(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-18
(54)【発明の名称】多歯型マスタリンクを有する機械用の地面係合軌道
(51)【国際特許分類】
B62D 55/205 20060101AFI20230710BHJP
【FI】
B62D55/205 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577702
(86)(22)【出願日】2021-06-03
(85)【翻訳文提出日】2022-12-26
(86)【国際出願番号】 US2021035613
(87)【国際公開番号】W WO2021257285
(87)【国際公開日】2021-12-23
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レッカー、ロジャー リー
(72)【発明者】
【氏名】クラーク、ドノヴァン ステュアート
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイスブルッフ、エリック バーナード
(72)【発明者】
【氏名】シュタイナー、ケヴィン リー
(72)【発明者】
【氏名】ワン、チエンチュン
(57)【要約】
地面係合軌道(26)は、標準リンク(34)および少なくとも一つのマスタリンク(36)から形成される軌道チェーン(28)を含む。マスタリンク(36)は、前方ボルト(44)および後方ボルト(46)によって共に締め付けられる、第一の半リンク(40)および第二の半リンク(42)を含む。第一の半リンク(40)および第二の半リンク(42)の締付面(50、66)はそれぞれ、第一の歯セット(52)および第二の歯セット(68)を形成し、これは、前方ボルト穴(74)と後方ボルト穴(76)との間の分布が限定された、合計二つまたは三つの完全な歯および歯根(82、84)を含み得る。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面係合軌道(26)用のマスタリンク(36)であって、
第一の半リンク(40)であって、その中に形成された第一の横断ボア(49)を有する第一のリンクストラップ(48)と、第一の歯セット(52)を形成する第一の締付面(50)と、前記第一の半リンク(40)の前記第一の歯セット(52)とシュー側(56)との間に延在する上り勾配(54)と、前記第一の半リンク(40)の前記第一の歯セット(52)とレール側(60)との間に延在する下り勾配(58)と、を含む、第一の半リンク(40)と、
第二の半リンク(42)であって、その中に形成された第二の横断ボア(64)を有する第二のリンクストラップ(62)と、第二の歯セット(68)を形成する第二の締付面(66)と、前記第二の半リンク(42)の前記第二の歯セット(68)とシュー側(56)との間に延在する上り勾配(70)と、前記第二の半リンク(42)の前記第二の歯セット(68)とレール側(60)との間に延在する下り勾配(72)と、を含む、第二の半リンク(42)と、を備えて、
前方ボルト穴(74)および後方ボルト穴(76)はそれぞれ、前記第一の半リンク(40)および前記第二の半リンク(42)の各々の中に部分的に形成され、前記第一の締付面(50)および前記第二の締付面(66)の各々と交差し、前記第一の歯セット(52)および前記第二の歯セット(68)を連動させるために、前記第一の半リンク(40)および前記第二の半リンク(42)を共に締め付けるために、それぞれ前方ボルト(44)および後方ボルト(46)を受けるように構成され、
前記第一の歯セット(52)および前記第二の歯セット(68)はそれぞれ、前記各々の上り勾配(54,70)に隣接する前方歯根(82)、および前記各々の下り勾配(58,72)に隣接する後方歯根(84)を含む、複数の歯根と交互である複数の歯を含み、
前記第一の歯セット(52)および前記第二の歯セット(68)は、前記前方ボルト穴(74)と前記後方ボルト穴(76)との間の分布が限定される、地面係合軌道(26)用のマスタリンク(36)。
【請求項2】
前記前方ボルト穴(74)および前記後方ボルト穴(76)は、ボルト穴間の距離を画定し、前記第一の半リンク(40)および前記第二の半リンク(42)は、共にリンクピッチ間の距離を画定し、
前記ボルト穴間の距離の前記リンクピッチ間の距離に対する比率は、0.22:1~0.33:1である、請求項1に記載のマスタリンク(36)。
【請求項3】
前記ボルト穴間の距離は、44ミリメートル~91ミリメートルであり、
前記リンクピッチ間の距離は、203ミリメートル~318ミリメートルである、請求項2に記載のマスタリンク(36)。
【請求項4】
前記第一の横断ボア(49)および前記前方ボルト穴(74)は、第一のボア・ボルト間の距離を画定し、
前記第二の横断ボア(64)および前記後方ボルト穴(76)は、第二のボア・ボルト間の距離を画定し、
