(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-13
(54)【発明の名称】プラスターボードに類似する建物パネル輻射ヒーター
(51)【国際特許分類】
H05B 3/28 20060101AFI20230706BHJP
E04B 9/00 20060101ALI20230706BHJP
H05B 3/00 20060101ALI20230706BHJP
B32B 7/027 20190101ALI20230706BHJP
【FI】
H05B3/28
E04B9/00 F
H05B3/00 310D
B32B7/027
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022579021
(86)(22)【出願日】2021-06-22
(85)【翻訳文提出日】2023-02-13
(86)【国際出願番号】 EP2021066915
(87)【国際公開番号】W WO2021259896
(87)【国際公開日】2021-12-30
(32)【優先日】2020-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519291537
【氏名又は名称】ラミナヒート ホールディング リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】ピーター サジック
【テーマコード(参考)】
3K034
3K058
4F100
【Fターム(参考)】
3K034AA05
3K034AA09
3K034AA12
3K034AA16
3K034BB02
3K034BB04
3K034BB06
3K034BB08
3K034BB14
3K034FA02
3K034FA04
3K034HA10
3K034JA09
3K058AA41
3K058AA54
3K058AA86
3K058CA23
3K058CB01
4F100AE06E
4F100AK41E
4F100AR00A
4F100AR00E
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100DG11E
4F100DJ01D
4F100JJ01B
4F100JJ03D
4F100JJ06C
(57)【要約】
熱伝導性(例えば金属)層と、前記熱伝導性層の枠に面した側の上に配置された層状加熱要素と、前記層状加熱要素の上に配置された断熱層と、前記熱伝導層の少なくとも前記室内に面した側の上に配置された室内に面した表面層とを含む加熱パネル。部屋を暖房する方法は、部屋の天井に少なくとも1つの加熱パネルを設置し、部屋に放熱する熱を生成するために、加熱要素に電力を供給することを含むことができる。パネルは、加熱パネルへの電力を調節するためのサーモスタットのような制御装置を含む加熱システムの一部であってよい。1つ又は複数のパネルにおける複数の加熱パネル又は複数の加熱領域は、独立して制御可能であってもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠対向面と室内対向面とを有する加熱パネルであって、
室内対向側面と枠対向側面とを有する熱伝導層と;
前記熱伝導層の前記枠対向側面の上に配置された少なくとも1つの層状加熱要素と;
前記少なくとも1つの層状加熱要素の上に配置された断熱層と;
前記熱伝導層の少なくとも室内対向側面の上に配置された室内対向面層と;
前記層状加熱要素に接続され、電源に接続するように構成された電源コードと;
を備える加熱パネル。
【請求項2】
前記断熱層の上に配置され、前記パネルの前記枠対向面の少なくとも一部を画定する保護枠対向面層をさらに備える、請求項1に記載の加熱パネル。
【請求項3】
前記保護枠対向面層は、前記断熱層に接合された石膏強化ポリエステルメッシュ層を含む、請求項2に記載の加熱パネル。
【請求項4】
前記断熱層が発泡体を含む、請求項1~3のうちいずれか一項に記載の加熱パネル。
【請求項5】
前記室内対向面層が紙を含む、請求項1~4のうちいずれか一項に記載の加熱パネル。
【請求項6】
前記熱伝導層が、周囲側壁を有するトレイを含む、請求項1~5のうちいずれか一項に記載の加熱パネル。
