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特表2023-530285骨及び皮なしの短期間シーズニングされた生の硬化肉の生産方法、該方法を用いて作製されたソーセージ製品、及び関連するプラント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-14
(54)【発明の名称】骨及び皮なしの短期間シーズニングされた生の硬化肉の生産方法、該方法を用いて作製されたソーセージ製品、及び関連するプラント
(51)【国際特許分類】
   A23L 13/00 20160101AFI20230707BHJP
   A23L 13/60 20160101ALI20230707BHJP
   A22C 11/00 20060101ALI20230707BHJP
【FI】
A23L13/00 Z
A23L13/00 A
A23L13/60 A
A22C11/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022576390
(86)(22)【出願日】2021-04-09
(85)【翻訳文提出日】2022-12-20
(86)【国際出願番号】 IT2021050101
(87)【国際公開番号】W WO2021250709
(87)【国際公開日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】102020000013948
(32)【優先日】2020-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522479935
【氏名又は名称】ジョ’ポロ ソチエタ ア リスポンサビリタ リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ポロ,ジョヴァンニ
【テーマコード(参考)】
4B011
4B042
【Fターム(参考)】
4B011BA02
4B011BA07
4B042AC02
4B042AC06
4B042AC10
4B042AD03
4B042AG02
4B042AH01
4B042AK01
4B042AK16
4B042AP06
4B042AP18
4B042AP30
4B042AT05
4B042AT10
(57)【要約】
短い熟成で生の骨なし及び皮なしの硬化肉を生産する方法が記載されており、当該方法は、新鮮な状態の原材料を生産ラインで受け取る段階と、乾燥塩漬け段階と、塩を含んだ製品を真空パックする段階と、塩漬けセルにおいて真空パックされた製品を休ませる段階と、真空バッグを除去した後で、天然ケーシング又は人工ケーシングに解剖学的断片を入れる段階と、袋詰めされ縛られた製品を冷たいまま休ませる段階と、乾燥段階と、製品のシーズニング段階と、シーズニングカビから製品を洗浄し、それを剥がし、さらに、それを真空バッグに入れる段階と、任意的な熟成段階と、を含み;当該方法で作製された袋詰めされた製品のブレザオラ、及びそのプラントも記載されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
短い熟成で骨なし及び皮なしの生の硬化肉を生産する方法であって、
- 0°Cから+8°Cの製品のコア温度の新鮮な状態の原材料を生産ラインで受け取る段階と、
- なめしの重量が、処理されることになる肉の重量の1.5%から4.5%である乾燥塩漬け段階と、
- 塩を含んだ前記製品を真空パックする段階と、
- +10°Cを下回る温度で少なくとも7日間、塩漬けセルにおいて真空下で前記製品を休ませる段階と、
- 真空バッグを取り除いた後で、天然ケーシング又は人工ケーシングに解剖学的断片を入れる段階と、
- 0°Cから+7°Cの温度及び65%から90%の相対湿度で、少なくとも20日間、休ませるセルにおいて、袋詰めされ縛られた前記製品を冷たいまま休ませる段階と、
- +14°Cから+25°Cの温度及び50%から95%の相対湿度で、少なくとも7日間乾燥室において前記製品がとどまる乾燥段階と、
- +12°Cから+18°Cの温度及び80%から95%の相対湿度で、1ヶ月から16ヶ月の間、熟成室において前記製品を熟成させる段階と、
