(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-18
(54)【発明の名称】アテローム性動脈硬化性心血管疾患を治療するための医薬化合物
(51)【国際特許分類】
C07K 19/00 20060101AFI20230710BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20230710BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20230710BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20230710BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230710BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20230710BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20230710BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20230710BHJP
C07K 14/705 20060101ALI20230710BHJP
C07K 16/00 20060101ALI20230710BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20230710BHJP
【FI】
C07K19/00 ZNA
A61K38/16
A61P3/06
A61P13/12
A61P3/10
A61P9/12
A61P31/18
A61P9/10 101
C07K14/705
C07K16/00
C12N15/62 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022576177
(86)(22)【出願日】2021-06-09
(85)【翻訳文提出日】2023-02-03
(86)【国際出願番号】 EP2021065407
(87)【国際公開番号】W WO2021250069
(87)【国際公開日】2021-12-16
(32)【優先日】2020-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517191312
【氏名又は名称】フェリング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク・シュルテ
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク・ヴェツィヒ
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・ラウデス
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・シュライバー
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084NA14
4C084ZA45
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
(57)【要約】
本発明は、ヒト患者のASCVD、好ましくはヒト患者の高リスクASCVD、より好ましくはヒト患者の超高リスクASCVDの治療で使用するための、2つのgp130-Fc融合ペプチドを含むポリペプチド二量体を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各単量体が配列番号1に対して少なくとも90%の配列同一性を有する2つのgp130-Fc単量体を含むポリペプチド二量体であって、アテローム性動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)を有するヒト患者の治療で使用するためのポリペプチド二量体。
【請求項2】
ASCVDを有するヒト患者の治療用薬剤製造で使用するための、請求項1に記載のポリペプチド二量体。
【請求項3】
前記ASCVDが、超高リスクASCVDである、請求項1又は2に記載の使用のためのポリペプチド二量体。
【請求項4】
前記単量体が、配列番号1の585~595位のアミノ酸を含むgp130 D6ドメイン、配列番号1の609~612位のアミノ酸を含むFcドメインヒンジ領域、を含み、前記単量体が、前記gp130部分と前記Fc部分との間にリンカーを含まない、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用のためのポリペプチド二量体。
【請求項5】
前記ヒト患者が、スタチン、エゼチミブ、及びプロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9阻害剤)の阻害剤のうちの1つ以上による治療に対して非奏効者であるか、又はそういった治療に不耐性であることを特徴とする、ASCVDを有するヒト患者の治療で使用するための、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリペプチド二量体。
