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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-14
(54)【発明の名称】移植可能なプロテーゼ
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/00 20060101AFI20230707BHJP
   D04B 21/10 20060101ALI20230707BHJP
   D04B 21/00 20060101ALI20230707BHJP
【FI】
A61F2/00
D04B21/10
D04B21/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022571275
(86)(22)【出願日】2021-06-15
(85)【翻訳文提出日】2023-01-11
(86)【国際出願番号】 US2021037382
(87)【国際公開番号】W WO2021257536
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】16/907,091
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】507084844
【氏名又は名称】デボル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス,アウグストゥス
(72)【発明者】
【氏名】リゲイキス,マイケル
【テーマコード(参考)】
4C097
4L002
【Fターム(参考)】
4C097BB01
4C097CC01
4C097DD12
4C097FF12
4L002AA05
4L002AB02
4L002AC05
4L002AC07
4L002CA01
4L002CA02
4L002CB02
4L002DA01
4L002EA00
4L002EA02
4L002FA00
(57)【要約】
筋肉又は組織壁の欠損を修復するための移植可能なプロテーゼ。プロテーゼは、筋肉又は組織壁に合致するように構成された3次元湾曲形状を自主的に取る、予め形成された3次元起伏形状を有する生体適合性プロテーゼ材料の本体を含む。本体は、ニット構造を用いたメッシュ生地で形成され得る。本体は、個々に又は任意の組み合わせにおいて、軟組織の修復及び再建のための性能及び物理的特性を満たしながら、プロテーゼを手術用ロボット環境で取り扱う能力を向上させることができる、定義された性質を有する1つ以上の機械的特性を備えて構成され得る。1つ以上の視覚的な印は、筋肉又は組織壁におけるプロテーゼの位置決め及び/又は配置を容易にするために設けられ得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筋肉又は組織壁の欠損を修復するための移植可能なプロテーゼであって、
前記筋肉又は組織壁に合致するように構成された湾曲形状を自主的に取る、予め形成された3次元起伏形状を有する生体適合性プロテーゼ材料の本体であって、45lbs~52lbsのボール破裂強度を有する本体
を含む移植可能なプロテーゼ。
【請求項2】
前記本体は、45.7lbs~51.6lbsのボール破裂強度を有する、請求項1に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項3】
前記本体は、47lbs~50lbsのボール破裂強度を有する、請求項2に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項4】
前記本体は、約48.8lbsのボール破裂強度を有する、請求項3に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項5】
前記本体は、メッシュ生地で形成され、縦方向に6.9lbs~12.4lbs及び横方向に7.7lbs~13.7lbsの縫合糸の引抜き強度を有する、請求項1に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項6】
前記本体は、縦方向に12.6lbs~17.1lbs及び横方向に31.4lbs~44.9lbsの引張り強度を有する、請求項1に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項7】
前記本体は、縦方向に7.8lbs~12.3lbs及び横方向に7.7lbs~12.9lbsの引裂き抵抗を有する、請求項1に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項8】
前記本体は、縦方向に100.3%~133.7%及び横方向に52.6%~66.4%の破断伸度を有する、請求項1に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項9】
前記本体は、第1の直径を有する第1のフィラメントのニットストランドによって画定される複数の略多角形状の一次細孔と、各一次細孔内に複数の二次細孔を画定するために、各一次細孔にわたって延びる1対の個々の第2のフィラメントとを含むニットメッシュで形成され、前記1対の個々の第2のフィラメントのそれぞれは、実質的に互いに平行に延び、前記第2のフィラメントのそれぞれは、前記第1の直径よりも大きい第2の直径を有する、請求項1に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項10】
前記第1のフィラメントは、約0.0045~0.0051インチの直径を有し、及び前記第2のフィラメントは、約0.0063~0.0075インチの直径を有する、請求項9に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項11】
前記本体は、4/2 4/6 4/2 6/8 6/4 6/8の第1のバーパターンチェーン及び6/8 2/0 6/8 4/2 8/10 4/2の第2のバーパターンチェーンに従って製造された移植可能なダブルバー経編みメッシュを含み、前記第1のフィラメントは、前記第1のバーパターンチェーンに従って編成され、及び前記第2のフィラメントは、前記第2のバーパターンチェーンに従って編成される、請求項9に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項12】
筋肉又は組織壁の欠損を修復するための移植可能なプロテーゼであって、
前記筋肉又は組織壁に合致するように構成された湾曲形状を自主的に取る、予め形成された3次元起伏形状を有する生体適合性メッシュ材料の本体であって、縦方向に12.6lbs~17.1lbs及び横方向に31.4lbs~44.9lbsの引張り強度を有する本体
を含む移植可能なプロテーゼ。
【請求項13】
前記本体は、前記縦方向に約14.8lbs及び前記横方向に約39.6lbsの引張り強度を有する、請求項12に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項14】
前記本体は、前記縦方向に12.6lbs~17.1lbs及び前記横方向に31.4lbs~44.9lbsの引張り強度を有する、請求項13に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項15】
前記本体は、前記縦方向に6.9lbs~12.4lbs及び前記横方向に7.7lbs~13.7lbsの縫合糸の引抜き強度を有する、請求項12に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項16】
前記本体は、45lbs~52lbsのボール破裂強度を有する、請求項12に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項17】
