ112によって、加熱されたバレル110の端部まで駆動され得る。加熱されたバレル110の加熱及び往復ねじ112によるペレット108の圧縮により、ペレット108を溶融させ、それにより、溶融プラスチック材料114を形成する。溶融プラスチック材料114は、典型的には、約130℃~約410℃の範囲内で選択された温度で処理される(特定のポリマーの製造元は、通常、射出成形機に、所与の材料に対して推奨された温度範囲を提供する)。
【0018】
動作中、射出成形機110に結合されたコントローラ140は、往復ねじ112を、第1の位置112aから第2の位置112bに前進させて、溶融プラスチック材料114をノズル116に向かって付勢して、プラスチック材料の第1のショットを形成し、このショットは、最終的に、溶融プラスチック材料114の流れを金型空洞122に向ける1つ以上のゲート120を介して、金型118の金型空洞122内に射出される。言い換えれば、往復ねじ112は、溶融プラスチック材料114に力を及ぼすように駆動される。他の実施形態では、ノズル116は、供給システム(例解せず)によって1つ以上のゲート120から分離され得る。金型空洞122は、金型118の第1の金型側面125と第2の金型側面127との間に形成され、第1及び第2の金型側面125、127は、プレス又はクランプユニット124を介して圧力下で一緒に保持される。金型空洞122は、金型空洞122に関連付けられた充填体積を有する。
【0019】
プレス又はクランプユニット124は、成形プロセス中に、2つの金型半分125、127を分離するように作用する射出圧力によって及ぼされる力よりも大きい所定のクランプ力を加え、それにより、第1及び第2の金型側面125、127を一緒に保持し、一方で、溶融プラスチック材料114は、金型空洞122に射出される。これらのクランプ力を支持するために、クランプシステム104は、タイバーなどの任意の他の数の構成要素に加えて、金型フレーム及び金型ベースを含み得る。
【0020】
溶融プラスチック材料114の第1のショットが、金型空洞122内に射出されると、往復ねじ112は、前方への動きを停止する。溶融プラスチック材料114は、金型空洞122の形態を取り、プラスチック材料114が固化するまで金型118内で冷却される。固化すると、プレス124は、第1及び第2の金型側面115、117を解放し、これらは次いで、互いに分離される。次いで、完成した部品は、金型118から取り出され得る。金型118は、全体的な生産率を高めるために、任意の数の金型空洞122を含み得る。空洞の形状及び/又は設計は、互いに同一、類似、及び/又は異なる場合がある。例えば、組み合わせ金型は、互いに嵌合するか、さもなければ動作することを目的とした関連する構成部品の空洞を含み得る。いくつかの形態では、「射出サイクル」は、射出の開始と取り出しとの間に実行されるステップ及び機能として定義される。
【0021】
前述のように、射出成形機100はまた、接続145を介して機械100と通信可能に結合されたコントローラ140を含む。接続145は、電子信号を送信及び/又は受信するように適合された任意の種類の有線及び/又は無線通信プロトコルであり得る。これらの例では、コントローラ140は、少なくとも1つのセンサ、例えば、ノズル116内又はその近くに位置するセンサ128、及び/又は金型空洞122内又はその近くに位置するセンサ129と信号通信している。いくつかの例では、センサ128は、ねじ112の先端に位置し、センサ129は、射出機100のマニホルド又はランナーに位置する。代替的に、センサ128は、ねじ112のチェックリングの前の任意の位置に位置し得る。金型118及び/又は機械100の任意の数の特性を感知することができる任意の数の追加の実センサ及び/又は仮想センサが、機械100の所望の場所で使用され、所望の位置に配置され得る。いくつかの例では、センサ128は、ねじ位置センサ又は溶融移動センサの形態であり得る。更なる例として、金型空洞122内の流頭進行を検出することができる任意の種類のセンサが使用され得る。
【0022】
コントローラ140は、射出成形機100に対していくつかの位置に配設することができる。例として、コントローラ140は、機械100と一体であるか、機械に取り付けられた筐体に含まれるか、機械に隣接若しくは近接して位置付けられる別個の筐体に含まれるか、又は機械から離れて位置付けられることができる。いくつかの実施形態では、コントローラ140は、当技術分野で知られている及び/又は一般的に使用されている有線及び/又は有線信号通信を介して、機械の機能を部分的又は完全に制御することができる。
