(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-13
(54)【発明の名称】スイングクランプ用ギヤ伝動装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 3/06 20060101AFI20230706BHJP
B25B 5/08 20060101ALI20230706BHJP
F16H 25/12 20060101ALI20230706BHJP
【FI】
B23Q3/06 302C
B23Q3/06 304A
B25B5/08
F16H25/12 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577101
(86)(22)【出願日】2021-06-16
(85)【翻訳文提出日】2023-02-13
(86)【国際出願番号】 EP2021066171
(87)【国際公開番号】W WO2021255060
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】102020115803.3
(32)【優先日】2020-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516160522
【氏名又は名称】ルートヴィヒ エアハルト ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【氏名又は名称】今下 勝博
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【氏名又は名称】田中 真理
(72)【発明者】
【氏名】クラッツ、ヘンドリク
【テーマコード(参考)】
3C016
3C020
3J062
【Fターム(参考)】
3C016CA03
3C016CB02
3C016CC04
3C020CC01
3C020CC07
3C020EE03
3J062AB31
3J062AC07
3J062BA13
3J062CC12
(57)【要約】
本発明は特に部材の締め付けのためのスイングクランプ(1)の中で駆動運動から出力運動に運動を変換するためのギヤ伝動装置に関する。本発明に係るギヤ伝動装置は、まず、作動中に特にピストンとして駆動運動を行う可動な駆動部材(9)を含む。さらに本発明に係るギヤ伝動装置は、特にロッドとして、作動中に出力運動を行う可動な出力部材(4)と、設定された伝達曲線に従い、駆動部材(9)の駆動運動を出力部材(4)の出力運動に変換するカムギヤとを有し、駆動運動および出力運動のうち、一方の運動が、設定された運動軸に沿った軸方向運動であるか、または少なくともそれを含み、かつ他方の運動が、運動軸を中心とした回転運動であるか、少なくともそれを含む。本発明は、カムギヤが2つの接触面(F1、F2)を有し、これらが互いに対して平面的に摺動し、それによって運動変換を行うことを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に部材の締め付けのためのスイングクランプ(1)の中で駆動運動から出力運動に運動を変換するためのギヤ伝動装置であって、
a)特にピストンとして作動中に前記駆動運動を行う可動な駆動部材(9)と、
b)特にロッドとして作動中に前記出力運動を行う可動な出力部材(4)と、
c)設定した伝達曲線に従い、前記駆動部材(9)の前記駆動運動を前記出力部材(4)の前記出力運動に変換するカムギヤとを有し、
d)前記駆動運動および前記出力運動のうち、一方の運動が、設定した運動軸に沿った軸方向運動であるか、または少なくとも該軸方向運動を含み、かつ他方の運動が、前記運動軸を中心とした回転運動であるか、または少なくとも該回転運動を含み、
e)前記カムギヤは、互いに対して平面的に摺動することによって運動変換をもたらす2つの接触面(F1、F2)を備えることを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項2】
a)前記互いに対して摺動する接触面(F1、F2)は、自由曲面(F1、F2)であり、
b)前記自由曲面(F1、F2)は、好ましくは螺旋に沿って延びており、
c)前記自由曲面(F1、F2)は、好ましくは前記運動軸に垂直な断面において、非円形であり、
d)前記カムギヤは、好ましくはセルフロック式ではないことを特徴とする請求項1に記載のギヤ伝動装置。
【請求項3】
a)前記互いに対して摺動する接触面(F1、F2)には、媒体が前記運動軸に沿って漏出することを防止するためのシール(16)が設けられ、かつ
b)前記シール(16)は、前記互いに対して摺動する接触面(F1、F2)の領域で軸方向に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のギヤ伝動装置。
【請求項4】
前記互いに対して摺動する接触面(F1、F2)の領域で軸方向に環状溝が前記互いに対して摺動する接触面(F1、F2)に形成され、前記シール(16)が前記環状溝の中に配置されることを特徴とする請求項1~3のうちいずれか一項に記載のギヤ伝動装置。
【請求項5】
