(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-18
(54)【発明の名称】印刷されたコアピースを備える集積された変圧器
(51)【国際特許分類】
H01F 41/02 20060101AFI20230710BHJP
H01F 30/10 20060101ALI20230710BHJP
H01F 27/255 20060101ALI20230710BHJP
【FI】
H01F41/02 D
H01F30/10 A
H01F30/10 C
H01F27/255
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022578585
(86)(22)【出願日】2021-06-18
(85)【翻訳文提出日】2023-02-16
(86)【国際出願番号】 US2021037986
(87)【国際公開番号】W WO2021257934
(87)【国際公開日】2021-12-23
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】イー ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ジェミン ジャン
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】大竹 健二
(72)【発明者】
【氏名】ヴィジャイラクシミ カノルカール
(57)【要約】
方法(100)は、磁気ペーストを第1の側部上に及び積層体の開口内に堆積する印刷プロセスを実施すること(106)と、第1の側部に沿った第1の部分と、積層体の開口を充填する第2の部分とを有する第1の変圧器コアピースを形成するために、磁気ペーストを硬化させること(108)と、変圧器を形成するために、第1の変圧器コアピースの第2の部分の側部に第2の変圧器コアピースを接合すること(118、120、122)とを含む。変圧器は、積層体と、第1のコアピースと、第2のコアピースとを含み、第1のコアピースは、硬化された磁気ペーストと、積層体の側部に沿った第1の部分と、積層体の開口を充填する第2の部分とを含み、第2のコアピースは第1の変圧器コアピースの第2の部分の側部に沿って延在し、積層体は、開口を囲む巻線を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
ステンシルを用いて、積層構造の第1の側部上に磁気ペーストを堆積し、前記積層構造の前記第1の側部から前記積層構造の反対の第2の側部まで延在する開口内に磁気ペーストを堆積し、前記開口を充填する、印刷プロセスを実施することと、
第1の変圧器コアピースを形成するため磁気ペーストを硬化させることであって、前記第1の変圧器コアピースが、前記積層構造の第1の側部に沿って延在する第1の部分と、前記積層構造の開口を充填する第2の部分とを有する、前記磁気ペーストを硬化させることと、
変圧器を形成するため、第2の変圧器コアピースを前記第1の変圧器コアピースの前記第2の部分の側部に接合することと、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記第2の変圧器コアピースを前記第1の変圧器コアピースの前記第2の部分の側部に接合することが、
第2の磁気ペーストを前記第2の変圧器コアピースの第1の側部に堆積することと、
前記第1の変圧器コアピースの前記第2の部分の前記側部を前記第2の磁気ペースト上に配置することと、
前記第2の変圧器コアピースを前記第1の変圧器コアピースの前記第2の部分の前記側部に接合するため、前記第2の磁気ペーストを硬化させることと、
を含む、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記第2の変圧器コアピースを前記第1の変圧器コアピースの前記第2の部分の前記側部に接合する前に、前記第2の変圧器コアピースをリードフレームに接合することを更に含む、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、前記第2の変圧器コアピースを前記リードフレームに接合することが、
第3の磁気ペーストを前記リードフレームの側部に堆積することと、
前記第2の変圧器コアピースの第2の側部を前記第3の磁気ペースト上に配置することと、
