(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-18
(54)【発明の名称】運動なしで、筋量、筋力および筋機能を改善するためのβ-ヒドロキシ-β-メチルブチレート(HMB)の組成物および使用法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/19 20060101AFI20230710BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20230710BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230710BHJP
A61K 31/59 20060101ALI20230710BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20230710BHJP
A23L 33/15 20160101ALI20230710BHJP
【FI】
A61K31/19
A61P21/00
A61P43/00 121
A61K31/59
A23L33/10
A23L33/15
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577747
(86)(22)【出願日】2021-06-17
(85)【翻訳文提出日】2023-02-03
(86)【国際出願番号】 US2021037841
(87)【国際公開番号】W WO2021257839
(87)【国際公開日】2021-12-23
(32)【優先日】2020-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522486564
【氏名又は名称】メタボリック・テクノロジーズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100157923
【氏名又は名称】鶴喰 寿孝
(72)【発明者】
【氏名】ラスマカー,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】フラー,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ベイヤー,ショーン
【テーマコード(参考)】
4B018
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018MD02
4B018MD03
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4C206ZC75
(57)【要約】
本発明は、運動トレーニングプログラムに従事していない個体においてさえ、筋力および身体機能性を増進させるための、ビタミンDを伴うまたは伴わないβ-ヒドロキシ-β-メチル酪酸(HMB)の組成物であって、筋力および身体機能性における増進が運動とともに見られるものと類似である、前記組成物を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筋量を増加させる必要がある運動していないヒトの筋量を増加させる方法であって、前記ヒトに、約0.5g~約30gのβ-ヒドロキシ-β-メチル酪酸(HMB)、およびビタミンDの血中レベルを少なくとも30ng/mlに上昇させるために十分な量のビタミンDの組み合わせを投与する工程を含み、HMBおよびビタミンDの前記組み合わせの動物への投与により、前記筋量が、HMBを消費していない、運動している人によって達成されるものと類似の量で増加する、前記方法。
【請求項2】
ヒトが運動不能である、請求項1の方法。
【請求項3】
前記HMBがその遊離酸型、その塩、そのエステル、およびそのラクトンからなる群より選択される、請求項1の方法。
【請求項4】
前記塩がナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、クロム塩、およびカルシウム塩からなる群より選択される、請求項3の方法。
【請求項5】
前記塩がカルシウム塩である、請求項4の方法。
【請求項6】
前記HMBが遊離酸型である、請求項3の方法。
【請求項7】
筋力を増加させる必要がある運動していないヒトの筋力を増加させる方法であって、前記ヒトに、約0.5g~約30gのβ-ヒドロキシ-β-メチル酪酸(HMB)、およびビタミンDの血中レベルを少なくとも30ng/mlに上昇させるために十分な量のビタミンDの組み合わせを投与する工程を含み、HMBおよびビタミンDの前記組み合わせの動物への投与により、前記筋力が、HMBを消費していない、運動しているヒトによって達成されるものと類似の量で増加する、前記方法。
【請求項8】
ヒトが運動不能である、請求項7の方法。
【請求項9】
前記HMBがその遊離酸型、その塩、そのエステル、およびそのラクトンからなる群より選択される、請求項7の方法。
【請求項10】
前記塩がナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、クロム塩、およびカルシウム塩からなる群より選択される、請求項9の方法。
【請求項11】
前記塩がカルシウム塩である、請求項10の方法。
【請求項12】
前記HMBが遊離酸型である、請求項9の方法。
【請求項13】
筋機能を改善する必要がある運動していないヒトの筋機能を改善する方法であって、前記ヒトに、約0.5g~約30gのβ-ヒドロキシ-β-メチル酪酸(HMB)、およびビタミンDの血中レベルを少なくとも30ng/mlに上昇させるために十分な量のビタミンDの組み合わせを投与する工程を含み、HMBおよびビタミンDの前記組み合わせの動物への投与により、前記筋機能が、HMBを消費していない、運動しているヒトによって達成されるものと類似の量で改善される、前記方法。
【請求項14】
ヒトが運動不能である、請求項13の方法。
【請求項15】
前記HMBがその遊離酸型、その塩、そのエステル、およびそのラクトンからなる群より選択される、請求項13の方法。
【請求項16】
前記塩がナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、クロム塩、およびカルシウム塩からなる群より選択される、請求項15の方法。
【請求項17】
前記塩がカルシウム塩である、請求項16の方法。
【請求項18】
前記HMBが遊離酸型である、請求項15の方法。
【請求項19】
筋量を増加させ、筋力を増加させ、そして/または筋機能を改善する必要がある、運動していない、ビタミンDが十分であるヒトの筋量を増加させ、筋力を増加させ、そして/または筋機能を改善する方法であって、前記ヒトに、約0.5g~約30gのβ-ヒドロキシ-β-メチル酪酸(HMB)を投与する工程を含み、前記HMBのヒトへの投与により、HMBを消費していない、運動しているヒトによって達成されるものと類似の量で、前記筋量が増加し、前記筋力が増加し、そして/または前記筋機能が改善される、前記方法。
【請求項20】
ビタミンDが十分であるヒトが、少なくとも30ng/mlのビタミンDの血中レベルを有するヒトをさらに含む、請求項19の方法。
【請求項21】
筋量を増加させ、筋力を増加させ、そして/または筋機能を改善する必要がある運動していないヒトの筋量を増加させ、筋力を増加させ、そして/または筋機能を改善する方法であって、前記ヒトに、約0.5g~約30gのβ-ヒドロキシ-β-メチル酪酸(HMB)、およびビタミンDの血中レベルを少なくとも30ng/mlに上昇させるために十分な量のビタミンDの組み合わせを投与する工程を含み、HMBおよびビタミンDの前記組み合わせのヒトへの投与により、HMBを消費していない、運動しているヒトによって達成されるものと類似の量で、前記筋量が増加し、前記筋力が増加し、そして/または前記筋機能が改善される、該組成物が0.5グラム未満の個々のアミノ酸を含有する、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本出願は、2020年6月17日出願の米国仮特許出願第63/040,241号の利益を請求し、そして米国仮特許出願第63/040,241号を本明細書に援用する。
【0002】
1.分野
本発明は、β-ヒドロキシ-β-メチルブチレート(HMB)およびビタミンDを含む組成物、ならびにHMBおよびビタミンDの組成物を用いて、運動していないヒトにおいて、筋量、筋力、または筋機能性を改善する方法に関する。本発明は、HMBの組成物を用いて、ビタミンDが十分であり、運動していないヒトにおいて、筋量、筋力、または筋機能性を改善する方法をさらに含む。
【発明の概要】
【0003】
2.背景
除脂肪体重(LBM)は、40歳以後、10年あたり約8%の率で減少し、そして70歳以後では、10年あたり約15%まで加速する。除脂肪体重の減少は、典型的には、筋量の損失を反映し、そしてこれには、筋力および身体機能の減少が付随する。これらの損失は、高齢者には深刻で広範囲の影響を有する。除脂肪体重および筋力は、自立性の喪失、転倒リスク、疾病率、および死亡率と逆に関連する。したがって、加齢性の筋量および筋機能損失を減弱させると、健康状態および生活の質を改善する大きな潜在能力がある。
【0004】
加齢性筋損失を遅延させるいくつかの戦略が提唱されてきているが、今日までに、一貫して有効であることが示されたのは、単独のまたは栄養介入と組み合わせた筋力トレーニングのみであった。しかし、栄養介入単独は、一般的に、食物摂取制限または過剰な栄養不良の場合にのみ有効である。タンパク質摂取不足(1日あたり1kgあたり0.8gの推奨1日許容量[RDA]未満)は、LBMおよび身体能力の減少と関連する。タンパク質不足は比較的少数の高齢者(~10%)に影響を及ぼす一方、RDAを超えるようにタンパク質摂取を増加させると、筋量は増加するが、筋力または全体の身体機能は改善しない。同様に、主にタンパク質同化剤を用いる薬理学的介入は、より有力ではなく、ある研究では利益を示し、そして他の研究では不都合な転帰を示した。さらに、タンパク質同化ホルモンの使用は、一般集団において、その有用性を限定する、有意な疾病率と関連付けられてきている。
