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特表2023-530258サスペンション装置のための非作動時衝撃緩和
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-14
(54)【発明の名称】サスペンション装置のための非作動時衝撃緩和
(51)【国際特許分類】
   G11B 21/21 20060101AFI20230707BHJP
   G11B 5/60 20060101ALI20230707BHJP
【FI】
G11B21/21 D
G11B5/60 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022575922
(86)(22)【出願日】2021-06-09
(85)【翻訳文提出日】2022-12-27
(86)【国際出願番号】 US2021036642
(87)【国際公開番号】W WO2021252648
(87)【国際公開日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】17/342,297
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/037,524
(32)【優先日】2020-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517151084
【氏名又は名称】マグネコンプ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】MAGNECOMPCORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】イー、クエン チー
(72)【発明者】
【氏名】グラース、デイビッド
(57)【要約】
フレクシャが本明細書に記載される。フレクシャは、近位端および遠位端を有するスライダ舌部を含む。スライダ舌部は、フレクシャに取り付けられたロードビームの下面に接触しやすく構成された前縁をその近位端に含む。フレクシャはまた、遠位端でスライダ舌部に取り付けられた磁気読み取り/書き込みヘッドスライダと、近位端および遠位端の間でスライダ舌部に固定された少なくとも一つのPZTマイクロアクチュエータと、非作動時衝撃事象中のインパルスを低減し、少なくとも一つのPZTマイクロアクチュエータにかかる応力を低減するように構成された、スライダ舌部の前縁にある少なくとも一つの減衰装置と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレクシャであって、
近位端および遠位端を有するスライダ舌部であって、前記近位端に前縁を含む、スライダ舌部と、
非作動時衝撃事象中のインパルスを低減し、応力を低減するように構成された、前記スライダ舌部の前記前縁にある少なくとも一つの減衰装置と、を備えるフレクシャ。
【請求項2】
前記少なくとも一つの減衰装置は複数の減衰装置を含み、その一つが前記前縁の各角部に配置され、少なくとも一つの減衰装置が前記前縁の各角部の間に配置される、請求項1に記載のフレクシャ。
【請求項3】
前記少なくとも一つの減衰装置は、前記スライダ舌部の表面から延びる卑金属材料から作られる、請求項1に記載のフレクシャ。
【請求項4】
前記少なくとも一つの減衰装置は、前記スライダ舌部に取り付けられた粘弾性材料を含む、請求項1に記載のフレクシャ。
【請求項5】
前記少なくとも一つの減衰装置は、前記近位端の方向に端部で湾曲している、請求項1に記載のフレクシャ。
【請求項6】
フレクシャであって、
近位端および遠位端を有するスライダ舌部であって、前記近位端に前縁を含む、スライダ舌部と、
前記遠位端で前記スライダ舌部に取り付けられた磁気読み取り/書き込みヘッドスライダと、
前記近位端および前記遠位端の間で前記スライダ舌部に固定された少なくとも一つのアクチュエータと、
非作動時衝撃事象中のインパルスを低減し、前記少なくとも一つのアクチュエータにかかる応力を低減するように構成された、前記スライダ舌部の前記前縁にある少なくとも一つの部分的エッチング部と、を備えるフレクシャ。
【請求項7】
前記少なくとも一つの部分的エッチング部は複数の部分的エッチング部を含み、その一つが前記前縁の各角部に配置される、請求項6に記載のフレクシャ。
【請求項8】
前記少なくとも一つの部分的エッチング部は、前記前縁の各角部の間に配置された少なくとも一つの減衰装置を含む、請求項7に記載のフレクシャ。
【請求項9】
ロードビームであって、
フレクシャを受容するように構成された取付面と、
