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特表2023-530477組織破砕音響/患者結合システムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-18
(54)【発明の名称】組織破砕音響/患者結合システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/225 20060101AFI20230710BHJP
【FI】
A61B17/225
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577720
(86)(22)【出願日】2021-06-18
(85)【翻訳文提出日】2023-01-25
(86)【国際出願番号】 US2021038114
(87)【国際公開番号】W WO2021258007
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】63/041,072
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512034863
【氏名又は名称】ヒストソニックス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】ストペック,ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】カンナタ,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】グランビル,ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】クローリー,トーマス
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160JJ33
4C160JJ38
(57)【要約】
任意の数の機構を含み得る、組織の治療のために構成された組織破砕治療システムが提供される。本明細書では、有効な非侵襲性および低侵襲性治療、診断および研究法を提供するシステムおよび方法が提供される。具体的には、本明細書では、介在/非標的組織または構造に対して無用な組織損傷を生じさせずに、様々な異なる領域において、様々な異なる条件下で標的合わせされた有効な組織破砕をもたらす最適化されたシステムおよび方法が提供される。具体的には、本明細書では、様々な異なる領域において、様々な異なる条件下で、介在/非標的組織または構造体に望まれない組織損傷を生じさせずに、標的化された有効な組織破砕をもたらすために、組織破砕治療システムを患者の皮膚に音響結合するためのシステムおよび方法が提供される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波治療システムであって、
患者の皮膚に接触するように構成された結合容器であって、音響結合媒質が少なくとも部分的に充填された結合容器と、
前記音響結合媒質内に少なくとも部分的に浸漬された超音波治療トランスデューサと、
前記超音波治療トランスデューサに結合されたロボット位置決めアームであって、前記音響結合媒質を介した前記患者との音響結合を維持しながら、前記結合容器内で前記超音波治療トランスデューサを前記患者に対して相対的に移動させるように構成されたロボット位置決めアームとを含む、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記結合容器が、前記ロボット位置決めアームが前記結合容器とは独立して移動するための開放作業空間を提供する開放型アーキテクチャを含む、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、前記結合容器が、前記患者の皮膚に接触するように構成された膜をさらに含む、システム。
【請求項4】
請求項3に記載のシステムであって、前記膜と前記患者の皮膚との間の気泡および/または空気を除去するように構成された気泡除去機構をさらに含む、システム。
【請求項5】
請求項3に記載のシステムであって、前記結合容器に取り付けられた可撓性ブーツアセンブリをさらに含み、前記可撓性ブーツアセンブリが、前記結合容器内内に前記音響結合媒質を含んだ状態で前記超音波治療トランスデューサの移動を可能にするように構成された、システム。
【請求項6】
請求項5に記載のシステムであって、前記可撓性ブーツアセンブリが前記超音波治療トランスデューサにさらに取り付けられている、システム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムであって、音響結合媒質源と、冷却および脱気システムと、前記結合容器内の前記音響結合媒質の流体レベルを自動的に制御するように構成されたプログラマブル制御システムとを含む流体系システムをさらに含む、システム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムであって、前記流体系システムが前記ロボット位置決めアームとは分離している、システム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムであって、前記結合容器を支持するように構成された支持アームをさらに含む、システム。
【請求項10】
請求項9に記載のシステムであって、前記支持アームが、前記ロボット位置決めアームとは独立して移動させられるように構成された、システム。
【請求項11】
請求項9に記載のシステムであって、前記支持アームが前記流体系システムに接続される、システム。
【請求項12】
請求項9に記載のシステムであって、前記支持アームが前記組織破砕システムの治療カートに接続される、システム。
【請求項13】
請求項9に記載のシステムであって、前記支持アームが患者ベッドに接続される、システム。
【請求項14】
請求項10に記載のシステムであって、前記支持アームが4自由度と8自由度の間で移動可能である、システム。
【請求項15】
請求項7に記載のシステムであって、前記流体系システムが、前記UMCの上または内部に配置されたセンサと通信するように構成されている、システム。
【請求項16】
請求項7に記載のシステムであって、前記流体系システムが、前記流体系システムの、または前記音響結合媒質のパラメータを検出するように構成された1つまたは複数のセンサをさらに含む、システム。
【請求項17】
請求項15に記載のシステムであって、前記センサが、圧力センサと、結合媒質レベルセンサと、光学センサと、溶存ガス濃度センサと、気泡または微粒子センサと、温度センサと、流量センサと、キャビテーション検出センサと、近接センサとからなるグループから選択される、システム。
【請求項18】
請求項5に記載のシステムであって、前記結合容器がフレームを含む、システム。
【請求項19】
請求項18に記載のシステムであって、前記フレームが生体適合性材料を含む、システム。
【請求項20】
請求項19に記載のシステムであって、前記フレームが、アルミニウムおよびアルミニウム合金と、ステンレス鋼と、ポリエチレンと、高密度ポリエチレンと、ポリプロピレンと、ポリアクリロニトリルブチレンスチレンと、ポリカーボネートと、ポリアミドイミドと、ポリウレタンと、ポリスチレンコポリマーと、ポリ(乳酸)と、ポリ(グリコール酸)と、ポリ(ヒドロキシブチラート)と、ポリ(ホスファジン)と、ポリエステルと、ポリエチレングリコールと、ポリエチレンオキシドと、ポリアクリルアミドと、ポリヒドロキシエチルメチルアクリレートと、ポリビニルピロリドンと、ポリビニルアルコールと、ポリアクリル酸と、ポリアセテートと、ポリカプロラクトンと、ポリエチレンと、ポリプロピレンと、ポリブチレンと、脂肪族ポリエステルと、グリセロールと、ポリ(アミノ酸)と、コポリ(エーテル-エステル)と、ポリアルキレン・シュウ酸塩と、ポリアミドと、ポリ(イミノカーボネート)と、ポリアルキレン・シュウ酸塩と、ポリオキサエステルと、ポリオルトエステルと、ポリホスファゼンと、これらのコポリマー、ブロックポリマー、ホモポリマー、混合物および組み合わせとからなるグループから選択された生体適合性材料を含む、システム。
【請求項21】
請求項18に記載のシステムであって、前記フレームが上部フレームと下部フレームとを含み、前記上部フレームが前記下部フレームに取り外し可能に取り付けられるように構成されている、システム。
【請求項22】
請求項21に記載のシステムであって、前記可撓性ブーツアセンブリが前記上部フレームに取り外し可能に取り付けられる、システム。
【請求項23】
請求項22に記載のシステムであって、前記膜が前記下部フレームに取り外し可能に取り付けられる、システム。
【請求項24】
請求項21に記載のシステムであって、前記可撓性ブーツアセンブリと前記膜とが前記上部フレームと前記下部フレームとの間に水密封止を形成する、システム。
【請求項25】
請求項21に記載のシステムであって、前記膜が前記上部フレームと前記下部フレームとの間の所定位置に保持される、システム。
【請求項26】
請求項18に記載のシステムであって、前記フレームが、前記フレームの前記患者の皮膚と接触するように構成された側に第1の開口部を含む、システム。
【請求項27】
請求項26に記載のシステムであって、前記膜が前記フレームに取り付けられ、前記第1の開口部のみを覆う、システム。
【請求項28】
請求項26に記載のシステムであって、前記膜が袋を含み、前記第1の開口部を覆うように前記結合容器内に配置されるように構成されている、システム。
【請求項29】
請求項28に記載のシステムであって、前記フレームが前記第1の開口部とは反対側の第2の開口部をさらに含む、システム。
【請求項30】
請求項29に記載のシステムであって、前記袋が、前記第2の開口部を画定する前記フレームの縁の上に掛かるように構成されている、システム。
【請求項31】
請求項1に記載のシステムであって、前記結合容器が、蛇腹または制約機構を含む追加の可撓性支持構造体を含む、システム。
【請求項32】
請求項1に記載のシステムであって、前記膜が、閉じ込められた気泡が最小限であるかまたはまったくなしに、前記結合容器と前記音響結合媒質とを前記患者の皮膚に結合するように構成された生体適合性材料を含む、システム。
【請求項33】
請求項32に記載のシステムであって、前記膜が、シリコーンポリウレタンと、ポリスチレンコポリマーと、ポリ(乳酸)と、ポリ(グリコール酸)と、ポリ(ヒドロキシブチラート)と、ポリ(ホスファジン)と、ポリエステルと、ポリエチレングリコールと、ポリエチレンオキシドと、ポリアクリルアミドと、ポリヒドロキシエチルメチルアクリレートと、ポリビニルピロリドンと、ポリビニルアルコールと、ポリアクリル酸と、ポリアセテートと、ポリカプロラクトンと、ポリエチレンと、ポリプロピレンと、ポリブチレンと、ポリスチレンと、ポリブタジエンと、ポリスチレン-エチレン-ブタジエン-スチレンと、脂肪族ポリエステルと、グリセロールと、ポリ(アミノ酸)と、コポリ(エーテル-エステル)と、ポリアルキレン・シュウ酸塩と、ポリアミドと、ポリ(イミノカーボネート)と、ポリアルキレン・シュウ酸塩と、ポリオキサエステルと、ポリオルトエステルと、ポリホスファゼンと、これらのコポリマー、ブロックコポリマー、ホモポリマー、混合物および組み合わせとからなるグループから選択された熱可塑性エラストマーを含む、システム。
【請求項34】
請求項32に記載のシステムであって、前記膜が、2mmと4mmの間の厚さを有する、システム。
【請求項35】
請求項32に記載のシステムであって、前記膜が、2.5mmと3.5mmの間の厚さを有する、システム。
【請求項36】
請求項32に記載のシステムであって、前記膜が、オイルを10重量パーセント~80重量パーセント含む、システム。
【請求項37】
請求項32に記載のシステムであって、前記膜が、オイルを40重量パーセント~60重量パーセント含む、システム。
【請求項38】
請求項32に記載のシステムであって、前記膜が、>0.2MPaの引張強さを備える、システム。
【請求項39】
請求項32に記載のシステムであって、前記膜が、前記膜の縁に沿って位置づけられた膜フレームをさらに含む、システム。
【請求項40】
請求項39に記載のシステムであって、前記膜フレームが、前記結合容器とインターフェースするように構成されている、システム。
【請求項41】
請求項7に記載のシステムであって、前記流体系システムが、前記音響結合媒質を前記結合容器に1リットル/分~10リットル/分の流速で送達するように構成されている、システム。
【請求項42】
請求項7に記載のシステムであって、前記流体系システムが、前記音響結合媒質中の溶存酸素レベルを40%未満に維持するように構成されている、システム。
【請求項43】
請求項7に記載のシステムであって、前記流体システムが、前記音響結合媒質の温度を10℃と30℃の間に維持するように構成されている、システム。
【請求項44】
治療の前に治療システムを患者の皮膚に音響結合する方法であって、
膜を有する結合容器と、前記結合容器内を自由に移動するように構成された超音波治療トランスデューサとを含む超音波治療システムを受け入れるステップと、
前記結合容器に対して相対的な前記超音波治療トランスデューサの移動を防止するために、前記結合容器と前記超音波治療トランスデューサとに機械的ロックをかけるステップと、
前記結合容器に充填し、前記結合容器から空気を除去するように、前記結合容器に結合媒質の流れを送達するステップと、
前記膜を患者の皮膚に接触して配置するステップとを含む、方法。
【請求項45】
請求項44に記載の方法であって、前記送達ステップの前に、前記結合容器を垂直向きに配置するために前記結合容器と前記超音波治療トランスデューサとを約90度回転させるステップをさらに含む、方法。
【請求項46】
請求項45に記載の方法であって、前記送達ステップが、前記結合容器が前記垂直向きであるときに前記結合媒質の流れを前記結合容器の最上部内に送達するステップをさらに含む、方法。
【請求項47】
請求項46に記載の方法であって、前記容器への前記結合媒質の流れの送達を前記膜を通して見えるように可視化するステップをさらに含む、方法。
【請求項48】
請求項45に記載の方法であって、前記結合容器とは分離した流体系システムによって、前記結合容器に前記結合媒質を自動的に充填するステップをさらに含む、方法。
【請求項49】
請求項48に記載の方法であって、自動的に充填するステップが、前記結合容器または前記流体系システム内からのセンサフィードバックに基づいて自動的に充填するステップをさらに含む、方法。
【請求項50】
請求項49に記載の方法であって、前記センサフィードバックが、前記容器内の流体レベルを含む、方法。
【請求項51】
請求項50に記載の方法であって、前記センサフィードバックが、前記結合容器内の望ましくない気泡の検出を含む、方法。
【請求項52】
請求項50に記載の方法であって、前記センサフィードバックが、前記結合容器内の望ましくないキャビテーションの検出を含む、方法。
【請求項53】
請求項45に記載の方法であって、前記膜または前記結合容器における空気漏れを検査するために、前記送達ステップの前に前記結合容器に空気陽圧を加えるステップをさらに含む、方法。
【請求項54】
請求項45に記載の方法であって、前記結合容器から空気を排気するステップをさらに含む、方法。
【請求項55】
請求項54に記載の方法であって、前記結合容器の最も高い点に位置するポートから空気が排気される、方法。
【請求項56】
請求項54に記載の方法であって、前記治療トランスデューサの中央孔から空気が排気される、方法。
【請求項57】
請求項45に記載の方法であって、前記配置ステップの前に、前記結合容器と前記超音波治療トランスデューサとを水平向きに戻すように回転させるステップをさらに含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2020年6月18日に出願された米国仮特許出願第63/041,072号の利益を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
参照による援用
【0002】
[0002]本明細書において言及されているあらゆる刊行物および特許出願は、あたかも個々の刊行物または特許出願が参照により組み込まれるものと具体的にかつ個別に示されているかのように同じ範囲まで参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
[0003]本開示は、健常、罹患および/または負傷組織の低侵襲性および非侵襲性治療のための、音響キャビテーション、方法、デバイスおよび処置を実現するように構成された新規な強力集束超音波治療(HITU)システムについて詳述する。本明細書に記載の音響キャビテーションシステムおよび方法は、組織破砕(ヒストトリプシ)とも呼ばれ、患者の軟組織の総合的治療および療法を提供するための、トランスデューサと、駆動電子部品と、位置決めロボットと、イメージングシステムと、組み込み治療計画および制御ソフトウェアとを含み得る。
【背景技術】
【0004】
[0004]組織破砕、またはパルス超音波キャビテーション治療は、音響エネルギーの極短強力バーストが、焦点体積内での制御されたキャビテーション(微小気泡形成)を生じさせる技術である。これらの微小気泡の激しい膨張と崩壊が、焦点体積内の細胞と組織構造を機械的に均質化する。これは、熱アブレーションの凝固壊死特性とはきわめて異なる最終結果である。非熱的組織破砕の範囲内で手術するには、低デューティサイクルで高振幅音響パルスの形態の音響エネルギーを送り込む必要がある。
【0005】
[0005]従来の集束超音波技術と比較すると、組織破砕は次のような重要な利点を有する。1)焦点における破壊プロセスが熱的ではなく機械的であり、2)超音波イメージングにおいてキャビテーションが明るく現れ、それによって治療の正しい標的合わせおよび限局化を確認し、3)何が治療されたかが操作者にわかるように、治療済み組織が、必ずではないが一般に超音波イメージングにおいてより暗く(より低エコーに)現れ、4)組織破砕が、制御された正確な方式で損傷を生じさせる。マイクロ波、高周波および高密度焦点超音波(HIFU)冷凍または放射などの熱アブレーション技術とは異なり、組織破砕は、組織の破壊のためにキャビテーションの機械的作用に依存し、熱、冷熱または電離エネルギーには依存しないということを強調しておくことが重要である。
【発明の概要】
【0006】
[0006]超音波治療システムであって、患者の皮膚と接触するように構成され、音響結合媒質が少なくとも部分的に充填された結合容器と、音響結合媒質内に少なくとも部分的に浸漬された超音波治療トランスデューサと、超音波治療トランスデューサに結合され、音響結合媒質を介した患者との音響結合を維持しながら結合容器内で超音波治療トランスデューサを患者に対して相対的に移動させるように構成されたロボット位置決めアームとを含む、超音波治療システムが提供される。
【0007】
[0007]実施形態によっては、結合容器は、ロボット位置決めアームが結合容器とは独立して移動するための開放作業空間を提供する開放型アーキテクチャを含む。
【0008】
[0008]一実施形態では、結合容器は、患者の皮膚と接触するように構成された膜をさらに含む。
【0009】
[0009]別の実施形態では、システムは、膜と患者の皮膚との間の気泡および/または空気を除去するように構成された気泡除去機構をさらに含む。
【0010】
[0010]別の実施形態では、システムは、結合容器に取り付けられた可撓性ブーツアセンブリであって、結合容器内に音響結合媒質を含んでいる状態で超音波治療トランスデューサの移動を可能にするように構成された可撓性ブーツアセンブリを含む。
【0011】
[0011]実施形態によっては、可撓性ブーツアセンブリは、さらに超音波治療トランスデューサに取り付けられている。
【0012】
[0012]別の実施形態では、システムは、音響結合媒質源と、冷却および脱気システムと、結合容器内の音響結合媒質の流体レベルを自動的に制御するように構成されたプログラマブル制御システムとを含む、流体系システムを含む。
【0013】
[0013]実施形態によっては、流体系システムは、ロボット位置決めアームとは分離している。
【0014】
[0014]別の実施形態では、システムは、結合容器を支持するように構成された支持アームを含む。
【0015】
[0015]一実施例では、支持アームは、ロボット位置決めアームとは独立して移動されるように構成される。別の実施例では、支持アームは流体系システムに接続される。他の実施形態では、支持アームは、組織破砕システムの治療カートに接続される。別の実施形態では、支持アームは、患者ベッドに接続される。実施例によっては、支持アームは4~7自由度の間で移動可能である。
【0016】
[0016]一実施形態では、流体系システムは、UMCの上または内部に配置されたセンサと通信するように構成される。
【0017】
[0017]別の実施形態では、流体系システムは、流体系システムの、または音響結合媒質のパラメータを検出するように構成された1つまたは複数のセンサをさらに含む。
【0018】
[0018]実施形態によっては、センサは、圧力センサと、結合媒質レベルセンサと、光学センサと、溶存ガス濃度センサと、気泡または微粒子センサと、温度センサと、流量センサと、キャビテーション検出センサと、近接センサとからななるグループから選択される。
【0019】
