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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-18
(54)【発明の名称】腹側線条体活動
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/375 20210101AFI20230710BHJP
   A61B 5/38 20210101ALI20230710BHJP
   A61B 5/378 20210101ALI20230710BHJP
   A61B 5/291 20210101ALI20230710BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20230710BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20230710BHJP
【FI】
A61B5/375
A61B5/38
A61B5/378
A61B5/291
A61B5/055 390
A61B10/00 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022579046
(86)(22)【出願日】2021-06-22
(85)【翻訳文提出日】2023-02-17
(86)【国際出願番号】 IL2021050764
(87)【国際公開番号】W WO2021260697
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】63/042,404
(32)【優先日】2020-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.SMALLTALK
3.MATLAB
(71)【出願人】
【識別番号】521564870
【氏名又は名称】イチロフ テック リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ICHILOV TECH LTD.
【住所又は居所原語表記】6 Weizmann Street, Tel-Aviv, Israel
(71)【出願人】
【識別番号】501177609
【氏名又は名称】ラモット・アット・テル・アビブ・ユニバーシテイ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】RAMOT AT TEL AVIV UNIVERSITY LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】510303442
【氏名又は名称】ザ ロイヤル インスティテューション フォー ザ アドバンスメント オブ ラーニング/マクギル ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドラー タルマ
(72)【発明者】
【氏名】ジンガー ネオミ
(72)【発明者】
【氏名】ザトール ロベール
(72)【発明者】
【氏名】ダガー アラン
(72)【発明者】
【氏名】ファレス-フランチ マルセル
【テーマコード(参考)】
4C096
4C127
【Fターム(参考)】
4C096AA17
4C096AA18
4C096DA17
4C127AA03
4C127DD01
4C127DD02
4C127LL08
(57)【要約】
ニューロフィードバック方法であって、被験者の少なくとも1つの脳領域からの電気信号を記録することであって、記録された電気信号の時間変化が、少なくとも1つの脳領域の活動レベルの変化を示す、記録することと、記録された電気信号に基づいて、少なくとも1つの脳領域の活動レベルに応じた知覚品質を有する音声信号を提供することと、記録することの間中に、音声信号を被験者に送達することと、を含む、方法。
【選択図】図1E
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニューロフィードバック方法であって、
被験者の少なくとも1つの脳領域からの電気信号を記録することであって、前記記録された電気信号の時間変化が、前記少なくとも1つの脳領域の活動レベルの変化を示す、記録することと、
前記記録された電気信号に基づいて、前記少なくとも1つの脳領域の活動レベルに応じた知覚品質を有する音声信号を提供することと、
前記記録することの間中に、前記音声信号を前記被験者に送達することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記送達することより前に、前記音声信号を劣化させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記劣化させることは、前記音声信号の知覚品質を低下させることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記被験者に、前記劣化させることを変化させるよう指示することを含む、請求項2または請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの脳領域の活動レベルの前記変化に従って前記劣化を変化させることを含む、請求項3または請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記音声信号は音楽を含み、前記劣化は、前記音楽の知覚品質を劣化させることを含む、請求項2~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記音楽は、前記被験者によって快い音楽として選択された音楽である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記音楽は、前記被験者の気分に影響を与える音楽である、請求項6または請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの脳領域が、前記音楽の適用によって影響を受ける活動を有する脳領域である、請求項6~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
腹側線条体(VS)の活動レベルを判定する方法であって、
測定された電気信号と前記VSの活動レベルとの間の関係を示す指紋を提供することと、
前記指紋に従って、被験者の頭皮上に少なくとも1つの電極を配置することと、
前記指紋に従って、前記少なくとも1つの電極から受け取った電気信号を記録し、処理することと、
前記処理された電気信号に従って、前記VSの活動レベルを判定することと、
を含む、前記方法。
【請求項11】
前記処理された電気信号と前記指紋との間の相関関係を判定することを含み、前記判定することは、前記判定された相関関係に従って、前記VSの活動レベルを判定することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記電気信号がEEG信号を含み、前記指紋が、処理されたEEG信号と前記VSの活動レベルとの間の関係を示す、請求項10及び請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記配置することが、EEG位置決めシステムのC4、F7、F8、T7、T8、P8、TP9及びTP10を含む1つ以上の位置に前記少なくとも1つの電極を配置することを含む、請求項10~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記提供された指紋は、前記VSのEEGデータ及びfMRI-BOLD活動の相関を取ることによって生成される多次元モデルであり、前記多次元モデルは、周波数帯域、電極、及び1つ以上の時間窓に対応する係数行列を含む、請求項10~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記1つ以上の時間窓が最大30秒の時間窓を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
無快感症を治療する方法であって、
被験者を無快感症と診断することと、
前記被験者の腹側線条体の活動レベルを増加させることが示されている1つ以上のタスクを特定することと、
前記被験者に、前記1つ以上のタスクを実行するよう指示することと、
を含む、前記方法。
【請求項17】
前記診断することが、報酬系の少なくとも1つの特定の脳領域の活性化レベルを判定することと、前記判定された活性化レベルが所定の活性化レベルよりも低い場合に、前記被験者を無快感症と診断することとを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記診断することが、前記少なくとも1つの特定の脳領域の活性化レベルを増加させるように選択された刺激を前記被験者に送達することを含み、前記診断することが、前記判定された活性化に基づいて、前記送達された刺激に対する前記被験者の反応が所定の反応よりも低い場合に、前記被験者を無快感症と診断することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
無気力症を治療する方法であって、
被験者を無気力症と診断することと、
前記被験者の腹側線条体の活動レベルを増加させることが示されている1つ以上のタスクを特定することと、
前記被験者に、前記1つ以上のタスクを実行するよう指示することと、
を含む、前記方法。
【請求項20】
前記診断することが、報酬系の少なくとも1つの特定の脳領域の活性化レベルを判定することと、前記判定された活性化レベルが所定の活性化レベルよりも低い場合に、前記被験者を無気力症と診断することとを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記診断することが、前記少なくとも1つの特定の脳領域の活性化レベルを増加させるように選択された刺激を前記被験者に送達することを含み、前記診断することが、前記判定された活性化に基づいて、前記送達された刺激に対する前記被験者の反応が所定の反応よりも低い場合に、前記被験者を無気力症と診断することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
無快感症の被験者を治療する方法であって、
無快感症と診断された被験者の脳からの電気信号を記録することと、
前記記録された電気信号を使用して、腹側線条体(VS)の活動レベルを判定することと、
前記判定された活動レベルに従って、人間が検出可能な表示を生成することと、
前記記録することの間中に、前記人間が検出可能な表示を前記被験者に送達することと、
前記VSの前記活動レベルを増加させることが示されている少なくとも1つのメンタルエクササイズを実行するよう前記被験者に指示することと、
前記VSの活動レベルが増加した場合に、前記人間が検出可能な表示をより快い表示に変更することと、
を含む、前記方法。
【請求項23】
前記VSの所望のレベルを判定することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記変更することが、前記送達することの間中に、前記人間が検出可能な表示を変更することを含む、請求項22または請求項23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記人間が検出可能な表示は、音声表示または視覚表示を含む、請求項22~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
ニューロフィードバック方法であって、
被験者の少なくとも1つの特定の深部に位置する脳領域からの電気信号を記録することであって、前記記録された電気信号の時間変化が、前記少なくとも1つの脳領域の活動レベルの変化を示す、前記記録することと、
前記記録された電気信号に基づいて、前記少なくとも1つの特定の脳領域の活性化の増加を識別することと、
前記記録することの間中に、前記少なくとも1つの脳領域の活性化の前記識別された増加に従って、前記被験者に正のフィードバック信号を送達することと、
を含む、方法。
【請求項27】
前記正の信号の前記送達することは、前記記録することの間中に、前記少なくとも1つの脳領域の活性化の前記識別された増加に従って、前記被験者に送達されたフィードバック信号の品質を向上させることを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記フィードバック信号は音楽フィードバック信号を含み、前記向上させることは、前記記録することの間中に、前記少なくとも1つの脳領域の活性化の前記識別された増加に従って、前記音楽フィードバック信号の品質を向上させることを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記記録することがEEG電気信号を記録することを含み、前記識別することが、前記記録されたEEG電気信号の少なくとも一部と、前記少なくとも1つの特定の脳領域の特定の活性化レベルを示す少なくとも1つの電気指紋との間の関係を判定することを含む、請求項26~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも1つの電気指紋は、前記少なくとも1つの特定の脳領域の以前に測定された特定のfMRI-BOLD活動を示す、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記少なくとも1つの特定の深部に位置する脳領域が、中脳辺縁系脳領域及び/または報酬系の脳領域を含む、請求項26~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記中脳辺縁系脳領域及び/または前記報酬系の前記脳領域が、腹側線条体(VS)、腹内側前頭前皮質(vMPFC)、及び前中帯状皮質(aMcc)、及び/または前島を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
ニューロフィードバックシステムであって、
被験者の脳からの電気信号を記録するための少なくとも1つの電極と、
中脳辺縁系及び/または報酬系の少なくとも1つの深部に位置する脳領域の活動レベルを示す少なくとも1つの電気指紋を記憶するメモリと、
フィードバック信号を生成し、前記被験者に送達するように構成されたユーザインターフェースと、
制御回路であって、
前記少なくとも1つの電極によって記録された電気信号を受け取ることと、
前記記録された電気信号の少なくとも一部と前記少なくとも1つの電気指紋との間の相関関係を特定することと、
前記特定された相関関係に基づいて、前記少なくとも1つの深部に位置する脳領域の活性化レベルを判定することと、
前記少なくとも1つの深部に位置する脳領域の活動の増加が判定されたときに、前記被験者に正のフィードバック信号を送達するよう前記ユーザインターフェースに信号を送ることと、
を行うように構成された前記制御回路と、
を備える、システム。
【請求項34】
前記正のフィードバック信号は、前記被験者に作用して前記少なくとも1つの深部に位置する脳領域の活動レベルを増加させるように構成されたフィードバック信号である、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記少なくとも1つの電気指紋は、前記VSのEEGデータ及びfMRI-BOLD活動の相関を取ることによって生成される多次元モデルを含み、前記多次元モデルは、周波数帯域、電極、及び1つ以上の時間窓に対応する係数行列を含む、請求項33または請求項34のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項36】
前記1つ以上の時間窓が最大30秒の時間窓を含む、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記制御回路は、前記電気信号を受け取るより前に、フィードバック信号を劣化させ、前記劣化させたフィードバック信号を前記被験者に送達するよう前記ユーザインターフェースに信号を送るように構成される、請求項33~36のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項38】
前記制御回路は、前記劣化させたフィードバック信号の品質を高めることによって、前記正の信号を生成するよう前記ユーザインターフェースに信号を送る、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
機能不全の報酬系を有する被験者を治療するための方法であって、
前記被験者に刺激を提供することであって、前記刺激が報酬系の少なくとも1つの特定の脳領域の活動に影響を与えるように選択される、前記提供することと、
前記少なくとも1つの特定の脳領域の活動レベルを判定することと、
前記判定することの結果に従って、前記少なくとも1つの特定の脳領域の前記活動が増加した場合、前記刺激を変更することと、
を含む、前記方法。
【請求項40】
前記刺激は劣化させた刺激を含み、前記変更することは、前記判定することの結果に従って、前記少なくとも1つの特定の脳領域の前記活動が増加した場合、前記劣化させた刺激の劣化を変更することを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記変更することは、前記判定することの結果に従って、前記少なくとも1つの特定の脳領域の前記活動が増加した場合、前記劣化させた刺激の品質を向上させることを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記変更することは、前記判定することの結果に従って、前記少なくとも1つの特定の脳領域の前記活動が増加した場合、前記劣化させた刺激の品質を低下させることを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
EEG測定結果を腹側線条体(VS)の選択的活性化を示すfMRI-BOLD信号に関連付けるモデルを記憶した不揮発性メモリ。
【請求項44】
前記記憶されたモデルは、周波数帯域、電極、及び1つ以上の時間窓に対応する少なくとも100個の係数の係数行列を含む、請求項43に記載の不揮発性メモリ。
【請求項45】
前記電極は、EEG位置決めシステムの位置C4、F7、F8、T7、T8、P8、TP9及びTP10に1つ以上の電極を含む、請求項44に記載の不揮発性メモリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、中脳辺縁系脳領域の活動を調節することに関し、より詳細には、腹側線条体脳領域の活動を調節することに関するが、これに限定されない。
【0002】
関連出願
本出願は、2020年6月22日に出願された米国仮特許出願第63/042,404号の優先権の利益を主張するものであり、この米国仮特許出願の内容を参照により全体として本明細書に援用する。
【0003】
計算能力の最近の進歩により、リアルタイムの機能的磁気共鳴画像法(rt-fMRI)を介して、比較的精細な空間分解能で特定の脳領域を選択的に監視する道が開かれた。これにより、ニューロフィードバック(参加者に提供されるフィードバックが、継続的に得られる脳信号から生じる特定のバイオフィードバック形式)など、いくつかの脳コンピュータインターフェース(BCI)アプローチの開発が可能になった。扁桃体などの脳深部領域のそのような学習されたrt-fMRI-NF調節は、MDDの抑うつ症状の軽減に効果的であることが発見された。
【0004】
非侵襲的な「認知神経刺激」のためのエキサイティングな新しい道を開く一方で、神経監視のためのrt-fMRI-NFの有用性は、そのスキャン手順の不動性、高コストであること、及び広範な物理的要件のために、かなり制限されている。一方、脳波検査(EEG)は、低コストで利用しやすいことから、繰り返しの監視及び/または自宅での監視に合わせて調整されている。ただし、EEGは空間分解能が低く、そのことが特に中脳辺縁系神経路などの脳深部領野をターゲットにすることの妨げとなっている。
【0005】
報酬特異的な系をターゲットにすることを目指す場合、必要な機能的成果を達成するには、腹側線条体(VS)及び/または腹側被蓋野(VTA)などの脳深部領野における報酬関連プロセスの信頼できる神経表示を頼りにすることが重要であると思われる。この困難を克服するために、計算ツールを使用してEEGの空間位置確認を強化することが可能である。低解像度電磁気トモグラフィ(LORETA)(Grech et al., 2008)またはその変形(Congedo, Lubar, & Joffe, 2004;Thatcher, 2010)を使用して、この方向でいくつかの試みがなされた。しかし、このアプローチでは、高密度の電極グリッドを使用する必要があり、この方法の潜在的な可動性及び利用可能性が制限される。さらに、このアプローチは、特に深い皮質下領野ではノイズに敏感であり、空間解像度が依然として比較的低い(Yao & Dewald, 2005)。fMRIを利用してEEGの局在性を改善する理論主導型のアプローチでは、両方の測定値から神経の活動を追跡する順モデルの構築が試みられた(Valdes-Sosa et al., 2009)。ただし、そのようなモデルベースのアプローチは、EEG信号及びfMRI信号の生物物理学的起源に関する先験的な前提に依存したものである。
【0006】
生物物理学的起源に関する先験的な知識の欠如を埋め合わせするために、データ主導型アプローチを適用して、2つの信号種別を関連付けることが可能である(Laufs, Daunizeau, Carmichael, & Kleinschmidt, 2008;Meir-Hasson, Kinreich, Podlipsky, Hendler, & Intrator, 2014;Valdes‐Sosa et al., 2009)。このようなアプローチを使用した以前の研究では、相関関係を使用して、アルファ(9~13Hz)域などの特定のEEG周波数帯域と局所的なBOLD活動との間の関連性が調査されている(例えば、Ben-Simon, Podlipsky, Arieli, Zhdanov, & Hendler, 2008;de Munck et al., 2007;Goldman, Stern, Engel Jr, & Cohen, 2002)。
【0007】
後の研究では、周波数帯域の組み合わせを使用する線形回帰が、個々の帯域よりも局所的なBOLD活動をより適切に予測することが実証された(Mantini, Perrucci, Del Gratta, Romani, & Corbetta, 2007;Zumer, Brookes, Stevenson, Francis, & Morris, 2010)。しかし、これらの記載されている方法では、fMRIとEEGとを同時に使用する必要があるため、NFトレーニングを繰り返すためにその方法を利用することが制限される。
【0008】
ごく最近、特定の領域またはネットワーク内のBOLD活性化のfMRIにヒントを得たEEGモデルを生成するために機械学習方法を利用する統計モデリングベースのフレームワークが開発された。EEGのモデリングは、多変量の時間及び周波数の情報に依存しており、単一電極のレベルで適用することができる。そのような電気指紋(electrical finger print: EFP, Meir-Hasson et al.)と呼ばれるモデルにより、EEGデータを用いて、脳深部領域のfMRI活性化を予測することが可能であった。提示されたモデルは、様々な周波数帯域の重みとそれに関連する時間遅延とに基づいており、EEGのみを使用して、ターゲットとされた領域のBOLD信号を予測することを可能にする。この指紋法アプローチは、最近、脳深部構造である扁桃体のfMRIベースのEEGモデルを構築することによって実現され(Meir-Hasson et al., 2016;Meir-Hasson et al., 2014)、そしてニューロフィードバック(NF)手順内で用いられることによって、扁桃体活性化のfMRI探査に基づいたリアルタイムEEG技法がもたらされた(Cavazza et al., 2014;Cohen et al., 2016;Keynan et al., 2016;Meir-Hasson et al., 2016)。
【0009】
この方法の検証実験の結果、fMRIスキャナの外で扁桃体EFPを下方制御するようにトレーニングされた被験者は、後のセッションでfMRI-NF中に扁桃体のBOLD活動を首尾よく低下させるだけでなく(Keynan, 2016;2019)、偽EFP-NFを受けた被験者と比較して、脅迫的な視覚刺激に対する扁桃体の反応性の低下が現れることも示された。さらに、扁桃体-EFP-NFは、黙示的な情動表出の制御を調べるタスクで性能の向上をもたらし(Keynan et al., 2016)、臨床の文脈(すなわち、線維筋痛;Goldway, NIMG, 2019)に適用できることが示されている。最後に、EFP-BOLD相関の分析により、扁桃体-EFP信号が右扁桃体のBOLD活動と相関していることが明らかにされている(Keynan et al., 2016)。
【発明の概要】
【0010】
本発明のいくつかの実施形態のいくつかの実施例を以下に記載する。
【0011】
実施例1.ニューロフィードバック方法であって、
被験者の少なくとも1つの脳領域からの電気信号を記録することであって、前記記録された電気信号の時間変化が、前記少なくとも1つの脳領域の活動レベルの変化を示す、前記記録することと、
