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特表2023-530293ナノ構造ベースのコンデンサを備えた画像センサ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-14
(54)【発明の名称】ナノ構造ベースのコンデンサを備えた画像センサ
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20230707BHJP
【FI】
H01L27/146 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022576825
(86)(22)【出願日】2021-06-15
(85)【翻訳文提出日】2022-12-13
(86)【国際出願番号】 SE2021050582
(87)【国際公開番号】W WO2021262067
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】2050737-2
(32)【優先日】2020-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513091308
【氏名又は名称】スモルテク アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】エム シャフィクル カビル
(72)【発明者】
【氏名】ビンセント デスマリス
(72)【発明者】
【氏名】アンデシュ ヨハンソン
(72)【発明者】
【氏名】オーラ ティベルマン
(72)【発明者】
【氏名】カール ルンダール
(72)【発明者】
【氏名】リキャルド アンデション
(72)【発明者】
【氏名】ムハンマド アミン サレーム
(72)【発明者】
【氏名】マリア ビルンド
(72)【発明者】
【氏名】ビクトル マルクネス
【テーマコード(参考)】
4M118
【Fターム(参考)】
4M118AA02
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA09
4M118CA01
4M118FA06
4M118HA25
4M118HA26
4M118HA30
(57)【要約】
画像センサ層とコンデンサ層とを備える画像センサ。画像センサ層は、複数の画像センサ層接触パッドと、それぞれの画像センサ層接触パッドにそれぞれが結合されている複数の感光素子と、を有する。コンデンサ層は、画像センサ層のそれぞれの画像センサ層接触パッドに接合されたコンデンサ層上部接触パッドによってそれぞれが構成される複数の第1のコンデンサ接触構造と、複数の第2のコンデンサ接触構造と、第1の誘電体材料に埋め込まれた複数のコンデンサであって、各コンデンサは少なくとも一つの導電性垂直ナノ構造を含み、少なくとも一つの導電性垂直ナノ構造は、それぞれの第1のコンデンサ接触構造及びそれぞれの第2のコンデンサ接触構造のうちの一方に伝導的に接続され、第2の誘電体材料の層によって、それぞれの第1のコンデンサ接触構造及びそれぞれの第2のコンデンサ接触構造のうちの他方から伝導的に分離される、複数のコンデンサと、を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像センサであって、
画像センサ層であって、
複数の画像センサ層接触パッドと、
複数の感光素子であって、それぞれが前記複数の画像センサ層接触パッド内のそれぞれの画像センサ層接触パッドに結合されている、複数の感光素子と、を有する、画像センサ層と、
コンデンサ層であって、
複数の第1のコンデンサ接触構造であって、それぞれが前記画像センサ層の前記複数の画像センサ層接触パッド内のそれぞれの画像センサ層接触パッドに接合されたコンデンサ層上部接触パッドによって構成される、複数の第1のコンデンサ接触構造と、
複数の第2のコンデンサ接触構造と、
第1の誘電体材料に埋め込まれた複数のコンデンサであって、各コンデンサは少なくとも一つの導電性垂直ナノ構造を含み、前記少なくとも一つの導電性垂直ナノ構造は、それぞれの第1のコンデンサ接触構造及びそれぞれの第2のコンデンサ接触構造のうちの一方に伝導的に接続され、前記第1の誘電体材料とは異なる第2の誘電体材料の層によって、前記それぞれの第1のコンデンサ接触構造及び前記それぞれの第2のコンデンサ接触構造のうちの他方から伝導的に分離され、前記少なくとも一つの導電性垂直ナノ構造を共形的に被覆する、複数のコンデンサと、を有する、コンデンサ層と、を具備する、画像センサ。
【請求項2】
前記第1の誘電体材料は第1の比誘電率を有し、前記第2の誘電体材料は前記第1の比誘電率の少なくとも2倍である第2の比誘電率を有する、請求項1に記載の画像センサ。
【請求項3】
前記複数のコンデンサ内の各コンデンサは、前記第1の誘電体材料によって前記複数のコンデンサ内の隣接するコンデンサから分離される、請求項1又は2に記載の画像センサ。
【請求項4】
前記複数のコンデンサの各コンデンサに含まれる前記少なくとも一つの導電性垂直ナノ構造は、高さと最大幅とを有し、前記高さと前記最大幅との間の比が少なくとも5倍である、請求項1から3のいずれか一項に記載の画像センサ。
【請求項5】
前記複数のコンデンサの各コンデンサは、
前記少なくとも一つの導電性垂直ナノ構造によって構成される第1のコンデンサ電極と、
前記第2の誘電体材料の前記層を共形的に被覆する導電層を具備する第2のコンデンサ電極と、を具備する、請求項1から4のいずれか一項に記載の画像センサ。
【請求項6】
前記第2のコンデンサ電極は、前記それぞれの第1のコンデンサ接触構造及び前記それぞれの第2のコンデンサ接触構造のうちの他方に伝導的に接続される、請求項5に記載の画像センサ。
【請求項7】
