(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-14
(54)【発明の名称】高圧ホモジナイザ
(51)【国際特許分類】
F04B 53/14 20060101AFI20230707BHJP
B02C 19/00 20060101ALI20230707BHJP
F04B 15/02 20060101ALI20230707BHJP
F04B 53/16 20060101ALI20230707BHJP
F04B 53/00 20060101ALI20230707BHJP
F16J 15/44 20060101ALI20230707BHJP
【FI】
F04B53/14 A
B02C19/00 Z
F04B15/02 Z
F04B53/16 B
F04B53/00 E
F16J15/44 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574560
(86)(22)【出願日】2021-06-01
(85)【翻訳文提出日】2023-01-24
(86)【国際出願番号】 DE2021000104
(87)【国際公開番号】W WO2021244689
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】102020003401.2
(32)【優先日】2020-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508277243
【氏名又は名称】ネッツシュ-ファインマールテヒニック ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】ウード エンデルレ
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー メシル
(72)【発明者】
【氏名】ラーズ ピーター バイランド
【テーマコード(参考)】
3H071
3H075
3J042
4D067
【Fターム(参考)】
3H071AA13
3H071BB01
3H071CC26
3H071CC28
3H071DD07
3H071DD14
3H071DD57
3H071EE12
3H075AA17
3H075BB03
3H075BB13
3H075CC18
3H075DA04
3J042AA06
3J042AA08
3J042BA01
3J042CA01
3J042DA20
4D067CG06
4D067GB01
(57)【要約】
本発明は、粒子が充填された流動性物質用の高圧ホモジナイザ(1)に関し、高圧チャンバ(2)と、高圧チャンバの下流側に流体接続され、高圧チャンバ内で予め500バールを超える圧力が加えられた均質化すべき流体を乱流下で緩和する均質化ユニット(3)と、均質化ユニット(3)に割り当てられると共に、高圧チャンバ(2)を加圧するプランジャ(5)を有するプランジャポンプ(4)と、プランジャ軸(6)を包囲し、プランジャ(5)を冷却するよう構成され、P
N ≦ 25バールの作動圧力を有する低圧チャンバ(7)とを備え、低圧チャンバ(7)及び高圧チャンバ(2)は、プランジャ(5)が通過するシール(8)によって互いに分離されている。この場合、シール(8)は、プランジャ軸(6)とそのプランジャ軸(6)に接触しないブッシュ(9)との間に形成されたスロットルギャップであると共に、その長さ(L)及び半径方向の環状ギャップ高さ(S)にS/L ≦ 0.0015が当てはまる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子が充填された流動性物質用の高圧ホモジナイザであって、
・高圧チャンバ(2)と、
・前記高圧チャンバ(2)の下流側に流体接続され、前記高圧チャンバ(2)内で予め500バールを超える圧力が加えられた均質化すべき流体を乱流下で緩和する均質化ユニット(3)と、
・前記均質化ユニット(3)に割り当てられると共に、前記高圧チャンバ(2)を加圧するプランジャ(5)を有するプランジャポンプ(4)と、
プランジャ軸(6)を包囲し、前記プランジャ(5)を冷却するよう構成され、PN ≦ 25バールの作動圧力を有する低圧チャンバ(7)と、
を備え、前記低圧チャンバ(7)及び前記高圧チャンバ(2)が、前記プランジャ(5)が通過するシール(8)によって互いに分離されている流動性物質用の高圧ホモジナイザにおいて、
前記シール(8)が、前記プランジャ軸(6)と該プランジャ軸(6)に接触しないブッシュ(9)との間に形成されたスロットルギャップであると共に、その長さ(L)及び半径方向の環状ギャップ高さ(S)にS/L ≦ 0.0015が当てはまることを特徴とする、流動性物質用の高圧ホモジナイザ。
【請求項2】
請求項1に記載の流動性物質用の高圧ホモジナイザ(1)であって、前記スロットルギャップの円筒形長さ(L)が、前記プランジャ(5)の直径の少なくとも2/3であり、理想的には、前記プランジャ(5)の直径の少なくとも全体に相当していることを特徴とする、流動性物質用の高圧ホモジナイザ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の流動性物質用の高圧ホモジナイザ(1)であって、前記スロットルギャップの前記環状ギャップ高さ(S)が、最大で0.03 mmであることを特徴とする、流動性物質用の高圧ホモジナイザ。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載の流動性物質用の高圧ホモジナイザ(1)であって、前記ブッシュ(9)の端面が、前記高圧チャンバ(2)に面する側の面取り部分(41)を介して、前記ブッシュ(9)の内側側面に移行し、前記面取り部分(41)が、好適には、30°以下の面取り角度(Alpha2)を有する平坦な面取り部分として構成されていることを特徴とする、流動性物質用の高圧ホモジナイザ。