前記記録された電気信号に基づいて、前記少なくとも1つの脳領域の活動レベルに応じた知覚品質を有する音声信号を提供することと、
前記記録することの間中に、前記音声信号を前記被験者に送達することと、を含む、前記方法。
【0012】
実施例2.前記送達することより前に、前記音声信号を劣化させることを含む、実施例1に記載の方法。
【0013】
実施例3.前記劣化させることは、前記音声信号の知覚品質を低下させることを含む、実施例2に記載の方法。
【0014】
実施例4.前記被験者に、前記劣化させることを変化させるよう指示することを含む、実施例2または実施例3のいずれか1つに記載の方法。
【0015】
実施例5.前記少なくとも1つの脳領域の活動レベルの前記変化に従って前記劣化を変化させることを含む、実施例3または実施例4のいずれか1つに記載の方法。
【0016】
実施例6.前記音声信号は音楽を含み、前記劣化は、前記音楽の知覚品質を劣化させることを含む、実施例2~5のいずれか1つに記載の方法。
【0017】
実施例7.前記音楽は、前記被験者によって快い音楽として選択された音楽である、実施例6に記載の方法。
【0018】
実施例8.前記音楽は、前記被験者の気分に影響を与える音楽である、実施例6または実施例7のいずれか1つに記載の方法。
【0019】
実施例9.前記少なくとも1つの脳領域が、前記音楽の適用によって影響を受ける活動を有する脳領域である、実施例6~8のいずれか1つに記載の方法。
【0020】
実施例10.腹側線条体(VS)の活動レベルを判定する方法であって、
測定された電気信号と前記VSの活動レベルとの間の関係を示す指紋を提供することと、
前記指紋に従って、被験者の頭皮上に少なくとも1つの電極を配置することと、
前記指紋に従って、前記少なくとも1つの電極から受け取った電気信号を記録し、処理することと、
前記処理された電気信号に従って、前記VSの活動レベルを判定することと、を含む、前記方法。
【0021】
実施例11.前記処理された電気信号と前記指紋との間の相関関係を判定することを含み、前記判定することは、前記判定された相関関係に従って、前記VSの活動レベルを判定することを含む、実施例10に記載の方法。
【0022】
実施例12.前記電気信号がEEG信号を含み、前記指紋が、処理されたEEG信号と前記VSの活動レベルとの間の関係を示す、実施例10及び実施例11のいずれか1つに記載の方法。
【0023】
実施例13.前記配置することが、EEG位置決めシステムのC4、F7、F8、T7、T8、P8、TP9及びTP10を含む1つ以上の位置に前記少なくとも1つの電極を配置することを含む、実施例10~12のいずれか1つに記載の方法。
【0024】
実施例14.前記提供された指紋は、前記VSのEEGデータ及びfMRI-BOLD活動の相関を取ることによって生成される多次元モデルであり、前記多次元モデルは、周波数帯域、電極、及び1つ以上の時間窓に対応する係数行列を含む、実施例10~13のいずれか1つに記載の方法。
【0025】
実施例15.前記1つ以上の時間窓が最大30秒の時間窓を含む、実施例14に記載の方法。
【0026】
実施例16.無快感症を治療する方法であって、
被験者を無快感症と診断することと、
前記被験者の腹側線条体の活動レベルを増加させることが示されている1つ以上のタスクを特定することと、
前記被験者に、前記1つ以上のタスクを実行するよう指示することと、を含む、前記方法。
【0027】
実施例17.前記診断することが、報酬系の少なくとも1つの特定の脳領域の活性化レベルを判定することと、前記判定された活性化レベルが所定の活性化レベルよりも低い場合に、前記被験者を無快感症と診断することとを含む、実施例16に記載の方法。
【0028】
実施例18.前記診断することが、前記少なくとも1つの特定の脳領域の活性化レベルを増加させるように選択された刺激を前記被験者に送達することを含み、前記診断することが、前記判定された活性化に基づいて、前記送達された刺激に対する前記被験者の反応が所定の反応よりも低い場合に、前記被験者を無快感症と診断することを含む、実施例17に記載の方法。
【0029】
実施例19.無気力症を治療する方法であって、
被験者を無気力症と診断することと、
前記被験者の腹側線条体の活動レベルを増加させることが示されている1つ以上のタスクを特定することと、
前記被験者に、前記1つ以上のタスクを実行するよう指示することと、を含む、前記方法。
【0030】
実施例20.前記診断することが、報酬系の少なくとも1つの特定の脳領域の活性化レベルを判定することと、前記判定された活性化レベルが所定の活性化レベルよりも低い場合に、前記被験者を無気力症と診断することとを含む、実施例19に記載の方法。
【0031】
実施例21.前記診断することが、前記少なくとも1つの特定の脳領域の活性化レベルを増加させるように選択された刺激を前記被験者に送達することを含み、前記診断することが、前記判定された活性化に基づいて、前記送達された刺激に対する前記被験者の反応が所定の反応よりも低い場合に、前記被験者を無気力症と診断することを含む、実施例20に記載の方法。
【0032】
実施例22.無快感症の被験者を治療する方法であって、
無快感症と診断された被験者の脳からの電気信号を記録することと、
前記記録された電気信号を使用して、腹側線条体(VS)の活動レベルを判定することと、
前記判定された活動レベルに従って、人間が検出可能な表示を生成することと、
前記記録することの間中に、前記人間が検出可能な表示を前記被験者に送達することと、
前記VSの前記活動レベルを増加させることが示されている少なくとも1つのメンタルエクササイズを実行するよう前記被験者に指示することと、
前記VSの活動レベルが増加した場合に、前記人間が検出可能な表示をより快い表示に変更することと、を含む、前記方法。
【0033】
実施例23.前記VSの所望のレベルを判定することを含む、実施例22に記載の方法。
【0034】
実施例24.前記変更することが、前記送達することの間中に、前記人間が検出可能な表示を変更することを含む、実施例22または実施例23のいずれか1つに記載の方法。
【0035】
実施例25.前記人間が検出可能な表示は、音声表示または視覚表示を含む、実施例22~24のいずれか1つに記載の方法。
【0036】
実施例26.ニューロフィードバック方法であって、
被験者の少なくとも1つの特定の深部に位置する脳領域からの電気信号を記録することであって、前記記録された電気信号の時間変化が、前記少なくとも1つの脳領域の活動レベルの変化を示す、前記記録することと、
前記記録された電気信号に基づいて、前記少なくとも1つの特定の脳領域の活性化の増加を識別することと、
前記記録することの間中に、前記少なくとも1つの脳領域の活性化の前記識別された増加に従って、前記被験者に正のフィードバック信号を送達することと、を含む、前記方法。
【0037】
実施例27.前記正の信号の前記送達することは、前記記録することの間中に、前記少なくとも1つの脳領域の活性化の前記識別された増加に従って、前記被験者に送達されたフィードバック信号の品質を向上させることを含む、実施例26に記載の方法。
【0038】
実施例28.前記フィードバック信号は音楽フィードバック信号を含み、前記向上させることは、前記記録することの間中に、前記少なくとも1つの脳領域の活性化の前記識別された増加に従って、前記音楽フィードバック信号の品質を向上させることを含む、実施例27に記載の方法。
【0039】
実施例29.前記記録することがEEG電気信号を記録することを含み、前記識別することが、前記記録されたEEG電気信号の少なくとも一部と、前記少なくとも1つの特定の脳領域の特定の活性化レベルを示す少なくとも1つの電気指紋との間の関係を判定することを含む、実施例26~28のいずれか1つに記載の方法。
【0040】
実施例30.前記少なくとも1つの電気指紋は、前記少なくとも1つの特定の脳領域の以前に測定された特定のfMRI-BOLD活動を示す、実施例29に記載の方法。
【0041】
実施例31.前記少なくとも1つの特定の深部に位置する脳領域が、中脳辺縁系脳領域及び/または報酬系の脳領域を含む、実施例26~30のいずれか1つに記載の方法。
【0042】
実施例32.前記中脳辺縁系脳領域及び/または前記報酬系の前記脳領域が、腹側線条体(VS)、腹内側前頭前皮質(vMPFC)、及び前中帯状皮質(aMcc)、及び/または前島を含む、実施例31に記載の方法。
【0043】
実施例33.ニューロフィードバックシステムであって、
被験者の脳からの電気信号を記録するための少なくとも1つの電極と、
中脳辺縁系及び/または報酬系の少なくとも1つの深部に位置する脳領域の活動レベルを示す少なくとも1つの電気指紋を記憶するメモリと、
フィードバック信号を生成し、前記被験者に送達するように構成されたユーザインターフェースと、
制御回路であって、
前記少なくとも1つの電極によって記録された電気信号を受け取ることと、
前記記録された電気信号の少なくとも一部と前記少なくとも1つの電気指紋との間の相関関係を特定することと、
前記特定された相関関係に基づいて、前記少なくとも1つの深部に位置する脳領域の活性化レベルを判定することと、
前記少なくとも1つの深部に位置する脳領域の活動の増加が判定されたときに、前記被験者に正のフィードバック信号を送達するよう前記ユーザインターフェースに信号を送ることと、を行うように構成された前記制御回路と、を備える、前記システム。
【0044】
実施例34.前記正のフィードバック信号は、前記被験者に作用して前記少なくとも1つの深部に位置する脳領域の活動レベルを増加させるように構成されたフィードバック信号である、実施例33に記載のシステム。
【0045】
実施例35.前記記憶された少なくとも1つの電気指紋は、前記VSのEEGデータ及びfMRI-BOLD活動の相関を取ることによって生成される多次元モデルを含み、前記多次元モデルは、周波数帯域、電極、及び1つ以上の時間窓に対応する係数行列を含む、実施例33または実施例34のいずれか1つに記載のシステム。
【0046】
実施例36.前記1つ以上の時間窓が最大30秒の時間窓を含む、実施例35に記載のシステム。
【0047】
実施例37.前記制御回路は、前記電気信号を受け取るより前に、フィードバック信号を劣化させ、前記劣化させたフィードバック信号を前記被験者に送達するよう前記ユーザインターフェースに信号を送るように構成される、実施例33~36のいずれか1つに記載のシステム。
【0048】
実施例38.前記制御回路は、前記劣化させたフィードバック信号の品質を高めることによって、前記正の信号を生成するよう前記ユーザインターフェースに信号を送る、実施例37に記載のシステム。
【0049】
実施例39.機能不全の報酬系を有する被験者を治療するための方法であって、
前記被験者に刺激を提供することであって、前記刺激が報酬系の少なくとも1つの特定の脳領域の活動に影響を与えるように選択される、前記提供することと、
前記少なくとも1つの特定の脳領域の活動レベルを判定することと、
前記判定することの結果に従って、前記少なくとも1つの特定の脳領域の前記活動が増加した場合、前記刺激を変更することと、を含む、前記方法。
【0050】
実施例40.前記刺激は劣化させた刺激を含み、前記変更することは、前記判定することの結果に従って、前記少なくとも1つの特定の脳領域の前記活動が増加した場合、前記劣化させた刺激の劣化を変更することを含む、実施例39に記載の方法。
【0051】
実施例41.前記変更することは、前記判定することの結果に従って、前記少なくとも1つの特定の脳領域の前記活動が増加した場合、前記劣化させた刺激の品質を向上させることを含む、実施例40に記載の方法。
【0052】
実施例42.前記変更することは、前記判定することの結果に従って、前記少なくとも1つの特定の脳領域の前記活動が増加した場合、前記劣化させた刺激の品質を低下させることを含む、実施例40に記載の方法。
【0053】
実施例43.EEG測定結果を腹側線条体(VS)の選択的活性化を示すfMRI-BOLD信号に関連付けるモデルを記憶した不揮発性メモリ。
【0054】
実施例44.前記記憶されたモデルは、周波数帯域、電極、及び1つ以上の時間窓に対応する少なくとも100個の係数の係数行列を含む、実施例43に記載の不揮発性メモリ。
【0055】
実施例45.前記電極は、EEG位置決めシステムの位置C4、F7、F8、T7、T8、P8、TP9及びTP10に1つ以上の電極を含む、実施例44に記載の不揮発性メモリ。
【0056】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び/または科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様または同等の方法及び材料が、本発明の実践または試験で使用できるが、例示的な方法及び/または材料は下記に説明される。矛盾する場合、定義を含む特許明細書が優先する。さらに、材料、方法、及び実施例は、一例にすぎず、必ずしも限定することを意図していない。
【0057】
当業者には理解されるように、本発明のいくつかの実施形態は、システム、方法、またはコンピュータプログラム製品として具現化され得る。したがって、本発明のいくつかの実施形態は、本明細書では一般に「回路」、「モジュール」、または「システム」と呼ばれ得る、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、またはソフトウェアとハードウェアの態様を組み合わせた実施形態の形態をとることができる。さらに、本発明のいくつかの実施形態は、コンピュータ可読プログラムコードが具現化される1つ以上のコンピュータ可読媒体(複数可)に具現化されているコンピュータプログラム製品の形態をとることができる。本発明のいくつかの実施形態の方法及び/またはシステムの実施は、選択されたタスクを手動で、自動的に、またはそれらの組み合わせで実行すること及び/または遂行することを含み得る。さらに、本発明の方法及び/またはシステムのいくつかの実施形態の実際の計装及び設備によれば、いくつかの選択されたタスクは、ハードウェア、ソフトウェア、またはファームウェア、及び/またはそれらの組み合わせによって、例えばオペレーティングシステムを使用して実施することができる。
【0058】
例えば、本発明のいくつかの実施形態による選択されたタスクを実行するためのハードウェアは、チップまたは回路として実施され得る。ソフトウェアとしては、本発明のいくつかの実施形態による選択されたタスクは、任意の適切なオペレーティングシステムを使用してコンピュータによって実行される複数のソフトウェア命令として実施され得る。本発明の例示的な実施形態では、本明細書に記載の方法及び/またはシステムのいくつかの例示的な実施形態による1つ以上のタスクは、複数の命令を実行するためのコンピューティングプラットフォームなどのデータプロセッサによって実行される。任意選択で、データプロセッサは、命令及び/またはデータを格納するための揮発性メモリ、及び/または命令及び/またはデータを格納するための不揮発性ストレージ、例えば、磁気ハードディスク及び/またはリムーバブルメディアを含む。任意選択で、ネットワーク接続も設けられる。ディスプレイ、及び/またはキーボードまたはマウスなどのユーザ入力デバイスも任意選択で提供される。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態には、1つ以上のコンピュータ可読媒体(複数可)の任意の組み合わせを利用することができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体またはコンピュータ可読記憶媒体であり得る。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、限定ではないが、電子、磁気、光、電磁気、赤外線、もしくは半導体のシステム、装置、もしくはデバイス、または任意の前述の好適な組み合わせであり得る。コンピュータ可読記憶媒体のより多くの具体例は、1つ以上の通信回線を有する電気的接続、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブルROM(EPROMまたはフラッシュメモリ)、光ファイバ、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、光学記憶デバイス、磁気記憶デバイス、または前述の任意の好適な組み合わせを含むことになる。本文書の文脈において、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、もしくはデバイスによる使用のために、またはそれらと接続してプログラムを含むまたは記憶することができる任意の有形媒体であり得る。
【0060】
コンピュータ可読信号媒体は、例えば、ベースバンドでまたは搬送波の一部として、コンピュータ可読プログラムコードが具現化された伝搬データ信号を含み得る。係る伝搬信号は、電磁気、光学、またはその任意の組み合わせを含むが、これに限定されるものではない様々な形のいずれかをとり得る。コンピュータ可読信号媒体は、コンピュータ可読記憶媒体ではなく、命令実行システム、装置、もしくはデバイスによる使用のために、またはそれらと接続してプログラムを通信、伝搬、または搬送できる任意のコンピュータ可読媒体であってよい。
【0061】
コンピュータ可読記憶媒体上に具現化されるプログラムコード及び/またはそれによって使用されるデータは、無線、有線、光ファイバケーブル、RF等、または上記の任意の適切な組み合わせを含むが、これに限定されるものではない任意の適切な媒体を使用し、伝達され得る。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態のための動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、例えばJava、Smalltalk、C++等のオブジェクト指向プログラミング言語、及び例えば「C」プログラミング言語または類似するプログラミング言語等の従来の手続き型プログラミング言語を含んだ1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで作成されてよい。プログラムコードは、完全にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンドアローンのソフトウェアパッケージとして実行すること、部分的にユーザのコンピュータ上で実行し、部分的にリモートコンピュータ上で実行すること、または完全にリモートコンピュータもしくはサーバ上で実行することが可能である。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)もしくはワイドエリアネットワーク(WAN)を含む、任意の種類のネットワークを介してユーザのコンピュータに接続することができ、または外部のコンピュータに(例えば、インターネットサービスプロバイダを用いるインターネット経由で)接続することができる。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート図及び/またはブロック図を参照して以下に説明される。フローチャート図及び/またはブロック図の各ブロック、及びフローチャート図及び/またはブロック図のブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実施できることが理解されよう。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、特殊用途コンピュータ、または他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに提供されて、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャート及び/またはブロック図のブロックまたは複数のブロックで指定される機能/行為を実施するための手段を作成するような機械を作り出し得る。
【0064】
また、これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、または他のデバイスに特定の方法で機能するように命令できるコンピュータ可読媒体に記憶されてもよく、これによりコンピュータ可読媒体に記憶される命令は、ブロックまたは複数のブロックのフローチャート及び/またはブロック図に指定される機能/行為を実施する命令を含んだ、製造品を製造する。
【0065】
コンピュータプログラム命令は、一連の操作ステップを、コンピュータ、他のプログラム可能装置、または他のデバイスで実行させて、コンピュータまたは他のプログラム可能装置で実行する命令が、ブロックまたは複数のブロックのフローチャート及び/またはブロック図で指定される機能/行為を実施するためのプロセスを提供するように、コンピュータ実装プロセスを作り出すためにコンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、または他のデバイスの上にロードされてもよい。
【0066】
本明細書で説明する方法のいくつかは、一般に、コンピュータによる使用のみを目的として設計されており、人間の専門家が完全に手動で実行するには適していない、または実用的ではない可能性がある。電気指紋の生成など、同様のタスクを手動で実行したい人間の専門家は、全く異なる方法、例えば、専門知識を利用する方法、及び/または人間の脳のパターン認識能力を利用する方法を用いることが予想され得、それにより本明細書に記載の方法のステップを手動で行うよりもはるかに効率が良くなるはずである。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態を、本明細書では、単なる例示として、添付の図面及び画像を参照しながら説明する。このとき図面を詳細にわたって具体的に参照するが、図示されている細部は例示として本発明の実施形態を説明的に考察することを目的としたものであることが強調される。この点に関して、図面を用いた説明は、本発明の実施形態がどのように実施され得るかを当業者に明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0068】
図1A】本発明のいくつかの例示的な実施形態による、腹側線条体(VS)活動のシグネチャを生成するためのプロセスの概略図である。
図1B】本発明のいくつかの例示的な実施形態による、VSシグネチャの例を示すヒートマップである。
図1C】本発明のいくつかの例示的な実施形態による、中脳辺縁系の脳領域の活動を判定するためのプロセスのフローチャートである。
図1D】本発明のいくつかの例示的な実施形態による、深部に位置する脳領域の活性化の増加を識別するときに、正のフィードバック信号を送達するためのプロセスのフローチャートである。
図1E】本発明のいくつかの例示的な実施形態による、深部に位置する脳領域の活性化の増加を識別するときに、劣化フィードバック信号の品質を向上させるためのプロセスのフローチャートである。
図1F】検証実験及び実現可能性実験で実証された報酬ドメインの関与を示す。
図1G】2つの検証アプローチ(検証実験及び実現可能性実験で実証された、モデリングデータセットに適用される1個抜き検証、及び独立した複製データセットに適用される外部検証)を使用して実証された指紋モデルの評価を示す。
図1H】検証実験及び実現可能性実験で実証された、異なる報酬文脈での指紋モデルの性能の評価を示す。
図1I】検証実験及び実現可能性実験で実証された、VS-EFP指紋の音楽報酬関連の調節を示す。
図1J】検証実験及び実現可能性実験で実証された、ニューロフィードバック文脈でのVS-EFP指紋の使用を示す。
図2】本発明のいくつかの例示的な実施形態による、音楽インターフェースを使用するニューロフィードバックプロセスの概略図である。
図3A】腹側線条体の上方制御を検証するための研究デザインの概略図である。
図3B】腹側線条体の上方制御を検証するための研究デザインの概略図である。
図4】A及びBは、検証試験中の腹側線条体指紋の調節を示すグラフである。
図5A】検証試験中の腹側線条体の活性化を示すfMRI画像である。
図5B】本発明のいくつかの例示的な実施形態による、検証試験中の左腹側線条体及び右腹側線条体の制御を示すグラフである。
図5C】検証試験で示された、グループごとのVS-BOLD自己制御の変化を示すグラフである。
図6A】本発明のいくつかの例示的な実施形態による、検証試験中の報酬ベースの学習に対する腹側線条体トレーニングの効果を示すグラフである。
図6B】検証試験中の確率的選択タスクの結果を示す概略図である。
図6C】本発明のいくつかの例示的実施形態による、ニューロフィードバック関連プロセスの送達のためのシステムのブロック図である。
図7A】ニューロフィードバック概念実証の検証実験で実証された、第1のセッションに対するニューロフィードバックプロセスのグループ及びセッションごとのVS-EFPの調節を示すグラフである。
図7B】ニューロフィードバック概念実証の検証実験のセッションごとの対照グループ及び試験グループにおける第1のセッションに対して最大VS-EFP調節が向上する際のニューロフィードバック性能を示すグラフである。
図8A】ニューロフィードバック概念実証の検証実験で実証された、ニューロフィードバックトレーニングと報酬関連行動の変化との間の関連性を示すグラフである。
図8B】ニューロフィードバック概念実証の検証実験で実証された、ニューロフィードバックトレーニングと報酬関連行動の変化との間の関連性を示すグラフである。