【請求項6】
前記ヒト患者が、スタチン及びエゼチミブの組み合わせに対して反応しないか、又はそれに不耐性であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の治療で使用するためのポリペプチド二量体。
【請求項7】
前記ヒト患者が、スタチン及びPCSK9阻害剤の組み合わせに対して反応しないか、又はそれに不耐性であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の治療で使用するためのポリペプチド二量体。
【請求項8】
前記ヒト患者が、エゼチミブ及びPCSK9阻害剤の組み合わせに対して反応しないか、又はそれに不耐性であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の治療で使用するためのポリペプチド二量体。
【請求項9】
前記ヒト患者が、スタチン、エゼチミブ、及びPCSK9阻害剤の組み合わせに対して反応しないか、又はそれに不耐性であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の治療で使用するためのポリペプチド二量体。
【請求項10】
前記ヒト患者が、非奏効についてのバイオマーカーの検出に基づいて、スタチン、エゼチミブ、及びPCSK9阻害剤のうちの1つ以上に対して非奏効者として分類されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の治療で使用するためのポリペプチド二量体。
【請求項11】
スタチン、エゼチミブ、及びPCSK9阻害剤のうちの1つ以上による治療に対する非奏効についての前記バイオマーカーが、現在のガイドライン、それぞれの薬剤の推奨投与量、及び/又はそれぞれの薬剤で治療中のLDLコレステロールレベルの変化を調査する臨床試験の転帰における治療標的に基づいた客観的な期待値と比較して、LDLコレステロールの血中レベル及び/又はLDLコレステロールの血漿レベル及び/又はLDLコレステロールの血清レベルの不十分な低下であることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の治療で使用するためのポリペプチド二量体。
【請求項12】
前記ヒト患者が、脂質アフェレーシス療法に対して反応しないか、又はそれに不耐性であることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の治療で使用するためのポリペプチド二量体。
【請求項13】
前記使用が、アテローム性プラークのサイズ、内膜中膜複合体厚さ、及び動脈壁の炎症のうちの1つ以上を軽減することを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の治療で使用するためのポリペプチド二量体。
【請求項14】
前記ASCVDが、低密度リポタンパク質によるASCVD、トリグリセリドによるASCVD、リポタンパク質aによるASCVD、慢性炎症性疾患によるASCVD、又は炎症性ASCVDであることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の治療で使用するためのポリペプチド二量体。
【請求項15】
前記ヒト患者が、家族性高コレステロール血症、慢性腎疾患、真性糖尿病、180/110mmHg超の血圧、及びヒト免疫不全ウイルス感染症のうちの1つ以上を有することを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の治療で使用するためのポリペプチド二量体。
【請求項16】
前記使用が、60mg~1g、好ましくは150~600mgの前記ポリペプチド二量体の投与量を含むことを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の治療で使用するためのポリペプチド二量体。
【請求項17】
前記使用が、1~4週間に1回、好ましくは1~2週間に1回の投与であることを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の治療で使用するためのポリペプチド二量体。
【請求項18】
ヒト患者のアテローム性動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)を治療するための方法であって、前記方法が、それを必要とする患者に、各単量体が配列番号1に対して少なくとも90%の配列同一性を有する2つのgp130-Fc単量体を含む、治療有効量のポリペプチド二量体を投与することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2019 ESC/EASガイドラインの特に表4:Mach et al.,Eur.Heart J.41:111(2020)で定義されるとおり、ヒト患者のアテローム性動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の治療で使用するための構成要素として2つのgp130-Fc融合ペプチドを含むポリペプチド二量体に関する。ASCVDは、低密度リポタンパク質(LDL)によるASCVD、トリグリセリドによるASCVD、リポタンパク質aによるASCVD、慢性炎症性疾患によるASCVD、又は炎症性ASCVDを含み、家族性高コレステロール血症、慢性腎疾患、真性糖尿病、180/110mmHg超の血圧、又はヒト免疫不全ウイルス感染症のうちの1つ以上を伴う場合がある。
