(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-18
(54)【発明の名称】長時間作用性GLP-1/GIPデュアルアゴニスト
(51)【国際特許分類】
C07K 14/605 20060101AFI20230710BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20230710BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230710BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230710BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20230710BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20230710BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20230710BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230710BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20230710BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20230710BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20230710BHJP
A61P 25/32 20060101ALI20230710BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230710BHJP
【FI】
C07K14/605 ZNA
A61K38/16
A61K45/00
A61P3/10
A61P3/04
A61P9/12
A61P3/06
A61P25/28
A61P9/10 101
A61P9/10
A61P1/04
A61P1/00
A61P25/32
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022578936
(86)(22)【出願日】2021-06-21
(85)【翻訳文提出日】2022-12-22
(86)【国際出願番号】 IB2021055457
(87)【国際公開番号】W WO2021260530
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】202021026360
(32)【優先日】2020-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(31)【優先権主張番号】202121002838
(32)【優先日】2021-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503422000
【氏名又は名称】サン ファーマシューティカル インダストリーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SUN PHARMACEUTICAL INDUSTRIES LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】セナティ,ラジャマンナル
(72)【発明者】
【氏名】ブラデ,ヴィノド・サンパタラオ
(72)【発明者】
【氏名】ナタラジャン,ムスクマラン
(72)【発明者】
【氏名】ジョシ,ディレン・ラメシュチャンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ガンディー,マニシュ・ハレンドラプラサド
(72)【発明者】
【氏名】ジヴァニ,チャンドゥーラル・サカールシバーイー
(72)【発明者】
【氏名】ティワリ,アビセーク
(72)【発明者】
【氏名】ソニ,クルーナル・ハリシュバーイー
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA07
4C084AA19
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA19
4C084BA23
4C084DB37
4C084NA14
4C084ZA151
4C084ZA361
4C084ZA401
4C084ZA421
4C084ZA451
4C084ZA661
4C084ZA681
4C084ZA701
4C084ZC331
4C084ZC351
4C084ZC391
4C084ZC751
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA01
4H045BA19
4H045BA50
4H045CA40
4H045DA30
4H045EA20
4H045FA20
4H045FA33
4H045GA25
4H045GA45
(57)【要約】
本発明は、2型糖尿病(T2D)、肥満を伴う糖尿病、肥満および高脂血症の治療に有用であり得る、長時間作用性グルカゴン様ペプチド-1およびヒトグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)アゴニストポリペプチドに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩であって、
Y-X1-E-G-T-F-T-S-D-Y-S-I-X2-L-Xaa15-K-I-A-Xaa19-X3-Xaa21-F-V-Xaa24-W-L-X4-A-G-G-P-S-S-G-A-P-P-P-S-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11(配列番号1)
式中
X1は、Aib、Ser(OMe)または(D)Ser(OMe)であり、
X2はTyr、Ser(OMe)、(D)Ser(OMe)、またはAibであり、
X3はGlnまたはLysであり、式中、X3がLysである場合、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化され、
{―U-W-Y-Z
式中、Uは-C(O)-CH
2-O-(CH
2)
2-O-(CH
2)
2-NH-}であり、式中、}は基Wとの付着点であり、
Wは-C(O)-NH-(CH
2)
p-NH-]、-C(O)-C(CH
3)
2-NH-]、および-C(O)-CH
2-O-(CH
2)
2-O-(CH
2)
2-NH-]からなる群から選択され、式中、pは3または4であり、式中、]は基Yとの付着点であり、
Yは-C(O)-(CH
2)
2-CH(COOH)NH--であり、および--は基Zとの付着点であり、
Zは-C(O)-(CH
2)
n-COOHまたは-C(O)-(CH
2)
n-CH
3であり、式中、nは14~20の整数であり、
但し、X3がLysであり、X2がAibである場合、Wは-C(O)-CH
2-O-(CH
2)
2-O-(CH
2)
2-NH-]ではなく、
X4はLeu、IleまたはGluであり、
X5は存在しないか、ArgまたはLysであり、式中、X5がLysである場合、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化され、
{―U’-W’-Y’-Z’
式中、U’は-C(O)-CH
2-O-(CH
2)
2-O-(CH
2)
2-NH-}であり、式中、}は基W’との付着点であり、
W’は-C(O)-NH-(CH
2)
q-NH-]、-C(O)-C(CH
3)
2-NH-]、および-C(O)-CH
2-O-(CH
2)
2-O-(CH
2)
2-NH-]からなる群から選択され、式中、pは3または4であり、式中、〕は基Y’との付着点であり、
Y’は-C(O)-(CH
2)
2-CH(COOH)NH--であり、および--は基Z’との付着点であり、
Z’は-C(O)-(CH
2)
m-COOHまたは-C(O)-(CH
2)
m-CH
3であり、式中、mは14~20の整数であり、
X6は存在しないか、またはLysであり、
X7は存在しないか、またはLysであり、
X8は存在しないか、またはLysであり、
X9は存在しないか、またはLysであり、
X10は存在しないか、またはLysであり、
X11は存在しないか、またはLysであり、
Xaa15は、AspまたはGluであり、
Xaa19は、GlnまたはAlaであり、
Xaa21は、AlaまたはGluであり、
Xaa24は、GlnまたはAsnであり、
式中、C末端アミノ酸の酸基は、遊離カルボン酸基であるか、またはC末端第一級アミドとしてアミド化され、
但し、X3またはX5のうちの少なくとも一つは、Lysである、ポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
X1がAibである、請求項1に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項3】
X2がAibである、請求項1に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項4】
X1およびX2が両方ともAibである、請求項1に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項5】
X1がAibであり、およびX2がSer(OMe)または(D)Ser(OMe)である、請求項1に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項6】
X1がSer(OMe)または(D)Ser(OMe)であり、およびX2がAibである、請求項1に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項7】
X4がIleである、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項8】
X5がArgである、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項9】
X1がAibであり、およびX2がTyrである、請求項1に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項10】
以下のアミノ酸配列:
Y-Aib-E-G-T-F-T-S-D-Y-S-I-Ser(OMe)-L-D-K-I-A-Q-X3-A-F-V-Q-W-L-X4-A-G-G-P-S-S-G-A-P-P-P-S-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11(配列番号2)
を含む、請求項1、2および5のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項11】
X4がIleである、請求項10に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項12】
以下のアミノ酸配列:
Y-X1-E-G-T-F-T-S-D-Y-S-I-X2-L-D-K-I-A-Q-X3-A-F-V-Q-W-L-X4-A-G-G-P-S-S-G-A-P-P-P-S(配列番号3)
を含み、
式中、X1はAibであり、X2はSer(OMe)またはAibであり、X4はIleまたはGluである、請求項1~2のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項13】
X2がAibであり、およびX4がIleである、請求項12に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項14】
以下のアミノ酸配列:
Y-Aib-E-G-T-F-T-S-D-Y-S-I-Aib-L-D-K-I-A-Q-X3-A-F-V-Q-W-L-Ile-A-G-G-P-S-S-G-A-P-P-P-S(配列番号4)
を含み、
式中、X3はLysであり、および前記部分{-U-W-Y-Zでアセチル化され、およびWは-C(O)-NH-(CH
2)
p-NH-]または-C(O)-C(CH
3)
2-NH-]からなる群から選択され、式中、〕は基Yとの付着点であり、pは3または4である、請求項1に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項15】
以下からなる群から選択されるアミノ酸配列:
i)Tyr Aib Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile Aib Leu Asp Lys Ile Ala Gln Lys Ala Phe Val Gln Trp Leu Ile Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser-NH
2(配列番号5)、
ii)Tyr Aib Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile D-Ser-(OMe) Leu Asp Lys Ile Ala Gln Lys Ala Phe Val Gln Trp Leu Ile Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser-NH
2(配列番号9)、
iii)Tyr Aib Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile Ser(OMe) Leu Asp Lys Ile Ala Gln Lys Ala Phe Val Gln Trp Leu Ile Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser-NH
2(配列番号10)、
iv)Tyr Aib Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile Aib Leu Asp Lys Ile Ala Gln Lys Ala Phe Val Gln Trp Leu Ile Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser Arg(配列番号11)、
v)Tyr Aib Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile Tyr Leu Glu Lys Ile Ala Ala Gln Glu Phe Val Asn Trp Leu Leu Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser Lys-NH
2(配列番号12)、
vi)Tyr Aib Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile Ser(OMe) Leu Glu Lys Ile Ala Ala Gln Glu Phe Val Asn Trp Leu Leu Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser Lys-NH
2(配列番号13)、
vii)Tyr D-Ser(OMe) Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile Aib Leu Asp Lys Ile Ala Gln Lys Ala Phe Val Gln Trp Leu Ile Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser-NH
2(配列番号6)、および
viii)Tyr Ser(OMe) Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile Aib Leu Asp Lys Ile Ala Gln Lys Ala Phe Val Gln Trp Leu Ile Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser-NH
2(配列番号7)