【請求項7】
前記室内対向面層は、前記熱伝導層の前記側壁の周囲を包み、前記パネルの前記枠対向面の少なくとも一部を画定する、請求項6に記載の加熱パネル。
【請求項8】
前記加熱パネル内の温度が所定の最大値よりも大きいことを検出したときに、前記層状加熱要素への電力を遮断するように構成された電力遮断スイッチをさらに備える、請求項1~7のうちいずれか一項に記載の加熱パネル。
【請求項9】
前記所定の最大値は、80℃である、請求項8に記載の加熱パネル。
【請求項10】
前記室内対向面から前記枠対向面に延びる複数の穴をさらに備え、前記複数の穴は、前記パネルを建物の枠組みに留めるための締結具を受けるように寸法決めされる、請求項1~9のうちいずれか一項に記載の加熱パネル。
【請求項11】
前記パネルの周囲と前記少なくとも1つの加熱要素との間に延在する断熱領域を備える、請求項1~10のうちいずれか一項に記載の加熱パネル。
【請求項12】
2つの加熱要素を備える、請求項1~11のうちいずれか一項に記載の加熱パネル。
【請求項13】
前記2つの加熱要素の間に延在する断熱領域をさらに備える、請求項12に記載の加熱パネル。
【請求項14】
前記断熱層に画定された電気筐体の切り抜きをさらに有し、前記電源コードは、前記筐体内の前記層状加熱要素のバスバーに接続し、前記筐体は、前記パネルの枠に面した表面と同一平面上にあるカバーを有する、請求項1~13のうちいずれか一項に記載の加熱パネル。
【請求項15】
前記熱伝導層が金属を含む、請求項1~14のうちいずれか一項に記載の加熱パネル。
【請求項16】
請求項1~15のうちいずれか一項に記載の加熱パネルを備えた加熱システムであって、前記電源コードが、前記加熱パネルへの電力を調節するための制御装置に接続されることを特徴とする加熱システム。
【請求項17】
前記制御装置がサーモスタットを備える、請求項16に記載の加熱システム。
【請求項18】
複数の加熱パネルを備えるか、又は前記パネルのうちの1つ以上において複数の加熱領域を備え、前記加熱パネル又は加熱領域の1つ以上は、前記制御装置によって独立して制御可能である、請求項16又は17に記載の加熱システム。
【請求項19】
部屋を暖房するための方法であって、請求項1~15のうちいずれか一項に記載の加熱パネルを少なくとも1つ前記部屋の天井に設置し、前記少なくとも1つの加熱要素に電力を供給して前記部屋に放熱する熱を生成することを含む方法。
【請求項20】
複数の加熱パネルを、前記部屋に取り付けられたサーモスタット制御装置に接続し、前記部屋の熱を制御して前記部屋を設定温度にすることをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記天井が、少なくとも1つの加熱パネルと少なくとも1つの非加熱パネルとを備え、前記少なくとも1つの天井パネルを設置することは、連続的にカバー可能な天井層を形成するように、前記少なくとも1つの加熱パネルと前記少なくとも1つの非加熱パネルとの間に石膏原料を塗ることを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「プラスターボードに類似する建物パネル輻射ヒーター」と題する、2020年6月22日に出願された米国仮出願第63/042,217号の優先権を主張し、その内容は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
カーボン・フットプリントを最小限に抑える住宅の効率的な暖房システムが望ましい。現代の住宅は、よく断熱されており、大容量の電力を必要としない暖房システムが主流になっている。赤外線(IR)放射加熱パネルは、通常、従来の対流加熱放射体又は一般的に使用される床下加熱と比較して、消費エネルギーが35~40%少ない。
【0003】
天井の上又は中に加熱パネルを配置することによって、他の種類の加熱ユニットよりも制約が少なく、熱を必要とする場所に熱を計画的に配置する際に柔軟性が得られる。単独のIR加熱パネルは、既存の天井から吊り下げられ又は吊り下げられ得るが、多くの場合、邪魔になる(すなわち、好ましくない形で突出して目立つ)ので、市場には外見的に受け入れられないことがある。