前記第2の変圧器コアピースの前記第2の側部を前記リードフレームに接合するため、前記第3の磁気ペーストを硬化させることと、
を含む、方法。
【請求項5】
請求項2に記載の方法であって、前記第2の変圧器コアピースを前記第1の変圧器コアピースの前記第2の部分の前記側部に接合する一方で、前記第2の変圧器コアピースを前記積層構造の前記第2の側部に接合することを更に含む、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記第2の変圧器コアピースを前記第1の変圧器コアピースの前記第2の部分の前記側部に接合する前に、前記第2の変圧器コアピースをリードフレームに接合することを更に含む、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、前記第2の変圧器コアピースを前記リードフレームに接合することが、
別の磁気ペーストを前記リードフレームの側部に堆積することと、
前記別の磁気ペースト上に前記第2の変圧器コアピースの第2の側部を配置することと、
前記第2の変圧器コアピースの前記第2の側部を前記リードフレームに接合するため、前記別の磁気ペーストを硬化させることと、
を含む、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
ステンシルを用いて、前記積層構造の前記第1の前記側部上に前記磁気ペーストを堆積し、前記積層構造の前記第1の側部から前記積層構造の第2の側部までそれぞれ延在する複数の開口内に磁気ペーストを堆積して前記複数の開口を充填する印刷プロセスを実施することを含む、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、前記積層構造が、前記開口のうちの1つを囲む巻線を含む、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、前記積層構造が、前記開口を囲む巻線を含む、方法。
【請求項11】
変圧器であって、
積層構造であって、第1の側部と、反対の第2の側部と、前記積層構造の前記第1の側部から前記積層構造の前記第2の側部まで延在する開口と、前記開口を囲む巻線とを有する、前記積層構造と、
第1の変圧器コアピースであって、前記積層構造の前記第1の側部に沿って延在する第1の部分と、前記積層構造の前記開口を充填する第2の部分と有し、硬化された磁気ペーストを含む、前記第1の変圧器コアピースと、
前記第1の変圧器コアピースの前記第2の部分の側部に沿った第2の変圧器コアピースと、
を含む、変圧器。
【請求項12】
請求項11に記載の変圧器であって、前記第2の変圧器コアピースの第1の側部と前記第1の変圧器コアピースの前記第2の部分の前記側部との間に第2の硬化された磁気ペーストを更に含む、変圧器。
【請求項13】
請求項11に記載の変圧器であって、前記第1の変圧器コアピースがE形状状を有する、変圧器。
【請求項14】
請求項11に記載の変圧器であって、前記第1の変圧器コアピースがT形状状を有する、変圧器。
【請求項15】
請求項11に記載の変圧器であって、前記第1の変圧器コアピースがU形状状を有する、変圧器。
【請求項16】
電子デバイスであって、
変圧器であって、積層構造と、第1の変圧器コアピースと、第2の変圧器コアピースを含み、前記第1の変圧器コアピースが、硬化された磁気ペーストと、前記積層構造の側部に沿って延在する第1の部分と、前記積層構造の開口を充填する第2の部分とを含み、前記第2の変圧器コアピースが、前記第1の変圧器コアピースの前記第2の部分の側部に沿って延在し、前記積層構造が前記開口を囲む巻線を含む、前記変圧器と、
前記変圧器を囲むパッケージ構造と、
前記変圧器に電気的に結合される導電性リードと、
を含む、電子デバイス。
【請求項17】
請求項16に記載の電子デバイスであって、前記変圧器が、前記第2の変圧器コアピースの第1の側部と前記第1の変圧器コアピースの前記第2の部分の前記側部との間に第2の硬化された磁気ペーストを更に含む、電子デバイス。
【請求項18】
請求項16に記載の電子デバイスであって、前記第1の変圧器コアピースがE形状状を有する、電子デバイス。
【請求項19】
請求項16に記載の電子デバイスであって、前記第1の変圧器コアピースがT形状を有する、電子デバイス。
【請求項20】