前記第一のボア・ボルト間の距離の前記ボルト穴間の距離に対する比率、および前記第二のボア・ボルト間の距離の前記ボルト穴間の距離に対する比率は、0.5:1~1:1である、請求項1~3のいずれかに記載のマスタリンク(36)。
【請求項5】
前記第一の半リンク(40)および前記第二の半リンク(42)は、前方面幅および後方面幅を画定し、前記第一の歯セット(52)および前記第二の歯セット(68)の各々は、歯幅を画定し、
前記前方面幅の前記歯の幅に対する比率、および前記後方面幅の前記歯の幅に対する比率は、0.4:1~0.8:1であり、
前記複数の歯は、前記第一の歯セット(52)および前記第二の歯セット(68)内に、合計二つの完全な歯を含む、請求項1~4のいずれかに記載のマスタリンク(36)。
【請求項6】
前記第一の横断ボア(49)は、ピンボアを含み、前記第二の横断ボア(64)は、ブッシングボアを含み、
前記第一のボア・ボルト間の距離の前記ボルト穴間の距離に対する前記比率は、0.57:1~1:1であり、
前記第二のボア・ボルト間の距離の前記ボルト穴間の距離に対する前記比率は、0.55:1~0.86:1であり、
前記前方面幅の前記歯の幅に対する前記比率は、0.57:1~0.75:1であり、
前記後方面幅の前記歯の幅に対する前記比率は、0.4:1~0.63:1であり、
前記複数の歯は、13ミリメートル~18ミリメートルの歯の距離、および1.98ミリメートル~4ミリメートルの歯の半径を画定し、
前記第一の歯セット(52)および前記第二の歯セット(68)の各々における前記複数の歯根(82,84)はそれぞれ、4.8ミリメートル~6ミリメートルのリードイン根半径を含む、請求項5に記載のマスタリンク(36)。
【請求項7】
地面係合軌道(26)であって、
端間を連結され、複数の標準リンク(34)およびマスタリンク(36)を含む、複数の軌道リンクを有する軌道チェーン(28)を備えて、
前記マスタリンク(36)は、第一の半リンク(40)、および第二の半リンク(42)を含み、
前記第一の半リンク(40)は、第一のリンクストラップ(48)と、第一の歯セット(52)を形成する第一の締付面(50)と、を含み、
前記第二の半リンク(42)は、第二のリンクストラップ(62)と、第二の歯セット(68)を形成する第二の締付面(66)と、を含み、
前方ボルト穴(74)および後方ボルト穴(76)はそれぞれ、前記第一の半リンク(40)および前記第二の半リンク(42)の各々の中に部分的に形成され、前記第一の締付面(50)および前記第二の締付面(66)の各々と交差し、前記第一の歯セット(52)および前記第二の歯セット(68)が連動されるように、前記第一の半リンク(40)および前記第二の半リンク(42)を共に締め付けるために、それぞれ前方ボルト(44)および後方ボルト(46)を受けるように構成され、
前記第一の歯セット(52)および前記第二の歯セット(68)はそれぞれ、複数の歯根(82、84)と交互である複数の歯を含み、前記前方ボルト穴(74)と前記後方ボルト穴(76)との間の分布が限定される、地面係合軌道(26)。
【請求項8】
前記複数の歯は、前記第一の歯セット(52)および前記第二の歯セット(68)の各々の中に、合計二つまたは三つの完全な歯を含み、
前記前方ボルト穴(74)および前記後方ボルト穴(76)は、ボルト穴間の距離を画定し、前記第一の半リンク(40)および前記第二の半リンク(42)は、共にリンクピッチ間の距離を画定し、
前記ボルト穴間の距離の前記リンクピッチ間の距離に対する比率は、0.22:1~0.33:1である、請求項7に記載の地面係合軌道(26)。
【請求項9】
前記複数の歯は、前記第一の歯セット(52)および前記第二の歯セット(68)の各々の中に、合計二つの完全な歯を含み、
前記第一の歯セット(52)および前記第二の歯セット(68)の各々は、前方歯根(82)、および前記前方歯根(82)から延在する前方移行面(86,88)、ならびに後方歯根(84)、および前記後方歯根(84)から延在する後方移行面(90,92)を含み、
前記前方ボルト穴(74)は、前記前方移行面のうちの一方と交差するが、前記前方移行面(86,88)の他方とは交差せず、前記後方ボルト穴(76)は、前記後方移行面(90,92)の一方と交差するが、前記後方移行面(90,92)の他方とは交差せず、
前記第一のリンクストラップ(48)は、第一の横断ボア(49)を含み、前記第二のリンクストラップ(62)は、第二の横断ボア(64)を含み、
前記第一の横断ボア(49)および前記前方ボルト穴(74)は、第一のボア・ボルト間の距離を画定し、前記第二の横断ボア(64)および前記後方ボルト穴(76)は、第二のボア・ボルト間の距離を画定し、
前記第一のボア・ボルト間の距離の前記ボルト穴間の距離に対する比率、および前記第二のボア・ボルト間の距離の前記ボルト穴間の距離に対する比率は、0.5:1~1:1である、請求項7または8記載の地面係合軌道(26)。
【請求項10】
地面係合軌道(26)用のマスタリンク(36)であって、
