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特表2023-530648単軌道または多軌道の車両を作動させる方法および運転者アシストシステム
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  • 特表-単軌道または多軌道の車両を作動させる方法および運転者アシストシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-19
(54)【発明の名称】単軌道または多軌道の車両を作動させる方法および運転者アシストシステム
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/16 20200101AFI20230711BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20230711BHJP
【FI】
B60W30/16
B60W50/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022576188
(86)(22)【出願日】2021-03-01
(85)【翻訳文提出日】2022-12-09
(86)【国際出願番号】 DE2021100205
(87)【国際公開番号】W WO2021254553
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】102020207502.6
(32)【優先日】2020-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ションヘル,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ショーリ,トルステン
(72)【発明者】
【氏名】グレロード,マチュー
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA02
3D241BA57
3D241BA58
3D241BA60
3D241CC00
3D241DA13Z
3D241DB02Z
3D241DC02Z
(57)【要約】
【課題】 本発明は、運転者アシストシステム(102)を有する単軌道または多軌道の車両(100)を作動させる方法に関する。
【解決手段】 車両(100)の速度(112)と、先行車両(108)に対する車両(100)の間隔(112)とがコントロールされ、速度(122)は車両(100)の操作部材(114)の位置(118)を利用したうえで運転者アシストシステム(102)のシステム上の速度範囲(128)内でコントロールされるとともに、速度範囲(128)内で選択可能な任意選択の目標速度(146)に達するまでコントロールされ、速度範囲(128)の上限(142)を超過する前に車両(100)の運転者に対して警告信号(144)が提供され、間隔(112)は速度依存的な間隔バッファ範囲(136)のなかで位置(118)に依存して速度範囲(128)内でコントロールされる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者アシストシステム(102)を有する単軌道または多軌道の車両(100)を作動させる方法において、前記車両(100)の速度(112)と、先行車両(108)に対する前記車両(100)の間隔(112)とがコントロールされ、前記速度(122)は前記車両(100)の操作部材(114)の位置(118)を利用したうえで前記運転者アシストシステム(102)のシステム上の速度範囲(128)内でコントロールされるとともに、前記速度範囲(128)内で選択可能な任意選択の目標速度(146)に達するまでコントロールされ、前記速度範囲(128)の上限(142)を超過する前に前記車両(100)の運転者に対して警告信号(144)が提供され、前記間隔(112)は速度依存的な間隔バッファ範囲(136)のなかで前記位置(118)に依存して前記速度範囲(128)内でコントロールされる、方法。
【請求項2】
前記目標速度(146)および/または前記上限(142)を超過する前に同じく前記警告信号(144)が提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記警告信号(144)として運転者にとって可視的な表示が提供される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記警告信号(144)として前記車両(100)の車両特性の変更が調整される、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記車両特性の変更として前記操作部材(114)の抵抗が高められる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記車両特性の変更として前記位置(118)の変更の非受理が調整される、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