を含む、請求項1に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項16】
X5、X6、X7、X8、X9、10、およびX11がすべて存在しない、請求項1~11のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項17】
Wが-C(O)-C(CH
3)
2-NH-]である、請求項1~16のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項18】
Wが-C(O)-NH-(CH
2)
p-NH-]であり、およびpが3または4である、請求項1~16のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項19】
Wが-C(O)-NH-(CH
2)
4-NH-]である、請求項1~16のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項20】
Wが-C(O)-CH
2-O-(CH
2)
2-O-(CH
2)
2-NH-]である、請求項1~2、5、7~11、15~16のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項21】
Zが-C(O)-(CH
2)
n-COOHであり、およびnが16または18である、請求項1~16のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項22】
Wが-C(O)-NH-(CH
2)
4-NH-]であり、Zが-C(O)-(CH
2)
n-COOHであり、およびnが18である、請求項1~16のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項23】
Wが-C(O)-C(CH
3)
2-NH-]であり、Zが-C(O)-(CH
2)
n-COOHであり、およびnが18である、請求項1~16のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項24】
Wが-C(O)-CH
2-O-(CH
2)
2-O-(CH
2)
2-NH-]であり、Zが-C(O)-(CH
2)
n-COOHであり、およびnが16である、請求項1~2、5~12、15~16のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項25】
Wが-C(O)-CH
2-O-(CH
2)
2-O-(CH
2)
2-NH-]であり、Zが-C(O)-(CH
2)
n-COOHであり、およびnが18である、請求項1~2、5~12、15~16のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項26】
W’が-C(O)-C(CH
3)
2-NH-]である、請求項1~7、9~11、および15のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項27】
W’が-C(O)-NH-(CH
2)
q-NH-]であり、およびpが3または4である、請求項1~7、9~11、および15のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項28】
W’が-C(O)-NH-(CH
2)
4-NH-]である、請求項1~7、9~11、および15のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項29】
W’が-C(O)-CH
2-O-(CH
2)
2-O-(CH
2)
2-NH-]である、請求項1~7、9~11、および15のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項30】
Z’が-C(O)-(CH
2)
m-COOHであり、およびmが16または18である、請求項1~7、9~11、および15のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項31】
W’が-C(O)-NH-(CH
2)
4-NH-]であり、Z’が-C(O)-(CH
2)
m-COOHであり、およびmが18である、請求項1~7、9~11、および15のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項32】
W’が-C(O)-NH-(CH
3)
2-NH-]であり、Z’が-C(O)-(CH
2)
m-COOHであり、およびmが18である、請求項1~7、9~11、および15のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項33】
W’が-C(O)-CH
2-O-(CH
2)
2-O-(CH
2)
2-NH-]であり、Z’が-C(O)-(CH
2)
m-COOHであり、およびnが16である、請求項1~7、9~11、および15のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項34】
W’が-C(O)-CH
2-O-(CH
2)
2-O-(CH
2)
2-NH-]であり、Z’が-C(O)-(CH
2)
m-COOHであり、およびnが18である、請求項1~7、9~11、および15のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項35】
-U-W-Y-Zおよび/または-U’-W’-Y’-Z’が以下の群:
【化1】
から選択される、請求項1~34のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項36】
前記C末端アミノ酸が、C末端第一級アミドとしてアミド化される、請求項1~35のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項37】
前記C末端アミノ酸の酸基が、遊離カルボン酸である、請求項1~35のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項38】
以下の群:
【化2】
【化3】
【請求項39】
請求項1~38のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩、および担体、希釈剤、または薬学的に許容可能な賦形剤のうちの一つ以上を含む、医薬組成物。
【請求項40】
薬剤として使用するための、請求項1~38のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩、または請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項41】
患者の疾患の治療または予防における使用のための、請求項1~38のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩、または請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項42】
前記疾患が、高血糖症、2型糖尿病、耐糖能障害、1型糖尿病、肥満、高血圧、高脂血症、X症候群、脂質異常症、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠動脈心疾患、脳卒中、炎症性腸症候群、消化不良、アルコール依存症、および胃潰瘍からなる群から選択される、請求項41に記載の使用のためのポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩または医薬組成物。
【請求項43】
前記ポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩、または前記医薬組成物が、有効量の一つ以上の追加の治療薬と組み合わせて同時、別々に、または連続的に提供される、請求項40~42に記載の使用のためのポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩または医薬組成物。
【請求項44】
それを必要とする患者に、請求項1~38のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩の有効量を投与することを含む、患者の高血糖症、2型糖尿病、耐糖能障害、1型糖尿病、肥満、高血圧、高脂血症、X症候群、脂質異常症、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠動脈心疾患、脳卒中、炎症性腸症候群、消化不良、アルコール依存症および胃潰瘍を治療または予防する方法。
【請求項45】
前記方法が、それを必要とする患者に、請求項39に記載の医薬組成物の有効量を投与することを含む、患者の高血糖症、2型糖尿病、耐糖能障害、1型糖尿病、肥満、高血圧、高脂血症、X症候群、脂質異常症、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠動脈心疾患、脳卒中、炎症性腸症候群、消化不良、アルコール依存症および胃潰瘍を治療または予防する方法。
【請求項46】
有効量の一つ以上の治療薬と組み合わせて、同時、別々に、または連続的に投与することをさらに含む、請求項44~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
高血糖症、2型糖尿病、耐糖能障害、1型糖尿病、肥満、高血圧、高脂血症、X症候群、脂質異常症、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠動脈心疾患、脳卒中、炎症性腸症候群、消化不良、アルコール依存症および胃潰瘍の治療または予防のための薬剤の調製に使用するための請求項1~38のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩、または請求項39に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2型糖尿病(T2D)、肥満を伴う糖尿病、肥満および高脂血症の治療に有用であり得る、長時間作用性グルカゴン様ペプチド-1およびヒトグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド/胃腸ペプチド(GIP)アゴニストポリペプチドに関する。
【背景技術】
【0002】
グルカゴン様ペプチド-1受容体アゴニスト(GLP-1RAs)を用いた2型糖尿病(T2DM)の治療は、血糖管理の改善、体重減少、およびいくつかの心血管リスク因子の改善をもたらす。これらの利益は、膵ベータ細胞、胃腸管の様々な細胞型、および中枢(CNS)および末梢神経系の両方のニューロンに発現する、Gタンパク質共役受容体のクラスBファミリーのメンバーであるグルカゴン様ペプチド-1受容体(GLP-1R)によって媒介される。GLP-1RAsによるGLP-1Rシグナル伝達の活性化は、グルコース刺激型インスリン分泌を強化し、胃内容排出を遅らせ、および血漿グルカゴンレベルを減少させることによりグルコース恒常性を改善し、および脳内の食欲不振経路を活性化することにより体重を減少させる。ベータ細胞活性化のグルコース依存性のため、GLP-1RAsは低血糖症のリスク上昇と関連しない。GLP-1RAsの広範な代謝的利益は、T2DM治療パラダイムにおいてこのクラスを確立しているが、多くの患者はHbA1c/血糖の標的に到達せず、またこれらの薬剤で達成された体重減少は、従ってより高い用量を必要とし、これはまたGIの有害事象を増加させ、肥満のための最も強力な臨床介入である肥満手術で達成できることよりもはるかに低いままである。従って、既存のGLP-1RAクラスの治療法を改善する大きな機会がある。
【0003】
一つの新たなアプローチは、基礎的なGLP-1RA療法を、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)などの栄養およびエネルギー代謝に関与する追加の経路を標的とする薬理学的戦略と組み合わせることである。GIPは、食物に応答して上部小腸、十二指腸のK細胞から分泌されるインクレチンである。正常な生理学的条件下では、食後GIPレベルはGLP-1と比較しておよそ4倍高い。GIPは、ヒトにおけるインスリン分泌促進的インクレチン効果の大部分を担い、GLP-1とは異なる重要な追加機能を有する。GLP-1とは異なり、GIPは、血糖値依存性の様式で、グリカゴン分泌促進的およびインスリン分泌促進的の両方であり、低血糖条件下では用量依存的にグルカゴン分泌を刺激し、高血糖条件下ではインスリン分泌を刺激し、放出されたグルカゴンはインスリン分泌を促進する。GIP-受容体(GIPR)とGLP-1Rの両方がベータ細胞に存在するが、GIPRは脂肪組織に豊富であり、CNSの多くの重複していない領域に見られるため、GIPRの発現は膵外組織では異なって分布している。GIPは、グルコースの取込み、脂肪分解、およびリポタンパクリパーゼ活性を制御するその作用によって、脂肪組織炭水化物および脂質代謝に関与する。これらの所見は、GIPRの薬理学的活性化が、末梢エネルギー代謝に治療的利益を有し得ることを示唆する。最近、GLP-1RA活性とGIP活性を組み合わせた単分子の多機能ペプチドが、血糖および体重管理のための新しい治療薬として提案されている。
【0004】
米国特許第9474780号は、チルゼパチドを含むデュアルGLP-1およびGIP受容体アゴニストを開示する。
【化1】
【0005】
チルゼパチドはT2DMおよび肥満に関する第III相臨床試験を受けている。
【0006】
WIPO公開番号WO201774714A1、WO202023386A1、WO2020023388A1、WO2015067715A2、WO2016111971A1およびWO2013164483A1は、GLP-1RおよびGIPRデュアルアゴニスト化合物を開示している。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、以下のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩を提供する:
Y-X1-E-G-T-F-T-S-D-Y-S-I-X2-L-Xaa15-K-I-A-Xaa19-X3-Xaa21-F-V-Xaa24-W-L-X4-A-G-G-P-S-S-G-A-P-P-P-S-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11(配列番号1)
式中、X1はAib、Ser(OMe)、または(D)Ser(OMe)であり、
X2はTyr、Ser(OMe)、(D)Ser(OMe)、またはAibであり、
X3はGlnまたはLysであり、式中、X3がLysである場合、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化され、
{―U-W-Y-Z
式中、Uは-C(O)-CH2-O-(CH2)2-O-(CH2)2-NH-}であり、式中、}は基Wとの付着点であり、
Wは-C(O)-NH-(CH2)p-NH-]、-C(O)-C(CH3)2-NH-]、および-C(O)-CH2-O-(CH2)2-O-(CH2)2-NH-]からなる群から選択され、式中、pは3または4であり、式中、]は基Yとの付着点であり、
Yは-C(O)-(CH2)2-CH(COOH)NH--であり、および--は基Zとの付着点であり、
Zは-C(O)-(CH2)n-COOHまたは-C(O)-(CH2)n-CH3であり、式中、nは14~20の整数であり、
但し、XX3がLysであり、X2がAibである場合、Wは-C(O)-CH2-O-(CH2)2-O-(CH2)2-NH-]ではなく、
X4はLeu、IleまたはGluであり、
X5は存在しないか、ArgまたはLysであり、式中、X5がLysである場合、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化され、
{―U’-W’-Y’-Z’
式中、U’は-C(O)-CH2-O-(CH2)2-O-(CH2)2-NH-}であり、式中、}は基W’との付着点であり、
