(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-13
(54)【発明の名称】ポリ塩化ビニル、ポリカーボネートおよびコポリエステル組成物、ならびにこれらの組成物を使用して作製された物品
(51)【国際特許分類】
C08L 27/06 20060101AFI20230706BHJP
C08L 69/00 20060101ALI20230706BHJP
C08L 67/02 20060101ALI20230706BHJP
C08G 63/183 20060101ALI20230706BHJP
【FI】
C08L27/06
C08L69/00
C08L67/02
C08G63/183
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577089
(86)(22)【出願日】2021-06-10
(85)【翻訳文提出日】2023-02-10
(86)【国際出願番号】 US2021036792
(87)【国際公開番号】W WO2021257370
(87)【国際公開日】2021-12-23
(32)【優先日】2020-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594055158
【氏名又は名称】イーストマン ケミカル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100168066
【氏名又は名称】鈴木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】ヤング,ロバート・エリック
(72)【発明者】
【氏名】ドネルソン,マイケル・ユージン
(72)【発明者】
【氏名】トリース,マーク・アラン
【テーマコード(参考)】
4J002
4J029
【Fターム(参考)】
4J002BD031
4J002BD041
4J002BD051
4J002BD181
4J002CF053
4J002CG012
4J002GL00
4J002GN00
4J002GQ00
4J029AA03
4J029AB01
4J029AB07
4J029AC02
4J029AD01
4J029AD07
4J029BA03
4J029BD02
4J029BD07A
4J029CB06A
(57)【要約】
本開示は、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂およびコポリエステル樹脂を含む新規ポリ塩化ビニル組成物に関する。より詳細には、本開示は、ポリ塩化ビニル組成物のTgおよび荷重熱変形温度(HDTUL)を上昇させるためにポリカーボネートと高ガラス転移温度(Tg)コポリエステルの混和物を含むポリ塩化ビニル組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のポリ塩化ビニル樹脂、少なくとも1種のポリカーボネート樹脂および少なくとも1種のコポリエステル樹脂を含むポリ塩化ビニル組成物であって、少なくとも1種のコポリエステル樹脂が、
(a)
(i)約90~約100モル%のテレフタル酸残基、ならびに
(ii)約0~約10モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族および/または脂肪族のジカルボン酸残基
を含むジカルボン酸成分と、
(b)
(i)約20~約60モル%の、2~20個の炭素原子からなる第1のグリコールの残基、および
(ii)約40~約80モル%の、2~20個の炭素原子からなる第2のグリコールの残基
を含むグリコール成分と
を含み、ジカルボン酸成分の全モル%が100モル%であり、グリコール成分の全モル%が100モル%である、ポリ塩化ビニル組成物。
【請求項2】
第1のグリコールが20~40モル%の量で存在し、第2のグリコールが60~80モル%の量で存在する、請求項1に記載のポリ塩化ビニル組成物。
【請求項3】
前記第1のグリコールが1,4-シクロヘキサンジメタノールであり、前記第2のグリコールがエチレングリコールであり、または前記第1のグリコールが2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールであり、第2のグリコールが1,4-シクロヘキサンジメタノールである、請求項1に記載のポリ塩化ビニル組成物。
【請求項4】
コポリエステルのインヘレント粘度が、25℃にて60/40(重量/重量)のフェノール/テトラクロロエタン中0.25g/50mlの濃度で決定して約0.50~約0.80dL/gである、請求項1に記載のポリ塩化ビニル組成物。
【請求項5】
コポリエステルのTgが少なくとも約90℃以上であり、またはコポリエステルのTgが少なくとも約100℃以上である、請求項1に記載のポリ塩化ビニル組成物。
【請求項6】
ポリ塩化ビニル組成物中のポリ塩化ビニル樹脂の含有量に対して、ポリカーボネートが樹脂100部当たり約1~約50部(phr)であり、コポリエステルが、樹脂100部当たり約1~約100部(phr)である、請求項1に記載のポリ塩化ビニル組成物。
【請求項7】
コポリエステルが非晶質であり、またはコポリエステルが約5分以上の半結晶化時間を有する、請求項1に記載のポリ塩化ビニル組成物。
【請求項8】
前記ポリ塩化ビニル樹脂が、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化ポリ塩化ビニル樹脂またはそれらのアロイである、請求項1に記載のポリ塩化ビニル組成物。
【請求項9】
前記ポリカーボネート樹脂がビスフェノールベースのポリカーボネート樹脂であり、または前記ポリカーボネート樹脂がビスフェノールAベースのポリカーボネート樹脂である、請求項1に記載のポリ塩化ビニル組成物。
【請求項10】
コポリエステルが、約170~約230℃およびせん断速度10(1/s)で測定して約100~約100,000Pa・s(約1,000~約1,000,000ポアズ)の粘度範囲を有する、請求項1に記載のポリ塩化ビニル組成物。
【請求項11】
重量分率に基づくポリ塩化ビニル樹脂:コポリエステルの比が約1より大きく、または重量分率に基づくポリ塩化ビニル樹脂:コポリエステルおよびポリカーボネートの比が約1より大きい、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
ポリ塩化ビニル組成物を生成する方法であって、
少なくとも1種のポリカーボネート樹脂と少なくとも1種の非晶質コポリエステル樹脂の混和可能な混和物を配合して、粘稠な熱可塑性材料を生成するステップであり、少なくとも1種の非晶質コポリエステル樹脂が、
(a)
(i)約90~約100モル%のテレフタル酸残基、ならびに
(ii)約0~約10モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族および/または脂肪族のジカルボン酸残基
を含むジカルボン酸成分と、
(b)
(i)約20~約60モル%の、2~20個の炭素原子からなる第1のグリコール、および
(ii)約40~約80モル%の、2~20個の炭素原子からなる第2のグリコール
を含むグリコール成分と
を含み、ジカルボン酸成分の全モル%が100モル%であり、グリコール成分の全モル%が100モル%である、ステップと、
コンパウンドを少なくとも1種のポリ塩化ビニル樹脂組成物とブレンドするステップと、
ブレンドをカレンダリング、押出または射出成形プロセスに導入して、ポリ塩化ビニル物品を生成するステップと
を含む、方法。
【請求項13】
第1のグリコールが20~40モル%の量で存在し、第2のグリコールが60~80モル%の量で存在する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のグリコールが1,4-シクロヘキサンジメタノールであり、前記第2のグリコールがエチレングリコールであり、または前記第1のグリコールが2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールであり、第2のグリコールが1,4-シクロヘキサンジメタノールである、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
請求項12に記載の方法を使用して作製されたポリ塩化ビニル物品であって、TgおよびHDTUL(荷重熱変形温度)が少なくとも3℃上昇する、ポリ塩化ビニル物品。
【請求項16】
請求項12に記載の方法を使用して作製されたポリ塩化ビニル物品であって、最大で110℃のTgまたは最大で130℃のHDTULを有する、ポリ塩化ビニル物品。
【請求項17】
前記ポリ塩化ビニル樹脂組成物が、加工助剤、可塑剤、安定剤、耐衝撃性改良剤、殺生物剤、難燃剤、起泡剤、発泡剤、熱安定剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、鉱物、顔料、染料、着色剤、充填剤、繊維、ワックス、融合促進剤、酸化防止剤、帯電防止剤、剥離剤、潤滑剤、追加の樹脂、および熱変形温度改良剤からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含む、請求項12に記載のポリ塩化ビニル組成物。
【請求項18】
前記ポリ塩化ビニル樹脂が、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化ポリ塩化ビニル樹脂、もしくはそれらのアロイであり、かつ/または前記ポリ塩化ビニル樹脂組成物が硬質である、請求項12に記載のポリ塩化ビニル組成物。
【請求項19】
前記ポリカーボネート樹脂がビスフェノールベースのポリカーボネート樹脂であり、または前記ポリカーボネート樹脂がビスフェノールAベースのポリカーボネート樹脂である、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
コポリエステルが、組成物中のPVC樹脂の含有量に対して樹脂100部当たり約1~約100部(phr)であり、またはポリカーボネートが、組成物中のポリ塩化ビニル樹脂の含有量に対して樹脂100部当たり約1~約50部(phr)である、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、新規ポリ塩化ビニル組成物に関する。より詳細には、本開示は、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂およびコポリエステル樹脂を含む新規組成物に関する。より詳細には、本開示は、ポリ塩化ビニル組成物のTgおよび荷重熱変形温度(HDTUL)を上昇させるためにポリカーボネート樹脂と高ガラス転移温度(Tg)コポリエステル樹脂の混和物を含むポリ塩化ビニル組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]硬質ポリ塩化ビニル(PVC)配合物は、バイナルサイディング、窓プロファイル、デッキングプロファイル、フェンシングおよびレイリング用材などの物品を作製するために長年使用されてきた。これらの製品は、典型的に白色、灰白色、ベージュ色または明るく淡い緑色、青色、および黄色などより明るい色に限定されており、暗く濃い色は典型的に提供されていない。明るい色に限定されている理由は、これらの配合物が、高温および太陽スペクトルの赤外部分の吸収のために硬質PVC配合物のガラス転移温度(Tg)および荷重熱変形温度(HDTUL)を超えるおそれがことである。
【0003】
[0003]これらの製品の製造業者は、製品の歪みを低減するためにこれらの設計および色の提供を限定しなければならなかった。または、製造業者は、PVC配合物のTgおよびHDTULを上げるためにα-メチルスチレンアクリロニトリルコポリマー(AMSAN)などの材料を使用しようと試みた。これらの選択肢は、欠点を有し、これらの製品を使用することができる地理的地域を限定することが多く、または対処しなければならない加工および製品の欠陥を生み出す。例えば、AMSANは、熱安定性劣化、黄変の増加および衝撃特性の損失をもたらす。本開示では、驚くべきことに、いくつかのポリカーボネート樹脂および高Tgコポリエステル組成物は、加工特性に不利益な効果なしに典型的な硬質PVC加工温度で溶融加工可能であること、ならびに衝撃特性を損失することなくTgおよびHDTULを上げることが発見された。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004]本開示のポリ塩化ビニル組成物は、少なくとも1種のポリ塩化ビニル樹脂、少なくとも1種のポリカーボネート樹脂および少なくとも1種のコポリエステル樹脂を含む。
[0005]本開示の一実施形態は、少なくとも1種のポリ塩化ビニル樹脂、少なくとも1種のポリカーボネート樹脂および少なくとも1種のコポリエステル樹脂を含むポリ塩化ビニル組成物であって、少なくとも1種のコポリエステル樹脂が、