第一の半リンク(40)であって、その中に形成された第一の横断ボア(49)を有する第一のリンクストラップ(48)と、第一の歯セット(52)を形成する第一の締付面(50)と、前記第一の半リンク(40)の前記第一の歯セット(52)とシュー側(56)との間に延在する上り勾配(54)と、前記第一の半リンク(40)の前記第一の歯セット(52)とレール側(60)との間に延在する下り勾配(58)と、を含む、第一の半リンク(40)と、
第二の半リンク(42)であって、その中に形成された第二の横断ボア(64)を有する第二のリンクストラップ(62)と、第二の歯セット(68)を形成する第二の締付面(66)と、前記第二の半リンク(42)の前記第二の歯セット(68)とシュー側(56)との間に延在する上り勾配(70)と、前記第二の半リンク(42)の前記第二の歯セット(68)とレール側(60)との間に延在する下り勾配(72)と、を含む、第二の半リンク(42)と、を備えて、
前方ボルト穴(74)および後方ボルト穴(76)はそれぞれ、前記第一の半リンク(40)と前記第二の半リンク(42)を共に締め付けるためのボルトを受けるために、前記第一の半リンク(40)および前記第二の半リンク(42)の各々の中に部分的に形成され、
前記第一の歯セット(52)および前記第二の歯セット(68)はそれぞれ、合計二つの完全な歯および合計三つの歯根(82、84)を含み、
前記前方ボルト穴(74)および前記後方ボルト穴(76)はそれぞれ、前記第一の締付面(50)および前記第二の締付面(66)と交差し、前記第一の歯セット(52)および前記第二の歯セット(68)の外側に位置し、その結果、ボルト穴の応力集中位置は、前記マスタリンク(36)内の歯根応力集中位置の前後それぞれに間隔を置いて配置される、地面係合軌道(26)用のマスタリンク(36)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、機械内の地面係合軌道に関し、より詳しくは、多歯型マスタリンクに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な異なる種類の機械は、共に連結された複数のリンクからなる地面係合軌道を有し、回転可能な軌道係合要素の周りに延在する、可撓性の無限ループを形成する。鉱業、建設業、林業、道路建設業およびその他の産業はすべて、地面係合軌道を有する機械に大きく依存する。任意の機械システムと同様に、整備または修理用の特定の構成要素を容易に分解するために、何らかの手段を提供することが望ましい場合がある。「マスタリンク」は、この目的のために、多くの地面係合軌道に提供され、非常に多くの異なるデザインが、長年にわたり開発されている。
【0003】
一つの共通の部類のマスタリンク設計において、複数の歯は、マスタリンク部分を互いに嵌合するように連動され得る、別個のマスタリンク部分に設置される。ボルトなどの締め具は、各々のリンク部分を共に固定するために使用され得、マスタリンクは、他の任意のリンクと非常に近い動作をする、機械軌道内に位置決めされる。軌道を、修理、整備、出荷等のために分離することが望ましい場合、リンク部分を共に結合する締め具を取外し、リンク部分を分解することで、軌道を分離可能である。複数のマスタリンクは、所与の軌道チェーンに使用可能で、並列軌道チェーンからなる組立済み軌道は、典型的に、少なくとも二つのマスタリンクを有する。基本的な二部品構成のマスタリンク設計が、非常に有用なことが判明する一方、その内部で軌道式機械が動作する多くの環境の堅牢性は、耐久性と整備寿命を重視し得、いくつかの既存のマスタリンクは、早期に故障する傾向がある。
【0004】
マスタリンク内の歯の数、配置間隔、配向、曲率、およびその他の幾何学的特徴はさまざまであり得、エンジニアは、長年にわたり、数多くの異なる設計による試作を行ってきた。また、特定の事例では、単歯設計が、実用的な戦略を提供することも見出されている。しかしながら、単歯性マスタリンクは、それにもかかわらず、不利な点を有し得、場合によっては、リンク部分間に回転または揺れを発生して、最終的に性能低下または故障につながると思われ得る。
【0005】
多歯型マスタリンクの設計には、独自の利点および欠点があり得る。複数の歯が、リンク部分間に堅牢なインターロックを達成するのに役立ち得る一方で、多数の歯を有する別個のリンク部分を製造するために、製造中、長い機械加工時間を必要とし得る。さらに、各部品上の多数の丸みがついた歯の表面は、特に硬い岩のある環境において、最終的に性能低下または故障にもつながり得る、現場に応力集中が晒されるよう作用する可能性がある。
【0006】
Livesayらによる米国特許出願公開第2008/0174175号は、歯および隣接する凹部によって画定される正弦波セグメントの形態を有する、第一および第二のリンク部材の輪郭付き表面を含む、軌道用のマスタリンクを対象とする。Livesayらが、上述の理由および他の理由から、適用において利点を有し得るが、この分野では常に、改善の余地や代替的な戦略が存在する。
【発明の概要】
【0007】