前記2つの接触面(F1、F2)のうちの一方が前記駆動部材(9)に配置され、前記2つの接触面(F1、F2)のうちの他方が前記出力部材(4)に配置されることを特徴とする請求項1~4のうちいずれか一項に記載のギヤ伝動装置。
【請求項6】
a)前記駆動部材(9)の前記駆動運動は、初期段階において、回転運動要素のない純粋な軸方向運動であり、
b)前記出力部材(4)の前記出力運動は、前記初期段階において、並進要素のない純粋な回転運動であり、
c)前記出力部材(4)の前記出力運動は、最終段階において、回転要素のない純粋な軸方向運動であり、かつ
d)前記出力部材(4)の前記出力運動は、前記初期段階と前記最終段階との間の移行段階において、好ましくは回転運動と軸方向運動との組み合わせであることを特徴とする請求項1~5のうちいずれか一項に記載のギヤ伝動装置。
【請求項7】
a)前記運動の前記初期段階において、前記出力部材(4)の運動軸に沿った軸方向運動を防止し、前記最終段階において、前記出力部材(4)の前記軸方向運動を解除する軸方向ロックが設けられ、
b)前記軸方向ロックは、好ましくはねじれないよう剛性的に前記出力部材(4)に接続されたディスク(13)を備え、かつ
c)前記ディスク(13)は、孔内において、前記ディスクを使用した前記出力部材(4)の特定の回転位置で位置する場合のみ軸方向に変位可能であり、前記ディスク(13)は、そうでない場合には、前記出力部材(4)の前記軸方向運動をロックし、
d)前記ディスク(13)は、前記孔内で回転しないように確保され、
e)前記ディスク(13)および前記孔は、回転防止をもたらすように好ましくは楕円形の断面を有することを特徴とする請求項6に記載のギヤ伝動装置。
【請求項8】
a)前記駆動部材(9)は、ピストン(9)であるか、またはピストン(9)により駆動され、
b)前記ピストン(9)は、作動シリンダ(8)内で、前記運動軸に沿って変位可能であり、
c)前記ピストン(9)は、前記作動シリンダ(8)内で、作動流体の加圧媒体駆動式により、特に油圧式または空圧式により変位可能であり、
d)前記出力部材(4)は、ロッド(4)であり、
e)前記作動シリンダ(8)および前記ピストン(9)は、好ましくは非円形の断面を有し、したがって、前記ピストン(9)は、前記作動シリンダ(8)内で、前記運動軸を中心に回転可能ではなく、前記運動軸に沿ってのみ変位可能であることを特徴とする請求項1~7のうちいずれか一項に記載のギヤ伝動装置。
【請求項9】
a)前記ピストン(9)は、貫通している軸方向孔を備え、
b)前記ロッド(4)は、前記軸方向孔を通って前記ピストン(9)内を貫通し、
c)前記ロッド(4)の外側面および前記ピストン(9)内の前記軸方向孔の内面は、前記互いに対して摺動する接触面(F1、F2)であることを特徴とする請求項8に記載のギヤ伝動装置。
【請求項10】
a)前記駆動部材(9)は、回転できないように保持され、したがって、前記駆動部材(9)は、前記運動軸を中心に回転することができず、かつ
b)前記駆動部材(9)は、軸方向に変位可能に保持され、したがって、前記駆動部材(9)は、軸方向に前記運動軸に沿って移動できることを特徴とする請求項1~9のうちいずれか一項に記載のギヤ伝動装置。
【請求項11】
a)前記駆動部材(9)が前記出力部材(4)を環状に包囲するか、または
b)前記出力部材が前記駆動部材(9)を環状に包囲することを特徴とする請求項1~10のうちいずれか一項に記載のギヤ伝動装置。
【請求項12】
a)(
図9)前記駆動部材(S)の前記駆動運動は、回転運動要素のない純粋な軸方向運動であり、前記出力部材(K)の前記出力運動は、並進運動要素のない純粋な回転運動であり、
a1)前記駆動部材(S)は、前記運動軸を中心に回転しないように確保され、したがって、前記駆動部材(S)は、回転運動を行うことができず、
a2)前記出力部材(K)は、前記運動軸に沿って変位しないように確保され、したがって、前記出力部材(K)は、軸方向運動を行うことができず、
a3)前記駆動部材(S)は、好ましくはロッド(S)であり、前記出力部材(K)は、好ましくはピストン(K)であるか、または
b)(
図10)前記駆動部材(K)の前記駆動運動は、回転運動要素のない純粋な軸方向運動であり、前記出力部材(S)の前記出力運動は、並進運動要素のない純粋な回転運動であり、
b1)前記駆動部材(K)は、前記運動軸を中心に回転しないように確保され、したがって、前記駆動部材(K)は、回転運動を行うことができず、
b2)前記出力部材(S)は、前記運動軸に沿って変位しないように確保され、したがって、前記出力部材(S)は、軸方向移動を行うことができず、
b3)前記駆動部材(K)は、好ましくはピストン(K)であり、前記出力部材(S)は、好ましくはロッドであるか、または
c)(
図11)前記駆動部材(S)の前記駆動運動は、並進運動要素のない純粋な回転運動であり、前記出力部材(K)の前記出力運動は、回転運動要素のない純粋な軸方向運動であり、
c1)前記駆動部材(S)は、前記運動軸に沿って変位しないように確保され、したがって、前記駆動部材(S)は、軸方向運動を行うことができず、
c2)前記出力部材(K)は、前記運動軸を中心に回転しないように確保され、したがって、前記出力部材(K)は、回転運動を行うことができず、
