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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-18
(54)【発明の名称】抗TROP2抗体
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20230710BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20230710BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20230710BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230710BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230710BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230710BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230710BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230710BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230710BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20230710BHJP
   A61K 51/10 20060101ALI20230710BHJP
   A61K 49/00 20060101ALI20230710BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/28 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61P35/00
A61K39/395 T
A61K39/395 L
A61K47/68
A61K51/10 200
A61K51/10 100
A61K49/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022579053
(86)(22)【出願日】2021-06-18
(85)【翻訳文提出日】2023-02-17
(86)【国際出願番号】 CN2021100903
(87)【国際公開番号】W WO2021259162
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】202010573040.0
(32)【優先日】2020-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】522263714
【氏名又は名称】バイリ-バイオ(チェンドゥ)ファーマスーティカル シーオー.,エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ツー, イ
(72)【発明者】
【氏名】チョン, ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ジョー, シー
(72)【発明者】
【氏名】ディン, ミュラン
(72)【発明者】
【氏名】ウェン, ズン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA93
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C076AA95
4C076BB11
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE59
4C076FF70
4C084AA12
4C084NA14
4C084ZB26
4C085AA14
4C085AA21
4C085BB01
4C085BB41
4C085BB43
4C085BB44
4C085CC02
4C085DD62
4C085EE01
4C085HH01
4C085HH11
4C085KA04
4C085KA27
4C085KA29
4C085LL18
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA22
4H045EA28
4H045FA72
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
一価および多価抗TROP2抗体が提供される。この抗体は、TROP2タンパク質に特異的に結合可能であり、相対親和性が高く、エンドサイトーシス効率が高いため、ADC薬物の開発において広い応用見込みを有する。本発明は、マウスモノクローナル抗体、ヒトマウスキメラ抗体、ヒト化抗体、並びに腫瘍診断及び治療におけるこれらの抗体に使用にも関する。
【選択図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗TROP2抗体又はそのFv、scFv、Fab、F(ab')2、Fab'、scFv-Fc断片の1つであって、
前記抗体は、重鎖及び軽鎖からなり、
