(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-19
(54)【発明の名称】アミノ酸系重合性化合物及びそれから調製される眼科用デバイス
(51)【国際特許分類】
C08F 20/60 20060101AFI20230711BHJP
G02C 7/04 20060101ALI20230711BHJP
A61F 2/16 20060101ALI20230711BHJP
C07C 279/14 20060101ALI20230711BHJP
C07C 237/22 20060101ALI20230711BHJP
C07C 309/18 20060101ALI20230711BHJP
C07C 323/58 20060101ALI20230711BHJP
A61L 27/18 20060101ALI20230711BHJP
A61L 27/16 20060101ALI20230711BHJP
A61L 27/52 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
C08F20/60
G02C7/04
A61F2/16
C07C279/14
C07C237/22
C07C309/18
C07C323/58
A61L27/18
A61L27/16
A61L27/52
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568562
(86)(22)【出願日】2021-05-24
(85)【翻訳文提出日】2021-11-16
(86)【国際出願番号】 IB2021054497
(87)【国際公開番号】W WO2021255552
(87)【国際公開日】2021-12-23
(32)【優先日】2020-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510294139
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 Centurion Parkway, Jacksonville, FL 32256, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】マハデバン・シブクマル
(72)【発明者】
【氏名】シンハ・ドーラ
(72)【発明者】
【氏名】ツァン・ヨン
(72)【発明者】
【氏名】マハルビ・グラーム
【テーマコード(参考)】
2H006
4C081
4C097
4H006
4J100
【Fターム(参考)】
2H006BB01
2H006BB03
2H006BB05
2H006BB08
4C081AB21
4C081AB22
4C081AB23
4C081CA021
4C081CA051
4C081CA081
4C081CA101
4C081CA241
4C081CC01
4C081DA12
4C097AA25
4C097DD01
4C097EE12
4C097SA10
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB46
4H006BN10
4H006BS10
4H006BT12
4H006BU32
4H006BV21
4H006BV22
4J100AL08P
4J100AM21P
4J100BA03P
4J100BA15P
4J100BA16P
4J100BA20P
4J100BA27P
4J100BA28P
4J100BA29P
4J100BA34P
4J100BA35P
4J100BA46P
4J100BA51P
4J100BA56P
4J100BC43P
4J100BC65P
4J100BC73P
4J100CA01
4J100CA03
4J100JA34
4J100JA50
(57)【要約】
アミノ酸系重合性化合物及び眼科用デバイスにおけるそれらの用途が提供される。アミノ酸系重合性化合物は、式Iのものであって:
【化1】
式中、R、R
1、及びR
2は、本明細書に記載のとおりである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iのアミノ酸系重合性化合物であって:
【化1】
式中、
Rは、H、C(=O)R
3であるか、又はRは、Rが結合している窒素とともに重合性基を形成し、
R
3は、C
1~C
25のアルキル又はシクロアルキルであり、
R
1は、アミノ酸残基又はアミノ酸残基の誘導体であり、前記誘導体は、任意選択的に重合性基を含み、
R
2は、OR
4又はN(H)-L-P
gであり、R
4は、H、金属カチオン、又はC
1~C
6アルキルであり、Lは、連結基であり、P
gは、重合性基であり、
前記化合物が、少なくとも1つの重合性基を含有する、アミノ酸系重合性化合物。
【請求項2】
R
1は、アルギニン(arg)、アスパラギン(asn)、又はヒスチジン(his)のアミノ酸残基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R
1は、システイン(cys)アミノ酸残基の誘導体である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R
1は、-CH
2-SO
3R
5であり、R
5は、H、金属カチオン、又はC
1~C
6アルキルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
R
1は、-CH
2-S-L-P
gであり、Lは、連結基であり、P
gは、重合性基である、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
Lは、アルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、オキサアルキレン、アルキレン-アミド-アルキレン、アルキレン-アミン-アルキレン、又はアルキレン-エステル-アルキレンである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
P
gは、スチリル、ビニルカーボネート、ビニルエーテル、ビニルカルバメート、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、(メタ)アクリレート、又は(メタ)アクリルアミドを含む、請求項5~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
Rは、Hである、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
Rは、C(=O)R
3であり、R
3は、C
5~C
20アルキル、又はC
7~C
15アルキルである、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
Rは、Rが結合している窒素とともに、重合性基を形成する、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
Rは、Rが結合している窒素とともに、(メタ)アクリルアミド基を形成する、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
R
2は、OR
4であり、かつR
4は、H又はC
1~C
6アルキルである、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
R
2は、N(H)-L-P
gである、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
Lは、アルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、オキサアルキレン、アルキレン-アミド-アルキレン、アルキレン-アミン-アルキレン、又はアルキレン-エステル-アルキレンである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
P
gは、スチリル、ビニルカーボネート、ビニルエーテル、ビニルカルバメート、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、(メタ)アクリレート、又は(メタ)アクリルアミドを含む、請求項13~14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
式II、III、IV、V、又はVIの化合物であり:
【化2】
式中、R
3は、C
1~C
25アルキル又はシクロアルキルであり、R
4は、H、金属カチオン、又はC
1~C
6アルキルであり、R
5は、H、金属カチオン、又はC
1~C
6アルキルであり、かつ
R
6は、H又はメチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
メタクリロイルアルギニン、
メタクリロイルアスパラギン、
メチルメタクリロイルヒスチジネート、
2-デカンアミド-3-((2-メタクリルオキシエチル)アミノ)-3-オキソプロパン-1-スルホン酸ナトリウム、
S-(3-(2-ヒドロキシ-3-(メタクリロイルオキシ)プロポキシ)-3-オキソプロピル)-L-システイン、
メタクリロイルフェニルアラニン、
メタクリロイルリジン、
メタクリロイルグルタミン、
メタクリロイルグルタミン酸、
メタクリロイルチロシン、
アクリロイルトリプトファン、
アクリロイルアスパラギン酸、又は
アクリロイルメチオニン、
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
眼科用デバイスであって、
請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物と、前記眼科用デバイスを作製するのに好適な1種以上のモノマーと、のフリーラジカル反応生成物、
を含む、眼科用デバイス。
【請求項19】
前記眼科用デバイスを作製するのに好適な前記モノマーが、親水性成分、疎水性成分、シリコーン含有成分、及びこれらのうちの2つ以上の混合物から選択される、請求項18に記載の眼科用デバイス。
【請求項20】
眼内レンズ又はソフトコンタクトレンズである、請求項18~19のいずれか一項に記載の眼科用デバイス。
【請求項21】
ヒドロゲルコンタクトレンズである、請求項20に記載の眼科用デバイス。
【請求項22】
従来の(非シリコーン)ヒドロゲル又はシリコーンヒドロゲルである、請求項21に記載の眼科用デバイス。
【請求項23】
ある国に輸入される、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物又は眼科用デバイス。
【請求項24】
前記国がアメリカ合衆国である、請求項23に記載の化合物又は眼科用デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許出願第17/317,287号(2021年5月11日出願)及び米国特許仮出願第63/039,493号(2020年6月16日出願)に対する優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、アミノ酸系重合性化合物、並びにこれらから作製されるポリマー及び眼科用デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
コンタクトレンズは、1950年代以来、視力を改善するために商業的に使用されてきた。最初のコンタクトレンズは、硬質の材料から製造されていた。これらのレンズは依然として現在も使用されているが、それらの低い初期快適性、及び酸素に対する比較的低い透過性のために、全ての患者に適しているわけではない。この分野で後に開発されたものは、ヒドロゲルをベースにしたソフトコンタクトレンズであり、これは現在極めて一般的である。ソフトレンズがより快適であり、その快適性レベルが増加したことにより、ソフトコンタクトレンズのユーザが、ハードコンタクトレンズのユーザよりも長時間にわたってレンズを装着することができることを、多くのユーザが見出している。
【0004】
多くのユーザは、彼らの視力ケアのニーズを満たすためにコンタクトレンズに頼っており、そのため当該業界においては、コンタクトレンズ及び他の眼科用デバイスの特性を、例えば、親水性又は平衡含水比を高めたり、リゾチームなどの有益なタンパク質の取り込みを提供したり、かつ/又は汚れを防ぐ活性若しくは抗菌活性を提供したりと、更に改善させるように動かす力が継続的に存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、コンタクトレンズなどの眼科用デバイスでの使用に好適な、新しいアミノ酸系重合性化合物に関する。化合物は、例えば、眼科用デバイスの共有結合構造に組み込まれてもよく、又はそれらは重合されて、眼科用デバイスへのコーティング又は非共有結合性添加剤として使用されてもよい。結果として得られる眼科用デバイスは、例えば含水量の増加といった好ましい特性を呈するが、そのような特性は、ヒドロゲルコンタクトレンズにおいて特に望ましいものである。
【0006】
したがって、一態様では、本発明は、式Iのアミノ酸系重合性化合物を提供する:
【0007】
【化1】
式中、
Rは、H、C(=O)R
3であるか、又はRは、Rが結合している窒素とともに重合性基を形成し、
R
3は、C
1~C
25のアルキル又はシクロアルキルであり、R
1は、アミノ酸残基又はアミノ酸残基の誘導体であり、その誘導体は、任意選択的に重合性基を含み、
R
2はOR
4又はN(H)-L-P
gであり、R
4は、H、金属カチオン、又はC
1~C
6アルキルであり、Lは、連結基であり、P
gは、重合性基であり、かつ
その化合物は、少なくとも1つの重合性基を含有する。
【0008】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載のアミノ酸系重合性化合物から誘導されるポリマーを含む眼科用デバイスを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、以下の説明に記載されている構造又はプロセス工程の詳細に限定されるものではないことを理解されたい。本発明は他の実施形態が可能であり、本明細書に記載の教示を用いた様々な方法によって実行又は実施することが可能である。
【0010】
本開示において使用される用語に関しては、以下の定義が提供される。
【0011】
別段の定めがある場合を除き、本明細書で用いられる全ての科学技術用語は、本発明が属する技術分野における当業者が一般に理解するものと同じ意味を有する。ポリマーの定義は、Compendium of Polymer Terminology and Nomenclature,IUPAC Recommendations 2008,edited by:Richard G.Jones,Jaroslav Kahovec,Robert Stepto,Edward S.Wilks,Michael Hess,Tatsuki Kitayama,and W.Val Metanomskiに開示される定義に一致する。本明細書において言及される刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は全て、参照により本明細書に組み込まれる。
【0012】
本明細書で使用するとき、「(メタ)」という用語は、任意選択のメチル置換を意味する。したがって、「(メタ)アクリレート」などの用語は、メタクリレート及びアクリレートの両方を意味する。
【0013】
化学構造が記載されている場合にはいつでも、構造における置換基について開示された選択肢を任意の組み合わせで組み合わせてもよいことを理解すべきである。したがって、構造が置換基R*及びR**を含有しており、これらがそれぞれ3つの可能性のある基のリストを含んでいる場合、9とおりの組み合わせが開示されることになる。特性の組み合わせについても同じことが当てはまる。
【0014】
一般式[***]nにおける「n」などの下付き文字が、ポリマーの化学式における繰り返し単位の数を表示するために使用されるとき、式は、その巨大分子の数平均分子量を表すと解釈すべきである。
【0015】
「個体」という用語は、ヒト及び脊椎動物を含む。
【0016】
「眼科用デバイス」という用語は、眼又は眼の任意の一部(眼の表面を含む)の、中又は上に存在する任意の装置を指す。これらのデバイスは、光学補正、外見向上、視力強化、治療効果(例えば、包帯として)、若しくは医薬成分及び栄養補助成分などの活性成分の供給、又は前述のものの任意の組み合わせを提供することができる。眼科用デバイスの例としては、レンズ、光学的眼内挿入物(例えば涙点プラグなどが挙げられるが、それらに限られない)などが挙げられるが、それらに限られない。「レンズ」は、ソフトコンタクトレンズ、ハードコンタクトレンズ、ハイブリッドコンタクトレンズ、眼内レンズ、及びオーバーレイレンズを含む。眼科用デバイスは、コンタクトレンズを含み得る。
【0017】
「コンタクトレンズ」という用語は、個体の眼の角膜上に置くことができる眼科用デバイスを指す。コンタクトレンズは、創傷治癒、薬剤若しくは栄養補助剤の送達、診断的評価若しくはモニタリング、紫外線吸収、可視光若しくはグレアの低減、又はこれらの任意の組み合わせを含む、矯正的、美容的、又は治療的な利益をもたらし得る。コンタクトレンズは、技術分野で既知の任意の適切な材料で作製されたものであり得るが、ソフトレンズ、ハードレンズ、又はハイブリッドレンズであり得る。ハイブリッドレンズとは、異なる物理的、機械的、若しくは光学的特性(例えば、弾性率、含水率、光透過、若しくはこれらの組み合わせなど)を有する、少なくとも2つの別個の部分を含有するレンズである。
【0018】
本発明の眼科用デバイスは、シリコーンヒドロゲル又は従来のヒドロゲルから構成され得る。シリコーンヒドロゲルは、典型的には、硬化されたデバイス内で互いに共有結合した、少なくとも1種の親水性モノマー及び少なくとも1種のシリコーン含有成分を含有する。
【0019】
「標的巨大分子」は、モノマー、マクロマー、プレポリマー、架橋剤、開始剤、添加剤、希釈剤などを含む、反応性モノマー混合物から合成されている巨大分子を意味する。
【0020】
「重合性化合物」という用語は、1つ以上の重合性基を含有する化合物を意味する。この用語は、例えば、モノマー、マクロマー、オリゴマー、プレポリマー、架橋剤などを包含する。
【0021】
「重合性基」は、フリーラジカル及び/又はカチオン重合、例えばラジカル重合開始条件に供されたときに重合することができる炭素-炭素二重結合などの、連鎖成長重合を受けることができる基である。フリーラジカル反応性基の非限定的な例としては、(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、O-ビニルカルバメート、O-ビニルカーボネート、及び他のビニル基が挙げられる。好ましくは、フリーラジカル重合性基は、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、及びスチリル官能基、並びに前述のうちの任意の混合物を含む。より好ましくは、フリーラジカル重合性基は、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、及びこれらの混合物を含む。重合性基は、任意選択的に置換されていてもよい。例えば、(メタ)アクリルアミド中の窒素原子は、水素に結合されてもよく、又はその水素が、アルキル又はシクロアルキル(それ自体が更に置換されてもよい)で置換されてもよい。
【0022】
限定されるものではないが、バルク、溶液、懸濁液、及びエマルジョンを含む、任意の種類のフリーラジカル重合、並びに、安定性フリーラジカル重合、窒素酸化物媒介リビング重合、原子移動ラジカル重合、可逆的付加開裂連鎖移動重合、有機テルル媒介リビングラジカル重合などの、制御ラジカル重合法のいずれかを使用することができる。
