(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-14
(54)【発明の名称】バッチバイオプロセシングの遠心分離機ロータ
(51)【国際特許分類】
B04B 5/02 20060101AFI20230707BHJP
B04B 7/06 20060101ALI20230707BHJP
【FI】
B04B5/02 Z
B04B5/02 A
B04B7/06 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022575768
(86)(22)【出願日】2021-06-08
(85)【翻訳文提出日】2022-12-08
(86)【国際出願番号】 US2021036348
(87)【国際公開番号】W WO2021252456
(87)【国際公開日】2021-12-16
(32)【優先日】2020-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510016645
【氏名又は名称】ファイバーライト・セントリフュージ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ピラムーン,シナ
【テーマコード(参考)】
4D057
【Fターム(参考)】
4D057AA00
4D057AB01
4D057AC01
4D057AC05
4D057AD01
4D057AE11
4D057BA06
4D057BA16
4D057BA21
4D057BA43
4D057BD07
(57)【要約】
遠心分離機において使用するためのロータ(10、150)、及びロータ(10、150)に、1つ以上の処理容器(142、156)を連結させるためのアダプタ(18、154)。ロータ(10、150)は、アダプタ(18、154)を受容するように各々構成された複数のレセプタクル(140、194)を有するロータ本体(22、152)を含む。各アダプタ(18、154)は、レセプタクル(140、194)のうちの1つとインターフェース接続するように構成された外表面と、処理容器(142、156)を受容するように各々構成された1つ以上のキャビティ(92、200)と、を含む。ロータ(10、150)はまた、アダプタ(18、154)とロータ本体(22、152)との間に位置付けられた、ロータライナ(20)を含み得る。ロータライナ(20)は、ロータ本体のレセプタクル(140、194)に係合し、かつアダプタ(18、154)を受容する複数のレセプタクル(100)を提供し、これにより、アダプタ(18、154)と、ロータ本体(22、152)のレセプタクル(140、194)との間のインターフェース接続を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心分離機のためのロータであって、
ロータ本体であって、前記ロータ本体の回転軸の周りに円周方向に離間した複数のレセプタクルを含み、前記ロータ本体の前記レセプタクルの各々が、前記ロータ本体の円周側壁と、中央に位置するトルク伝達リングと、前記トルク伝達リングと前記ロータ本体の前記円周側壁との間に延在する、それぞれの対の円周方向に離間したトルク伝達部材と、によって画定されている、ロータ本体と、
複数のアダプタであって、各アダプタが、前記ロータ本体の前記複数のレセプタクルのそれぞれ1つの中に取り外し可能に支持され、各アダプタは、前記アダプタ内にそれぞれの処理容器を受容するように構成されている、複数のアダプタと、を備える、ロータ。
【請求項2】
前記アダプタの各々、及び前記ロータ本体の前記レセプタクルの各々は、前記アダプタが、軸方向において、前記ロータ本体のそれぞれのレセプタクルの中へ挿入可能であり、かつそこから取り外し可能であるように構成されている、請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
円周方向に離間した複数のレセプタクルを含むロータライナを更に備え、前記ロータライナの各レセプタクルが、前記ロータ本体の前記複数のレセプタクルのそれぞれ1つの中に位置するように構成されている、請求項1又は2に記載のロータ。
【請求項4】
前記アダプタの各々、及び前記ロータライナの前記レセプタクルの各々は、前記アダプタが、軸方向において、前記ロータライナのそれぞれのレセプタクルの中へ挿入可能であり、かつそこから取り外し可能であるように構成されている、請求項3に記載のロータ。
【請求項5】
前記ロータライナが、円周方向に離間した複数のポケットを更に備え、各ポケットが、前記ロータライナの前記複数のレセプタクルの隣接する対の間に位置する、請求項3又は4に記載のロータ。
【請求項6】
前記複数のトルク伝達部材のうちの少なくとも1つが、前記ロータライナの前記複数のポケットのうちの少なくとも1つの中に位置する、請求項5に記載のロータ。
【請求項7】
前記複数のトルク伝達部材の各々が、前記ロータライナの前記複数のポケットのそれぞれ1つの中に位置する、請求項5又は6に記載のロータ。
【請求項8】
前記ロータライナの前記複数のレセプタクルの各々が、楔形状である、請求項3~7のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項9】
前記ロータ本体の前記円周側壁の周りに提供された炭素繊維強化材を更に備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項10】
前記複数のトルク伝達部材の各々が、半径方向に整列したリブと、軸方向に整列したリブと、を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項11】
前記複数の軸方向に整列したリブの各々が、幅広端と、幅狭端と、を有する、第1の弓形テーパを含み、各軸方向に整列したリブが、前記第1の弓形テーパの前記幅広端によって、前記円周側壁の半径方向内向きの表面に接合される、請求項10に記載のロータ。
【請求項12】
前記複数の半径方向に整列したリブの各々が、前記トルク伝達リングの半径方向外向きの表面から、前記複数の軸方向に整列したリブのそれぞれ1つまで延在している、請求項10又は11に記載のロータ。
【請求項13】
前記ロータ本体が、上表面を有するベースを含み、前記複数の半径方向に整列したリブの各々が、前記ベースの前記上表面から上向きに延在する、請求項10~12のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項14】
前記複数の半径方向に整列したリブの各々が、幅広端と、幅狭端と、を有する、第2の弓形テーパを含み、各半径方向に整列したリブが、前記第2の弓形テーパの前記幅広端によって、前記ベースの前記上表面に接合される、請求項13に記載のロータ。
【請求項15】
前記複数のアダプタの各々が、前記アダプタ内に前記それぞれの処理容器を受容するように構成された開放面キャビティを画定する、外壁と、内側開口部と、一対の反対の側壁と、頂壁と、底壁と、を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項16】
前記外壁の円周方向の長さが、前記内側開口部の円周方向の長さよりも大きい、請求項15に記載のロータ。
【請求項17】
前記アダプタの各々が、楔形状である、請求項1~16のいずれか一項記載のロータ。
【請求項18】
それぞれのアダプタ内に受容される少なくとも1つの処理容器を更に備える、請求項1~17のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項19】
前記処理容器が、バイオバッグ又は処理ボトルのうちの1つを備える、請求項18に記載のロータ。
【請求項20】
前記複数のアダプタの各々が、略矩形状に形成され、反対方向かつ円周方向に延在する2つのローブを含む、請求項1~19のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項21】
各アダプタが、
処理容器を受容するように構成された、少なくとも1つの水平方向に配向されたキャビティを更に備える、請求項20に記載のロータ。
【請求項22】
各アダプタが、
