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特表2023-530430荷物の輸送のためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-18
(54)【発明の名称】荷物の輸送のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B64F 1/32 20060101AFI20230710BHJP
   B65G 61/00 20060101ALI20230710BHJP
   G06Q 10/083 20230101ALI20230710BHJP
【FI】
B64F1/32
B65G61/00 500
G06Q10/083
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022576413
(86)(22)【出願日】2021-06-09
(85)【翻訳文提出日】2023-02-02
(86)【国際出願番号】 EP2021065452
(87)【国際公開番号】W WO2021250090
(87)【国際公開日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】20179529.1
(32)【優先日】2020-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522480207
【氏名又は名称】ビービーエイチエス・アクシェセルスケープ
【氏名又は名称原語表記】BBHS A/S
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】パルダヴィチウス,ドヴィダス
(72)【発明者】
【氏名】バルグム,ヨナス リダースホルム
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
(57)【要約】
空港などにおいて、荷物を輸送するシステム及び方法であって、荷物は中央荷物保管施設において保管され、複数の荷物のピースは、そこから特定され、アウトレットに向かうよう指示されたカートに積み込まれ、特定された荷物はアウトレットにおける排出され、よって荷物がカートに積み込まれると、アウトレットが開放される。カートは自律式であってもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物の輸送のためのシステムであって、前記システムは、
中央荷物保管施設と、
中央荷物保管施設からの荷物のピースを受け入れるように構成された複数の荷物アウトレットと、
アウトレットから荷物を受け取り、荷物を飛行機に届けるように構成された複数の荷物カートであって、各荷物カートが、いずれかのアウトレットにも移動し、アウトレットから荷物を受け取るように構成された複数の荷物カートと、
コントローラであって、
中央施設におけるアウトレットと複数の荷物のピースとを特定し、
特定された荷物を特定されたアウトレットに供給するように中央施設を制御し、
複数のカートのうちの1つが特定されたアウトレットに移動して特定された荷物を受け取る旨の情報を出力し、
受け取った特定された荷物を複数のカートのうちの1つに供給するように出力を制御するように構成されたコントローラと、
を備える、システム。
【請求項2】
各荷物カートは、荷物を受け取ることができるときに信号を出力するように構成され、
前記コントローラは、複数のカートの1つから前記信号を受信して、特定及び制御するステップを実行するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
カートは、自律式である、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラは、特定された荷物を受け取ったカートに対して、移動すべき荷下ろし位置に関する情報を出力するように、さらに構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記コントローラは、中央保管施設の荷物のピースを荷物のグループに分割し、1つの荷物のグループに属する荷物のピースを特定するように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
プロセッサは、複数のカートのうち1つのカートが特定されたアウトレットに到着する前に、特定及び制御するステップを実行するように構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
複数のカートのうち1つのカートが特定されたアウトレットに到着する前の180秒以内に特定された荷物が特定されたアウトレットに到着するように、プロセッサは、特定及び制御するステップを実行するように構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
1つまたは複数の飛行機をさらに備え、
前記コントローラは、飛行機が荷物を受け取ることができるときを決定するように構成され、
プロセッサは、その後、特定及び制御するステップを実行するように構成される、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
飛行機への荷物の輸送方法であって、方法は、
複数の荷物アウトレットを有する中央荷物保管施設に複数の荷物のピースを保管することと、
それぞれがアウトレットから荷物を受け取り、荷物を飛行機に届けるように構成された複数の荷物カートを設けることであって、それぞれの荷物カートが、
任意のアウトレットに移動し、
アウトレットから荷物を受け取るように構成された複数の荷物カートを設けることと、
中央施設におけるアウトレットと、複数の荷物のピースとを特定することと、
-特定された荷物を特定されたアウトレットに供給するように中央施設を制御することと、
-複数のカートの1つが特定されたアウトレットに移動し、特定された荷物を受け取る旨の情報を出力することと、
を含む、方法。
【請求項10】
荷物カートが荷物を受け取ることができるときに信号を出力するステップをさらに含み、
特定及び制御するステップは、信号の出力の後に実行される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
特定された荷物を受け取ったカートに向かって、既定の位置に移動する旨の情報を出力するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
出力するステップは、カートに向かって、既定の位置に自律的に移動するように指示することを有する、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