前記抗体は、アミノ酸配列13に示される配列を有する重鎖及びアミノ酸配列14に示される配列を有する軽鎖からなり、或いはアミノ酸配列15に示される配列を有する重鎖及びアミノ酸配列16に示される配列を有する軽鎖からなることを特徴とする、抗TROP2抗体又はそのFv、scFv、Fab、F(ab')2、Fab'、scFv-Fc断片の1つ。
【請求項2】
重鎖誘導体の配列は、配列番号17及び配列番号18に示される配列を含むことを特徴とする、請求項1に記載の抗体又はそのFv、scFv、Fab、F(ab')2、Fab'、scFv-Fc断片の1つ。
【請求項3】
重鎖誘導体配列は、配列番号19及び配列番号20に示される配列を含むことを特徴とする、請求項1に記載の抗体又はそのFv、scFv、Fab、F(ab')2、Fab'、scFv-Fc断片の1つ。
【請求項4】
請求項1に記載の配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列は、本発明の同等物であるため、本発明の一部であると理解されるべきであることを特徴とする、請求項1に記載の抗体又はそのFv、scFv、Fab、F(ab')2、Fab'、scFv-Fc断片の1つ。
【請求項5】
前記重鎖に含まれるアミノ酸は、それぞれ配列番号1、2及び3のCDRH1、CDRH2及びCDRH3からなり、或いは配列番号4、5及び6のCDRH1、CDRH2及びCDRH3からなり、
前記軽鎖に含まれるアミノ酸は、それぞれ配列番号7、8及び9のCDRL1、CDRL2及びCDRL3からなり、或いは配列番号10、11及び12のCDRL1、CDRL2及びCDRL3からなることを特徴とする、請求項1に記載の抗体又はそのFv、scFv、Fab、F(ab')2、Fab'、scFv-Fc断片の1つ。
【請求項6】
少なくとも1つのCDRを含むいずれかの抗体断片又は誘導体であって、CDRの配列が配列番号1から配列番号12と少なくとも80%の同一性、好ましくは85%、90%、95%又は98%の同一性を有する場合、本発明の同等物であるため、本発明の一部であると理解されるべきであることを特徴とする、抗体断片又は誘導体。
【請求項5】
モノクローナル抗体又はその誘導体であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の抗体又はそのFv、scFv、Fab、F(ab')2、Fab'、scFv-Fc断片の1つ。
【請求項6】
マウス由来であることを特徴とする、請求項1に記載の抗体又はそのFv、scFv、Fab、F(ab')2、Fab'、scFv-Fc断片の1つ。
【請求項7】
請求項1に記載の配列のヒト化配列の1つであることを特徴とする、請求項2又は3に記載の抗体又はそのFv、scFv、Fab、F(ab')2、Fab'、scFv-Fc断片の1つ。
【請求項9】
請求項1に記載の抗体のコード核酸であって、
前記核酸は、請求項1から3のいずれか1項に記載の抗体又はそのFv、scFv、Fab、F(ab')2、Fab'、scFv-Fc断片の1つをコードする核酸であることを特徴とする、核酸。
【請求項10】
前記核酸は、重鎖をコードする配列番号21、22、23又は配列番号24、25、26に示される配列を含み、前記核酸は、軽鎖をコードする配列番号27、28、29又は配列番号30、31、32に示される配列を含むことを特徴とする、請求項9に記載の単離された核酸。
【請求項11】
前記核酸は、配列番号33及び配列番号34、又は配列番号35及び配列番号36を含むことを特徴とする、請求項10に記載の単離された核酸。
【請求項12】
前記核酸は、配列番号37及び配列番号38、又は配列番号39及び配列番号34を含むことを特徴とする、請求項10に記載の単離された核酸。
【請求項13】
請求項10から12に記載の核酸に対応するRNA核酸、又は請求項10から12に記載の核酸に相補的な核酸。
【請求項14】
請求項10から12のいずれか1項に記載の核酸を含む発現ベクター。
【請求項15】
請求項14に記載の発現ベクターに関連する発現宿主。
【請求項16】
請求項1から3のいずれか1項に記載のアミノ酸配列を産生可能な請求項14に記載の発現ベクター及び請求項15に記載の発現宿主。
【請求項17】
TROP2標的に関連する悪性腫瘍を診断又は治療するための、請求項1から6のいずれか1項に記載の抗体又はそのFv、scFv、Fab、F(ab')2、Fab'、scFv-Fc断片の1つ或いは請求項16に記載のアミノ酸配列の使用。
【請求項18】
請求項17に記載の使用における抗体又はそのFv、scFv、Fab、F(ab')2、Fab'、scFv-Fc断片の1つに結合する細胞毒性化合物又は放射性元素。
【請求項19】
アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗悪性腫瘍薬、有糸分裂阻害剤、クロマチン機能阻害剤、抗血管新生剤、抗アンドロゲン剤、抗エストロゲン剤又は免疫調節剤などから選択される請求項18に記載の細胞毒性化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトTROP2タンパク質に特異的に結合可能な抗体に関し、特にマウス、キメラ、及びヒト化起源のモノクローナル抗体、並びにこれらの抗体をコードするアミノ酸及びヌクレオチド配列に関する。本発明は、これらの抗体を診断試薬又は薬物として悪性腫瘍或いは受容体過剰発現に関連するいかなる疾患を診断及び/又は治療的処理する使用も含む。