前記ロータ本体の前記複数のレセプタクルのうちの1つの中に前記アダプタを配置することを容易にするグリップを提供するように構成されたハンドルを更に備える、請求項1~20のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項23】
前記ハンドルが、前記アダプタから上向きに突出する、請求項22に記載のロータ。
【請求項24】
アダプタハンドルを収容するように各々構成された複数のキャビティを有する底表面を含む蓋を更に備える、請求項22又は23に記載のロータ。
【請求項25】
遠心分離機のためのロータであって、
ロータ本体であって、前記ロータ本体は、前記ロータ本体の回転軸の周りに円周方向に離間した複数の第1のレセプタクルを画定する、ロータ本体、
を備える、ロータ。
【請求項26】
複数のアダプタを更に備え、処理容器を受容するように、かつ各アダプタが、前記それぞれの第1のレセプタクルによって、前記ロータ内の適所に保持されるように、それぞれの第1のレセプタクルに係合するように各々構成されている、請求項25に記載のロータ。
【請求項27】
前記アダプタの各々、及び前記第1のレセプタクルの各々は、前記アダプタが、軸方向において、それぞれの第1のレセプタクルの中へ挿入され、かつそこから取り外されるように構成されている、請求項26に記載のロータ。
【請求項28】
前記ロータ本体の前記回転軸の周りに円周方向に配置された複数の第2のレセプタクルを含むロータライナを更に備え、各第2のレセプタクルが、前記第1のレセプタクルのそれぞれ1つによって受容されるように構成されている、請求項25~27のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項29】
各アダプタは、各アダプタが、前記それぞれの第2のレセプタクルによって、前記ロータ内の適所に保持されるように、それぞれの第2のレセプタクルに係合するように構成されている、請求項28に記載のロータ。
【請求項30】
前記ロータ本体が、上表面を有するベースと、前記ベースの前記上表面から上向きに延在する複数の半径方向に整列したリブと、を含む、請求項25~28のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項31】
前記半径方向に整列したリブが、前記レセプタクルを少なくとも部分的に画定する、請求項30に記載のロータ。
【請求項32】
前記ロータ本体のそれぞれの半径方向に整列したリブに係合するように各々構成された複数のポケットを含むロータライナを更に備える、請求項30又は31に記載のロータ。
【請求項33】
前記ロータ本体が、半径方向内向きの表面を有する円周側壁と、前記円周側壁の半径方向内向きの表面から内向きに延在する複数の軸方向に整列したリブと、前記レセプタクルのうちの1つを少なくとも部分的に画定する、各対の円周方向に隣接する軸方向に整列されたリブと、を含む、請求項25~32のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項34】
前記軸方向に整列したリブが、幅広端と、幅狭端と、を有する、第1の弓形テーパを含み、前記第1の弓形テーパの前記幅広端によって、前記円周側壁の半径方向内向きの表面に接合されている、請求項33に記載のロータ。
【請求項35】
前記ロータ本体が、
前記回転軸の周りに対称的に配置され、半径方向外向きの表面を有する、トルク伝達リングと、
前記トルク伝達リングの前記半径方向外向きの表面から前記円周側壁の前記半径方向内向きの表面まで延在する、複数の半径方向に整列したリブと、を含む、請求項33又は34に記載のロータ。
【請求項36】
前記ロータ本体が、上表面を有するベースを含み、前記半径方向に整列したリブが、前記ベースの前記上表面から上向きに延在する、請求項35に記載のロータ。
【請求項37】
前記半径方向に整列したリブが、第2の弓形テーパを有し、前記第2の弓形テーパの幅広端によって、前記ベースの前記上表面に接合されている、請求項36に記載のロータ。
【請求項38】
各アダプタが、
前記ロータ本体の前記複数のレセプタクルのうちの1つの中に前記アダプタを配置することを容易にするグリップを提供するように構成されたハンドルを更に備える、請求項25~37のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項39】
前記ハンドルが、前記アダプタから上向きに突出する、請求項38に記載のロータ。
【請求項40】
アダプタハンドルを収容するように各々構成された複数のキャビティを有する底表面を含む蓋を更に備える、請求項38又は39に記載のロータ。
【請求項41】
複数のレセプタクルを含む遠心分離機ロータに、処理容器を動作可能に連結させるためのアダプタであって、
前記遠心分離機ロータの前記複数のレセプタクルのそれぞれ1つによって受容されるように構成された本体と、
前記処理容器を受容するように構成されたキャビティと、を備える、アダプタ。
【請求項42】
前記本体が、外壁と、第1の側壁と、前記第1の側壁の反対の第2の側壁と、頂壁と、前記頂壁の反対の底壁と、を含む、請求項41に記載のアダプタ。
【請求項43】
前記外壁、前記第1の側壁、前記第2の側壁、前記頂壁、及び前記底壁が、前記キャビティへのアクセスを提供する前記外壁の反対の内側開口部を画定するように、互いに動作可能に連結されている、請求項42に記載のアダプタ。
【請求項44】
前記第1の側壁及び前記第2の側壁は、前記アダプタが前記レセプタクルの中に配置されるとき、前記内側開口部が、前記レセプタクルの内壁から前記外壁に向かって半径方向にオフセットするような半径方向の長さを有する、請求項43に記載のアダプタ。
【請求項45】
前記第1の側壁及び前記第2の側壁が、前記遠心分離機ロータにおける前記レセプタクルの数を乗算したとき、360度に等しい角度に配向される、請求項42~44のいずれか一項に記載のアダプタ。
【請求項46】
前記第1の側壁と前記第2の側壁との間の前記角度が、前記アダプタに楔形状を提供する、請求項45に記載のアダプタ。
【請求項47】
前記頂壁と、前記底壁と、が互いに平行である、請求項42~46のいずれか一項に記載のアダプタ。
【請求項48】
前記外壁が、軸方向に整列した湾曲テーパを有する半径方向内向きの表面を含む、請求項42~47のいずれか一項に記載のアダプタ。
【請求項49】
前記軸方向に整列した湾曲テーパは、前記外壁が、前記底壁から前記頂壁まで延在するにつれて、前記外壁の厚さが徐々に増加することによって提供される、請求項48に記載のアダプタ。
【請求項50】
前記レセプタクルが、前記遠心分離機ロータのロータライナによって提供される、請求項42~49のいずれか一項に記載のアダプタ。
【請求項51】
前記処理容器がバイオバッグである、請求項42~50のいずれか一項に記載のアダプタ。
【請求項52】
前記ロータ本体の前記複数のレセプタクルのうちの1つの中に、前記アダプタを配置することを容易にするグリップを提供するように構成されたハンドルを更に備える、請求項41~51のいずれか一項に記載のアダプタ。
【請求項53】
前記ハンドルが、前記アダプタから上向きに突出する、請求項52に記載のアダプタ。
【請求項54】
前記キャビティが、複数の処理容器のうちの1つを受容するように各々構成された、複数のキャビティのうちの1つである、請求項41~53のいずれか一項に記載のアダプタ。
【請求項55】
前記キャビティが、半径方向内向きに面する、請求項41~54のいずれか一項に記載のアダプタ。
【請求項56】
前記キャビティが、水平方向に配向されている、請求項41~55のいずれか一項に記載のアダプタ。
【請求項57】
各レセプタクルが、複数の軸方向に整列したリブによって、少なくとも部分的に画定され、前記本体が、前記軸方向に整列したリブに係合する、複数の反対方向かつ円周方向に延在するローブを含む、請求項41~56のいずれか一項に記載のアダプタ。
【請求項58】
前記軸方向に整列したリブの各々が、弓形テーパを有し、各ローブが、前記軸方向に整列したリブの前記弓形テーパの曲率半径と一致する前記曲率半径を有する、請求項57に記載のアダプタ。
【請求項59】
遠心分離機ロータに、処理容器を動作可能に連結させるためのアダプタであって、
