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特表2023-530172木材製品の接着方法及び接着木材製品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-13
(54)【発明の名称】木材製品の接着方法及び接着木材製品
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/61 20060101AFI20230706BHJP
   B27D 1/10 20060101ALI20230706BHJP
【FI】
E04B1/61 502L
B27D1/10 A
E04B1/61 550B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577774
(86)(22)【出願日】2021-06-17
(85)【翻訳文提出日】2023-02-08
(86)【国際出願番号】 IB2021055347
(87)【国際公開番号】W WO2021255678
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】2050730-7
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501239516
【氏名又は名称】ストラ エンソ オーワイジェイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヒルケ, マルクス
(72)【発明者】
【氏名】フンガー, フランク
【テーマコード(参考)】
2B200
2E125
【Fターム(参考)】
2B200AA07
2B200BA20
2B200BB06
2B200BB07
2B200CA08
2B200EA04
2B200EC10
2B200ED03
2B200ED13
2B200ED22
2B200ED28
2B200GA06
2B200GA07
2B200GA16
2B200GB08
2B200GB12
2B200HA03
2B200HA05
2E125AA53
2E125AA57
2E125AA62
2E125AA66
2E125AE16
2E125AG07
2E125AG23
2E125BE10
2E125CA81
(57)【要約】
本発明は、各片が少なくとも1つの接合面を含む少なくとも2つの木材小片を提供する工程と、上記の接合面の少なくとも1つに溝を形成する工程であって、溝は一対の周縁部の間に配置されている工程と、上記の2つの木材小片のうちの少なくとも第1の木材小片の接合面のうちの少なくとも1つに接着剤を適用する工程と、適用された接着剤を含む接合面が第2の木材小片の対応する接合面と接するように上記の第1の木材小片を配置する工程であって、上記の2つの接合面の少なくとも1つは、上記の溝を含む工程と、上記の2つの木材小片の間で接着剤が圧縮されるように2つの接合面を互いに向けて押圧し、上記の押圧を木材小片を互いに接合するのに十分な時間を維持する工程とを含み、ここで、加えられた押圧力は、主に接着剤を介して押圧力が伝達されるまで接触領域で木材組織が崩壊するのに十分な強さであり、上記の接触領域は、上記の木材小片の2つの接合面が一緒に押圧されて接触する表面領域によって画定される、建築に使用される接着木材製品の製造方法に関する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i.各片が少なくとも1つの接合面(1a,1b,1c,1d;2a,2b,2c,2d)を含む少なくとも2つの木材小片(1,2)を提供する工程と、
ii.前記接合面(1a,1b,1c,1d;2a,2b,2c,2d)の少なくとも1つに溝(3)を形成する工程であって、前記溝(3)は一対の周縁部(6a,6b)の間に配置されている工程と、
iii.前記2つの木材小片のうちの少なくとも第1の木材小片(1)の接合面(1a,1b,1c,1d)のうちの少なくとも1つに接着剤(4)を適用する工程と、
iv.適用された接着剤(4)を含む接合面(1a,1b,1c,1d)が前記第2の木材小片(2)の対応する接合面(2b,2a,2d,2c)と接するように前記第1の木材小片(1)を配置する工程であって、前記2つの接合面の少なくとも1つは、前記溝(3)を含む工程と、
v.前記2つの木材小片(1,2)の間で接着剤(4)が圧縮されるように2つの接合面(1a,1b,1c,1d;2b,2a,2d,2c)を互いに向けて押圧し、前記押圧することを木材小片を互いに接合するのに十分な時間を維持する工程と
を含み、
vi.印加された押圧力(F)は、主に接着剤を介して押圧力が伝達されるまで接触領域(7)で木材組織が崩壊するのに十分な強さであり、前記接触領域(7)は、前記木材小片(1,2)の2つの接合面(1a,1b,1c,1d;2b,2a,2d,2c)が一緒に押圧されて接触する表面領域によって画定される、
建築に使用される接着木材製品の製造方法。
【請求項2】