c3)前記駆動部材(S)は、好ましくはロッド(S)であり、前記出力部材(K)は、好ましくはピストン(K)であるか、または、
d)(
図12)前記駆動部材(K)の前記駆動運動は、並進運動要素のない純粋な回転運動であり、前記出力部材(S)の前記出力運動は、回転運動要素のない純粋な軸方向運動であり、
d1)前記駆動部材(K)は、前記運動軸に沿って変位しないように確保され、したがって、前記駆動部材(K)は、軸方向運動を行うことができず、
d2)前記出力部材(S)は、前記運動軸を中心に回転しないように確保され、したがって、前記出力部材(S)は、回転運動を行うことができず、
d3)前記駆動部材(K)は、好ましくはピストン(K)であり、前記出力部材(S)は、好ましくはロッド(S)であるか、または
e)(
図13)前記駆動部材(S)の前記駆動運動は、並進運動要素のない純粋な回転運動であり、前記出力部材(S)の前記出力運動は、軸方向運動と回転運動との組み合わせであり、
e1)前記駆動部材(S)は、前記出力部材(S)をも構成しており、
e2)前記駆動部材(S)および前記出力部材(S)は、好ましくはロッド(S)であり、該ロッド(S)は、好ましくはピストン(K)によって包囲され、
e3)前記ピストン(K)は、変位および回転しないように確保されるか、または
f)(
図14)前記駆動部材(S)の前記駆動運動は、回転運動要素のない純粋な軸方向運動であり、前記出力部材(S)の前記出力運動は、軸方向運動と回転運動との組み合わせであり、
f1)前記駆動部材(S)は、前記出力部材(S)をも構成しており、
f2)前記駆動部材(S)および前記出力部材(S)は、好ましくはロッド(S)であり、該ロッド(S)は、好ましくはピストン(K)によって包囲され、
f3)前記ピストン(K)は、変位および回転しないように確保されるか、または
g)(
図15)前記駆動部材(S)の前記駆動運動は、軸方向運動と回転運動との組み合わせであり、前記出力部材(S)の前記出力運動は、軸方向運動と回転運動との組み合わせであり、
g1)前記駆動部材(S)は、前記出力部材(S)をも構成しており、
g2)前記駆動部材(S)および前記出力部材(S)は、好ましくはロッド(S)であり、該ロッド(S)は、ピストン(K)によって包囲され、
g3)前記ピストン(K)は、変位および回転しないように確保されるか、または、
h)(
図16)前記駆動部材(K)の前記駆動運動は、純粋な回転運動であり、前記出力部材(K)の前記出力運動は、軸方向運動と回転運動との組み合わせであり、
h1)前記駆動部材(K)は、前記出力部材(K)をも構成しており、
h2)前記駆動部材(K)および前記出力部材(K)は、好ましくはロッド(S)を包囲するピストン(K)であり、
h3)前記ロッド(S)は、変位および回転しないように確保されるか、または
i)(
図17)前記駆動部材(K)の前記駆動運動は、純粋な軸方向運動であり、前記出力部材(K)の前記出力運動は、軸方向運動と回転運動との組み合わせであり、
i1)前記駆動部材(K)は、前記出力部材(K)をも構成しており、
i2)前記駆動部材(K)および前記出力部材(K)は、好ましくはピストン(K)であり、該ピストン(K)は、好ましくはロッド(S)を包囲し、
i3)前記ロッド(S)は、変位および回転しないように確保されるか、または、
j)(
図18)前記駆動部材(K)の前記駆動運動は、好ましくは軸方向運動と回転運動との組み合わせであり、前記出力部材(K)の前記出力運動は、好ましくは軸方向運動と回転運動との組み合わせであり、
j1)前記駆動部材(K)は、好ましくは前記出力部材(K)をも構成しており、
j2)好ましくは前記駆動部材(K)および好ましくは前記出力部材(K)は、ピストン(K)であり、該ピストン(K)は、好ましくはロッド(S)を包囲し、
j3)好ましくは前記ロッド(S)は、変位および回転しないように確保されることを特徴とする請求項1~11のうちいずれか一項に記載のギヤ伝動装置。
【請求項13】
前記カムギヤの前記接触面(F1、F2)のうち、一方が前記ロッド(S)の前記外側面に、他方が前記ピストン(K)の前記内面に配置されることを特徴とする請求項1~12のうちいずれか一項に記載のギヤ伝動装置。
【請求項14】
クランププロセス中にクランプバーを移動させるための請求項1~13のいずれか一項に記載のギヤ伝動装置を備えたスイング装置であって、
特に部材の締め付けのための油圧式スイングモータまたはスイングクランプ(1)である、スイング装置。
【請求項15】
a)前記クランプバー(6)は、前記ギヤ伝動装置の前記出力部材(4)によって移動され、