前記処理容器を受容するように構成された開放面キャビティを画定する、複数の壁であって、前記アダプタの内側開口部の反対の外壁を含む前記複数の壁を備え、前記外壁が、軸方向に整列した湾曲テーパを有する半径方向内向きの表面を含む、アダプタ。
【請求項60】
前記複数の壁が、頂壁と、底壁と、を更に含み、前記軸方向に整列した湾曲テーパは、前記外壁が前記底壁から前記頂壁まで延在するにつれて、前記外壁の厚さが徐々に増加することによって提供される、請求項59に記載のアダプタ。
【請求項61】
前記軸方向に整列した湾曲テーパが、前記底壁に近接した前記処理容器の一部分の中に懸濁固形物が集まるように、前記遠心分離機ロータを回転させることによって生じる遠心力と連動する、請求項52又は53に記載のアダプタ。
【請求項62】
前記アダプタの前記頂壁に動作可能に連結させたハンドルを更に備える、請求項60又は61に記載のアダプタ。
【請求項63】
前記ハンドルが、前記アダプタの前記頂壁から上向きに突出する、請求項62に記載のアダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、遠心分離機ロータに関し、より詳細には、遠心分離機における生物懸濁液のバッチ処理のために構成されたロータに関する。
【背景技術】
【0002】
バイオリアクタ及び発酵槽は、液体培地の中で懸濁された細胞、又は微生物を含む生物懸濁液を培養するために使用される。一旦生物懸濁液が十分に培養されると、それは、典型的に、液体と固体成分とに分離される。次に、分離された成分は、その後の分析又は使用のために回収される。遠心分離は、生物懸濁液中に分散されたタンパク質と、核酸と、脂質と、炭水化物と、を含む、細胞、オルガネラ、及び生体高分子などの生物学的成分を分離するための一般的な手法である。
【0003】
遠心分離は、典型的に、バイオリアクタ又は発酵槽から、ボトル、又はバッグなどの処理容器の中に、一定量の懸濁液を分配することを伴う。次に、容器を閉鎖し、遠心分離機の中で回転させる。遠心分離機の中でロータを回転させることによって生じる遠心力により、懸濁液中の固形物が沈殿し、容器の底に向かって、略固形のペレットが形成される。ペレットよりも密度の低い液体を含む上澄みが、ペレットの上方の容器の中に集まる。一旦上澄み及びペレットが形成されると、容器から上澄みを注出する、又は汲み出すことにより、上澄みがデカントされる。次に、ペレットを容器から個別に取り出すことができる。
【0004】
従来の遠心分離処理は、多くの欠点を有する。例えば、処理量を増加させるためには、容器が可能な限り多くの懸濁液を保持することが典型的に望ましい。しかしながら、容器のサイズが増加するにつれて、容器を遠心分離機の中に配置すること、及びそこから容器を取り出すことが操作者にとってより困難になる。遠心分離機の中に装填される容器の数が増加すると、処理量も増加することができる。しかしながら、多数の容器を有することはまた、操作者が容器の各バッチを遠心分離機から装填する及び取り出すためにかかる時間を増加させる。
【0005】
遠心分離の別の課題は、先に懸濁したペレットの中の粒子の濃度を乱すことなく、上澄みをペレットからどのように分離するか、ということである。この課題は、容器が大きい場合、若しくは容器の衝突が増加することに起因して、遠心分離機から取り出すことが別様に困難である場合に悪化する可能性があり、これにより、ペレットの一部分が上澄みに再懸濁してしまう可能性がある。
【0006】
したがって、生物懸濁液の遠心分離のための改善された方法及びシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、生物懸濁液の遠心分離のために使用されるこれまでに知られている遠心分離機ロータの前述の及び他の欠点及び難点を克服する。本発明は、特定の実施形態に関連付けて考察されるが、本発明は、本明細書に記載の具体的な実施形態に限定されないことが理解されるであろう。
【0008】
本発明の一実施形態では、遠心分離機のためのロータが提供される。ロータは、ロータ本体の回転軸の周りに、円周方向に離間した複数のレセプタクルを有するロータ本体と、複数のアダプタと、を含む。ロータ本体のレセプタクルの各々は、ロータ本体の円周側壁と、中央に位置するトルク伝達リングと、トルク伝達リングとロータの円周側壁との間に延在する、それぞれの対の円周方向に離間したトルク伝達部材と、によって画定され得る。各アダプタは、ロータ本体の複数のレセプタクルのそれぞれ1つ内に取り外し可能に支持され得、各アダプタは、アダプタ内にそれぞれの処理容器を受容するように構成され得る。
【0009】
本発明の一態様では、アダプタの各々、及びロータ本体のレセプタクルの各々は、軸方向において、アダプタがロータ本体のそれぞれのレセプタクルの中へ挿入可能であり、かつそこから取り外し可能であるように構成され得る。
【0010】
本発明の別の態様では、ロータは、円周方向に離間した複数のレセプタクルを有するロータライナを更に含み得、ロータライナの各レセプタクルは、ロータ本体の複数のレセプタクルのそれぞれ1つ内に位置するように構成され得る。
【0011】
本発明の別の態様では、ロータライナのアダプタの各々、及びレセプタクルの各々は、軸方向において、アダプタがロータライナのそれぞれのレセプタクルの中へ挿入可能であり、かつそこから取り外し可能であるように構成され得る。
【0012】
本発明の別の態様では、ロータライナは、ロータライナの複数のレセプタクルの隣接する対の間に各々が位置する複数の円周方向に離間したポケットを更に含み得る。
【0013】
本発明の別の態様では、複数のトルク伝達部材の各々は、ロータライナの複数のポケットのそれぞれ1つのポケット内に位置し得る。
【0014】
本発明の別の態様では、複数のトルク伝達部材のうちの少なくとも1つは、ロータライナの複数のポケットのうちの少なくとも1つの内に位置し得る。
【0015】
本発明の別の態様では、ロータライナの複数のレセプタクルの各々は、楔形状であり得る。
【0016】
本発明の別の態様では、ロータは、ロータ本体の円周側壁の周りに提供された炭素繊維強化材を更に含み得る。
【0017】
本発明の別の態様では、複数のトルク伝達部材の各々は、半径方向に整列したリブと、軸方向に整列したリブと、を含み得る。
【0018】
本発明の別の態様では、複数の軸方向に整列したリブの各々は、幅広端と、幅狭端と、を有する第1の弓形テーパを含み得、各軸方向に整列したリブは、第1の弓形テーパの幅広端によって、円周側壁の半径方向内向きの表面に接合され得る。
【0019】
本発明の別の態様では、複数の半径方向に整列したリブの各々は、トルク伝達リングの半径方向外向きの表面から、複数の軸方向に整列したリブのそれぞれの1つまで延在し得る。
【0020】
本発明の別の態様では、ロータ本体は、上表面を有するベースを含み得、複数の半径方向に整列したリブの各々は、ベースの上表面から上向きに延在し得る。
【0021】
本発明の別の態様では、複数の半径方向に整列したリブの各々は、幅広端と、幅狭端と、を有する第2の弓形テーパを含み得、各半径方向に整列したリブは、第2の弓形テーパの幅広端によって、ベースの上表面に接合され得る。
【0022】
本発明の別の態様では、複数のアダプタの各々は、アダプタ内にそれぞれの処理容器を受容するように構成された、開放面キャビティを画定する外壁と、内側開口部と、一対の反対の側壁と、頂壁と、底壁と、を含み得る。
【0023】
本発明の別の態様では、外壁の円周方向の長さは、内側開口部の円周方向の長さよりも長くあり得る。
【0024】
本発明の別の態様では、アダプタの各々は、楔形状であり得る。
【0025】
本発明の別の態様では、ロータは、それぞれのアダプタ内に受容される少なくとも1つの処理容器を更に含み得る。
【0026】
本発明の別の態様では、処理容器は、バイオバッグ又は処理ボトルのうちの1つを含み得る。
【0027】
本発明の別の態様では、複数のアダプタの各々は、略矩形状に形成され得、反対方向かつ円周方向に延在する2つのローブを含み得る。
【0028】
本発明の別の態様では、各アダプタは、キャビティ内に処理容器を受容するように構成された、少なくとも1つの水平方向に配向されたキャビティを更に含み得る。
【0029】