- 熟成カビを洗浄し、前記製品のケーシングを剥がし、さらに、前記製品を真空バッグにパッケージングする段階と、
- 任意的に、+6°Cから+18°Cの温度で少なくとも7日間、セルにおいて前記製品がとどまる精製段階と、
を含む、短い熟成で骨なし及び皮なしの生の硬化肉を生産する方法。
【請求項2】
前記乾燥段階は、+15°Cから+25°Cの温度及び50%から80%の相対湿度で1日目から3日目まで乾燥室において前記製品がとどまる第1の乾燥サブ段階と、+14°Cから+17°Cの温度及び80%から95%の相対湿度で、4日目から7日目まで乾燥室において前記製品がとどまる第2の乾燥サブ段階と、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の短い熟成で骨なし及び皮なしの生の硬化肉を生産する方法。
【請求項3】
前もって前記生産ラインで受け取った前記原材料は、+0°Cから+8°Cの前記製品のコアにおける肉の温度で、新鮮な状態で、すなわち、冷凍されていない状態で真空パックされており、前記真空バッグ内の残留酸素値は≦0.5%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の短い熟成で骨なし及び皮なしの生の硬化肉を生産する方法。
【請求項4】
前記熟成させる段階において、前記製品は、<0.940の自由水の値(Aw)になることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の短い熟成で骨なし及び皮なしの生の硬化肉を生産する方法。
【請求項5】
前記乾燥塩漬け段階において、硝酸ナトリウムが前記なめしに添加され、前記熟成させる段階において、前記製品は、少なくとも3週間、シーズニングソルトにおいてとどまり、前記精製段階は存在しないことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の短い熟成で骨なし及び皮なしの生の硬化肉を生産する方法。
【請求項6】
骨及び腱の部分が取り除かれている以下のウシの筋肉の塊、すなわち、トップサイド、ヒップチップ、アンダーサイド、ジョイント、アンダーサイドを使用して、ブレザオラの生産に使用されることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の短い熟成で骨なし及び皮なしの生の硬化肉を生産する方法。
【請求項7】
前記乾燥塩漬け段階、前記塩を含んだ製品を真空パックする段階、及び前記天然ケーシング又は人工ケーシングに解剖学的断片を詰める段階は、最低でもISO8の分類の制御された大気環境において行われることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の短い熟成で骨なし及び皮なしの生の硬化肉を生産する方法。
【請求項8】
- 前記受け取る段階が実行される、0°Cから+8°Cの温度の新鮮な状態の原材料を受け取るためのステーションであって、前記生産ラインで受け取られる前記原材料を受け取る及び動かすための手段を含むステーションと、
- 前記塩漬け段階が実行される塩漬けステーションであって、ある量のなめしを投与するための手段を含むステーションと、
- 前記真空パックする段階が実行される真空ステーションであって、前記塩を含んだ製品を真空パックするための手段を含むステーションと、
- 前記休ませる段階が実行される休ませるステーションであって、+10°Cを下回る温度を維持するように構成された塩漬けセルを含むステーションと、
- 袋詰めする段階が行われる袋詰めステーションであって、前記真空バッグが取り除かれた前記解剖学的断片を袋詰めして縛るための手段を含むステーションと、
- 冷たいまま休ませる段階が行われる冷たいまま休ませるステーションであって、0°Cから+7°Cの温度及び65%から90%の相対湿度を維持するように構成された休ませるセルを含むステーションと、
- 前記乾燥段階が行われる乾燥ステーションであって、+14°Cから+25°Cの温度及び50%から95%の相対湿度を維持するように構成された乾燥室を含むステーションと、
- シーズニング段階が行われるシーズニングステーションであって、+12°Cから+18°Cの温度及び80%から95%の相対湿度を維持するように構成されたシーズニング室を含むステーションと、
