(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-19
(54)【発明の名称】可変組成の非光子放射線の生物学的効果の動的推定
(51)【国際特許分類】
A61N 5/10 20060101AFI20230711BHJP
【FI】
A61N5/10 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022572457
(86)(22)【出願日】2021-06-14
(85)【翻訳文提出日】2023-01-19
(86)【国際出願番号】 EP2021065970
(87)【国際公開番号】W WO2021259690
(87)【国際公開日】2021-12-30
(32)【優先日】2020-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522454806
【氏名又は名称】レイサーチ ラボラトリーズ エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】グリメリウス,ラース
(72)【発明者】
【氏名】ボクランツ,ラスムス
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AC05
4C082AN02
4C082AN04
(57)【要約】
粒子タイプT及び/又は粒子エネルギーEに依存する少なくとも1つの生物学的効果乗数δ(T,E)を含む相対生物学的有効性RBEモデルに従って非光子放射線の可変組合せの生物学的効果を動的に推定する方法であって、1つ又は複数の非光子放射線寄与D
(i)(T,E)、1≦i≦Nを取得することであって、前記寄与の少なくとも1つは、複数の粒子タイプ及び/又は複数の粒子エネルギーを含む、取得することと、1つ又は複数の寄与の各々に関する前記少なくとも1つの生物学的効果乗数の寄与毎線量加重平均(式(1))、1≦i≦Nを記憶することと、1つ又は複数の寄与に適用される非負係数k
1、k
2、...、k
N≧0に関する組合せの割り当てΠを取得することに応答して、組合せの生物学的効果を特定することであって、記憶された寄与毎線量加重平均に基づいて、前記少なくとも1つの生物学的効果乗数の結合線量加重平均(式(2))を計算することを含む、特定することとを含む方法。
【数1】
(1)
【数2】
(2)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの生物学的効果乗数δ(T,E)を含む相対生物学的有効性RBEモデルに従って非光子放射線の可変組合せの生物学的効果を動的に推定する方法(300)であって、前記少なくとも1つの生物学的効果乗数δ(T,E)は、前記生物学的効果へのその寄与がδ(T,E)D(T,E)
pであるように、粒子タイプT及び/又は粒子エネルギーEに依存し、p>0は、前記生物学的効果乗数の特性冪数であり、前記方法は、
1つ又は複数の非光子放射線寄与D
(i)(T,E)、1≦i≦Nを取得すること(310)であって、前記寄与の少なくとも1つは、複数の粒子タイプ及び/又は複数の粒子エネルギーを含む、取得すること(310)と、
前記1つ又は複数の寄与の各々に関する前記少なくとも1つの生物学的効果乗数の寄与毎線量加重平均
【数1】
、1≦i≦Nを記憶すること(316)と、
前記1つ又は複数の寄与に適用される非負係数k
1、k
2、...、k
N≧0に関する前記組合せの割り当てΠを取得すること(318)に応答して、前記組合せの生物学的効果を特定すること(320)であって、前記記憶された寄与毎線量加重平均に基づいて、前記少なくとも1つの生物学的効果乗数の結合線量加重平均
【数2】
を計算することを含む、特定すること(320)と、
を含む、方法(300)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの生物学的効果乗数の前記結合線量加重平均
【数3】
は、前記それぞれの係数k
i及び前記寄与の総線量
【数4】
によって加重される、それぞれの記憶された寄与毎線量加重平均
【数5】
の、指数1/pを有する冪数平均
【数6】
として計算され、p>0は、前記生物学的効果乗数の前記特性冪数である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組合せの前記生物学的効果を特定することは、前記組合せΠの総線量
【数7】
のp乗に、前記少なくとも1つの生物学的効果乗数の前記結合線量加重平均
【数8】
を乗算することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記組合せΠの前記生物学的効果の前記特定(320)において使用するために、前記寄与の総線量
【数9】
を記憶すること(312)を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
式:
【数10】
を使用して、前記少なくとも1つの生物学的効果乗数の前記寄与毎線量加重平均を計算すること(314)を更に含み、p>0は、前記生物学的効果乗数の特性冪数であり、及び
【数11】
は、第iの寄与の総線量である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記RBEモデルの少なくとも1つの生物学的効果乗数δ(T,E)について、p=1である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの生物学的効果乗数は、マイクロドシメトリ-運動モデルMKMのα
0項又は
【数12】
項等の線形二次モデルのα乗数を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記RBEモデルの少なくとも1つの生物学的効果乗数δ(T,E)について、p=2である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの生物学的効果乗数は、線形二次モデルのβ乗数を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