【0023】
「モノマー」は、連鎖成長重合、特にフリーラジカル重合を受け、それによって標的巨大分子の化学構造内に繰り返し単位を作り出すことができる単官能性分子である。いくつかのモノマーは、架橋剤として作用することができる二官能性不純物を有する。「親水性モノマー」はまた、5重量%の濃度にて25℃で、脱イオン水を用いて混合したときに、透明な単相溶液が得られるモノマーである。「親水性成分」は、5重量%の濃度にて25℃で、脱イオン水を用いて混合したときに、透明な単相溶液が得られる、モノマー、マクロマー、プレポリマー、開始剤、架橋剤、添加剤、又はポリマーである。「疎水性成分」は、25℃で脱イオン水中でわずかに可溶性又は不溶性であるモノマー、マクロマー、プレポリマー、開始剤、架橋剤、添加剤、又はポリマーである。
【0024】
「巨大分子」は、1500を超える数平均分子量を有する有機化合物であり、反応性であっても、非反応性であってもよい。
【0025】
「マクロモノマー」又は「マクロマー」は、連鎖成長重合、特にフリーラジカル重合を受け、それによって標的巨大分子の化学構造内に繰り返し単位を作り出すことができる1つの基を有する巨大分子である。一般的に、マクロマーの化学構造は、標的高分子の化学構造とは異なり、すなわち、マクロマーのペンダント基の繰り返し単位は、標的高分子又はその主鎖の繰り返し単位とは異なる。モノマーとマクロマーとの間の差は、ペンダント基の化学構造、分子量、及び分子量分布のうちの1つに過ぎない。その結果として、かつ本明細書で使用されるように、特許文献は、約1,500ダルトン以下の比較的低い分子量を有する重合性化合物としてモノマーを定義することがあり、これは、本質的にいくつかのマクロマーを含む。具体的には、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(分子量=500~1500g/mol)(mPDMS)及びモノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(分子量=500~1500g/mol)(OH-mPDMS)は、モノマー又はマクロマーと称され得る。更に、特許文献は、1つ以上の重合性基を有するものとしてマクロマーを定義することがあり、マクロマーの一般的な定義を本質的に拡大してプレポリマーを含むようにしている。その結果として、かつ本明細書で使用されるように、二官能性及び多官能性マクロマー、プレポリマー、及び架橋剤は、互換的に使用され得る。
【0026】
「シリコーン含有成分」は、通常は、シロキシ基、シロキサン基、カルボシロキサン基、及びこれらの混合物の形態で、少なくとも1つのケイ素-酸素結合を有する、反応性混合物中のモノマー、マクロマー、プレポリマー、架橋剤、開始剤、添加剤、又はポリマーである。
【0027】
本発明において有用なシリコーン含有成分の例は、米国特許第3,808,178号、同第4,120,570号、同第4,136,250号、同第4,153,641号、同第4,740,533号、同第5,034,461号、同第5,070,215号、同第5,244,981号、同第5,314,960号、同第5,331,067号、同第5,371,147号、同第5,760,100号、同第5,849,811号、同第5,962,548号、同第5,965,631号、同第5,998,498号、同第6,367,929号、同第6,822,016号、同第6,943,203号、同第6,951,894号、同第7,052,131号、同第7,247,692号、同第7,396,890号、同第7,461,937号、同第7,468,398号、同第7,538,146号、同第7,553,880号、同第7,572,841号、同第7,666,921号、同第7,691,916号、同第7,786,185号、同第7,825,170号、同第7,915,323号、同第7,994,356号、同第8,022,158号、同第8,163,206号、同第8,273,802号、同第8,399,538号、同第8,415,404号、同第8,420,711号、同第8,450,387号、同第8,487,058号、同第8,568,626号、同第8,937,110号、同第8,937,111号、同第8,940,812号、同第8,980,972号、同第9,056,878号、同第9,125,808号、同第9,140,825号、同第9,156,934号、同第9,170,349号、同第9,217,813号、同第9,244,196号、同第9,244,197号、同第9,260,544号、同第9,297,928号、同第9,297,929号、及び欧州特許第080539号に見出すことができる。これらの特許は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0028】
「ポリマー」は、重合中に使用されるモノマーの繰り返し単位で構成される標的巨大分子である。
【0029】
「ホモポリマー」は、1つのモノマーから作製したポリマーであり、「コポリマー」は、2つ以上のモノマーから作製したポリマーであり、「ターポリマー」は、3つのモノマーから作製したポリマーである。「ブロックコポリマー」は、組成上異なるブロック又はセグメントから成る。ジブロックコポリマーは、2つのブロックを有する。トリブロックコポリマーは、3つのブロックを有する。「くし形又はグラフトコポリマー」は、少なくとも1つのマクロマーから作製される。
【0030】
「繰り返し単位」は、特定のモノマー又はマクロマーの重合に対応する、ポリマー内の原子の最小の基である。
【0031】
「開始剤」は、続いてモノマーと反応してフリーラジカル重合反応を開始することができるラジカルに分解可能である分子である。熱開始剤は、温度に応じて特定の速度で分解し、典型例は、例えば1,1’-アゾビスイソブチロニトリル及び4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)などのアゾ化合物、例えばベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、ジクミルペルオキシド、及びラウロイルペルオキシドなどのペルオキシド、例えば過酢酸及び過硫酸カリウムなどの過酸、及び様々な酸化還元系である。光開始剤は、光化学プロセスにより分解し、典型例は、ベンジル、ベンゾイン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、カンファーキノン、及びこれらの混合物の誘導体、並びに様々なモノアシル及びビスアシルホスフィンオキシド、並びにこれらの組み合わせである。
【0032】
「架橋剤」は、分子上の2つ以上の位置でフリーラジカル重合を受け、それによって分岐点及びポリマーネットワークを作り出すことができる、二官能性又は多官能性モノマー又はマクロマーである。一般的な例は、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド、トリアリルシアヌレートなどである。
【0033】
「プレポリマー」は、更に反応を受けてポリマーを形成可能な、残存している重合性基を含有するモノマーの反応生成物である。
【0034】
「ポリマーネットワーク」は、膨潤し得るが溶媒に溶解できない架橋巨大分子である。「ヒドロゲル」は、典型的には少なくとも10重量%の水を吸収しながら、水又は水溶液中で膨潤するポリマーネットワークである。「シリコーンヒドロゲル」は、少なくとも1つの親水性成分とともに少なくとも1つのシリコーン含有成分から作製されるヒドロゲルである。親水性成分はまた、非反応性ポリマーを含んでもよい。
【0035】
「従来のヒドロゲル」は、いかなるシロキシ、シロキサン、又はカルボシロキサン基も有しない成分から作製されたポリマーネットワークを指す。従来のヒドロゲルは、親水性モノマーを含む反応性混合物から調製される。例としては、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(「HEMA」)、N-ビニルピロリドン(「NVP」)、N,N-ジメチルアクリルアミド(「DMA」)、又は酢酸ビニルが挙げられる。米国特許第4,436,887号、同第4,495,313号、同第4,889,664号、同第5,006,622号、同第5,039459号、同第5,236,969号、同第5,270,418号、同第5,298,533号、同第5,824,719号、同第6,420,453号、同第6,423,761号、同第6,767,979号、同第7,934,830号、同第8,138,290号、及び同第8,389,597号は、従来のヒドロゲルの形成を開示している。従来のヒドロゲルはまた、ポリビニルアルコールから形成されてもよい。従来のヒドロゲルレンズはコーティングを含んでもよく、コーティングは、基質と同じ又は異なる材料であってもよい。従来のヒドロゲルとしては、ポリビニルピロリドンなどの添加剤、及びホスホリルコリン、メタクリル酸などの重合性誘導体を含むコモノマーを含んでもよい。市販の従来のヒドロゲルとしては、エタフィルコン(etafilcon)、ゲンフィルコン(genfilcon)、ヒラフィルコン(hilafilcon)、レネフィルコン(lenefilcon)、ネソフィルコン(nesofilcon)、オマフィルコン(omafilcon)、ポリマコン(polymacon)、及びビフィルコン(vifilcon)(それらの変形の全てを含む)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
「シリコーンヒドロゲル」は、少なくとも1つの親水性成分及び少なくとも1つのシリコーン含有成分から作製されるポリマーネットワークを指す。反応性混合物中に存在してもよい親水性成分の好適な族の例としては、(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、N-ビニルイミド、N-ビニルウレア、O-ビニルカルバメート、O-ビニルカーボネート、他の親水性ビニル化合物、及びこれらの混合物が挙げられる。シリコーン含有成分は周知であり、特許文献に広く記載されている。例えば、シリコーン含有成分は、少なくとも1つの重合性基(例えば、(メタ)アクリレート、スチリル、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、O-ビニルカルバメート、O-ビニルカーボネート、ビニル基、又は前述の混合物)、少なくとも1つのシロキサン基、及び重合性基(複数可)をシロキサン基(複数可)に接続する1つ以上の連結基(化学結合であり得る)を含んでよい。シリコーン含有成分は、例えば、1~220個のシロキサン繰り返し単位を含有してもよい。シリコーン含有成分はまた、少なくとも1つのフッ素原子も含有し得る。シリコーンヒドロゲルレンズはコーティングを含んでもよく、コーティングは、基質と同じ又は異なる材料であってもよい。
【0037】
シリコーンヒドロゲルの例としては、アクアフィルコン(acquafilcon)、アスモフィルコン(asmofilcon)、バラフィルコン(balafilcon)、コムフィルコン(comfilcon)、デレフィルコン(delefilcon)、エンフィルコン(enfilcon)、ファンフィルコン(fanfilcon)、フォルモフィルコン(formofilcon)、ガリーフィルコン(galyfilcon)、ロトラフィルコン(lotrafilcon)、ナラフィルコン(narafilcon)、リオフィルコン(riofilcon)、サムフィルコン(samfilcon)、セノフィルコン(senofilcon)、ソモフィルコン(somofilcon)、及びステンフィルコン(stenfilcon)(これらの変形の全てを含む)に加えて、米国特許第4,659,782号、同第4,659,783号、同第5,244,981号、同第5,314,960号、同第5,331,067号、同第5,371,147号、同第5,998,498号、同第6,087,415号、同第5,760,100号、同第5,776,999号、同第5,789,461号、同第5,849,811号、同第5,965,631号、同第6,367,929号、同第6,822,016号、同第6,867,245号、同第6,943,203号、同第7,247,692号、同第7,249,848号、同第7,553,880号、同第7,666,921号、同第7,786,185号、同第7,956,131号、同第8,022,158号、同第8,273,802号、同第8,399,538号、同第8,470,906号、同第8,450,387号、同第8,487,058号、同第8,507,577号、同第8,637,621号、同第8,703,891号、同第8,937,110号、同第8,937,111号、同第8,940,812号、同第9,056,878号、同第9,057,821号、同第9,125,808号、同第9,140,825号、同第9156,934号、同第9,170,349号、同第9,244,196号、同第9,244,197号、同第9,260,544号、同第9,297,928号、同第9,297,929号、並びに国際公開第03/22321号、同第2008/061992号、及び米国特許出願公開第2010/0048847号で調製されるようなシリコーンヒドロゲルが挙げられる。これらの特許は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0038】
「相互貫入ポリマーネットワーク」は、分子スケールで少なくとも部分的に交絡しているが、互いに共有結合しておらず、制動化学結合なしに分離することができない、2つ以上のネットワークを含む。「半貫入ポリマーネットワーク」は、1つ以上のネットワークと、少なくとも1つのネットワークと少なくとも1つのポリマーとの間の分子レベルで何らかの混合によって特徴付けられる1つ以上のポリマーと、を含む。異なるポリマーの混合物は、「ポリマーブレンド」である。半貫入ネットワークは、技術的にはポリマーブレンドであるが、場合によっては、ポリマーは、容易に除去することができないように絡まっている。
【0039】
「反応性混合物」及び「反応性モノマー混合物」という用語は、一緒に混合され、重合条件にさらされたときに、本発明のポリマーネットワークに加えて、それから作製される眼科用デバイス、及びコンタクトレンズを形成する成分(反応性及び非反応性の両方)の混合物を指す。反応性モノマー混合物は、モノマー、マクロマー、プレポリマー、架橋剤、及び開始剤などの反応性成分、湿潤剤、ポリマー、染料などの添加剤、UV吸収剤、顔料、染料、及び光互変化合物などの光吸収化合物(これらはいずれも反応性又は非反応性であってよいが、得られるコンタクトレンズ、並びに医薬化合物及び栄養補助化合物内に保持されることが可能である)、及び任意の希釈剤を含んでいてよい。作製される眼科用デバイス及びその使用目的に基づき、多様な添加剤が添加され得ることが理解されるであろう。反応性混合物の成分の濃度は、希釈剤を除いて、反応性混合物中の全ての成分の重量百分率として表される。希釈剤が使用される場合、それらの濃度は、反応性混合物中の全ての成分及び希釈剤の量に基づき重量百分率として表される。
【0040】
「反応性成分」は、共有結合、水素結合、静電相互作用、相互貫入ポリマーネットワークの形成、又は任意の他の手段により、得られるヒドロゲルのポリマーネットワークの化学構造の一部となる、反応性混合物の成分である。
【0041】
「シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ」という用語は、少なくとも1つのシリコーン含有成分から作製されるヒドロゲルコンタクトレンズを指す。シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは全般的に、従来のヒドロゲルと比較して、酸素透過性が向上している。シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、酸素を眼に送るために、それらに含まれる水分及びポリマーの両方を用いる。
【0042】
「多官能性」という用語は、2つ以上の重合性基を有する成分を指す。「単官能性」という用語は、1つの重合性基を有する成分を指す。
【0043】
「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を指す。
【0044】
「アルキル」は、指定された数の炭素原子を含有する任意選択で置換された直鎖又は分岐鎖アルキル基を指す。数が指定されていない場合、アルキル(アルキル上の任意選択の置換基を含む)は、1~16個の炭素原子を含有していてよい。好ましくは、アルキル基は、1~10個の炭素原子、あるいは1~8個の炭素原子、あるいは1~6個の炭素原子、あるいは1~4個の炭素原子を含有する。アルキルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソ-、sec-及びtert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、3-エチルブチルなどが挙げられる。アルキル上の置換基の例としては、ヒドロキシ、アミノ、アミド、アルコキシアルキル、オキソ((=O))、カルボキシ、アルキルカルボキシ、カルボニル、アルコキシ、チオアルキル、カルバメート、カーボネート、ハロゲン、フェニル、ベンジル、及びこれらの組み合わせから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの基が挙げられる。好ましい置換基としては、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ハロ基、アルコキシアルキル基、又はオキソ基が挙げられる。「アルキレン」は、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH(CH3)CH2-、及び-CH2CH2CH2CH2-などの、二価アルキル基を意味する。
【0045】
「ハロアルキル」は、1個以上のハロゲン原子で置換された上で定義されるアルキル基を指し、各ハロゲンは、独立して、F、Cl、Br、又はIである。好ましいハロゲンは、Fである。好ましいハロアルキル基は、1~6個の炭素、より好ましくは1~4個の炭素、更により好ましくは1~2個の炭素を含有する。「ハロアルキル」は、例えば-CF3-又は-CF2CF3-などのペルハロアルキル基を含む。「ハロアルキレン」は、例えば-CH2CF2-などの二価ハロアルキル基を意味する。
【0046】
「シクロアルキル」は、指定された数の環炭素原子を含有する任意選択で置換された環状炭化水素を指す。数が示されていない場合、シクロアルキルは、3~12個の環炭素原子を含有してもよい。好ましくは、C3~C8シクロアルキル基、C3~C7シクロアルキル、より好ましくはC4~C7シクロアルキル、更により好ましくはC5~C6シクロアルキルである。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。シクロアルキル上の置換基の例としては、アルキル、ヒドロキシ、アミノ、アミド、アルコキシアルキル、カルボニル、アルコキシ、チオアルキル、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロ、フェニル、ベンジル、及びこれらの組み合わせから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの基が挙げられる。好ましい置換基としては、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ハロ基、アルコキシアルキル基、又はオキソ基が挙げられる。「シクロアルキレン」は、例えば1,2-シクロヘキシレン、1,3-シクロヘキシレン、又は1,4-シクロヘキシレンなどの二価シクロアルキル基を意味する。
【0047】