図9】ニューロフィードバック概念実証の検証実験で実証された、最後のセッションにおけるVS-EFPを使用したニューロフィードバック性能の成功と、対照グループと比較したトレーニング後の無快感症の尺度との間の相関関係を示すグラフである。
図10】ニューロフィードバック検証実験の概念実証で実証された、VS-EFPを使用したニューロフィードバック中の各ニューロフィードバックトレーニングセッションの開始時のポジティブな影響の変化を、対照グループと比較して示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0069】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、中脳辺縁系脳領域の活動を調節することに関し、より詳細には、腹側線条体脳領域の活動を調節することに関するが、これに限定されない。
【0070】
いくつかの実施形態の態様は、被験者の少なくとも1つの脳領域の活動レベルに応じた知覚品質を有する音声信号を提供することによって、被験者にニューロフィードバックを提供することに関する。いくつかの実施形態では、脳活動は、被験者からの電気信号を記録することによって判定され、音声信号は、記録された電気信号に基づいて生成される。いくつかの実施形態では、音声信号は音楽を含む。いくつかの実施形態では、音声信号が被験者に送達される。
【0071】
いくつかの実施形態によれば、音声信号は、例えば被験者に提供される前に劣化させられる。いくつかの実施形態では、音声信号の劣化は、音声信号の知覚品質を低下させることを含む。いくつかの実施形態では、被験者は、音声信号の劣化を変化させるように指示され、例えば被験者は、音声信号の劣化に影響を与えることが示されているタスク、例えば精神的または認知的なタスクを実行するように指示される。
【0072】
いくつかの実施形態によれば、劣化は、少なくとも1つの脳領域、例えばVSの活動レベルの変化に従って変化させる。いくつかの実施形態では、音声信号が音楽を含む場合、劣化させることは、音楽の知覚品質を劣化または低下させることを含む。いくつかの実施形態では、音楽は、快い音楽であると被験者によって選択された音楽である。いくつかの実施形態では、音楽は、被験者の気分に影響を与える音楽である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの脳領域は、音声信号の適用、例えば音楽の適用によって影響を受ける脳領域である。
【0073】
いくつかの実施形態の態様は、被験者に提供されるフィードバック信号の品質を変更することによって、被験者にニューロフィードバック手順、例えばニューロフィードバックトレーニングまたはニューロフィードバック治療を送達することに関する。いくつかの実施形態では、提供されるフィードバック信号の品質は、少なくとも1つの特定の脳領域の活性化の変化、例えば所望の方向の活性化の変化に従って向上させられる。本明細書で使用するとき、特定の脳領域とは、被験者、例えばヒト被験者の脳の総体積と比較して、25%未満の、例えば20%未満、15%未満、10%未満、5%未満の、または任意の中間の、より小さいもしくはより大きいパーセンテージ値である体積を有する脳領域を意味する。
【0074】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの特定の脳領域は、深部に位置する脳領域である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの特定の脳領域は、中脳辺縁系の脳領域または報酬系の少なくとも1つの特定の脳領域を含む。いくつかの実施形態では、中脳辺縁系の少なくとも1つの特定の脳領域は、VSを含む。
【0075】
いくつかの実施形態によれば、提供されるフィードバック信号の品質は、少なくとも1つの特定の脳領域の活性化が増加したときに向上させられる。あるいは、提供されるフィードバック信号の品質は、少なくとも1つの特定の脳領域の活性化が減少したときに向上させられる。あるいは、少なくとも1つの特定の脳領域の活性化が減少した場合に、フィードバック信号の品質を劣化させる。
【0076】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの特定の脳領域の活動レベルを監視しながら、フィードバック信号がオンラインで送達される。いくつかの実施形態では、例えば少なくとも1つの特定の脳領域の活動レベルを監視しながら、フィードバック信号がオンラインで変更される。いくつかの実施形態では、フィードバック信号は継続的に提供される。あるいは、フィードバックは、断続的なフィードバックとして、各制御ブロックの最後に提供される。必要に応じて、正のフィードバックのみ、または負のフィードバックのみを提供することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの特定の脳領域の活動は、空間スキャンデータ、例えばfMRIデータを必要とせずに、少なくとも1つの特定の脳領域から記録されたEEG信号に基づいて監視される。
【0077】
いくつかの実施形態によれば、フィードバック信号は音楽を含む。いくつかの実施形態では、音楽の少なくとも1つのパラメータが、少なくとも1つの特定の脳領域の活動レベルに従って変更される。いくつかの実施形態では、音楽信号の音量は、少なくとも1つの特定の脳領域の活性化の増加に従って増やされる。代替的または追加的に、フィードバックとして提供される音楽信号の歪みレベル、例えば劣化レベルは、少なくとも1つの特定の脳領域の活動レベルが上昇したときに減らされる。
【0078】
いくつかの実施形態の態様は、被験者に正のフィードバックを送達することによって、被験者の脳内の少なくとも1つの特定の脳領域、例えば深部に位置する脳領域の活動を増加させることに関する。いくつかの実施形態では、正のフィードバックは、少なくとも1つの特定の脳領域の活動を監視しながら、例えば記録されたEEG信号に基づいて、任意選択で空間スキャンデータ、例えばfMRIデータを使用する必要なく、オンラインで被験者に送達される。いくつかの実施形態では、正のフィードバックは、少なくとも1つの特定の脳領域の活動が増加したときに、被験者に送達される。
【0079】
いくつかの実施形態によれば、正のフィードバックは、前記被験者が少なくとも1つの特定の脳領域の活動を増加させ続けることを奨励する方法でフィードバックインターフェースを変更することによって提供される。いくつかの実施形態では、正のフィードバックは、例えば少なくとも1つの特定の脳領域の活動が増加したときに、継続的に提供される。いくつかの実施形態では、正のフィードバックは、少なくとも1つの特定の脳領域の活動の増加に従って、フィードバックインターフェースの品質を向上させることを含む。
【0080】
いくつかの実施形態によれば、フィードバックインターフェースの品質を向上させることは、被験者に提供される音声信号及び/または視覚信号の品質を向上させることを含む。
【0081】
いくつかの実施形態の態様は、中脳辺縁系の1つ以上の特定の脳領域、例えばVSのfMRI-BOLD活動と相関するEEG信号に基づく電気指紋(EFP)に関する。いくつかの実施形態では、中脳辺縁系の1つ以上の特定の脳領域は、深部に位置する脳領域、例えば、腹内側前頭前皮質(vMPFC)、前中帯状皮質(aMcc)、及び/または前島を含む。いくつかの実施形態では、電気指紋は、報酬系に影響を与えることが知られているタスクに1人または複数の被験者が従事している間に生成されるプロセス固有の指紋である。
【0082】
いくつかの実施形態によれば、指紋は、EEG測定結果を、少なくとも1つの特定の脳領域、例えば腹側線条体(VS)の選択的活性化を示すfMRI-BOLD信号に関連付けるモデルである。本明細書で使用される場合、脳領域の選択的活性化は、他の脳領域の活性化レベルよりも高いレベル、例えば他の脳領域の30%を超えるレベル、他の脳領域の50%を超えるレベル、他の脳領域の60%を超えるレベル、他の脳領域の80%を超えるレベル、他の脳領域の90%を超えるレベルにある少なくとも1つの特定の脳領域の活性化を意味する。
【0083】
いくつかの実施形態によれば、モデルは、周波数帯域、電極、及び1つ以上の時間窓に対応する少なくとも100個の係数の係数行列を含む。
【0084】
いくつかの実施形態によれば、EFPは、電気信号、例えば位置C4、F7、F8、T7、T8、P8、TP9及びTP10に位置するEEG電極から記録されたEEG電気信号を含む。いくつかの実施形態では、EFPは、0~40Hzの間の周波数範囲内、及び0~30秒の間の時間遅延窓内のEEG電気信号を含む。
【0085】
いくつかの実施形態の態様は、画像解析を必要とせずにEEG信号を使用して腹側線条体(VS)の活動レベルを監視することに関する。いくつかの実施形態では、VSの活動レベルは、測定された電気信号とVSの活動レベルとの間の関係を示す少なくとも1つの指紋を使用して監視される。いくつかの実施形態では、指紋は、例えばWO2012/104853及び米国特許出願第13/983,419号に記載されているような電気指紋(EFP)である。
【0086】
いくつかの実施形態によれば、電極、例えばEEG電極は、EFPに従って被験者の頭皮上に配置される。いくつかの実施形態では、指紋に従って電気信号が記録され、処理される。いくつかの実施形態では、VSの活動レベルは、処理された信号に従って判定される。いくつかの実施形態では、電気信号の記録及び処理、ならびにVSの活動レベルの判定は、WO2012/104853及び米国特許出願第13/983,419号に記載されるように実行される。
【0087】
いくつかの実施形態によれば、処理された電気信号と指紋との間で相関関係が判定される。いくつかの実施形態では、VSの活動レベルは、その相関関係に従って判定される。
【0088】
いくつかの実施形態の態様は、患者におけるVSの活動を増加させることによって、または患者のVSを自己制御する、例えば上方制御する患者の潜在能力を増加させることによって、無快感症の特質を有する患者または健常者の無快感症を治療することに関する。いくつかの実施形態では、VSの活動は、患者に少なくとも1つのタスク、例えば精神的タスクまたは運動タスクを実行するよう指示することによって増加させられる。あるいは、VSの活動は、例えば黙示的な制御を介して、患者に指示を与えることなく増加される。いくつかの実施形態では、タスクは、この特定の患者においてVSの活動を増加させることが以前に示されたタスクである。
【0089】
本明細書で使用される場合、VSの活動を増加させるタスクは、活動を増加させる任意のタスクであり、報酬系の活動を増加させる任意のタスク、例えば、ゲーム、やりがいのあるゲーム、例えば、最愛の人の画像を提示すること、及び/または有名人の画像を提示することによって、良い記憶の想起を促進するタスク、問題を解決すること、及び/または快い音楽を聴くことを含むタスクである。
【0090】
いくつかの実施形態によれば、無快感症と診断された患者からの電気信号が記録される。いくつかの実施形態では、VSの活動レベルは、記録された電気信号を使用して判定される。いくつかの実施形態では、判定された活動レベルに従って、人間が検出可能な表示が生成される。いくつかの実施形態では、人間が検出可能な表示は、音声信号、視覚信号、音楽、及び画像のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、人間が検出可能な表示は、例えば電気信号の記録中に、例えばオンラインの連続フィードバックとして被験者に送達される。いくつかの実施形態では、被験者は、少なくとも1つのタスク、例えば、VSの活動レベルを増加させることが以前に示された精神的タスクを実行するように指示される。任意選択で、VSの活動レベルが増加した場合に、表示はより快い表示に変更される。
【0091】
いくつかの実施形態によれば、VSの所望のレベル、例えばVSの所望の活動パターンが予め設定される。いくつかの実施形態では、表示は送達中に変更される。
【0092】
いくつかの実施形態の態様は、患者におけるVSの活性を増加させることによって、無気力症の特質を有する患者または健常者の無気力症を治療することに関する。いくつかの実施形態では、VSの活動は、患者に少なくとも1つのタスク、例えば精神的タスクまたは運動タスクを実行するよう指示することによって増加させられる。いくつかの実施形態では、タスクは、この特定の患者においてVSの活動を増加させることが以前に示されたタスクである。
【0093】
いくつかの実施形態によれば、VSについて、特定の電気指紋(EFP)が生成される。いくつかの実施形態では、EFP指紋は、電気信号、例えばEEG電気信号または処理されたEEG電気信号をVSの特定の活動レベルと関連付ける。いくつかの実施形態では、EFPを使用して、電気信号、例えば被験者から記録されたEEG信号が処理され、EFPに基づいてVSの活動レベルが判定される。
【0094】
いくつかの実施形態によれば、例えば、精神状態または精神疾患の治療が報酬系の活動を増加させるように指示されている場合は、VSの活動レベルが監視及び/または変更される。いくつかの実施形態では、VSの活動レベルは、無気力症または無快感症と診断された患者を治療するときに監視される。
【0095】
いくつかの実施形態によれば、ニューロフィードバック(NF)治療は、VS及び/または報酬系の活動を調節するための、例えば増加させるための治療の一部として被験者に送達される。いくつかの実施形態では、脳領域の活動を調節することは、脳領域の電気指紋を調節することを意味する。代替的または追加的に、NF治療は、例えばVS及び/または報酬系を自己制御する能力、例えば上方制御する能力を向上させるための治療の一部として被験者に送達される。いくつかの実施形態では、VSの活動または報酬系の活動を増加させると予測されるタスクを被験者が実行している間に、VSの活動に関するフィードバックが送達される。いくつかの実施形態では、フィードバックは、例えば音楽の形で、被験者に音声信号を送達することに基づいている。代替的または追加的に、フィードバックは、視覚信号、例えば画像として提供される。いくつかの実施形態では、信号、例えば音声信号または視覚信号が劣化させられる。いくつかの実施形態では、被験者は、信号の劣化をより快い信号に変更しようとするように要求される。いくつかの実施形態では、信号の劣化プロセスは、脳領域、例えばVSの現在の活動レベル、及びVSの所望の活動レベルに依存する。
【0096】
いくつかの実施形態によれば、被験者が活動レベルを所望の活動レベルまで増加または減少させることに成功すると、信号の劣化がより少なくなり、例えば、より快い信号となる。いくつかの実施形態では、信号、例えば音声信号または視覚信号の劣化レベルは、脳領域の活動と相関しており、任意選択で、被験者が脳領域の活動を調節しようと試みている間に、被験者への継続的またはオンラインフィードバックとして機能する。
【0097】
いくつかの実施形態によれば、このタイプのニューロフィードバックシステムは、被験者に送達される信号の劣化の変化がVSの活動レベルに関するフィードバックを提供し、無快感症、無気力症を治療するときに使用される。
【0098】
いくつかの実施形態によれば、本出願に記載のニューロフィードバックプロセスは、高レベルの無快感症及び/または無気力症の特質を有する健康なヒト被験者を治療するために使用することができる。いくつかの実施形態では、本ニューロフィードバックプロセスは、無気力症または無快感症と診断された被験者を治療するために使用される治療方法と同様である。
【0099】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用が、以下の説明に記載されているか、または実施例によって例示されている詳細に必ずしも限定されないことを理解すべきである。本発明は、他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実践もしくは実行することが可能である。
【0100】
腹側線条体の指紋の例
ここで図1Aを参照して、本発明のいくつかの例示的実施形態による、腹側線条体(VS)活動のシグネチャ、例えば指紋を生成するためのプロセスを示す。
【0101】
いくつかの例示的な実施形態によれば、VS電気指紋(VS-EFP)を生成するために、同時に取得されたEEGを使用して、事前に定義された所定の関心領域におけるBOLD活動を予測するための機械学習ベースのアプローチが適用される。いくつかの実施形態では、例えばステップ(1)に示されるように、EEG及びfMRIデータは、例えば、それぞれ15人の被験者の2つのスキャンバッチで30人の参加者から音楽聴取タスク中に同時に取得される。いくつかの実施形態では、ステップ(2)の間に、fMRI経時変化及び(3)EEGデータから得られた時間-周波数行列が、モデルを計算するために使用される。いくつかの実施形態では、ステップ(4)において、モデルの係数行列がEEGデータに適用されて、(5)VS-EFP経時変化が作成される。いくつかの実施形態では、得られた経時変化は、2つの異なるデータセットにおける全脳ランダム効果一般線形モデル分析を介してモデルの性能を評価するためのリグレッサとして使用される。
【0102】
次に図1Bを参照して、例えば本発明のいくつかの例示的な実施形態による、VS指紋の例を示す。
【0103】
いくつかの例示的な実施形態によれば、指紋105はヒートマップの形式であり、y軸は周波数の範囲、例えば0~40Hzを示し、x軸は時間遅延、例えば0~30秒を示す。いくつかの実施形態では、周波数範囲は、周波数の1つ以上の帯域に分割され、各周波数帯域は、周波数のサブ範囲を表す。例えば、図1Bに示すように、0~40Hzの周波数範囲は8つの帯域、例えば8つのパワー帯域に分割され、帯域1は0~2Hzの周波数範囲を示し、帯域2は2~4Hzの周波数範囲を示し、帯域3は4~8Hzの周波数範囲を示し、帯域4は8~12Hzの周波数範囲を示し、帯域5は12~16Hzの周波数範囲を示し、帯域6は16~20Hzの周波数範囲を示し、帯域7は20~25Hzの周波数範囲を示し、帯域8は25~40Hzの周波数範囲を示す。いくつかの実施形態では、全周波数範囲は、より少ない数またはより多い数の周波数帯域に分割される。いくつかの実施形態では、各周波数帯域は、異なる、例えば、より小さい周波数範囲またはより大きい周波数範囲を示す。
【0104】
いくつかの例示的な実施形態によれば、水平レーン110のそれぞれは、例えば各周波数帯域において、被験者の頭皮上の異なる位置に配置されたEEG電極の記録を表す。例えば、EEG電極はC4、F7、F8、T7、T8、P8、TP9、及びTP10の位置にある。いくつかの実施形態では、縦列120のそれぞれは、x軸の時間遅延範囲を、各電極の特定の周波数範囲での記録における時間遅延のサブ範囲に分割する。
【0105】
いくつかの実施形態では、EFPシグネチャを生成するために、異なる数の電極及び/または異なる位置の電極が使用される。いくつかの実施形態では、ヒートマップの色は、記録された信号のパワーまたは強度を表す。
【0106】
いくつかの例示的な実施形態によれば、VSの指紋は、ヒートマップに示される指紋105から最大10%、最大15%、最大20%変化し得る。いくつかの実施形態では、VSの指紋は、指紋105に対して、遅延120が時間的に最大で5%、10%、15%まで前方または後方に移動する指紋を含み得る。いくつかの実施形態では、指紋は、指紋105のヒートマップの20%、30%、50%、60%を含む。
【0107】
いくつかの例示的な実施形態によれば、TFマップを計算する前に、データが以下のようにフィルタリングされることにも留意されたい。
【0108】
データはまた、0.075Hz~70Hzの間でフィルタリングされ、33Hzでノッチフィルタリングされるようにフィルタリングされた。
【0109】
いくつかの例示的な実施形態によれば、指紋105のヒートマップはEEG特徴空間を表す。
【0110】
いくつかの例示的な実施形態によれば、EEG特徴空間を準備するために、EEG時系列が時間周波数ドメインで表される。いくつかの実施形態では、8つの周波数帯域の対数パワーは、例えばMatlab関数の帯域パワーを使用して、各チャネルの時系列から抽出される。いくつかの実施形態では、帯域パワー推定は、1[秒]のスライディングウィンドウ及び0.5[秒]のオーバーラップで実行され、2Hzのサンプリングレートの経時変化をもたらす。(各周波数帯域のパワーを表す結果として生じる時系列は、さらにスパイク除去手順にかけられた)。いくつかの実施形態では、fMRIデータにおける血液動態学的反応を考慮するために、0.5[秒]ずつ30[秒]まで各特徴の時間遅延バージョンが追加され、したがって、帯域及びチャネルごとに60のシフトされた時系列が生成される。いくつかの実施形態では、得られた時間はさらにzスコアに正規化され、各周波数を平均ゼロのままにした。
【0111】
いくつかの実施形態では、この特徴抽出ステップは、次のように定義される多次元の正規化された特徴空間、すなわち、[チャネル×周波数帯域×遅延×時間サンプル]/[CH*FQ*D*T]をもたらす。
【0112】
いくつかの例示的な実施形態によれば、指紋105、例えばEEG空間は、Hasson et al.「One-Class FMRI-Inspired EEG Model for Self-Regulation Training」,Plos One 2016に記載されているように生成される。
【0113】
一例では、指紋は、fMRI信号、例えば1つ以上の特定の脳領域のfMRI-BOLD信号を推定する回帰行列の係数のセットの表現として(メモリに)格納される。係数セットの各係数は、特定のパワー帯域/周波数、1つ以上の電極、及び1つ以上の時間遅延窓を含む特定の特徴の係数である。例えば、図1bに示すVS指紋には一連の係数が含まれており、各係数は8つの電極の特定の1つ、8つの周波数帯域の特定の1つ、及び30個の時間窓のうちの特定の時間窓を表す
【0114】
実験では、25個の指紋が使用され、25個の指紋の結果が合計された。いくつかの実施形態では、VS指紋は、単一のVS指紋を生成するために、複数のシグネチャを組み合わせることによって、例えば、平均化、投票、異常値の除外、または2つ以上の数値のセットを組み合わせるために使用される他の任意の統計的方法の少なくとも1つによって、生成される。
【0115】
上述のように、各係数モデルは特定の数の周波数帯域を含み、各周波数帯域は上限周波数値及び下限周波数値によって定義される。本発明のいくつかの実施形態によるVS指紋では、各パワー帯域の周波数範囲は、例えば、上限及び/または下限で、約5%、10%、20%、25%、または中間のパーセンテージで変動し得る。そのような変動は不均一である可能性がある。例えば、より高い周波数よりも低い周波数に対してより多くの変動性が許容される場合がある。例えば、具体的には、20Hz未満の周波数のパワー帯域のより低い周波数値またはより高い周波数値は、異なるVS指紋間で最大50%変動し得る。随意的または追加的に、例えば、20を超える周波数では、最大25%の周波数の変動が許容され得る。
【0116】
さらに、各指紋モデルは、EEGデータの後の時間遅延でBOLDの予測を生成する。例えば、VSの場合、モデルの一部として30秒の時間遅延が使用される。これは、脳領域のfMRI-BOLD活性化で示される血液動態学的反応を表している可能性があると考えられている。脳領域のこの血液動態学的反応は、脳領域の活性化を示す測定されたfMRIデータと、脳領域の活性化と相関するEEGデータとの間の時間差をもたらす。例えば任意選択で25%の範囲内で、他の遅延も同様に使用することができる。いくつかの実施形態では、より短い遅延、例えば50%短い遅延を使用することができる。
【0117】
30秒の時間遅延は、いくつかのオーバーラップする時間窓に分割され、任意選択で、それぞれ1秒の長さである。30秒の時間遅延内の各時間窓の長さ、及び時間窓間の重なりの程度は、他のVS指紋では、例えば、50%~200%の範囲で変化し得る。
【0118】
例えば、図1bに示すように、VS指紋には、強度レベルの最高四分位に強度値を持つ領域が含まれる。例えば、次のようになる。
パワー帯域3、電極C4の-4~-8秒の時間遅延窓内
パワー帯域3、電極F8及び電極T8の-5~-7秒の時間遅延窓内
パワー帯域4、電極P8の-4~-7秒の時間遅延窓内
パワー帯域5、全電極の-5~-8秒の時間遅延窓内
パワー帯域6、電極C4、F7、F8、T8、P8及びTP10の-5~-8秒の時間遅延窓内
パワー帯域7、電極T8及びP8の-5~-8秒の時間遅延窓内
例えば、図1bに示すように、VS指紋には、強度レベルの最低四分位に強度値を持つ領域が含まれる。例えば、次のようになる。
パワー帯域1、電極F7の-2~-5秒の時間遅延窓内
パワー帯域3、電極C4及びF7の-10~-14秒の時間遅延窓内
パワー帯域4、全電極の-10~-14秒の時間遅延窓内
パワー帯域5、電極F7の-11~-13秒の時間遅延窓内
パワー帯域6、電極F8の-12~-14秒の時間遅延窓内
パワー帯域6、電極TP9の-11~-14秒の時間遅延窓内
指紋は、VSの活動、例えばfMRI-BOLDを低い精度で予測するために、強度レベルの最低四分位に強度値を有する1つ以上の領域、及び/または強度レベルの最高四分位に強度値を有する1つ以上の領域を含んでもよい。
【0119】
VS指紋生成