W’は-C(O)-NH-(CH2)q-NH-]、-C(O)-C(CH3)2-NH-]、および-C(O)-CH2-O-(CH2)2-O-(CH2)2-NH-]からなる群から選択され、qは3または4であり、式中、]は基Y’との付着点であり、
Y’は-C(O)-(CH2)2-CH(COOH)NH--であり、および--は基Z’との付着点であり、
Z’は-C(O)-(CH2)m-COOHまたは-C(O)-(CH2)m-CH3であり、式中、mは14~20の整数であり、
X6は存在しないか、またはLysであり、
X7は存在しないか、またはLysであり、
X8は存在しないか、またはLysであり、
X9は存在しないか、またはLysであり、
X10は存在しないか、またはLysであり、
X11は存在しないか、またはLysであり、
Xaa15は、AspまたはGluであり、
Xaa19は、GlnまたはAlaであり、
Xaa21は、AlaまたはGluであり、
Xaa24は、GlnまたはAsnである。
式中、C末端アミノ酸の酸基は、遊離カルボン酸基であるか、またはC末端第一級アミドとしてアミド化され、
但し、X3およびX5のうちの少なくとも一つはLysである。
【0008】
略語
Aib:2-アミノイソ酪酸
DIPEA:N,N’-ジ-イソプロピルエチルアミン
HOBt:1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
DIPC:N,N’-ジ-イソプロピルカルボジイミド
THF:テトラヒドロフラン
DCM:ジクロロメタン
DMAP:4-ジメチルアミノピリジン
DIC:ジイソプロピルカルボジイミド
DMAc:ジメチルアセトアミド
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、2型糖尿病(T2D)、肥満を伴う糖尿病、肥満および高脂血症の治療に有用であり得る、安定的な長時間作用性GLP-1/GIPアゴニストポリペプチドを提供する。本発明のポリペプチドは、長時間作用性であると考えられており、これはそれを必要とする患者への頻繁な投与を必要としない場合がある。
【0010】
従って、一態様では、本発明は、以下のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩を提供する:
Y-X1-E-G-T-F-T-S-D-Y-S-I-X2-L-Xaa15-K-I-A-Xaa19-X3-Xaa21-F-V-Xaa24-W-L-X4-A-G-G-P-S-S-G-A-P-P-P-S-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11(配列番号1)
式中、X1はAib、Ser(OMe)、または(D)Ser(OMe)であり、
X2はTyr、Ser(OMe)、(D)Ser(OMe)、またはAibであり、
X3はGlnまたはLysであり、式中、X3がLysである場合、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化され、
{―U-W-Y-Z
式中、Uは-C(O)-CH2-O-(CH2)2-O-(CH2)2-NH-}であり、式中、}は基Wとの付着点であり、
Wは-C(O)-NH-(CH2)p-NH-]、-C(O)-C(CH3)2-NH-]、および-C(O)-CH2-O-(CH2)2-O-(CH2)2-NH-]からなる群から選択され、式中、pは3または4であり、式中、]は基Yとの付着点であり、
Yは-C(O)-(CH2)2-CH(COOH)NH--であり、および--は基Zとの付着点であり、
Zは-C(O)-(CH2)n-COOHまたは-C(O)-(CH2)n-CH3であり、式中、nは14~20の整数であり、
但し、XX3がLysであり、X2がAibである場合、Wは-C(O)-CH2-O-(CH2)2-O-(CH2)2-NH-]ではなく、
X4はLeu、IleまたはGluであり、
X5は存在しないか、ArgまたはLysであり、式中、X5がLysである場合、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化され、
{―U’-W’-Y’-Z’
式中、U’は-C(O)-CH2-O-(CH2)2-O-(CH2)2-NH-}であり、式中、}は基W’との付着点であり、
W’は-C(O)-NH-(CH2)q-NH-]、-C(O)-C(CH3)2-NH-]、および-C(O)-CH2-O-(CH2)2-O-(CH2)2-NH-]からなる群から選択され、式中、pは3または4であり、式中、〕は基Y’との付着点であり、
Y’は-C(O)-(CH2)2-CH(COOH)NH--であり、および--は基Z’との付着点であり、
Z’は-C(O)-(CH2)m-COOHまたは-C(O)-(CH2)m-CH3であり、式中、mは14~20の整数であり、
X6は存在しないか、またはLysであり、
X7は存在しないか、またはLysであり、
X8は存在しないか、またはLysであり、
X9は存在しないか、またはLysであり、
X10は存在しないか、またはLysであり、
X11は存在しないか、またはLysであり、
Xaa15は、AspまたはGluであり、
Xaa19は、GlnまたはAlaであり、
Xaa21は、AlaまたはGluであり、
Xaa24は、GlnまたはAsnであり、
式中、C末端アミノ酸の酸基は、遊離カルボン酸基であるか、またはC末端第一級アミドとしてアミド化され、
但し、X3およびX5のうちの少なくとも一つはLysである。
【0011】
本発明の一実施形態では、X1はAibである。
【0012】
本発明の別の実施形態では、X2はAibである。
【0013】
本発明の別の実施形態では、X1およびX2の両方がAibである。
【0014】
本発明の別の実施形態では、X1はAibであり、X2はSer(OMe)または(D)Ser(OMe)である。
【0015】
本発明の別の実施形態では、X1はSer(OMe)または(D)Ser(OMe)であり、X2はAibである。
【0016】
本発明の別の実施形態では、X4はLeuまたはIleである。
【0017】
本発明の別の実施形態では、X4はIleである。
【0018】
本発明の別の実施形態では、X5はLysまたはArgである。
【0019】
本発明の別の実施形態では、X3はLysであり、X5は存在しないまたはArgである。
【0020】
本発明の別の実施形態では、X3はGlnであり、X5はLysである。
【0021】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-C(CH3)2-NH-]である。
【0022】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-NH-(CH2)p-NH-]であり、式中、pは3または4である。
【0023】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-NH-(CH2)4-NH-]である。
【0024】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-CH2-O-(CH2)2-O-(CH2)2-NH-]である。
【0025】
本発明の別の実施形態では、W’は-C(O)-C(CH3)2-NH-]である。
【0026】
本発明の別の実施形態では、W’は-C(O)-NH-(CH2)q-NH-]であり、式中、pは3または4である。
【0027】
本発明の別の実施形態では、W’は-C(O)-NH-(CH2)4-NH-]である。
【0028】
本発明の別の実施形態では、W’は-C(O)-CH2-O-(CH2)2-O-(CH2)2-NH-]である。
【0029】
本発明の別の実施形態では、C末端アミノ酸は、C末端第一級アミドとしてアミド化される。
【0030】
本発明の別の実施形態では、C末端アミノ酸の酸基は遊離カルボン酸である。
【0031】
本発明の別の実施形態では、nは16、17、18、19または20である。好ましい実施形態では、nは18または20である。さらに別の好ましい実施形態では、nは20である。別の好ましい実施形態では、nは16または18である。さらに好ましい実施形態では、nは18である。
【0032】
本発明の別の実施形態では、Zは-C(O)-(CH2)n-COOHであり、およびnは16または18である。
【0033】
本発明の別の実施形態では、mは16、17、18、19または20である。好ましい実施形態では、mは18または20である。さらに好ましい別の実施形態では、mは20である。別の好ましい実施形態では、mは16または18である。さらに好ましい実施形態では、mは18である。
【0034】
本発明の別の実施形態では、Z’は-C(O)-(CH2)m-COOHであり、およびmは16または18である。
【0035】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-NH-(CH2)4-NH-]であり、Zは-C(O)-(CH2)n-COOHであり、およびnは18である。
【0036】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-C(CH3)2-NH-]であり、Zは-C(O)-(CH2)n-COOHであり、およびnは16である。
【0037】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-C(CH3)2-NH-]であり、Zは-C(O)-(CH2)n-COOHであり、およびnは18である。
【0038】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-CH2-O-(CH2)2-O-(CH2)2-NH-]であり、Zは-C(O)-(CH2)n-COOHであり、およびnは16である。
【0039】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-CH2-O-(CH2)2-O-(CH2)2-NH-]であり、Zは-C(O)-(CH2)n-COOHであり、およびnは18である。
【0040】
本発明の別の実施形態では、W’は-C(O)-NH-(CH2)4-NH-]であり、Z’は-C(O)-(CH2)m-COOHであり、およびmは18である。
【0041】
本発明の別の実施形態では、W’は-C(O)-C(CH3)2-NH-]であり、Z’は-C(O)-(CH2)m-COOHであり、およびmは16である。
【0042】
本発明の別の実施形態では、W’は-C(O)-C(CH3)2-NH-]であり、Z’は-C(O)-(CH2)m-COOHであり、およびmは18である。
【0043】
本発明の別の実施形態では、W’は-C(O)-CH2-O-(CH2)2-O-(CH2)2-NH-]であり、Z’は-C(O)-(CH2)m-COOHであり、およびmは16である。
【0044】
本発明の別の実施形態では、W’は-C(O)-CH2-O-(CH2)2-O-(CH2)2-NH-]であり、Z’は-C(O)-(CH2)m-COOHであり、およびmは18である。
【0045】
本発明の別の実施形態では、X5、X6、X7、X8、X9、X10およびX11はすべて存在しない。
【0046】
本発明の別の実施形態では、Xaa15はAspである。
【0047】
本発明の別の実施形態では、Xaa19はGlnである。
【0048】
本発明の別の実施形態では、Xaa21はAlaである。
【0049】
本発明の別の実施形態では、Xaa24はGlnである。
【0050】
本発明の別の実施形態では、X1はAibであり、およびX2はSer(OMe)またはTyrである。
【0051】
本発明の別の実施形態では、X1はAibであり、およびX2はSer(OMe)である。
【0052】
本発明の別の実施形態では、X1はAibであり、およびX2はTyrである。
【0053】
本発明の別の実施形態では、X3はGlnである。
【0054】
本発明の別の実施形態では、X4はLeuである。
【0055】
本発明の別の実施形態では、X5はLysであり、式中、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化される。
{―U’-W’-Y’-Z’
【0056】
本発明の別の実施形態では、W’は-C(O)-C(CH3)2-NH-]であり、Z’は-C(O)(CH2)m-COOHであり、mは18である。
【0057】
本発明の別の実施形態では、Xaa15はGluである。
【0058】
本発明の別の実施形態では、Xaa19はAlaである。
【0059】
本発明の別の実施形態では、Xaa21はGluである。
【0060】
本発明の別の実施形態では、Xaa24はAsnである。
【0061】
本発明の別の実施形態では、X6、X7、X8、X9、X10およびX11はすべて存在しない。
【0062】
別の態様では、本発明は、以下のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩を提供し、
Y-Aib-E-G-T-F-T-S-D-Y-S-I-Ser(OMe)-L-D-K-I-A-Q-X3-A-F-V-Q-W-L-X4-A-G-G-P-S-S-G-A-P-P-P-S-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11(配列番号2)、
式中
X3はLysであり、式中、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化され、
{―U-W-Y-Z
式中、Uは-C(O)-CH2-O-(CH2)2-O-(CH2)2-NH-}であり、式中、}は基Wとの付着点であり、
Wは-C(O)-NH-(CH2)p-NH-]、-C(O)-C(CH3)2-NH-]、および-C(O)-CH2-O-(CH2)2-O-(CH2)2-NH-]からなる群から選択され、式中、pは3または4であり、式中、]は基Yとの付着点であり、
Yは-C(O)-(CH2)2-CH(COOH)NH--であり、および--は基Zとの付着点であり、
Zは-C(O)-(CH2)n-COOHまたは-C(O)-(CH2)n-CH3であり、式中、nは14~20の整数であり、
X4は、IleまたはGluであり、
X5は存在しないか、またはArgであり、
X6は存在しないか、またはLysであり、
X7は存在しないか、またはLysであり、
X8は存在しないか、またはLysであり、
X9は存在しないか、またはLysであり、
X10は存在しないか、またはLysであり、
X11は存在しないか、またはLysであり、
式中、C末端アミノ酸の酸基は、遊離カルボン酸基であるか、またはC末端第一級アミドとしてアミド化される。
【0063】
本発明の一実施形態では、X4はIleである。
【0064】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-C(CH3)2-NH-]である。
【0065】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-NH-(CH2)p-NH-]であり、式中、pは3または4である。
【0066】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-NH-(CH2)4-NH-]である。
【0067】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-CH2-O-(CH2)2-O-(CH2)2-NH-]である。
【0068】
本発明の別の実施形態では、C末端アミノ酸は、C末端第一級アミドとしてアミド化される。
【0069】
本発明の別の実施形態では、nは16、17、18、19または20である。好ましい実施形態では、nは18または20である。さらに別の好ましい実施形態では、nは20である。別の好ましい実施形態では、nは16または18である。さらに好ましい実施形態では、nは18である。
【0070】
本発明の別の実施形態では、Zは-C(O)-(CH2)n-COOHであり、およびnは16または18である。
【0071】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-C(CH3)2-NH-]であり、Zは-C(O)-(CH2)n-COOHであり、およびnは16である。