【背景技術】
【0002】
TROP2タンパク質は、トロホブラスト抗原2(trophoblast antigen 2)、腫瘍関連カルシウムシグナルトランスデューサー2(tumou associated calcium signal transducer 2)とも呼ばれ、染色体1p32位のシングルコピー遺伝子TACSTD2によってコードされる。対応するmRNAは、36kDa新生ポリペプチドを合成し、N末端グリコシル化されて単一膜貫通ドメインを有する単量体膜タンパク質を形成する(Annie R.A.et al.,2015)。
【0003】
TROP2の細胞内領域配列(長さ:26アミノ酸)には、303位のセリン部位がある。この部位は、種間で高度に保存され(Basu et al.,1995;Annie R.A.et al.,2015)、PKCキナーゼによってリン酸化され、シグナル伝達分子PIPの結合部位になるとともに、下流の細胞質カルシウム濃度の上昇を刺激することができる(Sewedy et al.,1998;Alberti.et al.,1999)。細胞質領域を欠くTrop2がインビトロ細胞株で過剰発現すると、このタンパク質は、その成長刺激機能を奪われ、他のシグナル伝達経路に対するTrop2細胞質領域の刺激効果を示している(Guerra.et al)。Trop2の細胞外領域には、EGF成長因子に結合可能な構造ドメインが含まれ、EGFを傍受してIGF-1R/Aktシグナル伝達経路の活性をダウンレギュレートすることができる。そのため、Trop2発現の減少は、IGF-1R/Aktシグナル伝達経路を逆に活性化する可能性がある(Lin.et al.,2011;Annie R.A.et al.,2015)。
【0004】
Trop2は、腫瘍形成の促進において重要な役割を果たしている。Trop2の過剰発現は、NIH3T3細胞の腫瘍形成能を顕著に増強することができる(Wang.et al.,2008)。Trop2は上皮間葉転換(EMT)にも影響を与え、がん細胞の移動と浸潤の能力を高めることができる(Trerotola.et al.,2013;Li.et al.,2017)。このプロセスは、PI3K/Akt シグナル伝達経路に影響を与えることによって達成され得る。Trop2を過剰発現する胆嚢がん細胞では、Aktリン酸化の活性化が大幅に増加する一方、Trop2の発現をノックダウンすると、このシグナル伝達経路の活性を阻害することができる(Li.et al.,2017)。また、Trop2の過剰発現は、MAPK/ERKシグナル伝達経路の活性も刺激し、膵臓がん細胞の増殖をアップレギュレートし、担がんマウスの腫瘍の進行を促進する(Cubas.et al.,2010)。
【0005】
Trop2タンパク質の発現は、胚発生及び成人期の乳房、腎臓、膵臓などの一連の表皮由来組織で見られる(Annie R.A.et al.,2015)。しかし、対応する正常組織の腫瘍では、Trop2タンパク質の発現が顕著に増加し、動物モデルにおける腫瘍増殖の進行と正の相関がある(Trerotola.et al.,2013)。Trop2遺伝子配列自体は変異も増幅もしていないため、がんにおけるTrop2発現のアップレギュレーションは、転写調節レベルの刺激によるものと考えられている(Trerotola.et al.,2013)。様々なタイプの実質腫瘍を有する患者では、このタンパク質の過剰発現は通常、腫瘍の予後不良を示す(Zeng.et al.,2016)。胆嚢がん(Chen.et al.,2014)、胃腸がん(Muhlmann.et al.,2009)、肺門胆管がん(Ning.et al.,2013)及び膵臓がん(Fong.et al.,2008)では、Trop2高発現疾患患者の生存率が大幅に低下した。様々ながんにおけるTrop2の高レベル発現と患者の生存率への重大な影響を考慮すると、このタンパク質はがん治療の潜在的な標的であると考えられている。
【0006】
既知の抗体薬物には、Trop2標的に対する毒素結合抗体(ADC)であるIMMU-132がある(Goldenberg.et al.,2015)。このADCの抗体RS7は、ハイブリドーマの調製と、肺がん細胞膜粗抽出物及びマウス骨髄腫細胞で免疫化したマウス脾臓リンパ球の融合スクリーニングによって得られた(Stein.et al.,1990)。粗抽出物では、RS7が結合した抗原はTrop2であることが判明された(Stein.et al.,1994)。RS7抗体自体は様々ながん細胞によってエンドサイトーシスされる可能性があるため、RS7抗体はADCの調製に適用される可能性がある(Stein.et al.,1993)。マウス由来のRS7を順次ヒト化した後、RS7のヒト化バージョンを使用して抗体結合薬を調製し、鎖間スルフヒドリルカップリングによりトポイソメラーゼ阻害剤であるSN-38薬をロードした(Moon,et al.,2008;Sahota.et al.,2017)。最近の臨床第I相データでは、IMMU-132は複数のがん、特にトリプルネガティブ乳がんの治療に臨床的に有効であることが示されました(Starodub.et al.,2015;Sahota and Vahdat.,2017)。
【0007】