【0023】
センサ128は、後続のショットで使用される、バレル110内に残っている溶融プラスチック材料114の体積を判定するために、溶融プラスチック材料114及び/又は機械100の一部(例えば、バレル110及び/又はねじ112)の1つ以上の特性を(直接的又は間接的のいずれかで)測定するように適合されている任意のタイプのセンサであり得る。センサ128は、溶融プラスチック材料114と直接接触する場合、又はしない場合がある。
【0024】
センサ128は、コントローラ140の入力に送信される信号を生成する。センサ128がノズル116内に位置していない場合、コントローラ140は、測定された特性の値(すなわち、バレル110内の溶融プラスチック材料114の残っている体積)を推定又は計算するための適切な補正係数を提供するために、論理、コマンド、及び/又は実施可能なプログラム命令を用いて設定、構成、及び/又はプログラムされ得る。例えば、前述のように、センサ128は、ねじ位置又は溶融移動を測定するようにプログラムされ得る。
【0025】
射出成形機100に組み込まれる場合、センサ129は、溶融プラスチック材料114の1つ以上の特性を(直接的又は間接的のいずれかで)測定して、金型空洞122内の溶融プラスチック材料114の存在及び/又は状態を検出するように適合されている任意のタイプのセンサであり得る。様々な実施形態では、センサ129は、金型空洞122内の充填終了位置又はその近くに位置し得る。センサ129は、例えば、圧力、温度、粘度、流量、硬度、ひずみ、半透明性、色、光屈折、及び/又は光反射などの光学特性などの当技術分野で知られている溶融プラスチック材料114及び/又は金型空洞122の任意の数の特性、若しくはこれらを示す任意の数の追加の特性のうちの任意の1つ以上を測定し得る。センサ129は、溶融プラスチック材料114と直接接触する場合、又はしない場合がある。一例として、センサ129は、空洞122内の溶融プラスチック材料114の空洞圧力を測定する圧力変換器であり得る。センサ129は、コントローラ140の入力に送信される信号を生成する。任意の数の追加のセンサを使用して、動作パラメータを感知及び/又は測定し得る。
【0026】
コントローラ140はまた、ねじ制御126と信号通信している。いくつかの実施形態では、コントローラ140は、コントローラ140の出力からねじ制御126に送信される信号を生成する。コントローラ140は、(ねじ制御126を制御して、ねじ112を、ノズル116内の溶融プラスチック材料114に対応する所望の値を維持する速度で前進させることによる)射出圧力、バレル温度、クランプの閉速度及び/若しくは開速度、冷却時間、射出前進時間、全体のサイクル時間、圧力設定値、取り出し時間、ねじ回復速度、ねじが回復を開始する時間、並びに/又はねじ112に及ぼされる背圧値などの機械の任意の数の特性を制御することができる。
【0027】
コントローラ140からの1つ又は複数の信号は、一般に、材料粘度、金型温度、溶融温度の変動、及び充填速度に影響を与える他の変動がコントローラ140によって考慮されるように、成形プロセスの動作を制御するために使用され得る。代替的又は追加的に、コントローラ140は、体積及び/又は粘度などの材料特性を制御するために必要な調整を行い得る。調整は、リアルタイム又はほぼリアルタイムで(すなわち、センサ128、129の感知値とプロセスに加えられる変更との間の最小の遅延で)コントローラ140によって行われ得るか、又は補正が後続のサイクルで行われ得る。更に、任意の数の個々のサイクルから導出されるいくつかの信号が、成形プロセスを調整するための基礎として使用され得る。コントローラ140は、当技術分野で知られている任意の種類の信号通信アプローチを介して、センサ128、129、ねじ制御126、及び/又は機械100内の任意の他の構成要素に接続され得る。
【0028】