位置勾配が踏み越え値よりも大きいときに、前記目標速度(146)および/または前記上限(142)が超過される、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記上限(142)は前記運転者アシストシステム(102)のシステム状態に依存して調整される、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
運転者アシストシステム(102)において、前記運転者アシストシステム(102)は請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法を相応のデバイスで実施し、具体化し、および/または制御するために構成される、運転者アシストシステム。
【請求項10】
コンピュータプログラム製品が実行されたときに請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法を実施し、具体化し、および/または制御するようにプロセッサに指図するためにセットアップされた、コンピュータプログラム製品。
【請求項11】
請求項10に記載のコンピュータプログラム製品が保存された機械可読の記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単軌道または多軌道の車両を作動させる方法に関し、ならびに相応の運転者アシストシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両は運転者アシストシステムを有することができる。たとえば車両は、車両の運転者により設定される目標速度値を中心とする許容範囲内に収まるように車両の速度を制御する、クルーズコントロールと呼ばれる運転者アシストシステムを有することができる。
【0003】
クルーズコントロールは、間隔コントロール型のクルーズコントロールとして製作されていてよい。その場合、先行車両が車両のセンサシステムによって検出され、選択可能な目標間隔よりも短い間隔で先行車両が車両に先行している限りにおいて、目標速度値に合わせて速度をコントロールすることができる。その場合には、目標間隔を中心とする許容範囲内で先行車両を車両が追走するようになるまで、車両の出力が抑えられる。間隔コントロール型のクルーズコントロールは、間隔を許容範囲内に保つために、車両のブレーキシステムを制御することもできる。
【発明の概要】
【0004】
以上を背景としたうえで、ここで提案される取り組みにより、単軌道または多軌道の車両を作動させる方法、および相応の運転者アシストシステム、ならびに最後に相応のコンピュータプログラム製品および機械可読の記憶媒体がそれぞれ独立請求項に基づいて提案される。ここで提案される取り組みの好ましい発展例と改良は本明細書から明らかとなり、従属請求項に記載されている。
【0005】
本発明の実施形態は、単軌道または多軌道の車両の運転者が車両のアクセルペダルないしスロットルペダルを、またはスロットルツイストグリップないしアクセルグリップを通常どおり利用して、車両が先行車両に接近するまで、または運転者により選択される目標速度に速度が近似するまで、車両の速度をコントロールできるようにすることを可能にするという利点がある。
【0006】
運転者によって現在調整されているアクセルペダル角度のもとで、または運転者によって現在調整されているグリップ位置のもとで、車両が先行車両との間隔を目標間隔以下まで狭めることになる場合には、目標間隔が遵守されるまで、システム介入によって車両が減速される。このとき運転者は速度依存的なバッファ範囲内で、アクセルペダル角度またはグリップ位置によって目標間隔に影響を及ぼすことができる。
【0007】
運転者によって現在調整されているアクセルペダル角度のもとで、または運転者によって現在調整されているグリップ位置のもとで、車両が目標速度よりも高速で走行することになる場合には、目標速度が遵守されるまで、同じくシステム介入によって車両が制動される。このとき運転者はシステム上の速度範囲内で、目標速度を自由に選択することができる。アクセルペダルを強く踏むことで、またはスロットルツイストグリップを回すことで、目標速度を超過することができる。運転者が目標速度を選択しないこともできる。システム上の速度範囲も、アクセルペダルを強く踏むことで、またはスロットルツイストグリップを回すことで、超過することができる。ただし、速度範囲から逸脱する前に運転者が警告を受ける。速度範囲を超過すると、間隔コントロールがシステム上で不作動化されるか、または制約された機能性しかなくなるからである。
