(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-14
(54)【発明の名称】膜改質器を用いた水素の生産
(51)【国際特許分類】
C01B 3/38 20060101AFI20230707BHJP
C01B 3/56 20060101ALI20230707BHJP
B01D 63/06 20060101ALI20230707BHJP
B01D 69/00 20060101ALI20230707BHJP
B01D 53/22 20060101ALI20230707BHJP
B01D 69/04 20060101ALI20230707BHJP
【FI】
C01B3/38
C01B3/56 Z
B01D63/06
B01D69/00
B01D53/22
B01D69/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022578745
(86)(22)【出願日】2021-06-10
(85)【翻訳文提出日】2023-02-17
(86)【国際出願番号】 US2021036848
(87)【国際公開番号】W WO2021257379
(87)【国際公開日】2021-12-23
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506018363
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハラレ、アデシュ
(72)【発明者】
【氏名】ジャマル、アキル
(72)【発明者】
【氏名】パリエーリ、スティーヴン エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】セバスティアーニ、フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】デ ヨング、ヘーラルト
(72)【発明者】
【氏名】ファン フェーン、ヘンク
(72)【発明者】
【氏名】フェンテ、ヤープ
【テーマコード(参考)】
4D006
4G140
【Fターム(参考)】
4D006GA41
4D006HA28
4D006JA22C
4D006JA25B
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4G140EA03
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4G140EB24
4G140EB32
4G140EB37
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4G140FB04
4G140FC01
4G140FE01
(57)【要約】
それぞれが管状膜を有する複数の膜反応器を備える膜改質器を含む、炭化水素及び蒸気から水素を生産するためのシステム及び方法。管状膜のボアは、水素の透過物側である。管状膜の外側の領域は、二酸化炭素の残留物側である。スイープガスはボアを通って流れ、管状膜の外側の領域内の炭化水素及び蒸気の流れに対して対向する方向に水素を移動させる。この方法は、ボアからスイープガスを用いて透過物として水素を排出するステップと、管状膜の外側の領域の二酸化炭素を膜反応器から残留物として排出するステップを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素を生産するための膜改質器であって、
複数の膜反応器を備え、
各膜反応器は、
炭化水素及び蒸気を供給導管内の管状膜の外側の領域に受け入れる、前記膜反応器の外側導管としての前記供給導管と、
前記管状膜の外側の前記供給導管内の前記領域に配置され、前記炭化水素を水素及び二酸化炭素に変換する触媒であって、蒸気改質触媒を含む、前記触媒と、
前記水素を前記領域から前記管状膜を通り前記管状膜のボアに拡散させるための、前記供給導管内の前記管状膜であって、前記領域は二酸化炭素を含む残留物を排出するための前記管状膜の残留物側であり、前記ボアは水素を含む透過物を排出するための前記管状膜の透過物側である、前記管状膜と、
前記管状膜の外側の前記領域における炭化水素及び蒸気の流れに対向する方向に、前記ボアを通るスイープガスの流れを容易にするために、前記ボア内に配置される挿入管と、を備える、
膜改質器。
【請求項2】
前記管状膜は、長手方向に結合された2つの管状膜を含む、
請求項1に記載の膜改質器。
【請求項3】
前記供給導管の外径は、15ミリメートル(mm)~50mmの範囲であり、
前記供給導管の壁厚は、1mm~3mmの範囲であり、
前記管状膜の外径は、8mm~30mmの範囲であり、
前記管状膜の壁厚は、1mm~3.5mmの範囲であり、
前記挿入管の外径は、4mm~15mmの範囲であり、
前記挿入管の壁厚は、0.3mm~1.5mmの範囲である、
請求項1に記載の膜改質器。
【請求項4】
前記触媒は、前記管状膜と接触しておらず、
前記触媒は、水性ガスシフト(WGS)触媒を備える、
請求項1に記載の膜改質器。
【請求項5】
前記複数の膜反応器は、第1の膜反応器及び第2の膜反応器を備え、
前記膜改質器は、前記第1の膜反応器の前記供給導管を前記第2の膜反応器の前記供給導管に結合する相互接続導管を備え、
前記第2の膜反応器の前記供給導管は、前記相互接続導管を介して前記第1の膜反応器から前記残留物を受け取る、
請求項1に記載の膜改質器。
【請求項6】
前記第1の膜反応器から前記第2の膜反応器の前記供給導管に排出される前記残留物は、前記第1の膜反応器内での未反応の蒸気及び炭化水素を含む、
請求項5に記載の膜改質器。
【請求項7】
前記炭化水素は、メタン、液化石油ガス(LPG)、又はC1~C5炭化水素の混合物、又はそれらの任意の組合せを含み、
前記膜改質器の生産能力は、水素10,000標準立方メートル毎時(Nm
3/hr)未満である、
請求項1に記載の膜改質器。
【請求項8】
前記膜改質器の生産能力は、水素1,000Nm
3/hr未満である、
請求項1に記載の膜改質器。
【請求項9】
前記膜改質器の動作温度を650℃未満にするために、前記複数の膜反応器に熱を提供する電気ヒータを備える、
請求項1に記載の膜改質器。
【請求項10】
前記複数の膜反応器と接触する熱分配プレートを備え、
前記電気ヒータは、前記熱分配プレート上に配置される、
請求項9に記載の膜改質器。
【請求項11】
前記電気ヒータは、ストリップヒータを含む、
請求項10に記載の膜改質器。
【請求項12】
前記複数の膜反応器は、並列で、直列で、又はその両方で動作可能に配置された膜反応器を含む、
請求項1に記載の膜改質器。
【請求項13】
前記複数の膜反応器は、少なくとも30個の膜反応器を含む、
請求項1に記載の膜改質器。
【請求項14】
前記少なくとも30個の膜反応器は、5メートル(m)未満の幅、5m未満の長さ、及び5m未満の高さを有するボックス内に配置される、
請求項13に記載の膜改質器。
【請求項15】
前記複数の膜反応器のうちの少なくとも1つは、供給管の入口部分に予備改質触媒を備える、
請求項1に記載の膜改質器。
【請求項16】
前記複数の膜反応器のうちの少なくとも1つは、供給管の出口部分に乾式改質触媒を備える、
請求項1に記載の膜改質器。
【請求項17】
水素の生産方法であって、
複数の膜反応器を備える膜改質器に炭化水素と蒸気を供給するステップと、
前記複数の膜反応器内の管状膜の外側に配置された触媒を介して、炭化水素を水素と二酸化炭素に変換するステップであって、前記触媒は蒸気改質触媒を含む、前記変換するステップと、
前記複数の膜反応器の前記管状膜を通る水素を、前記管状膜のそれぞれのボアに拡散させるステップと、
前記管状膜の外側の炭化水素及び蒸気の流れと対向する方向に水素を移動させるために、前記それぞれのボアを通るスイープガスを流すステップと、
前記それぞれのボアから前記スイープガスと一緒に透過物として水素を排出するステップと、
前記複数の膜反応器から残留物として、前記管状膜の外側の二酸化炭素を排出するステップと、を備える、
方法。
【請求項18】
残留物は、未反応蒸気を含み、
前記触媒は、水性ガスシフト(WGS)触媒を含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記触媒は、前記管状膜と接触しない、
請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記スイープガスを用いて前記それぞれのボア内の水素を移動させるステップは、前記管状膜の外側の、前記管状膜を通る水素の透過を増加させる、
請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記複数の膜反応器を電気的に加熱するステップを備え、
前記複数の膜反応器の動作温度は、650℃未満である、
請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記複数の膜反応器を電気的に加熱するステップは、前記複数の膜反応器と接触する熱分配プレートを介して前記複数の膜反応器を電気的に加熱するステップを備える、
請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記複数の膜反応器内の前記管状膜の外側の動作圧力は、10バール~50バールの範囲であり、
前記それぞれのボアの動作圧力は、1バール~5バールの範囲である、
請求項17に記載の方法。
【請求項24】
水素を生産するステップは、5,000標準立方メートル毎時(Nm
3/hr)未満で水素を生産するステップを備える、
請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記管状膜を通して前記水素を拡散させるステップは、前記炭化水素を水素に変換するステップと同時である、
請求項17に記載の方法。
【請求項26】
前記複数の膜反応器の第1の膜反応器から前記複数の膜反応器の第2の膜反応器に残留物を流すステップを備え、
前記第1の膜反応器からの前記残留物は、前記第1の膜反応器内で未反応の蒸気及び炭化水素を含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項27】
前記膜改質器からの生産水素として、前記それぞれのボアの少なくとも1つのボアから前記スイープガスと一緒に透過物として水素を排出するステップを備え、
前記生産水素は、スイープガスを含まない基準で少なくとも90モル%の水素を含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項28】
前記スイープガスは、蒸気を含み、
前記方法は、前記生産水素から液状水として前記スイープガスを除去するために、前記生産水素中の前記スイープガスを凝縮するステップを備える、
請求項27に記載の方法。
【請求項29】
水素を生成する方法であって、
複数の膜反応器を備える膜改質器を用いて水素を生産するステップであって、各膜反応器は、外管と、前記外管内に管状膜とを備え、前記生産するステップは、各膜反応器が行う、前記生産するステップと、
前記管状膜の外側の前記外管内の領域において、前記領域内に配置された触媒を介して蒸気の存在下で、炭化水素を水素と二酸化炭素に変換するステップであって、前記触媒は、改質触媒を含む、前記変換するステップと、