本出願に開示される情報は、治療の分野に関するものであり、具体的には、本出願に記載されるキメラ抗体又はヒト化抗体は、ヒトII型栄養芽層抗原タンパク質(Trop2)に結合することができ、ターゲティング抗体インコ抗体結合薬物療法における抗体標的機能を有する。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、天然抗体に関しない。本発明に係る抗体は、マウス免疫化、同定及び単離手段により得られるか、又は遺伝子組換えにより得られる。本発明によれば、保護対象は抗体、機能的断片又は誘導体である。前記抗体は、少なくとも1つのCDRを含み、そのアミノ酸配列は、配列番号1から配列番号12に由来する。
【0009】
いずれかの抗体断片又は誘導体は、少なくとも1つのCDRを含み、かつこのCDRの配列が配列番号1から配列番号12と少なくとも80%の同一性、好ましくは85%、90%、95%又は98%の同一性を有する場合、本発明の同等物であるため、本発明の一部であると理解されるべきである。
【0010】
より具体的には、本発明に記載の抗体、その機能的断片の1つ、又は誘導体は、重鎖を含み、前記重鎖は、少なくとも1つのCDRを含み、前記CDRは、配列番号1から配列番号6から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0011】
より具体的には、本発明に記載の抗体、その機能的断片の1つ、又は誘導体は、軽鎖を含み、前記軽鎖は、少なくとも1つのCDRを含み、前記CDRは、配列番号7から配列番号12から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0012】
前記態様によれば、より具体的な第1実施形態において、本発明に記載の抗体、その機能的断片の1つ、又は誘導体は、重鎖を含み、前記重鎖は、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3を含み、CDR-H1は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含み、CDR-H2は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含み、CDR-H3は、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含む。
【0013】
より具体的には、第1実施形態によれば、前記抗体、その機能的断片の1つ、又は誘導体は、重鎖を含み、前記重鎖の配列において、キメラ抗体は配列番号13に示される配列を含み、ヒト化抗体は配列番号17に示される配列を含む。
【0014】
前記態様によれば、より具体的な第1実施形態において、本発明に記載の抗体、その機能的断片の1つ、又は誘導体は、軽鎖を含み、前記軽鎖は、CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3を含み、CDR-L1は、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含み、CDR-L2は、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含み、CDR-L3は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含む。
【0015】
より具体的には、第1実施形態によれば、前記抗体、その機能的断片の1つ、又は誘導体は、軽鎖を含み、前記軽鎖の配列において、キメラ抗体は配列番号14に示される配列を含み、ヒト化抗体は配列番号18に示される配列を含む。
【0016】
前記態様によれば、より具体的な第2具体実施形態において、本発明に記載の抗体、その機能的断片の1つ、又は誘導体は、重鎖を含み、前記重鎖は、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3を含み、CDR-H1は、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含み、CDR-H2は、配列番号5に示されるアミノ酸配列を含み、CDR-H3は、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含む。
【0017】
より具体的には、第2実施形態によれば、前記抗体、その機能的断片の1つ、又は誘導体は、重鎖を含み、前記重鎖の配列において、キメラ抗体は配列番号15に示される配列を含み、ヒト化抗体は配列番号19に示される配列を含む。
【0018】
前記態様によれば、より具体的な第2実施形態において、本発明に記載の抗体、その機能的断片の1つ、又は誘導体は、軽鎖を含み、前記軽鎖は、CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3を含み、CDR-L1は、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含み、CDR-L2は、配列番号11に示されるアミノ酸配列を含み、CDR-L3は、配列番号12に示されるアミノ酸配列を含む。
【0019】
より具体的には、第2実施形態によれば、前記抗体、その機能的断片の1つ、又は誘導体は、軽鎖を含み、前記軽鎖の配列において、キメラ抗体は、配列番号16に示される配列を含み、ヒト化抗体は、配列番号20に示される配列を含む。