【0008】
単軌道または多軌道の車両を作動させる方法が提案され、車両の速度と、先行車両に対する車両の間隔とがコントロールされ、速度は車両の操作部材の位置を利用したうえでシステム上の速度範囲内でコントロールされるとともに、速度範囲内で選択可能な任意選択の目標速度に達するまでコントロールされ、速度範囲の上限を超過する前に車両の運転者に対して警告信号が提供され、間隔は速度依存的な間隔バッファ範囲のなかで位置に依存して速度範囲内でコントロールされる。
【0009】
本発明の各実施形態に関わる思想は、特に、以下に説明する発想と知見に依拠するものとみなすことができる。
【0010】
車両はたとえば乗用車、トラック、オートバイ、または四輪バギーであってよい。乗用車やトラックは、アクセルペダルまたはスロットルペダルを操作部材として有することができる。オートバイは、スロットルツイストグリップまたはアクセルグリップを操作部材として有することができる。四輪バギーは、スロットルレバーまたはアクセルレバーを操作部材として有することができる。すなわち操作部材の位置は、アクセルペダル角度、グリップ位置、またはレバー位置であり得る。
【0011】
車両は、特に車両の前方の検出範囲を検出するためのセンサシステムを有することができる。センサシステムは、たとえばレーダーベース、ライダーベース、またはカメラベースであってよい。他の車両が車両前方の検出範囲を走行しているとき、センサシステムが両方の車両の間の間隔を検出することができる。この間隔に関する情報を、車両の少なくとも1つの運転者アシストシステムのために提供することができる。システム上の速度範囲は上限と下限を有することができる。システム上の速度範囲は、車両および車両に収容されているコンポーネントの特性に依存して定義されていてよい。上限は、たとえばセンサシステムの性能によって規定されていてよい。たとえば、センサシステムの少なくとも1つのセンサのセンサ到達距離が上限を規定することがあり得る。下限は、たとえば車両の停止であってよい。
【0012】
目標速度は、車両の運転者によって随意に設定することができる。たとえば目標速度は、乗用車のペダル位置、オートバイのグリップ位置、または四輪バギーのレバー位置を通じて調整し、保存しておくことができる。目標速度は、たとえば運転者アシストシステムのインターフェースを介して調整し、再び消去することができる。インターフェースは、たとえばレバー、キー、またはタッチ操作パネルとして製作されていてよい。目標速度は、規定されたステップ幅またはインターバルで引き上げ、ないしは引き下げることもできる。同様に目標速度は、事前に保存されている値に合わせてセットすることができる。目標速度は、車両の標識認識によって設定することもできる。目標速度よりも下方で、運転者は車両の速度を操作部材によって決定することができる。運転者が車両のブレーキペダルを踏んでいるときにも、またはブレーキグリップを引いているときにも、目標速度がアクティブに保たれるのが好ましい。
【0013】
間隔バッファ範囲は、車両と先行車両との間に配置されていてよい。間隔バッファ範囲は、速度が高いときには、速度が低いときよりも先行車両から遠く離れていてよい。車両が間隔バッファ範囲内にとどまる場合には、運転者がアクセルペダルを踏み込むほど、またはスロットルツイストグリップを回すほど、車両はいっそう先行車両に接近するように走行する。間隔バッファ範囲は、各車両の間のバーチャルなエアクッションのように作用する。運転者がアクセルペダルを踏み込むほど、またはスロットルツイストグリップを回すほど、エアクッションがいっそう圧縮されていき、この逆も成り立つ。このとき、先行車両との速度依存的な最小の安全間隔が常に少なくとも遵守される。
【0014】
車両が間隔バッファ範囲内で走行していて先行車両がブレーキをかけると、操作部材を通じて調整された間隔を速度依存的に遵守するために、車両は同じくその駆動装置および/またはブレーキを利用したうえで制動される。
【0015】
車両が速度範囲の上限よりも高速で走行する前に、運転者は警告信号によって警告を受ける。上限を超過すると、間隔を確実にコントロールできなくなるからである。
【0016】
目標速度を超過する前に、同じく警告信号を提供することができる。目標速度は厳格な限度ではなく、超過することができる。しかしその際に、たとえばその時点で適用される速度制限を超える可能性があり、このことは運転者自身の危険のもとで起こる。