【0005】
HMB
ロイシン代謝の唯一の産物は、ケトイソカプロエート(KIC)である。KIC代謝の少量の産物は、β-ヒドロキシ-β-メチルブチレート(HMB)である。HMBは多様な適用の背景内で有用であることが見出されてきている。特に、米国特許第5,360,613号(Nissen)において、HMBは総コレステロールおよび低密度リポタンパク質コレステロールの血中レベルを減少させるために有用であると記載される。米国特許第5,348,979号(Nissenら)において、HMBは、ヒトにおいて窒素保持を促進するために有用と記載される。米国特許第5,028,440号(Nissen)は、動物における除脂肪組織発展を増加させるためのHMBの有用性を論じる。また、米国特許第4,992,470号(Nissen)において、HMBは、哺乳動物の免疫反応を増進させる際に有効であると記載される。米国特許第6,031,000号(Nissenら)は、疾患関連消耗を治療するためのHMBおよび少なくとも1つのアミノ酸の使用を記載する。
【0006】
HMBは、単独でまたは他のアミノ酸と組み合わされて、若いアスリートにおいて、筋力および筋機能を回復させるための有効なサプリメントであることが以前、観察されてきている。さらに、2つのアミノ酸、グルタミンおよびリジンと組み合わされたHMBは、高齢者において、筋量を増加させる際に有効であることが観察されてきている。
【0007】
HMBは、高齢者および若年成人において、筋量、筋力、筋機能、およびタンパク質動態に有益な影響を有することが示されてきている。Baierらによる1年間の研究において、HMB/Arg/Lysの毎日の補充は、補充を受けた高齢者において、LBMを有意に改善させたが、筋力または筋機能には改善を示さなかった。
【0008】
HMBは、アミノ酸ロイシンの活性代謝産物である。タンパク質分解を抑制するためのHMBの使用は、ロイシンがタンパク質温存特性を有するという観察から生じている(1~4)。必須アミノ酸ロイシンは、タンパク質合成に使用されるか、またはアミノ基転移されてα-ケト酸(α-ケトイソカプロエート、KIC)になるかいずれかでありうる(1、3)。1つの経路において、KICは、HMBに酸化されうる。ロイシン酸化のおよそ5%は、第二経路を通じて進行する(5)。HMBは、筋量および筋力増進においてロイシンより優れている。HMBの最適な効果は、1日あたり3.0グラム、または1日あたり0.38g/体重kgで達成されうる一方、ロイシンの最適効果は、1日あたり30.0グラムより多くを必要とする(3)。
【0009】
ひとたび産生されるかまたは摂取されると、HMBは2つの運命を有するようである。第一の運命は、尿への単純な排出である。HMBが供給されたのち、尿濃度は増加し、尿へのHMBのおよそ20~50%の損失を生じる(4、6)。別の運命は、HMBのHMB-CoAへの活性化に関する(7~16)。ひとたびHMB-CoAに変換されると、さらなる代謝、HMB-CoAからMC-CoAへの脱水、またはHMB-CoAからHMG-CoAへの直接変換のいずれかが起こる可能性があり(17)、これは細胞内コレステロール合成の基質を提供する。いくつかの研究により、HMBがコレステロール合成経路に取り込まれ(12、16、18~20)、そして損傷を受けた細胞膜の再生に用いられる新規細胞膜の供給源になりうる(3)ことが示されてきている。ヒトの研究によって、血漿CCPK(クレアチンホスホキナーゼ)の上昇によって測定される、激しい運動後の筋損傷は、最初の48時間以内のHMBの補充によって減少することが示されてきている。HMBの保護効果は、連続した毎日の使用で、最大3週間まで続く(21~23)。
【0010】
単離ラット筋におけるin vitro研究によって、HMBは、特にストレス期間中、筋タンパク質分解の強力な阻害剤である(24)ことが示される。これらの知見は、ヒトにおいて確認されており;例えば、HMBは、筋力トレーニングに従事している被験体において、筋タンパク質分解を阻害する(4)。結果は多くの研究において再現されてきている(25)(21~23、26~28)。
【0011】
HMBがタンパク質分解を減少させ、そしてタンパク質合成を増加させる分子機構が、最近報告されてきている(29~31、31~33)。MAC16悪液質誘導性腫瘍を所持するマウスにおいて、HMBは、ユビキチン-プロテアソーム経路の重要な活性化因子を下方制御することによって、タンパク質分解を減弱させた(30)。さらに、HMBは、ネズミ筋管において、タンパク質分解誘導因子(PIF)活性化を減弱させ、そしてユビキチン-プロテアソーム経路の遺伝子発現を増加させ、それによってタンパク質分解を減少させた(31)。PIFは、ネズミ筋管におけるタンパク質合成を50%阻害し、そしてHMBはタンパク質合成のこの抑制を減弱させる(29)。Eleyらは、HMBが、dsRNA依存性プロテインキナーゼ(PKR)に対する影響を通じた真核生物翻訳開始因子2(eIF2)リン酸化の下方制御、およびラパマイシン/70kDaリボソームS6キナーゼ経路の哺乳動物ターゲット(mTOR/p70S6k)経路の上方制御を含む、いくつかの機構によって、タンパク質合成を増加させることを立証した。最終結果は、4E結合タンパク質(4E-BP1)のリン酸化増加および活性eIF4G-eIF4E複合体の増加である。ロイシンは、これらの機構の多くをHMBと共有するが、HMBは、タンパク質合成刺激において、より強力であるようである(29)。
【0012】
HMBはまた、リポ多糖(LPS)、腫瘍壊死因子α/インターフェロンγ(TNF-α/IFN-γ)、およびアンギオテンシンII(Ang II)などの他の異化因子の効果を仲介する共通の経路を減弱することによっても、タンパク質合成を増加させうる(32、33)。HMBは、カスパーゼ-3および-8の活性化を減弱させ、そして続いて、p38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(p38MAPK)の下方制御によってPKRの活性化および活性酸素種(ROS)形成を減弱させることによって作用する。ROS形成増加は、ユビキチン-プロテアソーム経路を通じてタンパク質分解を誘導することが知られる。HMBは、この減弱を、PKR自己リン酸化およびそれに続くeIF2αのリン酸化を通じて、そして部分的にmTOR経路の活性化を通じて達成する。
【0013】
多くの研究によって、HMBの有効用量は、CaHMBとして1日あたり3.0グラム(~38mg/kg体重・日-1)であることが示されてきている。この投薬量は、筋力トレーニングと関連する筋量および筋力獲得を増加させる一方、激しい運動に関連する筋損傷を最小限にする(34)(4、23、26)。HMBは安全性に関して試験されてきており、健康な若年成人または高齢者において、いかなる副作用も示していない(35~37)。L-アルギニンおよびL-グルタミンと組み合わされたHMBはまた、AIDSおよび癌患者に補充された際、安全であることも示されてきている(38)。
【0014】
ヒトにおける研究はまた、1日あたり3グラムのCaHMBにアミノ酸を加えた食餌補充が、癌およびAIDSなどの多様な状態において、筋量損失を減弱させることも示してきている(3、4、26、34、39、40)。ウェートトレーニングを伴い、除脂肪体重および筋力を増加させるサプリメントのメタ分析によって、HMBが、運動を伴い、除脂肪体重および筋力を増加させるわずか2つの食餌サプリメントの1つであることが示された(34)。より近年には、HMB、ならびにアミノ酸アルギニンおよびリジンが、1年に渡る研究で、運動していない高齢者集団において、除脂肪体重を増加させることが示された。
【0015】
ビタミンD
ビタミンDは、古典的に、カルシウムおよびリン代謝、ならびに骨強度と関連付けられてきている。最近まで、適切なビタミンDレベルは、ビタミンD欠乏疾患であるクル病を用いて定義されてきた。1,25OH2-VitD3は、ビタミンDの活性代謝産物である一方、広く認められるビタミンD状態の測定値は、血清(血液)循環25OH-VitD3である。10~15ngの間の25OH-VitD3/mLの循環血液レベルは、幼児においてクル病を引き起こし、そしてビタミンDの欠乏レベルと認められてきている。ビタミンDは、適切な日光曝露でヒトによって合成されうるか、または食餌を通じて、そして食餌へのサプリメントを通じて得られうる。多くの要因が体内で見られるビタミンDの量および有効性に影響を及ぼす。これらの要因には、食餌摂取、日光曝露、ビタミンD受容体数(VDR)、コレカルシフェロールから25OH-VitD3への変換率および最後に25OH-VitD3から1,25OH2-VitD3への変換が含まれる。
【0016】
北緯地域(northern latitudes)(米国の大部分)における集団の大部分は、冬季は太陽の紫外線Bが地球に到達しないため、日光曝露にかかわらず、冬季にはビタミンDを産生せず、そしてしたがってビタミンDの唯一の供給源は食餌である(42)。25ヒドロキシル化は肝臓で起こり、そして1ヒドロキシル化は主に腎臓で起こるため、これらの2つの臓器は、ビタミンDの循環レベルの決定に大きな役割を果たしており、そしてこれらの臓器の機能性およびしたがってビタミンD状態は、年齢とともに減少する傾向がある(42)。
【0017】