前記複数のコンデンサの各コンデンサでは、前記少なくとも一つの導電性垂直ナノ構造の第1の端部が、前記それぞれの第1のコンデンサ接触構造及び前記それぞれの第2のコンデンサ接触構造のうちの一方に伝導的に接続される、請求項6に記載の画像センサ。
【請求項8】
前記複数のコンデンサの各コンデンサでは、前記第2のコンデンサ電極は、前記少なくとも一つの導電性垂直ナノ構造の第2の端部に隣接する接続位置にて、前記それぞれの第1のコンデンサ接触構造及び前記それぞれの第2のコンデンサ接触構造のうちの他方に伝導的に接続される、請求項7に記載の画像センサ。
【請求項9】
前記複数のコンデンサの各コンデンサは、複数の導電性垂直ナノ構造を具備し、それぞれが、前記それぞれの第1のコンデンサ接触構造及び前記それぞれの第2のコンデンサ接触構造のうちの一方に伝導的に接続され、前記それぞれの第1のコンデンサ接触構造及び前記それぞれの第2のコンデンサ接触構造のうちの他方から、前記第2の誘電体材料の前記層によって伝導的に分離される、請求項1から8のいずれか一項に記載の画像センサ。
【請求項10】
前記複数のコンデンサの各コンデンサについて、
前記複数の導電性垂直ナノ構造の隣接するナノ構造間の空間が導電材料で満たされる、請求項9に記載の画像センサ。
【請求項11】
前記複数のコンデンサの各コンデンサについて、
前記複数の導電性垂直ナノ構造の隣接するナノ構造の間の空間が、少なくとも部分的に誘電体材料で満たされる、請求項9に記載の画像センサ。
【請求項12】
前記複数のコンデンサの各コンデンサは、少なくとも200fF/μm2の静電容量密度を示す、請求項1から11のいずれか一項に記載の画像センサ。
【請求項13】
前記複数のコンデンサの各コンデンサは、少なくとも200fFの静電容量を示す、請求項1から12のいずれか一項に記載の画像センサ。
【請求項14】
前記コンデンサ層は、前記コンデンサ層の底部に複数のコンデンサ層底部接触パッドを具備し、
前記複数の第2のコンデンサ接触構造のそれぞれの第2のコンデンサ接触構造は、前記複数のコンデンサ層底部接触パッドのそれぞれのコンデンサ層底部接触パッドを構成する、請求項1から13のいずれか一項に記載の画像センサ。
【請求項15】
複数の信号処理層接触パッドであって、それぞれが前記複数のコンデンサ層底部接触パッドのそれぞれのコンデンサ層底部接触パッドに接合される、複数の信号処理層接触パッドと、
前記信号処理層接触パッドに結合された信号処理回路と、を有する信号処理層をさらに具備する、請求項14に記載の画像センサ。
【請求項16】
前記信号処理層は、前記信号処理層の底部に複数の信号処理層底部接触パッドを具備し、
前記画像センサは、
複数の機能層接触パッドであって、それぞれが前記複数の信号処理層底部接触パッドのそれぞれの信号処理層底部接触パッドに接合される、複数の機能層接触パッドと、
前記機能層接触パッドに結合された機能回路と、を有する機能層をさらに具備する、請求項15に記載の画像センサ。
【請求項17】
前記機能回路は、RF回路、メモリ回路及び感知回路のうちの少なくとも一つを含む、請求項16に記載の画像センサ。
【請求項18】
電子装置であって、
前記電子装置の動作を制御するための処理回路と、
前記処理回路に結合された、請求項1から17のいずれか一項に記載の画像センサと、を具備する、電子装置。
【請求項19】
前記電子装置は、携帯電話、娯楽ユニット、ナビゲーション装置、通信装置、固定位置データユニット、モバイル位置データユニット、全地球測位システム(GPS)装置、スマートウォッチ、ウェアラブル計算装置、タブレット、サーバ、コンピュータ、ポータブルコンピュータ、モバイル計算装置、デジタルカメラ、CCDカメラ、バッテリ充電器、USB装置、デスクトップコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、モニタ、コンピュータモニタ、ADAS、テレビ、チューナ、ラジオ、衛星ラジオ、音楽プレーヤ、デジタル音楽プレーヤ、携帯音楽プレーヤ、デジタルビデオプレーヤ、自動車、電気自動車、車両部品、アビオニクスシステム、ドローン及びマルチコプターのうちの一つである、請求項18に記載の電子装置。
【請求項20】
画像センサ用のコンデンサ層を製造する方法であって、
第1の複数の離散導電材料島を有する基板を提供するステップと、
前記第1の複数の離散導電材料島のそれぞれの離散導電材料島上に、少なくとも一つの導電性ナノ構造を、前記導電性ナノ構造が前記離散導電材料島から実質的に垂直に延在し、前記導電性ナノ構造の第1の端部が、前記離散導電材料島と電気的に導電接触するように、提供するステップと、
前記離散導電材料島上に設けられた前記導電性ナノ構造上に共形誘電体層を適用するステップと、
前記共形誘電体層上に導電材料層を適用して、少なくとも一つの導電性ナノ構造、前記共形誘電体層及び前記導電材料層をそれぞれが備える複数のコンデンサを形成するステップと、
前記複数のコンデンサを誘電体材料に埋め込むステップと、
第2の複数の離散導電材料島を、前記第2の複数の離散導電材料島のそれぞれの離散導電材料島が、前記第1の複数の離散導電材料島の前記離散導電材料島のそれぞれに設けられた前記少なくとも一つの導電性ナノ構造上の前記導電材料層と導電接触するように、形成するステップと、
前記基板を取り外すステップと、を含む、方法。
【請求項21】
前記第2の複数の離散導電材料島を形成するステップは、前記複数のコンデンサを前記誘電体材料に埋め込むステップの前に実施され、
前記方法は、前記第2の複数の離散導電材料島の前記離散導電材料島が露出するまで、前記複数のコンデンサを埋め込む前記誘電体材料を平坦化するステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記方法は、前記第1の複数の離散導電材料島の前記離散導電材料島のそれぞれに設けられた前記少なくとも一つの導電性ナノ構造上の前記導電材料層が露出するまで、前記複数のコンデンサを埋め込む前記誘電体材料を平坦化するステップをさらに含み、