b)前記駆動部材は、作動シリンダ(8)内で加圧媒体駆動式に変位可能なピストン(9)であることを特徴とする請求項14に記載のスイングクランプ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に回動装置(例えば部材を締め付けるためのスイングクランプまたは油圧式スイングモータ)において駆動運動から出力運動に運動を変換するためのギヤ伝動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第1264659号および独国出願公開第10252549号から、例えばワークピースを機械テーブル上で締め付けるために使われる従来のスイングクランプが公知である。ここではクランプバーが回動可能かつ軸方向に変位可能であり、クランプバーの運動は、軸方向に加圧媒体駆動式にスイングクランプの作動シリンダ内で変位可能なピストンによって駆動される。ここでは、変位可能なピストンと変位可能かつ回動可能なクランプバーとの間にギヤ伝動装置が配置され、該ギヤ伝動装置は、ピストンの純粋な軸方向運動を、クランプバーの回動と軸方向運動との組み合わせに変換する。この運動変換は、公知のスイングクランプの場合、リンクガイドによって行われる。さらに公知のスイングクランプは、リンクガイドに沿って軸方向に媒体(例えば作動油)が漏出するのを防止するシールを備える。これらのシールは、リンクガイドの軸方向上下に配置され、それにより、リンクガイドの上下のシールにスペースが必要となるため、従来のスイングクランプの軸方向の全高が増す。つまり公知のスイングクランプの欠点は、シールに追加のスペースを要し、それによってスイングクランプの軸方向の全高が増すという事実にある。
【0003】
さらに独国特許出願公開第102012012423号から自動車の駐車ブレーキ用ギヤ伝動装置が公知である。ただしこの公知のギヤ伝動装置は、スイングクランプまたは油圧式スイングモータには適合しない。
【0004】
さらにまた本発明の一般的な技術背景は、独国特許出願公開第102012000392号、独国特許出願公開第102017221512号、独国特許出願公開第2757507号および独国特許出願公開第4114295号を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第1264659号明細書
【特許文献2】独国出願公開第10252549号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102012012423号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第102012000392号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第102017221512号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第2757507号明細書
【特許文献7】独国特許出願公開第4114295号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのため本発明は、スイングクランプの軸方向全高を低減する可能性を見出すという課題に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、本発明および主請求項に係るギヤ伝動装置によって解決される。
【0008】
本発明に係るギヤ伝動装置は、全般的には、駆動運動から出力運動に運動を変換するために使用される。したがって本発明は、スイングクランプにおける本発明に係るギヤ伝動装置の使用に限定されない。むしろ本発明に係る伝動装置は、別の方法で使用されることもできる。
【0009】
本発明に係るギヤ伝動装置は、従来技術に従い、作動中に駆動運動を行う可動な駆動部材を備える。スイングクランプの好ましい実施形態例では、駆動部材は、好ましくは加圧媒体駆動式に軸方向に変位可能なピストンであり、ピストンの駆動は、例えば空気圧または油圧で行われうる。
【0010】
さらに、本発明に係るギヤ伝動装置は、従来技術に従い、作動中に出力運動を行う可動な出力部材を備える。スイングクランプの好ましい実施形態例において、好ましくは、クランプバーを支持するのは、ロッドであり、したがって、ロッドは、軸方向に変位可能であり、回動可能でもある。
【0011】
さらに、本発明に係るギヤ伝動装置は、従来技術のように、設定した伝達曲線に従い、駆動部材(例えばピストン)の駆動運動を出力部材(例えばロッド)の出力運動に変換するカムギヤを備える。
【0012】
ここでは、駆動運動および出力運動のうち、一方の運動が、設定した運動軸に沿った軸方向運動であるか、または運動軸に沿った少なくとも1つの並進運動要素を含み、かつ他方の運動が、運動軸を中心とした回転運動であるか、または少なくとも1つの回転運動要素を含むことが言及されるべきである。スイングクランプの好ましい実施形態例では、駆動運動は、回転運動要素のない純粋な軸方向運動であり、出力運動は、回転運動と軸方向運動との組み合わせである。
【0013】
本発明は、欧州特許第1264659号の場合のように、カムギヤがリンクガイドを有しないことを特徴とする。むしろ本発明に係るギヤ伝動装置のカムギヤは、互いに対して平面的に摺動し、それによって運動変換をもたらす2つの接触面を有する。したがって、互いに対して摺動する接触面は、好ましくは螺旋に沿って延びている好ましくは自由曲面である。ここで、自由曲面は、運動軸に対して垂直な断面において、好ましくは非円形であることに言及されるべきである。例えば、接触面は、運動軸に対して垂直な断面が楕円形でありうる。したがって、運動軸に沿って互いに対して摺動する接触面の軸方向変位は、必然的に2つの接触面の互いに対する回転運動をもたらす。逆に2つの接触面の互いに対する回転は、必然的に接触面の互いに対する軸方向運動をもたらす。自由曲面を適切に成形することにより、ほぼ随意の伝達曲線を実現することができ、伝達曲線は、駆動運動と出力運動との間の関係を反映する。