- シーズニング由来のカビから前記製品を洗浄し、剥がし、真空バッグに入れるためのステーションと、
- 前記精製段階が実行される任意的な精製ステーションであって、+6°Cから+18°Cの温度を維持するように構成されたセルを含むステーションと、
を含むことを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法を使用して短い熟成で骨なし及び皮なしの生の硬化肉を生産するためのプラント。
【請求項9】
乾燥塩漬けのためのステーション、前記塩を含んだ製品を真空パックするためのステーション、及び前記解剖学的断片を入れるためのステーションは、最低でもクラスISO8のチャンバーホワイトで作製されることを特徴とする、請求項8に記載の短い熟成で骨なし及び皮なしの生の硬化肉を生産するためのプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、亜硝酸塩、硝酸塩、他の防腐剤及び抗酸化物質の使用を伴わない、(16ヶ月までの)短い熟成で骨なし及び皮なしの生のソーセージを生産する方法に関する。
【0002】
特に、本発明は、(16ヶ月以下の期間の)短い熟成で骨なし及び皮なしの生の硬化肉を生産する方法、該方法を用いて作製された袋詰めされた製品、及び関連する生産プラントに関する。
【背景技術】
【0003】
短い(16ヶ月までの)熟成での骨なし及び皮なしのイタリア伝統の生の硬化肉の現在の生産は、2つの主な防腐剤である亜硝酸塩(E249-E250)及び硝酸塩(E251-E252)の使用を伴い、多くの場合、他の防腐剤及び抗酸化物質と共にそれらの使用を伴う。上記の化学添加物の使用は、新鮮な肉の色と類似する肉の赤色を保ち、特に、塩漬け段階の間に、肉は細菌による攻撃を容易に受けるため、添加物の静菌性作用のおかげで、最終製品の細菌量を制御する。
【0004】
しかし、これらの添加物(特に、亜硝酸ナトリウム)は、後に腫瘍形成を引き起こし得るニトロソアミンの腸管内形成プロセス(直腸結腸腫瘍の第1の原因)の根拠であると医療の世界によって考慮されている問題をもたらす。
【0005】
近年、ラベルにおいて防腐剤を公表する義務に対する欧州の法律は、これらの防腐剤の植物性変種(実験室において定められた用量設定でほうれん草等の野菜から得られる亜硝酸塩及び硝酸塩)を使用する一部の生産者によって回避されており、すぐにでも欧州の国々が、植物由来のものであってもラベルにこれらの防腐剤を示すことを生産者に義務付けなくてはならないほど多く、誤解を招く慣例が、欧州共同体がネガティブに表現してきた消費者に向けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、防腐剤及び抗酸化物質、又は化学若しくは植物由来のものの使用を必要としない、衛生学的観点から安全な、香り、味、及び柔らかさが高品質で、染色若しくは茶色っぽい着色のない自然な真っ赤な色を有する、本当に自然な最終製品を保証する(16ヶ月までの)短い熟成で骨なし及び皮なしの生の硬化肉を生産する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記及び他の目的と利点は、以下の記載から明らかになるように、亜硝酸塩、硝酸塩、他の防腐剤及び抗酸化物質なしで、(16ヶ月までの)短い熟成で骨なし及び皮なしの生のソーセージを生産する方法で達成される。本発明の好ましい実施形態及び重要な異形が、従属請求項の発明特定事項を編成している。
【0008】
全ての添付の請求項が、本明細書の不可欠な部分を編成しているということが理解されたい。
【0009】
無数の(例えば、形状、寸法、配置、及び同等の機能性を有する部分に関する)変更及び修正を、添付の特許請求の範囲から明らかな本発明の範囲から逸脱することなく、記載されているものに対して行うことができるということがすぐに明らかになる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、非限定的な例として与えられる好ましい実施形態によってより良く記載される。
【0011】
本発明の(16ヶ月までの)短い熟成で生の骨なし及び皮なしの硬化肉を生産する方法は、以下の:
- 0°Cから+8°Cの製品のコア温度の新鮮な状態の原材料を生産ラインで受け取る段階であって、その原材料は、これまで凍結処理を受けておらず、肉のpH(5.2から5.9)に対して最適な条件で、且つ、≦0.5%の真空バッグ内の残留酸素値で、及び、法規によるcfu/g限界で制御された細菌量で、新鮮なまま、すなわち凍結されずに運ばれ、吊るされるか、又は、真空パッケージによって保護され;加えて、生産ラインで受け取った原材料は、+8°Cの製品の最大コア温度での、0°Cから+8°Cの温度及び65%から90%の相対湿度の熟成セルにおける正確な熟成処理に従っていなければならない、段階;
- 好ましくは手動で、チャーンを使用して、又は単一の解剖学的断片を手動でマッサージして、解剖学的断片の外面上に均一にそっと(例えば、芳香植物、スパイス、及び天然又は人工香料と混ぜ合わされた岩塩又は海塩を含む)なめし(tanning)を分布させ、なめし重量が、処理されることになる肉の重量の1.5%から4.5%である、乾燥塩漬け段階;
- なめしが常に肉と接触したままであり、揮発性アロマが失われないように、且つ、製品がいかなる細菌の攻撃からも保護されるように、塩を含んだ製品を真空パックする段階;
- +10°Cを下回る温度で少なくとも7日間、塩漬けセルにおいて真空下で製品を休ませる段階;
- 真空バッグを取り除いた後で、天然ケーシング又は人工ケーシングに解剖学的断片を入れる段階;
- 0°Cから+7°Cの温度及び65%から90%の相対湿度で、少なくとも20日間、休ませるセル(a rest cell)において、袋詰めされ縛られた製品を冷たいまま休ませる(cold rest)段階;
- 最初の数日間ですでに製品の迅速な脱水を可能にしなければならない乾燥段階であって、+15°Cから+25°Cの温度及び50%から80%の相対湿度で、1日目から3日目まで乾燥室において製品がとどまる第1の乾燥サブ段階と、+14°Cから+17°Cの温度及び80%から95%の相対湿度で、4日目から7日目まで乾燥室において製品がとどまる第2の乾燥サブ段階とを含む段階;
- 不要な細菌の増殖を止めるのに最適である、<0.940の自由水の値(Aw)で、製品の湿度がゆっくり徐々に減るように、+12°Cから+18°Cの温度及び80%から95%の相対湿度で、より赤みの肉に対する1ヶ月から、より激しい霜降りを有する肉に対する16ヶ月の間、空気交換、並びに、温度及び湿度制御が保証されたシーズニング室内、特に空調管理された室内で製品をシーズニングする(seasoning)段階であって、上記の条件は、化学防腐剤(亜硝酸塩及び硝酸塩)又は同じ機能を有する植物製品を使用することなく衛生学的観点から安全な食品を有するのを可能にする条件である、段階;
- 熟成カビ(aging molds)を洗浄し、製品のケーシングを剥がし、さらに、製品を真空バッグにパッケージングする段階;
- 任意的に、時間と共に熟成した製品に特有である香り及び柔らかさを完成した製品に与えるタンパク質分解及び脂肪分解の酵素作用の発生を引き立てるために、+6°Cから+18°Cの温度で少なくとも7日間、セルにおいて製品がとどまる精製段階;
を含む。
【0012】
亜鉛とヘモグロビンとの結合から形成される色素である亜鉛ポルフィリンの活性のおかげで、精製段階の終わりには、カットされた製品の表面上の赤色の量を測定する三刺激値測色計によって検出される深い真っ赤な色が、解剖学的断片において良く固定され且つ均質である。第1の読み取りからの所定の距離における赤色の量の測定の反復によって、色の安定性を示す指標が与えられる。一般に、カット時に検出される高い赤色の値は、優れた色の安定性に関連しているが、場合によっては、製品は、第1の読み取りにおいて濃い色を有し、その後、最終的な亜鉛ポルフィリンの不完全な形成指数により、すぐに減衰する。
【0013】
本発明による方法の第2の実施形態では、乾燥塩漬け段階において、より濃い赤色を最終製品に与えるために、硝酸ナトリウムがなめしに添加され、シーズニングする段階において、製品は、少なくとも3週間、シーズニング室においてとどまり、精製段階は存在しない。
【0014】