コントローラ140は、その動作を制御するように適合されたソフトウェア141、任意の数のハードウェア要素142(例えば、非一時的メモリモジュール及び/又はプロセッサなど)、任意の数の入力143、任意の数の出力144、及び任意の数の接続145を含む。ソフトウェア141は、非一時的なコンピュータ可読媒体の形態でコントローラ140の非一時的なメモリモジュールに直接ロードされ得るか、又は代替的にコントローラ140から離れて位置し、任意の数の制御アプローチを介してコントローラ140と通信し得る。ソフトウェア141は、金型サイクルに従って射出成形機100を制御するための論理及び/又はコマンドを含み得る論理、コマンド、及び/又は実施可能なプログラム命令を含む。ソフトウェア141は、オペレーティングシステム、動作環境、アプリケーション環境、及び/又はユーザインターフェースを含む場合、又は含まない場合がある。
【0029】
ハードウェア142は、入力143を使用して、コントローラ140によって制御されている射出成形機から信号、データ、及び情報を受信する。ハードウェア142は、出力144を使用して、信号、データ、及び/又は他の情報を射出成形機に送信する。接続145は、信号、データ、及び情報がコントローラ140とその射出成形機100との間で送信され得る経路を表す。様々な実施形態では、この経路は、物理的接続、又は本明細書に記載されるか若しくは当技術分野で知られている任意の様式で構成された、直接的又は間接的な、物理的接続に類似して機能する非物理的通信リンクであり得る。様々な実施形態では、コントローラ140は、当技術分野で知られている任意の追加又は代替の様式で構成され得る。
【0030】
接続145は、信号、データ、及び情報がコントローラ140と射出成形機100との間で送信され得る経路を表す。様々な実施形態では、これらの経路は、本明細書に記載されるか又は当技術分野で知られている任意の方法で構成された、直接又は間接の物理的接続のいずれかと同様に機能する物理的接続又は非物理的通信リンクであり得る。様々な実施形態では、コントローラ140は、当技術分野で知られている任意の追加又は代替の様式で構成され得る。
【0031】
図2に例解されるように、可変体積回復技術を組み込んだ例示的な射出成形サイクルが提供され、経時的な溶融圧力が、実線で示され、経時的な往復ねじ112の長手方向位置が、破線で示されている。溶融ポリマー114をバレル110内に供給すると、図2のステップ「I」に例解されるように、往復ねじ112が、前方に前進し始め、それにより、第1のショットを射出し始め、それにより、溶融プラスチック材料114が、金型空洞122内に供給される。往復ねじ112のこの前進は、(図2のステップ「II」に例解されるような)所望の定常保持圧力が得られるまで、溶融圧力を増加させる。ここで、往復ねじは、第2の位置112bに位置する(図1)。図2に例解されるように、いくつかの例では、往復ねじ112は、この保持時間中、所望の保持圧力を維持するために、ゆっくりと前方に前進し続け得る。この間に、成形部品が冷却される。
【0032】
次に、ステップ「III」で、金型空洞122が開き(したがって、空洞圧力の急激な低下)、第1の成形部品又は成形部品の第1のセットが、金型空洞122から取り出される。前述のように、往復ねじ112は、第2の位置112bに維持され、往復ねじ112が第1の位置112aに戻る回復プロファイルにはまだ入らない。以下で考察されるように、いくつかの例では、機械100は、金型空洞が閉じられて、コントローラ140が第2の射出サイクルを開始するステップ「IV」に進むための十分な溶融ポリマー114がバレル110内に残っているかどうかを判定し得る。ステップIと同様に、このステップでは、往復ねじ112が、再び前方に前進し、第2のショットを射出し始め、その結果、溶融プラスチック材料114が、金型空洞122内に供給される。前述のように、往復ねじ112のこの前進により、(図2のステップ「V」に例解されるように)所望の定常保持圧力が得られるまで、溶融圧力が増加する。ここで、往復ねじは、第3の位置112cに位置する(図1)。前述のように、いくつかの例では、往復ねじ112は、この保持時間中、所望の保持圧力を維持するために、ゆっくりと前方に前進し続け得る。この間に、成形部品が冷却される。
【0033】
もう一度、ステップ「VI」で、金型空洞122が開き、第2の成形部品又は成形部品の第2のセットが、金型空洞122から取り出される。例解される例では、第2の射出サイクルが完了すると、コントローラ140は、回復プロファイルを開始し、その間、往復ねじ112が、初期の第1の位置112aに戻り、その結果、後続の射出サイクルが、新しい溶融ポリマー114で実行され得る。いくつかの例では、回復プロファイルは、冷却フェーズで起こり得る。以下でより詳細に説明されるように、いくつかの例では、コントローラ140は、第3、第4、第5、第6、又はそれを超える追加のショットを完了させるために、往復ねじ112を前進させ得、それにより、溶融ポリマー114が、バレル110内に配設された溶融ポリマー114の総体積に応じて、金型空洞122内に射出される。