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の流動性物質用の高圧ホモジナイザ(1)であって、前記ブッシュ(9)の端面が、前記高圧チャンバ(2)に面する側の面取り部分(41)を介して、前記ブッシュ(9)の内側側面に移行し、前記面取り部分(41)が、前記高圧チャンバ(2)に面する側において、より急勾配な第1面取り部分(FA1)で構成され、該第1面取り部分(FA1)が、好適には、前記ブッシュ(9)の長手方向軸線に対して約45°の面取り角度(Alpha1)を含み、前記第1面取り部分(FA1)に、シールギャップに面する側において、好適には、30°以下の面取り角度(Alpha2)を含むより平坦な面取り角度(Alpha2)を有する第2面取り部分(FA2)が接続していることを特徴とする、流動性物質用の高圧ホモジナイザ。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の流動性物質用の高圧ホモジナイザ(1)であって、前記ブッシュ(9)及び前記プランジャ(5)が、異なる熱膨張係数を有する材料で構成されていることを特徴とする、流動性物質用の高圧ホモジナイザ。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載の流動性物質用の高圧ホモジナイザ(1)であって、前記プランジャ(5)が、セラミック材料で構成されていることを特徴とする、流動性物質用の高圧ホモジナイザ。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載の流動性物質用の高圧ホモジナイザ(1)であって、前記ブッシュ(9)の材料が、前記プランジャ(5)の材料よりも軟らかいことを特徴とする、流動性物質用の高圧ホモジナイザ。
【請求項9】
請求項1~8の何れか一項に記載の流動性物質用の高圧ホモジナイザ(1)であって、前記プランジャ(5)が、同時に駆動ピストン(12)であることにより、又は該駆動ピストン(12)及び前記プランジャ(5)が、その接続領域にてハウジングに固定ガイドされることにより、前記プランジャ(5)は、前記ブッシュ(9)の長手方向軸線及び前記ブッシュ(9)内で前後に移動する前記プランジャ軸(6)の長手方向軸線が一貫して平行であるか又は好適には同軸に整列されるよう、ガイドされていることを特徴とする、流動性物質用の高圧ホモジナイザ。
【請求項10】
請求項1~9の何れか一項に記載の流動性物質用の高圧ホモジナイザ(1)であって、前記ブッシュ(9)が、該ブッシュ(9)を包囲するハウジング部分内で半径方向において実質的に固定的に保持され、前記プランジャ(5)が、駆動ピストン(12)から前記プランジャ(5)に旋回運動が伝達されるのを回避する半径方向柔軟カップリングを介して、前記プランジャ(5)を駆動する前記駆動ピストン(12)に接続されていることを特徴とする、流動性物質用の高圧ホモジナイザ。
【請求項11】
請求項1~9の何れか一項に記載の流動性物質用の高圧ホモジナイザ(1)であって、前記ブッシュ(9)が、該ブッシュ(9)を包囲するハウジング部分内で半径方向においてある程度可動であり、前記プランジャ(5)が、該プランジャ(5)を駆動する駆動ピストン(12)と半径方向において固定的に接続されていることを特徴とする、流動性物質用の高圧ホモジナイザ。
【請求項12】
請求項10に記載の流動性物質用の高圧ホモジナイザ(1)であって、前記プランジャ(5)の駆動側の端面(14)、又は該端面(14)に対して駆動圧力を伝達する前記駆動ピストン(12)の端面(15)が、凸状に湾曲していることを特徴とする、流動性物質用の高圧ホモジナイザ。
【請求項13】
請求項1~12の何れか一項に記載の流動性物質用の高圧ホモジナイザ(1)であって、前記ブッシュ(9)が、複数の部分で構成され、理想的には3個、より理想的には少なくとも4個~6個の互いに直接接触すると共に、直接的かつ順次に取り付けられたリングで構成されていることを特徴とする、流動性物質用の高圧ホモジナイザ。
【請求項14】
請求項1~13の何れか一項に記載の流動性物質用の高圧ホモジナイザ(1)であって、
シールギャップの形成に関わる前記ブッシュ(9)が、好適には、前記ブッシュ(9)の外周に、ある程度圧縮可能な材料、理想的には軟質エラストマー又はゴムで構成された軸受スリーブ(42)が少なくとも部分的に、好適には完全に設けられていることにより、全体としてフローティングするよう取り付けられているか、又は前記ブッシュ(9)を構成する各リングが、好適には、前記ブッシュ(9)の外周に、ある程度圧縮可能な材料で構成された軸受スリーブ(42)が少なくとも部分的に、好適には完全に設けられていることにより、それぞれフローティングするよう取り付けられていることを特徴とする、流動性物質用の高圧ホモジナイザ。
【請求項15】
請求項1~14の何れか一項に記載の流動性物質用の高圧ホモジナイザ(1)であって、前記ブッシュ(9)の外側側面が、理想的な円筒形ではなく球形であることを特徴とする、流動性物質用の高圧ホモジナイザ。
【請求項16】
請求項5又は請求項5に関連する請求項の何れか一項に記載の高圧ホモジナイザ(1)の使用方法であって、ブッシュ(9)及びプランジャ(5)の材料を、均質化すべき流体、特に前記流体の温度に依存する粘度及び/又は前記流体によって運ばれる粒子に適合させることにより、シールギャップ領域内の温度変化によって引き起こされるシールギャップにおけるシールギャップ高さ(S)の変化が、同じ符号の更なる温度変化に対抗する傾向がある、使用方法。
【請求項17】