a.前記木材小片が、それぞれが平坦な細長い形状を呈し、それぞれの木板の主繊維方向と略平行な長手方向を有する、中実木材から作製された板(1,2)であり、
b.前記少なくとも2つの板(1,2)の各々が、主面(1a,1b;2a,2b)及び副面(1c,1d;2c,2d)を備え、前記主面の長さ(L)は主面の幅(W)を超え、
c.前記溝(3)が、前記面(1a,1b,1c,1d;2a,2b,2c,2d)の少なくとも1つに長手方向に形成された縦方向に延びる溝(3)であり、前記溝(3)は、一対の長手方向の周縁部(6a,6b)の間に配置され、
d.前記接合面(1a,1b,1c,1d;2b,2a,2d,2c)は、請求項1の工程ivにおいて互いに接するように配置されたそれぞれの板(1,2)の各々の2つの面に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溝(3)が、前記板(1,2)のうちの少なくとも1つの前記副面(1c,1d;2c,2d)のうちの1つに形成される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記溝(3)が、前記板(1,2)のうちの少なくとも1つの前記主面(1a,1b;2a,2b)のうちの1つに形成される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
接着剤が、イソシアネート、ポリ酢酸ビニル、ウレタン、ポリウレタン系接着剤、メラミン-尿素-ホルムアルデヒド又はフェノール-レゾルシン-ホルムアルデヒド系接着剤である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
接着剤を適用する前に木板を乾燥工程に供し、乾燥工程後の前記板の木材含水率が6~15重量%になるようにすることをさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記板が、15~24重量%の木材含水率を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
押圧力が0.6~1.5N/mmの間である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
溝(3)が0.1~0.3mmの深さを有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記溝(3)をフランジングする前記一対の長手方向の周縁部(6a,6b)が、前記板(1,2)の2つの面(1a,1b,1c,1d;2a,2b,2c,2d)が一緒に押圧されたときに互いに接触する表面に対応する前記接触領域(7)を呈し、前記接触領域は、前記溝(3)を含むそれぞれの面(1a,1b,1c,1d;2a,2b,2c,2d)の全水平領域の5~20%に対応する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
建築要素として使用するための、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法によって得られる接着木材製品。
【請求項12】
壁、屋根、床又は天井要素としての請求項11に記載の接着木材製品の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築に使用するための接着木材製品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
木材の接合は、すべての木材作業において基本的な概念であり、例えば接着によって2つの木材小片を強固に一緒に接合する能力は、例えば建築、大工、家具作製、床及び天井要素の製造、グルーラム梁及び根太、並びにリブスラブ及び木材クラッドにおいて頻繁に実施される。
【0003】
耐荷重構造体を得るための周知の方法は、板をより大きな表面領域に端面接着することである。一般に、中実木材の端面接着は次のような手順で行われる。丸太を製材工場で角材に加工する。次に、角材(例えば、材木、木材、板、厚板、小角材など呼ばれる)は、典型的には棒状に積み重ねられ、技術的な乾燥工程で約12~15%の木材含水率まで乾燥される。このようにして乾燥された片は、後に接着される表面を平坦化するために、平削り盤で平坦化される。
【0004】
添付の図面において、図1は、平坦な細長い形状を有し、長手方向が板の主繊維方向と略平行である従来の挽板1’の片を概略的に示している。板1’は、平行な主面1a’,1b’及び平行な副面1c’,1d’を有し、前記主面の長さLはその幅Wを超える。図2a~図2bは、端面接着によって2枚の板1’,2’を接合する一般的な方法を概略的に示している。本明細書に見られるように、接着剤4が平坦な表面1d’,2c’(本明細書では「接合面」とも呼ばれる)上に適用され、その後、片1’,2’が位置合わせされ、一緒に押圧されて接着層5を硬化させる。
【0005】