(a)
(i)約90~約100モル%のテレフタル酸残基、ならびに
(ii)約0~約10モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族および/または脂肪族のジカルボン酸残基
を含むジカルボン酸成分と、
(b)
(i)約20~約60モル%の、2~20個の炭素原子からなる変性用グリコール、および
(ii)約40~約80モル%の、2~20個の炭素原子からなる第2の変性用グリコール
を含むグリコール成分と
を含み、ジカルボン酸成分の全モル%が100モル%であり、グリコール成分の全モル%が100モル%である、ポリ塩化ビニル組成物である。
【0005】
[0006]本開示の一実施形態は、少なくとも1種のポリ塩化ビニル樹脂、少なくとも1種のポリカーボネート樹脂および少なくとも1種のコポリエステル樹脂を含むポリ塩化ビニル組成物であって、少なくとも1種のコポリエステル樹脂が、
(a)
(i)約50~約100モル%のテレフタル酸残基、ならびに
(ii)約0~約50モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族および/または脂肪族のジカルボン酸残基
を含むジカルボン酸成分と、
(b)
(i)約60~約100モル%の、2~20個の炭素原子からなる変性用グリコール、および
(ii)約0~約40モル%の、2~20個の炭素原子からなる第2の変性用グリコール
を含むグリコール成分と
を含み、ジカルボン酸成分の全モル%が100モル%であり、グリコール成分の全モル%が100モル%である、ポリ塩化ビニル組成物である。
【0006】
[0007]一実施形態において、コポリエステルのTgは、少なくとも約90℃以上である。
[0008]一実施形態において、コポリエステルのTgは、少なくとも約100℃以上である。
【0007】
[0009]一実施形態において、コポリエステルは非晶質である。
[0010]一実施形態において、コポリエステルは、約5分以上の半結晶化時間を有する。
[0011]一実施形態において、PVC組成物中のコポリエステル樹脂含有量は、組成物中のPVC樹脂含有量に対して樹脂100部当たり約1~約100部(phr)である。
【0008】
[0012]一実施形態において、PVC組成物中のポリカーボネート樹脂含有量は、組成物中のPVC樹脂含有量に対して樹脂100部当たり約1~約50部(phr)である。
[0013]一実施形態において、PVC組成物中のPVC樹脂含有量に対して、PVC組成物中のポリカーボネート樹脂含有量は、樹脂100部当たり約1~約50部(phr)であり、コポリエステル樹脂含有量は、樹脂100部当たり約1~約100部(phr)である。
【0009】
[0014]一実施形態において、ポリ塩化ビニル組成物は硬質である。
[0015]一実施形態において、ポリ塩化ビニル樹脂は、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化ポリ塩化ビニル樹脂、またはそれらのアロイである。
【0010】
[0016]一実施形態において、ポリカーボネート樹脂は、ビスフェノールベースのポリカーボネート樹脂である。
[0017]重量分率に基づくポリ塩化ビニル樹脂:コポリエステルの比が、約1より大きい、請求項1または2に記載の組成物。
【0011】
[0018]重量分率に基づくポリ塩化ビニル樹脂:コポリエステルおよびポリカーボネートの比が、約1より大きい、請求項1または2に記載の組成物。
[0019]本開示の一実施形態は、ポリ塩化ビニル組成物を生成する方法であって、少なくとも1種のポリ塩化ビニル樹脂組成物、少なくとも1種のポリカーボネート樹脂および少なくとも1種のコポリエステルを押し出して、熱可塑性材料の粘稠なブレンドを生成するステップであり、少なくとも1種のコポリエステルが、
(a)
(i)約90~約100モル%のテレフタル酸残基、ならびに
(ii)約0~約10モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族および/または脂肪族のジカルボン酸残基
を含むジカルボン酸成分と、
(b)
(i)約20~約60モル%の、2~20個の炭素原子からなる変性用グリコール、および
(ii)約40~約80モル%の、2~20個の炭素原子からなる第2の変性用グリコール
を含むグリコール成分と
を含み、ジカルボン酸成分の全モル%が100モル%であり、グリコール成分の全モル%が100モル%である、ステップと、
熱可塑性材料のブレンドをカレンダリング、押出または射出成形プロセスに導入して、ポリ塩化ビニル物品を生成するステップと
を含む、方法である。
【0012】
[0020]本開示の一実施形態は、ポリ塩化ビニル組成物を生成する方法であって、少なくとも1種のポリ塩化ビニル樹脂組成物、少なくとも1種のポリカーボネート樹脂および少なくとも1種のコポリエステルを押し出して、熱可塑性材料の粘稠なブレンドを生成するステップであり、少なくとも1種のコポリエステルが、
(a)
(i)約50~約100モル%のテレフタル酸残基、ならびに
(ii)約0~約50モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族および/または脂肪族のジカルボン酸残基
含むジカルボン酸成分と、
(b)
(i)約60~約100モル%の、2~20個の炭素原子からなる変性用グリコール、および
(ii)約0~約40モル%の、2~20個の炭素原子からなる第2の変性用グリコール
を含むグリコール成分と
を含み、ジカルボン酸成分の全モル%が100モル%であり、グリコール成分の全モル%が100モル%である、ステップと、
熱可塑性材料のブレンドをカレンダリング、押出または射出成形プロセスに導入して、ポリ塩化ビニル物品を生成するステップと
を含む、方法である。
【0013】
[0021]本開示の一実施形態は、ポリ塩化ビニル組成物を生成する方法であって、少なくとも1種のポリカーボネート樹脂および少なくとも1種のコポリエステル樹脂の混和可能な混和物を配合して、粘稠な熱可塑性材料を生成するステップであり、少なくとも1種のコポリエステル樹脂が、
(a)
(i)約90~約100モル%のテレフタル酸残基、ならびに
(ii)約0~約10モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族および/または脂肪族のジカルボン酸残基
を含むジカルボン酸成分と、
(b)
(i)約20~約60モル%の、2~20個の炭素原子からなる変性用グリコール、および
(ii)約40~約80モル%の、2~20個の炭素原子からなる第2の変性用グリコール
を含むグリコール成分と
を含み、ジカルボン酸成分の全モル%が100モル%であり、グリコール成分の全モル%が100モル%である、ステップと、
コンパウンドを少なくとも1種のポリ塩化ビニル樹脂組成物とブレンドするステップと、
ブレンドをカレンダリング、押出または射出成形プロセスに導入して、ポリ塩化ビニル物品を生成するステップと
を含む、方法である。
【0014】
[0022]本開示の一実施形態は、ポリ塩化ビニル組成物を生成する方法であって、
少なくとも1種のポリカーボネート樹脂および少なくとも1種のコポリエステル樹脂と配合して、粘稠な熱可塑性材料を生成するステップであり、少なくとも1種のコポリエステル樹脂が、
(a)
(i)約50~約100モル%のテレフタル酸残基、ならびに
(ii)約0~約50モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族および/または脂肪族のジカルボン酸残基
を含むジカルボン酸成分と、
(b)
(i)約60~約100モル%の、2~20個の炭素原子からなる変性用グリコール、および
(ii)約0~約40モル%の、2~20個の炭素原子からなる第2の変性用グリコール
を含むグリコール成分と
を含み、ジカルボン酸成分の全モル%が100モル%であり、グリコール成分の全モル%が100モル%である、ステップと、
コンパウンドを少なくとも1種のポリ塩化ビニル樹脂組成物にブレンドするステップと、
ブレンドをカレンダリング、押出または射出成形プロセスに導入して、ポリ塩化ビニル物品を生成するステップと
を含む、方法である。
【0015】
[0023]本開示の一実施形態は、TgおよびHDTUL(荷重熱変形温度)が少なくとも3℃上昇するポリ塩化ビニル物品である。
[0024]本開示の一実施形態は、最大で110℃のTgまたは最大で130℃のHDTULを有するポリ塩化ビニル物品である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】[0025]ポリカーボネート/コポリエステル混和物をPVC組成物とブレンドするとき、それらは、測定されたすべてのせん断速度においてPVC対照と比べて複素粘度(mPa)を下げる傾向があることを示すグラフである。
【
図2】[0026]高ガラス転移温度コポリエステル/ポリカーボネート混和物をPVC組成物とブレンドするとき、複素粘度(mPa)は、測定されたすべてのせん断速度においてPVC対照と比べて上昇する傾向があることを示すグラフである。
【
図3】[0027]50%のコポリエステルと50%のポリカーボネートの混和物をPVC組成物とブレンドすると、PVC対照と比べて貯蔵弾性率(mPa)対温度が増加し、これにより、混和物の量が増加するにつれて、ガラス転移温度が上昇していることを示すグラフである。
【
図4】[0028]50%のコポリエステルと50%のポリカーボネートの混和物をPVC組成物とブレンドすると、より高い負荷レベルで増大する単一のタンデルタピークが生じ、これにより、単一のガラス転移温度が存在し、混和物がPVCに混和可能であることを示すグラフである。
【
図5】[0029]25%のコポリエステルと75%のポリカーボネートの混和物をPVC組成物とブレンドすると、PVC対照と比べて貯蔵弾性率(mPa)対温度が増加し、これにより、混和物の量が増加するにつれて、ガラス転移温度が上昇していることを示すグラフである。
【
図6】[0030]25%のコポリエステルと75%のポリカーボネートの混和物をPVC組成物とブレンドすると、より高い負荷レベルで増大する単一のタンデルタピークが生じ、これにより、単一のガラス転移温度が存在し、混和物がPVCに混和可能であることを示すグラフである。
【
図7】[0031]PVCおよびポリカーボネートは混和不可能であり、単一のガラス転移温度と成らず、ポリカーボネートの量が増加するにつれて、タンデルタ読取値が示すように異なる2つのガラス転移温度が存在することを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[0032]本開示のポリビニルアルコール組成物は、少なくとも1種のポリ塩化ビニル樹脂、少なくとも1種のポリカーボネート樹脂および少なくとも1種のコポリエステルを含む。
【0018】
[0033]本開示の一実施形態は、少なくとも1種のポリ塩化ビニル樹脂、少なくとも1種のポリカーボネート樹脂および少なくとも1種のコポリエステルを含むポリ塩化ビニル組成物であって、少なくとも1種のコポリエステルが、
(a)
(i)約90~約100モル%のテレフタル酸残基、ならびに
(ii)約0~約10モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族および/または脂肪族のジカルボン酸残基
を含むジカルボン酸成分と、
(b)
(i)約20~約60モル%の、2~20個の炭素原子からなる変性用グリコール、および
(ii)約40~約80モル%の、2~20個の炭素原子からなる第2の変性用グリコール
を含むグリコール成分とを含み、ジカルボン酸成分の全モル%が100モル%であり、グリコール成分の全モル%が100モル%である、ポリ塩化ビニル組成物である。
【0019】
[0034]本開示の一実施形態は、少なくとも1種のポリ塩化ビニル樹脂、少なくとも1種のポリカーボネート樹脂および少なくとも1種のコポリエステルを含むポリ塩化ビニル組成物であって、少なくとも1種のコポリエステルが、
(a)
(i)約50~約100モル%のテレフタル酸残基、ならびに
(ii)約0~約50モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族および/または脂肪族のジカルボン酸残基
を含むジカルボン酸成分と、
(b)
(i)約60~約100モル%の、2~20個の炭素原子からなる変性用グリコール、および
(ii)約0~約40モル%の、2~20個の炭素原子からなる第2の変性用グリコール
を含むグリコール成分と