高圧ホモジナイザシステムにおける構成要素としての請求項14に記載の高圧ホモジナイザ(1)の使用方法であって、前記高圧ホモジナイザシステムが、前記高圧ホモジナイザ(1)と、異なる材料より成る一連のブッシュ(9)で構成され、該ブッシュ(9)により、使用者は、前記高圧ホモジナイザ(1)を所定の作動範囲内で準備し、これによりギャップ高さ(S)の熱変化挙動を、後続するバッチ又はキャンペーンで均質化すべき流体に適合させることができる、使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段に係る、粒子が充填された流動性物質用の高圧ホモジナイザに関する。
【背景技術】
【0002】
均質化に際して、懸濁液の粒子は可及的に均一に、即ち均質に分散される。この目的のために、均質化すべき流体は、ホモジナイザ内の均質化ユニットを通るようポンプにより圧送される(ポンピング)。均質化ユニット内においては、均質化すべき流体内の凝集粒子を分離するために、目標とするせん断力及びキャビテーションとの関連で乱流が生じる。
【0003】
流体を均質化ユニット内に送るには、いわゆるプランジャポンプが使用されることが多い。プランジャポンプとは、ピストンロッド(いわゆるプランジャ)自体がピストンとして機能する容積式ポンプのことである。この場合、ピストンは、シリンダ壁まで到達することはない。従って、ピストン側面とシリンダ壁との間のシールは必要ない。プランジャポンプにおいては、作業スペースとプランジャとの間(通常は作業スペースの入口)にシールが必要である。
【0004】
プランジャポンプを作動中に過熱から保護するために、プランジャの冷却を行うことが既知である。これに関する研究によれば、均質化される流体をプランジャの冷却に使用できることが既に判明している。
【0005】
この目的のために、プランジャは、冷却チャンバを通るようガイドすることができる。作動中、プランジャは主に作業スペースにある領域が加熱されるため、冷却チャンバはポンプの作業スペースに隣接しているのが望ましい。これにより、プランジャの冷却が発熱ゾーン近傍で行われることが保証される。冷却剤としては、均質化すべき流体を使用するのが好適である。この場合、流体は、プランジャポンプの作業スペースに到達する前に、冷却チャンバを通るようポンプで送られる。その際に、プランジャの周囲を流れて冷却が行われる。流体は、冷却チャンバから最終的に作業スペースに送られる。
【0006】
作業スペース内には高圧を生じさせなければならないため、作業スペースから周囲、即ち冷却チャンバに対しても適切にシールする必要がある。この目的のためには通常、プランジャに接触するシールが使用される。この場合、プランジャの運動に起因してシールの摩耗が生じ、特に固体粒子を含む流体をポンプで送る際にシールの摩耗が生じる。更に、このようなシールは、取り付けに手間がかかることが多い。なぜなら通常、シールとそのシールを包囲するハウジングの相対運動を最小限にするために、付勢状態で取り付けなければならないからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した背景事情を考慮し、本発明の課題は、作業スペースと冷却チャンバとの間にあるシールの摩耗を低減可能な高圧ホモジナイザを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、本発明によれば、高圧ホモジナイザに関する独立クレームの特徴によって解決される。
【0009】
従って、この課題は、少なくとも1個の高圧チャンバと、その少なくとも1個の高圧チャンバの下流側に流体接続された少なくとも1個の均質化ユニットとを備える、固体粒子(本明細書中で単に「粒子」と称する場合もある)が充填された流動性物質用の高圧ホモジナイザによって解決される。均質化ユニットは、通常20 mPas以上の粘度を有すると共に、少なくとも1個の高圧チャンバ内で予め500バールを超える圧力が加えられた均質化すべき流体を乱流下で緩和するよう機能する。均質化ユニットは、それに応じて設計されている。
【0010】
高圧ホモジナイザは、均質化ユニットに割り当てられたプランジャポンプを更に備え、そのプランジャポンプにおける少なくとも1個のプランジャが高圧チャンバを加圧する。この場合、高圧ホモジナイザは、プランジャ軸を包囲すると共に、プランジャを冷却するための低圧チャンバを備える。低圧チャンバは、PN ≦ 25バールの作動圧力を有する。低圧チャンバ及び高圧チャンバは、プランジャが通過するシールによって互いに分離されている。本発明に係る高圧ホモジナイザは、プランジャが通過するシールが、プランジャ軸とそのプランジャ軸に接触しない(又は顕著な欠点を有さないが故に実質的に接触しない)堅固なブッシュとの間に形成されたスロットルギャップであることを特徴としている。スロットルギャップの長さL及び半径方向の環状ギャップ高さSに関しては、S/L ≦ 0.0015が当てはまる。この文脈における用語長さLとは、いわゆる円筒形長さを指す。この長さは、(不可避的な形状公差は除いて)環状ギャップの円筒形長さのことであるため、面取り部分又は半径を形成するギャップの入口及び出口領域は含まない。
【0011】
本発明に係る実施形態は、多くの利点を有する。
【0012】
流体が均質化ユニット内で完全に又は実質的に完全に緩和されることにより、流体中における固体粒子の集積が互いに分離されると共に、流体中に実質的に均一に分散される。
【0013】
均質化ユニットに送るのに使用されるプランジャポンプの利点は、均質化ユニットに送られる流体流に振動を発生させ、均質化作用を更に向上させることができることである。この場合、プランジャポンプは、1個の駆動プランジャだけか、又は(好適には死点をオフセットさせた)複数の駆動プランジャを有することができる。後者は、振動数を増加させ、強度にとって重要な振幅が減少するという利点を場合によって有する。
