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特表2023-530352直接染料及びサッカリン塩を使用してケラチン繊維を染色するための方法並びにこれらを含む組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-14
(54)【発明の名称】直接染料及びサッカリン塩を使用してケラチン繊維を染色するための方法並びにこれらを含む組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20230707BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20230707BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20230707BHJP
   A61K 8/40 20060101ALI20230707BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20230707BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20230707BHJP
   A61K 8/43 20060101ALI20230707BHJP
   A61K 8/35 20060101ALI20230707BHJP
【FI】
A61K8/49
A61Q5/06
A61K8/42
A61K8/40
A61K8/41
A61K8/44
A61K8/43
A61K8/35
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022578718
(86)(22)【出願日】2021-06-18
(85)【翻訳文提出日】2022-12-26
(86)【国際出願番号】 EP2021066704
(87)【国際公開番号】W WO2021259809
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】2006513
(32)【優先日】2020-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】オリヴィエ・ゲラール
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・サベル
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC472
4C083AC491
4C083AC492
4C083AC541
4C083AC551
4C083AC581
4C083AC582
4C083AC611
4C083AC641
4C083AC691
4C083AC731
4C083AC741
4C083AC742
4C083AC841
4C083AC851
4C083AC852
4C083AC861
4C083AC862
4C083BB21
4C083CC36
4C083DD06
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD38
4C083EE26
(57)【要約】
本発明は、a)1種又は複数種の直接染料及びb)1種又は複数種の特定のサッカリン塩を使用してケラチン繊維を染色するための方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン繊維を染色するための方法であって:
a)1種又は複数種の直接染料;及び
b)1種又は複数種の式(A)の化合物;
【化1】
[式中、
・ Yは、次に示す式(Ia)、(Ib)、(Ic)、又は(Id)の化合物:
【化2】
(式(Ia)中、R、R、R、及びRは、互いに独立に:
・ 水素原子;
・ 直鎖又は分岐の、飽和又は不飽和のC~C12、好ましくはC~C10炭化水素系基であって:ヒドロキシル、チオール、(C~C)アルキルチオ、アミノ、-NH 、(C~C)ジアルキルアミノ、(C~C)アルキルアミノ、(C~C)アルコキシル、カルボキシル、カルボキシレート、-SOH、-SO 、-C(O)NH、-NHC(NH)-NH、-C(O)OR、-OC(O)-R、-C(O)NHR、-NH-C(O)-R、フェニル、インドリル、フェノール、フラン、グアイアコール、イミダゾール、若しくはグアニンから選択される1つ若しくは複数の基で任意選択的に置換されており、及び/又は-C(O)-、-NR-、-C(NR)-、-OC(O)-、-C(O)O-、-C(O)NR-、若しくは-NRC(O)-から選択される1つ若しくは複数の基が任意選択的に介在し、
- Rは、(C~C)アルキル基を表し;
- Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基、好ましくは水素原子を表す、直鎖又は分岐の、飽和又は不飽和のC~C12、好ましくはC~C10炭化水素系基;
を表し;
但し、式(Ia)の化合物全体の電荷は正であることが理解される);
【化3】
(式(Ib)中、
・ Xは、酸素原子又はNR基を表し;
・ R、R6、及びRは、互いに独立に:
- 水素原子;
- カルボキシル又はカルボキシレート基;
- -C(O)NH基;
- 直鎖又は分岐の、飽和又は不飽和のC~C12、好ましくはC~C10炭化水素系基であって:ヒドロキシル、チオール、(C~C)アルキルチオ、アミノ、-NH 、(C~C)ジアルキルアミノ、(C~C)アルキルアミノ、(C~C)アルコキシル、カルボキシル、カルボキシレート、-SOH、-SO 、-C(O)NH、-NHC(NH)-NH、-C(O)OR、-OC(O)-R、-C(O)NHR、-NH-C(O)-R、フェニル、インドリル、フェノール、フラン、グアイアコール、イミダゾール、若しくはグアニンから選択される1つ若しくは複数の基で任意選択的に置換されており、及び/又は-C(O)-、-NR-、-C(NR)-、-OC(O)-、-C(O)O-、-C(O)NR-、若しくは-NRC(O)-から選択される1つ若しくは複数の基が任意選択的に介在し、
は、(C~C)アルキル基を表し;
は、水素原子又は(C~C)アルキル基、好ましくは水素原子を表す、直鎖又は分岐の、飽和又は不飽和のC~C12、好ましくはC~C10炭化水素系基;
を表し;
但し、式(Ib)の化合物全体の電荷は正であることが理解される);
【化4】
(式(Ic)中、
・ Hetは:
- 5~10個の環員、好ましくは5又は6個の環員と;
- R’及びR’が結合しているアンモニウムに加えて、窒素及び/又は酸素原子から選択され、好ましくは窒素原子である、任意選択的な1個又は2個の原子と;
を含むカチオン性飽和複素環式基を表し、
前記複素環式基は、1つ又は複数のR’基で任意選択的に置換されており;
・ R’及びR’は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は:ヒドロキシル、アミノ、(C~C)ジアルキルアミノ、(C~C)アルキルアミノ、カルボキシル、カルボキシレート、カルバミド、(C~C)アルコキシル、-SOH、-SO 、又はフェニルから選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換された、直鎖又は分岐の、飽和又は不飽和のC~C12炭化水素系基を表し;
・ R’は、同一であっても異なっていてもよく、ヒドロキシル基、アミノ基、-C(O)OR’基、-OC(O)-R’基、-C(O)NHR’基、-NH-C(O)-R’基を表すか:ヒドロキシル、アミノ、(C~C)ジアルキルアミノ、(C~C)アルキルアミノ、カルボキシル、カルボキシレート、カルバミド、(C~C)アルコキシル、-SOH、-SO 、又はフェニルから選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換された、直鎖又は分岐の、飽和又は不飽和のC~C12炭化水素系基を表し;
・ R’は、水素原子を表すか、ヒドロキシル、アミノ、(C~C)ジアルキルアミノ、又は(C~C)アルキルアミノから選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換された直鎖又は分岐の、飽和又は不飽和のC~C12炭化水素系基を表し;
但し、式(Ic)の化合物全体の電荷は正であることが理解される);
【化5】
(式(Id)中、
・ Het’は:
- 5~10個の環員、好ましくは5又は6個の環員と;
- R’’が結合しているアンモニウムに加えて、窒素及び/又は酸素原子から選択され、好ましくは窒素原子である、任意選択的な1個又は2個の原子と;
を含むカチオン性芳香族不飽和複素環式基を表し;
前記複素環式基は、1つ又は複数のR’’基で任意選択的に置換されており;
・ R’’は、ヒドロキシル、アミノ、(C~C)ジアルキルアミノ、(C~C)アルキルアミノ、カルボキシル、カルボキシレート、カルバミド、(C~C)アルコキシル、-SOH、-SO 、又はフェニルから選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換された、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のC~C12炭化水素系基を表し;
・ R’’は、同一であっても異なっていてもよく、ヒドロキシル基、アミノ基を表すか、又はヒドロキシル、アミノ、(C~C)ジアルキルアミノ、(C~C)アルキルアミノ、カルボキシル、カルボキシレート、カルバミド、(C~C)アルコキシル、-SOH、-SO 、若しくはフェニルから選択される1つ若しくは複数の基で任意選択的に置換された、直鎖若しくは分岐の飽和若しくは不飽和のC~C12炭化水素系基を表し;
但し、式(Id)の化合物全体の電荷は正であることが理解される)
・ xは、式(A)の化合物の電気的中性を保つように選択される化学量論的係数である];
を使用する方法であり、
前記成分a)及びb)は、前記ケラチン繊維に同時に又は順次、好ましくは同時に適用されることが理解される、方法。
【請求項2】
は、式(Ia)の化合物から選択され、好ましくは、式(Ia)中、R、R、及びRが、それぞれ水素原子を表し、Rが、請求項1に記載した通りである、式(Ia)の化合物から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
は、式(Ib)の化合物から選択され、好ましくは、式(Ib)中:
- Rが、水素原子を表し;
- Rが、直鎖又は分岐の(C~C)アルキル基であって:ヒドロキシル、チオール、(C~C)アルキルチオ、アミノ、-NH 、(C~C)ジアルキルアミノ、(C~C)アルキルアミノ、(C~C)アルコキシル、カルボキシル、カルボキシレート、-SOH、-SO 、-C(O)NH、-NHC(NH)-NH、-C(O)OR、-OC(O)-R、-C(O)NHR、-NH-C(O)-R、フェニル、インドリル、フェノール、フラン、グアイアコール、イミダゾール、若しくはグアニンから選択される1つ若しくは複数の基で任意選択的に置換されており、及び/又は-C(O)-、-NR-、-C(NR)-、-OC(O)-、-C(O)O-、-C(O)NR-、若しくは-NRC(O)-から選択される1つ若しくは複数の基が任意選択的に介在し、
が、(C~C)アルキル基を表し;
が、水素原子又は(C~C)アルキル基、好ましくは水素原子を表す;
直鎖又は分岐の(C~C)アルキル基を表し;
- Rが、1つ又は複数のヒドロキシル基で任意選択的に置換された直鎖又は分岐の(C~C)アルキル基を表す;
式(Ib)の化合物から選択され、
但し、式(Ib)の化合物全体の電荷は正であることが理解される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
は、式(Ic)の化合物から選択され、好ましくは、式(Ic)中:
・ Hetが、請求項1~3のいずれか一項に記載した通りであり;
・ R’及びR’が、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は:ヒドロキシル、アミノ、(C~C)ジアルキルアミノ、(C~C)アルキルアミノ、カルボキシル、カルボキシレート、カルバミド、(C~C)アルコキシル、-SOH、-SO 、若しくはフェニルから選択される1つ若しくは複数の基で任意選択的に置換された、直鎖若しくは分岐の(C~C)アルキル基を表し;
・ R’が、同一であっても異なっていてもよく、-C(O)OR’基、-OC(O)-R’基、-C(O)NHR’基、又は-NH-C(O)-R’基を表し;
・ R’が、ヒドロキシル、アミノ、(C~C)ジアルキルアミノ、又は(C~C)アルキルアミノから選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換された(C~C12)アルキル基を表す;
式(Ic)の化合物から選択され、
但し、式(Ic)の化合物全体の電荷は正であることが理解される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
は、式(Id)の化合物から選択され、好ましくは、式(Id)中:
・ Het’が、請求項1~4のいずれか一項に記載した通りであり;
・ R’’が、直鎖又は分岐の、飽和又は不飽和の無置換のC~C、好ましくはC~C炭化水素系基を表し;
・ R’’が、同一であっても異なっていてもよく、ヒドロキシル基を表すか、又は直鎖若しくは分岐の、無置換の(C~C)アルキル基、好ましくは直鎖又は分岐の無置換の(C~C)アルキル基を表す;
式(Id)の化合物から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
は、次に示す化合物1~69:
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
(式中、Rは、1つ又は複数のヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C~C)アルキル基を表し、Xは、酸素原子又はNR基を表し、Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基を表す)から選択され;好ましくは、化合物1、5、17、及び32から、より優先的には、化合物32並びに次に示す化合物1a、5a、及び17a:
【化12】
から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記直接染料a)は、好ましくは、次に示す式(IIIa)及び(III’a)のヒドラゾノ染料、アゾ及びスチリル染料(IVa)、ジアゾ及びジスチリル染料(IV’a)及び(IV’’a)、アントラキノン染料(Va)、並びにアゾメチン染料(VIa)及び(VI’a)、並びにこれらの混合物:
【化13】
(式(IIIa)、(III’a)、(IVa)、(IV’a)、(IV’’a)、(Va)、(VIa)、及び(VI’a)中、
・ Arは、アリール基であって、少なくとも1つの電子供与性基、例えば、i)任意選択的に置換された(C~C)アルキル、ii)任意選択的に置換された(C~C)アルコキシ、iii)アルキル基がヒドロキシル基で任意選択的に置換された(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、iv)アリール(C~C)アルキルアミノ、v)任意選択的に置換されたN-(C~C)アルキル-N-アリール(C~C)アルキルアミノ、で置換されたアリール基、例えばフェニル若しくはナフチルを表すか、又はArはジュロリジン基を表し;
・ Ar’は、任意選択的に置換された二価の(ヘテロ)アリーレン基、例えば、好ましくは1つ又は複数の(C~C)アルキル基、ヒドロキシル基、又は(C~C)アルコキシ基で任意選択的に置換された、フェニレン、特にパラフェニレン、又はナフタレンを表し;
・ Ar’’は、(ヘテロ)アリール基であって、好ましくは少なくともi)ニトロ、ニトロソ、-C(X)-X’-R’などの電子吸引性基、又はii)(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ基、iii)ヒドロキシル、iv)(C~C)アルコキシ、で任意選択的に置換された(ヘテロ)アリール基を表し;特に(ヘテロ)アリールは、イミダゾリル、トリアゾリル、インドリル、若しくはピリジル、又は好ましくはフェニル基のパラ位を置換しているニトロ、ニトロソ、及びアミノから選択される少なくとも1つの基で任意選択的に置換されたフェニルから選択され;
・ X、X’、及びX’’は、同一であっても異なっていてもよく、酸素若しくは硫黄原子又はNR’’基、好ましくは酸素原子を表し;
・ R、R、R、及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素若しくはハロゲン原子、又はヒドロキシル、チオール、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、ニトロ、及びニトロソから選択される基を表し;
・ R’及びR’’は、(C~C)アルキル基を表し;
・ R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、若しくは好ましくはヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C~C)アルキル基を表すか;
又は、一変形として、置換基RがAr’’の置換基と、及び/若しくはRがArの置換基と、及び/若しくはRがRと、それらが結合している原子と一緒になって、(ヘテロ)シクロアルキルを形成し;
特に、R及びRは、水素原子を表すか、又はヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C~C)アルキル基を表し;
・ T及びT’は、同一であっても異なっていてもよく、C(R)基又はN、好ましくはNを表し;
・ Lは、二価の基-ALK-、-C(X)-ALK-、-ALK-C(X)-、又は-C(X)-ALK-C(X’)-(式中、ALKは、メチレンなどの直鎖又は分岐の(C~C)アルキレン基を表し、X及びX’は、先に定義した通りである)を表し、
・ R22、R23、R24、R25、R26、及びR27は、同一であっても異なっていてもよく、水素若しくはハロゲン原子を表すか、又は次に示す:
- (C~C)アルキル;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- (C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ;
- アリールオキシ又はアリールチオ;
- アリール(C~C)(アルキル)アミノ;
- (ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;
- (ジ)(ヒドロキシ(C~C)アルキル)アミノ;
から選択される基を表し;
・ Z’は、水素原子を表すか、又はNR2829基(式中、R28及びR29は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は
- (C~C)アルキル;
- ヒドロキシエチルなどのポリヒドロキシ(C~C)アルキル;
- 1つ若しくは複数の基、特にi)(C~C)アルキル;iii)R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°は、(C~C)アルキル基を表し、X、X’、及びX’’は、先に定義した通りである);iv)スルホネート、で任意選択的に置換されたアリール;
- シクロアルキル;特にシクロヘキシル