中央保管施設における荷物を荷物のグループに分割するステップをさらに含み、
特定するステップは、単一の荷物のグループの荷物を特定することを有する、請求項9から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
特定及び制御するステップは、複数のカートのうち1つのカートが特定されたアウトレットに到着する前に実行される、請求項9から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
特定及び制御するステップは、複数のカートのうち1つのカートが特定されたアウトレットに到着する前の180秒以内に、特定された荷物が特定されたアウトレットに到着するように実行される、請求項9から14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物の輸送のためのシステムおよび方法に関し、特に、空港で荷物を運搬する方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
空港では、航空機を飛ばすために、また地上のスペースを無駄にしないために、高い効率性が求められる。本発明は、荷物保管施設のスペースを無駄にすることなく、また必要以上に荷物運搬用カートを必要とすることなく、荷物を航空機に運搬することを保証するソリューションに関するものである。
【発明の概要】
【0003】
第1態様において、本発明は、荷物の輸送のためのシステム、例えば、飛行機への荷物の輸送のためのシステムに関するものであり、このシステムは、
-中央荷物保管施設と、
-中央荷物保管施設からの荷物のピースを受け入れるように構成された複数の荷物アウトレットと、
-アウトレットから荷物を受け取り、荷物を飛行機に届けるように構成された複数の荷物カートであって、各荷物カートが、いずれかのアウトレットにも移動し、アウトレットから荷物を受け取るように構成された複数の荷物カートと、
-コントローラであって、
-中央施設におけるアウトレットと複数の荷物のピースとを特定し、
-特定された荷物を特定されたアウトレットに供給するように中央施設を制御し、
-複数のカートのうちの1つが特定されたアウトレットに移動して特定された荷物を受け取る旨の情報を出力し、
-受け取った特定された荷物を複数のカートのうちの1つに供給するように出力を制御するように構成されたコントローラと、
を備える。
【0004】
本内容では、システムは、一緒に動作するように構成された複数の要素として提供されてもよい。好ましくは、本システムは、空港や駅などの荷物取扱いシステムの一部を構成する。
【0005】
荷物のピースは、スーツケースなどの荷物のほか、商品などを箱に詰めたものでもよい。その他の荷物の種類は、スーツケースではなく、専用のバッグに詰めることが多いスポーツ用品や他の商品である。多くの場合、荷物のピースとは、人が飛行機や電車などで移動する際に、その人と一緒に運ぶ要素である。多くの場合、人は1、2または3ピースの荷物を有する。好ましい実施の形態では、荷物のピースは、客室内で人と一緒に運ばれず、飛行機等の船体や貨物室内で運ばれる予定の荷物である。
【0006】
中央荷物保管施設は、既知のどのようなタイプであってもよい。例えば、荷物を保持して、システム内で移動して、ラックやパーテルノステルシステムなどに収納されるエンドレスベルト、トレイを使用するこのような設備は数多く存在する。中央荷物保管施設は、100個以上のスーツケース、500個以上のスーツケース等、任意の数の荷物を収納するように構成されていてもよい。
【0007】
中央施設は、システムの他の部分、例えば、チェックインカウンタなどの荷物受取手段、セキュリティスキャン装置などのスキャン装置などから荷物を受け取るように構成されてもよい。
【0008】
荷物アウトレットは、中央施設から荷物のピースを受け取り、荷物カートに届けるように構成されている。アウトレットはそれ自体が荷物の置き場となることもあるが、数分単位など短時間の保管を目的とすることが多い。このように、アウトレットは、限られた量の荷物を収納するように構成されてもよい。また、荷物アウトレットは、複数の荷物カートのうち、最も多くの荷物を収容可能な荷物カートなどが受け取り得る荷物の量より多くの荷物を収容しないように構成されてもよい。
【0009】
荷物アウトレットは、エンドレスベルトのようなレガシータイプであってもよく、そこから荷物を人の手でカートに供給できる。あるいは、アウトレットとカートとは、カートがアウトレットから自動的に移された荷物を受け取るように構成された表面を有する場合など、荷物を自動的に移すように構成されてもよい。そうすることで、過酷な肉体労働を避けることができる。
【0010】
アウトレットがカートに荷物を受け取り、保管し、移すために任意の方法を用いてもよいことは明らかである。
【0011】
複数のアウトレットが設けられ、それぞれ中央施設から荷物を受け取ることができる。中央施設がアウトレットに直接荷物を移すように構成されてもよく、この輸送を取り扱うための追加手段が設けられてもよい。荷物の輸送として、荷物を載せたエンドレスベルトやトレイの輸送など多くの種類が知られており、荷物の通る経路を制御するために、トレイを傾けることやプッシャーなどの複数の方法が知られている。
【0012】
任意の数のアウトレットが使用されてもよい。アウトレットの数は、飛行機の数や大きさに関係するカートが運ぶべき荷物の量と、アウトレットが受け取ったがまだ回収(pick up)されていない荷物によってブロックされている時間とに基づいて決定されてもよい。好ましくは、荷物はジャストインタイム方式で転送され、受け取られ、よって、アウトレットがすぐに別のカートの新しい量の荷物を受け取る準備ができるように、カートが回収のためにアウトレットにいるとき、荷物はアウトレットに到着したばかりである。
【0013】
このように、好ましくは、特定され、アウトレットに供給される荷物の量は、特定されたカートが受け取ることができる荷物の量を超えないため、カートへ届けた後、出力は空になって、別のカートの新しい量の荷物を受け取る準備ができることも見受けられる。
【0014】
明らかに、アウトレットは1つのカートが受け取ることができる荷物よりも多くの荷物を収容できてもよい。アウトレットは、あるカートの荷物の量を収容し、他のカートの次の荷物の量を受け取ることができてもよく、よって、第1カートに第1荷物の量を届けた時点で、次のカートの荷物を用意できている。そのため、アウトレットで荷物を受け取っても、システムの稼働が遅れることはない。
【0015】