請求項16に記載の電子デバイスであって、前記第1の変圧器コアピースがU形状を有する、電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の主題は、変圧器を集積回路又は他のパッケージ化された電子デバイスに集積することに関する。巻線変圧器は良好な性能を有する電気的絶縁を提供するが、これらのデバイスは大型で高価である。電力供給及び他の用途において、磁気構成要素のコスト及び大きさを低減し、小さな設置面積を有するパッケージ化された電子デバイス又はモジュールに絶縁変圧器を集積する一方で、高絶縁電圧定格を提供することが望ましい。隔離バリアによって分離された導電性巻線を有する積層体の頂部及び底部に磁気フィルムを付加して、小さな設置面積を有する集積された空気コア変圧器の性能を改善することができる。しかしながら、このアプローチは、2つの磁気プレート間の空隙によって生じるフリンジ効果に起因するAC巻線損失を被り、これにより、変圧器を介する電力供給能力が制限される。また、積層体は、磁気コア構造内に組み立てられて、絶縁された閉磁気ループ変圧器を提供することができる。しかしながら、相互接続材料を用いて構成要素を組み立てることで、気泡又は他のボイドが導入及び混入され、これにより変圧器の所望の絶縁性能定格の達成が妨げられる。
【発明の概要】
【0002】
本記載の一態様は或る方法を提供する。この方法は、ステンシルを用いて積層構造の第1の側部上に磁気ペーストを堆積する印刷プロセスを実施することを含む。印刷プロセスは、磁気ペーストを積層構造の第1の側部から積層構造の反対の第2の側部まで延在する開口内に堆積し、これを充填する。この方法はまた、磁気ペーストを硬化させて、積層構造の第1の側部に沿って延在する第1の部分と積層構造の開口を充填する第2の部分とを有する第1の変圧器コアピースを形成することと、第2の変圧器コアピースを第1の変圧器コアピースの第2の部分の側部に接合して変圧器を形成することとを含む。
【0003】
一例において、印刷プロセスを実施することは、積層構造の第1の側部から積層構造の第2の側部までそれぞれ延在する複数の開口内に磁気ペーストを堆積し、それらを充填する。一実装において、積層構造は、積層構造の開口又は1つ又はそれ以上の開口を囲む巻き線を含む。
【0004】
一例において、第2の変圧器コアピースの第1の側部上に第2の磁気ペーストを堆積することと、第1の変圧器コアピースの第2の部分の側部を第2の磁気ペースト上に配置することと、第2の変圧器コアピースを第1の変圧器コアピースの第2の部分の側部に接合するように第2の磁気ペーストを硬化させることとによって、第2の変圧器コアピースを第1の変圧器コアピースの第2の部分の側部に接合する。
【0005】
一例は更に、第2の変圧器コアピースを第1の変圧器コアピースの第2の部分の側部に接合する前に、第2の変圧器コアピースをリードフレームに接合することを含む。一実装において、リードフレームの側部上に第3の磁気ペーストを堆積することと、第2の変圧器コアピースの第2の側部を第3の磁気ペースト上に配置することと、第2の変圧器コアピースの第2の側部をリードフレームに接合するために第3の磁気ペーストを硬化させることとによって、第2の変圧器コアピースがリードフレームに接合される。一例において、この方法は更に、第2の変圧器コアピースを第1の変圧器コアピースの第2の部分の側部に接合する一方で、第2の変圧器コアピースを積層構造の第2の側部に接合することを含む。
【0006】
別の態様において、変圧器が、積層構造と、第1及び第2のコアピースとを含む。積層構造は、第1の側部と、反対の第2の側部と、積層構造の第1の側部から積層構造の第2の側部まで延在する開口と、開口を囲む巻線とを有する。第1の変圧器コアピースは、積層構造の第1の側部に沿って延在する第1の部分と、積層構造の開口を充填する第2の部分とを有し、第1の変圧器コアピースは、硬化された磁気ペーストを含む。第2の変圧器コアピースは、第1の変圧器コアピースの第2の部分の側部に沿って延在する。一例において、変圧器は更に、第2の変圧器コアピースの第1の側部と第1の変圧器コアピースの第2の部分の側部との間に第2の硬化された磁気ペーストを含む。別の例において、第1の変圧器コアピースがE形状を有する。一例において、第1の変圧器コアピースがT形状を有する。別の例において、第1の変圧器コアピースがU形状を有する。
【0007】
