(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-18
(54)【発明の名称】風方向付けシステム
(51)【国際特許分類】
F03D 9/45 20160101AFI20230710BHJP
F03D 3/04 20060101ALI20230710BHJP
【FI】
F03D9/45
F03D3/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574781
(86)(22)【出願日】2021-06-05
(85)【翻訳文提出日】2023-02-01
(86)【国際出願番号】 US2021036056
(87)【国際公開番号】W WO2021248103
(87)【国際公開日】2021-12-09
(32)【優先日】2020-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522471869
【氏名又は名称】アクセレレート ウインド リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボーイング、エリカ
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA12
3H178AA22
3H178BB31
3H178DD30X
(57)【要約】
本発明は風方向付けシステムである。上記システムは、前縁、前面、中間面、後面、および後縁を有する少なくとも1つの下部翼と、上記少なくとも1つの下部翼の上方に配置された少なくとも1つの風力タービンとを含む。上記下部翼は建物の表面に取り付けられる。上記下部翼の前面は、中間面を基準として空気流に対して傾斜している。上記下部翼により、建物の上を進む風空気流を建物の上面に「付着」させ、風力タービンの方へ方向付け、その結果、風の利用が増え、上記タービンを介した発電が増加する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風方向付けシステムであって、前記風方向付けシステムは、
前縁、前面、中間面、後面、および後縁を有する少なくとも1つの下部翼と、
前記少なくとも1つの下部翼の上方に配置された少なくとも1つの風力タービンと
を備え、
前記少なくとも1つの下部翼が建物の表面に取り付けられ、
前記前縁および前記前面が、建物の前面と建物の上面との間に形成された建物の縁の上に延在しており、
前記少なくとも1つの下部翼の前記前面が、前記中間面を基準として空気流に対して傾斜している、
風方向付けシステム。
【請求項2】
閉鎖された隙間が、前記前縁と前記建物の前記前面との間に延在している、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記前縁が、前記建物の前記前面に接触して配置された、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの下部翼の前記後面が、前記中間面を基準として下向きの角度で延在している、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの下部翼が複数の下部翼を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記前縁、前記前面、前記中間面、前記後面、および前記後縁のうちの少なくとも1つが前記複数の下部翼のうちの1つの上にあり、前記前縁、前記前面、前記中間面、前記後面、および前記後縁のうちの別の1つが前記複数の下部翼のうちの別の1つの上にある、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記複数の下部翼のうちの少なくとも1つの前記下部翼が、前記複数の下部翼のうちの別の1つの前記下部翼の後ろに配置されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの風力タービンは少なくとも1つのクロスフロー風力タービンであり、前記少なくとも1つのクロスフロー風力タービンの回転軸は、前記建物の前記上面に対して平行に、かつ前記空気流の方向に対して垂直に延在している、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの風力タービンは、少なくとも1つの垂直軸(VA)風力タービンであり、前記少なくとも1つの垂直軸(VA)風力タービンの回転軸は、前記建物の前記上面に対して垂直に延在している、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの風力タービンは、少なくとも1つの水平軸風力タービンであり、前記少なくとも1つの水平軸風力タービンの回転軸は、前記建物の前記上面に対して平行に、かつ、前記空気流の方向に対して平行に延在している、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの下部翼の前記後面の後ろの位置から後方に延在している再循環翼をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
