(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-19
(54)【発明の名称】積層被覆シーブ、これを製造する方法、および機器から発生する音を低減する方法
(51)【国際特許分類】
B66B 11/08 20060101AFI20230711BHJP
H02G 1/02 20060101ALN20230711BHJP
H02G 7/00 20060101ALN20230711BHJP
【FI】
B66B11/08 Z
H02G1/02
H02G7/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570671
(86)(22)【出願日】2021-05-21
(85)【翻訳文提出日】2023-01-17
(86)【国際出願番号】 US2021033627
(87)【国際公開番号】W WO2021237072
(87)【国際公開日】2021-11-25
(32)【優先日】2020-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522313802
【氏名又は名称】シャーマン+ライリー,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SHERMAN+REILLY,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100166811
【氏名又は名称】白鹿 剛
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド,ダグラス ブルース
(72)【発明者】
【氏名】ホリス,ハービー カーター
(72)【発明者】
【氏名】モートン,ジョン ジェレマイア
【テーマコード(参考)】
3F306
5G352
5G367
【Fターム(参考)】
3F306BB01
3F306BB02
3F306BB06
5G352AB01
5G352AF10
5G367BB10
(57)【要約】
外周面に溝を有するホイールを備える積層被覆シーブ組立体。当該積層被覆シーブ組立体は、ホイールを支持するよう構成された車軸と、当該車軸を受け止め支持するように構成されたフレームを備えることができる。被覆剤を溝に積層造形プロセスによって取り付けることができる。積層造形プロセスによって当該溝を被覆材で被覆することによってシーブを製造する方法も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層被覆シーブ組立体であって、
外周面に溝を有するホイールと、
前記ホイールを支持するよう構成された車軸と、
前記車軸を受け止め支持するよう構成されたフレームと、
前記溝に積層造形プロセスによって取り付けられた被覆材と、を備える、
積層被覆シーブ組立体。
【請求項2】
前記積層造形プロセスは、前記被覆材を前記溝に繰り返し噴霧することを含む、
請求項1に記載の積層被覆シーブ組立体。
【請求項3】
前記積層造形プロセスは、前記ホイールを溶融材料に繰り返し浸漬し、浸漬ごとに前記材料を硬化させることを含む、
請求項1に記載の積層被覆シーブ組立体。
【請求項4】
前記積層造形プロセスは、光重合を含む、
請求項1に記載の積層被覆シーブ組立体。
【請求項5】
前記積層造形プロセスは、粉末床溶融結合を含む、
請求項1に記載の積層被覆シーブ組立体。
【請求項6】
前記積層造形プロセスは、結合剤噴射を含む、
請求項1に記載の積層被覆シーブ組立体。
【請求項7】
前記積層造形プロセスは、材料押出を含む、
請求項1に記載の積層被覆シーブ組立体。
【請求項8】
前記積層造形プロセスは、超音波積層造形を含む、
請求項1に記載の積層被覆シーブ組立体。
【請求項9】
前記積層造形プロセスは、指向性エネルギー堆積を含む、
請求項1に記載の積層被覆シーブ組立体。
【請求項10】
前記積層造形プロセスは、電子ビーム溶融を含む、
請求項1に記載の積層被覆シーブ組立体。
【請求項11】
前記被覆材を前記溝に取り付ける前に、前記溝をプライマーで前処理する、
請求項1に記載の積層被覆シーブ組立体。
【請求項12】
前記被覆材を前記溝に取り付ける前に、前記溝を研磨する、
請求項1に記載の積層被覆シーブ組立体。
【請求項13】
前記被覆材を前記溝に取り付ける前に、前記溝を熱処理する、
請求項1に記載の積層被覆シーブ組立体。
【請求項14】
前記被覆材を前記溝に取り付ける前に、前記溝をコロナ処理で前処理する、
請求項1に記載の積層被覆シーブ組立体。
【請求項15】
前記被覆材を前記溝に取り付ける前に、前記溝をプラズマ処理で前処理する、
請求項1に記載の積層被覆シーブ組立体。
【請求項16】
前記被覆材を前記溝に取り付ける前に、前記溝に1つまたは複数の凹部を形成する、
請求項1に記載の積層被覆シーブ組立体。
【請求項17】
前記被覆材を前記溝に取り付ける前に、前記溝に1つまたは複数の突起を形成する、
請求項1に記載の積層被覆シーブ組立体。
【請求項18】
前記被覆材の前記溝への取り付けに接着剤を用いる、
請求項1に記載の積層被覆シーブ組立体。
【請求項19】
前記被覆材は、モノマー材料を含む、
請求項1に記載の積層被覆シーブ組立体。
【請求項20】
前記被覆材は、ポリマー材料を含む、
請求項1に記載の積層被覆シーブ組立体。
【請求項21】
前記被覆材は、複合材料を含む、
請求項1に記載の積層被覆シーブ組立体。
【請求項22】
前記被覆材は、金属を含む、
請求項1に記載の積層被覆シーブ組立体。
【請求項23】
前記被覆材は、セラミック材料を含む、
請求項1に記載の積層被覆シーブ組立体。
【請求項24】
前記被覆材は、平滑な外面を含む、
請求項1に記載の積層被覆シーブ組立体。
【請求項25】
前記被覆材は、テクスチャを有する外面を含む、
請求項1に記載の積層被覆シーブ組立体。
【請求項26】
前記被覆材は、突起を含む、
請求項25に記載の積層被覆シーブ組立体。
【請求項27】
前記被覆材は、前記ホイールを形成する材料よりも硬い材料を含む、
請求項1に記載の積層被覆シーブ組立体。
【請求項28】
前記被覆材は、前記ホイールを形成する材料よりも柔らかい材料を含む、
請求項1に記載の積層被覆シーブ組立体。
【請求項29】
前記被覆材は、横方向に交互に並んだ帯状に前記溝に取り付けられた2つ以上の材料を含む、
請求項1に記載の積層被覆シーブ組立体。
【請求項30】
前記積層被覆シーブ組立体は、前記ホイールと前記車軸との間に配置された軸受をさらに含む、
請求項1に記載の積層被覆シーブ組立体。
【請求項31】
前記積層被覆シーブ組立体は、前記ホイールと前記車軸との間に配置されたブッシングをさらに含む、
請求項1に記載の積層被覆シーブ組立体。
【請求項32】
前記溝は、前記ホイールの前記外周面に鍛造されている、
請求項1に記載の積層被覆シーブ組立体。
【請求項33】
前記溝は、前記ホイールの前記外周面に切削されている、
請求項1に記載の積層被覆シーブ組立体。
【請求項34】
前記ホイールは、単一の連続した材料を含む、
請求項1に記載の積層被覆シーブ組立体。
【請求項35】
前記ホイールは、
ハブと
前記ハブに取り付けられた複数のスポークと、
リムと、を含み、前記リムの外周面が前記溝を含む、
請求項1に記載の積層被覆シーブ組立体。
【請求項36】
前記ホイールは、2つ以上の材料を含む、
請求項1に記載の積層被覆シーブ組立体。
【請求項37】
積層被覆シーブを製造する方法であって、
ホイールを提供することと、
前記ホイールの外周面に溝を形成することと、
前記溝を積層造形プロセスによって材料で被覆することと、を含む、
方法。
【請求項38】
前記積層造形プロセスは、前記被覆材を前記溝に繰り返し噴霧することを含む、
請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記積層造形プロセスは、前記ホイールを溶融材料に繰り返し浸漬し、浸漬ごとに前記材料を硬化させることを含む、
請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記積層造形プロセスは、光重合を含む、
請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記積層造形プロセスは、粉末床溶融結合を含む、
請求項37に記載の方法。
【請求項42】
前記積層造形プロセスは、結合剤噴射を含む、
請求項37に記載の方法。
【請求項43】
前記積層造形プロセスは、材料押出を含む、
請求項37に記載の方法。
【請求項44】
前記積層造形プロセスは、超音波積層造形を含む、
請求項37に記載の方法。
【請求項45】
前記積層造形プロセスは、指向性エネルギー堆積を含む、
請求項37に記載の方法。
【請求項46】
前記積層造形プロセスは、電子ビーム溶融を含む、