更なる態様が、変圧器と、パッケージ構造と、導電性リードとを含む電子デバイスを提供する。変圧器は、積層構造と、第1の変圧器コアピースと、第2の変圧器コアピースとを含む。第1の変圧器コアピースは、硬化された磁気ペーストと、積層構造の側部に沿って延在する第1の部分と、積層構造の開口を充填する第2の部分とを含む。第2の変圧器コアピースは、第1の変圧器コアピースの第2の部分の側部に沿って延在し、積層構造は、開口を囲む巻線を含む。パッケージ構造は変圧器を囲み、導電性リードは変圧器に電気的に結合される。一例において、変圧器は更に、第2の変圧器コアピースの第1の側部と第1の変圧器コアピースの第2の部分の側部との間に第2の硬化された磁気ペーストを含む。一例において、第1の変圧器コアピースがE形状を有する。別の例において、第1の変圧器コアピースがT形状を有する。別の例において、第1の変圧器コアピースがU形状を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】集積された変圧器を備える電子デバイスを製造するための方法を示すフローチャートである。
【0009】
【
図2】集積された変圧器を備えるパッケージ化された電子デバイスの斜視図である。
【0010】
【
図3】
図4の線3-3に沿って切り取られた、変圧器巻線を有する積層ストリップの部分断面側面図である。
【0011】
【0012】
【
図5】
図6の線5-5に沿って切り取られた、テフロンプレート上に配置された積層ストリップの部分断面側面図である。
【0013】
【0014】
【
図7】
図8の線7-7に沿って切り取られた、積層ストリップ上に配置されたステンシルの部分断面側面図である。
【0015】
【
図8】
図7の積層ストリップ及びステンシルの上面図である。
【0016】
【
図9】
図10の線9-9に沿って切り取られた部分断面側面図であり、ステンシルを用いて積層ストリップ内の開口に磁気ペーストを堆積するために印刷プロセスを受ける積層ストリップを示す。
【0017】
【0018】
【
図11】ステンシルが除去されて硬化された上側磁気コアピースを形成する熱硬化プロセスを受ける積層ストリップ及び堆積された磁気ペーストの部分断面側面図である。
【0019】
【
図12】積層ストリップから個々のセクションを分離するための個片化プロセスを受ける積層ストリップ及び硬化された上側磁気コアピースの部分断面側面図である。
【0020】
【
図13】リードフレームの選択部分上に磁気ペーストを堆積する磁気ペーストディスペンスプロセスを受ける一方で、キャリアトレイ内に支持されたリードフレームストリップの部分断面側部立面図である。
【0021】
【
図14】堆積された磁気ペースト上に底部変圧器コアピースを配置するプロセスを受けるリードフレームストリップの部分断面側部立面図である。
【0022】
【
図15】堆積された磁気ペーストを硬化させるための熱硬化プロセスを受けるリードフレームストリップの部分断面側部立面図である。
【0023】
【
図16】配置された底部変圧器コアピースの頂部側の選択部分上に磁気ペーストを堆積する磁気ペーストディスペンスプロセスを受ける、リードフレームストリップと、配置された底部変圧器コアピースとの部分断面側部立面図である。
【0024】
【
図17】組み立てられた上側磁気コアピース及び積層ストリップを底部変圧器コアピースの頂部側に配置するプロセスを受ける、組み立てられたリードフレームストリップ及び配置された底部変圧器コアピースの部分断面側部立面図である。
【0025】
【
図18】E-Iコア構造を有する変圧器を形成するために、堆積された磁気ペーストを硬化させるための熱硬化プロセスを受ける、リードフレームストリップ並びに配置された頂部及び底部変圧器コアピースの部分断面側部立面図である。
【0026】
【
図19】U-Tコア構造を有する変圧器の部分断面側部立面図である。
【0027】
【
図20】U-Iコア構造を有する変圧器の部分断面側部立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図面において、全体を通して同様の参照番号は同様の要素を示し、種々の特徴は必ずしも一定の縮尺で描いてはいない。また、用語「結合する」は、間接的又は直接的な電気的又は機械的接続又はそれらの組み合わせを含む。例えば、第1のデバイスが第2のデバイスに結合するか又は第2のデバイスと結合される場合、その接続は、直接電気的接続を介するものであり得、又は一つ又は複数の介在デバイス及び接続を介した間接的電気的接続を介するものであり得る。