一つの態様では、地面係合軌道用のマスタリンクは、その中に形成された第一の横断ボアを備えた第一のリンクストラップを有する第一の半リンクと、第一の歯セットを形成する第一の締付面と、第一の半リンクの第一の歯セットとシュー側との間に延在する上り勾配と、第一の半リンクの第一の歯セットとレール側との間に延在する下り勾配と、を含む。該マスタリンクは、その中に形成された第二の横断ボアを備えた第二のリンクストラップを有する第二の半リンクと、第二の歯セットを形成する第二の締付面と、第二の半リンクの第二の歯セットとシュー側との間に延在する上り勾配と、第二の半リンクの第二の歯セットとレール側との間に延在する下り勾配と、をさらに含む。前方ボルト穴および後方ボルト穴はそれぞれ、第一の半リンクおよび第二の半リンクの各々の中に部分的に形成され、第一の締付面および第二の締付面の各々と交差し、第一の歯セットおよび第二の歯セットを連動させるために、第一の半リンクおよび第二の半リンクを共に締め付けるために、それぞれ前方ボルトおよび後方ボルトを受けるように構成される。第一の歯セットおよび第二の歯セットはそれぞれ、各々の上り勾配に隣接する前方の歯根、および各々の下り勾配に隣接する後方の歯根を含む、複数の歯根と交互である複数の歯を含む。第一の歯セットおよび第二の歯セットは、前方ボルト穴と後方ボルト穴との間の分布が限定される。
【0008】
別の態様では、地面係合軌道は、端間を連結され、複数の標準リンクおよびマスタリンクを含む、複数の軌道リンクを有する軌道チェーンを含む。マスタリンクは、第一の半リンクおよび第二の半リンクを含む。第一の半リンクは、第一のリンクストラップと、第一の歯セットを形成する第一の締付面と、を含む。第二の半リンクは、第二のリンクストラップと、第二の歯セットを形成する第二の締付面と、を含む。前方ボルト穴および後方ボルト穴はそれぞれ、第一の半リンクおよび第二の半リンクの各々の中に部分的に形成され、第一の締付面および第二の締付面の各々と交差し、第一の歯セットおよび第二の歯セットが連動されるように、第一の半リンクおよび第二の半リンクを共に締め付けるために、それぞれ前方ボルトおよび後方ボルトを受けるように構成される。第一の歯セットおよび第二の歯セットはそれぞれ、複数の歯根と交互である複数の歯を含み、前方ボルト穴と後方ボルト穴との間の分布が限定される。
【0009】
さらに別の態様では、地面係合軌道用のマスタリンクは、その中に形成された第一の横断ボアを備えた第一のリンクストラップを有する第一の半リンクと、第一の歯セットを形成する第一の締付面と、第一の半リンクの第一の歯セットとシュー側との間に延在する上り勾配と、第一の半リンクの第一の歯セットとレール側との間に延在する下り勾配と、を含む。該マスタリンクは、その中に形成された第二の横断ボアを備えた第二のリンクストラップを有する第二の半リンクと、第二の歯セットを形成する第二の締付面と、第二の半リンクの第二の歯セットとシュー側との間に延在する上り勾配と、第二の半リンクの第二の歯セットとレール側との間に延在する下り勾配と、をさらに含む。前方ボルト穴および後方ボルト穴はそれぞれ、第一の半リンクおよび第二の半リンクの各々の中に部分的に形成され、第一の半リンクと第二の半リンクを共に締め付けるためのボルトを受ける。第一の歯セットおよび第二の歯セットはそれぞれ、合計二つの完全な歯および合計三つの歯根を含む。前方ボルト穴および後方ボルト穴はそれぞれ、第一の締付面および第二の締付面と交差し、第一の歯セットおよび第二の歯セットの外側に位置し、その結果、ボルト穴の応力集中位置は、マスタリンク内の歯根応力集中位置の前後それぞれに間隔を置いて配置される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一つの実施形態に係る、地面係合軌道を有する機械の概略側面図である。
【
図2】
図2は、一つの実施形態に係る、マスタリンクの概略側面図である。
【
図3】
図3は、一つの実施形態に係る、マスタリンクの概略斜視図である。
【
図4】
図4は、一つの実施形態に係る、マスタリンクの第一の半リンクの概略側面図である。
【
図5】
図5は、第一の半リンクの別の概略側面図である。
【
図8】
図8は、一つの実施形態に係る、マスタリンク用の第二の半リンクの概略側面図である。
【
図9】
図9は、第二の半リンクの別の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照すると、一つの実施形態に係る軌道式機械10が示されている。軌道式機械10は、その上に支持される運転室14を有するフレーム12を含む。機械10の油圧作動式器具システム15は、フレーム12の前方端で支持されるブレード17と、フレーム12の後方端で支持されるリッパー16と、を含む。軌道式機械10は、軌道式トラクター、軌道ローダ、半軌道機械、またはさらに別の機械など様々な機械のいずれかを含み得る。軌道式機械10は、フレーム12の第一の側面に取り付けられた地面係合軌道26と、フレーム12の反対側に取り付けられ、