最近の概説において、Holickは、副甲状腺ホルモン(PTH)レベルが横ばいになる前に、25OH-VitD3の循環レベルが30~40ng/mLと同程度の高さまで到達していなければならないことを示す研究を詳述している(43)。他の研究者らは、20から32ng/mLへの25OH-VitD3の増加は、腸カルシウム輸送を増加させることを見出している(44)。これらの基準はどちらも、体内のカルシウム代謝を最適に制御するには、30ng/mLまたはそれより多い25OH-VitD3レベルが必要であることを指摘する。Heaneyによる最近の概説は、骨健康およびカルシウム代謝以外のいくつかの側面を考慮に入れた最適な健康のためには、25OH-VitD3の最適レベルは32ng/mLまたはそれより高いと記している(45)。これらの基準によると、自立した高齢男性および女性の40~100%がビタミンD欠乏である(43)。
【0018】
腎臓における1-アルファ,25-ビタミンDヒドロキシラーゼは、ビタミンD、1,25OH2-VitD3の循環活性代謝産物の合成の主な供給源と見なされてきている。この酵素の活性は、副甲状腺ホルモン(PTH)によって全身レベルで制御される。全身レベルでの1,25OH2-VitD3の制御は、おそらく、一度で、全身組織に関する活性ビタミンの最適レベルを提供するわけではない。比較的最近、組織特異的1-アルファ,25-ビタミンDヒドロキシラーゼが同定されており、そしてこの酵素は組織特異的レベルでビタミンDの自己分泌反応を仲介すると考えられる(46、47)。ヒト血管平滑筋は、25ng/mLのKmで、1-アルファ,25-ビタミンDヒドロキシラーゼ活性を有する。これは、この酵素が25ng/mLの25OH-VitD3濃度で、最大半の能力で作用することを意味する(48)。したがって、血管平滑筋細胞の最適活性ビタミンDには、>25ng/mLの血清レベルが必要でありうる。
【0019】
筋力は年齢とともに低下し、そしてビタミンDの最近特徴づけられた欠乏症状は骨格筋脱力である(43)。ビタミンD欠乏、ならびに筋量および筋力に対するそのホルモン効果(サルコペニア)は高齢者における転倒および骨折のリスク要因として記載されてきている(49)。筋力の損失は、筋細胞におけるビタミンD受容体(VDR)の損失と相互に関連付けられてきている(50)。1日あたり少なくとも800IUのビタミンDの補充は、筋細胞におけるVDRの臨床的に有意な増加を生じることが可能であり、これは、他の研究が、このレベルのビタミンD補充で体の揺れ、筋力および転倒リスクの改善が見られたことを示している機構の一部でありうる(51)。ビタミンDに関連するこの筋脱力は、古典的ビタミンD欠乏レベル(<15ng/mLの血中25OH2-VitD3)では驚くべきことではない可能性があるが、Bischoff-Ferrariらによれば、40ngの25OH-VitD3/mLまでそしてこれを超える値で、下肢機能の改善が続いて見られ、これらのレベルは、最大利益に必要であると以前考えられていた値よりも十分に高いレベルである(52)。この観察は、他の研究者によっても確認されており、実際、クル病を防止するために必要な最小ビタミンDレベルは、最大身体能力を可能にしない(53)。American Journal of Clinical Nutritionの最近の論説は、入手可能なすべての文献が、少なくとも30ng/mLの25OH-VitD3レベルが健康および疾患のために最も適していることを示すと言及した(54)。
【0020】
正確な機構はなお不明であるが、活性代謝産物、1,25OH2-VitD3およびその前駆体、25OH-VitD3の両方が、筋肉の正常機能に重要な役割を果たしていることは明らかである。筋肉は、1,25OH2-VitD3のVDRを含有し、これらは核および細胞膜の両方に見られ(55~57)、そしてこれらはまた、25OH-VitD3の非特異的結合にもまた関与する(58)。1970年代に公表されたHaddadおよびBirgeによる研究によって、測定7時間前に、ビタミンD欠乏ラットにD3を供給すると、筋細胞タンパク質への3H-ロイシン取り込みによって測定した際、タンパク質合成が増加したことが示されている。しかし、筋肉をビタミンD欠乏ラットから取り除き、そして研究すると、25-OH VitD3のみが、筋肉において直接作用する(58~60)。
【0021】
初期臨床的証拠によって、ビタミンD欠乏に関連する可逆性ミオパシーが指摘された(61)。ビタミンD受容体は筋組織で発見され、したがって筋機能に対するビタミンDの効果の直接的証拠が提供された(51、62)。ビタミンD欠乏の成人における筋生検によって、主にII型筋線維委縮が示される(63)。II型線維は、転倒防止のためにまず起動されるため、重要である。最近のランダム化対照研究は、高齢脳卒中生存者におけるビタミンD2の1,000IUの毎日の補充は、平均II型線維直径およびII型線維の割合の増加を生じることを見出した(64)。血清25OH-VitD3レベルおよびII型線維直径の間の相関もまたあった。
【0022】
ビタミンDは、VDRに結合することによってその作用を伝達する。VDRは、筋芽細胞から筋管への分化の特定の段階で発現される(55、65、66)。2つの異なるVDRが記載されてきている。一方は核に位置し、そして核受容体として作用し、そしてもう一方は細胞膜に位置し、そして細胞性受容体として作用する。VDRノックアウトマウスは、体重およびサイズ両方の減少、ならびに運動協調機能障害によって特徴づけられる(67)。核VDRは、ステロイド-甲状腺ホルモン受容体遺伝子スーパーファミリーに属するリガンド依存性核転写因子である(68)。Bischoffら(69)は、VDRに関する有意に関連した核内染色を伴う、ヒト筋組織におけるVDRのin situ検出を最初に報告した。1,25OH2-VitD3がその核受容体にひとたび結合すると、これは、mRNA転写およびそれに続くタンパク質合成の変化を引き起こす(70)。ゲノム経路は、筋カルシウム取り込み、細胞膜を渡るリン酸輸送、リン脂質代謝、ならびに筋細胞増殖および分化に影響を及ぼすことが知られている。1,25OH-VitD3は、筋小胞体および筋細胞膜において、カルシウムポンプの活性を調節することによって、筋カルシウム取り込みを制御する(61)。カルシウムレベルの修飾は、筋機能に影響を及ぼす(71)。in vitro実験は、生理学的レベルの1,25OH2-VitD3に曝露された細胞における45Ca取り込みの増加を立証することによって、これらの知見を裏付ける(72)。カルシウム結合タンパク質カルビンディンD-9Kは、核VDRの活性化の結果として合成される(62)。1,25OH2-VitD3は、細胞におけるリン酸取り込みおよび集積を加速させることによって、筋芽細胞におけるリン酸代謝を制御する際に役割を果たす。1,25OH2-VitD3は、迅速に、おそらく細胞膜VDRを通じて作用する(56、57)。これらの受容体に結合する間、二次メッセンジャー経路(G-タンパク質、cAMP、イノシトール三リン酸、アラキドン酸)の活性化(73~75)または細胞内タンパク質のリン酸化がある。これらは次に、プロテインキナーゼC(PKC)を活性化し、筋細胞内へのカルシウムの放出を導き、そして最終的に、Ca-ATPアーゼによって、筋小胞体内へのCaの能動輸送を生じる。このプロセスは、筋収縮に重要である。さらに、PKCは、筋細胞において、タンパク質合成増進にも影響を及ぼす(76)。最近のデータ(77)は、1,25OH-VitD3がマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)シグナル伝達経路の迅速な活性化を有し、これが次に、筋形成、細胞増殖、分化、またはアポトーシスの開始を実行する細胞内ターゲットへのシグナルを進行させることを示す。
【0023】
ビタミンDはまた、タイトジャンクションおよび神経筋接合部の形成および再生も制御しうる。in vitro研究は、ビタミンDがシュワン細胞においてVDRおよび神経増殖因子(NGF)の発現を制御することを見出した(78)。最近の研究は、ビタミンDが、ラットにおいて、グリア細胞株神経栄養因子(GDNF)を増進させ、そしてこれは神経変性疾患において有益な効果を有しうることを示している(79)。したがって、ビタミンDは、細胞機能および神経相互作用のいくつかの機構を通じて作用して、筋力および機能の全体を改善しうる。
【0024】
筋量を増加させ、そして筋機能および筋力を改善する組成物および方法に関する必要性が存在する。本発明は、こうした筋量の増加ならびに筋力および筋機能の改善を生じるビタミンDおよびHMBの組み合わせの組成物および使用法を含む。本発明は、加齢による筋量損失を含む、除脂肪筋量の進行性損失を制御するための、HMBおよびビタミンDの組み合わせの組成物および使用法を含む。本発明の組成物は、運動していない個体において使用されて、運動で達成されるものと類似の筋機能および筋力に対する効果を達成しうる。高齢者のかなりの割合が、定期的に運動することができないかまたは運動を望まず、そして本発明の組成物の使用は、運動で見られる増進と類似の筋力および筋機能の増進を生じる。さらに、運動していないヒトにおける筋力および筋機能に対する効果は、配合物中の個々のアミノ酸の包含とは関連しない。組成物には、1日あたり個々のアミノ酸0.5g未満が含まれてもよく、そしてなお、筋力および筋機能の改善の効果を達成しうる。
【0025】
発明の概要
本発明の1つの目的は、運動のみの場合と類似の結果を達成する、運動していない哺乳動物において、筋量、筋力、または筋機能性を増加させるための組成物を提供することである。
【0026】
本発明の別の目的は、筋肉に対して、運動によって達成されるものと類似の効果を達成する、運動できないかまたは運動を望まないヒトのための、筋量、筋力、または筋機能性を増加させるための組成物を提供することである。
【0027】
本発明のさらなる目的は、高齢者において、筋量を増加させ、筋力を改善し、そして/または筋機能を改善するために用いられる、HMBおよびビタミンDの組成物を提供することである。
【0028】