既存の技術の1つの欠点は、過剰な接着剤が接着層から絞り出され、表面に付着する「接着剤の裂け目」又は「接着剤スキャブ」が発生することである。これは、接着剤スキャブが、さらなる加工を直ちに行うことの障害となり、余分な洗浄工程を必要とするか、又は接着剤の選択を制限するので、問題となり得る。例えば、ポリウレタンなどの一部の接着剤は、より顕著に接着剤スキャブを形成する傾向がある。しかしながら、ポリウレタンは一般的に使用されており、加工においていくつかの重要な利点を示す。
【0006】
したがって、中実木材から作製された接着木材製品を製造するより効率的な方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、中実木材から作製される接着木材製品を製造する改良された方法を提供することであり、特に、中実板の端面接着及び/又は面接着を改良することである。
【0008】
本発明は、添付の独立請求項によって定義される。実施形態は、添付の従属請求項に記載される。
【0009】
第1の態様によれば、本発明は、各片が少なくとも1つの接合面を含む少なくとも2つの木材小片を提供する工程と、前記接合面の少なくとも1つに溝を形成する工程であって、前記溝は一対の周縁部の間に配置されている工程と、前記2つの木材小片のうちの少なくとも第1の木材小片の接合面のうちの少なくとも1つに接着剤を適用する工程と、適用された接着剤を含む接合面が前記第2の木材小片の対応する接合面と接するように前記第1の木材小片を配置する工程であって、前記2つの接合面の少なくとも1つは、前記溝を含む工程と、前記2つの木材小片の間で接着剤が圧縮されるように前記2つの接合面を互いに向けて押圧し、前記押圧を前記木材小片を互いに接合するのに十分な時間を維持する工程とを含み、ここで、加えられた押圧力は、主に接着剤を介して押圧力が伝達される(すなわち、木材組織の崩壊に続いて、圧力の大部分が接着剤に作用する)接触領域で木材組織が崩壊するのに十分な強さであり、前記接触領域は、前記木材小片の2つの接合面が一緒に押圧されて接触する表面領域によって画定される、建築に使用される接着木材製品の製造方法に関する。
【0010】
本明細書における「接合面」は、別の木材小片の接合面に接するように接合することを意図された木材小片の面/表面を指すことが理解されるべきである。接合面は、好ましくは平面であるか、又は少なくとも平面部分を呈する。
【0011】
当業者はまた、接着剤が2つの木材小片の前記接合面の一方又は両方に適用され得ることを理解する。例えば、接着剤及び硬化剤が2つの接触面に別々に(すなわち、一方の面に接着剤及び他方の面に硬化剤)適用される「2成分接着剤系」の使用が考えられる。一緒に押圧されると、前記接着剤及び硬化剤は即座に反応する。2成分接着剤系は、長い作用時間と非常に短い押圧時間を持つ可能性を与える。
【0012】
本明細書における「溝」は、接合面の表面に位置する隆起縁部の間に配置された凹部又は窪みを指すことも理解されたい。前記溝を含む表面は、突出縁部を有するプロファイルを達成する。
【0013】
本明細書における「対応する接合面」という表現は、調整されて互いに押し付けられたときに2つの面のそれぞれの周辺部が位置合わせ得るように寸法的に一致する別個の木材小片(前記「木材小片」は板/厚板であり得る)の表面を意味することも理解されたい。
【0014】
本発明のおかげで、
一緒に接着される2つの表面を平坦化する代わりに、一方又は両方の接触面に前記溝を形成することによって、接着剤を所定の位置に固定し、接着剤が接着層から漏れるのを防止する効果がもたらされ、
前記溝によって接着剤を所定の位置に固定することは、木材小片の表面が接着剤スキャブによって汚染されないという効果を有し、表面を清掃するための追加の加工工程を回避することができ、これはコスト削減要因であり、
全体的な接着剤消費量、したがって接着剤コストが低減される、
といういくつかの利点が達成される。
【0015】
さらに別の利点は、本発明によれば、押圧力が加えられると、突出縁部の木材細胞が崩壊し、押圧力が溝内に配置される接着剤に作用する程度まで高さが低くなるという特徴に関連する。これにより、必要な圧力が接着層内の接着剤に作用し、接着剤が組立構成要素の表面にも浸透する。(「組立構成要素」は、接触する木材小片、例えば接触する板又は厚板を指す。)本発明によれば、加えられた圧力によって、接着剤は、溝に隣接する最初の数列の木材細胞の表面に浸透する。硬化すると、接着剤は機械的なアンカーとして機能し、木材組織の多孔質構造/繊維への物理的吸着と化学結合により、耐久性のある接合部が生成される。
【0016】
その結果、2つの木材小片の間に強力で耐久性のある接着剤による連結が生じ、これは、例えば木造建築における耐荷重目的のための要件である。換言すれば、突出部に配置された圧縮された木材組織によって、接着剤の横方向の漏れが効果的に防止されるか、明確に減少する。同時に、接着層の接着剤に必要な圧力が作用し、接着剤の硬化後は強固な構造体となる。
【0017】