前記フレクシャが前記ロードビームに衝突する非作動時衝撃事象の衝撃を低減するための、前記ロードビーム上の位置にある一つ以上の減衰材料と、を備えるロードビーム。
【請求項10】
前記一つ以上の減衰材料は、前記フレクシャのスライダ舌部の前縁の衝撃を緩和するように構成される、請求項9に記載のロードビーム。
【請求項11】
前記一つ以上の減衰材料は、粘弾性材料から作られる、請求項10に記載のロードビーム。
【請求項12】
前記一つ以上の減衰材料は、非作動時衝撃事象中のスライダ舌部の衝撃エネルギーを減衰させるように構成される、請求項9に記載のロードビーム。
【請求項13】
一つ以上の部分的エッチング領域を備え、前記一つ以上の部分的エッチング領域の各々は、前記一つ以上の減衰材料に位置する、請求項9に記載のロードビーム。
【請求項14】
フレクシャであって、
近位端および遠位端を有するスライダ舌部であって、前記スライダ舌部は、前記近位端に前縁を含む、スライダ舌部と、
前記遠位端で前記スライダ舌部に取り付けられた磁気読み取り/書き込みヘッドスライダと、
前記近位端および前記遠位端の間で前記スライダ舌部に固定された少なくとも一つのアクチュエータと、
非作動時衝撃事象中のインパルスを低減し、前記少なくとも一つのアクチュエータにかかる応力を低減するように構成された、前記スライダ舌部の前記前縁にある少なくとも一つの減衰装置と、を含むフレクシャと、
ロードビームであって、
前記フレクシャを受容するように構成された取付面と、
非作動時衝撃事象中の前記フレクシャの前記スライダ舌部が前記ロードビームの前記取付面に接触する位置に配置された一つ以上の減衰材料と、を含むロードビームと、を備えるサスペンション。
【請求項15】
前記少なくとも一つの減衰装置は複数の減衰装置を含み、その一つが前記前縁の各角部に配置され、少なくとも一つの減衰装置が前記前縁の各角部の間に配置される、請求項14に記載のサスペンション。
【請求項16】
前記少なくとも一つの減衰装置は、前記スライダ舌部の表面から延びる卑金属材料から作られる、請求項14に記載のサスペンション。
【請求項17】
前記少なくとも一つの減衰装置は、前記スライダ舌部に取り付けられた粘弾性材料を含む、請求項14に記載のサスペンション。
【請求項18】
前記少なくとも一つの減衰装置は、前記ロードビームに接触する端部で湾曲している、請求項14に記載のサスペンション。
【請求項19】
前記一つ以上の減衰材料は、粘弾性材料から作られる、請求項14に記載のサスペンション。
【請求項20】
一つ以上の部分的エッチング領域を備え、前記一つ以上の部分的エッチング領域の各々は、前記一つ以上の減衰材料に位置する、請求項14に記載のサスペンション。
【請求項21】
ロードビームであって、
フレクシャを受容するように構成された取付面と、
前記フレクシャが前記ロードビームに衝突する非作動時衝撃事象の衝撃を低減するための、前記ロードビーム上の位置にある一つ以上の減衰装置と、を備えるロードビーム。
【請求項22】
前記一つ以上の減衰装置は、前記フレクシャのスライダ舌部の前縁の衝撃を緩和するように構成される、請求項21に記載のロードビーム。
【請求項23】
前記一つ以上の減衰装置は、非作動時衝撃事象中のスライダ舌部の衝撃エネルギーを減衰させるように構成される、請求項21に記載のロードビーム。
【請求項24】
前記減衰装置は、一つ以上のエッチング領域である、請求項21に記載のロードビーム。
【請求項25】
前記減衰装置は、前記ロードビームから延びる卑金属材料から形成される、請求項21に記載のロードビーム。
【請求項26】
フレクシャであって、
近位端および遠位端を有するスライダ舌部であって、前記スライダ舌部は、前記近位端に前縁を含む、スライダ舌部と、
前記遠位端で前記スライダ舌部に取り付けられた磁気読み取り/書き込みヘッドスライダと、
前記近位端および前記遠位端の間で前記スライダ舌部に固定された少なくとも一つのアクチュエータと、を含むフレクシャと、
ロードビームであって、
前記フレクシャを受容するように構成された取付面と、
非作動時衝撃事象中の前記フレクシャの前記スライダ舌部が前記ロードビームの前記取付面に接触する位置に配置された一つ以上の減衰装置と、を含むロードビームと、を備えるサスペンション。
【請求項27】
非作動時衝撃事象中のインパルスを低減し、前記少なくとも一つのアクチュエータにかかる応力を低減するように構成された、前記スライダ舌部の前記前縁にある少なくとも一つの減衰装置を備える、請求項26に記載のサスペンション。
【請求項28】
前記減衰装置は、一つ以上のエッチング領域である、請求項26に記載のサスペンション。
【請求項29】