前記第2の複数の離散導電材料島を形成するステップは、前記誘電体材料を平坦化するステップの後に実施される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記共形誘電体層上に前記導電材料層を適用するステップは、
前記共形誘電体層上に共形の第1の導電材料層を直接適用するステップと、
前記共形の第1の導電材料層上に第2の導電材料層を直接適用するステップと、を含む、請求項20~22のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像センサ層とコンデンサ層とを備える画像センサに関する。
【背景技術】
【0002】
画像センサが、あらゆる種類の電子機器で広く使用されている。例えば、最近の携帯電話にはますます多くのカメラが搭載される傾向がある。同時に、画質に対する要求も高まっている。
【0003】
画像センサには、CCDセンサ又はフォトダイオードなどの感光素子が概ね含まれる。画像センサの画素内の感光素子(又は複数の感光素子)は、感光素子に当たる光の量に応じて電荷を生成する場合がある。生成された電荷の量を測定することにより、画像センサの画素に当たる光の量を判定することができる。
【0004】
(対応するトランジスタの一部であり得る)フォトダイオードを使用する一つの取り組みによれば、画素からの光電流を、いわゆる巻き上げシャッター方式を使用して行ごとに読み出す場合がある。しかし、この取り組みには、移動する物体を撮像する際の画像の歪みを伴う固有の問題がある。
【0005】
このため、少なくとも産業分野などでの要求の厳しい用途では、巻き上げシャッター方式は、画像センサの画素からの光電流を同時に読み出す、いわゆるグローバルシャッター方式に置き換えられることが多くなっている。グローバルシャッター方式は、巻き上げシャッター方式の上記の種類の画像歪みの影響を受けないが、実際には画像センサの画素ごとに電荷蓄積コンデンサを必要とする。
【0006】
電荷蓄積コンデンサの電荷蓄積能力によって、画素のダイナミックレンジが制限される。画像センサの画素の電荷蓄積コンデンサが「満杯」になると、その画素は飽和状態になる。明らかな解決策は、電荷蓄積コンデンサのサイズを大きくすることであるが、これは、画像の解像度を上げ、画像センサをさらに小型で安価なものにするという要望に反するものである。
【0007】
この問題に対するさまざまな解決策が提示されており、そのような解決策では、画像センサは、感光素子を含む画像センサ層と、電荷蓄積コンデンサを含む補助層とを備えた層状画像センサとして提供される。画像センサ層と補助層とを接合して画像センサを形成する。この取り組みの変形例が、例えば、特許文献1(米国特許出願公開第2010/0238334号明細書)、特許文献2(米国特許出願公開第2017/0170224号明細書)及び特許文献3(米国特許出願公開第2017/0345854号明細書)に記載されている。画素の感光素子と電荷蓄積コンデンサとが同じ層に形成されている画像センサよりも利点があるが、このような文献に記載されている解決策に関しては、まだ改善の余地がある。
【0008】
このため、改善された画像センサ、特に、画像解像度とダイナミックレンジとの間の改善された関係及び/又はさらに費用効率の高い生産を提供する画像センサを提供することが望ましいであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0238334号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2017/0170224号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2017/0345854号明細書
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、改善された画像センサ、特に、画像解像度とダイナミックレンジとの間の改善された関係及び/又はさらに費用効率の高い生産を提供する画像センサを提供することである。
【0011】
このため、本発明の第1の態様によれば、画像センサ層とコンデンサ層とを備える画像センサが提供される。画像センサ層は、複数の画像センサ層接触パッドと、それぞれが複数の画像センサ層接触パッドのそれぞれの画像センサ層接触パッドに結合されている複数の感光素子と、を有する。コンデンサ層は、それぞれが画像センサ層の複数の画像センサ層接触パッドのそれぞれの画像センサ層接触パッドに接合されたコンデンサ層上部接触パッドによって構成される複数の第1のコンデンサ接触構造と、複数の第2のコンデンサ接触構造と、第1の誘電体材料に埋め込まれた複数のコンデンサであって、各コンデンサは少なくとも一つの導電性垂直ナノ構造を含み、少なくとも一つの導電性垂直ナノ構造は、それぞれの第1のコンデンサ接触構造及びそれぞれの第2のコンデンサ接触構造のうちの一方に伝導的に接続され、第1の誘電体材料とは異なる第2の誘電体材料の層によって、それぞれの第1のコンデンサ接触構造及びそれぞれの第2のコンデンサ接触構造のうちの他方から伝導的に分離され、少なくとも一つの導電性垂直ナノ構造を共形的に被覆する、複数のコンデンサと、を有する。
【0012】
「垂直」ナノ構造とは、コンデンサ層(ひいては、層状構造である画像センサ)に平行な平面に直交して配置されたナノ構造であると理解すべきである。
【0013】
導電性ナノ構造を、導電性材料から形成しても、電気絶縁材料から形成し、金属などの導電材料で共形的に被覆してもよい。
【0014】
