(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-14
(54)【発明の名称】調整可能な拘束媒体における添加剤製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 64/106 20170101AFI20230707BHJP
B29C 64/209 20170101ALI20230707BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20230707BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20230707BHJP
B28B 1/30 20060101ALI20230707BHJP
【FI】
B29C64/106
B29C64/209
B33Y10/00
B33Y30/00
B28B1/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570129
(86)(22)【出願日】2021-05-14
(85)【翻訳文提出日】2023-01-12
(86)【国際出願番号】 EP2021062808
(87)【国際公開番号】W WO2021229046
(87)【国際公開日】2021-11-18
(32)【優先日】2020-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】506316557
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック
(71)【出願人】
【識別番号】523165352
【氏名又は名称】ユニヴェルスィテ クラウド ベルナール リヨン 1
(71)【出願人】
【識別番号】513023066
【氏名又は名称】アンスティトゥー ナショナル デ サイエンシーズ アプリーク ドゥ リヨン
(71)【出願人】
【識別番号】522446708
【氏名又は名称】エコール スプ シミ フィス エレクトロニーク リヨン
【氏名又は名称原語表記】ECOLE SUP CHIMIE PHYS ELECTRONIQ LYON
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】コーティアル エドウィン-ジョフリー
(72)【発明者】
【氏名】マルケット クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】コリー アーサー
(72)【発明者】
【氏名】バルト ジュリアン
【テーマコード(参考)】
4F213
4G052
【Fターム(参考)】
4F213AA21
4F213AC05
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL12
4F213WL15
4F213WL22
4G052DA01
4G052DB01
4G052DB12
4G052DC06
(57)【要約】
調整可能な拘束媒体における添加剤製造方法。応力が印加された媒体(3)を含む印刷トレイ(2)内に懸濁状態にて印刷材料を堆積させて立体物を形成することを含む添加剤製造装置及び方法であって、この印刷材料の堆積は、応力が印加された媒体(3)に浸漬され、応力が印加された媒体(3)内を立体的に移動することができる印刷ヘッド(4)のノズル(5)から印刷材料を注入する少なくとも1つの工程を介して実現され、印刷トレイ(2)内の応力が印加された媒体(3)の基準位置を修正する少なくとも1つの工程を有する方法である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
応力が印加された媒体(3)を含む印刷トレイ(2)内に懸濁状態にて印刷材料を堆積させて立体物を形成することを含む添加剤製造方法であって、
この印刷材料の堆積は、前記応力が印加された媒体(3)に浸漬され、かつ、前記応力が印加された媒体(3)内を立体的に移動することができる印刷ヘッド(4)のノズル(5)から印刷材料を注入する少なくとも1つの工程を介して実現され、
前記印刷トレイ(2)内の前記応力が印加された媒体(3)の基準位置を修正する少なくとも1つの工程を有する
方法。
【請求項2】
前記応力が印加された媒体が前記印刷材料に印加される応力を調整する工程を有する
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記印刷トレイ(2)内の前記応力が印加された媒体(3)の前記基準位置を修正する工程において、前記印刷トレイ(2)内の前記応力が印加された媒体(3)を構成する材料と同じ拘束材の層を、前記応力が印加された媒体(3)の表面に堆積させる
上記のいずれかの請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記印刷トレイ(2)内の前記応力が印加された媒体(3)の前記基準位置を修正する工程において、前記印刷トレイ(2)内の前記応力が印加された媒体(3)を構成する材料とは異なる拘束材の層を、応力が印加された媒体(3)の表面に堆積させる