【0014】
複数のプランジャを備えるプランジャポンプの利点は、均質化すべき流体を均質化ユニットに衝撃的にではなく、連続的に供給することができることである。そのためには、各プランジャは、他のプランジャに対してオフセットさせた時間に下死点に到達するよう駆動するだけでよい。
【0015】
少なくとも1個のプランジャのプランジャ軸は、プランジャポンプの低圧チャンバを通過するため、均質化すべき流体がプランジャの周囲を流れる。この場合、ポンピング中に不可避的なプランジャの加熱が低減され、ポンプの効率が向上する。
【0016】
何れにせよ、高圧チャンバと低圧チャンバとの間のシールは、実質的に、好適には完全に接触することなく機能する。
【0017】
シールは、必然的なリーク流によって十分に潤滑される。リークは、流体の粘度に応じて、少なくともドラッグリークとして生じ、通常は差圧に起因するギャップリークとして生じる。この場合、リーク流は、高圧チャンバから低圧チャンバに集められて再び高圧チャンバに戻されるため問題を引き起こすことはない。
【0018】
本発明は、ギャップ高さが極めて小さいギャップシールは、粒子を含む流体をシールするには問題外であるという偏見を克服するものである。即ち、本発明に関連する圧力差の場合、流体と一緒にギャップに導入された固体粒子の蓄積により、短時間で問題が生じることが予想されるわけである。
【0019】
驚くべきことに、本発明に関連するギャップの設計において、ギャップには原則的に固体粒子の有害な蓄積が生じないことが判明している。シール内におけるプランジャの振動運動により、シールギャップは、十分に機能するよう維持される。
【0020】
用語「高圧ホモジナイザ」の代わりに、用語「分散機」を使用することもできる。
【0021】
用語「プランジャ」とは、ピストンロッドによって形成されるピストンを指す。
【0022】
用語「高圧チャンバ」とは、プランジャポンプの作業スペースを指す。
【0023】
用語「冷却チャンバ」とは、プランジャポンプの低圧チャンバを指す。
【0024】
用語「非接触で機能するシール」とは、高圧シールのブッシュがプランジャの外側側面に接触することに関連する。この場合、高圧シールがプランジャポンプの他の構成要素に接触することは排除されない。
【0025】
用語「下流側で流体接続された均質化ユニット」とは、均質化すべき流体が、高圧チャンバから均質化ユニットに向けて流れることを指す。
【0026】
本発明の効果又は有用性を更に向上させるために、多くの可能性がある。
【0027】
例えば、(端面の面取り部分又は丸みを含めずに計算した)スロットルギャップの円筒形長さLが、プランジャ直径の少なくとも2/3であることが特に好適である。理想的には、円筒形長さは、少なくともプランジャの直径全体に相当する。
【0028】
このようなギャップ長さにより、リーク流の流速が抑制される。これにより、過剰なリーク量が低圧チャンバに流れることを回避できるのみならず、例えばリーク流の流入時に発砲するといった問題も回避される。
【0029】
他の好適な実施形態において、スロットルギャップのギャップ高さは、最大で0.03 mmである。これをより詳細に説明するために述べておくと、本発明の特に好適な実施形態において、ブッシュは(その公差を考慮して)20 mm + 0.009 mmの内径を有するのが好適であり、プランジャは(その公差を考慮して)20 mm - 0.02 mmの最大外径を有するのが好適であるが、これは現在のところ必須ではない。
【0030】
このようなギャップ高さの研究においては、ポンプの効率に関して良好な結果が得られている。
【0031】
理想的には、ブッシュの端面は、高圧チャンバに面する側の面取り部分を介して、ブッシュの内側側面に移行している。面取り部分は、好適には、プランジャの長手方向軸線に対して、約30°又は30°以下の面取り角度を有する平坦な面取り部分として構成されている。このような平坦な面取り部分は、作動中にプランジャが中心位置から外れる場合に、ピストンがブッシュ壁に強く衝突することを回避又は低減する。
【0032】
角度付きの面取り部分を取り付けることが特に有利であることが判明している。このような面取り部分は、高圧チャンバに面する側において、より急勾配な第1部分で構成されると共に、ブッシュの長手方向軸線に対して約45°の面取り角度を含む。この第1部分には、シールギャップに面する側において、好適には、約30°又は30°以下の面取り角度を含むより平坦な面取り角度を有する第2面取り部分が接続している。このように構成された面取り部分は、固体粒子をシールギャップから最適に遠ざけることができる。
【0033】
ブッシュの端面は、プランジャ駆動部に面する側の面取り部分を介しても、ブッシュの内側側面に移行するのが理想的である。この面取り部分は通常、高圧チャンバ側の面取り部分よりも急勾配に構成されている。
【0034】
プランジャとブッシュとの間に形成されるギャップ高さは極めて小さいため、プランジャを取り付ける際にブッシュを損傷してしまうリスクがある。プランジャが導入される側のブッシュの端面における半径又はベベル或いは面取り部分により、損傷のリスクが低減される。
【0035】
特に平坦な面取り部分により、プランジャが高圧チャンバのより奥に移動すると直ぐに、リークとは反対の高圧チャンバに向けた抗力効果の一時的な発生が助長されるため、リークが更に低減される。
【0036】
面取り部分の代わりに、ブッシュの該当箇所に半径rを設けてもよい。
【0037】
「プランジャ駆動部に面する側」とは、駆動ピストンに向けられた側を指す。
【0038】
好適には、ブッシュ及びプランジャは、異なる熱膨張係数を有する材料で構成されている。
【0039】