指紋生成の1つの方法では、参加者が、例えば信号または刺激に随意的または不随意的に反応することによって、VSを選択的に活性化させ、その間に、fMRI信号及びEEG信号が参加者から記録される。信号の記録は、複数のデータセットを形成する。ある実験では、選択した楽曲を聴取しながら、14人の被験者からfMRI及びEEG信号が記録された。参加被験者はそれぞれ、被験者に感情的な感情を引き起こさないニュートラルな5つの楽曲と、ポジティブな感情(喜び)を誘発する好ましい5つの楽曲とを選択した。この数値は、VSシグネチャの生成に必須なものではなく、任意選択で統計的多様性を与えるものとして用いられる。様々な種類の楽曲を聴くことで、VSを選択的に活性化させることが可能となり、任意選択で(VS用)ローカライザを生成するために使用される。記録された信号の一部が破損していたため、被験者ごとに合計2×15分の信号が記録されて、25のデータセットを生成した。
【0120】
いくつかの実施形態では、記録することによって生成したデータセットは、交差検証、例えば「1個抜き」検証プロセスにかけられる。実験では、25の「1個抜き」交差検証プロセスが実行された。交差検証プロセスの各ラウンドで、25個のデータセットのうち24個を使用してモデルを生成し、1個のデータセットをテスト用に使用した。上記のように、各データセットには、選択した周波数パワー帯域1~8、選択した数(30)の時間遅延窓(長さ1秒)が既に含まれている。
【0121】
いくつかの実施形態では、例えば、データを表すいくつかの電極を選択するために、データセットのそれぞれに回帰が適用される。そして、選択した電極のデータを使用して、回帰行列の係数を作成する。実験では、グループ部分最小二乗(PLS)回帰を25個のデータセットの各データセットに適用して電極を選択した結果、8個の電極を選択したが、他の方法を適用することもできる。これにより、C4、F7、F8、T7、T8、P8、TP9、及びTP10の8つの電極が選択された。
【0122】
いくつかの実施形態及び実験において、行列は、「1個抜き」交差検証を使用して試験された。実験では、PLS回帰の3次成分が使用された。いくつかの実施形態では、交差検証の結果が良好な結果である場合、全てのデータセット、例えば、実験の25個のデータセットに対して、「1個抜き」交差検証を実行せずにPLSを実行することができる。
【0123】
実験では、データ処理の結果、25の行列を含むVSシグネチャが得られた。これらの25の行列は、新たに測定されたEEG信号の処理に適用され、その後、例えば、平均化、外れ値除去、投票などのうちの少なくとも1つによって結果が組み合わされる。他の実施形態では、シグネチャは、最初に単一の行列に結合され、次に取得されたEEGデータのストリームに適用される。
【0124】
以下は、VS指紋を使用してVSの活性化レベルを予測する方法の例である。
【0125】
被験者の頭部に取り付けられた単一のEEG電極ごとに1つずつ、8つのEEGストリームを記録しまたは受け取る。EEG電極は、位置C4、F7、F8、T7、T8、P8、TP9、及びTP10で被験者の頭部に取り付けられる。
【0126】
ストリームごとに、時間-周波数分解を実行して、関連する周波数帯域を抽出する。各周波数帯域は、周波数の範囲によって定義される。例えば、一連の周波数帯域のそれぞれにおけるパワーを抽出するために、FFTが使用される。そして、各周波数、(8つの電極の)各電極に対して、各時間窓における強度パワーを割り当て、結果として8×8×30の値を含む行列が得られる。
【0127】
データは、30秒の時間遅延窓内で取得される。時間遅延窓は、任意選択でfMRIデータの血液動態学的反応を反映し、fMRI-BOLD信号と、fMRI-BOLD信号と相関するEEG信号との間に、時間差を生じさせる。fMRI-BOLD信号と、fMRI-BOLD信号と相関するEEG信号との間の時間遅延窓の持続時間は、脳領域に依存し、例えば、扁桃体の時間遅延窓の持続時間は、約15秒に設定することができるのに対して、VSの時間遅延窓の持続時間は30秒である。
【0128】
そして、得られたデータに上記の指紋を掛け、合計し、切片値を加算して、VSの予測されたfMRI-BOLD活性化を表す活性化値を取得する。
【0129】
本発明のいくつかの実施形態では、得られた値は、相対値、例えばベースライン値に対する値として扱われる。本明細書で述べたように、ベースライン値は、例えばベースラインセッション(例えばニュートラルな楽しさを与える音楽)によって取得することができる。あるいは、得られた相対値により、活動の時間変化、特定の被験者の活動の変化、異なる状況間及び/または異なる刺激間の活動の変化を監視することが可能になる。一例は、出力をニューロフィードバック信号として使用することであり、VS活動の相対的な変化において患者を支援するために使用することができる。
【0130】
以下は、電極別に整理されたVS指紋の例である。コンマで区切られた各リーエン(lien)は、図1bに示すように、帯域1から8までのパワー帯域を反映している。任意選択の切片係数が最後に提供される。
【0131】
電極1
,0.0032508,0.0013711,0.0015937,0.0018316,0.0020579,0.0021995,0.0023128,0.0022573,0.0020198,0.0016218,0.0012903,0.0012532,0.0012822,0.0011754,0.00086328,0.00058774,0.00041185,0.000040076,-0.00057319,-0.0009794,-0.00055851,0.00066874,0.0021913,0.0033724,0.0035681,0.0028038,0.0015487,0.00036675,0.000048757,0.00060016
,0.0012301,0.00067077,0.000093305,0.000058644,0.00034685,0.00045444,0.00022619,-0.000048413,0.000048207,0.00028573,0.00039251,0.00037231,0.00017304,-0.0001359,-0.00043704,-0.00062194,-0.00075119,-0.0010069,-0.0012291,-0.0010565,-0.00025639,0.00095611,0.0018579,0.0019315,0.0010119,-0.00072467,-0.0022303,-0.0024356,-0.0011699,0.0011977
,0.0032393,0.0030041,0.0023267,0.001527,0.0007776,0.00039264,0.00057963,0.001097,0.0015312,0.00153,0.0012088,0.00085199,0.00066679,0.00061643,0.00048912,0.00026848,-0.00014134,-0.00070248,-0.0013542,-0.0020259,-0.0024479,-0.0023708,-0.0014664,-0.00043373,-0.0001575,-0.00069195,-0.0015146,-0.0016006,-0.0010148,0.00029114
,-0.00024397,-0.00014636,-0.000039397,-0.00025493,-0.00022669,-0.000011598,0.00016718,0.00014525,-0.000022093,0.000020707,0.000056058,-0.00018672,-0.00078081,-0.001594,-0.0022253,-0.002666,-0.003251,-0.0037348,-0.0041401,-0.0039953,-0.0025653,-0.00046183,0.0016755,0.002908,0.0027649,0.001647,0.00014521,-0.00055845,-0.00045143,0.00043825
,-0.00054842,-0.00085839,-0.00060833,-0.00040412,-0.00013358,-0.000044504,-0.000239,-0.00069292,-0.0012789,-0.0014653,-0.0013459,-0.0013168,-0.0016907,-0.0025083,-0.0034062,-0.0040503,-0.0044472,-0.0047947,-0.0052065,-0.0051403,-0.0039361,-0.0016433,0.00098993,0.0029304,0.0036969,0.0032572,0.0019924,0.0006747,-0.000020488,0.00030086
,0.000011233,-0.000038702,0.000082345,-0.00016764,-0.00044029,-0.00052468,-0.00053338,-0.00049667,-0.00035497,0.000039851,0.00053415,0.00097272,0.0011532,0.00069469,-0.00028681,-0.0012945,-0.0021057,-0.002836,-0.0032802,-0.0025002,-0.00033424,0.0023717,0.0046309,0.0056308,0.0054438,0.0044531,0.0031865,0.0023663,0.0021114,0.0023899
,-0.00057852,-0.00040605,0.00032262,0.00055009,0.00055466,0.00040854,-0.000019292,-0.00034161,-0.00049155,-0.00051507,-0.0005213,-0.00048739,-0.00060937,-0.0008765,-0.0011923,-0.0018793,-0.0028682,-0.0038538,-0.0041436,-0.0029458,-0.00044684,0.0026358,0.0051351,0.0060493,0.0056612,0.0043023,0.0022867,0.00070257,-0.000050864,0.0004295
,0.00073473,0.00095296,0.0013197,0.0014675,0.001465,0.0015291,0.001672,0.001813,0.0015993,0.00097095,0.00063616,0.00068733,0.00072356,0.00064063,0.00028771,-0.00024195,-0.00077675,-0.0011816,-0.0012875,-0.00089114,0.00016095,0.0017563,0.0032562,0.0037164,0.0028816,0.0011816,-0.00055647,-0.0015404,-0.0017486,-0.0012237
【0132】
電極2
,0.00070758,0.00049338,-0.00025269,-0.0009255,-0.0013884,-0.0017095,-0.001858,-0.0018608,-0.0015341,-0.0012014,-0.00087436,-0.0006717,-0.00087913,-0.0011346,-0.0013718,-0.0014764,-0.001551,-0.0017398,-0.0017797,-0.0014721,-0.00073918,-0.00003815,0.00034971,0.00026222,-0.00067257,-0.0020628,-0.0029786,-0.0026502,-0.0011273,0.0010057
,0.00066419,0.000018634,-0.00018295,-0.00015185,-0.000060117,-0.000052758,0.00021234,0.00088702,0.0017318,0.002494,0.002735,0.0024054,0.0016548,0.00076575,0.00017968,-0.00011634,-0.00039218,-0.00072495,-0.0011188,-0.0014491,-0.0015202,-0.0010496,0.000037281,0.00093638,0.00091939,-0.000087826,-0.0012008,-0.0013355,-0.00088714,-0.000012145
,-0.0019864,-0.0017544,-0.0013893,-0.0012296,-0.0010716,-0.0009679,-0.00090243,-0.00088089,-0.00090242,-0.00061405,-0.00011588,0.000026799,-0.00043221,-0.0012362,-0.0021782,-0.0033317,-0.0044603,-0.0049082,-0.0046576,-0.0036195,-0.0016275,0.0010505,0.0038132,0.0052698,0.005004,0.0034412,0.001404,0.00025895,-0.000023561,0.00038129
,-0.0027354,-0.0027693,-0.0022269,-0.0015309,-0.00081375,-0.0005802,-0.0010266,-0.0018673,-0.0025876,-0.002662,-0.0021926,-0.0017535,-0.0018274,-0.0025201,-0.0035602,-0.0045315,-0.0054826,-0.0063584,-0.0069843,-0.0067703,-0.0049794,-0.0019106,0.0013967,0.003555,0.0039315,0.0027576,0.00098557,-0.00017214,-0.000655,-0.00055504
,-0.0023021,-0.0017432,-0.00069458,0.000094315,0.00044102,0.00064851,0.00066921,0.00049209,0.00029133,0.00021964,0.0004141,0.00069477,0.00078391,0.00053649,-0.00030855,-0.0013917,-0.0019911,-0.0021474,-0.0020444,-0.0013134,0.00040931,0.0030921,0.0057528,0.0068418,0.0059714,0.0038593,0.0015832,0.00027649,0.00023972,0.0012295
,-0.0023606,-0.0022679,-0.0016685,-0.00097686,-0.00026799,0.00032157,0.00036519,-0.00012285,-0.00065721,-0.00064851,-0.000058859,0.00033208,-0.000031177,-0.00085342,-0.0016588,-0.0023815,-0.0029017,-0.0031193,-0.0030955,-0.002258,-0.00025327,0.0025489,0.0053579,0.0068266,0.00654,0.0050258,0.0028942,0.0013709,0.00083114,0.0011522
,0.00015621,0.000036679,0.00026436,0.00039132,0.00050502,0.00074741,0.00089267,0.0010284,0.0010751,0.00099081,0.0010534,0.0011325,0.00087939,0.00022909,-0.00045659,-0.0010978,-0.0017567,-0.0021934,-0.0022454,-0.0015555,-0.00025111,0.0013641,0.003025,0.0038934,0.0036631,0.0027147,0.0015822,0.00080908,0.00059024,0.00096467
,-0.00049432,-0.00060245,-0.00042828,-0.00017677,-0.000020081,0.00024463,0.00029495,0.00025871,0.00051874,0.00085073,0.0011718,0.0011349,0.00063869,0.000088394,-0.00037329,-0.00067877,-0.0010568,-0.0016263,-0.0019706,-0.0017403,-0.0010727,-0.00046784,-0.000096738,-0.000058898,-0.00039082,-0.00090462,-0.0014601,-0.0015981,-0.0013011,-0.00055526
【0133】
電極3
,0.0010437,0.00067,0.00028431,0.00031537,0.00063499,0.00095976,0.0012803,0.0016046,0.0020599,0.0023537,0.0022101,0.0018706,0.001394,0.00085239,0.00015065,-0.00077904,-0.001616,-0.0020814,-0.0020135,-0.0015488,-0.00077586,-0.000006805,0.00027054,-0.00025973,-0.0018563,-0.0038506,-0.0049521,-0.0044527,-0.0027281,-0.00058738
,0.0007168,0.00044882,0.00012396,-0.00018603,-0.00029759,-0.00024115,-0.000089511,0.0002235,0.00064819,0.0010912,0.0015802,0.001796,0.0015705,0.0011318,0.00056888,0.000092018,-0.00035396,-0.00091382,-0.0012228,-0.0010317,-0.00045952,0.00025194,0.00082919,0.00087767,0.00016148,-0.0010904,-0.0020506,-0.0018409,-0.00074135,0.00082015
,-0.0002613,0.00010998,0.000031542,-0.00078997,-0.0015317,-0.0018226,-0.0017137,-0.001426,-0.0013442,-0.0012341,-0.0010709,-0.0010689,-0.0014072,-0.0023463,-0.0033976,-0.0042542,-0.0049355,-0.0051816,-0.0051364,-0.0043864,-0.0026527,-0.00048477,0.0016142,0.0028432,0.0027758,0.0017343,0.00053856,0.000034962,0.00017413,0.00062256
,-0.00021689,-0.000065307,-0.00031933,-0.00088265,-0.0012559,-0.0013766,-0.0012865,-0.001185,-0.0011309,-0.0010306,-0.001088,-0.0011458,-0.0013444,-0.0020476,-0.0029153,-0.0039512,-0.0051877,-0.0062849,-0.0068406,-0.0062639,-0.0042459,-0.0011037,0.0017517,0.0031334,0.0027291,0.00094018,-0.00080433,-0.0017096,-0.0016768,-0.0007263
,0.0015304,0.0014579,0.0015823,0.0017047,0.0017581,0.0014986,0.00099941,0.00049243,0.00019992,0.0001549,0.00014873,0.00031209,0.00035886,-0.00029618,-0.0015817,-0.0030096,-0.0039505,-0.0042642,-0.0042569,-0.0034434,-0.0014891,0.001192,0.0038701,0.0051124,0.0044268,0.0026064,0.00059587,-0.0005645,-0.00074594,-0.00013741
,0.00012782,-0.00024187,-0.000479,-0.00031101,0.00015961,0.0010943,0.0020646,0.0023919,0.0022261,0.0019346,0.001652,0.001511,0.0013003,0.00076457,0.000070106,-0.00089024,-0.002055,-0.0030577,-0.0033828,-0.0022042,0.00056326,0.0040999,0.0070274,0.0078774,0.0063196,0.0033294,0.00044318,-0.0012364,-0.0014083,-0.00049313
,-0.00034172,-0.00041624,-0.00033987,-0.00030735,4.3813E-06,0.00078204,0.0018144,0.0024875,0.0026634,0.0024034,0.0016563,0.00067492,-0.0002229,-0.00075003,-0.00088864,-0.0007482,-0.00064922,-0.00084776,-0.0010368,-0.00060544,0.0006529,0.0023933,0.0036655,0.0035209,0.0019245,-0.00044281,-0.0022876,-0.0028061,-0.0021985,-0.001011
,0.0013953,0.0025712,0.0029288,0.0024772,0.0017492,0.00090807,0.00026513,0.000010255,0.00017945,0.00067656,0.00088853,0.00058551,0.000052757,-0.00052556,-0.00093584,-0.0012738,-0.0017498,-0.0022157,-0.0024538,-0.0021314,-0.0011378,0.00029536,0.0015006,0.0016537,0.00074097,-0.00064487,-0.0016808,-0.0016114,-0.00051797,0.00099725
【0134】
電極4
,-0.00053781,-0.00073994,-0.0011344,-0.0012832,-0.0011825,-0.0011841,-0.0011436,-0.001134,-0.00095854,-0.00044915,0.00019412,0.00072953,0.00093198,0.00096957,0.00077041,0.00018961,-0.00064134,-0.0012485,-0.0011904,-0.0005822,0.00021815,0.000839,0.0012134,0.0010905,0.00015389,-0.0012775,-0.0022929,-0.0020574,-0.0010584,0.00025233
,0.0003265,0.000053176,-0.00017694,-0.00037045,-0.0003797,-0.00033966,-1.7655E-06,0.00071081,0.0014525,0.0020623,0.0022624,0.0019249,0.0013461,0.00072128,0.000047115,-0.00060318,-0.0013506,-0.0020424,-0.0023991,-0.0024183,-0.002067,-0.0013344,-0.00012631,0.0010156,0.0012721,0.00045366,-0.00084777,-0.0016264,-0.0017495,-0.0010897
,-0.0012459,-0.0012728,-0.0010165,-0.00091803,-0.00064663,-0.00026032,-0.000008467,-0.000016974,-0.00030879,-0.00048884,-0.00042112,-0.0003534,-0.00050398,-0.00088521,-0.0013926,-0.0021681,-0.0033301,-0.0043002,-0.0047933,-0.0045471,-0.0030222,-0.00052632,0.0022284,0.0039026,0.0037622,0.0024575,0.00083207,0.00011116,0.00023797,0.00089483