請求項37に記載の方法。
【請求項47】
前記被覆材は、モノマー材料を含む、
請求項37に記載の方法。
【請求項48】
前記被覆材は、ポリマー材料を含む、
請求項37に記載の方法。
【請求項49】
前記被覆材は、複合材料を含む、
請求項37に記載の方法。
【請求項50】
前記被覆材は、金属を含む、
請求項37に記載の方法。
【請求項51】
前記被覆材は、セラミック材料を含む、
請求項37に記載の方法。
【請求項52】
前記被覆材は、平滑な外面を含む、
請求項37に記載の方法。
【請求項53】
前記被覆材は、テクスチャを有する外面を含む、
請求項37に記載の方法。
【請求項54】
前記被覆材は、突起を含む、
請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記被覆材は、前記ホイールを形成する材料よりも硬い材料を含む、
請求項37に記載の方法。
【請求項56】
前記被覆材は、前記ホイールを形成する材料よりも柔らかい材料を含む、
請求項37に記載の方法。
【請求項57】
前記被覆材は、横方向に交互に並んだ帯状に前記溝に取り付けられた2つ以上の材料を含む、
請求項37に記載の方法。
【請求項58】
前記溝は、前記ホイールの前記外周面に鍛造されている、
請求項37に記載の方法。
【請求項59】
前記溝は、前記ホイールの前記外周面に鍛造されている、
請求項37に記載の方法。
【請求項60】
前記ホイールは、単一の連続した材料を含む、
請求項37に記載の方法。
【請求項61】
前記ホイールは、
ハブと
前記ハブに取り付けられた複数のスポークと、
リムと、を含み、前記リムの外周面が前記溝を含む、
請求項37に記載の方法。
【請求項62】
前記ホイールは、2つ以上の材料を含む、
請求項37に記載の方法。
【請求項63】
前記溝を前記積層造形プロセスによって前記材料で被覆する前に前記溝の外面を処理することをさらに含む、
請求項37に記載の方法。
【請求項64】
前記溝の前記外面を処理することは、前記溝の前記外面をプライマーで前処理することを含む、
請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記溝の前記外面を処理することは、前記溝の前記外面を研磨することを含む、
請求項63に記載の方法。
【請求項66】
前記溝の前記外面を処理することは、前記溝の前記外面を熱処理することを含む、
請求項63に記載の方法。
【請求項67】
前記溝の前記外面を処理することは、前記溝の前記外面をコロナ処理で前処理することを含む、
請求項63に記載の方法。
【請求項68】
前記溝の前記外面を処理することは、前記溝の前記外面をプラズマ処理で前処理することを含む、
請求項63に記載の方法。
【請求項69】
前記溝の前記外面を処理することは、前記溝の前記外面に1つまたは複数の凹部を形成することを含む、
請求項63に記載の方法。
【請求項70】
前記溝の前記外面を処理することは、前記溝の前記外面に1つまたは複数の突起を形成することを含む、
請求項63に記載の方法。
【請求項71】
前記溝の前記外面を処理することは、前記溝の前記外面に接着剤を塗布することを含む、
請求項63に記載の方法。
【請求項72】
前記溝の前記被覆材を造形後プロセスを用いて仕上げることをさらに含む、
請求項37に記載の方法。
【請求項73】
前記造形後プロセスは、前記溝を機械加工することを含む、
請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記造形後プロセスは、前記溝をルーティングすることを含む、
請求項72に記載の方法。
【請求項75】
前記造形後プロセスは、前記被覆材に熱処理を施すことを含む、
請求項72に記載の方法。
【請求項76】
前記造形後プロセスは、前記被覆材に紫外線処理を施すことを含む、
請求項72に記載の方法。
【請求項77】
前記造形後プロセスは、前記被覆材を硬化させることを含む、
請求項72に記載の方法。
【請求項78】
前記造形後プロセスは、前記被覆材を洗浄することを含む、
請求項72に記載の方法。
【請求項79】
前記造形後プロセスは、前記被覆材から粉末を除去することを含む、
請求項72に記載の方法。
【請求項80】
前記造形後プロセスは、前記被覆材を研磨することを含む、
請求項72に記載の方法。
【請求項81】
前記造形後プロセスは、前記被覆材をサンドブラストすることを含む、
請求項72に記載の方法。
【請求項82】
前記造形後プロセスは、前記被覆材をショットピーニングすることを含む、
請求項72に記載の方法。
【請求項83】
前記造形後プロセスは、前記被覆材を染色することを含む、
請求項72に記載の方法。
【請求項84】
前記造形後プロセスは、前記被覆材を塗装することを含む、
請求項72に記載の方法。
【請求項85】
積層被覆シーブを製造する方法であって、
アルミニウム製のホイールを提供することと、
前記アルミニウム製のホイールの外周面に溝を形成することと、
前記溝を研磨することと
前記溝を積層造形プロセスによって材料で被覆することと、を含み、
前記積層造形プロセスは、前記積層被覆シーブを溶融材料に繰り返し浸漬し、前記積層被覆シーブの前記溶融材料への浸漬ごとに前記溶融材料を硬化させることを含む、
方法。
【請求項86】
積層被覆シーブを製造する方法であって、
ナイロン製のホイールを提供することと、
前記ナイロン製のホイールの外周面に溝を形成することと、
前記溝をプラズマ処理で処理することと、
前記溝を積層造形プロセスによって材料で被覆することと、を含み、
前記積層造形プロセスは、液体材料を前記積層被覆シーブに繰り返し噴霧し、前記液体材料の前記積層被覆シーブへの噴霧のたびに前記液体材料を硬化させることを含む、
方法。
【請求項87】
積層被覆シーブを製造する方法であって、
ステンレス鋼製のホイールを提供することと、
前記ステンレス鋼製のホイールの外周面に溝を形成することと、
前記溝の外面に凹部をエッチングすることにより前記溝を処理することと、
前記溝を積層造形プロセスによって材料で被覆することと、を含み、
前記積層造形プロセスは、材料押出を含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2020年5月21日付けの米国仮特許出願第63/028,410号の米国特許法第119条(e)項に基づく利益を主張し、その全体が本明細書に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(連邦政府による資金提供を受けた研究開発に関する陳述)
該当なし
【0003】
(共同研究契約の当事者の氏名)
該当なし
【0004】
(配列表)
該当なし
【0005】
(発明者または共同発明者による先行開示に関する陳述)
該当なし
【0006】
(開示の背景)
(1.発明の属する技術分野)
本開示の技術は、一般に、被覆シーブに関し、より具体的には、積層造形プロセスを用いて製造された被覆シーブに関する。
【背景技術】
【0007】
(2.関連技術の説明)
シーブ、または溝付きプーリーは、多くの用途で使用される。シーブは、送電線の導体、ワイヤ、ロープ、およびケーブル(まとめて「ケーブル」と呼ぶ)を電柱に張る場合などに、電気事業者によって一般的に用いられる。シーブは、通常、フレームによって支持された車軸上にホイールを備え、当該ホイールは、力が加えられたときに車軸上で回転可能である。ホイールが回転可能であるため、シーブは、摩擦を低減し、かつ、ケーブルがシーブを介して電柱のクロスアームへと引っ張られるときに、ケーブルに沿って力を伝達する。また、シーブは、例えば、ケーブルがシーブの上を転がるのではなく引きずられるようにして定位置まで運ばれた場合などに生じ得る損傷からケーブルを保護する。この点は特に重要である。何故なら、ケーブルに損傷があると、ケーブルの寿命が短くなり、全体的なコストが上がるだけでなく、ケーブルが弱くなり、万が一ケーブルが切れた場合に危険な状態になる可能性があるからである。
【0008】
シーブは一般的に、金属や高強度ポリマーなど、使用中にかかる力に耐え得る高強度材料からなる。電気事業で用いられるシーブは、当該シーブにかかる力に耐え得るように強度重量比の高い材料からなり、かつ軽量で設置しやすいことが理想的である。シーブは、ホイール上に、ケーブルが収まるような形状の溝を有する。この溝は、ケーブルを溝の中心に向かって誘導することで、使用中にケーブルがホイールから滑り落ちないようにして、ケーブルの制御性を高めている。この溝は、ケーブルがホイールやシーブフレーム、あるいは、電柱と擦れるのを防ぐ役割も果たしている。現在のシーブの設計では、表面を研磨し、また、時には溝を被覆することにより、導体をさらに保護している。溝の内部の表面は滑らかで延性があるため、摩耗が少なく、さらに確実に、シーブがケーブルを損傷しないようになっている。