を含み、ジカルボン酸成分の全モル%が100モル%であり、グリコール成分の全モル%が100モル%である、少なくとも1種のコポリエステルである、ポリ塩化ビニル組成物である。
【0020】
[0035]いずれの非晶質または本質的に非晶質のコポリエステルも、本開示における使用に適している。例えば、一実施形態において、いずれのコポリエステルも、本質的に非晶質であり、少なくとも約5分または少なくとも約7分の最小半結晶化時間を有することを条件として、本開示において使用することができる。一実施形態において、いずれのコポリエステルも、最小半結晶化時間が少なくとも約8分であることを条件として使用することができる。別の実施形態において、いずれのコポリエステルも、半結晶化時間が少なくとも約10分であることを条件として使用することができる。本開示における非晶質コポリエステルは、一部の実施形態において最大で無限大の半結晶化時間を有することができる。本開示の一態様において、非晶質コポリエステルと(他のポリエステルおよびコポリエステルを含めて)他のポリマーとのブレンドは、少なくとも約5分の最小半結晶化時間を有することを条件として使用に適している。
【0021】
[0036]半結晶化時間は、示差走査熱量計を使用して、以下の手順に従って測定することができる。約10.0mgのコポリエステル試料をアルミニウム製鍋に密封し、約20℃/分の速度で約290℃に加熱し、ヘリウム雰囲気中で約2分間保持する。次いで、試料を、約20℃/分の速度で約140℃~約200℃の範囲の等温結晶化温度に約10℃単位で直ちに冷却する。次いで、各温度における半結晶化時間を、発熱曲線のピークに到達するために必要とされる時間として決定する。最小半結晶化時間は、結晶化速度が最速である温度である。
【0022】
[0037]本開示の一実施形態において、コポリエステルは、
(a)
(i)約50~約100モル%のテレフタル酸残基、ならびに
(ii)約0~約50モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族および/または脂肪族のジカルボン酸残基
を含むジカルボン酸成分と、
(b)
(i)約20~約60モル%の、2~20個の炭素原子からなる変性用グリコール、および
(ii)約40~約80モル%の、2~20個の炭素原子からなる第2の変性用グリコール
を含むグリコール成分と
を含み、ジカルボン酸成分の全モル%が100モル%であり、グリコール成分の全モル%が100モル%である。
【0023】
[0038]別の実施形態において、コポリエステルは、
(a)
(i)約50~約100モル%のテレフタル酸残基、ならびに
(ii)約0~約50モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族および/または脂肪族のジカルボン酸残基
を含むジカルボン酸成分と、
(b)
(i)約60~約100モル%の、2~20個の炭素原子からなる変性用グリコール、および
(ii)約0~約40モル%の、2~20個の炭素原子からなる第2の変性用グリコール
を含むグリコール成分と
を含み、ジカルボン酸成分の全モル%が100モル%であり、グリコール成分の全モル%が100モル%である。
【0024】
[0039]文脈上からそうでないことがはっきり示唆されていない限り、用語「ポリエステル」および「コポリエステル」は、本明細書で同義に使用される。用語「ポリエステル」は、「コポリエステル」を包含するものとし、1種または複数の二官能性カルボン酸(または二酸)と1種または複数の二官能性ヒドロキシル化合物(またはジオール)の重縮合によって調製された合成ポリマーを意味すると理解される。一実施形態において、二官能性カルボン酸はジカルボン酸であり、二官能性ヒドロキシル化合物は、例えばグリコールやジオールなどの二価アルコールである。
【0025】
[0040]用語「残基」とは、対応するモノマーが関与する重縮合反応を通してポリマーに組み込まれているいずれの有機構造をも意味する。用語「繰り返し単位」とは、カルボニルオキシ基を通して結合しているジカルボン酸残基(または二酸成分)およびジオール残基(またはジオール成分)を有する有機構造を意味する。したがって、ジカルボン酸残基は、ジカルボン酸モノマーまたはその関連酸ハロゲン化物、エステル、塩、無水物、またはそれらの混合物に由来することができる。
【0026】
[0041]一実施形態において、本開示のコポリエステルは非晶質である。一実施形態において、本開示のコポリエステルは本質的に非晶質である。
[0042]一実施形態において、コポリエステルは、100モルパーセントのジカルボン酸残基に基づくジカルボン酸および100モルパーセントのジオール残基に基づくジオールに由来する繰返し単位を含む。
【0027】
[0043]一実施形態において、二酸成分は、少なくとも約50モルパーセントの約8~約14個の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸の残基を含む。コポリエステルは、100モルパーセントのジカルボン酸残基に対して最大で約50モルパーセントの4~12個の炭素原子を有する飽和脂肪族ジカルボン酸や8~12個の炭素原子を有する脂環式ジカルボン酸など、芳香族ジカルボン酸以外の異なる1種または複数のジカルボン酸の残基で任意に変性されていてもよい。ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサン二酢酸、ジフェニル-4,4’-ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などが挙げられる。ポリエステルは、上記ジカルボン酸の1種または複数から調製することができる。
【0028】
[0044]これらの酸の対応する酸無水物、エステル、および酸塩化物の使用が、用語「ジカルボン酸」に包含されることを理解すべきである。
[0045]一実施形態において、ジオール成分は、少なくとも約60モルパーセントの2~20個の炭素原子を含むジオールの残基を含む。さらに、ジオール成分は、100モルパーセントのジオール残基に対して最大で約40モルパーセントの1種または複数の他のジオールの残基で任意に変性されていてもよい。ジオールの具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、イソソルビド、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2,4,4,-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、3-メチル-ペンタンジオール-(2,4)、2-メチルペンタンジオール-(1,4)、2,2,4-トリ-メチルペンタン-ジオール-(1,3)、2-エチルヘキサンジオール-(1,3)、2,2-ジエチルプロパン-ジオール-(1,3)、ヘキサンジオール-(1,3)、1,4-ジ-(ヒドロキシエトキシ)-ベンゼン、2,2-ビス-(4-ヒドロキシシクロヘキシル)-プロパン、2,4-ジヒドロキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、2,2-ビス-(3-ヒドロキシエトキシフェニル)-プロパン、2,2-ビス-(4-ヒドロキシプロポキシフェニル)-プロパンなどが挙げられる。ポリエステルは、上記ジオールの1種または複数から調製することができる。
【0029】
[0046]一実施形態において、二酸成分は、少なくとも約90モルパーセントの最大で約20個の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸の残基を含む。コポリエステルは、100モルパーセントのジカルボン酸残基に対して最大で約10モルパーセントの4~12個の炭素原子を有する飽和脂肪族ジカルボン酸や8~12個の炭素原子を有する脂環式ジカルボン酸など、芳香族ジカルボン酸以外の異なる1種または複数のジカルボン酸の残基で任意に変性されていてもよい。ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサン二酢酸、ジフェニル-4,4’-ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などが挙げられる。ポリエステルは、上記ジカルボン酸の1種または複数から調製することができる。
【0030】
[0047]これらの酸の対応する酸無水物、エステル、および酸塩化物の使用が、用語「ジカルボン酸」に包含されることを理解すべきである。
[0048]一実施形態において、ジオール成分は、少なくとも約20モルパーセントの2~20個の炭素原子を含むジオールの残基を含む。さらに、ジオール成分は、100モルパーセントのジオール残基に対して最大で約80モルパーセントの1種または複数の他のジオールの残基で任意に変性されていてもよい。ジオールの具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、イソソルビド、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2,4,4,-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、3-メチル-ペンタンジオール-(2,4)、2-メチルペンタンジオール-(1,4)、2,2,4-トリ-メチルペンタン-ジオール-(1,3)、2-エチルヘキサンジオール-(1,3)、2,2-ジエチルプロパン-ジオール-(1,3)、ヘキサンジオール-(1,3)、1,4-ジ-(ヒドロキシエトキシ)-ベンゼン、2,2-ビス-(4-ヒドロキシシクロヘキシル)-プロパン、2,4-ジヒドロキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、2,2-ビス-(3-ヒドロキシエトキシフェニル)-プロパン、2,2-ビス-(4-ヒドロキシプロポキシフェニル)-プロパンなどが挙げられる。ポリエステルは、上記ジオールの1種または複数から調製することができる。
【0031】
[0049]ポリエステルは、トリメリト酸無水物、トリメチロールプロパン、ピロメリト酸二無水物、ペンタエリトリトール、および当技術分野において一般に知られている他のポリエステル形成ポリ酸またはポリオールなどの少量の三官能性または四官能性コモノマーも含むことができる。
【0032】
[0050]一実施形態において、コポリエステルは、(i)少なくとも約50モルパーセントのテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、またはそれらの混合物の残基を含む二酸成分;および(ii)少なくとも約80モルパーセントの2~10個の炭素原子を含むジオールの残基を含むジオール成分を含む。一実施形態において、コポリエステルの二酸成分は、少なくとも約80モルパーセントのテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、またはそれらの混合物の残基を含む。また一実施形態において、コポリエステルのジオール成分は、エチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール、またはそれらの混合物の残基を含む。
【0033】
[0051]別の実施形態において、コポリエステルは、(i)少なくとも約80モルパーセントのテレフタル酸残基を含む二酸成分、ならびに(ii)少なくとも約80モルパーセントのエチレングリコールおよび1,4-シクロヘキサンジメタノールの残基を含むジオール成分を含む。さらに別の実施形態において、コポリエステルは、(i)少なくとも約80モルパーセントのテレフタル酸残基を含む二酸成分、ならびに(ii)少なくとも約80モルパーセントのエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、およびジエチレングリコールの残基を含むジオール成分を含む。さらに別の実施形態において、コポリエステルは、(i)少なくとも約80モルパーセントのテレフタル酸残基を含む二酸成分、ならびに(ii)少なくとも約80モルパーセントのエチレングリコールおよびネオペンチルグリコールの残基を含むジオール成分を含む。さらに別の実施形態において、コポリエステルは、(i)少なくとも約80モルパーセントのテレフタル酸残基を含む二酸成分、ならびに(ii)少なくとも約80モルパーセントの1,4-シクロヘキサンジメタノールおよび2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールの残基を含むジオール成分を含む。
【0034】
[0052]一実施形態において、コポリエステル組成物は、
(a)
(i)70~100モル%のテレフタル酸残基、ならびに