から選択される基を表す)を表し;
・ Zは、ヒドロキシル及びNR’28R’29(式中、R’28及びR’29は、同一であっても異なっていてもよく、先に定義したR28及びR29と同じ原子又は基を表す)から選択される基を表す)
から選択される中性直接染料であり、
式(IV’’a)の前記直接染料は、好ましくは、式(IV’’’a):
【化14】
(式(IV’’’a)中、
・ R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、好ましくは同一であり、水素原子、メチルなどの(C~C)アルキル基、又はグルコシルなどの糖を表し、好ましくは水素原子を表し;
・ R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、好ましくは同一であり、水素原子、(C~C)アルキル若しくは(C~C)アルコキシ基、又は-O-グルコシルなどの-O-糖基を表し、好ましくはメトキシなどの(C~C)アルコキシを表し;
・ Xは、同一であっても異なっていてもよく、好ましくは同一であり、酸素若しくは硫黄原子又はN-R(式中、Rは、水素原子又は任意の基、好ましくは酸素原子を表す)を表し;
・ ALKは、メチレン又はエチレンなどの(C~C)アルキレン基、好ましくはメチレンを表す)を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記直接染料a)は、次に示す化合物(A)~(G)及びこれらの混合物から選択される中性直接染料であり:
【化15】
好ましくは、化合物(E)、(F)、及び(G)並びにこれらの混合物から、より優先的には化合物(E)及び(G)並びにこれらの混合物から選択される中性直接染料である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記直接染料a)は、次に示す式(III)、(III’)、(IV)、(IV’)、(V)、(V’)、(VI)、(VI’)、(VII)、(VIII)、(IX)及び(X)の染料並びにこれらの混合物:
a)式(III)又は(III’)のジアリールアニオン性アゾ染料:
【化16】
(式(III)及び(III’)中:
・ R、R、R、R10、R’、R’、R’、及びR’10は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は次に示す:
- (C~C)アルキル;
- (C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- ニトロ、ニトロソ;
- R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°は、水素原子又は(C~C)アルキル基又はフェニルなどのアリール基を表し;X、X’、及びX’’は、同一であっても異なっていてもよく、酸素若しくは硫黄原子又はNR(式中、Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基を表す)を表す);
- (O)S(O)-,M(式中、Mは水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
- (O)CO-,M(式中、Mは先に定義した通りである);
- R’’-S(O)-(式中、R’’は、水素原子、アルキル基、又はアリール、(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、又はアリール(C~C)(アルキル)アミノ基を表し;優先的にはフェニルアミノ又はフェニル基を表す);
- R’’’-S(O)-X’-(式中、R’’’は、任意選択的に置換された(C~C)アルキル基又はアリール基を表し、X’は先に定義した通りである);
- (ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;
- i)ニトロ;ii)ニトロソ;iii)(O)S(O)-,M(式中、Mは先に定義した通りである)、及びiv)(C~C)アルコキシ;から選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換された、アリール(C~C)(アルキル)アミノ;
- 任意選択的に置換されたヘテロアリール;優先的にはベンゾチアゾリル基;
- シクロアルキル;特にシクロヘキシル;
- Ar-N=N-(式中、Arは、任意選択的に置換されたアリール基を表し;優先的には、1つ又は複数のアルキル、(O)S(O)-,M、又はフェニルアミノ基で任意選択的に置換されたフェニルを表す);
から選択される基を表すか、
- 又は、2個の隣接している基であるR及びR若しくはR及びR若しくはR及びR10が一緒になって縮合ベンゾ基A’を形成し;R’及びR’若しくはR’及びR’若しくはR’及びR’10が一緒になって縮合ベンゾ基B’を形成し;A’及びB’は、i)ニトロ;ii)ニトロソ;iii)(O)S(O)-,M;iv)ヒドロキシル;v)メルカプト;vi)(ジ)(アルキル)アミノ;vii)R°-C(X)-X’-;viii)R°-X’-C(X)-;ix)R°-X’-C(X)-X’’-;x)Ar-N=N-、及びxi)任意選択的に置換されたアリール(C~C)(アルキル)アミノ(式中、M、R°、X、X’、X’’、及びArは、先に定義した通りである);から選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換されており;
・ Wは、シグマ結合、酸素若しくは硫黄原子、又は二価の基i)-NR-(式中、Rは先に定義した通りである)若しくはii)メチレン-C(R)(R)-(式中、R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はアリール基を表すか、或いは、R及びRが、これらが結合している炭素原子と一緒になって、スピロシクロアルキルを形成する)を表し;優先的には、Wは、硫黄原子を表すか、又はR及びRが一緒になってシクロヘキシルを形成し;
但し、式(III)及び(III’)は、環A、A’、B、B’、又はCのうちの1つの上に:
- 少なくとも1つの(O)S(O)-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);又は
- 少なくとも1つの(O)CO-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);
好ましくは、少なくとも1つのスルホン酸ナトリウム基;
を含むことが理解される);
b)式(IV)又は(IV’)のアニオン性ピラゾロンアゾ染料:
【化17】
(式(IV)及び(IV’)中:
・ R11、R12、及びR13は、同一であっても異なっていてもよく、水素を表すか、又はハロゲン原子、(C~C)アルキル、若しくは-(O)S(O),M基(式中、Mは先に定義した通りである)を表し;
・ R14は、水素原子、(C~C)アルキル基、又は-C(O)O,M基(式中、Mは先に定義した通りである)を表し;
・ R15は、水素原子を表し;
・ R16は、オキソ基を表し、その場合、R’16は存在せず、或いは、R15がR16と一緒になって二重結合を形成し;
・ R17及びR18は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は:
- (O)S(O)-,M(式中、Mは、先に定義した通りである);
- Ar-O-S(O)-(式中、Arは、任意選択的に置換されたアリール基を表し、優先的には、1つ又は複数のアルキル基で任意選択的に置換されたフェニルを表す);
から選択される基を表し;
・ R19及びR20は、一緒になって、二重結合又は任意選択的に置換されたベンゾ基D’のいずれかを形成し;
・ R’16、R’19、及びR’20は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は(C~C)アルキル基又はヒドロキシル基を表し;
・ R21は、水素原子を表すか、又は(C~C)アルキル若しくは(C~C)アルコキシ基を表し;
・ R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、先に定義した通りであり;優先的には、Rは水素原子を表し、Rはフェニルなどのアリール基を表し;
・ Yは、ヒドロキシル基又はオキソ基のいずれかを表し;

【化18】
は、Yがオキソ基である場合は単結合を表し;Yがヒドロキシル基を表す場合は二重結合を表し;
但し、式(IV)及び(IV’)は、環D又はEのうちの1つの上に:
- 少なくとも1つの(O)S(O)-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);又は
- 少なくとも1つの(O)CO-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);
好ましくは、少なくとも1つのスルホン酸ナトリウム基;
を含むことが理解される);
c)式(V)及び(V’)のアントラキノン染料:
【化19】
(式(V)及び(V’)中:
・ R22、R23、R24、R25、R26、及びR27は、同一であっても異なっていてもよく、水素若しくはハロゲン原子を表すか、又は次に示す:
- (C~C)アルキル;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- (C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ;
- 任意選択的に置換されたアリールオキシ又はアリールチオであって、優先的にはアルキル及び(O)S(O)-,M(式中、Mは、先に定義した通りである)から選択される1つ又は複数の基で置換されたアリールオキシ又はアリールチオ;
- アルキル及び(O)S(O)-,M(式中、Mは先に定義した通りである)から選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換されたアリール(C~C)(アルキル)アミノ;
- (ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;
- (ジ)(ヒドロキシ(C~C)アルキル)アミノ;
- (O)S(O)-,M(式中、Mは、先に定義した通りである);
から選択される基を表し;
・ Z’は、水素原子を表すか、又はNR2829基(式中、R28及びR29は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は次に示す:
- (C~C)アルキル;
- ヒドロキシエチルなどのポリヒドロキシ(C~C)アルキル;
- 1つ若しくは複数の基、特に、i)メチル、n-ドデシル、n-ブチルなどの(C~C)アルキル;ii)(O)S(O)-,M(式中、Mは先に定義した通りである);iii)R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°、X、X’、及びX’’は先に定義した通りであり、優先的には、R°は(C~C)アルキル基を表す);で任意選択的に置換されたアリール;
- シクロアルキル;特にシクロヘキシル;
から選択される基を表す)を表し;
・ Zは、ヒドロキシル及びNR’28R’29(式中、R’28及びR’29は、同一であっても異なっていてもよく、先に定義したR28及びR29と同じ原子又は基を表す)から選択される基を表し;
但し、式(V)及び(V’)は:
- 少なくとも1つの(O)S(O)-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);又は
- 少なくとも1つの(O)CO-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);
好ましくは、少なくとも1つのスルホン酸ナトリウム基;
を含むことが理解される);
d)式(VI)又は(VI’)のニトロ染料:
【化20】
(式VI)及び(VI’)中:
・ R30、R31、及びR32は、同一であっても異なっていてもよく、水素若しくはハロゲン原子を表すか、又は次に示す:
- (C~C)アルキル;
- 1つ若しくは複数のヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C~C)アルコキシ又は1つ若しくは複数のヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C~C)アルキルチオ;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- ニトロ、ニトロソ;
- ポリハロ(C~C)アルキル;
- R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°、X、X’、及びX’’は、先に定義した通りである);
- (O)S(O)-,M(式中、Mは、先に定義した通りである);
- (O)CO-,M(式中、Mは先に定義した通りである);
- (ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;
- (ジ)(ヒドロキシ(C~C)アルキル)アミノ;
- ピペリジノ、ピペラジノ、若しくはモルホリノなどのヘテロシクロアルキル;
から選択される基を表し;
- 特に、R30、R31、及びR32は、水素原子を表し;
・ R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は(C~C)アルキル基を表し;
・ Wは、先に定義した通りであり;特に、Wは、N(H)-基を表し;
・ ALKは、直鎖又は分枝の二価のC~Cアルキレン基を表し;特に、ALKは-CH-CH-基を表し;
・ nは、1又は2であり;
・ pは、1~5の範囲の整数を表し;
・ qは、1~4の範囲の整数を表し;
・ uは、0又は1であり;
・ nが1である場合、Jは、ニトロ又はニトロソ基;特にニトロを表し;
・ nが2である場合、Jは、酸素若しくは硫黄原子又は二価の基-S(O)-(式中、mは、1又は2の整数を表す)を表し;優先的には、Jは-SO-基を表し;
・ M’’は、水素原子又はカチオン性対イオンを表し;

【化21】
は、存在していても存在していなくてもよく、先に定義した1つ又は複数のR30基で任意選択的に置換されたベンゾ基を表し;
但し、式(VI)及び(VI’)は:
- 少なくとも1つの(O)S(O)-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);又は
- 少なくとも1つの(O)CO-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);
好ましくは、少なくとも1つのスルホン酸ナトリウム基;
を含むことが理解される);
e)式(VII)のトリアリールメタン染料:
【化22】
(式(VII)中、
・ R33、R34、R35、及びR36は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は(C~C)アルキル、任意選択的に置換されたアリール、及び任意選択的に置換されたアリール(C~C)アルキルから選択される基;特に、(C~C)アルキル基及び任意選択的に(O)S(O)-,M基(式中、M及びmは先に定義した通りである)で置換されたベンジルから選択される基を表し;
・ R37、R38、R39、R40、R41、R42、R43、及びR44は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は次に示す:
- (C~C)アルキル;
- (C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ;
- (ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- ニトロ、ニトロソ;
- R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°は、水素原子又はアルキル若しくはアリール基を表し;X、X’、及びX’’は、同一であっても異なっていてもよく、酸素若しくは硫黄原子又はNR(式中、Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基を表す)を表す);
- (O)S(O)-,M(式中、Mは水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
- (O)CO-,M(式中、Mは先に定義した通りである);
から選択される基を表すか、
- 又は、隣接する2つの基R41とR42若しくはR42とR43若しくはR43とR44が一緒になって、i)ニトロ;ii)ニトロソ;iii)(O)S(O)-,M;iv)ヒドロキシル;v)メルカプト;vi)(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;vii)R°-C(X)-X’-;viii)R°-X’-C(X)-;ix)R°-X’-C(X)-X’’-(式中、M、R°、X、X’、及びX’’は先に定義した通りである);から選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換された縮合ベンゾ基を形成し;
特に、R37~R40は、水素原子を表し、R41~R44は、同一であっても異なっていてもよく、ヒドロキシル基又は(O)S(O)-,M(式中、Mは、先に定義した通りである)を表し;R43及びR44が一緒になってベンゾ基を形成している場合、これは、優先的には、(O)S(O)-基で置換されており;
但し、環G、H、又はIの少なくとも1つは:
- 少なくとも1つの(O)S(O)-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);又は
- 少なくとも1つの(O)CO-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);
好ましくは、少なくとも1つのスルホン酸ナトリウム基;
を含むことが理解される);
f)式(VIII)のキサンテン系染料:
【化23】
(式(VIII)中:
・ R45、R46、R47、及びR48は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はハロゲン原子を表し;
・ R49、R50、R51、及びR52は、同一であっても異なっていてもよく、水素若しくはハロゲン原子を表すか、又は次に示す:
- (C~C)アルキル;
- (C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- ニトロ、ニトロソ;
- (O)S(O)-,M(式中、Mは水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
- (O)CO-,M(式中、Mは先に定義した通りである);
から選択される基を表し;
特に、R45、R46、R47、及びR48は、水素又はハロゲン原子を表し;
・ Gは、酸素若しくは硫黄原子又はNR基(式中、Rは先に定義した通りである)を表し;特に、Gは酸素原子を表し;
・ Lは、アルコキシドO,M;チオアルコキシドS,M;又はNR基(式中、Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基を表し、Mは先に定義した通りであり;Mは、特にナトリウム又はカリウムである)を表し;