,-0.0020381,-0.002433,-0.0025586,-0.0024128,-0.0018692,-0.0012145,-0.0007121,-0.000471,-0.00047935,-0.00061902,-0.00097389,-0.0015067,-0.0023589,-0.0034725,-0.0043286,-0.0047675,-0.0050644,-0.0054398,-0.005825,-0.0056945,-0.0042536,-0.0016409,0.0010414,0.0027301,0.0028394,0.0014346,-0.00058853,-0.0018893,-0.0019938,-0.0011465
,-0.0019591,-0.0016829,-0.0011464,-0.00084028,-0.00079438,-0.00090912,-0.0010319,-0.00098288,-0.00065109,-0.00014393,0.00046566,0.00087716,0.00063901,-0.00035308,-0.001699,-0.0026781,-0.0033316,-0.003706,-0.0034624,-0.0020574,0.00067286,0.0037717,0.0062353,0.0070486,0.0059119,0.003712,0.0015047,0.00039104,0.00045844,0.0012453
,-0.0010082,-0.00074887,-0.00035866,-0.00031374,-0.00052849,-0.00062692,-0.00037406,-0.00016962,-0.0002014,-0.00041248,-0.00064848,-0.00056354,-0.00053385,-0.00096692,-0.0017772,-0.0028033,-0.003639,-0.0038899,-0.0035073,-0.002015,0.00077781,0.0041763,0.0069576,0.007761,0.0063834,0.0034655,0.00033022,-0.0014303,-0.0015057,-0.00042894
,-0.0009628,-0.00095007,-0.00049549,-0.000030022,0.00042662,0.0010407,0.0018261,0.0024077,0.0024624,0.0021843,0.0020325,0.0019398,0.0014751,0.00071384,0.000074403,-0.00040506,-0.0010041,-0.0017637,-0.0024599,-0.0025445,-0.001773,-0.00015553,0.0015667,0.0021197,0.0013057,-0.00014612,-0.0011709,-0.0014162,-0.0011039,-0.00037768
,0.00036004,0.000056131,-0.00019375,-0.0003496,-0.00020979,0.00021525,0.00067057,0.00093286,0.0010855,0.0011676,0.0010189,0.00044409,-0.00063923,-0.0015799,-0.0018253,-0.0015321,-0.0013506,-0.0018133,-0.0023878,-0.0025109,-0.0023012,-0.0019659,-0.0016699,-0.0015446,-0.0018012,-0.0024326,-0.0028991,-0.0028102,-0.0022649,-0.0013408
【0135】
電極5
,0.00041893,0.000087192,-0.00033619,-0.00040906,0.000085229,0.00069855,0.0010769,0.0013215,0.0015381,0.0015938,0.0014038,0.00095794,0.00010228,-0.00077933,-0.0013192,-0.0017119,-0.0019473,-0.0020268,-0.0020278,-0.0016256,-0.00056972,0.00067867,0.0014918,0.0012744,-0.00028808,-0.0023766,-0.0035719,-0.0032107,-0.0016831,0.00024433
,0.0011892,0.00047678,-0.00028634,-0.00083463,-0.00074159,-0.00031671,0.000025832,0.00040581,0.00079836,0.00096389,0.0010209,0.00092159,0.00056332,0.00015147,-0.00029539,-0.00051178,-0.00051765,-0.00069629,-0.00080028,-0.00053911,2.9816E-06,0.00066315,0.0012776,0.0013823,0.00066388,-0.00057157,-0.0016705,-0.0019196,-0.0012978,-0.00012689
,-0.000021627,0.00040026,0.00046537,-0.00011082,-0.00066809,-0.00088125,-0.0009405,-0.001017,-0.0012341,-0.0012735,-0.0010494,-0.00084497,-0.00076746,-0.0011846,-0.0019404,-0.0026691,-0.0033958,-0.0038694,-0.0040742,-0.0035956,-0.0022127,-0.00048925,0.0011823,0.0022666,0.0025484,0.0021103,0.0012432,0.00064273,0.00042469,0.00053862
,0.00044603,0.00065288,0.00063477,0.00026018,0.00012712,0.000053816,-0.00013259,-0.00063188,-0.0013968,-0.0018699,-0.0019522,-0.0014943,-0.0010967,-0.0015234,-0.0026359,-0.0042637,-0.0057262,-0.0065948,-0.0069109,-0.0061917,-0.0042808,-0.0015646,0.0008618,0.002104,0.0020534,0.00074658,-0.00092346,-0.0019945,-0.0021351,-0.0011262
,-0.00025052,-0.0001836,-0.000082707,-0.00030486,-0.00027754,1.7204E-06,0.00011082,-0.00010849,-0.00047237,-0.00053604,-0.00019041,0.00042961,0.00083858,0.00056479,-0.000333,-0.0014163,-0.0020623,-0.0021775,-0.0022136,-0.0017054,-0.0001127,0.002163,0.0043456,0.0052232,0.0046002,0.0031287,0.0014284,0.00047678,0.00023159,0.0005134
,-0.0021002,-0.0026368,-0.0026645,-0.0023327,-0.0016638,-0.00085465,-0.00014594,0.000162,0.0002773,0.00036612,0.00022804,0.000049815,-0.00045685,-0.0012543,-0.0019182,-0.0025283,-0.0030217,-0.003502,-0.0036661,-0.002715,-0.00067008,0.0018054,0.0036969,0.0041893,0.003233,0.0011865,-0.0011132,-0.0026258,-0.002888,-0.00192
,-0.00011921,0.00025686,0.00035585,0.00018447,0.00032235,0.00097751,0.001862,0.0025451,0.0027845,0.0026431,0.0021614,0.0012338,0.00026664,-0.00027625,-0.00067604,-0.0010728,-0.0014715,-0.0019866,-0.0024172,-0.0023887,-0.0016269,-0.000059698,0.0016123,0.0022073,0.001334,-0.00048645,-0.0022007,-0.0028813,-0.0024726,-0.001511
,0.0013369,0.0024006,0.0028099,0.0025281,0.0020616,0.0015291,0.00087742,0.0003973,0.00044686,0.0010683,0.0018366,0.0019753,0.0013896,0.00044913,-0.0002399,-0.00050063,-0.00084965,-0.00117,-0.0013703,-0.0011215,-0.0002518,0.00072629,0.0013513,0.0010008,-0.00016902,-0.0014846,-0.0024512,-0.0023262,-0.0011251,0.00055947
【0136】
電極6
,0.0010642,0.00084056,0.00038686,0.00027106,0.00023181,-0.000042098,-0.00043715,-0.00080944,-0.0007242,-0.00044255,-0.0002896,-0.00028022,-0.00045825,-0.00060486,-0.00076485,-0.0010233,-0.0014138,-0.0018346,-0.0018832,-0.0013693,-0.00042897,0.00064785,0.0015205,0.001881,0.0013856,-0.000056033,-0.0015868,-0.0020568,-0.0012595,0.00055204
,0.0016902,0.0013806,0.00092953,0.00049993,0.000067134,-0.00015441,0.00019284,0.00092014,0.0016202,0.0019181,0.0017338,0.0012726,0.00077486,0.00038535,0.000072991,-0.00018954,-0.00054696,-0.00088386,-0.0010813,-0.0012548,-0.0012918,-0.0010103,-0.00017927,0.00066368,0.00075266,0.000014047,-0.00099438,-0.0013691,-0.0012215,-0.00043167
,-0.00099186,-0.0010168,-0.00076884,-0.0006996,-0.00046807,-0.00019154,-0.00007343,-0.00015396,-0.00037944,-0.00034128,-0.00008385,7.1662E-06,-0.00028123,-0.00086894,-0.0014925,-0.0021629,-0.0029635,-0.0034145,-0.0035238,-0.0030686,-0.0015789,0.00052388,0.0028015,0.00407,0.003722,0.0023494,0.00070623,0.000035826,0.00014348,0.00066905
,-0.00037736,-0.00059935,-0.00041203,-0.0002621,-0.000023123,0.000060633,-0.00016251,-0.00070322,-0.0014317,-0.0018893,-0.0020447,-0.002135,-0.0024999,-0.0033374,-0.0043642,-0.0051674,-0.0057728,-0.0062726,-0.0066312,-0.0063555,-0.0047773,-0.0021234,0.00079729,0.0030009,0.0038341,0.0031771,0.0015196,0.000076293,-0.00049508,-0.00014531
,-0.0022614,-0.0022232,-0.0018395,-0.0016547,-0.0017009,-0.0017957,-0.0017285,-0.001444,-0.00093859,-0.00039367,-0.000014101,0.00017922,0.000067917,-0.00053056,-0.0016268,-0.0025911,-0.0031624,-0.0035922,-0.003677,-0.0027658,-0.00056105,0.0024387,0.0050788,0.0060822,0.0054582,0.0040336,0.0026057,0.0019035,0.0018175,0.0021573
,-0.0021536,-0.0024091,-0.0022299,-0.0021883,-0.0019731,-0.0015124,-0.0011594,-0.0010007,-0.0011174,-0.0014414,-0.0016848,-0.0015929,-0.0013977,-0.0013576,-0.001478,-0.0019238,-0.0027466,-0.0036556,-0.0040069,-0.0029913,-0.00041389,0.0031628,0.0064362,0.0080487,0.0077121,0.0056544,0.0028828,0.0010322,0.00052762,0.0011856
,-0.0010657,-0.0010135,-0.00057739,-0.00016461,0.00023223,0.00063952,0.00086266,0.0010439,0.0010819,0.00094744,0.0011085,0.0013094,0.0010802,0.00057537,-0.000021725,-0.00063126,-0.0012073,-0.0016448,-0.0016638,-0.0010788,-0.000070154,0.0013916,0.003153,0.0041993,0.0039301,0.0025946,0.00084908,-0.00041288,-0.00088816,-0.00039882
,-0.00069512,-0.00099976,-0.00090095,-0.00075972,-0.0005364,-0.000042718,0.00037924,0.00071824,0.0010072,0.0011501,0.001262,0.0011076,0.00044354,-0.00037034,-0.00069565,-0.00037797,-0.000012048,-0.000079893,-0.0002962,-0.000071339,0.00055653,0.0010533,0.0013363,0.0013809,0.00097247,0.00018496,-0.0007053,-0.0011108,-0.00073359,0.00019358
【0137】
電極7
,0.0015083,0.0012229,0.00074521,0.00049276,0.00039884,0.00024463,-0.000092941,-0.00033774,-0.00022993,-0.000073224,0.000031171,0.000019158,-0.000048296,0.000080279,0.00028529,0.00054479,0.00065457,0.00022703,-0.00037214,-0.00051188,0.00012045,0.0013426,0.0023616,0.0024335,0.0011525,-0.0010242,-0.0024861,-0.0023234,-0.00067505,0.0019197
,0.0025214,0.0023041,0.0017437,0.0010049,0.0001955,-0.00029341,-0.0001431,0.00031517,0.00054693,0.00049122,0.00034271,0.00010665,-0.000061749,-0.00010154,0.000032302,0.00030099,0.00017544,-0.00042008,-0.001279,-0.0021111,-0.0025018,-0.0023091,-0.0014606,-0.00064141,-0.00059641,-0.0013814,-0.0022737,-0.0022183,-0.0013351,0.00013658
,0.000065186,0.00017761,0.00012113,-0.00031851,-0.00040358,-0.00010589,0.00021005,0.00028817,0.000084823,0.000071051,0.00019281,0.000051511,-0.00054177,-0.0015319,-0.0023886,-0.0029368,-0.0034477,-0.0037537,-0.0040382,-0.0038235,-0.0024721,-0.00054315,0.0014585,0.0024966,0.002128,0.00084058,-0.00076452,-0.0015761,-0.0013773,-0.00014724
,-0.001121,-0.001269,-0.00064157,-0.000096928,0.00018207,0.000014107,-0.00065514,-0.0015366,-0.0023491,-0.0026444,-0.002547,-0.0024572,-0.0025748,-0.0031777,-0.0041303,-0.0049475,-0.0054903,-0.0058645,-0.0061441,-0.0056449,-0.0037774,-0.00090632,0.0022209,0.004367,0.005048,0.0046817,0.0035908,0.0025262,0.0019352,0.0018777
,-0.00047404,-0.00035548,-0.00027446,-0.00082161,-0.0014168,-0.0015987,-0.0014365,-0.0010615,-0.00059902,-0.00013259,0.00016012,0.00032713,0.0004298,0.00021507,-0.00039083,-0.0011026,-0.0017471,-0.0023324,-0.0026096,-0.0018524,0.00015033,0.002824,0.0051615,0.0061115,0.0057334,0.0045902,0.0032819,0.0026061,0.0025057,0.0028801
,-0.0012572,-0.0016862,-0.0012326,-0.0007696,-0.00043581,-0.00033546,-0.00068731,-0.0010977,-0.0013901,-0.0014307,-0.0012844,-0.001266,-0.0014925,-0.0018537,-0.0020565,-0.0022104,-0.0024894,-0.0028701,-0.0030225,-0.0021238,-0.00010977,0.0024763,0.0048336,0.0059931,0.0060746,0.0051837,0.0033604,0.0017361,0.00054866,0.00032066
,-0.0011789,-0.00097954,-0.00037347,0.000040986,0.00039393,0.00088342,0.0012812,0.0015281,0.0013332,0.00085013,0.000804,0.0010601,0.0011329,0.0008638,0.00025219,-0.00053714,-0.0012194,-0.0014071,-0.00093123,0.00023709,0.0017723,0.0033529,0.0046898,0.0049716,0.003953,0.0020494,-0.000026452,-0.0013241,-0.0017177,-0.0012388
,-0.00041107,-0.00017286,0.00057806,0.0012239,0.0015642,0.0018028,0.0017653,0.0015145,0.0011441,0.00077839,0.00081358,0.00084373,0.00037821,-0.00028533,-0.00072342,-0.00063599,-0.00032843,-0.00033087,-0.00040528,-0.000011052,0.00083377,0.0016325,0.0020568,0.0019311,0.0011895,0.00018649,-0.00068916,-0.00096849,-0.0006032,0.00009488
【0138】
電極8
,-0.000038801,-0.00042577,-0.00073712,-0.00069522,-0.00025079,0.000095194,6.9143E-06,-0.000057266,0.0002174,0.00062698,0.00075129,0.00048819,-0.00015536,-0.0009014,-0.001284,-0.0015206,-0.0017767,-0.0019946,-0.0019984,-0.0013287,0.000091393,0.0015921,0.0025449,0.0025208,0.0011924,-0.00082855,-0.0023666,-0.0026434,-0.0018038,-0.00016066
,0.0013037,0.00097207,0.00053949,0.00016194,0.00021802,0.00047577,0.0006354,0.00079097,0.00096711,0.001036,0.0010861,0.0011058,0.00091206,0.00048481,-0.00010097,-0.00044126,-0.00046107,-0.00053946,-0.00047883,0.00010393,0.0011234,0.0024129,0.0035123,0.0036142,0.0024653,0.00056501,-0.0010062,-0.0014567,-0.00086637,0.00030819
,-0.0002501,-0.00012812,0.000011483,-0.00025911,-0.0005352,-0.00057286,-0.00067337,-0.00088032,-0.0011126,-0.0011853,-0.00099372,-0.00076223,-0.00066863,-0.0010023,-0.0016783,-0.0024247,-0.0031015,-0.00353,-0.0039128,-0.0038461,-0.0029663,-0.0014762,0.00027362,0.0015286,0.0019671,0.0015141,0.00049337,-0.0002073,-0.00025915,0.00020412
,-0.00013331,8.6474E-06,0.00034874,0.00047288,0.00062381,0.00064829,0.00047625,0.00004874,-0.00035857,-0.00037193,-0.000193,0.00023529,0.00036356,-0.00022028,-0.0013645,-0.0030462,-0.0044681,-0.0052656,-0.0056879,-0.0052447,-0.0036234,-0.0010357,0.0016432,0.0031448,0.0029809,0.0014433,-0.00045993,-0.0015865,-0.001467,-0.00015038
,-0.000093839,0.00014214,0.0003863,0.000077505,-0.00017544,-0.00024836,-0.0003485,-0.00062455,-0.00088805,-0.00064176,-0.00014092,0.00039621,0.00071403,0.00047717,-0.00011493,-0.00080745,-0.00138,-0.0017595,-0.0020657,-0.0017254,-0.00023692,0.0019226,0.0038799,0.0047294,0.0044452,0.0033583,0.0018676,0.00081997,0.0002282,0.00035127