本発明は、誘電体材料に埋め込まれたナノ構造ベースのコンデンサを有するコンデンサ層を提供することによって、画像センサの高ダイナミックレンジ、高解像度及び費用効率の高い生産の好ましい組み合わせを実現することができるという認識に基づくものである。特に、本発明者らは、導電性垂直ナノ構造を使用すると、コンデンサ層の表面積当たりの並外れて高い静電容量が得られることと、そのような導電性垂直ナノ構造を含むコンデンサを誘電体材料に埋め込み、費用効率の高い生産を提供することができることがわかった。特に、コンデンサが誘電体材料に埋め込まれたコンデンサ層を、シリコンなどの本質的に脆弱な半導体材料をエッチングすることによってコンデンサを形成するコンデンサ層よりもかなり脆性の低いものにすることができる。そのような脆性が高めのコンデンサ層の例には、コンデンサがいわゆるディープトレンチ型コンデンサ(TSC)などであるコンデンサ層が挙げられる場合がある。
【0015】
実施形態によれば、第1の誘電体材料は第1の比誘電率を有し、第2の誘電体材料は第1の比誘電率の少なくとも2倍である第2の比誘電率を有する場合がある。
【0016】
これにより、寄生容量を低減したり、及び/又は異なる画像センサ画素のコンデンサ間のクロストークのリスクを低減したりしながら、高い静電容量密度が提供される。
【0017】
非限定的な一例によれば、第1の比誘電率は、3.9よりも低く、好ましくは3.5よりも低い場合があり、第2の比誘電率は、7.8よりも高く、好ましくは20よりも高い場合がある。
【0018】
実施形態では、複数のコンデンサ内の各コンデンサは、第1の誘電体材料によって、複数のコンデンサ内の隣接するコンデンサから分離される場合がある。有利なことに、コンデンサは、寄生容量及び/又はクロストークを効果的に低減するために、第1の誘電体材料によって互いに完全に分離される場合がある。
【0019】
複数のコンデンサの各コンデンサに含まれる少なくとも一つの導電性垂直ナノ構造は、高さ及び最大幅を有し、高さと最大幅との間の比が有利には少なくとも5倍である場合がある。
【0020】
例えば、高さは少なくとも1μmであり、最大幅は200nm未満である場合がある。
【0021】
ナノ構造の「高さ」は、その垂直方向(コンデンサ層に平行な面に直交する方向)の長さであり、「最大幅」は、ナノ構造の(コンデンサ層に平行な面での)横方向の最大の伸びである。従来技術の装置のトレンチ型コンデンサの場合、最大幅はトレンチの長さであるであろう。
【0022】
さまざまな実施形態によれば、コンデンサ層内の導電性垂直ナノ構造は、成長したナノ構造である場合がある。成長したナノ構造を使用することにより、ナノ構造の特性を広範囲に調整することができる。例えば、成長条件は、各ナノ構造の表面積を大きくする形態を達成するように選択される場合があり、これにより、コンデンサ層内のコンデンサの電荷蓄積容量を増大させる場合がある。
【0023】
ナノ構造は、例えば、ナノワイヤ、ナノホーン、ナノチューブ、ナノ壁、結晶性ナノ構造又は非晶質ナノ構造である場合がある。
【0024】
さまざまな実施形態によれば、ナノ構造は、有利には、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ又はカーバイド誘導カーボンナノ構造などのカーボンナノ構造である場合がある。
【0025】
実施形態によれば、複数のコンデンサの各コンデンサは、複数の導電性垂直ナノ構造を備える場合がある。それぞれの導電性垂直ナノ構造は、それぞれの第1のコンデンサ接触構造及びそれぞれの第2のコンデンサ接触構造のうちの一方に伝導的に接続され、それぞれの第1のコンデンサ接触構造及びそれぞれの第2のコンデンサ接触構造のうちの他方から、第2の誘電体材料の層によって伝導的に分離される。
【0026】
さまざまな実施形態では、コンデンサ層は、コンデンサ層の底部に複数のコンデンサ層底部接触パッドを備える場合がある。複数の第2のコンデンサ接触構造のそれぞれの第2のコンデンサ接触構造は、複数のコンデンサ層底部接触パッドのそれぞれのコンデンサ層底部接触パッドを構成する場合がある。
【0027】
実施形態では、画像センサは信号処理層をさらに備える。信号処理層は、それぞれが複数のコンデンサ層底部接触パッドのそれぞれのコンデンサ層底部接触パッドに接合される複数の信号処理層接触パッドと、信号処理層接触パッドに結合された信号処理回路と、を有する。
【0028】
実施形態では、画像センサは、複数の接触パッド、計算プロセッサ、メモリ、センサ、無線通信用RFなどを有する追加の層をさらに備える場合がある。それぞれの層は信号処理層接触パッドに結合される。
【0029】
本発明の実施形態による画像センサは、画像センサから取得された画像データに対して演算を実行するために、画像センサに結合された処理回路をさらに備える電子装置に含まれる場合がある。
【0030】
本発明による実施形態では、異なる層は、当技術分野で知られている任意の標準的な接合技術、例えば、ダイ接合、ハイブリッド接合、金属対金属接合、ウエハーレベル接合、ウエハー対ウエハー又はダイ対ダイ又はダイ対ウエハーレベル接合などを利用して、本発明の範囲から逸脱することなく、接合される場合がある。
【0031】
本発明の第2の態様によれば、画像センサ用のコンデンサ層を製造する方法が提供される。この方法は、第1の複数の離散導電材料島を有する基板を提供するステップと、第1の複数の離散導電材料島のそれぞれの離散導電材料島上に、少なくとも一つの導電性ナノ構造を、導電性ナノ構造が離散導電材料島から実質的に垂直に延在し、導電性ナノ構造の第1の端部が、離散導電材料島と導電接触するように、提供するステップと、離散導電材料島上に設けられた導電性ナノ構造上に共形誘電体層を適用するステップと、共形誘電体層上に導電材料層を適用して、少なくとも一つの導電性ナノ構造、共形誘電体層及び導電材料層をそれぞれが備える複数のコンデンサを形成するステップと、複数のコンデンサを誘電体材料に埋め込むステップと、第2の複数の離散導電材料島を、第2の複数の離散導電材料島のそれぞれの離散導電材料島が、第1の複数の離散導電材料島の離散導電材料島のそれぞれに設けられた少なくとも一つの導電性ナノ構造上の導電材料層と導電接触するように、形成するステップと、基板を取り外すステップと、を含む。