【0020】
本発明の別の態様において、本発明は、単離されたDNAに関する。下記のDNA配列の核酸から選択される。それぞれの核酸がコードするアミノ酸配は、上記の配列番号1から配列番号20のうちのいずれか1つのアミノ酸配列である。
【0021】
より具体的には、下記のDNA配列から選択される核酸を含む。
第1実施形態は、配列番号21、配列番号22、配列番号23及び配列番号27、配列番号28、配列番号29に示される核酸配列を含む。
第2実施形態は、配列番号24、配列番号25、配列番号26及び配列番号30、配列番号31、配列番号32に示される核酸配列を含む。
【0022】
より具体的には、
第1具体実施形態のキメラ抗体配列は、配列番号33及び配列番号34に示される核酸配列によってコードされるアミノ酸配列を含み、ヒト化抗体配列は、配列番号37及び配列番号38に示される核酸配列によってコードされるアミノ酸配列を含む。
第2実施形態のキメラ抗体配列は、配列番号35及び配列番号36に示される核酸配列によってコードされるアミノ酸配列を含み、ヒト化抗体配列は、配列番号39及び配列番号40に示される核酸配列によってコードされるアミノ酸配列を含む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】4D3軽鎖、重鎖可変領域配列のCDR領域認識と二次元構造図である。
図2】7F11軽鎖、重鎖可変領域配列のCDR領域認識と二次元構造図である。
図3】ch4D3、ch7F11のELISA結合曲線である。
図4】ch4D3及びch7F11の細胞表面結合活性図である。
図5】BXPC-3生細胞上でのch4D3及びch7F11抗体のエンドサイトーシス活性図である。
図6】4D3マウス抗体の軽鎖及び重鎖可変領域配列のヒト化前後のヒト性スコア(humanness;Z-score)の変化図である。
図7】7F11マウス抗体の軽鎖及び重鎖可変領域配列のヒト化前後のヒト性スコア(humanness;Z-score)の変化図である。
図8】4D3ヒト化抗体とキメラ抗体の同等希釈濃度下での結合曲線図である。
図9】7日目(A)、14日目(B)、21日目(C)での4D3ヒト化抗体のSEC検出の結果を示す図である。
図10】7F11ヒト化抗体とキメラ抗体の同等希釈濃度下での結合曲線図である。
図11】7日目(A)、14日目(B)、21日目(C)での7F11ヒト化抗体のSEC検出の結果を示す図である。
図12】4D3ヒト化ビオチン抗体と、0.02~50ug/mlのch4D3及びhu4D3抗体のそれぞれの結合エピトープとの競合結果を示す図である。
図13】7F11ヒト化ビオチン抗体と、0.02~50ug/mlのch7F11及びhu7F11抗体のそれぞれの結合エピトープとの競合結果を示す図である。
図14】3種類の細胞におけるhu7F11抗体の結合データである。
図15】3種類の細胞におけるHu4D3抗体の結合データである。
図16】3種類の細胞におけるhu7F11抗体のエンドサイトーシスデータである。
図17】3種類の細胞におけるHu4D3抗体のエンドサイトーシスデータである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
実施例1:TROP2抗原による6~8週齢のBalb/cマウスの免疫化
TROP2細胞外領域発現ベクターを構築し、浮遊細胞293Fを用いてミリグラムレベルのTROP2タンパク質を一過性発現した。6-8週齢のマウスを選択し、下表に示される免疫化用量(immunization dose)及び時点でTROP2抗原の皮下免疫化を行い、3回免疫化後に血漿力価が最も高いマウスを選択して最終免疫化を行った。免疫化プロセスを下表1に示す。
【表1】
【0025】
実施例2:免疫化マウスの脾臓細胞のインビトロ融合
マウス骨髄腫細胞SP2/0をDMEM+FBS 10%完全培地中で事前に培養し、融合前にパスツールピペットを用いて5x10個のSP2/0細胞を取り、1000gで5min遠心分離し、37℃で予熱した無血清DMEMで残留血清を洗浄し、KMマウス腹腔内のフィーダー細胞を採取し、5x10個/100ul/ウェルの細胞量でフィーダー細胞を96ウェルプレートにプレーティングした。最終免疫化後の3日目に眼から採血し、最終免疫化されたマウスを安楽死させ、75%アルコールに浸した後、無菌手術台に置き、脾臓組織を摘出した。予熱した無血清DMEMで脾臓細胞をピペッティングし、脾臓細胞の1/2を取って計数し、脾臓細胞:SP2/0細胞の数量比1:1~10:1で混合し、遠心分離後、残留DMEMを吸引して除去した。1mlの予熱PEG-1450を加えて均一に混合し、3min後、35mlの予熱したDMEM培地を加えて希釈して停止させた。細胞を1000rpmで5min遠心分離し、その後、HATスクリーニング培地で細胞を再懸濁させ、10枚の96ウェルプレートに接種した。
【0026】
実施例3:ハイブリドーマ細胞上清の陽性検出