風方向付けシステムであって、前記風方向付けシステムは、
前縁、前面、中間面、後面、および後縁を有する少なくとも1つの下部翼と、
前記少なくとも1つの下部翼の上方に配置された少なくとも1つの上部翼と、
前記少なくとも1つの下部翼と前記少なくとも1つの上部翼との間に配置された少なくとも1つの風力タービンと
を備え、前記少なくとも1つの下部翼が、建物の表面に取り付けられ、
前記少なくとも1つの下部翼の前記前面が、前記中間面を基準として空気流に対して傾斜している、
風方向付けシステム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの上部翼が、複数の上部翼を備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前面、中間面、および後面のうちの少なくとも1つが、前記複数の上部翼のうちの1つの上にあり、前記前面、前記中間面、および前記後面のうちの別の1つが、前記複数の上部翼のうちの別の1つの上にある、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記複数の上部翼のうちの少なくとも1つの前記上部翼は、前記複数の上部翼のうちの別の1つの上部翼の後ろに配置されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記少なくとも1つの上部翼の後面が、前記少なくとも1つの上部翼の中央面を基準として上向きの角度で延在している、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記少なくとも1つの上部翼の後面の後ろの位置から後方に延在している再循環翼をさらに備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
風方向付けシステムであって、前記風方向付けシステムは、
前縁、前面、中間面、後面、および後縁を有する少なくとも1つの下部翼と、
前記少なくとも1つの下部翼の上方に配置された少なくとも1つの風力タービンと、
前記少なくとも1つの風力タービンに、動作可能に接続された少なくとも1つのパワートレインアセンブリと
を備え、
前記少なくとも1つの下部翼が建物の表面に取り付けられ、
前記少なくとも1つの下部翼の前記前面が、前記中間面を基準として空気流に対して傾斜しており、
前記少なくとも1つの下部翼の前記後面が、前記中間面を基準として下向きの角度で延在している、
風方向付けシステム。
【請求項19】
前記パワートレインが、前記少なくとも1つの風力タービンに、動作可能に接続された少なくとも1つの産業用モータと、前記少なくとも1つの産業用モータに、動作可能に接続された少なくとも1つの可変周波数ドライブ(VFD)と、前記少なくとも1つのVFDに、動作可能に接続された単一のインバータとを備える、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記少なくとも1つの下部翼の上方に配置された少なくとも1つの上部翼をさらに備える、請求項18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2020年6月5日に出願された、先の出願の同時係属中の米国特許仮出願番号63/035,366の利益を主張し、その内容全体が参照により、本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本発明は、風力タービンシステム、より具体的には、風が建物の上を通過する際に、風を方向付けるための集風装置(wind concentrator)に関する。
【背景技術】
【0003】
建物は、当然のことながら、建物の表面に当たり、上部の上を通過する必要があるすべての風の集風装置として機能する。この過程において生じる圧力差および風の集中により、風が建物の縁を越えて進む際に、速度が自然に上がる。多くの屋上風力タービン会社は、この増加した風速を何らかの方法で利用して発電しようとしたが、すべての解決策は、風が屋根の縁を越えて進む際に流れが大きく分離することが理由で発電能力を得るには至らなかった。この流れの分離は、より速い風のわずかな部分しか、屋根の縁近くでは捕捉され得ず、その結果、屋根の縁の上のより速い速度の風の大部分を捕捉するために、大きくて高価である見苦しいタワーを必要とすることを意味する。このようなタワー群は美観を損ねるのみならず、ソーラーパネルの光を遮断する場合があり、設置が困難で時間がかかる場合がある。
【発明の概要】
【0004】
したがって、当該技術分野では、風速をロスさせることなく、風を目立たない風力タービンへ方向付け得る構造が必要とされている。
【0005】
本発明は風方向付けシステムである。上記システムは、前縁、前面、中間面、後面、および後縁を有する少なくとも1つの下部翼と、上記少なくとも1つの下部翼の上方に配置された少なくとも1つの風力タービンとを含む。上記下部翼は建物の表面に取り付けられる。上記前縁および上記前面は、建物の前面と建物の上面との間に形成された建物の縁の上に延在している。上記下部翼の上記前面は、上記中間面を基準として空気流に対して傾斜している。
【0006】