前記減衰装置は、前記ロードビームから延びる卑金属材料から形成される、請求項26に記載のサスペンション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハードディスクドライブ用サスペンションの分野に関する。より詳細には、本開示は、非作動時衝撃損傷を軽減するための減衰特徴を含むサスペンション装置の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ハードディスクドライブ、および光ディスクドライブなどの他のタイプの回転メディアドライブがよく知られている。典型的なディスクドライブユニットは、ディスクドライブ上に記憶されたデータを構成する磁気記憶媒体の1および0のパターンを含む回転磁気ディスクを含む。磁気ディスクは、駆動モータによって駆動される。ディスクドライブユニットは、ロードビームの遠位端に近接して磁気読み取り/書き込みが取り付けられるディスクドライブサスペンションをさらに含む。サスペンションまたはロードビームの「近位」端は、支持される端部、すなわち、アクチュエータアームにスエージ加工されるか、または他の方法で取り付けられるベースプレートに最も近い端部である。サスペンションまたはロードビームの「遠位」端は、近位端の反対側の端部であり、すなわち、「遠位」端はカンチレバー式端部である。
【0003】
サスペンションはアクチュエータアームに結合され、アクチュエータアームは、ヘッドスライダをデータディスク上の正しいデータトラック上に位置決めするためにサスペンションを弧状に移動させるボイスコイルモータに結合される。ヘッドスライダはジンバル上に支持され、ジンバルは、スライダがディスク上の適切なデータトラックに追従するようにスライダをピッチングおよびローリングさせ、ディスクの振動、衝突などの慣性事象、およびディスク表面の凹凸などの変動を許容する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
フレクシャが本明細書に記載される。フレクシャは、近位端および遠位端を有するスライダ舌部を含む。スライダ舌部は、フレクシャに取り付けられたロードビームの下面に接触しやすく構成された前縁をその近位端に含む。フレクシャはまた、遠位端でスライダ舌部に取り付けられた磁気読み取り/書き込みヘッドスライダと、近位端および遠位端の間でスライダ舌部に固定された少なくとも一つのアクチュエータと、非作動時衝撃事象中のインパルスを低減し、少なくとも一つのアクチュエータにかかる応力を低減するように構成された、スライダ舌部の前縁にある少なくとも一つの減衰装置と、を含む。
【0005】
フレクシャのいくつかの例では、少なくとも一つの減衰装置は複数の減衰装置を含み、その一つが前縁の各角部に配置され、少なくとも一つの減衰装置が角部の間に配置される。フレクシャのいくつかの例では、少なくとも一つの減衰装置は、スライダ舌部の表面から延びる卑金属材料から作られる。フレクシャのいくつかの例では、少なくとも一つの減衰装置は、スライダ舌部に取り付けられた粘弾性材料を含む。フレクシャのいくつかの例では、少なくとも一つの減衰装置は、ロードビームに接触する端部で湾曲している。
【0006】
代替的なフレクシャが本明細書に記載される。代替的なフレクシャは、近位端および遠位端を有するスライダ舌部を含む。スライダ舌部は、フレクシャに取り付けられたロードビームの下面に接触しやすく構成された前縁をその近位端に含む。代替的なフレクシャは、遠位端でスライダ舌部に取り付けられた磁気読み取り/書き込みヘッドスライダと、近位端および遠位端の間でスライダ舌部に固定された少なくとも一つのアクチュエータと、非作動時衝撃事象中のインパルスを低減し、少なくとも一つのアクチュエータにかかる応力を低減するように構成された、スライダ舌部の前縁にある少なくとも一つの部分的エッチング部と、を含む。
【0007】
代替的なフレクシャのいくつかの例では、少なくとも一つの部分的エッチング部は複数の部分的エッチング部を含み、その一つが前縁の各角部に配置される。少なくとも一つの部分的エッチング部は、角部の間に配置された少なくとも一つの減衰装置を含む。
【0008】
ロードビームが本明細書に記載される。ロードビームは、フレクシャを受容するように構成された取付面と、非作動時衝撃事象中のフレクシャのスライダ舌部がロードビームの取付面に接触する位置に配置された一つ以上の減衰材料と、を含む。
【0009】
ロードビームのいくつかの例では、減衰材料は、スライダ舌部の前縁の衝撃を緩和するように構成される。減衰材料は、粘弾性材料から作られる。ロードビームのいくつかの例では、減衰材料は減衰効果を可能にし、非作動時衝撃事象中のスライダ舌部の衝撃エネルギーを吸収するように構成される。いくつかの例では、ロードビームはまた、一つ以上の部分的エッチング領域を含み、一つ以上の部分的エッチング領域の各々は、一つ以上の減衰材料に位置する。