融合の7~10日後、細胞クローンの形成状況を観察した。上清検出の前日にDMEM+10%FBS培地で培地を交換した。濃度2ug/mlのTROP2抗原でELISAプレートをコーティングした。検出の当日に、無菌手術台でマルチチャンネル電動ピペットを用いて96ウェルプレートから培地上清を吸引し、対応するELISAプレートのウェルに加えた。ELISAプレートを37℃で1hrインキュベートした後、PBSTでウェルプレートを3回洗浄し、1:5000に希釈したHRP標識ヤギ抗マウス抗体を加えた。37℃で1hrインキュベートした後、PBSTで3回希釈した。TMB基質発色現像液を調製し、各ウェルに50ulを加え、室温条件下で5~10min反応させた。その後、50ul/ウェルで2M硫酸溶液を加えて発色を停止させた。マイクロタイタープレートのOD450値に従って、陽性クローンをスクリーニングした。
【0027】
実施例4:陽性細胞株のサブクローンスクリーニング
OD450値が比較的高い融合細胞プレートのウェルを標識し、2日以内に培養を続けた。実施例2の方法によりフィーダー細胞をプレーティングし、200ulピペットチップを用いて陽性細胞を均一にピペッティングし、5ul以下の細胞懸濁液を取ってサブクローニングを行った。100ulに希釈し、100ul/ウェルのフィーダー細胞懸濁液を含む96ウェルプレートの最初のウェルに加えた。A1からH1への方向において100ulの体積で最後の列まで均等にピペッティングし、さらに、マルチチャンネル電動ピペットを用いて100ulを吸い取ってA1からA12への方向において最後の列まで均等にピペッティングした。ウェルプレートを7~10日培養し、単一クローンが形成されたプレートウェルを標識し、実施例の方法を参照して上清陽性検出を行った。
【0028】
実施例5:腹水でのモノクローナル抗体の調製
腹水調製の7日前にBalb/cマウスに1ml/匹でパラフィン油を腹腔内注射した。次に、最初のサブクローニング後に陽性率が安定したモノクローナル細胞を採取して拡大培養した。6ウェルプレートの少なくとも1つのウェルサイズに増殖したときに細胞を収集した。1000gで3min遠心分離し、リン酸緩衝液で細胞を3回洗浄した。各マウスに1~2x10個注射する量で調製した。マウスを7~10日飼育し、マウス腹腔を観察した。18ゲージ滅菌針を用いて腹水を採取し、14000gで5min遠心分離して腹水上清を収集した。得られた上清をproteinA/Gアフィニティーカラムにより精製し、4D3及び7F11細胞株のモノクローナル抗体を得た。
【0029】
実施例6:4D3抗体の軽鎖及び重鎖可変領域のコード配列の取得
モノクローナル細胞株を6ウェルプレート中で培養し、コンフルエンスが90~100%に達したときにtrizolで細胞を収取した。RNaseフリーの環境で総RNAを抽出し、oligo dTを逆転写プライマーとしてcDNAライブラリーを合成した。このcDNAライブラリーは、ターミナルトランスフェラーゼTdTにより5'末端にdGTPを付加した後、PCRテンプレートとして使用された。上流プライマーがoligo dCであり、下流プライマーが抗体の軽鎖及び重鎖の5'末端CH1の定常領域に対応するプライマーペアを用いて、高忠実度酵素primerSTARを通じて可変領域遺伝子の5'-RACE増幅を実行した。PCR産物をDNAアガロースゲル電気泳動で分析し、長さが約750bpのDNA断片を回収して下流TAクローニングを行った。コロニーPCRにより陽性と同定された菌株を配列決定した。オンラインIMGTデータベースにより、得られた配列に対して配列アラインメント及び可変領域配列の二次元マッピングを行った。
【0030】
実施例7:7F11抗体の軽鎖及び重鎖可変領域のコード配列の取得
実施例6の操作を参照して7F11クローンの軽鎖及び重鎖可変領域配列を得た(図2)。
【0031】
実施例8:抗体の発現及び精製
FreestyleTM 293-F(Invitrogen)浮遊細胞を用いて抗体を発現した。トランスフェクションの前日、6×10個/mLの密度で細胞を300mLのF17完全培地(FreestyleTM F17発現培地、Gibco社)の1L振とうフラスコに接種し、37℃、5%CO、120rpmで細胞培養シェーカー中で一晩培養した。翌日、PEIを用いて抗体発現プラスミドをトランスフェクトした(プラスミド:PEI=2:1)。トランスフェクションの1日後、2.5%(v/v)でTN1フィード培地を加え、引く続き4日培養した後、遠心分離して上清を収集した。得られた発現上清をProtein Aアフィニティークロマトグラフィーカラム(Mabselect Sure LX,GE社)により0.1Mクエン酸(pH3.0)で溶出し、捕捉した抗体を1M Tris-HCl(pH9.0)(1/10(v/v))でpH7.0に調整し、さらにゲル濾過クロマトグラフィーカラムSEC(Superdex 200、GE社)によりポリマー及びエンドトキシンなどの不純物を除去し、抗体緩衝液をPBS(pH7.4)に変更した。このように得られた抗体は、標的抗体モノマー(POI%)が99%を超え、その後の実験に使用された。
【0032】
実施例9:ELISA方法による抗体親和性の評価
可変領域遺伝子をヒト抗体定常領域を含む発現プラスミドにクローニングし、実施例8を参照して真核細胞293Fを一過性トランスフェクトして分泌された4D3と7F11キメラ抗体を精製した。キメラ抗体を50ug/ml濃度に希釈し、TROP2コーティングELISAプレートのA1~H1ウェルに加え、A1からA12への方向において3倍体積水平希釈を行い、37℃で1hrインキュベートした後、洗浄し、マウス抗ヒトFc HRP標識抗体を加え、37℃でインキュベートした後、発色させた。