(ii)0~30モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族および/または脂肪族のジカルボン酸残基
を含むジカルボン酸成分と、
(b)
(i)0~40モル%の2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール(ネオペンチルグリコールまたはNPG)残基、
(ii)0~100モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)残基、
(iii)0~70モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール(TMCD)残基、
(iv)0~40モル%の、現場形成されたものであろうとなかろうとジエチレングリコール(DEG)残基
を含むグリコール成分であり、グリコール成分の残部が、
(v)エチレングリコールの残基、および
(vi)任意に、0~10モル%の少なくとも1種の他の変性用グリコールの残基
を含む、グリコール成分と
を含み、ジカルボン酸成分の全モル%が100モル%であり、グリコール成分の全モル%が100モル%である、少なくとも1種のポリエステルを含む。
【0035】
[0053]一実施形態において、コポリエステル組成物は、
(a)
(i)70~100モル%のテレフタル酸残基、ならびに
(ii)0~30モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族および/または脂肪族のジカルボン酸残基
を含むジカルボン酸成分と、
(b)
(i)10~70モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール(TMCD)残基、
(ii)0~40モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)残基、
(iii)0~10モル%の、現場形成されたものであろうとなかろうとジエチレングリコール(DEG)残基
を含むグリコール成分であり、グリコール成分の残部が、
(iv)エチレングリコールの残基、および
(v)任意に、0~10モル%の少なくとも1種の他の変性用グリコールの残基
を含む、グリコール成分と
を含み、ジカルボン酸成分の全モル%が100モル%であり、グリコール成分の全モル%が100モル%である、少なくとも1種のポリエステルを含む。
【0036】
[0054]一実施形態において、コポリエステル組成物は、
(a)
(i)70~100モル%のテレフタル酸残基、ならびに
(ii)0~30モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族および/または脂肪族のジカルボン酸残基
を含むジカルボン酸成分と、
(b)
(i)10~70モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール(TMCD)残基、
(ii)30~90モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)残基、
(iii)0~10モル%の、現場形成されたものであろうとなかろうとジエチレングリコール(DEG)残基
を含むグリコール成分であり、グリコール成分の残部が、
(iv)エチレングリコールの残基、および
(v)任意に、0~10モル%の少なくとも1種の他の変性用グリコールの残基
を含む、グリコール成分と
を含み、ジカルボン酸成分の全モル%が100モル%であり、グリコール成分の全モル%が100モル%である、少なくとも1種のポリエステルを含む。
【0037】
[0055]一実施形態において、コポリエステル組成物は、
(a)
(i)70~100モル%のテレフタル酸残基、ならびに
(ii)0~30モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族および/または脂肪族のジカルボン酸残基
を含むジカルボン酸成分と、
(b)
(i)20~60モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール(TMCD)残基、
(ii)40~80モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)残基、
(iii)0~10モル%の、現場形成されたものであろうとなかろうとジエチレングリコール(DEG)残基
を含むグリコール成分であり、グリコール成分の残部が、
(iv)エチレングリコールの残基、および
(v)任意に、0~10モル%の少なくとも1種の他の変性用グリコールの残基
を含む、グリコール成分と
を含み、ジカルボン酸成分の全モル%が100モル%であり、グリコール成分の全モル%が100モル%である、少なくとも1種のポリエステルを含む。
【0038】
[0056]一実施形態において、コポリエステル組成物は、
(a)
(i)70~100モル%のテレフタル酸残基、ならびに
(ii)0~30モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族および/または脂肪族のジカルボン酸残基
を含むジカルボン酸成分と、
(b)
(i)20~40モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール(TMCD)残基、
(ii)60~80モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)残基、
(iii)0~10モル%の、現場形成されたものであろうとなかろうとジエチレングリコール(DEG)残基
を含むグリコール成分であり、グリコール成分の残部が、
(iv)エチレングリコールの残基、および
(v)任意に、0~10モル%の少なくとも1種の他の変性用グリコールの残基
を含む、グリコール成分と
を含み、ジカルボン酸成分の全モル%が100モル%であり、グリコール成分の全モル%が100モル%である、少なくとも1種のポリエステルを含む。
【0039】
[0057]ある特定の実施形態において、縮合ポリマーは、少なくとも2種のジオール残基の残基を含む。ある特定の実施形態において、縮合ポリマーは、少なくとも1種のジカルボン酸またはそのエステルおよび少なくとも2種のジオールを含むポリエステルであり、存在する酸残基の合計が100モル%であり、ジオール残基の合計が100モル%である。ある特定の実施形態において、縮合ポリマー、例えばポリエステルは、1,4-シクロヘキサンジメタノール残基を含む。
【0040】
[0058]例えば、TMCD-CHDMコポリエステル(2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、およびテレフタル酸残基を含むポリマー)の場合、変性用グリコールは、エチレングリコールおよび/またはイソソルビドの残基とすることができる。
【0041】
[0059]TMCDコポリエステルの一実施形態において、エチレングリコールは、変性用ジオールとして除外される。変性PETGおよび変性PCTGポリマーの場合、変性用グリコールは、例えばエチレングリコールおよび1,4-シクロヘキサンジメタノール以外のグリコールとすることができる。
【0042】
[0060]本発明において有用なポリマーおよび/またはポリエステルは、1,4-シクロヘキサンジメタノールの残基を以下の量:0.01~100モル%;0.01~100モル%;0.01~99.99モル%;0.10~99モル%;0.10~99モル%;0.10~95モル%;0.10~90モル%;0.10~85モル%;0.10~80モル%;0.10~70モル%;0.10~60モル%;0.10~50モル%;0.10~40モル%;0.10~35モル%;0.10~30モル%;0.10~25モル%;0.10~20モル%;0.10~15モル%;0.10~10モル%;0.10~5モル%;1~100モル%;1~99モル%;1~95モル%;1~90モル%;1~85モル%;1~80モル%;1~70モル%;1~60モル%;1~50モル%;1~40モル%;1~35モル%;1~30モル%;1~25モル%;1~20モル%;1~15モル%;1~10モル%;1~5モル%;5~100モル%;5~99モル%;5~95モル%;5~90モル%;5~85モル%;5~80モル%;5~70モル%;5~60モル%;5~50モル%;5~40モル%;5~35モル%;5~30モル%;5~25モル%;5~20モル%;および5~15モル%;5~10モル%;10~100モル%;10~99モル%;10~95モル%;10~90モル%;10~85モル%;10~80モル%;10~70モル%;10~60モル%;10~50モル%;10~40モル%;10~35モル%;10~30モル%;10~25モル%;10~20モル%;10~15モル%;20~100モル%;20~99モル%;20~95モル%;20~90モル%;20~85モル%;20~80モル%;20~70モル%;20~60モル%;20~50モル%;20~40モル%;20~35モル%;20~30モル%;および20~25モル%;30~100モル%;30~99モル%;30~95モル%;30~90モル%;30~85モル%;30~80モル%;30~70モル%;30~60モル%;30~50モル%;30~40モル%;30~35モル%;40~100モル%;40~99モル%;40~95モル%;40~90モル%;40~85モル%;40~80モル%;40~70モル%;40~60モル%;40~50モル%;50~100モル%;50~99モル%;50~95モル%;50~90モル%;50~85モル%;50~80モル%;50~70モル%;50~60モル%;60~100モル%;60~99モル%;60~95モル%;60~90モル%;60~85モル%;60~80モル%;60~70モル%;70~100モル%;70~99モル%;70~95モル%;70~90モル%;70~85モル%;70~80モル%;60~70モル%;80~100モル%;80~99モル%;80~95モル%;80~90モル%;90~100モル%;90~99モル%;90~95モル%;95~100モル%;または95~99モル%の少なくとも1つを含めていずれの量でも含むことができるが、これに限定されない。
【0043】
[0061]本発明において有用なポリマー組成物は、グリコール変性PET(PETG)、グリコール変性ポリ(シクロへキシレンジメチレンテレフタレート)(PCTG)であると記載される伝統的な組成物のいずれかとすることができ、上記のポリマーのいずれも、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールで変性させることもできる(TMCDポリエステル)。
【0044】
[0062]一態様において、本発明のポリマー組成物において有用なポリエステルは、イソソルビドの残基を含む。一実施形態において、イソソルビドポリマーは、エチレングリコールおよび/またはシクロヘキサンジメタノールの残基も含むことができる。ある特定の実施形態において、ポリエステルは、イソソルビドおよび1,4-シクロヘキサンジメタノールならびに任意にエチレングリコールの残基を含む。ある特定の実施形態において、ポリエステルは、イソソルビドおよびエチレングリコールならびに任意に1,4-シクロヘキサンジメタノールの残基を含む。
【0045】
[0063]ある特定の実施形態において、本発明のポリマー組成物は、1,4-シクロヘキサンジメタノールおよび任意にエチレングリコールを含むコポリエステルを含むことができる。
【0046】