,-0.0015998,-0.0022408,-0.002582,-0.0025404,-0.0021521,-0.0017047,-0.0012723,-0.0011345,-0.0010908,-0.00095003,-0.0010285,-0.0012762,-0.0018166,-0.0025022,-0.0030936,-0.0036314,-0.004019,-0.0044219,-0.0046231,-0.0038908,-0.0020033,0.00067999,0.0030755,0.0039075,0.0030215,0.00093249,-0.0014168,-0.0026126,-0.0023521,-0.00093514
,0.00047561,-0.00020851,-0.00086267,-0.0016347,-0.0019669,-0.0014337,-0.00021323,0.0010117,0.0016183,0.0013954,0.00056989,-0.00043336,-0.00132,-0.0017901,-0.0019182,-0.0018963,-0.0019579,-0.0022977,-0.0025719,-0.0022948,-0.0011745,0.00059032,0.0021182,0.0025491,0.0016279,-0.00018848,-0.0019956,-0.0029722,-0.0028087,-0.0018983
,-0.00012285,0.00067463,0.0013645,0.0017515,0.001921,0.0018827,0.0016764,0.0013208,0.00086421,0.00053301,0.00037478,0.00036506,0.00043606,0.00049223,0.00053122,0.00044908,0.00010044,-0.00065552,-0.0014903,-0.001734,-0.0012749,-0.0005539,-0.0001449,-0.00040159,-0.0012091,-0.0022886,-0.0033608,-0.0037048,-0.003008,-0.001406
切片 0.0016374
【0139】
中脳辺縁系脳領域の監視活動の例
いくつかの例示的な実施形態によれば、中脳辺縁系の少なくとも1つの特定の脳領域の活動は、記録された電気信号、例えばEEG信号を使用して監視される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの特定の脳領域の活動は、空間スキャンデータ、例えばfMRIデータを必要とせずに、監視される。いくつかの実施形態では、中脳辺縁系の機能及び/または報酬系の機能を推定して、例えば、被験者が報酬系を自己調節することの難しさに苦しんでいるかどうかを判定する。任意選択で、中脳辺縁系の機能及び/または報酬系の機能を推定することにより、被験者を報酬系関連疾患、例えば無気力症及び/または無快感症と診断することが可能になる。
【0140】
ここで図1Cを参照して、本発明のいくつかの例示的実施形態による、中脳辺縁系の少なくとも1つの脳領域及び/または報酬系の少なくとも1つの脳領域の活動を監視するためのプロセスを示す。
【0141】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ブロック128で、少なくとも1つの刺激が被験者に提供される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの刺激は、中脳辺縁系の少なくとも1つの特定の脳領域の活性化レベルに影響を与えるように選択される。代替的または追加的に、少なくとも1つの刺激は、報酬系の少なくとも1つの特定の脳領域の活性化レベルに影響を与えるように選択される。いくつかの実施形態では、刺激は、例えば、少なくとも1つの特定の脳領域の活性化を変更する方法で、被験者と刺激との関わりを促進する刺激の能力に基づいて選択される。
【0142】
いくつかの例示的な実施形態によれば、刺激は、聴覚刺激及び/または視覚刺激を、例えば音楽及び/または映画の形で含む。いくつかの実施形態では、刺激は、ディスプレイ、スピーカ、ヘッドフォン、及びイヤフォンのうちの少なくとも1つによって被験者に提供される。
【0143】
いくつかの例示的な実施形態によれば、中脳辺縁系の少なくとも1つの特定の脳領域の活動が、ブロック130で判定される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの特定の脳領域の活動は、被験者の脳から記録された電気信号、例えばEEG電気信号に基づいて判定される。いくつかの実施形態では、電気信号は、被験者の頭部、例えば被験者の頭皮に取り付けられた1つ以上の電極によって記録される。任意選択で、電気信号は、刺激の提供中に記録される。
【0144】
いくつかの例示的な実施形態によれば、少なくとも1つの特定の脳領域の活動は、記録された電気信号の少なくとも一部と、例えば少なくとも1つの特定の脳領域の活動レベルを示す少なくとも1つの特定の脳領域の活性化指紋との間の相関関係を特定することによって判定される。任意選択で、活性化指紋は、少なくとも1つの特定の脳領域の特定のfMRI-BOLD活性化を示す。あるいは、活性化指紋は、少なくとも1つの特定の脳領域の活性化の変化を示す。
【0145】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ブロック134で、少なくとも1つの特定の脳領域の活動レベルが刺激に応答して変化しない場合に、被験者は報酬系関連疾患であると診断される。いくつかの実施形態では、報酬系関連疾患は無快感症及び/または無気力症を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの特定の脳領域の活動が、刺激を提供した後に、ベースライン活動レベルと比較して、最大10%、例えば最大5%、最大3%、最大1%の、または任意の中間の、より小さいもしくはより大きいパーセンテージ値の範囲内に留まる場合、被験者は疾患であると診断される。任意選択で、ベースライン活動レベルは、ブロック128で、刺激を提供する前に判定された。
【0146】
いくつかの例示的な実施形態によれば、脳領域の活動レベルが増加した場合に、ブロック136で刺激が変更される。いくつかの実施形態では、刺激は、例えば健常者については、少なくとも1つの特定の脳領域の活性化における正のフィードバックループを促進するように変更される。任意選択で、刺激の品質は、少なくとも1つの特定の脳領域の活動の増加に従って増加させられる。いくつかの実施形態では、刺激の品質を高めることは、刺激のハーモニーを高めること、または刺激の劣化レベルを下げることを含む。任意選択で、電気信号は、脳領域の活動を変更しながら被験者の脳から記録される。
【0147】
いくつかの例示的な実施形態によれば、被験者は、変更した刺激の提供後に、少なくとも1つの特定の脳領域の活動の増加が、目標増加レベルよりも小さい、例えば、少なくとも1つの特定の脳領域の以前に判定された活動レベルと比較して、10%未満、5%未満、3%未満、1%未満、または任意の中間の、より小さいもしくはより大きいパーセンテージ値の場合に、報酬系関連疾患であると診断される。任意選択で、特定の脳領域の以前に判定された活動レベルは、変更した刺激を被験者に提供する前に判定される。
【0148】
いくつかの例示的な実施形態によれば、報酬系関連疾患と診断された被験者は、ブロック138で、任意選択でニューロフィードバック治療で治療される。あるいは、被験者は、少なくとも1つの薬物との併用で、ニューロフィードバック治療で治療される。
【0149】
正のフィードバックの送達の例
次に図1Dを参照して、本発明のいくつかの例示的実施形態による、少なくとも1つの特定の脳領域の活性化を増加させるように選択された正のフィードバック信号を被験者に提供するためのプロセスを示す。
【0150】
いくつかの例示的な実施形態によれば、電気信号、例えばEEG電気信号は、ブロック142で、深部に位置する脳領域から記録される。いくつかの実施形態では、深部に位置する脳領域は、被験者の皮質下に位置する脳領域である。任意選択で、深部に位置する脳領域は、健康なヒト被験者における深部に位置する脳領域の活動レベルと比較して低い活動レベルを有する脳領域である。
【0151】
いくつかの例示的な実施形態によれば、電気信号の記録中に、被験者は、任意選択で1つ以上のタスクを実行するように、及び/または1つ以上の戦略を適用するように、指示される。任意選択で、タスク及び/または戦略は、例えば深部に位置する脳領域に関連する脳領域の活動を増加させることによって、深部に位置する脳領域の活性化を直接的または間接的に増加させる能力に基づいて選択される。
【0152】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ブロック144で、少なくとも1つの特定の脳領域の活性化の増加が識別される。いくつかの実施形態では、増加は、記録された電気信号の少なくとも一部と、深部に位置する脳領域の活性化、深部に位置する脳領域の特定の活性化レベル、及び/または深部に位置する脳領域の活性化の変化の少なくとも1つを示す、深部に位置する脳領域の電気指紋、例えばEFPとの間の関係を識別することによって識別される。
【0153】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ブロック146で正のフィードバック信号が被験者に提供される。いくつかの実施形態では、正のフィードバック信号は、被験者の深部に位置する脳領域の活性化における正のフィードバックループを促進するように選択されたパラメータ値を設けられている。いくつかの実施形態では、脳領域の活性化の識別された増加に従って、正のフィードバック信号が提供され、及び/またはパラメータ値が決定される。いくつかの実施形態では、正のフィードバック信号は、音声信号及び/または視覚信号を含む。いくつかの実施形態では、フィードバック信号のパラメータは、フィードバック信号の品質、音量、ハーモニー、及び持続時間のうちの少なくとも1つを含む。
【0154】
劣化させたフィードバック信号の品質を向上させる例
いくつかの例示的な実施形態によれば、ニューロフィードバックプロセス、例えばニューロフィードバック治療手順またはニューロフィードバックトレーニング手順の一部として、劣化させたフィードバック信号が被験者に提供される。いくつかの実施形態では、ニューロフィードバックプロセス中に、特定の深部に位置する脳領域、例えば皮質下に位置する特定の脳領域の活動レベルに従って、劣化させたフィードバック信号が向上させられる。ここで図1Eを参照して、本発明のいくつかの例示的な実施形態による、特定の脳領域の活性化レベルの増加によるニューロフィードバック信号の向上を示す。
【0155】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ブロック152で、フィードバック信号、例えば音声信号及び/または視覚信号が劣化させられる。いくつかの実施形態では、フィードバック信号が音声信号、例えば楽曲である場合、楽曲は、楽曲の以前のバージョン及び任意選択で聴き慣れたバージョンと比較して劣化させられる。いくつかの実施形態では、楽曲は、修正、例えば、1つ以上の音符を異なる音符に置き換えることによって、または楽曲の1つ以上の音符の順序を入れ替えることによって、劣化させられる。代替的または追加的に、楽曲は、音量、例えば楽曲のサウンドレベル、楽曲のピッチ、流れ及び/または速さを変更することによって劣化させられる。
【0156】
いくつかの実施形態では、フィードバック信号が視覚信号、例えば映画である場合、映画は、映画の以前のバージョン及び任意選択で見慣れたバージョンと比較して劣化させられる。いくつかの実施形態では、映画は、1つ以上のピクセルを除去すること及び/または置き換えること、映画の速度及び/または音量を変えることによって劣化させられる。
【0157】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ブロック154で、劣化させたフィードバック信号が被験者に送達される。いくつかの実施形態では、劣化させた信号は、インターフェース、例えばディスプレイ、スピーカ、ヘッドフォン及び/またはイヤフォンのうちの少なくとも1つを備える患者インターフェースによって送達される。
【0158】
いくつかの例示的な実施形態によれば、電気信号は、ブロック156で、深部に位置する脳領域から記録される。いくつかの実施形態では、電気信号、例えばEEG電気信号は、被験者の頭部、例えば被験者の頭蓋骨に取り付けられた1つ以上の電極によって記録される。任意選択で、電気信号が記録される。いくつかの実施形態では、電気信号は、図1Dのブロック142で前述したように記録される。
【0159】
いくつかの例示的な実施形態によれば、電気信号の記録中に、被験者は、任意選択で1つ以上のタスクを実行するように、及び/または1つ以上の戦略を適用するように、指示される。任意選択で、タスク及び/または戦略は、例えば深部に位置する脳領域に関連する脳領域の活動を増加させることによって、深部に位置する脳領域の活性化を直接的または間接的に増加させる能力に基づいて選択される。
【0160】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ブロック158で、深部に位置する脳領域の活性化の増加が識別される。いくつかの実施形態では、活性化の増加は、ブロック156で記録された電気信号を使用して識別され、例えば図1Dのブロック144で前述したように識別される。
【0161】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ブロック160で、フィードバック信号の品質が上げられ、例えば向上させられる。さらに、ブロック156で電気信号を記録している間に、向上させたフィードバック信号が被験者に送達される。いくつかの実施形態では、フィードバック信号の品質は、例えば、フィードバック信号を変更することによって向上させられて、フィードバック信号の以前のバージョン及びより馴染みのあるバージョンにより類似するようになる。いくつかの実施形態では、フィードバック信号の品質は、例えば、フィードバック信号がブロック152で劣化させられたときに導入された品質を落とす変更の少なくともいくつかを除去することによって向上させられる。
【0162】
VS指紋を生成するための詳細なプロセスの例
行為の理論または作用機序に少しもとらわれるつもりはないが、報酬価値の割り当ては人間行動の重要な原動力である。コア報酬システムの形成における上行性中脳辺縁系ドーパミン信号伝達の重要な役割は、多くの証拠によって指摘されている。集まりつつある証拠は、この腹側線条体(VS)、腹側被蓋野(VTA)、及び腹内側前頭前皮質(vMPFC)などの中脳辺縁系神経路の主要なノードが、食物及び金銭などの様々な種類のインセンティブ処理に関与していることを示唆しており、最近の証拠は、この系が音楽刺激によっても関与することが示されている。これらの研究により、さらに、報酬処理の相関するものの1つとして局所ドーパミン放出がクローズアップされた。それに応じて、報酬回路の障害は、様々な精神障害における何らかの苦痛の原因となる無快感症及び無気力症の症状と関連付けられてきた。しかし、現在までのところ、これらの症状の治療は限られている。したがって、容易にアクセスできて上行性中脳辺縁系をリアルタイムで選択的に監視しターゲットとする、非侵襲的でアクセス可能な方法の必要性が高まっている。
【0163】
いくつかの例示的な実施形態によれば、電気信号、例えばEEG電気信号、及びスキャンデータ、例えばfMRIデータが、1人または複数の被験者、例えば2人、5人、10人、20人、30人または任意の中間の、より小さいまたはより大きい人数の被験者から受け取られる。いくつかの実施形態では、EEG電気信号及びfMRIデータが同時に記録される。任意選択で、EEG電気信号及びfMRIデータは、VSの活動レベルを調節する少なくとも1つの活動を1人または複数の被験者が実行している間に記録される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活動は、報酬関連のタスク及び/または中脳辺縁系を活性化するタスクを含む。いくつかの実施形態では、中脳辺縁系を活性化するタスクは、快い自然主義的な音楽を聴取するタスク、金銭的インセンティブ遅延(MID)、ドア推測タスク、ギャンブルタスク、罰、報酬、及びインセンティブ動機付け(PRIMO)ゲーム、安全または危険なドミノ選択タスク(Kahn et al., 2002)、非常に心地よい画像やビデオクリップを見ること、非常に心地よい音を聞くこと、前向きな記憶の回想またはその任意の変更を含む。あるいは、またはさらに、少なくとも1つの活動は、薬理学的操作、例えばドーパミン作動薬の投与を含む。
【0164】
いくつかの実施形態及びVS-EFPを生成するために実行される実験プロセスでは、20チャネルヘッドコイルを有する3T Siemens MAGNETOM Prismaスキャナ(Siemens,Erlangen,Germany)を使用して、構造的及び機能的スキャンが実行された。機能的全脳スキャンは、T2*強調グラディエントエコーエコープラナーイメージングシーケンス(TR/TE=2620/30ミリ秒、フリップ角=90°、64×64行列、FOV=192×192mm、厚さ3mm及びギャップなしでボリュームあたり43スライス)を使用して、インターリーブされた上から下の順序で実行された。画像面の位置決めは、矢状面で取得したスカウト画像に対して実行された。各音楽聴取セッションで合計345ボリュームが取得され、MIDセッションでは278~332ボリュームが取得された。3D解剖学的T1強調イメージングは、高解像度の構造画像を提供するために1mm等方ボクセルでMPRAGEシーケンスを使用して取得された。
【0165】
いくつかの実施形態、及びVS-EFPを生成するために実行された実験プロセスでは、EEGデータがfMRIスキャンと同時に記録された。データは、バッテリ駆動のMR互換のBrainAmp-MR EEGアンプ(Brain Products,Munich,Germany)と、30のEEGチャネルと1つの心電図(ECG)チャネルとを提供する焼結Ag/AgClリング電極を備えたBrainCap電極キャップ(Falk Minow Services,Herrsching-Breitbrunn,Germany)とを使用して取得された。電極は、前中心基準を使用して10/20システムに従って配置された。信号は増幅され、5kHzでサンプリングされ、Brain Vision Recorderソフトウェア(Brain Products,GmbH,Gilching,Germany)を使用してさらに記録された。
【0166】
データ分析と前処理
ステップ1-fMRIとEEGの前処理:
いくつかの実施形態、及びVS-EFPを生成するために実行された実験プロセスでは、記録されたfMRIデータ及び受け取ったEEG信号が前処理された。いくつかの実施形態及び実験において、例えば、Brain-voyager QX(Brain Innovation, Maastricht, The Netherlands)を使用して行われたfMRI前処理は、スライスタイミング補正、sinc内挿を使用した運動補正、及びスキャンごとに3サイクルのハイパスフィルタリングのうちの少なくとも1つを任意選択で含んだ。いくつかの実施形態及び実験プロセスでは、その後、各機能データセットは、対応する解剖学的マップに手動で再登録され、例えば三線補間によって3Dデータセットに組み込まれた。いくつかの実施形態及び実験プロセスにおいて、得られたデータは次にタライラッハ空間に変換され、任意選択でガウスカーネル(等方性4mm FWHM)を使用して空間的に平滑化された。
【0167】
いくつかの実施形態及び実験プロセスにおいて、EEGデータの前処理は、BrainVision Analyzerソフトウェア(Brain Products,GmbH,Gilching,Germany)を使用して任意選択で行われ、MR勾配アーチファクト除去、250Hzへのダウンサンプリング、0.075Hz~70Hzのバンドパスフィルタリング、及び半自動Rピーク検出を用いる心拍性アーチファクト除去の少なくとも1つを含んでいた。さらに、前処理には、平均化されたアーチファクトテンプレートの減算に基づく補正が含まれていた。
【0168】
いくつかの実施形態及び実験プロセスでは、例えば、スキャナノイズに起因する可能性のあるEEGデータ内のその周波数の周期的ノイズを考慮するために、33Hzのノッチフィルタリングが適用された。必要に応じて、頭の動きなどによるアーチファクトの可能性を考慮するために、定常部分空間分析[SSA]の分析アプローチを使用して、データ内の非定常成分を検出するための追加の前処理ステップが適用された。このアプローチを使用すると、関連付けられた固有値がしきい値P50+5・(P75-P25)よりも大きい場合、成分は「外れ値」と見なされる。ここでPはi番目のパーセンタイルを表す。さらに、各成分では、通常よりも大幅に高いエネルギーを伴う「問題のある」期間が検出され、(それらをゼロにすることによって)削除される。
【0169】
ステップ2-ターゲットfMRI信号とターゲットfMRI信号を予測するためのEEG特徴空間とを定義する
いくつかの実施形態及び実験プロセスにおいて、両側VSからのBOLD信号は、マップ上で平均化することによって抽出された。
【0170】
いくつかの実施形態及び実験プロセスでは、報酬処理に関連するVS活性化のEEGモデルを抽出するために、VSからのBOLD信号(右及び左)が抽出される。必要に応じて、報酬処理との機能的関連性を確保するために、VS関心領域(ROI)が、Neurosynthマップ(www(dot)neurosynth(dot)org/)を使用して定義され、報酬という用語のメタ分析を示した。ROIは、「報酬」の前方推論メタ分析マップに14.5のしきい値を適用することによって定義された。BOLD活性化の経時変化が、このROIマスク内の全てのボクセルに対して抽出され、それらのボクセル全体で平均化されることによって、全ての実行及び参加者に対して1つの経時変化が利用可能になった。次に、抽出されたBOLD信号内の非神経変動を考慮するために、線形回帰を使用して、結果の経時変化から白質及び脳脊髄液の平均信号変化を回帰させた。次に、得られたBOLD信号は、例えば2Hzにアップサンプリングされ、zスコア(ゼロ平均及び1標準偏差)に正規化された。
【0171】
いくつかの実施形態及び実験プロセスでは、EEG特徴空間を準備するために、例えば各チャネルの時系列から8つの周波数帯域の対数パワーを抽出することによって、任意選択でMatlab関数bandpower.mを使用して、時間周波数ドメインにおけるEEG時系列が表される。いくつかの実施形態及び実験プロセスでは、帯域パワー推定は、スライディングウィンドウ、例えば約1秒のスライディングウィンドウ及び約0.5秒のオーバーラップで実行され、任意選択で約2Hzのサンプリングレートを有する経時変化をもたらした。
【0172】
いくつかの実施形態及び実験プロセスでは、帯域への分割は、次のようにEEG周波数帯域(Hz単位)への分割に従った。すなわち[0-2;2-4;4-8;8-12;12-16;16-20;20-25;25-40]。必要に応じて、各周波数帯域のパワーを表す結果として生じる時系列は、さらにスパイク除去手順にかけられ、それにより、中央絶対偏差を超える値が平均信号に置き換えられた。
【0173】
いくつかの実施形態及び実験プロセスでは、fMRIデータにおける血液動態学的反応を考慮するために、0.5秒ずつ30秒まで各特徴の時間遅延バージョンが追加されて、例えば帯域及びチャネルごとに60のシフトされた時系列が生成された。任意選択で、または追加として、得られた時間はzスコアに正規化され、各周波数を平均ゼロのままにした。
【0174】
いくつかの実施形態及び実験プロセスでは、この特徴抽出ステップは、多次元の正規化された特徴空間、例えば次のように、[チャネル×周波数帯域×遅延×時間サンプル]/[CH*FQ*D*T]と定義されるEEGシグネチャまたは指紋をもたらした。この特徴空間は、VSのBOLD活動を予測するために使用されて、時点Tで観測されたBOLD信号は、Tからの遅延Dにおけるグループ電極CHの周波数帯域FQのパワーを使用して、EEGから予測できるようにした。
【0175】
ステップ3-「指紋法」-EEG機能空間を使用した、処理されたVS―BOLD信号のモデリング
いくつかの実施形態及び実験プロセスにおいて、モデルが2つの主なステップでトレーニングされた。第1のステップ中に、モデルで使用すべきチャネルが選択され、第2のステップ中に、部分最小二乗(PLS)回帰が、調整されたEEG特徴空間及びfMRIデータに対して適用された。
【0176】
いくつかの実施形態及び実験プロセスでは、各モデリングの反復において、モデルに入力されたデータは、全てのセッションの連結データであった。チャネル選択ステップ中に、Witten DM et al., 2009で使用されたアプローチを変更して、係数のグループ(各グループはチャネルに対応する)にペナルティを伴うPLSモデルに適合させた。
【0177】
次の最適化問題が解決された。
【数1】
ここで、ΣfeはfMRIとEEG特徴の時系列の共分散行列、
【数2】
はfMRI及びEEG成分間の共分散を最大化することを目的とする重み、
【数3】
はグループラッソペナルティ、cはグループラッソペナルティを操作するパラメータである。fMRIデータに単一の時系列が含まれる場合、w=1を設定してwを最適化する。この実施態様では、所望のチャネル数が選択されるようなcの値を探している。