[0019]一実施形態では、結合容器はフレームを含む。
【0020】
[0020]別の実施形態では、フレームは生体適合材料を含む。実施形態によっては、フレームは、ポリウレタン、ポリスチレンコポリマー、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ヒドロキシブチラート)、ポリ(ホスファジン)、ポリエステル、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシエチルメチルアクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアセテート、ポリカプロラクトン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、脂肪族ポリエステル、グリセロール、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテル-エステル)、ポリアルキレン・シュウ酸塩、ポリアミド、ポリ(イミノカーボネート)、ポリアルキレン・シュウ酸塩、ポリオキサエステル、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、およびこれらのコポリマー、ブロックポリマー、ホモポリマー、混合物ならびに組み合わせからなるグループから選択された熱可塑性エラストマーを含む。
【0021】
[0021]一実施形態では、フレームは、上部フレームと下部フレームとを含み、上部フレームは下部フレームに取り外し可能に取り付けられるように構成される。
【0022】
[0022]実施形態によっては、可撓性ブーツアセンブリは、上部フレームに取り外し可能に取り付けられる。別の実施形態では、膜は下部フレームの取り外し可能に取り付けられる。
【0023】
[0023]実施形態によっては、可撓性ブーツアセンブリと膜とは、上部フレームと下部フレームとの間に水密封止を形成する。
【0024】
[0024]別の実施形態では、膜は上部フレームと下部フレームとの間の所定位置に保持される。
【0025】
[0025]実施形態によっては、フレームは、フレームの患者の皮膚に接触するように構成された側に第1の開口部を含む。
【0026】
[0026]別の実施形態では、膜はフレームに取り付けられ、第1の開口部のみを覆う。実施例によっては、膜は袋を含み、第1の開口部を覆うように結合容器内に配置されるように構成される。一実施形態では、フレームは、第1の開口部とは反対側の第2の開口部をさらに含む。実施形態によっては、袋は、第2の開口部を画定するフレームの縁の上に掛かるように構成される。
【0027】
[0027]一実施例では、結合容器は、蛇腹または制約機構を含む追加の可撓性支持構造体を含む。
【0028】
[0028]別の実施形態では、膜は、閉じ込められた気泡が最小限であるかまたはまったくなしに、結合容器と音響結合媒質とを患者の皮膚に結合するように構成された、生体適合材料を含む。実施形態によっては、膜は、ポリウレタン、ポリスチレンコポリマー、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ヒドロキシブチレン)、ポリ(ホスファジン)、ポリエステル、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシエチルメチルアクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアセテート、ポリカプロラクトン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、脂肪族ポリエステル、グリセロール、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテル-エステル)、ポリアルキレン・シュウ酸塩、ポリアミド、ポリ(イミノカーボネート)、ポリアルキレン・シュウ酸塩、ポリオキサエステル、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、およびこれらのコポリマー、ブロックポリマー、ホモポリマー、混合物ならびに組み合わせからなるグループから選択された熱可塑性エラストマーを含む。
【0029】
[0029]一実施例では、膜は、2mmと4mmの間の厚さを有する。別の実施例では、膜は、2.5mmと3.5mmの間の厚さを有する。
【0030】
[0030]実施形態によっては、膜は、オイルを10~80重量パーセント含む。他の実施形態では、膜は、オイルを40~60重量パーセント含む。
【0031】
[0031]実施形態によっては、膜は、>0.2MPaの引張強さを備える。
【0032】
[0032]別の実施形態では、膜は、膜の縁に沿って配置された膜フレームをさらに含む。実施形態によっては、膜フレームは、結合容器とインターフェースするように構成される。
【0033】
[0033]実施例によっては、流体系システムは、1~10リットル/分の流速で結合容器に音響結合媒質を送達するように構成される。実施形態によっては、流体系システムは、音響結合媒質中の溶存酸素レベルを40%未満に維持するように構成される。他の実施形態では、流体系システムは、音響結合媒質の温度を10℃と30℃の間に維持するように構成される。
【0034】
[0034]治療の前に治療システムを患者の皮膚に音響結合する方法であって、膜を有する結合容器と、結合容器内を自由に移動するように構成された超音波治療トランスデューサとを含む超音波治療システムを受け入れるステップと、超音波治療トランスデューサの結合容器に対する相対的な移動を防止するために結合容器と超音波治療トランスデューサとに機械的ロックをかけるステップと、結合容器を充填し、結合容器から空気を除去するように結合容器への結合媒質の流れを送達するステップと、膜を患者の皮膚に接触させて配置するステップとを含む方法が提供される。
【0035】
[0035]実施形態によっては、方法は、送達ステップの前に、結合容器を垂直向きに配置するために結合容器と超音波治療トランスデューサとを約90度回転させるステップをさらに含む。
【0036】
[0036]実施形態によっては、送達ステップは、結合容器が垂直向きであるときに、結合容器の最上部内への結合媒質の流れを送達することをさらに含む。
【0037】
[0037]別の実施形態では、方法は、容器への結合媒質の流れの送達を膜を通して見えるように可視化することをさらに含む。
【0038】
[0038]他の実施例では、方法は、結合容器とは分離した流体系システムによって結合容器に音響結合媒質を自動的に充填することを含む。
【0039】
[0039]一実施形態では、自動的に充填することは、結合容器または流体系システム内からのセンサフィードバックに基づいて自動的に充填することをさらに含む。
【0040】
[0040]実施例によっては、センサフィードバックは、容器内の流体レベルを含む。別の実施例では、センサフィードバックは、結合容器内の望ましくない気泡の検出を含む。実施形態によっては、センサフィードバックは、結合容器内の望ましくないキャビテーションの検出を含む。
【0041】
[0041]実施例によっては、方法は、膜または結合容器に空気漏れがないか検査するために、送達ステップの前に結合容器に空気陽圧を加えることをさらに含む。
【0042】
[0042]別の実施形態では、方法は、結合容器から空気を排気することをさらに含む。実施例によっては、空気は結合容器の最も高い点に配置されたポートから排気される。他の実施例では、空気は治療トランスデューサの中心孔から排気される。
【0043】
[0043]別の実施形態では、方法は、配置ステップの前に、結合容器と超音波治療トランスデューサとを回転させて水平向きに戻すことを含む。
【0044】
[0044]本発明の新規な特徴については、末尾の特許請求の範囲に具体的に記載される。本発明の原理が使用される例示の実施形態を記載する以下の詳細な説明と、添付図面とを参照すれば、本発明の特徴および利点をよりよく理解することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1A】[0045]超音波イメージングおよび治療システムを示す図である。
図1B】超音波イメージングおよび治療システムを示す図である。
図2】[0046]結合システムを備えた組織破砕治療およびイメージングシステムの一実施形態を示す図である。
図3A】[0047]結合アセンブリと関連コンポーネントとを示す詳細図である。
図3B】結合アセンブリと関連コンポーネントとを示す詳細図である。
図3C】結合アセンブリと関連コンポーネントとを示す詳細図である。
図3D】結合アセンブリと関連コンポーネントとを示す詳細図である。
図3E】結合アセンブリと関連コンポーネントとを示す詳細図である。
図3F】結合アセンブリと関連コンポーネントとを示す詳細図である。
図4A】[0048]結合アセンブリを示す別の図である。
図4B】結合アセンブリを示す別の図である。
図4C】結合アセンブリを示す別の図である。
図4D】結合アセンブリを示す別の図である。
図5A】[0049]結合アセンブリの別の実施形態を示す図である。
図5B】結合アセンブリの別の実施形態を示す図である
図5C】結合アセンブリの別の実施形態を示す図である
図6A】[0050]流体系カートの一実施形態を示す図である。
図6B】流体系カートの一実施形態を示す図である。
図7A】[0051]UMCに結合媒質を充填する方法を示す図である。
図7B】UMCに結合媒質を充填する方法を示す図である。
図7C】UMCに結合媒質を充填する方法を示す図である。
図7D】UMCに結合媒質を充填する方法を示す図である。
図7E】UMCに結合媒質を充填する方法を示す図である。
図7F】UMCに結合媒質を充填する方法を示す図である。
図7G】UMCに結合媒質を充填する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
[0052]本開示のシステム、方法およびデバイスは、組織破壊、切断、スケルトナイズおよびアブレーションを含むがこれらには限定されない、健常、罹患および/または負傷組織の治療のための開腹手術、(腹腔鏡および経皮)低侵襲性手術、(ロボット対応医療システムに組み込まれた)ロボット手術、内視鏡または完全経皮体外非進取性音響キャビテーションのために使用することができる。また、組織選択特性に起因して、デノボまたは幹細胞およびその他のアジュバントの適用によるその後の組織再生を可能にする細胞骨格を形成するために組織破砕を使用することができる。最後に、標的への音響エネルギーの印加により薬剤の放出を局所的に生じさせことによって、化学療法および免疫療法などの送達薬剤の放出を生じさせるために、組織破砕を使用することができる。後述するように、音響キャビテーションシステムは、カート、治療、組み込みイメージング、ロボット、結合およびソフトウェアを含む、様々なサブシステムを含み得る。システムは、コンピュータ、ケーブルおよびコネクタ、ネットワーキングデバイス、電源、ディスプレイ、引き出し/収納部、ドア、車輪、および様々なシミュレーションおよびトレーニングツールなどを含むがこれらには限定されない、様々な他のコンポーネント、補助物および付属物も含み得る。本明細書で開示される新たな関連発明を含む、組織破砕を生じさせ/制御し/実施するあらゆるシステム、方法および手段が本開示の一部であるとみなされる。
【0047】
[0053]図1Aに、治療トランスデューサ102と、イメージングシステム104と、ディスプレイおよびコントロールパネル106と、ロボット位置決めアーム108と、カート110とを含む、本開示による組織破砕システム100を全体的に示す。システムは、図示されていない超音波結合界面と結合媒質源とをさらに含み得る。
【0048】
[0054]図1Bは、治療トランスデューサ102とイメージングシステム104の底面図である。図のように、イメージングシステムは治療トランスデューサの中央に位置づけられ得る。しかし、他の実施形態は、治療トランスデューサ内の他の場所に配置されるかまたは治療トランスデューサに直接組み込まれたイメージングシステムを含み得る。実施形態によっては、イメージングシステムは、治療トランスデューサの焦点におけるリアルタイムイメージングを生成するように構成される。システムは、標的組織の複数の視野を同時に提供するためと、それらの画像を単一の3D画像に統合するために、治療トランスデューサ内に複数のイメージングトランスデューサを配置することも可能にする。
【0049】
[0055]組織破砕システムは、1つまたは複数の治療トランスデューサを介して音響キャビテーション/組織破砕を生じさせ、適用し、集束させ、実施することができる治療サブシステムと、処置全体を通して治療部位および組織破砕効果のリアルタイム視覚化を可能にする組み込みイメージングサブシステム(または組み込みイメージングサブシステムへの接続)と、治療トランスデューサを機械的および/または電子的にステアリングし、治療トランスデューサと患者との間の音響結合を可能にするように結合サブシステムに接続/サポートし、または結合サブシステムと相互作用することをさらに可能にされたロボット位置決めサブシステムと含む様々なサブシステムのうちの1つまたは複数のサブシステムと、システムおよびコンピュータベースの制御システム(およびその他の外部システム)と通信、制御およびインターフェースするためのソフトウェアと、1つまたは複数のユーザインターフェースおよびディスプレイ、関連する誘導ワークフローを含む様々な他のコンポーネント、補助物、付属物とを含むことができ、これらすべては部分的にまたは連係して機能する。システムは、ポンプ、バルブおよび流量コントロール、温度および脱気コントロール、および洗浄および吸引機能を含むがこれらには限定されない、流体を供給および貯蔵する、様々な流体系および流体管理コンポーネントをさらに含み得る。システムは、様々な電源および保護装置も含み得る。
【0050】
[0056]上述のように、組織破砕システムは組み込みイメージングを含み得る。しかし、他の実施形態では、組織破砕システムは、組織破砕治療中にリアルタイムイメージングを提供するために、Cアーム、蛍光透視装置、円錐ビームCT、MRIなどの別個のイメージングシステムとインターフェースするように構成可能である。実施形態によっては、組織破砕システムは、Cアーム、蛍光透視装置、円錐ビームCT、MRIなどの中に収まるような大きさおよび構成とすることができる。
【0051】
カート
[0057]カート110は、一般に、特定の使用および処置に基づいて様々な方式およびフォームファクタで構成され得る。場合によっては、システムは類似した構成または異なる構成で構成された複数のカートを含み得る。実施形態によっては、カートは放射線環境で、さらに場合によってはイメージング(例えばCT、円錐ビームCT、および/またはMRIスキャン)と連係して使用されるように構成され、配置され得る。他の実施形態では、カートは、開腹手術または腹腔鏡手術および内視鏡用途のための手術室および無菌環境において、またはロボット対応手術室において使用するために配置可能であり、単独で、または、システムの使用および音響キャビテーション/組織破砕の実施の前またはその間またはその後に手術ロボットが特定の作業を行う外科ロボット処置の一部として、使用することができる。したがって、前述の実施形態に基づく処置環境に応じて、カートは、十分な作業空間と、患者の様々な解剖学的部位(胴、腹部、脇腹、頭部および首など)へのアクセスを提供するとともに、他のシステム(例えば、麻酔カート、腹腔鏡タワー、手術用ロボット、内視鏡タワーなど)のための作業空間を提供するように位置決めされ得る。
【0052】
[0058]カートは、患者が、処置前、処置中および処置後に多くの位置、角度および向きへの変更を可能にすることを含めて、そのような位置、角度および向きに向けられ、位置を変更されることができるように、患者面(例えば台またはベッド)と連係することも可能である。カートは、物理的/機械的な相互運用性(例えば、組織破砕前、破砕中および/または破砕後に撮像データを収集するための円錐ビームCT作業空間内で相互対応可能)を含む、処置および/または使用環境をサポートするためと、検査データおよび履歴医療記録データを含むがこれには限定されない患者医療データへのアクセスおよび表示を提供するためとに、1つまたは複数のモダリティの、超音波、CT、蛍光透視、円錐ビームCT、PET、PET/CT、MRI、光学、超音波、画像融合、および/または画像フローには限定されない、1つまたは複数の外部イメージングまたは画像データ管理および通信システムとインターフェースし、通信する機能をさらに含み得る。
【0053】
[0059]実施形態によっては、1つまたは複数のカートが連係するように構成され得る。一例として、1つのカートが治療トランスデューサ、および治療用発生器/増幅器などとともに使用可能な1つまたは複数のロボットアームを備えたベッドサイド移動カートを含み、一方、それと連係し、患者とは離れた位置にある随伴カートが、手術用ロボットおよびマスター/スレーブ構成のように、組み込みイメージングと、ロボットおよび治療面を制御するためのコンソール/ディスプレイとを含んでもよい。
【0054】
[0060]実施形態によっては、システムは、すべてのカートが1つのマスターカートのスレーブであり、音響キャビテーション処置を行うように装備された、複数のカートを含み得る。構成および場合によっては、1つのカート構成が、ある距離をおいた特定のサブシステムの格納を可能にして手術室の混雑を軽減し、一方、別の連係カートが基本的にベッドサイドサブシステムおよび構成部品(例えばデリバリシステムおよび治療構成部品)を含んでもよい。
【0055】
[0061]カート設計の多くの置換および構成を構想することができ、これらの実施例は本開示の範囲を決して限定しない。
【0056】
組織破砕
[0062]組織破砕は、組織の標的断片化および破壊が可能な高密度の強力な「気泡雲」を発生するための短い高振幅の集束超音波パルスを含む。組織破砕は、組織/流体界面を含む組織界面に向けられると、制御された組織侵食を生じさせることができ、バルク組織が標的とされると細胞以下レベルの明確に画定された組織断片化および破壊を生じさせることができる。冷熱および放射線方式のモダリティを含む他の形態のアブレーションとは異なり、組織破砕は組織の治療のために熱または電離(高)エネルギーには依存しない。その代わりに、組織破砕は、組織構造に機械的に作用し、場合によっては組織を細胞以下の成分に液化、懸濁、可溶化および/または破壊するために、焦点において生じる音響キャビテーションを使用する。
【0057】
[0063]組織破砕は以下を含む様々な形態で適用可能である。1)内在性閾値組織破壊(Intrinsic-Threshold Histotripsy):媒質内にキャビテーションを生じさせるために、内在性閾値を超える高振幅の負相/引張相圧力(例えば、水性軟組織の場合、約24~28MPa)の1サイクルから2サイクルのパルスを送り込む、2)衝撃散乱組織破砕(Shock-Scattering Histotripsy):典型的には持続時間が3サイクルから20サイクルのパルスを送り込む。発生した初期の個々の微小気泡から散乱した衝撃波(正相/圧縮相)が逆衝撃波を形成し、この逆衝撃波が入射負相/引張相と建設的に干渉して、内在性閾値を超える高振幅の負相/希薄相を形成する。このようにして、キャビテーション微小気泡のクラスタを生じさせる。パルスの引張相の振幅は、パルスの持続期間を通じて焦点域内において慣性キャビテーションを受けるように、媒質内に気泡核を生じさせるのに十分である。これらの核は、入射衝撃波を散乱させ、入射衝撃波は反転して内在的核形成の閾値を超えるように入射波と建設的に干渉する。3)沸騰組織破壊(Boiling Histotripsy):存続期間が約1msから20msのパルスを採用する。衝撃パルスの吸収が媒質を急速に加熱し、それによって内在核の閾値を低下させる。この内在的閾値が入射波のピーク負圧と一致すると、焦点において沸騰気泡が形成される。
【0058】
[0064]焦点において生じた大きな圧力が、特定の閾値を上回る音響キャビテーション気泡の雲を形成させ、それによって、有意な熱溶着を生じさることなく組織内の局所応力および歪みと機械的破壊とを生じさせる。キャビテーションが発生しない圧力レベルにおいて、焦点における組織上で最小効果が観察される。このキャビテーション効果は、約10MPaから30MPaのピーク負圧で、同様のパルス存続期間に水中において慣性キャビテーション閾値を規定する圧力レベルより有意に大きい圧力レベルでのみ観察される。
【0059】
[0065]組織破砕は、複数の方式および異なるパラメータで行うことができる。組織破砕は、集束超音波トランスデューサを患者の皮膚の上に音響結合させ、覆っている(および介在する)組織を通して経皮的に音響パルスを焦点域(治療域および部位)に送ることによって、完全に非侵襲的に行うことができる。組織破砕の用途は、経皮手法には限定されず、開腹手術、腹腔鏡手術、経皮およびロボットによる外科処置を含む、組織とトランスデューサの接触を可能にする任意の手段により適用可能である。組織破砕によって生じる気泡雲が例えばBモード超音波画像上のきわめて動的なエコー源性領域として観察可能であり、その使用(および関連する処置)によって連続的な可視化が可能であれば、組織破砕は超音波イメージングによる直接的可視化の下でさらに標的合わせ、計画、方向づけおよび観察され得る。同様に、処置され、断片化された組織はエコー輝度の動的変化(典型的には低下)を示し、これは治療を評価、計画、観察および監視するために使用することができる。