上記風方向付けシステムの別の実施形態は、前縁、前面、中間面、後面、および後縁を有する少なくとも1つの下部翼と、上記下部翼の上方に配置された少なくとも1つの上部翼と、上記下部翼と上記上部翼との間に配置された少なくとも1つの風力タービンとを含む。上記下部翼が建物の表面に取り付けられる一方、上記下部翼の上記前面は、上記中間面を基準として空気流に対して傾斜している。
【0007】
上記風方向付けシステムの別の実施形態は、前縁、前面、中間面、後面、および後縁を有する少なくとも1つの下部翼と、上記下部翼の上方に配置された少なくとも1つの風力タービンと、上記風力タービンに、動作可能に接続された少なくとも1つのパワートレインアセンブリとを含む。上記下部翼は建物の表面に取り付けられる。上記下部翼の上記前面が、上記中間面を基準として空気流に対して傾斜している一方、上記下部翼の上記後面は、上記中間面を基準として下向きの角度で延在している。
【0008】
本発明の目的および効果は、本発明の実施形態、および実施例の以下の詳細な説明から、より詳細に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1a】
図1aは、風方向付けシステムの例示的な実施形態が、建物の上の空気流をどのように変化させるのかを示す図である。
【
図1b】風方向付けシステムの例示的な実施形態が、建物の上の空気流をどのように変化させるのかを示す図である。
【
図2a】
図1bは、風方向付けシステムの例示的な実施形態の側面図を示す。
【
図2b】
図2bは、風方向付けシステムの例示的な実施形態の側面図を示す。
【
図2c】
図2cは、風方向付けシステムの例示的な実施形態の側面図を示す。
【
図2d】
図2dは、風方向付けシステムの例示的な実施形態の側面図を示す。
【
図2e】
図2eは、風方向付けシステムの例示的な実施形態の側面図を示す。
【
図2f】
図2fは、風方向付けシステムの例示的な実施形態の側面図を示す。
【
図2g】
図2gは、風方向付けシステムの例示的な実施形態の側面図を示す。
【
図3】
図3は、風方向付けシステムの実施形態に組み入れられ得る風力タービンの例示的な実施形態の斜視図を示す。
【
図4】
図4は、風方向付けシステムの例示的な実施形態に組み入れられ得る風力タービンパワートレインの例示的な実施形態の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本説明では、特定の語が簡潔性、明確性、および理解のために使用されている。そうした語は記述的な目的のみで使用されており、広く解釈されることが意図されているので、従来技術の要件を超えて、そこから適用される不必要な限定はないものとする。本明細書に記載された異なるシステムおよび方法は、単独で、または、他のシステムおよび方法との組み合わせで使用され得る。種々の同等策、代替策、および修正策が当該説明の範囲内で可能である。各限定は、「means for」または「step for」との語がそれぞれの限定において明示されている場合にのみ、米国特許法第112条第6段落に基づく解釈を呼び起こすことが意図されている。
【0011】
本風方向付けシステム100は、現代の翼空気力学理論を使用して、建物の上面に最も近い空気流を操作し、建物の縁において自然に、より速い風を容易に捕捉して発電に使用できるようにする。良好に調節された下部翼110の使用により、風が建物の上面の縁を越えて進む際に、風が引き下げられる。この技術は、より速い速度の風を建物の上面近くで捕捉することを可能にし、従来のタービンが可能にしたものよりも大幅に大きいエネルギを取得することを可能にする。
【0012】
図1aおよび1bは、システム100が空気流をどのように変化させるかを示す図である。建物の表面に取り付けられた場合、下部翼110の設計は、2つの重要な機能のうちの少なくとも1つを実現するための特徴を組み入れる。第1に、建物の縁を越えて延在している下部翼110の前部は、風が縁を越えるときに風を引き下げる。建物の縁は、建物前面と建物上面との間に形成される。第2に、下部翼110の後部におけるわずかな下向き曲線が、建物に向けて空気流を引き下げ、さらに、下部翼110の後ろの後流(wake)の量を低減させ、風力タービン130に向けて引っ張られ得る空気の量を増加させる。風力タービン130は、下部翼110の上方に配置され、いくつかの実施形態では、下部翼110の後ろに配置されている。組み合わせられた下部翼110および風力タービン130は、
図2aに示される。
【0013】
最も速い風速が依然として下部翼110の前部に向かって集中しているので、下部翼110の後ろの風力タービン130が、より速い流れを最大限に利用することは困難である可能性がある。さらなる実施形態は、流れを方向付けし直し、再循環させ、および/または集中させる追加の複数の構成要素と、(風を建物に向けて引き下げる)下部翼110とを組み合わせ、風力タービン130が、より速い風速を容易に捕捉し得るように、風をさらに加速し、および方向付けることを可能にする。これらの追加の複数の構成要素は、追加の下部翼110、少なくとも1つの分離された下部翼140、少なくとも1つの上部翼120、少なくとも1つの分離された上部翼145、および/または少なくとも1つの再循環翼150を含み得る。