上記の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記応力が印加された媒体(3)上への拘束材の層の堆積が、前記応力が印加された媒体(3)の表面全体にわたる拡散によって実現される
請求項3及び4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記応力が印加された媒体(3)上への拘束材の層の堆積が移動可能な拡散ヘッド(9)によって実現される
請求項4及び5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記印刷トレイ(2)内の前記応力が印加された媒体(3)の前記基準位置を修正する工程において、前記印刷ヘッド(4)と前記拡散ヘッド(9)を支持するヘッド支持体(7)を、前記応力が印加された媒体(3)の表面全体に向けて変位させ、前記印刷ヘッド(4)を非稼働化させ、前記拡散ヘッド(9)を作動させる
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記印刷トレイ(2)内の前記応力が印加された媒体(3)の前記基準位置を修正する工程において、前記応力が印加された媒体(3)の材料の層を前記印刷トレイ(2)から抽出する
上記の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記応力が印加された媒体(3)の材料の層の抽出が、前記応力が印加された媒体(3)の表面全体にわたる吸引によって実現される
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
吸引が移動可能な除去ヘッド(10)によって行われる
請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記印刷トレイ(2)内の前記応力が印加された媒体(3)の前記基準位置を修正する工程において、前記印刷ヘッド(4)と前記除去ヘッド(10)を支持するヘッド支持体(7)を、前記応力が印加された媒体(3)の表面全体に向けて変位させ、前記印刷ヘッド(4)を非作動化させ、前記除去ヘッド(10)を作動する
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
次の連続する工程を有する上記の請求項のいずれかに記載の方法。
前記立体物の一部を印刷する工程、
前記印刷トレイ(2)内の前記応力が印加された媒体(3)の前記基準位置を変化させる工程、
前記立体物の別の部分を印刷する工程。
【請求項13】
次の工程を有する上記の請求項のいずれかに記載の方法。
予め定められた物理的特性と前記応力が印加された媒体(3)の印刷深さとの関係を決定する予備較正工程、
当該物理的特性について予め定められた値に対応する印刷深さを選択する工程、
選択した前記印刷深さに対応する前記応力が印加された媒体の前記基準位置で、前記応力が印加された媒体にパーツを印刷する工程。
【請求項14】
前記応力が印加された媒体(3)が流動特性を示す
上記の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記応力が印加された媒体が粒状の応力が印加された材料で構成される
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記応力が印加された媒体がゲルからなる
請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記印刷材料が硬化性材料である
上記の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
添加剤製造装置であって、
印刷トレイ(2)に配置された応力が印加された媒体(3)と、
印刷材料を分配するように設計された印刷ヘッド(4)で、この印刷ヘッド(4)には、立体的に前記応力が印加された媒体(3)内で変位するように設計されたノズル(5)と、を備え、
前記印刷トレイ(2)の前記応力が印加された媒体(3)の基準位置を修正する装置である
装置
【請求項19】
前記応力が印加された媒体上に拘束材の層を堆積させるように設計された移動可能な拡散ヘッド(9)を有する
請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記拡散ヘッド(9)が、拘束材の制御された分布のために被制御分布手段(21)を有する
請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記印刷ヘッド(4)と前記拡散ヘッド(9)を支持するヘッド支持体(7)を有し、前記印刷ヘッド(4)が非作動化され、前記拡散ヘッド(9)が作動するモードにおいて、前記ヘッド支持体(7)は前記応力が印加された媒体(3)の表面全体に面して変位可能である
請求項19及び20のいずれかに記載の装置。
【請求項22】
前記印刷トレイ(2)内の前記応力が印加された媒体(3)を構成する材料と同一の材料を含む拘束材の容器(17)を有し、この容器(17)が前記拡散ヘッド(9)を供給する
請求項19から21のいずれかに記載の装置。
【請求項23】
前記印刷トレイ(2)内の前記応力が印加された媒体(3)を構成する材料とは異なる材料を含む拘束材の容器(17’)を有し、この容器(17’)が前記拡散ヘッド(9)に供給する