【0029】
図1及び
図2を参照すると、
図1は、本記載の一態様に従った方法100を示す。一実装において、
図1の方法100は、
図2に示される集積された変圧器を有する電子デバイスを製造するために実装され、
図3~
図18は、方法100に従った製造の様々な段階における
図2のデバイスを示す。
【0030】
方法100は、102において、積層ストリップをテフロンプレート又は他のキャリア構造上に配置することで始まり、104において、ステンシルが積層ストリップ上に配置される。方法100は更に、106において、積層ストリップの頂部側上及び開口内に磁気ペースト(例えば、フェライトペースト)を印刷して、積層ストリップの上及び中に延在するE、U、又はT形状の磁気ペースト頂部変圧器コアピース(以下、第1の変圧器コアピースとも称する)を形成することを含む。方法100は更に、108において、磁気ペースト頂部変圧器コアピースを硬化させるために、加熱プロセスなどによって硬化させることを含む。方法100は更に、110において、積層ストリップを、それぞれの頂部変圧器コアピースを有する個々の積層ピースに分離することを含む。
【0031】
方法100は、112において、リードフレームパッド上に磁気ペーストをディスペンスすることを含む。この方法は更に、114において、例えば、ディスペンスされた磁気ペーストの上で、底部変圧器コアピース(以下、第2の変圧器コアピースともいう)をリードフレームパッド上に配置することを含む。方法100は更に、116において、底部変圧器コアピースをリードフレームパッドに接合するために磁気ペーストを硬化させるために、加熱プロセスなどによって硬化させることを含む。
【0032】
方法100は更に、118において、底部変圧器コアピースの頂部側に磁気ペーストをディスペンスすること、並びに120において、底部変圧器コアピースの頂部側に頂部変圧器コアピースを有する個片化された積層ピースを配置することを含む。方法100は更に、122において、絶縁変圧器アセンブリを完成させるために、加熱プロセスなどによって硬化させることを含む。一例において、124でボンド前プラズマ処理が実施される。方法100は更に、126におけるワイヤボンディングを含む。方法100は更に、128でモールディングすることと、130でパッケージ分離することとを含む。
【0033】
図2は、E-Iコア構造を有する変圧器を有するパッケージ化された電子デバイス200を示す。電子デバイス200は、モールドパッケージ構造202と、パッケージ構造202の外部に露出された外側の側部又は表面を有する導電性リード204とを含む。電子デバイス200は、少なくとも部分的にパッケージ構造202によって囲まれた変圧器210を含む。変圧器210は、積層構造212と、第1の変圧器コアピース214と、第2の変圧器コアピース216とを含む。電子デバイス200は、導電性リード204のそれぞれを変圧器210に電気的に結合するボンドワイヤ218を含む。第1の(例えば、頂部)変圧器コアピース214は、硬化された磁気ペースト214であるか又はそれを含む(例えば、上記の
図1における106で印刷され、108で硬化され、ここで、106で印刷された未硬化磁気ペーストは、本明細書では214とも呼ばれる)。
【0034】
一例において、第1の変圧器コアピース214は、積層構造212の側部に沿って延在する第1の部分と、例えば、T又はU又はE形状のコアピースのコアレッグを形成するために、積層構造212の開口を充填する第2の部分とを含む。第2の変圧器コアピース216は、第1の変圧器コアピース214の第2の部分の側部に沿って延在する。積層構造212は、一例において、開口を囲む一次巻線及び二次巻線を含み、例えば、一次及び二次変圧器巻線を、第1の変圧器コアピース214及び第2の変圧器コアピース216によって形成される磁気回路と磁気的に結合する。
【0035】
図3~
図18は、
図1の方法100に従った製造工程を受ける、E-Iコア構造を有する変圧器を有する電子デバイス200を示す。
図3及び
図4は、各々がそれぞれの一次及び二次変圧器巻線PW及びSWを含む、複数のセクションを有する積層ストリップ300の形態の積層構造212の部分断面側面図及び上面図をそれぞれ示す。積層構造212は、導電性(例えば、銅)ボンドパッド304を有する積層構造212の第1の側部303(例えば、頂部側)と、反対の(例えば、底部)の第2の側部305とを含む。