【0009】
現在、溝を保護材料で被覆する方法としては、低圧射出成形や、ボルトでライナーをシーブに固定する方法が最も一般的である。低圧射出成形は、金型にシーブを入れ、溶融材料を金型に挿入してシーブに接着する方法である。しかしながら、この方法では金型製作の初期費用が高く、リードタイムが長く、また被覆材が不均一に硬化されて材料が弱くなる可能性がある。さらには、金型に不備が見つかった場合、金型を変更することが難しくコストが高くつく可能性がある。ライナーをホイールにボルト固定する場合もまた、ライナーのボルトが緩んだり、ライナーの一部が緩んだりすると、ケーブルに損傷を与える可能性があるため、欠点がある。これらの問題やその他の問題は、本明細書に開示された技術の実施形態によって解決される。
【発明の概要】
【0010】
本開示の技術は、一般に、被覆シーブに関し、より具体的には、積層造形プロセスを用いて製造された被覆シーブに関する。本開示の技術は、外周面に溝を有するホイールを備える積層被覆シーブ組立体を含むことができる。積層被覆シーブ組立体はホイールを支持するように構成された車軸を含むことができる。積層被覆シーブ組立体は車軸を受け止め支持するように構成されたフレームを含むことができる。積層被覆シーブ組立体のホイールは、溝に積層造形プロセスによって取り付けることができる被覆材を含むことができる。
【0011】
本開示の技術の実施は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。積層造形プロセスは、被覆材を溝に繰り返し噴霧すること、ホイールを溶融材料に繰り返し浸漬し、浸漬ごとに材料を硬化させること、光重合、粉末床溶融結合、結合剤噴射、材料押出、超音波積層造形、指向性エネルギー堆積、および/または電子ビーム溶融を含むことができる。
【0012】
被覆材を溝に取り付ける前に、溝をプライマーで前処理することができる。被覆材を溝に取り付ける前に、溝を研磨することができる。被覆材を溝に取り付ける前に、溝を熱処理することができる。被覆材を溝に取り付ける前に、溝をコロナ処理で前処理することができる。被覆材を溝に取り付ける前に、溝をプラズマ処理で前処理することができる。被覆材を溝に取り付ける前に、溝に1つまたは複数の窪みを形成することができる。被覆材を溝に取り付ける前に、溝に1つまたは複数の突起を形成することができる。被覆材の溝への取り付けには接着剤を用いることができる。
【0013】
被覆材は、モノマー材料、ポリマー材料、複合材料、金属、および/またはセラミック材料を含むことができる。被覆材は、平滑な外面またはテクスチャを有する外面を含むことができる。被覆材は、1つまたは複数の突起を含むことができる。被覆材は、ホイールの材料よりも硬い材料を含むことができる。代替的に、または追加的に、被覆材は、ホイールの材料よりも柔らかい材料を含むことができる。被覆材は、横方向に交互に並んだ帯状に溝に取り付けられた2つ以上の材料を含むことができる。積層被覆シーブ組立体は、ホイールと車軸との間に配置された軸受またはブッシングを含むことができる。溝は、ホイールの外周面に切削することができる。
【0014】
ホイールは、単一の連続した材料を含むことができる。あるいは、ホイールは、ハブと、ハブに取り付けられた複数のスポークと、リムとを含むことができる。リムの外周面は、上記溝を含むことができる。ホイールは2つ以上の材料を含むことができる。
【0015】
溝は、ホイールの外周面に鍛造し、かつ/あるいは、ホイールの外周面に切削することができる。
【0016】
本開示の技術は、積層被覆シーブを製造する方法を含むことができる。本方法は、ホイールを提供することと、ホイールの外周面に溝を形成することと、溝を積層造形プロセスによって材料で被覆することとを含むことができる。積層造形プロセスは、被覆材を溝に繰り返し噴霧すること、ホイールを溶融材料に繰り返し浸漬し、浸漬ごとに材料を硬化させること、光重合、粉末床溶融結合、結合剤噴射、材料押出、超音波積層造形、指向性エネルギー堆積、および/または電子ビーム溶融を含むことができる。
【0017】
本方法は、溝を積層造形プロセスによって材料で被覆する前に溝の外面を処理することを含むことができる。溝の外面を処理することは、溝の外面をプライマーで前処理すること、溝の外面を研磨すること、溝の外面を熱処理すること、溝の外面をコロナ処理で前処理すること、溝の外面をプラズマ処理で前処理すること、溝の外面に1つまたは複数の窪みを形成すること、溝の外面に1つまたは複数の突起を形成すること、および/または溝の外面に接着剤を塗布することを含むことができる。
【0018】
本方法は、造形後プロセスを用いて溝の被覆材を仕上げることを含むことができる。造形後プロセスは、溝を機械加工すること、溝をルーティング(routing)すること、被覆材に熱処理を施すこと、被覆材に紫外線処理を施すこと、被覆材を硬化させること、被覆材を洗浄すること、被覆材から粉末を除去(de-powdering)すること、被覆材を研磨すること、被覆材をサンドブラストすること、被覆材をショットピーニングすること、被覆材を染色すること、および/または被覆材を塗装することを含むことができる。
【0019】
本開示の技術は、積層被覆シーブを製造する方法を含むことができる。本製造方法は、アルミニウム製のホイールを提供することと、アルミニウム製のホイールの外周面に溝を形成することと、溝を研磨することと、溝を積層造形プロセスによって材料で被覆することとを含むことができる。積層造形プロセスは、積層被覆シーブを溶融材料に繰り返し浸漬し、積層被覆シーブの溶融材料への浸漬ごとに溶融材料を硬化させることを含むことができる。
【0020】
本開示の技術は、積層被覆シーブを製造する方法を含むことができる。本製造方法は、また、ナイロン製のホイールを提供することと、ナイロン製のホイールの外周面に溝を形成することと、溝をプラズマ処理で処理することと、溝を積層造形プロセスによって材料で被覆することとを含むことができる。積層造形プロセスは、液体材料を積層被覆シーブに繰り返し噴霧し、液体材料の積層被覆シーブへの噴霧のたびに液体材料を硬化させることを含むことができる。
【0021】
本開示の技術は、積層被覆シーブを製造する方法を含むことができる。本製造方法は、ステンレス鋼製のホイールを提供することと、ステンレス鋼製のホイールの外周面に溝を形成することと、溝の外面に窪みをエッチングすることによって溝を処理することと、溝を積層造形プロセスによって材料で被覆することとを含むことができる。積層造形プロセスは、材料の押し出しを含むことができる。
【0022】
当業者であれば理解できるように、本明細書に記載された様々な特徴および方法ステップは、本明細書に記載された様々な製造プロセスおよび材料によって変更することができる。例えば、本明細書に記載のいずれかの前処理で溝を前処理し、本明細書に記載のいずれかの積層造形プロセスで溝に被覆を施した積層被覆シーブを製造することができる。
【0023】
本開示の技術のその他の特徴、機能、および応用例については、本明細書でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本開示の主題の複数の例を示し、本開示の主題の原理を説明するのに役立つ。図面は、いかなるかたちでも本開示の主題の範囲を限定することは意図していない。
【
図1】
図1は、本開示の技術による積層被覆シーブの斜視図である。
【
図2】
図2は、本開示の技術による積層被覆シーブ組立体の側面図である。
【
図3】
図3は、本開示のいくつかの例による、積層被覆シーブを製造するための方法の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、本開示の技術による、機器から発生する音や振動を低減するためのシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示の例は、積層造形プロセスによって保護被覆材で被覆されたシーブに関する。シーブは、導線、ワイヤ、ロープ、およびケーブル(まとめて「ケーブル」と呼ぶ)を受け入れるサイズおよび形状の溝を有するプーリーを備えることができる。溝は、適切な付加製造プロセスを用いて、プーリーの材料とは異なり得る材料で被覆することができる。金属製のプーリーは、たとえば、シーブとケーブルとのグリップを改善しつつ、シーブによるケーブルへの損傷を軽減または排除するために、ポリマーまたはゴムで被覆することができる。被覆材は、既存の製造方法の欠点に対処するために積層造形プロセスにより施すことができる。欠点のいくつかについては上述した。
【0026】