【0060】
[0066]一般に、組織破砕治療においては、1サイクル以上の音響サイクルの超音波パルスが印加され、気泡雲形成は最初に生じさせた、まばらに分布した気泡(または単一の気泡)からの正の衝撃波面の圧力解放散乱(場合によっては100MPa、P+を超える)に依存する。これを「衝撃散乱メカニズム」と呼ぶ。
【0061】
[0067]このメカニズムは、トランスデューサの焦点におけるパルスの初期負半サイクルで生じさせた1つの(またはまばらに分散した数個の)気泡に依存する。次に、これらのまばらに生じさせた気泡からの高ピーク正衝撃波面の圧力解放後方散乱に起因して、微小気泡の雲が形成される。これらの後方散乱高振幅希薄波は、内在的閾値を超え、したがって局在的な高密度気泡雲を生じさせる。次に、後続の音響サイクルのそれぞれが、トランスデューサに向かって成長する気泡雲面からの後方散乱によってさらなるキャビテーションを引き起こす。その結果、衝撃散乱メカニズムによって、超音波伝播方向とは逆に音響軸に沿って成長する細長い高密度の気泡雲が観察される。この衝撃散乱プロセスは、気泡雲発生をピーク負圧だけでなく音響サイクル数と正衝撃の振幅にも依存させる。非線形伝播によって生じる少なくとも1つの強力な衝撃波面がない場合、ピーク負半サイクルが内在的閾値を下回るときに高密度な気泡雲は生成されない。
【0062】
[0068]2サイクル未満の超音波パルスが印加される場合、衝撃散乱は最小化され得、高密度気泡雲の発生は、媒質の「内在的閾値」を超える印加超音波パルスの負半サイクルに依存する。これを「内在的閾値メカニズム」と呼ぶ。
【0063】
[0069]この閾値は、人体における軟組織などの水分含有量の高い軟組織の場合、26MPaから30MPaの範囲であり得る。実施形態によっては、この内在的閾値メカニズムを使用して、損傷の空間的広がりを明確かつより予測可能とすることができる。この閾値よりも有意に高くないピーク負圧(P-)では、トランスデューサの-6dBビーム幅の半分ほどのわずかなサブ波長の再現可能損傷が生じ得る。
【0064】
[0070]高周波組織破砕パルスでは、最小再現可能損傷の大きさはより小さくなり、これは精密な損傷生成を必要とする用途において有利である。しかし、高周波パルスは、減衰および歪みの影響をより受けやすく、より深い侵入深度(例えば身体の深い場所のアブレーション)において、または歪みを生じやすい媒質を介する(例えば経頭蓋処置またはパルスが骨を通して送られる処置)場合には問題のある治療となる。組織破砕は低周波数「ポンプ」パルス(典型的には<2サイクルであって100kHzと1MHzの間の周波数を有する)として、高周波「プローブ」パルス(典型的には<2サイクルであって2MHzを超えるかまたは2MHzと10MHの間の範囲の周波数を有する)とともにさらに適用することも可能であり、その場合、標的組織または媒質における内在的閾値を超えるように低周波パルスと高周波パルスのピーク負圧が建設的に干渉する。減衰および歪みに対してより耐性のある低周波パルスは、関心領域(ROI)に対するピーク負圧P-レベルを上昇させることができ、一方、より精密な精度を提供する高周波パルスは、ROI内の標的部位をピンポイント照射することができ、ピーク負圧P-を内在的閾値を超えて上昇させ得る。この手法を「二重周波数」、「二重ビーム組織破砕」または「パラメトリック組織破砕」と呼ぶ場合がある。
【0065】
[0071]焦点のステアリングおよび位置決めに関して上記の組織破壊効果を制御するとともに治療部位における、または介在組織内における組織効果(例えば集束前熱付帯損傷)を同時に管理する追加の手段を含む、衝撃散乱と、内在的閾値と、周波数合成および気泡操作を可能にする様々なパラメータとを使用する最適化された組織破砕を実施する追加のシステム、方法およびパラメータが、本明細書で開示するシステムおよび方法の一部として本明細書に含まれる。また、周波数、動作周波数、中心周波数、パルス繰り返し周波数、パルス、バースト、パルス数、サイクル、パルス長、パルス振幅、パルス期間、遅延、バースト繰り返し周波数、これらのセット、複数のセットのループ、複数および/または異なるセットのループ、ループのセット、およびこれらの様々な組み合わせまたは置換などを含むがこれらには限定されない、複数のパラメータを含み得る、様々なシステムおよび方法が、将来構想されるこれらの実施形態を含めて本開示の一部として含まれることが開示される。
【0066】
治療コンポーネント
[0072]治療サブシステムは、本明細書および以下において「組織破砕」とも呼ぶ音響キャビテーションと、沸騰組織破壊およびその他の熱高周波超音波手法を含むその派生物とを生じさせ、最適化し、実施し、視覚化し、監視し、制御するための他のサブシステムと共働し得る。なお、本開示の発明は、キャビテーション、機械的または組織破壊構成要素を含まない他の音響治療にもさらに有益であり得ることに留意されたい。治療サブシステムは、他にも機構がある中でも特に、組織内に超音波を送り込むように構成された超音波治療トランスデューサとパルス発生器システムとを含み得る。
【0067】
[0073]組織破砕および組織破砕の派生物を生じさせ、実施するために、治療サブシステムは、1つまたは複数の関数発生器、増幅器、治療トランスデューサおよび電源を含むがこれらには限定されないコンポーネントも含み得る。
【0068】
[0074]治療トランスデューサは、高振幅電気パルス(>1000Vまたは生体に損傷を生じさせ得る任意のその他の電圧)によって励起されるように構成された単一素子または複数の素子を含み得る。組織破壊のために治療トランスデューサを駆動するのに必要な振幅は、トランスデューサの設計および使用される材料(例えば、セラミックまたは単結晶を含む固体またはポリマー/圧電複合材)と、圧電材料の厚さに正比例するトランスデューサ中心周波数とに応じて異なる。したがって、高周波で動作するトランスデューサは、所与の表面圧力を生じさせるために必要な電圧が、低周波数の治療トランスデューサによって必要とされる電圧よりも低い。実施形態によっては、トランスデューサ素子は、圧電ポリマー複合材または固体圧電材料を使用して形成される。また、圧電材料は多結晶/セラミックまたは単結晶構造のものであってよい。実施形態によっては、トランスデューサ素子は、CMUTおよびPMUT設計を含む、MEMs技術を使用して、シリコンを使用して形成することができる。
【0069】
[0075]実施形態によっては、関数発生器は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)またはその他の適切な関数発生器を含み得る。FPGAは、本明細書の上記で開示したパラメータを使用して構成可能であり、これには、周波数、パルス繰り返し周波数、バースト、パルスを含み得るバースト数、パルス数、パルス長、パルス期間、遅延、バースト繰り返し周波数または期間が含まれるが、これらには限定されず、ここでバーストのセットはパラメータセットを含み得、ループセットは様々なパラメータセットを含み得、遅延ありもしくは遅延なし、または異なる遅延を有し、時間遅延が異なり、独立して制御される複数のループセットの繰り返しおよび/または新規ループセットの導入が可能であり、全体を通じてこれらの様々な組み合わせおよび置換が可能である。
【0070】
[0076]実施形態によっては、発生器または増幅器は、汎用単一サイクルまたは複数サイクルパルス発生器として、クラスDによる駆動または誘導駆動に対応するように、さらに想定されるあらゆる臨床用途、使用環境にわたって対応するように構成されることができ、これについても本開示でその一部を後述する。他の実施形態では、クラスDまたは誘導電流駆動器は、逓増/逓降コンポーネントをさらに提供するために、さらに場合によっては、好ましくは振幅の逓増を可能にするために、変圧器および/または単巻変圧駆動回路を含むように構成され得る。発生器または増幅器は、システムをさらにサポートするため、およびシステムの他の部品(例えば治療トランスデューサおよび/または増幅器回路コンポーネント)および/またはユーザを、使用環境、システムならびに治療システム、およびユーザの危害、損傷または問題を引き起こす可能性のある電気安全上の危険を含むがこれには限定されない様々な危険から保護する機能を設けるために、特定の保護機構も含み得る。
【0071】
[0077]開示の発生器は、システムが(使用可能ソフトウェアツールを介して)、上記で開示されているものを含むがそれらには限定されない様々なパラメータを選択、変更および制御することができる能力、および、治療を開始/停止し、電圧レベル、パルスおよび/またはバースト繰り返し周波数、サイクル数、デューティ比、使用可能チャネルおよび遅延などを設定し、読み取り、高電圧源とは独立した高速時間スケールでパルス振幅を変調する能力、および/またはその他のサービス、診断または治療機能を可能にし、サポートし得る。
【0072】
[0078]実施形態によっては、治療サブシステムおよび/または増幅器などのそのコンポーネントは、組み込みコンピュータ処理機能をさらに含み得、システム間でネットワーク化、接続、アクセス可能、および/または取り外し可能/ポータブル、モジュラおよび/または交換可能とすることができ、および/または他のシステムから/他のシステムによって駆動/指令され、または様々な組み合わせとされ得る。他のシステムには、他の音響キャビテーション/組織破砕、HIFU、HITU、放射線治療、高周波、マイクロ波および冷凍アブレーションシステム、ナビゲーションおよび位置決めシステム、開腹手術、腹腔鏡、単一切開/単一ポート、内視鏡および非侵襲性手術ロボット、他のエネルギー式または視角システムを含む腹腔鏡タワーまたは手術タワー、手術用システムラックまたはブーム、イメージングカートなどが含まれる。
【0073】
[0079]実施形態によっては、1つまたは複数の増幅器が、クラスD増幅器と、マッチング回路コンポーネントを含む関連駆動回路とを含み得る。トランスデューサ素子電気インピーダンスとマッチング回路コンポーネント(例えば直列のインダクタL1と並列のキャパシタC1とからなるLC回路)の選択とに応じて、トランスデューサ素子を駆動するのに必要な高振幅電気波形を有するように、合成インピーダンスを積極的に低く設定することができる。クラスD増幅器の最大振幅は、駆動MOSFET/IGBTトランジスタ、マッチング回路コンポーネントまたはインダクタ、および変圧器または単巻変圧器を含む使用回路コンポーネントに依存し、典型的には低kV(例えば1kVから3kV)の範囲であり得る。
【0074】
[0080]治療トランスデューサ素子は、組織破砕治療にとって十分な圧力出力を発生するような振幅(電圧)の電気波形によって励起される。励起電界は、圧電素子の厚さによる必要波形電圧として定義され得る。例えば、1MHzトランスデューサで動作する圧電素子は、同等の500kHz素子の厚さの半分であるため、同じ電界および表面圧力を達成するために必要な電圧は半分になる。
【0075】
[0081]治療サブシステムは、様々な処置(および処置状況)での使用に対応する、様々な設計および動作パラメータの治療トランスデューサも含み得る。システムは、同様の方式または異なる方式のシステムの様々な態様とさらに互換性があり、連係可能な1つまたは複数の治療トランスデューサを備えて構成され得る(例えば、共通のインターフェースおよび交換機構を使用してロボットアームとインターフェースしてよく、または逆に、特定用途向けイメージングプローブと異なる方式で連係するように適応し、その場合、異なるイメージングプローブが明確に異なる方式で治療トランスデューサとインターフェースし、一体化し得る)。
【0076】
[0082]治療トランスデューサは、大きさ、形状(例えば矩形または円形、解剖学的な曲線状のハウジングなど)、幾何形状、焦点距離、素子数、素子の大きさ、素子の分布(例えば環状パターン形成トランスデューサのリング数、リングの大きさ)、周波数、使用可能電子ビームステアリングなどを含み得る様々なパラメータで構成され得る。トランスデューサは、様々な材料(例えば圧電体、シリコンなど)、フォームファクタおよび種類(例えば機械加工部材、チップベースなど)、および/または様々な製造方法で構成され得る。
【0077】
[0083]トランスデューサは、臨床用途(例えば腹部腫瘍、末梢血管障害、脂肪アブレーションなど)および所望の結果(例えば、介在組織の熱傷のない音響キャビテーション/組織破砕)のために設計され、最適化されることができ、比較的浅い標的および表面の標的(例えば甲状腺結節または乳房結節)と、中枢性肝腫瘍または脳腫瘍などのより深いかまたは到達しにくい標的とを含む、幅広い動作範囲を提供する。トランスデューサは、周波数、パルス繰り返し率、パルス、パルス数、パルス長、パルス期間、遅延、繰り返し、同期遅延、同期期間、同期パルス、同期パルス遅延、様々なループセット、その他およびこれらの置換を含むがこれらには限定されない、上述のシステムコンポーネント(例えば関数発生器および増幅器など)によって使用可能とされる様々なパラメータおよびそのセットの下で、音響キャビテーション/組織破砕を可能にするように構成され得る。トランスデューサは、ミセルまたはナノ構造の注入、留置または送達を含む様々な手段により、組織内に蓄積させた薬物ペイロードの活性化を可能にするようにも設計可能である。
組み込みイメージング
【0078】
[0084]本開示のシステムは、処置を評価し、計画し、実施し、必要に応じて治療パラメータを調整するために、ユーザが、患者の生体構造、関連関心領域および治療/処置部位と、周囲組織および介在組織のフィードバックを視覚化し、監視し、収集/使用することができるようにする、様々なイメージングモダリティを含み得る。イメージングモダリティは、様々な超音波、X線、CT、MRI、PET、蛍光透視、光学、造影または造影剤型、および/またはこれらの様々な組み合わせを含み得る。強化された視覚化およびユーザ意思決定を可能にするために、様々な画像処理および特性解析技術も使用可能であることがさらに開示される。これらは、ユーザによって手動で、またはシステムによって自動的に選択または指令され得る。システムは、処置中に、様々なシステムユーザインターフェースおよびディスプレイに表示される、イメージングを使用する様々な局面をユーザが識別、規定および通知することができるようにする、並置、トグル、重ね合わせ、3D再現、区分化、位置合わせ、マルチモーダル画像癒合、画像フロー、および/または任意の方法を可能にするように構成され得る。例としては、関心領域、器官系、器官または組織内、器官または組織上および/またはその周囲の考えられる治療部位の位置特定、表示および特性解析、腺管、血管、神経、尿管、裂溝、嚢、腫瘍、組織損傷/負傷/疾病、その他の器官、結合組織などの重要構造など、および/または、これらのうちの1つまたは複数の互いに対する関係(例えば、腫瘍排出リンパ節または脈管、または臓器嚢近傍の腫瘍または下にある他の器官)の識別が、非限定的な例として含まれ得る。
【0079】
[0085]システムを、オンボード組み込みイメージングハードウェア、ソフトウェア、センサ、プローブおよびウェットウエアを含むように構成することができ、および/または、外部イメージングシステムおよび画像処理システムと通信およびインターフェースするように構成することができる。上記のコンポーネントは、システムの治療サブシステムコンポーネントに組み込みことも可能であり、その場合、プローブ、イメージングアレイなどが治療トランスデューサに電気的、機械的、または電気機械的に組み込まれる。これは、治療が直接視野内にある状態で、場合によってはイメージングに沿って、幾何学的に位置合わせされたイメージングと治療とを有することができる機能を、部分的に提供し得る。実施形態によっては、この組み込みは、治療トランスデューサとの関係におけるイメージング機能(例えばイメージングプローブ)の固定した向きを含み得る。他の実施形態では、イメージング製品は、それ自体の位置を移動または調整することができてもよく、これには、能動的に撮像しながら動的に移動/調整することを含む、角度、伸長(例えば治療トランスデューサまたは患者からの距離)、回転(例えば、超音波プローブの例における撮像面)、および/またはその他のパラメータの修正が含まれる。イメージングコンポーネントまたはプローブは、治療トランスデューサおよび/またはロボット対応位置決めコンポーネントなどのシステムの別の面を基準にしてその向きおよび位置が決定され得るようにエンコードすることができる。
【0080】
[0086]一実施形態では、システムは、システムディスプレイおよびソフトウェアを介してユーザが処置部位の視覚化し、監視し、フィードバックを受け取ることができるようにするようにさらに構成されたオンボード超音波機構を含むことができ、これには超音波イメージングおよび特性解析(およびその様々な形態)、超音波誘導型計画および超音波誘導型治療をすべてリアルタイムで可能にすることが含まれる。システムは、ユーザが手動、半自動化または完全自動化手段で(例えば手またはロボット対応撮像装置を使用して)患者を撮像することを可能にするように構成され得る。
【0081】
[0087]実施形態によっては、イメージングフィードバックおよび監視は、他の形態のイメージング(例えばCTまたはMRI)による表示または他の形態のイメージングと統合されるものを含む、気泡雲からの後方散乱、後方散乱におけるスペックル減少、後方散乱スペックル統計、組織の力学的特性(すなわちエラストグラフィ)、組織潅流(すなわち超音波造影)、剪断波伝播、アコースティックエミッション、電気インピーダンストモグラフィ、および/またはこれらの様々な組み合わせの変化を監視することを含み得る。
【0082】
[0088]実施形態によっては、気泡雲からの後方散乱からのフィードバックおよび監視を含むイメージングを、組織破砕プロセスが開始されたか否か、適正に維持されているか否か、または停止されたか否かを即座に決定する方法として使用することができる。例えば、この方法は、薬物送達、組織侵食などをリアルタイムで連続的に監視することを可能にする。また、この方法は、組織破砕プロセスをより高い強度で開始し、大幅により低い強度で維持することを可能にするフィードバックも提供することができる。例えば、任意のトランスデューサまたは超音波撮像装置によって後方散乱フィードバックを監視することができる。治療トランスデューサのフィードバックを測定することによって、補助トランスデューサが呼びかけパルスを送出することができるか、またはキャビテーションを受動的に検出するように構成され得る。また、薬物送達および/または組織侵食プロセスを最適化するように音響パラメータ(および関連システムパラメータ)を調整するために、受け取ったフィードバックの性質を使用することができる。
【0083】
[0089]実施形態によっては、後方散乱およびスペックル減少からのフィードバックおよび監視を含むイメージングが、システムにおいて構成され得る。
【0084】
[0090]後方散乱によるフィードバックおよび監視を含むシステムの場合、および背景情報として、組織が徐々に機械的に細分され、言い換えると均質化され、破砕され、または侵食されるにつれて、このプロセスの結果として音響散乱のサイズと分散が変化する。このプロセスのある時点において、超音波がほとんど散乱しないレベルまで散乱粒度および密度が低減するか、または散乱量が大幅に減少する。この結果、コヒーレントな照明源、この場合、超音波が使用される場合に画像上に見られる光と暗いスポットとのコヒーレントな建設的干渉パターンと相殺的干渉パターンであるスペックルが、有意に減少する。ある程度の治療時間後、スペックル減少の結果として、治療体積内に暗い領域が生じる。スペックル減少の量は組織細分化の量と関係しているため、残存組織断片の大きさに関係付けられ得る。このサイズが細胞以下レベルまで縮小すると、残存している細胞がないとみなされる。したがって、所望のスペックル減少レベルに達するまで治療が進行し得る。スペックルは、標準超音波イメージングシステム上で容易に観察され、評価される。後方散乱の変化を評価するために、本明細書に記載のものを含む専用トランスデューサおよびシステムも使用可能である。
【0085】
[0091]また、スペックルによるフィードバックおよび監視を含むシステムの場合、および背景情報として、散乱分布が変化せず、被写体の動きがない限り、画像がフレーム間で持続し、変化がきわめて少ないことがある。しかし、散乱の大きさがスペックル減少を生じさせるのに十分に縮小されるかなり前に、散乱は信号処理およびその他の手段によって検出されるのに十分に変化し得る。この系統の技術は、スペックル統計の変化の検出器として機能し得る。例えば、観察可能なスペックル減少が起こる前に、画像中の1つまたは複数のスペックルの大きさと位置の相関が失われ始める。スペックル無相関は、適切な動き補正後、組織の機械的破砕の感度の高い測定基準、したがって治療有効性の測定基準となり得る。このフィードバックおよび監視技術は、音響キャビテーション/組織破砕プロセスの結果としての変化の早期観察を可能にし、大幅なまたは完全な組織効果(例えば侵食の発生)の前に、組織における変化を特定することができる。一実施形態では、この方法は、治療部位/組織が経時的に破砕され、組織損傷/侵食が望まれない、高度な薬物送達のための音響キャビテーション/組織破壊プロセスを監視するために使用され得る。他の実施形態では、これには、次第に流体化する治療体積における散乱の動きによるスペックル無相関が含まれ得る。例えば、部分的または完全な組織侵食が望まれる場合である。