【0004】
天井における既存のヒーターの利用は、天井根太間の空洞に天井面パネルの後ろにヒーターを隠すように設置することがある。これには、電気ケーブルヒーターマット又はフィルム、温水循環式管等を使用することが含まれる。一般的な天井構造は、12.5mm厚のプラスターボード又は石膏の壁張り用材のシートロック(sheetlock)の表面パネルを含み、これらは、乾式壁工法のねじボルトで木製の天井の根太の構造体に取り付けられ、パネル間の継ぎ目に沿って乾式壁工法のテープ及びスパックル(spackle)を使用することによって一体化して、連続的な天井の外観にするのが一般的である。試験データによると、このような設備は比較的非効率的であり、投入エネルギーのわずか70~75%しか室内への放射熱として熱伝達されない。
【0005】
IR熱放射の効率は、温度の関数であり、温度が高いほど、放射を効率的にする。既存のプラスターボード又はシートロックのパネルは、通常、表面温度が55℃以下に制限される。
【0006】
従って、効率的で審美的に満足のいくIR加熱を提供することが、本分野において求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【0008】
本発明の一態様は、枠対向面と室内対向面とを有する加熱パネルを含む。加熱パネルは、室内対向側と枠対向側とを有する熱伝導層と、熱伝導層の枠対向側の上に配置された少なくとも1つの層状加熱要素と、少なくとも1つの層状加熱要素の上に配置された断熱層と、少なくとも熱伝導層の室内対向側の上に配置された室内対向面層とを備える。電源コードは層状加熱要素に接続され、電源に接続するように構成される。
【0009】
保護枠対向面層は、断熱層上に配置されてもよく、パネルの枠対向面の少なくとも一部を画定してもよい。いくつかの実施形態では、熱伝導層は、金属を含んでもよく、保護枠対向面層は、断熱層に結合された石膏強化ポリエステルメッシュ層を含んでもよく、断熱層は、発泡体を含んでもよく、及び/又は室内対向面層は、紙を含んでもよい。熱伝導層は、周囲側壁を有するトレイを備えてもよい。このような構成では、室内対向面層は、トレイの側壁を包み込むことができ、パネルの枠対向面の少なくとも一部だけでなく、パネルの周辺端部面を画定することができる。
【0010】
このパネルは、加熱パネル内において、例えば80℃等の所定の最大値より大きい温度を検出すると、層状加熱要素への電力を遮断するように構成された電力遮断スイッチを備えてもよい。この加熱パネルは、パネルの室内対向面からパネルの枠対向面まで延在する複数の穴を含むことができ、各穴は、パネルを建物の枠に留めるための締結具を受け入れるように寸法決めされる。断熱領域は、パネルの周縁部と少なくとも1つの加熱素子との間に延在してもよい。
【0011】
加熱パネルは、2つの加熱要素を含むことができ、2つの加熱要素の間に延在する断熱領域を有してもよい。電気筐体の切り抜き欠きは、断熱層内に画定されてもよく、電源コードは層状加熱要素のバスバー(busbar)に接続し、パネルの枠に対向面と面一であるカバーを有してもよい。
【0012】
本発明の別の態様は、本明細書に記載の加熱パネルを備える加熱システムを備え、電源コードは、加熱パネルへの電力を調整するために、サーモスタットなどの制御装置に接続される。1つ又は複数のパネルにおける複数の加熱パネル又は複数の加熱領域は、制御装置によって独立して制御可能であってもよい。
【0013】
本発明のさらに別の態様は、部屋を加熱するための方法であって、本明細書に記載の加熱パネルを少なくとも1つ部屋の天井に設置することと、部屋に放射する熱を発生させるために、少なくとも1つの加熱要素に電力を供給することとを含む方法を含む。複数の加熱パネルは、室内に取り付けられたサーモスタット制御装置に接続することができ、この方法は、室内の熱を制御して室内を設定温度にすることを含む。天井は、少なくとも1つの加熱パネルと少なくとも1つの非加熱パネルとを含むことができ、少なくとも1つの天井パネルを設置することは、連続的な被覆が可能な天井層を形成するために、少なくとも1つの加熱パネルと少なくとも1つの非加熱パネルとの間に石膏材料を塗布することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、例示的な加熱パネルの実施形態の断面の概略図である。