このように、任意の飛行機の複数の荷物のピースを受け取るために、任意のアウトレットが特定されてもよいことに留意されたい。当然、アウトレットと飛行機との間の輸送時間を短縮するために、飛行機に近いアウトレットを特定してもよい。あるいは、空いている/準備できているアウトレット、または最も早くそうなりそうなアウトレットを特定してもよい。さらに別の方法として、後述するように、荷物を受け取ることができ、かつ、所定の時点で、またはカートがアウトレットに到達できると同時にカートが存在するアウトレットを選択してもよい。
【0016】
複数の荷物カートが設けられている。提供される荷物カートの数は、アウトレットから受け取るべき荷物の量と、カートが再び荷物を受け取れるようになるまでの時間とに基づいて決定してもよい。空港では、システムからカートが受け取った荷物は、通常、飛行機に届けられる。そのため、飛行機までの移動及び荷物の積み降ろしに、一定期間の時間がかかってしまう。また、カートが空である場合、着陸したばかりの飛行機から荷物を回収して、空港の荷物取り扱いシステムに届けるために、同じ飛行機または別の飛行機に向かってもよい。そして、空になると、カートは再び荷物を受け取れる状態になり、特定されたアウトレットに向かってもよい。
【0017】
カートは、飛行機に荷物を届けることができる。アウトレットで荷物を受け取ったカートは、飛行機まで移動して荷物を降ろすように構成されてもよい。このように、カートは、カートから飛行機まで、またはカートから飛行機まで及び/または飛行機内に荷物を輸送するように構成された輸送装置まで、荷物を手動で輸送する場合など、荷物を手動で飛行機に届けるレガシー型であってもよい。
【0018】
あるいは、カートは、カートから荷物を受け取ることができる積載システムに自動的に荷物を移し、受け取った荷物を、人の介在なしに、または少なくとも人が荷物を持ち上げたり運んだりすることなく、飛行機に供給するように構成されてもよい。個々の荷物のピース及び荷物の入ったコンテナを取り扱うことができる自動ローダ、アンローダが存在する。
【0019】
カートは、トラクターユニットと、それぞれが複数の荷物のピースを収容できる1つまたは複数のトレーラとを有するレガシーカートであってもよい。トラクターユニットは、人によって操作可能であって、自動車やゴルフカートなどに見られるタイプのインターフェイスを備えている。
【0020】
あるいは、後述するカートは、少なくともカートの近傍に存在するために人間が不要となるように自走し、さらには自律的に動くものであってもよい。
【0021】
カートは、アウトレットに移動し、そこから荷物を受け取ることができる。したがって、カートは、ドライブユニット、多くの場合、モータまたはエンジンと、カートが任意の所望の必要な場所に移動できる回転可能な車輪などのナビゲーション要素とを備える場合などのように、移動できる。
【0022】
カートは、荷物を受け取って届けることができる。したがって、カートは、荷物を収容できる1つまたは複数の表面を有していてもよい。カートは、所望により、このような荷物を自動的に受け取り及び/または届ける手段を構成してもよい。
【0023】
コントローラは、コンピュータやサーバなどの単一のユニットであってもよく、コントローラの機能を複数のユニットに分散させてもよい。コントローラの機能は、必要に応じて、遠隔施設及び/またはクラウドソリューションで実行されてもよい。
【0024】
コントローラは、カートを特定するように構成されている。コントローラは、好ましくは、このカートが特定されたアウトレットに移動するよう直ちに要求され得るように、空または準備のできたカートを特定することができる。
【0025】
特定された複数の荷物のピースは、アウトレットに移動するカートに受け取られてもよい荷物の量であってもよい。異なるカートは、異なる量の荷物を収容するまたは受け取るように構成されてもよく、よって、コントローラは、特定されたカートに、荷物の量の識別に基づかせてもよい。加えてまたは代わって、特定されたカートは、完全に空でなくてもよく、よって、特定された荷物の量は、カートが既に運んでいる荷物の量に加えて受け取ることができる荷物の量となる。
【0026】
したがって、カートが受け取ることができる荷物の量は、あらかじめ決定されてもよく、または、カートは、それをコントローラに伝えることができるようにしてもよい。
【0027】
特定されたアウトレットは、空のアウトレット、準備が整っているアウトレット、または、カートがアウトレットに到着した時点で、そうであるアウトレットであってもよい。明らかに、アウトレットがすでに荷物を抱えている場合、カートと特定された荷物がアウトレットに到着するまでの時間内に、荷物を他のカートに届けてもよい。したがって、特定された荷物が中央施設からアウトレットに移動するために必要な時間の期間とともに、カートがアウトレットに移動するために必要な時間の期間も考慮されてもよい。そして、アウトレットを特定する際に、カートの位置も考慮されてもよい。
【0028】
荷物の量は、特定の複数の荷物のピースとして決定されてもよく、または予め決定された複数の荷物のピースを中央施設に要求してもよい。あるいは、予め決定された荷物の量が要求されてもよい。中央施設は、好ましくは、どの荷物のピースを収容しているか、及び、例えば、その目的地、便名、優先度などに関する情報を有している。したがって、後述するように、特定の種類の荷物が要求されてもよい。
【0029】
基本的に、あるカートのために要求された荷物は、同じ飛行機宛であることが多い。
【0030】
コントローラは、カートが特定されたアウトレットに移動して特定された荷物を受け取る旨の情報を出力するように構成されている。この情報を、オペレータが特定されたアウトレットにカートを運転するように、カートの人間オペレータに対して出力してもよい。あるいは、カートが自走式、または自律式の場合など、情報をカート自体に与えてもよい。
【0031】
情報は、単にアウトレットの番号やその位置などであってもよい。その情報はさらに、特定された荷物が到着したがあまり待たされないように、カートがアウトレットにいるべき時点を指定してもよい。
【0032】
自律式や自走式のカートは、単に目的地が必要なだけであってもよく、あとは自分で目的地までの道を探してもよい。カートが逸脱しない経路、ルートまたは道路が定められてもよい。空港では、カートと飛行機とを厳密に分離することが強く求められている。
【0033】
さらに、代わってまたは加えて、自律的、人為的またはその他の方法で、情報は、カートの現在位置からアウトレットに向かう経路に関する情報を有してもよい。この経路は、混雑する場所などを避けるために、走行可能な時間に基づいて決定されてもよい。ルートプランニングは知られており、通常、多数のカート、多数のアウトレット、多数の飛行機、及び厳しいタイミングスケジュールを利用するため、現在のシステムにおいて非常に興味深いものである。
【0034】