前記領域から前記管状膜を通って前記管状膜のボアに水素を拡散させるステップであって、前記領域は、前記管状膜の残留物側であり、前記ボアは、前記管状膜の透過物側である、前記拡散させるステップと、
前記領域から二酸化炭素を排出するステップと、
管状膜の外側の前記領域における前記炭化水素の流れに対して対向する方向に前記ボアから水素を移動させるために、前記ボアを通るスイープガスを流すステップと、
前記ボアから水素とスイープガスを排出するステップと、を備える、
方法。
【請求項30】
前記管状膜は、長手方向に連結された2つの管状膜を含む、
請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ボア内に配置された挿入管を介して、前記対向する方向へ前記スイープガスの流れを促進するステップを備える、
請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記二酸化炭素を排出するステップは、前記領域から未反応の蒸気と前記二酸化炭素を排出するステップを備え、
前記触媒は、水性ガスシフト(WGS)触媒を含む、
請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記膜反応器の動作温度は、650℃未満であり、
前記外管内の前記管状膜の外側の動作圧力は、10バール~50バールの範囲であり、
前記ボアの動作圧力は、1バール~5バールの範囲である、
請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記外管の外径は、15ミリメートル(mm)~50mmの範囲であり、
前記外管の壁厚は、1mm~3mmの範囲であり、
前記管状膜の外径は、8mm~30mmの範囲であり、
前記管状膜の壁厚は、1mm~3.5mmの範囲である、
請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記複数の膜反応器の第1の膜反応器の前記領域から排出された二酸化炭素を、前記複数の膜反応器の第2の膜反応器の前記領域に流すステップを備え、
前記第1の膜反応器の前記領域からの二酸化炭素は、未反応の蒸気と未反応の炭化水素を含む、
請求項29に記載の方法。
【請求項36】
生産水素として前記膜改質器から水素を排出するステップを備え、
前記生産水素は、スイープガスを含まない基準で少なくとも90モル%の水素を含む、
請求項29に記載の方法。
【請求項37】
前記スイープガスは、蒸気を含み、
前記生産水素を乾燥基準で少なくとも90モル%含む、
請求項36に記載の方法。
【請求項38】
水素を生産するステップは、前記複数の膜反応器の少なくとも1つを用いて、前記外管の入口部分において予備改質触媒を用いて炭化水素をメタンに変換するステップを備える、
請求項29に記載の方法。
【請求項39】
水素を生産するステップは、前記複数の膜反応器の少なくとも1つを用いて、前記外管の出口部分において乾式改質触媒を用いて炭化水素を水素に変換するステップを備える、
請求項29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権の主張]
本出願は、2020年6月18日に出願された米国特許出願第16/905,798号の優先権を主張し、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、炭化水素を改質して水素を生産することに関する。
【背景技術】
【0003】
水素は、化石燃料から生産することができる。水素は、例えば炭化水素の改質又は水の電気分解によって商業的に生産される。水素は、石炭ガス化、バイオマスガス化、水電解、又は天然ガスもしくは他の炭化水素の改質もしくは部分酸化によって生産される。生産された水素は、燃料電池、アンモニア生産、芳香族化、水素化脱硫、及び炭化水素の水素化又は水素化分解などの化学的又は電気化学的プロセスへの供給原料であり得る。
【0004】
天然ガスの改質は、水素生産の最も一般的な供給源である。バルク水素は、典型的には天然ガス(メタン)の蒸気改質によって生産される。従来の蒸気改質は蒸気及びニッケル触媒の存在下で天然ガスを(例えば、700℃~1100℃の間で)加熱することを含む。この吸熱反応は、一酸化炭素及び水素を生成する。一酸化炭素ガスは、水性ガスシフト反応を生じさせて追加の水素を得ることができる。
【発明の概要】
【0005】
一の態様は、水素を生産するための膜改質器(メンブレンリフォーマー)に関する。膜改質器は、複数の膜反応器(メンブレンリアクター)を含む。各膜反応器は、(1)膜反応器の外側導管としての供給導管であって、供給導管内の管状膜の外側の領域に炭化水素及び蒸気を受け入れる供給導管と、(2)炭化水素を水素及び二酸化炭素に変換するために管状膜の外側の供給導管内の領域に配置された触媒(蒸気改質触媒を含む)と、(3)水素を領域から管状膜を通して管状膜のボア(穴)まで拡散させる供給導管内の管状膜とを含む。この領域は管状膜の残留物側であり、二酸化炭素を含む残留物を排出する。ボアは管状膜の透過物側であり、水素を含む透過物を排出する。各膜反応器は管状膜の外側の領域における炭化水素及び蒸気の流れに対して対向流の方向に、ボアを通るスイープガスの流れを容易にするために、ボア内に配置された挿入管を有する。
【0006】
別の態様は、水素を生産する方法に関する。この方法は、複数の膜反応器を有する膜改質器に炭化水素及び蒸気を供給することを含む。この方法は、複数の膜反応器内の管状膜の外部に配置された触媒(蒸気改質触媒を含む)を介して、炭化水素を水素及び二酸化炭素に変換することを含む。この方法は、複数の膜反応器内の管状膜を通して管状膜のそれぞれのボアに水素を拡散させることを含む。この方法は管状膜の外部の炭化水素及び蒸気の流れに対して対向流方向に水素を移動させるために、それぞれのボアを通るスイープガスを流すことを含む。この方法は、それぞれのボアからスイープガスを用いて透過物として水素を排出することと、複数の膜反応器から残留物として管状膜の外部に二酸化炭素を排出することとを含む。
【0007】
更に別の態様は、水素生産の方法である。この方法は、複数の膜反応器を有する膜改質器を用いて水素を生産することを含む。各膜反応器は、外管と、外管内の管状膜とを有する。各膜反応器の水素の生産は、(1)管状膜の外側の外管内の領域において、領域内に配置された触媒(改質触媒を含む)を介して、蒸気の存在下で、炭化水素を水素及び二酸化炭素に変換するステップと、(2)領域から管状膜を通り管状膜のボア内に水素を拡散させるステップであって、領域が管状膜の残留物側であり、ボアが管状膜の透過物側である、拡散させるステップと、(3)領域から二酸化炭素を排出するステップと、(4)管状膜の外側の領域内の炭化水素の流れに対して対向する方向に、ボア内から水素を移動させるために、ボア内にスイープガスを流すステップと、(5)ボアから水素及びスイープガスを排出するステップと、を含む。
【0008】
1つ又は複数の実装の詳細が、添付の図面及び以下の説明に記載される。他の特徴及び利点は、明細書及び図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【
図13】
図13は、膜改質器における相互接続界面の図である。
【0014】
【0015】
様々な図面における同様の参照番号及び名称は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
水素を生産するための一般的な大規模なルートは、炉内の合金管中のニッケル系触媒を介した高温(例えば、800℃~900℃)及び高圧(例えば、15バール(bar)~40バール)での天然ガスの蒸気メタン改質(SMR、steam methane reforming)である。この従来のSMRは典型的には大規模な水素生産のために最適化され、一般的に小規模な水素生産のために効果的にスケールダウンされることはない。更に、大規模な産業用SMRプロセスの効率は、炉の排気からの廃熱をプラント又は施設の他の領域で使用するために、蒸気に変えることに依存する。そのように、生成された廃熱を使用しない用途のためにスケールダウンすると、プロセスをより非効率にする。この例では、廃熱は放散され、多くの場合、より多くのエネルギーを消費する能動的な冷却を伴う。
【0017】
本開示の態様によっては、圧力下で残留物を残した透過物として、水素選択膜を通る水素分離を伴う蒸気改質を対象とする。残留物は主にCO2を含み、水蒸気、未変換のメタン、CO、及び残りの水素を含むことができる。したがって、プロセスは、蒸気改質による水素生成、及び、高温水素膜を介した水素分離及びCO2捕捉であり得る。
【0018】
したがって、態様は、水素を生産するための水素選択膜を有する触媒膜反応器を対象とする。触媒膜反応器は、膜改質器全体における複数の触媒膜反応器のモジュールにおけるモジュールユニットとして使用することができる。
【0019】
水素選択膜は、蒸気メタン改質(steam methane reforming)などの、平衡制限反応からの水素の収率及び回収の両方を増加させることを容易にすることができる。膜反応器は従来のSMRシステムと比較して、より低い温度で動作し、コンパクトであり得る。水素選択膜の利用は、利用又は隔離のための、比較的純粋な水素及び濃縮された捕捉準備済み二酸化炭素流の生産を促進する。膜反応器(膜改質器)は、メタン(天然ガス)又は液体炭化水素供給物を改質し、CO2を分離しながら高純度水素を生産することができる。膜反応器は高活性蒸気改質触媒と共に水素選択膜(例えば、パラジウム又はパラジウム合金)を含むことができる。膜反応器は、例えば従来の蒸気改質プロセスにおける850~900℃及び10~40バールの動作条件と比較して、450℃~600℃及び10バール~50バールの動作条件で動作することができる。実装において、膜改質器は、従来のSMRと比較して、水素を生産する際に著しく高い効率を有する一方で、より低い資本コスト及び動作コストをも有する。
【0020】
供給ガスは、管状膜の外部の反応器内の空間に供給される蒸気と炭化水素との加圧混合物であってもよい。この空間は、反応空間であってもよい。この空間は、膜の残留物側及び高圧側であってもよい。炭化水素は、例えばメタン、液化石油ガス(LPG)、C1~C6の混合物などを含むことができる。供給ガスは、膜の外部の空間に入り、反応して水素を生産し、水素は、反応空間から膜を通って透過物側(低圧側)に引き出される。膜の残留物側で生産される加圧二酸化炭素リッチ流は、二酸化炭素の捕捉を促進することができる。スイープガス(蒸気又は窒素など)を利用して、膜を通る水素透過の駆動力を増加させることができる。スイープガスは、膜管の内側のチューブを利用して膜管腔に供給され得る(例えば、
図3~5及び7を参照)。スイープガスは、管状膜の外部の反応物(炭化水素及び蒸気)の流れに対向する方向に管腔(ルーメン)を流れるように供給されて、水素透過のためのより大きな駆動力を得ることができる。
【0021】
膜反応器中の触媒は、ペレット又は顆粒の形態であってもよく、又は金属発泡体中に配置されてもよい。触媒は、反応器管状容器の内面上のウォッシュコートであってもよい。実装において、触媒は、膜に接触しない、そのため、膜材料の失活又は表面の引っ掻きを回避し、膜材料(例えば、パラジウム合金)の寿命を促進する。触媒と膜との間のギャップ(距離)は、膜を通る(反応によって生成される)水素の拡散を促進する程度に、比較的小さくてもよい。