【0002】
一般的に、ヒト患者は、スタチン;エゼチミブ;好ましくは、アリロクマブ若しくはエボロクマブなどの抗体、若しくはインクリシランなどの短い干渉RNAであるプロタンパク質転換酵素サブチリシン・ケキシン9型(PCSK9)の阻害剤;又は脂質アフェレーシス療法のうちの1つ以上による治療に対しての非奏効者であるか、又は治療に不耐性である可能性がある。
【背景技術】
【0003】
炎症は、アテローム性動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の強力な推進要因である(Ross 1999,N.Engl.J.Med.340:115)。超高リスクASCVD(2019 ESC/EASガイドラインの特に表4:Mach et al.2020,Eur.Heart J.41:111で定義されているとおり)を有し、最先端の医学的治療にもかかわらず高い炎症負荷を受ける患者には、効果的な治療法に対する満たされていない大きなニーズがある。このような治療は、全身性免疫抑制を回避しながら、不適切な炎症を予防又は軽減しなければならず(Ridker 2017,Circ.Res.120:617)、これは感染のリスクを高め、心血管事象を減少させないためである(Ridker et al.2019,N.Engl.J.Med.380:752)。抗サイトカイン療法は、ライフスタイルの変更及び血漿脂質レベルの最適化にもかかわらず進行性のASCVDを治療するための有望な選択肢である(Schuett & Schieffer 2012,Curr.Atheroscler.Rep.14:187;Ait-Oufella et al.2019,Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.39:1510)。
【0004】
最近のCANTOS試験では、確立されたヒト炎症性ASCVDにおける抗インターロイキン-1β(IL-1β)抗体カナキヌマブが調査され、致命的な感染症の発生率が高いという犠牲を払って心血管事象の再発率を下げることにより、大きな利益への挑戦を実証した(Ridker et al.2017,N.Engl.J.Med.377:1119)。IL-1βの下流である、インターロイキン-6(IL-6)シグナル伝達が、アテローム発生に関与している(Scheller & Rose-John 2012,Lancet 380:338)。IL-6は、感染及び組織損傷に応答して造血細胞及び非造血細胞によって産生される多様な(pleiotropic)サイトカインである。ASCVDを有する患者は循環IL-6レベルの上昇を示し、これは臨床活動と相関している(Ridker et al.2016,Circ.Res.118:145)。IL-6の血漿レベルが高いことは、将来の心血管事象のリスクが高くなることに関係する(Kaptoge et al.2014,Eur.Heart J.35:578)。
【0005】
IL-6は、どちらも膜貫通共受容体gp130の事前に形成された二量体によるシグナル伝達を必要とする(Scheller et al.2014,Semin.Immunol.26:2)2つの主要なシグナル伝達経路を介して複数の機能を発揮する。典型的なシグナル伝達では、IL-6は、主に肝細胞及び白血球によって発現される膜結合型IL-6受容体(IL-6R)を使用する。トランスシグナル伝達経路では、タンパク質分解性切断又は選択的スプライシングによって生成される循環可溶性IL-6R(sIL-6R)がIL-6を動員して IL-6/sIL-6R複合体を形成し、これはほぼ全ての体細胞で遍在的に発現するgp130を活性化することができる(Garbers et al.2018,Nat.Rev.Drug Discov.17:395)。このような遍在するトランスシグナル伝達は、血液中のバッファーとして作用する過剰な可溶性gp130アイソフォーム(sgp130)によって生理学的に妨げられる(Jostock et al.2001,Eur.J.Biochem.268:160)。典型的なIL-6シグナル伝達は多くの生理学的及び抗感染機能を有するが、過剰なトランスシグナル伝達が多くの慢性炎症病態で見られる。したがって、全身性免疫抑制の悪影響なしに慢性炎症を治療するために、IL-6又はその受容体をブロックする代わりに、特定のトランスシグナル伝達阻害が提案されている(Rose-John et al.2017,Nat.Rev.Rheumatol.13:399;Garbers et al.2018,Nat.Rev.Drug Discov.17:395)。上記で概略を述べたとおり、カナキヌマブによるIL-1βの阻害は、ヒトにおける心血管事象の再発率を有意に低下させ、IL-6レベルを低下させた。しかしながら、カナキヌマブによる全身性免疫抑制による副作用は、ASCVDの治療に好ましくない危険性/受益性比率をもたらした(Ridker et al.2017,N.Engl.J.Med.377:1119;Palmer et al.2019,Front.Cardiovasc.Med.6:90)。_ENREF_23これらの結果は、抗IL-6R抗体であるトシリズマブで観察される日和見感染症及び重症感染症の増加率と一致している(Rose-John et al.2017,Nat.Rev.Rheumatol.13:399)。完全なIL-6阻害の別の潜在的な制限は、トリグリセリド及びLDLコレステロールの潜在的な増加である(Garbers et al.2018,Nat.Rev.Drug Discov.17:395)。