「ヘテロシクロアルキル」は、少なくとも1つの環炭素が、窒素、酸素、及び硫黄から選択されるヘテロ原子で置換されている、上で定義されるシクロアルキル環又は環系を指す。ヘテロシクロアルキル環は、任意選択で、他のヘテロシクロアルキル環及び/又は非芳香族炭化水素環及び/又はフェニル環に縮合しているか、又は他の方法で結合される。好ましいヘテロシクロアルキル基は、5~7員を有する。より好ましいヘテロシクロアルキル基は、5又は6員を有する。ヘテロシクロアルキレンは、二価ヘテロシクロアルキル基を意味する。
【0048】
「アリール」は、少なくとも1つの芳香環を含有する、任意選択で置換された芳香族炭化水素環系を指す。アリール基は、示された数の環炭素原子を含有する。数が示されていない場合、アリールは、6~14個の環炭素原子を含有してもよい。芳香環は、任意選択で、他の芳香族炭化水素環又は非芳香族炭化水素環に縮合していてもよく、又は他の方法で結合されてもよい。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、及びビフェニルが挙げられる。アリール基の好ましい例としては、フェニルが挙げられる。アリール上の置換基の例としては、アルキル、ヒドロキシ、アミノ、アミド、アルコキシアルキル、カルボキシ、アルキルカルボキシ、カルボニル、アルコキシ、チオアルキル、カルバメート、カーボネート、ハロ、フェニル、ベンジル、及びこれらの組み合わせから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの基が挙げられる。「アリーレン」は、二価アリール基、例えば1,2-フェニレン、1,3-フェニレン、又は1,4-フェニレンを意味する。
【0049】
「ヘテロアリール」は、上で定義したように、少なくとも1つの環炭素原子が、窒素、酸素、及び硫黄から選択されるヘテロ原子で置換されているアリール環又は環系を指す。ヘテロアリール環は、1つ以上のヘテロアリール環、芳香族若しくは非芳香族炭化水素環、又はヘテロシクロアルキル環に縮合していてもよく、又は別の方法で結合されてもよい。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、フリル、及びチエニルが挙げられる。「ヘテロアリーレン」は、二価ヘテロアリール基を意味する。
【0050】
「アルコキシ」は、酸素架橋を介して親分子部分に結合しているアルキル基を指す。アルコキシ基の例としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、及びイソプロポキシが挙げられる。「チオアルキル」は、硫黄架橋を介して親分子に結合しているアルキル基を意味する。チオアルキル基の例としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、及びイソプロピルチオが挙げられる。「アリールオキシ」は、酸素架橋を介して親分子部分に結合しているアリール基を指す。例としては、フェノキシが挙げられる。「環状アルコキシ」は、酸素架橋を介して親部分に結合しているシクロアルキル基を意味する。
【0051】
「アルキルアミン」は、-NH架橋を介して親分子部分に結合しているアルキル基を指す。アルキレンアミンは、例えば-CH2CH2NH-などの二価アルキルアミン基を意味する。
【0052】
「シロキサニル」は、少なくとも1つのSi-O-Si結合を有する構造を指す。したがって、例えば、シロキサニル基は、少なくとも1つのSi-O-Si基(すなわち、シロキサン基)を有する基を意味し、シロキサニル化合物は、少なくとも1つのSi-O-Si基を有する化合物を意味する。「シロキサニル」は、モノマー(例えば、Si-O-Si)並びにオリゴマー/ポリマー構造(例えば、-[Si-O]n-であって、式中、nは2以上である、構造)を包含する。シロキサニル基中の各ケイ素原子は、それらの原子価を完全なものにするために、独立して選択されるRA基(ここで、RAは、式Aの選択肢(b)~(i)で定義されるとおりである)で置換されている。
【0053】
「シリル」は、式R3Si-の構造を指し、「シロキシ」は、式R3Si-O-の構造を指し、ここで、シリル又はシロキシ中の各Rは、トリメチルシロキシ、C1~C8アルキル(好ましくはC1~C3アルキル、より好ましくはエチル又はメチル)、及びC3~C8シクロアルキルから独立して選択される。
【0054】
「アルキレンオキシ」は、一般式-(アルキレン-O)p-又は-(O-アルキレン)p-の基を指し、ここで、アルキレンは、上で定義したとおりであり、pは、1~200、又は1~100、又は1~50、又は1~25、又は1~20、又は1~10であり、各アルキレンは、独立して、ヒドロキシル、ハロ(例えば、フルオロ)、アミノ、アミド、エーテル、カルボニル、カルボキシル、及びこれらの組み合わせから独立して選択される1つ以上の基で任意選択で置換されている。pが1より大きい場合、各アルキレンは、同じであっても異なっていてもよく、アルキレンオキシは、ブロック又はランダム構成であってもよい。アルキレンオキシが分子中に末端基を形成するとき、アルキレンオキシの末端は、例えば、ヒドロキシ又はアルコキシ(例えば、HO-[CH2CH2O]p-又はCH3O-[CH2CH2O]p-)であってもよい。アルキレンオキシの例としては、ポリエチレンオキシ、ポリプロピレンオキシ、ポリブチレンオキシ、及びポリ(エチレンオキシ-コ-プロピレンオキシ)が挙げられる。
【0055】
「オキサアルキレン」は、1つ以上の非隣接CH2基が、-CH2CH2OCH(CH3)CH2-などの酸素原子で置換されている、上で定義されるアルキレン基を指す。「チアアルキレン」は、1つ以上の非隣接CH2基が、-CH2CH2SCH(CH3)CH2-などの硫黄原子で置換されている、上で定義されるアルキレン基を指す。
【0056】
「連結基」という用語は、重合性基を親分子に連結させる部分を指す。連結基は、連結基がその一部である化合物に適合し、化合物の重合を不所望に妨害せず、重合条件、更には最終生成物の加工及び保管の条件下で安定である任意の部分であってよい。例えば、連結基は、結合であってもよく、又は1つ以上のアルキレン、ハロアルキレン、アミド、アミン、アルキレンアミン、カルバメート、エステル(-CO2-)、アリーレン、ヘテロアリーレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アルキレンオキシ、オキサアルキレン、チアアルキレン、ハロアルキレンオキシ(1つ以上のハロ基で置換されたアルキレンオキシ、例えば、-OCF2-、-OCF2CF2-、-OCF2CH2-)、シロキサニル、アルキレンシロキサニル、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。連結基は、1つ以上の置換基で任意選択で置換されてもよい。好適な置換基としては、アルキル、ハロ(例えば、フルオロ)、ヒドロキシル、HO-アルキレンオキシ、MeO-アルキレンオキシ、シロキサニル、シロキシ、シロキシ-アルキレンオキシ-、シロキシ-アルキレン-アルキレンオキシ-(1つを超えるアルキレンオキシ基が存在してもよく、アルキレン及びアルキレンオキシ中の各メチレンは、独立して、ヒドロキシルで任意選択で置換されている)、エーテル、アミン、カルボニル、カルバメート、及びこれらの組み合わせから独立して選択されるものを挙げることができる。連結基はまた、(メタ)アクリレートなどの重合性基で置換されてもよい(連結基が連結している重合性基に加えて)。
【0057】
好ましい連結基としては、アルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン(例えば、フェニレン)、ヘテロアリーレン、オキサアルキレン、アルキレン-アミド-アルキレン、アルキレン-アミン-アルキレン、又は前述の基のいずれかの組み合わせが挙げられる。好ましい連結基としては、C1~C8アルキレン(好ましくは、例えばエチレン又はプロピレンなどのC2~C6アルキレン)、C1~C8オキサアルキレン(好ましくは、C2~C6オキサアルキレン)、C1~C8アルキレン-アミド-C1~C8アルキレン、及びC1~C8アルキレン-アミン-C1~C8アルキレンも含み、これらのそれぞれは、ヒドロキシル及びシロキシから独立して選択される1つ又は2つの基で任意選択で置換されている。好ましい連結基としては更に、カルボキシレート、アミド、C1~C8アルキレン-カルボキシレート-C1~C8アルキレン、又はC1~C8アルキレン-アミドC1~C8アルキレンが更に挙げられる。
【0058】
連結基が複数の部分の組み合わせ(例えば、アルキレン-シクロアルキレン)から成る場合、それらの部分は任意の順序で存在してよい。そうはいうものの、列記する順序は、連結基が結合している末端重合性基から始まる、それらの部分が化合物中に現れる好ましい順序を表す。
【0059】
「任意選択で置換された」という表現は、部分が1つ以上の任意選択の置換基を含有し得ることを意味する。「任意選択の置換基」という用語は、基礎部分にある水素原子が置換基によって任意選択的に置換されることを意味する。置換部位において立体的に実用的であり、合成的に実現可能な任意の置換基が使用され得る。好適な任意の置換基の同定は、当業者の能力の範囲内である。「任意選択の置換基」の例としては、限定するものではないが、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6チオアルキル、C3~C7シクロアルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、NR4R5、ベンジル、SO3H、SO3Na、又は-Y-Pgが挙げられ、式中、R4及びR5は、独立してH又はC1~C6アルキルであり、Yは連結基であり、Pgは重合性基である。前述の置換基は、任意選択の置換基(これは、別途指示がない限り、好ましくは、更に置換されていない)で任意選択的に置換されてもよい。例えば、アルキルは、ハロによって置換されてもよい(例えば、その結果としてCF3をもたらす)。
【0060】
用語「アミノ酸残基」は、天然アルファアミノ酸のアルファ炭素に結合した非水素基を指し、以下の構造において「RR」によって表され得る。
【0061】
【化2】
好ましいアミノ酸残基としては、アルギニン(arg)、アスパラギン(asn)、ヒスチジン(his)、アラニン(ala)、リジン(lys)、グルタミン(gln)、グルタミン酸(glu)、チロシン(tyr)、トリプトファン(trp)、アスパラギン酸(asp)、メチオニン(met)、グリシン(gly)、バリン(val)、ロイシン(leu)、イソロイシン(ile)、プロリン(pro)、フェニルアラニン(phe)、セリン(ser)、及びスレオニン(thr)の残基が挙げられる。更に好ましいアミノ酸残基としては、アルギニン(arg)、アスパラギン(asn)、ヒスチジン(his)、アラニン(ala)、リジン(lys)、グルタミン(gln)、グルタミン酸(glu)、チロシン(tyr)、トリプトファン(trp)、アスパラギン酸(asp)、及びメチオニン(met)の残基が挙げられる。更に好ましいアミノ酸残基としては、アルギニン(arg)、アスパラギン(asn)、及びヒスチジン(his)の残基が挙げられる。「アミノ酸残基の誘導体」とは、例えば、残基中の水素原子を別の基で置換することによって、残基が化学的に修飾されていることを意味する。
【0062】
別途記載のない限り、比率、百分率、部などは重量による。
【0063】
別途記載のない限り、例えば、「2~10」のような数字範囲は、その範囲を定義する数字(例えば、2及び10)を含む。
【0064】
上記のように、本発明は、アミノ酸系重合性化合物を提供する。それらの化合物は、式(I)の化合物であって、
【0065】
【化3】
式中、
Rは、H、C(=O)R
3であるか、又はRは、Rが結合している窒素とともに重合性基を形成し、
R
3は、C
1~C
25のアルキル又はシクロアルキルであり、R
1は、アミノ酸残基又はアミノ酸残基の誘導体であり、その誘導体は、任意選択的に重合性基を含み、
R
2はOR
4又はN(H)-L-P
gであり、R
4は、H、金属カチオン、又はC
1~C
6アルキルであり、Lは、連結基であり、P
gは、重合性基であり、かつ
その化合物は、少なくとも1つの重合性基を含有する。
【0066】
式Iの化合物としては、式I-1の化合物、すなわち、R1がアルギニン(arg)、アスパラギン(asn)、又はヒスチジン(his)のアミノ酸残基である式Iの化合物を挙げることができる。
【0067】
式Iの化合物としては、式I-2の化合物、すなわちR1がシステイン(cys)アミノ酸残基である式Iの化合物を挙げることができる。
【0068】
式I-2の化合物としては、式I-3の化合物、すなわち、R1が、-CH2-SO3R5であり、かつR5が、H、金属カチオン(例えば、Na又はK)、又はC1~C6アルキルである式I-2の化合物を挙げることができる。好ましくは、R5はNaである。
【0069】
式I-2の化合物としては、式I-4の化合物、すなわち、R1が、-CH2-S-L-Pgであり、この式中、Lが連結基であり、かつPgが、重合性基である式I-2の化合物を挙げることができる。
【0070】
式I-4の化合物としては、式I-5の化合物、すなわち、Lがアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、オキサアルキレン、アルキレン-アミド-アルキレン、アルキレン-アミン-アルキレン、又はアルキレン-エステル-アルキレンである式I-4の化合物を挙げることができる。好ましくは、式I-5中のLは、アルキレン-エステル-アルキレンである。好ましくは、アルキレン-エステル-アルキレン中の少なくとも1つのアルキレンは、OHで置換される。より好ましくは、式I-5中のLは、-CH2CH2-C(=O)O-CH2CH(OH)CH2-である。
【0071】
式I-4及び式I-5の化合物としては、式I-6の化合物、すなわち、Pgが、スチリル、ビニルカーボネート、ビニルエーテル、ビニルカルバメート、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、(メタ)アクリレート、又は(メタ)アクリルアミドを含む、式I-4又は式I-5の化合物を挙げることができる。好ましくは、式I-6中のPgは、(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドを含む。より好ましくは、式I-6中のPgは、メタクリレート又はメタクリルアミドを含む。更に好ましくは、式I-6中のPgは、メタクリレートを含む。
【0072】
式I、I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、及びI-6の化合物としては、式I-7の化合物、すなわち、RがHである、式I、I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、又はI-6の化合物を挙げることができる。
【0073】
式I、I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、及びI-6の化合物としては、式I-8の化合物、すなわち、RがC(=O)R3であり、かつR3がC5~C20アルキルである、式I、I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、又はI-6の化合物を挙げることができる。好ましくは、R3は、C7~C15アルキルであり、より好ましくは、C8~C12アルキルである。
【0074】
式I、I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、及びI-6の化合物は、式I-9の化合物、すなわち、Rが、Rの結合している窒素とともに、重合性基を形成している、式I、I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、又はI-6の化合物を挙げることができる。好ましくは、式I-9において、Rが、Rの結合している窒素とともに、(メタ)アクリルアミド基、より好ましくはメタクリルアミド基を形成している。
【0075】
式I、I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、及びI-9の化合物は、式I-10の化合物、すなわち、R2がOR4であり、かつR4が、H又はC1~C6アルキルである、式I、I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、又はI-9の化合物を挙げることができる。
【0076】
式I、I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、及びI-9の化合物は、式I-11の化合物、すなわち、R2がN(H)-L-Pgである、式I、I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、又はI-9の化合物を挙げることができる。
【0077】
式I-11の化合物としては、式I-12の化合物、すなわち、Lがアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、オキサアルキレン、アルキレン-アミド-アルキレン、アルキレン-アミン-アルキレン、又はアルキレン-エステル-アルキレンである式I-11の化合物を挙げることができる。好ましくは、式I-12中のLはアルキレンであり、より好ましくはエチレンである。
【0078】
式I-11及び式I-12の化合物としては、式I-13の化合物、すなわち、Pgが、スチリル、ビニルカーボネート、ビニルエーテル、ビニルカルバメート、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、(メタ)アクリレート、又は(メタ)アクリルアミドを含む、式I-11又はI-12の化合物を挙げることができる。好ましくは、式I-13中のPgは、(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドを含む。より好ましくは、式I-13中のPgは、メタクリレート又はメタクリルアミドを含む。更に好ましくは、式I-13中のPgは、メタクリレートを含む。
【0079】
式Iの化合物としては、式IIの化合物を挙げることができ:
【0080】
【化4】
式中、R
4は、H、金属カチオン、又はC
1~C
6アルキルであり、かつ
R
6は、H又はメチルである。好ましくは、R
4はHである。好ましくは、R
6はメチルである。
【0081】
式Iの化合物としては、式IIIの化合物を挙げることができ:
【0082】
【化5】
式中、R
4は、H、金属カチオン、又はC
1~C
6アルキルであり、かつ
R
6は、H又はメチルである。好ましくは、R
4はHである。好ましくは、R
6はメチルである。
【0083】
式Iの化合物としては、式IVの化合物を挙げることができ:
【0084】
【化6】
式中、R
4は、H、金属カチオン、又はC
1~C
6アルキルであり、かつ
R
6は、H又はメチルである。好ましくは、R
4は、C
1~C
6アルキルであり、より好ましくは、C
1~C
3アルキルであり、より好ましくはメチルである。好ましくは、R
6はメチルである。
【0085】
式Iの化合物としては、式Vの化合物を挙げることができ:
【0086】
【化7】
式中、R
3は、C
1~C
25アルキル又はシクロアルキルであり、R
5は、H、金属カチオン、又はC
1~C
6アルキルであり、かつ
R
6は、H又はメチルである。好ましくは、R
3は、C
8~C
12アルキルである。好ましくは、R
5は金属カチオンであり、より好ましくはNaである。好ましくは、R
6はメチルである。