請求項19から22のいずれかに記載の装置。
【請求項24】
前記応力が印加された媒体(3)の材料の層を除去するように設計された移動可能な除去ヘッド(10)を有する
請求項18から23のいずれかに記載の装置。
【請求項25】
前記除去ヘッド(10)が吸引手段(23)に接続されている
請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記印刷ヘッド(4)と前記除去ヘッド(10)を支持するヘッド支持体(7)を有し、前記印刷ヘッド(4)が非作動化され、前記除去ヘッド(10)が作動するモードにおいて、前記ヘッド支持体(7)は前記応力が印加された媒体(3)の表面全体に面して変位可能である
請求項24及び25のいずれかに記載の装置。
【請求項27】
拘束材の容器(17)を有し、この容器(17)に供給する除去ヘッド(10)を有する
請求項24から26のいずれかに記載の装置。
【請求項28】
前記印刷トレイ(2)内の前記応力が印加された媒体(3)が流動特性を示す
請求項18から27のいずれかに記載の装置。
【請求項29】
前記印刷トレイ(2)内の前記応力が印加された媒体(3)が、粒状の応力が印加された材料で構成されている
請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記印刷トレイ(2)内の前記応力が印加された媒体(3)がゲルからなる
請求項28に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、添加剤製造の分野に関するものであり、同様に「3次元印刷」又は「3D印刷」と呼ばれる。より具体的には、本発明は、応力が印加された媒体内での添加剤製造に関する。
【背景技術】
【0002】
現在知られている添加剤製造方法の中には、印刷された材料を保持する機能を果たす応力が印加された媒体を含む印刷トレイ内に材料を堆積させて成形することで区別される方法もある。これらの方法では、立体物を形成しようとする印刷物は、形成する過程で、立体物を取り囲んで収納する材料で形成された応力が印加された媒体に浸漬されるノズルを備えた、立体的に移動可能な印刷ヘッドによって堆積される。
【0003】
特許文献1は、応力が印加された媒体を実装するこのような添加剤製造方法を説明している。この方法では、シリコーン系インクをゲルで構成された応力が印加された媒体中において液体状態で堆積させる。シリコーンとゲルの界面表面張力により、ゲルを懸濁相としたシリコーン系インクの印刷が可能となり、シリコーン部品の印刷が可能となる。
【0004】
さらに、特許文献2も同様に、応力が印加された媒体として機能する粒状相内に印刷材料を堆積させるような添加剤製造方法を記載している。
【0005】
これらの方法により、従来の添加剤製造方法では設計されていない、又は設計が不十分な流動性を示す印刷材料から部品を製造することができる。例えば、これらの方法で許容される印刷材料は非常に流動性の高いシリコーンであり、通常の方法では印刷できない。例えば、溶融堆積モデリング(FDM)法、液体堆積モデリング(LDM)法、マルチジェット印刷(MJP)法、ステレオリソグラフィー装置(SLA)、選択的レーザー溶融(SLM)、選択的レーザー焼結(SLS)、電子ビーム溶融(EBM)、バインダー噴射法などであり、これらの方法はすべて、応力が印加された媒体における添加剤製造方法とは根本的に異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/057682号明細書
【特許文献2】国際公開第2020/109745号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、先行技術の添加剤製造装置及び方法を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的に対し、本発明は、立体物を形成するために、応力が印加された媒体を含む印刷トレイ内に懸濁状態にて印刷材料を堆積させることを含む添加剤製造方法であって、この印刷材料の堆積は、応力が印加された媒体に浸漬され、応力が印加された媒体内を立体的に移動することができる印刷ヘッドのノズルを通して印刷材料を注入する少なくとも1つの工程を介して実現され、印刷トレイ内の応力が印加された媒体の基準位置を修正する少なくとも1つの工程を有する。
【0009】
別の主題によれば、本発明は以下を有する添加剤製造装置に関する。
印刷トレイに配置された応力が印加された媒体と、
印刷材料を分配するように設計された印刷ヘッドで、この印刷ヘッドには、立体的に応力が印加された媒体内で変位するように設計されたノズルと、を備え、
印刷トレイの応力が印加された媒体の基準位置を修正する装置である。
【0010】
本発明による方法及び装置は、まず、印刷時にノズルが受ける圧縮力を適応させることにより、より高品質な3D印刷を可能にする。
【0011】
加えて、このような方法は、応力が印加された媒体における添加剤製造方法に関する新しい視点を開く。このような応力が印加された媒体での付加的な製造方法は、困難な印刷材料(例えば、低粘度材料、限界応力が不十分な材料、顕著な揺変性挙動を示す材料などである)から部品の印刷を可能にするだけでなく、印刷された部品の物理的特性を調整することを可能にする。