本開示の技術の原理および特徴の理解を容易にするために、様々な実例について以下で説明する。特に、本開示の主題を、電気事業で使用される被覆シーブであるという文脈で説明している。しかしながら、本開示の例は電気事業に限定されず、その他の文脈においても適用可能である。他の用途には、例えば、航海または海事用途、一般建設、工業製造、鉱業、スキーリフト、自動車用途、樹木園および伐採用途、エレベーター、およびシーブを一般的に使用する他の産業または用途が含まれる。これらの例は、本開示の範囲内にあると考えられる。したがって、本開示が電力会社の文脈で説明される場合、他の例が、言及されたものの代わりとなり得ることが理解されるであろう。
【0027】
また、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈から明らかに別の指示がない限り、複数形への言及も含むことに留意しなければならない。例えば、ある構成要素への言及は、複数の構成要素からなる組成物を含むことも意図している。「ある」構成要素を含む組成物への言及は、当該指定された構成要素に加えて他の構成要素を含むことを意図している。すなわち、「a」、「an」、および「the」という用語は、量的な制限を示すものではなく、言及された項目が「少なくとも1つ」存在することを示すものである。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語「および/または(and/or)」は、「および(and)」を意味し、「または(or)」を意味し、「排他的または(exclusive-or)」を意味し、「1つ(one)」を意味し、「すべてではないいくつか(some,but not all)」を意味し、「どちらも~ない(neither)」を意味し、かつ/あるいは、「両方(both)」を意味してもよい。「または(or)」という用語は、包括的な「または」(inclusive-or)を意味することを意図している。
【0029】
また、例示的な実施形態を説明する際に、明確化のため、専門用語を使用する。各用語は、当業者によって理解される最も広い意味を意図しており、同様の目的を達成するために同様の方法で動作するすべての技術的同等物を含むことを意図している。本開示の技術の実施形態は、これらの具体的な詳細なしに実施され得ることが理解される。他の例では、本明細書の理解を妨げることがないように、周知の方法、構造、および技術は詳細に示していない。「一実施形態」、「実施形態」、「実施形態の例」、「いくつかの実施形態」、「特定の実施形態」、「様々な実施形態」等への言及は、このように説明された本開示の技術の実施形態(群)が特定の特徴、構造、または特性を含み得るが、すべての実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、または特性を含むとは限らないことを示している。さらに、「一実施形態において」という文言の繰り返し使用は、同じ実施形態に言及している可能性はあるものの、必ずしも同じ実施形態ではない。
【0030】
範囲は、本明細書では、「おおよそ(about or approximately)」または「実質的に」ある特定の値からの範囲として、かつ/あるいは、「おおよそ(about or approximately)」または「実質的に」別の特定の値までの範囲として表現してもよい。そのような範囲が表現される場合、他の例示的な実施形態は、1つの特定の値からの範囲、および/または他の特定の値までの範囲を含む。さらに、「おおよそ」という用語は、当業者によって決定される特定の値の許容誤差範囲内であることを意味し、これは、値がどのように測定または決定されるか、すなわち測定システムの限界に部分的に依存する。例えば、「おおよそ」は、当技術分野の慣例により、許容標準偏差内を意味し得る。あるいは、「おおよそ」は、所与の値の最大±20%、好ましくは最大±10%、より好ましくは最大±5%、さらにより好ましくは最大±1%の範囲を意味することができる。あるいは、この用語は、値と同一の桁内、好ましくは2倍以内を意味することができる。出願および特許請求の範囲に特定の値が記載されている場合、特に明記しない限り、「おおよそ」という用語は暗黙的であり、この文脈では、特定の値の許容誤差範囲内を意味する。
【0031】
この開示を通じて、本開示の様々な態様を範囲の形式で提示することができる。範囲形式での説明は、便宜上および簡潔にするためだけのものであり、本開示の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の説明は、その範囲内の個々の数値だけでなく、取り得るすべての部分的な範囲を具体的に開示したと見なされるべきである。例えば、1~6といった範囲の記述は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分的な範囲だけでなく、その範囲内の個々の数値、例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3、6が具体的に開示されていると考えるべきである。これは、範囲の広さに関係なく適用される。
【0032】
同様に、本明細書で使用される場合、何かを「実質的に含まない」または「実質的に純粋である」などの特徴付けは、何かを「少なくとも実質的に含まない」または「少なくとも実質的に純粋である」ことと、何かを「完全に含まない」または「完全に純粋である」ことの両方を含み得る。
【0033】
「含む(「comprising or containing or including)」とは、少なくとも指定された化合物、要素、粒子、または方法ステップが組成物または物品または方法中に存在することを意味するが、仮に他のそのような化合物、材料、粒子、方法ステップが指定されたものと同じ機能を有していたとしても、その存在を排除するものではない。
【0034】
本明細書を通じて、様々な構成要素が具体的な値またはパラメータを有することが特定される場合があるが、これらの項目は例示的な実施形態として提供される。実際、多くの同等のパラメータ、サイズ、範囲、および/または値が実装され得るので、例示的な実施形態は、本開示の様々な態様および概念を制限しない。「第一」、「第二」など、「一次」、「二次」などの用語は、順序、量、または重要性を示すのではなく、ある要素を別の要素と区別するために用いられる。
【0035】
「具体的には(specifically)」、「好ましくは(preferably)」、「典型的には(typically)」、「一般的には(generally)」、および「しばしば(often)」などの用語は、本明細書において、請求項に記載の開示の範囲を限定するために用いられるものではなく、また、特定の特徴が請求項に記載の開示の構造あるいは機能にとって極めて重要、必須、あるいは大切であることさえも意味するものではないことに注意されたい。むしろ、これらの用語は、本開示の特定の実施形態で用いられても用いられなくてもよい代替または追加の特徴を強調することを単に意図している。「実質的に」および「おおよそ」などの用語は、本明細書において、定量的比較、値、測定、あるいは他の表現に起因し得る固有の不確実性の程度を表すために用いられることにも留意されたい。
【0036】
本明細書に開示された寸法および値は、記載された数値のとおりに厳密に限定されると理解されるべきではない。代わりに、特に指定がない限り、このような各寸法は、引用された値およびその値を囲う機能的に等価な範囲の両方を意味することを意図している。例えば、「50mm」と開示された寸法は、「おおよそ50mm」を意味することを意図している。
【0037】
また、1つまたは複数の方法ステップについて言及することは、明示的に特定されたステップの間に追加の方法ステップまたは介在する方法ステップが存在することを排除するものではないことを理解されたい。同様に、組成物中の1つまたは複数の構成要素についての言及は、明示的に特定された成分以外の追加の構成要素の存在を排除するものではないことも理解されたい。
【0038】
以下、本開示の様々な要素を構成するものとして説明する材料は、例示であって、制限的なものではないことを意図している。本明細書に記載の材料と同一または類似の機能を果たすであろう多くの適切な材料が本開示の範囲内に包含されることが意図される。本明細書に記載されていないこのような他の材料としては、例えば、本開示の開発時以降に開発された材料を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。各種図面に記載の寸法は、説明のみを目的としており、限定することを意図したものではない。他の寸法や比率も想定され、それらが本開示の範囲に含まれることが意図されている。
【0039】