【0087】
式Iの化合物としては、式VIの化合物を挙げることができ:
【0088】
【化8】
式中、R
4は、H、金属カチオン、又はC
1~C
6アルキルであり、かつ
R
6は、H又はメチルである。好ましくは、R
4はHである。好ましくは、R
6はメチルである。
【0089】
式Iの例示的化合物を、表1に示す。
【0090】
【0091】
【0092】
好ましい化合物としては、メタクリロイルアルギニン、メタクリロイルアスパラギン、メチルメタクリロイルヒスチジネート、2-デカンアミド-3-((2-メタクリルオキシエチル)アミノ)-3-オキソプロパン-1-スルホン酸ナトリウム、及びS-(3-(2-ヒドロキシ-3-(メタクリロイルオキシ)プロポキシ)-3-オキソプロピル)-L-システインが挙げられる。
【0093】
本発明のアミノ酸系重合性化合物は、様々な技術によって眼科用デバイスに組み込むためのポリマーに形成することができる。例えば、化合物は、ポリマーにホモ重合又は共重合されてもよく、その後、そのポリマーが、眼科用デバイス上にコーティングされるか、又は眼科用デバイスがそこから作製される反応性モノマー混合物に添加される(そして、例えば、反応性モノマー混合物の他の構成成分と、半相互貫入ネットワークを形成する)。
【0094】
本発明によるアミノ酸系重合性化合物はまた、実施例によって更に実証されるように、グラフト化を介して眼科用デバイスに組み込まれてもよい。例示的なグラフト化技術は、米国特許出願公開第20180037690号に記載されており、この文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0095】
加えて、本発明によるアミノ酸系重合性化合物は、眼科用デバイスを作製するのに好適な他のモノマーを含有する反応性モノマー混合物中に含まれ、フリーラジカル重合条件下で反応して、眼科用デバイスがそこから作製され得るポリマーを形成することができる。このような反応性混合物は、上述のアミノ酸系重合性化合物に加えて、所望の眼科用デバイスを作製するのに好適な1つ以上のモノマー、並びに任意の成分を含んでもよい。したがって、反応性混合物は、例えば、親水性成分、疎水性成分、シリコーン含有成分、例えばポリアミドなどの湿潤剤、架橋剤、及び、例えば希釈剤及び開始剤などの更なる成分を含んでいてよい。
【0096】
親水性成分
親水性モノマーの好適なファミリーの例としては、(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、N-ビニルイミド、N-ビニル尿素、O-ビニルカルバメート、O-ビニルカーボネート、他の親水性ビニル化合物、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0097】
親水性(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルアミドモノマーの非限定的な例としては、アクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMA)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(4-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、2-アミノプロピル(メタ)アクリレート、N-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド)、N-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド)、N,N-ビス-2-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、グリセロールメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、(メタ)アクリル酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0098】
親水性モノマーはまた、アニオン性、カチオン性、双性イオン性、ベタイン、及びこれらの混合物など、イオン性であってもよい。このような荷電モノマーの非限定的な例としては、(メタ)アクリル酸、N-[(エテニルオキシ)カルボニル]-β-アラニン(VINAL)、3-アクリルアミドプロパン酸(ACA1)、5-アクリルアミドプロパン酸(ACA2)、3-アクリルアミド-3-メチルブタン酸(AMBA)、2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロリド(Q塩又はMETAC)、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、1-プロパンアミニウム,N-(2-カルボキシエチル)-N,N-ジメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]-,分子内塩(CBT)、1-プロパンアミニウム,N,N-ジメチル-N-[3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]プロピル]-3-スルホ-,分子内塩(SBT)、3,5-ジオキサ-8-アザ-4-ホスファウンデカ-10-エン-1-アミニウム,4-ヒドロキシ-N,N,N-トリメチル-9-オキソ-,分子内塩,4-オキシド(9CI)(PBT)、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、3-(ジメチル(4-ビニルベンジル)アンモニオ)プロパン-1-スルホネート(DMVBAPS)、3-((3-アクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(AMPDAPS)、3-((3-メタクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(MAMPDAPS)、3-((3-(アクリロイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(APDAPS)、及びメタクリロイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(MAPDAPS)が挙げられる。
【0099】
親水性N-ビニルラクタムモノマー及びN-ビニルアミドモノマーの非限定的な例としては、N-ビニルピロリドン(NVP)、N-ビニル-2-ピペリドン、N-ビニル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニルアセトアミド(NVA)、N-ビニル-N-メチルアセトアミド(VMA)、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニル-N-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-N-メチル-2-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-2-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-N,N’-ジメチル尿素、1-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-メチル-5-メチレン-2-ピロリドン、5-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-5-メチレン-2-ピロリドン、N-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、5-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-N-プロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-N-プロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルイソプロピルアミド、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルイミダゾール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0100】
親水性O-ビニルカルバメートモノマー及びO-ビニルカーボネートモノマーの非限定的な例としては、N-2-ヒドロキシエチルビニルカルバメート及びN-カルボキシ-β-アラニンN-ビニルエステルが挙げられる。親水性ビニルカーボネートモノマー又はビニルカルバメートモノマーの更なる例は、米国特許第5,070,215号に開示されている。親水性オキサゾロンモノマーは、米国特許第4,910,277号に開示されている。
【0101】
他の親水性ビニル化合物としては、エチレングリコールビニルエーテル(EGVE)、ジ(エチレングリコール)ビニルエーテル(DEGVE)、アリルアルコール、及び2-エチルオキサゾリンが挙げられる。
【0102】
親水性モノマーはまた、(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルアミドなどの重合性部分を有する、直鎖若しくは分岐鎖ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、又はエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの統計的ランダム若しくはブロックコポリマーのマクロマー又はプレポリマーであってもよい。これらのポリエーテルのマクロマーは、1つの重合性基を有し、プレポリマーは、2つ以上の重合性基を有し得る。
【0103】
本発明の好ましい親水性モノマーは、DMA、NVP、HEMA、VMA、NVA、及びこれらの混合物である。好ましい親水性モノマーとしては、DMA及びHEMAの混合物が挙げられる。他の好適な親水性モノマーは、当業者には明らかであろう。
【0104】
一般的に、反応性モノマー混合物中に存在し得る親水性モノマーの量に関して、特に制限はない。親水性モノマーの量は、含水量、透明性、湿潤性、タンパク質取り込みなどを含む、得られるヒドロゲルの所望の特性に基づいて選択され得る。湿潤性は、接触角によって測定され得るが、望ましい接触角は、約100°未満、約80°未満、及び約60°未満である。親水性モノマーは、反応性モノマー混合物中の反応性成分の総重量に基づき、例えば、約0.1~約100重量パーセントの範囲、あるいは約1~約80重量パーセントの範囲、あるいは約5~約65重量パーセントの範囲、あるいは約40~約60重量パーセントの範囲、あるいは約55~約60重量パーセントの範囲の量で存在し得る。
【0105】
シリコーン含有成分
本発明での使用に好適なシリコーン含有成分は、1つ以上の重合性化合物を含み、各化合物は、独立して、少なくとも1つの重合性基、少なくとも1つのシロキサン基、及び重合性基(複数可)をシロキサン基(複数可)に接続する1つ以上の連結基を含む。シリコーン含有成分は、例えば、下記に定義される基などの1~220個のシロキサン繰り返し単位を含有してもよい。シリコーン含有成分はまた、少なくとも1つのフッ素原子も含有し得る。
【0106】
シリコーン含有成分は、上で定義された1つ以上の重合性基と、任意選択で繰り返す1つ以上のシロキサン単位と、重合性基をシロキサン単位に接続する1つ以上の連結基とを含み得る。シリコーン含有成分は、独立して、(メタ)アクリレート、スチリル、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、O-ビニルカルバメート、O-ビニルカーボネート、ビニル基、又はこれらの混合物である1つ以上の重合性基と、任意選択で繰り返す1つ以上のシロキサン単位と、重合性基をシロキサン単位に接続する1つ以上の連結基とを含み得る。
【0107】
シリコーン含有成分は、独立して、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、スチリル、又は前述の混合物である1つ以上の重合性基と、任意選択で繰り返す1つ以上のシロキサン単位と、重合性基をシロキサン単位に接続する1つ以上の連結基とを含み得る。
【0108】
シリコーン含有成分は、独立して、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、又は前述の混合物である1つ以上の重合性基と、任意選択で繰り返す1つ以上のシロキサン単位と、重合性基をシロキサン単位に接続する1つ以上の連結基とを含み得る。
【0109】
式A.シリコーン含有成分は、式Aの1つ以上の重合性化合物を含んでもよく、
【0110】
【化9】
式中、
少なくとも1つのR
Aは、式R
g-L-の基であり、ここで、R
gは、重合性基であり、Lは、連結基であり、残りのR
Aは、それぞれ独立して、
(a)R
g-L-、
(b)1つ以上のヒドロキシ、アミノ、アミド、アルコキシアルキル、カルボキシ、アルキルカルボキシ、カルボニル、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロ、フェニル、ベンジル、又はこれらの組み合わせで任意選択で置換されているC
1~C
16アルキル、
(c)1つ以上のアルキル、ヒドロキシ、アミノ、アミド、アルコキシアルキル、カルボニル、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロ、フェニル、ベンジル、又はこれらの組み合わせで任意選択で置換されているC
3~C
12シクロアルキル、
(d)1つ以上のアルキル、ヒドロキシ、アミノ、アミド、アルコキシアルキル、カルボキシ、アルキルカルボキシ、カルボニル、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロ、フェニル、ベンジル、又はこれらの組み合わせで任意選択で置換されているC
6~C
14アリール基、
(e)ハロ、
(f)アルコキシ、環状アルコキシ、又はアリールオキシ、
(g)シロキシ、
(h)ポリエチレンオキシアルキル、ポリプロピレンオキシアルキル、又はポリ(エチレンオキシ-co-プロピレンオキシアルキル)などのアルキレンオキシ-アルキル又はアルコキシ-アルキレンオキシ-アルキル、あるいは
(i)アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、アルコキシアルキル、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、ハロ又はこれらの組み合わせで任意選択で置換されている1~100個のシロキサン繰り返し単位を含む一価シロキサン鎖であり、かつ
nは、0~500、0~200、0~100、又は0~20であるが、nが0以外であるとき、nが表示値と同等のモードを有する分布であることが理解される。nが2以上であるとき、SiO単位は、同じ又は異なるR
A置換基を担持してもよく、異なるR
A置換基が存在する場合、n基は、ランダム又はブロック構成であってもよい。
【0111】
式Aにおいて、3つのRAが、それぞれ重合性基を含んでもよく、代替的には、2つのRAが、それぞれ重合性基を含んでもよく、又は代替的には、1つのRAが、重合性基を含んでもよい。
【0112】
本発明での使用に好適なシリコーン含有成分の例としては、限定するものではないが、表Aに列挙される化合物が挙げられる。表Aの化合物がポリシロキサン基を含有する場合、このような化合物におけるSiO繰り返し単位の数は、別途記載のない限り、好ましくは3~100、より好ましくは3~40、又は更により好ましくは3~20である。
【0113】
【0114】
【0115】
好適なシリコーン含有成分の更なる非限定的な例は、表Bに列挙されている。別途記載のない限り、適用可能であるj2は、好ましくは1~100、より好ましくは3~40、又は更により好ましくは3~15である。j1又はj2を含有する化合物において、j1とj2の合計は、好ましくは2~100、より好ましくは3~40、又は更により好ましくは3~15である。
【0116】
【0117】
【0118】
シリコーン含有成分の混合物を使用してもよい。例として、好適な混合物としては、4個及び15個のSiO繰り返し単位を含有するOH-mPDMSの混合物などの、異なる分子量を有するモノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピルオキシ)-プロピル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(OH-mPDMS)の混合物;異なる分子量を有するOH-mPDMS(例えば、4個及び15個の繰り返しSiO繰り返し単位を含有する)と、ビス-3-アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサン(ac-PDMS)などのシリコーン系架橋剤との混合物;2-ヒドロキシ-3-[3-メチル-3,3-ジ(トリメチルシロキシ)シリルプロポキシ]-プロピルメタクリレート(SiMAA)と、mPDMS1000などのモノ-メタクリルオキシプロピル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(mPDMS)との混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0119】
本発明で使用するシリコーン含有成分は、約400~約4000ダルトンの平均分子量を有し得る。
【0120】
シリコーン含有成分(複数可)は、反応性混合物(希釈剤を除く)の、全ての反応性成分に基づいて、最大約95重量%、又は約10~約80重量%、又は約20~約70重量%の量で存在し得る。
【0121】
ポリアミド
反応性混合物は、少なくとも1つのポリアミドを含んでいてよい。本明細書で使用するとき、「ポリアミド」という用語は、アミド基を含有する繰り返し単位を含むポリマー及びコポリマーを指す。ポリアミドは、環状アミド基、非環状アミド基、及びこれらの組み合わせを含み得るが、当業者に既知の任意のポリアミドであってもよい。非環状ポリアミドは、ペンダント非環状アミド基を含み、ヒドロキシル基との会合が可能である。環状ポリアミドは、環状アミド基を含み、ヒドロキシル基との会合が可能である。
【0122】
好適な非環状ポリアミドの例としては、式G及びG1の繰り返し単位を含むポリマー及びコポリマーが挙げられ、
【0123】
【化10】
式中、Xは、直接結合、-(CO)-、又は-(CONHR
44)-であり、ここで、R
44は、C
1~C
3アルキル基であり、R
40は、H、直鎖若しくは分岐鎖の置換若しくは非置換C
1~C
4アルキル基から選択され、R
41は、H、直鎖又は分岐鎖の置換又は非置換C
1~C
4アルキル基、最大2個の炭素原子を有するアミノ基、最大4個の炭素原子を有するアミド基、及び最大2個の炭素基を有するアルコキシ基から選択され、R
42は、H、直鎖若しくは分岐鎖の置換若しくは非置換C
1~C
4アルキル基、又はメチル、エトキシ、ヒドロキシエチル、及びヒドロキシメチルから選択され、R
43は、H、直鎖若しくは分岐鎖の置換若しくは非置換C
1~C
4アルキル基、又はメチル、エトキシ、ヒドロキシエチル、及びヒドロキシメチルから選択され、R
40及びR
41の炭素原子の数は合計で、7、6、5、4、3、又はそれ以下を含む、8以下であり、R
42及びR
43の炭素原子の数は合計で、7、6、5、4、3、又はそれ以下を含む、8以下である。R
40及びR
41の炭素原子の数は、合計で6以下又は4以下であってよい。R
42及びR