【0014】
特定の実施形態では、
図2d~
図2gにみられるように、下部翼110は、空気流の制御および方向付けを向上させるために、複数の下部翼110を含み得る。特定の実施形態では、各下部翼110は、前面112、中間面113、および後面114を有し得る。他の実施形態では、前面112、中間面113、および/または後面114は、少なくとも2つの異なる下部翼110間で分割され、および/または複製され得る。特定の実施形態では、下部翼110はさらに、下部翼110と、少なくとも1つの分離された下部翼140とに分割され得る。(複数の)追加した下部翼110、および/または、(複数の)分離された下部翼140は、下部翼110から横方向、および/または縦方向にずらされている場合がある。分離された下部翼140は、下部翼110の有効表面を長くし、空気流の制御および方向付けの向上も可能にする。
【0015】
特定の実施形態では、
図2a~
図2gにみられ得るように、少なくとも1つの上部翼120が使用され得る。上部翼120は、下部翼110によって引き寄せられた空気流を、最終的に分離して大気へ逃げるよりもむしろ、より良く捕捉され得る流路(channel)内に留まらせる。特定の実施形態では、上部翼120は、単に、下部翼110の上で平板の形態をとり得る。
【0016】
しかし、この上部翼120の他の実施形態は、上部翼120が空気流をさらに集中させ、流路内の風速を増加させるという、追加の利点をもたらす。上部翼120の傾斜した前面121は、上部翼120の中央面122と下部翼110の中間面113との間に形成された流路内に空気を送り込み、空気流速度を増加させる、集中装置として機能する。上部翼120の後面123は、中央面122を基準として上向きの角度で延在し得る。これは、上部翼120を、より速い速度の風をシステム100を介してさらに引き寄せる、ディフューザとして機能させることができる。下部翼110と組み合わせられた、建物の縁で集中装置およびディフューザを使用する組み合わせは、既存の解決策と比較して、出力電力を大幅に増加させる。
【0017】
上部翼120および下部翼110は、中実または中空の内部の上に、中実の曲面または平面の表面を有する。上部翼120および下部翼110は、鋳造、3D印刷、またはストックシート材料の操作により、形成され得る。
【0018】
上部翼120は空気流をさらに形作る場合があり、空気流を拡散させる役割を果たす場合もある一方、下部翼110は、風を建物の前面および上面に沿って進ませる。下部翼110は、前縁111が建物の前面に接触し、前面112が中間面113に対して略90度の角度をなすように、建物の前面と面一である、下部翼110の下面116を有し得る。他の実施形態では、下部翼110は、下部翼110の前縁111と建物の前面との間に、閉鎖された隙間(closed gap)を組み入れ得る。閉鎖された隙間は、下部翼の下面116を建物の前面から最大略45度まで傾けることにより作られる。風は、閉鎖された隙間を通過し得ないが、下部翼110の前面112は風に対して傾斜している。下部翼110の中間面113は、後縁115において終端している後面114に向かって後方に延在している。後面114は、後流を低減させ、空気流に建物の上面のより近くを進ませるために、建物の上面に向けて中央面113から下方に湾曲または傾斜し得る。
【0019】
特定の実施形態では、下部翼110は、下部翼110の中間面113に対して垂直に延在している少なくとも1つの垂直ガイド面117にも接続され得る。少なくとも1つの上部翼120も使用する実施形態は、上部翼120および下部翼110間で延在している少なくとも1つの垂直ガイド面117を有し得る。垂直ガイド面117は、上部翼120および/または下部翼110と一体化されているか、上部翼120および/または下部翼110に付加されているか、または、別個の構造の一部であり得る。垂直ガイド面117は、空気流のさらなる集中および方向付け、ならびに、システムの構造補強をもたらし得る。
【0020】
特定の実施形態では、
図2dおよび
図2fにみられるように、上部翼120は、空気流の制御および方向付けを向上させるために、複数の上部翼120を含み得る。特定の実施形態では、各上部翼120は、前面121、中央面122、および後面123を有し得る。他の実施形態では、前面121、中央面122、および/または後面123は、少なくとも2つの異なる上部翼120間で分割および/または複製され得る。特定の実施形態では、上部翼120は、上部翼120、および少なくとも1つの分離された上部翼145に分割される場合もある。(複数の)追加の上部翼120および/または(複数の)分離された上部翼145は、上部翼120から縦方向および/または横方向にずらされている場合がある。分離された上部翼145は、上部翼120の有効表面を長くし、空気流の制御および方向付けの向上も可能にする。
【0021】
図2gにみられるように、上部翼120の後ろに、上部翼120と並んで少なくとも1つの再循環翼150を含めることにより、より速い空気流がシステム100を介して戻されることが可能になる。再循環翼150は、より平坦な再循環下面151と、より丸くなった再循環上面152とを特徴とする。他の実施形態では、そうした再循環翼150は、下部翼110の後ろに、下部翼110と並んで配置され得る。