前記本体は、前記縦方向に7.8lbs~12.3lbs及び前記横方向に7.7lbs~12.9lbsの引裂き抵抗を有する、請求項12に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項18】
前記本体は、前記縦方向に100.3%~133.7%及び前記横方向に52.6%~66.4%の破断伸度を有する、請求項12に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項19】
前記本体は、第1の直径を有する第1のフィラメントのニットストランドによって画定される複数の略多角形状の一次細孔と、各一次細孔内に複数の二次細孔を画定するために、各一次細孔にわたって延びる1対の個々の第2のフィラメントとを含むニットメッシュで形成され、前記1対の個々の第2のフィラメントのそれぞれは、実質的に互いに平行に延び、前記第2のフィラメントのそれぞれは、前記第1の直径よりも大きい第2の直径を有する、請求項12に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項20】
前記第1のフィラメントは、約0.0045~0.0051インチの直径を有し、及び前記第2のフィラメントは、約0.0063~0.0075インチの直径を有する、請求項19に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項21】
前記本体は、4/2 4/6 4/2 6/8 6/4 6/8の第1のバーパターンチェーン及び6/8 2/0 6/8 4/2 8/10 4/2の第2のバーパターンチェーンに従って製造された移植可能なダブルバー経編みメッシュを含み、前記第1のフィラメントは、前記第1のバーパターンチェーンに従って編成され、及び前記第2のフィラメントは、前記第2のバーパターンチェーンに従って編成される、請求項19に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項22】
筋肉又は組織壁の欠損を修復するための移植可能なプロテーゼであって、
前記筋肉又は組織壁に合致するように構成された湾曲形状を自主的に取る、予め形成された3次元起伏形状を有する生体適合性メッシュ材料の本体であって、縦方向に7.8lbs~12.3lbs及び横方向に7.7lbs~12.9lbsの引裂き抵抗を有する本体
を含む移植可能なプロテーゼ。
【請求項23】
前記本体は、前記縦方向に約9.6lbs及び前記横方向に約10.4lbsの引裂き抵抗を有する、請求項22に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項24】
前記本体は、前記縦方向に12.6lbs~17.1lbs及び前記横方向に31.4lbs~44.9lbsの引張り強度を有する、請求項22に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項25】
前記本体は、前記縦方向に6.9lbs~12.4lbs及び前記横方向に7.7lbs~13.7lbsの縫合糸の引抜き強度を有する、請求項22に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項26】
前記本体は、45lbs~52lbsのボール破裂強度を有する、請求項22に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項27】
前記本体は、前記縦方向に100.3%~133.7%及び前記横方向に52.6%~66.4%の破断伸度を有する、請求項22に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項28】
前記本体は、第1の直径を有する第1のフィラメントのニットストランドによって画定される複数の略多角形状の一次細孔と、各一次細孔内に複数の二次細孔を画定するために、各一次細孔にわたって延びる1対の個々の第2のフィラメントとを含むニットメッシュで形成され、前記1対の個々の第2のフィラメントのそれぞれは、実質的に互いに平行に延び、前記第2のフィラメントのそれぞれは、前記第1の直径よりも大きい第2の直径を有する、請求項22に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項29】
前記第1のフィラメントは、約0.0045~0.0051インチの直径を有し、及び前記第2のフィラメントは、約0.0063~0.0075インチの直径を有する、請求項28に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項30】
前記本体は、4/2 4/6 4/2 6/8 6/4 6/8の第1のバーパターンチェーン及び6/8 2/0 6/8 4/2 8/10 4/2の第2のバーパターンチェーンに従って製造された移植可能なダブルバー経編みメッシュを含み、前記第1のフィラメントは、前記第1のバーパターンチェーンに従って編成され、及び前記第2のフィラメントは、前記第2のバーパターンチェーンに従って編成される、請求項28に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項31】
筋肉又は組織壁の欠損を修復するための移植可能なプロテーゼであって、
前記筋肉又は組織壁に合致するように構成された湾曲形状を自主的に取る、予め形成された3次元起伏形状を有する生体適合性メッシュ材料の本体であって、縦方向に100.3%~133.7%及び横方向に52.6%~66.4%の破断伸度を有する本体
を含む移植可能なプロテーゼ。
【請求項32】
前記本体は、前記縦方向に約113%及び前記横方向に約60%の破断伸度を有する、請求項31に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項33】
前記本体は、前記縦方向に6.9lbs~12.4lbs及び前記横方向に7.7lbs~13.7lbsの縫合糸の引抜き強度を有する、請求項31に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項34】
前記本体は、前記縦方向に12.6lbs~17.1lbs及び前記横方向に31.4lbs~44.9lbsの引張り強度を有する、請求項31に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項35】
前記本体は、前記縦方向に7.8lbs~12.3lbs及び前記横方向に7.7lbs~12.9lbsの引裂き抵抗を有する、請求項31に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項36】
前記本体は、45lbs~52lbsのボール破裂強度を有する、請求項31に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項37】
前記本体は、第1の直径を有する第1のフィラメントのニットストランドによって画定される複数の略多角形状の一次細孔と、各一次細孔内に複数の二次細孔を画定するために、各一次細孔にわたって延びる1対の個々の第2のフィラメントとを含むニットメッシュで形成され、前記1対の個々の第2のフィラメントのそれぞれは、実質的に互いに平行に延び、前記第2のフィラメントのそれぞれは、前記第1の直径よりも大きい第2の直径を有する、請求項31に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項38】
前記第1のフィラメントは、約0.0045~0.0051インチの直径を有し、及び前記第2のフィラメントは、約0.0063~0.0075インチの直径を有する、請求項37に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項39】
