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特表2023-530261金属メッキされた貫通ガラスビアのパッシベーションのための材料と方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-14
(54)【発明の名称】金属メッキされた貫通ガラスビアのパッシベーションのための材料と方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20230707BHJP
   C23C 16/30 20060101ALI20230707BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20230707BHJP
【FI】
H01L23/12 501P
C23C16/30
C23C16/455
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022575931
(86)(22)【出願日】2021-06-10
(85)【翻訳文提出日】2023-02-06
(86)【国際出願番号】 US2021036836
(87)【国際公開番号】W WO2021252779
(87)【国際公開日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】16/897,788
(32)【優先日】2020-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521371072
【氏名又は名称】メンロ・マイクロシステムズ・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】MENLO MICROSYSTEMS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【弁理士】
【氏名又は名称】笹沼 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100187469
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 由子
(74)【代理人】
【識別番号】100225026
【弁理士】
【氏名又は名称】古後 亜紀
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ジェソク
(72)【発明者】
【氏名】ケイメル・クリストファー・エフ
(72)【発明者】
【氏名】ナーサル・クリス
(72)【発明者】
【氏名】ミニック・アンドリュー
【テーマコード(参考)】
4K030
【Fターム(参考)】
4K030BA01
4K030BA18
4K030BA20
4K030BA29
4K030BA38
4K030BA42
4K030BA44
4K030HA01
(57)【要約】
【課題】TGVに関連する3Dトポロジー上にバリア膜を配置する場合において、バリアシールの密封性をより向上させる。
【解決手段】ガラス基板に形成された貫通ガラスビア(TGV)は、金属メッキ層を含んでいてもよい。TGVは、ガラス基板を通る3次元(3D)トポロジーを有し、金属メッキ層は、3Dトポロジーを適合的に覆っていてもよい。TGVは、金属メッキ層の上に配置されたバリア層と、バリア層の上に配置された金属化層とをさらに含んでもよい。金属化層は、バリア層を介して金属メッキ層に電気的に結合されてもよい。バリア層は、金属メッキ層の上に配置されて金属化層と電気的に結合する金属窒化膜を含んでもよい。バリア層は、金属メッキ層の上およびTGVを包囲するガラスの一部の上に配置された金属膜と、金属膜の上に配置された電気絶縁膜とを備え、電気絶縁膜は、金属メッキ層と完全に重なり、かつ金属膜と部分的に重なっていてもよい。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板に形成された、金属化された貫通ガラスビア(TGV)の上にバリア膜を形成する方法であって、
原子層堆積法(ALD)を用いて、前記金属化されたTGVの金属メッキ層の上に金属窒化物膜を形成する工程、および
前記金属窒化膜の上に導電性金属化層を形成する工程、
を含み、前記導電性金属化層は前記金属窒化膜と電気的に結合している、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記導電性金属窒化膜を調製する工程をさらに含み、当該導電性金属窒化膜は窒化チタン(TiN)を含有する、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記外側金属化層と前記導電性金属窒化膜とを電気的に結合させる工程をさらに含む、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記導電性金属窒化膜上に1つ以上の導電性コーティングを堆積する工程をさらに含む、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、前記1つ以上の導電性コーティングが、TiWおよびAuのうちの1つまたは両方を含有する、方法。