【0022】
建物の縁上に下部翼110を配置することの別の利点は、建物の構造により良好に一体化された風力タービン130の空間効率の良い設計を可能にすることである。
図3に示された垂直軸(VA)風力タービン130が使用され得る。このような風力タービンは、当該技術分野において知られている。
図2aに示された例示的な実施形態では、VA風力タービン130の回転軸は、建物の上面に対して平行であり、空気流の方向に対して垂直であるように90度だけ回転される。
【0023】
その結果、回転された垂直軸(RVA)またはクロスフロー風力タービン130は、下部翼110の前面112、中間面113、または後面114の上方で建物の縁に沿って長い円筒状に延びていて、水平軸周りを回転する。風力タービン130の長さは通常、風力タービン130の径の最大2倍の長さを有することになるが、径の2倍を超える、長さの増加も想定される。複数の風力タービン130は、共通のギアボックスおよび発電機を利用して、同じ軸上で互いに結合され得る。
【0024】
風力タービンの向きを変えることは、通常の3枚羽根の水平軸風力タービンと比較して、クロスフロー風力タービンを使用することにより、風力タービン130の出力電力を増加させるための、空間効率の良い方法である。構造上の制約により、クロスフロータービン130と同様の高さを有するこのような水平軸風力タービンは、非限定な例として、半分より少ない電力を生成するユニットにサイズ制限される。このより高い電力レベルにおいて、機械部品およびパワーエレクトロニクスの規模の節約により、システム全体のコストが下がる。さらに、建物の縁においてクロスフロー風力タービン130を動作させる場合の構造上の利点がある。クロスフロー風力タービン130は、両側を軸受により支持され得る。クロスフロー風力タービン130は、垂直構成における一方側でのみ支持され得る複数のVA風力タービンの一般的に知られている構造上の問題を低減させ得る。
【0025】
他の実施形態では、風力タービン130は、VA風力タービン130の回転軸が建物の上面に対して垂直である標準的なVA風力タービン構成において使用される。この構成は、システム100が、従来から設置されているVA風力タービン130を組み入れ、および/または収容することを可能にする。
【0026】
他の実施形態では、風力タービン130は当該技術分野において一般的に知られている水平軸風力タービン130であり、上記風力タービン130の回転軸は、建物の上面に対して平行に、および空気流の方向に対して平行に延在している。この構成は、システム100が、より多くの従来の風力タービン130を組み入れ、および/または収容することを可能にする。
【0027】
風力タービン130のパワートレイン131は多くの場合、全体コストの最大50%になり得る。
図4に示された構造は、他の用途を有する複数のCOTSコンポーネントをほとんど完全に使用することができる。これにより、規模の増大により、コストを削減することを可能にした。これは、ギアボックス、(発電機として逆に動作する)産業用モータ、(アクティブ整流器として逆に動作し、再利用される)可変周波数ドライブ(VFD)、およびインバータを含む。複数のVFDは、単一のインバータに接続され得る。上記インバータは太陽光発電用途で設計されたインバータであり得る。
【0028】
この構造に特有なことは、アクティブ整流器として動作するようにVFDを再利用することである。通常、複数のVFDが、壁からAC電源を受け取り、それをモータの制御に使用される信号に変換するように作られる。これを実現するために、それらは、ACをDCに変換するパッシブ整流器と、モータへのAC出力を制御するためのアクティブインバータとからなる。風方向付けシステムは、これを逆に動作させる。すなわち、アクティブインバータはアクティブ整流器になり、それにより、発電機のAC出力を取得し、インバータへ供給され得る高信頼度のDC電圧にそれを制御することが可能になる。これは、DCバス結合され、単一のインバータに供給される。示されたインバータは25kWインバータであるが、他のインバータワット数も想定される。これらのインバータは、ソーラーパネルでの使用が既に知られており、単一のインバータを使用すると、大規模システムの1kWあたりのコストが低下するという利点がある。
【0029】
制御のコストをさらに削減するために、制御アルゴリズムは、高価なパワーエレクトロニクスを必要とすることなく、ユーザが風力タービン130の速度を最適な動作点に正確に制御することを可能にする。
【0030】
上記説明では、特定の語が、簡潔性、明確性、および理解のために使用されている。そうした語は、記述的な目的で使用されており、広く解釈されることが意図されているので、従来技術の要件を超えて、そこから推論される不必要な限定はないものとする。本明細書に記載された異なる構成、システム、および方法工程は単独で、または、他の構成、システム、および方法工程との組み合わせで使用され得る。種々の同等策、代替策、および修正策が、添付された特許請求の範囲の範囲内で可能であることが期待されるものである。
【国際調査報告】