前記本体は、4/2 4/6 4/2 6/8 6/4 6/8の第1のバーパターンチェーン及び6/8 2/0 6/8 4/2 8/10 4/2の第2のバーパターンチェーンに従って製造された移植可能なダブルバー経編みメッシュを含み、前記第1のフィラメントは、前記第1のバーパターンチェーンに従って編成され、及び前記第2のフィラメントは、前記第2のバーパターンチェーンに従って編成される、請求項37に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項40】
筋肉又は組織壁の欠損を修復するための移植可能なプロテーゼであって、
前記筋肉又は組織壁に合致するように構成された湾曲形状を自主的に取る、予め形成された3次元起伏形状を有する生体適合性メッシュ材料の本体であって、45lbs~52lbsのボール破裂強度、縦方向に12.6lbs~17.1lbs及び横方向に31.4lbs~44.9lbsの引張り強度、前記縦方向に7.8lbs~12.3lbs及び前記横方向に7.7lbs~12.9lbsの引裂き抵抗並びに前記縦方向に100.3%~133.7%及び前記横方向に52.6%~66.4%の破断伸度を有する本体
を含む移植可能なプロテーゼ。
【請求項41】
前記本体は、第1の直径を有する第1のフィラメントのニットストランドによって画定される複数の略多角形状の一次細孔と、各一次細孔内に複数の二次細孔を画定するために、各一次細孔にわたって延びる1対の個々の第2のフィラメントとを含むニットメッシュで形成され、前記1対の個々の第2のフィラメントのそれぞれは、実質的に互いに平行に延び、前記第2のフィラメントのそれぞれは、前記第1の直径よりも大きい第2の直径を有する、請求項40に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項42】
前記第1のフィラメントは、約0.0045~0.0051インチの直径を有し、及び前記第2のフィラメントは、約0.0063~0.0075インチの直径を有する、請求項41に記載の移植可能なプロテーゼ。
【請求項43】
前記本体は、4/2 4/6 4/2 6/8 6/4 6/8の第1のバーパターンチェーン及び6/8 2/0 6/8 4/2 8/10 4/2の第2のバーパターンチェーンに従って製造された移植可能なダブルバー経編みメッシュを含み、前記第1のフィラメントは、前記第1のバーパターンチェーンに従って編成され、及び前記第2のフィラメントは、前記第2のバーパターンチェーンに従って編成される、請求項41に記載の移植可能なプロテーゼ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移植可能なプロテーゼに関し、より詳細には、軟組織及び筋肉壁の修復で使用するための移植可能なプロテーゼに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘルニアなどの筋肉又は組織壁の欠損は、一般に、欠損を覆い、及び/又は埋めるように構成された移植可能なプロテーゼによって修復される。多くの場合、BARD MESHなど、移植可能な非吸収性の可撓性メッシュ材料の平らなシートがヘルニアの腸壁修復及び腹壁の内臓脱出に対して用いられる。しかし、外科医は、壁側腹膜と腹骨盤壁との間にメッシュを配置することに困難を感じることがある。また、メッシュは、折れ曲がるか又は皺になることがあり、所定の位置に維持することが困難な場合がある。
【0003】
本出願人は、これらの懸念のいくつかを軽減するために、筋肉又は組織壁の欠損を修復するための移植可能なプロテーゼを以前に開発した。米国特許第5,954,767号、米国特許第6,723,133号及び米国特許第6,740,122号に開示されているプロテーゼのいくつかのバージョンは、壁の解剖学的形状に合致するように適合された湾曲形状を自主的に取るように形成されている、移植可能な非吸収性の可撓性材料で作製される。プロテーゼは、実質的に球形を有する第1の部分と、第1の部分に接合された第2の部分とから構成される本体を含む。第2の部分は、実質的に円錐形又は球形を有し得る。
【0004】
プロテーゼは、鼠径大腿領域の筋肉又は組織壁の修復の実施において有用であることが証明されており、確立されている。プロテーゼは、変形したときに応力を受けず、したがって移植時にずれる傾向がない。
【0005】
それにもかかわらず、本出願人は、プロテーゼの態様を改善できることを見出した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の目的は、筋肉又は組織壁の欠損を修復するための改良されたプロテーゼを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの例示的実施形態では、筋肉又は組織壁の欠損を修復するための移植可能なプロテーゼである。プロテーゼは、筋肉又は組織壁に合致するように構成された湾曲形状を自主的に取る、予め形成された3次元起伏形状を有する生体適合性プロテーゼ材料の本体を含む。本体は、45lbs~52lbsのボール破裂強度を有する。
【0008】
1つの例示的実施形態では、筋肉又は組織壁の欠損を修復するための移植可能なプロテーゼである。プロテーゼは、筋肉又は組織壁に合致するように構成された湾曲形状を自主的に取る、予め形成された3次元起伏形状を有する生体適合性プロテーゼ材料の本体を含む。本体は、縦方向に12.6lbs~17.1lbs及び横方向に31.4lbs~44.9lbsの引張り強度を有する。
【0009】
1つの例示的実施形態では、筋肉又は組織壁の欠損を修復するための移植可能なプロテーゼである。プロテーゼは、筋肉又は組織壁に合致するように構成された湾曲形状を自主的に取る、予め形成された3次元起伏形状を有する生体適合性プロテーゼ材料の本体を含む。本体は、縦方向に7.8lbs~12.3lbs及び横方向に7.7lbs~12.9lbsの引裂き抵抗を有する。
【0010】
1つの例示的実施形態では、筋肉又は組織壁の欠損を修復するための移植可能なプロテーゼである。プロテーゼは、筋肉又は組織壁に合致するように構成された湾曲形状を自主的に取る、予め形成された3次元起伏形状を有する生体適合性プロテーゼ材料の本体を含む。本体は、縦方向に100.3%~133.7%及び横方向に52.6%~66.4%の破断伸度を有する。
【0011】
1つの例示的実施形態では、筋肉又は組織壁の欠損を修復するための移植可能なプロテーゼである。プロテーゼは、筋肉又は組織壁に合致するように構成された湾曲形状を自主的に取る、予め形成された3次元起伏形状を有する生体適合性プロテーゼ材料の本体を含む。本体は、45lbs~52lbsのボール破裂強度、縦方向に12.6lbs~17.1lbs及び横方向に31.4lbs~44.9lbsの引張り強度、縦方向に7.8lbs~12.3lbs及び横方向に7.7lbs~12.9lbsの引裂き抵抗並びに縦方向に100.3%~133.7%及び横方向に52.6%~66.4%の破断伸度を有する。
【0012】
1つの例示的実施形態では、鼠径ヘルニアを修復するための移植可能なプロテーゼである。プロテーゼは、鼠径部の壁に合致するように構成された湾曲形状を自主的に取る、予め形成された3次元起伏形状を有する生体適合性プロテーゼ材料の本体を含む。本体は、外側周辺縁部によって囲まれ、及び外側周辺縁部に対する頂点を含む。本体は、外腸骨血管を受け入れるように構成された陥凹部を含み、陥凹部は、頂点から外側周辺縁部に向かう方向に延びる。本体は、頂点と外側周辺縁部との間の陥凹部の少なくとも一部に沿って延びる視覚的な印を含む。
【0013】