図1では見えない、第二の略同一の地面係合軌道と、を有する、軌道システム18を含む。軌道システム18はまた、駆動スプロケット20、前方アイドラー22、後方アイドラー24、および複数の軌道ローラ30を含む。地面係合軌道26は、一般的に従来様式で、様々な回転可能な軌道係合要素の周りに延在する。軌道システム18は、駆動スプロケット20が上昇し、二つのアイドラー22および24と併せて動作する、いわゆる高駆動構成を有するものとして示される。他の事例では、軌道システム18は、楕円形の軌道配置、またはさらに別の配置を有し得る。軌道式機械10の重量は、地面係合軌道26の内側表面に沿って軌道レール上を回転する、軌道ローラ30によって略支持される。地面係合軌道26は、典型的に、二つの並列軌道チェーンを含む。
図1は、端間を連結され、複数の標準リンク34および少なくとも一つのマスタリンク36を含む、複数の軌道リンクを有する一つの軌道チェーン28である。上述のように、軌道チェーン28は、二つの並列軌道チェーンのうちの一つであってもよく、従って、第二の略同一または鏡像の軌道チェーンが、
図1のページの平面の後部にあって見えないことは、理解されるであろう。軌道シュー32は、標準リンク34およびマスタリンク36の各々に取り付けられ、軌道ピン38は、軌道チェーン28を、
図1では見えないそのペアの軌道チェーンと連結する。
【0012】
実用的な実装戦略では、本開示に係る地面係合軌道内の軌道チェーンの各々は、少なくとも一つのマスタリンク36を含む。一つ、二つ、三つまたは可能性としてさらに多くのマスタリンクは、例えば、軌道26が整備または交換用に分離され得る複数の位置を提供する、各軌道チェーンに提供され得る。地面係合軌道が実用的な用途と考えられる一方、他の事例では、本開示に係るマスタリンクを有する軌道が、コンベヤまたは別の用途に適用され得ることは、理解されるべきである。上述のように、軌道チェーン28は、複数の標準リンク34およびマスタリンク36を含み得る。標準リンク34は、直線リンク、横方向オフセットリンクストラップを有するオフセットリンク、軌道シューと一体的に形成されるリンク、または様々な他の種類のリンクのいずれかであり得る。以下の説明からさらに明らかなように、マスタリンク36は、現場耐用年数の間に、破損または性能低下に対する改善された抵抗を提供するように意図される。
【0013】
ここで
図2および
図3を参照すると、マスタリンク36は、第一のリンクストラップ48を有する第一の半リンク40を含む。第一の横断ボア49は、第一のリンクストラップ48内に形成される。図示した実施形態では、第一の横断ボア49は、干渉嵌合によって軌道ピンを受けるように構成された軌道ピンボアを含む。追加的または代替的に、スナップリング、キーパーなどのポジティブピン保持機構を使用して、軌道ピンを、第一の横断ボア49に固定することができよう。第一の半リンク40は、第一の歯セット52を形成する第一の締付面50と、第一の半リンク40の第一の歯セット52とシュー側56との間に延在する上り勾配54と、第一の半リンク40の第一の歯セット52とレール側60との間に延在する下り勾配58と、をさらに含む。マスタリンク36は、第二のリンクストラップ62を有する第二の半リンク42をさらに含む。第二の横断ボア64は、第二のリンクストラップ62内に形成され、図示した実施形態では、干渉嵌合などによって軌道ピンブッシングを受けるように構成されたブッシングボアを含む。当業者は、隣接する並列軌道チェーンを接続するための軌道ピンおよびブッシング構成および配置に精通するであろう。本開示に係るブッシングボアは、典型的に、少なくともそのサイズに関して、軌道ピンボアとは異なる。したがって、
図2および
図3から明らかなように、第二の横断ボア64は、第一の横断ボア49よりも直径が大きくなり得る。しかしながら、本開示は、それによって限定されるものではなく、ボア64がボア49よりも小さい反対の配置、またはボア64および49のサイズが等しい配置は、依然として本開示の範囲に含まれる。
【0014】
第二の半リンク42は、第二の歯セット68を形成する第二の締付面66と、第二の半リンク42の第二の歯セット68とシュー側56との間に延在する上り勾配70と、第二の半リンク42の第二の歯セット68とレール側60との間に延在する下り勾配72と、をさらに含む。第一の半リンク40および第二の半リンク42、ならびにマスタリンク36自体の各々のシュー側56は、図示のように軌道シュー32に取り付けるように構成された側面である。レール側60は、第一の半リンク40および第二の半リンク42、ならびにマスタリンク36の各々の対向する側であり、軌道チェーン28内の隣接する軌道リンクと共に、整備中に軌道ローラ30によって接触される、軌道レールを形成するように構成される。用語「上り」、「下り」、「前方」、「後方」および類似の方向を示す用語は、本明細書では便宜的な説明のために使用され、説明の範囲を、記載される主題の特徴の任意の特定の配向または配置に限定するものとして理解されるべきではない。同様に、用語「第一の」「第二の」などは、本説明に対する任意の特定の順序、配向、または他の制限を必要とするように解釈されず、同様に、便宜上、本明細書で使用される。