【0006】
欧州特許第1148065B1号明細書、及びJostock et al.2001(Eur.J.Biochem.268:160)には、ヒト免疫グロブリンG1の結晶性フラグメントに融合した2つのsgp130ドメインからなる融合タンパク質について記載されている。_ENREF_7国際公開第2008/000516A2号パンフレットには、国際非専売名であるオラムキセプトを受け取り、現在、Ferring Pharmaceuticals(Saint-Prex,CH)及びI-Mab Biopharma(Shanghai,CN)によって臨床開発中である、sgp130Fcの最適化されたバリアントについて記載されている。
【0007】
Schuett et al.2012(Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.32:281)は、冠動脈疾患を有する患者は、内因性sgp130の血漿レベルが低いことを示しており、LDL受容体を欠くように遺伝子操作され、アテローム性動脈硬化症を最大化するために高脂肪、高コレステロール食を与えられている標準的なマウスのアテローム性動脈硬化症モデルで、sgp130Fcによるアテローム性動脈硬化症が減少することについて記載している。しかしながら、このような人工マウス遺伝子モデルの知見を人間の疾患に置き換えることは、多くの危険因子及び行動のバリエーションに影響されるため、疾患モデルの正しい選択にもかかわらず(Oppi et al.2019,Front.Cardiovasc.Med.6:46)、うまくいかないことが多い(Seok et al.2013,PNAS 110:3507;Tsukamoto 2016,Drug Discov.Today 21:529)。例えば、アテローム性動脈硬化症の最も広く使用されている2つの遺伝子マウスモデル(Ldlr-/-及びApoe-/-)では、IL-6の欠失はアテローム保護になり得(Madan et al.2008,Atherosclerosis 197:504)、IL-6Rの阻害は、アテローム性動脈硬化病変を軽減し得る(Akita et al.2017,Front.Cardiovasc.Med.4:84)。しかしながら、IL-6の除去は、まさにこれらのモデルでアテローム性動脈硬化症を軽減する代わりに、強化する可能性もあり(Ramji & Davies 2015,Cytokine Growth Factor Rev.26:673)、IL-6シグナル伝達の複雑な生理学的及び病態生理学的機能並びに複雑な慢性疾患のマウスモデルに固有の不確実性を強調している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ASCVDを有する患者は、最大限の医学的治療にもかかわらず、疾患の増悪及び心血管事象を頻繁に経験する。問題は、有意な全身性免疫抑制なしに、アテローム性プラークにおける局所的なLDLコレステロールによる自己永続的な代謝性炎症を低減する標的化抗炎症療法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本問題に対する解決策は、特許請求の範囲の特徴及び特に、ヒト患者のASCVD、好ましくはヒト患者の高リスクASCVD、より好ましくはヒト患者の超高リスクASCVDの治療で使用するための、オラムキセプトで例示された2つのgp130-Fc融合ペプチドを含むポリペプチド二量体によって提供される。
【0010】
オラムキセプトは、ASCVDを有すると診断されたヒト患者に投与することができ、今では治療によって引き起こされる任意の明らかな副作用がないことが判明している。驚くべきことに、確立されたアテローム性動脈硬化症におけるオラムキセプトによるIL-6トランスシグナル伝達の特異的な治療的阻害は、超高リスクASCVDを有するヒト患者のアテローム性動脈硬化の負担及び局所炎症活性を、予想外に大規模で、最大の医学的治療にもかかわらず、高い有効性で軽減することが判明した。最適化された治療法及びライフスタイルにもかかわらず、オラムキセプトがこれらの患者の確立されたアテローム性プラーク及び動脈壁炎症の臨床的に有意な退縮をもたらすことができるという知見は驚くべきことである。なぜなら、アテローム性動脈硬化症のマウスモデルにおけるオラムキセプトの前述の効果(Schuett et al.2012,Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.32:281)は、アテローム性動脈硬化症を大量に誘発し、オラムキセプトを唯一の薬剤として投与された、高脂肪、高コレステロール食を与えられた、マウスがLDL受容体の人為的欠失によって遺伝的に重度のアテローム性動脈硬化症になりやすい環境で得られたためであるしかしながら、LDL受容体の人為的欠失がないヒト患者において、オラムキセプトは、最適化された治療設定における追加療法として臨床的に意味のある効果を示し、PCSK9阻害剤又はスタチンなどのASCVDに対する最良の利用可能な薬剤によって明らかに適切に標的にされていないASCVDの主要なパラメータに驚くほど有益な影響を与えることができた。好ましくは、主要なパラメータは、2019 ESC/EASガイドライン(Mach et al.2020,Eur.Heart J.41:111)で定義されたものである。