図4に示すように、積層ストリップ300は、各々がそれぞれの一次及び二次変圧器巻線PW及びSWを有する、見込みデバイスセグメント又はセクションのアレイを含む。
図3の断面図は、各々が第1の側部303から第2の側部305まで積層構造212を介して延在する、積層構造開口306、307、及び308を有する1つの例示の断面を示す。
【0036】
例示の積層構造212は、各々が誘電体材料層を含む複数の層又はレベルを含む。この例はまた、導電性一次巻線PW及び導電性二次巻線SWを形成するための導電性特徴及び導電性レベル間ビア(図示せず)を含む。巻線PW及びSWは、一例において、多レベル積層構造212の個々のレベル上の螺旋巻線構造又はトレースである。一例において、それぞれの巻線PW及びSWの一方又は両方が多レベル積層構造212の複数のレベル上に延在する。
図3及び
図4の例において、積層構造212の個々の部分は、完成したパッケージ化された電子デバイス200(
図2)内の変圧器巻線へのボンドワイヤ結合を可能にするために、一次及び二次変圧器巻線PW及びSWの一方又は両方のそれぞれの端部と電気的に結合された頂部側ボンドパッド400を含む。
【0037】
図5及び
図6は、(例えば、
図1の102で)テフロンプレート500上に配置された積層構造212のそれぞれ断面側面図及び上面図を示す。テフロンプレート500は、磁気(例えば、フェライト)ペーストの印刷(例えば、スクリーン印刷)を可能にして、積層構造212の開口306、307、及び308を充填し、印刷及び硬化後、並びにテフロンプレート500が除去された後に、積層構造212の第2の側部305と概ね同一平面上にある、頂部変圧器コアピースの第2の部分又は一部の下端を形成する。結果として得られる第2の部分は、空隙又はボイドを伴わずに第2の(例えば、底部)変圧器コアピース(
図2の216)への接合を促進する平坦な底部側を有し、それによって、変圧器性能及び絶縁電圧定格の改善を促進する。
図6の上面図に示されるように、全てのセクションを同時に印刷及び硬化するために、単一のテフロンプレート500が積層構造212の全てのデバイスセクションに用いられる。
【0038】
図7及び
図8は、積層構造212の第1の側部303の一部分上にステンシル702を配置するプロセス700を受ける、積層構造212のそれぞれ断面側面図及び上面図を示す。例示のステンシル702は、ボンドパッド(上記の
図4の400)を覆い、積層構造212の第1の側部303の一部、並びに開口306、307、及び308を露出させる。ステンシル702の開口は、所与の設計のための任意の所望の磁気ペースト印刷被覆に合わせることができる。一例において、ステンシル702は、ステンレス鋼であるか又はステンレス鋼を含む。別の例において、ステンシル702はナイロンであるか又はナイロンを含む。
【0039】
図9及び
図10は、印刷プロセス900の実施中の(例えば、上記の
図1の106における)積層構造212及びステンシル702のそれぞれ断面側面図及び上面図を示す。印刷プロセス900は、積層構造212の第1の側部303の露出部分上に磁気ペースト214を堆積する(106)。印刷プロセスはまた、露出された開口306、307、及び308内に磁気ペースト214を堆積する。図示の例において、印刷プロセス900は、
図9に示すように開口306、307、及び308を充填し、テフロンプレート500の露出された頂部側に沿って、開口306、307、及び308内の印刷された磁気ペースト214の第2の部分の実質的に平坦な底部を形成する。図示の例では、開口306、307、及び308内の印刷された磁気ペースト214の第2の部分の底部は、積層構造212の第2の側部305と実質的に平面である。
【0040】
一実装において、印刷プロセス900は、ディスペンス装置(図示せず)を用いて、磁気ペースト214を第1の側部303上に及び積層構造212の開口306、307、及び308内に、好ましくは、ステンシル702の頂部の上のレベルまで、ディスペンスするか又はその他の方式で堆積するスクリーン印刷又はシルクスクリーニングプロセスであり、ブレード又はスキージ(図示せず)が、ステンシル702(例えば、スクリーン)の頂部側にわたって下向きの圧力を加えて移動され、開いたステンシル開口を印刷磁気ぺースト214で充填し、印刷磁気ぺースト214の滑らかな(例えば、実質的に平坦である)頂部側を作り出す。