【0086】
[0092]エラストグラフィによるフィードバックおよび監視を含むシステムの場合、および背景情報として、治療部位/組織が音響キャビテーション/組織破砕効果によりさらに細分化(均質化、破砕または侵食)されると、その力学的特性が、柔らかいが互いにつながった固体から、遠距離相互作用がほとんどない粘性流体またはペースト状に変化する。力学的特性のこのような変化は、MRIおよび超音波イメージングシステムを含む様々なイメージングモダリティによって測定可能である。例えば、超音波パルスを使用して組織の局在体積上に力(すなわち放射圧)を生じさせることができる。この組織反応(変位、歪みおよび速度)は、組織破砕治療中に有意に変化し得、組織破砕の状態をイメージングまたはその他の定量的手段により判断することを可能にする。
【0087】
[0093]システムは、剪断波伝播の変化によるフィードバックおよび監視も含み得る。背景情報として、組織の細分化は、組織をより流体化し、より固形状でなくし、流体系は一般に剪断波を伝播させない。したがって、組織の流体化の程度によって、組織破砕プロセスのフィードバックと監視の機会が与えられる。例えば、剪断波の伝播を観察するために超音波およびMRIイメージングシステムを使用することができる。治療体積におけるこのような波の消失が、組織破壊または破砕の測定基準として使用される。システムの一実施形態では、相互作用する剪断波を発生させ、測定するために、システムとサポートサブシステムとを使用することができる。例えば、2つの隣接した超音波焦点は、組織を特定の仕方で押すことによって組織に摂動を与える場合がある。隣接し合う焦点が流体にある場合、互いに相互作用するように伝播する剪断波はない。組織が流体化されていない場合、例えば、その消失が組織損傷と相関する2つの剪断波が非線形に相互作用する場合にのみ検出される異なる周波数により、外部手段を使用して相互作用が検出されることになる。したがって、システムは、音響キャビテーション/組織破砕処置のフィードバックおよび監視を強化するためにこのモダリティを使用するように構成され得る。
【0088】
[0094]アコースティックエミッションによるフィードバックおよび監視を含むシステムの場合、および背景情報として、組織体積が細分化されるにつれて、それが音響キャビテーション/組織破砕に与える影響(例えばここでは気泡雲)が変化する。例えば、気泡が大きくなり、異なる寿命を有し、潰れて、無傷の組織と流体化した組織とで特性を変化させ得る。気泡は、組織が細分化された後でも移動し、相互作用することができ、より大きな気泡、または気泡間の共同的相互作用を生じさせ、これらすべての結果としてアコースティックエミッションが変化する。このようなエミッションは治療時に聞くことができ、治療中に変化する。このような変化と、変化と治療効果との相関関係の分析が、治療の進捗状況の監視を可能にし、システムの機能として構成され得る。
【0089】
[0095]電気インピーダンストモグラフィによるフィードバックおよび監視を含むシステムの場合、および背景情報として、治療部位全体の空間的電気特性に基づいて治療部位のインピーダンスマップを作成することができる。皮膚表面の電気測定を行うことにより、患者の治療部位の導電率または誘電率のイメージングを推定することができる。患者の皮膚に導電電極を取り付け、電極のうちのいくつかまたは全部に微小交流電流を印加する。この表面に1つまたは複数の既知の電流が注入され、電極を使用して複数の点で電圧が測定される。印加電流の異なる設定についてこのプロセスを繰り返すことができる。結果の画像の解像度は、採用する電極の数を変えることによって調整可能である。インピーダンスマップから皮膚表面内の治療部位の電気特性の測定量を求めることができ、システムおよびサポートサブシステムの構成に従ってこれを使用して音響キャビテーション/組織破砕(例えば具体的には気泡雲)の変化および場所と、組織破砕プロセスとを監視することができる。
【0090】
[0096]ユーザは、さらに、(画像上の)様々な関心領域または治療部位、および画定された治療標的を選択、注釈、マーク、強調および/または輪郭付けすることができるようにされてよく、これらはシステムに、撮像、試験および/または治療する場所をシステムソフトウェアとユーザインターフェースおよびディスプレイとを介して指令および指示するために使用することができる。構成によっては、ユーザは処置を行うために手動超音波プローブ(例えば診断用手持ち型プローブ)を使用し得る。別の構成では、システムは、指示された、および/またはシステムによって自動化された処置を行うためにロボットおよび/または電気機械式位置決めシステムを使用することができるか、または逆に、システムが手動使用と自動化使用の組み合わせを可能にし得る。
【0091】
[0097]システムは、治療部位(例えば、腫瘍、重要構造、骨解剖学的構造、解剖学的構造およびこれらの特徴の特定など)を含む、患者に対するシステムのナビゲーションおよび位置特定を可能にするための撮像および画像データセット位置合わせを含む、画像位置合わせを行う能力をさらに含み得る。一実施形態では、システムは、ユーザが、組み込み超音波を使用して関心領域、例えば肝臓を撮像および特定し、システムソフトウェアを介して/システムソフトウェアにおいて表示された肝臓内に含まれる腫瘍(またはその代理マーカ)を選択およびマークすることができるようにし、その際、上記システムは、システムによって規定され、システムの治療およびロボットサブシステムが上記マークされた腫瘍に対して同期された音響キャビテーション/組織破砕を行うことをさらに可能にする、座標系に画像データを位置合わせする。システムは、上記で開示したものを含む様々な画像セットを互いに位置合わせするとともに、(例えば、CTまたはMRI/超音波融合画像への治療トランスデューサおよびロボットサブシステム追跡による、上記画像への治療トランスデューサの)ナビゲーションと位置特定とを提供する能力をさらに含み得る。
【0092】
[0098]システムは、様々な介入、内視鏡および手術環境において動作する能力も含むことができ、これには、単独動作および他のシステム(手術/腹腔鏡タワー、視覚システム、内視鏡システムおよびタワー、超音波使用可能内視鏡超音波(可撓性および剛体)、経皮/内視鏡/腹腔鏡および低侵襲ナビゲーションシステム(例えば、光学、電磁、形状検知、超音波使用可能など)との共同が含まれ、これらも様々な光学イメージング機能(例えばファイバおよび/またはデジタル)と連係するかまたは含むことができる。本開示のシステムは、これらのシステムと連係するように構成可能であり、実施形態によってはそれらのシステムと並置されて連係し、または他の実施形態では、システムの全部または一部(例えば音響キャビテーション/組織破砕使用可能内視鏡システムまたは腹腔鏡手術ロボット)が上記のシステム/プラットフォームに組み込まれてもよい。これらの環境の多くにおいて、例えば光学誘導型内視鏡/気管支鏡の使用時または使用前後、または別の実施例として腹腔鏡ロボット(例えば、Intuitive Da Vinch*Xiシステム)が組織/治療部位を観察/操作しているときに、治療トランスデューサを使用することができる。また、これらの環境および実施例は、通常の状況では存在し得ない(例えば、非侵襲性経胸腔治療による音響キャビテーション/組織破砕に備えて肺の一画または一葉を流体化する)人工音響窓の作成を可能にするために、上記他のシステム/プラットフォームが(局所的に)流体を送り込むために使用される場合を含み得る(例えば患者の上/周囲に外部から配置されたトランスデューサ)。本明細書で開示されているシステムは、本明細書に記載の他のシステムカート/コンソール/システム内にパッケージ化された、そのサブシステムハードウェアの全部または一部も含み得る(例えば、上記ナビゲーションまたは腹腔鏡システムから組み込まれ操作される音響キャビテーション/組織破砕システムおよび/またはサブシステム)。
【0093】
[0099]システムは、様々な上記のパラメータおよびその他のパラメータによって、組織/気泡雲相互作用による治療中/治療後の結果の組織効果を含む、気泡雲のリアルタイム視覚化を時空間的に表示するようにも構成可能であり、その場合、システムは気泡雲とその変化(例えばエコー輝度の低下および上昇)とを動的に撮像、視覚化および表示することができ、これには強度、形状、サイズ、場所、形態、持続性などが含まれ得る。これらの機能は、ユーザが治療を、1つの統合された処置およびインターフェース/システムにおいてリアルタイムで連続して追跡し、辿ることができるようにし、治療の安全性および有効性をその場で確認することができるようにし得る(これは、同じことを実現するために複数の処置を必要とするかまたは治療効果をリアルタイムで見ることができない(例えば放射線治療)か、またはそのようなことが実現不可能であるか(例えば熱アブレーション中の局所組織のリアルタイム視覚化)、および/または他の処置がさらなる侵襲性手法(例えば切開または穿刺)および処置ステップ間でスキャナにおいて反復撮像(CTまたはMRIスキャニング)を必要とする、他の介入または手術モダリティとは対照的である)。上記開示のシステム、サブシステム、コンポーネント、モダリティ、機構およびワークフロー/使用方法は、ハードウェア、ソフトウェア、ユーザインターフェースおよび使用環境を使用可能にすることにより無制限な方式で実装可能であり、この分野における将来の改良、増強、および発明は、その結果のデータと、分析、人工知能またはデジタル健康用途およびシステムのためにそのデータを使用する手段とともに、本開示の範囲に含まれるものとみなされる。
【0094】
ロボット
[0100]システムは、音響キャビテーション/組織破砕を実施および監視するために、システムの他のサブシステムまたはコンポーネントとさらに共働し得る、1つまたは複数のロボットアームおよびコントローラを含むがこれらには限定されない、様々なロボットサブシステムおよびコンポーネントを含み得る。本明細書で上述したように、ロボットアームおよび制御システムは、1つまたは複数のカート構成に組み込まれ得る。
【0095】
[0101]例えば、システムの一実施形態は、組み込みロボットアームと制御システムとを備えたカートと、治療、組み込みイメージングおよびソフトウェアとを含み得、ロボットアームおよびその他の列挙されているサブシステムは、単一のベッドサイドカートのフォームファクタによりユーザによって制御される。
【0096】
[0102]他の実施形態では、ロボットサブシステムは、別個のマスターまたはカートからマスター/スレーブ構成で駆動され得る1つまたは複数の別個のカートにおいて構成されることができ、その場合、ロボット対応カートはベッド/患者の傍に配置され、マスターは上記カートから距離をおいた場所にある。
【0097】
[0103]開示のロボットアームは、複数の関節と、区画と、自由度とからなることができ、様々な使用および安全機能のために実装された様々な組み込みセンサの種類およびエンコーダも含み得る。検知技術およびデータには、一例として、視覚、電位差計、位置/位置特定、運動、力、トルク、速度、加速度、および/または動的ローディングなどが含まれ得る。場合によっては、ユーザがロボットコマンド(例えば、ロボットを好ましいセットアップ位置にし、または定位置に格納する手振り)を指示するためにセンサが使用され得る。ロボットアームに関するさらなる詳細は、Kassowらの米国特許公開第2013/0255426号に記載されており、参照によりその全体が本明細書で開示される。
【0098】
[0104]ロボットアームは、カートに収容可能なロボット制御システムから制御信号とコマンドを受信する。システムは、位置、追跡、パターン、トリガおよびイベント/アクションを含むがこれらには限定されない、様々な機能を提供するように構成され得る。
【0099】
[0105]位置は、固定位置、パレット位置、時間制御位置、距離制御位置、可変時間制御位置、可変距離制御位置を含むように構成され得る。
【0100】
[0106]追跡は、時間制御追跡および/または距離制御追跡を含むように構成され得る。
【0101】
[0107]移動のパターンは、中間位置または中間点と、空間内の画定された経路を通る一連の位置とを含むように構成され得る。
【0102】
[0108]トリガは、本明細書で開示されているものと、視覚/イメージング式、力、トルク、位置特定、エネルギー/パワーフィードバックおよび/またはその他を含むがこれらには限定されない、距離測定手段、時間、および/または様々なセンサ手段を含むように構成され得る。
【0103】
[0109]イベント/アクションは、近接方式(標的物に対する接近/離隔)、様々なエンドエフェクタ(例えば治療トランスデューサ)の起動または停止、上記イベントの開始/停止/中断シーケンス、イベント/アクションのトリガまたはトリガの切り替え、移動のパターンの開始、移動のパターン間の変更/トグル、および/または、規定された作業および時空間にわたる時間ベースまたは時間的イベント/アクションを含む、様々な例を含むように構成され得る。
【0104】
[0110]一実施形態では、システムは、ユーザが(システムのソフトウェアおよび関連ユーザインターフェースを介して)治療トランスデューサをX、YおよびZ座標系によりマイクロ位置決めを行うことができるようにすることを可能とされた、3自由度ロボット位置決めシステムを含み、トランスデューサの粗マクロ位置決め(例えばトランスデューサを患者の身体に位置合わせする)は手動で行われる。実施形態によっては、ロボットは、X、Y、Zとピッチ、ロールおよびヨーを含む6自由度を含み得る。他の実施形態では、ロボットサブシステムは、ロボットアーム支持基部を患者面のおおよその方向に並行な線形軸に沿って位置決めすることができるようにし、および/または支持基部の高さを上方または下方に調整することができるようにし、それによってロボットアームの位置を患者、患者面、カート、結合サブシステム、追加のロボット/ロボットアーム、および/または、手術タワー、イメージングシステム、内視鏡/腹腔鏡システムなどを含むがこれらには限定されない追加の手術システムを基準にして修正することができるようにする、さらなる自由度を含み得る。
【0105】
[0111]1つまたは複数のロボットアームは、手動または半手動でアーム位置を操作および修正するのを支援する様々な機構も含み得、この機構は治療トランスデューサとロボットアームの最遠端関節の上またはその間でインターフェースし得る。実施形態によっては、この機構は、1つまたは複数の手による操作および手動制御を可能にするハンドルを含むように構成される。ハンドルは、アームの大まかな位置決めまたは微細位置決めを支援するようにロボットを作動させるために、様々な駆動機能またはモードを指令する(例えば自由駆動モードを起動または停止させる)ロボットアームのユーザ入力および電子制御機構を含むようにも構成され得る。治療トランスデューサがアームに直接インターフェースした状態で、まず治療トランスデューサ/ヘッドを結合溶液中で位置決めすることを可能にするか、または異なるワークフローにおいて、ユーザがまず結合溶液をセットアップすることができるようにし、後の/最終のセットアップステップとしてロボットアームが治療トランスデューサ/結合溶液とインターフェースすることができるようにするように、ロボットアームおよび治療ヘッドの初期位置決めのためのワークフローを構成することができる。
【0106】
[0112]実施形態によっては、ロボットアームは、腹腔鏡、単一ポート、内視鏡、これらのハイブリッドまたは組み合わせ、および/またはその他のロボットのロボットアームを含むことができ、システムの上記ロボットは上記アームを制御するマスターのスレーブとすることができ、場合によっては、1つまたは複数の腹腔鏡アーム(および計器)および様々な組織破砕システムコンポーネントを作動させることを含む、他のタスク(視覚、撮像、把持、切断、結紮、封着、閉鎖、ステープリング、アブレーション、縫合、マーキングなど)を並行して実行するように装備された複数の他のアームであってもよい。例えば、より理想的な音響アクセスを提供するように器官位置を操作することと、場合によっては呼吸運動を最小限にするように上記器官をさらに安定させることとを含む、手術部位の準備をするために、腹腔鏡ロボットを使用することができる。これと連動し、並行して、治療トランスデューサからのリアルタイム撮像(例えば超音波)の下で、腹腔鏡カメラによる同時視覚化とにより観察しながら、体腔を通して非侵襲性音響キャビテーションを実施するために、第2のロボットアームを使用することができる。他の関連態様では、内視鏡手法と非侵襲性手法の組み合わせ、さらには内視鏡と腹腔鏡と非侵襲性手法との組み合わせとともに、同様の手法が使用され得る。
【0107】
ソフトウェア
[0113]システムは、ユーザが多くの臨床用途のためにシステムと対話し、制御し、使用することができるようにする、様々なソフトウェアアプリケーション、機構およびコンポーネントを含み得る。ソフトウェアは、システムの治療、組み込みイメージング、ロボットおよびその他のコンポーネント、補助機構および付属物を含むがこれらに限定されないサブシステムのうちの1つまたは複数と通信し、連係することができる。
【0108】
[0114]全体として、特定の重要度順序なく、ソフトウェアは、システムを初期設定し、セットアップし、システムにサービス提供し、データの通信/インポート/エクスポート/記憶を行い、ユーザによる様々な設定およびパラメータの変更/操作/構成/制御/指令を行い、安全およびユーザに関連する危険を低減し、処置を計画し、トランスデューサ、ロボットアーム、および駆動システムの様々な構成、関数発生器および増幅器回路/スレーブ、試験および治療超音波シーケンス、トランスデューサのステアリングおよび位置決め(電気機械および電子ビームステアリングなど)、治療パターン、イメージングおよびイメージングプローブのためのサポート、その手動および電気機械式/ロボット式移動、処置および治療部位内またはその周囲の様々な寸法(例えば1つの解剖学的部位から別の部位までの深度など)の測定/特性解析のための撮像サポート、原位置治療部位特性および状態(例えば音響キャビテーション/組織破砕閾値およびその異質性)の測定/特性解析のための治療前診断およびプロトコル、標的合わせおよび標的位置合わせ、キャリブレーション、マーキング/注釈、位置特定/ナビゲーション、位置合わせ、誘導、ワークフローの提供およびガイド、処置ステップ、治療計画およびプロトコルの自律的実行、自律的、および目視のための様々な視野および観察視点を含むソフトウェアによる表示に従ったリアルタイム撮像を使用して直接観察および目視しながらの自律的な実行、通信ツール(ビデオ、音声、共有など)、トラブルシューティング、指示、警告、警報の提供、および/または様々なネットワーキングデバイスおよびプロトコルを介した通信にサポートを提供する、機構およびサポートを提供し得る。また、ソフトウェアユーザインターフェースおよびサポートディスプレイが、ユーザがシステムとユーザフレンドリーに効果的に対話することを可能にする様々なボタン、コマンド、アイコン、グラフィクス、テキストなどを含むことができ、これらが非限定的な数の置換、レイアウトおよびデザインで提示され、複数のディスプレイ(例えばタッチスクリーンモニタとタッチパッド)を含むことができ、および/または1つまたは複数の外部ディスプレイまたはシステム(例えば、別のロボット、ナビゲーションシステム、システムタワー、コンソール、モニタ、タッチディスプレイ、モバイルデバイス、タブレットなど)とネットワーク化可能な、システムのための類似または異なる方式または機構セットで表示され得ることもさらに構想される。
【0109】
[0115]ソフトウェアは、1つまたは複数のコンピュータプロセッサを含む代表的なシステムの一部として、様々な上記の関数発生器(例えばFPGA)、増幅器、電源および治療トランスデューサをサポートし得る。ソフトウェアは、ユーザが音響キャビテーション/組織破砕のための様々なパラメータおよび設定を選択、決定および監視することを可能にするように構成されることができ、パフォーマンスおよび状態に関するフィードバックの観察/受領時に、ユーザが上記パラメータおよび設定を停止/開始/変更することができるようにし得る。
【0110】
[0116]ソフトウェアは、ユーザが複数のトランスデューサのリストまたはメニューから選択することができるようにし、上記トランスデューサがシステムに接続されると上記トランスデューサの自動検出(および選択されたアプリケーションに基づく適切なシーケンスおよびパラメータ設定の検証)をサポートするように構成され得る。他の実施形態では、ソフトウェアは、特定のトランスデューサ選択に基づいて標的合わせおよび増幅器設定(例えばチャネル)を更新することができる。ソフトウェアは、治療前入力および計画入力に基づいてトランスデューサ推奨も提供し得る。逆に、ソフトウェアは、上記治療トランスデューサ、増幅器および/または関数発生器の選択またはパラメータが誤っているか、不良または傷害を引き起こす場合、ユーザにエラーメッセージまたは警告を与え得る。これには、その詳細および場所を報告することがさらに含まれ得る。
【0111】