ある実施の形態において、各荷物カートは、荷物を受け取ることができるときに信号を出力するように構成され、コントローラは、複数のカートの1つから信号を受信して、特定及び制御するステップを実行するように構成される。このように、カートは、荷物の受け取りが可能になるときに、自動的にコントローラに通知する。この情報を、カートの人間オペレータ、または、例えば飛行機で、カートの荷下ろしをする人などが入力する必要はない。
【0035】
当然ながら、カートが空である、またはカートが荷物を受け取れる状態であることを特定する方法は複数存在する。一つの方法として、運ばれる荷物の重量が特定されてもよい。また、荷物の体積が特定されてもよい。また、荷物の有無が特定されてもよい。他のシステムにおいて、荷物の受け渡し量が記録されてもよい。
【0036】
コントローラとカートとの通信は、好ましくは、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、LoRa(登録商標)、GSM、電波を介した、または光学的な方式などの無線通信である。
【0037】
好ましくは、カートは自律的である。このように、カートに移動先を与え、カートは自ら移動先に到達してもよい。さらにコントローラは、カートに経路を与え、カートがその経路をたどるようにしてもよい。ルートを特定することで、カートが目的地に希望する時間に到着することを保証できる。完全自律型カートは、ルートを間違えると時間がかかりすぎるおそれがある。また、カートのルートを制御することで、重要な経路や交差点での混雑を避けることができる。
【0038】
カートが飛行機専用に確保された経路上で移動しないように、予め決定された経路または道路にしか移動できないようにすることがよくある。これは、さらに、カートの混雑を発生しやすくするが、ルート計画によって回避できる。
【0039】
カートは、カートの位置を決定するために、GPSユニットなどの位置決定要素を有してもよい。また、カートは、カートが他のカート、人、飛行機などに衝突することを防止するための近接センサなどの他のナビゲーションセンサまたは安全センサを有してもよい。このようなセンサやナビゲーションは、先行技術で知られている。
【0040】
また、カートが所望のルートまたは道路から外れないように、センサがカートを支援してもよい。
【0041】
カートは、目的地や経路を与えられると、そこに行く方法を自ら見つけるという意味で、自律的であってもよい。あるいは、カートは自走式であってもよく、カートの操作及びナビゲーションを制御するようにセンサの出力を受け取るコントローラ等によってより密接に制御されてもよい。
【0042】
当然ながら、カートのルートを人、車両などが塞ぎ、またはカートが故障して交通量の多い道路を塞ぐなどの不測の事態が発生した場合、コントローラはカートに対して変更したルート等の変更した情報を出力してもよい。
【0043】
ある実施の形態では、コントローラは、特定された荷物を受け取ったカートに対して、移動すべき荷下ろし位置に関する情報を出力するようにさらに構成される。前述のように、この情報は、カートを運転する人間オペレータに与えられてもよく、または情報はカートに与えられてもよく、よって、カートが荷下ろし位置である新たな目的地に移動できるようにしてもよい。アウトレットから離れるように荷物が輸送されると、上記の考慮事項が適用されることは明らかである。
【0044】
ある状況では、コントローラは、中央保管施設の荷物のピースを荷物のグループ(fractions)に分割し、1つの荷物のグループに属する荷物のピースを特定するように構成される。
【0045】
荷物は、異なる最終目的地または優先度を有してもよい。したがって、飛行機から降ろされるとき、取扱いの緊急性の高い荷物のピース、低い荷物のピースがあってもよい。荷物の種類によっては、緊急に処理する必要があるため、先に飛行機から降ろしたいという要望がある。そうすると、このような荷物が貨物ハッチに最も近くなるようにして、よって飛行機から最初に降ろせるように、このような荷物を最後に飛行機に積み込むことが望まれる場合がある。
【0046】
緊急性または優先度の高い荷物とは、最終的な目的地が現在の空港ではなく、他の飛行機に移す予定の荷物である。乗客の移動時間は短いことが多く、次の飛行機に間に合うように、できるだけ早く荷物を降ろすことが望まれる。
【0047】
その他の緊急性の高い荷物は、優先搭乗者の荷物である。優先搭乗者は、他の搭乗者よりも先に荷物を受け取ることが多いため、この荷物もできるだけ早く飛行機から降ろしたいという要望がある。
【0048】
そこで、飛行機用の荷物をグループに分割して、あるグループを優先荷物、他のグループを非優先荷物とすることが望まれる場合がある。また、緊急度の濃淡など、より多くのグループを定義されてもよい。
【0049】
そこで、この飛行機には、まず優先度の低い荷物から積み込み、その後、優先度が順に高くなる荷物を積み込むことが望まれる場合がある。
【0050】
そうすると、コントローラは、積み込まれた荷物、及び/又は同じフライトの荷物であってもまだ中央施設にある荷物などまだ積み込まれていない荷物を追跡し、所望のグループの荷物を特定してもよい。中央施設から優先度の低い荷物がすべて引き上げられたら、次に優先度がより高い荷物が引き上げられてもよい。
【0051】
明らかに、より優先度の高い荷物が最初に特定されてもよいが、あるアウトレットとカートに転送され、そのアウトレットとカートにおいて、荷物が飛行機に到達するまでの全体時間が非常に長く、よって優先度の低い荷物をより飛行機に近いアウトレット及び/またはより速いカートに転送されることによって、優先度の低い荷物が優先度の高い荷物を追い越すことができる。
【0052】
上述のように、本システムはジャストインタイムのコンセプトに対応している。このように、ある実施の形態では、プロセッサは、空のカートが特定されたアウトレットに到着する前に、特定及び制御するステップを実行するように構成される。このように、カートが常に、またはほとんど常に動いているという意味で、カートが希少資源であってもよい。カートは、アウトレットで荷物を待つ必要がなく、アウトレットに到着次第、すぐカートに荷物を積み込むことができる。
【0053】
当然ながら、カートの動きが未来に予め決定されるように、複雑なタイミング計画が定義されてもよい。カートの移動時間と中央施設からアウトレットへの荷物の移動時間とが知られている場合、第1カートがあるアウトレットから荷物を積んでいる間に、既に同じアウトレットに向かっている荷物を、同じアウトレットに向かっている第2カートが受け取るように、カートと荷物を制御してもよい。ここで、第2カートは、第1カートが荷物を積んで出発する前に到着しないので、第2カートの荷物はアウトレットを妨げないか、少なくともあまり長い時間妨げないようにする。