【0041】
図11は、ステンシルが除去された(例えば、上記の
図1の108)熱硬化工程1100を受ける、積層構造212及び印刷された磁気ペーストを示す。硬化プロセス110は、硬化された第1の変圧器コアピース214(例えば、上記の
図2)を形成する。硬化された第1の変圧器コアピース214は、積層構造212の第1の側部303に沿って延在する第1の部分と、積層構造212のそれぞれの開口306、307、及び308を充填する第2の部分とを有する。
図12は、
図3~
図11の積層ストリップ構造から個々のセクションを分離し、接合された上側変圧器アセンブリ1204を形成する、個片化プロセス1200(例えば、
図1の110)を受ける、積層構造212及び硬化された第1の変圧器コアピース214を示す。一例において、個片化プロセス1200は鋸切断プロセスである。別の例において、個片化プロセス1200はレーザ切断プロセスである。
【0042】
図13は、複数のデバイスセクションを有するストリップとして形成されたリードフレーム1302の一部の側面図を示す。リードフレーム1302は、(例えば、
図1の112において)リードフレーム1302の選択部分上に第2の磁気ペースト1306を堆積する磁気ペーストディスペンス処理1300を受けながら、キャリアトレイ1304内に配置又は支持される。一例において、第2の磁気ペースト1306は、第1の変圧器コアピース214を印刷するために用いられるのと同じ材料である。
図14は、リードフレーム1302の頂部側の一部上の堆積された第2の磁気ペースト1306上に第2の変圧器コアピース216を(例えば、
図1の114で)配置するプロセス1400を受けるリードフレームストリップを示す。
図15は、堆積された第2の磁気ペースト1306を硬化させて第2の変圧器コアピース216の底部側をリードフレーム1302に接合する熱硬化工程1500(例えば、
図1の116)を受けるリードフレームストリップを示す。
【0043】
図16~
図18は、第2の変圧器コアピース216を第1の変圧器コアピース214の第2の部分の第2の側部(例えば、底部側部)に接合するための例示のプロセスを示す。この例における接合処理はまた、第2の変圧器コアピース216の頂部を積層構造212の底部又は第2の側部305に接合する。
図16は、リードフレーム1302と、配置された第2の変圧器コアピース216とが、配置された底部変圧器コアピース216の第1の頂部側の選択部分上に磁気ペースト1602を堆積する磁気ペーストディスペンス処理1600を受けることを示す(例えば、上記の
図1の118)。一例において、磁気ペースト1602は、第1の変圧器コアピース214を印刷するために用いられるのと同じ材料である。
【0044】
プロセスは
図17において継続し、
図17は、組み立てられたリードフレーム1302と、配置された第2の変圧器コアピース216とが、プロセス1700(例えば、
図1の120)を受けることを示し、プロセス1700は、組み立てられた第1の変圧器コアピース214と、関連する積層ピース212の第2の(例えば、底部)側部305とを、第2の変圧器コアピース216の第1の(例えば、頂部)側部(例えば、ディスペンスされた磁気ペースト1602上)に配置する。一例において、プロセス1700は、ピックアンドプレース装置(図示せず)を用いて、第1の変圧器コアピース214及び積層構造ピース212を第2の変圧器コアピース216上に配置する。
図18は、リードフレーム1302と、第1及び第2の変圧器コアピース214及び216とが、(例えば、
図1の122において)熱硬化プロセス1800を受けることを示す。プロセス1800は、磁気ペースト1602を硬化させて、第2の変圧器コアピース216を、第1の変圧器コアピース214の第2の部分の側部に接合し、また、積層構造212の第2の側部305を、第2の変圧器コアピース216に接合して、変圧器210を形成する。
【0045】