【請求項6】
ガラス基板に形成された、金属化された貫通ガラスビア(TGV)上に、バリア膜を形成する方法であって、
物理気相成長法(PVD)を用いることにより、(i)前記金属化されたTGVの金属メッキ層の上に金属膜を形成し、(ii)前記TGVを包囲するガラスの少なくとも一部の上に金属膜を形成する、工程と、
化学気相成長法(CVD)を用いることにより、前記金属膜上に電気絶縁膜を形成する工程であって、前記電気絶縁膜は前記金属メッキ層と完全に重なり、前記金属膜と部分的に重なっている、工程と、
PVD法を用いることにより、前記絶縁膜上および前記金属膜上に重なるように導電性金属化層を形成する工程であって、前記導電性金属化層は前記金属膜に電気的に結合される、工程と、
を含む方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、チタンタングステン(TiW)を含有する前記導電性金属膜を調合する工程をさらに含む、方法。
【請求項8】
請求項6に記載の方法であって、二酸化ケイ素(SiO2)を含有する前記絶縁膜を調合する工程をさらに含む、方法。
【請求項9】
請求項6に記載の方法であって、前記絶縁膜をパターン化することにより、前記導電性金属膜の少なくとも前記TGVに重なる領域を覆う拡散バリアパッチを形成する工程をさらに含む、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記拡散バリアパッチが前記TGVを包囲するガラスの少なくとも一部を覆うように前記絶縁膜を延在させる工程をさらに含む、方法。
【請求項11】
請求項6に記載の方法であって、前記外側金属化層と前記導電性金属膜とを電気的に結合させる工程をさらに含む、方法。
【請求項12】
請求項6に記載の方法であって、前記導電性金属窒化膜上に1つ以上の導電性コーティングを堆積させる工程をさらに含む、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、前記1つ以上の導電性コーティングが、TiWおよびAuのうちの1つまたは両方を含有する、方法。
【請求項14】
ガラス基板に形成された貫通ガラスビア(TGV)であって、
前記TGV内に形成された金属メッキ層であって、前記TGVは前記ガラス基板を介して3次元(3D)トポロジーを有し、前記金属メッキ層は前記3Dトポロジーに一致するように覆っている、金属メッキ層と、
前記金属メッキ層の上に配置されたバリア層と、
前記バリア層の上に配置された導電性金属化層であって、当該導電性金属化層は、前記バリア層を介して前記金属メッキ層に電気的に結合している、導電性金属化層と、
を備える、貫通ガラスビア。
【請求項15】
請求項14に記載のTGVであって、
前記バリア層は、前記金属メッキ層の上に配置された金属窒化膜をさらに備え、前記金属窒化膜は、前記導電性金属化層と電気的に結合している、TGV。
【請求項16】
請求項15に記載のTGVであって、
前記金属窒化膜が窒化チタン(TiN)である、TGV。
【請求項17】
請求項14に記載のTGVであって、
前記バリア層が、
(i)前記金属メッキ層の上に配置され、かつ前記TGVを包囲するガラスの少なくとも一部の上に配置された金属膜と、
(ii)前記金属膜の上に配置された電気絶縁膜と、
をさらに備え、前記電気絶縁膜が前記金属メッキ層と完全に重なり、かつ前記金属膜と部分的に重なり、前記金属膜が前記導電性金属化層と電気的に結合している、TGV。
【請求項18】
請求項17に記載のTGVであって、
前記金属膜がチタンタングステン(TiW)であり、前記電気絶縁膜が二酸化ケイ素(SiO2)である、TGV。
【請求項19】
請求項14に記載のTGVであって、
前記導電性金属化層の上に1つまたは複数の導電性コーティングをさらに含む、TGV。
【請求項20】
請求項19に記載のTGVであって、
前記1つ以上の導電性コーティングは、TiWおよびAuのうちの1つまたは両方を含有する、TGV。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願>
本出願は、2020年6月10日に出願された米国出願番号16/897,788の継続出願である。 上記出願の全教示が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ガラス、例えば溶融SiOは、高周波電気技術に適した有望な基板材料である。このような技術には、例えば、無線周波数(RF)集積回路(IC)や微小電気機械システム(MEMS)などのミリ波デバイスが含まれる。基板材料としてのガラスは、シリコン(Si)、セラミックス、有機積層板などの従来の基板材料と比較して、独自の優位性を有しているので、有利である。ガラスは、優れたRF性能(例えば、超高周波(SHF及びEHF)における高い電気絶縁性、低い挿入損失、低い損失正接など)だけでなく、優れた寸法安定性や熱安定性(例えば、調整可能な熱膨張係数(CTE)、湿気に対する有効バリア、極めて薄いICおよびMEMSパッケージなど)も備えている。