【0022】
図1は水素を生成するために炭化水素(例えば、天然ガス又はメタン)を蒸気改質するための触媒膜反応器100である。触媒膜反応器100は、触媒膜改質器として分類されてもよい。明確にするために、反応器100の右側部分が示されている。左側部分(不図示)は、右側部分をミラーリングする。
【0023】
反応器100は、供給管104(供給導管)内に水素選択性管状膜102を有する。環状部106は改質反応のための反応空間であり、管状膜102の残留物側である。改質触媒108は、供給管104の内面に配置される。供給管104は、反応器100の外管(外側導管)であってもよい。供給管104の外面は、反応器100の外面であってもよい。
【0024】
反応器100は、吸熱改質反応のための熱を提供するための熱源110を含むことができる。例えば、熱源110は、供給管104の外面に配置された電気ヒータであってもよい。熱源110は、電気抵抗加熱のために供給管104を通って流れる電流を介する供給管104とすることができる。いくつかの例では、熱源110は、環状部106内に内部ヒータとして配置された電気抵抗ヒータ(例えば、電気カートリッジヒータ)であってもよい。
【0025】
動作中、供給物112が、環状部106に提供される。供給物は炭化水素(例えば、メタン)及び蒸気(H2O)を含んでもよい。環状部106において、炭化水素は、触媒108を介して改質することによって、水素(H2)及び二酸化炭素(CO2)に変換される。改質触媒108は、環状部106におけるWGS(water-gas shift)反応において、形成された一酸化炭素(CO)をCO2及びH2に変換することを容易にするために、水性ガスシフト(WGS)触媒を更に含んでもよい。
【0026】
生成された水素114は、管状膜102の壁(膜材料)を通って、水素透過物116として、管状膜102のボア118(管腔)内に拡散することができる。ボア118は、管状膜102の透過物側である。実装において、環状部の動作圧力が10バール~50バールの範囲内である。単位「バール」は、本明細書で使用される場合、絶対圧(バール)でのバールである。残留物120(例えば、主にCO2)は、環状部106から排出され得る。実装において、スイープガス122(例えば、蒸気又は窒素)はボア118に導入(流入)され、水素透過物116を移動させる。ボア118(膜102の透過物側)及び流動スイープガス122の動作圧力は、例えば1バール~5バールの範囲、又は2バール~3バールの範囲、又は3バール未満に維持され得る。透過物116を移動させるための、残留物120に対するスイープガス122の対向流は、透過物116として膜102の壁を通る水素114の拡散(透過の駆動力の増加)をボア118内に進めることができる。水素透過物116及びスイープガス122を含む水素生産物124は、ボア118から排出することができる。蒸気としてのスイープガス122の場合、蒸気は典型的には下流の凝縮器(例えば、熱交換器)を介した蒸気の液状水への凝縮を介して、水素生産物124から容易に除去され得る。
【0027】
パイロットプラントの例では、単管膜反応器が500℃~575℃の範囲(例えば、約550℃)の反応器動作温度で、90%を超えるメタンの水素への変換を行った。同じ反応器内(第1の膜の下流)に直列の第2の膜を追加すると、メタンの水素への変換率が100%に近づく(例えば、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも99.5%の変換率)ことができる。第2の膜の追加はまた、残留物から残りの水素のほぼ全てを抽出することによって残留物中の二酸化炭素の更なる精製を提供するのに有益であった。
【0028】
膜反応器は蒸気改質を介して水素を生成し、同時に(透過物として)水素を膜分離する。膜反応器は蒸気改質を介してCO2を生成し、その場で(膜残留物として)CO2を分離する。蒸気改質反応は、少なくともCH4+H2O=CO+3H2を含むことができる。蒸気改質に加えて、WGS反応[CO+H2O=CO2+H2]は、CO2とH2の生成において膜反応器に関与する可能性がある。WGS反応は、緩やかに発熱性である可逆的シフト反応である。WGSにとって有益であり得る本膜反応器における条件は、(a)炭化水素のCO及びH2への変換が一般に、改質反応において高いこと;(b)H2Oが変換において使用され、H2のほとんどが除去されること(熱力学的変換制限なし);及び(3)WGS反応速度は高温(320℃を超える)で急速であり、COのWGS変換は一般に、従来の触媒反応器におけるよりも、膜反応器においてより速い速度で起こり得ることを含む。
【0029】
図2は、水素選択膜が改質触媒床と一体化されている膜改質器の実施を示す。水素選択膜は水素が生成されているとき、水素を連続的に除去することを容易にする。水素の同時生成及び分離は、熱力学的平衡の制限を排除又は低減する。反応は従来の蒸気改質における温度(例えば、850℃~950℃)と比較して、より低い温度(例えば、500℃~600℃)で行うことができる。この実装は、単一ユニット(膜反応器)中で反応、分離、及び精製(例えば、初期精製)を組み合わせることによって、プロセス強化をもたらすことができる。
【0030】
改質プロセスで生成されたCOは、膜改質反応器でCO2に変換することができる。プロセス強化を通して、WGS反応は、膜改質器においても起こり得る。過剰のH2Oでは、全体的な反応はCO2とH2に進み(例えば、CH4+2H2O=CO2+4H2を介して)、WGS反応は膜改質器内でCO+H2O=CO2+H2に変換する。
【0031】
実装において、膜改質器を従来のSMRプロセスよりもコンパクトかつ効率的に構成することができる。膜改質器システムの別の利点は、一般に残留物中の高濃度のCO2(乾燥基準で90モル%もの高濃度)であり得、これは、CO2捕捉に関連するエネルギー及びコストペナルティを低減し得る。
【0032】
図2は供給管202(供給導管)と、供給管202内に(例えば、同心円状に)配置された水素選択性管状膜204(膜管)とを含む触媒膜反応器200(改質器)の簡略化された斜視図である。したがって、反応器200は、チューブインチューブ構成を有するものとして特徴付けることができる。供給管202は、
図1に関して説明した供給管104と類似していてもよい。管状膜204は、
図1に関して説明した管状膜102に類似していてもよい。
【0033】
供給管202は、反応器200の外側導管又は外管である導管又は管であってもよい。供給管202は、円筒形又は管状の反応容器として分類することができる。供給管202は、適用可能な業界標準に従って内圧の定格を有する管(管状導管)であってもよい。供給管202は、水平方向(図示のように)又は垂直方向を有することができる。
【0034】
管状膜204は図示のように、供給管202と長手方向軸又は中心軸を共有することができる。管状膜204は図示されるように、供給管202内に同心円状に配置され得る。他の構成も適用可能である。膜反応器200は、供給管202内に配置された複数の管状膜204を有することができる。例えば、複数の管状膜204は、供給管202内に並列に(同じ長手方向軸を共有して)配置されてもよい。
【0035】
管状膜204の膜材料は、例えば、パラジウム又はパラジウム合金であってもよい。水素に対する膜204の選択性は、典型的には1000よりも大きい(無次元-同じパラメータの比)が選択性は膜204を通る他のガス、例えば、窒素(N2)のフラックスに対する水素フラックスの比である。水素選択性管状膜204は、100ポンド/インチ(psi)の圧力差(ΔP)で少なくとも250標準立方フィート/時/平方フィート(SCFH/ft2)の水素流束(フラックス)を有し、400℃でH2分圧を有する水素選択性であってもよい。水素対窒素の選択性は、300℃で少なくとも50のフラックス比及び5バールの膜間圧力差であり得る。
【0036】
供給管202は、例えばステンレス鋼であってもよい。他の構造材料も適用可能である。供給管202の壁が電気抵抗ヒータである実施形態では、供給管202が以下で説明するように、ステンレス鋼以外の冶金でもよい。
【0037】
動作中、炭化水素206及び蒸気208は、供給管202に供給される。供給は、供給管202の壁と管状膜204との間の環を含むことができる供給管202内の領域210に導入されてもよい。炭化水素206は、供給管202内で触媒209を介して蒸気改質に供されて、供給管202内で水素及び二酸化炭素を生成する。触媒209は改質触媒を含む。いくつかの実装において、蒸気改質が主に合成ガス(CO及びH2)を生成することができる。蒸気の存在下での水性ガスシフト反応は、COをCO2及びH2に変換する。改質反応器200に供給される水又は蒸気の化学量論量が多いほど、全体の反応は、いくつかの条件で生成される介在COを用いて、CO2及びH2へとより直接的に行くことができる。
【0038】
ある特定の実装において、膜改質反応器200内の触媒209は、蒸気改質触媒及び水性ガスシフト反応触媒を有する層状触媒を含む。この層状触媒及びより低い動作温度(例えば、従来のSMRと比較して)では、水性ガスシフトがより高い平衡転化率を有する(そして、穏やかな発熱反応):CH4+H2O=CO+3H2及びCO+H2O=CO2+H2であり、全体的な反応CH4+2H2O=CO2+4H2を与える。触媒209について、改質触媒及び任意のWGS触媒は、それぞれ、ニッケル、ニッケル系、貴金属、貴金属系、遷移金属、又は遷移金属系であってもよい。
【0039】
蒸気改質反応(任意の水性ガスシフト反応を含む)は、管状膜104の外部の供給管202内の領域210で起こる。この領域210は反応空間として分類することができ、管状膜204の残留物側である。本膜反応器200における「蒸気改質反応」の説明は、ある特定の環境におけるCOのCO2への変換を含むと理解することができる。
【0040】
蒸気改質反応が起こり、水素が形成されると、水素は、管状膜204の壁を通って管状膜204のボア(管腔)内に拡散する(211)(透過する)。管状膜204の壁は膜、すなわち膜材料(例えば、パラジウム又はパラジウム合金)である。ボアは管状膜204の内部空間であり、管腔として分類されてもよい。管状膜204のボアは、管状膜204の透過物側である。同じユニット(反応器200)におけるこのプロセス強化は、水素を生成するための触媒を介する反応、膜204を介する二酸化炭素からの水素の分離、及び膜204を介する分離による水素の精製を含む。
【0041】
水素に富む透過物212は、管状膜204のボアから排出される。透過物212は、例えば少なくとも90モルパーセント(モル%)の水素、少なくとも99.99モル%、又は少なくとも99.999モル%であってもよい。スイープガスが使用される場合、(膜204のボアから排出される)透過物112のこれらの報告されたモルパーセンテージは、スイープガスを含まない(非含有スイープガス)基準である。一の実装では、透過物212を500℃~600℃の範囲(例えば、約550℃)、又は600℃未満、又は550℃未満の温度で、1バール~6バールの範囲、2バール~4バールの範囲、又は2バール~3バールの範囲の圧力下で排出する。
【0042】