本発明の別の態様では、各アダプタは、ロータ本体の複数のレセプタクルのうちの1つの中にアダプタを配置することを容易にする、グリップを提供するように構成されたハンドルを含み得る。
【0030】
本発明の別の態様では、ハンドルは、アダプタから上向きに突出し得る。
【0031】
本発明の別の態様では、ロータは、アダプタハンドルのうちの1つを収容するように各々構成された、複数のキャビティを備えた底表面を有する蓋を更に含み得る。
【0032】
本発明の別の実施形態では、ロータ本体の回転軸の周りに円周方向に離間した複数の第1のレセプタクルを画定するロータ本体を含む、遠心分離機のための別のロータが提供される。
【0033】
本発明の一態様では、ロータは、処理容器を受容するように、また、各アダプタが、それぞれの第1のレセプタクルによって、ロータ内の適所に保持されるように、それぞれの第1のレセプタクルに係合するように、各々構成されている、複数のアダプタを更に含み得る。
【0034】
本発明の別の態様では、アダプタ及びレセプタクルの各々は、軸方向において、アダプタがそれぞれのレセプタクルの中へ挿入され、かつそこから取り外されるように構成され得る。
【0035】
本発明の別の態様では、ロータは、ロータ本体の回転軸の周りに円周方向に配置された複数の第2のレセプタクルを含むロータライナを更に含み得、各第2のレセプタクルは、第1のレセプタクルのそれぞれ1つによって受容されるように構成され得る。
【0036】
本発明の別の態様では、各アダプタは、各アダプタがそれぞれの第2のレセプタクルによって、ロータ内の適所に保持されるように、それぞれの第2のレセプタクルに係合するように構成され得る。
【0037】
本発明の別の態様では、ロータ本体は、上表面を有するベースと、ベースの上表面から上向きに延在する複数の半径方向に整列したリブと、を含み得る。
【0038】
本発明の別の態様では、半径方向に整列したリブは、レセプタクルを少なくとも部分的に画定し得る。
【0039】
本発明の別の態様では、ロータは、ロータ本体のそれぞれの半径方向に整列したリブに係合するように各々構成された、複数のポケットを有するロータライナを更に含み得る。
【0040】
本発明の別の態様では、ロータ本体は、半径方向内向きの表面を有する円周側壁と、円周側壁の半径方向内向きの表面から内向きに延在する複数の軸方向に整列したリブと、を含み得、各対の円周方向に隣接する軸方向に整列したリブは、レセプタクルのうちの1つを少なくとも部分的に画定し得る。
【0041】
本発明の別の態様では、軸方向に整列したリブは、幅広端と、幅狭端と、を有する第1の弓形テーパを含み得、第1の弓形テーパの幅広端によって、円周側壁の半径方向内向きの表面に接合される。
【0042】
本発明の別の態様では、ロータ本体は、回転軸の周りに対称的に配置され、半径方向外向きの表面を有するトルク伝達リングと、トルク伝達リングの半径方向外向きの表面から円周側壁の半径方向内向きの表面まで延在する、複数の半径方向に整列したリブと、を含み得る。
【0043】
本発明の別の態様では、ロータ本体は、上表面を有するベースを含み得、半径方向に整列したリブは、ベースの上表面から上向きに延在し得る。
【0044】
本発明の別の態様では、半径方向に整列したリブは、第2の弓形テーパを有し得、第2の弓形テーパの幅広端によって、ベースの上表面に接合される。
【0045】
本発明の別の実施形態では、処理容器を、複数のレセプタクルを有する遠心分離機ロータに動作可能に連結させるためのアダプタが提供される。アダプタは、遠心分離機ロータの複数のレセプタクルのそれぞれ1つによって受容されるように構成された本体と、処理容器を受容するように構成されたキャビティと、を含む。
【0046】
本発明の一態様では、アダプタの本体は、外壁と、第1の側壁と、第1の側壁の反対の第2の側壁と、頂壁と、頂壁の反対の底壁と、を含み得る。
【0047】
本発明の別の態様では、外壁、第1の側壁、第2の側壁、頂壁、及び底壁は、キャビティへのアクセスを提供する、外壁の反対の内側開口部を画定するように、互いに動作可能に連結され得る。
【0048】
本発明の別の態様では、第1の側壁及び第2の側壁は、アダプタがレセプタクルの中に配置されたときに、内側開口部がレセプタクルの内壁から外壁に向かって半径方向にオフセットするような半径方向の長さを有し得る。
【0049】
本発明の別の態様では、アダプタの第1の側壁及び第2の側壁は、遠心分離機ロータの中のレセプタクルの数によって乗算したときに、360度に等しい角度に配向され得る。
【0050】
本発明の別の態様では、アダプタの第1の側壁と第2の側壁との間の角度は、アダプタに楔形状を提供し得る。
【0051】
本発明の別の態様では、アダプタの頂壁及び底壁は、互いに平行であり得る。
【0052】
本発明の別の態様では、アダプタの外壁は、軸方向に整列した湾曲テーパを有する半径方向内向きの表面を含み得る。
【0053】
本発明の別の態様では、軸方向に整列した湾曲テーパは、外壁が底壁から頂壁まで延在するにつれて、外壁の厚さが徐々に増加することによって提供され得る。
【0054】
本発明の別の態様では、レセプタクルは、遠心分離機ロータのロータライナによって提供され得る。
【0055】
本発明の別の態様では、処理容器は、バイオバッグであり得る。
【0056】
本発明の別の態様では、アダプタは、ロータ本体の複数のレセプタクルのうちの1つの中に、アダプタを配置することを容易にするグリップを提供するように構成されたハンドルを含み得る。
【0057】
本発明の別の態様では、ハンドルは、アダプタから上向きに突出し得る。
【0058】
本発明の別の態様では、アダプタのキャビティは、複数の処理容器のうちの1つを受容するように各々構成された複数のキャビティのうちの1つであり得る。
【0059】
本発明の別の態様では、アダプタのキャビティは、半径方向内向きに面し得る。
【0060】
本発明の別の態様では、アダプタのキャビティは、水平方向に配向され得る。
【0061】
本発明の別の態様では、ロータの各レセプタクルは、複数の軸方向に整列したリブによって、少なくとも部分的に画定され得、アダプタの本体は、軸方向に整列したリブに係合する複数の反対方向かつ円周方向に延在するローブを含み得る。
【0062】
本発明の別の態様では、軸方向に整列したリブの各々は、弓形テーパを有し得、各ローブは、軸方向に整列したリブの弓形テーパの曲率半径と一致する曲率半径を有し得る。
【0063】
本発明の別の実施形態では、遠心分離機ロータに、処理容器を動作可能に連結させるための別のアダプタが提示される。アダプタは、処理容器を受容するように構成された開放面キャビティを画定する複数の壁を含む。複数の壁は、アダプタの内側開口部の反対の外壁を含み、外壁は、軸方向に整列した湾曲テーパを有する半径方向内向きの表面を含む。
【0064】
本発明の一態様では、複数の壁は、頂壁と、底壁と、を更に含み得、軸方向に整列した湾曲テーパは、外壁が底壁から頂壁まで延在するにつれて、外壁の厚さが徐々に増加することによって提供され得る。
【0065】
本発明の別の態様では、軸方向に整列した湾曲テーパは、底壁に近接した処理容器の一部分の中に懸濁固形物が集まるように、遠心分離機ロータを回転させることによって生じる遠心力と連動し得る。
【0066】
本発明の別の態様では、アダプタは、アダプタの頂壁に動作可能に連結させたハンドルを更に含み得る。
【0067】
本発明の別の態様では、ハンドルは、アダプタの頂壁から上向きに突出し得る。
【図面の簡単な説明】
【0068】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成し、本発明の特定の実施形態を例示する添付の図面は、上に提示された本発明の一般的な説明及び下に提示される詳細な説明とあわせて、本発明を説明するものである。
【0069】
【
図1】本発明の一実施形態による遠心分離機ロータの斜視図である。
【
図2】
図1の遠心分離機ロータの部分分解斜視図である。
【
図3】
図1及び2の遠心分離機ロータの本体の斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態による
図1の遠心分離機ロータの線4-4に沿った断面図である。
【
図4A】本発明の別の実施形態による
図1の遠心分離機ロータの線4-4に沿った断面図である。
【