[0117]上記に加えて、ソフトウェアは、ユーザがリストまたはメニューから治療シーケンスおよびプロトコルを選択することと、選択されたおよび/または前に選択されたシーケンスおよびプロトコルを特定の臨床使用または患者プロファイルに関連付けて記憶することとを可能にするように構成され得る。関連プロファイルは、任意の関連付けられた患者、処置、臨床データおよび/または技術データを含むことができ、(例えば新たな治療を構築し、ガイドするためのシリアルデータセットを使用して)意思決定支援としてであるか処置自体の能動的一部としてであるかを問わず、現在または将来の治療または処置/介入を通知、修正および/またはガイドするために使用され得る。
【0112】
[0118]計画の一部として、または治療中に、ソフトウェア(システムの他のコンポーネントと連係して)は、音響キャビテーション/組織破砕を達成し、維持し、動的に制御すべく、治療パラメータが確実に最適化されるようにユーザ選択関心領域または定義済み治療範囲/体積全体の最小キャビテーション閾値を決定するために、ユーザが、上記領域または範囲/体積の様々な部位における音響キャビテーション/組織破砕閾値を評価および試験することができるようにし得る。一実施形態では、システムは、ユーザが様々な点における閾値パラメータを手動で評価し、試験することができるようにする。これらの点は、選択された関心領域および治療範囲/体積の画定された境界、境界の内部、および部位/位置の中心にある点を含み得、結果の閾値測定値がユーザに対して報告/表示されるとともに、治療の前に治療パラメータを更新するために使用することができる。別の実施形態では、システムは、上記のロボットサブシステムによって使用可能にされる自動閾値測定および更新を可能にするように構成されることができ、その場合、ユーザがロボットに指示することができるか、またはロボットが測定を自律的に実行するように指令され得る。
【0113】
[0119]ソフトウェアは、コンピュータプロセッサおよび1つまたは複数の関数発生器、増幅器、治療トランスデューサと連係することによって、最適化された音響キャビテーション/組織破砕を選択された範囲/体積全体において実施し、位置決めする様々な置換を可能にするように構成され得る。これには、純粋に電気機械式位置決め構成を使用した固定/自然焦点配置、(電気機械式位置決めを使用した、または使用しない)電子ビームステアリング、さらなる電気機械式位置決めによる新たに選択された固定焦点への電子ビームステアリング、横方向(XおよびY)電気機械式位置決めによる軸方向(Z軸)電子ビームステアリング、横方向電気機械式位置決めによる高速軸方向電子ビームステアリング、3D空間における高速ビームステアリング、閾値測定値に基づいて治療パラメータを更新する上述の機能に基づく1つまたは複数の音響キャビテーション/組織破砕パラメータの動的変更(例えば治療範囲/体積全体の振幅の動的調整)を含むこれらの様々な組み合わせを備えて構成されたシステムが含まれ得るが、これらには限定されない。
その他のコンポーネント、補助機構および付属物
【0114】
[0120]システムは、コンピュータ、コンピュータプロセッサ、高電圧電源を含む電源、コントローラ、ケーブル、コネクタ、ネットワークデバイス、セキュリティ、通信、病院情報システムを含む情報システムへの組み込みのためのソフトウェアアプリケーション、セルラ通信デバイスおよびモデム、手持ち型有線または無線コントローラ、高度視覚化用ゴーグルまたは眼鏡、拡張現実または仮想現実アプリケーション、カメラ、センサ、タブレット、スマートデバイス、電話、物のインタネット対応機能、特殊用途「apps」またはユーザトレーニング資料およびアプリケーション(ソフトウェアまたは紙ベース)、バーチャルプロクタまたはトレーナ、および/またはその他の対応機構、デバイス、システムまたはアプリケーション、および/または上記を使用する方法を含むがこれらには限定されない、様々なその他のコンポーネント、補助機構および付属物を含み得る。
システム変形態様および方法/アプリケーション
【0115】
[0121]広範囲な処置を行うことに加えて、システムは、ユーザを支援するための強化された計画、イメージングおよびガイダンスなどの追加の利点を可能にし得る。一実施形態では、システムは、ユーザが、患者、標的および用途固有の治療計画を作成することを可能にすることができ、その場合、システムは、計画時にシステムへのフィードバックに基づいて治療パラメータを最適化するように構成されることができ、計画は、システムおよび計画への特定の入力を収集するために様々な試験プロトコルを実行する機能をさらに含み得る。
【0116】
[0122]フィードバックは、様々なエネルギー、パワー、部位、位置、組織および/またはその他のパラメータを含み得る。
【0117】
[0123]システムおよび上記のフィードバックは、処置中のリアルタイム撮像の下で視覚化された、最適化された治療計画およびプロトコルの実施を自律的に(およびロボットにより)実行するようにさらに構成され、使用されることができ、それによってユーザが、治療の進行中に局所的治療組織効果を直接観察し、ユーザの裁量で治療を開始/停止/変更することができるようにする。試験と治療プロトコルの両方は、処置の間に、ユーザの裁量で、または実施形態によっては、システムに組み込まれた論理に基づいて、更新され得る。
【0118】
[0124]また、これらの利点の多くは、高密度焦点超音波(HIFU)、沸騰組織破砕(熱キャビテーション)を含む高密度治療超音波(HITU)を使用した熱アブレーションを含む他の形態の音響治療をさらに向上させることができ、本開示の一部とみなされることも理解されたい。本開示は、ミセル、ナノ構造または同様の保護構造における保護に起因して、または音響エネルギーが当てられたときにのみ活性化を可能にする分子配列により、活性が不活性である、事前に送達された不活性薬物ペイロードを活性化する手段としての組織破砕の応用も考慮する。
【0119】
[0125]別の態様では、部分的に、1つまたは複数の増幅器と、トランスデューサと電源とを含む治療サブシステムが、複数の音響キャビテーションおよび組織破砕駆動機能を可能にし、用途、方法および/または患者固有の使用に基づいて特定の利点を提供するように構成され得る。これらの利点には、より多くのエネルギーをより望ましい熱プロファイルと高速化された治療速度と短縮された処置時間で送り込むことを可能にし、電子ビームステアリングおよび/またはその他の機能を可能にし得る、治療パラメータのより優れた最適化および制御を行う機能が含まれるが、これには限定されない。
【0120】
[0126]本開示は、複数の駆動手法(例えば単一および複数サイクルパルス供給)を可能にし得る新規な「汎用」増幅器を含むシステムおよびサブシステムに関する新規なシステムおよび概念も含む。実施形態によっては、これには、電気安全性またはその他の危険(例えばトランスデューサおよび/または増幅器回路の損傷)に関してシステムおよびユーザをさらに保護するための様々な新規な機能が含まれ得る。
【0121】
[0127]別の態様では、システムおよび治療サブシステムは、多くの治療トランスデューサを含み得、これらの治療トランスデューサは、特定の用途および使用向けに構成され、広範囲な動作パラメータ(標的サイズ、深度、部位など)にわたる治療に対応することができ、広範囲な動作仕様(以下で詳述)を含み得る。トランスデューサは、ロボット対応システムおよび結合サブシステムにさらに適応し、インターフェースし、接続することができ、トランスデューサを音響結合デバイス内に、または音響結合デバイスに並置して配置することを可能にし、それによって、多くの実施形態において適切な音響窓を通した同時撮像および組織破砕治療を可能にする。音響キャビテーション/組織破砕の組織効果および気泡雲は、治療全体を通して、上記治療内でのその部位(例えば、腫瘍、周囲の健常組織、重要構造、脂肪組織など)に応じて外見および強度が変化する場合もしない場合もあり得るため、治療トランスデューサは、治療部位内のトランスデューサの位置を表示し、決定することが可能で、治療部位の直接視野(またはその表現)を提供することが可能な、組み込みイメージングプローブまたは位置特定センサも含むことができる。
【0122】
[0128]本明細書で開示するシステム、方法およびシステムの使用は、軟組織アブレーション、腫瘍学、免疫腫瘍学、高度画像誘導型処置、開腹、腹腔鏡、単一切開、自然孔、内視鏡、非侵襲性、これらの様々な組み合わせを含むがこれらには限定されない手術処置、血管のカテーテル式処置のための様々な介入空間、心臓血管、肺および/または神経頭蓋関連空間、美容/審美、代謝(例えば2型糖尿病)、形成および再建、眼球および眼科、整形外科、婦人科および男性医療の分野、および、罹患、負傷、無用な、または健常な組織、器官または細胞の治療のためのその他のシステム、デバイスおよび方法における満たされていない必要を克服するのに有益となり得る。
【0123】
[0129]治療時間を短縮し、有効性を向上させ、患者に送り込まれるエネルギー量および集束前組織加熱を低減することができる、組織内治療パターンを向上させるためのシステムおよび方法も提供される。
【0124】
使用環境
[0130]開示のシステム、使用方法、システムの使用は、麻酔などの様々なサポートシステムの有無を問わず多くの環境および状況において実施可能であり、これには、処置室、手術室、ハイブリッドルーム、入院および外来患者設備、通院設備、イメージングセンター、X線写真、放射線治療、腫瘍学、外科および/または任意の医療センター、および診療所、移動医療センターまたはシステム、自動車および関連車両(例えばバン)、航空機および船舶などの航空輸送手段および海上輸送手段、および/または一時的治療処置支援の提供が可能な任意の構造体(例えばテント)が含まれるがこれらには限定されない。場合によっては、本明細書で開示されているシステムおよび/またはサブシステムは、他の環境への組み込み機構、例えばMRIスキャナまたは患者面/ベッドへの組織破砕治療サブシステムの直接組み込みとして提供されることもでき、その場合、最小限、治療発生器とトランスデューサとがそれに組み込まれ、他の場合には、組織破砕構成はロボット位置決めシステムをさらに含み、ロボット位置決めシステムもスキャナ、またはベッド周りの設計に組み込まれ得る。
【0125】
結合
[0131]システムは様々な結合サブシステム実施形態を含んでもよく、それらは超音波視覚化と音響キャビテーション/組織破砕とのための効果的な音響アクセスを提供するために患者への音響結合を可能とする(例えばトランスデューサと患者との間に音響窓および音響媒質と、その支持を設ける)ように使用可能とされ、構成される。結合サブシステムは、開放および密閉デバイス溶液と、音響媒質の(例えば、温度、溶存ガス濃度、微粒子濾過レベル、滅菌、量、組成などの)動的制御を可能にするように構成可能ないくつかの機構とを含む、結合サブシステムの異なるフォームファクタを含み得る。このような動的制御コンポーネントは、(カート内の)システムに直接組み込み可能であり、またはシステムと一時的/断続的または連続的に通信可能であるが、外部の別個のデバイスおよび/またはカートに位置してもよい。
【0126】
[0132]結合サブシステムは、典型的には、最低限、結合媒質(例えば、脱気水または水溶液)と、上記結合媒質を収容する貯蔵器/容器と、支持構造体(他の表面またはデバイスとのインターフェースを含む)とを含む。ほとんどの実施形態において、結合媒質は水であり、水は、処置前または処置中に調整され得る(例えば冷却、脱気、濾過など)。システムの構成とその使用目的/用途とに基づいて、様々な調整パラメータが採用され得る。
【0127】
[0133]貯蔵器または媒質容器は、様々な大きさと形状、および患者に適応する/沿うような形態および形状とされ、治療トランスデューサが、画定された所要作業空間(治療トランスデューサが位置づけられ、および/または1つまたは複数の治療位置またはパターンを通り、患者からの様々な離隔位置および深度などで移動することができるようにする媒質の最低容積)に従って音響媒質内にはめ込まれ/アクセスし、機能することができるように形成され、形状とされることができ、上記貯蔵器または媒質容器は、機械的および/または電気機械的支持構造を使用して荷重および荷重の分散を機械的に支持することもできる。代表例として、これには支持フレームが含まれ得る。容器は、様々な形状、大きさ、曲率、および寸法のものであってよく、様々な材料組成(単一、複数、複合材料など)からなってよく、これらは全体にわたって異なっていてもよい。実施形態によっては、容器は、挿入可能および取り外し可能、および/または内部に組み付けられ得るフィルム、覆布、膜、蛇腹などの機構を含んでもよく、患者に沿うように、および容器内に媒質を閉じ込め/収容するのに有用であるように使用可能である。容器は、様々なセンサ(例えば量/充填レベル)、排出管(例えば注入口/排出口)、ライト(例えばLED)、マーキング(例えば充填ライン、設定向きなど)、文字(例えばラベルなど)などをさらに含み得る。
【0128】
[0134]一実施形態では、貯蔵器または媒質容器は密封可能フレームを収容しており、患者との界面として(後で治療ヘッド/治療トランスデューサを含む)貯蔵器と接触し、さらに、患者と治療トランスデューサとの間の媒質(例えば水)にバリアを与える、コンフォーマルな手段を提供するようにその内部に膜および/またはフィルムが配置され得る。他の実施形態では、膜および/またはフィルムは、開口部を含んでもよく、開口部の患者接触縁は患者に対して流体/機械的密封を与えるが、その一方で患者との直接的な媒質連通(例えば患者との直接的脱気水界面)を可能にする。これら両方の実施例における貯蔵器または媒質容器の上部構造は、(例えばこぼれを防ぐため、または追加の機構を提供するための)開放または密閉される構造の近位部(例えば上部)をさらに提供し得る。
【0129】
[0135]開示の膜は、様々なエラストマー、粘弾性ポリマー、熱可塑性プラスチック、熱可塑性エラストマー、熱硬化性ポリマー、シリコーン、ウレタン、硬質/軟質コポリマー、ブロックコポリマー、ランダムブロックコポリマーなどからなり得る。材料は、親水性、疎水性、表面改質、コーティング、抽出材料などとすることができ、性能、外見、または安定性を増強するための様々な添加物も含み得る。実施形態によっては、熱可塑性エラストマーはスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)またはその他の同様の強い軟質のエラストマーとすることができる。膜のフォームファクタは、平坦であるか、または使用前に事前成形可能である。他の実施形態では、膜は非弾性(例えば凸形状)であり、組織にトランスデューサを音響結合するために患者の皮膚に押し付けられてもよい。さらに、適正なレベルの超音波結合を維持するために膜上の汚染物質(例えば微粒子など)のレベルを制御するためのシステムおよび方法が開示される。微粒子または汚染物質が多過ぎると、超音波の散乱を生じさせる可能性がある。これは、汚染に対して保護するための膜の外表面上の取り外し可能フィルムまたはコーティングを使用して実現可能である。
【0130】
[0136]上記の材料は、成形、一体成形、熔射、超音波熔射、押出加工および/または有用な実施形態を製作する任意のその他の加工法により、有用な膜として形成され得る。膜は、使い捨てまたはリポーザブル/再使用可能とすることができる。膜は、非殺菌、無菌洗浄、または無菌で提供されてよく、殺菌は、エチレンオキシド、ガンマ、電子ビーム、高圧蒸気殺菌、蒸気、過酸化物、プラズマ、化学殺菌などを含むがこれらには限定されない、任意の既知の方法を含み得る。膜は、結合サブシステムの組み付け、設定および撤去を含む取り扱い時に膜に機械的安定性をもたせるように外側成形またはオーバーモールドフレームをさらに備えて構成され得る。厚さ、厚さプロファイル、密度、配合(例えば高分子量およびコポリマー比率、添加剤、可塑剤など)を含む膜の様々なパラメータは、この使用法のために最適化されることができ、これには、キャビテーション開始閾値への影響、および/または、膜の反射を含むがこれには限定されない超音波イメージングアーチファクトを最小限にすることを含む、特に音響伝達特性を最大化するための最適化が代表例として含まれる。
【0131】
[0137]開放型貯蔵器または媒質容器は、場合によっては水の所定の仕様(例えば温度レベルおよびガス飽和率など)に従った容器内に送り込まれ得る事前調整媒質または水の使用を含む、様々な充填方法を含むことができ、または、充填と排出とを可能にする設計と一体化された追加の機構(例えばポート、バルブ、ホース、管、取り付け具、袋、ポンプなど)を含み得る。これらの機構は、例えば流体系システムを含む、他のデバイスに組み込まれるか、または他のデバイスとインターフェースするようにさらに構成され得る。場合によっては、流体系システムは、病院または医療施設室内の院内媒質調整システムであってもよく、またはそれとは異なり、媒質を調整し、カートに、およびカートから媒質容器に移送することができる、移動カートベースのシステムなどであってもよい。
【0132】
[0138]密閉型の貯蔵器または媒質容器は、密封のための様々な機構を含み得、実施形態によっては貯蔵器/容器の近位部/上部または構造に対する密封を含み、または他の場合には、密封はトランスデューサまたはトランスデューサハウジング上の機構に対して密封する実施形態を含み得る。また、一部の実施形態は、流体内の気泡または乱流発生の可能性を最小限にするためと、トランスデューサを移動させずに標的エリアに対する焦点距離の変更を可能にするために、これらの設計内の流体の量を制御する動的機能を含み得る。したがって、上記でいくつか開示した、様々な流体パラメータを監視し、制御する機能を含む、流体連通とその制御を可能にする組み込み機構(流体を要求に応じて供給/除去する機能)が設けられてもよい。この機能を提供するために、システム全体および一部として結合サブシステムは、様々な電気機械デバイス、システム、電力、検知、コンピューティング、ポンプ、フィルタおよび制御システムなどを含み得る、流体調整システムを含んでもよい。貯蔵器は、トランスデューサを移動させずに標的点を調整することができるようにするために、特定の制御された方式で貯蔵器を変形または形状変化させる信号を受信するようにも構成されてもよい。
【0133】
[0139]結合支持システムは、貯蔵器/容器および媒質を患者および作業空間(例えばベッド、床など)とインターフェースさせる様々な機械的支持デバイスを含み得る。実施形態によっては、支持システムは、3以上の自由度を有する機械的アームを含む。このアームは、フレーム、レール、カスタマイズされたレールまたは挿入物を含むがこれらには限定されないベッドの1つまたは複数の場所(機構)、および貯蔵器または容器の1つまたは複数の遠位場所との近接インターフェースを有し得る。アームは、1つまたは複数のカート上に実装された機構とすることができ、カートは様々な非限定的な置換形態で構成されてよく、場合によっては、カートは、支持し、開示されている支持構造を提供する役割のみを備えてもよい。
【0134】
[0140]実施形態によっては、支持構造およびアームは、スタンドアロン型カートとして実装されるかまたは2つ以上のサブシステムをさらに含むカートに組み込まれた、ロボット対応アームとすることができ、またはロボット対応アームが介入、手術またはその他の種類の別のロボットのアームであり、ロボットアームおよび/または結合溶液機構(例えば、充填、排出など)を作動させ/制御する(例えば結合媒質内/内部に位置決めする)ための様々なユーザ入力機構をさらに含み得る。実施例によっては、治療トランスデューサを結合支持構造体内の所望の/既知の場所および姿勢に位置づけるためなど、第2のアーム(例えば治療トランスデューサ/治療ヘッドを含む)の操作を連係させるために、支持構造体ロボットアーム位置エンコーダが使用されてもよい。
【0135】
[0141]全体として、現在、疾病および/または負傷を治療するために低侵襲性デバイスおよび手法を使用する処置を含む介入および外科医療処置において、および様々な種類の処置にわたって満たされていない重要なニーズが存在し、それらの満たされていないニーズはまったく新しい医療処置によって解決される可能性がある。現在の医療システムの機能はアクセスによって制限されることが多く、その場合、低侵襲性または非侵襲性手法が好ましいか、または現在の手段では好ましい/必要な組織効果を実現させる(例えば重大な負傷なしに重要構造の周囲を/貫通して手術する)ことができないか、またはシステムの物理的設定が特定の処置手法をあまり望ましくないものにするかまたは不可能にし、手法の組み合わせが強化された組織効果治療とともに、現在は不可能なまったく新しい処置および手法を可能にする可能性がある。
【0136】
[0142]さらに、ロボット組織破砕送達を含む組織破砕送達であって、1つまたは複数の組織破砕治療トランスデューサが患者に音響接続するように構成可能であり、完全に密閉された(例えば、患者の皮膚との音響媒質連通がない)手法を使用し、その1つまたは複数の組織破砕トランスデューサを、意図された治療および/または標的場所に影響を与える可能性のあるロボットアームの動き/移動の妨げ、または結合インターフェースへの干渉/阻害を生ぜずに、結合溶液内を移動させることができるようにする、組織破砕送達を可能にする特定のニーズが存在する。
【0137】