二酸化炭素(CO2)に富む残留物214は、管状膜204の周囲及び外部にある供給管202の領域210(反応空間)から排出される。CO2に富む残留物214は一般に、10モル%未満の水素と一酸化炭素との組み合わせを含有し得る。CO2に富む残留物214は典型的には少なくとも90モル%のCO2(乾燥ベースで)であり得、これにより、残留物114は一般に、ある特定の例では、地質隔離又は石油増進回収(EOR、enhanced oil recovery)のための更なる圧縮のために、又はCO2を別のプロセスのための原料として使用することができるように更なる精製のために準備される。残留物214中の蒸気は、凝縮され、除去され得る。
【0043】
実施形態では、管状膜204のボアにスイープガス(例えば、蒸気又は窒素)を供給して、ボアを通って流れ、ボアから透過物(水素)を移動させる。この水素の移動は、管状膜204の外部の領域210(反応空間)からボアへの管状膜204壁を通る水素透過の駆動力を維持又は変位させることができる。いくつかの実施形態では、スイープガスが炭化水素206及び蒸気208の供給物の流入方向に対して対向流方向に流れるように提供されてもよい。透過物212は、残留物214が排出する端部とは反対側の端部(炭化水素供給端部)から排出することができる。
【0044】
スイープガスが使用される場合、透過物212の水素純度は、場合によってはスイープガスフリー基準で報告され得る。スイープガスとして蒸気が利用される場合、透過物212の水素純度は、乾燥ベースで報告され得る。実装において、蒸気(水)は、下流の透過物212から容易に除去され得る。透過物212は、脱水(不図示)に供されてもよい。
【0045】
N2がスイープガスとして利用される場合、透過物212の水素純度は、いくつかの実施形態ではN2フリー基準で報告され得る。特定の例では、N2が、例えばアンモニア合成のために更に送られる、透過物212(水素及び窒素)のためのスイープガスとして使用され得る。対照的に、膜反応器200の移動性用途の場合、スイープガスとしてのN2は一般に、ある特定のケースにおいては回避され得る。
【0046】
上述のように、炭化水素206の蒸気改質のための触媒209は、供給管202内に配置される。触媒209は概して、管状膜204と供給管202の壁との間の領域210(例えば、環)に配置され得る。触媒209は図示されるように、供給管202の壁の内部(内側)表面216に又は上に配置され得る。触媒209は、コーティング(例えば、洗浄コーティング)又は構造化形態(例えば、金属発泡体)であり得る。ある特定の実施形態において、触媒209は、管状膜204と接触していない。他の実施形態では、触媒209が領域210内に充填された触媒であってもよく、膜204と接触することができる。
【0047】
供給管202の壁に又はその上に配置された触媒209の実施形態では、改質反応を促進及び進行させるために、壁を加熱して触媒209を直接加熱する(接触を介して)ことができる。いくつかの実装において、触媒209が使用される場合、内部抵抗ヒータ上に配置され得る。したがって、これらの実装において、内部抵抗ヒータ(例えば、カートリッジヒータ)は改質反応を促進及び進行させるために、改質触媒を(接触を介して)直接加熱してもよい。
【0048】
電気加熱によって改質反応のために熱を供給することができる。電気ヒータのための電源は、バッテリであってもよい。電源は太陽光発電(例えば、ソーラーパネル)又は風力発電などの再生可能エネルギー源であってもよい。電気ヒータは供給管202の壁を加熱する外部電気ヒータであってもよいし、供給管202の壁が電気ヒータであってもよい。加熱された壁は供給管202の壁の内面に又はその上に被覆又は配置された触媒209との接触を介して直接加熱することができる。電気ヒータは供給管202内に、例えば領域210内に配置された内部ヒータであってもよい。電気加熱は、反応器200の動作温度を800℃又はそれ以上、又は少なくとも550℃、又は少なくとも600℃にすることができる。動作中、反応器200の動作温度は、450℃~650℃、又は700℃未満、600℃未満、又は550℃未満の範囲であり得る。
【0049】
電気加熱は、供給管202の壁を電気抵抗加熱で加熱することによって実装することができる。例えば、供給管202の壁自体は、電気抵抗ヒータであってもよい。言い換えれば、交流電流は供給管202の壁によって抵抗加熱を生成するために、電源から供給管202の壁を通過することができる。これらの実装において、供給管202は、十分な電気抵抗を与える加熱要素として許容可能な材料であってもよい。例えば、供給管202は、ニッケル-クロム合金などの金属合金とすることができる。熱は、外部電気ヒータによって改質反応のために提供されてもよい。例えば、電気バンドヒータ又はストリップヒータなどの電気ヒータ(不図示)を、供給管202の外面に配置するか、又は供給管202の外面と接触する金属板(熱分配プレート)上に配置することができる。
【0050】
供給管202内の環状部(領域210)に配置された電気抵抗ヒータ(不図示)によって、供給管202内の改質反応のために熱を供給することができる。供給管202内に配置された抵抗ヒータは、内部ヒータとして分類されてもよい。いくつかの実施形態では、内部抵抗ヒータは電気カートリッジヒータである。カートリッジヒータは、典型的には円筒形状を有する加熱要素である。カートリッジヒータ(加熱要素)又は他の電気抵抗ヒータは外側金属エンクロージャ(例えば、ステンレス鋼)であるシース(鞘)を含むことができる。内部抵抗ヒータ(発熱体)は、絶縁体と、金属であるワイヤコイル(ヒータとして)とを含んでもよい。ヒータワイヤコイルは、ニッケルとクロムとの合金などの金属合金、又は他の金属合金であってもよい。動作中、交流電流はワイヤコイルによって抵抗加熱を生成するために、内部抵抗ヒータ内の抵抗ワイヤコイルを通過することができる。この熱エネルギーは、導通を介して、ワイヤから金属シース内に伝達され、次いで、周囲の領域及び体積に伝達される。
【0051】
更に、ある特定の実装において、膜反応器200への経路における炭化水素206(及び蒸気208)は、電気ヒータを介して、又は熱交換器内の熱伝達媒体を介して加熱され得る。述べられているように、改質反応が起こり得る反応器200の例示的な動作温度は、600℃未満、又は550℃未満であり得る。容器102内の反応空間210内の動作圧力は、例えば20バール~50バールの範囲、又は30バール~40バールの範囲、又は少なくとも15バール、少なくとも25バール、又は少なくとも35バールであってよい。
【0052】
ある特定の実施形態では、膜反応器200の入口部分(セクション)が炭化水素予備改質触媒(例えば、ニッケル系、ニッケル-ルテニウムなど)で供給管202の内部に充填される。予備改質触媒は炭化水素106供給物中の高級炭化水素分子をC1(メタン)型化合物に変換することを容易にすることができ、このメタンに富む合成ガスは、次いで、膜改質器200の触媒209を超えて供給管202内を前進する方へ流れる。したがって、これらの実施形態では、膜反応器200が統合された予備改質器及び改質器であってもよい。予備改質触媒を有する供給管202を有する膜反応器200の部分は、予備改質反応器として特徴付けることができる。触媒209を有する供給管202を備える膜反応器200の下流部分は、改質反応器として特徴付けることができる。改質反応器部分と一体化された予備改質反応器部分を有するこの構成は、膜反応器又は後続の図に示される改質器の複数の膜反応器に適用可能であり得る。
【0053】
最後に、特定の実施形態では、乾式改質触媒(例えば、酸化マグネシウム[MgO]上の貴金属系又はNi-モリブデン[Ni-Mo]など)は膜反応器200の出口に向かって(近くに、隣接して、又はそこに)充填される。実装において、生成された水素の大部分が透過したので、出口に向かう反応器混合物は高濃度の炭素種(例えば、CO2、CO、CH4)を有することができる。混合物はまた、未変換の蒸気(水)を有する可能性がある。出口付近又は出口で炭素種が豊富なこの環境は、乾式改質触媒を介して処理することができる。乾式改質触媒は、CH4(及び他の炭化水素)をCO2と反応させてCO及びH2にすることによって、残留するCH4又は炭化水素を変換することを容易にすることができる。乾式改質触媒は、膜204表面上のコークス形成傾向を減少させ、ならびに残存炭化水素のH2への転化を促進することに寄与し得る。出口付近、隣接、及び/又は出口に乾式改質触媒を有するこの構成は、膜反応器又は後続の図に示される改質器の複数の膜反応器に適用可能であり得る。
【0054】
図3は、前の図の膜反応器100及び200に類似し得る触媒膜反応器300(改質器)の断面端面図である。図示の実施形態では、反応器300はチューブインチューブ(チューブの中のチューブ)配置を有する。特に、反応器300は、供給管302(供給導管)と、供給管302内に配置された水素選択性管状膜304(膜管)とを含む。管状膜304のボア306は、管腔として分類されてもよい。
【0055】
供給管302と管状膜304との間の間隙(環容積)の垂直距離は、改質反応及び管状膜204を通る水素の透過を進行させるように指定され得る。この間隙は概して、改質反応のための反応空間を含む領域308であり、管状膜304の残留物側である。
【0056】
供給管302は、円筒形又は管状の導管である管であってもよく、外管又は外側導管として分類することができる。供給管302は、適用可能な工業規格に従って定格付けされた圧力容器であってもよい。導管又は容器としての供給管302は、述べられた動作圧力及び動作温度に適応することができる。実装において、供給管302が反応器300の内容物を収容する反応器300容器と見なすことができる。いくつかの例では、供給管302はステンレス鋼である。
【0057】
反応器300は、反応空間である領域308に配置された触媒310を含む。触媒310は改質触媒であり、WGS触媒を含むことができる。触媒310は、供給管302の内面上又は内面に配置されてもよい。例えば、供給管302の内面を触媒310で被覆してもよい。実装において、触媒310が発泡体、メッシュ、モノリス、又はマイクロリスの触媒などの構造触媒とすることができる。構造触媒としての触媒310の実装において、触媒310が発泡触媒、メッシュ触媒、モノリス触媒、又はマイクロリス触媒などであってもよい。触媒310は、領域308内の充填触媒であってもよい。
【0058】
供給管302は、電気抵抗加熱によって加熱することができる。電気加熱は動作中に、供給管302の壁、ひいては触媒310、及び供給管302内の他の内容物(例えば、反応物)を加熱することができる。供給管302の電気加熱は、反応器300の所望の動作温度を提供することができる。
【0059】
ある特定の実施形態では、供給管302が供給管302の外面312と接触する外部電気ヒータによって直接加熱される。供給管204は、供給管302の外面308と接触する金属板(複数可)(熱分配プレート)を通る伝導によって、外部電気ヒータで加熱されてもよい。
図2に関して説明したように、他の電気ヒータ構成も適用可能である。例えば、供給管302の壁は、電気抵抗ヒータの加熱要素であってもよい。これらの実施形態において、供給管302の冶金はステンレス鋼以外の金属(例えば、ニッケル-クロム合金)であってもよい。
【0060】