各寄与は、放射線治療で送達されるビーム又はスポットを表す、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
各寄与は、基本計画又はパレート最適計画等の放射線治療計画を表す、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記係数は、前記寄与の凸結合を表す、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記寄与は、多基準最適化MCOによって得られる基本計画を表し、及び前記組合せは、ナビゲーション計画に対応する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記組合せは、放射線治療計画のスケーリングに対応する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記非光子放射線は、プロトン放射線、ヘリウムイオン又は炭素イオンを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記組合せの前記特定された生物学的効果を使用して、放射線治療計画をサポートすることを更に含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つの生物学的効果乗数δ(T,E)を含む相対生物学的有効性RBEモデルに従って非光子放射線の可変組合せの生物学的効果を動的に推定するように構成された治療計画システム(400)であって、前記少なくとも1つの生物学的効果乗数δ(T,E)は、前記生物学的効果へのその寄与がδ(T,E)D(T,E)
pであるように、粒子タイプT及び/又は粒子エネルギーEに依存し、p>0は、前記生物学的効果乗数の特性冪数であり、前記システムは、
インターフェース(410)であって、
- 1つ又は複数の非光子放射線寄与D
(i)(T,E)、1≦i≦Nであって、前記寄与の少なくとも1つは、複数の粒子タイプ及び/又は複数の粒子エネルギーを含む、1つ又は複数の非光子放射線寄与D
(i)(T,E)、1≦i≦N、及び
- 前記1つ又は複数の寄与に適用される非負係数k
1、k
2、...、k
N≧0に関する前記組合せの動的割り当てΠ
を受信するように構成されたインターフェース(410)と、
前記1つ又は複数の寄与の各々に関する前記少なくとも1つの生物学的効果乗数の寄与毎線量加重平均
【数13】
、1≦i≦Nを記憶するように構成されたメモリ(420)と、
前記組合せのそれぞれの受信された動的割り当てΠについて、前記組合せの生物学的効果を特定することであって、前記記憶された寄与毎線量加重平均に基づいて、前記少なくとも1つの生物学的効果乗数の結合線量加重平均
【数14】
を計算することを含む、特定することを行うように構成された処理回路(430)と、
を含む、治療計画システム(400)。
【請求項18】
コンピュータプログラム(421)であって、コンピュータによって実行されると、前記コンピュータに、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム(421)。
【請求項19】
請求項18に記載のコンピュータプログラムを保持するデータキャリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
[0001] 本開示は、放射線治療の分野に関し、特に、相対生物学的有効性(RBE)モデルに従って可変組成の非光子放射線の生物学的効果を推定する方法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
[0002] 非光子放射線治療は、プロトン、ヘリウムイオン又は炭素イオン等のイオン放射線を利用し得る。放射線治療の亜領域内の一般的な実施によれば、処方、臨床目的及び治療計画プロトコルは、等価線量に関する仕様を含み得る。非光子放射線の等価線量は、光子放射線等の参照放射線と生物学的に等価であり、その場合、光子等価線量又は光子線量当量という用語が使用され得る。等価線量は、同じレベルの生物学的効果を生じさせるために必要とされる線量の比率として定義される、使用される放射線の相対生物学的有効性(RBE)を使用して物理的吸収線量から計算される。RBE係数という用語は、物理的線量と等価線量との間の変換係数を示すために使用される:
等価線量=RBE係数×物理的線量。
【0003】
[0003] 代替的に、RBEモデルは、等価線量を提供し得、そこから、物理的線量に対する等価線量の比率としてRBE係数を計算することができる。RBEモデルは、例えば、非光子放射線の物理的線量の関数として生物学的効果を提供し得る。生物学的効果から開始して、等価線量は、参照放射線の放射線生物学的パラメータが関わる簡単な計算によって見つけられる。生物学的効果の一般に使用される尺度は、細胞生存Sの負対数であり、光子参照の関連する放射線生物学的パラメータは、文献において多くの場合にαX、βXとして示される。したがって、等価線量及び生物学的効果は、所与の選択の参照放射線で1対1の関係にある。
【0004】
[0004] RBEは、物理的及び生理学的考慮事項から導出、場合により実験で検証又は改良された特定の放射線生物学的モデルと組み合わせることができる。土台となる放射線生物学的モデルに応じて、RBE係数は、例えば、物理的線量の大きさ又は照射される組織の放射線生物学的性質に関して変動し得る。物理的線量に依存するRBE係数は、物理的線量と等価線量との間に非線形関係を確立し得る。例えば、何らかの実数p>0について、物理的線量の(p-1)乗に比例するRBE係数により、等価線量が物理的線量のp乗に依存し得る。プロトン治療の場合、広く使用されているRBE係数は、いわゆる1.1モデルであり、1.1モデルによれば、プロトンの生物学的有効性は、線量及び他の係数を問わず、光子の有効性を10%超える。1.1モデルは、プロトン場の遠位端において線量を過小評価することが分かっている。この効果及び他の効果は、著者Carabe、Chen & Ahmad、Kraemer & Scholz、McNamara及びWedenbergによるものを含め、より精巧なRBEモデルによって対処され得る。