【0010】
サスペンションが本明細書に記載される。サスペンションは、フレクシャと、ロードビームと、を含む。フレクシャは、近位端および遠位端を有するスライダ舌部を含む。スライダ舌部は、フレクシャに取り付けられたロードビームの下面に接触しやすく構成された前縁をその近位端に含む。フレクシャはまた、遠位端でスライダ舌部に取り付けられた磁気読み取り/書き込みヘッドスライダと、近位端および遠位端の間でスライダ舌部に固定された少なくとも一つのアクチュエータと、非作動時衝撃事象中のインパルスを低減し、少なくとも一つのアクチュエータにかかる応力を低減するように構成された、スライダ舌部の前縁にある少なくとも一つの減衰装置と、を含む。ロードビームは、フレクシャを受容するように構成された取付面と、非作動時衝撃事象中のフレクシャのスライダ舌部がロードビームの取付面に接触する位置に配置された一つ以上の減衰材料と、を含む。
【0011】
複数の例が開示されているが、本開示のさらに他の例は、本開示の例示的な例を示し説明する以下の詳細な説明から当業者に明らかとなるであろう。したがって、図面および詳細な説明は本質的に例示的であり、限定的ではないと見なされるべきである。
【0012】
本開示の上記または他の利点および特徴を得ることができる方法を説明するために、上記で説明された原理のより詳細な説明が、添付の図面に示された特定の例を参照することによって与えられる。これらの図面は、本開示の例示的な態様を示すに過ぎず、したがって、その範囲を限定するものと見なされるべきではない。原理は、以下の図面を使用して追加の特異性および詳細とともに記載および説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の一例による、サスペンションの上面等角図である。
図2】本開示の一例による、図1のサスペンションの側面図である。
図3】本開示の一例による、ロードビームに接触するスライダ舌部の前縁を示す、図1のサスペンションの側面図である。
図4】本開示の一例による、ディスクドライブコンポーネント(回転磁気ディスク)に接触するヘッドスライダを示す、図1のサスペンションの側面図である。
図5】本開示の一例による、ヘッドスライダが負の方向にピッチングすることによるジンバルアセンブリの変形を示す、図1のサスペンションの側面図である。
図6】本開示の一例による、ロードビームに接触する舌部の前縁を示す、図1のサスペンションの側面図である。
図7】本開示の一例による、ロードビームに接触するスライダ舌部のスライダディンプルを示す、図1のサスペンションの側面図である。
図8】シミュレーションによる、図4図7のインターバル時間事象におけるPZTマイクロアクチュエータにかかる応力を示すグラフである。
図9】本開示の一例による、フレクシャのジンバルアセンブリの上面図である。
図10】シミュレーションによる、図8のサスペンションのPZTマイクロアクチュエータにかかる応力を示すグラフである。
図11】本開示の一例による、フレクシャのジンバルアセンブリの上面等角図である。
図12】シミュレーションによる、図10のサスペンションのPZTマイクロアクチュエータにかかる応力を示すグラフである。
図13】本開示の一例による、フレクシャのジンバルアセンブリの上面等角図である。
図14】本開示の一例による、ロードビームの底面等角図である。
図15】本開示の一例による、ロードビームの上面等角図である。
図16】本開示の一例による、ロードビームの上面等角図である。
図17】本開示の一例による、ロードビームの上面等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本開示の一例による、サスペンション100の上面等角図である。サスペンション100は、ロードビーム200と、ロードビーム200に溶接または他の方法で固定されたフレクシャ300と、を含む。フレクシャ300は、遠位ジンバル構造362を含む。フレクシャは、サスペンション100の近位端の近くでベースプレートに取り付けられる。図1に示されるすべての構成要素が本明細書で開示される例示的な発明を実施するために必要とされなくてもよく、構成要素の配置およびタイプの変更が、本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく行われてもよい。さらに、サスペンション100は、図1に示されるよりも多くの、または少ない構成要素を含んでもよい。しかしながら、示されたものは、主題の発明を実施するための例示的な例を開示するのに十分なものである。