【0012】
明細書及び特許請求の範囲において、「印刷」という用語は、付加的な製造方法による部品の製造を指し、「印刷物」という表現は、この方法で成形され、製造された部品の全部又は一部を構成する材料を指し、「拘束材」という表現は、印刷トレイに存在する材料を指し、この材料は、応力が印加された媒体を構成するため、印刷材料で製造された部品を取り囲んで応力を印加することを意図している。
【0013】
このような付加的な製造方法により、印刷ヘッドを制御することで得られる部品の形状だけでなく、応力が印加された媒体の基準位置を制御することで、部品の特定の物性にも作用させることができる。
【0014】
同一の3次元モデルに基づいて印刷された異なる部品では、印刷トレイ内の応力が印加された媒体の基準位置の変動に特に関連する異なるパラメータ化は、同じ形状を持つが異なる物理的特性を示す部品になる。
【0015】
同じ印刷材料から、方法をパラメータ化するだけで、例えば異なる機械的特性を示す部品を得ることができる。このような方法を実装する添加剤製造装置は、例えば、単一の印刷材料の供給源によって供給することができ、ユーザは最終的な部分に望まれる様々な物理的特性の中から選択することができ、これらの物理的特性は、印刷材料の供給を変更することなく、機械をパラメータ化することのみによって適用される。部品の機械的特性は、例えば、その方法によって調整できる物理的特性である。
【0016】
同じ印刷材料でも機械的特性が異なるなど、さまざまな部品が得られる。代替として、その中に様々な機械的特性を持つ1つの同じ部品を得ることができる。具体的には、同一の印刷物で構成されているにもかかわらず、その部品の用途に合わせて異なる局部的な特性を示す部分が最終的に現れるように、応力が印加された媒体の基準位置を制御することで、部品の一部の機械的特性を変化させることができる。
【0017】
別の注意点として、この方法によって調整できる物理的性質の例として、この方法では、対照的に、応力が印加された媒体の基準位置を制御することによって、機械的性質の観点から非常に均質な部品を得ることができ、部品のすべての部分が正確に同じ機械的性質を持つことが可能となる。
【0018】
本発明による方法は、単独で、又は組み合わせて、以下の追加的特徴を有することができる。
この方法には、応力が印加された媒体が印刷材料に印加される応力を調整する工程があり、
印刷トレイ内の応力が印加された媒体の基準位置を修正する工程において、印刷トレイ内の応力が印加された媒体を構成する材料と同じ拘束材の層が、応力が印加された媒体の表面に堆積され、
印刷トレイ内の応力が印加された媒体の基準位置を修正する工程において、印刷トレイ内の応力が印加された媒体を構成する材料とは異なる拘束材の層が、応力が印加された媒体の表面に堆積され、
応力が印加された媒体上の拘束材の層の堆積は、応力が印加された媒体の表面全体にわたる拡散によって実現され、
応力が印加された媒体への拘束材の層の堆積は、移動可能な拡散ヘッドによって実現され、
印刷トレイ内の応力が印加された媒体の基準位置を修正する工程において、印刷ヘッドと拡散ヘッドを支持するヘッド支持体が、応力が印加された媒体の表面全体に向けて変位し、印刷ヘッドが非作動化され、拡散ヘッドが作動し、
印刷トレイ内の応力が印加された媒体の基準位置を修正する工程において、印刷トレイから応力が印加された媒体の材料の層が抽出され、
応力が印加された媒体の材料の層の抽出は、応力が印加された媒体の表面全体を吸引することによって実現され、
吸引は移動可能な除去ヘッドで行い、
印刷トレイ内の応力が印加された媒体の基準位置を修正する工程において、印刷ヘッドと除去ヘッドを支持するヘッド支持体が、応力が印加された媒体の表面全体に向けて変位し、印刷ヘッドが非作動になり、除去ヘッドが作動になり、
次の連続する工程を有し、
立体物の一部を印刷する工程、
印刷トレイ内の応力が印加された媒体の基準位置を変化させる工程、
立体物の別の部分を印刷する工程、
次の工程を有し、
予め定められた物理的特性と応力が印加された媒体の印刷深さとの関係を決定する予備較正工程、
当該物理的特性について、予め定められた値に対応する印刷深さを選択する工程、
選択した印刷深さに対応する応力が印加された媒体の基準位置で、応力が印加された媒体にパーツを印刷する工程、
応力が印加された媒体は流動特性を示し、
応力が印加された媒体は粒状の応力が印加された材料で構成され、
応力が印加された媒体はゲルからなり、
印刷材料は硬化性材料である。
【0019】
本発明による装置は、単独で、又は組み合わせて、以下の追加の特徴を有することができる。
応力が印加された媒体に拘束材の層を堆積させるように設計された移動可能な拡散ヘッド、
拡散ヘッドには、拘束材の制御された分布のための被制御分布手段があり、
印刷ヘッドと拡散ヘッドを支持するヘッド支持体において、印刷ヘッドを非作動化し、拡散ヘッドを作動させるモードで、ヘッド支持体は応力が印加された媒体の表面全体に面して変位可能であり、
印刷トレイ内の応力が印加された媒体を構成する材料と同一の材料を含む拘束材の容器で、この容器は拡散ヘッドを供給し、
印刷トレイ内の応力が印加された媒体を構成する材料とは異なる材料を含む拘束材の容器、この容器は拡散ヘッドを供給し、