【0003】
2.5次元(2.5D)および3次元(3D)のICや、MEMSでは、電気信号は貫通シリコンビア(TSV)と呼ばれる垂直導電路を通じて伝送されることがあり、このTSVは、1つまたは複数の個別基板および/またはインターポーザを完全に通過して、複数のICダイを相互接続する。このような面外電気接続は、シリケートガラス基板においても達成することができ、その場合、深さに対して断面径が異なる(例えば1~100μm)貫通ホールビアを穿孔し、シリケートガラス基板に砂時計型の貫通ホールを形成することで実現することが可能である。
【0004】
砂時計型のホールは、例えば、レーザ加工技術を使用して構築されてもよい。シリケートガラス基板104に形成された例示的な貫通ガラスビア(TGV)102の断面図が図1Aに示されている。TGV102の最も狭い地点106において、直径は約10μmであってよいが、この最も狭い地点106における直径は、1μm程にまで小さくてもよく、100μm程にまで大きくてもよい。TGVの外面直径108は、約50μmであってもよいが、この外面直径108は、1μm程にまで小さくてもよく、100μm程にまで大きくてもよい。シリケートガラス基板104の厚さ110は、約300μmであってよいが、この厚さ110は、100μm程にまで薄くてもよく、1000μm程にまで厚くてもよい。
【0005】
TGV102の内面112は、金属メッキされるかまたは金属充填されるTGVの形成のために、当該技術分野で知られている1つまたは複数の従来の電気メッキ技術を使用して、1つまたは複数の金属の層で被覆されてもよい。図1Bに描かれた例示的なTGVに示されるように、これらの金属層は、薄い接着層120(例えば、チタン(Ti))、接着層120上に配置された金属シード層122、及びシード層122上に配置された金属メッキ層124を含んでもよい。金属メッキ層124は、銅(Cu)やアルミニウム(Al)などの導電性材料で構成されてもよい。
【0006】
水平導電路(例えば、金(Au)を含むパターン化された金属化層)に沿って配線される電気信号は、金属充填されたTGVに電気的に結合されてもよい。製造プロセス中、金属メッキされたTGVの金属メッキ層124は、高レベルの酸素(O)を特徴とする環境条件にさらされることがある。金属メッキ層124の原子の一部は、金属メッキ層124上に配置されたパターン化された金属化層の粒界に沿って拡散し、Oと出会う。Oは、露出した非不活性金属原子(例えば100℃以上の温度下のCu)と容易に反応し、酸化銅(CuOまたはCuO)などの不安定な金属酸化物の副生成物を生じるおそれがある。この金属酸化物の副生成物は、関連するデバイスの性能、信頼性、寿命、およびパッケージングの完全性を低下させるおそれがある。図2Aおよび図2Bに示す走査型電子顕微鏡写真(SEM)は、Au表面204上に生成された、そのようなマイクロメートルスケールおよびナノメートルスケールの粒子206を示すものであり、その大部分がCuOまたはCuOからなる。粒子206は、パターン化された金属化層を通してCu原子が拡散するため、TGV202の近傍の領域で生成される。
【0007】
金属メッキ層124の原子の拡散及び図2A及び図2Bに示す結果として生じる汚染を防止するために、金属メッキ層124とパターン化された金属化層との間にバリア層が配置されてもよい。(TGVと比較して)貫通シリコンビアの物理的寸法が小さいため、従来の技術でそのようなバリア層を配備することは実現可能である。例えば、シリコンベースの製造技術は、化学気相成長法(CVD)または物理気相成長法(PVD)、または原子層堆積法(ALD)プロセスを使用して堆積される窒化チタン(TiN)または窒化タンタル(TaN)などの拡散バリアを使用し得る。このようなTiNまたはTaNバリアは一般に非常に薄い(10nm未満)が、スケーリングされたTSVの寸法が比較的小さい(例えば、直径5μm未満)ので、薄さは問題とはならない。
【0008】