【0015】
遠位ジンバル構造362は、磁気読み取り/書き込みヘッドスライダが取り付けられるスライダ舌部316を含む。これは、図2図7に示されている。フレクシャ300はまた、フレキシブル電気回路または導電性トレース330を含んでもよい。導電性トレース330は、フレクシャの近位端からフレクシャの遠位端まで延びてもよい。スライダ舌部316を含む遠位ジンバル構造362は、ディスクがヘッドスライダの下で回転するときに、データディスクの表面凹凸に応答して自由にピッチング(pitch)およびローリング(roll)するように構成される。スライダは、ディンプル位置202において、ロードビーム200におけるディンプルによって3度(ピッチ、ロール、およびヨー)の回転運動が可能なように支持されている。示される例示的な例では、遠位ジンバル構造362は、外側ジンバルストラット、または単に外側ストラット312を含む。フレクシャ300はまた、外側ジンバルストラット312から延びるブリッジストラット314を含む。
【0016】
アクチュエータ308がスライダ舌部316の前縁とスライダ舌部316の遠位端との間のギャップにまたがるように、PZTマイクロアクチュエータなどの少なくとも一つのアクチュエータ308がフレクシャ300に固定される。少なくとも一つのアクチュエータ308から導電性トレース330に対して、正および負の電気接続を行うことができる。アクチュエータ308が作動されると、それは膨張または収縮し、したがってギャップの長さを変化させ、それによってスライダ舌部316の遠位端に取り付けられた読み取り/書き込みヘッドの微細な動きを生成する。
【0017】
図2は、本開示の一例による、サスペンション100の側面図である。フレクシャ300は、スライダ舌部316に固定または取り付けられたヘッドスライダ320を含む。ヘッドスライダ320はジンバル上に支持され、ジンバルは、ヘッドスライダ320がデータディスク上の適切なデータトラックに追従するようにヘッドスライダ320をピッチングおよびローリングさせ、ディスクの振動、衝突などの慣性事象、およびディスク表面の凹凸などの変動を許容する。
【0018】
データディスクは、ドライブが動作していないときにgによる衝撃(g-force shock)を受けやすい。具体的には、前縁372上に位置するスライダ舌部316の二つの角部は、ロードビーム200の下面に接触し得る。スライダ舌部316の前縁372は、スライダ舌部316の近位縁、すなわち、サスペンション100が取り付けられるアクチュエータアームにより近い縁である。
【0019】
フレクシャ300の一つ以上の部分がロードビーム200と接触することによって起こり得る一つの故障は、亀裂および/または破損が生じるほどの力をアクチュエータが受け、アクチュエータの完全な故障、したがってディスクドライブの部分的または完全な故障が引き起こされることである。この損傷および付随する故障を引き起こすのに必要な衝撃の量は、ディスクドライブが一般に作動中ではなく非作動中にのみ耐えるように設計されたレベルである。したがって、そのような衝撃事象は、本明細書では一般に、非作動時または非作動衝撃事象と呼ばれる。
【0020】
図3は、非作動時衝撃事象中にロードビーム200に接触する前縁372を示している。図4図7は、非作動時衝撃事象中にフレクシャ上に配置された一つ以上のアクチュエータに加えられる応力のインターバル時間事象の他の例を示している。図8は、図4図7のインターバル時間事象におけるアクチュエータにかかる応力のグラフである。非作動時衝撃事象の間、フレクシャの舌部はピッチ方向に極端に動く場合があり、舌部の前縁はロードビームに突然に接触または衝突し得、その結果、一つ以上のアクチュエータに高い応力がかかる。
【0021】
図4は、ディスクドライブコンポーネント50に接触するヘッドスライダ320を示している。例えば、ディスクドライブコンポーネントはランプを含んでもよい。PZTへの最大応力は、ヘッドスライダ320がディスクドライブコンポーネント50に最初に接触したときに生じる。図5は、ヘッドスライダ320がディスクドライブコンポーネント50に向かって負の方向にピッチングすることによるジンバルアセンブリの変形を示している。ジンバルアセンブリ上に配置されたアクチュエータは、結果として応力を受ける。図6は、本開示の一例による、ロードビーム200に接触する舌部の前縁372を示している。ジンバルアセンブリ上に配置されたアクチュエータは、前縁372およびロードビーム200の間のこの接触による応力を受ける。図7は、ロードビーム200に接触するスライダ舌部のスライダディンプル302を示している。ジンバルアセンブリ上に配置されたアクチュエータは、スライダディンプル302およびロードビーム200の間のこの接触による応力を受ける。