応力が印加された媒体の材料の層を除去するように設計された移動可能な除去ヘッド、
除去ヘッドが吸引手段に接続され、
印刷ヘッドと除去ヘッドを支持するヘッド支持体で、印刷ヘッドを非作動化し、除去ヘッドを作動させるモードで、ヘッド支持体は応力が印加された媒体の表面全体に向けて変位可能であり、
拘束材の容器と、この容器に供給する除去ヘッド、
印刷トレイ内の応力が印加された媒体は流動特性を示し、
印刷トレイ内の応力が印加された媒体は粒状の応力が印加された材料で構成され、
印刷トレイの応力が印加された媒体はゲルからなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照して、以下の非限定的な説明から明らかになる。
【
図2】
図1の装置を使用して第1の部分を印刷する工程を示す。
【
図3】
図1の装置を使用して第1の部分を印刷する別の工程を示す。
【
図4】
図1の装置を使用して第1の部分を印刷する別の工程を示す。
【
図5】
図1の装置を使用して第2の部分を印刷する工程を示す。
【
図6】
図1の装置を使用して第2の部分を印刷する別の工程を示す。
【
図7】
図1の装置を使用して第2の部分を印刷する別の工程を示す。
【
図8】印刷部品の弾性、印刷深さ、拘束材の関係を示したグラフを示す。
【
図10】
図1の装置に組み込まれている、応力が印加された媒体の基準位置を変化させる手段の詳細を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明による添加剤製造装置を示している。印刷版1の上に、応力が印加された媒体3を含む印刷トレイ2が配置されている。実際には、印刷版1は、例えば、TOBECA社が販売している3Dプリンタ(製品番号:101015)のような、1メートル四方のアルミ板であってもよい。印刷トレイ2は、例えば、LEROY-MERLIN社から販売されているマルチボックスと呼ばれるプラスチックボックスである(製品番号:68993750)。装置はノズル5を備えた印刷ヘッド4も備えている。「ノズル」とは、特に印刷材料を払い出すための出口を意味する。ノズル5と印刷ヘッド4の一部は、一部を印刷する過程を通して、応力が印加された媒体に浸漬され、この応力が印加された媒体内で、印刷材料の堆積を可能にする動きで変位する。印刷ヘッド4には供給装置6から印刷材料が供給されるが、ここでは単に供給導管を介して模式的に示す。供給装置は、3D印刷で使用される既知の手段であれば、液体の状態で印刷材料を提供するポンプ又は圧力装置を備えた回路、印刷ヘッド4内で溶解される連続的な繊維又は顆粒の状態で印刷材料を提供する機械式分配器などがあり、使用される供給装置6に関係なく、印刷ヘッド4は、材料が印刷されるためにノズル5から十分に液体の状態で印刷材料を分注するように設計されている。印刷ヘッド4は、例えばVISCOTEC社がvipro-HEAD3という名称で販売しているものであってもよく、ノズル5は、例えばNordson EFD社が販売しているOptimum deposition needleであってもよい。
【0022】
印刷材料は硬化性材料、即ち、応力が印加された媒体内に堆積された後に固化する。印刷材料には、例えば、加熱印刷ヘッドによって供給される溶融材料、この材料が冷却されると固化する材料、又は化学反応、溶媒の蒸発、又は紫外線などの放射線への暴露によって架橋可能なポリマーなどがある。例えば、印刷材料は、単成分タイプ(重縮合)や、二成分タイプ(重付加)のシリコーンなどがある。
【0023】
印刷装置は、ノズル5とトレイ2の間の立体的に相対的な変位を可能にする手段を有する。本例では、滑り溝8に接続されたヘッド支持体7に印刷ヘッド4を装着することで、ヘッド支持体7を3回の直交移動で変位させることができる。変形例として、印刷版1及び/又はヘッド支持体7を平行移動及び/又は回転させることができる他の装置は、立体的に応力が印加された媒体3内でノズル5を移動させることができる場合に限り、変形例として提供されてもよい。特に、印刷ヘッド4は、例えば、6軸のロボットアームによって、応力が印加された媒体内でノズルを角度方向に向けることによって変位させることができる。
【0024】
応力が印加された媒体3は流動性、即ち、応力が印加された媒体3が置かれた容器の形状に適合する材料で構成されている。たとえば、応力が印加された媒体は粒状媒体、液体又はゲル状媒体、又は泡である。この例では、応力が印加された媒体3は固体の粒状相と格子間気相からなる粒状の応力が印加された媒体である。粒状相は離散固体要素の塊である。その粉砕されて凝集しない性質のため、この塊は、自重の影響で互いに負担するこれらの離散要素が自発的に配置されることによって、トレイ2の形状に適合する。離散要素は、各離散要素とそれを囲む離散要素との間の接触領域に対して支持することによって相互に作用する。粒状の応力が印加された媒体は、これらの離散要素と、離散要素の間の格子間気相を持つ。粒状の応力が印加された媒体の機械的挙動は、離散要素間の接触点の修正のみによるものであり、格子間気相の影響を受けず、後者は、離散要素間の接触領域の修正が可能な限りにおいてのみ、粒状の応力が印加された媒体の機械的挙動に寄与する。
【0025】