43の炭素原子の数は、合計で6以下であってよい。本明細書で使用するとき、置換アルキル基は、アミン基、アミド基、エーテル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、若しくはカルボキシル基、又はこれらの組み合わせで置換されているアルキル基を含む。
【0124】
R40及びR41は、独立して、H、置換又は非置換C1~C2アルキル基から選択され得る。Xは、直接結合であってもよく、R40及びR41は、独立して、H、置換又は非置換C1~C2アルキル基から選択され得る。R42及びR43は、独立して、H、置換又は非置換C1~C2アルキル基、メチル、エトキシ、ヒドロキシエチル、及びヒドロキシメチルから選択され得る。
【0125】
本発明の非環状ポリアミドは、式G若しくは式G1の繰り返し単位の大部分を含み得るか、又は非環状ポリアミドは、少なくとも約70モル%、及び少なくとも80モル%など、式G若しくは式G1の繰り返し単位の少なくとも50モル%を含み得る。式G及び式G1の繰り返し単位の具体的な例としては、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-N-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-N-メチル-2-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-2-メチル-プロピオンアミド、N-ビニル-N,N’-ジメチル尿素、N,N-ジメチルアクリルアミド、メタクリルアミド、並びに式G2及びG3の非環状アミド由来の繰り返し単位が挙げられる。
【0126】
【0127】
環状ポリアミドを形成するために使用され得る好適な環状アミドの例としては、α-ラクタム、β-ラクタム、γ-ラクタム、δ-ラクタム、及びε-ラクタムが挙げられる。好適な環状ポリアミドの例としては、式G4の繰り返し単位を含むポリマー及びコポリマーが挙げられ:
【0128】
【化12】
式中、R
45は、水素原子又はメチル基であり、fは、1~10の数であり、Xは、直接結合、-(CO)-、又は-(CONHR
46)-であり、ここで、R
46は、C
1~C
3アルキル基である。式G4中、fは、7、6、5、4、3、2、又は1を含む、8以下であり得る。式G4中、fは、5、4、3、2、又は1を含む、6以下であり得る。式G4中、fは、2、3、4、5、6、7、又は8を含む、2~8であり得る。式G4中、fは、2又は3であり得る。Xが直接結合のとき、fは、2であり得る。かかる事例において、環状ポリアミドは、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone、PVP)であり得る。
【0129】
本発明の環状ポリアミドは、式G4の繰り返し単位の50モル%以上を含んでもよく、又は環状ポリアミドは、少なくとも70モル%、及び少なくとも80モル%など、式G4の繰り返し単位の少なくとも50モル%を含んでもよい。
【0130】
ポリアミドはまた、環状アミド及び非環状アミドの両方の繰り返し単位を含むコポリマーであってもよい。追加の繰り返し単位は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、他の親水性モノマー、及びシロキサン置換(メタ)アクリレートから選択されるモノマーから形成され得る。好適な親水性モノマーとして列挙されるモノマーのいずれも、追加の繰り返し単位を形成するためにコモノマーとして使用され得る。ポリアミドを形成するために使用され得る追加のモノマーの具体的な例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、アクリロニトリル、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなど、並びにこれらの混合物が挙げられる。イオン性モノマーも含まれ得る。イオン性モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸、N-[(エテニルオキシ)カルボニル]-β-アラニン(VINAL、CAS#148969-96-4)、3-アクリルアミドプロパン酸(ACA1)、5-アクリルアミドペンタン酸(ACA2)、3-アクリルアミド-3-メチルブタン酸(AMBA)、2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロリド(Q塩又はMETAC)、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、1-プロパンアミニウム,N-(2-カルボキシエチル)-N,N-ジメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]-,分子内塩(CBT、カルボキシベタイン、CAS 79704-35-1)、1-プロパンアミニウム,N,N-ジメチル-N-[3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]プロピル]-3-スルホ-,分子内塩(SBT、スルホベタイン、CAS 80293-60-3)、3,5-ジオキサ-8-アザ-4-ホスファウンデカ-10-エン-1-アミニウム,4-ヒドロキシ-N,N,N-トリメチル-9-オキソ-,分子内塩,4-オキシド(9CI)(PBT、ホスホベタイン、CAS 163674-35-9、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、3-(ジメチル(4-ビニルベンジル)アンモニオ)プロパン-1-スルホネート(DMVBAPS)、3-((3-アクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(AMPDAPS)、3-((3-メタクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(MAMPDAPS)、3-((3-(アクリロイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(APDAPS)、メタクリロイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(MAPDAPS)が挙げられる。
【0131】
反応性モノマー混合物は、非環状ポリアミド及び環状ポリアミドの両方又はそれらのコポリマーを含んでもよい。非環状ポリアミドは、本明細書に説明される非環状ポリアミド又はこれらのコポリマーのいずれかであり得るが、環状ポリアミドは、本明細書に説明される環状ポリアミド又はこれらのコポリマーのいずれかであり得る。ポリアミドは、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルメチルアセトアミド(polyvinylmethyacetamide)(PVMA)、ポリジメチルアクリルアミド(PDMA)、ポリビニルアセトアミド(PNVA)、ポリ(ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド)、ポリアクリルアミド、並びにこれらのコポリマー及び混合物の群から選択され得る。ポリアミドは、PVP(例えば、PVP K90)とPVMA(例えば、約570KDaのMwを有する)の混合物であってよい。
【0132】
反応性混合物中の全てのポリアミドの総量は、あらゆる場合において、反応性モノマー混合物の反応性成分の総重量に基づいて、1~約15重量%の範囲内、及び約5~約15重量%の範囲内など、1~約35重量%の範囲内であり得る。
【0133】
理論に束縛されるものではないが、シリコーンヒドロゲルとともに使用されるとき、ポリアミドは内部湿潤剤として機能する。本発明のポリアミドは、非重合性であってもよく、この場合、半相互貫入ネットワークとしてシリコーンヒドロゲル内に組み込まれる。ポリアミドは、シリコーンヒドロゲル内に封入されるか、又は物理的に保持される。代替的に、本発明のポリアミドは、例えば、ポリアミドマクロマー又はプレポリマーとして重合性であり得るが、この場合、シリコーンヒドロゲル内に共有結合的に組み込まれる。重合性及び非重合性のポリアミドの混合物もまた使用され得る。
【0134】
ポリアミドが反応性モノマー混合物内に組み込まれているとき、ポリアミドは、少なくとも100,000ダルトン、約150,000超ダルトン、約150,000~約2,000,000ダルトン、約300,000ダルトン~約1,800,000ダルトンの重量平均分子量を有し得る。反応性モノマー混合物と相溶性である場合、より高分子量のポリアミドを使用することができる。
【0135】
架橋剤
概して、架橋モノマー、多官能性マクロマー、及びプレポリマーとも称される1つ以上の架橋剤を反応性混合物に添加することが望ましい。架橋剤は、二官能性架橋剤、三官能性架橋剤、四官能性架橋剤、及びこれらの混合物から選択されてもよく、これにはシリコーン含有架橋剤及び非シリコーン含有架橋剤が含まれる。非シリコーン含有架橋剤としては、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、テトラエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)、トリアリルシアヌレート(TAC)、グリセロールトリメタクリレート、メタクリルオキシエチルビニルカーボネート(HEMAVc)、アリルメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド(MBA)、及びポリエチレングリコールジメタクリレートが挙げられ、ポリエチレングリコールは、最大約5000ダルトンの分子量を有する。架橋剤は、通常の量、例えば、反応性配合物100グラム当たり約0.000415~約0.0156モルで反応性混合物中に用いられる。代替的に、親水性モノマー及び/又はシリコーン含有成分が分子設計により、又は不純物のために多官能性である場合、反応性混合物への架橋剤の添加は、任意である。架橋剤として作用することができ、存在する場合に反応性混合物への追加の架橋剤の添加を必要としない親水性モノマー及びマクロマーの例としては、(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルアミドでエンドキャップされたポリエーテルが挙げられる。他の架橋剤は当業者に既知となり、本発明のシリコーンヒドロゲルを作製するために使用され得る。
【0136】
配合物中の他の反応性成分のうちの1つ以上に対して同様の反応性を有する架橋剤を選択することが望ましい場合がある。場合によっては、得られるシリコーンヒドロゲルのいくらかの物理的、機械的、又は生物学的特性を制御するために、異なる反応性を有する架橋剤の混合物を選択することが望ましい場合がある。シリコーンヒドロゲルの構造及び形態は、使用される希釈剤(複数可)及び硬化条件によっても影響を受け得る。
【0137】
弾性率を更に増加させ、引張強度を維持するために、マクロマー、架橋剤、及びプレポリマーを含む、多官能性シリコーン含有成分も含まれ得る。シリコーン含有架橋剤は、単独で、又は他の架橋剤と組み合わせて使用され得る。架橋剤として作用することができ、存在する場合に反応性混合物への架橋モノマーの添加を必要としないシリコーン含有成分の例としては、α,ω-ビスメタクリロイルプロピル(bismethacryloxypropyl)ポリジメチルシロキサンが挙げられる。別の例は、ビス-3-アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサン(ac-PDMS)である。
【0138】
硬い化学構造、及びフリーラジカル重合を受ける重合性基を有する架橋剤もまた使用され得る。好適な硬い構造の非限定的な例としては、1,4-フェニレンジアクリレート、1,4-フェニレンジメタクリレート、2,2-ビス(4-メタクリルオキシフェニル)-プロパン、2,2-ビス[4-(2-アクリルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン、及び4-ビニルベンジルメタクリレート、並びにこれらの組み合わせなど、フェニル及びベンジル環を含む架橋剤が挙げられる。硬い架橋剤は、全反応性成分の総重量に基づき、約0.5~約15、又は約2~10、3~7の量で含まれ得る。本発明のシリコーンヒドロゲルの物理的及び機械的特性は、反応性混合物中の成分を調整することによって特定の用途に最適化され得る。
【0139】
シリコーン架橋剤の非限定的な例としては、表Bに示される多官能性化合物などの、上述の多官能性シリコーン含有成分も含む。
【0140】
更なる構成成分
反応性混合物は、希釈剤、開始剤、UV吸収剤、可視光吸収剤、光互変化合物、医薬品、栄養補助剤、抗菌物質、着色剤、顔料、共重合性染料、非重合性染料、離型剤、及びこれらの組み合わせなどであるがこれらに限定されない、追加成分を含有し得る。
【0141】
シリコーンヒドロゲル反応性混合物用の好適な希釈剤の種類には、2~20個の炭素原子を有するアルコール、一級アミンから誘導される10~20個の炭素原子を有するアミド、及び8~20個の炭素原子を有するカルボン酸が挙げられる。希釈剤は、一級、二級及び三級アルコールであり得る。
【0142】
概して、反応性成分は、希釈剤中で混合して、反応性混合物を形成する。好適な希釈剤は、技術分野において既知である。シリコーンヒドロゲルについて、好適な希釈剤は、国際公開第03/022321号及び米国特許第6020445号に開示されており、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0143】
シリコーンヒドロゲル反応性混合物用の好適な希釈剤の種類には、2~20個の炭素を有するアルコール、一級アミンから誘導される10~20個の炭素原子を有するアミド、及び8~20個の炭素原子を有するカルボン酸が挙げられる。一級及び三級アルコールが使用され得る。好ましい種類には、5~20個の炭素を有するアルコール及び10~20個の炭素原子を有するカルボン酸が挙げられる。
【0144】
使用され得る具体的な希釈剤には、1-エトキシ-2-プロパノール、ジイソプロピルアミノエタノール、イソプロパノール、3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-デカノール、1-ドデカノール、1-オクタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-オクタノール、3-メチル-3-ペンタノール、tert-アミルアルコール、tert-ブタノール、2-ブタノール、1-ブタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-プロパノール、1-プロパノール、エタノール、2-エチル-1-ブタノール、(3-アセトキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)-プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、1-tert-ブトキシ-2-プロパノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、tert-ブトキシエタノール、2-オクチル-1-ドデカノール、デカン酸、オクタン酸、ドデカン酸、2-(ジイソプロピルアミノ)エタノール、これらの混合物などが挙げられる。アミド希釈剤の例としては、N,N-ジメチルプロピオンアミド及びジメチルアセトアミドが挙げられる。
【0145】
好ましい希釈剤には、3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-ドデカノール、1-デカノール、1-オクタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-オクタノール、3-メチル-3-ペンタノール、2-ペンタノール、t-アミルアルコール、tert-ブタノール、2-ブタノール、1-ブタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノール、エタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、2-オクチル-1-ドデカノール、デカン酸、オクタン酸、ドデカン酸、これらの混合物などが挙げられる。
【0146】
より好ましい希釈剤には、3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-ドデカノール、1-デカノール、1-オクタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-オクタノール、1-ドデカノール、3-メチル-3-ペンタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、t-アミルアルコール、tert-ブタノール、2-ブタノール、1-ブタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、2-オクチル-1-ドデカノール、これらの混合物などが挙げられる。
【0147】
希釈剤が存在する場合、概して、希釈剤の存在量に関して特定の制限はない。希釈剤を使用するとき、希釈剤は、(反応性配合物及び非反応性配合物を含む)反応性混合物の総重量に基づいて、約5~約50重量パーセントの範囲及び約15~約40重量パーセントの範囲など、約2~約70重量パーセントの範囲の量で存在し得る。希釈剤の混合物を使用してもよい。
【0148】
重合開始剤は、反応性混合物中で使用してもよい。重合開始剤としては、例えば、ラウリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、イソ-プロピルパーカーボネート、アゾビスイソブチロニトリルなどの、中程度の高温でフリーラジカルを発生させるもの、並びに芳香族α-ヒドロキシケトン、アルコキシオキシベンゾイン、アセトフェノン、アシルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、及び三級アミン+ジケトン、これらの混合物などの光開始剤系のうちの少なくとも1つを挙げることができる。光開始剤の具体例としては、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4-4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド(DMBAPO)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(Irgacure 819)、2,4,6-トリメチルベンジルジフェニルホス-フィンオキシド及び2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾインメチルエステル、並びにカンファーキノンとエチル4-(N,N-ジメチルアミノ)ベンゾエートとの組み合わせがある。
【0149】