【0034】
いくつかの例では、射出圧力は、これらのステップ(例えば、射出、金型開閉、及び/又は回復)のいずれかの間に、選択的に調整され得ることが理解される。より具体的には、金型開放/部品取り出しステップの間、圧力が低減され得る一方、往復ねじ112は、その位置を維持する。
【0035】
いくつかの例では、コントローラ140及びセンサ128は、感知された特性(例えば、バレル110内の溶融ポリマー114の量又は体積)を判定するように協働し得る。この計算は、ねじの位置及び/又は溶融ポリマー114の溶融移動を判定することによって、実行され得る。他の好適なアプローチも可能である。いくつかの例では、第1の射出サイクルを開始する前に、コントローラ140及びセンサ128は、バレル110内に配設された溶融ポリマー114の量若しくは体積、又はバレル内のねじの位置若しくは溶融圧力などのそのような量若しくは体積の好適なプロキシを自動的に判定し、この値を1つ又は複数の金型空洞122の全体的な体積と比較し得る。非限定的な例として、1つ又は複数の金型空洞122の総体積は、約1~1,000グラムであり得、バレル110内に配設された溶融ポリマー114の内部体積は、約10~5,000グラムであり得る。いくつかの例では、1つ又は複数の金型空洞122の総体積は、センサ(例えば、センサ129)を介して計算され得、他の例では、この総体積は、初期化プロセス中に、コントローラ140に提供され得る。これらの体積を判定すると、コントローラ140は、バレル110内に配設された利用可能な溶融ポリマー114がなくなる前に実行され得る連続ショットの数の予備計算を実行し得る。この例では、バレル110は、第1の位置112aに戻って回復プロファイルを開始することを必要とせずに、5回の連続ショットを実行するのに十分な溶融ポリマー114を含む。
【0036】
追加の非限定的な例として、各ショットが、バレル110内に配設された溶融ポリマー114の体積の約20%を必要とする場合、機械100は、回復プロファイルに入る前に、5回の連続ショットを実行することが可能であり得る。しかしながら、いくつかの例では、十分な溶融ポリマー114がバレル内に残ることを確実にするために、「閾値」、「バッファ」、又は「クッション」が、実装され得る。例えば、コントローラ140は、1つ又は複数の金型空洞122の総体積を超える約5%~約15%のバッファを考慮し得る。したがって、これらの例では、コントローラ140は、ショットを実行する前に、1つ又は複数の金型空洞122内の体積に加えて、バッファ値がバレル110内に存在することを必要とし得る。したがって、各ショットが、バレル110内に配設された溶融ポリマー114の体積の約20%を必要とする上記の例では、コントローラは、5~15%のバッファを考慮するために、回復プロファイルを開始する前に、4回の連続ショットが完了されることのみを可能にし得る。他の例も可能である。
【0037】
いくつかのアプローチでは、コントローラ140及びセンサ128は、利用可能な溶融ポリマー114の「オンザフライ」計算を実行するために協働し得る。より具体的には、機械100が第1のショットを実行すると、コントローラ140は、センサ128に、バレル110内に配設された溶融ポリマー114の残っている体積を判定させ得る。次いで、コントローラ140は、この残っている体積が、1つ又は複数の金型空洞122の総充填体積(任意の追加の所望のバッファ値を加えた)よりも大きいかどうかを判定し、大きい場合、コントローラ140は、次いで、往復ねじ112を前進させて、溶融ポリマー114の追加のショットを金型空洞122内に射出し得る。溶融ポリマー114の追加ショットを射出するプロセスは、コントローラ140が、後続のショットを実行するのに十分な溶融ポリマー114がバレル110内に残っていないと判定するまで、継続し得る。いくつかの例では、コントローラ140は、ねじ122が、溶融ポリマー114の後続のショットを金型空洞122内に射出するのに十分な移動長を有するかどうかを追加的に確認し得る。他の例も可能である。
【0038】