【
図2】
図2は、例示的な加熱パネルの実施形態の部分的な透視平面図の概略図であり、パネルの周囲に対する加熱要素の位置を示し、制御要素及び電力要素の概略図である。
【
図3】
図3は、断熱天井への本願明細書に記載されるような加熱パネルの例示的な設置の概略図である。
【
図4】
図4は、断熱されていない天井への本明細書に記載の加熱パネルの例示的な設置の概略図である。
【
図5A】
図5Aは、例示的なパネルの枠側の例示的な拡大部分を示し、閉鎖蓋がそれに固定された電気接続のための筐体を示す。
【
図5B】
図5Bは、
図5Aに示されるような例示的なパネルのフレーム側の一部を、筐体上の蓋を除いて示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一態様は、投入エネルギーの90%以上で有用な利用可能な放射熱を生成することができる加熱パネルを含む。このパネルは、80℃までの作動表面温度を達成することができる。パネルは、石膏又はプラスターボードのパネルの外観及び適応性を有し、シートロックのパネルと全く同じ方法で天井に正確に取り付けられるように構成される。パネルは、「プラグ・アンド・プレイ」の利用として構成され、ヒーターは、住宅又は建物内の110/230vの利用可能な電圧供給に利用可能な電線にプラグ接続されるように構成される。
【0016】
1つ又は複数のそのような天井パネルを備えるシステムは、部屋の温度を制御するために、任意の標準的なサーモスタットに接続されてもよい。パネルは、所望の位置に配置され、特定の部屋のレイアウトの加熱要件を最大化するように調整されてもよい。
【0017】
このようなパネルを備えるシステムの利点は、部屋に向けられた放射熱への90%以上エネルギーを変換することを含み、これは既存の隠蔽型の天井設備と比較して30~40%のエネルギー節約に相当し得る。加えて、天井パネルの構造は、それらが既存の断熱板又はシートロックのパネルと同じ方法で設置されることを可能にし、作動するパネル表面は、任意のタイプの適切な天井表面層で塗装又は被覆するのに適した連続的な表面の天井に統合するために、プラスター又はプラスターボードに類似する任意の被覆物を下塗りして被覆されてもよい。パネルは、80℃の温度に達し得るが、パネルは、火災要件を満たすように構成される。プラグ・アンド・プレイ接続性は、設置を単純化し、必要な場所にパネルを配置する柔軟性を可能にする。暖房システムの全体的なコストは、市場にある他の技術のほとんど又はすべてと競争力を有し、より安価であり得る。
【0018】
例示的な加熱パネルが
図1及び2に描かれている。パネルは、好ましくは底部9と周辺側壁11とを有するトレイの形態の熱伝導層10を備える。側壁を含むトレイ構造が、構造的/審美的/縁部保護の機能のために好ましいが、他の実施形態では、熱層は、熱的性能にマイナスの影響を与えずに、側壁を有しなくてもよい。例示的な実施形態では、トレイは、金属(例えば、一実施形態では0.5mmの厚さを有する)、好ましくは鋼、より好ましくは亜鉛めっき鋼又は亜鉛めっき鋼から形成される。低熱容量、剛性、低コストと組み合わされた優れた火災/煙/毒性特性のため、鋼が好ましいが、本発明は、任意の特定の構造材料に限定されない。特に、良好な熱伝導体である他の金属が特に好適であり得、アルミニウム及び銅などであるがこれらに限定されず、セラミック、炭素繊維強化、又は他の導電性繊維ポリマー材料などの非金属材料もまた、熱伝導層に使用され得る。熱伝導層は、複数のタイプの熱伝導材料の多層複合体を含むことができる。
【0019】