【0005】
[0005] 治療計画Πは、係数k1、k2、...、kN≧0を使用して形成される2つ以上の基本計画P1、P2、...、PNの線形結合、特に凸結合であり得る。基本計画は、多基準最適化(MCO)によって取得されている場合があり、したがって、基本計画は、ユーザが探索して、競合する目標間の適したトレードオフを見つけることができる異なる目的成分の異なる加重に対応し、各目標は、高腫瘍致死性、リスク臓器の低暴露等、治療の特定の望ましさを表し得る。これに基づいて、ユーザは、満足のいく治療計画が得られるまで、最初に係数値の組を割り当て、生成された線形結合(「ナビゲーション計画」)を評価し、改良された係数値の組を割り当て、新たなナビゲーション計画等を評価することによって反復的に進み得る。この種の治療計画手順は、係数値が入力であり、評価される性質が出力であり、治療計画者のヒューリスティク及び経験が制御法則をなすフィードバックループに例えることができる。治療計画者が改良及び改善の試みをあまりに早期に止めないように、各反復は、計算的に無駄がないことが一般に望ましい。特に、人間治療の計画者は、更新間隔の持続時間に敏感であり得る。
【0006】
[0006] 放射線の多くの生物学的効果は、非線形特性であるため、先に説明したように、混合放射線場のアップスケーリング又はダウンスケーリングも相当な処理リソースを消費し得る。より良好な又は最良のスケーリング係数の探索は、面倒な反復の結果として時期尚早に中断されるべきではない。
【0007】
[0007] 中国特許出願公開第106902478A号は、系統的な放射線治療における生物学的効果を査定する方法を開示している。この方法では、微視的効果(二重鎖切断)が重ねられて、総合細胞損傷Δiが得られ、これは、初期条件として常微分方程式(ODE)系に適用される。ODE系は、二病変運動(TLK)放射線生物学的モデルを反映し、その解は、このモデルによって予測される生物学的効果に対応する。物理的線量のエネルギースペクトルD(E)が変化する場合、中国特許出願公開第106902478A号の方法では、総合細胞損傷Δiの計算以降を新しく実行する必要がある。
【0008】
[0008] 現在、ナビゲーションの結果として組合せが変化する場合、スピーディな再評価という選択肢がある、混合非光子放射線場の組合せの生物学的効果を評価するより計算的に効率的な方法が必要とされている。この必要性は、混合非光子放射線場をスケーリングする問題でも等しく有効である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
概要
[0009] 本発明の1つの目的は、RBEモデルに従って非光子放射線の可変組合せの生物学的効果を動的に推定する改良された方法及びデバイスを提案することである。特定の目的は、非光子放射線の可変組合せの巨視的な生物学的効果を推定することである。別の目的は、ビーム混合中、生物学的効果がどのように変化するかを動的に推定する改良された方法及びデバイスを提案することである。これら及び他の目的は、独立請求項によって規定される本発明によって対処される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[0010] 第1の態様において、粒子タイプT及び/又は粒子エネルギーEに依存する少なくとも1つの生物学的効果乗数δ(T,E)を含むRBEモデルに従って非光子放射線の可変組合せの生物学的効果を動的に推定する方法が提供される。本方法によれば、1つ又は複数の非光子放射線寄与D(i)(T,E)、1≦i≦Nが取得される。少なくとも1つのボクセル又はボリュームにおいて、これらの寄与の少なくとも1つは、複数の粒子タイプT及び/又は複数の粒子エネルギーEを含む。粒子タイプは、粒子の質量又は荷電によって特徴付けられ得る。単一粒子タイプ及び単一エネルギー層を用いた照射を指示する治療計画であっても、複数の粒子タイプ及び/又は粒子エネルギーは、断片化、組織におけるエネルギー損失等の結果として生じ得る。組合せが単一の寄与を含む場合でも、詳細に後述するように、複数の粒子タイプ及び/又は粒子エネルギーの存在に起因して、スケーリング問題は、些細なものではない。
【0011】
[0011] 1つの寄与(N=1)又は複数の寄与(N≧2)が取得されると、1つ又は複数の寄与の各々に関する前記少なくとも1つの生物学的効果乗数の寄与毎線量加重平均
【数1】
、1≦i≦Nが記憶される。寄与毎線量加重平均は、本方法の一環として計算することができるか、又は別のソースから受信することができる。寄与の線量加重平均は、寄与の線量を重みとして使用して、生物学的効果乗数の平均を計算することによって計算することができ、これは、T及びEにわたる合算及び寄与の総線量による正規化を含み得る。
【0012】
[0012] 本方法の次のステップは、応答的に実行される。より正確には、組合せの割り当てΠが得られるとき、組合せの生物学的効果が特定される。寄与を結合又は補間するために、割り当ては、1つ又は複数の寄与に適用される非負係数k
1、k
2、...、k
N≧0に関して表現されることが理解される。組合せの生物学的効果は、部分的に、記憶された寄与毎線量加重平均
【数2】
に基づいて、前記少なくとも1つの生物学的効果乗数の結合線量加重平均
【数3】