しかしながら、TGVの寸法が比較的大きい場合に、そのような従来技術を使用したバリアを完全に配備すると、問題を呈するおそれがある。例えば、従来の製造技術(例えば、PVD)を使用して、本明細書に記載のような大きな寸法の砂時計型TGVに関連する3Dトポロジー上にバリア膜を配置すると、バリアシールの密封性が不完全となる可能性がある。そのような不完全な封止は、金属メッキ層からパターン化された金属化層への原子の拡散を許容してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本明細書に記載される実施形態は、金属化された貫通ガラスビア(TGV)に関連するパッシベーション(つまりバリア)層、およびその製造方法に向けられている。理想的には、TGVの金属メッキ層と外側金属化層との間に配置された介在層は、金属メッキ層の原子が外側金属化層へと移動することに対する障壁として動作し得る。例えば、図3に描かれた金属メッキ層124と外側金属化層304との間の介在層302は、金属メッキ層の原子が外側金属化層304へと拡散するのを防止するように動作してもよい。砂時計型のTGVの3Dトポロジー及び(TSVと比較して)大きな空間寸法によって、TGV内に完全な障壁層が確立されることが妨げられる。当技術分野で知られている薄膜堆積技術(例えば、PVD)によって、一般にコンフォーマル膜を生成することができるが、そのような薄いコンフォーマル膜の堆積技術は、図1A図1B、および図3に示される大きな寸法の砂時計型TGVなどの3Dトポロジーを不完全に満たす結果となり得る。バリア膜によって覆われていない3Dトポロジーの任意の領域は、金属を拡散させてしまうような経路を提供するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
記載された実施形態によれば、二酸化ケイ素(SiO)及び窒化チタン(TiN)などの酸化物系及び窒化物系の薄膜は、金属の拡散を遮断すると共に、その後のOの相互作用を遮断する拡散障壁層として有効に機能することができる。このようなバリアは、CVD、PVD、ALDなどの従来の成膜技術で金属化したTGV基板の表面に成膜し、標準的なフォトリソグラフィとエッチングプロセスでパターン化をすることができる。
【0011】
一態様において、本発明は、ガラス基板に形成された金属化された貫通ガラスビア(TGV)上にバリア膜を配置する方法であって、原子層堆積(ALD)手順を使用して金属化されたTGVの金属メッキ層上に金属窒化膜を形成する工程と、金属窒化膜上に導電性金属化層を形成する工程と、を含む方法であってもよい。導電性金属化層は、金属窒化膜と電気的に結合していてもよい。
【0012】
本方法は、導電性金属窒化膜が窒化チタン(TiN)を含むように調製する工程をさらに含んでいてもよい。本方法は、外側金属化層を導電性金属窒化膜に電気的に結合させる工程をさらに含んでいてもよい。本方法は、導電性金属窒化膜上に1つ以上の導電性コーティングを配置させる工程をさらに含んでもよい。1つ以上の導電性コーティングは、TiWおよびAuのうちの1つまたは両方を含有する。
【0013】
別の態様では、本発明は、ガラス基板に形成された金属化された貫通ガラスビア(TGV)上にバリア膜を配置する方法であって、物理気相成長(PVD)手順を使用して、(i)金属化されたTGVの金属メッキ層上に、及び(ii)TGVを包囲するガラスの少なくとも一部の上に、金属膜を形成する工程を含む、方法であってもよい。本方法は、化学気相成長法(CVD)を用いて、金属膜の上に電気絶縁膜を形成する工程をさらに含んでもよい。電気絶縁膜は、金属メッキ層と完全に重なり、金属膜と部分的に重なっていてもよい。この方法は、PVD手順を用いて、絶縁膜上および金属膜上に導電性金属化層を形成する工程をさらに含んでもよい。導電性金属化層は、金属膜に電気的に結合されていてもよい。
【0014】
この方法は、導電性金属膜がチタンタングステン(TiW)を含有するように調合する工程をさらに含んでもよい。本方法は、絶縁膜が二酸化ケイ素(SiO)を含有するように調合する工程をさらに含んでもよい。本方法は、絶縁膜をパターン化することにより、TGVに重なる導電性金属膜の少なくとも一部の領域を覆う拡散バリアパッチを形成する工程をさらに含んでもよい。本方法は、拡散バリアパッチがTGVを包囲するガラスの少なくとも一部を覆うように、絶縁膜を延在させる工程をさらに含んでもよい。
【0015】
本方法は、外側金属化層を導電性金属膜に電気的に結合させることをさらに含んでいてもよい。本方法は、導電性金属窒化膜上に1つ以上の導電性コーティングを配置させる工程をさらに含んでもよい。1つ以上の導電性コーティングは、TiWおよびAuのうちの1つまたは両方を含有する。
【0016】
別の態様では、本発明は、ガラス基板に形成された貫通ガラスビア(TGV)であって、TGVに形成された金属メッキ層を含むものであってもよい。TGVは、ガラス基板を貫通する3次元(3D)トポロジーを有し、金属メッキ層が3Dトポロジーをコンフォーマルに覆っていてもよい。TGVは、金属メッキ層上に配置されたバリア層と、バリア層上に配置された導電性金属化層とをさらに備えていてもよい。導電性金属化層は、バリア層を介して金属メッキ層に電気的に結合されていてもよい。
【0017】
バリア層は、金属メッキ層上に配置された金属窒化膜をさらに含んでいてもよく、金属窒化膜は導電性金属化層と電気的に結合していてもよい。金属窒化膜は、窒化チタン(TiN)であってもよい。
【0018】