1つの例示的実施形態では、鼠径ヘルニアを修復するための移植可能なプロテーゼである。プロテーゼは、鼠径部の壁に合致するように構成された湾曲形状を自主的に取る、予め形成された3次元起伏形状を有する生体適合性プロテーゼ材料の本体を含む。本体は、外側周辺縁部によって囲まれ、及び外側周辺縁部に対する頂点を含む。本体は、外側周辺縁部から少なくとも頂点まで延びる丸みを帯びた隆起を含む。丸みを帯びた隆起は、鼠径靭帯の軸線に沿って配置されるように構成される。本体は、外側周辺縁部と頂点との間の丸みを帯びた隆起の少なくとも一部に沿って延びる視覚的な印を含む。
【0014】
一態様によれば、本体は、4/2 4/6 4/2 6/8 6/4 6/8の第1のバーパターンチェーン及び6/8 2/0 6/8 4/2 8/10 4/2の第2のバーパターンチェーンに従って製造されるダブルバー経編みメッシュで形成され得る。メッシュは、第1の直径を有する第1のモノフィラメントと、第1の直径よりも大きい第2の直径を有する第2のモノフィラメントとから編成される。第1のモノフィラメントは、第1のバーパターンチェーンに従って編成され、及び第2のモノフィラメントは、第2のバーパターンチェーンに従って編成される。
【0015】
一態様によれば、本体は、第1のフィラメントのニットストランドによって画定される複数の略多角形状の一次細孔を含むニットメッシュで形成され得る。1対の個々の第2のものは、各一次細孔内に複数の二次細孔を画定するために、各一次細孔にわたって延びる。1対の第2のフィラメントのそれぞれは、実質的に互いに平行に延びる。第1のフィラメントは、第1の直径を有し、及び第2のフィラメントは、第1の直径よりも大きい第2の直径を有する。
【0016】
ここで、添付図面を参照して、例として本開示の様々な実施形態を述べる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の一例示的実施形態によるプロテーゼの平面図である。
図2】本開示の一例示的実施形態による位置決め用印を示す、図1のプロテーゼの平面図である。
図3図1及び図2のプロテーゼの斜視図である。
図4】本開示の別の例示的実施形態によるプロテーゼの平面図である。
図5図4の断面線5-5に沿って取られたプロテーゼの断面図である。
図6図4の断面線6-6に沿って取られたプロテーゼの断面図である。
図7】本開示の一例示的実施形態による位置決め用印を示す、図4のプロテーゼの平面図である。
図8】本開示の例示的実施形態によるダブルバー経編みメッシュ生地の拡大図である。
図9A図8のメッシュ生地に関するチェーンラッピングパターンを示す。
図9B図8のメッシュ生地に関するチェーンラッピングパターンを示す。
図10】一次セルの面積を決定するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
詳細な説明
本開示は、筋肉又は組織壁の欠損を修復するための移植可能なプロテーゼに関する。プロテーゼは、筋肉又は組織壁に合致するように構成された3次元湾曲形状を自主的に取る、予め形成された3次元起伏形状を有する生体適合性プロテーゼ材料の本体を含む。このようにして、プロテーゼは、手術部位への送達のために、細長い円筒などの縮小構成に畳むことができる。送達時、プロテーゼは、その予め形成された3次元起伏形状に自主的に戻ることができる。
【0019】
本体は、比較的柔軟であり、薄く、軽量であり、軟組織修復及び再建処置のための性能及び物理的特性を満たす材料で形成され得る。プロテーゼは、軟組織の欠損を補強及び閉鎖するために使用することができ、特に胸壁再建及び/又は鼠径ヘルニアなどのヘルニアの修復に適用される。
【0020】
プロテーゼの実施形態は、メッシュ生地で形成された本体を含む。メッシュ生地は、メッシュの機械的特性を犠牲にすることなく、下にある解剖学的構造の良好な視認性を保証するために、比較的大きい開口部又は細孔を提供するニット構造を採用し得る。生地の多孔性は、プロテーゼを取り込むための組織浸潤を可能にする。ニット生地は、縫合糸、ステープル、タックなどの固定留め具が引き抜かれる可能性をなくすか又は最小限にするために十分に強く、また構造化されている。柔軟な修復生地は、手術対象者への挿入のために容易なサイズ縮小を可能にすることができる。このようにして、柔軟な生地は、ロールなどの細長い形状に畳むことができ、腹腔鏡手術で使用するための細い腹腔鏡カニューレ内で支持し、それを通して進めることができる。
【0021】
プロテーゼの態様は、例えば、手術用ロボット環境での使用において、その取扱性を向上させることに関連する。本体は、個々に又は任意の組み合わせにおいて、軟組織の修復及び再建のための性能及び物理的特性を満たしながら、プロテーゼを手術用ロボット環境で取り扱う能力を向上させることができる、定義された性質を有する1つ以上の機械的特性を備えて構成され得る。
【0022】
プロテーゼの態様は、筋肉又は組織壁におけるプロテーゼの位置決め及び/又は配置を容易にするための1つ以上の視覚的な印を含み得る。印は、プロテーゼの1つ以上の部分及び/又は欠損部位の筋肉若しくは組織壁に対するプロテーゼの向きを識別するための英字記号、数字記号、英数字記号及び/又は他の記号を個々に又は任意の組み合わせで含み得る。
【0023】
図1図3に示される1つの例示的実施形態では、移植可能なプロテーゼ20は、欠損のある筋肉又は組織壁の解剖学的形状に合致するように構成された湾曲形状を有する、予め形成された3次元起伏構成を有する生体適合性プロテーゼ材料の本体22を含む。図5図6に示されるように、本体は、全体的に略凹形を有して形成された内面24と、全体的に略凸形を有して形成された外面26とを含み得る。本体の構成は、配置を容易にし、壁上に位置決めされた場合のプロテーゼのずれを最小限にする。
【0024】
本体は、一緒に形成されるか又は他の方法で互いに接合されて、所望の構成を作る複数の成形部分を有し得る。一実施形態では、本体は、第1の部分28と、第2の部分30と、第3の部分32と、第4の部分34とを含み得る。本体は、本体の第1の端部42及び第2の端部44で互いに接合された第1のマージン38及び第2のマージン40を含む外側周辺縁部36によって囲まれ得る。第1のマージン38は、第1の部分28の外側縁部に沿って延び、第1の部分28の外側縁部を画定する第1のセグメント46と、第2の部分30の外側縁部に沿って延び、第2の部分30の外側縁部を画定する第2のセグメント48とを含み得る。同様に、第2のマージン40は、第3の部分32の外側縁部に沿って延び、第3の部分32の外側縁部を画定する第1のセグメント50と、第4の部分34の外側縁部に沿って延び、第4の部分34の外側縁部を画定する第2のセグメント52とを含み得る。
【0025】
本体は、第1の部分28及び第2の部分30によって形成された第1の曲面と、第3の部分32及び第4の部分34によって形成された第2の曲面とを含み得る。第1の表面と第2の表面とは、本体の第1の端部42から第2の端部44まで延びる丸みを帯びた隆起54に沿って互いに接合され得る。鼠径ヘルニアを修復するための一実施形態では、丸みを帯びた隆起は、鼠径靭帯の軸線に沿って配置されるように構成される。
【0026】
本体は、外側周辺縁部に対するプロテーゼの最大高さを画定する頂点56を含み得る。丸みを帯びた隆起は、第1の端部42から頂点56まで延びる第1のセグメント58と、第2の端部44から頂点まで延びる第2のセグメント60とを含み得る。
【0027】
1つの例示的実施形態では、本体は、プロテーゼが筋肉又は組織壁に移植されるとき、隣接する血管又は臓器を受け入れるように構成された陥凹部62を含み得る。図示されているように、陥凹部62は、本体の第3の部分32と第4の部分34との間の第2の曲面に沿って位置し得る。陥凹部は、頂点56から第2のマージン40に向かう方向に第2の曲面にわたって延びることができる。一実施形態では、陥凹部は、プロテーゼが鼠径ヘルニア修復のために用いられる場合、腸骨血管を受け入れるように構成され得る。しかし、陥凹部は、プロテーゼの全ての用途で必要なわけではないことを理解されたい。さらに、陥凹部は、設けられる場合、欠損部位に移植されたときにプロテーゼに隣接して位置し得る任意の血管、臓器、筋肉又は組織を収容するように構成され得る。