図5】本発明のまた別の実施形態による遠心分離機ロータの斜視図である。
【
図6】
図5の遠心分離機ロータの部分分解斜視図である。
【
図7】
図5及び6の遠心分離機ロータの本体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
本発明の実施形態は、バイオバッグ及び処理ボトルの形態の処理容器を使用する、生物懸濁液のバッチ処理のためのロータを対象とする。
【0071】
図1~4Aを参照すると、本発明の例示的な実施形態によるロータ10は、蓋ハンドル12と、蓋14と、駆動ハブ16と、複数のアダプタ18と、ロータライナ20と、ロータ本体22と、補強材24と、リテーニングナット26と、を含み、回転軸28の周りに同心に各々位置している。ロータ10の各構成要素は、ロータ10の回転が、有意な量の遠心力又は偶力を生成しないように、すなわち、ロータ10が回転軸28の周りで動的に釣り合うように、回転軸28の周りに対称的に配設され得る。
【0072】
蓋ハンドル12は、蓋ハンドル12の下部分から半径方向外向きに突出するハンドルフランジ30を含む。蓋ハンドル12は、ロータ10を遠心分離機の中に挿入するとき、又は遠心分離機からロータ10を取り外すときなど、実質的に軸方向(例えば、垂直)方向にロータ10を持ち上げることを容易にするグリップを提供し得る。
図4及び4Aによって最良に示されるように、蓋ハンドル12は、回転軸28を中心とし、クランプねじ34を受容するように構成されたハンドルボア32を含む。ハンドルボア32は、上部及び底部開口部と、上部開口部と底部開口部との間に位置する点でハンドルボア32の直径を狭めるボア肩部36と、を含む。
【0073】
クランプねじ34は、ハンドルボア32の上部開口部の中に挿入されたときに、ボア肩部36に係合するように構成されたヘッド38を含む。ボア肩部36は、クランプねじ34のヘッド38がボア肩部36に係合するとき、クランプねじ34のねじ山部分40が、ハンドルボア32の底部開口部から延在するように、ハンドルボア32の長さに沿って位置付けられ得る。ハンドルボア32の上部開口部の中に、プラグ42を挿入し得る。プラグ42は、蓋ハンドル12を捩じると、クランプねじ34が蓋ハンドル12とともに回転するように、クランプねじ34が蓋ハンドル12に対して回転することを防止するように構成され得る。プラグ42はまた、蓋ハンドル12が蓋14から取り外されたときに、クランプねじ34がハンドルボア32から脱落することを防止し得る。
【0074】
蓋14は、その周囲に沿った蓋フランジ44と、回転軸28を中心とする中心孔46と、を含む。蓋フランジ44の底表面48は、ベベル52によって蓋14の底表面50に接続される。蓋14の底表面50は、アダプタハンドル55を収容するように各々構成された複数のキャビティ53を含み得る。中心孔46は、クランプねじリテーナ54を受容するように構成され得る。クランプねじリテーナ54は、回転軸28を軸方向に中心とする円筒形本体56と、円筒形本体56を中心とし、これと軸方向に整列したねじ付きボア58と、円筒形本体56から半径方向外向きに突出するクランプねじリテーナフランジ60と、円筒形本体56から下向きに突出するねじ棒62と、を含む。円筒形本体56は、ピン59を受容するように各々構成された1つ以上のピン孔57を更に含み得る。ピン59は、蓋ハンドル12の対応するピン孔33に係合し得、これにより、蓋ハンドル12がクランプねじ34によってリテーナ54に固定されるときに、蓋ハンドル12がリテーナ54に対して回転することを防止する。
【0075】
クランプねじリテーナ54の円筒形本体56は、蓋14の中心孔46の直径と同じか又はわずかに小さい直径を有し得る。これにより、クランプねじリテーナ54が、蓋14を回転軸28の周りに位置付け得る。クランプねじリテーナ54のねじ付きボア58は、クランプねじ34のねじ山部分40とねじ係合するように構成される。蓋ハンドル12がクランプねじリテーナ54に対して回転することに応答して、クランプねじ34のねじ山部分40が、回転方向に応じて、クランプねじリテーナ54のねじ付きボア58の中に引き込まれ、かつそこから押し出される。クランプねじ34が締め付けられると、ハンドルフランジ30とクランプねじリテーナフランジ60との間に蓋14を固定する圧縮力が提供されるように、その頭部38をボア肩部36に押し付ける。
【0076】
駆動ハブ16は、回転軸28を中心とし、かつそれと整列された円筒形本体64と、円筒形本体64を中心とし、これと軸方向に整列したねじ付きボア66と、円筒形本体64から半径方向外向きに突出する駆動ハブフランジ68と、遠心分離機のスピンドルを受容するように構成されたテーパ状ボア70と、を含む。駆動ハブフランジ68は、一般に、駆動ハブ16の円筒形本体64を、上部分72と、下部分74と、に分割し得る。ねじ付きボア66及びテーパ状ボア70は、通路76によって接続され得る。円筒形本体64の下部分74は、リテーニングナット26とねじ係合するように構成されたその外表面の一部分にねじ山78を含む。
【0077】
各アダプタ18は、処理容器142、例えば、バイオバッグを受容するように構成されている。各アダプタ18は、エポキシマトリックスの中の切断された炭素繊維、又はポリプロピレンマトリックスの中の20%のガラス繊維充填材などの様々な材料で作製され得る。各アダプタ18は、外壁80と、内側開口部82と、側壁84、86と、頂壁88と、底壁90と、を備える、アダプタ本体79を含み得る。各側壁84、86は、外壁80のそれぞれの軸方向に整列した縁部を、内側開口部82のそれぞれの軸方向に整列した縁部に接合し得る。アダプタ18の側壁84、86は、半径方向の寸法において角度θで配向し得る。本発明の一実施形態では、角度θは
【数1】
360/Nであり、ここで、Nは、ロータライナ20によって保持することができるアダプタ18の数である。
【0078】
アダプタ18の側壁84、86が配向される角度θは、アダプタ18に楔形状を与え得る。この楔形状は、外壁80における円周方向の長さが、内側開口部82の円周方向の長さよりも大きくなることをもたらし得、円周方向における長さの差は、外壁80と内側開口部82との間の半径方向距離と反比例の関係を有する。頂壁88及び底壁90は、互いに略平行であり得、楔形状を有し得、また、処理容器を受容するように構成された開放面キャビティ92を画定するように、外壁80、内側開口部82、及び側壁84、86のそれぞれの縁部を接合し得る。
【0079】
側壁84、86の半径方向の長さは、内側開口部82が、ロータライナ20の内壁104から外壁80に向かって半径方向にオフセットされるような長さであり得る。このオフセットにより、流体ライン、クランプ、マニホールド、又はアダプタ18とロータライナ20との間における処理容器に対する他の付属品のためのスペースが提供され得る。流体ライン及び他の構成要素が、遠心分離前に処理容器に懸濁液を追加するために、かつ遠心分離後に処理容器上澄み又はペレット材料を除去するために使用され得る。
【0080】
有利に、アダプタ18から処理容器を取り外すことなく、上澄み又はペレット材料が除去されることを可能にすることは、処理容器の動きに起因して上澄みの中に再懸濁するペレットの量を低減し得る。処理容器は、内側開口部82を通してアダプタ18のキャビティ92の中に挿入され、かつそこから取り出し得る。アダプタ18の中への処理容器の挿入は、懸濁液が処理容器に追加される前、又は後に行われ得、アダプタ18からの処理容器の取り外しは、懸濁液の処理された成分の1つ又は両方の除去の前又は後に行われ得る。
【0081】
図2によって最良に示されるように、外壁80は、アダプタ18がロータライナ20の中に着座したときの、回転軸28からの壁の半径方向距離に略対応する、上面から見たときに湾曲した形状を有し得る。
図4に最良に示されているように、外壁80の半径方向内向きの表面は、軸方向において、略直線であり得る。
図4Aに示す本発明の代替的な実施形態では、外壁80の半径方向内向きの表面は、軸方向に整列した湾曲テーパ80aを含み得る。湾曲テーパ80aは、外壁が、底壁90から頂壁88に向かって延在するにつれて、外壁80の厚さが徐々に増加することによって提供され得る。有利に、湾曲テーパ80aは、矢印99によって示されるように、遠心分離中に懸濁固形物を底壁90に向けて集め得る。これにより、ペレットの一部分を再懸濁することなく、に上澄みをデカントするだけでなく、ペレットを回収することの両方を容易にし得る。