供給管302内に配置される管状膜304は、水素選択膜材料が管状支持体上に配置された、管状支持体(例えば、多孔質セラミック)であってもよい。したがって、管状膜304の壁は、管状支持体に膜材料を加えたものとすることができる。管状膜304の膜材料は、例えば、パラジウム又はパラジウム合金であってもよい。パラジウム合金は例えば、パラジウム-白金(Pd-Pt)合金、パラジウム-金(Pd-Au)合金、パラジウム-ルテニウム(Pd-Ru)合金、又はこれらの元素のPt、Au、又はRuとパラジウムとの三元合金であってもよい。いくつかの例では、膜材料が少なくとも2ミクロン(マイクロメートル)又は少なくとも3ミクロンの厚さを有し、2~20ミクロン、3~10ミクロン、及び3~6ミクロンの範囲である。膜材料の厚さは、30ミクロン未満、20ミクロン未満、又は10ミクロン未満であってもよい。示されるように、膜材料は、セラミック又はセラミック中間層を有する金属である高密度又は多孔質の管状支持体などの管状基材上に配置(例えば、堆積)され得る。その場合、管状膜304の壁は、膜材料及び支持体を含み得る。
【0061】
挿入管314(内側チューブ)は、管状膜304のボア306内に配置される。挿入管314(例えば、ステンレス鋼チューブ)は、スイープガスのルーティングのための内部容積空間316を有する。ルーティングは、スイープガスがボア306内の水素透過物を、管状膜304の外側の領域308(残留物側)における流れに対向する方向に移動させることを容易にすることができる。例えば、
図4及び
図7に示されるような挿入管を介したスイープガスのルーティングの以下の記述を参照されたい。
【0062】
供給管302の外径は、例えば15ミリメートル(mm)~50mmの範囲とすることができる。供給管302の壁厚は、例えば1mm~3mmの範囲であってもよい。管状膜304の外径は、例えば8mm~30mmの範囲であってもよい。管状膜304の壁厚は、例えば1mm~3.5mmの範囲であってもよい。挿入管314の外径は、例えば、4mm~15mmの範囲であってもよい。挿入管314の壁厚は、例えば0.3mm~1.5mmの範囲であってもよい。反応器300の構成要素の寸法についてのこれらの数字の値は例示的なものであり、本技術を限定することを意味するものではない。
【0063】
外径×壁厚の寸法の一例では、供給管302は26.9mm×1.6mmであり、管状膜304は14.0mm×2.0mmであり、挿入管314は7.0mm×0.5mmである。したがって、この例では、供給管302の壁の内面と管状膜304の外面との間の環状空間の容積(領域308)の厚さ(垂直距離)は11.3mmである。管状膜304壁の内面と挿入管314の外面との間のボア306内の環状空間の容積の厚さ(垂直距離)は、5.0mmである。
【0064】
最後に、膜反応器300は、複数の膜反応器300のモジュール内のユニットであってもよい。モジュールは後述するように、複数の膜反応器300の複数のモジュールを有する膜改質反応器全体にあってもよい。複数のモジュールは、動作可能に結合されてもよい。挿入管314は、膜改質器全体におけるスイープガス対向流配置に関して、モジュール内(及びモジュール間)の膜反応器300の流体結合を容易にすることができる。
【0065】
図4は、膜反応器400の複数のモジュールを有する膜改質器内のモジュール内にあってもよい、膜反応器400である。図示の例では、膜反応器400の上部402がモジュール内の他の膜反応器400に結合することができる。モジュールは、典型的には2つ以上の膜反応器400を有する。モジュールは、モジュール内の膜反応器400を結合するためのパイプ(配管)及び関連するコネクタを含むことができる。膜改質器は、動作可能に接続された複数のモジュールを有することができる。図示の膜反応器400は、複数のそのようなユニットを有するモジュール内のユニット(反応器ユニット)として特徴付けることができる。また、全体的な膜改質器は、複数のモジュールを有することができる。膜反応器400(及び膜改質器全体)は、前述の図に関して上述した動作条件を有することができる。
【0066】
膜反応器400は、反応器400の外管であり得る供給管302を含む。供給管302は、ステンレス鋼又は鉄-クロム-アルミニウム合金などの他の合金であってもよい。動作中、供給管302は、電気加熱が供給管302の外面に適用され得るという点で、ヒータ管として作用することができる。いくつかの実装において、電気加熱プレート(熱分配プレート)が供給管302の外面と接触する電気加熱プレートからの伝導によって供給管302を加熱するために使用される。ある特定の実装において、供給管302の壁自体が電気抵抗加熱のための電気を受け取る電気抵抗加熱要素であってもよい。その場合、供給管302は電気熱加熱のために電気に対して十分な抵抗を与える材料(例えば、ニッケル-クロム合金)であってもよい。
【0067】
反応器400は、それぞれのボア306をそれぞれ有する2つの水素選択性管状膜304A及び304Bを含む。2つの管状膜304A及び304Bの組み合わせは、単一の管状膜の2つの管状膜304A、304Bそれぞれの長手方向部分を有する単一の管状膜と見なすことができる。
【0068】
2つの管状膜304A、304Bは、コネクタブロック404を介して互いに結合される。反応器400は、ボア306内に配置された挿入管314(スイープガスについて上述したように)を含む。挿入管314が配置されているとき、コネクタブロック404の内径を通って連続している。
【0069】
2つの管状膜304A及び304Bは、反応器400内に管状膜の長さを提供するように接続されてもよい。一実施形態では、コネクタブロック404がそれぞれ2つの膜のための2つのグラファイトシールを有する金属コネクタ(例えば、金属キャップ)である。更に、反応器400は、下部管状膜304の底部に閉鎖(閉じた)コネクタ406(エンドブロック)を含む。閉鎖コネクタ406は、例えばグラファイト封止材であるシールを有するエンドキャップ(金属キャップ)であってもよい。
【0070】
反応器400において所望の膜長を得るために、2つ又はそれを超える水素選択性管状膜を接続することができる。他の例では、コネクタブロック404を有さない単一の水素選択性管状膜を用いて、反応器400内に所望の膜長さを与えることができる。
【0071】
述べられているように、管状膜304A、304Bはそれぞれ、それぞれの多孔質セラミック管の外面上に適用される水素選択膜材料(例えば、Pd又はPd合金)を含むことができる。非多孔質膜材料層(例えば、パラジウム又はパラジウム合金膜層)は一般に、主に水素のみが管状膜を通過して管状膜304A、304Bのそれぞれのボア306に入ることを可能にする選択層である。上述のように、この膜材料層は、例えば3ミクロン~20ミクロンの範囲の厚さを有することができる。
【0072】
膜反応器400は、改質反応(及びWGS反応)のための反応空間として、管状膜304A、304Bの外部の領域308を含む。触媒310は、供給管302の壁の内面などの領域308に配置される。ある特定の例では、触媒310がウォッシュコーティングを介して供給管302の壁の内面に塗布される。その場合、供給管302は触媒310のウォッシュコート層を受容するのに役立つ材料(例えば、鉄-クロム-アルミニウム合金)であってもよい。ウォッシュコート触媒が触媒310として使用される実施形態では、ウォッシュコート触媒310が、例えば100ミクロン(μm)~400μmの範囲の厚さ(層厚)を有することができる。厚さは、少なくとも50μm又は少なくとも250μmであってもよい。厚さは、500μm未満又は250μm未満であってもよい。供給管302の内側表面に配置された触媒210は低温改質触媒(例えば、蒸気改質用)のウォッシュコートであってもよい。触媒210は、WGS触媒を更に含むことができる。
【0073】
動作中、供給物408は、改質反応(及びWGS反応)のために領域308に導入され、管状膜304A、304Bの外部の領域308において水素及び二酸化炭素を生成する。上述のように、吸熱改質反応のための熱は、電気加熱によって提供することができる。供給物408は、炭化水素及び蒸気を含むことができる。炭化水素は、例えば天然ガス、メタン、LPG、C1~C5炭化水素の混合物などを含むことができる。供給物408は、膜改質器全体の所与のモジュール内の膜反応器400の配列に応じて、別の膜反応器400からの残留物とすることができる。
【0074】
示されるように、領域310において生成される生産ガスは、水素及び二酸化炭素を含む。水素は、管状膜304A、304Bを通って、接続された管状膜304A、304Bのボア316内に拡散する。二酸化炭素は、残留物410として領域308から排出される。この技術は一般に、炭化水素を水素に変換することと同時に、管状膜を通して水素を拡散させることを含むことができる。
【0075】
スイープガス412(例えば、蒸気又は窒素)が挿入管314に供給される。スイープガス412は、挿入管314(
図3の容積空間316参照)を通って下方に流れ、挿入管314の下端部から排出される。次いで、スイープガス412は、ボア306(挿入管314の外側)を通って上方に流れ、水素を、領域308を通る供給物408の反応物の流れに対して対向流の方向に移動させる。したがって、挿入管314は、スイープガス412をルーティングして、膜壁に隣接するボア316内のスイープガス412(及び移動させられた水素)の流れを、供給物408及び残留物410と対向流の方向に促進する。ボア306から水素を移動させる際のこの対向流は、領域310から管状膜304A、304Bを通ってボア306への水素の拡散を促進することができる。移動させられた水素生産物は、透過物414としてボア306から排出することができる。透過物414は、水素を移動させるスイープガス412を含むことができる。
【0076】
図示の実施形態では、供給管302及び膜304Bが反応器400の底部で停止する。残留物410は、供給管102の領域308から排出することができる。残留物410の配管は、モジュール内の別の膜反応器400に結合することができる。挿入管314及び透過物414の配管は、モジュール内の別の膜反応器400と動作可能に結合されてもよい。
図4は、膜反応器400改質器モジュールからの供給物408及びスイープガス412、並びに残留物410及び透過物414の流れの構成を示す。透過物414と供給物408との間の全体的な対向流は、挿入管314を利用するスイープガス流の配置によって達成される。
【0077】
図5は、
図4の膜反応器400の底部500である。供給管302の壁は断面として示されている。管状膜304Bは、管状膜304Bの全て及びボア306を示して描かれている。
【0078】
図6は、長手方向に接続される第1の管状膜602、第2の管状膜604、及び第1の管状膜602と第2の管状膜604との組み合わせである管状膜606を示す
図600である。第1の管状膜602は、
図4の管状膜304Aに類似し得る。第2の管状膜604は、
図4の管状膜304Bに類似し得る。第1の管状膜602及び第2の管状膜604は、水素選択性である。したがって、管状膜606は水素選択性である。管状膜606は述べられているように、膜改質反応器及び関連するモジュール内に配備され得る。
【0079】