以下、本開示の技術の様々な要素を構成するものとして説明する構成要素は、例示であって、制限的なものではないことを意図している。本明細書に記載の構成要素と同一または類似の機能を果たすであろう多くの適切な構成要素が本開示の技術の範囲内に包含されることが意図される。本明細書に記載されていないこのような他の構成要素としては、例えば、本開示の主題の開発以降に開発された構成要素を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
本明細書で用いられる用語「積層造形」およびその変形例は、層ごとに材料を追加して構成要素または構成要素一部を形成することによって、構成要素または構成要素の一部を一度に1層ずつ製造する様々な製造プロセスを指す。本明細書では、様々な積層造形プロセスを説明したが、当業者であれば、既知のものであれ、後から開発されたものであれ、他の様々な積層造形プロセスが、本明細書に記載されたものの代わりとなり得ることができることを理解するであろう。
【0041】
ここで、図面を参照して本開示の実施形態の例を説明する。図面において、同じ数字は同じ要素を表す。
【0042】
図1に示すように、積層被覆シーブ100は、ホイール102、センターボア104、軸受106(図示、またはブッシング)、溝108、および被覆材110から構成され得る。
図1に示した積層被覆シーブは、例示目的のためにのみ提供されており、サイズや、形状、デザイン、比率に関して限定的に解釈されるべきではない。積層被覆シーブ100の直径は、例えば、特殊な製造用途で用いる1インチ未満から、スキーリフトや他の大型用途で用いる20フィート以上のサイズまで、様々なサイズにすることができる。さらには、積層被覆シーブ100は、ブルホイール、ローラー、キャプスタン、プーリー、またはシーブの他の任意のバリエーションとすることができる。当業者であれば、説明した積層被覆シーブ100は、多くの異なる用途に適合させることができることを理解するであろう。
【0043】
いくつかの例では、ホイール102は、
図1に示すように、中実の材料片とすることができる。あるいは、リム、ハブ、およびリムとハブをつなぐスポークからなるホイール102のように、ホイール102は、スポークを有していたり、複数のパーツで組み立て可能であったりしてもよい。ホイール102は、それぞれがホイールの半分を形成し、互いに溶接や、リベットや、ボルトや、接着剤で、あるいは機械的に連結されてホイール102を形成する、プレス加工された金属の2つの部分であり得る。それとは関係なく、ホイール102は、ケーブルが積層被覆シーブ100の上を通過するときに、ケーブルを支持することができる。
【0044】
ホイール102は、ケーブルがホイール102の上を通過するときにケーブルを支持することができる任意の材料で作ることができる。ホイール102は、金属、例えば、アルミニウム、炭素鋼、ステンレス鋼、鍛鉄、マグネシウム、タングステン、銅、青銅、真鍮、チタン、コバルト、金属合金、あるいは用途に適した他の金属または金属の組み合わせなどで作ることができる。また、ホイール102は、用途に応じて適切な強度対重量比を有するポリマーまたはモノマー材料で作ることができる。ホイール102は、例えば、アセタール、アクリル、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリスチレン、ナイロン、ポリアミドイミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ウレタン、または用途に適した他のタイプのポリマーまたはモノマー材料で作ることができる。あるいは、ホイール102は、例えば、カーボン複合材料、ガラス複合材料、金属複合材料、またはモノマーもしくはポリマー複合材料など、用途に応じて設計された複合材料で作ることができる。さらに、ホイール102は、鍛造、鋳造、紡績、押出、機械加工、焼結または粉末圧縮、または成形を含む、材料および用途に適した任意の方法を用いて製造することができるが、これらに限定されない。
【0045】
ホイール102は、ホイール102の外周面に形成または製造された溝108を有することができる。いくつかの例では、溝108は、ホイール102が鋳造または鍛造される場合など、ホイール102とともに形成することができる。あるいは、溝108は、造形後プロセス、例えば、フライス削り、ルーティング、機械加工、研磨、ショットピーニング、または他の適切な造形後プロセスなどで、ホイールの外周に加工することができる。ホイール102は、例えば、鋳造または鍛造することができ、溝108は、フライス盤、ルータ、または他の適切な工具を用いて、ホイール102の外周に後から機械加工することができる。
【0046】
溝108は、特定の用途に応じたサイズおよび形状にすることができる。積層被覆シーブ100が、例えば、電気事業で使用されることを意図している場合、溝108は、現行のIEEE524サイジング規格に準拠するようにサイズを決定することができる。あるいは、特に規格が要求されない用途では、溝108は単に使用するケーブルに最適な形状にすることも可能である。
【0047】
ホイールは、ホイール102と車軸との間に設置された、車軸と軸受106、またはブッシングを受けるサイズのセンターボア104を有することができる。軸受106は、ホイール102と車軸との間の摩擦を低減し、シーブを自由に回転させるために設置することができる。軸受106は、特定の用途に合わせて設計することができる。軸受は、例えば、深溝玉軸受、自動調心玉軸受、自動調心ころ軸受、円筒ころ軸受、針状ころ軸受、あるいは、その他用途に応じた適切な種類の軸受とすることができる。さらに、軸受は、金属、複合材料、セラミック、モノマーまたはポリマー材料、または用途に適した他の材料または材料の組み合わせで作ることができる。
【0048】
積層被覆シーブ100は、積層造形プロセスを用いてホイール102の溝108に施した被覆材110を有することができる。被覆材110は、溝108を覆い、ケーブルがその上に載るための保護面を提供することができる。いくつかの例では、被覆材110の外表面は、例えば、ケーブルを保護するのに役立つように、滑らかであり、かつ/あるいは、柔らかくすることができる。あるいは、被覆材110は、ケーブルとの係合を改善するためにテクスチャ層で形成することができる。被覆材110は、テクスチャ層を形成するために、被覆材110の表面に、例えば、1つまたは複数の突起(ridges)、隆起(bumps)、隙間、穴、凸部(protrusions)、または他のバリエーションを含むことができる。当業者であれば理解できるように、被覆材110は、特定の用途に適合するように多くのバリエーションで形成することができる。
【0049】
被覆材110は、ケーブルがホイール102に接触することから生じ得る損傷からホイール102およびケーブルを保護するために、耐摩耗性の高い表面を提供することができる。被覆材110の硬度は、特定の用途に応じて変化させることができる。被覆材110の材料がホイール102の材料よりも柔らかい場合、例えば、被覆材110は、ケーブルよりも硬いホイール102にケーブルが接触したときに受ける摩耗を低減するのに用いることができる。一方、被覆材110の材料がホイール102の材料よりも硬い場合、被覆材110は、ホイール102の寿命を延ばすのに役立つ耐摩耗性表面として機能することができる。同様に、被覆材110は、ホイール102よりも高いまたは低い摩擦係数を有することができる。当業者には理解されるように、被覆材110のさらなる利点は、被覆材110が、積層被覆シーブ100の上を通過するケーブルによって生じるノイズを低減するのに役立ち得ることである。言い換えれば、被覆材110は、積層被覆シーブ100が用いられているときに生じる全体的なノイズを低減するためのノイズ低減表面として機能することができる。
【0050】
用途に応じて、被覆材110の特性を変化させることができる。ホイール102が金属の場合、被覆材110は、例えば、ホイール102およびケーブルよりも柔らかいポリマーまたはゴム化合物とすることができる。被覆材110は、例えば、ナイロン、ウレタン、エポキシ、ポリウレタン、ポリエチレン、ビニルエステル、またはノボラックエポキシなどのモノマーまたはポリマーであるが、これらに限定されない。あるいは、被覆材110は、複合材料、セラミック、または金属を含むことができる。さらには、被覆材110は、ホイール102と同じ種類の材料から構成することができ、被覆材110の材料特性は、ホイール102よりも柔らかくまたは硬くなるように、変化させることができる。例えば、ホイール102はナイロンのホイールであり、被覆材110はナイロンホイール102より柔らかくまたは硬くなるように処理されたナイロンの被覆材であり得る。さらには、被覆材110は、2つ以上の材料を含むことができる。非限定的な例として、被覆材110は、様々な機械的特性を有する複数の異なるグレードのナイロンを含むことができる。あるいは、被覆材110は、ナイロンとウレタンの組み合わせ、または特定の用途に適した他の材料の組み合わせとすることができる。