・ L’は、酸素若しくは硫黄原子又はアンモニウム基:N(式中、R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、(C~C)アルキル基、又は任意選択的に置換されたアリール基を表す)を表し;特にL’は、酸素原子を表すか又は1つ若しくは複数のアルキル若しくは(O)S(O)-,M基(式中、m及びMは先に定義した通りである)で任意選択的に置換されたフェニルアミノ基を表し;
・ Q及びQ’は、同一であっても異なっていてもよく、酸素又は硫黄原子を表し;特にQ及びQ’は酸素原子を表し;
・ Mは、先に定義した通りである);
g)式(IX)のインドール系染料:
【化24】
(式(IX)中:
・ R53、R54、R55、R56、R57、R58、R59、及びR60は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は次に示す:
- (C~C)アルキル;
- (C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- ニトロ、ニトロソ;
- R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°は、水素原子又はアルキル若しくはアリール基を表し;X、X’、及びX’’は、同一であっても異なっていてもよく、酸素若しくは硫黄原子又はNR(式中、Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基を表す)を表す);
- (O)S(O)-,M(式中、Mは水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
- (O)CO-,M(式中、Mは先に定義した通りである);
から選択される基を表し;
・ Gは、酸素若しくは硫黄原子又はNR基(式中、Rは先に定義した通りである)を表し;特に、Gは酸素原子を表し;
・ R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は(C~C)アルキル基を表し;
但し、式(IX)は:
- 少なくとも1つの(O)S(O)-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);又は
- 少なくとも1つの(O)CO-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);
好ましくは、少なくとも1つのスルホン酸ナトリウム基;
を含むことが理解される);
h)式(X)のキノリン系染料:
【化25】
(式(X)中:
・ R61は、水素若しくはハロゲン原子又は(C~C)アルキル基を表し;
・ R62、R63、及びR64は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は(O)S(O)-,M基(式中、Mは、水素原子又はカチオン性対イオンを表す)を表すか;或いはR61とR62又はR61とR64が一緒になって、1つ又は複数の(O)S(O)-,M基(式中、Mは、水素原子又はカチオン性対イオンを表す)で任意選択的に置換されたベンゾ基を形成し;
但し、式(X)は、少なくとも1つの(O)S(O)-,M’基(式中、M’はカチオン性対イオンを表す)、好ましくは少なくとも1つのスルホン酸ナトリウム基を含むことが理解される)
から選択されるアニオン性直接染料である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記直接染料a)は、温度22℃の大気圧(760mmHg、即ち、1.013×10Pa)下における水への溶解度が、5質量%未満、好ましくは1質量%未満、より優先的には0.5質量%未満である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ケラチン繊維に:
a)請求項1又は7~10のいずれか一項に記載の1種又は複数種の直接染料;及び
b)請求項1~6のいずれか一項に記載の1種又は複数種の式(A)の化合物;
を含む組成物、好ましくは水性組成物を適用するステップを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
i)前記ケラチン繊維に、a)請求項1若しくは7~10のいずれか一項に記載の1種若しくは複数種の直接染料を含む組成物、好ましくは水性組成物を適用する第1ステップと、次いで、ii)前記ケラチン繊維に、b)請求項1~6のいずれか一項に記載の1種若しくは複数種の式(A)の化合物を含む組成物、好ましくは水性組成物を適用する第2ステップと;を含むか、
又は
i)前記ケラチン繊維に、b)請求項1~6のいずれか一項に記載の1種若しくは複数種の式(A)の化合物を含む組成物、好ましくは水性組成物を適用する第1ステップと、次いで、前記ケラチン繊維に、ii)a)請求項1若しくは7~10のいずれか一項に記載の1種若しくは複数種の直接染料を含む組成物、好ましくは水性組成物を適用する第2ステップと;を含むか、
のいずれかである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1又は7~10のいずれか一項に記載の前記直接染料a)は、それを含む前記組成物中に、それを含む前記組成物の総質量に対し、0.001質量%~10質量%の範囲、好ましくは0.05質量%~5質量%の範囲、より優先的には0.3質量%~3質量%の範囲の含有量で存在する、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~6のいずれか一項に記載の式(A)の化合物は、それを含む前記組成物中に、それを含む前記組成物の総質量に対し、1質量%~99.5質量%の範囲、好ましくは3質量%~90質量%の範囲、より優先的には10質量%~80質量%の範囲、更に優先的には20質量%~60質量%の範囲、最も優先的には20質量%~50質量%の範囲、更に良好には20質量%~40質量%の範囲の含有量で存在する、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
成分a)及び/又はb)を含む前記組成物のpHは、3~12、好ましくは5~10、より優先的には6~9.5である、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
a)任意選択的な1種又は複数種の直接染料;及び
b)請求項1~6のいずれか一項に記載の1種又は複数種の式(A)の化合物;
を含む、組成物。
【請求項17】
複数の区画を備えるデバイス又はキットであって、1種又は複数種の直接染料を含む第1区画と、請求項1~6のいずれか一項に記載の1種又は複数種の式(A)の化合物を含む第2区画と、を備える、デバイス又はキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、a)1種又は複数種の直接染料及びb)1種又は複数種の特定のサッカリン塩を使用してケラチン繊維を染色するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ケラチン繊維、特にヒトの毛髪を、酸化性塩基として一般に知られているオルト又はパラ-フェニレンジアミン、オルト又はパラ-アミノフェノール、及び複素環式化合物などの酸化染料前駆体を含有する染料組成物で染色することは公知の手法である。これらの酸化性塩基は、一般にカプラーと併用される。これらの塩基及びカプラーは無色又は色の薄い化合物であり、酸化性を有する生成物と併用すると、酸化縮合過程によって有色の化合物を生成することができる。この種の酸化染色により「永続的な」着色が可能になる。
【0003】
また、ケラチン繊維、特にヒトの毛髪を、直接染料を含有する染料組成物で染色することは公知の手法である。使用される標準的な染料は、特に、ニトロベンゼン、アントラキノン、ニトロピリジン、アゾ、キサンテン、アクリジン、アジン、若しくはトリアリールメタン系の染料又は天然染料である。これらの染料は、ケラチン繊維に対する親和性を有する有色の又は着色性を有する分子である。
【0004】
1種又は複数種の直接染料を含有する組成物は、所望の着色を得るために必要な時間ケラチン繊維に適用された後、洗い流される。その結果として得られる着色は、特に有彩色の着色であるが、これは一時的又は半永久的なものであり、その理由は、直接染料をケラチン繊維に結合させる相互作用の性質や、直接染料が繊維の表面及び/又は芯部から脱着することに起因して、染色力が弱く、洗浄又は汗に対する持続性が低いことにある。
【0005】
直接染色用製品は、特に、髪の自然な色を修正したり白髪を隠したりすることができるものである。しかし、これらの製品によって得られる着色の強さは、適用した当日に使用者が期待していたものよりも弱すぎると判断されることもある。
【0006】
更に、直接染色(direct coloring)には、特に、紫外線、悪天候、及び繰り返すシャンプー洗浄の作用下で、時間の経過と共に退色するという欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、色の良好な蓄積及び濃い有彩色を得ることを可能にする直接染料を使用してケラチン繊維を染色する方法を開発することが真に必要とされている。
【0008】
驚くべきことに、本出願人は、これらの目的が全て本発明による方法によって達成されることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様によれば、本発明の主題は、ケラチン繊維を染色する方法であって:
a)1種又は複数種の直接染料;及び
b)1種又は複数種の式(A)の化合物:
【化1】
[式中、
・ Yは、次に示す式(Ia)、(Ib)、(Ic)、又は(Id)の化合物:
【化2】
(式(Ia)中、R、R、R、及びRは、互いに独立に:
・ 水素原子;
・ 直鎖又は分岐の、飽和又は不飽和のC~C12、好ましくはC~C10炭化水素系基であって:ヒドロキシル、チオール、(C~C)アルキルチオ、アミノ、-NH 、(C~C)ジアルキルアミノ、(C~C)アルキルアミノ、(C~C)アルコキシル、カルボキシル、カルボキシレート、-SOH、-SO 、-C(O)NH、-NHC(NH)-NH、-C(O)OR、-OC(O)-R、-C(O)NHR、-NH-C(O)-R、フェニル、インドリル、フェノール、フラン、グアイアコール、イミダゾール、若しくはグアニンから選択される1つ若しくは複数の基で任意選択的に置換されており、及び/又は-C(O)-、-NR-、-C(NR)-、-OC(O)-、-C(O)O-、-C(O)NR-、若しくは-NRC(O)-から選択される1つ若しくは複数の基が任意選択的に介在し;
- Rは、(C~C)アルキル基を表し;
- Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基、好ましくは水素原子を表す、直鎖又は分岐の、飽和又は不飽和のC~C12、好ましくはC~C10炭化水素系基;
を表し;
但し、式(Ia)の化合物全体の電荷は正であることが理解される);
【化3】
(式(Ib)中、
・ Xは、酸素原子又はNR基を表し;
・ R、R6、及びRは、互いに独立に:
- 水素原子;
- カルボキシル又はカルボキシレート基;
- -C(O)NH基;
- 直鎖又は分岐の、飽和又は不飽和のC~C12、好ましくはC~C10炭化水素系基であって;ヒドロキシル、チオール、(C~C)アルキルチオ、アミノ、-NH 、(C~C)ジアルキルアミノ、(C~C)アルキルアミノ、(C~C)アルコキシル、カルボキシル、カルボキシレート、-SOH、-SO 、-C(O)NH、-NHC(NH)-NH、-C(O)OR、-OC(O)-R、-C(O)NHR、-NH-C(O)-R、フェニル、インドリル、フェノール、フラン、グアイアコール、イミダゾール、若しくはグアニンから選択される1つ若しくは複数の基で任意選択的に置換されており、及び/又は-C(O)-、-NR-、-C(NR)-、-OC(O)-、-C(O)O-、-C(O)NR-、若しくは-NRC(O)-から選択される1つ若しくは複数の基が任意選択的に介在し;
は、(C~C)アルキル基を表し;
は、水素原子又は(C~C)アルキル基、好ましくは水素原子を表す;直鎖又は分岐の、飽和又は不飽和のC~C12、好ましくはC~C10炭化水素系基;
を表し;
但し、式(Ib)の化合物全体の電荷は正であることが理解される);
【化4】
(式(Ic)中、
・ Hetは:
- 5~10個の環員、好ましくは5又は6個の環員と;
- R’及びR’が結合しているアンモニウムに加えて、窒素及び/又は酸素原子から選択され、好ましくは窒素原子である、任意選択的な1個又は2個の原子と;
を含むカチオン性飽和複素環式基を表し、
この複素環式基は、1つ又は複数のR’基で任意選択的に置換されており;
・ R’及びR’は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は:ヒドロキシル、アミノ、(C~C)ジアルキルアミノ、(C~C)アルキルアミノ、カルボキシル、カルボキシレート、カルバミド、(C~C)アルコキシル、-SOH、-SO 、若しくはフェニルから選択される1つ若しくは複数の基で任意選択的に置換された、直鎖若しくは分岐の飽和若しくは不飽和のC~C12炭化水素系基を表し;
・ R’は、同一であっても異なっていてもよく、ヒドロキシル基、アミノ基、-C(O)OR’基、-OC(O)-R’基、-C(O)NHR’基、-NH-C(O)-R’基を表すか:ヒドロキシル、アミノ、(C~C)ジアルキルアミノ、(C~C)アルキルアミノ、カルボキシル、カルボキシレート、カルバミド、(C~C)アルコキシル、-SOH、-SO 、又はフェニルから選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換された、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のC~C12炭化水素系基を表し;
・ R’は、水素原子を表すか、ヒドロキシル、アミノ、(C~C)ジアルキルアミノ、又は(C~C)アルキルアミノから選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換された、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のC~C12炭化水素系基を表し;
但し、式(Ic)の化合物全体の電荷は正であることが理解される);
【化5】
(式(Id)中、
・ Het’は:
- 5~10個の環員、好ましくは5又は6個の環員と;
- R’’が結合しているアンモニウムに加えて、窒素及び/又は酸素原子から選択され、好ましくは窒素原子である、任意選択的な1個又は2個の原子と;
を含むカチオン性芳香族不飽和複素環式基を表し、
前記複素環式基は、1つ又は複数のR’’基で任意選択的に置換されており;
・ R’’は、ヒドロキシル、アミノ、(C~C)ジアルキルアミノ、(C~C)アルキルアミノ、カルボキシル、カルボキシレート、カルバミド、(C~C)アルコキシル、-SOH、-SO 、又はフェニルから選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換された、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のC~C12炭化水素系基を表し;
・ R’’は、同一であっても異なっていてもよく、ヒドロキシル基、アミノ基を表すか、又はヒドロキシル、アミノ、(C~C)ジアルキルアミノ、(C~C)アルキルアミノ、カルボキシル、カルボキシレート、カルバミド、(C~C)アルコキシル、-SOH、-SO 、若しくはフェニルから選択される1つ若しくは複数の基で任意選択的に置換された、直鎖若しくは分岐の飽和若しくは不飽和のC~C12炭化水素系基を表し;
但し、式(Id)の化合物全体の電荷は正であることが理解される)
から選択されるカチオン性対イオンを表し;
・ xは、式(A)の化合物の電気的中性を保つように選択される化学量論的係数である];
を使用する方法にあり、
成分a)及びb)は、ケラチン繊維に同時に又は順次、好ましくは同時に適用されることが理解される。
【0010】
第2の態様によれば、本発明の主題は:
a)任意選択的な1種又は複数種の直接染料;及び
b)1種又は複数種の先に定義した式(A)の化合物;
を含む組成物にある。
【0011】
第3の態様によれば、本発明の主題は、1種又は複数種の直接染料を収容している第1区画と、1種又は複数種の先に定義した式(A)の化合物を収容している第2区画と、を備える、複数の区画を備えるデバイス又はキットにある。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の目的に関しては、特に断りのない限り、以下の通りとする:
・ 「ケラチン繊維」という用語は、頭髪、体毛、睫毛、眉毛、羊毛、アンゴラヤギの毛、カシミヤ、又は毛皮などのヒト又は動物由来の繊維を意味することを意図している。本発明によれば、ケラチン繊維は、好ましくはヒトのケラチン繊維、より優先的には毛髪である。
・ 「直接染料」という用語は、酸化染料以外の、抽出物の形態を含む、天然及び/又は合成染料を意味することを意図している。これらは、繊維の表面上に広がることになる染料である。これらは、イオン性又は非イオン性、即ち、アニオン性、カチオン性、中性、又は非イオン性であり得る。直接染料は、同種のイオン性を有するものであってもよいし、或いは混合物であってもよい。
・ 直接染料は、1つ又は複数の発色団を含み、この染料は、波長λabsが400nm~700nmの範囲にある光を吸収することができる。
・ 蛍光直接染料は、少なくとも1つの蛍光発色団を含む染料であり、この染料は、400nm~800nmの範囲にある可視領域の波長λabsを吸収し、吸収した波長よりも長い400nm~800nmの範囲にある可視領域の波長λemを再放出することができる。
ストークスシフトとしても知られる吸収波長と発光波長との差は、1nm~100nmである。好ましくは、蛍光直接染料は、420nm~550nmの範囲の波長λabsを吸収し、可視領域の470~600nmの範囲の波長λemを再放出することができる染料である。
・ 「アルキル基」という用語は、直鎖又は分岐の飽和炭化水素系基を意味することを意図している;
・ 「(C~C)アルキル基」という用語は、x~y個の炭素原子を含むアルキル基を意味する;
・ 「ヒドロキシ(C~C)アルキル基」という用語は、その水素原子の少なくとも1個がヒドロキシル(-OH)基に置き換えられている(C~C)アルキル基を意味することを意図している;
・ 「(ヒドロキシ)(C~C)アルキル基」という用語は、ヒドロキシ(C~C)アルキル基又は(C~C)アルキル基を意味することを意図している;
・ 「アルコキシ基」という用語は、酸素原子に結合しているアルキル基を意味する;
・ 「(C~C)アルコキシ基」という用語は、x~y個の炭素原子を含むアルコキシ基を意味する;
・ 「ヒドロキシ(C~C)アルコキシ基」という用語は、その水素原子の少なくとも1個がヒドロキシル(-OH)基に置き換えられている(C~C)アルコキシ基を意味することを意図している;
・ アルキル基又はアルコキシ基に適用される「任意選択的に置換された」という表現は、アルキル基又はアルコキシ基が次の基から選択される1つ又は複数の基で置換されていてもよいことを意味している;i)ヒドロキシル;ii)(C~C)アルコキシ;iii)アシルアミノ;iv)1又は2個の同一又は異なる(ヒドロキシ)(C~C)アルキル基で任意選択的に置換されたアミノ(前記アルキル基は、それが結合している窒素原子と一緒になって、5~7個の環員を含む複素環を形成していてもよく、前記複素環は、任意選択的に、他の窒素又は窒素以外のヘテロ原子を含む);v)4級アンモニウム基-NR’R’’R’’’,M(式中、R’、R’’、及びR’’’は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は(C~C)アルキル基を表すか、或いはR’、R’’、及びR’’’が、Nと一緒になって、(C~C)アルキル基で任意選択的に置換されたイミダゾリウムなどのヘテロアリールを形成し、Mは、電気的中性を保つことを目的とするアニオン又はアニオンの混合物を表す);