【0014】
さらに、カムギヤは、セルフロック式ではないことが言及されなければならない。それによって、接触面の互いに対する変位または回転がカムギヤのブロックにつながらないため、これは重要なことである。そのために接触面は、滑らかで段差がなく、正または負に湾曲していることが好ましい。
【0015】
先行技術の欠点として上述したが、シールによってスイングクランプの軸方向の全高が増すことは望ましくない。しかし本発明による構造では、シールを接触面に統合することができる。ここではシールを互いに対して摺動する接触面の領域で軸方向に配置することができるため、シールを収容するための軸方向の追加のスペースが必要ないということを言及するべきである。
【0016】
例えば、シールを収容する働きをする環状溝を、互いに対して摺動する接触面のうちの一方に配置することができる。環状溝は、駆動側の接触面または出力側の接触面のいずれかに任意に配置されうる。
【0017】
互いに対して摺動する2つの接触面は、好ましくは、一方が駆動部材に、かつ他方が出力部材に配置されることも言及されるべきである。ただし代替的に、駆動部材または出力部材のみが接触面を有し、対応するさらなる接触面が固定的に配置されることも可能である。
【0018】
本発明に係るギヤ伝動装置をスイングクランプに使用する場合、駆動部材(例えばピストン)の駆動運動は、好ましくは回転運動要素のない純粋な軸方向運動である。そのため、駆動部材は、運動軸を中心に回転しないように確保されうる。駆動要素としてピストンを用いる場合、これは、例えばピストンが楕円形の断面を有し、対応する適合された楕円形の断面を有する作動シリンダ内で変位可能であることによって実現されうる。
【0019】
それに対して、出力運動の初期段階における出力部材の出力運動は、スイングクランプそれ自体から知られているように、並進要素のない純粋な回転運動であることが好ましい。したがって、初期段階におけるピストンの軸方向の駆動運動は、軸方向運動なしにスイングバーの回動のみをもたらす。
【0020】
それに対して、出力運動の最終段階では、出力部材(例えばスイングバー)の出力運動は、好ましくは回転要素のない純粋な軸方向運動である。スイングバーが締め付け位置に回動された後、スイングバーは、軸方向にのみ移動して部材を締め付ける。
【0021】
それに対して、初期段階と最終段階との間の移行段階では、出力部材(例えばスイングバー)の出力運動は、回転運動と軸方向運動との組み合わせでありうる。
【0022】
さらには、ギヤ伝動装置が運動の初期段階で運動軸に沿った出力部材(例えばスイングバー)の軸方向運動を防止し、出力部材の軸方向運動を最終段階で解除する軸方向ロックを有しうることも言及されるべきである。例えば、軸方向ロックは、このために、出力部材にねじれないよう剛性的に接続されるか、または出力部材に一体的に形成される楕円形ディスクを有しうる。楕円形ディスクが、楕円孔内の特定の回転位置で位置する場合のみ軸方向に変位することができ、それに対し、そうでない場合には、楕円形ディスクが軸方向の変位を阻止する。
【0023】
駆動部材は、作動シリンダ内で運動軸に沿って変位可能なピストンであってもよく、ピストンは、作動シリンダ内で、作動流体の加圧媒体駆動式、例えば油圧式または空圧式により変位されることはすでに簡単に言及している。それに対して出力部材は、スイングクランプ自体で知られているように、ロッドでありうる。この場合作動シリンダおよびピストンは、非円形の断面を有することができ、それによって作動シリンダ内でのピストンの回転が防止される。例えばピストンおよび作動シリンダは、非円筒形の断面(例えば多角形または楕円形)を有してもよい。ピストンと作動シリンダの形状は、回転しないように確保される必要があり、非円形の断面(楕円形や多角形など)で製造されうる。
【0024】
本発明に係る好ましい実施形態例では、ピストンは、貫通している軸方向孔を有し、ロッドが、ピストン中の軸方向孔を貫通する。一方ではロッドの外側面、および他方ではピストン中の軸方向孔の内面が、ここでは、運動変換のために互いに対して摺動する接触面を形成している。
【0025】
概して、駆動部材は、好ましくは回転しないように保持され、したがって、駆動部材は、運動軸を中心として回転できないことに言及すべきである。それに対して、駆動部材が運動軸に沿って軸方向に移動できるように、駆動部材は、好ましくは軸方向に変位可能に保持される。
【0026】
概して、駆動部材は、出力部材を好ましくは環状に包囲することも言及されるべきである。ただし代替的に出力部材が駆動部材を環状に包囲することも可能である。
【0027】
上記の説明部分は、好ましくはスイングクランプにおける本発明に係るギヤ伝動装置の使用に関する。ただし、本発明に係るギヤ伝動装置の他の適用分野も考えられることはすでに述べた。したがって、本発明に係るギヤ伝動装置は、以下に簡単に説明するさまざまな運動変換に適合する。