【0032】
このため、要約すると、本発明は、画像センサ層とコンデンサ層とを備える画像センサに関する。画像センサ層は、複数の画像センサ層接触パッドと、それぞれの画像センサ層接触パッドにそれぞれが結合されている複数の感光素子と、を有する。コンデンサ層は、それぞれが画像センサ層のそれぞれの画像センサ層接触パッドに接合されたコンデンサ層上部接触パッドによって構成される複数の第1のコンデンサ接触構造と、複数の第2のコンデンサ接触構造と、第1の誘電体材料に埋め込まれた複数のコンデンサであって、各コンデンサは少なくとも一つの導電性垂直ナノ構造を含み、少なくとも一つの導電性垂直ナノ構造は、それぞれの第1のコンデンサ接触構造及びそれぞれの第2のコンデンサ接触構造のうちの一方に伝導的に接続され、第2の誘電体材料の層によって、それぞれの第1のコンデンサ接触構造及びそれぞれの第2のコンデンサ接触構造のうちの他方から伝導的に分離される、複数のコンデンサと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
ここでは、本発明のこれまでに挙げた態様をはじめとする態様を、本発明の例示的な実施形態を示す添付の図面を参照して、さらに詳細に説明する。
図1図1は、本発明の一実施形態による画像センサを備える、携帯電話の形態の例示的な電子装置の図である。
図2図2は、図1の電子装置に含まれる画像センサを概略的に示す。
図3A図3Aは、図2の画像センサの第1の実施形態の概略図である。
図3B図3Bは、図2の画像センサの第1の実施形態の概略図である。
図4A図4Aは、図2の画像センサの第2の実施形態の概略図である。
図4B図4Bは、図2の画像センサの第2の実施形態の概略図である。
図5A図5Aは、例示的なコンデンサ構成の第1のセットの概略図である。
図5B図5Bは、例示的なコンデンサ構成の第1のセットの概略図である。
図5C図5Cは、例示的なコンデンサ構成の第1のセットの概略図である。
図6】本発明の第1の実施形態による方法を概略的に示すフローチャートである。
図7A図7Aは、例示的なコンデンサ構成の第2のセットの概略図である。
図7B図7Bは、例示的なコンデンサ構成の第2のセットの概略図である。
図7C図7Cは、例示的なコンデンサ構成の第2のセットの概略図である。
図8図8は、本発明の第2の実施形態による方法を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
この詳細な説明では、本発明による画像センサのさまざまな実施形態を、携帯電話の形態の例示的な電子装置の文脈で主に説明する。本発明の実施形態による画像センサの使用は、この種の電子装置に決して限定されず、産業用途などの他の用途に非常に有用であり得ることに留意されたい。
【0035】
本発明のさまざまな実施形態による画像センサは、例えば、AR、VR、MR、娯楽ユニット、ナビゲーション装置、通信装置、固定位置データユニット、モバイル位置データユニット、全地球測位システム(GPS)装置、スマートウォッチ、ウェアラブル計算装置、デジタルカメラ、CCDカメラ、タブレット、ADAS、サーバ、コンピュータ、ポータブルコンピュータ、モバイル計算装置、バッテリ充電器、USB装置、デスクトップコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、モニタ、コンピュータモニタ、テレビ、チューナ、ラジオ、衛星ラジオ、音楽プレーヤ、デジタル音楽プレーヤ、携帯音楽プレーヤ、デジタルビデオプレーヤ、自動車、電気自動車、車両部品、アビオニクスシステム、ドローン及びマルチコプターなどの他のタイプの電子装置に同じように良好に含まれ、有用であり得ることを理解されたい。
【0036】
図1は、携帯電話1の背面に配置された三つのカメラ5a~5cを備えたカメラモジュール3を有する携帯電話1の形態の例示的な電子装置を概略的に示す。カメラ5a~5cのうちの一つ又は複数には、本発明の実施形態による画像センサが含まれてもよい。携帯電話1はこのほか、携帯電話1の動作を制御するための処理回路を含む。図1に示すように、処理回路は、カメラ5a~5cの動作を制御するために、ここでは概略的なカメラコントローラ6の形態の別個の回路を含んでもよい。カメラ5a~5cの動作を制御するための回路は、別個のカメラコントローラ6として提供される代わりに、携帯電話1の他の部分をさらに制御するように構成された処理回路の一体部品であってもよい。
【0037】
図2は、本発明の実施形態による画像センサ7の概略図である。図2に示すように、画像センサ7は、アレイ状に配置された複数の画素9を含む。当業者には周知のように、図2の画像センサ7は、図1のカメラコントローラ6又は他の処理回路に接続するためのカメラモジュールを形成するために、さまざまな方法でパッケージ化されてもよい。説明を簡単にするために、図2の概略的画像センサ7は、実際の画像センサよりもはるかに少ない画素9を有する。
【0038】
図3A図3Bは、図2の画像センサ7の第1の実施形態の概略図である。最初に、図2の線A-Aに沿った断面の画像センサ7の断面図である図3Aを参照すると、この第1の実施形態による画像センサ7は、画像センサ層11とコンデンサ層13とを備える。画像センサ層11は、複数の画像センサ層接触パッド15(図が煩雑になるのを避けるために、画像センサ7の画素9のうちの一つのみを参照番号で示す)と複数の感光素子17とを含む。それぞれの感光素子は、それぞれの画像センサ層接触パッド15に結合されている。