・ 「アルキレン」基という用語は:i)ヒドロキシル、ii)(C~C)アルコキシル(alcoxyl)、iii)(ポリ)ヒドロキシ(C~C)アルコキシ(alcoxy)(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、iv)(ポリ)ヒドロキシ(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、v)R-Z-C(Z)-Z-、vi)R’-C(Z)-Z-、及びvii)R-Z-S(O)-Z-(式中、Z及びZは、同一であっても異なっていてもよく、酸素若しくは硫黄原子又はNR’基を表し、Zは、結合、酸素若しくは硫黄原子、又はNR基を表し、Rは、アルカリ金属、水素原子、アルキル基を表すか、或いは分子の他の部分がカチオン性である場合は、存在せず、R’は、水素原子又はアルキル基を表し、tは、1又は2である)から選択される同一であっても異なっていてもよい1つ又は複数の基で任意選択的に置換された、直鎖又は分岐のC~C10、特にC~C、より詳細にはC~Cの二価の非環式炭化水素系鎖を意味することを意図しており;好ましくは、「アルキレン」基は、-(CH-基(式中、pは1~6の間、好ましくは1~4の間の整数である)を表す;
・ 「(ヘテロ)アリール」という用語は、アリール基又はヘテロアリール基を意味することを意図している;
・ 「アリール基」という用語は、6~22個の炭素原子を含み、その少なくとも1つの環が芳香族である、単環式又は縮合若しくは非縮合多環式炭素系基を意味することを意図しており、優先的には、アリール基は、フェニル、ビフェニル、ナフチル、インデニル、アントラセニル、又はテトラヒドロナフチルである;
・ 「ヘテロアリール基」は、任意選択的にカチオン性であり、窒素、酸素、硫黄、及びセレン原子から選択される1~6個のヘテロ原子を含み、その少なくとも1つの環が芳香族である、5~22員単環式又は縮合若しくは非縮合多環式基を意味することを意図しており、優先的には、ヘテロアリール基は、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾビストリアゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾピリダジニル、ベンゾキノリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンズオキサゾリル、ピリジニル、テトラゾリル、ジヒドロチアゾリル、イミダゾピリジニル、イミダゾリル、インドリル、イソキノリル、ナフトイミダゾリル、ナフトオキサゾリル、ナフトピラゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾロピリジル、フェナジニル、フェノキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリリル、ピラゾイルトリアジル、ピリジル、ピリジノイミダゾリル、ピロリル、キノリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チアゾロピリジニル、チアゾイルイミダゾリル、チオピリリル、トリアゾリル、キサンチニル、及びそのアンモニウム塩から選択される;
・ (ヘテロ)アリール基又は任意の基のアリール若しくはヘテロアリール部分は、炭素原子に結合している次に示す基から選択される少なくとも1つの基で任意選択的に置換されていてもよい:
- 次に示す基から選択される少なくとも1つの基で任意選択的に置換された、(C~C10)アルキル、好ましくは(C~C)アルキル基:ヒドロキシル;(C~C)アルコキシ;ヒドロキシ(C~C)アルコキシ;アシルアミノ;少なくとも1つのヒドロキシル基を任意選択的に有する同一であっても異なっていてもよい1つ又は2つの(C~C)アルキル基で任意選択的に置換されたアミノ(或いは、この2つの(C~C)アルキル基が、これらが結合している窒素原子と一緒になって、5~7員、好ましくは5又は6員の複素環を形成していてもよく、前記複素環は、飽和又は不飽和であり、任意選択的に置換されており、他の窒素又は窒素以外のヘテロ原子を任意選択的に含む);
- ハロゲン原子;
- ヒドロキシル基;
- (C~C)アルコキシ基;
- ヒドロキシ(C~C)アルコキシ基;
- アミノ基;
- 5又は6員のヘテロシクロアルキル基;
- 任意選択的にカチオン性である5又は6員のヘテロアリール基、優先的にはイミダゾリウムであって、(C~C)アルキル基、優先的にはメチルで任意選択的に置換された、ヘテロアリール基;
- 1つ又は2つの同一又は異なる(C~C)アルキル基で置換されたアミノ基であって、任意選択的に、少なくとも;
i)ヒドロキシル基;
ii)1つ又は2つの任意選択的に置換された(C~C)アルキル基で任意選択的に置換されたアミノ基(前記アルキル基は、これらが結合している窒素原子と一緒になって、飽和又は不飽和の、任意選択的に置換された、少なくとも1個の他の窒素又は窒素以外のヘテロ原子を任意選択的に含む、5~7員の複素環を形成していてもよい);
iii)4級アンモニウム基-N+R’R’’R’’’,M-(式中、R’、R’’、及びR’’’は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は(C~C)アルキル基を表し、M-はアニオン性対イオンを表す);
iv)任意選択的にカチオン性である5又は6員のヘテロアリール基、優先的にはイミダゾリウムであって、(C~C)アルキル基、優先的にはメチルで任意選択的に置換された、ヘテロアリール基;
v)アシルアミノ(-N(R)-C(O)-R’)基(式中、Rは、水素原子又は(ヒドロキシ)(C~C)アルキル基を表し、R’は、(C~C)アルキル基を表す);
を有する、アミノ基;
- アシルアミノ(-N(R)-C(O)-R’)基(式中、Rは、水素原子又は(ヒドロキシ)(C~C)アルキル基を表し、R’は、(C~C)アルキル基を表す);
- カルバモイル基((R)N-C(O)-)(式中、Rは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は(ヒドロキシ)(C~C)アルキル基を表す);
- アルキルスルホニルアミノ(R’-S(O)-N(R)-)基(式中、Rは、水素原子又は(ヒドロキシ)(C~C)アルキル基を表し、R’は、(C~C)アルキル基又はフェニル基を表す);
- アミノスルホニル((R)N-S(O)-)基(式中、Rは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は(ヒドロキシ)(C~C)アルキル基を表す);
- 酸形態又は塩形態のカルボキシル基(好ましくは、アルカリ金属又は置換若しくは無置換のアンモニウムと塩を形成している);
- シアノ基;
- ニトロ又はニトロソ基;
- ポリハロアルキル基、優先的にはトリフルオロメチル;
- エステル基;
・ 「カチオン性ヘテロアリール基」という用語は、環内又は環外に4級化されたカチオン性基を含む、先に定義したヘテロアリール基を意味することを意図しており;
- カチオン電荷が環内にある場合、これはメソメリー効果による非局在化電子に含まれ、例えばこれは、ピリジニウム、イミダゾリウム、又はインドリニウム基:
【化6】
(式中、R及びR’は、先に定義したヘテロアリールの置換基、特に(ヒドロキシ)(C~C)アルキル基、例えばメチルである)であり;
- 電荷が環外にある場合、例えばこれは、対応するピリジル、インドリル、イミダゾリル、ナフタルイミジルなどのヘテロアリールの外側にある、トリメチルアンモニウムなどのアンモニウム置換基R又はホスホニウムである:
【化7】
(式中、Rは、先に定義したヘテロアリールの置換基であり、Rは、アンモニウムR-、ホスホニウムR-、又はアンモニウムR-(C~C)アルキルアミノ基であり、R、R、及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はメチルなどの(C~C)アルキル基を表す);
・ 「環外電荷を有するカチオン性アリール基」という用語は、4級化されたカチオン性基が前記環の外にあるアリール環を意味することを意図しており;これは特に、フェニル又はナフチルなどのアリールの外にあるトリメチルアンモニウムなどのアンモニウム置換基R又はホスホニウムである:
【化8】
・ 「(複素)環式基」という用語は、複素環式基又は炭素環式基を意味することを意図している;
・ 「複素環式基」という用語は、1つ又は2つの不飽和を含んでいてもよいが、非芳香族である、窒素、酸素、硫黄、及びセレン原子から選択される1~6個のヘテロ原子を含む5~22員の単環式又は縮合若しくは非縮合多環式基を意味することを意図している;
・ 「ヘテロシクロアルキル基」という用語は、モルホリニル、ピペラジニル、又はピペリジニルなどの飽和複素環式基を意味することを意図している;
・ 「炭素環式基」という用語は、1つ又は2つの不飽和を含んでいてもよいが、非芳香族である、5~22員の単環式又は縮合若しくは非縮合多環式基、例えば、シクロブチル、シクロペンチル、又はシクロヘキシルを意味することを意図している;
・ 非芳香族基の炭素環式又は複素環式部分は、次の基から選択される少なくとも1つの基で任意選択的に置換されていてもよい:
- ヒドロキシル基;
- (C~C)アルコキシ又はヒドロキシ(C~C)アルコキシ基;
- (C~C)アルキル基;
- アルキルカルボニルアミノ(R-C(O)-N(R’)-)基(式中、R’は、水素原子又は(ヒドロキシ)(C~C)アルキル基であり、Rは、(C~C)アルキル基であるか、又は1つ若しくは2つの同一若しくは異なる(ヒドロキシ)(C~C)アルキル基で任意選択的に置換されたアミノ基であり、前記(ヒドロキシ)(C~C)アルキル基は、これらが結合している窒素原子と一緒になって、飽和又は不飽和の、任意選択的に置換された、少なくとも1個の他の窒素又は窒素以外のヘテロ原子を任意選択的に含む5~7員の複素環を形成していてもよい);
- アルキルカルボニルオキシ(R-C(O)-O-)基(式中、R基は、(C~C)アルキル基であるか、又は1つ若しくは2つの同一若しくは異なる(ヒドロキシ)(C~C)アルキル基で任意選択的に置換されたアミノ基であり、前記(ヒドロキシ)(C~C)アルキル基は、これらが結合している窒素原子と一緒になって、飽和又は不飽和の、任意選択的に置換された、少なくとも1個の他の窒素又は窒素以外のヘテロ原子を任意選択的に含む5~7員の複素環を形成していてもよい);
- アルコキシカルボニル(R-G-C(O)-)基(式中、Rは、(C~C)アルキル基であり、Gは、酸素原子であるか又は(ヒドロキシ)(C~C)アルキル基で任意選択的に置換されたアミノ基である);
・ 環式若しくは複素環式基又はアリール若しくはヘテロアリール基の非芳香族部分は、少なくとも1つのオキソ基でも置換されていてもよい;
・ 炭化水素系鎖が1つ若しくは複数の二重結合及び/又は1つ若しくは複数の三重結合を含む場合、これは不飽和鎖である。
【0013】
別段の指定がない限り、本出願において化合物に言及する場合、これは、単独で又は混合物としての、その光学異性体、その幾何異性体、その互変異性体、その塩、又はその溶媒和物も含む。
【0014】
「少なくとも1の」及び「1又は複数の」は同義であり、互換的に使用することができる。
【0015】
染色方法
第1の態様によれば、本発明の主題は、先に定義したケラチン繊維を染色するための方法にある。
【0016】
驚くべきことに、本出願人らは、式(A)の化合物を直接染料と組み合わせて使用することにより、色をより良好に蓄積させ、濃い有彩色を得ることが可能になることを見出した。
【0017】
a)直接染料
この染色方法は、a)1種又は複数種の直接染料を使用する。直接染料は、好ましくは、アニオン性又は中性である。
【0018】
直接染料a)は:アクリジン;アクリドン;アンスラントロン(anthranthrone);アントラピリミジン;アントラキノン;アジン;(ポリ)アゾ又はアゾ、ヒドラゾノ又はヒドラゾン、特にアリールヒドラゾン;アゾメチン;ベンズアントロン;ベンズイミダゾール;ベンズイミダゾロン;ベンズインドール;ベンゾオキサゾール;ベンゾピラン;ベンゾチアゾール;ベンゾキノン;ビス-イソインドリン;カルボキサニリド;クマリン;(ジ)アザカルボシアニン、(ジ)アザヘミシアニン、ヘミシアニン、又はテトラアザカルボシアニンなどのシアニン;(ジ)アジン;ビス-アジン;(ジ)オキサジン;(ジ)チアジン;(ジ)フェニルアミン;(ジ)フェニルメタン;(ジ)ケトピロロピロール;フラバントロン及びフラボンなどのフラボノイド;フルオリンジン;ホルマザン;インダミン;インダントロン;インジゴイド、チオインジゴイド、及びシュードインジゴイド(pseudoindigoid);インドフェノール;インドアニリン;イソインドリン;イソインドリノン;イソビオラントロン;ラクトン;スチルベン又はスチリル型のジメチンなどの(ポリ)メチン;ナフタルイミド;ナフトアニリド;ナフトラクタム;ナフトキノン;ニトロ、特にニトロ(複素)芳香族;オキサジアゾール;オキサジン;ペリロン(perilone);ペリノン;ペリレン;フェナジン;フェノキサジン;フェノチアジン;フタロシアニン;ポリエン/カロテノイド;ポルフィリン;ピラントロン;ピラゾロアントロン;ピラゾロン;ピリミジノアントロン;ピロニン;キナクリドン;キノリン;キノフタロン;スクアラン;テトラゾリン;チアジン;チオピロニン;トリアリールメタン;又はキサンテン;及び天然直接染料から選択される中性、カチオン性、又はアニオン性直接染料とすることができる。好ましくは、直接染料a)は、アントラキノン、(ポリ)アゾ、アゾメチン、及びスチルベンから、より好ましくは、アントラキノンから選択される。
【0019】
直接染料a)は、特に、中性、カチオン性、又はアニオン性ニトロベンゼン直接染料、中性、カチオン性、又はアニオン性アゾ直接染料、中性、カチオン性、又はアニオン性テトラアザペンタメチン染料、カチオン性又はアニオン性キノン染料、特に、中性、カチオン性、又はアニオン性アントラキノン染料、中性、カチオン性、又はアニオン性アジン直接染料、中性、カチオン性、又はアニオン性トリアリールメタン直接染料、中性、カチオン性、又はアニオン性アゾメチン直接染料、及び天然直接染料から選択することができる。好ましくは、直接染料は、中性又はアニオン性アントラキノン染料及びスチルベンから選択される。
【0020】
本発明に使用することができる中性、アニオン性、又はカチオン性直接染料として、次の染料:アクリジン;アクリドン;アンスラントロン(anthranthrone);アントラピリミジン;アントラキノン;アジン;(ポリ)アゾ;ヒドラゾノ又はヒドラゾン、特にアリールヒドラゾン;アゾメチン;ベンズアントロン;ベンズイミダゾール;ベンズイミダゾロン;ベンズインドール;ベンゾオキサゾール;ベンゾピラン;ベンゾチアゾール;ベンゾキノン;ビスアジン;ビス-イソインドリン;カルボキサニリド;クマリン;アザカルボシアニン、ジアザカルボシアニン、ジアザヘミシアニン、ヘミシアニン、又はテトラアザカルボシアニンなどのシアニン;ジアジン;ジケトピロロピロール;ジオキサジン;ジフェニルアミン;ジフェニルメタン;ジチアアジン;フラバントロン及びフラボンなどのフラボノイド;フルオリンジン;ホルマザン;インダミン;インダントロン;インジゴイド及びシュードインジゴイド(pseudoindigoid);インドフェノール;インドアニリン;イソインドリン;イソインドリノン;イソビオラントロン;ラクトン;スチルベン又はスチリル型のジメチンなどの(ポリ)メチン;ナフタルイミド;ナフトアニリド;ナフトラクタム;ナフトキノン;ニトロ、特にニトロ(複素)芳香族;オキサジアゾール;オキサジン、ペリロン(perilone);ペリノン;ペリレン;フェナジン;フェノキサジン;フェノチアジン;フタロシアニン;ポリエン/カロテノイド;ポルフィリン;ピラントロン;ピラゾロアントロン;ピラゾロン;ピリミジノアントロン;ピロニン;キナクリドン;キノリン;キノフタロン;スクアラン;テトラゾール;チアジン;チオインジゴ;チオピロニン;トリアリールメタン;又はキサンテンを挙げることができる。
【0021】
中性直接染料
直接染料a)は、好ましくは、次に示す式(IIIa)及び(III’a)のヒドラゾノ染料、アゾ及びスチリル染料(IVa)、ジアゾ及びジスチリル染料(IV’a)及び(IV’’a)、アントラキノン染料(Va)、並びにアゾメチン染料(VIa)及び(VI’a)、並びにこれらの混合物から選択される中性直接染料とすることができる:
【化9】
(式(IIIa)、(III’a)、(IVa)、(IV’a)、(IV’’a)、(Va)、(VIa)、及び(VI’a)中、
・ Arは、アリール基であって、少なくとも1つの電子供与性基、例えば、i)任意選択的に置換された(C~C)アルキル、ii)任意選択的に置換された(C~C)アルコキシ、iii)アルキル基がヒドロキシル基で任意選択的に置換された(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、iv)アリール(C~C)アルキルアミノ、v)任意選択的に置換されたN-(C~C)アルキル-N-アリール(C~C)アルキルアミノ、で置換されたアリール基、例えばフェニル若しくはナフチルを表すか、又はArはジュロリジン基を表し;
・ Ar’は、任意選択的に置換された二価の(ヘテロ)アリーレン基、例えば、好ましくは1つ又は複数の(C~C)アルキル基、ヒドロキシル基、又は(C~C)アルコキシ基で任意選択的に置換された、フェニレン、特にパラフェニレン、又はナフタレンを表し;
・ Ar’’は、(ヘテロ)アリール基であって、好ましくは少なくともi)ニトロ、ニトロソ、-C(X)-X’-R’などの電子吸引性基、又はii)(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ基、iii)ヒドロキシル、iv)(C~C)アルコキシ、で任意選択的に置換された(ヘテロ)アリール基を表し;特に(ヘテロ)アリールは、イミダゾリル、トリアゾリル、インドリル、若しくはピリジル、又は好ましくはフェニル基のパラ位を置換しているニトロ、ニトロソ、及びアミノから選択される少なくとも1つの基で任意選択的に置換されたフェニルから選択され;
・ X、X’、及びX’’は、同一であっても異なっていてもよく、酸素若しくは硫黄原子又はNR’’基、好ましくは酸素原子を表し;
・ R、R、R、及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素若しくはハロゲン原子、又はヒドロキシル、チオール、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、ニトロ、及びニトロソから選択される基を表し;
・ R’及びR’’は、(C~C)アルキル基を表し;
・ R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、若しくは好ましくはヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C~C)アルキル基を表すか;