【0028】
本発明に係る変形例では(
図9も参照)、駆動部材の駆動運動は、回転運動要素のない純粋な軸方向運動であり、出力部材の出力運動は、並進運動要素のない純粋な回転運動である。ここで駆動部材は、好ましくは運動軸を中心に回転しないように確保され、したがって、駆動部材は、回転運動を行うことができず、運動軸に沿った軸方向運動のみを行う。それに対して本発明に係るこの変形例では、出力部材は、好ましくは運動軸に沿って変位しないように確保され、したがって、出力部材は、運動軸に沿った軸方向運動を行うことができず、運動軸を中心とした回転運動のみを行う。この場合、駆動部材は、好ましくは出力部材としてのピストンに包囲されたロッドである。運動変換のための接触面は、ここでは好ましくは、一方がロッドの外側面に、他方がピストンの貫通孔中に存在する。
【0029】
本発明に係る別の変形例でも同様に(
図10も参照)、駆動部材の駆動運動は、回転運動要素のない純粋な軸方向運動であり、出力部材の出力運動は、並進運動要素のない純粋な回転運動である。したがって、本発明に係るこの変形例は、部分的に、上記の本発明の第1の変形例に対応する。ただしここでは、ピストンとロッドとが彼方此方になり、すなわち、駆動部材がピストンであり、出力動部材がロッドである。
【0030】
本発明に係る別の変形例では(
図11も参照)、駆動部材の駆動運動は、並進運動要素のない純粋な回転運動であり、出力部材の出力運動は、回転運動要素のない純粋な軸方向運動である。ここで、駆動部材は、好ましくは運動軸に沿って変位しないように確保され、したがって、駆動部材は、軸方向運動を行うことができず、運動軸を中心とした回転運動のみを行う。それに対して、出力部材は、運動軸を中心として回転しないように確保され、したがって、出力部材は、回転運動を行うことができず、運動軸に沿った軸方向運動のみを行う。ここでは、駆動部材がロッドであり、出力部材がピストンである。
【0031】
本発明に係るさらなる変形例でも(
図12も参照)同様に、上述したように、純粋な回転運動が純粋な軸方向運動に変換される。ただしここでは、駆動部材がピストンであり、出力部材がロッドである。
【0032】
本発明に係るさらなる変形例(
図13も参照)は、駆動部材の駆動運動が、並進運動要素のない純粋な回転運動であり、出力部材の出力運動が、軸方向運動と回転運動との組み合わせであることを提供する。この場合、駆動部材と出力部材とは、同一であり、ピストンによって包囲されたロッドによって構成されている。したがってここでは、ロッドの回転は、ロッドの回転と軸方向変位との組み合わせをもたらす。そのため本発明に係るこの変形例では、ピストンは、回転も変位もしないように確保され、そのため伝動装置内で静止している。
【0033】
それに対して、本発明に係るさらなる変形例(
図14も参照)は、回転運動要素のない純粋な軸方向運動が、軸方向運動と回転運動との組み合わせに変換されることを提供する。ここでも駆動部材と出力部材とは、同一であり、ピストンによって包囲されたロッドによって構成されている。この場合も同様に、ピストンは、伝動装置内で静止して配置されているため、変位も回転もしないように確保される。
【0034】
本発明に係る別の変形例(
図15も参照)は、軸方向運動と回転運動との組み合わせが、軸方向運動と回転運動との組み合わせに変換されることを提供する。ここでも駆動部材と出力部材とは、同一であり、ピストンによって包囲されたロッドによって構成されており、ピストンは、またもギヤ伝動装置内に静止して配置され、すなわちピストンは、軸方向への変位も回転もしないように確保される。
【0035】
本発明に係るさらなる変形例(
図16も参照)では、駆動部材の駆動運動は、純粋な回転運動であり、出力部材の出力運動は、軸方向運動と回転運動との組み合わせである。ここでも駆動部材と出力部材とは、同一であり、ロッドを包囲するピストンによって構成されている。ここでは、ロッドは、伝動装置内で静止して配置されており、つまりロッドは、軸方向への変位も回転もしないように確保される。
【0036】
本発明に係るさらなる変形例(
図17も参照)は、駆動側に純粋な軸方向運動があり、出力側に軸方向運動と回転運動との組み合わせが生成されることを提供する。ここでも駆動部材と出力部材とは、同一であり、ロッドを包囲するピストンによって構成されており、ロッドは、軸方向への変位も回転も両方しないように確保される。
【0037】
さらなる実施形態例(
図18も参照)では、駆動側および出力側の両方に、軸方向運動と回転運動との組み合わせが提供される。ここでも駆動部材と出力部材とは、またも同一であり、ロッドを包囲するピストンによって構成されており、ロッドは、変位および回転しないように確保される。
【0038】
上述の本発明に係る様々な変形例において、カムギヤの接触面(自由曲面)は、一方がロッドの外側面に、他方がピストンの内面に存在する。
【0039】