好ましい実施形態では、本発明の方法の乾燥塩漬け段階、塩を含んだ製品を真空パックする段階、及び天然ケーシング又は人工ケーシングに解剖学的断片を詰める段階は、後により詳細に説明されるように、最低でもISO8分類の制御された大気環境、特にクリーンルームにおいて実行される。
【0015】
好ましくは、本発明の方法は、赤身で鉄分が豊富な牛肉だけで生産されるブレザオラ、伝統的なイタリアンソーセージ又はサラミの生産に使用される。これは、単一の全筋から生産される硬化肉であり、その伝統的な熟成処理は、それを、(16ヶ月までの)短い熟成の骨なし及び皮なしの硬化肉として分類する。
【0016】
ブレザオラの生産に使用される、骨及び腱の部分が取り除かれているウシの筋肉の塊は、一般的に以下の:
- 大腿筋肉組織の後内側部分に相当し、内直筋、内転筋、及び半膜様筋を含むランプ;
- 内転筋が取り除かれているランプの部分に相当するヒップチップ、
- 大腿筋の後外側部分、正確には長い広筋に相当するスボフェサ(subofesa);
- 大腿筋の後外側部分、正確には半腱様筋に相当するジョイスト;
- 大腿の前側筋膜に相当し、前側直筋及び内側広筋及び中間広筋で構成されている骨の下にあるもの;
である。
【0017】
当該方法を用いて得られた袋詰めされた製品が現行法に従ったということ、及び、設計の段階において想定された目的全てを達成したということを確実にするために、本発明の方法に、全ての微生物学的特徴について実験テストを受けさせた。
【0018】
最初のチェックは、袋詰めされた製品の販売に対する適合性、すなわち、規制及び法的パラメータの遵守、並びに、官能的及び定性的な目的に関係した。
【0019】
そうするために、以下の細菌学的分析、すなわち:
- 30°でのコロニーのカウント、
- 中温性の乳酸菌のカウント、
- 小球菌(Micrococci)及びブドウ球菌(Staphylococci)のカウント、
- 腸内細菌(Enterobacteriaceae)のカウント、
コアグラーゼ陽性ブドウ球菌のカウント、
ブロコトリクス サーモスファクタ(Brochotrix Thermosfacta)のカウント、
亜硫酸塩還元クロストリジウムの芽胞カウント、
リステリア菌(Listeria Monocytogenes)の研究、
サルモネラ菌種(Salmonella spp)の研究
大腸菌(Escherichia Coli)の研究、
を実行した。
【0020】
以下の表1は、熟成の終わりにブレザオラに対して実行した微生物学的特徴づけの結果を列挙している。
【0021】
【表1】
以下の表2は、熟成の終わりにおいて、ケーシングを取り除き且つ1ヶ月間15℃において真空下で保管した群2及び5のブレザオラに対して実行した分析(S+V)の結果を示している。
【0022】
【表2】
得られた結果は、ブドウ球菌及び小球菌、並びにより少ない程度の乳酸菌から成る、3.8X106から2.0X107cfu/gの表在性CMAを示した。製品の中心のCMAは、分析された4つの試料のうち3つの試料において103cfu/gほどであり、W15C試料においては、4.5X105cfu/gに等しかった。その後のCMAの特徴づけが、シーズニングされた製品に特有である好塩性の微生物のテトラジェノコッカス(Tetragenococcus)属に起因し得る細菌を特定するのを可能にした。B.サーモスファクタ、コアグラーゼ陽性ブドウ球菌、腸内細菌、及び亜硫酸塩還元クロストリジウムの芽胞は、分析した全ての試料において、それぞれの分析限界(100及び10cfu/g)を下回っていると分かった。検索した病原体(リステリア菌、サルモネラ菌種、及び大腸菌O157:H7)に関して、それらは25gの試料では常に存在しなかった。
【0023】
これらの結果から、全ての細菌数は、現在の規制によって定められた限界内の値を有するということ、及び、病原菌は25gの試料では常に存在しなかったということが明らかである。
【0024】
微生物学的チェックを、熟成段階の終わりにおいても精製段階の終わりにおいても実行したということに留意するべきである。
【0025】