バリア層は、(i)金属メッキ層上およびTGVを包囲するガラスの少なくとも一部の上に配置された金属膜、および(ii)金属膜の上に配置された電気絶縁膜をさらに含んでいてもよい。電気絶縁膜は、金属メッキ層と完全に重なり、金属膜と部分的に重なっていてもよい。金属膜は、導電性金属化層と電気的に結合していてもよい。金属膜は、チタンタングステン(TiW)からなっていてもよく、電気絶縁膜は、二酸化ケイ素(SiO)からなっていてもよい。TVGは、導電性金属化層上に1つ以上の導電性コーティングをさらに含んでもよい。1つ以上の導電性コーティングは、TiWおよびAuのうちの1つまたは両方を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
前述の内容は、添付の図面に示す、例示的な実施形態についてのより詳細な説明から明らかになるであろう。ここで、異なる図をとおして、同じ部品には同じ参照符号を付している。図面は必ずしも現実の縮尺どおりではなく、実施形態を説明するために強調した縮尺で示される場合がある。
図1A図1Aは、シリケートガラス基板に形成された貫通ガラスビア(TGV)の一例を示す断面図である。
図1B図1Bは、薄い接着層、接着層上に配置された金属シード層、及びシード層上に配置された金属メッキ層を有する図1AのTGVを示す。
図2A図2Aは、TGVのAu表面上のマイクロメートルスケールまたはナノメートルスケールの粒子を示す走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。
図2B図2Bは、TGVのAu表面上のマイクロメートルスケールまたはナノメートルスケールの粒子を示す走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。
図3図3は、ガラス基板の上面および/または下面に金属膜を成膜したTGVの例である。
図4図4は、本発明によるTGVに配備されたパッシベーション層の一実施形態を示す。
図5図5は、本発明によるTGVに配備されたパッシベーション層の他の実施形態を示す。
図6A図6Aは、本発明によるパッシベーション層を用いて作製されたTGVの例を示す。
図6B図6Bは、本発明によるパッシベーション層を用いて作製されたTGVの例を示す。
図7図7は、ICおよびMEMSパッケージングとして用いられる、導電性相互接続経路および/またはシールリングとして使用するための追加の金属コーティングを有する、図4のパッシベーション化したTGVの実施形態を示す。
図8図8は、ICおよびMEMSパッケージングとして用いられる、導電性相互接続経路および/またはシールリングとして使用するための追加の金属コーティングを有する、図5のパッシベーション化したTGVの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、例示的な実施形態について説明する。
【0021】
本明細書に引用されたすべての特許、公開された出願および参考文献の教示は、参照することによりその全体がここに組み込まれる。
【0022】
本明細書に記載される実施形態は、金属化された貫通ガラスビア(TGV)に関連するパッシベーション(つまりバリア)層に向けられている。本明細書で説明するように、図1Bは、接着層120、金属シード層122、及び金属メッキ層124が並んだ例示的な砂時計型TGVを示す。この例のTGVにおいて、例えば物理気相成長(PVD)技術を利用して、ガラス基板の上面および/または下面に1つ以上の金属膜を堆積させた状態を、図3に示している。図3に示される例では、チタンタングステン(TiW)を含有する第1の金属層302が金属メッキ層124上に堆積され、金(Au)を含有する第2の金属層304が第1の金属層302上に配置される。外側金属化層304は、ダイ間相互接続のための導電経路としてだけでなく、例えば熱圧着によるウエハ接合技術を使用してデバイスとリッド基板とを接合する際のボンドパッドまたはシールリングとしても機能し得る。対向基板のAuシールリングと熱圧着する場合、気密封止のためにAu-Au間を強固に接合するには、異物の存在しない清浄なAuボンドパッドが必要となる。金属充填されたTGVの適切な表面パッシベーションは、金属の拡散やOとの相互作用を低減または防止し、その結果、不要な金属酸化物粒子が形成されてしまうのを阻止できる。
【0023】
説明した実施形態によれば、基板上に生じる寄生的な金属酸化物を大幅に低減することが可能となる。具体的には、金属充填TGVを有するシリケートガラスウエハの表面は、パッシベーション層で被覆される。さらに、記載された実施形態によれば、本明細書に記載された種類のTGVの非平面的な、3次元(3D)トポグラフィー上にパッシベーション層を配置することが容易となる。また、特定の用途では、TGVは、かなりの量の電力を搬送することが要求され、一般的なTGVよりも物理的に大きいサイズとなることが必然である。記載された実施形態では、潜在的な拡散経路を阻止するために、TGVの完全なカバーを促進する。