【0015】
前方ボルト穴74および後方ボルト穴76はそれぞれ、第一の半リンク40および第二の半リンク42の各々の中に部分的に形成され、第一の歯セット52および第二の歯セット68が連動されるように、第一の半リンク40および第二の半リンク42を共に締め付けるために、前方ボルト44および後方ボルト46をそれぞれ受ける。前方ボルト穴74および後方ボルト穴76はそれぞれ、第二の半リンク42のシュー側56が開放端になり得、第一の半リンク40内で終端になり得る。第一の半リンク40内で、前方ボルト穴74および後方ボルト穴76の各々は、内側にねじ込まれ得る。第一の歯セット52および第二の歯セット68はそれぞれ、複数の歯78および80、ならびに各々の歯78および80と交互である複数の歯根82および84をそれぞれ含む。第一の歯セット52および第二の歯セット68は、前方ボルト穴74と後方ボルト穴76との間の分布が限定される。「分布が限定される」は、第一の歯セット52および第二の歯セット68の各々の中の歯根の全体が、二つのボルト穴74と76との間に配置されることを意味し、その有意性は、以下の説明からさらに明らかになる。複数の歯78および80は、第一の歯セット52および第二の歯セット68の各々において、合計二つまたは三つの完全な歯を含む。改善点として、複数の歯78および80は、第一の歯セット52および第二の歯セット68の各々における合計二つの完全な歯、および合計三つの歯根を含む。本明細書に記載される完全な歯は、前方歯面および後方歯面を側方で含むように、前方および後方に完全であり、各々の半リンクの幅にわたって完全かつ連続する、歯を含む。したがって、ボルト穴によって交差する歯は、幅方向に不連続で、前方および後方に不連続で、したがって、完全ではなく、前方の歯面または後方の歯面のうちの一つのみ、または部分的にのみ含む歯もまた、完全ではないであろう。第一の歯セット52および第二の歯セット68の外側の前方ボルト穴74および後方ボルト穴76を位置決めすることによって、マスタリンク36が、第一の半リンク40および第二の半リンク42が共に締め付けられ、第一の歯セット52および第二の歯セット68が連動された状態で、整備用に組み立てられる場合、ボルト穴の応力集中位置はそれぞれ、歯根応力集中位置の前後に間隔を置いて配置可能である。
【0016】
また、
図2は、複数のマスタリンク36の寸法および比例属性を示す。前方ボルト穴74および後方ボルト穴76は、中心間のボルト穴間の距離101を画定する。第一の半リンク40および第二の半リンク42は共に、リンクピッチ間の距離100、第一の横断ボア49と第二の横断ボア64との間の中心間の距離を画定する。第一の横断ボア49および前方ボルト穴74は、第一のボア・ボルト間の距離98を画定する。第二の横断ボア64および後方ボルト穴76は、第二のボア・ボルト間の距離99を画定する。
図2で識別される寸法および比例属性、および本明細書に記載されるその他の属性、ならびに所望の形状を有する合計二つまたは三つの完全な歯を適合させる重要性との間の関係は、以下の説明からさらに明らかであろう。
【0017】
ここで
図4~11も参照すると、第一の半リンク40および第二の半リンク42の様々な図が示されている。
図6に示すように、第一の半リンク40は、前方面幅104を画定する。
図10に示すように、第二の半リンク42は、後方面幅106を画定する。第一の締付面54および第二の締付面70は、典型的に、相補的であり、したがって、第一の半リンク40および第二の半リンク42の各々は、前方面幅104および後方面幅106を画定するように理解され得る。
図7では、第一の歯セット52が、歯幅または全幅102を画定することは明らかである。相補的な第二の歯セット68は、同様に、全幅104を画定するように理解され得る。面幅104、106、全幅102、および他の特徴との間の関係は、以下でさらに記載される。
【0018】
第一の歯セット52および第二の歯セット68の各々が、複数の歯根と交互である複数の歯を含むことは想起される。図示されるように、第一の歯セット52の複数の歯根82および第二の歯セット68の複数の歯根84はそれぞれ、前方歯根82および84を含む。第一の半リンク40内の前方歯根は、リンクストラップ48に最近の歯根82として理解され、第二の歯セット68の前方歯根84は、リンクストラップ62から最遠の歯根として理解される。第一の歯セット52および第二の歯セット68の各々はまた、後方歯根82および84をそれぞれ含み、半リンク40の場合、歯根82は、リンクストラップ48から最遠であり、第二の半リンク42の場合、歯根84は、リンクストラップ62に最近である。第一の歯セット52および第二の歯セット68の各々はまた、各々の前方歯根82および84から延在する前方移行面を含む。第一の歯セット52の場合、前方移行面は86で示され、前方歯根82から上り勾配54まで延在する。