図示の例では、第1の管状膜602が(例えば、グラファイトシールを有する)フランジコネクタ左608と、中間コネクタ右610とを有する。フランジコネクタ608はグラファイトシールを有し、膜改質器の複数の膜反応器を有するモジュール内の導管(配管、パイプなど)に接続するために利用されてもよい。フランジコネクタ608は、フランジ付きではなく配管圧縮継手であってもよい。第2の管状膜604は中間コネクタ左612と、閉鎖コネクタ右614(例えば、グラファイトシールを有するエンドキャップ)とを有する。閉鎖コネクタ右614は、
図4に関して上述した端部コネクタ406に類似していてもよい。管状膜606は、中間コネクタ右610と中間コネクタ左612との嵌合である中間コネクタ616を含む。中間コネクタ616は、
図4のコネクタブロック404に類似してもよい。閉鎖コネクタ右614は、代わりに、コネクタブロック内で第3の管状膜(不図示)のコネクタ構成要素と嵌合するコネクタ構成要素であってもよい。
【0080】
したがって、
図6には、エンドキャップ及び接続ブロックを有する膜管の接続が示されている。2つ又はそれを超える膜を互いに接続して、膜モジュールの長さに望ましい全長を達成することができる。接続ブロック及びエンドキャップは、異なるタイプのシール材料を使用することができる。一例は、グラファイトシールを有する金属キャップである。
【0081】
図7は膜改質器のモジュール700である。膜改質器は、複数の同様のモジュールを有することができる。図示の実施形態では、モジュール700(膜モジュール)がモジュール700のユニットとして4つの膜反応器702、704、706、708を有する。したがって、膜反応器702、704、706、708(例えば、各膜反応器ユニット又はモジュールユニットとして)は、モジュールユニットとして分類され得る。供給ガス及びスイープガスは、両方とも、反応器702、704、706、708を渡って直列である。以下に説明するように、モジュール700は、8つの管状膜を含む。一例では、管状膜の総有効表面積が0.2885平方メートル(m
2)である。
【0082】
4つの膜反応器702、704、706、708は、それぞれ、上述の膜反応器300又は400に類似することができる。例えば、反応器702、704、706、708は、蒸気改質及びWGS反応のための触媒を含む。図示の例では、各膜反応器702、704、706、708はそれぞれのコネクタブロック404(例えば、
図6の中間コネクタ616)を介して長手方向に結合された2つの管状膜(水素選択性)を有する。したがって、モジュール700は、8つの管状膜を有する。モジュール700の膜表面積(8本の管状膜を有する)は、例えば0.2m
2~1.5m
2の範囲であってもよい。一例では、8つの管状膜がモジュール700に対して0.2885m
2の全膜表面積を与える。後述するように、膜モジュール700は、反応器702、704、706、708間の相互接続を含む。また、後述するように、流れの構成は、供給物流に対して、水素のスイープガス移動のための対向流を供給する。
【0083】
動作中、供給物408は、2つの管状膜304A、304Bの外部の供給管302内の第1の膜反応器702の領域308に導入される。上述したように、領域308は、供給管302の壁と2つの管状膜304A、304Bとの間にある。供給物408は、炭化水素及び蒸気を含むことができる。炭化水素は、例えば天然ガス、メタン、LPG、C1~C5炭化水素の混合物などを含むことができる。供給物408は、膜改質器全体におけるモジュール700の順序付けに応じて、別の膜反応器400からの残留物とすることができる。領域308に配置された触媒(不図示)は反応を促進する。上述したように、吸熱改質反応のための熱は、電気加熱によって提供されてもよい。
【0084】
蒸気改質反応(及びWGS反応)は、水素及び二酸化炭素を生成するために領域308内で起こる。供給物408の炭化水素(例えば、CH4及びより重質の炭化水素)は、蒸気改質(及びWGS反応)を介して水素及び二酸化炭素に変換される。生成された水素は、領域308から管状膜304A、304Bを通って管状膜304A、304Bのボア306内に拡散する。第1の反応器702内の領域308内に残っている生産ガスは主に二酸化炭素を含み、残留物として分類され得る。また、領域308には、未反応炭化水素及び未反応蒸気を含む未反応の供給物408が存在してもよい。
【0085】
未反応供給物及び二酸化炭素は、反応器間の相互接続部712を通って後続の反応器704、706、708の領域308に流れる(710)ことができる。未反応供給物は、水素及び二酸化炭素に変換され得る。後続の反応器704、706、708において、生産された水素は、領域308から管状膜を通ってそれぞれの反応器内のボア306に拡散することができる。流れ710は、第4の反応器708の供給管302から残留物714として排出することができる。残留物714は、いくつかの例では主に二酸化炭素であってもよい。残留物714中の蒸気は、凝縮され、二酸化炭素から液状水として除去され得る。モジュール700を通る流れ710のための相互接続部712はそれぞれ、導管及び/又は導管継手(例えば、配管又はパイプ継手)、例えば、180度の屈曲部又は肘部を含むことができる。導管継手は相互接続部712と供給管302との結合を容易にするために、圧縮継手又はフランジ付きコネクタを含むことができる。
【0086】
相互接続部712の導管は流れ710中の炭化水素を水素及び二酸化炭素に変換する反応を更に促進するために、改質触媒及びWGS触媒を含む触媒(例えば、充填触媒)を含んでもよい。相互接続部712の導管に充填された触媒は構造化された形態であってもよく、又は導管もしくは導管エルボの内面上にコーティングされてもよく、又は充填床触媒はこの空間を使用して、反応物の更なる混合を作り出すことも可能にする。
【0087】
図示の実施形態では、反応器702、704、706、708内の管状膜のボア306から水素を移動させるために、第4の反応器708の挿入管314内にスイープガス412が導入される。スイープガス412は、第4の反応器708の挿入管314の底部から排出される。次いで、スイープガス412は、第4の反応器708の管状膜ボア306を通って、流れ710に対して対向流の方向に上方に向かって流れる。スイープガス412は、ボア306から水素を移動させる。
【0088】
スイープガス412(移動した水素を含む)は挿入管相互接続部718(例えば、相互接続導管及び/又は導管継手など)及び膜管相互接続部720(例えば、相互接続導管又は導管継手など)を介して、第4の反応器708から上流反応器702、704、706に流れる(716)。この流れ716は、第4の反応器708から膜相互接続720を介して第3の反応器706に排出される。第3の反応器706では、流れ716(スイープガス及び移動した水素)がボア306を通って下方に流れ、供給物/残留物の流れ710と対向流の方向に水素を移動させる。次いで、流れ716は第3の反応器706内の挿入管314の底部に入り、挿入管相互接続718を通って第2の反応器704に流れる。第2の反応器704において、流れ716は、挿入管314の底部から排出され、ボア306を通って上方に流れ、供給物/残留物の流れ710に対して対向流の方向に水素を移動させる。スイープガス及び生産水素のこの流れ716は、第2の反応器704から膜管相互接続部720を通って第1の反応器702に排出される。第1の反応器702では、流れ716がボア306を通って下方に向かい、供給物408の流れと対向流の方向に水素を移動させる。流れ716(生産水素及びスイープガス)は挿入管314の底部に入り、第1の反応器702から排出される。
【0089】
排出は、スイープガスを伴う透過物722(主に水素)として分類されてもよい。スイープガスを有する透過物722は、膜改質器内の別のモジュール700にスイープガスとして送られてもよい。一方、スイープガスを有する透過物722は透過物722からスイープガスを除去するように処理され、水素は生産水素として収集又は分配され得る。スイープガスとして蒸気を用いる実装の場合、蒸気を(例えば、熱交換器又は熱交換器容器内で)凝縮させて、水素から液状水として蒸気を除去することができる。
【0090】
挿入管相互接続部718及び膜管相互接続部720は180度曲げ又はエルボ、圧縮継手、フランジ付きコネクタなどの導管継手(例えば、配管又はパイプ継手)を含むことができる。一例では、膜管相互接続部720が
図6に関して説明したフランジコネクタ左612などのフランジコネクタを介して管状膜に結合することができる。
【0091】
モジュール700は、モジュール700の入口部分に予備改質触媒を有することができる。1つ又は複数の反応器702、704、706、708は、供給管302の内側の入口部分に予備改質触媒を有することができる。一実施形態では、供給物408を受け取る第1の反応器702が供給管302の入口部分に予備改質触媒を有する。予備改質触媒は、供給物408中の高級炭化水素のメタンへの変換を促進することができる。
【0092】
モジュール700は、モジュール700の出口部分に乾式改質触媒を有することができる。1つ又は複数の反応器702、704、706、708は、供給管302の内側の出口部分に乾式改質触媒を有することができる。一実施形態では、残留物714を排出する最後の反応器708が供給管302の出口部分に乾式改質触媒を有する。乾式改質触媒は炭化水素のH2への変換を促進し、コーキングに対する耐性を提供することができる。
【0093】
図8は、5つの膜反応器の第1のモジュール802及び5つの膜反応器の第2のモジュール804を有する膜改質器800である。したがって、膜改質器800(又は膜改質器800のこの部分)は、膜ユニットとしても分類され得る10個の膜反応器を有する。この図示の実装において、10個の膜反応器が直列に動作する。10個の膜反応器は、それぞれ、前述の図に関して説明した膜反応器に類似していてもよい。
【0094】
この例では、各膜反応器内の管状膜がコネクタブロックを介して長手方向に結合された2つの管状膜(水素選択性)である。したがって、膜改質器800は、20個の管状膜を有する。一の実装において、20個の管状膜の累積的な総実効表面積が0.7213m2である。膜改質器800の累積膜表面積は一般に、膜反応器及び管状膜が膜改質器800に加えられるにつれて増加し得る。
【0095】
各モジュール802、804内の5つの膜反応器は、それぞれの熱分配プレート806の後ろに取り付けられる(及び接触する)。熱分配プレート806は、ストリップヒータ808によって生成された熱を膜反応器に伝導する金属プレートである。ストリップヒータ808は、熱分配プレート806上に取り付けられる。一例では、動作中のストリップヒータ808のシース温度が少なくとも760℃である。ストリップヒータは、加熱要素(電気抵抗金属)、保護スリーブ又はシース、及び取り付けハードウェアを含むことができる。ストリップヒータの冶金は、典型的には鋼であってもよい。ストリップヒータは電源接続部のためにシースから延びる電気端子(例えば、リード線を有する)を含むことができる。電源(不図示)は、バッテリ又は再生可能エネルギーなどであってもよい。ストリップヒータは一般に、固体表面にボルト締め又はクランプ締めすることができる。一部のストリップヒータは、ストリップヒータを表面に取り付けるための取り付け穴を含むことができる。