を計算することによって特定され得る。次いで、総物理的線量に生物学的効果乗数の結合線量加重平均を乗算する。RBEモデルが、各生物学的効果乗数を有する幾つかの項を含む場合、結合線量加重平均は、これらの各々で実行される。
【0013】
[0013] 本方法は、空間中の点又は空間のボリューム(領域)であるロケーションxに関する値として生物学的効果を出力し得る。代替的に、異なる位置での複数の生物学的効果値を出力し、空間座標のリスト、テーブル又は関数を形成し得る。
【0014】
[0014] 本発明のこの態様は、組合せの割り当てが取得されるとき、生物学的効果が、記憶された寄与毎線量加重平均
【数4】
、1≦i≦Nから計算される点で組合せの可変性を考慮に入れるため、動的推定を提供する。新しい割り当てが取得されると、生物学的効果は、同じ記憶された寄与毎線量加重平均から再計算される。この手法は、計算の早期部分の繰り返しを回避し、代わりに、これらの早期部分の中間結果を再使用するため、効率的である。治療計画に活用すると、所与の時間量でより多くの反復を実行することができ、それにより最終結合治療計画の品質を上げることに寄与する。
【0015】
[0015] 一般に、特許請求の範囲で使用される全ての用語は、本明細書において別段のことが明記される場合を除き、当技術分野での通常の意味に従って解釈されるべきである。「1つの(a)/1つの(an)/その要素、装置、構成要素、手段、ステップ等」への全ての言及は、別段のことが明記される場合を除き、その要素、装置、構成要素、手段、ステップ等の少なくとも1つの事例を指すものとしてオープンに解釈されるべきである。本明細書に開示される任意の方法のステップは、明示される場合を除き、開示された厳密な順序で実行される必要はない。
【0016】
[0016] 第2の態様において、本発明は、上記の方法を実施する治療計画システムを提供する。特に、本治療計画システムは、1つ又は複数の非光子放射線寄与D
(i)(T,E)、1≦i≦N及び非負係数k
1、k
2、...、k
N≧0に関する組合せの動的割り当てΠを受信するように構成されたインターフェースを含み得る。本治療計画システムは、前記少なくとも1つの生物学的効果乗数の寄与毎線量加重平均
【数5】
、1≦i≦Nを記憶するように構成されたメモリと、組合せのそれぞれの受信された動的割り当てΠについて、組合せの生物学的効果を特定するように構成された処理回路とをさらに含み得る。
【0017】
[0017] 本発明は、コンピュータ又は特に前記治療計画システムに上記の方法を実行させる命令を有するコンピュータプログラムを提供する。本コンピュータプログラムは、データキャリアに記憶され得るか又はデータキャリアで配布され得る。本明細書で使用される場合、「データキャリア」は、変調電磁波若しくは光波等の一時的データキャリア、又は非一時的データキャリアであり得る。非一時的データキャリアは、磁気、光学又は固体状態タイプの永久的ストレージ及び非永久的ストレージ等の揮発性メモリ及び不揮発性メモリを含む。依然として「データキャリア」の範囲内にありながら、そのようなメモリは、固定搭載され得るか又はポータブルであり得る。
【0018】
図面の簡単な説明
[0018] ここで、態様及び実施形態について、添付図面を参照して例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】生物学的効果-ln S
Πの動的計算が本発明の実施形態に従ってどのように編成されるかを概略的に示す。
【
図3】一実施形態による方法のフローチャートである。
【
図4】一実施形態による治療計画システムのブロック図である。
【
図5】治療計画を実行するための放射線送達システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
詳細な説明
[0019] ここで、本開示の態様について、本発明の特定の実施形態が示される添付図面を参照してより詳細に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で実施され得、実施形態は、限定するものとして解釈されるべきではなく、むしろ、実施形態は、本開示が十分及び完全なものになり、本発明の全態様の範囲を当業者に十分に伝えるために例として提供される。
【0021】
[0020]
図3は、患者の非光子照射を指定する治療計画の生物学的効果を動的に推定する方法300のフローチャートであり、治療計画は、非光子放射線寄与の組合せである。非光子放射線は、例えば、イオン又はプロトンによる照射であり得る。
【0022】
[0021] 治療計画は、放射線送達システム500によって実行され得る。
図5に示されるように、そのようなシステムは、放射線源を有するガントリ510と、治療中、患者が静止し固定されるカウチ520とを含み得る。ガントリ510とカウチ520との間の回転及び/又は並進相対移動が可能である。特に、ガントリ510は、1つ又は2つの軸に関して回転可能であり得、カウチ520は、垂直軸の周りで回転可能であり得、少なくとも1つの次元において並進可能であり得る。これにより、対応する複数のスポットによって説明し得るように、多くの照射角度及び照射位置(又は入射方向)が可能になる。治療計画は、利用可能なスポットの全て又は幾つかのフルエンス及び/又は粒子エネルギー値を指定し得る。
【0023】
[0022] 生物学的効果は、粒子タイプT及び/又は粒子エネルギーEに依存する少なくとも1つの生物学的効果乗数δ(T,E)を含む相対生物学的有効性(RBE)モデルに従って計算されるべきである。生物学的効果乗数は、特性冪数の値p>0とさらに関連し得る。粒子タイプT及び粒子エネルギーEについて、生物学的効果乗数は、δ(T,E)D(T,E)
pに等しい生物学的効果-ln Sへの寄与に対応する。混合線量の場合、総寄与は、
【数6】
によって与えられ、式中、表記Σ
T,E...は、線量D(T,E)>0である全ての(T,E)対にわたる合算の省略表現である。生物学的効果乗数を用いた形式化は、例えば、ビーム混合における巨視的生物学的効果を表すのに有用であるが、微視的(micro-)又はナノドシメトリ的(nanodosimetric)計算には十分でないことがある。