【0011】
本発明のポリペプチド二量体は、各単量体が配列番号1に対して少なくとも90%の配列同一性を有する2つのgp130-Fc単量体を含み、好ましくは、単量体は、配列番号1の585~595位のアミノ酸を含むgp130 D6ドメイン、配列番号1の609~612位のアミノ酸を含むFcドメインヒンジ領域、を含み、より好ましくは、単量体は、gp130部分とFc部分との間にリンカーを含まないが、gp130部分はFc部分に直接連結されており、これはオラムキセプトの例に当てはまる。更に、本発明は、ASCVD、高リスクASCVD、又は超高リスクASCVDを有すると診断されたヒト患者の治療方法にて使用するための、ポリペプチド二量体、特にオラムキセプトを提供する。
【0012】
好ましくは、ヒト患者は、スタチン、エゼチミブ、プロタンパク質転換酵素サブチリシン・ケキシン9型(PCSK9)の阻害剤、又は脂質アフェレーシス療法のうちの1つ以上による治療に対する非奏効者であるか、又はそういった治療に不耐性である。任意選択的に、ヒト患者は、例えば、LDLコレステロールによるASCVD、トリグリセリドによるASCVD、リポタンパク質aによるASCVD、慢性炎症性疾患によるASCVD、炎症性ASCVD、家族性高コレステロール血症、慢性腎疾患、真性糖尿病、180/110mmHg超の血圧、又はヒト免疫不全ウイルス感染症に苦しむ可能性がある。
【0013】
本発明は、ヒト患者のASCVD、好ましくはヒト患者の高リスクASCVD、より好ましくはヒト患者の超高リスクASCVDの治療で使用するための、オラムキセプトによって例示されるポリペプチド二量体を提供する。本明細書では、ポリペプチド二量体は、各単量体が配列番号1に対して少なくとも90%の配列同一性を有する2つのgp130-Fc単量体を含むか又はそれらからなり、好ましくは、単量体は、配列番号1の585~595位のアミノ酸を含むgp130 D6ドメイン、配列番号1の609~612位のアミノ酸を含むFcドメインヒンジ領域、を含み、より好ましくは、単量体は、gp130部分とFc部分との間にリンカーを含まない。
【0014】
本明細書で記載されるポリペプチド二量体は、IL-6/sIL-6R複合体を選択的に標的化して中和することにより過剰なIL-6トランスシグナル伝達を阻害し、したがって、典型的なシグナル伝達及びその多くの生理学的機能、並びにその急性炎症防御メカニズムをそのまま残しながら、望ましい治療濃度でのみIL-6トランスシグナル伝達を阻害すると考えられる。現在では、ポリペプチド二量体は、例えば、抗IL-6R抗体トシリズマブ又は抗IL-6抗体シルクマブによるグローバルIL-6遮断と同様の有効性を有することが見出されているが、特に一般的な免疫抑制なしで、副作用が有意に少ない。
【0015】
本明細書に記載されるポリペプチド二量体は、好ましくは、配列番号1に対応する配列を有するgp130-Fc単量体を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載されるポリペプチド二量体は、配列番号1に対して少なくとも90%、95%、97%、98%、99%、又は99.5%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。好ましくは、本明細書に記載されるポリペプチド二量体は、gp130配列に対応する、配列番号1の1~595位のアミノ酸に対して少なくとも90%、95%、97%、98%、99%、又は99.5%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。好ましくは、Fcドメインは、IgG1又はIgG4 Fcドメインである。好ましくは、ポリペプチドは、gp130 D6ドメイン(特に、アミノ酸残基TFTTPKFAQGE:配列番号1の585~595位のアミノ酸)、Fcドメインヒンジ領域のアミノ酸残基AEGA(配列番号1の609~612位のアミノ酸)を含み、gp130部分とFc部分との間にリンカーを含まない。好ましい実施形態では、本開示は、配列番号1に対して少なくとも90%の配列同一性のアミノ酸配列を有する2つの単量体を含むポリペプチド二量体であって、アミノ酸配列が、gp130 D6ドメイン、Fcドメインヒンジ領域のAEGAを含み、gp130部分とFc部分の間にリンカーが存在しないポリペプチド二量体を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載の複数のポリペプチド(例えば、本明細書に記載の複数のポリペプチド単量体及び/又はポリペプチド二量体)を含む組成物を提供する。
【0016】