変形例として、本発明は、ゲルのような他の応力が印加された媒体で実施することができる。ゲルに比べて粒状の応力が印加された媒体の利点は、浮力を受けないため、印刷の過程や応力が印加された媒体から除去されるまで対象物の幾何学的寸法を変更することができないことである。
【0026】
したがって、応力が印加された媒体3は、粒状にかかわらず、流動特性を示す限り、シリカ、セノスフェア、PMMA、炭酸水素ナトリウム、砂糖、砂、プルロニックF127(ゲル)、カルボポール、ゼラチンなどを含む多数の種類の材料で構成されている可能性がある。これらの異なる材料も同様に様々な比率で混合することができる。印刷装置にはさらに拡散ヘッド9と除去ヘッド10があり、どちらも応力が印加された媒体の基準位置に作用するように設計されている。
【0027】
拡散ヘッド9は、拘束材をトレイ2に排出するように設計されており、応力が印加された媒体3の基準位置を上げることができる。この例では、応力が印加された媒体3が例えば固体高分子粒子によって形成された粒状の応力が印加された媒体である場合、拡散ヘッド9は、応力が印加された媒体3の表面でこれらの高分子粒子を十分な量拡散するように設計されている。次に、ヘッド支持体7を制御して、拡散ヘッド9をその端まで変位させる。拡散ヘッド9には、拡散停止・起動機構と、ポリマー粒子を供給する機構(図示せず)がある。
【0028】
除去ヘッド10は、応力が印加された媒体3の表面のポリマー粒子を除去することを可能にすることで、拡散ヘッド9と逆に作用する。この例では、除去ヘッド10は、吸引手段(図示せず)、又は応力が印加された媒体3の表面に存在するポリマー粒子を引き込むための任意の適切な手段に接続され、その後、ヘッド支持体7は、応力が印加された媒体3の表面全体にわたって除去ヘッド10を変位させるように制御される。
【0029】
添加剤製造装置には、部品の3D印刷時に組み合わせて実装される3つの動作モードがある。
ヘッド支持体7を制御してノズル5を応力が印加された媒体3に浸し、ヘッド支持体7の動きを制御して、応力が印加された媒体3内で印刷材料の各層を連続して配置し、印刷する部分を形成する印刷モード。この印刷モードの間、拡散ヘッド9と除去ヘッド10は非作動である。変形例として、印刷モード中に拡散ヘッド9及び/又は除去ヘッド10を作動させ、印刷と同時に拘束媒体へのポリマー粒子の追加又は除去を可能にする。
拡散モードで、拡散ヘッド9において分注された高分子粒子が、トレイ2内の応力が印加された媒体3の基準位置が高くなるように、応力が印加された媒体3の表面に均等に広がるように、ヘッド支持体7を制御して、応力が印加された媒体3の表面全体を掃引する、即ち、応力が印加された媒体3の表面の高さが高くなるようにする。このモードでは、除去ヘッド10は、印刷ヘッド4と同様に非作動であり、即ちノズル5によって印刷材料が分配されない。
除去モードで、印刷ヘッド4と拡散ヘッド9が非作動であるのに対し、除去ヘッド10が作動し、ヘッド支持体7が、応力が印加された媒体3の表面を掃き、ポリマー粒子の層を均等に吸い上げることで、トレイ2内の応力が印加された媒体3の基準位置を低下させる。
【0030】
図2から
図4は、三次元部分11が生成される三次元印刷装置の動作シーケンスを示している。この簡略化された例では、厚みが誇張されており、印刷された三次元部分11はガントリー形状のプロファイルを持っているが、これは応力が印加された媒体なしでは流体シリコーンを三次元印刷して製造することは不可能である。ゲルで構成された応力が印加された媒体内に流体シリコーンを堆積させる方法でさえ、ゲルによって印加される浮力を考慮すると、このような結果は得られない。この浮力は、二つの横方向支柱13を接続する中央部分12を上昇させる傾向があるか、対照的に、印刷されたシリコーンを十分にサポートすることができないため、この中央部分12が弱くなるか、中央部分12と二つの横方向支柱13との正確な接続が得られない。この場合、粒状の応力が印加された媒体によって実現される応力が印加された媒体3は、まず横方向支柱13を印刷してから、応力が印加された媒体3に耐える中央部分12を介して接合することで、この部分を3D印刷で生産することを可能にする。
【0031】
図2は、連続した層を堆積させる最初の工程を示しており、装置が印刷モードである横方向支柱13の印刷を可能にしている。この工程で、トレイ2の応力が印加された媒体3の基準位置は、印刷深さP1に相当する値N1となる。印刷深さは、ノズル5の上にある応力が印加された媒体3の高さである。この例では、横方向のアップライトの上部と応力が印加された媒体3の表面の間に広がる印刷深さを図示することで、この概念を簡略化している。この場合、この深さP1は、横方向支柱13の印刷に必要な圧縮力を考慮して事前に決定され、較正される。
【0032】
図3に示す次の工程で、装置は拡散モードに切り替わる。拡散ヘッド9は、応力が印加された媒体3上に厚さのポリマー粒子を放出する。ヘッド支持体7は、応力が印加された媒体3の表面を掃引し、同じ高度に保たれている過程で、ノズル5は、その後、応力が印加された媒体3に残っているが、非作動である。変形例として、ノズル5を応力が印加された媒体から抽出することができる。その後、応力が印加された媒体3は、基準位置N1よりも高い新しい基準位置N2を持つ。
【0033】
横方向支柱13が印刷されると、中央部分12が