この場合、熱膨張係数は、互いに無視できないほど異なるのが理想的である。例えば、プランジャがセラミックで構成され、ブッシュがスチールで構成されていれば、シールギャップが自己調整される。例えばギャップへの過剰な粒子の侵入によって引き起こされる不所望な摩擦条件の場合、ギャップ内で摩擦熱が生じる。この場合、ブッシュ及びプランジャの異なる熱膨張係数と摩擦熱により、シールギャップが拡大する傾向がある。これにより、ギャップが再び洗い流され、従って摩擦に伴う潜在的な損傷のリスクを打ち消すことができる。
【0040】
他の好適な実施形態において、プランジャは、セラミック材料で構成されている。
【0041】
セラミック材料は、摩耗、熱、並びに圧力に対して高い耐性を有するため、これは利点である。
【0042】
この場合、プランジャは、中実セラミックで構成されるのが好適である。
【0043】
他の好適な実施形態において、ブッシュは、軸受金属で構成されている。
【0044】
これにより、プランジャの外側側面とブッシュの内側表面との間にて(例えば起動時又は流体振動の影響下で)生じ得る直接的な摩擦接触による損傷が回避される。
【0045】
更に、ブッシュ及びプランジャの組み合わせは、異なるプロセス温度を実質的に又は少なくとも部分的に補償できるよう選択できることが特に有利である。これに関しては、以下の例で説明する。プロセス温度が上昇すると、均質化すべき流体の温度が上昇する。この場合、流体は薄くなる傾向がある。ブッシュとプランジャとの間のシールギャップが極めて狭い場合、潤滑の問題のみならず、場合によっては焼き付きが生じる可能性すらある。これに対しては、ブッシュ及びプランジャの異なる材料の組み合わせにより、シールギャップがギャップ高さを変化させて潤滑が改善することで対抗することができる。
【0046】
幾つかのケースにおいては、ブッシュが温度上昇によってプランジャよりも膨張するよう構成及び取り付けされるのが適切なオプションである。この場合、膨張は、シールギャップの高さが拡大するよう生じる。逆に、他のケースにおいては、ブッシュ及びプランジャの材料を、温度上昇によってシールギャップが縮小するよう組み合わせることが有利な場合もある。
【0047】
上述したように、これにより、シールギャップは、シールギャップ内における粒子の蓄積による損傷から保護される。
【0048】
理想的には、ブッシュ及びそのブッシュ内で前後に移動するプランジャ軸の長手方向軸線は一貫して平行であるか又は好適には同軸に整列されている。
【0049】
これにより、ブッシュとプランジャ軸の外側側面との間のシールギャップのギャップ高さが均一になることが保証される。
【0050】
各プランジャは、各プランジャにのみ割り当てられると共に、クランクシャフトによって駆動される独自の駆動ピストンによって駆動されるのが有利である。この場合、駆動ピストンは、ピン軸受を介してクランクシャフトに接続され、ピン軸受は、クランクシャフトの回転軸線周りに異なる角度で配置されている。従って、駆動ピストンがコネクティングロッドの役割を果たす。
【0051】
他の好適な実施形態において、プランジャは、自在継手カップリングを介してプランジャを駆動する駆動ピストンに接続されている。
【0052】
これにより、駆動ピストンの運動がプランジャに伝達されると同時に、駆動ピストン及びプランジャが互いに対して旋回可能である。プランジャに対する駆動ピストンの旋回性により、プランジャは軸線方向力のみで負荷され、ブッシュに対して半径方向に作用する力の影響を受けることはない。従って、プランジャの運動は直線的に留まり、ブッシュの長手方向軸線に対して実質的に平行である。
【0053】
理想的には、プランジャの駆動側の端面、又はその端面に駆動圧力を伝達する駆動ピストンの端面は、凸状に湾曲している。
【0054】
プランジャ及び駆動ピストンの互いに向き合う端面が湾曲していることにより、プランジャに対する駆動ピストンの旋回性を妨害することなく、両者を互いに当接させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】本発明に係る高圧ホモジナイザを示す略図である。
【
図2】(高圧チャンバなしの状態の)プランジャポンプの一部を示す斜視図である。
【
図3】
図2におけるプランジャポンプの一部を示す拡大図である。
【
図4】(高圧チャンバを取り外した状態の)プランジャポンプを示す平面図である。
【
図5】プランジャポンプの第1実施形態を示す断面
図Aである。
【
図6】プランジャポンプの第1実施形態を示す断面
図Bである。
【
図7】
図5及び
図6における第1実施形態を示す部分断面図である。
【
図8】半径方向に移動可能に保持されたブッシュを有するプランジャポンプの第2実施形態を示す断面
図Aである。
図8a,bは、円筒形の外周面を有するブッシュの基本的な可動性を示す説明図である。
図8c,dは、球形の外周面を有するブッシュの基本的な可動性を示す説明図である。
【
図9】プランジャポンプの第3実施形態を示す断面
図Aである。
【
図10】プランジャポンプの第4及び第5実施形態を示す断面
図Aである。
【
図11】本発明に係るブッシュを示す詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、
図1~10に基づいて高圧ホモジナイザの動作について説明する。
【0057】
高圧ホモジナイザ1の基本的な動作は、
図1の概略図から容易に理解することができる。
【0058】
均質化すべき流体は最初、製品貯蔵容器28内にある。流体は、供給ポンプ29により、その容器から管16を介して先ず低圧チャンバ7に搬送され、その後に高圧チャンバ2に搬送される。
【0059】