又は、一変形として、置換基RがAr’’の置換基と、及び/若しくはRがArの置換基と、及び/若しくはRがRと、それらが結合している原子と一緒になって、(ヘテロ)シクロアルキルを形成し;
特に、R及びRは、水素原子を表すか、又はヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C~C)アルキル基を表し;
・ T及びT’は、同一であっても異なっていてもよく、C(R)基又はN、好ましくはNを表し;
・ Lは、二価の基-ALK-、-C(X)-ALK-、-ALK-C(X)-、又は-C(X)-ALK-C(X’)-(式中、ALKは、メチレンなどの直鎖又は分岐の(C~C)アルキレン基を表し、X及びX’は、先に定義した通りである)を表し、
・ R22、R23、R24、R25、R26、及びR27は、同一であっても異なっていてもよく、水素若しくはハロゲン原子を表すか、又は次に示す:
- (C~C)アルキル;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- (C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ;
- アリールオキシ又はアリールチオ;
- アリール(C~C)(アルキル)アミノ;
- (ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;
- (ジ)(ヒドロキシ(C~C)アルキル)アミノ;
から選択される基を表し;
・ Z’は、水素原子を表すか、又はNR2829基(式中、R28及びR29は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は次に示す
- (C~C)アルキル;
- ヒドロキシエチルなどのポリヒドロキシ(C~C)アルキル;
- 1つ若しくは複数の基、特にi)(C~C)アルキル;iii)R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°は、(C~C)アルキル基を表し、X、X’、及びX’’は、先に定義した通りである);iv)スルホネート、で任意選択的に置換されたアリール;
- シクロアルキル;特にシクロヘキシル
から選択される基を表す)を表し;
・ Zは、ヒドロキシル及びNR’28R’29(式中、R’28及びR’29は、同一であっても異なっていてもよく、先に定義したR28及びR29と同じ原子又は基を表す)から選択される基を表す)。
【0022】
式(IV’’a)の直接染料a)は、好ましくは、式(IV’’’a):
【化10】
(式(IV’’’a)中、
・ R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、好ましくは同一であり、水素原子、メチルなどの(C~C)アルキル基、又はグルコシルなどの糖を表し、好ましくは水素原子を表し;
・ R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、好ましくは同一であり、水素原子、(C~C)アルキル若しくは(C~C)アルコキシ基、又は-O-グルコシルなどの-O-糖基を表し、好ましくはメトキシなどの(C~C)アルコキシを表し;
・ Xは、同一であっても異なっていてもよく、好ましくは同一であり、酸素若しくは硫黄原子又はN-R(式中、Rは、水素原子又は任意の基、好ましくは酸素原子を表す)を表し;
・ ALKは、メチレン又はエチレンなどの(C~C)アルキレン基、好ましくはメチレンを表す)のものである。
【0023】
式(IV’’a)の直接染料は、クルクミン、デメトキシクルクミン、及びビスデメトキシクルクミンから誘導することができる。
【0024】
好ましくは、直接染料a)は、先に定義した式(IV’’a)及び(IV’’’a)の直接染料並びにこれらの混合物から選択される。
【0025】
特に好ましい一実施形態によれば、直接染料a)は、次に示す化合物(A)~(G)及びこれらの混合物から選択される中性直接染料であり:
【化11】
好ましくは、化合物(E)、(F)、及び(G)並びにこれらの混合物から、より優先的には化合物(E)及び(G)並びにこれらの混合物から選択される中性直接染料である。
【0026】
カチオン性直接染料
直接染料a)は、カチオン性直接染料又は酸性物質と親和性があることから一般に「塩基性染料」と称される染料から選択することができる。
【0027】
本発明に使用することができるカチオン性アゾ染料として、特に、2010年4月19日に改訂されたKirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,“Dyes,Azo”,J.Wiley & Sonsに記載されているカチオン性染料を挙げることができる。
【0028】
特許出願である国際公開第95/15144号パンフレット、国際公開第95/01772号パンフレット、及び欧州特許第714954号明細書に記載されているカチオン性アゾ染料も挙げることができる。
【0029】
Color Index International,3rd editionに記載されているカチオン性アゾ染料、特に次の化合物:Basic Red 22;Basic Red 76;Basic Yellow 57;Basic Brown 16;Basic Brown 17も挙げることができる。
【0030】
カチオン性キノン染料の中でも、Color Index International,3rd editionに記載されているものが適しており、その中でも特に、次の染料:Basic Blue 22;Basic Blue 99を挙げることができる。
【0031】
好適なアジン染料の中でも、Color Index International,3rd editionに列挙されているもの、例えば、次の染料:Basic Blue 17、Basic Red 2を挙げることができる。
【0032】
本発明に従い使用することができるカチオン性トリアリールメタン染料の中でも、Color Index International, 3rd editionに列挙されているものに加えて、次の染料:Basic Green 1、Basic Violet 3、Basic Violet 14、Basic Blue 7、Basic Blue 26を挙げることができる。
【0033】
米国特許第5888252号明細書、欧州特許第1133975号明細書、国際公開第03/029359号パンフレット、欧州特許第860636号明細書、国際公開第95/01772号パンフレット、国際公開第95/15144号パンフレット、及び欧州特許第714954号明細書に記載される直接染料も挙げることができる。
【0034】
K.Venkataramanによる百科事典“The Chemistry of Synthetic Dyes”,1952,Academic Press,vol.1-7、“Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology”の“Dyes and Dye Intermediates”章,1993,Wiley and Sons、及び“Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry”,7th edition,Wiley and Sonsの様々な章に列挙されているものも挙げることができる。
【0035】
好ましくは、カチオン性直接染料は、アゾ及びヒドラゾノ型の染料に由来するものから選択される。
【0036】
カチオン性直接染料は、欧州特許第850636号明細書、仏国特許第2788433号明細書、欧州特許第920856号明細書、国際公開第99/48465号パンフレット、仏国特許第2757385号明細書、欧州特許第850637号明細書、欧州特許918053号明細書、国際公開第97/44004号パンフレット、仏国特許第2570946号明細書、仏国特許第2285851号明細書、独国特許第2538363号明細書、仏国特許第2189006号明細書、仏国特許第1560664号明細書、仏国特許第1540423号明細書、仏国特許第1567219号明細書、仏国特許第1516943号明細書、仏国特許第1221122号明細書、独国特許第4220388号明細書、独国特許第4137005号明細書、国際公開第01/66646号パンフレット、米国特許第5708151明細書、国際公開第95/01772号パンフレット、国際公開第515144号パンフレット、英国特許第1195386号明細書、米国特許第3524842号明細書、米国特許第5879413号明細書、欧州特許第1062940号明細書、欧州特許第1133976号明細書、英国特許第738585号明細書、独国特許第2527638号明細書、仏国特許第2275462号明細書、英国特許出願公開第1974-27645号明細書、Acta Histochem,(1978),61(1),48-52;Tsitologiya(1968),10(3),403-5;Zh.Obshch.Khim.,(1970),40(1),195-202;Ann.Chim.(Rome)(1975),65(5-6),305-14;Journal of the Chinese Chemical Society(Taipei)(1998),45(1),209-211;Rev.Roum.Chim.(1988),33(4),377-83;Text.Res.J.(1984),54(2),105-7;Chim.Ind.(Milan)(1974),56(9),600-3;Khim.Tekhnol.(1979),22(5),548-53;Ger.Monatsh.Chem.(1975),106(3),643-8;MRL Bull.Res.Dev.(1992),6(2),21-7;Lihua Jianyan,Huaxue Fence(1993),29(4),233-4;Dyes Pigm.(1992),19(1),69-79;Dyes Pigm.(1989),11(3),163-72に記載されているカチオン性アゾ染料とすることもできる。
【0037】
好ましくは、カチオン性直接染料は4級アンモニウム基を含み;より優先的には、カチオン性電荷は環内にある。このカチオン性基は、例えば:
- 環外に(ジ/トリ)(C~C)アルキルアンモニウム電荷を有するカチオン性基であるか;又は
- 環内電荷、例えば:アクリジニウム、ベンズイミダゾリウム、ベンゾビストリアゾリウム、ベンゾピラゾリウム、ベンゾピリダジニウム、ベンゾキノリウム、ベンゾチアゾリウム、ベンゾトリアゾリウム、ベンゾオキサゾリウム、ビピリジニウム、ビス-テトラゾリウム、ジヒドロチアゾリウム、イミダゾピリジニウム、イミダゾリウム、インドリウム、イソキノリウム、ナフトイミダゾリウム、ナフトオキサゾリウム、ナフトピラゾリウム、オキサジアゾリウム、オキサゾリウム、オキサゾロピリジニウム、オキソニウム、フェナジニウム、フェノオキサゾリウム、ピラジニウム、ピラゾリウム、ピラゾイルトリアゾリウム、ピリジニウム、ピリジノイミダゾリウム、ピロリウム、ピリリウム、キノリウム、テトラゾリウム、チアジアゾリウム、チアゾリウム、チアゾロピリジニウム、チアゾイルイミダゾリウム、チオピリリウム、トリアゾリウム、若しくはキサンチリウムから選択されるカチオン性ヘテロアリール基を含む環内電荷を有するカチオン性基である。
【0038】
次の式(IIb)及び(IIIb)のヒドラゾノカチオン性直接染料並びに式(IVb)及び(Vb)のアゾ染料も挙げることができる:
Het-C(R)=N-N(R)-Ar,Q(IIb);
Het-N(R)-N=C(R)-Ar,Q(IIIb);
Het-N=N-Ar,Q(IVb);
Ar-N=N-Ar’’,Q(Vb);
(式(IIb)~(Vb)中:
・ Hetは、優先的には少なくとも1つのメチルなどの(C~C)アルキル基で任意選択的に置換された、優先的には環内にカチオン性電荷を有する、イミダゾリウム、インドリウム、又はピリジニウムなどのカチオン性ヘテロアリール基を表し;
・ Arは、環外にカチオン性電荷、優先的にはアンモニウム、特にトリメチルアンモニウムなどのトリ(C~C)アルキルアンモニウムを有する、フェニル又はナフチルなどのアリール基を表し;
・ Arは、アリール基であって、優先的には1つ又は複数の電子供与性基、例えば、i)任意選択的に置換された(C~C)アルキル、ii)任意選択的に置換された(C~C)アルコキシ、iii)アルキル基がヒドロキシル基で任意選択的に置換された(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、iv)アリール(C~C)アルキルアミノ、v)任意選択的に置換されたN-(C~C)アルキル-N-アリール(C~C)アルキルアミノ、で任意選択的に置換されたアリール基、特にフェニルを表すか、或いは、Arはジュロリジン基を表し;
・ Ar’’は、任意選択的に置換されたフェニル又はピラゾリルなどの(ヘテロ)アリール基であって、優先的には1つ又は複数の(C~C)アルキル、ヒドロキシル、(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、(C~C)アルコキシ、又はフェニル基で任意選択的に置換された、(ヘテロ)アリール基を表し;
・ R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は任意選択的に、優先的にはヒドロキシル基で置換された(C~C)アルキル基を表すか;
・ 或いは、置換基RがHetの置換基と、及び/又はRがArの置換基と、及び/又はRがRと、これらが結合している原子と一緒になって、(ヘテロ)シクロアルキルを形成し;特に、R及びRは、水素原子を表すか、又はヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C~C)アルキル基を表し;
・ Qは、ハライド、アルキルスルフェート、又はアルキルスルホネートなどのアニオン性対イオンを表す)。
【0039】
特に、先に定義した環内カチオン電荷を有する式(IIb)~(Vb)のアゾ及びヒドラゾノ直接染料を挙げることができる。より具体的には、国際公開第95/15144号パンフレット、国際公開第95/01772号パンフレット、及び欧州特許第714954号明細書に記載されている、環内カチオン電荷を有する式(IIb)~(Vb)のカチオン性直接染料を挙げることができる。
【0040】
好ましくは、次に示す直接染料を挙げることができる:
【化12】
(式(II-1)及び(IV-1)中、
・ Rは、メチルなどの(C~C)アルキル基を表し;
・ R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又はメチルなどの(C~C)アルキル基を表し;
・ Rは、水素原子を表すか、又は電子供与性基、例えば任意選択的に置換された(C~C)アルキル、任意選択的に置換された(C~C)アルコキシ、若しくはアルキル基が任意選択的にヒドロキシル基で置換された(ジ)(C~C)(アルキル)アミノを表し;特に、Rは、水素原子であり、
・ Zは、CH基又は窒素原子、優先的にはCHを表し、
・ Qは、先に定義したアニオン性対イオン、特にクロリドなどのハライド又はメチルスルフェート若しくはメシチルなどのアルキルスルフェートである)。
【0041】
特に、式(II-1)及び(IV-1)の染料は、Basic Red 51、Basic Yellow 87、及びBasic Orange 31、又はこれらの誘導体から選択される:
【化13】
(式中、Qは、先に定義したアニオン性対イオンであり、特に、クロリドなどのハライド又はメチルスルフェート若しくはメシチルなどのアルキルスルフェートである)。
【0042】
蛍光染料
直接染料a)は、蛍光直接染料から選択することができる。
【0043】
本発明に使用することができる蛍光染料の例として、次の染料から選択される中性、アニオン性、又はカチオン性染料を挙げることができる:アクリジン、アクリドン、ベンズアントロン、ベンゾイミダゾール、ベンズイミダゾロン、ベンズインドール、ベンゾキサゾール、ベンゾピラン、ベンゾチアゾール、クマリン、ジフルオロ{2-[(2H-ピロール-2-イリデン-kN)メチル]-1H-ピロラト-kN}ホウ素(BODIPY(登録商標))、ジケトピロロピロール、フルオリンジン、(ポリ)メチン(特に、シアニン及びスチリル/ヘミシアニン)、ナフタルイミド、ナフトアニリド、ナフチルアミン(ダンシルなど)、オキサジアゾール、オキサジン、ペリロン、ペリノン、ペリレン、ポリエン/カロテノイド、スクアラン、スチルベン、キサンテン。
【0044】
欧州特許第1133975号明細書、国際公開第03/029359号パンフレット、欧州特許第860636号明細書、国際公開第95/01772号パンフレット、国際公開第95/15144号パンフレット、及び欧州特許第714954号明細書に記載されている蛍光染料並びにK.Venkataramanによる百科事典“The Chemistry of Synthetic Dyes”,1952,Academic Press,vol.1-7、“Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology”の“Dyes and Dye Intermediates”章,1993,Wiley and Sons、“Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry”,7th edition,Wiley and Sonsの様々な章、及びインターネット上で回覧されるか又は先行印刷版でのハンドブック“A Guide to Fluorescent Probes and Labeling Technologies”,10th Ed.,Molecular Probes/Invitrogen-Oregon 2005に記載されているものも挙げることができる。
【0045】
好ましい変形によれば、蛍光染料は、次の式(Vb)のものなどの、少なくとも1つの4級アンモニウム基を含むカチオン性ポリメチンである:W-[C(R)=C(R)]m’-Ar,Q
(式(Vb)中、
・ Wは、特に4級アンモニウムを含み、この4級アンモニウムが、特に1つ又は複数のヒドロキシル基で任意選択的に置換された1つ又は複数の(C~C)アルキル基で任意選択的に置換されている、カチオン性複素環式基又はヘテロアリール基を表し;
・ Arは、フェニル又はナフチルなどのアリール基であって、任意選択的に、優先的にはi)1個又は複数個の塩素又はフッ素などのハロゲン原子;ii)1つ又は複数のメチルなどの(C~C)アルキル、好ましくは(C~C)アルキル基;iii)1つ又は複数のヒドロキシル基;iv)1つ又は複数のメトキシなどの(C~C)アルコキシ基;v)1つ又は複数のヒドロキシエチルなどのヒドロキシ(C~C)アルキル基;vi)1つ又は複数のアミノ基又はそのC~Cアルキル部分が好ましくは1つ若しくは複数のヒドロキシル基で任意選択的に置換された(ジ)(C~C)アルキルアミノ基、例えば(ジ)ヒドロキシエチルアミノ;vii)1つ又は複数のアシルアミノ基;viii)1つ又は複数のヘテロシクロアルキル基、例えば、ピペラジニル、ピペリジル、又は5若しくは6員のヘテロアリール、例えばピロリジニル、ピリジル、及びイミダゾリニル;で置換されたアリール基を表し;
・ m’は、1~4の範囲の整数を表し、好ましくは、m’は、1又は2であり;より優先的にはm’=1であり;