【0039】
引き続き図3Aを参照すると、コンデンサ層13は、それぞれがコンデンサ層上部接触パッド19によって構成される複数の第1のコンデンサ接触構造と、複数の第2のコンデンサ接触構造21と、複数のコンデンサ23とを備える。図3Aに概略的に示すように、各コンデンサ層上部接触パッド19は、当業者に知られている任意の適切な接合技術によって、それぞれの画像センサ層接触パッド15に接合される。複数のコンデンサの各コンデンサ23は、第1の誘電体材料25に埋め込まれ、各コンデンサ23は、少なくとも一つの導電性垂直ナノ構造27a~27bを備える。図3Aの例示的なコンデンサ構成では、導電性垂直ナノ構造27a~27bは、第2のコンデンサ接触構造21に伝導的に接続され、垂直ナノ構造27a~27bを共形的に被覆する第2の誘電体材料の層29によって第1のコンデンサ接触構造(コンデンサ層上部接触パッド19)から伝導的に分離される。第2の誘電体材料は、コンデンサ23をコンデンサ層13に埋め込む第1の誘電体材料25とは異なる。これとは別に、垂直ナノ構造27a~27bは、第1のコンデンサ接触構造(コンデンサ層上部接触パッド19)に伝導的に接続され、第2のコンデンサ接触構造21から伝導的に分離されてもよい。コンデンサ23のさらに詳細な例示的な構成を、図5A図5C及び図7A図7Cを参照して以下でさらに説明する。図3A図3Bの第1の例示的な実施形態では、第2のコンデンサ接触構造21は、コンデンサ層13に含まれるルーティング回路又はスイッチング回路31に接続されてもよい。
【0040】
図2の画像センサ7の単純化された分解斜視図である図3Bでさらに良くわかるように、コンデンサ層13内のコンデンサ23は、コンデンサ23を埋め込む第1の誘電体材料25によって互いに完全に分離されてもよい。このほか、図3Bから理解することができるように、画像センサ層11及びコンデンサ層13は、ダイ接合技術を使用して互いに接合される別個のダイとして適切に提供されてもよい。これにより、画像センサ層11及びコンデンサ層13はそれぞれ、専用の適切な材料及びプロセスを使用して製造することができる。例えば、ポリマー又は一つ又はいくつかの標準的な誘電体材料であり得る誘電体材料(第1の誘電体材料25)にコンデンサ23を埋め込むことによって、コンデンサ層13は、比較的費用効率が高く、耐久性が高いものとすることができる。特に、コンデンサ層は、半導体基板に基づいて形成された構造よりもかなり脆性の低い可能性があり、特にそのような半導体基板が多数のビアによって穿孔されている場合に顕著である。
【0041】
寄生容量を低減したり、及び/又は隣接画素間のクロストーク(望ましくない容量結合)の程度を低くしたりするために、第1の誘電体材料25は有利には低k誘電体、好ましくはポリマーであってもよい。各コンデンサ23の高い静電容量密度(及び高い静電容量)のために、垂直ナノ構造27a~27bを共形的に被覆する層29内の第2の誘電体は、高k誘電体であることが有利であってもよい。
【0042】
画像センサ7の高解像度と良好なダイナミックレンジとの所望の組み合わせを提供するために、各コンデンサ23の静電容量密度は有利には少なくとも200fF/μm2であってもよい。ここで、関連する面積はコンデンサ23の設置面積である。図3A図3Bの例示的な構成では、関連する面積は、コンデンサ層上部接触パッド19の面積及び/又は第2のコンデンサ接触構造21の面積であってもよい。そのような高い静電容量密度を提供することができるコンデンサ構成により、非常に小さな画素でも、画素9当たり少なくとも200fFなど、充分に大きな電荷蓄積容量を有することができる。
【0043】
図4A図4Bは、図2の画像センサ7の第2の実施形態の概略図である。最初に、図1の線A-A´に沿った断面の画像センサ7の断面図である図4Aを参照すると、この第2の実施形態による画像センサ7は、画像センサ層11、コンデンサ層13、信号処理層33を備える。
【0044】
図4Aに概略的に示すように、信号処理層33は、複数の信号処理層接触パッド35と、信号処理層接触パッド35に結合された信号処理回路37とを備える。
【0045】
図4Aには明示的に示していないが、本発明では、積み重ねられた複雑なシステムを構築するために、例えば、メモリ、プロセッサ、センサ、RF回路などを収容するために層33のような層が多くなり得ることが考えられる。
【0046】
図4A図4Bの画像センサ7の第2の実施形態のコンデンサ層13は、複数の第2のコンデンサ接触構造のそれぞれの第2のコンデンサ接触構造21が、それぞれのコンデンサ層底部接触パッドを構成する点で、図3A図3Bを参照して上述した第1の実施形態のコンデンサ層とは異なる。
【0047】
信号処理層33の各信号処理層接触パッド35は、コンデンサ層13のそれぞれのコンデンサ層底部接触パッド21に接合される。
【0048】
これは図には明示的に示していないが、実施形態による画像センサ7は、画像センサの当業者に周知の方法で、マイクロレンズ、カラーフィルタ、薄膜光検出器(TFPD)などのさまざまな追加の構造を備えてもよい。
【0049】