変圧器210は、第1の側部303及び反対の第2の側部305を有する積層構造212と、硬化された磁気ペーストで形成された第1の変圧器コアピース214とを含む。第1の変圧器コアピース214は、積層構造212の第1の側部303に沿って延在する第1の部分と、積層構造212の開口308を充填する第2の部分とを有する。閉磁気回路はまた、E形状の第1の変圧器コアピース214の第2の部分の下側に沿って延在する第2の変圧器コアピース216を含む。磁気回路はまた、第2の変圧器コアピース216の第1の側部と第1の変圧器コアピース214の第2の部分の底部側との間に硬化された磁気ペースト1602を含む。次に、例えばボンドワイヤ218を上記の
図2に接続するため、
図18の変圧器210をワイヤボンディングのために加工して、デバイスをモールディングして
図1のモールドパッケージ構造202を形成して、集積された変圧器電子デバイス200を提供する。
【0046】
図19は、T形状の第1の変圧器コアピース1900を有するU-Tコア構造を有する、別の例示の変圧器1902を示す。この例において、積層構造212は上述の通りであり、U形状の第2の変圧器コアピース1901が、図示のように配置され、硬化された磁気ペースト1602によって接合される。
図20は、U-Iコア構造を有する別の例示の変圧器2002を示す。この例は、U形状を有する第1の変圧器コアピース2000と、第1の変圧器コアピース2000の1つの垂直脚を囲む巻線PW及びSWを有する上述の積層構造212と、概ね平坦な(例えば、I形状の)第2の変圧器コアピース2001とを含む。
【0047】
説明された例示の変圧器及びパッケージ化された電子デバイスは、E-I、U-I、T-U形状の変圧器コアピース構造などの効率的な閉磁気ループ構造を提供する一方で、変圧器磁気回路のための小さな磁気抵抗経路を提供するために空隙又は他のボイドを緩和又は回避する。これらの例及び製造方法100は、変圧器のE、又はT、又はU形状コアピースとして機能し、閉ループ変圧器構造におけるボイドを軽減又は排除するように、スクリーン印刷磁気ペーストを用いる代替的な集積化方法を介して、特に、非磁気相互接続材料を用いて2つのE-I、U-I、又は、T-U形状コアを接合するのと比較して、漏れ磁束を低減し、変圧器の品質係数及びインダクタンス密度を増大させる。記載された方法100は、スクリーン印刷アッセンブリプロセスを介してボイドを軽減することによって、一貫した絶縁性能及び信頼性を促進する。記載された構造及び方法はまた、変圧器コアピースを接合又は組み立てるときに導入されるボイドに以前は関連していた製造歩留り損失を低減又は排除することによって、製造コストを低減する。更に、スクリーン印刷プロセスは、供給材料(例えば、印刷磁気ペースト中のフェライト粒子)を容易に変化させることができ、これにより、新しい用途のため、例えば、高比透磁率、高降伏電圧を有する低損失変圧器コアピース、スクリーン印刷及びディスペンスのための適切な粘度、並びに、磁気複合物をインク又は粉末ペースト形態若しくはフェライト粒子を有する磁気ペーストにするための供給材料混合物を用いた高抵抗率を提供して、磁気回路経路内のボイドを排除又は軽減し、絶縁された閉磁気ループ変圧器の所望の絶縁性能及び機械的信頼性を保証することができる。或る例において、
図1の106での印刷は、積層構造212の開口306、307、及び308を充填するために、Ajinomotoスクリーン印刷磁気ぺーストを使用する。或る例において、第1の変圧器コアピース214、1900、200の磁気ペーストは、絶縁された閉ループ変圧器製造のための磁気ペーストを配合するように選択されたNiZnフェライト、MnZnフェライト、及びNiCuZnなどのフェライト粒子を含む。一例における粒子サイズは、既存の印刷装置及びシステムを用いたスクリーン印刷を容易にするために、数百ナノメートル~数十マイクロメートルの範囲である。硬化後のペーストの一例の主な磁気特性、例えば透磁率は、約5~40である。こういった特性は、或る実装において主として磁気ペーストの組成及び粒子サイズに依存する。一例におけるピーク硬化温度は250℃未満であり、これは、磁気ペーストに用いられるエポキシ樹脂によって変化する。記載された例は、磁気ペーストをスクリーン印刷して、T、E又はU形状コアピースを形成することによって、相互接続層内に閉じ込められるボイドを低減又は回避することによって、小型の絶縁された閉磁気ループ変圧器における絶縁及び信頼性性能に対する低コストの解決策を提供する。
【0048】
本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実装に改変が成され得、他の実施例が可能である。
【国際調査報告】