これらの射出サイクルが完了すると(及び、いくつかの例では、所望の数のショットが実行されたと、又は別のショットを完了するためにバレル110内に残っている溶融ポリマー114の体積が不十分であると判定すると)、往復ねじ112が第1の位置112aに戻る回復プロファイルが、開始される(図2のステップ「VII」)。このとき、コントローラは、バレル110内の利用可能な溶融ポリマー114の追加の比較を実行し得るか、又は第1のショートを実行するのに十分な溶融ポリマー114がバレル110内に存在するであろうという仮定によって、単純に第1のサイクルを開始し得る。しかしながら、いくつかの環境では、溶融ポリマー114が正常にバレル110に入ることを確実にするためのフェイルセーフとして機能するために、第1のショットを射出する前に、比較を組み込むことが望ましい場合がある。
【0039】
図3に例解されるように、例示的な可変体積回復プロセス300が説明される。まず、ステップ302で、溶融ポリマー114が、バレル110内に供給される。ステップ304で、往復ねじ112が前進されて、溶融ポリマー114のショットを金型空洞122内に射出する。ステップ306で、コントローラ140は、センサ128からの感知値を使用して、バレル110内に残っている溶融ポリマー114が、金型空洞122を充填するのに十分であるかどうかを判定する。バレル110内に配設された、残っている溶融ポリマー114が、金型空洞122を充填するのに十分である場合、プロセス300は、ステップ308に進み、往復ねじ112が再び、後続の位置に前進されて、溶融ポリマーの追加のショットを射出する。次いで、プロセス300は、ステップ306に戻り、コントローラ140が、感知値を使用してセンサ128を形成し、バレル110内に残っている溶融ポリマー114が、金型空洞122を充填するのに十分であるかどうかを判定する。ステップ306で、残っている溶融ポリマー114が、金型空洞122を充填するのに十分でない場合、プロセス300は、ステップ310に前進し、往復ねじ112を第1の位置に戻す回復プロファイルが、開始される。次いで、プロセス300は、ステップ302に進み、溶融ポリマー114が、バレル110内に供給される。
【0040】
可変体積回復プロセスを組み込むことによって、機械100は、長期間にわたって、従来の射出成形機よりも実質的に少ないエネルギーを使用し得る。より具体的には、可変体積回復プロセス下での溶融ポリマーの10ショットを、従来の回復アプローチ下での溶融ポリマーの10ショットと比較した場合、各ショット後に往復ねじが初期位置に戻ることを必要とする従来のプロセスと比較して、往復ねじ112が、より少ない回数、初期位置112aに戻ることに起因して、エネルギーが、大幅に低減される。その結果、全体的に、より少ないエネルギーが消費される。図4及び図5を参照すると、各連続ショット後にねじが回復する従来の射出成形プロセス(図4)は、第1のショット後、機械が完全なねじ回復を受けるが、その後の3回のショットでは回復しない、図5によって表されるシステムよりも実質的に多くのエネルギーを必要とする。このように構成された例解される例では、本明細書に記載の可変体積回復プロセスは、従来のアプローチを使用して3つの射出サイクルを実行するのに必要とされる同じ量のエネルギーを使用して、4つの射出サイクルを射出し得る。例えば、機械のサイズ(トン数)及びタイプ(例えば、油圧、ハイブリッド、電気など)などの様々な要因が、従来の回復アプローチに対する、可変体積回復を使用して実行され得る同等のサイクル数の比に影響を与え得ることが理解されよう。
【0041】
図6及び図7を参照すると、複数のショットの(例えば、3つの連続ショットの)例示的な総エネルギー消費グラフが、提供されている。図6に例解されるように、従来のアプローチでは、連続ショットの総エネルギー使用量は、各ショット後にねじが回復するため、ほぼ一定である。しかしながら、本明細書に記載の例示的な可変体積回復プロセスを使用する図7の例解される例では、複数の連続ショットの最高エネルギー消費値は、複数の連続ショットの最後で発生する。したがって、可変体積回復プロセスは、ねじが回復しないショット当たり、より少ないエネルギーを使用するが、消費される全体的なエネルギーも、従来の回復アプローチと比較して、より少ない。
【0042】