プランジャ5の侵入により、高圧チャンバ2内に正圧が生じる。この正圧により、入口バルブ30が閉鎖されると共に、出口バルブ31が開放される。その後、プランジャ5が再び高圧チャンバ2から引き抜かれるが、プランジャ5の端面23が依然として高圧チャンバ2内に残留する程度にしか引き抜かれない。その際、高圧チャンバ内に負圧が生じる。この負圧により、出口バルブ31が閉鎖されると共に、入口バルブ30が開放され、従って液体が再び高圧チャンバ2内に流入することができる。
【0060】
高圧チャンバ2は、ハウジング18に配置されたシール8により、周囲及び低圧チャンバ7に対してシールされる。この場合、シール8は、プランジャ5を包囲するよう配置されている。シール8の内側断面の内幅に対して、アンダーサイズ(標準未満)は、好適には0.015 mm~0.03 mm、理想的には約0.02 mmである。これにより、半径方向のギャップ高さSは、0.075 mm~0.015 mmになる。このギャップ高さは、好適には、プランジャ長手方向軸線に沿うシールギャップ長さL(プランジャ直径の少なくとも2/3に相当する)と交差するのが好適である。本発明によれば、この場合に比率S/Lは、≦ 0.0015 mmである。
【0061】
プランジャ5は、そのプランジャ軸6と共に、ハウジング17及びそのハウジング17内に配置された低圧チャンバ7を通るようガイドされる。従って、均質化すべき流体は、低圧チャンバ7内においてプランジャ軸6の周囲を流れ、これによりプランジャ軸6が冷却される。この場合、周囲に対する低圧チャンバ7のシールは、低圧シール装置25によって行われる。
【0062】
理想的には、複数のプランジャ5が直列接続されている。この場合、理想的には、個々のプランジャ5は、同時に下死点に到達するのではなく、時差をおいて到達するよう制御される。
【0063】
図2及び
図3は、このようなプランジャポンプ4を示す。この場合、高圧チャンバ2又は高圧チャンバ2を形成するハウジング32は図示されていない。
【0064】
明瞭性の見地から、プランジャポンプ4における個々の構成要素には、プランジャ5及びプランジャポンプ4の関連要素に基づいて参照符号が付されているのみである。
【0065】
プランジャポンプ4の各プランジャ5は、それぞれ駆動ピストン12によって駆動される。この場合、駆動ピストン12及びプランジャ5は、例えば自在継手13(詳細は省く)の形態の半径方向に柔軟なカップリングを介して互いに接続されている。
【0066】
プランジャ5は、ハウジングカバー26、低圧チャンバ7を包囲又は形成するハウジング17、並びに高圧シール8を包囲するハウジング18を通るよう突出している。高圧シール8を包囲するハウジング18には、(
図2には示されていないが)
図1に示す高圧チャンバ2を形成するハウジング部分32が隣接している。
【0067】
個々のハウジング部分を互いに接続するために、固定ねじ用の孔21が設けられている。更に、ハウジング部分32をハウジング部分18上に正確に位置決めするために、ハウジング部分18には2個以上の位置決めピン20が取り付けられている。
【0068】
個々の低圧チャンバ7は、接続管19を介して互いに接続されている。従って、均質化すべき流体は、入口16を介して低圧チャンバ7の1個に運ばれ、そこから接続管19を介して他の低圧チャンバ7を通るよう流れる。流体は、最終的に出口16を介して最後の低圧チャンバ7から導出される。そこから管(図示せず)を介して、高圧チャンバ2(やはり図示せず)内に流れる。
【0069】
駆動ピストンの力作用によってプランジャがブッシュ(プランジャと共にシールギャップを形成する)に対して傾くことなくプランジャ5を駆動ピストンに接続するために、既に簡単に述べたように、半径方向に柔軟なカップリングが使用されるのが理想的である。この詳細に関しては、以下において説明する。
【0070】
図4は、プランジャポンプ4における配置の底面図を示す。この図においては、断面線A‐A及びD‐Dがプランジャポンプ4をどのように通るかが示されている。
【0071】
図5は、線A‐Aの断面図を示す。この場合、高圧チャンバ2が概略的に示されている。
【0072】
高圧チャンバ2をシールするための高圧シール8は、2個のガスケット22及び第1ブッシュ9で構成されている。一方のガスケット22は、高圧チャンバ2に直接的に隣接しているのに対して、他方のガスケット22は、ハウジング17に当接している。ただし、これらガスケットは、ブッシュ9,24用の二次シールに過ぎない。両方のガスケット22の間には、プランジャ軸6を包囲するブッシュ9が配置されると共に、軸線方向に保持されている。
【0073】
図示の実施形態において、ブッシュ9は、周囲のハウジング内に直接的に固定配置されている。幾つかのケースにおいて、この取り付けは、後にシールギャップに作用すると共に、半径方向外方に向けて作用する圧力と同じ大きさの圧力でブッシュが半径方向内方に向けて付勢されるよう行われる。
【0074】
ブッシュ9とプランジャ軸6の側面との間には、半径方向シールギャップが形成される(
図5に図示せず)。高圧チャンバ2内における均質化すべき流体の少量は、シールギャップを通って低圧チャンバ7方向に逃げることができる。シールギャップ高さとシールギャップ長さの比率により、シールギャップ内の圧力は、典型的には3バールの範囲の正圧を有する低圧チャンバ7の圧力まで連続的に低下する。通常、この正圧は6バールを超えることはない。シールギャップ高さとシールギャップ長さの比率は、リーク量を減らしつつも十分な大きさを有し、これにより液体によってシールギャップ内に運ばれ得る粒子との摩擦が回避されるよう選択される。
【0075】
ブッシュ9は、駆動ピストン12に向けられた端面10に、ベベル40或いは面取り部分又は半径を有し、それらを介して内側側面に移行する。これにより、好適には、作動中にプランジャとの衝撃接触が生じたときに端面のエッジが欠けることが回避される。相補的に、プランジャに面取り部分41を設けることができる。