熱伝導層は、枠対向面13(取り付けられる天井の枠に面して設置するものとする)と、室内対向面15(輻射熱を供給しようとする部屋に面して設置するものとする)とを有する。ラミナヒート コンフォート(LaminaHeat Comfort)加熱フィルム等の加熱フィルム12が、枠対向面の上方に配置され、好ましくは熱伝導層と接触する。一実施形態では、層状加熱フィルムは、230v又は110vで160Wの定格であってもよく、300W/m2の出力密度を有してもよい。発泡体などの断熱コア14は、加熱フィルムの上方に配置され、熱伝導トレイの内側側壁に接着されてもよい。一実施形態では、発泡体は、11mm厚の硬質ポリウレタン(PU)発泡体を含むが、本発明は、発泡体断熱材又は任意の特定の種類の発泡体又はその厚さに限定されない。一般に、熱伝導率の値がk=0.028~0.035W/mkであり且つ密度が30~250kg/m3の断熱材が好ましい。さらなる適切な材料としては、アクリル及び押出ポリスチレン(XPS)が挙げられるが、これらに制限されない。一実施形態では、断熱材は、バキュテックアーゲー(va-Q-tec AG)によって供給される、バキュプラス(va-Q-plus)として市販されているシリカ粉末核を含む真空断熱パネル(VIP)等のVIPを含んでよく、これは、標準的な発泡体断熱材よりも約10倍優れた0.0035のハイエンドな性能の熱伝導率のk値を実現する。
【0020】
保護バリア層17は、断熱コア層の枠対向面に適用されてもよい。一実施形態では、保護バリア層は、0.8mmの厚さを有する石膏強化ポリエステルメッシュ層を含む。発泡体に構造的な剛性及び靭性/保護を与えるために、保護面が断熱材の枠側にあることが好ましいが、実施形態によっては省略してもよい。強化石膏は、建築産業で使用される既存の建築パネルと適合性がある。しかし、ポリエステルメッシュ/ガラス繊維織布の目の粗い織物メッシュ及び他の繊維強化ポリマーコーティングを含むが、これらに限定されず、他の材料も使用することができる。表面被覆16(例えば、紙)は、熱伝導層の室内対向面に適用され、パネルの側面に、及びパネルの枠対向側面の少なくとも一部を覆って巻き付くことができる。紙は、標準的なプラスター/石膏シートロックのパネル上に設けられる外層と同一であることが好ましいが、本発明は、いかなる特定の表面コーティングにも限定されない。いくつかの実施形態では、室内対向面のコーティング及び枠対向保護バリア層が同じ原料である実施形態、及び原料が異なる実施形態を含む、保護バリア層17に適した上記の原料のいずれか又はすべてを含む、他の表面コーティングが設けられてもよい。パネルを枠組みに固定するための複数の孔18は、パネルの室内対向面からパネルの枠対向面まで貫通するように設けられてもよい。
【0021】
図2に描かれているように、パネルは、パネルのサイズに応じて、層状加熱要素によって画定される複数の加熱領域を備えることができる。
図2に示されるように、パネルは、2つの領域12A及び12Bを有し、それぞれが、パネルの横方向の縁部と層状加熱要素の横方向の縁部との間に幅Pを有する、断熱された周囲領域20に囲まれる。断熱された周囲領域20は、例えば、200gsmの平織り構造のような、織られたガラス繊維E(電気)のグレードを含んでもよいが、本発明は、いかなる特定の材料にも限定されない。各加熱領域は、中央位置でヒーターに接着された熱保護遮断スイッチ22を有することができる。例示的な実施形態では、遮断スイッチは、検出された熱が最大80℃を超えたときは常に、層状加熱要素への電力を遮断するように設定してもよい。しかしながら、本発明は、いかなる特定の切り抜き最大値にも限定されない。
【0022】
電源入力コード24が層状加熱ユニットのバスバー25に接続されている。
図5A及び
図5Bにより詳細に示すような電気接続筐体26は、接続位置を囲み、断熱コア層内に切り抜きが設けられている。一実施形態では、筐体は、プラスチック(例えば、ナイロン/PVC混合)の電気カバー56を含んでもよく、この電気カバーは、内部が中空であり(例えば、カバーは、頂部及び側壁を画定する)、2つの固定ねじ57によって対応するナットプレートインサート58内に取り付けられ、カバーが締結されると、カバーはパネルの枠対向面の平面と面一になる。ナットプレートインサートは、例えば、高温接着剤でヒーターに接着されてもよい。電気接続筐体は、パネルの室内対向面からは見えない。
図5A~5Bに描かれた実施形態において、熱伝導層は、側壁を有するトレイの形態ではない。しかし、側壁を有するトレイの実施形態では、側壁は、通常、筐体の外縁を画定するので、パネルの周囲からカバーが見えない、より連続的な周囲縁を形成する。