【0072】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-C(CH3)2-NH-]であり、Zは-C(O)-(CH2)n-COOHであり、およびnは18である。
【0073】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-CH2-O-(CH2)2-O-(CH2)2-NH-]であり、Zは-C(O)-(CH2)n-COOHであり、およびnは16である。
【0074】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-CH2-O-(CH2)2-O-(CH2)2-NH-]であり、Zは-C(O)-(CH2)n-COOHであり、およびnは18である。
【0075】
本発明の別の実施形態では、X5、X6、X7、X8、X9、X10およびX11はすべて存在しない。
【0076】
別の態様では、本発明は、以下のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩を提供し、
Y-X1-E-G-T-F-T-S-D-Y-S-I-X2-L-D-K-I-A-Q-X3-A-F-V-Q-W-L-X4-A-G-G-P-S-S-G-A-P-P-P-S (配列番号3)
式中、X1はAibであり、X2はSer(OMe)またはAibであり、X4はIleまたはGluであり、
X3はLysであり、式中、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化され、
{―U-W-Y-Z
式中、Uは-C(O)-CH2-O-(CH2)2-O-(CH2)2-NH-}であり、式中、}は基Wとの付着点であり、
Wは-C(O)-NH-(CH2)p-NH-]、-C(O)-C(CH3)2-NH-]、および-C(O)-CH2-O-(CH2)2-O-(CH2)2-NH-]からなる群から選択され、式中、pは3または4であり、式中、〕は基Yとの付着点であり、
Yは-C(O)-(CH2)2-CH(COOH)NH--であり、および--は基Zとの付着点であり、
Zは-C(O)-(CH2)n-COOHまたは-C(O)-(CH2)n-CH3であり、式中、nは14~20の整数であり、
および、式中、C末端アミノ酸の酸基は、遊離カルボン酸基であるか、またはC末端第一級アミドとしてアミド化され、
但し、X2がAibである場合、Wは-C(O)-CH2-O-(CH2)2-O-(CH2)2-NH-]ではない。
【0077】
本発明の一実施形態では、X2はAibであり、およびX4はIleである。
【0078】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-C(CH3)2-NH-]である。
【0079】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-NH-(CH2)p-NH-]であり、式中、pは3または4である。
【0080】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-NH-(CH2)4-NH-]である。
【0081】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-CH2-O-(CH2)2-O-(CH2)2-NH-]である。
【0082】
本発明の別の実施形態では、C末端アミノ酸は、C末端第一級アミドとしてアミド化される。
【0083】
本発明の別の実施形態では、nは16、17、18、19または20である。好ましい実施形態では、nは18または20である。さらに別の好ましい実施形態では、nは20である。別の好ましい実施形態では、nは16または18である。さらに好ましい実施形態では、nは18である。
【0084】
本発明の別の実施形態では、Zは-C(O)-(CH2)n-COOHであり、およびnは16または18である。
【0085】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-NH-(CH2)4-NH-]であり、Zは-C(O)-(CH2)n-COOHであり、およびnは18である。
【0086】
別の実施形態では、Wは-C(O)-C(CH3)2-NH-]であり、Zは-C(O)-(CH2)n-COOHであり、およびnは16である。
【0087】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-C(CH3)2-NH-]であり、Zは-C(O)-(CH2)n-COOHであり、およびnは18である。
【0088】
本発明の別の実施形態では、X2はSer(OMe)であり、およびX4はIleである。
【0089】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-C(CH3)2-NH-]であり、Zは-C(O)-(CH2)n-COOHであり、およびnは16である。
【0090】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-CH2-O-(CH2)2-O-(CH2)2-NH-]であり、Zは-C(O)-(CH2)n-COOHであり、およびnは16である。
【0091】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-CH2-O-(CH2)2-O-(CH2)2-NH-]であり、Zは-C(O)-(CH2)n-COOHであり、およびnは18である。
【0092】
別の態様では、本発明は、以下のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩を提供し、
Y-Aib-E-G-T-F-T-S-D-Y-S-I-Aib-L-D-K-I-A-Q-X3-A-F-V-Q-W-L-Ile-A-G-G-P-S-S-G-A-P-P-P-S(配列番号4)
式中、X3はLysであり、式中、Lysの側鎖アミノ(εアミノ)基は以下の部分でアシル化され、
{―U-W-Y-Z
式中、Uは-C(O)-CH2-O-(CH2)2-O-(CH2)2-NH-}であり、式中、}は基Wとの付着点であり、
Wは-C(O)-NH-(CH2)p-NH-]または-C(O)-C(CH3)2-NH-]からなる群から選択され、式中、pは3または4であり、式中、]は基Yとの付着点であり、
Yは-C(O)-(CH2)2-CH(COOH)NH--であり、および--は基Zとの付着点であり、
Zは-C(O)-(CH2)n-COOHまたは-C(O)-(CH2)n-CH3であり、式中、nは14~20の整数であり、
式中、C末端アミノ酸の酸基は、遊離カルボン酸基であるか、またはC末端第一級アミドとしてアミド化される。
【0093】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-C(CH3)2-NH-]である。
【0094】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-NH-(CH2)p-NH-]であり、式中、pは3または4である。
【0095】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-NH-(CH2)4-NH-]である。
【0096】
本発明の別の実施形態では、C末端アミノ酸は、C末端第一級アミドとしてアミド化される。
【0097】
本発明の別の実施形態では、nは16、17、18、19または20である。好ましい実施形態では、nは18または20である。さらに別の好ましい実施形態では、nは20である。別の好ましい実施形態では、nは16または18である。さらに好ましい実施形態では、nは18である。
【0098】
本発明の別の実施形態では、Zは-C(O)-(CH2)n-COOHであり、およびnは16または18である。
【0099】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-NH-(CH2)4-NH-]であり、Zは-C(O)-(CH2)n-COOHであり、およびnは18である。
【0100】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-C(CH3)2-NH-]であり、Zは-C(O)-(CH2)n-COOHであり、およびnは16である。
【0101】
本発明の別の実施形態では、Wは-C(O)-C(CH3)2-NH-]であり、Zは-C(O)-(CH2)n-COOHであり、およびnは18である。
【0102】
別の態様では、本発明は、以下から選択されたアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩を提供する:
i)Tyr Aib Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile Aib Leu Asp Lys Ile Ala Gln X3 Ala Phe Val Gln Trp Leu Ile Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser、
ii)Tyr Aib Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile D-Ser-(OMe) Leu Asp Lys Ile Ala Gln X3 Ala Phe Val Gln Trp Leu Ile Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser、
iii)Tyr Aib Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile Ser(OMe) Leu Asp Lys Ile Ala Gln X3 Ala Phe Val Gln Trp Leu Ile Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser、
iv)Tyr Aib Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile Aib Leu Asp Lys Ile Ala Gln X3 Ala Phe Val Gln Trp Leu Ile Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser Arg、
v)Tyr Aib Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile Tyr Leu Glu Lys Ile Ala Ala Tyr Glu Phe Val Asn Trp Leu Leu Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser X5、
vi)Tyr Aib Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile Ser(OMe) Leu Glu Lys Ile Ala Ala Gln Glu Phe Val Asn Trp Leu Leu Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser X5、
vii)Tyr D-Ser(OMe) Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile Aib Leu Asp Lys Ile Ala Gln X3 Ala Phe Val Gln Trp Leu Ile Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser、および
vii)Tyr Ser(OMe) Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile Aib Leu Asp Lys Ile Ala Gln X3 Ala Phe Val Gln Trp Leu Ile Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser
式中、X3およびX5は、上記と同じ意味を有し、
式中、C末端アミノ酸の酸基は、遊離カルボン酸基であるか、またはC末端第一級アミドとしてアミド化される。
【0103】
別の態様では、本発明は、以下からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩を提供する:
i)Tyr Aib Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile Aib Leu Asp Lys Ile Ala Gln Lys Ala Phe Val Gln Trp Leu Ile Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser-NH2 (配列番号5)、
ii)Tyr Aib Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile D-Ser-(OMe) Leu Asp Lys Ile Ala Gln Lys Ala Phe Val Gln Trp Leu Ile Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser-NH2(配列番号9)、
iii)Tyr Aib Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile Ser(OMe) Leu Asp Lys Ile Ala Gln Lys Ala Phe Val Gln Trp Leu Ile Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser-NH2(配列番号10)、
iv)Tyr Aib Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile Aib Leu Asp Lys Ile Ala Gln Lys Ala Phe Val Gln Trp Leu Ile Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser Arg(配列番号11)、
v)Tyr Aib Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile Tyr Leu Glu Lys Ile Ala Ala Gln Glu Phe Val Asn Trp Leu Leu Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser Lys-NH2(配列番号12)、
vi)Tyr Aib Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile Ser(OMe) Leu Glu Lys Ile Ala Ala Gln Glu Phe Val Asn Trp Leu Leu Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser Lys-NH2(配列番号13)、
vii)Tyr D-Ser(OMe) Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile Aib Leu Asp Lys Ile Ala Gln Lys Ala Phe Val Gln Trp Leu Ile Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser-NH2(配列番号6)、および
viii)Tyr Ser(OMe) Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Ile Aib Leu Asp Lys Ile Ala Gln Lys Ala Phe Val Gln Trp Leu Ile Ala Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser-NH2(配列番号7)。