・ R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は任意選択的に置換された(C~C)アルキル基、優先的には(C~C)アルキル基を表すか、或いは、Wと隣接するRが、及び/又はArと隣接するRが、これらが結合している原子と一緒になって(ヘテロ)シクロアルキルを形成し;特に、RはWと隣接しており、これらがシクロヘキシルなどの(ヘテロ)シクロアルキルを形成し;
・ Qは、先に定義したアニオン性対イオンである)。
【0046】
アニオン性染料
直接染料a)は、アニオン性直接染料又はアルカリ性物質と親和性があることから一般に「酸性」直接染料と称される染料から選択することができる。
【0047】
「アニオン性直接染料」という用語は、その構造内に少なくとも1つのCOR又はSOR置換基(式中、Rは、水素原子を表すか、又は金属若しくはアミンに由来するカチオン若しくはアンモニウムイオンを表す)を含む、任意の直接染料を意味することを意図している。アニオン性染料は、酸性ニトロ直接染料、酸性アゾ染料、酸性アジン染料、酸性トリアリールメタン染料、酸性インドアミン染料、酸性アントラキノン染料、インジゴイド、及び酸性天然染料から選択することができる。
【0048】
好ましくは、アニオン性直接染料は、酸性アントラキノンである。
【0049】
直接染料a)は、好ましくは以下に示す式(III)、(III’)、(IV)、(IV’)、(V)、(V’)、(VI)、(VI’)、(VII)、(VIII)、(IX)、及び(X)、並びにこれらの混合物から選択されるアニオン性直接染料とすることができる。
【0050】
a)式(III)又は(III’)のジアリールアニオン性アゾ染料:
【化14】
(式(III)及び(III’)中:
・ R、R、R、R10、R’、R’、R’、及びR’10は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は次に示す:
- (C~C)アルキル;
- (C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- ニトロ、ニトロソ;
- R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°は、水素原子又は(C~C)アルキル基又はフェニルなどのアリール基を表し;X、X’、及びX’’は、同一であっても異なっていてもよく、酸素若しくは硫黄原子又はNR(式中、Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基を表す)を表す);
- (O)S(O)-,M(式中、Mは、水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
- (O)CO-,M(式中、Mは先に定義した通りである);
- R’’-S(O)-(式中、R’’は、水素原子、アルキル基、又はアリール、(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、又はアリール(C~C)(アルキル)アミノ基を表し;優先的にはフェニルアミノ又はフェニル基を表す);
- R’’’-S(O)-X’-(式中、R’’’は、任意選択的に置換された(C~C)アルキル基又はアリール基を表し、X’は先に定義した通りである);
- (ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;
- i)ニトロ;ii)ニトロソ;iii)(O)S(O)-,M(式中、Mは先に定義した通りである)、及びiv)(C~C)アルコキシ;から選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換された、アリール(C~C)(アルキル)アミノ;
- 任意選択的に置換されたヘテロアリール;優先的にはベンゾチアゾリル基;
- シクロアルキル;特にシクロヘキシル;
- Ar-N=N-(式中、Arは、任意選択的に置換されたアリール基を表し;優先的には、1つ又は複数のアルキル、(O)S(O)-,M、又はフェニルアミノ基で任意選択的に置換されたフェニルを表す);
から選択される基を表すか、
- 或いは、2個の隣接している基であるR及びR又はR及びR又はR及びR10が一緒になって、縮合ベンゾ基A’を形成し;R’及びR’又はR’及びR’又はR’及びR’10が一緒になって、縮合ベンゾ基B’を形成し;A’及びB’は、i)ニトロ;ii)ニトロソ;iii)(O)S(O)-,M;iv)ヒドロキシル;v)メルカプト;vi)(ジ)(アルキル)アミノ;vii)R°-C(X)-X’-;viii)R°-X’-C(X)-;ix)R°-X’-C(X)-X’’-;x)Ar-N=N-、及びxi)任意選択的に置換されたアリール(アルキル)アミノ;から選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換されており、M、R°、X、X’、X’’、及びArは、先に定義した通りであり;
・ Wは、シグマ結合、酸素若しくは硫黄原子、又は二価の基i)-NR-(式中、Rは先に定義した通りである)若しくはii)メチレン-C(R)(R)-(式中、R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はアリール基を表すか、或いは、R及びRが、これらが結合している炭素原子と一緒になって、スピロシクロアルキルを形成する)を表し;優先的には、Wは、硫黄原子を表すか、又はR及びRが一緒になってシクロヘキシルを形成し;
但し、式(III)及び(III’)は、環A、A’、B、B’、又はCのうちの1つの上に:
- 少なくとも1つの(O)S(O)-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);又は
- 少なくとも1つの(O)CO-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);
好ましくは、少なくとも1つのスルホン酸ナトリウム基;
を含むことが理解される)。
【0051】
式(III)の染料の例として:Acid Red 1、Acid Red 4、Acid Red 13、Acid Red 14、Acid Red 18、Acid Red 27、Acid Red 28、Acid Red 32、Acid Red 33、Acid Red 35、Acid Red 37、Acid Red 40、Acid Red 41、Acid Red 42、Acid Red 44、Pigment red 57、Acid Red 68、Acid Red 73、Acid Red 135、Acid Red 138、Acid Red 184、Food Red 1、Food Red 13、Acid Orange 6、Acid Orange 7、Acid Orange 10、Acid Orange 19、Acid Orange 20、Acid Orange 24、Yellow 6、Acid Yellow 9、Acid Yellow 36、Acid Yellow 199、Food Yellow 3、Acid Violet 7、Acid Violet 14、Acid Blue 113、Acid Blue 117、Acid Black 1、Acid Brown 4、Acid Brown 20、Acid Black 26、Acid Black 52、Food Black 1、Food Black 2、Food Yellow 3、又はSunset Yellowを挙げることができ、
式(III’)の染料の例として:Acid Red 111、Acid Red 134、Acid Yellow 38を挙げることができる。
【0052】
b)式(IV)又は(IV’)のアニオン性ピラゾロンアゾ染料:
【化15】
(式(IV)及び(IV’)中:
11、R12、及びR13は、同一であっても異なっていてもよく、水素を表すか、又はハロゲン原子、(C~C)アルキル、若しくは-(O)S(O),M基(式中、Mは先に定義した通りである)を表し;
・ R14は、水素原子、(C~C)アルキル基、又は-C(O)O,M基(式中、Mは先に定義した通りである)を表し;
・ R15は、水素原子を表し;
・ R16は、オキソ基を表し、その場合、R’16は存在せず、或いは、R15がR16と一緒になって二重結合を形成し;
・ R17及びR18は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は:
- (O)S(O)-,M(式中、Mは、先に定義した通りである);
- Ar-O-S(O)-(式中、Arは、任意選択的に置換されたアリール基を表し、優先的には、1つ又は複数のアルキル基で任意選択的に置換されたフェニルを表す);
から選択される基を表し;
・ R19及びR20は、一緒になって、二重結合又は任意選択的に置換されたベンゾ基D’のいずれかを形成し;
・ R’16、R’19、及びR’20は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は(C~C)アルキル基又はヒドロキシル基を表し;
・ R21は、水素原子を表すか、又は(C~C)アルキル若しくは(C~C)アルコキシ基を表し;
・ R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、先に定義した通りであり;優先的には、Rは水素原子を表し、Rはフェニルなどのアリール基を表し;
・ Yは、ヒドロキシル基又はオキソ基のいずれかを表し;

【化16】
は、Yがオキソ基である場合は単結合を表し;Yがヒドロキシル基を表す場合は二重結合を表し;
但し、式(IV)及び(IV’)は、環D又はEのうちの1つの上に:
- 少なくとも1つの(O)S(O)-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);又は
- 少なくとも1つの(O)CO-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);
好ましくは、少なくとも1つのスルホン酸ナトリウム基;
を含むことが理解される)。
【0053】
式(IV)の染料の例として:Acid Red 195、Acid Yellow 23、Acid Yellow 27、Acid Yellow 76を挙げることができ、式(IV’)の染料の例として:Acid Yellow 17を挙げることができる。
【0054】
c)式(V)又は(V’)のアントラキノン染料:
【化17】
(式(V)及び(V’)中:
・ R22、R23、R24、R25、R26、及びR27は、同一であっても異なっていてもよく、水素若しくはハロゲン原子を表すか、又は次に示す:
- (C~C)アルキル;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- (C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ;
- 任意選択的に置換されたアリールオキシ又はアリールチオであって、優先的にはアルキル及び(O)S(O)-,M(式中、Mは、先に定義した通りである)から選択される1つ又は複数の基で置換されたアリールオキシ又はアリールチオ;
- アルキル及び(O)S(O)-,M(式中、Mは先に定義した通りである)から選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換されたアリール(C~C)(アルキル)アミノ;
- (ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;
- (ジ)(ヒドロキシ(C~C)アルキル)アミノ;
- (O)S(O)-,M(式中、Mは、先に定義した通りである);
から選択される基を表し;
・ Z’は、水素原子を表すか、又はNR2829基(式中、R28及びR29は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は次に示す
- (C~C)アルキル;
- ヒドロキシエチルなどのポリヒドロキシ(C~C)アルキル;
- 1つ若しくは複数の基、特に、i)メチル、n-ドデシル、n-ブチルなどの(C~C)アルキル;ii)(O)S(O)-,M(式中、Mは先に定義した通りである);iii)R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°、X、X’、及びX’’は先に定義した通りであり、優先的には、R°は(C~C)アルキル基を表す);で任意選択的に置換されたアリール;
- シクロアルキル;特にシクロヘキシル;
から選択される基を表す)を表し;
・ Zは、ヒドロキシル及びNR’28R’29(式中、R’28及びR’29は、同一であっても異なっていてもよく、先に定義したR28及びR29と同じ原子又は基を表す)から選択される基を表し;
但し、式(V)及び(V’)は:
- 少なくとも1つの(O)S(O)-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);又は
- 少なくとも1つの(O)CO-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);
好ましくは、少なくとも1つのスルホン酸ナトリウム基;
を含むことが理解される)。
【0055】
式(V)の染料の例として、Acid Blue 25、Acid Blue 43、Acid Blue 62、Acid Blue 78、Acid Blue 129、Acid Blue 138、Acid Blue 140、Acid Blue 251、Acid Green 25、Acid Green 41、Acid Violet 42、Acid Violet 43、Mordant Red 3;EXT violet No.2を挙げることができ;
式(V’)の染料の例として、Acid Black 48を挙げることができる。
【0056】
d)式(VI)又は(VI’)のニトロ染料:
【化18】
(式(VI)及び(VI’)中:
・ R30、R31、及びR32は、同一であっても異なっていてもよく、水素若しくはハロゲン原子を表すか、又は次に示す:
- (C~C)アルキル;
- 1つ若しくは複数のヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C~C)アルコキシ又は1つ若しくは複数のヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C~C)アルキルチオ;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- ニトロ、ニトロソ;
- ポリハロ(C~C)アルキル;
- R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°、X、X’、及びX’’は、先に定義した通りである);
- (O)S(O)-,M(式中、Mは、先に定義した通りである);
- (O)CO-,M(式中、Mは先に定義した通りである);
- (ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;
- (ジ)(ヒドロキシ(C~C)アルキル)アミノ;
- ピペリジノ、ピペラジノ、若しくはモルホリノなどのヘテロシクロアルキル;
から選択される基を表し;
特に、R30、R31、及びR32は、水素原子を表し;
・ R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は(C~C)アルキル基を表し;
・ Wは、先に定義した通りであり;特に、Wは、N(H)-基を表し;
・ ALKは、直鎖又は分枝の二価のC~Cアルキレン基を表し;特に、ALKは-CH-CH-基を表し;
・ nは、1又は2であり;
・ pは、1~5の範囲の整数を表し;
・ qは、1~4の範囲の整数を表し;
・ uは、0又は1であり;
・ nが1である場合、Jは、ニトロ又はニトロソ基;特にニトロを表し;
・ nが2である場合、Jは、酸素若しくは硫黄原子又は二価の基-S(O)-(式中、mは、1又は2の整数を表す)を表し;優先的には、Jは-SO-基を表し;
・ M’’は、水素原子又はカチオン性対イオンを表し;

【化19】
は、存在していても存在していなくてもよく、先に定義した1つ又は複数のR30基で任意選択的に置換されたベンゾ基を表し;
但し、式(VI)及び(VI’)は:
- 少なくとも1つの(O)S(O)-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);又は
- 少なくとも1つの(O)CO-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);
好ましくは、少なくとも1つのスルホン酸ナトリウム基;
を含むことが理解される)。
【0057】
式(VI)の染料の例として、Acid Brown 13及びAcid Orange 3を挙げることができ;式(VI’)の染料の例として、Acid Yellow 1、2,4-ジニトロ-1-ナフトール-7-スルホン酸のナトリウム塩、2-ピペリジノ-5-ニトロベンゼンスルホン酸、2-(4’-N,N-2’’-ヒドロキシエチル)アミノ-2’-ニトロ)アニリンエタンスルホン酸、4-β-ヒドロキシエチルアミノ-3-ニトロベンゼンスルホン酸;EXT D&C Yellow 7を挙げることができる。
【0058】
e)式(VII)のトリアリールメタン染料:
【化20】
(式(VII)中、
・ R33、R34、R35、及びR36は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は(C~C)アルキル、任意選択的に置換されたアリール、及び任意選択的に置換されたアリール(C~C)アルキルから選択される基;特に、(C~C)アルキル基及び任意選択的に(O)S(O)-,M基(式中、M及びmは先に定義した通りである)で置換されたベンジルから選択される基を表し;
・ R37、R38、R39、R40、R41、R42、R43、及びR44は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は次に示す:
- (C~C)アルキル;
- (C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ;
- (ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- ニトロ、ニトロソ;
- R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°は、水素原子又はアルキル若しくはアリール基を表し;X、X’、及びX’’は、同一であっても異なっていてもよく、酸素若しくは硫黄原子又はNR(式中、Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基を表す)を表す);
-(O)S(O)-,M(式中、Mは水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
- (O)CO-,M(式中、Mは先に定義した通りである);
から選択される基を表すか、
- 或いは、隣接する2つの基R41とR42又はR42とR43又はR43とR44が一緒になって、i)ニトロ;ii)ニトロソ;iii)(O)S(O)-,M;iv)ヒドロキシル;v)メルカプト;vi)(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;vii)R°-C(X)-X’-;viii)R°-X’-C(X)-;ix)R°-X’-C(X)-X’’-(式中、M、R°、X、X’、及びX’’は先に定義した通りである);から選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換された縮合ベンゾ基を形成し;