上記の説明は、適用分野に関係なく、概して本発明に係るギヤ伝動装置に関する。しかし本発明はまた、そのようなギヤ伝動装置を有するスイングクランプの保護を請求し、スイングクランプのクランプバーは、ギヤ伝動装置の出力部材によって作動され、駆動部材は、作動シリンダ中で加圧媒体駆動式に変位可能なピストンである。さらに本発明は、本発明に係るギヤ伝動装置を備えた油圧スイングモータの保護をも請求する。したがって本発明に係るギヤ伝動装置は、概して、スイング装置(例えば、スイングモータ、スイングクランプ)での使用に適合する。
【0040】
本発明に係る別の有利な発展形態は、従属請求項に特徴付けられているか、または図面を参照し、本発明の好ましい実施形態例の説明と共に以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1A】解除位置にある本発明に係るスイングクランプの図を示す。
【
図2A】解除位置にある本発明に係るスイングクランプの図を示す。
【
図3A】解除位置にある本発明に係るスイングクランプの図を示す。
【
図4A】解除位置にある本発明に係るスイングクランプの図を示す。
【
図5A】解除位置にある本発明に係るスイングクランプの図を示す。
【
図6A】解除位置にある本発明に係るスイングクランプの図を示す。
【
図7A】解除位置にある本発明に係るスイングクランプの図を示す。
【
図1B】スイングクランプの回動位置における対応する図を示す。
【
図2B】スイングクランプの回動位置における対応する図を示す。
【
図3B】スイングクランプの回動位置における対応する図を示す。
【
図4B】スイングクランプの回動位置における対応する図を示す。
【
図5B】スイングクランプの回動位置における対応する図を示す。
【
図6B】スイングクランプの回動位置における対応する図を示す。
【
図7B】スイングクランプの回動位置における対応する図を示す。
【
図1C】締め付け位置にあるスイングクランプの対応する図を示す。
【
図2C】締め付け位置にあるスイングクランプの対応する図を示す。
【
図3C】締め付け位置にあるスイングクランプの対応する図を示す。
【
図4C】締め付け位置にあるスイングクランプの対応する図を示す。
【
図5C】締め付け位置にあるスイングクランプの対応する図を示す。
【
図6C】締め付け位置にあるスイングクランプの対応する図を示す。
【
図7C】締め付け位置にあるスイングクランプの対応する図を示す。
【
図1D】締め付け完了位置にあるスイングクランプの対応する図を示す。
【
図2D】締め付け完了位置にあるスイングクランプの対応する図を示す。
【
図3D】締め付け完了位置にあるスイングクランプの対応する図を示す。
【
図4D】締め付け完了位置にあるスイングクランプの対応する図を示す。
【
図5D】締め付け完了位置にあるスイングクランプの対応する図を示す。
【
図6D】締め付け完了位置にあるスイングクランプの対応する図を示す。
【
図7D】締め付け完了位置にあるスイングクランプの対応する図を示す。
【
図9】
図8の表から考えられる運動変換を明確にするための概略図を示す。
【
図10】
図8の表から考えられる運動変換を明確にするための概略図を示す。
【
図11】
図8の表から考えられる運動変換を明確にするための概略図を示す。
【
図12】
図8の表から考えられる運動変換を明確にするための概略図を示す。
【
図13】
図8の表から考えられる運動変換を明確にするための概略図を示す。
【
図14】
図8の表から考えられる運動変換を明確にするための概略図を示す。
【
図15】
図8の表から考えられる運動変換を明確にするための概略図を示す。
【
図16】
図8の表から考えられる運動変換を明確にするための概略図を示す。
【
図17】
図8の表から考えられる運動変換を明確にするための概略図を示す。
【
図18】
図8の表から考えられる運動変換を明確にするための概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1A~7A、1B~7B、1C~7Cおよび1D~7Dに示すように、本発明に係るスイングクランプ1の好ましい実施形態例を以下に説明する。スイングクランプ1の基本構造および動作方法に関しては、繰り返しを避けるために、例えば欧州特許第1264659号および独国特許出願公開第10252549号で公知の関連する先行技術を参照されたい。したがって、本発明に係るスイングクランプ1のいくつかの詳細のみを以下に説明する。
【0043】
そこで、スイングクランプ1は、まず、上側がハウジングカバー3によって閉じられるハウジング2を備える。
【0044】
ハウジングカバー3の孔を通ってスイングピストン4が延びており、該スイングピストン4は、クランプバー6が取り付けられたスイングアーム5を支持する。先行技術からそれ自体が公知であり、さらに詳細に説明されるように、スイングピストン4は、スイングアーム5およびクランプバー6と共に垂直方向に変位可能であり、垂直回動軸を中心に回動可能である。ここでは、クランプバー6およびスイングアーム5を備えたスイングピストン4が、本発明の意味における出力部材を構成していることのみが言及されるべきである。
【0045】
ハウジング2内には、楕円形の内部断面を有し、楕円形の断面を有する作動シリンダ8を構成するための調整ブッシュ7が下方に配置される。