【0178】
いくつかの実施形態及び実験プロセスでは、チャンネル選択に続いて、PLSモデルがフィッティングされる(matlab plsregress)。
【0179】
設定する必要があるパラメータは2つあり、選択されたチャネルの数(技術的な理由から8に制限した)及びPLSの成分数である。必要に応じて、tがこれらのパラメータの最良の値を推定し、グリッド検索及び交差検証法が使用された。交差検証フォールドにわたり平均性能を最大化する値が選択された。性能として、モデルの出力とfMRI―BOLD信号との間の相関関係が使用された。セッション間のデータ及びノイズパターンには大きなばらつきがあるため、モデルの汎化能力を正しく推定するには、性能の推定に使用するデータとは独立したデータでモデルを確実にトレーニングする必要がある。したがって、1セッション抜き交差検証(LOOCV)方法が使用された。この方法では、各フォールドでセッションの1つが除外され、残りのセッションでモデルがトレーニングされる。
【0180】
いくつかの実施形態及び実験プロセスでは、一般化誤差を推定するために、内部LOOCVを伴う外部LOOCVを適用してパラメータを決定した。必要に応じて、最終的なモデルフィッティングのために、以前と同様にLOOCVを使用したが、最後のステップで適切に実行されたセッションのみを考慮した(相関はしきい値よりも高く、この場合はr_threshold=0.1である)。モデルを新しいデータに適用する場合、CVに適合させたモデルの予測を平均化する。
【0181】
ステップ4-指紋の空間分布の検証と描写
いくつかの実施形態及び実験プロセスでは、共通のモデル係数行列が生成され、これは交差検証で適合されたモデルの予測を平均することによって得られる。次に、モデルは、追加の文脈でモデルを検証し、VSの抽出されたモデルに関連する脳ネットワーク構成を描写するために指定されたいくつかの補完的な分析ラインにかけられる。
【0182】
予測されたVS―BOLD活動(すなわち、VS-EFP)の抽出:いくつかの実施形態及び実験プロセスにおいて、VS-EFPの時系列は、記録されたEEGデータに共通モデル係数行列を掛けることによって作成された。モデルに使用されるEEGデータ(特徴)は、電極C4、F7、F8、T7、T8、P8、TP9、及びTP10から記録された時間/周波数行列であり、30秒の時間窓内の全ての周波数帯域を含む。
【0183】
そして、得られたVS-EFPは、EFPの評価を含む一連の補完的な検証分析、すなわち1)モデリング性能:VS-EFPとNAcc-BOLD信号とを相関させ、グループの相関係数の統計的有意性を評価すること、2)空間特異性:VS-EFPによって強く予測されるボクセルを強調表示すること(これは、VS-EFPを目的のリグレッサとして、全脳ランダム効果一般線形モデル分析を任意選択で適用することによって達成された)、3)タスク関連調節:関連タスクと同様に、報酬によってVS-EFPが調節されているかどうか、及びどのように調節されているかを調べること(これは、VS-EFPを従属変数とし、報酬関連の設計(つまり、音楽の評価)を予測子として、ランダム効果一般線形モデル分析を適用することによって達成された)、にかけられた。
【0184】
統計分析
fMRIタスク分析
統計分析は、例えばBrainVoyager QXソフトウェアで実装されているランダム効果一般線形モデルに従って実行された。
【0185】
快い状態とニュートラルな状態とは、2つの時間スケール、一時的及び持続的でモデル化され。音楽に対する一時的な開始反応は、各抜粋の開始に時間ロックされた5秒間の反応としてモデル化された。持続的な反応は、各抜粋の開始後5秒に時間ロックされ、持続時間を175秒としてモデル化された。音楽に対する報酬関連の反応は、スキャン後に提供され、オフラインでスキャンと同期された継続的な評価に基づいてモデル化された。
【0186】
反応は、参加者がボタンを押した瞬間に時間ロックされたイベントとして、評価の増加または減少の瞬間に分割され、音楽の状態ごとにそれぞれ評価の正または負の変化を示した。
【0187】
金銭的インセンティブ遅延(MID)タスクの場合、金銭的または対照試験の期待、正及び負のフィードバック条件の開始は、対応するキューが現れた瞬間に時間ロックされてモデル化された。反応フェーズは、時間推定タスクを実行するためのキューが現れた瞬間にロックされた時間でさらにモデル化された。
【0188】
両方のタスクで、リグレッサはその後、正規の血液動態学的反応で畳み込まれた。モデル推定に続いて、快楽反応の増加と減少との差を計算して、快い音楽条件での音楽報酬に対する反応を評価し、金銭的条件での正及び負のフィードバック間の差を計算して、金銭報酬に対する消費反応を評価した。対照は、グループ効果を評価するために、第2のレベルのランダム効果分析にかけられた。
【0189】
VS-EFP BOLD相関(EFP検証):上記と同じ原則に従ってランダム効果一般線形モデル分析が実施され、このときVS-EFP時系列を対象のリグレッサとして使用し、この調節の対照が1サンプルt検定を使用した変量効果分析にかけられた。
【0190】
上記の一般的な線形モデル分析では、6つの頭部運動パラメータと白質の平均信号とが追加され、運動及びその他の非神経関連の分散が回帰された。誤検出率(FDR)を制御するためのBenjamini Hochberg手順を適用することにより、多重比較の修正が達成された。有意性の統計的しきい値は、4つの隣接する機能ボクセル(>64mm)の最小クラスターサイズでさらに設定された。
【0191】
VS-EFP検証分析。VS-EFPタスク関連調節
VS-EFPが音楽的快楽によって調節されているかどうかを評価するために、VS-EFP信号は、タスクに対するBOLD反応を描写するために使用されたのと同じ予測子を使用して、2レベルのランダム効果一般線形モデル分析にかけられた(詳細は上記)。
【0192】
実験2:音楽的ニューロフィードバックによるVS-EFP調節の実現可能性:
20人の参加者は、VS EFPテスト(n=10)または二重盲検法でEFP連動偽(n=10)グループのいずれかにランダムに割り当てられた。参加者は全体的な休息ブロックを受け、続いて5つのニューロフィードバック(NF)ブロックと1つの移転ブロック(フィードバックなし)とが行われた。EFPテストグループは、3秒ごとにオンラインで計算されたVS-EFP振幅の変化によって引き起こされる継続的な聴覚フィードバックを受け取った。EFP偽グループは、参加者らが「連動する」VS-EFPグループのその参加者のEFPによって駆動される聴覚フィードバックを受け取ったため、自分のVS-EFP信号とは無関係であった。最初の休息ブロックでは、参加者は頭を空にして目を閉じて休むように指示され、聴覚フィードバックは受けなかった。その後の5つのNFブロックでは、参加者は自分で選んだ曲を提示され、精神的な戦略を働かせることによって「音楽の音を大きくする」ように要求された。望ましい戦略に関する具体的な指示は提供されなかった。各サイクルには、パッシブ聴取ベースラインフェーズ(「参加」)とアクティブ調節NFフェーズ(「制御」)とが含まれていた。「制御」フェーズ中は、音楽の音量が3秒ごとにリアルタイムで調節され、これら2つのフェーズで計算されたVS-EFPの差に線形に対応させた。快楽状態及び特質を評価するために、参加者は Snaith-Hamilton Pleasure Scale (SHAPS) と Positive and Negative Affect Schedule (PANAS) とに記入した。
【0193】
手順:VS-EFP-NFトレーニング。VS-EFP-NFトレーニングは、1つの休憩ブロック、5つのNFブロック、及び1つの移転ブロックで構成された。最初の休息ブロックでは、参加者は休むように指示され、聴覚フィードバックは受けなかった。その後の5つのNFブロックでは、参加者は自分で選んだ音楽を受動的に聴き、約2分30秒間休憩し(「参加」、ローカルベースライン)、その後、約2分間かけて、精神的な戦略を実行することによって、音楽を大きくするように指示された(「制御」)。最後の移転ブロックの構造はNFブロックと同じであった。つまり、「参加」フェーズと「制御」フェーズとが含まれていたが、重要な例外として、参加者には音楽が提示されず、フィードバックもなかった。「制御」フェーズと「参加」フェーズとで測定された脳活動の差が大きいほど、より良い性能を反映し、音量が大きくなる。指示は意図的に非具体的であり、個人が主観的に最も効率的であると判断した精神的戦略を採用できるようにした。
【0194】
各NFブロックの後、実験者が部屋に入り、NFの経験についていくつかの質問を行った(つまり、使用された戦略、成功と制御の主観的なレベルなど)。VS-EFPグループは、3秒ごとに算出される独自のVS-EFP振幅の変化によって駆動される継続的なフィードバックを受け取った。EFP偽対照グループは、対照グループの各参加者がテストグループの参加者とペアになり、ペアになったテスト参加者の音楽フィードバックを受け取る偽連動法に基づいて聴覚フィードバックを受け取った。このようにして、両方のグループが成功レベルを示す正確な割合の音操作にさらされたが、VS活動に時間的に関連していたのは最初のグループだけであった。実験者と参加者とは、グループ割り当てについて知らされてなく、参加者2~19人に対して完全に無作為であった。
【0195】
音楽フィードバックの生成。
オンラインEFPの計算とフィードバックの生成とは、オープンソースのNFプラットフォームであるOpenViBEを実装した社内のMatlabスクリプトを介して実行された(Y. Renard et al., 2010)。最初の休息期間中、フィードバックは生成されなかった。休息期間は、休息中のVS-EFP値の平均と標準偏差とを使用して、各参加者のVS-EFPを正規化するために使用された。聴覚フィードバックは、自己選択した5つの異なる音楽の抜粋で構成され、それぞれが異なるサイクルで提示された。2分30秒間続いたローカルベースライン期間中、音楽は一定のラウドネスレベルで再生された。NFの間、音量の変化は、VS-EFPのリアルタイム計算に従って、線形スケールでセットされた。VS-EFP値の所定の変化(アップまたはダウン)により、音楽の聴覚フィードバックのラウドネスがそれぞれ10dB変化した。各NF期間の後、SDは、最近のローカルベースライン期間中に記録されたVS-EFP値に従ってリセットされた。
【0196】
前処理:
いくつかの実施形態及び実験プロセスでは、信号全体の平均から10または2.5標準偏差の値を超えるEFPデータが破棄された。データの20%以上が破棄されたサイクルは、ノイズが多いと見なされ、さらなる分析から除外された。
【0197】
VS-EFP NF統計分析
いくつかの実施形態及び実験プロセスにおいて、VS-EFP振幅上方制御の表示は、「制御」フェーズと「参加」フェーズとの間の差[平均(EFP-制御)-平均(EFP-参加)]として計算された。EFPグループがベースラインに対してNF中にVS-EFP振幅の有意な増加を示すという仮説をテストするために、上方制御がゼロの帰無仮説と比較して、スチューデントのt検定/ウィルコクソンの符号順位検定がグループごとに適用された。EFP-テストグループがNF中にVS-EFPのより大きな振幅の上方制御を示すという仮説をテストするために、平均VS-EFP上方制御従属変数を使用して、ペアリング条件として偽割り当てを用い、ペアを成すt検定/ウィルコクソンの符号ランク検定が実施された。調節の方向に関して推測的な仮説があったため、このセクションで報告されたp値は片側である。最後に、EFP調節と報酬関連インデックスとの関連性を評価するために、VS-EFP上方制御と、快楽能力の個人差を表すc-SHAPSスコアとの間のスピアマンの相関を計算した(スコアが低いほど快感が少ないことを示す)。
【0198】
結果
ターゲットエンゲージメントの検証。
実験的な文脈がVS内で予想される報酬関連の調節をもたらしたことを検証するために、最初に指紋法に使用されたのと同じ両側VSマスクを使用してROI分析を実施した。図1Fに示すように、このROI内のランダム効果一般線形モデル分析は、音楽の開始時にVS反応が増強され、(他者が選択した)ニュートラルな音楽よりも(自らが選択した)快い音楽に対してより強く反応したことを明らかにした。
【0199】
音楽的快感に対する一過性のVS反応は、聴取全体を通してさらに明白であった。具体的には、快い音楽を聴いているとき、快楽の評価が上昇する瞬間にVSの活性化が促進され、これは評価が低下する瞬間への反応よりも大きく、それだけでなくニュートラルな音楽を聴いているときに快楽の評価が上昇する瞬間への反応よりも大きくなった。これらの分析を合わせて、中脳辺縁系の報酬回路にターゲットを関与させる際の実験計画の機能的関連性が実証された。
【0200】
モデルの性能(VS-BOLD VS-EFP相関)
図1Gの右パネルのグラフは、VS-BOLDの時系列と独立して抽出されたVS-EFPモデルとの間の相関係数の度数分布を示す。モデリングコホートでは、実行全体の平均相関は0.206であった。重要なことに、時系列間の相関関係は、独立した複製データセットでさらに評価され、全ての実行でゼロとは大きく異なることが判明した。
【0201】
空間特異性
BOLD活動がVS-EFPと相関する脳領域を強調するために、VS-EFP信号を対象のリグレッサとして使用して、全脳ランダム効果一般線形モデル分析が適用された。図1Gに示すように、分析は、VS-EFP信号が、モデリングコホートの両方においてモデルを開発するために使用されたROIにおけるVS-BOLD活動と相関することを明らかにした。
【0202】
図1Gに示すように、両方のデータセットのVS-EFPは、腹内側前頭前皮質(vMPFC)、前中帯状皮質(aMcc)、前島、及び後帯状皮質などの追加の領域を含む、中脳辺縁系ネットワークに関連する追加の脳領域のfMRI-BOLD活動とも一貫して相関していた。
【0203】
一般化;様々な報酬関連の文脈でのEFP信号調節
次に、VS-EFP信号とVS-BOLD活動及びその関連ネットワークとの関連が、異なる報酬関連の文脈(MIDタスク)で明らかであるかどうかをテストした。VS-EFP信号とVS-BOLD信号との相関により、20人の参加者の信号間の相関係数がゼロとは有意に異なることが明らかになった(平均r=0.14)。図1Hに示すように、VS-EFPを対象のリグレッサとして使用した全脳ランダム効果一般線形モデル分析により、VS-EFP信号が、音楽タスクで観察されたよりもやや背側の位置にあり、両側VSのBOLD活動と相関していることがさらに明らかになった。特に、VS-EFPは、VTAを含む追加の機能的に関連する脳領域、及び前島、AmCCなどの顕著性ネットワークに関連する領域、ならびに視覚皮質、プレSMAなど追加の領域活動とも相関していた。
【0204】
VS-EFPの機能的関連性;快い音楽関連の調節
次に、VS-EFPが複製コホートのVS-BOLDと同様に音楽報酬によって調節されるかどうかを調べた。そのために、従属変数としてVS-BOLDではなくVS-EFPを使用し、予測子として音楽に対する様々なモデル化された反応を使用して、同じランダム効果の一般的な線形モデル分析を適用した。図1Iに示すように、この分析では、VS-BOLDで証明されているように、音楽的快楽に対する一時的なVS-EFP反応が明らかにされた。具体的には、快い音楽の開始時にVS-EFP反応の増強が見られ、これはニュートラルな音楽への開始時の反応よりも大きくなった。EFP信号の増強は、快い音楽の聴取中、快楽の評価が増加した瞬間にも見られた。このような反応は、ニュートラルな音楽を聴いているときの評価の上昇の瞬間に対する反応と同様に、評価の低下の瞬間に対する反応よりも大きかった。この反応プロファイルが、このコホートのVS-BOLD反応に似ていることは注目に値する。
【0205】
この関連性を評価するために、上記の選択的反応の間の相関関係を調べた。実際、快い音楽に対するVS-EFPとVS-BOLDの選択的反応の間には、その音楽の開始時(すなわち、快楽の開始>中立の開始;スピアマン相関;r=.72、p<.01、片側)、及び快楽が増加した瞬間(評価の増加>評価の減少;r=.54、p<.05;片側)において、正の相関があった。
【0206】
VS-EFPアプリケーション:ニューロフィードバックを使用したVS-EFPの上方制御の実現可能性
最後に、VS-EFPをNF文脈内で調節できるかどうか、及びそのような調節能力が無快感症の測定値とさらに相関するかどうかを調査することにした。そのために、参加者が自分で選んだ音楽を提示され、音楽の音を大きくするように要求される偽対照研究を実施した。ラウドネスの変化は、ローカルベースライン期間に対するVS-EFP信号の相対的な変化に比例していた。調節の有効性を評価するために、5つのトレーニングサイクルにわたってVS-EFPを制御する2つのグループの能力を比較した。その目標に向けて、VS-EFP調節インデックスをNFとベースラインフェーズとの差[平均(EFP信号)-平均(ベースライン)]として計算し、それを、その後、5サイクルにわたって平均した。
【0207】
図1Jに示すように、VS-EFP調節インデックスの分析が示され、予測どおり、EFPテストグループはVS-EFP活動を大幅に調節することに成功した(t(9)=4.005、p<.005、片側)。ペアt検定は、グループ効果に向かう傾向をさらに明らかにし、これにより、テストグループ(M=.128,SE=.032)は、連動偽対照グループの参加者と比較して、VS-EFPを上方制御することに成功した(M=.066,SE=.025;t(9)=1.812,,p=.052,片側)。
【0208】
学習能力をさらに推定するために、移転サイクル中の2つのグループの性能を比較した。この分析により、VS-EFPグループ(M=.145,SE=.042)の参加者は、偽グループ(M=.051,SE=.031;t(9)=2.39,p=.02、片側)の参加者よりもフィードバックなしで信号をより上方制御させることができたことがわかった。また、仮定と一致して、トレーニング中のVS-EFP調節だけでなく、移転試験でも、テストグループの無快感症のレベルと負の相関があったが(トレーニング:r=-.683,p<.05;移転:r=-.76、p<.01)、対照グループには見られなかった(r=-.288、p=0.41;r=-.067、p=0.85、片側))。フィッシャーのz検定はさらに、移転試験中の無快感症とNF性能との間の負の関連の強さが実際にはグループ間で異なることを明らかにした(フィッシャーZ=-1.88、p=.03、片側)。
【0209】
言い換えれば、報酬に対してより敏感な(無快感症スコアのレベルが低い)参加者は、VS-EFPトレーニング中にVS-EFPを調節することを学ぶことにより成功しやすく、フィードバックが提供されなかった場合には、この能力をより上手に移転試験に一般化することもできた。
【0210】
音楽インターフェースの例
いくつかの例示的な実施形態によれば、被験者へのフィードバック、例えば継続的なフィードバックを提供するために、音楽インターフェースが使用される。いくつかの実施形態では、音楽インターフェースは、被験者の脳内の1つ以上の脳領域の活性化レベル、及び/または1つ以上の神経回路網の活性化レベルに関して、被験者にフィードバックを提供するために使用される。
【0211】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ニューロフィードバックトレーニング中、例えば、図3図6Bに記載の検証試験において実施されるように、被トレーニング者は、自己選択した楽曲を提示され、精神状態を利用してその音楽をますます快くするように指示される。いくつかの実施形態では、被トレーニング者は、音楽が被験者にとってより心地よく聞こえるようにする少なくとも1つの運動タスク及び/または少なくとも1つの精神タスクを実行するように指示される。いくつかの実施形態では、ユーザのVS-EFP信号調節のオンライン計算は、例えばローカルベースラインと比較して、任意選択で音響歪みのリアルタイム適用を介して、音質に影響を与える。いくつかの実施形態では、音声スペクトルに1つ以上の体系的な操作を導入することによって、調節が達成される。いくつかの実施形態では、音質の変化は、連続的に音楽的快楽の程度に対応する。
【0212】
概念実証の検証実験
音楽的快楽は、上行性中脳辺縁系神経路の動員、例えば腹側線条体(VS)に関連している。この経路の機能障害は、いくつかの壊滅的な神経精神症状に関与している。音楽がVSを調節することが示されているように、音楽の力を利用して、ニューロフィードバックを使用して中脳辺縁系の活動を制御するように個人をトレーニングできるかどうかを判定する興味深いアプリケーションがある。
【0213】
ニューロフィードバックは、人々が、リアルタイムの脳信号を反映するフィードバック信号を使用することにより、脳の活動を制御することを学ぶトレーニングアプローチである。このアプローチを効果的に利用するには、表された脳活動を高い特異性で測定し、さらに繰り返しセッションを可能にするアクセス可能な方法で測定する必要がある。この検証実験では、本発明のいくつかの例示的な実施形態によれば、腹側線条体を中心とする中脳辺縁系活動のfMRIにヒントを得たEEGモデルを利用するニューロフィードバックアプローチが使用される。このニューロフィードバックアプローチでは、例えば、図1Bで説明したようなVS-電気指紋(VS-EFP)を、例えば図2で示したような快い自己選択型音楽インターフェースと組み合わせられる。検証試験では、このニューロフィードバックアプローチの実現可能性は、人々がこの音楽インターフェースアプローチでVS-EFP信号を制御することを学ぶことができるかどうかを調べることによってテストされた。音楽でVS-EFPを上方制御するために、NFトレーニングのセッションを繰り返すことで、検出可能な変化がEFP-VS活動に生じることになるという仮説を立てた。
【0214】
この研究では、例えば図3A及び図3Bに示すように、20人の健康な参加者(女性11人、平均年齢21.1+-2.77歳)が、それぞれ5回のトレーニングサイクルと1回の移転サイクル(フィードバックなし)からなる6回のニューロフィードバックトレーニングセッションを受けた。参加者はさらに、fMRIスキャン、質問票、コンピュータ化されたタスクを含む事前及び事後の評価セッションを受けた。各トレーニングサイクルにおいて、本発明のいくつかの例示的な実施形態によれば、参加者は、自己選択した楽曲を提示され、自分の脳活動を調節することによって「音楽の音を良くする」ように要求された。
【0215】
この研究の被験者は、被験者が自分の腹側線条体指紋(EFP)の変化によって引き起こされる音楽フィードバックを受け取るテストグループと、被験者が別の参加者の腹側線条体指紋の変化によって引き起こされる音楽フィードバックを受け取る対照グループとに無作為に分けられた。
【0216】
実験及びいくつかの実施形態において、音楽は、音楽的快楽に影響を与えることが示されている音響歪みを導入するアルゴリズムを通じてリアルタイムで調節された。実験及びいくつかの実施形態において、各サイクルには、パッシブ聴取ベースラインフェーズ(「参加」)とアクティブ調節NFフェーズ(「制御」)とが含まれていた。実験及びいくつかの実施形態では、これらの2つのフェーズで、測定された脳活動の差が大きいほど、性能が向上し、音質が向上したことを反映している。
【0217】
この研究では、参加者は2つの条件のいずれかにランダムに割り当てられた。すなわち、独自のVS-EFPによって駆動されるフィードバックを受け取った参加者のテストグループ(n=10)と、対照グループ(n=10)とである。対照グループの各参加者がテストグループの参加者とペアになり、ペアになったテスト参加者の音楽フィードバックを受け取る偽連動法に基づいている。このようにして、両方のグループが成功レベルを示す正確な割合の音操作にさらされたが、VS活動に時間的に関連していたのは最初のグループだけであった。VS-EFPパワーは、「制御」フェーズと「参加」フェーズとの差[平均(EFP信号)-平均(ベースライン)]として計算された。次に、学習の向上を、トレーニングセッション2~6での最高のVS-EFP性能と最初のセッションの平均との平均差([最大(VS-EFPパワーセッションi)-最大(VS-EFPパワーセッション1])として評価した。ここで、iはセッション番号を表す。
【0218】
研究結果は、テストグループが最初のセッションと比較してVS-EFPパワーの制御が大幅に向上したが(ウィルコクソンの符号付きランク検定、p<.01、Z=42、片側)、対照グループでは向上しなかった(p>.077、Z=31)ことを示した。重要なことに、このような向上は、連動偽グループと比較して、テストグループの間で大きかった(ウィルコクソンの符号付きランク検定、p<.01;Z=41;図4B)。
【0219】
研究結果は、個人が音楽インターフェースのニューロフィードバックアプローチを介して中脳辺縁系活動を自己制御することを学ぶことができるという説得力のある証拠を提供した。いくつかの実施形態では、例えば、音楽インターフェースのニューロフィードバックアプローチを介した中脳辺縁系活動の自己制御が、無気力症及び無快感症を治療するために使用される。
【0220】