【0104】
別の態様では、本発明は、表1に開示された代表的化合物から選択されるポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0105】
本発明の実施形態では、以下の部分
{―U-W-Y-Z
中の基U、W、YおよびZ、または以下部分
{―U’-W’-Y’-Z’
中の基U’、W’、Y’、およびZ’は、本明細書に定義される意味を有し、アミノ酸の単一文字コードであると解釈されたり、または混合されるべきではなく、
式中、基-U-W-Y-Zおよび/または-U’-W’-Y’-Z’は、表2に開示される部分A、B、C、DおよびEの代表的な構造から選択される。
本明細書に記載のSer(OMe)は、そのヒドロキシル基がメチル化され、以下の構造を有する、アミノ酸セリン、好ましくはL異性体である。
【化2】
【0106】
該当する場合は常に、(D)Ser(OMe)は、Ser(OMe)のD異性体を指す。
【0107】
本明細書に記載のTyr-(OEt)は、ヒドロキシル基がエチル化され、以下の構造を有する(*は隣接する残基への付着点を示す)、アミノ酸チロシン、好ましくはL異性体である。
【化3】
【0108】
該当する場合は常に、(D)Tyr(OEt)は、Tyr(OEt)のD異性体を指す。
【0109】
本明細書で言及のポリペプチド配列は、IUPACにより承認されたアミノ酸の単一文字コードまたは三文字コードによって表される。
【0110】
特に明記しない限り、本明細書は、配列中のアミノ酸のLおよびD異性体の両方を網羅することを意図する。しかしながら、好ましい実施形態では、別段の示唆がない限り、すべてのアミノ酸は「L」型である。
【0111】
本発明による「医薬的に許容可能な塩」は、有機または無機酸のいずれかで形成された酸付加塩を含む。本発明の化合物の適切な薬学的に許容可能な塩は、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸などの無機酸の塩、または例えば酢酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、安息香酸、クエン酸、乳酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルタミン酸もしくはアスパラギン酸などのアミノ酸などの有機酸の塩であり得る酸付加塩を含む。本発明の薬学的に許容可能な酸付加塩は、例えば、一塩酸塩、二塩酸塩などの一つ以上の酸の等価物の添加で形成された塩を含む。塩は、当業者の知識の範囲内で任意のプロセスによって調製することができる(Berge et al.,J.Pharm.Sci.1977,66,1-19;and Handbook of Pharmaceutical Salts,Properties,and Use;Stahl and Wermuth,Ed.;Wiley-VCH and VHCA:Zurich,Switzerland,2002、参照)。
【0112】
表1は、本発明の代表的な化合物の一部を提供する。
【表1】
【表2】
【0113】
別の態様では、本発明は、それを必要とする患者に、本発明のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩の有効量を投与することを含む、患者の高血糖症、2型糖尿病、耐糖能障害、1型糖尿病、肥満、高血圧、高脂血症、X症候群、脂質異常症、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠動脈心疾患、脳卒中、炎症性腸症候群、消化不良、アルコール依存症および胃潰瘍を治療または予防する方法を提供する。
【0114】
別の態様では、発明は、かかる治療を必要とする患者に、本発明のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩の有効量を投与することを含む、患者の2型糖尿病の治療方法を提供する。
【0115】
別の態様では、発明は、かかる治療を必要とする患者に、本発明のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩の有効量を投与することを含む、患者の肥満の治療方法を提供する。
【0116】
別の態様では、発明は、かかる治療を必要とする患者に、本発明のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩の有効量を投与することを含む、患者の高脂血症の治療方法を提供する。
【0117】
本明細書で使用される場合、用語「有効量または有効な量」は、所与の疾患または状態の臨床症状、およびかかる治療の非存在下で予期されるものを超えるその合併症を治癒、緩和、軽減、または部分的に対処する際に、対象に単回または複数回の投与で、十分であるポリペプチドの量を指す。従って、結果は、疾患の徴候、症状、もしくは原因の軽減および/または緩和、または生物学的システムの任意の他の望ましい変化であり得る。「治療有効量」は、年齢、体重、対象の全身状態、治療される状態、治療される状態の重症度、および処方する医師の判断に応じて、対象によって変化し得ることが理解される。
【0118】
一態様では、本発明は、一つ以上の薬学的に許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤を含む、本発明のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物を提供する。
【0119】
本発明のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩は、非経口経路(例えば、皮下、静脈内、腹腔内、筋肉内、または経皮)によって投与される医薬組成物として製剤化されることが好ましい。かかる医薬組成物およびそれを調製するためのプロセスは、当技術分野で周知である。(例えば、Remington:The Science and 50 Practice of Pharmacy(D.B.Troy,Editor,21st Edition,Lippincott,Williams & Wilkins,2006を参照)。
【0120】
別の態様では、本発明は、患者の疾患の治療または予防に使用のための本発明のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩、または本発明のポリペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物を提供し、前記疾患は、高血糖症、2型糖尿病、耐糖能障害、1型糖尿病、肥満、高血圧、高脂血症、X症候群、脂質異常症、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠動脈心疾患、脳卒中、炎症性腸症候群、消化不良、アルコール依存症および胃潰瘍からなる群から選択される。
【0121】
一部の実施形態では、ポリペプチドあるいはその薬学的に許容可能な塩、または医薬組成物は、一つ以上の追加の治療薬の有効量と組み合わせて、同時、別々に、または連続的に提供される。
【0122】
本発明は、一つ以上の実施形態を伴い得る。以下の実施形態は、本発明の例証であり、請求項を例証された特定の実施形態に限定することを意図するものではないことが理解されるべきである。また、本明細書に定義される実施形態は、独立して、または本明細書に定義される任意の定義、任意の他の実施形態と併せて使用され得ることも理解されるべきである。従って、本発明は、様々な独立して記載される実施形態の全ての可能な組み合わせおよび順列を企図する。
【実施例】
【0123】
機器および分析方法:本発明の化合物の特徴付けおよび分析に使用された機器は、HPLC(Waters e2695 Alliance;Detector Waters (2489 UV/Visible))である。
【0124】
機器:HPLC:Waters e2695 Alliance;検出器:Acquity-QDa
【0125】
本開示の最終化合物を、以下に概説するとおり、分取HPLC手順によって精製した。
【0126】
分取HPLC:WATERS 2555 Quaternary gradient module(最大総流量:300mL/分、最大圧力:3000psi)またはShimadzu LC-8A(最大総流量:150mL、最大圧力:30Mpa)、カラム:フェニル、10μ流量:75mL/分
【表3】
【0127】
本開示の化合物の純度を、以下に概説するとおり、RP-HPLC法によって分析した。
【0128】
HPLC方法B1:
カラム:YMC Pack-フェニル(4.6mm×150mm、3μ)
溶離液:移動相A:水中の0.1%のトリフルオロ酢酸
移動相B:アセトニトリル中の0.1%のトリフルオロ酢酸
流量:1.5mL/分
検出:210nmでのUV検出
カラム温度:50℃
実行時間:50分
【表4】
【0129】
HPLC方法B2:
カラム:Xbridge ペプチド BEH C18(4.6mm×250mm、3.5u)
溶離液:移動相A:緩衝液:アセトニトリル(900:100)
移動相B:緩衝液:アセトニトリル(300:700)
緩衝液:オルトリン酸でpHを3.0±0.1に調節した、水中のオルトリン酸二水素カリウム
流量:1.0mL/分
検出:210nmでのUV検出
カラム温度:65℃
試料トレー温度:5℃
実行時間:40分
【表5】
【0130】
方法B3:
カラム:Xbridge ペプチド BEH C18(4.6mm×250mm、3.5u)
溶離液:移動相A:緩衝液:アセトニトリル(900:100)
移動相B:緩衝液:アセトニトリル(300:700)
緩衝液:オルトリン酸でpHを3.0±0.1に調節した、水中のオルトリン酸二水素カリウム
流量:1.0mL/分
検出:210nmでのUV検出
カラム温度:65℃
試料トレー温度:5℃
実行時間:65分
【表6】
【0131】
方法B4:
カラム:Xbridge ペプチド BEH C18(4.6mm×250mm、3.5u)
溶離液:移動相A:緩衝液:アセトニトリル(900:100)
移動相B:緩衝液:アセトニトリル(300:700)
緩衝液:オルトリン酸でpHを3.0±0.1に調節した、水中のオルトリン酸二水素カリウム
流量:0.8mL/分
検出:210nmでのUV検出
カラム温度:65℃
試料トレー温度:5℃
実行時間:90分
【表7】
【0132】
方法B5:
カラム:Xbridge ペプチド BEH C18(4.6mm×250mm、3.5u)
溶離液:移動相A:緩衝液:アセトニトリル(900:100)
移動相B:緩衝液:アセトニトリル(300:700)
緩衝液:オルトリン酸でpHを3.0±0.1に調節した、水中のオルトリン酸二水素カリウム
流量:1.0mL/分
検出:210nmでのUV検出
カラム温度:65℃
試料トレー温度:10℃
実行時間:60分
【表8】
【0133】
調製方法:
実施例1 2-[2-[2-[[2-[[(4S)-5-tert-ブトキシ-4-[(18-tert-ブトキシ-18-オキソ-オクタデカノイル)アミノ]-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]-2-メチル-プロパノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸(部分A-ジ-tert-ブチルエステル)の調製
【化4】
部分A-ジ-tert-ブチルエステルを、2-クロロトリチルクロリド樹脂を使用した固相合成を使用して調製した。2-[2-(2-Fmoc-アミノエトキシ)エトキシ]酢酸を、DIPEAの存在下で2-クロロトリチルクロリド樹脂に付着させて、2-[2-(2-Fmoc-アミノエトキシ)エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。Fmoc保護基を、ピぺリジンを使用したアミノ基の選択的デブロッキングによって除去し、続いてDIPCおよびHOBtを使用して、THF:DMAc/THF中のFmoc-Aib-OHと結合させて、2-[2-[2-[(2-Fmoc-アミノ-2-メチル-プロパノイル)アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。Fmoc基を、ピぺリジンを使用した選択的デブロッキングによって除去し、遊離アミノ基を、HOBtおよびDIPCを使用してFmoc-Glu-OtBuと結合させて、2-[2-[2-[[2-[[(4S)-4-Fmoc-アミノ-5-tert-ブトキシ-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]-2-メチル-プロパノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。得られた化合物のFmoc基を、ピぺリジンを使用して選択的にデブロックし、次いで、遊離アミノ基を、オクタデカン二酸モノtertブチルエステルと結合させて、2-[2-[2-[[2-[[(4S)-5-tert-ブトキシ-4-[(18-tert-ブトキシ-18-オキソ-オクタデカノイル)アミノ]-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]-2-メチル-プロパノイル]-アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。次いで、トリフルオロエタノール:DCM(1:1)を使用して、中間体を2-Cl-Trt-樹脂から切断して、表題化合物(部分A-ジ-tert-ブチルエステル)を得た。(LCMS= m/z:786.39 (M+H
+))。
【0134】
実施例2 2-[2-[2-[[2-[[(4S)-5-tert-ブトキシ-4-[(20-tert-ブトキシ-20-オキソ-イコサノイル)アミノ]-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]-2-メチル-プロパノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸(部分B-ジ-tert-ブチルエステル)の調製
【化5】
2-[2-[2-[[2-[[(4S)-4-Fmoc-アミノ-5-tert-ブトキシ-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]-2-メチル-プロパノイル〕アミノ〕エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を実施例1に記述のとおり調製して、ピぺリジンを使用した選択的脱保護の対象とし、次いで、遊離アミノ基を20-(tert-ブトキシ)-20-オキソイコサノイック酸と結合させて、2-[2-[2-[[2-[[(4S)-5-tert-ブトキシ-4-[(20-tert-ブトキシ-20-オキソ-イコサノイル)アミノ]-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]-2-メチル-プロパノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。次いで、トリフルオロエタノール:DCM(1:1)を使用して、中間体を2-Cl-Trt-樹脂から切断して、タイル化合物(部分B-ジ-tert-ブチルエステル)を得た。(LCMS=m/z:814.10(M+H
+))。
【0135】
実施例3:2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[5-tert-ブトキシ-4-[(18-tert-ブトキシ-18-オキソ-オクタデカノイル)アミノ]-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸(部分C-ジ-tert-ブチルエステル)の調製
【化6】
【0136】