【0024】
[0023] RBEモデルは、1つ又は複数の生物学的効果乗数の線形結合であるRBE係数として表現され得る。本発明の範囲内において、RBEモデルは、
- 局所効果モデル(LEM)(例えば、Scholz et al.,“Computation of cell survival in heavy ion beams for therapy. The model and its approximation”, Radiat. Environ. Biophys. (1997), vol. 36, pp.59-66 [doi:10.1007/s004110050055]に記載される初期バージョン)、
- マイクロドシメトリ-運動モデル(MKM)(例えば、Hawkins, “A microdosimetric-kinetic model for the effect of non-Poisson distribution of lethal lesions on the variation of RBE with LET”, Radiat. Res. (2003), vol. 160, pp. 61-69 [doi:10.1667/RR3010]を参照されたい)
であり得る。
【0025】
[0024] Kramer及びScholzによるLEM(Kramer et al.,“Rapid calculation of biological effects in ion radiotherapy”, Phys. Med. Biol. (2006), vol. 51, pp. 1959-1970 [doi:10.1088/0031-9155/51/8/001])は、線量の生物学的効果D(T,E)を、
【数7】
として定量化し、式中、パラメータα(T,E)、β(T,E)、D
cut及びs
maxは、巨視的線量から独立している。したがって、パラメータは、いかなる治療計画も変更せずに適用することができる。生物学的効果-ln Sは、以下の関係:
【数8】
を使用して等価線量D
bioに変換することができる。このモデルにおいて、表現β(T,E)D(T,E)+α(T,E)が、線量に関する定数である1つの乗数αと、線量に伴って線形変化する1つの乗数βとを含むことは、注目に値する。したがって、αに比例する部分により、生物学的効果が物理的線量の1乗に依存する(p=1、先に紹介した表記を用いる)一方、βに比例する部分は、物理的線量への二次依存性を提供する(p=2)。数量pは、本明細書では、生物学的効果乗数の特性冪数と呼ばれる。本開示は、カットオフ挙動がモデリングされない、即ち理論上、D
cut=∞に設定する特殊事例を否定しない。
【0026】
[0025] MKMによる生物学的効果は、以下のように表現され得る。
【数9】
特性冪数は、α
0(T,E)及び
【数10】
の両方についてp=1である。βは、現在のバージョンのMKMによれば、異なる放射線タイプに関して一定であるため、総線量に直接適用され得る。
【0027】
[0026] さらに、RBE係数は、
- Carabeモデル(例えば、Carabe-Fernandez et al.,“The incorporation of the concept of minimum RBE (RBEmin) into the linear-quadratic model and the potential for improved radiobiological analysis of high-LET treatments”, Int. J. Radiat. Biol. (2007), vol. 83, pp. 27-39 [doi:10.1080/09553000601087176]を参照されたい)、
- Chen & Ahmadモデル(例えば、Chen et al.,“Empirical model estimation of relative biological effectiveness for proton beam therapy”, Radiat. Prot. Dosim. (2012), vol. 149, pp. 116-123 [doi:10.1093/rpd/ncr218]を参照されたい)、
- McNamaraモデル(例えば、McNamara et al.,“A phenomenological relative biological effectiveness (RBE) model for proton therapy based on all published in vitro cell survival data”, Phys. Med. Biol. (2015), vol. 60, pp.8399-8416 [doi:10.1088/0031-9155/60/21/8399]を参照されたい)、
- Wedenbergモデル(例えば、Wedenberg et al.,“A model for the relative biological effectiveness of protons: The tissue specific parameter α/β of photons is a predictor for the sensitivity to LET changes”, Acta Oncologica (2013), vol. 52, pp.580-588 [doi:10.3109/0284186X.2012.705892]を参照されたい)
等の線エネルギー付与(LET)モデルの1つ又は複数の現象論ベースのパラメータ化に従い得る。本開示において、名称が挙げられたRBEモデルは、名前が挙げられた著者による引用された開示のみならず、同じ又は他の著者による更なる進展並びに開示されたモデルの量的及び質的バリエーションも含む。