【0096】
膜改質器800は、ストリップヒータ806のための温度コントローラ810を含む。温度コントローラ810(例えば、機械式サーモスタット又はバイメタルサーモスタット)は、膜改質器800の動作温度を指示する制御システムと関連付けられ得る。この例では、温度コントローラ810が熱分配プレート806上に配置される。膜改質器800は、熱効率及び人員保護のために外部断熱材を有することができる。
【0097】
膜改質器800は、炭化水素及び蒸気のための供給入口812と、二酸化炭素を排出するための残留物出口814とを有する。膜改質器800はまた、膜改質器800の上部に配置され得る透過水素出口(不図示)を有する。排出される透過水素は、スイープガスを含むことができる。相互接続導管816(例えば、配管、パイプ、継手、エルボなど)は、透過物及び残留物に関して、2つのモジュール802及び804ならびにそれらの膜反応器を動作可能に結合する。膜改質器800の上部の相互接続導管818は、スイープガス用である。
【0098】
膜改質器800の底部における相互接続導管816は180度(U字形)のエルボ又はベンド(屈曲部)として、炭化水素を水素及び二酸化炭素に変換するための追加の触媒(例えば、蒸気改質触媒及びWGS触媒)を含んでもよい。触媒はエルボの内側表面上に、又は構造化された形態で、又は充填床触媒で被覆することができる。この触媒は、膜反応器内の管状膜の外側の領域に配置された触媒に追加されて存在する。
【0099】
要約すると、
図8は、より大きな膜表面積を提供するために接続された合計20個の膜を有する10個の膜ユニットの接続を有するモジュール設計の詳細を示す。透過物及び残留物の相互接続も示されている。熱分配装置も示されている。熱分配プレートは改質反応のためのエネルギーを提供するために、ストリップヒータと共に利用される。更に、熱分配プレートはモジュールの物理的(機械的)支持を提供することができるが、支持構造(不図示)はモジュール導管(配管)の取り付けを提供することができる。支持体は、例えばモジュールの上部にあってもよい。ある特定の実装において、導管は導管内の著しい機械的応力を回避しながら導管の熱膨張を容易にするために、概して吊り下げ位置に維持されてもよい。
【0100】
図9は、
図8のモジュール802、804に類似し得る8つのモジュール902を有する膜改質器900である。実際、8つのモジュール902はそれぞれ、5つの膜反応器(膜ユニット)を有する。各モジュール902内の5つの膜反応器は直列に動作する。例では、複数のモジュール902を直列(及び/又は並列)に結合して、膜改質器900のスループット(水素生産)を増加させることができる。この例では、8つのモジュール902が直列に動作する。膜改質器900は図示されるように、モジュール902間の相互接続904を含む。供給物入口906は、炭化水素及び蒸気を受け取ることができる。残留物出口908は、主に二酸化炭素を排出することができる。膜900はまた、透過水素排出を含む。例えば、
図10の透過水素(及びスイープガス)排出1018を参照されたい。
【0101】
図10、
図11、
図12、及び
図13は、マニホールド内の流れ分布の詳細を、上側及び下側から示している。
図9に示されるような「U」字形相互接続は、膜改質器設計での反応又は設計に必要とされるように、2つのモジュール間に追加の触媒を充填するために使用することもできる。この領域に充填された触媒は、構造化された形態であってもよく、又は管の形態に被覆されていてもよく、又は純粋に充填床触媒であってもよく、この空間を使用して反応物の更なる混合を生じさせることも可能にする。
【0102】
図10は膜改質器のモジュール(例えば、
図9の上部モジュール902)の上部1000(マニホールドを含む)である。膜反応器(モジュールユニット)は、熱分配プレート1002の後方に接触して配置される。
【0103】
供給物1004(炭化水素及び蒸気)は、概して矢印1006によって示される方向に膜反応器を通って直列に流れる。供給物1004は、膜反応器内の管状膜の外側の領域(残留物側)を通って流れる。直列の最後の膜反応器のこの領域からの排出物1008は、残留物(主に二酸化炭素)として、又は膜改質器内の次のモジュールへの供給のためのものであってもよい。
【0104】
スイープガス1010は、一連の最後の膜反応器内の管状膜のボアに導入される。説明したように、挿入管を使用することができる。スイープガス1010は、概して、矢印1012によって示される方向に流れる。スイープガス1010は、相互接続導管1014を介して膜反応器(モジュールユニット)間を流れる。相互接続導管1014は、一連のそれぞれの膜反応器内の管状膜に相互接続導管1014を結合する、導管継手1016(例えば、配管継手)を有するUエルボであってもよい。上記で説明したように、スイープガス1010は、管状膜のボアから水素を移動させる。透過物1018は、第1の膜反応器の膜ボアから排出される。
【0105】
図11は、複数の膜反応器の膜改質器モジュールの上部1100である。この図では、複数の膜反応器のうちの3つの上部がマニホールド1102に結合されているものとして示されている。参照番号で強調された流れ構成は、1104のスイープガス、スイープガス流路1106、下向きスイープガス流1108、上向き戻りスイープガス1110、上向き供給物流1112、供給物流路1114、及び下向き供給物流1116を含む。
【0106】
3つの膜反応器の各々は、供給管1118(供給導管又は外側導管)、管状膜1120、管状膜1120のボア1122、及び触媒が配置され、改質/WGS反応が起こる、管状膜1120の外側の供給管1118内の領域1124を含む。3つの膜反応器はそれぞれ、ボア1122内に配置されマニホールド1102内に入る挿入管1126を含む。
【0107】
この例では、フランジ付きコネクタ1128が管状膜をスイープガス相互接続部に結合する。フランジコネクタ1128は、
図6のフランジコネクタ左608に類似し得る。フランジコネクタ1128は、フランジ部と、外側部1130と、グラファイト材料1132とを含む。フランジ部及び外側部1130は、グラファイト材料1132に圧縮を加え、グラファイト材料1132を介してグラファイトシールを提供する。
【0108】
図12は、膜改質器モジュールの底部上の供給物インターフェース1200である。供給物インターフェース1200は、導管1202からの供給物流又は導管1202への供給物流のためのものであってもよい。(1)供給導管1204、(2)供給導管内に配置された管状膜1206、及び(3)供給導管1024の壁と管状膜1206との間の領域容積1208が示されている。供給物インターフェース1200は、グラファイト1212を圧縮してグラファイト圧縮シールを与えるエンドキャップ部を有するエンドキャップ1210を含む。エンドキャップ1210は、外側部1214を含む。端部キャップ1210は、
図6の閉鎖コネクタ右614に類似し得る。
【0109】
図13は、膜反応器(モジュールユニット)間の供給物流/残留物流のための膜改質モジュールの相互接続インターフェース1300である。相互接続インターフェース1300は、
図12のエンドキャップ1210と同様に構成された2つのエンドキャップ1302、1304を含む。相互接続インターフェース1300は、180度の屈曲部である相互接続導管1306を含む。ある特定の実施形態では、相互接続導管1306が2つの膜反応器の間又は膜反応器の2つのモジュールの間に追加の触媒を充填するために利用され得る。それは、膜改質器の設計及び動作条件に依存し得る。この追加の触媒(使用される場合)は、構造化された形態で、又は相互接続導管1306の内面上にコーティングされた状態で、又は、反応物の更なる混合を生成するためにこの領域の空間を利用することも可能にする充填床触媒として、この相互接続導管1306に充填される触媒であってもよい。
【0110】
図14は、各々が複数の膜反応器(モジュールユニット)を有する4つのモジュール1402を有する膜改質器1400である。モジュール1402は、供給物に対して直列に配置される。モジュール1402は、スイープガス流に対して並列に配置される。並列のスイープガスを分配することにより、膜改質器1400の透過物側の圧力降下を低減することができる。
【0111】
図15は、各々が複数の膜反応器(モジュールユニット)を有する8つのモジュール1502を有する膜改質器1500である。膜改質器1500は、複数のモジュールの複数のラインとして含む、複数の膜反応器の追加のモジュールを受容するように構成される。膜改質器1500は、供給物ヘッダ1504及び残留物排出ヘッダ1506を含む。供給物ヘッダ1504及び残留物排出ヘッダ1506の両方は、追加のモジュールを受容するための接続ポイント1508(例えば、T継手)を有する。膜改質器1500は、スイープガス供給ヘッダ1510及び透過物排出ヘッダ1512を含む。この例では、膜改質器1500が少なくとも40個の膜反応器(モジュールユニット)と、2.885m
2に等しい管状膜の全有効表面積を与える80個の管状膜とを含むことができる。
【0112】
図16は、各々が複数の膜反応器(モジュールユニット)の4つのモジュール1604を有する4つのライン1602を備える、膜改質器1600である。各ライン1602において、モジュール1604は、供給物側で直列に接続され、スイープガス側で並列に接続される。供給物流は、残留物圧力降下を低減するために、各ライン1602に並列に分配される。スイープガス流は、各ライン1602に並列に分配される。各モジュール1604は、管状膜を渡る供給物流に対してスイープガスの対向流を有する。
図16は、例えば10,000Nm
3/hrまでの水素のより大きな生産能力を達成する際の、膜モジュールのモジュール結合を示す。また、スイープガス流、透過物流、供給物流、及び残留物流の流れの接続も示されている。
【0113】
本明細書に記載の膜反応器及び膜改質器は、例えば電気ヒータによって提供される熱を用いて、650℃未満の動作温度を有し得る。膜改質器の水素生産能力は、10,000Nm3/hr未満の水素、5,000Nm3/hr未満の水素、又は1,000Nm3/hr未満の水素であり得る。膜改質器から排出される水素生産物は、スイープガスを含まない基準で、少なくとも90モルパーセント(モル%)の水素又は少なくとも99.9モル%の水素であってもよい。スイープガスが蒸気である場合、水素生産物は、少なくとも90モル%の水素又は少なくとも99.9モル%の水素を乾燥基準とすることができる。膜改質器から排出される残留物は、乾燥基準で少なくとも90.0モル%の二酸化炭素であってもよい。
【0114】
図17A及び
図17Bは、
図16の改質器1600に類似するマルチモジュール設計を使用する膜改質器1700である。膜改質器1700は、ボックス1702内にある。ボックス1702は、ハウジングとして特徴付けることができる。
図17Aは、サイディング(側壁)のない、ボックス1702内の改質器1702である。
図17Bは、サイディングを有する、ボックス1702内の改質器1700である。例では、ボックス1702が電気加熱式ボックスである。ボックス1702は、長方形のボックスであってもよく、5m未満の幅、5m未満の長さ、及び5m未満の高さの寸法を有してもよい。