[0143]本明細書では、非限定的な例として、介入処置室、手術室、複合型処置室、撮像センター、医療センター、診療所、移動治療センターおよび/またはその他の状況に至るまでの任意の状況において想定される、組織破砕治療/処置を可能にする、組織破砕音響/患者結合システムおよび方法が開示される。以下の開示では、様々な手法、方法、環境、アーキテクチャおよびワークフローにおいて、音響/患者結合システムを作製、制御、維持、変更/強化、監視および設定/撤去するために使用される新規なシステムについてさらに説明する。一般に、本開示の新規なシステムは、結合媒質、実施例によっては脱気水が、組織破砕治療トランスデューサと患者との間の界面となるようにすることができ、音響媒質は上記患者に対する十分な音響結合を提供し、それによってユーザの所望の治療場所(および体積)を通した組織破砕パルスの送達を可能にし、送達は結合媒質を含む画定された作業空間内で組織破砕治療トランスデューサを物理的に移動させることを必要としてもよく、また、結合システムは、治療トランスデューサ(および位置決めシステム、例えばロボット)の上記移動を自由に、結合支持システム(例えば、結合媒質を保持するフレームまたはマニフォールド)による阻害なしに可能にするように構成される。
【0138】
結合システムおよびサブシステム/コンポーネント
[0144]本開示の組織破砕音響/患者結合システムは、一般に、図2図5に示すように、1)密閉封止されたコンフォーマルな患者結合および組織破砕システム界面を提供する新規な膜/バリアフィルムと、2)膜を保持し、破砕治療トランスデューサの必要可動範囲(x、yおよびz、ピッチ、ロールおよびヨー)のための十分な作業空間およびヘッド空間を提供するフレームおよびアセンブリと、3)音響結合と、組織破砕治療トランスデューサおよびロボットアームとのインターフェースを提供するための十分な量の超音波媒質と、4)フレーム、アセンブリおよび媒質の配置、位置決めおよび荷重支持を可能にする1つまたは複数の機械的支持アームと、5)超音波媒質を準備し、供給し、フレームおよびアセンブリから除去するための流体系システムとを含むが、これらには限定されない、サブシステムおよびコンポーネントのうちの1つまたは複数を含み得る。
【0139】
[0145]実施形態によっては、結合システムは完全密閉されてもよく、他の実施形態および構成では、結合システムは(物理的および/または視覚的に)すぐにアクセスすることができるように部分的に開放されていてもよい。
【0140】
[0146]音響/患者結合システムおよびサブシステムは、様々な機構および機能と、関連ワークフローとをさらに含み得るとともに、以下で詳述するような組織破砕処置を可能にするように様々な方式で構成可能である。
【0141】
[0147]図2に、結合アセンブリ212を含む破砕治療およびイメージングシステム200の一実施形態を示す。上述のように、破砕治療およびイメージングシステムは、治療トランスデューサ202と、イメージングシステム204と、ロボット位置決めアーム208と、カート210とを含むことができる。
【0142】
[0148]治療および/またはイメージングトランスデューサは、結合膜214と、膜がトランスデューサから過度に遠くに拡張するのを防ぐように構成された膜制約機構216とをさらに含むことができる結合アセンブリ212内に収容可能である。結合膜には、流体またはゲルなどの音響結合媒質を充填することができる。結合膜制約機構は、例えば膜の拡張/移動を制限するように構成された半剛体または剛体材料とすることができる。実施形態によっては、膜制約機構は使用されず、膜の弾性と引張強さとが過拡張を防止する。結合膜は、患者の皮膚との直接流体接触を防止するための鉱油混合SEBS膜とすることができる。図の実施形態では、結合アセンブリ212は、x-y面において耐荷重性とすることができるが、手動または自動z軸調整を可能にする、機械的支持アーム218によって支持される。機械的支持アームは床、手術台、またはカート210に取り付けることができる。機械的支持アームは、患者を基準にした、および結合膜214も基準にしたロボット位置決めアーム208による治療/イメージングトランスデューサの移動を可能にしたままの状態で、結合膜214を患者の皮膚に接して所定位置に沿わせ、保持するように設計され、構成される。
【0143】
[0149]システムは、流体源を備えることができる流体系システム220と、冷却および脱気システムと、プログラマブル制御システムとをさらに含むことができる。流体系システムは、流体シーケンスの自動制御による結合膜の外部装填のために構成される。流体系システム220の詳細については後述する。
【0144】
[0150]図3Aは、治療およびイメージングシステムを患者Pに結合するように構成された結合アセンブリまたはUMC312の詳細図である。図3Aには、結合アセンブリ312が、機械的支持アーム318と、ロボットアーム308と、結合膜314と、超音波治療トランスデューサ302と、膜内に配置された流体322と、超音波イメージングトランスデューサ304と、可撓性ブーツ324と、フレームクランプ326と、流体注入口/排出口328と、ブーツクランプ330と、ブーツリング332と、プローブ回転ハンドル334と、通気孔/流体チューブ336と、プローブケーブル338と、膜制約機構316と、気泡スワイプ340と、上部UMCフレーム342および下部UMCフレーム344と、トランスデューサアセンブリ346と、ゲルまたはオイルなどの超音波結合媒質348とを含み得ることが示されている。図3Aから、ロボットアームとトランスデューサアセンブリとが、結合アセンブリおよび膜に対して相対的にいかに自由に動くことができるかがわかる。
【0145】
[0151]ロボットアームとトランスデューサアセンブリとは、可撓性ブーツ324があるために膜と機械的支持とに対して相対的に移動することができ、これによって結合アセンブリと膜とに流体を含んだまま、トランスデューサアセンブリ(例えば治療ヘッド)の移動を可能にする。この実施形態では、可撓性ブーツは、治療中またはトランスデューサの移動中に、流体をUMC内に閉じ込め、流体がUMCから出たり、跳ねたり、またはしぶきを飛ばしたりすることを防止するための跳ね除けの役割を果たす。この実施例では、可撓性ブーツは、上部フレーム342とトランスデューサアセンブリ302とに接続されている。しかし、他の実施形態では、可撓性ブーツはシステムの他のコンポーネントに接続可能であり、またはシステムの他のコンポーネントを跳ねまたは流体接触から保護することが可能である(例えば治療ヘッドの上部またはロボットアームの遠位端に接続可能であり、またはロボットアーム(および周囲の作業空間とデバイス)を保護するように上方に延びることができる)ことを理解されたい。他の実施形態では、後述するように、UMCは可撓性ブーツを含まず、その代わりにUMCは、トランスデューサ/ロボットアームを受け入れるためと、画定された作業空間内でトランスデューサ/ロボットアームの妨げのない操作を可能にするために、上側が完全に開放されている。
【0146】
[0152]結合アセンブリ312は、アセンブリの上、中、または内部に配置された1つまたは複数のセンサ349を含むことができる。センサは、治療時にUMCまたは結合媒質に関する様々なパラメータを測定または感知するように構成可能である。例えば、センサは、UMC内の(流体の)圧力を測定するように構成された圧力センサ、UMC内の流体レベルを測定するように構成された結合媒質または流体レベルセンサ、UMC内の(流体の)温度を測定するように構成された温度センサ、UMCに流入および/またはUMCから流出する流体の流量を測定するように構成された流量センサ、溶存気体濃度、気泡または微粒子センサ、キャビテーション検出センサ、または結合媒質中の空気または気泡を検出するように構成された空気検出センサ、あるいは、治療前、治療中または治療後に有用となるUMCまたは結合媒質のパラメータを測定するために使用可能な任意のその他のセンサを含み得る。実施形態によっては、センサは、治療システム全体の他のコンポーネントの上または内部に配置可能であるか、またはシステムの他のコンポーネントと電気的に結合されるかまたは通信することができる。例えば、流量センサ、流体レベルセンサまたは圧力センサなどのセンサを流体系システムに配置可能であり、または、UMCの結合媒質または流体を自動的に充填または排出するのを支援するために、流体系システムと通信するように構成可能である。別の実施形態では、UMC内に配置されたセンサが、ロボット位置決めアームの上または内部に配置されたセンサと通信可能である。例えば、ロボット位置決めアームがUMCの境界を越えて移動しないように保証するために、近接センサ、NFCチップまたはセンサ、光学センサなどを、ロボット位置決めアームと通信するように使用することができる。実施例によっては、これらのセンサを使用して、ロボット位置決めアーム(したがって治療トランスデューサ)が移動することができるUMC内の境界または領域をジオロケートまたはジオフェンスするために使用することができる。
【0147】
[0153]UMCを患者に音響結合するために、超音波結合媒質348が超音波透過ゲルの層を含むことができるか、または患者の皮膚にオイルが塗布されてもよい。膜と患者との間に、気泡がなく空隙がない接触領域を生じさせることが望ましいが、実際には、結合媒質の塗布の結果、UMCと患者との間に気泡またはその他の空隙が生じることがある。この媒質は、ユーザによって手で塗布されるか、またはスプレー塗布などのより制御された方式で塗布可能である。ゲルまたはオイルの適切な材料には、水、オイル、クリームおよびゲルが含まれ得る。超音波結合媒質の層は、薄く、一貫した厚さである必要があり、最小限の超音波吸収を有する材料において、生体適合性であり、塗布部位から移動せず、気泡を含まない。適切な媒質の材料の例には、プロピレングリコール、グリセリン、フェノキシエタノール、カーボポールR940ポリマー、水、および精製鉱物油またはキャスターオイルなどのオイルの組み合わせが含まれる。
【0148】
[0154]気泡スワイプ機構340は、結合アセンブリ312と患者の皮膚Pとの間に空隙および気泡のない界面を形成するように構成可能である。実施形態によっては、気泡スワイプは、膜が超音波ゲルまたはオイルの層にわたり患者の体表面上に最初に配置された後で、膜と患者との間により均一で気泡のない接触層を形成しやすくするためのシステムおよび方法を含み得る。気泡スワイプを使用する動作により、余分なオイルまたはゲルを除去し、膜の接触面と患者との間に制御された一貫した濡れと適合性とを生じさせる。気泡スワイププロセスは、超音波歪みのリスクを低減し、超音波の透過を低下させる可能性のある薄層内の気泡の存在を低減する、超音波適合性ゲルまたはオイルのより連続した、一貫して薄い層を形成する。膜は、残留気泡が直接見えるようにもするために、透明または半透明になるようにさらに配合可能である。
【0149】
[0155]図3B図3Dに、使用時の気泡スワイプ機構の一例を示す。図3Aを参照すると、気泡スワイプ機構340は、結合膜314と患者Pとの間の界面の第1の側に位置づけることができる。上述のように、UMCは、膜内に配置された流体322と、膜と患者との間に配置された結合媒質348とを含み得る。気泡スワイプ機構は、一定範囲の材料(熱可塑性、金属、熱可塑性エラストマー、ゴムなど)と一定範囲の断面、大きさおよび長さを含み得る、剛体または可撓性のチューブ、ケーブル、カテーテル、管腔またはケーブルを含むことができる。実施形態によっては、気泡スワイプは中実断面を有し得るか、または(図3B図3Dに示すように)中空であってもよい。断面形状は、2つの面が互いに「密着」または濡れさせるときに、空気が排出されることができ、膜と皮膚との間に空気が閉じ込められないように、気泡スワイプの長さに沿って、および気泡スワイプの後部に連続した空気接続を形成するように設計され、構成される。
【0150】
[0156]図3Bを参照すると、UMCの膜314が最初に患者Pに接して配置され、結合媒質348によって患者に結合されると、UMCと患者との間に最適未満の音響結合を生じさせる可能性のある、媒質内に取り込まれた1つまたは複数の気泡350が存在し得ることがわかる。この例では、気泡スワイプ機構340は、UMCと患者との間の界面の第1の側(例えば図3Bの左側)に位置づけることができる。次に図3Cを参照すると、気泡スワイプ機構340をUMCと患者との間の界面を通って前進させることができる。気泡スワイプ機構がUMCと患者との間を移動し、媒質348を通るにつれて、気泡スワイプ機構は、気泡スワイプ機構の通過により生じた空隙354を介して気泡350を排出することで媒質348から気泡350を除去することによって、媒質の薄くなった厚さ352を生じさせることができる。図3Dを参照すると、気泡スワイプ機構がUMCと患者との間の界面を完全に通過した後、媒質全体が薄くなった厚さ352を有することができる。実施形態によっては、気泡スワイプ機構によって界面から余分な媒質356を除去することができる。
【0151】
[0157]一実施形態では、気泡スワイプは、2mmから8mmの連続した外径を有する1本の中空の円形断面PVCチューブを含む。長さは膜の幅を超えることができる。気泡スワイプは、中空チューブの中心を通して真空を印加することにより膜/皮膚界面から空気を能動的に除去するために、交差孔を有するかまたは多孔質材料を使用してもよい。これらの同じ交差孔または多孔質は、超音波適合性ゲルまたはオイル塗布のためにも使用可能である。気泡スワイプコンポーネントは、膜/UMCの他の部分とは別途に供給可能であるか、または膜、UMCまたはその他のサブアセンブリに組み込まれてもよい。気泡スワイプは、使い捨てまたは再使用可能とすることができる。気泡スワイプは、適用時の屈曲に耐えるのに十分に硬いまっすぐな部分とすることができ、または硬く、事前成形(例えば湾曲)されてもよい。気泡スワイプは可撓性とすることもでき、直線運動または固定端点と回転スイープとにより、膜と患者との間で引くことができる。実施形態によっては、気泡スワイプは、余分なオイルまたはゲルの手作業による除去を最小限にするために、プロセス中に余分なゲルまたはオイルをかき集めて貯めるための機構を有してもよい。気泡スワイプは、スワイププロセス中にその長軸を中心に回転してもよく、または回転しなくてもよい。
【0152】
[0158]図3E図3Fに、UMC内に膜を固定するための実施形態を示す。図2および図3Aに示すように、膜314をフレーム筐体内に固定/密閉することを可能にするために様々な機械的固定方法が使用可能である。これらの実施例では、膜314と可撓性ブーツ324を上部フレーム342と下部フレーム344の間に位置づけることと、封止を形成し、膜とブーツとを所定位置に保持するように上部フレームと下部フレームとを圧搾するために回転式デバイス機構358を使用することとによって、膜314と可撓性ブーツ324とが固定されてもよい。図の実施形態では、膜とブーツの両方が、上部フレームおよび下部フレームにおける対応する鍵部/形状に収まるように噛み合わせ、または成形することができる。さらに、ブーツと膜とは、互いに噛み合わされるかまたは成形されてもよい。図の実施例では、圧搾は2ピースアセンブリフレーム(上部および下部)から得られる。
【0153】
[0159]図3Eを参照すると、T字形回転デバイス機構358が、上部フレーム342内のバヨネットキャッチバレル360を、下部フレームに捕捉されたバヨネットキャッチピン362によって下部フレーム344に接して圧搾させることができる。図3Fの実施形態では、D字形回転デバイス機構358が、可撓性ブーツ324と膜314とを下部フレーム344に対して固定するように、上部フレーム342に接して圧搾可能である。この実施形態で、可撓性ブーツと膜とが圧搾されて互いに接触し、上部フレームと下部フレームとの間に位置づけられることがわかる。実施形態によっては、上部フレームと下部フレームと可撓性ブーツと膜との間の接触点において流体封止または水密封止が確実に形成されるようにするために、可撓性ブーツと膜が互いに噛み合わされるか、またはその他の機構を含むことができる。他の実施例では、下部アセンブリフレーム(膜と機械的アームとの界面とインターフェースするフレーム)と、上部ブーツフレーム(ロボット/治療トランスデューサが通過する上部バリアを含むフレーム)とを使用する設計であって、膜がその2つのフレームの間に位置づけられ、ブーツとアセンブリとの間に膜を密閉するために回転圧迫ねじが締められる。
【0154】
[0160]図4Aは、可撓性ブーツ424と、フレームクランプ457と、流体注入口/排出口428と、ブーツクランプ458と、ブーツリング460と、プローブ回転ハンドル462と、機械的ロック464とを含む結合アセンブリまたはUMC412の一実施例を示す別の図である。この実施形態では、結合膜はフレームクランプ457によって上部フレーム442と下部フレーム444との間の所定位置に保持され得る。可撓性ブーツは、ブーツクランプ458によってブーツリング460と上部フレーム442との間の所定位置に保持され得る。プローブ回転ハンドル462は、システムのイメージングプローブを治療トランスデューサに対して相対的に回転させるように構成される。機械的ロック464が、トランスデューサアセンブリ(治療トランスデューサなど)をUMCにロックするように構成される。上述のように、流体注入口/排出口428が、UMCの内部(例えば膜と可撓性ブーツとの間の容積)を、UMC内の音響結合媒質または流体を送達し、量を維持するように構成された流体系システムに結合することができる。
【0155】
[0161]図4Bは、結合アセンブリまたはUMC412の別の実施形態の分解図である。UMCは、可撓性ブーツ424と、上部フレーム442と、下部フレーム444と、結合膜414とを含み得る。可撓性ブーツはブーツクランプ458によって上部フレーム442に取り付けられることがわかる。同様に、膜414はフレームクランプ457によって下部フレーム444に取り付けられることがわかる。上述のように、可撓性ブーツは、UMCのフレームに対して相対的なトランスデューサアセンブリ/ロボットアームの移動および回転を可能にし、治療中に流体からの跳ね保護を与えることができる。しかし、他の実施形態では、可撓性ブーツは使用されないか、または不要であり、その代わりにUMCの最上部が、大気とトランスデューサアセンブリ/ロボットアームとに開放されることを理解されたい。
【0156】
[0162]図4C図4Dに示すように、機械的ロック464は、治療の前にUMCに流体が充填されている状態で、トランスデューサアセンブリをUMCに対して相対的な所定位置に保持するように構成されている。結合アセンブリおよび/またはトランスデューサアセンブリは、タブ、ねじ、クリップなどによって機械的ロックに機械的に結合することができる。UMCに流体が充填された後、図4Dを参照すると、UMC内でのトランスデューサアセンブリの相対的移動を可能にするように、UMCから機械的ロックを外すことができる。
【0157】
膜/バリアフィルムおよび関連アーキテクチャ
[0163]膜およびバリアフィルムが、超音波イメージングおよび組織破砕治療を妨げる可能性がある閉じ込められた気泡が最小限であるかまったくない状態で患者の生体構造へのコンフォーマルな結合を可能にし、上記患者生体構造と、フレームおよびアセンブリとによってもたらされる作業空間内に収容される超音波媒質との間に封止バリア層を提供することができる、様々な生体適合性材料からなり得る。
【0158】
[0164]膜とバリアフィルムの材料は、様々な熱可塑性および熱硬化性材料と、永続性または生体吸収性ポリマーなど、可撓性のエラストマー生体適合材料/ポリマーを含み得る。さらに、UMCのフレームも同じ材料を含むことができる。実施例によっては、膜は、事前成形済みまたは平坦な剛体または半剛体ポリマーであってもよい。膜およびバリアフィルムを形成可能な材料の非限定的な例には、ポリウレタン、ポリスチレンコポリマー、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ヒドロキシブチラート)、ポリ(ホスファジン)、ポリエステル、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシエチルメチルアクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアセテート、ポリカプロラクトン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、脂肪族ポリエステル、グリセロール、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテル-エステル)、ポリアルキレン・シュウ酸塩、ポリアミド、ポリ(イミノカーボネート)、ポリアルキレン・シュウ酸塩、ポリオキサエステル、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、およびこれらのコポリマー、ブロックポリマー、ホモポリマー、混合物ならびに組み合わせが含まれるが、これらには限定されない。実施形態によっては、膜は、ポリスチレンコポリマー、およびエチレン、ブタジエン、ブチレンおよび/またはその他のスチレンブロックを含むブロックコポリマーからなり、例としては、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)およびスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)がある。他の実施例では、膜およびバリアフィルムは、様々なシリコーンおよびシリコーンコポリマー、および/または、低分子量シリコーンまたはシリコーンベースのオイルの配合剤などを含む、様々なシリコーン組成の配合剤からなり得る。膜およびバリアフィルムは、蒸気、熱、化学、放射および/または電子ビーム安定性を含む、熱安定性または光学安定性、力学的特性、生物学的特性(例えば抗感染性など)、殺菌安定性を向上させるための添加剤と、材料を可塑化または柔軟化し、および/または他の表面(裏当て材、皮膚など)への接着を向上させる、オイルまたは低分子量流体を含む様々な添加剤とをさらに含み得る。実施形態によっては、膜/バリアフィルムは、オイルを10~80パーセント、他の実施形態では40~60重量パーセント含む。場合によっては、オイルはパラフィンオイルである。実施形態によっては、添加剤は、ブルーミング剤および/または表面特性を向上させるためのその他の薬剤も含む。一部の膜/バリアフィルム組成は、患者生体構造(例えば皮膚)への膜/フィルムの接着を可能にするための接着剤、または接着剤配合剤の1つまたは複数の成分、および膜が身体および/またはフレーム/マニフォールドから「逃げる」のを防ぐことを目的とした制約機構なども含み得る。