【0076】
ハウジング17内には、均質化すべき流体が流れる低圧チャンバ7があり、流体が低圧チャンバを流れることにより、高圧チャンバ2に供給される前にプランジャ5が冷却される。低圧チャンバ7は、低圧シール装置25によって周囲に対してシールされる。
【0077】
図5は、好適な半径方向柔軟カップリングの技術的側面も示す。
【0078】
図示のように、プランジャ5及び駆動ピストン12はそれぞれ、詳細には示されていない接続部によって保持されている。両方の接続部F1,F2は、基本的に、プランジャ5及び駆動ピストン12に、互いに対して規定の旋回性を付与する。図示のように、接続部は、駆動ピストン12の戻りストローク運動をプランジャ5に伝達する。
【0079】
プランジャ5又は駆動ピストン12の一方の端面は、凸状に形成されている。これは、駆動ピストンの端面とするのが好適である。基本的に、駆動ピストンは、より軟らかい材料で構成されている。
【0080】
このように、駆動ピストン12は、プランジャ5上で一定量だけ「転がる」ことができる。従って、駆動ピストン12によって生じ得る旋回運動又は横方向運動はプランジャ5に伝達されず、これによりシールギャップが可能な限り妨害されることはない。この点は、
図5に示すように、ブッシュ9がそのブッシュ9を包囲するハウジング部分18において半径方向に実質的に不動に取り付けられる場合に特に重要である。
【0081】
換言すれば、必要な圧力は、プランジャ5が高圧チャンバ2内に移動する際に、駆動ピストン12からプランジャ5に伝達される。プランジャ5及びブッシュ9の長手方向軸線がポンピング中に常に同軸であることを保証するために、上述した半径方向柔軟カップリングが取り付けられている。また、プランジャ5が下死点に到達した後にプランジャを駆動ピストン12方向に再び戻すための引っ張り力も、やはり半径方向柔軟カップリング13を介して駆動ピストン12からプランジャ5に伝達されることに留意されたい。
【0082】
図6に示す断面B‐Bから、低圧チャンバ7が接続管19を介してどのように接続されているかが分かる。
【0083】
図7に示す断面D‐Dから、固定ねじ27により、ハウジングカバー26が低圧チャンバ7を包囲するハウジング部分17にどのように固定されているかが分かる。
【0084】
【0085】
上述した第1実施形態に関して説明したことは、以下に説明する相違点において他のことが明記されていない限り適用される。
【0086】
第1実施形態と異なる第1相違点は、シールギャップの形成に関わるブッシュ9がフローティングするよう取り付けられていることである。この目的のために、ブッシュの外周には、ある程度圧縮可能な材料、理想的には軟質エラストマー又はゴムで構成された軸受スリーブ42が(少なくとも部分的に、好適には完全に)設けられている。軸受スリーブ42の半径方向の壁厚は通常、ブッシュ9よりも小さく、通常は少なくとも2倍小さい。これにかかわらず、ブッシュ9の外側側面は、理想的な円筒形ではなく、球形であってもよい。これにより、軸受スリーブ42の変形下におけるブッシュ9の旋回運動が容易になる。
【0087】
軸受スリーブ42は、スリーブ又は1個以上のリングの形態の個別部品、又はその場で鋳造されたコンパウンド或いはその場で加硫されたゴム体であり得る。
【0088】
このようなタイプの軸受スリーブ42により、ブッシュ9は、作動中に、半径方向に一定量だけ並進移動又は旋回可能である。これにより、ブッシュ9は、シール品質又はシール寿命に関して、シールギャップの形状が最適化されるようプランジャ5に対して調整可能である。
【0089】
この旋回性に関しては、二次シールとして機能すると共に、ブッシュ9の端面に当接するエラストマーシールリング22も寄与する。堅固な保持リング又はワッシャとは異なり、これらシールリング22はその間で両端面をあまり挟み込むことはせず、従ってブッシュ9の旋回運動が妨害されることはない。
【0090】
図8a,bは、円筒形の外周面を有するブッシュに基づいて、ブッシュ9の旋回がどのようにシールギャップを調整するかを示し、
図8c,dは、球形の外周面を有するブッシュに基づいて、ブッシュの旋回がどのように行われるかを示す。
【0091】
図8に戻ると、上述したこととは独立した第2相違点は、図示の実施形態において、駆動ピストン12及びプランジャ5は、
図5に示したように半径方向に柔軟なカップリングを介して互いに接続されているのではなく、固定的なカップリングを介して互いに接続されていることである。この理由は、図示の実施形態において、駆動ピストンに関連して生じ得る傾き運動をプランジャ5に対して必ずしも回避する必要がないからである。図示の実施形態においてこの必要性が存在しないのは、ブッシュ9がその柔軟な取り付けにより、プランジャ5の現在の位置に適応する可能性があるからである(
図8参照)。これによっても、ギャップ形状の形成を損なう不所望な横方向力が駆動ピストンから伝達されることを回避可能である。
【0092】
【0093】
上述した第1実施形態に関して説明したことは、以下に説明する相違点において他のことが明記されていない限り適用される。
【0094】
基本的に第1実施形態との相違点は、ブッシュ9が複数の部分で構成されていることである。この場合、ブッシュ9は複数、理想的には3個、より理想的には少なくとも4個~8個の互いに直接接触すると共に、直接的かつ順次に取り付けられたリングRi1~Ri5で構成されている。図示の実施形態におけるこれらリングは、高圧シールを包囲するハウジング部分18内に固定的に取り付けられている。個々のリングに分割することにより、メンテナンス時の取り付け及び取り外しが大幅に容易になる。
【0095】