【0051】
溝108上の被覆材110の形状またはパターンも、例えば、テクスチャを有する被覆材110を用いて、または被覆材110の材料を交互に変えることで変化させ、ケーブルが車輪102上を通過するときにケーブルに追加の牽引力または係合力を提供することができる。例えば、被覆材は、溝108を横切るように配置された複数の帯状体を含むことができ、帯状体は異なる材料間で交互に配置されている(例えば、ポリマー材料とセラミック材料との間で帯状体を交互に配置する)。また、被覆材110のパターンは、使用中にホイール102から熱を放散させるように設計することもできる。例えば、被覆材110は、被覆材110のうちの隣接する部分間に隙間を含み、空気が被覆材110の部分間を通過して、ホイール102に冷却効果をもたらすことができる。代替的に、または追加的に、被覆材110は、全体的または部分的に、ケーブルとホイール102およびその逆の熱伝達を低減するために、熱伝達を防止することが知られている材料で作ることができる。
【0052】
また、被覆材110は、ホイール102を腐食環境から保護するために、ホイール102の表面全体(例えば、溝108に加えて、ホイールの外装)に施すこともできる。ホイール102は、例えば、電柱での使用において、積層被覆シーブ100を雨や日射しから保護することを意図した材料で被覆することができる。ホイール102は、製造工場での厳しい化学環境から積層被覆シーブ100を保護することを意図したポリマー被覆材110で被覆することもできる。ホイール102は、積層被覆シーブ100を高温から保護することを意図したセラミック材料で被覆することもできる。代替的に、または追加的に、センターボア104を低摩擦被覆して、摩擦が低減された状態で積層被覆シーブ100が回転するようにすることができる。低摩擦被覆は、軸受106および/またはブッシングの代わりに、またはそれに加えて、センターボア104に施すことができる。これらの例は単に例示のために与えられており、当業者であれば、多くの異なるタイプの被覆材が多くの異なる用途に使用され得ることを理解するであろう。
【0053】
先に説明したように、本開示は、積層造形によってホイール102に施された被覆材110を有する改良型の積層被覆シーブ100に関連する。被覆材110は、スプレーオンライナー、またはホイール102が被覆材110の複数の層で被覆されるまでホイール102を材料に繰り返し浸し、浸漬ごとに材料を少なくとも部分的に硬化させるなどの積層造形プロセスを用いてホイール102の任意の表面に直接施すことができるが、特に溝108に直接施すことができる。溝108の形状または輪郭が適切に形成されるようにするために、ローラー、スクレーパー、フォーム、または、溝108を形成することができる他のツールなどのツールを、被覆材110を施す際に用いることができる。例えば、ホイール102を固定具に保持し、回転させながら、スプレーガンを用いて、またはホイールを被覆材110に浸すことによって、被覆材110を施すことができる。ホイール102が回転し、被覆材110が追加される間、工具(ローラーなど)を用いて溝108の輪郭を形成することができる。被覆材110は、光重合、粉末床溶融結合、結合剤噴、材料押出、材料噴射、超音波積層造形、積層体造形、指向性エネルギー堆積、電子ビーム溶融、または任意の他の適切な形態の積層造形など、より複雑な積層造形プロセスを用いて施すこともできる。いくつかの例では、被覆材は、被覆材110が適切な深さとなるまで、ホイール102および/または溝108の表面上に繰り返し層を追加することによって施すことができる。本明細書で議論される例示的な製造プロセスのいずれにおいても、特定の用途に応じて、そのような製造プロセスを手動、半自動、または完全自動で行って積層被覆シーブ100を製造することができることが理解されよう。
【0054】
いくつかの例では、被覆材110とホイール102との間の結合界面の強度は、溝108を前処理することによって向上させることができる。溝108は、例えば、媒体によるブラスト処理、プライマーによる被覆、研磨、または熱、コロナ、またはプラズマ処理などのプロセスで処理することができる。あるいは、溝108は、被覆材110が表面に接着できるように製造することができる。これは、溝108に凹部、線、格子、または他の特徴を切り込む、またはエッチングすることを含み得る。さらには、被覆材110が溝108と確実に接着するように、接着剤を、単独で、またはこれらの表面処理と組み合わせて用いることができる。これらの例のいずれにおいても、被覆材110がホイール102の表面に付着した状態がより良く保てるため、積層被覆シーブ100の全体的な耐久性を、先行技術のシーブに対して、改善することができる。
【0055】
図2は、本開示の技術による積層被覆シーブ組立体200を示す。図に示すように、積層被覆シーブ組立体200は、上記特徴のいずれかを含むか、または本明細書に記載の製造プロセスのいずれかを用いて製造可能な積層被覆シーブ100を含むことができる。積層被覆シーブ100は、積層被覆シーブ100を受け止め支持するように構成され得るフレーム220に取り付けることができる。フレーム220は、特定の用途に合わせたサイズおよび形状にすることができる。例えば、
図2に示されるように、フレーム220は、積層被覆シーブ100の側面に沿って延び得る2つの側部を含むことができる。しかしながら、当業者には理解されるように、
図2に図示されたフレーム220は、説明のために提供されており、フレーム220は、積層被覆シーブ100を様々な用途で使用できるように、他の形状や構成を含むことができる。
【0056】
積層被覆シーブ組立体200は、積層被覆シーブ100を支持し、積層被覆シーブ100をフレーム220に取り付けるための、車軸222を含むことができる。当業者には理解されるように、積層被覆シーブ100は、車軸222を中心に回転するように構成され得る。積層被覆シーブ100が軸受106またはブッシングを含む場合、軸受106またはブッシングは、積層被覆シーブ100と車軸222との間に設置することができる。いくつかの例では、コッターピンなどのピン224または他の同様の固定機構を車軸222に接続して、車軸222を所定の位置に保持し、かつ車軸222を取り外し可能にできる。これは、例えば、積層被覆シーブ100を異なるサイズまたは異なる特徴を含む別の積層被覆シーブ100と交換する必要がある場合、または積層被覆シーブ100が摩耗し、交換する必要がある場合に、有用となり得る。
【0057】
積層被覆シーブ組立体200は、積層被覆シーブ組立体200の様々な物体への取り付けを容易にするように構成され得る取り付け機構226を含むことができる。例えば、取り付け機構226は、積層被覆シーブ組立体200を、電柱や、機械や、様々な支持フレーム組立体や、車両や、ボートや、用途に適した他の任意の物体に取り付けることを容易にするように構成することができる。さらには、取り付け機構226は、単純なボルトとナットの組立体として描かれているが、用途に応じた任意のタイプの取り付け機構226を構成することができる。例えば、取り付け機構226は、積層被覆シーブ組立体200が用いられる特定の用途のための特注の取り付け機構とすることができる。
【0058】
図3は、本開示のいくつかの例による、積層被覆シーブ100を製造するための方法300の一例を示すフローチャートである。本方法300は、ホイールを提供すること(302)と、ホイール102の外周面に溝108を形成すること(304)と、溝108の表面を処理すること(306)と、溝108を積層造形プロセスによって材料で被覆すること(308)と、造形後プロセスを用いて溝108の被覆を仕上げること(310)とを含むことができる。
【0059】
ホイール102の外周面に溝108を形成すること(304)は、切断、ルーティング、冷間成形、打ち抜き、溶接、研磨、機械加工、またはホイール102の外周面に溝108を形成する他の任意の適切な製造プロセスを含むことができる。溝108の表面を処理すること(306)は、被覆材110が溝108に確実に付着するのを助けるために、上記プロセスのいずれかを含むことができる。溝108の表面を処理すること(306)は、溝108の表面を媒体でブラストすることと、溝108の表面をプライマーで被覆することと、溝108の表面を研磨することと、溝108の表面を熱、コロナ、またはプラズマ処理などのプロセスで処理することと、凹部、線、格子、または他の特徴を溝108に切り込む、またはエッチングすることと、および/または接着剤や他の化学組成物を溝108の表面に施すこととを含み得るが、これらに限定されない。
【0060】