【0082】
側壁84、86、頂壁88、及び底壁90は、略平坦であり得る。アダプタハンドル55は、アダプタ本体79から上向きに突出し得る。特に、アダプタハンドル55は、頂壁88上に位置し得る。これにより、アダプタハンドル55は、アダプタ18をロータライナ20の中に配置し、かつそこからアダプタ18を取り外すことを容易にするグリップを提供し得る。
図4及び4Aに示されるように、蓋14の底表面50は、アダプタ18のハンドル55を収容するように円周方向に離間したキャビティ53を含む。処理容器は、ロータライナ20の中に配置される前に密閉される使い捨て容器であり得、このため、遠心分離後にロータ10を洗浄する必要がなくなる。
【0083】
ロータライナ20は、アダプタ18を保持するように各々構成された、複数(例えば、8つ)のレセプタクル100を含み得る。各レセプタクル100は、各対の隣接するレセプタクル100の間にポケット102を提供するために十分な距離だけ、その隣接するレセプタクル100から離間され得る。各レセプタクル100は、軸方向の動きを使用してロータ10の中に配置されたアダプタ18を受容及び固定するように構成され得る。回転軸28に対してアダプタ18を傾斜させることなく、アダプタ18がロータライナ20に挿入され、かつそこから取り外されることを可能にすることは、遠心分離後の処理容器の衝突に起因するペレットの再懸濁の量を低減し得る。各アダプタ18を固定するためのレセプタクル100の使用は、アダプタ18の質量及びそれらの内容物が回転軸28に対して均等に分散されている限り、完全に装填されているよりも少ない処理容器で、ロータ10が動作されることも可能にし得る。例えば、各アダプタ18が対応するアダプタ18の反対に位置付けられ、残りのレセプタクル100が空である状態で、8つのうちの2つ、8つのうちの4つ、又は8つのうちの6つのレセプタクル100が、アダプタ18によって占領され得る。各レセプタクル100は、内壁104と、外壁106と、2つの側壁108、110と、を含み得、楔形状を有し得る。各レセプタクル100の側壁108、110は、半径方向に延在し得る。内壁及び外壁104、106は、それらの表面の各々が、回転軸28からそれぞれ固定された距離にあるように湾曲し得る。
【0084】
ロータ本体22は、上向きの開口部118を有するチャンバ116を画定する、略円形のベース112と、円周側壁114と、を含む。側壁114は、半径方向外向きの表面120と、リム122と、を含む。リム122は、開口部118の周囲を画定し得、かつ蓋14のベベル52に係合するように構成された半径方向内向きの表面124を含み得る。これにより、蓋14のベベル52及びリム122の半径方向内向きの表面124は、蓋14がロータ10に連結されたときに、チャンバ116を密閉するように協働し得る。蓋14とロータ本体22との間の密閉は、ロータ本体22内の処理容器からのいかなる漏出も阻止し得、これにより、サンプルの汚染の可能性と、遠心分離機の操作者の作業空間の中への生物学的材料の導入の両方を低減する。
【0085】
リム122は、側壁114の半径方向外向きの表面120上に上肩部126を形成するように、側壁114から外向きに突出し得る。側壁114の半径方向外向きの表面120から外向きに突出する隆起部128は、側壁114の底縁に近接して位置付けられた下肩部130を提供し得る。上肩部及び下肩部126、130は、補強材24の軸方向の動きを防止し得る。
【0086】
ロータ本体22は、そのベース112の中の中心孔132と、複数のトルク伝達部材134と、を含む。ロータ本体22の中心孔132は、駆動ハブ16の下部分を受容するように構成され得る。中心孔132と同じ内径を有するトルク伝達リング136が、ロータ本体22のベース112から上向きに突出する。トルク伝達リング136は、リテーニングナット26が駆動ハブ16下部分74のねじ山78とねじ係合するとき、ロータ本体22が駆動ハブ16にしっかりと固定されるように、駆動ハブフランジ68の底表面に係合するように構成された頂表面138を含む。
【0087】
トルク伝達部材134は、トルク伝達リング136を介して伝達されるトルクを、遠心分離機のスピンドルからロータライナ20まで伝達するように動作し得る。ベース112、側壁114、トルク伝達部材134、及びトルク伝達リング136が、例えば、成形処理を使用して単一の材料片から形成されるように、トルク伝達部材134をロータ本体22と一体化し得る。ロータ本体22の各トルク伝達部材134は、トルク伝達リング136の半径方向外向きの表面から側壁114の半径方向内向きの表面まで、半径方向に延在し得る。ロータ10の例示的な実施形態は、8個のトルク伝達部材134を描写しているが、本発明は、特定の数のトルク伝達部材134に限定されない。例えば、ロータ10は、2個~12個のトルク伝達部材134を有し得る。しかしながら、ロータ10の中に含め得るトルク伝達部材134の数に、固定された上限はないことを理解されたい。
【0088】
トルク伝達部材134は、ロータ本体22を補強するために、ベース112から上向きに突出する半径方向に整列したリブ137と、側壁114の半径方向内向きの表面から回転軸28に向かって半径方向内向きに突出する軸方向に整列したリブ139と、を各々含む。半径方向に整列したリブ137及び軸方向に整列したリブ139は、開口部118に向かって軸方向寸法に沿ってそれらの円周方向の幅を低減させるテーパを各々含み得る。このテーパは、ロータライナ20とレセプタクル100との間に密接な嵌合を提供し得、これにより、ロータ本体22内におけるロータライナ20の横方向の動きを低減又は排除する。テーパはまた、ロータ本体22が射出成形される実施形態に対して、金型からのロータ本体22の取り外しを容易にし得、10度以上の角度を有し得る。
【0089】
半径方向に整列したリブ137は、幅広端と、幅狭端と、を有する弓形テーパを含み得、テーパの幅広端によって、ベース112の上表面に接合され得る。軸方向に整列したリブ139はまた、幅広端と、幅狭端と、を有する弓形テーパを含み得、テーパの幅広端によって、側壁114の半径方向内向きの表面に接合され得る。半径方向及び軸方向に整列したリブ137、139の弓形テーパは、トルク伝達部材134とロータ本体22の隣接する表面との間に滑らかな移行を提供し得る。トルク伝達部材及びリングは、2018年10月2日に発行された米国特許第10,086,383号に詳細に記載されており、その開示の全体が、本明細書において参照により援用される。
【0090】
トルク伝達部材134は、ロータライナ20の対応するレセプタクル100を受容するように各々構成された、複数の円周方向に離間したレセプタクル140を画定する。これにより、トルク伝達部材134は、ロータライナ20がロータ本体22に対して回転することを防止するように、ロータライナ20に係合し得る。これにより、ロータ本体22に対してロータライナ20が大きく動くことなく、駆動ハブ16及びトルク伝達リング136を介してロータ10に付与される回転力をロータライナ20まで伝達することが可能となり得る。
【0091】
この目的のために、トルク伝達部材134は、ロータライナ20がロータ本体22の中に配置されるときに、ロータライナ20のレセプタクル100の間のポケット102に嵌合するか、若しくは係合するように構成され得る。本発明の一実施形態では、ロータライナ20がロータ本体22の中に配置されたときに、1個のトルク伝達部材134がロータライナ20の各レセプタクル100の間に延在するように、トルク伝達部材134の数が、レセプタクル100の数と一致し得る。本発明の別の実施形態では、トルク伝達部材134が、レセプタクル100よりも少なくても良い。この場合、トルク伝達部材134は、ロータライナ20がロータ本体22の中に配置されるとき、例えば、1つおきのポケット102、3つおきのポケット102(例えば、6つのレセプタクルを有するロータの場合)、4つおきのポケット102など、ロータライナ20のポケット102のうちのいくつかだけの中に延在し得る。
【0092】