【0017】
警告信号として、運転者にとって可視的な表示を提供することができる。たとえば警告灯を作動化することができる。同様に、警告記号を運転者の視野にフェードインすることもできる。
【0018】
警告信号として、車両の車両特性の変更を調整することができる。車両の車両特性は、運転者によって知覚可能な車両の特性であってよい。たとえば、車両が加速時息つきを行うことができる。このとき加速時息つきは正または負であってよい。同様に、操作部材の振動、ステアリングホイールの振動、またはシートの振動を通じて警告を伝えることができる。
【0019】
車両特性の変更として、操作部材の抵抗を高めることができる。高くなる抵抗により、抵抗を克服するためにいっそう強い力が必要となる。高くなった抵抗を一時的に維持することができる。同様に、上限を上回る速度で車両が走行している限りにおいて、高くなった抵抗を維持することができる。
【0020】
車両特性の変更として、操作部材の位置の変更の非受理を調整することができる。非受理になった場合、駆動装置がそれ以上の出力を提供することなしに、アクセルペダルをさらに強く踏み込んだりスロットルツイストグリップを回したりすることができ、すなわち、運転者による位置の変更が車両によっていわば無視される。その逆に駆動装置は、アクセルペダルがさらに弱く踏み込まれたり、スロットルツイストグリップが弱く回されたときには、放出される出力を直接的に低減することができる。キックダウンによって非受理を踏み越えることができる。
【0021】
位置勾配が踏み越え値よりも大きいときには、目標速度および/または上限を超過することができる。位置勾配は、操作部材の運動速度を表す。すなわち位置勾配は、アクセルペダル角度勾配またはスロットルツイストグリップ角度勾配であり得る。位置勾配が高いときには操作部材が急速に操作される。高い位置勾配は、たとえば運転者が目標速度および/または上限を意図的に超過しようとする特別な状況で適用することができる。
【0022】
上限は、運転者アシストシステムのシステム状態に依存して調整することができる。運転者アシストシステムは、たとえばセンサシステムの認識性能が低下したときに、上限を引き下げることができる。その場合、たとえば先行車両を認識できるのがあまりに遅くなる。同様に、車両のホイールが接地性を喪失したときに、上限を引き下げることができる。その場合、車両のブレーキ出力が低下していて安全間隔を遵守できない可能性がある。たとえば降水時に上限を引き下げて、車両の安全な動作を確保することができる。同様に、緩んだ地面や平滑な地面を車両が走行するときに、上限を引き下げることができる。
【0023】
本方法は、ソフトウェアまたはハードウェアとして、あるいはソフトウェアとハードウェアの混合形態で、たとえば制御装置にインプリメントされていてよい。
【0024】
さらに、ここで提案される取り組みは、ここで提案される方法の一変形形態の各ステップを相応のデバイスで実施し、制御し、ないしは具体化するために構成された運転者アシストシステムを創出する。
【0025】
運転者アシストシステムは、信号またはデータを処理するための少なくとも1つの計算ユニット、信号またはデータを保存するための少なくとも1つの記憶ユニット、ならびに、少なくとも1つのインターフェース、および/または通信プロトコルに埋め込まれたデータの読み込みまたは出力をするための通信インターフェースを有する、電気機器であってよい。計算ユニットは、センサ信号を処理するための、およびセンサ信号に依存してデータ信号を出力するための、たとえば信号プロセッサ、いわゆるシステムASIC、またはマイクロコントローラなどであってよい。記憶ユニットは、たとえばフラッシュメモリ、EPROM、または磁気メモリユニットであってよい。インターフェースは、センサからのセンサ信号を読み込むためのセンサインターフェースとして、ならびに/またはデータ信号および/もしくはアクチュエータへの制御信号を出力するためのアクチュエータインターフェースとして構成されていてよい。通信インターフェースは、データを無線式および/または有線式に読み込むために、または出力するために構成されていてよい。インターフェースは、たとえば他のソフトウェアモジュールと並んでマイクロコントローラ上に存在するソフトウェアモジュールであってもよい。
【0026】
半導体メモリ、ハードディスクメモリ、または光学メモリなどの機械可読の媒体または記憶媒体に保存されていてよく、特にプログラム製品またはプログラムがコンピュータまたは運転者アシストシステムで実行されたときに上に説明した各実施形態のうちの1つに基づく方法の各ステップを実行、具体化、および/または制御するために利用されるプログラムコードを有する、コンピュータプログラム製品またはコンピュータプログラムも好ましい。