市販の(IGM Resins B.V.(The Netherlands)製の)可視光開始剤系としては、Irgacure(登録商標)819、Irgacure(登録商標)1700、Irgacure(登録商標)1800、Irgacure(登録商標)819、Irgacure(登録商標)1850、及びLucrin(登録商標)TPO開始剤が挙げられる。市販の(IGM Resins B.V.製の)UV光開始剤としては、Darocur(登録商標)1173及びDarocur(登録商標)2959が挙げられる。使用され得るこれらの及び他の光反応開始剤は、Volume III,Photoinitiators for Free Radical Cationic&Anionic Photopolymerization,2nd Edition by J.V.Crivello&K.Dietliker;edited by G.Bradley;John Wiley and Sons;New York;1998年に開示されている。開始剤は、反応性混合物の光重合を開始するのに有効な量、例えば、反応性モノマー混合物の100部当たり約0.1~約2重量部で、反応性混合物中で使用される。反応性混合物の重合は、使用する重合開始剤に応じて熱又は可視光若しくは紫外光又は他の手段を適切に選択して使用して開始することができる。代替的に、開始は、光開始剤なしで電子ビームを使用して実施され得る。しかしながら、光開始剤が使用されるとき、好ましい開始剤は、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(Irgacure(登録商標)819)、又は1-ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトンとビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4-4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド(DMBAPO)との組み合わせなどの、ビスアシルホスフィンオキシドである。
【0150】
本発明の眼科用デバイスを作製するための反応性混合物は、式Iのアミノ酸系重合性化合物に加えて、上記のその他の重合性化合物及び任意選択の成分のいずれかを含んでもよい。
【0151】
好ましい反応性混合物は、式Iのアミノ酸系重合性化合物と、親水性成分と、を含み得る。
【0152】
好ましい反応性混合物は、式Iのアミノ酸系重合性化合物と、DMA、NVP、HEMA、VMA、NVA、メタクリル酸、及びこれらの混合物から選択される親水性成分と、を含み得る。HEMA及びメタクリル酸の混合物が好ましい。
【0153】
好ましい反応性混合物は、式Iのアミノ酸系重合性化合物と、親水性成分と、シリコーン含有成分と、を含み得る。
【0154】
好ましい反応性混合物は、式Iのアミノ酸系重合性化合物と、親水性成分と、式Aの化合物を含むシリコーン含有成分を含み得る。
【0155】
好ましい反応性混合物は、式Iのアミノ酸系重合性化合物と、DMA、NVP、HEMA、VMA、NVA、及びこれらの混合物から選択される親水性成分と、例えば式Aの化合物などのシリコーン含有成分と、内部湿潤剤とを含み得る。
【0156】
好ましい反応性混合物は、式Iのアミノ酸系重合性化合物と、DMA、HEMA、及びこれらの混合物から選択される親水性成分と、2-ヒドロキシ-3-[3-メチル-3,3-ジ(トリメチルシロキシ)シリルプロポキシ]-プロピルメタクリレート(SiMAA)、モノ-メタクリルオキシプロピル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(mPDMS)、モノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(OH-mPDMS)、及びこれらの混合物から選択されるシリコーン含有成分と、湿潤剤(好ましくはPVP又はPVMA)と、を含み得る。親水性成分については、DMA及びHEMAの混合物が好ましい。シリコーン含有成分については、SiMAA及びmPDMSの混合物が好ましい。
【0157】
好ましい反応性混合物は、式Iのアミノ酸系重合性化合物と、DMA及びHEMAの混合物を含む親水性成分と、2~20個の繰り返し単位を有するOH-mPDMSの混合物(好ましくは4個及び15個の繰り返し単位を有する混合物)を含むシリコーン含有成分と、を含み得る。好ましくは、反応性混合物は、ac-PDMSなどのシリコーン含有架橋剤を更に含む。また好ましくは、反応性混合物は、湿潤剤(好ましくはDMA、PVP、PVMA、又はこれらの混合物)を含有する。
【0158】
好ましい反応性混合物は、式Iのアミノ酸系重合性化合物と、約1~約15重量%の少なくとも1つのポリアミド(例えば、非環状ポリアミド、環状ポリアミド、又はこれらの混合物)と、4~8個のシロキサン繰り返し単位を有する少なくとも1つの第1の単官能性ヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)(例えば、OH-mPDMS(式中、nは4~8であり、好ましくはnは4である))と、10~200個、又は10~100個、又は10~50個、又は10~20個のシロキサン繰り返し単位を有する単官能性ヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)である少なくとも1つの第2のヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)(例えば、OH-mPDMS(式中、nは10~200、又は10~100、又は10~50、又は10~20であり、好ましくはnは15である)と、約5~約35重量%の少なくとも1つの親水性モノマーと、任意選択的に、10~200個又は10~100個のシロキサン繰り返し単位を有する多官能性ヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)(例えば、ac-PDMS)と、を含み得る。好ましくは、第1の単官能性ヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)及び第2のヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)は、第2のヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)の重量パーセントに対する、第1の単官能性ヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)の重量パーセントの比率が、0.4~1.3又は0.4~1.0のとなるような濃度で存在する。
【0159】
前述の反応性混合物は、任意選択の成分を含有していてもよく、例えば、1つ以上の開始剤、内部湿潤剤、架橋剤、UV又は高エネルギー可視光吸収剤、及び希釈剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0160】
ヒドロゲルの硬化及びレンズの製造
反応性混合物は、振とう又は撹拌などの技術分野で既知の方法のいずれかによって形成され、既知の方法によるポリマー物品又はデバイスの形成に使用され得る。反応性成分は、反応性混合物を形成するために、希釈剤をしようするか又は使用しないかのいずれかで一緒に混合される。
【0161】
例えば、眼科用デバイスは、反応性成分及び任意選択で希釈剤(複数可)を重合開始剤と混合し、適切な条件で硬化させて、後で旋盤加工、切削などによって適切な形状に成形され得る生成物を形成することによって調製することができる。代替的に、反応性混合物は、成形型に入れた後に硬化させ、適切な物品にすることができる。
【0162】
シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズなどの成形眼科用デバイスを作製する方法は、反応性モノマー混合物を調製することと、反応性モノマー混合物を第1の成形型に移すことと、第2の成形型を、反応性モノマー混合物で充填された第1の成形型の上に配置することと、フリーラジカル共重合によって反応性モノマー混合物を硬化させて、コンタクトレンズの形状でシリコーンヒドロゲルを形成することと、を含み得る。
【0163】
反応性混合物は、回転成形及び静的成形を含む、コンタクトレンズの作製において、反応性混合物を成形するための任意の既知のプロセスを介して硬化されてもよい。回転成形方法は、米国特許第3,408,429号及び同第3,660,545号に開示され、静的成形方法は、米国特許第4,113,224号及び同第4,197,266号に開示されている。本発明のコンタクトレンズは、シリコーンヒドロゲルの直接成型により形成してもよく、これは経済的であり、含水レンズの最終形状を正確に制御できる。この方法では、反応性混合物は、所望の最終シリコーンヒドロゲルの形状を有する成形型内に配置され、反応性混合物は、モノマーが重合する条件に供され、それにより所望の最終製品のおよその形状のポリマーを生成する。
【0164】
硬化後、レンズを取り出し処理に供して、未反応成分を除去し、レンズをレンズ成形型から取り外してもよい。取り出し処理は、アルコールなどの有機溶媒など、従来の取り出し用流体を使用して行われてもよいし、又は水溶液を使用して行われてもよい。
【0165】
水溶液は、水を含む溶液である。本発明の水溶液は、少なくとも約20重量%の水、又は少なくとも約50重量%の水、又は少なくとも約70重量%の水、又は少なくとも約95重量%の水を含み得る。水溶液はまた、無機塩又は離型剤、湿潤剤、スリップ剤、医薬成分及び栄養補助剤、これらの組み合わせなどの追加の水溶性配合物を含んでもよい。離型剤は、化合物又は化合物の混合物であり、これは、水と組み合わせると、離型剤を含まない水溶液を使用してコンタクトレンズを取り外すのに必要な時間と比較した場合、成形型からコンタクトレンズを取り外すのに必要な時間が減少する。水溶液は、精製、再利用又は特別な廃棄処理などの特別な取り扱いを必要としない場合がある。
【0166】
取り出し処理は、例えば、水溶液中にこのレンズを浸漬すること、又は水溶液の流れにレンズをさらすことを介して行なうことができる。取り出し処理はまた、例えば、水溶液を加熱することと、水溶液を撹拌することと、水溶液の離型剤の濃度を、レンズの離型が生じるのに十分なレベルにまで増大させることと、レンズの機械的撹拌又は超音波撹拌と、少なくとも1種の浸出助剤又は取り出し用助剤を水溶液に取り入れて、未反応成分をレンズから適切に除去することを容易にするのに十分な濃度にすることと、のうちの1つ以上を含むことができる。熱、振動又はその両方の追加の有無にかかわらず、前述は、バッチプロセス又は連続プロセスで行われてもよい。
【0167】
浸出及び離型を促進するために、物理的撹拌の適用が望ましい場合がある。例えば、レンズが付着しているレンズ成形型部分は、水溶液中で振動させるか又は前後運動させることができる。他の方法には、超音波を水溶液に通すことが含まれてもよい。
【0168】
レンズは、それに限定されないが高圧蒸気処理などの既知の手段により殺菌してもよい。
【0169】
本発明によるシリコーンヒドロゲル眼科用デバイス(例えば、コンタクトレンズ)は、好ましくは、以下の特性を示す。全ての値の前には「約」が付き、このデバイスは、列挙する性質の任意の組み合わせを有することができる。特性は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許付与前公開第20180037690号に記載されているように、当業者に既知の方法によって決定することができる。
【0170】
平衡含水百分率%:少なくとも20%、又は少なくとも25%かつ最大80%又は最大70%
曇り度:30%以下、又は10%以下
前進動的接触角(Wilhelmyプレート法):100°以下、又は80°以下、又は50°以下
引張弾性率(psi):150以下、又は135以下、120以下、又は80~135
酸素透過性(Dk、バーラー):少なくとも60バーラー、又は少なくとも80、又は少なくとも100、又は少なくとも150、又は少なくとも200
破断伸び:少なくとも100
イオン性シリコーンヒドロゲルに関しては、(前述したものに加えて)以下の性質もまた好ましい場合がある:
リゾチーム取り込み(μg/レンズ):少なくとも100、又は少なくとも150、又は少なくとも500、又は少なくとも700
ポリクオタニウム1(PQ1)取り込み(%):15以下、又は10以下、又は5以下。
【0171】
上記の方法論によって眼科用デバイスに組み込まれることに加えて、アミノ酸系重合性化合物は、ブリスターパッケージ包装溶液中で代替的に(又は加えて)使用されてもよい。したがって、本実施形態によれば、眼科用デバイス及び包装用溶液を含むブリスターパッケージが提供され得るが、包装用溶液は、上述のような重合性アミノ酸系化合物から誘導されたポリマーを含む。
【0172】
ブリスターパッケージは、一般に、ボウル部分及びフォイル状トップを含む。これらのパッケージは、ソフトコンタクトレンズ及びその水性包装溶液を収容する。ボウル部分は、任意の好適な材料から作製され得る。典型的には、ボウル部分は、ポリプロピレンなどの疎水性材料から作製される。ポリプロピレンは、コンタクトレンズパッケージに一般的に使用される材料である。ポリプロピレンは、コンタクトレンズ製造の滅菌工程に耐えるのに十分な弾力性を有し、多くの好適な形状及びサイズに射出成形することができる。米国特許第4,691,820号、同第5,054,610号、同第5,337,888号、同第5,375,698号、同第5,409,104号、同第5,467,868号、同第5,515,964号、同第5,609,246号、同第5,695,049号、同第5,697,495号、同第5,704,468号、同第5,711,416号、同第5,722,536号、同第5,573,108号、同第5,823,327号、同第5,704,468号、同第5,983,608号、同第6,029,808号、同第6,044,966号、及び同第6,401,915号を、包装の非限定的な例については参照されたい。なお、これらの文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0173】
コンタクトレンズなどの眼科用デバイスとともに使用するための包装用溶液は周知である。好適な溶液には、食塩水、他の緩衝液、及び脱イオン水が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、包装用水溶液は、塩を含有する生理食塩水であり得るが、そのような塩の例としては、塩化ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、又はこれらの酸の対応するカリウム塩を含むものであり得るが、これらに限定されない。これらの成分は一般に化合して、酸及びその共役塩基を含む緩衝液を形成するので、酸及び塩基が加わっても、pHには比較的小さな変化しか起こらない。緩衝液は更に、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、水酸化ナトリウム、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-2,2’,2”-ニトリロトリエタノール、n-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-2-アミノエタンスルホン酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、酢酸、酢酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸など、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。好ましくは、溶液は、ホウ酸緩衝食塩水溶液若しくはリン酸緩衝生理食塩水溶液である。
【0174】
ここで、本発明のいくつかの実施形態を、以下の実施例にて詳細に記述する。
【実施例】
【0175】
コンタクトレンズの特性を示すために使用される試験方法は、以下に記載される。いくつかの略語を見出しとして表に使用し、表にはいくつかの標準偏差を括弧に入れて報告した。
【0176】
Mitutoyo製のデジタル機械的マイクロメートルヘッドを装着した、較正済みVan Keurenマイクロ光学コンパレータ設備で、コンタクトレンズの直径(DM)を測定した。ホウ酸塩で緩衝した包装用溶液で完全に満たした結晶セル内に、コンタクトレンズを、凹側を下にして配置した。キャップを、空気がその下にトラップされないように留意して、セルの上に配置した。次に、セルをコンパレータの台に配置して、レンズの像を拡大して、レンズの一端が画面の中心線に触れるように位置を合わせた。最初の端に印を付け、第2の端が画面の中心線に触れるまで、レンズを直径に沿って動かした後、データボタンを再び押して第2の端に印を付けた。典型的には、2回の直径測定が行われ、平均値が典型的にはミリメートル単位で報告され、レンズ膨張係数の計算に利用される。
【0177】
レンズの膨張係数(EP)は、水和及び滅菌後のレンズの測定された直径の、前方湾曲成形型の理論直径に対する比である。水和及び滅菌すると拡張するレンズは、1を超える膨張係数を有し、水和及び滅菌すると収縮させるレンズは、1未満の膨張係数を有し、水和及び滅菌しても直径を変化させないレンズは、1に等しい膨張係数を有する。膨張係数は無次元の量である。
【0178】
シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ上でのグラフト化実験では、相対膨張係数(REF)は、水和及び滅菌後のグラフト化レンズの測定された直径の、脱イオン水中の未グラフト化ベースレンズの測定直径に対する比である。
【0179】
含水量は重力測定法で測定した。3枚の試験レンズを、包装溶液中で24時間平衡化した。試験レンズのそれぞれを、先端がスポンジ状のスワブを使用して包装溶液から取り出し、包装溶液で湿らせておいた吸い取り紙上に置いた。レンズの両面をこの紙と接触させた。ピンセットを使用して、それぞれの試験レンズを風袋重量測定した秤量皿に置き、秤量した。全ての重量測定は3回行い、それらの値の平均を計算に用いた。湿重量は、秤量皿及び湿レンズの総合重量から秤量皿単独の重量を引いたものとして定義される。
【0180】
乾燥重量は、60℃で30分間予熱した真空オーブンに試料皿を置いて測定した。圧力が少なくとも1インチHgに達するまで真空を適用したが、より低い圧力にしてもよい。真空バルブ及びポンプをオフにして、レンズを少なくとも12時間(通常は一晩)、乾燥した。パージバルブを開いて、乾燥した空気又は乾燥した窒素ガスを入れた。オーブンが大気圧に達したところで、皿を取り出し、秤量した。乾燥重量は、秤量皿及び乾燥レンズの総重量から秤量皿単独の重量を引いたものとして定義される。試験レンズの含水量は、以下のように計算した:パーセント含水(%WC)=(湿重量-乾燥重量)/湿重量×100。含水量の平均値及び標準偏差を計算し、平均値は、試験レンズのパーセント含水量として報告された。
【0181】
グラフト化重量増加率(%GWG)を以下のように計算した:(グラフト化レンズの乾燥重量-基材レンズの乾燥重量)/基材レンズの乾燥重量×100。グラフトレンズ及び基材レンズの両方を、脱イオン水中で数時間平衡化させ、真空乾燥前に、あらゆる残留塩を取り除いた。通常、各試料について少なくとも3枚のレンズの重量を量り、平均値を求めた。
【0182】
コンタクトレンズの屈折率(RI)をLeica ARIAS 500 Abbe屈折計の手動モード、又はReichert ARIAS 500 Abbe屈折計の自動モードで、100マイクロメートルのプリズムギャップ距離で測定した。機器は、脱イオン水を使用して20℃(±0.2℃)にて較正した。プリズムアセンブリを開いて、光源に最も近い磁性ドット間の下方プリズムの上に試験レンズを配置した。プリズムが乾燥している場合は、数滴の生理食塩水を底部プリズムに塗布した。レンズの前面湾曲部を底部プリズムに接触させた。次いで、プリズムアセンブリを閉じた。陰影線がレチクル視野に現れるように制御部を調節した後、屈折率を測定した。屈折率(RI)測定は、5枚の試験レンズで行われた。5枚分の測定から計算された平均屈折率(RI)が、屈折率として、その標準偏差とともに記録された。
【0183】