【0028】
1つの例示的実施形態では、第1の部分28は、球形を有し得る。図示されているように、第1の部分は、第1のマージン38の第1のセグメント46と、第2の部分30と、丸みを帯びた隆起54の第1のセグメント58と、丸みを帯びた隆起の第2のセグメント60の一部とによって境界を定められている。
【0029】
1つの例示的実施形態では、第2の部分30は、第1のマージン38から丸みを帯びた隆起54まで延びる底部64と、本体の第2の端部44に位置する先端とを有する円錐形を有し得る。第2の部分は、その底部に沿って第1の部分に接合され、第1のマージンの第2のセグメント48と、丸みを帯びた隆起の第2のセグメント60の一部とによって境界を定められている。
【0030】
1つの例示的実施形態では、第3の部分32は、第1の端部42と頂点56との間の丸みを帯びた隆起の第1のセグメント58に沿って第1の部分28に接合され得る。第3の部分は、陥凹部62に沿って第4の部分34に接合され得、第2のマージン40の第1のセグメント50によって境界を定められている。
【0031】
1つの例示的実施形態では、第4の部分34は、第2の端部44と頂点56との間の丸みを帯びた隆起54の第2のセグメント60に沿って第1の部分28及び第2の部分30に接合され得る。第4の部分は、陥凹部62に沿って第3の部分32に接合され得、第2のマージン40の第2のセグメント50と陥凹部62とによって境界を定められている。
【0032】
1つの例示的実施形態では、第1の部分28及び第2の部分30によって形成された第1の曲面は、丸みを帯びた隆起54から第1のマージン38まで第1の傾斜を有し得、第3の部分32及び第4の部分34によって形成された第2の曲面は、丸みを帯びた隆起54から第2のマージン40まで第2の傾斜を有し得る。一実施形態では、第2の傾斜は、第1の傾斜よりも大きい場合がある。
【0033】
1つの例示的実施形態では、本体の第1のマージン38及び第2のマージン40は、プロテーゼを容易にするために滑らかであり、本体の残りの部分に比べてより剛性が高い場合がある。このようにして、マージンは、プロテーゼが畳まれた後、プロテーゼが、その予め形成された3次元形状に自主的に戻ることを容易にするように形成され得る。マージンは、材料を約3mmの幅にわたって溶着することにより形成され得る。しかし、マージンの幅は、その剛性(stiffness)又はこわさ(rigidity)を変化させるように選択できることを理解されたい。
【0034】
いくつかの用途では、移植時又は移植後、第1の部分と第2の部分とが互いを部分的に覆い隠さないように、第1の部分と第2の部分との間の皺又は折れ曲がりの発生の程度を大幅に低減し、それによりプロテーゼの全体的なサイズが壁の所望の部分を適切に覆うのに十分であることを確実にするように構成されたプロテーゼを用いることが望ましい場合がある。このような構成は、比較的大きいサイズを有するプロテーゼに特に好適であり得る。
【0035】
図4図6に示される1つの例示的実施形態では、第1の部分28は、球形を有し得る。図示されているように、第1の部分は、第1のマージン38の第1のセグメント46と、第2の部分30と、丸みを帯びた隆起54の第1のセグメント58とによって境界を定められている。第1のマージン38の第1のセグメント46は、円形を有し得る。第2の部分30及び第3の部分32との第1の部分28の境界部58、66は、プロテーゼの頂点56で互いに交差している。
【0036】
1つの例示的実施形態では、第2の部分30は、境界部66に沿って第1の部分28と結合し、第1のマージンの第2のセグメント48と、丸みを帯びた隆起54の第2のセグメント60とによって境界を定められている。第1のマージンの第2のセグメント48は、円形を有し得る。
【0037】
1つの例示的実施形態では、第1の部分と第2の部分との間の境界部66に沿って及びそれに垂直に、第1の部分28は、第1の曲率半径を有し、第2の部分30は、第1の曲率半径に実質的に等しい第2の曲率半径を有する。このような構成は、移植時又は移植後、第1の部分と第2の部分とが互いを部分的に覆い隠さないように、第1の部分と第2の部分との間の皺又は折れ曲がりの発生の程度を大幅に低減し、それによりプロテーゼの全体的なサイズが壁の所望の部分を適切に覆うのに十分であることを確実にすることができる。
【0038】
1つの例示的実施形態では、第3の部分32は、第1の端部42と頂点56との間の丸みを帯びた隆起54の第1のセグメント58に沿って第1の部分28と結合する。第3の部分は、陥凹部62に沿って第4の部分34に接合され得、第2のマージン40の第1のセグメント50によって境界を定められている。図示されているように、第2のマージンの第1のセグメントは、湾曲し得る。
【0039】
1つの例示的実施形態では、第4の部分34は、第2の端部44と頂点56との間の丸みを帯びた隆起54の第2のセグメント60に沿って第2の部分30と結合する。第4の部分は、陥凹部62に沿って第3の部分32に接合され得、第2のマージン40の第2のセグメント52と陥凹部62とによって境界を定められている。図示されているように、第2のマージンの第2のセグメントは、湾曲し得る。
【0040】
図4図6に示されているように、第1のマージン38及び第2のマージン40は、プロテーゼの略D字形の周辺縁部を形成する。周辺縁部は、本体が移植中に変形した後にその起伏形状を回復することができるように、溶接又は溶着され得る。
【0041】
一実施形態では、第3の部分32及び第4の部分34のそれぞれは、特定の解剖学的形状への適合を向上させるために実質的に球形を有し得る。1つの例示的実施形態では、第1の部分と比較して急峻な傾斜を有する第3の部分及び第4の部分の表面を形成するために、第3の部分32及び第4の部分34の曲率半径は、第1の部分28の曲率半径よりも小さい。
【0042】
プロテーゼは、特定の用途に好適な任意の形状及びサイズを有するように構成され得る。一実施形態では、周辺縁部36及び頂点56によって画定される平面からのプロテーゼの高さHは、約21mmである。第1の部分28は、特に第1の部分に隣接する、約120mmの実質的に同じ曲率半径を有する第2の部分30と結合する場所において、約120mmの曲率半径を有する実質的に球形を有する。第3の部分32及び第4の部分34は、35mmの曲率半径を有する実質的に球形をそれぞれ有する。プロテーゼの総表面積は、約44,780mmであり、第2の部分10は、約12,735mmの表面積を有する。
【0043】
例示的実施形態は、鼠径ヘルニアの修復に特に適している。しかし、この構成は、例示であり、プロテーゼは、特定の用途に好適な他の形状及びサイズを有するように構成され得ることを理解されたい。
【0044】
上記のように、鼠径ヘルニアの修復に特に好適な構成を有するプロテーゼを提供することが望ましい場合がある。プロテーゼ20は、配置を容易にし、鼠径部の欠損のある壁上に位置決めされた場合のプロテーゼのずれを最小限にする3次元構成に予め形成されたプロテーゼ材料の本体22を含み得る。本体は、所望の構成を一緒に作る複数の成形部分を含み得る。鼠径ヘルニアを修復するために用いられる場合、本体のいくつかの部分間の特定の向きは、プロテーゼの所望の配置を容易にするために、外腸骨血管の傾斜に合わせて及び/又は鼠径靭帯の軸線に沿った配置に構成され得る。
【0045】