第二の歯セット68の場合、前方移行面は88で示され、前方歯根84から上り勾配70まで延在する。第一の歯セット52および第二の歯セット68の各々は、各々の後方歯根82および84から延在する後方移行面をさらに含む。第一の歯セット52の場合、後方移行面は90で示され、後方の歯根82から下り勾配58まで延在する。第二の半リンク42の場合、後方移行面は92で示され、後方歯根84から下り勾配72まで延在する。実用的な実装戦略では、前方ボルト穴74は、前方移行面86および88のうちの一方と交差するが、前方移行面86および88の他方とは交差しない。後方ボルト穴76は、後方移行面90および92のうちの一方と交差するが、後方移行面90および92の他方とは交差しない。第一の半リンク40の場合、前方移行面86は、前方歯根82によって形成される前方歯根半径よりも大きい半径を形成する。第二の半リンク42の場合、後方移行面92は、後方歯根84によって形成される後方歯根半径よりも大きい半径を形成する。また、
図5から、後方移行面90が半歯面を形成し、
図8からは、前方移行面88が半歯面を形成することは明らかである。
【0019】
第一の締付面50および第二の締付面66が、互いに相補的に形成されることは想起される。したがって、本明細書の締付面50または66の一つの特徴の説明および考察は、別段の示唆または文脈から明白な場合を除く他のものを参照するために、比喩的に理解され得る。第一の歯セット52および第二の歯セット68は、従って、それぞれ、上り勾配54および70、ならびに下り勾配58および72であるように、一つの実施形態では、互いの略鏡像である。
図5は、歯セット68の特徴を比喩的に参照するために理解される、第一の歯セット52の追加の特徴を示す。後方移行面90が、後方歯根82から下り勾配58まで延在することは想起されるであろう。後方移行面90は、歯セット52内の各々の歯の、類似して画定された歯の角度と同じ水平面に対して、歯の角度94で配向された歯面を含む、上述のような半歯を形成し得る。歯の角度94は、約55°であり得る。歯78の各々はまた、歯の半径91を画定する。歯の半径91は、1.98ミリメートル~4ミリメートルであり得る。歯78の各々は、前方から後方まで対称性であり得、共に歯間距離96を画定する。歯間距離または歯の距離は、13ミリメートル~18ミリメートルであり得る。前方歯根82は、
図5の参照符号93で示される、リードイン根半径を形成する。リードイン根半径93は、他の歯根82によって形成される半径より大きく、移行面86と混合され得、これは、次に上り勾配54と混合される。第二の半リンク42の後方歯根84は、類似のリードイン半径を形成する。「混合される」とは、前方歯根82によって画定される、側方の線セグメントの終点が、移行面86によって形成される側方の線セグメントの終点でもあるように、滑らかに移行することを意味し、これは次に、上り勾配54によって形成される線セグメントの終点に移行する。リードイン根半径93は、第二の歯セット68におけるリードイン根半径と同様に、4.8ミリメートル~6ミリメートルであり得る。本明細書で与えられ、大きさがあるまたは無次元の量は、測定誤差内の列挙された量からの偏差を包含するものとして理解され得る。
【0020】
上述のように、マスタリンク36の特定の比例および寸法属性は、共に作用して、前方ボルト穴74と後方ボルト穴76との間の空間エンベロープ内に二つまたは三つの完全な歯の嵌合を可能にする。これらの比例属性のうちの一つは、ボルト穴間の距離101のリンクピッチ間の距離100に対する比率である。ボルト穴間の距離101は、ボルト穴74と76の中心軸間の前後方向の距離である。リンクピッチ間の距離100は、第一の横断ボア49と第二の横断ボア64の中心軸間の前後方向の距離である。ボルト穴間の距離101のリンクピッチ間の距離100に対する比率は、0.22:1~0.33:1となり得る。実装では、ボルト穴間の距離101は、44ミリメートル~91ミリメートルであり、リンクピッチ間の距離100は、203ミリメートル~318ミリメートルである。また、第一のボア・ボルト間の距離98が、第一の横断ボア49および前方ボルト穴74によって画定されることも想起される。第二のボア・ボルト間の距離99は、第二の横断ボア64および後方ボルト穴76によって画定される。第一のボア・ボルト間の距離98は、前後方向に、各々のボアの中心軸間に延在する。第二のボア・ボルト間の距離99は、各々のボアの中心軸間の前後方向に延在する。第一のボア・ボルト間の距離98のボルト穴間の距離101に対する比率、および第二のボア・ボルト間の距離99のボルト穴間の距離101に対する比率は、0.5:1~1:1となり得る。また、第一の横断ボア49が、ピンボアを含んでもよく、第二の横断ボア64が、ブッシングボアを含んでもよいことも想起される。このような実施形態では、第一のボア・ボルト間の距離98のボルト穴間の距離101に対する比率は、0.57:1~1:1である。また、このような実施形態では、第二のボア・ボルト間の距離99のボルト穴間の距離101に対する比率は、0.55:1~0.86:1である。