【0046】
作動シリンダ8内には、ピストン9が軸方向に変位可能であり、ピストン9も同様に楕円形の断面を有する。したがって、ピストン9は、作動シリンダ8内で軸方向に、すなわち垂直方向に変位することができるが、作動シリンダ8内でのピストン9の回転は不可能である。ここで、ピストンは、本発明の意味における駆動部材を構成している。
【0047】
ピストン9は、下端にスイングピストン4が形成された楕円体10が貫通する中心孔を有し、楕円体10は、その外側面に湾曲した自由曲面F2を有し、該自由曲面F2は、螺旋に沿う。ピストン9中の貫通孔は、同様に螺旋に沿う、相応に適合され湾曲した自由曲面F1を内側に有する。したがって楕円体10に対するピストン9の軸方向変位は、自由に設定可能な伝達曲線に相応する運動変換をもたらす。
【0048】
さらにストッパ11およびロックナット12がスイングピストン4の下端にねじ止めされていることも言及されるべきである。
【0049】
スイングピストン4上に楕円形ディスク13が形成され、軸方向ロックをもたらす。このように、楕円形ディスク13は、
図1A~7Aの解除された回動位置で調整ブッシュ7の上側に位置し、したがって、楕円形ディスク13を有するスイングピストン4は、軸方向下方に移動できない。
【0050】
さらに、ピストン9は、作動シリンダ8内で、加圧媒体駆動式に軸方向に変位可能であることも言及されるべきである。ここではスイングクランプ1は、油圧接続部14、15を備える。
【0051】
以下ではまず、
図1A~7Aの解除位置から
図1B~7Bの回動位置への移行を説明する。
【0052】
ここで、ピストン9は、作動シリンダ8内で軸方向下向きに移動され、ピストン9は、作動シリンダ8およびピストン9の楕円形の断面により回転しないように確保される。
【0053】
ピストン9のこの下方への運動中、自由曲面F1、F2は、一方が楕円体10の外側面内で、他方がピストン9の貫通孔内で、互いに対して摺動することにより、運動変換をもたらす。ピストン9の純粋な軸方向運動は、ここではまず、スイングピストン4の純粋な回転運動に変換される。
【0054】
ここでは、スイングピストン4の楕円形ディスク13が調整ブッシュ7の上側に位置するため、スイングピストン4の軸方向変位が防止される。
【0055】
それに対して
図1B~7Bの回動位置では、スイングピストン4上の楕円形ディスク13は、作動シリンダ8と整列するように回転する。この結果、楕円形ディスク13は、作動シリンダ8の中を下向きに下降することができ、したがって、スイングピストン4の対応する軸方向運動も可能になる。ピストン9がさらなる下向運動をすると、該ピストン9は、スイングピストン4と共に軸方向に移動し、
図1C~7Cの締め付け位置に到達し、最終的に
図1D~7Dの締め付け完了位置に到達する。
【0056】
ピストン9の貫通孔内の自由曲面F1に、シール16が配置された環状溝が形成されることも言及されるべきである。シール16は、互いに対して摺動する自由曲面F1、F2の間の隙間を媒体が軸方向に漏出することを防止する。ここで有利であることは、シール16が自由曲面F1内に直接配置できるため、追加の軸方向スペースを必要としないことである。
【0057】
図8は、スイングクランプ1中の特定の適用領域に関係なく、駆動部材から出力部材への運動変換のための様々な可能な構成を含む表を示す。
【0058】
図9~18は、ロッドSとピストンKとの間で運動を変換するための伝動装置の構造の簡単な概略図を示し、ロッドSは、その外側面に、ピストンKの貫通孔内の対応する自由曲面と相互作用する自由曲面を有する。2つの対応する自由曲面は、ここでは概略的にのみ示されているが、螺旋に沿って延びている。
【0059】
図8の説明および表から、ロッドSが部分的に駆動部材でありピストンKが出力部材である、様々な構成が可能であることが直接的に明白になる。それに対してさらなる構成では、ピストンKが駆動部材であり、ロッドSが出力部材である。その他図示された構成の動作方法が、
図8の表で説明される。
【0060】
本発明は、上述の好適な実施形態例に限定されない。むしろ多数の変形および修正が可能であり、それらも本発明の考え方を利用するため、保護範囲内に入る。特に本発明は、それぞれの場合に参照される請求項とは独立して、特に主請求項の特徴なしでも、従属請求項の主題および特徴に対する保護をも請求する。したがって本発明は、互いから独立して保護される本発明の様々な態様を含む。
【符号の説明】
【0061】
1 スイングクランプ
2 スイングクランプのハウジング
3 ハウジングカバー
4 スイングピストン
5 スイングアーム
6 クランプバー
7 楕円形の内部断面を有する調整ブッシュ
8 楕円形断面を有する作動シリンダ
9 楕円形の外側断面および自由曲面の内側面を有するピストン
10 自由曲面を有するスイングピストン上の楕円体
11 ストッパ
12 ロックナット
13 スイングピストン上の楕円形ディスク
14、15 スイングクランプの油圧接続部
16 シール
F1 ピストン9内の自由曲面
F2 楕円体10上の自由曲面
S 自由曲面の外面を有するロッド
K 自由曲面の外面を有するピストン
【国際調査報告】