【0023】
例示的な制御スキームにおいて、制御装置50は、接地/接地接続部54(例えば、熱伝導層へ接続される)を含むことができる電源コード24に接続され、加熱要素12A及び12Bのバスバー25にそれぞれ接続された通電接続部52及び53に接続される。接続は、導電性接着剤などの当技術分野で知られている任意の方法によって行うことができる。電気的絶縁性を有するテープ59で接続部を覆うことができる。通電された接続部は、最終的には、領域の独立制御を可能にするように別々に制御装置50に接続してもよく、又は両方の加熱要素を一緒に制御可能にしてもよい。それぞれの遮断スイッチは、通電された接続部52、53に接続して示されているが、通電された接続とバスバーとの間には、概略的に電気的に置かれており、これにより、遮断スイッチが過熱のため遮断するとき、加熱要素にエネルギーが供給されない。他の実施形態では、遮断スイッチは、戻されて制御装置に接続してもよい。制御装置は、遮断スイッチが遮断したときに、アラーム状態を記録及び/又は生成し、可聴及び/又は可視アラームを生成するように構成され得る。例えば、制御装置が家庭内無線通信ネットワークに接続され、電話、タブレット、又は他のモバイル装置などのコンピュータ上のアプリケーションソフトウェアによって制御されるように構成される実施形態のような、遠隔制御を伴う実施形態を提供することができる。アラームは、例えば、制御装置によって接続された遠隔装置への通知として提供されてもよい。
【0024】
図示のように、例示的な実施形態では、パネルの全厚Tは、好ましくは12.5mmであり得るが、厚さは、任意の特定のサイズに限定されず、理想的には、パネルは、加熱パネルを混在させるべき標準的なシートロック又はプラスターパネルの対応する厚さに一致する任意の厚さで利用可能であってもよい。同様に、パネルは、任意の長さ及び幅、特に、1200mmの長さL及び600mmの幅Wを有する、少なくとも1つの実施形態におけるような、プラスターボード又はシートロックのフルサイズのものの代わりに挿入されるように構成された長さ及び幅を有してもよい。1200×600×12.5mmの実施形態では、断熱された周囲領域は25mmの幅Pを有してもよい。
【0025】
一実施形態は、プラスターボード又はシートロックのパネルの外観に似た利用に適した特性を含むことができるが、実施形態は、そのような構造に限定されない。例えば、標準的なつり天井タイルに沿って設置するのに適した天井パネルも、図示及び説明するように、層の一部又は全部を有するように形成することができる。天井タイルの実施形態では、タイルの室内対向層は、紙以外の材料を含んでもよく、及び/又は、まとまりのある天井パネルシステムを形成するために混在してもよい非輻射性の天井タイルに調和するテクスチャを有してもよい。
【0026】
本明細書で言及される例示的な層状加熱要素は、参照により本明細書に組み込まれる特許文献1に記載されるタイプのものであってもよく、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されるように、加熱要素は、導電性繊維、非導電性繊維(ガラス繊維など)、又はそれらの組み合わせを含む個々の絡み合わせていない繊維(unentangled fibers)の不織ウェットレイド層などの、炭素繊維などのランダムに配向した導電性繊維を含む抵抗ヒーターシート層のいずれか片側又は両側に、外側補強層又は断熱層を含む複数層を含むことができるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、繊維は、12mm未満の平均長さを有し、繊維層は、導電性粒子が存在しない。この層の一般的な密度は、8~60グラム/平方メートルの範囲、より好ましくは15~35グラム/平方メートルの範囲であり得る。ヒーター層は、好ましくは、任意の方向に均一な電気抵抗(均一性に関する所定の業界標準に準拠する)を有する。繊維層は、1種以上の高分子接着剤及び/又は難燃剤をさらに含んでもよい。導電性繊維の各々及び/又は非導電性繊維の各々は、6~12mmの範囲の長さを有してもよい。複数の導電性繊維のうちの1つ以上は、金属コーティングを有する非金属繊維を含んでもよい。繊維層は、本質的に個々の絡み合わせていない繊維からなるものであってもよく、特に、繊維マトリックス中の導電性粒子の欠如によって特徴付けられ得るが、層240の構成は、いかなる特定の構造、機能的特性、又は密度にも限定されない。