【0021】
上述のように、第一の半リンク40および第二の半リンク42は、前方面幅104および後方面幅106を画定する。第一の半リンク40および第二の半リンク42が相補的であり、互いに嵌合するため、面幅104および面幅106は、第一の半リンク40または第二の半リンク42のいずれかに見出し得るが、便宜上、第一の半リンク40および第二の半リンク42のうちの一つにのみラベル付けされる。前方面幅104および後方面幅106の各々は、各々の歯セットが形成される、拡大された中央部分の外部の各々の半リンクのうち、最も幅の広い、またはほぼ最も幅の広い部分である。前方面幅104の全幅102に対する比率、および後方面幅106の全幅102に対する比率は、0.4:1~0.8:1となり得る。改善点として、上述のように、第一の横断ボア49がピンボアを含み、第二の横断ボア64がブッシングボアを含む場合、前方面幅104の全幅102に対する比率は、0.57:1~0.75:1である。また、このような実施形態では、後面の幅106の全幅102に対する比率は、0.4:1~0.63:1となり得る。全幅102に対して異なるサイズで局所的に拡大された面幅104および106は、そうでなければ利用可能であろうものよりも、ボルト穴74および76の周りの比較的大きな容量の材料により、ボルト44を支持し、応力を散逸する一助となり得る。面幅104および106が存在する、各々の半リンクの拡大幅は、典型的に、長手方向または前方および後方の範囲において限定される。したがって、実用的な実装では、第一の半リンク40および42の各々は、余分なリンク材料の配置を収容するために外側に膨らみ得る。さらに、ボルト穴74および76は、そうでなければ実際的でありうるよりもより横方向に、互いに対してオフセットされ得る。
図6に示すように、前方面幅104は、第一の半リンク40の内側に湾曲した輪郭105が直線面輪郭111に移行する、前方および後方の位置で幅方向に測定され得る。第二の面幅106は、湾曲した内側表面輪郭107が線形表面輪郭113に移行する位置で、幅方向に測定され得る。
【産業上の利用可能性】
【0022】
マスタリンク36内のボルト穴が、ボルト穴と、最も前方および最も後方の歯根との間に重複がないように、各々の歯セットに対して配置されることは想起される。言い換えれば、ボルト穴を配置し、二つまたは三つの完全な歯の形状およびサイズを決定する結果、歯セットの分布は、ボルト穴間の空間に限定される。ボルト穴は、ボルト穴を囲み画定する材料を含んで、整備中に応力集中に晒され得る。同様に、応力集中は、一組の歯の比較的かなり湾曲した歯根の半径で生じ得る。本開示は、応力集中を生じる傾向を有する特徴の重複により、マスタリンクにおけるひび割れまたは破損などの性能低下のリスク増加が生じ得るという発見および観察を反映する。特定の以前のマスタリンク設計において、重複するボルト穴および歯根が採用されたが、本開示では、これらの機構は、応力集中位置の重ね合わせを避けるために、互いに間隔を置いて配置された。結果として、本開示により、破損のリスク減少が予想される。
【0023】
本開示はまた、マスタリンク、および四つ以上の歯を有するマスタリンクにおける単歯設計の限界に関する発見および観察を反映する。特定の単歯型マスタリンクの場合、二つの半リンクの各々に単一の連動歯と凹部のみを提供することで、半リンクの連動を取得することが困難となり得、整備中に回転または揺れが発生し、最終的に、性能低下または故障につながる可能性がある。歯数が四つ以上の場合、少なくとも特定の軌道リンクにおいて、歯間距離、歯の角度、歯根半径、リードイン根半径、製造可能性、および潜在的に他の要因を含む、歯のサイズまたは形状などの他の要因とのバランスをとることなく、歯がボルト穴間の空間に嵌合され得ないことは、予想され得る。したがって、マスタリンク36の寸法および比例属性は、このような要因のバランスを反映し、最適なサイズ範囲および形状範囲ならびに歯数の歯は、ボルト穴間の空間に実装され得る。
【0024】
本明細書は、例示目的のみとし、本開示の範囲をいかなる形でも狭めるように解釈されるべきではない。従って、当業者は、本開示の完全および公正な範囲および趣旨から逸脱することなく、本開示の実施形態にさまざまな修正を行うことができることを理解するであろう。その他の態様、特徴および利点は、添付図面および添付の特許請求の範囲を検討の上で明らかになるであろう。本明細書で使用される冠詞「a」および「an」は、一つ以上の品目を含むことが意図されており、「一つ以上(one or more)」と交換可能に使用され得る。一つの項目のみが意図される場合、「一つの」または類似の言い回しが使用される。また、本明細書で使用される「有する(has)」、「有する(have)」、「有する(having)」またはこれに類する用語は、非限定な用語であることが意図される。さらに、「に基づく」という語句は、別段の明示がない限り、「少なくとも部分的に基づく」を意味することを意図する。
【国際調査報告】