【0159】
[0165]膜/バリアフィルムは、厚さが0.01mmから7mmまで異なってもよく、実施形態によっては、1mmと5mmの間であることが好ましい。実施形態によっては、膜は2mmと4mmの間の厚さを有し、他の実施形態では、膜は2.5mmと3.5mmの間の厚さを有する。膜は、>0.2MPaの引張強さを有することができる。実施形態によっては、引張強さは0.4MPaと1MPaの間とすることができる。膜は、最大200%、実施形態によっては最大500%または最大3000%、伸張または伸長するように構成可能である。厚さは、生理-力学特性と、音響キャビテーション/組織破砕閾値への影響と、患者生体構造に対する適合性と、(設定位置と予測超音波媒質量および相対空間分布とに基づく)膜の伸長および変位の程度とをバランスさせるように選択されてもよい。膜は透明または半透明であってもよく、および/または、全面的または部分的な着色または薄い色付け、およびマークまたは連続/離散的領域としての着色または薄い色付けを含む、着色または薄い色付けが施されてもよい。実施例によっては、膜は、作業空間と、超音波媒質および密閉システム内に存在する可能性のある気泡とが見えるように、また、治療トランスデューサの中央孔内に含まれる超音波イメージングプローブの可視化のために、好ましくは透明/半透明である。これには、一例として、プローブとその位置/向き(例えば、皮膚上に並進させられたか否か、および/または皮膚から後退させられたか否か)を見ることが含まれ得る。
【0160】
[0166]膜/バリアフィルムは、処置の設定および撤去を含むがこれには限定されず、音響窓サイズを含まずに、音響/患者結合システムの扱いと使いやすさとをさらに向上させることができるフレームまたは取り付け具などの構造的コンポーネントをさらに含み得る。フレームは、アルミニウム、アルミニウム合金、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレン、プロピレン、ポリアミド、および/またはその他の耐衝撃性材料を含むがこれらには限定されない、生体適合性金属および/またはポリマーからなり得る。本開示のフレームは、膜/バリアフィルムの縁輪郭に沿って位置づけられてもよく、連続しているかまたは区分/長さごとに区切られていてもよい。代表例として、フレームは膜の外縁輪郭に沿って位置する。フレームは、膜/バリアフィルム内に(例えば成形膜の上に)位置づけられてもよく、またはそれとは異なり、膜/バリアフィルム上に含まれてもよく、その場合、フレームは膜の周囲に成形される。したがって、開示の概念は、膜/バリアフィルムにインターフェースする1つまたは複数の手段であって、上記インターフェースが「硬性」、「半硬性」および/または「軟性」インターフェース、あるいはこれらの組み合わせを含む、手段を提供し得る。例えば、露出/現れている軟性の膜/バリアフィルム表面および端面に沿って封止を形成するか、硬性の膜フレームに沿って封止し、後述するより大きなシステム「フレームおよびアセンブリ」にインターフェースするか。また、インターフェースは、機械的接合、嵌め合い、噛み合い、連結、および/または封止を強化するための様々な機構を含んでもよく、機械的隆起部、溝、ピン、鍵部および連結構造体を含み得るがこれらには限定されず、これらは様々な高さ、深度、グレーディング/ピッチ、先細度、角度、離隔、形状、間隔、頻度/量、および/またはカットアウト度で加工可能である。実施例によっては、膜/バリアフィルムは、直接的物理/音響アクセスのための窓であって、窓の縁領域(例えばカットアウト)が患者に接着可能であり、上記縁領域が「機械的支持界面およびフレーム状機構」の役割を果たす、窓を含み得る。
【0161】
[0167]膜/バリアフィルムフレームは、結合システムによって提供される様々な作業空間および作業空間容積に対応するように様々な形状および寸法/大きさで形成可能であり、小さめ(<5cm)のトランスデューサから大きめ(長軸で>20cm)のトランスデューサまでと、場所/姿勢、および、異なる音響窓およびコンフォーマルな(腹部、胸郭/胸部、頭部/首、四肢などに沿った)解剖学的輪郭形成が望ましい設定ならびに標的解剖学的部位(例えば腹部、神経など)とに対応する関連する必要移動空間のために形成可能である。フレームは、様々な金属、合金、ポリマー/プラスチック、セラミックおよび/または複合材料およびこれらの組み合わせから、一体成形、成形、機械加工および/または任意の有用な/知られている製造方法を使用して製作され得る。実施形態によっては、フレームは好ましくはアルミニウムである。他の実施形態では、フレームは、上記の列挙から導き出される射出成形プラスチックである。
【0162】
[0168]全体として、本開示の膜の生理-力学的、化学的、寸法および処理に由来する特性/性質は、音響キャビテーション開始(組織破砕)閾値要件を制御し、場合によっては他の膜と比較して最小限にする能力を提供する。実施形態によっては、膜およびバリアフィルムはキャビテーション閾値(および必要な駆動振幅)を50%以上(皮膚を通して直接得られ、脱気水を使用して結合される閾値を上回る)上昇させ得る。他の実施形態では、同様の方式による検査で10~50%である。他の実施形態では、膜/バリアフィルムは、閾値要件を10%前後上昇させ、好ましい実施形態では、閾値要件を5~10%以下だけ上昇させる。実施形態によっては、膜およびバリアフィルムは、この機能を臨床的に関連する超音波イメージング特性を弱めずに提供する。他の実施形態では、皮膚を通した直接音響アクセスを前提として、上記で詳述したような窓は閾値を変化させ得ない。これには、Bモードまたはその他の形態の超音波イメージングまたは取得後画像処理が含まれ、そのうちの一部は、(MRI、CT、円錐ビームCT、蛍光透視、および拡張蛍光透視の形態などによる)マルチモーダル画像再現、区分化、位置合わせ、画像融合をさらに可能にするために使用可能である。
【0163】
[0169]本明細書に記載の治療超音波システムは、典型的には、(有効な音響キャビテーションおよび組織破砕を生じさせるために)妥当に可能な限り低く、最大侵入深度で有効に動作可能な閾値電圧で動作する。
【0164】
[0170]本明細書に記載の膜の使用は、使い勝手を向上させる、患者の難しい組織部位の標的化の向上を可能にする、患者の快適さを向上させるなどの利点を有する。しかし、膜は、治療トランスデューサと患者の皮膚との間に追加の材料層を配置するという欠点がある。これらの追加の層、具体的には膜は、透過損失と歪みという2つの潜在的作用を有する。
【0165】
[0171]透過損失とは、超音波エネルギーのうちのどれだけのエネルギーが膜を通して結合されるかを指し、厚さ、音速、音響インピーダンス、および、膜および膜と組織との間で使用されるゲルまたはオイル層における気泡のない界面をどれだけうまく得られるかに応じて異なる。膜は、膜自体における損失が最小となるのに十分な薄さを維持しながら、水/組織の音響インピーダンスに近い音響インピーダンスを有することによって、この透過効果に対処する。接触は、膜を身体に沿わせるきわめて高いコンプライアンスを有することと、オイル混合材料の自己濡れ性と、界面を制御することができるようにする塗布技術(気泡スワイプ)との組み合わせによって実現される。
【0166】
[0172]歪みのレベルの管理は、媒質と膜とで類似した音速を有することと、膜を可能な限り薄く維持することとによって実現可能である。歪みのレベルは、結合媒質(例えば水)と組織との音速差によって支配される可能性が高い。
【0167】
[0173]透過損失と歪みのレベルに影響を与える膜の特性は、原材料の特性(組成および添加剤)と、膜の設計(例えば、膜厚、断面および表面粗さ)と、製造プロセスと、十分に広く効果的な接触面積が生じるように膜を患者に配置する方法とに関係する。
【0168】
[0174]膜の原材料は、超音波媒質の音響インピーダンスと可能な限り近い音響インピーダンスを有するように選択することができ、生体適合性であるとともに、超音波媒質と、患者の皮膚上で使用されるゲルおよびオイルとも適合性がある必要がある。膜の材料は、十分な温度耐性(例えば、材料が最終製造プロセスにおける高温に耐えることを可能にする抗酸化剤の使用)と、保管中の環境耐性ももたらすことができる。材料は、超音波透過を低下させる可能性がある添加剤(超音波を散乱させる可能性がある微粒子など)も含有、有してはならない。適用の利点をもたらし得るその他の材料特性は、(膜を通した気泡の視覚化を可能にする)高い透明度、良好な穿刺抵抗(安全性)、超音波媒質(例えば水)の吸収の回避、および低い気泡閉じ込め性である。鉱物油を表面に侵出/ブルーミングさせることができるSEBSなどの材料は、膜と患者の皮膚上で使用される任意のオイルまたはゲルとの接触の質を向上させ得る(すなわちこれは気泡閉じ込めのリスクを低減するはずである)。ただし、侵出/ブルーミングする材料のレベルは、安全に扱え、超音波媒質を汚染しないレベルである必要がある。
【0169】
[0175]超音波治療トランスデューサと患者の皮膚との間に十分に広い有効超音波結合面積を生じさせるように、膜の力学特性および設計が規定される必要がある。接触面積は、(透過損失を生じさせることになる)閉じ込められた空気または気泡を含まない必要があり、不快感または傷害を生じさせ、内臓器官の位置を過度に変える可能性がある荷重を患者に加えてはならない。透過損失ばらつきを避けるために、患者接触面積における膜の断面は一貫している必要がある。空気を閉じ込める可能性がある皮膚のひだ、折り重なり、またはしわを防止するために、患者の皮膚に接触している間、材料に常に張力がかかっている状態であるように、材料の構造的剛性は十分に低い必要がある。好ましい実施形態は、充填時に凸状に伸張し、患者との初期単一接触点をもたらす平坦な膜である。この膜が引き下げられるかまたはさらに拡張/充填されると、皮膚接触が放射状に大きくなり、閉じ込められたエアポケットの形成をほとんど防止する。あるいは、事前成形された凸状膜が使用されてもよいが、リスクは、この実施形態が初期接触点において、または配置段階中に、十分な材料張力を有しない可能性があることである。
【0170】
[0176]製造プロセスも、材料中の気泡の存在と、材料の微粒子および汚染と、材料組成ばらつきと、膜厚のばらつきと、表面粗さおよび表面欠陥とに影響を与える。上記のすべてが透過損失を潜在的に増大させる可能性がある。
【0171】
フレームおよびアセンブリ
[0177]結合溶液フレームおよびアセンブリは、超音波媒質容器(UMC)、結合溶液、および/または結合デバイスとも呼ばれる場合があり、一般に、膜/バリアフィルムを保持、密閉および支持するとともに、1)上部ブーツ(例えば上部密閉/封止)、2)流体注入口/排出口(例えば超音波媒質の受け入れ/除去)、3)機械的アーム、および、4)膜支持/制約機構、ハンドル、(膜フレーム、ブーツ、フレーム/アセンブリ部品のための)ロック機構、通気および気泡管理、イメージングプローブ制御などを含むがこれらには限定されないその他の機構、とのインターフェースを可能にする/提供するように構成される。実施例によっては、フレームは、漏れまたは超過圧力事象を検出するために使用可能な、UMC内の媒質の圧力を測定するように構成された圧力センサを組み込んでもよい。UMCは、圧力逃し弁をさらに含み得る。
【0172】
[0178]フレームおよびアセンブリの実施例の図は、図2図4Cで部分的にすでに示している。実施形態によっては、フレームまたはUMCは、フレーム/アセンブリ全体への外部および内部アクセスを可能にするために、最上部/上部および底部/下部フレーム部品を含む、複数の部品を含み得る。この実施形態および類似の実施形態は、UMC/結合溶液を上部ブーツで密閉する前、および超音波媒質を充填する前に、膜がより容易にフレーム/アセンブリ内で位置づけられ/方向づけられるようにし得る。下部フレーム部品を含むフレーム/アセンブリは、下部フレーム、膜アセンブリ、上部フレームおよび/または上部ブーツを位置合わせ/連結するための様々な台座、設定および/または連結機構(例えばピン)を含み得る。
【0173】
[0179]場合によっては、2ピースフレーム/アセンブリは、複数のフレーム固定および圧搾機構(例えば、ノブ、クランプ、カム、ダイヤル、ねじ、ピンなど)を含んでもよく、フレーム固定機構は、迅速なロック/ロック解除(および膜の圧搾)を可能にし、フレーム/アセンブリの効率的な設定および密閉を実現し、1つまたは複数の機械的支持アームとの迅速なインターフェースを可能にするように構成され、アームのうちの1つはロボットアームを含み得る。ここで、本発明の一部として多くの固定および圧搾機構/方法が採用され得ることが想定され、フレーム/アセンブリ、ブーツ、膜および/または膜固定構造体/機構などと相互作用/インターフェースし得る。
【0174】
[0180]フレームおよびアセンブリ全体が、重量、空間制約、他のシステム(例えば、円錐ビームCTなど)との潜在的衝突を減らすことを目的として、上部フレームまたは下部フレームの厚さを最小限にする薄型構造を含む、様々なプロファイルのものとして設計され、構成され得る。
【0175】
[0181]様々な充填手法を提供するフレーム/アセンブリの設計も企図され、充填手法のフレーム/アセンブリ(およびそれぞれの/関連インターフェース支持アームなど)の充填向きも異なり得る。向きには、水平、垂直および/または角度付き/傾斜手法と、静的な向きまたは動的な向き(例えば、ロボットアーム固定とするか、充填/排出と同時の制御された動き/角変位を可能にするか)が含まれ得るが、これらには限定されない。流体注入口および排出口は、様々な場所/位置に位置づけられ得る。実施形態によっては、流体注入口および排出口は、流体連通界面からの距離を最大限にするために、患者体表/手術台/ベッドに対して遠位に位置づけられるように構成されてもよい。
【0176】
[0182]図5A図5Cに、患者に治療トランスデューサ502を音響結合するように構成されたUMC512の別の実施例を示す。図5A図5Bを参照すると、UMCは、結合膜514を保持または支持するように構成されたフレーム543を含み得る。フレームは、力学的安定性ももたせながら、患者の上および周囲に位置づけ/適合させることができるように、可撓性および順応性とし得る(例えばウレタン組成であってもよい)。この実施形態では、UMCは、作業空間内で妨げられずに(必要な移動/パターンまたはアプローチ(角度、軌道など)に制約がない)ロボットアーム508と治療トランスデューサ502とが移動するための開放作業空間を与える、開放型アーキテクチャを有する。図のように、フレーム自体は、フレームの患者接触側に配置された第1の開口部566と、第1の開口部とは反対側に配置され、治療トランスデューサおよび/またはロボット位置決めアームを受け入れるように構成された第2の開口部568とを含み得る。フレームは、治療時にフレームを患者に接着させるために第1の開口部に、または第1の開口部の周囲に配置された接着剤570またはその他の固定機構をさらに含み得る。
【0177】
[0183]図5Bを参照すると、膜514は、フレームの縁の上に掛かるように構成され、適応化された袋またはその他の類似の形状の材料を含み得る。別の実施形態では、膜は、フレームの底部に取り付けられ、開口部566のみを覆う単一のシートのみを含んでもよい。したがって、膜は第1の開口部566を覆い、その上に延びるように構成されるが、第2の開口部568は大気に対して開放されたままとすることができる。図5Aに示すように、フレームは、膜を所定位置に閉じ込めるかまたは保持することができる蓋572をさらに含み得る。蓋は、例えばフレームに蝶番で連結され得るか、または完全に取り外し可能とされ得る。蓋自体も開口部574を含み、それによってトランスデューサ502および/またはロボット位置決めアーム508が開口部574と開口部568とを通ってフレームおよび膜内に配置された音響結合媒質中まで通過することができるようにする。図5A図5Bの実施形態は、ロボットを位置決めするため、および/または、ユーザがロボットを把持し、配置して、それを作業空間内に位置づけることができるようにする「自由駆動」するために、ロボットコントロール(物理的コントロール、例えばスペースマウスまたはジョイスティックなど)の使用を可能にする。
【0178】
[0184]図5A図5Bの膜は、皮膚との直接音響インターフェースを可能にするように窓が付けられてもよく、窓の縁の周囲に水密封止の形成を可能にするためと、形成された作業空間内に入れられた音響媒質(脱気水)を支持するために、フィルム/覆布のそれぞれの縁が接着剤を含んでもよい。これは、ラッチ、クリップなどを使用してフレームによって保持/機械的に固定および支持されてもよく、さらに、実施例によっては、跳ね/こぼれを防止するためにフィルム/覆布がロボット(および治療トランスデューサ)の遠位端の上/周囲で密閉されることができるようにしてもよい。この実施例のように、場合によっては、ラッチ/クリップはフレーム内にフィルム/覆布を閉じ込める、蝶番で連結されたフレームと一体にすることができる。アセンブリ/容器は、フィルム/覆布を支持するとともに、患者からの逃げまたは移動を最小限にするように構成可能である。
【0179】
[0185]別の実施形態では、図5Cを参照すると、フレーム543が蛇腹アセンブリを含み得る。図5A図5Bに示す実施形態と同様に、蛇腹フレームは、第1および第2の開口部566および568を含むことができ、第1の開口部のみを封止/遮断するか、または、第1の開口部を覆うが第2の開口部は結合媒質を受け入れるように、また、トランスデューサおよび/またはロボットアームも受け入れるように開放可能にする(図5Bに示すような)袋または覆布型の膜である、結合膜(図示せず)とともに使用するように構成可能である。
【0180】
[0186]実施形態によっては、フレームは、フレーム(およびサブシステム全体)を、機械的支持アームを介して手術台レール、カートまたはその他の機械的構造体を含む他の構造体とインターフェースさせることができるようにするアームインターフェースを含む。機械的支持アームは、x、yおよびzとピッチ、ロールおよびヨーの様々な設定構成/向きを可能にするように様々な自由度を備えてもよい。
【0181】
[0187]この手法のためのワークフローの一例は、結合媒質を15℃~25℃および40%未満の溶存酸素、または5%と60%の間の溶存酸素になるように調整すること(例えば、結合媒質は脱気ポンプおよび冷却装置により上記の条件に調整されている水道水であってもよい)と、研究固有の症例報告に温度と酸素濃度とを記録することと、システムチェックを実行すること、システムの十字線(照準線)をキャリブレーションすることと、異物を除去するために患者の皮膚を準備することと、超音波によって治療部位を特定することと、治療部位の場所に基づいて患者の皮膚をインクでマークすることと、ベンゾインチンキ(接着促進剤)と結合媒質容器覆布とを皮膚に付けることと、UMCを組み立てることと、UMCを取り付け、UMCを結合媒質容器覆布の上に配置することと、UMCに約16リットルの結合媒質を充填することと、超音波治療を施すこととを含み得る。治療システムの治療ヘッドは、結合媒質に浸漬することができ、閉じ込められた空気がないか検査することができる。超音波画像ガイダンスと、自由駆動コントロールと、スペースマウスとを使用して、治療時に治療ヘッドを標的を基準にして配置することができる。
【0182】
超音波媒質
[0188]前述のように、超音波媒質は、組織破砕治療を可能にし、十分な臨床画像診断(例えば超音波)を可能にするために、十分で有用な音響結合を提供することができる任意の適切な媒質を含み得る。本開示およびシステムの一部としての超音波媒質は、他の共可溶性流体との混合物を含む、音速を整合させる能力などを含む好ましいかまたはより好ましい音響品質を有することができる様々な水溶液/媒質を含み得るがこれらには限定されない。媒質の例には、脱気水および/または、脱気水とエタノールなどの様々なアルコールの混合物/共溶液が含まれ得る。
【0183】
機械的支持アームおよびアームアーキテクチャ
[0189]ユーザに効率的で人間工学的なワークフローを提供することを含む、音響/患者結合システムを支持するために、機械的支持アーム(およびアームアーキテクチャ)の様々な設計および構成を採用することができる。支持アームは、x、y、z、ピッチ、ロールおよびヨーを可能にすることを含むがこれらには限定されない一連の自由度と、追加の高さ調整または並進を可能にし得る追加のインターフェース機構とを備えて構成され得る。
【0184】