【0022】
本開示は、スライダ舌部の前縁とロードビームとの間の接触を弱めることによって、そのような故障メカニズムを排除することを提案する。複数の例示的な発明が本明細書に開示される。提案される構造は、衝撃事象中に、特に非作動時衝撃事象中に、スライダ舌部の前縁がロードビームを打つ力を低減する。
【0023】
図9は、本開示の一例による、フレクシャのジンバルアセンブリ400の上面図である。ジンバルアセンブリ400は、スライダ舌部416を含む。スライダ舌部416は、近位端および遠位端を有する細長い形状を有する。磁気読み取り/書き込みヘッドスライダが、遠位端でスライダ舌部416に取り付けられてもよい。スライダ舌部416の近位端は、本明細書では前縁472と呼ばれる。スライダの前縁472は、上述したように、ロードビームの下面に接触し得る。少なくとも一つのアクチュエータ408が、近位端および遠位端の間でスライダ舌部416に固定されてもよい。アクチュエータは、スライダ舌部416の近位端および遠位端の間のスライダ舌部416内のそれぞれのギャップにまたがるように構成される。アクチュエータ408から導電性トレース430に対して、正および負の、またはグランド電気接続を行うことができる。アクチュエータ408が作動されると、それは膨張または収縮し、したがってギャップの長さを変化させ、それによってスライダ舌部416の遠位端に取り付けられた読み取り/書き込みヘッドの微細な動きを生成する。
【0024】
導電性トレース430は、ジンバルアセンブリ400の近位端から遠位端まで延びてもよい。ジンバルアセンブリ400は、ディスクがヘッドスライダの下で回転するときに、データディスクの表面凹凸に応答してスライダ舌部416が自由にピッチングおよびローリングすることを可能にするように構成される。ジンバルアセンブリ400は、外側ジンバルストラット412、または単に外側ストラットを含む。ジンバルアセンブリ400はまた、外側ジンバルストラット412から延びて導電性トレース430の一部に対する支持を可能にするブリッジストラット414を含む。
【0025】
スライダ舌部416の前縁472は、少なくとも一つの減衰装置450を含んでもよい。前縁472は複数の減衰装置450を含み、その一つが前縁472の各角部に配置され、少なくとも一つの減衰装置450が角部の間に配置される。減衰装置450は、スライダ舌部416の表面から延びる卑金属材料から作られてもよい。あるいは、減衰装置450は、スライダ舌部416に固定または取り付けされた粘弾性材料、または任意の他の既知の減衰材料を含んでもよい。減衰装置450は、非作動時衝撃事象(例えば、図6に示すもの)中のインパルスを低減し、したがって、アクチュエータ408にかかる応力を低下させるように構成される。
【0026】
図9に示されるすべての構成要素が本明細書で開示される例示的な発明を実施するために必要とされなくてもよく、構成要素の配置およびタイプの変更が、本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく行われてもよい。さらに、サスペンション100は、図9に示されるよりも多くの、または少ない構成要素を含んでもよい。しかしながら、示されたものは、主題の発明を実施するための例示的な例を開示するのに十分なものである。
【0027】
図10は、一例による、図8のサスペンションのアクチュエータにかかる応力を示すグラフである。本明細書に示されるように、減衰装置450は、前縁とロードビームとの間の接触点の間の、アクチュエータにかかる応力を低減する。この場合、アクチュエータ応力は、図8に示すアクチュエータ応力よりも小さくなる。
【0028】
図11は、本開示の一例による、ジンバルアセンブリ500の上面等角図である。ジンバルアセンブリ500は、スライダ舌部516を含む。スライダ舌部516は、近位端および遠位端を有する細長い形状を有する。磁気読み取り/書き込みヘッドスライダが、遠位端でスライダ舌部516に取り付けられてもよい。スライダ舌部516の近位端は、本明細書では前縁572と呼ばれる。スライダの前縁572は、上述したように、ロードビームの下面に接触し得る。少なくとも一つのアクチュエータ508が、近位端および遠位端の間でスライダ舌部516に固定されてもよい。アクチュエータは、本明細書に記載されるように、スライダ舌部516内のそれぞれのギャップにまたがるように構成される。アクチュエータから導電性トレース530に対して、正および負の電気接続を行うことができる。アクチュエータ508が作動されると、それは膨張または収縮し、したがってギャップの長さを変化させ、それによってスライダ舌部516の遠位端に取り付けられた読み取り/書き込みヘッドの微細な動きを生成する。