部分C-ジ-tert-ブチルエステルを、2-クロロトリチルクロリド樹脂を使用した固相合成を使用して調製した。2-[2-(2-Fmoc-アミノエトキシ)エトキシ]酢酸を、DIPEAの存在下で2-クロロトリチルクロリド樹脂に付着させて、2-[2-(2-Fmoc-アミノエトキシ)エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。Fmoc保護基を、ピぺリジンを使用したアミノ基の選択的デブロッキングによって除去し、続いて、DIPCおよびHOBtを使用してTHF中の2-[2-(2-Fmoc-アミノエトキシ)エトキシ〕酢酸と結合させて、{(Fmoc-アミノ-エトキシ)-エトキシ}-アセチル-{(-アミノ-エトキシ)-エトキシ}-酢酸-2-Cl-Trt-Resinを得た。Fmoc基を、ピぺリジンを使用した選択的デブロッキングによって除去し、遊離アミノ基を、HOBtおよびDIPCを使用してFmoc-Glu-OtBuと結合させて、Fmoc-Glu({(アミノ-エトキシ)-エトキシ}-アセチル-{(-アミノ-エトキシ)-エトキシ}-酢酸-2-Cl-Trt-樹脂)-OtBuを得た。得られた化合物のFmoc基を、ピぺリジンを使用して選択的にデブロックし、次いで、遊離アミノ基を、オクタデカン二酸モノtertブチルエステルと結合させて、2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[5-tert-ブトキシ-4-[(18-tert-ブトキシ-18-オキソ-オクタデカノイル)アミノ]-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。次いで、トリフルオロエタノール:DCM(1:1)を使用して、中間体を2-Cl-Trt-樹脂から切断して、2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[5-tert-ブトキシ-4-[(18-tert-ブトキシ-18-オキソ-オクタデカノイル)アミノ]-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸(部分C-ジ-tert-ブチルエステル)(LCMS=m/z:846.10(M+H+))を得た。
【0137】
実施例4:2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[5-tert-ブトキシ-4-[(20-tert-ブトキシ-20-オキソ-イコサノイル)アミノ]-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸の調製
(部分D-ジ-tert-ブチルエステル)
【化7】
【0138】
部分D-ジ-tert-ブチルエステルを、以下に概略的に表されるように、2-クロロトリチルクロリド樹脂を使用した固相合成を使用して調製した。2-[2-(2-Fmoc-アミノエトキシ)エトキシ]酢酸を、DIPEAの存在下で2-クロロトリチルクロリド樹脂に付着させて、2-[2-(2-Fmoc-アミノエトキシ)エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。Fmoc保護基を、ピぺリジンを使用したアミノ基の選択的デブロッキングによって除去し、続いて、DIPCおよびHOBtを使用し、THF中の2-[2-(2-Fmoc-アミノエトキシ)エトキシ〕酢酸と結合させて、{(Fmoc-アミノ-エトキシ)-エトキシ}-アセチル-{(-アミノ-エトキシ)-エトキシ}-酢酸-2-Cl-Trt-Resinを得た。Fmoc基を、ピペリジンを使用した選択的デブロッキングによって除去し、遊離アミノ基を、HOBtおよびDIPCを使用してFmoc-Glu-OtBuと結合させて、Fmoc-Glu({(アミノ-エトキシ)-エトキシ}-アセチル-{(-アミノ-エトキシ)-エトキシ}-酢酸-2-Cl-Trt-樹脂)-OtBuを得た。得られた化合物のFmoc基を、ピぺリジンを使用して選択的にデブロックし、遊離アミノ基を、その後、20-(tert-ブトキシ)-20-オキソイコサノイック酸と結合させて、
[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[5-tert-ブトキシ-4-[(20-tert-ブトキシ-20-オキソ-イコサノイル)アミノ]-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸]-2-Cl-Trt-樹脂を得た。次いで、トリフルオロエタノール:DCM(1:1)を使用して、中間体を2-Cl-Trt-樹脂から切断して、
2-[2-[2-[[2-[2-[2-[5-tert-ブトキシ-4-[(20-tert-ブトキシ-20-オキソ-イコサノイル)アミノ]-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸(部分D-ジ-tert-ブチルエステル)(LCMS=m/z:874.15(M+H+))を得た。
【0139】
実施例5:2-[2-[2-[4-[[5-tert-ブトキシ-4-[(20-tert-ブトキシ-20-オキソ-イコサノイル)アミノ]-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]ブチルカルバモイルアミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸(部分E-ジ-tert-ブチルエステル)の調製
【化8】
【0140】
部分E-ジ-tert-ブチルエステルを、2-クロロトリチルクロリド樹脂を使用した固相合成を使用して調製した。2-[2-(2-Fmoc-アミノエトキシ)エトキシ酢酸を、N,N’-ジ-イソプロピルエチルアミン(DIPEA)の存在下で2-クロロトリチルクロリド樹脂に付着させて、2-[2-(2-Fmoc-アミノエトキシ)エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。Fmoc保護基を、ピぺリジンを使用したアミノ基の選択的デブロッキングによって除去し、続いて、遊離アミノ基を、THFおよびDIPEA中のp-ニトロフェニルクロロホルメートを使用して活性化し、その後DIPEA存在下で、THF:DMAc中のFmoc-アミノブチルアミン塩酸塩と反応させて、2-[2-[2-(4-Fmoc-アミノブチルカルバモイルアミノ)エトキシ]エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。Fmoc基を、ピぺリジンを使用した選択的デブロッキングによって除去し、次いで、遊離アミノ基を、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)およびN,N’-ジ-イソプロピルカルボジイミド(DIPC)を使用して、Fmoc-Glu-OtBuと結合させて、2-[2-[2-[4-[[(4S)-4-Fmoc-アミノ-5-tert-ブトキシ-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ〕ブチルカルバモイルアミノ〕エトキシ]エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得て、これを、ピペリジンを使用して選択的にデブロックし、次いで20-(tert-ブトキシ)-20-オキソイコサノイック酸と結合させて、中間体2-[2-[2-[4-[[5-tert-ブトキシ-4-[(20-tert-ブトキシ-20-オキソ-イコサノイル)アミノ]-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]ブチルカルバモイルアミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸-2-Cl-Trt-樹脂を得た。次いで、トリフルオロエタノール:DCM(1:1)を使用して、中間体を2-Cl-Trt-樹脂から切断して、2-[2-[2-[4-[[5-tert-ブトキシ-4-[(20-tert-ブトキシ-20-オキソ-イコサノイル)アミノ]-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]ブチルカルバモイルアミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸(LCMS=m/z:843.14(M+H+))を得た。(部分E-ジ-tert-ブチルエステル)。
【0141】
実施例6:化合物1の調製
親ペプチドを固相法により合成した。合成に使用した開始樹脂はFmoc-Rinkアミド樹脂であった。ピぺリジンを使用してrinkアミド樹脂のFmoc保護アミノ基を選択的にデブロッキングし、続いてFmoc-Ser(tBu)-OHをRinkアミド樹脂と結合させた。結合は、DIPC-HOBtを使用して、Fmoc-Ser(tBu)-Rinkアミド樹脂を得ることにより行われ、これにより一サイクルが完了する。無水酢酸およびDIPEA/ピリジンを使用して、各アミノ酸結合において未結合アミノ基を終結/キャップさせた。ピぺリジンを使用したFmoc-Ser(tBu)-Rinkアミド樹脂のアミノ基の選択的デブロッキング、その後のHOBtおよびDIPCを使用したFmoc-Pro-OHとの結合により、Fmoc-Pro-Ser(tBu)-rinkアミド樹脂を得た。これにより、第2のサイクルが完了する。無水酢酸およびDIPEA/ピリジンを使用して、各アミノ酸結合において未結合アミノ基を終結させた。
【0142】
上記の3つの工程、すなわち、樹脂に付着したアミノ酸のFmoc保護の選択的キャッピング、デブロッキング、およびFmoc保護アミノ基との配列中の隣のアミノ酸残基の結合を、残りの36個のアミノ酸残基に対して繰り返し、最後の結合はBoc保護アミノ酸と行った(すなわち、Boc-Tyr(tBu)-OH)。選択的デブロッキング、すなわち、未結合のアミノ基のキャッピングを無水酢酸およびDIPEA/ピリジンを使用して行い、Fmoc/Boc群の脱保護をピぺリジンを使用して行い、隣のFmocおよび/またはBoc保護アミノ酸との結合をHOBt/DIPCを使用して行った。Fmoc/Boc保護アミノ酸の側鎖は、直角に保護され、例えば、セリンのヒドロキシル基、チロシンまたはスレオニンは、tert-ブチル(-tBu)基で保護され、リジンのアミノ基は、それぞれtert-ブチルオキシカルボニル(-Boc)および(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘックス-1-イリデン)-3-メチルブチル(IVDde)基で保護され、アスパラギン酸またはグルタミン酸のカルボン酸基はtBu基で保護され、およびグルタミンのアミド基はトリチル(-Trt)基で保護された。上述の三つの工程、すなわち、選択的なキャッピング、デブロッキング、およびその後の隣のFmoc保護アミノ酸との結合を行い、Boc-Tyr(tBu)-OHも最後に使用して、Boc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-Aib-Leu-Asp(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Gln(Trt)-Lys(IVDde)-Ala-Phe-Val-Gln(Trt)-Trp-Leu-Ile-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-Rinkアミド樹脂を得た。
【0143】
ヒドラジン水和物を使用したペプチド樹脂のIVDde基の脱保護、続いて部分A-ジ-tertブチルエステルの結合を、DIPC-HOBtを使用して行い、保護された化合物1樹脂を得た。
【0144】
Boc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-Aib-Leu-Asp(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Gln(Trt)-Lys(NH-部分Aジ-tert-ブチルエステル)-Ala-Phe-Val-Gln(Trt)-Trp-Leu-Ile-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-Rinkアミド樹脂。エタン-1,2-ジチオールおよびトリ-イソプロピルシランを使用するトリ-フルオロ酢酸を使用した、切断および脱保護、続く分取HPLCによる精製は、化合物1をもたらした。化合物1のHPLC純度を、方法B2により評価した。質量(LCMS):m/z=1182.41(MH4
4+)、計算された質量=4725.61、HPLC純度:97.77%(方法B2)、RT=19.9分
【0145】
実施例7:化合物2の合成:
化合物2を、部分B-ジ-tert-ブチルエステルをペプチド樹脂と結合させることを除いて、実施例6に記載の類似プロセスに従って固相法により調製し、続いて切断、脱保護、およびHPLCを使用した分取精製により化合物2を得た。化合物2のHPLC純度を、方法B2により評価した。
【0146】
質量(LCMS):m/z=1189.36(MH4
4+)、計算された質量=4753.41;HPLC純度:94.50%(方法B2)、RT=22.1分
【0147】
実施例8:化合物3の合成:
親ペプチドを固相法により合成した。合成に使用した開始樹脂はFmoc-Rinkアミド樹脂であった。ピぺリジンを使用してrinkアミド樹脂のFmoc保護アミノ基を選択的にデブロッキングし、続いてFmoc-Ser(tBu)-OHをRinkアミド樹脂と結合させた。結合は、DIPC-HOBtを使用して、Fmoc-Ser(tBu)-Rinkアミド樹脂を得ることにより行われ、これにより一サイクルが完了する。無水酢酸およびジイソプロピルエチルアミン/ピリジンを使用して、各アミノ酸結合において未結合アミノ基を終結/キャップさせた。ピぺリジンを使用したFmoc-Ser(tBu)-Rinkアミド樹脂のアミノ基の選択的デブロッキング、その後のHOBtおよびDIPCを使用したFmoc-Pro-OHとの結合により、Fmoc-Pro-Ser(tBu)-rinkアミド樹脂を得た。これにより、第2のサイクルが完了する。無水酢酸およびジイソプロピルエチルアミン/ピリジンを使用して、各アミノ酸結合において未結合アミノ基を終結させた。
【0148】
上記の3つの工程、すなわち、樹脂に付着したアミノ酸のFmoc保護の選択的なキャッピング、デブロッキング、および配列中隣のアミノ酸残基のFmoc保護アミノ基との結合を、残りの37個のアミノ酸残基に対して繰り返した。選択的デブロッキング、すなわち、未結合のアミノ基のキャッピングを無水酢酸およびジイソプロピルエチルアミン/ピリジンを使用して行い、Fmoc群の脱保護をピぺリジンを使用して行い、隣のFmoc保護アミノ酸との結合をHOBt/DIPCを使用して行った。Fmoc保護アミノ酸の側鎖は、直角に保護され、例えば、セリンのヒドロキシル基は、tert-ブチル(-tBu)基およびメチル(OMe)基で保護され、チロシンまたはスレオニンは、tert-ブチル(-tBu)基で保護され、リジンのアミノ基は、それぞれ、tert-ブチルオキシカルボニル(-Boc)および(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘックス-1-イリデン)-3-メチルブチル(IVDde)基で保護され、アスパラギン酸またはグルタミン酸のカルボン酸基はtBu基で保護され、およびグルタミンのアミド基はトリチル(-Trt)基で保護された。上述の三つの工程、すなわち、選択的なキャッピング、デブロッキング、およびその後の隣のFmoc保護アミノ酸との結合を行い、Fmoc-Tyr(tBu)-(D)Ser(OMe)-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-Aib-Leu-Asp(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Gln(Trt)-Lys(IVDde)-Ala-Phe-Val-Gln(Trt)-Trp-Leu-Ile-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-Rinkアミド樹脂を得た。
【0149】