【0024】
図4に示す一実施形態では、パッシベーション層は、当該技術分野で知られている原子層堆積(ALD)法を用いて堆積された導電性金属窒化膜402からなる。例示的な実施形態では、金属窒化膜402は窒化チタン(TiN)を含有するが、他の実施形態では他の金属窒化物材料、例えば窒化タンタル(TaN)が代替的に使用されてもよい。ALD処理により、TGVの3Dトポグラフィー内に金属窒化膜402を完全にコンフォーマルに堆積させることが容易となる。
【0025】
別の一つの実施形態では、パッシベーション層は、図5に示すように、金属メッキ層124上にPVDによって堆積された金属膜502(例えばチタンタングステン(TiW))と、その金属膜502の表面上に化学気相成長法(CVD)によって堆積された絶縁性酸化物系膜504とからなる、2つの平行な層によって構成されていてもよい。本明細書に記載された例示的な実施形態では、絶縁性酸化物系膜504は、二酸化ケイ素(SiO)からなるが、当該技術分野で知られている他の絶縁性酸化物系材料、例えば非晶質酸化アルミニウム(Al)が代替的に使用されてもよい。本明細書に記載された例示的な実施形態では、金属膜502はチタンタングステン(TiW)を含有するが、代替的な実施形態では、金属膜502はPVDによって堆積されたチタン(Ti)及びクロム(Cr)などの他の遷移金属、あるいはPVDによって堆積されたTiN及びTaNなどの遷移金属合金を含有するとしてもよい。
【0026】
絶縁性酸化物系膜504は、図5に示すように、金属充填TGV(すなわち、金属メッキ層124)上に拡散バリアパッチ506が形成されるようにパターン化されてもよく、またそれによって、拡散バリアパッチの外側の領域では下地の金属膜502が露出されていてもよい。この酸化物パッチは、金属-Oの拡散および反応を妨げるバリアとして効果的に機能することができる。
【0027】
図6A及び6Bの光学顕微鏡写真は、金属酸化物粒子がSiO/TiW拡散バリアパッチ506の存在下では実質的に用いられなくなったことを示している。一方で、図2A及び2Bの顕微鏡写真では、パッシベーション層の不在下において、酸化銅粒子がAu表面上に広く行き渡っていることを示している。
【0028】
1つ以上の追加の金属コーティング(例えば、Au及びTiW)は、図4及び5により説明した技術のいずれかによって実装されたパッシベーション層の上に適用することができる。追加の金属コーティングは、PVDによって堆積することができ、その後、標準的なフォトリソグラフィやエッチング技術を用いることによって、パッシベーション層と共にパターン化されることができる。図4に係る実施形態に対応する図7に示された例示的な実施形態では、下層のTiN膜402の上の追加の金属コーティングは、TiW膜702及びAu膜704によって構成される。図5に係る実施形態に対応する図8に示された例示的な実施形態では、SiO2/TiW拡散バリアパッチ506の外側に位置する下層のTiW膜502上に配置される追加の金属コーティングは、同様にTiW膜802とAu膜804とによって構成される。追加の金属コーティング702、704、802、804は、ダイ間相互接続およびボンドパッドのための導電経路、ならびに/またはICおよびMEMSパッケージで使用するためのシールリングを規定するために使用することができる。
【0029】
記載された実施形態において、金属充填TGVの表面をパッシベーション化するために、TiNおよびSiOなどのような金属窒化物系および酸化物系の薄膜が提案されている。金属窒化物系および酸化物系の薄膜は、効果的な拡散バリアとして機能し、金属メッキ層内の非不活性金属原子が金属化層を通して拡散することによりOと出会って反応してしまうのを抑制することができる。したがって、マイクロ粒子やナノ粒子などの望ましくない金属酸化物を含まない、清浄なシリケートガラス基板表面を作製することができる。金属窒化物系および酸化物系の薄膜は、CVD、PVD、ALDなどの従来の成膜方法を用いることにより、金属化TGVウエハの表面に容易に成膜でき、また標準的なフォトリソグラフィおよびエッチング技術を用いることにより容易にパターン化することができる。
【0030】
本実施形態は、優れた電気的絶縁性、RF性能、光学的透明性、および構造的柔軟性を提供するためにシリケートガラスパッケージを必要とする3次元、2.5次元、および2次元(それぞれ3D、2.5D、2D)のICおよびMEMSに応用し得る大きな可能性を示している。
【0031】
例示的な実施形態について特に説明をしたが、添付の特許請求の範囲に包含される実施形態の範囲から逸脱することなく、形態および詳細における種々の変更がそこでなされ得ることが、当業者によって理解されるであろう。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
【国際調査報告】