図4にしたがって、印刷深さP1よりも大きい印刷深さP2で順番に印刷される。この工程の間、中央部分12は適切に直線状のままであり、横方向支柱13の二つの上面を正しく接続する。
【0034】
この例では、応力が印加された媒体3の基準位置を上げて、横方向支柱13よりも中央部分12の印刷深さを大きくしている。このように、ノズル5には部品の様々な部分に適応した圧縮力が存在する。
【0035】
図2から
図4の簡略化された例は、応力が印加された媒体の基準位置が増加する基本的なメカニズムを説明することを目的としている。この、応力が印加された媒体3の基準位置を上げることを可能にする拡散工程は、部品の印刷中に必要な回数だけ、印刷厚さに応じて決定された範囲内で静水圧を変化させる必要があるたびに実施することができる。
【0036】
図5から
図7は、応力が印加された媒体3の基準位置が除去ヘッド10の介入によって減少する3D印刷シーケンスを示している。
【0037】
この単純化された例では、パーツ14(
図7参照)は、ノズル5での圧縮力を必要とし、ベース16を印刷する場合よりも上部15を印刷する場合の方が低くなる。これは、過度に高い圧縮力は、一部の張り出し部分の変形につながる可能性があるためである。
【0038】
ベース16は、まず、
図5にしたがって、印刷深さP3に対応する応力が印加された媒体3の基準位置N3で印刷される。
【0039】
次に、
図6に示すように、3Dプリンタによって除去モードで除去工程が実行される。印刷ヘッド4を非作動化(つまり、印刷材料の注入を中断する)しながら、除去ヘッド10は応力が印加された媒体3の表面に吸引力を与えて、粉砕されたポリマーの一部を除去し、応力が印加された媒体3の基準位置を基準位置N3未満の基準位置N4まで低下させる。
【0040】
図7に示す後続の印刷工程では、パーツ14の上部15が印刷厚P3よりも小さい印刷深さP4で印刷される。
【0041】
トレイ2内の応力が印加された媒体3の基準位置を制御することは、部品の幾何学的な製造品質に影響を与えるだけでなく、ヤング率、破壊応力又は破壊時の変形、熱及び/又は音響絶縁容量などの印刷された部品の物理的特性だけでなく、電気伝導率又は誘電率にも作用する可能性がある。
【0042】
応力が印加された媒体3を形成する各印刷材料と拘束材のペアについて、応力が印加された媒体3の基準位置が1つ以上の物理的特性に与える影響を確立することができる。
図8は、応力が印加された媒体を構成する異なる応力が印加された媒体について、トレイ2の応力が印加された媒体3の基準位置の関数としてヤング率の変動を確立する実験的な試行から得られた曲線を示している点で、この点を示す。発明者たちは、同じ印刷材料(流体シリコーン)の異なる印刷深さで、異なる粒状の応力が印加された媒体で試行することによって、これらの曲線を作成した。
【0043】
図8のグラフでは、
曲線C1は、シリカからなる応力が印加された媒体に対応し、
曲線C2は、砂糖で構成される応力が印加された媒体に相当し、
曲線C3は砂で構成された応力が印加された媒体に対応し、
曲線C4は、炭酸水素ナトリウムとシリカの混合物で構成される応力が印加された媒体に対応し、
曲線C5は、粉砕されたPMMAで構成される応力が印加された媒体に対応する。
【0044】
図8のグラフは、いくつかの応力が印加された媒体では、トレイ2の基準位置を変化させると、完成品のヤング率に強い影響を与えることを示す(たとえば、応力が印加された媒体として砂糖や砂がある場合)。したがって、1つの同じパーツ形状は、そのパーツが印刷されているときに、応力が印加された媒体に実装されている印刷の厚さに応じて、非常に異なるヤング率を示すことができる。
【0045】
このような実験グラフは、本発明の3Dプリンタを持つオペレータによって、任意の「応力が印加された媒体/印刷材料の材料」のペアに対して簡単に作成することができる。したがって、印刷が好ましい印刷深さは、特定の部品、特定の応力が印加された媒体、及び特定の印刷材料について決定することができる。同様に、印刷されたパーツ内のヤング率などの機械的特性を変更又は一定に保つために、実装する応力が印加された媒体の基準位置の変動を決定することもできる。
【0046】
このタイプのグラフが確立されたら、それを使用して、パーツの印刷シーケンスごとに実装する応力が印加された媒体の基準位置を示すチャートを作成できる。
【0047】
このように、一定の高さを持つ部分がその全高にわたって同じヤング率を示すように、応力が印加された媒体3の基準位置を制御することができるため、印刷ヘッド4のノズル5で同じ圧縮力を維持するように応力が印加された媒体3の基準位置を変更することができる。
【0048】
逆に、応力が印加された媒体3の基準位置を変更して、一部の部分が他の部分とは異なるヤング率を示すようにすることも可能である。
図9はそのような場合を示しており、本発明にしたがって印刷され、材料と厚さの連続性を示すシリコーン球24、中央部Tc、下部キャップ部Ti、上部キャップ部Tsを示している。この例示的な例では、中央部Tcは柔軟であるが(したがってヤング率が低い)、2つのキャップ部Ti,Tsはより硬い(ヤング率が高い)。
【0049】
この球は、印刷深さに敏感な部分(