Fmoc-Tyr(tBu)-(D)Ser(OMe)-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-Aib-Leu-Asp(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Gln(Trt)-Lys(IVDde)-Ala-Phe-Val-Gln(Trt)-Trp-Leu-Ile-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-Rinkアミド樹脂のピぺリジンを使用したデブロッキングに続いて、Boc無水物を使用したペプチド樹脂のBoc保護により、Boc-Tyr(tBu)-(D)Ser(OMe)-Glu(otBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-Aib-Leu-Asp(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Gln(Trt)-Lys(IVDde)-Ala-Phe-Val-Gln(Trt)-Trp-Leu-Ile-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-Rinkアミド樹脂を得た。ヒドラジン水和物を使用したペプチド樹脂のIVDde基の脱保護に続いて、部分B-ジ-tertブチルエステルの結合を、ジイソプロピルカルボジイミド、N-ヒドロキシベンゾトリアゾール(DIPC-HOBt)をカップリング試薬として使用して行い、その存在下で、化合物3樹脂を得た。
【0150】
Boc-Tyr(tBu)-(D)Ser(OMe)-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-Aib-Leu-Asp(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Gln(Trt)-Lys(NH-部分 B-ジ-tert ブチルエステル)-Ala-Phe-Val-Gln(Trt)-Trp-Leu-Ile-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-Rinkアミド樹脂。エタン-1,2-ジチオールおよびトリイソプロピルシランを使用するトリフルオロ酢酸を使用した、切断および脱保護、続く分取HPLCによる精製は、化合物3をもたらした。化合物3のHPLC純度を、方法B2によって評価した。
【0151】
質量(LCMS):m/z=1193.70(MH4
4+)、計算された質量=4770.77、HPLC純度:91.96%(方法B2)、RT=29.0分
【0152】
実施例9:化合物4の合成:
化合物4を、実施例8に記載の類似プロセスに従って固相法によって調製したが、化合物4ではFmoc-Ser(OMe)-OHを、Fmoc-D-Ser(OMe)-OHの代わりに位置2で使用して、Boc-Tyr(tBu)-Ser(OMe)-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-Aib-Leu-Asp(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Gln(Trt)-Lys(IVDde)-Ala-Phe-Val-Gln(Trt)-Trp-Leu-Ile-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-Rinkアミド樹脂を得た。次に、部分B-ジ-tertブチルエステルと結合させて、続いて切断、脱保護、およびHPLCを使用した分取精製により、化合物4を得た。化合物4のHPLC純度を、方法B2により評価した。
【0153】
質量(LCMS):m/z=1193.68(MH44+)、計算された質量=4770.69、HPLC純度:95.52%(方法B2)、RT=26.2分
【0154】
実施例10:化合物5の合成:
化合物5を、実施例8に記載の類似プロセスに従って固相法によって調製したが、化合物5ではFmoc-(D)-Tyr(OEt)-OHを、Fmoc-Tyr(tBu)-OHの代わりに位置1で使用して、Fmoc-Aib-OHを、Fmoc-D-Ser(OMe)-OHの代わりに位置第2で使用して、Boc-(D)-Tyr(OEt)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-Aib-Leu-Asp(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Gln(Trt)-Lys(IVDde)-Ala-Phe-Val-Gln(Trt)-Trp-Leu-Ile-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-Rinkアミド樹脂を得た。
【0155】
次に、部分B-ジ-tertブチルエステルと結合させて、続いて切断、脱保護、およびHPLCを使用した分取精製により、化合物5を得た。化合物5のHPLC純度を、方法B3により評価した。
【0156】
質量(LCMS):m/z=1196.34(MH4
4+)、計算された質量=4781.33、HPLC純度:93.86%(方法B3)、RT=38.8分
【0157】
実施例11:化合物6の合成:
化合物6を、実施例8に記載の類似プロセスに従って固相法によって調製したが、化合物6ではFmoc-(D)Ser(OMe)-OHを、Fmoc-Aib-OHの代わりに位置13で使用して、Fmoc-Aib-OHを、Fmoc-D-Ser(OMe)-OHの代わりに位置第2で使用して、Boc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-(D)Ser(OMe)-Leu-Asp(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Gln(Trt)-Lys(IVDde)-Ala-Phe-Val-Gln(Trt)-Trp-Leu-Ile-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-Rinkアミド樹脂を得た。
【0158】
次に、部分B-ジ-tertブチルエステルと結合させて、続いて切断、脱保護、およびHPLCを使用した分取精製により、化合物6を得た。化合物6のHPLC純度を、方法B2により評価した。
【0159】
質量(LCMS):m/z=1191.03(MH44-)、計算された質量:4768.15;HPLC純度:94.74%(方法B2)、RT=27.1分
【0160】
実施例12:化合物7の合成:
化合物7を、実施例8に記載の類似プロセスに従って固相法によって調製したが、化合物7ではFmoc-Ser(OMe)-OHを、Fmoc-Aib-OHの代わりに位置13で使用して、Fmoc-Aib-OHを、Fmoc-D-Ser(OMe)-OHの代わりに位置第2で使用して、Boc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-Ser(OMe)-Leu-Asp(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Gln(Trt)-Lys(IVDde)-Ala-Phe-Val-Gln(Trt)-Trp-Leu-Ile-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-Rinkアミド樹脂を得た。
【0161】
次に、部分B-ジ-tertブチルエステルと結合させて、続いて切断、脱保護、およびHPLCを使用した分取精製により、化合物7を得た。化合物7のHPLC純度を、方法B2により評価した。
【0162】
質量(LCMS):m/z=1193.67(MH4
4+)、計算された質量=4770.65、HPLC純度:95.4%(方法B2)、RT=26.4分
【0163】
実施例13:化合物8:
化合物8を、実施例8に記載の類似プロセスに従って固相法によって調製したが、化合物8ではFmoc-Aib-OHを、Fmoc-D-Ser(OMe)-OHの代わりに位置第2で使用して、Boc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-Aib-Leu-Asp(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Gln(Trt)-Lys(IVDde)-Ala-Phe-Val-Gln(Trt)-Trp-Leu-Ile-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-Rinkアミド樹脂を得た。
【0164】
次に、部分E-ジ-tertブチルエステルと結合させて、続いて切断、脱保護、およびHPLCを使用した化合物生成をもたらすHPLCを使用して分取精製により、化合物8を得た。化合物8のHPLC純度を、方法B4により評価した。
【0165】
質量(LCMS):m/z=1196.55(MH4
4+)、計算された質量=4782.168、HPLC純度:97.37%(方法B4)、RT=25.6分
【0166】
実施例14:化合物9の合成:
化合物9を、実施例8に記載の類似プロセスに従って固相法によって調製したが、化合物9ではFmoc-Ser(OMe)-OHを、Fmoc-Aib-OHの代わりに位置13で使用して、Fmoc-Aib-OHを、Fmoc-D-Ser(OMe)-OHの代わりに位置第2で使用して、Boc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-Ser(OMe)-Leu-Asp(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Gln(Trt)-Lys(IVDde)-Ala-Phe-Val-Gln(Trt)-Trp-Leu-Ile-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-Rinkアミド樹脂を得た。
【0167】
次に、部分C-ジ-tertブチルエステルと結合させて、続いて切断、脱保護、およびHPLCを使用した分取精製により、化合物9を得た。化合物9のHPLC純度を、方法B2により評価した。
【0168】
質量(LCMS):m/z=1201.7(MH4
4+)、計算された質量=4802.8、HPLC純度:97.30%(方法B2)、RT=15.3分
【0169】
実施例15:化合物10の合成:
化合物10を、実施例8に記載の類似プロセスに従って固相法によって調製したが、化合物10ではFmoc-Ser(OMe)-OHを、Fmoc-Aib-OHの代わりに位置13で使用して、Fmoc-Aib-OHを、Fmoc-D-Ser(OMe)-OHの代わりに位置第2で使用して、Boc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)- Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-Ser(OMe)-Leu-Asp(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Gln(Trt)-Lys(IVDde)-Ala-Phe-Val-Gln(Trt)-Trp-Leu-Ile-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-Rinkアミド樹脂を得た。
【0170】
次に、部分D-ジ-tertブチルエステルと結合させて、続いて切断、脱保護、およびHPLCを使用した分取精製により、化合物10を得た。化合物10のHPLC純度を、方法B2により評価した。
【0171】
質量(LCMS):m/z=1610.78(MH3
3+)、計算された質量=4829.316、HPLC純度:93.41%(方法B2)、RT=20.3分
【0172】
実施例16:化合物11の合成:
親ペプチドを固相法により合成した。合成に使用した開始樹脂はWang樹脂であった。Fmoc保護Arg(pbf)をWang樹脂との結合に使用した。結合を、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)の存在下で、ジイソプロピルカルボジイミド、N-ヒドロキシベンゾトリアゾール(DIC-HOBt)を結合試薬として使用して実施し、Fmoc-Arg(pbf)-Wang樹脂を得た。ピぺリジンを使用したFmoc-Arg(pbf)-Wang樹脂のアミノ基の選択的デブロッキング、その後のHOBt/DIPCを使用したFmoc-Ser(tBu)-OHとの結合により、Fmoc-Ser(tBu)-Arg(pbf)-Wang樹脂を得た。これにより、一サイクルが完了する。無水酢酸およびジイソプロピルエチルアミン/ピリジンを使用して、各アミノ酸結合において未結合アミノ基を終結させた。
【0173】
上記3つの工程、すなわち、樹脂に付着したアミノ酸のFmoc保護の選択的デブロッキング、配列中の隣のアミノ酸残基のFmoc保護アミノ基との結合、およびキャッピングを、残りの38アミノ酸残基について反復し、Fmoc保護アミノ酸の側鎖を、直角に保護し、例えば、セリンのヒドロキシル基、チロシンまたはトレオニンを、tert-ブチル(-tBu)基で保護し、リジンのアミノ基を、tert-ブチルオキシカルボニル(-Boc)および(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘックス-1-イリデン)-3-メチルブチル(IVDde)基で、それぞれ保護し、およびアスパラギン酸またはグルタミン酸のカルボン酸基をそれぞれ、-tBu基で保護し、グルタミンのアミド基を、トリチル(-Trt)基で保護し、アルギニンの側鎖を、pbf基で保護した。上述の三つの工程、すなわち、選択的なキャッピング、デブロッキング、およびその後の隣のFmoc保護アミノ酸との結合を行い、Fmoc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-Aib-Leu-Asp(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Gln(Trt)-Lys(IVDde)-Ala-Phe-Val-Gln(Trt)-Trp-Leu-Ile-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-Arg(pbf)-Wang樹脂を得た。
【0174】
Fmoc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-Aib-Leu-Asp(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Gln(Trt)-Lys(IVDde)-Ala-Phe-Val-Gln(Trt)-Trp-Leu-Ile-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-Arg(pbf)-Wang樹脂のピぺリジンを使用したデブロッキングに続いて、Boc無水物を使用したペプチド樹脂のBoc保護により、Boc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-Aib-Leu-Asp(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Gln(Trt)-Lys(IVDde)-Ala-Phe-Val-Gln(Trt)-Trp-Leu-Ile-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-Arg(pbf)-Wang樹脂を得た。ヒドラジン水和物を使用してペプチド樹脂のIVDde基の脱保護を行い、その後、ジイソプロピルカルボジイミド、N-ヒドロキシベンゾトリアゾール(DIPC-HOBt)をカップリング試薬として使用して、部分B-ジ-tertブチルエステルとの結合を行い、中間保護化合物11樹脂を得た。エタン-1,2-ジチオールおよびトリイソプロピルシランを使用するトリフルオロ酢酸を使用した、樹脂からの切断および脱保護、続く分取HPLCによる精製は、化合物11をもたらした。
【0175】
化合物11のHPLC純度を、方法B2により評価した。