追加的に、いくつかの環境では、本明細書に記載の可変体積回復プロセスは、時間の節約をもたらし得る。往復ねじが回復するために、部品を冷却して取り出すよりも時間がかかるシステムでは、機械は、後続のショットを射出する前に、ねじが回復するのを待つ必要がないため、本明細書に記載の可変体積回復プロセスを使用することにより、サイクル時間の節約がもたらされるであろう。むしろ、本明細書に記載の可変体積回復プロセスは、成形部品が、冷却され、金型空洞122から取り出された(及び金型空洞122が再び閉じられた)直後に、後続のショットが射出されることを可能にする。往復ねじ114をランプアップ及びランプダウンすることを、3~6サイクルごとから1つの射出サイクルに削減することによって、プロセスは、全体的に、より少ない時間を必要とする。そのようなシステムは、回復時間が、必要な取り出し前の冷却時間よりも長く、その結果、回復動作が、事実上、サイクル時間の制御変数である成形動作に特に有益であり得る。
【0043】
任意の数の代替的な特徴及び/又はアプローチが、可変体積回復プロセスに組み込まれ得ることが理解される。例えば、いくつかのアプローチでは、コントローラ140は、機械100が、安全対策としてシャットダウンを経験した後に、往復ねじ112を第1の位置112に自動的に回復させるように構成され得る。更に、いくつかの例では、コントローラは、いくつの部品がマルチ部品金型で作製され得るかを知り得、バレル110内に残っている溶融ポリマーが、各金型空洞を完全に充填するのに十分でない場合、ねじを前進させて、特定の数の部品を成形することが可能であり得る。そのような例では、本明細書に記載のアプローチは、バレル内に配設された溶融プラスチック材料をより完全に利用するために、及び/又は所望の生産ランをより正確に満たすためにを使用され得る。他の例も可能である。
【0044】
いくつかのアプローチでは、射出成形機は、様々な体積のショットを射出し得る。例えば、金型が、所望の数の金型空洞を動的に閉じ得る射出成形機では、機械は、開放された金型空洞の充填体積を判定し、対応する体積を有する溶融プラスチック材料のショットを射出し得る。更に、構成要素(すなわち、チェックリング)が誤動作を示し得る例では、ねじは、この誤動作を補償するために、異なる長さを移動する必要があり得る。更に、いくつかの例では、立方体金型などの金型が、立方体の各対応する面ごとに異なる空洞及び部品レイアウトを有する可能性があり得、それにより、どの金型面がアクティブであるかに応じて、材料の可変体積が必要となり得る。他の例も可能である。
【0045】
本明細書に記載の可変体積回復プロセスは、従来の射出成形システム、低く実質的に一定圧力のアプローチを組み込んだ射出成形システム、及び任意の他のシステムに有利に組み込まれ得る。
【0046】
そのように構成された可変体積回復プロセスは、エネルギーの節約及び時間の節約の両方をもたらす。更に、可変体積回復プロセスは、往復ねじが初期位置に戻されなければならない回数を低減することにより、往復ねじの摩耗の低減をもたらす。電気射出成形機を使用するシステムでも、サーボモータの寿命は、より長い時間でより少ないサイクルを経験することに起因して延長され得、このことは、回復プロファイルを開始するために必要な慣性が、典型的には、モータの最大の消耗の原因の1つであるので、より短い持続時間を有するサイクル数を増やすことよりも好ましい。
【0047】
熱可塑性射出成形プロセスが本明細書に記載されているが、本開示の実施形態は、例えば、金属射出成形(MIM)、反応射出成形(RIM)、液体射出成形(LIM)、構造用発泡体成形、及び液晶ポリマー(LCP)成形などの他の射出成形プロセスにも関連し得ることが理解されるであろう。他の例も可能である。
【0048】
当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、上述の実施形態に関して多種多様な修正、変更、及び組み合わせを行うことができ、そのような修正、変更、及び組み合わせは本発明の概念の範囲内にあるとみなすべきであることを認識するであろう。
【0049】
また、本特許出願の最後にある特許請求の範囲は、特許請求項において明示的に列挙される「~するための手段」又は「~するためのステップ」などの、伝統的な手段・プラス・機能用語が明示的に列挙されていない限り、米国特許法第112条(f)に基づいて解釈されることを意図するものではない。本明細書に記載のシステム及び方法は、コンピュータ機能の改善、及び従来のコンピュータの機能の改善を対象とする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】