図3から分かるように、4D3と7F11はいずれも良好な相対親和性を有する。EC50(B4):0.047ug/ml;EC50(B7):0.071ug/ml。
【0033】
実施例10:細胞免疫蛍光法による抗体生物活性の評価
BXPC-3細胞をプレートし、96ウェル細胞培養プレート内の細胞コンフルエンスが40~50%に達するように24~48hr増殖させた。実験当日に上清を吸引して除去し、2回洗浄した。3% BSAを含むPBS溶液を加え、37℃で1hrブロッキングした。キメラ抗体及びhRS7抗体を10ug/mlに希釈し、37℃で1hインキュベートし、一次抗体溶液を吸引して除去し、4回洗浄した後、4%パラホルムアルデヒド溶液(100μL/ウェル)を加えて室温で20min静置し、2回洗浄した後、1:800の比率で1%BSA溶液を用いて二次抗体を希釈した(100ul/ウェル)。二次抗体懸濁液を吸引して除去し、4回洗浄し、2μg/ml濃度のDAPI染色液を100μL/ウェルで加え、室温、暗所で5minインキュベートした。DAPI染色液を吸引して除去し、4回洗浄した後、1×DPBS溶液を100μL/ウェルで加え、蛍光顕微鏡下で観察し、撮影して実験結果を記録した。
図4:同じ抗体濃度及び処理条件下でのch4D3及びch7F11の細胞表面結合活性。
【0034】
実施例11:細胞エンドサイトーシス法による抗体の生物学的活性の評価
実施例10の方法を参照してBXPC-3細胞をプレーティングした。実験当日に細胞培養液を吸引して除去し、PBS溶液を加え、2回洗浄した。1%FBSを含む培地を使用し、キメラ抗体及びhRS7抗体を10ug/mlに希釈して4℃で1hインキュベートし、一次抗体溶液を吸引して除去し、検出される細胞を培養するための完全培地を加え、37℃で1hrインキュベートした。細胞培地を吸引して除去し、4回洗浄した後、4%パラホルムアルデヒド溶液を加え、100μL/ウェルで20min静置した。2回洗浄した後、0.5%Triton-X100を含む3%BSAブロッキング溶液(100μL/ウェル)を加え、室温で1h静置した。パンチング液を吸引して除去し、2回洗浄した。1:800の比率で抗ヒトIgG蛍光二次抗体を希釈し(100μL/ウェル)、37℃で1hインキュベートした。蛍光二次抗体溶液を吸引して除去し、4回洗浄した後、DAPI染色を行い、室温、暗所で15min静置した。4回洗浄し、1×DPBS溶液を100μL/ウェルで加え、蛍光顕微鏡下で蛍光染色結果を観察した(図4、5)。
【0035】
実施例12:4D3ヒト化配列の改造
4D3可変領域の核酸配列のシーケンシング結果を取得し、配列をウェブサイトIMGTによって提供されるV-QUEST配列チェックウィンドウ(http://www.imgt.org/IMGT_vquest/vquest)に入力して軽鎖及び重鎖可変領域の配列特徴(3つのCDR領域配列と4つのFR領域配列、及び最も密接に関連する生殖細胞系遺伝子ファミリー配列)を得た。在IMGT-DomainGapAlignアミノ酸チェックウィンドウで、配列類似性が最も高いヒト生殖系列遺伝子ファミリー配列を検索した。4D3軽鎖は、ヒトIGKV1-27*01+IGKJ2*02ファミリー配列に対応し、4D3重鎖は、ヒトIGHV1-3*01+IGHJ4*01ファミリー配列に対応した。ヒト生殖系列遺伝子配列のCDR領域を4D3軽鎖及び重鎖のCDRに置き換え、IMGT-Structural queryを用いて抗体構造の情報をチェックした。最終的に4D3-Humバージョンの軽鎖及び重鎖ヒト化配列を得た。4D3マウス配列及びヒト化配列をオンラインウェブサイトに入力してヒト抗体の類似性スコアを評価した。
図6では、青線はマウス抗体ライブラリーのZ-score分布範囲と頻度を示し、緑線はヒト抗体ライブラリーのZ-score分布範囲と頻度を示し、赤色直線は4D3軽鎖及び重鎖によって得られたZ-scoreを示す。ヒト化した後、4D3のZ-score値は顕著に高くなった。
【0036】
実施例13:7F11ヒト化配列の改造
実施例12を参照して7F11マウス抗体の軽鎖及び重鎖ヒト化配列を得た。7F11マウス配列、ヒト化配列をオンラインウェブサイトに入力してヒト抗体の類似性スコアを評価した。
図7では、青線はマウス抗体ライブラリーのZ-score分布範囲と頻度を示し、緑線はヒト抗体ライブラリーのZ-score分布範囲と頻度を示し、赤色直線は4D3軽鎖及び重鎖によって得られたZ-score値を示す。ヒト化した後、7F11のZ-score値は顕著に高くなった。
【0037】
実施例14:4D3ヒト化抗体の相対親和性分析
4D3ヒト化抗体配列を真核発現ベクターにクローニングし、実施例8を参照して真核細胞293Fに一過性にトランスフェクトした。精製後の抗体を2ug/mlに希釈し、ヒト化前のマウス抗体と共にTROP2コーティングELISAプレートのA1~H1ウェルに加え、さらにA1~A12方向において3倍希釈し、37℃で1hrインキュベートして洗浄し、抗ヒトFcのHRP標識抗体を加え、37℃でインキュベートした後、発色させた。最後に、EC50と曲線形状に応じてch4D3抗体とhum4D3抗体の相対的な親和性を比較した。
図8:EC50(4D3-キメラ):0.056ug/ml;EC50(4D3-ヒト化):0.0502ug/ml。
【0038】
実施例15:4D3ヒト化抗体の熱安定性分析