【0115】
一例では、12本のライン(4つの各モジュール)がボックス1702内に配置される。各モジュールは、10個の膜反応器(モジュールユニット)を有する。各膜反応器内の管状膜は、長手方向に結合された2つの管状膜である。したがって、この例における膜改質器1700は、480個の膜反応器(モジュールユニット)と、3m×3m×3mの寸法を有するボックス1702内の960個の管状膜とを含む。960の管状膜の全有効表面積は、34.62m2である。膜改質器1700は、例えば5バールのスイープガス圧力で動作することができる。ここでは、膜改質器1700が100Nm3/hrの水素生産能力を有する。
【0116】
本発明は、蒸気改質、水性ガスシフト反応、及び水素分離/精製の工程を1つの単一の反応器で行うことにより、統合された水素生産を可能にする。それはまた、炭化水素供給材料を使用して生産されるH2とCO2とをその場で分離することを可能にする。このプロセスの強化は、効率的で単純な水素製造プロセスをもたらし、資本コスト及び運転コストの大幅な低減によって水素生産コストの低減をもたらすことができる。この強化はまた、水素製造に使用される従来の改質プロセスよりもはるかに低い動作温度及びより高い圧力でプロセスを実行することを可能にする。
【0117】
従来のSMRプロセスは、スケールダウンすると非効率的である。本技術はより効率的であり、水素生産のためのより小さい設置面積を提供することができる。大規模集中型SMRプラントで生産される水素は安価であるが、輸送及び貯蔵は水素が低密度であることと、必要とされる特殊なトラック(チューブトレーラー)及びタンク(高圧炭素繊維強化容器)に起因して、非効率的(及び高価)である。本技術は、ある特定の実施形態において、輸送するのに効率的(かつ安価)であり得る炭化水素を利用して、水素が必要とされる(移動度用途を含む)場所で、水素が効率的に生産されることを容易にする。更に、残留物は主に、比較的高い圧力で二酸化炭素であり、例えば、隔離、強化油回収(EOR、enhanced oil recovery)、又は原料としての再利用などのために、捕捉準備ができていてもよい。
【0118】
一実施形態は、水素を生成するための複数の膜反応器を有する膜改質器である。膜改質器の水素生成能力は、10,000Nm3/hr未満の水素、又は1,000Nm3/hr未満の水素であってもよい。膜改質器の膜反応器は、並列もしくは直列、又はその両方で動作可能に配置することができる。いくつかの例では、膜改質器が少なくとも30個の膜反応器を含む。一例では、少なくとも30個の膜反応器が5m未満の幅、5m未満の長さ、及び5m未満の高さを有するボックス内に配置される。膜改質器は、30未満の膜反応器を含むことができる。膜改質器は複数の膜反応器に熱を提供して膜改質器の動作温度を650℃未満にするための電気ヒータ(例えば、電気ストリップヒータ)を含むことができる。膜改質器は複数の膜反応器と接触する熱分配プレートを含むことができ、電気ヒータは、熱分配プレート上に配置される。
【0119】
各膜反応器は、(1)炭化水素及び蒸気を供給導管内の管状膜の外側の領域に受け入れるための膜反応器の外側導管としての供給導管と、(2)炭化水素を水素及び二酸化炭素に変換するために管状膜の外側の供給導管内の領域に配置される触媒(蒸気改質触媒を含む)と、(3)水素をその領域から管状膜を通って管状膜のボアに拡散させるための供給導管内の管状膜とを含む。この領域は管状膜の残留物側であり、二酸化炭素を含む残留物を排出する。ボアは管状膜の透過物側であり、水素を含む透過物を排出する。各膜反応器は管状膜の外側の領域における炭化水素及び蒸気の流れに対して対向流の方向に、ボアを通るスイープガスの流れを容易にするために、ボア内に配置された挿入管を有する。供給導管で受け取られる炭化水素は、例えばメタン、液体石油ガス(LPG)、又はC1~C5炭化水素の混合物、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0120】
実装において、供給導管の外径は、例えば15mm~50mmの範囲内とすることができる。供給導管の壁厚は、例えば1mm~3mmの範囲とすることができる。管状膜の外径は、例えば8mm~30mmの範囲であってもよい。管状膜の壁厚は、例えば1mm~3.5mmの範囲であってもよい。挿入管の外径は、例えば4mm~15mmの範囲であってもよい。挿入管の壁厚は、例えば0.3mm~1.5mmの範囲であってもよい。各膜反応器内の管状膜は、いくつかの例では長手方向に結合された2つの管状膜であってもよい。ある特定の実装においては、触媒が管状膜と接触していない。触媒は、WGS触媒を更に含むことができる。
【0121】
複数の膜反応器は、少なくとも第1の膜反応器及び第2の膜反応器を含む。実装において、膜改質器が第1の膜反応器の供給導管を第2の膜反応器の供給導管に結合する相互接続導管を有することができ、第2の膜反応器の供給導管は相互接続導管を介して第1の膜反応器から残留物を受け取る。第1の膜反応器から第2の膜反応器の供給導管に排出される残留物は、第1の膜反応器内で未反応の蒸気及び炭化水素を含むことができる。
【0122】
別の実施形態は、例えば5,000Nm3/hr未満で水素を生産する方法である。この方法は、複数の膜反応器を有する膜改質器に炭化水素及び蒸気を供給することを含む。この方法は、複数の膜反応器内の管状膜の外部に配置された触媒(蒸気改質触媒を含む)を介して、炭化水素を水素及び二酸化炭素に変換することを含む。触媒は蒸気改質触媒を含み、WGS触媒を更に含んでもよい。実装においては、触媒が管状膜と接触していない。この方法は、複数の膜反応器内の管状膜を通して管状膜のそれぞれのボアに水素を拡散させることを含む。管状膜を通して水素を拡散させることは、炭化水素を水素に変換することと同時であってもよい。この方法は管状膜の外部の炭化水素及び蒸気の流れに対して対向流方向に水素を移動させるために、それぞれのボアを通るスイープガスを流すことを含む。実装において、スイープガスによるそれぞれのボア内の水素の移動が管状膜の外部の水素の管状膜を通る透過を増加させる。本方法はそれぞれのボアからスイープガスを用いて透過物として水素を排出することと、複数の膜反応器から残留物(例えば、未反応蒸気も含む)として管状膜の外部の二酸化炭素を排出することとを含む。
【0123】
本方法は複数の膜反応器を電気的に加熱することを含むことができ、複数の膜反応器の動作温度は650℃未満である。複数の膜反応器の電気的加熱は、複数の膜反応器と接触する熱分配プレートを介して複数の膜反応器を電気的に加熱することを含むことができる。実装において、複数の膜反応器内の管状膜の外部の動作圧力が10バール~50バールの範囲内である。それぞれのボアの動作圧力は、1バール~5バールの範囲内であってもよい。
【0124】
本方法は複数の膜反応器の第1の膜反応器から複数の膜反応器の第2の膜反応器に残留物を流すことを含むことができ、第1の膜反応器からの残留物は、第1の膜反応器中で未反応の蒸気及び炭化水素を含む。本方法は膜改質器からの生産水素として、それぞれのボアの少なくとも1つのボアからのスイープガスを用いて透過物として水素を排出することを含むことができ、生産水素は、スイープガスを含まない基準で少なくとも90モル%の水素である。蒸気としてのスイープガスの場合、本方法は生産水素から液状水としてスイープガスを除去するために、生産水素中のスイープガスを凝縮することを含むことができる。
【0125】
更に別の実施形態は、水素生成の方法である。この方法は、複数の膜反応器を有する膜改質器を用いて水素を生産することを含む。各膜反応器は外管と、外管内に管状膜(例えば、長手方向に結合された2つの管状膜)とを有する。各膜反応器の水素の生産は(1)触媒(改質触媒を含み、WGS触媒を含むことができる)を介して蒸気の存在下で管状膜の外側の外管の領域内で炭化水素を水素及び二酸化炭素に変換することと、(2)管状膜を通してその領域から管状膜のボア内に水素を拡散させることであって、その領域が管状膜の残留物側であり、ボアが管状膜の透過物側であることと、(3)その領域から二酸化炭素(例えば、未反応蒸気と共に)を排出することと、(4)管状膜の外側の領域内の炭化水素の流れに対して対向流方向にボアから水素を移動させるためにボアを通るスイープガスを流すことと、(5)ボアから水素及びスイープガスを排出することとを含む。方法は、ボア内に配置された挿入管を介して、対向流方向へのスイープガスの流れを促進することを含むことができる。膜反応器の動作温度は、650℃未満であり得る。外管内の管状膜の外部の動作圧力は、10バール~50バールの範囲であってもよい。ボアの動作圧力は、1バール~5バールの範囲であってもよい。述べられているように、寸法は、15mm~50mmの範囲の外管の外径、1mm~3mmの範囲の外管の壁厚、8mm~30mmの範囲の管状膜の外径、及び1mm~3.5mmの範囲の管状膜の壁厚を含むことができる。
【0126】
本方法は複数の膜反応器の第1の膜反応器の領域から排出された二酸化炭素を、複数の膜反応器の第2の膜反応器の領域に流すことを含むことができ、第1の膜反応器の領域からの二酸化炭素は、未反応の蒸気及び未反応の炭化水素を含む。本方法は生産水素として膜改質器から水素を排出することを含むことができ、生産水素は、スイープガスを含まない基準で少なくとも90モル%の水素を含む。スイープガスが蒸気であり、生産水素が乾燥基準で少なくとも90モル%であってもよい。
【0127】
更に別の実施形態は、水素生成の方法である。この方法は、複数の膜反応器を有する膜改質器を用いて水素を生成することを含む。各膜反応器は外側導管(外管、供給導管、供給管)と、外側導管内の管状膜(例えば、長手方向に結合された2つの管状膜)とを有する。この実施形態では、膜改質器の入口セクションが炭化水素予備改質触媒(例えば、ニッケル系、ニッケル-ルテニウムなど)で充填される。予備改質触媒は供給物中の高級炭化水素分子をC1(メタン)型化合物に変換することを容易にすることができ、このメタンに富む合成ガスは、次いで、膜改質器の下流に送られる。
【0128】
更に別の実施形態は、水素生成の方法である。この方法は、複数の膜反応器を有する膜改質器を用いて水素を生産することを含む。各膜反応器は外管と、外管内に管状膜(例えば、長手方向に結合された2つの管状膜)とを有する。この実施形態では、乾式改質触媒(例えば、MgO上のNi-Mo、貴金属系触媒など)は膜反応器の出口に(近くに、隣接して、又はそこに)向かって充填される。実装において、生成された水素の大部分が透過したので、出口に向かう反応器混合物は高濃度の炭素種(例えば、CO2、CO、CH4)を有することができる。混合物はまた、未変換の蒸気(水)を有する可能性がある。出口付近又は出口で炭素種が豊富なこの環境は、乾式改質触媒を介して処理することができる。乾式改質触媒は、CO2と反応してCO及びH2にすることによって、残留するCH4又は炭化水素を変換することを容易にすることができる。乾式改質触媒は、膜表面上のコークス形成傾向を減少させ、ならびに残留炭化水素のH2への転化を促進することに寄与し得る。
【0129】
いくつかの実装について説明してきた。しかしながら、本開示の技術思想及び範囲から逸脱せずに、種々の改変がなされてもよいということを理解されたい。
【国際調査報告】