[0064]ある特定の実施形態において、本発明のポリマー組成物は、任意に0.01~30モル%、または0.01~20モル%、または0.01~10モル%、または0.01~5モル%のテレフタル酸および/もしくはイソフタル酸、またはそれらのエステルおよび/もしくはそれらの混合物と、下記を含むジオール成分:(a)20~50モル%未満の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基および50モル%超~80モル%のエチレングリコール残基;または20~40モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基および60~80モル%のエチレングリコール残基、または20~40モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基および60~80モル%のエチレングリコール残基、または25~40モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基および60~75モル%のエチレングリコール残基、または25~35モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基および65~75モル%のエチレングリコール残基(PETG);あるいは(b)50モル%~99.99モル%、または55モル%~99.99モル%、または60モル%~99.99モル%、または65モル%~99.99モル%、または70モル%~99.99モル%、または75モル%~99.99モル%、または80モル%~99.99モル%、または85モル%~99.99モル%、または90モル%~99.99モル%、または95モル%~99.99モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基および0.01モル%~50モル%、または0.01モル%~45モル%、または0.01モル%~40モル%、または0.01モル%~35モル%、または0.01モル%~30モル%、または0.01モル%~25モル%、または0.01モル%~20モル%、または0.01モル%~15モル%、または0.01モル%~10モル%、または0.01モル%~5モル%のエチレングリコール残基(PCTG);あるいは(c)95~99.99モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基、0.01~10モル%または0.01~5モル%のイソフタル酸残基、および0.01~10モル%または0.01~5モル%のエチレングリコール残基(PCTA)、あるいは(d)0~20モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基および80~100モル%のエチレングリコール残基(PETまたはグリコール変性PET)、あるいは(e)20~60モル%のTMCD残基および40~80モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基を含むTMCDコポリエステル、ならびに0~40モル%の変性用グリコール残基;または15~40モル%のTMCD残基および60~85モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基を含むTMCDコポリエステル、ならびに0~35モル%の変性用グリコール残基;または20~40モル%のTMCD残基および60~80モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基を含むTMCDコポリエステル、ならびに0~20モル%の変性用グリコール残基;または20~30モル%のTMCD残基および70~80モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基を含むTMCDコポリエステル、ならびに0~10モル%の変性用グリコール残基;または30~40モル%のTMCD残基および60~70モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基を含むTMCDコポリエステル、ならびに0~10モル%の変性用グリコール残基;(f)エチレングリコールを含むイソソルビドポリマー、あるいは(g)(本明細書に定義されるPCT)、あるいは(h)1,4-シクロヘキサンジメタノールおよび任意にエチレングリコールを含むイソソルビドポリマーとを含む、コポリエステルを含むことができる。
【0047】
[0065]本開示において有用なコポリエステルは、約0.4~約1.2dL/gのインヘレント粘度を有することができる。本明細書で使用されるように、インヘレント粘度(またはIhV)は、ポリマーの希釈溶液の粘度であり、具体的にIhVは、フェノール/テトラクロロエタン60/40(重量%/重量%)の溶液50ml当たりポリエステル約0.25gの濃度で、約25℃または約30℃においてASTM 4603によって決定された粘度である。この粘度測定は、ポリマーの分子量を代表する。
【0048】
[0066]例えば、一実施形態において、コポリエステルは、60重量%のフェノールおよび40重量%のテトラクロロエタンからなる溶媒100mL当たりポリマー0.50グラムを使用して約25℃で測定して、約0.45~約0.9dL/gまたは約0.60~約0.90dL/gのインヘレント粘度を有する。
【0049】
[0067]一実施形態において、本開示において有用なコポリエステルは、約30℃~約155℃のガラス転移温度を有する。例えば、一実施形態において、コポリエステルのガラス転移温度は約90℃~約120℃である。一実施形態において、コポリエステルのガラス転移温度は約95℃~約140℃である。別の実施形態において、コポリエステルのガラス転移温度は約100℃~約150℃である。一実施形態において、本開示において有用なコポリエステルは、少なくとも約90℃のガラス転移温度を有する。一実施形態において、コポリエステルは、少なくとも約100℃、または少なくとも約110℃、または少なくとも約120℃のガラス転移温度を有する。
【0050】
[0068]コポリエステルは、当技術分野において周知である通常の重縮合手順によって調製することができる。そのような方法としては、ジカルボン酸とジオールの直接縮合またはジアルキルジカルボキシレートを使用するエステル交換が挙げられる。例えば、ジメチルテレフタレートなどのジアルキルテレフタレートは、触媒の存在下に高温でジオールとエステル交換される。ポリエステルを固相重合法にかけてもよい。好適な方法は、1種または複数のジカルボン酸と1種または複数のグリコールを約100℃~約315℃の温度、約0.1~約760mmHgの圧力で、ポリエステルを形成するのに十分な時間反応させるステップを含む。ポリエステルを生成する方法について、米国特許第3,772,405号を参照のこと。そのような方法の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0051】
[0069]本開示における使用に適したコポリエステルは、Eastman Chemical Company社から市販品として得ることができる。
[0070]いずれのポリカーボネート(「PC」)ポリマー樹脂も、本開示における使用に適している。例えば、一実施形態において、本開示において有用なポリカーボネート樹脂としては、芳香族ポリカーボネートが挙げられる。本開示の組成物に適した芳香族ポリカーボネートとしては、例えばビスフェノールA、1,1(4ヒドロキシフェノール)ケトン、ビス-(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス-(ヒドロキシフェニル)-エタン、フェノールフタレイン、および1,1ビス(ヒドロキシフェノール)スルホンなどのジフェノールに由来するポリマー;ならびにフェニル環上にアルキルまたはハロゲン置換基を有する芳香族ポリカーボネートが挙げられる。別の実施形態において、本開示の組成物に適した芳香族ポリカーボネートとしては、例えば、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA);1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニル-エタン(ビスフェノールAP);2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(ビスフェノールAF);2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン(ビスフェノールB);ビス-(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン(ビスフェノールBP);2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールC);ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ジクロロエチレン(ビスフェノールC2);1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン(ビスフェノールE);ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF);2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピル-フェニル)プロパン(ビスフェノールG);1,3-ビス(2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル)ベンゼン(ビスフェノールM);ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン(ビスフェノールS);1,4-ビス(2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル)ベンゼン(ビスフェノールP);5,5’-(1-メチルエチリデン)-ビス[1,1’-(ビスフェニル)-2-オール]プロパン(ビスフェノールPH);1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチル-シクロヘキサン(ビスフェノールTMC);1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-シクロヘキサン(ビスフェノールZ);2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-ニトロフェニル)プロパン(ジニトロビスフェノールA);および2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン(テトラブロモビスフェノールA)などのジフェノールに由来するポリマーが挙げられる。
【0052】
[0071]一実施形態において、ポリカーボネートは、高分子量熱可塑性芳香族ポリカーボネートであり、25℃で塩化メチレンに溶解して測定して約8,000~200,000超または約10,000~80,000の数平均分子量および1グラム当たり0.30~1.0デシリットル(dl/g)の固有粘度を有するホモポリカーボネートおよびコポリカーボネートおよびそれらの混合物が挙げられる。ポリカーボネートは、例えば、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2-(3,5,3’,5-テトラクロロ-4,4’-ジヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-(3,5,3’,5-テトラブロモ-4,4’-ジヒドロキシジフェニル)プロパン、および(3,3’-ジクロロ-4,4’-ジヒドロキシジフェニル)プロパン、ならびに(3,3’-ジクロロ-4,4’-ジヒドロキシジフェニル)メタンなどの二価フェノールに由来する。上記ポリカーボネートの調製における使用のための他の二価フェノールは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第2,999,835号;同第3,028,365号;同第3,334,154号および同第4,134,575号に開示される。
【0053】
[0072]一実施形態において、本開示におけるポリカーボネート樹脂は、ビスフェノールベースのポリカーボネートである。一実施形態において、本開示におけるポリカーボネート樹脂は、ビスフェノールAベースのポリカーボネートである。一実施形態において、本開示におけるポリカーボネート樹脂は、ビスフェノールSベースのポリカーボネートである。一実施形態において、本開示におけるポリカーボネート樹脂は、ビスフェノールCベースのポリカーボネートである。一実施形態において、ポリカーボネート樹脂は、300℃および荷重3.8kg(ASTM)におけるメルトフローが約3~約80g/10分であるビスフェノールAベースのポリカーボネートである。
【0054】
[0073]ポリカーボネートは、公知の方法によって製造することができる。例えば、一実施形態において、ポリカーボネートは、以上に引用された文献ならびに米国特許第3,989,672号;同第4,018,750号および同第4,123,436号に記述される方法、または米国特許第3,153,008号に開示されたものなどのエステル交換反応方法、さらには当業者に公知の他の方法(これらのすべてが参照により本明細書に組み込まれる)に従って、二価フェノールをホスゲンなどのカーボネート前駆体と反応させることによって製造することができる。
【0055】
[0074]一実施形態において、ポリカーボネートは、芳香族ポリカーボネートであり、米国特許第3,169,121号に開示されたものなど二価フェノール、ジカルボン酸、および炭酸のポリマー誘導体が挙げられる。
【0056】