【0027】
繊維層、又は全体としての加熱要素はまた、そのような穿孔のない同様の層と比較して繊維層の電気抵抗を増加させる複数の穿孔を含んでもよい。ファイバ層はまた、バスバーとして少なくとも2つの導電性ストリップ(好ましくは銅)を含む。バスバーに接続された電線により、ヒーターに電圧を印加することができる。
【0028】
例示的な設置を
図3及び
図4に示す。
図3は、代表的な断熱天井構造30を示しており、天井は建物の隣接する階の底部32に隣接する。底部32は、複数の層、例えば、下張り床及び床材(制限はしないが、硬材、カーペット、タイルなど)、ならびに他の機能層(制限はしないが、下張り、レベリングするものなど)を含んでもよい。根太34(例えば、公称5.08×10.16cm(2x4インチ)、5.08×15.24cm(2x6インチ)、5.08×20.32cm(2x8インチ)の構造の木材、鋼鉄の梁、アルミニウムの枠など)は、隣接する底部を支持し、ここで説明するように加熱パネル36を締結する締結具35(例えば、乾式壁スクリュー、釘など)と、通常の建築パネル37(例えば、シートロック)とを受ける。断熱材38は、根太34、底部32、及び天井パネル36、37によって画定される空洞を満たす。この構造は、防音及び加熱格納容器の断加熱特性のために隣接する階の間に断加熱材が設けられる多層階、多世帯住宅のための建設に特に有用である。
【0029】
図4は、断熱層42(例えば、25-30mm厚のミネラルウール)が、加熱されたパネル36に当接しているが、通常の乾式壁パネル37には当接していない、別の例示的な天井構造40を示す。例示的な実施形態では、断熱層42は、パネルが熱出力をさらに有し、熱出力の方向付けるのに役立たせるために、外観上類似の加熱されたパネルに結合することができる。
【0030】
例示的な天井構造は、本明細書では例としてのみ示されており、本発明はいかなる特定の構造にも限定されないことに留意されたい。図示されていないが、天井パネルはまた、商業環境において一般的であるような天井吊り下げ設計における使用にも理想的であり、この場合、パネルは細いプロファイルの鉄骨に固定することができる。
図3及び
図4に示される実施形態では、上述のように、継ぎ目上に速乾性の漆喰(spackling)及び継ぎ目テープ(seaming tape)を適用すること、ならびに当技術分野で周知のように、目に見える継ぎ目又は締結具の窪みのない全体的に平らな形状を有する天井を作り出すためのさらなる処理など、さらなる仕上げが実行され得る。従って、パネル(ひいては、対応する熱伝導層)は、パネルの最も厚い部分において平面的な中間領域を有し、中間領域からパネルの縁まで角度が付けられたわずかに面取りされた周辺部を有するように成形されてもよく、これは、中間領域よりもわずかに小さい厚さを有してもよい。このわずかな面取りは、継ぎ目を覆い、実質的に平面状の天井(乾式壁仕上げの技術分野の当業者によってよく理解されるように、平面からの標準的な公差内)を作るために、継ぎ目テープと速乾性の漆喰に適応するのに有用であり得る。そのような実質的に平坦な天井は、連続的に覆うことができる天井層を含む(例えば、建築パネル(加熱パネル及び通常の建築パネルを含む)の間に目に見える継ぎ目なしに、塗装又はさらなる被覆を適用するのに適している)。
【0031】
プラスターボードに類似する輻射加熱パネルの優れた熱性能に加えて、別の利点には、天井内の既存又は新しい電力ケーブルに加熱パネルを極めて容易に接続することを可能にするプラグ・アンド・プレイの簡便さが含まれる。
【0032】
本発明は、特定の実施形態を参照して本明細書に例示され、説明されるが、本発明は、示される詳細に限定されることを意図されない。むしろ、本発明から逸脱することなく、特許請求の範囲及び均等物の範囲内で、詳細に様々な改変を行うことができる。
【国際調査報告】