図5A図5Cは、例示的なコンデンサ構成の第1のセットの概略図である。図5Aは、コンデンサ層13(又は、適用可能な場合、ルーティング回路又はスイッチング回路を除く一部のコンデンサ層)の拡大切欠き部分であり、コンデンサ23の斜視図を示す。図5Aの例示的なコンデンサ23は、三つの導電性垂直ナノ構造27a~27cを有する。それぞれの導電性垂直ナノ構造が第1の端部39及び第2の端部41を有し、ここでは垂直ナノ構造27aのうちの一つのみについて示している。コンデンサ23の垂直かつ細長いナノ構造のそれぞれは、第1の端部39と第2の端部41との間に延在する。図5Aからわかるように、ナノ構造27a~27cのそれぞれは、直径及び高さを有する円筒の内側に篏合することができる。各ナノ構造27a~27cのアスペクト比を、円柱の高さと円柱の直径との間の比率として定義することができる。本発明の実施形態による画像センサ7に含まれるコンデンサ23内のナノ構造27a~27cの場合、アスペクト比は少なくとも5であってもよい。例示的な実施形態によれば、高さは少なくとも1μmであってもよく、直径は200nm未満であってもよい。しかし、他のナノ構造寸法が可能であり、適切であり得ることに留意されたい。
【0050】
コンデンサ23に含まれる二つの垂直ナノ構造27a~27bを通る、図5Aのコンデンサ23の第1の実施形態の断面図であり、その一部を拡大した図5Bを参照すると、各コンデンサ23は、導電性垂直ナノ構造27a~27cによって構成される第1のコンデンサ電極と、上述の共形誘電体層29によってナノ構造27a~27cから伝導的に分離された第2のコンデンサ電極とを備える。図5Bの第1の例示的な構成では、第2のコンデンサ電極は、共形誘電体層29を共形的に被覆する第1の導電層43と、第1の導電層43上の第2の導電層45とを備え、第1のコンデンサ接触構造/コンデンサ層上部接触パッド19を構成する。
【0051】
各ナノ構造27a~27cの第1の端部39は、第2のコンデンサ接触構造21に伝導的に接続され、第1のコンデンサ構造19は、各ナノ構造27a~27cの第2の端部41に隣接して配置される。
【0052】
ここで図5Cに戻ると、伝導制御層と電極層とが交互になった層状積層体47が共形誘電体層29を被覆し、層状積層体47の底部に少なくとも第1の奇数番号(第1)の電極層43と、第1の奇数番号の電極層43の直上の第1の奇数番号(第1)の伝導制御層49と、第1の奇数番号の伝導制御層49の直上の第1の偶数番号(第2)の電極層51と、を含む。図5Cの例示的な構成では、層状積層体47は、第1の偶数番号(第2)の伝導制御層53と、第2の奇数番号(第3)の電極層45とをさらに含む。図5Cの例示的な構成では、第3の電極層45は、層状積層体47の最上部の奇数番号の電極層であり、図5Cからわかるように、この電極層45は、隣接するナノ構造27a~27cの間の空間を満たし、第1のコンデンサ接触構造/コンデンサ層上部接触パッド19を構成する。
【0053】
層状積層体47内の各偶数番号の電極層(第2の電極層51)は、第2のコンデンサ接触構造21に伝導的に接続され、層状積層体47内の各奇数番号の電極層(第1の電極層43及び第3の電極層45)は、層状積層体内の任意の他の奇数番号の電極層に(相互に)伝導的に接続され、ひいては、第1のコンデンサ接触構造/コンデンサ層上部接触パッド19にも伝導的に接続される。図5Cの例示的な構成では、第2の電極層51と第2のコンデンサ接触構造21とは、第1の相互接続55によって互いに接続され、第1の電極層43と第3の電極層45とは、第2の相互接続57によって互いに接続される。図5Cの例示的な構成では、ナノ構造27a~27cの間の空間は、最上部電極層45で充填され、次に平坦化されて、第1のコンデンサ接触構造/コンデンサ層上部接触パッド19を形成する。
【0054】
図6は、図5A図5Cを参照して上述した第1の例示的なコンデンサ構成を有するコンデンサ23を含むコンデンサ層13を製造するための本発明の第1の実施形態による方法を概略的に示すフローチャートである。
【0055】
第1のステップ100では、基板が提供される。例えば、ガラス基板、シリコン基板又はプラスチック基板、あるいは業界で使用され知られている任意の他の基板であり得る基板は、その上に設けられた複数の離散導電材料島を有する。基板と離散導電材料島との間に、いわゆる犠牲層があってもよい。有利には金属島であり得る離散導電材料島は、図5A図5Cの第2のコンデンサ接触構造21を構成してもよい。
【0056】
次のステップ101では、少なくとも一つの導電性ナノ構造27a~27cが、離散導電材料島21から実質的に垂直に延在し、導電性ナノ構造27a~27cの第1の端部39が、離散導電材料島21と導電接触するように、設けられる。有利なことに、少なくとも一つのナノ構造は、垂直ナノ構造を成長させるためのそれ自体既知の技術を使用して、それぞれの離散導電材料島21から成長してもよい。
【0057】
その後、ステップ102では、垂直ナノ構造27a~27c及びナノ構造27a~27cによって覆われずに残された導電材料島21の部分は、第2の誘電体材料の層29によって共形的に被覆されてもよい。上記でさらに説明したように、共形層29の誘電体材料は、いわゆる高k誘電体から有利に作成されてもよい。高k誘電体材料は、例えば、HfOx、TiOx、TaOx、STO、チタン酸バリウム、PZT又は他の周知の高k誘電体であってもよい。これとは別に、誘電体はポリマー、例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ(p-キシリレン)、パリレンなどをベースとするものであることがある。このほか、誘電体層29として、SiOx又はSiNxなどの他の周知の誘電体材料を使用してもよい。この誘電体層29は、例えば、蒸着、熱プロセス、原子層堆積(ALD)などを介するなどして共形層を作成するのに適した任意の既知の方法を使用して堆積されてもよい。さまざまな実施形態では、二つ以上の誘電層又は誘電体材料の異なる誘電率又は異なる厚さを有する異種誘電体材料を使用して、実効誘電率を制御するか、絶縁破壊電圧に影響を及ぼすか、誘電膜特性を制御するために両者を組み合わせることが有利であってもよい。有利なことに、誘電体材料層29は、ナノ構造27a~27c全体にわたって原子均一性を伴って均一に被覆され、その結果、誘電体層がナノ構造27a~27c全体を覆い、コンデンサ23の漏れ電流が最小化される。共形誘電体層29に原子均一性を提供することの別の利点には、そのような層29が、ナノ構造の成長中に導入され得る導電性ナノ構造27a~27cの表面不規則性に適合することができることが挙げられる。これにより、コンデンサ23の全電極表面積が増大し、ひいては、静電容量密度が高くなる。