ここで、図3A及び図3Bを参照して、検証試験の設計を示す。試験中、被験者はニューロフィードバック(NF)トレーニングを繰り返し、NFトレーニング前とNFトレーニング後の神経行動学的評価を受けた。NFトレーニング前の評価セッションでは、神経行動学的評価にベースラインセッションが含まれていた。NFトレーニング後の評価セッションでは、神経行動学的評価に転帰セッションが含まれていた。検証試験では、NFトレーニングには6つのトレーニングセッションが含まれていた。いくつかの実施形態では、NFトレーニングは、少なくとも1つのトレーニングセッション、例えば、2、3、4、5、6、7、8または任意の数のトレーニングセッションを含む。
【0221】
試験中に実施された実施されたベースラインセッション及び転帰セッションは、本発明のいくつかの実施形態において、気分及び快楽に関するアンケートに回答すること、例えば報酬学習及び動機を評価するために、行動タスクを実施すること、及び移転サイクル及びいくつかの報酬関連タスクを実施しながらfMRIスキャンを実施することを含んでいた。行動タスクの例には、強化学習を評価するタスク(例えば、確率的選択タスク(MJ Frank etal., 2004)、確率的報酬タスク(Pizzagalli, D. A etal., 2008)、2段階決定タスク(Daw, N. D etal., (2011))、努力に基づく意思決定(例:報酬に対する努力支出タスク(Eefrt)(Treadway, M. T etal., 2009)、ギャンブルタスク、音楽の欲求と好みの評価(Mas-herrero E. etal., 2018))がある。
【0222】
研究中に実施されたNFトレーニングセッションは、及び本発明のいくつかの実施形態では、トレーニングセッションの開始時に気分アンケート(PANAS)に記入すること、受動的聴取段階(120秒間)及び制御段階(90秒間)を含む5つのトレーニングサイクルを含んでいた。この試験及びいくつかの実施形態では、制御中に、被験者は、聞こえる音をより好ましく快適なものにしようとするために、1つ以上の運動的または精神的タスクを実行する。さらに、NFトレーニングセッションには、被験者にフィードバックが送達されない単一の移転サイクルの実行が含まれていた。この移転サイクルの間、被験者は120秒間安静にし、その後、トレーニングサイクル中に聞こえる音を調節するために使用した戦略を適用するが、最大90秒間までフィードバックは全くない。トレーニングセッションの最後に、被験者は気分アンケートに再度記入した。
【0223】
ここで、図4A及び図4Bを参照して、異なる試験グループ間のVS指紋の変化を示す。
【0224】
図4Aに関しては、参加者は、休息段階と制御段階とを含むニューロフィードバックトレーニングを行った。トレーニング性能のインデックス:最高のVS-EFP調節の向上:([最大(VS-EFPパワーセッションi)-最大(VS-EFPパワーセッション1)]。VS-EFPパワー[平均(EFP信号)-平均(ベースライン)]。図4Aに示されるように、テストグループは、3回目のセッションを開始して、VS-EFPパワーの制御において、有意な向上を示した(全てに対してp<.05)。セッション間の全体的な向上は、対照グループと比較してテストグループで大きかった(グループの限界主効果、F(1,16)=4.224;p=.057)。
【0225】
図4Bは、VS-EFP信号調節におけるグループの違いを示す。音楽ベースのVS-EFP-NFトレーニングにより、テストグループ間でVS-EFPパワーの上方制御が大幅に向上したが、対照グループ(星印で示される)では向上しなかった。重要なことに、性能のこのような向上は、連動偽グループ(アスタリスクで示される)よりもテストグループの方が大きかった。
【0226】
ここで、図5A及び図5Bを参照して、VS指紋を使用した腹側線条体のNFトレーニングに続いてfMRIで測定された、腹側線条体活動の調節を示す。
【0227】
この分析中、被験者は、NFトレーニングの移転タスクに似たfMRIタスクを実行した。このタスクは次のものを含んでいた。すなわち、fMRIで検査しながらの、休息段階(90秒)と、それに続く制御段階(90秒、フィードバックなし)とである。
【0228】
分析には、両側VSのROIベースの分析が含まれていた;VS制御の変化としてインデックスを付けられた性能:[β 制御 後)-[β 制御 前]。
【0229】
図5Aは、fMRIで示されるVSの活性化を示す。図5Bに示す結果は、トレーニング後のテストグループの間で、L.VS(左VS)制御における正の有意な変化を示している(t(7)=3.22p<.02)。このような変化は、対照グループに比べて大きかった((t(14.33)=2.26、p<.05)。
【0230】
さらに、図5Cは、グループごとのVS-BOLD自己制御を示しており、これは、グループ全体の主効果である。
【0231】
ここで図6A及び図6Bを参照して、報酬ベースの学習に対してVS指紋を使用するVSトレーニングの効果を示す。
【0232】
分析には、時点間の精度の違いの分析が含まれていた。
【0233】
分析結果は、刺激の種類とグループとの間に相互作用があることを示した(F(1,16)=4.73,p<.05);トレーニング後、テストグループは、対照グループと比較して、肯定的な報酬からの学習においてより大きな向上を示した(t(16.52)=2.91,p<.01)。否定的な結果を避けるための学習については、そのような違いは明らかではなかった。
【0234】
システムの例
いくつかの例示的な実施形態によれば、ニューロフィードバック治療は、被験者における1つ以上の脳領域、例えば中脳辺縁系の1つ以上の脳領域の活性化に関する情報を収集し、1つ以上の脳領域の活性化に応じて被験者にフィードバックを提供するシステムによって送達される。ここで図6Cを参照して、本発明のいくつかの例示的な実施形態によるニューロフィードバックシステムを示す。
【0235】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ニューロフィードバックシステム、例えばシステム602は、1つ以上の電極、例えば電極606及び608に接続可能な制御ユニット604を備える。いくつかの実施形態では、1つ以上の電極はシステムの一部である。あるいは、1つ以上の電極は市販の電極であり、制御ユニットは市販の電極に接続されるように構成される。いくつかの実施形態では、電極606及び608は、被験者、例えば患者610の身体に取り付けられる。
【0236】
いくつかの例示的な実施形態によれば、1つ以上の電極、例えば606及び608は、患者610の頭部、例えば患者610の頭蓋骨に取り付けられたEEG電極を備える。いくつかの実施形態では、1つ以上の電極は、例えば10-10EEGシステム及び/または10-20EEGシステムから得られる位置C4、F7、F8、T7、T8、P8、TP9及びTP10のうちの1つ以上で患者の頭蓋骨に取り付けられる。あるいは、1つ以上の電極は、位置C4、F7、F8、T7、T8、P8、TP9及びTP10のうちの少なくとも1つから最大10cm、例えば最大5cm、最大3cm、または任意の中間の、より小さいまたはより大きい距離に配置される。
【0237】
いくつかの例示的な実施形態によれば、制御ユニット604は、制御ユニット604のEEG記録ユニット616に接続された制御回路614を備える。いくつかの実施形態では、EEG記録ユニットは、1つ以上の電極606及び608に接続される。いくつかの実施形態では、制御ユニット604は、メモリ618、例えば不揮発性メモリを備える。いくつかの実施形態では、メモリ618は、中脳辺縁系の1つ以上の特定の領域の少なくとも1つの電気指紋(EFP)を格納する。
【0238】
いくつかの例示的な実施形態によれば、格納された少なくとも1つのEFPは、中脳辺縁系の1つ以上の領域の活性化状態と相関する。代替的または追加的に、格納された少なくとも1つのEFPは、中脳辺縁系の1つ以上の領域のfMRI-BOLD活動と相関する。いくつかの実施形態では、格納された少なくとも1つのEFPは、腹側線条体(VS)のEFPであり、VSの活性化状態または活性化状態の変化を示す。いくつかの実施形態では、格納された少なくとも1つのEFPは、VSのfMRI-BOLD活動と相関する。代替的または追加的に、格納された少なくとも1つのEFPは、活動、例えば、腹内側前頭前皮質(vMPFC)、前中帯状皮質(aMcc)、前島、及び後帯状皮質のうちの少なくとも1つのfMRI-BOLD活動と相関する。
【0239】
いくつかの例示的な実施形態によれば、メモリ618は、例えば、電気データ、例えば1つ以上の電極から受け取ったEEGデータを処理するため、EEGデータ及び/または処理されたEEGデータと、少なくとも1つの格納されたEFPとの間の関係を識別するため、及び識別された関係に基づいて中脳辺縁系の1つ以上の特定の脳領域の活性化レベルを検出するため、に使用される1つ以上のアルゴリズムを格納する。さらに、インターフェース、例えば中脳辺縁系の1つ以上の特定の脳領域の検出された活性化レベルに従って患者に送達されるフィードバックインターフェースを変更するために、1つ以上の格納されたアルゴリズムが使用される。
【0240】
いくつかの例示的な実施形態によれば、システム602は、患者インターフェース、例えば患者インターフェース620を備える。いくつかの実施形態では、患者インターフェース620は、人間が検出可能な表示、例えば指示を患者に送達するように構成されたディスプレイ及び/またはスピーカを備える。あるいは、患者インターフェース620は、少なくとも1つのニューロフィードバック信号を患者610に送達するように構成される。いくつかの実施形態では、患者インターフェースは、イヤフォン、例えばイヤフォン622を備える。本明細書で使用されるイヤフォンは、患者に向けられた音声信号を生成するように構成されたインターフェースであり、ヘッドフォンも含む。いくつかの実施形態では、患者インターフェース、例えば患者インターフェース620及び/またはイヤフォン622は、制御ユニット604、例えば制御回路614に接続される。
【0241】
いくつかの例示的な実施形態によれば、患者インターフェース、例えば患者インターフェース620及び/またはイヤフォン622は、システム602の一部である。あるいは、制御ユニット604は、市販の患者インターフェースに接続可能である。
【0242】
いくつかの例示的な実施形態によれば、制御回路614は、例えば、少なくとも1つの電極、例えば電極606及び608から、または少なくとも1つのセンサもしくは検出器から受け取ったデータに基づいて、中脳辺縁系の1つ以上の脳領域の活性化レベルを判定するよう構成される。いくつかの実施形態では、制御回路614は、受け取ったデータと、メモリに格納された少なくとも1つの表示、例えば1つ以上の脳領域のEFPとの間の相関関係を任意選択で識別する。いくつかの実施形態では、制御回路614は、患者610への少なくとも1つのフィードバック信号を生成するために、患者インターフェース、例えば患者インターフェース620及び/またはイヤフォン622に信号を送る。いくつかの実施形態では、フィードバックは、1つ以上の脳領域の活動、1つ以上の脳領域の活動状態のうちの少なくとも1つに従って、及び/または1つ以上の脳領域の活動を調節する患者の能力に従って、生成される。いくつかの実施形態では、制御回路614は、1つ以上の脳領域の活動、1つ以上の脳領域の活動状態のうちの少なくとも1つに従って、及び/または1つ以上の脳領域の活動を調節する患者の能力に従って、送達されたフィードバックを変更するように、またはどのように変更するかを判定するように、構成される。
【0243】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ニューロフィードバックシステム602は、制御ユニット604の少なくとも一部を含むモバイルデバイス、例えばセルラデバイスを備える。いくつかの実施形態では、患者インターフェースは、モバイルデバイスのインターフェース、例えば、モバイルデバイスのディスプレイ及び/またはスピーカである。代替的または追加的に、患者インターフェースは、モバイルデバイスに接続可能なインターフェースである。いくつかの実施形態では、モバイルデバイスは、1つ以上の外部電極、例えば外部EEG電極に接続可能である。
【0244】
ニューロフィードバック概念実証の検証試験
ニューロフィードバックは、人々が、脳の活動を反映するフィードバックを使用することにより、脳の活動を制御することを学ぶトレーニングアプローチである。このアプローチを効果的に利用するには、表された脳活動を高い特異性で測定し、さらに繰り返しセッションを可能にするアクセス可能な方法で測定する必要がある。これらの問題に対処するために、脳コンピュータ音楽インターフェースアプローチが開発された。このインターフェースは、例えば図1a及び図1bのように、腹側線条体であるVS-EFPを中心とした中脳辺縁系活動のfMRIにヒントを得た脳波(EEG)モデルを利用し、快い自己選択音楽とインターフェースされる。
【0245】
中脳辺縁系及び報酬プロセスへのアクセシビリティを向上させるために、快い音楽に基づくフィードバックインターフェースを開発した。音楽インターフェースの背後にある基本原則は、トレーニング中に参加者が自分で選択した音楽を提示され、その報酬値をリアルタイムで確実に変えるために多かれ少なかれ歪められるというものである。歪みのレベルは、ベースラインに対するVS-EFP信号の増加における参加者の瞬間的な成功を比例的に反映し、事前に確立された音響フィルタリング手順に従って導入される。インターフェースは、個人化された方法で喜びを誘発する音楽の知られている能力と、報酬回路、特にVSにおけるドーパミン作動性反応の生成とに基づいている。そのため、音楽は、情報を含むフィードバック信号として機能し、任意選択で同時に、この報酬関連回路への堅牢なトリガ入力として機能することができる。
【0246】
概念実証試験では、20人の参加者が二重盲検法で無作為にテストNFグループまたは対照NFグループに割り当てられ、テストグループでは参加者自身のVS-EFPによるフィードバックを受け取り(N=10)、対照グループでは参加者は、それぞれ、テストグループのペアのメンバーのVS-EFPによって駆動される偽のフィードバックを受け取った(N=10)。参加者は2~4週間にわたって6回のNFトレーニングセッションを受け、その間にVS-EFP信号の制御の成功が調べられた。
【0247】
一般化の学習をテストするために、参加者は、音楽もフィードバックも提供せずに脳活動を自発的に制御するように要求される「移転サイクル」も受けた。この手順に関連する(VS)ターゲットエンゲージメントをさらに調べるために、参加者はトレーニングの前後にfMRIスキャン中に移転サイクルも受けた。中脳辺縁系機能の行動(及び神経)インデックスに対するVS-EFP-NF学習の効果を評価するために、参加者はまた、トレーニング期間の前後に、中脳辺縁系機能に関与し、無快感症のレベルを持つ個人間で共変動することが示されている、いくつかのタスク、報酬に対する努力消費タスク、確率的選択タスク、fMRI内の快楽音楽聴取タスクを完了した。最後に、経験した肯定的な影響と無快感症のレベルの個人差が制御の成功とどのように関連しているかをさらに評価するために、参加者はそれぞれPANAS及びSHAPSのアンケートにさらに回答した。
【0248】
図7Aは、最初のセッションにおける最大性能に対する各セッションにおける最大NF成功(最大[Δ制御-ベースライン])の差として、後続の各セッションにおいて算出される最初のセッションに対する性能の向上を示す。結果は、セッション3から開始して、テストグループの性能が大幅に向上したことを示しているが、対照グループはそうではなかった。図7Bは、セッションごとに、対照グループ及びテストグループにおける最初のセッションと比較して、最大VS-EFP調節の向上におけるニューロフィードバック性能を示す。
【0249】
トレーニングが報酬ベースの処理に影響を与えるかどうかをテストしたかった。最初に、確率的選択タスクへの反応を調べることにより、強化学習に対するトレーニングの効果をテストした。これは、確率的学習のタスクであり、報酬からの学習パターン間のもつれを解くこと、または頻繁に報われるシンボルを選択する際の精度を評価することにより、罰を回避すること(A、試行の80%で報酬を受ける)、もしくはめったに報われないシンボルを回避する際の精度を評価することにより、罰を回避すること(B、試行の20%のみで報酬を受ける)を可能にする。ここでは、トレーニング前とトレーニング後の精度の違いを調べた。図8Aに示すように、報酬からの学習または罰の回避の両方の精度の向上を比較することで、テストグループが報酬からの学習において向上を示したことが明らかになり(Aを選択)、これは対照グループよりも大きかった。
【0250】
次に、トレーニングが努力に基づく意思決定にも影響を与えたかどうかを調べ、これは、例えばEEfrtタスクを使用して評価された。このタスクは、様々な確率で様々な大きさの報酬を得るために、難しいタスクと簡単な運動タスクとを実行する意欲を評価する。努力は、低額または高額の金銭的利益(>3.5$)を獲得するチャンスのために困難なタスクを選択するパーセンテージとして定量化された。ここでは、トレーニング前と比較して、そのような努力の意思決定の違いを調べた。
【0251】
図8Bに示すように、利得の大きさ(高対低)の相互作用(F(1,15)=4.883,p=0.043)によるグループ(VS-EFP-NF対偽対照)は、VS-EFP-NFが偽NFよりも高いが低い金銭的利得のために努力を拡大する意欲を大幅に向上させることを明らかにした(片側事後比較:テスト対対照、高いインセンティブ:t(1,14.9)=2.02)。
【0252】
図9は、最後のセッションでのVS-EFPニューロフィードバック性能と、例えばSHAPSアンケートを使用して、ニューロフィードバックトレーニング後に収集された無快感症の尺度との間の相関関係を示す。結果は、最後のセッションでのNFトレーニングの成功と、対照グループ(偽NFトレーニング)と比較したテストグループの無快感症の尺度との相関関係を示す。テストグループでは、最後のセッションのサイクル全体の平均VS-EFPパワーとしてインデックス化されたNF成功の増加が、無快感症の尺度の減少と相関している(rスピアマン=-0.81、p=0.01)。対照グループでは、NF性能と報告された無快感症との間にそのような相関関係は見られなかった(rスピアマン=-0.19、p=0.62)。
【0253】
図10は、NFトレーニングの最初のセッションと比較して、報告された肯定的な影響(PA)の変化を示す。肯定的な影響は、各会議の前に管理されたPANASアンケートのエントリからPAスケールを計算することによって評価された。トレーニングがトレーニング中の参加者の肯定的な影響に影響を与えたかどうかを評価するために、最初のトレーニングセッションの開始時に報告されたPAと比較して、各トレーニングセッションの開始時に報告された肯定的な影響の変化を評価した。分析により、VS-EFP-NFは、その後の全てのセッションで偽NFトレーニングと比較して比較的高いPAの変化と関連していたことが示されした(グループの主効果、(F(1,99)=16.948、p<.0001))。PANASアンケートのNAスケールを使用して測定した場合、否定的な影響の変化についてはそのような効果は明らかではなかった(F(1,99)=2.1、p=0.15)。
【0254】
この出願から満期を迎えた特許の存続期間中に、関連する多くの電気指紋が開発されることが予想される。電気的指紋という用語の範囲は、先験的にそのような全ての新しい技術を含むことを意図している。量または値に関して本明細書で使用される「約」という用語は、「~の±10%以内」を意味する。
【0255】
「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」という用語及びそれらの同根語は、「限定ではないが、~を含む(including but not limited to)」を意味する。
【0256】
「~から成る(consisting of)」という用語は、「含み、~に限定される(including and limited to)」ことを意味する。
【0257】
「本質的に~からなる(consisting essentially of)」という用語は、組成物、方法または構造物が、追加の成分、ステップ及び/または部品を含むことができることを意味するが、追加の成分、ステップ及び/または部品が、特許請求された組成物、方法または構造物の基本的かつ新規な特性を実質的に変えない場合に限る。
【0258】
本明細書で使用する場合、文脈上明らかに別段に示される場合を除き、「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」という単数形は、複数の指示対象を含む。例えば、「化合物(a compound)」または「少なくとも1つの化合物(at least one compound)」という用語は、それらの混合物を含む複数の化合物を含み得る。
【0259】
本出願を通して、本発明の実施形態は、範囲形式を参照して提示され得る。範囲形式での説明は、単に便宜上及び簡潔にするためのものであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の記述は、その範囲内の個々の数値だけでなく、可能性のある全てのサブ範囲を具体的に開示したものと見なされるべきである。例えば、「1~6」といった範囲の記述は、「1~3」、「1~4」、「1~5」、「2~4」、「2~6」、「3~6」などといったサブ範囲と、その範囲内の個々の数値、例えば、1、2、3、4、5、及び6とが具体的に開示されていると見なされるべきである。これは、範囲の広さに関係なく適用される。
【0260】
本明細書で数値の範囲が示されている場合(例えば、「10~15」、「10から15」、またはこれらの別のこのような範囲表示によって連結された数値の組)には、文脈から明らかに別の指示がない限り、範囲の限界を含む、示された範囲の限界内の任意の数値(分数または整数)を含むことを意味する。第1の表示番号と第2の表示番号との「間の範囲(range/ranging/ranges between)」という句、及び第1の表示番号「から」第2の表示番号「まで(to)」、「まで(up to)」、「まで(until)」または「まで(through)」の「範囲(range/ranging/ranges from)」という句は、本明細書では互換的に使用され、第1の表示番号及び第2の表示番号と、それらの間の分数及び整数の数字の全てを含むことを意味する。
【0261】
別段の指示がない限り、本明細書で使用される数値及びそれに基づく任意の数値範囲は、当業者が理解する妥当な測定精度及び丸め誤差の範囲内での近似値である。
【0262】
本明細書で使用される「方法」という用語は、化学、薬理学、生物学、生化学及び医学の技術の実践者によって知られている、または既知のマナー、手段、技術及び手順から容易に開発される方法を含むが、これらに限定されない、所定のタスクを達成するためのマナー、手段、技術及び手順を指す。
【0263】
本明細書で使用される場合、「治療する」という用語は、状態の進行を無効にする、実質的に阻害する、遅らせる、または逆転させる、状態の臨床的または審美的症状を実質的に改善する、または状態の臨床的または審美的症状の出現を実質的に防止することを含む。
【0264】
明確にするために別個の実施形態の文脈において説明される本発明のある特徴を、単一の実施形態において組み合わせで設けることもできることが理解される。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈において説明される本発明の様々な特徴を、別々に、または任意の好適な副次的な組み合わせで、または本発明の任意の他の説明された実施形態において好適なものとして設けることもできる。様々な実施形態の文脈で説明される特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしでは機能しない場合を除いて、それらの実施形態の本質的な特徴と見なすべきではない。
【0265】
本発明をその特定の実施形態に関連して説明しているが、多くの代替案、修正、及び変形が当業者には明らかであろうことは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の主旨及び広い範囲に含まれるそのような全ての代替案、修正、及び変形を包含することが意図される。
【0266】
本明細書に記述される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、個別の刊行物、特許、または特許出願のそれぞれが、参照により本明細書に組み込まれることが明確及び個別に示されるのと同程度に、明細書への参照により全体が本明細書に組み込まれる。さらに、本願におけるいずれかの参考文献の引用または特定は、そのような参考文献が本発明の先行技術として利用可能であるということの承認として解釈するべきではない。セクションの見出しが使用されている場合、それらは必ずしも限定的であると解釈されるべきではない。さらに、本願のいずれかの優先権書類(複数可)は、本明細書により、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図1J
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
【国際調査報告】