ポケット102よりも少ない数のトルク伝達部材134を有する実施形態において、ロータ本体22は、トルク伝達部材134の間に位置する半径方向及び軸方向に整列した「受動」リブを含み得る。これらの受動リブは、空のポケット102に係合し、ロータライナ20をロータ本体22内に固定することを助けるように構成され得るが、トルク伝達リング136からロータ本体22の残りの部分までトルクを伝達するために必要なトルク伝達部材134の構造的剛性を欠く可能性があり得る。受動リブの使用は、ロータ10の総質量を低減し得る。
【0093】
例として、一実施形態では、円周方向に離間したリブ137、139の半分(例えば、4つのリブ)は、円周方向に互いに90度離間して配設されたトルク伝達部材134を備え得、残りのリブ137、139は、各対の隣接するトルク伝達部材134の間の中間に位置する支持機能を提供するのみである。別の実施形態では、円周方向に離間したリブ137、139の全てが、ロータライナ20を支持する役割のみを果たし得る。本実施形態では、駆動ハブ16から円周側壁114までトルクを伝達するトルク伝達部材は、ロータ本体22のベース112の下に位置し得る。
【0094】
ロータ本体22は、結合材料の中に炭素繊維積層体の1つ以上の層を含む炭素繊維強化複合材料で構成され得る。炭素繊維積層体の1つ以上の層(例えば、ロータ本体22のベース112を構成する層)は、炭素繊維が隣接する層の炭素繊維と比較して角度をなして、例えば、45度の角度で走るように、直下の層に対して回転され得る。1つ以上の炭素繊維層(例えば、トルク伝達部材134を構成する層)は、繊維の少なくともいくつかが、トルク伝達リング136からロータ本体22の側壁114へと半径方向に長さ方向に配向されるように構成され得る。これらの半径方向に整列した繊維は、遠心力に耐えるロータ本体22の能力を増加させ得る。結合材料は、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ)、ポリエステル、ビニルエステル、ナイロン、又は任意の他の好適な結合材料などのポリマーであり得る。ロータ本体22はまた、樹脂コーティングされた炭素繊維材料の層から圧縮成形され得る。
【0095】
ロータライナ20は、ロータ10のロータ本体22に接合され得る、又はロータ本体22に取り外し可能に取り付けられ得る。取り外し可能に取り付けられたロータライナ20は、例えば、洗浄のためにロータライナ20を取り外すことを可能にする、ロータ本体22との摩擦嵌合部を有し得る。ロータライナ20は、炭素繊維を含む複合材料などの剛性材料から形成され得る。ロータライナ20は、射出成形、付加製造(例えば、3D印刷)、又は任意の他の好適な処理を使用して製造され得る。
【0096】
側壁114の半径方向内向きの表面及びロータ本体22のトルク伝達部材134は、遠心分離中のレセプタクル100の加速によって生じる負荷に対抗し得る。これにより、各レセプタクル100は、ベース112、側壁114、及びロータ本体22の一対の円周方向に隣接するトルク伝達部材134によって、ロータ10内で独立して支持され得る。本発明の一実施形態では、ロータ10は、5,000~6,000回転/分(RPM)の最高速度で回転され得、地球の重力の約10,000倍の求心加速度を処理容器の中に生成し得る。
【0097】
補強材24は、ロータ本体22の側壁114の周りに延在する1本以上のヘリカル巻線を含み得、フィラメントワインディング処理と、それに続く、エポキシコーティングされた炭素繊維などの好適な材料を使用した圧縮成形処理によって形成され得る。例えば、補強材24は、樹脂コーティングされた炭素繊維積層材料の層を、側壁114の半径方向外向きの表面上に配置した後、又は1本以上の炭素繊維のストランドを巻き付けた後、ロータ本体22上に圧縮成形され得る。補強材24は、ロータ10にかかる遠心力の大部分に耐えるように構成され得る。フィラメントワインディング処理を使用して遠心分離機ロータの補強材を形成する方法は、2012年12月4日に発行された米国特許第8,323,169号に詳細に記載されており、その開示の全体が、本明細書において参照により援用される。
【0098】
リテーニングナット26は、アダプタ18、ロータライナ20、ロータ本体22、及び補強材24のうちの1つ以上に対して蓋14を押し付ける軸方向の圧縮力が提供されるように、駆動ハブ16の下部分74のねじ山78とねじ係合する。蓋ハンドル12、駆動ハブ16、リテーニングナット26、クランプねじ34、プラグ42、クランプねじリテーナ54、ピン59は、金属(例えば、316ステンレス鋼)又は他の好適な材料から作製され得る。
【0099】
バイオバッグの形態の処理容器142は、懸濁液を受容するためのコンパートメントを画定する可撓性を有する折り畳み式バッグ144と、同様の数のポート147によってコンパートメントに動作可能に連結させた1つ以上(例えば、2つ)の流体ライン146と、を含み得る。クランプ148は、遠心分離中にコンパートメントの中の液体が逃げることができないように、各流体ライン146を選択的に挟むように構成され得る。バッグ144は、コンパートメントを取り囲む継ぎ目を形成するように、一緒に接着された2枚の重なり合うシートから構成され得る。継ぎ目は、熱溶接などの任意の好適な手法を使用して形成され得る。1つ以上のポート147は、密閉接続を形成するように、シートの間に接着され得る。
【0100】
バッグ144を形成する各シートは、低密度ポリエチレンなどの可撓性を有する、水不透過性ポリマーフィルムから構成され得る。フィルムは、二重壁バイオバッグを形成するように、一緒に封止されるか、又は分離される1つ以上の層を含み得る。層を一緒に封止する実施形態では、バイオバッグ材料は、積層材料又は押出材料を含み得る。積層材料は、熱、接着剤、又は層を接着するための任意の他の好適な処理を使用して、2つ以上の別個に形成された層を接着することによって形成され得る。
【0101】
バイオバッグの製造に使用され得る押出材料の一例は、Thermo Fisher Scientific of Logan、 Utahから入手可能なThermo Scientific CX3-9フィルムである。バイオバッグ材料は、生細胞との直接接触が認められ、無菌溶液の無菌性を維持することが可能な材料であり得る。バイオバッグは、上記において参照により援用されている、国際公開第WO2019/166998号にも詳細に記載されている。
【0102】
流体ライン146は、処理容器142に液体を追加する、又はそこから除去するために使用されるマニホールドシステム(図示せず)の一部であり得る。処理容器142をアダプタ18の中に配置する前に、又は処理容器142がアダプタ18の中に配置された後に、処理容器142を生物懸濁液で充填し得る。同様に、遠心分離後に処理容器142が依然としてアダプタ18の中にある間に、上澄み又はペレットを処理容器142からデカントし得る、又は上澄み又はペレットをデカントする前に、処理容器142をアダプタ18から取り外し得る。充填/デカントもまた、アダプタ18がロータ本体22の中にある間に行われ得る。
【0103】
空になったときに、各処理容器142をそのそれぞれのアダプタ18の中に配置し、かつペレットのみをアダプタ18から取り出すことにより、アダプタ18の装填及び取り出しを容易にし得、より大きな処理容器の使用が可能となり得る。アダプタ18の中にある間に処理容器を充填/空にすることを容易にするために、充填/空にされた各アダプタ18の外壁80を支持するように構成された湾曲表面を有するラックによって、1つ以上のアダプタ18が支持され得る。ラックは、ラックの中の各アダプタ18の内側開口部82が上向き、外壁80が下向きになるように構成され得る。ラックは、例えば、バイオリアクタ、又は他の懸濁液源に接続されたマニホールドを通じて、処理容器142を同時に充填することができるように、空の処理容器142を各々収容する、複数のアダプタ18を保持し得る。
【0104】