[0075]一実施形態において、芳香族ポリカーボネートの調製においてホモポリマーではなく、カーボネートコポリマーまたはインターポリマーが使用されるこの態様では、異なる2種以上の二価フェノール、あるいは二価フェノールとグリコールもしくは酸末端ポリエステル、または二塩基酸とのコポリマーを採用することができる。上記材料のいずれのブレンドも採用可能である。
【0057】
[0076]一実施形態において、線状ポリカーボネートと分枝状ポリカーボネートのブレンドとすることができるように、米国特許第4,001,184号に記載されているものなど分枝状ポリカーボネートを利用することができる。
【0058】
[0077]一実施形態において、ポリマーは、二価フェノール、例えば2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンを酸結合剤の存在下にカーボネート前駆体、例えばホスゲンと反応させることによって生成される。一実施形態において、ポリカーボネート樹脂は、ビスフェノールAとホスゲンの反応から誘導される。一実施形態において、これらのポリカーボネートは、塩化メチレンまたは同様の溶媒中25℃で測定して、0.3~1.0dl/gまたは0.40~0.65dl/gの固有粘度を有する。
【0059】
[0078]いずれのポリ塩化ビニル(「PVC」)ポリマー樹脂も、本開示における使用に適している。例えば、一実施形態において、本開示において有用なポリ塩化ビニルポリマーとしては、参照により本明細書に組み込まれるKirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、24巻、第4版、(1997)、1017~1053頁の見出し語「Vinyl Chloride Polymers」に記載されているものが挙げられる。
【0060】
[0079]本開示の一部の実施形態において、好適なPVCポリマーとしては、ポリ塩化ビニル樹脂のホモポリマー、ポリ塩化ビニル樹脂のコポリマー、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0061】
[0080]一部の実施形態において、ポリ塩化ビニル樹脂は、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化ポリ塩化ビニル樹脂、またはそれらのアロイである。
[0081]一部の実施形態において、ビニルクロリドと他のモノマーまたはモノマーブレンドの共重合によって、ビニルクロリドのコポリマーが形成される。一部の実施形態において、好適なモノマーとしては、ビニルアセテート、エチレン、プロピレン、マレエート、メタクリレート、アクリレート、高アルコールビニルエステル、ウレタン、塩素化ウレタン、メチルメタクリレート、およびそれらの混合物が挙げられる。一部の実施形態において、モノマーブレンドの例としては、エチレン-ビニルアセテートコポリマー、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンターポリマー、アクリロニトリル-ブタジエンコポリマー、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0062】
[0082]例えば、一部の実施形態において、本開示によれば有用なPVCポリマーとしては、ビニルクロリドのホモポリマー、および少なくとも約70重量%のビニルクロリドモノマーから重合された繰り返し単位、または少なくとも約80重量%、もしくは少なくとも約90重量%、もしくはさらには約95重量%、もしくはそれ以上のビニルクロリドモノマーから重合された繰り返し単位を有するビニルクロリドポリマー樹脂が挙げられる。
【0063】
[0083]一部の実施形態において、本開示のポリ塩化ビニルポリマー組成物は、ビニルクロリドモノマーから重合された繰り返し単位を含むことができ、コモノマーを、限定されるものではないがアクリル酸のエステル、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸シアノエチルなど;酢酸ビニルやプロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル(hydroxyethyl acrylate)、メタクリル酸ブチルなどメタクリル酸のエステル;アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのニトリル;メチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-ブトキシメタクリルアミドなどアクリルアミド;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、および臭化ビニルなどのハロゲン含有ビニルモノマー;エチルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテルなどビニルエーテル;ビニルケトン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレンを含めてスチレン誘導体;ビニルナフタレン;エチレン、ブテン、イソブチレン、プロピレン、ヘキセンなどのオレフィン;ならびに当業者に公知の他の共重合性モノマーまたはビニルクロリドと好適な反応性比を有するモノマーの混合物の1種または複数からコポリマーの約30重量パーセントまで含むこともできる。
【0064】
[0084]一実施形態において、コポリマーとしては、限定されるものではないが、ビニルクロリド-ビニルアセテートコポリマー、ビニルクロリド-ビニリデンクロリドコポリマー、ビニルクロリドマレエートおよびフマレートコポリマー、ビニルクロリド-オレフィンコポリマー、ビニルクロリド-アクリロニトリルコポリマーなど、およびそれらの組合せを挙げることができる。
【0065】
[0085]本開示の一部の実施形態は、架橋PVCとのPVCブレンドまたは架橋PVC単独を採用することができる。架橋PVCポリマーは、米国特許第4,755,699号および同第5,248,546号(これらの関連する部分が参照により本明細書に組み込まれる)において教示されているように、ビニルクロリドを上記のジアリルイソフタレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリルメタクリレートなどの架橋性モノマーの存在下に重合することによって作製することができる。
【0066】
[0086]記載のホモポリマーおよびコポリマーは市販されており、懸濁、分散またはブレンディングを含めていずれか好適な重合方法によって生成することもできる。例えば、一実施形態において、懸濁法を使用して調製されたポリ塩化ビニルポリマーが、本開示における使用に適している。
【0067】
[0087]一部の実施形態において、PVC組成物は硬質である。いずれの硬質PVC組成物も、本開示における使用に適している。例えば、一部の実施形態において、硬質な組成物は、変性も可塑化もされておらず、またはPVCは、可塑剤を少量かもしくは全く含まない。一部の実施形態において、硬質な組成物は、約12phr以下の可塑剤または可塑性添加剤を含有する。一方、軟質または可塑化PVCは、典型的に可塑剤を約12phr超のレベルで含むことができる。したがって、本開示による硬質PVCは、軟質と分類される変性PVC組成物より高いレベルの引張強さを有することによって特徴づけられる。本明細書では、「樹脂100部当たりの部数」は、樹脂の重量に対する成分の量を規定し、「phr」と略される。
【0068】
[0088]また、本開示によれば、硬質PVCは、ある引張係数より高い引張係数を有する所与の化合物の特性を指す。例えば、PVCは、約105psi(または約689MPa)を超える引張係数を有するとき硬質であり、その引張係数が約105psi~約3000psi(約20.7MPa)に入るとき半硬質であり、約3000psi(または約20.7MPa)未満の引張係数を有するとき軟質であると特徴づけることができる(引張係数値は、23℃および相対湿度50%というASTM標準条件に基づいている)。したがって、本開示による硬質PVCは、広範囲にわたって変動する引張係数値を有することができ、例えば引張係数値は、約800MPa~約1000MPa、または約1000MPa~最大で約2000MPa、またはさらには最大で3000MPaまたはそれ以上とすることができる。
【0069】
[0089]一部の実施形態において、本開示のPVC組成物は、例えば建物および建設、コーナープロファイル、デッキング、フェンシング、レイリング、ソフィット、バイナルサイディング、クラッディング、窓プロファイル、戸枠、サイディング、フェンス、樋、パイプ、パイピング、器具、電気および電子エンクロージャー、電気接続箱、自動車内装および外装、器具、オフィス機器、サインエンクロージャー、医療装置、航空機内装、ならびに他の高温用途を含めてさまざまな用途における使用に適している。
【0070】
[0090]一部の実施形態において、ポリ塩化ビニル樹脂組成物は、添加剤、例えば加工助剤、可塑剤、安定剤、耐衝撃性改良剤、殺生物剤、難燃剤、起泡剤、発泡剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、鉱物、顔料、染料、着色剤、充填剤、繊維、ワックス、融合促進剤、酸化防止剤、帯電防止剤、剥離剤、潤滑剤、追加の樹脂、熱変形温度改良剤、およびおそらく他の添加剤を含有する。一部の実施形態において、使用された市販の硬質なポリ塩化ビニル樹脂組成物中のポリ塩化ビニルの量は、典型的に約100%未満である。
【0071】
[0091]当技術分野において公知のPVC樹脂のタイプのいずれも、本開示の組成物の成分として有用でありうる。一部の実施形態において、PVC樹脂は、プラスチゾルまたはドライブレンドの形をとることができる。さらに、一部の実施形態において、本開示の組成物は、バージンPVC、さまざまなルーフィング製品からリサイクルされたPVCなどリサイクルPVC、およびバージンPVCとリサイクルPVCの組合せを含むことができる。
【0072】
[0092]一実施形態において、本開示におけるPVC樹脂は、ASTMD1243によって決定して、約0.50~約1.60dl/g、またはそれ以上、例えば約0.65~約1.40dl/g、例えば約0.83~約1.00dl/gのインヘレント粘度を有する。
【0073】
[0093]一実施形態において、ポリ塩化ビニル樹脂は、約75℃~約80℃のTgを有する。一実施形態において、ポリ塩化ビニル樹脂は、約60℃~約75℃の熱変形温度(HDT)を有する。
【0074】
[0094]本開示の一態様において、コポリエステルのTgが約90℃より高いとき、PVC樹脂組成物のTgは上昇し、組成物のHDTは改善する。
[0095]例えば、一部の実施形態において、本開示の組成物を使用して作製されたポリ塩化ビニル物品は、衝撃強度を維持しながら、最大で110℃のTgまたは最大で130℃のHDTを有する。一部の実施形態において、物品は、衝撃強度を維持しながら、TgおよびHDTが少なくとも3℃上昇する。
【0075】
[0096]一部の実施形態において、PVC樹脂:コポリエステルの重量分率に基づく比は、約1より大きい。
[0097]一部の実施形態において、PVC樹脂:コポリエステルおよびポリカーボネートの重量分率に基づく比は、約1より大きい。
【0076】
[0098]一部の実施形態において、ポリ塩化ビニル樹脂およびコポリエステルを適切な濃度で添加して、PVC組成物を生成するとき、得られた組成物は、ASTM D638によって決定して、引張強度および弾性率が増加し、ASTM D790によって決定して、曲げ強度および弾性率が増加する。
【0077】
[0099]本開示におけるコポリエステルは、PVCに混和可能である。用語「混和可能」は、分子レベルで同質であり、単相の混合物として挙動し、唯一のガラス転移温度(Tg)を示す、2種以上のポリマーのブレンドまたは混和物を指す。
【0078】
[00100]本明細書に開示される得られたPVC組成物は、いずれか標準PVC加工温度(約170℃~約230℃)で、押出、射出成形、異形押出およびシート押出などのいずれの標準PVC加工方法を使用していずれか標準PVC加工機器で加工することができる。
【0079】
[00101]一部の実施形態において、本開示のコポリエステルは、約75℃~約120℃のTgを有する。一部の実施形態において、本開示のコポリエステルは、少なくとも約90℃以上のTgを有する。一部の実施形態において、本開示のコポリエステルは、少なくとも約100℃以上のTgを有する。一部の実施形態において、本開示のコポリエステルは、少なくとも約110℃以上のTgを有する。
【0080】
[00102]本開示のある特定の実施形態において使用されるコポリエステルは、明瞭な融点を有しないが、代わりに、加工温度がそのガラス転移温度を通り越して上がるにつれて粘度が低下する。より低い分子量のコポリエステルを使用することによって、より低い粘度のコポリエステルを得ることができる。