【0028】
[0027] 更なる選択肢は、指定された粒子タイプT及び粒子エネルギーEの線量を入力し、生物学的効果乗数、RBE係数、等価線量又は生物学的効果の値を出力する外部ソフトウェアを使用することである。ソフトウェアは、方法300によって実行されるソースコードとして提供され得る。代替的に、方法300の実行中、ローカルソフトウェアライブラリへの繰り返しの呼び出しが行われる。さらに代替的に、特に低待ち時間を保証することができる場合、ウェブアプリケーションプログラミングインターフェース(API)への呼び出しが行われる。ソフトウェアは、治療計画者に不透明であるという意味で外部にあり、即ちあらゆる許容可能な入力(物理的線量)について出力(生物学的効果)を返すが、治療計画者は、実施するRBEモデル又はソフトウェアの下にある他の考慮事項を認識する必要がない。
【0029】
[0028] 方法300は、
図4に示されるタイプの治療計画システム400において実施され得る。治療計画システムは、インターフェース410、メモリ420及び処理回路430を含み得る。インターフェース410は、テキスト若しくはグラフィカルユーザインターフェース、スクリプトを介して又はデータ転送により、1つ又は複数の非光子放射線寄与D
(i)(T,E)、1≦i≦Nと、非負係数k
1、k
2、...、k
N≧0に関する組合せの動的割り当てΠと、場合により更なるデータとを受信するように構成される。インターフェース410は、治療計画システム400をデータネットワーク(図示せず)に接続し得、それによりユーザ、臨床医、研究者、治療計画人員、放射線送達システム等との通信を可能にする。メモリ420は、治療計画システム400に方法300を実行させる命令を有するコンピュータプログラム421を記憶するように構成され得る。処理回路430は、コンピュータプログラム421の命令を実行して、特に次の段落で説明するステップを実行し得る。
【0030】
[0029] 方法300の第1のステップ310において、1つ又は複数の非光子放射線寄与D(i)(T,E)、1≦i≦Nが取得される。寄与のうちの第iの寄与は、粒子タイプT及び粒子エネルギーEの対のロケーションxにおける線量D(i)(T,E)の値を提供するリスト、テーブル又は行列として表され得る。ロケーションxは、点、ボクセル又は他の領域を指し得、本明細書において表記で暗示される。線量の表現は、粒子エネルギーEに関して離散又は連続であり得る。各寄与は、放射線治療で送達されるビーム又はスポットに対応し得る。代替的に、各寄与は、基本計画又はパレート最適計画等の準備段階の治療計画に対応し得る。特定の治療計画から、治療計画が実行されるときにどの程度の物理的線量が患者の特定の体積で吸収されることになるかは、明確でないことがある。治療計画が、物理的線量に関してではなく、例えば機械レベルの命令に関して表現される場合、物理的線量の特定又は推定に比較的複雑な計算が必要であり得る。
【0031】
[0030] 任意選択的な第2のステップ312において、各寄与の総線量
【数11】
は、方法300において後に使用するために記憶される。表記Σ
T,E...は、線量D
(i)(T,E)>0である全ての(T,E)対にわたる合算の省略表現である。ステップ312が別個に実行されない場合、寄与の総線量は、後の段階で計算することができる。
【0032】
[0031] 同様の任意選択的な第3のステップ314において、少なくとも1つの生物学的効果乗数の寄与毎線量加重平均が計算される。計算は、以下の式:
【数12】
に従うことができ、式中、pは、生物学的効果乗数の特性冪数であり、
【数13】
は、第iの寄与の総線量である。上記の表現は、指数pを有する冪数平均として分類することができる。上述したKramer & Scholzモデルでは、乗数の各特性冪数を念頭に置いて、このステップ314は、
【数14】
を計算することを含む。この演算は、先に説明したように、少なくとも部分的に異なる実体により、例えばδ(T,E)又はδ(T,E)
1/pD
(i)(T,E)を外部ソフトウェアによって実行させることによって、実行することができるため、ステップ314は、方法300において任意選択的である。
【0033】
[0032] 次のステップ316において、N個の寄与の各々に関する少なくとも1つの生物学的効果乗数の寄与毎線量加重平均
【数15】
、1≦i≦Nが記憶される。記憶することは、例えば、治療計画システム400のメモリ420で実行され得る。
【0034】
[0033] 方法300の続くステップ318において、N個の寄与の組合せの割り当てΠが取得される。割り当てΠは、N個の寄与に適用される非負係数k
1、k
2、...、k
N≧0に関し得る。割り当てΠは、ユーザ又は別のプロセッサから係数k
1、k
2、...、k
Nの入力を受け入れ可能な状態であるモードにインターフェース410を設定することによって取得され得る。代替的に、割り当てΠは、割り当てΠが見つけられるメモリ空間をポーリングすることによって取得され得る。
図3において、ブロック318は、係数の入力がないことを表す1つの右側出口を有し、その場合、方法300の実行は、ループバックする。係数が取得されたことを表すブロック318からの下方の出口は、-ln S
Πとして示される、この割り当てΠに従った組合せの生物学的効果を特定する後続のステップ320に続く。ステップ320の完了後、方法300の実行は、ブロック318にループバックして、新しい割り当てΠ’を受け取り得る。
【0035】
[0034] 第1の係数の組k
1、k
2、...、k
Nは、合算すると1になり得、
【数16】
であり、それにより、基本計画P
1、P
2、...、P
Nの凸結合
【数17】