【0054】
例えば、空のカートが特定されたアウトレットに到着する前の180秒以内に特定された荷物が特定されたアウトレットに到着するように、プロセッサが特定及び制御するステップを実行するように構成されることが望まれてもよい。カート向けの特定された荷物の最後の荷物のピースをアウトレットが受け取り、遅滞なくカートに積み込むところまでは、さらに厳しいタイミングでの要求が望まれてもよい。
【0055】
好ましくは、システムは、1つまたは複数の飛行機をさらに備え、コントローラは、飛行機が荷物を受け取ることができるときを決定するように構成され、プロセッサは、その後、その飛行機のための荷物を特定するために特定及び制御するステップを実行するように構成される。したがって、システムが、アウトレットから荷物を取り出して飛行機に届けてもよいという情報を入手するまで、その飛行機のための荷物は特定されない。これは、まだ行き場のない荷物が列の先頭で詰まることを防ぐ。
【0056】
当然ながら、好ましくは、飛行機の荷物は、積み込みと同じカートを用いて積み降ろしされる。カートは、アウトレットから飛行機への荷物の運搬のほか、飛行機で荷物を受け取り、この荷物を空港の荷物取扱いシステムに運搬するために使用されてもよい。また、この受け取った荷物のための荷物取扱いシステムは、所望の中央施設を構成してもよい。代わって、受け取った荷物は、飛行機から荷物を受け取り、これを乗客に返すように構成された並列システムに供給されてもよい。
【0057】
カートから配送システムへの荷物の輸送方法は自由である。自動的な配送が望ましい。カートの荷物を受け入れるように構成された任意の数のインレットは、十分な容量を確保するために、設けられてもよい。カートが飛行機からの荷物の引き渡しにおいてインレットで待たされることがないように、カートごとにインレットを特定してもよい。
【0058】
飛行機が空であるか、または荷物を受け取る準備ができているかを判断する1つの方法は、飛行機から既に降ろされた荷物の量から判断する方法である。また、飛行機内の荷物の量が知られている場合は、カートは、各カートが受け取った荷物の量をコントローラに通知し、コントローラが十分なカートに飛行機へ移動して荷物を空にするよう指示できるように構成されてもよい。また、その後、コントローラは、飛行機が空になるタイミングを推定し、同じ飛行機の荷物の発注を開始できるようになる。
【0059】
当然ながら、通信、指示、荷物の受け渡しとともに、カートのナビゲーションは上記の通りであってもよい。したがって、カートは、飛行機に荷物を届ける業務に加え、航空機から荷物を受け取る業務にも使用される。カートの動作、その経路、システムのタイミングはこれを考慮してもよい。
【0060】
明らかに、飛行機への荷物の積み込みも考慮されるべきタイミング要素であってもよい。荷物の積み込みは、単位時間あたりに積み込むことができる荷物の量に上限があることが多い。そのため、飛行機で荷降ろしを待つカートの数を減らすように、必要以上にカートや荷物を指示しないことが望まれてもよい。上記のタイミング制約は、カートが荷物の積み降ろしのために飛行機で所定時間以上待たされることがないように、荷下ろしの際にも使用されてもよい。
【0061】
上述のように、アウトレットは飛行機の近くに配置されてもよく、荷物を飛行機へ輸送するカートの移動時間を短縮できる。また、中央施設からアウトレットへの移動時間が短いことが望まれる場合もあり、その場合は、システムは、特定された荷物を届けるように、迅速に動作してもよい。そして、大規模な空港では、中央施設とアウトレットとをそれぞれ持つ複数のシステムを提供することが望まれる場合がある。そして、複数の中央施設は、さらに遠隔な施設を経由して相互接続されてもよく、遠隔施設から荷物が受け取られる。この遠隔施設は、飛行機のゲート変更時、または飛行機から、他の中央施設が扱う他の飛行機宛の荷物を受け取る場合など、中央施設間の荷物の輸送にも使用されてもよい。この遠隔施設は、その後、例えばチェックイン施設からの荷物を受け取ってもよく、現在の空港宛の荷物は、空港の荷物回収エリアに供給するためにこの遠隔施設に供給されてもよい。
【0062】
小規模な飛行機は、荷物を個々の荷物のピースとして受け取り、それを個別に飛行機に積み込むことが通常であり、大規模な飛行機は、空港で積み込みされたコンテナで荷物を受け取るように構成されることが多い。荷物は、アウトレットが荷物を受け取り、カートに存在する、またはカートに積み込まれたコンテナに荷物を積み込むように、アウトレットで積み込みされてもよい。コンテナの積み込みは、自動、半自動、または手動であってもよい。
【0063】
飛行機からの荷物の回収も、個々の荷物のピース、またはコンテナの単位で行われる。コンテナに入っている場合、その中の荷物の全部または一部が現在の空港宛であれば、荷物はコンテナから取り出される。別の目的地や別のフライト宛のコンテナは、カートなどで直接その別のフライトに輸送されてもよい。
【0064】
本発明の別の態様は、飛行機への荷物の輸送方法に関し、方法は、
-複数の荷物アウトレットを有する中央荷物保管施設に複数の荷物のピースを保管することと、
-それぞれがアウトレットから荷物を受け取り、荷物を飛行機に届けるように構成された複数の荷物カートを設けることであって、それぞれの荷物カートが、
-任意のアウトレットに移動し、
-アウトレットから荷物を受け取るように構成された複数の荷物カートを設けることと、
-中央施設におけるアウトレットと、複数の荷物のピースとを特定することと、
-特定された荷物を特定されたアウトレットに供給するように中央施設を制御することと、
-複数のカートの1つが特定されたアウトレットに移動し、特定された荷物を受け取る旨の情報を出力することと、
を含む。
【0065】
当然ながら、態様、実施の形態、状況などは、任意の所望の方法で交換され、及び組合せられてもよい。したがって、荷物、コントローラ、カートなどに関する上記の考察は、本発明のこの態様に関して同様に適用可能である。
【0066】
中央施設への荷物の収納は、コンベヤなどを介してそこに追加することによって実現されてもよい。中央施設は、エンドレス式のベルトコンベヤ、パーテルノステルシステム、トレイなどに荷物を保管してもよい。好ましくは、特定された荷物のピースは、中央施設が各荷物のピースの位置を把握しているように、または、荷物のピースが検出可能なIDを有し、中央施設が荷物IDを特定するための1つまたは複数のセンサを有する場合など、特定された荷物がセンサを通過すると、その位置が判定されて荷物のピースが中央施設から導出されて特定されたアウトレットに向けて案内されるように、中央施設から自動的に導出可能である。
【0067】