酸素透過度(Dk)を、ISO9913-1:1996及びISO18369-4:2006に概説されているポーラログラフ法に、以下の変更を加えて決定した。測定は、例えば、1800mL/分の窒素及び200mL/分の空気の適切な比率に設定した、窒素注入口及び空気注入口を試験チャンバーに装備することによって作り出された2.1%酸素を含む環境において行われた。t/Dkを、調整済み酸素濃度を使用して計算した。ホウ酸塩緩衝生理食塩水を使用した。MMAレンズを使用する代わりに、純粋加湿窒素環境を使って暗電流を測定した。レンズは、測定前に拭き取らなかった。センチメートル単位で測定された様々な厚さ(t)のレンズを使用する代わりに、4枚のレンズを重ねた。フラットセンサの代わりにカーブセンサを使用したところ、半径は、7.8mmであった。7.8mm半径センサ及び10%(v/v)空気流の計算を以下のように行った。
・Dk/t=(測定電流-暗電流)×(2.97×10-8mL O2)/(μA-sec-cm2-mmHg)
・エッジ補正は、材料のDkに関連付けられた。
・90バーラー未満の全てのDk値については:
・t/Dk(エッジ補正済)=[1+(5.88×t)]×(t/Dk)
・90~300バーラーのDk値については:
・t/Dk(エッジ補正済)=[1+(3.56×t)]×(t/Dk)
・300バーラーよりも大きいDk値については:
・t/Dk(エッジ補正済)=[1+(3.16×t)]×(t/Dk)
【0184】
エッジ補正なしのDkは、データの線形回帰分析から得られた傾きの逆数から計算され、x変数をセンチメートル単位での中心厚とし、y変数をt/Dk値とした。一方で、エッジ補正済のDk(EC Dk)は、データの線形回帰分析から得られた傾きの逆数から計算され、x変数をセンチメートル単位での中心厚さとし、yの変数をエッジ補正済t/Dk値とした。得られたDk値は、バーラー単位で報告された。
【0185】
レンズの濡れ性は、以下の方法を用いて決定された。動的接触角(Cahn DCA)を、室温でCahn DCA-315機器を使用するWilhelmyプレート法により、プローブ溶液として脱イオン水を使用して決定した。実験は、高感度天秤によって、濡れに起因して試料にかかる力を測定しながら、既知のパラメータのレンズ検体を既知の表面張力の包装溶液内に浸漬することにより行われた。レンズ上の包装溶液の前進接触角は、試料浸漬中に収集した力のデータから決定される。後退接触角は、液体から試料を引き出しながら、力のデータから同様に決定される。Wilhelmyプレート法は、下式に基づく:Fg=γρcosθ-B、式中、F=液体とレンズとの間の濡れ力(mg)、g=重力加速度(980.665cm/sec2)、γ=プローブ液の表面張力(ダイン/cm)、ρ=液体/レンズメニスカスにおけるコンタクトレンズの周囲長(cm)、θ=動的接触角(度)、及びB=浮力(mg)である。Bは、浸漬の深さがゼロの場合にはゼロである。4つの試験ストリップは、コンタクトレンズの中央領域から切断された。それぞれのストリップは、幅が約5mmであり、包装溶液中で平衡化された。次いで、各試料は、4回繰り返し、結果を平均して、レンズの前進(adv)接触角及び後進(rec)接触角を得た。接触角ヒステリシス(CAH)は、前進接触角と後退接触角との間の差として定義され、他の要因が関与し得るものの、表面粗さ及び不均一性の定性的尺度として使用され得る。相対的には、より大きいCAHを有する表面は、より大きな表面粗さ及び不均一性を呈すると予想される。
【0186】
コンタクトレンズの機械的特性を、ロードセル及び空気圧グリップコントロールを備えたInstron model 1122又は5542らの引張試験機を使用して測定した。マイナス1のディオプターレンズが、その中央の均一な厚さプロファイルから、好ましいレンズ幾何学形状である。0.522インチの長さ、0.276インチの「耳」幅、及び0.213インチの「首」幅を有する、-1.00Dの倍率のレンズから切断されたドッグボーン形状の試料を、グリップ内に載置し、毎分2インチの一定の歪み速度で、破断するまで引き伸ばした。ドッグボーン試料の中心厚さは、試験前に、電子式厚さ計を使用して測定された。試料の初期ゲージ長さ(Lo)及び破断時の試料長さ(Lf)を測定した。各組成物の少なくとも5個の試料を測定し、平均値を使用して、破断までのパーセント伸長を計算した:パーセント伸長=[(Lf-Lo)/Lo]×100。引張弾性率(TM)を、応力-歪み曲線の初期直線部分の傾きとして計算し、弾性率の単位は、平方インチ当たりポンド(psi)である。引張強度(TS)を、ピーク荷重及び元の断面積から計算した。引張強度=ピーク荷重を元の断面積で除算したものであり、引張強度の単位は、psiである。靭性は、破断するためのエネルギー及び試料の元の体積から計算された。靭性=破断するためのエネルギーを試料の元の体積で割る。靱性の単位は、in-lbs/in3である。破断伸び(ETB)もまた、破断時のひずみの割合として記録した。
【0187】
コンタクトレンズにより取り込まれたリゾチームの量を、HPLC-UV法により測定した。リゾチーム取り込みは、コンタクトレンズが浸漬される前のリン酸緩衝生理食塩溶液(PBS)中のリゾチーム含有量と、37℃にて72時間レンズを浸漬した後の試験溶液中の濃度と、の差として決定された。
【0188】
リゾチーム浸漬液は、0.215±0.005グラムのリゾチーム(純度=93%)を100mLのメスフラスコ内に入れ、続いて50mLのPBSを添加して、かき混ぜてリゾチームを溶解した後、PBSで体積になるまで希釈して調製した。結果得られたリゾチーム浸漬液をMillipore Stericup濾過装置を使用して濾過/殺菌した。リゾチーム浸漬液の濃度は、約2000μg/mLである。リゾチームの質量は、2000μg/mLの濃度を達成できるように、ロット毎の純度の変動を考慮して調節してもよい。
【0189】
3枚のコンタクトレンズをそれらのパッケージから取り出し、リントフリーの紙タオルで拭き取って余分な包装溶液を除去した。レンズを3個の別個の8mLガラスバイアル内に置いた(バイアル毎に1枚のレンズ)。1.5mLのリゾチーム浸漬液を各バイアルに添加した。バイアルを密栓し、各レンズが確実に浸漬液中に完全に浸漬されたことを点検した。対照試料として、1.5mLのリゾチーム浸漬液を3個の別個の8mLガラスバイアル内に添加した。次いで、試料は、New Brunswick Scientificインキュベータ振とう器上で、37℃にて100rpmで72時間インキュベートした。
【0190】
希釈剤は、900mLの水、100mLのアセトニトリル及び1mLのトリフルオロ酢酸を1Lのガラス瓶内で混合して調製した。
【0191】
リゾチーム原液は、0.240±0.010グラムのリゾチーム(純度=93%)を100mLのメスフラスコ内に入れ、続いて希釈剤により体積まで希釈して調製した。リゾチーム原液の濃度は約2200μg/mLである。
【0192】
表Cに示すように、一連の作業標準溶液が、5mLメスフラスコを使用して適切な量のリゾチーム原液を希釈剤と混合して調製された。
【0193】
【0194】
10%(v/v)溶液は、1mLのトリフルオロ酢酸を10mLのガラスメスフラスコ内に加え、続いてHPLC水により希釈して調製した。HPLC-UV分析用の試料は、以下のように調製した。(1)1000μLの試験試料及び10μLの10%TFA溶液をオートサンプラバイアル内に入れるか、又は(2)1000μLの参照標準及び10μLの参照標準希釈剤をオートサンプラバイアル内に入れる。
【0195】
分析には、以下の工程を伴った:「標準4」を6回注入し、系の適合性を評価した。ピーク面積及び保持時間の総体標準偏差(RSD)%は、システム適合性に合格するためには、0.5%未満でなければならない。作業標準1~6を注入して、較正曲線を作成する。相関係数の二乗(r2)は、0.99より大きくなければならない。試験試料を注入した後、ブラケット標準を続けた(標準4)。ブラケット標準のピーク面積は、システム適合性注入からの平均ピーク面積の±1%でなければならない。
【0196】
検量線は、各リゾチーム作業標準溶液の濃度に対応するピーク面積値をプロットして構築した。試験試料中のリゾチームの濃度は、一次方程式を解いて計算した。リゾチームの更新単位は、マイクログラム/ミリリットル(μg/mL)である。典型的な設備及びそれらの設定は、以下に列挙されているか又は表Dに示してある。
【0197】
・機器:UV検出を備えるAgilent 1200 HPLC(又は同等のHPLC-UV)
・検出:280nm(5nm帯域幅)でのUV
・HPLCカラム:Phenomenex Luna C5(50×4.6mm)又はAgilent PLRP-S(50×4.6mm)
・移動相A:H2O(0.1%TFA)
・移動相B:アセトニトリル(0.1%TFA)
・カラム温度:40℃
・注入量:10μL
【0198】
【0199】
ここで、本発明を以下の実施例を参照しながら説明する。本発明の例示の実施形態をいくつか説明するに先立ち、本発明が以下の説明において明らかにされる構成又は処理工程の詳細に限定されないことが理解されよう。本発明は、他の実施形態が可能であり、かつ様々な手法で実践又は実行できる。
【0200】
以下の略語は、実施例を通して使用され、以下の意味を有する。
DMA:N,N-ジメチルアクリルアミド(Jarchem)
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート(Bimax)
MAA:メタクリル酸(Acros)
Norbloc:2-(2’-ヒドロキシ-5-メタクリリルオキシエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール(Janssen)
Blue HEMA:1-アミノ-4-[3-(4-(2-メタクリロイルオキシ-エトキシ)-6-クロロトリアジン-2-イルアミノ)-4-スルホフェニルアミノ]アントラキノン-2-スルホン酸(米国特許第5,944,853号に記載)
PVP K90:ポリ(N-ビニルピロリドン)(ISP Ashland)
EGDMA:エチレングリコールジメタクリレート(Esstech)
TMPTMA:トリメチロールプロパントリメタクリレート(Esstech)
TEGDMA:テトラエチレングリコールジメタクリレート(Esstech)
Omnirad 403:ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド
Omnirad 819:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(IGM Resins)
Omnirad 1173:2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパノン
Omnirad 1700:Omnirad 403を25重量%とOmnirad 1173を75重量%との混合物
HO-mPDMS:モノ-n-ブチル末端モノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端ポリジメチルシロキサン(Mn=400-1500g/mol)(Ortec又はDSM-Polymer Technology Group)
HO-mPDMS(n=4):
【0201】
【0202】
【化14】
nBu:n-ブチル
PP:プロピレンのホモポリマーであるポリプロピレン
Z:ポリシクロオレフィン熱可塑性ポリマーであるZeonor(Nippon Zeon Co Ltd)
D3O:3,7-ジメチル-3-オクタノール(Vigon)
Wt%:重量%
BAGE:ホウ酸グリセロールエステル(ホウ酸対グリセロールのモル比は1:2であった):299.3グラム(mol)のグリセロール及び99.8グラム(mol)のホウ酸を、好適な反応器内で1247.4グラムの5%(重量/重量)エチレンジアミン四酢酸水溶液に溶解させた後、適度な減圧下(2~6トル)にて4~5時間撹拌しながら90~94℃まで加熱し、室温まで冷却した。
ホウ酸塩緩衝パッキング溶液:18.52グラム(300mmol)のホウ酸、3.7グラム(9.7mmol)のホウ酸ナトリウム十水和物、及び28グラム(197mmol)の硫酸ナトリウムを、十分な脱イオン水に溶解させて、2リットルのメスフラスコを満たした。
g:グラム
mg:ミリグラム
μg:マイクログラム
eq:当量
mol:モル
mmol:ミリモル
mL:ミリリットル
M:モル濃度又はモル/L
L:リットル
mm:ミリメートル
cm:センチメートル
nm:ナノメートル
HCl:塩酸
D:ジオプトリ
LED:発光ダイオード
TL03光:Phillips TLK 40W/03電球
NMR:核磁気共鳴分光法
D
2O:重水素酸化物
【0203】
実施例1:メタクリロイルアルギニン(ARG-M)の合成
【0204】
【0205】
L-アルギニン塩酸塩(21.0g、0.1mol)及び重炭酸ナトリウム(16.8g、0.2mol)を脱イオン水(100mL)に添加した。溶液を5℃に冷却し、17.0gのメタクリル酸無水物(12.5mL、0.11mol)を10分かけて滴加し、混合物を20分間撹拌した。水酸化アンモニウムを数滴加えて、pHを8に調整した。溶液を濾過し、ジクロロメタンで3回洗浄した。水性部分を凍結乾燥して、生成物、メタクリロイルアルギニン(ARG-M)を得た(収率98%)。1H NMR(500MHz、D2O)δ(ppm):1.32~1.81(m、4H、NHCH2CH2)、1.87(s、3H、CH3)、3.05(m、2H、CH2NH2CNH)、4.20(m、1H、NHCH)、5.37(s、1H、ビニル)、5.58(s、1H、ビニル)。
【0206】
実施例2:メタクリロイルアスパラギン(ASN-M)の合成
【0207】
【0208】
室温で水浴中のL-アスパラギン(13.2g、0.1mol)及び炭酸ナトリウム(25.0g、0.24mol)の撹拌水溶液に、滴下漏斗を介して17.2gの無水メタクリル酸(約0.11mol)を滴加し、混合物を2時間撹拌した。混合物を、希塩酸を用いて酸性化し、pHを約2.0にした。0.200gのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を溶液に添加し、温度を20℃未満に維持しながら、揮発性成分を減圧下で蒸発させた。乾燥したら、固体をアセトニトリルで洗浄し(3×100mL)、各洗浄後に溶媒をデカントした。残渣をメタノールに溶解させ、濾過した。0.050gのBHTを濾液に添加し、揮発性成分を減圧下で蒸発させて、無色吸湿性固体として、所望の生成物、メタクリロイルアスパラギン(ASN-M)を得た。1H NMR(500MHz、D2O)δ(ppm):1.97(3H、s、CH3)、2.78(1H、dd、J=9.0、5.0Hz、CH2)、2.90(1H、dd、J=8.0、5.0Hz、CH2)、4.69(dd、J=9.0、8.0Hz)、5.51(1H、s、ビニル性)、5.76(1H、s、ビニル性)。
【0209】
実施例3:メチルメタクリロイルヒスチジネート(HIS-M)の合成
【0210】
【0211】
L-ヒスチジンメチルエステルジヒドロクロリド(10.0g、約0.041mol)及びトリエチルアミン(16.6g、約4当量)を、100mLのメタノールに溶解させ、溶液を、常に撹拌しながら氷浴中で冷却した。温度を10℃未満で維持しながら、塩化メタクリロイル(4.75g、約1.1当量)を、上記の溶液に滴加した。添加が完了したら、揮発性成分を減圧下で蒸発させた。残留物をジクロロメタンで洗浄し、濾過した。塩化メチレンを減圧下で蒸発させた後、残留物をアセトンで更に洗浄して、トリエチルアンモニウム塩化水素を除去した。濾液を減圧下で濃縮し、生成物を、アセトニトリル及びメタノールを用いて短いシリカゲルプラグを通して洗い流した。生成物であるメチルメタクリロイルヒスチジネート(HIS-M)を蒸発によって得た。1H NMR(500MHz、D2O)δ(ppm):3.73(3H、s、CH3)、2.9~3.15(2H、m、CH2)、4.60(1H、dd、J=8.5、5Hz、CH)、5.31(1H、bs、ビニル性)、5.49(1H、s、ビニル性)、6.89~6.97(1H、Ar-H)、6.79~8.08(1H、Ar-H)。
【0212】
実施例4:2-デカンアミド-3-((2-メタクリルオキシエチル)アミノ)-3-オキソプロパン-1-スルホン酸ナトリウム(CYS-M)の合成
【0213】
【0214】
システイン酸一水和物(40.0g、0.21mol)を、磁気撹拌棒及び還流凝縮器を備えた、1000mLの3つ口丸底フラスコに入れた。この系を窒素ブランケット下に置き、600mLのメタノールをシリンジを介して添加した。塩化チオニル(75mL、1.04mol)を撹拌されている懸濁液に滴加し、次いで混合物を5時間にわたり加熱還流した。反応が進行するにつれて、混合物から生成物が結晶化された。反応混合物を冷蔵庫に、一晩保管した。固体を濾過し、アセトニトリルで洗浄し(5×50mL)、真空オーブン内で50℃で乾燥させて、34.7g(88.7%)の所望のシステイン酸メチルを得た。1H NMR(500MHz、D2O)δ(ppm):3.56(d、1H、J=6.9Hz、CH2SO3
-)、3.65(d、1H、J=4.5Hz、CH2SO3
-)、3.91(s、3H、OCH3)、4.63(dd、1H、J=6.9、4.5Hz、CH)。
【0215】
窒素ブランケット下で、磁気攪拌棒及び還流凝縮器を装備した3つ口丸底フラスコ内の18.3g(0.1mol)のシステイン酸メチルに、300mLの無水メタノール、及び30.3g(3.0当量)のトリエチルアミンを添加した。混合物を均質になるまで撹拌してから、氷浴を用いて冷却した。反応温度を25℃未満に維持しながら、デカノイルクロリド(23.75g、0.125mol)を溶液に滴加した。溶液を絶えず撹拌し、周囲温度まで温めた後、無水炭酸ナトリウム(15.0g、0.15mol)及び2-アミノエタノール(12.2g、0.2mol)を加え、混合物を65℃で48時間加熱した。反応混合物を周囲温度まで冷却し、揮発成分を減圧下で除去した。残留固体を、フリットガラス漏斗上でアセトニトリルで洗浄して(3×250mL)、有機不純物を除去し、所望の生成物、2-デカンアミド-3-((2-ヒドロキシエチル)アミノ)-3-オキソプロパン-1-スルホネートを、脱イオン水中の残渣を再結晶化し、続いて真空オーブン内で50℃で乾燥させることによって得た(33.4g、収率86%)。1H NMR(500MHz、D2O)δ(ppm):0.87(t、3H、J=6.8Hz、CH3)、1.29(bs、12H、CH2s)、1.61(t、2H、J=7.2Hz,CH2)、2.33(t、2H、J=7.2Hz,CH2)、3.24~3.42(m、4H、CH2アミド、CH2SO3
-)、3.66(t、2H、J=5.9Hz、CH2OH)、4.72(dd、1H、J=7.1、8.1Hz、CH)。2-デカンアミド-3-((2-ヒドロキシエチル)アミノ)-3-オキソプロパン-1-スルホネート(10.0g、約0.026モル)、ブチル化ヒドロキシトルエン(0.150g)、及び10.0mLのメタクリル酸無水物(10.4g、約0.068mol)を、磁気攪拌棒、加熱マントル、及び還流凝縮器を備えた100mLの3つ口丸底フラスコに入れた。この系を窒素雰囲気下に置き、50mLの無水N,N-ジメチルホルムアミドをフラスコに加え、この時点で材料は溶媒を吸収しケーキを形成したように見えた。系の温度が上昇すると、撹拌が改善され、混合物は徐々に均質になった。90℃で20時間加熱した後、混合物を室温に冷却し、150mLのアセトニトリルに添加し、周囲温度で30分間撹拌した。白色のゲル状生成物、2-デカンアミド-3-((2-メタクリルオキシエチル)アミノ)-3-オキソプロパン-1-スルホン酸ナトリウム(CYS-M)を、フリットガラス漏斗で濾過し、アセトニトリルで洗浄し(3×50mL)、50℃の真空下で乾燥させた。1H NMR(500MHz、D2O)δ(ppm):0.86(3H、t、CH3)、1.26(12H、bs、CH2)、1.57(2H、bs、CH2)、1.92(3H、s、CH3)、2.29(2H、t、CH2)、3.24~3.66(4H、m、CH2NH及びCH2S)、4.27(2H、bs、CH2エステル)、4.79(1H、m、CH)、5.62(1H、s、ビニル性)、6.15(1H、s、ビニル性)。