溝108を積層造形プロセスによって被覆すること(308)は、以下を含む上述の積層造形方法のいずれかを含むことができる。すなわち、光重合、粉末床溶融結合、結合剤噴、材料押出、材料噴射、超音波積層造形、積層体造形、指向性エネルギー堆積、電子ビーム溶融、または任意の他の適切な形態の積層造形である。さらには、上述のように、ローラー、スクレーパー、フォーム、または、溝108を形成することができる他のツールなどのツールを、被覆材110が施されている間に用いて、溝108の形状または輪郭が適切に形成されることを保証するのに役立てることができる。造形後プロセスを用いて溝108の被覆を仕上げること(310)は、フライス削り、ルーティング、機械加工、熱処理、紫外線処理、硬化、洗浄、粉末除去、被覆、浸潤、研磨、サンドブラスト、ショットピーニング、染色、塗装、または他の適切な造形後プロセスを含むことができる。理解されるように、仕上げること(310)は、積層被覆シーブ100が所望の外観、仕上げ、強度特性を有し、要求される製造公差を満たすことを保証するための任意の造形後プロセスを含むことができる。
【0061】
上述の通り、溝108に被覆材110を施すために、多くの異なる積層造形プロセスを用いることができる。例示すると、本方法は、アルミニウムホイールの外面に溝108を形成すること(304)と、溝108の表面を研磨によって処理すること(306)と、次いで、ホイール102を溶融材料または他の溶液に繰り返し浸漬することによって溝108を被覆すること(308)とを含むことができる。本方法は、ナイロンホイール102の外面に溝108を形成すること(304)と、溝108の表面をプラズマ処理で処理すること(306)と、次いで、溝108に材料を繰り返し吹き付けることによって溝108を被覆すること(308)も含むことできる。本方法は、ステンレス鋼製ホイール102の外表面に溝108を形成すること(304)と、溝108の表面に凹部をエッチングすることにより当該表面を処理すること(306)と、次いで、材料押出を用いて溝108に材料を塗布して溝108を被覆すること(308)も含むことができる。
【0062】
当業者であれば、用途に応じて、方法300のステップのいくつかを省略することができることを理解するであろう。例えば、ホイール102を形成すると同時に溝108を形成すれば、ホイール102の外面に溝を形成するステップ(304)を省略可能である。溝108は、例えば、造形後プロセスを必要としない鋳造プロセスでホイール102に形成することができる。方法300は、被覆材110を溝108に付着させるために処理が必要でない場合、溝108の表面を処理するステップ(306)を省略するように変更することも可能である。理解されるように、方法300は単に例示のために提供されており、当業者であれば、積層被覆シーブ100を製造するために、先に説明した多くの変形例を用いて方法300を修正することができることを理解するであろう。
【0063】
本明細書で説明するように、被覆材110は、使用時に積層被覆シーブ100によって生じる全体的な音を低減するという追加の利点を提供することができる。本開示の技術は、機器によって生じる音および振動を低減するためのシステム400をさらに含むことができる。システム400は、積層被覆シーブ100と組み合わせて使用することも、積層被覆シーブ100とは別の機器に配置することも可能である。
図4は、機器および当該機器の様々な構成要素によって生じる音および振動を低減するためのシステム400の例を示す。当業者であれば理解できるように、燃焼エンジン、電気モータ、油圧システム、空気圧システムなどの様々な原動力によって作動する機器は、相当量の音と振動を発生させ得る。機器から発生する音や振動は、オペレータの機器操作の楽しみを減少させ、健康に悪影響を及ぼす可能性があり、また、オペレータが、機器近傍で危険となり得る状態を聞き取ることができないため、危険な状況を作り出す可能性がある。そこで必要となるのが、機器から発生する音や振動を全体的に低減するシステムおよび方法である。
【0064】
図4に示されるように、また当業者であれば理解できるように、動作時に音および振動を発生させ得る典型的な装置の例は、駆動ユニット402(例えば、燃焼エンジン、電気モータ、油圧システム、空気圧システムなど)、従動ユニット404(例えば、動作させるべき機械の構成要素)、駆動ギア406Aおよび従動ギア406B、ならびにハウジング408を含むことができる。ハウジング408は、駆動ギア406Aと従動ギア406Bとを、駆動ギア406Aが従動ギア406Bに接触して駆動ユニット402から従動ユニット404にエネルギーを伝達できる位置に収容し保持するように構成することができる。ハウジング408は、移動式機器のシャーシや固定式機器のフレームなどの取り付け部410にさらに取り付けることができる。ハウジング408は、駆動ユニット402とハウジング408との界面および従動ユニット404とハウジング408との界面の間に存在し得る摩擦を低減するのに役立つ1つまたは複数の軸受412を更に含むことができる。
【0065】
当業者であれば理解できるように、駆動ユニット402が動作し、駆動ギア406Aおよび従動ギア406Bを介して従動ユニット404にエネルギーを伝達するとき、存在する合力が機器に振動を発生させる可能性があり、次いで、発振する機器が音を発生させる可能性がある。これは特に回転機器で顕著になり得る。例えば、ハウジング408が振動すると、ハウジング408の発振により空気伝搬音414が発生し得る。さらに、駆動ユニット音416、従動ユニット音418、構造伝搬音420、およびギアメッシュ422での音が、すべて、エネルギーがシステム400を介して伝達され様々な機器が振動または発振することによって生成され得る。
【0066】
機器によって発生する全体的な騒音を低減するのを助けるために、システム400は、システム400において騒音を発生する振動を低減または完全にキャンセルすることができる機器に振動を与えるように構成することができる振動誘発器430を含むことができる。振動誘発器430は、例えば、本明細書に記載される様々な振動源および音源によって生成される音波および振動を打ち消すためにシステム400に振動を誘発することができる所定の位置(ノード点または反ノード点など)に設置されるマスドライバーであり得る。振動誘発器430は、他の非限定的な例として、電気モータを有し、かつ、カウンターウェイトを回転、スライド、スイング、またはその他の方法で動かして機器に振動を与えるように構成されるシステムであるか、またはそのようなシステムを含むことができる。同様に、振動誘発器430は、振動を誘発するためにカウンターウェイトを回転、スライド、スイング、またはその他の方法で動かすように構成することができる油圧、空気圧、燃焼、またはその他の動力システムとすることができる。どのような構成であっても、振動誘発器430は、機器に振動を与えて様々な振動源から発生する音波や振動を打ち消すように構成することができる。言い換えれば、振動誘発器430は、システム400内で、同じ振幅でありながら、元の振動源に対して逆位相(antiphase)の振動を発するように構成することができる。振動源と振動誘発器430からの振動が結合すると、振動は、システム400によって生成される全体的な音と振動を低減する振動波の破壊的干渉によって、効果的に互いに打ち消し合うか、または少なくとも部分的に互いに打ち消し合うことができる。さらには、
図4には単一の振動誘発器430のみが図示されているが、当業者であれば、システム400が、それぞれがシステム400によって生じる全体の音および振動を低減するために所定の位置に設置された複数の振動誘発器430を含み得ることを理解するであろう。
【0067】
システム400は、当該システム400における振動の存在および特性(例えば、周波数、振幅、波長、時間周期、速度、および/または振動の位置)を検出するように構成され得るセンサ432を含むことができる。センサ432は、振動誘発器430の一部であってもよいし、あるいは、センサ432が振動誘発器430とは別体であってもよい。センサ432は、加速度計、振動計、振動データロガー、速度センサ、近接プローブ、レーザ変位センサ、歪みゲージ、ジャイロスコープ、圧力センサ、マイクロフォン、または用途に適した他のセンサ432とすることができる。さらには、
図4には単一のセンサ432のみが図示されているが、当業者であれば、システム400が、それぞれがシステム400内の様々な場所に存在する振動の特性を検出するために所定の場所に設置された複数のセンサ432を含み得ることを理解するであろう。
【0068】
システム400は、機器上または機器近傍の音波を打ち消すために音を出力するように構成可能な1つまたは複数のスピーカ434を含むことができる。例えば、スピーカは、機器によって生成される音波を低減または打ち消す音波を出力するよう構成することができる。スピーカ434(または複数のスピーカ434)は、機器によって生成された音波が、オペレータが位置する可能性が高い地点(例えば、機器のキャブ内または操作ステーション内)の近傍で打ち消される、または低減されるように配置することができる。