上述のように、カートの動きは、人間オペレータによって制御されてもよく、遠隔制御されてもよく、またはカートが自律的に動いてもよい。したがって、出力された情報は、人間オペレータに出力されてもよく、人間オペレータがカートを制御して特定されたアウトレットに運転してもよい。代わっては、出力するステップは、カートが既定の位置に自律的に移動することを指示することを有してもよい。
【0068】
上述のように、荷物の受け取りは、アウトレットからカートに荷物を移すための手作業であってもよい。好ましくは、人間が荷物を持ち上げることなく、荷物が移されるように、受け取りは自動化されている。ある実施の形態では、荷物の移送を完全自動化し、人の手を介さないようにした。
【0069】
この場合も、カートは特定された荷物のピースをすべて受け取ることができて、追加の荷物がアウトレットのスペースを占有し、またはアウトレットをブロックすることはない。カートに荷物が積まれると、荷物は別のカートに積み込まれるように受け取られてもよい。2つのカートは、異なる飛行機など、異なる目的地のためであってもよい。
【0070】
ある実施の形態では、方法は、荷物カートが荷物を受け取ることができるときに信号を出力するステップをさらに有し、特定及び制御するステップは、信号の出力の後に実行される。そのため、カートが荷物を受け取ることができると報告すると、荷物とアウトレットとが特定され、特定されたアウトレットに移動するようにカートが指示される。
【0071】
好ましくは、方法は、特定された荷物を受け取ったカートに向かって、既定の位置に移動する旨の情報を出力するステップをさらに有する。この場合も、この情報をディスプレイ、無線などで人間オペレータに提供してもよく、オペレータが荷物をどこに移動すればよいかを知ることができる。あるいは、カートがその情報を受け取り、自ら、多かれ少なかれ自律的に、既定の位置まで運転してもよい。多くの場合、既定の位置は、積載用リフト/エレベータまたは積載用ベルトの積載位置など、飛行機の積載位置である。
【0072】
ある状況では、この方法は、中央保管施設における荷物を、通常は同じ目的地または同じ飛行機のために、荷物のグループに分割するステップをさらに有し、特定するステップは、単一の飛行機または目的地のための荷物の単一の荷物のグループの荷物を特定することを有する。上述のように、特定するステップは、優先度の高い荷物を特定する前に、優先度の低い荷物を特定することを有してもよい。
【0073】
特定された荷物がコンテナに積み込まれる場合、到着後に飛行機から優先度の高い荷物をすべて降ろすために降ろすコンテナをできるだけ少なくするために、同じ優先度の荷物を同じコンテナに積み込むことが好ましい場合がある。
【0074】
ある状況では、空のカートが特定されたアウトレットに到着する前に、特定及び制御するステップが実行される。むしろ、カートがアウトレットに到着する前に特定された荷物が到着している方が、カートが荷物の到着を待たなくて済むので好ましい場合がある。
【0075】
ある実施の形態では、空のカートが特定されたアウトレットに到着する前の180秒以内に特定された荷物が特定されたアウトレットに到着するように、特定及び制御するステップが実行される。
【0076】
ある実施の形態において、コントローラが、飛行機が荷物を受け取ることができるときを判断するステップをさらに有する。その後、コントローラが、その飛行機に荷物を送るための特定及び制御するステップを実行する。当然ながら、飛行機自身が、荷物を受け取る準備ができた旨の信号を出力してもよい。あるいは、コントローラは、飛行機から荷物を降ろされたこと、または既定の期間内に飛行機から荷物を降ろされることの知識などから、飛行機が荷物を受け取る準備ができていることを判断してもよい。コントローラは、飛行機から荷物がいつ降ろされるかを予測できるようになると、飛行機の荷降ろしと同時に、最初に荷物が積み込まれたカートが飛行機に到着するように、荷物、アウトレット、及びカートを特定し始めてもよい。
【0077】
本発明のさらなる態様は、荷物を受け取るための1つまたは複数の傾斜したスライドまたは水平棚を有する自律型カートに関するものである。
【0078】
傾斜したスライドまたは棚を有するカートは、US8632293に見られ、その内容は、参照によって本明細書に含まれる。
【0079】
傾斜した棚は、重力の作用だけで荷物が下方に滑りやすくするために使用されてもよい。棚は、摩擦がほとんど生じないように、表面が滑らかな平面材料で作られてもよい。あるいは、棚は、例えば、重力による移動を可能にするローラを有してもよい。
【0080】
各棚の底部には、例えば、飛行機に積み込むため、または飛行機から降ろされた荷物を受け取るための空港荷物取扱いシステムのコンベヤベルト上に、棚の荷物がスライドさせられる荷降ろし棚が設けられている場合など、荷物が意図される前に棚から離れることを防止できる阻止要素が設けられていてもよい。
【0081】
荷物は棚の上端で受け取り、可能な限り下へ自動的にスライドしてもよい。荷物の一部は、ブロック要素によって止められる。後続の荷物は、先に受け取った荷物によって止められる。既定の数の荷物のピースが棚に供給されてもよく、または、棚が許容する全長の範囲内の全長を有する荷物が供給されてもよい。
【0082】
傾斜した棚の代わりとして、重力による移動の代わりに、1つまたは複数のエンドレスベルトまたは駆動ローラを有し、棚に沿って荷物を移動させるように制御できる略水平な棚を使用してもよい。したがって、棚の一端に受け取った荷物を、その他端に移動させてもよい。荷物の第1ピースが端に到達すると、棚から降ろしたいものが出てくるまで、その場に留まることになる。
【0083】
当然ながら、自律的とは上記で定義したとおりで、カートは目的地および任意または追加的に取るべき経路に関する指示を受け取ることができる。カートは、人の手を借りずに目的地まで移動できるようになる。カートは、不測の障害物を検知し、必要に応じてこれを回避するように構成されてもよい。
【0084】
以下では、好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0085】
図1】空港において荷物を取り扱うシステムを示す。
図2図1のシステムにおける使用のためのカートの第1実施の形態を示す。
図3図1のシステムにおける使用のためのカートの第2実施の形態を示す。
図4図1のシステムにおける使用のためのカートの第3実施の形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0086】
図1では、空港で荷物を取り扱うシステム10が図示されている。システムは、複数の荷物のピースを受け入れて保持することができる中央保管施設20を有する。施設20は、回転ベルト、パーテルノステルシステム、荷物をマトリクス状に保持するラック等、任意の技術に基づくものであってよい。