特に、R37~R40は、水素原子を表し、R41~R44は、同一であっても異なっていてもよく、ヒドロキシル基又は(O)S(O)-,M(式中、Mは、先に定義した通りである)を表し;R43及びR44が一緒になってベンゾ基を形成している場合、これは、優先的には、(O)S(O)-基で置換されており;
但し、環G、H、又はIの少なくとも1つは:
- 少なくとも1つの(O)S(O)-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);又は
- 少なくとも1つの(O)CO-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);
好ましくは、少なくとも1つのスルホン酸ナトリウム基;
を含むことが理解される)。
【0059】
式(VII)の染料の例として、Acid Blue 1;Acid Blue 3;Acid Blue 7;Acid Blue 9;Acid Violet 49;Acid Green 3;Acid Green 5、及びAcid Green 50を挙げることができる。
【0060】
f)式(VIII)のキサンテン系染料:
【化21】
(式(VIII)中:
・ R45、R46、R47、及びR48は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はハロゲン原子を表し;
・ R49、R50、R51、及びR52は、同一であっても異なっていてもよく、水素若しくはハロゲン原子を表すか、又は次に示す:
- (C~C)アルキル;
- (C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- ニトロ、ニトロソ;
- (O)S(O)-,M(式中、Mは水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
- (O)CO-,M(式中、Mは先に定義した通りである);
から選択される基を表し;
特に、R45、R46、R47、及びR48は、水素又はハロゲン原子を表し;
・ Gは、酸素若しくは硫黄原子又はNR基(式中、Rは先に定義した通りである)を表し;特に、Gは酸素原子を表し;
・ Lは、アルコキシドO,M;チオアルコキシドS,M;又はNR基(式中、Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基を表し、Mは先に定義した通りであり;Mは、特にナトリウム又はカリウムである)を表し;
・ L’は、酸素若しくは硫黄原子又はアンモニウム基:N(式中、R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、(C~C)アルキル基、又は任意選択的に置換されたアリール基を表す)を表し;特にL’は、酸素原子を表すか又は1つ若しくは複数のアルキル若しくは(O)S(O)-,M基(式中、m及びMは先に定義した通りである)で任意選択的に置換されたフェニルアミノ基を表し;
・ Q及びQ’は、同一であっても異なっていてもよく、酸素又は硫黄原子を表し;特にQ及びQ’は酸素原子を表し;
・ Mは、先に定義した通りである)。
【0061】
式(VIII)の染料の例として:Acid Yellow 73;Acid Red 51;Acid Red 52;Acid Red 87;Acid Red 92;Acid Red 95;Acid Violet 9を挙げることができる。
【0062】
g)式(IX)のインドール系染料:
【化22】
(式(IX)中:
・ R53、R54、R55、R56、R57、R58、R59、及びR60は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は次に示す:
- (C~C)アルキル;
- (C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- ニトロ、ニトロソ;
- R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°は、水素原子又はアルキル若しくはアリール基を表し;X、X’、及びX’’は、同一であっても異なっていてもよく、酸素若しくは硫黄原子又はNR(式中、Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基を表す)を表す);
- (O)S(O)-,M(式中、Mは、水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
- (O)CO-,M(式中、Mは先に定義した通りである);
から選択される基を表し;
・ Gは、酸素若しくは硫黄原子又はNR基(式中、Rは先に定義した通りである)を表し;特に、Gは酸素原子を表し;
・ R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は(C~C)アルキル基を表し;
但し、式(IX)は:
- 少なくとも1つの(O)S(O)-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);又は
- 少なくとも1つの(O)CO-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);
好ましくは、少なくとも1つのスルホン酸ナトリウム基;
を含むことが理解される)。
【0063】
式(IX)の染料の例として、Acid Blue 74を挙げることができる。
【0064】
h)式(X)のキノリン系染料:
【化23】
(式(X)中:
・ R61は、水素若しくはハロゲン原子又は(C~C)アルキル基を表し;
・ R62、R63、及びR64は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は(O)S(O)-,M基(式中、Mは、水素原子又はカチオン性対イオンを表す)を表すか;或いはR61とR62又はR61とR64が一緒になって、1つ又は複数の(O)S(O)-,M基(式中、Mは、水素原子又はカチオン性対イオンを表す)で任意選択的に置換されたベンゾ基を形成し;
但し、式(X)は、少なくとも1つの(O)S(O)-,M’基(式中、M’はカチオン性対イオンを表す)、好ましくは少なくとも1つのスルホン酸ナトリウム基を含むことが理解される)。
【0065】
式(X)の染料の例として、Acid Yellow 2、Acid Yellow 3、及びAcid Yellow 5を挙げることができる。
【0066】
より具体的には、本発明において有用な式(III)~(VIII)の染料は、次に示すものから選択される:Acid Red 87(VIII)(C.I.45380);2,4-ジニトロ-1-ナフトール-7-スルホン酸のナトリウム塩(VI’)(C.I.10316);Acid Orange 3(VI)(C.I.10383);Acid Yellow 9/Food Yellow 2(III)(C.I.13015);Direct Red 45/Food Red 13(III)(C.I.14780);Acid Black 52(III)(C.I.13711);Acid Yellow 36(III)(C.I.13065);1-ヒドロキシ-2-(2’,4’-キシリル-5-スルホナトアゾ)ナフタレン-4-スルホン酸のナトリウム塩/Food Red 1(III)(C.I.14700);Acid Red 14/Food Red 3/Mordant Blue 79(III)(C.I.14720);4-ヒドロキシ-3-[(2-メトキシ-5-ニトロフェニル)ジアザ]-6-(フェニルアミノ)ナフタレン-2-スルホン酸のナトリウム塩/Acid Brown 4(III)(C.I.14805);Acid Orange 7/Pigment Orange 17/Solvent Orange 49(III)(C.I.15510);Food Yellow 3/Pigment Yellow 104(III)(C.I.15985);Acid Red 27/Food Red 9(III)(C.I.16185);Acid Orange 10/Food Orange 4(III)(C.I.16230);Acid Red 44(III)(C.I.16250);Acid Red 33/Food Red 12(III)(C.I.17200);Acid Red 184(III)(C.I.15685);Acid Violet 3(III)(C.I.19125);1-ヒドロキシ-2-(4’-アセトアミドフェニルアゾ)-8-アセトアミドナフタレン-3,6-ジスルホン酸のナトリウム塩/Acid Violet 7/Food Red 11(III)(C.I.18055);Acid Red 135(III)(C.I.18130);Acid Yellow 27(IV)(C.I.19130);Acid Yellow 23/Food Yellow 4(IV)(C.I.19140);4’-(スルホナト-2’’,4’’-ジメチル)-ビス-(2,6-フェニルアゾ)-1,3-ジヒドロキシベンゼン/Acid Orange 24(III)(C.I.20170);1-アミノ-2-(4’-ニトロフェニルアゾ)-7-フェニルアゾ-8-ヒドロキシナフタレン-3,6-ジスルホン酸のナトリウム塩/Acid Black 1(III)(C.I.20470);(4-((4-メチルフェニル)スルホニルオキシ)フェニルアゾ)-2,2’-ジメチル-4-((2-ヒドロキシ-5,8-ジスルホナト)ナフチルアゾ)ビフェニル/Acid Red 111(III’)(C.I.23266);Food Black 2(III)(C.I.27755);1-(4’-スルホナトフェニルアゾ)-4-((2’’-ヒドロキシ-3’’-アセチルアミノ-6’’,8’’-ジスルホナト)ナフチルアゾ)-6-スルホナトナフタレン(四ナトリウム塩)/Food Black 1(III)(C.I.25440);Acid Blue 9(VII)(C.I.42090);Acid Violet 43(V)(C.I.60730);Acid Green 25(V)(C.I.61570);1-アミノ-4-シクロヘキシルアミノ-9,10-アントラキノン-2-スルホン酸のナトリウム塩/Acid Blue 62(V)(C.I.62045);Acid Blue 78(V)(C.I.62105);4-ヒドロキシ-3-((2-メトキシフェニル)アゾ)-1-ナフタレンスルホン酸のナトリウム塩/Acid Red 4(III)(C.I.14710);2-ピペリジノ5-ニトロベンゼンスルホン酸(VI’);2(4’-N,N(2’’-ヒドロキシエチル)アミノ-2’-ニトロ)アニリンエタンスルホン酸(VI’);4-β-ヒドロキシエチルアミノ-3-ニトロベンゼンスルホン酸(VI’);Acid Violet 49(VII)(C.I.42640);Acid Blue 7(VII)(C.I.42080);1,2-ジヒドロキシ-3-スルホアントラキノンのナトリウム塩/Mordant Red 3(V)(C.I.58005);1-アミノ-9,10-ジヒドロ-9,10-ジオキソ-4-(フェニルアミノ)2-アントラセンスルホン酸のナトリウム塩/Acid Blue 25(V)(C.I.62055);4-ヒドロキシ-3-((2-メトキシフェニル)アゾ)-1-ナフタレンスルホン酸のナトリウム塩/Acid Red 4(III)(C.I.14710)。
【0067】
これらの染料の大部分は、特に、The Society of Dyers and Colorists,P.O.Box 244,Perkin House,82 Grattan Road,Bradford,Yorkshire,BD12 JBN Englandにより発行されているColor Indexに記載されている。
【0068】
特に最も好ましいアニオン性染料は、Color Indexにおいて、番号C.I.58005(1,2-ジヒドロキシ-9,10-アントラキノン-3-スルホン酸の一ナトリウム塩)、C.I.60730(2-[(9,10-ジヒドロ-4-ヒドロキシ-9,10-ジオキソ-1-アントラセニル)アミノ]-5-メチルベンゼンスルホン酸の一ナトリウム塩)、C.I.15510(4-[(2-ヒドロキシ-1-ナフタレニル)アゾ]ベンゼンスルホン酸の一ナトリウム塩)、C.I.15985(6-ヒドロキシ-5-[(4-スルホフェニル)アゾ]-2-ナフタレンスルホン酸の二ナトリウム塩)、C.I.17200(5-アミノ-4-ヒドロキシ3-(フェニルアゾ)-2,7-ナフタレンスルホン酸の二ナトリウム塩)、C.I.20470(1-アミノ-2-(4’-ニトロフェニルアゾ)-7-フェニルアゾ-8-ヒドロキシ-3,6-ナフタレンジスルホン酸の二ナトリウム塩)、C.I.42090(N-エチル-N-[4-[[4-[エチル(3-スルホフェニル)メチル]アミノ]フェニル](2-スルホフェニル)メチレン]-2,5-シクロヘキサジエン-1-イリデン]-3-スルホベンゼンメタンアミニウムヒドロキシドの二ナトリウム塩、分子内塩)、C.I.61570(2,2’-[(9,10-ジヒドロ-9,10-ジオキソ-1,4-アントラセンジイル)ジイミノ]ビス[5-メチル]ベンゼンスルホン酸の二ナトリウム塩)で表示される染料である。
【0069】
構造(III)~(X)のメソメリー又は互変異性形態に対応する化合物を使用することもできる。
【0070】
天然染料
直接染料a)は、天然直接染料から選択することができる。
【0071】
本発明に従い使用することができる天然直接染料の中でも、ローソン、ジュグロン、アリザリン、プルプリン、カルミン酸、ケルメス酸、プルプロガリン、プロトカテクアルデヒド、インジゴ、イサチン、クルクミン、スピヌロシン(spinulosin)、アピゲニジン(apigenidin)、オルセイン、ブラジリン、ブラジレイン、ヘマチン、及びヘマトキシリンを挙げることができる。これらの天然染料を含有する抽出物又は煎出液、特にヘンナベースの湿布又は抽出物も使用することができる。
【0072】
本発明の好ましい一実施形態によれば、染料a)の、温度22℃の大気圧(760mmHg、即ち、1.013×10Pa)下における水への溶解度は、5質量%未満、好ましくは1質量%未満、より優先的には0.5質量%未満である。
【0073】
b)式(A)の化合物
染色方法は、a)1種又は複数種の式(A)の化合物:
【化24】
(式中、
・ Yは、カチオン性の対イオンを表し、
・ xは、式(A)の化合物の電気的中性を保つように選択される化学量論的係数である)を使用する。
【0074】
カチオン性対イオンYは、1価又は多価に帯電していてもよい。
【0075】
例えば、カチオン性対イオンが1価に帯電している場合、化学量論的係数xは1となる。カチオン性対イオンが二価に帯電している場合、化学量論的係数xは0.5となる。
【0076】
は、次に示す式(Ia)、(Ib)、(Ic)、又は(Id)の化合物から選択される化合物である:
【化25】
(式(Ia)中、R、R、R、及びRは、互いに独立に:
・ 水素原子;
・ 直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のC~C12、好ましくはC~C10炭化水素系基であって:ヒドロキシル、チオール、(C~C)アルキルチオ、アミノ、-NH 、(C~C)ジアルキルアミノ、(C~C)アルキルアミノ、(C~C)アルコキシル、カルボキシル、カルボキシレート、-SOH、-SO 、-C(O)NH、-NHC(NH)-NH、-C(O)OR、-OC(O)-R、-C(O)NHR、-NH-C(O)-R、フェニル、インドリル、フェノール、フラン、グアイアコール、イミダゾール、若しくはグアニンから選択される1つ若しくは複数の基で任意選択的に置換されており、及び/又は-C(O)-、-NR-、-C(NR)-、-OC(O)-、-C(O)O-、-C(O)NR-、若しくは-NRC(O)-から選択される1つ若しくは複数の基が任意選択的に介在し、
- Rが、(C~C)アルキル基を表し;
- Rが、水素原子又は(C~C)アルキル基、好ましくは水素原子を表す;直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のC~C12、好ましくはC~C10炭化水素系基;
を表し;
但し、式(Ia)の化合物全体の電荷は正であることが理解される);
【化26】
(式(Ib)中、
・ Xは、酸素原子又はNR基を表し;
・ R、R6、及びRは、互いに独立に:
- 水素原子;
- カルボキシル又はカルボキシレート基;
- -C(O)NH基;
- 直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のC~C12、好ましくはC~C10炭化水素系基であって:ヒドロキシル、チオール、(C~C)アルキルチオ、アミノ、-NH 、(C~C)ジアルキルアミノ、(C~C)アルキルアミノ、(C~C)アルコキシル、カルボキシル、カルボキシレート、-SOH、-SO 、-C(O)NH、-NHC(NH)-NH、-C(O)OR、-OC(O)-R、-C(O)NHR、-NH-C(O)-R、フェニル、インドリル、フェノール、フラン、グアイアコール、イミダゾール、若しくはグアニンから選択される1つ若しくは複数の基で任意選択的に置換されており、及び/又は-C(O)-、-NR-、-C(NR)-、-OC(O)-、-C(O)O-、-C(O)NR-、若しくは-NRC(O)-から選択される1つ若しくは複数の基が任意選択的に介在し、
が、(C~C)アルキル基を表し;
が、水素原子又は(C~C)アルキル基、好ましくは水素原子を表す;直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のC~C12、好ましくはC~C10炭化水素系基;
を表し;
但し、式(Ib)の化合物全体の電荷は正であることが理解される);
【化27】
(式(Ic)中、
・ Hetは:
- 5~10個の環員、好ましくは5又は6個の環員と;
- R’及びR’が結合しているアンモニウムに加えて、窒素及び/又は酸素原子から選択され、好ましくは窒素原子である、任意選択的な1個又は2個の原子と;
を含むカチオン性飽和複素環式基を表し;
この複素環式基は、1つ又は複数のR’基で任意選択的に置換されており;
・ R’及びR’は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は:ヒドロキシル、アミノ、(C~C)ジアルキルアミノ、(C~C)アルキルアミノ、カルボキシル、カルボキシレート、カルバミド、(C~C)アルコキシル、-SOH、-SO 、若しくはフェニルから選択される1つ若しくは複数の基で任意選択的に置換された、直鎖若しくは分岐の飽和若しくは不飽和のC~C12炭化水素系基を表し;
・ R’は、同一であっても異なっていてもよく、ヒドロキシル基、アミノ基、-C(O)OR’基、-OC(O)-R’基、-C(O)NHR’基、-NH-C(O)-R’基を表すか:ヒドロキシル、アミノ、(C~C)ジアルキルアミノ、(C~C)アルキルアミノ、カルボキシル、カルボキシレート、カルバミド、(C~C)アルコキシル、-SOH、-SO 、又はフェニルから選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換された直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のC~C12炭化水素系基を表し;