【0069】
システム400は、センサ432(または複数のセンサ432)から振動データを受信し、振動誘発器430の適切な出力を決定し、振動誘発器430および/またはスピーカ434に信号を出力して振動誘発器430および/またはスピーカ434を適切な周波数および振幅で振動させるよう構成可能なコントローラ440をさらに含むことができる。例えば、コントローラ440は、機器内、機器上、または機器近傍で検出された振動または音波の特性(例えば、周波数、振幅、波長、時間周期、速度、および/または振動の位置)を示すことができるセンサ432(または複数のセンサ432)から信号を受信することができる。コントローラ440は、次いで、振動データに少なくとも部分的に基づいて、振動誘発器430(または複数の振動誘発器430)および/またはスピーカ434(または複数のスピーカ434)が、システム400の全体の音および振動を低減するためにどのように動作すべきかを決定することができる。例えば、コントローラ440は、システム400について所望の減音を達成するために、振動誘発器430および/またはスピーカ434を動作させるべき周波数および振幅を決定することができる。さらには、コントローラ440は、振動データに少なくとも部分的に基づいて、2つ以上の振動誘発器430および/または1つまたは複数のスピーカ434を動作させるべきかどうか、および各振動誘発器430および各スピーカ434をどの周波数および振幅で動作させるべきかを決定することができる。
【0070】
コントローラ440は、メモリ442、プロセッサ444、および通信インタフェース446を含むことができる。コントローラ440は、データを受信し、受信したデータに基づいて動作を決定し、ディスプレイ/ユーザインタフェース448に制御信号を出力するように構成されたコンピューティングデバイスであり得る。当業者は、コントローラ440がセンサ432および振動誘発器430と通信できればコントローラ440を任意の場所に設置できることを理解するであろう。さらには、コントローラ440は、無線信号または有線信号を送受信するように構成することができ、信号はアナログ信号またはデジタル信号とすることができる。無線信号は、Bluetooth(登録商標)、BLE、WiFi(TM)、ZigBee(登録商標)、赤外線、マイクロ波無線、または特定の用途に適した他のタイプの無線通信を含み得る。ハード・ワイヤードの信号は、コントローラと本明細書に記載の他の構成要素との間の任意の直接的な有線接続を含むことができる。あるいは、構成要素は、電源から直接、電力の供給を受け、デジタル接続を介してコントローラ440から制御命令を受け取ることができる。デジタル接続は、イーサネットやシリアル接続などの接続を含み、Modbus、フィールドバス、PROFIBUS、SafetyBusp、イーサネット/IP、または用途に適したその他の通信プロトコルを利用することができる。さらには、コントローラ440は、無線、ハード・ワイヤード、およびアナログまたはデジタル通信信号の組み合わせを利用して、様々な構成要素と通信し、制御することができる。当業者であれば、上記の構成は単に非限定的な例として与えられたものであり、実際の構成は特定の用途に応じて変わり得ることを理解するであろう。
【0071】
コントローラ440は、本明細書に記載の機能および方法に関連するプログラムおよび/または命令を格納することができるメモリ442を含むことができ、当該プログラムおよび/または命令を実行するように構成された1つまたは複数のプロセッサ444を含むことができる。メモリ442は、オペレーティング・システム、アプリケーション・プログラム(例えば、ウェブ・ブラウザ・アプリケーション、ウィジェットまたはガジェット・エンジン、およびまたは必要に応じて他のアプリケーションを含む)、実行可能な命令およびデータを含むファイルを格納するための1つまたは複数の適切なタイプのメモリ(例えば、揮発性または不揮発性メモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、プログラマブル読み取り専用メモリ(PROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、磁気ディスク、光ディスク、フロッピーディスク、ハードディスク、取り外し可能カートリッジ、フラッシュメモリ、独立したディスクの冗長アレイ(REDUNDANT ARRAY OF INDEPENDENT DISKS:RAID)等)。を含むことができる。本明細書で説明する処理技術または方法の1つ、いくつか、またはすべては、メモリ内の実行可能な命令とデータの組み合わせとして実施することができる。
【0072】
コントローラ440は、様々な構成要素間で通信信号を送受信するための通信インタフェース446を有することもできる。通信インタフェース446は、当技術分野で知られているように、ローカルかワイドエリアか、プライベートかパブリックかに関わらず、プロセッサ(複数可)444が有線または無線ネットワークを介して他の構成要素と通信することを可能にするハードウェア、ファームウェア、および/またはソフトウェアを含むことができる。通信インタフェース446は、特定の用途に適したセルラーネットワーク、インターネット、ローカルエリアネットワーク、または他のワイドエリアネットワークへのアクセスも提供することができる。セルラーネットワーク、インターネット、ローカルエリアネットワーク、または他のワイドエリアネットワークにアクセスすることによって、コントローラ440は、定期的な更新を受け取るように、かつ/あるいは、システム400が正しく効率的に動作することを確実にするのに役立つ追加の制御モジュールをダウンロードするように構成することができる。
【0073】
さらに、コントローラ440は、ゲーム情報を表示し、ゲームのプレイヤーからの入力を受け取るための、ディスプレイ/ユーザインタフェース448を有するか、またはそれと通信することができる。ディスプレイ/ユーザインタフェース448は、ローカルに設置することもできるし、モバイルデバイスなどの遠隔制御デバイスとすることもできる。装置のオペレータは、例えば、ディスプレイ/ユーザインタフェース448上でシステムデータを見ることができ、ディスプレイ/ユーザインタフェース448を介してコントローラ440にデータまたはコマンドを入力することができる。例えば、オペレータは、例えば、日付またはコマンドを入力して、振動誘発器430の出力または動作を変更し、システム400によって出力される音を変更し、または振動誘発器430を完全にオフにする。非限定的な例として、ディスプレイ/ユーザインタフェース448は、プレイヤーからの入力を受け取るように構成された1つまたは複数のボタンおよび/またはタッチスクリーンを有する、システム400に搭載されたスクリーンとすることができる。別の非限定的な例として、ディスプレイ/ユーザインタフェース448はオペレータのモバイルデバイスとすることができ、アプリケーションをモバイルデバイスにダウンロードして、通信インタフェース446との通信を容易にし、システム400の情報を表示し、オペレータから入力データを受信することができる。
【0074】
本開示は、複数の例示的な態様に関連して説明したが、様々な図に示され、上で議論されたように、本開示から逸脱することなく、本開示と同じ機能を実行するために他の同様の態様を用いることができ、あるいは説明した主題に対して修正および追加が可能であることが理解される。本開示において、方法および組成物は、本開示の主題の態様に合わせて説明した。しかしながら、これら説明した態様と同等の他の方法または組成物も、本明細書の教示によって企図されるものである。したがって、本開示は、任意の単一の態様に限定されるべきではなく、むしろ、広さおよび範囲について添付の特許請求の範囲に従って解釈されるべきである。さらに、本開示の技術の様々な態様は、方法、システム、機構、機構、および/または命令を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体に関連するものとして本明細書に記載されている。しかしながら、本開示の技術は、本明細書に明示的に記載された例および実施形態に必ずしも限定されないことが理解されるべきである。すなわち、説明したシステムの特定の態様は、本明細書に記載の方法に含めることができ、説明した機構またはシステムの態様は、別の機構またはシステムに含めることができ、説明した方法の様々な態様は、本明細書に記載のシステムに含めることができる、等である。
【国際調査報告】