を定義し得ることに留意されたい。凸結合は、ナビゲーション計画Πと呼ぶことができる。ユーザは、係数を選択し得、本出願人の開示である欧州特許出願公開第3581241A1号に記載されるタイプのナビゲーションインターフェースを使用してナビゲーション計画の結果性質を調べ得る。ナビゲーションインターフェースは、臨床目標及び各臨床目標の関連する値範囲のリストを表示するディスプレイ手段と、ユーザがナビゲーション重みを入力できるようにするユーザ入力手段とを含み得る。各臨床目標について、好ましくは、臨床目標が満たされるか否かのインジケータも存在する。ユーザのナビゲーション継続の結果として、変更された係数の組
【数18】
を取得し得る。生物学的効果を計算する本方法では、生物学的効果が臨床目標の1つである場合、ユーザは、最小の待ち時間で応答フィードバックを受け取ることができる。
【0036】
[0035] ステップ320は、より正確には、記憶された寄与毎線量加重平均
【数19】
に基づいて、前記少なくとも1つの生物学的効果乗数の結合線量加重平均
【数20】
を計算することを含む。結合線量加重平均は、
【数21】
によって与えられる。RBEモデルがδ(T,E)以外の生物学的効果乗数を含まない場合、生物学的効果は、
【数22】
と、組合せΠの総線量D
π,totのp乗との積として、以下:
【数23】
のように与えられる。Zaider and Rossi, “The synergistic effects of different radiations”, Radiat. Res. (1980), vol. 83, pp. 732-739 [doi:10.2307/3575352]を参照されたい。本発明者らが認識したように、寄与毎線量加重平均
【数24】
及び寄与毎総線量
【数25】
は、係数k
1、k
2、...、k
Nから独立している。したがって、組合せの新しい割り当てΠ’がステップ318の反復において取得されると(例えば、新しい係数値
【数26】
を取得することにより)、その生物学的効果-ln S
Π’は、上記の式に、
【数27】
を代入することによって計算することができる。
【数28】
又は
【数29】
を再計算する必要はない。生物学的効果-ln S
Π又は新しい生物学的効果-ln S
Π’を使用して、放射線治療計画をサポートし得る。
【0037】
[0036] 2つ以上の生物学的効果乗数を有するRBEモデルの場合、等価線量寄与が合算される。上述したKramer & Scholtzモデルの特定の場合、そのような合算は、
【数30】
をもたらす。
【0038】
[0037] 先に見られたように、組合せは、割り当てΠ毎に、非ゼロ線量がある全ての(T,E)対にわたる-ln SΠへの寄与を合算することにより、総合生物学的効果が得られる混合放射線場を提供する。計算は、先に提示されたように構造化されて、係数k1、k2、...、kNが変更された場合、計算的に効率的なリフレッシュをできるようにする。
【0039】
[0038] 計算構造は、
図1において視覚化され、
図1において、入力数量
【数31】
は、左側サイズに示されている。表記は、
【数32】
という意味で理解されるものとする。
【数33】
の知識なしで計算することができる中間数量
【数34】
は、エリア101の外部に示されている。中間数量
【数35】
は、このエリア101内部に示されている。総合生物学的効果-ln S
Πは、3つの中間数量及び係数
【数36】
に基づいて、ブロック102によって示される関数によって計算される。
【0040】
[0039]
図2は、総合生物学的効果-ln S
Πが2ステップで計算されることを明らかにするブロック102の内部の動作を示す。まず、各生物学的効果乗数の結合線量加重平均
【数37】
が計算される。次いで、結合線量加重平均
【数38】
は、総線量D
Π,totのp乗によって乗算され、-ln S
Πとして出力される。
【0041】
[0040] 本明細書に開示される実施形態の利点は、新しい係数の組
【数39】
が受信された場合、比較的限られた労力を表すエリア101の内部の計算を繰り返すのみでよいことである。
【0042】
[0041]
図1の計算構造は、治療計画のスケーリングの場合にも利点を提供し得る。スケーリングされる治療計画は、単独寄与N=1を構成する基本計画P
1と見なすことができ、その係数k
1は、スケーリング係数である。したがって、総合線量は、
【数40】
であり、したがって、
【数41】
である。生物学的効果は、
【数42】
によって与えられ、式中、
【数43】
、基本計画P
1に関する線量加重平均は、予め計算することができる。生物学的効果は、k
1における二次多項式である。
【0043】
[0042] 本開示の態様が主に少数の実施形態を参照して上述された。しかしながら、当業者に容易に理解されるように、先に開示したもの以外の実施形態も、添付の特許請求の範囲によって規定されるように本発明の範囲内で等しく可能である。
【手続補正書】
【提出日】2023-01-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの生物学的効果乗数δ(T,E)を含む相対生物学的有効性RBEモデルに従って非光子放射線の可変組合せの生物学的効果を動的に推定する
コンピュータベースの方法(300)であって、前記少なくとも1つの生物学的効果乗数δ(T,E)は、前記生物学的効果へのその寄与がδ(T,E)D(T,E)
pであるように、粒子タイプT及び/又は粒子エネルギーEに依存し、p>0は、前記生物学的効果乗数の特性冪数であり、前記方法は、
1つ又は複数の非光子放射線寄与D
(i)(T,E)、1≦i≦Nを取得すること(310)であって、前記寄与の少なくとも1つは、複数の粒子タイプ及び/又は複数の粒子エネルギーを含む、取得すること(310)と、
前記1つ又は複数の寄与の各々に関する前記少なくとも1つの生物学的効果乗数の寄与毎線量加重平均
【数1】
、1≦i≦Nを記憶すること(316)と、
前記1つ又は複数の寄与に適用される非負係数k
1、k
2、...、k