【0176】
質量(LCMS):m/z=1228.8(MH4
4+)、計算された質量=4911.17、HPLC純度:98.22%(方法B2)、RT=23.3分
【0177】
実施例17:化合物12の合成:
化合物12を、部分C-ジ-tert-ブチルエステルをペプチド樹脂と結合させることを除いて、実施例16に記載の類似プロセスに従って固相法により調製し、続いて切断、脱保護、およびHPLCを使用した分取精製により化合物12を得た。化合物12のHPLC純度を、方法B2により評価した。
【0178】
質量(LCMS):m/z=1236.56(MH4
4+)、計算された質量=4942.21、HPLC純度:97.2%(方法B2)、RT=11.703分
【0179】
実施例18:化合物13の合成:
化合物13を、部分A-ジ-tert-ブチルエステルをペプチド樹脂と結合させることを除いて、実施例12に記載の類似プロセスに従って固相法により調製し、続いて切断、脱保護、およびHPLCを使用した分取精製により化合物13を得た。化合物13のHPLC純度を、方法B2により評価した。
【0180】
質量(LCMS):m/z=1579.52(MH33-)、計算された質量=4741.548、HPLC純度:96.5%(方法B2)、RT=14.76分
【0181】
実施例19:化合物14の合成:
親ペプチドを固相法により合成した。合成に使用した開始樹脂はFmoc-Rinkアミド樹脂であった。ピぺリジンを使用してrinkアミド樹脂のFmoc保護アミノ基を選択的にデブロッキングし、続いてFmoc-Lys(IVDde)-OHとRinkアミド樹脂を結合させた。結合は、DIPC-HOBtを使用して、Fmoc-Lys(IVDde)-Rinkアミド樹脂を得ることにより行われ、これにより一サイクルが完了する。無水酢酸およびジイソプロピルエチルアミン/ピリジンを使用して、各アミノ酸結合の最後において未結合アミノ基を終結/キャップした。ピぺリジンを使用したFmoc-Lys(IVDde)-Rinkアミド樹脂のアミノ基のFmocの選択的デブロッキング、その後のHOBtおよびDIPCを使用した第二のアミノ酸との結合により、Fmoc-Ser(tBu)-Lys(IVDde)-rinkアミド樹脂を得た。これにより、第2のサイクルが完了する。先に述べた通り、無水酢酸およびジイソプロピルエチルアミン/ピリジンを使用して、各アミノ酸結合において未結合アミノ基を終結させた。
【0182】
上記の3つの工程、すなわち、樹脂に付着したアミノ酸のFmoc保護のデブロッキング、配列中隣のアミノ酸残基のFmoc保護アミノ基との結合、および選択的キャッピングを、残りの38個のアミノ酸残基に対して繰り返した。使用されたFmoc保護アミノ酸の側鎖を、直角に保護し、例えば、セリンのヒドロキシル基、チロシンまたはスレオニンを、tert-ブチル(-tBu)基で保護し、リジンのアミノ基を、それぞれ、tert-ブチルオキシカルボニル(-Boc)および(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘックス-1-イリデン)-3-メチルブチル(IVDde)基で保護し、アスパラギン酸またはグルタミン酸のカルボン酸基をtBu基で保護し、グルタミンおよびアスパラギンのアミド基はトリチル(-Trt)基で保護した。上述の三つの工程、すなわち、選択的なキャッピング、デブロッキング、およびその後の隣のFmoc保護アミノ酸との結合を行い、Fmoc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-Tyr(tBu)-Leu-Glu(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Ala-Gln(Trt)-Glu(OtBu)-Phe-Val-Asn(Trt)-Trp-Leu-Leu-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-Lys(IVDde)-Rinkアミド樹脂を得た。
【0183】
Fmoc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-Tyr(tBu)-Leu-Glu(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Ala-Gln(Trt)-Glu(OtBu)-Phe-Val-Asn(Trt)-Trp-Leu-Leu-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-Lys(IVDde)-Rinkアミド樹脂のピぺリジンを使用したデブロッキングに続いて、Boc無水物を使用したペプチド樹脂のBoc保護により、Boc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-Tyr(tBu)-Leu-Glu(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Ala-Gln(Trt)-Glu(OtBu)-Phe-Val-Asn(Trt)-Trp-Leu-Leu-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-Lys(IVDde)-Rinkアミド樹脂を得た。ヒドラジン水和物を使用したペプチド樹脂のIVDde基の脱保護に続いて、部分B-ジ-tertブチルエステルの結合を、ジイソプロピルカルボジイミド、N-ヒドロキシベンゾトリアゾール(DIPC-HOBt)をカップリング試薬として使用して行い、その存在下で、化合物14樹脂を得た。
【0184】
Boc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-Tyr(tBu)-Leu-Glu(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Ala-Gln(Trt)-Glu(OtBu)-Phe-Val-Asn(Trt)-Trp-Leu-Leu-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-Lys(NH部分 B-ジ-tertブチルエステル)-Rinkアミド樹脂の、エタン-1,2-ジチオールおよびトリイソプロピルシランを使用するトリフルオロ酢酸を使用した切断および脱保護と、それに続く分取HPLCによる精製により、化合物14を得た。化合物14のHPLC純度を、方法B5により評価した。
【0185】
質量(LCMS):m/z=993.06(MH5
5+)、計算された質量=4960.26、HPLC純度:95.8%(方法B5)、RT=28.308分
【0186】
実施例20:化合物15の合成:
化合物15を、実施例19に記載の類似プロセスに従って固相法によって調製したが、化合物15ではFmoc-Ser(OMe)-OHを、Fmoc-Tyr(tBu)の代わりに位置13で使用して、Fmoc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-Ser(OMe)-Leu-Glu(OtBu)-Lys(Boc)-Ile-Ala-Ala-Gln(Trt)-Glu(OtBu)-Phe-Val-Asn(Trt)-Trp-Leu-Leu-Ala-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-Lys(IVDde)-Rinkアミド樹脂を得た。
【0187】
次に、部分B-ジ-tertブチルエステルと結合させて、続いて切断、脱保護、およびHPLCを使用した分取精製により、化合物15を得た。化合物15のHPLC純度を、方法B4により評価した。
【0188】
質量(LCMS):m/z=980.77(MH5
5+)、計算された質量=4898.8、HPLC純度:94%(方法B4)、RT=41.5分
【0189】
実施例21:化合物16の合成:
化合物16を、部分D-ジ-tert-ブチルエステルをペプチド樹脂と結合させることを除いて、実施例16に記載の類似プロセスに従って固相法により調製し、続いて切断、脱保護、およびHPLCを使用した分取精製により化合物16を得た。化合物16のHPLC純度を、方法B2により評価した。
【0190】
質量(LCMS):m/z=1243.60(MH4
4+)、計算された質量=4970.37、HPLC純度:97.5%(方法B2)、RT=19.183分
【0191】
生物学的研究
実施例22:慢性治療後のdb/db2型糖尿病マウスにおけるHbA1cの減少
化合物2の、%HbA1c、インスリン、トリグリセリドのレベル、食物消費量および体重に対する効果をマウスで研究した。この研究は、2型糖尿病マウス(db/db)モデルで実施した。動物を、6つの治療群(群当たりn=8)、すなわち糖尿病対照群、化合物2(4.5nM/kg、9nM/kgおよび18nM/kg)、およびチルゼパチド(90nM/kgおよび180nM/kg)治療群に分けた。すべての治療剤を、三日毎に10回分(q3d*10)を皮下注射した。%HbA1c、インスリン、トリグリセリドのレベルを、0日目、14日目、および28日目に測定した。0~28日目の累積食物摂取量および0日目と比較した体重の変化%を、28日目に計算した。結果を表3に提供する。
【表9】
【0192】
結果から明らかなように、4.5、9および18nM/kgの用量での化合物2は、14日目および28日目の両方で糖尿病性対照と比較して、HbA1cの統計的に有意な変化を示した。化合物2のHbA1cの減少は、90nM/kg用量でのチルゼパチドが示した変化を超えた。化合物2のインスリンレベルに対して同様の効果が見られ、9nM/kgの用量で、14日目の糖尿病対照群と比較して、インスリンレベルの統計的に有意な増加を示した。インスリン値の増加は、28日目でも維持された。比較すると、10倍の用量(90nM/kg)でのチルゼパチドは、インスリンレベルに対して同等の効果を示した。また、18nM/kgの用量で化合物2によって示されるインスリンレベルに対する効果は、180nM/kgの用量でのチルゼパチドによって示される効果と同等であることが判明した驚くべきものであった。18nMでの化合物2のインスリンレベルは、14日目および28日目の両方で同様のレベルで維持されたが、チルゼパチド治療では、28日目のインスリンレベルは、14日目よりもわずかに低い傾向にあることが観察された。4.5、9および18nM/kgの用量での化合物2は、28日目の糖尿病対照群と比較して、体重の統計的に有意な減少を示した。驚くべきことに、体重の減少に対する化合物2の効果は、180nM/kgの用量(20倍用量)でチルゼパチドによって示される効果よりも優れていた。試験用量(4.5、9および18nm/kg)における化合物2はまた、試験過程中の糖尿病対照群と比較して、累積食物消費量の統計的に有意な減少を示した。驚くべきことに、化合物2の食物消費量に対する効果は、化合物2の用量の10倍の用量でのチルゼパチドによって示される効果と同等であった。同様に、4.5、9および18nM/kgの用量での化合物2は、糖尿病対照群と比較して、トリグリセリドの統計的に有意な低下を示した。効果は、28日目のわずかな改善を伴い、維持された。トリグリセリドのレベルの低下に対する化合物2の有効性は、驚くべきことに、化合物2の用量の約20倍の用量で、チルゼパチドによって示される有効性と類似していることが見出された。HbA1c値およびトリグリセリド値の減少に対する化合物2の効果を考察したところ、驚くべきことに、効果が14日目と比較して28日目に改善したことが観察された。例えば、9nM/kgおよび18nM/kgの用量での29日目のHbA1cの減少は、14日目の減少よりも40%超であった。比較すると、180nM/kg用量でのチルゼパチドは、14日目から28日目の間に、HbA1c減少のわずかな改善を示した。
【0193】
実施例23:cAMPアッセイ
インビトロ効力測定を、cAMPアッセイを使用して実施した。リガンド結合に続くGタンパク質共役受容体(GPCR)の活性化は、細胞応答をもたらす一連の第二のメッセンジャーカスケードを開始する。GLP-1RおよびGIP-Rによるシグナル伝達は、アデニル酸シクラーゼおよびcAMP産生の活性化を伴う。cAMP Hunter(商標)eXpress GPCRアッセイ(Eurofins DiscoveRx)を使用して、細胞cAMP産生を決定した。
【0194】
細胞cAMPアッセイにおいて、化合物2は、GLP-1R発現細胞では4.1nMの半最大有効濃度を有し、一方、チルゼパチド/化合物2の比率が1.68であるチルゼパチドでは約6.86nMであった。また、GIPR-発現細胞では、化合物2の半最大有効濃度は2.3nMであり、一方、チルゼパチド/化合物2の比率が0.81であるチルゼパチドでは1.89nMであった。
これらの結果は、代表的な化合物2が、GLP-1およびGIP受容体の両方の強力な阻害剤であることを示す。
【0195】
実施例24:血糖値の低下および体重と食物摂取量への効果
本発明の化合物の血糖値に対する効果をマウスで研究した。この研究は、2型糖尿病マウス(db/db)モデルで実施した。動物を、8つの治療群(群当たりn=6)、すなわち糖尿病対照群、化合物2~化合物7(3nM/kg)およびチルゼパチド(10nM/kg)治療群に分けた。化合物1(6nM/kg)および化合物2(6nM/kg)を、別個の試験(治療n=5)で、チルゼパチド(59nM/kg)と比較した。ベースライン血糖値を全動物から測定した。すべての動物に、そのそれぞれの試験化合物を皮下投与した。処置後4時間、12時間、24時間、48時間、72時間、および96時間で血糖値を測定した。デルタ血糖値(mM)を計算した。結果を表4に提供する。同様に、体重変化および累積食物消費量を、処置後96時間で測定した。結果を以下の表5に提供する。
【表10】
【表11】
【0196】
血糖値に対する化合物2および化合物7の効果を、それぞれ10nM/kgおよび30nM/kgの用量でマウスでさらに試験し、ここで、処置後4時間、8時間、12時間、24時間、48時間および72時間で血糖値を測定し、チルゼパチド(90nM/kg)と比較した。結果を以下の表6に提供する。同様に、体重変化および累積食物消費量を、処置後72時間で測定した。結果を以下の表7に提供する。
【表12】
【表14】
【0197】
結果は、本発明の化合物が、T2Dの血糖値を効果的に減少させることができることを示す。結果はまた、本発明の化合物が長期間有効であることを示す。驚くべきことに、血糖値減少に対する化合物2の効果は、化合物2の用量よりも約9倍高い用量のチルゼパチドによって示される効果と類似していた。また、驚くべきことに有効性は72時間にわたって維持された。同様に、化合物は、食物摂取量および体重の統計的に有意な減少を示した。
【0198】
別の研究では、マウスにおいて、化合物2、8、9および10の血糖値、食物摂取量および体重への効果が研究された。この研究は、2型糖尿病マウス(db/db)モデルで実施した。動物を、5つの治療群(n=6)、糖尿病対照群、化合物2(10nM/kg)、化合物8(10nM/kg)、化合物9(10nM/kg)、および化合物10(10nM/kg)に分けた。ベースライン血糖値を全動物から測定した。すべての動物に、その試験化合物を皮下投与した。血糖値を、処置後4時間、12時間、24時間、48時間、72時間、および96時間で測定した。デルタ血糖値(mM)を計算した。結果を表8に示す。体重変化および累積食物消費量を、処置後96時間で測定した。結果を表9に示す。同様に、化合物11~15の血糖値、食物摂取量、および体重に対する効果を、化合物13を除いて別個の試験で試験した。結果を表8(血糖値に対する効果)および表9(体重および食物消費量に対する効果)に示す。
【表15】
【表16】
【0199】
化合物2、化合物8、化合物9、化合物10、化合物11および化合物14は、処置後に統計的に有意な血糖値減少を示した。また、糖尿病対照と比較して、食物摂取量および体重の統計的に有意な減少も観察された。
【0200】
上記の結果は、本発明の化合物がGLP-1およびGIP受容体の強力な阻害剤であり、2型糖尿病、肥満を伴う糖尿病、肥満および高脂血症の治療に有効であり得ることを示す。
【配列表】
【国際調査報告】