【0029】
導電性トレース530は、ジンバルアセンブリ500の近位端から遠位端まで延びてもよい。ジンバルアセンブリ500は、ディスクがヘッドスライダの下で回転するときに、データディスクの表面凹凸に応答してスライダ舌部516が自由にピッチングおよびローリングすることを可能にするように構成される。スライダ舌部516の前縁572は、少なくとも一つの減衰装置550を含んでもよい。前縁572は複数の減衰装置550を含み、その一つが前縁572の各角部に配置される。減衰装置550は、ロードビームに接触する端部で湾曲されてもよい。減衰装置は、スライダ舌部516の表面から延びる卑金属材料から作られてもよい。あるいは、減衰装置550は、スライダ舌部516に固定または取り付けされた粘弾性材料、または任意の他の既知の減衰材料を含んでもよい。減衰装置550の湾曲形状は、非作動時衝撃事象(例えば、図6に示すもの)中のインパルスをさらに低減し、したがって、アクチュエータ408にかかる応力を低下させるように構成される。
【0030】
図12は、一例による、図10のサスペンションのアクチュエータにかかる応力を示すグラフである。本明細書に示されるように、減衰装置550は、前縁572とロードビームとの間の接触点の間の、アクチュエータ508にかかる応力を低減する。この場合、アクチュエータ応力は、図8に示すアクチュエータ応力よりも小さくなる。
【0031】
図13は、本開示の一例による、ジンバルアセンブリ600の上面等角図である。ジンバルアセンブリ600は、スライダ舌部616を含む。スライダ舌部616は、近位端および遠位端を有する細長い形状を有する。磁気読み取り/書き込みヘッドスライダが、遠位端でスライダ舌部616に取り付けられてもよい。スライダ舌部616の近位端は、本明細書では前縁672と呼ばれる。スライダの前縁672は、上述したように、ロードビームの下面に接触し得る。アクチュエータ608が作動されると、それは膨張または収縮し、したがってギャップの長さを変化させ、それによってスライダ舌部616の遠位端に取り付けられた読み取り/書き込みヘッドの微細な動きを生成する。
【0032】
ジンバルアセンブリ600は、ディスクがヘッドスライダの下で回転するときに、データディスクの表面凹凸に応答してスライダ舌部616が自由にピッチングおよびローリングすることを可能にするように構成される。スライダ舌部616の前縁672は、少なくとも一つの部分的エッチング部650を含んでもよい。前縁672は複数の部分的エッチング部650を含み、その一つが前縁672の各角部に、またはその近くに配置される。より薄い部分的エッチング部650はより弱くなり、非作動時衝撃事象(例えば、図6に示すもの)中のインパルスをさらに低減し、したがって、アクチュエータ608にかかる応力を低下させるように、部分的エッチング部650はばねであるか、または弾性を有していてもよい。
【0033】
図14は、本開示の一例による、ロードビーム700の底面等角図である。ロードビーム700は、ジンバルアセンブリを含むフレクシャのための取付面702を有する。取付面702は、二つ以上の減衰材料750を含んでもよい。減衰材料750は、スライダ舌部がロードビームの取付面702に接触する位置に配置される。減衰材料750は、スライダ舌部の前縁の衝撃を緩和するように構成される。減衰材料750は、粘弾性材料、または任意の他の減衰材料から作られてもよい。減衰材料750は、減衰効果を可能にし、非作動時衝撃事象(図6に示すもの)中の衝撃エネルギーを吸収するように構成される。減衰材料750は、アクチュエータ608にかかる応力を低下させることができる。
【0034】
図15は、本開示の一例による、ロードビーム800の底面図である。ロードビーム800は、ジンバルアセンブリのための取付面802を有する。取付面802は、部分的エッチング領域860に配置された二つ以上の減衰材料850を含んでもよい。減衰材料850および部分的エッチング領域860は、スライダ舌部がロードビーム800の取付面802に接触する位置に配置される。減衰材料850は、スライダ舌部の前縁の衝撃を緩和するように構成され、より薄い部分的エッチング部860はより弱くなり、非作動時衝撃事象中のインパルスをさらに低減するように、部分的エッチング部860はばねであるか、または弾性を有していてもよい。減衰材料850は、粘弾性材料、または任意の他の減衰材料から作られてもよい。減衰材料850は、減衰効果を可能にし、非作動時衝撃事象(図6に示すもの)中の衝撃エネルギーを吸収するように構成される。減衰材料850は、PZTマイクロアクチュエータ808にかかる応力を低下させる。