【0216】
実施例5:S-(3-(2-ヒドロキシ-3-(メタクリロイルオキシ)プロポキシ)-3-オキソプロピル)-L-システイン(CYS-MA)の合成
【0217】
【0218】
250mLの丸底フラスコ内で、L-システイン(15.13g、124.88mmol)を、脱イオン水(100mL)に溶解させた。3-(アクリロイルオキシ)-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート(29.43g、137.36mmol)をこの撹拌溶液に加え、ジメチルフェニルホスフィン(20μL、147μmol)を混合物に添加した。水性混合物を周囲温度で2時間撹拌した後、溶液を酢酸エチル(2×50mL)及びジクロロメタン(2×50mL)で洗浄した。所望の生成物、S-(3-(2-ヒドロキシ-3-(メタクリロイルオキシ)プロポキシ)-3-オキソプロピル)-L-システイン(CYS-MA)を、凍結乾燥によって純粋な白色固体として単離した(39.6g、94%収率)。1H NMR(500MHz、D2O)δ(ppm)1.89(s、3H)、-CH3);2.68~3.17(m、6H、-S-CH2-CH2-COO-、-S-CH2-CH(COO-)NH3
+);3.79~3.90(m、2H、CHOH、-CH(COO-)NH3
+)、4.20~4.30(m、4H、-CH2-CHOH-CH2-)、5.70(s、1H、ビニル)、6.13(s、1H、ビニル)。
【0219】
実施例6:グラフト化シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ
表2に列記される75重量%の配合物及び25重量%の希釈剤D3Oで構成される反応性モノマー混合物を調製した。反応性モノマー混合物を、圧力下でステンレス鋼シリンジを使用して3μmフィルターを通して濾過し、続いて減圧下で約30分間脱気した。窒素ガス雰囲気であって0.2%(v/v)未満の酸素ガスを有するグローブボックス内で、約75~100μLの反応性混合物は、エッペンドルフピペットを使用して室温でZeonorからなるフロントカーブ成形型内に分注した。次いで、Zeonor:ポリプロピレンが55:45(w/w)の配合物から作製されたベースカーブ成形型を、フロントカーブ成形型の上に置いた。成形型を、分注前にグローブボックス内で最低12時間平衡化させた。それぞれが8個のレンズ成形型アセンブリを含有する約4個のパレットを含有するプレートを、約62℃に維持した隣接するグローブボックスに移し、4mW/cm2の強度を有する435nmのLED光を使用して、12分間上からレンズを硬化した。
【0220】
黄色光の元で作業をし、(例えば、容器をアルミホイルで包むことなどによって)追加的光への一般的な曝露を制限することにより、大部分のレンズがフロントカーブ成形型に接着している状態で、レンズを手動で成形型から取り出し、レンズを、70%のイソプロパノール中で、約1又は2時間(約15mL毎にレンズ1枚)、場合により一晩懸濁することで剥離させ、続いて、70%イソプロパノールで2回、脱イオン水で2回それぞれ洗浄し、最終的に、アルミホイルで覆った容器内で脱イオン水に入れて冷蔵庫で保管した。これらのレンズ(7ベース)は、そこから化学グラフト反応が開始され得る共有結合モノアシルホスフィンオキシド基を含んでいた。各洗浄工程を約30分続けた。当業者は、正確なレンズ離型工程が、イソプロパノール水溶液の濃度、各溶媒での洗浄の回数及び各工程の継続時間に関して、レンズ配合及び成形型材料に応じて変化させることができることを理解している。レンズ剥離プロセスの目的は、希釈剤膨潤ネットワークから、脱イオン水又は包装用の溶液膨潤ヒドロゲルに、全てのレンズを欠陥なく剥離させ移動させることである。
【0221】
各実験について、50枚のレンズ(7ベース)を、250mLのガラスジャー内で、50:50(v/v)で1,2-ブタンジオール水溶液に溶解させたグラフト化モノマーから構成される5%(w/v)のグラフト化溶液100mL中に懸濁させ、減圧下(約40mmHg)にて15分間脱気し、窒素ガスを通気してパージした。ジャーにキャップを付け、0.2%(v/v)未満の酸素ガスしか含まない窒素ガス雰囲気で、かつ温度が55℃のグローブボックスに移し、振盪器で90分間平衡させた(180rpm)。次いで、懸濁液の温度は55℃であった。キャップを透明なプラスチックカバーで置き換え、懸濁液を、振盪をしながら、420個のLEDを使用して上から照射した。グラフト化モノマー、グラフト化溶液中のグラフト化モノマーの濃度、グラフト化照射の強度、及びグラフト化時間に関する各実験のグラフト条件を、表3に列挙する。照射後、レンズを取り出し、脱イオン水にて2回、そしてホウ酸塩緩衝包装用溶液で2回洗浄した。レンズをバイアル瓶内で保管した。1日平衡化させた後、レンズを検査し、122℃で30分間オートクレービングして滅菌した。レンズは滅菌後、3~4日平衡化させ、その後、滅菌レンズの物理的特性を、表4にまとめたように測定した。
【0222】
【0223】
【0224】
【0225】
結果:アミノ酸系モノマーをシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズにグラフト化することで、コンタクトレンズの物理的特性及び機械的特性が変化した。グラフト化は、含水量を増加させ、含水量の増加はその後、弾性率及び引張強度を低下させた。グラフト化はまた、レンズの濡れ性を変更した。HIS-M及びARG-Mでグラフト化されたレンズは、接触角ヒステリシスをほとんど呈さなかった。
【0226】
実施例6:従来のヒドロゲルコンタクトレンズの合成
一連の反応性モノマー混合物を、最初に、表5に列挙される配合成分の約52重量パーセントと、48重量パーセントの希釈剤BAGEとからなる「マスターバッチ」を作製し、次いで、MAAの1.95重量%のモル当量に相当する量のマスターバッチの25gのアリコートに、MAA、CYS-M、HIS-M、ARG-M、又はASN-Mのいずれかを添加することによって調製した。MAAを含有する製剤は、エタフィルコンとして一般に知られている。このようにして、得られるヒドロゲルは、物理的特性及び機械的特性の変化がポリマーネットワークへのそれらの組み込みに起因し得るように、これらのモノマーの繰り返し単位を同じ数含有する。
【0227】
各反応性モノマー混合物を徹底的に混合し、圧力下でステンレス鋼注射器を使用して3μmフィルターを通して濾過し、続いて減圧下で約15分間脱気した。窒素ガス雰囲気であって0.2%(v/v)未満の酸素ガスを有するグローブボックス内で、約75~100μLの反応性混合物は、エッペンドルフピペットを使用して室温でZeonorから作製されたフロントカーブ成形型内に分注した。次いで、ポリプロピレンから作製されたにベースカーブ成形型を、フロントカーブ成形型の上に配置した。成形型を、分注前にグローブボックス内で最低12時間平衡化させた。それぞれが8個のレンズ成形型アセンブリを含有する約4個のパレットを含有するプレートを、約62℃に維持した隣接するグローブボックスに移し、4.5mW/cm2の強度を有するTL03光を使用して、成形型アセンブリの位置で5分間にわたって上からレンズを硬化した。
【0228】
大部分のレンズがフロントカーブ成形型に接着している状態で、レンズを手動で成形型から取り出させ、レンズを80%イソプロパノール中に約1時間又は2時間(15mL当たり約1個のレンズ)懸濁させることで剥離させ、続いて脱イオン水で2回洗浄し、最後にホウ酸緩衝包装用溶液中に保管した。各洗浄工程を約30分続けた。当業者は、正確なレンズ離型工程が、イソプロパノール水溶液の濃度、各溶媒での洗浄の回数及び各工程の継続時間に関して、レンズ配合及び成形型材料に応じて変化させることができることを理解している。レンズ剥離プロセスの目的は、希釈剤が膨潤したネットワークから、脱イオン水又は包装用の溶液膨潤ヒドロゲルに、全てのレンズを欠陥なく剥離させ移すことである。レンズをバイアル瓶内で保管した。1日平衡化させた後、レンズを検査し、122℃で30分間オートクレービングして滅菌した。その後レンズの物理的及び機械的特性を測定し、表6にまとめた。
【0229】
【0230】
【表10】
結果:実施例は、本発明のアミノ酸モノマーが、他のモノマーと容易に共重合してコンタクトレンズを形成することができることを示す。
【0231】
実施例8:ポリマー
準備1
50.0g(39.2mmol)のテルル粉末を、無水テトラヒドロフラン中の14.4mLの3.0Mメチルリチウム溶液(43.1mmol)と反応させて、テルロラート中間体を形成し、これを8.82g(45.1mmol)のエチルα-ブロモイソブチレートと反応させて、有機テルルリビングラジカル重合メディエーターである、エチル2-メチル-2-メチルテラニル-プロパノエート(Te-Me)を形成した。反応は、金属交換工程のための氷浴で実施した。エチルα-ブロモイソブチレートの添加後、反応混合物を温め、反応が完了するまで室温で維持した(約2時間)。その後、テトラヒドロフランを、ロータリーエバポレーターにて減圧下で除去した。粗生成物を50~55℃(1~2mbar)で真空蒸留して、有機テルルリビングラジカル重合メディエーターであるTe-Meを得て、プロトン核磁気共鳴スペクトル法によって特性を明らかにした。
【0232】
以下の実施例8A~8Dは予言的なものであり、本発明を更に説明するために役立つ。
【0233】
実施例8A
20.0g(100mmol)のASNーM及び578mg(3.5mmol)AIBNを1L反応器に添加し、約250mLの50:50(v/v)水性メタノールに溶解させる。室温で約15分間、窒素ガスを、その系を通してバブリングすることによって、溶液を脱気した。反応混合物を窒素ガス雰囲気下で、60~62℃の温度で約12時間加熱し、次いで室温まで冷却する。溶媒を減圧下にて蒸発させた。アセトンを残留物に添加する。得られた混合物を、常時撹拌しながら、12時間にわたって、62℃まで加熱する。その後、混合物を室温まで冷却する。室温で2時間放置すると、不溶性固体は沈殿する。アセトンをデカントし、廃棄する。粗生成物を、室温で撹拌しながら、アセトン中で更に2時間すすぎ洗いする。アセトンをデカントし、廃棄する。次いで、ホモポリマーを60~65℃の温度で、恒量まで真空乾燥する。
【0234】
実施例8B
12.1g(50mmol)のARG-M、5.0g(50mmol)のDMA、及び578mg(3.5mmol)のAIBNを、1Lの反応器に添加し、約250mLの50:50(v/v)の水性メタノールに溶解させる。室温で約15分間、窒素ガスを、その系を通してバブリングすることによって、溶液を脱気した。反応混合物を窒素ガス雰囲気下で、60~62℃の温度で約12時間加熱し、次いで室温まで冷却する。溶媒を減圧下にて蒸発させた。アセトンを残留物に添加する。得られた混合物を、常時撹拌しながら、12時間にわたって、62℃まで加熱する。その後、混合物を室温まで冷却する。室温で2時間放置すると、不溶性固体が沈殿する。アセトンをデカントし、廃棄する。粗生成物を、室温で撹拌しながら、アセトン中で更に2時間すすぎ洗いする。アセトンをデカントし、廃棄する。次いで、コポリマーを60~65℃の温度で、恒量まで真空乾燥する。
【0235】
実施例8C
11.9g(50mmol)のHIS-M、5.0g(50mmol)のDMA、907mg(3.5mmol)のTe-Me、及び578mg(3.5mmol)のAIBNを、1Lの反応器に添加し、約250mLの50:50(v/v)の水性メタノールに溶解させる。室温で約15分間、窒素ガスを、その系を通してバブリングすることによって、溶液を脱気した。反応混合物を窒素ガス雰囲気下で、60~62℃の温度で約12時間加熱し、次いで室温まで冷却する。溶媒を減圧下にて蒸発させた。アセトンを残留物に添加する。得られた混合物を、常時撹拌しながら、12時間にわたって、62℃まで加熱する。その後、混合物を室温まで冷却する。室温で2時間放置すると、不溶性固体が沈殿する。アセトンをデカントし、廃棄する。粗生成物を、室温で撹拌しながら、アセトン中で更に2時間すすぎ洗いする。アセトンをデカントし、廃棄する。次いで、コポリマーを60~65℃の温度で、恒量まで真空乾燥する。
【0236】
実施例8D
12.1g(50mmol)のARG-M、907mg(3.5mmol)のTe-Me、及び578mg(3.5mmol)のAIBNを、1Lの反応器に添加し、約250mLの1-プロパノールに溶解させる。室温で約15分間、窒素ガスを、その系を通してバブリングすることによって、溶液を脱気した。反応混合物を窒素ガス雰囲気下で、60~62℃の温度で約3時間加熱する。13.0g(100mmol)のHEMAを、30mLの1-プロパノールに溶解させ、室温で15分間、その系を通して窒素ガスをバブリングすることによって脱気し、反応容器に充填し、約6時間にわたり常時撹拌しながら70~72℃の温度で加熱する。最後に、10.0g(50mmol)のASN-Mを、30mLの1-プロパノールに溶解させ、室温で15分間、その系を通して窒素ガスをバブリングすることによって脱気し、反応容器に充填し、約4時間にわたり常時撹拌しながら60~62℃の温度で加熱する。
【0237】
反応混合物の揮発性成分をロータリーエバポレーターにて減圧下で除去する。粗生成物を60℃で、400mLのトルエンに再溶解させ、室温まで冷却させる。混合溶媒系をロータリーエバポレーション法によって除去して、1-プロパノールを含まない粗生成物を得る。粗生成物は、メチルテルル末端基を含有している。この有機金属末端基を除去するために、粗生成物を、メチルテルルの理論モル量の3.5倍を表す量のTEMPOを含有する250mLのトルエンに溶解させる。この溶液を88℃で4時間加熱する。反応混合物を室温まで冷却させ、次いで揮発性成分をロータリーエバポレーターで、60~65℃の温度で蒸発させる。残留物を1000mLのアセトニトリル中に72℃で30分間溶解させて、混濁溶液を形成する。この混濁溶液を、室温に冷却した。ある時間放置して、不溶性固体を沈殿させた後、溶媒をデカントする。トリブロックコポリマーをアセトニトリルを蒸発させることによって単離し、60~65℃の温度で、恒量まで真空乾燥させる。トリブロックコポリマーは、沈殿又は抽出によって更に精製され得る。
【0238】
〔実施の態様〕
(1) 式Iのアミノ酸系重合性化合物であって:
【0239】
【化20】
式中、
Rは、H、C(=O)R
3であるか、又はRは、Rが結合している窒素とともに重合性基を形成し、
R
3は、C
1~C
25のアルキル又はシクロアルキルであり、
R
1は、アミノ酸残基又はアミノ酸残基の誘導体であり、前記誘導体は、任意選択的に重合性基を含み、
R
2は、OR
4又はN(H)-L-P
gであり、R
4は、H、金属カチオン、又はC
1~C
6アルキルであり、Lは、連結基であり、P
gは、重合性基であり、
前記化合物が、少なくとも1つの重合性基を含有する、アミノ酸系重合性化合物。
(2) R
1は、アルギニン(arg)、アスパラギン(asn)、又はヒスチジン(his)のアミノ酸残基である、実施態様1に記載の化合物。
(3) R
1は、システイン(cys)アミノ酸残基の誘導体である、実施態様1に記載の化合物。
(4) R
1は、-CH
2-SO
3R
5であり、R
5は、H、金属カチオン、又はC
1~C
6アルキルである、実施態様3に記載の化合物。
(5) R
1は、-CH
2-S-L-P
gであり、Lは、連結基であり、P
gは、重合性基である、実施態様3に記載の化合物。
【0240】
(6) Lは、アルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、オキサアルキレン、アルキレン-アミド-アルキレン、アルキレン-アミン-アルキレン、又はアルキレン-エステル-アルキレンである、実施態様5に記載の化合物。
(7) Pgは、スチリル、ビニルカーボネート、ビニルエーテル、ビニルカルバメート、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、(メタ)アクリレート、又は(メタ)アクリルアミドを含む、実施態様5~6のいずれかに記載の化合物。
(8) Rは、Hである、実施態様1~7のいずれかに記載の化合物。
(9) Rは、C(=O)R3であり、R3は、C5~C20アルキル、又はC7~C15アルキルである、実施態様1~7のいずれかに記載の化合物。
(10) Rは、Rが結合している窒素とともに、重合性基を形成する、実施態様1~7のいずれかに記載の化合物。
【0241】
(11) Rは、Rが結合している窒素とともに、(メタ)アクリルアミド基を形成する、実施態様10に記載の化合物。
(12) R2は、OR4であり、かつR4は、H又はC1~C6アルキルである、実施態様1~11のいずれかに記載の化合物。
(13) R2は、N(H)-L-Pgである、実施態様1~11のいずれかに記載の化合物。
(14) Lは、アルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、オキサアルキレン、アルキレン-アミド-アルキレン、アルキレン-アミン-アルキレン、又はアルキレン-エステル-アルキレンである、実施態様13に記載の化合物。
(15) Pgは、スチリル、ビニルカーボネート、ビニルエーテル、ビニルカルバメート、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、(メタ)アクリレート、又は(メタ)アクリルアミドを含む、実施態様13~14のいずれかに記載の化合物。
【0242】
(16) 式II、III、IV、V、又はVIの化合物であり:
【0243】
【化21】
式中、R
3は、C
1~C
25アルキル又はシクロアルキルであり、R
4は、H、金属カチオン、又はC
1~C
6アルキルであり、R
5は、H、金属カチオン、又はC
1~C
6アルキルであり、かつ
R
6は、H又はメチルである、実施態様1に記載の化合物。
(17) メタクリロイルアルギニン、
メタクリロイルアスパラギン、
メチルメタクリロイルヒスチジネート、
2-デカンアミド-3-((2-メタクリルオキシエチル)アミノ)-3-オキソプロパン-1-スルホン酸ナトリウム、
S-(3-(2-ヒドロキシ-3-(メタクリロイルオキシ)プロポキシ)-3-オキソプロピル)-L-システイン、
メタクリロイルフェニルアラニン、
メタクリロイルリジン、
メタクリロイルグルタミン、
メタクリロイルグルタミン酸、
メタクリロイルチロシン、
アクリロイルトリプトファン、
アクリロイルアスパラギン酸、又は
アクリロイルメチオニン、
である、実施態様1に記載の化合物。
(18) 眼科用デバイスであって、
実施態様1~17のいずれかに記載の化合物と、前記眼科用デバイスを作製するのに好適な1種以上のモノマーと、のフリーラジカル反応生成物、
を含む、眼科用デバイス。
(19) 前記眼科用デバイスを作製するのに好適な前記モノマーが、親水性成分、疎水性成分、シリコーン含有成分、及びこれらのうちの2つ以上の混合物から選択される、実施態様18に記載の眼科用デバイス。
(20) 眼内レンズ又はソフトコンタクトレンズである、実施態様18~19のいずれかに記載の眼科用デバイス。
【0244】
(21) ヒドロゲルコンタクトレンズである、実施態様20に記載の眼科用デバイス。
(22) 従来の(非シリコーン)ヒドロゲル又はシリコーンヒドロゲルである、実施態様21に記載の眼科用デバイス。
(23) ある国に輸入される、実施態様1~22のいずれかに記載の化合物又は眼科用デバイス。
(24) 前記国がアメリカ合衆国である、実施態様23に記載の化合物又は眼科用デバイス。
【国際調査報告】