【0087】
施設20は、複数のアウトレット22を有し、複数のアウトレット22から荷物を供給してカート30に積み込み、飛行機40に荷物を輸送してもよい。
【0088】
好ましい実施の形態では、カート30は、目的地を提供されると、人間の支援無しで目的地までナビゲートできるという意味で、自律的なものである。他の実施の形態では、カートは自走式であり、コントローラ90によって遠隔操作される。
【0089】
異なる種類の航空機は、異なる方法で荷物を受け取る。小型機は、荷物が個別の荷物のピースとして供給されることが必要であるが、大型機は、複数の荷物のピースが入ったコンテナを受け取るように構成される。
【0090】
カートは、既定の個数の荷物のピース、または既知の体積の荷物を受け取るように構成される。カートが一連のトレーラを牽引するレガシートラクターのタイプであってもよいことは明らかであるが、特にカートが自律的及び/または遠隔的に制御されている場合、トレーラの正確な位置決めが確保されないため、自動的な積み降ろしが不可能になる場合があり、これは困難である。好ましいカートは、推進及び制御される筐体に対して固定されている1つまたは複数の積載面を有する。これについては、さらに後述する。
【0091】
保管施設20、アウトレット22、及びカート30の動作を制御するコントローラ90が設けられ、カートが荷物を受け取る準備ができたときに、準備ができたアウトレット22に荷物の量またはピースの数を引き渡し、空のカートがそこに行って荷物を受け取れるように、保管施設20を制御する。アウトレット届けられた荷物がカートに受け取られると、アウトレットは、すぐに別のカートと別の荷物とに対応する準備ができている。コントローラは、カートの位置、及び/またはカートがアウトレットに到着するまでの時間を決定してもよい。そして、コントローラは、カートが到着したときにアウトレット22で荷物が準備できるように、保管施設に荷物を配送するように制御してもよい。このように、カートは荷物を待つ必要がないのである。カートが多かれ少なかれ常に動いていると、少ないカートでより多くのアウトレット、荷物、及び飛行機に対応できるようになる。
【0092】
カートが飛行機に必要な荷物より少ない荷物を収容するように構成されている場合、飛行機の荷物を複数のカートで届けてもよい。そして、荷物を、優先搭乗者の荷物、優先搭乗者でない搭乗者の荷物、目的地空港で乗り継ぐ搭乗者の荷物など、グループに分けてもよい。そして、優先度が最も低い荷物を先に飛行機に供給され、緊急性の高い荷物が最も貨物ハッチに近くてもよく、よって目的地で最初に降ろされる。したがって、コントローラは、保管施設に対してアウトレットへの荷物の供給を指示する際に、これを考慮して、緊急度または優先度が同じである荷物を選択してもよく、または緊急度/優先度の低い荷物を最初に選択し、緊急度が高くなっている荷物を順に選択してもよい。
【0093】
システムの柔軟性(agility)は、保管施設からアウトレットに荷物が移動するまでの時間に依存してもよい。この時間が長すぎると、カートが待たされて、または飛行機全体の荷物を注文しなければならなくなり、そこにあるすべての荷物をカートが引き取るまで、1つまたは複数のアウトレットがブロックされる可能性がある。一方で、アウトレットから飛行機までの距離が大きすぎると、カートが運転に多くの時間を使うため、各カートが1時間に輸送できる荷物のピースが少なくなってしまう。したがって、複数の保管施設20を設けることが望まれる場合があり、大きな空港では、複数の保管施設20は、ゲートまたは飛行機の近くなど、戦略的に配置されてもよい。したがって、保管施設からアウトレットへの配送時間が短くなり、アウトレットから飛行機までの距離が短くなる場合がある。
【0094】
そして、チェックインカウンタ28から荷物を受け取り、該当する荷物を個別の保管施設20に転送するための遠隔保管施設50を設けてもよい。通常、荷物のチェックインは、遠隔保管施設から中央保管施設へ荷物を移すために十分な時間があるくらい前に済ませておく必要がある。
【0095】
遠隔保管施設50が設けられていない場合、チェックインカウンタからの荷物は、中央保管施設20に直接供給されてもよい。
【0096】
明らかに、荷物のセキュリティスキャンなど、空港の他のすべての操作は、荷物のパスに沿った任意のパス、例えば遠隔保管施設が設けられていれば、そこで実行されてもよい。
【0097】
コントローラ90は、飛行機40が荷物を受け取る準備ができているという指示を受け、次に、空のまたは利用可能なアウトレットを選択し、空のカートを選択し、空のカートに選択したアウトレットに移動するよう指示し、保管施設20に選択したアウトレットに第1バッチの荷物を転送するように指示してもよい。カートの自動的な積み降ろしが好ましく、例えばWO2016/107844に見られるようなものが挙げられる。
【0098】
そして、空のカートがアウトレットに到着すると、カートに入る荷物が用意されており、遅滞なく該当する飛行機に向かわせることができる。したがって、アウトレット22は、荷物に対して小さなバッファを持つことになる。このバッファは、1つのカートの荷物を収容できる量より大きくする必要はない。アウトレットが複数のカートの荷物を置くスペースを確保してもよく、次のカートの荷物を受け取っている間に、あるカートの荷物をカートに積み込んでもよいことは明らかである。
【0099】
コントローラは、さらに、カートが飛行機で待機しないように、または長時間待機しないように制御してもよい。カートがどのように動き、どの程度のスピードで積み降ろしを行うかを予測してもよく、カートがある飛行機で長く待つようであれば、その飛行機の荷物を積むように指示されず、その荷物は保管施設から要求されないようにしてもよい。そのカートは、他の飛行機への荷物の輸送、または飛行機からの荷物の輸送など、他の業務に使用されてもよい。
【0100】
明らかに、飛行機も降ろすべきであり、カートもそのために使用されてもよい。中央保管施設20には投入口24が設けられ、飛行機から降ろされた荷物は、投入口24を通じて保管施設に供給されてもよい。そのような荷物は、この空港に向けられる場合があり、したがって、空港の手荷物回収エリアへの排出口28に供給される。あるいは、荷物は別の飛行機に積み込むために輸送中であってもよく、それによって、荷物は、後で正しい保管施設、アウトレット、カート、及び飛行機に輸送されるように、保管施設20または遠隔保管施設50に供給されて保管されてもよい。
【0101】