【0035】
図16は、本開示の一例による、ロードビーム900の底面図である。ロードビーム900は、ジンバルアセンブリのための取付面902を有する。取付面902は、ロードビーム900の底面の下に凹部を形成するための部分的エッチング領域960を含む。いくつかの実施形態では、エッチング領域960は、エッチング領域960内のスライダ舌部上に、本明細書に記載されるような、一つ以上の減衰装置を受容するように構成される。エッチング領域960は、本明細書に記載されるような、フレクシャのスライダ舌部との衝撃を低減するように構成された減衰装置である。ロードビーム上に減衰装置を形成することは、スライダ舌部に必要とされるサイズ、厚さ、および/または面積を低減する。したがって、いくつかの実施形態は、スライダ舌部上の減衰材料の代わりに、またはそれに加えて、減衰装置を使用することができる。
【0036】
図17は、本開示の一例による、ロードビーム1000の底面図である。ロードビーム1000は、ジンバルアセンブリのための取付面1002を有する。取付面1002は、ロードビーム1000の表面から延びる卑金属材料から形成された一つ以上の減衰装置1060に対して構成される。いくつかの実施形態では、ロードビームの表面から延びる金属材料は、一つ以上のタブとして形成される。一つ以上のタブなどの一つ以上の減衰装置は、ロードビーム1000の底面を越えて延びるように構成される。減衰装置1060は、ロードビーム1000に対するスライダ舌部の前縁の衝撃を緩和して、非作動時衝撃事象中のインパルスを低減するように構成される。減衰装置1060は単独で、またはスライダ舌部上の減衰材料と共に、減衰効果を可能にし、非作動時衝撃事象(図6に示すもの)中の衝撃エネルギーを吸収するように構成される。本明細書に記載したような減衰装置は、PZTマイクロアクチュエータにかかる応力を低下させる。したがって、いくつかの実施形態は、スライダ舌部上の減衰材料の代わりに、またはそれに加えて、減衰装置を使用することができる。
【0037】
本明細書および特許請求の範囲内で使用される「概して」、「およそ」、「約」、「実質的に」、および「同一平面上の」という用語は、任意の正確な寸法、測定値、および配置からのある程度の変動を許容し、それらの用語は、本開示の説明および動作の文脈の範囲内で理解されるべきであることが理解されるであろう。
【0038】
本明細書および特許請求の範囲内で使用される「上部」、「底部」、「上方」、および「下方」などの用語は、任意の特定の空間的または重力方向ではなく、互いに対する部分の空間的関係を示す便宜上の用語であることがさらに理解されるであろう。したがって、これらの用語は、アセンブリが図面に示され、本明細書に記載された特定の向きに向けられているか、その向きから上下逆に向けられているか、または任意の他の回転変更が行われているかにかかわらず、構成部品のアセンブリを包含することを意図している。
【0039】
特許請求の範囲、要約書、および図面を含む本願に開示されたすべての特徴、ならびに開示された任意の方法またはプロセスにおけるすべてのステップは、そのような特徴および/またはステップの少なくともいくつかが互いに排他的である組合せを除いて、任意の組合せで組み合わせることができる。特許請求の範囲、要約書、および図面を含む本願に開示された各特徴は、明示的に別段の定めがない限り、同じ、等価な、または類似の目的を果たす代替的な特徴によって置き換えることができる。したがって、明示的に別段の定めがない限り、開示される各特徴は、包括的な一連の同等または類似の特徴の一例に過ぎない。
【0040】
本明細書で使用される「例」という用語は、単一の必須要素または要素群を有する単一の例のみが提示されていることを意味すると解釈されるべきではないことが理解されよう。同様に、「本開示」という用語は、それぞれ別個の例とみなすことができるいくつかの別個の発明を包含することも理解されよう。本開示は、好ましい例およびその図面に関して詳細に説明されたが、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、本開示の様々な適合および修正が実現され得ることが当業者には明らかであろう。したがって、上記で説明した詳細な説明および添付の図面は、本開示の幅を限定するものではなく、本開示の幅は、以下の特許請求の範囲およびそれらの適切に解釈された法的均等物からのみ推測されるべきであることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
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【国際調査報告】