以下の表3において、処理が異なるブレザオラの化学パラメータが比較され、脂肪細胞の脂肪分解処理及びタンパク質のタンパク質分解を用いた硬化肉の熟成のおかげで、高品質の官能的特徴を有する柔らかい噛み応えの製品が得られるということが明白である。また、本発明は、特にソーセージ製品、より具体的にはブレザオラを生産するために、亜硝酸塩、硝酸塩、他の防腐剤及び抗酸化物質を用いることなく、(16ヶ月までの)短い熟成で骨のない及び皮のない生の硬化肉を生産するためのプラントにも関係する。
【0026】
【表3】
本発明による生産プラントは、制御された大気環境、特にクリーンルームで作られ、そこでは、汚染微粒子が除去され(さもなければ汚染微粒子は空気中に浮遊したまま残り)、チャンバー内にいる人々及び装置が空気を汚染し得ることを回避している。クリーンルームの分類は、定められた空気の体積(例えば、1立方メートル等)における0.5μm以上の直径を有する微粒子の数に基づいている。
【0027】
ISO規格では、メンバーシップクラスは、ISO-1からISO-9までのスケールに従って定められており、ここで、ISO-1は最良の状況を示し、ISO-9は、最悪の状況を示している。
【0028】
医薬品部門において使用され、特に制限的であると考えられている欧州GMP基準では、クリーンルームが属するクラスには、A、B、C、及びDの文字が割り当てられ、Aは最良の状況を示し、Dは最悪の状況を示す。例えば、クラスAのクリーンルームが使用中である場合、そのクリーンルームにおいて許容される0.5μm以上の直径を有する粒子の最大数は3520であり、そのクリーンルームにおいて許容される5μm以上の直径を有する粒子の最大数は20である。
【0029】
本発明による生産プラントは、クリーンルームで作られた複数のステーションを含み、好ましくは:
- 本発明による方法の受け取る段階が実行される、0°Cから+8°Cの温度の新鮮な状態の原材料を受け取るためのステーションであって、生産ラインでまず受け取られる材料を受け取る及び動かすための手段を含むステーション;
- 本発明による方法の塩漬け段階が行われる、最低でもISO8のクラス、すなわち、ISO8のクラス以上のクリーンルームにおける塩漬けステーションであって、ある量のなめしを投与するための手段を含むステーション;
- 本発明による方法の真空パックする段階が行われる、最低でもクラスISO8のクリーンルームにおける真空ステーションであって、塩を含んだ製品を真空パックするための手段を含むステーション;
- 本発明による方法の休ませる段階が行われる休ませるステーションであって、好ましくは+10°Cを下回る所定の温度を維持するように構成された塩漬けセルを含むステーション;
- 本発明による方法の袋詰めする段階が行われる、最低でもクラスISO8のクリーンルームにおける袋詰めステーションであって、真空バッグが取り除かれた解剖学的断片を天然ケーシング又は人工ケーシングに詰め且つ縛るための手段を含むステーション;
- 本発明による方法の冷たいまま休ませる段階が行われる冷たいまま休ませるステーションであって、好ましくは0°Cから+7°Cの所定の温度及び好ましくは65%から90%の所定の相対湿度を維持するように構成された休ませるセルを含むステーション;
- 本発明による方法の乾燥段階が実行される乾燥ステーションであって、+15°Cから+25°Cの温度及び50%から95%の相対湿度を維持するように構成された乾燥室を含むステーション;
- 本発明による方法の硬化段階が実行される硬化ステーションであって、+12°Cから+18°Cの温度及び80%から95%の相対湿度を維持するように構成された硬化室を含むステーション;
- 本発明による方法の熟成カビを洗浄し、製品のケーシングを剥がし、製品を真空バッグにパッケージングする段階が行われるカビ洗浄及び製品剥がしステーションであって、製品を洗浄し、剥がし、真空パックするための手段を含むステーション;
- 本発明による方法の精製段階が行われる任意的な精製ステーションであって、+6°Cから+18°Cの温度を維持するように構成されたセルを含むステーション;
を含む。
【0030】
有利に、本発明の(16ヶ月までの)短い熟成で骨なし及び皮なしの生の硬化肉を生産する方法は、防腐剤及び抗酸化物質、又は化学由来若しくは植物由来のものの使用を必要としない、衛生学的観点から安全な、香り、味、及び柔らかさが高品質で、染色若しくは茶色っぽい着色のない自然な真っ赤な色を有する、自然な最終製品を保証する。
【国際調査報告】