・ R’は、水素原子を表すか、ヒドロキシル、アミノ、(C~C)ジアルキルアミノ、又は(C~C)アルキルアミノから選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換された直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のC~C12炭化水素系基を表し;
但し、式(Ic)の化合物全体の電荷は正であることが理解される);
【化28】
(式(Id)中、
・ Het’は:
- 5~10個の環員、好ましくは5又は6個の環員と;
- R’’が結合しているアンモニウムに加えて、窒素及び/又は酸素原子から選択され、好ましくは窒素原子である、任意選択的な1個又は2個の原子と;
を含むカチオン性芳香族不飽和複素環式基を表し;
前記複素環式基は、1つ又は複数のR’’基で任意選択的に置換されており;
・ R’’は、ヒドロキシル、アミノ、(C~C)ジアルキルアミノ、(C~C)アルキルアミノ、カルボキシル、カルボキシレート、カルバミド、(C~C)アルコキシル、-SOH、-SO 、又はフェニルから選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換された、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のC~C12炭化水素系基を表し;
・ R’’は、同一であっても異なっていてもよく、ヒドロキシル基、アミノ基を表すか、又はヒドロキシル、アミノ、(C~C)ジアルキルアミノ、(C~C)アルキルアミノ、カルボキシル、カルボキシレート、カルバミド、(C~C)アルコキシル、-SOH、-SO 、若しくはフェニルから選択される1つ若しくは複数の基で任意選択的に置換された、直鎖若しくは分岐の飽和若しくは不飽和のC~C12炭化水素系基を表し;
但し、式(Id)の化合物全体の電荷は正であることが理解される)。
【0077】
特定の一実施形態によれば、Yは、先に定義した式(Ia)の化合物から選択され、好ましくは、式(Ia)中、R、R、及びRが、それぞれ水素原子を表し、Rが、本明細書において先に定義した通りである、式(Ia)の化合物から選択される。
【0078】
特定の一実施形態によれば、Yは、先に定義した式(Ib)の化合物から選択され、好ましくは、式(Ib)中:
- Rが、水素原子を表し;
- Rが、直鎖又は分岐の(C~C)アルキル基であって:ヒドロキシル、チオール、(C~C)アルキルチオ、アミノ、-NH 、(C~C)ジアルキルアミノ、(C~C)アルキルアミノ、(C~C)アルコキシル、カルボキシル、カルボキシレート、-SOH、-SO 、-C(O)NH、-NHC(NH)-NH、-C(O)OR、-OC(O)-R、-C(O)NHR、-NH-C(O)-R、フェニル、インドリル、フェノール、フラン、グアイアコール、イミダゾール、若しくはグアニンから選択される1つ若しくは複数の基で任意選択的に置換されており、及び/又は-C(O)-、-NR-、-C(NR)-、-OC(O)-、-C(O)O-、-C(O)NR-、若しくは-NRC(O)-から選択される1つ若しくは複数の基が任意選択的に介在し、
が、(C~C)アルキル基を表し;
が、水素原子又は(C~C)アルキル基、好ましくは水素原子を表す;直鎖又は分岐の(C~C)アルキル基を表し;
- Rが、1つ又は複数のヒドロキシル基で任意選択的に置換された直鎖又は分岐の(C~C)アルキル基を表す;
化合物から選択され;
但し、式(Ib)の化合物全体の電荷は正であることが理解される。
【0079】
特定の一実施形態によれば、Yは、先に定義した式(Ic)の化合物から選択され、好ましくは、式(Ic)中:
・ Hetが、先に定義した通りであり;
・ R’及びR’が、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は:ヒドロキシル、アミノ、(C~C)ジアルキルアミノ、(C~C)アルキルアミノ、カルボキシル、カルボキシレート、カルバミド、(C~C)アルコキシル、-SOH、-SO 、若しくはフェニルから選択される1つ若しくは複数の基で任意選択的に置換された、直鎖若しくは分岐の(C~C)アルキル基を表し;
・ R’が、同一であっても異なっていてもよく、-C(O)OR’基、-O-C(O)-R’基、-C(O)NHR’基、又は-NH-C(O)-R’基を表し;
・ R’が、ヒドロキシル、アミノ、(C~C)ジアルキルアミノ、又は(C~C)アルキルアミノから選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換された(C~C12)アルキル基を表す;
化合物から選択され;
但し、式(Ic)の化合物全体の電荷は正であることが理解される。
【0080】
特定の一実施形態によれば、Yは、先に定義した式(Id)の化合物から選択され、好ましくは、式(Id)中:
・ Het’が、先に定義した通りであり;
・ R’’が、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和の無置換のC~C、好ましくはC~C炭化水素系基を表し;
・ R’’が、同一であっても異なっていてもよく、ヒドロキシル基を表すか、又は直鎖若しくは分岐の無置換の(C~C)アルキル基、好ましくは直鎖又は分岐の無置換の(C~C)アルキル基を表す;
化合物から選択される。
【0081】
好ましい一実施形態によれば、Yは、次に示す化合物1~69から選択される:
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
式中、Rは、1つ又は複数のヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C~C)アルキル基を表し、Xは、酸素原子又はNR基を表し、Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基、好ましくは水素原子を表す。
【0082】
より優先的には、Yは、化合物1、5、17、及び32から選択される。
【0083】
更に優先的には、Yは、化合物32並びに次の化合物1a、5a、及び17aから選択される:
【化35】
【0084】
染色方法の他の特徴
本染色方法は、上に記載した成分a)及びb)を使用する。成分a)及びb)は、ケラチン繊維に同時に又は順次適用される。
【0085】
本発明の第1の態様によれば、成分a)及びb)は、ケラチン繊維に同時に適用される。この第1の実施形態の一変形によれば、本方法は、ケラチン繊維に:
a)1種又は複数種の先に定義した直接染料;及び
b)1種又は複数種の先に定義した式(A)の化合物;
を含む組成物を適用するステップを含む。
【0086】
好ましくは、a)及びb)を含む組成物は水性である。
【0087】
より優先的には、組成物は、成分a)、b)、及び水のみを含む。
【0088】
本発明の第2の態様によれば、成分a)及びb)は、ケラチン繊維に順次適用される。この第2の実施形態の一変形によれば、本方法は、i)ケラチン繊維に、a)先に定義した1種又は複数種の直接染料を含む組成物を適用する第1ステップと、次いで、ii)ケラチン繊維に、b)先に定義した1種又は複数種の式(A)の化合物を含む組成物を適用する第2ステップと、を含む。
【0089】
この第2の実施形態の一変形によれば、本方法は、i)ケラチン繊維に、b)先に定義した1種又は複数種の式(A)の化合物を含む組成物を適用する第1ステップと、次いで、ii)ケラチン繊維に、a)先に定義した1種又は複数種の直接染料を含む組成物を適用する第2ステップと、を含む。
【0090】
好ましくは、a)を含む組成物及びb)を含む組成物は、水性である。
【0091】
直接染料a)は、先に定義したように、これらを含む組成物中に、これらを含む組成物の総質量に対し、好ましくは0.001質量%~10質量%の範囲、より優先的には0.05質量%~5質量%の範囲、更に、優先的には0.3質量%~3質量%の範囲の含有量で存在する。
【0092】
先に定義した式(A)の化合物は、これらを含む組成物中に、これらを含む組成物の総質量に対し、好ましくは1質量%~99.5質量%の範囲、より優先的には3質量%~90質量%の範囲、更に優先的には10質量%~80質量%の範囲、最も優先的には20質量%~60質量%の範囲、更に良好には20質量%~50質量%の範囲、一層良好には20質量%~40質量%の範囲の含有量で存在する。
【0093】
化学的酸化剤:
組成物は、少なくとも1種の化学的酸化剤を含むこともできる。
【0094】
「化学的酸化剤」という語は、大気中の酸素以外の酸化剤を意味することを意図している。
【0095】
好ましくは、化学的酸化剤は、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化塩、過酸及びその前駆体、並びにこれらの混合物から選択される。
【0096】
より優先的には、化学的酸化剤は、過酸化水素、過酸化塩、及びこれらの混合物から選択される。
【0097】
更に優先的には、化学的酸化剤は、過酸化水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属又はアンモニウムの過硫酸塩、過ホウ酸塩、又は過炭酸塩、及びこれらの混合物から選択される。
【0098】
最も優先的には、化学的酸化剤は、過酸化水素である。
【0099】
過酸化塩の例として、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、又は過硫酸アンモニウム及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0100】
特定の一実施形態によれば、組成物は、過酸化塩と過酸化水素との混合物を含むことができる。
【0101】
組成物は、化学的酸化剤を、これらを含む組成物の総質量に対し、0.5質量%~20質量%の範囲、好ましくは1質量%~15質量%の範囲の総含有量で含むことができる。
【0102】
本組成物は化粧用である、即ち、化粧用媒体中にある。
【0103】
「化粧用媒体」と言う用語は、染料担体としても知られる、ケラチン繊維の染色に適した媒体を意味することを意図しており、一般には水から、又は水と1種若しくは複数種の有機溶媒との混合物から、又は有機溶媒の混合物から形成されている化粧用媒体である。
【0104】
好ましくは、組成物は、水を、組成物の総質量に対し5%~95%の範囲の量で含む。
【0105】
より優先的には、本発明の組成物は、a)及びb)以外のいかなる成分も含まない。
【0106】
「有機溶媒」という用語は、他の物質を化学的に修飾することなく溶解することができる有機物質を意味することを意図している。
【0107】
有機溶媒の例として、低級C~Cアルカノール、例えば、エタノール及びイソプロパノール;ポリオール及びポリオールエーテル、例えば、2-ブトキシエタノール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、並びにジエチレングリコールモノエチルエーテル及びモノメチルエーテルに加えて、芳香族アルコール、例えば、ベンジルアルコール又はフェノキシエタノール、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0108】
有機溶媒は、組成物の総質量に対し、好ましくは0.1質量%~40質量%の範囲、より優先的には1質量%~30質量%の範囲、更に優先的には5質量%~25質量%の範囲の比率で存在する。
【0109】
本組成物はまた、常温の大気圧下で液体である、本発明の化合物(A)とは異なる1種又は複数種の化合物も含むことができる。液体化合物は、好ましくは溶媒であり、特に、水;エタノール及びイソプロパノールなどの脂肪C~Cアルコール;アセトン、炭酸プロピレン、ベンジルアルコール、グリコールエーテル誘導体などの水に可溶性又は分散性である有機溶媒;グリセロール、プロピレングリコール、及びポリエチレングリコールなどのポリオールから選択される溶媒である。より優先的には、液体化合物は極性溶媒であり、更に優先的には、極性プロトン性溶媒である。
【0110】
pH
成分a)及び/又はb)を含む組成物のpHは、3~12、より優先的には5~10、更に優先的には6~9.5である。
【0111】
この組成物のpHは、化粧品に従来から使用されている酸性化剤又は塩基性化剤で調整することができる。
【0112】
酸性化剤の中でも、例えば、有機又は無機酸を挙げることができる。
【0113】
「無機酸」という用語は、無機化合物から誘導される任意の酸を意味することを意図している。無機酸の中でも、塩酸、オルトリン酸、硫酸、スルホン酸、及び硝酸を挙げることができる。
【0114】
「有機酸」という用語は、有機化合物から誘導される任意の酸を意味することを意図している。有機酸の中でも、酢酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、及びスルホン酸を挙げることができる。
【0115】
特に、塩酸、オルトリン酸、硫酸、カルボン酸、例えば、酢酸、酒石酸、クエン酸、又は乳酸、及びスルホン酸などの無機又は有機酸を使用することができる。
【0116】
塩基性化剤の中でも、例えば、アンモニア水、アルカリ金属炭酸塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミンなどのアルカノールアミン並びにこれらの誘導体、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、並びに式(B):
【化36】
(式(B)中、Wは、1つ又は複数のヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C~C)アルキレン基であり;R、R、R、及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は1つ若しくは複数のヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C~C)アルキル基を表す)の化合物を挙げることができる。好ましくは、pH調整剤は、アンモニア水、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、1,3-プロパンジアミンなどのアルカリ剤;又は2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールなどのアルカリ性水酸化物;或いはリン酸又は塩酸などの酸性化剤から選択することができる。
【0117】
成分a)及び/又はb)を含む組成物は、液体形態、美容液形態、増粘された形態、特に、ゲル、クリーム、ワックス、若しくはペースト、又はフォーム形態であってもよい。
【0118】
本発明の組成物は、成分a)及び/又はb)とは異なる1種又は複数種の追加の化合物も含むことができる。
【0119】
これらの追加の化合物は、一般に、非イオン性、アニオン性、カチオン性、若しくは両性界面活性剤;天然若しくは合成由来の、カチオン性、アニオン性、非イオン性、若しくは両イオン性の、会合性若しくは非会合性増粘ポリマー;油、ゴム、樹脂の形態のシリコーン;又は植物性、鉱物性、若しくは合成の非シリコーン系油;UV遮蔽剤;真珠光沢剤及び二酸化チタンなどの金属酸化物、粘土などの充填剤;香料;解膠剤;ビタミン剤;並びに防腐剤から選択される。
【0120】
組成物は、濡れた又は乾いたケラチン繊維に適用することができる。
【0121】
好ましくは、成分a)及び/又はb)を含む組成物のケラチン繊維への適用は、常温、即ち25℃~30℃の温度で実施される。
【0122】
本発明の有利な一変形によれば、成分a)及びb)を順次又は同時に適用した後、ケラチン繊維を濯ぎ、任意選択的にシャンプー洗浄した後、例えば30℃以上の温度で乾燥させるか又は自然乾燥させる。
【0123】
特定の一実施形態によれば、この温度は40℃を超える。特定の一実施形態によれば、この温度は45℃を超え、且つ220℃未満である。
【0124】
好ましくは、ケラチン繊維を乾燥させる場合、熱の供給に加えて空気流を用いることにより乾燥させる。
【0125】
乾燥中、繊維に対してコーミング、ブラッシング、又は手櫛などの機械的な作用を与えることができる。この操作は、ケラチン繊維を自然に又はそれ以外の形で乾燥させた後も同様に実施することができる。
【0126】
乾燥ステップは、フード型ドライヤー(hood)、ヘアドライヤー、ストレートアイロン、又はclimazoneなどの乾燥器具を用いて実施することができる。
【0127】
乾燥ステップは、乾燥温度を40℃~110℃の範囲、好ましくは50℃~90℃の範囲として、フード型ドライヤー又はヘアドライヤーを用いて実施することができる。
【0128】
乾燥が完了したら、任意選択的に最終的な濯ぎ又はシャンプー洗浄を実施することができる。
【0129】
組成物は、濡れた又は乾いたケラチン繊維に、毛髪の量に対する適用される組成物の量の質量比が、好ましくは0.1~10の範囲、より具体的には0.2~5の範囲となるように適用される。
【0130】
組成物
第2の態様によれば、本発明の主題は:
a)任意選択的な1種又は複数種の直接染料;及び
b)1種又は複数種の先に定義した式(A)の化合物;
を含む組成物にある。
【0131】
好ましくは、本発明による組成物は:
a)1種又は複数種の直接染料;及び
b)1種又は複数種の先に定義した式(A)の化合物;
を含む。
【0132】
本発明の方法に関連して説明したこの組成物に関連する任意選択的な技術的特徴は、組成物自体にも適用される。
【0133】
キット
第3の態様によれば、本発明の主題は、少なくとも、1種又は複数種の先に定義した直接染料を収容している第1区画と、少なくとも、1種又は複数種の先に定義した式(A)の化合物を収容している第2区画と、を備える、複数の区画を備えるデバイス又はキットにある。
【実施例
【0134】
以下に示す実施例によって本発明をより明確に理解することが可能になるであろうが、これらは本発明の性質を限定するものではない。
【0135】
実施例1
評価した染料:
【化37】
試験した化合物A:
【化38】
【0136】
組成物の調製:
比較組成物(比較品1又は2)及び本発明による組成物(発明品1.1~1.7及び2.1~2.6)を、次の表に記載されている量に従い調製した。
【0137】
【表1】
【0138】
【表2】
【0139】
毛束への適用:
手順:
2gの比較組成物(比較品x)又は本発明による組成物(発明品x)を、白髪を90%含む1gの天然の毛髪に33℃で30分間適用する。次いで毛髪を濯ぎ、シャンプー洗浄して乾燥させる。
【0140】
色差測定
ミノルタ分光光度計CM3610A測色計(光源D65)を使用し、CIE L*a*b*系で色の蓄積(ΔE*)を評価した。このL*a*b*系において、L*は色の明度を表し、a*は緑/赤色軸方向の色合いを表し、b*は青/黄色軸方向の色合いを表す。L*の値が低いほど、色は暗く又は濃くなる。a*の値が高いほど、赤味の強い色合いとなり、b*の値が高いほど、青味の強い色合いとなる。
【0141】
下の表のΔE*は、次式に従いL*a*b*の値から算出した値である:
【数1】
(式中、L*、a*、及びb*は、上述の手順を用いて処理した後の毛束で測定された値を表し、L0*、a0*、及びb0*は、処理を施していない対照毛束で測定された値を表す)。
【0142】
ΔE*値が高いほど、色の蓄積、即ち色の変化が大きい。
【0143】
染色結果:
得られた様々な蓄積の結果を次の表に示す。
【0144】
【表3】
【0145】
【表4】
【0146】
上の結果から、本発明による式(A)の化合物が存在することによって色の蓄積が著しく改善されることが分かる。
【国際調査報告】