遠心分離後、各容器アダプタ18内の処理容器142から上澄みを取り出すために、同様の又は類似のラックが使用され得る。この目的のために、ロータ10から上方にアダプタ18が引き上げられ得、次に、外壁80がラックの中のレセプタクルと整列し、また、内側開口部82が上澄みの除去を容易にする位置(例えば、上向き)になるまで(例えば、90度に)傾斜され得る。一旦レセプタクルと整列すると、アダプタ18は、ラック内に配置され得る。上澄みは、アダプタ18の外壁80に隣接する処理容器142の内側表面に沿ってペレットが集中するように、上澄みの大部分が除去されるまで処理容器142から汲み出され得る。一旦ペレットが集中されると、クランプと重力を使用して、残りの上澄みの大部分又は全てが除去され得る。代替的に、各処理容器142から残りの上澄みを排出するために、空気が(例えば圧縮機から)処理容器142の中に導入され得る。処理容器142を充填するために使用されるマニホールドは、遠心分離前に処理容器142から切り離され得、次に、遠心分離後に1つ以上の処理容器142から上澄み液を共通の収集バッグの中にデカントするために、再接続され得る。別の実施形態では、処理容器142を充填するために使用されるマニホールドは、遠心分離中に留置され得、その後、上澄みを除去するために使用され得る。
【0105】
マニホールドを留置することにより、バッチ処理中に処理容器142に流体を充填し、かつそこから除去することを容易にし得る。例えば、遠心分離の期間の合間に、上澄みが除去され得、かつ新鮮な懸濁液が処理容器142に追加され得る。有利に、この特徴は、ペレットが処理容器142の容量の大部分(例えば70%)を占領するまで、懸濁液の複数のバッチ(例えば、小さなペレットを生成する懸濁液の場合は15個のバッチ)を同じ処理容器142の中で処理することを可能にし得る。処理容器142及びアダプタ18は、任意の所望の体積の生物懸濁液を収容するように構成され得、典型的な体積は、約6リットルである。遠心分離機において使用されるバッグの充填及びデカントについては、2019年9月6日に公開された国際公開第WO2019/166998号に詳細に記載されており、その開示の全体が、本明細書において参照により援用される。
【0106】
所望の材料が主に、又は専ら上澄みの中に見られる用途では、細胞材料を含むバイオバッグは、一旦上澄みが除去されると廃棄され得る。他の用途では、一旦上澄みが取り出されると、細胞を再懸濁するために、水性緩衝液がバイオバッグに追加され得る。次に、緩衝液の中の再懸濁した細胞が、例えば、重力を使用してバイオバッグから取り出され得る。
【0107】
図5~7は、本発明の代替的な実施形態によるロータ150を描写する。ロータ150は、1つ以上の処理容器156(例えば、ボトル)、駆動ハブ158、及びリテーニングナット160を保持するように各々構成された複数のアダプタ154を受容するように構成されたロータ本体152を含む。処理ボトルは、2012年7月10日に発行された米国特許第8,215,508号に詳細に記載されており、その開示の全体が、本明細書において参照により援用される。
【0108】
ロータ本体152は、上向きの開口部168を有するチャンバ166を画定する、略円形のベース162と、円周側壁164と、を含む。側壁164は、補強材165(例えば、炭素繊維巻線など)と、半径方向外向きの表面と、開口部168の周囲を画定するリム170と、を含み得る。ロータ本体152は、ベース162の中の中心孔(図示せず)と、複数のトルク伝達部材172と、ベース162から上向きに突出し、中心孔と軸方向に整列するトルク伝達リング174と、を更に含み得る。
【0109】
駆動ハブ158は、駆動ハブフランジ178から上向きに延在するハブシャフト176を含む。ハブシャフト176は、円筒形であり得、上部分180と、ねじ山部分182と、下部分184と、遠心分離機のスピンドルを受容するように構成されたテーパ状ボア(図示せず)と、を含む。ハブシャフト176の下部分184は、駆動ハブ158がそれに係合されたときに、ロータ10が遠心分離機のスピンドルと軸方向に整列するように、ベース162の中心孔及びトルク伝達リング174の内側ボアに係合するように構成され得る。
【0110】
トルク伝達リング174は、リテーニングナット160がハブシャフト176のねじ山部分182とねじ係合すると、ロータ本体152が駆動ハブ158にしっかりと固定されるように、リテーニングナット160の底表面に係合するように構成された頂表面186を含む。リテーニングナット160が締め付けられると、リテーニングナット160と駆動ハブフランジ178との間にロータ本体152を固定する軸方向の圧縮力が提供されるように、その底表面をトルク伝達リング174の頂表面186に押し付け、かつ駆動ハブフランジ178の頂表面をベース162の底表面に押し付ける。
【0111】
トルク伝達部材172は、トルク伝達リング174を介して伝達されるトルクを、遠心分離機のスピンドルからロータ本体152及びアダプタ154まで伝達するように動作し得る。上に記載されるものと同様の方法で、ベース162、側壁164、トルク伝達部材172、及びトルク伝達リング174が、例えば、成形処理を使用して、単一の材料片から形成されるように、トルク伝達部材172をロータ本体152と一体化し得る。
【0112】
ロータ本体152の各トルク伝達部材172は、トルク伝達リング174から側壁164に向かって半径方向に延在する半径方向に整列したリブ179と、ベース162から開口部168に向かって軸方向上向きに延在する軸方向に整列したリブ188と、を含む。半径方向に整列したリブ179は、幅広端と、幅狭端と、を有する弓形テーパを含み得、テーパの幅広端によって、ベース162の上表面に接合され得る。軸方向に整列したリブ188はまた、幅広端と、幅狭端と、を有する弓形テーパを含み得、テーパの幅広端によって、側壁164の半径方向内向きの表面に接合され得る。
【0113】
トルク伝達部材172は、対応するアダプタ154を受容するように各々構成された複数の円周方向に離間したレセプタクル194(例えば、8つのレセプタクル)を画定し得る。半径方向及び軸方向に整列したリブ179、188の弓形テーパは、トルク伝達部材172及びロータ本体152の隣接する表面との間に滑らかな移行を提供し得、また、軸方向の動きを使用して、アダプタ154をそれらのそれぞれのレセプタクル194の中に配置し、かつそこから取り外すことも可能となり得る。
【0114】
各アダプタ154は、略矩形状に形成されたアダプタ本体196と、グリップを提供するアダプタハンドル198と、を含む。アダプタハンドル198は、アダプタ本体196から上向きに突出し得る。これにより、アダプタハンドル198は、アダプタ154をロータ本体152の中に配置し、かつそこからアダプタ154を取り外すことを容易にし得る。アダプタ本体196は、1つ以上(例えば、2つ)の半径方向内向きのキャビティ200と、隣接する軸方向に整列したリブ188に係合するように各々構成された、2つの反対方向かつ円周方向に延在するローブ202と、を含み得る。ローブ202は、軸方向に整列したリブ188の弓形テーパの曲率半径と一致する曲率半径を有し得る。これにより、遠心分離中にアダプタ154が半径方向又は円周方向に移動することを防止するように、ローブ202が、軸方向に整列したリブ188に係合するように構成され得る。
【0115】
半径方向内向きのキャビティ200の各々は、略水平方向に配向され得、処理容器156を受容するように構成され得る。アダプタ154がロータ150の外側にある間に、処理容器156は、アダプタ154の中に装填され得る。アダプタ154がロータ150の外側にある間に、処理容器156をアダプタ154の中に装填する能力は、処理容器156がロータの中に直接挿入されるロータと比較して、処理容器156の軸に面する端部と駆動ハブ158との間の距離を低減させることを可能にし得る。
【0116】
本発明は、その具体的な実施形態の説明によって例示され、本実施形態はかなり詳細に記載されてきたが、添付の特許請求の範囲をそのような詳細に限定、又はいかなる方法でも制限することを意図したものではない。したがって、本明細書で考察される様々な特徴は、単独で又は任意の組み合わせで使用され得る。追加の利点及び修正が、当業者には容易に明らかとなろう。したがって、本発明は、そのより広義な態様において、図示及び説明される具体的な詳細、代表的な装置及び方法、並びに、例示的な実施例に限定されるものではない。したがって、このような詳細からの逸脱は、一般的な発明の概念の範囲又は精神から逸脱することなく行われ得る。
【国際調査報告】