本発明の別の目的は、ビタミンDが十分である、運動していないヒトに、HMBの組成物を提供して、運動しているヒトによって達成されるものと類似のレベルまで、筋量を増加させ、筋力を改善し、そして/または筋機能を改善することである。
【0029】
本発明のさらなる目的は、運動していないヒトに、HMBおよびビタミンDの組成物を提供して、運動しているヒトによって達成されるものと類似のレベルまで、筋量を増加させ、筋力を改善し、そして/または筋機能を改善することである。
【0030】
本発明のさらなる目的は、個々のアミノ酸0.5グラム未満を有する、HMBおよびビタミンDの組成物を提供して、運動していないヒトにおいて、筋量を増加させ、筋力を改善し、そして/または筋機能を改善することである。
【0031】
本発明のこれらのおよび他の目的は、以下の説明、図面、および請求項を参照した際、当業者には明らかとなるであろう。
【0032】
本発明は、以前に遭遇された困難を克服することを意図する。この目的に向けて、HMBおよびビタミンDを含む組成物を提供する。該組成物は、筋量、筋力および筋機能性を増加させる必要がある被験体に投与される。すべての方法は、動物に、ビタミンDを伴いまたは伴わずに、HMBを投与する工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図3】
図3は、多数の筋肉群に渡る付加的改善を評価する、複合機能指数に対する補充の効果を示す。
【
図4】
図4は、立ち上がり実行試験の変化に対するHMB+ビタミンD補充の効果を示す。
【
図5】
図5は、総(右+左の合計)握力の変化に対するHMB+ビタミンD補充の効果を示す。
【
図6】
図6は、総(右および左脚の合計)ピークトルクの変化を示す。
【
図8】
図8は、複合機能指数の変化に対するHMB+D補充の効果の治療企図分析を示す。
【
図9】
図9は、複合下肢強度指数の変化に対するHMB+D補充の効果の治療企図分析を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、相乗的効果を有し、そして筋力および機能全体を改善する、HMBおよびビタミンDの組み合わせを含む。HMBおよびビタミンDの組み合わせは、筋量、筋機能および筋力全体の有意な増進を生じる。この組み合わせを、筋量、筋機能および筋力全体の増進を求める、すべての年齢群で使用してもよい。以下の方法は、運動していない動物においても、筋量、筋機能および筋力全体の増加を記載し、そして示し、そして運動していない動物における筋量、筋機能および筋力に対する効果は、筋量、筋機能および筋力に対する運動の効果と類似である。
【0035】
本発明は、HMBおよびビタミンDの組み合わせを含む。哺乳動物が、少なくとも約25ng/mlの、26ng/ml、27ng/ml、28ng/ml、29ng/ml、30ng/ml、31ng/mlおよびそれより高いレベルを含む、ビタミンD血清レベルを有する場合に、筋量を増加させ、そして筋機能および/または筋力を改善するためのHMBの最適有効性が生じることが、予期せぬことにそして驚くべきことに発見されているように、ビタミンDは、HMBとともに投与されて、HMBの有効性を最適にする。
【0036】
1つの特異的使用において、HMBおよびビタミンDは、年長または高齢集団におけるものである。高齢集団のかなりの割合が、潜在的に有意に関連する疾病率を伴い、転倒のリスクを持つと現在推定される。HMBおよびビタミンDの組み合わせは、筋量、筋力および筋機能を特にターゲティングし、そしてその結果、健康状態、生活の質の改善、そして特にこのグループでの転倒および外傷の減少を生じうる。本明細書に記載される、限定されるわけではないが握力試験、タイムゲットアップアンドゴー(timed get up and go)試験ならびに立ち上がり(get up)試験を含む、筋力および機能性試験および指数は、日常活動、例えば階段上りおよび食料雑貨類の運搬を実行する能力を含めて、生活の質の改善と相関する。筋機能および/または筋力改善は、エネルギー増加を生じる。
【0037】
より若年の集団もまた、部分的に、ビタミンD欠乏の蔓延のため、HMBおよびビタミンD投与から利益を得る。女性はビタミンD欠乏になりやすいため、女性もまた、HMBおよびビタミンDの投与から利益を得る。
【0038】
新生児および12か月までの小児は、HMBおよびビタミンDの投与から利益を受けうる。乳児用粉ミルクはビタミンDが強化されており、そして米国小児科学会(AAP)は、すべての乳児、小児および青年は、このビタミンの欠乏から生じる合併症を防止するため、サプリメント、粉ミルクまたは牛乳を通じて十分なビタミンDを摂取するように推奨している。
【0039】
本発明は、HMBおよびビタミンDを含む組成物を提供する。該組成物は、筋量、筋力または筋機能全体を改善する必要がある動物に投与される。本明細書において、筋機能には、筋能力、筋力、身体能力および身体機能性が含まれる。
【0040】
HMBおよびビタミンDの組成物は、任意の適切な方式で動物に投与される。許容されうる型には、限定されるわけではないが、固形、例えば錠剤またはカプセル、および液体、例えば経腸または静脈内溶液が含まれる。また、該組成物は、任意の薬学的に許容されうるキャリアーを利用して投与されてもよい。薬学的に許容されうるキャリアーは、当該技術分野に周知であり、そしてこうしたキャリアーの例には、多様なデンプンおよび生理食塩水溶液が含まれる。好ましい態様において、組成物は可食型で投与される。
【0041】
HMBおよびビタミンDの組成物には、乳児用粉ミルクおよび全年齢のための栄養ドリンクとして組成物の投与が含まれる。
【0042】
β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸、またはβ-ヒドロキシ-イソ吉草酸は、(CH3)2(OH)CCH2COOHとして、その遊離酸型で示されてもよい。用語「HMB」は、遊離酸および塩型の両方の前述の化学式を有する化合物、ならびにその誘導体を指す。本発明の背景内で、任意の型のHMBを用いてもよい一方、好ましくは、HMBは、遊離酸、塩、エステル、およびラクトンを含む群より選択される。HMBエステルには、メチルおよびエチルエステルが含まれる。HMBラクトンには、イソバレリルラクトンが含まれる。HMB塩には、ナトリウム塩、カリウム塩、クロム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルカリ金属塩、および土類金属塩が含まれる。
【0043】
HMBおよびその誘導体を産生するための方法は、当該技術分野に周知である。例えば、HMBは、ジアセトンアルコールの酸化によって合成されてもよい。1つの適切な方法は、Coffmanら, J. Am. Chem. Soc. 80: 2882-2887(1958)によって記載される。該文献に記載されるように、HMBは、ジアセトンアルコールのアルカリ性次亜塩素酸ナトリウム酸化によって合成される。産物を遊離酸型で回収し、これを塩に変換してもよい。例えば、HMBはCoffmanらのものと類似の方法によって、カルシウム塩として調製されてもよく、ここで、HMBの遊離酸を水酸化カルシウムで中和し、そして水性エタノール溶液からの結晶化によって回収する。HMBのカルシウム塩は、Metabolic Technologies、アイオワ州エームズより商業的に入手可能である。
【0044】
CaHMBは、歴史的に、HMBの好ましい送達型であった。以前は、HMBの遊離酸型の広範な試験および商業利用の両方に多くの障害が存在し、そして薬物動態学的観点からは2つの型の間に相違がないと考えられたため、HMBの商業的供給源としてカルシウム塩が採用された。近年まで、食餌サプリメントのパッキングおよび特に流通は、粉末型の栄養素の取り扱いにより適しており、そしてしたがってHMBのカルシウム塩が広く認められていた。HMB-酸は液体であり、そして送達するかまたは製品に取り込むのがはるかにより困難である。
【0045】
現在、HMBの製造プロセスは、HMB遊離酸の経口摂取を可能にする純度で、HMB遊離酸を産生することを可能にしている。経口摂取に十分に純粋な商業的供給源があることに加えて、HMB-酸は、経口摂取のために緩衝される必要があり、このプロセスは、HMB-酸の以前の使用を不可能にしていた上に列挙する要因のため、最近になってようやく解明された。
【0046】
CaHMBの摂取は、カルシウム塩型からのHMBのかなり迅速な解離を生じると仮定された。しかし、最近の研究および対応する特許出願(米国出願公報第20120053240号)は、遊離酸型のHMBが、CaHMB摂取に比較した際、かなりユニークな薬物動態学的効果を有することを示してきている。HMB遊離酸(HMB-酸とも称される)の使用は、組織に対するHMB利用可能性を改善し、そしてしたがって、CaHMBの投与よりも、HMBを組織に到達させる、より迅速でそして効率的な方法を提供する。
【0047】
ビタミンDは、任意の型で組成物中に存在する。好ましい態様において、ビタミンD3(コレカルシフェロール)が投与されるが、本発明はビタミンDの型に限定されない。ビタミンD3は、哺乳動物に関するビタミンDの合成されそして好ましい型であるが、哺乳動物はまた、補助的ビタミンD2も使用しうる。ビタミンD2はビタミンD3よりより強力ではない可能性もあり、したがって、25-OH VitD2の血中レベルを上昇させるためには、さらなるD2が必要となりうる。
【0048】
組成物を可食型で経口投与する場合、組成物は、好ましくは、食品または薬学的媒体の形であり、より好ましくは食品の形である。組成物を含む任意の適切な食品を、本発明の背景内で利用してもよい。組成物を食品として調製するため、組成物は、通常、組成物が食品中に実質的に均一に分配されるように、適切な食品とブレンドされる。あるいは、組成物は、液体、例えば水に溶解されてもよい。組成物はエマルジョン、例えばタンパク質、脂肪、ビタミン、および/またはミネラル等を含有する液体またはスラリー内に取り込まれてもよい。組成物はまた、タンパク質、脂肪、ビタミン、および/またはミネラル等を含有する実質的に透明な液体内に取り込まれてもよい。組成物は、粉末、錠剤、ジェルキャップ、カプセル等であってもよい。組成物を含む任意の適切な薬学的媒体を本発明の背景内で利用してもよいが、好ましくは、組成物は、適切な薬学的キャリアー、例えばデキストロースまたはスクロースとブレンドされ、そして続いて上述のように錠剤化(tabulated)または被包される。