図4に示される一実施形態では、第1の部分28及び第3の部分32は、丸みを帯びた隆起54の第1のセグメント58と陥凹部62との間の頂点56に角度Aを有して構成することができ、これにより、鼠径ヘルニアの修復のために移植された場合、陥凹部を外腸骨血管の実質的に反対側に配置する。一実施形態では、角度Aは、100°よりも大きい場合がある。一実施形態では、角度Aは、約101°~120°の範囲を有し得る。しかし、当業者に理解されるように、プロテーゼは、特定の解剖学的特徴に合わせるために、他の適切な角度Aを用い得ることを理解されたい。
【0046】
丸みを帯びた隆起54の第1のセグメント58と、第3の部分32と第4の部分34との間の陥凹部62との間の特定の角度方向は、プロテーゼの配置を容易にし、壁上に位置決めされた場合のプロテーゼのずれを最小限にするために、外腸骨血管の傾斜に適合される。角度方向及び陥凹部は、隣接する輪郭に合致するためにある程度の変形も提供する。
【0047】
いくつかの用途では、欠損部位におけるプロテーゼの配置及び/又は方向付けを支援するための1つ以上の視覚的な印を設けることが望ましい場合がある。
【0048】
図2図3及び図7に示される1つの例示的実施形態では、プロテーゼは、第2の端部44と頂点56との間の丸みを帯びた隆起54に沿って延びる第1の印70を含み得る。図示されているように、第1の印70は、頂点を通り、第1の部分28にわたり、第1の端部42からずれた第1のマージン38の第1のセグメント46に沿う位置に向かって延び得る。鼠径ヘルニアの修復では、第1の印70は、鼠径靭帯に沿ったプロテーゼの配置及び方向付けを容易にするために配置され得る。
【0049】
プロテーゼの配置及び方向付けを支援するために、1つ以上の追加の記号が提供され得る。図示されているように、矢印記号72が、英字記号「M」74とともに、鼠径管の中間端部に配置されるプロテーゼの中間部を視覚的に識別するために提供され得る。プロテーゼの配置及び方向付けを支援するために、必要に応じて任意の1つ以上の適切な記号を用い得ることを理解されたい。
【0050】
図2図3及び図7に示される1つの例示的実施形態では、プロテーゼの陥凹部62の識別を支援するために第2の印76が設けられ得る。第2の印76は、第2のマージン40と頂点56との間の陥凹部に沿って延び得る。図示されているように、印は、頂点から、本体の第3の部分32と第4の部分34との間に延び得る。鼠径ヘルニアの修復では、第2の印76は、腸骨血管に隣接した陥凹部の配置及び方向付けを容易にするために配置され得る。
【0051】
1つの例示的実施形態では、第1の印70及び第2の印76は、本体22にわたって直線方向に延び得る。しかし、当業者に理解されるように、印は、任意の適切な構成を有し得ることを理解されたい。
【0052】
一実施形態では、印は、本体に縫われ得るか又は編み込まれ得るモノフィラメントで形成され得る。印は、印の容易な識別を支援するために、本体に対して対照的な色を有し得る。当業者に明らかなように、視覚的な印は、印刷又はステンシル法などの任意の適切な技法を使用して本体上に形成され得ることを理解されたい。
【0053】
プロテーゼ20の本体22は、メッシュの機械的特性を犠牲にすることなく、下にある解剖学的構造の良好な視認性を確保するために、比較的大きい開口部又は細孔を提供するニット構造を用いたメッシュ生地を含み得る。生地の多孔性は、プロテーゼを取り込むための組織浸潤を可能にする。ニット生地は、縫合糸、ステープル、タックなどの固定留め具が引き抜かれる可能性をなくすか又は最小限にするために十分に強く、また構造化されている。修復生地は、手術対象者への挿入のために容易なサイズ縮小を促すのに十分な柔軟性を有し得る。このようにして、柔軟な生地は、ロールなどの細長い形状に畳むことができ、腹腔鏡手術で使用するための細い腹腔鏡カニューレ内で支持し、それを通して進めることができる。
【0054】
メッシュ生地は、他の修復生地に比べて、患者に異物を持ち込む可能性が低い、比較的軽量の、より薄い及び/又はより柔軟な生地構造を採用し得る。多孔性プロテーゼ修復生地は、メッシュの隙間を通した迅速な線維芽細胞反応を可能にし、安全な線維/プロテーゼ層を形成する。生地は、患者にとって比較的快適な軟組織又は筋肉壁修復をもたらすことができる、より薄く、より適応性のある瘢痕プレートを提供することができる。
【0055】
図8に示される1つの例示的実施形態では、修復生地は、均一なパターンで配置されたより大きい一次細孔84を画定するフィラメント82のニットストランドを含むニットメッシュ80を含み得る。1対の個々のフィラメント86が一次細孔にわたって延びて、一次細孔内に複数のより小さい二次細孔88を画定する。
【0056】
例示される実施形態では、一次細孔84は、フィラメント82のニットストランドによって境界を定められている。しかし、当業者に明らかなように、一次細孔84の1つ又は複数の境界を個々のフィラメントによって画定できることを理解されたい。図示されるように、一次細孔84は、六角形、菱形又は正方形などの略多角形状を有することができるが、本開示の態様は、限定されない。これに関して、当業者に明らかなように、限定はしないが、円形、非円形、丸形、楕円形などを含む他の細孔形状も企図されることを理解されたい。
【0057】
プロテーゼ修復生地は、生地の柔軟性を高め、及び/又は生地の単位面積当たりの総重量を低減させるように構成され得る。そのような特性は、患者への導入のために修復生地をより容易に畳むことを可能にし得る。これらの特性は、患者内の手術部位の周りでの修復生地のより容易な操作を可能にすることもできる。1つの例示的実施形態では、メッシュが3次元起伏構成に形成される前に、一次細孔84は、約0.01032~0.01233平方インチの面積を有する。これに関して、所与の面積のメッシュを生成するためにより少ない材料を使用することができ、これは、より低重量のメッシュをもたらすことができる。さらに、より大きい一次細孔84に関連するフィラメント82のストランド間の概してより大きい間隔もより柔軟なメッシュに寄与し得る。しかし、当業者に明らかなように、一次細孔のサイズを変えることができ、本開示の態様は、この点で限定されないことを理解されたい。
【0058】
いくつかの用途では、一次細孔84内に二次細孔88を設けることが望ましい場合がある。図8に示される1つの例示的実施形態では、各一次細孔84は、1対の個々の又は単一のフィラメント86によって複数の二次細孔88に細分される。例示的実施形態では、1対のフィラメント86は、一次細孔84を、1対の略三角形の二次細孔90と、2つの略三角形の二次細孔90間に位置された略長方形の二次細孔92とに分割する。しかし、当業者に明らかなように、必要に応じて各一次細孔内の二次細孔の形状及び/又は二次細孔の数を変えることができ、本開示の態様は、この点で限定されないことを理解されたい。
【0059】
図8に示される1つの例示的実施形態では、1対の個々のフィラメント86は、一次細孔84にわたって互いに実質的に平行に延びる。図示されているように、1対の平行なフィラメント86は、隣接する一次細孔内の対応するフィラメントの対と概して直線状に位置合わせされ得る。しかし、個々のフィラメントを他の適切な配置で位置して方向付けることもでき、本開示の態様は、この点で限定されないことを理解されたい。
【0060】
プロテーゼ修復生地は、縫合糸、ステープル、螺旋タック、Qリングなどの様々な留め具を使用して、組織又は筋肉に仮固定されるように構成することができる。一次細孔にわたって延びる個々のフィラメント86は、生地を固定するために使用される留め具と係合するための追加の特徴部を提供することができる。修復生地は、修復生地を所定の位置に係合して保持するための比較的小さい特徴部を有する螺旋タック及びQリング構造などの留め具を用いて、組織及び/又はメッシュに固定できることを理解されたい。個々のフィラメントに関連付けられるより小さい二次細孔88は、引抜きを防止するか又は最小限にするために十分に強く、また構造化されて、留め具との改良された係合を提供することができる。当業者に明らかなように、二次細孔のサイズを変えることができ、本開示の態様は、この点で限定されないことを理解されたい。