本発明のポリペプチド二量体は、静脈内注入又は皮下注射などの非経口投与で使用するためのものである。好適な製剤としては、界面活性剤、特にポリソルベート界面活性剤(例えば、ポリソルベート20)などの非イオン性界面活性剤を含むものが挙げられる。製剤はまた、緩衝剤及び糖を含み得る。例示的な緩衝剤はヒスチジンである。例示的な糖はスクロースである。したがって、好適な製剤は、ポリソルベート20(例えば、0.01~1mg/mL、0.02~0.5mg/mL、0.05~0.2mg/mL)、ヒスチジン(例えば、0.5mM~250mM、1~100mM、5~50mM、10~20mM)、及びスクロース(例えば、10~1000mM、20~500mM、100~300mM、150~250mM)を含み得る。
【0017】
本発明のポリペプチド二量体は、典型的には、60mg~1g、好ましくは150mg~600mgの用量で投与される。投与頻度は、典型的には、1~4週間に1回、好ましくは1~2週間に1回である。
【0018】
本発明の実施例は、オラムキセプトが重大な副作用なしにASCVD患者に投与できることを示している。驚くべきことに、確立された超高リスクASCVDにおけるオラムキセプトによるIL-6トランスシグナル伝達の特異的な治療的阻害(推奨される現在のガイドラインである、2019 ESC/EASガイドライン、表4:Mach et al.2020,Eur.Heart J.41:111で定義されているとおり)は、最大の(許容される)医学的治療及び予想外に大規模な治療にもかかわらず、アテローム性動脈硬化の負担及び局所炎症活性を軽減した。特に、オラムキセプトは、アテローム性プラークの細胞浸潤によって測定されるように、内膜中膜の厚さ(IMT)、アテローム性プラーク、及び動脈壁の炎症を軽減することができる。
【0019】
したがって、本発明は、ASCVD、好ましくは高リスクASCVD、より好ましくは超高リスクASCVDを有するヒト患者の治療で使用するのに好適であり、ヒト患者は、好ましくは、スタチン、エゼチミブ、PCSK9阻害剤(好ましくは、アリロクマブ若しくはエボロクマブなどの抗体、又はインクリシランなどの短い干渉RNA)、又は脂質アフェレーシス療法のうちの1つ以上による治療に対する非奏効者であるか、又はそういった治療に不耐性である。
【0020】
本明細書で使用する場合、「非奏効者」は、現在のガイドラインに従って適切な用量で、単独又は他の治療法と組み合わせて、適切な治療法に対する期待される奏効が、部分的又は完全に欠如していることを示すヒト患者である。例えば、スタチン、エゼチミブ、及び/又はPCSK9阻害剤に対する非奏効についてのバイオマーカーは、血液及び/又は血漿及び/又は血清中のLDLコレステロールレベルの不十分な減少又は減少の欠如である。ASCVDのための現在のLDLコレステロール治療目標は、例えば2019 ESC/EASガイドライン(Mach et al.2020,Eur.Heart J.41:111)により定義されている。LDLコレステロールを同じ最大用量の80mgにておよそ30%~55%の範囲で低下させるスタチンの様々な有効性で観察されるように、LDLコレステロール減少薬の効力は、薬剤クラス間で異なるだけでなく、同じ薬剤クラス内でも異なる可能性がある(Illingworth 2000,Med.Clin.North Am.84:23)。シンバスタチン療法にエゼチミブを追加する場合、LDLコレステロールを更に最大およそ25%低下させることが期待できる(Cannon et al.2015,N.Engl.J.Med.372:2387)。抗PCSK9抗体は、スタチン療法に加えてLDLコレステロールをおよそ60%低下させる効果が期待できる(Sabatine et al.2017,N.Engl.J.Med.376:1713;Schwartz et al.2018,N.Engl.J.Med.379:2097)。したがって、特定の患者(群)における非奏効の定義は、投薬の種類及び用量、並びに該当する場合は、併用投薬に依存するが、主治医などの当業者が、客観的なガイドライン及び公開されている文献に基づいて判断することができる。
【0021】
したがって、本発明によるヒト患者は、本発明による治療で使用するためのポリペプチド二量体を受けとる前に、スタチン、エゼチミブ、及び/又はPCSK9阻害剤を受けとった患者であり得る。好ましくは、例えば、現在のガイドライン、それぞれの薬剤の推奨投与量、及び/又はそれぞれの薬剤で治療中のLDLコレステロールレベルの変化を調査する臨床試験の転帰を使用する場合、スタチン、エゼチミブ、及び/又はPCSK9阻害剤による治療に対して非奏効者であるヒト患者は、現在のガイドライン、それぞれの薬剤の推奨投与量、及び/又はそれぞれの薬剤で治療中のLDLコレステロールレベルの変化を調査する臨床試験の転帰に従って予想され得る範囲まで、LDLコレステロールの血中レベル及び/又はLDLコレステロールの血漿レベル及び/又はLDLコレステロールの血清レベルの低下を示さない。
【0022】