【0049】
さらに、組成物は、任意の適切な方式で静脈内投与されてもよい。静脈内注入を通じた投与のため、組成物は、好ましくは水溶性非毒性型である。静脈内投与は、静脈内(IV)療法を受けている入院患者に特に適している。例えば、患者に投与されているIV溶液(例えば生理食塩水またはグルコース溶液)に、組成物を溶解してもよい。また、アミノ酸および/または脂質を含んでもよい栄養IV溶液に、組成物を添加してもよい。静脈内投与される組成物の量は、経口投与に用いられるレベルと同様であってもよい。静脈内注入は、経口投与よりも、より制御され、そして正確でありうる。
【0050】
組成物を投与する頻度を計算する方法は、当該技術分野に周知であり、そして本発明の背景内で任意の適切な投与頻度(例えば1日あたり1回の6g用量または1日あたり2回の3g用量)を用いてもよく、そしてこれは任意の適切な期間に渡っていてもよい(例えば単一用量を5分間の期間または1時間の期間に渡って投与してもよいし、あるいは多数回用量を8週間の期間に渡って投与してもよい)。HMBおよびビタミンDの組み合わせは、長期間、例えば数か月または数年に渡って投与されてもよい。
【0051】
一般の当業者には、請求される方法を実行するために、HMBおよびビタミンDが同じ組成物中で投与される必要はないことが理解されるであろう。言い換えると、請求される方法を実行するために、ビタミンDおよびHMBの別個のカプセル、丸剤、混合物等を被験体に投与してもよい。
【0052】
HMBの任意の適切な用量を、本発明の背景内で用いてもよい。適切な用量を計算する方法は、当該技術分野に周知である。HMBの投薬量は、Ca-HMBの対応するモル量に関して表されてもよい。HMBが経口でまたは静脈内に投与されてもよい投薬範囲は、24時間あたり、体重キログラムあたり、0.01~0.2グラムHMB(Ca-HMB)の範囲内である。成人に関しては、約100~200ポンドの体重と仮定して、HMBの経口または静脈内投薬量(Ca-HMB基準)は、24時間あたり、被験体あたり、0.5~30グラムの範囲であってもよい。
【0053】
組成物中のビタミンDの量は、以下の実施例が、血流中のビタミンDが不適切なレベルである個体において、500IUが有効量の下限閾値であることを示すため、500IUより高い範囲内のビタミンDの量を選択してもよいが、毒性であるほど多くてはならない。実施例は500IUの閾値を示すが、ある個体では、血中ビタミンDレベルを適切な量に上昇させるために、より低い量、例えば400IUが適切である可能性もある。別の態様において、組成物中のビタミンDの量は、400IUより多い範囲内のビタミンDの量より選択されてもよいが、毒性であるほど多いビタミンDであってはならない。ビタミンDの毒性レベルは、個人に特異的な量であり、そして個人のビタミンD血中レベルに応じる。例えば、ビタミンDの100,000IUの投与は、健康な個体には毒性でありうるが、クル病を患っている個体には毒性ではない可能性もある。当業者は、個体に関する毒性レベルを認識するであろう。さらに、組成物には、少なくともおよそ25ng/mlまで、ビタミンDの血中レベルを上昇させるために十分な量のビタミンDが含まれてもよい。
【0054】
好ましい態様において、組成物は、カルシウム塩型のHMB、および25-OH VitD3の型のビタミンDを含む。好ましくは、本発明にしたがった組成物は、約0.5g~約30gの量のHMB、および500IUより多いが、毒性であるために十分に高い量ではないビタミンDを含む。本発明にしたがったビタミンDの1つの範囲は、およそ1000IU~およそ4000IUである。例えば、1001IU、1002IU、1003IU、・・・1995IU、1996IU、1997IU、1998IU、1999IU、2000IU、2001IU、2002IU、2003IU、2004IU、2005IU、・・・3997IU、3998IU、3999IU、およびおよそ1000IU~4000IUの間のすべての数値、そして別に言及されない数値であってもよい。
【0055】
別の例において、本発明にしたがったビタミンDの範囲は、およそ400IU~およそ100,000IUである。特定の個体にルーチンに投与するために適切なビタミンDの特定の量は多様である。健康な個体は、特定の疾患状態を持つ個体よりも少ない量のビタミンDでの補充を必要とする可能性が高い。例えば、いくつかの状況では、クル病の患者に毎日100,000IUの量のビタミンDを投与することが適切であろう。当業者は、毒性を引き起こすことなく、特定の個体に投与すべきビタミンDの量を容易に決定可能である。
【0056】
本発明で用いられるビタミンDの量は、個体のビタミンD状態に応じる。ある個体では、およそ25ng/mlの血清血液レベルを達成するために、およそ400~500IUのビタミンDがあればよい。他の個体では、2,000、4,000、またはさらに100,000IUのビタミンDが必要とされうる。例えば、400IU、401IU、405IU、450IU、500IU、550IU、1000IU、1001IU、2000IU、5000IU、10,000IU、20,000IU、50,000IU、75,000IUおよび100,000IU、ならびに別に言及されていない400IU~100,000IUの周囲のおよび間のすべての数値が本発明に含まれる。
【0057】
米国アカデミー医学研究所食品栄養委員会(The Food and Nutrition Board at the Institute of Medicine of The National Academies)は、ビタミンDおよび他の栄養素の摂取参照値を発展させてきている。これらの値には、ほぼすべて(97%~98%)の健康なヒトの栄養要求を満たすために十分な摂取の平均1日レベルと定義される推奨1日許容量(「RDA」);およびRDAを発展させるには証拠が不十分であり、そして栄養適切性を確実にすると推定されるレベルに設定された適量摂取(「AI」)が含まれる。ビタミンDのRDAは、現在、1歳~70歳の男性および女性に関して、600IUまたは15mcgに設定されている。70歳を超えるヒトに関しては、RDAはビタミンDの800IU(20mcg)に設定される。0~12か月の乳児に関しては、AIは400IU(10mcg)と規定されている。
【0058】
1日必要量(DV)は米国食品医薬品局(FDA)によって規定され、そして食品および食餌サプリメントラベル上で用いられる。DVは、食品およびサプリメントの栄養サービングのどれだけの量が、1日の食餌の総量の背景において提供するかを示唆する。DVは、食品およびサプリメントラベル上に割合として提示される。ビタミンDの1日必要量は、2,000カロリーのカロリー摂取に基づいて、成人および4歳またはそれより大きい小児に関して、400IUである。ビタミンDの1日必要量は、乳児、4歳未満の小児、ならびに妊娠中および授乳中の女性に関してもまた、400IUである。
【0059】
これらの量は、これらの量を摂取している集団の大部分が、十分なビタミンDレベルを有するように決定されている。Heaneyらは、1日あたり400IUの用量は、血清25(OH)D3レベルを7.0nmоl/L(または2.8ng/mL)上昇させると決定している(99)。
【0060】
本発明の1つの例において、用いられるビタミンDの量は、推奨1日許容量(RDA)、適量摂取(AI)、および/または1日必要量(DV)に関して表されてもよい。例えば、本発明には、少なくともRDAの推奨1日許容量とほぼ同程度に多い量のHMBおよびビタミンDの組成物;少なくとも1日必要量とほぼ同程度に多い量のHMBおよびビタミンDの組成物;ならびに適量摂取とほぼ同程度に多い量のHMBおよびビタミンDの組成物が含まれる。
【0061】
本発明にしたがって、ビタミンDの適切な血清レベルに到達するために必要なビタミンDの量は、日常的に個人ごとに異なる可能性があり、そして各例の最適な量の決定は、ルーチンの方法によって容易に得られうる。
【0062】
さらなる態様において、本発明にしたがった組成物は、約0.5g~約30gの量のHMB、および補充される型に応じて、25OH-VitD3または25-OH VitD2の循環血中レベルを少なくとも約25ng/mlまで増加させるために十分な量のビタミンDを含む。
【0063】
一般的に、筋力、筋機能全体、および筋量全体を改善するために十分なレベルのHMBおよびビタミンDの量が、有効な期間に渡って、投与される。
【0064】
本発明は、動物の筋量が増加するように、動物にHMBおよびビタミンDの組成物を投与する方法を提供する。動物は、運動に従事していてもまたはしていなくてもよい。HMBおよびビタミンDの投与と組み合わされた運動は、筋力および筋機能のさらにより大きな改善を生じるが、運動は、筋力および筋機能を改善するために必要ではない。動物の筋量を増加させるために有効な、投与される組成物中のHMBおよびビタミンDの量は、当該技術分野に周知の方法にしたがって決定されてもよい。1つの態様において、組成物中のHMBの有効量は、約0.5g~約30gであってもよく、そして組成物中のビタミンDの有効量は、24時間あたり、約500IUより大きくてもよい。別の態様において、HMBの有効量は同じであり、そしてビタミンDの有効量は、ビタミンDの血中レベルを少なくとも約25ng/mlまで増加させるために十分な量である。
【0065】