【0058】
次のステップ103では、図5Cの第1の導電材料層43又は層状積層体47が、共形誘電体層29の直上の共形被覆として適用される。接着金属層と呼ぶ場合があるこの第1の導電材料層43は、ALDを使用して有利に形成されてもよく、第1の導電材料層43に適した材料の例にTi又はTiNを挙げてもよい。
【0059】
ステップ104では、第2の導電材料層45を第1の導電材料層43上に形成する。この第2の導電材料層45は、例えば、第1の導電材料層43上に共形的に被覆された、いわゆるシード金属層を含んでもよい。そのようなシード金属層は、例えば、Al、Cu又は任意の他の適切なシード金属材料から作成されてもよい。そのようなシード金属層を使用する場合、追加の金属を、例えば、電気めっき、無電解めっきなどの化学的方法又は当技術分野で知られている任意の他の方法を使用して堆積してもよい。図5A図5Cに概略的に示すように、第2の導電材料層45は、ナノ構造27a~27cの間の空間を有利に埋め、それによって第2の複数の離散導電材料島を形成してもよい。
【0060】
次のステップ105では、コンデンサ23は誘電体材料25に埋め込まれる。この誘電体材料25は、上記でさらに述べたように、有利には低k誘電体であってもよい。例えば、ポリイミド又はBCB又はスピンオンガラス、あるいはSiOx又はSiNxなどの適切なスピンオンポリマーを使用してもよい。
【0061】
その後、ステップ106では、コンデンサ23を埋め込む誘電体材料25は、少なくとも第2の導電材料層45が露出するまで平坦化され、それによって第1のコンデンサ接触構造/コンデンサ層上部接触パッド19を形成する。平坦化には、当技術分野で知られている任意の適切なプラズマ処理、乾式化学、湿式化学、あるいはCMPなどの他の平坦化方法を使用することができる。
【0062】
最後に、ステップ107では、基板は、例えば、基板上に犠牲層が存在する場合は犠牲層を選択的に除去するか、そのような犠牲層が存在しない場合は必要に応じて基板を研磨することによって、除去される。
【0063】
図7A図7Cは、例示的なコンデンサ構成の第2のセットの概略図である。図7Aは、コンデンサ層13(又は、適用可能な場合、ルーティング回路又はスイッチング回路を除く一部のコンデンサ層)の拡大切欠き部分であり、コンデンサ23の斜視図を示す。
【0064】
コンデンサ23に含まれる垂直ナノ構造27a~27bのうちの二つを通る図7Aのコンデンサ23の断面図であり、その一部を拡大した図7Bを参照すると、各コンデンサ23は、導電性垂直ナノ構造27a~27cによって構成された第1のコンデンサ電極と、前述の共形誘電体層29によってナノ構造27a~27cから伝導的に分離された第2のコンデンサ電極と、を備える。図7A図7Cの例示的な構成の第2のセットでは、第2のコンデンサ電極は、共形誘電体層29を共形的に被覆する第1の導電層43と、隣接するナノ構造27a~27cの間の空間を部分的にのみ充填する第2の導電層45とを備える。図7bに概略的に示すように、第1の誘電体材料25は、第2の導電層45によって埋められていない隣接するナノ構造27a~27cの間の空間を占有する。平坦化された表面の上に、第1のコンデンサ接触構造/コンデンサ層上部接触パッド19が配置され、ナノ構造27a~27cの第2の端部41にて第2の導電層45と導電接触する。第1の誘電体層25と上部接触19とが平面構成を形成することが有利であってもよい。
【0065】
図7Cは、図5Cを参照して上述した層状積層体47を有する構成を概略的に示しており、主な違いは、ナノ構造27a~27cの間の空間が第1の誘電体材料25によって満たされていることである。
【0066】
図8は、図7A図7Cを参照して上述した例示的なコンデンサ構成の第2のセットを有するコンデンサ23を含むコンデンサ層13を製造するための本発明の第2の実施形態による方法を概略的に示すフローチャートである。
【0067】
第2の実施形態による方法のステップ200~206は、図6を参照して上述した第1の実施形態によるステップ100~106にそれぞれ実質的に対応するが、第2の導電材料層45が、隣接する垂直ナノ構造27a~27cの間の空間を部分的にのみ充填し得るという潜在的な例外がある。ステップ208はステップ107に対応する。ステップ206とステップ208との間で、第2の複数の離散導電材料島を形成するステップ207を、例えば、フォトリソグラフィによって実施する。第2の複数の離散導電材料島は、第1のコンデンサ接触構造/コンデンサ層上部接触パッド19を構成してもよい。第1の誘電体層25及び上部接触19が平面構成を形成するように、平坦化方式をさらに実施してもよい。
【0068】
特許請求の範囲では、「具備する」という言葉は他の要素又はステップを除外するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外するものではない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという事実だけでは、このような手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示すことにはならない。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図7C
図8
【国際調査報告】