【0061】
ニットメッシュは、生地の機械的特性を調節するために、同じサイズ又は異なる相対サイズを有するフィラメントを採用することができる。1つの例示的実施形態では、メッシュ生地は、一次細孔を形成するための、第1の直径を有する第1のフィラメント82と、一次細孔にわたって延びる、第1の直径と異なる第2の直径を有する第2のフィラメント86とを含み得る。一実施形態では、第2のフィラメント86は、第1のフィラメントの第1の直径よりも大きい第2の直径を有する。そのような構成は、メッシュ生地の剛性を高めることにより、メッシュ生地の取扱性を向上させることができる。しかし、他の構成も考えられることを理解されたい。例えば、限定はしないが、第1のフィラメント82の直径を第2のフィラメント86の直径よりも大きくすることができる。
【0062】
1つの例示的実施形態では、ニットメッシュ80は、部分的に糸を通された2本のガイドバーを使用して、3本の針にわたって6コースの繰り返しでパターンを編成することによってラッピングパターンで生成することができる。生地構造は、編成された各端部が3本以上の針にわたって移動するアトラスタイプであり得、これは、メッシュのほつれを防止することができる。
【0063】
図9A図9Bに示される1つの例示的実施形態では、修復生地は、4/2 4/6 4/2 6/8 6/4 6/8の第1のバーパターンチェーン(参照番号94として識別される)及び6/8 2/0 6/8 4/2 8/10 4/2の第2のバーパターンチェーン(参照番号96として識別される)に従って移動する2本のガイドバーを使用して製造されるダブルバー経編みメッシュ構造を採用し得る。メッシュは、シングルニードルバー、24ゲージのラッセル編機で編成することができる。メッシュは、1インチ当たり約34~36コース及び1インチ当たり約12~17ウエールで製造され得る。しかし、当業者に明らかなように、任意の適切なニットパターンを使用してメッシュ生地を編むことができ、本開示の態様は、この点で限定されないことを理解されたい。
【0064】
ニットメッシュは、修復生地が製造される所期の用途に応じて、1インチ~80インチなど、当業者に明らかな様々な幅で製造することができる。
【0065】
編成後、生地を洗浄して、残留する処理潤滑油などの異物を除去することができる。Triton X-100などの洗浄剤を使用して、そのような異物の除去を補助することができる。当業者に明らかなように、洗浄後、材料のヒートセット及び溶融温度よりも低い温度でメッシュを乾燥させることができる。
【0066】
ニットメッシュのいくつかの実施形態は、メッシュ及びメッシュから形成されたプロテーゼ生地に形状記憶を付与するためにヒートセット加工され得る。1つの例示的実施形態では、生地は、略平面状の形状記憶を有するようにヒートセット加工される。このようにして、生地は、畳まれて患者に挿入された後、平面構成に戻ることができ、患者の組織に対して適切に配置される。生地の他の実施形態は、平面状ではない構成に対応する形状記憶を備え得るか、又は形状記憶を全く有さなくてもよく、本開示の態様は、この点に関して限定されないことを理解されたい。
【0067】
必要に応じて、クロシェットフープ又はテンターフレームにおいて、ニットメッシュを張力下でヒートセット加工することができる。メッシュニットが特定の方向に伸ばされている間にヒートセット加工を施すことができ、メッシュを特定の構成に硬化させることを促進する。1つの例示的実施形態では、ニットメッシュは、メッシュを硬化させるために熱が加えられている間、横ニット方向に伸ばされると同時に、縦方向に一定の点まで部分的に弛緩又は収縮される。しかし、当業者に明らかな他の技法を使用してニットメッシュをヒートセット加工することもでき、本開示の態様は、この点で限定されないことを理解されたい。
【0068】
いくつかの用途では、編成されたメッシュを平滑化して、メッシュのテクスチャ又は表面粗さを低減することが望ましい場合がある。1つの例示的実施形態では、編成されたメッシュは、加熱されたプレートを含む1対のプレート間で軽く押圧され、加熱されたプレートは、メッシュの粗い表面に押し当てられて、メッシュの高いスポットを低減し、メッシュをヒートセット加工してその表面を平滑化する。しかし、当業者に明らかな任意の適切なプロセスを使用して生地を平滑化し得ることを理解されたい。例えば、洗浄及び乾燥プロセス中、編成されたメッシュを1対の加熱されたローラ間に通すことにより、生地を平滑化することができる。
【0069】
修復生地を製造するために使用されるフィラメントは、生地の最終的な機械的特性に寄与し得る。1つの例示的実施形態では、修復生地は、約0.0045~0.0051インチ(第1のバーパターンチェーン)の直径、好ましくは約0.0048インチの直径を有する第1のフィラメントと、約0.0063~0.0075インチ(第2のバーパターンチェーン)の直径、好ましくは約0.0075インチの直径を有する第2のフィラメントとを用いて編成される。これらの直径のフィラメントは、修復生地全体の柔軟性の増加及び単位面積当たりの重量の低下に寄与し得る。しかし、生地は、所望の用途に適している、当業者に明らかな任意の適切な直径を有するフィラメントを用いて製造することができ、本開示の態様は、この点で限定されないことを理解されたい。
【0070】
1つの例示的実施形態では、生地は、約0.022~0.024インチの厚さを有し、好ましくは約0.0225~0.0235インチの厚さを有する。1つの例示的実施形態では、生地は、約0.066~0.069グラム/平方インチの単位面積当たりの重量を有する。しかし、生地は、所望の用途に適している、当業者に明らかな任意の厚さ及び/又は単位面積当たりの重量を有するように製造することができ、本開示の態様は、この点で限定されないことを理解されたい。
【0071】
1つの例示的実施形態では、メッシュ生地を製造するために使用されるフィラメントは、ポリプロピレンモノフィラメントを含み、ポリプロピレンモノフィラメントは、感染の存在下で不活性であり、非湿潤性であり、異物反応性が低い。1つの例示的実施形態では、モノフィラメントは、Aran Biomedical ProTex Medポリプロピレン樹脂PPS50156及びPPS50157から形成される。一実施形態では、第1のモノフィラメントは、約98±11デニールを有し、及び第2のモノフィラメントは、約240±20デニールを有する。一実施形態では、第1及び第2のモノフィラメントは、約6.0~8.5グラム/デニールのテナシティを有し、公称テナシティは、約6.2グラム/デニールである。しかし、様々な構成、特性及び/又は材料のフィラメントを採用して生地を製造できることを理解されたい。例えば、当業者に明らかなように、フィラメントは、異なる機械的特性を有するマルチフィラメント又はモノフィラメントを含むことができ、本開示の態様は、この点で限定されない。
【0072】
プロテーゼの予め形成された湾曲形状は、任意の適切な製造プロセスを使用して得ることができる。図8に示される1つの例示的実施形態では、プロテーゼは、プロテーゼの所望の形状を有する金型内にメッシュ生地のシートを置き、金型内の生地をおよそ100℃~200℃の温度で約5~60分間加熱し、その後、金型内の生地を、およそ15℃~30℃の温度を有する空気流で約5~60分間冷却することを含む熱成形法を使用して製造される。
【0073】
プロテーゼの縁部は、超音波溶接法を使用して材料を溶着することにより溶接され得る。この手法中、プロテーゼは、振動を発生させる要素と、プロテーゼの特定の寸法に構成されたアンビルとの間に維持され得る。一実施形態では、縁部は、約150kPa~800kPaの圧力及び約100~5000ジュールのエネルギーで約50~5000ミリ秒の時間にわたって溶接される。