N≧0に関する前記組合せの割り当てΠを取得すること(318)に応答して、前記組合せの生物学的効果を特定すること(320)であって、前記記憶された寄与毎線量加重平均に基づいて、前記少なくとも1つの生物学的効果乗数の結合線量加重平均
【数2】
を計算することを含む、特定すること(320)と、
を含む、方法(300)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの生物学的効果乗数の前記結合線量加重平均
【数3】
は、前記それぞれの係数k
i及び前記寄与の総線量
【数4】
によって加重される、それぞれの記憶された寄与毎線量加重平均
【数5】
の、指数1/pを有する冪数平均
【数6】
として計算され、p>0は、前記生物学的効果乗数の前記特性冪数である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組合せの前記生物学的効果を特定することは、前記組合せΠの総線量
【数7】
のp乗に、前記少なくとも1つの生物学的効果乗数の前記結合線量加重平均
【数8】
を乗算することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記組合せΠの前記生物学的効果の前記特定(320)において使用するために、前記寄与の総線量
【数9】
を記憶すること(312)を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
式:
【数10】
を使用して、前記少なくとも1つの生物学的効果乗数の前記寄与毎線量加重平均を計算すること(314)を更に含み、p>0は、前記生物学的効果乗数の特性冪数であり、及び
【数11】
は、第iの寄与の総線量である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記RBEモデルの少なくとも1つの生物学的効果乗数δ(T,E)について、p=1である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの生物学的効果乗数は、マイクロドシメトリ-運動モデルMKMのα
0項又は
【数12】
項等の線形二次モデルのα乗数を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記RBEモデルの少なくとも1つの生物学的効果乗数δ(T,E)について、p=2である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの生物学的効果乗数は、線形二次モデルのβ乗数を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
各寄与は、放射線治療で送達されるビーム又はスポットを表す、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
各寄与は、基本計画又はパレート最適計画等の放射線治療計画を表す、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記係数は、前記寄与の凸結合を表す、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記寄与は、多基準最適化MCOによって得られる基本計画を表し、及び前記組合せは、ナビゲーション計画に対応する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記組合せは、放射線治療計画のスケーリングに対応する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記非光子放射線は、プロトン放射線、ヘリウムイオン又は炭素イオンを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記組合せの前記特定された生物学的効果を使用して、放射線治療計画をサポートすることを更に含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つの生物学的効果乗数δ(T,E)を含む相対生物学的有効性RBEモデルに従って非光子放射線の可変組合せの生物学的効果を動的に推定するように構成された治療計画システム(400)であって、前記少なくとも1つの生物学的効果乗数δ(T,E)は、前記生物学的効果へのその寄与がδ(T,E)D(T,E)
pであるように、粒子タイプT及び/又は粒子エネルギーEに依存し、p>0は、前記生物学的効果乗数の特性冪数であり、前記システムは、
インターフェース(410)であって、
- 1つ又は複数の非光子放射線寄与D
(i)(T,E)、1≦i≦Nであって、前記寄与の少なくとも1つは、複数の粒子タイプ及び/又は複数の粒子エネルギーを含む、1つ又は複数の非光子放射線寄与D
(i)(T,E)、1≦i≦N、及び
- 前記1つ又は複数の寄与に適用される非負係数k
1、k
2、...、k
N≧0に関する前記組合せの動的割り当てΠ
を受信するように構成されたインターフェース(410)と、
前記1つ又は複数の寄与の各々に関する前記少なくとも1つの生物学的効果乗数の寄与毎線量加重平均
【数13】
、1≦i≦Nを記憶するように構成されたメモリ(420)と、
前記組合せのそれぞれの受信された動的割り当てΠについて、前記組合せの生物学的効果を特定することであって、前記記憶された寄与毎線量加重平均に基づいて、前記少なくとも1つの生物学的効果乗数の結合線量加重平均
【数14】
を計算することを含む、特定することを行うように構成された処理回路(430)と、
を含む、治療計画システム(400)。
【請求項18】
コンピュータプログラム(421)であって、コンピュータによって実行されると、前記コンピュータに、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム(421)。
【請求項19】
請求項18に記載のコンピュータプログラムを保持するデータキャリア。
【国際調査報告】