本発明は、動物の筋力が増加するように、HMBおよびビタミンDの組成物を動物に投与する方法を提供する。動物は運動に従事していてもまたはしていなくてもよい。動物の筋量を増加させるために有効な、投与される組成物中のHMBおよびビタミンDの量は、当該技術分野に周知の方法にしたがって決定されてもよい。1つの態様において、組成物中のHMBの有効量は、約0.5g~約30gであってもよく、そして組成物中のビタミンDの有効量は、24時間あたり、約500IUより大きくてもよい。別の態様において、HMBの有効量は同じであり、そしてビタミンDの有効量は、ビタミンDの血中レベルを少なくとも約25ng/mlまで増加させるために十分な量である。
【0066】
本発明はさらに、筋機能を改善するために有効な量のHMBおよびビタミンDの組成物を投与する方法を含む。動物の筋量を増加させるために有効な、投与される組成物中のHMBおよびビタミンDの量は、当該技術分野に周知の方法にしたがって決定されてもよい。1つの態様において、組成物中のHMBの有効量は、約0.5g~約30gであってもよく、そして組成物中のビタミンDの有効量は、約500IUより大きくてもよい。別の態様において、HMBの有効量は同じであり、そしてビタミンDの有効量は、ビタミンDの血中レベルを少なくとも約25ng/ml、26ng/ml、27ng/ml、28ng/ml、29ng/ml、30ng/ml、31ng/mlまで、および/またはそれより高く増加させるために十分な量である。
【実施例】
【0067】
以下の実施例は、本発明をさらに例示するが、いかなる意味でもその範囲を限定すると見なされてはならない。例えば、投与されるHMBおよびビタミンDの量、ならびに補充の期間は、実施例に記載されるものに限定されない。特定の実験例に用いられるビタミンDの量は、1日あたり2000IUであった。ビタミンDの血清レベルを少なくともおよそ25ng/mLに迅速に上昇させるために、ビタミンDのこの量を用いたが、本発明はこの量に限定されない。少なくともおよそ30ng/Lを含めて、少なくとも25ng/mLまで血清レベルを上昇させるために十分なビタミンDの任意の量が、本発明の範囲内である。本発明に含まれるビタミンDの量には、1日あたり500IU、1日あたり2000IU、1日あたり4000IU、および1日あたり500IU~1日あたり4000IUの間の1日あたりのビタミンDの任意の量が含まれる。
【0068】
方法
この12か月の臨床試験は、ランダム化二重盲検プラセボ対照2x2要因計画を使用した。実験は、カルシウムHMBに加えたビタミンD3(HMB+D)および対照補充に関して二重盲検であった。参加者は、性別によって階層化され、そしてコンピュータ生成ランダム数を用いて、4つの治療アームの1つに割り当てられた。治療アームは:(a)対照+運動なし;(b)HMB+D+運動なし;(c)対照+運動あり、および(d)HMB+D+運動ありからなった。臨床試験は、12か月に渡る多数回の測定からなった。評価(二重エネルギーX線吸収法、DXAを除く)を、ベースライン、そして再び、3、6、9、および12か月で行った。
【0069】
参加者:不十分だが臨床的欠乏ではない25-ヒドロキシ-ビタミンD(25OH-D)レベル(15~30ng/mLの間のベースライン濃度)の≧60歳の男性および女性を、この研究に採用した。志願者らは、協力者補充リスト、電子メール、郵便、および研究のためのチラシから勧誘された。参加者らは、<40kg/m2の開始時BMIを有し、肝臓および腎臓疾患または他の深刻な医学的疾病を持たず、管理されていない高血圧の証拠がなく;骨粗しょう症または<-2.0の骨密度Tスコアまたはカルシウムもしくは骨代謝に影響を及ぼす慢性疾患を持たず;血栓歴および/または抗凝血剤使用を伴わず;週3日の監視された筋力トレーニングプログラムに参加可能であり、そして参加に前向きであり;直近6週間に大きな手術を受けておらず、そして主治医に身体運動に対するいかなる制限も課されていなかった。経過観察時に、参加者が25OH-D<12ng/mlまたはTスコア<-2.5を有する場合、参加者は医師に照会され、そして研究からは除かれた。
【0070】
栄養サプリメント:サプリメントは、非補充(対照)群のプラセボ(乳酸カルシウム)または補充(HMB+D)群のカルシウムHMB(3.0g/日)に加えてビタミンD3(2,000IU/日)の組み合わせのいずれかからなった。このHMB投薬戦略(3g/日、2回の用量に分ける)は、高齢者における体組成、ならびに身体能力および機能能力に対するHMBの影響を調べる、以前の研究の大部分で利用されてきている(19、20)。1日あたり800~2000IUの範囲のビタミンD用量は、3か月での30ng/mlの最小血清25OH-Dを達成するために推奨されてきている(29)。ビタミンD3投薬戦略(2,000IU/日、2回の用量に分ける)をこの研究で利用して、25OH-D3の循環レベルを、HMBが筋力改善に有効であることが以前示されている(26)、十分な範囲(30~100ng/ml)内であるように迅速に増加させた。どちらの栄養補助食品も、同等のサイズ、色、および味のカプセル中に提供され、そしてcGMP施設で製造され、そしてTSI Innovative Products Division(モンタナ州ミゾーラ)で得られた。カプセル中で使用されるカルシウムHMBの純度は、高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)を用いて、製造者によって、98%より高いと決定された。カプセルのカルシウムHMBおよびビタミンD3濃度は、研究全体で検証された(Heartland Assays、アイオワ州エームズ)。カプセルを、朝食および夕食とともに1日2回摂取した。どちらのサプリメントも、等量のカルシウム(102mg)、リン(26mg)、およびカリウム(49mg)を含有した。研究登録前、参加者は、HMBまたはビタミンDを含有するいかなるサプリメントもやめるように指示されたが、マルチビタミンは許容され;これは研究期間中、維持された。
【0071】
運動:中程度の抵抗運動トレーニングプログラムに割り当てられた参加者は、アイオワ州エームズおよびアイオワ州デモインに位置する2つの専門エクササイズスタジオで、週あたり3回、およそ60分の監視付き筋力トレーニングを行った(30)。参加者らは、旅行の際または家に閉じ込められている際、スタジオの外で、バンドを用いて運動することを許可された。筋力プログラムは、二頭筋カール、三頭筋伸長、椅子スクワット、ふくらはぎ上昇、足首背屈、肩前面上昇および側面上昇、広背筋プルダウン、チェストプレス、着座ロー、膝屈曲および伸長、ならびに股関節屈曲からなった。参加者は、15反復までの2セットおよび20反復までの最終セットを含めて、各運動を3セット完了した。最初に、Thera-Band(登録商標)(ジョージア州ダルース)ストレッチコードを運動抵抗に用いた。参加者がよいフォームで20回の反復を完了可能となったら、抵抗バンドを次の色に変えることによって、抵抗を増加させた。運動間でホップおよび小ジャンプを行った(各セット後に5ホップ、25ホップに達するまで週あたり5ホップ増加させた)。抵抗バンド運動は、高齢者集団で用いられた際、筋力および機能性を安全に増加させることが示されてきている(31、32)。しかし、参加者がThera-Bandの使用を超えて筋力を増加させたら、同じ運動を行うため、機械上での筋力トレーニングに移行させた。
【0072】
利用した運動器具は、商業的に入手可能なケーブル滑車およびプレートが装備された機器であった。運動の反復範囲および回数は、Thera-Band(登録商標)期と類似であった一方、装置の使用への移行は、参加者がより大きな抵抗負荷を達成することを可能にした。参加者のセット間の休息時間および毎週の運動セッション数は、Thera-Band期と同様に維持した。機械運動の負荷の進行は、米国スポーツ医学会によって設定されたガイドラインにしたがい、これによって、負荷は、参加者が第三のセットで、20回目の反復を超えて、さらに1~2回反復を達成可能であると感じた場合、2~10%増加させた(33)。運動装置の負荷の増加は、参加者によって動かされる負荷スタックへの荷重プレートの追加であった(33)。また、抵抗の指示および進行の変動を最小限にするため、同じ運動セッションの監視者を利用した。装置期の間の修飾は、椅子スクワットからマシンスレッドレッグプレス、Thera-Bandでの立位片側膝屈曲から着座両側膝屈曲運動へ、そしてオーバーヘッドの片側三頭筋伸長からプルダウン運動を用いた両側三頭筋伸長へと増大した。運動なし群は、研究期間中、抵抗運動を行わないよう指示された。
【0073】
測定
体重および体組成:一晩絶食後、靴を履かずに体重を測定した。DXA(Hologic Discovery v.12.3)を用いて、0、6および12か月でのみ、局所体組成(除脂肪および脂肪重量)および骨密度データを評価した。生体インピーダンス分析(BIA;BIA-101S、RJL Systems、ミシガン州クリントンタウンシップ)および空気置換プレチスモグラフィ(ADP;BOD POD(登録商標)、LMI、カリフォルニア州コンコード)(34)を用いて、すべての時点で体組成を測定した。Fluid & Nutrition Analysis Software、バージョン3.1b(RJL Systems)を用いてBIAデータを分析し(35)、そしてSiri等式を用いて、ADP計算を行った(36)。以前の刊行物は、ADP、BIA、およびDXA測定間に高い相関を示している(37)。
【0074】