【0074】
メッシュ生地のシートが成形され、成形されたプロテーゼの縁部が溶接されると、溶接された縁部を越えて延びる余分な生地は、プロテーゼの本体から手作業での切断手順を使用して分離され、完成プロテーゼが形成される。
【0075】
検査後、プロテーゼは、プロテーゼの予め形成された湾曲形状に適合し、それを保護するために、プロテーゼの3次元特性に従って特に設計された内包装(シェル及び挿入物)内に詰められ得る。その後、内包装は、さらなる保護のために外包装内に入れられ、梱包され得る。その後、アセンブリ全体は、エチレンオキシドなどによる任意の適切な方法を使用して滅菌され、移植の準備が整った滅菌プロテーゼが提供され得る。
【実施例
【0076】
以下の実施例は、例示にすぎず、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【0077】
図に示される例示的実施形態(表1で実施形態番号1と表示)に従い、0.0048インチ(第1のバー)及び0.0075インチ(第2のバー)のポリプロピレンモノフィラメントから製造されたダブルバー経編みメッシュ生地から製造された代表的な予め形成された3次元起伏プロテーゼの物理的特性を評価し、いくつかの既知の予め形成された3次元起伏プロテーゼ(比較プロテーゼ)と比較した。メッシュの厚さ、孔径、メッシュの単位面積当たりの重量、縫合糸の引抜き強度、破裂強度、引裂き抵抗、引張り(破断)強度、破断伸度及び剛性などの物理的特性及び性能特性を試験した。試験方法及び結果を以下の表1に示す。ここでは、いくつかの試験試料からの平均の結果及び範囲が報告されている(範囲は括弧内に示す)。
【0078】
縫合糸の引抜き強度:少なくとも1インチ×1インチ(実施形態番号1)又は少なくとも0.5インチ×3インチ(比較メッシュ生地)のメッシュの試料を、予め形成されたプロテーゼから作成し、MTS(商標)又は均等な引張り試験機械の下顎部にクランプした。試料の長い寸法は、試料の向きの指定(縦方向又は横方向)と平行にすべきである。メッシュの少なくとも0.5インチ(実施形態番号1)又は少なくとも1インチ(比較プロテーゼ)を顎部の上に露出させた。約0.019インチの直径を有するばね鋼ワイヤをメッシュに通して配置し、縫合糸をシミュレートした。ワイヤをメッシュの縁部から5±1mmの位置に配置した。ワイヤ縫合糸をループさせて戻し、両端を引張り機械の上顎部に取り付けた。次いで、メッシュを通して毎分5インチの速度で縫合糸を引っ張った。メッシュの縦方向と横方向との両方で試験した試料についてピーク力を記録し、各方向での測定値全体に関して平均の力を計算した。
【0079】
孔径:予め形成されたプロテーゼからのメッシュの試料をTesa Vision(35倍)などの光学座標測定デバイスに配置した。
【0080】
実施形態番号1に関して、各一次細孔は、略六角形状を有し、2つの略三角形の細孔と、中央区域にある略長方形の細孔とを含む。一次細孔の各脚部の長さLを、図3に破線で示されるような端点A-B、B-C、C-D、D-E、E-F及びF-Aの各対間で寸法測定した。一次細孔の細孔面積を以下のように六角形の面積に基づいて計算した。ここで、L平均は、各脚の平均の長さである。
面積=(L平均x(3√3)/2
各試料の無作為に選択された一次セル(ループ又はノットによって形成された細孔はカウントせず)を測定し、それらの組み合わせの平均を計算した。
【0081】
引張り(破断)強度及び破断伸度:予め形成されたプロテーゼからの、約1インチ×6インチのメッシュ試料をMTS(商標)引張り試験機又は均等なデバイスの空気圧式顎部に配置した。試料を、試験されるニット方向が6インチの長さに平行になるように向けた。6インチの試料の端部を試験機の下顎部と上顎部とで把持した。2インチの最小離間距離から始めて、試料が破断するまで毎分12インチの一定速度で試料を引っ張った。ピーク負荷及び破断伸度を記録した。試料を横方向と縦方向との両方で試験した。次いで、各方向に関して、試料から取得した測定値の平均を計算した。
【0082】
メッシュ厚さ:予め形成されたプロテーゼのメッシュの試料を、軽くばね負荷をかけられた直径約0.38インチのプレッシャフットを備えた標準的な厚さのスナップゲージを使用して測定した。メッシュの上にフットを降ろすことによって厚さを測定した。測定値を0.0001インチ単位に丸めて取得した。測定したメッシュの総数に関して組み合わせの平均を計算した。
【0083】
メッシュ重量/単位面積:予め形成されたプロテーゼからの、少なくとも約2インチ×2インチの複数のメッシュの試料サイズを使用して、各試料の重量を0.0001グラム単位に丸めてグラム単位で測定した。長さ寸法及び幅寸法を0.001インチ単位に丸めて測定し、丸みのある隅部の面積を差し引くことによって面積を計算した。重量及び単位面積を用いて、各試料について単位面積当たりの重量を計算した。各試料に関する単位面積当たりの重量を組み合わせて平均することにより、平均の単位面積当たりの重量を計算した。
【0084】
破裂強度:この試験方法は、ANSI/AAMI VP20-1994 Section 8.3.3.2及びASTM Ball Burst method D3787-01から派生したものであった。直径約1インチの円形Oリングの上に、予め形成されたプロテーゼからのメッシュ試料を配置した。Oリングを含むプレートの中央に穴を有する取付具の溝付きプレートにOリングを載置した。取付具をMTS(商標)又は均等な試験機械での下顎部に取り付けた。メッシュを備えるプレートを持ち上げて、取付具の上部プレートにクランプし、メッシュ試料を圧縮した。上部プレートも、下部プレートと同じ直径を有する穴を含んでいた。取付具プレートの穴は、直径0.38インチの先端を有する丸いボール先端付きのロッドよりもわずかにのみ大きく、そのロッドを受け入れるように寸法設定される。ロッドを試験機械の上顎部に接続し、毎分12インチの一定の速度で試料を通して下に移動させた。試料についてピーク負荷を記録し、次いで試料に関するピーク負荷に基づいて平均破裂強度を計算した。
【0085】
引裂き抵抗:予め形成されたプロテーゼからの、約2インチ×2インチのメッシュ試料を用意した。1インチのスリットを1辺(テスト対象の方向)で中点に切り込み、2つのメッシュセクションを形成した。メッシュの一方のセクションは、空気圧式取付具の下顎部にクランプし、他方のセクションを取付具の上顎部にクランプした。1インチの最小離間距離での顎部から始めて、引裂きが完了するまで毎分12インチの速度でメッシュを引っ張った。ピーク力を記録した。試料を横方向及び縦方向(実施形態番号1)並びに横方向、縦方向及び対角方向(比較メッシュ生地)で試験した。次いで、各グループ方向について、試料から取得した測定値全体の平均を計算した。
【0086】
剛性:剛性試験は、円形屈曲手順による生地の剛性に基づくものである(ASTM規格D4032-08 (2016)を参照されたい)。予め形成された3次元の解剖学的形状のプロテーゼを、成形メッシュのドームを下に向けてプレートの上に配置した。メッシュをプレートのオリフィスの上で中央に配置した。オリフィスは、直径1.5インチであり、面取りされた引込部を有する。メッシュを直径1インチのプランジャによってこのプレートに押し込むか又は突き込んだ。プランジャは、毎分12インチの一定速度で進むように設定した。プランジャをオリフィスプラットフォームの頂面より1.5インチ下に進め、ピーク負荷を記録した。試料を試験し、グループ全体の平均値を計算した。
【0087】
【表1】
【0088】
本開示の前述の説明は、本開示の例示を意図するものにすぎず、本開示の他の均等物、実施形態及び修正形態は、添付の特許請求の範囲に記載された本開示の範囲内にあることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
【国際調査報告】