本発明の1つの態様によれば、前記木材小片は、中実木材から切り出された板であり、各板は、平坦な細長い形状を呈し、縦方向がそれぞれの木板の主繊維方向と略平行な長手方向を有している。前記少なくとも2つの板の各々は、主面及び副面を備え、前記主面の長さは主面の幅を超える。さらに、この実施形態では、前記溝は、板の縦方向に、その長手方向と平行に延びるように配置されており、前記面の少なくとも1つに形成される。この態様によれば、溝は、一対の長手方向の周縁部/周突出部の間に配置される。また、前記接合面は、前記接着剤によって2つの板を隣接させる際に、互いに接するように配置されたそれぞれの板の2つの面に相当する。
【0018】
本発明の1つの態様によれば、前記溝は、「端面接着」技術に対応して、前記板のうちの少なくとも1つの前記副面のうちの1つに形成される。
【0019】
本発明の別の態様によれば、前記溝は、「面接着」技術に対応して、前記板のうちの少なくとも1つの前記主面のうちの1つに形成される。
【0020】
本発明の別の態様によれば、接着剤は、中実木材を一緒に接着するのに好適なタイプであって、好ましくはイソシアネート、ポリ酢酸ビニル、ウレタン及びポリウレタン系の接着剤、又はメラミン-尿素-ホルムアルデヒド若しくはフェノール-レゾルシン-ホルムアルデヒド系の接着剤などの2成分系(硬化剤及び接着剤を含む)のうちの1つであるように選択される。
【0021】
本発明のさらに別の態様によれば、この方法は、接着剤を適用する前に木板を乾燥工程に供し、乾燥工程後の前記板の木材含水率が6~15重量%になるようにすることを含む。
【0022】
本発明のさらに別の態様によれば、前記板は、15~24重量%の木材含水率を有する。
【0023】
本発明のさらに別の態様によれば、押圧力は、0.6~1.5N/mmの間である。接着剤の組立構成要素の表面への浸透を保証するために、針葉樹の木材種の場合、比押力は通常0.6~1.0N/mmの範囲であり、広葉樹の木材種の場合は通常著しく高い。
【0024】
本発明のさらに別の態様によれば、溝は、0.1~0.3mmの間の最大深さを有する。本規格によれば、使用される接着剤の範囲内にあるためには、木材構造体の最終の接着層は0.3mmを超えてはならない。
【0025】
本発明のさらに別の態様によれば、前記溝をフランジングする前記一対の周縁部は、前記板の2つの面が一緒に押圧されたときに互いに当接して接触する表面に対応する前記接触領域を呈し、前記接触領域は、前記溝を含むそれぞれの面の全水平領域の5~20%に対応する。
【0026】
本発明はまた、木材建築要素、耐荷重木材構造物又は非耐荷重木材構造体として使用するための接着木材製品に関する。
【0027】
本発明はまた、壁、屋根、床及び/又は天井要素を構築及び/又は製造するための建築要素として、本発明による方法によって得ることができる、接着木材製品の使用に関する。例えば、本発明による方法によって作製された木材製品は、多層パネルの1つの層などの建築要素として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、先行技術による木製梁を概略的に示す図である。
図2図2aと図2bは、先行技術による2つの梁を端面接着する原理を概略的に示す図である。
図3図3aは、本発明の例示的な実施形態による木材小片の端部を概略的に示す図である。 図3bは、図3aのIIIbによる詳細図である。
図4図4a~図4cは、本発明の方法の一例による連続工程を概略的に示す図である。
図5図5a~図5fは、本発明の方法のさらに別の例による連続工程を概略的に示す図である。
図6図6a~図6bは、接着木材製品の接着層の拡大断面図である。
図7図7a~図7dは、本発明による4つの異なる実施形態による前記周縁部のプロファイルの詳細図を概略的に示す図である。
図8図8a~図8bは、端面接着された板の写真を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は例示にすぎず、特許請求されるいかなる主題をも制限するものではないことを理解されたい。他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0030】
先に説明したように、図1は、丸太から切り出された従来の木板又は厚板1’を概略的に示す。その結果、板の長さLは、木板の主繊維方向と略平行である。平坦な細長い板1’は、2つの平行な主面1a’、1b’と2つの平行な副面1c’、1d’を含み、前記主面の長さLは主面の幅Wを超える。板1’はさらに厚さTを有し、厚さTは前記幅Wよりも小さい。
【0031】
図2a~図2bは、本出願の背景技術の項で説明したように、先行技術による端面接着手順を概略的に示している。
【0032】
添付図面に見られるように、前記木材小片は、ここでは木板2によって表されている。しかしながら、当業者は、本発明が「板」に限定されるべきではなく、本明細書に特定される特許請求の範囲の要件を満たす中実木材から作製された他の形状も本発明の範囲に含まれることを理解する。
【0033】
さらに、便宜上、図3a~図3bに示される板、及び図4a~図4cに示される板1,2も、本明細書では、図1の従来の板を説明するために使用される用語と本質的に同じ用語で説明される。換言すれば、当業者は、発明の概念を説明する際に記載される板1,2もまた、主面及び副面を含み、幅Wなどを超える長さLを有することを理解する。