図8のグラフからの実験データに従うと、例えば砂)のヤング率につながる、応力が印加された媒体で印刷される。これに関連して、球24を得るための方法は、次の工程を持つことができる。
下キャップTiを構成する各層について有意(例えば5cm)かつ一定の印刷深さに対応する第1基準位置で、応力が印加された媒体に下キャップTiを印刷する第1工程と、
第2除去工程では、トレイ内の応力が印加された媒体の基準位置が、除去ヘッド10の動作によって2番目の基準位置に低下し、
中央部Tcを構成する各層ごとに印刷深さを減らし(例えば1cm)一定にして中央部Tcを印刷する第3工程と、
第4拡散工程では、拡散ヘッド9の作用によってトレイ内の応力が印加された媒体の基準位置が3番目の基準位置に増加し、
上キャップTsを下キャップT1(例では5cm)に等しい印刷深さで、応力が印加された媒体の基準位置の増加により、上キャップTcを構成する各層で一定になるように印刷する第5工程。
【0050】
これにより、材料を変更することなく、トレイ内の応力が印加された媒体の基準位置を制御することで、部品の機械的特性(この例ではヤング率)を調整することができる。
【0051】
変形例として、異なる応力が印加された媒体が拡散工程中に拡散ヘッド9によって堆積され、ヤング率(又は印刷の深さによって変化する可能性のある任意の物理的特性)の変化が、印刷の深さを変化させるだけでなく、応力が印加された媒体の性質を変化させることによって得られる場合がある。
【0052】
全体として、本発明による方法は、調整したい(又は、逆に不変性を確保したい)という物理的特徴、印刷の深さ、及び応力が印加された媒体の性質の間の関係を確立するチャートを決定することで構成される予備較正工程で実施することができる。この較正工程に基づいて、選択された工程は、印刷される部分の異なる部分に望まれる物理的特性の所定の値に対応する印刷深さを決定する。その後の3D印刷工程は、選択された工程中に決定された印刷深さ範囲内になるように、応力が印加された媒体の基準位置を制御することによって実装できる。
【0053】
図10は、拡散ヘッド9と除去ヘッド10に実装できる技術的手段を概略的かつ詳細に示している。
【0054】
3D印刷装置には、応力が印加された媒体3を構成するのと同じ材料を含む容器17がある。この容器17は、印刷ヘッド4の周囲に配置されて拡散ヘッド9を構成する中空リング20と、射出スクリュー19を備えたダクト18を介して接続されている。リング20には、リング20からの応力が印加された媒体の制御された分布のためのねじ歯車21がある。拡散工程では、射出スクリュー19が作動し、容器17に存在する拘束材の拡散がねじ歯車21によって制御され、印刷ヘッドは応力が印加された媒体3の表面を通過するように制御される。
【0055】
一方、除去ヘッド10は、吸引手段23に接続された吸引ノズル22で形成されており、応力が印加された媒体3の制御層を除去し、引き込まれた拘束材を容器17に送る。吸引ノズル22は、吸引を進めるためにトレイ2内の応力が印加された媒体3の表面に近づけるために伸縮式とすることができる。
【0056】
図11に示す変形例によると、この装置は
図10のすべての要素を備えており、さらに、複数の容器(この例では、二つの容器17と17’が示されており、これらの容器17、17’はダクト18、18’によって拡散ヘッドに接続されている)により、異なる性質の応力が印加された材料を、応力が印加された媒体3に追加することを可能にする。この変形例では、容器セレクタ25を吸引手段23に接続して、引き込まれた拘束材を同じ拘束材を含む容器17,17’の方向に向けることができる。この変形例によると、拡散ヘッドはトレイ2に堆積させる拘束材を選択する手段を持ち、一方、除去ヘッドは吸い上げられた拘束材を正しい容器に選択的に戻す手段を持つ。
【0057】
本発明に従った装置及び方法の変形例は、本発明の範囲から逸脱することなく実施することができる。特に、この方法は、立体的に印刷される材料を分配するノズルは応力が印加された媒体内で変位する添加剤製造方法に適用することができ、この応力が印加された媒体がゲル化されるか粉砕されるか、1つの同じ材料で構成されるか、又は様々な材料の混合物で構成されるかを問わない。
【0058】
例として示されたヤング率以外の他の物理的特性は、例えば破壊応力、熱又は音響絶縁、電気伝導率などの「応力が印加された媒体の印刷物/材料」のペアを選択するときに、印刷深さの関数として完成品の変化を決定するためのチャートの対象となる場合がある。
【0059】
先ほど述べたように、本発明は印刷物の様々な物理的性質を調整することを可能にする。したがって、多数の変形例が想定される。
テクスチャの変形例、たとえばグリップの状態を改善する(ハンドル、足裏、装具、解剖学的モデルなど)、
光学特性の変形例(部分透明装置、レンズ、偏光ガラスなど)、
機械的性質の変形例(ベローズ、スプリング、ダンパーなど)、
音響特性の変形例(遮音部、音響シンクなど)、
熱特性の変形例(ヒートシンク、断熱材など)、
空隙率等の変形例。
【0060】
この発明によって可能になったこれらの異なる変形例は、単独で、あるいは組み合わせて、網羅的ではないが、特に健康分野、航空分野、自動車分野、鉄道分野、農産物分野、スポーツ分野、高級分野などにおいて、多数の用途を持つ印刷物を作ることを可能にする。
【国際調査報告】