【0081】
[00103]本開示の一実施形態において、コポリエステルは、約170℃~約200℃およびせん断速度10(1/s)で測定して約100~約100,000Pa・s(約1,000~約1,000,000ポアズ)、または約1,000~約50,000Pa・s(約10,000~約500,000ポアズ)、または約2,000~約30,000Pa・s(約20,000~約300,000ポアズ)の粘度範囲を有する。本開示のこの態様における粘度測定は、Rheometrics RDA IIレオメータを使用して小振幅振動せん断(SAOS)実験を行い、ASTM D4440によって決定したTgを超える複数の温度で1~400s-1の範囲にわたって周波数掃引を行うことによって行われる。一部の実施形態において、粘度は、約170℃~約230℃のPVC加工温度で測定される。
【0082】
[00104]本開示の一実施形態において、コポリエステルは、約5分超の半結晶化時間、少なくとも約90℃以上のガラス転移温度、約170~約230℃およびせん断速度10(1/s)で測定して約100~約100,000Pa・s(約1,000~約1,000,000ポアズ)の粘度範囲を有する。
【0083】
[00105]本開示の別の実施形態において、コポリエステル組成物は、約5分超の半結晶化時間、および少なくとも100℃以上のガラス転移温度、ならびに約170℃~約230℃およびせん断速度10(1/s)で測定して約100~約100,000Pa・s(約1,000~約1,000,000ポアズ)の粘度範囲を有する。
【0084】
[00106]一部の実施形態において、PVC樹脂は、他の添加剤、例えば加工助剤、可塑剤、安定剤、耐衝撃性改良剤、殺生物剤、難燃剤、起泡剤、発泡剤、熱安定剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、鉱物、顔料、染料、着色剤、充填剤、繊維、ワックス、融合促進剤、酸化防止剤、帯電防止剤、剥離剤、潤滑剤、追加の樹脂、熱変形温度改良剤、およびおそらく他の添加剤と組み合わされる。
【0085】
[00107]本開示の一実施形態は、ポリ塩化ビニル組成物を生成する方法であって、少なくとも1種のポリカーボネート樹脂と少なくとも1種のコポリエステルの混和可能な混和物を配合して、粘稠な熱可塑性材料を生成するステップであり、少なくとも1種のコポリエステルが、(a)(i)約90~約100モル%のテレフタル酸残基、ならびに(ii)約0~約10モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族および/または脂肪族のジカルボン酸残基を含むジカルボン酸成分と、(b)(i)約20~約60モル%の、2~20個の炭素原子からなる変性用グリコール、および(ii)約40~約80モル%の、2~20個の炭素原子からなる第2の変性用グリコールを含むグリコール成分とを含む、ステップと;コンパウンドを少なくとも1種のポリ塩化ビニル樹脂組成物とブレンドするステップと;ブレンドをカレンダリング、押出または射出成形プロセスに導入して、ポリ塩化ビニル物品を生成するステップとを含む、方法である。
【0086】
[00108]本開示の別の実施形態は、ポリ塩化ビニル組成物を生成する方法であって、少なくとも1種のポリ塩化ビニル樹脂を少なくとも1種のコポリエステルと配合して、粘稠な熱可塑性材料を生成するステップであり、少なくとも1種のコポリエステルが、(a)(i)約90~約100モル%のテレフタル酸残基、ならびに(ii)約0~約10モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族および/または脂肪族のジカルボン酸残基を含むジカルボン酸成分と、(b)(i)約20~約60モル%の、2~20個の炭素原子からなる変性用グリコール、および(ii)約40~約80モル%の、2~20個の炭素原子からなる第2の変性用グリコールを含むグリコール成分とを含む、ステップと;配合された組成物をポリ塩化ビニル樹脂と混合して、ポリ塩化ビニル組成物を創造するステップと;ポリ塩化ビニル組成物をダイに通して押し出して、ペレットを生成するステップと;ペレットをカレンダリング、押出または射出成形プロセスに導入して、ポリ塩化ビニル物品を生成するステップとを含む、方法である。
【0087】
[00109]一部の実施形態において、本開示のPVC組成物を使用して、フィルム、シート、プロファイル、または射出成形品および部品などの物品を作製する。
[00110]本開示の組成物は、成形プラスチック部品または固体プラスチック物体として有用である。一部の実施形態において、(濃縮材料を使用するとき)ペレットを一緒にブレンドし、または(完全に配合された組成物を使用するとき)押出機に直接添加する押出プロセスを含めていずれの押出プロセスを使用しても、フィルム、シート、プロファイル、ならびに射出成形品および部品を作製することができる。一部の実施形態において、いずれのカレンダリングプロセスを使用しても、フィルム、プロファイルおよびシートを作製することができる。
【0088】
[00111]一部の実施形態において、本開示の組成物の溶融加工は、限定されるものではないが、二軸押出機、単軸押出機、高強度バッチミキサー、バンバリーミキサー、ブラベンダーミキサー、ロールミル、コ-ニーダーまたは遊星歯車押出機を含めて当技術分野において公知であるいずれかの機器を使用する押出を含むものである。混合中のせん断エネルギーは、機器の組合せ、ブレード設計、回転速度(rpm)、および混合時間に依存している。せん断エネルギーは、コポリエステルをポリ塩化ビニル樹脂全体にわたって分散させるのに十分であるべきである。
【0089】
[00112]一部の実施形態において、コポリエステル、ポリ塩化ビニル樹脂および添加剤を、プロセス中にいずれの順序でも組み合わせることができる。一実施形態において、コポリエステルは、ポリ塩化ビニル樹脂と予め混合される。別の実施形態において、ポリ塩化ビニル樹脂は、添加剤と予め混合され、次いでコポリエステルと混合される。
【0090】
[00113]本開示はさらに、本明細書に記載されるポリ塩化ビニル組成物を含むフィルムおよび/またはシートを含む製品にも関する。実施形態において、本開示のフィルムおよび/またはシートは、当業者に明らかであるいずれの厚さとすることもできる。
【0091】
[00114]本開示はさらに、本明細書に記載される成形品にも関する。ポリ塩化ビニル組成物を成形品に形成する方法としては、当技術分野において公知のいずれの方法も挙げることができる。本開示の成形品の例としては、射出成形品および押出成形品が挙げられるが、これらに限定されない。成形品を作製する方法としては、射出成形および押出が挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
[00115]本開示のポリカーボネート、コポリエステルおよびポリ塩化ビニル樹脂の組成物は、いずれの標準手順を使用してもペレットに作製することができる。
[00116]例えば、本開示のペレットは、以下のようにして作製することができる。一実施形態において、二軸配合ラインを使用して、ポリカーボネート/コポリエステル混和物およびポリ塩化ビニル樹脂を組み入れることができる。ポリカーボネート、コポリエステルおよびポリ塩化ビニル樹脂を別々に押出機のスロートに送り込み、溶融して、粘稠な熱可塑性材料を生成する。
【0093】
[00117]一実施形態において、ロスインウエイトフィーダを使用して、ポリカーボネート/コポリエステル混和物およびポリ塩化ビニル樹脂を添加することができる。二軸の回転によって、ポリカーボネート/コポリエステル混和物およびPVCが一緒に溶融する。次いで、混合物をダイに通して押し出して、複数のストランドを生成する。ストランドを水槽に送り込んで、ペレットを冷却する。水槽を出ると同時に、ストランドを乾燥し、ダイサーに送り込んで、ペレットに切断する。あるいは、混合物を、水への開口部が複数ある円形の平板ダイに通して押し出すことができる。平板ダイは、ストランドがダイから押し出されるときストランドを薄く切って、ペレットを生成する回転式カッターを備える。連続水流によって、ペレットを冷却し、乾燥区域に運び、次いで、典型的に遠心機を使用して、ペレットと水を分離する。
【0094】
[00118]一実施形態において、2ローター式連続配合ミキサー(Farrell連続ミキサーなど)を使用して、ポリカーボネート/コポリエステル混和物およびPVCを組み入れることができる。ポリカーボネート/コポリエステル混和物をPVCと一緒にミキサーのスロートに送り込み、溶融して、粘稠な熱可塑性材料を生成することができる。コポリエステルをポリカーボネートと予めブレンドし、次いでPVCに添加することができ、この混合物を、ロスインウエイトフィーダを備えた押出機に添加する。ミキサーの産出速度は、排出オリフィスの面積を変えることによって制御される。溶融物を薄く切り取って「塊」にし、2ロール式ミルまたは単軸押出機のスロートに送り入れることができる。溶融物を2ロール式ミルに送り入れる場合に、溶融物がロールの一方を覆い、細片を単軸押出機のスロートに送り入れることができる。次いで、混合物をダイに通して押し出して、複数のストランドを生成する。ストランドを水槽に送り込んで、ペレットを冷却することができる。水槽を出ると同時に、ストランドを乾燥し、ダイサーに送り込んで、ペレットに切断する。あるいは、混合物を、水への開口部が複数ある円形の平板ダイに通して押し出すことができる。平板ダイは、ストランドがダイから押し出されるときストランドを薄く切って、ペレットを生成する回転式カッターを備える。連続水流によって、ペレットを冷却し、乾燥区域、典型的に遠心機に運んで、ペレットと水を分離する。「塊」を単軸押出機に送り入れる場合に、混合物をダイに通して押し出して、複数のストランドを生成する。ストランドを水槽に送り込んで、ペレットを冷却することができる。水槽を出ると同時に、ストランドを乾燥し、ダイサーに送り込んで、ペレットに切断する。あるいは、混合物を、水への開口部が複数ある円形の平板ダイに通して押し出すことができる。平板ダイは、ストランドがダイから押し出されるときストランドをスライスして、ペレットを生成する回転式カッターを備える。連続水流によって、ペレットを冷却し、乾燥区域、典型的に遠心機に運んで、ペレットと水を分離する。
【0095】
[00119]一部の実施形態において、ポリカーボネート/コポリエステル混和物およびPVC樹脂を、Banburyバッチ型ミキサーなどのプラスチック配合ラインで組み入れることができる。これらの実施形態において、ポリカーボネート/コポリエステル混和物を予めブレンドし、この混和物をPVCと混合し、次いでBanbury型高強度ミキサーに送り込み、ラムを下げて、混合物を混合室に圧縮する。2枚の回転式ミキサーブレードによって、ペレットが溶融し、コポリエステルとポリカーボネートの混和物とPVCが溶融する。所望の温度に到達すると、扉をミキサーの底部で開け、混合物を2ロール式ミルに滴下する。次いで、2ロール式ミルからのリボンを単軸押出機に送り入れることができる。次いで、混合物をダイに通して押し出して、複数のストランドを生成する。ストランドを水槽に送り込んで、ストランドを冷却することができる。水槽を出ると同時に、ストランドを乾燥し、ダイサーに送り込んで、ペレットに切断する。あるいは、混合物を、水への開口部が複数ある円形の平板ダイに通して押し出すことができる。平板ダイは、ストランドがダイから押し出されるときストランドをスライスして、ペレットを生成する回転式カッターを備える。連続水流によって、ペレットを冷却し、乾燥区域、典型的に遠心機に運んで、ペレットと水を分離する。
【0096】
[00120]本開示では、プラスチック物品を作製する異なるいくつかの方法が考慮される:連続フラットシートもしくはプロファイルを生成するための押出、不連続物品を創造するための射出成形、または連続フィルムもしくはシートを生成するための押出。
【0097】