精製したhum4D3抗体を透析し、PBS緩衝液で透析し、最終濃度を2mg/mlにし、70ul/チューブで2つのバッチ(3チューブ/バッチ)に分けた。2つのバッチのサンプルをそれぞれ4℃及び37℃で静置し、0日目、7日目、14日目にそれぞれサンプルチューブを取り出した。サンプルをSEC分析に使用して抗体の分解と凝集状況を評価した。
図9:7日目(図9A)、14日目(図9B)、21日目(図9C)における4D3ヒト化抗体のSEC検出結果である。37℃条件下の各時点での4D3ヒト化抗体のモノマーと凝集体及び検出分子に対する比率(%)を図9Dに示す。
【0039】
実施例16:7F11ヒト化抗体の相対親和性及び結合エピトープの一貫性の分析
実施例14を参照して7F11ヒト化抗体の相対親和性を評価した。
図10:7F11ヒト化抗体及びキメラ抗体の同等希釈濃度での結合曲線である。EC50(7F11-キメラ):0.061ug/ml;EC50(7F11-ヒト化):0.0601ug/ml。
【0040】
実施例17:7F11ヒト化抗体の熱安定性分析
実施例15を参照して7F11ヒト化抗体の熱安定性を分析した。
図11:7日目(図11A)、14日目(図11B)、21日目(図11C)における7F11ヒト化抗体のSEC検出結果である。37℃条件下の各時点での7F11ヒト化抗体のモノマーと凝集体及び検出分子に対する比率(%)を図11Dに示す。
【0041】
実施例18:ヒト化抗体と親抗体の抗原親和性の分析
Pall ForteBio Octet光学分析技術プラットフォームを用いて抗体-抗原結合の絶対親和性を評価した。この方法では、ビオチン標識抗原をストレプトアビジンバイオセンサーチップの表面に固定化し、ベースラインを180秒間平衡化し、その後、溶液濃度勾配で希釈された抗体と30秒間結合することでチップの光学的厚さを増加させた。その結果、波長シフト(Δλ)が生じ、30秒の解離段階に入った。Trop2抗原と対応する抗体との間の相互作用をリアルタイムで測定し、各濃度での結合特異性、結合速度、解離速度又はサンプル濃度を精密で正確に測定した。少なくとも5つの濃度勾配でのk-on値とk-off値をまとめて、KD結合定数を得た。
【表2】
【0042】
実施例19:4D3ヒト化抗体及び嵌合抗体の活性分析及び結合エピトープの一貫性の分析
4D3ヒト化抗体をビオチンで標識し、ELISAにより結合曲線の変曲点値を測定した結果、0.5ng/mlであった。0.5ng/mlの4D3ビオチン標識抗体を含むELISAブロッキング溶液を調製し、この溶液を用いて50ug/mlの競合抗体4D3キメラ及び4D3ヒト化を調製した。ビオチン標識抗体及び競合抗体を含む溶液を150ul/ウェルでA1~A12に加え、50ulを吸い出してB2~B12に加え、事前に添加した100ulのビオチン抗体溶液と十分に混合し、さらに順に3倍を希釈してH1~H12に加え、37℃で1hrインキュベートした後、洗浄し、抗ヒトIgG Fc二次抗体をインキュベートし、37℃で1hrインキュベートした後、3回洗浄し、25min発色させ、値を読み取った。
図12:4D3ヒト化ビオチン抗体はそれぞれ0.02~50ug/mlのch4D3及びhum4D3抗体と競合することを示す。2つの競合抗体は、同じ程度の競合活性を示し、エピトープが一致した。EC50(ch4D3):0.336ug/ml。EC50(hum4D3):0.326ug/ml
【0043】
実施例20:7F11ヒト化抗体、ヒト化抗体及びキメラ抗体の活性分析及び結合エピトープ一貫性の分析
実施例18を参照して7F11のエピトープ競合活性及び結合エピトープ一貫性を分析した。
図13:7F11ヒト化ビオチン抗体はそれぞれ0.02~50ug/mlのch7F11及びhum7F11抗体と競合した。2つの競合抗体は、同じ程度の競合活性を示し、エピトープが一致した。EC50(ch7F11):0.732ug/ml。EC50(hum7F11):0.856ug/ml。
【0044】
実施例21:ヒト化抗体hu7F11&hu4D3の細胞結合及びエンドサイトーシス実験
HEK293細胞を陰性細胞とし、BXPC-3及びMCF-7細胞を陽性細胞として用いて、勾配濃度での各抗体の結合とエンドサイトーシスを試験した。細胞結合試験では、4℃で1hr結合させた後、通常のFITC標識蛍光二次抗体を加え、フローサイトメトリーでデータを収集した。
【0045】
エンドサイトーシス試験では、酸感受性の低分子染色であるPhrodo-Redヤギ抗ヒト二次抗体を使用し、各濃度の一次抗体と共にインキュベートして複合体を形成した後、各細胞系と共に16hrインキュベートした。その後、サンプリングし、96ウェルプレートの各ウェルに少なくとも10000この細胞を接種し、フローサイトメーターによりデータを収集して分析した。各濃度での細胞の遠赤色光チャネルにおける平均蛍光強度値を統計し、抗体濃度を横座標としてエンドサイトーシス程度曲線を作成した。
【0046】
3種類の細胞におけるhu7F11とHu4D3抗体の結合程度を比較した結果、BxPC-3細胞の結合程度が最も高かった。3種類の細胞におけるhu7F11とHu4D3抗体のエンドサイトーシス程度を比較した結果、BxPC-3細胞のエンドサイトーシス程度が最も高かった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【配列表】
2023530525000001.app
【国際調査報告】