カートは、アウトレット、インレット、飛行機、荷台(loading ramp)42、GPS座標または空港内の他の位置などの目的地を提供され、その後カートが自らそこに向かう方法を見つけることができるという意味で、完全に自律的であってもよい。当然ながら、空港内にはカートが移動すべき、または移動しなければならない通路、経路、道路などが定義されてもよい。最高速度、最低速度、交差点での行動(右側通行)など、交通ルールが定められてもよい。自律型カートは通常、カートの位置及び/またはカートの周辺にある障害物を判断するための1つまたは複数のセンサを備えている。このようなセンサは、GPS、レーダ、ライダ、ソナー、ステレオビジョン、構造化放射を用いたビジョン、ビーコン、マーキング、または地上/地中の信号エミッタなどに基づくものであってもよい。カートは、他のカートにとっても問題となり得る障害物が検出された場合、標準化されていない場合、例えば飛行機またはその荷台の特定の位置がどうなっているかなど、互いにまたは中央プロセッサに通信してもよい。空港内の交差点や混雑している場所での混雑状況が報告または判断されてもよく、よって一部のカートは、混雑している場所を避けるように、別のルートを通ることを決定してもよい。カートは、アウトレット、インレット、飛行機などに対するカートの正しい位置を保証するように構成されたセンサを有してもよく、カートからの/カートへの荷物の自動的な積み降ろしを容易にできる。
【0102】
特に、自律型カートは、カートが空っぽであるなど、荷物を受け入れる準備が整っていることを感知するセンサを有してもよい。このセンサは、カートによって運ばれるあらゆる荷物の重量を感知する重量計、あらゆる荷物の存在を感知する光学センサ、カートのあらゆる回転ベルトの動きを決定し、ベルトが非常に遠くに移動したため存在するあらゆる荷物がベルトから取り外されたことを感知するセンサなど、多くの方法で具体化されてもよい。他のセンサの種類として、重量センサ、近接センサなどがある。このようにして、カートは常に稼動していることが保証され得る。カートが荷物を受け取れる状態になったら、カートを飛行機やアウトレットに向けて、カートがすぐに忙しくなるようにしてもよい。このように、カートは希少資源であっても、その運用を最適化され得る。
【0103】
あるいは、カートはコントローラによって制御され、コントローラは、カートの目的地だけでなく、経路も決定してもよい。また、カートの任意のセンサの出力は、集中的な処理のために、プロセッサに供給されてもよい。これは、障害物の検出、回避、及び/または報告、アウトレット/インレット/飛行機などに対するカートの配置などのいずれかのために行われることであってもよい。したがって、プロセッサは、カートの上記自律性を引き継いでもよい。そして、プロセッサは、カートの積み降ろしを制御してもよく、カートが空になって荷物を受け取れる状態になったことも知ることができる。
【0104】
上述のように、異なるカートのタイプが使用されてもよい。図2において、各スペースが図面の平面に垂直な軸に沿って延びる複数の荷物のピース36を収容してもよいように、それぞれがエンドレスベルトを有する多数の受付スペース32を有するラックを有するカート30が図示されている。図2では、9つの受付スペースが使用されている。
【0105】
ベルトに代わるものとして、自由に回転するローラ、または荷物を重力で移動させる傾斜した棚などがある。このタイプの荷物取扱い構造は、垂直方向にずれた3つの棚を示す図3に見られ、参照によって本明細書に組み込まれるUS2010/0129184で開示されている。
【0106】
荷物の自動的な積み降ろしを容易にするために、個別の荷物のピースを輸送する他の方法が存在することは明らかである。
【0107】
図4では、カート30が、荷物36を収容するコンテナ34を運んでいる様子が図示されている。このコンテナは、アウトレットにおいて、カートに搭載される前に荷物が積み込まれ、またはカートに搭載されながら荷物が積み込まれる。
【0108】
カートのために特定される荷物は、カートまたはコンテナが受け取ることができる荷物の量または荷物のピースの数に基づいて注文または特定されてもよい。荷物の追加を指示する際、カートまたはコンテナが完全に空でなくてもよい。
【0109】
異なるカートは異なる大きさや能力を有してもよく、空のカートのために特定される荷物の量が異なってもよい。カートは、そのような情報を信号に追加してもよく、荷物の特定の際にコントローラがカートの能力を知っていてもよい。
【0110】
荷物の量は、スーツケースの標準サイズまたは最大サイズを想定したときのスーツケースの個数であってもよい。カートまたはコンテナには、既定の数の荷物のピースが入ると推定されてもよい。
【0111】
カートが1本または複数本のベルトを有する場合、荷物のピースの全長が知られてもよく、それに基づいて荷物が特定されてもよく、小さい荷物のピースが選択されると、同じ長さにより多くの荷物のピースが収まる可能性がある。
【0112】
また、カートがコンテナを有する場合、そのコンテナの容積及び寸法が小さいと、より多くの荷物のピースを収容する可能性がある。
【0113】
明らかに、荷物の特定は、特定された荷物が、カートの範囲内で、できるだけ多くの荷物のピースを収容するように、できるだけ大きい重量を収容するように、またはできるだけ大きい荷物の体積を収容するように特定されるという意味で、最適化されてもよい。
【0114】
一般的に、カート30は、例えば1つまたは複数の電池/蓄電池/燃料電池などのカートの推進力を生み出す手段と、カートを駆動するための電気モータなどの1つまたは複数のモータとを有するドライブユニット38を有する。また、ドライブユニット38は、指定位置へのナビゲーション、荷物/コンテナの自動的な積み降ろしなど、カートの自律的または自動的な操作を可能にするためのセンサ、位置決め要素、アクチュエータなどを有してもよい。カートが荷物を受け取れるかどうかを判断するための上記のセンサは、ドライブユニット38の一部を構成しなくてもよい。ドライブユニットは、プロセッサ90と無線で通信するように構成されてもよい。ドライブユニット38は、カートを制御して、アキュムレータ/バッテリをワイヤレスまたはワイヤを介して充電できる位置、または燃料電池または燃料容器を補充できる位置に移動させるなど、カートの補充、充電または電力供給を容易にするように構成されてもよい。
【0115】
中央施設に荷物のピースを供給する際に、荷物のピースの寸法が特定されてもよいことは明らかである。そして、荷物の特定は、目的地、飛行機、及び/または優先度だけでなく、その寸法、体積などにも基づいてもよい。したがって、できるだけ無駄な体積やスペースを使わずに容器34に収まる荷物が特定されてもよい。また、棚での保管または輸送のためには、棚をできるだけ占有するような荷物が特定されてもよい。したがって、荷物の全長が、棚が支える最大長を超えない最大長に近い荷物が特定されてもよい。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】