[00121]本開示の別の実施形態は、コポリエステル/ポリカーボネート混和物をPVC樹脂組成物と組み合わせて、押出プロセスを使用してフラットシートまたはプロファイルを生成するステップからなる。一部の実施形態において、これは、いくつかの方式で達成することができ、例えばコポリエステル/ポリカーボネート混和物およびPVC樹脂組成物を別々に、単軸または二軸押出機のスロートに添加する。別の実施形態において、コポリエステルとポリカーボネートの混和物をPVC樹脂組成物と配合して、次いで単軸または二軸押出機のスロートに添加する。一部の実施形態において配合された混合物を、スクリューによって押出機バレルに運搬し、圧縮して、混合物を溶融し、溶融物を押出機の端部から排出する。次いで、溶融物をダイに送り込んで、連続フラットシートを創造し、またはプロファイルダイに送り込んで、連続形状を創造する。フラットシートダイを使用する実施形態において、溶融物を一続きの金属ロール、典型的に3本の金属ロール上に押し出して、溶融物を冷却し、シートに仕上げを付与する。次いで、フラットシートを連続シートとして運搬して、シートを冷却する。次いで、所望の幅に整え、次いでロールに巻き上げ、またはシート形状に切り取り、もしくはのこぎりでひくことができる。フラットシートを機械的手段によってある形状に形成して、所望の形状を形成し、次いで水槽を通して水を吹き付けることによって、または空気をプロファイルに吹きかけることによって冷却することもできる。次いで、それを、所望の長さにのこぎりでひき、または切り取ることができる。
【0098】
[00122]プロファイルダイを使用する実施形態において、所望の形状の物品を生成するようにダイを設計する。ダイを出た後、次いで、それに水槽を通して水を吹き付けることによって、またはプロファイルに空気を吹きかけることによって冷却することができる。次いで、それを、所望の長さにのこぎりでひき、または切り取ることができる。
【0099】
[00123]本開示の別の実施形態は、コポリエステル/ポリカーボネート混和物をPVC樹脂組成物と組み合わせて、射出成形品を生成するステップからなる。これは、上記のコポリエステル/ポリカーボネートブレンドおよびPVC樹脂を別々に、単軸または二軸押出機のスロートに添加することによって、いくつかの方式で達成することができる。別の実施形態において、コポリエステルとポリカーボネートの混和物をPVC組成物と混合し、次いで単軸または二軸押出機のスロートに添加する。一部の実施形態において、ブレンドされた混合物を、スクリューによって押出機バレルに運搬し、圧縮して、混合物を溶融し、溶融物を押出機の端部から排出する。ペレットが所望の温度に到達すると、ゲートを押出機の端部で開け、溶融プラスチックをスクリューによって加熱された鋳型に送って、所望の形状の物品を形成する。鋳型に充填した後、冷却剤を鋳型に通して送って、それと溶融プラスチックを冷却する。プラスチックが固化した後、鋳型を開け、物品を鋳型から取り出す。
【0100】
[00124]例えば、本開示の一実施形態は、ポリ塩化ビニル組成物を生成する方法であって、上記のように少なくとも1種のポリ塩化ビニル樹脂組成物および少なくとも1種のコポリエステル/ポリカーボネート混和物を押し出して、熱可塑性材料の粘稠なブレンドを生成するステップと、熱可塑性材料のブレンドをカレンダリング、押出または射出成形プロセスに導入して、ポリ塩化ビニル物品を生成するステップとを含む、方法である。
【0101】
[00125]本開示の別の実施形態は、ポリ塩化ビニル組成物を生成する方法であって、上記のように少なくとも1種のポリ塩化ビニル樹脂組成物および少なくとも1種のコポリエステル/ポリカーボネート混和物のブレンドされた混和可能な混合物を配合して、粘稠な熱可塑性材料を生成するステップと、コンパウンドをダイに通して押し出して、ペレットを生成するステップと、ペレットをカレンダリング、押出または射出成形プロセス法に導入して、ポリ塩化ビニル物品を生成するステップとを含む、方法である。一部の実施形態において、ポリ塩化ビニル組成物は硬質である。
【0102】
[00126]これらのPVC組成物の有用な用途としては、コーナープロファイル、デッキング、フェンシング、レイリング、窓プロファイル、ならびに他の内装および外装用途などの多くの建物および建設用途が挙げられる。
【0103】
[00127]これらのPVC組成物の他の用途としては、器具、電気および電子エンクロージャー、サインエンクロージャー、自動車用途、航空機内装、ならびに硬質PVC配合物がそれらのより低い引張強度および弾性率ならびに曲げ強度および弾性率のために制限されてきた他の用途における使用を挙げることができる。
【0104】
[00128]例えば、一部の実施形態において、本開示のPVC物品は、以下の用途において使用される:建物および建設、コーナープロファイル、デッキング、フェンシング、レイリング、ソフィット、バイナルサイディング、クラッディング、窓プロファイル、戸枠、サイディング、フェンス、樋、パイプ、パイピング、電気および電子エンクロージャー、電気接続箱、自動車内装および外装、器具、オフィス機器、サインエンクロージャー、医療装置、航空機内装、ならびに他の用途。一部の実施形態において、ポリ塩化ビニル物品は硬質である。
【0105】
[00129]本開示を、以下の実施例によってさらに説明することができるが、これらの実施例は説明のために含められているにすぎず、特段に具体的に指示のない限り本開示の範囲を限定するものではないことが理解されよう。
【実施例】
【0106】
[00130]以下の表および図は、本開示の実施例および比較例の実験結果をまとめたものである。
実施例:
【0107】
【0108】
[00131]表1は、実施例のすべてにおいて使用される対照配合物である。生成されたデータはすべて、対照配合物を使用し、添加剤を、PVC樹脂100部に対して樹脂100部当たりさまざまな部レベルで組み込んだ。280グラムのコンパウンドを190℃に設定したBrabender Intelli-Torqueミキサー中、ブレード速度30rpmで混合することによって、すべて試料を溶融し、調製した。試料をBrabenderから190℃で取り出し、Dr.Collinの2ロールミルに移した。フロントロール温度を180℃に設定し、バックロール温度を175℃に設定した。溶融した材料をミル上に置き、ロール速度を20rpmに設定した。材料の温度が175℃に到達し、次いでミルから取り出した。フィルムをミルから0.010インチ(250ミクロン)で引き取り、放冷した。
【0109】
【0110】
[00132]表2は、試料組成物をまとめたものである。表1の対照配合物を記載のように可変量のHDT 1、HDT 2、HDT 3とブレンドして、0重量%~約31重量%のさまざまな量のポリカーボネートを含む混和物を創造することによって、試料組成物を創造した。
【0111】
[00133]非晶質コポリエステルは、Eastman Chemical Company社から市販され、約116℃のガラス転移温度を有するものである。ポリカーボネートのMakrolon 2608は、Covestro社によって作製された、ガラス転移温度約148℃の中粘度非晶質ビス-フェノールAポリカーボネート樹脂である。
【0112】
[00134]ポリカーボネートのMakrolon 2658は、Covestro社によって作製された、ガラス転移温度約148℃の中粘度非晶質ビス-フェノールAポリカーボネート樹脂であり、これもいくつかの実施例で使用された。
【0113】
実施例1:DSCおよびHDT
[00135]HDT 1、HDT 2、HDT 3を30、40、50、60、80phrで添加して、試料を調製した。HDT 2とHDT 3の50/10、30/30、10/50の比(合計60phr)の混合物、およびHDT 2とHDT 3の65/15、40/40、15/65(合計80phr)の混合物を添加することによって、追加の試料を調製した。表3には、示差走査熱量測定(DSC)(ASTM D3418)ならびに歪み1%および2%における荷重熱変形温度(HDTUL)(ASTM D1637)の結果が含まれている。データから、HDT 1、HDT 2、HDT 3、およびHDT 2とHDT 3の混合物を含有するすべての組成物のTgをDSCによって決定して、対照試料より高かったことが示される。DSCによって決定したTg値は、ガラス転移領域の中間点で採取した。データから、HDTULを歪み1%および2%における引張DMAによって決定して、対照配合物より高かったことも示される。
【0114】
【0115】
実施例2:衝撃特性
[00136]HDT 1、HDT 2、HDT 3を30、40、50、60、80phrで添加して、試料を調製した。HDT 2とHDT 3の50/10、30/30、10/50の比(合計60phr)の混合物、およびHDT 2とHDT 3の65/15、40/40、15/65(合計80phr)の混合物を添加することによって、追加の試料を調製した。表4は、計装化衝撃(ASTM D 3763)の結果をまとめたものである。データから、HDT 1を単独で含有する組成物はすべて、衝撃を受けた試料の目視検査によって決定して延性であったことが示される。データから、ポリカーボネートのMakrolon 2608を含有する組成物は、衝撃を受けた試料の目視検査によって決定して、約15重量%の荷重まで大部分は延性の衝撃特性を示すことが示される。データから、脆性でありながら、衝撃強度の著しい損失は、平均最大荷重(kN)、最大荷重における平均エネルギー(J)、平均パンクチャーエネルギー(J)および平均全エネルギー(J)によって測定して、ポリカーボネートのMakrolon 2608の含有量が約25%になるまで見られなかったことも示される。
【0116】
【0117】
実施例3:引張特性
[00137]HDT 1、HDT 2、HDT 3を30、40、50、60、80phrで添加して、試料を調製した。HDT 2とHDT 3の50/10、30/30、10/50の比(合計60phr)の混合物、およびHDT 2とHDT 3の65/15、40/40、15/65(合計80phr)の混合物を添加することによって、追加の試料を調製した。表5は、引張特性データ(ASTM D-638)をまとめたものである。測定は、フィルムを2ロール式ミルから引き剥がす方向(縦方向)およびフィルムをミルから引き剥がす方向に対して垂直な方向(横方向)で行った。破断歪(%)を衝撃強度の代理として使用すると、縦方向および横方向におけるデータは計装化衝撃データを概して反映し、完全な脆化は、ポリカーボネートのMakrolon 2608の含有量が約25%になるまで見られなかった。
【0118】
【0119】
実施例4:加工特性
[00138]HDT 1、HDT 2、HDT 3を80phrで添加して、試料を調製した。HDT 2とHDT 3の65/15、40/40、15/65(合計80phr)の混合物を添加することによって、追加の試料を調製した。非晶質コポリエステルを20、40、60、80、100phrで添加して、追加の試料を調製した。
図1および
図2には、平行平板レオメトリーによって決定した190℃における粘度データ対せん断速度が含まれる。データから、ポリカーボネートを含む配合物は、PVCおよび非晶質コポリエステルを含む配合物より低い溶融粘度を有する傾向があることが示される。
【0120】
実施例5:ガラス転移温度および混和性
[00139]対照配合物にHDT 2およびHDT 3を30、40、50phrで添加することによって、試料を調製した。
図3および
図4は、30、40、50phrで添加されたHDT 2の貯蔵弾性率およびタンデルタのチャートを示す。
図5および
図6は、30、40、50phrで添加されたHDT 3の貯蔵弾性率およびタンデルタのチャートを示す。チャートのすべてが、すべての混合物について単一のまとまったガラス転移温度を示す。貯蔵弾性率のチャートは、約90~95℃で始まって約100℃で終わる単一の急な下方傾斜を示す。タンデルタのチャートは、約95~100℃の範囲で単一ピークを示す。これらのデータは、混和不可能なポリマー混和物としてのポリマーの単一の混和可能な混和物が、異なる2つ以上のガラス転移温度を有するものと予想されることを示す。
【0121】
比較例1:20、40、60phrのポリカーボネートの引張特性、衝撃特性および相溶性
[00140]PVC対照配合物にポリカーボネートのMakrolon 2658を20、40、60phrで添加して、試料を調製した。表6は、引張特性データおよび計装化衝撃データをまとめたものである。
図7には、動的機械分析(DMA)データが含まれている。ポリカーボネートのMakrolon 2658は、約145℃のTgを有し、ポリカーボネートは靭性ポリマーであることで一般に知られている。表6のデータから、ポリカーボネートのMakrolon 2658の試験レベルがすべて、より低い破断歪み(%)および脆性な計装化衝撃特性によって不十分な衝撃特性を示すことが示される。
図7は、ポリカーボネートのMakrolon 2658とPVC対照配合物のブレンドが、タンデルタピークによって決定された異なる2つのガラス転移温度(Tg)によって明らかなように混和不可能であることを示す。このデータから、高Tg熱可塑性材料を硬質PVCに組み込むだけでは、TgおよびHDTULを上昇させ、ブレンドの衝撃特性を維持するのに十分でないことが示される。高Tg熱可塑性材料は、混和可能で相溶可能でもなければならない。
【0122】
【国際調査報告】