[0190]アームは、様々な数および種類の関節および区画を含み得る。典型的には、アームは最低2つの区画を含み得る。構成によっては、アームは3つから5つの区画を含み得る。
【0185】
[0191]アームは、主支持基部または基部インターフェース(例えば、ロボット、手術台、手術台/ベッドレール、カート、床取り付け具など)に対して近位に、およびフレーム/アセンブリおよび「UMC」全体または「結合溶液」に対して遠位にインターフェースするようにも構成される。この特定の遠位インターフェースは、フレーム/アセンブリインターフェースにおけるフレーム/アセンブリの位置/向きを制御するための機構をさらに含み得る。
【0186】
[0192]例えば、実施形態によっては、アーム/フレームインターフェースは、玉継手リストを含んでもよい。別の実施例では、インターフェースは、ジンバルリストまたは調整可能ピッチロール制御リストの使用を含み得る。これらのインターフェースは、さらに、様々なリストとの相互作用を支援するために特定のユーザインターフェースおよび入力とともに採用されてもよく、それらは、UMC/結合溶液をさらに位置決めすることができるように追加のハンドルまたはノブ(非限定的一例として)を含んでもよい。例えば、ジンバルリストは、フレーム/アセンブリが、ピッチ、ロールおよびヨー調整を含む、(アームの自由度とは独立した)3自由度を有することができるようにすることが有用であり得る。
【0187】
[0193]フレーム/アセンブリとさらにインターフェースするアームリストを備えて構成された支持アームが、1つまたは複数の軸と個別にまたは集合的に相互作用し得るケーブルブレーキまたは電子作動ブレーキを含むブレーキおよびクイックリリースなどの機構を含んでもよい。支持アームは、電子リフトシステムおよび基部支持部も含んでもよい。実施形態によっては、これらのリフトシステム/基部支持部は、ロボットアーム基部と同一場所に配置され、上記ロボットアームは、密閉された結合溶液内に収まり/動作するように構成された組織破砕治療トランスデューサを備える。他の実施形態では、支持アームは、別個のカート上に配置される。場合によっては、別個のカートは、流体系システムまたはユーザコンソールを含み得る。他の実施形態では、カートは、レール、側面および/またはベッド/手術台基部を含むがこれらには限定されない、ベッド/手術台とインターフェースされる。他の実施例/実施形態では、カートは、重量および傾き要件を管理することができる床置き構造体/基底部とインターフェースされる。
【0188】
流体系システム、制御システムおよびシステムアーキテクチャ
[0194]流体管理全体の一部として、音響/患者結合システムを含む組織破砕システムは、結合媒質の準備または使用のための貯蔵部を提供する役割を主として果たす、自動流体系システムを含むように構成されてもよく、準備は、結合媒質の、脱気、冷却、監視、準備、投入/充填、およびフレーム/アセンブリとの間での取り出し/排出を行うことができることを含み得る。流体系システムは、UMCからの結合媒質の急速排出のための緊急高流量システムを含んでもよい。実施形態によっては、流体系システムは、結合媒質の使い捨て向けに、または媒質の再使用向けに構成可能である。実施形態によっては、流体系システムは、結合媒質を充填する前に、UMCおよび膜の漏れ検査を実施するために、空気陽圧または真空を与えることができる。真空補助は、充填プロセス時にUMCから空気を除去するためにも使用可能である。流体系システムは、微粒子汚染物質がUMCに達するのを防止するように構成されたフィルタをさらに含み得る。
【0189】
[0195]図6A図6Bに、流体系システムの一実施形態を示す。図のように、流体系システムは、臨床医が超音波媒質を準備し、それを臨床水源(例えば院内水道水またはその他)から処置室に移送することができるようにし、この一環として、水調製時間と処置設定および回転時間を最小限にするために高速脱気(例えば4~6リットル/分)することができるようにするために、移動式の流体系カート676を含んでもよく、カートは処置中に持ち込み/持ち出しも可能である(例えば治療中は不要)。
【0190】
[0196]流体系カートは、専用注入(清浄)タンク680と排出(廃水)タンク682とを使用して、(患者上の)結合システムとの間で新しい水と廃水とをポンプ送出することを可能にするように構成された、1つまたは複数のポンプ678をさらに含み得る。脱気を可能にするために、1つまたは複数のポンプ678は、フィルタと、脱気接触器と真空ポンプとを含む脱気モジュール684に新しい水をポンプ送出するように構成可能である。1つまたは複数のポンプは、UMCとの間で結合溶液の充填と排出も行う。1つまたは複数のポンプには、さらに、排出/廃水タンクのポンプパージも可能にし得る。
【0191】
[0197]カートは、標準電気設備/コネクタを介して、およびポータブル使用または送電網非接続使用を可能にするためのバッテリ686を介して、給電可能である。バッテリは、緊急電力も供給可能である。カートは、(窒素ブランケット下で)チューブ類/管路が確実に乾燥状態/清浄に維持されるようにすることができるようにチューブ類/管路のブローダウンを可能にするための、窒素タンク688および/またはエアコンプレッサ690も含み得る。実施例によっては、カートは、結合溶液と水源(および廃水容器)へのチューブ接続を可能にするための様々なユーザインターフェースと、水の状況およびパラメータをプログラミング/監視/報告するように構成された、物理およびソフトウェア制御システムまたは電子コントローラ692も含み得る。パラメータには、酸素飽和度、温度、微粒子デブリ、pH、混合比、流量、充填レベル、電力レベル/バッテリレベルなどが含まれてよく、これらはシステムの内部および周囲に配置された任意の数のセンサによってリアルタイムで検出可能である。パラメータは、流体系カート上のUI画面上で読み取ることができ、および/または、治療システムカートディスプレイ上で(ソフトウェアUIを介して)表示/制御されてもよい。
【0192】
[0198]上述のように、流体系システムは移動流体系カートの形態で実装されてもよい。カートは、注入タンクと、排出タンクと、脱気モジュールと、充填ポンプと、排出ポンプと、不活性ガスタンクと、エアコンプレッサと、チューブ類/コネクタ/管路と、電子手動制御システムと、入力デバイスと、電源と、1つまたは複数のバッテリとを含み得る。カートは、場合によっては、(所要水量と治療トランスデューサの作業空間とを収容するように構成された)組織破砕システム性能評価および関連システム診断のためのシステム
【0193】
チェック容器/貯蔵器も含み得る。
[0199]注入タンクには、一般に、最大約80リットルまでの媒質(例えば水)が入る。場合によっては、容積は約40リットルであってもよい。
【0194】
[0200]排気モジュールは、微粒子/デブリを除去するように構成されたフィルタまたは脱気膜と、脱気接触器と、システム内で流体を移動させるための真空ポンプまたは蠕動ポンプをと含み得る。実施例によっては、フィルタは細孔径が0.2マイクロメートルであってもよい。脱気接触器は、毎分約3ガロン(11リットル)の流量で10億分の1までプルダウン可能で、溶存O、COおよびNガスを除去可能とすることができる。真空ポンプは、純粋な移送および排出、蒸気および凝結への高い適合性、耐薬品性、および気密(超低漏洩)などの重要な特徴を含み得る。実施例によっては、真空ポンプは、8トルまでプルダウン可能である。実施形態によっては、脱気システムはポンプを省くことができ、システム内で流体を移動させるために水源の流量(例えば水道水流量)に依存し得る
【0195】
[0201]充填ポンプを含む1つまたは複数のポンプは、水を脱気モジュールに送り、媒質をフレーム/アセンブリ(例えば、UMCまたは結合溶液)にポンプ送出するように構成されてもよく、余分な投入量を受け入れ容器(例えばシンク、タブ、貯蔵容器、排水管など)にポンプ送出もする。実施例によっては、充填ポンプが、115VのAC電源を使用して0.1~10リットル/分をポンプ送出するように構成される。
【0196】
[0202]排水ポンプを含む1つまたは複数のポンプは、フレーム/アセンブリ(例えばUMCまたは結合溶液)とシステム検査容器とを脱媒質するように構成可能であり、廃媒質/タンクを(システム外部の)容器にポンプ送出する。
【0197】
[0203]排水タンクは、処置後の超音波媒質(脱気水)を受け取るとともに、汚染させず、個別の処置補給品の再使用を必要としない機能を提供する。
【0198】
[0204]不活性ガスタンクには、使用中でないときにシステムにガスブランケットを与えるための貯蔵を目的とした内蔵圧縮不活性ガス(一例として窒素)が含まれる。
【0199】
[0205]エアコンプレッサは、バルク流体除去および処置後乾燥/排水を補助するためにシステムの一部として構成される。
【0200】
[0206]プラスチックおよび/または金属製のチューブ類/コネクタ/管路は、システムおよび音響/患者結合システム全体を通る流体および空気連通を可能にするように構成される。これらは、バルブ(例えば二方弁、三方弁など)などの様々なコンポーネントも含み得る。
【0201】
[0207]電子コントロールおよび手動コントロールは、ポンプコントロールおよび脱気コントロールを含むがこれらには限定されない、システムのすべての機能のユーザ向けシステムコントロールを提供する。制御システムは、温度、圧力、流量、溶存酸素濃度、量などの感知のための、インラインおよびオンボードの様々なセンサをさらに含み得る。
【0202】
[0208]流体系システムおよびカートは、外部電力の利用を含む電力用の様々な電気接続も含んでもよく、および/または、コードレスな完全移動式構成を可能にするためにバッテリ/トロイドを含んでもよい。これにより、流体系カートを、組織破砕処置の準備/設定のために移動させ、その後、処置/治療中に患者の傍に流体系カートを置かなくても済むように、流体関連のすべてのワークフローステップが完了した後は運び去ることができるようにする。
【0203】
[0209]流体系カートのアーキテクチャおよび設計は、ハンドル、個別または集中ロックキャスター、上部作業面、組み込みユーザディスプレイデバイス、接続(例えばEthernetなど)も含んでよく、実施形態によっては支持アームのさらなる組み込みを可能にするように設計されてもよい。また、例えば、媒質/水の総量をスキャナの近傍に備えないようにCTまたはMRI内での使用が望ましい場合、および/または、画像/身体乖離事前/事後充填をさらに評価するために設定時の充填が必要な場合に、イメージングシステム内充填/排出に対応するために長い/延長チューブ類も装備されてもよい。
【0204】
[0210]図7A図7Gに、本明細書に記載のUMCなどのUMCの充填のための一手法を示す。図7Aを参照すると、1つの充填方法は、UMC712と、膜714と、トランスデューサアセンブリ702との組み立てから開始する。この実施形態では、充填中のUMCに対して相対的なトランスデューサの移動を防止するために、トランスデューサを機械的ロック764でUMCに固定またはロックすることができる。図7Aには、充填中に膜がUMCを越えて拡張し過ぎるのを防止するために、UMCにフロントプレート794を取り付けることができることも示されている。この構成は、密閉ユニットを提供する。次に、図7Bおよび図7Cを参照すると、アセンブリ全体を垂直またはほぼ垂直の位置に回転させ、(上述の流体系システムなどによって)結合流体を充填することができる。アセンブリには、結合容器の注入/排出ポートを通して充填することができる。実施形態によっては、これらの注入/排出ポートは、結合容器が垂直向きであるときに結合容易器の最上部/上部に配置される。他の実施形態では、注入/排出ポートは、結合容器が垂直向きであるときに結合容器の最下部/底部に配置される。この垂直向きのUMCの充填は、直接膜を通して、確かに気泡のない充填に成功したと確認することと、超音波媒質中の気泡の手動または自動操作および除去の機会を与えることの両方のために、(透明)膜を通した充填プロセスの手動または機械による視覚化を可能にするなどの潜在的な利点がある。もう1つの利点は、水平充填方法の場合に必要となる凹状超音波治療トランスデューサの中心からの空気の排気の必要なしに、充填プロセスを行うことができることである。
【0205】
[0211]垂直充填は、超音波トランスデューサが縦向きまたは横向きの状態で行うことができる。垂直充填は、(上述のように)UMCフレームとトランスデューサアセンブリとの間の機械的ロックの使用を必要としてもよい。この機械的ロックは別個のコンポーネントとすることができ、またはUMCフレームまたはトランスデューサアセンブリ内に組み込むことも可能である。
【0206】
[0212]膜を拡張し、(膜密閉欠陥または誤った組み立てに起因する)空気漏れがないか検査するために、超音波媒質の充填の前に空気陽圧が使用されてもよい。あるいは、充填の前に同様の欠陥モードがないか検査するために真空検査が使用されてもよい。
【0207】
[0213]充填プロセスの1つの目的は、気泡が発生する可能性があり、それをシステムから排気することが必要になるリスクを減らすことである。気泡が発生するリスクが低い状態での充填を可能にするために、充填ポートをUMCフレームの最も低い点に配置することができる。あるいは、ポートを容積内の最も低い点に接続するチューブまたは構造体を通して流体が充填される場合は、充填ポートは別の場所に配置されてもよい。UMCに気泡が入るのを防ぐために、流体充填ポートにフィルタまたは気泡トラップを組み込むことができる。
【0208】
[0214]UMCシステムは、充填中に気泡を閉じ込める可能性のある鋭利な角または縁がないように設計される必要がある。あるいは、気泡が閉じ込められる可能性がある場所を突き止め、それによってそれらの場所の空気が、気泡が超音波性能に影響を与える可能性がある唯一の体積である、トランスデューサと患者との間にある超音波媒質の体積内に直接入ることができないようにしてもよい。
【0209】
[0215]充填中にUMCの最も高い点における単一または複数のポートによって、空気抜きを行うことができる。空気を逃がすことができる有効面積を大きくするために、空気抜きシステムの一部としてマニフォールド構造体を使用することができ、これはさらに充填中のUMCアセンブリの向きの許容範囲を広げることを可能にする。充填プロセスは、プローブとトランスデューサとの間に閉じ込められた気泡を取り除きやすくするために、トランスデューサの中心から超音波プローブを通過する流体の流れまたは通気を使用してもよい。通気孔は環境に対して、または充填プロセス中に流体系カートにおける大気圧に対して開放可能である。この場合、充填中に超音波媒質の重量が膜を変形させ、膜をUMCの前面から膨れ出させるリスクがある。これは、正常な充填を妨げるか、または膜の甚大なあふれを生じさせる可能性がある。これを軽減するために、UMCを垂直位置から角度をつけるか、または膜の前面に透明支持プレートを使用してもよい。あるいは、UMCから能動的に排気し、(垂直に、支持プレートなしで)膜の形状を維持するために、真空システムを使用することができる。この場合、UMC内の空気が全部排気されるまで膜の安定した形状を維持するように、流体充填速度と空気抜き(真空レベル)とのバランスを取ることができる。
【0210】
[0216]次に、図7Dを参照すると、UMCの充填後は、(流体系システムを使用するなどして)UMCから余分な流体を引き出して膜をトランスデューサに対して引張り、UMCとトランスデューサアセンブリの質量を最小限にすることができ、それによってシステムをより容易に患者の上に配置することができるようにシステムをできるだけ軽量にする。流体注入ポートと排気口(および流体ポート)は、膜によるポートの偶発的封鎖を防止するように設計可能である。図7Eを参照すると、機械的ロックを外すことができる。図7Fで、膜制約機構716をUMCに取り付けることができる。上述のように、膜制約機構は、治療中に外科治療領域全体が音響結合を確実に維持するように、膜がUMCの境界を越えて拡張または移動するのを防ぐように構成することができる。図7Gで、治療または処置の準備のためにアセンブリ全体を回転して水平位置に戻すことができる。
【0211】
[0217]UMC内の空気圧の制御を可能にしながら排気場所における空気除去速度を向上させるために、能動的真空ポンプシステムが使用されてもよい。この方法は、膜がUMCの前面を越えて拡張するのを防ぎやすくするために使用することができる。
【0212】
システム変形態様
[0218]上記で説明し、開示したように、音響/患者結合システムのシステム変形態様の様々な置換が想定され、本明細書に記載の概念には限定されない。
【0213】
[0219]中核システムおよびサブシステムは、組織破砕システムの様々な全体的なアーキテクチャとは別個に、またはアーキテクチャに組み込まれるように構成され得る。これには、「UMC/患者結合」とフレーム/アセンブリシステムとが「アーム」によって支持される仕方の様々な構成も含まれ得る。
【0214】
[0220]例えば、UMCおよびアームは、手術台サイド/ベッドサイド構成を含む、独立した(例えば、ロボットまたは流体系の一部ではない)構成であってもよい。
【0215】
[0221]別の実施例では、UMCおよびアームは、(例えば、ロボットと組織破砕発生器を収容する)治療カートと一体であってもよい。
【0216】
[0222]異なる実施例では、UMCおよびアームは、流体系カートと一体であってもよい。
【0217】
[0223]別の実施例では、(例えば、治療、イメージングおよびロボットのユーザ制御のためのグラフィカルユーザインターフェースと物理コントロール/制御パネルを含む)イメージング操作部/ユーザコンソールと一体であってもよい。
【0218】
[0224]上記すべての場合において、様々な構成/組み合わせが、簡単な処置室、手術室、複合型処置室、撮像室(例えばCT、MRIなど)、カテーテル検査室(例えば、円錐ビームCT、拡張蛍光透視)において、またはそれとは異なり、診療室環境等において設定されてもよい。
【0219】
[0225]実施例によっては、すべてのシステムのすべての制御が、1つの物理的ディスプレイまたはディスプレイセンター/ユーザコンソール(流体系を含む)を介してインターフェースされてもよく、他の実施例では、各個別の「サブシステム、例えば流体系カート」が、サテライトおよび独立制御のためにそれ自体のコントロール/ディスプレイを含んでもよい。
【0220】
[0226]別の実施例では、結合システムは、組織破砕の開始、維持および完了を検出するためのキャビテーション検出または受動キャビテーション検出デバイスを含むことができてもよい。
【0221】
方法、用途およびワークフロー
[0227]上記で開示したシステムは、設定、使用および撤去のために様々なワークフローを使用することができる。ほとんどの場合、UMC/フレーム/アセンブリの充填は、膜/バリアフィルムを患者および/またはフレーム/アセンブリに合わせて構成するための一連の初期ワークフローステップ後に行われる。
【0222】
[0228]充填ステップおよび方法は、UMC/フレーム/アセンブリの作業空間が、処置のために相対的な適切な場所/手法で充填される、水平充填を可能にしてもよい。他のワークフローでは、治療トランスデューサの下の気泡閉じ込めを最小限にする/低減するために、作業空間は垂直方向で充填されてもよい。水平またまたは垂直の両方の手法(またはその他の手法)は、治療計画または治療の前に、またはそれとは逆に、処置のいずれかの部分において気泡が検出され、それらの気泡を管理することが許される/可能にされる場合に、残留気泡を除去するための排気ステップを含んでもよい。
【0223】
[0229]これらのステップに関係するワークフローの別の部分は、ロボットアームを治療ヘッドにドッキングするステップおよびタイミング、および/または、治療ヘッドをUMC/フレーム/アセンブリ内に配置するステップおよびタイミングを含み得る。一部の設定およびワークフローでは、ロボットアームは、治療ヘッドをUMC/フレーム/アセンブリ作業空間に挿入する前に、治療ヘッドにインターフェースさせてもよい。それとは異なり、他の設定およびワークフローでは、UMC/フレーム/アセンブリは、組み立て、充填、気泡除去などが行われてから、ロボットアームクイック接続インターフェースにドッキングされてもよい。場合によっては、これらの設定ステップは、処置設定の一環として直接、患者内/上で行われてもよい。
【0224】
[0230]これらのステップおよびフロー全体を通じて、ユーザは、組織破砕システムと一体となった超音波システムを使用してローカルで患者および患者の生体構造を撮像することができるようにされてもよい。場合によっては、ユーザは、最良の音響窓とユーザ定義標的への接近とを得るために、この撮像に基づいて、UMC/フレーム/アセンブリ設定位置、角度などを修正/変更してもよい。これは、用途によっても異なり得る(例えば、既知の運動源を有する腹部腫瘍治療、音響遮断およびその他の問題のための設定と、頭部/脳における比較的安定し、一貫した既知の遮断のための設定)。様々な考慮事項および新規な設定およびワークフロー手法については、記載のサポート資料、実施例および図面で説明されている。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B-3D】
図3E
図3F
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
【国際調査報告】