【0034】
まず、図3a~図3bを参照して、本発明による木材小片の概略をさらに説明する。本明細書では、木材小片は、中実木材から作製された板2として示されている。図3は板の端部を示し、図3bは、図3aのIIIbによる詳細図である。前記板2の副面2cの一方は、一対の突出縁部6a,6bの間に配置された長手方向溝3を備える。この副面2cは接合面を表し、この接合面は、図4a~図4cに概略的に示されている接着手順によって別の板の別の寸法的に一致する接合面に接合されるように意図されている。ここで、図3a~図3bに記載されるような板2は、本質的に同じ寸法を有する接触板1と位置合わせされる。接着剤4は、2つの接合面1d,2cの少なくとも1つに適用される。本実施例では、溝3を備える板2上で、かつ溝の位置、すなわち縁部の間に接着剤を適用する。板1,2は、第1の板1の接合面1dが、第2の板2の対応する接合面2cに接するように配置される。図4bに見られるように、2つの板1,2は、接着剤4が接着層5において2つの接合面1d;2cの間で圧縮されるように、所定の押圧力Fで互いに向かって押圧される。周突出縁部6a,6bは、接着剤の漏れを防止する。前記圧力Fは、板1,2を互いに強固に連結/接合するのに十分な時間にわたって維持される。さらに、加えられた押圧力Fは、突出縁部6a,6bの木材組織を強制的に崩壊させるのに十分な強さであり、その圧力は、接着層における接着剤に作用し、また組立構成要素の表面への接着剤の浸透を引き起こす。
【0035】
図5a~図5fはまた、本発明の方法による2つの接合面の接着を連続工程で示している。まず、図5aに示すように、2つの接合面が設けられ、そのうちの1つは溝3を備える。接着剤4は、接合面の少なくとも1つに、好ましくは溝3の位置に適用される。2つの接合面を位置合わせし、互いに接近させることで、最初に、適用された接着剤が溝3の内部に変位して分配される(図5d~図5e)。次に、図5eに示すように、2つの接合面を接触させる。2つの接合面1d;2cが一緒に押圧されて互いに接触する表面領域を「接触領域」7と定義する。2枚の板が互いに接触する瞬間、押圧力Fは前記接触領域にのみ作用することになる。しかしながら、押圧力は、図5fに示すように、突出縁部の木材組織を撓ませて崩壊させるのに十分な強さに寸法決めされる。この崩壊により、押圧力Fは、主に接着層に位置する接着剤4を介して伝達されることになる。接着層の周辺にある圧縮された木材組織は、接着剤が逃げる/漏れることを防止するので、その圧力によって、接着剤は代わりに接着層の周囲の組織に浸透していく。
【0036】
図6a~図6bは、本明細書に記載の方法によって隣接された2枚の板1,2間の接着層4の微視的断面図を示す。図6bの詳細図は、接触表面7に位置する木材組織5が、接着工程中に加えられた押圧力のレベルの結果として崩壊していることを示す。
【0037】
図7a~図7dは、溝3を備える接合面のプロファイルの考えられる様々な輪郭を示している。例えば、図7b及び7dのプロファイルは、傾斜表面sの変形を示し、図7cのプロファイルは、半径rを有する。
【0038】
当業者には理解されるように、溝3及び周囲の突出縁部6a,6bのプロファイルは、本発明の技術的機能を損なうことなく変化させることができる。しかしながら、好ましくは、溝の最大深さdは、0.1~0.3mmである。これにより、押圧及び硬化後の最終的な接着層が、耐荷重性の接着木材構造体の許容最大値である0.3mmの幅を超えないことが保証される。
【実施例
【0039】
試験設定
30mmの厚さT(厚さは添付の図1の「T」を指す)を有する板を使用して、トウヒ木板の端面接着を実施した。接着剤は1成分ポリウレタン接着剤であった。
【0040】
平坦な接合面を有する木板を端面接着する参照試験を実施した。接着剤が硬化して安定するのに十分な時間、板を一緒に押圧した。
【0041】
本発明の請求項1に記載の方法を使用して、木板を端面接着するサンプル試験も行った。サンプル試験では、2つの接合面のうちの1つは、添付の図7aに示す輪郭に相当するプロファイルを含み、溝の深さdは0.25mm、突出縁部の幅wは2.0mmであった。サンプルの端面接着の際、板を参照に対応する条件、すなわち圧力レベル及び硬化時間は、参照及びサンプルにおいて同じである条件で一緒に押圧した。
【0042】
結果
参照の端面接着は、接着層から押し出された接着剤の明確な漏れをもたらし、接着された板の表面に接着剤の液滴を残した。これは、接着層に沿って一連の接着剤漏れがある図8aの写真に見られる。
【0043】
しかしながら、プロファイル化された縁部を含むサンプルは、図8bの写真に見られるように、そのそれぞれの接着層に沿って接着剤の漏出を示さなかった。また、剪断強度と剥離傾向は、それぞれ参照とサンプルについて同様であることを示した。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
図5f
図6a
図6b
図7a
図7b
図7c
図7d
図8a
図8b
【国際調査報告】