筋力:等速性筋力測定によって筋力を評価した。BIODEX等速性筋力測定装置(System 3 Quickset、ニューヨーク州シャーリー)を用いて、両側性膝および肘伸長/屈曲ピークトルクを複数の速度で測定した(膝:60、90、および180°/秒;肘:60および120°/秒)。各運動および速度に関するピークトルク生成もまた独立に分析した。さらに、総複合下肢強度指数を計算して、下肢筋機能全体に対する介入の効果を調べた。下肢強度指数=(60°/秒+90°/秒+180°/秒での左脚伸長ピークトルク)+(60°/秒+90°/秒+180°/秒での右脚伸長ピークトルク)+(60°/秒+90°/秒+180°/秒での左脚屈曲ピークトルク)+(60°/秒+90°/秒+180°/秒での右脚屈曲ピークトルク)。
【0075】
身体機能:「タイムアップアンドゴー(Timed Up-and-Go)」および「立ち上がり」試験を用いて、身体機能を評価した。「アップアンドゴー」試験では、被験体は、走らずに、可能な限り迅速に、着座位から始めて、立ち上がり、前方に3メートル歩いて、向きを変え、歩いて椅子に戻り、そして座る必要がある(38);3回の「アップアンドゴー」トライアルを行い、そして平均時間を記録した。「立ち上がり」試験(30秒間の座って立つ繰り返し)では、被験体は、30秒以内に、可能な限り何度も、着座位から立ち上がる必要がある(38)。ハンドグリップ握力計(Lafayette Instrument Co.、インディアナ州ラファイエット)を用いて、握力を測定した;片側ずつ3回トライアルを完了し、各側の平均を記録し、そして左および右の握力の合計を分析に用いた。複合機能指数を発展させて、多数の筋肉群に渡る付加的な改善を評価し、そしてこの指数は、機能状態の変化しつつある改善を捕捉する経過特性を有する。変化指数(複合機能指数)を、すべての機能測定における変化率の合計として計算した[左握力+右握力+立ち上がり+(-ゲットアップアンドゴー)]。
【0076】
食餌評価:食品に関する記憶(food recalls)(3日間)を用いて、すべての時点でのビタミンDおよび栄養摂取を推定した。Food Processor(Esha Research、オレゴン州セーラム)を用いて記録を分析した。
【0077】
血液サンプリング:一晩絶食後に収集した血液および尿試料を、基礎化学プロファイル、種類別検査を伴う全血球計数(complete blood count with differential)、ならびにスクリーニング時およびすべての時点での尿検査に関して、LabCorp(アイオワ州アーバンデール)によって分析した。さらに、Heartland Assays(アイオワ州エームズ)によって、Liaison XL自動化化学発光分析装置を用いて、骨アルカリホスファターゼ、25OH-VitD、および副甲状腺ホルモン(PTH)の血液レベルを分析した。
【0078】
アンケート:参加者は、各検査時、健康状態アンケート、生活の質アンケート(SF-36 Health Survey)(39)、および円環効果(Circumplex effect)アンケート(40)を完了した。各参加者はまた、転倒カレンダーもつけ続けた。
【0079】
コンプライアンス:参加者の記録、カプセル数を用いて、そして血清25OH-VitD濃度を測定することによって、補充プロトコルに対するコンプライアンスを監視した。
【0080】
統計:この研究の主な結果は、12か月に渡る、高齢者集団における、筋機能および筋力の改善であった。本発明者らは、カルシウムHMBおよびビタミンD3の組み合わせ補充がまた、転倒の減少および高齢者の生活の質の改善も導くと仮定した。本発明者らはさらに、これらのサプリメントに中程度の運動措置を加えると、カルシウムHMBおよびビタミンD3の相乗効果が増進されると仮定した。Baierらによる研究(17)由来の後ろ向きデータ分析から、膝筋力データおよびビタミンD状態に基づいて、事前の検出力分析(G-Power、v3.0、キール大学、ドイツ)を完了した。検出力分析計算に関し、12か月研究中、治療群に関して、総脚筋力の33.9Nmの増加が予期される一方、対照群では、総脚筋力の10.0Nmの変化が起こることが期待された。検出力分析は、F検定(ANOVA:5回の観察および4つの治療群の反復測定)に基づき、α誤差確率は0.05であり、そして検出力は0.8であり、適切なビタミンD状態を伴い、治療あたり、筋力の有意な変化が検出されるには20人の参加者が必要であると概算された。全プロトコルを終了する被験体が適切な人数であることを確実にするため、本発明者らは33%の脱落率を仮定し、そして治療あたり40人の被験体を登録するよう計画した。3、6、9、および/または12か月で、変化に関して、SAS Proc MixedモデルANOVA(バージョン9.4、SAS Institute Inc.、ノースカロライナ州キャリー)を用いて、体組成、機能、および筋力データを分析した。このモデルには、性別、治療、運動、および運動による治療の相互作用が含まれ、そして共変数としての出発値が含まれた。12か月の研究を完了した被験体のみがパープロトコル分析に含められた。少なくとも6か月、研究を完了した参加者(n=129)が、修飾治療企図分析に含められた。有意な運動による治療の相互作用が観察された場合、事後t検定を行った。この研究の主要な目的は、筋機能および筋力に対するHMB+Dの効果を評価することであったため、運動あり群および運動なし群内で、LBM、筋力および機能試験に対するHMB+D対対照補充の効果を評価するために、あらかじめ計画された対比を用いた。SAS Proc Mixed反復測定ANOVAを用いて、臨床研究室データを分析した。モデルには、出発値、性別、治療、運動、時間、運動による治療の相互作用、時間による治療の相互作用、時間による運動の相互作用、および時間による運動による治療の相互作用が含まれた。副作用アンケートをカテゴリーデータとして分析し;治療の主効果はCochran-Mantel-Haenszel検定を用いて決定された。統計有意性は、すべての試験に関して、p<0.05と定義された。Cohenのdを用いて、調整平均およびSEから、有効サイズを計算した。
【0081】
結果
総数591人の高齢者を本研究のためにスクリーニングした。このうち、238人の参加者を登録した。総数117人の参加者が研究を完了し、そしてパープロトコル分析に含まれた(
図1)。ベースライン参加者特性および機能データを表1に示す。カプセル補充および運動コンプライアンスには群間で相違はなかった。カプセル計数に基づく平均群カプセルコンプライアンスは96.0±0.4%であり、そして2つの運動群間の平均運動コンプライアンスは、出席した運動セッションおよび報告された自宅運動セッションに基づき、83.3±0.3%であった。
【0082】
表1には、ベースライン参加者特性が含まれる:
表1. ベースライン参加者特性a
【0083】
【表1】
HMB+D補充は単独で、6か月の運動なし群内で除脂肪体重に有意な利益を有し(
図2)(HMB+Dにおける0.44±0.27対対照における-0.33±0.28、p<0.05、d=0.55)、これは体躯除脂肪体重の改善に帰せられた(Trt主効果、p<0.05)。
【0084】
機能的結果
複合機能指数を発展させて、多数の筋肉群に渡る付加的改善を評価した[(左握力+右握力+立ち上がり+(-ゲットアップアンドゴー))]。機能指数に対するHMB+D補充の効果は、運動なし群で最も顕著であった。HMB+D補充は、単独で、3か月での対照群で観察されるよりも、複合機能指数のより大きな増加を生じ(p=0.03、d=0.58);
図3に示すように、6か月(p=0.04、d=0.70)および12か月(p=0.04、d=0.67)ではさらにより大きな増加が観察された。HMB+D補充は運動あり群内の機能指数をさらには改善しなかった(
図3)。
【0085】
運動あり群における、機能指数の各成分(立ち上がり、ゲットアップアンドゴー、握力)の検査は、3つの成分に渡る類似のパターンを明らかにした。運動なし補充なし対照群は、一般的にほとんどまたはまったく改善を示さなかった。しかし、HMB+D補充単独群およびHMB+Dを伴うまたは伴わない運動群の間で、改善が観察された。
【0086】
図4は、運動なし群(A)および運動あり群(B)の高齢者において、立ち上がり試験成績の変化に対するHMB+D補充の効果を示す。3か月でのHMB+D補充の主効果に関する傾向(p=0.065)および12か月での補充
*運動相互作用に関する傾向(p=0.07)があった。HMB+D補充は、単独で、運動なし群(A)において、6か月での成績を改善する傾向があり(p=0.071、d=0.49)、そして12か月で成績を有意に改善した(HMB+Dにおける4.5±0.9反復の増加対対照における1.7±0.9反復の増加)。運動は、立ち上がり試験成績において、数値的に類似の改善を生じたが、HMB+D補充は、運動あり群(B)内で、成績をさらには改善しなかった。
*群内(運動なしまたはあり)のHMB+Dおよび対照の間で有意差;あらかじめ計画された対比、p<0.05。データを平均±SEとして表す。
【0087】
図8は、複合機能指数(立ち上がり、ゲットアップアンドゴー、ならびに右および左握力における改善率の合計)の変化に対するHMB+D補充の効果の治療企図分析を示す。6か月のHMB+D補充の有意な治療主効果(p=0.02)があった。
*群内(運動なしまたはあり)のHMB+Dおよび対照の間で有意差;あらかじめ計画された対比、p<0.05。データを平均±SEとして表す。
【0088】
図9は、複合下肢強度指数[(60°/秒+90°/秒+180°/秒での左脚伸長ピークトルク)+(60°/秒+90°/秒+180°/秒での右脚伸長ピークトルク)+(60°/秒+90°/秒+180°/秒での左脚屈曲ピークトルク)+(60°/秒+90°/秒+180°/秒での右脚屈曲ピークトルク)]の変化に対するHMB+D補充の効果の治療企図分析を示す。
【0089】
強度結果