幾つかの用途においては、隣接するリングRi1~Ri5間において、ある程度変化する段階的なギャップ高さプロファイルを実現することも極めて有利であり得る。従って、例えば、高圧チャンバ2に対して直接的に向けられた最初のシールギャップ高さを、後続するリングの全部又は一部よりも小さく構成することが想定可能である。これにより、粒子の過剰な侵入が、より大きなギャップ高さを有する残りのシールギャップの長さに沿って回避されるオプションを得ることができる。
【0096】
この解決策における更なるオプションにおいては、上述した第1リングRi1が犠牲機能を有する。即ち、第1リングは、シールギャップ高さが最小であるから、侵入した粒子を破砕する。その際に、第1リング自体はより大きな摩損を被る。しかし、その代わりに、破砕/予粉砕された粒子による、リーク流の下流側に後続するより大きなシールギャップ高さを有するシールギャップを構成する他のリングRi2~Ri5又はRinに対する摩耗が低減される。
【0097】
基本的に、上述したリングRi1~Rinは、周方向においてエンドレスである。しかし、場合によっては、リングを分割、即ち複数のリングアーチ部分で構成することが特に有利である(別途図示せず)。このような分割は、プランジャを取り外す必要なく、ブッシュを形成する構成要素が交換可能になるよう設計することができる。
【0098】
図10は、本発明の第4実施形態を示すと同時に、第5実施形態を示す。
【0099】
第1~第3実施形態に関して上述したことは、図示の実施形態に適用される。なぜなら、図示のこれら実施形態は、技術的及び機能的に第2及び第3実施形態の組み合わせと見なされるからである。
【0100】
図10の長手方向中心軸線の上方における半分は、第4実施形態を示す。ブッシュ9は、この場合も複数部分で構成され、好適には、上述した個数のリングRi1~Rinで構成されている。ただしこの場合、各リングは、上述した第2実施形態に関して説明したように、外側に鋳造されたエラストマーコンパウンドか、又はその場で形成されたゴムリングを加硫したものか、又は個別部品として形成された共通のエラストマースリーブに差し込まれることにより、外周面が弾性的に取り付けられている。
【0101】
このように、各リングは、少なくとも大部分は、他のリングから独立して移動可能である。これにより、シールギャップ形状を特に良好に自己調整することができる。
【0102】
図10の長手方向中心軸線の下方における半分は、第5実施形態を示す。
【0103】
この場合に特徴的なのは、各リングが各リングにのみ割り当てられた軸受スリーブを有することである。軸受スリーブは、例えば、(必要な溝が存在する場合)Оリング、Xリング、又は他の標準的な部品として構成することができる。この場合、関連するリングは、軸受スリーブの両側において、ハウジングに対してクリアランスを有する。これにより、特に高い可動性又は自己調整性を実現することができる。
【0104】
図11は、ブッシュ9を詳細に示す。この場合、角度付きの面取り部分が明示されている。図示のように、高圧側に設けられたこのような面取り部分は、高圧チャンバに面する側において、より急勾配な第1部分FA1で構成されている。この第1部分は、ブッシュの長手方向軸線に対して45°又は約45°の面取り角度Alpha1を含む。この第1部分には、シールギャップに面する側において、より平坦な面取り角度Alpha2を有する第2面取り部分FA2が接続している。第2面取り部分は、固体粒子が侵入しないか、又は僅かしか侵入できないほど狭いのが好適である。これにより、固体粒子による環状ギャップに対する負荷が軽減される。
【0105】
このような面取り部分は、低圧側にも設けることができる。
【0106】
上述した請求項にかかわらず、独立請求項に係る高圧ホモジナイザのオプションとして、場合によっては従属請求項の1つ以上との関連において、少なくとも1個のプランジャ軸を包囲する低圧チャンバを備えないホモジナイザの保護が請求される。
【0107】
更に、オプションとして、環状ギャップシールを有するプランジャポンプを使用する本開示の文脈で記載された高圧ホモジナイザで実施される方法についても保護が請求される。
【符号の説明】
【0108】
1 高圧ホモジナイザ
2 高圧チャンバ
3 均質化ユニット
4 プランジャポンプ
5 プランジャ
6 プランジャ軸
7 低圧チャンバ
8 高圧シール
9 ブッシュ
10 ブッシュの駆動側の端面
11 ブッシュの内側側面
12 駆動ピストン
13 自在継手カップリング
14 プランジャの駆動側の端面
15 駆動ピストンのプランジャ側の端面
16 低圧チャンバへの入口/出口/管
17 低圧チャンバを包囲するハウジング部分
18 高圧チャンバを包囲するハウジング部分
19 低圧チャンバ間の接続管
20 位置決めピン
21 固定ねじ用の孔
22 ガスケット
23 高圧チャンバ内におけるプランジャの端面
24 保持ブッシュ
25 低圧シール装置
26 ハウジングカバー
27 ハウジングカバーの固定ねじ
28 製品貯蔵容器
29 供給ポンプ
30 入口バルブ
31 出口バルブ
32 高圧チャンバを包囲するハウジング部分(略図)
33 製品回収容器
34 回転軸線を形成する自在継手カップリングのねじ
35 プランジャ側のカップリング部分
36 カップリングの中間ピース
37 駆動ピストン側のカップリング部分
38 クランプ力を加えるための、自在継手カップリングのねじ
39 自在継手カップリングの収容開口
40 ブッシュのベベル
41 面取り部分
42 軸受スリーブ
L 長さ
S 環状ギャップ高さ/スロットルギャップ
A‐A 断面線
B‐B 断面線
D‐D 断面線
r 半径
LA 長手方向中心軸線
Ri1‐Rin リング
Alpha1 面取り角度
Alpha2 面取り角度
FA1 第1面取り部分
FA2 第2面取り部分
B ベローズ
F1 接続部
F2 接続部
【国際調査報告】