本明細書で使用する場合、「不耐性」とは、薬剤の部分的又は完全な不耐性を指し、用量の減少又は治療の中止を必要とする。副作用は、同じクラスの異なる薬剤の間で異なる場合がある。例えば、最も一般的なスタチンの副作用としては、筋肉痛、圧痛又は衰弱(スタチン関連の筋肉症状);頭痛;めまい;胃腸の問題;疲労/無力;睡眠の問題;かゆみ;肝酵素レベルの上昇;又は血小板数の低下が挙げられる。エゼチミブでも同様の副作用が観察される。PCSK9に対する抗体(例えば、エボロクマブ)による治療中に頻繁に観察される副作用は、インフルエンザ様症状、嘔吐、上気道感染症、並びに背中や関節の痛みである。上記の薬剤療法のいくつかの組み合わせは、副作用及び不十分な耐性の組み合わせ並びに患者のコンプライアンスにもつながる可能性もあり、ASCVDの最大耐性治療が最適ではなくなる可能性がある。
【0023】
本発明によるオラムキセプトの投与は、異なる、主として抗炎症作用機序及び非常に有利な副作用プロファイルを示しており、これは、実施例で実証されている超高リスクASCVDに対するオラムキセプトの驚くほど強力な治療効果を考慮すると特に有利である。
【0024】
オラムキセプトなどのgp130-Fc融合ペプチドで治療されるべき、ASCVDを有するヒト患者は、例えば、LDLコレステロールによるASCVD、トリグリセリドによるASCVD、リポタンパク質aによるASCVD、慢性炎症性疾患によるASCVD、炎症性ASCVD、家族性高コレステロール血症、慢性腎疾患、真性糖尿病、180/110mmHg超の血圧、又はヒト免疫不全ウイルス感染症に苦しむ可能性がある。
【実施例】
【0025】
実施例1:超高リスクASCVDと診断されたヒト患者の治療におけるオラムキセプトの投与
2つのgp130-Fc融合ペプチドを含むポリペプチド二量体の代表として、オラムキセプト(それぞれ、600mgを静脈内[i.v.]で隔週で6週間及び隔週で10週間)が、最適な治療にもかかわらず超高リスクASCVDに苦しんでいた2人の患者に投与された。オラムキセプトの投与は、これらの患者のIMT、プラークサイズ、及び動脈壁の炎症を予想外の程度まで減少させることが判明した。
【0026】
薬剤投与:
オラムキセプト(Ferring Pharmaceuticals A/S;Copenhagen, Denmarkにより製造された)は、患者1には隔週で6週間(合計4回の注入)、患者2には隔週で10週間(合計6回の注入)で、600mgの臨床試験用量で1時間以内に静脈内投与された。オラムキセプトの半減期は、4.7日である。患者は、注入反応について3時間(最初の2回の注入)又は1時間(その後の注入)監視された。
【0027】
研究前の評価及び患者の表現型:
患者の特徴は、表1に詳述されている。患者1は、42歳の白人男性(ボディマス指数[BMI]:37kg/m2、血圧:140/95mmHg)であり、超高リスクASCVD(抗核抗体[ANA]及び抗好中球細胞質抗体[ANCA]が陰性)を有していた。患者は再発性脳卒中の病歴があり、エボロクマブ、アトルバスタチン、アスピリン、メトプロロール、アムロジピン、ヒドロクロロチアジド、ドキサソジン、及びビタミンDからなる最大限の医学的治療を受けていた。患者2は64歳の白人女性(BMI:37kg/m2、血圧135/90mmHg)であり、超高リスクASCVD(ANA/ANCA-陰性)も有していた。彼女は冠動脈疾患の病歴があり、以前に右頸動脈内膜切除術を受けていた。患者の投薬は、エボロクマブ、アスピリン、メトプロロール、アムロジピン、ヒドロクロロチアジド、カンデサルタン、パントプラゾール、及びビタミンDからなった。最大許容度の治療にもかかわらず、どちらの患者も、ASCVDの進行期に関連する将来の血管事象のリスクが非常に高かった。
【0028】
アテローム性動脈硬化症の画像診断:
臨床評価及び非侵襲的画像診断には、超音波及び18フルオロデオキシグルコース陽電子放射断層撮影法/コンピュータ断層撮影法(18FDG PET/CT)が使用された。患者1において、ASCVDのスクリーニングには、頸動脈及び腹部大動脈の超音波検査が含まれていた。両側の頸動脈は、Bモード、パルスドップラーモード、及びカラーモードで7.5MHz周波数プローブを使用して、頸動脈分岐部の近位、分岐部、及び内頸動脈と外頸動脈でスキャンされた。動脈壁のIMTは、総頸動脈球根から1cm近位のプラークのない部分で評価された。腹部大動脈を5MHzの周波数でスキャンして、アテローム性プラークを検出した。超音波で測定されたIMTは、心血管の転帰を予測することができる(Polak et al.2011,N.Engl.J.Med.365:213)。患者2において、炎症性ASCVDのスクリーニングは、18FDG PET/CT検査からなっていた。18FDG PET/CTは、非侵襲的なアテローム性動脈硬化性炎症の可視化、定量化、及び特徴付けにおいて大きな可能性を示しており、新しい抗アテローム性動脈硬化治療薬の臨床試験に好適な代用エンドポイントとして台頭している(Tarkin et al.2014,Nat.Rev.Cardiol.11:443)。標的対バックグラウンド比(TBR)は、van Wijk et al.2014,J.Am.Coll.Cardiol.64:1418)によって以前に説明されたように計算された。
【0029】
安全性及び代謝パラメータ:
ASCVDを有する2人の患者において、600mgのオラムキセプトを隔週で6週間(患者1)及び10週間(患者2)にわたって投与しても安全であった。治療中又は治療後に、臨床的又は実験的副作用は観察されなかった(表1)。sIL-6Rレベルは変化しなかったが、IL-6/sIL-6R複合体に対するオラムキセプトの追加のsgp130緩衝能力を反映して、血清IL-6濃度はわずかに増加した(表1)。オラムキセプトの投与は、患者1の正常な高感度C反応性タンパク質(hsCRP)の血清レベルを変化させなかったが、患者2では注入後3日で64~70%、注入後7日で50%、上昇したhsCRPを一時的に減少させた(表2)。IL-6トランスシグナル伝達の選択的阻害で予想されるように、総コレステロール、高密度リポタンパク質(HDL)コレステロール、LDLコレステロール、トリグリセリド、及びリポタンパク質(a)[(Lp(a)]の血清レベルは明確な傾向を示さなかったか、又はオラムキセプト治療中の変化があった(表2)。これは、典型的及びトランスシグナル伝達の両方を阻害する抗IL-6又は抗IL-6Rで観察される一般的なアナボリックな副作用(血清トリグリセリド及びコレステロール値、並び体重の増加)とは対照的である(Garbers et al.2018,Nat.Rev.Drug Discov.17:395)。
【0030】
オラムキセプト治療の有効性:
LDLコレステロール及びLp(a)によるアテローム性動脈硬化症を有する患者1において(表2)、頸動脈のIMTがわずかに増加し、腹部大動脈にアテローム性プラークが検出された(
図1)。オラムキセプトを隔週で4回注入すると、IMTが右頸動脈で0.93mmから0.86mmに、左頸動脈で0.98mmから0.89mmに減少した(ベースラインに対して3か月)(
図1A、B)。加えて、腹部大動脈のアテローム性プラークは、オラムキセプト治療で完全に消失した(
図1C、D)。
【0031】
患者2は、LDLコレステロール、Lp(a)、及びhsCRPによるアテローム性動脈硬化症を呈した。したがって、オラムキセプトの投与前後の頸動脈の動脈壁炎症の
18FDG PET/CT画像(隔週で6回の注入、表2)を比較した。プラークマクロファージの密度は、PETで測定された
18FDGの取り込みと相関することが示されており(Tarkin et al.2014,Nat.Rev.Cardiol.11:443)、得られたシグナルは、平均及び最大の標的対バックグラウンド比(TBR
mean及びTBR
max)として表される。ベースラインで
18FDG PET/CTによって検出された動脈壁の炎症は、オラムキセプトの6回の注入によって3か月後に大幅に減少した(
図2)。
【0032】
まとめると、確立されたASCVDにおけるIL-6トランスシグナル伝達の特定の治療的阻害は、最大の医学的治療及び予想外に大規模な治療にもかかわらず、超高リスクASCVDを有する2人のヒト患者のアテローム性動脈硬化の負担及び局所炎症活性の両方を軽減した。
【0033】
患者1はCRP血清レベルの上昇を示さなかった。それにもかかわらず、抗サイトカイン治療オラムキセプトは驚くべきことにIMT及びアテローム性プラークの負担を軽減した。したがって、炎症活性を示すCRPレベルの上昇は、ASCVDの治療にオラムキセプトを使用する患者を選択するためのバイオマーカーとして必要でない場合がある。
【0034】
トランスシグナル伝達阻害剤としてのオラムキセプトの特異性及び有効性は、脂質レベル、特にLp(a)の変化がないことによって強調された(表2)。オラムキセプトはCRPのような急性期タンパク質の誘導を直接阻害しないため(Hoge et al.2013,J.Immunol.190:703)、現在、患者2のhsCRPの減少は、アテローム性動脈硬化病変における疾患活性の減少を反映していると解釈されている。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】IL-6トランスシグナル伝達の阻害は、末期アテローム性動脈硬化症における内膜中膜複合体厚及びアテローム性プラークのサイズを減少させる。この図は、ベースライン及びオラムキセプト治療開始から12週間後(隔週で600mgの4回の静脈内注入、表1)の患者1の超音波評価の代表的な画像を示している;(A)治療前の内膜中膜複合体厚(IMT):右頸動脈0.93mM、左0.98mm(図示せず);(B)治療後のIMT:右0.86mm、左0.89mm(図示せず);(C)アテローム性プラークを示す治療前の腹部大動脈;(D)オラムキセプト治療下でのアテローム性プラークの解消後の腹部大動脈の同じ部位。
【
図2】IL-6トランスシグナル伝達の阻害は、末期アテローム性動脈硬化症における動脈壁の炎症及びアテローム性プラークのマクロファージ浸潤を減少させる。この図は、患者2の(A)ベースライン及び(B)オラムキセプト治療開始から11週間後(隔週で600mgの6回の静脈内注入;表1)の頸動脈における動脈壁の炎症を示している。代表的なコンピュータ断層撮影(CT)では、
18フルオロデオキシグルコース陽電子放射断層撮影法(
18FDG PET)、及び融合画像(
18FDG PET/CT)では、対象とする領域が太い円(動脈)及び細い円(静脈)で強調表示されている。平均及び最大標的対バックグラウンド比(TBR
mean及びTBR
max)を以下に示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【配列表】
【国際調査報告】