運動なし群において、膝伸長ピークトルク(60°/秒)の改善は、3か月で、HMB+D補充参加者では、非補充群におけるより、有意により大きかった(それぞれ、10.9±5.7Nm対-5.2±5.9Nm、p=0.04)。続く時点での群間の相違は、統計的に有意ではなかったが、対照補充参加者は、脚伸長強度を失い続ける(12か月で-10.1±7.4Nm)一方、HMB+D補充被験体では、強度はベースラインレベルで維持された。膝伸長ピークトルクに対する運動およびHMB+D補充の組み合わせのさらなる利益はなかった。HMB+D補充は、膝屈曲ピークトルクに有意に影響を及ぼさなかった。しかし、運動なし群の間で、非補充参加者において、ベースラインから12か月でピークトルクが減少したことは注目に値する(-3.71±3.91Nm)。運動は、単独でまたはHMB+Dとの組み合わせのいずれでも、膝屈曲ピークトルクにおいて、類似の改善を示した(運動の主効果、p<0.05)。
【0090】
図5は、運動なし群(A)および運動あり群(B)の高齢者において、総(右+左の合計)握力の変化に対するHMB+D補充の効果を示す。握力に対して、治療に関する有意な主効果または相互作用効果はなかったが、12か月で運動の主効果はあった(p=0.03)。治療群間で有意な差はなかったが、運動なし対照群のみは、研究期間中(3、6、および9か月)、握力の負の平均変化を経験した。データを平均±SEで示す。
【0091】
図6は、90°/秒での総(右および左脚の合計)ピークトルクの変化を示す。パネルA(運動なし)およびB(運動あり)は、膝伸長を示し、そしてパネルC(運動なし)およびD(運動あり)は、膝屈曲を示す。3、6、9、および12か月の脚屈曲ピークトルクには、運動の主効果があった(p<0.05)、データを平均±SEで示す。
【0092】
HMB+D補充は、3か月の運動なし群の間で下肢強度指数値を改善する傾向があった(p=0.10、d=0.45)、この傾向は9か月および12か月で持続した(それぞれ、p=0.10および0.07)。運動なし群の間では、HMB+D補充参加者は、1年に渡る研究を通じて、3か月で観察されたものと類似の改善を維持した(0.82±0.29)が、対照参加者はベースライン値近くのままだった(0.04±0.30、d=0.51)(
図7)。
【0093】
これらの例は、ビタミンDおよびHMBの組み合わせが、筋力および筋機能を改善し、そして筋量を増加させる驚くべき結果を示す。これらの改善および獲得は、運動に従事していないヒトにおいて見られ、そして見られる改善は、運動によって達成されるものと類似である。以前、HMB補充が筋量を増加させることが知られていたが、筋力および筋機能における対応する改善は、HMB単独では見られなかった。これらの例は、最も典型的には補充を通じて、ビタミンDの血清レベルが適切なレベルに到達した際、筋力および機能が改善することを示す。以下の実施例に記載され、そして観察される、筋力、筋量の増加、および筋機能の改善は、HMBおよびビタミンDが相乗性であることを立証し;ビタミンDレベルが適切な量に到達すると、適切なビタミンDレベルを伴わずに投与された際のHMBよりも、HMB投与が、より効果的であるかまたはより効率的に働くことを立証する。十分な量のHMBおよびビタミンDを含有する組成物は、適切な量のビタミンDもまた含むのではないHMB含有組成物よりも、より効率的およびより効果的であろう。以下の研究は、筋機能、筋力および筋量に関するような、HMBの有効性に対するビタミンDレベルの効果を調べたが、本発明に記載されるようなHMBの有効性改善には、限定されるわけではないが、消耗、加齢、悪液質、および窒素保持に関連する疾患のためのHMBの使用を含めて、HMBのすべての既知の使用が含まれる。さらに、免疫機能およびコレステロール低下に関連するようなHMBの有効性もまた、本規約(agreement)の範囲内である。
【0094】
HMBとともに投与されるビタミンDの量は、ビタミンDの血液レベルを上昇させるために有効な量でなければならない。この例において、500IUのビタミンDは、ビタミンDの血中レベルを上昇させるために十分ではないことが立証され;しかし、この知見は、この研究の被験体に基づく。上述のように、ビタミンDの血清レベルを適切な量に上昇させるために必要なビタミンDの量は、個体のビタミンD状態に応じ;いくつかの場合、400IUのビタミンD程度に少ない量が、血中レベルを少なくともおよそ25ng/mlまで上昇させるために適切な量である。
【0095】
12か月間のHMBおよびビタミンDの組み合わせ補充は安全であり、そして25OH-Dの循環レベルを、下半身筋力に対するHMBの有益な効果を支持することが以前示された十分な範囲内(25~100ng/ml)に増加させた。この研究の主な知見は、健康な高齢者へのHMBおよびビタミンDの同時補充が、複合機能強度指数を改善することであった。これらの知見は、ビタミンDが十分である健康な高齢者において、運動していなくても、HMB補充が機能性を改善する強力な効果を有することを強調する。さらに、これらの知見は、HMBの有効性が、高齢者において有効であることが以前示されている栄養補助配合物中にしばしば含まれる追加のアミノ酸からは独立であることを立証する。
【0096】
骨格筋損失および機能性減少は、加齢の特質であり、そして放置された場合、サルコペニア、ならびに可動性および生活の質に必要な必須の日常機能の損失を生じうる。サルコペニアが、多数の慢性疾患を悪化させ、そしてフレイルを発展させる、普遍的な前触れであることがよく確立されている。この加齢集団における機能性の評価は非常に複雑である可能性があり、そして健康管理専門家にとって最も困難な問題の1つである。身体的フレイルを導く機能状態の損失は、不都合な健康転帰、長期施設入所、および死亡率と関連する。本研究は、1年間の期間に渡る、強度および身体機能の変化を概算する、主な終点に相当する複合機能指数を利用した。この指数は、筋力および/または筋機能に関連する一般的な日常機能における欠損を評価するためにしばしば用いられる、いくつかの試験(立ち上がり試験、ゲットアップアンドゴー試験、および握力試験)を取り込んだ。個々の機能試験の中で、最大の相対改善は立ち上がり試験で観察され、これは一般的な重要な機能(椅子から立ち上がる)を評価し;その成績は、筋強度、筋力、およびバランスを必要とする。エアロビックおよび抵抗運動の両方を含む運動トレーニングは、高齢者において、骨格筋強度および筋量ならびにバランスの改善を生じるという広範な証拠があり;不運なことに、高齢者のかなりの割合が、定期的に運動することができないかまたはこれを望まない。対照的に、栄養介入の証拠は、サルコペニアの存在下または非存在下で、運動と組み合わせた場合であっても、せいぜい中程度である。本発明を支持するデータは、HMBおよびビタミンD両方の補充が、運動していない高齢者において、筋機能の増進に非常に重要であることを立証する。
【0097】
HMB+Dの補充は、円環アンケート上で「高活動」の感情における有意な改善を生じた。本研究における知見は、複合機能指数の改善に関連し、機能保有量(functional reserve)の増進された状態に相当する。機能保有量のこうした増加は、日常活動(例えば階段を上る、食料雑貨類を運ぶ)の相対努力を減少させ、より活動的な感情を生じるであろう。これらの効果は、運動で見られるもののような、筋機能改善および脳の間の別の潜在的なクロストークに相当し、その結果、抑うつ様症状を減少させることによって、有益な効果を伴う。この正の効果は、神経毒性KYNを神経保護性のキヌレン酸に変換する酵素、キヌレニンアミノトランスフェラーゼ(KAT)の筋発現増進に帰せられている。
【0098】
補充されているが運動していない高齢者において観察される複合機能指数に対する正の長期効果は、主に、ビタミンD充足において完全に達成されるHMBの利益に帰せられている。
【0099】
この研究は、運動トレーニングプログラムに従事していない個体においても、成人における身体機能性および筋力を増進させる、HMBおよびビタミンDの同時補充の利益を示す。HMBおよびビタミンDの組み合わせ補充は、運動できないかまたは運動を望まない高齢者のかなりの集団に、ユニークな保護効果を提供する。HMBおよびビタミンDの補充は、運動の非存在下であってさえ、筋機能を含む身体能力を改善する。HMB+Dの利点は、より低いベースライン機能状態を考慮すると、サルコペニア/プレサルコペニア個体において価値がある。この組み合わせは、ビタミンD欠乏症であるものを含めて、リスクがあるものにおいて、サルコペニア発展に対する保護を提供しうる。ビタミンD欠乏の高齢者は、サルコペニア発展に極端にさらされ、したがって、HMBおよびビタミンD補充のさらなる効能を提供する。
【0100】
本研究はまた、ビタミンD充足者へのHMBの投与が、運動していないヒトにおいて、運動している個体において見られる改善と類似の度合いまで、筋量、筋力、または筋機能性の改善を生じることも立証する。
【0101】
前述の例は、HMBおよびビタミンDの使用が、筋量を増加させ、そして/または筋力を改善し、そして/または身体(筋肉)機能を改善することを立証する。ビタミンDにHMBを補充すると、HMBの効果が最適化され、そして/または最大限になる。血清ビタミンDレベルを少なくとも25~30ng/mlに上昇させ、そして十分な量で血清レベルを維持するためにビタミンDを補充する。
【0102】
前述の説明および図は、本発明の例示的な態様を含む。本明細書記載の前述の態様および方法は、当業者の能力、経験、および好みに基づいて多様でありうる。特定の順序での方法工程の単なる列挙は、方法工程の順序に対するいかなる制限も構成しない。前述の説明および図は、単に、本発明を説明し、そして例示し、そして本発明は、請求項がそのように限定しない限りそれに限定されない。本開示を提供された当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、その修飾および変動を行うことが可能であろう。
【0103】
引用文献
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
【国際調査報告】