【0027】
付言しておくと、本発明の考えられる構成要件や利点のうちのいくつかが、ここではそれぞれ異なる実施形態に関して説明されている。制御装置の構成要件と方法の構成要件を適当な形で組み合せ、適合化し、もしくは入れ替えて、本発明のさらに別の実施形態に至ることができることを当業者は認識する。
【0028】
次に、本発明の実施形態について添付の図面を参照しながら説明するが、図面や説明が本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】1つの実施例に基づく運転者アシストシステムを有する車両を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図面は模式的なものにすぎず、縮尺に忠実ではない。同じ符号は、図面において同じ構成要件または同じ作用の構成要件を表す。
【0031】
図1は、1つの実施例に基づく運転者アシストシステム102を有する車両100の図面を示している。車両100は乗用車である。ここで提案される取り組みは、オートバイ、トラック、あるいは四輪バイクないし四輪バギーでも相応に適用することができる。車両100は、走行方向で見て少なくとも車両100の前にいる他の車両を検出するためのセンサシステム104を有している。他の車両は、センサシステム104のセンサ到達距離106まで検出することができる。センサ到達距離106はセンサシステム104について固有である。さらに、センサ到達距離106は環境条件に依存する。たとえば雨天のときは、雨がないときよりもセンサ到達距離106が短くなる。
【0032】
車両100に先行する車両108をセンサシステム104が検出すると、車両100と先行車両108の間の間隔112を反映する間隔情報110が提供される。
【0033】
車両100の操作部材114が操作部材信号116を提供する。操作部材信号116は、操作部材114の現在の位置118を反映する。ここでは乗用車のアクセルペダル114が、アクセルペダル信号116を提供する。アクセルペダル信号116は、アクセルペダル114の現在のアクセルペダル角度118を反映する。
【0034】
車両100の速度センサ120が、車両100の現在の速度122を速度信号124で反映する。
【0035】
運転者アシストシステム102は、操作部材信号116と、速度信号124と、間隔情報110とを読み込む。
【0036】
間隔112が速度依存的な間隔限界値126よりも広く、速度122がシステム上の速度範囲128内にある限りにおいて、位置118が加速度目標値130へと直接的に変換される。すなわち車両100の運転者は、操作部材114を通じて通常どおり速度122を制御することができる。
【0037】
間隔112が速度依存的な間隔限界値126よりも狭くなり、速度122がシステム上の速度範囲128内にあるとき、位置118は、運転者アシストシステム102の間隔コントローラ134についての目標間隔132へと変換される。目標間隔132は、間隔バッファ範囲136の内部で調整することができる。間隔バッファ範囲136は速度依存的な間隔限界値126で始まり、先行車両108に対する速度依存的な安全間隔138で終わる。間隔コントローラ134は、間隔112と目標間隔132とを利用して、加速度目標値130ないしブレーキ目標値140をコントロールする。
【0038】
速度122が速度範囲128の上限142を超過すると、運転者は警告信号144によって警告を受けることになる。上限142を上回っていると、センサシステム104のセンサ到達距離106が、間隔情報110を高い信頼度で提供するのに十分でないからである。
【0039】
運転者は速度範囲128内で、任意選択として、運転者アシストシステム102の速度コントローラ148についての目標速度146をセットすることができる。間隔112が速度依存的な間隔限界値126よりも広く、速度122が目標速度146よりも低いとき、位置118が直接的に加速度目標値130へと変換される。速度122が目標速度146に達すると、ないしは目標速度146の直前まで達すると、速度コントローラ148が加速度目標値130をコントロールする。
【0040】
間隔112が間隔バッファ範囲136内にあり、速度122が目標速度146よりも低いとき、位置118が目標間隔132へと変換される。速度122が目標速度146に達すると、ないしは目標速度146の直前まで達すると、速度コントローラ148が加速度目標値130を、たとえそれによって間隔112が目標間隔132よりも広くなるとしても、コントロールする。
【0041】
間隔コントロールは環境条件に依存するので、1つの実施例では、環境条件が悪化したときに上限142が引き下げられる。そのために、運転者アシストシステムは環境条件を反映する環境情報150を読み込んで、上限142を環境条件に合わせて適合化する。
【0042】
換言すると、スピードリミッターの自動的な作動化が記載される。
【0043】
車両には、たとえばアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)やハイウェイアシスト(HWA)など、運転者にいっそう高い快適性とより大きな安全性を提供する、さまざまな運転者アシストシステムが存在する。これに加えてさらに別のアシストシステムが、間隔警告や非常ブレーキ介入によって安全性利得を提供する。
運転者指向のさらに別のアシスト機能である「ダイナミック・ディスタンス・アシスト」(DDA)は、特に、運転者の代わりにペダルによる制動を広範囲に引き受けるが、アクセルペダルは運転者に委ねる。
【0044】
間隔リミッターあるいはDDAについては、スピードリミッターまたはACCを補完として作動化させるという可能性が生まれる。そのようにして、最低間隔が確保されることだけでなく、所定の最高速度が守られることも保証される。
【0045】
最新のACCシステムは、プリセットすることができるさまざまな最高速度(たとえば160km/h、210km/h、あるいは250km/h)を有する。そのようにして、ACCがその所望の既知のパフォーマンスに達することによって、速度範囲内で利用されることが保証される。それは運転者にとってコントロール可能である。
【0046】
ディスタンス・リミッターやDDAなどの間隔保持機能には、特にスポーツカーの分野で高い速度のもとで、運転者が自分でアクセルペダルを通じて速度を設定するとき、どのようにシステム限度を運転者に注意喚起することができるかという問題がある。
【0047】
ここで提案される取り組みでは、間隔リミッターあるいはDDAが作動化すると、自動的に速度上限(v-max)が作動化する。そのようにして運転者は、このようなアシスト機能の利用時には特定の速度範囲内でしか所望のパフォーマンスを当てにできないことを自覚する。
速度上限の自動的な作動化に追加して、ここでは2段階のリミッターが提案される。
【0048】
第1の速度リミットは、従来知られているスピードリミッターに類似しており、たとえば市街地の状況について50km/h、あるいはアウトバーンの状況について120km/hに調整することができる。このとき作動化条件、機能挙動、および不作動化条件は周知のとおりであってよい。
【0049】
第2の速度リミットは、センサパフォーマンスの斟酌のために設計される(たとえば160km/h、210km/h、250km/h)。第2の速度リミットは、場合によりACCよりも若干高くてよい。運転者がアクセルペダルを利用することで、走行事象において能動的だからである。第2の速度リミットは、ディスタンス・リミッターまたはDDAが作動化したときに自動的に作動化することができる。第2の速度リミットは、センサパフォーマンスに関わるものであるため、操作デバイスによって変更することができず、ないしは容易に変更することができず、および/または走行中に変更することができない。
【0050】
ただし、1つの実施例ではそれが特定の範囲内で可変であり、環境条件に合わせて適合化することができる。たとえば激しい降雨のもとでは、速度上限を適合化することができる。このとき上側の限界を、標準的な/下側の速度リミットのセットで置き換えたり、不作動化することはできない。下側の速度リミットが不作動化されたときでも、上側の速度リミットは維持される。
【0051】
それにもかかわらず運転者は、上側のリミットを超えて速度を上げたいとき、操作デバイスによってディスタンス・リミッターまたはDDAを不作動化することで、これを実現することができる。運転者は非常に高いアクセルペダル角度またはキックダウンによって、一時的な不作動化を行うこともできる。運転者は、速度上限に近づいたときに十分に早期にその旨の注意喚起を受けるのが好ましく、それにより、上側のリミットを必要に応じて適時に無効にすることができる。上側の速度リミットは、調整可能な周知のスピードリミッターなしに車両で利用することもできる。
【0052】
最後に指摘しておくと、「有する」、「含む」などの概念は、それ以外の部材やステップを排除するものではなく、不定冠詞の「eine」や「ein」は複数を排除するものではない。特許請求の範囲における符号は限定とみなされるべきではない。
【符号の説明】
【0053】
100 車両
102 運転者アシストシステム
108 先行車両
112 間隔
114 操作部材
118 位置
128 速度範囲
136 間隔バッファ範囲
142 上限
144 警告信号
146 目標速度
図1
【国際調査報告】